グッドナイト・ラス・ヴィダス
メインログ/雑談ログ
Trailer
聖柱が如何に輝かしくとも、その光が届かぬ場所もある。
顧みられぬノヴァリスの恥部。堕ちて流れた底の底。落伍者達の吹き溜まり。
命は一錠の麻薬より安く、引金は一枚の紙幣より軽い。
路上では痩せた犬が吠え、盲いた老人が真実を嘯く。
壊れた十字を仰ごうと、祈りに報いる者は無い。
乾いた風とどす黒い雨が、全てを呑み込み、覆い隠していく。
ここはラス・ヴィダス。神に見放された街。
“協会”が主導する学区再開発計画。ラス・ヴィダスの動脈に突き立てられたその大鉈は、街の肉を裂き、骨を断ち、鮮血を垂れ流していく。
商業区とスラム街、富裕層と貧困層、持つ者と持たざる者の対立は最早臨界点を越え、表面張力は破綻の時を待ち受けている。
頻発する爆破テロ、蔓延するドラッグ。姿を消した堕天者に、記憶を失った生徒たち。
その影に潜む機神の手により、討たれたはずの死と呪いが、再びこの街に現出する。
積もる憎悪に果ては無く、深き断絶に底は無い。
それでも人はもう一度、その手を差し伸べられるのか。その手を取れるというのだろうか。
『“マスターポルート”討伐戦』
『十律者』
『消えた現代魔術師』
『ソドムの溶鉄』
『ラス・ヴィダス解放戦線』
『“殺し屋”ランク1』
『B-94“ベラ・ジュニア”』
『カラビンカ』
そして――『堕天病』
Double Cross The 3rd edition『グッドナイト・ラス・ヴィダス』
ダブルクロス――それは裏切りを意味する言葉。
Index
関連ログ
『ブラッド・ヒート・ストリーム』
『ランブル・ランペイジ・ラス・ヴィダス』
『Travelogue of Summer Vacation』
Opening
【OP/三部つゆり】
【OP/宮星イオリ】
【OP/析了トオル】
【OP/胡緑蘭】
Middle phase
【Middle1】
【Middle2】
【Middle3】
【Middle4】
【Middle5】
【Middle6】
【Middle7】
Climax
【Climax】
Ending
【ED/合同】
【ED/析了トオル】
【ED/胡緑蘭】
【ED/宮星イオリ】
【ED/三部つゆり】
Preplay

三部つゆり:(キャラシート)
三部つゆり:”ヴィユーハ”。三部つゆり(みつべ・-)、16歳。ラスヴィダス学区の高等部1年生です。
三部つゆり:生業としてはフリーの情報屋を営んでおり、色んな所から買い付けたり売り込んだりして何とか生きています。
三部つゆり:イージーのゲートや、他学区へ出稼ぎに行く事も厭わないフットワークの軽さとかが商売の秘訣かも。
三部つゆり:特にノドスだとかRVの負担軽減だとかに興味を強く示します。そういうネタなら行くので、最近はノドスが出たっていう崑崙学区にもいってたかも
三部つゆり:性格は真面目な方で、誠実なやり取りや取引を常に心がけています。
三部つゆり:そうする教育を以前から受けたり、言葉を聞いて心がけているようです。
三部つゆり:特筆事項としては、輪廻の獣の封印の器で 色々な行為によって輪廻の獣の影を一部引き出して戦ったりします。
三部つゆり:ノヴァリスに来たのも封印が緩みだしてからなので、来てなかったらまず死んでたんじゃないでしょうか。
三部つゆり:データ的には無形型。火力はないですが、打消しを複数と、ケアパッケージで味方のEF回数回復が売りです。シーカーもある。
三部つゆり:死なずに何とか生きているので、かつてセルで出会った幼馴染というかお兄さんというか、そういう二人を捜して生きています。今後どうなるのか。

宮星イオリ:(キャラシート)
宮星イオリ:PC2、宮星イオリです。ラス・ヴィダス高等部二年生……だと思うけど進級できてるかはちょっと怪しそうな女。 まあノヴァリスだし大丈夫かな。
宮星イオリ:8月革命の頃までは真っ直ぐで志の高いいい子だったらしいですが、今はすっかり心身ともにやさぐれており、悪徳生徒に対する辻斬りを繰り返す無軌道なアウトローと化しています。
宮星イオリ:それもこれもマスターポルートってやつが悪く、全身をどっぷりと堕天病にやられており、とっくに堕天者になるなりしててもおかしくなさそうなところを、不可能を可能にする遺産"不落の星"の力で無理矢理活動している状態です。
宮星イオリ:一応の理性は残っていますが、基本的に毎秒全身を拷問にかけられているような状態なので、非常に怒りっぽくて口が悪く、物忘れも多いらしいです。
宮星イオリ:こんな現状で遺産に見放されたら"おしまい"なので、「人助けしようぜ!みんなの希望になるんやで!」って代償ハラスメントをしてくる頭上の星になんとか耐えて生きている感じです。わざわざ悪徳生徒をしばいてる理由もこれ。
宮星イオリ:でもなんか、もうそこまでして生きる必要あるか……?みたいなことは思わないでもないこの頃。
宮星イオリ:データ的には強い単体パンチと強い回避ができます。完全なタイマン喧嘩マシンのスペックであり、ミドル性能と協調性は皆無。
宮星イオリ:知覚の判定なら任せてくださいって感じだけどそんなのあるか怪しいしね。
宮星イオリ:そんな感じです、みんなと仲良くできるかは怪しい女ですがPLはなんとかうまいこと協力しつつハッピーエンドにしたい気概を持っています。よろしくお願いします!

析了トオル:(キャラシート)
析了トオル:PC3、析了トオル。ジェネシスインダストリアルアカデミーの生徒にして……
析了トオル:悪名等が色々……色々ある怪奇現象探査部の部長をやっています。
析了トオル:遍く怪奇現象すべてを解析し、最後に残りしものこそが本物の神秘である!をモットーに
析了トオル:色んな学区に勝手に突撃し、秘密を暴いては帰っていくはた迷惑な人物。
析了トオル:そのせいか要注意人物扱いされることもありますが、最近は公的な依頼を受けることも多くなり、出禁になることも少なくなってきました。
析了トオル:身体能力もレネゲイドも貧弱寄りで、特にこれといった異能も無く。車椅子に常に搭乗しています。
析了トオル:しかしながら、改造車椅子越しに常にノヴァリス内のインターネット……膨大なデータベースに接続しているため、探索、検索等が非常に得意な全身ネット女でもあります。
析了トオル:性格は猪突猛進。とにかく自分が楽しいと思ったことを実行するために、様々な事柄に頭を突っ込むタイプ。
析了トオル:そして今回の性能は……前回ラスヴィダスに来た時とは少し違います!
析了トオル:部員の武装を借り、大口径なレーザーランチャーで目の前のものを装甲ガード無視で叩き壊して回ります。
析了トオル:探索支援やインスピレーション、棺2回はそのまま搭載!今回もフロントでストライカーをしていきます!
析了トオル:前PCの二人がすごいことに……すごいことになっていますが、なんとか堕天病を粉砕したい気持ちです、目指せハッピーエンド!よろしくお願いします!

胡緑蘭:(キャラシート)
胡緑蘭:胡緑蘭。最近赴任した職員室の先生です。
胡緑蘭:中央アジア系の23歳男性。褪せた砂色の髪に褐色の肌、肩口から先が失われた右腕、いつもにこにこ細められた目元が特徴的なイケメンです。
胡緑蘭:若年ながら世界中の紛争地帯を文字通り腕一本で渡り歩いてきた凄腕の傭兵であり
胡緑蘭:現在はフリーランスですが、幼少の頃はUGNに所属してマスターエージェントの討伐経験も持ってたりするという
胡緑蘭:ノヴァリスでは少数派な、明確に『生徒より強い』先生になります。
胡緑蘭:そのせいか本人のスタンスも生徒の自主性を重んじるとか、選択を見守るといった先生らしい意識は乏しく
胡緑蘭:とりあえず自分が殴れば解決するかなという舐めた態度で教職に就いており、割と先生としては未熟な点が多々あります。
胡緑蘭:データ上もサポート能力はなく、ゴリゴリのアタッカー。
胡緑蘭:スレイヤーの証、ウォーモンガー、マスターキラー等の物騒なエンブレムで素のダイスと攻撃力を底上げし、装甲無視の拳でぶん殴ります。
胡緑蘭:他には時間を止めたり判定を失敗させたり自動成功を打ち消したりします。
胡緑蘭:未熟な先生ですが、生徒と一緒に成長していきたいとおもいます!よろしくお願いします!
【OP/三部つゆり】
GM:というわけで『グッドナイト・ラス・ヴィダス』始めていきましょう
GM:まずはPC1のOPから。その前にHOを確認しましょう
ハンドアウト
PC1 三部つゆり
君はノヴァリスの生徒だ。
偶然関わった事件の最中、君は漂流学区ノドスの“十律者”、“イモータルコイル”と遭遇する。
機神により振るわれる、生徒とは隔絶した圧倒的な力。だがその能力、その声音に、君は覚えがあった。
それはかつて、幼い頃の君が所属していたセルで共に過ごした少年──四海群生のものだった。
再会も束の間、機神は呪いの言葉を吐き捨て、君の前から姿を消してしまう。
変わり果てた彼に何があったのか、機神を駆る目的は何なのか。君は旧友の凶行を止めねばならない。たとえ刃を交えることになったとしても。
GM:昔の知り合いが何かすごいやさぐれ方をしているので……頑張ってください
三部つゆり:お兄さん………
三部つゆり:一体何が めちゃくちゃになってる………
GM:というわけでOPに入っていきます!このセッションでは登場侵蝕は1D10または1D3+3から選択できます。
三部つゆり:はい!
GM:さっそく登場どうぞ~
三部つゆり:1d3+3を選択します。
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を1D3+3(→ 5)増加(44 → 49)
数年前 FH“晨星”セル 育成施設
GM:学園都市ノヴァリス、その第一次生徒受け入れの少し前。計画の始動に際し、当時FHでは世界各国のセルから多くのチルドレンが選抜され、来たるべき入学の準備を始めていた。
GM:ここ“晨星”セルも、計画初期からノヴァリスへのチルドレンの派遣が決まっていたセルの一つだ。
GM:“晨星”は国際的な大規模セルであり、多くのセクションで様々な実験や施策が試みられていた。
GM:とはいえ、一部のセルに見られるようなチルドレンに対する過激で非人道的な扱いは少なく
GM:この育成施設もまた、チルドレン達にある程度の自由を認め、行われる実験も彼らに『退屈』と評されるようなものだった。
GM:チルドレンの談話室。三人の少年少女がテーブルに置かれた間食をつまみながら、モニターで流れる日本のアニメを眺めている。
四海群生:「……ソウマ!」
四海群生:「テレビばかり見ているんじゃない!またこぼしているぞ!」
四海群生:眼鏡を掛けた生真面目そうな少年が、ぷりぷりと怒りながらお菓子の食べかすを拾う。
都築ソウマ:「うあっ…。こ、こぼしてなんかない!」
都築ソウマ:「勝手に落ちていったんだ」
都築ソウマ:欧州から来た、金髪の気弱そうな外見の少年が、指摘されて頬を染める。
四海群生:「服もよれているぞ!まったく!」いそいそと襟元を直しに掛かる
四海群生:「僕たちはもうすぐ小学生になるんだ!そんなんじゃ立派なお兄さんお姉さんになれないぞ!」
都築ソウマ:「むうう…群生はいつも口うるさい…」されるがままになっていたが
都築ソウマ:こちらを見ている少女に気付き、はっと顔色を変える。
都築ソウマ:「や、やめろ群生。ぼくは自分でちゃんとできる」
三部つゆり:「ええと、布巾……いりますか?ソウマさん、群生お兄さん?」ちょっと大丈夫かな、とそわそわしている。
四海群生:「ありがとう、つゆり……つゆりも何か言ってやってくれ!」
三部つゆり:「えっ……そ、そうですね…」でもお菓子を食べてたら零しちゃうよな…と自分のことを思って。
三部つゆり:「た、食べる時は机の上じゃないと…ダメ…なのかな?」
三部つゆり:最後は自信が無さそうにはてなマークがついている。
都築ソウマ:「ななな…」
都築ソウマ:「つゆり、きみまで群生の味方をするのか?」
三部つゆり:「え、だ、だってぇ……大人の人も、そう言ってたし……」群生おにいさんのほうを見る。寧ろ彼から言われたことの方が多そう。
四海群生:「つゆりは正しいほうの味方をしているんだ!」胸を張る
四海群生:「礼儀作法はきちんとしなくては、下の子のみほんになれないぞ!」
三部つゆり:「そ、それに。こぼしてもわたしがふいてあげます!」
都築ソウマ:一瞬、痛い所を突かれたような顔を浮かべる。「べつに、堂々としてなくてもみんなのみかたにはなれ…」
都築ソウマ:「ふふふ」はにかむ。「つゆり、ありがとう」
四海群生:「むむむ……」
四海群生:「またヴィ……ソウマを甘やかして……」
三部つゆり:「えへへ……」頬をうっすらと染めて分かり易く照れている。
三部つゆり:「な、何かをしてあげるのはいいことだってききましたもん。ふじゅんなことじゃないのです」
都築ソウマ:「しーっ。ぼくはもう、都築ソウマだ!」群生に言う。「ノヴァリスでは、そのなまえで過ごすことになったんだからな」
四海群生:「わ、分かっているとも……」言って、ちらとモニターに目を向ける。
三部つゆり:そのやり取りを見て、少しムスッと頬をふくらませる。この二人は、こういう二人だけの特別な何かを持っているのが傍からも分かって、それが羨ましかった。
GM:モニターで流れているのは、セルの職員が選んだのだろうDVDだ。日本のアニメで、少年少女たちが楽しそうな学園生活を謳歌している。
四海群生:「ノヴァリスか…… どんなところなんだろう?」
都築ソウマ:「とにかくたくさんの子どもたちが集められているらしいぞ。いくつもの学校があるらしいからな」
三部つゆり:「?ひとつじゃないんですか?」
都築ソウマ:「そうだ! ひとつじゃなくて………いくつもある」それしか分からないので同じことを言う。
四海群生:「いろんな学校があるんだ。勉強だけじゃなくて、運動の学校とか、絵の学校とか……」
三部つゆり:「ほええ……」
三部つゆり:「群生のお兄さんと、ソウマさんは…いっしょのとこなのかな?」
四海群生:「……そう……だよね?」ほんの少し不安げな顔をする
都築ソウマ:「むぅ………」視線をさ迷わせる。
都築ソウマ:「………ちがうんじゃないかっ? なにせいろんな学校があるからなっ。離れ離れになってもおかしくない!」
都築ソウマ:「ぼくは、もうとっても立派な男だからな。群生がいなくてもだいじょうぶだ!」
四海群生:「な……ダメだダメだ!そんなの!」
四海群生:「ソウマは一人じゃ何もできないんだからな! 僕がついてないとすぐダメになっちゃうぞ!」
都築ソウマ:「なっ……そんなことない!」頬が赤くなる。「ダメになんかならない!」
四海群生:「ある!」耳が赤くなる。「絶対なる!」
都築ソウマ:「なーらーなーいー!」
三部つゆり:「あ、あわわわ。おち、おちつい…」
三部つゆり:「おちついて~~っ」
三部つゆり:「き、きっとおんなじセルだから、おんなじです!でもおおきいところだから、べつのクラスかも!」
四海群生:「ふん…………!」
都築ソウマ:「むぅ………」
三部つゆり:「そ、そしたら……わたしも…」最後は小さい声で、聞こえなかったかもしれない。
四海群生:「まあ……たまたま一緒になったら……しょうがないから面倒みてやってもいいけど!」
四海群生:「しょうがないからな!」
都築ソウマ:「べつにぼくはっ、面倒見ろなんて頼んでないっ……」プンプンと怒ってから。
都築ソウマ:「………そ、それに……」
都築ソウマ:「離れ離れになったら、さみしいのか?」
都築ソウマ:「ノヴァリスは、ここよりもっと楽しいから、だいじょうぶになるんじゃないのか…?」
四海群生:「な……さ……寂しくなんてない!」
四海群生:「そうとも! ノヴァリスにはここよりもっと沢山の子がいるんだからな」
四海群生:「ソウマがいなくても……」
都築ソウマ:「………」
四海群生:言葉は途中で勢いを失くし、アニメの音響がスピーカーから響く。
三部つゆり:「………」むすーッとした顔をしている。ジーッと見ている。
都築ソウマ:「……つゆりは、セルに残るからな」
都築ソウマ:「次に会えるのは、ぼくらが卒業してからか?」
四海群生:「え……」はたと気付いたように「そうなるのか?」
三部つゆり:「それも、そうですけど」むすっとしたほっぺはまるまるとしている。「いま気づくんですか群生お兄さん……」じと目。
四海群生:「じゃあ……」指で数を数えようとして、よく分からない。高校生というのは、想像もつかないずっと先のことにしか思えなかった。
四海群生:「ずっと会えないの……?」
三部つゆり:「そう…だとおもいます。わたしが……」もしも。
三部つゆり:もしもだけれど、晨星セルに封印を任せたFH日本支部の上層部が、大きく体制を変更せざるを得ないほどの事態が起きたなら‐‐幼いつゆりには、そういった大人の言葉はわからなかったが。
三部つゆり:「もしかしたら、ずっとあとから転校生になったりするかもです!」あえて、明るくこの少女は言った。
三部つゆり:「だから、こう……なかよくしてなかったりしたら、びっくりしますからね!」
四海群生:「むむむ……」横目でソウマを見る
都築ソウマ:「むっ……」横目で群生を見る。
都築ソウマ:「べ……別に……群生となかよくしてないのがいいわけじゃ……」
四海群生:「そ、そうだな……つゆりがそう言うなら……」
都築ソウマ:「そっ、そのときは、群生より身長だってずっと高くなってる!」ぐいーんと上に手を伸ばす。
都築ソウマ:「ぼくの方が牛乳もたくさん飲めるようになってるからな!」
四海群生:「なんだと……じゃあ……僕はもっとたくさん牛乳飲むぞ!」
三部つゆり:「いつのまにか牛乳勝負になってる……」
三部つゆり:「なかよしなのはいいんだけど、も~……」
都築ソウマ:「つゆりはどっちがたくさん飲めるようになってると思う?」
都築ソウマ:「ぼくだよなっ!」
四海群生:「おい!ずるいぞ!」
三部つゆり:「え、ええ~………?」困って居つつ、乗り出してきたソウマさんの近さに頬をあかくする。
三部つゆり:「そ、それなら…こんどの給食で、どっちが一杯のめたかできめましょう。はじめるのは今っていってましたし」
都築ソウマ:「むっ」間近でつゆりをじいっと見つめていたが、それを聞いて納得したように頷く。
三部つゆり:それにほっとしたように息をつく。出来る限り公平でいたいと、つゆりは思っている。
都築ソウマ:「じゃあ、つゆりが審判だなっ。よし」
四海群生:「ぜったい負けないぞ」腕組みして
四海群生:「僕はこの前の測定から3センチも伸びたんだからな!」
都築ソウマ:「何っ……、ぼ、ぼくだって……」ぴょんっと席から立ち上がる。
都築ソウマ:「今はもう、エディからバスケットボールを奪ってやれるんだからな! りっぱな男になった証拠だ。見てろ!」
都築ソウマ:と言って、ぱたぱたと遠くで遊んでいる子供たちに突撃していく。
三部つゆり:「ああもう……もう、本当いじっぱりばっかなんだから」腰に手をあてて。
四海群生:「あっ……おい! 行っちゃった……」
四海群生:「エディに突き飛ばされてケガしないといいが……」ハラハラしている
三部つゆり:その様子を見て、群生お兄さんの前に……いや、顔を見上げるように立つ。
三部つゆり:「…いつもソウマさんのこと気にしてるんだから、どうせなら」
三部つゆり:「最初から、ずっと一緒にいたらいいんじゃないですか?」すこしいじわるな口調だった。
三部つゆり:というより、苛立ちも混ざってなかったとは言えない。やっぱり、互いにとって互いが特別なのが見てるだけで何時も分かったから。
四海群生:「む…… ……それは……」
四海群生:言い返せずに悩んでいる。そこに意地の悪い色があるとは少しも気付かずに。
三部つゆり:ぷくっとほっぺがひろがる。行儀が悪いといわれても、やっぱりついしてしまう。
三部つゆり:「わたしのことだと、忘れてたのに~……もう!絶対後で仲直りして!」
四海群生:「あっ、そうだ! その話!」
四海群生:「つゆりもノヴァリスに来れば、もっと早く会えるってことだよな?」
三部つゆり:「えっ……うん。もしいけたら、だけど…」
四海群生:「それでいいじゃないか! そうしよう!」
四海群生:「よし! 僕が先生達に頼んできてやるからな!」
四海群生:言って、返事も聞かずにセルの職員達のもとへと走って行ってしまう。
三部つゆり:「…もう」それが難しい事なのだと、つゆりはもう試して知っていた。でも。
三部つゆり:「……ねー!じゃあ、もし入れたらね--」
三部つゆり:「ふたりに、いちばんに会いに行くからね!」笑って、大声でつたわるように。
都築ソウマ:それが聞こえたか聞こえなかったか、そんなタイミングで、交代に戻って来る。
都築ソウマ:「? なんの話をしてたんだ?」
三部つゆり:「えっ……あ、わたしが、ノヴァリスに行けたらって」しどろもどろに、わたわたと。
三部つゆり:「…そしたら、ふたりにいちばんさいしょに会いに行くよって……」ほほが真っ赤だ。
都築ソウマ:「………そっか」微笑む。「つゆりがそう思ってくれて、ぼくはうれしいよ」
都築ソウマ:「……」いそいそと椅子に座り直す。ちなみにバスケットボールは手に入れられなかった様子である。
三部つゆり:「うぅ~~」恥ずかしいのと同時、ソウマさんは群生お兄さんと一緒じゃないと、きゅうにかっこうよくなるのでほほをおさえる。
都築ソウマ:「なあ、つゆり」顔をのぞきこむ。
三部つゆり:「ひゅぇっ、な、なんでしょう」
都築ソウマ:「つゆりは、ぼくと群生のことを好きでいてくれるから…」
都築ソウマ:「だから、これから言うことは、群生にはひみつにしてほしいんだ」
三部つゆり:「え……は、はい。なんでもいってください。ぜったいひみつにします!」
三部つゆり:ぴしっと姿勢を整える。そして、二人の間に秘密がある、ということが。つゆりには驚きだった。
都築ソウマ:「うむ」満足そうに頷く。
都築ソウマ:「あのな。ぼくは、ノヴァリスで……誰よりもえらい、生徒会長になるんだ」
都築ソウマ:「おとなの言うことをきいて、他のこどもたちのみほんにならないといけないんだ」
三部つゆり:「せいとかいちょう」鸚鵡返しに。「……いっぱい学校があって、そのなかでもいちばんなんですか?」
都築ソウマ:「そう、そうなんだ!すごいんだぞ。最高なんだ」胸を張る。
都築ソウマ:「ぼくが、ノヴァリスのこどもたちの中で一番えらい、最高の生徒会長になるんだ」
三部つゆり:「いちばん……」めをまあるくして聞いている。
都築ソウマ:「でも…」声をひそめる。「それは、おとなの言うことをたくさん聞いて、そのとおりにするってことだから」
都築ソウマ:「もしかしたら、一番すごくないことかもしれないんだ」
三部つゆり:「それは」思わず、と出た言葉だった。
三部つゆり:「…、ち、ちがうと、おもいます」
都築ソウマ:珍しい即答に、きょとんとつゆりちゃんを見る。
三部つゆり:「だって……」息を吸い込む。「だって、ひとのいうことをちゃんときくのだって、たいへんだもん」
三部つゆり:「ソウマさんは、いちばんみんなの中で、えらいひとになるんだよね」
三部つゆり:「わたしは」
三部つゆり:「ソウマさんなら、きっとそうなれるって、おもって…ます!ほんとだよ」
三部つゆり:うそじゃないよ、と目も赤くして、何とか言い切る。
都築ソウマ:「………、ふふふ、そうか」
都築ソウマ:「ありがとう、つゆり。つゆりは、嘘をつかないから、いいな」
都築ソウマ:「ほんとだって分かる」
三部つゆり:「……うそついたら、いっぱいおこられるもん。群生お兄さんにも」
三部つゆり:「……だから、だから…、えっと…」
三部つゆり:「おうえん、してるから!」
三部つゆり:「わたしが、ノヴァリスに行けなくても!」
三部つゆり:「わたしが、もしいけても…!ずっと!」
都築ソウマ:「うんっ」パッと笑う。
都築ソウマ:「あのな、つゆり。ぼくはノヴァリスで、このセルじゃできないことができそうだからな」
都築ソウマ:「これは、本当の本当に誰にも言ってない、ひみつのことだ」
都築ソウマ:「なんだか分かるか?」今度はこっちが、ドキドキをおさえきれないような顔でつゆりちゃんを見る。
三部つゆり:「…?えっと……えっと……」必死で考える。他の男の子のこととかなら、群生お兄さんがさっさと調べてるし、他の事ならふたりのものにしている。だからちがう、これもちがうと探して。
三部つゆり:「んん~~………」
都築ソウマ:「ふふ、ふふふふ」考えてる様子を見て、楽しそうにくすくす笑う。
都築ソウマ:「あのなー」
都築ソウマ:「ピアノを弾くんだ」
三部つゆり:「ピアノ」
都築ソウマ:「うん!」
都築ソウマ:「………へんかな、やっぱり……」
三部つゆり:「えっ、あ、いやっ、ちがうのっ」
三部つゆり:「びっくり…したの」そう言いつつ、彼を見る。都築ソウマという少年が、あの大きなピアノに向き合っているところを想像する。
三部つゆり:「……うんっ。ぜったい、にあってる!」
都築ソウマ:「…………そうか?」零れるようにはにかむ。「そっか……」
都築ソウマ:「べつに、最高の生徒会長っぽいことじゃないけどな…」モジモジと言い。
三部つゆり:「そうかもだけど、ソウマさんにはぴったりだよ!聴きたいなあ」
都築ソウマ:「ふーん……」照れて唇をとがらす。「じゃあ、つゆり」
都築ソウマ:「もしぼくがピアノを弾くとして、群生がな、またああやってうるさく言ってきたら、つゆりが止めてくれよ」
三部つゆり:「え~…流石に群生お兄さんでも……」と言いかけて。
三部つゆり:「……しょうがないなあ~たいへんだけど、がんばるからね!」これは、あの二人でいつもいっしょにいるのに割り込めるのでは?と気づいたからだ。
三部つゆり:「…だから、ちゃんと聴かせて。やくそくだよっ」
都築ソウマ:「うん。つゆりが………」
都築ソウマ:「ノヴァリスに来れても、来れなくても、ぼくはどっちでもいいからな」
都築ソウマ:「卒業したら、どうせ会える」
三部つゆり:「…うん!忘れちゃだめだよ!」一点の曇りもない明るい笑顔で。
都築ソウマ:「わかったよ。とにかく……」
都築ソウマ:「いまの話は、群生にはひみつだ。それも忘れちゃだめだからな!」
都築ソウマ:こっちも、少女を見守るような優しい微笑み。
三部つゆり:「もちろんだよ~~」るんるん気分でうれしそうに。
三部つゆり:--この日は、ここ数か月の三部つゆりにとって、最高の日になった。
三部つゆり:彼女は、きっとこの希望が叶うと信じていたし、これからは明るいはずだと思っていた。
三部つゆり:自分が産まれ、選ばれた役目を知った後も。その後の動乱で、自身が捨てられるようにノヴァリスに放り込まれても。
三部つゆり:彼女の希望は、陰りながらもそこにある。--いつか真実を知るまでであったとしても、
三部つゆり:確かに、彼女を生かし続けた。
GM:それからそう日を置かずして、都築ソウマと四海群生、ほか数人の同世代のチルドレンたちは、施設からノヴァリスに向けて旅立った。
GM:しばらくの間は近況が伝えられていたものの、やがてそれも途絶え
GM:”ヴィユーハ” 三部つゆりが、かつての彼らと同じようにノヴァリスへと送り込まれた頃には
GM:学園都市ではノドスは消息を絶ち、既にその捜索は打ち切られていた。
GM:以来、ノドスの行方は杳として知れなかった。 ……一年前、セイクリッドピラー襲撃事件に至るまで。
現在 ラス・ヴィダス商業区

GM:ノヴァリスの主な商取引が電子決済で行われているとはいえ、銀行という機関がその役割を失ったわけではなかった。
GM:未だ形のあるクレジット素子の形で取引を行いたがる生徒に対するニーズの他、多種多様なエフェクトの渦巻くノヴァリスにおいて、貴重品を預かり守るということは、個人にとってそう容易なことではない。
GM:ラス・ヴィダス中央銀行は、“協会”に名を連ね金融に幅を利かせる大手であり、またその店舗においては、レネゲイド・物理・呪術すべてにおいて鉄壁の防護を誇っていた。
GM:君……三部つゆりは今、丁度その本店を訪れていた。依頼人からの支払いが銀行を介してクレジット素子の形で行われたため、その受け取りを行う必要があったのだ。
GM:構内は人もまばらだが、セキュリティは万全であるようで、今も君の一挙手一投足は数十数百のセンサー類によって監視されている。
三部つゆり:焦げ茶色の深みある髪を流し、白の制服にジャケットを被った少女。特徴的なのは、右目を覆う眼帯と垂らされた髪。
三部つゆり:別段怪しげな用事できた訳ではない。客として節度を持ちつつ、なおかつ警戒は怠らず。
三部つゆり:懐に入れている手製のニードルガンを確認する。問題なし。「よし」
三部つゆり:最近は散々だった。
三部つゆり:ノドスが確認されるだろうと思い、崑崙学区の大武闘会--あれにかかずらっていたせいだ。
三部つゆり:事実、”百人隊”は確認されたという事実はつかめたが、接触も何もさっさと五星君が吹っ飛ばしたと聞いた時は正しく崩れ落ちるしかなかった。
三部つゆり:そのせいで、崑崙関連の情報を欲しがるやつに売り捌き、それを現物に代えて、いない間のラスヴィダス学区の金銭に換える、という手間がかかった。
三部つゆり:「……そのせいで総和のやってたうちのイースターエッグキャンペーンを掴み損ねたのは本当……我ながら…」
三部つゆり:溜息を付きながら、客として呼ばれるのを待つ。
GM:静かな空気の流れる、昼下がりの銀行。だが、君の番号が呼ばれる前に──
GM:……バンッ!
GM:突如として異音が響き渡る。
三部つゆり:「っ…!」目を覆う。椅子から転げ落ちるようにして伏せる。
GM:多くの生徒が咄嗟に銃声を警戒したが……そうではなかった。
GM:見れば、店の入り口……一人の生徒が透明なガラス戸に額を押し付けている。
生徒:「…………」
三部つゆり:「…なんだ…?」手製のニードルガンをすでに抜いている。
生徒:バンッ!
生徒:自らの頭を、扉に打ち付ける。
生徒:生徒の表情は虚ろで、瞳には何も映していないように見える。
生徒:そのまま何度も繰り返し額を打ち付け、次第に鮮血が滲み始める。
三部つゆり:(何…?麻薬をやった奴?)(いや)(なんで連続した?)(これは)
銀行員:「お、お客様……!? どうされましたか……!?」
GM:銀行員と警備員が、すぐに生徒を止めに入るが……その様子を見守る君には、異様な光景が目に入る。
GM:ぞろぞろと……奇行を繰り返す生徒の後方から、更に数十人もの人だかりが近付いてくる。
GM:先の生徒と同じように生気の無い表情。そしてその中には、全身を堕天病の黒変に侵された末期患者、通称“堕天者”までもが混じっている。
堕天者:「ぎ……ぃぁああぁああああっ」
三部つゆり:「……嘘。堕天者まで?じゃあ…」下手な生徒のイタズラかテロじゃない。堕天者の扱いは”難しすぎる”からだ。
銀行員:「み……皆様! 店内にお下がりください!」
GM:銀行員たちが慌てて店内に駆け込むと共に、入り口のシャッターが三重に下ろされる。
三部つゆり:周囲を見渡す。「これで…諦めるようには見えなかったな」
怯える生徒:「ナニコレーッッ」「どうなってるの!?」「ママ~~ッ」
三部つゆり:抜けられそうな出口…はすぐ使えるところにはない、だろうか。(最悪十字冠転送するしかないか…?ここに戻ったら丸損だけど…)
銀行員:「お客様、ご安心ください! 当行のセキュリティは万全でございます! 今ヴァリエンテ警備保障を呼びましたので、今しばらく──」
GM:爆音。
GM:突如としてシャッターごとガラス戸が吹き飛ばされ、黒い霧のごとき影が店内に流れ込んでくる。
銀行員:「アーーーッ!?!?」
怯える生徒:「イヤーーアァーーァ!!」「ヤダーーーーー!!」
三部つゆり:「--っ」影が、本来のそれから渇き果てた血の黒へと変貌する。能力行使の準備。
三部つゆり:(やれるか?……こんなことならもっとまともな武器持ってくるんだった……!)
堕天者:「ぐ……ぎ……ぃひ……ぎっ……」
堕天者:堕天者の喉から、掠れた呻き声が漏れる。一体が君を一瞥し……
堕天者:「…………」
堕天者:ふいと顔を逸らし、そのままぞろぞろと行内の奥へと歩いていく。
三部つゆり:「………?どういう…」
生徒:「こっち来るよォ~~ッ!」「パパ~~~~ッ!!」
GM:堕天者は脳を侵され、堕天病の感染拡大のみに思考を支配された者たちであるはずだ。判断力などあるはずもない。だが今しがた見せた行動は、明らかに何らかの意思を持っているかのように見える。
三部つゆり:「チッ…椅子とか移動テーブルとか、集めてバリケードに!下がって!」椅子を追われ悲鳴を上げる人々の前へ蹴る。
銀行員:「は、はいぃ……!」「怖いよ~~~ッ!!」「グランパ~~~~!!」
三部つゆり:混乱がある。だけど、動かずにはいられなかった--(、見捨てて逃げるチャンス不意にしたかも……!)
“イモータルコイル”:「何だ……やっぱり出来んじゃねえか」
“イモータルコイル”:立ち込める黒煙、混乱と悲鳴の中、悠然と店内に踏み入ってくる者があった。

三部つゆり:「、な」手製のニードルガンを堕天者へ向けていたところだった。
“イモータルコイル”:圧倒的なレネゲイドの圧力が、その場の全員を凍り付かせる。
三部つゆり:混乱の中でも、その異様と威容は眼を惹かずに居られない。
“イモータルコイル”:焼け果てた炭のごとき褪せた黒、仁王像の如き荘厳な巨躯が、店の奥を睥睨する。
堕天者:「ぎぃぃいい……」「ゴァァアアアアーーッ!!」
堕天者:視線の先、金庫の方からは、更に幾重もの悲鳴が聞こえてくる。
銀行員:「う、嘘……何で防護が……完璧なはずなのに……」「義理のお姉ちゃーーーん!!」
“イモータルコイル”:「ハハハッ! 順調順調! ついでだしここの全員イッとくかぁ!」
三部つゆり:「ああもう、今日はなんでこんな……!」
三部つゆり:堕天者の脚を縫い留めるようにニードルガンを幾発か射出する。
三部つゆり:我ながら愚かなことをしている、と思った。
三部つゆり:ニードルガンは火力自体は本当に小さなものだ。引き出した影--ほのかに穢れて赤い--を付与するための道具にすぎない。
“イモータルコイル”:「……おォ~~? おいおいイキっちゃってる正義の味方クンがいるじゃねえの!」
“イモータルコイル”:君の抵抗に気付き、巨体が足を踏み出す。それだけで、一気に死の淵が近付いたかのような威圧感が君を襲う。
三部つゆり:「チッ……ああもう、私だって本当バカなことしてるって思うよ…!」
三部つゆり:でも、しょうがないじゃないか。取材に行った崑崙の人々を思い出す。彼らは真っ直ぐだった。暴力的でもあったが。
三部つゆり:そんなつい最近喋ったやつらにさえ、恥じるような真似をするのは、いやだった。前に立ちたい人達に、顔を向けられなくなってしまうような気がして。
三部つゆり:撃つ。撃つ。撃つ。スプリンクラーを打ち込んだ影が作動させる。横っ飛びに遮蔽を移る。
三部つゆり:身に着けた技術だが、それが何の意味もないことも理解している。
“イモータルコイル”:「ハハッ! アハハハハハッ!!」
“イモータルコイル”:撃ち込まれた攻撃は、まるでダメージを与えられていない。固い、だとか、強い、だとかではない。違う法則で動いているモノに攻撃しているかのような。
“イモータルコイル”:「ダメだよォ~~~!? 弱いのにそんなことしちゃァアーーー!」
三部つゆり:「ああもう……ズルい!せめて装甲で弾いてよ!”オン・マニ・ハンドマ・ウン”--」影を再度、今度は強く呼びつけて付与しようとして。
“イモータルコイル”:「雑魚がそんな風に調子乗っちゃあ……」
“イモータルコイル”:君の攻撃を全く意に介さず、機神が眼前にまで迫る。
“イモータルコイル”:「こうやって死ィィ──」
三部つゆり:ばち、と赤く穢れた影がいかづちをかたどる。銃を向けようとして。
“イモータルコイル”:その腕から、死の瘴気が放たれる寸前。
“イモータルコイル”:「……あ?」
“イモータルコイル”:神の如き威容から、呆けたような声が漏れる。
“イモータルコイル”:「……」
“イモータルコイル”:「つゆり?」
三部つゆり:「………え」その神像の如き威容から出てくるはずの言葉ではなかった。
三部つゆり:「え?な、なんで」いかづちが霧散する。
三部つゆり:「なんで、私の」
GM:その時、その声の響きに、そしてその影を用いた能力──当時は何の威力も持たなかったが──に、君の脳裏に一人の少年の名が過る。
三部つゆり:「うそ」
三部つゆり:「ぐんじょうの……おにい、さん?」自分で零した言葉なのに、信じられなかった。だが、それが事実なのだと、寒々とした直観は告げている。
“イモータルコイル”:「……は……」
“イモータルコイル”:何を以てしても小動もしないのではないかと思われるようなその姿が、その言葉に一歩後ずさる。
三部つゆり:「なんで。うそ。いきてたの」
三部つゆり:「さが、っ」
三部つゆり:「さがして、っ」
“イモータルコイル”:「お前…………何で…………」
“イモータルコイル”:「ノヴァリス……いや……入学……あぁ……!?」
三部つゆり:目の前にすれば、彼女の異様さも--貴方に比べればあまりに小さいものだが--わかる。
三部つゆり:眼帯に覆われた右目。穢れた印象を突き付ける黒と赤の影。そして。
三部つゆり:彼女の影は、双頭の鳥のかたちをしていた。
“イモータルコイル”:「……何だよ……」
“イモータルコイル”:「その目は…………」
“イモータルコイル”:思わず零れたといったような声を漏らしてから、混乱するように額部を抑える。
三部つゆり:「そっ……そっちこそ、なんなの。いなく、なってて……どうしてっ」
三部つゆり:「どうして……」
三部つゆり:会いたかったはずなのに。ずっと探していたはずなのに。あまりに余りの状況で、どうしても混乱していた。
“イモータルコイル”:「ぐ……ッ……う……うぅぅぅうう……」
“イモータルコイル”:苦悶するように大きくよろめいて、直後。
“イモータルコイル”:「……あ゛ぁああぁあああッ!!」
GM:ゴァッ!!
GM:君のすぐ真横を、致死の瘴気が吹き抜ける。
三部つゆり:「うあっ……、ど・・・どうしたの。なんで、そんなもの」
三部つゆり:「うそ……群生お兄さん、なにが」
三部つゆり:自分にそれが当たるということよりも。
三部つゆり:そんなものを、彼が振るっている、ということにこそショックを受けた顏だった。
三部つゆり:「…そ、そうだ。そうだっ」
三部つゆり:「ソウマさんはっ」
三部つゆり:「ソウマさんは、そっちにいるのっ」
“イモータルコイル”:「…………」
“イモータルコイル”:ゆっくりと頭部が動く。
三部つゆり:「………え?」
“イモータルコイル”:灼けた黒炭から漏れる火のような眼が、君を見据えている。
“イモータルコイル”:「……誰だよ…………テメェは」
三部つゆり:「……群生お兄さん?」
“イモータルコイル”:「知るかよ……クソガキが……テメェなんて知らねえ!!知るもんかよ!!」焦燥に焦がされるような、切羽詰まった声。
三部つゆり:「ま、待って。私はどうでもいいっ」
三部つゆり:「ソウマさんのことだけ教えてよ!!」
三部つゆり:「生きてるんでしょ!?群生お兄さんが生きてるんだもん!そうじゃなきゃ嘘だよ!!」
“イモータルコイル”:「…………ソウマ?」
“イモータルコイル”:「ハッ……都築ソウマか」
三部つゆり:「そう!都築ソウマ…覚えてないはずが…」
“イモータルコイル”:「死んだよ」
“イモータルコイル”:それは静かな、端的な言葉だった。
三部つゆり:「……え?」
三部つゆり:「………うそ。嘘だ」
三部つゆり:「嘘でしょ……?嘘ついてるんだっ…!」
“イモータルコイル”:「ハハッ……少しは頭使って考えろよ」
“イモータルコイル”:「何で俺がテメェにそんな嘘吐く必要があるってんだ?ああ?」
“イモータルコイル”:「ノドスチルドレンとして、お前に教えてやる」
“イモータルコイル”:「都築ソウマは死んだ。四海群生もな」
三部つゆり:「うう」そうだと、冷たい理性と経験は告げている。彼は真実を--少なくとも、彼にとっての--告げている。
三部つゆり:「……うあ」
三部つゆり:「うあああ……」
三部つゆり:ぼろぼろと涙が、後から追い付くように零れ始める。
三部つゆり:「うそ……何で……何でえ……」
“イモータルコイル”:「…………」
“イモータルコイル”:泣き崩れる少女を、死を撒き散らす機神が見下ろしている。
“イモータルコイル”:無防備に過ぎるその様は、彼が指の一本でも動かせば縊り殺せるだろう。
三部つゆり:「やくそく、したのに……!っピ、ピアノ…」
三部つゆり:「うあ……うそつき……!うそつきぃ……!」
三部つゆり:「きいて、ないよお……」
三部つゆり:後は、言葉にもならない泣き声がずっと響いている。
三部つゆり:それは、降りしきる雨にも似ていた。
三部つゆり:彼女の中にある、小さくても確かに燃えていた希望の灯を消すように。
“イモータルコイル”:機神の腕が、三部つゆりに向けて僅かに動いた。その掌は少女に死を与えようとするようにも、あるいは頭を撫でようとでもしたようにも見えた。
“イモータルコイル”:だが結局そのどちらでもなく、機神の姿は黒い影煙と共にその場から掻き消えた。
GM:徐々に悲鳴が収まっていき、遠くからサイレンの音が近付いてくる。
三部つゆり:「ううぅぅぅ………、ぐずっ」機神の姿が消えた後も、彼女は涙を流し続けている。
三部つゆり:感情が暴風のように荒れ狂っている。なんで。どうして。嘘だ。
三部つゆり:でも、わかることはあった。
三部つゆり:本当に、もういないのだ。
三部つゆり:あの、私が、群生お兄さんが、そして。最高生徒会長として、率いた人たちもきっと好きだった、
三部つゆり:都築ソウマは。
三部つゆり:「う、ぐ……」ゆっくりと、突っ伏していた姿勢から起き上がる。
三部つゆり:「……うう……」あの、群生お兄さんの声と、レネゲイドをした人は言っていた。
三部つゆり:四海群生も死んだのだ、と。
三部つゆり:「……ううう」
三部つゆり:「……嘘つき」
三部つゆり:「嘘つき、嘘つき、嘘つき……!」
三部つゆり:「みまちがえる、もんか」
三部つゆり:「私が……」
三部つゆり:目をぎゅっと瞑る。
三部つゆり:「三部つゆりが。都築ソウマと、四海群生を……」
三部つゆり:「嘘を…着いたら。怒られるんだよ」
三部つゆり:「……絶対………探し出してやる」
GM:シーン終了。
GM:ロイス取得のみ可能です。
三部つゆり:ここはそうですね 群生お兄さんのロイス感情を変更します
三部つゆり:感謝/寂寞〇→親愛/怒り〇で。
三部つゆり:後は…そうだ ソウマさんのも変えなきゃ 尊敬/不安→慕情/遺志〇
【OP/宮星イオリ】
GM:ではPC2のOPを始めていきましょう。まずはHOから
ハンドアウト
PC2 宮星イオリ
シナリオロイス:五百機ジナ
過日──『八月革命』。
君は学年・学籍・立場を問わず結成された“マスターポルート”への対抗組織、“赫花連盟”へと参加し、討伐戦へと身を投じた。
五百機ジナは、君と共にその最前線で戦った戦友だ。
“マスターポルート”に虐げられる多くの生徒の為に立ち上がった彼女は、温かな理想を胸に抱く、心優しい少女だった。
現在、君は再び彼女と相見える。
五百機ジナ──全学区に手配される凶悪犯。暴力によって現状を変えんとする、テロリズムの信奉者として。
宮星イオリ:グレてる…
GM:一緒に革命に参加したマブダチが……テロリストになっちゃいました
宮星イオリ:なんか変な本とか読んで感化されちゃったのかな
宮星イオリ:大学入学式と成人式の日に道で配ってるやつはもらうの断ったほうがいいよ
GM:止めるなり一緒に世界破壊するなり頑張ってください!
GM:というわけでOPやっていきましょう 登場どうぞ!
宮星イオリ:えーと 1d3+3で振ってもいいのよね
GM:OK!
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を1D3+3(→ 5)増加(38 → 43)
GM:ラス・ヴィダス商業学校連盟の成立は、ノヴァリス計画において後塵を拝した多くのセルが、その利益と今後のFHにおける権力闘争に後乗りすべく共同学区を作り上げたものとして知られているが
GM:出資したセルの大半は単に口車に乗せられただけであり、実態としては、その全ては“マスターポルート”ただ一人の為だけにあった。
GM:商業学校連盟の名の通り、ラス・ヴィダスの本来の校風としては、生徒一人一人に起業や商取引、産業生産に他学区への輸出入……あらゆる経済活動を奨励し、卒業後はギルド等との経済戦争の尖兵・指導者を養育するという、言わばジェネシスインダストリアルアカデミーの二番煎じのような題目を掲げていたが
GM:そうして生徒たちの得た利益は、最終的に全てが“マスターポルート”に集約されるようになっていた。
GM:それを可能としていた理由が、“マスターポルート”の持つ『決済権』にあった。
GM:これは企業間の取引から個人の買い物、またその資産に至るまで、ラス・ヴィダスで行われるあらゆる経済活動に対して“マスターポルート”が介入し、その可否を決定できるという常軌を逸したものであり
GM:彼の意にそぐわない企業がまともに活動できないのは当然のこと、彼の気に障った、また逆に気に入られた生徒が資産を凍結され、実質的に身分を剥奪されて奴隷以下の扱いを受ける事例も日常茶飯事だった。
GM:個人資産を凍結されては、他学区に逃亡することすらまともに叶いはしない。ラス・ヴィダスの生徒は、誰もが常に“マスターポルート”の影に怯え、目を付けられないように祈りながら暮らす他なかった。
GM:“マスターポルート”に恭順する生徒はその利益の余得に与り、歯向かう生徒は転落する。当時のラス・ヴィダスは、そんな歪ながら極めてシンプルな権力構造として成り立っていたのだ。
GM:当然、そんな搾取と暴虐を良しとしない生徒たちも多くあった。
GM:彼らは幾度となく、様々な形で“マスターポルート”に挑んだが、いずれも意味を成さなかった。最も大規模な反抗となった第二次ノヴァリス紛争で多くの犠牲者を出して以来、そうした反抗活動もほとんど見られなくなっていたが
GM:そんな状況が変わったのは、二年前。当時の最高生徒会長、雨月夜シオンにより実現した、全学区規模での理事会への反抗活動──
GM:所謂『八月革命』だった。
二年前 ラス・ヴィダス 市街地

GM:高層ビルの立ち並ぶ、ラス・ヴィダスの市街。三階建てビルの屋上から交通量の少ない通りを見下ろしながら、息を潜める一団があった。
GM:“赫花連盟”。暴虐を振るう“マスターポルート”を討つべく、学区を問わずして秘密裏に結成された反抗組織だ。
GM:情報によれば、雨月夜シオンとの戦闘で消耗した“マスターポルート”は、間もなく監視中のビルに到着し身を潜めるはずだ。
GM:今も別動隊が他の保有勢力と戦う中、君達はここで“マスターポルート”本人を待ち伏せし奇襲、殺害する手筈となっていた。
百代マリア:「……なかなか来ないわね」
百代マリア:一人の少女が声を上げる。
百代マリア:百代マリア。キングダムの系列校に所属するらしい生徒だ。
百代マリア:華奢な体躯に、色素の薄い肌。物腰もぼんやりとしていて、このような戦場の緊張下にあっては却って異様だ。
百代マリア:「誰か、トランプとか持っていないかしら?」
百代マリア:「あっ、UNOでもいいわ」
百代マリア:「わたくし、得意なのよ。ウノって言ってない!って指摘するの……」自慢げに言う
宮星イオリ:「えっと、マリアちゃん。和ませてくれようとしてるんだろうけど……」
宮星イオリ:空色の髪をたなびかせた、姿勢のいい少女だ。

宮星イオリ:息を殺してはいるが、身を縮こまらせはしていない。それよりも、一歩目の踏み出しに意識を向けている。
宮星イオリ:「今はもうちょっと気を抜かずにいた方が良いと思うな」
宮星イオリ:苦笑するその頭上には、シンプルな円環状の十字冠と、うっすらと白く瞬く小さな星が浮かんでいる。
五百機ジナ:「う、うん……私もそう思う」
五百機ジナ:そう答えたのは、緊張した様子の少女。

五百機ジナ:五百機ジナ。ラス・ヴィダスの生徒だ。生真面目さが物腰から見て取れ、この一戦に並々ならぬ意気込みを感じられる。
五百機ジナ:「今から命懸けで戦うのに……遊ぶなんてダメだと思うわ」
百代マリア:「でも、まだ車も見えないし……」下方の道路を見渡して
宮星イオリ:「でも……ジナちゃんはちょっと、緊張しすぎかも。ほら」とん、と肩をつついてほぐすように。
五百機ジナ:「ッ……う、うん……分かっているわ。分かっているのだけど……」
五百機ジナ:ごくりと生唾を呑み込む。
百代マリア:「ずっと気を張っていたら、その方が肝心な時に疲れてしまわないかしら?」
宮星イオリ:「……私ね」少し考えてから、やや自慢をするように胸を張って。
宮星イオリ:「昔から、すごく耳が良いんだ」
宮星イオリ:「自分でもびっくりするくらい、遠くの声が聞こえたりするの」
五百機ジナ:「耳が……そういう能力なの?」
宮星イオリ:「あ、あそこの路地にネズミが隠れてるのとか……んー」ジナの問いかけに、僅かに首を揺らして。
宮星イオリ:《ウサギの耳》──エンジェルハイロゥの能力者には、事実としてそうしたちからを持つ者がいるけれど。
宮星イオリ:「多分、私を産んでくれたママがそういう身体をくれたの」
宮星イオリ:「オーヴァードになるよりも、ずっと昔からそうだった……気がするし」
宮星イオリ:「お姉ちゃんも、それは特別な才能だよって褒めてくれたもの」
五百機ジナ:「オーヴァードになる前から……? そう……何だか不思議ね……」
宮星イオリ:FHに拾われるより前の、ずっと幼少期の記憶だ。事実とは違うかもしれない。だが、この少女の中ではそういうことになっている。
“天狼”:「はっはっは!」朗らかな笑い声が響く。
“天狼”:「それなら、急に車が来ても聞き逃す心配は無さそうだね」
宮星イオリ:「うん、だから……わぁっ」
宮星イオリ:「そ、そう!それが言いたかったの……気付いてあげるから大丈夫だよって」
“天狼”:“天狼”。ノヴァリス・ファイトにおける、誰もが認めるトップ選手だ。
“天狼”:身に纏う白銀の鎧が陽光を反射して眩く輝いている。目の前にメジャーリーガーがいるようなもので、圧倒的な存在感を放っている。
宮星イオリ:「……でも、そういう急な大声はびっくりするし、向こうに気付かれるかもだから」
宮星イオリ:「よくないよ。いけません」いまさらその立場に臆することもなく、指で小さなばってんを作って抗議する。
“天狼”:「ごめんごめん。でも、マリアちゃんの言うことも一理あると思うな」
“天狼”:マントを翻して腰を下ろす。
“天狼”:「油断しないのは良いことだけど、緊張しすぎるのも良くないよね」
“天狼”:「イオリちゃんの耳もあることだし、皆少しリラックスした方が良いかもしれないよ」
五百機ジナ:「そ……そうなのかしら……」
宮星イオリ:「ううん、あなたがそこまで言うなら……」
百代マリア:「それじゃあ……そうだわ、少しお話しない?」両手を合わせて
宮星イオリ:少しだけ楽な姿勢に移り、周囲に耳を澄ませながら。「……お話って?」
百代マリア:「あのね、聞いてみたかったの。皆はどうして連盟に参加したのか、って」
五百機ジナ:「理由……」
GM:先の第二次ノヴァリス紛争では、大勢の生徒が犠牲となっている。普通の学生ならば縁遠いはずの、文字通りの命懸けの戦いであり、更にこの場はその最前線だ。
GM:それは、生半な覚悟で身を投じられるものではない。
宮星イオリ:「あ……それは、確かにちょっと気になるかも」
五百機ジナ:「……私は……」背筋を伸ばして
五百機ジナ:「今のラス・ヴィダスの在り方は、間違っていると思うから」
五百機ジナ:「昔から……間違ったことが、曲がったことがどうしても許せないの、私は」
五百機ジナ:恥じらう様子も無く、真剣な表情で語る。
宮星イオリ:「ジナちゃんはそうだろうなあ」どこか納得したように頷いて。
五百機ジナ:「この戦いで……この学区を正しい方向に変えたい。自分がその一助になれたらいい……」
五百機ジナ:「……私はそう思っているわ」
五百機ジナ:「……イオリ……ちゃんは?」少しぎこちなく
宮星イオリ:「んー」ちょっと困ったように笑って。「私、また同じ話になっちゃうかも」
宮星イオリ:「……ラス・ヴィダスには」
宮星イオリ:「あのひとさえいなくなれば、どんなに安心して眠れるだろうって思ってる子がたくさんいる」
宮星イオリ:「もうこれ以上、友達を裏切ったり蹴落とし合うのは嫌だとか」
宮星イオリ:「飢えも病も気にしなくていい世界で、なんでもない普通の学生みたいに過ごしてみたいとか」
宮星イオリ:……ここから遠い地上のネズミのささやき声を、聞き取ることができるほどの聴覚があるのなら。
宮星イオリ:この少女にとって、ラス・ヴィダスでの何気ない日々は、痛ましい声に満ちている。
宮星イオリ:「そういう声が、聞こえちゃうから」
宮星イオリ:「……あのね。できる限り、この才能のことは大事にしようって決めてるの」
宮星イオリ:「聞こえちゃった言葉は、きっと無視しないように」
宮星イオリ:「私にできる限りの佳い答えを、そのひとに返してあげられるように」
宮星イオリ:こちらを覗き込む皆を安心させるように、そう言って笑って。
五百機ジナ:「イオリちゃん……!」
五百機ジナ:いたく感動したように、ひしと君の手を握る。
五百機ジナ:「分かるわ、あなたの気持ち、すごく……!」
五百機ジナ:「頑張りましょうね、一緒に……!」
宮星イオリ:「わわっ」びっくりしつつ、そっと握り返して。「……えへ、ありがとね」
宮星イオリ:なんとなく気恥ずかしくて、誰かに話した事なんてなかったのだ。それがこんな風に受け入れられた事が、うれしくて、だけどやっぱり少し面映ゆくて。
百代マリア:くすりと笑って「……ええ、素敵ね、ジナもイオリも」
“天狼”:「立派だなあ、二人とも」
五百機ジナ:「……あの……“天狼”選手は、どうして……?」
五百機ジナ:「失礼ですが、その……」
“天狼”:「うん……確かにね」
GM:“天狼”はノヴァリス・ファイトのトップ闘士として、莫大な収入を得ている。ラス・ヴィダスでも一握り、最上位の富裕層と言っていい。
GM:“マスターポルート”による苦痛や搾取とは、最も遠くにいると言っていい人物だった。それ故に、この場に参加していることはいかにも不自然に映る。
“天狼”:「私が今まで……“マスターポルート”の作り上げた経済の上澄みで、その恩恵に預かっていたことは、逃れようのない事実だ」
“天狼”:「……でも……私の考える、本物の闘士というのはね」
“天狼”:「ただ強いだけじゃ駄目なんだ。皆の憧れで、希望で、指針でなくちゃいけない」
宮星イオリ:「……わあ」
“天狼”:「それなのに、私が今戦わないわけにはいかないだろう?」
“天狼”:軽い口調。だがそこには決して曲がらぬ意志が感じられる。
宮星イオリ:「じゃあ、きっと私達が皆さんに伝えてあげますね」
宮星イオリ:「“天狼”は、ラス・ヴィダスを救うために戦った本物のヒーローだったよって」ジナちゃんの方を見る。「ねっ」
五百機ジナ:「ええ……!いい考えだと思うわ!」
“天狼”:「ええ……?そんなつもりじゃ……参ったな」苦笑して
“天狼”:「そうだ……君はどうなんだい?マリア」
百代マリア:「……わたくし?」
“天狼”:「ああ。君も元々は、この学区の生徒じゃないだろう」
“天狼”:「言ってしまえば、関係の無い話の筈だ。それが、どうして?」
百代マリア:「理由……」きょとんとして、少し考え込み「……そうね……」
百代マリア:「……わたくしが、百代マリアだから」
百代マリア:「……かしら?」
五百機ジナ:「……んん……?」怪訝そうな顔をする
宮星イオリ:「……なんとなく言いたいことはわかるけど~」
宮星イオリ:「こういう時だし、もっと熱を入れて語ってみてほしいよ。ねぇ?」
“天狼”:「ははは……そうだね。もう少し詳しく聞きたいな」
百代マリア:「えっ……?でも……」困惑したように
百代マリア:「わたくしは……百代マリアだから……」
百代マリア:「困っている人がいるなら、力になるのは当然……でしょう?」
五百機ジナ:「……?」その口ぶりに何か引っ掛かりを覚えた顔をする。
宮星イオリ:「でしょう?って言われても~……」
宮星イオリ:「なんかかっこいいからもう、いいけどさ」困ったようにけらけらと笑って。
五百機ジナ:「いいの……?私は何だか……」
GM:その時、イオリの耳に、近付いてくる車の走行音が聞こえてくる。
宮星イオリ:笑顔がすっと引いて、唇に指を立てる。「……来たよ。車」
赫花連盟生徒:「……来た!目標車両接近!!」ほぼ同時に、見張りの生徒が声を発する。
五百機ジナ:「ッ……!」緊張に身を強張らせる。
GM:一台の車両が、ゆっくりと眼下の道路を走ってくる。
GM:黒色の高級車。外観は優美だが、強化スモークガラスと特殊装甲によって強化された装甲車でもある。
GM:果たして待ち伏せ通り、車は目標のビルの前で停車した。
赫花連盟生徒:「第一陣、攻撃用意」「車から完全に降りたところで仕掛けるぞ」
GM:空気が張り詰める中──ドアが開き、まず見えたのは、裸の脚だった。
GM:ぺたぺたとアスファルトを踏む素足。全裸の少女が二人、車から歩道へと降りる。
GM:その首には獣に着けるような首輪が巻かれており、そこから伸びる仰々しい鎖が、車内へと続いていた。
GM:“マスターポルート”が生徒にこうした扱いをするのは、一部では有名なことだ。
GM:彼の機嫌を損ねた、或いは逆に『気に入られすぎた』生徒が、ありとあらゆる尊厳を剥奪され、散々弄ばれた末に抜け殻のようになって捨て置かれるような事も、一度は二度ではなかった。
宮星イオリ:「──」少女たちの呻くような声が耳に届いて、にわかに表情を歪める。視線は一瞬たりとも逸らさないまま。
GM:やがて、一人の男が歩道に歩み出る。
GM:……ビジネススーツを着込んだ男。
GM:全ての生徒に唯一共通したのは、その印象だ。
GM:後に宮星イオリは、彼の容姿を『人畜無害そうな優男』だったと語った。
GM:五百機ジナは『目の無い面のような顔だった』と語り、“天狼”は『子供の落書きのようだった』と語った。
GM:百代マリアは『動物の顔だった』と語り、また『袋のようなものを被り、顔は見えなかった』とも、『奇妙な記号のようだった』と語る生徒もいる。
GM:“マスターポルート”が公の場に姿を現すことは皆無であり、その資料も極端に少ない。今となっては、彼が何者だったのか、真相を知るすべは無い。
“マスターポルート”:「…………」
“マスターポルート”:一糸纏わぬ、容姿の整った生徒たちを路上に侍らせながら──
“マスターポルート”:男はそちらにまるで興味を示さず、ただスマートフォンをタップしていた。
“マスターポルート”:宮星イオリの耳には、騒がしい音──ソーシャルゲームの効果音が響いていた。
赫花連盟生徒:「……攻撃開始」
GM:立て続けに大爆発が巻き起こった。待ち伏せ地点に埋設されていた火薬の一斉起爆。
赫花連盟生徒:「撃て!!撃て撃て撃て撃て撃て!!」
GM:そして赫花連盟の生徒たちが一斉に能力を開放し、ありったけの攻撃を“マスターポルート”へと叩き込む。
GM:凄まじい閃光と轟音が巻き起こり、市街地が一気に紛争地帯の色を帯びる。後方のビルが攻撃の余波で倒壊し、膨大な土埃が通りを呑み込んだ。
赫花連盟生徒:「……停止! 攻撃停止!」
五百機ジナ:「……」
GM:全員が固唾を呑んで見守る中、ゆっくりと煙が晴れていく。
宮星イオリ:「……まだ」脳をひっくり返すような爆音に堪えながら、小さく言葉を紡ぐ。砲火の中心に、引き裂かれる者の声を聞いた。「ダメだよ、これじゃ……」
GM:「……が……びゅ……」
GM:小さな呻き声が聞こえた。
GM:黒焦げになった全身、引き裂かれ、吹き飛ばされた手足。
GM:盾とされた二人の少女の無惨な姿が、煙の帳の向こうから現れる。
GM:……ゴァッ!!
GM:その後ろから現れた、殆ど無傷の“マスターポルート”から、圧倒的なレネゲイドが放たれる。
赫花連盟生徒:「た……退避……がっ!!」
赫花連盟生徒:ビルの屋上から身を乗り出した生徒を、赤色の瘴気が呑み込んだ。
宮星イオリ:「っ────」咄嗟、傍にいたジナを庇うように抱き寄せる。
五百機ジナ:「ッ……」全身が硬直している「……これ……!」
GM:“マスターポルート”の周囲、アスファルトや鉄骨が溶解し、ぐずぐずと燻ぶる血肉へと変換され、どろどろと腐り落ちていく。
赫花連盟生徒:「……攻撃だ!!攻撃しろ!!」
GM:一人がそう叫ぶと同時、次々に生徒たちが男へと向かっていく。
“マスターポルート”:決死の覚悟で襲い来る少女たちに対し、“マスターポルート”はスマートフォンから顔を上げようともしなかった。
“マスターポルート”:ただ僅かに苛立たし気な様子でタップを繰り返し、致死の瘴気が周囲に撒き散らされては生徒たちを呑み込んでいく。
赫花連盟生徒:「うあぁああっ……!」「嫌っ……!何これ……嫌ぁああああっ……!!」
赫花連盟生徒:瘴気に蝕まれた少女たちが、次々と身体を醜悪な血と肉と骨の集合体に変換され、転送されていく。
“天狼”:「……退避だ!! 全員一時退避!!」
GM:最早状況は戦いの体を成していなかった。“天狼”の号令と共に、生き残った生徒たちが身を隠し、後方、ビルの影へと撤退していく。
宮星イオリ:「っ……!」醜悪な光景を前に、しかしジナの手を引いて、立ち上がる。
宮星イオリ:その繋いだ手をほどいて、真逆の方向へ一歩、踏み出す。
五百機ジナ:「……!? イオリちゃん!?」
宮星イオリ:「──我が親愛なる星に誓って」
宮星イオリ:この突撃に意味があるのかと、疑わなかったといえば嘘になる。だけど、
宮星イオリ:それ以上に多くの苦悶と、嘆きと、後悔の声を聞いた。
宮星イオリ:ある限りの勇気を振り絞ってこの場に集まったはずの彼女達の心が、あっけなく打ち砕かれようとしていた。
宮星イオリ:どうにかしてその状況を変えたかった。ここで打ちひしがれるばかりが結末ではないのだと、皆へ示したかった。
百代マリア:「イオリ……!」
五百機ジナ:「駄目……!イオリちゃん!戻って!」
宮星イオリ:「"マスターポルート"の支配を」
宮星イオリ:「今日、ここで終わらせる」
宮星イオリ:紡ぐ言葉に応えるようにして、頭上の星が閃く。"不落の星"。彼女のもとへ収束する光帯は、不可能を可能にする祝福だ。
宮星イオリ:だから──だからこそかろうじて、飛び込んだ瞬間に朽ち尽きる事はなかった。
宮星イオリ:「ご ほっ、が……っ」
宮星イオリ:その光のきざはしを渡る限りにおいて、宮星イオリの歩みを妨げる事はできない。
宮星イオリ:たとえ肉が人ならざるものへと変質し、骨まで蝕まれたとしても、
宮星イオリ:手にした刃をが朽ちて、臓腑が裂かれて、腕の肉が腐り落ちて、踏み締めるべき爪先がなくなっても、
宮星イオリ:星の輝きがもたらす、条理を超えた法則をまとって進む。
宮星イオリ:亡霊と見紛うような姿で、舞踏する死となって。不可能を可能にするとは、そういうことだ。
“マスターポルート”:「……」
“マスターポルート”:瘴気を受けて尚踏み込んでくるイオリに気付いてか、“マスターポルート”がスマートフォンから僅かに顔を上げる。
宮星イオリ:「……ッ!」舌は等に失われている。ゆらめくように突き出した右手、
宮星イオリ:その掴む切っ先が、溶けた矢先から質量を伴った光の粒子に補填される。かろうじて、刃の形を為しながら。
“マスターポルート”:その能力、その容姿、その肢体を、一瞬値踏みするように見つめて。
“マスターポルート”:ゆっくりと手を差し出す。
“マスターポルート”:「ハズレか」
GM:ば ち ゃ っ
宮星イオリ:「──っ、 ぁ」
GM:周囲に放つのではない、指向性を帯びた瘴気の奔流が、イオリを呑み込んだ。
宮星イオリ:刃はおろか、批難の声一つさえ届かせることはできなかった。
GM:手足が、半身が沸騰するように泡立って、弾け、致命的に変質していく。
GM:獣とも人とも付かない爪や牙、指や目玉……雑多なパーツが肉体の上でぼこぼこと生まれては消え、腐り落ちていく。
宮星イオリ:声を発する機能さえも失ったまま、激痛に身体が痙攣し、意思ならざる蠢きを繰り返す。
宮星イオリ:……この耳だけじゃなかった。
宮星イオリ:白磁のように白い素肌も、蒼玉のように陽を受けて煌めく瞳も、宮星イオリにとっては両親から授かった宝物だった。
宮星イオリ:大切に、まいにち、どんなに忙しい時でも欠かすことなく手入れしてきたものだった。その全てをいま失った。
宮星イオリ:失って、何一つ得られることはなかった。
五百機ジナ:「……イオリちゃん!!」
五百機ジナ:張り裂けるような悲鳴。完全な致命、転送に至る寸前で、イオリの身体をジナが抱え起こし……
五百機ジナ:後方へと飛び退る。追撃の瘴気が一度だけ放たれたが、偶然落下してきた瓦礫がそれを阻んだ。
“マスターポルート”:「……」
“マスターポルート”:それ以上追うことすらしない。“マスターポルート”にとって、宮星イオリとはその程度の存在だった。
赫花連盟生徒:「……どうするのこれ……どうすればいいのよ!?」「誰か妹を見ませんでしたか!?ねえ……!」「こんなの……勝てるわけないじゃん……!」
GM:後方に撤退した生徒たちは、完全な混乱状態にあった。その数は既に半分以下にまで減っている。
五百機ジナ:「イオリちゃん……!大丈夫!?ねえ……!」
宮星イオリ:「ぁ……」まどろむ意識の中で、元のかたちを失った手を伸ばす。「じ、な……ちゃ」
五百機ジナ:「何で……!」ぐちゃぐちゃになった手を握り、ぼろぼろと涙を零す。「どうして、こんな……ッ……!」
宮星イオリ:かすかに、少しずつ、呼吸が戻って来る。これほどに成り果てても、《リザレクト》は機能している。
宮星イオリ:声は、はっきりと聞こえていた。意識のまだはっきりしない思考の中で、
宮星イオリ:泣きわめくジナを、絶望と混乱に打ちひしがれる皆を、まだどうにか助けられないかと考えていた。
赫花連盟生徒:「どうするの、ここから……!?」「いや、逃げるに決まってるでしょ……!すぐに退路を探して……」
百代マリア:「……いいえ」
百代マリア:静かに口を開く。
百代マリア:「“マスターポルート”は確実に弱っているわ」
百代マリア:「シオンのお陰で。本来の出力なら、今頃わたくし達は全滅していたはず」
百代マリア:「こうして居所を掴めたのも、奇跡みたいなもの。今、この時を逃せば──」
百代マリア:「“マスターポルート”を倒せる機会は、たぶん二度と無い」
五百機ジナ:「……だからって……どうするって言うのよ!?」
五百機ジナ:「もう一度戦ったところで、また同じことの繰り返しに……」
百代マリア:「わたくしが時間を稼ぐわ」
百代マリア:当然のことのように言う。
百代マリア:「その間に、皆で彼を倒して頂戴」
宮星イオリ:「……ぁ、ごほっ」
宮星イオリ:その言葉に刺激されたように、咳き込み、べちゃりと何かを吐き出して。
宮星イオリ:もはや少女とも見分ける事も難しくなったその姿を、ゆっくりと揺らす。
“天狼”:「…………」
“天狼”:変わり果てた君の姿を見つめ、それからマリアに視線を移す。
“天狼”:「出来るんだね?」
百代マリア:「ええ」
百代マリア:それだけ言って、頷く。
“天狼”:「……」
“天狼”:「……分かった。私が前を張ろう」
“天狼”:マリアの言葉に根拠は無かった。だが“天狼”はそれに頷くと、立ち上がった。
“天狼”:「赫花連盟は、これより“マスターポルート”に再度攻撃を仕掛ける」
“天狼”:「続ける意志のある子だけ、私に付いてきてくれ」
GM:ビル街だった一帯は、既に不毛の沼地へと変わりつつあった。
GM:無機質な都会の風景が、おぞましい血肉の有機物に変換され、燻ぶるようにゆっくりとのたうっている。
“マスターポルート”:「……」
“マスターポルート”:既に生徒たちの追撃も無いと、“マスターポルート”が身を翻そうとした時。
GM:──鐘の音が響いた。
GM:東洋と西洋、宗教を問わずして、神社、教会、仏閣……祈りの場には常に巨大な金属の楽器具──鈴や鐘が設けられる。
GM:一説にはそれは、古の人々が耳にした、神の声を模した結果なのだという。
GM:荘厳な鐘の音が鳴り響く中、一人の少女が“マスターポルート”の前に歩み出る。
百代マリア:「……!」
百代マリア:小柄で華奢な少女が小さなロザリオを握り締め、強い瞳で“マスターポルート”を見据えている。
百代マリア:鐘の音が鳴り響く度、周囲を覆っていた瘴気は薄れ、燻ぶる血肉が色とりどりの花々へと再変換されていく。
百代マリア:天から雲間を裂いて降る光の梯子が、地獄の荒野に立つ少女を照らし出した。
“マスターポルート”:「……」
“マスターポルート”:「……?」
“マスターポルート”:予想だにしなかった異様な光景に、“マスターポルート”は一瞬戸惑いを見せた。
“マスターポルート”:その口を開こうとした瞬間──
“天狼”:光の波がその身体を襲った。
“天狼”:「う──おぉおおおおおおッ!!」
“天狼”:甲高い金属音が立て続けに鳴り響く。“天狼”が眩く輝く両手剣を振るう度、光波が放たれて“マスターポルート”を易々と切り裂く。
“マスターポルート”:「……!」
赫花連盟生徒:「今だ!!」「殺せ!!そいつを……そいつを殺して!!」「うわあああぁああーーーっ!!」
GM:間断なき光の斬撃が“マスターポルート”の全身を切り刻んでいく。更に残った赫花連盟の決死の総攻撃が、一切の反撃を許さない。
GM:この攻撃が通らなければ、最早後は無い。ラス・ヴィダスの希望も、仲間達の命も潰える。その場の全員がそれを理解していた。
GM:生徒達の執念と決意と覚悟とが形となり、豪雨のような壮絶な攻撃が“マスターポルート”に降り注ぐ。
“マスターポルート”:「……」
“マスターポルート”:「……は?」
“マスターポルート”:初めて“マスターポルート”の顔に、表情らしい表情が浮かんだ。
“マスターポルート”:怒りや焦り、そうした激しい感情でなく、怪訝さ、そして僅かな苛立ちが。
“マスターポルート”:その時には、既に遅かった。
宮星イオリ:──黒い泥のように変質したそれは、少女の腕であったものだ。
宮星イオリ:それを、主がこう成り果てても穢れる事のない、白い星あかりが照らしている。
宮星イオリ:「……だいじょう、ぶ」
宮星イオリ:「きこえてる……みんな」
宮星イオリ:激痛が身体を苛む。それでも、今だけは耐える事ができた。
宮星イオリ:奮い立ったはずの心が折れて、怯え、逃げ去ってしまった子がいる。
宮星イオリ:この計画が挫けて、また昨日と同じ明日が来ることに絶望している子がいる。
宮星イオリ:それでもまだ、あのおそろしい支配者と戦う事を選んだ子達がいる。
宮星イオリ:そのどれもが、宮星イオリに歩き出す力をくれた。──瘴気そのものに溶け込んだその姿が、毒沼の霧の中より現れて
宮星イオリ:いま、質量を伴った一条の光が、刺突剣のかたちをして。"マスターポルート"の胸に突き立てられている。
“マスターポルート”:「…………」
“マスターポルート”:満身創痍、血に塗れた顔が自らの胸を見下ろす。
“マスターポルート”:「……ぁ……」
宮星イオリ:「……」膿のようなものに汚れた瞳が、かれの最後の呼吸と交わる。
宮星イオリ:──ノヴァリスの多くの生徒の例に漏れず。宮星イオリにも、人の命を奪う一線を超えた経験はなかった。今この時までは。
宮星イオリ:もしかしたら、この行いは忌まわしく、軽蔑されるべき事なのかもしれない。それでも。
宮星イオリ:きっと、この光が切り開いた先に、みんなの望むものがあるのだから。
GM:……ごぼっ!!
GM:“マスターポルート”の身体が、一気に膨れ上がる。
GM:破裂寸前の風船のように、四肢が、頭部が、全身が膨張する。同時にレネゲイドも爆発的に高まっていく。
GM:それが本人の怒りによるものなのか、偶発的な能力の暴走によるものであるのかは分からない。だが──
百代マリア:「皆──」
百代マリア:マリアが君を庇うように、“マスターポルート”の前に躍り出る。
百代マリア:「逃げて──」
GM:そこからのことは、多くの者が知る通りだ。
GM:“マスターポルート”は死に際に能力を暴発させ、膨大なレネゲイドを撒き散らした。
GM:百代マリアの能力によって被害は最小限に抑えられたが、周囲の全ては呑み込まれ、広大な毒沼と化し、また百代自らもその身に呪いを受けた。
GM:その後“赫花連盟”の面々は、“マスターポルート”によって苦しめられてきた大勢の生徒に、惜しみない感謝と最大級の賛辞を送られ──
GM:──それだけだった。
GM:“マスターポルート”の死後、当時彼の下に付いていた生徒たちは、こぞってその遺産に群がり貪った。
GM:“マスターポルート”のものであった資産、特権政策、利権……あらゆる利益は残らず生徒たちによって解体され、散逸し、彼らの養分となった。
GM:そうして肥え太った一部の生徒達は、自らが“マスターポルート”に代わるラス・ヴィダスの支配者となるべく、学区そのものの構造を作り替えていった。
GM:巨大な鯨の死骸から新たな生態系が生まれるように。“マスターポルート”の死は弱者への救済でなく、また新たな支配構造を生み出しただけだった。
GM:そうして生まれ出でた支配者は、個人でなく組織としてラス・ヴィダスを貪る巨獣となった。
GM:商業倫理監査協会──“協会”の誕生だった。
現在 ラス・ヴィダス 商業区
GM:堕天病の罹患者は商業区では激しい排斥を受ける傾向にあるが──
GM:当然、そうした動きを逃れる方法も存在する。君……宮星イオリは重篤な堕天病を患ってはいたが
GM:そもそもが商業区でも外縁に位置するそう地価の高いエリアでは無いこと、また君の姉が大家に過剰とも言える賄賂を支払っていることで、何とか借家を追い出されることなく生活することができていた。
宮星シホ:「イオリ。それじゃあ、お姉ちゃんもう行くからね」
宮星シホ:宮星シホ。幼い頃から実直で勤勉な、君の姉だ。

宮星シホ:彼女はヴァリエンテ警備保障社員──ラス・ヴィダスにおける警察官に当たる役割を務めており、警備課主任のポストに就いている。
宮星シホ:「戸締りはしっかりとして、ガスの元栓も……あら、貴女ももう出るところ?」
宮星イオリ:「……いいから、構わないで」
宮星イオリ:マスクで隠した口元から発する、くぐもった声。爪先から頭髪まで、死体袋のような黒装束に肌を隠した女だ。
宮星イオリ:薄汚れた灰色の髪と、曇りがかったガラス玉のように生気のない瞳を浮かべている。
宮星イオリ:その頭上には、赤錆びて腐食した十字冠と、
宮星イオリ:変わりなく浮かぶ白い星が、薄暗い街灯のような輝きで少女を照らしている。
宮星シホ:「イオリ……本当に、そんな身体で出歩いて大丈夫なの?」
宮星シホ:「お姉ちゃん、心配で……。それに最近、一体どこを出歩いて、何をしているの?」
宮星イオリ:「大丈夫に見えるんだったら、病院でも行ったほうがいいよ」
宮星イオリ:「私から感染って、頭までやられちゃってるのかも」
宮星イオリ:「それで懲りたら、もうこんなのを匿うのなんてやめたらいい」
宮星シホ:「……イオリ! そんな口の利き方はやめなさいって、いつも言ってるでしょ……!」
宮星イオリ:「……うる、さいな」
宮星イオリ:心底、鬱陶しそうに眼を細めて。逃げるように外へと歩き出す。
宮星シホ:「あっ……!ちょっとイオリ!待ちなさい!まだ話は……」
宮星イオリ:……わんわんと喚く声が、耳元に響いている。
宮星イオリ:それだけで、どんな質の悪い麻薬よりも最悪な気分にさせられる。
宮星イオリ:一歩。たった一歩を踏み出すごとに、硬質化した身体組織が擦れて、関節が忌まわしい音を立てる。
宮星イオリ:ひと呼吸ごとに、胸が踏み潰されるような心地がする。
GM:早朝のラス・ヴィダス。商業区の外れ、排ガスとアスファルトと吐瀉物とが混ざり合った匂い。
GM:普段はこの時間、人通りの少ない一帯だが……この日は違った。
セクハラする生徒:「へっへっへ……いいじゃんいいじゃ~ん」
嫌がる生徒:「イヤーッ!ヤッ……ヤダーッ!!」
宮星シホ:「イオリ!ちょっと待っ…… あら……?」
セクハラする生徒:酔っぱらった生徒が、他の生徒にしつこく絡んでいるようだ。
宮星イオリ:フードを被せた耳は、煩わしい音色を漏らさず聞き届ける。……そこにこんなものまで加わったのだから、本当に最悪だ。
宮星イオリ:このからだは、もうほとんど石のように硬くなっているのに、忌まわしくも神経系は正常に機能している。
宮星イオリ:度々、思うことがある。……どうして、私の耳はこんなに鋭いんだろうか。
宮星イオリ:いっそ切り落とせたなら、少しは楽に生きられただろうか。
セクハラする生徒:「いいじゃんいいじゃん……ちょっとくらいさあ……すげーじゃん!この乳がさぁ~」
嫌がる生徒:「ヤダーーッ!!」
宮星シホ:「…… ……すみません!」
宮星シホ:君の姉が、その二人に駆け寄っていく。
宮星シホ:「ヴァリエンテ警備保障の者ですが……どうかなさいましたか?」
セクハラする生徒:「……あぁ~~?ヴァリエンテ~~?」
セクハラする生徒:「なんでもねえよ……ほらッ」
セクハラする生徒:しつこく絡む生徒が、胸元から社員証を取り出して見せる。
セクハラする生徒:それは総和重工のものだった。“協会”に名を連ねる、ラス・ヴィダスでも最大手と言える企業。
宮星シホ:「あっ……」
宮星シホ:「……失礼しました。ですがもう夜も明けておりますので……少々お気遣い頂けると……」
セクハラする生徒:「あ~分かった分かった!」手でシホを追い払い「さっ!続き続き!なあ~いいじゃんよ~!」
嫌がる生徒:「イヤーッ!!ヤダーッ!!」
宮星イオリ:「……」何も言わずにその様子を見ている。……できることなら、そのまま通り過ぎるのを待ちたかった。
GM:ヴァリエンテ警備保障はラス・ヴィダスの治安維持の任に付いているが、あくまで企業であって行政や公的機関ではない。
GM:営利を目的とした会社であり……そしてその大本の親会社に当たる企業こそが総和重工であった。その社員がどんな横暴を働こうと、滅多なことでは逮捕されることはない。
GM:その場に立ち尽くすしかない姉の表情は、君の角度から見ることは出来なかった。
宮星イオリ:何かを変えようと戦った所で、この世界は大して変わらない。あの"マスターポルート"ですらそうだったのだ。
宮星イオリ:こんな阿呆を殴りつけたところで、意味なんてない。戦いに駆り立てられるこの身体が、余計に苦しいだけじゃないのか。
宮星イオリ:(……ああ)
宮星イオリ:頭上の白光が、何かを告げるようにまたたく。
宮星イオリ:(ほんっとうに、最悪だ)
宮星イオリ:かれの期待を裏切れば、宮星イオリという人間はきっと終わる。今やそのあかりを浴び続けていなければ、ふつうに生活することさえ難しいのだから。
宮星イオリ:……いっそ、もう、それでも良いのかもしれないけれど。
宮星イオリ:人の生き死にとか、善悪の哲学とか……やまない拷問の最中、そんな煩わしい事のために考え悩まさせられるのが、一番最悪なことだった。
宮星イオリ:だから、考えるのをやめる。思索の息の根を止めて、奴隷のように歩き出す。
宮星イオリ:「どいてなよ」姉の襟首を掴み、後ろへと追いやる。
宮星シホ:「あっ……イオリ……!?」
宮星イオリ:自分が関係者ではないことを示すため、なんて。苦悶のやまない思考の中でそこまで気遣う事ができたかは怪しい。ただ邪魔だったからそうしたのかもしれない。
宮星イオリ:「こういう時にいちいち、説教するほど無駄なこともないし」
宮星イオリ:「自分がぶっ飛ばされる理由を教えてもらう権利なんて、あんたらみたいなのには上等すぎるし」
宮星シホ:「ちょ……ちょっと、待ちなさい!」
宮星シホ:歩み出る君の肩を掴んで止めようとする。
宮星シホ:「イオリ!何をする気なの!」
宮星イオリ:舌打ち。わずかに足を止めて。
宮星イオリ:「……静かに、してろって」
宮星イオリ:コートの下から黒い脚が伸びて、鉈のように振るわれる。酔っ払った生徒の一人の顎を蹴り上げ、そのまま沈黙させる。
宮星イオリ:「言ってんでしょ。どいつも、こいつも……」
セクハラする生徒:「ホギャーッ!?」
嫌がる生徒:「アーッ!?」
嫌がる生徒:「アーッ!!」驚き、そのまま逃げていく。
宮星シホ:「いっ……イオリ……!!」
宮星シホ:顔を真っ青にして
宮星シホ:「貴方、何てことを……!」
宮星イオリ:「……は」
宮星イオリ:「何。あのまま見ていたかったって?変態」
宮星イオリ:嘲るように笑った、ように見える。口元は見えないけれど。
宮星シホ:「あ……謝りなさい!!早く!!」
宮星シホ:「早く、この方に謝るの!イオリ!!」
GM:焦燥する姉の姿は、君が知る幼い頃のそれとはまるで別人だった。
GM:真面目で正義感が強い、実直な姉。曲がったことなど出来ないはずだった。目の前で苦しむ人を見過ごすなど、決して許さないはずだった。
GM:それが一体、いつからこうなってしまったのか?
宮星イオリ:「……そんなに焦るなら、知らないふりしてればいいでしょ」
宮星イオリ:「通りすがりの堕天病の女がやったことなんて、関係ないって」
宮星イオリ:「……家の事なら心配しなくていいよ。もう戻らないし」
宮星シホ:「ッ……あなた……!私が一体、どれだけ──」
セクハラする生徒:「お……お前ぇ~~っ!一体どこの誰だ!私が総和の人間だと知って……」
GM:爆音。
セクハラする生徒:「ワーーッ!?」
GM:巨大な爆音が響いた。すぐ近くからではないが、それでも地面が揺れるほどの衝撃。
GM:見れば君達の前方、通りをいくつか挟んだビルから白煙が噴き上がり、瓦礫がばらばらと倒壊しているのが見えた。
セクハラする生徒:「何ーッ!?コワイーッ!!」突然のことにそのまま逃げていく。
宮星シホ:「……!? 大変……!」
宮星シホ:「イオリ!あなたはここに居て!いいわね!」
宮星シホ:言って、血相を変えて現場の方へと走っていく。
宮星イオリ:「次から、次に……」忌々し気に睨み上げる。重なる爆音に、頭の割れるような心地がして、姉の声もよく聞いていない。
GM:シホが通りの向こうに消え、姿が見えなくなった時。
五百機ジナ:「……中々の威力でしょう?あれ」
五百機ジナ:不意に、背後から声がする。
宮星イオリ:「……誰?アンタ」
宮星イオリ:振り返り、白く濁った瞳でその声の主を捉えてそう口にする。煽りというよりも、本心から思い出せずにいるような。
五百機ジナ:「……忘れちゃったの?イオリちゃん」
五百機ジナ:「ジナよ。五百機ジナ」
五百機ジナ:そう名乗った姿は、君が知るかつての彼女とそう変わらないように見えた。
五百機ジナ:だが、その表情は、纏う空気は、かつてのそれとは変わり果てている。
五百機ジナ:血と暴力と死の匂い。落ち窪んだ瞳は生ける屍のようだ。
宮星イオリ:「……」焼けるような苦痛と酩酊の中、何度か記憶をひっくり返して。「ああ」
宮星イオリ:「……アンタか。思い出したくも、なかったな」
宮星イオリ:「傷が、余計に疼きそうになる……」
宮星イオリ:あの日の戦いの事は、なるべく考えないようにして暮らしてきた。無意味で、余計な、答えの出ないことを、延々と考え続ける羽目になるからだ。
宮星イオリ:「それで」
宮星イオリ:「このふざけた真似は何?」
宮星イオリ:「私を苛立たせたいってだけなら、もっとマシな方法が幾つもあるよ。教えてやらないけど」
五百機ジナ:「ふざけた真似……か」
五百機ジナ:「イオリちゃん、聞いたことないかな?」
五百機ジナ:「ラス・ヴィダス解放戦線って名前」
GM:その名前は、近頃少しでもニュースに触れれば嫌でも目に入るであろうものだ。
GM:LVLF。昨今、立て続けに商業区に対する爆破テロを行っている過激派テロ組織だ。
宮星イオリ:「……そう。変わってないんだね」
宮星イオリ:鼻で笑う。かつてとは明らかに違う死臭をはっきりと感じ取りながらも、敢えてそう口にする。
宮星イオリ:「何か立派なお題目を掲げて戦えば、世界をマシな方に変えられるって」
宮星イオリ:「そういう、青臭いところ」
五百機ジナ:「……だって……そうでしょ」
五百機ジナ:「この街は間違ってる。あなたもそう思うでしょ」
五百機ジナ:「誰かがやらないといけないの。誰かが、過ちを正さないと」
五百機ジナ:「正しい方向に……導かないといけないのよ」
宮星イオリ:「……それで? この火薬遊びで何が正せたの?」
五百機ジナ:「……それは……」口を開こうとして「……ううん」かぶりを振る。
五百機ジナ:「……今日は、あなたと言い争いに来たわけじゃないの」
五百機ジナ:「ただ……ひとつ、伝えておきたくて」
宮星イオリ:「……」もう一言なにか煽ってやろうかと言葉を続けそうになるが、不意に顔を顰めて黙り込む。続く言葉を待つ。
五百機ジナ:「……もうすぐ、この街は滅ぶわ」
五百機ジナ:「全ての過ちはようやく正され、あるべき形を取り戻す」
五百機ジナ:「……イオリちゃんには……その前に、この街を離れてほしい」
宮星イオリ:「……滅ぼす? ふ、ふふ」
宮星イオリ:「真面目くさった顔で、何を言うかと思ったら」
宮星イオリ:「ただ投げ捨ててるだけじゃん」
宮星イオリ:「アンタこそ、どっか離れたほうがいいんじゃないの」
宮星イオリ:「いろいろ思い詰めすぎてバカになってるよ」
五百機ジナ:「……逆よ」
五百機ジナ:「今になって、やっと」
五百機ジナ:「掴み取るのよ。あの時手に入れられなかったものを」
五百機ジナ:曲がらぬ決意を帯びた瞳で君を見て──不意に、その視線が哀しみの色に染まる。
五百機ジナ:「……私が言いたかったのは、それだけ」
五百機ジナ:「それじゃあ、伝えたわよ。イオリちゃん」
五百機ジナ:「……貴方は……」
五百機ジナ:「……変わったのね」
五百機ジナ:最後に君を一瞥して、ジナは去っていく。
宮星イオリ:「本気でやめて欲しいな。ただでさえこっちは大変なのに……」
宮星イオリ:「……ああ、クソ」
宮星イオリ:遠く、爆風の方向に、誰かの泣き声が聞こえた。
宮星イオリ:既にジナの方を見ていない。白い灯りに駆り立てられるようにして、瓦礫の道を歩き出す。
宮星イオリ:「こうやって、また余計な事ばかり」
宮星イオリ:ひと呼吸ごと、胸が踏み潰されるような心地がする。
宮星イオリ:一歩を踏み出すごとに、脛に鉈を振り下ろすような覚悟が要る。
宮星イオリ:肉体は朽ちていても、変わらぬ守護星の輝きだけが、最後の堕天を許さない。
宮星イオリ:とうに終わっているはずの宮星イオリは今も生きて、空虚な何かのために戦っている。
宮星イオリ:この二年間、同じように。
GM:シーン終了。
GM:ロイス取得のみ可能です。
宮星イオリ:五百機ジナ:懐旧/◯迷惑 で取得します。
【OP/析了トオル】
GM:ではPC3のOPを始めていきましょう まずはHOから
ハンドアウト
PC3 析了トオル
シナリオロイス:“セファロタス” キュッリッキ・メラスニエミ
猫の餌を耳に詰める。三親等以内の血縁者の髪の毛を燃やす。生涯で83%以上白桃のみを食べさせたオオコウモリの翼を粉末にする。
キュッリッキ・メラスニエミは、奇怪な行動で周囲から奇異の目で見られている変人だ。
当人の語るところによれば、彼女は『現代魔術』の使い手であり、奇行にしか見えない数々の行動も、常人では計り知れない深い意味があるのだという。
真偽の程は定かではないが、メラスニエミは歴とした研究機関に籍を置く学問の徒であり、そしてどういうわけか、君の友人でもある。
ある日、君に二つのものが届く。
ひとつは、メラスニエミが君宛てに送ったメッセージとアタッシュケース。
もうひとつは、彼女が大規模な爆発事故に巻き込まれ消息を絶ったとの報せだった。
彼女の身に何が起きたのか?君は真相を手繰らねばならない。
GM:友達がいなくなっちゃったので……探してください!
析了トオル:バタフライエフェクトを起こしているのでしょうか、彼女は……
GM:ラスヴィダスでの出来事なので この前も世話になったし赫花連盟行ってみるか~という感じですかね
析了トオル:ともあれ、爆発事故で友人が行方不明!助けに行きましょう。
析了トオル:ついでに前回から今回までに準備したあれこれで堕天病も勝手に調べ尽くし、なんとかできればいいなぁ
GM:OPは普通に交流してもらう感じになるんですが、何か案などありますか?
GM:特になければ普通にカフェでお話するとかになります
析了トオル:友人なら部室に連れ込んでてもいいかなと思ったけど、カフェでも全然大丈夫!
GM:部室いいですよ!ではそうしましょうか
析了トオル:わ~い
GM:ではそれでやっていきましょう!登場侵蝕をどうぞ~
析了トオル:1d3+3
DoubleCross : (1D3+3) → 3[3]+3 → 6
析了トオル:最大値でも6なのは心にやさしい
析了トオル:43です
ジェネシスインダストリアルアカデミー
GM:冬の寒さも徐々に和らぎ始めた頃。君……析了トオルは、久方ぶりに会うことになる友人を部室に招く運びとなり、その案内をしながらジェネシスの廊下を進んでいた。
キュッリッキ・メラスニエミ:「ふ……えへへ……」
キュッリッキ・メラスニエミ:陰気な空気を放つ少女、キュッリッキ・メラスニエミ。かなりの長身の筈だが、病的な猫背がそれを感じさせない。

