【Prologue】
3ヶ月前 N市近代美術館
GM:N市近代美術館は、市内はおろか首都圏でも有数の規模を誇り
GM:古今東西、有名無名を問わず、多種多様な美術品を収めた知の殿堂である。
GM:往々にして、この手の施設には荒唐無稽な噂がついて回るものだ。
GM:曰く、閉館後に5番展示室の奥にある絵画を一人で見ると絵の中の世界に引きずり込まれるとか
GM:曰く、特別展示室に飾られたファラオのミイラに話しかけられたとか
GM:挙句の果てには、美術館の地下には世界各地から掻き集められた呪いの物品が収蔵されており
GM:美術館に勤務する職員は皆、それらを管理する国の極秘機関の一員であるとか
GM:……全て事実である。
GM:N市近代美術館。その裏の名前を、UGN遺産管理局 N市第一封印室。
GM:時刻は深夜11時
GM:普段であれば、表の仕事も裏の仕事も一段落つき、職員の姿もまばらであるはずだが
GM:今夜は、職員が総出で慌ただしく業務に追われている。
夏目靖章:「浅葱島掃討作戦……ね」
GM:職員の一人が機材の点検をしながら呟く
GM:浅葱島───N市から南の洋上に浮かぶ離島であり
GM:つい先日、レネゲイド災害により住民の殆どがジャームと化し、魔街指定を受けた場所である。
夏目靖章:「普通なら封鎖して終わりだけど、この街の今の状況で、そこそこ近い距離……」
夏目靖章:「しかも原因は"スターゲイザー"か……ま、そりゃあ念入りに掃除しろって指令も下るよな」
夏目靖章:小さく欠伸をしながら荷物をまとめる。デートの予定を覆されて些か虫の居所も悪い
夏目靖章:出発は明日の午前3時、このペースだと仮眠もままならないだろう。
夏目靖章:憂鬱な視線を時計から離した、その時
GM:ジリリリリリリリリリリリリリ!!!!
GM:緊急警報。浅葱島の沖合で待機していた監視班からだ。
夏目靖章:「こちら夏目。なにか……」
UGN職員:『大変です!島が!!』狼狽した声
UGN職員:「島が……消えました!!」
夏目靖章:「……消えた?」
UGN職員:「目視、レーダー、共に反応確認できず」
UGN職員:「海上はおろか、海中にも……」
UGN職員:「浅葱島の姿が、どこにも存在しません!!」
浅葱島消失事件。
単にそう記述される場合、そこには二つの意味が込められている。
一つは、人工数百人の小さな離島が、惨劇の末に住民の大半を喪い、地図上からその名を消されたこと。
もう一つは、魔街指定が適用される直前、黒い霧と共に島そのものが忽然と洋上から消えたという事実。
あの夏の日。
崩れ去った、二度と戻ることのない昨日に背を向けて、それでも少年は、明日へと繋がる今日を生きる。
それは贖罪でも、復讐でも、ましてや逃避でもなく──────
雨上がりの空に標は未だ輝かず、星々が自らの光を見ることはない。
恋に破れた魚は泡へ、泡は風へ、風は霧へ、船頭は闇の中、ただ唄声だけを頼りに進むだろう。
例えその先に、いかなる航海が待っていたとしても。
Double Cross The 3rd edition
澪引くは
闇霧航路
ダブルクロス───それは裏切りを意味する言葉。
Index
メインログ/雑談ログ
関連セッション
『光雨、黒天を染める』
Opening
【OP/赤川累】
【OP/太田止隆】
【OP/北見菫】
【OP/有島まひろ】
Middle phase
【Middle1】
【Middle2】
【Middle3】
【Middle4】
【Middle5】
【Middle6】
Climax
【Climax】
Ending
【ED/合同】
【ED/太田止隆】
【ED/北見菫】
【ED/有島まひろ】
【ED/赤川累】
Preplay
GM:それでは、セッションを開始します。皆さんよろしくお願いします!
GM:まずは自己紹介から!
GM:GMがキャラシを貼りますので、そのあとに元気よく自己紹介して下さい。
GM:それではPC1、赤川くん!
赤川累:はいっ!