析了トオル:「……おや、何かありましたか?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「トオルくんの部室に行くの……初めてだなぁって……えへ……楽しみ……」
析了トオル:ふむ、と少し考えこんでから。
析了トオル:「確かに……初めてかもしれませんね。そもそも、私側から招くというのも稀ですから」
析了トオル:車椅子に乗った華奢な身体を背もたれに預け、くるりと振り返る。
析了トオル:「つまり、ラッキーという事ですよ。あっでも、部室のものはあんまり弄らないでくださいね。貴女の術と関係あっても……です!」
キュッリッキ・メラスニエミ:「うんうん、ラッキー……えへぇ……分かってるよぉ……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「ボクだってそんなに非常識じゃないって……大丈夫大丈夫……」
析了トオル:「いえまあ、私がよくやって怒られるので……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「怒られてるんだ……部長なのに……」
析了トオル:「だって変なものおいてあったら……触りたくなりません?」
析了トオル:「私はなります」
析了トオル:悪びれずににっこりと笑って、横に並ぶ。
キュッリッキ・メラスニエミ:「うぅん……それは分からなくもないけど……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「トオルくんの場合は度を越してるっていうか……」
析了トオル:「まあ確かに、謎の像をちょーっと首の部分割ってみたり、解いちゃダメなパズルを解いたり、危険なアナグラムを正しく並べ替えてみたり……」
析了トオル:「……そこまでしなければ、特に問題ないとは思いますよ」
析了トオル:「あと、コントローラーのコードを雁字搦めにするのが一番駄目です。昨日も怒られました」
キュッリッキ・メラスニエミ:「相変わらずなんだね……」
キュッリッキ・メラスニエミ:囁くような声、喉を鳴らすようにくつくつ笑って。
キュッリッキ・メラスニエミ:「でも、そうだよね……未知への探求心を失ったら、科学者として御終いだもの……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「トオルくんのそういうところ……ボクは尊敬して……おっと」
キュッリッキ・メラスニエミ:はたと足を止める。
析了トオル:「あっ褒められの気配。いいですね、親しい友人から褒められるのは悪い気はしま……」
析了トオル:「あら?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「えーと……」背に背負った大きなリュックをごそごそし始める。
キュッリッキ・メラスニエミ:「ちょっと待ってね。確かこの辺りに……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「……あった」
キュッリッキ・メラスニエミ:そう言うと、取り出した銀色の大きな反射シートを、ばさりと君へと被せる。
析了トオル:「にゃっ?!」
析了トオル:「おお、おお?!これは一体どのような意味があって……?!」
キュッリッキ・メラスニエミ:自分もいそいそと同じものを被って。
キュッリッキ・メラスニエミ:「ええとね……今……」
一般ジェネシス生徒:「ウワーーッ!!試作品の対艦超大型レーザーランチャーが暴発したーーーーー!!!!」
GM:ズギャアアアアアア!!
析了トオル:「ひゃっ」
GM:君達の近くの実験室から超高威力のレーザービームが暴発し、周囲一帯を吹き飛ばす!
一般ジェネシス生徒:「ああっ人が!なんてことを……あれ!?生きてる!?」
GM:壁も天井も黒焦げで跡形も無いが……反射シートを何故か丁度被っていた君達は全くの無傷だ。
析了トオル:「…………おぉ、何かよく分からないが助かりました」
析了トオル:「相変わらず、羨ましい程に勘が鋭いというかなんというか。それとも、これも貴女の得意な現代魔術か何かで?」
析了トオル:反射シートを持ち上げながら、材質をチェックし始める。
キュッリッキ・メラスニエミ:「ふへへ……そうなのだよ」自慢げに再び歩き出す。
キュッリッキ・メラスニエミ:「この世を構成する物事は、あらゆる全てが複雑に絡み合っているけれど……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「その運行には、目には見えない法則が存在する……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「水が100度で沸騰するようにね……その法則を解き明かして利用するのがボクの研究している『現代魔術』」
キュッリッキ・メラスニエミ:「これは歴とした科学だよ…… 今ボク達が反射シートを被って命が助かったのも……科学的法則から導かれた結果なんだ」
析了トオル:キュッリッキ・メラスニエミ。私の数少ない友人の中の一人で、『現代魔術』の使い手。
析了トオル:通常では理解しえぬ、しかし当然として存在する法則を研究、利用し、実行する。
析了トオル:立派な研究者だ。私としても、彼女といれば興味の種が尽きる事無く。
析了トオル:───そしてその天性の才に、少しながら嫉妬することもある。
析了トオル:「……もう少し聞きたいですね。今回使用した法則について、何を発端にというところから部室で詳しく……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「興味がある……?勿論いいよ、トオルくんも現代魔術を…… あっ、丁度着いたかな?」
析了トオル:「あら……早いものですね。では……」
析了トオル:扉を開けて、少しばかり仰々しく。
析了トオル:「───ようこそ、世界の神秘を解き明かす最前線……怪奇現象探査部へ」
析了トオル:
析了トオル:部室の中。放置されたゲームと絡まるコードに、ご自由にどうぞと置かれた菓子。
析了トオル:怪しく光る謎の置物に、手を付けたままの変形するアンティーク。そして所狭しと並べられた巨大な電子機器。
析了トオル:……つまるところ、散らかっている。
キュッリッキ・メラスニエミ:「ふむふむ……」興味深そうに部室の中を見回して。
キュッリッキ・メラスニエミ:「中々……片付いてるね……」
析了トオル:「……そうでしょう、これでもそこそこ片付けたんです!」
析了トオル:なお、部屋の脇には無理矢理寄せられて転がったものが散乱している。
キュッリッキ・メラスニエミ:「綺麗好きなんだね……トオルくん」
キュッリッキ・メラスニエミ:「ボクはそういうの全然ダメだから……偉いなぁ」基準が低い。
析了トオル:「ふふ……いえ、キキさんに怒られかねなかったんで、人を呼ぶならもっとちゃんとしろって……普段はもっと酷いです。特に私の机回りとか……」
析了トオル:ぴ、と指さした先。謎の試薬やら腕に装着するアイテムやら、走り書きのメモ、ラス・ヴィダスから持ち帰ったお土産などが隙間なく並んでいる。
キュッリッキ・メラスニエミ:「ボクもね……床が見えるようにはしないといけないとは思っているのだけれど…… あっ」
キュッリッキ・メラスニエミ:手首にじゃらりと3つも巻いた腕時計に目をやって。
キュッリッキ・メラスニエミ:「こんな時間……トオルくん、ちょっと待っててもらえるかな」
析了トオル:「床、私が車椅子なのでギリギリ空けてはありますが……っと」
析了トオル:「どうぞ、やるべきことがあるのでしょう?」
析了トオル:「お茶を準備して待っています、いってらっしゃい」
キュッリッキ・メラスニエミ:「ありがとう。それじゃあ……あっ」
キュッリッキ・メラスニエミ:「お茶はいらないかも……お菓子だけ頂こうかな」
キュッリッキ・メラスニエミ:そう言うと、リュックから2リットルボトルのメロンソーダを2本取り出す。
析了トオル:「おお……準備がいいですね」
キュッリッキ・メラスニエミ:「ああ……ごめん、これはお土産じゃなくて……」
キュッリッキ・メラスニエミ:そうしてプシュッ、と蓋を開けると、ゴクゴクと一気に飲み始める。
キュッリッキ・メラスニエミ:「んぐ……んぐ……」
キュッリッキ・メラスニエミ:炭酸が苦手なのか、涙目になっている。
キュッリッキ・メラスニエミ:「っはぁ……はぁ……」
析了トオル:「あ、わわ……何の理由があるかは後で聞きますが……ハンカチ、ハンカチを……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「……ごく……ごく……」
キュッリッキ・メラスニエミ:かなり辛そうにしつつ、一本目を飲み干して二本目に取り掛かる。
キュッリッキ・メラスニエミ:「けほっ!けほっ……! はぁ……はぁ…………」
析了トオル:「お疲れ様です。汚れたところ、拭きましょうか?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「ん……ぐ……ごほ…… あ……ありがとう……」
キュッリッキ・メラスニエミ:グロッキーになりながら何とか飲み干し、君に礼を言う。
析了トオル:周囲から奇行とは呼ばれるが、彼女にとっては必要なことだ。邪魔はしないし、何よりその先に何が起きるかに興味がある。
析了トオル:それに……なんというか、世話焼きな部分を刺激されているのかもしれない。
析了トオル:「ほら、こちらを向いて」
キュッリッキ・メラスニエミ:「んむ……ごめんねトオルくん」大人しく拭かれている
キュッリッキ・メラスニエミ:「けぷっ……失礼。どうしても今日この時間に……4リットルのペットボトルを飲み干して、2時間以内に排尿する必要があったんだ」
析了トオル:ハンカチで口の周り、滴った胸元もぽんぽんと拭き取って。
析了トオル:「それはまた大変な条件ですね……着替えも準備出来ればよかったんですけれど」
析了トオル:胸の辺りを見てから、自分の方に目を移して。
析了トオル:「サイズが合うもの……あるかしら……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「大丈夫だよ、ちょっとべたつくけど……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「お陰で条件をクリアできたよ。こうすれば明日なんと……」
析了トオル:「なんと……?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「めちゃくちゃかわいいコーギーに遭遇することが出来るんだよ……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「それも……三頭!」
析了トオル:「めちゃくちゃかわいいコーギーに……三頭も?!」
析了トオル:「い、一体この条件からどんな理屈で……後日なら服に染みついた匂い……という訳でも無く、では排尿が何かしらの行動を誘発して……?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「ふふふ……」猫背を得意げに逸らしてバキバキ背骨が鳴る
キュッリッキ・メラスニエミ:「面白いでしょ、現代魔術は……ノヴァリスに来たばかりの頃は苦労したけどね」
キュッリッキ・メラスニエミ:「何しろ、外の世界と『法則』が何もかも違うから……0からの再研究が必要だったからね」
キュッリッキ・メラスニエミ:「でも最近では研究が進んで……こうしてコーギーに遭遇することも出来るんだよ」
析了トオル:「外とは様々な前提が違うようですからね、ノヴァリスは。それが面白い所ではあるのですが……」
析了トオル:「あら、聞いたことなかったですが……リッキーさん。あなた、外での活動歴がはっきりとおありで?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「うん、ボクはけっこう後発組だよ。ノヴァリスに来たのも……三年前くらいかな?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「それまでは現代魔術の研究セルに居たんだけど……それこそ、全く別世界らしいノヴァリスでは自分たちの技術が通用するのか気になって……」
析了トオル:「かなり最近だったのですね。ということは知り合ったのも割とすぐの頃だったのでしょうか……ふふ」
析了トオル:「その気持ち、たいへん理解できます。基盤が全く違う地に置いて、自分たちの育んだ力が何処まで届くのか……」
析了トオル:「ええ、試してみたくなるものでしょう。研究者であれば当然。そして……今日、進んだ証を一つ見せてもらえました」
キュッリッキ・メラスニエミ:「えへへぇ……トオルくんはやっぱり話が分かるねぇ」ぎしぎしと左右に揺れる
析了トオル:「他に、ここ最近で実行できるようになった現代魔術などは存在しますか?聞いてばかりになって申し訳ないですが、やはり気になってしまって……」
析了トオル:同じく左右に揺れながら、上機嫌に手を合わせる。
析了トオル:「お菓子も好きなものをどうぞ。この際尋問の為に秘蔵の甘味も出してしまいましょうか、ふふふ……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「あっ、それなら丁度……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「ボクが今日発したワードがあとXXX字増えたら……」
キュッリッキ・メラスニエミ:そっ、と毛むくじゃらの鳥に似た、一昔前にノヴァリスで流行したペットロボットを取り出す。
析了トオル:「これが……どうなるのですか?」
析了トオル:瞳をきらきらさせて、両手を期待感に握りしめる。
キュッリッキ・メラスニエミ:「このマービィーをね、木っ端微塵に破壊しないといけなくて……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「詳しくは省くけど……そうしないと世界が滅んじゃうんだ」
析了トオル:「なるほど、世界が滅ぶ……」
析了トオル:「世界が滅ぶ?!」
析了トオル:流石に驚いて車椅子から落ちそうになる。
キュッリッキ・メラスニエミ:「あっ、大丈夫だよぉ」掌を振って「結構よくあるパターンだから」
析了トオル:「よくあるのですか……では、知らぬ知らぬの間に何度も世界は救われているのかもしれませんね……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「ふへへ……実はそうなのだよぉ」
キュッリッキ・メラスニエミ:「そんなことより……」本当に軽い空気だ「トオルくんのほうは、最近調子はどう?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「続けてるんだよね? 神秘探し」
析了トオル:「はい。ええと、前回お話したのがムセイオンでの一件についてで、直近だと……」
析了トオル:「やはり、ラスヴィダスのイースターエッグ関係でしょうか……あ、オフレコですよ、勿論」
キュッリッキ・メラスニエミ:「えっ……トオルくんも関わってたの? あれ……」
析了トオル:「ええ、本当は自力で潜入も考えたのですが……ちょうどお呼ばれ頂いて意気揚々と行かせていただきました」
析了トオル:「……聞きたいですか?カーサ・ミクトランでの大冒険の数々を……!」
キュッリッキ・メラスニエミ:「勿論だよぉ……! 聞きたい聞きたい!」
析了トオル:「本当に……あの一日は濃厚でした。マッサージからの隠し撮り、自転車道の特訓、感覚3000倍ビーム砲、謎の刀剣仮面、異界の如き古い校舎……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「エッチなことされてない……?」
析了トオル:「…………まあ、その、少し…………」
析了トオル:「こ、こほん!」
析了トオル:「その果てに……我々はイースターエッグに辿り着いたのです!」
キュッリッキ・メラスニエミ:「おぉ……!」
キュッリッキ・メラスニエミ:「すごい……すごいねトオルくん……!」
析了トオル:「といっても、全部解析できたわけではないし、今でも取得したデータを基に調査を進めている段階なのですが……」
析了トオル:「……このイースターエッグの持つ神秘も、私を満足させてくれるのかどうか。貴女と同じで挑戦の毎日です」
析了トオル:「そして……その先に、少しでも……」
析了トオル:少しだけ、遠い目をして。とある病気の事を思って。
析了トオル:「っと、らしくない表情をしてしまいましたか」
キュッリッキ・メラスニエミ:「えへへ」笑って
キュッリッキ・メラスニエミ:「トオルくんはすごいな~……ボクも頑張らなきゃなぁ……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「あっ、でもそうだ。実はね、秘密で進めてる研究が今ちょうど佳境で……」
析了トオル:「貴女の頑張りは、誰が何と言おうと私が見ていますから、どーんと胸を張って行きましょう」
析了トオル:「そして佳境な研究!とても気になりますが……そこまで言いかけたなら聞いていいものですよね?!教えてくださいますよね、ね?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「えへ~~?どうしようかなぁ……秘密だからなぁ……」
析了トオル:「う、ううーん…………では、先に話した尋問用甘味の出番です!六壬から頂いた超高級YOUKANで……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「うわ~~っ!それはズルいよぉ~~」
キュッリッキ・メラスニエミ:「あっ、でもね、完成したらきっとトオルくんもすごい!って……あっ」
キュッリッキ・メラスニエミ:「今だ!やぁあぁ~~~っ!」
マービィー:「マァアアアアアアアアアーーーーーーーーー!!!!!」
GM:メラスニエミに蹴られたマービィーが、バチバチと次元の狭間に消えていき爆散する!
キュッリッキ・メラスニエミ:「これでよし……」
析了トオル:「こうして、世界がまた一つ救われたのですね……ほろり……」
析了トオル:「では、世界救った記念で羊羹を空けましょうか。お話は味を見てからでも良いでしょう?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「うん、勿論! あっその前におしっこ行きたいかも……」
析了トオル:「では、その間に切り分けを。お話も沢山ありますから、お早めに……ね?」
GM:そのように君が和やかな友人との会話を楽しみ、何事も無く別れてから、僅か一週間も経たぬ内に。
GM:事態は思わぬ方向に転がっていった。
GM:その日、君が自宅で見ていたテレビのニュースには、焦土と化した無惨な風景が映し出されていた。
リポーター:「……ご覧ください! 一体どれほどの爆発が起きればこのようになるのか……想像もつきません!」
リポーター:「現場には民家や倉庫の他、ラス・ヴィダス第二中央研究所があったはずですが……跡形もありません!」
リポーター:「未だ爆発の原因は不明とのことで、ヴァリエンテ警備保障は今後調べを進めていくとして……」
GM:ラス・ヴィダス第二中央研究所。キュッリッキ・メラスニエミが所属していたはずの研究施設だ。
GM:先程から君が連絡を試みても、彼女からは何の応答も無い。
析了トオル:情報を見てから、急ぎ準備を進める。
析了トオル:彼女の事だ、事前に何かしらの備えはしているだろうし、無事である可能性は高い……と思う。
析了トオル:そうやって、軽いやり取りの中であっても、何度も助けられた身だ。彼女の現代魔術の強度は、私が誰よりも知っている。
GM:そうして君が行動を起こそうとしている時……まるで見計らったようなタイミングで、チャイムが鳴る。
GM:「すいません、お届け物です!差出人は……えーと……キュ……キュリ……?」
析了トオル:「ええい、この忙しい時、に……」
析了トオル:散乱する物を踏みつけながら、入り口へと向かう。あんな特徴的な名前、ノヴァリス内でもそういない。
析了トオル:「キュッリッキ・メラスニエミからですか?!」
析了トオル:ぜえぜえと息を吐きながら、扉を開いて。
GM:「うわっ……そ、そうです!」
GM:差出人はまさしくキュッリッキ・メラスニエミだった。君が受け取り開封してみると、中身はアタッシュケースと、それに添えられた一通の封筒だった。
キュッリッキ・メラスニエミ:『析了トオル様へ』
キュッリッキ・メラスニエミ:『ちょっとお願いしたいことがあって、この手紙を書いています。』
キュッリッキ・メラスニエミ:『私の大事なものを、あなたに少々預かっておいてほしいのです。』
キュッリッキ・メラスニエミ:『何だか嫌な予感がするのです。ただの思い過ごしかもしれないので、そうしたらお土産を持ってすぐ取りに行きます。』
キュッリッキ・メラスニエミ:『この荷物を託せるのはあなたしか思い浮かびませんでした。ごめんなさい、他に友達がいないので……』
キュッリッキ・メラスニエミ:『同封した2枚目に、私から出来る精一杯のアドバイスを書いておきました。もし私が取りに来なかったら、そちらが役に立つかと思います。』
析了トオル:「…………」無言で、2枚目の方を見遣る。嫌な予感は当たったのだろう、ならば。
GM:2枚目には以下のような箇条書きが記されていた。
GM:
・建付けの悪い扉は一度押し込んでから開くこと
・味方が出来たらその顔をよく覚えておくこと
・〇月〇日の14時05分13秒に、〇〇〇番のポートセキュリティを開放すること
・後方20m~25mの地点を狙うこと
析了トオル:「…………ふふ」
析了トオル:こんな状況にも関わらず、笑みが零れた。
析了トオル:如何にも彼女らしく、そして。何よりも信用できるアドバイスの数々に。
析了トオル:「……こんな条件を送る以上、私が行ってしまう事もお見通しでしょうね」
析了トオル:そうして、残ったアタッシュケースへ。
析了トオル:大事な……彼女が、私に預けたかったものを見る。
GM:ケースに鍵は掛かっておらず、君が蓋に手を掛けるとすぐに開くことが出来る。
GM:その中身は──
GM:……何も入っていない。
GM:空っぽだ。
析了トオル:「何も無い……?いや、まさか……」
析了トオル:ケースの中を手で探る。目に見えない物である可能性だって十二分にある。
GM:透明な何かがあるわけでもない。何度開け閉めしたり、裏側を見てみたりしても、やはり何も無い。
GM:どう見てもアタッシュケースには何も入っていなかった。
析了トオル:「……盗られたか、或いは……このケースを持つことに意味があるのか」
析了トオル:何方にせよ、今の私には未だ分からない事だ。ならば調べる必要がある。
析了トオル:ひとしきり思考してから、手持ちのデバイスを起動する。
析了トオル:「……赫花連盟への連絡。これは前回コネを作っておいて助かりました。それに十二分以上の武装の準備、これはキキさんに頼みましょう、後は……」
析了トオル:急いで自分の机に戻り、引き出しを開く。
析了トオル:虹色に微発光する抽出液。腕に装着する読み込みデバイス。小さな額縁にペンと絵具。
析了トオル:「ええ、この際です。折角のラス・ヴィダスへの吶喊ですものね」
析了トオル:それらを全部詰め込んで、意思を強く固める。
析了トオル:「1.リッキーさんを捜索し、見つけ出す。2.堕天病への有意な対抗策を発見、ないし実行する」
析了トオル:「───やらねばならぬこと、やりたかったこと……全部、やってしまいましょう!」
GM:シーン終了。
GM:ロイス取得のみ可能です。
析了トオル:キュッリッキ・メラスニエミ ●友人/心配 で取得します!
【OP/胡緑蘭】
GM:それではPC4のOPやっていきましょう!まずはHOから
ハンドアウト
PC4 胡緑蘭
シナリオロイス:“マスターポルート” 百代マリア
かねてから外部との交流が少なかったラス・ヴィダスから、星室庁へと一つの依頼が届く。
依頼元は赫花連盟、その指導者である百代マリア。
昨今ラス・ヴィダスで進行しつつある大規模な再開発計画。その一環として新設された革命記念公園の完成セレモニーに、マリアが招かれたのだという。
“協会”が主導するこのセレモニーに自身が出席することは、断絶の深かった商業区とスラム街の融和の第一歩になるとして、マリアは意欲を見せている。
だが近頃のラス・ヴィダスでは幾つもの不可解な事件や不穏な動きが頻発しており、セレモニーの開催にも不安が残る。
君は先生として、マリアと共にラス・ヴィダスの平和への橋渡しを手伝うことになる。
GM:ラスヴィダスに来る初めての先生になってもらいます!
GM:正確にはマスターポルートもいたけど……
胡緑蘭:あんなの先生じゃないよ
胡緑蘭:初めての先生…責任を持って立ち塞がる全てを殴り倒します!
GM:大丈夫かなあ……
GM:OPは特になければ移動中の車内になるかと思われますがこれやりたい!って案などありますか?
胡緑蘭:えっどうだろう……ラスヴィダスだし早速強盗に襲われるとか?
GM:なるほど
GM:早速頼れるところを見せてもらいましょうか
胡緑蘭:先生の威厳を見せてやります
GM:では登場のほうどうぞ!
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を1D3+3(→ 4)増加(0 → 4)
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を43増加(4 → 47)
ラス・ヴィダス商業区 駅東口前
GM:閉鎖的なイメージを持たれがちなラス・ヴィダスであるが、商業区の先進的な賑わいやスラムの特殊な環境、カーサ・ミクトランの存在から、実は観光が盛んな学区でもある。
GM:当然、他学区に通じる交通手段も幾つかあり、鉄道路線はその最たるものだった。
GM:この日、君──胡緑蘭は星室庁から電車に揺られ、ここラス・ヴィダス中央駅の東口に降り立った。
GM:新任の先生として、ラス・ヴィダスの自治組織、赫花連盟からの協力要請に応えるためである。
胡緑蘭:「ふぅ、ようやく体を動かせる」大きく胸を反らせる。
胡緑蘭:「退屈ってのはこれはこれで疲れるんだよな」
胡緑蘭:褪せた砂色の髪に褐色の肌、黒眼鏡の下の朱を引いた目元は、常に愉快そうに細められている。
胡緑蘭:仕立ての良いスーツに身を包んだ長身はそれなりに様になっているが、肩にかけた龍の刺繍のストールと、何より微かに染み付いた硝煙の匂いが
胡緑蘭:この男がまともな世界の人間ではないことを如実に示していた。とはいえここはラス・ヴィダスだ。
胡緑蘭:そのような雰囲気を纏うことは、むしろこの異分子を周囲に埋没させているかもしれない。
GM:駅前の街並みはビジネス街の清潔さと繁華街の猥雑さの丁度中間のような雰囲気で、よく整備されたビル街に派手なネオンや広告モニタの類が入り混じっている。
GM:人通りも多く、賑わいを見せており……君の考える通り、騒ぎが起きるほど目立っているわけでもないが
GM:ここラス・ヴィダスでは、成人の男の存在というのは他学区に比べても特に異例のようで、通行人の目を引き、少しざわめきが起きているのが分かる。
GM:だがそれが、待ち人の目にも止まる結果になったようだ。
百代マリア:「失礼致します。胡先生でいらっしゃいますか?」
胡緑蘭:こちらを見てヒソヒソ話している一団へ戯れに手を降ってみたりしていた。
胡緑蘭:「ん?ああ、そうだよ」声の方に顔を向けて。
胡緑蘭:「ぼく……私が、胡緑蘭だ」
胡緑蘭:「私を呼んでくれたのは君かな?」
百代マリア:声を掛けてきたのは一人の少女だ。雪のように白い肌、紅玉のような瞳。儚げな美少女と言っていい容姿であるが、その素肌は血のように赤いローブによって、顔以外は執拗と言っていいほどに覆い隠されている。
百代マリア:「はい、お初にお目に掛かります。わたくし、百代マリアと申します」
百代マリア:ローブの裾を引いてカーテシーの仕草と共に一礼する。
胡緑蘭:「よろしく。マリア」
百代マリア:「遠路はるばるご足労頂き、ありがとうございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします、胡先生」
百代マリア:「お疲れになったのではありませんか? 星室庁からでは随分遠かったでしょう」
胡緑蘭:「はは、そうだね。朝早く出たのにこんな時間までかかってしまった」
胡緑蘭:「ノヴァリスは本当に広い。とはいえ、心配はいらないよ」
胡緑蘭:「君たちほどじゃないけど、私もまだまだ若いつもりだし」片膝をついてマリアへ目線を合わせる。
胡緑蘭:「私は、君たちより強いからね」
百代マリア:「まぁ……」驚いたように目を丸くして「ふふっ!」
胡緑蘭:「おや、そんなにおかしいことを言ったかな?」
百代マリア:「周囲の者からは、“先生”は十字冠が無いから護衛を沢山付けるべきだ、と口を酸っぱくして言われていたのですけれど……」
百代マリア:「その必要も無いかもしれませんね。頼りになりますわ」
胡緑蘭:「遠慮なく頼ってくれていいよ。私は先生だからね」
百代マリア:「分かりました、先生」
百代マリア:新鮮なその響きが楽しいのか、くすりと笑って
百代マリア:「それでは、早速ご案内致しますね。お車にどうぞ」
GM:そう言って案内されたのは、一台のワンボックスカーだ。他の学区のトップが星室庁の先生を直接送迎するとなれば、最高級の車両を用意するのが当然なのだろうが──
GM:その車はどう見てもあちこちガタが来ていそうな、普通の乗用車だ。少し埃っぽい。
百代マリア:「よいしょ……さ、先生、どうぞこちらに」運転席の後ろに案内する。一応上座だ
胡緑蘭:「ありがとう」乗り込むと座席がギシ、と音を立てて沈み込む。
GM:運転手も赫花連盟の生徒らしく、君に挨拶しては少し物珍し気な目を向けてくる。
胡緑蘭:「いや、なんか懐かしいなあ。私も十代の頃はこういう車で荒野を旅したものだよ」
百代マリア:「荒野を旅?」「そんな経験がおありなのですか?」
胡緑蘭:「経験というか、どこかに居着いたことがほとんどなかったからね」
胡緑蘭:「ずっと旅をしていたようなものさ」
百代マリア:「まあ……それは……」
百代マリア:「とても楽しそうですね……!」
百代マリア:目をキラキラさせて君を見る。
胡緑蘭:「そうかい?」
胡緑蘭:「寄る辺となる故郷があるってのは幸運なことだと思うけどね。根無し草は気楽だけど」
胡緑蘭:「その分大変なことも多いんだ。何でも自分でやらないといけないしね」
GM:車はゆっくりと発進し、商業区の街並みを抜けていく。
百代マリア:「そうなのですね……それでも、わたくしは憧れてしまいますね」
百代マリア:「幼い頃から……ノヴァリスに来た後も、旅どころか、あまり遠出ということをしたことが無いものですから」
百代マリア:「先生のように、様々な場所で色々な経験が出来るというのは……羨ましく思います」
胡緑蘭:「ふぅん……それは確かに」
胡緑蘭:「すこし、もったいないね」マリアへと手を伸ばす。車内でも目深に被ったフードを軽く上げて。
胡緑蘭:「美人は旅先だと色々親切にしてもらえるから、きっと楽しい旅になるだろうに」
百代マリア:「あ……」びく、と硬直する。君へ、というより、肌を見られることへの恐れか。しかしそれも一瞬のことだ。
百代マリア:「……ふふっ! まあ……お上手ですわ、先生」
百代マリア:「今まで、どんなところに行ったのですか? わたくし、一度本物のペンギンというものを見てみたくて……」
胡緑蘭:「ペンギンかぁ……南極は私も一度しか行ったことがないなぁ」
胡緑蘭:「まあ、見るだけなら水族館や動物園にもいるけどね」
百代マリア:「あるのですか!? いいなぁ……」
百代マリア:「そう、ペンギンは水族館にも動物園にも居ると聞いているんです……」
百代マリア:「一体本来はどちらの領分なのでしょう? ふしぎですよね……」
百代マリア:「水にいるから水族館に配されるなら……カバやカピバラも水族館にいるべきではないのでしょうか?」
胡緑蘭:「言われてみるとそれは確かに。どういう基準なんだろうね」ふと考え込む。
胡緑蘭:「予想だけど、ペンギンは他の魚と同じ環境で育てやすいのかも知れないね」
胡緑蘭:「餌も魚だから同じもので済むし」
百代マリア:「成程…………!」
百代マリア:「納得です。流石先生でいらっしゃいますね……」謎のタイミングで深い尊敬の眼差しが生じている
胡緑蘭:「いやいや、それほどでも」まんざらでも無さそうに
胡緑蘭:「けどそう考えると、少しかわいそうな気もするかな」
百代マリア:「?」小首を傾げる
胡緑蘭:「仮に元の環境と近かったとしても、飼育する側の都合で生き方を決められているわけだからね」
胡緑蘭:「もしかするとペンギンの中には、どうせ元の場所で生きられないのなら、熱帯のジャングルで暮らしたいと思う者もいるかも知れない」
胡緑蘭:「まあ、相手はペンギンだからそんなのヒアリングのしようがないんだけど」
胡緑蘭:「そういった希望を、ただ効率的だからって理由で顧みないのはかわいそうだよね」
百代マリア:「面白い考え方ですね……ジャングルで暮らしたいペンギン、ですか」サングラスを掛けて日焼けしたペンギンを想像している
百代マリア:「でも、そういう意味では……ノヴァリスで暮らすわたくし達も、似たようなものかもしれませんわ」
胡緑蘭:「ふむ?」
百代マリア:「元居た場所から離れ、学区の校風に従い……」
百代マリア:「勿論、それを望んでいる子も多くいるのでしょうけれど」
百代マリア:「そうでない子も多いと思います」
百代マリア:言って、窓の外、次第に都市部の中心から遠ざかっていく風景を眺める。
胡緑蘭:「かも知れないね。卒業するまで外に帰ることもできないし」
胡緑蘭:「けれど、君たちは自由を勝ち取ったじゃないか」
胡緑蘭:「君たちを飼育する者はもういない。残ったのは檻だけで」
胡緑蘭:「檻から出るか、そこに残るかは君たちの選択次第だろ?」
百代マリア:「……」その言葉に、僅かに目を伏せる。
百代マリア:「南極で生まれ育って、動物園……水族館かもしれませんが……に来たペンギンならば、或いはそうなのかもしれませんね」
百代マリア:「ですが、檻の中で育ち、檻の中での生き方に染まったペンギンは、きっと……」
百代マリア:そこで言葉を切り、小さく息を吐いてかぶりを振る。
百代マリア:「……いけません、先生とのお話が楽しくて……つい本題を忘れるところでしたわ」
胡緑蘭:「ああ、そっか」こちらもすっかり忘れていたという顔で
胡緑蘭:「私もマリアとお話するのが楽しくて気付かなかった。呼んでくれた件だね」
百代マリア:「はい。今回先生に来て頂いたのは、あるイベントの成功にご助力を賜りたいと思ってのことなのです」
百代マリア:「現在、商業区に建設中の、革命記念公園。その完成記念セレモニーに、僭越ながら、わたくしが招待されておりまして……」
百代マリア:「そこでスピーチを依頼されているのです。わたくしも出席を考えているのですが、少々問題がありまして……」
胡緑蘭:「スピーチかぁ。良いじゃない」
胡緑蘭:「マリアは革命で"マスターポルート"を打ち倒した英雄……だったよね?」若干うろ覚えと言った様子で。
胡緑蘭:「革命記念公園のセレモニーなんだから、メインゲストだ。きっと生徒のみんなも君の言葉を聞きたがってるよ」
百代マリア:「うぅん……」少し面映ゆそうな顔をして「そうだとよいのですが…… それで、問題と言いますのが……」
GM:その時である!
GM:ドガァァァン!!
GM:突然の爆音と衝撃が車を襲い、車体が激しく横転する!
百代マリア:「きゃっ……!?」
胡緑蘭:車体が横倒しになる寸前。後部座席のドアが蹴破られて、白い影が真上に飛び出す。
胡緑蘭:タイヤ跡の残る車道の上に着地する。その腕には、隣に乗っていたマリアが抱き抱えられている。
百代マリア:「あっ……わっ……わっ……!?」
百代マリア:突然のことに目を白黒させている。
胡緑蘭:「びっくりしたね。怪我はない?」マリアを優しく降ろす。
百代マリア:「あっ……は……はい……ありがとうございます……」
百代マリア:僅かに頬を上気させ、混乱の表情を浮かべている。
襲撃生徒:「ヒャッハァ~~!!車だァ~~~!!」
襲撃生徒:ロケットランチャーを構えた生徒たちが剣呑な様子で君達を見ている!どうやら彼らが襲撃犯のようだ。
襲撃生徒:「車だ車だァ~~!バラして売れば晩飯に本物の肉が食えるぜェ~~!!」「ヒャッハァ~~~!!肉だァ~~~!!」
胡緑蘭:「車がそんなに珍しいのかな……?」怪訝そうに周囲を見渡す。
胡緑蘭:「ふむ、なるほど。ジャンク狙いか」
襲撃生徒:「ヒャッハァ~~~!!女だァ~~~!!」「あの女見たことあるぜ!百代マリアだ!人質にすりゃあいい肉が食えるぜ!!」
襲撃生徒:「そうと決まりゃあ話は早え!野郎ども!やっちまえ!」「ヒャッハァ~~!!攻撃だァ~~~!!」
襲撃生徒:凶器で武装した生徒たちが一斉に君達へと襲い来る!
胡緑蘭:「こういうこと、良くあるのかい?」
百代マリア:「は、はい……この学区では……あっ!先生!前!前!!」
襲撃生徒:「ヒャッハァ~~~!!男だァ~~!!」「どこ見てやがる!死ねェ~~~!!」
胡緑蘭:「前?ああ、大丈夫大丈夫」襲撃生徒の振り下ろした凶器が、頭蓋を砕く寸前で静止する。
胡緑蘭:メキャッ そのまま何かに握りつぶされたようにへし折られる。
襲撃生徒:「なっ……バッ……ゲェ~~ッ!?」「ヒャッハァ~~!?何て力だァ~~~!!」
胡緑蘭:「このくらいは寝てても捌けなくちゃ、先生なんてやってられないよ」
襲撃生徒:「そうだ、大人の男……こいつ先生だ!」「オデ……先生は生徒には勝てないってエッチな本で読んだ!」
襲撃生徒:「やれやれ!囲んじまえ!」「ヒャッハァ~~!!四面楚歌だァ~~!!」
襲撃生徒:先生と分かってもお構いなしだ!凶悪生徒達が飛び掛かってくる!
百代マリア:「ああっ……!先生!!」
胡緑蘭:「元気だなあ」
胡緑蘭:肩口から先が失われた右腕。垂れ下がった袖が、一瞬芯が通ったように持ち上がる。
胡緑蘭:黒い塊が地面に叩きつけられた。その動きが速すぎたため、影のようにしか見えなかったが。
胡緑蘭:緑蘭を中心に重力場が波打ち、飛びかかる生徒達をフライパンを返すように上空へと跳ね飛ばす。
襲撃生徒:「ウギャァァーーッ!?」「ヒャッハァ~~!!痛みだァ~~!!」
襲撃生徒:生徒達はバタバタと地面に転がり、それで流石に力の差を理解してか蜘蛛の子を散らすように逃げ去っていく。
襲撃生徒:「覚えてろ~~っ!」「ヒャッハァ~~!!屈辱だァ~~!!」
胡緑蘭:「おや、ここからだったのに」スーツの埃を払って
胡緑蘭:「自制心がないように見えて、変なところで状況判断が的確だ。野生の獣みたいだな」
百代マリア:「お、驚きました……」目を丸くして「本当にお強いのですね、先生……」
胡緑蘭:「ま、このくらいはね」マリアに微笑みかける。
百代マリア:「お怪我が無くて何よりです…… ……先程申し上げた困っていることというのは、まさにこのようなことで……」
百代マリア:「詳しくは後程お話しますが……ラス・ヴィダスの商業区とスラム地区の対立はこれまで以上に悪化して、今ご覧いただいた通り……治安も悪化の一途を辿っています」
百代マリア:「こんな中で大きなイベントを開催すれば、一体何が起きるか分かりません」
胡緑蘭:「たしかにねぇ。誘蛾灯に群がるみたいに色々起こるだろうね」
百代マリア:「はい。ですがわたくしとしては、このような状況を変えたいと思っており……」
百代マリア:「無事にセレモニーが執り行われるよう、こうして星室庁の……先生のお力を貸して頂きたいと考えたわけなのです」
胡緑蘭:「うん。大体理解した」
胡緑蘭:「セレモニーを妨害しそうな不穏分子を片っ端から無力化すれば良いんだね」
胡緑蘭:「得意分野だ」
百代マリア:「まあ……それは心強いです!」話術も得意なのだなあと思っている
百代マリア:「実を言えば、今までにもラスヴィダスを気にかけてくださる先生は何人かいらしたのですが……」
百代マリア:「全て、こちらからお断りさせて頂いていたのです。見ての通り治安も悪く危険で……何より、堕天病に感染する恐れもありましたから」
胡緑蘭:「堕天病か……」
胡緑蘭:「確かあれは接触感染、それも末期の患者以外からはしないんだったね」
百代マリア:「はい、オーヴァードに関しては。それ以外にもこの学区においては様々な感染経路が考えられ、危険なのですが……」
百代マリア:「ご安心ください。このわたくし、百代マリアが、先生に付きっきりでお守りしますから」
百代マリア:ふふん、と胸を張る。
胡緑蘭:「それはどうも。予防対策は大いに頼りにさせてもらうよ」
胡緑蘭:「けれど、ひとつだけ間違っているかな」
百代マリア:「あら……何でしょうか?」
胡緑蘭:「さっき見た通り、私は触れることなく相手を無力化できるし」
胡緑蘭:「感染源って言うのかな?そういったものにはまず捕まらない」
胡緑蘭:「だからね」マリアの頬に手を添えて。
胡緑蘭:「私が、君を守るんだ」
胡緑蘭:「私は君の先生だからね。当然だろ?」今までより少し幼なげな笑顔を浮かべる。
百代マリア:「…………」
百代マリア:ぱちりと目を瞬いて。
百代マリア:「……先生……」
百代マリア:手袋越しに手で手をどける。
胡緑蘭:「うん」ニコニコ
百代マリア:「……どの子にもこのようなことをしているのですか? いけませんよ、年頃の淑女に……」窘めるように
百代マリア:「先ほどは緊急時、助けて頂きましたから別として……レディの身体にそう気安く触れるものではありません!」
百代マリア:「よろしいですか?」
胡緑蘭:「気安くはないかな。私は真剣だよ」
胡緑蘭:「真剣に触ってる」悪びれなく言う
胡緑蘭:「まあ、マリアが恥ずかしいというのなら今後は控えるよ。ごめんね」
百代マリア:「真剣でも触れてはだめ!」ぷんぷん怒って「さっき会ったばかりでしょう!そういうのは……もっと親しくなってからです!」
百代マリア:「ただでさえ皆からの反対を押し切ってきたのに……こんなところを見られたら何と言われるか……」
胡緑蘭:「わかったわかった。もっと仲良くなってからね」
胡緑蘭:「嬉しいよ。生徒に冷たくあしらわれる先生も多いって聞いてたから」
胡緑蘭:「マリアは私のことを憎からず思ってくれているってことだ。安心したなぁ」
百代マリア:「ええ、それは勿論、こうして来て頂いて、お話も楽しくて、先程も助けて……あっ」
百代マリア:「……先生!からかっているでしょう!!」
胡緑蘭:「はは、面白くてつい」
胡緑蘭:「けど、そうして怒ったり笑ったりするマリアはかわいいよ」
胡緑蘭:「先生として、生徒の素直な表情を見れるのは嬉しい」
胡緑蘭:「これは本当だよ?」
百代マリア:「かわ…… ……もう……!」
百代マリア:「もういいです! 行きますよ! 車がだめになったから、大聖堂まで歩かなくては……」
胡緑蘭:「はいはい。ならのんびり歩こうか」
胡緑蘭:「見知らぬ街の空気を肌で感じるのも、旅の醍醐味だ」
百代マリア:「まあ……先生に学区を見て頂くのは悪くありませんが……」
百代マリア:「……胡緑蘭!!腰に手を回さない!!」
GM:騒ぎながら歩いていく二人を見て──
赫花連盟運転手:「…………」
赫花連盟運転手:(なんか……忘れられてるな……)
赫花連盟運転手:静かに後ろから付いて行った。
GM:シーン終了。
GM:ロイス取得のみ可能です。
胡緑蘭:ロイス/生徒/百代マリア/◯庇護/隔意 で取得します
【Middle1】
GM:ミドル1、合流シーンとなります。
GM:全員登場です。
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を1D3+3(→ 4)増加(43 → 47)
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を1D3+3(→ 5)増加(49 → 54)
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を1D3+3(→ 6)増加(47 → 53)
析了トオル:1d3+3+43
DoubleCross : (1D3+3+43) → 1[1]+3+43 → 47
GM:また、今回は先に情報判定を行って頂き
GM:各自でちょっと調べてきた情報を持ち寄るような形にしましょう。
GM:項目はこちらです。
情報項目
・情報項目:中央銀行襲撃事件 《情報:ノヴァリス/噂話》難易度8
・情報項目:ラス・ヴィダス解放戦線 《情報:ノヴァリス/FH/噂話》難易度7
・情報項目:ラス・ヴィダス第二研究所爆破について 《情報:ノヴァリス/噂話》難易度9
・情報項目:再開発計画について 《情報:ノヴァリス/噂話》難易度7
析了トオル:この場合、カンパニーの効果を皆さんに適用するのはまだ無理そうですかね?
GM:あっそうですね 会ってないので……
GM:次からはOKとします
析了トオル:理解です!
三部つゆり:上から順に各々っぽいかしら 中央銀行襲撃事件かな、私は
胡緑蘭:噂話の固定値が6あるので、一番難しいやつ行こうかな
宮星イオリ:多分失敗するけど行くなら解放戦線かなあ
析了トオル:第二研究所爆破に行きます
胡緑蘭:なら残った再開発を
宮星イオリ:行きます ウオオ
宮星イオリ:1dx+1>=7 ラス・ヴィダス解放戦線
DoubleCross : (1DX10+1>=7) → 1[1]+1 → 0 (ファンブル) → 失敗
三部つゆり:コネ学園通の友人を起動して、ここはラッキーメダルホワイトを起動。社会でいこう。
GM:やば
宮星イオリ:新聞すら買えない雑魚
析了トオル:噂話コネを使用、カンパニー効果でダイスと達成値上昇。
三部つゆり:3dx+1+1>=8
DoubleCross : (3DX10+2>=8) → 9[4,8,9]+2 → 11 → 成功
宮星イオリ:無を携えて合流します
GM:一応再登場で判定できることにしますが……成功するのかなこれ
宮星イオリ:いま開けたほうがいいのかな 進行的に
析了トオル:5dx+3>=9
DoubleCross : (5DX10+3>=9) → 9[3,4,7,8,9]+3 → 12 → 成功
宮星イオリ:いちおう4割程度で成功はするはず
GM:まあ無くても……行けるっちゃ行けます
析了トオル:後出しも無しで行けましたね、成功です
胡緑蘭:7dx+6>=7
DoubleCross : (7DX10+6>=7) → 8[1,3,3,5,6,7,8]+6 → 14 → 成功
析了トオル:社会メインだから高い!
宮星イオリ:再挑戦するにしても合流後にしたいとこはあるかもしれない それで問題ないならだけど…
胡緑蘭:他の人が再登場して判定はダメなのかな
GM:それも一応OKです
三部つゆり:わたし行きましょうか
GM:まあそこまでしなくてもいいかな……
析了トオル:合流後ならバフが入りますことよ……ほほほ
GM:後でGMから出しましょう 代わりにイオリさんは何も知らないジョン・スノウ状態になっといてください
GM:ではそこ以外公開します
宮星イオリ:なるほどね なります
情報項目:ラス・ヴィダス中央銀行襲撃事件
セキュリティ強度に関しては三大学区の設備にも劣らないラス・ヴィダス中央銀行が破られたことは既に大きなニュースとなっており、今後の銀行としての先行きにも多いに影響するだろうと見られている。
あらゆる面で万全の防護体制だったはずの本店の金庫が破られ、保管されていたクレジット素子、貴金属類、証券や権利書等が強奪されており、被害総額は天文学的なものになるだろう。
襲撃に参加した生徒はほぼ全員が逮捕されているが、主犯と見られるノドスの“機神”は行方を眩ませており、ヴァリエンテ警備保障は捜索を続けつつ、同様の事件が再発する恐れもあるとして注意を呼び掛けている。
また、襲撃に参加した生徒の内、堕天者と呼ばれる末期患者に関しては取り調べも難しい状態だが、その他の生徒に関しては、皆一様に全く身に覚えがないと証言しているようだ。
情報項目:ラス・ヴィダス第二研究所爆破について
ラス・ヴィダス第二研究所爆破を含む爆破事件についてはヴァリエンテ警備保障が捜査中だが、現場の損壊が著しく、犯人の目星どころか詳しい状況も不明の状態らしい。
昨今商業区ではLVLFによる爆破テロが頻発しているが、殆どの場合はビルや施設を単体で狙ったものであり、一区画を丸々吹き飛ばしたこの爆発は類を見ない大規模なものと言える。
また、爆発に巻き込まれたと見られる被害者は数十人おり、当初は十字冠転送されたものと考えられていたが、事件から一日以上経っても全員が行方不明のままであり、こうした状況も他の爆破テロにおいては確認されていない。
情報項目:再開発計画について
現在、ラス・ヴィダスでは大規模な再開発計画が進行中だ。
総和重工が主導し、ミシマエンジニアリング、インペリアルグループなど“協会”数社が関わる一大プロジェクトであり、『新しいラス・ヴィダス』をスローガンに商業区・スラム街を問わずして各地で工事や開発、都市整備が行われている。
プロジェクト完遂の暁には、ラス・ヴィダスは従来の『呪われた学区』のイメージから脱却し、クリーンで先進的な整備された学区として生まれ変わるとされているが、その影では特にスラム街を中心に地上げや強引な立ち退きが横行しており、商業区への反感が更に高まりつつあるようだ。
ラス・ヴィダス大聖堂 談話室
GM:ラス・ヴィダス大聖堂は、病や貧困、その他の困りごとを抱えた生徒たちが、常日頃から集まる場所であるが──
GM:この日、聖堂二階の談話室に集まった面々は、そうした一般生徒とは少し異なる事情を抱えていた。
GM:最後に到着した析了トオルが、控室に入ろうとすると……
GM:……ガタッ
GM:ドアが開かない。鍵は締まっていないはずだが。
析了トオル:「…………あら?」
百代マリア:「あら……どなたかしら? トオル?」
百代マリア:中からマリアの声がする。
析了トオル:「あっマリアさん!そうです!私です!ノブを付けたままドアを引き戸にしたとかでは……」
析了トオル:と、そこまで話してから、ふと思い立つ。
百代マリア:「あっ、開かないかしら? そのドアには少しコツがあって……」
析了トオル:「ええと、確か……」
析了トオル:「……建付けの悪い扉は一度押し込んでから開くこと、と」
析了トオル:ぐ、と控えめな腕力で精一杯押し込んでから、手前側へと開く。
GM:そのようにすると、苦労していたのが嘘のようにドアは簡単に開く。
百代マリア:「あら……」少し驚いた顔で
百代マリア:「すごいわね。初めての子は皆苦労するのだけれど」
析了トオル:「おお……アドバイスが早速役に立ちましたね」
百代マリア:「アドバイス?」小首を傾げながらも「しばらく振りね。ごきげんよう、トオル」
析了トオル:「ええ、少しばかり助言を頂いていまして……今日の私はスーパートオルと言っても過言ではないのかもしれません」
析了トオル:「と、失礼しました。お久しぶりです、マリアさん。といっても、ほんの少し前と思う程には濃厚な経験でしたが……」
百代マリア:「ええ、よく来てくれたわ。さ、どうぞ座って。あなたで全員よ」
析了トオル:「ははは、既に座っていますのでお構いなく」そう言って小刻みに動き、自分の席であろう場所へ。
GM:室内には既に数人が揃っている。ラス・ヴィダスでは珍しい、男性の姿もある。
宮星イオリ:ひとり距離を置いた部屋の端、薄汚れた黒いコートの少女が咳き込んで蹲っていた。
宮星イオリ:濁った血のような赤色に錆びついた頭上の円環、その中心には不釣り合いに真白いともしびが揺れている。
宮星イオリ:やがて少し落ち着いたのか、ゆっくりと顔を上げる。灰色に濁った生気のない瞳を、マリアとトオルの方へ向ける。
析了トオル:(ふむ……こちらは……堕天病の方でしょうか)
析了トオル:(かなりの進度に見えますが……同席している以上、ある程度は問題ないと見えます)
百代マリア:「そうね……情報交換の前に、まずは自己紹介からにしましょうか」
宮星イオリ:「……そっちの話の邪魔になるなら、しばらく外してるけど」
宮星イオリ:「いた方がいいの?」
百代マリア:「?」
百代マリア:「どうしていない方がいいの?」
宮星イオリ:舌打ち。「……いいよ。じゃあ進めたら」
宮星イオリ:「後で盗み聞きされたのなんのって言われても知らないから」
胡緑蘭:「よし!ではまず私から行こうか」笑いながら手を叩いて立ち上がる。
胡緑蘭:「とは言ってもさっきから何度かやっちゃってるけどね。君が最後の生徒さんだ」気安い様子でトオルさんの方を向いて。
胡緑蘭:「星室庁から来た胡緑蘭だ。改めてみんなよろしくね」
立野スズコ:「わ~……本物の先生……」赫花連盟の生徒が興味深そうに見ている
三部つゆり:「初めて…見ますよね」星室庁の大人、というのは色々飛び回ったが、初めてだった。
析了トオル:「あら、星室庁の……私も何度かお世話になっています。七草先生は元気かしら……」
宮星イオリ:「男……」小さく呟く。どこか穢らわしいものを見る目。
立野スズコ:「あのあのっ!一緒に写真とかいいですか!?」
胡緑蘭:「写真?もちろん」
百代マリア:「だめよスズコ、はしたないわ……もう、先生」
立野スズコ:「いぇ~い」ピース自撮り
百代マリア:「全くもう……」言いながらピースで収まっている
胡緑蘭:「いえーい」画角に収まるように長身を曲げる。
三部つゆり:「せ、積極的だなあ」良いのかな…と周りを見ている。
胡緑蘭:「思い出づくりは大事だよ。旅先ではそう機会は何度もやって来ないしね」
析了トオル:「胡先生、緑蘭先生、どちらの方が響きがよろしいでしょうか。中華圏のお名前にはそこまで長けておらず……」
宮星イオリ:きゃぴきゃぴした空気を嫌うように、更に数歩窓側へ歩み離れている。
胡緑蘭:「呼び方かい?好きな方でいいけど……気安く名前で読んでくれて構わないよ、トオル」
胡緑蘭:「私も君たちのことは名前で呼んでるしね」
析了トオル:「では、緑蘭先生の方で。見たところ、ラス・ヴィダスの皆さんは星室庁の"先生"を見た経験が少ないようですが……」
胡緑蘭:「そうらしいねえ。私がみんなの最初の先生になれるなんて光栄だよ」
三部つゆり:「そうですね、初めてです…他学区に行ったこともあるんですが、あまり機会がなく…」
析了トオル:(……立ち振る舞いを見るに崑崙の生徒に近いですね、武闘派なのでしょうか……)
宮星イオリ:「は……じゃあ、何。ご立派な授業でも施しに来たって?」
宮星イオリ:ラス・ヴィダスから出ない事もあり、実際に今の職員室の先生がどういった活動をしていたかもちゃんと分かっていない。
百代マリア:「先生はわたくしがお呼びしたの。皆にも関わる話かもしれないわね」
胡緑蘭:「授業かぁ……良いよね授業。私も憧れるけど」
胡緑蘭:「今回はちょっと違うかな。そもそも私が教えられることなんて戦い方くらいだけど」
胡緑蘭:「多分君たち、教えてもついてこれないし」
立野スズコ:「す、すごい自信……」
三部つゆり:(”マスターポルート”を前にしてこう言えるのは本当凄いな……)
析了トオル:「道理ですね、少なくとも私は……こう!」へろへろとしたスパーリング。
宮星イオリ:喧嘩売られてる?と言いたげな顔になって。「……マリア。呼ぶにしても相手を選んだほうがいいんじゃないの」
百代マリア:「そう言わないで、イオリ。こう見えて頼りになる先生なのよ」
宮星イオリ:「そう? 若い女子に囲まれて喜んでるしょうもない下心野郎じゃなくて?」
百代マリア:「う~ん……」
百代マリア:「それは……」ちらりと目を向ける
析了トオル:「ひ、否定できないのですね……」
胡緑蘭:ニコニコ楽しそうに笑っている。
三部つゆり:「本人も否定してない」ちょっと身を引いて身体を覆うように腕を回す。
宮星イオリ:「……心当たりありそうな顔じゃん。気をつけなよ、アンタ昔からどっかゆるいんだから……」
百代マリア:「き、気を付けているわよ……?」
百代マリア:「それはさておき、今回先生に来て貰ったのは……」
百代マリア:という感じで、先生にもした話を軽く説明します。
百代マリア:「……セレモニーの開催にわたくしが出席するのは……」
百代マリア:「いま関係が悪化してる商業区とスラムの橋渡しにも繋がるんじゃないかと思っているの。だから必ず成功させたくて」
百代マリア:「……でも、最近……おかしな事件が起こっているでしょう?色々と……」
宮星イオリ:はあ、と溜息をつく。(……この子はこの子で変わらないんだよな)一度掲げた理想を下ろそうとしない頑固さとか。
析了トオル:「成程、その為の……ボディーガードに近い役割でしょうか。確かに腕は立ちそうですね」
宮星イオリ:「最近? バカが起こす事件なんて四六時中やんでないと思うけど」
胡緑蘭:「"おかしくない"事件ならそうだろうねえ。来る途中のやつなんか日常茶飯事って感じだったし」
三部つゆり:「ううん、それでも中々起きないような事は起きてる。…自己紹介も続けてやっちゃっていいかな?」
百代マリア:「ええ、お願いするわ」
宮星イオリ:「……まあ、そうか」言ってから、こちらも心当たりがあるといえばあるなと翻す。
三部つゆり:「私は三部つゆり。ラスヴィダスの高等部一年で…フリーの情報屋とかやってます。私がここに来たのは…」
三部つゆり:「うちの中央銀行襲撃事件のこと。…普通ならあのセキュリティは抜けないけど、あっさり抜かれて損害は天文学的」
三部つゆり:「やった中に堕天者に生徒にっているけど、堕天者はともかく普通の生徒はそうした記憶も残ってない」
宮星イオリ:(……そんな事になってたの)道理で、商業区の方面がいつもより喧しいと思った。
三部つゆり:「…そして、主犯はノドスの”機神”だ。私は、このひとを捜しに来たんです」
析了トオル:「……丸ごと記憶が、それに……ノドスの機神」
胡緑蘭:「ノドス。行方不明になっていた男子生徒たちの学区だったね。機神っていうのは確か、彼らが使う戦闘用の上位端末」
百代マリア:「機神……」
百代マリア:「……前のやつかしら?」トオルに
析了トオル:「ふむ……見た目のイメージなどは?大まかで構いませんが」
三部つゆり:「黒くて仁王像みたいな、影使い。特に凄い出力の瘴気を出してました。知っていれば教えてもらえると嬉しいです」
百代マリア:「前のやつね……」頷く
析了トオル:「ああ、それなら前に会敵したものと同じようですね」
三部つゆり:「………前って言うと、イースターエッグキャンペーンの……?」額を抑える。「本当そっちに行けばよかった……」
析了トオル:「イモータルコイル・オレブザラク。分割思考の如き能力を持っていましたが、関係はありそうですね」
百代マリア:「あれが関わっているとなると、かなり厄介ね……」
百代マリア:「……でも、銀行を? ノドスって、お金に困っているのかしら……」
析了トオル:「……何かしらの裏がありそうですね。調べる価値はあるかと」
胡緑蘭:「お金に困っていなくても、銀行を襲うメリットはあるよ。銀行が保管するのは信用だからね」
三部つゆり:「…分割思考?群生お兄さん、一体どうなってるの……」ついといった形で名前を零す。
立野スズコ:「えっ、何か今……」
立野スズコ:「お兄さんって……ま、まさか妹さんですか!?」
析了トオル:「……む、そういえば……確かに気になるワードです」
三部つゆり:「あっいや……なんて言えばいいのかな。元居たセルで、仲良くしてた人なんだ」
三部つゆり:「ずっと探してて……あはは、個人的な事情ですみません」
胡緑蘭:「へぇ、それってつまり……」
胡緑蘭:「初恋のお兄さんってやつかい?いいね~青春だねぇ」
三部つゆり:「あ……」初恋のお兄さん、という言葉に少し哀し気な顔をする。
宮星イオリ:「……下衆」批難めいて呟く。
析了トオル:「……私の知っている彼は、とても苛烈な性格に見えましたが」
析了トオル:「あなたの覚えている姿は、どうにも此方とは違うように見えます」
百代マリア:「あれが初恋……」ちっちゃい機神を想像している
三部つゆり:「……残念ですけど、群生お兄さんは違いまして。そちらの人は、もう」
三部つゆり:「私が知っているのは、生真面目で、世話焼きで、規則を大事にして…優しい人でした」
三部つゆり:「でも、私が見間違えたりしません。レネゲイドも同じだった」
析了トオル:(そちらの人はもう……という事は、死か、或いはそれに近い状態か……)
宮星イオリ:「……人柄くらい、何年も会わなきゃ変わることだってあるんじゃないの」
三部つゆり:「そうかもしれない」人柄が変わること。
三部つゆり:「確かに、あの人が変わるに相応しい事も、あった。でも…」
析了トオル:(仲の良い存在……つまるところ、ショックによる解離性同一症、それを用いた能力使用……)
胡緑蘭:「あ、そうか……彼らの生き残りは100人しかいないんだっけ」
胡緑蘭:「ごめんね。少しデリカシーがなかったかな」口に出すこと自体デリカシーがないとは気付いていない。
三部つゆり:「いえ、大丈夫です、先生。話さないといけない事でしたから」気丈な様子に見えるが、悲しみの気配は色濃いままだ。
析了トオル:「……成程。いえ、ありがとうございます。参考になりました」
宮星イオリ:「……大体、そっちの身の上話は本筋じゃないでしょ。特にこんな男の前でするもんじゃないし」
宮星イオリ:悲哀の色を浮かべる少女を、どこか鬱陶しそうに一瞥しながら。
三部つゆり:「…それもそうだね。一杯話しちゃいました」あえて笑って、宮星イオリの言葉に応える。
胡緑蘭:「どんなものであれ、生徒の身の上相談には喜んで乗るよ。先生だからね」
胡緑蘭:「まあ、イオリがそう言うなら今は本題に集中しようか」
宮星イオリ:「……今ので気になったのは、銀行を襲った目的の方なんだけど」
宮星イオリ:「ただの金目当てってのも、まあありえなくはないだろうけど」
宮星イオリ:「よその男がわざわざラス・ヴィダスを狙うのとか……そこの男が言った、銀行は信用を損なったって話とか」
宮星イオリ:さっきから喋りすぎたせいか、頭痛がひどくなってきた。自己紹介もしないまま、まとまらない話を続ける。
宮星イオリ:「要は……そいつらのやりたいことは」
宮星イオリ:「経済とかシステムに、ダメージを与える方だったんじゃないのって話で」
宮星イオリ:「なんでそう思ったかっていうと……」何度か咳をして、当初の目的を思い出したように。「マリア」
百代マリア:「……イオリ」
百代マリア:「体調が悪そうよ……大丈夫?」
宮星イオリ:「大丈夫じゃないけど?……そんなどうでもいい話じゃなくて」
宮星イオリ:「昔……前に、ジナってのがいたでしょ」
百代マリア:「どうでもよくないわ……ちょっと待ってて」
百代マリア:言って、イオリの頭に掌を翳す。
胡緑蘭:イオリの赤錆びた十字冠を見る。職員室に共有されている情報の中でも、十字冠を変質させる事例は限られている。
胡緑蘭:(堕天病か……それも末期の。本当に蔓延してるんだな)
百代マリア:僅かに燐光がぼんやりと光ったと思うと──数秒後には、完全ではないにせよ嘘のように痛みが引き、体調が良くなっている。
宮星イオリ:「……っ。やめなよ」
宮星イオリ:すぐに払いのける。その負担が彼女に降りかかるものであることを、よく知っている。
析了トオル:(やはり、これは彼女が堕天病患者に行う……)
三部つゆり:「これは……」
百代マリア:だが同時、先生の角度と動体視力からは、マリアの首筋にほんの僅か、穢れの爛れが這い上がるのが見て取れる。
胡緑蘭:「……」サングラスの奥の鋭い瞳がそれを見ている。
宮星イオリ:ぐじゅぐじゅと、痛ましい音を立てて穢れが流れ込み、マリアの肉体が変質するその音が聞こえた。
宮星イオリ:「アンタ……」
宮星イオリ:礼を言うこともできず、しばし視線を迷わせて。
宮星イオリ:「……次、やったら蹴っ飛ばすから」
百代マリア:「ふふ」少し笑って「また会えて嬉しいわ、イオリ」
立野スズコ:「あの……」恐る恐る声を上げる
立野スズコ:「イオリって……もしかして宮星イオリさん……ですか……?」
宮星イオリ:「そうだったら何?」
赫花連盟生徒:「ホントに!?」「すげーっ」僅かにざわめきが起きる。
宮星イオリ:「……は?」
宮星イオリ:一瞬、その空気の変化が理解できないという様子になる。
胡緑蘭:「イオリ、そんなに有名人だったのかい?」
析了トオル:「あら……こちらでは有名な方なのでしょうか」
立野スズコ:「そうなんですね……! マリア先輩からよく聞いてます!」
立野スズコ:「“マスターポルート”を本当に倒したのはイオリさんだって……」
立野スズコ:「本当なら“マスターポルート”の名を受け継ぐのはイオリさんでもいいはずだって聞いてます!」
宮星イオリ:「……ちょっと。アンタ、そんなこと言い触らしてたの?」
百代マリア:「言いふらしてるわけじゃないけど……」「でも、本当のことでしょう?」
胡緑蘭:「へぇ……」
析了トオル:「……成程。マスターポルート討伐戦の立役者の方でしたか」
三部つゆり:「…初代赫花連盟--先代マスターポルートを倒すために集った超校区集団の一人なのは知ってたけど、そこまで…」
宮星イオリ:「だからこそ、でしょ……だって、アンタが聖女様で、旗印になってやっていくって。そういう風に決めたんだから……」
宮星イオリ:「誰にとっても……良いことないでしょ。マスターポルート殺しが、こんなのになってるって知って……それに」
宮星イオリ:「……私だって、余計に失望されたくないよ」
百代マリア:「……イオリ……」
立野スズコ:「ああ~っ……」軽率に触れてしまったのを後悔している
宮星イオリ:スズコの方を威圧するように一瞥してから。
立野スズコ:「ひ~~っ……」
析了トオル:(やはり……根深いものを感じますね。先代が残したものというのは、本当に)
宮星イオリ:「……戻すよ。ジナに会ったって話」
宮星イオリ:「なんか、逃げろって言ってきたんだよ。この街をもうすぐ滅ぼすからとか」
宮星イオリ:「それで、正しい方向に導くんだって。バカみたいに迷惑な話」
宮星イオリ:「マリアはなんか聞いてないの?」
百代マリア:「……そう……」それを聞いて悲しげに表情を曇らせる。「ジナが……」
宮星イオリ:「……何? 私だけだったんだ」それはそれでどういうつもりだよ、と虚空へ向けて詰りながら。
百代マリア:「……イオリは、知らなかった?あの子、今……学区間手配を受けているのよ」
宮星イオリ:「テロリストやってるってのは聞いたけど……よそでもそんなに迷惑かけてるのかよ、あいつ」
GM:マリアは以下のようなことを説明します。
情報項目:ラス・ヴィダス解放戦線
ラス・ヴィダス解放戦線は、“クロスロード”五百機ジナにより組織されたテロ組織。
五百機は元赫花連盟であるが、“マスターポルート”の死後も悪化する一方のラス・ヴィダスの状況を憂い、それに対し抜本的な変革が出来ずにいる赫花連盟を見限り脱退、同様の同志を募ってこの組織を結成したものと見られる。
活動目的として掲げているのは、ラス・ヴィダスを支配・搾取する“協会”の打倒と格差の是正。
昨今ラス・ヴィダス商業区で立て続けに爆破テロを行っており、十字冠の存在から生徒の死者こそ出ていないものの、高層ビルが何棟も倒壊し、極めて大きな被害が出ている。
被害建築の再建は急ピッチで進んでいるが、商業区ではこの一連のテロによってスラムへの悪感情が更に広がる様子を見せている。
宮星イオリ:「……クソ。道理で、そこら中が喧しくなってたわけだよ」一時的な治安の悪化くらいなら例がない訳じゃないと、深く考えていなかった。あるいは眼の前の戦闘でいっぱいいっぱいだった。
宮星イオリ:「次見かけたら蹴っ飛ばしてやる……そこら中騒がしいせいで、この頃全然寝れてなかったんだからな」
析了トオル:「協会主導の再開発によるスラム区の反感、そして解放戦線のテロによる商業区からの悪感情……」
析了トオル:「どうやら、相当な板挟みが起きている様子ですね」
胡緑蘭:「おや、トオルも知ってたのか。再開発の話」
胡緑蘭:「どうにもきな臭いよねえ」
三部つゆり:「……元から仲が凄く良くないというか悪いところではあったけど、最近はそこにさらに火が注がれてる感じだ」
百代マリア:「……そうなの。今すぐにでもどうにかしたい問題なのだけれどね……」
百代マリア:「確か……トオルも爆破テロに関して知りたがっていたわね。今日来たのもイオリと同じその件で?」
析了トオル:「ええ……事前に調べていたのは爆破テロメインなので、詳しい話は後でお聞きしたいところですが」
析了トオル:「私が気になっていたのは……ラス・ヴィダス第二研究所爆破について」
析了トオル:「どうにも、外部でいくら調べても状況が見えてこない」
胡緑蘭:「研究所か……テロの標的になりやすいのは商業区の高層ビルって話だったけど」
立野スズコ:「この前の事件……ですよね。でも、あれもたぶん解放戦線の仕業ですよね?」
三部つゆり:「最近商業区でのテロは多いけど、あれほど大規模だったのはなかったかな…?」
析了トオル:「…………はい、緑蘭先生の仰る通りに。この場所はテロの標的から少しズレているように感じます」
析了トオル:「それに……一番の懸念点として」
析了トオル:「被害に会った生徒の行方が未だに知れていない……と」
百代マリア:「ふーむ……転送されているのでもなくて?」
析了トオル:「数十人が十字冠転送されたとして、それに一日以上も経っているというのに。その一切の行方も知れない」
析了トオル:「……さて、彼女らは何処に行ってしまったのでしょうね」
析了トオル:ただの興味と好奇心だけでなく、どこか小さな苛立ちを感じながら、一息。
百代マリア:「……なるほど。それは心配だわ……」
宮星イオリ:「続けざまの被害で捜索の手が足りてない……ってだけで説明できる話でもないか」
三部つゆり:「…十字冠転送は基本的に安全な場所に転送されるはずだから、数十人が丸々行方が分からないっていうのはまた…おかしいね」
胡緑蘭:「うーん……」
胡緑蘭:「爆発を装った夜逃げ。とかはないかな?」
胡緑蘭:「たまにあるんだよね外でも。撃墜されたふりをして身を隠す軍の責任者とか」
析了トオル:「……その可能性もあるかもしれませんが」
析了トオル:「その研究所に、友人が務めていたんです」
百代マリア:「まあ……お友達が?」
宮星イオリ:「確かにおかしいけど。例がない訳でもないんでしょ」
宮星イオリ:「前にもっと沢山消えたこともあったものね」
三部つゆり:「ノヴァリス・ファイトの”空白の表彰式”に…ノドスのそれ?」
三部つゆり:宮星イオリをじっと見つめる。眼帯に覆われているはずの右目から、異様な圧力を感じる。
宮星イオリ:「まあ別に、それが理由でノドスとLVLFが組んでるって決めきってる訳じゃないけど」色味のない濁った瞳で、その眼差しを見下ろし返して。
宮星イオリ:「銀行なんて商業区の中枢に入り込むなら、ラス・ヴィダスの内から手引が必要なんじゃないの。知らないけど」
析了トオル:「……さて、私も前回空白の表彰式の件には首を突っ込ませていただいたので、何か解決に繋がれば良いのですけど」
胡緑蘭:「なるほど。良い着眼点だねイオリ」
胡緑蘭:「国際テロ組織同士はたいてい癒着するから、ありえない話じゃないと思うよ」
三部つゆり:「…失礼しました。トオルさんの御友人の件でしたね」指摘には答えない。事実として難しいのは事実であるから。
析了トオル:「ああ、そういえば、改めて名乗り遅れましたね。ジェネシスインダストリアルアカデミー。析了トオル」
析了トオル:「怪奇現象探査部という所の部長であり、前回は此方でのイースターエッグ探索に参加させていただきました」
三部つゆり:「……あの。色々と名前はお伺いした事があります」主に六壬とキングダムあたりで。
析了トオル:「あらあら……」にこにこと手を振る。
析了トオル:「で、友人……キュッリッキ・メラスニエミという子なんですが」
百代マリア:「きゅ……キュリッ……?」
析了トオル:「事件が起こる直前に、私に嫌な予感がするから色々預かって欲しい……とお手紙を貰っていたんです」
析了トオル:「まあ、届いたのは既に事件のニュースの後。此方から動くことは何も出来なかったのですが……」
析了トオル:「……大規模な失踪、もしくは逃走だとして。私の友人はどうにも"巻き込まれた側"である様子」
析了トオル:「であるならば、心配のままに現地まで駆け出してしまう……というのが、友人というものではないでしょうか」
析了トオル:ぱん、と手を合わせて。
宮星イオリ:「なんでこっちに聞いてくるのよ。アンタの勝手でしょ」
百代マリア:「こら、イオリ。貴方にも分からないわけではないでしょう?」
析了トオル:「ふふ、そう……勝手です。勝手ついでに此方でやりたいこともありましたので」
胡緑蘭:「カッコいいねえ」
胡緑蘭:「イオリもジナのことが心配で来たんだもんね?根っこは同じってわけだ」
宮星イオリ:「誰がそんな話を……」
宮星イオリ:言葉を途切れさせ、目を逸らす。
三部つゆり:「大変友情に厚い理由だし私は信じますよ」事実そういう理由で動いている身としては。
三部つゆり:「その上で色々と不安になるなあ」悪名も聴いているので。
百代マリア:「連続爆破テロ、研究所の事件、機神の出現に商業区とスラム地区の関係悪化……」
百代マリア:「問題が山積みすぎて、とてもセレモニーどころではないけれど……」
百代マリア:「逆に言えば、皆の抱えている問題を一つずつ関係すれば……それが即ちセレモニーの成功に繋がるということだわ」
百代マリア:「そうなれば皆仲良くなって……ラス・ヴィダスも平和になって万事解決ね!」
胡緑蘭:「うん。道理だね」
胡緑蘭:「問題が既に見えているのなら、あとは解決するために頑張るだけだよ」
宮星イオリ:「いやそういうのまで面倒見る気はないけど。私はジナがバカやろうとしてるのを潰したいだけ」
宮星イオリ:「まあマリアが勝手に目指す分には好きにしたらいいんじゃないの」
三部つゆり:そこまで上手くいくかなあ、と思いつつ。「まあ…確かに全部解決出来たらそう、ですね…?」
析了トオル:「ええ、本当に。全部まるっと解決できれば一番なんですけれど」
三部つゆり:「ともあれ、色々ありますが、宜しくお願いしますね。私も尽力するので」解決が出来るに越した事はない。どの問題も、そうだ。
析了トオル:首をこきりと回しながら、調べるべきことを頭の中でリストアップ。
析了トオル:「では……皆さん、よろしくお願いします。目の前の課題に問題何もかも……ひとつずつ、虱潰していきましょう」
胡緑蘭:「うん。得意分野だ」
析了トオル:「その先に……」彼女への道標も、堕天病の解決策も、掴み取らねばなるまい。
宮星イオリ:「……お行儀いいのばっかり」悪態をついている。連盟を頼った時点で多少覚悟はしていたが、こんなに大所帯になるとは思っていなかった。
三部つゆり:「はい。此方こそ」その先に、彼がいるなら。私は何だってやってみせる。--封を緩めることも、そうだ。
GM:シーン終了。
GM:ロイス取得のみ可能です。
胡緑蘭:今は保留しておきます。
三部つゆり:ロイス…どうしようかな イオリさんに取ろう。 宮星イオリ 尊敬/苛立ち〇 で、以上!
析了トオル:ロイス保留しつつ……
析了トオル:この……カンパニーの事務所、入るとダイスが増えて財産点2増えるってあるんですが
宮星イオリ:今、マリアちゃんにロイス取ったらPC全員分の枠がないことに気付いてどうしよう……ってなっており 一旦"逃げの保留"をします
【Middle2】
GM:情報収集シーンとなります。シーンPCはイオリさん。全員登場可です
三部つゆり:出ます!1d3+3にて。
析了トオル:析了トオルの侵蝕率を1D3+3(→ 5)増加(47 → 52)
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を1D3+3(→ 6)増加(47 → 53)
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を1D3+3(→ 5)増加(53 → 58)
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を1D3+3(→ 5)増加(54 → 59)
GM:では早速情報収集判定となります。項目はこちら
情報項目
・情報項目:ラス・ヴィダスの現状 《情報:ノヴァリス/噂話》難易度9
・情報項目:堕天者について 《情報:ノヴァリス/噂話》難易度8
・情報項目:夢遊病について 《情報:ノヴァリス/噂話》難易度7
・情報項目:ラス・ヴィダス第二研究所爆破② 《情報:ノヴァリス》《交渉》難易度9
析了トオル:では私、カンパニーの事務所、コンピュータールームを所持していますので……
析了トオル:お仲間になった皆さまに、財産点+2と情報判定ダイス+1&達成値+2をプレゼントします
胡緑蘭:成っちまったな 最強に
三部つゆり:入らせて頂きます たすかりすぎ
宮星イオリ:ありがとうございます!!!
宮星イオリ:なければ1dxだけでミドルを生きていくことになっていた
三部つゆり:大変そう過ぎる 項目は…堕天者辺り貰ってもいいかな
析了トオル:実質4くらい底上げ!これで大丈夫でしょう……
宮星イオリ:夢遊病のところいきます それでも情報最弱ではあるため
析了トオル:ふむふむ、私は続いて第二研究所に向かいたいところですね
胡緑蘭:じゃあラス・ヴィダスの現状かな
三部つゆり:学園通の友人、ラッキーメダルホワイト起動。堕天者判定行きます。
宮星イオリ:2dx+1>=7 夢遊病について
DoubleCross : (2DX10+1>=7) → 10[10,10]+8[1,8]+1 → 19 → 成功
析了トオル:つよ!
宮星イオリ:無駄に出目が良い
三部つゆり:4dx+1+1+2>=8
DoubleCross : (4DX10+4>=8) → 9[2,6,8,9]+4 → 13 → 成功
析了トオル:ではコネノヴァリスを使用し……
胡緑蘭:8dx+8>=9 噂話で判定
DoubleCross : (8DX10+8>=9) → 8[2,2,3,5,7,7,7,8]+8 → 16 → 成功
析了トオル:5dx+3>=9
DoubleCross : (5DX10+3>=9) → 10[5,6,7,10,10]+9[4,9]+3 → 22 → 成功
析了トオル:おほほ!
GM:こいつら……強すぎる
胡緑蘭:これが絆の力だ!
GM:では全員成功なので情報開示していきます!
情報項目:ラス・ヴィダスの現状
スラムと商業区の対立は更に激化しつつある。
スラムは強引な立ち退きによって行き場を失った生徒で溢れ、商業区では自爆テロ以外にも富裕層の間で麻薬が蔓延し、治安も悪化している。
各所で大規模な集会やデモ活動も見られるようになっており、互いを排除しようとする主張は次第に過激さを増している。この流れが止められなければ、本格的な衝突が起きるのも時間の問題だろう。
地上げ行為と麻薬の流通は、いずれもラス・ヴィダス最大規模のギャング組織ロス・サングレスが関与しているものと見られる。この組織に接触することで更なる情報が得られるかもしれない。
情報項目:堕天者について
堕天病が最終段階まで進行し、脳までを侵された罹患者である堕天者は、自ら堕天病の感染キャリアとなり、理性を失い他者を襲って感染を広げようとする危険性から、社会生活を営むことが不可能となる。
一部の生徒は隔離・拘束といった処置がなされているようだが、大半の者は人が立ち入らない毒沼に放逐、あるいは自ら足を運ぶことになる。
そうして毒沼には多くの堕天者が徘徊しているはずなのだが、その見張りを行う赫花連盟の生徒によると、現在、毒沼から堕天者たちが忽然と姿を消しているのだという。
正確な時期は不明だがここ数週間の間のことで、消えた堕天者の数も数十人にのぼるという。
堕天者がそのような組織的な行動を取るとは考えづらいが、どこか他所に移動したとすれば非常に危険であり、赫花連盟ではその行方を追っている。
情報項目:夢遊病について
昨今、ラス・ヴィダスでは夜中にいつも通りに眠りに着いたはずの生徒が、身に覚えが無いまま翌朝全く違う場所で目覚めたという報告が相次いでいる。
夢遊病のような症状だが、特筆すべきは大勢の生徒がまとめて同じ場所で目覚めるという点であり、不可解な現象に不安の声が広がっている。
寝ている間に起きることゆえに何があったのか覚えている生徒もおらず、かと言って何か他に重大な被害が出ているわけでもなく、様々な問題が山積みのラス・ヴィダスでは大した捜査もされずに放置されているのが現状だ。
感染する新型夢遊病、宇宙人による誘拐、睡眠シチュ好きの生徒の暴走など様々な憶測を生みつつ、半ば都市伝説と化しつつあるようだ。
情報項目:ラス・ヴィダス第二研究所爆破について②
第二研究所に設置されていた監視カメラの記録復元が完了した。
監視カメラには研究所内に複数の爆弾を仕掛けるキュッリッキ・メラスニエミの姿がはっきりと映っている。
ヴァリエンテ警備保障では、メラスニエミを爆破事件の犯人として学区内指名手配を掛けたようだ。
また、現場からはメラスニエミの使用していたPCが見つかった。かなり損傷は激しいが、捜査員に賄賂を払って譲り受ければ、データのサルベージを試みることは出来るかもしれない。
スラム街 大衆食堂『のたうち回る子鼠亭』
GM:食事をとるべく足を運んだ食堂は、大勢の生徒がひしめき合って賑わいを見せていた。
GM:明らかに不衛生で、出てくる料理も何の肉だか分からないものが入っていたりするが……この辺りではどこも同じようなものだ。
バイオゴキブリ:「ギャギャーッ!!」
スラム生徒:「また出やがった!バイオゴキブリだ!」「タンパク質だ!殺せ!!」
GM:全長3メートルのバイオゴキブリと生徒たちが死闘を繰り広げる中、君達のテーブルに料理が運ばれてくる。何か色が妙な気がするが、食べられなくはないだろう。
三部つゆり:「毎回思うんだけど、そこらの化学物質だけじゃああはならない気がするんだよな…」バイオゴキブリとの死闘を見つつ匙で雑炊を掬っている。
宮星イオリ:「……いっとき、飢餓対策でカロリー効率を極端に重視した食事を流行らせるとか言っててさ」
宮星イオリ:「結局ポシャって廃棄されたのを食って育ったのがアレらしいよ。バッカみたいでしょ」
三部つゆり:「何処のアホ企業がそんなんやったんだ……」げんなりしつつ掬っている。エビっぽいように見えるが絶対別種の…近縁種の何かだろう。
析了トオル:「このカレー、どうして触手が生えているのでしょうか……」
析了トオル:「し、しかも動いています……!」
析了トオル:何故だか妙に瞳を輝かせながら、食べる前にセンサーを通している。
三部つゆり:「うちのごはん見てそこまで楽しそうな人初めて見たな」トオルさんに。
百代マリア:「賑やかな食卓で何よりね」にこにこしている
胡緑蘭:「なまじ住人全員が頑丈なオーヴァードだと、こいいうのも極端になっちゃうのかもね」
胡緑蘭:ダチョウの卵くらいの大きさのピータンをつつく。
析了トオル:「だって……なかなか見れるものじゃないですからね、むっ……イカ……タコ……ヌルヌルして……いや、何……?」
析了トオル:「もごっ口の中で暴れ痛っ吸盤?!」
三部つゆり:「あ、ダイオウイカ系列のやつ。妙に生命力が高いからきっちり取っておかないと……」
宮星イオリ:内蔵がまともに機能していないため、食事らしい食事も取っていない。どろどろに濁った緑色のスープのようなもの一品だけ。
宮星イオリ:スプーンを手に、僅かにマスクをずらし。少量を嚥下する度に、焼け爛れるような感触が喉の中を通り過ぎていく。
宮星イオリ:ひどく苦々し気な色を浮かべて、苦行めいたその動作を繰り返している。
胡緑蘭:「程度は違えど、少し懐かしくもあるなぁ。あれは深センだったかな?生物兵器工場の廃液で下水道のワニがミュータント化してねぇ」
三部つゆり:「外の世界も似たようなものだった……?」
析了トオル:「下処理は兎も角、ここまで生命力が凄まじいとは……」噛み切れない触手を咀嚼しながら、中の具を探っている。
析了トオル:「緑蘭先生は、噂や情報の外よりは……だいぶ修羅場をくぐっている様子ですね」
宮星イオリ:「外の大人ってのも大概ろくでもないのね。……こんな場所を作った連中がいるんだから、そりゃそうだろうけど」
三部つゆり:「ともあれ、集めたものの共有をそろそろしてきましょうか。話す事は尽きなさそうだし」もう殆ど完食している。早食いはこの学区で真っ先に身に着けた事の一つだ。
宮星イオリ:耐えきれなくなって手を止め、会話の方に意識を向ける。まだ1/3も減っていない。
胡緑蘭:「そうだね。この街に関しては君たちの方が遥かに詳しいから、私は大枠をざっと調べてみただけだけど」
胡緑蘭:「ま、少し離れたところから見た方が、意外と物事はわかりやすかったりするんだよね」
三部つゆり:「それは…確かにそうですね。先生は特に色々な経験がおありのようですし」
胡緑蘭:「でね、結論から言うと、やっぱりここ最近の貧困層と富裕層の対立には、裏で糸を引いている組織がいるっぽいね」
胡緑蘭:「自爆テロについてはさっきも話題に出たけど、他にも富裕層の間で麻薬の流通が激増してたりとか」
胡緑蘭:「まぁ南米の治安の悪いとこは大体こんな感じだよね」
百代マリア:「本当にどこにでも行っているのね……」謎の蒲焼を行儀よく食べている
三部つゆり:「富裕層でも…」貧困層こそ、その生活苦から麻薬に手を出すのが普通だったが。
析了トオル:「麻薬の流通とはまた……穏やかでは無いですね」
百代マリア:「スラムでの麻薬の流通は、以前からの課題だけど……それが商業区まで広がっているとなれば、流石に手が足りなすぎるわね」
宮星イオリ:「……その、裏で糸を引いてる組織って?どこの情報なの」
宮星イオリ:「うちの学区、変な都市伝説とか陰謀論みたいな……そういうのもごろごろ転がってるから。全部鵜呑みにしてないでよ」
胡緑蘭:「麻薬の出所はロス・サングレス。地上げを取り仕切ってるのもここだね。結構有名なとこなのかな?」
析了トオル:「ロス・サングレス……」
三部つゆり:「またデカいところだなあ…」
析了トオル:(確か、前にバグジーさんが所属していた場所でしたか)
百代マリア:「ラス・ヴィダスのギャングでは今いちばん勢いのあるところね」
百代マリア:「メサイアに縄張りを広げてブラックチャペルに戦争を仕掛ける気って噂もあったけど……そっちは今頓挫してるみたい」
宮星イオリ:「……」少し沈黙して。「その名前が出てくるってことは、最低限まともに調べはしたみたいね」
析了トオル:「イースターエッグの件でも一度顔を合わせましたね、いやはや……また何をしようとしているのか」
胡緑蘭:「ただ、この組織自体にどこまでの思惑があるのかはわからない。テロ組織とは別枠だし、連携を取っている線は半々かな」
胡緑蘭:「でも、話を聞いてみる価値はあると思うよ」
宮星イオリ:「話って……そいつらから直接? まともに教えるはずないでしょ」鼻で笑う。「……まあ、掘り下げて調べるってのは賛成だけど」
三部つゆり:「となると…抗争の失敗を埋めるのに、元から貧困層に売るより金がある方に売った方が儲かるからってこと…なのかなあ。確かに、確かめた方が良さそうですね」
胡緑蘭:「どちらかと言うと、対立構造を前提としたビジネスモデルを維持するために、それとなく火種を落とし続けるのがこの手の組織のやり方だけど」
胡緑蘭:「その点でいうと今の状況はちょっと行き過ぎてる気もするよね。爆発しちゃったら元も子もないから、その辺は見極めながらやるのが普通だ」
析了トオル:「ふーむ、何か握ってましたっけ、弱みとか……」前回のデータを参照しながら、スプーンを口に運び続ける。
三部つゆり:「脅迫から入ろうとしないでって……ふむふむ」先生の話に感心しながら聞いている。こういう歴史というか、パターンの深い考察は、やはり”外”の学識や経験は強い。
宮星イオリ:「……アンタ、クラッカーなの?」トオルの手元を見やって。
析了トオル:「む……得意、というほどでは無いです。ある程度知っているところに無茶すれば潜れる程度ですね」
宮星イオリ:「なんだ。そういう情報を抜き取って強請るみたいなの、手慣れてるみたいな感じ出してたから」
析了トオル:「どちらかといえば現地に直接赴いて生で見て持って帰るタイプです」
析了トオル:「無論、機会が来れば試してみますよ。その時が来たら成功を祈っていてください」
胡緑蘭:「別にこそこそ抜き取ろうとしなくったって、責任者を問い詰めれば済む話だと思うけどなあ」
三部つゆり:「うーん穏当なはずなのになぜか物騒な香りがする…と、さておいて」
三部つゆり:「私が追っていたのは、堕天者の件。これで気になることがあったから共有するよ」
三部つゆり:「先生もいるし、一からの説明になっちゃうけど…堕天者は、堕天病の最終段階まで進行した患者で」
三部つゆり:「そこまでなると脳まで侵され堕天病のキャリアとなり、理性を失って他者を襲い自ら感染を広げようとするんだ」
三部つゆり:「そうなっちゃうと当然社会生活が不可能だから、一部は隔離拘束、大半は毒沼に放逐か自ら移動して…ってなっているんだけど」
三部つゆり:「毒沼を監視していた赫花連盟の方から、ここ数週間の間で数十名以上の堕天者が消えているそうです」
三部つゆり:「彼らが組織的行動をとるとは思えないんだけれど、何処かに移動したとすれば危険だって赫花連盟で行方を追っているみたい」
宮星イオリ:「……そんなことある?」
百代マリア:「あるのよ……」困った顔で
三部つゆり:「中央銀行で実際何人も並んでるのは見たから…そういう手段か、それとも彼ら自身が纏まるような何かがあるのか…分かんないけどね」
宮星イオリ:「誰かが移動させたとしか思えないけど……それができないから、あんな場所に放置してたんでしょ」
胡緑蘭:「監視していたんなら、外に出ようとした時点で追い返したりできなかったのかい?」
百代マリア:「24時間監視が出来ているわけではないのです。毒沼は広大だし、ずっと近くにいれば健康も害しますから」
百代マリア:「だから、正確にどのタイミングで消えたのかも分かっていない状態で……」
胡緑蘭:「なるほど。自然保護区の監視員みたいなもんか。あそこも密猟され放題だもんなあ」
百代マリア:「仮にどこかに移動したとしても、誰かを襲ったりして騒ぎになればすぐに見つかるはずなのだけれど……」
析了トオル:「……何か堕天者全体に効くような能力が、いや……」小さく考え込む。
宮星イオリ:「……仮にそんな力があるのなら、私も危ないかもね。あいつの深い汚染が操作の起点って事でしょ」
三部つゆり:「でも、”大本”はもう死んでるはず…だよね?」
析了トオル:「……いえ」
析了トオル:「確かに本人は間違いなく死にました……ですが、能力そのものまでは」
三部つゆり:「…?どういう…」
析了トオル:百代マリアに確認の目配せ。
百代マリア:無言で頷く。
宮星イオリ:「……力の継承がされたって?」こちらもマリアの方を見る。
宮星イオリ:「どこのバカがそんな……いや、そもそも可能なのかって事もあるけど」
析了トオル:「ノドスの機神。前回お話した、イモータルコイル・オレブザラク」
三部つゆり:「………え?」左目を見開く。
析了トオル:「彼がその力を振るったのは、私達が知る確かな事実です」
胡緑蘭:「へぇ…」
三部つゆり:「……え、いや…群生お兄さんが…?でも、影を使うくら……あ」中央銀行で会ったときの事を思い出す。あの時の彼が振るった瘴気。
百代マリア:「……ウロボロスであれば、他者の能力をコピーするのはそう珍しい能力ではないわ」
三部つゆり:「……そう…、そう、ですよね。そっか……」
GM:三部つゆりの知る四海群生は、ただ何ら特別な効果の無い影を生み出すだけの能力者だったはずだ。
GM:だが、それが『何もコピーしていない』状態だったからだとすれば──
百代マリア:「でも、機神がノヴァリスに現れたタイミングには、既に“マスターポルート”は倒されていたはず……」
百代マリア:「本人からでなく、何か別のコピー条件があるのかしら」
析了トオル:「先代マスターポルートの能力が色濃く残った遺品などは?」
宮星イオリ:「レネゲイドウイルスさえ残っていれば良いって言うなら、いくらでもある訳だしね……は、最悪」
三部つゆり:「…ウロボロス由来の能力模倣は、対象のレネゲイドに触れて、それを摂取したときだけど…」
三部つゆり:「…………いや……」頭を抑える。彼が殆ど無力な影であったのは、正しく“無色”だったからなのか?
胡緑蘭:「そうだねぇ。いちばん簡単なのは、相手の能力を直に受けることだ」
胡緑蘭:「それが叶わないとなると……」
宮星イオリ:「あいつの能力が色濃く残ってる、っていうと……」マリアの方を見る。
宮星イオリ:「ないの?心当たり」
百代マリア:「……わたくしが接触する前から、あの機神は“マスターポルート”の能力をコピーしていたはず」
百代マリア:「“マスターポルート”の能力媒体といえば……もしかしたら、あの毒沼に触れるだけでコピーできるかもしれないし……」
胡緑蘭:「それはどうかなあ」
胡緑蘭:「マスターポルートの能力は規格外だ。それを堕天者を操れるレベルで使いこなすには相当な深度の同調が必要だろうし」
胡緑蘭:「仮に毒沼に触れるだけでコピーできるなら、もっと使える子が巷に溢れてても不思議じゃない」
三部つゆり:「…群生お兄さんだって、元のセルの色んな訓練で他のシンドロームには触れてた。つまり、彼の”条件”は、ただエフェクトを観察したり食らうだけで達成できるレベルじゃない」
三部つゆり:「…私が見た時、あの機神は普通の装甲とかじゃなく、何か違う”ルール”で身を守ってたような気がします。其れなら、本来碌に探索できない所でも…」
百代マリア:「……。……或いは……彼の死体を見つけ出したのかもしれないわね」
百代マリア:「あまり気持ちの良い話では無いけれど……“マスターポルート”の遺体は、埋葬後墓荒らしに遭っているの」
百代マリア:「彼に恨みを抱く者、その力の一端を手に入れられると思った者……研究資料として欲しがった者……」
百代マリア:「理由は様々だけど、遺体はバラバラにされて散逸したと聞いているわ。その一部を手に入れたのかも」
宮星イオリ:「…………」
宮星イオリ:「……だったらそれしかないでしょ」
宮星イオリ:「あんな気味の悪いもの、他の目的で持ち出す奴なんていると思うの?」
三部つゆり:「………」
析了トオル:「死体……それならば確かに、言ってしまえば本人そのものです」
析了トオル:(ううん、研究資料としては私も一度調べてみたいですが……)
宮星イオリ:「まともなラス・ヴィダス生徒ならそんな事したがるはずないし……ノドスとか外から来たバカがやったって言うなら、まだ納得しやすい」
宮星イオリ:「……あいつ、殺した瞬間に炸裂してバラバラになったのよ。毒沼自体、そのせいで生まれたものだし……」
三部つゆり:「……っ」何も言えない。彼がしたであろうことは、事実そういうことであるからだ。
胡緑蘭:「えっ、アイツにお墓作ってあげたの君たち?優しいねえ」
析了トオル:「……ふむ、外から来た方の割には随分に気安い呼びですが、先代は緑蘭先生と何かしらのお知り合いだったりします?」
胡緑蘭:「あ、言ってなかったっけ」
胡緑蘭:「実は小さい頃UGNにいたことがあってね」
胡緑蘭:空っぽの袖口を見せて「この腕、"マスターポルート"と戦った時になくしたんだ」
百代マリア:「えぇっ」
三部つゆり:「え…えっ!?」
宮星イオリ:「……は?」
百代マリア:「そうだったんですか……!? そんなこと全く……」
析了トオル:「……これはこれは、突いてみたら予想以上に大物でしたね」
宮星イオリ:「まあ、どこで誰を敵にしててもおかしくないようなクズではあったけど……」
胡緑蘭:「まぁ~あの頃はぜんぜん子供で弱っちかったしね」
三部つゆり:「あ…あの怪物と弱い時に腕一本で済んだんですか」
胡緑蘭:「そこはほら、アイツって基本他人に興味持ってなかったでしょ」
胡緑蘭:「止めを刺す程の相手でもなかったってことじゃないかな。当時は」
胡緑蘭:「いやぁ残念だなあ。タイミングが少し違ってたら直接仕返しできたのに」
三部つゆり:「な……なるほど……?」実際に相対したことはない。絶対に避けるべきと認識していたからだ。だからその言葉に納得の声しか上げられない。
宮星イオリ:「……」記憶がフラッシュバックする。決死の戦いの中でのあの男のふざけた態度、その最中に浴びた汚染と苦痛。
宮星イオリ:「……クソ、気分悪いこと思い出した」吐き捨てる。別の自傷で上書きするように、スープの続きをかきこむ。
析了トオル:(この辺りは、実際に戦った人の顔色、反応でその脅威度を伺うしかないですが)
析了トオル:(……やはり七賢人、相当なものであったと如実に表していますね)
百代マリア:「では……こうしてラス・ヴィダスにいらしたのもその因縁からなのですか?」
胡緑蘭:「いや、そこは直接の理由じゃないよ。アイツを倒した生徒がどんな子たちかってのは興味あったけど」
胡緑蘭:「単純に、危険な環境だから自分で身を守れる先生が希望ですって条件だったでしょ」
胡緑蘭:「だから、職員室で一番強い私が来ました。それだけ」
百代マリア:「相変わらずすごい自信……」
宮星イオリ:「は、残念だったね。アイツを仕留めた生徒がこんなので」厭味ったらしく。
胡緑蘭:「残念って、どのへんが?」
胡緑蘭:「私はむしろ嬉しいなあ。イオリやマリアみたいな子たちがアイツを倒してくれて」
宮星イオリ:「はぁ……? いや、マリアはともかく……」
胡緑蘭:「どうせ最後『は?』みたいな顔して死んだんでしょ?」
宮星イオリ:「…………そうだけど」なんで当てれんのよという顔。
胡緑蘭:「それで良いんだよ。"マスターポルート"にとって、当たり前の善性なんてものは路傍の石に過ぎなかった」
胡緑蘭:「アイツの目に停まったのなら、まず先に自分の在り方を見つめ直したほうが良い」
胡緑蘭:「ああいう手合は下手に満足して死なれるより、石に躓いて死ぬ方がお似合いなのさ。いい気味だ」
百代マリア:「ふーむ……そういうものなのかしら」
宮星イオリ:「……何それ。性格悪っ」言葉とは裏腹に、そこまで棘を感じない語気。
宮星イオリ:「もうこれくらいいいでしょ、今更……あんな男の話しなくたって」
胡緑蘭:「それもそうだ。ごめんね、本題に戻ろうか」
宮星イオリ:「……現状の話に戻すけど」
宮星イオリ:「少し前から、寝てる間に……えほっ。無自覚に勝手に歩くって、連中が」
宮星イオリ:「何人も出てるらしい。夢遊病、っていうの?そういうやつ」
宮星イオリ:「別に堕天病患者ばかりがって訳じゃないから、さっきの堕天者の件とは別かもしれないけど」
宮星イオリ:「そういう事が起きてるって。一応、報告」
宮星イオリ:「私も、1週間……くらい前に」あやふやな日付の感覚を辿ろうとして諦める。
宮星イオリ:「寝てる間に迷子になったとか言って喚いてるバカを案内してやる羽目になったし」
胡緑蘭:「ふむ、これまでと少し毛色が違う話題だね」
胡緑蘭:「たしかにこれだけテロだのなんだの起こってる状況だと、後回しにされちゃうのもわかるけど」
宮星イオリ:「役に立たない話だって思うならそれでもいいよ、別に」
宮星イオリ:「単に、なんで言わなかったのって後で言われたくないだけだから」
胡緑蘭:「いやいや、大事な情報だよ。普段からこの街のことに気を配っているイオリだから知れたことだ」
析了トオル:「……何か似たようなお話、ありませんでした?」三部つゆりの表情を伺いながら。
三部つゆり:「…だとしても、この火が付いた現状だと、地位ある人が反対側に紛れ込んで…とか。集団で動けたりしたら、また事件になったり…」
三部つゆり:「…あ。中央銀行の時、堕天者だけじゃなくて、普通の…少なくともぱっと見は…人も、銀行の襲撃にいたと思う」頭を扉に打ち付けたりしていたことを含めて話す。
三部つゆり:「あの時は麻薬でもやってるのかなって思ってたんだけど…」少し申し訳なさそうに。
宮星イオリ:緑蘭先生を物言いたげに睨みつつ。「要人を操るとか、テロの工作とか……そんな重要な事に使う力なら」
宮星イオリ:「こんな意味のない形で使って力の存在を知られるようなことする理由、ないと思うけど」
百代マリア:「ふーむ……確かに……」
三部つゆり:「…そこは分からない。段階が必要なのか、コントロールが難しいとか、…示威としてのことなのか。理由は考えられるけど」
百代マリア:「例の銀行を襲うことが、そんなに重要なことだったのかしら?」
三部つゆり:「何か重要なものがあったのかな…?学区として一番セキュリティがある所ではあったし…ううん、考えても絞り切れない」
胡緑蘭:「或いは、重要でないからこそ、能力の実験台として最適だった。いわば予行演習だったのかもね」
析了トオル:「後は……裏で最大の一手を進めるための目くらまし、という可能性も考えられますね」
胡緑蘭:「そうなると、近い内に本命の事件が起こるかも知れないなあ」
宮星イオリ:「……どれにしたって最悪ね。これ以上、面倒な考え事を増やさないで欲しいんだけど……」忌々しそうに。
析了トオル:「ところで……イオリさん、少しばかり祈ってくれませんか?」
析了トオル:スプーンを咥え、ホログラムを操作しながら、なんでもなしに呟く。
宮星イオリ:「……。は?」
宮星イオリ:「聞き間違い? 今、祈ってって言った?」
析了トオル:「はい、ちょっと私の成功を」
宮星イオリ:「……なんで私なのよ。そういうのはマリアに頼んだら」
析了トオル:「ええっ、だってさっきの会話の流れで……」
宮星イオリ:しかしイオリの意志とは関係なく、ぺかーっと頭上の星が明るくなる。
百代マリア:「光っているわ」
宮星イオリ:トオルさんに何か……ちょっとした加護のようなものがもたらされた……かもしれない。
宮星イオリ:「光っ……うわ、こいつまた勝手に」
三部つゆり:「あ、きれい」
析了トオル:「……クリア。ふふ、ありがとうございます、で…………」
宮星イオリ:「この流れで感謝されるの釈然としないが……」
析了トオル:「ふぅむ……」取得したデータを見ながら、小さくため息。
析了トオル:「いえ、実は先に話した私の友人なんですけれどね」
析了トオル:「どうやら、第二研究所爆破事件の犯人として指名手配されてしまったようでして……」
三部つゆり:「ええ!?」
百代マリア:「あらあら……」
百代マリア:「ゆゆしき事態ね」
析了トオル:皆に見えるように顔写真が載ったホログラムをついと回す。
析了トオル:「あら、この写真けっこう可愛く撮れてますね……」
三部つゆり:「ほ、ほんとだ。ヴァリエンテの公式文書じゃん」
宮星イオリ:「指名手配……」
宮星イオリ:「さっきから三部といい析了といい、ろくな知り合いがいないのね」
三部つゆり:「うぐぐ……」反論できない…!
胡緑蘭:「何があったのかな彼女。上司のパワハラがひどかったとか?」
析了トオル:「いやはや、映像証拠が復元されたと聞いたので、ちょーっと改変されてない本データを得ようとアタックしていたわけです」
析了トオル:「で、それがこれ」
析了トオル:映像データでは写真の人物と同じ姿が、いくつもの爆弾を仕掛けている姿が目に入る。
百代マリア:「ばっちりやってるわね……」
析了トオル:「いやぁ、ばっちりですね」
宮星イオリ:「やっぱり本職でしょこの手際」
三部つゆり:「普通に犯罪なんだけどいいのかこれは」どっちも。
析了トオル:「さて、先生が仰ったように彼女がそうする理由なのですが」
胡緑蘭:「うんうん。大事なのは動機だ」
析了トオル:「上司のパワハラ……は、無さそうですかね」
GM:少なくとも、君が彼女から職場関係の悩みを聞いていたというようなことは無い。
析了トオル:「彼女から悩みの話も聞いていませんし、先日に会った印象では……研究の完成を楽しみにしていたまであります」
宮星イオリ:「わざわざ友人の前で話題にしなかっただけ、って事もなくはないだろうけど……」
宮星イオリ:「要は、単に操られたんじゃないかって言いたいわけ?さっきの力で」
胡緑蘭:「ああ、そこに繋がるんだ。名推理だね」
宮星イオリ:「世辞はやめて」そっちの方がずっといろいろ知ってて賢いくせに……と思っている。
析了トオル:「はい、それも考えられるうちの一つですが、あと一つ……」
析了トオル:「彼女の行う研究を考えると、択が浮かび上がります」
析了トオル:「……現代魔術、ご存じですか?」
GM:ノヴァリスであまり広く知られているものではない。そちらの方面に明るければ聞いたことはあるかなという程度。
三部つゆり:「…?ええと、クロウリーとか”黄金の夜明け団”の流れを汲んだ魔術体系…じゃない方、のかな?」名前だけは聞いたことが無くもない、という程度。
宮星イオリ:「何? キングダムとかあの辺のやつ?」魔術と名がつくものは大体あそこ由来じゃないの、程度の雑な認識。
析了トオル:「彼女が言うには……この世を構成する物事は全てが複雑に絡み合い。その運行には、目に見えぬ法則が存在する」
析了トオル:「……例えば、水が百度で沸騰するような」
析了トオル:「実際見せてもらったもので言うなら……ある日、一定の時間でとある行動を行う事で、災厄を回避できる」
析了トオル:「先日のジェネシスのレーザー暴発事故、ご存じですか?小さいけど記事になっているのですが……」
宮星イオリ:「回避できてないじゃん」
析了トオル:「私は、ほぼその爆心地に居ました」
三部つゆり:「ええと…なんだっけ。対艦用試作レーザー砲が暴発した事故……えっ」
百代マリア:「えぇっ……」
胡緑蘭:「大変だ。よく無事だったねえ」
三部つゆり:「あれ結構な被害半径だったはずなんだけど……体はともかくその特製車椅子とかそう復旧できないはずじゃ…」
宮星イオリ:「……はあ、じゃあ、それが魔術とかのおかげって言いたいわけ?」
析了トオル:「はい、その時彼女と一緒に居たのですが、暴発をまるで予期していたかのように、私に銀色の大きな反射シートを被せてくれましてね」
宮星イオリ:胡散臭いオカルトグッズの成功体験談を聞いている時のような気持ちになっている。
百代マリア:「……それで無事に済んだということ……?」
析了トオル:「まるで嘘みたいでしょう?」
析了トオル:「ですが、彼女の研究は間違いなくそれを起こせる。風が吹けば桶屋が儲かる、バタフライエフェクト……」
百代マリア:「占いのラッキーアイテムのすごい版みたいなものかしら……?」
宮星イオリ:「マリア……アンタ影響力あるんだからこんな話に騙されてたらダメだよ」
百代マリア:「えぇっ……」
百代マリア:「でもイオリ……今の話は……本当っぽいわよ……?」
析了トオル:「それに……建付けの悪い扉は一度押し込んでから開くこと、も彼女から教えられていた事でしてね?」
宮星イオリ:「そんな話なんとでもでっち上げて……え」
析了トオル:彼女から送られたアドバイスの書かれた紙を、目の前に広げる。
百代マリア:「だからあんなに簡単に……」
宮星イオリ:にわかに目を見開く。そちらは自分の目で見た出来事だ。
胡緑蘭:「ああ、思い出した。"現代魔術"。少し昔に、外でそんな名前の研究をしてるセルの話を聞いたことがある」
胡緑蘭:「そいつらも確かに似たようなことをしていたよ。急にその場でスクワット100回してみたり、スパゲティを鼻から啜ってみたり」
三部つゆり:「そんなに」
百代マリア:「何だか思ってたのと違うわね……」先生の話に
析了トオル:「……ぷ、彼女も急に2リットルボトルのメロンソーダを2本一気飲みしていました」
百代マリア:「2リットルのメロンソーダを……2本も!?」
百代マリア:「人間業ではないわ…………!」恐れ戦いている
三部つゆり:「たいへんなことになるやつだ」女子的に。
析了トオル:「結果、めちゃくちゃ可愛いコーギーに出合えるらしいです。三頭も」
宮星イオリ:「ちょっと信用しても良いのかなと思いかけたけど、今ので一気にまた信用したくなくなったな」
胡緑蘭:「特定の行動をすることで、一見関係のない現象を誘発する。いわば世界の"バグ"を点くんだ。傍目からは奇行にしか見えないんだけどね。中々厄介な相手だよ」
三部つゆり:「い、一応…外にセルが成立してたり、ウチの中央研の研究テーマとして通ってるくらい信憑性がある、と扱われてはいることみたいだし」
析了トオル:・建付けの悪い扉は一度押し込んでから開くこと ・味方が出来たらその顔をよく覚えておくこと
までの場所を折り曲げて見せ、確認させる。
析了トオル:「とまあ、私は彼女のアドバイスを少しずつ実行している状態にあるわけです。出会った時も、一通りお顔を詳しくチェックさせていただきましたが……」
三部つゆり:思わずといったふうに眼帯の上から右目を抑える。
宮星イオリ:「……それであんなジロジロ見てきてたの」
析了トオル:「はい、ええ、その通り」
宮星イオリ:「そっちの気のある変態なのかと思ってた」
百代マリア:「こらっ」
析了トオル:「ふふ、まあ隠れた場所は追々……」
析了トオル:「少なくとも、私からの言葉だけでは俄かに信じられるものでは無いでしょう」
析了トオル:「しかし、私は彼女の技術を、術式を、研究を信用しています」
析了トオル:「ならば、彼女の行動も、何かしらの意味があってのものなのかもしれない……と」
百代マリア:「研究所を爆破したのが、その現代魔術の条件に必要なことだった……ということ?」
三部つゆり:「スケールが凄い」
宮星イオリ:「それが、研究所の爆発よりも大きな被害を回避するためかも……ってこと」
析了トオル:「ええ。そうかもしれないし、そうではないかもしれません」
析了トオル:「そこで……それを確かめられるかもしれない情報をひとつ手に入れることが出来ました」
析了トオル:研究所の未だ開示されていない情報を、小さく広げて見せて。
胡緑蘭:「手際が良いね。よっ!スーパーハッカー!」
析了トオル:「ふふ、褒められて悪い気はしませんね……!普段こういうことするとすぐ怒られるので……」
析了トオル:「で、現場に残った彼女のPC……損傷は激しいですが、手に入れられれば何かデータを発掘できるかもしれません」
三部つゆり:「事情が事情だから言いづらいけど一応犯罪だという認識は忘れないで欲しい」
析了トオル:「ふふ、これも何れ訪れる大きな災厄を止めるための行動」
析了トオル:「ええ、きっとそうしてみせましょう。それでですね……」
析了トオル:「どうしましょう、賄賂?強奪?」
三部つゆり:「選択肢」
百代マリア:「穏やかじゃないわね……」
宮星イオリ:「だったらまあ、データ自体のサルベージはそこのエリートサイバー犯罪者に任せるとして」
宮星イオリ:「そもそもあるの? 賄賂用の資金なんて」
宮星イオリ:私はない。ので「実質一択に見えるけど」
析了トオル:「はい、なので普段の私なら強奪なのですが……」
胡緑蘭:「まあ良いじゃない。警察に賄賂が通じるならやりやすいよ。日本とかお硬すぎてやりにくいったらないからね」
三部つゆり:「それはそうなんですけど……ヴァリエンテに睨まれながら行動しなきゃいけないのも、大変ですよ?」
宮星イオリ:「……それはそうだけど」あの姉の泣き声は特に耳に障る。
析了トオル:「折角先生もいますし、それ以外の手も考えてみるのもいいかもしれません」
百代マリア:「お菓子を振るまって、その相手と仲良くなるのはどうかしら……」
宮星イオリ:「マリアらしいアイデアね。いっそ、そのまま同じ方法でノドスの連中やテロリスト共とも仲良くなったら解決するんじゃないの」皮肉。
百代マリア:「あら、良いアイデアねイオリ……何を作るべきかしら?やっぱりここはいちごのケーキ……」
GM:──その時。突如として轟音と地響きが巻き起こり、聖堂の床がぐらぐらと揺れる。
百代マリア:「きゃっ……!?」
三部つゆり:「、これはッ…」ニードルガンを抜いてしゃがんで遮蔽を取る。
析了トオル:「はわっ、ととと……」柱に縋りながら、バランスを取って
胡緑蘭:「おっと」ふらついたマリアを支える
GM:どうやら外で何か起きたらしい。聖堂内からもざわめきが伝わってくる。
宮星イオリ:「っ……!」フードを抑える。激痛を堪えながら、外の声に集中する。
百代マリア:「ありがとうございます…… ……一体何が?」
胡緑蘭:「見に行ってみようか」椅子を引いて立ち上がる。
GM:君達が外に出ると、そこには異様な光景が広がっていた。
GM:スラム街に巨大な氷の壁が聳え立っている。その向こうでは、断続的にレーザーめいた強烈な光が空に向かって伸びている。
GM:そして、悲鳴を上げて逃げ惑う大勢の生徒達。明らかなパニック状態だ。
胡緑蘭:「こういうのよくあるの?」
析了トオル:「……はい、凄いことになってますが……どうなんですか?」
百代マリア:「うぅん……無いとは言い切れませんが……」
宮星イオリ:「ぐ、うッ……」骨そのものを揺らす振動、思考を塗りつぶすような生徒たちの悲鳴。耐え難い酩酊感にふらつき、嘔吐感を堪えて脇腹を抑える。
三部つゆり:「流石にあんな壁があるのはそうそうない……宮星さん?」
宮星イオリ:「……なんでも、ない」
宮星イオリ:不落の星は、狭く白く、照らしている。宮星イオリ自身と、それが助けるべき者達への道を。
スラム生徒:「ああっ、マリア様、こんなところに……! すぐに逃げてください!」
スラム生徒:逃げてきた生徒の一人が、君達に声を掛けてくる。
スラム生徒:「怪物が……!」
スラム生徒:「急にスラムに怪物が現れて暴れ出して……もう滅茶苦茶で……!」
百代マリア:「……怪物……?」
胡緑蘭:「怪物かぁ」
胡緑蘭:「ならそいつを倒せば解決だね?簡単そうで良かった」
スラム生徒:「えっ……!?お、男の人……!?」
胡緑蘭:「どうも、先生の胡緑蘭です。よろしくね」ニコリと微笑む
スラム生徒:「きゃっ……」
百代マリア:「先生は血の気が多すぎる気がするわ……」
百代マリア:「でも、そうね。このまま放ってはおけないわ」
析了トオル:「折角腕の立つ先生なんです、お手並み拝見という訳ですね」
宮星イオリ:「……止めるんでしょ。逃げたいのがいるなら、勝手にしたらいいけど」
宮星イオリ:逃げ遅れた生徒の声がする。病人が痛み止めを求めるようにして、頭を抑えながら、既にその怪物がいるという方向へ向けて歩き出している。
三部つゆり:「だ、大分ノリが軽いなあ……私はあまり役に立たないけど…放って置くのも…」何処かふらついているように見える宮星さんを見る。
三部つゆり:「ああもう…!」
析了トオル:(……堕天病を留めているのも、先の力も。彼女の……或いは、持つものの影響でしょうか、チェックせねば……)
胡緑蘭:「私達も急ごう。もたもたしてるとイオリが全部片付けちゃうかも知れないよ」
GM:君達が現場へと向かうと、そこは既に元のスラム街とは別世界と化していた。
GM:辺り一面凍り付き、氷柱が乱立する光景。樹海のように入り組んだ氷の回廊の奥で、眩い熱線が何度も繰り返し放たれ続けている。
GM:熱線を放っているのは……まさしく怪物だった。浮遊しながら周囲を睥睨する、クリオネを思わせる巨体。その体表は半透明だが、所々は宮星イオリと同じように、堕天病の黒変に染まっている。

GM:そして一人の生徒が氷柱の陰に隠れつつ、君達に気付き声を掛けてくる。
齋藤リッコ:「あなた達……まだ残ってたの!?」
齋藤リッコ:「今すぐここから逃げて……あれ……?」
析了トオル:「あっマッサージの時の……」
齋藤リッコ:「あなたは確か……」
齋藤リッコ:「『ジ〇ネシス怪奇現象探査部部長 ねっとりレズエステ120分』の……」
析了トオル:「ぶーっ!!!!!」
三部つゆり:「なんかすごい文字面が聴こえた気がする」
析了トオル:「ちょっと!私がコンプライアンスを意識してあなたの方の内容は伏せたのですよ?!」
齋藤リッコ:「あっごめん……つい……」
胡緑蘭:「トオル?お金に困ってたとしてもバイトは選んだほうが良いよ?」
三部つゆり:「えっ………じゃあ…そういうバイトの同僚さん………?」
析了トオル:「いや、確かに揉まれてお金は頂きましたが……」
宮星イオリ:トオルさんの尻を軽く蹴ります。それ以上バカ話を続けるなという抗議。
析了トオル:「ああっ車椅子が壊れる!精密機械なんです!」
齋藤リッコ:「ってそれどころじゃなかった……!あなたは“マスターポルート”と……ええと……見覚えないけど多分先生……?よね?」
胡緑蘭:「はじめまして。職員室の先生です」気安く手を振る。
胡緑蘭:「見た所、君はあの怪物をここで食い止めてたってところかな?」
宮星イオリ:「この程度で壊れるものを戦場に持って来るんじゃないわよ……アンタも、誰かは知らないけど」
宮星イオリ:「とにかく、やるんでしょ?あれを」
齋藤リッコ:「うん、そうなんだけど……」
GM:近くに熱線が着弾し、氷柱で減衰されながらも溶解させる。氷の壁はあの怪物を逃がさぬようにするものらしい。
齋藤リッコ:「……あなた達なら知ってるわよね……あれは、星徒よ」
析了トオル:「!なんと……」
胡緑蘭:「ふぅん……」
齋藤リッコ:「生半可な相手じゃない……しかも今回のあいつは」氷柱から半身を出して視線をやって「“流星体”まで持ってる」
析了トオル:「流星体まで!ほうほう……増々興味を惹きますね!」
三部つゆり:合コン委員会の方から聞いたそれ。「……なんで急に…!」
齋藤リッコ:「葬送係の予測で、この辺に落ちることが分かって……急いで来たんだけど、見ての通りギリギリになっちゃったのよ」
胡緑蘭:「一応、一般の生徒には伏せてあるはずだけど」イオリとつゆりを見て
胡緑蘭:「説明、いる?」
三部つゆり:「一応合コン委員会さんとは結構やり取りさせてもらってるので、概要は聞いたことがあります」
宮星イオリ:「……ちゃんとした話は知らないけど。鬱陶しい、幽霊みたいなやつでしょ」
宮星イオリ:「戦った事はある。……助けてやらなきゃいけないってのも、知ってる」
百代マリア:「…………」
百代マリア:黙り込み、僅かに唇を噛んで星徒を見つめている。
胡緑蘭:「そっか。なら話は早いね」
胡緑蘭:「星室庁として、当該星徒の鎮圧を行います」前に出て
胡緑蘭:「まぁ、あのくらいなら先生一人でもやれそうだけど」
胡緑蘭:「君たち、手伝ってくれるかな?」
齋藤リッコ:「な……何なのこの天上天下唯我独尊みたいな先生……?」
宮星イオリ:「知らないよ。男ってみんなこういうもんなの?」
三部つゆり:「やります。……」一瞬の沈黙は、瞑目の代わりだ。それくらいしかあげられるものはない。私には、そんな余分なものはない。(封は、解かないぞ)
析了トオル:「ふふ……今回は更に荒事になると予想していましたからね!」
析了トオル:「秘策も用意しています……戦力、期待してくれてもよろしいんですよ?」
胡緑蘭:「みんな頼もしいなあ」ニコニコしながら氷の回廊を進む。
胡緑蘭:「では、戦ろうか」
齋藤リッコ:「……気を付けて。まだ少し戦っただけだけど……ただ強いだけじゃない」
齋藤リッコ:「あいつは何か……普通じゃない」
GM:ミドル戦闘を開始します。
GM:ではまずはエンゲージから。
エンゲージ
氷柱A (5m) 氷柱B (5m) 氷柱C
|
(5m)
|
氷柱D (5m) 氷柱E、星徒 (5m) 氷柱F
|
(5m)
|
氷柱G (5m) 氷柱H、つゆり、イオリ、トオル、緑蘭 (5m) 氷柱I
GM:氷柱のデータはこちらです。
氷柱データ
氷柱
HP10 装甲10
同じエンゲージのPC1名に対し、自動でカバーリングを行う。
胡緑蘭:なんだよ氷柱いいやつじゃん!
三部つゆり:つよ~~
宮星イオリ:星徒のとこに3つあるが……
宮星イオリ:同エンは1つか ならいっか
宮星イオリ:あっPCだけだった
GM:他にも一部特殊なデータがありますが、タイミングを見て公開します。何か質問などあればいつでも聞いてください
析了トオル:はーい!いっぱい解析するぞっ
宮星イオリ:ひとまずは星徒倒せば終了かな?
GM:そうですね!
胡緑蘭:理解ぜ!
三部つゆり:了解です!
GM:マリアは避難誘導をしています
胡緑蘭:えらいぞ~
GM:では戦闘を開始します。セットアップから。
胡緑蘭:なし!
三部つゆり:ありません。
析了トオル:コーリングシステム!
宮星イオリ:ない!
析了トオル:FHブレードバイクに搭乗します、行動値13に
星徒:《力場の形成》LV27 攻撃力+54
GM:ではイニシアチブ
星徒:《加速する刻》
星徒:行動します
析了トオル:ギャ~ッ
胡緑蘭:こらっ!
星徒:choice[つゆり,イオリ,トオル,緑蘭,A,B,C,D,E,F,G,H,I]
DoubleCross : (choice[つゆり,イオリ,トオル,緑蘭,A,B,C,D,E,F,G,H,I]) → D
星徒:メジャーで氷柱Dに《コンセントレイト:エンジェルハィロゥ》LV26+《絶対の孤独》LV26+《主の右腕》LV28
析了トオル:氷柱D~……!
星徒:命中でラウンド間判定ダイス-27個
析了トオル:?!
三部つゆり:や…ヤバい奴来たな
宮星イオリ:やめないか!
胡緑蘭:氷柱Dが俺達の犠牲に……
星徒:54DX7+2
DoubleCross : (54DX7+2) → 10[1,1,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,2,2,3,3,3,4,4,4,4,5,5,6,6,6,7,8,9,9,9]+5[2,4,5,5,5]+2 → 27
GM:氷柱はリアクションしません ダメージ
星徒:3D10+56+54
DoubleCross : (3D10+56+54) → 19[8,6,5]+56+54 → 129
GM:氷柱Dくんが消滅しました
胡緑蘭:ダメージやっば
析了トオル:いいやつだった……ありがとう……
三部つゆり:素の火力だけでおそろしすぎる
GM:イニシアチブ
星徒:《加速する刻Ⅱ》
星徒:行動します
析了トオル:うげぇ~!
胡緑蘭:んも~~せっかちさんなんだからっ
宮星イオリ:crazy...
星徒:choice[つゆり,イオリ,トオル,緑蘭,A,B,C,E,F,G,H,I]
DoubleCross : (choice[つゆり,イオリ,トオル,緑蘭,A,B,C,E,F,G,H,I]) → H
析了トオル:あぶねっ!
析了トオル:こっちのエンゲージだ
星徒:氷柱Hに同じ攻撃
星徒:54DX7+2
DoubleCross : (54DX7+2) → 10[1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,4,4,4,4,4,5,5,5,6,6,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,1,2,2,2,3,4,4,5,5,5,6,6,6,8,8,8,8,8,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,2,4,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10]+10[3,4,5,8,8,9,10]+10[3,7,8,9]+10[4,6,9]+10[7]+3[3]+2 → 75
星徒:8D10+56+54
DoubleCross : (8D10+56+54) → 36[3,4,3,6,8,2,4,6]+56+54 → 146
宮星イオリ:腐らんければこれくらいいくよなまあ…
GM:氷柱Hくんが消滅しました
三部つゆり:こ……こわっ
析了トオル:丸腰になっちゃった
胡緑蘭:仇は取るぞ……氷柱H!
星徒:浮遊する星徒から、眩く輝く熱線が乱射される。
星徒:辺りに乱立した氷の柱は多重構造で光を減衰する作りになっているが……圧倒的熱量の前ではまるで飴細工も同然だ。
星徒:子供の駄々のように放たれる熱線を前に、次々に溶解していく。
齋藤リッコ:「ッ……やっぱりイカれてる……!あんな威力をこれだけ連射して……」
齋藤リッコ:「タメとか後隙とか全然無いじゃないの! 小パンみたいに撃っていいやつじゃないわよ!」
析了トオル:「熱っ……当たってないのにこの温度ですか……!」
宮星イオリ:「狙いは雑だけど……あの出力なら大した瑕疵じゃないってこと」
三部つゆり:「、……話に聞くのと実際見るのだと…全然違う…!」冷や汗が頬を伝うのがわかる。
析了トオル:「さすがにこれは……命中するとリザレクトに時間を要しそうです」
胡緑蘭:「とはいえ氷の結界のお陰で直撃は避けられてる。咄嗟にこれだけのものを用意できるのは中々のものだよ」
胡緑蘭:「リッコは能力の応用が上手いのかな。天性というよりは、試行の積み重ねで身につけたものと見た」
齋藤リッコ:「あっイケメンに褒められてる……悪くないわね……えへへ……」
胡緑蘭:「せっかく頑張ってくれたんだ。最大限利用して接近しよう」
GM:イニシアチブ
GM:行動値18 イオリさんの手番です
宮星イオリ:しばくか~
宮星イオリ:マイナー、《陽炎の衣》《光芒の疾走》《インフィニティウェポン》。隠密しながら星徒にエンゲージ
宮星イオリ:武器も作ります
宮星イオリ:メジャー、《コンセントレイト》《見えざる死神》《光の舞踏》で星徒を攻撃。
GM:妨害等は持っていません 判定どうぞ!
宮星イオリ:8dx+6@7 命中
DoubleCross : (8DX7+6) → 10[1,1,2,2,5,8,9,10]+10[2,5,7]+10[10]+10[8]+10[10]+10[7]+4[4]+6 → 70
宮星イオリ:?
胡緑蘭:すっごい
析了トオル:すご
三部つゆり:すっご
GM:やる気すご
GM:星徒は暴走状態です。ダメージどうぞ!
宮星イオリ:8d10+63 ダメージ 諸々有効
DoubleCross : (8D10+63) → 49[4,10,9,5,7,3,1,10]+63 → 112
GM:ゲェ~~~
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を13増加(53 → 66)
胡緑蘭:火力も高っかい
星徒:瀕死です
宮星イオリ:「……そうね。早く片付けないと、どんどん面倒な事になる」
宮星イオリ:倒壊していく氷柱を見る。あれが遮蔽となっていなければ、より広範囲の市街が焦土となっていた事だろう。
宮星イオリ:先んじてこの場に到着していた彼女は、倒すことよりも被害を食い止めることを優先していた。
宮星イオリ:(……ただのアホじゃないんだ。男に褒められてデレデレしてるだけの)
宮星イオリ:「……まず、あの邪魔な砲口を」氷柱を遮蔽に、走り出す。「半分まで潰す」
宮星イオリ:「我が忌まわしき星に、誓って」白い星の輝きが、少女の駆ける道を描き出す。地を蹴り、空を踏みしめて黒い影が疾駆する。
宮星イオリ:不可能を可能にするのだから、それができる。熱戦がこちらを向くよりも早く、白刃が迸って。
宮星イオリ:ざらり、と星徒の半身がずれ落ちる。体表に露出していた放熱器官、予告通りその半分近くを切り離すように。
宮星イオリ:歪みのない切断面が、鏡のように。炎の輝きを照らし返していた。
星徒:異常に弾力のある感触。超高密度の水やゲルを切りつけたかのような。
星徒:「────」
星徒:鯨の声に似た悲鳴が上がる。切断面から透明な体液が噴出し、空中で溶けるかのように消えていく。
胡緑蘭:「さすがイオリ。目にも止まらぬ疾さ、そして正確さだ」
析了トオル:「……ふむ」
三部つゆり:「……すご…」一瞬左目を見開いて見つめていた。
宮星イオリ:「見えてたくせに」口答えする。「視線、感じてたんだけど」
胡緑蘭:「目が離せなくてね」悪気なく笑う。
析了トオル:(道中の動き、因果の操作あたりでしょうか)
析了トオル:(異常な高加速、まるで最初からそうであった……と言わんばかりの)
胡緑蘭:「それに思った通り。熱線さえくぐり抜ければ本体はそれ程硬くないみたいだ」
胡緑蘭:「チャンスだよみんな。畳み掛けよう」
析了トオル:「っと、そうですね。攻撃が効くのであれば……!」
GM:行動値13 トオルさんの手番です
析了トオル:はーい!
析了トオル:マイナーで戦闘移動、氷柱Bの地点まで
析了トオル:メジャーでコントロールソート射撃、コンセントレイト、マルチウェポン!
GM:判定どうぞ!
析了トオル:9dx7+3
DoubleCross : (9DX7+3) → 10[2,2,3,3,4,6,8,8,9]+10[5,10,10]+5[3,5]+3 → 28
析了トオル:まあまあ
星徒:暴走
GM:ダメージどうぞ!
三部つゆり:その前にコンボ:鳥急《原初の紫:凍てつく刃》。ダメージを+1d10+12してください!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を4増加(59 → 63)
析了トオル:うおお~!
析了トオル:3d10+29+1d10+1d10+12
DoubleCross : (3D10+29+1D10+1D10+12) → 20[8,4,8]+29+2[2]+10[10]+12 → 73
析了トオル:装甲もガードも無視です、侵蝕59
胡緑蘭:いいゾ~
星徒:HP0
析了トオル:死……?
胡緑蘭:やったか!?
星徒:Eロイス《不滅の妄執》で復活します。
宮星イオリ:ええ~っ
星徒:解除方法はまだ不明。
胡緑蘭:なにぃ~~~っ!
析了トオル:不明?!
三部つゆり:何だと……
星徒:HPは最大値ではなく30で復活しています。
GM:解除方法については後程判定できるようにしますが、PL知識で解いてもOKとします。
析了トオル:あっコンビネーターでこのラウンドの火力+2d10されます!
析了トオル:「……では、私も行きましょうか!」
析了トオル:上空に、大型のドローンが浮遊している。
析了トオル:「今日の為に様々な武装に改造を行った、この超機構……!」
析了トオル:ガ、コン
析了トオル:ドローンから大型の立方体がトオルの上部へ落下し、そして───
析了トオル:弾けるように函が啓き、内部の様々な機構が車椅子の各部と接続を開始する。
齋藤リッコ:「えぇっ」二度見
齋藤リッコ:「合体してる……!!」
析了トオル:それは車椅子の体積を鋭角的・飛躍的に引き上げ、背には威圧的な武装を構えた多腕が大蛇の如く伸びていって。
析了トオル:おお、その姿はまるで、操縦席だけを剥き出しにした重戦車の如く───
齋藤リッコ:「かっ……かかかかかカッコいいーーー!!」
宮星イオリ:「……一戦ごとにやたらと金のかかりそうな仕掛けね」無粋なことを言っている。
三部つゆり:「ジェネシスって感じだなあ…凄そう」こうしたギミックを多用した装備は、やはり”手間”と”設備”がいる。少し羨ましい。
析了トオル:「……この日の為に、各部員の持てる力を総動員させていただきました」
析了トオル:「キキさんの武装、クロエ、シロナさんのレネゲイドサーチ、ジャッコさんのダウジング機能……他にも様々!」
齋藤リッコ:「いっ……いいなぁ~~~~……!」興奮と羨望の眼差し
宮星イオリ:(やっぱりただのアホなのかしら)リッコちゃんを横目に。
胡緑蘭:「いいねえ、部活のみんなで力を合わせた合作。私もそういう学生生活したかったなあ」
析了トオル:「様々な便利複合機能を備えたこの特級機構、その名も───!」
析了トオル:「"pioneer" Tactical Assalt Neuro-link-system」
析了トオル:「なお部員投票の結果、略称は"ニーアたん"に決定しました」
齋藤リッコ:「名前はかわいい系なのね……」なるほどなという顔をしている
析了トオル:「では───その力、存分に見せる時です!」
析了トオル:多腕部の武装が展開される、内部にはレーザー砲と超大口径の機関砲。
三部つゆり:そっとそのアームのひとつに指先を掛ける。
三部つゆり:「オン・バソダレイ・ソワカ。相手が水組織みたいだから、海中でも届きやすくするやつ」
析了トオル:「む……真言系ですか」
三部つゆり:影がそっと浸透し、すぐに元の機構の組織に馴染む。この一撃のみだが、より通じ易くなるはずだった。
三部つゆり:「仏教系のレジェンド由来だからね…これ以上は、後で!」
析了トオル:「ふふ、いいでしょう……後でたっぷり聞かせていただきます……!」
析了トオル:「行きます───全弾発射!」
析了トオル:勢いよくレバーを押し込んだ、瞬間───
析了トオル:───街中が、強大な閃光と爆音に包まれた。
析了トオル:レーザーと弾丸は一切の容赦なく、星徒どころか地面を周囲を破砕しながら放たれ続ける。威力のリミッターはその一切を掛けられていない。
胡緑蘭:「これはまた景気が良いねえ」サングラス越しに目を細める。
宮星イオリ:「ッ……」頭蓋をぐわんぐわんと鳴らす爆音に表情を歪める。
析了トオル:「み、耳が……目が……」涙目で耳を抑えている。とても───とても煩かった。
星徒:膨大な砲火によって、空中を漂っていた星徒の巨体が穿たれ、吹き飛ぶ。
星徒:飛び散った破片や噴き出した体液までもが弾雨の前に消滅していき、星徒の身体が跡形も無く消し飛ばされる。
星徒:……かと思われた、次の瞬間。
星徒:煙が渦を巻くようにして、辺りの光が屈折し、乱反射を始める。
析了トオル:「やはり、この剥き出し部分だけはなんとかしないといけません、か……?」
星徒:巻き戻し映像でも見ているかのように。まるで何事も無かったかのように。元通りの星徒が、僅か数秒で再びその場に出現する。
星徒:「────」
析了トオル:「……これは……」
星徒:また放たれた熱線が、氷の壁を溶解させる。
齋藤リッコ:「……やっぱり……!」
齋藤リッコ:「ただ強いだけじゃない……!言ったでしょ、あれは何かおかしい……!」
胡緑蘭:「ふむ、最大火力で再生する暇もないくらい磨り潰すってのは、いい選択だったと思うけど」
胡緑蘭:「なにやらカラクリがあるみたいだね」
析了トオル:「此方も因果の操作でしょうか。ダメージそのものが無かったことにされたように見えます」
三部つゆり:「……ジャームの超抜能力?最初に出てた煙は…」その不死性に一瞬、声を詰まらせて。流石に”獣”とは違う…はずだ。
宮星イオリ:「……っ、面倒……」苦しげに表情を歪めて、吐き捨てる。
齋藤リッコ:「トオルちゃん……めっちゃ頭いいんでしょ! 何かこう……ヒントとか無いの!?」
析了トオル:「……煙、光の乱反射……調べてみます、少々お時間を頂ければ!」
GM:元の形を取り戻した星徒が、再び動き出す。
GM:行動値9 星徒の手番です
星徒:(choice[つゆり,イオリ,トオル,緑蘭,A,B,C,E,F,G,I])
星徒:choice[つゆり,イオリ,トオル,緑蘭,A,B,C,E,F,G,I])
DoubleCross : (choice[つゆり,イオリ,トオル,緑蘭,A,B,C,E,F,G,I]) → G
星徒:メジャー 《コンセントレイト:エンジェルハィロゥ》LV26+《絶対の孤独》LV26+《主の右腕》LV28
胡緑蘭:氷柱Gーーーッ!
星徒:54DX7+2
DoubleCross : (54DX7+2) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,6,6,6,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,8,9,9,10,10,10]+10[1,2,3,5,7,9,10]+2[1,1,2]+2 → 34
星徒:4D10+56+54
DoubleCross : (4D10+56+54) → 20[3,4,3,10]+56+54 → 130
GM:氷柱Gくんが消滅します
GM:イニシアチブ
星徒:《加速する刻Ⅲ》
胡緑蘭:こらこらこら
析了トオル:?!
三部つゆり:加速しすぎ!!
星徒:これはEロイスで取得したもので、効果は《加速する刻》《加速する刻Ⅱ》に準じます。
星徒:choice[つゆり,イオリ,トオル,緑蘭,A,B,C,E,F,I]
DoubleCross : (choice[つゆり,イオリ,トオル,緑蘭,A,B,C,E,F,I]) → 緑蘭
析了トオル:先生~~~!
胡緑蘭:ゲェーーッ
星徒:胡緑蘭……死ねェ!
星徒:メジャー 《コンセントレイト:エンジェルハィロゥ》LV26+《絶対の孤独》LV26+《主の右腕》LV28
星徒:54DX7+2
DoubleCross : (54DX7+2) → 10[1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,8,8,8,8,8,8,9,9,9,10,10,10,10,10]+10[1,1,2,4,6,6,7,7,7,8,8,8,8,9,10,10]+10[1,2,3,4,5,5,6,8,8,9]+10[2,4,8]+5[5]+2 → 47
星徒:命中でラウンド間判定ダイス-27個になっちゃいます
胡緑蘭:普通に困ります
胡緑蘭:ひとまずドッジ!
胡緑蘭:1dx+1>=47
DoubleCross : (1DX10+1>=47) → 4[4]+1 → 5 → 失敗
胡緑蘭:ヘナヘナヘナ……
星徒:5D10+56+54
DoubleCross : (5D10+56+54) → 30[8,9,2,1,10]+56+54 → 140
星徒:星徒ビームを受けよ!
胡緑蘭:クゥ~ン……HP0で《リザレクト》!
胡緑蘭:1d10
DoubleCross : (1D10) → 3
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を3増加(58 → 61)
GM:リザレクトが上手い
星徒:怒涛のような乱射によって、既にかなりの氷壁が削られつつある。
胡緑蘭:「う~ん……一発当てれれば終わりそうな気配はあるんだけどなあ」
胡緑蘭:熱線がすぐ側を掠める横で呑気に考察している。
星徒:箇所によっては、盾に出来るものも既に無い。遮蔽の無いつゆりと緑蘭の方向へと、熱線のひとつが放たれる!
三部つゆり:「…、先生…!」
胡緑蘭:「おっと」
胡緑蘭:つゆりの手を引き、熱線から遮蔽するように背後へ導く。すぐさま身を翻して星徒へ向き直り。
三部つゆり:「あっ、」寧ろ庇おうと前に出ようとした動きをこそ制されて流される。
胡緑蘭:構えを取って熱線を受け止める。一瞬、黒い影が弾けた用に見えたが、瞬く間に光に飲み込まれる。
星徒:バヂィッ!!
星徒:凄まじい熱量が弾ける。放たれる光条、それそのものが星徒の“領域”でもあるらしく──
星徒:緑蘭に直撃した瞬間、熱線がぐにゃりと折れ曲がり、蜷局を巻く蛇のようにその身体に巻き付いて骨肉を焼き焦がす!
胡緑蘭:「うおっ…!これは中々……!」
析了トオル:「……レーザーというより、自らの身体の如く軌道が曲がった……?」
胡緑蘭:手足を焼け爛れさせながら締め上げられるが、やがて体内から黒い力場が放出され、光の帯が弾け飛ぶ。
三部つゆり:「せっ、先生!大丈夫ですかっ」
宮星イオリ:「領域系の能力……光線じゃなくて、オルクス因子の指向性放出……?」
胡緑蘭:溶けかけた肌を急速に再生させ、確かめるように軽く筋を伸ばして
胡緑蘭:「受けてみたら何かわかるかなって思ったんだけど。なんとも言えないね」
胡緑蘭:「君たち、参考になったかい?気がついたことがあったら遠慮せず言うようにね」
三部つゆり:「そ、それはそうなんですが……」すごくもにゃもにゃした表情になっている。
齋藤リッコ:「何者なのこの先生……」軽く引いている
宮星イオリ:「……女子の前だからっていい格好しようとするの、やめたら」遠慮せずに言っている。敵を観察してはいるが何も手がかりを得られていないとも言う。
析了トオル:「つゆりさん!一度調べていただけますか!私、目と耳がまだキーンとしてて……!」
三部つゆり:「あ、はい…!このままじゃやられっぱなし…!」
GM:では行動値9 つゆりさんの手番です
GM:一瞬で解かれちゃうかと思ったんですが……思った以上に苦戦しているようなので
GM:《知覚》難易度7の判定に成功すれば何か分かることとします!
三部つゆり:了解です~~ ここはダイス数が足りないので無形の影を使って判定したいと思います。
三部つゆり:それにより能力値が精神となり、精神の攻撃以外の判定を、絆の制服効果で+2.判定します。
三部つゆり:7dx+2>=7
DoubleCross : (7DX10+2>=7) → 10[1,1,4,4,5,8,10]+8[8]+2 → 20 → 成功
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を4増加(63 → 67)
GM:ゲーッ強すぎる
GM:では……
GM:つゆりが感覚を研ぎ澄ますと、浮遊する星徒の少し後方の地点に、僅かに何かの気配を感じることが出来る。
GM:視界にも聴覚にも何も感じ取れない、ほんの僅かな気配だが……
三部つゆり:成程……!ちょっと演出します
三部つゆり:「バザラ・キジャナン・キリク」影が自身へ這い上がる。右目から黒い涙のように零れ落ち、左目と耳へ。
三部つゆり:「……」レネゲイドをこそ捕食するウロボロスは、即ちレネゲイドそのものを探知する事が出来る。
三部つゆり:「そこ…!星徒の後方!”なにか”います!」
GM:ではそれでトオルさんも、メラスニエミから受け取ったヒントのことについて思い出せるかもしれません。
析了トオル:(後方……!)
析了トオル:何か気付いたように、メモを開く。
析了トオル:「皆さん……!」
析了トオル:気付かれぬよう、気取られぬよう。ホログラム上に僅かな文章を奔らせ、全員の目の前に小さく展開する。
宮星イオリ:「……。何もいない、と思うけど」苦痛を噛み殺して意識を集中させ、その辺りに耳を澄ませているが、なにも聞こえない。
析了トオル:『星徒、後方20~25m地点。其処に本体が居ます!』
析了トオル:「───信じて、ください!」口に出すのはただそれだけ。私は、最初からすべて信じているから。
三部つゆり:その文面を確認して微かに眉を顰める。自分では射程が足りない。
宮星イオリ:「……またその紙なの」
胡緑蘭:「さっき言ってた現代魔術の予言か」
宮星イオリ:もはや疑っているわけではないが、こんなことまで的確に当てていたらそれはそれで気味が悪くなる。
GM:では皆さんはこれ以降、《知識:レネゲイド》《情報:ノヴァリス》難易度9で判定を行うことで、Eロイス《不滅の妄執》の解除方法を探ることが可能となります。
GM:また、表現的にはこうなっていますがゲーム的に狙うべきは星徒の後方20mの地点になります。
宮星イオリ:なるほどね
析了トオル:理解!
三部つゆり:了解です~
エンゲージ
???
|
(15m)
|
氷柱A (5m) 氷柱B、トオル (5m) 氷柱C
|
(5m)
|
(5m) 氷柱E、星徒、イオリ (5m) 氷柱F
|
(5m)
|
(5m) つゆり、緑蘭 (5m) 氷柱I
GM:では行動値7 緑蘭さんの手番です。
胡緑蘭:25m先に届かいない上に、クソデカデバフで触れるダイスもないため
胡緑蘭:全力移動で氷柱Aのエンゲージへ移動します。
胡緑蘭:以上!
GM:OK!
胡緑蘭:「どうやら目星はついたみたいだね」
析了トオル:「はい!ですが復活の絡繰りだけはまだ分かっていません!此方も直ぐに……!」
胡緑蘭:流れるように地を駆け、星徒の側面へと移動する。その場に突き立った氷柱を砕き、星徒へと投げつけて挑発する。
星徒:「────」
胡緑蘭:「こいつはしばらく惹きつけておこう。早めに解決よろしく!」
析了トオル:「あ、あのダメージの直後にこれだけの動きを……?!」
星徒:光線が激しく地表を薙ぎ払い、氷を吹き飛ばす。
星徒:今回にしても、これまでにしても……威力はあれどまともに狙いを付けているようには見えない。……狂乱している。
GM:行動値6 齋藤リッコがNPC効果を使用します。
胡緑蘭:リッコチャン!
NPCカード
齋藤リッコ
1ラウンドに1回、行動値6、PCの行動後に起動する。
マップ上に『氷柱』を2本生成する。
胡緑蘭:偉いぞ~!
三部つゆり:たすかりすぎ!
GM:特に無ければ氷柱が無くなったエンゲージに補充しますが、PCから希望があればそこに追加することも出来ます。
析了トオル:ほうほう!
宮星イオリ:つゆり・トオルのエンゲージに1本ずつお願いします!
GM:では氷柱Hが復活し、氷柱B2が新たに生まれます
エンゲージ
???
|
(15m)
|
氷柱A、緑蘭 (5m) 氷柱B、氷柱B2、トオル (5m) 氷柱C
|
(5m)
|
(5m) 氷柱E、星徒、イオリ (5m) 氷柱F
|
(5m)
|
(5m) 氷柱H、つゆり (5m) 氷柱I
齋藤リッコ:「えぇ……?いやいやいや……何で分かるのそんなこと……!?」
齋藤リッコ:「ああもう……ここまで来たら乗るしかないけど……!」
齋藤リッコ:困惑と焦りの表情を浮かべつつ、熱線に撃ち抜かれる傍から氷の柱を生成していく。
齋藤リッコ:「頼むわよ、マジで……!」
GM:クリンナップ
GM:特に無いかな ラウンド1終了。
GM:ラウンド2
GM:セットアップから!
胡緑蘭:なし!
析了トオル:なし!
宮星イオリ:なにもないよ~
三部つゆり:なしです
星徒:《力場の形成》LV27 攻撃力+54
GM:イニシアチブ
星徒:choice[つゆり,イオリ,トオル,緑蘭,A,B,B2,C,E,F,H,I]
DoubleCross : (choice[つゆり,イオリ,トオル,緑蘭,A,B,B2,C,E,F,H,I]) → A
星徒:死ね!氷柱A!
星徒:メジャー 《コンセントレイト:エンジェルハィロゥ》LV26+《絶対の孤独》LV26+《主の右腕》LV28
析了トオル:先生の方角を的確に……!
星徒:54DX7+2
DoubleCross : (54DX7+2) → 10[1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,5,5,5,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,2,2,2,2,2,2,3,3,3,5,5,5,6,6,7,7,8,9,9,9,10,10]+10[1,2,4,5,9,10,10,10]+10[1,5,7,9]+5[3,5]+2 → 47
星徒:5D10+56+54
DoubleCross : (5D10+56+54) → 24[7,1,6,7,3]+56+54 → 134
GM:氷柱Aくんが死にました
GM:結婚の約束をしていた彼女がいたのですが……
胡緑蘭:Aーーーッ!
三部つゆり:そんな……
析了トオル:A……惜しいやつを亡くした……
胡緑蘭:安心してくれA。俺が代わりに結婚しといてやる。
宮星イオリ:そんな死亡フラグ立てるからだろ
氷柱A:NTRやんけ~~~~!!!
星徒:《加速する刻Ⅱ》
星徒:choice[つゆり,イオリ,トオル,緑蘭,B,B2,C,E,F,H,I]
DoubleCross : (choice[つゆり,イオリ,トオル,緑蘭,B,B2,C,E,F,H,I]) → F
星徒:氷柱Fを攻撃します
星徒:54DX7+2
DoubleCross : (54DX7+2) → 10[1,1,1,1,1,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,5,5,5,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10]+10[1,2,2,2,3,3,4,4,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,7,8,9,9,10,10]+10[1,1,1,4,8,8]+10[5,9]+10[8]+2[2]+2 → 54
星徒:6D10+56+54
DoubleCross : (6D10+56+54) → 31[1,4,8,8,2,8]+56+54 → 141
GM:氷柱Fが死にました 田舎のおばあちゃんの医療費を稼いでいたのですが……
析了トオル:そ、そんな……保険金はおばあちゃんのところに振り込んでおきますね
三部つゆり:え、Fくん……
宮星イオリ:いまから氷柱全部壊してこの設定メモ全回収するか
GM:では行動値18 イオリさんの手番です
宮星イオリ:ウオオ
宮星イオリ:えーと ???のところまで20m
宮星イオリ:《陽炎の衣》《光芒の疾走》で移動して???にエンゲージ。
宮星イオリ:距離は20mあるが、こいつの戦闘移動は23mだ
GM:はやすぎる
宮星イオリ:メジャー、《コンセントレイト》《見えざる死神》《光の舞踏》で なんか……そこにいるやつを攻撃!
GM:判定どうぞ!
宮星イオリ:9dx+6@7 命中
DoubleCross : (9DX7+6) → 10[2,3,4,4,7,8,8,8,10]+10[1,5,9,9,10]+6[3,5,6]+6 → 32
GM:???は暴走中です。ダメージどうぞ!
宮星イオリ:4d10+63 ダメージ!
DoubleCross : (4D10+63) → 18[2,2,6,8]+63 → 81
???:HP0
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を10増加(66 → 76)
???:Eロイス《不滅の妄執》で復活します。
宮星イオリ:エエッ
宮星イオリ:ふう、と息を吸い込む。熱気が喉を通り過ぎて焼けるような心地がする。
宮星イオリ:今だけならばそれも耐えられる。眼の前に倒すべき敵がいる。
宮星イオリ:「まだ納得はしてないけど。宛にするよ、析了」
析了トオル:「ええ、信じてくださり光栄です……!」
宮星イオリ:熱戦が迸り、砕けた氷柱が舞い上がる。輝きが乱反射する空を、黒い影がすり抜けるように走り抜けて
宮星イオリ:(──この距離に来ても。何も見えない、聞こえない、けど)空に手をついて、蝙蝠のように背を反らし反転する。
宮星イオリ:星光の輝きが右手に収束する。半径数メートルにわたって地表を舐めるように十六度、隙間なく切り結んだ。
GM:近付いてみると、離れていた時よりよく分かる。
GM:1mと半分ほど、少女の形の空間の歪み。
GM:透明人間のようなそれが、イオリの攻撃によって星徒と同じように切り裂かれ──
宮星イオリ:「!──手応え、っ」
GM:そしてまた、星徒と同じように。元の通りに復元していく。
本体:「……」
析了トオル:「正解……!」
齋藤リッコ:「いたのね!?本体!これでこっちも消えて……」流星体に目をやって「ない!?」
三部つゆり:「……復活の絡繰りはまた別か…!」
析了トオル:「ですが……確かに見せていただきました!本体の復元、その様子を!」
宮星イオリ:「……気味悪いヤツ。何か喋ったら?」表情のはっきりとしないその人影をじっと見つめる。
胡緑蘭:「まだ合格点とはいかないみたいだね」
宮星イオリ:「勝手に採点してんじゃないわよ……!」横目に睨みつけながら、構え直す。
GM:行動値13 トオルさんの手番です。
析了トオル:はい、では……不滅の妄執の解除方法を!
析了トオル:《知識:レネゲイド》で9!判定します!
析了トオル:9dx+4>=9
DoubleCross : (9DX10+4>=9) → 9[1,2,2,3,4,4,6,6,9]+4 → 13 → 成功
析了トオル:っしゃい!
GM:OK!成功です!
GM:ではトオルさんはめちゃめちゃ賢いので星徒を観察して以下の答えを導き出しました
星徒の攻略法
この星徒は超高侵蝕率と圧倒的なレネゲイドによって、既に自らの肉体を捨て去り、能力──オルクスの領域によって新たな肉体を構築している。
分身である流星体も同様の能力を備えており、片方が攻撃を受けても、もう一方が再構成することで何度でも容易に再生が可能だ。
完全に倒し切るには、本体と流星体を同じタイミングで倒す必要がある。
GM:ゲーム的には、同じ行動値で本体と流星体を倒すことで《不滅の妄執》を解除できます。
析了トオル:つまり待機するしかないってことね
GM:本来は解除するだけになりますが、今回は解除した時点でHPも0になるものとします。
析了トオル:理解です!
三部つゆり:了解致しました…!
胡緑蘭:行動値0のタイミングなら合わせられるんだ
GM:そういうこと!
胡緑蘭:理解!
宮星イオリ:あ~なるほどね
析了トオル:「……本体が崩れた瞬間、流星体のレネゲイドに変化が見られました」
析了トオル:「"外部"からのダメージの修正。流星体の再生もこう考えれば納得がいきます」
胡緑蘭:「どちらか片方が本体というわけじゃないんだね。二つの肉体で一つの生命を共有している」
析了トオル:「確かに撃破時に感じた違和感はそれ。成程確かに、撃破された身体が自ら再生を行っている訳ではないなら、其処だけ見ていても気付けない……!」
析了トオル:(……リッキーさん、遅れてすみません、ですがこれで……!)
析了トオル:「急ぎなので先ずは結論!同タイミングで撃破すれば、再生を阻害することが出来ます!」
齋藤リッコ:「流石トオルちゃん……怪奇……怪奇探検部?部長……!」
三部つゆり:「敢えて待つ…ってこと…!」手汗が出てくる。今のタイミングでそれを出来るのは。
胡緑蘭:「よし、やることが決まったなら後は簡単だ」
胡緑蘭:「つゆり、いけるね?」
三部つゆり:「…、」一瞬息が詰まる。元から戦闘は得意ではない--状況判断も宮星イオリに、そもそもの機知に於いて析了トオル、その二人に遠く及ばない。
三部つゆり:「…はい!」それでも、大きな声で応える。
GM:さてここで……
GM:出目によっては無駄に壮絶なグダりを生む可能性が出てきましたので NPC効果を一部変更させて頂きます
NPCカード
齋藤リッコ
このNPCの①②の効果は、1ラウンドに1回、どちらか1つだけを選んで使用できる。
①
行動値6、PCの行動後に使用する。
マップ上に『氷柱』を2本生成する。
②
イニシアチブで使用する。
任意のキャラクター1体を選択する。そのキャラクターを任意の方向に10m移動させる。
GM:では行動値9 星徒の手番です。
星徒:choice[つゆり,イオリ,トオル,緑蘭,B,B2,C,E,H,I]
DoubleCross : (choice[つゆり,イオリ,トオル,緑蘭,B,B2,C,E,H,I]) → I
星徒:54DX7+2
DoubleCross : (54DX7+2) → 10[1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,9,9,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,5,5,5,5,5,6,8,8,8,8,9,9,9,10,10]+10[1,2,3,5,5,7,7,8,9]+10[1,4,6,10]+3[3]+2 → 45
星徒:5D10+56+54
DoubleCross : (5D10+56+54) → 17[1,8,4,3,1]+56+54 → 127
GM:氷柱Iが死にました……めちゃめちゃ巨乳の妹がいたのに……
析了トオル:?!
三部つゆり:Iくん……
星徒:《加速する刻Ⅲ》
宮星イオリ:なんだその設定
星徒:choice[つゆり,イオリ,トオル,緑蘭,B,B2,C,E,H]
DoubleCross : (choice[つゆり,イオリ,トオル,緑蘭,B,B2,C,E,H]) → B2
星徒:54DX7+2
DoubleCross : (54DX7+2) → 10[1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,6,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,2,3,3,3,3,3,4,4,5,5,5,6,6,7,7,7,8,8,9,10,10]+10[1,2,2,4,5,5,10,10]+6[5,6]+2 → 38
析了トオル:B2……私を庇って……
星徒:4D10+56+54
DoubleCross : (4D10+56+54) → 24[3,7,7,7]+56+54 → 134
GM:氷柱B2くんが死にました 故郷の村の復讐の道半ば……
星徒:星徒はますますもって荒れ狂い、四方八方に熱線を照射し続ける。
星徒:そのエネルギーは無尽蔵にすら思える。まるで悶え苦しむかのように、辺りの何もかもを次々と撃ち抜き焼き焦がしていく。
齋藤リッコ:「……全然……防御が追い付かない!まずいわよ、このままじゃ……!」
齋藤リッコ:両腕を低温で白く凍結させながら、必死に氷を生成し続けているが……圧倒的な出力を前に補充がまるで追いついていない。
宮星イオリ:「焦らせてんじゃないわよ。やることは見えたんだから……」
宮星イオリ:本体の星徒を雲隠れさせないように距離を詰めながら、二人の方を見遣る。ひとまずは、あいつらが上手くやれる方に賭けるしかない。
GM:行動値8 つゆりさんの手番です
三部つゆり:待機します…!
GM:では行動値7 緑蘭さんの手番です
胡緑蘭:待機しまーす
GM:では待機手番で行動値0!改めて緑蘭さんの手番です
胡緑蘭:マイナーで戦闘移動。流星体のエンゲージへ接近。
胡緑蘭:《ディストーション》LV1《漆黒の拳》LV1《コンセントレイト:オルクス》LV3 サイバーアームで攻撃
胡緑蘭:マスターキラー、ウォーモンガー、エージェンシー、スレイヤーの証の効果でダイス+4、攻撃力15+4D10
胡緑蘭:8dx7+9
DoubleCross : (8DX7+9) → 10[1,2,2,3,6,8,9,9]+10[4,5,10]+10[8]+3[3]+9 → 42
GM:暴走!ダメージどうぞ!
胡緑蘭:5d10+23+4d10 装甲無視
DoubleCross : (5D10+23+4D10) → 20[9,5,3,1,2]+23+13[10,1,1,1] → 56
星徒:HP0
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を7増加(61 → 68)
星徒:《不滅の妄執》で復活……しそうです どうかな?
GM:演出はまとめてやりましょう というわけでつゆりさんの手番です
三部つゆり:はい!
三部つゆり:まずイニシアチブに リッコさんの2番の効果を使用して 10m本体の方へ移動します。
三部つゆり:其れからマイナーでさらに移動。本体へエンゲージ。
三部つゆり:メジャー。コンボ:鳥破《コンセントレイト:ウロボロス》《無形の影》にて本体へ攻撃します。
GM:判定どうぞ!
三部つゆり:7dx7+10 手裏剣効果で達成値+2
DoubleCross : (7DX7+10) → 10[2,3,4,4,7,8,9]+10[5,8,10]+3[2,3]+10 → 33
本体:暴走 ダメージどうぞ!
三部つゆり:4d10+1d10+2
DoubleCross : (4D10+1D10+2) → 21[3,2,9,7]+2[2]+2 → 25
三部つゆり:ダメージダイス……!
本体:HP0
GM:双方の《不滅の妄執》が解除されます。戦闘不能となり、戦闘終了です。
胡緑蘭:「流星体は私が受け持とう」出鱈目に乱射される熱線の嵐の中へと飛び込んでいく。
三部つゆり:「…、お願いします…!」どことなく強張った表情。
胡緑蘭:「つゆりはタイミングを見計らって合わせてね!あっちはアレよりは危なくないはずだから!」
三部つゆり:その言葉には大きくうなずいて返す。
胡緑蘭:白いジャケットが翻る。肩から先が失われた右腕に、走りながら発生した大量の魔眼が殺到する。
胡緑蘭:やがてそれは凝縮され、漆黒の腕を形作る。
宮星イオリ:「……ようやく真面目に戦う気になったんだ? そうでなきゃ困るけど」本体の逃げ道を塞ぎながら、緑蘭の技を見逃さないように視界に捉えている。
胡緑蘭:正面からの熱線。黒腕を地面に叩きつけるように振るうと、斥力が弾けて身体を空中へと跳ね上げる。
星徒:「────」
星徒:近付く脅威に本能的に気付いてか、星徒が身じろぎする。
星徒:既に至近距離、狙いを付ける必要も無い。幾重もの熱線が、四方八方から放たれて迫る!
胡緑蘭:「下手だね」黒い腕を振るう。それに触れた瞬間、熱線が歪に捻じ曲げられ、緑蘭を避けるように弾かれていく。
齋藤リッコ:「んなっ……」常識外れの光景に唖然と口を開く。
析了トオル:「これは……なんとまあ、出鱈目な」その超絶技巧に、思わず笑みが零れる。
胡緑蘭:星徒の直上、落下の勢いを維持したまま貫手を構える。
胡緑蘭:「そこか」半透明の身体の中心、鈍く光る器官を視認する。
胡緑蘭:一瞬の交錯。虹色の体液が尾を引いて、星徒の身体から核が抜き取られている。
星徒:「────!」
星徒:星徒の巨体が浮力を失い、地響きを立てて崩れ落ちる。
本体:だが、それも既に見た光景。後方、不可視の本体がまた流星体を再構成せんとして──
齋藤リッコ:「あなたの──」
齋藤リッコ:はし、とつゆりの手を取って。
齋藤リッコ:「番でしょ!」
三部つゆり:「リッコさん。お願いします…!」強張った表情のまま、ずっと助けてもらっている少女へ。
齋藤リッコ:次の瞬間、間のコマが吹き飛んだかのように、つゆりは星徒の眼前まで迫っている。
齋藤リッコ:魔眼による時間跳躍。行使したリッコの身体は反動の極低温で半ば凍り付いている。
齋藤リッコ:「ッ……頼んだわよ!!」
三部つゆり:すごい、という感嘆の念があった。それを伝えるよりも、なによりやるべき事とやりたい事が一致していた。
三部つゆり:急ぎながら、ただ一点のみを見据えて。銃を、空間の歪みへ突きつける。
宮星イオリ:「遅ッそい」苛立った声。リッコの助けがなければ間に合っていなかっただろう事への。「外したら承知しないから」
三部つゆり:事実だ、と思った。詫びも何も出なかった。ここからするべき事の前には。
三部つゆり:「……ぁ」小さく、思わずといった風情で声が漏れる。
三部つゆり:星徒。生徒との相互補完を担うジャーム体。それが生徒の死により、空から”落ちて”来たのがそうだ、という。
三部つゆり:(ノドスは八年間漂流して、生き残りもごくわずか)思考が加速している。それが必要だった。
三部つゆり:何より、己の感情を制御するのに。
三部つゆり:その原因は遂に突き止められなかったが、それでも推測できる事はある。
三部つゆり:漂流直前の流星雨。どこかで星徒への蔑視や憎悪を伺わせる言葉の欠片。
三部つゆり:--彼らが戦っていたのは、彼らと殺し合っていたのは、その星徒なのではないか?
三部つゆり:推測だが、ある種確信もしていた。ノヴァリスというシステムへの危険視、害意がかれらにはあったからだ。
三部つゆり:目の前の彼女は関係がない、と分かっている。女生徒が死亡した例は第二次紛争の時だ。
三部つゆり:それでも。
三部つゆり:ぎりぎりと歯を食い縛る。どろどろとしたものがある。溢れないようにしなければならない--
三部つゆり:(あなたの仲間が、ソウマさんを殺したの?群生お兄さんを、あんなふうになるまで追い詰めたの?)無駄な思考が流れる。
三部つゆり:意味のない言葉だ。何にもならない感情に過ぎない。過ぎないが。
三部つゆり:--それで済む様な少女なら、三部つゆりは此処にいない。
三部つゆり:眼帯の下、右目から黒い”影”が零れ落ちる。頬を伝い、腕を下り。握った銃へ。
三部つゆり:「ノウマク・サマンダ・ヤキシャシバラ・ソワカ」
三部つゆり:毘沙門天への真言。というより、それは。元の神性である、荒ぶる側面を有した鬼の王への祈祷のようだった。
三部つゆり:「ここで」ガン、と殴りつけるような音。紛れる囁くような声。
三部つゆり:「死んで」弾丸たる針の着弾が連続する。
三部つゆり:--三部つゆりは、初めて。殺意で以て力を使った。
本体:「……!」
本体:巨大な流星体に比べ、その本体は人間と同程度のサイズしかない。
本体:当然、耐久性もずっと低い──何発もの弾丸に穿たれ、水中で水風船を割ったかのように虚空に霧散し……
GM:そして、本来であれば再構成の役割を担うはずの流星体もまた──
胡緑蘭:「ナイスタイミング」それを見届けて、ほぼ同時に抜き取った核を握りつぶす。
三部つゆり:「、はっ、はぁっ、はっ……!」荒い息を零している。戦闘負荷よりも、なにより己の殺意の熱量にこそ。
GM:相補性を失い、星徒とその流星体が、同時に光となって消滅していく。
GM:……その後に、小さな死体が残される。重度の堕天病で黒く変質した、少女の体。
宮星イオリ:「……慣れてないんだ」何に、とは言わないが。つゆりの様子を見下ろしながら、耳で周辺の索敵を続けている。
析了トオル:(誤差0.003秒。突発でここまで息を合わせられるとは……いえ、先生がぴたりと合わせたのか)
齋藤リッコ:「……やっ、た……」大きく息を吐く。
三部つゆり:銃を向けたまま、動かないのを確認して。震える腕をゆっくり降ろしていく。
宮星イオリ:「とりあえず、他で復活してるようなこともないみたい。……こんなに手間取るなんて」
析了トオル:「しかし……なんとかなりましたね、皆さん。ありがとうございました」
析了トオル:「後は……」
百代マリア:「…………ああ……」
百代マリア:いつの間にか、生徒の避難指示を請け負っていたはずのマリアが、そこに立っている。
百代マリア:倒れ伏した死体を、茫然と見つめて。
百代マリア:「……キャロリン」
百代マリア:小さく呟く。
三部つゆり:「……っ」その死体を茫然と見つめるマリアさんの姿に、己がしたことを、ひどく嫌悪した。
析了トオル:死体と、それにすぐさま近寄った百代マリアの方へ。
析了トオル:「……堕天病、成程」
析了トオル:「星徒の動きがやけに散漫だったのはそういうことですか」
三部つゆり:「……ごめんなさい」
宮星イオリ:「ああ?なんで謝ってんの」
胡緑蘭:「いや~みんなよくがんばったね!おめでと……」返り血を拭きながら戻ってきて
胡緑蘭:「あれ、どうしたの難しい顔して?」
三部つゆり:「…もっと、やりようがあったって思ったの」
宮星イオリ:「は、そうかもね」
宮星イオリ:「アンタらが私の動き出しに合わせられてれば、もっと簡単に片付いてた」面倒な戦闘ギミックに苛立って無茶苦茶を言っている。
齋藤リッコ:「……星徒は生徒が残した影法師みたいなものよ」
齋藤リッコ:「誰も被害を出さず送ってあげられたのに、あなたが謝ることじゃないでしょ」
三部つゆり:「……」それが無茶なのは分かるが、そうできていればもっと上手くいったのは事実だ。「…リッコさん」
三部つゆり:「……ごめ…いや。そういう時じゃないね。変なコトを言いました」自分が何を思ってしたのか。それを言うのは憚られた。
百代マリア:「……わたくしからも、お礼を言わせて頂戴」
百代マリア:君達に向き合い
百代マリア:「彼女の名は、キャロリン・スティーヴンス」
百代マリア:「第二次ノヴァリス紛争で戦った生徒で……」
百代マリア:「……本来ならば、『楽園の三百人』に名を連ねるべき犠牲者よ」
析了トオル:「……ふむ、ふむ……」言葉を聞いてから、はと気付いたように。
析了トオル:「……"本来ならば"?」
胡緑蘭:「それはどういう意味だい?」
胡緑蘭:「私が聞いていた話だと、ノヴァリスで発生した生徒の死者は」
胡緑蘭:「第二次ノヴァリス紛争で犠牲になった三百人と、革命で死亡した雨月夜シオン」
胡緑蘭:「それから……」一瞬つゆりに視線を向けて
胡緑蘭:「まあ、それだけだって記憶してるけど」
百代マリア:「……堕天病には、大きく分けて二種類があるの」
百代マリア:「一つは、脳を中心に発症し、急激な進行で急速に死に至らしめる、劇症型」
百代マリア:「劇症型の生徒は、全員が第二次ノヴァリス紛争当時に亡くなって、“楽園の三百人”にその名を連ねている」
胡緑蘭:「ん……?いや、ちょっと待ってね」
胡緑蘭:「"堕天病"って、生徒でも死ぬのかい?」
胡緑蘭:「それってつまりアレだよね」
胡緑蘭:「堕天病が"十字冠を破壊する兵器"ってこと?」
析了トオル:「…………」
百代マリア:「……」
百代マリア:緑蘭を見て、それから、つゆりを、トオルを、リッコを……イオリ以外を見る。
百代マリア:彼女は当然知っていることだからだ。
宮星イオリ:「……」この男にそんな事まで話していいの、と言いたげな目を向けるが、止めはしない。
百代マリア:「……ええ」瞑目し、頷く。「その通りです」
析了トオル:(やはり、そうでしたか。凡その予想は立てていましたが)
三部つゆり:「……十字冠そのものへ影響を起こせるものだっていうなら。確かに…言われてみると」少し憔悴したような様子。
胡緑蘭:「そいつは……えらいことだね。根絶された筈の"十字冠を破壊する兵器"が、学区全体に蔓延しているとは」僅かに眉をひそめて
析了トオル:(……予想が確証に変わった。ならば何故この病の根本的治療法が見つからないのか、見えてきますね)
百代マリア:「……もうひとつ、遅行型の場合……病状の進行は個人差はあれど緩やかだけど、その分長く苦しむことになる」
百代マリア:「本来ならば死に至るはずのところ、十字冠の加護によって死を免れ続け……」
百代マリア:「最後には脳を侵され、堕天者と呼ばれる理性を失った状態に成り果ててしまう」
百代マリア:「でも、それで終わりではないの」
百代マリア:「堕天病はオーヴァードを、レネゲイドを侵す。黒く染まった十字冠がその証」
百代マリア:「堕天者と化し、更にそのレネゲイドを堕天病に侵され続ければ……」
百代マリア:「いずれ限界が来て、生徒であっても死が訪れる」
百代マリア:「……そう……考えられていたのだけれど」
百代マリア:「実際に、こうなってしまったのは」
百代マリア:黒く染まった死体の手を取って
百代マリア:「……彼女で一人目よ」
百代マリア:「キャロリン・スティーヴンズはいつか、どこかで亡くなったのではなく」
百代マリア:「堕天者としてずっと彷徨いながら……おそらくは数時間前に」
百代マリア:「この付近で亡くなった」
析了トオル:「…………!」
析了トオル:「彼女はついさっき亡くなり、星徒となり落ちてきた……と」
胡緑蘭:「落下地点が予想されたってのはそういうことか」リッコの言葉を思い返す。
胡緑蘭:「今活動している星徒は、既に全員が降下済の筈だもんね」
三部つゆり:「…それは…ああ。確かに…」どことなく足下が覚束ない。私は本当に、何の関係もない人に身勝手な殺意を向けたのか。
析了トオル:「それが真実であるならば……完治の方法を見つけない限り、ラス・ヴィダスには幾度となく星徒が襲撃してくるに等しい」
百代マリア:「……ええ」
百代マリア:「言ったでしょう、『一人目』と」
胡緑蘭:「彼女と同時期に遅行型に罹患した生徒が、まだいるんだね」
百代マリア:頷く「個人差が大きいので、単純な時期では測れませんが」
百代マリア:「ラス・ヴィダスに蔓延する病の正体は、『十字冠を破壊する兵器』であり」
百代マリア:「生徒を死に至らしめ、いずれ星徒と化す──」
百代マリア:「その事実が生む恐怖と差別は、今までの比ではないものになるでしょう」
百代マリア:「でも、遂に『一人目』が出てしまった」
宮星イオリ:「……個人差とか、罹患した時期とか。そんなレベルの話じゃないでしょ」
宮星イオリ:「今……ノドスの誰だかしらないけど、"マスターポルート"の能力を受け継いだかもしれなくて」
宮星イオリ:「しかもそいつは多分、堕天者に命令を与えて使役する事ができる」
宮星イオリ:「そんな奴が出てきたタイミングで、一人目がリミットを迎えてる。……普通に考えて、偶然じゃなくて作為じゃないの」
三部つゆり:「………、……」何も言えない。彼はその力を何度も使っているらしかった。事実として。更に今こうして、一人。
析了トオル:「……やはり、時間がありませんね。私のやりたい事も早めに済ませる必要がありそうです」
齋藤リッコ:(……あたしこれ聞いちゃってよかったの……??)
胡緑蘭:「マリアがこのことを伏せたのも理解できるよ」
胡緑蘭:「この事実が知れ渡ったらパニックになるのはラス・ヴィダスの生徒だけじゃない」
胡緑蘭:「最悪、堕天病の根絶を大義名分に戦争が起こりかねないもんね」
百代マリア:「……はい」頷き
百代マリア:「犠牲者は、これから更に増えていくでしょう」
百代マリア:「戦いが起きるはず。多くの血が……流れることになるかもしれません」
百代マリア:「……先生。それでも、わたくしは」
百代マリア:血のように赤い瞳が緑蘭を見つめる。
百代マリア:「戦いたいのです」
百代マリア:「……手伝って……頂けますか」
百代マリア:「先生」
胡緑蘭:細めた瞳が薄っすらと開かれ、マリアの赤い瞳と視線を交わす。
胡緑蘭:「もちろんだとも」
胡緑蘭:「私は、そのためにここへ来たんだよ」
GM:シーン終了。
GM:ロイス取得・購入が可能です。
析了トオル:胡緑蘭 ●驚嘆/劣等感
三部つゆり:ロイスは…ここは先生に取るか 胡緑蘭 〇感服/劣等感 で。
析了トオル:購入は……やっぱり武器が欲しいですかね?
析了トオル:つゆりさん向けの
三部つゆり:購入欲しい人~ 私は自分でも買えますよ! 後スぺミとか?
宮星イオリ:胡緑蘭:有為/◯脅威 で取得します。
胡緑蘭:三部つゆり ◯感心/隔意 で取得
宮星イオリ:2dx>=8 どうせなにも買えんし応急
DoubleCross : (2DX10>=8) → 3[1,3] → 3 → 失敗
宮星イオリ:おわり
析了トオル:私は照準器が欲しく、狙います
三部つゆり:PDW買うかボルアク買うか悩むな…
胡緑蘭:高級治療キット買います
三部つゆり:射程もあるしボルアク買います まず。 無形の影を使用。
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を4増加(67 → 71)
析了トオル:3dx+2>=15
DoubleCross : (3DX10+2>=15) → 10[1,6,10]+3[3]+2 → 15 → 成功
三部つゆり:これにより絆の制服、ラッキーメダルブラックが効果を発動して。
析了トオル:うおっ
胡緑蘭:8dx+1>=9
DoubleCross : (8DX10+1>=9) → 8[1,1,3,4,4,5,7,8]+1 → 9 → 成功
析了トオル:フフ……成功です
胡緑蘭:買えた!すぐに使います
三部つゆり:7dx+6+2+1>=15
DoubleCross : (7DX10+9>=15) → 9[2,2,5,5,8,9,9]+9 → 18 → 成功
析了トオル:大口径機関砲!お前の命中を上げるぞ
三部つゆり:ボルアクを装備します!以上。
胡緑蘭:3d10
DoubleCross : (3D10) → 19[8,2,9] → 19
胡緑蘭:胡緑蘭のHPを22に変更(3 → 22)
GM:昨日データ出すの忘れてました!
GM:星徒はこちらのEロイスを所持していました
Eロイス
《死閃残骸(ノヴァ・レムナント)》
あなたが『十字冠を破壊する兵器』の影響を受け、果てしない死と再生を繰り返し続けた末に死亡した生徒の星徒であることを表すEロイス。あなたは極めて高い侵蝕率を持つ。
このEロイスは、《星徒》と同時に取得する必要がある。
あなたはエネミーエフェクト《加速する刻Ⅲ》を取得してよい。効果は《加速する刻》《加速する刻Ⅱ》に準ずる。
あなたは常に暴走状態となる。この暴走状態はいかなる効果によっても解除できない。
あなたが攻撃を行う際、その対象は敵味方の区別なく、ランダムに決定される。
このEロイスはエフェクトやアイテムの効果によって消去できない。
GM:侵蝕率は2500%でした
宮星イオリ:ほえ~
析了トオル:加速Ⅲ取得……!
三部つゆり:はわわわわ
胡緑蘭:やば~
GM:この他に本体と流星体が《星徒》《不滅の妄執》をそれぞれ所持していました。
【Masterscene】
ラス・ヴィダス 商業区 パーティー会場
GM:商業区の高層ビル。華やかなフロアで、総和重工が主催するパーティが執り行われていた。
GM:出席者は皆政財界の要人であり、学区外の有名人の顔も多く見受けられたが
GM:そんな中、華やかな場に似つかわしくない質素で古びたドレスを纏う少女の姿があった。
宮星シホ:「……アディンセルさん!お久し振りです!」
商業区生徒:「あっ……?ああ、ええと……貴方は……」
宮星シホ:「ヴァリエンテ警備保障の宮星シホです。以前お会いしましたよね」
商業区生徒:「ああ!ええ、ええ。貴方でしたか。勿論覚えておりますよ。お久し振りですね」
宮星シホ:「はい!神楽橋コーポレートの皆様にはいつもお世話になっております!」
宮星シホ:「産業廃棄物処理の件、宮星が万事問題ないと言っていたとヤンさんにお伝え頂けますか?」
商業区生徒:「ああ……貴方が関わっていたのですか。ええ、勿論。よろしく伝えておきますとも」
商業区部下:「課長!こちらにいらしたんですね!」
商業区生徒:「おっと!失礼、私はこれで……」
宮星シホ:「はい!お会いできて光栄でした!」
商業区生徒:深々と頭を下げ続けているシホを鬱陶しげにその場を立ち去る。
商業区部下:「……今の方、どちら様ですか?」
商業区生徒:「ああ……ヴァリエンテの警備課主任だよ」
商業区部下:「ヴァリエンテの?じゃあお偉いさんなんですか」
商業区生徒:「まさか。ヴァリエンテなんて顔が広いだけで、ただの総和の孫請けだよ」
商業区生徒:「どちら“様”なんてもんじゃない。ただの下っ端の警備員さ」
商業区生徒:「だが、あの……宮星って言ったかな」
商業区生徒:「裏で相当色々やってるらしいぞ。手段を選ばず出世してきたとか」
商業区生徒:「聞いた話じゃ……」部下に耳打ちする
商業区部下:「……えぇーーっ!マジっすか!?出世のためだからって……そこまでします!?」
商業区部下:「私は絶対無理ですね……!気持ち悪……」
商業区生徒:「ああ……だが、あの姿勢には見習うべきところがあるよ」
商業区生徒:「ああいう何でもやるってやつが、最後には一番出世するものだからな」
商業区部下:「……なるほど……勉強になります、課長!」
商業区生徒:「……ハハハッ!バーカ!本当に出世できるヤツがあんなダッサいドレス着てるわけないだろ!」
商業区部下:「あ~~っ!もう!やめてくださいよ課長ったらぁ~~~!」
GM:騒ぐ生徒たちを横目に、一人の少女が会場を横切る。
GM:顔立ちは美しく、ドレスも一目で最高級のものと分かる仕立てであるが……その表情には明らかな険の色が漂っており、声を掛けようとする者はいない。
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「あら、よくお似合いではないですか、五百機さん」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:にっこりと微笑む、こちらもドレス姿の少女。
デリア・ヴァルタースキルヒェン:デリア・ヴァルタースキルヒェン。総和重工の社長であり、このパーティの主催者。
デリア・ヴァルタースキルヒェン:そして、今は“イモータルコイル”が隠れ蓑にしている生徒でもある。
五百機ジナ:「……最悪よ……」
五百機ジナ:じろりと睨みつける。
五百機ジナ:「何を考えてるの?これでも私、一応指名手配されてるのよ?」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「あら、いい考えだと思いませんか? こんなところにいる方が手配犯だなんて誰も思いませんよ」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:会場の片隅、あくまでにこやかに話す。
五百機ジナ:「何のつもりなわけ?こんなところに呼び出して……」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「そう温まらないでくださいよぉ~。ちょっとした親切心じゃないですか」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「で、どうです?これから叩き潰す相手を間近で見た感想は」
五百機ジナ:「……最悪よ」
五百機ジナ:吐き捨てるように言う。
五百機ジナ:「どいつもこいつも欲望で肥え太った屑ばかり……自分が踏み締めてる地面が、誰かの苦痛の上に成り立っているとは考えもしない」
五百機ジナ:「或いは……見て見ぬ振りをしてるのか」
五百機ジナ:「信じられる?商業区の中には、他学区の貧困や紛争問題に支援金を出して賞賛されてる連中がごまんといるのよ」
五百機ジナ:「当然、ラス・ヴィダスから吸い上げた金でね。今まさに自分が苦しめてる相手からは目を逸らしたまま、無関係の他所に金を出すことで、自分を善人だと思い込もうとしてるのよ」
五百機ジナ:「ラス・ヴィダスの本質はあの毒沼と同じよ。何もかもを呑み込んで穢していく。奴らは、自分達だけはその穢れとは無縁と思いたいみたいだけど……」
五百機ジナ:「泥の中から生まれ、泥を啜って生まれたものが……美しくなんてある訳ないのに」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「蓮は泥より出でて泥に染まらず、か」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「だがそれを言うなら、今まさに唯一本物かもしれない泥中の蓮を手折ろうとしてるのは──」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「お前の方だろう?五百機ジナ」
五百機ジナ:「……覚悟の上よ」
五百機ジナ:「奴らに痛みを教えてやる。負うべき傷も負わずに生きてきた連中に、ようやく負債を返済させる」
五百機ジナ:「奪われたものを取り戻して、全てをあるべき場所に戻す」
五百機ジナ:「その正しさの前に立ち塞がるなら……」
五百機ジナ:「正しくないのは、そいつの方よ」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「ハハッ」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:憎悪を滾らせるジナの瞳を覗き込み、歯を見せて笑う。
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「やっぱりイカれてるよ、お前」
【Middle3】
GM:ではミドル3 情報収集シーンとなります。
GM:シーンPCはイオリさんです。
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を1D3+3(→ 4)増加(76 → 80)
析了トオル:析了トオルの侵蝕率を1D3+3(→ 5)増加(59 → 64)
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を1D3+3(→ 6)増加(68 → 74)
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を1D3+3(→ 6)増加(71 → 77)
GM:では情報収集していきましょう 項目はこちらになります。
情報項目
・情報項目:ラス・ヴィダス解放戦線② 《情報:ノヴァリス/FH/噂話》難易度7
・情報項目:爆破テロ復旧工事 《情報:ノヴァリス》難易度9
・情報項目:ロス・サングレスについて 《情報:ノヴァリス/裏社会》難易度9
・情報項目:研究データをサルベージする 《知識:レネゲイド》《情報:ノヴァリス/ウェブ》難易度10
析了トオル:ほほ~
宮星イオリ:なるほどね 解放戦線②行きたいな~
析了トオル:サルベージは私が行いましょう
三部つゆり:爆破テロあたりやるのがいいかな…?
宮星イオリ:でも先生が噂話使えるほうがよいか
宮星イオリ:そうでもないかも
胡緑蘭:いえ、私はコネ:協力者で何でも噂話で判定できるので
三部つゆり:つ、つよ……
胡緑蘭:好きなの選んで大丈夫です
析了トオル:すご
宮星イオリ:あっすごい
宮星イオリ:じゃあ解放戦線にいってきます
GM:なんてやつだ
宮星イオリ:情報FH カンパニー力とか込みで
宮星イオリ:4dx+3>=7 こうじゃ
DoubleCross : (4DX10+3>=7) → 10[1,3,9,10]+10[10]+8[8]+3 → 31 → 成功
析了トオル:すご
三部つゆり:爆破テロ復旧工事行きます。 学園通の友人起動、ラッキーメダルホワイト起動。カンパニー込みで
胡緑蘭:実は解放戦線なんじゃないの~?
析了トオル:研究データをサルベージする 《知識:レネゲイド》《情報:ノヴァリス/ウェブ》難易度10
三部つゆり:5dx+1+1+2>=9
DoubleCross : (5DX10+4>=9) → 8[1,6,7,7,8]+4 → 12 → 成功
GM:この……裏切りもんがあ!
析了トオル:素振りでいいな、いきます
宮星イオリ:そんな……
析了トオル:11dx+6
DoubleCross : (11DX10+6) → 10[1,3,3,5,5,6,7,8,9,9,10]+9[9]+6 → 25
三部つゆり:皆つよっ
GM:実は研究データなんじゃないの?
胡緑蘭:AIトオル
胡緑蘭:ロス・サングレスについて行きます コネ:協力者を使用して噂話で代替判定
析了トオル:ジンルイ...ホロボス...
胡緑蘭:8dx+8>=9
DoubleCross : (8DX10+8>=9) → 10[7,8,8,8,9,9,10,10]+8[5,8]+8 → 26 → 成功
GM:実はロス・サングレスなんじゃないの?
三部つゆり:皆……??
胡緑蘭:裏切り者たちの舞踏会
宮星イオリ:そうかも
GM:では全員成功!開示していきます
情報項目:ラス・ヴィダス解放戦線②
ラス・ヴィダスには大小様々なテロ組織が存在し、それぞれが分裂や合併を繰り返しながら活動している。
LVLFもそうしたテロ組織のひとつであるが、目立った活動を始めたのはここ数ヶ月以内のことであり、それ以前は数多ある弱小テロ組織に過ぎなかった。
これほどの高頻度で大規模な爆破テロを実行するには、高度に練られた複数の計画とそれを実行する練度の高い人材が必要だが、それ以上に単純にかなりの資金が不可欠であるはずだ。
LVLFが金銭や貴金属を奪ったり、身代金を要求するような活動をしたという報告は無い。恐らく、背後に大きなパトロンを得たのだろうと考えられる。
情報項目:爆破テロ復旧工事
LVLFによる爆破テロは商業区にその的を絞られており、広範囲に渡って様々な被害を出している。
だがいずれも商業区の施設だけあって工事の目途はすぐに立ち、多くの被害現場が既に修理・復旧を終えているようだ。
工事に関わった業者を調べてみると、2割ほどが総和重工とその関連企業、残りの8割がその他の企業であったが、
更に詳しく調査すると、残り8割の企業にもそれぞれ様々な形で総和重工傘下の資金が関係しており、巧妙に偽装してはいるが、実質的に全ての復旧工事に総和重工が関わっていることになる。
情報項目:ロス・サングレスについて
ロス・サングレスの幹部に接触、話を聞くことが出来た。
ロス・サングレスはスラムでの地上げや商業区での麻薬の流布によって利益を得ているが、いずれも自らの意志で始めたことではないという。
地上げは自分達の計画ではなく全て仲介人からの指示で行われ、麻薬の流通も通常の売買の利益に上乗せして、新規顧客を得るたびにボーナスが支払われるらしく、この新たなビジネスでロス・サングレスは莫大な利益を挙げているようだ。
幾重にもクッションを挟み、知られても決して外部への証拠にはなり得ない形で接触してきているが、恐らく背後にいるのは総和重工ではないか、と幹部は話す。
だが、余りにも都合が良く、また得体の知れないこのビジネスに、組織内でも不安の声が上がり、意見が対立しているようだ。
接触できた幹部もまた不安を覚える側らしく、更なる手掛かりを提示してきた。
“協会”の一社であるバクナワ・コーポレーションは、かねてから総和に不利な取引を押し付けられて搾取されており、総和の弱体化を狙って密かに情報を集めているらしい。
ロス・サングレスはバクナワと懇意であり、また総和さえ倒れれば商業区への本格進出も狙えると見て、慎重に今後の趨勢を伺っているようだ。
バクナワ・コーポレーションに接触することで、新たな情報が得られるかもしれない。
情報項目:研究データをサルベージする
メラスニエミの残したデータのサルベージが進行する。
データは膨大な量だが、その研究目的は明らかだ。
多数の堕天病罹患者に対するサンプリング、奇妙な実験、様々なアプローチ……
キュッリッキ・メラスニエミは、堕天病の治療法を研究していたようだ。
当初は医療と現代魔術のみを用いた治療を試行していたようだが、ある時期で壁に行き当たったことが見て取れる。
『堕天病は神秘を帯びた未知そのものであり、その謎は尋常の方法で解き明かすことは出来ない 立ち向かうには同じく神秘が必要になる』
このメモ以降は“遺産”など外部から特殊なレネゲイドを取り入れる形でのアプローチを行っており、次第に成果を上げ始めたようだ。
データが最近のものになると、研究は大詰めを迎え、いよいよ治療法が確立間近という雰囲気だが……その付近のデータは特に損傷が激しい。
望み薄かもしれないが、情報を求めるならば更なるサルベージ作業が必要だろう。
GM:星徒との戦いから一晩明かした朝。
GM:宮星イオリは、寒気と頬に当たる朝露の感触で目を覚ました。
GM:気付けば周囲は見覚えの無い場所であり、朝靄の中、芝生の上に君と同様の少女たちが倒れ伏している。
宮星イオリ:たえず痛みがやむことのない中で、疲弊しきった脳の回路が落ちるようにして、数日に一度、浅い眠りに沈む事がある。それが今だった。
宮星イオリ:「……っ、あ……」
宮星イオリ:芝生の上から、ゆっくりと身を捩り起こす。硬化した肉体の軋む音色も、頭上に白くひらめく星光も、いつも通りだった。
警備員:「アッ!何だ貴様らは~~っ!」
警備員:芝生に倒れる君達に気付き、警備の社会人がどやどやと近付いてくる。
宮星イオリ:朦朧として歩く内に、知らない場所に迷い込んだ?否定はしきれないけれど。
宮星イオリ:「っ……うるっさいな……」
警備員:「ここがズワイガニ食べ放題最高効率食べ方研究所の私有地と知ってのことか!?」
困惑する生徒:「えーっどこここ!?」「ヤダーッ!!」
警備員:「全員捕まえろーーッ!!」
GM:大量の警備員が押し寄せて、あっという間に君達は拘束されてしまう……!
宮星イオリ:ぬるい疲労感の中で、記憶が混濁している。何かが引っかかっているが、それを思い出すよりも先に騒音が思考を押し流していく。
宮星イオリ:最悪の目覚めだった。そうでない目覚めなんて、ここ数年の記憶にはないけれど。
GM:警備員に拘束された君達は、そのままヴァリエンテ警備保障の運営する留置所に送還されてしまった。
ヴァリエンテ生徒:「あんなところで何をしていた!?言え!」
ヴァリエンテ生徒:取り調べの生徒が、机を乱暴に殴りつける。
宮星イオリ:「……うっさ……」
宮星イオリ:「そんなに大事な研究所なら、監視カメラくらい仕掛けてあるんでしょ……」
宮星イオリ:「無駄なことしてないで、そっち調べたら」
宮星イオリ:「誰も何も覚えてないと思うよ」
ヴァリエンテ生徒:「貴様ァ~……何だその反抗的な態度は!」
ヴァリエンテ生徒:服から垣間見える君の肌を見て
ヴァリエンテ生徒:「堕天病か……大方スラムのクズが金目当てに忍び込もうとでもしたんだろう?」
宮星イオリ:(……例の夢遊病。私も、まんまとそれにかかったのか)
宮星イオリ:記憶の判然としないまま倒れ込んだ事は何度もあったが、目を覚ました時の周りの反応からして、その可能性が最も高い。
宮星イオリ:「……そう思うなら、これ以上続けても意味ないって思わない?」
宮星イオリ:「何も持ってない相手を搾り上げても、出てくるのは血くらいのもんでしょ」
宮星イオリ:心底どうでもよさそうに、そう告げる。白く濁った生気のない瞳が見える。
ヴァリエンテ生徒:「何だとォ……こいつ、生意気な……」
ヴァリエンテ生徒:「いいだろう!望み通り超地獄生存率0%囚人皆殺し刑務所に連行して────」
宮星シホ:「……イオリ!!」
宮星シホ:その時、取調室の扉が勢いよく開かれる。
宮星イオリ:(……力尽くで抜け出せば余計に騒ぎになるかと思ったけど)
宮星イオリ:(そうすればよかったな)
宮星イオリ:扉が開くよりも早く、そう考える。聞き慣れた足音がしたからだ。
ヴァリエンテ生徒:「なっ……主任!?」
宮星シホ:「取り調べご苦労様です。でも、この生徒は大丈夫だから」
宮星シホ:ぐい、と君の手を引く。
宮星シホ:「行くわよ、イオリ」
宮星イオリ:「……人違いでしょ」
宮星イオリ:「私、アンタの事なんて知らないけど」
宮星イオリ:ここは姉の職場だ。他の者の目がある。自分と縁のある事が知れ渡ったら、彼女の立場がどうなるか。
宮星イオリ:……別に、思いやったってじゃない。ただこれ以上貸しを作りたくなかったし、迷惑をかけたくもなかった。
宮星シホ:「……いいから!」
宮星シホ:君の思いを知ってか知らずか、シホは強引に君の手を引いて部屋を出る。
宮星イオリ:舌打ち一つ、その後を歩いていく。
宮星シホ:人通りの無い通路まで早足で歩いて、それから君に向き直る。
宮星シホ:「……イオリ……! あなた最近、一体何してるの!?」
宮星シホ:「あちこち嗅ぎ回ってるみたいだし……全然家にも帰って来ないし!」
宮星イオリ:「……何って……」
宮星イオリ:しばらく言葉に迷って、それから。「……あのさ。そういうお節介、ホントにもういらないから」
宮星イオリ:「ただ同じ人間から生まれたってだけで、そんなに構い合うことないでしょ。そっちだって忙しいくせに」
宮星シホ:「何言ってるのよ……!イオリ!お姉ちゃん怒るよ!」
宮星シホ:「薬は!?ちゃんと飲んでるの!?」
GM:君にとっては認めたくないことかもしれないが、君の病状が瀬戸際で踏み止まっているのは、投薬による部分が大きい。
GM:堕天病の薬は高額だ。その金を稼ぐために姉がどれほどの苦労をしてきたのか、想像に難くないだろう。
宮星イオリ:「……うる、さいな……」
宮星イオリ:「だったら……教えてあげるよ」
宮星イオリ:「私が……なんであんな場所にいたのか。何をしようとしていたのか」
宮星イオリ:「その、本当のこと」
宮星シホ:「……イオリ……?」
宮星シホ:当惑したように気勢を削がれる。
宮星イオリ:じっと、淀んだ眼差しが向けられている。
宮星イオリ:「あのね、"私にも分からない"。それが本当の答え」
宮星イオリ:「あれは私の意思じゃないの。いつの間にか、気がついたら、ああなってた……わかる?」
宮星イオリ:「堕天病の末期には、みんな脳を侵されて自分が自分でなくなる」
宮星イオリ:「そういうものに、私ももう、なりかけてる」
宮星イオリ:「……違うって言うならさ」
宮星イオリ:そっと顔を近づける。黒く硬化した頬が、マスクの陰から見える。
宮星イオリ:「証明できるの?眼の前にいるやつが、昔の自分が知ってる妹と同じものだって」
宮星イオリ:「あんなものに、深く永く蝕まれて、変わりなく同じ存在であり続けられるって」
宮星イオリ:「そんなこと、どうやってわかる?」
宮星シホ:「……ッ……」
宮星シホ:息を呑むのが分かる。
宮星シホ:「そんなこと……」
宮星イオリ:「……さっきの言葉。もう一度、言うよ」
宮星イオリ:……理性のない怪物と成り果てて、街を破壊し尽くしたキャロリン・スティーヴンズのことを思う。
宮星イオリ:……彼女の骸を抱いて崩れ落ちた、マリアのことを思う。
宮星イオリ:自分が生き続けた先にたどり着くものが、あれと同じなのであれば──だったら、せめて、こんな自分は。
宮星イオリ:「私は、」
宮星イオリ:「アンタのことなんて、知らない」
宮星イオリ:この慈しいひとの中に、毒となって残り続けていたくはない。
宮星イオリ:自分はあの男とは違う。
宮星イオリ:腐敗も、破壊も、因縁も、なにひとつ遺す事なく、泡のように消え去りたい。せめて、そう願っている。
宮星シホ:「……イオリ……!」
宮星シホ:立ち去ろうとする君の背に、立ち尽くしたまま呼びかける。
宮星シホ:「お姉ちゃんが嫌いなら、鬱陶しいなら、それでいい……!」
宮星シホ:「でも、もしあなたがまた、何か危ないことをしようとしてるなら……」
宮星シホ:「それだけは絶対にやめて……!」
宮星シホ:「自分より強いものに、大きな流れに歯向かおうなんて、考えないで……!」
宮星シホ:「綺麗じゃなくても……這い蹲って泥を被ってでも、生きていればそれでいい……」
宮星シホ:「それが普通なの!何も悪いことなんかじゃない!」
宮星イオリ:……聞こえていないふりをする。
宮星イオリ:生まれついて持った名が、自分のものではないかのように。
宮星イオリ:自分と彼女の間には、初めから繋がりなどないかのように。
宮星イオリ:かけられた言葉に、何一つ応える事はない。
宮星イオリ:細く白い星あかりだけが、その後ろ姿に尾を引いている。
宮星イオリ:やがてそれも、淀んだ裏路地の風景の中にかき消えた。
スラム スポーツバー “射程無限”
GM:スラム街のスポーツバー。スラムでも比較的治安のよい地区に居を構えるこの店では、主にノヴァリス・ファイトの観戦を楽しみながら軽食にありつくことが出来る。
GM:時期的には丁度マイナーリーグが開始したばかりであり、メジャーシーンへの切符を賭けて、モニターでは闘士たちが熾烈な戦いを繰り広げている。
GM:店内で当然のようにスポーツ賭博の金券が行き交っているのが、スラムらしさと言えるだろうか。
GM:また、時刻は昼下がりであり、メラスニエミの残したメモにあった時間も、もう間もなくに迫りつつあった。
生徒:「殺せーっ!」「腰が入ってないんだよ腰が!」
生徒:ガラの悪い生徒たちが観戦しながらヤジを飛ばしている。
析了トオル:「盛り上がってますね、流石ノヴァリス内でもトップクラスのコンテンツです」
析了トオル:先日から有事の為にパーツをフル装備していたが、スポーツバーの入り口につっかえたので一時的に取り外している。
胡緑蘭:「おっ、今のインターセプト良いねぇ」試合の様子に一喜一憂している。
三部つゆり:「わ。…やっぱりすごいよね。…死角からだと思ったのに、見えてたみたいだ」少し苦笑気味に。
宮星イオリ:「……あはは! 何よ、今のプレー。だっさいの」
宮星イオリ:空になりかかったグラスを片手に、妙にテンションが高くなっている。
析了トオル:(ううん、心から楽しんでいる、というよりは……)
析了トオル:ちう、とストローでジョッキのジュースを飲み込んで。
析了トオル:「しかし、マイナーリーグですらこの盛況具合。ルシアさん達は凄いところで戦ってるんですねぇ」
胡緑蘭:「イオリはスポーツ中継にまで辛口なんだね」
胡緑蘭:サングラスを押し上げて、イオリの顔を覗き込む
三部つゆり:「わ」テンションの高さに戸惑っていた所に先生の行動で左目を見開いている。
宮星イオリ:「ふふ、だって、あそこで仕留め損ねるとかあり得ないでしょ」
宮星イオリ:「スラムの野良犬の方がもうちょっと狩りが上手いよ」
百代マリア:「そんなことを言うものではないわよ、イオリ」でかいサングラスを掛けて応援している
百代マリア:「みんな頑張っているのに……」
宮星イオリ:グラスの残りを一気に煽って、けらけらと笑っている。気分はずっと最悪だ。自分の発した笑い声が自分の中に響いて、今にも頭が割れそうだった。
三部つゆり:「あれっ…」思った以上に大胆だなあと思ったが皆スルーしているのでこれくらい普通なのか…?と戸惑っている。
析了トオル:「ふふ、つゆりさんは初心ですね」
胡緑蘭:「ああいう場に立つと、意外と緊張して思ったように動けなかったりするもんだよ。もちろん、それを含めての練習だろうけど」
胡緑蘭:「まぁ、イオリが楽しめてるのなら別に良いさ」
胡緑蘭:「私はてっきり、何か嫌な事でもあったんじゃないかと思ってね。心配になっただけだよ」
百代マリア:「そうなの?イオリ……」
宮星イオリ:「はー……あはは、はっ。えほっ」しばらく、空回りのように笑ったあと、
宮星イオリ:「げほっ、ごほっ……お、っ」咽せるように頭を抱えこむ。
百代マリア:「イオリ……!?大丈夫……?」
百代マリア:心配そうに背中をさする
宮星イオリ:「……最悪に決まってんでしょ」顔を上げないまま。
宮星イオリ:「だからって、マリア。あれ、やったら蹴っ飛ばすし絶交するから……」
百代マリア:「絶交は嫌ね……」
百代マリア:「よしよし……」仕方なくそのまま撫でている
析了トオル:ちら、と時間を確認する。アドバイスの時は近い。
析了トオル:「では、落ち着いたところで……"こちら"のお話を始めましょうか」
析了トオル:「先日得た情報の追加調査。皆さん、上手く行きましたか?」
三部つゆり:「私は問題なかったけれど…」イオリさんを心配げに見つめている。
宮星イオリ:「……収穫はあったよ。2つ」
宮星イオリ:脇腹を押さえながら、ゆっくりと目線を上げる。
宮星イオリ:「まず、LVLF。ジナの所だけど」
宮星イオリ:「元々、危険は危険だけど、組織規模としては大した事なかったんでしょ」
百代マリア:「そうね……目立つようになったのは、少し前からかしら」
宮星イオリ:「大本が連盟の枝分けってことは、商業区の方で力を持ってるわけじゃないだろうし」
宮星イオリ:「それが、今になってこの活動規模でしょ。装備の質とかも上がってるらしいし、商業区の内側で派手にやりすぎだし」
宮星イオリ:「外からやってたらどれだけ賄賂が要るんだって話」
胡緑蘭:「急に羽振りが良くなった……ってことは」
宮星イオリ:「そしたら案の定、内側から支援を受けてるみたい。カネも情報もそこから流れ込んでるんでしょ……これが1つ目」
析了トオル:「ふぅむ、巨大なパトロンが存在している、という訳ですか」
三部つゆり:「情報も分析もかなり高レベルに必要になるのに、またどこが…」
百代マリア:「パトロンって……でも、一体誰がお金を出すの?」
百代マリア:「爆発大好きマン……とか……?」
宮星イオリ:「マリアの頭の中って平和なんだか物騒なんだかわかんないのよ」
析了トオル:「爆発大好きマン、居るところには居そうですが……」
三部つゆり:「ムセイオンとかなら実際にいてもおかしくないけど…ううん」
百代マリア:「それか……メサイアとかジェネシスの、商業区のライバル企業かしら?」
胡緑蘭:「ラス・ヴィダスの情勢が不安定になって特をする所ってなると、その線もなくはないかもね」
宮星イオリ:「それと報告、2つ目」
宮星イオリ:「昨夜、夢遊病で操られたから。私」
析了トオル:「!なんと……」
百代マリア:「えぇっ……」
三部つゆり:「い、一大事じゃないですか」
胡緑蘭:「そりゃ大変だ」
胡緑蘭:「怪我しなかった?身体に違和感は残ってないかい?」
宮星イオリ:「ナンセンスな質問。もうずっと違和感がなかった瞬間なんてないけど」
宮星イオリ:「とにかく、この後また操られるかもしれないわけで。そうなったら容赦なく始末していいから」
胡緑蘭:「なら、特別異常は無さそうだね」まったく悪びれる様子がない
宮星イオリ:「あるいはまあ、ここで置いていくとか危険だから縛っておくとかでもやりたきゃ好きにすればいいけど」
三部つゆり:「い、いやいやいや……も、もっとこう……」手を回している。
三部つゆり:「自分を大事にしましょうよ……!」
百代マリア:「つゆりの言う通りよ……大丈夫だったの、イオリ……?」
宮星イオリ:「自分を大事にした結果操られてアンタらを殺してたんじゃ世話ないでしょ」
三部つゆり:「それは問題ですけど…!でも、だからって……」
宮星イオリ:溜息。「……とりあえず今はいつも通りだよ。今はね」
析了トオル:「では、急いで事態を解決する方向で頑張りましょうか。なぁに、その時はその時です」
胡緑蘭:「そうそう。自我のないイオリ相手にやられる私達じゃないよ」
百代マリア:「そういう問題じゃないわ、先生……」
宮星イオリ:「うざ。敵になったらアンタのこと一番に狙ってやるから」
宮星イオリ:そういう軽口が言える程度には持ち直している。
析了トオル:「……ううん、私は兎も角……緑蘭先生が言う分には説得力ありますね」
三部つゆり:「そ、そういう問題でもなくてぇ……」微妙に涙目になっている。「いや事実として私達がやれることはそういう事しかないのかもだけど…」
三部つゆり:額を痛そうに抑える。
析了トオル:「はい。やるべきことからやるのです」
胡緑蘭:「ええ……?イオリはとっても頭を使って戦う子だから、操られてしまったらその強みが出せなくなっちゃうっていう……褒めたつもりだったんだけどな」釈然としない顔
百代マリア:「それなら最初からそう言えばいいと思います」
宮星イオリ:「……とにかく、こっちの話は終わり」苛立たしげにグラスを下げて。
宮星イオリ:「他の奴の成果は? まさか何もなし?」
三部つゆり:「…ふう。宮星さんの最初のやつに関わってそうなことが分かったから、私からいいですか?」
胡緑蘭:「遠慮せずどうぞ、つゆり」
三部つゆり:「はい。では…私の件は、ラス・ヴィダス解放戦線がやったテロの復旧工事のことだけど」
三部つゆり:「まず、テロ自体は商業区に対象が絞られてるから、工事の目途はすぐ立って、殆どの被害現場が復旧してるみたい」
三部つゆり:「そして…その工事に関わった業者は、2割が協会トップの総和重工とその関連、残りは他の企業ってよくある塩梅なんだけど」
百代マリア:「順調なのね。よかったわ」
三部つゆり:「ええ。そのこと自体は良かったんですが…もう少し深く潜ると、少し様子が違いまして」
三部つゆり:「工事の残り8割も、色々な形で総和重工の資金が関わってる。つまり、全部の工事に総和重工が関わっているみたいなんだ」
三部つゆり:「もちろん、色んな形式や偽装はしてるみたいなんだけどね」
胡緑蘭:「ふむ、それはどうにもきな臭いねえ」
析了トオル:「わお、分かり易くあくどいことを考えている雰囲気です」
百代マリア:「それって……?つまり……??」
宮星イオリ:「総和の奴らにしてみれば、テロが起きてモノが壊れた分だけ自分らの仕事が入り込んでくる……って話でいいの?」
三部つゆり:「今のところ、そうなんだけど。わざわざ色んな偽装とかまでして、こうする必要が何なのか…は分からない、って感じ」
三部つゆり:「単純な金儲け…なら、分かり易いんだけど…」
胡緑蘭:「そうだねえ、単に仕事を囲い込むためだけの裏工作だとすると、少し大げさに見えるね」
胡緑蘭:「では、少し見方を変えて見ようか」
胡緑蘭:「私の方でも色々聞き込みしてみたんだ。以前言っていたロス・サングレスの子ともお話できたよ」
析了トオル:「おお……危険な交渉だったでしょうに」
百代マリア:頷いている。常に付き添っている
胡緑蘭:「いやいや、素直ないい子だったよ。最初は警戒されたけど、少し遊んであげたら大人しく話してくれたからね」
百代マリア:「……」何か言いたげな目
三部つゆり:「絶対何かあった気配を感じる……」
析了トオル:(あっ……)
宮星イオリ:「そりゃこんな男が声かけてきたら防衛反応が働くでしょ。普通」"遊んであげた"の所で一通りの暴力の応酬があったのだろうと決めつけている。
胡緑蘭:「それでね、彼女達の話だと」マリアの視線を気にするそぶりもなく。
胡緑蘭:「今やってるスラムの地上げと商業区への麻薬販売、どっちも仕掛け人は別にいるらしい」
胡緑蘭:「言ってみれば彼女達も下請けのような立場なのかな、仲介人から降りてくる計画通りに事業を展開してるってのが実情だ」
胡緑蘭:「で、はっきり分かってるわけじゃないんだけど、この仲介人の先にいるクライアントっていうのが」
胡緑蘭:「総和重工なんじゃないかって、彼女達は見てるらしいね」
析了トオル:「ここでも総和、ですか……」
三部つゆり:「…再開発計画の高速進行の為だって言っても、汚れ仕事なのは事実だから、”委託”をしようとすること自体は分かるけども…」ここまで重なると。
胡緑蘭:「このままこの仕事を続けるかは、彼女達の中でも意見が割れてるらしくてね」
胡緑蘭:「総和と対立してる、バクナワっていう会社?ここも協会の一員って聞いたけど」
胡緑蘭:「そこならもっと詳しいことを掴んでるかもって話だ。次はそこに接触してみようかな」
三部つゆり:「…ああ、総和に対して、取引条件とかで色々不満があるって聞いたことがありますね」>バクナワ社
析了トオル:「どう見ても総和一強状態ですものねぇ、鬱憤も溜まって居そうです」
宮星イオリ:「……強引な地上げで土地がなくなれば、行き場のなくなった連中が追い詰められて滅茶苦茶をやる」
宮星イオリ:「大規模な麻薬の流通は、商業区の金持ちどもの脳味噌を溶かしていく」
宮星イオリ:「この二つに共通の目的があるとしたら、学区の治安の悪化させていく事じゃないの。これまでの流れ的にも……」
百代マリア:「でも……どうして総和がそんなことをする必要があるのかしら?」
三部つゆり:「今の状態で独り勝ちなんだから、このままの方が都合がいいはず…会社全体としては」
析了トオル:「…………」
析了トオル:「解放戦線のパトロンが総和と仮定した場合、目的の学区の崩壊がぴたりと繋がるのですけれど」
宮星イオリ:「マリアは会ったことはないの?社長だか会長だか知らないけど、その」
宮星イオリ:「総和の舵を取ってを動かしてるヤツに」
百代マリア:「ええ? いいえ、無いわ……」かぶりを振る「赫花連盟の長と言っても……と言うより、だからこそ、商業区とは殆ど関わりは……」
胡緑蘭:「なら、思い切ってそっちに会いに行ってみるのもアリかもねえ」
宮星イオリ:「……もう面倒になってきたな。直接、襲って吐かせてやりたい」考えることが苦痛になってきたらしい。
三部つゆり:「大分考えがアクティブ寄りになってません……?そもそもアポイントだって取れるかどうか」その反応を見る、というのはありかもしれないけれど。
GM:その時、アラームが鳴る。トオルが気にしていた、メラスニエミの残した時刻が迫っている。
析了トオル:「……っと」
析了トオル:「では、最後は私ですね。データのサルベージが進みましたので、ご連絡を」
宮星イオリ:「ああ……例のPCの」
析了トオル:「私の友人……キュッリッキ・メラスニエミは、様々なアプローチでの堕天病の研究を行っていたようです」
析了トオル:「ふふ、考えることはやはり似ますね」
析了トオル:「医療と現代魔術を用いた治療の施行。ですが、あるタイミングで壁に当たった」
宮星イオリ:「そう」どうでもいいという様な反応。研究対象になる事自体は全然、珍しくもない話だ。
析了トオル:「『堕天病は神秘を帯びた未知そのものであり、その謎は尋常の方法で解き明かすことは出来ない 立ち向かうには同じく神秘が必要になる』」
析了トオル:「とのことです。これに関しても……私と同じ結論ですね」
宮星イオリ:イオリ自身も初めの頃は、その手の情報を血眼になって探し回っていた。間もなく期待することもしなくなったけれど。
析了トオル:「十字冠を破壊する兵器なのですから、これは先代マスターポルートの持つ"未知"のイースターエッグに関するもの」
胡緑蘭:「"十字冠を破壊する兵器"は、ノヴァリスを形作る神秘によって成立している。十字冠の戒則に干渉するにはそれ以外の方法はない……ってやつだね」
析了トオル:「はい。流石先生、事情通です」
胡緑蘭:「私は先生だからね。まったくの予備知識無しでその結論に至ったのなら本当にすごいことだよ」
三部つゆり:「な……なるほど…?」イースターエッグとか十字冠を破壊する兵器ってそう言うものだったの…という驚きが張り付いている。
析了トオル:「さて、話を戻しましょう……彼女は以降、遺産などで外部からレネゲイドを取り込ませる形のアプローチに変更し」
析了トオル:「確かに、成果を上げ始めていたようです。直近のデータを見るに治療法も確立間近だった様子」
析了トオル:「私のところに来た時もテンション高かったですし、本当にあと一歩のところだったのでしょうが」
宮星イオリ:「そりゃ惜しかったわね」まるで信じていない態度。
宮星イオリ:聞き慣れた文句だった。堕天病の治療の可能性があるなどと可能性だけでも匂わせれば、どんなにいい加減なカルトアイテムにも大枚を叩く者が現れる。
宮星イオリ:そういう腐った商売をまた、何度となく目にしてきた。
三部つゆり:ぽかんとした顔で聞いている。まさか本当に?という疑いと驚きが半分ずつ。
析了トオル:「いやはや、それ以降のデータ、損傷が激しくて」
百代マリア:「ほ、本当に……?すごいわね……」
析了トオル:「しかし……彼女もここまで同じことを考え、更に一歩先を進んでいるとは、本当に……本当に、優秀ですよ、リッキーさんは」
析了トオル:「かくいう私も、彼女の救出&堕天病の解決策を求めて直接乗り込んだところはあるのですが」
三部つゆり:「また大分すごい事言ってるなこの人……」
百代マリア:「そうだったの……?」
宮星イオリ:この析了トオルが悪辣なペテン師だと断じているのかといえば、そうではないが。ただ、宮星イオリは、とうに期待することをやめている。誰に対しても。
析了トオル:「はい、未知のイースターエッグから出来た病であれば、他のイースターエッグから抽出できたものを使えば、何かしらの一手を生み出すことが出来ないかと考え……」
析了トオル:「手法は焼却されていたので、完全には抽出できませんでしたが……持てるものは持ってきたつもりです」
析了トオル:「まあ、取り越し苦労かもしれませんが。使うかどうかはこの先のデータを閲覧した後に……」
胡緑蘭:「キュリッキの研究を引き継いで、トオルの研究も完成に近づいたってわけだね」
三部つゆり:「他のイースターエッグもなんかそういうのあるんだ……とか気になる所が多過ぎるけど、ともあれ。まずは、さらなるデータの修復をしてみる…ってコトでいいのかな」
三部つゆり:「そうすると、本当なんでそこまで行ってたのに爆弾で吹っ飛ばしたんだろう…」
析了トオル:「そこ、そこです」
宮星イオリ:「……なんか、マリアみたいね」
析了トオル:「何故、彼女がそうしたのか。まだ見えてきません」
宮星イオリ:「わざわざ関係ない学区からこんな掃き溜めに出しゃばって来るところが」
百代マリア:「えぇっ」
百代マリア:「…………」
析了トオル:「あら、私は彼女ほどいい人ではありませんよ」
百代マリア:「ありがとう…………?」褒められているのかしばらく悩んで
宮星イオリ:「あと妙に図太い感じも似てる」
百代マリア:「あっ……褒められてなかった」
析了トオル:「だって、気になるじゃないですか。まだ解明されていないものが其処にはある」
析了トオル:「しかも、それが態々"未知"を名乗っていると来ました!」
析了トオル:「であれば、解体し尽くすのが我々だという事です、つまり───」
析了トオル:「───単純な興味、ですよ」ぱんと手を合わせ、にっこりとした顔で笑う。
析了トオル:「無論、約束もしましたし、前回の心残りもありますが。根本はそれです」
胡緑蘭:「うん、素晴らしいね」
胡緑蘭:「誰かが傷つくのを見たくないと思う優しさも、知らないことを知りたいと思う好奇心も」
胡緑蘭:「こんな小さな学区という壁で区切られちゃうのは勿体ない。ノヴァリスは広くて、外の世界はもっと広いんだからね」
胡緑蘭:「イオリの代わりに先生が褒めてあげよう。ふたりともえらいぞ~」
析了トオル:「好きなことやって褒められるのはやはり……健康にいいですね、ふふ」
百代マリア:「別に……褒められるようなことはしていないのだけれど……」
宮星イオリ:「……」サングラスの奥の目をじっと見る。「そう言うアンタは何なの?」
宮星イオリ:「マリアに呼ばれたから来たってのは聞いたけど」
胡緑蘭:「そうだけど、それじゃ足りないかい?」
宮星イオリ:「なんでノヴァリスの先生なんかやってるのかって思っただけ」
百代マリア:「あ……それはわたくしも気になっていたわ」
胡緑蘭:「なんでか……そう聞かれるとどう答えたものかなあ」珍しく困った風に
三部つゆり:「あ…、そうですね。確かに」少し褒められた二人を羨まし気に見ていた。
胡緑蘭:「成り行きで、と言うのが一番しっくり来るんだけど」
析了トオル:「知らないことを聞けるチャンス!さあ、答えてください先生……!」
三部つゆり:「成り行きだって、そこに至るまでがあると思うのですけど…あ、無理に聞こうというわけじゃなくて」
胡緑蘭:「そうだなぁ、本当に経緯だけをかいつまんで話すと」
胡緑蘭:「アリト先生っているでしょ?ノヴァリスに最初に赴任した先生」
胡緑蘭:「あの人がまだ前職の時に、ちょっとした知り合いになって」
三部つゆり:「ええ、はい。雨月夜会長が呼んだ、とか言われてらっしゃる…前職」
胡緑蘭:「その縁で誘われたんだよね」
胡緑蘭:「『たぶん向いてると思います』って」
三部つゆり:「……ええと、それだけで?」大分隔絶している秘境的な位置だと思うのだが。左目を丸くする。
胡緑蘭:「うん、それだけ」
百代マリア:「そうだったのね」納得している
析了トオル:「ふ、ふふふ……たぶん向いてる、ですか。あの様々な渦中の人物に」堪えられず噴き出しながら。
三部つゆり:「………ええ~~……」びっくりしすぎて口が空いている。
宮星イオリ:「……何それ」
胡緑蘭:「なんか話を聞くと突然プロレスやらされたり、アクション俳優みたいな仕事することもあるって言ってて」
胡緑蘭:「なんか疲れてたなあの時のアリト先生……まあとにかく、その辺を指して向いてるって言ったのかもね?」
胡緑蘭:「おや、イオリは不満だったかい?」
宮星イオリ:「別に……」
宮星イオリ:「見た目通り軽いノリで生きてるんだな、って思っただけ」
百代マリア:「先生は旅をしてきたのだものね」
百代マリア:「それくらい腰が軽くなければ、色々なところに行くことは出来ないんだろうなって思ったわ」
胡緑蘭:「そうそう、フットワークが軽いのが取り柄なんだよ。私は」
析了トオル:「……だからこそ、でしょうね。或いは今の星室庁の中で、誰よりも外を知っている。その知見と経験」
析了トオル:「腕っぷしは……語るまでも無い、ですか」
胡緑蘭:「いやいや、私が見てきたのなんて世界のほんの一部だよ。見識じゃ他の先生方にはまるで及ばないさ」
胡緑蘭:「それに、ほら」
胡緑蘭:「大人が子どもと接するのに、あんまり深刻な顔されても困らないかい?」
胡緑蘭:「別に軽いノリでも良いと思うなあ。だって、どんな些細なきっかけでも」
胡緑蘭:「一度向き合ったら、お互い真剣になるのが生徒と先生というものだよ」
百代マリア:「先生……」
百代マリア:「そんな深い考えがあっての軽薄さだったのですね……」
百代マリア:「そうとは知らず……今まで大変な失礼を……」
宮星イオリ:「マリアは真剣になりすぎ」
胡緑蘭:「良いよマリア。分かってくれれば」にっこり
析了トオル:(……突っ込むのは野暮ですね)
三部つゆり:「…実際、私とかでも簡単に話せてるのは事実なので、気質だとしても確かな強みですよね」
宮星イオリ:「まあ……変に取り繕ったこと言うよりは、こういうのの方が納得できるけど」
胡緑蘭:「これからは、手を出す前に一度、軽薄な行動の裏に秘めた私の真意を汲んでくれると嬉しいな」どこまで本気か読めない笑みで宣う。
胡緑蘭:「うんうん」ひとしきり頷いて
胡緑蘭:「と、そう言えばトオル」
胡緑蘭:「さっきのアラームってなんだったんだい?目覚ましには半端な時間だけど」
析了トオル:(8,9,10,11,12───13)
析了トオル:「ああ、その件については───たった今、やるべきことを終えました」
析了トオル:会話を続けながら行っていたセキュリティ開放を終え、にっこりと笑いながら。
析了トオル:「先のアドバイスのひとつです。今日の14時05分13秒に、とあるポートセキュリティを開放すること」
析了トオル:「結果、何が起こるか。これから皆さんでゆっくり見学といきましょう」
GM:と、トオルのPCのモニタにノイズが走り、スピーカーから電子音が聞こえてくる。
析了トオル:「早速ですね」ホログラムを皆の見える位置に移動させて。
宮星イオリ:「……何?」訝しげな視線。
トオルのPC:『……は……』
トオルのPC:『話は全て聞かせて貰った……』
トオルのPC:『待っていたぞ……このような瞬間を……!』
トオルのPC:興奮したような声。音質が悪く、ノイズがひどい。
析了トオル:「通信……ではないですね、録音でしょうか」
三部つゆり:「誰の声…?と、ともかく」こちらの携帯を録音で起動する。
胡緑蘭:「トオルのPCが元々喋れるわけじゃないのかい?なんか最近流行ってるよねそういうの」
トオルのPC:『違う……通信でも録音でもない……』
トオルのPC:『私は今まさにここにいるのだ……!』
胡緑蘭:「ほら」
トオルのPC:『君が招き寄せたのではないのか……?ポートを開放して……』
析了トオル:「いえ、私のPCにそんな機能は……」
析了トオル:「ははぁ、成程……そういうことでしたか」
析了トオル:「確かに、私が開放しました。ということは……電子生命体の御方ですか?」
トオルのPC:『電子生命体……そうだな……今となってはその呼び方が正しいだろう……』
トオルのPC:『私はかつて……ある企業の社長を務めていた“社会人”だ』
トオルのPC:『オズメ興行の名に聞き覚えはあるだろうか……?』
析了トオル:皆の顔を伺う。
GM:オズメ興行。かつては“協会”に名を連ねた芸能プロダクションだが、数か月前に倒産している。
百代マリア:「あれよね……“★-NDD”の……」
胡緑蘭:その頃はノヴァリスに来ていなかったので全然知らないという顔
三部つゆり:「ええと、メジャーのノヴァリス・ファイトにも闘士チームを送ってたプロダクションで…でももう数か月も前に倒産してたはず」
宮星イオリ:「……どっかで聞いたことはある気がするけど」
析了トオル:「ふむ……その社長さんであった方が、どうしてこんなことに」
宮星イオリ:「なんでその社会人がこんな所で他人様のPCに忍び込んで盗み聞きなんてしてたわけ」
トオルのPC:『うむ……よくぞ聞いてくれた……』
トオルのPC:『私は……殺されたのだ! 社内に潜り込んだ裏切り者の手によって……!』
宮星イオリ:「……殺されたらこうなるもんなの?社会人って」
三部つゆり:「それだけ聞くと、よくある企業抗争というかそういう感じですけど……」
宮星イオリ:まだ全然信用していなさそうな顔。
析了トオル:「造反ですか、会社であればままある事のように聞こえますが、殺すとなると物騒ですね」
胡緑蘭:「なら今喋ってる君は幽霊というわけだ。社会人でもなるんだねえ幽霊」
析了トオル:「人格データだけ残したのでしょう。折角なら私のところに取り憑きでもしますか?」
トオルのPC:『その通りだ……当時“プロデューサー”を名乗っていたその裏切り者の手によって殺害された私は、咄嗟に自分の人工知能の一部をネットワークに隔離し、何とか生き延び……』
トオルのPC:『奴の情報を集めながら……復讐の機を伺っていたのだ』
トオルのPC:『恐るべき秘密を幾つも握りながら……誰ともコンタクトを取れずにいたのだが』
トオルのPC:『こうして……何故かピンポイントに狙いすましたようなタイミングで……開放されたセキュリティの目に飛び込むことが出来たのだ!』
トオルのPC:『一体なぜ……このようなことが出来たのだ……?』
胡緑蘭:「偶然って怖いねえ」
三部つゆり:「……なんというか、ピンポイントに滅茶苦茶役に立ちまくりで怖くなってきました」
析了トオル:「ふふ……それは秘密という事で。一先ずは、私達は貴方に害意はありません」
宮星イオリ:「その復讐相手ってのはどんなヤツよ」
トオルのPC:『おお……そうだ!そのことを伝えなければ!』
宮星イオリ:「まあ私らにとってどうでもいいヤツだったら無視するけど」
宮星イオリ:抗議するように頭上の星がチカチカと光る。仮にどうでもいい相手だったとしても無視はできなさそう。
トオルのPC:『“プロデューサー”……奴の正体は……』
トオルのPC:『……ノドスチルドレンだ! 名前はソル・ジファン……!』
三部つゆり:「……ノドス?」
宮星イオリ:「三部から聞いたのとは違う名前ね」
胡緑蘭:「ノドスの生徒は社会人の駆体をハッキングできるんだったか。ソルって名前に聞き覚えのある子はいる?」
三部つゆり:「う、うん…何処だろう。韓国系かな…?」
析了トオル:「ふむ……その名前には聞き覚えは無いですが」
トオルのPC:『そうだ、コードネームは“イモータルコイル”を名乗っている……』
析了トオル:「…………ほう!」
析了トオル:「ええ、ええ!そちらには聞き覚えはありますとも!」
三部つゆり:「それって」
トオルのPC:「奴は私の会社を潰し、それを手土産に総和重工へと潜り込んだ……」
トオルのPC:「そして社内でイースターエッグ捜索キャンペーンを立ち上げ…… くっ……見ているしか出来なかったのが口惜しかったが……」
トオルのPC:『だがその目論見は無事に阻止されたらしい!ざまあみろだ!』
析了トオル:「……そこからは私の知る内ですね、そういう流れでしたか」
三部つゆり:「あ…あの規模の企画を出せるところまで…」
トオルのPC:『いや……!問題なのはここからなのだ……!』
トオルのPC:『正体を掴まれそうになった奴は、それまでの機体を捨て……』
トオルのPC:『新たに総和重工の社長、デリア・ヴァルタースキルヒェンに成り代わったのだ!』
トオルのPC:『今の彼女は、精巧に作られた義体に過ぎない……!』
析了トオル:「社長に……とは、大胆な手に出ましたね」
宮星イオリ:「……能力次第じゃ不可能ではないだろうけど」
三部つゆり:「な……成代わって…?え、でも生徒の……」混乱している。
宮星イオリ:「要するに、今の総和はノドスの言いなりで動いてるわけだ」
析了トオル:「はい、生徒に成りすますのは尋常の手段では不可能ですが……」
トオルのPC:『その通りだ!恐るべき事実としか言いようがない……!』
宮星イオリ:「そうしたら、さっきまでの話にも筋は通る……けど」
析了トオル:「……まあ、妙な納得感があります。あれならやるでしょうね」
宮星イオリ:「……鵜呑みにしていいの?これ」
三部つゆり:「それは……確かに。でも、もし本当だったら……」その手間の時間があまりにも貴重なものとならないか不安だった。
トオルのPC:『頼む!このような千載一遇のチャンスは二度と無いだろう!』
トオルのPC:『私の知っていることは全て話した!他にも疑問があれば何でも答えよう!』
トオルのPC:『だから頼む!あの憎いクソガキに何としてでも復讐を……!』
胡緑蘭:「PCくんがどの程度信用できるかはともかくとして、総和の不可解な動きの辻褄は合うね」
宮星イオリ:「うるっさい。声落とせ……」
ウィルスバスター:『違法なソフトウェアを検出しました。削除しています……』
トオルのPC:『アッ!!』
析了トオル:「あっ」
宮星イオリ:「仮にその話が真実で総和に盗聴されてたら一発でスクラップ……あっ」
三部つゆり:「……、っ」復讐という言葉にどこか身を竦ませる。確かに筋は通る上に、もしも彼がそうなのだとしたら--
析了トオル:「な、なんとか止めます!それまで生き残ってください……!」
トオルのPC:『ゴボボボ……バカな!ゴボーッ!!』
トオルのPC:『た……頼む……』
トオルのPC:『復讐を……』
トオルのPC:『ギャァアーーーッ!!』
ウィルスバスター:『削除が完了しました』
宮星イオリ:「裏取る前に勝手に消えやがったんだけど」
三部つゆり:「………ど、どうしよう」
百代マリア:「し……死んじゃったの……?」
析了トオル:「ああっ……新しい肉体を与えて便利な電子妖精枠にしようと思ったのに……」
析了トオル:「まあ、データなのでこちらも後でサルベージしておけばなんとかなるでしょう」あっけらかんとした顔。
胡緑蘭:「まぁ、彼も現役の時は色々あくどいことやってきたんだろうし、因果は巡るというやつかもね」
三部つゆり:「だ……大丈夫ならいいんですけど……」
宮星イオリ:「……で、どうするの?」
宮星イオリ:「こんな荒唐無稽な話、いくら反総和の……バクナワだっけ? そいつらにしても信じてくれるかどうか」
析了トオル:「一理ありますね。私は真実だと思って動きますが、外部の方には……」
宮星イオリ:「いっそどっかの式典にでも総和の社長が出てくるなら、そこを襲って中身を暴いてやれればいいのか」
三部つゆり:「あ、うん……そうだね。そう、なると……」少し考えこむ。「取れる行動は、データ復旧、バクナワへの接触、さっきの社長さんの情報の裏取り、信じて総和へのアクションを掛ける」
三部つゆり:「大体こんなもの…かな?他にもあるかもだけど…」
GM:つゆりさんはこの辺りで、大小様々な事件が起こっているのに機神が自ら姿を見せたのは銀行の一件だけであることに気付いていいかもしれません。
析了トオル:「私は引き続き、残ったデータのサルベージを行うつもりです。難しい作業になりそうですが、あと一息やり切りましょう」
胡緑蘭:「つゆりの方針に賛成かな。一つ一つやるべきことを見失わないのはつゆりの良いところだね」
三部つゆり:「あ、後……あ」そこで思考を整理するうちに気付く。「機神が直接姿を出したのは…中央銀行の時だけ、だね。そこも調べられる…かな?」
三部つゆり:「あ、はいっ、ありがとうございます」ぺこっと頭を下げる。
析了トオル:「態々他には出る必要が無かったと見るか、それとも其処に行く必要があったか」
析了トオル:「どちらにせよ、これは気になる箇所ですね」
宮星イオリ:「稼働リソースの問題とかもあるんじゃないの。知らないけど」
宮星イオリ:「……しかし、事実ならとんだ笑い草ね。わざわざ数字に数字を重ねて総和のトップなんて所まで登り詰めたのに」
宮星イオリ:「こんなくだらない手で全部奪われてんだから」
胡緑蘭:「でも外の世界でも意外とあるよ、そういうの。権力者の人が変わって始まる戦争なんかもね」
析了トオル:「……味方が出来たらその顔をよく覚えておくこと、か」
析了トオル:「彼女からのアドバイスのうち一つです。私達にも為り変わられる可能性があるのは充分に留意しましょう」
三部つゆり:「…確かに気を付けないと、ですね。…とすると、成り代わられた元の本人はどこにいるんだろう。入れ替わりを暴露されたら困るし、どこかにいるはずだけど…」
胡緑蘭:「喋れる状態であるのなら、そっちを探してもいいけどね」
胡緑蘭:「でも彼、話を聞く限りその辺は抜け目無さそうだからなあ」
宮星イオリ:「推定、ノドスは"マスターポルート"の能力を使えるんでしょ。なら」
三部つゆり:「……そう、ですね。あの力があるなら…」堕天者にだってできていておかしくない。そしてそうなって居たら、話など聞けない。
宮星イオリ:「……やめた。考えるだけ気分悪いわ」
三部つゆり:「……うん。ともあれ、此処からどう動くかは見えてきたと思う。皆さん、宜しくお願いしますね」
析了トオル:「真相まではもう一息の気配はします、ガンガン攻めかかりましょう。できるだけ……急いだ方が良いですからね」空から星が、落ちてくる前に。
GM:真相に迫り、また新たな真相を掴み、歩みを進める一同。
GM:記念セレモニーの開催は、あと数日まで迫っていた。
GM:シーン終了。
GM:ロイス・購入可能です。
胡緑蘭:ロイス保留。もう一回高級治療キット買っておこう
宮星イオリ:析了トオル:◯有為/不信 で取得します。
胡緑蘭:8dx+1>=9
DoubleCross : (8DX10+1>=9) → 9[2,3,3,5,7,9,9,9]+1 → 10 → 成功
三部つゆり:ここはトオルさんにとろ 析了トオル 〇尊敬/嫌気 で。 ちょっと怖い時あるよね…のやつ
胡緑蘭:買えた!そのまま持ちます
析了トオル:宮星イオリ ●尽力/素直ではない
三部つゆり:何か欲しいのあったりします? 医療トランクとかそういうの欲しければ無形で買えます
析了トオル:照準器ふたつめをとりあえず自前で取りに行こう!
析了トオル:4dx+2>=15
DoubleCross : (4DX10+2>=15) → 9[1,4,8,9]+2 → 11 → 失敗
析了トオル:うーん、2増やせるけど、財産も全部使うか
析了トオル:ここは無しでいきましょう
宮星イオリ:3dx>=20 ブルゲチャレンジしとこ
DoubleCross : (3DX10>=20) → 10[3,7,10]+2[2] → 12 → 失敗
宮星イオリ:無駄にがんばった おわり
三部つゆり:照準器がいいかな?
三部つゆり:ラッキーメダルホワイト起動。購入してみます。
三部つゆり:2dx+5+1>=15
DoubleCross : (2DX10+6>=15) → 5[4,5]+6 → 11 → 失敗
三部つゆり:む……ダメか。ごめんなさい!以上です。
【MasterScene】
宮星シホ:「分倍河原さん……こちらを」
GM:総和重工本社ビル、社長室前通路。シホが取り出した包みを見て、重役はぴくりと反応した。
宮星シホ:「ショコラショコランの限定ずんだケーキセットです。お好きでしたよね」
総和重工重役:「いやぁ……いつも悪いね」
総和重工重役:厭らしい笑みを浮かべる女。受け渡されたその包みは、本来のものより不自然な膨らみがあった。
宮星シホ:「いえいえ……この程度、私と分倍河原さんの仲じゃないですか」
宮星シホ:「それより……ライブ会場の件、どうなりそうですか?」
総和重工重役:「ああ……あれね、うん」
総和重工重役:「勿論……警備は君のところに回させて貰おうと考えてるよ。ヴァリエンテの警備は……うん、信用できるからね」
宮星シホ:「……ありがとうございます!」
総和重工重役:深々と頭を下げるシホに、女は苦笑する。
総和重工重役:「いやいや……大袈裟ですよ、この程度……。では私はこれで……」
宮星シホ:「はい!また宜しくお願いします!」
GM:女が去っていくまで頭を下げ続けていたシホが、しばらくしてから面を上げると──
GM:そこには、また別の少女が立っていた。
五百機ジナ:「……恥ずかしくないんですか?」
五百機ジナ:よく仕立てられた、ドレス姿の少女。汚いものを見る目をシホに向けている。
宮星シホ:「……あなたは……」
宮星シホ:(確かこの前のパーティーで見たような……いや、この顔……どこかで……)
五百機ジナ:「恥も外聞もなく“協会”の権威と金に縋り、必死にそのおこぼれに預かろうとする……まるで腐肉に集る害虫ね」
五百機ジナ:「とても宮星イオリの姉とは思えません」
宮星シホ:「……! あなた、妹を……いえ、私を知って……?」
五百機ジナ:不機嫌そうに息を吐いて、シホを睨む。
五百機ジナ:「あなたの妹は……本物の英雄です。ラス・ヴィダスを解放する為にその命を懸けた」
五百機ジナ:「歪んだ現状を良しとせずに、自ら傷付き戦った」
五百機ジナ:「その姉として……今の自分を見て、何とも思わないんですか?」
宮星シホ:「……」
宮星シホ:見知らぬ少女に向き直る。
宮星シホ:「……では、私にどうしろと?」
宮星シホ:「一人で“協会”に立ち向かいでもしろと? 彼らの築き上げたこの街の構造は、揺るぎようのない確かなものです」
宮星シホ:「もしも今、総和重工が無くなったとしても……“協会”の権威は何も変わらない。首も手足も、いくらでも挿げ替えられる」
宮星シホ:「仮に真正面から“協会”に抗ったとして……手に取るのが剣であろうと、ペンであろうと……結果は同じ」
宮星シホ:「ある朝、不意に私の家がもぬけの空になり……争った形跡や飛び散った血痕がまざまざと残されていたとしても……」
宮星シホ:「近所の人間も、ヴァリエンテも、誰もそれに触れようとはしない」
宮星シホ:「消えた生徒の行方を知る者はなく……それでおしまい」
宮星シホ:「商業区で生きていくというのは、『こういうこと』なんです」
五百機ジナ:「奴らと同じに染まって生きるなら、死んだ方がマシよ」
宮星シホ:「暴力で現状を変えようとするよりは、余程賢いやり方です」
宮星シホ:「あなたのようにね」
GM:二人の視線がぶつかり合って、空気が張り詰める。
五百機ジナ:「……それが分かっていて」
五百機ジナ:「今、総和の招待客である私を捕まえることも出来ない」
五百機ジナ:「それこそがあなたの矛盾であり、その醜い生き方の限界よ」
宮星シホ:「……」
GM:その時、社長室の扉がゆっくりと開かれ、微笑を浮かべた女が姿を見せた。
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「お二人とも、お待たせしましたね」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「どうぞお入りください」
【Middle4】
GM:情報収集シーンになります。全員登場。
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を1D3+3(→ 6)増加(80 → 86)
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を1D3+3(→ 4)増加(77 → 81)
析了トオル:析了トオルの侵蝕率を1D3+3(→ 6)増加(64 → 70)
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を1D3+3(→ 6)増加(74 → 80)
GM:上がってきたな……
GM:情報項目はこちらになります。
情報項目
・情報項目:バクナワ・コーポレーション 《情報:ノヴァリス/噂話》難易度8
・情報項目:銀行襲撃犯と夢遊病の生徒たち 《情報:ノヴァリス/噂話》難易度9
・情報項目:研究データをサルベージする② 《知識:レネゲイド》《情報:ノヴァリス/ウェブ》難易度11
・情報項目:ラス・ヴィダス解放戦線③ 《情報:ノヴァリス/FH/噂話》難易度9
三部つゆり:前回の流れ的に銀行襲撃犯と夢遊病貰おうかな…?
析了トオル:どんどんサルベージするぞい
胡緑蘭:例によって生徒が選ばなかったとこ行きます
宮星イオリ:解放戦線③に行こうかしら
三部つゆり:コネ学園通の友人起動、ラッキーメダルホワイト起動。そうして銀行襲撃犯と夢遊病の生徒たちを判定しますー
三部つゆり:6dx+1+1+2>=9
DoubleCross : (6DX10+4>=9) → 10[1,1,2,3,5,10]+1[1]+4 → 15 → 成功
胡緑蘭:バクナワ・コーポレーション 噂話で判定
宮星イオリ:4dx+1+2>=9 解放戦線③を調査
DoubleCross : (4DX10+3>=9) → 10[2,4,5,10]+3[3]+3 → 16 → 成功
析了トオル:10dx+6 サルベージ
DoubleCross : (10DX10+6) → 9[2,3,3,4,5,5,6,9,9,9]+6 → 15
析了トオル:成功!
胡緑蘭:9dx+8>=8
DoubleCross : (9DX10+8>=8) → 9[2,4,4,5,5,6,7,8,9]+8 → 17 → 成功
GM:こいつら……優秀なのか?
胡緑蘭:ふふん
GM:では順番に公開します!
情報項目:バクナワ・コーポレーション 《情報:ノヴァリス/噂話》難易度8
バクナワ・コーポレーションは、八月革命の前後で大きく業績を伸ばし、“協会”に加入した総合企業。軽工業を中心に様々な分野に関わり、技術力の高さでも知られている。
だが裏では新型麻薬“エンブレイス”の生成に関与し、それをネタに総和重工に脅迫まがいの一方的な取引を強要されているようだ。
ロス・サングレスが商業区で流通させているのもこの“エンブレイス”と見られる。毒沼の成分を用い、堕天病を引き起こしかねない危険なドラッグだ。
ロス・サングレスの仲介でバクナワの人間に接触し、話を聞くことが出来た。
総和重工社内に潜伏させている産業スパイからの情報によると、総和は開拓地で何らかの大規模施設を稼動していたらしい。
厳重な警備が張り巡らされ、大量の資材と人員が運び込まれていたようだが、今は稼動を停止しもぬけの殻となっているようだ。
跡地にも手掛かりは乏しく、これ以上追うことは難しいが、何らかの大規模プロジェクトが秘密裏に動いていたことは間違いないだろう。
情報項目:銀行襲撃犯と夢遊病の生徒たち 《情報:ノヴァリス/噂話》難易度9
以前銀行を襲撃し無実を主張した生徒達と、夢遊病のように無意識の内に徘徊していたと見られる生徒達。
彼らに共通点は無いものと見られていたが、改めて全員に詳しい身体検査を行ってみたところ、その全員が堕天病の感染者であることが明らかになった。
自覚症状の無い感染初期の生徒が多く含まれていたため、今まで発覚しなかったようだ。
“マスターポルート”はノヴァリスにおいて大きな野望を持たず、学区間・派閥間抗争で優位に立ち利益を生むことを目的としていた。
堕天病の本来の機能が生徒の殺害のみならず、感染させた生徒及び星徒の操作にあったとすれば、他勢力に対する大きな交渉カードになったことは容易に想像できるだろう。
情報項目:研究データをサルベージする② 《知識:レネゲイド》《情報:ノヴァリス/ウェブ》難易度11
堕天病の治療方法
①患者の毛髪、銀粉10g、プチトマト(直径2.5cm以下のもの)、ネズミコウモリの翼膜10g、バニ■エッセンス3滴をノヴァリスで8か月以内に作られた陶器に入れ、すり潰しなが■■く混ぜる。
②①を鍋などに移■、「メゾフォルテ、12月、鈍色の烽火、雁の顎、レピュテーションリスク」と唱え■がら47秒間よ■かき混■る。
③作業を始めた際に向■■いた方向を北とし■、南西■方向に向き直■、四度拍手す■。
③最後■■■■■■■■■■■を混■、遺産“ソドムの溶鉄”の火■炙り、完成。
情報項目:ラス・ヴィダス解放戦線③ 《情報:ノヴァリス/FH/噂話》難易度9
LVLFの思想は極めて過激化しており、“協会”及び商業区の解体を第一目標とし、スラム地区と商業区の友好・融和を唾棄すべき惰弱な思想として排除する傾向にある。
既にその本質はラス・ヴィダスの平和や安定ではなく、積み重ねられた憎悪と復讐心に染まりつつあり、非常に危険。
彼らの次なる、そして現状の最終目標は革命記念公園で行われる完成記念セレモニーでの百代マリアに対する殺傷、十字冠転送にある。
これまで百代は自らの能力によって“マスターポルート”の汚染を封印してきたが、十字冠転送によって能力の制御を失った場合、その封印が解け、一気に商業区全てが汚染される可能性がある。
仮にそうならなかったとしても、衆人環視下での百代への殺傷行為はLVLFの強硬姿勢を世に示すこの上ない手段であり、また商業区とスラム地区の融和の道を著しく遠ざける一手になるだろう。
スラム 路地裏
GM:自らの調べた情報を抱えて、君……三部つゆりは、スラムの路地を抜けて大聖堂へと急いでいた。
GM:無軌道に建築されたバラックの数々。この付近ではこうした路地が蜘蛛の巣か迷路のように延々と広がっている。
GM:そんな中、不意に君に声を掛けてくるものがあった。
GM:「そこのお嬢さん」
三部つゆり:速足で、足音はあまり立てないように。何時しか習慣になっていたやり方。
三部つゆり:「、…ええと、私ですか?」少し足を緩めて、その声の方向へ振り向く。
GM:「そうそう」
GM:そこには、室外機に腰掛ける一人の少女がいた。
三部つゆり:「君だよ、君」
三部つゆり:その容姿は、鏡を見ているかのように君と瓜二つだった。
三部つゆり:「な」左目を見開く。周囲の気配を警戒する。
GM:動揺、それが一瞬の隙を生んだ。何かが死角から飛んできて、君の眼を覆い隠す。
三部つゆり:(まずい)そうした感情があった。踏み込み過ぎた、暗い、まずい--
三部つゆり:ニードルガンを抜こうと懐に手を伸ばす。どこでもいいから撃ちまくるつもりだった。
GM:柔らかく、だが容易には取れない感触。さらに瞬く間に口までもが塞がれ、声を出すことが出来なくなる。
三部つゆり:「おっとっと」
三部つゆり:君からは見えないが、背後から抑え込まれるのが分かる。
三部つゆり:(ごぼっ、)詰まったような音が口から零れる。
三部つゆり:「ダメダメ。大人しくしててくれないと」
三部つゆり:「へぇー……なるほどね」
三部つゆり:「--、--------、」影が変異しようとする。ウロボロス模倣による”ゲート”の展開準備。
三部つゆり:「だから、ダメだって」
GM:瞬間、頭部に強かな衝撃。意識が遠退いていく。
三部つゆり:抵抗の全てが抑え込まれる。痛みと熱が過ったような感触。
三部つゆり:「うんうん……なるほどね」
三部つゆり:最後に感じたのは、顔を撫でられる感触。
三部つゆり:左目までは通常の感触だった。
三部つゆり:「こういう感じか」
三部つゆり:右目の眼帯。その奥が、異様な--生物の感触でなく、ひどく堅い。
GM:何が起きたかも理解できずに、君の意識は闇へと沈んでいく。
ラス・ヴィダス大聖堂
GM:セレモニーが翌日に迫り、警備体制や進行の段取りが何度も確認される中……
GM:だが、君達にはまだ様々な課題が残されていた。“協会”に対して、こちらは人手も情報もあまりに足りなかった。
三部つゆり:「すいません、遅くなりました!」
GM:談話室、最後に三部つゆりが急いで入室してくる。
GM:ではそうですね 皆さんここで《感覚》で判定してみてください +5の修正を差し上げます
析了トオル:感覚!カスです
GM:あ、《知覚》ですね
宮星イオリ:知覚じゃだめ~?
宮星イオリ:やった♡
析了トオル:7dx+1
DoubleCross : (7DX10+1) → 10[2,2,4,5,5,9,10]+5[5]+1 → 16
胡緑蘭:4dx+1+5
DoubleCross : (4DX10+6) → 9[3,7,8,9]+6 → 15
析了トオル:おっけっこうたかい
宮星イオリ:10dx+6 知覚
DoubleCross : (10DX10+6) → 10[2,3,3,4,5,5,5,6,8,10]+6[6]+6 → 22
析了トオル:すご
GM:なるほど それでは……
GM:今日もつゆりちゃんはかわいいな……と思ったかもしれません
析了トオル:あっすみません、ダイスと固定値間違えてました
析了トオル:2dx+6
DoubleCross : (2DX10+6) → 8[1,8]+6 → 14
析了トオル:あまりかわらなかった
胡緑蘭:「おはようつゆり。今日もかわいいね」いつも通りの軽薄な挨拶。
宮星イオリ:あっ+5の修正入れてなかった 27です一応
析了トオル:「ああ、つゆりさん、ご苦労様です。うーん……」画面に釘付けになりながら、止めどなく指を動かし続けている。
三部つゆり:「せ、先生……」照れたように「もう会議始まってましたか?」
宮星イオリ:「遅い」ただ一言それだけを言う。すぐに意識を大聖堂の周囲の雑踏へと向ける。
胡緑蘭:「いや、見ての通りこれから始めるところだよ」
三部つゆり:「あはは……ごめんなさい、イオリさん……」
三部つゆり:「……トオルさん、何か分かりそうな感じですか?」
三部つゆり:悩んでいる様子に画面を覗き込む。
析了トオル:「分かりそうで分からない、というのが現状ですね。あと一歩のところまでは進んだのですが」
析了トオル:画面は崩れ切った文字が映され、どうにか解読できないかを試行している最中だ。
三部つゆり:「あらら……まだまだ解読には掛かりそうですか」
析了トオル:「ですが、いくつか分かった部分はありますので。その部分はお伝えしましょう」
析了トオル:「さ、貴女も調べてきたのでしょうし、椅子に掛けてゆっくりなさってください。飲み物は必要ですか?」
三部つゆり:「あっ、いえ、お気になさらず……!」小さく掌を振って。
百代マリア:「解読できれば……本当に堕天病の治し方が分かるのかしら?」
百代マリア:「確か……遺産が必要というお話だったわよね」
析了トオル:「……と、思います。完成とまでは記載してありますから」
析了トオル:「実のところ他にも必要なものがあり、そこが全く解読できないので頭を抱えているのですが……」文章が理解できるようホログラムを広げつつ、最後の穴空き部分について思考する。
三部つゆり:「遺産が必要だとして……今どこにあるんでしょう?」
宮星イオリ:「……まあ分かってたけど、宛にするものじゃなさそうね」溜息。
三部つゆり:「トオルさんがお持ちなんですか? キングダムで借りてくるとか……貸してくれますかね」
胡緑蘭:「“ソドムの溶鉄"だね。君たち聞いたことある?」プリントされた文面を眺めながら。
析了トオル:(…………?何か……)
GM:《情報:ノヴァリス》《知識:レネゲイド》難易度11以上で知っていることにしようかな
析了トオル:あっなるほど
析了トオル:知識レネゲイドで
宮星イオリ:3dx わざわざ設備使って調べてないだろうしカンパニー抜きでいいや
DoubleCross : (3DX10) → 3[1,1,3] → 3
析了トオル:10dx+4>=11
DoubleCross : (10DX10+4>=11) → 10[1,3,4,5,6,7,7,8,9,10]+9[9]+4 → 23 → 成功
析了トオル:まるっとお見通しだ!
胡緑蘭:8dx>=11
DoubleCross : (8DX10>=11) → 9[1,1,2,3,4,4,5,9] → 9 → 失敗
GM:ではトオルさんだけ知ってますね
宮星イオリ:「そんなもん自分のだけで手一杯よ。……知ってるとしたらマリアじゃないの」キングダムは文字通りの遺産の宝庫だと聞いている。
TIPS:ソドムの溶鉄
かつて神の火で焼かれた都市の鐘を元にしたとされる遺産。
キングダムが所有する“星界正義の剣”と由来を同じくする遺産であるが、
この遺産は威力よりもその神聖に特異性を持つものであり、封じられた聖火があらゆる邪悪を祓うとされる。
(分類:鬼切りの古太刀)
百代マリア:「聖書なら知っているけれど……」頬杖をつく
析了トオル:「分類としては、鬼切りの古太刀。円卓議会の鉄騎王が所持している遺産と由来は同じものですね」
析了トオル:「邪悪を祓う神聖なる火。成程、これを使用するという理由も納得がいくのですが……」
析了トオル:「誰が持っているかまでは、私も分かりません……情勢が荒れ始めているキングダムに足を運ぶのは避けたいところですね」
胡緑蘭:「ふむ、やっぱり問題はその在り処か」
三部つゆり:「トオルさんでも分からないんですか? 手の打ちようが無いですね……」
析了トオル:「およそノヴァリスで観測された遺産の殆どはキングダムにあると言っても過言では無いですからね、前に鴉の塔も入ろうとは考えたのですが……」
三部つゆり:「考えはしたんですね……?」苦笑して。
三部つゆり:「何か、心当たりとかありませんか? その……彼女、メラスニエミさんから何か受け取ったとか」
析了トオル:「あら……よくご存じですね。確かに受け取りましたが……」
析了トオル:「いやぁ、確認したら空っぽだったんですよね、中身」
三部つゆり:「ええっ。空っぽって…… 途中で誰かに盗まれたり……?」
胡緑蘭:「或いは空の箱そのものが、なにかの暗号だったりしてね」
析了トオル:「その可能性も考え、盗難があったかを部員に探ってもらいつつ……アタッシュケースはこちらに」
宮星イオリ:「……なんか盛り上がってるけど、まず他の手順の情報も色々と欠落してるんでしょ」
析了トオル:「はい、其方の情報もお聞きしても?何か繋がるものがあるのかもしれません」最後の鍵。ここさえ理解できれば可能性はある。
胡緑蘭:「確かに色々虫食いになってるけど、殆どは前後の文の繋がりから予想できる内容だね。まったくわからないのは、この最後に混ぜるらしい何か、ぐらいかな」
宮星イオリ:「どうだか。全部読み解いてみれば、もう2つ3つ別の鍵が必要になる可能性だって……」
---
GM:……振動、エンジン音。
GM:視界は無いが、拘束され、どこかの車の荷台に転がされているのが分かる。誰かの話声……運転手らしい。数は二人。
GM:身体が加速を感じる。車が走り出したのだ。このままではどこに連れて行かれるか分かったものではない……!
GM:というところでつゆりちゃんは任意の攻撃技能で脱出を試みることができます。難易度は15
三部つゆり:あ、エフェクトは使えますか!
GM:勿論使えます!
三部つゆり:ありがとうございます…!
三部つゆり:コンボ:鳥破《コンセントレイト:ウロボロス》《無形の影》にて脱出を試みます。
三部つゆり:8dx7+9>=15
DoubleCross : (8DX7+9>=15) → 10[2,3,3,3,7,7,7,8]+5[1,3,4,5]+9 → 24 → 成功
GM:成功!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を6増加(81 → 87)
GM:ではあなたは拘束を破って脱出することが出来ます。
三部つゆり:微かな呼び声がした。つゆりにだけ聴こえるそれが。(…うぐ……本当、トチった…!ともあれ)指を微かに動かす。感覚で問題が無いかを確認する。
三部つゆり:「……ノウマク・サマンダ・ボダナン・バロダヤ・ソワカ」
三部つゆり:影が水の刃となり、縛られていたロープを切断する。
三部つゆり:「早く…戻らないと…!」だん!と手を突く。
三部つゆり:影が、水性を支配する。内部にあるガソリンと影が混ざりあい--
誘拐生徒:「焼き鳥だと何が好き?」「うーんやっぱりねぎまが……」
誘拐生徒:「あれっ?何だこの音……?」
三部つゆり:ずばん!
三部つゆり:車が運転席とその後部で輪切りの様に切り離される。
誘拐生徒:「ウギャーッ!?」「うわぁああああ!?」
GM:君が縛られていた車両……大型トラックは一気に横転し、その辺りのバラックに派手に突っ込んで轟音を立てる。
三部つゆり:「…思ったよりしっかりしてる奴だったな…ともあれ」ゴロゴロと転がって、砂だらけになったまま立ち上がる。
三部つゆり:「早く戻るぞ…」ゲートが開けるくらいのところまで離れ、ゲートを使い帰還しようとします。
---
百代マリア:「とってもおいしいわ……この蒸しパン……」もす……もす……
百代マリア:「イオリも食べる?チョコのとレーズンのがあるわよ」
析了トオル:「う~っ、私にも糖分を頂けますか……脳がゆるゆるになってきました……」
宮星イオリ:「いらな……」
宮星イオリ:言いかけて、脳が思い出したように飢餓感を認識する。
胡緑蘭:「遠慮しなくていいんだよイオリ。君たちくらいの歳の子はちょっとくらい食べすぎても太らないからね」
析了トオル:「次のお話を聞く前に処理限界を迎えてしまいそうです。あまり無茶をするなとは言われているのですが……」
宮星イオリ:「っ、遠慮なんかじゃ……」
百代マリア:「はい、どうぞ」順番に配っていく「先生もいかがですか?」
宮星イオリ:硬化した消化器系を無理やり働かせること自体、苦痛となって久しい。だが、飢えて動けなくなった状態で行き倒れる事の苦しみはそれ以上だという事も経験から知っている。
宮星イオリ:「……もらう」
胡緑蘭:「いいのかい?じゃあありがたく頂こうかな」
析了トオル:「ああ、脳細胞に沁みる……」もきゅもきゅと小さく啄みながら、幸せそうな表情。
宮星イオリ:無造作に受け取って、小さくちぎったものをちびちびとマスクの隙間に入れていく。
三部つゆり?:「あっ、それじゃあ私は何か飲み物でも淹れてきましょうか」
析了トオル:「ではカフェオレを一杯ほど……次の情報は少し休んでからですかね」
:…そこに、外からどたばたと急いで駆け込んでくる足音が聞こえる。
三部つゆり?:「はい。すぐに用意しますからね」すぐそこに備え付けられたキッチンに立ち、袖から薬品を滑らせようとして。
宮星イオリ:「……誰よ」扉が開くよりも早く、立ち上がって。
:扉がぐ、と押し込まれ、力いっぱいに開く。
三部つゆり:そこには。
三部つゆり:「はあッ、はあっ、はあ……っ、遅く…なりました……!」同じ姿、同じX字状の赤い羽根の十字冠をした少女がいる。
析了トオル:「あら……あら?」
三部つゆり?:「……」
三部つゆり:ニードルガンを抜き放ち、自分の姿をしたもう一人につきつけている。
胡緑蘭:「へぇ……」
三部つゆり?:全く瓜二つの少女が振り返る。
三部つゆり?:「あらら……」
析了トオル:入ってきたつゆりと、今まで居たつゆりとを見回して。
宮星イオリ:(……どちらかが偽物、なら)
三部つゆり:「動かないで……戦闘は得意じゃないけど、外すほど間抜けでもない」
析了トオル:「ドッペルゲンガー……!」
析了トオル:「ではなく」
三部つゆり?:「……拘束が緩かったかな?いや、意外とやるねって褒めたほうがいいかな」
析了トオル:「アドバイス通りの展開、起こってしまいましたね。どちらかが偽物ということですか」
宮星イオリ:先に部屋にいたつゆりちゃんの方を蹴り飛ばそうとします。別にまだ、確信があるわけじゃないが。
百代マリア:「つゆりが二人いるわ!?!?!!?」
析了トオル:「ああっ、でも先に居た方がなんだか偽物っぽい台詞を……!」
三部つゆり?:流れるような動作でイオリの脚に手を添え、勢いをそのままにキッチンへと投げ飛ばす。
三部つゆり:「結構早く目が覚めた。普段の生活習慣がいいお陰見たい」皮肉りながら、つきつけている。「私の方が本物だっていう証は…大丈夫そうかな」
三部つゆり:「あんなこと出来ないもん」
宮星イオリ:「っ、は──」弾き飛ばされる。がしゃん、と陶器類の割れる音。
胡緑蘭:「イオリの蹴りを簡単にあしらうなんて、やるねえ」
析了トオル:ブースターを掛け後ろに跳ね飛ぶ。入ってきたつゆりの方へ。
宮星イオリ:「……っ、クソ……」ぐわんぐわんと耳鳴りがして、よろめきながら起き上がる。肉体へのダメージはそう大きくないが。
宮星イオリ:「全然、気付かなかった……この、手口」
三部つゆり?:「もうちょっと話を聞いておきたかったんだけどなあ。残念残念」
析了トオル:「とはいえ、小さな違和感もありました。私の悪評を知るうえで、キングダムに遺産を借りるなど……思いついてもそう言わないでしょう」
胡緑蘭:「ちょっと積極的なつゆりもかわいかったけどね」
三部つゆり:「先生はもう……!」
百代マリア:「先生……」
宮星イオリ:自分の耳すら騙しきって、知られずに他者と入れ替わり振る舞う。そんなことができる者が、そうそう他にいるとも思えない。だったら。
胡緑蘭:「ともかく君、あまり抵抗しない方がいいんじゃない?」
宮星イオリ:「アンタが、ノドスのイカれ野郎……"ソル・ジファン"ってことでいい?」
胡緑蘭:「かなり使うようだけど流石に多勢に無勢だし、出口はつゆりが押さえている。逃げ場はないよ」
三部つゆり?:「え?」きょとんとして
三部つゆり?:「誰それ?」
三部つゆり:「……となると、この技量にやり口は……!」
析了トオル:「…………」
析了トオル:「例えその本人であったとして、本体ではない……ただの端末の可能性は大きいです」
宮星イオリ:「すっとぼけてんじゃ……」舌打ち。「……いいわよ。中身割れば分かるって話なら、そうしてやる」
三部つゆり:「プラタ・オ・プロモの殺し屋?…私は踏み台か…!」
三部つゆり?:「いや、マジで知らないって。ノドス?なんで?」
三部つゆり?:「教えてあげるよ。私は……」
三部つゆり?:「“スモーク・アンド・ミラーズ”」
三部つゆり?:「ザイラ・ザヴァッティーニ」
析了トオル:(スモーク・アンド・ミラーズ……煙る鏡?)
GM:ラス・ヴィダスにおいて、その名を知る者は多い。
GM:だが、その正体や能力を知る者は一人としていない。それを知るのは、標的となって『殺され』た者だけだと言われる。
GM:ザイラ・ザヴァッティーニ。それはラス・ヴィダスで半ば都市伝説的に語られる“殺し屋”の名だ。
GM:ランクナンバーは、1。
三部つゆり:「……嘘でしょ、ランク1…?!」
胡緑蘭:「へぇ、君があの」嬉しそう。そこだけは事前に調べて来ていた。
宮星イオリ:「はぁ? そんなヤツがどうして三部なんて狙って……」
GM:ザイラ・ザヴァッティーニはエネミーエフェクト《究極擬態》を所持しており、本来ならば知覚判定も発生しませんでしたが、トオルさんがアドバイスを周知していたので難易度30で判定が可能となっていました。
析了トオル:「皆さんご存じの様子、となると……」
宮星イオリ:ちょっと楽しそうな緑蘭先生を批難するように肘打ちを入れようとする。
析了トオル:30!
析了トオル:「殺し屋、前回襲って来た方々のお仲間ですか、それにそのトップ」
宮星イオリ:惜しかった
三部つゆり?:「これだから人任せにするのは嫌いなんだよね。こういうミスが起きるから」
胡緑蘭:ススス、と身を引いて肘打ちを回避する。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「まあ、でも……この人数なら」君達を値踏みするようにして「余裕かな」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「そこの聖女サマは隅っこに引いてなよ。君はターゲットじゃないからさ」
百代マリア:「……!」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「あとそこの……先生だっけ?」
胡緑蘭:「どうも、先生です」にこやかに手を振る。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「逃げた方がいいんじゃないの?私、“殺し屋”だけど……」
宮星イオリ:(……こいつらの雇い主は、マリアに興味がない。いや……)
ザイラ・ザヴァッティーニ:「本当の意味で殺したことはまだ無いんだよね。死んじゃうよ?」
析了トオル:「やれやれ、私も狙われですか。それに情報も得ようとしていましたね、ご生憎の穴空きでしたが……」
宮星イオリ:(……"逆"か。マリア以外はここでどうなってもいいけれど、マリアだけは皆の目がある場所で仕留めなくちゃいけない)
胡緑蘭:「心配してくれるのはありがたいけど。それはできないかな」
宮星イオリ:(ラス・ヴィダスの断裂を、決定的な形にするために)
胡緑蘭:「私は先生だから、生徒達が危ないことをする時はついていなきゃいけないし」
胡緑蘭:「そもそも、君に私は殺せないでしょ」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「あははっ、大変そうだね先生って。“殺し屋”の方がよっぽどラクそう」
GM:そしてここで、トオルさんはザイラの擬態能力を目にしたことで
GM:研究所の爆破は彼女がメラスニエミに化けて行ったことかもしれないと気付いてよいでしょう。
析了トオル:なにっ
析了トオル:「……ところで失礼。あなた最近、長身黒髪で片目隠れになったりしましたか?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「ん~?」
析了トオル:「いえ、なんというか。さっき私の画面を覗き込んだでしょう?」
析了トオル:「あの子、色んな実験をしている分特徴的な香りですから……」
析了トオル:「……匂い、取り切れていないのではなくて?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「ああ、君、あの子の友達だもんね」
ザイラ・ザヴァッティーニ:つゆりそのものの顔でにっこりと笑む。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「どうなったか気になる?」
析了トオル:「ちなみに、今のは冗談です。まんまと引っかかったなやーい、と言いたいところですが……」
析了トオル:「まずはどうなったか、教えてもらっても?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「そういう……腹芸って言うの?嫌いなのよね」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「仕事で散々やるんだから、それ以外だとやりたくないし」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「早いでしょ?殺しちゃったほうが」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「で、あなたの友達だけど……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「教えてあげな~~い」
析了トオル:「あら、実は私も苦手です」
ザイラ・ザヴァッティーニ:にこにこと悪戯っぽく笑う。
析了トオル:「潜入も必要だったらやるのですが……いやはや、慣れないことはするものじゃないんですよね」
胡緑蘭:「小悪魔っぽいつゆりもなんというか、いいよねえ」
三部つゆり:「先生!も~~っ」
宮星イオリ:スネの辺りにローキック。
析了トオル:「早いでしょう。その場で解体して、奪ってしまえば」
胡緑蘭:ひょいと片足を浮かせて避ける。
析了トオル:返すようににっこりと笑い、静かにコールのボタンを押して。
析了トオル:「それに私。自分のものを奪われるのが大っ嫌いなんです。さっさと穏当に聞き出して、返してもらいますね?」
三部つゆり:「……ともあれ、私からはひとつだけ」ニードルガンをつきつけたまま。
三部つゆり:「トオルさんじゃないけど、何時までも人の顔使ってるんじゃないよ!自分の名前名乗ったなら、せめて自分の顔でやって!」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「あはは! じゃあ止めてみなよ、力尽くでさ」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「私のお仕事、特別に見せてあげるから……満足して死んじゃってね?」
GM:ミドル戦闘を開始します。
GM:エンゲージはこちら
エンゲージ
ザイラ・ザヴァッティーニ
(10m)
PC
GM:ラウンド1 セットアップから!
胡緑蘭:なし!
宮星イオリ:ないぜ
三部つゆり:無しです!
ザイラ・ザヴァッティーニ:なし。
析了トオル:相手の行動値はどれくらいかしら
GM:そうでした 9です
析了トオル:じゃあ大丈夫そう!コーリングシステム!
析了トオル:搭乗して行動値13に
GM:では行動値18 イオリさんの手番です
宮星イオリ:ウオオ
宮星イオリ:マイナー、「不同にして不測」《陽炎の衣》《光芒の疾走》《インフィニティウェポン》隠密化、武器作成しつつエンゲージ
宮星イオリ:メジャー、「不浄にして不敵」《コンセントレイト》《見えざる死神》《光の舞踏》ザイラを攻撃。
GM:判定どうぞ!
宮星イオリ:DBダイス2個増えて
宮星イオリ:10dx+6@7 命中
DoubleCross : (10DX7+6) → 10[2,2,2,5,6,6,6,7,8,10]+10[3,8,9]+10[8,9]+10[4,7]+10[7]+10[8]+2[2]+6 → 68
宮星イオリ:やる気あるな…
GM:やる気すごいな~
析了トオル:つよい!
ザイラ・ザヴァッティーニ:《リフレックス:エグザイル》LV3+《蛇の動き》LV3 ドッジ
宮星イオリ:高い目出せててよかった
胡緑蘭:ドッジ型だ!
ザイラ・ザヴァッティーニ:13DX7+6>=68
DoubleCross : (13DX7+6>=68) → 10[1,2,2,3,3,4,6,7,8,8,10,10,10]+10[3,3,6,6,8,8]+6[2,6]+6 → 32 → 失敗
GM:失敗 ダメージどうぞ!
宮星イオリ:怖いねんな
宮星イオリ:7d10+63 諸々有効
DoubleCross : (7D10+63) → 24[1,10,7,1,2,1,2]+63 → 87
宮星イオリ:やる気ない出目がよ
ザイラ・ザヴァッティーニ:《がらんどうの肉体》LV5
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を13増加(86 → 99)
ザイラ・ザヴァッティーニ:87-7D10
DoubleCross : (87-7D10) → 87-34[1,3,2,10,3,5,10] → 53
ザイラ・ザヴァッティーニ:軽減して元気です
胡緑蘭:生存能力高いな
宮星イオリ:「……何でもいいけど」
宮星イオリ:浅い呼吸の中、ゆるりと影のように踏み出す。
宮星イオリ:星は白くまたたいている。彼女の手に落ちた協力者の友人という、ほとんど知らない相手の身柄。それを助け出すために尽力しなければ、自分は資格を失うらしい。
宮星イオリ:そういう、忌々しい束縛と苦痛の中にいる。苛立たしかった。そのすべてを根本解決するなどと言っていた、車椅子の少女も。厄介事を持ち込んできた、眼の前のこの女も。みんな。
宮星イオリ:「負けた後、邪魔な肉の付いた格好でやったせいとか言わないでよ」
宮星イオリ:「アンタみたいなのに限ってうるさいでしょ。そういう言い訳がさ」
宮星イオリ:その姿が、視界の外へと飛ぶ。しなる影が、聖堂の壁を蹴って跳躍して、
宮星イオリ:鏡に反射した光そのもののように眼前にいる。どうすればその道程を補足できたか、誰にも分からないような接近。
宮星イオリ:白刃が少女の身体の上を閃く。はらわたを割いて、その中身を暴き出すように。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「はは!速い速い!」
ザイラ・ザヴァッティーニ:胴体を無惨に引き裂かれて、しかしまるで応えた様子は無い。
ザイラ・ザヴァッティーニ:リザレクト……とも違う。斬られた傷口がそのまま粘土細工のように変形していく。
胡緑蘭:「自在に作り変えられるのは顔だけじゃないみたいだね。相当な練度のエグザイル能力だ」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「やるじゃない!堕天病のくせに。もうすぐ死んじゃうのが惜しいくらいだよ」
三部つゆり:頬を紅くして身体を抑えていたが。「あのレベルなら純粋の…でしょうか」
析了トオル:(異常なレベルの身体の制動。大振りな一撃は容易く回避されますか)
宮星イオリ:「……は」加速の反動、吐血をコートの袖で隠すように吐きながら。
宮星イオリ:「どうせ道連れにするなら、アンタみたいな心底ムカつくやつにしたいと思ってたとこ」
GM:行動値13 トオルさんの手番です
析了トオル:はい!
析了トオル:マルポン抜きで行きましょう。エンゲージも一旦ずらすかな
析了トオル:マイナーで背後に5m移動。
析了トオル:メジャーでコントロールソート射撃、コンセントレイト。大口径機関砲のみで攻撃!
GM:判定どうぞ!
析了トオル:10dx7+7
DoubleCross : (10DX7+7) → 10[1,3,4,5,6,6,8,10,10,10]+10[2,5,8,10]+6[1,6]+7 → 33
析了トオル:げーっひくめ!
ザイラ・ザヴァッティーニ:《リフレックス:エグザイル》LV3+《蛇の動き》LV3
析了トオル:あっちがう+8です、34
ザイラ・ザヴァッティーニ:13DX7+6>=34
DoubleCross : (13DX7+6>=34) → 10[1,1,1,4,5,6,7,9,9,9,9,10,10]+10[2,3,3,3,7,7,9]+10[1,4,7]+6[6]+6 → 42 → 成功
析了トオル:げーっ!
ザイラ・ザヴァッティーニ:避けました
三部つゆり:つ、つよすぎ
宮星イオリ:こいつ~~
析了トオル:高すぎる~
胡緑蘭:無念
析了トオル:(しかし……)パーツを次々と装着し、重武装になりながらも。
析了トオル:(大聖堂内部。大暴れするには……壊したくないものが多すぎる)
析了トオル:片方のアームを大きく伸ばし、駆動音と共に戦車をも一撃で穿つ弾丸が幾度となく放たれる。
ザイラ・ザヴァッティーニ:つゆりの姿をした肉体が大きく変形し、自ら体に大穴が開く。その間を弾丸がすり抜けていく。
析了トオル:「ええい、ちょこまかと……!」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「ほら、そんなんじゃ当たらないよ。点じゃなく面で来ないと」
析了トオル:(……計測、肉体変化にかかる時間に、動作にかかるまでの僅かなタイミング。焦らずに、追い詰めて、仕留める)
析了トオル:その巨体とは裏腹に、計器は静かに数値を刻み続ける。
GM:行動値9 ザイラの手番です
ザイラ・ザヴァッティーニ:マイナー 《骨の剣》LV5+《死招きの爪》LV5+《形状変化:速》LV7
ザイラ・ザヴァッティーニ:武器作成、シーン間行動値+21
ザイラ・ザヴァッティーニ:メジャー 《コンセントレイト:エグザイル》LV3+《オールレンジ》LV7+《エンタングル》LV7+《吸収》LV5+《伸縮腕》LV3+《異形の祭典》LV5
ザイラ・ザヴァッティーニ:螺旋駆動体によりガード値-10で算出 ダメージで重圧付与、ラウンド間ダイス-5
ザイラ・ザヴァッティーニ:対象はPC全員
ザイラ・ザヴァッティーニ:エンブレム:キルリーダーにより攻撃力が上昇します。
胡緑蘭:ダイス減らすのまじで嫌
ザイラ・ザヴァッティーニ:17DX7+10
DoubleCross : (17DX7+10) → 10[1,2,3,3,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8,10,10,10]+10[2,3,6,7,7,8,8,9]+10[2,4,6,6,8]+4[4]+10 → 44
析了トオル:ギャーッ!ドッジ!
三部つゆり:ドッジしてみます。
胡緑蘭:ドッジ
三部つゆり:3dx+1>=44
DoubleCross : (3DX10+1>=44) → 9[3,3,9]+1 → 10 → 失敗
析了トオル:2dx
DoubleCross : (2DX10) → 9[6,9] → 9
析了トオル:だめだめ
胡緑蘭:3dx+1>=44
DoubleCross : (3DX10+1>=44) → 7[2,7,7]+1 → 8 → 失敗
宮星イオリ:3dx+1 敢えて素ドッジ
DoubleCross : (3DX10+1) → 10[7,7,10]+10[10]+3[3]+1 → 24
三部つゆり:メッチャ回っとる
析了トオル:たかい……!
宮星イオリ:実質成功
ザイラ・ザヴァッティーニ:ではダメージ
ザイラ・ザヴァッティーニ:5D10+40+2D10
DoubleCross : (5D10+40+2D10) → 28[6,5,3,10,4]+40+5[4,1] → 73
析了トオル:リザレクト~
析了トオル:1d10
DoubleCross : (1D10) → 6
ザイラ・ザヴァッティーニ:《デビルストリング》LV3
三部つゆり:つよすぎ リザ!
析了トオル:80!
胡緑蘭:HP0 《リザレクト》
宮星イオリ:ああ!?
三部つゆり:あっ
ザイラ・ザヴァッティーニ:トオルさんのリザレクトを打ち消します
析了トオル:?!
析了トオル:えっ……ここでロイスを使わなきゃいけないんですか?!
析了トオル:くっ……
胡緑蘭:殺す気だ
GM:死んでもいいですよ?
胡緑蘭:1d10
DoubleCross : (1D10) → 6
宮星イオリ:ほえ~ 私もリザレクトするか
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を1D10(→ 7)増加(87 → 94)
析了トオル:いや……死ぬわけにはいかん……!
胡緑蘭:胡緑蘭のHPを6に変更(22 → 6)
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を6増加(80 → 86)
析了トオル:十字冠へのロイスをタイタスにして……復活!
宮星イオリ:1d10 回復量
DoubleCross : (1D10) → 3
三部つゆり:hp7に ぐ コンセ無形すると100超えちゃうな…
析了トオル:ハァハァ
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を3増加(99 → 102)
宮星イオリ:宮星イオリのHPを3に変更(4 → 3)
ザイラ・ザヴァッティーニ:全員のダメージ時に
ザイラ・ザヴァッティーニ:《餓鬼魂の使い》LV7
析了トオル:?!
ザイラ・ザヴァッティーニ:邪毒3を付与します
胡緑蘭:殺す気だ
析了トオル:HP11
三部つゆり:げえええ
宮星イオリ:そういう戦闘ね
ザイラ・ザヴァッティーニ:「速い子が多いね。それなら……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:つゆりの姿、その脚部がみしみしと軋みを挙げ、骨肉で編まれた強靭な発条めいた形状へと変形していく。
ザイラ・ザヴァッティーニ:同時に腕部も凶悪な刃物のように骨がせり出し、蝋燭の火を反射して不吉に輝く。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「4……3……2……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:骨の刃をしならせ、カウントダウンのように呟いて。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「……なんちゃって」
GM:バヅッ!!
GM:君達の横合い、全く予想外の位置から、強烈な蹴撃が襲い来る。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「……あははっ!」
三部つゆり:「ぐ、げぼっ……こ、今度は」思い切り吹き飛ばされる。碌な反応も出来ていない。
ザイラ・ザヴァッティーニ:宮星イオリの姿。二体目のザイラが、側面から奇襲を仕掛ける。
宮星イオリ:「ぐ、っ……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:傷口から侵入し、激痛を与えるのはザイラの一部か。肉の触手が絡み付き、纏わりついて動きを封じ、再生を阻害する。
ザイラ・ザヴァッティーニ:恐らく、先にイオリが受けた攻撃もこれだろう。
析了トオル:「っぐ、ぁ"……ゃ、あっ……!」跳ね飛ばされ、細い身体は容易に砕ける。
胡緑蘭:「へぇ」健常な左腕で受ける。骨をひしゃげさせながら衝撃を流し、後ろへと飛び退く。
宮星イオリ:弾き飛ばされ、針金のように肉体が折れ曲がる。「……ふ、ううっ」
宮星イオリ:黒ずんだ骨がコートの内側から突き出している。その損傷の割に、不気味なほどに出血は少ない。
析了トオル:「ええい、強い人の姿を次々と!たまにはもやしの私のコピーでもしなさいな……!」
ザイラ・ザヴァッティーニ:粘土細工のようにつゆりとイオリの姿が融合し、元の一体へと戻っていく。
ザイラ・ザヴァッティーニ:極めてシンプルなエグザイル能力。それをただひたすらに、極限の域まで磨き上げている。
析了トオル:(武装は無傷、ですが。私の再生が止められている。これは拙いですね……)
宮星イオリ:「……は、バカなことやってる。感染ってても知らないから」
ザイラ・ザヴァッティーニ:発光器官により十字冠まで再現したその技巧は、“殺し”の目標となる相手に成り代わり、社会的に抹殺することなど児戯に等しい。
宮星イオリ:そんなヘタを打つ程度の敵ではないだろうと理解しつつも、憎まれ口を叩いている。身を蝕む激痛は、意識だけなら堪えられなくはない。だが、間もなく呼吸器系が使い物にならなくなるだろう。
胡緑蘭:「確かにすごい腕前だ。それだけに不思議だねぇ」
胡緑蘭:「これだけの強さがあるなら、わざわざ誰かになりすまして暗殺なんてしなくても、いくらでも活かす道がありそうなものだけど」
胡緑蘭:「それこそ、ノヴァリス・ファイトとかさ。かなりいい線いくと思うよ?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「あはは! 先生サンもそれ訊くんだ?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「誰も彼も……“殺し屋”やってる奴って」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「みーんな家族の為だとか……仕方なくだとか……前のセルがどうこうだとか……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「そういう後ろ向きな理由しかないから私に勝てないんだよ」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「『どうして』って? 決まってるじゃん」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「私にとっては殺し屋が……一番カッコよくて楽しい仕事だからだよ!」
胡緑蘭:「なるほどね」苦笑して
胡緑蘭:「いや、悪かったね。君が好きでやってるんならそれで良いんだ」
胡緑蘭:「けどもしも、この先気が変わって、色んな事情が重なって、やめたいけどやめられなくなったりしたら」
胡緑蘭:「その時は、星室庁を頼ってね。なんとかするからさ」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「あは。覚えておくよ」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「今のところ、その気は無いけどね」
GM:行動値8 つゆりさんの手番です。
三部つゆり:はい。まず、ロイスを キャロリン・スティーブンス 〇悼み/罪悪感 として取得し
三部つゆり:こちらを昇華して不利な効果を全て解除したいと思います。
GM:昇華!いいでしょう……!
三部つゆり:これでまともに攻撃できるし邪毒もかわせる!
三部つゆり:マイナーでボルトアクションライフルの効果を起動。達成値+5.
三部つゆり:メジャー。コンボ:鳥破《コンセントレイト:ウロボロス》《無形の影》、ボルトアクションライフルで攻撃!
三部つゆり:妨害等ありますか?
GM:ありません 判定どうぞ!
三部つゆり:ありがとうございます!
三部つゆり:8dx7+8+5
DoubleCross : (8DX7+13) → 10[1,1,2,3,4,8,10,10]+6[3,5,6]+13 → 29
三部つゆり:回らなさすぎるだろ!!
GM:ホッホッホ……
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を6増加(94 → 100)
ザイラ・ザヴァッティーニ:《リフレックス:エグザイル》LV3+《蛇の動き》LV3
ザイラ・ザヴァッティーニ:13DX7+6>=29
DoubleCross : (13DX7+6>=29) → 10[1,2,4,4,4,5,5,9,10,10,10,10,10]+10[6,9,9,10,10,10]+10[3,3,3,4,10]+1[1]+6 → 37 → 成功
胡緑蘭:こいつ~
三部つゆり:うわあん ごめんなさい
析了トオル:これは仕方ない!相手のダイスが強い~
GM:君達はここで死ぬんだよ
三部つゆり:(これは、ダメだ)戦闘…”殺し”への練度と慣れが高すぎる。私では碌に対処できない。
三部つゆり:経験が違い過ぎる。その時、--ずく、と右目が、”普段全く感覚がない”それがうずいた。
:解け。
:解き、希え。
三部つゆり:「クソ……、しょうがない。本当にやりたくなかった。だから殺しとかそういうのは嫌いなんだ…!」
三部つゆり:「第一の封を解く。私、三部つゆりが希う--」
三部つゆり:ぞる、と。
三部つゆり:彼女の影が変化する。渇き果てた血のいろ。影が二つの頭を持った鳥に。
三部つゆり:「ん、ぐぅ……、」”なにか”がいる。その圧力が放射され、なによりも術者自身--三部つゆりを責めさいなむ。
三部つゆり:「”バザラ・キジャナン・キリク”…、“解く”のはここまで…!動くな…!」
三部つゆり:ぢ、ば、と。地を這う影のいかづちが周囲を駆け巡る。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「おや……」興味深げに目をやる。三部つゆりの能力について、詳しい情報は無い。
三部つゆり:穢れた雷が周囲の家具のいくつかを焼滅させる。それを何とか抑え込んではいるが、まともなコントロールが付けられていない。
ザイラ・ザヴァッティーニ:影の電撃から逃れるように大きく跳躍、天井を蹴りつけて壁へと張り付く。
三部つゆり:彼女に、此処までの出力はなかったはずだ。どの資料でも、ノヴァリス内部のそれでは。
胡緑蘭:「おっと」弾けて飛んできた稲妻をひょいと避ける。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「ウロボロス……ブラックドッグ? 違うな……何かな、この力……」
三部つゆり:「は、あ、ああっ、うぐっ…!」雷が自身を焼いてさえいる。「クソ……これでもダメか…!」
宮星イオリ:(……あいつはあいつで、なんか面倒なの飼ってるのね)時たま重なるような鼓動の音から、彼女の中に蠢く気配のようなものは察していたが。
析了トオル:(これは……実物は今まで直に見たことありませんが、成程)
三部つゆり:雷が収まっていく。「…ごめんなさい、やっぱり急なちからだよりじゃ…!」
宮星イオリ:「勝手に始めて勝手に萎えてんじゃないわよ」
三部つゆり:「…、うう……で、でも。次のは止めるから……」妙な確信を持った言葉だった。自信がない少女にしては、そうなると決まり切っていると思っているような。
GM:行動値7 緑蘭さんの手番です
胡緑蘭:マイナーで戦闘移動。ザイラさんのエンゲージへ。
胡緑蘭:メジャー、《ディストーション》LV1《漆黒の拳》LV1《コンセントレイト:オルクス》LV3 サイバーアームで攻撃。
GM:判定どうぞ!
胡緑蘭:ダイスデバフが痛いが……あたってくれ!
胡緑蘭:4dx7+9
DoubleCross : (4DX7+9) → 10[4,4,8,8]+10[2,7]+4[4]+9 → 33
胡緑蘭:そこそこ
ザイラ・ザヴァッティーニ:避けちゃお~
ザイラ・ザヴァッティーニ:《リフレックス:エグザイル》LV3+《蛇の動き》LV3
ザイラ・ザヴァッティーニ:13DX7+6>=33
DoubleCross : (13DX7+6>=33) → 10[1,2,4,6,7,8,8,9,9,10,10,10,10]+10[3,4,4,6,6,8,8,9,10]+10[5,6,7,10]+10[6,10]+10[10]+2[2]+6 → 58 → 成功
ザイラ・ザヴァッティーニ:避けちゃった
胡緑蘭:くっ
析了トオル:ぎええ
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を7増加(86 → 93)
ザイラ・ザヴァッティーニ:殺しちゃうよ~ん
胡緑蘭:再生した傷口から感じる違和感。ザイラから分離した細胞が少しずつに身体を蝕んでいるのがわかる。
胡緑蘭:「私はともかく、みんなは戦いが長引くと良くなさそうだね」
胡緑蘭:「よっ」
胡緑蘭:木製のテーブルと蹴り上げて、ザイラの方へと飛ばす。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「……っと……!」
ザイラ・ザヴァッティーニ:飛来したテーブルを、鞭のようにしなる腕が払いのけ
ザイラ・ザヴァッティーニ:「何の──」
胡緑蘭:その影に隠れながら疾走し接近。テーブルが払いのけられた瞬間、死角から黒腕が振るわれる。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「!」
ザイラ・ザヴァッティーニ:ぞぶッ!
ザイラ・ザヴァッティーニ:黒腕がザイラの肉体を抉り飛ばした……ように見えた。否。
ザイラ・ザヴァッティーニ:自ら攻撃の軌道に沿って、肉体を変形させている。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「悪いんだぁ。ホントに先生のやり口?」
胡緑蘭:「へぇ、これでもダメか。やるね」薄く笑って、すぐさま身を翻して距離を取る。
胡緑蘭:「不良生徒に付き合う時は、こっちもそれなりのやり方じゃないと」
胡緑蘭:「それとも、もっと悪いことしても良いのかな?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「ふふ……そっちはちょっと、興味あるかも」
GM:クリンナップ
GM:邪毒のダメージが発生します。
析了トオル:ぎゃっ、9受けて残り2です
三部つゆり:私はロイス斬りで回復しなし!
胡緑蘭:HP0でリザレクト
胡緑蘭:1d10
DoubleCross : (1D10) → 10
宮星イオリ:.宮星シホ:懐旧/◯拒絶 をタイタス化・昇華して不利効果の回復を行います
胡緑蘭:胡緑蘭のHPを10に変更(6 → 10)
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を10増加(93 → 103)
エンゲージ
ザイラ・ザヴァッティーニ、宮星イオリ、胡緑蘭
(10m)
三部つゆり
(5m)
析了トオル
GM:ラウンド2
GM:セットアップから!
三部つゆり:無しです!
宮星イオリ:ないぜ
胡緑蘭:なしぜ!
析了トオル:ないはず!
ザイラ・ザヴァッティーニ:なし
GM:では行動値30 ザイラの手番です
胡緑蘭:早~い
ザイラ・ザヴァッティーニ:マイナー《堕落の爪》LV5
ザイラ・ザヴァッティーニ:次の攻撃にダメージで侵蝕5上昇を付与
GM:攻撃対象は……析了トオル!
析了トオル:ギャーッ!
ザイラ・ザヴァッティーニ:メジャー 《コンセントレイト:エグザイル》LV3+《オールレンジ》LV7+《エンタングル》LV7+《吸収》LV5+《伸縮腕》LV3
ザイラ・ザヴァッティーニ:17DX7+10
DoubleCross : (17DX7+10) → 10[1,1,1,2,2,2,3,3,3,3,3,4,6,7,7,9,10]+10[1,5,9,10]+5[4,5]+10 → 35
析了トオル:ミギャ~ッ
析了トオル:ドッジします
析了トオル:3dx>=35
DoubleCross : (3DX10>=35) → 3[2,3,3] → 3 → 失敗
析了トオル:www
析了トオル:しょぼすぎ
ザイラ・ザヴァッティーニ:4D10+40+2D10 ダメージ
DoubleCross : (4D10+40+2D10) → 15[5,1,8,1]+40+12[2,10] → 67
析了トオル:死~~
ザイラ・ザヴァッティーニ:重圧付与、ラウンド間ダイス-5です
析了トオル:リ、リザレクトは……
ザイラ・ザヴァッティーニ:デビストは撃ちません 他に打ち所があるかもしれないので
析了トオル:助かった……!
析了トオル:1d10
DoubleCross : (1D10) → 1
析了トオル:うますぎ
胡緑蘭:リザレクトが上手い
析了トオル:81です
三部つゆり:堕落の爪で+5はいるはず!
析了トオル:さらに上がって86!
ザイラ・ザヴァッティーニ:ザイラの身体が揺らぎ、肉が捲れ上がるようにして更に別の姿──胡緑蘭の姿へと切り替わる。
ザイラ・ザヴァッティーニ:床を踏み抜き、この場で最もダメージの少ないトオルへと一気に肉薄。
析了トオル:「っ、回避行動───」
析了トオル:(間に合わない……!)
ザイラ・ザヴァッティーニ:鞭のようにしなる回し蹴りが叩き込まれ、車椅子が軋む悲鳴を上げる。
析了トオル:「きゃ、ぁっ……?!」
ザイラ・ザヴァッティーニ:傷口からはザイラの肉片が侵入し、皮膚下で暴れ狂って激痛を与える。
胡緑蘭:「おっ、初対面の筈なのに良くできてるね~。もうちょっと鼻が高いと更に完璧かな」
析了トオル:易々と小石のように巨体が蹴り飛ばされ、真逆の壁に叩きつけられる。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「この人のこと……随分信用してるみたいだね、君達」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「先生って言ってもさ、結局は大人でしょ?」
析了トオル:「い”ッ……ぐ、ぁあ、もう……!」苦痛に顔が歪む。神経ブロック剤を即座に注入し、無理矢理にそれを吹き消して。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「『アレ』の同類じゃん」
三部つゆり:「…、トオルさん…!」この動き、全員を真向からやるつもりだ。追撃して一人でも倒すという方向の動きではない--
宮星イオリ:「……アンタこそ、よくそんな気色悪いことできるよね」罵倒というよりも、自分の肉体を男のそれに作り変えることへの素の嫌悪感。
析了トオル:アームが体勢を立て直す。私も機体も、まだ動けるなら上々だ。
胡緑蘭:「大人ってだけで一緒にされるのは流石に心外だなあ」
胡緑蘭:「君たちもいつかは大人になるんだよ?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「どう見ても胡散臭いでしょ、この人」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「怪しくない人が丸サングラス掛ける?」
宮星イオリ:「っていうか、信用なんてしてないから目の届く所に置いてるだけだけど」
宮星イオリ:そうでしょ、と同意を求めるようにマリアの方を見る。
百代マリア:「……」
百代マリア:気配を消すように黙り込み、ザイラを見ている。
GM:行動値18 イオリさんの手番です
宮星イオリ:待機します~
GM:では行動値13 トオルさんの手番です
析了トオル:マイナーで重圧解除しておきます
析了トオル:メジャーでマルチウェポン、コントロールソート射撃、コンセントレイト
析了トオル:ザイラちゃんに攻撃!あたれーっ!
GM:来い!
析了トオル:11dx7+4
DoubleCross : (11DX7+4) → 10[1,3,3,3,4,5,7,9,9,9,10]+10[2,5,6,9,10]+10[7,10]+2[1,2]+4 → 36
ザイラ・ザヴァッティーニ:《リフレックス:エグザイル》LV3+《蛇の動き》LV3
GM:あっダイス減らして11個ですか?
析了トオル:あっしまった!
析了トオル:減ります……
析了トオル:回し直し!
GM:ホホ……
析了トオル:6dx7+4
DoubleCross : (6DX7+4) → 10[1,2,2,8,10,10]+6[1,5,6]+4 → 20
析了トオル:しょぼしょぼ……
GM:ホホホ
胡緑蘭:助けて~!
ザイラ・ザヴァッティーニ:避けちゃお~
三部つゆり:ではザイラさんのドッジにコンボ:胡蝶《原初の黒:時の棺》!
GM:なっなんだぁっ
三部つゆり:失敗して~!そして当たったらコンボ:鳥急《原初の紫:凍てつく刃》にてトオルさんのダメージロールに+1d10+15します
GM:棺だと~!?やめろ~~考えなおせ!
三部つゆり:避けまくるきみが悪いんだよ……
ザイラ・ザヴァッティーニ:しかし凍てつく刃には《デビルストリング》します
ザイラ・ザヴァッティーニ:残り1回
三部つゆり:ぎにゃ~
GM:ではダメージどうぞ!
析了トオル:ダメージいきます!
析了トオル:3d10+1d10+21+8
DoubleCross : (3D10+1D10+21+8) → 19[1,9,9]+10[10]+21+8 → 58
GM:ぐあああでかい
析了トオル:ホホホ……
析了トオル:装甲とガードを無視!
ザイラ・ザヴァッティーニ:このままでは死ぬので《がらんどうの肉体》をLV5っつもしちゃいます
析了トオル:5つも?!
ザイラ・ザヴァッティーニ:58-7D10
DoubleCross : (58-7D10) → 58-42[3,10,6,2,10,1,10] → 16
析了トオル:ゲエエ~
胡緑蘭:減らしおるわ
ザイラ・ザヴァッティーニ:う~ん……これでは流石に死なないな……
析了トオル:しかしコンビネーターが入りました、ラウンドダメージ+2d!次で仕留めますよ!
三部つゆり:出目がいいよお
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を16増加(100 → 116)
胡緑蘭:いつまで避けられるかな?ギャハハ!
析了トオル:侵蝕が7上昇して93!
析了トオル:(……相手の回避能力は想定以上。無理してでも当てねば勝負にならない……)
析了トオル:血を吐きながら自らのレネゲイドの昂ぶりを計算するも、全開での使用にはあと一歩足りない。
析了トオル:(つまり……)(ここは頼る他、ない……!)
三部つゆり:「大丈夫です」奇妙なほど確信に満ちた言葉だった。「今回は当てられる…ううん、避けさせなく出来ます」一回切りですけど、と囁く。
析了トオル:そうして視線を向けた先から得た言葉に、少し呆気に取られながらも。
析了トオル:「……信じます!」
析了トオル:アームの武装が展開される。今度は二つ。
析了トオル:「建物が壊れるとか、既に言ってられる状況じゃありません……!」
析了トオル:視界が揺らぐ。ザイラ・ザヴァッティーニの能力の影響だろう。
析了トオル:全く、つくづく効率的な攻撃だと思う。姿を変え油断させ、弱らせて確実に仕留める。殺し屋として育んで来たであろう能力と技巧。
析了トオル:「しかし、ここで越えねばいけないのです……!」
析了トオル:機動音と共に、弾丸と光条の雨がザイラ・ザヴァッティーニに降り注ぐ。
析了トオル:周囲の建物の事を一切考えない飽和攻撃。建物を抉りながら、彼女へと肉薄し───
ザイラ・ザヴァッティーニ:「あははっ! 確かに豪華なおもちゃだけど」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「そんな見え見えの攻撃──」
ザイラ・ザヴァッティーニ:弾雨を前に、ザイラの肉体が瞬時に変形しようとして……
三部つゆり:攻撃が始まると同時。眼帯に手を掛けいた。--急激な加速の感覚。
三部つゆり:本当は、誰であろうと見せたくなかった。自分の弱さと至らなさの結果だから。だけれど、そんなことにかかずらっている場合ではなかった。
三部つゆり:取り払う。
三部つゆり:眼帯と髪の奥にあったのは、影が凝り固まったようなびいどろの眼だった。
三部つゆり:人形がそう整形されるように。プラスチックの透明な蓋と、セルロイドの黒でできた。
三部つゆり:朝焼けの紫をした元の眼に並ぶのは、黒ボタンを張り付けたような簡素な目。
三部つゆり:仏教系のレジェンドが”それ”の封として選ばれたのは、
三部つゆり:仏教の根本教理が、輪廻を断つことにあるが故である。
三部つゆり:彼女の影が、双頭の鳥が声を上げる。捧げられた供物を縁に力を引きずり出され、殺し屋の少女の身体が”固定される”。
三部つゆり:”嫌悪”の獣。決して消えない不死なる輪廻。それは、こう呼ばれる。
三部つゆり:輪廻の獣。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「…………!?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:アニメーションのコマ割りの途中で一時停止したかのように、奇妙に引き延ばされた変形途中の状態でザイラの肉体が硬直する。
宮星イオリ:「っ……」嘶く鳥の声と、レネゲイドがざわめくような感覚が耳を撫で上げて。不快そうに顔を歪める。
ザイラ・ザヴァッティーニ:声も出せず、視線も動かせず、凍り付いたように完全に固まり──
ザイラ・ザヴァッティーニ:当然、その身体を弾丸と光条が貫く。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「……ッが……!」
ザイラ・ザヴァッティーニ:拘束から抜け出し、発条めいて飛び退いて距離を取る。
三部つゆり:「ぜぇっ、は、あぐ…、戻れ…!三聚浄戒、摂律儀戒--封緘!」彼女と鳥を繋ぐ影光の羂索が、その鳥を彼女へ引きずり戻す。ぽたぽたと涙か汗かも分からぬ液体が零れる。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「……へえ……! 何かな、今の……バロールでもないし……」
胡緑蘭:口笛を吹いて「いいね二人とも。ナイスコンビネーション」
析了トオル:(輪廻の獣、こんなところでお目にかかれるとは、しかし今は……)
三部つゆり:「…、…”排撃”の権能に合わせたんだけど…防御入れられるとは、おもわなかったな…!」息は荒いままだが、眼帯もまき直し常の姿に戻っている。
ザイラ・ザヴァッティーニ:傷は何事も無かったかのように塞がっていくが……表面上だけだ。いくら変形が自在とはいえ、生物の基本的な内部構造は最低限維持しなければ生命も維持できない。
析了トオル:「……解析弾、着弾。データの取得を開始します」
析了トオル:「ええ、当てたんですもの、当然……」
析了トオル:「殺し屋の頂点として君臨していた、正体不明のあなたの情報……たっぷりと抜き取らせていただきますね……!」
析了トオル:即座に眼前に、ザイラ・ザヴァッティーニの肉体、能力情報が羅列されていく。正体不明は、この時点で"ありふれたもの"へと堕ちていく。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「やだなぁ、エッチなんだから」ふざけるように言う
ザイラ・ザヴァッティーニ:「やっぱり変なビデオ出てる人はな~」
析了トオル:「なんで知ってるんですか?!」
析了トオル:「ええいもう!見逃してくれるならデータを握りつぶしても……とか言うつもりでしたのに!」
胡緑蘭:「今の時代、ああいうのはどれだけ隠しても残っちゃうからねえ」
GM:行動値8 つゆりさんの手番です
三部つゆり:はい!マイナーでボルトアクションライフルの効果を起動。メジャー。コンボ:鳥破《コンセントレイト:ウロボロス》《無形の影》にてザイラさんに攻撃します!
三部つゆり:判定行きます~
三部つゆり:9dx7+8+5
DoubleCross : (9DX7+13) → 10[1,2,3,3,4,6,6,9,10]+10[4,10]+6[6]+13 → 39
三部つゆり:一足りない
ザイラ・ザヴァッティーニ:《リフレックス:エグザイル》LV3+《蛇の動き》LV3
ザイラ・ザヴァッティーニ:13DX7+6>=39
DoubleCross : (13DX7+6>=39) → 10[1,1,2,4,4,4,4,6,7,8,8,9,10]+10[1,6,9,10,10]+10[3,8,10]+5[3,5]+6 → 41 → 成功
三部つゆり:嘘でしょ
胡緑蘭:なんだこいつ
宮星イオリ:自重がない
析了トオル:避けるの!?
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を6増加(116 → 122)
ザイラ・ザヴァッティーニ:強すぎてすまん
GM:行動値7 緑蘭さんの手番です
胡緑蘭:マイナーで重圧解除
胡緑蘭:《ディストーション》LV2《漆黒の拳》LV2《コンセントレイト:オルクス》LV4 サイバーアームで攻撃
胡緑蘭:10dx7+9
DoubleCross : (10DX7+9) → 10[1,1,1,2,3,5,6,8,8,10]+6[1,5,6]+9 → 25
胡緑蘭:ゲェーッ!
ザイラ・ザヴァッティーニ:避けちゃう
ザイラ・ザヴァッティーニ:《リフレックス:エグザイル》LV3+《蛇の動き》LV3
ザイラ・ザヴァッティーニ:13DX7+6>=25
DoubleCross : (13DX7+6>=25) → 10[2,2,4,5,5,5,6,6,7,8,8,9,9]+10[4,5,7,9,10]+10[8,8,9]+10[6,10,10]+10[1,9]+10[7]+3[3]+6 → 69 → 成功
宮星イオリ:やる気出しすぎ
析了トオル:強すぎる……
GM:何こいつ?
胡緑蘭:なにしとんのや
三部つゆり:強すぎる
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を7増加(103 → 110)
GM:では行動値0 待機していたイオリさんの手番です
宮星イオリ:ウオオ
胡緑蘭:イオリくん!君だけが頼りだ!
宮星イオリ:《陽炎の衣》から《コンセントレイト》《見えざる死神》《光の舞踏》で攻撃
宮星イオリ:11dx+6@7 絶対命中
DoubleCross : (11DX7+6) → 10[1,2,3,3,4,6,6,6,7,9,10]+5[1,4,5]+6 → 21
宮星イオリ:カスですまん
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を9増加(102 → 111)
ザイラ・ザヴァッティーニ:ランク1殺し屋は手を抜かん…………
ザイラ・ザヴァッティーニ:《リフレックス:エグザイル》LV3+《蛇の動き》LV3
ザイラ・ザヴァッティーニ:13DX7+6>=21
DoubleCross : (13DX7+6>=21) → 10[1,2,3,4,4,5,6,6,6,6,8,9,10]+10[2,8,10]+10[3,8]+1[1]+6 → 37 → 成功
胡緑蘭:何よこいつ~!
三部つゆり:つ…強すぎる
析了トオル:ヒエエ~~~ッ
ザイラ・ザヴァッティーニ:ダイスが腐るということを知らない
宮星イオリ:まあそんなもんではあろうけども
GM:クリンナップ 邪毒を受けている方はダメージが発生します
析了トオル:しにます、リザ!
析了トオル:1d10
DoubleCross : (1D10) → 2
胡緑蘭:ランク3だっけ
析了トオル:うまいぞ!
GM:3!
析了トオル:95です
胡緑蘭:9点ダメージでHP1
胡緑蘭:胡緑蘭のHPを1に変更(10 → 1)
GM:ではラウンド3
GM:セットアップは無いかな
胡緑蘭:ないです!
三部つゆり:なしのはず
析了トオル:ないです!
GM:では行動値30 ザイラの手番です
宮星イオリ:ないぜ
ザイラ・ザヴァッティーニ:マイナー《堕落の爪》LV5
ザイラ・ザヴァッティーニ:メジャー 《コンセントレイト:エグザイル》LV3+《オールレンジ》LV7+《エンタングル》LV7+《吸収》LV5+《伸縮腕》LV3
ザイラ・ザヴァッティーニ:析了トオル殺す!
析了トオル:何か恨みでもあるんですか~!
ザイラ・ザヴァッティーニ:17DX7+10
DoubleCross : (17DX7+10) → 10[2,2,3,3,3,4,4,5,6,6,7,7,7,7,7,8,9]+10[1,2,2,3,4,5,10]+10[7]+1[1]+10 → 41
析了トオル:エ~ン強い
析了トオル:ドッジ……
析了トオル:3dx
DoubleCross : (3DX10) → 7[2,3,7] → 7
ザイラ・ザヴァッティーニ:5D10+40+2D10 ダメージ
DoubleCross : (5D10+40+2D10) → 23[3,9,8,1,2]+40+20[10,10] → 83
ザイラ・ザヴァッティーニ:侵蝕+5 重圧付与、ラウンド間ダイス-5
析了トオル:これ……
析了トオル:リザと侵蝕上昇どっちが先ですか
GM:う~ん
GM:上昇のほうが先に見えるが……
GM:でもリザレクトもダメージと同じだし
GM:選んでいいですよ
析了トオル:よ、よし……リザを先にします、そうしないと100で落ちて離脱することになるので……
析了トオル:1d10
DoubleCross : (1D10) → 5
析了トオル:合わせて105です
GM:では行動値18 イオリさんの手番です
宮星イオリ:殴ります さっきと同じ《陽炎の衣》から《コンセントレイト》《見えざる死神》《光の舞踏》!
宮星イオリ:11dx+6@7 ウオオオオオオオ
DoubleCross : (11DX7+6) → 10[2,3,3,4,5,5,6,7,8,9,10]+10[1,4,5,10]+1[1]+6 → 27
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を9増加(111 → 120)
ザイラ・ザヴァッティーニ:《リフレックス:エグザイル》LV3+《蛇の動き》LV3
ザイラ・ザヴァッティーニ:13DX7+6>=27
DoubleCross : (13DX7+6>=27) → 10[1,3,3,3,4,5,5,5,7,7,8,10,10]+10[1,1,5,7,7]+10[10,10]+3[1,3]+6 → 39 → 成功
ザイラ・ザヴァッティーニ:つ……強すぎる
宮星イオリ:はにゃ~ん
三部つゆり:や…ヤバすぎ
胡緑蘭:俺達の全国大会はここで終わってしまうのか…?
GM:では行動値13 トオルさんの手番です
析了トオル:ハァハァ……
析了トオル:マイナーで重圧解除
析了トオル:殴ります、コンソ、コンセ、マルチウェポン!
析了トオル:7dx7+4
DoubleCross : (7DX7+4) → 10[1,6,6,7,7,9,9]+6[4,4,5,6]+4 → 20
析了トオル:ぐああああああ
胡緑蘭:どうしちまったんだみんな
三部つゆり:この部屋のダイスbot呪われてないか??
宮星イオリ:普通に7個だからまあね
GM:流石にダイスが弱すぎるんじゃないか!?
ザイラ・ザヴァッティーニ:13DX7+6>=20
DoubleCross : (13DX7+6>=20) → 10[1,2,2,4,6,6,6,7,8,8,8,8,9]+10[1,2,3,5,8,8]+10[1,10]+6[6]+6 → 42 → 成功
析了トオル:回避は待たれよ……
析了トオル:あっ
GM:あっするならどうぞ
析了トオル:決めます、決めなきゃあ終われないんだ……!
析了トオル:原初の黒・時の棺!
GM:《がらんどうの肉体》あるけど……いいのか!?
析了トオル:駄目押しの……フェイタルヒット!
析了トオル:ダメージ支援もください!
胡緑蘭:トオルさんは本気や…
三部つゆり:後私のコンボ:鳥急《原初の紫:凍てつく刃》!ダメージ+1d10+15!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を4増加(122 → 126)
宮星イオリ:入れてもデビストされはしそう
ザイラ・ザヴァッティーニ:それは消す!《デビルストリング》!
胡緑蘭:だがこれでデビスとは打ち止めぜ
GM:では……ダメージどうぞ!
析了トオル:3d10+1d10+4d10+21+8
DoubleCross : (3D10+1D10+4D10+21+8) → 15[7,1,7]+7[7]+16[3,7,5,1]+21+8 → 67
ザイラ・ザヴァッティーニ:《がらんどうの肉体》LV5
ザイラ・ザヴァッティーニ:67-7D10
DoubleCross : (67-7D10) → 67-45[5,8,7,8,4,10,3] → 22
析了トオル:しゃあっ
ザイラ・ザヴァッティーニ:ぐああああああ
析了トオル:あっいや上振れてるじゃん
宮星イオリ:だ、大丈夫……?
宮星イオリ:いけてそう
析了トオル:どうだ……?
ザイラ・ザヴァッティーニ:HP0
析了トオル:上振れの化身か?
胡緑蘭:アゲアゲ
ザイラ・ザヴァッティーニ:《リザレクト》します
析了トオル:?!
GM:が戦闘は終了します。
宮星イオリ:そうとはね
三部つゆり:よ……よかった
析了トオル:し、侵蝕が……上がります
析了トオル:7+12+4
析了トオル:128……
胡緑蘭:「イオリ!つゆり!」トオルから送られたデータに一瞬目を通し、即座に動き出している。
宮星イオリ:「……分かってる」
三部つゆり:黒赤い影がニードルガンを赤黒く染め上げている。自分では即時に動かねば間に合わない。「オン・バザラ・アラタンナウ・ウン--」
宮星イオリ:息切れがする。苦しい。こんな事、はやく辞めてしまいたい。そう考えそうになる脳を、無理矢理に麻痺させる。
胡緑蘭:「流石。しっかりタイミング合わせてね!」
胡緑蘭:ザイラの左側面に回り込み、黒腕が地面を抉りながら薙ぎ払われる。
三部つゆり:針がほの暗く黒く、赤く、穢れ光っている。そうしたそれらが空間に並び、一方を塞ぐように展開し--射出。回避方向を含め塞いでいる。
宮星イオリ:前に体重をかけて、否応にも倒れそうになれば、自然と脚が出る。そういう風に自分に鞭を打って、ふらり、と飛び込む。
ザイラ・ザヴァッティーニ:先のつゆりの能力を受け、既に一切の油断も妥協も排している。
宮星イオリ:白い星あかりが輝き、その道程を照らしている。
宮星イオリ:相手の肉体の可動域の限界、神経の反応速度、膂力。宮星イオリであれば、散乱光による幻惑の手数を用いて稼ぐ間隙。卓越した観察能力によるその全景の把握が、彼女の強さの基盤であるなら、
宮星イオリ:(それを、覆す)エグザイル・シンドロームではないどころか、病によって硬化し十分な可動性を持たないはずの少女の身体が、にわかに伸びる。
宮星イオリ:部分的な肉体の自壊と再生を強引に繰り返して、強引に片腕のリーチを伸ばした。振り抜く瞬間より一歩早く、その斬線が変調する。振るわれる側はそのように感じる。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「ふ」
ザイラ・ザヴァッティーニ:イオリの攻撃が届く寸前、ザイラの肉体が歪み、自ら穴を空けて攻撃を擦り抜ける。
ザイラ・ザヴァッティーニ:変形した肉体が壁や天井を跳ね回る。三者同時の攻撃を、超高速、変幻自在の機動が実体の無い煙の如く回避していく。
ザイラ・ザヴァッティーニ:最早色付きの風にしか見えない異常な戦闘機動。眼で捉えるより先に、次々に全員の身体に傷が刻み込まれていく。
析了トオル:だが、その状況で一人。
析了トオル:眼で追っている。その動きを、素早さを、辿り着く先を。
胡緑蘭:「よしよし」無数に細かな傷を負いながら、薄く笑う「計算通りだ」
析了トオル:『本当に……見事でした、ザイラ・ザヴァッティーニ』
析了トオル:左手でホログラムを操作しながら、予想した先へ緩慢に掌を向けて。
析了トオル:『……けれど、充分、貴女を調べる機会は得られましたので』
析了トオル:小さくなぞる指先はエンターキーに。命令。
宮星イオリ:二段目の変節、捻れる蛇のようにしてその中途まで追随するも振り払われる。激痛を伴う理外の身体駆動の最中、能力の制御を失った。
析了トオル:『……興味は、ここまで』
宮星イオリ:逆さで宙に浮くような体勢のまま、その光景を目にしている。「外したらぶっ飛ばす」と言ってやりたかったが、掠れるような息だけが喉を通って、そのまま頭から落下した。
析了トオル:───ば、つん。
析了トオル:弾丸と共にザイラ・ザヴァッティーニの体内に入り込んだ、析了トオルのレネゲイドが。
析了トオル:相手の波長を完全に理解、構築、同一化させ、行使されている能力そのものに強制停止信号を送り込む。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「……なっ……!?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:高速機動の最中にそれを受け、速度を殺し切れずにそのまま壁に突っ込む。けたたましい衝撃音。
析了トオル:「……これで、王手」
析了トオル:目標を違えることはない。止まった相手に当てられないほどには消耗していないのだから。
析了トオル:次の瞬間には先程よりも深く、弾丸の雨がザイラ・ザヴァッティーニの肉体を抉っていた。
胡緑蘭:「一対多の戦闘というのは、実際の所、無数に小分けされた一対一の連続だ」
胡緑蘭:「君はその能力だけじゃなく、話術や位置取りも駆使して、その一対一の間隔が自分の処理限界を超えないように立ち回っていた」
胡緑蘭:「本当に卓越した殺し屋だね。だから僕らも、君の限界まで負荷をかけるのにこれだけの手数を必要とした」
胡緑蘭:「あまり気を落とさない方が良いよ。順当に、数の多いほうが勝っただけだ」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「……く……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:全身を弾丸に穿たれながら、それでもまだ立っている。
三部つゆり:弾倉を壊し、とにかく弾幕を維持していた。「…あれでまだ…!」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「締めの講評には……まだ早いでしょう」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「よりにもよってこの私が……気付かないと思う?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「全員、あと一発で転送ってところでしょう。実質、残りはそっちの先生だけ」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「ようやく五分ってところかな。面白くなってきた……」
析了トオル:「あら、存外にしぶといし、戦況を見る目も確か……」
三部つゆり:「……参るなあ…」今でも二度目の”召喚”は可能な状態だが、それ以降となると本当に色々削らなくてはならなくなる。
宮星イオリ:「……どいつも、こいつも、腹立つ……」不甲斐ない自分自身も含めてだ。
胡緑蘭:「……ふむ」小さく息を吐いて
宮星イオリ:一連の攻撃の消耗と、無理をした反動が振り返して蹲っていたが、強引に上体を引き起こす。
胡緑蘭:「ま、いいんじゃない?やる気なら個人指導に付き合おうか」羽織っていたジャケットを脱いで、近くの椅子にかける。
析了トオル:(私のリソースもまだ残っている。次と、無理をすればもう次くらいは止められますが……)
ザイラ・ザヴァッティーニ:その言葉は単なる強がりではないようだ。再生の様子がこれまでとは異なる──自らの能力でなく、オーヴァードに備わったリザレクトが今頃ようやく稼働を始めている。
胡緑蘭:「君たちが相当無理してるのも事実だしね。後は私に任せて休んでていいよ」生徒達に軽く顔を向けて。
宮星イオリ:「誰が……どっちも見る目なさすぎ。あと4発……いや、5発は保つ、っての」
三部つゆり:「そうは言いましても…本当に大丈夫なんですか…!?」
析了トオル:「ここまで来ておいて水臭いですよ、全員でさっさと終わらせた方が早いのでは?」
胡緑蘭:「大丈夫大丈夫。見ての通り、私は十字冠持ってないからね」
胡緑蘭:「無粋な横入りされることもないってわけ」
胡緑蘭:「ザイラが満足するまででいいなら、大した苦労でもないさ」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「あはっ、面倒見がいいんだ。流石先生──」
ザイラ・ザヴァッティーニ:室内の全員を薙ぎ払わんと、その身体がより凶悪に、より巨大な変形を始め──
百代マリア:「……先生」
百代マリア:瞬間、静かな声が響いた。
百代マリア:「少しの間、目を閉じていて頂けますか」
百代マリア:ぞ ばッ !!
胡緑蘭:構えを取ろうとしていた腕が、ピタリと静止する。
百代マリア:マリアの手元から赤い瘴気が放たれる。それに触れた床や壁が、夥しい臓物や獣の爪牙、歯や眼球が絡み合った異形の肉塊へと置換されていく。
百代マリア:そして、それに掠ったザイラの腕が、同様に内側から爆発するように変質し、汚染は更に肘、肩へと這い上がっていく。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「う……あぁああああああッ!?」
宮星イオリ:「……っ、ちょっと、マリアっ」
ザイラ・ザヴァッティーニ:咄嗟に自ら腕を切断する。床に落ちた腕が煙を上げながら蜥蜴の尾のように暴れ狂う。
百代マリア:「……わたくしを侮ったわね、ザイラ・ザヴァッティーニ」
百代マリア:「知らないわけじゃないでしょう?」
百代マリア:「わたくしがどうやって、“マスターポルート”の名を継いだのか」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「ッ……」その表情に一瞬、明確な恐怖が浮かぶ。脚部を変形させ、その場から逃れようと壁をぶち破る。
宮星イオリ:腐臭、色彩。忌まわしいものを想起するそれらに、にわかに顔を顰めていたが、
宮星イオリ:マリアだってそんなものを使いたくない事は理解している。……使わざるを得ない状況を作り出したのが、ひとえに自分の至らなさだ。
宮星イオリ:こんな事を早く終わらせる必要があった。何かに促されてではなく、自分の意思として。
宮星イオリ:深く息を吸い込んで、瘴気の中へ黒い影が飛び込んだ。崩れ落ちた壁の土煙から、するりと伸びてきたものがザイラの身体を掴む。
宮星イオリ:どこかぞっとする冷たさを帯びた手だ。切り刻まれた手袋の裡からはだけて、赤と黒の入り混じったような色をしている。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「……!」
宮星イオリ:それが、彼女を連れ戻すように引き込む。自分の剣は彼女にとって致命にならないかもしれないが、マリアの力の及ぶ場に引き込めれば今は十分だと。「逃さ、ない、から」掠れた声が撫でる。
GM:君の手がザイラを引きずり込もうとした、その時。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「……イオリ?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:誰よりよく知る声が響き、よく知った顔がそこにあった。
宮星イオリ:「──え」白い目が見開かれる。掴んだはずの指の力が緩む。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「……ふ」
ザイラ・ザヴァッティーニ:姉の顔が、笑みの形に歪む。
宮星イオリ:本人ではない、と理解している。それでも意識は別の所へと向いた。
ザイラ・ザヴァッティーニ:ほんの一瞬の隙を突いてザイラは君の腕を擦り抜け、ごく僅かな床の隙間に身体を滑り込ませ──消える。
宮星イオリ:トオルの友人とやらは、この女の手で始末され行方不明になった。三部つゆりもそうなるところだった。だとしたら、今この姿がここにあるのは。彼女の身柄は。
析了トオル:「あっちょっと!リッキーさんを結局どこにやったんですか!まだ聞いてない!せめて情報おいてけー!!」
宮星イオリ:「あ、っ……アンタ!おい……っ」
胡緑蘭:「わっ、すごいなこれ!」全てが片付いた頃に、ようやく脳天気な声を上げる。
三部つゆり:「色々と逃した魚は大きいですけど…ともあれ。…戦闘は、終わりでしょうか」ニードルガンを構えたまま呟く。
胡緑蘭:サングラスを外す。視界にはザイラから切り離された肉片と、破壊された壁しか残っていない
宮星イオリ:その一瞬の忘我から戻って、逃げ延びた壁を何度も斬りつけ崩す。なおもその向こうへと追いかけようとする。
胡緑蘭:「マリアがやったのかい?大したもんだ」
宮星イオリ:「あの人に……何をやった!? クソ……ッ……」
百代マリア:「……あの……」極めて微妙な表情をしている「あまり見ないで頂けると……」
析了トオル:「うーん……もうセンサーからも外れてますね、なんて逃げ足……」
宮星イオリ:破砕した壁の向こうに、割れた水道管があった。ようやくそこで手を止めて、その場に屈み込む。
三部つゆり:「わ~、落ち着いて…!これ以上は無理ですよ!」イオリさんを止めにいく。
析了トオル:(マリアさんの能力もじっくり調べたいですが、ひとまずは……先の続き、ですね)
胡緑蘭:「仕切り直しだね」追求されたくない様子のマリアから一旦離れて
胡緑蘭:「外にいる同盟の子達にも手伝ってもらって掃除と修繕。その後で、改めてお茶にしようか」
GM:……その後、逃亡したザイラの行方は、その手掛かりすら掴めなかった。
GM:トラックでつゆりを拉致しようとした生徒達は何も詳しいことを知らず、ただ積荷の生徒をメサイアまで運び、しばらく監禁しておけば金をやると言われていたという。
GM:破壊された談話室を最低限修繕し、君達は改めて情報の共有を行った。
立野スズコ:「いやぁ……大変でしたね、皆さん……」
立野スズコ:こぽこぽとお茶を淹れて回っている
三部つゆり:「急に攫われるし殺し屋のランク1が急にやってくるし……その上で流れ弾とか出して、その処理とかお疲れ様でした…」少し身を小さくして。
析了トオル:「いやはや……もう一日分の苦労は重ねた気がします、奥の手も一回切っちゃいましたし……」
宮星イオリ:「…………最悪」
胡緑蘭:「まあ、あのまま騙されずに済んで良かったじゃない。つゆりが途中で戻ってきてくれて助かったよ。ありがとうね」
宮星イオリ:身を投げ出すように座り込んでいる。頭上の星の輝きが更に弱まって、蝋燭の灯のように細々としている。
三部つゆり:「あ、いえ……!寧ろ私が攫われたせいで色々とご迷惑を…」
析了トオル:「あれはもう仕方ないです。事故のようなものだと思いましょう」
析了トオル:「実際は裏で思惑が渦巻いているんでしょうけど……」
析了トオル:「とにかく、これからどうするか、ですね。本物つゆりさんとも情報共有できましたし」
三部つゆり:「そもそも私を排除したいにしてはやり口がちょっとぬるめというかそういうのでしたし……ううむ」
宮星イオリ:「正直、そんなに手を付けようがない物でもなかったでしょ。本来もっと手早く仕留められたはず……」
宮星イオリ:「情けないったらない。私も、アンタらもね」
三部つゆり:「うう……」封まで解いてあの有様--ろくに当てられてない--ので、何も言えない。
胡緑蘭:「確かに、私は最後目を閉じてて良くわからなかったけど」
胡緑蘭:「イオリが一度捕まえた獲物を取り逃すのは珍しいね。なにかされたのかい?」
宮星イオリ:「…………」何も言わず舌打ち。
宮星イオリ:が、少し沈黙のあと考え直して。「……知り合いの顔だった」
胡緑蘭:「ははあ、ザイラは私達のことも相当に調べていたみたいだったからね」
胡緑蘭:「関係者の顔も把握していて当然か」
析了トオル:「なんであの映像の事まで……」ぶつぶつと文句を言っている。
宮星イオリ:「……」更にもうしばらく言いたくなさそうに口籠ってから、開く。「……宮星シホって名前。捜索対象に加えておいて」
立野スズコ:「本当に実在してたんですね、ザイラ・ザヴァッティーニって……」
三部つゆり:「…それだけきちんと調べてから此方に来たってことなんだろうけど…安否確認しなきゃだね」
析了トオル:「知り合い……お名前を聞くに、姉妹の方でしたか?」
胡緑蘭:「ええっ、そんな近しい相手だったのかい」
百代マリア:「イオリのお姉さんなの。立派な人よ」
三部つゆり:「連絡先とか分かってるなら電話だけでも後でしておきましょう」
胡緑蘭:「だったら捜索を待ってないで、早く電話なりした方がいいよ」
百代マリア:「今は確か……ヴァリエンテ警備保障で、警備部の主任をしているのだったかしら」
三部つゆり:「あ、被った……そうなんですね…凄いなあ」素直に感心している様子。
胡緑蘭:「私とつゆりで被るくらい当然の行いっていうことだね」
宮星イオリ:「…………」電話を持っていないし、かけたくもない。
宮星イオリ:更に少し考えた後。「……これ、かけておいて。何でもなければそれでいい」メモを渡し、近くにいた立野さんに言いつける。
立野スズコ:「えっ……えっ……?」
立野スズコ:「どうしてあたしが…………???」
胡緑蘭:「イオリが直接声を聞かせてあげた方が、お姉さんも安心すると思うけどなあ。イオリだってそうでしょ?」
三部つゆり:「ん、んん~~……危ないかもなんだし、自分でやった方が。あれなら電話貸すし…勿論無理にとは言わないけど」何時声聴けなくなるか分からないんだから、とさらっと付け加えて。
析了トオル:(うーん、結構複雑な関係なのでしょうか……)
宮星イオリ:「別に。もう他人みたいなもんだし……」
胡緑蘭:「それにほら、電話口で誰かがお姉さんに成りすましていても、会ったことない子だったら気が付かないかもよ?」
宮星イオリ:「私がかけると色々煩いから」
百代マリア:「シホ? ええ、マリアよ。お久し振りね。変わりないかしら?」既に電話を掛けている
析了トオル:(いえ、どちらかというとこれは……)
三部つゆり:「あっ行動が早い」目を丸くしてマリアさんが掛けているのを見ている。
析了トオル:「気持ちい程の即断即決、私そういうの好みです」
百代マリア:「ううん、用事というほどのことでもないのだけれど。イオリがね、どうしてもあなたの声が聞きたいというものだから……」
宮星イオリ:「早っ……言ってないからな!?」
百代マリア:「いま代わるわね。はい、イオリ」そうして自分のスマホを渡してくる
宮星イオリ:「…………」躊躇って受け取る。
宮星シホ:『……イオリ?』
宮星イオリ:「いや……マリアが何か言ってたけど、嘘だから」
宮星シホ:『何……どういうことなの? よく分からないけど……』
宮星シホ:『あなた、今一体どこにいるの? ずっと帰ってないじゃない』
宮星シホ:『やっぱり変なことに巻き込まれてるんじゃないわよね? ご飯は? ちゃんと食べてるの?』
宮星イオリ:「もう帰らないってば。……無事ならそれでいい。別人の声とかでもないし」
宮星イオリ:「ああ、クソ、こうなるんだって……」ぶっつりと切る。
宮星シホ:『イオリ、待っ……』
百代マリア:「……あなた……ちゃんとお姉さんと話しているの?」
百代マリア:心配そうな顔。
宮星イオリ:「……だから、そういうのじゃないって」押し付けるように返す。
三部つゆり:「……他人の家族だからあまり言う事でもないかもだけど、」
三部つゆり:「…後悔しそうだなって思うなら、やらない方がいいし。やっておきたい事は、した方がいいよ」
宮星イオリ:「……アンタに何が分かるのよ」
三部つゆり:「分かんないよ。私には、分からない。そんなに一緒にいる前に、私はもう別れちゃったから」
三部つゆり:「でも、会いたいのと、心配するのは、本当に分かるよ。ずっとそうだったもの」
宮星イオリ:「それが嫌なんだって……そうやって勝手に世話を焼いて」
宮星イオリ:「そのせいで、私、あいつの人生を食い潰す害虫なのよ。そんな関係、切り捨てたほうがいいでしょ……」
三部つゆり:「それ、話した?」
三部つゆり:「言ってあげてよ。その上で、その人が決めることだよ。傍にいるのか、いないのかは」
宮星イオリ:「話すかどうかは私が決めることだろうが」
宮星イオリ:「クソ……鬱陶しいの。アンタみたいなのに追い回されてる幼馴染に同情してるよ」
宮星イオリ:「私の事とかどうでもいいから。マリアをどうやって守るかじゃないの」
三部つゆり:「……そうかも」その言葉に、どこか痛そうに笑って。
析了トオル:「……はい!暗い感じはここまで!」ぱんぱんと手を鳴らす。
胡緑蘭:「そうだよ、ふたりともケンカはやめようね」
三部つゆり:「…うん、失礼しました。つい」ごめんなさい、と皆に頭を下げて。「進めて行きましょう」
宮星イオリ:「手は出してないし、口出してきたのはそっちからだし」
百代マリア:「イオリ」窘めるように口を開く
宮星イオリ:ふてくされた小学生のようなことを言っている。
胡緑蘭:「いや、つゆりは謝らなくていいよ。おおよそ真っ当なのはつゆりの方だからね」
胡緑蘭:「けど、イオリの家庭の事情にあれこれ踏み込んだのは私達も悪かった」
宮星イオリ:「……」黙って睨みつける。
胡緑蘭:「そういうのは良い悪いの話じゃないから、イオリの気の済むようにすると良い」
胡緑蘭:「焦らなくても大丈夫。イオリが感じているような遠慮や、居心地の悪さっていうのは」
胡緑蘭:「よくあることだからね」
宮星イオリ:「……そんなんじゃないってのに」前髪をがりがりと掻いて。
胡緑蘭:「けど、ちゃんと家に帰ってないのは先生として心配かな。この環境だと寝床を探すのも大変だろうし」
胡緑蘭:「星室庁で借りてる物件で良ければ都合できるからいつでも言ってね。シャワーとかちゃんとついてるから」
宮星イオリ:「……。一応、覚えとく」
立野スズコ:「えっとぉ……いいですか?」気まずそうに
析了トオル:「はいスズコさん、何かありましたか?」
立野スズコ:「本題に入りたいんですが……マリアさんが狙われてるっていうのは……本当なんですか?」
三部つゆり:「あ、はい。LVLFの計画としてあげられているようで。しかも明日ですから、本当に急いで何とかしないと…」
立野スズコ:「じゃあ……登壇も中止……ですよね」
析了トオル:「といっても……どうやって守るか、ですね。登壇はスズコさんの言う通りリスクが高い……」
胡緑蘭:「確かにマリアの身を守るなら、登壇を取り止めるのが一番手っ取り早いけど」
胡緑蘭:「マリアはそれで良いのかい?」
立野スズコ:「赫花連盟でも警備を固めますが、この大聖堂は警備に向いているとは言い難くて……」
百代マリア:「……」
百代マリア:瞑目していたが、先生に目を向ける。
百代マリア:「……先生……」
百代マリア:「我儘を言ってもいいですか?」
胡緑蘭:「勿論。私はマリアの先生なんだからね」
百代マリア:頷く。
百代マリア:「……出たいです、わたし」
立野スズコ:「えぇっ……!? はぁっ……!?」引いている
胡緑蘭:「うん、そうだよね。そもそも今まで色々調べてきたのも、式典を無事成功させるためだったし」
宮星イオリ:「……そういう所に付け込んでくる敵って感じがするけど」
胡緑蘭:「革命の一番の功労者であるマリアが出られなかったら、成功とは言えないもんね」
析了トオル:「ふふ……では、登壇前提でどう守るかを決めねばいけませんね」
三部つゆり:「……それに、急な登壇のキャンセルは、それ自体がこの学区の緊張を高めるかもしれませんしね」少し吐息をつく。
立野スズコ:「えぇえ……!?」
百代マリア:「この話は、最初から全部罠だったのかもしれないけど……」
百代マリア:「でも、今までに無かったチャンスなの」
宮星イオリ:「まあ確かに、こういう脅しで退かせる事に成功すれば更に付け上がるのがテロリストって連中ではあるけど」
百代マリア:「これを逃せば、病や貧困に苦しむ生徒は更に増え続けることになる……」
析了トオル:「堂々と前に立ち、式典を成功させる。マリアさんの目指す先に辿り着く一番の近道です」
百代マリア:「わたくしが卒業する前に、この学区を変えなくちゃいけない」
百代マリア:「だから、先生……」
百代マリア:緑蘭の顔をじっと見て
百代マリア:「……わたくしを、守って頂けますか?」
胡緑蘭:「うん」口元に薄く笑みを浮かべて、マリアの肩に手を置く。
胡緑蘭:「最初から言ってたじゃない」
胡緑蘭:「私が、君を守る」
胡緑蘭:「その約束を果たそう」
胡緑蘭:顔を上げて、周りを見渡す「みんなも手伝ってくれるかな?」
析了トオル:「無論です。前回も今回も、赫花連盟にはお世話になりっぱなしですから」
析了トオル:「やれることをやりましょう。勿論……こちらのやりたいことも、御贔屓に手伝っていただけると嬉しいです」
立野スズコ:「うぇぇ……や、やっぱり無茶ですよ~~~……!?」
三部つゆり:「乗りかかった船ですし、何より」これ以上、お兄さんに積み上げさせるのは。
三部つゆり:いやだ、と思った。それに…ソウマさんはどう言うだろう。…止めないだろうけど、苦い顏はしていそうだから。
三部つゆり:その思い出の中の綺麗なものを、あのひと自身に泥を塗らせたくはない。だって、みんな頑張って、こんなに必死なのだ。「これ以上は、もういいって思いますから」
宮星イオリ:「……はあ」
宮星イオリ:「まあこうなったらマリア、どうやっても止まらないし」
宮星イオリ:「ほっとくと勝手に死なれて最悪な状況になるって言うなら、そりゃ、止めるけど」
宮星イオリ:「……信用しすぎじゃないの?この男のこと」
胡緑蘭:「え~?逆にイオリはどうしてそんなに私を目の敵にするんだい?」
宮星イオリ:「別に、目の敵ってわけじゃないけど。胡散臭いしへらへらしてるし……」
百代マリア:「それは事実ね……」
百代マリア:「ごめんなさい、苦労を掛けるわね」周囲を見回してそう言いながらも、最初からそうすると決めていたように迷う様子は無い。
百代マリア:「ありがとう、皆」
百代マリア:「ありがとうございます」
百代マリア:「……先生」
百代マリア:肩に置かれた手に自らの手を重ね、僅かに顔を寄せる。今度は払い除けようとはしなかった。
GM:シーン終了。ロイス取得と……恐らく最後の購入チャンスです
析了トオル:もう最後!
三部つゆり:ロイスは…全部埋まってる!欲しいものある方います?スぺミとか…
胡緑蘭:最後だと~!
析了トオル:照準器かな……
析了トオル:狙ってみましょう
宮星イオリ:そうとは
胡緑蘭:もはやスペミ買っても焼け石に水だろうし
胡緑蘭:ブルゲかサラシが欲しいかも
宮星イオリ:ううーん何買おう
析了トオル:6dx+2>=15
DoubleCross : (6DX10+2>=15) → 8[2,3,6,6,8,8]+2 → 10 → 失敗
三部つゆり:さらし30かあ コンセ無形なら買えるかも…?
宮星イオリ:あ、あと十字冠の低減処理もあるのかな
析了トオル:サポートスタッフありでも……無理!
胡緑蘭:あっ私は回復したいので簡易手術キット買います。失敗したらこれが一番欲しい!
三部つゆり:了解!
胡緑蘭:大人なのカード(ブラックカード)を使って購入ダイス+2
胡緑蘭:12dx+1>=18
DoubleCross : (12DX10+1>=18) → 10[2,3,5,6,7,8,8,10,10,10,10,10]+6[1,1,1,4,6]+1 → 17 → 失敗
胡緑蘭:財産点がある!1払って買います
析了トオル:10の量凄い
宮星イオリ:ダメ元でブルゲねらおうかな
宮星イオリ:4dx>=20 ブルゲうおお
DoubleCross : (4DX10>=20) → 5[2,3,5,5] → 5 → 失敗
宮星イオリ:帰ります
胡緑蘭:早速回復しよう
三部つゆり:凄いぜ じゃあどれがいいかなあ 皆減ってるし ブルゲ、さらし、医療トランク
胡緑蘭:4d10
DoubleCross : (4D10) → 22[7,10,3,2] → 22
胡緑蘭:胡緑蘭のHPを23に変更(1 → 23)
胡緑蘭:完璧
GM:最後に十字冠のある人は侵蝕軽減もどうぞ
析了トオル:128-1d10-10
DoubleCross : (128-1D10-10) → 128-5[5]-10 → 113
宮星イオリ:120-1d10-10
DoubleCross : (120-1D10-10) → 120-4[4]-10 → 106
析了トオル:ぜ、全然高い……!
宮星イオリ:帰れないが
三部つゆり:ブルゲ買います コンセ無形、ラッキーメダルブラック、絆の制服効果発動。
三部つゆり:9dx7+6+1+2>=20
DoubleCross : (9DX7+9>=20) → 10[3,4,5,5,5,5,6,7,9]+10[2,10]+1[1]+9 → 30 → 成功
三部つゆり:さらしもいけたや
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を6増加(126 → 132)
三部つゆり:132-10-1d10 侵蝕低減します
DoubleCross : (132-10-1D10) → 132-10-9[9] → 113
三部つゆり:高い ブルゲ誰が持ちます?
胡緑蘭:次のシーンは私一人か…
三部つゆり:一応トオルさんにブルゲ渡します!以上!
析了トオル:もらい!
【Middle5】
GM:緑蘭先生のシーンです 登場侵蝕は不要です
ラス・ヴィダス大聖堂
百代マリア:常に忙しく、また護衛の欠かせないマリアにとって、入浴は一人になれる数少ない時間だった。
百代マリア:鏡の前、普段は厚着で隠している素肌を晒す。以前は雪のように白かったそれは、今は能力の代償によって見る影も無い。
百代マリア:爛れた、あるいは腐ったような呪いの汚染。最初は指先だけだったものが、今や胴体、四肢、首元までも埋め尽くしている。
百代マリア:「……」
百代マリア:静かに自らの身体を見つめ、首筋、僅かに残った健全な肌と爛れとの境界に触れる。
百代マリア:(……あと……どのくらい続けられる……?)
百代マリア:シャワーの栓を捻る。水音に隠すように、苦悶の声を漏らす。
百代マリア:熱いお湯が身体を打つと同時、黒く濁った血が激痛と共に溢れ出してくる。
百代マリア:俯き、水と血とが排水溝に流れていくのを眺めながら、ただ痛みに耐えることに集中した。
---
GM:セレモニー前日、夕刻。
GM:君──胡緑蘭が大聖堂の渡り廊下を歩いていると、生徒たちに小さな騒ぎが起きているのに気付いた。
スラム生徒:「……いたか?」「いや……」
スラム生徒:「これだけ探しても居ないとなると……」「そんな……」
スラム生徒:深刻な表情。数人の生徒が小声で話し込んでいる。
胡緑蘭:「や、こんばんは」軽く手を上げて、気安い様子で話しかけに行く。
胡緑蘭:「ずいぶん慌ててるみたいだけど、どうしたの?」
スラム生徒:「あっ、先生……」「どうも……」
スラム生徒:ここに出入りして少し経ち、聖堂に出入りしている生徒たちも、君の顔を覚えたらしい。
スラム生徒:「……それが……ここにいた生徒が一人、居なくなってしまったんです」
スラム生徒:「かなり重い堕天病で、殆ど寝たきりの子だったんですが……」
胡緑蘭:「おや、それは大変だ」
胡緑蘭:「寝たきり……と言うことは、自分で出ていった線は薄いのかな」
胡緑蘭:「最近怪しい人物の出入りとかは?」
スラム生徒:「……」生徒たちは顔を見合わせ、
胡緑蘭:「?」
スラム生徒:「そう……ですね。最近、夢遊病みたいになる子がいるって話は聞いてます」
スラム生徒:「ただ、午前にはまだ居たし、他の子は普通にしてるからその線は薄そうで……」
スラム生徒:「あたし達も、自分で出て行ったんじゃないかって」
胡緑蘭:「ふむ……」ついこの前まで調べていたのに夢遊病のことを失念していた。
胡緑蘭:「いっそ夢遊病の方であれば話が早かったんだけど」
胡緑蘭:「自分で、か……とはいえ重病ならそう遠くへは行ってないかもしれない」
胡緑蘭:「私も探してみるよ。その子の名前とか特徴とか、教えてくれる?」
スラム生徒:「……いや、それが……」「……」また顔を見合わせる。どうにも歯切れが悪い。
スラム生徒:「実のところ……行き先の心当たりならあるんです」
スラム生徒:「こういうことは初めてじゃなくて……ただ……」「ええ。自分で行ったなら、それが問題というか……」
胡緑蘭:「えっそうなのかい」少し考えたあと、ポンと手を打って。
胡緑蘭:「ああ、毒沼か!」
スラム生徒:「……はい」頷く。
スラム生徒:「その子、もう長いことここでお世話になってて……マリアさんの力で何とか体調を保ってる状態だったんです」
スラム生徒:「ただ……先生は……ご存じでしたか? マリアさんの能力は、ただ無条件に病気を治すものじゃなくて……」
スラム生徒:「その分の穢れを、自分で引き受けるものなんです」
胡緑蘭:「ああ……うん。直接聞いたわけじゃあないけど」
胡緑蘭:「そうなんだろうとは思っていたよ。暫く一緒に行動していれば嫌でもわかる」
スラム生徒:「マリアさんはいつも笑ってますけど……私達だって、あの人が陰で苦しんでるのくらい分かります」
スラム生徒:「直接治療を受けてる子は、きっと猶更だと思います」
スラム生徒:「それで……これ以上負担を掛けないようにって、自分から姿を消す子は……実際のところ、これでもう何人目か……」
胡緑蘭:「なるほどね……」
胡緑蘭:「それで君たちも、連れ戻すべきかどうか決めかねていたわけか」
スラム生徒:「……はい……」「連れ戻したところで、本人の意思が固いなら同じことですし」
スラム生徒:「それに……結局、問題の根本は解決してないんだから……」
スラム生徒:「……」一人の生徒が、意を決したように君を見て「あの……先生、先生なら何とかなりませんか!?」
スラム生徒:「ちょっと!」「何無茶なこと言ってんの……」周囲の生徒に止められるが
胡緑蘭:「いいよ。言ってごらん」
スラム生徒:「だって……先生は星室庁から来た、すごい人なんですよね!?」
スラム生徒:「マリアさんも言ってました!先生は本物のペンギンも見たことがある、頼りになる人なんだって……!」
スラム生徒:「先生なら、このスラムを……堕天病を……」
スラム生徒:「……せめてマリアさんだけでも!何とか出来ませんか……!?」
胡緑蘭:「……」暫し押し黙って、サングラスを軽く上げる。
胡緑蘭:「確かに私は星室庁の先生ですごく強いし、本物のペンギンも見たことがある」
胡緑蘭:「ペンギンどころかパンダもシロクマも見たことがある。しかも原生地で」
スラム生徒:「パンダも!?」「福建省……!?」
胡緑蘭:「……けど、残念ながら僕は医者じゃあない」
胡緑蘭:「星室庁には医者の先生もいる。世界最高レベルの名医で……それでも"堕天病"はお手上げ状態だ」
胡緑蘭:「私には、堕天病は治せない。ごめんね」
スラム生徒:「そんな……」「ほら、無茶言わないの」周囲の生徒から小突かれ、気落ちした顔をする
胡緑蘭:「本当にごめん……けどね」少し屈んで生徒に目線を合わせて
胡緑蘭:僅かに神妙にしていた表情を、いつもの軽薄な笑みに戻す。
胡緑蘭:「大丈夫!治すのは無理だけど、なんとかしてみよう」
胡緑蘭:「こう見えて人生経験豊富だからね!"堕天病"が普通の病気じゃないのなら」
胡緑蘭:「富裕じゃない方法で、対抗する手段があるかもしれない。私はそういうの探すのは得意なんだ」
胡緑蘭:「……って、こういう事言うと安請け合いに聞こえちゃうかな?」
スラム生徒:「本当ですか……!?」
スラム生徒:「先生、よろしくお願いします!」一人が勢いよく頭を下げ、
スラム生徒:「それがホントなら……私からも!」「あたしもお願いします!」「やつがれも……!」
胡緑蘭:「はは、なんだか急に人気が出てしまったなぁ」まんざらでもない様子で
胡緑蘭:「……いやまあ、これがマリアの人徳なんだろうね」
胡緑蘭:「君たちの気持ちは受け取ったよ。安心はできないかもしれないけど、期待はして欲しい」
胡緑蘭:「先生は、生徒の期待に応えるものだからね」
胡緑蘭:「なんとかしてみせるさ。少なくとも、マリアは」
胡緑蘭:「決して難しいことじゃない」
胡緑蘭:「病気とか立場とか、どうにもならないしがらみがあったとしても……単純に、一人の生徒が幸せになることは」
胡緑蘭:「……難しいことじゃないはずだからね」
スラム生徒:「ありがとう、先生!」「やっぱり男の人ってすごいんだなあ」「大人の人だからでしょ?」「大人の男の人……」
スラム生徒:君の言葉で、沈んでいた生徒達も多少元気を取り戻したようだった。
GM:それから、彼女らと別れた君が聖堂を行くと、丁度マリアと出くわした。
百代マリア:「あら……先生?」
胡緑蘭:「やあ、マリア」
百代マリア:「ええ、こんばんは。夕涼みですか?」
百代マリア:「わたくしも丁度、夕方のお仕事が終わったところです」
百代マリア:患者たちの控える病室が近い。そこで治療を施してきたのだろう、少し疲れた顔をしている。
胡緑蘭:「そっか、おつかれさま」彼女のローブから僅かに覗く、赤い肉を視界に入れて。
胡緑蘭:「それならお腹すいてないかな?なにかご馳走しようか」
百代マリア:「そうですね……」少し考えて
百代マリア:「何か先生のおすすめがございますの? この近くだと、あまりお食事処もありませんけれど……」
胡緑蘭:「そうだねえ……大衆食堂の衛生状態は私も流石にどうかと思うし、食べるのはそれなりに気合がいる」
胡緑蘭:「よし、せっかくだし私が作ろうか」
百代マリア:「えっ……」目をぱちくりさせて「先生が、ですか?」
胡緑蘭:「食材の備蓄はあっただろう?」
胡緑蘭:「簡単なもので良ければだけど。一応中華ならそれなりに心得はあるんだ」
百代マリア:「そうなのですか……?」
百代マリア:「てっきり、先生は素手で仕留めたバッファローの心臓を生で召し上がるタイプの方とばかり……」
百代マリア:「失礼致しました」
胡緑蘭:「それはそれで憧れるけど……」
胡緑蘭:「単純に、料理ができると日銭に困らないのさ。どこに行っても都合よく抗争とか暗殺とかの仕事があるわけじゃないからね」
百代マリア:「暗殺……」
百代マリア:「なるほど、分かりました。今の時間でしたら、丁度炊き出しの準備も終わった頃ですから……キッチンが使えると思います」
胡緑蘭:「なら善は急げだ!久々に腕がなるなぁ」シャツの裾を捲りながら厨房へ向かう。
GM:キッチンは清潔に保たれており、食材も安価な大量購入のものが多かったが、最低限のものは揃っており、君が料理するのに苦労はなかった。
胡緑蘭:「はい、お待たせ!」木製の丸テーブルに所狭しと料理の皿を置いていく。
胡緑蘭:八宝菜、焼売、炒飯、フカヒレのスープ。どれも外の世界とは微妙に違う代替食材が使われているが、見た目と香りはしっかりした町中華と言って良い。
百代マリア:「わぁ……」料理の数々を目の前に、感嘆の声を漏らす。
胡緑蘭:「デザートもあるからね」杏仁豆腐が置かれる。
百代マリア:「とても美味しそうです……! このフカヒレなど……フカヒレ……?一体どこから……」
胡緑蘭:「あ、それは今朝来る途中でたまたま仕留めたんだ」
胡緑蘭:「竜巻の中から襲ってきてね。ノヴァリスではサメも空を飛ぶんだねえ」
百代マリア:「竜巻からサメが……? というか、やっぱり大体イメージ通りなのでは……」
百代マリア:「さておき……頂いてよろしいでしょうか? わたくし、もうお腹がぺこぺこです」
胡緑蘭:「うん!中華は熱さが命だよ。冷めちゃう前に召し上がれ」
胡緑蘭:「お代わりもあるからね」そう言って、自分もマリアの向かいの席に座る。
百代マリア:「はい。……父よ、あなたの慈しみに感謝し、この食事を頂きます。ここに用意されたものを祝福し……」
百代マリア:祈りの言葉を済ませ、十字を切ってから手を合わせる。和洋折衷だ
百代マリア:「頂きます!」
胡緑蘭:「いただきます」マリアがそうするのを待って、自分も手を合わせる。片腕なのでフリだけだが。
百代マリア:行儀よく、しかしパクパクと美味しそうに食べ始める。
百代マリア:「んん……先生、美味しいです、とても!」
胡緑蘭:「良かった。私も作った甲斐があるよ」
胡緑蘭:「マリアはお箸の持ち方が上手だねえ。東アジアの出身なのかい?」
胡緑蘭:「ほら、こっちは日本人っぽい名前でぜんぜん違う国出身の子多いから、聞かないとわからなくてね」
百代マリア:「ありがとうございます。ええ、わたくしも出身は日本ですよ」
百代マリア:「名前は西洋風ですが……クリスチャンの家系だったもので」
百代マリア:「この炒飯……このパラパラでしっとりな炒め加減はどうやって出しているのですか?」
百代マリア:「わたくしも料理は一通り教わったのですが……スピード感のあるものは苦手で……」どんくさい
胡緑蘭:「炒飯は火力調節のタイミングが大事だからねえ。基本は強火だけど、それだけでもいけない」
胡緑蘭:「本当は油をたくさん使うのが手っ取り早いけど、疲れてる所に脂っこすぎるものは良くないからね」
胡緑蘭:「全体的に油少なめでヘルシーに、尚且つ風味は落とさないよう工夫してみました」
百代マリア:「ふむふむ……」真面目に聞いている
百代マリア:「このスープもすごく美味しいです。こんなに上等なフカヒレが取れるのなら、毎日でも竜巻が来てほしいわ」
胡緑蘭:「良いねえ。私もあれとはもう一度立ち会ってみたいかな。かなり手応えのある獲物だった」
百代マリア:「……ご馳走様でした」しっかりと手を合わせ、食後の祈りも済ませて
百代マリア:「本当に美味しかったです。先生は何でも出来るのですね」
胡緑蘭:「ありがとう。お腹いっぱいになれたかな?」
百代マリア:「はい! まんぷくです」満足げだ。食べることは好きらしい
胡緑蘭:「良かった。マリアが笑ってくれると私も嬉しいよ」
胡緑蘭:「このくらいので良ければいくらでも作りに来るから、何時でも呼んでね」
百代マリア:「よろしいのですか? 嬉しいです……」
百代マリア:「……そうだ、先生。少々お時間よろしいでしょうか?」
胡緑蘭:「もちろん」にっこり笑って
胡緑蘭:「今夜はこの後予定もないし、何時までだって付き合うよ」
百代マリア:「そこまでお時間を取らせるつもりではありませんが」くすりと笑って「こちらです」
百代マリア:そうしてマリアが君を連れていったのは、聖堂の中庭だった。
百代マリア:木々が夕方の風に揺れ、木の葉が音を立てている。丁度配給の時間ゆえか、辺りに人はいない。
百代マリア:「ここです、こっち」
胡緑蘭:「いい雰囲気だねえ。手入れも行き届いていて……赫花連盟の子たちは勤勉だ」少し冷えた風邪を受けて、中庭の景色を眺めながら付いていく。
百代マリア:マリアは、君に花壇を見せる。片隅にある小さなものだが、何種類かの花が色とりどりの色彩を見せている。
百代マリア:「お礼と言ってはなんですが……。わたくしが世話をしている花壇なんです」
百代マリア:「ほら、ここ」しゃがみ込んで、小さな白い蕾を示す
百代マリア:「もうすぐ水仙が咲きそうなんですよ」
胡緑蘭:「おや、本当だ。かわいいねえ」隣にしゃがみこんで蕾を覗く。
百代マリア:「ふふ」嬉しそうに「本当はもっと、色んな花を沢山育てたいのですけど」
百代マリア:「今はこれで手一杯で」
胡緑蘭:「忙しい中でここまで育てるんだから大したものだよ」
胡緑蘭:「ラス・ヴィダスだと土壌の汚染も大変だろうし、そうでなくても色々物騒だ」
胡緑蘭:「花がひとつ蕾をつけるのにも、沢山の危険から守ってあげないといけない」
胡緑蘭:「マリアが愛情を込めて育ててくれて、この子も喜んでると思うよ」蕾に軽く触れて。
百代マリア:「……そうだといいのですが」
百代マリア:蕾に目を落として
百代マリア:「時々思うのです。花が開くにも、もっと良い場所があるのではないかと」
百代マリア:「害虫を除けて、水をやり、肥料を撒いて、なんとか良くしようとはしているのですが……」
百代マリア:「こんな小さな場所で花を咲かせようとするのは、そもそもわたくしのエゴなのかもしれません」
胡緑蘭:「別に良いじゃない。エゴでも」
胡緑蘭:「マリアが手にとってここに植えなかったら、この子は一生蕾を付けることはなかった」
胡緑蘭:「君は掬い上げた命に対して責任を果たしたんだ」
胡緑蘭:「それって別に、ここより良い所に植えてあげることじゃあない」
胡緑蘭:「自分が持つ精一杯を与えてあげたのなら、それで十分だと思うけどな」
百代マリア:「……責任……」
百代マリア:ぽつりと呟く。
百代マリア:「……そうですね……」
百代マリア:「一度選んだからには、自分が持つ精一杯を与える……」
百代マリア:「……そう、ですね。それこそ責任というものです」
胡緑蘭:「……」
百代マリア:冷えた夕方の風が吹き抜け、木々を揺らす。
百代マリア:「……先生は……」
百代マリア:「このラス・ヴィダスを見て、どう思われましたか?」
胡緑蘭:「どうって、そうだなあ……」
胡緑蘭:「どこに行っても活気があるのは良いね」
胡緑蘭:「思わぬ掘り出し物が安く買えるのも良い」
胡緑蘭:「腕に自信がある子が多いのも、私的には好印象かな」
百代マリア:「……ふふ」目を細めて笑う。
百代マリア:「先生は、良いところを見つけてくださるのがお上手ですね」
百代マリア:「それとも……気を遣っていらっしゃるのでしょうか?」
胡緑蘭:「正直な気持ちだよ。土地っていうのは人間の集まりなんだから」
胡緑蘭:「良いところの方が先に目に付くものなんだ」
胡緑蘭:「そしてもちろん、良いところばかりじゃないってのも同じだけどね」
胡緑蘭:「……ラス・ヴィダスは」腰を上げて、マリアを見下ろす。
胡緑蘭:「病んでいる」
百代マリア:肩越しに振り返るように、君を見上げる。
胡緑蘭:「それは、住民の格差に依存した歪な経済構造のことであり、蔓延している薬物と病気のことであり」
胡緑蘭:「それを創り上げてしまった、人々の心のあり様でもある」
胡緑蘭:「まぁ、きれいな街とは言えないよね。間違いなく」
百代マリア:頷くと共にゆっくりと腰を上げ、風に揺れる小さな花壇を見下ろす。
百代マリア:「……この狭い花壇でも、花を咲かせることは出来ます」
百代マリア:「ですが、その為に排除された虫達を、費やされた肥料を、注がれた水を……」
百代マリア:「誰も顧みようとはしない」
百代マリア:「毟られる雑草と花に……本当は価値の違いなど無いはずなのに」
百代マリア:口調は堅いものだったが、マリアの表情は穏やかだった。
百代マリア:それは却って、彼女が抱いてきた現実への失望を如実に表していた。
百代マリア:「……先生。わたくしは……」
百代マリア:「自分の選んだ道を、後悔したことはありません」
胡緑蘭:「……うん」
百代マリア:「けれど、卒業を控えて……」
百代マリア:「この頃になって、今さら……時々、意味も無く想像するのです」
百代マリア:中庭をゆっくりと歩きながら話す。吹き付ける風に淡い色の髪が揺れる。
百代マリア:「もし別の道を選んでいたら、今頃自分はどうしていたのだろうかと」
百代マリア:「もし普通の学生として過ごしていたら、今頃どんなことをしていただろうかと」
百代マリア:「誰かに……」
百代マリア:「……恋をするというのは、一体どんなものだっただろうかと」
胡緑蘭:「恋、か」
百代マリア:くすり、と。諦観の笑みを浮かべ、君を見る。
胡緑蘭:「今からでも、全然遅くないと思うけどなあ」
胡緑蘭:なんでもないことのように言う。
胡緑蘭:「卒業したら、今よりもっと色んな人と会うんだから」
百代マリア:「……この身体で、ですか?」
胡緑蘭:「恋に美醜は関係ないし、それにそもそも……」
胡緑蘭:「マリアは綺麗だと思うよ」
胡緑蘭:「私の生徒だから言ってるわけじゃなくね。客観的な感想」少しおどけて
百代マリア:「……は……」
百代マリア:動揺は一瞬のこと。すぐに瞑目して。
百代マリア:「……ありがとうございます。見えている部分は……よく皆に褒めて頂きます」
胡緑蘭:「マリアは、本当に自分のことを醜いと思っているのかい?」
胡緑蘭:「だから隠している」
百代マリア:「……」
百代マリア:「美醜は人それぞれとはいえ……限度というものはあります」
百代マリア:「これは……人に見せるものではありませんから」
百代マリア:半ば無意識に、隠すようにローブの袖に触れる。
胡緑蘭:「うーん……」
胡緑蘭:「確かに、誰彼構わず見せて気分の良いものではないかもしれないね」
胡緑蘭:「けど、気にしない人だって沢山いるんじゃない?」
胡緑蘭:「連盟の仲間とか、友達とか、イオリやつゆりだってきっとそうだろうし」
胡緑蘭:「恋人であればなおさらだ」
胡緑蘭:「もちろん私も気にしない。私はマリアの先生だからね」
百代マリア:「な……」
百代マリア:「……確かに、表立って嫌な顔をするのは……気遣ってくれるかもしれませんが」
百代マリア:「それでも、嫌な気持ちにはなるでしょう」
胡緑蘭:「いや、どうだろう。そうとは限らないと私は思う」真面目な顔で
胡緑蘭:「さっき、このラス・ヴィダスについてどう思うか聞かれたよね」
胡緑蘭:「私は最初に良いところを答えた、そして、その後に挙げたこの街の病巣は」
胡緑蘭:「確かに醜くて、恥ずかしいことで、治していくべき汚点かもしれない」
胡緑蘭:「でも君、それでこの街を嫌いになったことないでしょ?」
百代マリア:「……それは…………」
百代マリア:言葉に詰まり、じっとりと君を見る。
百代マリア:「それとこれとは……ず……ずるいわ、そんなの……」
胡緑蘭:「いいや、ずるくないね。同じことだ」
胡緑蘭:「君は、この花壇に水仙を植える時」マリアへ一歩近づく
胡緑蘭:「その球根を見た筈だ」
百代マリア:一歩引くが、花壇を踏みそうになって留まる。
胡緑蘭:「一般的な感性で、草花の根を美しいと形容する人は少ないよね」
胡緑蘭:「どっちかと言うと醜い。うねうねして気持ち悪いし、土ついてて汚いし」
胡緑蘭:「けど、それで水仙を嫌いになる人はあんまりいない」
胡緑蘭:「君は知っているかな」花壇を一瞥して
胡緑蘭:「水仙には毒があるんだ。ニラに似ているからよく間違って食べた人が酷い目に合う」
胡緑蘭:「根も、草も、花も、毒のない部分は存在しない。もちろん外の世界でこれを育てる人はみんな知っていることだけど」
胡緑蘭:「それで、咲いた花を嫌う人はいない。むしろ東洋でも西洋でも、清らかさの象徴みたいな名前を付けられてる」
百代マリア:「……それは…………」
百代マリア:「っ……でも、やっぱり例え話で……」
百代マリア:「……それなら……!先生はわたくしのことを──」
百代マリア:そこまで言って、口を止める。
胡緑蘭:「いや、同じことだよ」眼の前に立って。
胡緑蘭:「一緒なんだ、マリア」
胡緑蘭:「醜い部分は誰にだってある。誰だって、自分の隠した部分を見せるのは恥ずかしいんだ」
胡緑蘭:「それは時に、毒ですらあるかもしれない。誰かを傷つけてしまうものかもしれないけれど」
胡緑蘭:「それでも、結実したものの美しさを、人は愛することができる」
胡緑蘭:「人間は、きれいな部分を見ることができるんだ」
胡緑蘭:マリアの手袋に覆われた片腕を掴む。
百代マリア:「……!」
百代マリア:反射的に手を引こうとするが、出来ない。
胡緑蘭:「……」
胡緑蘭:「……つまりさ」
胡緑蘭:「君が感じている負い目って、他人に裸を見せるのと同じだと思わない?」
胡緑蘭:真顔で口走る。
百代マリア:「……な…………」
百代マリア:手を掴まれたままそんなことを言われて、顔を真っ赤にする。
百代マリア:「……違……や……え……?」
胡緑蘭:「だってそうだろ?普通、自分の裸なんて誰彼構わず見せるものじゃないし」
胡緑蘭:「どんなに自分に自身があっても恥ずかしいものだ。まかり間違って衆目に晒せば罰せられもする」
胡緑蘭:「けど、恋人同士なら話は別だ」
胡緑蘭:「もちろん友達だって、家族だってそうだよね」
胡緑蘭:「本当に大切な関係の間では、醜さはその意味を失う」
胡緑蘭:手袋を握る手に力を込める。
胡緑蘭:「そしてもちろん、私もそうだ」
胡緑蘭:「私は、マリアの先生だからね」
百代マリア:「………………」
百代マリア:上気した顔で君を見て。
百代マリア:「……せ……」
百代マリア:「生徒は……先生に……裸までは……見せないんじゃ……」
胡緑蘭:「そうかな?でも良いんだ」
胡緑蘭:「僕が、マリアの裸を見たいんだから」
胡緑蘭:驚くほど自然に、マリアの手袋が引き抜かれる。
百代マリア:「あ……っ……!?」
百代マリア:不意を突かれ、手袋の下の醜く爛れたその腕が露わになる。
百代マリア:「や……」
百代マリア:反射的に手を隠そうとする。
胡緑蘭:「……ほら、やっぱり」
胡緑蘭:その手を掴んで引き寄せ、柔らかく握る。
胡緑蘭:吹き出した粘液、固まりきっていない血液が飛び散り、白いスーツを濡らす。
胡緑蘭:それに一切気付かない様子で、マリアの瞳を見つめて。
胡緑蘭:「とても、きれいだ」
百代マリア:「………………!」
百代マリア:握られた手を振り払うことも、逃げることも出来ず。
百代マリア:耳まで真っ赤にしたまま、思わず視線を逸らすように深々と俯く。
百代マリア:「……え……」
百代マリア:「……エッチ!!」
百代マリア:「破廉恥だわ、胡緑蘭……!!」
百代マリア:「こんなっ……こんなことを誰にでもしているの!?先生というのは……!」
胡緑蘭:「うん、それが先生……」罵詈雑言もどこ吹く風と言った様子で言いかけて
胡緑蘭:「……いや、初めてかな?」今更気づいたように目を丸くする。
胡緑蘭:「もしかして、やりすぎてしまったかい?」
胡緑蘭:「生徒と先生の一線を超えてしまった……?」
百代マリア:「やりすぎよ…………!」
百代マリア:「最初から……何だか怪しいと思っていたけれど……あなたは!!」
百代マリア:「こんなっ……はぁっ……!もう……!」
百代マリア:ぷりぷりと怒りながら
百代マリア:「……返して!」
百代マリア:手袋をひったくって着け直す。
胡緑蘭:「おっと」特に抵抗もなく取り返される。
胡緑蘭:「なんてことだ。この僕がマリアの緩慢な動きを躱せないだなんて」
胡緑蘭:「これも、それほどまでに君に見とれていたことの証左と言えるんじゃないかな?」
百代マリア:「おだまりなさい!」
百代マリア:まだ赤い顔で睨むようにしながら
百代マリア:「……」
百代マリア:「……脱いで頂戴」
胡緑蘭:「えっ」
胡緑蘭:少し考えて、得心が言った様子で羽織っていたジャケットを脱ぐ。
胡緑蘭:それをマリアの肩にかけて「なるほど、気が利かなかったね。確かに肌寒くなってきた」
百代マリア:「そうね、風が冷たくなって……違うわよ!」
胡緑蘭:「え、違うのかい?」
百代マリア:「スーツ!上着! 汚れてしまったから……洗って帰すわ」
胡緑蘭:「……あ、本当だ」言われて漸く気付いた様子で。
胡緑蘭:「気にしなくていいのに。どうせいつも返り血でもっと汚れるんだ。替えもあるし……」
百代マリア:「わたくしが気にするの……」
胡緑蘭:「そうかい?それじゃあ……」
胡緑蘭:赤い染みのついたベストを脱いで、黒シャツ姿になる。
胡緑蘭:「お言葉に甘えようかな」畳んで手渡す。
百代マリア:ベストを受け取り、溜息を吐く。
百代マリア:「……星室庁に先生をお願いした時は……」
百代マリア:「こんな人が来るだなんて、思わなかったわ」
胡緑蘭:「ガッカリさせてしまったかな?」
百代マリア:「……」
百代マリア:「……ビックリはしたわ」
百代マリア:「こういう……破廉恥なことも……どうかと思うけれど」
百代マリア:「……でも、嬉しかった」
百代マリア:羽織らされたジャケットを手で寄せるようにして
胡緑蘭:「そっか」サングラスの奥の瞳を細めて
胡緑蘭:「なら私も、来てよかった」無邪気に笑った。
GM:シーン終了。
GM:ロイス取得可能です。またゆっくり休んだので侵蝕率を1D10-10低減しても構いません。
胡緑蘭:やった~!
胡緑蘭:1d10+10
DoubleCross : (1D10+10) → 6[6]+10 → 16
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を-16増加(110 → 94)
胡緑蘭:マリアのロイスは取ってるので……内容だけ変えようかな。
胡緑蘭:◯庇護/隔意 → ◯誠意/責任感 に変更します。
GM:OK!
GM:侵蝕率が100を越えている生徒の方は侵蝕率を-1D10-10することができます。
三部つゆり:やります!
析了トオル:やっちゃうぞ
三部つゆり:113-1d10-10
DoubleCross : (113-1D10-10) → 113-4[4]-10 → 99
宮星イオリ:106-1d10-10
DoubleCross : (106-1D10-10) → 106-6[6]-10 → 90
析了トオル:113-1d10-10
DoubleCross : (113-1D10-10) → 113-10[10]-10 → 93
析了トオル:ひゃあ
【Middle5.5】
GM:生徒三人のシーンになります。登場侵蝕は不要です
三部つゆり:借りている部屋の中で、三部つゆりは茫と窓の外を眺めている。
三部つゆり:色々なことが--本当にたくさんのことがあった。
三部つゆり:再開と告死。星徒とその殺害。殺し屋からの襲撃--常の仕事どころか、ここ六年でもずっとなかったくらいだ。
三部つゆり:そしてこういうとき、受け止めるのに時間がかかることが、一度に一気にやってきた時。いつも思う事がある。
三部つゆり:「声が」ぽつりと声が零れた。制服につけた、”晨星”セルのピンを撫でる。
三部つゆり:「聞きたいな」ソウマさんの声。群生お兄さんの声。二人がいる声が、あの日々のように--
三部つゆり:こころの深いところを解すような、ソウマさんの声が聴きたかった。
三部つゆり:そして、そのままだと力が抜けてふにゃっとしてしまうのを正してくれる、群生お兄さんの声が聴きたかった。
三部つゆり:--哀しみは、波のようにやってくる。
三部つゆり:一度事実を知った後に打ち付けられて、身を冷やしたと思えば引き摺り込んで。
三部つゆり:それが退いたと思っても、また何度も繰り返しやってくる。
三部つゆり:(ああ)「そっか」ソウマさんの声は、
三部つゆり:「もう…聞けないんだっけ」
GM:呟いた時、それに応じるかのように君の端末に着信が入った。
GM:音声通話だ。発信元は非通知。
三部つゆり:普段だったら、出るまでに色々と熟してから出ないと怖くて出れなかった。でも、今は何でもいいから、誰かの声が聴きたかった。
三部つゆり:「はい」出る。か細い声。
“イモータルコイル”:「……」
“イモータルコイル”:「三部つゆりか」
“イモータルコイル”:その声を、君が聞き違うはずがない。
“イモータルコイル”:ノドスチルドレン“イモータルコイル”の、そして幼馴染である四海群生の声。
三部つゆり:「、」片目を見開く。「お兄さ…」
“イモータルコイル”:機械音声を更に通話越しにしているためか、音質は荒い。
“イモータルコイル”:「莫迦な女だ」
“イモータルコイル”:「あのまま捕らえられていればよかったものを」
三部つゆり:「……あの時手配したのは、お兄さんだったんだ」
三部つゆり:「急に何の説明もなしに捕まえられて、まともに扱われるなんて。ここだと思えないよ」
三部つゆり:言葉は辛辣なようでいて、口調は酷く柔らかい。罵りでさえあったのに、どこか身体の奥の傷の痛みが少し収まるような感触があった。
三部つゆり:「……どうして、私を攫うように言ったの?」
“イモータルコイル”:「…………」
“イモータルコイル”:しばらくの間があった。対応を決めかねているような沈黙。
“イモータルコイル”:「……まずは」
“イモータルコイル”:「その気色の悪い呼び方をやめろ」
“イモータルコイル”:「俺はお前の兄でもなければ、幼馴染でもない」
三部つゆり:「……四海群生の身体で、その声をして。私の事だって知ってたのに?」
“イモータルコイル”:「……」
“イモータルコイル”:「……四海群生という男は……」
“イモータルコイル”:「他者の能力を模倣・吸収できるウロボロスだった」
三部つゆり:「……」色々と推察は進んでいた。事実、その通りだったのだという裏付けを得て。
“イモータルコイル”:「能力の使用条件は、相手が死んでいること。そして、その一部を摂取すること」
“イモータルコイル”:「四海はその力で、死んだ友人の能力をコピーしたが……奴には一つ誤算があった」
“イモータルコイル”:「それは能力と共に、死者の人格までも自らの内に取り込んでしまうことだった」
三部つゆり:「それは……」三部つゆりは、ウロボロスの幾つかのアイテムにあるような、RBの使役能力者だ。
三部つゆり:だから、わかる。事実、彼女の前任たちはそのようにして死んだ。触れたものに取り込まれて。
三部つゆり:「…取り込んだ分が、多重人格みたいになるの?」
“イモータルコイル”:「そうだ」
“イモータルコイル”:「この身体は確かに四海群生のものだ」
“イモータルコイル”:「だがその中には、戦いの中で死んでいった数百のノドスチルドレン達の意識が混ざり合ってる」
“イモータルコイル”:「奴の自我なんてのは、もうとっくに残っちゃいねえんだよ」
三部つゆり:「……なら、なんで」
三部つゆり:「銀行の時、私を殺さなかったの?」
“イモータルコイル”:「……」
“イモータルコイル”:「意味なんて無えよ。ただの気紛れだ」
“イモータルコイル”:「お前が昔の知り合いだから助けたとでも言いたいわけか?」
“イモータルコイル”:「恥ずかしい女だ。ノヴァリスの連中はどいつもこいつも自意識過剰で、自分に価値があると思ってやがる」
三部つゆり:「そうじゃないよ。ただ……私はあの時、邪魔だった。あなたにとって、元の身体の持主の刺激になって。人格の支配体制に動揺を齎し得る可能性は、あった」
三部つゆり:「だったら、殺しておいた方が安心じゃないかな、って。そんなに、難しくもないはずだよ」
三部つゆり:淡々とした口調だった。自分の生死のはずなのに、そこにはまるで計算式と答えしか見ていないような気軽さの。
“イモータルコイル”:「……で?」
“イモータルコイル”:「何が言いたい」
三部つゆり:「数百分の一だとしても」
三部つゆり:「まだ、四海群生が生きているなら」
三部つゆり:「私は、彼を取り戻したいな、って。そう思ったの。……自分でも、大分バカだなって思うけどさ」
“イモータルコイル”:「……言ったはずだ」
“イモータルコイル”:「四海群生は死んだ」
“イモータルコイル”:「都築ソウマもな」
三部つゆり:「止めて」
三部つゆり:「分かってる。分かってるけど」
三部つゆり:「平気なわけじゃないの」零れた声は、ひどく熱く、震えていた。零れ落ちた血のように。
三部つゆり:「………私を攫った理由は、聞かせてくれる?”獣”に、興味でもあったの?」
三部つゆり:出来る限り冷静なまま話をしようとしている。話を終わらせることを恐れるような。
“イモータルコイル”:「……」
“イモータルコイル”:「ダリいな……ああ、確かに認めてやってもいい」
“イモータルコイル”:「道端の蟻を踏まずに避けてやる程度には」
“イモータルコイル”:「俺の中に、お前を殺すのを忌む気持ちは確かにある」
三部つゆり:「………」目をずっと閉じている。彼の声を、心に刻むように。
“イモータルコイル”:「だが、それだけだ」
“イモータルコイル”:「蟻に噛まれれば、潰すのに躊躇なんて無い」
“イモータルコイル”:「これ以上深入りすれば、お前も迷いなく殺す」
“イモータルコイル”:「さっさとこの街から消えろ」
三部つゆり:小さく口を開き、閉じる。それを何度か繰り替えす。
三部つゆり:ショックがなかったわけではない。寧ろ、つゆりがせめてとこうあって欲しい、と思っていたものは全て土塊か砂場の砂細工のように吹き消えている。
三部つゆり:「そうしたら、あなたはそのままこの街を壊すんだよね」
三部つゆり:「私は、蟻一匹くらいでしかない。うん。本当にその通りだ」
三部つゆり:なにが出来ただろうか。三部つゆりは、なにも出来ていない。ずっと探してきた人たちは、彼女ではなく彼ら自身で外に出るか、生きていく果てに死に果てた。
三部つゆり:この街を何か変えようかと、己を何か変えようかとしたこともなかった。
三部つゆり:「でも」
三部つゆり:「私は、私の中のあのひとに恥じるようなことは、したくないよ」
三部つゆり:「街を変えようとしてる人がいるんだ。病気もどうにかしようとしてる人がいる。それを助けようとしてる人も、必死に苦しみながら生きてる人もいる」
三部つゆり:「……見捨てて逃げたりするようなやつは、都築ソウマの…」目を強く瞑る。開く。「友達だって、私が認められない」
“イモータルコイル”:「…………」
“イモータルコイル”:重い沈黙が落ちた。それから。
“イモータルコイル”:「……お前は……」
“イモータルコイル”:「一体どんな覚悟と責任を持って、俺を止める?」
“イモータルコイル”:「一体、お前が……何を知ってる?」
“イモータルコイル”:「ノドスのことを」
三部つゆり:「何も知らないよ。教えてくれないから、何も分からないよ……!」
三部つゆり:「本当は!」
三部つゆり:「もっと聞きたいよ!!どうしてソウマさんは死ななきゃならなかったのかとか!群生お兄さんがどうしてそこまで無茶をしたかとか!聴きたいよ…!」
三部つゆり:「……私が何を言っても、もう決めた事だろうから、言わないだけで……!本当は、なんでこんなことするの、って、聞きたいに決まってるでしょ…!?」
三部つゆり:「お兄さんだって、私のこと知らないくせに!…私が、どうして”獣”の器になったかだって、知らないでしょ!?」
三部つゆり:「……聞いたら、教えるよ。私は。あなたはどうなの……?」
“イモータルコイル”:「……話したところで、どうなる?」
“イモータルコイル”:不意に、冷たく突き放すような声が、昏く沈み込む少年のようなそれに変わる。
“イモータルコイル”:「今更俺達が分かり合えるのか? 俺とお前が、ノドスとノヴァリスが」
“イモータルコイル”:「見てないだろ、お前は」
“イモータルコイル”:「俺達の仲間が──ソウマがどうやって死んだのか」
三部つゆり:「じゃ、じゃあ」泣きながら溢れた声だった。
三部つゆり:「わ、私は……私は!!」
三部つゆり:「好きな人のことを、悼んじゃいけないの!?」
三部つゆり:「好きな人が、どうやって死んだかも、知らないままなの!?知っちゃだめなの…?」
“イモータルコイル”:「遅ェんだよ」
“イモータルコイル”:「今更だ……何もかも」
“イモータルコイル”:「それともそいつを話せば、お前はノヴァリスを明け渡してくれんのか?ノドスに協力して仲間を殺すのを手伝ってくれんのか?」
三部つゆり:「手伝うよ」
三部つゆり:「私が六年、何をしてたか知ってる……?」
三部つゆり:「ずっと、貴方達を捜してたんだよ」
三部つゆり:「もう死んだようなものだから!私は地獄に堕ちろって言うなら、そうするよ!!」
三部つゆり:「私は、外じゃどうせ生きられないもの!……ほら」
三部つゆり:「……言ってよ。ちゃんと説明して…」
“イモータルコイル”:「……生きられない?」
“イモータルコイル”:「何言ってる……堕天病でもないくせに」
三部つゆり:「………”輪廻の獣”のこと、知らないの?」
三部つゆり:「簡単だよ。私は破れかけの封印。ひび割れだらけのコップ。ノヴァリスの十字冠による保護が無ければ、私はあと数年もしないうちに、”獣”に飲まれてジャームになる」
三部つゆり:「だから、使いたいなら好きに使えばいい」
“イモータルコイル”:「ああ……?」
“イモータルコイル”:「……お前……」
三部つゆり:「私は」
三部つゆり:「”こう”なる可能性も、分かった上で封印になったんだ」
三部つゆり:「ソウマさんと、群生お兄さんが外に出た時…そんな怪物に遭わせないために。それだけでよかったから」
三部つゆり:「”覚悟”はもう、6年前に終わってる」
“イモータルコイル”:「覚悟だと……!? お前、そんな……」
“イモータルコイル”:「……あ゛あ゛ッ!! クソッ!!」
“イモータルコイル”:強く殴りつけるような音が電話口から響く。
“イモータルコイル”:「黙れ、黙れ黙れ……黙れよ……!」
“イモータルコイル”:「知らねえよ……知るか、ノヴァリスのクズの事情なんて……!」
“イモータルコイル”:「何人死のうが俺達に関係ねえだろうが……黙れ……うるせェんだよ……!」
“イモータルコイル”:複数の意識が混濁しているような、混乱した声。
三部つゆり:「………あなたは…いや、あなたたちのことを、私は知らない。でも」
三部つゆり:「その中の一人。四海群生のことは、知ってるよ。……ねえ」
三部つゆり:「……聞いてる?届いてるかな。つゆりだよ」
三部つゆり:「時間が掛かってるけど。やくそくしたもんね」
三部つゆり:「会いに行くから」
“イモータルコイル”:「………………」
“イモータルコイル”:答えは無かった。長い沈黙の後、ブツリ、と不意に一方的に通話は切断される。
三部つゆり:ゆっくりと携帯電話を降ろし、ベッドの上に身を投げて大の字になる。
三部つゆり:「………ピアノは聴けなかったけど」
三部つゆり:>「群生がな、またああやってうるさくいってきたら--」
三部つゆり:淡く遠い記憶だった。大事に大事に何度も思い返した記憶だった。
三部つゆり:「つゆりが止めてくれよ、だったよね」
三部つゆり:「私は」
三部つゆり:「嘘をつかない」
三部つゆり:譬え、どんなに難しくて、どんなに力が足りないのだとしても。
三部つゆり:身を捧げてでもどうにかするのは、得意だから。
三部つゆり:「………でも。ちょっと残念だな」
三部つゆり:もしも、本当に教えてくれたなら。その時は--
三部つゆり:「悪い子になるのも、悪くなかったかも」
---
宮星イオリ:人は、痛みも何もかも、戦闘の渦中に置かれているような状況であれば、ある程度は脳が麻痺したようにして堪えることができる。ここ数年で学んだことのひとつ。
宮星イオリ:翻せば、その後の時間は宮星イオリにとっていつも最悪なものだった。皆との会議の間はなるべく表に出さないようにしていたが(心配されるのも癪だ)、どれだけできていただろうか。
宮星イオリ:……大聖堂の空き部屋の一つに、うめき声が小さく響いている。濡れたタオルで割れ物に触れるように、そっと汚れを落とし、血を拭っていく。
宮星イオリ:どれだけ細心の注意を払っていても、ただれて変色したその皮膚を擦れるたびに割れるような痛みが走った。「っ……ぐ、ぅ」
宮星イオリ:身を捩りながら、しびれの残る右手でコップを手繰り寄せる。ポケットから取り出した錠剤をマスクの隙間から押し込んで、そのまま流し込む。げほ、げほと咽る。ひどい味だった。
宮星イオリ:(……これきりだ。もう)空になった錠剤のケースに視線を落とす。何度も自分で買おうとした事はあったから、その一錠の高価さは思い知っている。
宮星イオリ:お節介な姉に押し付けられるたびに、惨めで泣きそうな気持ちになっていた。(……それも、もう、なくなる)
析了トオル:……部屋に、ノックの音が鳴る。
析了トオル:「失礼。イオリさん、いらっしゃいますか?」
宮星イオリ:すぐに「帰って」と応えようとしたが、そのまま咳き込む。
析了トオル:返答を聞かずに、そのまま部屋の中へ。
宮星イオリ:「えほっ……ちょっと、こほっ」
析了トオル:「……ふむ」空の錠剤瓶と、噎せ返る様子だけ確認して。
宮星イオリ:抗議するような視線。身体を拭くために脱ぎかけていたコートを隠すように抱き寄せる。赤黒く変質した肌が垣間見えたかも知れない。
宮星イオリ:「っ……何? 喧嘩売りに来たの?」
析了トオル:「今更喧嘩を売る事にメリットは何もないでしょう。私がやりにきたのは……」
析了トオル:「まず、御顔を少し拝見できればと思いまして」
宮星イオリ:「はぁ? さっきみたいな偽物が化けて出るかもしれないからって?」
析了トオル:「……確かに、それもありますね。イオリさんはずっと隠したままですから」
宮星イオリ:鼻で笑う。「あんなの、"顔をよく覚えた"くらいでどうにかできるレベルの擬態じゃないって分からない?」
宮星イオリ:「合言葉でも決めた方がまだ建設的でしょ」
析了トオル:「かといって、否定してしまえばそこまでです。覚えておくに越したことはありませんよ」
析了トオル:有無を言わさず、隣にまで移動する。車椅子の動きは素早く、逃げる隙を与えない。
宮星イオリ:「近いっての」足を伸ばして車椅子のタイヤを押さえつける。
析了トオル:「むむっパーソナルスペースはこの範囲ですか……」
析了トオル:「……ま、腹芸は苦手なので本音を言えばですね」
宮星イオリ:「……早くして。もし本気でツラ拝みに来ただけだったら、手を切ろうかと思ってた」
析了トオル:「1つ、貴女が罹患している堕天病について。これまでも何人か患者の方を見てきましたが、貴女程進行している状態で、会話ができるケースは初めてです。色々と見せてもらいたい」
析了トオル:「2つ、貴女が所持する遺産について。これは1つ目の前提に大いに関わる能力だと見ています。先も私に一度影響を与えたようですが……知る範囲で詳しく聞かせてもらいたい」
析了トオル:「3つ、まあそんな事は置いておいて。一度話をしたかった」
析了トオル:「以上です、すっきりしました」
宮星イオリ:「ああ……見せるって何? 脱げって言ってる?」バカにしたような視線。
析了トオル:「はい、脱いでもらうのが一番分かり易いですが……鍵、かけておきますか?」
宮星イオリ:「……マジで言ってんの?」呆れたように。「普通にイヤだけど」
析了トオル:少ししょんぼりとした表情。
析了トオル:「じゃあ、せめて顔だけでも……」
宮星イオリ:「……あのさ、それで何が変わるわけ?」
宮星イオリ:「ちょっとした診察ごっこで何かが好転する病気だったらこんな風になってないでしょ」
析了トオル:「ええ、私はそも医者ではありませんし、診察がしたいわけでもないですから」
宮星イオリ:「はっ。だったら私はアンタの患者じゃないし、アンタの事を信用もしていない」
析了トオル:「ただ、興味がある。どのような状態なのかを間近で見ることは、資料の文字列以上の情報が確かに存在します」
宮星イオリ:「付け加えるなら、アンタのお勉強の教材でもない。ただの好奇心で嗅ぎ回ろうとしないで」
宮星イオリ:「……ねえ、他の子にもこんな感じで距離詰めてんの? 陰で嫌われてんじゃないの、アンタ」
析了トオル:「これは手厳しい。まあいろんな場所に迷惑をかけているのは否定しませんが……」
析了トオル:「まあ、あまり気にしたことは……」
析了トオル:「……いや、最近よく怒られますね、部員から」
析了トオル:コホン、と一息置いて。
宮星イオリ:「……」溜息を吐いて、車椅子のタイヤにかけていた脚を戻す。
析了トオル:「それでも……堕天病を治したいという気持ちには、偽りありません」
析了トオル:そう言って、少しだけ距離を置く。
宮星イオリ:「……」舌打ち。「志のある奴だけなら、いくらでもいたわよ」
宮星イオリ:「いいや、気持ちの話ならアンタよりも上だったと思う」
宮星イオリ:「……普通はね、マリアやアンタみたいに自分とは無関係な相手のために無茶をやれる奴なんて稀なの」
宮星イオリ:「大抵、家族や友達が擦り切れて変わり果てていくのを見て、いても立ってもいられなくなって」
宮星イオリ:「自分の糧を擲ってでもどうにかしたいって、縋るように祈りながらやってる。……気持ちだけなら、アンタよりもずっとある」
宮星イオリ:「それでいて……掴むものはいつも、浮かびもしない藁だらけ」
宮星イオリ:「私も、そういう連中を手伝った事があるから、知ってる」
宮星イオリ:「……もううんざりしてるのよ。アンタにだって何も期待なんてしてない、初めから」
析了トオル:「……当然でしょうね。当事者からしてみれば、いくら力を尽くしても有意な結果を得ることは無く、進行は止まらない」
宮星イオリ:淀みきった灰色の瞳に焼き付いているのは、無為になった試行錯誤の数々と、その道中で心の折れた人々の姿なのだろう。
析了トオル:「それに、ここ最近で新たな問題すら浮上し始めている……堕天病患者の操作。完全意識外での行動」
析了トオル:「……お姉さんと関わらないようにするのも、自らの辿る先を、その果てに何が起こるかを想像できてしまうから、ですか?」
宮星イオリ:「……想像も何も」
宮星イオリ:「アンタも見たでしょうが。あの成れの果てを」
析了トオル:「……ええ、何人かは見させてもらっています、あくまで遠目から。理解できたとは言えません」
析了トオル:「堕天病を調べる過程で無数の試行と、無数の失敗は見ました。資料として、膨大な数」
析了トオル:「……あくまで、資料の上で見ただけ。私には彼ら程の志はありませんが、その下に繰り返されたという事実だけは理解できます」
宮星イオリ:「それで?その膨大な資料とやらの中に」
宮星イオリ:「"今なお癒えずに苦しんでます"と"自我のないバケモノに成り果てました"以外の結末があった?」
宮星イオリ:「……家族の傍に居たくないなんて、当然でしょ。それくらいのまともさは、私にもまだ残ってる……」
宮星イオリ:「残ってる内に、ケリ付けておきたかっただけ」
析了トオル:「…………」
析了トオル:「確かに、失敗の連鎖だけがありました。可能だった事と言えば、進行を遅らせる薬だけで」
析了トオル:生々しい写真があった。感情のままに打ち込まれた文字があった。怨嗟と悲鳴の音声記録があった。
析了トオル:「……けど、それでも。その先にひとつだけ。確かに可能性を見せた研究があった」
析了トオル:「私達に残されたデータ。現代魔術による堕天病の治療研究」
宮星イオリ:「……ああ、クソ。長い無駄話になった」
宮星イオリ:「ねえ、もう一度だけ聞くけど」
宮星イオリ:フードの奥。濁りきった視線が、貴方を射抜くように見ている。
宮星イオリ:「結局。アンタに、何が変えられるの?」
析了トオル:取り繕う事はせず、目線を向けて。
析了トオル:「まだ、分かりません」
析了トオル:「分からないからこそ、知りに行く意味がある」
析了トオル:「貴女が誰にも期待できないというのは理解できます。この研究も、いつか見たような失敗を辿る一筋でしかないのかもしれない」
析了トオル:「……だからと言って、まだ無条件に信じてと言えるほど私の中に確証はありません。曖昧なままに虚勢で胸を張ることに、どんな意味があるでしょうか」
宮星イオリ:「……バッカみたい」
宮星イオリ:「意味なんてないよ。すぐに……無意味だったって、分かる」
宮星イオリ:吐き捨てるように言う。
宮星イオリ:そうして、コートと、その下に巻き付けていた包帯を脱ぎ解いていく。
析了トオル:「……いいんですか?」
宮星イオリ:「あ? 何ボケッとしてんの」
宮星イオリ:マスクを外した口元は、焼け爛れたような異形の貌をしている。
析了トオル:「失礼しました、では……幾つか、調べさせていただきますね」
宮星イオリ:「言っとくけど、アンタはさかしらぶって嫌なやつだし、距離感壊れてるし、信用できない不審者って評価は変わってないから」
宮星イオリ:「そこは勘違いしないでよ」
宮星イオリ:「……ただ、アンタは」
宮星イオリ:「このラス・ヴィダスと堕天病の、絶望的な状況と向き合う覚悟自体はあるみたいだから」
宮星イオリ:「それを見捨てるのは……」
宮星イオリ:頭上に浮かんでいる星が、何かを主張するように白い輝きを放っている。「私の都合が許してくれない」
宮星イオリ:「これが、"2つ目"の話」
析了トオル:「デリカシーも無く、交渉能力も無く、大した能力を持たず、さして優秀でもない。ただ無茶をするだけしか取り柄の無い……くらいは、自分でも理解しています。言っていて悲しくなりますが、事実ですので」
析了トオル:「……それが遺産。その"代償"ですか?」
析了トオル:計器を準備し、機材を以て身体のデータをサンプリングしていく。
宮星イオリ:「そ」頷いて。
宮星イオリ:「祈りを聞き届けること。絶望に立ち向かうこと。……虫酸が走るような綺麗事を押し付けてくる、口うるさい先生みたいなやつ」
宮星イオリ:「……もう十分でしょ。後は、黙って調べて」
宮星イオリ:「そもそも人と喋るの、好きじゃないし」
宮星イオリ:「アンタとは特にだし」
宮星イオリ:それだけ言いやって、脱いだ服を椅子の上にまとめる。
析了トオル:「……では、独り言でも呟きましょうか」
析了トオル:「……何もかも調べ尽くした先に、何が見えるか」
析了トオル:「今の私は、どうしても曖昧な言葉しか返せません。まだ分かっていない事を飄々と話せる程、自分を偽れませんからね」
析了トオル:データを取りながら、ぽつぽつと呟く。返事を聞かず、零すように。
析了トオル:「……本当に情けない。大言壮語を吐きながら、肝心なことはまだ何も分かっていない」
宮星イオリ:ただ黙って座っている。一切の相槌や反応はないが、語りを静止することもない。
析了トオル:「だから……もし、未知に辿り着いて。信ずる友人が残した研究の先に、私が到達したら」
析了トオル:「……其処に出来あがったものを信じるかどうか、その時の私の表情を見てください」
析了トオル:再び顔を向ける。視線を合わせる。
析了トオル:「そこに少しでも迷いがあるのならば、吐き捨てて構いません。それは私が至らなかっただけの事。すべての責は私にあります」
析了トオル:「だから……それまで。最後の機会でもいい。時間をください」懐から取り出した瓶を、机の上に置く。
析了トオル:宮星イオリが飲んでいたものと同じ錠剤。元々研究用に持ち歩いていたものだろう。
析了トオル:「……本当なら、もっと気の利いた言葉を聞かせられればいいんでしょうけれど。イオリさんの言う通り、距離感も分からず、人付き合いは苦手な方ですから」
析了トオル:……それ以上は語らない。黙々とデータを取り始める。
析了トオル:ただ、表情だけは真に迫って。興味と、好奇心と、確かな真剣さが其処にはあった。
GM:シーン終了。ロイス取得のみ可能です。
三部つゆり:ロイスは満タンなので、群生お兄さんのロイスのポジネガを反転します。 親愛/怒り〇→〇親愛/怒り 以上!
宮星イオリ:トオルさんへのロイスは取ってるから特にないかな~
析了トオル:こちらもロイス取得済み!以上で!
ヴァリエンテ警備保障 本社
社長:「宮星! 明日の段取りはどうなってる?」
GM:オフィスで声を張り上げる、浅黒い肌の少女。ヴァリエンテ警備保障の代表、ヨランデ・バルケネンデ。
GM:この企業を一から立ち上げ、小さな警備会社からラス・ヴィダスの全域を担当するまで成長させた張本人だ。
宮星シホ:「人員配備、警護手順、巡回経路、既に全て計画完了しています」
社長:「ワハハ!それなら結構!」
社長:「セレモニーには学区全体が注目している!他学区のマスコミも大勢来るらしい!くれぐれも不備の無いようにな!」
社長:「明日は薄汚いスラムの連中も詰めかけることだろう!いいか!少しでも怪しい奴は片っ端から殴って転送させるんだぞ!」
宮星シホ:「勿論です。お任せください」
社長:「ワッハハハハ!この仕事を万全にこなせば我々の実力もノヴァリス中に示せるというものよ!」
社長:「ここまで来られたのも私の手腕あってこそ!入札では相当な金をバラ撒いたが……やはり総和の下に付いて正解だったなあ!ウワハハハハ!」
宮星シホ:「ええ、本当に。社長あってのヴァリエンテです」
GM:ヨランデ・バルケネンデは、極めて典型的な商業区生徒らしい人物だ。
GM:冷血で狡猾な商売人。強者におもねり、弱者を踏みつけにして私腹を肥やす類の人間。
GM:なればこそ、その末路もまさしく商業区らしいものだった。
ヴァリエンテ警備保障生徒:「……ヨランデ・バルケネンデ!」
GM:不意にオフィスの扉が開き、警備課の社員達が一気に雪崩れ込んで来る。完全に武装を済ませた、剣呑な空気。
社長:「な、何だお前らいきなり?仕事なら明日……」
ヴァリエンテ警備保障生徒:「動くな!ヨランデ・バルケネンデ!強制原住市民なかよし罪の容疑でお前を拘束する!」
GM:警備課が書類を示すと共に、ヨランデを引き倒して拘束する。
社長:「なっ……何だそれは!?私はそんなのは知らん!!」
GM:ヨランデは決して清廉潔白な人間ではない。贈収賄、飲酒、セクハラ、パワハラ……様々な罪を重ねてきたが、全て証拠は残さないよう立ち回ってきた。
GM:そして、強制原住市民なかよし罪など、本当に身に覚えのないことだった。
社長:「み……宮星!おい!お前の部下だろう!こいつらを止めろ!何かの間違いだ!」
社長:「私はここの社長だぞ!こんなことが許されるわけが……」
GM:助けを求めて宮星シホを見上げ、ヨランデは愕然とした。
GM:彼女はその顔に薄っすらと笑みを浮かべていた。その時、ヨランデはこの事態の意味をようやく理解した。
社長:「み……宮星!!貴様ぁああっ!!貴様何の……」
ヴァリエンテ警備保障生徒:「暴れるな!静かにしろ!!」
社長:「グアアーーッ!!」
ヴァリエンテ警備保障生徒:「原住市民に手を出した変態野郎が!」「キメえんだよ!」「そんなに肉球が好きなのか!?」
宮星シホ:「連行して」
社長:「やめろ……私は……宮星ーーーーッ!!」
GM:断末魔めいた叫びを残し、ヨランデは引きずられていった。
GM:オフィスに一人残った宮星シホはひとつ息を吐き、主の無くなった革張りの椅子を撫でた。
【Middle6】
GM:セレモニー当日のシーンとなります。全員登場です。
析了トオル:析了トオルの侵蝕率を1D3+3(→ 4)増加(93 → 97)
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を1D3+3(→ 5)増加(99 → 104)
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を1D3+3(→ 4)増加(90 → 94)
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を1D3+3(→ 4)増加(94 → 98)
商業区 革命記念公園

GM:革命記念公園は、ラス・ヴィダス商業区、ビジネス街の周縁に作られた大型の公園だ。
GM:革命記念と銘打ってはいるものの、特に“マスターポルート”や八月革命にゆかりのある地に作られたというわけではなく、ネーミングは大衆に対するアピールという面が強い。
GM:多くの木々と噴水で彩られた、隅々まで整備された都市型の公園。完成記念セレモニーゆえに今日は一般開放されているが、正式開業の暁には企業が保有する有料施設となる予定だ。
GM:セレモニーには各界の有名人や富裕層が招かれた盛大なもので、他学区からも大勢のマスコミが詰めかけている。
GM:煌びやかな高級車から降りてきたドレス姿の富裕生徒が行き交うパーティー。振舞われる料理の数々は、この一日でスラム住民の何年分の食費となるだろうか。
GM:君達は事前の打ち合わせ通りに、赫花連盟の協力者、警備の一員としてこのセレモニーに参加が許可されていた。
ヴァリエンテ警備保障生徒:「会場のチェックは万全です。不審物、不審者の確認は滞りなく」
ヴァリエンテ警備保障生徒:「狙撃ポイントも既に確認済みの他、空間転移対策に会場内は複数人員での《ワーディング》が常時展開されています」
ヴァリエンテ警備保障生徒:「赫花連盟の皆さんには、会場内のパトロールをお願いします」
宮星イオリ:(……よりによってヴァリエンテが……)不審者に警戒を向けるついで姉の姿を探すが、ひとまずこの辺りにはいなさそうだ。
三部つゆり:「よろしくお願い致します」丁寧に頭を下げる。普段の制服の上からボディアーマーや連絡用のトランシーバなどを装備している。
析了トオル:「厳重、かつ万全な警備体制ですね、ご苦労様です」
析了トオル:車椅子は普段通りだが、追加外装を運ぶドローンに関しては既に申請済み。近くに待機させている。
胡緑蘭:「それで、肝心のマリアはまだ衣装合わせの最中かな?」
胡緑蘭:辺りを見回して「会場までは送ってきたんだけど」
赫花連盟生徒:「ええ、マリアさんは車両の方に。我々で警備していますのでご安心を」
胡緑蘭:「着替えまで付きっきりとはいかないのが先生の辛いところだね」
胡緑蘭:「ま、その分本番は私がきっちり守ってあげるからね。任せときなさい」
赫花連盟生徒:「マリアさんが信頼なさっている方ですから。我々も頼りにしております」
立野スズコ:「あのこれ、タッパーで持ち帰りとか……あっ無い?そうなんですか……」周囲からクスクス笑われている
三部つゆり:「なんだかいつのまにか大分マリアさんまわりとの距離が縮まってる気がする……」ここまでだったろうか……
宮星イオリ:「……マリアを守るのが最重要ってのは違わないし、アンタの仕事がそれだってのも理解はしてるけど」
胡緑蘭:「私はいつだって生徒に親身でありたいと思ってるだけだよ」
胡緑蘭:「そういう君たちこそ、なんだか……」3人の表情を見渡して
胡緑蘭:「ケンカでもした?」
宮星イオリ:「あ? じろじろ見てんじゃないわよ変態」
析了トオル:「ああー……いえ、私がちょっと無作法をしてしまいまして」
三部つゆり:「なるほど~…」あの殺し屋ランク1のザイラとも気軽に会話してたので納得する。「……あー…昨日お兄さん?いやその中の人?ううん…まあともあれ電話がありまして」
析了トオル:「えっ電話あったんですか?!」
宮星イオリ:「一人で話したの?」非難めいた視線。
三部つゆり:「あ、話を遮ってしまった……ま、まあ。一本ありまして……まあさっさと別学区に行ってろとか色々……」
三部つゆり:「……盛り上がってたら切られたので……」目逸らし。
胡緑蘭:「イオリも心なしか普段の2割増くらいでトゲが鋭い、いやはや……」やれやれと言った様子でかぶりをふる
析了トオル:思い切り詰め寄ろうとしてから、思いとどまる。注意されたばかりなので。
宮星イオリ:「アンタが"普段の私"をどれだけ知ってるってのよ」
三部つゆり:「一応分かった事は共有しますね」四海群生の能力や、そこから来る現状のことなどを纏めたファイルを皆に渡す。
析了トオル:適切な距離を保っていることを確認してから。「しかし、別学区に行ってろとは……」
析了トオル:「何か起こすぞ、と言ってるようなものですねぇ」
三部つゆり:「まあ、そこが分かってるのはあっちも分かってる、ってことなんだと思います」
析了トオル:データを興味深そうに眺めながら、うんうんと頷いて。
胡緑蘭:「彼、中々に容赦のない手を使う印象だったけど、幼馴染のことは流石に心配なんだねえ」
胡緑蘭:「かわいいところもあるもんだ」
宮星イオリ:(かわいい、で済めばいいけど)
三部つゆり:「現行人格の方は私のこと気に入らなさそうだったので、あまり容赦とかは期待できないですけどね」
宮星イオリ:「……とにかくさ、雑談するために集まった訳じゃないでしょ」
析了トオル:「ふむ、うむ……これまでの能力使用とも色々と納得がいきますね、成程」
宮星イオリ:「今。あっちの曲がり角の裏手と、あそこのベンチの辺り。ちょっときな臭い会話が聞こえたんだけど」順番に広場の一点を順に指さして。
宮星イオリ:「やる気あるんだったら誰か、どっちか受け持ってよ」
胡緑蘭:「なら、私はあちらを受け持とうか」少し遠い方を指す。
胡緑蘭:「もう一人ついてきてくれるかな。本番まで時間もないし、手分けして済ませてしまおう」
析了トオル:「では、私もそちらへ向かいましょう」
宮星イオリ:「そう。じゃ、任せたから」段取りは決まったとばかりにすたすたと歩き出す。
三部つゆり:「あ、じゃあ私はあっちかな…!」二人と別方向、イオリさんと同じ方向へ。
析了トオル:少しだけイオリと距離を離すように。先生の後を付いていく。
---
怪しい生徒A:「へへへ……見ろよこの粉……上物だぜ」
怪しい生徒B:「おい……!こんなもんどこで手に入れたんだよ!?」
GM:周囲から陰になる公園の隅、ビジネススーツに身を包んだ生徒たちが何やらきな臭い会話をしている。
怪しい生徒A:「この粉を……このお餅に掛けちまえばよ……!」
怪しい生徒B:「おいおい……!こんなヤベェきなこ餅見たことねえよ……!」
宮星イオリ:「……」舌打ち。「ハッピーパウダー(隠語)かよ」
三部つゆり:「……思い切り薬物とか何かかと思ったら黄粉とかそう言うことある??」
宮星イオリ:「道理でヴァリエンテも放置してる……クソ、こんなに騒がしくなければもう少しマシな聞き取り方ができてたんだ」
三部つゆり:「あのー、すみませーん……」柔らかくそこの二人の生徒に注意だけする。警備が一杯いるので誤解されたら大変だよという事を伝える。
宮星イオリ:その後ろから威圧的な視線を送っている。
怪しい生徒A:「へへっ……すいません……このきな粉レア物で……」
怪しい生徒B:「何だお前ら!?この餅ならやらねーからな!」
三部つゆり:「取らない!取らないから~……でも、他の警備さんとかは結構気が立ってるから、気をつけてくださいね」
宮星イオリ:溜息。「……状況の分かってないバカばっかり」
三部つゆり:「あはは……でも、私達はのんびりしたままにしてもらうのが今回の任務だし」
宮星イオリ:「向こうが本気なら、そんなの無理に決まってるでしょ。……争点は最初から、どれだけ被害を押さえられるか」
宮星イオリ:「マリアを守るのが第一だけど。そこだけじゃない……被害の印象が強ければ強いほど、向こうにとっちゃ"勝ち"ってことになる」
三部つゆり:「…言う通りなんだろうけど。でもさ」少し笑って。
三部つゆり:「”革命”が終わった後から、ようやくああいう馬鹿なことだってやれる心の余裕みたいなものが、少しずつできたんだ」
三部つゆり:「…本当の問題は何も変わって居なくて。病巣は深いままだとしても、それでも。少しは、あの日から良くなったものがあるから」
三部つゆり:「そういうの、壊したくないなって」
宮星イオリ:「……ふうん、意外」
宮星イオリ:「アンタは……肝心な事は何も変わってないって、そう思ってる側かと思ってた」
三部つゆり:「そういう風に思ってはいるよ。私の問題は、ここ最近まで進まなくて。分かったら好きな人はもう死んでた」
三部つゆり:「でも……」ゆっくりと公園を見渡す。
三部つゆり:「情報屋の仕事とか一杯してると、皆のことも見えてくるんだ。皆、”革命”から、本当に些細なこととか、つまらない事でも悩めるようになった」
三部つゆり:「そういうものは、素敵なことだよね」騒めく人々を見る。遠く、遠くにあるものを見るように。
宮星イオリ:「……能天気なやつ。つまらない、どうでもいい揉め事が増えただけでしょ」
三部つゆり:「そうかも。でも、どうでもいい事を出来るのは、余裕が出来たってことだよ」
三部つゆり:「だからこう、遅れちゃったけど。イオリさんには、言っておかないとね」
三部つゆり:「”革命”のとき、本当に頑張ってくれて、ありがとう。聞き飽きてるかもだけど、この学校の生徒である三部つゆりは、あなたに本当に感謝しています」
宮星イオリ:「……」
宮星イオリ:「……何言われたって、誇る気にはなれないっての」
宮星イオリ:「昔の私は、その辺のアホどもよりずっと能天気だった」
宮星イオリ:「ノヴァリスで飢えたり迫害されたりするような子供が出るのは、全部アイツのせいだって信じてたんだ」
宮星イオリ:「全然違った。私が思ってた"マスターポルート"の半分は、私達の中にあった」
三部つゆり:静かにあなたの言葉を聞いている。
宮星イオリ:「……そうやって」
宮星イオリ:「私に甘ったるい言葉をかけて、あの革命は良かったって言い出すくらいなら、残りの半分をどうにかしてくれ。私はもう、疲れた」
宮星イオリ:「それが率直な本音だよ……なんて言っても、出てくるのはLVLFみたいなバカばかりだけど」
三部つゆり:「そっか」小さい声で。
三部つゆり:「うん。私は、正直……この街のこと自体、どうでもよかったけど」今でも、何処かそういう思いがある。
三部つゆり:「でも、そうだね。私が見つけるべき人は、片方、もういないから」
三部つゆり:「その分だけ、その半分だけ、頑張ってみようかな」くすりと笑って。
宮星イオリ:「……」じっと、その目を見る。
宮星イオリ:「……析了はあれで、不器用なりに義理は通そうとするタイプだと分かった」
宮星イオリ:「あの男の方はって言うと、多分、真正の格好つけだ」
宮星イオリ:「追い詰められればどうか知らないけど、基本的にマリアの前で言ったことを嘘にはしたがらない……と思ってる」
三部つゆり:「うん」
宮星イオリ:「もし、この中で誰かが敵側に情報を流すとしたら、私はアンタだと思ってる」
三部つゆり:「ふふ」
三部つゆり:「まあ、反論できないね。昨日だって、もし本当に手を差し伸べられたら、それを拒めなかった自覚はあるもの」
宮星イオリ:「こんな学区に愛想尽かして、幼馴染の"やりたいこと"に手を貸す。全然、あり得る線でしょ」
宮星イオリ:「……やんないの?」
三部つゆり:「やんないよ」
三部つゆり:「だって、フラれたもん」あっけらかんとそんなことを言う。
宮星イオリ:話しながら、いつの間にか人気の少ない場所に移っている。この場で戦いが始まってもすぐに巻き込まれる人はいないような。
宮星イオリ:「……ふっ」鼻で笑う。
三部つゆり:平気に付いて行っている。別段気づいていないわけではなさそうだ。
宮星イオリ:「だから、そいつの計画も潰してやるって?」
三部つゆり:「元から気に入らないし、そもそも別人格だって言うんだもん」
三部つゆり:「じゃあ、義理立てする筋、無いじゃん?」
宮星イオリ:「幼馴染に悪行を見咎められた言い訳にしちゃド下手くそだな」
三部つゆり:「せっかく人がソウマさんの最期だけでも聞けたらいいよってディスカウントしてやったのにね。其れもダメっていうなら、さあ?」
三部つゆり:「知らないの?」何処か無邪気な微笑みが、艶然としたものになっている。
三部つゆり:「男女の恋は、しつこいんだよ」
宮星イオリ:「知るわけない。長い間男なんて、アレだけだったし」
三部つゆり:「損してるな~~」
宮星イオリ:「損しかしてないっつーの。見りゃ分かるでしょ」
三部つゆり:「治るよ。きっと治る」
三部つゆり:「だって、私も恋の半分だけ、協力するし。絶対何とかなる」それは明るい言葉というより、寧ろひどく--本当に薄暗い、執念と怨念じみたものが滲んだ言葉だった。
宮星イオリ:「……何、それ。そっちも意外」
三部つゆり:「そう?私も、思って見たら結構ノヴァリスにはムカついてるな~って思ってさ」
三部つゆり:「悪影響とか七賢人とか、ばかばかしい。ソウマさんの助けにもならなかったくせに」
三部つゆり:「全部そう言うムカつくの、フッ飛ばしちゃえ…マイルドバージョン、みたいな?」
宮星イオリ:「ふ」
宮星イオリ:「またその名前……好きすぎでしょ。引くわ」
三部つゆり:「ふふ。しょうがないでしょ」
三部つゆり:「本気で好きだったんだもん」
宮星イオリ:「…………ああ、クソ」
宮星イオリ:「全部諦めたつもりだったんだ。なんでまた……」
宮星イオリ:「……他人を妬ましいと思うことなんて、毎日のようにあるけど」
宮星イオリ:「もっと生きてみたいなんて思ったの、久しぶりだ」
三部つゆり:あなたのその言葉に、目の前の少女はにやりと笑ってみせた。まるで、歓迎するとでもいわんばかりの。
宮星イオリ:「これで治らなかったら、呪うからな」
三部つゆり:「呪われるのは内側にいる奴で慣れてるから、半端なのだと効かないぞ?」
宮星イオリ:筋の通らないことを言いながら、人混みの方へ向きを変えつつある。
宮星イオリ:「ズルだろ。こっちは一生慣れないってのに……」
宮星イオリ:「……呪われたくなかったら」
三部つゆり:「その代わりのものはいっぱいあるでしょ。持ち味活かして…うん?」
宮星イオリ:くしゃりと丸めた紙片を押し付ける。連絡先のようなものが記されている。
宮星イオリ:「この街の事の半分だけ、なんて言わないから」
宮星イオリ:「この人の事だけでも守ってあげてくれ」
三部つゆり:そっと受け取って確認する。
宮星イオリ:汚い文字で、宮星シホの名が書いてある。
三部つゆり:「分かった」名前を憶えて、その紙切れを丁寧に仕舞う。
宮星イオリ:「ひどい押し付けだろ。でも、付け入る隙を見せたほうが悪い」
三部つゆり:「ふん…分が悪いしやりたくない仕事なら、最初からそう言うよ。私、これでも嘘を付かない情報屋として信頼高いんだよ」
宮星イオリ:「……ああ。今の私なんかよりも、アンタの方が信用できる」
宮星イオリ:「自分が自分じゃなくなっていくんだ」
宮星イオリ:「私だって……確か、ずっと前、本当は」
宮星イオリ:「もっと優しいヤツのはずだった」
宮星イオリ:「こんなひどいことなんて口にしないし、他人を気遣えて……友達だって、いっぱいいたんだ」
宮星イオリ:人混みの方を向いて、君の数歩前を歩いていく。フードに隠れた表情は見えない。
三部つゆり:「じゃあ」
三部つゆり:「いつか、治ったらさ。きっと取り戻せる」それは希望の言葉ではない。
三部つゆり:「だって、昔は出来たんだ。出来なくなった原因が無くなったら、出来る。当然の道理だよ」
三部つゆり:「だから、それまで」
三部つゆり:「それまでは、預かってあげる」呪う言葉だ。執念と怨念こそが、
三部つゆり:人を生かすことがあるのだと。三部つゆりは知っている。希望だけでは、足りないことがあるのだと。
宮星イオリ:「……当然なもんか。どいつも、こいつも」
宮星イオリ:「期待しすぎなんだ。私なんかに……」
宮星イオリ:破壊的な理想に理解を示してもらいたがる知己。自分なんかを不治の病の糸口にしようとする研究者。救い主に仕立てようとする遺産。かつてのように立ち直れると信を寄せる少女。
宮星イオリ:重たくて鬱陶しいしがらみが、身体中に巻き付いている。
宮星イオリ:精算が必要だった。生きるにしても、死ぬにしても。
三部つゆり:そう、色々なものに決着を付けなければならない。
三部つゆり:この街が生きるか死ぬか。病を腐らせてただ死なぬだけなのか。
三部つゆり:そして、そのなかに小さな、まだ終わっていないものがいくつもある。
三部つゆり:「--私がここから去るまでに、絶対上手くいかしてやる」
三部つゆり:其れこそがたむけだった。最高生徒会会長だったあのひとに?違う。
三部つゆり:あのひとと群生お兄さんの為に、死んだっていいと決めたあの日の私と、そこからずっと探し続けた、かつての私の、
三部つゆり:自分勝手で気持ちも告げずに終わってしまった、恋に。
三部つゆり:「世界なんて、私の恋よりずっと小さいって」
三部つゆり:「証明してやる」
---
怪しい生徒C:「へへへ……上手いこと潜り込めたな……!」
怪しい生徒D:「高い金出してマスコミから社員証買い付けた甲斐があったってもんだな……!」
怪しい生徒C:「これでアタシらの目的も達成できるな……!おい、いたか?」
怪しい生徒D:「いや、見えない……まだ来てないのか?」
GM:ベンチの付近、怪しい生徒たちが何やらきな臭い会話をしている。
析了トオル:「緑蘭先生、社員証買い付けは流石に違法取引上等な危険集団では無いですか?」こそこそと耳打ち。
胡緑蘭:「なにやらきな臭い様子だねえ」大きな木の陰からその様子を窺う。
胡緑蘭:「身分証の偽造くらいはここじゃよくあることだって聞いたけどね」
析了トオル:「まあ私もやらない訳では無いですが……状況が状況、今は警備厳重セレモニーですから」
怪しい生徒C:「姿を見せたらこいつですぐ……」バッグから怪しい機材が顔を覗かせている
胡緑蘭:「やあ君たち」その瞬間、木陰から音もなく生徒達の眼の前に飛び出してくる。
怪しい生徒C:「ヒィッ!?」
怪しい生徒D:「な……男……!?」
胡緑蘭:「私こういうものなんだけど」スマホに星室庁のエンブレムを浮かび上がらせて。
胡緑蘭:「ずいぶん大きな荷物だねえ。中に何入ってるの?」
怪しい生徒C:「せ……先生!?」
析了トオル:(流石の足運び……センサーも殆ど働く前に踏み出し、生徒の前まで……)
怪しい生徒D:「いや……あの……その……」
怪しい生徒D:大きなバッグからは、三脚付きの巨大なカメラが出てくる。
胡緑蘭:「ああ、怖がらないでね。没収しようってわけじゃないんだ。ただ君たちの好きなものに興味があって……」
析了トオル:後ろからゆっくりと出てきて、鞄から出てきたカメラを覗き込む。
胡緑蘭:「おや、カメラ?」
怪しい生徒C:「あ、あたし達ノヴァリス・ファイトのファンで……」
怪しい生徒D:「今日ここに春日井ショウ選手が来るんじゃないかって情報があって、それで……」
怪しい生徒C:「激レアのドレス姿の写真が撮れるって思ったら……居ても立っても居られず……!」
胡緑蘭:「ああ~、聞いたことあるよ。有名な子だよねぇ」
析了トオル:「ははぁ、それで社員証買い付けまでして……」
析了トオル:「……ふむ、一応今のうちにセンサーを通しておきましたが。至って普通のカメラですね」
析了トオル:「内部に武器を隠してある訳でも無い。写真が目的なら、放置しておいても問題なく思いますが」
怪しい生徒C:「せ、先生……!どうか見逃してください!こんなチャンス二度と無いんです!」
怪しい生徒D:「そっちの病弱美人っぽいお姉さんも……!お願いします!」
析了トオル:「む……ふふ、褒められると悪い気はしませんね……」機嫌良さそうに身体を前後に揺らしている。
胡緑蘭:「確かに危なくはなさそうだけど、それで報道陣のフリをするのはあまり感心しないね」
胡緑蘭:「有名人にだってプライバシーはある。ショウって子も隠し撮りされて良い気はしないだろうし」
胡緑蘭:「もっと言うなら、ちゃんとファンとして接してあげたほうが喜ぶんじゃないかな」
怪しい生徒C:「ウゥッ……正論……!」
胡緑蘭:「というわけで」いつの間にか生徒達の社員証をスッと奪い取って。
怪しい生徒D:「アッ!?」
胡緑蘭:「事情は伝えておくから、向こうで赫花連盟の子に話してきなさい」
胡緑蘭:「そこで正規のゲスト来場者証を発行してもらえるはずだよ」
怪しい生徒C:「い……いいんですか!?やった~~!」
怪しい生徒D:「先生……ありがとうございます!!」
胡緑蘭:「本物の報道部の子に見つかって揉め事起こされても困るしね」
胡緑蘭:「楽しんでおいでよ~」
GM:生徒達はルンルンで去っていきます。
析了トオル:「やれやれ、生憎丸め込まれるところでした、あの子達も口が上手い……」
胡緑蘭:「どうかな。ああいうのは口が上手いとは言わないと思うよ」
胡緑蘭:「この学区は特に、やって良いことと悪いことの境界が曖昧だ」
胡緑蘭:「彼女たちは本気でこれが最善だと思っていたのさ。目的を達成するために、誰かが不利益を被ったり、自分を危険に晒すことに躊躇いがない」
析了トオル:「いやぁ、耳が痛い。私もどちらかと言えばあの子達と同じタイプですので」
析了トオル:「一度やろう、と思ったら……どうにも抑えられなくなるんですよね。ここまで来た気持ちも理解できます」
胡緑蘭:「勿論、その行動力が吉と出る事だって沢山あるさ」
胡緑蘭:「所詮、人間関係はエゴとエゴの押し付け合いだ。他人に遠慮ばかりしていたら、それはそれで身動き取れなくなっちゃうからね」
胡緑蘭:「大事なのはバランスと、開き直りだよ」
胡緑蘭:「その点、トオルは開き直るのが上手いよね」
析了トオル:「あはは、いや全く。これまで開き直りだけで殆どを切り抜けて来れた気がします」
析了トオル:「まあ……さっきは間違えてしまい、ちょっと反省している訳なんですが」
胡緑蘭:「大丈夫でしょ。自分が前のめりであることを自覚できてる内は、致命的に踏み外したりはしないものだ」
胡緑蘭:「イオリがなんて言ったのかは大体想像付くけど」
胡緑蘭:「あの子は複雑そうに見えて真っ直ぐな子だからね、本音と建前が同じところにあるんだ」
胡緑蘭:「本音を建前でコーティングしてるっていうのかな。言ってることは同じ言葉でも、態度とかの悪さで逆の意味を持たせようとする」
胡緑蘭:「『近づくな』とか『関わるな』とか、結局は君を心配してるんだと思うよ」
析了トオル:「……本当、生徒の事をよく見ているのですね」小さな溜息と共に、彼女の言動を少しずつ思い返し、咀嚼する。
胡緑蘭:「こう見えても先生だからね」
析了トオル:「こう見えても、というあたり、やはり色々な自覚があるのだと思うのですが……」
析了トオル:「ふむ、では少しお話を聞かせていただいても?私たちの事ばかり知られるのも、ちょっと卑怯ですから」
析了トオル:「例えば……隻腕になった時のもっと詳しい理由とか、そういった外でのお話」
胡緑蘭:「いやあ、私に君が望むような大それた秘密はないよ」空の袖をひらひらと振る。
胡緑蘭:「理由なら前に話した通りさ。まだノヴァリスに赴任する前の"マスターポルート"と戦って」
胡緑蘭:「その時に、肩から先があのウネウネした肉塊に変わって弾け飛んだ」
胡緑蘭:「まだ君たちで言うと小学生くらいだったからねえ、若気の至りってやつかな」
析了トオル:「そこに至るまでも、色々な出来事があったのではないですか?外ではもっと……」
析了トオル:「……もっと、様々な事が起きている筈です。この広くて狭いノヴァリスよりも、もっと沢山の」
析了トオル:「小学生程の年齢で苛酷な戦いに出た理由、そうして恐らく、その中を勝ち抜いてきた強さの秘密」
析了トオル:「私たちは、いずれこの地を離れて外に出る事になります、必ず。でも、それより少しでも早く……」
析了トオル:「……知りたい。今はまだ殆ど知らない、覚えがない外の事を。この会話を通して、少しでも」
胡緑蘭:「食いつくね~」苦笑しながらサングラスを押さえて。
胡緑蘭:「あれだね、トオルはきっと、この世に何か途方もなく特別なものがあって欲しいんだね」
胡緑蘭:「けど生憎、私からはそういった知識を教えてあげることはできない。だって私も知らないからね」
胡緑蘭:「教えられるとしたら、そう」
胡緑蘭:「外の世界は、全然大した事ないよ。なんでもないこと、ありふれたものの積み重ねだ」
胡緑蘭:「少なくとも、地球という広くて狭い世界を見渡した限りではね」
胡緑蘭:「私は、それも捨てたものじゃないと思うけど」
胡緑蘭:「君は、きっとガッカリするかもね」
析了トオル:「外に出ても、求めるものは存在しないかもしれない。なんでもない、積み重ねるだけの、そういった日常が続いているだけなのかもしれない……」
析了トオル:「少なくとも、地球では……だから、人は宇宙に出たのかしら」
析了トオル:「好きな人がいるんです、恋愛とかではなく」
析了トオル:「ニール・アームストロング。ただ人の手で、不可能とされた宙への旅を可能と証明した偉大なひと」
胡緑蘭:「アポロの船長だっけ。ある意味定番だけど、トオルの世代だと渋いチョイスだねえ」
析了トオル:「……これは一人の人間にとっては小さな一歩にすぎないが,人類にとっては大きな躍進である」
析了トオル:「積み重ねこそが、その先へとたどり着くための階である。彼のことばでもある通り、私も承知の上です」
析了トオル:「まだ、大拡散が行われるよりずっと前から。レネゲイドとは無関係のただの人が、未知の海たる偉大なる宇宙への航海を行った」
析了トオル:「地球という認知できる世界を飛び出して。無限の彼方への切符を」
析了トオル:「でも、私は……」手を少し空に翳してみる。億年先の宙があるとされる先へ届かせるように。
析了トオル:「…………って、また私の話になってしまってますね。お恥ずかしい」
胡緑蘭:「いや、いいよ全然。生徒の話が聞きたくて先生やってるんだから」
析了トオル:ふふ、と小さく笑ってから。「……もし、求めているものが地球にないとしても」
析了トオル:「更に宙ならば、あるかもしれない。外の世界を知った先生としては……どうですか?」
胡緑蘭:ニッコリと笑って。
胡緑蘭:「とても良いと思う。それは、私の知らない世界の話だ」
胡緑蘭:「そして、うん」
胡緑蘭:「やっぱり、それがトオルの距離感なんだね」
胡緑蘭:「光の速度で何億年もかかる距離を、人間の短い一生の間で越えようとする」
胡緑蘭:「それが君の距離感だ」
胡緑蘭:「だから、いちいち細かいことを気にするもんじゃないよ。特にイオリなんて素直じゃないだけなんだから」
胡緑蘭:「相手が離れるより速く体当りする。そういう気概で行けば大丈夫さ」
析了トオル:「わ、私だって!途方もない時間が掛かることは知ってますし、私の先の先の代まで積み重ねて、その果てに……ということも理解しています!事実ミクトランでは格好つけてそう言ったこともありますし……」
析了トオル:「……でも、そうですね。先生の言う通りです。私は───」
析了トオル:「無限の距離を突破したい。この短い一生で、真の神秘を自分の目で見つけ出し、証明したい」
析了トオル:「……ならば先の先生への質問も、焦りと逸りだったかもしれませんね」この先、確実に卒業できるのかは、未だ分からないから。
析了トオル:「外も、宙も、全部自分で。第一、第二、第三宇宙速度を、光を越えて───見て確かめますから」
胡緑蘭:「そうそうその調子。人から聞いて満足するなんて勿体ないよ」
胡緑蘭:「君たちの人生はこれからなんだからさ」
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GM:セレモニーは何事も無く、順調に進行した。幾人かの挨拶や楽団による演奏が行われ、百代のスピーチの順番が回ってくる。
百代マリア:「……いよいよね」
百代マリア:舞台袖、流石にやや緊張した面持ちで息を吐く。
百代マリア:殆ど普段と同じような全身を覆うものだが、一応スピーチ用に誂えられた美しい衣装を纏っている。
胡緑蘭:「これは職員室のアリト先生に聞いたんだけど」
胡緑蘭:「緊張してる時は、手のひらに「の」って3回書いてから飲み込むと良いらしいよ」
百代マリア:「本当……?ありがとう先生……」
胡緑蘭:「六壬でも研究が進んでない最新の呪術らしい。世界は広いね」
百代マリア:手袋越しにぐるぐる書いて飲み込んでいる
百代マリア:「うん、少し気が紛れた気がするわ」
GM:配置に付くようマリアを呼ぶスタッフの声が聞こえてくる。
百代マリア:「……じゃあ、行ってくるわね」
析了トオル:「……背中はお任せください、どーんといきましょう」
三部つゆり:「綺麗ですよ、マリアさん!きっとうまくいきます…!」
胡緑蘭:「大丈夫。何かあっても私達がすぐ隣についてる」
胡緑蘭:「行っておいで」気安く肩を叩く。
宮星イオリ:「……別にスピーチの内容なんて多少飛んだっていいんだし、それよりも」
宮星イオリ:「例の合図が出たらすぐ舞台を降りて身を守ること。忘れないでよ」
百代マリア:「……ええ」
百代マリア:特に避けようとせずに先生の手を受け入れ、頷いてから歩いていく。
立野スズコ:「何か起きるとすれば……多分これからですよね……」
立野スズコ:不安げに君達を見ている
立野スズコ:「でも……こんな厳重な警備だし……何も起こせっこないですよね?」
析了トオル:「そう思いたいところですが……そういう時に限って、何か起こるものです」
三部つゆり:「……その上で起こすと計画してるのだから、警備を無効化するか無視するかの方法がある…んだと思う」
胡緑蘭:「流石に、個人の狙撃手とかがこの警備を突破するのは至難の業だろうけど」
胡緑蘭:「抜け道ってのはいくらでもあるからねえ。意表を突く方法もさ」
宮星イオリ:「銀行の警備員なんかも同じことを考えてたでしょうね、ってこと。少し考えたら想像つかない?」
胡緑蘭:「例えば、空から突然ミサイルが降ってくるとか」
三部つゆり:「裏切りとかもあり得なくはないですからね」
立野スズコ:「み、ミサイル……」顔を青くしている
析了トオル:「まあミサイルなら、分かれば撃ち落とせなくもないかもしれませんが……」
析了トオル:「この局面で実行する以上は、余程の計画性と自信があるか、ただの命知らずか。少なくとも私は前者と見ます」
宮星イオリ:「こんな状況に撃ち込むなら撃ち落とされるの前提でクラスター系でしょ……なんて想像で話してても仕方ないってんだから」
宮星イオリ:「大人しく警戒しててよ」
立野スズコ:「ひ~~っ……」
GM:そうこう話している間に、司会が百代の名を呼び、スピーチの開始が告げられる。
GM:大勢の拍手に迎えられ、百代がゆっくりと特設ステージに登壇する。
GM:晴天の下、会場は静まり返っていた。噴水の音だけが響く中、百代に注目が集まる。
百代マリア:「……皆さんこんにちは、百代マリアです」
百代マリア:品の良い微笑を浮かべ、にこやかに、ゆっくりと話す。
百代マリア:「本日はこうしてご挨拶させて頂く機会を賜り、大変光栄に存じております」
百代マリア:「関係者並びにご列席の皆様に、深く感謝を申し上げます」
百代マリア:恭しく一礼し
百代マリア:「……さて、堅苦しい挨拶が続くと皆さまもお耳が滑ることかと思います」
百代マリア:「少し気を抜く意味でも、まずはわたくしの友人の話をさせてください」
百代マリア:「その友人というのは……恐らくこのスピーチを聞いている方もご存じかと思います」
百代マリア:「名前を、雨月夜シオンといいます」
百代マリア:「多くの方にとって、シオンは英雄であり、偉大な人物であるのではないかと思います」
胡緑蘭:(雨月夜シオン……確か前の最高生徒会長で、八月革命の立役者にして唯一の死者……だっけ)目を細めたまま反駁する。
三部つゆり:少しだけ複雑そうだった。雨月夜シオンが偉大な功績を立てたのは事実だが、それによってそれ以前の最高生徒会長たちの名前はより霞んだとも言えたから。
百代マリア:「わたくしもそれに異論はありません。けれどもっと大きな印象としては……」
百代マリア:「わたくしにとっての彼女は、一人の同世代の少女であり、素敵で大好きな友人でした」
百代マリア:「彼女の勇壮な戦いぶり、そのノヴァリスを想う勇気や信念は今もわたくしの中で輝いていますが……」
百代マリア:「マリオカートで1位を独走していたはずが、青コウラを3連続でぶつけられて最下位に転落した時の彼女の絶叫をこそ、わたくしは時々寝入りばなに思い出して、くすりと笑っては寂しくなるのです」
百代マリア:懐かしむように、少し寂しげな遠い目をして語る。
析了トオル:(ふふ、本当に……仲の良い友人だったのですね)部員達と遊ぶゲームを思い返す。そういった仲だったのだろう、彼女たち二人も。
百代マリア:「八月革命では──」
百代マリア:「ラス・ヴィダス学区のみならず、多くの学区から生徒達が“マスターポルート”を討つべく決起しました」
百代マリア:「秘密裏に進められた計画でしたが、その人数は実に124人にのぼり、わたくしもその内の一人でした」
宮星イオリ:……124。今は何人が無事なまま暮らしているのだろう。この二年間、気に掛ける日はあれど、わざわざそれを調べるような真似はしなかった。きっとろくでもない気分になるだけだからだ。
百代マリア:「わたくしがその決意をしたのも、シオンの存在があったからに他なりません」
百代マリア:「彼女の語る希望を胸に、革命が終わればラス・ヴィダスは自由になると信じ、“マスターポルート”へと戦いを挑みました」
百代マリア:「結果として……“マスターポルート”は斃れ、わたくしはその名を受け継ぎました」
百代マリア:「ですが、この学区は……ラス・ヴィダスは、何も変わりませんでした」
百代マリア:「今も格差が生徒達を断絶し、少数の幸を大多数の不幸が支えています」
百代マリア:「我々は──一体何を間違えたのでしょうか?」
百代マリア:「それをずっと考えてきました。どうして我々の革命は、失敗に終わったのか?」
百代マリア:当事者自らが、あえて言葉を選ばずに言い切り、観衆全員に問うように話す。
宮星イオリ:「…………」
三部つゆり:「……」支配構造の残存。文化的構造。無関心。色々なものが思い浮かぶ。
百代マリア:「答えは一つです」
百代マリア:「『みんなでやらなかったから』」
百代マリア:「当時、“マスターポルート”の支配は絶大でした。もし計画が漏れれば、革命の計画は握り潰され、決行前に頓挫する恐れが大きかった。それ故に我々は秘密裏に行動しました」
百代マリア:「それが間違いでした。どれほどの苦難と困難であろうと、あの革命は……」
百代マリア:「全員で立ち向かうべきだったのです。多くの学区がそうであったように」
百代マリア:「信じるべきだったのです。我々全員が手を取り合えば、“マスターポルート”と正面から戦っても、きっと勝てると」
聴衆の生徒A:「ねえ、アタシらもしかして聖女サマに怒られてる?」
宮星イオリ:「……それは、無理でしょ」呟く。呆れたような声。
聴衆の生徒B:「自分らで勝手にやっといてね~」
聴衆の生徒C:「ウケるんですけど」
宮星イオリ:「意志が統一されるその前に、どこかで内通者が出る。……あの社会には、そうするだけのインセンティブがあった」
宮星イオリ:「一致団結する前に潰される。だから、信用の置けるギリギリの人数でやった」
析了トオル:「それが、戦った124人……」
析了トオル:(それでも、随分多く見えます。抗った皆には、それだけの繋がりが確かにあった)
三部つゆり:実際に革命に関わらないように動いた身としては、身につまされるものがある言葉だった。
宮星イオリ:「……今こうやって文句を垂れてる連中が」
宮星イオリ:「二年前なら殊勝に手を取り合ってくれたなんて、どうして言える?」
聴衆の生徒D:どことなく居心地が悪そうな表情になってはいるが、そのまま聞いている。
百代マリア:「……我々には、勇気が足りなかったのです」
百代マリア:「人の善意と、その力を信じる勇気が」
百代マリア:「その過ちこそが、今もラス・ヴィダスを分断し……そしてまた、同じ過ちを繰り返させてきました」
百代マリア:「ですが、この場をお借りして……今。わたくしにその過ちを正させてください」
百代マリア:「わたくしは一つ、重大なことを皆さんに隠してきました」
百代マリア:「その秘密を明かせば、多くの人が差別や偏見の目に晒され、苦しむことになるかもしれません」
百代マリア:「わたくしはそれを恐れ、今日この時まで秘密を守ってきました」
百代マリア:「しかし、今一度……わたくしはこれを聞いている全ての皆さんの、ノヴァリスの、ラス・ヴィダスの勇気と善意を……信じようと思います」
聴衆の生徒A:「過ちだって」
聴衆の生徒B:「スキャンダル……ッてコト!?やべ~アガってきた」
百代マリア:迷うように視線が彷徨って、その目が胡緑蘭で留まる。
胡緑蘭:常通りの微笑みで、マリアに見えるように大きく頷く。
百代マリア:短く瞑目し、深呼吸をする。
百代マリア:再び開かれたその瞳には、決意の色が宿っていた。
百代マリア:「堕天病の正体は──」
百代マリア:「『十字冠を破壊する兵器』です」
GM:大きなざわめきが起きる。聴衆の間に、困惑と驚愕が次第に広がっていく。
聴衆の生徒A:「へ~そうなんだ~……えっ!?」
GM:見えないところで、テレビ中継越しにも一気にSNSで情報が拡散していく。
百代マリア:「“マスターポルート”によって行使された神秘、その影響の余波こそが堕天病であり」
百代マリア:「それは今も多くの生徒を蝕み、苦しめ、広がり続けています」
報道部の生徒:「おい!さっさとアニメ中断して枠取れ!!特番!!」
百代マリア:「我々赫花連盟は、この災厄に断固として立ち向かいます」
百代マリア:「このスピーチが届く全ての人に、お願いします」
百代マリア:「どうか──」
百代マリア:「どうか、我々と共に戦ってください」
百代マリア:「かつてノヴァリスを信じた友のように、わたくしも皆さんを信じます」
百代マリア:「今度こそ、本当の意味で、あの日の革命を終わらせるために」
百代マリア:「皆さんの力を、お貸しください」
百代マリア:深々と頭を下げて
百代マリア:「以上です。ご清聴ありがとうございました」
GM:スピーチが終わると、ざわめきは一層大きくなっていく。
宮星イオリ:(……マリア)
宮星イオリ:(アンタはやっぱり、この学区を纏め上げるには優しすぎる)
析了トオル:(さて、これだけの大発表に騒めき、事を起こすタイミングとしてはそろそろですか)
宮星イオリ:(だって、そうでしょ……この映像を他人事のように見てる連中にとってみれば)
宮星イオリ:マスターポルートの力に汚染され、腐食しきった十字冠を見上げる。かつては天使の円環めいて輝きを放っていたそれを。
宮星イオリ:(あいつの力を宿したアンタ自身もまた、災厄の一部だ。……愚かな連中は、そういう風に、ものを見る)
商業区生徒:「堕天病が?」「嘘でしょ……」
聴衆の生徒C:「あ……あ、わた……あっ」スピーチを聴いていた生徒が狼狽し、深く被っていたフードがずり落ちる
聴衆の生徒C:「あっ……!」その顔には、僅かに黒く変色した鱗のような跡があった。
聴衆の生徒B:「あ、あんた……それ……」
報道部の生徒:「堕天病だ!オイ誰かそいつ押さえとけ!!」報道陣が津波のように押し寄せる。
聴衆の生徒C:「ひっ……!」たまらず会場から逃げ出す。人混みを掻き分ける度に、小さなパニックがそこかしこで起こっている。
商業区生徒:「おいおい……もうこんな学区にいられねえよ!さっさと荷物まとめて離れるぞ!」
GM:そんなパニックを切り裂くように、誰かが声を上げる。
怪しかった生徒C:「あれ……?何、あれ……?」
GM:上方。青空を切り裂いて、橙の炎が走り抜ける。
GM:ミサイル──ではない。それは異様な飛行体だった。
GM:装甲版で覆われた巨大なコンテナに、無数のブースターが増設されたような代物。
胡緑蘭:「……」それを察知した瞬間、立っていた場所から姿が消えていた。
GM:それが一気に飛来して、会場を縦断し……特設ステージの方向へと。
GM:会場の警備を完全に無視し、一気に目標へと到達する最短経路。
百代マリア:「……!」
GM:コンテナが内側から展開し──
五百機ジナ:「──百代マリア!!」
五百機ジナ:躍り出た五百機ジナが、大口径のライフルを連射する!
宮星イオリ:「っ……!」爆音とパニックに陥った人々の叫ぶ声が頭蓋に響いて、動き出しが一瞬遅れる。次に目を見開いた時には、その少女の姿が映った。
析了トオル:「ミサイルではないけれど、まさか弾丸特攻とは……!」
三部つゆり:飛び込むのが一歩遅れた。(不味い--”使わない”と間に合わないか…!?)
析了トオル:(この距離……全力砲火はマリアさんに当たるか!先生……!)
胡緑蘭:ギャリンッッ!!という甲高い金属音が3度響いた。
胡緑蘭:ライフルが引き金を引かれた回数と同じ。立ち込める硝煙を払うように、黒い腕が振られる。
胡緑蘭:その腕の周りには、発射されたすべての弾丸がまるで吸い寄せられるようにして付着している。
胡緑蘭:周囲をゆっくりと周回していた弾丸は、やがて黒い腕の内側へと沈み込み。
胡緑蘭:ゴリ、ガリ、という金属を潰す音を立てながら咀嚼されている。
胡緑蘭:「間一髪ってとこかな」
胡緑蘭:「怪我はないかい?マリア」
百代マリア:「っあ……」
百代マリア:その顔を見上げ、呆けたような声を漏らし。
百代マリア:「はい……ありがとう、ございます……」
五百機ジナ:「……! チッ……!」
胡緑蘭:「どういたしまして。……さて」ジナに向き直る。
GM:ジナと共に、LVLFの構成員らしい生徒が次々と着地する。会場はいよいよ逃げ惑う生徒達で混乱に呑み込まれる。
胡緑蘭:「流石に二の矢も用意してるみたいだけど……これだけかい?」LVLFの生徒達を見渡して。
三部つゆり:ニードルガンを抜いて構えている。「お兄さん…というか、”イモータルコイル”は…」
宮星イオリ:「……。身構えていたよりは正攻法だったわね」周囲を警戒していたが、それ以上の奇襲手はなさそうと判断する。
五百機ジナ:「中継を──」
宮星イオリ:「アンタらしいと言えばそうなのかしら」
五百機ジナ:カメラを構えた、怯えた様子の生徒に声を掛ける
析了トオル:(襲撃にしては二の矢が薄い。他の増援が何処かに潜んでいるか……?)重武装を装着し、周囲をサーチする。
五百機ジナ:「……続けなさい。世紀のスクープを撮らせてあげる」
赫花連盟生徒:「……先生、皆さん、ありがとうございます」
GM:赫花連盟、並びにヴァリエンテ警備保障の生徒達が周囲を包囲していく。
報道部の生徒:「は……はひっ……!?」言われるがままにカメラを構え続けている。
GM:数の上では、徐々に君達が優位に立ちつつある。
三部つゆり:「……」眉根を顰める。奇襲効果を高めるなら一気呵成に畳掛けるはずだ--なのに初撃を防いだら報道を続けろ?
胡緑蘭:「良いのかい続けて?この辺で投降しとくのをオススメするけどなあ」
五百機ジナ:「外から来た無関係の大人なら、好きに言えるわよね」
五百機ジナ:「……イオリちゃん」
五百機ジナ:「やっぱり来てしまったのね」
宮星イオリ:「こっちの台詞だけど」
五百機ジナ:「忠告は聞き入れてもらえなかったようね」
五百機ジナ:「あなたがそういう人だと、分かってはいたけれど」
五百機ジナ:「こうして敵として立つなら、容赦は出来ない」
宮星イオリ:「……分かってないよ。私はアンタが思ってるよりもずっと、くだらない人間で」
宮星イオリ:「そんなヤツに立ちはだかられてるのは……アンタがそれだけ堕ちきって、馬鹿げたことをしようとしてるから」
五百機ジナ:「分かってもらおうとは思ってないよ」
五百機ジナ:「私はただ、理不尽が許せないだけ」
五百機ジナ:「この街を正しい姿に戻す。その為なら……どんな犠牲だって払う」
宮星イオリ:「……犠牲ってのは、なる連中が望んで差し出したものの事を言うんでしょ」
宮星イオリ:「私のこの身体の事なら、そう呼んでいい。けど」
宮星イオリ:「アンタのそれはただ、自分の嫌いな奴らに痛みを押し付けてるだけ」
五百機ジナ:「そうかしら。ねえ、マリア」銃口を向ける
五百機ジナ:「語るに落ちたわね。聖女なんて呼ばれて、その気になった?」
五百機ジナ:「あなたのしていることは、ただのエゴに過ぎない」
五百機ジナ:「自分だけが罪悪感から逃れるために、混乱を呼び、大勢の人を傷付ける選択を取った」
五百機ジナ:「最早あなた自身が、ラス・ヴィダスを害する呪いそのものなのよ」
百代マリア:「……」
百代マリア:無言のまま、ジナを見つめ返す。
胡緑蘭:「それは少し違うと思うな。ジナ」銃の射線を塞ぐように腕をマリアの前に差し出して。
三部つゆり:「エゴ上等じゃないですか」周囲をにらみながら、そう話す。
三部つゆり:「私は革命で何もしなかったけど…!マリアさんはずっと良くしようとし続けてたじゃないですか!その人が、私達にも責任がある、っていうなら!」
三部つゆり:「何もしなかった私達にも、より良くするために、出来ることがあるってことでしょう!?」
胡緑蘭:「本気で傷を治そうとしたら、痛みを受け入れなきゃいけない時もある」
胡緑蘭:「君が、今のラスヴィダスを破壊することで変えられると信じているようにね」
胡緑蘭:「これがマリアなりの壊し方だ。そして私は」
胡緑蘭:「マリアのやり方の方が、きっと上手くいくんじゃないかと思う」
胡緑蘭:「適当に言っているわけじゃないよ?」
胡緑蘭:「私は先生だ。彼女が選んだことの責任は、私にも負う義務がある」
胡緑蘭:「こっちの方が、責任の取り甲斐があると思うんだ」
胡緑蘭:「できれば、君も協力してほしいな」
五百機ジナ:「義務?責任?馬鹿馬鹿しい」
五百機ジナ:「あなた達、外から来た大人の事情なんて知らないし、考えてあげる必要も無い」
五百機ジナ:「あの革命の時にノヴァリスにいなかった大人が、何を偉そうに……!」
五百機ジナ:「ノヴァリスは……この戦いは、私達生徒のものよ……!」
析了トオル:「……さて、私も生徒ですが、本質的には部外者ですから。貴女達の痛みは文章以上には知り得ませんし、体験することもできない」
析了トオル:「でも、マリアさんは皆が知る事を選んだ。その先に起こるかもしれない悲劇に対して、それ以上の善意を信じた」
析了トオル:「……いいじゃないですか、信じる。底抜けの善性、理想論。そういったもの、私は大好きですから。外から見れば、支える価値が間違いなく存在する」
析了トオル:「さて、それで……私のお話も先生と同じように、ラスヴィダス生ではないから、マスターポルートとの戦いに参加していないから、と排斥されるのでしょうけれど……」
析了トオル:「そうやって、自分の意見に合わないものを退けていって。残るのは結局あなた一人だけ」
析了トオル:「……本当に、それでいいんですか?」
五百機ジナ:「……性善説、理想論……」
五百機ジナ:「そうね。口でなら何とでも言える。でもそんなものじゃ現実は変えられない」
五百機ジナ:「だからこそ私たちは赫花連盟を抜けた。だからこそ、LVLFは生まれざるを得なかった」
五百機ジナ:「この学区を変える。その為なら孤独なんて……痛みなんて、構わない」
五百機ジナ:「……LVLF、全員配置に付け」
五百機ジナ:ジナの号令に合わせて、構成員達が一気に戦闘態勢に移る。
宮星イオリ:「……私達は三人とも、いつか世界を変えようとして、失敗した」
宮星イオリ:「マリアは一人で勝手に反省して、楽観的すぎる希望に縋る事を選んだ」
宮星イオリ:「私は何もかもを諦めて、この腐った世界を受け入れることを選んだ」
宮星イオリ:「それで、アンタは……」
宮星イオリ:「変わらなかった世界そのものに腹を立てて、壊す事を選んでる」
宮星イオリ:「その中で何が正しいか考えることも、反省することも、後悔することも、議論する事も」
宮星イオリ:「似たりよったりだ。私はもう、疲れた。……だから、もっと分かりきった正しさだけを見ることにしてる」
宮星イオリ:「人の泣き声が増えるのは、いやだ」
宮星イオリ:「今なんとか普通に暮らしてる奴らに迷惑をかけるな。諍いの種を蒔くな。私のような目に遭わせるな」
宮星イオリ:「……マリアのやり方も、ジナのやり方も、私は認めてない」
宮星イオリ:「バカばっかりだ」
五百機ジナ:「……今のラス・ヴィダスに、正しさなんてものは無い」
五百機ジナ:「だから私達で作るしかない」
五百機ジナ:「イオリちゃんがそんな風に苦しむ世界なら、間違ってるに決まってる」
五百機ジナ:「LVLF、全員に通達」
五百機ジナ:「“マスターポルート”討伐戦を──」
五百機ジナ:「──再開する」
GM:ミドル戦闘を開始します。
エンゲージ
五百機ジナ/LVLF・キュマイラ/LVLF・ブラックドッグ/LVLF・エグザイル/LVLF・ソラリス
(10m)
PC
GM:NPCカードが使用可能です。
NPCカード
赫花連盟
PCへの攻撃に対してカバーリングを行う。シナリオ中5回まで使用可能。
GM:ラウンド1
GM:セットアップから!
三部つゆり:無しです!
宮星イオリ:なし!
析了トオル:コーリングシステム、搭乗します
胡緑蘭:なし!
五百機ジナ:《鬼謀の策士》LV1+《戦術》LV7+《ファンアウト》LV5+《戦局判断》LV3
五百機ジナ:構成員に対して戦闘移動 行動値+9 メジャーダイス+7
胡緑蘭:厄介!
析了トオル:くっ……行動値が下がって先手が……!
エンゲージ
五百機ジナ/LVLF・ブラックドッグ/LVLF・ソラリス
(10m)
PC/LVLF・キュマイラ/LVLF・エグザイル
GM:このように移動します
GM:イニシアチブ 行動値18 イオリさんの手番です
宮星イオリ:マイナー、不同にして不測/《陽炎の衣》《光芒の疾走》《インフィニティウェポン》 武器作成と隠密化、封鎖を無視してジナ達のエンゲージへ移動
宮星イオリ:メジャー、《コンセントレイト》《見えざる死神》《光の舞踏》
宮星イオリ:単体攻撃なので、LVLF・ソラリスを標的にします
GM:判定どうぞ!
宮星イオリ:9dx+6@7 命中
DoubleCross : (9DX7+6) → 10[1,2,4,4,5,5,7,9,10]+10[1,1,10]+10[7]+10[7]+10[10]+2[2]+6 → 58
宮星イオリ:さっき出ろ!
五百機ジナ:《リフレックス:ノイマン》LV2+《守りの弾》LV1
析了トオル:つよい!さすが……
析了トオル:?!
五百機ジナ:妨害に挑戦します
宮星イオリ:ゲーーッ
胡緑蘭:そういうタイプか!
三部つゆり:ひいいい
五百機ジナ:9DX8+7>=58
DoubleCross : (9DX8+7>=58) → 10[2,2,4,4,5,6,7,7,9]+10[10]+7[7]+7 → 34 → 失敗
五百機ジナ:割と頑張ったが……
胡緑蘭:ホッ…
宮星イオリ:甘んじてダメージを受けな!
析了トオル:よ、よかった……
GM:ソラリスは≪イベイジョン≫ドッジ達成値8で固定
GM:ダメージどうぞ!
宮星イオリ:6d10+63 諸々有効
DoubleCross : (6D10+63) → 42[1,9,8,6,10,8]+63 → 105
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を13増加(94 → 107)
GM:すげ~ダメージ
析了トオル:強すぎ!
三部つゆり:凄まじい火力
宮星イオリ:これだけがつよみだから…
GM:一般テロリストなので耐えられるわけがない!戦闘不能です。
五百機ジナ:「あの『先生』とか名乗ってるやつ──」
五百機ジナ:「通るパターンが『見え』なかった」
五百機ジナ:「相当なバケモノよ。注意して──」
GM:ジナの指示に従い、LVLFの構成員が陣形を構築する。
GM:接近戦タイプらしき二名が一気に距離を詰める。練度はそれなりのようだが、ジナの指揮に全霊を預ける統率が、そのレベルを一段押し上げているようだ。
胡緑蘭:「視線が痛いねえ。随分と嫌われたもんだ」相変わらずヘラヘラと笑っている。
宮星イオリ:「……で。感想は、その男の事だけ?」
宮星イオリ:「こっちは、何が見える?」
宮星イオリ:光のきざはしが架かる。二人の間を結ぶ、その何もかも変わり果てても、変わりのない輝き。不落の星。
五百機ジナ:「────!」
宮星イオリ:「アンタを止める。こんな腐りきった学校だけど……」それを渡る限りにおいて、宮星イオリを阻む不可能は覆される。マスターポルートでさえも、そうだった。
宮星イオリ:「その上に立って生きてる奴らがいる」闇雲に放たれた銃弾の雨を浴びながら、幽鬼めいて駆ける。呪うように呟く。「いるんだから、仕方ない」
宮星イオリ:ジナの頭上を通り過ぎて、その背後。支援を行おうとエフェクトの発動準備をしていた後衛のオーヴァードが引き裂かれ、振り返った時には既に転送光に包まれている。
LVLF構成員:「ぐあぁっ……!?」
LVLF構成員:自ら発動しようとした強酸が暴発し、自身と地面を焼きながら転送される。
五百機ジナ:五百機ジナの能力は、単なる精密射撃や超知覚、超知能ではない。
五百機ジナ:「……!」
五百機ジナ:その能力は、少し未来の並行世界を観測するものだ。
五百機ジナ:脳への多大な負荷と引き換えに、ジナの選択は彼女にとって都合の良い未来を手繰り寄せる。
宮星イオリ:「……」煙たそうな顔をして酸の跡を一瞥する。
五百機ジナ:それが構成員たちが彼女の指揮に全幅の信頼を寄せる理由であり、戦闘においても絶大な効力を発揮する。が────
五百機ジナ:(……また見えなかった……妨害し得る世界が……!)
五百機ジナ:訪れる結果に蓋然性が少ないほど、その結果が絶対的であるほど、ジナが手繰らねばならない世界線は遠くなる。
宮星イオリ:「……ダメだったんだ。それで、次は?」薄灰色の瞳が、静かに、しかし威圧的にジナを見ている。
宮星イオリ:「もっとよく見ないと、変えられないでしょ」挑発。自分に能力のリソースを割かせるための。
五百機ジナ:「……イオリちゃん……相変わらずなんだね」
五百機ジナ:「でも……あなたも分かってるはず」
五百機ジナ:「その身体で、それ以上能力を使えばどうなるか……!」
宮星イオリ:「……やっぱり、アンタはそういう奴だ」
宮星イオリ:「根っこのところでバカみたいに優しい」
宮星イオリ:「そのくせ、自分の事は顧みないのも」
宮星イオリ:「……ムカつくんだよ。黙ってれば健康に長生きできる身分のくせに、わざわざこっち側に寄って来ないで」
五百機ジナ:「イオリちゃん……あなたも聞いたでしょ」
五百機ジナ:「そいつらは……赫花連盟は……」
五百機ジナ:「私たちに黙ってたんだよ!!堕天病は十字冠を破壊する兵器だって!!」
五百機ジナ:「ずっと騙してたんだ!こんなこと、許されていいわけないでしょ!!」
GM:“マスターポルート”と間近で戦った者にとっては──
GM:堕天病が彼の能力の影響であることは、当然のことだ。
GM:何かがおかしい。
宮星イオリ:「……ああ?」
宮星イオリ:「アンタ……どこまで本気で言ってるわけ?」
五百機ジナ:「私はずっと本気だよ……!そうでなきゃ、こんなことやるわけないでしょ……!」
宮星イオリ:噛み合わない。そんなこと、"私達"はずっと初めから知らされていた。
宮星イオリ:(……能力の使いすぎで摩耗したか、あるいは……)もっとろくでもない可能性。この戦場にまだ姿を見せない男がいる。
GM:疑念に耽る間もなく、LVLF達が襲い来る。
LVLF構成員:行動値15 ブラックドッグの行動
LVLF構成員:≪アームズリンク≫射撃攻撃
LVLF構成員:1D4
DoubleCross : (1D4) → 3
LVLF構成員:析了トオルに攻撃!
析了トオル:一発なら受けられる!きなさい!
LVLF構成員:14DX+2 ドッジダイス-2個
DoubleCross : (14DX10+2) → 10[2,2,2,2,3,3,4,5,6,6,7,7,8,10]+5[5]+2 → 17
析了トオル:ドッジマイナス?!
析了トオル:1dx
DoubleCross : (1DX10) → 3[3] → 3
析了トオル:ぐっ……
析了トオル:ライフで受けます!
析了トオル:まだ飛ばないもんね!
LVLF構成員:2D10+8 ダメージ
DoubleCross : (2D10+8) → 15[7,8]+8 → 23
析了トオル:リザ!
析了トオル:1d10
DoubleCross : (1D10) → 10
析了トオル:ぐわ~~~~~~~
析了トオル:侵蝕107です
GM:続いて行動値14 エグザイル、キュマイラの行動
LVLF構成員:エグザイル≪伸縮腕≫+≪爪剣≫
LVLF構成員:1D4
DoubleCross : (1D4) → 4
LVLF構成員:胡緑蘭!
胡緑蘭:おやおや
LVLF構成員:12DX+2 ドッジダイス-1個
DoubleCross : (12DX10+2) → 10[1,1,1,2,3,6,6,8,9,10,10,10]+9[1,7,9]+2 → 21
胡緑蘭:ドッジ……いや
胡緑蘭:ガードします。
LVLF構成員:なんだとぉ……ダメージ!
LVLF構成員:3D10+8
DoubleCross : (3D10+8) → 19[5,7,7]+8 → 27
胡緑蘭:装甲ガードで9点軽減し
胡緑蘭:HP5!
胡緑蘭:胡緑蘭のHPを5に変更(23 → 5)
三部つゆり:生きてる!すご…
GM:生きてる……
析了トオル:耐えた!
LVLF構成員:最後にキュマイラが≪獣の力≫
LVLF構成員:1D4
DoubleCross : (1D4) → 1
LVLF構成員:三部つゆり!
三部つゆり:うわあん
胡緑蘭:綺麗にバラけたわね
LVLF構成員:13DX+4
DoubleCross : (13DX10+4) → 10[1,1,1,2,3,4,4,5,6,7,9,9,10]+6[6]+4 → 20
三部つゆり:ガード値はないからドッジ!
析了トオル:みんな気合入ってる~
三部つゆり:4dx+1>=20
DoubleCross : (4DX10+1>=20) → 6[2,3,6,6]+1 → 7 → 失敗
LVLF構成員:3D10+9 ダメージ
DoubleCross : (3D10+9) → 18[7,5,6]+9 → 27
析了トオル:貰いましょう、カバーリングを……!
三部つゆり:死んじゃう~ カバー貰っていいですか?
三部つゆり:大丈夫なら赫花連盟のカバーを一回戴きたいです~……
赫花連盟生徒:守ります 残り回数4回!
三部つゆり:ありがたすぎる
胡緑蘭:持ってきな!
LVLF構成員:「行け行け行け!」「速攻だ!増援が来るぞ!」
LVLF構成員:後方からの射撃。そして前線を張る二名の攻撃が君達を襲う。
LVLF構成員:強靭な肉体による単純な殴打、鞭のようにしなる触腕での攻撃。
LVLF構成員:いずれもそれなりの訓練を積んできた者の動きであり、更にジナの能力の影響か、奇妙に避けづらい。
LVLF構成員:まるで自ら攻撃に飛び込んでしまったかのように、彼らの攻撃は君達へと吸い込まれる!
析了トオル:「っ……なるほど、退路を最初からなかったことにされる感覚!ジナさんの影響でしょうか……!」
三部つゆり:「……、っ」避けきれない。如何に大言を吐こうが、精神を切り替えようが、今までの積み重ねこそが結果を生む。三部つゆりでは対処しきれない。
胡緑蘭:「無理に避けると却って怪我するねこれは」その場で立ち止まり、触腕の威力を腕の円運動でいなす。
胡緑蘭:「落ち着いて、動きを邪魔しない部分にわざと当てるんだ。君たちならできるよ」
析了トオル:銃弾を受けながら再生。とはいえ、先の戦いよりは随分心に余裕がある。
析了トオル:「勿論!出鱈目な相手ではないだけ充分にマシです……!」
三部つゆり:銃器とピンバッジを庇うような動きになっている。「…言われてすぐには…出来ませんね…!」
赫花連盟生徒:後方からの射撃を、隊列を組んだ赫花連盟たちが受け止める。
赫花連盟生徒:「……我々で受けます!皆さんは攻撃を……!」
三部つゆり:「~~……、ありがとうございます…!」きっと痛いし、きついだろうに。歯を食い縛る。
赫花連盟生徒:元より警護の仕事が多いのか、彼女らの能力と陣形は防御に偏っているのが見て取れる。生半に突破されることはないだろう。
宮星イオリ:(……確かに、"それなり"だけど)その危なげない受けと、一連の戦闘を見て。
宮星イオリ:(その気になればNo.1を動かせるようなヤツが、この練度の兵士を本命に使う……?)一度見出した違和感が拭いきれない。
GM:行動値12 ジナの手番です
析了トオル:あっ私が13なので先手かも!
GM:あっ失礼!
GM:トオルさんの手番です
析了トオル:やったります!
析了トオル:とはいえ侵蝕がけっこうきつめ!がんばるぞ
析了トオル:マイナーなし、メジャーでコンソ、コンセ、マルチウェポン、神機妙算、零距離射撃!
析了トオル:同一エンゲージのキュマイラさんとエグザイルさんに攻撃します
GM:判定どうぞ!
析了トオル:12dx7+7
DoubleCross : (12DX7+7) → 10[1,1,1,2,2,2,4,5,5,7,7,9]+10[1,2,7]+10[7]+10[8]+3[3]+7 → 50
析了トオル:うおおおお
析了トオル:あっすみません、マルポンで3下がってる、47です
GM:イベイジョン12と10なので命中!
GM:ダメージをどうぞ!
三部つゆり:ダメージロールにコンボ:鳥急《原初の紫:凍てつく刃》。ダメージに1d10+15してください!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を4増加(104 → 108)
析了トオル:やったね、これならフェイタルはいらないか……?
析了トオル:いや……加減していいことなし!フェイタルヒット!
析了トオル:5d10+1d10+29+4d10+1d10+15
DoubleCross : (5D10+1D10+29+4D10+1D10+15) → 32[9,8,2,4,9]+4[4]+29+10[1,5,3,1]+3[3]+15 → 93
GM:全然耐えません!消し炭になります
析了トオル:装甲ガード無視!
析了トオル:やった!侵蝕めっちゃ増えます
析了トオル:16増えて123、やばいな
三部つゆり:赤黒く穢れた影がばらりと解け、トオルさんの機器--銃弾やバッテリーに浸透する。
析了トオル:「さて、といっても私達も連戦に連戦を重ねてましたからね。侵蝕的余裕はもう無い。速攻で決めたいのは同じ……!」
三部つゆり:「オン・バザラナラ・ソワカ。--火器の火力増大!そのまま!」端的に効果を告げる。
析了トオル:「おおっと!すべてにおいて理解をしました!では……!」
析了トオル:重機の左腕が、大きく天に掲げられる。
析了トオル:「出力オーバー!この図体であっても、至近距離戦闘が可能なところを見せてあげましょう……!」
五百機ジナ:「来る! 一旦離れ……」
析了トオル:「拡散、増幅、放射!」
析了トオル:機械の掌から、無数のレーザーが器用に味方を避けて放たれる。
析了トオル:「味方の影に隠れようとしても無駄です!この舞台には既に仕込み済み……!」
LVLF構成員:「がっ」「え……!?」
LVLF構成員:角度からしてトオルからの攻撃は今はない、と考えていた油断を突かれる。まともな回避も防御も出来ず、レーザーに貫かれる。
五百機ジナ:「く……!」
析了トオル:舞台の床には、設営時点で特殊な反射板を仕込んである。床面から跳ね返った光が一切の甘い回避を許さない。
析了トオル:「道を開きました!お二人!これで突っ込めますよ!」
五百機ジナ:(この人達……強い……!)
五百機ジナ:「でも……!」
五百機ジナ:《加速する刻》 行動します
胡緑蘭:こいつ~!
五百機ジナ:メジャー 《コンセントレイト:ノイマン》LV3+《コンバットシステム》LV3+《神機妙算》LV3
析了トオル:ゲ~~~ッ
五百機ジナ:対象はPC全員……じゃない!離れてるイオリちゃん以外
析了トオル:ウニャ~~~ッ
三部つゆり:痛すぎるよ~~
五百機ジナ:13DX7+7
DoubleCross : (13DX7+7) → 10[2,2,2,4,5,5,6,7,7,7,7,9,10]+10[1,2,2,6,6,8]+3[3]+7 → 30
析了トオル:頼む……!
三部つゆり:ドッジを…するしかない!
析了トオル:3dx
DoubleCross : (3DX10) → 10[3,8,10]+9[9] → 19
析了トオル:がんばったけど……
三部つゆり:4dx+1=>30
DoubleCross : (4DX10+1>=30) → 8[3,4,7,8]+1 → 9 → 失敗
胡緑蘭:ドッジ!
胡緑蘭:3dx+1>=30
DoubleCross : (3DX10+1>=30) → 2[1,1,2]+1 → 3 → 失敗
析了トオル:あっもう1dあった
析了トオル:1dx
DoubleCross : (1DX10) → 1[1] → 0 (ファンブル)
析了トオル:だめみたいですね
五百機ジナ:死ね~~ッ!
五百機ジナ:《フェイタルヒット》LV5
析了トオル:ぬわーっ
五百機ジナ:4D10+9+5D10 ダメージ
DoubleCross : (4D10+9+5D10) → 35[9,9,9,8]+9+39[10,4,6,10,9] → 83
析了トオル:殺意!
GM:出目やばすぎる
胡緑蘭:やる気がすごい
析了トオル:くっ……カバーお願いするしか……!
三部つゆり:うわあん あ、GM質問なのですが 赫花連盟さん達の効果って、こっちのエフェクトでカバーしたpcに対しては使えない理解であっていますか…?
GM:行動放棄カバーと同じ扱いということでお願いします!
三部つゆり:了解です!ありがとうございます
胡緑蘭:HP0。《リザレクト》
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を1D3+3(→ 5)増加(98 → 103)
胡緑蘭:HPは5のまま
三部つゆり:赫花連盟さんたちにカバーを…お願いします……!
析了トオル:すみません、お願いします……!
赫花連盟生徒:2回カバーして残り2回!
三部つゆり:ありがとうございます……
五百機ジナ:「……もう……耐えられないよ、イオリちゃん」
五百機ジナ:「あなたのような人が苦しんでいるのを見るのは……もう沢山なの」
宮星イオリ:「……だったらこんな真似やめてくれたら助かるってのに」
五百機ジナ:「この景色を見てよ」遠方に立ち並ぶ高層ビル、踏みつけられた豪華な料理、放置された高級車の数々を示して
宮星イオリ:「……」
五百機ジナ:「本当なら……こんな特権は、あなたのような人に与えられるべきでしょ」
五百機ジナ:「ねえ、どうして私達なの?」
五百機ジナ:「どうして私達だけが苦しまなきゃいけないの?」
五百機ジナ:「悪いことなんて、何もしてないのに……これは何の罰なの?」
宮星イオリ:「……そんなの、私が聞きたいくらいだよ」
五百機ジナ:「行き場のない雨の中で凍えて眠る生徒と、商業区で何もかもを見下ろしてる連中との間に……一体どんな差があるの?」
五百機ジナ:「あなたは……一度もこう思ったことはないの?」
五百機ジナ:「私達を助けようともせずに……のうのうと暮らしてる連中が許せないって」
宮星イオリ:「……あるよ。何度も思ったことがある」
宮星イオリ:「こうなった理由なんて、知るわけがない。もし仮に……この世界に、神様みたいなやつがいるんだとして」
宮星イオリ:「この世界の運命の采配を振るってるんだったら、絶対に理解し合えないクソヤローなんだろうとも思う」
五百機ジナ:「なら、止めないでよ……!」
五百機ジナ:「私達なら出来る! 私たちの血と痛みの代償を、横から掠め取った奴らを……全員地獄に引きずり落としてやれるの!」
五百機ジナ:「それでようやく……正しい対等ってものでしょう!?」
宮星イオリ:「……だから、アンタはバカなんだよ」
宮星イオリ:「そんな簡単な事で幸せになれるんだったら、とっくにやってる」
宮星イオリ:「でも、無理でしょ。私達は……人の苦しみを心から喜べるような、"幸せな"アタマに生まれついてないんだ」
宮星イオリ:「だからあの男をやったんだ」
宮星イオリ:「……無理なんだよ。私達はどうやっても幸せになれない。救われなくて、終わっていくだけ」
宮星イオリ:「だからこそだ」
宮星イオリ:「だからこそせめて、少しでも聞こえる悲鳴の少ない、マシな道を選びたい」
五百機ジナ:「違うよ、こんなのは間違ってる……! 現状を変えれば、私達も……スラムの皆だって、普通の生活を送れるかもしれない!」
五百機ジナ:「どうして、分かってくれないの──」
五百機ジナ:そこで後方に視線を移す。
五百機ジナ:「……あの子達がいなくなれば……」
五百機ジナ:「イオリちゃんも、諦めてくれる?」
宮星イオリ:「……。本当に、どうしようもないやつ」
五百機ジナ:銃声が響く。大口径のライフルが連射され、銃弾が次々と君達へと襲い来る。
析了トオル:「避け……は先と同じ、無理!しかしこれ以上受けるのもまた同じ、ですか……!」
五百機ジナ:弾丸は自ら軌道を曲げるかのように標的へと吸い込まれ、更にその骨肉や石畳、風や空気抵抗……あらゆる環境によって幾度となく跳弾し続ける。
三部つゆり:「--、」どっちの言葉にもいろいろ言いたい事はあった。あったが、(不味いな…!本当に取っておきたいのに…!)
五百機ジナ:生きているかのように踊り狂う弾丸が、君達の陣形の中で跳ね回る。
赫花連盟生徒:「これは……がっ……!」
赫花連盟生徒:大盾を構えた連盟員が、次々と身体を穿たれていく。
赫花連盟生徒:「お願いします、彼女を……」血を吐きながら声を発する
三部つゆり:(使いたくなる。ああもう……!)「本当に」歯を噛む。「ありがとう…!」自分の無力さと、本当なら防ぎに行く為に動けるのに動かなかったその事実に苛まれる感触。
析了トオル:「……ええ、分かっています。止めたいのでしょう、貴女達も!」
胡緑蘭:「ふむ」腹部に空いた銃創に指を突っ込み、弾丸を摘み出す。
赫花連盟生徒:「はい……! 商業区の連中は憎くても……殺し合いなんてしたくない……!」
GM:行動値8 つゆりさんの手番です
三部つゆり:待機します…!
GM:では行動値7 先生の手番です
胡緑蘭:はい!
胡緑蘭:まずマイナーで戦闘移動。ジナさん達のエンゲージへ
胡緑蘭:メジャー、《ディストーション》LV2《漆黒の拳》LV2《漆黒の波濤》LV2《コンセントレイト:オルクス》LV4 サイバーアームで攻撃
胡緑蘭:対象はエネミー全員!
GM:判定どうぞ!
胡緑蘭:10dx7+9
DoubleCross : (10DX7+9) → 10[1,2,2,3,3,4,4,6,9,9]+10[5,7]+5[5]+9 → 34
五百機ジナ:ドッジ
五百機ジナ:4DX>=34
DoubleCross : (4DX10>=34) → 9[3,4,6,9] → 9 → 失敗
LVLF構成員:イベイジョン8で命中
GM:ダメージどうぞ!
胡緑蘭:4d10+26+4d10 装甲無視
DoubleCross : (4D10+26+4D10) → 15[2,6,6,1]+26+21[6,1,6,8] → 62
LVLF構成員:最後の構成員も戦闘不能!
五百機ジナ:こちらはまだ生きてます
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を10増加(103 → 113)
胡緑蘭:「流石に勢いが違うね。こっちの被害も無視できない」
胡緑蘭:取り出した弾丸をピンッと弾いて捨てる。
胡緑蘭:その瞬間、その場から緑蘭の姿が消えている。
五百機ジナ:「……!?」
五百機ジナ:誰も居なくなった光景を、一瞬早く視認し「どこに──」
胡緑蘭:「ひとまず、落ち着いて話が出来るようにしようか」LVLFの生徒の背後、黒い腕を振り上げている。
LVLF構成員:「ジナ!!後ろだ!!」
五百機ジナ:「な……」
胡緑蘭:腕を中心として歪んだ重力が、周囲の瓦礫や破片を浮かび上がらせている。
胡緑蘭:それを、ストンッ、と地面に落とす。
五百機ジナ:「に……?」
胡緑蘭:叩きつける、と言う程の力強い動きではなかった。しかし、黒い腕が地面に触れた瞬間。
胡緑蘭:その点を中心に、直径10m程の範囲が跡形もなく陥没する。
胡緑蘭:反転した重力に押しつぶされて、その範囲の中にいた生徒達の骨格が激しく軋みを上げる。
LVLF構成員:「────」
LVLF構成員:陥没に巻き込まれ、肺を圧迫され声すら出せずに転送させられる。
五百機ジナ:「う……ぐ、うぅぅうああぁあっ!?」
五百機ジナ:その光景を未来視し、辛うじて飛び退いたが故に致命傷を逃れる。
五百機ジナ:だが、僅か一瞬の重力負荷で、全身に多大なダメージを追っている。
胡緑蘭:「良かった。君は残ってくれたか」スーツに付いた埃を払いながら立ち上がって
五百機ジナ:「こんな……ゲホッ……!」
胡緑蘭:「加減を間違ったかと思った」
五百機ジナ:喀血しながら緑蘭を睨みつける。
五百機ジナ:「聞いてた話と違う……」
胡緑蘭:「おや、誰か私の噂をしていたのかな?」
五百機ジナ:「『先生』は何でも話し合いや説得で解決しようとする、生ぬるい連中だって……!」
胡緑蘭:「あ、そっちか……」
胡緑蘭:「あのね、その言い方、まるで私が力ずくで言うこと聞かせようとしてるみたいだからやめてくれないかな」
胡緑蘭:「言ったでしょ。落ち着いて話せるようにしようって」
五百機ジナ:「ッ…… 落ち着いて話したところで……私達に協力してくれるわけでもないでしょう……!」
胡緑蘭:「君は小隊以上のチームを率いてる時が一番強いタイプだと思ったから、まずは武器を取り上げさせてもらった」
胡緑蘭:「確かに、今のままじゃ協力は難しいかもしれないね」
胡緑蘭:「けど、『協力できるやり方』を一緒に探すことはできるんじゃない?」
五百機ジナ:「大人の……」
五百機ジナ:「理事会の連中と同じ奴らの言うことなんて、信用できない……!」
五百機ジナ:「今もあいつらにされたことが原因で苦しんでる生徒は沢山いる……! あなたがそいつらと違うって、どうやって証明できる!?」
胡緑蘭:「ふむ、そこを攻められると弱っちゃうんだよねえ」困ったように頬を掻いて。
胡緑蘭:「なにせ、大人なんてみんな中身は対して変わらない。それは事実だからさ」
胡緑蘭:「違うのはただひとつ、君たちとの関わり方。関わろうとする気持ちだけだ」
胡緑蘭:「こればっかりは、時間をかけて、経験で納得してもらうしかないんだよね」
百代マリア:「確かに先生の態度は軽薄だし、気軽なボディタッチも不必要に多いけれど……」
百代マリア:「でも、理事会の人とは違う。わたくしはそう信じているわ」
五百機ジナ:「マリア……」一瞬慄然とした顔をして
五百機ジナ:「信用!!できるか!!そんな奴!!」
GM:行動値0 つゆりさんの手番です
三部つゆり:はい!
三部つゆり:マイナーでボルトアクションライフルの効果を起動。達成値+5.
三部つゆり:メジャー。コンボ:鳥破《コンセントレイト:ウロボロス》《無形の影》にてジナさんを攻撃します~!
GM:判定どうぞ!
三部つゆり:9dx7+8+5
DoubleCross : (9DX7+13) → 10[1,1,1,2,4,6,7,8,9]+10[7,8,10]+10[4,7,8]+4[3,4]+13 → 47
三部つゆり:漸く回った
析了トオル:やった!
五百機ジナ:4DX>=47
DoubleCross : (4DX10>=47) → 10[4,8,9,10]+6[6] → 16 → 失敗
GM:ダメージどうぞ!
三部つゆり:5d10+1d10+8 装甲等有効!
DoubleCross : (5D10+1D10+8) → 29[3,8,10,2,6]+4[4]+8 → 41
三部つゆり:41点装甲等有効ダメージです!
GM:それだとギリギリ死なない! 瀕死です
三部つゆり:ニャ~~
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を6増加(108 → 114)
三部つゆり:「…あなたは私達を信用しないし言葉も聞く気がないっていうなら、なにも話せなくなっちゃうよ」
三部つゆり:「それとも、本当に聞く気がないの?」
五百機ジナ:「私は……尊敬する友達と戦うのが嫌なだけ」
五百機ジナ:「あなただって商業区の人間じゃないでしょう……」
五百機ジナ:「どうして止めるの?こんな連中、痛みを知って当然だと思わないの?」
三部つゆり:「ええ。私はそんな”うまく”やれる人間じゃなかったし、きっとこれからもなれない……そうだね」
三部つゆり:「痛い目見ろって思った事はあるよ。見下してってイラついたことも何度もある」
三部つゆり:「ぶん殴ったりすればスカッとするんだろうな…」
五百機ジナ:「それなら──」
三部つゆり:少し遠くを見た。高層ビルと、片面と違い整えられた街並み。
三部つゆり:「それで、スカッとした後さ。そいつも、私達がそうしたいって思ったような眼で、こっちを見るんだ」
三部つゆり:自分がやったことはない。でも、やり返そうとする人と取引をしたことはあった。また同じように、そうされた人と取引をしたことも。
三部つゆり:「…何度も何度もそんなのをやって、お互いにあいつらは私達とは違うんだって思って、実際に言って、行動して」
三部つゆり:「私は、それで街が綺麗になったって、思えなかった」
五百機ジナ:「……」唇を噛んで
五百機ジナ:「じゃあ、あなたはそれで……」
五百機ジナ:「ただ殴られるまま、踏みつけられるままでいて満足なの……!?」
三部つゆり:「ばかばかしい理想論。くだらない夢。そうかもしれない。だけど」
三部つゆり:「同じやり方をして、同じところに堕ちてやるほど、私はそいつらが好きじゃない」
三部つゆり:「私が好きな人は……、喧嘩はしたけど、そう言う事は嫌いだったから」
三部つゆり:「だから、私も止める側だ。愚痴も憎悪も、いくらでも聞く。でもね」
三部つゆり:「それを振るったって、きっとあなたは楽にならない」
三部つゆり:いつのまにか、赤黒い穢れた影はどこかに散っている。
五百機ジナ:「!」
三部つゆり:「話しなよ」--析了トオルが仕込んでいた反射材。先に使っていたバッテリーに仕込まれた影。もうすでに、それは仕込みを終えている。
三部つゆり:未来が見えるというなら、対策はすでに攻撃を終えている状態にすること。
三部つゆり:「オン・ロホウニュタ・ソワカ」それがキーワード。きらりと影が仕込まれたすべてが光り、その光熱が五百機ジナに集中する。
五百機ジナ:「あぁああああッ……!!」
五百機ジナ:悲鳴。元より予知だけで戦闘を行っているジナに、防御や直接回避の能力は無い。
五百機ジナ:全身を焼き焦がされ、異臭が立ち込める。ふらつきながら、瞳は君達を見据え。
五百機ジナ:「……駄目……」
五百機ジナ:「まだ……倒れるわけには……」
GM:クリンナップ 邪毒など無いと思うので省略
GM:ラウンド2
GM:セットアップ!
三部つゆり:なし!
析了トオル:なし!
宮星イオリ:ないです
胡緑蘭:なし!
五百機ジナ:ありません 味方が全滅したので……
GM:行動値18 イオリさんの手番です
宮星イオリ:うーん この感じなら火力まではいらんかな…
宮星イオリ:マイナーなし。《コンセントレイト》《光の舞踏》でジナを攻撃。
GM:判定どうぞ!
宮星イオリ:11dx+6@7 命中
DoubleCross : (11DX7+6) → 10[1,1,2,8,8,9,9,9,9,9,10]+10[1,4,5,5,7,8,8,9]+10[4,4,8,9]+6[5,6]+6 → 42
五百機ジナ:4DX>=42
DoubleCross : (4DX10>=42) → 9[2,6,7,9] → 9 → 失敗
宮星イオリ:5d10+19 ダメージ
DoubleCross : (5D10+19) → 25[7,7,4,1,6]+19 → 44
GM:ダメージどうぞ!
GM:これは……
GM:ギリギリ戦闘不能! 瀕死と言いつつ結構元気だったので……
宮星イオリ:あっそうなんだ!まあ結果オーライ…
胡緑蘭:俺達を騙していたのか…!
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を4増加(107 → 111)
GM:戦闘も終了です。
宮星イオリ:「……」よろめく少女を見る。その視線を受け止める。
宮星イオリ:「……もう、分かってるでしょ」
宮星イオリ:「ここからアンタに勝ちの目はない」
宮星イオリ:「私達に世界なんて変えられない」
五百機ジナ:「そうやって……」
五百機ジナ:「何もかも諦めてきたの?」
五百機ジナ:立っているのもやっとの状態だが、その意思は折れていない。
五百機ジナ:「そんなの……」
五百機ジナ:「イオリちゃんらしく、ない……」
宮星イオリ:「……っ、勝手に……」
宮星イオリ:「私のこと、分かったみたいに……!」
宮星イオリ:その手に光の刃を練り上げ、踏み出す。頭上の星は、静かに瞬いたまま。
宮星イオリ:何の加護も得ていないまま、先ほどに比べるとずっと緩慢な歩みを取って。彼女の元へと近づいていく。
五百機ジナ:震える腕でライフルを構え、銃口をイオリへと向ける。
五百機ジナ:能力の過剰使用で凄まじい頭痛に見舞われ、意識を朦朧とさせながらも、瞳はイオリを見ていた。
宮星イオリ:「……私を」
宮星イオリ:「尊敬してるとか、そうやって、好き勝手言って……」
宮星イオリ:「……。私だって、もう少しくらい」
宮星イオリ:「アンタに誇れる自分でいたかった」
宮星イオリ:だけど、無理だった。ただの痛みに挫けて、理想を諦めて、どうやって終わるか、そればかりを考え続けた自分。
宮星イオリ:それを今、友達の前に、隠しなく晒している。
宮星イオリ:幻滅したのなら撃ってくれればいい。本気でそう思いながら、刃の距離へと踏み込んだ。
五百機ジナ:ジナが引き金を引くことはなかった。
五百機ジナ:ライフルの銃口が、君の歩みとすれ違う。
宮星イオリ:手にした光の刃が、はらりと掻き消える。……そのまま、何も持たない手を彼女の背へと置いて。
宮星イオリ:「……アンタが」
宮星イオリ:その肩を抱き寄せるようにしている。君の耳元から、くぐもった声が聞こえる。震えていた。
宮星イオリ:「アンタが……今でも、私のことを立派なヤツだって言うなら。ジナ」
宮星イオリ:「こんな……こんな、悪意と虚栄だらけの場所だったとしても」
宮星イオリ:「価値のある場所だって、言ってよ……」
五百機ジナ:「…………」
五百機ジナ:割れるような頭痛に、ひどい汗を流しながら、弱々しく微笑む。
宮星イオリ:「何も……うまくいかなかった。迷惑、かけてばっかりで」
宮星イオリ:「これだけ……これだけが、私の成果なんだ」
宮星イオリ:「私に、できたことなんだ……」
五百機ジナ:「やっぱり……すごいなあ、イオリちゃんは……」
五百機ジナ:限界を迎え脱力し、ライフルを取り落とす。
宮星イオリ:私自身は、そう信じることができなかった。だから。
宮星イオリ:せめて、一緒に戦ったアンタ達だけは。
宮星イオリ:「……壊すしかないものだなんて、言わないで……」
五百機ジナ:「……ごめんね……」
五百機ジナ:「あなたは、やっぱり素敵な人のままだった」
五百機ジナ:「でも私は、もう後戻りできない……」
五百機ジナ:「……11時02分……」
五百機ジナ:「……間に合った」
---
エルケ・リースフェルト:エルケ・リースフェルトは、幼い頃から好奇心の強い少女だった。
エルケ・リースフェルト:未知に惹かれ、隠されたものに惹かれる。とはいえ、自ら行動に移すだけの勇気はなく……
エルケ・リースフェルト:理事会の遺構を探索する個人サイトや、チャンドラグプタ探検隊のDVDを見るのが趣味の、どこにでもいる商業区生徒だった。
エルケ・リースフェルト:そんな彼女には、ここ最近、気になることがあった。
エルケ・リースフェルト:数ヶ月前、自社ビルがLVLFによる爆破テロの被害を受けた。
エルケ・リースフェルト:被害箇所はすぐに修復工事を済ませ、業務は既に通常通り復旧しているものの
エルケ・リースフェルト:それ以来、エレベーターに乗る度に違和感を覚えるのだ。
エルケ・リースフェルト:12階と13階の間だけ、他の階よりも経過時間がほんの少し長い。
エルケ・リースフェルト:外から見れば何も変わらないように見える。施工図を確認しても何らおかしなことはない。だが。
エルケ・リースフェルト:「このビル……何か変……」
エルケ・リースフェルト:ほんの小さな好奇心。もし単なる空調設備やダクトルームがあれば、それを見るだけで満足する程度の。
エルケ・リースフェルト:そんな軽い気持ちで、彼女はまさしくこの小さな探検に打ってつけの……自らの持つ物質透過能力で、13階の床を潜り抜けた。
エルケ・リースフェルト:──そこには、確かに空間があった。
エルケ・リースフェルト:窓もなく照明も無い、締め切られた真っ暗な空間。
エルケ・リースフェルト:単なる天井裏とも思ったが、それにしては何か妙だ。
エルケ・リースフェルト:スマートフォンのライトを灯し、辺りを照らす。
エルケ・リースフェルト:しばらくは何も見つからなかったが──暗がりの中で『それ』を照らした瞬間、エルケは悲鳴を上げた。
エルケ・リースフェルト:「しっ……」
エルケ・リースフェルト:「死体……!?」
エルケ・リースフェルト:巨大な機械に括り付けられた焼死体。
エルケ・リースフェルト:彼女がそう思ったのも無理はなかった。
エルケ・リースフェルト:エルケは荒事とは無縁の商業区に暮らす一般生徒であり、目の前にあるものと接する機会など、これまでの人生で一度も無かったのだから。
エルケ・リースフェルト:巨大な爆弾に括り付けられた『堕天者』。
エルケ・リースフェルト:そんなものが身近にあるなど、誰が想像できるだろうか?
エルケ・リースフェルト:「これっ……な……何……!?」
エルケ・リースフェルト:「誰かに知らせて……」
エルケ・リースフェルト:丁度その時、機械のモニタが示すデジタルタイマーがすべて「0」を示し──
エルケ・リースフェルト:閃光と轟音に、エルケの意識は刈り取られた。
---
GM:イオリさんは難易度7の《意志》判定を行ってください。
宮星イオリ:えっ はい
宮星イオリ:5dx+1>=7 意志
DoubleCross : (5DX10+1>=7) → 10[5,5,6,9,10]+1[1]+1 → 12 → 成功
GM:OK
GM:遠くで、近くで、幾重にも重なるような爆発音が響いた。
GM:見れば商業区のあちこちのビルが破壊され、煙と炎が上がっている。
宮星イオリ:「……っ」身体を震わせる。耳を抑えて蹲る。
GM:同時、イオリは内側から蝕まれるような衝動の昂りを感じる。
GM:君の意志ならば抑え込めるだけのものだったが……
赫花連盟生徒:「おい!どうした、おい……!?」「落ち着け、何を……!」
赫花連盟生徒:赫花連盟の内、何人かの生徒が急に我を失ったかのように暴れ出し、周囲に抑え込まれている。
三部つゆり:「イオリさん……、皆……ッ!?」まさか、と思い出す。”マスターポルート”の堕天病罹患者操作。
析了トオル:「この爆発っ……そう、最初からこんな大掛かりを仕込んで……!」
胡緑蘭:「これは……」爆発と同時に、周囲の空気に交じる嫌な気配を感じ取る。咄嗟にテーブルからナプキンを抜き取り、口元を押さえている。
百代マリア:「何が……」
宮星イオリ:「ぐ、っ……早く……」
赫花連盟生徒:「……テレビ! これ! テレビ見てください!」
赫花連盟生徒:連盟の一人が君達とマリアに、端末で放送の画面を見せる。
アナウンサー:『……臨時ニュースです! ラス・ヴィダス全域で大規模なテロが発生しているとの情報が入ってきました!』
アナウンサー:映像では、爆破されたビルから火の手が上がっている。
アナウンサー:『複数個所での爆破テロと見られ、LVLFによるものと思われますが、これまでにない規模であり──』
胡緑蘭:「まさか、マリアへの襲撃は囮……本命はこれなのか……?」
アナウンサー:『また、市街では生徒同士の衝突が発生しているようです』
三部つゆり:「おとりというか、効果を上げる為もあったんでしょうけど…!”夢遊病”に、テロ現場の修復工事の隠匿はこのための…!?」
アナウンサー:モニタの中で争い合う人々。片方はヴァリエンテの警備員、もう一方、虚ろな目で暴走する生徒達の十字冠には、堕天病の証たる黒変が確認できる。
析了トオル:(堕天病患者の操作、暴走……イオリさんは抑え込めているようですが、数も何もかも多すぎる……!)
アナウンサー:『また未確認ではありますが、この爆破によって堕天病の原因物質が飛散しているとの情報もあり、ラス・ヴィダスでは大きな混乱が……』
宮星イオリ:「……撃って。転送、して! 暴れ出したそいつらも、私も……!」
宮星イオリ:胸を押さえている。ひどく乱れた呼吸で、よろよろと顔を上げて、叫ぶ。
宮星イオリ:不安だった。一時的に堪えることができても、ずっと正気でいる自信なんてなかった。
宮星イオリ:「でないと、私も、アンタ達を……」
胡緑蘭:「……ひとまず、ここにいるのは危険だ」イオリの方へと向かう。
三部つゆり:その言葉にニードルガンの弾倉を確認する。撃つこと自体は出来る。「……暴れ始めたらすぐ撃つよ。其れじゃダメ?」戦力的にイオリさんに頼っている部分がやはり大きい。
宮星イオリ:がりがりと片腕をかきむしっている。強い攻撃衝動があった。自分の意志から生まれたものではないものが。
胡緑蘭:「飛散してるっていう堕天病の原因物質が、操作の媒介になってるのかも。一旦隔離できる場所に移ろう。……それから」
胡緑蘭:「ジナ、君も一緒に来てもらうよ」
五百機ジナ:「ふ…… はははは……」
五百機ジナ:地面に仰向けになったまま、笑いを零す。
析了トオル:「……とりあえず屋根のある場所へ向かいましょう!飛散しているものを浴びるにしろ、少しは遅らせられるはず!」
五百機ジナ:「やった……間に合った……」
五百機ジナ:「イオリちゃん。怖がらないで大丈夫だよ」
五百機ジナ:「これで全部、正しい方に向かうはずだから……」
五百機ジナ:「これで商業区の連中も、皆私達と同じ痛みを……」
五百機ジナ:その時、ジナの無線からノイズが走り、何かを聞いてその表情が一変する。
五百機ジナ:「……え……」
五百機ジナ:「……スラムが……?」
五百機ジナ:「どういうこと?だってそんなはず……」
百代マリア:「……仲間から連絡があったわ」
百代マリア:君達とジナに声を掛ける
百代マリア:「スラム街でも同じような同時多発爆破が起きていて、みんな混乱しているようね」
五百機ジナ:「な……」見るからに狼狽する「そんな訳ない!!だって、私たちは商業区を……商業区にしか……!」
三部つゆり:「スラムでも…」どこか気が遠くなりそうな心地だったのを、食い縛って引き戻す。だから別の学区に行けといっていたのか、と思って。
胡緑蘭:「見境なしか……LVLFの方針とは違うみたいだけど」狼狽するジナを横目に
析了トオル:「大方、あなた達を利用していた者がいたんでしょう」
三部つゆり:「総和の開拓地でやってた計画がこれか…?いや、スラムならそれほど防犯とかも出来ないし、仕込み自体は別かも…」
五百機ジナ:「嘘よ……だって、なんで……」
析了トオル:「都合の良い甘言、協力の誘い。冷静になって思い返せばそういう人物も浮かぶのでは?」
アナウンサー:『……情報が入ってきました』
アナウンサー:『この事態に対し、商業倫理監査協会所属、総和重工社長、デリア・ヴァルタースキルヒェン氏から緊急の放送があるようです』
GM:臨時ニュースの画面が切り替わり、カメラは一人の怜悧な美女を映し出す。
三部つゆり:「社長って……」オズメ興行の元社長が言うには。
析了トオル:「…………」押し黙って、その放送を目と記録に焼き付ける。
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「皆さん、総和重工社長、デリア・ヴァルタースキルヒェンです」
胡緑蘭:「中々手際が良い。いや、良すぎるくらいだね」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「今現在、ラス・ヴィダスで起きている一連の混乱につきまして、我々商業倫理監査協会でも現在情報を集め、対応に当たっています」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「現在情報が錯綜しているようですが、私が代表する形で、ここまでに分かっている確かな情報だけを皆さんにお伝えします」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「まず、この同時多発テロは、テロ組織ラス・ヴィダス解放戦線によって引き起こされたものです」
宮星イオリ:(……確定させようとしてる。自分の望む事実関係を)かき乱される意識の片隅で、それは理解できた。
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「彼らはラス・ヴィダスの秩序を破壊し、学区の存続を根底から脅かそうとしています」
五百機ジナ:「違う……」
五百機ジナ:呆然をかぶりを振る
五百機ジナ:「何よ……これ……」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「また、爆破によって堕天病の原因物質が飛散しているとの情報に関してですが……」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「こちらは、事実と見られます。大変危険ですので、決して爆破の現場には近付かないようにしてください」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「この事態と混乱、被害に遭われた方々に対しまして、私共総和重工一同は“協会”の盟主として、非常に心を痛めております」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「つきましては、苦境に立たれているラス・ヴィダスの皆さんに対し、細やかな援助をさせて頂きました」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「所属企業、居住地区に関係なく、ラス・ヴィダスの生徒全員の個人口座に、各200万クレジットの支給を行いました」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「他学区に移住し、生活していくに十分な資金をご用意したつもりです」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「現在のラス・ヴィダスは非常に危険です。皆さん、出来る限り速やかに学区から離れてください」
胡緑蘭:「……しまった、そういうことか」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「また、現在も懸命にこの事態に対応する生徒の皆さんに対しても、総和重工は敬意を払い……」
三部つゆり:「ま、まさか……難民爆弾?どこも卒業間近でピリピリしてるっていうのに…!」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「堕天病の感染者を捕縛するごとに、更に追加で一人当たり300万クレジットの支給を行います」
析了トオル:(堕天病の原因物質がばら撒かれているのも含め、なんと悪辣な……体のいい人狩りまで)
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「我々総和重工は、ラス・ヴィダスと共にあります」
デリア・ヴァルタースキルヒェン:「どうか皆さん、今こそ一丸となってこの事態に立ち向かいましょう!」
胡緑蘭:「堕天病が"十字冠を破壊する兵器"であることが明かされたこのタイミングで……いや、まさかそれも見越した上でか……?」
胡緑蘭:「ちょっと思ってた以上に不味いねこれは」
五百機ジナ:「……違う……」
五百機ジナ:「こんな……こんなはずじゃ……」
五百機ジナ:譫言のように呟きながら、頭を抱え
三部つゆり:「人狩りの推奨めいたことまで……本当に社会秩序が崩壊しちゃいますよ…!」
五百機ジナ:「ぐ……う……うぁあああああぁあッ!!」
五百機ジナ:悲鳴を上げる。同時に──
五百機ジナ:その頭上の十字冠が、一気に蝕まれるように錆びつき、黒変していく。
三部つゆり:「なっ、まず……!」
析了トオル:「……当然、協力者の口を塞ぐための準備もしていた、と」
胡緑蘭:「……ッ」一瞬でジナへと距離を詰め、心臓めがけて貫手を放つ。
五百機ジナ:「あ……かふっ……」
胡緑蘭:黒変が全身を覆う前に十字冠で転送させれば、あるいは……
五百機ジナ:その目論見通り、ジナは一撃で転送される。だが。
百代マリア:「いい判断だわ……先生」
百代マリア:ジナの転送光を見遣って
百代マリア:「でも……あれは、まずいわ」
百代マリア:「あの症例には……覚えがある」
析了トオル:「まさか……劇症型の方ですか」
百代マリア:頷く。
百代マリア:「脳には痛覚が無い。最初に脳を侵されると、自分が堕天病ということに気付かずに能力を使い続けてしまうの」
百代マリア:「気付いた時には手遅れになっている。そして、あの急激な発症は……間違いなく劇症型ね」
百代マリア:「転送で少しは時間は稼げた。けど、このままだと……」
百代マリア:「五百機ジナは死ぬわ」
GM:シーン終了。
GM:ロイスの取得のみ可能です。
胡緑蘭:ロイスはこのまま!
三部つゆり:ロイスは満タンだけどイオリさんのロイスのポジネガを反転しちょっと変化。。尊敬/苛立ち〇→〇好意/苛立ち。
三部つゆり:ロイスは以上、十字冠引き下げしても大丈夫かな…
胡緑蘭:あとどなたか回復アイテム持ってる方いますか……?HP20ないと時間凍結が…
析了トオル:と、とりあえず引き下げ……引き下げ……
GM:引き下げもどうぞ!
析了トオル:123-1d10-10
DoubleCross : (123-1D10-10) → 123-6[6]-10 → 107
析了トオル:全然足りねぇ~~~
三部つゆり:医療トランク…買えない!後、ごめんなさい先生…!
三部つゆり:114-10-1d10
DoubleCross : (114-10-1D10) → 114-10-8[8] → 96
三部つゆり:一応出れる
宮星イオリ:三部つゆり:◯共感/嫌悪 で取得します
宮星イオリ:111-1d10-10 低減
DoubleCross : (111-1D10-10) → 111-7[7]-10 → 94
GM:う~む
GM:出られなくても困るけど、侵蝕タダで使い放題キャンペーンもどうかと思うので
GM:1シーン分空撃ちしたことにします。トオルさんは侵蝕引き下げ、他のPCは代わりに調達判定を行えることとします
析了トオル:すみません、ありがとうございます……
胡緑蘭:やった~!
三部つゆり:わあい
析了トオル:再度引き下げを実行します
析了トオル:107-1d10-10
DoubleCross : (107-1D10-10) → 107-10[10]-10 → 87
三部つゆり:高性能治療キットを買えばいいかしら
三部つゆり:無形は100超えちゃうので使えないのだ
胡緑蘭:まずは自分で簡易手術キットを狙ってみます
三部つゆり:はい!
胡緑蘭:ブラックカードを使ってダイス+2
胡緑蘭:12dx+1>=18
DoubleCross : (12DX10+1>=18) → 10[1,2,3,4,5,5,5,6,8,9,10,10]+8[4,8]+1 → 19 → 成功
胡緑蘭:大人の経済力の勝利!
胡緑蘭:早速使います
胡緑蘭:4+4d10
DoubleCross : (4+4D10) → 4+36[10,9,8,9] → 40
析了トオル:すご
三部つゆり:!?!?
胡緑蘭:胡緑蘭のHPを25に変更(5 → 25)
宮星イオリ:別にほしいものないな…
宮星イオリ:ブルゲやって帰ろ
三部つゆり:とんでもない 何かある人いない感じかしら ブルゲはもう一個トオルさんに渡したし どうせだからショットガンスラッグ買います
宮星イオリ:3dx>=20
DoubleCross : (3DX10>=20) → 10[8,8,10]+4[4] → 14 → 失敗
宮星イオリ:おわり
三部つゆり:ラッキーメダルホワイト起動。
三部つゆり:3dx+7>=11
DoubleCross : (3DX10+7>=11) → 6[1,6,6]+7 → 13 → 成功
三部つゆり:手裏剣を所持品に戻し、ショットガンスラッグを装備。射撃固定値が1点伸びました。
三部つゆり:以上!
GM:OK
総和重工 本社ビル
GM:“協会”を牽引する大企業、総和重工。その本社ビルは自らの栄華を誇示するかの如く、商業区で最も高い建築として聳え立っている。
GM:空を反射し、天を二つに割るかのように伸びる塔。
GM:その最上階、社長室で、デリア・ヴェルタースキルヒェンは──否。“イモータルコイル”は下界を見下ろしていた。
GM:至る所で炎と煙が上がり、サイレンが鳴り響いている。地上では虫よりも小さく見える生徒達が逃げ惑い、争い合い、混乱と狂気の渦の中にある。
“イモータルコイル”:「百代マリア……」
“イモータルコイル”:「堕天病が十字冠を破壊する兵器だと奴らに教えてやるつもりだったが……手間が省けたな」
“イモータルコイル”:「これでラス・ヴィダスは、全ノヴァリスの敵になった」
“イモータルコイル”:『十字冠を破壊する兵器』の媒介者が蔓延する学区。『呪われた学区』の蔑称は今、紛れもない現実のものとなった。
“イモータルコイル”:他所の問題の為に危険を冒して文字通りの死地に足を踏み入れようとする者はいないだろう。ラス・ヴィダスはノヴァリスにおいて、完全に孤立した。
“イモータルコイル”:それから“イモータルコイル”は、遥か遠くの空に霞んで見える大十字冠を見遣る。
“イモータルコイル”:「……神聖二重冠……」
“イモータルコイル”:「忌々しい奇跡など起こさせない」
“イモータルコイル”:神聖二重冠の力は、まさしく奇跡のような圧倒的なものだ。だがその弱点は既に知り得ている。
“イモータルコイル”:神聖二重冠の出力が無限に近いものであろうと、その持続は永遠ではない。
“イモータルコイル”:地上を埋め尽くすのは、ヴァリエンテ警備保障、堕天病罹患者達、傭兵、インペリアルPMC……夥しい数の兵力。
“イモータルコイル”:ラス・ヴィダス中の広域破壊能力者が全員で神聖二重冠を行使したとしても足りるだけの、『必要十分な』戦力。
“イモータルコイル”:“マスターゼウス”が神聖二重冠に対抗すべく大十字冠そのものをハックしたのに対し、“イモータルコイル”の策は極めてシンプルだった。
“イモータルコイル”:「──圧殺してやる」
“イモータルコイル”:「奴らがクライマックスに辿り着くことは無い」
“イモータルコイル”:そこには憎悪があり、執着があった。
“イモータルコイル”:あってはならぬことだった。ノドスを見捨てた傍観者たちが、何の労も無く奇跡をその手に得るなど。
“イモータルコイル”:故にこそ否定しなければならなかった。その奇跡には何の価値も無いと、証明せねばならなかった。
“イモータルコイル”:「……始めるぞ……」
“イモータルコイル”:「どこにいる」
“イモータルコイル”:「居るなら出てきてみろ……」
“イモータルコイル”:譫言のように一人呟いた時、社長室のドアがノックされた。
“イモータルコイル”:「……入りなさい」
宮星シホ:「……失礼します」
GM:姿を現したのは、一人の少女──宮星シホだった。ヴァリエンテ警備保障警備部主任。
GM:現場に立つ一生徒。“イモータルコイル”にとっては扱いやすい、どうでもいい駒の一人。
“イモータルコイル”:「……どうしました?こんな時に」
“イモータルコイル”:「下で指揮を執らなくてよろしいのですか?」
宮星シホ:「はい。そのことで参りました」
宮星シホ:シホは緊張の面持ちで口を開く。
宮星シホ:「現在、我々ヴァリエンテ警備保障の社長が校則違反で逮捕され、指揮系統に多大な混乱が出ています」
“イモータルコイル”:(こんな時にか?)
“イモータルコイル”:思わず悪態が口をつきそうになるのを抑え、「……それは由々しき事態ですね」と応じる。
宮星シホ:「はい。そこで……ヴァルタースキルヒェン社長に提案があって参りました」
宮星シホ:「私宮星シホを、ヴァリエンテ警備保障の社長に任命して頂けないでしょうか?」
“イモータルコイル”:「……」
宮星シホ:「この状況において我々は…… 勿論待遇としては……」
“イモータルコイル”:シホは色々と理屈を並べ立てていたが、そんなものは耳には入らなかった。
“イモータルコイル”:「クハッ……ハハハハハハハ!アァーーーッハッハッハッハ!!」
GM:突如として哄笑する女社長の姿に、シホは目を丸くした。
“イモータルコイル”:「クッ……こっ……この状況で……」
“イモータルコイル”:「この状況で保身と出世しか頭に無いのか?」
“イモータルコイル”:「つくづくノヴァリスの連中は……どこまで醜くなれば気が済むんだ?ヒヒッ……ヒャハハハハハハ……!」
宮星シホ:「……気分を……害されたなら申し訳ありません。私は……」
“イモータルコイル”:「いい、いい。逆だ」
“イモータルコイル”:「お前みたいなのを見ると心から安心するよ」
“イモータルコイル”:目元を抑えながら、口を三日月に歪めて。
“イモータルコイル”:「いいだろう。やらせてやるよ」
“イモータルコイル”:どの道、あと数時間の立場だ。
“イモータルコイル”:「今日からお前が、ヴァリエンテ警備保障の社長だ」
【Middle7】
GM:全員登場です。
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を1D3+3(→ 4)増加(94 → 98)
析了トオル:析了トオルの侵蝕率を1D3+3(→ 4)増加(87 → 91)
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を1D3+3(→ 4)増加(113 → 117)
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を1D3+3(→ 4)増加(96 → 100)
操作された堕天病罹患者:「ぐ……ぎ……がアアァアッ……!」
襲われるスラム街生徒:「スズちゃん……!どうしたのよ急に!?しっかりし……うわぁあああっ!!」
恐慌状態の商業区生徒:「おい、あんたその十字冠……堕天病じゃないのか!?」
不運な商業区生徒:「何言って……私は違う!これは元々……何だお前ら、離せ!おい!」
怯える商業区生徒:「す、スラムの連中が商業区を襲ってるってよ……!おい!早く他の学区に逃げないとヤバいぞ!」
武闘派商業区生徒:「あんな連中、自由にしといたのが間違いなんだ……こっちから先に潰してやる!」
怖がるスラム生徒:「どうしよう……商業区の奴ら、スラムの住人を殺して回ってるって……」
武器を取るスラム生徒:「“協会”は堕天病にかこつけて私たちを片付けるつもりなんだ……こっちから先に仕掛けるしかない……」
GM:LVLFの活動理念は、様々な題目はあれど、平たく言えば商業区の破壊にあった。
GM:彼らは“イモータルコイル”にとって格好の駒だった。
GM:ラス・ヴィダス再開発計画。商業区とスラム街の区別なく進められたこのプロジェクトを主導したのは、デリア・ヴァルタースキルヒェン──の皮を被った“イモータルコイル”。
GM:総和重工の権力が及ぶ箇所はそのまま工事してしまえばいい。スラム街は強制的な地上げで立ち退かせてしまえばいい。
GM:だが、一部の他企業が所有する物件に関してはそうはいかない。そこでLVLFの出番となる。
GM:総和の手の届かない物件に対しては爆破テロを行い、強制的に修復工事を行わせる。そうなれば、その中に手を紛れ込ませる程度は容易い。
GM:斯くして、ラス・ヴィダス全域をほぼ等間隔で同時爆破する図面は出来上がった。
GM:爆破による感染源の飛散のみならず、元々の堕天病罹患率の低い商業区に対しては、感染元となる麻薬“エンブレイス”を蔓延させた。
GM:試算によれば、数時間後にはラス・ヴィダスの60~80%の生徒が堕天病に感染するはずだ。
GM:そして、投薬を受けない状態での戦闘は、病状の進行を急激に早めることとなる。
GM:生み出された混乱は、既に最高潮に達しつつあった。
百代マリア:「……赫花連盟全員に通達!」
百代マリア:「今すぐ手分けして学区各地に出向いて《ワーディング》を」
百代マリア:「空間転移を阻止して。恐らく今、他の学区に堕天病の罹患者が一気に流れ出したら、取り返しが付かなくなる」
百代マリア:「それに、理由はまだはっきりしないけど……機神の思惑がそこにあるなら、見過ごすのはまずいはず」
宮星イオリ:「……アンタ、は」虚ろな瞳。ひどく汗をかいている。痛みの走る身体をなんとか起こして、百代マリアを睨むようにしている。
百代マリア:「先生、星室庁と連絡は取れる?主要道と交通機関の封鎖をお願いしたいのだけれど」
宮星イオリ:「なんで、そんなに冷静なのよ……」
胡緑蘭:「任せて。各学区に顔が利く先生経由で直接交渉してもらおう」端末を取り出しメッセージを送っている。
宮星イオリ:「アンタが……明かした情報と、クズどもの悪意のせいで」
宮星イオリ:「攻撃されてる奴らがいる……今も、そこら中で……ジナだって……」
百代マリア:「そうね。だから落ち着くべきでしょう」
百代マリア:「今慌てていたら、何も出来ないわ」
析了トオル:「しかし……ここまでの混乱、どう鎮火させるか……」
宮星イオリ:「…………」ここにはないものを聞いている。見えている。
GM:緑蘭がメッセージを送信しようとすると、エラーが返ってくる。
胡緑蘭:「あれっ」
三部つゆり:「水でも被せて落ち着かせる…んだけど。OVだからな……」
宮星イオリ:苦痛と衝動に苛まれる思考の中へ、流れ込んできていた。渦中にある人々の声が、途切れ途切れに。
胡緑蘭:何度か操作を繰り返すが、結果は変わらない。
析了トオル:「一度広がった以上、単純に暗躍する機神を倒しただけで止まるとは思えません」
GM:電波は入っているようだが、送信が出来ない。
宮星イオリ:"マスターポルート"が討たれたあの日よりも、ずっと騒がしい。やまない雨のような騒乱だった。
GM:恐らく、妨害・検閲されている。
胡緑蘭:「参ったな……私以外にこっちに来てる先生はいない筈だし」
胡緑蘭:「外へ伝える手段がなくなっちゃった」
赫花連盟生徒:「市街地で戦闘が起きているようです」
三部つゆり:「…直接行く…のはもう私達も被ってる可能性がある以上あまりよろしくないし、転移妨害に穴をあけるのも…」
赫花連盟生徒:「いえ、戦闘……というべきか。どうも、ヴァリエンテが堕天病の患者と戦っているようなのですが」
赫花連盟生徒:「殆ど無差別に生徒を襲っているような様子で。堕天病感染の疑いあり、として……」
赫花連盟生徒:「実際に暴走した患者が生徒を襲っているのもあって、もう何が何だか……」
胡緑蘭:「ま、こういう状況だとそうなるよねえ」
宮星イオリ:「……もう、終わりよ」
宮星イオリ:「何もかも後手を打ちすぎた。どうしたってラス・ヴィダスは崩壊する……」
三部つゆり:「正直そうかもしれないなあって思わなくもない。けどさ」
三部つゆり:「このままそのまま思惑通りにやられてばっかり、は気に入らない」
百代マリア:「……そうね」
百代マリア:「……たとえ最終的にはそうなるとしても」
百代マリア:「今目の前で傷付いている子を見捨てることは出来ないわ」
百代マリア:「あなたもそうでしょう?……イオリ」
宮星イオリ:「…………」
宮星イオリ:その頭上。瘴気の風にはためくように、星あかりが明滅している。
宮星イオリ:契約者に絶望することを許さない遺産の輝き。その導きに縋り、手を伸ばし続ける苦痛と共に、この世界を歩き続けてきた。その道の果ての景色が、これだった。
析了トオル:(壊れるなら作り直せばいい……とは言いますが、この状況。軽々に口に出せるものでは無いですね。まずは……)
百代マリア:「……先生。どうしたらいいと思う?」
析了トオル:「一先ず、これからどう動くか考えなければいけません」
胡緑蘭:「それを私が決めるわけにはいかないよ」常通りの軽薄な笑みを向けて
胡緑蘭:「けどまあ、少しは先生らしい助言というものもしてみようか」
胡緑蘭:人差し指を上に向ける。
胡緑蘭:「とりあえず君たち、状況は非常に悪い、まさに大ピンチってやつだけど」
胡緑蘭:「こういう時こそ、まずは上を向いて見るべきだと思わない?」
胡緑蘭:その指が指す先には、ラス・ヴィダスの空を2つに分ける高層ビル……総和重工本社がある。
百代マリア:「上って……」
百代マリア:「……」
百代マリア:「高いわね」
宮星イオリ:「……こんな状況を引き起こすような、性根の腐ったやつなら」
宮星イオリ:「今も……見ているんでしょうね」
宮星イオリ:「この、景色を」
胡緑蘭:「そうだね。とても高い」
析了トオル:「成程、一泡吹かせる為に向かうべき場所、ですか」
三部つゆり:「うーん……でも、下のも放っては置いたらマズそうだけど…」
百代マリア:「それに……」下方に目を向ける。
GM:総和重工本社ビルは商業区の中央、今君達が居る郊外からはかなり距離がある。
GM:その間に、一体どれだけの兵力が犇めいているのか。
百代マリア:「……このまま放っておいたら、商業区もスラムもみんな壊されてしまう」
百代マリア:「やるしかなさそうね」
胡緑蘭:「高いし、遠い。途中には彼の息がかかった連中や、正気を失った生徒がうじゃうじゃいる」
宮星イオリ:「……やるしかない、なんて事はないでしょ」
宮星イオリ:「別に、本当は、全部諦めたっていい。こんな状況……そっちを選ぶのが、普通だとすら思う」
宮星イオリ:誰かを助けることに、報いがあった訳ではない。
宮星イオリ:きっと本当は別に、どうしても死にたくなかった訳でもない。
宮星イオリ:ただ、マリアの言う通り、やめられなかったのだ。
宮星イオリ:だから……この期に至っても、宮星イオリは、私達は、また。
宮星イオリ:「それでも、やるんでしょ」
析了トオル:「───勿論」
三部つゆり:「………よし!どうあれ、いちばん役に立てそうでいちばん思い切りやれそうなのもそっちなら、私はやるよ」
析了トオル:「まだ動けるというのに、何もしないで諦めてしまっていては……後で必ず後悔します」
三部つゆり:「それに多分、お兄さんは見てるんだろうけど…終わったら終わったで、きっとまた怒るんだろうから、そろそろ止めてやらないとね」
胡緑蘭:「うんうん、みんながやりたいのなら」
析了トオル:「先に何も見えないとしても、せめて前に進む。止まってしまうのは道が無くなってからでも遅くありません!」
胡緑蘭:「私は、全霊でもってその助けになろう」
胡緑蘭:「あそこへ向かうことで、できることは、3つ」
百代マリア:「みっつ」
胡緑蘭:「ひとつ、堕天者操作の中断。ヴァリエンテへの攻撃停止命令も合わせれば、市内の暴動の勢いはかなり押さえられる」
胡緑蘭:「ふたつ、通信妨害の解除。これで星室庁経由で全ノヴァリスに正しい情報を周知する」
胡緑蘭:「みっつ、総和から振り込まれた資産の凍結。路銀がなくなれば難民の脚も多少は鈍る」
胡緑蘭:「それから……あ、よっつになっちゃったね」
胡緑蘭:「トオルがさっき言っていたことだ」
析了トオル:「……む」
胡緑蘭:「彼は、イモータル・コイルは絶対に逃げない。この学区で一番高いあの場所は、ノヴァリスの崩壊を眺める特等席だ」
胡緑蘭:「きっと今頃、三段くらいの高笑いを上げてる頃合いかもね」
胡緑蘭:「一泡吹かせるには、いいタイミングだ」
百代マリア:「いいわね」
百代マリア:「抜いてやりましょう、度肝を」
百代マリア:「……度肝……度肝って何かしら」
胡緑蘭:「ただの肝ではないだろうね」
析了トオル:「最後に……もう一つ」
析了トオル:「私は、まだ"根本的な解決"を諦めていません」
宮星イオリ:「……」にわかに目を丸くする。
三部つゆり:「データ修復は限界だったけど…とすると」
析了トオル:「堕天病の治療。現状、それに必要な"ソドムの溶鉄"」
宮星イオリ:「いや……」心底呆れたように。「そんなの、すぐにできるようなものじゃないでしょ。例の遺産だって全然見当も……」
析了トオル:「そも、治療法確立間近まで研究しておいて、実物が手元にない、などということはあり得るでしょうか?」
析了トオル:「まだ私に送られたケースについても不明なままですし、それに……」
析了トオル:「研究所の爆破は、リッキーさんによるものではなく……ザイラ・ザヴァッティーニを雇った存在の思惑によるものだとははっきりしています」
胡緑蘭:「そう言えばそんなこと言ってたね、彼女」
析了トオル:「さて、何故このタイミングで?となれば……"不都合だったから潰された"、と見るのが妥当でしょう」
三部つゆり:「実際、治らないってみんな思ってるからこそここまでパニックが広がったのはあるもんね」
析了トオル:「……『これから、堕天病を用いて事を起こすのだから』」
宮星イオリ:「……ああ」発熱しそうなこめかみを押さえている。頭痛の中、かろうじて話を咀嚼している。
宮星イオリ:「確かに。治療法なんて見つかったら、向こうの算段は全部潰れるし……」
宮星イオリ:「それがあり得ない夢物語なら、端から手を出す必要なんてなくて……それで、あのNo.1を雇ったのはノドスのヤツだった……」
胡緑蘭:「消されたという事実が、逆説的に証明してるってわけか」
胡緑蘭:「堕天病の、特効薬の実在を」
宮星イオリ:「……じゃあ、分かった。それも『5つ目』に数えて、それで」
宮星イオリ:「考えてよ。改めて、どれから手を付けるか……」
---
GM:ミドル判定の説明に移ります。
GM:まずはマップをご覧ください。何かいっぱい並んでますね

宮星イオリ:なんだろう…
GM:これから皆さんに行って頂くのは、一種の陣取りゲームです。
胡緑蘭:このマップ、なんか変……
三部つゆり:赤と青のが三方向に4つずつ伸びてる!
析了トオル:陣取りゲーム!
GM:マップはラス・ヴィダスを表しており、上部が敵陣営、下部が味方陣営となっています。
GM:三列あるのはそれぞれラスヴィダスの西部・中央・東部と考えてください。
GM:現在、ラスヴィダスでは全域で戦闘が勃発しており、皆さんはその最前線に介入することになります。
GM:すなわち、三列それぞれの敵陣・味方陣がぶつかり合う箇所で判定を行います。
GM:判定に成功した場合、敵のマスを味方のマスに塗り替えることが出来ます。
GM:逆にそのラウンドで判定に成功できなかった場合、味方のマスが敵のマスに塗り替えられてしまいます。
胡緑蘭:オレ色に染めてやるぜ
宮星イオリ:ラウンド進行というわけね
析了トオル:勝たねば
三部つゆり:うおお
GM:どんどん敵のマスを塗り替えていき、西・中・東、どれか1列でも最上部の“イモータルコイル”のもとまで辿り着けば、皆さんの勝利。クライマックスシーンに移行できます。
GM:逆に敵によって塗り替えられ、最下段の味方側本拠地、ラス・ヴィダス大聖堂まで到達されてしまうと、皆さんの敗北となります。
GM:基本的なルールとしてはこんな感じです。大丈夫かな?
三部つゆり:大丈夫です~
宮星イオリ:アクションは行動値順?
三部つゆり:あ、すみません 判定する場所とかの移動は移動距離とかの制限がありますか?
GM:普通にミドル判定と同じで順番は好きにやって頂いて大丈夫です
宮星イオリ:なるほどね
GM:判定する場所の制限は特にありませんが、基本1人1ラウンド1回となります。
析了トオル:ふーむふむ
三部つゆり:了解です!ありがとうございます~~
宮星イオリ:じゃあひとまずかな~
胡緑蘭:例えば中央で判定に成功し1マス進んだ後、同じラウンドで次の人が中央の判定に成功すると更に1マス進む
胡緑蘭:というように、レーンを絞って速攻をかけることもできるという認識であってますでしょうか
GM:というのは出来ないですね!基本1ラウンドに1レーンにつき1マスずつ進めます
胡緑蘭:そうとはね 理解しました
析了トオル:進めても1マス!
GM:ひとまずやってみましょうか その判定に入る前に……
GM:まずは代表者が1名、任意の情報判定を行ってください。この達成値に応じて、どのレーンにどんな判定があるか事前に知ることが出来ます。
GM:更に、このラウンドでは以下の判定を行うことが出来ます。
胡緑蘭:ほほう
GM:・外部との連絡を試みる 任意の《情報》 難易度11
宮星イオリ:この情報判定は行動回数を消費するんですか?
GM:これらの判定はマスを進行する判定とは別枠になります。
析了トオル:私が行ってみましょうか
宮星イオリ:理解!
析了トオル:任意の情報!
GM:一生情報判定してる人が悲しいからね
三部つゆり:無形も使えるけどどうします?
析了トオル:無形は侵蝕増えちゃうから
胡緑蘭:無形は実際の判定に残しておいたほうが良いと思います
析了トオル:必要なところでピンポイントにかな
三部つゆり:了解です~
胡緑蘭:何くるかわからんし
宮星イオリ:11ならそこまでしなくてもというとこはあるわね
析了トオル:ではノヴァリスで振ります、コネ使って~
析了トオル:8dx+3
DoubleCross : (8DX10+3) → 8[1,1,4,4,4,7,7,8]+3 → 11
析了トオル:むむっ、必要値に足りないならあと2まで足せますが……
胡緑蘭:ぴったりじゃないかな
GM:どっちを判定したんだろう
析了トオル:すみません最初の方!どっちも任意の情報だった
析了トオル:レーン・知る判定
GM:OK いくつ必要かは秘密です!ダメだったら謎の相手が出てきます
胡緑蘭:謎……
析了トオル:じゃあサポートスタッフで追加2!13まで引き上げて残り2回です!
GM:OK 先に連絡の判定をしてもらおうかな
胡緑蘭:では手番を消費しない方の外部と連絡を試みるやつを判定します
胡緑蘭:情報:噂話で判定
胡緑蘭:10dx+6>=11
DoubleCross : (10DX10+6>=11) → 10[2,2,4,4,5,7,8,8,10,10]+9[5,9]+6 → 25 → 成功
析了トオル:やば
三部つゆり:つ、つよい
GM:では成功!こちらは後で軽くロールしてもらおうかな 効果に関しては後程発揮されます
宮星イオリ:繋がりすぎてyoutubeも見れる
GM:そして情報判定に応じて判定の内容が開示されます。
ラウンド1
【西部】
・ヴァリエンテ警備保障警備部
耐久度120
【中央】
・堕天者
耐久度40
判定に失敗した上で難易度10の《回避》判定に失敗した場合、判定を行ったPCは堕天病に感染する。
【東部】
・インペリアルグループ
耐久度100
装甲値10を持つ。
GM:耐久度は任意の攻撃判定によって減少させることが可能です。
胡緑蘭:みんな結構強いな~
GM:ラウンド内では複数のPCの合算によってダメージを与えることが可能ですが、ラウンドを跨ぐとHPはリセットされます。
胡緑蘭:範囲攻撃をした場合、ボーナスが付いたりしますか?
GM:基本は特にありません!そういう敵もいるかも?という感じですね
宮星イオリ:堕天病に感染するデメリットはもともと罹ってたら踏み倒せますか?
GM:すごいこと聞かれるけど踏み倒せます!
宮星イオリ:それともなんか更にペナルティが生じるんでしょうか
宮星イオリ:よかった
三部つゆり:別の所の判定に参加していても、オート支援とかは飛ばして大丈夫でしょうか
GM:オート支援はOKとします!
三部つゆり:ありがとうございます!
析了トオル:なるほどね!
GM:ラウンド終了時点で耐久度が0になっていない敵が残っている場合、そのマスの判定は失敗ということになります。
GM:手分けして頑張ってください!
GM:おっと失礼
GM:NPCカードが使用可能です。
GM:
NPCカード:百代マリア
PCが行う攻撃判定の達成値に常に+5する。
析了トオル:ありがたすぎ!
胡緑蘭:マリア~♡
GM:赫花連盟によるバックアップが行われていると考えてください。
宮星イオリ:なるほどね
胡緑蘭:いつもありがとな
三部つゆり:助かります&メモに追記したよー
GM:とりあえずこんな感じでしょうか 早速判定してみましょうか 質問などあればいつでもどうぞ!
胡緑蘭:私は警察に行動を制限されないエージェンシーというエンブレムを持っているのですが
胡緑蘭:これってヴァリエンテ警備保障警備部と戦う時にボーナスついたりしませんか
析了トオル:ほ、ホントだ、書いてある
GM:すげ~物持ってる
GM:そうですね……先生だしな
GM:ちょっと躊躇いそうだし特別にヴァリエンテに対してだけ攻撃力+5としましょうか
胡緑蘭:やった~
胡緑蘭:ではまず……私から行きます!
胡緑蘭:東部レーン、インペリアルグループを突破するぜ!
GM:面白い……来い!
胡緑蘭:マイナーはなし。
胡緑蘭:メジャー《ディストーション》LV1《漆黒の拳》LV2《コンセントレイト:オルクス》LV4 サイバーアームで攻撃
胡緑蘭:10dx7+9+5
DoubleCross : (10DX7+14) → 10[2,3,4,6,6,7,7,8,9,10]+10[1,1,2,8,8]+5[4,5]+14 → 39
GM:リアクション等は無いので皆さんそのままダメージまでどうぞ!
三部つゆり:コンボ:鳥急《原初の紫:凍てつく刃》!ダメージロールに+1d10+15してください!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を4増加(100 → 104)
胡緑蘭:ありがと~!
胡緑蘭:4d10+24+4d10+15+1d10 装甲無視
DoubleCross : (4D10+24+4D10+15+1D10) → 24[2,9,7,6]+24+13[8,2,1,2]+15+7[7] → 83
胡緑蘭:ぐあああっ
宮星イオリ:ワンチャンはあった
析了トオル:くうっ
GM:装甲無視でしたっけ
三部つゆり:私がインペリアル追撃行く感じでいいかしら
宮星イオリ:そうね~
胡緑蘭:装甲無視です
GM:C(100-83)
DoubleCross : c(100-83) → 17
GM:
・インペリアルグループ
耐久度17/100
装甲値10を持つ。
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を7増加(117 → 124)
胡緑蘭:27出せば行ける
三部つゆり:このまま続けて判定しちゃっていいですか?
GM:どんどんどうぞ!
三部つゆり:コンボ:鳥破《コンセントレイト:ウロボロス》《無形の影》、ボルトアクションライフルにてインペリアルグループへ攻撃。
三部つゆり:と、そのまえにマイナーでボルアクの効果起動。
三部つゆり:9dx7+14+5
DoubleCross : (9DX7+19) → 10[2,3,4,4,5,6,7,7,8]+10[1,7,8]+10[4,9]+4[4]+19 → 53
三部つゆり:6d10+1d10+8 装甲有効
DoubleCross : (6D10+1D10+8) → 34[1,4,9,5,10,5]+6[6]+8 → 48
三部つゆり:いい数字でた
胡緑蘭:ヨシッ!
析了トオル:気合入ってる!
GM:C(17-48+10)
DoubleCross : c(17-48+10) → -21
GM:インペリアルグループ撃破です!
GM:残るは
【西部】
・ヴァリエンテ警備保障警備部
耐久度120
【中央】
・堕天者
耐久度40
判定に失敗した上で難易度10の《回避》判定に失敗した場合、判定を行ったPCは堕天病に感染する。
宮星イオリ:ヴァリエンテ警備保障警備部いきます
宮星イオリ:マイナー、《陽炎の衣》《インフィニティウェポン》
宮星イオリ:《コンセントレイト》《見えざる死神》《光の舞踏》 で攻撃します
宮星イオリ:11dx+6+5@7 マリア支援込み
DoubleCross : (11DX7+11) → 10[1,1,2,3,3,5,6,6,7,7,10]+10[2,2,8]+1[1]+11 → 32
宮星イオリ:ダメージいきます
宮星イオリ:4d10+69
DoubleCross : (4D10+69) → 16[5,4,3,4]+69 → 85
宮星イオリ:無茶だった あとはたのみます…
GM:C(120-85)
DoubleCross : c(120-85) → 35
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を12増加(98 → 110)
GM:・ヴァリエンテ警備保障警備部
耐久度35/120
析了トオル:続いていきます!
析了トオル:改めてマイナーで搭乗宣言しつつ、メジャーでマルチウェポン、コンソ、コンセ
析了トオル:11dx7+8
DoubleCross : (11DX7+8) → 10[1,1,2,2,3,4,5,7,8,8,10]+6[2,4,6,6]+8 → 24
析了トオル:げげーっ、全然伸びない!
析了トオル:3d10+1d10+29
DoubleCross : (3D10+1D10+29) → 12[5,2,5]+6[6]+29 → 47
析了トオル:なんとかね!
GM:C(35-47)
DoubleCross : c(35-47) → -12
GM:ヴァリエンテ警備保障警備部 撃破!
GM:侵蝕も上げよう!
析了トオル:あっはい!7上昇して98!
GM:ではラウンド終了。西部、東部は勝利、中央は敗北となります
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を6増加(104 → 110)
GM:マップはご覧のようになりました。

GM:商業区西部。他学区に通じる大通りには赫花連盟による検問が設けられ、大勢の生徒が詰めかけて暴動状態にあった。
押し寄せる生徒達:「どうして通さないんだ!」「あんたらに私達を止める権利があるの!?」
赫花連盟生徒:「落ち着いてください!今は指示に従って冷静に……」
押し寄せる生徒達:「スラムのクズが指図してんじゃねえ!」「おい!押すなよ!子供が前に……」
GM:その時、飛び交う怒号が悲鳴に変わった。
GM:後方から銃声。ヴァリエンテ警備保障の生徒達が隊列を組み、押し寄せる生徒達を次々と殺傷している。
ヴァリエンテ警備保障生徒:銃を構え、あるいは能力を行使して生徒達を転送させていく。
ヴァリエンテ警備保障生徒:「あの、課長、これ……」
ヴァリエンテ警備保障生徒:「……上からの指示だ。黙って従え」
押し寄せる生徒達:「逃げろ!逃げろ!」「だから押すなって……!」
宮星イオリ:それら転送光に紛れるようにして一条、逆方向に。隙間なく展開された防御陣形へと飛び込む光があった。
宮星イオリ:「はあ……誰の指示だって?」
ヴァリエンテ警備保障生徒:「なんだこいつ……!?」「いい!構うな!撃て!」
宮星イオリ:答えを待たず蹴り飛ばす。警備兵の隙間を縫うように動いて、そういう攪乱を繰り返している。
析了トオル:「ううん、あからさまに本当はやりたくないけどーという表情をしてますね」
ヴァリエンテ警備保障生徒:飛び込んできた君に対し、一斉に銃火が浴びせられる。
宮星イオリ:一方からなだれ込む生徒達をせき止めるために築かれた陣形は、その内側にいるものと戦うために組まれてはいない。
宮星イオリ:判断と意志の統率が必要になる。隊列を崩すか、同士討ちを許容するか。
ヴァリエンテ警備保障生徒:ヴァリエンテは攪乱されて銃を乱射し、流れ弾が味方や暴徒達に当たって悲鳴が上がる。現場は混乱の極みにあった。
析了トオル:「しかし、このままだと解決後のヴァリアンテの評判は最悪」「なので……もっと大きな的を出してハチャメチャにしましょう」
析了トオル:「……では」両腕にデバイスを装備して、タッパーに詰め込んだセレモニーの食品を装填する。
析了トオル:「めちゃくちゃに暴れなさい!」キングダムからかっぱらった理事会兵器の改造品。顕れ出でるのは───
寿司ドラゴン:「syaaaaaaaaaaaaaaaa!」巨大な寿司で構成されたドラゴンと───
ケーキドラゴン:「gyaaaaaaaaaaaaaa!」巨大なケーキで構成されたドラゴンだ!好き勝手に騒ぎまくっている!
ヴァリエンテ警備保障生徒:「ウワアアーーー!?」
押し寄せる生徒達:「何だあれ!?」「寿司なのか!?」「ケーキじゃない!?」「いやドラゴンでしょ!」
析了トオル:「さあ、生徒なんて襲ってる暇はありませんよ!リミッターとかいろんなものを解除してあります!」
宮星イオリ:「……何……?ミレニアムの工廠ってのはあんなもんまで作ってるわけ?」
ヴァリエンテ警備保障生徒:「落ち着け!態勢を整えろ!撃て!撃て!」
析了トオル:「私が盗んで各地へ技術提供とかをこっそり、ね。プロトタイプなのでそこそこ自由が利きます!いやぁ後で怒られそう!」
GM:寿司ドラゴンとケーキドラゴンが目を引き、ヴァリエンテの攻撃は一気にそちらに集中する。
析了トオル:「ここはあの二匹に任せて先に進みましょう!」
GM:その間に、赫花連盟の面々が押しかけた群衆の避難誘導を行っている。
赫花連盟生徒:「早くこっちへ! ……ありがとう、二人とも!」
析了トオル:(寿司はともかくケーキのほうの後処理はめちゃくちゃ大変なんですが……今は黙っておきましょう)
宮星イオリ:「……この際使える札は全部切るってのはいいけど、アレちゃんと制御できてんでしょうね……」暴走して余計に被害甚大になったりしないよな?という念押し。
析了トオル:「…………」
宮星イオリ:「おい目ぇ逸らすな」
GM:銃声と咆哮がこだまする中、君達は混沌を進んでいく。
---
胡緑蘭:一方、離れた通りでは、道を塞いでいたインペリアルグループの一個中隊が粉々に粉砕され、地面に倒れ伏していた。
三部つゆり:「……本当思いますけど、先生強いですよね……」目を丸くしながら付いて行っている。散っていた影も元に戻りつつあった。
胡緑蘭:「つゆりがフォローしてくれてるおかげだよ。一人だとこうは行かない」
胡緑蘭:笑いかけながら、インペリアル兵士の残した機材を漁る。
胡緑蘭:「お、これこれ」
インペリアルPMC一般兵:「ビガガ……こんなのおかしいよォ……」
インペリアルPMC一般兵:「生徒殺し放題キャンペーンって聞いて来たのに……ガガ……」
GM:インペリアルグループはこの戦闘に相当な戦力を継ぎ込んでいるらしく、兵士のみならず、市街地には戦車や垂直離着陸機といった大型兵器も見られた。
GM:だが今はそのいずれもが沈黙し、残骸となって転がっている。
三部つゆり:「シンプルに思想拗らせてるな此処も……あ、いえ。私がしたのは本当小さい事でしたし…」思考加速の貸付と、放出した衝撃波の後付け操作くらいしかしていない。
胡緑蘭:「大型兵器を動かす以上は、外部から管制を受ける必要がある」
三部つゆり:「味方も巻き込んじゃいますし、操作自体が難しいですものね…あ」
胡緑蘭:「ここの会社は反生徒主義なんだろ?通信も独自規格を使ってるって前に聞いたことあったんだけど」
胡緑蘭:「当たりだったみたいだ。ひとまずこれで、最低限の連絡はできそうかな」
三部つゆり:「…なんというか、視野が広いなあ…とはいえ、よかったです!」
胡緑蘭:簡潔にメッセージを打ち込んで送信する。
GM:緑蘭の読み通り、メッセージは妨害を受けることなく外部への送信に成功する。
胡緑蘭:「うん、それじゃあ次にいこうか」遠くからは巨大な生物の咆哮と、ビルが崩れる轟音が響いてくる。
胡緑蘭:「あっちは派手にやってるみたいだ。注目が向いてる間に喉元まで進んでしまおう」
GM:その通信により、事態発生から数十分経ってようやく、星室庁及び他学区はラス・ヴィダスで発生している現状を把握することとなった。
GM:だがこの状況、そして百代マリアにより語られた真実を知って尚協力してくれる者がいるかは、また別の問題だった。
---
GM:ラウンド2
GM:まずは情報判定をお願いします。
析了トオル:押忍!
析了トオル:再びノヴァリスコネで振る!
析了トオル:8dx+3
DoubleCross : (8DX10+3) → 7[1,1,2,2,4,6,7,7]+3 → 10
析了トオル:ギエ~~~~
析了トオル:サポートスタッフ!
析了トオル:12です
GM:むっ 命拾いしたな……
析了トオル:残り1回!
三部つゆり:次から先生とかに回しても良いかもだねー
GM:では配置はこちらとなります。
ラウンド2
【西部】
・ヴァリエンテ警備保障警備部
耐久度120
【中央】
・強敵:リッパー・アズリウス
耐久度400
《白兵》による攻撃は2倍のダメージを与える。1ラウンド内において2人目以降による攻撃は半分のダメージを与える。
【東部】
・操作された堕天病罹患者
耐久度60
精神操作に対するイージーエフェクト等の使用で耐久度が減少する。
GM:『強敵』が登場します。こちらは通常の敵と異なり、ラウンドを跨いでも耐久度が回復しません。
宮星イオリ:じゃあ倒さない限りずっといるんだ
胡緑蘭:中央に来られてるのはかなり痛いですね
GM:ついでに情報を抜いたのでプロファイルを確認できます。こちらはどちらかと言えばPL向けの情報となっており、PCがどの程度知っているかはお任せします。
情報:リッパー・アズリウス
インペリアルPMCに所属する戦闘型『社会人』。
機体の各所に無数の武装を搭載した陸海空・近中遠距離全局面対応型のハイスペックなワンオフ機。
だが更なる戦闘AIの向上のため、様々なオーヴァードや歴史上の強者のデータをインプットしたところ不具合が発生。
一対一の白兵戦に拘泥する武人のような人格が形成されてしまった。
大口径の主砲や対空レーザー、ミサイルにEMPジャマーなどの高性能な装備を持ちながら、剣を用いての戦闘しか行わない状態になっている。
宮星イオリ:メカ闘士だ
胡緑蘭:スペックの無駄遣い!
三部つゆり:はえ~ つまり白兵以外だと他のやつ使ってくるんだな…!
析了トオル:嫌いじゃない……!
GM:というわけでご相談のうえ判定どうぞ~
宮星イオリ:アズリウスの判定にいきます。マイナー《陽炎の衣》から
宮星イオリ:《コンセントレイト》《見えざる死神》《光の舞踏》で攻撃 命中判定
宮星イオリ:11dx+6+5@7 命中
DoubleCross : (11DX7+11) → 10[1,2,2,6,6,6,6,7,8,8,8]+10[3,3,5,7]+4[4]+11 → 35
宮星イオリ:ダメージ出します
宮星イオリ:4d10+69
DoubleCross : (4D10+69) → 36[10,10,6,10]+69 → 105
宮星イオリ:命中しょんぼりした分こっちがやる気出した
GM:つえ~~~~
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を9増加(110 → 119)
三部つゆり:イオリさん滅茶苦茶すごいダメージダイス!つよい!
胡緑蘭:えらいぞ
GM:4D10で36!?
析了トオル:やば
GM:C(400-105-105)
DoubleCross : c(400-105-105) → 190
GM:リッパー・アズリウスは残り190!
析了トオル:マイナーでジェネシフト1d!
析了トオル:1d10
DoubleCross : (1D10) → 7
析了トオル:ズモモ...
析了トオル:105になりました
析了トオル:西!ヴァリエンテを再びめちゃくちゃにします
析了トオル:メジャーでマルチウェポン、コンソ、コンセ!
析了トオル:12dx7+9
DoubleCross : (12DX7+9) → 10[1,2,2,2,6,6,7,8,8,8,10,10]+10[5,5,6,7,8,10]+10[2,6,8]+10[9]+1[1]+9 → 50
析了トオル:おほ~~
三部つゆり:ダメージロールにコンボ:鳥急《原初の紫:凍てつく刃》。ダメージ+1d10+15してくださーい
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を4増加(110 → 114)
析了トオル:あってた、何か別のものを見ていたし、さらに+1あったので51です
析了トオル:ありがとー!
析了トオル:フェイタルヒット!
析了トオル:侵蝕109にして+4d!ダメージ!
析了トオル:6d10+1d10+29+4d10+1d10+15
DoubleCross : (6D10+1D10+29+4D10+1D10+15) → 28[2,3,2,7,7,7]+8[8]+29+23[5,2,8,8]+4[4]+15 → 107
GM:C(120-107)
DoubleCross : c(120-107) → 13
GM:ヴァリエンテは残り13!
析了トオル:いいかんじ!侵蝕116!
三部つゆり:滅茶苦茶つよ……
GM:危ないところだったぜ
三部つゆり:このまま私かな 素射撃でも行けそう
胡緑蘭:やっちゃいな!
三部つゆり:マイナー、ボルトアクションライフルの効果を起動し、メジャーでそのままヴァリエンテに素射撃しますー
三部つゆり:4dx+9+5+5
DoubleCross : (4DX10+19) → 7[1,4,6,7]+19 → 26
三部つゆり:3d10+1d10+8+2d10 最後のはコンビネーター分
DoubleCross : (3D10+1D10+8+2D10) → 15[8,5,2]+9[9]+8+16[8,8] → 48
三部つゆり:出目が良過ぎる
GM:C(13-48)
DoubleCross : c(13-48) → -35
GM:ヴァリエンテ撃破です!
析了トオル:そう、コンビネーターもあった……!
析了トオル:やったね
三部つゆり:やりました!先生お願いします…!
胡緑蘭:では最後に堕天者を
胡緑蘭:まいなーなし
胡緑蘭:メジャー《ディストーション》LV1《漆黒の拳》LV2《コンセントレイト:オルクス》LV4 サイバーアームで攻撃
胡緑蘭:10dx7+9+5
DoubleCross : (10DX7+14) → 10[2,3,3,4,5,6,8,9,9,10]+10[3,3,4,7]+10[9]+3[3]+14 → 47
胡緑蘭:5d10+24+4d10 装甲無視
DoubleCross : (5D10+24+4D10) → 27[8,7,6,4,2]+24+13[5,5,2,1] → 64
GM:ほぎゃああああああああ
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を7増加(124 → 131)
析了トオル:突破だ!
GM:くそ~~~出目が腐っていれば……!
GM:C(60-64)
DoubleCross : c(60-64) → -4
三部つゆり:ダメージダイスがちょっと低めで怖かったけど流石先生!
GM:堕天病罹患者も突破!
宮星イオリ:出目腐りポイントはもう消化しきったんだよなあ
析了トオル:恐ろしい強敵だった
三部つゆり:おそろしい奴だった……
GM:というわけで西部・東部は突破。しかし中央は倒し切れていないので更に敵が侵攻します。
析了トオル:ヒエ~
宮星イオリ:そんな……
胡緑蘭:ピンチ!
三部つゆり:ヤバすぎ
---
GM:この局面において、ヴァリエンテ警備保障は警備部のほぼ全兵力を、インペリアルPMCもまた大型兵器を含む夥しい戦力を投入している。
GM:だが今、最も多くの数を有し、最も大きな被害を出していたのは、彼らではなかった。
堕天病罹患者:「う…… あ……アァ……」
逃げ惑う生徒:「来るな!こっち来ないで……ひっ!前にも……!?」
GM:生気の無い、生きた死人のような様子で徘徊する無数の生徒達。
GM:堕天病に罹患し、“イモータルコイル”による精神操作を受けた生徒だ。その殆どが同時多発爆破によって感染した者や、元々感染の自覚が無かった初期段階の者達。
GM:彼らは自我を失い、ゾンビ映画さながらに、呻き声を上げながら津波のように押し寄せる。
弥名寛治野オバ:「ウウ……アァー……」
胡緑蘭:「さて、どうしたものかな」
胡緑蘭:逃げる生徒達とは逆方向、押し寄せる堕天病罹患者の群れの方向へと、呑気に歩いていく。
逃げ惑う生徒:「えっ……!?」
逃げ惑う生徒:すれ違いざまに驚いて振り返る
逃げ惑う生徒:「あ、あなた何を!?そっちは……!」
胡緑蘭:「意識を刈り取るだけなら簡単だけど、夢遊病の件を考えると無意識下でも操るのに支障はなさそうか」
堕天病罹患者:「ウゥ……? グゥ……」
弥名寛治野オバ:「ガァアアアアッ!」
GM:獣じみた唸り声を上げ、生徒達が緑蘭へと襲い掛かる!
胡緑蘭:「困ったな……」
胡緑蘭:その隙間を、こともなげにすり抜ける。
胡緑蘭:飛びかかった生徒達はそのまま着地することなく、糸が切れたように地面に倒れ伏していく。
堕天病罹患者:「────」
逃げ惑う生徒:「えっ……えっ……!?」
胡緑蘭:立ち上がることはできない。意識はあるにも関わらず。
逃げ惑う生徒:バタバタと倒れていくその光景を、信じられないものを見たように二度見する。
逃げ惑う生徒:「な……何が……!?」
胡緑蘭:足首、膝、腰、歩行に必要な関節が、一瞬の交錯の間に尽く粉砕されている。
弥名寛治野オバ:「ググ……ガッ……ガガ……」
弥名寛治野オバ:転送もできないまま、地面でのたうつしか出来ない。
胡緑蘭:更には、そこにめり込む形で遺された魔眼の球体が、リザレクトによる修復までをも遅延させている。
胡緑蘭:「生徒を殴る先生なんて評判が立つと、この先困るんだけど」
GM:倒れた前方の生徒を乗り越えて、更に次々に襲い掛かっては、一瞬で返り討ちにされていく。
GM:すぐに足掻く暴走生徒で山が築かれ、互いに身動き取れずに固まっている。
胡緑蘭:「こんなとこかな」罹患者の群れを粗方片付けて、ジャケットの埃を払う。
逃げ惑う生徒:「こ……」
逃げ惑う生徒:「これが先生……!?」
胡緑蘭:「あれ、君まだいたのか。危ないから避難してなさい」
逃げ惑う生徒:「は、はい!」ぽっと頬を赤らめて
胡緑蘭:「それと、今見たことは秘密にしておいてね」口に人差し指を当てて笑いかけ、すぐさま先へ進む。
逃げ惑う生徒:「あっ……ありがとうございました!あの、後でお時間……」
GM:生徒を助け、その場を後にしようとした時。
GM:君は前方の空が赤く染まっているのに気付く。
胡緑蘭:「ふむ、夕焼けには早すぎる気がするけど」時計を見て
GM:吹き付ける風には黒い煤が混ざっていた。足を進め、角を曲がると。
GM:濛々と立ち昇る黒煙。高層ビルを包む巨大な炎。──一面、街が燃えていた。
---
GM:商業区からスラムに差し掛かり、道路の舗装や街路樹の管理がおざなりになり、高層ビルが減り始める地区。
GM:そこで、多くの赫花連盟に囲まれた一機の『社会人』が戦闘を繰り広げていた。
赫花連盟生徒:「また一人飛んだ……あと何人残ってる!?」
赫花連盟生徒:「増援、増援は……ぎゃあっ!」
赫花連盟生徒:一閃。両断された生徒が血飛沫だけを残して転送される。
リッパー・アズリウス:「……ふむ」
リッパー・アズリウス:「足りぬ」
リッパー・アズリウス:3メートル程の大型機体。両の腕部に二振りのブレードを構え、メインカメラが悠然と周囲を睥睨する。

リッパー・アズリウス:「まるで足りぬな」
リッパー・アズリウス:次々に放たれる炎や弾丸をつまらなそうに切って捨て、その度に一人、また一人と転送光が走る。
リッパー・アズリウス:「この程度では……某の血潮を沸かすには足りん」
赫花連盟生徒:「何なの、こいつ……無茶苦茶……!」
赫花連盟生徒:「一旦退こう!態勢を立て直して……」「逃がしてくれると思う!?」
リッパー・アズリウス:「赫花連盟は“マスターポルート”を倒した猛者揃いと聞いていたが」
リッパー・アズリウス:「居らぬのか? 多少でも『使える』武士は」
宮星イオリ:「……女子供に何を期待してんのよ、気色悪い」
宮星イオリ:別の戦線から機械兵をなぎ倒して合流する。ひときわ悲鳴が増えて、陣形を大きく崩されている場所があったからだ。
宮星イオリ:「あと……血潮が沸くって、アンタが? そういう社会人流のジョーク?」
リッパー・アズリウス:そちらを見もしようともせずに剣閃が走る。
リッパー・アズリウス:周囲の生徒達を屠った一撃だ。大型機体の高出力から放たれる、正確無比な一撃、だが。
宮星イオリ:ばらり、と瓦礫の山が二つに割れる。そこに立っていた少女の影は消えている。
リッパー・アズリウス:「ぬぅっ……!?」
リッパー・アズリウス:手応えの無さに初めて振り返る。
宮星イオリ:振り返るより早く、光刃が閃いていた。がしゃりと音を立てて、装甲と幾つかのモジュールが剥離する。
宮星イオリ:レーザー、噴霧機構、砲撃用装備。更に奥の核まで狙ったが、届かなかった。
宮星イオリ:「は、随分と大荷物」
宮星イオリ:「戦場じゃ色々抱えてないと不安なタイプ? ま、そういう子も確かにいるけど」
リッパー・アズリウス:「はっはっはっはっは!!」
リッパー・アズリウス:姿勢制御バーニアを吹かし、飛び退いて距離を取る。
リッパー・アズリウス:「ようやく手合わせのし甲斐のある相手が出てきたな!」
宮星イオリ:「……なんで楽しそうなのよ。煽ってるつもりなんだけど」
宮星イオリ:「ってか、アンタら!」一瞬だけ振り返って瓦礫を蹴り飛ばす。
宮星イオリ:「とっとと動く!逃げる時間欲しがってたんでしょうがっ」
リッパー・アズリウス:「やあやあ音にこそ聞け!近くば寄って目にも見よ!」
リッパー・アズリウス:「我こそはイスラエルユニバーサルテクノロジー製インペリアルPMC所属!リッパー・アズリウスなり!!」
宮星イオリ:「せっかく人がこうやって……」また振り返る。「うるっさい、そんなにボリューム上げなくても聞こえてる!」
赫花連盟生徒:「イオリさん!そういう訳には行きませんよ!」
赫花連盟生徒:「イオリさんが来てくれたなら勝てます!私達みんなで……きゃああっ!?」
GM:銃を構えようとした生徒の腕が、アズリウスの肩部から放たれたレーザーによって貫かれる。
リッパー・アズリウス:「邪魔をするな!痴れ者が!!」
リッパー・アズリウス:「これより仕るは武士と武士との果し合い!真剣勝負に水を差すとは何たる無礼か!」
赫花連盟生徒:「な……何よこいつ!?」「イオリさん……武士だったんですか!?」
宮星イオリ:「なわけないでしょ!イカレロボットの言うことなんて真に受けてんじゃないわよ!」
リッパー・アズリウス:「いざ尋常に──」
リッパー・アズリウス:「勝負!!」
リッパー・アズリウス:ブースターの炎が真紅の軌跡を描き、群青の機体が一気にイオリへと肉薄する。
宮星イオリ:(……こいつの流儀に乗るわけじゃないけど)
宮星イオリ:(現状、こいつに対応できるのは私だけ。なら)
リッパー・アズリウス:振るわれる巨大なブレードは二振り。片方は大上段から振り下ろされ、もう片方は地を滑るようにして迫る!
リッパー・アズリウス:「アェイヤァァァァァァァァァァッ!!!!!」
宮星イオリ:立ち止まり、構える。不愉快な猿叫に目を伏せながら、
宮星イオリ:星の輝きが右手に収束して刃を再構成する。天地より挟み撃つような剣筋に対して、その一条を支えさせるように押し受けようとする。が、
宮星イオリ:(っ……こいつ、バカみたいな出力、が)
リッパー・アズリウス:人格は破綻していようと、その性能はインペリアルPMCがこの局面に投入するだけのものだ。
宮星イオリ:一手目で半歩、仰け反るように弾かれる。加護の力を漲らせていてなお、そうなった。
リッパー・アズリウス:「チェストオォオオォオオオオッ!!!!!」
宮星イオリ:「が、っ……!!」
リッパー・アズリウス:体勢が崩れたところに、更に立て続けに唐竹割りめいた上段切り。
リッパー・アズリウス:受け止めた脇腹に、回し蹴りが叩き込まれる。
リッパー・アズリウス:鋼鉄の塊が衝突したような……事実その通りの衝撃が、イオリを吹き飛ばす。
宮星イオリ:(……まずい、今は……)
宮星イオリ:意識が吹き飛びそうになる。かろうじてそれを堪えて、膝を突きながら灰の中より起き上がる。
リッパー・アズリウス:「ふははは……」
宮星イオリ:(気絶、するわけにはいかない……絶対、に)
リッパー・アズリウス:「我が秘剣『m0WNXuKM』を凌ぐとは……見事なり」
宮星イオリ:堕天病の罹患者に対する洗脳干渉は今も続いている。それに抗い続ける必要がある。
宮星イオリ:「……そんなに、戦うことが楽しい?」
リッパー・アズリウス:「笑止!」
リッパー・アズリウス:「我が製造目的!存在意義!存在証明!」
リッパー・アズリウス:「そは全て人斬りなり!」
宮星イオリ:「……は。幸せそうなやつ」
リッパー・アズリウス:「なればこそ!剣を磨き剣に生きるは必定!」
宮星イオリ:「私を倒して証明できるものなんて、何もないのに」
リッパー・アズリウス:「否!某には分かる。お主はかなりの使い手」
リッパー・アズリウス:「それを斬ることで……某の性能が生徒より上だと証明できる!童でも分かる道理よ!」
リッパー・アズリウス:「名乗りを許そう!ノヴァリスの生徒よ!」
宮星イオリ:「……」疲れたように、薄らと笑う。刃を結び直す。「どうかな」
宮星イオリ:「私は自分が"マスターポルート"より上だったなんて思わない」
宮星イオリ:「だけど……アンタが勝手にそんな風に思い込むのは」
宮星イオリ:「想像したら結構ムカつく」
リッパー・アズリウス:「ならば剣を取るがよい」
宮星イオリ:フードを外す。黒い斑紋が広がった肌が露になる。
リッパー・アズリウス:「証明してみせよ。某よりお主の性能が上だと」
リッパー・アズリウス:「語るは刃によってのみ!!」
リッパー・アズリウス:「いざ!!いざ!!いざ!!」
宮星イオリ:「そうするよ。……アンタの望むような決着になるかは、知らないけどね」
宮星イオリ:「宮星イオリ。この学園の、本物のマスター殺し」
宮星イオリ:曝け出したくない過去だったけれど、それももはやどうでもいい拘泥だったと感じられた。静かに、求められた名乗りに応じる。
リッパー・アズリウス:白刃が揺らめく。冷たき鋼のマニピュレーターによって握られた剣ではあるが、しなやかかつ激しい太刀筋は紛れもなく達人のそれだ。
リッパー・アズリウス:「宮星イオリ……確かに刻んだぞ、その名!」
リッパー・アズリウス:「ゆくぞ──秘剣!!」
リッパー・アズリウス:「yV8YsPhC────」
宮星イオリ:頭上の星がひときわ強く瞬く。それだけ力を発揮しなければ保てないという事でもある。
宮星イオリ:「……いい機会だから、アンタに教えてあげる。本当にろくでもない、幸せになれない戦いもあるってこと」
GM:二者が激突しようとした、その瞬間。
GM:君とアズリウスを隔てるように、巨大な氷の壁がせり上がる。
GM:瞬く間に生み出された分厚い氷壁が、完全に市街地を分断している。迂回も突破も困難だろう。
宮星イオリ:「……この氷は」
宮星イオリ:「まさか、まだ帰ってなかったの……?」
齋藤リッコ:「い……行けた? 危なかった……」
齋藤リッコ:「無事?熱くなりすぎよ」
齋藤リッコ:先に出会ったキングダムの生徒だ。君と赫花連盟の無事を見て安堵の顔を見せる。
宮星イオリ:「……冷静よ。冷静に考えて……」
宮星イオリ:「私が黒幕の所まで辿り着いても、役に立たないかそれ以下の可能性が高い」
齋藤リッコ:「それでも、こんなところであんなのと相打ちになるよりは出来ることがあるでしょ」
宮星イオリ:「……道連れにするなら妥当なレベルの相手だと思ったんだけど」
宮星イオリ:「もっと大物狙えって?それこそ買い被りでしょ……」
齋藤リッコ:「ていうか、人をそんな暇人みたいに言うのやめてよね!帰ってたわよ!帰ってたけど……」
齋藤リッコ:「途中で引き返してきたの!あんたんとこの先生から報せがあって!」
宮星イオリ:「……。それだけで戻ってきたの?」
齋藤リッコ:「だけじゃないわよ」
齋藤リッコ:「さっきのあのスピーチ、テレビで見てたもの」
齋藤リッコ:「堕天病が『十字冠を破壊する兵器』だって」
宮星イオリ:「だったら普通は尚更……」フードを被り直し、眉間を押さえる。「……ああ、良いわ。分かった」
宮星イオリ:「マリアとかと同じタイプなのね、アンタ」
齋藤リッコ:「えっ……色白な……ミステリアス系の美人ってこと……?」
宮星イオリ:「ふ。ばーか」
宮星イオリ:「とにかく、戦力として宛にしていいわけね」
齋藤リッコ:「勿論。……それに、多分」
齋藤リッコ:「きっと、あたしだけじゃないわよ」
齋藤リッコ:「ノヴァリスの誰もが、理事会と『十字冠を破壊する兵器』に苦しめられてきた」
齋藤リッコ:上方、霞むように見える大十字冠を見上げる。
齋藤リッコ:「ラス・ヴィダスが今もそれに苦しめられてるって知ったら……」
齋藤リッコ:「助けになりたいって人は、きっといくらでもいる」
齋藤リッコ:「……どうにかなるわよ」
齋藤リッコ:君と、君の堕天病に向けて言う。
齋藤リッコ:「絶対」
宮星イオリ:「……やだな、それ」硬い笑みを浮かべる。
宮星イオリ:「どう考えても夢見すぎだと思うけど。……もし、そうだったら」
宮星イオリ:「もしも、他の学区や、私の知らない世界に……そんな頼もしいお人好しが沢山いるんだったら」
宮星イオリ:「……もっと早くに、"誰か助けて"って言えばよかった」
GM:NPCカードが使用できます。
NPCカード:齋藤リッコ
このラウンド中に1回のみ使用可能。任意のマスを指定する。そのマスはこのラウンド、判定に失敗してもエネミーによって侵攻されない。
GM:というわけでMAPが更新され、ご覧のようになります。

GM:ラウンド3
GM:情報判定を行ってください。
析了トオル:ここは先生にお願いしちゃおう!情報の方の調子が良くないので
胡緑蘭:おまかせください
三部つゆり:お願いいたします!
胡緑蘭:情報:噂話で判定
胡緑蘭:10dx+6
DoubleCross : (10DX10+6) → 10[2,3,6,6,7,7,9,10,10,10]+8[6,8,8]+6 → 24
胡緑蘭:むん!
GM:つ……強い
三部つゆり:つ…つよ!
析了トオル:つよーい!
宮星イオリ:やった~~
GM:では配置は以下のようになります。
ラウンド3
【西部】
・強敵:リッパー・アズリウス
耐久度190/400
《白兵》による攻撃は2倍のダメージを与える。1ラウンド内において2人目以降による攻撃は半分のダメージを与える。
【中央】
ヴァリエンテ警備保障警備部
耐久度120
【東部】
・強敵:ヒートヘイズ傭兵隊
耐久度500
対象:《範囲》《シーン》の攻撃によるダメージを2倍として計算する。
攻撃判定を行う代わりに、難易度50の《交渉》判定に成功した場合排除可能。この《交渉》判定はロールによって難易度減少可能。
宮星イオリ:また強敵だよ~~
三部つゆり:ひ~~
析了トオル:アズリウスが西に!
情報:ヒートヘイズ傭兵隊
プラタ・オ・プロモに所属する伝説的傭兵部隊。
メンバー全員が火に関する能力を持っており、チームが一丸となって熾す炎は街一つを容易に焼き尽くす。
一人一人の傭兵ランクはそれほど高位ではないが、常に隊として動くため依頼料はかなりの高額。
隊長である“アラウンド”前藤ヨロズは圧倒的なカリスマと強力な能力によって曲者揃いの隊を束ねているらしい。
GM:交渉判定を行う場合、傭兵隊に直接交渉するのではなく、雇い主であるミシマエンジニアリング社に働きかけることになります。
GM:この計画がどれだけ危険なのかや、裏でノドスが動いていることなどを説得できれば交渉の難易度が格段に下がります。
GM:というわけで判定どうぞ!
宮星イオリ:アズリウス!決着を付けるぞ
宮星イオリ:マイナーメジャーともさっきと同じで
宮星イオリ:11dx+6+5@7 命中
DoubleCross : (11DX7+11) → 10[1,2,2,3,4,4,5,6,9,10,10]+10[1,5,9]+5[5]+11 → 36
宮星イオリ:うーん足りないかも ごめん
宮星イオリ:4d10+69
DoubleCross : (4D10+69) → 25[2,9,7,7]+69 → 94
宮星イオリ:ええ……
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を9増加(119 → 128)
GM:C(190-94-94)
DoubleCross : c(190-94-94) → 2
胡緑蘭:いけた!
胡緑蘭:無理だった
GM:ギリギリいけてない!
三部つゆり:お、おしい
析了トオル:半減でもあと4!ミリ!
宮星イオリ:これだけ削れたら降参してよ~~
宮星イオリ:してくれないので誰か援軍にお願いします
析了トオル:マイナーなし
析了トオル:メジャーでマルポン、コンソ、コンセ!
析了トオル:12dx7+9
DoubleCross : (12DX7+9) → 10[1,2,3,3,4,4,5,5,7,8,8,9]+10[3,4,4,8]+10[9]+10[7]+10[7]+5[5]+9 → 64
胡緑蘭:デカい!
GM:何の判定かな?
析了トオル:おほ~~~
析了トオル:私一人でワンチャンないか……?
三部つゆり:つよ…ダメージロール前にコンボ:鳥急《原初の紫:凍てつく刃》。ダメージに+1d10+15して!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を4増加(114 → 118)
胡緑蘭:ヴァリエンテの判定です
GM:先生ありがとう
析了トオル:あっすみませんヴァリエンテ!
析了トオル:フェイタルヒット!ここで落とす!
析了トオル:侵蝕120
析了トオル:7d10+1d10+29+4d10+1d10+15
DoubleCross : (7D10+1D10+29+4D10+1D10+15) → 34[3,5,4,5,3,5,9]+7[7]+29+33[10,7,6,10]+10[10]+15 → 128
析了トオル:っしゃあ!
胡緑蘭:いった!!
GM:ウッソ~~
三部つゆり:いッッたァ!
宮星イオリ:おお
GM:C(120-128)
DoubleCross : c(120-128) → -8
析了トオル:寿司ドラゴンを放て!
GM:車椅子の女が警察部隊を全滅させるホラー
胡緑蘭:凄まじい呪いの力を秘めてそう
GM:ヴァリエンテ撃破です!
析了トオル:各学区でめちゃくちゃしてる力を見せるとき!
胡緑蘭:じゃあ先生の手が空いたので
胡緑蘭:イオリの援護に行っちゃおう
リッパー・アズリウス:なんだこの男!?
宮星イオリ:やった~
胡緑蘭:装甲無視も達成値も要らないから素殴りします。対象はアズリウス。
胡緑蘭:4dx+9
DoubleCross : (4DX10+9) → 4[1,1,3,4]+9 → 13
胡緑蘭:2d10+22+4d10
DoubleCross : (2D10+22+4D10) → 13[9,4]+22+34[9,8,7,10] → 69
GM:ぐああああああああ
析了トオル:素殴りでこれ強すぎる
三部つゆり:つ、つよすぎ
GM:C(2-34)
DoubleCross : c(2-34) → -32
GM:アズリウス撃破!
析了トオル:やった~!侵蝕127!
胡緑蘭:わ~い
GM:バカな……こんなはずが……
宮星イオリ:えへへ
GM:残りはヒートヘイズ傭兵隊です
三部つゆり:ロールを挟みつつ説得にチャレンジしたいと思います!
GM:OK!では先にロールして頂きましょう
---
GM:ミシマエンジニアリングは──
GM:最近“協会”入りしたばかりの、今勢いのある注目企業だ。
GM:『マーケティングにおいて大変効果的な』異例な人事が功を奏し、売り上げは前年比の300%以上。
GM:だが今この局面においては、総和重工に協働し出資、傭兵を雇ってラス・ヴィダスへの攻撃に加担させている張本人でもある。
GM:君──三部つゆりは、経営陣との交渉に臨むべくこの企業の本社ビルを訪れていた。百代マリアと『先生』の名で、思った以上にスムーズに事は運んだ。
マルケッタ・ホンカサロ:「それで……」
マルケッタ・ホンカサロ:「本日はどのようなご用件で?」
マルケッタ・ホンカサロ:社長室。慇懃無礼な女が値踏みするように君を見つめる。
三部つゆり:「御社にとって大変重要な問題となり得る件についてお伝えしたく参りました」
マルケッタ・ホンカサロ:マルケッタ・ホンカサロ。去年まではこの企業の社長を務め、現在は副社長となっている女だ。
三部つゆり:三部つゆりは、これで自身の資産管理に、中央銀行本店に訪れる位には成功している個人事業主だ。流石に協会の本社ともなれば初めてだが、企業を訪れる事は初めてではない。
三部つゆり:「時間もありませんし、なおかつ私程度の言葉よりも、事実と資料こそが重要でしょう。お改め下さい」
三部つゆり:堕天病罹患者の増加予測、そしてそれを引き起こしたのが総和重工--正確にはそのトップによって引き起こされていること。それら各種のデータ、資料を広げる。
マルケッタ・ホンカサロ:「……」
マルケッタ・ホンカサロ:無言で資料に目を通す。
ココアちゃん:「マルちゃん!これどういうこと?」
ココアちゃん:柴犬めいた先住市民が声を上げる。

ココアちゃん:ミシマエンジニアリングの現社長。ラス・ヴィダスで唯一、企業のトップに立つ先住市民だ。
ココアちゃん:堕天病の危険性から、ラス・ヴィダスには先住市民が極めて少ない。生徒達は皆、先住市民との交流に飢えていた。
ココアちゃん:そこにこの異例の社長就任。マーケティング効果は絶大だった。
ココアちゃん:「なんか……文字が……いっぱいあるよッ」
マルケッタ・ホンカサロ:「大丈夫です、社長。何でもありませんから」ほねっこを渡す
ココアちゃん:「そうなんだ!」
マルケッタ・ホンカサロ:「それで、こちらが何か?」
三部つゆり:手汗が滲む。これが上手くいかなければ、”彼”に辿り着くまでにひどく時間が掛かってしまう。
マルケッタ・ホンカサロ:君に目を向ける。
三部つゆり:(当然これくらいじゃ問題ないか)
三部つゆり:「では、次の資料13を」オズメ興行元社長からの情報提供の録音とその書き起こしを始めとした、総和工業トップの入れ替わりの件について。
ココアちゃん:「ちゅぱ……ちゅぱ……」しゃぶっている
マルケッタ・ホンカサロ:「……」
マルケッタ・ホンカサロ:資料に目を通し、眉根を寄せる。
三部つゆり:「…この資料にあります通り、現在総和工業にて社長を名乗り、指揮を執っているのは別人であり、ノドスの人員である可能性が高く存在します」
マルケッタ・ホンカサロ:「ヴァルタースキルヒェン社長が?」
マルケッタ・ホンカサロ:「失礼ですが、私には些か荒唐無稽な話に感じられます」
マルケッタ・ホンカサロ:「証拠になるものは御座いますか?この得体の知れない会話をそう呼ぶには、少し」
三部つゆり:「その可能性は低くないと分析しておりますが、そうですね」自身の意見は出さず、尚且つ真実かそれに基づいたものを語っているように。
ココアちゃん:毛づくろいをしている
三部つゆり:…あまり出したくはなかった。自分の個人的なものと認識していた会話だ。とはいえ、ここに至れば材料とせざるを得ない。
三部つゆり:「”殺し屋ランク1、”スモーク・アンド・ミラーズ”を彼が動かしたと思わしき音声とその文章ログです」アイラ・ザバッティーニと、夜電話を掛けた”イモータルコイル”の会話切り抜き。
三部つゆり:「本来ノドスが動かすどころか、接触も難しいと思われる彼女を動かした事は、有力な証拠と此方は認識しております」トオルさんが分析した身体データなども含めて提出。
マルケッタ・ホンカサロ:「……」会話を聞いて「あなたは個人的に彼と親しかったのですか?」
三部つゆり:「少なくとも、彼の元々の人格とは幼馴染…ううん、同郷でした」
マルケッタ・ホンカサロ:「幼馴染。なるほど」短く言って
マルケッタ・ホンカサロ:「……そうですね。あなたも個人的な会話まで差し出してくださったことですし」
マルケッタ・ホンカサロ:「こちらもある程度胸襟を開いてお話しましょうか」
三部つゆり:「ありがとうございます」
マルケッタ・ホンカサロ:「まずはっきりさせておきますが、現在のこの状況、堕天病患者が増加し、それを総和重工が主導しているという事態につきましては──」
マルケッタ・ホンカサロ:「我が社としても、既に把握済みです」
三部つゆり:流石は協会の企業というべきだろうか、と思った。あまり驚きはない。そうでなければ、新しく”協会”に入る、などという事は出来ないだろう。
マルケッタ・ホンカサロ:「総和重工は商業区とスラムの区別なく、学区の基盤を根底から破壊する」
マルケッタ・ホンカサロ:「その計画に協力する見返りとして、我が社にはその後築かれる新たな経済体において大きな権利、重要なポストが約束されています」
三部つゆり:なるほど、と思った。スラムと商業区という対立構造があること自体の再構築。言われてみれば乗る企業体はあるだろう。少し視点が彼らから離れすぎていたことを反省する。
マルケッタ・ホンカサロ:「あなたの話したことは元より全て織り込み済みです。……が」
三部つゆり:つまり、私のしたことは”赫花連盟”や“星室庁”がすでに把握して動いているぞ、と圧力を掛けるカードにしかなっていなかったという事だ。続く言葉を待つ。
マルケッタ・ホンカサロ:「ヴァルタースキルヒェン社長の正体がノドスチルドレン、というのは与り知らぬことでした」
マルケッタ・ホンカサロ:「当社としましては、正体が吸血鬼であろうと宇宙人であろうと、利益さえ出るのならば問題ないのですが」
マルケッタ・ホンカサロ:「……ノドスチルドレン、というのは気に掛かります」
マルケッタ・ホンカサロ:「ラス・ヴィダスを破壊し、新たな経済圏を作る。その計画で、ノドスにはどんなメリットがあるでしょうか?」
ココアちゃん:「お話まだ~?」
マルケッタ・ホンカサロ:「少々お待ちを。ほらっ」ボールを投げる
ココアちゃん:「ハッハッハッ……」
三部つゆり:「…”マスターゼウス”の一派が為したという、彼らの拠点とする…には、彼らの規模からしてここまでのものは必要か怪しい」
三部つゆり:一資源基地などであるならともかく、学区丸々ひとつの経済圏、というのは100人--しかも義体で訪れている彼らにとって扱い切れるものだろうか?把握にも人手が必要なのだ。
三部つゆり:「彼らが元々掲げている、ノヴァリスの解体に於いて…彼らは基本的に数を恃まなかった」セイクリッドピラー襲撃においてもそうだ。
三部つゆり:例外的ともいえる”マスターゼウス”も、あくまで彼自身の機能・能力による戦力増産だった。ノヴァリスの戦力を、彼らは本質的に同胞と見做さない。信頼はしない。
三部つゆり:「少なくとも、今まで私が追ってきた中においては、彼らが新経済圏に大きなメリットを見出す、とは思い難いところがあります」
マルケッタ・ホンカサロ:「……新経済圏計画自体が、虚像のものである可能性がある。そうですね?」
三部つゆり:「はい。その可能性が、確かに存在し得ます」
三部つゆり:此処で判定をしても…よろしいでしょうか!
GM:OK!
GM:ではそうですね……難易度は15軽減しましょう!
三部つゆり:15!ということは元々50だから 35!
GM:《交渉》難易度35で判定をどうぞ。
三部つゆり:うおおコンボ:鳥破《コンセントレイト:ウロボロス》《無形の影》にて判定します。判定が精神、非攻撃のため絆の制服で+2、ラッキーメダルブラックを起動し更に+1!
三部つゆり:9dx7+3>=35
DoubleCross : (9DX7+3>=35) → 10[2,4,6,7,7,7,10,10,10]+10[2,5,6,6,7,7]+10[8,9]+6[5,6]+3 → 39 → 成功
三部つゆり:アブねえ……!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を6増加(118 → 124)
GM:すげ~~
GM:では成功です!
マルケッタ・ホンカサロ:「……なるほど」
マルケッタ・ホンカサロ:社長の顎の下を撫でながら、少し考え込み。
マルケッタ・ホンカサロ:「確かに……あなたのお話には聞くべきところがありそうです」
三部つゆり:緊張した面持ち。手汗を出す手を握り締める。
マルケッタ・ホンカサロ:「このような状況で、わざわざこんな場所まで、こんな手間の掛かる仕込みをしてくる企業も……」
マルケッタ・ホンカサロ:「……いや、それは沢山ありますが……」
マルケッタ・ホンカサロ:「……あなたの言葉は信用できそうです。その緊張が演技でないのなら」
三部つゆり:「あはは……、”協会”の企業を訪れるのも、そんなところの偉い方に話を聞いて貰うのも、初めてですから」苦笑気味に。
マルケッタ・ホンカサロ:「分かりました。あなた方に助力するとまでは行きませんが……」
マルケッタ・ホンカサロ:「ラス・ヴィダスが更地になり、新経済圏の話もまやかしだとすれば、我々もただ徒手で放り出されることになります」
マルケッタ・ホンカサロ:「ひとまず、こちらで雇用している兵を退かせましょう」
三部つゆり:「ありがとうございますっ」頭を勢いよく下げる。
マルケッタ・ホンカサロ:「ただし、あくまで暫定的に、です。あなた方と契約を交わすわけではありませんから、情報や状況によっては再度……ということもあり得ます」
マルケッタ・ホンカサロ:「その場合、悪く思わないでくださいね」
三部つゆり:「はい。其れ迄には、決着をつけてきますので」
マルケッタ・ホンカサロ:そう言いながらも、あまりそちらは考えていなさそうな口振りだ。デリアがノドスに与していない、というのは悪魔の証明に近い。
マルケッタ・ホンカサロ:「……きっとお忙しいのでしょう? こちらは気にせず、どうぞもう行ってください」
ココアちゃん:「え~っ!遊んでくれないの~?」
三部つゆり:「…気を遣わせてしまって、すみません」最後までどうも、上手くしてもらったという感がある。
マルケッタ・ホンカサロ:「社長、我儘を仰らないでください。ほら」
ココアちゃん:「バイバ~イ」握られて手を振らされている
三部つゆり:「ごめんなさい。少し、やらなきゃいけないことがあるんです。はい、」
三部つゆり:「機会があれば、またお会いしましょう!」そう言って、さっとこの場を去っていく。
---
GM:一面、街が燃えていた。
GM:高層ビルが松明の如く煌々と炎に包まれ、街路樹は炭化し、アスファルトは赤熱してドロドロに融解している。
胡緑蘭:「ふぅん」燃え盛る建物を呑気に眺めながら、路地を進む。
GM:赤く染まった空、灼熱の地獄の中を進む一団がある。
胡緑蘭:「スラムならともかく、商業区でここまで延焼するってのは普通じゃないね」
胡緑蘭:「君たちの仕業かな」
ヒートヘイズ傭兵隊:「アハハ!すごいすごい!こんなに景気よく燃やせたのいつ振りかな~」
ヒートヘイズ傭兵隊:「景気良すぎだよ!もっとレアから徐々にやってった方がさあ!」「楽しみってもんが分かってないよね!」
ヒートヘイズ傭兵隊:「いやいや逆だろ!もっと火力強めるべきだって!全部更地にしてく感じで……」「仕事なんだからいいだろその辺は!」
ヒートヘイズ傭兵隊:「あれ、ちょっと待って!まだ誰かいる!」
ヒートヘイズ傭兵隊:わいわいと姦しい一団が、ようやく君の存在に気付く。
ヒートヘイズ傭兵隊:「男じゃん!」「男ォ~~!?」「なんで!?」
胡緑蘭:「や、こんにちは」
ヒートヘイズ傭兵隊:「早く逃げないと死んじゃうよ?」「いやいやせっかくだから焼こうぜ!」「アンタ趣味最悪~」
胡緑蘭:「私は胡緑蘭。職員室から来た先生だよ」
胡緑蘭:「今から総和の本社ビルに向かうところなんだ。通してもらえるかな?」
ヒートヘイズ傭兵隊:「先生だってよ!」「せ、せ、先生ィィ~~!?」「先生なんて幼稚園以来じゃん?」
ヒートヘイズ傭兵隊:「先生ってなんか殺しちゃいけないんじゃないの?」「どうすんのこれ?」「知らねーって!」
ヒートヘイズ傭兵隊:「リーダー!どうするのよ!」「そうそう!リーダー!」「ヨロズちゃんどうする?」
前藤ヨロズ:「わっ……わっ……私ですかぁ~~~……!?」
前藤ヨロズ:ぐいぐいと押されるようにして、いかにも気弱そうな少女が前に出てくる。

胡緑蘭:「おや、君がこの子たちのリーダーかい?」他の生徒との毛色の違いに少し意外な顔をする。
前藤ヨロズ:「あっ……いいいいや……わっわっわっ私はぁ……」
ヒートヘイズ傭兵隊:「ビシッと言ってやってくださいよリーダー!」「そうそう!」「リーダー!あいつ焼きますか!?」
前藤ヨロズ:「あっあっ……ああ……あぁあぁああ~~~……」
GM:ゴウ、と音を立て、一気に周囲の火勢が増す。
胡緑蘭:「おお」熱気が頬を灼く。
GM:一瞬、激しい燃焼で息苦しい空気が、清涼なものへと変わる。
前藤ヨロズ:「ええと……えっと……えっとぉ……!」
前藤ヨロズ:「とっとっとりあえず……」
前藤ヨロズ:「焼いてみてから考えましょう……!」
胡緑蘭:「ふむ……」
ヒートヘイズ傭兵隊:「流石リーダー!」「待ってました!」「ウェルダン!絶対ウェルダンで!」
胡緑蘭:「ヨロズ、って言うのかな?そもそもなんで街を焼いてるのかから聞こうと思っていたんだけど」
胡緑蘭:「まあ、わかった。ひとまず落ち着いてもらうのが先のようだ」
GM:前藤ヨロズの周囲で炎が渦を巻き、傭兵隊の面々がそこにありったけの能力を注ぎ込む。
胡緑蘭:肩に羽織ったジャケットを地面に放る。
胡緑蘭:「少し、遊ぼうか」
GM:単純な炎のみならず、ガソリンや油といった可燃材が投入され、炎は一気に凄まじい勢いで燃え上がる。
GM:オーヴァード数十人規模の総掛かりで作り上げられる、街一つ燃やすに容易な業火。
GM:それを統率する前藤ヨロズは、酸素を操作するハヌマーン能力者だった。
前藤ヨロズ:「い、い、行きますよ……!」
GM:神が行使する天からの罰の如く、ビルよりも巨大な爆炎が上空で燃え上がる。
前藤ヨロズ:「せーーーーー……の……!」
ヒートヘイズ傭兵隊:「あっ!待って待って!ちょっと待って!」
ヒートヘイズ傭兵隊:通信機を持った傭兵が声を上げる。
ヒートヘイズ傭兵隊:「止め止め!ストップ!」
前藤ヨロズ:「えっ……?」
ヒートヘイズ傭兵隊:「クライアントから連絡!なんか仕事やっぱやめだって!」
ヒートヘイズ傭兵隊:「はぁ~~~!?何だよそれ!」「そんなのアリ!?」「ここまでやっておいて……」
前藤ヨロズ:「え……?あの……え……?」
胡緑蘭:「よかった。つゆりがうまく話をまとめてくれたみたいだね」構えていた黒腕を降ろす。
ヒートヘイズ傭兵隊:「おいどうすんだよこの空気!」「シラけるわ~~……」「キャンセル料割り増しにしてよね!」
前藤ヨロズ:「あっ……え……あれ……?」
GM:急速に炎がしぼんでいく。
ヒートヘイズ傭兵隊:「あっじゃあそういうことなんで!なんかスンマセンね先生も」「お疲れ様ーっす」
胡緑蘭:「無軌道に見えてメリハリはきちんとしてるんだなあ」
胡緑蘭:「うん、おつかれさま。気を付けて帰るんだよ」
ヒートヘイズ傭兵隊:「はーい」「帰りになんか焼いてこうぜ!」「肉とセイクリッドピラーどっちにする?」
前藤ヨロズ:「あっ……まっ……待ってください……!待って……!」
GM:凄まじい焼け跡を残し、少女たちは解散していく。
胡緑蘭:「建物を焼くのは程々にね~!」去っていく背に声を掛ける。
GM:直接の人的被害は無くとも、街に対する被害は他の戦力とは比較にならない被害だ。ここで止められたのは僥倖だろう。
GM:そしてもう一つ、交戦が起きなかったことで、胡緑蘭には時間と体力の余裕があった。
GM:それはこの戦局において、極めて大きな影響を及ぼす。
---
GM:スラム街。度重なる戦闘で半壊した街並みに、幾度となく金属音が鳴り響いていた。
リッパー・アズリウス:「再び相まみえて嬉しいぞ、宮星イオリ!!」
リッパー・アズリウス:振るったブレードの一撃が、コンクリートの家壁を容易に切断する。
宮星イオリ:「ち、ストーカーかっての……っ」
リッパー・アズリウス:「さあ!此度こそ某とお主!真なる決着を付けようぞ!!」
リッパー・アズリウス:「予感があるのだ!お主を斬った時!某は武士として更なるアップデートを遂げると!!」
宮星イオリ:深呼吸ひとつ。方々の声に耳を澄ませる。遠くに、赤く燃え盛る空が見えた。
リッパー・アズリウス:「イィィイイイヤァアアーーーーーッ!!」
リッパー・アズリウス:敢えて体側面片側のブースターのみを点火、猛烈な勢いで回転しながら剣撃を繰り出す。
リッパー・アズリウス:「見よ!!受けきれるかこの魔剣!!」
リッパー・アズリウス:「竜巻の如き剣筋にちなみ……秘剣『Y4rUBiCK』!!」
宮星イオリ:「っ、いちいち叫ばないと剣一つ振れないわけ……!?」
宮星イオリ:「何にどう因んでるのかもわからないし!」
宮星イオリ:達人と技術の粋を統合したこの超兵器に、純粋な剣技で打ち合い、上回るだけの技量も身体能力も宮星イオリは持ち合わせていない。
宮星イオリ:代わりのもので埋め合わせるしかない。自分の意志を、遺産の望む形に同調させる。
宮星イオリ:この苦境を切り開いて、この街を救うものになる──嘘でも見栄でもいい、そう思い込む必要があった。かれは、そういう志に感応する。
宮星イオリ:一合、暴風めいた大剣の薙ぎ払いがイオリの身体を引き裂いた。そのはずだった。その二つに別れた肉体が、なぜか動き続けている。不可能を可能にするとは、そういうことだ。
リッパー・アズリウス:「ぬうっ……!?」
宮星イオリ:白銀の輝きの中、鮮血が飛沫を上げ、変色した内蔵が晒されている。そんな姿になった少女が、返し太刀を撃ち込む。また一手、アズリウスの装甲を削り落とす。
リッパー・アズリウス:「ぐああっ!?」
宮星イオリ:(……これを繰り返す。どこまで保つか、自信はないけど)
リッパー・アズリウス:群青の装甲がひしゃげて吹き飛び、スパークが散る。
リッパー・アズリウス:「面妖な……!すわ物の怪か!?」
リッパー・アズリウス:「奇剣!正気にあらず!なればこそ面白い!」
宮星イオリ:「ふ」
宮星イオリ:《リザレクト》の作用はひどく鈍い。分かたれた肉体は繋がらず、どろりと糸を引いたままだ。そのまま、続く太刀を撃ち込む。
宮星イオリ:「そう、かもね。でも」
宮星イオリ:「安心していい。アタマの方は正気だ……少なくとも、アンタを削り切るまでは」
リッパー・アズリウス:「ぐ、はははッ!」
リッパー・アズリウス:大きく装甲を削られ、内部構造を覗かせながらも笑声を響かせる。
リッパー・アズリウス:「剣と剣の比べ合い!生死のやり取り!これほど愉快なことがあろうか!?」
リッパー・アズリウス:「人と絡繰り!生徒と『社会人』!生物と無生物!どれほど隔てられた者であろうと──」
宮星イオリ:死地を駆け、互いを削り取るように打ち合いながら、剣戟は続く。剣を持つ腕は何度となく砕かれ、光の粒子によって繋ぎ止められ、かろうじて腕の形を為している。
リッパー・アズリウス:「今この時!お主と某の間にあるのはただ剣のみ!!」
リッパー・アズリウス:イオリに呼応するように、アズリウスの駆動速度も際限なく加速し続ける。
リッパー・アズリウス:「甲斐があると思わぬか!?宮星イオリ!!」
宮星イオリ:「全ッ然。だって」
宮星イオリ:その負荷を引き受ける、頭上の星は白熱を続ける。
宮星イオリ:切り結ぶ刹那に、両者の視線が交わる。その瞳こそはアズリウスを見ているが──
宮星イオリ:「こうやってアンタに構ってる時間で、助けてやりたいやつらが」
宮星イオリ:「そこら中にいる」
宮星イオリ:「遊んでる場合じゃ、ないっての……!」
宮星イオリ:──彼女の心は、今ここにある戦闘だけを見ている訳ではない。それが分かる。
リッパー・アズリウス:なればこそ、アズリウスがそれに気付かない訳は無い。
リッパー・アズリウス:「秘剣──」
リッパー・アズリウス:「『11.5インチ機関砲』」
リッパー・アズリウス: ──ド ッ!!
宮星イオリ:「────ッ!?」
リッパー・アズリウス:アズリウスの肩から、巨大な砲弾が放たれた。その砲撃はイオリを狙ってのものではない。
リッパー・アズリウス:砲弾は後方の家屋を何棟も貫通し、大爆発を巻き起こすが──それもイオリには関係が無い。
リッパー・アズリウス:ただ、その砲撃の反動によって、アズリウスの機体はイオリの予想を越えた軌道で攻撃を回避し──
リッパー・アズリウス:返す刀が、逆袈裟に深々とイオリを切り裂いた。
宮星イオリ:関係はないが、聞こえている。その爆風の先で巻き込まれた者の数も。
宮星イオリ:──自分の態度が、後方への砲撃を引き起こしたのか?そう思考した僅かな迷いの分だけ、一手遅れた。
宮星イオリ:「っ、あ……」
宮星イオリ:激痛と共に数秒、意識が飛んだ感覚がある。
リッパー・アズリウス:「死合とは究極の存在証明にしてコミュニケーション」
リッパー・アズリウス:「その最中に他所に意識を向けるとは……無礼千万!」
宮星イオリ:「……っ、は……」
リッパー・アズリウス:「その迷いがある限り、お主が武士として士官することは叶わぬだろう」
リッパー・アズリウス:「だが、良き立ち合いだったぞ。宮星イオリ」
宮星イオリ:呼吸が乱れる。意志が途切れた分だけ遺産の作用が遅れて、切り離された身体の一部が、ばらばらと地面に転がった。
リッパー・アズリウス:アズリウスが君にトドメを刺すべく、刃を向ける。
リッパー・アズリウス:「生徒ならば死にはすまい。再びの立ち合いを楽しみにしているぞ」
宮星イオリ:繋ぎ直されて動けるようになるよりも先に、最後の一手が来る。
GM:彼の言う通り、その一撃で死にはしないだろう。
GM:だがここで攻撃を受ければ、間違いなく十字冠転送されることになる。復帰できるのはどれほど後か?その頃戦局はどうなっているだろうか?
宮星イオリ:(……まずいな。ここまで、自分がダメなやつだとは思ってなかった)
リッパー・アズリウス:「さらばだ──」
宮星イオリ:(これだけ頑張れば、一人でもこいつ一体くらいは持っていけると思ってたけど……)
リッパー・アズリウス:致命の一撃、白刃がイオリへと振り下ろされ──
胡緑蘭:その刃が、斬撃の半ばで静止する。
リッパー・アズリウス:「ぬぅっ……!?」
胡緑蘭:大地をも断つ白刃の切っ先が、たった二本の黒い指先に挟まれて、引くことも押すこともできずにいる。
胡緑蘭:「私の生徒に」
胡緑蘭:「何をしてるのかな?君」
リッパー・アズリウス:「貴様、何奴…… ……否!」
胡緑蘭:二人の間に割って入り、直立不動でアズリウスへと対峙する。
リッパー・アズリウス:言葉も説明も必要なかった。戦闘機械としての全ての解析データ、そして武士としての直感が、目の前の男が秘めるものを告げている。
リッパー・アズリウス:「……は、は、ははははははは…………!」
宮星イオリ:……振り下ろされる白刃を見ていた。その視線を、それを止めた男へと移す。
リッパー・アズリウス:「まさか斯様な場所で……これほどの強者に相まみえるとは……!」
胡緑蘭:「よく頑張ったねイオリ。すぐ済ませるから、少し休んでて」振り返らずに短く告げて。
リッパー・アズリウス:「天の差配に感謝しよう……! 毎朝の祈祷と水垢離にも甲斐があったというものだ!」
胡緑蘭:「まだやるつもりなんだ」
リッパー・アズリウス:「おうとも!!」
胡緑蘭:「見たところ、君の駆体も限界に見えるけど」
リッパー・アズリウス:装甲には大きな断裂がいくつも刻まれ、マニピュレーターも限界に近いが、まるで気にする様子は無い。
リッパー・アズリウス:「我こそはイスラエルユニバーサルテクノロジー製インペリアルPMC所属!リッパー・アズリウスなり!!」
リッパー・アズリウス:「名乗りを上げられよ!類稀なる強者よ!」
胡緑蘭:「胡緑蘭。仕事は傭兵、旅人、工作員、他いろいろ」
宮星イオリ:平時なら何かを言い返していただろうが。そのまま黙って、彼のすることを見ている。……本当に、どこまでも格好を付けたがる奴なんだなと思った。
胡緑蘭:「今は、この子達の先生だ」
リッパー・アズリウス:「胡緑蘭!しかと刻んだぞ、その名!」
胡緑蘭:指を刃から離し、アズリウスに向けて拳を広げる。
リッパー・アズリウス:「お主を斬った時……某は必ずや武士の本懐とは何たるかに」
リッパー・アズリウス:「我が剣の深奥に到達するであろう!!」
リッパー・アズリウス:緑蘭へと相対し、機体が僅かに前傾、刃を構える。
リッパー・アズリウス:「いざ、尋常に──」
胡緑蘭:「さっさと来なよ」くい、と手招きする。
リッパー・アズリウス:「勝負!!」
リッパー・アズリウス:背面のブースター全てが一気に最大点火。炎の軌跡を描き、弾丸の如く突進する。
リッパー・アズリウス:「アェイヤァァアアアアアアアァアアアッ!!!!!」
リッパー・アズリウス:肉薄、抜刀、いずれも神速。二振りの刃が、交差する軌道で振り下ろされる!
胡緑蘭:迎え撃つは漆黒の右腕一本。
胡緑蘭:疾さも強靭さもない、水面に揺れる葉のような緩慢な動きで、刃の前へと差し出されたその掌が
胡緑蘭:その白刃を、掴み取る。
リッパー・アズリウス:「!!」
胡緑蘭:側面から挟むのでも、弾くのでもなく、真正面から掌を広げてがっしりと掴み取った。
リッパー・アズリウス:アズリウスは硬直した。力学的な働きではない。全霊を懸けた一撃を、斯様に受け止められた衝撃がゆえに。
胡緑蘭:刃は肉に食い込むことなく静止し、緑蘭の踏み込みとともに半ばから折れる。
リッパー・アズリウス:「な──」
胡緑蘭:折れた刃を握り、未だ動きを止めないもう片方の刃に沿うように滑らせて、一気にアズリウスの懐へと入り込み。
胡緑蘭:アズリウスの腹部、動力供給ユニットへと、その切っ先を深々と突き立てた。
リッパー・アズリウス:「……」
胡緑蘭:「君の言ってるのは、日本のサムライのことかな」
リッパー・アズリウス:火花が散り、機体ががくがくと奇妙に動作する。
胡緑蘭:「それなら私も知ってるよ。何人か相手したこともある」
胡緑蘭:「曰く、武士の本懐とは」
胡緑蘭:「死ぬことと見つけたり。ってやつだ」
胡緑蘭:「本場のハラキリ、勉強になったかな?」
リッパー・アズリウス:「……御見事……」
リッパー・アズリウス:短くそれだけ言い残し、リッパー・アズリウスは機能を停止する。
宮星イオリ:ゆっくりとひとまずのリザレクトを終えて、深く息を吸い直す。……なんとか、機能を取り戻している。
胡緑蘭:「ふぅ」一息ついてイオリへ振り返る。
宮星イオリ:「……ごめん。手間かけさせて」
胡緑蘭:「いや、私は最後のダメ押しをしただけだよ」
宮星イオリ:「それと、こんなの見せたのも」千切れた黒いコートを抱き寄せて、身体を隠すようにする。
宮星イオリ:堕天病による黒化変質とマスターポルートの汚染による異形化。包帯の引き裂かれた肌の下には、その両方の特徴が見えていた。
胡緑蘭:「イオリが彼を削り切っていなかったら危なかった。むしろごめんね、良い所で出しゃばっちゃって」
胡緑蘭:「おっと、そうだね」
宮星イオリ:「……なにそれ。気遣わないでよ」
宮星イオリ:言いながら、よろめいて立ち上がる。
胡緑蘭:白いジャケットを脱いで、イオリに羽織らせる。
宮星イオリ:一瞬、びくりとして。睨むように見る。「汚れるのに……」
胡緑蘭:「女の子だからね、あんまり素肌を露出するのは考えものだ」
宮星イオリ:「……。かっこつけ野郎」
宮星イオリ:「あと……これだけ言っておくけど、私」
宮星イオリ:「アンタの生徒になった覚え、ないよ」
胡緑蘭:「別にいいよ。イオリがそうしたいならそれで」
胡緑蘭:「私が君たちの先生であることには変わらないからね」
胡緑蘭:「人に何かを教わるってそんなもんさ」
胡緑蘭:「大人は良かれと思っておせっかいを焼くし、子供は別に、その全部を受け取らなくていい」
宮星イオリ:「……」
宮星イオリ:「……そう、じゃ」
宮星イオリ:「もし今後、何かの間違いで受け取ってもいいかなって思ったら」
宮星イオリ:「その時は先生って呼んであげる」
宮星イオリ:そう言って、再び火の手の方へ向けて歩き出す。
胡緑蘭:「ありがとう。楽しみにしてるよ」返した笑みは変わらず軽薄だが、いつもよりどこか幼さが滲んでいた。
---
“イモータルコイル”:「……押されてるな」
“イモータルコイル”:総和重工本社ビル、社長室。
“イモータルコイル”:ヴァリエンテ及びインペリアルPMCの通信、そして街中に散らばった意識を移した義体から、“イモータルコイル”はつぶさに戦況を把握していた。
“イモータルコイル”:「どいつもこいつもビビりやがって」
“イモータルコイル”:吐き捨てるように言って、現場の指揮官へと通信を繋ぐ。
“イモータルコイル”:「私です。後方は粗方片付きました、戦力は軒並み前線に回してください」
“イモータルコイル”:「散らしても意味がありません。一気に、集中的な投入を。いいですね」
“イモータルコイル”:戦力は十分。形勢は圧倒的に有利だ。だが戦線の侵攻は遅滞していた。
“イモータルコイル”:(早期決戦の筈だろうが)
“イモータルコイル”:ヴァリエンテの困惑、そして堕天病患者の抵抗。本来の兵力に対し、まともに動いている駒が少ない。それも予想の範囲内であるが、苛立たしいのに変わりはない。
“イモータルコイル”:他学区への移動が即座に封じられたのも苛立ちの一因だった。
“イモータルコイル”:(多少は対応に手間取ると見ていたが、こうも早いとは)
“イモータルコイル”:(……状況見えてねえのかよ。とっくに諦めていい時間だろうが)
“イモータルコイル”:計画が崩れたわけではない。形勢は常に有利ではあるのだ。
“イモータルコイル”:しかしだからこそ、この状況で諦めない者達がいることこそが、“イモータルコイル”をひどく苛立たせていた。
“イモータルコイル”:彼はこのラス・ヴィダスという学区が気に入っていた。
“イモータルコイル”:商業区の生徒達は皆自らの保身と利益のことしか考えない、『理想的な』ノヴァリス生だった。
“イモータルコイル”:この学区に居ると、彼は安心した。余計なことを考えずに済んだ。
“イモータルコイル”:(……お花畑の赫花連盟。役立たずの星室庁)
“イモータルコイル”:(どいつもこいつも、善人気取りの罪人共が)
“イモータルコイル”:デスクから腰を上げ、エレベーターに乗り込む。
“イモータルコイル”:(……三部つゆり)
“イモータルコイル”:(お前はもう諦めたか?)
---
GM:商業区中心部、総和重工まで約1キロの地点。
GM:君達は激戦を潜り抜けて前線を押し上げ、何とかこの場所まで辿り着いていた。
GM:周囲からやや背の低いビルの屋上、君達と赫花連盟の面々が一時集合し、休息を取りつつ作戦を練っている。
百代マリア:「皆、まだ行けそう?」
百代マリア:怪我は無いか、無事か、ではない。全員が満身創痍であるし、オーヴァードであるからだ。
三部つゆり:「勿論。大分消耗はしてますけど…ここまで上がれば寧ろ防ぐ為のものも使えるので」
析了トオル:「限界を越えているのは事実ですが、越えているぶん動くのは楽ですね」
宮星イオリ:「……今の所は。精神操作のやつは今もガンガン来てるし、操られたら撃てってのは変わりないけど」
百代マリア:「先生は?」
百代マリア:「あなたが一番心配だわ。十字冠も無いし……」
胡緑蘭:「え?何が?」一番ピンピンしている。
百代マリア:「ピンピンはしてるけれど……」
百代マリア:小さく息を吐き「……ここまで戦ってきて」
百代マリア:「少し気になることがあるの。聞いてくれる?」
胡緑蘭:「こういう状況だ。些細な気付きでもどんどん共有すべきだよ」
宮星イオリ:「気になること自体はいくらでもある気はするけど……何の話よ?」
三部つゆり:「なんですか?何とかあと少しまで来ましたけれど……」
百代マリア:「まず……この事態を主導している総和重工の社長の正体は、ノドスの機神なのよね?」
析了トオル:「折角の休憩中です、聞かせてくださいな」
百代マリア:「機神は、何が目的なのかしら」
胡緑蘭:「ふむ、ノドスの目的は、彼ら自身が以前から触れ回っているよね」
胡緑蘭:「『ノヴァリスの解体』。これもその活動の一環なのかと思ってたけど」
胡緑蘭:「マリアは、彼個人の目的が別に存在すると見ているのかな?」
百代マリア:「……それよ」
百代マリア:「緑蘭、あなたは今のこの事態が、ノヴァリスの解体に繋がると思う?」
百代マリア:「生徒はこうしていくら戦っても、十字冠がある限り死ぬことはないわ」
百代マリア:「堕天病も……劇症型を除けば、そこまでの速攻性は無い。戦闘を経てもそれは変わらない」
胡緑蘭:「そうだねえ、実際にノヴァリスを解体しようとすれば、手段はいくつか考えられるけど」
百代マリア:「ラス・ヴィダスを滅茶苦茶に出来たとしても……それがノヴァリスの解体に繋がるかしら?」
三部つゆり:「……うーん。通常の堕天病でかれが手にするのは、今回なら大量の罹患者で、それを操作できる…」
宮星イオリ:「敵は堕天病を媒介してコントロールできるんでしょ。……まあ、それなりに抵抗できるものではあるけど」
宮星イオリ:「それでも……ノヴァリス全域に感染域が拡大して、そのうち何割かを支配できるなら、十分じゃないの」
析了トオル:「案外、欲望に任せてただめちゃくちゃにしたい……というのかもしれませんが。まあそれだけでは無いですよね。何かある……」
胡緑蘭:「例えば、何かしらのものすごい兵器や天変地異によって、物理的にノヴァリスに人が住めなくなったり」
胡緑蘭:「或いは外部からの政治的な働きかけで、ノヴァリスが学園都市として存続できなくなる。みたいなのは、見ようによっては解体と言えるのかもしれない」
胡緑蘭:「けど今回のケースは、そのどちらにも直接的には繋がらないかもしれないね」
三部つゆり:「うーん……そう言えば、堕天者も神聖二重冠って降り得るからそういう…いや…数が重要なのかなあ…選挙とか…?」
百代マリア:「それこそ……ラス・ヴィダスが堕天病の患者でいっぱいになったとしても」
百代マリア:「そんな事態になれば、他の学区から隔離封鎖されてしまうわよね。考えたくはないけれど……」
百代マリア:「脅す……とか?おまえの学区もこんな風にしてやるぞ……みたいな」
析了トオル:「その場合、脅迫の宛はノヴァリスそのものになるでしょうかね」
三部つゆり:「堕天病を脅しの道具に使うのは確かに強いですけど、この場合脅して何を得たいのかになりますし…脅しで手に入るものなんかな…」
胡緑蘭:「そうだね。脅しだとして、その対価に何か要求するものがあるのかって話になると」
胡緑蘭:「結局、彼の求めてるものが何なのかはよくわからないままだよねえ」
百代マリア:「ふ~む……」
宮星イオリ:「……別に、分からなくていいんじゃないの。あるのかどうかもわからないし」しばらく考え込んでいたが、しびれを切らしたように言う。
宮星イオリ:「あったとしても、こんな状況じゃ私達がやらなきゃいけないことに変わりはないでしょ」
析了トオル:「ええ、まず上に向かう。総和までの距離もあと少しですが……少なくとも、頭の片隅には入れておきましょう。考えるのは動きながらでもできますからね」
胡緑蘭:「ま、確かにやることは変わらないんだけど」
三部つゆり:「それもそうなんだけど……ここまで準備してきた計画なんだから、なんかクリティカルな所ありそうなんだよね~…」うーんと首をかしげている。
胡緑蘭:「相手の求めているものがわかれば、『落とし所』を見つけられる」
胡緑蘭:「君たちが勝つつもりなら、考えておいて損はないはずだよ」
三部つゆり:「…”落とし所”……」
百代マリア:「スコップでこう……」
赫花連盟生徒:「あ……皆さん、ちょっとよろしいですか?」
赫花連盟生徒:「お客さんが来てるんですが……」
宮星イオリ:「はあ? 客って……」こんな状況下で?という顔。
三部つゆり:「またすごい時と状況なのに」
物見シロナ:「あ、あのぉ...」おずおずと扉から顔を覗かせる
江戸橋ジャッコ:「ぶちょぉ~っ」猫の耳と尾を生やした少女が気の抜けた声を上げる。
江戸橋ジャッコ:頑丈そうなジュラルミンケースをひぃひぃ言いながら引きずるようにして。
物見クロエ:「ここで合って……あっ、部長!」
漁火カルラ:「お~マジでいたわ。絵面が似合わね~」
析了トオル:「あら!なんとか間に合ってくれたようで何よりです」
胡緑蘭:「トオルの友達かい?」
漁火カルラ:「じゃあ全員で挨拶しようか。」
上鳥羽キキ:「あっ、先生ですね?初めまして」
漁火カルラ:「せーのっ」「私達は~」
物見クロエ:「怪奇現象探査部……の部員です!」カルラの掛け声に食い気味で
江戸橋ジャッコ:「トオル部長がご迷惑をお掛けしています~」
物見シロナ:「部長からの通信が途絶えたので来ましたけどご迷惑だったでしょうか...」
GM:NPCカードが使用可能になります。
NPCカード:怪奇現象探査部
シナリオ中1回のみ、析了トオルのみ使用可能。ダメージ判定の直前に使用する。与えるダメージを2倍にする。
析了トオル:「ふふふ、迷惑とはなんですか迷惑とは」
宮星イオリ:「いや多いししかもノリ軽い……」
百代マリア:「怪奇……?オカルト部……みたいな……?」
析了トオル:「いや、さっきから警察の方に迷惑をかけている気もしますが……」
上鳥羽キキ:「……実のところ、どうなの?部長」
物見クロエ:「……もうちょっと真剣に来た方が良かった?」
上鳥羽キキ:「道中、なんかおいしそうなドラゴンを見かけたんだけど」
胡緑蘭:「賑やかでいいねえ」
析了トオル:「私が放ちました」
江戸橋ジャッコ:「じゃあ掛けてるじゃないですか」
三部つゆり:「すごい一杯いるし部活ってことはジェネシスの方々ですかね?ようこそ~こんな鉄火場ですけど」
漁火カルラ:「なんで毎度事態を面白おかしくしてるんだろねえ。」
江戸橋ジャッコ:「どうもどうも、お土産置いておきますねえ」
上鳥羽キキ:「まったくも~……まあ非常時だし、いろいろ考えて……考えてはいるんだろうけど」
漁火カルラ:(お陰で様子見に来られてラッキーではあるけど、)
上鳥羽キキ:「あ、そうそう。これね」
物見クロエ:「鉄火場上等だよ!怪奇を探すなら何のその、どこにでも行くのが私達のモットーだからね」
物見シロナ:「はい、リストに記載された素材です」
析了トオル:「ヴァリエンテの方々が生徒を襲ってたりしてると後で大変じゃないですか、ドラゴンと戦ってた方が終わった後に聞こえがいいですよ」
漁火カルラ:「注文の品、この通り。」
物見シロナ:「銀粉10g、プチトマト(直径2.5cm以下のもの)、ネズミコウモリの翼膜10g、バニラエッセンス、ノヴァリスで8か月以内に作られた陶器...本当にあってます?」
宮星イオリ:「え、怖っ。トオルの同種ってこんなにいるんだ」クロエの発言に目を丸くする。
上鳥羽キキ:「すり潰すって言ってたから、陶器はすり鉢とすりこぎにしといたよ。六壬のちゃんとしたとこのやつ」
漁火カルラ:「あんまり一緒にしないでほしいかな…」
江戸橋ジャッコ:「同種だなんてえへへ、それ程のものじゃないですよ~」
三部つゆり:「うわあ~なるほどなあ~…(悪)名高いだけあるんだ……」
漁火カルラ:「銀粉は酸化を防ぐために真空個包装にしてある。」
物見クロエ:「名高い!? えへへ、やっぱ私達の活動って段々認められてきたんじゃない……!?」
漁火カルラ:「間違いなくマイナスのほうだからね?」
析了トオル:「中身を確認……はい、完璧です。これだけ数と質が良ければ問題ないでしょう」
江戸橋ジャッコ:「最近はキキ先輩もぶいぶい言わせてますからねっ」
上鳥羽キキ:「あたしはちゃんといろいろ気を配ってるよ!?最近は……」
漁火カルラ:「それは掛け値なしにそう…」
物見シロナ:「キキ先輩は部長と違って出禁になってないですもんね」
漁火カルラ:「会長とも一緒に活動してたし…」
上鳥羽キキ:「あ~れはマジで驚いた」
析了トオル:「くっ、鉄火場のキングダムに行きたいのも山々なんですが……」
漁火カルラ:「あれはマジに命がヤバいやつでしょ。」
物見クロエ:「じゃあ、どんどんプラスに近づいてるって事で……まぁ、今はそれどころじゃないもんね」
析了トオル:「私が行ってもエネミー扱いですし、まずはここでやるべきことがありますからね」
上鳥羽キキ:「ちょっと前に様子を見て来たけど、なかなか荒れて……って、のんきに話してる場合じゃないね」
物見クロエ:辺りを見渡す。ここまでくる道中でも大変どころではなかったわけだし。
物見シロナ:「あ、内輪で盛り上がってすいません...私達も部長の部員として手伝いにきました」
漁火カルラ:「頑張りまーす。悪行以外で。」
上鳥羽キキ:「できそうなことは言ってくださいね」
上鳥羽キキ:「調査から荒事まで、いろいろできるメンバーです!」
江戸橋ジャッコ:ダウジングロッドを両手に構え、やる気満々だ。
三部つゆり:「実際人手足りてないから助かりますね…ありがとうございます」
百代マリア:「すごい……!ダウジングまで……」
漁火カルラ:(ダウジング需要あるんだ…)
百代マリア:「まさかダウジングなんて……頼もしすぎるわ……」
析了トオル:「ふふ、凄いでしょう。かなりの精度ですよ」自信満々に無い胸を張っている。
漁火カルラ:(凄い需要だ…!)
物見シロナ:「ダウジングそんなに欲してたんですか???」
宮星イオリ:「マリアがどこで何を吹き込まれたのかは後で私以外の誰かが確認しておくとして……」
宮星イオリ:「本当に、どうかとは思うけど……とにかく、手伝ってくれる気のある連中ってわけだ」
上鳥羽キキ:「もちろん。部としても……まあ、個人的にもちょっとね」あはは、と照れ隠しに笑う。
胡緑蘭:「色々お願いしたいことはあるけど、トオルの指揮下に入ってもらうのがスムーズかな」
胡緑蘭:「勝手知ったるってやつだ。せっかくの課外活動、楽しんでいくと良い」
析了トオル:「はい、お任せください。道中の調べ物などもこれで一層捗ります。破壊力も二倍盛り!」
百代マリア:「ダウジングもあることだし……頑張りましょう!総和重工まではあと一息……」
百代マリア:「……あら……?」
百代マリア:「……何かしら、あれ……?」
GM:マリアが指差した先。
GM:そこにあった光景は、高層ビルの間を押し寄せる、白色の津波だった。
---
GM:ラウンド4

GM:まずは情報判定を行ってください!
胡緑蘭:おまかせください
胡緑蘭:情報:噂話
胡緑蘭:11dx+6
DoubleCross : (11DX10+6) → 10[1,2,3,3,4,4,6,7,7,8,10]+9[9]+6 → 25
胡緑蘭:むん!
析了トオル:ダイスが強い!
三部つゆり:安定して強い!
GM:OK!
ラウンド4
【西部】
強敵:星徒コアトリクエ
耐久度1000
このエネミーに対しての攻撃判定は、2箇所から判定を行う場合2倍、3箇所から判定を行う場合3倍のダメージを与える。
【中央】
ヴァリエンテ警備保障特殊急襲部隊
耐久度150
【東部】
強敵:星徒コアトリクエ
耐久度1000
このエネミーに対しての攻撃判定は、2箇所から判定を行う場合2倍、3箇所から判定を行う場合3倍のダメージを与える。
胡緑蘭:!?
情報:星徒コアトリクエ
生前はラス・ヴィダスの生徒タバサ・エルドン。“マスターポルート”と敵対し、堕天病に長年苦しんだ後に死亡した。
物静かで穏やかな性格で、妹が二人いる長姉。植物の世話が得意。パンケーキにタバスコを掛けて食べるのが好きだった。
従者を生み出す能力者だったが、星徒化によって生命を無尽蔵に生み出し続ける災厄と化した。
析了トオル:パンケーキに……タバスコを?!意外と合うのかもな……
GM:というわけで判定どうぞ!
GM:星徒コアトリクエを倒すことで最後の1マスを突破できるということになります。
析了トオル:ウオオ、私の火力二倍の切りどころでしょうかね
胡緑蘭:2箇所から判定を行う場合2倍というのは、判定に参加したPCのダメージの合計が2倍になるということでしょうか
GM:そうです!
胡緑蘭:これはやるしかねえぜ!
GM:複数個所のレーンを突破すればそれだけボーナスがあるということですね
析了トオル:ウオオ、西からコアトリクエに攻撃!
析了トオル:メジャーでコンソ、コンセ、マルチウェポン!
析了トオル:12dx7+10
DoubleCross : (12DX7+10) → 10[1,2,4,5,5,6,8,8,8,8,9,10]+10[1,2,4,7,7,9]+10[5,7,10]+10[1,8]+10[9]+10[9]+10[8]+10[8]+10[7]+6[6]+10 → 106
析了トオル:アハ
GM:嘘?
胡緑蘭:アハ体験
三部つゆり:すっごい事なっとる…… ダメージロール前にコンボ:鳥急《原初の紫:凍てつく刃》。ダメージに+1d10+15してください~
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を4増加(124 → 128)
析了トオル:まずはフェイタルヒット!
析了トオル:ダメージ+4d10して……さらに!
析了トオル:NPCカードを使用!怪奇現象探査部の力を借りるぞ~!
析了トオル:11d10+1d10+29+4d10+1d10+15
DoubleCross : (11D10+1D10+29+4D10+1D10+15) → 62[9,10,5,1,4,1,3,9,4,10,6]+4[4]+29+26[5,9,4,8]+2[2]+15 → 138
胡緑蘭:オイオイオイオイ
析了トオル:4倍です、侵蝕は11増えて138
GM:なんじゃこりゃあ!
GM:C(1000-138-138-138-138)
DoubleCross : c(1000-138-138-138-138) → 448
GM:半分以上削れた 嘘だと言ってくれ
析了トオル:コンビネーター!ここからはダメージを2d10追加!
胡緑蘭:すげェ!
GM:残りの方も判定どうぞ!
胡緑蘭:行きます。装甲はないから漆黒の拳は抜いて……
胡緑蘭:《ディストーション》《コンセントレイト:オルクス》サイバーアームで攻撃
胡緑蘭:11dx7+9+5
DoubleCross : (11DX7+14) → 10[1,1,2,2,4,4,5,6,6,8,10]+5[3,5]+14 → 29
胡緑蘭:しょぼしょぼ
胡緑蘭:3d10+22+4d10+2d10
DoubleCross : (3D10+22+4D10+2D10) → 14[4,7,3]+22+20[8,1,4,7]+12[9,3] → 68
GM:C(448-68-68)
DoubleCross : c(448-68-68) → 312
GM:耐えろ!!
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を4増加(131 → 135)
三部つゆり:次行きまする マイナーボルトアクションライフルの効果を起動。メジャーコンボ:鳥破《コンセントレイト:ウロボロス》《無形の影》にてコアトリクエへ東から攻撃しますー
三部つゆり:9dx7+9+5+5
DoubleCross : (9DX7+19) → 10[2,3,4,4,5,7,8,10,10]+10[1,3,6,9]+4[4]+19 → 43
三部つゆり:5d10+1d10+8+2d10
DoubleCross : (5D10+1D10+8+2D10) → 18[3,3,6,4,2]+1[1]+8+5[3,2] → 32
三部つゆり:出目!!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を6増加(128 → 134)
GM:C(312-32-32)
DoubleCross : c(312-32-32) → 248
GM:ハァハァハァ……
胡緑蘭:微妙なところ…!
宮星イオリ:倒し切るのは無理そうなので抑えめに殴ります。マイナーなしで
宮星イオリ:《コンセントレイト》《光の舞踏》で攻撃
宮星イオリ:11dx+6+5@7 命中
DoubleCross : (11DX7+11) → 10[1,1,2,2,3,4,5,5,5,6,9]+10[9]+10[8]+10[9]+10[10]+5[5]+11 → 66
宮星イオリ:7d10+19+2d10 ダメージ
DoubleCross : (7D10+19+2D10) → 26[5,8,1,5,2,3,2]+19+5[4,1] → 50
GM:C(248-50-50)
DoubleCross : c(248-50-50) → 148
GM:肝を冷やしたぜ……
胡緑蘭:かなりスリムになったな
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を4増加(128 → 132)
GM:とはいえ扱いとしては失敗!中央も放置ですので全箇所が1マスずつ後退します。

---
GM:白い津波が高層ビルを呑み込み、街の全てを食い荒らしながら押し寄せる。
GM:それは、虫だった。
GM:想像を絶する数の、小さな白い芋虫の群れが、僅かな蠕動から大波を作り出し、街を呑み込んでいく。
GM:その中心、総和重工本社ビルの根元でとぐろを巻くように鎮座するのも、また巨大な芋虫だった。
星徒コアトリクエ:「────」
GM:星徒コアトリクエ。
GM:芋虫の身体に女の顔が貼り付けられたかのような異形から、引っ切り無しに、とめどなく、夥しい数の芋虫が生まれ続けている。

GM:芋虫の群れは1キロ離れた君達のもとまで到達し、すぐ下の道路をざわざわと滑っていく。
胡緑蘭:「星徒……操られていると言うことは、彼女も死因は堕天病か」双眼鏡を下ろして呟く。
宮星イオリ:「……」
析了トオル:「いやぁ、デカいし規模も半端ないですね」
宮星イオリ:見上げる。微かに面影を残したその貌に、見覚えがある。
三部つゆり:「星徒だし火力ゴリ押しで行くしか……イオリさん?」
胡緑蘭:「よっ」黒腕を振り下ろすと、眼下の白蟲の群れに円形の穴が空くが
胡緑蘭:すぐさま、後ろから来た群れによって塞がれる。
胡緑蘭:「きりが無いや、どうしようねこれ」
析了トオル:「では、より効率的な方法を考えましょう。長く苦しめるというのも、操られる彼女に対し申し訳ない」
百代マリア:「本体を倒さないとどうしようもなさそうね」
宮星イオリ:「……昔の友達よ。一緒に戦ったうちのひとり」
三部つゆり:「…そっか。うん」
宮星イオリ:「でも……こうなったら、今はもう関係ない」自分に突きつけるように呟く。「気にしないでやって」
析了トオル:こくり、その声に頷いて。
析了トオル:「皆さん!」
三部つゆり:「じゃあ、早く返してあげよう。…星徒は倒されたら、方舟に回収されるんだ。そこなら操られたりしない」
三部つゆり:そう言いつつ、風天真言で周囲の安全を確保している。…あまり効果は長持ちしなさそうだ。
江戸橋ジャッコ:「はい!」本気の表情で掲げるのはやはりダウジングロッドだ。
析了トオル:「道は私が無理矢理開きましょう。星徒の弱点、効率的な狙撃点。全部調べ尽くして一網打尽です!ギリギリまで削りますよ!」
物見シロナ:「わかりました....いくよ、お姉ぇ」
物見クロエ:「うん、私達一番の出番……って事だね!」
江戸橋ジャッコ:「怪奇現象探査部の得意分野です!」
漁火カルラ:「ほんじゃあキキちゃん、いっちょうかっ飛ばしておくれ。」
上鳥羽キキ:「OK。気を付けるけど、振り落とされないでね!」
鮫島みらい:コーラ缶の万年筆で開けた横の穴に口をつけ、プルタブを開けて一気に飲み干すと。
上鳥羽キキ:後ろにカルラちゃんを乗せ、三輪バイク状のマシンを発進させる。
鮫島みらい:「やっといつぞやの恩が返せるって訳だ。うんと暴れさせてもらうから頼ってくれ」口を袖で拭って、目の前の大きな虫を睨む。
析了トオル:排気と共に、車椅子に強化外装が装着される。「ニーアたんも出力全開!まずは……」
析了トオル:「初っ端から全力射撃!!!!!」
析了トオル:唸りを上げる機動音と共に、芋虫の波に向かって光と弾丸が一直線に放たれる。
江戸橋ジャッコ:"本物の神秘"求めし析了トオルによって、容赦なく詳らかに解体されたダウジング能力。
江戸橋ジャッコ:その正体は人が赤外線を、超音波を知覚できぬように。超人の肉体をもってさえ把握・言語化不可能の微細な現象へ手を伸ばす外付け超感覚。
析了トオル:虫を焼き、横入りできぬよう道路を削り、作り出されるは一本の巨大な道標。激烈な破壊の余波は星徒の本体にも届きうる。
江戸橋ジャッコ:叩き込まれた大火力に対する標的の肉体反応、反響、全てを微に入り細に穿ちぼんやりと咀嚼。
析了トオル:「よし、本体にも少し命中……どうですか?!」
江戸橋ジャッコ:「当たりをつけます、狙っちゃって!」ついでにロッドへ組み込まれた操縦機能でドローンを展開、ペイント弾を乱射する。
星徒コアトリクエ:「……?」
星徒コアトリクエ:巨体が君達を見下ろす。きょとんとしているような、茫漠とした表情。
星徒コアトリクエ:多少の銃撃程度では、傷らしい傷にもなっていない。
星徒コアトリクエ:その間にも更に芋虫が生まれ続け、波となって君達を呑み込まんとする。
物見クロエ:「単なる銃撃だけじゃどうしようもないか……ならまずは、フィールドワークから──行ってみよう!」
物見クロエ:手首に仕込まれたワイヤーフックを残骸に引っ掛けるように飛び上がる。
析了トオル:「暫く銃撃した範囲には芋虫は入れません!自由に動いてください!」
星徒コアトリクエ:一匹一匹は無力なものだが、小さな口で噛みついてくる。もし群れに呑まれれば窒息しかねない。
物見クロエ:攪乱するように空を駆け、銃声を響かせながら四方を飛び回る──が、その弾丸は飛んでくる事はない。
物見クロエ:彼女自身の能力は推進力。弾丸は空中に一時的に留まり、彼女の合図を待つ。
物見クロエ:ちょうど一周、そのタイミング。
物見クロエ:「良いマーキング、狙いやすい──!」
物見クロエ:その言葉と共に360度から弾丸が飛来し、星徒の身体に埋め込まれる。
物見クロエ:威力自体は大したものではない、しかし。
物見クロエ:「──シロナッ!」
物見シロナ:「解析弾、着弾確認」
物見シロナ:「星徒のシンドロームはブラムストーカー、生成した生物のスペックが同一の事から従者であると結論づけます」
物見シロナ:「問題は従者は本体や従者と侵蝕率を共有、堕天病への感染の可能性があるかも」
物見シロナ:「皆、飛散した体液に注意してね」
析了トオル:「成程、分身でも幻影でもないと、大きな情報です。ならばやはり狙うべきは本体」
物見シロナ:「従者へのストッピングパワーを含めた情報を送信しました」
物見シロナ:「皆さん、対処をお願いします」
江戸橋ジャッコ:ダウジングロッドを大ぶりに振り、手旗信号めいて合図を送る。電子情報でもちゃんと送られている。
析了トオル:「凡その星徒の肉体情報を解析中です……対象の核の位置を割り出したいですね。もう一段攻撃を仕掛けられますか?」
上鳥羽キキ:「それじゃあ、その役目はあたしたちで!」
上鳥羽キキ:左側車のレーザーランチャーで進路上の芋虫を焼き払いながら、星徒の巨体に迫っていく。
上鳥羽キキ:「カルラちゃん!やっちゃって!」
析了トオル:高速で流れる情報に一度で目を通しながら、手を伸ばし画面を弄り続ける。
GM:薙ぎ払われる白い芋虫からは、人間の赤い血が噴き出す。元従者の特性ゆえか。
漁火カルラ:「あいあいよ~っと!」紅白の飛沫を横目に、抜き放ったSMGをガンスピン。
漁火カルラ:「シロクロの弾丸、借りるね―――『裏STAGE2』 『霊交緞帳』」
漁火カルラ:白、赤、そして三色目―――カルラのばら撒いた弾丸の着弾点から、ペンタブラックの如き漆黒が薄く広がる
漁火カルラ:カルラの能力は『音と光を吸収、振動として増幅・輻射する』というもの。特性のSMGによってその能力焦点は弾丸に設定出来る。
漁火カルラ:壁、あるいは対象にめり込ませた弾丸から能力を展開。跳弾させる面を遮光遮音の黒い帳で覆い隠す。物見姉妹の弾丸反響、芋虫の体内代謝、駆動音、その全ては黒い帳に吸い上げられて
漁火カルラ:濁流の如き騒音が束の間、鼓膜を破るような静寂に切り替わる、刹那。
漁火カルラ:「ばーん。」
漁火カルラ:"爆ぜる"。物見姉妹のデータにより、芋虫の固有振動数は割れている。最大効率で白き濁流が爆ぜ割れ、上鳥羽キキの進路を強引にこじ開けた。
漁火カルラ:「特製ハイウェイ!ハイスピードで頼むよ!」
上鳥羽キキ:「OK!フルスロットル!」
上鳥羽キキ:マシンをさらに加速させながら、巨大な星徒を見上げる。
上鳥羽キキ:("星徒"──生徒たちであり、生徒たちでない分身)
上鳥羽キキ:(正直、戦うのは気が引ける。けど)
上鳥羽キキ:「……今度、友達と遊びに来るんだから」
上鳥羽キキ:「この場所を、壊させはしないからね!」
上鳥羽キキ:右側車の大口径機関砲が火を噴く。同時に、進路が確保されたことで左側車のレーザーランチャーも星徒本体への直接攻撃へ回される。
上鳥羽キキ:上鳥羽キキの能力は、周囲の情報を収集・分析して最適な行動をとる──言ってしまえばそれだけのことだ。
上鳥羽キキ:しかし、自身の発明品である武装は並以上の火力を誇る。オリジナルは部長の重戦車へ移設しているが、予備パーツから組み上げたものであるため性能は変わらない。
GM:大火力により、星徒本体の柔らかな身体が抉り飛ばされる。巨体とは言え、見るからに十分なダメージだ。傷口から赤い鮮血と共に、膨大な数の芋虫が噴き出す。
星徒コアトリクエ:「……?」
星徒コアトリクエ:だが、悲鳴を上げるどころか、身じろぎ一つしない。
上鳥羽キキ:攻撃自体は部員たちが当たりをつけて、解析した場所へ狙い通りに命中している。
上鳥羽キキ:「……っく~~~、当たってはいるのに!」
星徒コアトリクエ:黒々とした瞳が不思議そうに、目の前で戦う生徒達を見つめている。
GM:しかし、肉体的には確実なダメージが蓄積されているはずだ。そして今、星徒本体への突入路が形成されている。
江戸橋ジャッコ:「大きすぎます際限ないです~」上空から見下ろした全貌、いや全景をホログラム投射して共有する。
漁火カルラ:「虫と同じなら感覚器はあるはずなんだけど、虫の痛覚って曖昧なんだよね~。」
物見クロエ:「まだ……! けど、終わりはある……そうだよね」
物見シロナ:「うん、ダメージは確実に蓄積しています」
星徒コアトリクエ:破れた傷口から膨大な体液と共に、夥しい数の芋虫が噴出する。
上鳥羽キキ:「うわっ、ちょっとヤバ……」
星徒コアトリクエ:元々内部に居た数だけではないだろう。新たに噴出孔が増えたかの如く、血液と芋虫とが周囲一面を押し流そうとする。
上鳥羽キキ:重力制御装置を起動させて浮き上がり、慣性で移動しながら車体の向きを180°回転。再び接地し、そのまま元来た道を辿って逃げに転じる。
漁火カルラ:「やっば。」
漁火カルラ:「キキちゃん帰れる!?流体はこれだからさ~」
漁火カルラ:銃撃を返してはいるが梨の礫だ。
上鳥羽キキ:「これで全速力!やっぱりちゃんと空飛べるようにしたいなぁ!!」
鮫島みらい:「……あの体液がマズいから……かからなければいい、だったな」接近するその巨大なる虫に後方から走って近付きながら。
鮫島みらい:今まさに180°踵を返して戻ってきたキキとカルラがすれ違った瞬間。
鮫島みらい:「───"時の乙女"!全部止めろ!!」
"時の乙女":「GUORAAAAAAAA~~~~~!!!!!!」神秘なオーラを持つ清らかな顔立ちの乙女が傍らに立ち。眼光を光らせ雄たけびを上げると。
"時の乙女":全てが、制止する。
鮫島みらい:カルラとキキの乗る機体にみらい自身の背中をひっつけ、いつでも退避できる状態になった瞬間に。
"時の乙女":「GORARARARAAAAAA~~~~~~!!!!」腕のジェット噴射とともに止まった空間で制止する体液をよけ、対象へと追突し連続で拳の連打を叩き込む!
"時の乙女":勢いよく殴られても止まった時の中ではコアトリクエには何も影響はない。止めてから"5秒"が経過するまでは。
鮫島みらい:最後に自分が少し跳ねると殴った勢いで本体のみらいに押される状態になり
鮫島みらい:「……もう動いていいぞ」
鮫島みらい:次の瞬間、キキの機体が追い風を受けたかのように吹っ飛ばされ、コアトリクエの体に打撃が発生する!
星徒コアトリクエ:ベコン!とコアトリクエの巨体が凹み、柔らかな皮膚が弾け飛んで巨体が傾ぐ。
星徒コアトリクエ:「……」
星徒コアトリクエ:続けざまの連携で、全身、体積のかなりの部分が削り取られている。並の生物であればとうに致命傷のはずだ。
鮫島みらい:「……部長!追い打ちを頼む!二人は助けた!」
析了トオル:「蓄積してはいるが致命点は未だ見つからず。ここまで撃ってその露出も無い……」
星徒コアトリクエ:だがやはり、反応が薄い。壮絶な侵蝕率でジャーム当人の自我もとうに希薄化し、現象に近い存在へと成り果てつつあるのだ。
析了トオル:「外部からのほぼ肉体全域への攻撃は行われている筈、であれば」
析了トオル:カンカンと車椅子を指で叩きながら思考を重ねる。
析了トオル:析了トオル。本人に特に特筆するような異能力は存在しない。
析了トオル:ただ、ノイマンらしく頭が回り、ウロボロスによる若干の同化能力があり、無茶で無鉄砲で、少しばかり勘が冴える。
析了トオル:「内部を動いている、次はその前提で行きましょう」
析了トオル:再びの全力稼働。重戦車が如き車椅子の両腕に備え付けた武装が照準を合わせる。
析了トオル:「肉体強度、構造、内部反響……」
析了トオル:呟きの果てに、にまりと笑って。
析了トオル:「───一点砲撃」
析了トオル:ゴ、オオオオォォォォォ──────!
析了トオル:大口径の弾丸の掃射とレーザー放出が、頭部に向かって撃ち込まれる。
析了トオル:"それだけでは終わらない"。
析了トオル:「全部、詳らかになってしまいなさい─────────斬撃!」
析了トオル:レーザーの出力を自壊する程に上昇させ、仰け反った流星体の肉体を光条が縦に一閃。
析了トオル:「さあ、観音開きです!内部を全部、私の前に差し出しなさい!」
星徒コアトリクエ:巨体が真一文字に切り裂かれ、夥しい血液と芋虫とが溢れ出す。
星徒コアトリクエ:「…… ……?」
星徒コアトリクエ:巨大な少女の頭部が正中線から切り裂かれ、血液と脳漿を垂れ流すその様はいかにもグロテスクだが、星徒は痛みを覚えている様子もない。
星徒コアトリクエ:分かたれた頭を捻り、じっとトオルを見つめる。
星徒コアトリクエ:頭から尾の先までが切り裂かれたことで、内部の構造もトオルによって精査されるが──
星徒コアトリクエ:核らしきものは、確かにあった。元の人間の体らしいものは、後頭部の付近に存在している。
星徒コアトリクエ:だが、既に銃撃で抉られ、斬撃によって真っ二つに切り裂かれている。
析了トオル:「…………成程、成程。そういうこと」
星徒コアトリクエ:この星徒は、最早核を必要としていない。生命を生み出す能力を自己にも適応し、際限なく暴走しつつある。
星徒コアトリクエ:当初は気門や関節の隙間からのみ生み出されていた芋虫の群れは、今や全ての傷口から止め処なく溢れ出し始めている。
宮星イオリ:「……それで。ついたの、やりきれる目処は!?」
析了トオル:「文字通りの現象になっている、というわけですか。命が尽きる前にそれ以上の速度で生み出し続けることで、辛うじて立っている」
宮星イオリ:外皮を何度も剥くように引き裂き、飛び回っていた。息を切らして波濤をかいくぐり離脱しながらトオルに向かって叫び、訊ねる。
“イモータルコイル”:「……オイッ!何だよあいつら!どこから湧いてきた!?」屋上からカメラ越しにその様子を見ている。
“イモータルコイル”:「知らね~~奴が急に出てきてメチャクチャ横槍入れてんじゃねーよ!!ざけんじゃね~~~ッ!!」
析了トオル:「つまり、必要なのは飽和攻撃。これは前回までと変わりませんが……」
析了トオル:「部員の皆さんのおかげで幼体、ならびに本体の固有振動数まで割れています。狙うべき場所、手法を間違えなければ───」
析了トオル:「───次にこちらが攻勢に出た時点で勝てる。連鎖崩壊しておしまいです!」
宮星イオリ:「上等、だけど……」既にほとんど足場がない。一帯の地を、空を、覆い尽くすほどに虫が湧き溢れている。
胡緑蘭:「頼もしいねえ。問題はそのタイミングか」
宮星イオリ:「流石にちょっと増やしすぎた。仕留めるにしても一旦、戦線を下げてからよ」
三部つゆり:「…、安全確保と直通路の維持が間に合わない、ね……!」
析了トオル:「はい、今来る波はやばいですね!一旦退避して防ぎたいところです!」
析了トオル:「部員の皆さーん!撤収しますよ!急いで!」
GM:一時撤退する君達の背後から、更に勢いを増して白い波濤が襲い来る。
GM:星徒自身に攻撃の意志すら無くとも、最早全てを呑み込まんとする災厄だ。
GM:既に周囲の建物も次々と倒壊しつつあり、足場を確保することすら困難だ。大群が君達に追いつかんとした時──
GM:黄金の輝きが閃き、追い縋る白い波を切り裂いた。
GM:甲高い金属音が響き渡り、迫る大群が見る間にバラバラに散っていく。
百代マリア:「皆……! ……あれ……?」
“天狼”:「間一髪……って感じかな」
“天狼”:白銀の鎧を纏った人物が、ビルの屋上に降り立つ。
“天狼”:「久し振りだね。イオリ、マリア」
宮星イオリ:「……。本当にね」
百代マリア:「……来てくれたの?ギンカ……」
三部つゆり:「…ええっ、”天狼”選手!?」目を見開いて。そうノヴァリス・ファイトに関心はなかったけれど、それでも彼女の名前と試合は見た事があった。
析了トオル:「……キキさん、最近たくさんご友人と見てましたよね、後でサイン貰っておきましょうよサイン」
“天狼”:「そうです。こんにちは!」ひらひら手を振って
“天狼”:「勿論来るさ。こんな時に“天狼”が活躍しなくてどうするのって話だろ」
宮星イオリ:「……ふ。変わってないのね、アンタ」
胡緑蘭:「有名なの?彼女」過去の記録には全然目を通してない。
宮星イオリ:続けて、良かった、と小さく呟いた声が届いたかは分からない。
百代マリア:「ええ。ギンカはね、毛蟹が好きなのよ」不要なトピックを紹介している
“天狼”:「動けそうな闘士を出来るだけ連れてきたから、手伝わせてくれるかな?」
三部つゆり:「ええと、なんて言ったらいいのかな…ラス・ヴィダスで伝説になってる、国技のプレーヤーだと思って頂ければ」
析了トオル:「成程、毛蟹が……」特に不必要そうだが、関係者だけ知っていそうな情報なのでメモしている。
三部つゆり:「…良いんですか?すごく助かりますけど…」ちょっとかしこまっている。彼女の試合には目をくぎ付けにされたものだったから。
胡緑蘭:「ふぅん、確かに相当やるみたいだ」
胡緑蘭:「助かるよ!今は猫の手も借りたいところだ。ましてや狼の手なら大歓迎!」
“天狼”:「当然だよ。この街には君みたいなファンが大勢いるんだ」つゆりの手を取って
“天狼”:「よし!早速行こうか。打ち上げの店が無くならない内にね」
GM:NPCカードが追加されます。
析了トオル:「なんと自然なファンサービス!手慣れていますね!」
三部つゆり:「はわわわわ」頬を赤くしている。かなり薄めだがやはりファンなのだ…
NPCカード:“天狼”及び闘士連合
シナリオ中1回のみ使用可能。強敵以外の任意のエネミーを1体選択し、耐久度を0にする。
NPCカード:メサイア第三技術部
シナリオ中1回のみ使用可能。PCはそれぞれ所持しているアイテム1つを選択する。武器の場合攻撃力+3、防具の場合装甲値+5してもよい。
析了トオル:うおお
---
“イモータルコイル”:「ジェネシスだァ~~?? 析了トオルの関係者か!ふざけやがって……」
“イモータルコイル”:データを確認しながら、いかにも不服気に悪態を吐く。
“イモータルコイル”:「クソダルすぎんだろ!他所の学区のことだろうが!放っとけや!クソがよ~~~ッ!!」
“イモータルコイル”:ガリガリ頭を掻いて「……そんなに死にてェならいいだろう」
“イモータルコイル”:「ブッ殺してやる」
“イモータルコイル”:エネミーカードが使用されます。
エネミーカード:“イモータルコイル”
ミドル判定で使用する。クライマックス戦闘で登場予定のエネミーを1体、任意のマスにエネミーとして配置する。
---
GM:ラウンド5
GM:情報判定からどうぞ!
胡緑蘭:任せて下さい
胡緑蘭:情報:噂話で判定
胡緑蘭:11dx+6
DoubleCross : (11DX10+6) → 10[1,2,3,4,6,6,7,8,8,10,10]+8[4,8]+6 → 24
胡緑蘭:むん!
析了トオル:安定して回る~
三部つゆり:本当にたよりになりすぎる
GM:やるな……だが……
GM:配置はこちらになります。
宮星イオリ:だがとは…
ラウンド5
【西部】
強敵:星徒コアトリクエ
耐久度148/700
このエネミーに対しての攻撃判定は、2箇所から判定を行う場合2倍、3箇所から判定を行う場合3倍のダメージを与える。
【中央】
ヴァリエンテ警備保障特殊急襲部隊
耐久度150
【東部】
???
宮星イオリ:エ~~ッ
析了トオル:迫ってきてる!
三部つゆり:あ、あの……分からないのがあるんですけど……24で!?
胡緑蘭:謎だとぉ
GM:そうです
胡緑蘭:一体何者なんだ~~~っ
GM:というわけで判定どうぞ!
三部つゆり:では…私で東の不明地点にツッコもうと思うのですが どう言う判定でしょうか
GM:なるほど 東部で判定でよろしいですね?
三部つゆり:は…はい こわいけど……
GM:こちらは特殊なエネミーとなっており、ある判定に成功しない限り攻撃判定を行うことが出来ません。
GM:しかし現在は情報判定に一度も成功していないため、どの判定を行えばよいか不明となっています。
GM:というわけで……自動的に判定は失敗!また明日来てください
三部つゆり:ぎゃ~~~
析了トオル:なに~~~~っ
三部つゆり:挑戦すらできなかったよ~ごめんね!
胡緑蘭:そんな~っ
GM:つゆりちゃんには謎の敵に翻弄されて頂きます
析了トオル:では西!今度こそ倒します!
析了トオル:メジャーでコンセ、コンソ、マルチウェポン!
析了トオル:13dx7+10
DoubleCross : (13DX7+10) → 10[2,3,4,5,6,6,7,8,9,9,9,9,10]+10[1,2,3,6,7,8,10]+10[2,7,10]+10[1,9]+3[3]+10 → 53
析了トオル:くっ、さっきの半分か……
三部つゆり:つよっダメージロールにコンボ:鳥急《原初の紫:凍てつく刃》。1d10+15してくださーい
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を4増加(134 → 138)
析了トオル:フェイタルヒットー!
析了トオル:あっ
析了トオル:この瞬間であれなんですが、使えますか?メサイア第三技術部……
GM:今!?
GM:構いませんが……
析了トオル:相談の結果……後で!ダメージ出します!
析了トオル:6d10+1d10+29+4d10+1d10+15
DoubleCross : (6D10+1D10+29+4D10+1D10+15) → 27[5,4,6,3,6,3]+8[8]+29+21[2,10,2,7]+2[2]+15 → 102
GM:C(148-102)
DoubleCross : c(148-102) → 46
GM:ひえ~~~
析了トオル:ちょっと下振れかな、でも充分!
析了トオル:侵蝕11上がる~~
析了トオル:149です、あれっやばくないか?
GM:死ぬかも
胡緑蘭:これならこっちは素殴りでも行けそうかな
析了トオル:最後でもなさそうなコンビネーターだ、受け取ってくれジョジョ~~~!
胡緑蘭:続いて判定します。サイバーアームで攻撃
胡緑蘭:5dx+9+5
DoubleCross : (5DX10+14) → 6[4,5,5,6,6]+14 → 20
胡緑蘭:3d10+22+4d10+2d10
DoubleCross : (3D10+22+4D10+2D10) → 17[2,6,9]+22+22[1,9,4,8]+18[8,10] → 79
析了トオル:素殴りが強すぎる
GM:C(46-79)
DoubleCross : c(46-79) → -33
GM:体力1000あったのにもう死んだ……
GM:星徒コアトリクエ撃破です!
GM:でもまだこっちには特殊部隊がいるんだぞ
析了トオル:真ん中は闘士の皆さんにお願いしてもろて……
宮星イオリ:NPCカード:“天狼”及び闘士連合 これ使って特殊部隊を突破します
ヴァリエンテ警備保障生徒:ぐああああああああああ
GM:やられました……
宮星イオリ:それでなんか私の手番が空くので……えっと……
宮星イオリ:東に行くぜ
宮星イオリ:一人ならダメでも……二人だったらなんとかできるかもしれない!
GM:OK!では……
宮星イオリ:うおおおおおおお
GM:自動で判定失敗です。翻弄されるエルフの剣士になれ!
宮星イオリ:エーーーン
三部つゆり:イオリさーん~!
GM:MAPはご覧のようになります。

---
GM:ズ ズズズ ズ……
GM:異変が起きていた。
GM:あれだけの猛攻を受けて尚、まともな反応すら返さなかった星徒コアトリクエの巨体が、市街を破壊しながら移動を始めていた。
GM:傷口から引っ切り無しに血飛沫と芋虫を垂れ流し、立ち並ぶビルを破壊しながら、ゆっくりと前進していく。
GM:自ら何らかの意思を持って行動しているようには見えない。“イモータルコイル”による操作の結果か。
百代マリア:「なんだか……」
百代マリア:手庇をかざして
百代マリア:「こっちに来ていないかしら?」
析了トオル:「そういえばさっき、私の方をじっと見てた気がしますね」
胡緑蘭:「気に入られちゃったかな」
星徒コアトリクエ:びちゃびちゃと血と臓物を芋虫を撒き散らしながら、緩慢な動作で街が破壊されていく。
析了トオル:「……ちょっと照れますが、ノーサンキューということで。立ちはだかる以上は退いてもらいたいところです」
星徒コアトリクエ:被害範囲は更に広がりつつある。早急に止めねば、たとえこの戦いが終わろうとラス・ヴィダスが更地になりかねない。
百代マリア:「でも……どうやって?」
百代マリア:「丁度今、火力が足りないから撤退してきたところなのに……」
析了トオル:「あの星徒の肉体に、こちらの計算した結果通りの攻撃を行えれば、その時点で連鎖崩壊を狙えるのですが……」
析了トオル:「いやぁ、直接向かうのが先以上に手間ですね!チェックメイト間近なのですが……!」
胡緑蘭:「均一に分散していた幼虫達が、こっちに集まってきている」
胡緑蘭:「突破するのはさっき以上に至難の業って感じだね」
:そこに、声が響いた。「 はっきり言っておく。」
解良イノリ:影が。コアトリクエの周囲を覆うように広がる。広がる。広がる。
解良イノリ:「 一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。」
解良イノリ:ぎりぎりとそれらが伸び絡み編み合い、縛り付け封ずるように。
解良イノリ:「と、遅れました。同窓会一同の内、”パレーシア”…いや、こっちのがいいかな?」
解良イノリ:「”マスターオーダー”。解良イノリです。来援に来ました」
百代マリア:「マスターの……オーダーの人!?」
解良イノリ:「いや分かってるでしょ。きみが”マスターポルート”なのと一緒だよ!」
百代マリア:「初めまして。御機嫌よう、マスターのポルートのほう、百代マリアよ」
解良イノリ:「くっ独特の間…!うん、遅れましたが、そろそろ皆も到着するころだと思います」
百代マリア:「みんな……?」
解良イノリ:「あれは倒していいんだよね?星徒だし…、ああ」
解良イノリ:「新星N市。同窓会一同--卒業生から、在校生の皆様へプレゼントさ」
析了トオル:「ひえーっ、お久しぶりです。今回は悪さもしてないし特に何も偽ってないという事で……」
解良イノリ:「君もいたのかい析了さん…通報される身にもなってくれよ本当。今後もそうしてね」
胡緑蘭:「同窓会か。話は聞いてるよ、これ以上ない援軍が来てくれたね」
芦屋アサヒ:「──反省何より。例えば共同開発物で暴れまわるとか、やらかしてなければよいが」
析了トオル:「あっ…………」
析了トオル:「いや……」
析了トオル:「仕方なかったという事でひとつ」
析了トオル:「そ、そもそもケーキドラゴン作れるようにしたのは私じゃありませんし!責任もどこか別のところに行くはずです!」
芦屋アサヒ:和装たなびかせイノリに続くは黒髪鬼角の女傑。両の手で剣印を握り、ふつと空を切る。
芦屋アサヒ:「青龍・白虎・朱雀・玄武・勾陳・帝台・文王・三台・玉女」
芦屋アサヒ:九字を切るのと同期して、星徒を縛る黒い影に光が奔る。
芦屋アサヒ:街路を埋め尽くす白と黒がぶつ切りになり、寸断された区画の外側から順に肉蟲の再生産が強制終了されてゆく。
星徒コアトリクエ:解良イノリと芦屋アサヒの能力。魔術・呪術的な色を濃くしたそれは、物質存在から逸脱しつつある星徒に対し、特に覿面な効果を及ぼした。
芦屋アサヒ:「龍脈より溢れ星神生み出す星珊胚、なれば我が身の不徳も同然」
星徒コアトリクエ:街を埋め尽くす芋虫の群れが次第に力なく動きを止め、それに乗って動いていた星徒本体の進行も遅滞していく。
芦屋アサヒ:「六壬呪術高専、芦屋姉妹。助太刀させて貰おう」
芦屋コヨミ:その大きな影から、ひょっこりと出す顔が一つ。
芦屋コヨミ:「あの……姉さまに小旅行と聞いて付いてきたんですけどぉ……」
芦屋コヨミ:「うちの日常よりドンパチしてるし、治安大丈夫なんですか……?」
芦屋コヨミ:震えながら百代マリアに問いかけている。
百代マリア:「治安は今、ラス・ヴィダスの歴史上最悪ね」
百代マリア:「そんな時に……よく来てくれたわね」
芦屋コヨミ:「道はむ、蟲ばっかりだし……おっきいのもいるし……」
百代マリア:同窓会の面々に向けて頭を下げる。
百代マリア:「赫花連盟代表として、皆さんのご助力に感謝致します」
析了トオル:「生産停止状態……虫も動きを止めている……よし、今なら……」
解良イノリ:「まあ、メサイアだって大分酷いもんだったし…理事会の遺産、しかも”十字冠を破壊する兵器”の件だ」
解良イノリ:「学区に縛られてた時は難しかったけど、ま。そりゃあ行かなきゃいけないだろ?」
解良イノリ:「それに、いい演説だったじゃないか」私は好きだよああいうの、と笑っている。
百代マリア:「……はい。ありがとう、ございます」
百代マリア:赤い瞳が僅かに揺れ動いて、緑蘭の裾を小さく引く。
胡緑蘭:「ほら、やっぱりね。届くところにはちゃんと届くもんなんだよ」
百代マリア:「……先生……」
百代マリア:その顔を見上げて
百代マリア:「わたし……信じてよかったです」
芦屋コヨミ:「姉さま、なんか……雰囲気が……そこはかとなく……えっち……?」
星徒コアトリクエ:芋虫と血飛沫が噴き出し、街路を再び赤と白に染めていく。
星徒コアトリクエ:「……」
芦屋アサヒ:「うーむ、どちらを見ても教育に悪い絵面だ」
胡緑蘭:「まだまだ、ここからが正念場だよ」マリアに笑いかけた後、すぐに前を向く。
析了トオル:「コヨミさん、今のうちに玄女さんの方出してぶっぱなせますか!先生は狙った威力でこう……上手く殴ることは!」
星徒コアトリクエ:間接が軋む奇妙な音が漏れる。既に二者による拘束を破りつつある。
胡緑蘭:「さて、手は足りそうかなトオル」
胡緑蘭:「いいね、得意分野だ」
芦屋コヨミ:「え、ええっと……」
:「───勿論!」
九天玄女:芦屋コヨミの身体を黒が覆い、姿が変質する。
九天玄女:「っと……コヨミが忘れた挨拶しないと、姉さまに怒られちゃうわね」
九天玄女:「六壬総督府の長、九天玄女。小旅行がてらに参上したわ」
九天玄女:「それで、あの蟲をぶっとばせばいいのよね。勿論勿論」
九天玄女:「今はこっちにいないけど、美味しそうな勇者の匂いも向こうにするし……」
芦屋アサヒ:「お膳立てはばっちりだ。召し上がれ」引き篭もりの妹が友人を作る時間を稼ぐため、しかと敵を抑え込んでいる。
九天玄女:「───散歩がてらに吹っ飛ばす、わね!」
解良イノリ:「こっちもなにかやるんならそれまでは持たせるよ!きっちりやってね!」
星徒コアトリクエ:拘束を受けたまま、強引に動き出そうとしている。生み出した傍から芋虫が弾けて血煙になり、無理やりに動かす節足が軋んでへし折れる。
星徒コアトリクエ:茫漠たる微笑を浮かべたまま、みしみしと異音を立てながら夥しい血の津波が周囲に溢れかえる。
九天玄女:「神祇祭典、以下省略!」自らの龍尾に指を這わせて、抜き放つように振りかぶる。
九天玄女:「デカい建物大好きだけど、纏わりつくのは何事か!」
九天玄女:素人同然に力を籠めて、ぶんぶんと振り回し───
九天玄女:「太祖に請い願う」
九天玄女:「全部、焼いちゃえ───神解・雷雲之棲!」
九天玄女:荒々しく振り下ろされた刃から、雷鳴が落ちた。
九天玄女:暴力的な光が降り注ぎ、前方一帯、悉くを灰燼と化す。
星徒コアトリクエ:周囲に満ちた血潮が雷撃を伝導し、辺り一面が激しく光り輝いた。
九天玄女:「建物、被害は……あっ、ちょっとやっちゃった」
星徒コアトリクエ:街を呑み込み氾濫する濁流のごとき芋虫の群れが、一瞬で黒焦げの残骸と化す。
九天玄女:「調節って難しいわよね、でも液体零れてないから無問題?」
“イモータルコイル”:「オイオイオイオイオイオイオイ!!!」
“イモータルコイル”:屋上で声を荒げる
“イモータルコイル”:「次から次へゾロゾロと……!!」
“イモータルコイル”:「誰なんだよテメーらは!?!?」
“イモータルコイル”:「追加戦力は聞いてねェーんだよ!!!!」
析了トオル:「……今!先生!全力であの星徒の額を上部から30°の方向で殴りつけてください!」
析了トオル:「いや、計算上先生の全力から……3%ほど威力を下げて!それで完全に終わりです!」
星徒コアトリクエ:全くの無反応だった星徒が、初めて足掻くような反応を見せる。“イモータルコイル”による強引な操作の結果だ。
星徒コアトリクエ:全身を震わせ、纏わりつく拘束と生徒達を振り払わんとする。
胡緑蘭:「出した覚えなかったけど、私の全力も測定済みか。怖いねえ」言いながら、黒腕を地面へと叩きつける。
胡緑蘭:発生した斥力で空高く飛び上がり、空中でコアトリクエの頭部へと狙いを定める。
星徒コアトリクエ:空中の緑蘭に、コアトリクエが頭部を擡げる。
胡緑蘭:「大変だったね。ゆっくり休みな……さい!!」
星徒コアトリクエ:これまで攻撃的な動作は一切無かったが、機神の操作によって大きく口を広げ、喰らいつかんと襲い来る!
胡緑蘭:拳を振り下ろす寸前、黒い拳を力強く握り込む。
胡緑蘭:その動きと連動するように、コアトリクエの顎門が緑蘭の眼前で、外側から強い力で締め上げらたかの如く、無理矢理に閉じられる。
星徒コアトリクエ:「……!」
星徒コアトリクエ:ガチン!と人に近い臼歯が打ち鳴らされる音が響く。
“イモータルコイル”:「あ゛あ!?」
胡緑蘭:「良い子だ。ちょうどいい位置!」
胡緑蘭:晒された額へと、拳を叩きつける。
胡緑蘭:鐘を打ったような音。額は陥没も、ひび割れもしないが
析了トオル:「……先生の強烈な威力による打撃。そこから放たれる衝撃と、割り出した星徒の固有振動。それと全く同じものを、内部に打ち続けた振動弾頭に反応、発生させる……!」
胡緑蘭:針のように研ぎ澄まされた衝撃が外殻を貫通し、体内へと伝播する。
析了トオル:「そして、これらが完全に一致すると……どうなるでしょうか?」
星徒コアトリクエ:緑蘭の一撃とトオルの計算は、どちらも正鵠を射ていた。
星徒コアトリクエ:コアトリクエの全身がぼこぼこと内側から膨れ上がり、一気に限界に達して爆散する。
星徒コアトリクエ:血飛沫と芋虫とが周囲に溢れかえるが、それだけだ。幼虫の生産はそこで止まる。
“イモータルコイル”:「あ゛ァーーーーーーッ!?」
析了トオル:「やっ」
析了トオル:「っっった…………!」
“イモータルコイル”:「ざっっっっ……けんな!!!!」モニタを床に叩きつける
星徒コアトリクエ:残った芋虫も従者の性質を受け継いでいたゆえか、ただの血に帰って分解されていく。
星徒コアトリクエ:洪水後のように街を浸す大量の血は問題ではあるが、これ以上の被害は無いだろう。
百代マリア:「倒した……!」
胡緑蘭:「ふぅ、なんとかなったかな」
析了トオル:「はぁ……正直これで最終局面じゃないのがおかしいくらいですが、なんとか……!」
胡緑蘭:「みんなが駆けつけてくれたおかげだ。ありがとうね」
芦屋アサヒ:「先生もお見事。念を押して不浄はこちらで取り除いておきましょう」
解良イノリ:「いいえ。そうだとしても、来るまでちゃんと頑張った人達のお陰です」
解良イノリ:「そだね、そう言う後始末や後ろを抑えるのはこっちでやっておきますから」
九天玄女:「血を焼くと……被害増えちゃうか、なら私は寝るから、……あ、後で勇者ちゃんに会えそうだったら起こして……」
芦屋コヨミ:しゅうんと黒が消えて、姿は元通り。「……ええ……いや、頑張りますけどぉ……!」
芦屋コヨミ:「あの……なんだか大変そうですけど」
百代マリア:「本当にありがとう、皆。この恩は絶対忘れないわ」
芦屋コヨミ:「が、頑張ってください。こっちのご飯、まだ食べれてないので……小旅行なんだから、落ち着いたら食べて帰りたい……です」
百代マリア:「ええ! 勿論美味しいお店を紹介するわ」
百代マリア:「すごいのよ。50グラムしかないはずのお肉が何故か150グラムになっていて……」
芦屋コヨミ:「さ、三倍に……!とっておけば無限に食べ放題……?!」
解良イノリ:「詐欺だろそれは!」
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GM:戦火は尚も広がりつつあった。至る所で銃声と悲鳴が響き、物陰に隠れた生徒が引きずり出されては殺されていく。
GM:そんな中、緊迫した街を歩く数人の人影があった。
“天狼”白武ギンカ:「いやぁ……なんか大変なことになっちゃったねえ」
“天狼”白武ギンカ:“天狼”は鎧を解き、ジャージ姿で敵を探している。
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:「なっちゃったねじゃねえよ。相変わらず無茶しやがって」
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:その隣で、苛立った様子で周囲を見渡している。
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:「あークソッ、まだ頭ん中がガンガンしやがる」
“天狼”白武ギンカ:「あたしも結構ヤバかったよ。みんな大丈夫かねえ」
“天狼”白武ギンカ:「でも、何だか光栄ですよ。まさか“雷帝”と一緒に戦える日が来るだなんて」
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:堕天病の重度罹患者であるルシアは、今もイモータル・コイルからの干渉波に対抗している状態だ。
“雷帝”ミュリアン・アッシュフィールド:「あら。ふふん、そうでしょう?」
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:そしてそれは、より症状の重いギンカも同様だろう。
“雷帝”ミュリアン・アッシュフィールド:「あなたのことも知ってるわよ。確か……」
“雷帝”ミュリアン・アッシュフィールド:「『ミュリーが居ない間に1位だった』闘士でしょう?」
“天狼”白武ギンカ:その言葉に、ピクリと眉根が動く。
“天狼”白武ギンカ:「ああ~、ええ、そうですね。一応」
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:「……」二人の間に流れる剣呑な空気を感じ取り。
“雷帝”ミュリアン・アッシュフィールド:「ま、当然よね。この私がいないノヴァリス・ファイトなんて、きっと皆退屈しちゃったんじゃないかしら?」
“天狼”白武ギンカ:「……いや~、そんなこと無いですよ?」
“天狼”白武ギンカ:「ノヴァリス・ファイトのレベルは上がり続けてますし、選手の層は厚くなる一方です」
“天狼”白武ギンカ:「昔と今じゃ、もうまるで全然別物で比較にならないって言うか~(笑)」
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:「だぁ~!!お前らやめろ!いったい何しに来たと思ってんだ!!」
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:「喧嘩してーならスタジアムでやれ!」
“雷帝”ミュリアン・アッシュフィールド:「はぁああ……!? ルシア!!止めないで!!こいつケンカ売ってる!!」
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:「先に売ったのはどう見たってミュリーだろ……」
“天狼”白武ギンカ:「えぇ~(笑)全然そんなつもり無いですけど~(笑)」
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:「ギンカもわかってて煽るしよぉ……ハァ」
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:「大体な、お前ら忘れてんじゃねえのか」
“天狼”白武ギンカ:「ルシア、教えてあげたら?今のノヴァリス・ファイトにロートルがお遊びする場所は無いって」
“雷帝”ミュリアン・アッシュフィールド:「ちょっとルシア!!どっちの味方なの!?!?」
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:「アタシを巻き込むんじゃねえ~っ!!」
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:「大体!お前らは大事なことを忘れてんだって言ってんの!!」
“雷帝”ミュリアン・アッシュフィールド:「何よ!」
“天狼”白武ギンカ:「何さ」
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:「今のチャンピオンは、"天狼"でも"雷帝"でもなく!」
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:ビシッと親指で自分を指す。
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:「この"紅蜘蛛"ルシア様が率いる、『チームA.R.C』だろうが!!」
“雷帝”ミュリアン・アッシュフィールド:「……」
“天狼”白武ギンカ:「……へ~……」
“雷帝”ミュリアン・アッシュフィールド:「ルシア……なんか生意気じゃない?」
“天狼”白武ギンカ:「うん。生意気」
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:「あぁ~?」
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:「ザコが低い次元で言い争ってんじゃねえっての。闘士の品格が疑われんだろ!」
“雷帝”ミュリアン・アッシュフィールド:「ざっ……はぁあぁあああ~~~~~!?」
“雷帝”ミュリアン・アッシュフィールド:「ルシア!!言わせておけば~~~~!!」
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:「なんですか~?昔はどうだったか知らねーけど」
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:「二人共今はリーグ最下位のド新参じゃねえか。これをザコと言わずどう言えっつーんですか~?」
“雷帝”ミュリアン・アッシュフィールド:「キーーーーーッ!!信じらんない!!!」
“天狼”白武ギンカ:「お~お~……言わせておけばだねえ」
“天狼”白武ギンカ:「そんなに言うなら、前哨戦と行こうよ」
“天狼”白武ギンカ:「今日一番活躍したやつが1位ってことで。どう?」
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:「ギンカにしちゃあ悪くねえ提案だな」
ルシア・ジュゼ・ファーティマ:「今日一日で良いんだな?スタミナ勝負ならロートルのお前らには分が悪くなると思うぜ?」
“雷帝”ミュリアン・アッシュフィールド:「上等じゃない! ミュリーが負けるわけないけどね!」
“天狼”白武ギンカ:「おばあちゃんはゲートボールで、お子ちゃまは積み木で遊んでおけばいいって教えてあげるよ」
“天狼”白武ギンカ:「じゃあ行くよ。用意……」
“天狼”白武ギンカ:「スタート!」
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GM:市街東部からの通信が不可解に途切れたとの報を受け、つゆりとイオリの二名は現場へと向かっていた。
GM:赫花連盟の一団が進軍していたはずだが、現場には誰も残っていない。敵の姿もなく、ただ無人と化した街が静まり返っている。
GM:その時、ふ、と君達の頭上を、小さな影が通り過ぎる。
GM:ドローンだ。軍用に武装されたものでない、一般の撮影に使われるタイプのもの。
三部つゆり:「あれは…」
宮星イオリ:「どこかの放送部じゃないの。それよりも……」人気のない景色を見渡し、目を細める。
宮星イオリ:「……みんな転送されたの?」
GM:普段はビジネス街として人通りの多い区画だが、全く人の気配が無い。
GM:僅かな血の跡だけが残り、不気味なほどの静けさが漂っている。
三部つゆり:「…そう、なんでしょうか?だとしても、あんな混乱の中で誰もいない…?」
宮星イオリ:「……気味悪いわね。静かな場所だとは思ってたけど、これほどとは思わなかった」
三部つゆり:「ほとんど何もありませんね…この血痕位でしょうか」微かに残った血痕を調べようとする。
GM:その時。
GM:──ヒュパッ
GM:突如、つゆりの大腿部に穴が空く。
三部つゆり:「ぎっ、ぐぅっ……!?」
GM:痛みと驚愕によろめいた瞬間、今度はもう片方の足に穴が空く。
三部つゆり:脚から力が抜け、倒れ込む。「かっ、これは…!?」
GM:相変わらず、辺りは無音。敵の姿も無い。
宮星イオリ:「……!」つゆりを物陰へと突き飛ばすようにその場を離れながら、
三部つゆり:周囲を見渡すように転がりながら倒れ込む。
宮星イオリ:(狙撃。どこから)射線から推測できる射手の位置を見上げる。
宮星イオリ:(何もない。誰もいない……)息を殺し、耳を澄ませる。(……聞こえもしない)
三部つゆり:「ぎ、……いった……ぃ、な、もう…!」痛みから来る脂汗を浮かべながら、此方もニードルガンを抜く。
GM:つゆりの脚は何かに貫通されているが、現場には弾痕もない。
三部つゆり:「づ、ぅう……弾痕、は…無い……傷口は…」
GM:静かなプロペラ音を立て、またドローンが飛んでいく。
GM:再び、今度はイオリの腕に穴が空く。
三部つゆり:せめて何か分かれば、イオリさんに伝えられるのだけど。「…、イオ、リさ…!」
GM:……まるで敵の姿も、位置も、何をされているのかも分からない。
宮星イオリ:「ッ……、だから、何?」苦痛には慣れている。星あかりの輝きが増して、ビルの壁を蹴り上げてほとんど直角に空を飛ぶ。
宮星イオリ:そのまま、ドローンを叩き落とそうとする。(無関係なドローンなら、撃ち落とさない理由がない)
宮星イオリ:(敵の"目"なんじゃないの?これが)
GM:────ドチュッ
GM:イオリの読みは恐らく正しかった。だが、だからこそ。
GM:ドローンを破壊した瞬間、空中、胸に風穴が空く。
宮星イオリ:「か、っ……」文字通りに息が止まる。酸欠で朦朧とした意識が、地面に叩き落された衝撃で覚醒する。
三部つゆり:「イオリ、さん…!動け、る…!?」近くまでなんとか這って移動しようとしていた。
宮星イオリ:「……三、部」うまく声が出たかは分からない。来るな、と視線で伝える。
GM:イオリを助けようとしたつゆりのこめかみに、風切り音と共に切創が刻まれた。
三部つゆり:その視線に物影から出る前に止まる。
GM:……切創だ。穴ではない。頭部に向けた攻撃が、僅かに狙いを誤ったような。
三部つゆり:「つぅっ……、性格、悪いな…!」血で顔が濡れる。
GM:ドローンを落とした影響だろう。攻撃の手が俄かに緩まる。
GM:脱出するならば、今が好機だ。
宮星イオリ:ぎ、と悲鳴のように食いしばって駆け出す。視界を塞がれたつゆりの手を取って、
宮星イオリ:(この音。他の機体も近づいて来てる──けど、包囲され切るにはまだ)
三部つゆり:「あ、くっ……、」何とかOVの再生能力のお陰で、手を引かれれば前に倒れるようにとはいえ、進む事が出来た。
宮星イオリ:痛みを堪えながら手を引いて、思い切り走る。遺産の力を引き出せば、眩むほどの輝きが頭上を照らした。
GM:手を取り合ってその場を離れる姿を、接近するドローンのカメラ越しに眺める目があった。
三部つゆり:「…、」その光景に。足を引っ張るだけの自分が弾け飛べば、と思った。「…、ありが、と…!」せめて感謝くらいは。
???:「……お姉ちゃん……」
???:暗い部屋の中、小さな機械──『社会人』ですらない、ホームアシスタントロボットが声を発する。
???:「また敵なの?怖いよ、僕……」
???:円盤状の小さなロボット、備え付けられたスピーカーから、幼い男子の声が響く。
神鳥谷ツバメ:「……大丈夫よ」
神鳥谷ツバメ:人間味のないその表面を、一人の生徒が慈しむように撫でる。
神鳥谷ツバメ:「お姉ちゃんが、絶対」
神鳥谷ツバメ:「守ってあげるから」

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GM:負傷を受けて前進拠点へと戻ってきたつゆりとイオリの二人に、連盟の面々が治療を施している。
赫花連盟生徒:「……何があったんですか?お二人がこんなに……」
三部つゆり:「ドローン観測の隠密攻撃…だと思うんだけど…あいたた…イオリさんが居なかったら転送されるところだったよ…」
三部つゆり:「ありがとう。大分無理させちゃって……」
胡緑蘭:「二人が影すら見つけられないなんて、相当な手練れだね」
宮星イオリ:「……いや。根本的に何とか出来た訳じゃないし、怪我もさせてるし」視線をそらして応える。借りたジャケットの汚れを払いつつ。
宮星イオリ:「……どこにでもある、武装すらしていないドローンを使うのは」
宮星イオリ:「落とされても平気だから。目にさえなればいい、安くて替えが効くものを使ってる」
析了トオル:「ふむ、とすれば、間違いなく複数機の運用ですね」
三部つゆり:「それ言うなら食らいながらドローン壊したのも撤退したのもイオリさんのお陰だから…、いたぁっ」目の近くに消毒液が染みた。
析了トオル:「あらゆる方向の目となり、侵入者を精密に撃つ。本体が何処かに潜むとして、動的なのはドローンだけ……」
宮星イオリ:「致命になるポイントは別の所にある。……少なくとも私の耳と目じゃ、見つけられなかった」
三部つゆり:「普段は穴開けてたけど、失敗時は私のこめかみみたいに切創になってたから…多分刃物か何かなのかな…傷口の分析結果待ちかも」
宮星イオリ:「何やってんの……」これで拭けとばかりにタオルを押し付けている。
三部つゆり:「あはは…ありがと」受け取って拭いている。
析了トオル:「イオリさんに見つけられなかったというのは大きな情報です。索敵精度で言えば私の持つセンサー以上ですから」
宮星イオリ:「指定した座標空間に穴を開けるとかかもあり得るんじゃないの、知らないけど」
胡緑蘭:「イオリの耳に入らないくらい遠くってなると、それこそラス・ヴィダスの外側くらいからじゃないと無理そうだけど」
胡緑蘭:「それだけ距離が離れてたら、ドローンの観測ありでもそこまで精密な攻撃ができるかは疑問だね」
析了トオル:「さて、その場合どう対抗手段を組むかですね。実のところ、イオリさんの聴覚、危険感知に対する音声、気配の完全遮断の線もありますが……」
三部つゆり:「そう言う空間系か、もしくは元々音を消せる空気操作、振動操作系もあるかあ…ううん、ちょっと調べないと…」
析了トオル:「ともあれ、相手は隠れるのがお得意という訳です。時間もありませんが、調べておく必要がありますね」
宮星イオリ:「一応言っとくけどそんなに広いわけないでしょうが。……概ねは同意見だけど」
胡緑蘭:「えっ、そうなんだ。イオリの能力ならそれくらいやれると思ってたけど……」
胡緑蘭:「あれかな、雑念が多いんじゃない?今度良い瞑想のやり方を教えてあげよう」
宮星イオリ:「……雑念って。そもそも、わざわざ聞こえる範囲広げたくなるようなもんでもないわよ」
宮星イオリ:「アンタもいっぺん同じくらい聞こえる身になったら分かるんじゃないの」
GM:その時、俄かに辺りにざわめきが生まれる。
GM:見れば、ヴァリエンテ警備保障の制服を来た一団が、君達の元に近づいてきている。
ヴァリエンテ警備保障生徒:「……待って!」数人の生徒が、両手を上げてゆっくりと歩いてくる。
ヴァリエンテ警備保障生徒:「戦闘の意志は無い。少し話をさせて!」
析了トオル:「む……」
宮星イオリ:「……確かに、そうみたいだけど」武器はこちらに向いていないし、そういう殺気も感じられない。
三部つゆり:「…どう言う用件なんだろ…?」
宮星イオリ:「じゃあ、何。同僚をやられた文句でも言いに来たの?」
析了トオル:「武器の携帯は見たところなし。警戒は必要ですが、お話を聞く分には問題ないでしょう」
ヴァリエンテ警備保障生徒:連盟員に囲まれながら、君達のもとまで歩いてきて。
ヴァリエンテ警備保障生徒:「……宮星イオリさんですね?」
胡緑蘭:「うんうん。同じ学校の仲間なんだ、戦わなくて済むに越したことはないよ」
宮星イオリ:「……」嫌そうな顔をする。ヴァリエンテで、私を名指しってことは、誰の仕業かは明らかだ。
宮星イオリ:「そうだけど?」
ヴァリエンテ警備保障生徒:「お姉さんから、お手紙を預かってます」
ヴァリエンテ警備保障生徒:一通の封筒を差し出し、「……それから、テレビは受信できますか?」
析了トオル:「あっはいはい、問題なく!チャンネルはこれで問題ないですか?」
宮星イオリ:「はっ」冷ややかに笑う。「こんな状況で、上司のために郵便配達してんの?アンタらは」
析了トオル:ホログラムをついと指で動かし、皆の見える位置に展開する。
ヴァリエンテ警備保障生徒:「……イオリさん」じっと君の顔を見て「お願いします」
宮星イオリ:「……分かったわよ」
宮星イオリ:手袋に覆われた手で封筒を受け取り、開く。
GM:その時、ずっと試験放送の状態だったテレビ画面に、どこかの放送室に立つ宮星シホが映し出される。
宮星シホ:「皆さん、初めまして」
宮星シホ:緊張の面持ちで頭を下げる。
宮星シホ:「この度、新たにヴァリエンテ警備保障の社長に就任しました、宮星シホと申します」
宮星シホ:「ヴァリエンテの名を聞き、眉を顰めた方も多いでしょう。ですがどうか少しだけ、私の話を聞いてください」
三部つゆり:(この人が)と、その姿を見る。あの時のイオリさんの声と姿を覚えている。手汗が滲む掌を握る。
宮星イオリ:「……」それ以上悪態が出てくる事もなく、黙って手紙に視線を落とす。
宮星シホ:「私は商業区の生徒です。今言った通り、ヴァリエンテ警備保障の社員として働いてきました」
宮星シホ:「商業区の基準から言えば、余り良い生活をしているとは言い難いです。家賃の振り込みが滞ることも多々あります」
宮星シホ:「けれどその生活も、スラム地区の暮らしとは比較にならないほど恵まれていることも分かっています」
宮星シホ:「……ある時、一人の友人からこんな話を聞きました」
宮星シホ:「商業区の人間は、誰もが一本の螺旋の塔を登っているようなものだ、と」
宮星シホ:「その塔の天辺は下層からは伺えもしないほどの遥かな高みにあって、誰もがひしめき合う階段は、一段登るにも命懸けです」
宮星シホ:「塔の最上段の生徒は全てを見下ろしているように見えて、結局はその座すら、頼りない石段に過ぎない」
宮星シホ:「誰もが簡単に足を踏み外し、一瞬で最下段まで転がり落ちる」
宮星シホ:「そう話した友人もまた、私の目の前で些細な失敗をして、塔から落ちていきました」
宮星シホ:手紙には、生真面目な文字でイオリへの文章が書かれていた。
宮星シホ:『イオリへ』
宮星シホ:『突然こんなことになって、ごめんなさい。貴方に何も相談しなかったこと、申し訳なく思っています』
宮星シホ:『けれどもし言えば、貴方のことだから、きっと私を止めたでしょう』
宮星シホ:「私はヴァリエンテにおいて、警備部の主任を務めていました」
宮星シホ:「ヴァリエンテ警備保障は、ラス・ヴィダスの治安を担う役割を持ちながら、営利を目的とした企業です」
宮星シホ:「私も、生活の為、立場の為、数えきれないほどの悪徳を、目の前で見逃してきました」
宮星シホ:「しかし、警備部主任として総和重工に立ち入った時、知ってしまったのです」
宮星シホ:「総和重工社長、デリア・ヴァルタースキルヒェンの陰謀を」
宮星シホ:「彼女は、総和重工と“協会”の力によって、このラス・ヴィダスを破壊しようとしています」
宮星シホ:「先ほどあった放送も、全てはこの学区に混乱を生み出すための方便に過ぎません」
宮星シホ:「しかし、私はあまりに無力です。社長の座に就き、その立場でこのような席を設けることの他に、告発の手段がありませんでした」
“イモータルコイル”:「……何をやってる?」
“イモータルコイル”:本社ビルの屋上、低声で部下に指示を出す。
“イモータルコイル”:「さっさと『殺し屋』を呼べ」
“イモータルコイル”:「こいつを黙らせろ」
宮星シホ:『あなたが本当はとても優しい子だということ、私はよく知っています』
宮星シホ:『普段の態度も私を遠ざけようとしてのことだと、よく分かっています』
宮星シホ:『分かっていながら、何もしてあげられなかった私を許してください』
宮星シホ:『誰より傷付いているのは、本当はあなただというのに』
宮星シホ:「“マスターポルート”は──」
宮星シホ:「自らが君臨すべく塔を造り上げ、しかしその足場の不確かさには気付きませんでした」
宮星シホ:「塔は、一度は主を失った。けれど私達は……再びその塔を登ることを選んでしまいました」
宮星シホ:「同じ痛みが繰り返されることを知りながら、他人を踏みつけにして階段を登りつづけることを選んだのです」
宮星シホ:「ラス・ヴィダスは、呪われた学区と呼ばれます」
宮星シホ:「その通りだと思います」
宮星シホ:「“マスターポルート”はもう居ません。けれど私達は、あの男が残した呪いに、今でも囚われ続けている」
宮星シホ:「私達は、もう、塔から出るべきなのです」
宮星シホ:「八月革命のあの時に、本当はそうしておくべきだった」
GM:放送に、くぐもったような音が断続的に混ざり始める。
GM:それは、閉ざされた扉を叩くような打撃音だ。
宮星イオリ:「…………、放送室は」
宮星イオリ:「放送室は、どこ」
宮星イオリ:近くにいたヴァリエンテ警備員の胸ぐらを掴む。
宮星イオリ:「アンタ達だったら、聞いてるんでしょ……あの人の居場所……っ」
ヴァリエンテ警備保障生徒:「……今は」表情を歪める。全てを聞いた上でここに来たのか。
ヴァリエンテ警備保障生徒:「聞いてあげてください」
宮星イオリ:「……ッ」
宮星シホ:「……今戦っている、ヴァリエンテ警備保障の全ての社員に告げます」
宮星シホ:「私達は、ずっと間違ってきました」
宮星シホ:「正すべき悪徳を正さず、見逃さざる罪を目の前で見逃してきました」
宮星シホ:「金の為。立場の為。家族の為────」
宮星シホ:「私もそうでした」
宮星シホ:「けれど、今一度思い出してほしいのです」
宮星シホ:「もっと簡単に稼げる仕事は、商業区にはいくらでもあったはずです」
宮星シホ:「もっと簡単に出世して、疲れない、手も汚さない仕事は他にもあったはず」
宮星シホ:「けれど、この仕事を選んだ。その始発点に立った時の気持ちが、一体どんなものだったのか」
宮星シホ:「自らの正義と信念を、もう一度思い出してください」
GM:物音はいよいよ激しくなり、軋むような音が混ざり始める。
宮星シホ:『あの、八月革命の時』
宮星シホ:『私はあなたがそんな戦いに身を投じているなど、それまで全く知りませんでした』
宮星シホ:『私は気付けなかった、何も出来なかった自分を恥じ』
宮星シホ:『そして、あなたをひどく叱りましたね』
宮星シホ:『今でも、私はあなたに危ないことはしてほしくないと、心の底から思っています』
宮星シホ:『けれど、本当のことを言えば』
宮星シホ:『私がいくら止めようと、誰かの為に飛び出していってしまうあなたのことを』
宮星シホ:『私は、とても尊敬しているのです』
宮星シホ:『イオリ、あなたの姉でいられることは』
宮星シホ:『私にとって一番の誇りです』
GM:扉が破られる音。映像が乱れる。幾度かの銃声が響き、無理やりコードが抜かれたように、そこでぶつりと放送は途絶えた。
GM:後には元のように、無味乾燥な試験放送の画面が戻ってくる。
宮星イオリ:「あ……あぁ……っ」
宮星イオリ:「違う……違うでしょ、そんなの……」
宮星イオリ:「……何も、してあげられなかった、なんて……」
胡緑蘭:「……」常通りの細めた眼で、狼狽するイオリを見る。
宮星イオリ:「貴方がいなかったら、私は……私、は」
宮星イオリ:……自分が受け取っているものの大きさくらい、分かってた。感じていた。こうして言葉にされなくたって。
宮星イオリ:彼女が必死に塔に登ったのは、そこでなければ私が生きられなかったからだ。も、誇りや信念を蔑ろにしてでも、そうした。
宮星イオリ:宮星イオリは愛されていた。……そんなこと、とっくに知ってる。
宮星イオリ:「……だからこそ……もう、あれ以上、一緒にいられないと思ったんだ」
宮星イオリ:「どれだけ……どれだけ、考えても」
宮星イオリ:「貴方のために私ができることは……私が私であるうちに、傍を離れる事だけだって」
宮星イオリ:「それしか、見つからなかったから……」
宮星イオリ:ずっと……何かを返したかったのだと思う。これだけ多くのものを自分にくれた人に。
ヴァリエンテ警備保障生徒:「……宮星イオリさん」
ヴァリエンテ警備保障生徒:数人の生徒が、君の元に屈み込む。
宮星イオリ:「……分かってる」
宮星イオリ:「これが、あの人のやりたかった事なんでしょ」
ヴァリエンテ警備保障生徒:その言葉に頷き、
ヴァリエンテ警備保障生徒:「我々は主任…… あなたのお姉さんの部下です」
ヴァリエンテ警備保障生徒:「シホさんから、あなたのことは聞いています」
ヴァリエンテ警備保障生徒:「微力ながら、我々にも共に戦わせてください」
宮星イオリ:「……正直さ、ちょっと過保護な人だったから」
宮星イオリ:「生きてここから逃げて、なんて言われたら。それこそ、どうしようかと思ってた」
宮星イオリ:「……良かったよ。そっちの道なら、喜んで選べる」
胡緑蘭:「なら、イオリ」待ち構えていたように発したその声色は、普段通りの軽薄さで
胡緑蘭:「君が今、一番やりたいことは何かな」
宮星イオリ:ふう、と息を吸って。その瞳を見返す。
宮星イオリ:「……2年前に挫折したことの、リベンジ」
宮星イオリ:「この学区の秩序を守る、だけじゃなくて」
宮星イオリ:向き合うことにする。はじめに赫花連盟としての戦いを始めたときに、描いていた理想と。
宮星イオリ:「この学区を変える」
宮星イオリ:「ラス=ヴィダスの明日を、昨日よりも素敵なものにする」
宮星イオリ:「それが、今の私の……ううん」
宮星イオリ:「私達の、欲望」
胡緑蘭:「いいね」愉しげに口の端を歪めて。
胡緑蘭:「実に、君達らしい、無謀で、欲張りで」
胡緑蘭:「素直な願いだ」
GM:NPCカードが使用されました。
NPCカード
宮星シホ
シナリオ中に1回のみ使用可能。このカードを使用された以降は、ミドル判定においてヴァリエンテ警備保障のエネミーが出現しない。
GM:NPCカードが追加されました。
NPCカード
ヴァリエンテ警備保障
シナリオ中、PC全員が与える攻撃のダメージに常に+10する。
GM:その時、一人の生徒が君達の元へと駆け込んでくる。
立野スズコ:「……あっ、いたいた!皆さーん!」
立野スズコ:「大変なんです、大変……はぁっ……はぁっ……」息を切らして
析了トオル:「む、今凄くいいところだったのですが……如何しましたか?」
宮星イオリ:あ、と息を吐いてそれとなくタオルで目元を隠している。
三部つゆり:なにを言えばいいか、ひどく口元が上手く動かなかった。綺麗で、素敵なものだと思って、だからこそいつも過去の事で動いてきた私には眩しくて。「…あ、立野さん…どうしたの?」
立野スズコ:「そうなんですか? ……あっ、そうなんです!」
立野スズコ:「……ジナさんが見つかったんです!すぐに来てください!」
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GM:ラス・ヴィダス大聖堂は混乱の最中にあった。
GM:夥しい怪我人が他に行く場所もなく詰めかけ、運び込まれ、聖堂から大幅に溢れ出して地べたに寝かされている。
GM:無数の呻き声が幾重にもこだまする中を、それよりずっと少ない連盟員たちが必死に駆け回って治療に当たっている。
立野スズコ:「戦えば戦うほど、堕天病が広がっていって……もう完全にパンク状態なんです」
立野スズコ:足の踏み場も無い中を、おっかなびっくり歩いて行って
立野スズコ:「これでも全然収容すら出来てなくて……あっ、あそこです!」
析了トオル:(これは……急がねばなりませんね。治療法の確立ができなければ、戦いに勝ててもその後が無い)
五百機ジナ:ベッドどころか毛布も足りないのか、ありあわせのバスタオルの上に、五百機ジナは寝かされていた。
五百機ジナ:ひどく顔色が悪く、滝のような汗をかいている。
五百機ジナ:そして頭上の十字冠は、完全な黒色へと染まりつつあった。
百代マリア:「ああ……来てくれたのね、皆……」
三部つゆり:「…、立てた予測だと確かに数時間で激化するとはなってたけど、数字と実際のそれを見ると…、う」
百代マリア:ひどく疲れた様子で君達を見る。
析了トオル:「状態は……聞くまでも無いですね。互いに、心身共限界に近い」
宮星イオリ:「……無茶してるのね」マリアの顔色を見る。この状況で、そうすることを止めるわけにもいかないけれど。
百代マリア:その顔は、呪いによる汚染が片目にまで広がっている。相当能力を酷使したのだろう。
宮星イオリ:「ジナは……いや」
宮星イオリ:「アンタも含めて、ここの皆、後どれくらい保ちそうなの」
百代マリア:「……適切な治療が与えられるか、という意味であれば」
百代マリア:「とっくにここはパンクしているわ。けれど皆オーヴァードだから」
百代マリア:「そう簡単には死なない。知っての通り、堕天病にそこまでの即効性は無いわ」
百代マリア:「でも、ジナは別」
百代マリア:苦しむその顔を撫でて
百代マリア:「劇症型の堕天病……それも、脳を中心にひどく侵蝕されている」
百代マリア:「このままだと、何時間も保たないわ」
三部つゆり:「…ぐぅ…」あんな大言を誓っても、本当にできることなんてあまりに少なく、手は届かない。ずっと見ていなかっただけで、現実はずっとそうだった。
宮星イオリ:他の子達と違って、外部からの感染ではなく、恐らくは口封じとして体内に仕込まれていたものだ。症状に差が出るのも当然だったのかもしれないが。
胡緑蘭:「なら尚更、私達も急がなきゃいけないね」
三部つゆり:「何か……何か、無いのか…、あの現代魔術とかを今あるもので緩和する方向に組み替えるとか…それこそ欠けたものを補う何かが…」ぶつぶつと呟く。必死に頭を回転させている。
百代マリア:「ひとつ……助ける方法があるとすれば」
百代マリア:「トオルの言っていた、『堕天病の治療法』を見つけるくらいね」
胡緑蘭:「トオル。もし仮に、この先で足りない材料……例の遺産が手に入ったとして」
胡緑蘭:「数時間の間に完成させられるものかい?『堕天病の治療法』は」
析了トオル:「……部員の皆さんのおかげで、当初に示されている材料はおよそ数十人分くらいでしょうか。まずはその程度はあります」
析了トオル:「そして、工程を鑑みるに製作にはそこまで時間が掛かるものではありません」
宮星イオリ:「……だったら、やっぱり遺産探しを優先しましょう。本当に治療法が見つかれば、ノドスを倒すよりも事態の収拾は進むはずだし」
三部つゆり:「…となると問題は、遺産と、欠けた最終行程の情報か…」
析了トオル:「ただ、遺産もそうですが。最後のピースが未だ欠けています……完全な空欄」
百代マリア:「そのことだけど……見て」
析了トオル:「データのサルベージは未だ続けている最中ですが……む?」
百代マリア:そう言って、ラス・ヴィダスの地図を広げる。
百代マリア:「まず、ここが今までに捜索済みの地区」
百代マリア:スラムを中心に地図を塗り潰す。
百代マリア:「そして、この辺りが……」
百代マリア:何ヵ所かを塗り潰して
百代マリア:「今日の戦闘や爆撃で破壊された部分」
百代マリア:「そして、ここが……」
百代マリア:商業区の中心部を大きく塗り潰し
百代マリア:「あの白い星徒に破壊された部分」
百代マリア:塗り残しの箇所は、大幅に少なくなっている。
百代マリア:「他学区に運び込まれていたらお手上げだけど、もしもこの学区内に居るとしたら……」
析了トオル:「……本人に直接会えるかもしれない、ですか」
百代マリア:「今なら見つけられるかもしれない。その……きゅ……キュウリ……」
宮星イオリ:「……確かに、本人を捕まえるのが一番早いのか。それで」
析了トオル:「キュッリッキ・メラスニエミ……私もリッキーさん呼びなので、それで構いませんよ」
宮星イオリ:「前に言ってた通り、その研究を敵が危険視してたのなら」
宮星イオリ:「別学区になんて置かない。目の届く所にするでしょ」
GM:判定が可能になります。
判定
・キュッリッキ・メラスニエミを見つける
《知覚》または任意の《情報》難易度70 エフェクト使用可
析了トオル:インスピレーションの使用は可能ですか……?
GM:可能です!
析了トオル:使います!残り回数は1!
GM:では判定はクリアです。
析了トオル:侵蝕は151
GM:トオルさんはメラスニメミの居場所を見つけることが出来ます
析了トオル:「……爆破された研究所には何人ほど在籍し、行方不明になったのは最終的にどの程度の人数ですか?」
百代マリア:「えっと……」
析了トオル:「ニュースのままでしたら構いませんが、齟齬があってはいけませんので」
赫花連盟生徒:「研究員だけで32人。一般職員も合わせれば45人」
赫花連盟生徒:「その全員が今も行方不明になっています」
析了トオル:「つまり、それだけの人数を隠して収容できる場所が必要という訳です」
析了トオル:「この時点で小さな建物は除外できる……のですが、地下構造体は残った近辺に存在しますか?」
赫花連盟生徒:「……それだけの規模は……」頭を捻る
宮星イオリ:地図に目を落とす。「……私の知ってる限りはないわね。すごい防音措置がされてて秘密裏に作られてるとかだったら知らないけど」
GM:ではそうですね……トオルさんは
GM:地図を眺め、建物の配置からラス・ヴィダス建設当初の都市計画を推測。
GM:本来であれば現在の鉄道の他に地下鉄の敷設が計画されていたのではないか、もしそうだとすればどの辺りに路線と駅が建設されたのか、
GM:計画途中で放棄されたであろうそれらの位置を直感的に察知することが出来た、としましょう
析了トオル:「堕天病の解決方法に辿り着きかけたのは最近です、地下の急造はどうしても隠し切れるものでは無いでしょう。物音などの奇妙な噂が立ちますが、調べた限りでは存在しません。つまり……」
析了トオル:「地上か、生徒が知る前に地下に放逐されたもの。その上で、今地上図を粗方調べましたが、地上に収容できそうな施設は発見できませんでした」
百代マリア:「でも……地下にもそういうのは無いんでしょう?」
百代マリア:「!! まさか……」
百代マリア:「空……」
析了トオル:「……は、流石にバレバレですね」
百代マリア:「大きな飛行船を飛ばして……」
百代マリア:「違った」
宮星イオリ:「迷彩するにしたって、雨とか降ったらどうするのよ」
三部つゆり:「いやそれだと逆に痕跡が目立つんじゃないでしょうか…、となると…地上と空はなし、別学区もないなら…」
析了トオル:「……さて、ラス・ヴィダスの地理について以前調べたことがありますが、当初の都市計画では地下鉄の予定があったと見ています」
胡緑蘭:「へえ、すごいね。見ただけでそんなことまでわかるんだ」
析了トオル:「はい、あくまで軽くだったので、思い出したのは今ではあるのですが……」
三部つゆり:「同窓会…というか郷土史愛好会の鉄道も大体は地下鉄だし、やっぱり汎学区規模でそう言う計画があったのかな…」
宮星イオリ:「え……何、なんか」
析了トオル:「とはいえ、途中放棄。データもほとんど残っていない。最終的な場所も見当がつきませんでした、が……」
宮星イオリ:「いきなり出そうとしてない?答えを……」
宮星イオリ:すっかり脚を使って調べ回る気でいたのでトオルさんの切り出す話の流れにぎょっとしている。
析了トオル:「地上の鉄道と相関させて、どの位置に配置すれば利便性が高いか、集客、利益を得られるか」
析了トオル:「無論、廃棄されたものですから。最終的にそこまでは見込めなかったものと考えて……」
析了トオル:「で、その位置に印をつけていくと……」
析了トオル:連盟生徒に指示を出しながら、地図に赤線を入れていく。
析了トオル:「ひとつだけ。被害に会っていない地域に辿り着きます」
GM:商業区の中心付近、現状の地上路線から少し外れた位置に印が付けられる。
百代マリア:「……ここに……?」
胡緑蘭:「総和の本社とも近いね。寄り道にならずに済みそうだ」
析了トオル:「無論、理屈の大半は私の勘です。信じるかどうかは皆さん次第ですが」
三部つゆり:「……かなり剛腕ですけど、論理展開を聴くと確かに一番あり得そうなのは…ここですか」その能力に感嘆の吐息を零す。
胡緑蘭:「どのみち、今から総当りしてたら日が暮れても終わらない」
胡緑蘭:「トオルの推理に賭けてみる価値はあると思うな」
三部つゆり:「時間ももう僅かですからね……」
宮星イオリ:「もし外れてたら2番目にトオルがありそうだと思った場所に行くだけだし」
宮星イオリ:「とりあえず行動、でいいんじゃないの。……いいよね?」
百代マリア:「分かったわ」頷いて
百代マリア:「車を手配するわ。お願いね、みんな」
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GM:果てして、析了トオルが推察した通り。
GM:商業区の中心付近にあって、高架橋の下、『関係者以外立入禁止』の扉を潜ると、長い下り階段が待っていた。
GM:階段を下りきると、そこには埃臭くだだっ広い地下空間が広がっていた。ライトを点けると、それは確かに地下鉄の線路であった。
立野スズコ:「ほっ……本当にありましたよ!?」
立野スズコ:「トオルさんって……もしかして天才なんですか!?」
宮星イオリ:「ノイマンに向かってそれ言うの逆に煽りみたいにならない?」
析了トオル:「……どうでしょうね、本当に天才であるのなら、堕天病の治療法も既に見つけているかもしれません」
析了トオル:「その点、私よりもリッキーさんは正に天才のそれでした。しかし辿り着く寸前にまで至って……台無しにされた」
析了トオル:「全く、許せる話ではありません。私に向かってあんなに近く完成を楽しみにした笑顔を見せていたのに」
三部つゆり:「本当に台無しになったかは…まだ分からないですよ。探しましょう…少なくとも、地下空間はここにあるんですから」ライトを付けて、探索を始める。
宮星イオリ:「一応、気をつけてよ。警備の戦力がいるかも……聞こえる限り、そういう気配はないけれど」
GM:暗闇の中、君達は灯りを頼りに進んでいく。完全に封鎖された環境なのか、空気の流れも感じられない。
GM:砂利と枕木を踏み分けて、十分ほど歩いた頃だろうか。
析了トオル:「へえ~」
析了トオル:突如、トオルの耳元から自身の声が響いた。
析了トオル:「まさかここまで来るとはね」
析了トオル:「うわっ私の声!録音で知ってはいましたが直に耳元で聞くとなんだか気持ち悪いです!」
胡緑蘭:「トオルが二人…?この手口はもしかして……」
三部つゆり:「トオルさん!?」振り返ってライトで彼女の周囲を照らす。
宮星イオリ:「……また出たの」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「あっはっは!」
析了トオル:「どうも、しばらくぶりですね」
析了トオル:「……っていうか、私の身体に擬態して不便じゃないですか?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:姿は析了トオルそのもの。だが、自らの二本の足で立ち、愉快そうに笑っている。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「全然?ほらこの通り」
ザイラ・ザヴァッティーニ:片脚を上げてI字バランスをしてみせる。
析了トオル:「……って思ったら立ってる!プライドとかないんで……きゃっ、私の格好でそんな……」
胡緑蘭:「エグザイル能力で外見を弄ってるだけだもんねえ。さもありなんか」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「それより、一体どうやってここを見つけたのかな?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「析了トオル、君の仕業?」
析了トオル:「どうやってといえば……」
析了トオル:「データと勘です」ぴ、と指で指して。
析了トオル:「そして、貴女が居る以上正解だったようですね」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「アハハハ! すごいねえ」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「怪奇現象探査部……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「この世に隠された本物の神秘を見つけ出す……だっけ?」
析了トオル:「はい、それが如何しましたか?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「一度聞いてみたかったんだよ」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「私はずっと、真実を隠したり、捻じ曲げたり、新たに作り出す仕事をしてきたんだ」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「君はそうやって、隠されたものを暴き出したり、未知のものを探し当てるのが得意みたいだけど……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「もし、仮に君が、君の求める『本物の神秘』を見つけ出したとして」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「それが君にとって、都合の悪い、目を背けたいようなものだったとしたら……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「その時、君はどうする?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:君と同じ顔で立ち、目を細めて問う。
析了トオル:「ふむ」
宮星イオリ:「……あんまりこいつの話に真面目に乗らないほうがいいと思うわよ」敵意を隠さないまま、横から水を差すように言う。
宮星イオリ:「そうやって自分のペース作って不意打ちかますのが常套手段みたいだし」
析了トオル:小さくくすりと笑って、塗装された空を見上げる。
析了トオル:「ふふふ、前も似たようなことを聞かれましたね。ミクトランで。あの時は……」
析了トオル:「"真実を知れば、必ず後悔する"。でした。その時は"それを決めるのは私達である"……といい感じに決めた記憶があります」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「ふーん?」首を捻る
析了トオル:「さて、今回はそれよりさらに先。『本物の神秘を見つけたら、それが目を背けるようなものであったら』」
析了トオル:「……うん、それはそれでいいんじゃあないですか?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「どうして?君がずっとやってきたことが、そんな結果に終わってもいいっていうの?」
析了トオル:「そんな結果とはまた言いますね。そもそも見つけ出した時点で、都合悪くてもかなりの達成感だとは思いますが……」
析了トオル:「そも、都合が悪くてもそれが真実ならば真実として受け取るべきでです」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「これまで私に依頼してきた人達は……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「皆、そういう真実を何とかして隠そうと必死だったけど?」
析了トオル:「人それぞれでしょう。私はそうでないというだけです」
析了トオル:「隠したいものがある人がいる。それ自体は否定しません」
析了トオル:「ですが、私はあくまで先に述べた通りに、というだけ」
析了トオル:「真実として受け取り、その上で───どうするかまた決めましょう」
析了トオル:「何、人生最大の大目標を達成した後です、ならば暇も余っているというもの」
析了トオル:「例えばそれが人類に害を為すものであれば、取り除かなければいけませんし……」
析了トオル:「後、そうですね。これも言っておかないと」
析了トオル:「いくら都合の悪いものが最後に待っているとして、そこまで歩んだ過程は、決して無駄にはなりません」
析了トオル:「きっと、私は最大限楽しむ選択をして、苦難であっても進んでいくでしょう」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「……成程、そっか」
析了トオル:「だから、本物の神秘の正体が、都合の悪い、目を背けたいようなものだとして……」
析了トオル:「その時に言う言葉は、最初から決まっています」
析了トオル:「"楽しかった"」
析了トオル:「……きっと、私は笑顔でそう言い放つでしょう」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「全部、楽しいからやってるんだね。君は」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「よく分かったよ」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「じゃ、行こっか」
ザイラ・ザヴァッティーニ:言って、君達に背を向けてスタスタと歩き出す。
析了トオル:「あら、なんだか素直……」
宮星イオリ:(…………)
宮星イオリ:(……え、普通に問答していっただけだった……)
三部つゆり:「………?えっ……」目を丸くしている。一応警戒は続けつつ付いて行く。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「あれ……どうしたの?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「助けに来たんじゃないの?友達」
宮星イオリ:「……この状況でアンタが配置に付いてるってことは、それだけ重視してたんじゃないの? この場所のことは」
胡緑蘭:「ふむ……」
析了トオル:(とはいえ含みのある問。何かありそう、ですね)
析了トオル:「ああいえ。勿論行きましょう。ですが……うーん……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「ああ、そうだけど……」
析了トオル:「やはり私が歩いてると違和感ありますね、車椅子とか準備出来なかったんですか?」
胡緑蘭:「まあ、確かに"殺し屋"が殺した後のアフターケアまでするのは変な話かもね」
宮星イオリ:「来たやつを好きに通せる立場なわけ? アンタが?」まだ信用していない顔。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「いや、私はここの警護が仕事だよ」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「一度受けた仕事は最後まで責任を取ってやり通す。それが私のルールだけど」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「ラス・ヴィダスが無くなっちゃったら仕事どころじゃないじゃん」
ザイラ・ザヴァッティーニ:肩を竦めて
胡緑蘭:「なるほど。現実的だ」
三部つゆり:「……た…確かに筋は通ってる……そ、それはそうなのかな……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「後金払ってくれそうな感じも無いし……」
析了トオル:「何も無くなれば殺し屋としても商売あがったりという訳ですか、成程成程」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「それに、君達も結構面白いしね。……あ、着いたよ」
GM:ザイラの案内で、君達は建設途中の駅らしき場所に辿り着く。
GM:広いスペースだ。電気が通っており、古い工具類などがそのまま放置されている。
GM:そしてそこに、軟禁されているらしき生徒達の一団の姿があった。
キュッリッキ・メラスニエミ:「……えっ……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「……トオルくん!?」
析了トオル:「ふふ……お待たせしました!そして隣は分身した私です、驚きましたか?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「いや驚かないよ!ずっとそいつに捕まってたんだからさあ~~!」
析了トオル:「ですよね!隣の私との話も付いたので、ここまで案内してもらいました」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「そういうことになったよ」
キュッリッキ・メラスニエミ:「うわぁ!並んで話されると気持ち悪いよ!」
キュッリッキ・メラスニエミ:メラスニエミは若干普段より顔色が悪くやつれた様子だが、外傷もなく、命に別状は無いようだ。
キュッリッキ・メラスニエミ:『殺し屋』には生きたまま十字冠転送を封じるような能力者も多々いるはずだが、メラスニエミにはまだ利用価値があると見てのことだろう。
キュッリッキ・メラスニエミ:周囲の研究者たちも無事のようだ。
析了トオル:「ひとまず……皆さん無事でよかったです」
宮星イオリ:「……ただ捕まえてただけならいいけど。何かやらされてたの?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「遅いよぅ~~!もうダメかと思ったじゃないかぁ……うう……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「別に何も?」肩を竦める「そこまで指示されてないからね」
三部つゆり:「物凄くバタバタしてたのもあるしその上で上が大きく削れたからここを割り出せたみたいなところもあるので……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「こいつパイナップルが乗ったピザばっかり出してくるんだよ!信じられる!?」
析了トオル:「正直私も同じ感想です。地上、崩壊寸前の如き様相ですから」
キュッリッキ・メラスニエミ:「シャワーも浴びさせてくれないし……うう……」
析了トオル:「……お好きなんですか?トロピカルなピザ」
宮星イオリ:彼女と共に囚えられているのだから、みな能力のある研究者という事になるのだろうが。特にそれを利用して何かするという訳でもなかったのだろうか。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「いや、一度出したら嫌がってたから面白くて」
胡緑蘭:「他人の嫌がる顔を見るのが好きだって言ってたもんね。一貫してるなあ」
三部つゆり:「ええ……」楽しみはなかったのかもしれないけども…という顏。
析了トオル:「ははぁなるほど……リッキーさんにも意外な弱点というか宗教があったんですねぇ……」
析了トオル:「……と、そうだ。世間話している暇はあんまり無いんでした」
キュッリッキ・メラスニエミ:拘束から解放され、長身を伸ばすとゴキゴキと関節が鳴る。
キュッリッキ・メラスニエミ:「そうだ……メッセージ見てくれた?トオルくん」
析了トオル:「はい。お手紙の方、大変お役に立てさせていただきました」
析了トオル:「後ついでに研究データの方も色々見させていただいて……あ、緊急時だったので追及無しでお願いします」
キュッリッキ・メラスニエミ:「大丈夫。上の状況も大体は把握してるよ」置かれたテレビを指差す。
析了トオル:「あら、ちゃんとしてる。パイナップル入りとはいえピザも出してるし割と人道的な捕らえ方」
キュッリッキ・メラスニエミ:「データ見たってことは……堕天病の治療は進んでるの?材料、ネズミコウモリなんかは大変だったろうけど……」
宮星イオリ:「シャワーないのはヤバいでしょ。水道経由でバレるからだろうけど」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「いや、そこまでは面倒で」
析了トオル:「そこは問題なく、シャムロックに出ていた部員が色々と持ち帰っていたので、諸々部室の在庫を持ってきてもらいました」
胡緑蘭:「これだけ深いと水を運んでくるのも大変だろうしねえ」
析了トオル:部員から受け取ったキャリーケースを差し出し、開く。素材一式が丁寧に包まれているだろう。
析了トオル:「そこまではいいんですが……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「うんうん、大体揃ってるね!……どしたの?」
析了トオル:「サルベージしたデータが破損していて。ほら、こちらの部分……」
析了トオル:「ソドムの溶鉄の前の項がどうしても復旧できず終いでして……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「うぎゃーっ、ホントだ!ひどいねこれは……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:知らん顔をしている
析了トオル:「後、このソドムの溶鉄についても。私に送られてきた一見空っぽいケース、あれに収納されてたりするのですか?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「え?いや」きょとんとして
析了トオル:「エッ」
キュッリッキ・メラスニエミ:「あれが“ソドムの溶鉄”だよ?」
析了トオル:「…………」
析了トオル:「あれが?!」
キュッリッキ・メラスニエミ:「今持ってる?」
宮星イオリ:「箱そのものが?」
析了トオル:「はい、車椅子の収納部分に……後ろ向くので取っていただけますか?」
宮星イオリ:「……確かに金属っぽくはあったけど……」
三部つゆり:「鐘のようには見えなかったけど、外見変化か何かかな」
キュッリッキ・メラスニエミ:「オッケー」よちよちとアタッシュケースを取り出して
胡緑蘭:「溶鉄と言うからには、型に流し込めばどんな形にでもなるのは道理ということかもね」
キュッリッキ・メラスニエミ:「ちょいちょいっと」
GM:メラスニエミが軽く触れると、銀色のアタッシュケースは溶けるように流体に変化し、それから一本の両刃剣へと姿を変える。
析了トオル:「……おぉ~……」
GM:燻ぶるような蒼い炎が、刃から漏れている。
析了トオル:「今のもう一回見たいです、が……先に工程を進めた方がいいですよね、我慢我慢……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「“ソドムの溶鉄”は流体金属の遺産なの。元は鐘の破片って話だしね」
キュッリッキ・メラスニエミ:「こうしておけば、誰かに奪われてもまさかケースそのものが遺産だとは思われないでしょ?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「……マジかぁ……」
宮星イオリ:「……やけに使いこなしてるけど、アンタが契約してるの?」
析了トオル:「あっザイラさんもそう思いました?ですよね……私ももう盗まれたものだとばかり……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「うん、一応ね。トオルくんが使おうとすれば使えるようにはしてあるけど」
析了トオル:「……!!!」
析了トオル:「後で絶対変形機構使わせてくださいね!」
キュッリッキ・メラスニエミ:「すごい食い付きだ…… それで、材料だったね」
キュッリッキ・メラスニエミ:「大丈夫だよ。ここの材料はすぐに……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「……いや……う~~ん……どうだろう……?」
析了トオル:「何か現状取得が難しい素材でも?」
三部つゆり:「だ…大分急ぎの急患がいるんですけど、難しいんですか」そわそわしている。
宮星イオリ:「……言ってよ。多少の無理難題ならどうにかするから」
析了トオル:「私が持っていればいいのですが……」鞄をひっくり返す。デバイスやら液体やらスケッチブックやらタッパーやらを引きずり出して。
キュッリッキ・メラスニエミ:「うーん、トオルくんはどうだろう。人によるっていうか……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「材料っていうのは……」
キュッリッキ・メラスニエミ:す、と両手でハートを作って胸元に寄せる。
キュッリッキ・メラスニエミ:「愛だよ」
析了トオル:「…………」
析了トオル:「愛」
宮星イオリ:「…………。具体的には?」
胡緑蘭:「なにかの比喩表現かな?」
三部つゆり:「ええとラブなやつ…?アガペーとかライクとかでなく」
宮星イオリ:「そういう言葉とか言えば良いの……?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「えっ、もうちょっとロマンチックな反応あってもよくない?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「まあそうだね。具体的には……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「『患者の思考を最も大きく占めている相手の血液、5ml』だね」
GM:ゲーム的には、固定ロイス、あるいはSロイスに指定している相手の血液が必要となります。
三部つゆり:「……な、なるほど…」目を丸くしている。いや確かに言われれば十字教由来の遺産を用い、尚且つOVにおいて感情やそうしたものは大きい力を発揮することがある。
析了トオル:「ふむ、特定の相手への思考、感情。それを込めた血液、ですか……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「恋人がいる人だったら簡単だろうけど……例えばアイドルのファンなんかは大変だろうね」
胡緑蘭:「患者ごとに用意しないといけないのは骨が折れるけど、それでも何の手立てもないよりはずっと良い」
胡緑蘭:「とりあえず至急用意しないといけないのはジナの分だ」
析了トオル:「この場合下調べも重要ですね、現地のマリアさんにも伝えておかないと……」
三部つゆり:「と、ともあれ今回は五百機さんのそういう相手ですね…」
宮星イオリ:「ジナの思考を大きく占めている相手……」考え込む。
宮星イオリ:「…………」なんとなく結論らしきものに至った気配はあるが、口には出さない。
胡緑蘭:「うん、すぐ用意できそうで良かったね」もう解決した気分でいる。
三部つゆり:「そう言えば、戦闘してる時とかイオリさんと結構な様子で話してたけど…分かったりは…」
析了トオル:「はい、考える必要もそこまで無いでしょう」
三部つゆり:「ええっ」調べなくていいのか!?とびっくりしている。
宮星イオリ:「いや……やめてよその空気」
析了トオル:「採血セットもありますよ、注射は苦手ですか?」
宮星イオリ:「は? 注射なんか慣れてるっての」
胡緑蘭:「イオリもわかってるんじゃないか。まあ戦闘でかなり血を流してるだろうけど、5mlなら大した影響はないだろう」
宮星イオリ:「……とにかく、ジナの所戻るわよ。まだ上手くいくかどうかも分かってないんだから……」
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立野スズコ:「……あっ、戻ってきた!」
GM:君達が大聖堂に戻ると、ジナの容体は更に悪化しているようだった。
五百機ジナ:「う……ッ…… ぐ……うぅぅうう……!」
析了トオル:「間に合いましたね!材料と人手はパーフェクトです!早速始めましょう!」
五百機ジナ:意識は無いまま、苦痛に唸るような声を上げている。堕天病の浸食が内部から肌まで到達し、額が黒変している。
宮星イオリ:「……思ったより進行が早い。何を手伝えば良い?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「そうだね!こっちで手順は進めておくから……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「えーっと君なんかこの子とラブラブなんだっけ?とにかく採血だけお願い!」
宮星イオリ:「そん」声が上ずる。「なんじゃないけど」
キュッリッキ・メラスニエミ:用意された材料を鍋に移し、かき混ぜ始める。
析了トオル:「承りました。腕、少しだけ出せますか?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「メゾフォルテ、12月、鈍色の烽火、雁の顎、レピュテーションリスク……」
宮星イオリ:少し躊躇してから、コートの袖を捲って包帯を外していく。赤黒くかぶれた皮膚が晒される。
キュッリッキ・メラスニエミ:47秒かき混ぜてから、南西の方向に振り返って四度拍手する。
析了トオル:「では、少しだけ我慢を……」手を当てて、僅かながらの血を採取し。
キュッリッキ・メラスニエミ:「材料があるからスムーズだね。あとは血を!」
析了トオル:「採れたて新鮮です、どうぞ!」
宮星イオリ:「っ……」針の刺さる感触に、僅かに肩が力む。
キュッリッキ・メラスニエミ:「オーケー。これで……」
析了トオル:声とは裏腹に、慎重に丁寧に。
GM:イオリの血を鍋に混ぜたところを、“ソドムの溶鉄”の蒼炎が炙る。
析了トオル:「……やっぱり注射、慣れても怖いですよね。かくいう私もそうなので……」
GM:すると、ぐちゃぐちゃに混ざっていただけだった材料が一気に滑らかな液状に変化し、俄かに淡い白銀の輝きを放ち始める。
キュッリッキ・メラスニエミ:「……やった!成功した!!」
析了トオル:よいしょ、と身を乗り出し、工程へ興味深そうに瞳を光らせる。
宮星イオリ:「は? いや、反射でちょっと力が入っただけだって……」
宮星イオリ:「……成功? そんなすぐに分かるもんなの?」
析了トオル:「よし……!それで、これをどうするんでしょう、経口?それとも肌に塗るタイプですか?」
GM:まさしく魔術を見ているかのような光景だ。鍋の中から白銀の光が君達の顔を照らす。
キュッリッキ・メラスニエミ:「経口!飲ませてあげて!」
宮星イオリ:「確かに何か……光が出てるけど……わ、分かった」
百代マリア:「そっちを抑えて!口を開けさせるわね」
宮星イオリ:頷き、ジナの肩の辺りを抑えて気管を確保する。
三部つゆり:光に驚いていたが脚の方を体重をかけて抑える。
五百機ジナ:「ッ……ぐ……うぅ……」
五百機ジナ:青白い顔で苦痛に悶えていたが、抑えつけられて口を開かせられる。
析了トオル:「で、では……飲ませます」大きめの匙で掬い、少しずつ口に運んでいく。
宮星イオリ:「……効いてよ。お願い……」
GM:銀色の液体が、ジナの口へと流れ込んでいく。
析了トオル:頬は紅潮し、震える手を残った理性で抑え込んで。その瞬間を今かと待つ。
五百機ジナ:「ゲホッ! ……あ……ぐ……」
五百機ジナ:少しの間、苦し気に暴れていたが
五百機ジナ:「…………」
五百機ジナ:やがてそれも収まり、大人しくなる。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「……治ったの?」背後から覗き込む
キュッリッキ・メラスニエミ:「そこまで即効では…… でも、とりあえず落ち着いたみたい」
宮星イオリ:「ジナ……」
析了トオル:「ふむ、一先ず苦しむ様子が無いのは良いことです」
百代マリア:「そうね……安定してるみたい」
宮星イオリ:「……」手を添えていた肩のあたりを通して、落ち着いた脈動が伝わってくる。
胡緑蘭:「……まだ経過を見る必要はあるけど」一連の様子を見守っていたが、ようやく口を開く。
胡緑蘭:「ひとまずはおめでとう。みんな」
胡緑蘭:「これで、堕天病を根絶する糸口が掴めたんだ。とてつもない偉業だよ」
析了トオル:「っ、はぁ~……よかった……とはいえ、完治までには時間を要するのかもしれませんが……」
百代マリア:「……ええ、そう、ね……」まだ不安げにジナの表情を見つめている。
宮星イオリ:「……じゃあ、だったら」
宮星イオリ:「本当に、この方法が効くかもしれないんだったら……」
宮星イオリ:「どうにかして飲ませて、あげないと……他の、子達の分も」
析了トオル:「貴女も、ですよ」
析了トオル:「最前線で一番無理してるんですから、優先度としてはトップクラスです」
宮星イオリ:「あ……分かってる。分かってるけど……」
三部つゆり:「ですよね…、あのひとを探しに行かないと、だ。……合ってるよね?」最後だけ少し不安げに。懐の手書きの文字を思い出しながら。
宮星イオリ:ジナの容態は気にかかる。死にたくないという思いもある。それと同じくらいに、いろんなものが聞こえている。今も、ずっと。
析了トオル:「……ザイラさん」
ザイラ・ザヴァッティーニ:興味深そうにジナを見ていたが「……うん?何?」
析了トオル:「貴女、いくら程度払えば雇えますか?殺しの依頼ではありませんが」
宮星イオリ:頬が紅潮して、汗をかいている。状況を理解はしていてもなお、混乱している。
宮星イオリ:自分にできることが、こうも一気に増えて、諦めていたはずのものが、手の届く場所に戻ってきたから。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「うーん……内容によるかな。何?」
析了トオル:「生徒の情報の下調べ、仕事柄お得意かと思います。今この場で堕天病で倒れている子の関係者に当たる、可能なら採血」
析了トオル:「……やれますか?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「え~?」首を傾げて「ランク1の『殺し屋』に頼む仕事? それ」
析了トオル:「あら、ランク1の実力だからこそですよ。一番早く、信頼性があるという事でしょう」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「もっと向いてる子がいると思うけどなあ……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:髪を弄って
ザイラ・ザヴァッティーニ:「まあ、いいよ。どうせ今、ちょうど仕事も無くなったところだしね」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「暇つぶしにやってあげるよ。飽きるかつまんなかったらやめるけど」
析了トオル:「よし、金額は後で此方の端末に。ラスヴィダスが外貨を受け入れてないのは知っていますが、マイニングも続けているのでなんとかなるでしょう……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「お金でいいの?普段の相場なら大体……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:指を一本ずつ曲げていき、何度か折り返し、信じ難い桁数に到達して
ザイラ・ザヴァッティーニ:「これくらいになるけど」
析了トオル:「マジですかこの値段、うーん……あ、じゃあ貴女から取得したデータを全削除します。あれあると貴女今後困るだろうし……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「それも別にどうでもいいかな。その程度で困るような仕事してる覚えないし」どこ吹く風で
ザイラ・ザヴァッティーニ:「代わりに、1個貸しってことで。何してもらうか考えておくよ」
析了トオル:「げーっ、折角頑張ったのに……仕方ありません、ではそういうことにしましょう……あ」
析了トオル:「そうそう、言っておきたい事あったんですよね」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「何かな」
析了トオル:懐から部室の名刺を取り出し、手渡す。
析了トオル:「ほら、貴女隠すばかりの仕事と言ってましたから……」
析了トオル:「たまにでも、気紛れでも構いません。暴く方もやりたくなったら、ぜひ足を運んでください」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「……」名刺を受け取って「あはは」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「そっちの先生といい……君達ってお節介の集まりなわけ?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「ま、覚えておくよ。それじゃあね」
析了トオル:「はい、では……"またお会いしましょう"」
ザイラ・ザヴァッティーニ:しゅるりと瞬く間に見知らぬ生徒に姿を変え、その場を去っていく。
キュッリッキ・メラスニエミ:「と……トオルくん!!あんな奴に貸しなんて作ったら何されるか分かんないよ!?」ゆさゆさ揺さぶって
キュッリッキ・メラスニエミ:「ムセイオンの文化祭でのれんの向こうに隔離されてる漫研の漫画みたいなことされちゃうよ!?」
析了トオル:「うーん、まあ悪いようにはされな……えっそんなことされるんですか?!」
析了トオル:「まあ、私達を襲ったのは文句ありますけど仕事ですし。趣味も悪いところはあるんでしょうけど……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「トオルくん~~!!」
析了トオル:「……なんというか、放っておけなかったんですよね。私とは真逆の事ばかりやっているものですから」
キュッリッキ・メラスニエミ:「トオルくんはお人好しすぎるよぅ……」
析了トオル:「もしかしたらこっちに興味持ってくれるかもしれないじゃないですか?割と話自体は合いそうな雰囲気もありましたし!」
キュッリッキ・メラスニエミ:「まあ、そういうことろがトオルくんのいいところだけど……」
百代マリア:「……ねえ、ちょっと……!これを見て!」
GM:その時、不意にマリアが声を上げる。
GM:その視線の先には、ベッドに横たわる五百機ジナの十字冠。
胡緑蘭:「これは……」マリアの隣に並んで
GM:堕天病により完全に黒変したそれが、君達の目の前で、ゆっくりと元の色を取り戻していく。
三部つゆり:「……本当に……」左目を見開く。
析了トオル:「黒変した色が……戻っていく」
立野スズコ:「治ってる……ホントに……!?」
百代マリア:「……トオル!キュウリさん!」
百代マリア:二人にまとめて抱き着く。
百代マリア:「本当にありがとう……!何とお礼を言ったらいいか……!」
百代マリア:「あなた達のお陰で、きっとこれから沢山の子が救われるわ……!」
析了トオル:「きゃっ……いえ、私が出来た事なんてほんの僅かです」
キュッリッキ・メラスニエミ:「キュッリッキ……キュッリッキです……」
宮星イオリ:「……ジナ」横たわるその顔にかかった前髪を手で払う。安らかな寝顔だった。
胡緑蘭:「よかったね。マリア」
析了トオル:「真に果たしたのは、リッキー……キュッリッキさんと研究所の人たち。そしてこれまで重ねられた、幾つもの先駆者の失敗の果てに辿り着いた成果」
胡緑蘭:「うん、トオルとキュリッキだけじゃない。今まで堕天病と戦ってきた、みんなで掴んだ勝利だ」
百代マリア:「先生……!」先生にも抱き着きそうになって、「……」寸前ギリギリで止まる。
析了トオル:「無駄じゃなかったんです、全部」
胡緑蘭:「もちろん君もね」大きく腕を広げて待ち構えている。
胡緑蘭:「あれっ、来ないの?」
百代マリア:「……。……こほん。ええ、そうね……」冷静になって握手するに留まる。
キュッリッキ・メラスニエミ:「トオルくんが来てくれなかったら、ボクの研究も闇に葬られてたよ」
三部つゆり:「あはは…すごいや。うん……良かった」皆の様子を見ながら笑う。
キュッリッキ・メラスニエミ:「誰よりも君を信じてよかった。本当にありがとうね」
析了トオル:「ふふ、私はただ見つけただけです。だけど……ええ、本当によかった」
五百機ジナ:「……う……」
五百機ジナ:小さく声を漏らし、薄っすらと目を開ける。
宮星イオリ:「……。具合はどう?」
五百機ジナ:頭上の十字冠はまだ7割がた黒変したままだが、何とか急場は凌いだらしい。
五百機ジナ:「……イオリ、ちゃん……?」
五百機ジナ:「私……どうなって……」
宮星イオリ:「……きついなら、無理に思い出さなくてもいいよ」
五百機ジナ:「……そうだ、“イモータルコイル”…… ぐ……」
五百機ジナ:痛みに顔を顰めながら、何とか上体を起こす。
五百機ジナ:「そう……私は、騙されて……」
宮星イオリ:「……。やっぱり、あいつと組んでたの?」
五百機ジナ:「……」薄っすらと頷き「ごめん、イオリちゃん。こんなはずじゃ……」
宮星イオリ:「他にどうなるはずだったってのよ。あれだけ爆薬仕掛けておいて」額を軽く小突く。
五百機ジナ:「うぐっ……」
五百機ジナ:「……状況は……」怪我人で溢れかえった周囲を見渡して「今、何がどうなってるの……?」
宮星イオリ:「私だけじゃなく、みんなに謝んな。いろいろ迷惑かけたんだから……」ふう、と溜息を吐いてから。
宮星イオリ:「……どっから説明したもんかな。えっと……」ジナが倒れた後のこと。デリア・ヴァルタースキルヒェンの演説と、その目的と、自分達の対応をかいつまんで伝える。
五百機ジナ:先程のメラスニエミの捜索に用いた地図を手に、狼狽を抑えながらそれを聞き。
五百機ジナ:「……待って。それじゃあ……」
五百機ジナ:「ここの部分は」
五百機ジナ:地図の中央付近、芋虫の星徒に破壊された箇所を示して
五百機ジナ:「……敵に壊されたの? ……爆発じゃなくて」
宮星イオリ:「……そうだけど。そこに、何かあったの?」
五百機ジナ:「…………」
五百機ジナ:ジナはそこで、考え込むように暫時沈黙した。
五百機ジナ:「いや、そんな……でも……」
五百機ジナ:「……まさか……そういうことなの?」
胡緑蘭:「なにか気になることでもあったのかい?」様子を察して近づいてくる。
五百機ジナ:「……私が……」
五百機ジナ:「“イモータルコイル”に協力していたのは、彼に語られた計画が、私の目的と合致していたから」
五百機ジナ:「私が聞いていた計画は、商業区を破壊してノヴァリスの経済に混乱を引き起こす、というものだった」
五百機ジナ:「でも、実際には商業区もスラムも、区別なくまとめて破壊された……」
五百機ジナ:「そして、この地図を見ると、私が事前に聞いていたのよりも……」
五百機ジナ:「想定される被害が、ずっと少ない」
宮星イオリ:「少ないって……それは」
析了トオル:「……少ない?ふむ……」
宮星イオリ:「用意していた爆薬はもっと多かったとか、そういう事?」
五百機ジナ:頷く「“イモータルコイル”は……」
五百機ジナ:「ラス・ヴィダスの開拓地で、大規模な施設を稼働させていた」
五百機ジナ:「それは、核兵器の製造施設よ」
析了トオル:「かっ……」
析了トオル:「核兵器を?!」
胡緑蘭:「へえ」眉が上がる。
宮星イオリ:「……完全に焼き払う気じゃないの」
五百機ジナ:「B-94“ベラ・ジュニア”。超大型の核弾頭で……」
五百機ジナ:「私が知る限り、全部で5発」
三部つゆり:「核…?確かに圧縮機の数さえ揃えれば…、5発?!」
析了トオル:「本人を止めるのもそうですが、これまた厄介な……!」
五百機ジナ:「私は、その内の2発を使って商業区を更地に変える、と聞いていた」
五百機ジナ:「残りは予備と、他学区との交渉カードに使う……と」
五百機ジナ:「でも……この状況を見るに、まだ一発も使われてないのよね?」
析了トオル:「……はい、使用されたと仮定するならば……」
宮星イオリ:「……ラス・ヴィダスの生徒を学区外に逃がすことで他学区へもダメージを与えようとしたんだったら、それを使うのは過剰火力だったのかもしれないけど」
析了トオル:「オーヴァードへは兎も角、まず地上が更地になる……」
宮星イオリ:「だったら何のために作らせたんだって話になるわね」
胡緑蘭:「ふむ……純粋な大量破壊兵器は、十字冠を持つ生徒に対して絶対的な脅威とはなり得ない。どれだけ威力が高くてもね」
三部つゆり:「となると……”通用する急所”がある?」
胡緑蘭:「もちろん街は跡形もなくなるし、先住市民や社会人は巻き込まれる。脅しとしては使えるだろうけど……」
五百機ジナ:「……ここからは私の推理になるけれど」
五百機ジナ:「まず、ベラ・ジュニア一発の被害範囲は……地図上で言えばこのくらい」
五百機ジナ:地図に大きな円を描いて
五百機ジナ:「五発全てを用いれば……ラス・ヴィダス全土をまとめて吹き飛ばせる威力になる」
胡緑蘭:「そりゃすごい。けど吹き飛ばしてどうするんだい?」
五百機ジナ:「確かにたとえ核攻撃を受けたとしても、十字冠のある生徒は死にはしない」
五百機ジナ:「でも、核兵器はただの爆弾じゃない。攻撃後の土地には放射線が撒き散らされる」
五百機ジナ:「同時に五発が爆発したとしたら、再生までの安全を確保する十字冠の転移先は……」
胡緑蘭:「あ、そっか。確実にラス・ヴィダス以外の学区になる」
五百機ジナ:「……そうなるはず」頷く
胡緑蘭:「だとすればこれは……保険かな?」
胡緑蘭:「難民による堕天病の拡大が上手くいかなかった時、こいつを使えば」
胡緑蘭:「堕天病の病原を持った全生徒を、無差別にノヴァリス全域に送り出せる」
五百機ジナ:「……私は……そう思う」
三部つゆり:「…ノヴァリス全体の混乱、体制へのダメージは凄いことになりそうですね……」
五百機ジナ:「あるいは……もしかしたら、最初からこっちが本命だったのかも」
析了トオル:「堕天病患者については、治療のめどはつきました。しかし……」
宮星イオリ:「……実際の核弾頭の所在は、アンタ自身も聞かされてないのよね?」
析了トオル:「いけませんね。例え追い詰めたとしても、破れかぶれでラス・ヴィダスという土地そのものが消えてしまう可能性を孕むのは。非常に頂けない」
五百機ジナ:「うん……聞いてない。でも……」
五百機ジナ:「この地図を見る限り……」
五百機ジナ:「LVLFで爆破テロを行った箇所の中で、同時爆破がなされていない場所がいくつかある」
五百機ジナ:「それに、ラス・ヴィダス全土を呑み込むつもりなら……場所もある程度は絞られてくるはず」
五百機ジナ:言って、地図上にいくつか丸を付けていく。
百代マリア:「……我々で核弾頭の捜索と処理に当たるわ」
百代マリア:「スズコ、人手を集めて。他学区の皆さんにもお願いして頂戴」
宮星イオリ:「……でも。そこまでの準備が既に終わっているんだとして、逆に」
立野スズコ:「あっ……はっはい!」
宮星イオリ:「今すぐ起爆しない理由は何よ?」
宮星イオリ:「堕天病の感染がもっと広まるのを待ちたい……ってことでいいの?」
五百機ジナ:「それ以外には思いつかない。でも逆に言えば……」
百代マリア:「今すぐ起爆されてもおかしくない、ということね」
百代マリア:「先生」
胡緑蘭:「うん」
百代マリア:「先生達には直接、“イモータルコイル”のところに向かってほしいわ」
百代マリア:「爆破を阻止してほしい。……お願いできる?」
析了トオル:「全てまるっと理解しました。彼を打倒し、爆破を阻止する」
胡緑蘭:「任せてよ。宝探しはあまり役に立てそうにないからね」
析了トオル:「何、どうせ向かうのは規定事項です。現地でのタスクがひとつ増えるだけ」
宮星イオリ:「起爆指示を出せるのはそいつだけなら、そいつが指示を出せないようにする……」
宮星イオリ:「……後は引き金一つでおしまいって所まで来てるんだとしたら、確かにまあ、他にないわね」
三部つゆり:「だ」大丈夫なんですか、と言いかけて。もう時間も余裕も何もないのだという理解が追い付き、口を閉じる。歯を噛み締める。
胡緑蘭:「親玉のところへ乗り込んでぶっ飛ばす。シンプルで良い」
三部つゆり:考えは追い付かない。あまりに大きなことで、簡単に頭が切り替わらない。でも。
三部つゆり:「……分かり、ました…!やって…ううん、止めます!」諦めろ、逃げろ、と伝える昨日の彼の声を思い出して。逆の言葉が出ている。
胡緑蘭:「マリアも気をつけるんだよ」
百代マリア:「頼むわね、みんな。わたくし達も……全力を尽くすわ」
百代マリア:「……先生は……」
百代マリア:「……」迷うように視線を彷徨わせて、あちこちを見て。
百代マリア:小さな歩幅でおずおずと歩み寄る。
百代マリア:それから、こわごわと手を広げて、軽く身を寄せるようにする。抱き着こうとして思い切りが付かなかったような。
胡緑蘭:マリアの頭に、軽く掌を乗せて。
胡緑蘭:「おや、さすがのマリアも心細いのかな?大丈夫。連盟のみんながちゃんと助けてくれるさ」
百代マリア:「……」
百代マリア:上気した顔で見上げて
百代マリア:「まだ……」
百代マリア:「お話したいことが、沢山あるから」
百代マリア:「絶対に帰ってきて」
百代マリア:「……絶対よ」
胡緑蘭:「ああ」細めていた瞼の奥の、琥珀色の瞳が僅かに揺れる。
胡緑蘭:少し腰を落として、マリアに視線を合わせて。
胡緑蘭:「約束するよ」
百代マリア:「わたくしは……」
百代マリア:「約束を破る人は、許さないわよ」
百代マリア:それから、ぱっと身を離して、周囲の視線に気付く。
百代マリア:「な……何?」
百代マリア:「何かしら。ほら、時間が……行きましょうみんな!」
宮星イオリ:「……別に?」微かににやにやと笑っている。
宮星イオリ:「私達にはそういうのしてくれないのかなって」
析了トオル:「いやはや、微笑ましいものですね」
三部つゆり:「いえ…良い事だなあと。あはは」にこにこしている。
百代マリア:「も……勿論するわよ!?こんなの……ただの挨拶だもの!ほら!イオリ!」手を広げる
析了トオル:「もう少し、二人きりのお時間欲しいですか?私は先に出る準備をしますが……」
宮星イオリ:言葉とは裏腹に、無理もない心配だと思った。先ほどは敢えて言及しなかったが、
宮星イオリ:この場所でそんな規模の爆発が起きたなら、十字冠を持たない彼だけは、間違いなく死ぬだろう。
宮星イオリ:「はいはい、挨拶挨拶」軽くぎゅっとしてやって。
宮星イオリ:それから、振り返る。ベッドの方へ。
胡緑蘭:「えっ、なぁんだ。私だけの特別待遇じゃなかったのかい?」残念そう
宮星イオリ:「……じゃ、アンタはもう少し安静にしてなさいよ。ジナ」
五百機ジナ:「……ごめんなさい」
五百機ジナ:「本当なら……私が誰より……」
宮星イオリ:「病気とか関係なく、能力の使いすぎなんでしょ」
五百機ジナ:言いながらも、容体はまだ危うい。意識を保つのもやっとの状態だ。
宮星イオリ:「それに、アンタがそのままちゃんと治ってくれるって事は」
宮星イオリ:「ある意味で、この先のどんな戦いの勝利よりも、ずっと大きな希望になる」
宮星イオリ:「アンタがそれを治しきって。それで初めて、私達は」
宮星イオリ:「あの男の全てを、打ち破ったって事になる」
宮星イオリ:「それを、みんなに示す事ができる」
五百機ジナ:「……分かったわ」
五百機ジナ:弱々しく伸ばした手を、君の手に重ねる。
五百機ジナ:「……イオリちゃん」
五百機ジナ:「やっぱり、あなたは……」
宮星イオリ:常の癖のように、その手を離そうとしかけて。おずおずと重ね直す。
五百機ジナ:「今でもあの日と同じ」
五百機ジナ:「私にとっての英雄だよ」
宮星イオリ:「……っ」
宮星イオリ:薄灰色の瞳が、にわかに
宮星イオリ:疲れたような、あるいは今にも泣きそうな、そんな風に歪んで。
宮星イオリ:「……ああ、そうだよ。自分でも、しばらく、忘れそうになってたけど……」
宮星イオリ:「私はこれでも結構、すごいやつなんだ。みんなを苦しめる、悪いやつをぶっ倒したり……」
宮星イオリ:「こんな理不尽な世界を、変えてしまうことだってできる」
宮星イオリ:そうやって、ありのまま思いつく、精一杯の強がりを口にした。
宮星イオリ:今だけ、彼女の前では、そうしていたかった。
---
GM:ミドル判定を再開します。
GM:当初の試算通り、堕天病の罹患者は増え続けています。
GM:5ラウンドを終え、現在の感染率は50%。
GM:既に感染拡大を押し留めるラインはとっくに越えており、あとは時間を掛けるだけ広がっていく一方の状態です。
胡緑蘭:なんてこった
GM:以降、1ラウンドを終える毎に10%ずつ罹患者が増加します。
GM:感染率が100%になった時点でPC全員も無条件で感染、核兵器の起爆によってラス・ヴィダスは崩壊します。
胡緑蘭:最悪!
GM:というわけでラウンド6を開始します。まずは情報判定からどうぞ。
析了トオル:つゆりさんお願い!
三部つゆり:私が判定します!
三部つゆり:学園通の友人、ラッキーメダルブラックを使用し、ダイス+2d、固定値+1して情報:ノヴァリスにて判定!また精神使うため絆の制服効果が載ります。更にカンパニー効果。
宮星イオリ:がんばって…
三部つゆり:コンボ:鳥破《コンセントレイト:ウロボロス》《無形の影》にて!
三部つゆり:13dx7+1+2+1+2
DoubleCross : (13DX7+6) → 10[1,2,4,4,7,7,7,7,8,9,9,9,10]+10[1,3,4,4,5,6,7,9,10]+10[8,9,10]+10[3,4,9]+3[3]+6 → 49
析了トオル:ウオオ!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を6増加(138 → 144)
GM:つ……強すぎる
胡緑蘭:さすがだ
三部つゆり:流石に…行けたか…!?
GM:では配置は以下のようになります。
ラウンド6
【西部】
強敵:星徒シウコアトル
耐久度360
このエネミーに対して攻撃判定を行う場合、達成値25以下の攻撃は全て無効となる。
このエネミーに対しての攻撃判定は、2箇所から判定を行う場合2倍、3箇所から判定を行う場合3倍のダメージを与える。
このエネミーが生存している場合、クライマックス戦闘に登場する。
【中央】
狂化堕天者
耐久度60
判定に失敗した上で難易度10の《回避》判定に失敗した場合、判定を行ったPCは堕天病に感染する。
強敵:神鳥谷ツバメ
耐久度30
難易度20の《知覚》判定に成功しない限り、攻撃判定を行うことが出来ない。
このエネミーが生存している場合、クライマックス戦闘に登場する。
情報:星徒シウコアトル
生前はラス・ヴィダスの生徒ラン・イェチン。
活発な性格のサラマンダー能力者。自らの精妙な火加減で行う中華料理が評判の料理部であり、友人の厚意で屋台を提供され、いつか自分の店舗を持つべく資金を貯めていた。
当時はまだ堕天病と名付けられてすらいなかった“マスターポルート”の能力を受けてからは、それが他人に感染するかも不明がゆえに料理人を続けられなくなり、繰り返される死と再生の苦痛の中で精神を病んだ。
飢餓衝動が暴走しており、あらゆる物を炭化させてから呑み込む無意味なサイクルが行動原理となっている。
情報:神鳥谷ツバメ
ソル・オロ・グランデ女学院三年生。風向きを読むだけの微細なハヌマーン能力を持つ。
個人の技能として異常な狙撃技術を持っており、環境利用から曲芸じみた射撃まであらゆる狙撃をこなす。
ブラム=ストーカー下級生と『姉妹』の契りを交わしており、凝固血液の弾丸を提供されている。命中地点には微かな血の跡しか残らず、跳弾まで計算した射撃を前にターゲットにはそれが狙撃であることを見破ることすら困難。
ノドスチルドレンの実弟がいる。
GM:というわけで判定どうぞ!
析了トオル:ではシウコアトルに……
析了トオル:突撃!
析了トオル:の前にNPCカード:メサイア第三技術部を使用!
析了トオル:皆の武器か防具を強化!
GM:
NPCカード:メサイア第三技術部
シナリオ中1回のみ使用可能。PCはそれぞれ所持しているアイテム1つを選択する。武器の場合攻撃力+3、防具の場合装甲値+5してもよい。
析了トオル:レーザーランチャーの火力を3増加させます
GM:OK! それぞれ選択してください
三部つゆり:私はボルトアクションライフルの攻撃力+3します!
胡緑蘭:サイバーアームの攻撃力を+3します
宮星イオリ:なんもない……パスで
宮星イオリ:あっいや
宮星イオリ:このシーンのみで作成武器にやっていいんだった それにします
析了トオル:インフィニティ武器か造花かな
析了トオル:よっしゃ~では判定しますよ~
析了トオル:13dx7+10
DoubleCross : (13DX7+10) → 10[1,1,2,2,2,2,3,3,4,6,7,7,9]+10[4,6,10]+10[7]+6[6]+10 → 46
析了トオル:くっ……
三部つゆり:ダメージロールにコンボ:鳥急《原初の紫:凍てつく刃》。ダメージ+1d10+15!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を4増加(144 → 148)
析了トオル:フェイタルヒット宣言!
析了トオル:5d10+1d10+32+4d10+1d10+15+10
DoubleCross : (5D10+1D10+32+4D10+1D10+15+10) → 20[1,1,8,5,5]+10[10]+32+19[1,1,10,7]+10[10]+15+10 → 116
析了トオル:およそ期待値か……!
析了トオル:とはいえこれから+2d10追加!
三部つゆり:全体で見ればちょっといい感じ位ですね…!
GM:C(360-116) 星徒シウコアトル
DoubleCross : c(360-116) → 244
析了トオル:侵蝕162!やばい
胡緑蘭:エフェクトLVがアガるドン!
宮星イオリ:続けてシウコアトルを攻撃します 《陽炎の衣》から
宮星イオリ:《コンセントレイト》《見えざる死神》《光の舞踏》で攻撃
宮星イオリ:12dx+6+5@7 命中
DoubleCross : (12DX7+11) → 10[1,2,2,2,3,3,4,5,6,7,8,8]+6[4,5,6]+11 → 27
宮星イオリ:あっぶな
宮星イオリ:3d10+72+10+2d10 ダメージこうか コンビネとNPCカード分
DoubleCross : (3D10+72+10+2D10) → 19[9,4,6]+72+10+4[3,1] → 105
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を9増加(132 → 141)
GM:C(244-105)
DoubleCross : c(244-105) → 139
GM:ウギエ~~~ッ
胡緑蘭:私も行きます
胡緑蘭:《ディストーション》LV1《漆黒の拳》LV2《コンセントレイト:オルクス》LV4 サイバーアームで攻撃
胡緑蘭:11dx7+9+5
DoubleCross : (11DX7+14) → 10[1,1,2,3,4,6,6,6,8,9,10]+5[2,3,5]+14 → 29
胡緑蘭:うーん
GM:くっ 25は下回らないか
胡緑蘭:3d10+27+4d10+2d10+10
DoubleCross : (3D10+27+4D10+2D10+10) → 18[6,3,9]+27+20[8,4,7,1]+14[10,4]+10 → 89
GM:ぐおおおおおお
GM:C(139-89)
DoubleCross : c(139-89) → 50
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を7増加(135 → 142)
GM:ハァハァハァ
三部つゆり:お待たせしました…!
三部つゆり:つばささんの方へチャレンジします。まずは知覚判定をコンボ:鳥破《コンセントレイト:ウロボロス》《無形の影》にて挑戦します。ラッキーメダルブラックも効果発動。
GM:難易度20の《知覚》判定どうぞ!
三部つゆり:10dx7+2+1>=20
DoubleCross : (10DX7+3>=20) → 10[1,4,4,5,6,7,8,8,8,10]+10[1,2,2,9,9]+10[3,8]+10[8]+3[3]+3 → 46 → 成功
GM:成功です!攻撃判定をどうぞ
三部つゆり:高すぎる まずマイナーでボルアクの効果を発動し、そのままボルアクで素射撃します…!
三部つゆり:5dx+6+5+5
DoubleCross : (5DX10+16) → 10[2,5,6,9,10]+8[8]+16 → 34
三部つゆり:回った…!
胡緑蘭:いった!
三部つゆり:4d10+11+10
DoubleCross : (4D10+11+10) → 26[5,9,5,7]+11+10 → 47
三部つゆり:出目がいいな…!良かった…
GM:C(30-47)
DoubleCross : c(30-47) → -17
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を6増加(148 → 154)
GM:神鳥谷ツバメ 撃破です!
GM:判定だけ先に進めましょう。ですがその前に……
GM:NPCカードが追加されます。
NPCカード:三城郷ミチカ
1ラウンドに1回使用可能。任意のエネミーを1体指定する。このラウンド中、対象が受けるダメージは+2Dされる。
GM:こちらはミドル判定中のみ使用可能となります。
胡緑蘭:助かる~!
GM:またラウンド6が終了し、感染率が60%になります。
GM:ラウンド7 情報判定からどうぞ。
胡緑蘭:ここは私で十分でしょう
析了トオル:お願いします!
胡緑蘭:11dx+6
DoubleCross : (11DX10+6) → 10[2,3,3,5,6,7,7,8,10,10,10]+7[2,3,7]+6 → 23
胡緑蘭:ふん!
GM:では配置はこちらになります。
ラウンド7
【西部】
ヴァリエンテ警備保障特殊急襲部隊→NPCカード効果により無し
【中央】
インペリアルPMC爆撃機
耐久度120
装甲値15を持つ。
【東部】
狂化堕天者
耐久度60
判定に失敗した上で難易度10の《回避》判定に失敗した場合、判定を行ったPCは堕天病に感染する。
GM:西部は敵が居ないので無条件でクリアになります。
胡緑蘭:やった~
宮星イオリ:うおお
GM:判定どうぞ!
析了トオル:おやすみ……ありなのでは?
胡緑蘭:エフェクトなしの素殴りで抜けそうなところは抜いても良い気がします
三部つゆり:NPCカードと私の支援組み合わされば東はかなり簡単に抜けそう?
析了トオル:かも、つゆりさんの侵蝕増加が大丈夫ならというかんじ!
胡緑蘭:私だったら多分支援なしでも行けないかな
析了トオル:最強素殴りパワー!
三部つゆり:ミチカさんの支援はどうします?
析了トオル:もらいましょう、ラウンド1回なので
胡緑蘭:ダメなら誰かダメ押しして下さい
胡緑蘭:一応次のラウンドでも使えるけど
析了トオル:ミドル中1ラウンド1回なので、使えるだけ使った方がいい
析了トオル:次のラウンドも使えそうなので
胡緑蘭:あっ本当だ
GM:そうなのだ
胡緑蘭:なら中央も抜けるんじゃない?
三部つゆり:あっでは支援なしで…!了解です!
析了トオル:殴れば抜けると思うんですけど、ぼちぼち皆の侵蝕が高いので
析了トオル:できるなら節約もありかなと……
三部つゆり:そうわね では先生に東言って貰って ミチカさんの支援貰いつつ生徒一同で中央いきましょー
胡緑蘭:では行きます
胡緑蘭:東の強化堕天病患者を素殴り
胡緑蘭:5dx+9+5
DoubleCross : (5DX10+14) → 8[1,4,5,8,8]+14 → 22
胡緑蘭:3d10+25+10+4d10
DoubleCross : (3D10+25+10+4D10) → 18[4,7,7]+25+10+29[6,7,10,6] → 82
析了トオル:つよ
宮星イオリ:すごい
GM:何だこの素殴りは…………
三部つゆり:つ、つよ…
GM:C(60-82)
DoubleCross : c(60-82) → -22
GM:ギャアアアアア
GM:狂化堕天者撃破です!
三部つゆり:中央のインペリアルにNPCカード:三城郷ミチカさんの効果を発動します。
三部つゆり:これでダメージ+2dして頂き トオルさんに素射撃して頂く感じかな
析了トオル:私の素殴りめちゃくちゃ弱いので、どこまでいけるかな~
析了トオル:一応マルポンだけしておくか、サイドリール噛ませるために
析了トオル:メジャーでマルチウェポンのみで中央、いきます
析了トオル:5dx+10
DoubleCross : (5DX10+10) → 9[3,4,6,7,9]+10 → 19
析了トオル:フェイタルしない!そのままいきます
三部つゆり:ダメージロールにコンボ:鳥急《原初の紫:凍てつく刃》。ダメージ+1d10+15して
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を4増加(154 → 158)
析了トオル:2d10+32+1d10+10+2d10+1d10+15
DoubleCross : (2D10+32+1D10+10+2D10+1D10+15) → 13[6,7]+32+9[9]+10+18[8,10]+10[10]+15 → 107
析了トオル:?!
析了トオル:上振れまくりました
GM:嘘だろ……
三部つゆり:えっすご………
胡緑蘭:めっちゃ強い
宮星イオリ:しんでる…
胡緑蘭:装甲も無視だぜ
GM:ワシの装甲が~~~!?!?
析了トオル:あと13ですね、コンビネーターが入ってさらに2d10追加!
GM:C(120-107)
DoubleCross : c(120-107) → 13
三部つゆり:イオリさん行かれます?
胡緑蘭:勝ったな
GM:効かねえ!爆撃機だから!!
宮星イオリ:あっじゃあ素殴りしてきます
宮星イオリ:5dx+6+5 命中
DoubleCross : (5DX10+11) → 8[3,5,5,5,8]+11 → 19
宮星イオリ:2d10+22+2d10+2d10+10 ダメージこうかな
DoubleCross : (2D10+22+2D10+2D10+10) → 9[8,1]+22+4[1,3]+11[10,1]+10 → 56
GM:C(13-56+15)
DoubleCross : c(13-56+15) → -28
析了トオル:突破~!侵蝕165
GM:死にました……
三部つゆり:つよ……
GM:インペリアルPMC爆撃機 撃破です
GM:ラウンド7終了、感染率は70%です
GM:MAPはご覧の通り。
GM:ラウンド8 情報判定からどうぞ!
胡緑蘭:やらせて頂きます
胡緑蘭:11dx+6
DoubleCross : (11DX10+6) → 8[1,1,1,4,5,5,6,7,7,8,8]+6 → 14
胡緑蘭:初めて腐った
GM:では配置はこちら!
ラウンド8
【西部】
強敵:星徒シウコアトル
耐久度50/400
このエネミーに対して攻撃判定を行う場合、達成値25以下の攻撃は全て無効となる。
このエネミーに対しての攻撃判定は、2箇所から判定を行う場合2倍、3箇所から判定を行う場合3倍のダメージを与える。
このエネミーが生存している場合、クライマックス戦闘に登場する。
【中央】
狂化堕天者
耐久度60
判定に失敗した上で難易度10の《回避》判定に失敗した場合、判定を行ったPCは堕天病に感染する。
【東部】
強敵:星徒シウコアトル
耐久度50/400
このエネミーに対して攻撃判定を行う場合、達成値25以下の攻撃は全て無効となる。
このエネミーに対しての攻撃判定は、2箇所から判定を行う場合2倍、3箇所から判定を行う場合3倍のダメージを与える。
このエネミーが生存している場合、クライマックス戦闘に登場する。
析了トオル:ミチカさんを使用してシウコアトルいきまっしょう!
析了トオル:もう流石に2倍だと誰素殴りしてもいけそう
宮星イオリ:達成値25は必要だから素殴りはややこわいかも
析了トオル:あっほんとだ、コンボ軽めな人……
析了トオル:私かも
三部つゆり:もしくはイオリさん?
宮星イオリ:侵蝕低いから私がやったほうがいいのかな
胡緑蘭:おまかせしちゃおうか
宮星イオリ:トオルさんと20くらい差ある
析了トオル:25抜けそうならお願い!
析了トオル:私の侵蝕……高すぎ?!
宮星イオリ:腐らなければいけるはず…いきます
三部つゆり:ではまずNPCカード:三城郷ミチカさんを使用してシウコアトルを指定します~
三部つゆり:後はお願いいたします…!
宮星イオリ:マイナーなし、《コンセントレイト》《光の舞踏》のみでシウコアトルを攻撃
宮星イオリ:12dx+6+5@7 命中
DoubleCross : (12DX7+11) → 10[1,2,2,3,4,5,5,6,7,8,9,10]+10[3,3,4,9]+10[8]+5[5]+11 → 46
析了トオル:すご
GM:腐らないよ~
析了トオル:勝ったな……
宮星イオリ:さっき腐ってたからね
宮星イオリ:ダメージがええと
宮星イオリ:5d10+22++10+2d10 こう
DoubleCross : (5D10+22+10+2D10) → 32[9,6,10,6,1]+22+10+13[9,4] → 77
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を5増加(141 → 146)
析了トオル:終わりだ~~~~~!
GM:C(50-77-77)
DoubleCross : c(50-77-77) → -104
GM:ぐああああああああああ
三部つゆり:素で突破してる!強い…!
宮星イオリ:うおお ネクサス粉砕
GM:星徒シウコアトル 撃破です!
胡緑蘭:やった~!
GM:同時に最後のマスを踏破。ミドル判定クリアです!
三部つゆり:やったあ~~
---
神鳥谷ツバメ:ノドス学区の消失は、神鳥谷ツバメにとって唯一の肉親の喪失でもあった。
神鳥谷ツバメ:かつて、幼少から開花しつつあったその類稀な狙撃能力を見込まれ、ノヴァリス行きを打診された彼女が提示した条件は、弟の同行だった。
神鳥谷ツバメ:血を分けた弟は彼女にとって唯一守るべきものであり、この先の人生においても常にそうあり続けるのだろうと、当然のように考えていた。
神鳥谷ツバメ:だがその幻想は、ノヴァリスを訪れて僅か数年で打ち砕かれた。
神鳥谷ツバメ:ノドスの消息が途絶え、最初の数年を捜索に費やした。まるで成果が無いのを悟って、その後の数年を無気力と自暴自棄に費やした。
神鳥谷ツバメ:弟が居なくなって8年が経とうとしていた。周囲の支えもあり、何とか新たな人生をやり直そうとしていた、その頃だった。
神鳥谷ツバメ:『彼』と出会ったのは。
“イモータルコイル”:『神鳥谷ツバメ』
“イモータルコイル”:『もう一度、弟と会いたくはないか?』
---
GM:商業区、総和重工本社ビルへと伸びる西部主要地区は、静寂に包まれていた。
GM:あらゆる侵入者を排除し、総和重工への到達を防ぐ。それが神鳥谷ツバメに課された役割であり、彼女は忠実に、そして完璧にそれを実行していた。
神鳥谷ヒバリ:『……お姉ちゃん』
神鳥谷ヒバリ:円形のホームアシスタントロボットから、幼い男子の声が響く。
神鳥谷ヒバリ:『大丈夫?疲れたんじゃない?』
神鳥谷ヒバリ:姿こそこうだが、その声も、息遣いひとつ取っても、ツバメの弟そのものだ。決して偽物などではない。
神鳥谷ツバメ:「……全然。これくらい何でもないわ」
神鳥谷ツバメ:「もうちょっと待っててね、ヒバリ」
神鳥谷ツバメ:「これが終わったら、二人で一緒に────」
神鳥谷ツバメ:(……また来た?)
神鳥谷ツバメ:その時ドローン越しに、こちらに向かってくる人影を発見する。
三部つゆり:それと同時に、一帯を赤黒い瘴気--分割され希釈された、影が蔽っていく。
三部つゆり:それが幾つもの地区で同時多発的に発生した。異常な量--個人で用意できるものとは思えない程の。
神鳥谷ツバメ:「……煙幕か」
神鳥谷ツバメ:「狙撃対策……セオリー通りね」
三部つゆり:ウロボロスシンドロームは、他のレネゲイドに対しある種の優位性を発揮することがある。
三部つゆり:その点の表出こそが、RBの使役であり、各種エフェクトの抹消であり、封印や奪取であり、そして今、煙幕でなく影を展開した理由だった。
神鳥谷ツバメ:銃撃。飛来した弾丸はつゆりの居た位置を正確に射抜こうとする、が。
神鳥谷ツバメ:……ぱしゃっ
神鳥谷ツバメ:影に触れた途端、空中で弾丸が分解する。
神鳥谷ツバメ:ブラム=ストーカーによる凝固が解除され、弾丸がただの血液に戻る。
神鳥谷ツバメ:元よりツバメ自身が操作しているものではない。その効果は覿面である。
三部つゆり:遮蔽を取り、セオリーに則った動き。それは誤魔化しでもあったが、弾丸の強度が維持しきれなくなるほどの距離を保ち続けるためのものでもあった。
三部つゆり:「…すごいな。とはいえ、弾丸が通常兵器とかのものに変わるか、結合強度が上がれば…」この望外の優勢は維持できない。
神鳥谷ツバメ:「ウロボロスか」眉根を寄せて
神鳥谷ツバメ:「でも、その程度……」
神鳥谷ツバメ:当然、通常弾薬の備えはある。ライフルに実銃を装填、流れるような速度で先と寸分違わぬ位置を撃ち抜く。
神鳥谷ツバメ:背後の壁、地面、配管、マンホール。幾度となく跳弾し、弾丸が四方八方から影の暗幕を射抜く。が。
神鳥谷ツバメ:「……居ない……!」
三部つゆり:弾道に沿うように、幾重にも凝固した赤黒い影の障害物が展開され、撃ち抜かれている--ただ、ほんの数瞬の時間を稼いで。
神鳥谷ツバメ:煙幕が晴れた時、そこには既につゆりの姿は無い。
三部つゆり:「--狙撃という場で戦うなら……あなたには絶対に勝てないのは、分かってる」
神鳥谷ツバメ:即座にリロード。スコープ越しに姿を探し、ドローンを走らせる。
神鳥谷ツバメ:本来のツバメのセオリーならば、この時点で撤退すべきだ。相手はこちらの攻撃に対応する気で来ている。
三部つゆり:貴方の能力ならば、そう立たずに発見できるだろう。貴方の位置により近づいて来ている--
神鳥谷ツバメ:狙撃地点を変え、仕切り直すべき局面だ。しかし、“イモータルコイル”との契約はあくまで『死守』。これ以上は退けない。
神鳥谷ツバメ:(やり合うつもりか)
神鳥谷ツバメ:(上等……!)
神鳥谷ヒバリ:『お姉ちゃん……』
神鳥谷ツバメ:「大丈夫」
神鳥谷ツバメ:不安げな声に、何でも無いように返して
神鳥谷ツバメ:「大丈夫だから」
神鳥谷ツバメ:引き金を引く。建物の影に隠れたつゆりに銃弾が放たれる。
神鳥谷ツバメ:先刻会敵した際は、仲間を誘き出すためにまず足を撃ち抜き機動力を奪った。今はそんな悠長はしない。
神鳥谷ツバメ:銃弾の一発、跳弾の侵入角度。全てが脳と心臓を狙っている。
三部つゆり:障害物が再度展開される--それさえ利用される。
三部つゆり:微かな舌打ち。どぶん、と影に潜るように姿が消える--事実潜っているのだと理解できる。
三部つゆり:再度彼女の姿が現れたのは、また少し貴方への距離を縮めた位置だ。
神鳥谷ツバメ:(そういうタイプか)
神鳥谷ツバメ:「なら……!」
神鳥谷ツバメ:リロード、射撃。弾丸がつゆりの頭部を掠める。
三部つゆり:そう長く潜航を続けることはできない。「ッ、く…!」
神鳥谷ツバメ:立て続けに再度の銃撃。再び心臓を狙った銃弾が迫り──
神鳥谷ツバメ:完全にタイミングを合わせ、先の一発の跳弾が、後方から頭部に迫っている。
神鳥谷ツバメ:単独で行う時間差射撃。常軌を逸した業。
三部つゆり:影がつゆりの身体を覆った。鎧のような形。だが防御力は、先の障害物以上ではないとわかる。問題なく撃ち抜かれる--
三部つゆり:「ぎ、ぁ…!オン・アロリキャ・ソワカ…!」
三部つゆり:下手なワイヤアクション、人形繰りを見ているようだった。関節可動域を超える幅で動いた四肢が、強引に身体を弾き飛ばす。
三部つゆり:更に一歩、近付いていく。身体は傷つき、リソースは削れている。だが、異常なまでにあなたの手筋に対応しながら。
神鳥谷ツバメ:「そういうのまである訳……」
三部つゆり:「…ぐ、ぅぁ……、次は、何だ…!」
三部つゆり:うわ言で誰かに話しかけるように--否、事実話しかけている。
三部つゆり:RVは情報を蓄える性質がある。RBなら周囲のそれに触れ、ノイマンならば啓示の如く解釈する。ならば、古代種を始め酷く旧くから在るものならば。
三部つゆり:それはある種の既視感を引き起こす様に、”答え”を齎すことがある。
三部つゆり:太古の古きより在る”輪廻の獣”から、彼女は答えを引き出して対処しているのだ。だから、神鳥谷ツバメの異常技巧に追いつく事が出来る。
神鳥谷ツバメ:確実に接近しつつある標的に、鼓動が早まっていく。
神鳥谷ツバメ:傍らの『弟』に一瞬目を遣る。
三部つゆり:そもそも、それほどの狙撃手の位置を最初から把握していたように動いていた。--最初から、答案を見ながら答えていたから、つゆりでもなんとかなっているだけに過ぎない。
神鳥谷ツバメ:待ち焦がれた再会。そして恐らく、これを逃せば二度目は無い。
三部つゆり:頭痛が酷い。割れるようだった。本当にトンカチでも持ってきて叩き割り、中身を洗えたらどんなに楽だろう、と思う。
神鳥谷ツバメ:「……可愛い顔して……相当やる」
神鳥谷ツバメ:「だが……これで終わりにさせて貰う」
三部つゆり:(チートはいつまでも通用しない。対処法込みで寄越してくるけど、それだっていつまで出来る?次で攻め切らないとならない--)
神鳥谷ツバメ:つゆりの耳に、甲高い金属音が幾重も響いた。
神鳥谷ツバメ:前方から迫りくるのは、『遅い』弾丸だった。つゆりの動体視力と影の能力で、ギリギリ視認・対応できるだけの。
神鳥谷ツバメ:野球のスローボールの如く、跳弾を重ねて敢えて『手加減』した銃撃。
神鳥谷ツバメ:だが躱さなければ、確実に頭部を撃ち抜かれる軌道。
三部つゆり:「--づっ、ぐぅぅ……!」複数種の”未来”が頭に叩き込まれる。
三部つゆり:血管と神経に沿うように、瘴気の影が身体を蝕みながら這う。--これで思考速度にギリギリ追い付く精度と速度を身体に与え。
三部つゆり:ニードルガンを抜き打つ。弾丸の”横”に当たる進入角度。高速の銃弾でも、ただの植物の葉に横が当たれば、あっさり軌道は変異させられる。それを狙った一射。
神鳥谷ツバメ:銃弾は果たして軌道を逸らし、つゆりの首元を掠めるに留まる。
神鳥谷ツバメ:つゆりのその行動は、神鳥谷ツバメの想定外だった。
神鳥谷ツバメ:回避させ、二歩右に動かす。それを狙った一射であったが。
神鳥谷ツバメ:「……止めたな、足を」
GM:爆発。路地に仕込まれた爆弾が起爆し、つゆりの周囲を吹き飛ばす。
三部つゆり:動けない。今動けば他の跳弾が撃ち抜くだろう。だからこれは、ある種の狂気に飛び込む必要があった。
三部つゆり:自身を蝕み、玩び、嘲弄する、”獣”をこそ誰より信じるという狂気が。
三部つゆり:--そして、彼女にはその狂気があった。
神鳥谷ツバメ:濛々と立ち込める黒煙を、スコープ越しに見下ろす。
神鳥谷ツバメ:陣地を防衛するに辺り、予めこの程度の仕込みは行って当然だ。
神鳥谷ツバメ:神鳥谷ツバメの技術ならば、その位置にターゲットを導くなど児戯に等しい。
神鳥谷ツバメ:(……転送光が無い)
神鳥谷ツバメ:(潜航か、あるいは鎧のように使ったのか)
神鳥谷ツバメ:(だが、練度こそ高いが……出力自体はC4に耐えられるものではないはず)
神鳥谷ツバメ:(次の一発で終わりだ)
神鳥谷ツバメ:冷静にリロードし、黒煙を見つめる。
三部つゆり:かつ、と靴音がする。かつ、かつ、とひどく消耗した人間の歩くような音。--ひどく近い。
神鳥谷ツバメ:徐々に晴れていく煙が、完全に散った時。
神鳥谷ツバメ:(いない────)
神鳥谷ツバメ:「!!」
神鳥谷ツバメ:銃口と共に、即座に振り向く。
三部つゆり:「……本当に。尊敬するよ」ニードルガンの射出音が二連で響く。狙撃銃と、あなたの腕を狙って。
神鳥谷ツバメ:「ぐっ! あぁっ!?」
三部つゆり:「本当に…こっちは超存在のチートを使ってるのに、此処までボロボロにされるなんて、思ってもみなかった。…本当に凄い人だ、あなたは」
神鳥谷ツバメ:僅か一瞬、つゆりの射撃が速い。ツバメの鮮血が散ってから、銃弾が明後日の方向に放たれる。
神鳥谷ツバメ:「……!」
三部つゆり:ジャケットや肌は焼け焦げた後がいくつもある。片腕も折れているのか、何処か位置がおかしい。
三部つゆり:影を彼女は、”帆”のように用いた。爆発の威力、レネゲイド同士の反発力、自身の強化した身体能力、障害物を作る力にて発射台とし、煙幕としていた自身の影で軌道を操作した。
神鳥谷ツバメ:(どうやってこの一瞬で……)
神鳥谷ツバメ:考えている暇など無かった。
三部つゆり:「降伏してほしいな。”調べた”限り、戦力はあなた以外いないはずだよ…そして、この距離なら私が撃つ方が早い」
神鳥谷ツバメ:じりじりと、ロボットを庇うような位置取りへ。
神鳥谷ツバメ:ライフルは床に転がっている。小振りなサバイバルナイフを抜き放つ。
神鳥谷ツバメ:「……あぁあああああッ!!」
神鳥谷ツバメ:決死の表情でナイフと共に突進する。だがその太刀筋は、狙撃と比べればあまりにもお粗末なものと言わざるを得ない。
三部つゆり:ダブルタップの音。脚を冷静に射貫き、そこから影が筋肉の挙動を妨害する。
神鳥谷ツバメ:「ッ! あぁあっ……!」
三部つゆり:ナイフをさらに撃ち抜き、弾き飛ばす。
三部つゆり:「…あなたの大事なものに手を付けるつもりは無い…っていっても、信じられないか」
神鳥谷ツバメ:「ぐ……うぅぅうううぅうッ……!」
神鳥谷ツバメ:影に拘束されながら、全身全霊の力で足掻こうとする。だがその膂力はオーヴァードとしては最低レベルだ。
三部つゆり:その膂力を感じて、だからこそ余計に手荒なことはしたくない、と思った。その膂力でもあれほどの技量という事は、彼女の努力をこそ証明している。
神鳥谷ツバメ:「……ヒバリ!! 逃げて……! ヒバリ!!」
GM:その声に、答えるものは無い。
神鳥谷ツバメ:「…………ヒバリ……?」
三部つゆり:「…そのロボットのこと…?私は攻撃なんてしていないはず…」
GM:既にロボットが喋ることはなかった。電源が落ち、彼女の『弟』の人格は消え失せていた。
神鳥谷ツバメ:「……あ……」
神鳥谷ツバメ:「……ッ……く……」
神鳥谷ツバメ:それで、全てを悟った。
神鳥谷ツバメ:「う……う゛ぅううぅううう……!」
神鳥谷ツバメ:嗚咽を漏らし、その場に崩れ落ちる。
三部つゆり:「………」何も言えなくなる。そのロボットに感じる残滓と、彼女が”彼”を必死に守ろうとしていたこと。
三部つゆり:「…謝らないよ。謝ったって、私の気が良くなるだけだもの。……」そう言いながら、彼女のもとにそのロボットの抜け殻をそっと置く。
神鳥谷ツバメ:最早交戦の余力は無い。完全に戦意を喪失し、拘束しておく必要も無いだろう。
三部つゆり:「転送されたいなら、送る。避難したいなら、避難先も案内する。……それでもし、誰か殴りたい奴がいるなら、いつでも来ればいい」
三部つゆり:折れた腕を継ぎ、適当な棒で縛りながら。「……あなたに、なにも思わず眠れるような良い夜が来ますように」
神鳥谷ツバメ:返事は無かった。既に物言わぬ抜け殻と化したロボットを、ただいつまでも抱き締めていた。
三部つゆり:立ち上がる。自身の連絡先や、避難先の住所を書きつけたメモを残して。
三部つゆり:私は、行かなければならない。戦わなくちゃいけない。
三部つゆり:「……でもさ。大分怒っていいよね、お兄さん?」
---
インペリアルPMC指揮官:『総和重工!!一体どうなってる!?』
インペリアルPMC指揮官:『敵が予想外に多すぎる!まるで人手が足りんぞ!!何故こちらに兵力を回さん!?』
“イモータルコイル”:「うるせェエーーーッ!!!!こっちだって足りてねェエーーーーんだよクソボケがァアア~~~ッ!!」
“イモータルコイル”:「テメェーの失態だろうが!!尻くらいテメェで拭きやがれゴミカス共がァアーーーッ!!」
“イモータルコイル”:通信機に怒鳴り散らし、ドローンに『社会人』、無数の目で戦況を見据える。
“イモータルコイル”:「“天狼”に“紅蜘蛛”、“雷帝”……」
“イモータルコイル”:「“マスターオーダー”に六壬の連中……ついでにオカルト何たら……!?」
“イモータルコイル”:「どいつもこいつも!!一体どこから湧いてきやがった!?ゴキブリかよテメェーらはよォオ~~~~ッ!!」
“イモータルコイル”:「堕天病だぞ!?『十字冠を破壊する兵器』だぞ!?何で来ンだよ!?馬鹿なのか!?絶対馬鹿だろ!!」
“イモータルコイル”:「クソが…… そんなに死にてえなら上等だ……全員まとめてブチ殺してやるよ……!」
GM:──総和重工、本社ビル付近。
GM:先の芋虫型星徒によって殆ど更地と化した市街地には、中央にぽっかりと総和本社だけが聳え立っている状態だ。
GM:しかし今、そこにはまた別の星徒の姿があった。
星徒シウコアトル:「もぐ……もぐ……」
星徒シウコアトル:全身が煌々と燃え盛る、巨大な蛇。
星徒シウコアトル:総和本社ビルの周囲でとぐろを巻くようにしながら、ビルの残骸に炎を吐き掛け、ドロドロに溶解した瓦礫を口に運んでいる。

星徒シウコアトル:「う~ん、おいしい!これすっごいおいしいよ!」
星徒シウコアトル:大音量の、蛇の威嚇音交じりの声が、無人の荒野と化した周囲に響き渡っている。
析了トオル:「む、またビル近くに星徒ですか。しかも今度はしっかりと意識あるタイプ」
析了トオル:「計測……出ました。蛇鱗の周囲の温度は1300度、マグマ並みですね」
析了トオル:「レネゲイドに拠るものなので、実際の温度とは被害範囲諸々違いますが……それでも脅威です。生半可な攻撃は届く前に燃え尽きる」
胡緑蘭:「さっきの放火してた子たちがかわいく感じる熱さだねえ」
GM:星徒の周囲は地面も瓦礫も赤熱し、猛烈な熱波を放っている。並の人間では近付いただけで絶命するだろう。
宮星イオリ:「……で、その辺踏まえてどうする? 何かスマートな作戦とかあるの?」
胡緑蘭:「避けて通る」
胡緑蘭:「のは無理だね……総和ビルの前に陣取っている以上、あれを倒さないと中には入れないか」
析了トオル:「高出力のレネゲイドをブチ当てて中和する。もしくは相性的に有利となる能力でのゴリ押し。そして能力の隙を突く」
宮星イオリ:熱波に瞼を細めながら。「要は、ぶん殴ればこの熱ごと大人しくなるってこと?」
析了トオル:「結局これもレネゲイドですので、仰る通りに無理矢理な突破事態は可能です、なのですが……」
析了トオル:「相手は星徒。出力の化け物です。今この場の全員で掛かっても、討伐までには恐らくかなりの時間を要します」
析了トオル:「……それでも、やるしかないんですけどね!一番槍は私が引き受けましょうか!可能な限りの必勝法を取得してきます!」
星徒シウコアトル:「むしゃ……むしゃ……」
星徒シウコアトル:足元に炎を吐き掛け、黒い灰と化した地面を掬うように口に運んでいる。
析了トオル:「撃ち込み次第データを取得しお分けします、続いてください……!」
胡緑蘭:「頼んだよ、トオル」
宮星イオリ:「ん、いつでも言って」
析了トオル:全速力で戦車を走らせ、出来るだけ二人とは離れた位置を陣取り照準を合わせる。
析了トオル:「解析弾は……普通に撃ち込むと溶かされます、が……」
析了トオル:「しかーし、そんなことで諦める程手数は細くありません!当然耐熱コーティング剤くらいは所持済み!」
析了トオル:「さぁ、お食事の時間は終わりです!軽い運動は如何ですか……!」
析了トオル:鱗の隙間を抉るように、幾つもの光条と弾丸を撃ち出す。頭から尾の隅々までの全力射撃。手加減の類は一切しない。
GM:大蛇の全身に着弾。轟音。血飛沫のように炎と溶岩が飛び散って、ぐるり、と星徒がトオルへと鎌首を向ける。
星徒シウコアトル:「おはよう!」
析了トオル:同時に、弾丸が取得したデータを全員に送り続ける。注意も惹ければ万々歳。
星徒シウコアトル:「予報で雨降るって言ってなかった?あたし傘持ってきたのにさー」
析了トオル:「ええ、全く、最悪の酷暑です!早く帰って休みたいところですね……!」
星徒シウコアトル:大顎ががぱりと開き、そのままトオルに向けて猛然と突進する。
析了トオル:筋肉運動によるレネゲイドの濃度変化。その際、熱の層が薄くなる場所。
星徒シウコアトル:大質量と超高温が超高速で迫る。火砕流が意思を持ったに等しい災厄。
析了トオル:(伝えきった!後は……)
析了トオル:エンジンを最大にまで駆動させ、荒野と化した大地を駆け抜ける。
析了トオル:「は、ははは!様々な場所で逃げ切った私を捕まえるなど百年早い……!」
星徒シウコアトル:ごぱん! ばくっ! ばくん!
星徒シウコアトル:大顎が何度も開閉し、トオルを喰らわんと迫りくる。
析了トオル:(とはいえ、流石に命の危機!どこまで逃げられるか……!)
胡緑蘭:ガ チ ン ッ !
胡緑蘭:シウコアトルの顎門がトオルを飲み込む寸前、真下からの衝撃で大きく跳ね上げられる。
星徒シウコアトル:ブシュッ、と溶岩が噴き出して、星徒の巨体が大きく傾ぐ。
析了トオル:「っは……助かり、ましたっ……!」
析了トオル:急旋回し、呼吸を落ち着ける。データ取得と時間を稼ぐ役割は十分に果たせた。
胡緑蘭:「トオルの解析が正確だったおかげだよ。パターンさえ掴めば、生身でもここまで近づける」
星徒シウコアトル:牙を備えたその頭部が、新たな脅威を睥睨する。
星徒シウコアトル:「昨日のカリキュラムの5番って分かった?あたし全然意味フメーでさあ……」
星徒シウコアトル:顎の奥、じりじりと炎が燻って。
星徒シウコアトル:────ゴ ァッ!!
星徒シウコアトル:超高熱の炎の吐息が、凄まじい勢いで放たれる。
胡緑蘭:「まずはその行儀の悪い口を閉じてしまおう」
胡緑蘭:炎の吐息が吐き出されると同時、右腕より放たれた漆黒の球体が、シウコアトルの喉に投げ入れられる。
星徒シウコアトル:「うん、うん……わかる!マジそうだよね!」
胡緑蘭:球体は上下に開かれたシウコアトルの口に蓋をするように力場を広げ、
胡緑蘭:すると、吐き出されるはずだった炎が、その力場の中で静止する。
星徒シウコアトル:悲鳴にも似た蛇の呼吸音が響く。
胡緑蘭:煌々と燃え盛っていた炎は、次第にその勢いを弱め、真円に近い形状で静かにシウコアトルの口腔内に留まっている。
胡緑蘭:「科学の授業を受けたことはあるかな」
星徒シウコアトル:嫌がるようにぶんぶんと首を振り、文字通りの吐息めいて顎の隙間から炎が漏れる。
星徒シウコアトル:「お願い!勉強教えて!お礼は……お弁当三日分でどう?」
胡緑蘭:無重力空間では空気が対流しない。酸素の供給は最低限となり、炎は燃焼こそするが燃え上がることなくその場に留まることになる
星徒シウコアトル:噛み合わない会話──過去のリフレインか──が空しく響き続ける。
胡緑蘭:小さく肩を竦めて「さて、火加減が弱火の内に畳み掛けてもらえるかな」
胡緑蘭:力場の維持のため、黒腕はシウコアトルに向けて翳されたままになっている。ここからは能力の押し合いだ。
宮星イオリ:「──別に、最初から突っ込めはしたけど」その足元。灼熱の地を這うように、一条の輝線が疾駆している。「借りた服を炭にするのもどうかと思ったから」
宮星イオリ:声が届くよりも早く、白い影が足元から跳ね上がる。万度の炎が照らす中でも燦々として眩い発光体が、巨蛇の喉を引き裂く。
宮星イオリ:喉袋の右横。大きな風穴が開いて、ぼどぼどと体液が流れ出る。「"ここ"、で」
宮星イオリ:一部のキュマイラに見られる火炎袋。体内分泌される燃料による反応から、尋常ならざる発熱を引き起こす器官。それを破損させるための。
星徒シウコアトル:切り裂かれた風穴から、行き場を失った炎が一気に噴出する。
星徒シウコアトル:「ホント!?ありがとうタバサちゃん!やっぱり持つべきものは友達だよね!」
宮星イオリ:横腹を蹴りつけ、飛び退く。噴出した火炎が、一瞬前まで少女の居た空を舐める。
星徒シウコアトル:激痛にのたうち回るように、大蛇が暴れ狂う。大木の如き胴体が鞭のように振り回されて、僅か残った周囲のビルが薙ぎ倒される。
宮星イオリ:「合ってるわよね、トオル!?」それも、送られた分析データを元にした行動だ。叫ぶように確かめる。
析了トオル:「勿論!効果は抜群です!」しかし、表情は苦いまま。
析了トオル:「しかし、削り切れていません!一旦退きましょう、このままだと非常に拙い……!」
GM:その時、君達の頭上から影が差す。
GM:大型の回転翼がけたたましい轟音を響かせて接近する。それは──
インペリアルPMC指揮官:「──投下!」
GM:立て続けに、辺り一帯で大爆発が巻き起こる。インペリアルPMCの、対生徒垂直離着陸爆撃機。
“イモータルコイル”:「いいか!ありったけブチ込めよ!!星徒はやらせるな!カス共はここで確実に仕留める!」
GM:そして、爆発に紛れて地上を接近する影がある。
狂化堕天者:「ぎぃあああぁあああッ!!」
狂化堕天者:堕天者だ。それも大群。
宮星イオリ:「ちょっと、なりふり構わなさすぎでしょ」
狂化堕天者:痛みに駆られての動作ではない。戦略的に団体で行動し、明確な意思を持って──緑蘭へと殺到する。
析了トオル:「逃げ場を封じての堕天者での特攻!もう向こうも相当追い詰められていると見ますが……!」
狂化堕天者:“イモータルコイル”による操作を受け、作戦の元に堕天病をばら撒く一個の軍勢と化している。
胡緑蘭:「うわこっち来た!向こうも中々見る目があるじゃないか」
宮星イオリ:一帯を焼き尽くすシウコアトルと他の兵力を併用している。損害を顧みず、この場所での勝利に拘っているという事だ。
胡緑蘭:「とはいえこの状況だと、流石に手が足りないかな。どうしたもんか……」絶体絶命の状況で、いまいち危機感のない呟きが漏れる
宮星イオリ:「──! 冠のないやつ狙いか、クソッ」
GM:星徒が暴れ回り、爆撃は止まず、その間を縫って堕天者が殺到する。
宮星イオリ:殺到する堕天者の大群を切り払おうとするが、こちらも物量に差がありすぎる。
GM:完全な飽和攻撃だ。対して君達は三人──あまりにも数で劣りすぎる。
“イモータルコイル”:「やれるぞ!そのまま押し潰せ!」
“イモータルコイル”:「ヴァリエンテは何をやってる!?逐次投入じゃ意味無ェんだよ!!」
宮星イオリ:「っ、ぐ……緑蘭! アンタ、逃げる脚くらいはあるよね!?」押し迫る影の一つと鍔迫り合いながら、彼に縋る親友の顔を思い出す。
宮星イオリ:「私がどうにか道を開くから!……いい?格好つけて自分がとか今置いといて、今一番危ないのが冠のないアンタなんだから……っ」
GM:星徒の超高熱、止まぬ爆撃が視力と聴覚を塞ぎ、思考能力を奪っていく。
GM:その最中でも、星徒の巨体と殺到する堕天者からの攻撃は、たった一度でも受ければ致命傷となる。
析了トオル:(仕方ありません、こうなっては最後に取っておきたかった奥の手まで切るべきですか……!)
胡緑蘭:「少し気安くなったのは嬉しいけど、まだ先生とは呼んでくれないんだね」苦笑して
胡緑蘭:「まあそう慌てなくてもちゃんと逃げるよ。もっとも今回は……」
胡緑蘭:「その必要もなさそうだけどね」
黒廟リオラ:殺到する堕天者とキミたちの間に、割って入る影が一つ
黒廟リオラ:黒いコートに真紅のスカーフ、赫花連盟の一員、黒廟リオラだ
黒廟リオラ:「そうだ、ここで退いても状況は悪化する一方……!」
黒廟リオラ:「……時に、析了さん。ひとつ聞かせてほしい」
黒廟リオラ:「堕天病は……治るんだな?」
析了トオル:「赫花連盟からの、援軍……!本当に助かります、そして暫くぶりですリオラさん!」
析了トオル:「そして……ええ、勿論!勿論ですとも!」
析了トオル:「大事な方の事は安心してください!私たちは全力を出し切るのみ、です!」
“イモータルコイル”:「赫花連盟の……今更ノコノコ出てきてんじゃねェーーよ!!」
“イモータルコイル”:「殺せ!!」
狂化堕天者:「ギャァアアアアアアァアッ!!」
黒廟リオラ:「……なら、もう恐れるものはない」
狂化堕天者:引き裂けるような悲鳴と共に、堕天者の群れが一気に襲い掛かる!
黒廟リオラ:「自分が全て引き受ける……!」
黒廟リオラ:膨れ上がった影が実体を持って、巨大な影の腕を作り出す
黒廟リオラ:振るわれる拳。無論、膨大な数の堕天者を追い払えはしない。だが───
黒廟リオラ:堕天者たちの標的が、リオラへと切り替わっていく
狂化堕天者:何体かの堕天者が影の腕に吹き飛ばされ、だが外部から操作された軍勢の攻撃はまるで止まらない。
狂化堕天者:堕天者たちが次々とリオラへと殺到し、その汚染された爪がリオラを切り裂き、牙が喰らい付く。
黒廟リオラ:「…………行け、行け!」
“イモータルコイル”:「ギャハハハッ!何だよこのバカ!自殺志願か!?」
黒廟リオラ:「ラス・ヴィダスの未来は……あなた達に……!」
黒廟リオラ:「だから、早く……っ……」「……っ……」
“イモータルコイル”:「ヒャハハハッ!ザコのくせに粋がるからこんな……」
“イモータルコイル”:「……」
“イモータルコイル”:「…… ……まさか……」
“イモータルコイル”:そのあまりにも無謀な──不可解に過ぎる動きを見て、脳裏に不吉な予感が走る。
析了トオル:「ええい、だからといってそんな無理を……!」キュッリッキ・メラスニエミへの即座の連絡。治療薬一人分。必要な血は理解している。
“イモータルコイル”:「…………爆撃機隊!まとめてでいい!さっさと吹き飛ばせ!!」
インペリアルPMC指揮官:「分かっている!直上だ!!」
GM:爆撃機の影が完全に君達の真上を捉える。
GM:ハッチが開き、大量の爆弾が君達に降り注がんとして。
三城郷ミチカ:しかし、その弾薬が投下されることはなかった。
三城郷ミチカ:機体に何かが絡みつき、ハッチの開閉を阻害している。
インペリアルPMC一般兵:「……!?」
インペリアルPMC一般兵:「ハッチが開きません!!」
インペリアルPMC指揮官:「なっ……こんな時に故障だと!?」
インペリアルPMC指揮官:「いや……!」
三城郷ミチカ:それは、恐ろしく長い高分子ワイヤーだった。ワイヤーの間には、等間隔で分割された刃が並んでいる。
三城郷ミチカ:その大本……蛇腹状に刃を伸ばした大鎌を携えて、機体の真上に一人の生徒が着地する。
“イモータルコイル”:「インペリアル!!上だ!!」
インペリアルPMC一般兵:「上!?上って……!!」
三城郷ミチカ:「展開している全機に通達します」
三城郷ミチカ:大鎌の柄を振り上げる。一瞬で、分割されていた刃が巻き戻され
三城郷ミチカ:「大至急……パラシュートの着用をお願いします!」
三城郷ミチカ:爆撃機の機体が、微塵に分解される。
インペリアルPMC一般兵:「うわっ……うわああああああ!!」
インペリアルPMC指揮官:「嘘だろ……ぐおおおおお!?」
三城郷ミチカ:墜落する前に、白い翼を広げて次の機体の下へと飛び
三城郷ミチカ:大鎌を一振り。主翼を一撃で切断する。
GM:巨大な機体が空中で両断され、積荷も乗員も一気に空中に投げ出される。
GM:地上、堕天者たちを巻き込む形で大爆発が巻き起こる。
“イモータルコイル”:「……オイ……ざけんなや……」
“イモータルコイル”:怒りが臨界を越え、わなわなと掌を震わせる。
“イモータルコイル”:「なんでミツルの姉貴まで来てんだよ!!!!!!」
三城郷ミチカ:「……」他の機体にも同様に、大型の武装を携えた生徒たちが張り付き、撃墜。瞬く間に部隊を一層していく。
三城郷ミチカ:「星徒ラン・イェチン……ごめんね」
三城郷ミチカ:通信越しに指示を出す「葬送係、地上支援に移行します。早く楽にしてあげて」
星徒シウコアトル:「グ……ゴ……ァ……」
星徒シウコアトル:蛇が鶏卵を無理やり呑み込むように。
星徒シウコアトル:緑蘭が展開した重力場を、シウコアトルが『呑み込んで』いく。
胡緑蘭:「あっ…!これちょっと不味いかも」
星徒シウコアトル:星徒の超高侵蝕でこそ可能な荒業。自らの体内のレネゲイドと、緑蘭の重力場とを同化して中和している。
星徒シウコアトル:「……あはは!そうそう!もうお腹空いちゃってさあ……」
宮星イオリ:「っ……、また」火炎袋の損傷も、オーヴァードである以上は再生する。
星徒シウコアトル:イオリに付けられた傷も恐るべき速度で修復され、再び業火が周囲を嘗め尽くす。
宮星イオリ:それが完全に果たされる前に、終わらせなくてはならない。獄炎の圏内には、さっきよりも多くがいる。今度は策を確認するよりも前に、走り出している。
星徒シウコアトル:悲鳴を上げ、一瞬で堕天者が転送、『社会人』も溶解していく。
析了トオル:「ですが、周りの攻勢が止まった今なら……ええい、こんな時に……!」空となった弾丸を装填し、発電炉でエネルギーを供給する必要がある。暫くばかりの時間を要する。
星徒シウコアトル:それらの残骸へと次々に喰らい付き、蛇よりも人間に近い様子で無意味な咀嚼の動作を行っている。
星徒シウコアトル:「おいしい!おいしいな~!」
星徒シウコアトル:走り出すイオリの眼前、振り下ろされた鞭尾が避け難い角度で迫り──
GM:それが、寸前で爆散する。
ヴァリエンテ警備保障生徒:「……行け! 行け行け行け!」
宮星イオリ:「──っ」何かを言葉にしようとして、焦熱の空の中、蒸発するように消えた。
ヴァリエンテ警備保障生徒:後方、ヴァリエンテ警備保障の一群が走り込んでくる。交戦する君達と星徒に向けて構えて。
“イモータルコイル”:「やっと来やがった……!遅えんだよ……!!」
“イモータルコイル”:「まあいい!さっさとそいつらを殺……」
ヴァリエンテ警備保障生徒:その攻撃が、イオリを援護する形で星徒へと降り注ぐ。
“イモータルコイル”:「はあ゛あぁあああああああ!?」
ヴァリエンテ警備保障生徒:「赫花連盟だな!」
ヴァリエンテ警備保障生徒:「援護する!行け!行ってくれ!」
星徒シウコアトル:全身に無数の能力を浴び、反応が追い付かない。悶え苦しみ、のたうつように暴れ回る。
宮星イオリ:そうなると分かっていた。振り向かず、加速を止めてもいない。熱獄の中核、大蛇の鼻先へと飛び込んでいる。
星徒シウコアトル:「そう────なんだよ、あたし────う四時限────なか────いちゃって……」
宮星イオリ:宮星イオリは上質な耐熱コーティングも、これほどの熱を解きほぐす高度なレネゲイドコントロールも持ち合わせてはいない。
宮星イオリ:ただ、皮膚が焼け落ちて血が沸騰しても、止まることはないだけだ。不落の星。意志ある限り、不可能を可能にする力。
宮星イオリ:焦げ落ちた血肉が光燐のように纏い、欠けた腕を補っている。その先に携えた刃は、空すらも歪む熱に晒されてなお、しなやかな一筋の形を保っている。
宮星イオリ:──声を、聞いている。駆けつけてくれた人々の、いいや。
宮星イオリ:今この場にいる者だけじゃない。当代の"マスターオーダー"、六壬の子達、トオルの友達、お節介なキングダムの生徒、連盟の仲間たち、それだけでもない。
宮星イオリ:名前も知らない、暴徒に追い回されていた堕天病の患者を匿う者がいる。
宮星イオリ:火に巻かれそうになった見知らぬ誰かを、抱えて助け出そうとしている者がいる。
宮星イオリ:企業に与えられた指令を捨て、自らの意志で救助活動を始めた社会人がいる。
宮星イオリ:目を逸らしたくなるような怨嗟と悲鳴と狂騒ばかりだった世界に、少しずつ、
宮星イオリ:それを押し止める意志が芽生えている。その声を聞いている。
宮星イオリ:宮星イオリには、返す必要があった。できる限りの佳い答えを、彼らへと。
宮星イオリ:──光と、炎が、互いに融け合うように衝突する。
宮星イオリ:空を仰ぐものの全ての目を引きつけるような。そういう輝きが、にわかにラス・ヴィダスの空を満たした。
宮星イオリ:不落の星。人の願いを浴びて輝く、かりそめの星。それがもたらした結果がいま、
宮星イオリ:──ずるり、と。体躯を二つに引き裂かれ、星徒の巨体が滑るようにして沈んだ音を以て示された。
星徒シウコアトル:「あはは──そう?うん……」
星徒シウコアトル:「ありがとね!」
星徒シウコアトル:イオリの放った輝きに呑み込まれるかのように、その巨体も炎と光に分解されて消えていく。
星徒シウコアトル:それに従って、周囲を包んでいた超高熱も徐々に引いていく。
宮星イオリ:「……。おやすみなさい」
宮星イオリ:「夢の中ではせめて、もっとマシなもの食べてなさいよ」
宮星イオリ:きっと、あれは言葉を交わしているようでいて、そうではないのだろうけど。
宮星イオリ:まるで夜眠りにつく友人との何気ない会話のように、そう言葉をかけた。
GM:……だが、戦闘は終わっていない。堕天者は街の各地、四方八方から現れては次々にその数を増やし、遠くの空には更なるインペリアルの援軍の機影が現れる。
胡緑蘭:「おつかれ、イオリ。よくやったね」
胡緑蘭:「今の内に中に入りたいところなんだけど……流石に向こうも準備がいい」
ヴァリエンテ警備保障生徒:「……ここは我々に任せてください」
ヴァリエンテ警備保障生徒:ヴァリエンテの現場指揮官らしき生徒が声を上げる。
ヴァリエンテ警備保障生徒:「何としても食い止めます。皆さんは中へ」
宮星イオリ:「……ん。分かった、任せて」少しだけその目を見て、頷く。
宮星イオリ:「全部、どうにかしてきてあげる……と言っても」
析了トオル:「全く、感傷に浸る時間も無さそうですね。すべては解決した後、ですか」
宮星イオリ:「"もう限界、ここで降りる!"って人がいたら、止めはしないけど……どう?」
宮星イオリ:強がるように笑ってから、皆を見渡す。
三部つゆり:「…色々準備してたけど、遅れちゃったかな」右腕を介添棒と共に縛り、所々焼け焦げ、切り傷擦り傷を幾重にも抱えながら歩いてくる。
三部つゆり:「…私は、ここからが本番だもの。だから絶対行くけど……」
析了トオル:「あら……ここまで来て、結末を知らずに帰るなんて!そんな勿体ないこと、できるわけ無いでしょう?」
析了トオル:「それに、ほら。来てくれた皆の部長として、今も頑張っている子の友人として。恰好いい所を見せなければ」
胡緑蘭:「うんうん。みんなまだまだ元気だね」
胡緑蘭:「私一人で入ることにはならないみたいでホッとしたよ」
宮星イオリ:「……ふ、しょうがない奴ら。知ってたけど」
宮星イオリ:「じゃ、行こっか」

GM:君達は飛び交う戦火を潜り抜けるようにして、総和重工本社ビルへと駆け込む。
GM:正面玄関ロビーは広々として傷一つなく、外の戦闘が嘘のような平時の美しさを保っていた。
GM:上階に昇るには備え付けのエレベーターを用いる必要がある。だがその前で、一人の少女が門番のごとく待ち受けていた。
スヴェトラ・ミクレツカ:「おお、来た来た」
スヴェトラ・ミクレツカ:「まさか本当に来るとは」
析了トオル:「あら……お久しぶりの顔が」
スヴェトラ・ミクレツカ:スヴェトラ・ミクレツカ。総和重工の戦闘エージェント。
スヴェトラ・ミクレツカ:人混みでも目を引くであろう長身が、君達へと歩み寄る。
スヴェトラ・ミクレツカ:「いやァ、悪いんスけどねえ」
スヴェトラ・ミクレツカ:「ここ、通すわけにはいかないんですよ」
スヴェトラ・ミクレツカ:言って、手元に巨大な炎の両手槌を生成する。
析了トオル:「貴女、いつも一緒に居た方は何処へ?」
析了トオル:「ツーマンセルが基本だと思っていましたが。別行動ですか?」
スヴェトラ・ミクレツカ:「いつも?ああ、先輩のこと?」
スヴェトラ・ミクレツカ:「知らないですよ。勝手に決めつけないでくれます?」
スヴェトラ・ミクレツカ:「別にあたし、あの人とそんな仲いい訳でもないんで」
スヴェトラ・ミクレツカ:両手槌で軽く床を叩く。それだけで硬質のタイルが陥没する。
析了トオル:「あっと、失礼皆さん。あの方、総和のエージェントで」
析了トオル:「ミクトランでは利害関係で協力したりもしたんですが、職業柄立ち塞がってしまいますか……」
胡緑蘭:「ふむ、こんな時まで仕事熱心なのは感心するけど」
宮星イオリ:「そこは見れば分かるけど……この状況でこんな場所に配置されてるってことは」
宮星イオリ:「こいつは計画の全体像まで把握した上であっちに付いてる、って考えていいのかしら」
胡緑蘭:「君もわかってるんじゃないかな?自分たちの社長がおかしいってこと」
三部つゆり:「そりゃ当然内部にも戦力はいるかあ…」分厚く身に纏うように展開されていた影の一部が解けていく。先の戦闘で使っていたそれを出来る限り回収したものだ。
析了トオル:「まあ……付かざるを得ない理由がある、方が納得いきますけどね?」
三部つゆり:先の狙撃手の女性のことを思い出して少し顔を顰める。
スヴェトラ・ミクレツカ:「ま、ある程度は分かってますよ。さっきの放送も見ましたし」
スヴェトラ・ミクレツカ:「でも、そうやってすぐに生き方を変えて、今までしてきたことを間違いだった、と言えるほど」
スヴェトラ・ミクレツカ:「器用じゃない奴だっているんですよ」
スヴェトラ・ミクレツカ:ハンマーを構え、君達に相対する。
析了トオル:「見て見ないふり、それとも自分に言い聞かせてますか?」
析了トオル:「藍浜シェラさん。そも総和に不審な動きがあれば自ら考えて動く方でしたね」
析了トオル:「不審な動きをする当人が頭に居るのが分かっていて、さて。この状況で彼女は何処に行ってしまったのか」
スヴェトラ・ミクレツカ:「何度も言わせないでくれる?先輩とあたしは関係ない」
析了トオル:「……大方捕らえられたか、上の彼に堕天病を罹患させられたか」
析了トオル:「所謂、お前は知り過ぎた。というやつでしょうか」
析了トオル:「それとも、真っ先に上に登った彼女の為に留めるか……」
胡緑蘭:「トオル。推理はその辺でいいんじゃない」
析了トオル:「まあ、何方でも。前者の理由ならば恙なく解決し、後者であれば突破して合流するのみ。その他に理由があっても、私達にはやるべきことがある」
胡緑蘭:「どうせやることは変わんないんだしさ」
析了トオル:「こほん、長話して申し訳ありません。どうにも癖でして……」
スヴェトラ・ミクレツカ:「……随分とまあ、自分の正しさに自信があるんだね。余所者のくせに」
スヴェトラ・ミクレツカ:「あたしは今まで総和で働いてきた。必死に頑張って競争を勝ち抜いて、血反吐吐いて、他人を蹴落としてでも這い上がって今の地位を手に入れた」
スヴェトラ・ミクレツカ:「今の生活を捨てるつもりは無い。今までしてきたことを間違いだったとも思わない」
スヴェトラ・ミクレツカ:「もしそれがぶっ壊れるんだとすれば……」
スヴェトラ・ミクレツカ:「全部どうだっていい。あたしだけじゃなく、ラス・ヴィダスもノヴァリスも全部ぶっ壊れたほうが得でしょ」
宮星イオリ:「……まあ。いるよね、こういうタイプも」
三部つゆり:「……事情は知らないけど、確かに全部壊したくなる気持ちは分かるよ。大事なものが、犠牲にして支払って得たものさえすべて失うのなら、いっそって」
三部つゆり:「でもね」ニードルガンを抜いている。
三部つゆり:「自棄を起こしたくなる気持ちは分かるけど、そう言うのは一人で管巻いてやるんだよ!私に依頼したスラムの人はそうしてた。力が無いかもしれないけど、彼女たちの方がきっと正しい!」
三部つゆり:「…だって、自棄起こした後は、自分の足りない所や嫌な所を見る時が来るからだよ!反省するのに一人じゃ無理なら…掛かってきなさい!」
スヴェトラ・ミクレツカ:「ははっ。いいよ」
スヴェトラ・ミクレツカ:「反省なんてするつもり無いけど。ここで全員叩き潰して……」
藍浜シェラ:「……その必要は無い」
藍浜シェラ:君達の後方から、声。
藍浜シェラ:一人の少女がロビーに靴音を響かせ、一振りの刀を手にゆっくりと歩いてくる。
胡緑蘭:「おや」振り返って「君は?」
析了トオル:「あ、無事でしたか。さっき話した方です、藍浜シェラさん」
胡緑蘭:「なるほど、トオルの推理は大ハズレだったか。いや結果的には喜ばしいのかな」
藍浜シェラ:「無駄話はいい」
三部つゆり:「む……」完全に戦闘するつもりの構えだった。
藍浜シェラ:「行くんでしょ?」
藍浜シェラ:エレベーターを示して
藍浜シェラ:「行きなさい」
藍浜シェラ:それ以上は口を開かず、柄頭に手を掛けてスヴェトラと相対する。
スヴェトラ・ミクレツカ:「……!」
析了トオル:「やれやれ、さっき解決した分の揺り戻しでしょうか。しかし悪い方向の予想が的中しなくてよかったです」
宮星イオリ:「ま……反省会やるなら勝手知った相手とやる方が良い、って事で」
宮星イオリ:「甘えとくよ、ほら。三部」退かせるように手を引きつつエレベーターへ向かう。
析了トオル:「では……この場はお任せします。お互いに、ご無事で」
三部つゆり:「…まあ、これ以上消耗したくはないので、すごく助かりますね……そしてイオリさんの言う通りなのもそう…」ちょっと不満げだったが、カウンターに連絡先を書いたメモを置いておく。
三部つゆり:「管巻く相手くらいには、これが終わったらなってあげます。…では、また逢いましょう」
GM:君達四人を乗せ、エレベーターの扉がゆっくりと閉じていく。
スヴェトラ・ミクレツカ:「……先輩」
スヴェトラ・ミクレツカ:「あんたとは、いつかこうなる気がしてましたよ」
藍浜シェラ:「そうね」
藍浜シェラ:「……もっと早くにこうしていればよかった」
GM:エレベーターが上昇を始める。扉の外から、激突音が響き渡った。
GM:階数を示すランプが徐々に遷移し、君達はゆっくりと、塔の頂上へと昇っていく。
GM:シーンを終了しま
“イモータルコイル”:「さ────」
“イモータルコイル”:「せ────」
“イモータルコイル”:「る────」
“イモータルコイル”:「かああぁあああああああああああッ!!」
“イモータルコイル”:《原初の赤:サイレンの魔女》LV9+《原初の黒:マスヴィジョン》LV7+《背教者の王》LV7
“イモータルコイル”:この攻撃で一点でもダメージを受けた場合、堕天病に感染します。
“イモータルコイル”:また、この攻撃で十字冠転送された生徒は、直後のクライマックスシーンに登場することが出来ません。
胡緑蘭:ワ、ワァッ…!
三部つゆり:わ、割り込み可能ですか
“イモータルコイル”:そして、Eロイス《虚実崩壊》を使用。
析了トオル:なにっ
“イモータルコイル”:この攻撃は、エフェクトの効果によっては失敗させることが出来ません。
析了トオル:なんだとぉ……
胡緑蘭:そ、そんな……!
三部つゆり:………ヤバすぎるって!
胡緑蘭:ワシの《時の棺》が……!!
宮星イオリ:カバーリングはできますか?
GM:カバーリングは可能です。
析了トオル:はわわ……
三部つゆり:もう判定直前で止める手段がないぜ……
胡緑蘭:おわりだ……………
“イモータルコイル”:死ね!!!!!ノヴァリスのクズ共!!!!
析了トオル:ハワ~~~~~~~~~~~~
“イモータルコイル”:20DX+20
DoubleCross : (20DX10+20) → 10[1,1,2,3,3,3,4,4,5,5,6,6,7,8,8,8,8,9,9,10]+4[4]+20 → 34
三部つゆり:コンボ:共命鳥《輪廻の獣》。5:胡緑蘭 〇感服/劣等感をタイタス化し、それを使用。判定直後、その判定を失敗させます。
“イモータルコイル”:りっりっ輪廻の獣~~~~~~!?
GM:ギャアアアアアアアアアア!!!!!!!!
GM:では……攻撃は失敗します……!
胡緑蘭:救世主つゆり!
析了トオル:つゆり様~~~ッ
三部つゆり:あがめよ
GM:全員が気付いた。
GM:直上、全てを破壊しながら、圧倒的なレネゲイドの奔流が迫りつつあった。
GM:機神の神秘を帯びた、純粋なエネルギーの爆発。
GM:ウロボロスの性質を発揮したそれは、あらゆるエフェクト、あらゆるレネゲイドを吸収し、無に帰す。
GM:超高密度の影の嵐が、ビルを真っ直ぐに貫きながらエレベーターごと君達を呑み込まんとする。
析了トオル:「っ……まさかこの建物ごと私たちを吹き飛ばすつもりですか……?!」
析了トオル:止められるか。いや、準備できる暇が無い。対抗策を編み出す時間が足りない。
宮星イオリ:「そりゃ、元の目的が学区全壊なら、それくらいはやってきてもおかしくないけれど……!」
胡緑蘭:「こういう場面を狙わないのは暗黙の了解ってやつじゃないのかな……!」迫りくる気配をいち早く察知し構えている。
胡緑蘭:「まあ、私でもここを狙うだろうけど!」
GM:既に君達は満身創痍だ。今攻撃を受ければ確実に十字冠転送が発生する。
GM:“イモータルコイル”の作戦は最初から一貫して、君達を決戦の舞台に上がらせないことにある。
“イモータルコイル”:「消し飛びやがれ!!ノヴァリスのゴミ共!!」
“イモータルコイル”:「テメェらに!!クライマックスなんて来やしねェんだよ!!!」
宮星イオリ:咄嗟にエレベーターの壁を切りつけ、穴を開く──が、そこを抜けた先からも爆風の迫る音がする。
胡緑蘭:上空に向けて黒腕をかざす。空間が歪み、一瞬、レネゲイドの奔流が一点に吸い込まれるような動きを見せるが、
胡緑蘭:(内側から食い破られる!相性が悪いな……)
三部つゆり:その攻撃を感じていながら、いっそ静かでさえあった。ニードルガンを握り締め、自身のこめかみにつきつける。
三部つゆり:「先生。ちょっと無茶をしますけど…」身に纏う回収した影--”獣”、共命鳥のそれが、針の形をとり、装弾される。
三部つゆり:「あまり、怒らないでくださいね」がぁん、と。
三部つゆり:目が閉じる。感覚と記憶と精神、それらすべてが加速し、加速、加速--底へ辿り着く。
三部つゆり:そこは酷く暗い--否、影しかない空間だった。
三部つゆり:三部つゆりの心身の最奥に存在する封印の層。そこへつながる下り十三階段。
三部つゆり:但しその先は、死ではなく生がある--死より遥かに悍ましい、己を失い永遠の輪廻へ組み込まれるそれが。
三部つゆり:それは、仏教教理に於いて克服されるべきものであり、OV達に遺された難題である。
三部つゆり:三部つゆり個人程度では、到底及ぶべくもない。
三部つゆり:「……、」来たのは数度もない。今でも足がすくむ。それでも。
三部つゆり:「--契約だ」
:おお、と答える声があった。重く地下より響く声。圧し折るように嗤う声。此度は何だと。
:おまえは、何を願う?おれに願おうと叶わぬやもしれぬが--
三部つゆり:「対面を」
:嘲笑と忌み嫌う声がした。愚者め、とかれはそう言っていたかもしれない--
:--を寄越せ。さすればくれてやろう。こなしてみせるといい
三部つゆり:眼を開けば、影の奔流はもうすぐそばに迫っている。
三部つゆり:「我が」この期に及んで躊躇いがあった。それでも。
三部つゆり:もう時間が無く、機会がなく、此処は掛けるしかないのだという思いがあった。
三部つゆり:「髪をささげる」
三部つゆり:光を反射する茶の髪から、色が‐‐否、生気が抜け落ちる。
三部つゆり:それはどこかパサついた工業製品の白。ビニールやポリエステルでできた人工製品。
三部つゆり:人形の髪。そんな色だった。

三部つゆり:つゆりが、ずっと綺麗に見えるようにと手入れを欠かしたことがなかった髪が、堕ちる。
三部つゆり:その落差が、淡い恋がいつか届きますようにという小さな願いが、薪としてくべられ。
三部つゆり:『--止まれ』それは、命令の声。権能の顕れ。背教者たちの旧き王、その威勢のひとかけらが、ここに顕れる。
三部つゆり:圧されるように、ビデオのスローのように攻撃が急激に減速し、停止していく。
“イモータルコイル”:「……あ……?」
GM:エレベーターの天井を食い破ろうとした瞬間、影の奔流が静止し、停滞する。
GM:膨大なレネゲイドを秘めた嵐が、徐々に散逸し、霧散、消滅していく。
“イモータルコイル”:「……何だよこりゃ……」
“イモータルコイル”:「あり得ねえ……!機神の力だぞ!?神聖二重冠でもねえ!何が……!」
三部つゆり:その排撃の権能の顕れ方は、どこかの誰かに似ていたかもしれない。幼い彼女が見た中で、もっとも”止める”ことに長けた能力。
胡緑蘭:「……本当に無茶をするね」
“イモータルコイル”:「…… ……お前か……」
“イモータルコイル”:「三部つゆり…………!!」
三部つゆり:「必要でしたから」ちょっと笑って。「うん。私だよ。三部つゆり--」
三部つゆり:「会いに来たよ」
GM:シーンを終了します。
【Climax】
GM:クライマックスシーンを開始します。全員登場です。
析了トオル:析了トオルの侵蝕率を1D3+3(→ 5)増加(165 → 170)
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を1D3+3(→ 4)増加(158 → 162)
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を1D3+3(→ 4)増加(146 → 150)
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を1D3+3(→ 5)増加(142 → 147)
GM:君達が総和重工本社ビルの屋上に辿り着いた頃には、既に西日は傾き、橙の色に染まりつつあった。
GM:商業区、ラス・ヴィダスで最も高い塔の頂上。そこに、デリア・ヴァルタースキルヒェンが──“イモータルコイル”が一人佇んでいた。
“イモータルコイル”:「……」
“イモータルコイル”:強風に髪を揺らしながら、君達を見据えている。
三部つゆり:「来たよ、お兄さん--”イモータルコイル”」穏やかにさえ聞こえる声で。生気の失せた真っ白な髪を風に揺らしている。
“イモータルコイル”:「……お前」
“イモータルコイル”:「その髪……」
三部つゆり:「いったでしょ、器だって。まあ…これくらいなら運動機能にも特に問題ないし」
三部つゆり:「見せたい人も、いないんだから。寧ろ軽い方だったよ」
“イモータルコイル”:「……」瞳に僅かな動揺の色が走ったのは、一瞬のこと。
“イモータルコイル”:「……今更来たところで、もう遅い」
“イモータルコイル”:「あと数分で感染率は目標値に達する。ラス・ヴィダスは終わりだ」
“イモータルコイル”:「そして、あと数日もあれば──」
“イモータルコイル”:「このノヴァリスも終わる」
GM:君達はその言葉に違和感を覚えたかもしれない。
GM:堕天病は殆どの場合、あくまで遅効性で病状が進行する。
GM:たとえノヴァリス全域で感染爆発が発生したとしても、数日で『終わる』という表現に足るものだろうか?
三部つゆり:「ラス・ヴィダスはともかく…ノヴァリスも?」
“イモータルコイル”:「……ラス・ヴィダス中央銀行は……」
“イモータルコイル”:「ノヴァリスでトップクラスの防護システムを誇る施設だった」
“イモータルコイル”:「健全にシステムが働いていれば、たとえキングダムの王だろうと、崑崙の連中だろうと、そう簡単に破れるものじゃあない」
“イモータルコイル”:「だが、破られた。たった12人の堕天者によってな」
胡緑蘭:「意図が今ひとつ読み取れないな」
胡緑蘭:「その12人がなにか特別だったということかい?」
“イモータルコイル”:「その逆だ」
“イモータルコイル”:「何も特別じゃないからこそ意味がある」
析了トオル:「堕天者であればだれでもいい。たった12人で、ノヴァリスのどの各地も"そう"なり得る可能性がある」
“イモータルコイル”:「『各地』?」嘲るように
“イモータルコイル”:「堕天病は、『十字冠を破壊する兵器』だ」
“イモータルコイル”:「それはしかし、十字冠『だけを』破壊できる兵器というわけじゃない」
“イモータルコイル”:「十字冠『も』破壊できる兵器ということに過ぎない」
胡緑蘭:「そうなの?」隣のイオリに尋ねる。
宮星イオリ:「……」にわかに眉根を寄せる。「知らないわよ。初めて聞いた」
“イモータルコイル”:「“マスターポルート”の神秘は、あらゆるレネゲイドを侵食し、汚染し、破壊する」
“イモータルコイル”:「ノヴァリスの根幹たる十字冠を──」
“イモータルコイル”:黒く錆びたように変質した、イオリの十字冠を指差して
“イモータルコイル”:「そんなザマに出来るのがその証左だ」
宮星イオリ:「……」
“イモータルコイル”:「お前らも知っての通り、感染の最終段階に達した罹患者──堕天者は、自ら堕天病ウィルスを生成し、歩く感染源そのものとなる」
“イモータルコイル”:「その堕天者が12人もいれば、ノヴァリス最高峰のレネゲイド防護だろうと、容易く破壊することが出来る」
“イモータルコイル”:「それじゃあ……」
“イモータルコイル”:「ノヴァリス内部の数千、数万の生徒が」
“イモータルコイル”:「全て堕天病に感染したとすれば──」
“イモータルコイル”:「その時、ノヴァリスはどうなる?」
宮星イオリ:「……土台になるノヴァリスのシステムそのものに汚染が生じて、崩壊するって?」
析了トオル:「これはまた、御大層なことを考えるものです」
“イモータルコイル”:「その通り」
“イモータルコイル”:「俺はあの大十字冠を」遠くの空を見遣って「このノヴァリス全てを破壊する」
“イモータルコイル”:「……さて」
“イモータルコイル”:「……この話で何分稼げた?」口端を歪めて笑って「まだ頑張る気か?もうとっくに間に合わねえよ」
胡緑蘭:「……誇大妄想、と切って捨てるには、材料が揃いすぎてるね」
三部つゆり:眉根を寄せて告げられた事実を咀嚼する。…確かに大変大きい事だ。そして、止めるには--マリアさんたちが間に合うかどうかにかかっている。
析了トオル:「やれやれ、病気一つでこうなってしまう。予防接種の重要性が身に染みるというもの」
胡緑蘭:「うん。確かにこれは間に合わない」
胡緑蘭:「……堕天病が、不治の病のままであれば、ね」
“イモータルコイル”:「……チッ」
“イモータルコイル”:「あの役立たずが……やっぱり逃がしやがったか」
析了トオル:「あらあら、条件が悪かったんじゃありませんか?」
析了トオル:「社長のガワを被るのなら、せめてもう少し従順にさせるようなものを提示すべきでしたね」
“イモータルコイル”:「だが、それこそもう遅い」
“イモータルコイル”:「遺産は一つ。大量生産の準備も整っちゃいない」
“イモータルコイル”:「あと数分で堕天者はノヴァリス中に拡散する」
“イモータルコイル”:「今更治療法が見つかったところで、拡大は止められねえよ」
三部つゆり:「……そうかもしれない。もう意味が無くて、なにも出来ないのかも」
三部つゆり:「でも、そうだとしても…まだやれることはある。この計画において、指揮も管理もすべてあなたがしてる」
三部つゆり:「あなた以外のそのような人の姿は見えなかった。だから」ニードルガンを抜く。「私は、出来ることをする」
三部つゆり:「それに、本当に間に合わないのだとしても」少しだけ笑って。「お兄さんのこと、起こしてやらないとね」
“イモータルコイル”:「何度も言わせるな」
“イモータルコイル”:「四海群生は死んだ」
三部つゆり:「信じない」
三部つゆり:「その言葉だけは、私は信じない!」
“イモータルコイル”:「……」
“イモータルコイル”:その片方だけの瞳の光に、不快そうに眉根を寄せる。
“イモータルコイル”:「クソガキが」
三部つゆり:「そうだよ!私は何もできなかったし、なにも変えようとしなかった!とんでもない愚か者だ」
三部つゆり:「でも、そんな愚かなやつでも、絶対に譲れないものはある!何度負けて何度泣いて、何度何もできなくても!」
三部つゆり:「私は、あなたに会いに来た!」
三部つゆり:「都築ソウマと四海群生の友達として、三部つゆりが!私が為すべきと信じる事をやりに来たんだ!」
“イモータルコイル”:「…………黙れ」
“イモータルコイル”:掌で顔を覆うように、絞り出すような低声を漏らす。
“イモータルコイル”:「今更なんだよ……何もかも……!」
三部つゆり:「今更でも……今更でも!まだ終わってない!!」
三部つゆり:「髪も眼もダメにして、もう見れたものじゃない見た目になったよ!それでも、私はまだ喋れるし、身体は動くんだ…!」
三部つゆり:「何時までも寝ぼけてられると思うな、四海群生……!あなたもどんな無様を晒していても!私ほど何もできなかったわけじゃないでしょ!?」
“イモータルコイル”:「黙れ……黙れ、黙れ、黙れ黙れ……黙りやがれッ!!」
“イモータルコイル”:「終わったんだよ!!何もかも!!全部……全部……」
“イモータルコイル”:「ぐぅぅううぅううああぁああああああッ!!!」
“イモータルコイル”:ひどく表情を歪め、苦悶の声を漏らし
“イモータルコイル”:「……さっさと……」
“イモータルコイル”:「──啓きやがれ、セトの門ッ!!」
“イモータルコイル”:「Parfaxitas,Tzuflifu,Qulielfiッ!!!」
“イモータルコイル”:全身が内側から弾けるように変形し、苦痛に満ちた表情もまた、膨張するように展開する機構に呑まれて消える。
“イモータルコイル”:現れるのは、仁王像の如き威容。燻る炭のような褪せた黒。
“イモータルコイル”:「機神……照臨──」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「“イモータルコイル・オレブザラク”……!!」
“イモータルコイル・オレブザラク”:同時、爆発的にレネゲイドが膨れ上がり、理外の圧力が君達全員を呑み込む。
胡緑蘭:「さて、準備は良いかなみんな」
宮星イオリ:「……さっきから、叫んで喚いて、思い通りにならなかった事に当たり散らして」
宮星イオリ:「どっちがクソガキなんだか」
宮星イオリ:その威容を見上げながら、吐き捨てるように呟く。
析了トオル:「勿論、最後の正念場と言ったところ」
析了トオル:「ここを越えねば皆の努力がふいになる。それはなんとも……勿体無い、でしょう?」
三部つゆり:「当然です…!いつでもッ!」威容に心押されながら、それでも真っ直ぐに睨めつけている。
胡緑蘭:「つゆりの言った通り、まだできることはある」
胡緑蘭:「手遅れだ。なんて言ってくる奴はね、相手にそう思って欲しいから言うのさ」
胡緑蘭:「馬鹿正直に諦めてあげる道理はないよ。頑張ろう」
宮星イオリ:「分かってる。……三部も、そんなに近くで大声出さなくたって、聞こえてる」
三部つゆり:「うっ……ご、ごめん」
析了トオル:「それに……早く倒して、イオリさんも治療しないといけませんからね」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「ハッ!大した威勢じゃねえか。十字冠も無い癖してよ」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「たった四人で俺を止める気か?……いや」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「これで三人になったか」
GM:気付けば君達の周囲を、“マスターポルート”の能力──瘴気が取り囲んでいる。
GM:攻撃としてダメージを与える類のものではない。だがそれ自体が、何より高濃度の堕天病の感染源であることは言うまでもない。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「生徒に対しちゃそんなに意味ねえから、今までやらなかったが……」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「テメェは別だろ?なあ?」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「『空気感染』だ」
胡緑蘭:「これは、アイツの───」
“イモータルコイル・オレブザラク”:Eロイス《予告された終焉》+《傲慢な理想》
“イモータルコイル・オレブザラク”:PC全員に堕天病を感染。
“イモータルコイル・オレブザラク”:この効果を受けたキャラクターは、エンディング開始と同時に死亡します。
胡緑蘭:エーッ!?
析了トオル:バカナー!
三部つゆり:し、死んじゃう
宮星イオリ:もう感染してるのに……
GM:通常の効果ではこのEロイスはジャーム本体を倒すことで解除されますが、今回は病なので解除されません。
胡緑蘭:そっそんな…!
宮星イオリ:???
胡緑蘭:救いはないのですか…!?
三部つゆり:死ねって…コト!?
GM:また、堕天病に感染しているキャラクターは、クライマックス戦闘中に不利な効果が発生します。イオリさんは最初から感染しているため、再度感染の処理が発生した場合同様の効果が発生します。
析了トオル:なんということ
宮星イオリ:そんな 踏み倒しはできないってのかよ
GM:君達を瘴気が包み込み、全身至るところから体内に侵入する。
GM:本来であればすぐさま症状が発生するわけではないが──“イモータルコイル”に操られたそれは、衝動にも似たおぞましい感触を生む。
胡緑蘭:「ぐっ……」大きく足元をふらつかせて
“イモータルコイル・オレブザラク”:「特別サービスだ!直に劇症型をブチ込んでやるよ!ギャハハハハハハッ!!」
宮星イオリ:「……っ、ぐ……」呻くように身体を抑える。強制的なレネゲイドの励起と共に、異形のかたちが顕れていく。
三部つゆり:「ん、ぐっ……、これは…」片手で口元を抑える。右腕に幾重か黒く変じた部位が生ずる。裂け割れるような痛みが襲ってくる。
析了トオル:「っ、戦う以上、分かっていた事ではありますがっ……!」
胡緑蘭:首筋に痛みを感じて指を触れる。堕天病の黒変がこの一瞬で首元まで表出している。
胡緑蘭:「流石に、生身だと進行も早いな……」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「テメェーらは戦うまでもなく終わってんだよ!せいぜいそこで這い蹲って見物してな!!」
宮星イオリ:元より進行が進んでいる身体に、許容量を超えたものが流し込まれた。軋音を立てて甲殻質へと硬化した肌が波打ち、かろうじて人らしくあるために残し続けた、目元と髪さえも黒変していく。
胡緑蘭:「けど、うん」
胡緑蘭:額の汗を拭い、その場で拳法の套路を踏む。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「……あ?」
胡緑蘭:「八割ってとこかな。これなら問題はなさそうだ」
胡緑蘭:「君を倒すくらいの時間は保たせられる」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「つくづく……」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「口の減らない野郎が!!死にぞこないに何が出来る!?」
胡緑蘭:既に内臓機能の大部分は不全となっている。オーバーフローしつつあった痛覚は自ら遮断した。
胡緑蘭:それでも、持てる技術を駆使すれば戦闘駆動への影響は最小限に抑えられる。戦力の八割を維持できるというのはブラフではない。
胡緑蘭:「できることなんていくらでもあるさ」
胡緑蘭:「約束したからね。私が、この街を守る」
胡緑蘭:「例え次の瞬間に息絶えるとしても、約束は果たすよ。先生だからね」
宮星イオリ:「は、ぁっ……あ……」掠れるような呼吸。こちらもほとんど堕天者になりかかっているような姿だが、意識を手放してはいない。「かっこつけ野郎」
析了トオル:「……全く、そんな縁起でもない事を言わないでください。先生」
三部つゆり:「マリアさん、泣いちゃいますよ…!」脂汗が流れる。それでも、身体の動きは神経と筋肉に浸透させた影で代用する。
析了トオル:対堕天病用に準備していた何本もの液薬を首筋に打ち込みながら、大きく息を吐く。
三部つゆり:(イオリさんは、ずっとこれよりひどいのに耐えてたんだ)噛み締める。「私だって、まだまだ……!」
析了トオル:「これから全部解決してこそ、です。私たちの邪魔をする路端の石は、さっさと跨いで乗り越えてしまいましょう」
宮星イオリ:「……それで? 色々と手札は用意してたみたいだけど」"イモータルコイル"を睨み上げる。
宮星イオリ:「今度こそ、弾切れって事でいい? 戦う前に心を折って降伏させる手筋は」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「……」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「その目」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「その目だ」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「何なんだ?お前らは……状況分かってねえのか?」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「俺が、こんだけ、懇切丁寧に……何しても無駄だって教えてやってんのによ」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「何でまだそんな目が出来る?脳にクソでも詰まってんのか?」
宮星イオリ:「……状況?」ふ、と笑う。
宮星イオリ:「分かってるよ、ちゃんと……分かってるし、聞こえてる」
宮星イオリ:……ずっと、大嫌いだった私の学校。ラス・ヴィダス。
宮星イオリ:"マスターポルート"から守り抜いたもの。私達の戦いの成果。
宮星イオリ:どうやっても好きになれなかったし、"こんなもの"としか思えなかった。
宮星イオリ:そこへ今、みんなが手を差し伸べてくれている。
宮星イオリ:この場所のために、命を危険に晒す価値があると言ってくれる人達がいる。……貴方なら本物の英雄になれると、信じてくれている人達がいる。
宮星イオリ:「アンタが突きつけてくるどんな言葉よりも」
宮星イオリ:「私にとっては。諦められない理由の方が、ずっと多くて重い」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「……」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「……ムカつくよなァ……こいつら……」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「気が変わった」
“イモータルコイル・オレブザラク”:“イモータルコイル”の周囲に膨大な影が立ち込め、空間が歪んでいく。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「時間さえ稼げばいいと思ってたが……止めだ」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「完全にブチ折って、現実ってモンを分からせてやる」
GM:暗雲のごとく渦巻く影の中から、巨大なシルエットが姿を現す。
星徒ナナワツィン:全身がひどく腐敗し、悪臭を撒き散らし、臓物を垂れ流す巨像。
星徒ナナワツィン:原型すら判別できぬ巨体が、汚汁を飛び散らせながら軽やかに跳ね、衝撃がビル全体を揺らす。
星徒ナナワツィン:「さあ──」
星徒ナナワツィン:「試合だ試合!頑張るぞーーー!!」

星徒イラマテクウトリ:「────」
星徒イラマテクウトリ:神々しさすら覚えるような、純白の貝を思わせる怪物。
星徒イラマテクウトリ:周囲の空間は不可解に歪み、その奥には銀河のような真空の輝きが瞬いている。

星徒トラロック:「ああ──」
星徒トラロック:真っ赤な……文字通りの血の雨が、辺りに降り注ぐ。
星徒トラロック:屋上を濡らす血溜まり、その境界からゆっくりと姿を現し、空中を泳ぐように浮遊するのは
星徒トラロック:皮膚がドレスめいて垂れ下がった、真紅の鯨骨。
星徒トラロック:「先生!やっとお呼びくださったのですね!待ち焦がれていましたわ……!」

“イモータルコイル・オレブザラク”:「……さあ」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「せいぜい無様に足掻いて見せろや!!」
GM:クライマックス戦闘を開始します。
エンゲージ
“イモータルコイル”(16)/星徒イラマテクウトリ(7)/星徒トラロック(14)
(5m)
星徒ナナワツィン(8)
(5m)
三部つゆり(8)/宮星イオリ(18)/析了トオル(14)/胡緑蘭(7)
GM:この戦闘中、堕天病に感染しているキャラクターはメインプロセス前に難易度10の《意志》判定を行います。失敗した場合、行動することが出来ません。
胡緑蘭:ひどい!
三部つゆり:きつすぎ~!
GM:また、現在“イモータルコイル”は“マスターポルート”の能力をコピーし、星徒をコントロールしている状態にあります。
GM:先程“イモータルコイル”の攻撃を無効化したつゆりさんは、その能力の一部を解析あるいはコピーしている状態です。
GM:つゆりさんは自分の手番、メジャーアクションで“イモータルコイル”と【精神】で対決判定を行うことが出来ます。
GM:判定に勝利した場合、星徒から一体を選択し、そのコントロールを奪取することが可能です。
三部つゆり:な…なんと そんなことが
胡緑蘭:スゴイぞ
GM:“イモータルコイル”が再度コントロールを取り返すには、自分の手番でメジャーアクションを消費する必要があります。この場合は判定は発生しません。
GM:つゆりさんは奪取した星徒を自由に動かすことが可能ですが、ジャームと感応することにより、メインプロセスを行わせる度に侵蝕率が3上昇します。
GM:なおエンゲージに関してですが、星徒ナナワツィンが前に出ていますが、封鎖などはされていないため、迂回して移動することが可能です。
胡緑蘭:よかった…
宮星イオリ:やさしいなあ
GM:何か質問等ございますか?
三部つゆり:やさしい ええと、私からは つゆりのメジャーでの、対決判定ですが その際エフェクトは使用できますか? また、迂回移動時、移動に必要になる距離は幾つでしょうか?
GM:エフェクトは使用可能です。迂回する際も余計に移動距離が掛かったりはしません。後列まで10mです
三部つゆり:回答ありがとうございます!私からは以上です!
析了トオル:・神聖二重冠は発動していますか?
・こちらはおまけですが、Sロイス昇華をすると(神聖二重冠効果なら戻りますが)堕天病の治療における血の摂取対象として選べますか?
宮星イオリ:星徒のコントロールを得た時点で所持エフェクトとかが分かるんでしょうか?それとも、「こいつを攻撃して」くらいの指示を出すイメージでしょうか 後、コントロールを得た星徒にカバーリングさせることはできますか?
GM:そうですね!神聖二重冠が使用可能です。
神聖二重冠
クライマックスフェイズ中に限り、あなたが持つ【十字冠】をアップグレードし、効果を以下のように書き換える。
あなたは、シナリオ中に一回のみ、以下の効果の中からどれか一つを選んでオートアクションで使用できる。
・このメインプロセスでは、あなたが受ける【判定ダイスへの侵蝕率ボーナス】の値を3倍にする。
・このメインプロセスでは、あなたが受ける【エフェクトLVへの侵蝕率ボーナス】の値を2倍にする。これによってエフェクトの使用回数は増えない。
・あなたの侵蝕値を任意の数値まで瞬時に上昇させ、あなたのHPを+[上昇分×3]点回復する。この時、HP上限を超えることはできない。
・あなたの侵蝕値を任意の数値まで瞬時に上昇させる。あなたがこのメインプロセスで行う攻撃の攻撃力を+[上昇分×2]点増やす。
・あなたの侵蝕値を任意の数値まで瞬時に上昇させる。あなたがこのメインプロセスで行う判定の達成値を+[上昇分×3]点増やす。
・この戦闘のバックトラックでは、あなたが昇華したタイタスを1個、ロイスとして再取得できる。ただし、この効果は昇華前にSロイスに指定したロイスしか対象にできない。
・この戦闘のバックトラックでは、最終侵蝕値によって得られる経験点を3倍にする。
このアイテムは破棄できず、『十字冠を破壊する』と書かれたエフェクトやアイテム以外によっては破壊されない。
また、エフェクトやアイテムの効果で新たに取得することもできない。
GM:治療の材料となるのはあくまでロイスの対象であることが重要であり、ロイス昇華を行って治療するわけではないのでSロイス昇華しても問題ありません。
析了トオル:ありがとうございます!
GM:星徒のコントロールを得た時点で全データが開示されます。カバーリングを行わせることも通常通り可能です。
GM:他には大丈夫かな?
宮星イオリ:私は大丈夫かな
胡緑蘭:OK!
析了トオル:大丈夫!
三部つゆり:大丈夫です!
GM:では戦闘を開始します。
◆ラウンド1
GM:セットアップから!
三部つゆり:無しです!
胡緑蘭:なし!
析了トオル:なし!
宮星イオリ:こちらもなし
“イモータルコイル・オレブザラク”:なし
星徒ナナワツィン:《ターゲットロック》LV6
星徒ナナワツィン:1D4
DoubleCross : (1D4) → 1
星徒ナナワツィン:対象三部つゆり
三部つゆり:ひいん
星徒ナナワツィン:星徒ナナワツィンは常時エフェクト《無敵の肉体》LV5+《超人的弱点》LV10+《超人的弱点》LV10を持っています。
星徒ナナワツィン:これにより常に装甲値+50、受けるダメージを20軽減。
胡緑蘭:なんだこいつ
星徒ナナワツィン:ただし自身が一度でも《ターゲットロック》の対象としたキャラクターには適応されず、さらに受けるダメージを+20します。
析了トオル:なるほどね
星徒イラマテクウトリ:《アクセル》LV8+《アーマークリエイト》LV8
星徒イラマテクウトリ:行動値+16、装甲値23の防具作成
星徒イラマテクウトリ:行動値は7>23
星徒トラロック:Eロイス《戦闘血界》
星徒トラロック:HP25を消費
星徒トラロック:このシーン中、対象が行うあらゆる達成値+10
星徒トラロック:対象はイモータルコイルのみ。
星徒トラロック:この効果は星徒トラロックの戦闘不能で解除されます。
GM:ではイニシアチブ
GM:行動値23 星徒イラマテクウトリの手番です。
胡緑蘭:待ちな!
GM:なにっ
胡緑蘭:《時間凍結》を使用。イニシアチブで行動します。
GM:時間凍結だと~~~!?
GM:OK!では先生の手番!
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を5増加(147 → 152)
胡緑蘭:胡緑蘭のHPを5に変更(25 → 5)
胡緑蘭:マイナー、戦闘移動でイモータルコイル+星徒2体のエンゲージに接敵。
胡緑蘭:メジャー……の前に
胡緑蘭:新星白書の効果を使用します!アリト先生のロイスをタイタス昇華。
GM:堕天病に感染しているならメインプロセス前に意志判定……
GM:なっなにィ!?
胡緑蘭:『あなたを効果の対象に含むEロイスを一つ指定する。このシナリオ中、その効果は無効化される』
胡緑蘭:指定するEロイスはもちろん
胡緑蘭:【予告された終焉】だ!これで堕天病ともおさらばだぜ!
GM:ほぎゃぎゃ~~~~~~!!!!
GM:馬鹿な……こんなことが……!?
GM:では予告された終焉の効果は無効となります。
胡緑蘭:フゥ~~スッキリ
GM:堕天病の治療が出来るわけではなく、感染した事実が無くなったという扱いになります。イオリさんも元々の病状に戻ります。
胡緑蘭:了解!
胡緑蘭:では改めてメジャーアクション。
胡緑蘭:《ディストーション》LV2《漆黒の拳》LV2《コンセントレイト:オルクス》LV4《漆黒の波濤》LV2 サイバーアームで攻撃
胡緑蘭:対象はエンゲージのエネミー全員です。
GM:判定どうぞ!
胡緑蘭:11dx7+9+5
DoubleCross : (11DX7+14) → 10[1,2,2,2,2,4,5,6,7,9,10]+10[5,6,10]+10[9]+1[1]+14 → 45
星徒トラロック:《支配の領域》LV5
星徒トラロック:3回目の9を1に!
胡緑蘭:ぐおおお
GM:35かな?
胡緑蘭:35だぜ!
星徒トラロック:ガード
星徒イラマテクウトリ:ガードして、イモータルコイルを行動放棄カバー。
“イモータルコイル・オレブザラク”:“マスターポルート”からエンブレム「畏怖」を奪っています
胡緑蘭:ということは…
“イモータルコイル・オレブザラク”:イモータルコイルにカバーリングを行ったキャラクターは、行動済みになりません。
析了トオル:なんだとぉ……
胡緑蘭:許せねえ!
三部つゆり:なにぃ 凍てつく刃入れます?
胡緑蘭:ほしいです!
三部つゆり:コンボ:鳥急《原初の紫:凍てつく刃》!ダメージ+1d10+18です!160超えたのでレベルアップなのだ
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を4増加(162 → 166)
胡緑蘭:ダメージ出します。
GM:ダメージどうぞ!
胡緑蘭:4d10+29+4d10+10+1d10+18 装甲無視
DoubleCross : (4D10+29+4D10+10+1D10+18) → 30[10,8,6,6]+29+21[2,8,3,8]+10+7[7]+18 → 115
GM:ぎえ~~~
星徒トラロック:だいぶ痛いです
星徒イラマテクウトリ:カバーして2倍ダメージ受けます
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を10増加(152 → 162)
星徒イラマテクウトリ:結構減る
星徒イラマテクウトリ:減るので……
胡緑蘭:装甲も無視しているはずだが…流石に硬いぜ
星徒イラマテクウトリ:Eロイス 《死は甘きもの》
星徒イラマテクウトリ:ダメージを受けた場合、ダメージを与えたキャラクターの侵蝕3上昇。
胡緑蘭:ぐえええ
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を3増加(162 → 165)
GM:では行動値23 イラマテクウトリの手番です
星徒イラマテクウトリ:待機します
GM:行動値18 イオリさんの手番です
宮星イオリ:うおお
宮星イオリ:マイナー、不同にして不測:《陽炎の衣》《光芒の疾走》《インフィニティウェポン》で武器作成・隠密化・戦闘移動。“イモータルコイル"達のいるエンゲージへ
宮星イオリ:メジャー、不浄にして不敵:《コンセントレイト》《見えざる死神》《光の舞踏》 トラロックを単体攻撃します
GM:判定どうぞ!
宮星イオリ:12dx+6+5@7 命中
DoubleCross : (12DX7+11) → 10[1,2,2,2,4,5,6,6,7,8,9,10]+10[2,3,6,8]+3[3]+11 → 34
星徒トラロック:こいつ……隠密だから支配の領域できん!
宮星イオリ:何もなければダメージ出しちゃうぞ
星徒イラマテクウトリ:《砂の結界》でカバー。
宮星イオリ:ゲーッ
析了トオル:なんてことを
星徒イラマテクウトリ:こっちも持っているのだ 完璧なカバー要員
宮星イオリ:ゆるせねえ ダメージ出します
宮星イオリ:4d10+69+10
DoubleCross : (4D10+69+10) → 20[10,4,1,5]+69+10 → 99
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を13増加(150 → 163)
星徒イラマテクウトリ:装甲で減らしながらも痛いです
GM:では行動値16 イモータルコイルの手番です
“イモータルコイル・オレブザラク”:マイナーなし
“イモータルコイル・オレブザラク”:メジャー 《原初の赤:サイレンの魔女》LV9+《原初の黒:マスヴィジョン》LV7+《背教者の王》LV7
“イモータルコイル・オレブザラク”:対象はPC全員。
析了トオル:判定前!判定前に!誰のを入れるか考えます
“イモータルコイル・オレブザラク”:装甲無視。本来はダメージで堕天病への感染効果が付随しますが、新星白書の効果で無効化されています。
胡緑蘭:ふふん
三部つゆり:コンボ:番舞《原初の灰:砂塵の帳》にてその命中判定を失敗させます~!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を9増加(166 → 175)
GM:うぎゃああああああ
GM:では判定失敗!
GM:行動値14 トオルさんの手番です
析了トオル:マイナーで搭乗!
析了トオル:メジャーでコントロールソート、マルチウェポン、コンセントレイト、神機妙算!対象はイモータルコイルのエンゲージ
析了トオル:14dx7+11
DoubleCross : (14DX7+11) → 10[1,1,2,4,4,4,4,4,5,6,6,8,9,10]+10[3,7,9]+10[9,10]+10[10,10]+4[2,4]+11 → 55
星徒トラロック:《支配の領域》LV5
析了トオル:この威圧的な10,10!
星徒トラロック:あまり効果的でなくても使うロジックなのだ…… 最後の4を1に。
GM:52ですね 変わらない
星徒トラロック:ガード
星徒イラマテクウトリ:イモータルコイルを行動放棄カバーします
GM:ダメージどうぞ!
析了トオル:フェイタルヒット!
析了トオル:+5dします
星徒トラロック:おっと失礼
星徒トラロック:今だった
析了トオル:なにっ
星徒トラロック:《歪みの領域》LV4
星徒トラロック:射撃攻撃に対してガードを行う際、攻撃したキャラクターに20ダメージ
析了トオル:ぐううううう
析了トオル:甘んじて受けます、ダメージ後にロイス復活するので、まずはダメージ……
析了トオル:6d10+1d10+32+5d10+10
DoubleCross : (6D10+1D10+32+5D10+10) → 24[3,2,8,4,1,6]+8[8]+32+28[5,6,9,3,5]+10 → 102
析了トオル:装甲もガードも意味なし!
GM:こいつらみんな装甲無視してくる!
星徒トラロック:かなり削れてます
析了トオル:そして反射で吹っ飛ぶ!つゆりさんへのロイスをタイタス化し、昇華。復活します
星徒イラマテクウトリ:相当削れてます
星徒イラマテクウトリ:しかし《死は甘きもの》は常時発動だ!
析了トオル:えーと
星徒イラマテクウトリ:ダメージを受けた場合、与えたキャラクターの侵蝕3上昇
析了トオル:大口径機関砲はガードが出来ないので
析了トオル:歪みが不可能……?
宮星イオリ:あ、私さっき死は甘きものの分上げてなかった 上げます
GM:なんだと……!?
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を3増加(163 → 166)
星徒トラロック:しおしお……
析了トオル:侵蝕14+3上昇のみ!187!やったあ。コンビネーターも発動するぜ
GM:行動値14 トラロックの手番です
星徒トラロック:マイナーなし
星徒トラロック:メジャー 《雨粒の矢》LV4+《アースシェイカー》LV6+《縛鎖の空間》LV5+《蝕む赤》LV6+《鮮血の鎖》LV4+《封印の呪》LV5+《要の陣形(未知なる陣形)》LV5
星徒トラロック:対象PC全員
星徒トラロック:ダメージ無し 命中でシーン間判定ダイス-6個、次に行う判定のC値+2、重圧、放心、邪毒ランク6付与
胡緑蘭:《時の棺》!判定を失敗させます。
GM:こいつら何枚棺あるんだよ!?
GM:ぐわああああああああああ 失敗します
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を10増加(165 → 175)
GM:行動値8 つゆりさんの手番です
三部つゆり:星徒ナナワツィンの操作を試みたいと思います!
GM:では【精神】で判定どうぞ。つゆりさんが攻撃側になります。
三部つゆり:対抗判定…お願いいたします…!ではメジャーコンボ:鳥破《コンセントレイト:ウロボロス》《無形の影》。
三部つゆり:10dx7+2 絆の制服分+2
DoubleCross : (10DX7+2) → 10[4,5,5,6,6,7,8,9,9,10]+6[3,5,5,5,6]+2 → 18
三部つゆり:ひどすぎる
GM:これは流石に……
“イモータルコイル・オレブザラク”:対抗します
“イモータルコイル・オレブザラク”:20DX+10>=18
DoubleCross : (20DX10+10>=18) → 10[1,1,1,1,1,2,3,3,4,5,6,6,6,6,7,7,8,8,10,10]+10[1,10]+5[5]+10 → 35 → 成功
GM:流石に失敗……!
三部つゆり:うわあん 二回も回らないとか許せない
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を6増加(175 → 181)
三部つゆり:GMから温情頂きましたので、ここで神聖二重冠を使用させて頂きます…!使用効果は
三部つゆり:・あなたの侵蝕値を任意の数値まで瞬時に上昇させる。あなたがこのメインプロセスで行う判定の達成値を+[上昇分×3]点増やす。
三部つゆり:これで侵蝕率を8点上昇させ、達成値を+24、合計42にします!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を8増加(181 → 189)
GM:OK!ただし受動判定ももう一回振ります!
“イモータルコイル・オレブザラク”:20DX+10>=42
DoubleCross : (20DX10+10>=42) → 10[1,1,2,2,3,4,4,5,5,6,6,6,7,8,8,8,9,10,10,10]+8[8,8,8]+10 → 28 → 失敗
GM:ギャアアアアアアア!!!!
三部つゆり:コンセがあったら即死だった……
GM:では星徒ナナワツィンのコントロール奪取に成功します。
GM:ナナワツィンのデータはこちら
星徒ナナワツィン
キュマイラ/エグザイル
行動値8
HP262
14/2/4/2
Eロイス
《星徒》
《修羅の世界》不利な効果すべて打消し、戦闘不能時HP1まで回復
《修羅の世界》
《修羅の世界》
常時
《生命増強》LV7
《無敵の肉体》LV5+《超人的弱点》LV10+《超人的弱点》LV10
装甲値+50、受けるダメージ20軽減
自身が一度でも《ターゲットロック》の対象としたキャラクターには適応されず、さらに受けるダメージ+20
セットアップ
《ターゲットロック》LV6
対象への攻撃力+18
マイナー
《骨の剣》LV6+《死招きの爪》LV6+《ハンティングスタイル》LV6
47点の武器作成、戦闘移動
メジャー
《コンセントレイト:キュマイラ》LV5+《獣の力》LV8+《獣王の力》LV4
21DX7
32+47+18点
オート
《竜鱗》LV6
リアクション放棄 装甲+60
GM:行動値8 星徒ナナワツィンの手番になります。コントロールを奪っているため、行動させることが可能です。
三部つゆり:はい!イモータルコイルたちのエンゲージに移動してもらい、トラロックを殴って貰おうと思います
三部つゆり:マイナー《骨の剣》LV6+《死招きの爪》LV6+《ハンティングスタイル》LV6で移動、メジャー《コンセントレイト:キュマイラ》LV5+《獣の力》LV8+《獣王の力》LV4にてトラロック攻撃で…!
GM:OKです!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を3増加(189 → 192)
星徒ナナワツィン:21DX7
DoubleCross : (21DX7) → 10[1,1,2,3,3,3,4,5,6,6,6,7,7,7,7,8,8,8,9,10,10]+10[1,1,1,2,3,6,6,7,8,10]+10[2,7,10]+10[6,10]+10[8]+3[3] → 53
星徒トラロック:《支配の領域》LV5
星徒トラロック:5回目の8を1に
星徒トラロック:違うな
星徒トラロック:4回目の10を1に
GM:出目は36
星徒トラロック:ガードします
星徒ナナワツィン:ダメージ
星徒ナナワツィン:4D10+32+47
DoubleCross : (4D10+32+47) → 14[5,1,7,1]+32+47 → 93
星徒トラロック:腐ったな……超瀕死ですが死んでません
胡緑蘭:しぶとい
三部つゆり:惜しいぜ
GM:行動値7 先生の手番です
胡緑蘭:マイナーはなし。
胡緑蘭:メジャーで《ディストーション》LV3《漆黒の拳》LV3《コンセントレイト:オルクス》LV5 サイバーアームで攻撃
胡緑蘭:対象はトラロック!
GM:判定どうぞ!
胡緑蘭:11dx7+9+5
DoubleCross : (11DX7+14) → 10[2,4,5,6,7,7,9,9,9,10,10]+10[2,2,4,7,7,9,9]+10[4,4,5,9]+10[10]+1[1]+14 → 55
胡緑蘭:むん!
星徒トラロック:ガード
星徒トラロック:いや
星徒トラロック:《支配の領域》LV5
胡緑蘭:なんだぁ
星徒トラロック:3回目の9を1に!
胡緑蘭:39か……
GM:カバーはありません。ダメージどうぞ!
胡緑蘭:4d10+28+4d10+10 装甲無視
DoubleCross : (4D10+28+4D10+10) → 26[8,8,6,4]+28+14[5,6,2,1]+10 → 78
星徒トラロック:残りHPは7。戦闘不能です
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を7増加(175 → 182)
GM:イニシアチブ
星徒イラマテクウトリ:《捧げる生命》LV5
胡緑蘭:何やってんだお前ェ!
星徒イラマテクウトリ:違うな
星徒イラマテクウトリ:《加速する刻》
胡緑蘭:余計ひどい
星徒イラマテクウトリ:《ラストファクトリー》LV5
星徒イラマテクウトリ:対象の戦闘不能を回復し、HPを15D回復 自身が戦闘不能になります
星徒イラマテクウトリ:ただし星徒イラマテクウトリはEロイス《不滅の妄執》により
星徒イラマテクウトリ:自身のエフェクトの効果で戦闘不能になった時、元の数値までHPを回復します。
析了トオル:な……何を言ってるんすか!
胡緑蘭:邪悪なコンボやめろ!
宮星イオリ:エエーッ
三部つゆり:ギエエ―っ
星徒イラマテクウトリ:15D10
DoubleCross : (15D10) → 77[1,8,4,2,7,6,10,4,2,7,4,6,3,4,9] → 77
星徒トラロック:HP77で復活します。
GM:行動値0 待機していたイラマテクウトリの通常手番です。
星徒イラマテクウトリ:マイナーなし
星徒イラマテクウトリ:メジャー《堕ちる絶望》LV4+《ポイズンフォッグ》LV6+《タブレット》LV6
胡緑蘭:コラ~!
析了トオル:こいつ!はしゃぐな~~~~~~っ!
星徒イラマテクウトリ:対象はイオリ・緑蘭
星徒イラマテクウトリ:まずは意志判定で対決。
宮星イオリ:???
星徒イラマテクウトリ:失敗した場合難易度12の衝動判定が発生。
宮星イオリ:嫌だが…?
星徒イラマテクウトリ:Eロイス《自虐の刃》
星徒イラマテクウトリ:この衝動判定に失敗した場合、PC自身への憎悪を付与します。
胡緑蘭:コラコラコラ~~ッ!
GM:えー侵蝕ボーナスが……
析了トオル:対決で星徒も判定するというのなら……
析了トオル:止められるはず……!
星徒イラマテクウトリ:35DX
DoubleCross : (35DX10) → 10[1,1,1,1,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,4,4,4,5,5,6,6,6,6,7,8,8,8,8,9,9,9,10,10,10]+9[3,5,9] → 19
析了トオル:キュッリッキ・メラスニエミさんへのロイスをSに!二重冠効果使いつつ……昇華!
析了トオル:時の棺、復活!
析了トオル:さらに使用!失敗しなさーい!
GM:棺ありすぎ!!
GM:では失敗します。
析了トオル:侵蝕199……199?!
GM:クリンナップ
星徒イラマテクウトリ:《高速再生》LV15
胡緑蘭:おい!
星徒イラマテクウトリ:HPを150回復します。
GM:ラウンド1終了。
GM:夕刻。外の状況は分からないが、感染は今この瞬間も確実に広まり続けているだろう。
GM:時間が無かった。猶予はあと何分か、何十秒か。それすら分からない。
GM:星徒の降らす赤い雨が白い高塔を濡らしていく中、最初に動いたのは胡緑蘭だった。
胡緑蘭:ふと、雨音が止む。
胡緑蘭:雨が上がったわけではない。降り注ぐ赤い雫は、引き伸ばされた時間の中で、地面を叩くことなく空中に留まっている。
胡緑蘭:その中を白い影が駆ける。ナナワツィンの頭上を飛び越え、イモータルコイルの直上へ
胡緑蘭:漆黒の右腕を振り下ろすと同時、堰き止められていた時間が流れ始める。
GM:だが。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「遅ェ」
“イモータルコイル・オレブザラク”:──ド ッ !!
胡緑蘭:「───ッ」サングラス越しに瞳を見開く。
“イモータルコイル・オレブザラク”:眼前に緑蘭が姿を現すと同時、影の奔流が“イモータルコイル”から溢れ出す。
“イモータルコイル・オレブザラク”:それはレネゲイドの、そして物理的な圧力をも帯びた壁となり、攻撃を阻む。
GM:或いは常であれば突破できた障壁だったかもしれない。だが今の君の身体は堕天病に侵され、それを無理やり動かすべく確実にパフォーマンスが低下していた。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「ハハハハハッ!軽い軽い!全然軽すぎんだろ!!」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「この程度かよ!?エエおい!?口だけかよテメェーはよォ!!」
胡緑蘭:「言ってくれるね……!」握り混んだ漆黒の拳が、放たれる圧力に押し負けて開いていく。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「カモが真っ先に飛び込んで来やがって、バカが!女の前で気取ってんじゃねェーよ!!」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「そんなに死にてぇなら今すぐ殺してやるよ!多臓器不全で即死しやがれ!!」
“イモータルコイル・オレブザラク”:瘴気が緑蘭の全身を呑み込み、感染が急速に進行しようと身体を蝕む。
胡緑蘭:「ぐぅっ……!」
胡緑蘭:胡緑蘭が形成する黒腕は、膨大な数の魔眼を凝縮した、ある種の重力特異点である。
胡緑蘭:半実半幽のその指先は、重力子が作用可能な汎ゆる事象に直接触れることができる。
胡緑蘭:重さ、速度、運動、そして或いは、時間や空間ですらも。
宮星イオリ:「不味っ……一回離れて緑蘭!アンタ、自分で思ってるよりパフォーマンス落ちてるでしょ!」
宮星イオリ:自分が罹ったときは、まともに歩けるようになるまで一月近くを費やした。彼の身技がどれほど超人的であっても、堕天病を身に受けるのは初めてに違いないのだから。
胡緑蘭:しかし、無敵の力ではない。能力使用における制限は二つ。
胡緑蘭:ひとつは、質量換算で『自分が持てない』規模の事象は操作できないこと。
胡緑蘭:限定的な時間停止など出来て数秒。時間遡行ともなれば、その重みに緑蘭自身が耐えられない。
胡緑蘭:そしてもう一つ。動かせる事象は一度にひとつ。
胡緑蘭:留める。掴む。引っ張る。砕く。掌の間隔の延長線上で能力を行使する以上、何かを掴むには持っていたものを話さなければならない。
胡緑蘭:(参ったな……実際手詰まり……)
胡緑蘭:「……?」
胡緑蘭:その時、胸ポケットの端末へとまばゆい光が差し込む。
胡緑蘭:空の大十字冠から放たれたその光を受けて、胸元に星室庁の紋章が浮かび上がる。
胡緑蘭:「……あっ」
胡緑蘭:「あ~…!そうだった!すっかり忘れてた……!」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「……ああ……?」
胡緑蘭:イモータルコイルに押され続けながら、間抜けな声を上げる。
胡緑蘭:「"イモータルコイル"、君の力は確かに凄まじい。万全でも危なかったかもね……けど」
胡緑蘭:「悪いね少年。私は大人だから、少しズルをさせてもらうよ」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「何を言って……」
胡緑蘭:光が黒腕の中に吸い込まれる。
胡緑蘭:次の瞬間、イモータルコイルから発せられる圧力を、更に外側から握りつぶすかのように
胡緑蘭:ぐしゃり、と、その腕が全てを掌握する。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「……は……?」
“イモータルコイル・オレブザラク”:あり得ざる光景に、呆気に取られたような声が漏れる。
胡緑蘭:「私達が堕天病に罹ったのは、ざっと5分前か」
胡緑蘭:腕を振りかぶり「今なら、そのくらいでも手が届く」
胡緑蘭:ガリッ、と空間そのものを削り取るように、黒腕が薙ぎ払われる。
胡緑蘭:その陥穽はイモータルコイルと、周囲に展開していた星徒を巻き込んで飲み込むと同時に
胡緑蘭:数分前に起きた事象までも、その中へと投げ入れられる。緑蘭と生徒たちの身体を蝕む倦怠感が消え去り、
胡緑蘭:堕天病によって侵された身体機能が、何事もなかったかのように回復している。
宮星イオリ:「……は?」こちらまでが、にわかに呆気に取られている。「な、何をやったの……?」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「……………………」
三部つゆり:「こ、これは…ええ…?」右腕の黒変や、倦怠感に痛み。そうした病由来のそれが消えている。
宮星イオリ:先程の"イモータルコイル"のエフェクトを受けた時から自身の身に起きていた急速な侵蝕症状が、既に収まっている。
析了トオル:「は、ははっ」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「は………………?」
析了トオル:「実質的な過去改変をやってのけましたか!なんという……!」
胡緑蘭:それと同時に、端末の輝きは消失している。
析了トオル:少し前までの倦怠感や今の解放感も何処へやら、煌いた眼で起こった事象を咀嚼している。
胡緑蘭:「時間切れか。まあ、限られたチャンスで最善の手は打てたんじゃないかな」
“イモータルコイル・オレブザラク”:ノヴァリスという超常の坩堝、機神という埒外の存在の視点から見ても尚、あり得べからざることが起きた。
“イモータルコイル・オレブザラク”:(……そうだ……)
“イモータルコイル・オレブザラク”:(この状況で……どうしてこいつらはまだ折れてない?)
“イモータルコイル・オレブザラク”:(赫花連盟の能無し共が、どうして未だに士気を保ってる?)
“イモータルコイル・オレブザラク”:(他学区の援軍)
“イモータルコイル・オレブザラク”:(『殺し屋』の裏切り)
“イモータルコイル・オレブザラク”:(ヴァリエンテのあの女)
“イモータルコイル・オレブザラク”:(違う────)
“イモータルコイル・オレブザラク”:(こいつだ)
“イモータルコイル・オレブザラク”:(最初から、全部、こいつだ)
“イモータルコイル・オレブザラク”:(十字冠も無い、ただの大人が……!)
“イモータルコイル・オレブザラク”:「……何なんだよ」
“イモータルコイル・オレブザラク”:混乱と怒りと、恐怖の入り混じった声を上げる。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「テメェは一体!!何なんだよ!!!!」
胡緑蘭:「自己紹介なら何度もしたじゃないか」サングラスを押さえて。
胡緑蘭:「私はどこにでもいる大人だよ。君達と何も変わらない」
胡緑蘭:「誰だってそうだ。大切なもののためなら、命をかける事ができるし」
胡緑蘭:「奇跡だって起こせる」
胡緑蘭:「ただ、私は先生だからね」
胡緑蘭:「君達子供よりも……少しだけ」
胡緑蘭:「背負わないといけないものが多いんだ。その分、このくらい気前のいい奇跡でもないとやってられないのさ」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「奇跡……奇跡!!奇跡だと!?」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「どいつもこいつも!!どうしてこうも都合よく!!」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「当然のように奇跡なんてモンが起きやがる!!──テメェらだけに!!」
宮星イオリ:「……自分達だけが間に合わなかったから。それが、ノヴァリスを終わらせたい理由?」
宮星イオリ:ささやくような声が、"イモータルコイル"の真横を過ぎていった。赤い雨の合間を縫って、遡り飛翔する。夕暮れに不似合いな、眩い星を冠した女。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「ッ!!」
星徒イラマテクウトリ:巨大な白貝の姿が煙のように薄れ、“イモータルコイル”の前に盾めいて再出現する。
宮星イオリ:雨の圏内を抜けて、赤い巨影さえも見下ろせる夕空に届いた。煙と瘴気の吹きすさぶラス・ヴィダスの景色が視界の端に映る。
宮星イオリ:そこで、不意に影が消える。──そう見えるくらいの速度で、貝の表面に刃を突きたてながら、一直線に地上へと沈んでいる。
星徒イラマテクウトリ:「────」
星徒イラマテクウトリ:白骨にも似た貝殻に亀裂が走り、砕けた破片が周囲に飛散する。
宮星イオリ:「やけになって全部壊したいとか、そういうの。少しは分からないでもないけど……」
宮星イオリ:「本当は壊したくないものだってあるんでしょ。……どうでもいい女の髪のことなんて、いちいち気にしないものね」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「知ったような口を──」
星徒イラマテクウトリ:「あ あぁあ ぁ」
星徒イラマテクウトリ:「いた い」
星徒イラマテクウトリ:巨大な貝から、ひどく引き絞られた、か細い少女の声が漏れる。
星徒イラマテクウトリ:「どうして なんで 痛い」
星徒イラマテクウトリ:「わたし? まだ 生きて──」
星徒イラマテクウトリ:二枚貝の内部、虚無の真空を思わせる暗闇から、青白い光が漏れ出す。
宮星イオリ:「……ごめんね。ちょっとした悪い夢よ。すぐに終わる」
星徒イラマテクウトリ:光は一瞬で緑蘭とイオリの元まで届き、一瞬、恐ろしく冷たい、という感覚を与え。
星徒イラマテクウトリ:それを最後に、触れた箇所の身体感覚が、完全に喪失する。
胡緑蘭:「───!」
宮星イオリ:短くそう呟いて応じる。違和感に身を震わせながら。
星徒イラマテクウトリ:一瞬で抉り取られ、消失したと思わせるような。だが、痛みすらない。
星徒イラマテクウトリ:体温も、触覚も、痛覚も、全てが喪失する。現実味の薄い悪寒が、君達の神経を這い上がる。
胡緑蘭:瞬時に黒腕を解く。他の部分をどれだけ侵されても、能力行使の起点を失うわけには行かない。
胡緑蘭:(しかし、これは……)五感が波打ち、気味の悪い浮遊感に満たされる。
宮星イオリ:常の激痛が晴れて、にわかに身の軽くなる心地がした。受け入れそうになった、それがまずいと一瞬遅れて反応し付き離れるが、指先に痺れが残る。
星徒イラマテクウトリ:それは単なる防御反応、反射に近い動作だ。“イモータルコイル”に指示を受けての攻撃ですらない。
星徒イラマテクウトリ:生と死の境、星徒の領域は、生身の人間が触れるにはあまりにも隔絶している。
三部つゆり:「イオリさん、先生!大丈夫!?」叫んで呼び掛ける。どこか冷え冷えとしたものを感じたからだ。
析了トオル:「全く……本当に悪趣味。しかしてこちらも時間が無いのは確か」
宮星イオリ:「大丈夫よ。痛手を負ってるのは向こうの方」
胡緑蘭:「……ふむ」再び黒腕を形成して、ふらついた構えを正す。
宮星イオリ:「私と緑蘭が一撃入れたんだから、当然でしょ。続けていれば勝てるわ」なんてことのないように口にする。強気の風ではあるが。
胡緑蘭:「ほろ酔い気分ってところか。大人で助かったかな」頭を一度大きく振って、口元に笑みを作る。
三部つゆり:「~~~、気を付けてよ…!」時間もない。治療できるような能力もない。結局のところ、耐えて打倒す他道はないのだ。
星徒トラロック:「────先生♡」
星徒トラロック:宙を泳ぐ巨大な鯨骨から、甘ったるく媚びたような、しかし幼さを残す少女の声が響く。
胡緑蘭:「えっ呼んだ?どっかで会ったかな……」
星徒トラロック:「先生、やっと呼んでくださったんですね。お忙しいのは分かりますけど、私にもお時間頂けないと……」
星徒トラロック:星徒は機神に寄り添い、擦り寄るような動きを見せる。
胡緑蘭:「……そういうことか」
胡緑蘭:「物好きな子もいたもんだ」
星徒トラロック:「先生、目を離すとすぐに無理するんですから……ちゃんと私が管理しないとダメですよ!」
宮星イオリ:「……多分、記憶の一部をすり替えたんでしょ。前の"マスターポルート"の頃には」
星徒トラロック:星徒が見ているのは“イモータルコイル”ではない。過去の誰かとの記憶をリフレインしているに過ぎない。
宮星イオリ:「あいつを畏れて媚びるあまり、ああいう風に壊れた子もいたから……」
三部つゆり:顏を顰める。ああはなりたくないと、本気で恐れていた昔のことを僅かに思い出したからだ。
析了トオル:「二度も悪夢を見させられるなんて。忌々しいったらありはしない」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「分かった、分かった」
“イモータルコイル・オレブザラク”:機神の腕が鯨骨の鼻先を撫で
“イモータルコイル・オレブザラク”:「いい子だから、俺の言うことを聞けるよな?ヘルガ」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「奴らを殺せ」
星徒トラロック:「もう……先生ったら……」
星徒トラロック:「私がいないとダメなんですから……」
星徒トラロック:星徒の呟きと同時に、降り頻る血の雨が一気に豪雨となって降り注ぐ。
星徒トラロック:それは生物に浸透し、レネゲイドによって体組織を破壊する猛毒の雨だ。
星徒トラロック:雨粒に触れた皮膚は爛れ、血に染まったように赤黒く変色していく。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「上出来だ」
“イモータルコイル・オレブザラク”:同時、機神から再び影の嵐が解き放たれる。
宮星イオリ:それだけでも十分以上の殺傷力を有する脅威となり得るが。「……まだ、来る!」
“イモータルコイル・オレブザラク”:毒の雨を巻き込んだ影の奔流が、床面を削り取り、衝撃波と共に君達へと迫る。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「ハハハハハハッ!!」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「躱せるか!?躱せねえだろ!!死にやがれゴミ共!!」
胡緑蘭:「つゆり、雨は私が払おう」
三部つゆり:「--了解です…!影は、お任せあれ!」
胡緑蘭:黒腕を点に伸ばし、力強く握り込む。
胡緑蘭:次の瞬間、降り注ぐ紅雨から、赤色が消失する。
三部つゆり:「第十二願 光明無量之願」阿弥陀如来の四十八願を唱えながら、孔雀が尾羽のように”獣”の影を背負う。
胡緑蘭:商業区に降る雨そのものを掌握することは不可能だ。新星白書のない今では、『質量』が違いすぎる。
胡緑蘭:しかし、対象を雨に含まれる『毒素』に限定するのであれば話は別だ。
胡緑蘭:絶対致死の毒であっても、1リットルの水中に占める分量は数μグラムに過ぎない。
胡緑蘭:掌中に赤黒い球体が形成され、それを握りつぶす。
GM:そのまま赤い雨が降り注ぎ、君達を濡らすが──それは何のダメージにもならない。ただの血に等しいものへと変えられている。
三部つゆり:「私が仏になったとき、私の光が」穢れた赤黒と生気のない白。赤い血の雨に濡れながら。
三部つゆり:「那由多の果てまで届かぬのなら」酷く不気味で不格好。噛み合いがなっていないその姿。
三部つゆり:「私は決して悟らない」だがそれでも手を伸ばす。穢れた尾羽が瘴気の嵐を抑え込む。
三部つゆり:一街区を丸ごと煙のように包むほどの影が、相殺し合っている。ひどく薄れ、使い手の力量差があろうと--影自体の質は等しいところに近い。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「ぐ……う……おぉお……!」
“イモータルコイル・オレブザラク”:“イモータルコイル・オレブザラク”は、離脱と社会戦に重きを置き、出力に優れるタイプの機神ではない。
“イモータルコイル・オレブザラク”:だが、だからと言って。単なる生徒に後れを取るなどあり得ない──あってはならないことであるはずだった。
“イモータルコイル・オレブザラク”:行き場を失くした影と瘴気が荒れ狂い、下階を粉々に粉砕していく。だが君達には傷一つない。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「三部つゆりィッ!!お前ッ……!!」
三部つゆり:真っ直ぐにあなたを見ている。朝焼けの紫の左瞳が、そこだけはまだ汚れも何も知らないように。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「…………!」
“イモータルコイル・オレブザラク”:その瞳の色に、僅か一瞬、怯むように機体が揺れた。
星徒トラロック:「先生♡お役に立てましたか?べ、別に褒めてもらいたいわけではないですけど……」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「テメーは黙ってろ!!」
析了トオル:(大きな隙。それに……)三部つゆりの状況。長期戦が出来ないのは、彼女にこれ以上無理をさせられない事もある。
析了トオル:「……では、一枚目の切り札の使いどころと見ました。少しばかり無茶をしましょう」
析了トオル:鞄から取り出したるは、たった一本のペン。
析了トオル:高らかに笑いながら、空へと掲げて。
析了トオル:「届け、啓け───」
析了トオル:大きく息を吸う、僅かな緊張が身体に奔る。
析了トオル:それでも、此処には確信だけがあった。
析了トオル:「───"星の窓"よ!」
析了トオル:
析了トオル:数週前、ムセイオンアートスクール。
析了トオル:ラス・ヴィダス。カーサ・ミクトランでの戦いが終わった後。あるものを届けた先。
析了トオル:採点を待つ少女のように体を揺らして、待っていた。
エクスカラー:ムセイオンに再臨したかつての学区の主、未知なる十四番目の色彩の残滓たる少女は手に持った素描を一瞥する
エクスカラー:「畢竟、素描というものは三次元を主観で捕え二次元に投影する」
エクスカラー:「手が慣れればある程度はモノになるでしょう」
析了トオル:「っはぁ~…………まずは初心者の階段を一歩進めたという事ですか……」
エクスカラー:「絵画教室はひとまず卒業と言っても構いません」
エクスカラー:「そう安売りするものではありませんがこれを」
エクスカラー:見せたのは白いカンバス
エクスカラー:何一つその額縁/枠組みの中に描かれていない無色
析了トオル:「……って、いいんですか?これ。私、ここの生徒では無いですが……」
析了トオル:「いや……そういえばコトノさんも使っていたような……」
エクスカラー:「別に、他の学区の方々は勘違いされているかもしれませんが」
エクスカラー:「これはあくまで自己表現の道具です」
エクスカラー:「ただ一つ、前回貴方は箱色ツィラのアトリエに上塗りする形でアトリエを発現させましたね」
析了トオル:「う”っ……」
エクスカラー:「別に上塗りはいいんです...グラフィティは上手であれば上塗りするのも文化ですので」
エクスカラー:「一点釘を刺しておきますが...これは戦いの武器ではありません」
エクスカラー:「何故渡すか?」
エクスカラー:「人は皆自己表現をして然るべきですし....」
エクスカラー:「大勢で描けば楽しいでしょう?」
析了トオル:
析了トオル:「我が作家性は真なる神秘!極彩色の宙を征く大いなる一歩!」
析了トオル:描き出される世界は、"この場と全く同じもの"。
析了トオル:バラバラのスケッチブック、その全てで描いたラス・ヴィダスの景色。
析了トオル:「……この世界と繋がる果てに、私は彼方の一を見る」
析了トオル:そう、私の見るものこそが世界であり、そして。
析了トオル:ここから宙の果てまでも、全てが私の研究室!。
析了トオル:『───非統一神秘宇宙論ドゥズ・アウラ』
析了トオル:何も変わらぬ、何かが変わった空間の中で、巨大な銃口を星徒に向ける。
析了トオル:発砲音。これまでとさほど変わらぬ、いや、ただ"音だけが、重なって聞こえて"。
析了トオル:「"並行矛盾世界の消失"」
析了トオル:「そう、ノヴァリスは切り取られた世界。並行世界は存在しえない」
析了トオル:「故に、この瞬間だけ観測された並行世界はその矛盾に耐えきれず、一瞬で消失し───」
析了トオル:「元の世界に収束した弾丸が、"全くの同一座標"を同時に穿ち、局所的な崩壊を引き起こす」
析了トオル:「同じ時間と空間と座標に自分が一人しか存在できない以上、防御不能の破壊」
析了トオル:「"事象飽和現象"」
析了トオル:そして、トオルが語ったように、現実は追従する。
析了トオル:星徒の群れ。その一点から次元を貫通する破壊音が鳴り響き、巨大な爆発が巻き起こる。
星徒トラロック:「きゃあぁああああっ!!」
星徒トラロック:雨雲が裂けた。鯨骨が抉り飛ばされるように粉砕され、吹き飛んだ巨大な肋骨が深々と屋上に突き刺さる。
星徒イラマテクウトリ:「あ ぁ あ あぁあ あ あ────」
星徒イラマテクウトリ:「痛い!!痛い!! 痛──いいぃぃいい……!」
星徒イラマテクウトリ:超硬質の貝殻が貫通され、黒い闇が体液のように一気に溢れ出す。
星徒イラマテクウトリ:「私は……どこにいるの……!?どうして……何を……」
星徒イラマテクウトリ:「嫌ぁああぁぁっ……!!痛い!!やめて──嫌ぁああぁ……!」
星徒イラマテクウトリ:半狂乱の声と共に、貝殻から青白い光が瞬き、僅かにトオルの片手を照らす。
星徒イラマテクウトリ:それだけで、腕の感覚が消失する。
宮星イオリ:「……"イモータルコイル"には届いてない。さっきから、あの貝みたいな星徒に自分を守らせてる」
宮星イオリ:「終わらせるなら、あの子からだ。戦術的にも……」心情的にも。
析了トオル:「ハ、私は機械頼り!腕の感覚が無い程度じゃなんの影響もありません!」
三部つゆり:「見た目通り頑丈すぎる…、それはそれとしてムセイオンの”アトリエ”…!?なんだってトオルさんが…!」目を見開いて驚いている。
胡緑蘭:「そういうやり方も、"マスターポルート"によく似てるよ。あまり気分の良いものじゃないね」
析了トオル:「ちょっと一回、助けたことがありまして!しかし……そうですね。まずはあの子をなんとかしなければ」
三部つゆり:「…あの子から…とはいえ、出来るかな…!」手を複雑に組む。
三部つゆり:それは彼女の戦いを見た事があれば、奇妙に写ったはずだ。彼女の攻撃の起点は常にあのニードルガンか、もしくはその弾帯を用いていた。
三部つゆり:「愛は失われて、憎しみに囚われ 、伸ばした手は届かず 、あるのは苦しみだけ」
三部つゆり:「会った人は離れて行って、花は枯れ落ち萎んで消える--」
三部つゆり:それは、目の前で起きていることを再現するような技法だった。影が複雑かつ精密に変異し、その赤黒の瘴気が、星徒ナナワツィンを撫でる。
三部つゆり:「--私の声を聴いて」
GM:それに先に反応したのは、星徒ではなく“イモータルコイル”だった。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「……!?」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「お、前…………!?」
GM:“マスターポルート”の能力で完全に掌握していたはずの星徒に対するコントロールが、引き剥がされていく。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「何だこいつは……何を……何してやがる!?」
三部つゆり:「あは。だって、私の中には」いたずらげな笑いだった。「世界最古級のウロボロスがいるんだよ。--”あれ”が顕現してる時に、触れたよね?」脂汗がぼたぼたと落ちて行く。
三部つゆり:いつのまにか、頭上の四枚羽根をくくるように二重円が浮いている。--神聖二重冠。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「……お前…………」
“イモータルコイル・オレブザラク”:その光景に、怒りではない声が漏れて、口から漏れる何かを押し留めるような間があった。
三部つゆり:あまりに複雑かつ緻密極まる変異と変質と操作を重ねて成り立つものだった。”答え”を、流し込まれながら出なければ到底出来るものではない。
“イモータルコイル・オレブザラク”:だがそれは、この押し合いにおいて致命的な隙となった。
三部つゆり:ばぢ、と弾き飛ばす音がした。
三部つゆり:「取った…、げぽっ、かふ…っ…!い、って…!」
三部つゆり:そのまま、星徒ナナワツィンに攻撃を指令する。対象までは碌に定められなかった。--異常極まる操作と能力の再現に、彼女が耐えられなかった、ともいう。
星徒ナナワツィン:「よ~~~~っし!!」
星徒ナナワツィン:場違いに明るい声が、腐敗した巨体から響き渡る。
星徒ナナワツィン:「行っくぞーーーー!!」
宮星イオリ:「……やたら人の心配するくせに、自分はそういう無茶苦茶する所あるよね。アンタ」眉間に皺が寄っている。
宮星イオリ:「この状況だし、やめろとは言わないし、感謝もしてるけど。次から『お互い様』って返してやろうかな……」
星徒ナナワツィン:いかにも鈍重そうな身体が地響きと共にジャンプし、両の拳が赤い鯨骨へと振り下ろされる。
析了トオル:「あの星徒が、向こう側へと……!」
星徒トラロック:「きゃあああっ!?」
星徒ナナワツィン:「喰らえ!うおおおお~~~っ!!」
星徒ナナワツィン:巨体同士がぶつかり合い、ビルが揺れる。ナナワツィンの両腕が鯨の肋骨に掴みかかり、みしみしと音を立ててへし折って周囲に撒き散らす。
星徒トラロック:「あ゛っ……あぁっ……!」
星徒ナナワツィン:「むむむ……あたしの攻撃を凌ぐなんて……キミ、中々やるね!」
星徒ナナワツィン:腐った血がぼたぼたと垂れ落ちる中、爽やかな声が響く。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「……あり得るか……?」
“イモータルコイル・オレブザラク”:呆然としながらその光景を眺めている。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「こんな事が……」
胡緑蘭:ヒュンッ
胡緑蘭:藻掻くトラロックの頭蓋に、漆黒の拳が突き刺さる。
胡緑蘭:その衝撃は分厚い骨格を貫通して、内部の構造をズタズタに引き裂いている。
星徒トラロック:「ぎっ……! うあ゛ぁああぁあああっ!!」
胡緑蘭:「悪いね。ひと思いに終わらせてあげることしか出来なくて」
星徒トラロック:骨の鯨がのたうち回り、それに応じて血の雨と暴風、雷とが荒れ狂う。
星徒トラロック:「先生っ……!助けてください!先生!先生ぃいっ……!」
胡緑蘭:「私が、君の先生になれれば良かったんだけどね」
胡緑蘭:拳を引き抜く。
星徒トラロック:「あ……あ……」
星徒トラロック:巨体が浮力を失い、轟音と共に墜落する。
GM:だがそれと同時に、白貝から不吉な光が溢れ出す。
星徒イラマテクウトリ:星徒イラマテクウトリは、生前の名をイザベル・ヘインズという。
星徒イラマテクウトリ:イザベルは勇敢かつ悪徳を許さぬ正義感を持ち、常に誰かの為に進んで汚れ役を引き受けるような生徒だった。
星徒イラマテクウトリ:そんな彼女は生まれ育ったFHセルでも多くの者に慕われ、将来は大規模なセルを率いるリーダーとなるだろうと嘱望されていた。
星徒イラマテクウトリ:不運だったのは、彼女がノヴァリスで入学した学区が、ラス・ヴィダスであったこと。
星徒イラマテクウトリ:そして彼女の正義感が、“マスターポルート”の罪業を看過できぬほどに真っ直ぐなものであったことだ。
星徒イラマテクウトリ:彼女は仲間と共に“マスターポルート”に挑み、そして無惨に敗北した。
星徒イラマテクウトリ:堕天病に全身を侵され、死と再生を繰り返し続けた末に、彼女は自らの身体感覚も、生と死の境界も曖昧になり、遂には発狂した。
星徒イラマテクウトリ:彼女が組織した“マスターポルート”に対抗する集団が、後に赫花連盟と呼ばれるようになったことを知る者は、当の連盟においても最早数えるほどしかいない。
星徒イラマテクウトリ:「痛い……痛い……」
星徒イラマテクウトリ:「どうして……なんで……?」
星徒イラマテクウトリ:「私……どうして生きてるの……?」
星徒イラマテクウトリ:不吉な青白い光が一気に強まり、貝殻から外へと溢れ出す。
星徒イラマテクウトリ:僅か一瞬浴びただけで感覚を失い、精神を侵食される光だ。
星徒イラマテクウトリ:まともに受ければ、正気を保つことなど出来ないだろう。
胡緑蘭:「まずっ……近づきすぎた!」
宮星イオリ:「……どうしてだろうね」思わず呟くように応えて、歯を食いしばる。逃げられない距離だった。続く精神の苛みに堪える覚悟を決めた。
析了トオル:その前兆を感じて、即座に言葉を発するように動く。
胡緑蘭:周囲の時間流を可能な限り遅らせるが、光の速度に対しては付け焼き刃にもならない。
析了トオル:アトリエの法則は、言ってしまえば大見得切りに近い、論理と論理のぶつかり合い。
析了トオル:非統一原理以外の、統一原理法則を自在に操る。
析了トオル:自分の認識以上は決して操れず、自分が理論を完成させるより相手が早ければ、止め切ることはできない。
析了トオル:しかし確かに認識できる範囲を、アトリエの法則で塗り替える。
析了トオル:「同じ時間と空間と座標に自分が一人しか存在できない?では、縦軸ではどうか!」
析了トオル:「ほんの一瞬。0.1秒前と0.1秒後の時間移動」
析了トオル:「現実には存在しているように見えるのに、あらゆる攻撃はすり抜け落ちていく」
析了トオル:「当然───其処に居ないのだから、当たらない!」
析了トオル:「"連続的時間跳躍が現在時間軸に与える影響について"」
析了トオル:光がただ二人の身体をすり抜けて、地面だけを照らしていく。
析了トオル:(間に、あったっ……!)
星徒イラマテクウトリ:生を否定し、死を許容し、生徒と星徒の境界を攪拌する破滅の光。
星徒イラマテクウトリ:それがイオリと緑蘭に放たれ────だが、何も起こらない。
析了トオル:酷い倦怠感、疲労感。とんでもない出力が身体を持っていくのが理解できる。
胡緑蘭:「うわっ…?今の感覚はトオルかな……?」
析了トオル:(……長くは続かない!急がねば……)
宮星イオリ:「……。すっごく助かった、けど……」自分も大概ではあるが、トオルの侵蝕域も尋常を遥かに超えているのが分かる。
胡緑蘭:「光が通り過ぎる瞬間だけ、私達のコマを未来に飛ばしたのか。当たり判定がその一瞬にしかないのも読んでたね」
胡緑蘭:「スゴイことするなあ」
宮星イオリ:皆がそれだけ自分を削っている。その価値がある戦いだった。……自分も、そこに並ばなくてはならない。自身の頭上、赤黒く錆びついた二重の円環を一瞬だけ見上げる。
三部つゆり:「はあ、はあ…けほっ…本当滅茶苦茶してますね…大丈夫なのかな…」胃液を吐き切り、それを拭う。
星徒トラロック:イオリと緑蘭は紙一重で難を逃れた。だが、光は全方位に放たれていた。
星徒トラロック:青白い光が鯨骨を照らし出すと、完全に停止したように見えた星徒が再び動き出す。
析了トオル:「無理や無茶は生きて帰ればなんとかなります!今は……?!」
星徒トラロック:砕かれた骨格が再生し、巨体が再び宙へと浮かび上がる。
析了トオル:「あの光、星徒には回復効果まで……!」
星徒トラロック:死の否定。超高侵蝕領域において、物質より現象や法則に近い存在になった星徒に対し、その光は凄まじい効果を発揮する。
星徒トラロック:その光を前に生死は曖昧になり、一度訪れた破滅すら無かったことになる。
星徒トラロック:「……あら……?」
星徒トラロック:「……先生♡ やっと呼んでくださったんですね。お忙しいのは分かりますけど、私にもお時間頂けないと……」
星徒トラロック:何事も無かったかのように、同じ台詞を繰り返す。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「お前……」
“イモータルコイル・オレブザラク”:星徒を完全に無視し、トオルに目を遣る。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「さっきから滅茶苦茶しやがって……何なんだよ!ただの銃撃つ片輪女じゃねェーのかよ!!」
析了トオル:「はっ。貴方達も相当でしょうが、私だって様々な経験を積んでます。当然、使えるものはすべて使う!」
析了トオル:「怒るくらいなら己が力で見せなさい!越えてみなさい!貴女の持つ死体は、確かに未知の神秘を操ったのでしょう!」
析了トオル:「……それで、その程度なのですか?」
析了トオル:「"本物"を示しなさい!イモータルコイル・オレブザラク!」
析了トオル:大見得を切り続ける。法則の押し付け合いにおいて、心が押されるのは即ち敗北である。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「クソアマが」吐き捨てるように言う「いつまでも口ばかりよく回る……」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「お前ら見てると……ガダル共の言い分が少しは分かるぜ」
◆ラウンド2
エンゲージ
“イモータルコイル”(16)/星徒イラマテクウトリ(7)/星徒トラロック(14)/星徒ナナワツィン(8)/宮星イオリ(18)/胡緑蘭(7)
(10m)
三部つゆり(8)/析了トオル(14)
GM:セットアップから!
胡緑蘭:なし!
析了トオル:かなり限界侵蝕ですが、いきます。ブルゲ!
宮星イオリ:ないです
三部つゆり:私はなし!
析了トオル:侵蝕が204、行動値18に
星徒イラマテクウトリ:《アクセル》LV8 行動値+16
三部つゆり:ナナワツィンは…トオルさんにターゲットロックでお願いします!
析了トオル:こっちを見ろ~~~~
星徒ナナワツィン:《ターゲットロック》LV6対象トオル
星徒ナナワツィン:以降トオルさんは《無敵の肉体》《超人的弱点》の効果を受けません
星徒トラロック:Eロイス《血の焦がれ》
星徒トラロック:対象は2DのHPを失い、自身はその合計だけHPを回復します
星徒トラロック:対象はPC全員とナナワツィン。
析了トオル:エエ~~~~ッ
胡緑蘭:やめて~!
星徒トラロック:2D10
DoubleCross : (2D10) → 8[3,5] → 8
GM:よわ!
三部つゆり:7点しかないよ~~ 死んじゃう
宮星イオリ:そんなん言われても3しかないから3HPしかあげられないよ
胡緑蘭:よわよわだけどHP5だったので落ちます
宮星イオリ:全快だったのに死にます。
胡緑蘭:つゆりちゃんへのロイスを昇華して復活
GM:みんな弱ってた やったぜ
三部つゆり:6:析了トオル 〇尊敬/嫌気を昇華して復活。hp11へ。
胡緑蘭:胡緑蘭のHPを11に変更(5 → 11)
析了トオル:ちょっと待ってね、さっき死んだと思ってHP弄っちゃったせいで
析了トオル:元のHP不明
宮星イオリ:ノヴァリスのロイスをタイタス化して昇華復活。HPは3のまま
星徒ナナワツィン:C(262-8)
DoubleCross : c(262-8) → 254
析了トオル:最終リザ10ある!いきてます
析了トオル:HP2、危なかったな……
GM:失われたHPの合計分 か……
GM:C(7+3+5+8+8)
DoubleCross : c(7+3+5+8+8) → 31
GM:31点回復します
三部つゆり:このヤロ~~
析了トオル:こいつ~~~
GM:行動値23 星徒イラマテクウトリの手番です
星徒イラマテクウトリ:待機はしない このまま動くぞ
胡緑蘭:やめてくれ~
星徒イラマテクウトリ:メジャー 《堕ちる絶望》LV4+《ポイズンフォッグ》LV6+《タブレット》LV6
星徒イラマテクウトリ:対象は……さっきと逆 つゆり・トオル!
析了トオル:質問です、カバーリングは可能ですか?
GM:公式のところは分かりませんが、今回は出来そうな攻撃なので出来ることとします!
GM:ちなみに今回も衝動判定が発生すると《自虐の刃》があるゾ
析了トオル:嫌~~~~~~
析了トオル:赫花連盟のみなさん!最後の力を貸してください!
析了トオル:残ったカバーリング2回!私たちを庇って……!
赫花連盟生徒:任されよ
GM:ではNPCカードの効果でカバーリング。
GM:判定は省略します!モブ赫花連盟が衝動判定して失敗して自害しました
析了トオル:ご、ごめん……
三部つゆり:赫花連盟の方々ァーー!
胡緑蘭:無茶しやがって…
GM:行動値18 イオリさんの手番です
GM:トオルさんも同値か お好きな方からどうぞ
析了トオル:いまだけは同値!私が進みます
析了トオル:マイナーで後ろに5m下がります
析了トオル:メジャーで星徒全員のエンゲージへ攻撃!コントロールソート、コンセ、マルチウェポン、神機妙算!
析了トオル:14dx7+11
DoubleCross : (14DX7+11) → 10[1,2,3,3,3,4,5,6,7,7,7,9,9,10]+10[2,3,3,9,9,10]+10[5,9,9]+6[5,6]+11 → 47
析了トオル:むむ~~
“イモータルコイル・オレブザラク”:ガード
“イモータルコイル・オレブザラク”:ガード不可か リアクション放棄
星徒イラマテクウトリ:《砂の結界》LV1 イモータルコイルをカバーリング
星徒トラロック:リアクション放棄
GM:ナナワツィンのリアクションを指示してください
三部つゆり:放棄でいいかな?
析了トオル:ですね!
三部つゆり:放棄でお願いします!
GM:ではダメージをどうぞ。
析了トオル:命中でフェイタルヒット!ダメージを+5d10します
三部つゆり:コンボ:鳥急《原初の紫:凍てつく刃》。ダメージを+1d10+18してください!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を4増加(192 → 196)
析了トオル:5d10+1d10+33+5d10+10+1d10+18
DoubleCross : (5D10+1D10+33+5D10+10+1D10+18) → 32[8,7,7,4,6]+8[8]+33+32[5,6,9,8,4]+10+6[6]+18 → 139
析了トオル:うおお、装甲無視ガード不可!
GM:ウギャ~~~ッ
胡緑蘭:すげェ!
星徒トラロック:108まで回復していたのに……HP0
星徒トラロック:しかし《復讐の領域》LV1
星徒トラロック:139点カウンターします
析了トオル:へぇっ?!
析了トオル:ぎゃん
析了トオル:それは落ちる、では……イオリさんのロイスをタイタス昇華して復活!
析了トオル:まだだ、まだ……
星徒イラマテクウトリ:197あったが……2倍受けてこちらも落ちます!
析了トオル:命中先にはコンビネーター!といってもナナちゃんだけか……!
星徒ナナワツィン:C(254-139)
DoubleCross : c(254-139) → 115
星徒ナナワツィン:残り115
析了トオル:侵蝕が17上昇して221です、もうあんまり見たことない値
析了トオル:えっていうかレベル+3の領域?!
析了トオル:あっ受けるダメージ+20が適用されてナナワツィンは159喰らうかも……?
GM:そうでした!
星徒ナナワツィン:C(115-20)
DoubleCross : c(115-20) → 95
GM:イニシアチブ
“イモータルコイル・オレブザラク”:《加速する刻》
析了トオル:ギャ~~~
宮星イオリ:げえっ
“イモータルコイル・オレブザラク”:メジャー 《原初の赤:サイレンの魔女》LV9+《原初の黒:マスヴィジョン》LV7+《背教者の王》LV7
胡緑蘭:貴様~!
“イモータルコイル・オレブザラク”:対象は……
“イモータルコイル・オレブザラク”:ナナワツィン・イラマテクウトリ・トラロックです。
胡緑蘭:!?
宮星イオリ:???
三部つゆり:エッ……どうしよう
GM:妨害ありますか?
三部つゆり:相談の結果…通しで…!
“イモータルコイル・オレブザラク”:20DX+20
DoubleCross : (20DX10+20) → 10[1,1,2,4,4,6,6,6,6,6,7,7,8,8,8,8,10,10,10,10]+10[5,6,10,10]+5[3,5]+20 → 45
GM:ナナワツィンのリアクションを指示してください
三部つゆり:まず作った骨の剣でガードしつつ、行動放棄カバーでイラマテクウトリをカバーしてください!
“イモータルコイル・オレブザラク”:ではダメージ
“イモータルコイル・オレブザラク”:5D10+27+35+16
DoubleCross : (5D10+27+35+16) → 21[2,1,5,3,10]+27+35+16 → 99
GM:トラロックはとどめを刺され死亡します。
星徒ナナワツィン:C(95-93-93)
DoubleCross : c(95-93-93) → -91
星徒ナナワツィン:戦闘不能。
星徒ナナワツィン:Eロイス《修羅の世界》で復活することが出来ますがどうしますか?
三部つゆり:お待たせしました…!復活してください!
星徒ナナワツィン:ではHP1で復活します。
“イモータルコイル・オレブザラク”:Eロイス《さらなる絶望》
胡緑蘭:????
“イモータルコイル・オレブザラク”:エネミーを一体追加。同時に“イモータルコイル・オレブザラク”は《瞬間退場》します
胡緑蘭:?????
析了トオル:??????
三部つゆり:マジ???
胡緑蘭:こ、こら!!
宮星イオリ:逃げたが!??
胡緑蘭:逃げるな!!!!!!
析了トオル:逃げるな!卑怯者~!
星徒トラロック:足元に広がる血溜まりから、頭上から降り頻る雨粒から。
星徒トラロック:君達は徐々に体力を奪われていく。それに伴い、一度は絶命に至ったはずのトラロックの体躯が、見る間に再生されていく。
星徒トラロック:「先生!も~っまた無駄遣いしたんですか!?」
星徒トラロック:「他学区の生徒で優秀なのが居た?先生ったらそればっかり……」
星徒トラロック:「たまには私のことも見てくれないと……怒っちゃいますよ!」
星徒トラロック:ヘルガ・オルズバーグ。
星徒トラロック:かつてラス・ヴィダスのタレントとしてアイドル的人気を誇った彼女は、“マスターポルート”によって強引な手段で身柄を奪われた。
星徒トラロック:以来、彼女が表舞台に出ることはなかった。失意と絶望の中、彼女の心は歪み、徐々に“マスターポルート”へと依存していった。
星徒トラロック:ストックホルム症候群と呼ぶにもおぞましい防衛機制だ。彼女は自らの全てを奪った“マスターポルート”を溺愛し、常に付き従うようになった。
星徒トラロック:だがそんな彼女を“マスターポルート”は段々と鬱陶しく扱うようになり、やがて完全に飽きると、堕天病に侵してゴミのように捨て去った。
星徒トラロック:「……そうだ!先生、私お弁当作ってきたんです!上手に出来てるか分からないんですが……」
星徒トラロック:空虚な声が響く。雨は止まない。ただでさえ時間は無いが、更に体力は奪われる一方だ。
三部つゆり:「ぐ、ぎぃっ、ぁ、げほっ……!」胃酸に灼けた喉から嗄れた呻きが零れる。レネゲイド的な免疫は左程強くない。内部の”異物”の負荷と処置が、彼女からそれを削っている。
星徒イラマテクウトリ:星徒の攻撃は止まない。本来であれば出力と引き換えにそういったチームワークとは無縁のはずだが、“イモータルコイル”の操作がそれを可能にしている。
星徒イラマテクウトリ:生を死に、死を生に。破滅の光が瞬かんとする。
星徒イラマテクウトリ:認識し、僅かに目に入っただけで、自分が生きていることが不自然に感じられる。
宮星イオリ:身体がひとりでに震える。こめかみを脂汗が流れていく。痛みの堪え方なら知っていても、この虚脱感と熱の抜けるような感覚には未知の恐怖が付き纏う。
宮星イオリ:自分はかろうじて、その閃光の圏内から免れたけれど。(……不味い、よりによって、負荷の集まってる二人に……!)
三部つゆり:「、ぅ…、ぎぃ…、」血の雨によって削がれた生命力は、その分死に近づくことを意味した。暗く寒い。其れこそが当然のように感じ、その感覚さえも消えようとしている。
析了トオル:「っ、ご、ほっ。お”ぇっ……」言葉を発しようとした途端から、喉から血が零れる。異常な負荷は既に自らの身体を焼き尽くしかけている。
胡緑蘭:「つゆり!トオル!目を閉じるんだ!リザレクトの感覚を思い出して!」
三部つゆり:何とか聞こえた声の通りに目を閉じつつ、呼吸に意識を集中する。基礎的なレネゲイドコントロールの技法に立ち戻らんとして。
胡緑蘭:「生死の境界なんて最初から曖昧だよ!五感ではなく、直感を信じるんだ!」
星徒イラマテクウトリ:「──どうして?」
星徒イラマテクウトリ:「ねえ……どうして生きてるの?」
GM:目を逸らそうとしても無駄だ。放射線のように、光に触れただけで感覚が奪われていく。
GM:だがその時、不意にその光が遮られた。
赫花連盟生徒:「ぐ、ぅ…… あぁああああぁっ……!」
赫花連盟生徒:代わりに目に入ったのは赤い外套と鎧。赫花連盟の生徒数人が、身を挺してつゆりとトオルの傘となり、光を一身に受け止めている。
析了トオル:「あな、た達……!」瞳を開き、光に当てられるその姿を見る。
三部つゆり:「ゼっ、かひゅ、はっ、はぁ…っ、あなた、たち…!?」遮られたことで何とか取り戻し、おそるおそる目を開いて。目の前の情景に驚愕する。
赫花連盟生徒:「下からも、見えました……!皆さんが戦ってるのが!」
赫花連盟生徒:「我々には、これくらいしか出来ませんが……!」「お願いします、どうかこの学区、を……」
赫花連盟生徒:苦痛の悲鳴が上がる。ある者は自らの首を絞め、ある者は能力で自身を焼き焦がし、ある者は茫然とその場に立ち尽くす。
三部つゆり:「む、無茶を……、早く、戻って…!」何とか転がるように光の射線から身を逃しつつそう告げても、その情景を止める役には立たない。
宮星イオリ:「アンタ達……」深呼吸をする。冷え切っていたはずの身体が、熱くなっていた。
析了トオル:「…………分かり、ました。必ず」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「ハハハッ、うぜー」嘲るようにせせら笑う
“イモータルコイル・オレブザラク”:「モブが水差してんじゃねーよ」
析了トオル:「───あの二つをまず、私が持っていきます」
析了トオル:口から血を吐き捨てて、笑う。
析了トオル:ば しゅん
析了トオル:機械の双腕から放たれしは幾条のワイヤー。それぞれが星徒達に突き刺さるが、それだけだ。弾丸を放つことは無い。
析了トオル:「彼女らの流星体は、確かに一度死んでいる。今はあの光で曖昧になっているだけ」
析了トオル:繋がり、思考を伸ばし、星徒の中に思考を混ぜていく。
析了トオル:フィードバックする情報量、侵蝕量共に自殺行為に近いものだ。しかし、抵抗なく手を伸ばす。
析了トオル:「……少量の放射性物質とガイガーカウンター、それで作動される青酸ガスの発生装置。一匹の猫」
析了トオル:「箱の中で、猫が死んでいる、猫が生きている。それぞれが50%ずつ重ね合わさり矛盾を作り出す」
析了トオル:「ひとつの思考実験に置いて、それは長年考え続けられました」
析了トオル:「例えば、量子デコヒーレンス。検出器が反応すると同時に多世界解釈が発生する」
析了トオル:「しかし前述した通り、ノヴァリスは切り離された地。"並行矛盾世界は消失"し、ただ一つの結果が残る……」
析了トオル:「……生死不明な箱の中、猫は狭間の夢を見る。開けるのは、私だけ」
析了トオル:"視えた"。告げた法則と共に確かに認識するのは、彼女らの───
析了トオル:「"量子世界の観測者"」
析了トオル:"死"の結果。生存という曖昧で混沌な可能性は、この瞬間に除外された。
析了トオル:───最後に、軽く一発の射撃が星徒の身体を貫く。
析了トオル:肉体の崩壊は、今度こそ止まらない。巨体が見る影もなく落ちていく。
星徒トラロック:「先、生……?」
星徒トラロック:「何をなさるんですか、私……」
星徒トラロック:「嫌……どうして、ここまで、したのに──」
星徒トラロック:鯨骨の巨体が崩れ落ち、屋上に墜落、大きな水飛沫が上がる。
星徒イラマテクウトリ:「あ……ぁ……」
星徒イラマテクウトリ:「痛い、わたしは……どこ……」
星徒イラマテクウトリ:「寒い……助けて、誰か……」
星徒イラマテクウトリ:硬質の貝殻が射抜かれ、一気に罅が走り、崩れ落ちる。
GM:いずれも、ただの一度の銃撃によって。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「……は…………?」
析了トオル:(……限界ですか、アトリエの維持は不可能。私の侵蝕も危険域)
“イモータルコイル・オレブザラク”:「オタク女……何かブツブツ言ってやがると思ったら……」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「テメェエエエエッ!!何しやがったぁああああッ!!」
析了トオル:「……法則通りに戦わなかったあなたの落ち度です。何方にしろそんな気は無かったんでしょうけど」
析了トオル:「最初から後ろで腕を組み、庇われているだけの臆病者が、漸く丸裸ですか?」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「…………」
“イモータルコイル・オレブザラク”:深呼吸の音が響く。
析了トオル:(身体は動かすのがやっとですが、成程。口だけはまだ達者に発せられる)
胡緑蘭:「激昂しやすいように見えて冷静だよなあ、彼。そうじゃなきゃこんな計画は準備できないか」
析了トオル:(けど、まだ三人は大丈夫でしょう。私が動けなくても勝機はある)
胡緑蘭:「ともあれ、これでやっと本丸に手が届く」
胡緑蘭:「もう少しの辛抱だよ皆。頑張ろう」
“イモータルコイル・オレブザラク”:機神のアイカメラが君達を見て、それから倒れ伏した星徒の骸を見る。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「……」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「あ~あ」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「何かもう……いいわ」
“イモータルコイル・オレブザラク”:取り出したのは、小さな端末。
“イモータルコイル・オレブザラク”:恐らくは、核弾頭の起爆装置。
三部つゆり:「……ッ、まさか…」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「しょうもねえ……感染者がこんだけ増えりゃあもう十分だろ」
胡緑蘭:「そうくるか……!」
宮星イオリ:(──ちゃぶ台返しに来た。それも、そうだ)懸念はしていた可能性だった。静かに息を吐く。飛び込み、それを掠め取れるような隙を探している。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「ハッ。こんなゴミみてえな街に……何を熱くなってんだかな」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「飽きたわ」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「死ね」
“イモータルコイル・オレブザラク”:機神の指が、端末に伸び──
析了トオル:(劣勢になるとゲーム盤ごとひっくり返す。本当、一緒に遊び甲斐が無い……)
GM:瞬間、そのすぐ傍の空間が、バチバチと紫電と共に引き裂ける。
GM:突如として次元に穴が空き、小さな塊が凄まじいスピードで飛び込んでくる。
マービィー:「マァアアアアアアアーーーーーッ!!!!!」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「なぁっ……!?」
GM:一昔前に流行したペットロボットが直撃し、端末が地面に転がる。
胡緑蘭:「…?」黒腕を突き出したまま固まっている。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「ッソが!!ざけてんじゃ──」
三部つゆり:「えっ……えっ!?」ニードルガンで狙い撃とうとして驚愕している。
析了トオル:「これ、は……」一瞬唖然とし、直ぐに気付いて。
“イモータルコイル・オレブザラク”:爆発したロボットを振り払い、端末を拾い上げる。
析了トオル:「は、ははははは……!」思わず笑い声が零れる。限界な身体が痛むほどに大きく。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「ねえよ!!」
“イモータルコイル・オレブザラク”:機神の指が、再び端末をタップして──
GM:……何も起きない。辺りは静まり返っている。
析了トオル:「……確かに、世界の崩壊は防がれましたよ。リッキーさん」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「…………何…………?」
三部つゆり:「……………えっ…これも現代魔術なの!?う…嘘でしょ……!?」
“イモータルコイル・オレブザラク”:何度もタップを繰り返すが、結果は変わらない。
胡緑蘭:「……」周囲を見回し、何も起きないことを確認して
胡緑蘭:「はは……どうやら」
胡緑蘭:「時間稼ぎは成功したみたいだね」
赫花連盟生徒:「……先生!」緑蘭を呼び止め、インペリアル製の通信機を手渡す
胡緑蘭:通信機を受取り「マリアかい?よく頑張ったね」
百代マリア:『──緑蘭!無事なの!?』
宮星イオリ:「魔術っていうか……ここまで来ると、計算で起こせる奇跡でしょ」理屈は分からないが、キュリッキがそれを為したという事は、もはや疑いようもなかった。
宮星イオリ:にわかに脱力する。すぐに引き締めるように、拳を握り直す。
百代マリア:『たった今まさに、最後の弾頭の処理が終わったわ!』
胡緑蘭:「成る程。本当に数秒の差だったか」小さく息を吐いて。
胡緑蘭:「ありがとうマリア。こちらも全員無事だよ。つゆりもイオリもトオルも」
百代マリア:『良かった……! わたくし達もすぐに向かうわ! 待っていて!』
“イモータルコイル・オレブザラク”:「…………あ…………」
“イモータルコイル・オレブザラク”:呆然とよろめき、たたらを踏む。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「……あり得ねえ…………」
インペリアルPMC指揮官:『総和重工!増援はまだなのか!?戦線が保たない!』
インペリアルPMC一般兵:『こいつら、どこからこんなに……ぐあぁっ……!』
インペリアルPMC指揮官:『どうしてこんなに他学区の戦力が居る!?聞いていた話と違うぞ!!』
インペリアルPMC指揮官:『弾頭護衛班ともヴァリエンテとも連絡がつかん!どうなっている!?指示を請う!』
胡緑蘭:「"イモータルコイル"」
胡緑蘭:「まだ奥の手は隠してあるのかな?あるならもう出し惜しみしないほうが良い」
胡緑蘭:「予言してあげよう。此処から先、君に都合の良いことは起こらない」
胡緑蘭:「生徒たちが力を合わせているからね」
赫花連盟生徒:「現在、堕天者の捕縛も進行中です。このまま行けば、混乱も次第に収まるでしょう」
赫花連盟生徒:「通信は封じられていますが、堕天病の治療法発見の報も既に広がりつつあります」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「………………」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「……ここまで……」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「ここまでやって……負けるってのか……?」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「あり得ねえだろ…… 認められるか、そんなこと……」
宮星イオリ:「……。アンタってさ」
宮星イオリ:「前の"マスターポルートから"受け継いだのは、力だけなのね」
宮星イオリ:「だって。あいつの記憶を受け継いでたなら、知ってたはずだ」
宮星イオリ:「最後にあいつ追い詰めたのは、マリアでも、私でもない」
宮星イオリ:「アンタが名前も知らないような……普通の奴らの意志が、同じ方向を向いて」
宮星イオリ:「その覚悟が、あいつの予想を上回っていたから」
宮星イオリ:眼を細めて、微かに笑う。「……"モブが水差してんじゃねーよ"、だっけ?」
宮星イオリ:「だからだよ。アンタは、あいつと同じ間違いをした」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「…………」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「……目的さえ果たせれば、後はどうでもいいと思ってた……」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「お前らに十字冠がある以上、これはキルを取るゲームじゃないと……」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「力押しで正面から戦って潰すなんて、バカのやることだと……」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「──もう違う」
“イモータルコイル・オレブザラク”:機神の両腕から、どす黒い影が噴出する。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「意味なんてもうどうでもいい」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「お前らは、ここで」
“イモータルコイル・オレブザラク”:「殺す」
“イモータルコイル・オレブザラク”:影の奔流が放たれる。だがそれは、君達を狙ったものではない。
“イモータルコイル・オレブザラク”:それは星徒たちを呑み込み、そのまま塔の直上から基礎までを、真っ直ぐに貫通して破壊する。
“イモータルコイル・オレブザラク”:漆黒の嵐が吹き荒れて、視界が黒に染め上げられる。
析了トオル:「この状況で、何を……」
胡緑蘭:「……ッ!自棄を起こすにしては、これは……」崩れる足場から飛び退いて
“イモータルコイル・オレブザラク”:大きな揺れ。高塔がゆっくりと傾き、徐々に倒れ始める。
宮星イオリ:「っ……崩れる!」
三部つゆり:「、ぅ…、ぐぅっ…!」何とかまだ安定している方へ飛び移る。
析了トオル:「ぐ……自動運転……!」先ほどよりも明快に車椅子が駆動し、崩れる床を飛び移る。
“イモータルコイル・オレブザラク”:星徒たちを呑み込んだ影は、やがて渦を巻くように機神の機体へと収束していく。
“イモータルコイル・オレブザラク”:機神の体躯が影を呑み込んで膨張し、更なる変形を遂げていく。
“イモータルコイル・オレブザラク”:内側から溢れる影が全身を覆い、まるで別の巨大な形が作り上げられる。
宮星イオリ:「あいつ、機神を作り変えてる……!?」歪んだ鉄線を掴んで踏み止まりながら、漆黒の風の収束点を見る。
“イモータルコイル・オレブザラク”:現れたシルエットは、それまでとは全く違うものだった。
“イモータルコイル・オレブザラク”:影に覆われた漆黒の体躯は、見上げるほどの大きさ。
“イモータルコイル・オレブザラク”:機械仕掛けの巨人を髣髴とさせるが、逆間接構造の脚部、尖形の頭部から成る全体の印象は、むしろ──
“イモータルコイル・オレブザラク”:「啄め────」
“イモータルコイル・オレブザラク”:それは一羽の、鳥に似ていた。
“イモータルコイル・オレブザラク”:「“カラビンカ”ァ!!」
“オレブザラク・カラビンカ”:墜ちた凶鳥が、甲高い咆哮を上げた。

“オレブザラク・カラビンカ”:Eロイス《飢えたる魂》
“オレブザラク・カラビンカ”:対象を死亡させた時、エフェクト1つを同レベルでコピーします。
“オレブザラク・カラビンカ”:現在、星徒トラロックを殺害し、《生命増強》LV10をコピーしています。
析了トオル:?????
胡緑蘭:なんてもん拾ってきてるの!
“オレブザラク・カラビンカ”:また、Eロイス《究極存在》を所持しており、現在あらゆるダメージを受けません。
GM:この効果は、三部つゆりが自身の手番でイモータルコイルに対して【精神】で対決判定を行い、勝利することで解除できます。
三部つゆり:私!?!?
“オレブザラク・カラビンカ”:そして《加速する刻》
“オレブザラク・カラビンカ”:手番を行います
宮星イオリ:別ユニットになったから加速のカウントがリセットされている……!
“オレブザラク・カラビンカ”:《コンセントレイト:ウロボロス》LV6+《無形の影》LV4+《原初の白:ブラッドバーン》LV8+《原初の灰:冷たき抱擁》LV6+《背教者の王》LV4+《混色の氾濫》LV6+《世界を喰らうもの》LV4
“オレブザラク・カラビンカ”:マイナーで 《原初の青:プライマルレイジ》LV8+《拡散する影》LV6
“オレブザラク・カラビンカ”:暴走、攻撃力+24 判定ダイス-4、達成値+20
“オレブザラク・カラビンカ”:シーンの全員に攻撃を行います。HP吸収効果を持ち、大口径機関砲相当の武器で攻撃するため、ガード不可です
三部つゆり:うおお コンボ:ウバカルダ≪強制起動者≫にて砂塵の帳の回数を回復させ
三部つゆり:コンボ:番舞《原初の灰:砂塵の帳》を使用します…!命中判定を失敗してください…!
GM:OK それでは失敗!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を9増加(196 → 205)
“オレブザラク・カラビンカク”:それと失礼しました 攻撃前に《原初の紫:異形の転身》LV6で5m上に移動しています。至近不可だからね
エンゲージ
“カラビンカ”(23)
(5m)
星徒イラマテクウトリ(戦闘不能)/星徒ナナワツィン(8)/宮星イオリ(18)/胡緑蘭(7)
(10m)
三部つゆり(8)
(5m)
析了トオル(14)
“オレブザラク・カラビンカ”:ですが未行動で配置、行動値23なのでこのまま行動するぞ
胡緑蘭:やめろ~!
“オレブザラク・カラビンカ”:《コンセントレイト:ウロボロス》LV6+《能力強奪》LV4+《原初の赤:異形の祭典》LV8
“オレブザラク・カラビンカ”:RCで対決 対象のエフェクトをLV1で取得し、対象はそのエフェクトを使用不可になる
胡緑蘭:最悪の行動しかしない
“オレブザラク・カラビンカ”:三部つゆり:原初の灰:砂塵の帷 宮星イオリ:陽炎の衣 析了トオル:原初の黒:時の棺 胡緑蘭:殺戮の因子
“オレブザラク・カラビンカ”:これを貰おう
胡緑蘭:そんなもん通せるか!!
胡緑蘭:やるしかない…!百代マリアへのロイスをSロイスに指定します。
胡緑蘭:そしてタイタス昇華。《時の棺》の回数を回復します。
GM:Sロイスだと~~~!?
胡緑蘭:これが、愛の力だよ
百代マリア:先生♡
胡緑蘭:《時の棺》を使用!判定を失敗させます!
GM:ぐあああああああ!!!!!
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を10増加(182 → 192)
GM:最強になれるはずだったのに……では失敗になります!
GM:行動値18 イオリさんの手番です
宮星イオリ:待機します~
GM:では行動値8 つゆりさんの手番です
三部つゆり:メジャーコンボ:鳥破《コンセントレイト:ウロボロス》《無形の影》にて 究極存在の解除を試みたいと思います…!
GM:そうですね……ではまずエネミー側から出そうかな
“オレブザラク・カラビンカ”:20DX
DoubleCross : (20DX10) → 10[2,3,3,5,5,6,6,7,7,8,8,8,9,9,9,10,10,10,10,10]+10[2,4,7,9,10]+4[4] → 24
胡緑蘭:これなら…
三部つゆり:ま、回すなあ!攻撃以外なので絆の制服の効果を乗せて…ダイスボーナスが5個!
三部つゆり:11dx7+2
DoubleCross : (11DX7+2) → 10[2,3,4,5,6,7,8,9,9,10,10]+10[1,2,2,4,6,8]+10[9]+1[1]+2 → 33
析了トオル:やったー!
三部つゆり:あ、危ない…
GM:心が……強い……!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を6増加(205 → 211)
胡緑蘭:これが…心の強さだ!
GM:ではカラビンカの《究極存在》は解除されます。こんなバカな……
GM:ナナワツィンはカバーしたので行動済み。
GM:行動値7 先生の手番です。
胡緑蘭:マイナーで戦闘移動。カラビンカにエンゲージします。
胡緑蘭:メジャー《ディストーション》LV3《漆黒の拳》LV3《コンセントレイト:オルクス》LV5 サイバーアームで攻撃
GM:判定どうぞ!
胡緑蘭:12dx7+9+5
DoubleCross : (12DX7+14) → 10[2,3,4,5,6,6,7,9,9,9,9,9]+10[1,3,4,7,9,10]+10[1,2,8]+10[7]+5[5]+14 → 59
“オレブザラク・カラビンカ”:ガードします
GM:ダメージどうぞ。マスターエンブレムはそのまま引き継いでいます 意味無いけど……
胡緑蘭:カラビンカ……お前の装甲がめっちゃ硬いことはなぜか知ってるぜ
胡緑蘭:だがこちらは装甲無視!そして、エンブレム『マスターキラー』によって
胡緑蘭:ダメージをさらに+15だ!歯ァ食いしばれ!
胡緑蘭:6d10+28+4d10+15 装甲無視
DoubleCross : (6D10+28+4D10+15) → 45[9,10,9,2,9,6]+28+26[9,5,6,6]+15 → 114
GM:暴力教師!!!
胡緑蘭:あっ赫花連盟の+10もありました
胡緑蘭:124!
GM:ギャアアアア
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を7増加(192 → 199)
“オレブザラク・カラビンカ”:中々削られます コピーしてよかった生命増強
GM:行動値0 待機していたイオリさんの手番です
宮星イオリ:はーい、ではプロセス入る前に
宮星イオリ:>・あなたの侵蝕値を任意の数値まで瞬時に上昇させる。あなたがこのメインプロセスで行う攻撃の攻撃力を+[上昇分×2]点増やす。
宮星イオリ:二重冠のこの効果を使用します
GM:神聖二重冠……!
宮星イオリ:いま166だから……そうだな 30上昇させます
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を30増加(166 → 196)
“オレブザラク・カラビンカ”:させるか!
宮星イオリ:改めてマイナー、《陽炎の衣》《光芒の疾走》。移動したカラビンカに再度エンゲージ
宮星イオリ:えっ
胡緑蘭:なんだぁっ
析了トオル:?!
GM:まだ攻撃宣言してなかった……だが
三部つゆり:なっなにっ
“オレブザラク・カラビンカ”:《原初の黒:時の棺》
析了トオル:当然持ってる!
胡緑蘭:最初から持ってるんかい!
三部つゆり:も、もっとる
宮星イオリ:だが隠密!無効!
GM:お、隠密~~~~!?
析了トオル:そうじゃん
GM:ぐにゃああああああああ
胡緑蘭:ギャハハッ!
宮星イオリ:それもあってさっき奪おうとしたんだなあ
宮星イオリ:改めてメジャーアクション!不浄にして不敵:《コンセントレイト》《見えざる死神》《光の舞踏》!
GM:判定どうぞ!
宮星イオリ:12dx+6+5@7 命中
DoubleCross : (12DX7+11) → 10[2,6,7,7,7,8,8,9,9,9,10,10]+10[2,3,3,4,5,6,7,8,8,9]+10[2,6,9,10]+10[2,8]+10[7]+1[1]+11 → 62
“オレブザラク・カラビンカ”:ガードします。
宮星イオリ:やる気!ダメージいきます
宮星イオリ:7d10+75+10+60 うおおお
DoubleCross : (7D10+75+10+60) → 32[1,4,2,7,4,4,10]+75+10+60 → 177
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を10増加(196 → 206)
“オレブザラク・カラビンカ”:装甲で減らすが…………かなり痛い!!
宮星イオリ:ハアハアハア 粘りやがって
“オレブザラク・カラビンカ”:もうコピーした生命増強分がつきかけている
GM:クリンナップ
GM:2ラウンド終了。
GM:ラス・ヴィダス最大の高塔が崩れていく。ゆっくりと傾き倒れていくビルの壁面で、君達は対峙する。
“オレブザラク・カラビンカ”:黒い凶鳥──“カラビンカ”は、その手に一振りの砲塔を携えていた。
“オレブザラク・カラビンカ”:かつては鉄と鋼とで造られていたであろうそれは、ウロボロスの影と星徒の死骸とで編み上げられ、有機的な脈動を放っていた。
“オレブザラク・カラビンカ”:その砲の奥から、漆黒の輝きが漏れる。
“オレブザラク・カラビンカ”:その場の誰も知る由も無いことではあるが──それは“イモータルコイル”が対峙した中で、最も強大な能力の似姿。
“オレブザラク・カラビンカ”:あらゆる命を喰らい尽くす、死の雷火。それが、“カラビンカ”の主砲で渦を巻く。
胡緑蘭:「……不味い」濃密過ぎる死の気配に触れて、言葉が漏れる。
胡緑蘭:「撃たせちゃダメだ!!」
三部つゆり:死んだ髪と、目の前の凶鳥と似る程に穢れた影を纏う少女が、謳う。
三部つゆり:「オン・アボキャ・ベイロシャノウ」複雑な印相と詠唱による精神統一と刻印術式の参照により影が変異変質する。
三部つゆり:「マカボダラ・マニ・ハンドマ」足下が変異した赤黒の影が幾重にも張り巡らされ。
三部つゆり:「ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン--披け」それは月輪を主体とした、九つの正方形から成立する。
三部つゆり:「両界曼荼羅--金剛界」それは仏教真理を顕すものである。論理と精神的側面よりそれを為す。
三部つゆり:唱えられた光明真言は、過去の一切十悪五逆四重諸罪や、一切の罪障を除滅し、
三部つゆり:十悪五逆四重諸罪によって、地獄・餓鬼・修羅に生まれ変わった死者に対し、光明を及ぼして諸罪を除き、西方極楽国土に往かせ、
三部つゆり:先世の業の報いによる”病人”に対し、宿業と病障を除滅するものである、という。展開された”それ”が、彼女を包んだ。
三部つゆり:双頭の大烏のかたち。
三部つゆり:「お願い、”共命鳥”」
三部つゆり:「啼いて。涙を流せないくらいに、ずっとずっと怒っている、あのひとのために」
三部つゆり:奇妙な法音が響いた。
“オレブザラク・カラビンカ”:「死ね──」
“オレブザラク・カラビンカ”:空間の引き裂ける大音響と共に、影の雷が解き放たれんとして。
三部つゆり:それが通った先は、阿弥陀如来の教えと法があるのだという。
三部つゆり:極楽浄土には、穢れと死はあまりに遠いものだ。
三部つゆり:ぴい、と笛のような音とともに、雷がとまってゆく。
“オレブザラク・カラビンカ”:全てを焼き尽くさんと荒れ狂う黒雷が、嘘のように散逸していく。
“オレブザラク・カラビンカ”:君達ごとこの周囲一帯を破壊して余りあるだけの火力が、最初から何も無かったかのように。
“オレブザラク・カラビンカ”:「…………!」
三部つゆり:奇妙な双頭のうち、一つは三部つゆりの身体が埋め込まれるようにある。縁もゆかりもないはずなのに、それは目の前の凶鳥とよく似ていた。
“オレブザラク・カラビンカ”:最早困惑や驚愕は無い。ただ三部つゆりに目を向ける。
三部つゆり:どちらも、救いを願われながら、どうしようもなく凶兆となってしまったものだからだろうか?
胡緑蘭:「出力で言えば天と地ほどの差があるが……相性勝ちってところかな」
“オレブザラク・カラビンカ”:「狂ってやがる──」
“オレブザラク・カラビンカ”:「ぶっ壊れるまで……やる気か、三部つゆり……!」
三部つゆり:「けぽっ……、」血が零れる。白い制服が赤で汚れた。「…流石に、ほとんどカンバンだよ……、ふ、ふふ」
三部つゆり:「いったじゃない。私は、」
三部つゆり:「覚悟なんて、もう終わってるって。嘘を言わないのが、私のいい所なんだ--」血を零しながら静かに笑っている。
析了トオル:「強がりな面子しかいませんね、全く……」
宮星イオリ:「……だけど。ここで競り勝ったって、息切れするのはこっちよ」
宮星イオリ:変異した"カラビンカ"の姿を見る。それが纏う漆黒の瘴気が、近づくものの生存を許さない。「どこかで、あの帳を引き裂かなきゃいけない」
析了トオル:「限界もとうに突破していますが、最後まで付き合います……見届けなければ、全部」
“オレブザラク・カラビンカ”:「……上等だ──最後に残ったその意地ってモンを……」
“オレブザラク・カラビンカ”:「完璧に!粉々に!ブチ砕いてやるよッ!!」
“オレブザラク・カラビンカ”:霧のように、影が周囲を包み込む。
“オレブザラク・カラビンカ”:視界が薄暗く煙ると同時、君達の足元から、無数の黒い腕が伸びてくる。
“オレブザラク・カラビンカ”:それは実体の無い影。振り払うことは出来ず、掴み掛られると同時──レネゲイドが強引に引き剥がされていくのを感じる。
胡緑蘭:「……ッ!本当に次から次へと……芸が尽きないな!」
“オレブザラク・カラビンカ”:曖昧な呻き声を上げる無数の影。死したノドスチルドレンの思念のメモリー。或いはそれは、怨念とでも言うべきものか。
析了トオル:「拙い、この感覚……まともに受けては、根こそぎ奪われる……!」
三部つゆり:「っ、ぅぁ、く……」碌な抵抗もほぼできない。ほぼ使いつくしたというのは全く以て真実だ。
宮星イオリ:「っ……!」星の輝きが、その影を焼き切ろうとして、意識が眩み掠れる。遺産の出力を引き出す器、イオリの方が保たなくなってきている。
胡緑蘭:「くっ……」漆黒の右腕が、形を保てず崩れかける。
“オレブザラク・カラビンカ”:「お前らの精神も、レネゲイドも、根こそぎ引き裂いてやるよ……!二度と元の形に戻らねえようにな!!」
“オレブザラク・カラビンカ”:「これでもまだ立てんのか!?ええ!?どうなんだよ!!」
“オレブザラク・カラビンカ”:「その減らず口もとうとう終わりか!?ノヴァリスッ!!」
胡緑蘭:ご ぉ ん
胡緑蘭:彼方で、鐘の音が響いている。
胡緑蘭:「───"古銘に曰く"」
胡緑蘭:胡緑蘭は、戦闘において技らしい技を用いない。
胡緑蘭:ある種の術者が行うような、呪文や真言による自己暗示も口にしたことはない。
胡緑蘭:少なくとも、ノヴァリスを訪れてから今までの戦いでは。
胡緑蘭:「"花外 蒲牢の響き"」
胡緑蘭:「"長安 半夜の天"」
胡緑蘭:「"撃つ人は盛徳を輝かし"」
胡緑蘭:「"聞く者は名纏を解く"」
胡緑蘭:黒い腕が解け、煙のようにたなびいて天へと昇る。
胡緑蘭:雲間から差した光がその影を落とす。その形は、黒い龍に似ていた。
胡緑蘭:「"竜子懐玉・肆式蒲牢"」
胡緑蘭:腕が形を取り戻し、強く握り込まれる。
胡緑蘭:同時に、天上の鐘の音が更に大きく鳴り響く。
“オレブザラク・カラビンカ”:「……!?」
胡緑蘭:清浄な音色が響くたびに、足元に淀む亡者の霧がその色を薄れさせていく。
“オレブザラク・カラビンカ”:亡者の呻きを掻き消すような鐘の音と、頭上から差す光に思わず上方を見上げる。
“オレブザラク・カラビンカ”:「新手──!? いや……何が……!」
胡緑蘭:「言っただろ。奇跡は何度だって起こる」
胡緑蘭:「この術式は、私が見た最も『美しいもの』を手繰り寄せる業だ」
胡緑蘭:「ノヴァリスに来る前は、こんな景色ではなかった」
胡緑蘭:「これも、一つの奇跡だね」
“オレブザラク・カラビンカ”:「………………」
“オレブザラク・カラビンカ”:「……知ィィィィイるゥゥゥゥウウかァアアアアアアアアッ!!!!!」
“オレブザラク・カラビンカ”:「一人で浸ってんじゃ────」
“オレブザラク・カラビンカ”:完全に消滅した影の腕の代わり、再び主砲から雷火を放つ。
“オレブザラク・カラビンカ”:「ねェエエエエエエエエエェエッ!!!!!!」
三部つゆり:翼を一打ち。限界まで渇き果てた血の黒羽根が、幾つも打ち出され。
三部つゆり:「第十八願 至心信楽之願」浄土宗において、もっとも重要とされる本願を唱える。
三部つゆり:「どんな人でも、私の国に生まれたいと願い」それは、阿弥陀如来が悟る前に為した請願であり、
三部つゆり:「一生のうち十度でも私の名前を唱えたのなら」万物を救うと願われた、浄土教典のクライマックスだ。
三部つゆり:「私は必ず浄土へと導こう」ある種の逆説として、今既に、かれは如来として大悟しているが故、全て叶ったのであると。
三部つゆり:それはその通りになった。 打ち出された羽根が、雷火へ纏わりつく。
三部つゆり:軌道がかすかに捻じ曲げられる。だがなお足りない--身を捻り、翼をぶつける。影鳥の右翼が吹き飛ぶ。
三部つゆり:”それだけの犠牲”で、砲弾を逸らし切る事が出来た。
三部つゆり:”輪廻の獣”は、不死存在である。つまり常に生き続けるモノであり--
三部つゆり:極限の死を齎さんとするその雷にとって、その一部はある種のデコイ足りえた。
三部つゆり:とはいえもう大規模な術はほぼ使用できない。だからこその、”輪廻の獣”の義体転用だったが--フィードバックで裂けた右腕を影で覆う。
“オレブザラク・カラビンカ”:「こいつッ……!」
“オレブザラク・カラビンカ”:影が激しく喰らい合い、ビルの窓ガラスが一斉に砕け散る。
“オレブザラク・カラビンカ”:夕景を乱反射する輝きの中、凶鳥が再び主砲をチャージする。
“オレブザラク・カラビンカ”:「何度やっても──!」
三部つゆり:その輝きを見る。このほんのわずかな時間が最後のチャンスだった。
三部つゆり:--ここまで動けるのはなぜか。きっとまだ、契約が完結していないからだ、と三部つゆりは思った。
三部つゆり:動くのだから、やらなければならないと思った。自分の消耗など、頭にさえ残らない。手を伸ばせ、と”獣”以外の何かが、私の背を蹴飛ばしている。
三部つゆり:双頭の鳥姿のまま、”カラビンカ”へ反動を生かし、強化した四肢をも用い飛んで行く。
三部つゆり:尾羽が変性してゆく。先の星徒操作術に近しく、だが異なるものだった。
三部つゆり:それは、ひどく単純で、ありふれた魔術。寧ろ、術とさえ認識していないものが大半であろうもの。
三部つゆり:「生きることに疲れ、衰えに縛られ、病に怯え、死を恐れる」
三部つゆり:「玉は砕け割れ、雑草が蔓延り、良きものは滅び、生きる事とは苦より逃れることのみだとして」
三部つゆり:釈迦はその為に、世間を離れ行を為せと告げた。浄土の教えは、阿弥陀仏に縋れと告げた。
三部つゆり:どちらも正しい教えだった。確かにそうして救われる人がいる事を知っている。
三部つゆり:その上で。赤黒の穢れを纏った、死んだ髪と眼をもった少女は告げる。
三部つゆり:「それでも、と私は告げる」
三部つゆり:「苦しむならともに苦しんであげる。痛いのならともに痛もう。怒るのならその怒りを受け止める」
三部つゆり:「悲しいなら私が聞くよ。楽しいなら私がともに楽しもう。辛いならそのそばにいてあげる」
三部つゆり:「だから」
三部つゆり:「あなたの声を聴かせて」それは、共にあること。傍にいること。
三部つゆり:彼女が最も満たされていた時のように、そう在りたいという願い。
三部つゆり:呼びかけて、応えて貰う。たったそれだけの為の式が解き放たれ。
三部つゆり:孔雀の尾羽のようになっていた影が、絡みつく。つながる。
三部つゆり:加速する。加速、加速、--加速して。そして。
???
GM:……どこまでも、赤い海が広がっている。
GM:血のように赤い海。大陸らしきものは見えず、ただ水平線まで不規則に、小さな浮島のような陸地が点在している。
GM:雲の無い空もまた、海と同じ色に染まっていた。見渡す限り一面の紅。そこに君は立っていた。
三部つゆり:「…ここが…」白い制服--晨星時代のそれを基調に、現在の意匠が入り混じっている--と、白い髪を揺らして。その赤の上に立つ。
GM:突然、君は後方から強い熱気を感じる。
GM:振り返れば君の背後に、怪物が鎮座していた。
星徒アビトリオン:「────」
星徒アビトリオン:赤褐色の鎧を纏った、巨大な怪物──星徒。
星徒アビトリオン:背面から翼のような炎を噴き出し、百足の如き凶悪な形状の鞭がしなる度、爆炎が海面を蒸発させていく。
三部つゆり:「、っ…!」目を見開いて見上げ、間合いを取ろうとする。これは--星徒だろうか?
三部つゆり:自分が見た中には無かった。となると--思考はそこまでだった。どうにかしなくてはならない。もう碌な出力も絞り出せないが、それでも。
三部つゆり:気付けば手にニードルガンがある。上手く遮蔽が欲しいところだけれど。
星徒アビトリオン:炎の鞭が振るわれた。到底避けられる速度でない、が。
星徒アビトリオン:それは君の身体を煙のように擦り抜けて、後方へと打ち振るわれた。
三部つゆり:「…、オン・アミリタ・テイセイ・カラ・ウン--あれ…?」
三部つゆり:鞭が向かった方を、見た。
ノドス生徒:その代わりに、数人の男子生徒が餌食となった。身体を引き裂かれ、焼き焦がされる。
三部つゆり:左眼を見開く。変性させた影は、煌めく光となって星徒へ突き刺さらんと伸びている。一度攻撃を止めさせる為でもあり、間合いを取るためでもあった。
ノドス生徒:「動きを止めろ!」「殺せ!!」
GM:生徒達が星徒へと襲い掛かる。星徒が雷撃に穿たれ、凍結しながらも再生し──君の見ている前で、君をまるで無視して死闘が始まる。
三部つゆり:「…、これは……過去の…?」男子生徒たち。彼らの上に在る十字冠は、どこか変異してしまっていて、私達の知るものではない。
三部つゆり:そして、ノヴァリスならば、僅かな例外を除いてあり得ないはずの。命を懸けた殺し合いが--
ソル・ジファン:「過去じゃねえよ」
ソル・ジファン:不意に声が響いた。君の知る声が。

三部つゆり:「あなたは…”イモータルコイル”。…もう見つかっちゃったか」本当なら、ある程度気付かれぬうちに潜入し、あの障壁へ働きかけるつもりだったのだが。
ソル・ジファン:一人の男子生徒が、君と同じように海に足を浸して立っている。
ソル・ジファン:その顔立ちは君の知る四海群生を大人びさせたものだが、その表情は、到底彼のそれとは思えない。
三部つゆり:「……、」それでも、何処か手が鈍るのがわかった。本当に会いたい人の姿でもあったから。
ソル・ジファン:「お前……こんなとこまで来やがったのか」
ソル・ジファン:呆れたように言う。その物腰からは、機神から放たれる灼けんばかりの悪意と敵意は感じられない。
三部つゆり:「あの壁、そうでもしないと抜けないでしょ。…この光景で、大分慌てちゃったけど……」
三部つゆり:「…表層くらいだから、見つからないと思ってたのに」
ソル・ジファン:「……」
ソル・ジファン:対応に悩むように、頭を掻き、手をポケットに突っ込んで。
ソル・ジファン:「歩くか」
ソル・ジファン:そう言って、返事も聞かずに海を歩き出す。
三部つゆり:「ん…良いの?」戦っている彼らのことを見て。歩き出した彼と、その間を何度か見返し…彼に付いて行く。
三部つゆり:とん、とん、とん、とまるで汚さないように気を付けながら。
GM:歩けども歩けども、陸地のようなものは見えてこなかった。赤い浅瀬が、どこまでも延々と続いている。
GM:当初浮島のように見えていたものは、全てが星徒の遺骸だった。
GM:それらが何かの拍子に動き出しては、あちこちでノドス生徒たちと殺し合いを始める。
三部つゆり:彼らが、彼が、どれだけ重ねたのだろうか。気が遠くなりそうなくらいの数と、戦いがそこにあった。統制が取れているものもあれば、まったくないようなものもあった。
GM:生徒と星徒はどちらも何度も再生し、遂には力尽きて海中に没しては、またしばらくすれば動き出す。
GM:終わることの無い永遠の殺し合いだ。その中を、少年はまるで無関心に歩いていく。
三部つゆり:等活地獄のようだった。終わらぬ殺し合いが続く、人を戒めるための--もしくは戦乱の時の人々は、本当にそれを見出していたのだろうかと思うくらいに。
三部つゆり:おいて行かれないくらいの速度で歩きながら、一つ一つを出来るだけ頭に刻み付けるようにして、見る。
ソル・ジファン:やがて、少年は朽ちた潜水艦を思わせる、比較的無機質な星徒の残骸の上で足を止めた。
ソル・ジファン:「……四海群生は死んだって言ったな」
三部つゆり:「…うん」その言葉には、どこかしょんぼりしたように見えた。あんなに気丈に、信じないといっていたのに。
三部つゆり:本当は、本当に、その言葉に哀しんで、苦しんでいたのがわかる。精神の空間だからか、隠し事が彼女は上手く出来ないようだった。
ソル・ジファン:「……別に、あれは嘘でも何でもねえ」
ソル・ジファン:「確かに身体は群生のモンだが──」
ソル・ジファン:「今は、『これ』が俺だ」
ソル・ジファン:どこまでも続く、地獄のような光景を示して言う。
三部つゆり:「………うん。でも、人の心はひとつの風景だけじゃないから。だから…どこかに”いる”と思ってる…んだけど」
三部つゆり:「…それも?」
ソル・ジファン:「どこかに出口があって、そこに元の四海群生が残ってるんじゃないかって?」
ソル・ジファン:せせら笑うように
ソル・ジファン:「面白いな。居りゃ俺が教えてほしいくらいだ」
三部つゆり:「………」何処か泣きそうに見えた。幼い子供が、途方にくれたみたいな。
ソル・ジファン:「……泣いてんじゃねえよ」
三部つゆり:「……泣いてないもん」
三部つゆり:「うう……泣いて、ないもん……」
ソル・ジファン:「ハイハイ」肩を竦めて嘆息する。
ソル・ジファン:「……今こうやって、多少マシに話してられんのは」
ソル・ジファン:「この俺が『半分』くらいの俺だからだ」
三部つゆり:「…半分?」赤い目元を右手でこすって。
ソル・ジファン:「“イモータルコイル”として表に出てる俺は──」
ソル・ジファン:「大体、三割がソル・ジファン」
ソル・ジファン:「もう三割が、死んだ仲間の奴ら」
ソル・ジファン:「で、二割がこいつらだ」
ソル・ジファン:星徒の残骸を指して見せる。
三部つゆり:「…あなた…というか、表記に困るけど…ともあれ、総体としてのあなたが食べて取り込んだ星徒…ってこと?」
ソル・ジファン:「そういうことだ。“マスターポルート”もどっかに混じってるかもな」
三部つゆり:思い切り顔を顰める。「殺しておいた方がいいよ絶対」
ソル・ジファン:「やれるならやってるっての」終わらない星徒との殺し合いが続く光景を指差す。
ソル・ジファン:「で、元の四海群生は……残りの二割弱ってところか」
ソル・ジファン:「人間で言やあ片腕か片脚程度だ。そんなの、生きてるって言えるか?」
三部つゆり:「……どうだろう。テセウスの船じゃないけど…人間、しかも精神での実験はあるかもだけど、知らない」
三部つゆり:「…でも、残ってるんだ」何処か切なさを込めた視線で、赤い海を見た。
GM:赤い海はどこまでも続き、そこにはノドスの校舎すら見当たらない。
GM:それは彼らが生家やノヴァリスどころか、ノドスにすら帰ることの出来なかった末路の表れ故か。
ソル・ジファン:「……お前に……」
ソル・ジファン:「聞きたいことと、頼みたいことがある」
三部つゆり:「……なあに?答えられる事なら答えるし、出来ることならするよ」
ソル・ジファン:星徒の死骸に腰を下ろし、息を吐く。
ソル・ジファン:「……あいつ……」
ソル・ジファン:「……ソウマの奴」
ソル・ジファン:「死ぬ前に、何て言ったと思う?」
三部つゆり:「……なんだろ。ソウマさんだから…謝ったりするような感じじゃないとは思うけど……ノドスの皆に何か言い残したりしたんじゃないの?」
ソル・ジファン:「……」
ソル・ジファン:「……『ピアノが弾きたい』ってさ」
三部つゆり:「…………………え」
ソル・ジファン:脱力するように笑みを零す。
ソル・ジファン:「何だよそれ」
三部つゆり:「……な、何それ……」ひきつったような笑みを浮かべる。目元が酷く熱かった。
三部つゆり:「さ、最高生徒会長になって…あんな戦い一杯で…そ、そんな…」
三部つゆり:何かひどく立派なことを残したのだと思っていた。いや、きっとそうしていて、その上で--
ソル・ジファン:「俺はずっと傍にいたのに、そんなの……全然気付きもしなかった」
ソル・ジファン:「なあ……」
ソル・ジファン:「お前は知ってたか?」
三部つゆり:「う、うぅぅうううぅぅうう……!」
三部つゆり:「し、知ってた!だ、だって、だって……!あの、二人がノヴァリスに行くんだって、私が行けないのに、群生お兄さんがセルの人に話にいった、あの日……、」
三部つゆり:「……、ひみつに、して……っ…、ほんとう、くだらないけど……、帰ったら、帰ったら……!」
三部つゆり:「私に、聴かせてくれるんだ、って……っ」
三部つゆり:「それまで……、それまでは!」
三部つゆり:「群生お兄さんにも、ひみつに…っ」
三部つゆり:後は言葉にならなかった。涙が溢れて止まらなくて。
三部つゆり:ばかみたいに勝手に泣いている。偶々そう言っただけかもしれない。ほんとは忘れていたのかも。でも--
三部つゆり:でも、やくそくしたことを、憶えていてくれたんだと、そう信じてしまった。
三部つゆり:だから、もう止められない。
ソル・ジファン:「……」
ソル・ジファン:「そうか」
ソル・ジファン:「じゃあ、ずっとか」
ソル・ジファン:ぽつりと呟くように言って、水面を見つめる。
三部つゆり:こくんとうなずく。泣きながら。
ソル・ジファン:「……俺達は、あいつに」
ソル・ジファン:「そんなことすら、させてやれなかったんだな」
三部つゆり:「うぅあぅあぁあああ……っ、あぐ、うぅ……!」
三部つゆり:「どうしてぇ……ひどいよ……」
三部つゆり:「だ、だって……群生お兄さんも、ノドスの人も、みんな頑張ってたじゃない……!」
三部つゆり:「なんで………、」
ソル・ジファン:「……そうだ」
ソル・ジファン:泣きじゃくる君を前に、ただその場に佇んでいる。
ソル・ジファン:寄り添っているのではない。慰めることも、涙を拭くことも、抱き締めることもなく。
ソル・ジファン:「俺達はずっと、その答えを求めてる」
三部つゆり:きっとそうするようにしてくれただろう人は、もういないからだ。「………、」
三部つゆり:「……答え……」
ソル・ジファン:「俺達は……」
ソル・ジファン:目の前で星徒と戦う生徒達が、身体を引き裂かれ、頭蓋を砕かれ、内臓をぶち撒けながら倒れていく。
ソル・ジファン:「死んだ」
ソル・ジファン:「死んだんだよ」
三部つゆり:泣きながら見ている。もう最初の理由さえ尽きないのに、更に人が死ぬのを見て、また涙が零れる。
ソル・ジファン:「俺達全員。誰も彼も。四海群生も、都築ソウマも、ノドスで」
ソル・ジファン:「……どうしてだ?」
ソル・ジファン:「これは何の罪だ?」
ソル・ジファン:「何で俺達だけが、こんな目に遭う?」
ソル・ジファン:「……どうして──」
ソル・ジファン:「俺達は死ななきゃならなかった?」
三部つゆり:ぼろぼろと涙をこぼしながら、その言葉を…死者の言葉を聞いている。何よりも根源的で、どうしようもなく卑近な。
ソル・ジファン:「俺達には、それを知る必要がある」
ソル・ジファン:「死んでいった全ての仲間に対して、その責任がある」
ソル・ジファン:「俺達はずっと探してきた。そして──」
ソル・ジファン:「その答えの一端は、既に握っている」
三部つゆり:涙を流しながら。「……でも、全部は分かってない」分かって居れば、彼らはそれを問う必要はない。
三部つゆり:「…私達にしていることは、それを捜す為なの?」
ソル・ジファン:「……半分は、ノドスを救うため」
ソル・ジファン:「だがもう半分は、お前の言う通りだ」
ソル・ジファン:「ノドスが漂流を始めた原因には──」
ソル・ジファン:「『犯人』がいる」
三部つゆり:「……、何か…ノヴァリスのシステムのバグだとか、不備だとかじゃなく?」
三部つゆり:「起こせるの……故意に…?そんな……」視野に上がってすらいなかった。あまりに超常的にすぎたからだ--5000人以上をその土地ごとどこかへ放逐しながら、なにも痕跡を残さないような事が?
ソル・ジファン:「当時最高生徒会長だったソウマを殺し、生命のイースターエッグを奪った奴がいる」
ソル・ジファン:「その影響でノドスの十字冠は変質を起こし、ノヴァリスから放逐された」
ソル・ジファン:「それをやったのが、ノドス漂流の犯人だ」
三部つゆり:「え」
三部つゆり:「こ、ころ……え?」
三部つゆり:星徒相手なのだと思っていた。怪物の--ジャームのしたことなのだと。そうだと納得させていたから。
三部つゆり:「……ソウマさん、が…?」
三部つゆり:そんな殺意の対象になるひとだ、という認識がなかった。つゆりにとり、都築ソウマは多くの人に愛するべき人だと--勿論、隣人や友人として--思われていると信じていたから。
ソル・ジファン:「……その場では一命を取り留めたがな。心臓を奪われて死にかけたのは本当だ」
ソル・ジファン:「……なあ……不自然に思わなかったか?」
ソル・ジファン:「この計画で……どうして俺がわざわざ、総和重工の屋上なんて目立つ場所に居る必要があると思う?」
ソル・ジファン:「どこかの地下にでも隠れていれば……それどころか、本来ならこの学区に居る必要すら無い」
ソル・ジファン:「そうしていれば、今頃ラス・ヴィダスは吹っ飛んでたろうな」
三部つゆり:「…、」口を開閉する。事実、その通りだからだ。堕天病の感染源としたとしても--もう彼自身の力は必要なかった。
三部つゆり:「……示威?」
三部つゆり:”犯人”が、もしノヴァリス内部にいるのであるなら--ノヴァリスを破壊する企てを堂々と起こしている存在を感知したとき、どうするだろうか?
GM:本来の計画通りであれば、ラス・ヴィダスの生徒は“イモータルコイル”の元まで辿り着くことすら出来ないはずだ。
GM:星徒も“カラビンカ”も、万が一の護衛としては過剰な戦力と言える。使うにしても、市街地での戦闘に投入するのが上策だったろう。
ソル・ジファン:「……そうだ」
ソル・ジファン:「ノドス漂流の犯人は……多分ノヴァリスに居る」
ソル・ジファン:「ノヴァリスが壊れる寸前になれば出てくるかと思ったが……今のところ、アテは外れたな」
三部つゆり:「……、」ぎゅ、と拳が強く強く握りしめられる。
三部つゆり:「……可能性としては……1。そもそもノヴァリス内部に現在存在しない」
三部つゆり:「2。ノヴァリスにいるが、ノヴァリス破壊に対して関心がない」
三部つゆり:「3。……ノヴァリス内部にいて、尚且つ状況を精緻に把握しており--」
三部つゆり:「破壊を止められると知っている」
ソル・ジファン:「……かもな」
ソル・ジファン:「1か2の場合、問題は無い」
ソル・ジファン:「3の場合」
ソル・ジファン:「つゆり。頼みたいことがあると言ったな」
三部つゆり:「うん」
ソル・ジファン:「頼みってのは一つだけだ」
ソル・ジファン:「これ以上、邪魔しないでくれ」
三部つゆり:「………、」ぎゅぅ、と唇を結んだ。強く強く。
ソル・ジファン:「俺がこのままノヴァリスをぶっ壊せば……」
ソル・ジファン:「ソウマを殺して、ノドスを地獄に叩き込んだ犯人を炙り出すか、殺すことが出来るかもしれない」
三部つゆり:「----、」あまりに、三部つゆりという少女にはクリティカルなものだった。
三部つゆり:もしも、これで--皆に対して敵対しろ、と言われれば反論し、どうにかする道筋もあったかもしれない。
三部つゆり:彼女は宮星イオリに言われた通り、”今でも”。一番裏切る可能性が高い生徒なのに変わりはない。
三部つゆり:だから、この言葉は苦し紛れだった。仲間を想う気持ちと、街をどうにかするのだと集まった希望。それに対しての、
三部つゆり:三部つゆりが最も大切にしてきた、恋心との相克。
三部つゆり:「……、もし……ノヴァリス内部に、いなかったなら?」
ソル・ジファン:「そりゃあ当然」
ソル・ジファン:「外でまた、同じことをやるだけだ」
ソル・ジファン:平然と、自然に口にする。幾度となく思考し、検討してきたことのように。
ソル・ジファン:「ノドスには居ない。ノヴァリスにも居なかったなら」
ソル・ジファン:「今度は確実だ。絶対に逃げられない……だろ?」
三部つゆり:その言葉に、肩の力が抜ける。
三部つゆり:「……、」ああ、と思った。本当に、死者たちの念に飲まれて、彼は変わってしまったのかもしれない、と思った。そう思うこと自体が、ひどく苦痛だった。
三部つゆり:「……みんな…何もかも全部?」
ソル・ジファン:「?」
ソル・ジファン:「当たり前だろ。一人残らず、隅々まで全部焼き尽くさなきゃ……どこに隠れてるか分かったもんじゃねえだろ?」
ソル・ジファン:「……ああ、そうだ」
ソル・ジファン:「つゆり」
ソル・ジファン:狂気に染まった瞳が、君を覗き込む。
ソル・ジファン:「お前じゃないよな?」
三部つゆり:何度も何度も泣いて、紫の瞳はどこか赤みを帯びていた。血が流れ込んで。
三部つゆり:今日一番、本当に哀しいと思った。
三部つゆり:あまりに哀しいと、涙すら出なくなるのだと。三部つゆりは思い知った。
三部つゆり:「…私だったら、殺して。でも……でも」
三部つゆり:「全部焼いて、ぐちゃぐちゃにしたあとで……ソウマさんは、ピアノを弾きたいかなあ?」涙声で。
三部つゆり:「そんなところで、私達に……自慢できるかなあ」
三部つゆり:もしも。
三部つゆり:ここで、躊躇って、止まってくれたら、と思った。
三部つゆり:そうなったら、何をしてもいい。本気でそう願って。
三部つゆり:「いっしょに、遊びに行ってくれるかな……?」
ソル・ジファン:「おいおい、つゆり……」
ソル・ジファン:「何度も言わせんなよ」
ソル・ジファン:口端は歪み、表情は笑っていた。
ソル・ジファン:だがもっと根幹の何かが、凍てつき、壊れ果てているのが分かった。
ソル・ジファン:「死んだんだよ。ソウマは」
三部つゆり:涙が一筋、流れた。
三部つゆり:ニードルガンを抜き放ち、あなたへ突きつけている。
三部つゆり:「……本当に、本当に」
三部つゆり:「こうしたくなかった。嘘じゃないよ……」
三部つゆり:「今でも、あなたと一緒に全部滅ぼしてもいいかも、ってどこかで思ってる」
三部つゆり:「ソウマさんを殺した誰かを、本当に殺してやりたいって思ってる。地獄に叩き込んで、もう何度でも手に掛けたって足りないって」
ソル・ジファン:「なら──」
三部つゆり:「それで!!」
三部つゆり:「私達が一緒に育ったあの場所も!」
三部つゆり:「みんながどうにかするんだって希望を持ってるこの街も!」
三部つゆり:「……、あの日約束した、ピアノを聴く場所だって……!」
三部つゆり:「全部壊すの?……いや。いやだよ」
三部つゆり:「そんな場所じゃ……ちゃんと、聴けないよ…!」
三部つゆり:「私は怪物になったっていいって思ってた」
三部つゆり:「命も、髪も、顔も、遊びも、なにも!失くしたって別に良かった!」
三部つゆり:「何で……?」
三部つゆり:「なんで、ソウマさんがいなくて、あなたが……」
三部つゆり:「あなたが、私がなるはずのものになってるの!?」
ソル・ジファン:「それは」
ソル・ジファン:「俺がノドスで」
ソル・ジファン:「お前がノヴァリスだったからだ」
三部つゆり:「逆だったらよかったのに……!」
三部つゆり:「逆だったら……っ、私が……っ」
ソル・ジファン:泣きじゃくる君と、向けられたニードルガンの銃口を見つめる。
ソル・ジファン:「……で?」
ソル・ジファン:「それじゃあ、どうするんだよ」
ソル・ジファン:「どうするんだよ!!三部つゆりィッ!!!」
三部つゆり:「決まってる!!!」叫ぶ。涙で濡れて、ぐちゃぐちゃの顔で。それでも。
三部つゆり:「あなたを止めて!!殺人犯も見つけて!!ぶっ殺してやる!!!」
三部つゆり:「きちんと顏を見て!どんな奴か調べて!誰も巻き込まずに、ハッピーエンドにしてやる!!」
三部つゆり:「笑い話にしてやる……!もう、いやだ!泣きたくなるのも、痛いのも、苦しいのも!!」
ソル・ジファン:「バカが……!そんなこと……」
三部つゆり:「出来る!!!」
三部つゆり:「私が好きな人は……!世界最高の人だったって、証明してやる!!!」
三部つゆり:「マスターも!リエゾンも!ノドスも…!誰も彼も、私の前にひれ伏させてやるよ!!!」
ソル・ジファン:ソルの周囲から──否。閉ざされた世界全体から、君へと向けて黒い影が殺到する。
ソル・ジファン:「やれるモンなら──やってみろやァアアアアアァアアッ!!!!」
三部つゆり:赤黒い影が球を象る。相手のフィールドで、出せる力は限られていて、もう身体も心も疲労困憊で。
三部つゆり:それがどうした。
三部つゆり:3:赤:都築ソウマ 慕情/遺志〇こちらを…Sロイスに指定します。
GM:許可します。
三部つゆり:--魔術とは、一体何であろうか?
三部つゆり:三部つゆりの身体は不具であり、一部死んでいるとさえいえる。黄泉の近くにあるが故に、”獣”とリンクが深まっているが故か、彼女はその一端をつかんだ。
三部つゆり:神仏に縋ることか?過去の伝承の再現か?論理誤謬を押し通す事か。
三部つゆり:全て、否である。
三部つゆり:其れの本質とは、ただひとつ。”意思を鍛え、用いるすべ”にすぎぬ--
三部つゆり:「我が名を以てここに誓う」
三部つゆり:「私の想いで、此処に刻む!」
三部つゆり:魔術において、一つの概念がある。
三部つゆり:彼らは神仏の名前を借り、先人の歴史を紐解き、世界に隠された力を使う。--すべて、他者のものである。
三部つゆり:だが、神や仏は力を借りるか?先人は自ら為したのでは?世界に隠された力は--己で以てあるのではあるまいか。
三部つゆり:魔術師でありながら。すべて、己の意思と行跡を以てして、世界を塗り替えるもの。
三部つゆり:それを、”魔神”と呼ぶのだという、伝説が。
三部つゆり:「我が声、我が威勢、我がちからはここにあり!我が意思、我が剣は内にあり!」
三部つゆり:球体を振り上げた。それはいつのまにか、剣となっている。
三部つゆり:「切れろ!!」
三部つゆり:それはそう言い、そうおこなった。
三部つゆり:ゆえに、かくのごとくとなった。
---
GM:──バシャッ!!
GM:“カラビンカ”の纏うどす黒い影に、内側から亀裂が走った。
GM:裂目から血飛沫のように影が噴出し、それと同時、機体の纏う絶対的な圧力が──理外の神秘が消失していく。
“オレブザラク・カラビンカ”:「ぐ……おぉおあああぁああああああッ!!」
“オレブザラク・カラビンカ”:巨体が傾ぎ、重たい黒影が血だまりのように壁面へと垂れ落ちる。
三部つゆり:「はァ、かはっ、ぐぅぅうぅぅぅ……げほっ……!」
三部つゆり:落ちて行く。死んだ髪をした少女が。身に纏っていた獣の義体は、いつの間にか解け、彼女の後ろで円を描いている。
三部つゆり:まるで後光のようなかたち。ただ、意識もひどく怪しい状態にあるようだった。
宮星イオリ:「……っ」
宮星イオリ:何もかもが一瞬だった。"カラビンカ"の砲撃の瞬間、景色が捩曲がって、気づけばそうなっていた。
析了トオル:「……これはまた、随分と見易くなりましたね」纏うものが消えた。つまるところ、この一瞬で消耗した三部つゆりが解き明かし、打ち消したことに他にない。
胡緑蘭:「つゆり!」落下する先へ回り込み、受け止める。
三部つゆり:かはっ、と受け止められた衝撃で息を吐く。
胡緑蘭:「また無茶をしたようだね……けど、助かった」
三部つゆり:「…ありがとうございます、先生…、ええ。やってやりました」
GM:その瞬間に何が起きたのか、この場で正確に理解できた者は少ないだろう。
GM:だが同時に、この場の誰にでも分かることがある──好機だ。
“オレブザラク・カラビンカ”:「がはッ……」機体が軋みを上げる「つゆり──お前えッ……!」
三部つゆり:「……そうだよ、お兄さん!私達はもう…、」一瞬ため込んで。「敵で、競争相手だ!!私はもう、絶対に負けない!!」
三部つゆり:「どっちが先か!勝負だよ!」
“オレブザラク・カラビンカ”:「ざけてんじゃ……ねえぞ……!」
“オレブザラク・カラビンカ”:機体が体勢を立て直さんとする。絶対性こそ失ったが、その単純なレネゲイド出力だけで未だ圧倒的だ。
“オレブザラク・カラビンカ”:「お前に、そんなことが……!」
三部つゆり:「出来る!!」
三部つゆり:「奇跡も何も知るもんか!興味もない!ただ、私はやるって決めた!」
三部つゆり:「だから、そうする!それだけだよ!」
胡緑蘭:「何があったか知らないけど、やる気があるのは良いことだ」傾いた地面の上につゆりを下ろして。
三部つゆり:ぺこっと先生に一礼して少し離れる。
胡緑蘭:「けど、これ以上無理を重ねるのはいただけない。ここからは───」
胡緑蘭:ブンッ、と、その姿が靄のように掻き消えた。
“オレブザラク・カラビンカ”:「! 消え──」
胡緑蘭:ガ シ ャ ア ア ア ン ッ ! !
胡緑蘭:刹那の後、カラビンカの胸部に鋭い衝撃が走り、巨大な機体が僅かに浮かび上がる。
胡緑蘭:「私達に任せてもらおうか!」
“オレブザラク・カラビンカ”:「なっ……ぐぁあッ!?」
“オレブザラク・カラビンカ”:轟音。影の機体がひしゃげ、僅か宙に舞う。
“オレブザラク・カラビンカ”:「あり得ねえ、こいつッ──!」
胡緑蘭:更に幾度も衝撃が響く。カラビンカの真下で足を止め、杭打ち機のような打撃を絶え間なく打ち込んでいる。
“オレブザラク・カラビンカ”:「────!」
“オレブザラク・カラビンカ”:数トンに及ぶ機体が空中で連打を浴び、超高密度の影が見る間に削り取られていく。
“オレブザラク・カラビンカ”:「あ゛ぁああぁあああッ!!」
“オレブザラク・カラビンカ”:関節部から高熱。怒りに任せ、影の炎を解放して振り払わんとして。
宮星イオリ:赤い空を裂いて、届くものがあった。
宮星イオリ:鈍く錆びついた鉄輪のようなイオリの十字冠が、遥か空より降ったセイクリッドピラーの光を受けて、
宮星イオリ:そして、微塵に砕け散った。
宮星イオリ:「っ──」
宮星イオリ:限界を迎えた力の破綻──ではない。酩酊したような感覚に襲われたのは、ただ、引き出すのが初めてだったからだ。
宮星イオリ:ひとえにそれが、宮星イオリの二重冠の、次なるかたち。
宮星イオリ:砕け散ったすべてが天の河の一粒のように、放たれた光を浴びて煌めき、より大きな奔流を呼んで。
宮星イオリ:地表より放たれた真白の閃光が、この街の真紅の夕空を逆しまに染め上げていく。
宮星イオリ:「……"イモータルコイル"」
宮星イオリ:先の一瞬に、何が起きたか理解したわけではない。ただ、
宮星イオリ:捩れた世界の向こう側から、耳に届いたことばがあった。宮星イオリに宿る力は、強い祈りをこそ聞き届けるものなれば。
宮星イオリ:「……さっき緑蘭は、アンタに都合の良い事はもう起こらないって言ったけど……」
宮星イオリ:「……違うわ。アンタは今、もう掴んでる」
宮星イオリ:「アンタみたいなクソヤローに」
宮星イオリ:「世界でたった一人、手を差し伸べて……一緒にどこまで落ちても良いって、言ってくれるような子に」
宮星イオリ:「最後の最後で出会えたんでしょうが」
宮星イオリ:それが奇跡でなければ、何だというのだろうか。
宮星イオリ:「目を逸らすなクソ野郎」
宮星イオリ:「"ただの敵"だなんて言って、誤魔化して」
宮星イオリ:「アンタの運命に今、起きてる奇跡を」
宮星イオリ:「知らないフリしてんじゃ、ないわよ──!!」
宮星イオリ:激しく波を打ち、空を覆う程に拡がっていく──不落の星。すべての祈りに応えるひかり。
宮星イオリ:それは、天を仰いだ全ての目に映るもの。
宮星イオリ:今この時、ラス・ヴィダスにおいて、爆ぜた溢れた力はそうなった。
宮星イオリ:──そうして、次の瞬間。そのすべてが、"カラビンカ"が纏う闇の内へと飛び込んで消える。
宮星イオリ:宵を呼ぶ夕陽がいつも、そうするように。
宮星イオリ:世界で最も深く昏い、果ての場所へと沈み行く。そこをこそ照らすために。次なる日を呼び迎えるために。
宮星イオリ:……終わりなく血の赤に閉ざされた空に、そのあかりは届いたのだろうか。
宮星イオリ:答えは見えず。ただ、影を纏う機体が、内側から白銀に引き裂かれた姿だけが、この場にいた者の眼に映った。
“オレブザラク・カラビンカ”:「がはッ……!」
“オレブザラク・カラビンカ”:“カラビンカ”の胸部が爆ぜるように引き裂かれ、千切れ飛んだ片腕が、傾いたビルの遥か下方まで落下していく。
“オレブザラク・カラビンカ”:姿勢制御バーニアから蒼い炎が噴出し、漆黒の機体が壁面を砕きながら滑るように着地する。
“オレブザラク・カラビンカ”:「クソッタレの神聖二重冠が……!」
宮星イオリ:「っ、ぐ……」こちらもそうして打ち込んだ反動、吹き飛んで斜面に背を打ち付ける。
宮星イオリ:空に舞った塵がふたたび、頭上に収束していく。心臓が張り裂けるようだった。
“オレブザラク・カラビンカ”:「部外者が……知ったような口聞いてんじゃねえよ……!」
“オレブザラク・カラビンカ”:「奇跡!?奇跡だと!?ああそうなんだろうよ!!」
“オレブザラク・カラビンカ”:「遅いんだよ、何もかも……!」
“オレブザラク・カラビンカ”:「奇跡が起きるのはいつだって──俺達には遅すぎる…………!」
◆ラウンド3
エンゲージ
“カラビンカ”(23)/宮星イオリ(18)/胡緑蘭(7)
(5m)
星徒イラマテクウトリ(戦闘不能)/星徒ナナワツィン(8)
(10m)
三部つゆり(8)
(5m)
析了トオル(14)
GM:セットアップから!
三部つゆり:ありません…!
胡緑蘭:なし!
宮星イオリ:ないです
析了トオル:なし!
三部つゆり:あ、トオルさんが行動値13になるかしら
析了トオル:ですね、戻ってます
“オレブザラク・カラビンカ”:なし。
GM:行動値23 カラビンカの手番です
“オレブザラク・カラビンカ”:《原初の紫:異形の転身》LV6
“オレブザラク・カラビンカ”:5m後方に移動
“オレブザラク・カラビンカ”:マイナー 《原初の青:プライマルレイジ》LV8+《拡散する影》LV6 暴走、攻撃力+24 判定ダイス-4、達成値+20
“オレブザラク・カラビンカ”:《極限暴走》
“オレブザラク・カラビンカ”:《シャドースナッチ》 そのシーンの間《無形の影》を1ラウンド2回まで使用できる
“オレブザラク・カラビンカ”:《悪食の蛇》1シーンに●回まで使用できるエフェクトの使用回数を1回分回復する
“オレブザラク・カラビンカ”:《原初の赤:異形の祭典》を回復
“オレブザラク・カラビンカ”:メジャー 《コンセントレイト:ウロボロス》LV6+《無形の影》LV4+《原初の白:ブラッドバーン》LV8+《背教者の王》LV4+《原初の赤:異形の祭典》LV8
“オレブザラク・カラビンカ”:対象は星徒含む全員です
胡緑蘭:なんじゃこれ~!
析了トオル:強制起動者を発動します、時の棺の回数を回復
GM:こいつら何枚棺あるんだ!?
析了トオル:最後の一発、持っていきなさい!原初の黒:時の棺!
GM:では失敗……!
析了トオル:侵蝕233!
GM:行動値18 イオリさんの手番です
宮星イオリ:もうカラビンカを殴るしかない
宮星イオリ:《陽炎の衣》《光芒の疾走》隠密化エンゲージしてから《コンセントレイト》《見えざる死神》《光の舞踏》で攻撃。
GM:隠密野郎~~!
GM:判定どうぞ!
宮星イオリ:13dx+6+5@7 DBが増えてこう
DoubleCross : (13DX7+11) → 10[1,2,2,2,2,3,3,4,6,7,7,9,9]+10[6,8,9,9]+5[2,3,5]+11 → 36
“オレブザラク・カラビンカ”:ガードします
宮星イオリ:4d10+75+10 うおお ダメージ
DoubleCross : (4D10+75+10) → 18[6,8,3,1]+75+10 → 103
“オレブザラク・カラビンカ”:《雲散霧消》LV8
“オレブザラク・カラビンカ”:ダメージを40点軽減します
宮星イオリ:宮星イオリの侵蝕率を10増加(206 → 216)
“オレブザラク・カラビンカ”:まだ生きておる!
胡緑蘭:しぶとい奴!
GM:行動値13 トオルさんの手番です
析了トオル:ふーむ
析了トオル:マイナーなし!
析了トオル:メジャーでコントロールソート、コンセ、マルチウェポン!相手が一人なら安くていい!
GM:判定どうぞ!
析了トオル:14dx7+10
DoubleCross : (14DX7+10) → 10[2,2,3,3,3,4,4,5,5,6,6,6,8,10]+10[8,8]+3[2,3]+10 → 33
析了トオル:ぐ……
GM:フ……回らなかったな
“オレブザラク・カラビンカ”:《消散する魔法》LV6
析了トオル:なにっ?!
“オレブザラク・カラビンカ”:判定直後に使用 達成値を-60します
析了トオル:オノレ~~~~~~~
胡緑蘭:!?
胡緑蘭:待ちな
析了トオル:それはどれだけ回っても無理だろ~~~!
“オレブザラク・カラビンカ”:120%エフェクトだ 道を開けろ
析了トオル:仕方ありません、互いに打ち消し合いで手を打ちましょう
胡緑蘭:あっそうじゃん!クソ~~~!
析了トオル:侵蝕は上がるけど……フェイタルしてないからそうでもないかも
析了トオル:240です
GM:では行動値8 星徒ナナワツィンとつゆりさんの手番です
三部つゆり:相談の結果、ナナワツィンからカラビンカを攻撃してもらおうと思います!
三部つゆり:ええと、マイナーはハンティングスタイル、メジャー《コンセントレイト:キュマイラ》LV5+《獣の力》LV8+《獣王の力》LV4かな?
三部つゆり:骨の剣は作ってるから
星徒ナナワツィン:攻撃します
星徒ナナワツィン:21DX7
DoubleCross : (21DX7) → 10[1,1,2,3,4,5,5,6,6,7,7,7,8,8,8,9,9,9,10,10,10]+10[2,2,5,5,5,6,6,7,8,8,9,10]+10[5,5,6,9,10]+6[5,6] → 36
“オレブザラク・カラビンカ”:ガード
星徒ナナワツィン:4D10+32+47
DoubleCross : (4D10+32+47) → 33[5,8,10,10]+32+47 → 112
析了トオル:さすがナナちゃんだ!
胡緑蘭:えらいぞ~!
三部つゆり:つ、つよっ
“オレブザラク・カラビンカ”:《虚無への回帰》LV4
“オレブザラク・カラビンカ”:ダメージを0にします
胡緑蘭:この子何でも持ってるわぁ
GM:行動値8 つゆりさんの手番です
三部つゆり:マイナーボルトアクションライフルの効果を起動し、メジャー。コンボ:鳥破《コンセントレイト:ウロボロス》《無形の影》にてカラビンカへ攻撃します!
“オレブザラク・カラビンカ”:待ちな
三部つゆり:なにっ
“オレブザラク・カラビンカ”:《原初の黒:時の棺》
三部つゆり:ギエーっ
“オレブザラク・カラビンカ”:失敗しろッッッッ
胡緑蘭:フッ、待ってたぜ。この瞬間をよぉ
GM:何……!?
析了トオル:お待たせしました凄いやつ!
胡緑蘭:《殺戮の因子》 自動成功のエフェクトを打ち消します。
GM:さ……殺戮の因子~~~~~~!?!?
GM:ギャアアアアアアアア!!!!!!
胡緑蘭:胡緑蘭の侵蝕率を6増加(199 → 205)
GM:どうしてこっちには棺撃たせてくれねえんだ!
GM:では打ち消されます。判定をどうぞ!
三部つゆり:ありがとうございます では行きます…!
三部つゆり:11dx7+9+5+5
DoubleCross : (11DX7+19) → 10[1,2,2,2,4,5,6,7,7,8,9]+10[1,3,6,10]+4[4]+19 → 43
“オレブザラク・カラビンカ”:ガード……!
GM:ダメージどうぞ!
三部つゆり:5d10+1d10+8+3+10 装甲有効。
DoubleCross : (5D10+1D10+8+3+10) → 18[5,1,1,6,5]+5[5]+8+3+10 → 44
三部つゆり:出目!!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を6増加(211 → 217)
“オレブザラク・カラビンカ”:残りHPは……
“オレブザラク・カラビンカ”:17でした。星徒を吸収できていればもっと伸びていたのだが……!
“オレブザラク・カラビンカ”:復活エフェクトもありません。
三部つゆり:あ、あぶね~~ カバーして復活させてて良かった……
GM:戦闘終了です。
GM:破壊され、廃墟と化した街に陽が落ちようとしていた。
GM:満身創痍の“カラビンカ”を動かす機神の憎悪は、少しも衰えずにノヴァリスへの呪いを振り撒かんと駆動する。
GM:決着が近い。神聖二重冠を起動した宮星イオリが、更に動く。
宮星イオリ:……一歩。たった一歩を踏み出すごとに、硬質化した身体組織が擦れて、関節が忌まわしい音を立てる。
宮星イオリ:ひと呼吸ごとに、胸が踏み潰されるような心地がする。
宮星イオリ:わんわんと喚く声が、誰かを呼ぶ悲鳴が、耳元に響き続けている。
宮星イオリ:今更、そんな責め苦に負ける自分ではない。そんな奇妙な自負ばかりがあった。
宮星イオリ:「……拗ねてんじゃ、ないわよ!」
宮星イオリ:火花のような閃光を帯びた右手が、機神の装甲に突き立てられる。
宮星イオリ:「間に合わなかったものなんて、私達にだって沢山あるっての……!」
宮星イオリ:とうに終わっていて、手にかけるしかなかった星徒がいた。
宮星イオリ:"マスターポルート"の毒牙にかかって、苦しみながら死んでいった級友たちがいた。
宮星イオリ:「それで、アンタはまだ生きてて、生き延びた仲間だっているんでしょうが……!」
宮星イオリ:「こんな……ノヴァリス全部に恨み買うような事して──自分で起こした戦争に、巻き込むような真似して!」
宮星イオリ:「そんなもんが、そいつらの為になるわけ!?」
宮星イオリ:爪の食い込んだその先。浸透するのは、単なる衝撃ばかりではない──ソル・ジファンにしてみれば、よく見知った力だった。
宮星イオリ:"マスターポルート"の力の残滓。あまねく秩序を蝕む、漆黒の瘴気。
宮星イオリ:それが今は、光の輝線に導かれるようにして、彼の内へとなだれ込み、爆ぜている。あり得ざることが起きていた。
“オレブザラク・カラビンカ”:「がふッ……ぐ、うぅううッ……!」
“オレブザラク・カラビンカ”:漆黒の影が腐敗するように爆裂し、無機と有機の入り混じった内部構造と粘菌とが撒き散らされる。
宮星イオリ:「そんな事も理解できないなら、アンタもジナと同じくらいの、ただのバカだ!」
宮星イオリ:──腹立たしかった。どうして、誰も彼も。
宮星イオリ:自分が引き金を引いているくせに、自分の手で憎しみを振りまいたくせに。今そこにある、自分の大切なものが撃たれる事は考えていないのか。
宮星イオリ:「……堕天病は、ッ」
宮星イオリ:「あまねく法則を破壊する兵器」
宮星イオリ:「そう、兵器よ。人に使われるための……」
宮星イオリ:堕天病が、宮星イオリの意志に従って、"カラビンカ"を蝕んでいる。
宮星イオリ:あり得ざることが起きていた。……本当に?
宮星イオリ:三部つゆりは、自分自身の内にある魔性を飼い慣らし、彼の神秘を剥ぎ取った。
宮星イオリ:百代マリアは、自らの身体を蝕む毒をも解き放って仲間達を守った。
宮星イオリ:──ならば、私にはできない事なのだろうか?
宮星イオリ:自分の中にある、"兵器"の引き金に指をかけ、引くことが。
宮星イオリ:「私の身体、そして……私の病気だ」
宮星イオリ:「アンタなんかよりも、ずっと前から」
宮星イオリ:奇跡のような力の残り香が、塵のように舞って、きらきらと煌めいていた。
宮星イオリ:「アンタなんかが、好きにできるんだったら」
宮星イオリ:「私に、できないはず、ないでしょうが……ッ!!」
宮星イオリ:己に言い聞かせるような言葉だった。瘴気の黒と、混ざり合う光の白が、螺旋となって。機神は、自らの放った弾丸によって撃ち抜かれた。
“オレブザラク・カラビンカ”:「────」
“オレブザラク・カラビンカ”:凶鳥は最早、両翼を捥がれたに等しかった。
“オレブザラク・カラビンカ”:片腕は落ち、胴体には大穴が空き、修復しようと蠢く影すら、“マスターポルート”の能力が阻害している。
“オレブザラク・カラビンカ”:「俺達は……」
“オレブザラク・カラビンカ”:「ノドス全ての生者と、全ての死者の為に戦っている」
“オレブザラク・カラビンカ”:「今更ただの言葉で迷うなら……ここまで来られるわきゃねェだろ……!」
“オレブザラク・カラビンカ”:制御を失った影をぼたぼたと垂れ流しながら、機神が再び砲を構える。
“オレブザラク・カラビンカ”:「……俺が間違ってるって?確かにそうなのかもな」
“オレブザラク・カラビンカ”:「じゃあ教えてくれよ」
“オレブザラク・カラビンカ”:「どうすればよかったんだ?」
“オレブザラク・カラビンカ”:「どうすりゃよかったってんだよ!! なぁああああぁあああッ!!!!」
“オレブザラク・カラビンカ”:機体の頭部が引き裂け、大顎のように開かれる。地獄から響き渡るかのようなおぞましい咆哮がラス・ヴィダスに木霊する。
宮星イオリ:「……それが、拗ねてるって言ってんのよ。バカ野郎」声が掠れている。蝕む力の反動。ばしゃり、と右腕が水袋のようになって腐り落ちる。
“オレブザラク・カラビンカ”:同時、主砲から膨大なレネゲイドの圧力と共に──
“オレブザラク・カラビンカ”:全てを焼き尽くす影の雷火が、再び解き放たれる。
析了トオル:そのレネゲイドが集約する様を、掠れた瞳で見ていた。
析了トオル:どこか盤面の外から眺めていた"イモータルコイル・オレブザラク"が、漸く同じ目線まで降りてきた。
析了トオル:なのに、こんな時に体も、思考も何も動かない。
析了トオル:超負荷の侵蝕に、身体が追い付いていない。
析了トオル:「……情け、ない」皆が戦っているのに、全力を賭しているのに。
析了トオル:そうして、ひとつの結論に至る。賭けに出る。
析了トオル:本当は使うつもりが無かった、最後の手段に手を伸ばす。
析了トオル:自らの十字冠に、指で触れるように塗り込む。"虹色の液体"。
析了トオル:星珊胚。十字冠の材料にして、同時にそれを破壊する兵器であるもの。
析了トオル:理事会では、この兵器を指向性を以て利用することで、対象の生徒の根底に絶対的命令を打ち込み、起動時には星徒に肉薄する飛躍的な出力を与えた。
析了トオル:しかし最早、その破壊兵器の完全抽出・利用法も焼却され、使用できるものは存在しない。
析了トオル:ここにあるのはただの劣化品。析了トオルが数か月かけて絞り出した残り滓。
析了トオル:“それを、自分に向けて使った”。
析了トオル:神秘を否定する形をとった冠が虹色に輝く。バグが起きたように歪む。たったひとつの命令。今、再び動くためだけに。
析了トオル:肉体が加速の負荷に耐えきれずに血を噴き出す。力を失った肉体が、機体が。同期するように動き出す。
析了トオル:第四、第五、第六宇宙速度───思考が、光へと手を伸ばして。
析了トオル:
析了トオル:「知った!こと……かあああァァァァァァァァ!!!!!!」
析了トオル:砲塔が自壊する程の出力を込めた紅蓮の軌跡と撃光が、互いの機体の間合いでぶつかり合い相殺、中空を爆炎で照らし尽くす。
析了トオル:光速で動く理性は瞬く間に何処かに走り去って。剥き出しの感情だけが肉体に渦巻く。
析了トオル:「この街の腐敗の要因とか!未知の神秘とか!貴方達がどんな死と苦悩に塗れてきたとか!遍く知りたいのは山々ですが!それ以前に!!」
析了トオル:───思い返す。
析了トオル:お節介な赫花連盟、その身を投じて血路を作ったお似合いな正義漢と想い人。
析了トオル:病に侵されながらも旧友の為にその全能を尽くした、闘技場の星。
析了トオル:感情の狭間で揺れながら、最後には傍に着いてくれた元悪漢。
析了トオル:冒険の先導者。旅路の果てに初めての外を知った、迷宮の小さな主。
析了トオル:裏切者。だけど案外嫌いではなかった、機械の案内人。
析了トオル:自らを削ぎ落としながらも彼方を見続け、識り、その先に決意をした輪廻の少女。
析了トオル:変質の果てでそれでも希望に辿り着いた、落ちることなき眩き星。
析了トオル:どう見ても胡散臭くて、しかしそれ以上に信頼できる、力強き拳
析了トオル:私以上に無理をし続ける、誰より慕われた優しい人。善性の化身。
析了トオル:大変な被害を被ったけれど、どこか気が合う予感がした最強の殺し屋。
析了トオル:妹を愛し、己が命を賭けて正義を、想いを伝えた、不器用な姉。
析了トオル:手段を間違えても、騙されても。それでも未来を願っていた少女。
析了トオル:───そして、私を信じてくれた、かけがえのない友の為にも。
析了トオル:喉が張り裂けそうなほどの声で、叫ぶ。
析了トオル:「私の友人達がいるこの街を、我が物顔で好き勝手に荒らし回ってんじゃないですよっ……!!!」
析了トオル:「こんの……大馬鹿、野郎…………!!!!!」
析了トオル:誰かが、私が。自分の居場所ではないこの街のために戦う理由なんて、それだけあれば充分だ。
析了トオル:「ご、ぽっ……間違っているのを、自覚したなら……其処で止まって考えなさい!!」
析了トオル:「全てを抱えて、その重さで!何も見えなくなったふりを、するな……!」
“オレブザラク・カラビンカ”:光と影がぶつかり合い、衝撃波が吹き荒れる。壮絶なレネゲイドの激突に、巨大なビルに亀裂が走り、落下が加速する。
“オレブザラク・カラビンカ”:「……馬鹿な……」
“オレブザラク・カラビンカ”:本来の計画であれば──
“オレブザラク・カラビンカ”:その骨子は、生徒をここまで辿り着かせない、もし無理に突破されたとしても、無限の出力を持つ神聖二重冠を使わせないことにあった。
“オレブザラク・カラビンカ”:目論見は外れ、神聖二重冠の使用を許した。だが、それすら何とか耐えきったはずだ。
“オレブザラク・カラビンカ”:──それなのに。
“オレブザラク・カラビンカ”:「ただの……生徒一人風情が……これほどの……!」
析了トオル:「一人な訳、ないでしょう……!私も、貴方も……!」
“オレブザラク・カラビンカ”:機神の出力でも、その光を強引に喰らい尽くすことが出来ない。
析了トオル:機体が過剰出力に警告音を鳴らし続ける。自らの威力に耐えきれずに自壊が進む。血を流し続ける身体も、長くは持たないのは分かり切っている。
析了トオル:「誰も彼も!貴方との出会いも含めて、全部を総動員して、今ここに立っているんです……!」
析了トオル:それでも、相殺の極光を止めることは無い。例え自らが次の一瞬に砕け落ちるとしても。
“オレブザラク・カラビンカ”:「ノヴァリスのクズの事情なんて……知らねえよ……!」
“オレブザラク・カラビンカ”:「最初から全員殺すって決めてあるんだからな……!」
“オレブザラク・カラビンカ”:「死ね────」
“オレブザラク・カラビンカ”:影の嵐の圧力が、更に増していく。
“オレブザラク・カラビンカ”:「死ね、死ね、死ね、死ね、死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇええええッ…………!!」
“オレブザラク・カラビンカ”:苛立ち任せに羽虫を潰し殺すかのように、一気に影が光を呑み込まんとして。
星徒ナナワツィン:「……よっしゃあ! 隙ありーーっ!!」
星徒ナナワツィン:腐敗した巨体が、黒の機体へと掴み掛かる。
“オレブザラク・カラビンカ”:「……!!」
星徒ナナワツィン:──星徒ナナワツィンの在り様は、他の星徒とは一線を画する。
星徒ナナワツィン:“マスターポルート”に殺められた多くの生徒が、長年続く死と再生の果てにとうとう力尽き、超高侵蝕率で流星体を持つ星徒と化したのに対し
星徒ナナワツィン:ナナワツィンの場合は違う。彼女は劇症型の堕天病によってごく短い期間で死に至った。
星徒ナナワツィン:彼女は、生前から極めて強力なオーヴァードだった。名をシーラ・ヒースコートという。
星徒ナナワツィン:ノヴァリス・ファイトの闘士であり、生前のファイトネームは“赫花”。
星徒ナナワツィン:一対一の白兵戦に優れた選手として当時のトップチームに所属、その明るい性格と華のあるファイトスタイルで多くのファンを惹き付けた。
星徒ナナワツィン:だが『空白の表彰式』の真相の一端に触れた彼女は“マスターポルート”の手により口封じを受け、数日も掛からずに死に至った。
星徒ナナワツィン:彼女がかつて所属したチームは“BLITZ”。
星徒ナナワツィン:パートナーであった彼女の死が、“天狼”を“赫花連盟”に、“マスターポルート”との戦いへと駆り立てた。
星徒ナナワツィン:「──あたしが止める!その隙にトドメを!」
星徒ナナワツィン:コントロールを受けたつゆりをかつてのチームメイトと誤認しているのか、そう言葉を吐いて
星徒ナナワツィン:巨体が“カラビンカ”の機体へとしがみつき、解体せんと何度も殴りつける。
星徒ナナワツィン:機体と巨像とが激しくぶつかり合い、破砕音が轟く。
“オレブザラク・カラビンカ”:「役立たずの死にぞこないが……!」
“オレブザラク・カラビンカ”:「邪魔ァしてんじゃねェーーーーよッ!!!」
“オレブザラク・カラビンカ”:影によって胴体から即席の砲が形作られ、至近距離から放たれた熱線が星徒を撃ち抜く。
星徒ナナワツィン:「あ────」
GM:だがその一瞬、機神に明確な隙が生まれた。
三部つゆり:”マスターポルート”のそれはどうであったかわからないが、三部つゆりが見出した操作法は、ある種の精神感応である。
三部つゆり:だから、全てではないが--それでも、ある程度感じ取ることはできた。
三部つゆり:錯覚と過去のリフレインでしかなかったのかもしれない。それでも。--それでも、残るものはある。
三部つゆり:後光のように円となった義体の機能は大まかに把握できていた。
三部つゆり:それは、簡単な変換炉だった。エネルギーを引き出し、ろ過する。其れだけ。影の穢れからくる負担は減るくらいのもの。
三部つゆり:だけど、それがあれば今の私でも戦える--
三部つゆり:先の精神世界にて掴んだ感覚は、ひどく朧げ。だがそれでも、まだ出来ることはある。
三部つゆり:「”遥か西の彼方、十万億ものそのさきに。極楽という世界がある」きらきらとした白い輝きを影が纏う。
三部つゆり:それは、極楽が何故そう呼ばれるかのはなし。
三部つゆり:「そこには阿弥陀と号する仏が居て法を説いていて」穢れと神聖は、両極のようでいて意外と近くにある。
三部つゆり:「その地が何故極楽と呼ばれるかといえば、」例えば、犠牲となる人柱。スケープゴート。流し雛。そして、先の宮星イオリが見せたように。
三部つゆり:「そこに住まう人には、苦痛なく楽しみのみがあり」円が回転する。変化。変性。操作--それが繰り返されてゆく。清廉に精錬され、穢れが燃えてゆく。
三部つゆり:「七重に欄干と並木と網が巡らされ」周囲がその輝きに照らされ、光り輝く。
三部つゆり:「それは金銀瑠璃水晶で出来ている」静謐に美しい輝きが周囲を満たして。
三部つゆり:「‐‐故にかのくには極楽と名付けられたのである」それは、本当に美しい白い白い炎だった。
三部つゆり:スカーヴァティー・ヴィユーハ。阿弥陀経の原題が、この名前を冠している。
三部つゆり:その炎は確かに、穢れの集合であるはずのものから引き出された、聖なるもので--
三部つゆり:先程宮星イオリが見せた輝き--不落の星のそれにも似ていたかもしれない。
三部つゆり:炎から光が放たれる。浄化の日光とも取れる、暖かな。浴びているうちに、眠ってしまいそうな光。
“オレブザラク・カラビンカ”:「ッ────!」
“オレブザラク・カラビンカ”:その光景に、即座に、本能的に理解する。受ければ間違いなく──敗北すると。
“オレブザラク・カラビンカ”:「やら、せる…………かぁあぁあああッ!!」
“オレブザラク・カラビンカ”:即座にブースターを噴射し、トオルの射線からギリギリで離脱。
“オレブザラク・カラビンカ”:ごく小さな核にあたる機神本体から、周囲へと爆発するように影の波動が解き放たれる。
“オレブザラク・カラビンカ”:ウロボロスの本質、レネゲイドを喰らうレネゲイド。それはあらゆる奇跡を終わらせる力。
胡緑蘭:解き放たれた影の奔流はしかし
胡緑蘭:そのさらに外側から、巨大な掌に包みこまれるかのようにして押し止められる。
胡緑蘭:つゆりの後方、カラビンカの全容を視界に収める位置で、黒腕が拡げられている。
胡緑蘭:その掌中に掴まれているのは、鈍く景色を反射する黒水晶の球体。
胡緑蘭:曰く、天に昇った龍は、その手に玉を懐いて降臨するという。
胡緑蘭:即ちそれは、遍く虚空を内包する如意宝珠。黒腕の事象掌握が臨界に達した一瞬のみ手が届く、正真正銘の奥の手。
胡緑蘭:カラビンカの動きが、水晶に映った姿のまま停止する。
胡緑蘭:「"懐玉"」
“オレブザラク・カラビンカ”:「………………!!」
“オレブザラク・カラビンカ”:機神の絶対性は、既に三部つゆりにより破られている。
“オレブザラク・カラビンカ”:その攻撃に対抗する術は既に無く──即ち。
三部つゆり:「--極楽浄土には、種々奇妙な鳥がいる」高速の、呟くような詠唱が再開される。
三部つゆり:「鶴に孔雀、オウムに水鳥。」それは作法には全く合っていなかったが、
三部つゆり:「迦陵頻伽。共命之鳥」そこだけ、彼女の声が少し濡れたようになり、すぐに戻る。
三部つゆり:「これらの鳥は、昼3回、夜3回、優しくなめらかな声で」その場の誰にも何が謡われているのか理解できた。
三部つゆり:「悟りに至るための5つの能力、修行法、8つの徳目と仏法を説き」一度消えた炎が、再点火する。
三部つゆり:「ひとびとは聞き惚れずにいられない--」
三部つゆり:彼女の手の中で、それは燃え、伸び、鳥のかたちをとった。
三部つゆり:其れは鶴の様にも、孔雀のようにも、鸚鵡のようにも、水鳥のようにも--
三部つゆり:そして、伝説上の、架空の鳥のようにも見えた。
三部つゆり:炎鳥が機神へ飛び込んだ。まるで再会を祝して、抱き着くように。
“オレブザラク・カラビンカ”:「…………」
“オレブザラク・カラビンカ”:純白の炎によって、漆黒の機体が燃え落ちる。
“オレブザラク・カラビンカ”:影は溶解し、霧散し、浄化されるように消え去っていく。
“オレブザラク・カラビンカ”:「……どうして……」
“オレブザラク・カラビンカ”:「……どうしてだ?」
“オレブザラク・カラビンカ”:機体を支える構造が分解され、崩れ落ちていく。
“オレブザラク・カラビンカ”:「これだけの力と意志があって……」
“オレブザラク・カラビンカ”:「どうして、誰も……俺達を────」
“オレブザラク・カラビンカ”:機神の核が燃え尽き、砕け、動作を停止する。
“オレブザラク・カラビンカ”:同時に総和重工本社ビルが──ラス・ヴィダスで最も高い塔が完全に崩落し、地響きと膨大な土煙が巻き起こる。
“オレブザラク・カラビンカ”:凶鳥は、墜ちた。
GM:バックトラックです。
GM:Eロイスはこちら
Eロイス
星徒チャルチウィトリクエ/キャロリン・スティーヴンス
《星徒》
《死閃残骸》
《不滅の妄執》
星徒キャロリン・スティーヴンス
《星徒》
《死閃残骸》
《不滅の妄執》
星徒コアトリクエ
《星徒》
星徒シウコアトル
《星徒》
“イモータルコイル”
《機神》
《虚実崩壊》
《予告された終焉》
《傲慢な理想》
《さらなる絶望》
星徒ナナワツィン
《星徒》
《修羅の世界》
《修羅の世界》
《修羅の世界》
星徒イラマテクウトリ
《星徒》
《死は甘きもの》
《自虐の刃》
《不滅の妄執》
星徒トラロック
《星徒》
《戦闘血界》
《血の焦がれ》
《血の焦がれ》
“カラビンカ・オレブザラク”
《機神》
《飢えたる魂》
《飢えたる魂》
《飢えたる魂》
《究極存在》
GM:30個です。振る方はどうぞ!
宮星イオリ:217-3d10 振らないやつなんていない!
DoubleCross : (217-3D10) → 217-18[3,6,9] → 199
宮星イオリ:まちがえた
析了トオル:30も……!
析了トオル:240-30d10
DoubleCross : (240-30D10) → 240-192[2,1,5,9,4,9,10,10,8,1,8,6,3,7,8,5,3,10,2,6,8,10,7,7,4,7,8,8,8,8] → 48
三部つゆり:勿論振りますがその前に、三部シリーズのメモリーを使用して侵蝕率を10下げます!
胡緑蘭:205-30d10
DoubleCross : (205-30D10) → 205-163[2,9,2,8,3,6,9,9,9,10,3,6,2,4,4,2,4,2,9,9,5,7,7,2,4,6,10,3,1,6] → 42
宮星イオリ:27個追加で振ります
宮星イオリ:199-27d10
DoubleCross : (199-27D10) → 199-166[9,6,7,1,8,4,1,8,5,9,10,6,9,9,5,7,5,10,3,3,4,7,6,9,4,2,9] → 33
析了トオル:超上振れてる
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を-10増加(217 → 207)
三部つゆり:そして降る!
胡緑蘭:残ロイス3、倍振りします
三部つゆり:207-30d10
DoubleCross : (207-30D10) → 207-162[2,9,3,3,1,4,3,9,9,1,7,10,3,2,9,6,5,9,3,5,3,10,4,10,7,7,3,6,2,7] → 45
宮星イオリ:2倍で……ロイス4個
胡緑蘭:42-6d10
DoubleCross : (42-6D10) → 42-28[2,10,2,1,8,5] → 14
宮星イオリ:33-8d10
DoubleCross : (33-8D10) → 33-67[9,9,5,10,7,9,8,10] → -34
三部つゆり:二倍振り。残3個。
析了トオル:残り4個、倍!
三部つゆり:45-6d10
DoubleCross : (45-6D10) → 45-27[5,9,1,3,1,8] → 18
宮星イオリ:-34-10-1d10 あと一応ミドル最後のシーンの低減
DoubleCross : (-34-10-1D10) → -34-10-6[6] → -50
析了トオル:48-8d10
DoubleCross : (48-8D10) → 48-28[1,8,6,5,3,1,2,2] → 20
析了トオル:こういうの見ると怖いよね
三部つゆり:45-10-1d10 私もミドル分引いて。
DoubleCross : (45-10-1D10) → 45-10-6[6] → 29
三部つゆり:帰還!3点!
析了トオル:ミドル分も減るんだった!
析了トオル:20-1d10-10
DoubleCross : (20-1D10-10) → 20-1[1]-10 → 9
析了トオル:健康体
析了トオル:3!
GM:更にイラマテクウトリはDロイス《亜純血》で+1
GM:31点にいつもの5点、シナリオ10点で計46点
GM:こちらに浸蝕点を足して進呈します!
宮星イオリ:49です
胡緑蘭:49点!
三部つゆり:侵蝕3、Sロイスが無事な為5点追加。54点です。
GM:というわけで全員帰還!お疲れ様でした!
胡緑蘭:ウオオオーーーッ!有難うございました!
三部つゆり:ありがとうございました~~~っ
析了トオル:あっS復活してる!5追加で54です!
【ED/合同】
GM:……斯くして、ノドスチルドレン“イモータルコイル”は倒された。だが、ラス・ヴィダスの負った傷はあまりにも大きかった。
GM:軽微なものを含めれば、最終的な堕天病の感染率は学区生徒の85%に達し、医療機関の収容能力は完全にパンクした。
GM:街には理性を失った堕天者が溢れかえり、捕縛・収容の為の戦闘は数日を要した。
GM:核弾頭の起動は阻止され、学区そのものが更地と化すことは防がれたものの、インペリアルPMCの爆撃と星徒の暴走によって、商業区・スラム街は共に壊滅的な被害を受けた。
GM:大半の企業は社屋や工場等関連施設が破壊され、社員にもまた当然堕天病感染者が続出した。
GM:サーバーが物理的に破壊されたことで一部の金融決済システムがダウン。また“協会”所属企業の信用と資産価値が完全に崩壊したことで、ラス・ヴィダスで扱われていた数種の主要な仮想通貨銘柄が暴落。
GM:ノヴァリス全体を巻き込んだ問題に発展し、二次的な大混乱となってしまった。
GM:総和重工の社長がノドスの刺客であり機神であった、という宮星シホ及び君達の発表はあまりにもセンセーショナルに過ぎ、当初は大きな波紋と憶測を呼び、明後日の陰謀論が囁かれたが
GM:堕天者として理性を失っていた本物のデリア・ヴァルタースキルヒェンが発見されて治療と事情聴取を受けると、それも一気に沈静化した。
GM:大勢の堕天者の中からデリアを見つけ出した生徒は名乗りもせずに姿を消したが、ただ『析了トオルからの依頼だ』とだけ言い残したという。
GM:住宅地も多くが更地と廃墟になった状態で、資産も失って行き場の無い生徒が続出し、赫花連盟は連日支援活動に追われることとなった。
GM:予想外だったのは、堕天病の正体が『十字冠を破壊する兵器』との発表に対する反響だった。
GM:紛れもない死の危険性に恐怖と忌避を強くする生徒も少なくなかったが、ほぼ同時に治療法の発見が大きく発表されたことで、当初の予想より混乱は少なかった。
GM:結果として、数日以内にはラス・ヴィダスには多くの学区から援助が届き、ジェネシスを始め、複数の学区・企業が治療薬の生産に協力を名乗り出た。
GM:『得体の知れない謎の病』より、治療法のある『十字冠を破壊する兵器』の方が、生徒達の忌避感は薄れたらしい。
GM:そして、“協会”もほぼ影響力を失い、事実上の政治的空白状態となったラス・ヴィダスを取りまとめ立て直すべく、星室庁主導で新たに生徒会の立ち上げが立案されることになった。
GM:商業区とスラムの線引きを廃し、学区全体を統括する新たな組織だ。
GM:当初、生徒会長候補には百代マリアが推薦されたが、本人はこれを断固拒否。
GM:自室に閉じこもって昼食と夕食を抜くという異常な事態となったが、夜中に冷蔵庫を漁っているところを連盟員によって捕縛された。
GM:当人は尚も頑なに拒否の姿勢を見せたが、現状のラス・ヴィダスを他にまとめられる人間が他にいない、ということで、渋々『暫定』の形で新生徒会長への就任を承諾した。
GM:以来、知人友人の居所を唐突に訪れては新生徒会長へ推薦しようとする妖怪のようになり、周囲に恐れられているという。
GM:そして、事件から数週間が経つこの日。
GM:革命記念公園で、その新生徒会の立ち上げセレモニーが行われようとしていた。
GM:まだ復興には程遠く、市街地も殆どが焼け野原のままの状態だが、だからこそ新生徒会の存在は強く必要とされていた。
GM:当の会場である公園もあちこちが破壊され、生々しい戦闘の傷跡が残されたままだ。
GM:先の記念セレモニーの際は豪華絢爛だった式典もすっかり縮小し、並んだ料理も家庭的なものばかりであり、参列者も赫花連盟を中心に普段着や制服の者が多い。
GM:だが、詰めかけた取材陣の数だけは、前回よりもずっと多かった。
立野スズコ:「あのっ……これ……持ち帰りとかは……」
立野スズコ:「あっ、数に限りが……そうですか……」
立野スズコ:タッパーを片手にしゅんとしている。
百代マリア:「……」
百代マリア:憮然とした表情でチキチキボーン的な鳥のやつをうしうし食べている。
胡緑蘭:「もうすぐスピーチの時間だね」グラスを片手に、隣に並ぶ。
胡緑蘭:事件が終息した後も、新生徒会の立ち上げ支援という形で引き続きラス・ヴィダスに留まっていた。
百代マリア:「緑蘭……」
百代マリア:真剣な表情でその顔を見上げる。
胡緑蘭:「どうしたの険しい顔して。緊張してる?」
百代マリア:「やっぱり……」
百代マリア:「やってみる気は無い?生徒会長……」
胡緑蘭:「私は先生だからなあ。そりゃあ、もう一度子供に戻りたくなる時もあるけど、こればっかりはね」
胡緑蘭:「そんなに嫌なの?生徒会長」
百代マリア:「くっ……」チキチキボーン的な鳥のやつを食べて
百代マリア:「いやよ!」
百代マリア:「せっかくの機会なのに……またわたくしがトップになってしまったら何も変わらないでしょう!」
胡緑蘭:「そんなことはないと思うけどなあ……」勢いに押されつつ
胡緑蘭:「むしろ連盟の時とは違って、ちゃんとした実権が伴うんだよ?マリアの望む形にラス・ヴィダスを改革するチャンスじゃない」
百代マリア:「むむむむ……」まだ納得していない様子で唸っている
百代マリア:「ルシアにもギンカにも断られたわ……!薄情だわ、みんな……!嘆かわしいわ!」
胡緑蘭:「それだけみんな、マリアに会長になってほしいんだよ」上海風焼きそばを皿に盛っている。
百代マリア:「………………」
百代マリア:「スズコ……」
立野スズコ:「やりませんよ!?」
百代マリア:「そんな…… あっ」
百代マリア:目ざとく会場から車椅子を見つけ出す
百代マリア:「あそこにいるのは……トオル!」
析了トオル:もきゅもきゅとミートボールを口に運んでいる。
百代マリア:「トオル!いいところに来てくれたわ!」
百代マリア:嬉しそうに駆け寄って
析了トオル:「……むぐっ?!」
百代マリア:「トオル!新生徒会長になってみない!?」
三部つゆり:「大丈夫です、トオルさん?はい水」水を継いだグラスをトオルさんに渡す。
析了トオル:「ごふっ、えふっ……あ、ありがとうございます……」
析了トオル:しばらく咳込んでから、向かい直り。
析了トオル:「またその話ですか!?」
析了トオル:「ま、毎回言いますけどジェネシス生徒に頼むのってどうなんです……?」
三部つゆり:「いくらトオルさんが堕天病の解決含め色々活躍したとはいえ流石に他校に席を置いたままだと…」
百代マリア:「つゆり……」
百代マリア:そっと手を握る
三部つゆり:「あっコレはまずい」
百代マリア:「ぴったりだと思うわ、あなたになら……」
三部つゆり:「何処がです????」
三部つゆり:「知名度とかほぼ皆無だし実地経験もありませんよ私!」
百代マリア:「大丈夫」頷いて「肝心なのはやる気よ」
三部つゆり:「いや私だと絶対誰も納得しませんて……!」
三部つゆり:「くっこういうときにイオリさんが居てくれれば……!」
宮星イオリ:そのいくらか後方、挨拶しようかと思ったけどいろいろ押し付けられそうな気配を先んじて察し、その場を離れようとしている影がある。
百代マリア:「イオリ!!!!!!」バカでかい声を出す
宮星イオリ:「ぎゃあっ」耳を抑えて蹲る。
百代マリア:「来てくれたのね……!ありがとう!」
百代マリア:「受けてくれる気になったのね?」
宮星イオリ:「っ……アンタねぇ……!」
宮星イオリ:煌々と輝く白銀の星の下、透き通る空色の髪をたなびかせた少女が、恨めしげな眼で君を見上げている。
宮星イオリ:戴く十字冠は、半ば以上がまだ黒変したままではあるが。マスクをしてまで執拗に肌を隠す必要は既になくなっていた。
宮星イオリ:薄手のシャツにジャケットと、装いも幾分とラフなものだ。右手にはまだ手袋を嵌めているが。

宮星イオリ:「……そりゃ、悪かったとは思ってるわよ。嫌がってるのにまた担ぎ上げるような事したのは」
宮星イオリ:「でもアンタがやれ!」
百代マリア:「そんな……」
百代マリア:愕然として
百代マリア:「スズコ……」
立野スズコ:「早くないですか!?スパンが!」
析了トオル:「これループし始めましたね……」
宮星イオリ:「口説き方に節操がなさすぎんのよ」
三部つゆり:「スピーチが近いせいで緊張してるのかも」
析了トオル:「押し付け先が決まらないままスピーチした時点でもう確定みたいなものですからね」
宮星イオリ:「緊張ォ……?」極めて疑わしげな眼差し。
宮星イオリ:「一世一代の決戦の直前にのほほんとUNOやろうって言い出してたあの百代マリアが?」
百代マリア:「あなた、どう……?やってみない?」
三部つゆり:「そこまで?!」
ココアちゃん:「え~っ、やってみようかな~」
析了トオル:「えっ……えっ?」
三部つゆり:「その人先住市民!!」
三部つゆり:「ミシマの社長さんですよ…!」
宮星イオリ:「つーか、仮に体裁だけ誰かに任せた所で結局実権はアンタに回ってくるんだからな!」
胡緑蘭:「ま、もう発作のようなものだと思って見守るしかないね」
胡緑蘭:「とはいえ、マリアもずっと生徒でいられるわけじゃない。卒業した後、誰が後を継ぐかは悩ましい課題だね」
三部つゆり:「それこそ、此処からの生徒会のメンバーで後継者を見繕っていくしか…」
宮星イオリ:「……ま、それはそうなんだけど」
百代マリア:「それが言いたかったのよ」便乗してくる
析了トオル:「食いつきが凄い」
宮星イオリ:「ほらもう先生がそうやって甘やかすから……!」
三部つゆり:「何処の生徒会も大変ですから、ある意味そう言う悩みを私達も抱えるようになった、と言えるのかもですねえ」
胡緑蘭:「生徒に優しいのは私の性分さ。イオリにだって優しいだろ?」
析了トオル:「とはいえ、つゆりさんの言う通り周りもしっかり信用できるメンバーで固める予定でしょう?まずはそこから候補を……」
宮星イオリ:「そういう調子の良いところがよ~……」
“天狼”白武ギンカ:「おっ、みんな揃ってるね~」
“天狼”白武ギンカ:式典に似つかわしくないジャージ姿の、子供のように小柄な生徒が歩いてくる。
“天狼”白武ギンカ:「久し振り……でもないか。みんなこの前も会ったもんね」
三部つゆり:「この前……?」ちょっと目を丸くしている。人の顔を覚えるのは得意な方だが、何処で出会っただろうか。
析了トオル:「……む、センサーで反応する声質が同じ」
胡緑蘭:「ああ、あの鎧の子か」身のこなしでわかった。
析了トオル:「つまり……なるほど、貴女が"天狼"……!」
宮星イオリ:「ほら、手ぇ握ってもらったでしょ」
三部つゆり:「皆分かって……」という所でトオルさんの言葉を聞いて。「エッ!?」声が上擦る。
宮星イオリ:つゆりちゃんの肩を小突く。
三部つゆり:「えっ!?いや大分背丈…あっいやヒールとか鎧で…!?」そうだとしても鎧の時は2mくらいあったように見えたが…!?と混乱している。
百代マリア:「ギンカ……ようやくその気に……」
“天狼”白武ギンカ:「はいはい」追い払って「役員ってことで決まったはずでしょ」
“天狼”白武ギンカ:「それよりイオリ、かなり良くなったんじゃないの~?」
“天狼”白武ギンカ:手を伸ばし、以前はフードで隠されていた髪をわしわし撫でる。
宮星イオリ:「ちょっ、撫でんな……」威嚇。
宮星イオリ:「……見ての通り、順調よ。元々、あの病状にしちゃ動けてた方だったし」
宮星イオリ:「あの薬も、ジェネシスの企業が改良してくれてるから。初期のよりも効きがよくなってきてるみたい」
析了トオル:「手法さえ分かってしまえば、効率化と改良はこちらの十八番ですから」
宮星イオリ:「……後、そこの先生に"治癒力を活性化する呼吸術"とかいうのも教わったんだけど」横目で緑蘭を見やり。
析了トオル:「とはいえ、一番の価値は最初にその治療法を見つけた研究に他なりません」
宮星イオリ:「あれも結構効いたかも。キモいしキツいけど」
“天狼”白武ギンカ:「ああ、そっちの……先生だっけ」
“天狼”白武ギンカ:「今度、うちのチームに来てくださいよ。色々学べそうだし」
胡緑蘭:「おや、嬉しい申し出だね」
胡緑蘭:「ノヴァリスファイトだっけ、興味はあったんだよねえ。チームの監督やってみるのもいいかもなあ」
“天狼”白武ギンカ:「他所に行かないでくださいよ?ライバルが増えそうだ」笑って
宮星イオリ:「良いの?マリア。うちの生徒会顧問、引き抜かれそうになってるけど」
析了トオル:(これは……出し抜こうとする気配!)
百代マリア:「代わりにギンカが……」
“天狼”白武ギンカ:「やらないからね」
宮星イオリ:「トレードにしようとしてんじゃないわよ」
三部つゆり:「そこまでやりたくないんだ……」ちょっと引き吊った表情になっている。
“天狼”白武ギンカ:「……まあ色々紆余曲折、回り道したけど……」
“天狼”白武ギンカ:「良かったよ。これでようやく、スタートラインに立てた」
“天狼”白武ギンカ:「ああ、後それから……」
“天狼”白武ギンカ:「あの星徒のこと、ありがとね」
“天狼”白武ギンカ:「それじゃ」
“天狼”白武ギンカ:言って、人混みの中へと歩いていく。
三部つゆり:「!」ぴくん、と身体を伸ばして彼女を見送る。
“天狼”白武ギンカ:「サデ。またキノコばっかり食べないの~」
胡緑蘭:「あの星徒って、何のこと?」怪訝な顔でつゆりに尋ねる。
三部つゆり:「……最後に機神に向かっていった星徒のことです。そこまで深くは見えた訳じゃなかったんですけど……」
三部つゆり:「あの人のことが、一杯ありました」
胡緑蘭:「……そっか」
宮星イオリ:「……」そのやり取りを聞いて、すこし考え込んで。
胡緑蘭:「うん、そういう子もいっぱい居るんだろうね」
胡緑蘭:「今日が、一つの区切りになればいいんだけど」
宮星イオリ:「……こっちこそ!」去っていくギンカに大声を向ける。「あの子には、助けられたわよ! 感謝してる!」
析了トオル:「誰だって、別の誰かと関連してて当然ですから」
三部つゆり:「先生、トオルさん……それに、イオリさん……」
析了トオル:「……ええ。一つの救いになれたのなら、本当によかった」
三部つゆり:「……そうだなあ。あのときは必死なだけだったけど……」
三部つゆり:「傷が増えなくて、よかった」少しだけ小さく、淡く微笑む。
胡緑蘭:「つゆりはもう少し、自分の身体のことも気にしたほうがいいと思うよ」
三部つゆり:「あっ……あはは。まあ…そうかもです」苦笑気味に。
宮星イオリ:「本当にね。……私らだけどうにかなってるのに、アンタは結局そのままなの」
析了トオル:「堕天病は治るようになりましたが、そちらの輪廻の獣に関しては未だ分からない事も多い……」
宮星イオリ:「なんかムカつくんだけど。……どうにかできない?先生」
三部つゆり:あの時の--ソル・ジファンの精神に入り込んだ時の境地。あれをもっと深く、自在に入る事が出来るようになれば--
三部つゆり:「いやあ……しぶといんだよね、コイツ。数百年か、下手すりゃ千年ものだから…」
宮星イオリ:「この子の中にいるあれ、引きずり出して調伏するとか、そういうの」
三部つゆり:「同じ獣がいれば、互いに相殺し合うらしいっていうのは聞いたことあるんだけどねえ」
宮星イオリ:軽い口調だが、全然本気で言っているらしい。
胡緑蘭:「ああ、いいね。やってみようか」いつもの軽い調子で言う。
析了トオル:「レアケースにはなりますからね、輪廻の獣は……私も色々調べておこうと思います」
三部つゆり:「せ、先生!?いやいやいや・・・・・・倒すとその人を乗っ取ろうとしちゃうから…!」
宮星イオリ:「やる時は呼んでよ? 手ぇ貸すから」
三部つゆり:「あわわわ」
析了トオル:「なんとか倒しても乗っ取らない方法さえ見つけ出せばこう、物理的に……」
胡緑蘭:「まあほら、闇雲やるわけにはいかないけど、しっかり方法を吟味して、準備もすればきっと、ね」つゆりに言い聞かせるように
三部つゆり:珍しく白い頬を真っ赤にしている。
三部つゆり:「あ、そ、そうですよね!ハイ………あはは、ちょっと早とちりしちゃって…」
胡緑蘭:「堕天病も克服できたんだ。輪廻の獣をどうにか出来ないなんて、誰にも断言できないさ」
三部つゆり:「……」その言葉に、左眼を細めて。
三部つゆり:「そうですね。そう、なったらいいな」小さく呟く。
宮星イオリ:「なるわよ」短く断言する。真昼に似つかわしくない星が、そばに煌めいている。
析了トオル:「そう!手法を必ず見つけ出すので、それまで無理し過ぎるのはやめてくださいね」
析了トオル:「もし使うにしても、捧げるものは爪の先ちょっとくらいにしておいてください。言いくるめてなんとかしましょう」
三部つゆり:そう言ってくれる二人のことを、眩しそうに見て。
三部つゆり:「ふふふ…うん。ありがとう」白い髪を風に流しながら、ふわりと笑った。
宮星イオリ:「大体、一人で"自分はもう間に合わないから"っつって、不幸そうな顔してるのは」
宮星イオリ:「あのクソヤローの不貞腐れた態度と同じよ」
宮星イオリ:「いい? つゆりはあんなんなるんじゃないわよ」
三部つゆり:「あ、あははは……」苦笑しながら。
三部つゆり:「あまり、私は咎められないけど…そうだね。確かに…確かに、よくないよね…」
三部つゆり:三部つゆりが”晨星”の封印計画に於いて、他のチルドレンたちとの交流を与えられ、封印として選ばれたのは、彼女に才能があったからだ。
三部つゆり:OVとして?術士として?--否。
三部つゆり:何よりも、人柱としての--自身を削り、それを受け入れてしまえる才能こそが。
三部つゆり:「……難しいけど、頑張ってみるよ」
宮星イオリ:「よろしい」褒美とばかりに口にフライドポテトを突っ込んでやる。
析了トオル:「しかし……本当にイオリさんも明るくなりましたね」
三部つゆり:「もぐむぐ」そうだねと言いたいらしい。
析了トオル:「お顔もしっかり見れたことだし……これで本当にアドバイスは完遂かしら」
宮星イオリ:「……そう? まあ、そうかもね」どうでもよさそうに応じる。そういう照れ隠しなのかもしれない。
析了トオル:「あっ耳の先が紅い。分かり易いですねぇ……」
三部つゆり:「むぐむぐ……実際みれたら本当に美少女で本当治ってよかったよね」
宮星イオリ:「あぁ?誰が……」
宮星イオリ:「びしょ……」一瞬フリーズする。容姿を褒められ慣れていなさすぎた。
胡緑蘭:「私は少し淋しいなあ。何かと噛みついてくるイオリもあれはあれでかわいかったよ。先生としてはね」
宮星イオリ:「……ちょっと、人が牙を抜かれてるみたいな言い方……!」
宮星イオリ:「あ、あるわよ、まだ全然!突っかかる気なんていくらでも……!」
宮星イオリ:「いつか一本取ってやるって思ってるし……ただ完治するまで全力の運動はやめとけって言われてるだけで……!」
胡緑蘭:「ははは、そうそう。そのくらい元気な方が病気も早く良くなるよ」
胡緑蘭:「その時は組手でもなんでも、気の済むまで付き合おう」
宮星イオリ:「……はん、分かればいいのよ」
宮星イオリ:落ち着くように、ふうと息を吐く。それから、マリアの方へと視線を向けて。
宮星イオリ:「……。ねえ、マリア」
百代マリア:「あなたドウェインさんと仰るのね。生徒会長にご興味は……」初対面の社会人に絡んでいたが
百代マリア:「あら、イオリ……何かしら?」
宮星イオリ:「いや……えっと」社会人から引き剥がしつつ、少し言いにくそうにしてから。
宮星イオリ:「その。……最初の式典の時の、ここでのスピーチ」
宮星イオリ:「アンタの始めようとしたこと」
宮星イオリ:「最初、ありえないって思ってた」
宮星イオリ:「"兵器"の事をみんなに明かしても、いたずらに恐怖を煽って争いが増えるだけだって」
百代マリア:静かに君の言葉を聞いている。
宮星イオリ:「なんなら、恨んでさえいたのかも。なんてことしてくれたのよ、って」
宮星イオリ:「けど」目を伏せかけて、もう一度君の方を見る。
宮星イオリ:「私が間違ってた。……ごめん」
宮星イオリ:「それと、ありがと」
宮星イオリ:「私を諦めさせないでくれて」
百代マリア:「あら……」目を瞬いて「わざわざ、そんなことを謝るの?」
百代マリア:「そんなことは──」
百代マリア:笑って
百代マリア:「わたくしだって、不安だったに決まっているでしょう?」
百代マリア:「こうして良い方向に進んだのは、わたくしでなく、ラス・ヴィダスとノヴァリスの皆のお陰よ」
百代マリア:「イオリ。あなたも含めてね」
百代マリア:「だから、お礼を言うのはわたくしの方だわ」
百代マリア:「ありがとうね、イオリ」
宮星イオリ:「……ええと」その視線を、言葉を、困ったように受け止めて。少し眼差しを迷わせて。
宮星イオリ:「その不安に気付いてあげられなかったのが、やっぱり恥ずかしいってアレなんだけど……堂々巡りだな、これ、うん」
宮星イオリ:「わかったわよ。素直に受け取っとく」
宮星イオリ:ふう、とつかえたものを飲み干すように息を吸って。「スピーチ、頑張って」
百代マリア:「ええ……」
百代マリア:「……」
百代マリア:「イオリ、やっぱりあなた……」
司会:『それでは、新生徒会長からのご挨拶を頂こうと思います!』
百代マリア:「ああっ……!」
胡緑蘭:「もう観念して行ってきなよ」
三部つゆり:「頑張って下さいね!応援してます…!」
析了トオル:「ほら!皆さんもうこっち見てますよ!」
百代マリア:「ううっ……!」
宮星イオリ:「百歩譲って会長交代するにしても今だけはあり得ないっての!」
宮星イオリ:「みんなアンタを待ってんのよ、ほらっ」
百代マリア:「うう……今だけ……今だけよ……!?」
百代マリア:無理やり押されるようにして、壇上に上がっていく。
GM:割れんばかりの拍手と共に、新生徒会長のスピーチが始まる。
GM:聴衆も、取材陣も、そしてスピーチのたどたどしさも、以前とは何もかも違う。
GM:以前とは違うというのは、即ち、新しいということだ。
GM:廃墟と更地の只中、不慣れな役員が顔を揃え、他の学区からは随分遅れを取って。
GM:何もかも前途多難だが、それでも。
GM:ラス・ヴィダスは今ようやく、最初の一歩を歩み出した。
【ED/析了トオル】
ジェネシスインダストリアルアカデミー 怪奇現象探査部部室
GM:ラス・ヴィダスでの事件からしばらくが過ぎ、混乱もようやく幾許かの落ち着きを見せ始めたこの日。
GM:君──析了トオルは、キュッリッキ・メラスニエミを招いてささやかな慰労会を執り行っていた。
テクシス:「そ……それでは、ええと……」
テクシス:「か、乾杯……?」
テクシス:民族的な意匠の制服に身を包んだ少女が、乾杯の音頭を取る。
析了トオル:「乾杯!」
キュッリッキ・メラスニエミ:「乾杯~」
析了トオル:目の前に大量の種類のジュースが入ったグラスを並べながら、ひとつずつ打ち鳴らしていく。
テクシス:以前君が関わった、テクシスと呼ばれるレネゲイドビーイングの少女。今回の混乱に際しては、カーサ・ミクトランを内外から守るのに奔走していたらしい。
析了トオル:「とはいえ……テクシスさんの方も無事でよかったです。行動中はミクトランの方まで気を回せず……心配はしていたのですが」
テクシス:「本当に色んなことがありました……ギャングが暴れたり、西棟住民と東棟住民が争ったり……」
テクシス:「でも……聞きました。トオルさん達が機神を倒して、堕天病の治療法も見つけてくださったんですよね?」
析了トオル:(割といつもの事な気がするのは黙っておきましょう)
析了トオル:「はい、といっても私はお手伝いをしたまでのこと。最大の功労者は何と言っても……!」
析了トオル:「こちらのリッキーさんを筆頭とした研究所の方々で間違いありません。はい拍手!」ぱちぱち、と手を打ち鳴らす。
テクシス:「わぁ……」ぺちぺちと尊敬の眼差しで拍手する。
キュッリッキ・メラスニエミ:「あはは、やめてよ~。ボクは何にもしてないんだからさ」
析了トオル:「そう言って、ラス・ヴィダスでの褒賞とか色々と断っちゃったんじゃないんですか?」
析了トオル:「控えめなのは善い事なのかもしれませんが……」
析了トオル:「だから、祝わせてください。一先ずは私の手で……おめでとうございます」
キュッリッキ・メラスニエミ:「いやいや……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「だって、ホントに何もしてないし」
キュッリッキ・メラスニエミ:ごくごくとジュースを飲んでいる。
析了トオル:ぱん、とクラッカーを鳴らし、くす玉のひもを引っ張る。
析了トオル:快挙!堕天病治療法確立!と書かれた紙とともに色の吹雪が舞って。
テクシス:「わ、わ~~……?」二人の間で視線を彷徨わせる。
GM:その時。
キュッリッキ・メラスニエミ:「はぁっ……はぁっ……ごめんトオルくん!遅れて……!」
キュッリッキ・メラスニエミ:部室の扉が開き、もう一人メラスニエミが姿を現す。
析了トオル:「ん……んんっ?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「最近ホントに忙しくて……あれっ?」
析了トオル:「はっ……リッキーさんが二人……?!」
GM:二人のメラスニエミの視線が交差する。
キュッリッキ・メラスニエミ:「……もう来てる!?!?」
析了トオル:「この焦りよう……遅れた方が本物と見ました」
キュッリッキ・メラスニエミ?:「ん、これ美味しいね」お菓子をつまんでいる
析了トオル:「ザイラさん、本当に来てくれていたとは……あっ本物リッキーさんもこちらへ!」
テクシス:「えっ……えっ……えっ……?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「ちょっとトオルくん!どうしてこんな奴が来てるのさ~~!!」
析了トオル:「テクシスさんが混乱するのも無理はありません……そう、先に来ていたリッキーさんは偽物!伝説クラスの超変装術によって偽装された……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「呼ばれたから」
キュッリッキ・メラスニエミ:「呼んだァ!?」
析了トオル:「ははは」
析了トオル:「いや、あの後色々とラス・ヴィダスの事態解決の為に奔走していただいて……」
析了トオル:「堕天病患者用の血液、結構スムーズに集まった覚えがないですか?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「そ、そういえば……?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「いや、だからって……危ないよ!!『殺し屋』だよ!?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「そうやって油断したらどんな目に遭わせられるか……!」
析了トオル:「それはそうなんですが……というか酷い目には会ったんですが……割と私もいろんな学区から犯罪者扱いされてますし……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「トオルくんが犯罪者なのは扱いというか事実では……?」
析了トオル:「最近は色々と抑えてはいます!色々と!」
析了トオル:「こほん……しかし、今回は全く関係ない学区でのお疲れ様会!」
析了トオル:「殺し屋も研究者も大大家であっても関係なし!頑張った私の関係者を慰労したかっただけなのです」
析了トオル:「というわけで、グラスを持ってください。乾杯し直しますよ。はいリッキーさん、かんぱーい」
キュッリッキ・メラスニエミ:「ええ……そう言われると……か、乾杯~~……」流されている
ザイラ・ザヴァッティーニ:「いいねえ、遵法意識に欠けてて」
テクシス:(いいのかな……)
析了トオル:「たまには見て見ぬふりをするのも大事ですよ、テクシスさん」
析了トオル:「友達が困っているのに、法律気にして間に合わなかったら大変でしょう?」
テクシス:「そ、そういうものなんでしょうか……?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「そうそう」
キュッリッキ・メラスニエミ:「そうかなぁ……!?」
キュッリッキ・メラスニエミ:「ていうかボクがもう一人いるの気持ち悪いよ~~!」
キュッリッキ・メラスニエミ:拗らせた性癖のイラストレーターが描く絵のような絵面になっている。
析了トオル:「うーん、確かに……せめて髪で目を隠す方変えたり、内緒で素顔見せてくれたりしません?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「やだもーん」お菓子をポリポリ食べている
キュッリッキ・メラスニエミ:「キ~~~ッ!何なんだいこいつは!」
析了トオル:「ふふ、まあ色々と生意気なのはそう、私も気になっていました……そこで……そこで!」
析了トオル:「意趣返しと言わんばかりに、こちらをご用意させていただきました」
析了トオル:部屋の奥から、大量のピザを運んでくる。パインドカ乗せ、パクチーメガ盛り、ニンニクマウンテン、シカゴ三段盛etc。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「ゲッ……なにこれ」
テクシス:「うわ……ぁ……」ニンニクの匂いに気絶しそうになっている
析了トオル:「ふ……これで、ザイラさんの嫌いなトッピングを見つけ出すまで帰しません」
析了トオル:「テクシスさんにはこちらの一般的なマルゲリータを準備しました。ここから先は大人……大人じゃないけど、そういった領域です」
キュッリッキ・メラスニエミ:「トオルくん……!ボクの敵討ちを……!」
析了トオル:「これだけ癖のあるものを準備すれば何かしら表情に引っかかるものが出るでしょう!というわけで食べなさい!私も頑張って食べますから!」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「別にいいけど……」むしゃむしゃピザを食べている
析了トオル:「なっ……健康優良児……?!」
ザイラ・ザヴァッティーニ:(味覚くらい消せるけどな……まあ面白いし黙っとくか……)
ザイラ・ザヴァッティーニ:「あ~ん……こんなに出されたら困っちゃうよ~~」
キュッリッキ・メラスニエミ:「トオルくん……!行けるよ!」
析了トオル:「ふ、ふふ……少し油断しましたが、よし!このままいけばパクチーの半分くらいで根を上げる可能性が高いです……!」
析了トオル:そう言って、ニンニクが大量に盛られたピザを口に運んで「辛っ?!」
テクシス:「……」匂いの余波だけで気持ち悪くなっている
析了トオル:噎せ返り、デッサンが崩れたような顔になりながら。
析了トオル:「く……まずい、テクシスさんが限界です!窓を開けて換気!換気!!」
キュッリッキ・メラスニエミ:「うぅ……」トロピカルピザで限界になっている
ザイラ・ザヴァッティーニ:「ああ~、もう限界かも~」ムシャムシャ食べている
析了トオル:酸素缶をテクシスに与えながら、窓際まで移動させて。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「この辺りで抹茶とラムレーズンにストロベリーチーズケーキのアイスでもあったら完全にヤバいかも~~」
析了トオル:「そ、そんなに入るんですか……?胃袋、ブラックホールで出来てません?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「ところで君、報酬のこと忘れてないよね?」
析了トオル:「…………」
析了トオル:「あっ」
キュッリッキ・メラスニエミ:「報酬……?なにそれ?」
テクシス:「トオルさん……?」
テクシス:「もしかして……また何か無責任に無茶な約束をしたのでは……」
析了トオル:「いやでも、ラス・ヴィダスの仮想通貨暴落してましたよね、今のレートなら私でも払えるんじゃ……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「え?いやいや」笑って「今更お金とかいらないって」
析了トオル:「えっじゃあ……残ったら部員に渡そうと思ってた今日のピザを断腸の思いで全部……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「そうだなあ……」無視
析了トオル:「ひどい、無視されました……慰めてくださいリッキーさん……そしてこんなダメな私を見ないでくださいテクシスさん……」
キュッリッキ・メラスニエミ:「うーん……でも今回はトオルくんから言い出したみたいだし……」
テクシス:「と、トオルさん……大丈夫ですよ……!」
析了トオル:「ああ、優しさとマジレスの狭間で脳が揺れる……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「じゃあ、君が考える君にとっての一番恥ずかしいものを私に貰おうかな?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:指を立てて言う。
析了トオル:「は、恥ずかしいもの……?!」
キュッリッキ・メラスニエミ:「こいつ……何言い出してるの!?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「いやあ、私くらいになるとお金なんて幾らでも用立てられるから……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「そういうのじゃないともう別に嬉しくないんだよね」
析了トオル:「ぐ……」
析了トオル:「仕方ありません、自分で言い出したことですし……ちょっと待っててください!持ってきますから!」
キュッリッキ・メラスニエミ:「あるんだ…………」
テクシス:「現物が…………?」
析了トオル:暫くして、自分用のスペースの奥から何かを持ち出して来る。
析了トオル:「ふぅ……とはいえ、私も大体いろんなものを曝け出して生きている身。恥ずかしいものなど最近までは無かったのですが……」
析了トオル:皆の前に出したのは、小さなスケッチブック。その1ページ目。
析了トオル:低学年の生徒が描いたような曖昧でお世辞にも上手いとは言えない絵が、自信満々の自分のサインと共に写っている。
ザイラ・ザヴァッティーニ:「……?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「これは……?」
析了トオル:「いや……その……」
析了トオル:「最近、ムセイオンに通って絵を習ってるんですが……その際に初めて描いて持っていったものです」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「へえ……これを君が?」まじまじと見て
析了トオル:「ぐ……」
析了トオル:「その、描いてる途中までは『あっ私天才かもしれない……』とか思ってしまってたんですよ!実際はそんなことひとっ欠片も無かったわけですが!」
析了トオル:「提出した時はモダニアさんも心なしか少し暖かい目で見ていたような気がしますし!頑張った幼子を見る目……!」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「ふふ……なるほどね」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「これは思いがけない良いものを貰えたな」絵を受け取って
析了トオル:「い、今になって見返すと、どうにも恥ずかしくて……机の底の奥の方に封印していたのですが……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「いいだろう。報酬として受け取っておくよ」
析了トオル:「……えっ、本当にこれでいいんですか?」
析了トオル:「まあ確かに恥ずかしいものですが、その、なんというか……渡すのも恥ずかしいくらいではあるし……」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「うん。気に入ったよ」絵を眺めて
ザイラ・ザヴァッティーニ:「『ジ〇ネシス怪奇現象探査部部長 ねっとりレズエステ120分』でも出されたら突き返してやろうと思っていたけど……」
析了トオル:「わー!わーー!!!!」
キュッリッキ・メラスニエミ:「トオルくん!?」
テクシス:「トオル……さん……?」
析了トオル:「騙されたんです!仕方なかったんです!!」
析了トオル:「あ、あれも恥ずかしい思い出ではありますが……」
析了トオル:「どちらがより恥ずかしいかを天秤にかけると、やけに自信満々でいた過去がある方がその、思い返した時に真赤になりませんか……?」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「うんうん……人の心は奥が深いね」満足げだ
キュッリッキ・メラスニエミ:「トオルくん…………?」引いている
テクシス:「トオルさん…………」ショックを受けている
析了トオル:「えっ、あの、二人とも、やめてくださいませんかその目。事情はちゃんと説明しますから!」
析了トオル:「ミクトランで出会ったUMB及びコスモパワーによる能力向上研究会の、コスモパワー部分の文字列からなる煌きに好奇心が抑えきれなくて……」
析了トオル:半ば涙目で説明し切ってから、はぁと一息だけつく。
析了トオル:「でも、こうして騒いでいると。なんだか日常に戻ってきた気がしますね」
析了トオル:無理矢理方向転換を試み、いい感じの台詞を言っている。
キュッリッキ・メラスニエミ:「すごい急ハンドル切ったね?」
析了トオル:「くそっ気付かれた!乗ってくださいよ!」
キュッリッキ・メラスニエミ:「まあ、そうだねえ。ボクは最近忙しくて死にそうだったけど……」
析了トオル:「少しずつ戻りますよ、まだゴタゴタとはするでしょうけど。平和な忙しさです」
析了トオル:「でもまあ、少ししたら大きなイベント事態は沢山起こるんでしょうね。此処はそういった世界で、飽きる時間も与えてくれません」
析了トオル:「ノヴァリス全体でも、ちょっときな臭い話を聞きましたし……」
テクシス:「そうですね……ラス・ヴィダスも平和になったとは程遠いですし……」
テクシス:「まだまだ問題は多そうです」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「ははは。そこがいいところでしょ?」
析了トオル:「全くです。油田の様にいくらでも掘り出せるものが出てくる。せめて卒業までに見つけ尽くしたいものですね」
析了トオル:……卒業。ノドス。八番目のイースターエッグ。まだ完全には理解し切れないもの達。
析了トオル:この世はまだ分からないものだらけで、だからこそ面白い。でも今日だけは、このほんの小さな喧騒と騒乱に身を任せて。
析了トオル:「しかし!今日だけは時間の許す限り遊び尽くしますよ!」
析了トオル:「さ、お腹を満たしたらゲームです!これなら私、この全員の中で一位になる自信があります!人生を競うやつ……!」
ザイラ・ザヴァッティーニ:「おー、いいね。やろうやろう」
テクシス:「お、おぉー……!」
キュッリッキ・メラスニエミ:「エ~~ッ!こいつと遊ぶの~~!?」
析了トオル:「完膚なきまでに負かせて優勝してやればいいんですよ!現代魔術はきっと、このゲームでも輝きます……!」
GM:賑やかな騒ぎの中、そうして時間は過ぎていく。
GM:一つの街を救った英雄達としてでなく、ただ、どこにでもいる学生達の馬鹿騒ぎとして。
GM:その後のゲームで4人の子供と裕福な家庭を築き1位でゴールしたテクシスに対し、82兆5000億の借金を背負ったトオルがどんな罰を負うことになったのかは、また別の話────
【ED/胡緑蘭】
ノヴァリス中央部 大オアシス沿岸
胡緑蘭:新生徒会の立ち上げより暫くの間は、役員・顧問共に息をつく暇もない日々が続いた。
胡緑蘭:被害を受けた生徒への保障や市街地の復興、学区内外との調整と言った仕事にようやくの目処がついた頃。
胡緑蘭:唐突に『修学旅行をしよう』と言い出したのは、生徒会顧問である胡緑蘭だ。
胡緑蘭:卒業年次である三年生を中心として、大々的に制度を施行するにあたって、
胡緑蘭:そのための『下見旅行』として、まともに休みを取っていなかった新生徒会長を半ば強引に連れ出した。
胡緑蘭:そもそも他の役員もどうやって百代まりあを休ませるか腐心していたため、止める者は居なかった。
胡緑蘭:『胡緑蘭と二人で』という部分に渋い顔をした者は一部居たが、その頃には既に二人はラス・ヴィダスを飛び出していた。
胡緑蘭:「うーん、この時期は風が気持ちいいねえ」
胡緑蘭:大オアシス沿いのとあるリゾート地。砂浜の上を並んで歩いている。
百代マリア:「いいのかしら、こんな……」
百代マリア:連れ出されてからずっと、落ち着かない様子でそわそわしている。
百代マリア:「皆は今も働いているのに……」
胡緑蘭:「喫緊の仕事は片付けてきたんだし、三日くらい居なくたってなんともないさ」
胡緑蘭:「なんたってマリアが直接声をかけて選んだ、優秀な役員が揃っているからね」
百代マリア:「それはそうかもしれないけれど……」
百代マリア:就任当初は散々駄々を捏ねていたが、いざ新生徒会の業務が本格始動してからは、誰よりも休みなく働いていた。
百代マリア:「何だか落ち着かないわ……悪いことをしているようで……」
胡緑蘭:「悪いことするのだって貴重な経験だよ。そういうのは子どものうちにしといた方が良い」
胡緑蘭:「大人になってからやると色んなところから怒られるからね」
百代マリア:「まあ……」口元に手を当てて
百代マリア:「だから貴方は、こんなに悪い大人に育ってしまったのかしら?」
胡緑蘭:「そうかもねしれないね。昔良い子だった反動かな」
胡緑蘭:「君達には私みたいな大人にはなって欲しくないからね。生徒のためなら、ちょっとした火遊びも教えるのが」
胡緑蘭:「『いい先生』ってやつじゃないかな」
百代マリア:「あなた、良い子だったの?」くすくす笑って「ぜんぜん想像できないわ」
胡緑蘭:「そりゃ良い子だったさ。幼い頃からこの世界で生きているとね」
胡緑蘭:「生き残る手段は二つしかない。どこまでも従順であるか、見境なく反骨を貫くか」
胡緑蘭:「幼い頃の私は前者だったんだ。チルドレンにもそういう子って多いだろう?」
百代マリア:「……旅をしていた、と言っていたわね」砂浜に似つかわしくない、肌を隠したローブで歩きながら
百代マリア:「やっぱり、それまで色々あったの?」
胡緑蘭:「まあ、色々あった気はするけどね」
胡緑蘭:「今となっては忘れてしまったな。きっと大したことじゃなかったんだろう」
百代マリア:「本当~~?」
百代マリア:身体ごと顔を傾けて、楽しそうに覗き込む。
胡緑蘭:「本当だってば。そんなに気になるのかい?」
百代マリア:「わたくしを子供と思って、隠してるだけじゃないかしら?」
胡緑蘭:「実際子供でしょ」
胡緑蘭:「それに、大人の男っていうのはね」
胡緑蘭:「隠し事があった方がカッコいいんだよ」
百代マリア:「そういうものかしら……」
胡緑蘭:「そういうものだよ」
胡緑蘭:「マリアの前では、カッコつけておきたいんだ」
百代マリア:「もう……」頬を膨らませて「二言目にはすぐ大人は……って言うんだもの」
百代マリア:「歳はそんなに変わらないのに。ズルいわ」
胡緑蘭:「そりゃあね。人の内面なんて十年生きても三十年生きてもそうそう変わるもんじゃないさ」
胡緑蘭:「それよりも、置かれた環境の方がよっぽど人の人格に影響を与える」
胡緑蘭:「立場が人を作るってよく言うだろ?」
胡緑蘭:「ラス・ヴィダスの子たちだってそうだ。あの子たちが他の学区の子と比べて、特別違っていたわけじゃない」
胡緑蘭:「今までは環境が悪かったんだ。何か一つの原因とか、誰か一人の黒幕とかのせいじゃなくて」
胡緑蘭:「色々な条件が重なって、どうしても歯車が合わなかった」
胡緑蘭:「だから、これからはきっと良くなるよ」
百代マリア:「……それは、その通りね」
百代マリア:「ラス・ヴィダスの子達もそうだし──」
百代マリア:「わたくしだって、生まれたのが百代家でなければ……きっと今のわたくしではなかったでしょうね」
胡緑蘭:「お、珍しいね。マリアが自分のことを話すなんて」
胡緑蘭:「うんうん、そういう話を聞きたくて連れ出したんだ。私の話とか、仕事の話は置いとこう」
胡緑蘭:「もっと聞かせてほしいな。マリアの家の事」
百代マリア:「別に、隠していたわけではないけれど……」
百代マリア:「……そうね。リエゾンロードって分かるかしら、先生」
胡緑蘭:「FHの偉い人たちでしょ?そりゃこの業界長いからね」
胡緑蘭:「会ったことは……あったかな?手下の何人かは捕まえた覚えがあるけど」
百代マリア:「そう。わたくしはそのリエゾンロードの、一人娘だったの」
胡緑蘭:「へ~そうなんだ」
胡緑蘭:「……えっそうなの!?」
百代マリア:「そうなのよ」頷いて
百代マリア:「わたくしは、その後継ぎとして……」
百代マリア:「百代家の人間として、偉大な人間でありなさい、と」
百代マリア:「すごく厳しく躾けられたの」
胡緑蘭:「確かにマリアは独特な気品があるけど……」
胡緑蘭:「……」
胡緑蘭:一度立ち止まって、マリアの顔をまじまじと見る。
百代マリア:「……何かしら?」
胡緑蘭:「ちなみに、その親御さんの名前を聞いても大丈夫?」
胡緑蘭:「本名じゃなくていいよ。通り名の方」
百代マリア:笑って「調べれば出てくると思うけれど、意味が無いわよ、多分」
胡緑蘭:「だろうね」
百代マリア:「わたくしは、百代家は由緒正しい名門で、人の上に立つべき使命を持った、偉大な血族だ……といって、育てられてきたけれど……」
胡緑蘭:「うん」
胡緑蘭:「それ、嘘でしょ」
百代マリア:「ええ」頷いて
百代マリア:「後になって知ったの。わたくしのお父様がリエゾンロードになれたのは、前のロードを殺して引きずり下ろしたからだって」
百代マリア:「ロードでいられたのは、ほんの数年だけのこと」
百代マリア:「結局、そのお父様も同じように……他の人に殺されて、ロードの座を奪われてしまったわ」
百代マリア:「その時、娘のわたくしも殺されそうになったのだけれど……」
百代マリア:「ヴィラカーラおば様……“黒き者”さんが目を掛けてくれて、丁度立ち上げ時期だったノヴァリスに逃がしてくださったの」
胡緑蘭:「へ~、あのオバサンにそんな情けがあったとはね。ちょっと意外」
百代マリア:「単なる情ではないと思うけれど。その辺りの詳しい政治のことは、今となっては分からないわね」
胡緑蘭:「いや、となるとやっぱり、マリアは次期リエゾン・ロード候補ってことになるんじゃないかな?」
胡緑蘭:「お父さんの席はともかく、あのヴィラカーラが目を掛けるってことは、その見込みがあるってことだ」
胡緑蘭:「あそこのクランは実力主義で代替わりするはずだったしね」
百代マリア:「どうなのかしらね。わたくしを殺そうとした追手は、その辺りを危惧していたのだろうし」
百代マリア:「おば様が目を掛けてくださったのも、そんな感じなのだろうけれど……」
百代マリア:「お父様の派閥が今どうなっているのかも分からないし。わたくし自身、やる気は無いから」
胡緑蘭:「そっか」
胡緑蘭:「それは、他にやりたいことがあるから?」
胡緑蘭:「それとも、ロードの地位自体に嫌悪感があるのかな?」
百代マリア:「……どちらでもある、かしら」
百代マリア:「お父様は確かに、わたくしに嘘をついていたけれど──」
百代マリア:「でも、教えられたこと全てが間違いだとは思わない」
百代マリア:「上に立つ者として、下の者を助け、導き、その人生に責任を持つ……」
百代マリア:「生まれついての貴族として、自らの行動と意志によってその責任を果たす」
百代マリア:「そういう生き方が、リエゾンロードという立場で実現できるのか、わたくしにはまだ分からないわ」
胡緑蘭:「……なるほどね」
胡緑蘭:「マリアがどうして、あそこまで自分をなげうって他の子のために尽くすのか」
胡緑蘭:「それから、どうしてあんなに生徒会長になりたくなかったのかも」
胡緑蘭:「少しわかった気がするよ」
百代マリア:「……まあ、生徒会長の方は」少し気まずそうに「すぐに卒業するわたくしが成っても、学区の為にならないというのもあるけど……」
百代マリア:「……あっ!緑蘭!」
百代マリア:「チュロスがあるわよ!食べましょう!」
百代マリア:目ざとく屋台を見つけてちゃかちゃかと走っていく
胡緑蘭:「マリア」その手を掴んで引き止める。
百代マリア:「むっ……」
胡緑蘭:「会ったばかりの時、旅がしたいって言ってたよね」
胡緑蘭:「あの言葉を覚えていたから、私は今日君を連れ出した」
胡緑蘭:「ノヴァリスの外には出られないけど、ラス・ヴィダスはノヴァリスの端の方だからね」
胡緑蘭:「中央はかえって来たことないかと思ってさ」
胡緑蘭:「明日はもう少し足を伸ばして、東の端の方まで行こうと思う」
百代マリア:「明日も……!?」
百代マリア:「い、いいのかしら……そんな……」
胡緑蘭:「休暇は丸三日取ったんだから、有効に使わないと勿体ないでしょ」
胡緑蘭:「他にも、候補地をいくつか見繕ってある」
胡緑蘭:「正直絞りきれなくてね、三日じゃ多分回りきれない」
百代マリア:「えぇっ……」
百代マリア:「そ、それじゃあ……どうするの……?」
胡緑蘭:「また旅に出よう。次の休みも」
胡緑蘭:「ノヴァリスの中だけでも、君に見せたい景色が沢山ある」
胡緑蘭:「それから……」
胡緑蘭:「外の世界には、もっとたくさん」
百代マリア:「……」
百代マリア:しばし黙り込み、君に握られた手を見て。
百代マリア:それから、背伸びして手を伸ばし、丸いサングラスを外す。
胡緑蘭:「……」細められた瞼が僅かに見開き、琥珀色の瞳が少女を映す。
百代マリア:瞳をじっと覗き込むようにして、口を開く。
百代マリア:「……本当を言うとね」
百代マリア:「いつか、こんな風に、誰かに」
百代マリア:「攫われてみたかったの」
百代マリア:くすり、と悪戯っぽく笑う。
百代マリア:「だから、今ね」
百代マリア:「どきどきしてるわ」
胡緑蘭:「───」
胡緑蘭:暫しの間、呼吸を忘れていた。やがて、眩しそうに目を閉じて。
胡緑蘭:「なら、今すぐに攫ってしまおうか」
胡緑蘭:マリアの手をぐっと引き寄せて身体を浮かせ、両手で抱え上げる。
百代マリア:「ひゃあっ……!?」
胡緑蘭:そのまま、砂浜を軽やかな足取りで駆けていく。
胡緑蘭:「はははっ」
百代マリア:「ちょっと、緑蘭……!もう!」恥ずかしそうに頬を赤らめ、ぐいぐい顔を押すが
百代マリア:「子供なんだから……ふふっ……」
百代マリア:結局、くすくすと笑い出す。
胡緑蘭:「ああ、子供でいいさ。大人にだって、我儘を通したくなる時はある」
胡緑蘭:「マリア。君も、どこへ行きたいか考えるんだ」
胡緑蘭:「外の世界の、色々なことに目を向けて」
胡緑蘭:「自分に何ができるかじゃなくて、何がしたいかを叫んで良い」
胡緑蘭:「僕が」
胡緑蘭:「どこへだって攫ってやる」
百代マリア:「……」
百代マリア:その言葉に、ほんの少し瞠目して。
百代マリア:「……そう」
百代マリア:それから、ゆっくりと目を閉じる。
百代マリア:「そうね」
百代マリア:「それじゃあ──」
百代マリア:「緑蘭先生」
百代マリア:「二つ、お願いがあるわ」
百代マリア:「聞いてくれる?」
胡緑蘭:「ああ、いくつでも」
百代マリア:「本当?」胸板を突っついて「すごく難しいわよ」
胡緑蘭:「簡単すぎてもつまらないでしょ」
胡緑蘭:「難しいくらいでちょうどいいさ。私は」
胡緑蘭:「君の先生だからね」
百代マリア:「それじゃあ、一つ目ね」
百代マリア:「一つ目は……」
百代マリア:そこで急に勢いが萎んで。
百代マリア:「……」
百代マリア:「その……」
百代マリア:「この前……」
百代マリア:「見つかったわよね」
百代マリア:「あれが……」
胡緑蘭:「あれって?」
百代マリア:「だから、あの……」
百代マリア:耳を赤くして、目線を逸らす。
百代マリア:「……堕天病の……」
胡緑蘭:「ああ!治療法か」
胡緑蘭:「………」
百代マリア:「……………………」
百代マリア:「ちょっと待って」
百代マリア:「今の話は忘れて頂戴」
百代マリア:「やり直すから。いいわね」
胡緑蘭:「えっ」
百代マリア:「いいわね?」
胡緑蘭:「…………」
百代マリア:「いいわね!?」
胡緑蘭:「……いや、いいけど」
胡緑蘭:「今更恥ずかしがらなくてもいいんじゃない?」
百代マリア:「な……何が…………?」
百代マリア:「こほん。さっきの話とは、全然、全く、これっぽっちも関係ないのだけれど……」
胡緑蘭:「もうほら、こういう空気になっちゃってるんだし」
百代マリア:「関係ないのだけれど!」
胡緑蘭:「私も覚悟はしてるからさ」
百代マリア:「…………。……最近………………」
百代マリア:「…………きゅ…………」
百代マリア:「吸血鬼の……お友達が出来て…………」
胡緑蘭:「吸血鬼の」
百代マリア:「そう。吸血鬼の」
百代マリア:「それで……その……そう」
百代マリア:「食べ物に……困ってるそうなのよ」
百代マリア:「かわいそうでしょ?」
胡緑蘭:「そうだね……」
胡緑蘭:吹き出すように笑って
胡緑蘭:「すごくかわいい」
百代マリア:「かわい……かわいくないわ!かわいそうなの!」
百代マリア:「だ、だから……その……」
百代マリア:「あ……あなたの……血をね?少しだけ、分けて貰えたら……」
百代マリア:「すごく助かるわ」
百代マリア:「……友達……友達がね」
胡緑蘭:「はいはい……うん、勿論」
胡緑蘭:「私の血で良ければ喜んで差し出すよ」
胡緑蘭:「ぜひ、その友達とも話してみたいな」
百代マリア:「え゛っっ…………」
百代マリア:「い、いや…………それは…………」
百代マリア:「す、すごく……恥ずかしがり屋なの!その子……!」
百代マリア:「あと……ほら!吸血鬼だから……!お日さまの下にも出られないし……!」
胡緑蘭:「私もどちらかと言うと夜型だから、全然気にしないけど」
胡緑蘭:「まあそうだね。会いたくないのなら無理に会うわけにもいかないか」
百代マリア:「そ、そうよね……」ほっとして「よ……良かったわ。ありがとう、先生……」
胡緑蘭:「一つ目のお願いはそういうことで良いとして」
胡緑蘭:「二つって言ってたよね。もう一つは?」
百代マリア:「……二つ目は……」
百代マリア:息を吐いて、改めて君を見る。
百代マリア:「……新生徒会長のことだけど……」
百代マリア:「やっぱり……しばらくは続けてみようと思うの」
胡緑蘭:「おや」
百代マリア:「少なくとも今は……わたくしがやるのが一番いい、っていうのは確かだと思うし」
百代マリア:「勿論、後継者になる子は継続して探していくけれど」
百代マリア:「それから……」
百代マリア:「わたくしが卒業して、外に出たら」
百代マリア:「もしかしたら……さっき話したように、ロードの後継者を巡るいざこざに巻き込まれるかもしれないわ」
胡緑蘭:「うん。その可能性は大いにあるね」
胡緑蘭:「ノヴァリスに来るまでの経緯に加えて、今までの実績もあって君には『箔』が付いている」
胡緑蘭:「君にその気がなくても、担ぎ出す輩が湧いてくるのは想像に難くない」
百代マリア:頷いて「その座を継ぐにしても、跳ね除けるにしても……」
百代マリア:「……今度は、逃げないわ」
百代マリア:「逃げずに戦って、立ち向かうつもり」
百代マリア:「……でもね、緑蘭」
胡緑蘭:「うん」
百代マリア:「……もし、わたくしが」
百代マリア:「そういう何もかもが嫌になった時があったとしたら」
百代マリア:「全部捨てて、どこかに逃げ出したくなる時があったとしたら」
百代マリア:「……その時は」
百代マリア:「きっとまた、攫いに来てね」
百代マリア:君に身を寄せるようにして。
百代マリア:「……きっとよ」
胡緑蘭:「まったく……僕は卒業してすぐにそうしても構わないんだけど」
胡緑蘭:その肩を抱く手に力を込めて「真面目だね、マリアは」
胡緑蘭:「……いいよ。約束する」
胡緑蘭:「ただし、断言してもいいけど」
胡緑蘭:「君はきっと、自分から責任を投げ出したりはしないだろう」
胡緑蘭:「もう無理だとも、逃げたいとも、口にしないだろう」
胡緑蘭:「それはもう、君が思う百代マリアじゃないだろうからね……」
胡緑蘭:「だから、僕が決める」
胡緑蘭:「君の生き様を見守り続ける。そして、僕の目からみて、君がどうしようもなく行き詰まってしまったなら」
胡緑蘭:「君が百代マリアであるうちに、攫ってあげよう」
胡緑蘭:「だからその時は、私を信じてね」
胡緑蘭:「これは先生からの、約束を叶える条件だ」
百代マリア:「……ふふっ……!」
百代マリア:嬉しそうに君に抱き着いて、笑う。
百代マリア:「あなたがそう言ってくれるなら、わたし──」
百代マリア:「何だって出来そうだわ!」
胡緑蘭:「できるよ、君は」
胡緑蘭:屈託なく笑う少女を抱えたまま、砂浜をどこまでも歩いていく。
胡緑蘭:「どんなことだって、きっと」
胡緑蘭:砂の上に刻まれた一人分の足跡は、途切れることなく続いていくようだった。
【ED/宮星イオリ】
GM:武装テロ組織ラス・ヴィダス解放戦線は、首魁であった五百機ジナ及び主要メンバーの逮捕を受け、完全な壊滅に至った。
GM:そもそも、ラス・ヴィダスの体制が一新された今となっては、結果的には彼らの目標は既に果たされたとも言えた。
GM:だが、結果がどうあれ罪が消えるわけではない。ジナを始めとする構成員は当初はヴァリエンテ、やがては星室庁及び新生徒会の取り調べを受けることとなった。
GM:この日、拘留中の五百機を伴う実況見分が行われる運びとなり、その立ち合いとして宮星イオリが選出された。
GM:スラム街の一画、かつてLVLFのアジトであった場所に君達は足を運んでいた。
五百機ジナ:「普段は……ここで寝泊まりから訓練まで行っていたの」
五百機ジナ:手枷を嵌められた状態のジナが案内する。
宮星イオリ:「……よくここまで色々準備したもんね。スポンサーがいたってのはあるんでしょうけど」
宮星イオリ:生徒会備品のカメラで記録写真を撮影しながらぼやいている。
GM:雑多な物品が溢れかえった拠点。車両整備工場を隠れ蓑に、外部から見えないように射撃場までもが備えられている。
GM:屋根には爆撃で大穴が空き、半ば廃墟に近い状態と化している。既に拠点としては用を成さないだろう。
五百機ジナ:「必死だったから……」
五百機ジナ:ばつが悪そうに
五百機ジナ:「正しいことの為、って信じれば、何でも出来た」
宮星イオリ:「……文字通りの必死なんだよな。さんざん言われてるとは思うけど、能力使うのはちゃんともう自重してなさいよ」
五百機ジナ:「……ん……」
五百機ジナ:こくりと頷く。劇症型ゆえに逆に全身への侵蝕は少なく、ジナの堕天病は既に完治に近付いている。
宮星イオリ:「まあでも……マリアといいアンタといい。そうやって組織作って纏めるのも才能だと思うわよ」
宮星イオリ:「私はずっとソロだったようなもんだし。そういうの、上手くやれる気しないわ」
宮星イオリ:会長職を断った理由も半分くらいはそれだった。もう半分はマリアの頼み方が見境なさすぎるからだけど。
五百機ジナ:「そ、そんなことないよ……」
五百機ジナ:「イオリちゃんなら、そういうことも……きっと出来るよ」
五百機ジナ:「少なくとも……私はイオリちゃんが何かやるなら、協力したいって思うし……」
宮星イオリ:「……ふうん? そりゃありがたいけど」
宮星イオリ:「どのみち、しばらくは檻の中でしょ」
宮星イオリ:「今まで頑張りすぎた分、しばらくは適当に休んでなさい」
五百機ジナ:「うっ……」
五百機ジナ:「それは……そうだけど……」
宮星イオリ:「何をやりたいか決めるのは、その後ででもいいわ」
五百機ジナ:「……うん……」
五百機ジナ:「……反省してます……」
五百機ジナ:憑き物が落ちたように以前の様子に戻っている。
宮星イオリ:再会してからは苛烈な面をよく見ていたので、そういえば地はこういう子だったよな……としみじみ思っている。
宮星イオリ:「……ラス・ヴィダスをどうにか変えるってのは、まだまだ途中の話よ」
宮星イオリ:「マリアの新生徒会を支持する子は多いけど。前体制下での利権層は私らを疎んでたりもするし、階層間にあった対立感情がいきなり今日明日になくなる訳でもない」
宮星イオリ:「どうやっても当面はごたついてるわよ。アンタが外に出てきた時、まだそういうやる気を持て余してたら」
宮星イオリ:「まあ、手を貸してくれると嬉しいわ。……その時にアンタらが受け入れられるように根回しもしておく」
五百機ジナ:「……」
五百機ジナ:ちらちらと君の顔を見て
五百機ジナ:「……い、イオリちゃん……」
宮星イオリ:「過去にやったことでだらだらと憎しみ合うのなんて、正直もううんざりだから」
宮星イオリ:「……何よ?」
五百機ジナ:「……あの……」
五百機ジナ:「……わ、私のこと……怒ってないの……?」
宮星イオリ:「……怒ってはいたけど」
宮星イオリ:「その件で叱るのは前の時に済ませたし、アンタもう何回も謝ってたじゃないの。今更ぐちぐち言わないっての」
五百機ジナ:「い、イオリちゃん……!」
五百機ジナ:パッと嬉しそうな表情になる。
宮星イオリ:「……それに。アンタに言われてからさ、ちょっと真面目に考えてみたのよ」
宮星イオリ:「実際、こんな世界を変えるには、一度壊すしかなかった……ってのも」
宮星イオリ:「ある意味では正しかった……いや、だからって肯定する訳じゃないし反省は続けてほしいけど……そう」
宮星イオリ:「何も、アンタのやったことの全部が無意味だった訳じゃない」
五百機ジナ:「……でも……それはやっぱり、結果論だよ」
五百機ジナ:「本当なら……あのまま、ラス・ヴィダスが無くなってもおかしくなかった」
五百機ジナ:「私だって、ここまでの結果を予想してたわけじゃない」
五百機ジナ:「こうなったのは……全部、イオリちゃん達が頑張ってくれたお陰だよ」
宮星イオリ:「……まあ、そうね。沢山の人に迷惑をかけたのも事実だし」
宮星イオリ:「別の悪意に利用されていたからって、アンタの罪がなくなる訳でもない」
宮星イオリ:「……あの、ノドスのクソ野郎はさ」
宮星イオリ:「人の命をなんとも思ってないような事するし、他人の善意に漬け込むし、根性捻じ曲がってて、自分ばっかり不幸ぶって、付ける薬もなさそうなクズで」
宮星イオリ:「終わってみればアンタもその、沢山利用されてた内の一人だった訳だけど」
宮星イオリ:「……どう。やっぱり、今でもめちゃくちゃムカついてる?」
五百機ジナ:「…………」
五百機ジナ:考え込むように黙って
宮星イオリ:「アンタが代わりにぶっ飛ばしてきてくれって頼むなら、今度会った時一発多く殴っとくけど」
五百機ジナ:「……正直……よく分からないんだ」
五百機ジナ:「騙されたことは許せないと思う。でも……」
五百機ジナ:「ずっと一緒に行動してきたから……あの人のこと、少しだけ分かることがあるの」
宮星イオリ:「……どういうこと?」
五百機ジナ:「……」表現に悩むように
五百機ジナ:「あの人と私は……」
五百機ジナ:「どこか、似てる部分があった気がするんだ」
宮星イオリ:「似てる部分……」
宮星イオリ:じろじろとジナを見る。
宮星イオリ:「……アンタ、何もそこまで自分を卑下しなくたっていいのよ?」
五百機ジナ:「……そ、そういうわけじゃなくて……! ……何て言ったらいいかな……」
五百機ジナ:「……接してると、何となく分かったの」
五百機ジナ:「あの人と私は、どちらも……」
五百機ジナ:「どうしようもない理不尽に対して、それを認められずに怒ってた」
宮星イオリ:「…………」
五百機ジナ:「理由を探して、何とか覆そうとして、本当は無駄かもしれないって分かっても、それでも諦められなくて」
五百機ジナ:「……それが分かったから……あの人と組もうと思ったの」
五百機ジナ:「結局……騙されちゃったけどね」
五百機ジナ:そう言って苦笑する。
宮星イオリ:「……そういう意味じゃ、確かに似てるけど」
宮星イオリ:「でも、ジナよりもずーっと意固地でどうしようもないわよ。あれは」
宮星イオリ:「あんなどうしようもない奴を信じて、寄り添ってあげようとした子がいたってのに」
宮星イオリ:「『今更もう遅い』とか『どうすれば良かったんだよ』とかばっかりで、全ッ然取り合わねえの」
宮星イオリ:ふう、と息を吐いて。「……でも」
宮星イオリ:「それって」
宮星イオリ:「『もっと早く助けに来てほしかった』って意味でしょ」
五百機ジナ:「……」
宮星イオリ:「私はそういうの、聞かなかった事にするの、嫌だから」
宮星イオリ:「だから……ちょっぴり、どうしようかと思ってた。もしも、ジナが殺したいほど恨んでたら」
宮星イオリ:それだけ怒るようなことをされたとは思うし、と言いながら。
宮星イオリ:「あ……だからって、許すつもりなんて全然ないよ?」
宮星イオリ:「どうにかボコボコにして、あのクソみたいな意地へし折らせて」
宮星イオリ:「それで。ちゃんと『迷惑かけてすみませんでした』って言える真人間にしてから、ジナの前に連れてきてあげるから」
五百機ジナ:「あはは……」
五百機ジナ:「イオリちゃん、病気は良くなっても……ちょっと過激になったのはそのままなんだね」
宮星イオリ:「え、何よいきなり」
宮星イオリ:「……そりゃ、そんなの急には戻れないわよ。2年も経ってるんだから普通に変わる部分もあるし」
宮星イオリ:「前の自分がどういうキャラだったかも、正直そこまでちゃんと覚えてない……」
五百機ジナ:「……いいと思うよ」笑って
五百機ジナ:「街も、人も……変わっていくものだから」
五百機ジナ:「私、今のイオリちゃんも好きだよ」
宮星イオリ:「……ふう、ん?」照れくさいのか、微妙にぎくしゃくした応答。
宮星イオリ:「……だから、私の血で治ったんだ」
宮星イオリ:そんなことをぼそっと呟いてから、ふと気付いたように。
五百機ジナ:「……えっ……!?」
宮星イオリ:「あ……やば、時間かけすぎちゃった。そろそろ戻ってかないと」
五百機ジナ:「えっ……あ、あの、イオリちゃん……!?」
宮星イオリ:「あんま帰るの遅くなるとお姉ちゃんに叱られちゃうし……ほら、次行くよジナっ!」
宮星イオリ:その動揺に気づかないまま、拘束された少女の手を引いて走り出す。
GM:挙動不審のジナを伴っての実況見分は、その後はつつがなく終了した。
GM:君がジナを生徒会に引き渡し、ひとり帰路に着こうとした時──
宮星シホ:「……イオリ!やっぱりここに居た」
宮星イオリ:「ぎゃっ」
宮星シホ:姉のシホが姿を現す。
宮星シホ:シホは学区放送の一件で『殺し屋』に追い詰められたものの、その前に自ら十字冠転送して何とか事なきを得ていた。
宮星イオリ:「いや、ちょうど今帰る所だったから……!」
宮星シホ:最近では新生徒会のもとで風紀委員会の立ち上げ企画が進行しており、元ヴァリエンテ警備部主任としてその手伝いも行っている。
宮星イオリ:スクールバッグをばしばしと叩いてアピールする。すっかり暗くなった夜道に、頭上の星あかりがひどく目立っている。
宮星シホ:「何の言い訳にもなってないでしょ!こんな時間まで出歩いて……!」
宮星シホ:「まだ病院で安静にしてなきゃダメって何度言ったら分かるの!」
宮星イオリ:「べ、別に遊んでたとかじゃないのに……!」
宮星イオリ:「そんなの大丈夫よ、ちゃんと良くなってきてるし」
宮星イオリ:「マリアだって治療中なのに色々忙しそうにしてるし、私ばっかりのんびりしてる訳にもいかないでしょ」
宮星シホ:「マリアさんはマリアさん!イオリはイオリ!」
宮星イオリ:「差別!差別だ!」
宮星シホ:「良くなってきてるからこそ、今無理して悪化したら大変でしょう!」
宮星イオリ:「大丈夫なのに……ほら、私にはこの星だっているしっ」
宮星シホ:「レネゲイドだって病気みたいなものなんだから安易に頼らないの!」
宮星シホ:「いい?お姉ちゃんは何もイオリを叱りたくて叱ってるんじゃないのよ?心配だから仕方なく言ってるの」
宮星シホ:「生徒会のお仕事が大事だっていうのは分かるけど……」
宮星イオリ:「ノヴァリスでそんなこと言うのは真面目すぎでしょ……」
宮星シホ:「そうだ。もし休みづらいなら、お姉ちゃんが代わりに皆さんに言ってあげようか?」
宮星イオリ:「絶ッッッ対やめて!!」
宮星シホ:「何で……だって休めないんでしょう?」
宮星イオリ:「も、もしもやったらそんなの……アレよ……」
宮星イオリ:「えっと、ほら……その……!」
宮星イオリ:いい具合に姉に効きそうな脅し文句が見つからない。
宮星シホ:「それが嫌なら、ちゃんとお医者さんの言うことを聞いてしっかり休むこと!」
宮星シホ:「わかった?」
宮星イオリ:などと口論する最中、ふと暗い路地の奥の方へと視線が向かう。
宮星イオリ:「あ……ちょっとお姉ちゃん、待って。タイム」
宮星シホ:「? どうしたの?」
宮星イオリ:「なんか……誰か暴れてる? 呼吸が変だし、ドラッグとかやってる子かも……」
宮星イオリ:その向こうに、何か騒動の声を聞いているらしい。
宮星イオリ:「……ちょっと行ってくる!」
宮星イオリ:承諾を待たず、姉を置いて駆け出している。
宮星シホ:「あ……ちょっと、イオリ!待ちなさい!」
宮星イオリ:「すぐ戻るからっ」
宮星イオリ:そんな事を言って、細い路地の闇へと飛び込んでいく。小さな星あかりと、空色の髪。
宮星シホ:「一人じゃ危な……」
宮星シホ:言いかけて、既にその背中は見えなくなっている。
宮星シホ:「……もう……」
宮星シホ:困ったように呟いて、しかしその顔には、どこか嬉しそうな笑みが浮かんでいた。
宮星シホ:「イオリ、待って!」
宮星シホ:「私も行くから!」
宮星シホ:きっと届くであろう声を上げて、その背中を追い掛けた。
【ED/三部つゆり】
GM:“イモータルコイル”との戦いから、しばらくが経った。
GM:廃墟と化した市街地は少しずつ瓦礫の除去や新たな建築が進んでいるが、新生徒会も立ち上げられたばかりで、復興にはまだまだ時間が掛かりそうなのが現状だ。
GM:特に決戦の舞台となった元総和重工本社ビルは殆ど手つかずで、根元から倒れて地面に横たわった高層ビルが、ほぼそのままの状態で放置されている。
GM:夜。かつての商業区は深夜でもネオンサインが煌めく眠らない街であったが、今や光るものは月と星くらいのものだ。
GM:君──三部つゆりは、静まり返った夜闇の下、崩落現場を訪れていた。
三部つゆり:夜空の元、月と星の光が降り注ぐ。その光を煌々と照り返す白い髪。
三部つゆり:こうしてきているのは、機神や星徒の行使した残滓などが今も残っている可能性があるという事での調査だが、
三部つゆり:殆どそれも終わってしまっている。だから、こうしてここにいるのは感傷であるといえるのかもしれなかった。
三部つゆり:薙ぎ払われ、開けた空間になっている周囲を見やりながら、白の少女は考えに耽っている。
GM:その時、ザザ、とノイズの走る音が、君の端末から響いた。
GM:スリープモードが解け、液晶が灯って闇を照らしている。
三部つゆり:端末を取り出す。
三部つゆり:何処か不安と、不審と、そして期待とがあった。
GM:何度かノイズが続いた後、無音の中にほんの微かに、誰かの息遣いのような音が聞こえる。
“イモータルコイル”:「……」
“イモータルコイル”:「……お前か……」
三部つゆり:「……人の端末に掛けておいて、お前か、は酷くない?」そう言いながら、言葉はどこか柔らかく、少し恐々としていた。
“イモータルコイル”:「掛けたわけじゃない」
“イモータルコイル”:「『この俺』は……本来の俺の残りカスみたいなもんだ」
“イモータルコイル”:「レネゲイドに付着した残留思念……それが端末のスピーカーを借りて喋っているだけだ」
GM:君は神鳥谷ツバメが『弟』と話していたのを思い出すかもしれない。
GM:“イモータルコイル”はレネゲイドに無数の人格を取り込んだ融合体だ。その内の個々を切り離すこともまた可能だ。
三部つゆり:「あなたに言うことじゃないかもだけど、本当無茶をするね……絶対反動在るからやめた方がいいよ」
“イモータルコイル”:「別に……こんなのに意味なんて無い」
“イモータルコイル”:「残ったレネゲイドもあと数分で消える。誰か都合の良い相手に話しかけられれば、何かしら今後への有効打も打てるかと思ったが」
“イモータルコイル”:「よりにもよって……来たのがお前とはな」
三部つゆり:「私でわーるーかーったでーすーねー」
三部つゆり:「……本当にあなたに言うことじゃないけど、悪霊みたいに振舞うの止めなよな。そう振舞うと、それに近づいてくんだから」
三部つゆり:はあ、と溜息を付く。
三部つゆり:「お兄さんにもしかしたらつながるかも、って思ってたけど。まさかこう言う仕込みまであそこでしてるとは……」
三部つゆり:「ねえ」
“イモータルコイル”:「……」
三部つゆり:「本当に話さないつもりかこのやろ……まあいいや、私が勝手に言ってくから」
三部つゆり:「最後。どうしてだって言ってたよね」
三部つゆり:「あれだけ力と意思が揃ってて、どうしてだって」
“イモータルコイル”:「……」端末から小さくノイズが響く。
三部つゆり:「助けは、今もいる?」
“イモータルコイル”:「……」「……ハッ」
“イモータルコイル”:嘲るような笑声が響く。
“イモータルコイル”:「今更……お前らに何が出来るってんだよ」
三部つゆり:「今更じゃないよ」
三部つゆり:「いや…ある意味じゃそうなんだけど。でも、ようやく私達は貴方達を知った」
三部つゆり:「手を伸ばす事は出来るでしょ。…だから、いるのかいらないのか…なんだけど」
“イモータルコイル”:「だったら……」
“イモータルコイル”:「お前がノヴァリスを滅ぼしてくれるのか?」
“イモータルコイル”:「ノヴァリスがノドスに出来る一番のことは、それだ」
三部つゆり:からりと落ちる瓦礫の音がした。
三部つゆり:見渡す。周囲は壊された瓦礫だらけで、誰もが傷付いた場所で、
三部つゆり:そしてそうであるからこそ--
三部つゆり:「あなたみたいなやり方はしない」
三部つゆり:「でも」
三部つゆり:「そうすることで。壊す事でないと、どうしようもないことがあるのを、私はこれで二回見た」
三部つゆり:一回目は、八月革命。理事会の支配体制を、生徒たちが破壊したといえる。
三部つゆり:二回目は、今回のラス・ヴィダス。二層に分かれたこの街は、壊されたことでようやく一つに纏まろうとしている。
三部つゆり:「だから、私が調べて、私が納得して、その上で。貴方達も助けるのにそれしかないのなら。誰もが助かる方法がそれしかないなら--」
三部つゆり:「私がノヴァリスを壊すよ」
“イモータルコイル”:「…………」
三部つゆり:「……なんか言ってよ。結構清水から飛び降りる位の発言だったんだけど…」
“イモータルコイル”:「お前……」
“イモータルコイル”:「本気なのか」
三部つゆり:「……あなたも知らないだろうから、教えてあげる。私が自慢で、ソウマさんからも褒められたことにね」
三部つゆり:「嘘を付かないってことがあるの。本気だよ」
“イモータルコイル”:「お前には──」
“イモータルコイル”:「……」
“イモータルコイル”:黙り込む。
“イモータルコイル”:三部つゆりの言が本気だとすれば、ノドスの目的においてはまたとない協力者となり得るだろう。
“イモータルコイル”:今回の功績で、三部つゆりはラス・ヴィダスにおいて大きな影響力を持つだろう。新生徒会立ち上げに際し、星室庁とのパイプを持つことも可能だ。
“イモータルコイル”:甘言で味方へ引き込む、ないし都合の良い方向へ動かすことは十分に可能だった。だがこの時、“イモータルコイル”がそうすることは無かった。
三部つゆり:「……載せないんだね。まあ私が勝手にやるだけだから乗るつもりもなかったんだけど…」
三部つゆり:「…そういえば、ノヴァリス壊すと私そのまま死ぬのか…?その時はどうにか…なるか?まあいいや」後回しにする。
三部つゆり:「まあ一杯言ったけど。今すぐに助けて欲しいとかは、無いんだね」
“イモータルコイル”:「……俺がお前らに、何か期待するとでも?」
三部つゆり:「期待しなくても、言うだけ得でしょ。もし今すぐ必要なら私も色々リソースそっちに振らなきゃなって思ってたの」
三部つゆり:「色々やる事があるからさ。ラス・ヴィダスの復興の手伝い、情報網もズタズタだから再構築して、私自身も弱いから再訓練--」
三部つゆり:「そうして、ソウマさん殺人事件の犯人を見つける」
“イモータルコイル”:「……」
“イモータルコイル”:「何かもうちょっとあんだろ……言い方……」
三部つゆり:「いいの!実際は後で…そうなったとはいえ、その傷が原因なんでしょ!?」
三部つゆり:「生きてる事に理由なんてなくて。ただ心臓や臓器に、レネゲイドがそう動かしているだけで」
三部つゆり:「死ぬことも同じように、ただ止まる条件がスロットみたいに揃っただけなのかもしれない」
三部つゆり:そこで、一瞬顔を伏せた。
三部つゆり:何か輝くものが落ちたのを、誰かがそこに居たら見えたかもしれない。
三部つゆり:「でも、そんなのじゃ納得できないのは、私も同じ」
“イモータルコイル”:「……」
“イモータルコイル”:「だからやるって?」
三部つゆり:「だから、やる」
三部つゆり:「……それを言うなら、お兄さんの事だって同じだからね。絶対私は諦めてなんてないんだ」
三部つゆり:「…本体に触れてからが一番良かったけど…ある意味、レネゲイド構造は同じだからやれるか…?」
“イモータルコイル”:「………………」
“イモータルコイル”:しばらく沈黙が落ちて、それから。
“イモータルコイル”:「バカが」
“イモータルコイル”:「バカバカバカバカバカ。バァーーーーーーーーーカ」
三部つゆり:「はー!?バカっていう方がバカなんだよ!!」
三部つゆり:「というかムカつくから今調べてやる!ちょっとそのまま消えないでよ!?」
“イモータルコイル”:「ガキが。お前は何にも分かってねェんだよ」
“イモータルコイル”:「お前なんかが何しようと無駄だ。全部無駄なんだよ!バカらしい。ハッ!見てるこっちが恥ずかしいわ」
三部つゆり:「め、滅茶苦茶ムカつく!人にあの反則シールド破られておいて!!」
“イモータルコイル”:「どうせ無駄なんだからやめとけ。お前のガンバリなんて何の意味もねえんだよ」
“イモータルコイル”:「ガキはガキらしくお友達と楽しく遊んどけや。十分だろそれで」
三部つゆり:「…………」
三部つゆり:「心配してくれてる?」
“イモータルコイル”:「……」
“イモータルコイル”:「……はぁあああああ!?」
“イモータルコイル”:「何で俺がテメェみてえなガキを心配しなくちゃなんねェーんだよ!?」
“イモータルコイル”:「思い上がんじゃねえよ!殺すぞクソガキ!バカ!ブス!」
三部つゆり:「だって……無茶やろうとしてる人にそんなの辞めて友達と楽しくしてろっていうの、そう言う意味が発生するのでは…?国語の授業得意だから私は分かるよ」
三部つゆり:「あっこの…!人が気にしてることを!悪かったですね眼も髪も人形そのもので!!」
“イモータルコイル”:「……全然似合ってねーんだよ」
“イモータルコイル”:「その髪も目もクソだ」
“イモータルコイル”:「二度と使うな」
三部つゆり:「…………やだ。必要なら使うもん」
三部つゆり:「本当に最悪でろくでもないしとてつもない嘲笑野郎で気にくわないけど、それでも」
三部つゆり:「私は私の大事な人を助ける為なら、使うからね」
“イモータルコイル”:「…………」
“イモータルコイル”:君の声がまだ届いているのか、レネゲイドの残滓は既に消え去ってしまったのか。
“イモータルコイル”:黙り込み、それ以上の返答は無い。
三部つゆり:「………ばか」
三部つゆり:「早過ぎ」
三部つゆり:GM、シーカーを使用してよいでしょうか。
GM:内容は何でしょうか?
三部つゆり:四海群生の人格が再度復帰する可能性は存在しますか? です。
GM:成程……
GM:返答は「0%ではない」です。
三部つゆり:ありがとうございます。
三部つゆり:もう機能を停止したレネゲイドの残滓に向かい、彼女は問うた。
三部つゆり:「我が言葉を聴け。私が押す。私が叩く」
三部つゆり:「開け、古き御蔵よ」
三部つゆり:--その結果は、彼女が願う程良くはなかった。
三部つゆり:だが、彼女を絶望させるほど、悪くもなかった。
三部つゆり:「言ったでしょう」
三部つゆり:「会いに行くね、って。私が契約した内容も--」
三部つゆり:「”再会”だもの」
三部つゆり:--裡にいる獣は酷く静かだった。
三部つゆり:彼女が今までは、伺うようにせねばならなかった力を、ただ唱えるだけで用いているのに。
三部つゆり:「”ちから”の当ては付いた」
三部つゆり:「次は、”情報”。--待っていなよ、お兄さん」
三部つゆり:「私が全部、後から教えてやる」
三部つゆり:手のひらを星空にかざす。
三部つゆり:そして、そのてのひらを--目に移る星空ごと。
三部つゆり:握り込んだ。
三部つゆり:「おやすみ。次の朝は--」
三部つゆり:「私が貰ってやる」
ダブルクロス 3rd edition/オーヴァード・ノヴァ
『グッドナイト・ラス・ヴィダス』
END
GM:全行程終了です。お疲れ様でした!
宮星イオリ:お疲れ様でした~~
三部つゆり:お疲れ様でした……!
析了トオル:お疲れさまでした~!
胡緑蘭:お疲れ様でした!