GM:(キャラシート)
赤川累:赤川累(あかがわ・るい)、数か月前まで普通の男子高校生だった人物です。
赤川累:色々あって両親家族友人幼馴染その他多くの知り合いが命を落とし、故郷の浅葱島は魔街になり、
赤川累:今はN市でUGNイリーガルとして生活しています。正規エージェントを目指して訓練に励んでいるよ。
GM:悲惨すぎる……
GM:でも累ならきっと頑張れるよ……
赤川累:自分が仲良くしていた女の子が一連の事件の元凶だったり、大切な人に想いを託されたりしたので
赤川累:今は落ち込むよりもとにかく頑張らなきゃな~ってなってます。
GM:そうだぞ!負けるな累!(腕組幼馴染面)
赤川累:澪央………
赤川累:オーヴァードとしては右腕の骨が遺産になっており、触れたものを灰に変えるタイプのモルフェウス能力者です。
GM:ヴィジュアルもかっこいいぜ
赤川累:性能的には早い行動値で単体をぶん殴る事ができます。あとインスピレーションが1回分。
GM:GM泣かせの能力……おもしれェ
赤川累:ちゃんとした訓練を受けていたので、前回から白兵が4くらい上がっていたりするよ。体格もちょっと良くなった。
GM:凄まじい成長スピード。将来有望だぜ
赤川累:そんな感じかな。今回は初めての実践任務という事なので、気を緩めずやっていきたいと思います。
GM:はーい!そんな赤川くんのハンドアウトはこちら!
シナリオロイス:"闇霧航路(ローレライ)"
君は最低限の研修を終えたばかりのUGNイリーガルだ。
3ヶ月前、君は運命の少女と出会った。
運命は君からその生命と、家族、友人、帰るべき故郷を奪い、オーヴァードとしての力を与えた。
N市に移り住んだ君は、新たな日常を築く傍ら、UGNの下でそれを守るための知識や技術を学び……
今日、UGNイリーガルとして初めての任務に挑む。
──────『闇霧航路ローレライ』。
それはこの街ではありふれた、ささやかな怪異に過ぎない。少なくともこの時までは。
君は、君が選ばなかった運命と決着を付けなければならない。
赤川累:ありふれたささやかな怪異……本当かなあ
GM:本当だよ
GM:新人イリーガルにも安心の簡単なお仕事さ
赤川累:そっか~
赤川累:頼もしい先輩もついてるし安心だね
GM:超優秀な先生もいるし楽勝楽勝
赤川累:足を引っ張らないように頑張るぜ!
GM:はい!頑張って新たな人生の第一歩を踏み出してくれよな!
GM:続いてPC2、北見さん!
GM:(キャラシート)
北見菫:はーい
北見菫:北見菫(きたみ すみれ)です。
GM:儚げな少女だ……浮かない顔をしてるけど何かあったのかな……
北見菫:東京で生まれ、病気療養のために浅葱島で過ごしていた少女でしたが
北見菫:わるいオーヴァードに唆されて、歪んだ意識を植え付けられてしまい
北見菫:自身の父親を含む島の人達を大勢殺してしまいました。
北見菫:いや~やっちゃいましたね
GM:やりすぎ!
北見菫:現在はUGNに確保収容され、意識も正常なものに戻っていますが
北見菫:それ故に自分が何をしてしまったのか正しく理解してしまっています。
GM:罪の意識……十字架を背負ってしまったのね……
北見菫:保護観察処分ということで、何とかやっていきたいです
北見菫:そうだ、まだコードネームも保留中かなあって感じなんですけど、あった方がいいですかね?
GM:決めちゃってもいいし、セッション中につけるのでも構わないよ!
北見菫:は~い!
北見菫:性能は渇きの主で自分の払う分のコストを回復する、由緒正しいブラム=ストーカーです。
GM:恐るべきブラムスの多段ダメージ……怖い
北見菫:めちゃめちゃ人生のどん底だけど頑張ります!よろしくお願いします!
GM:はい!よろしくお願いします!
GM:北見さんのハンドアウトはこちら!
シナリオロイス:"ノギルーム" 有島まひろ
君はUGNの監視化に置かれているオーヴァードだ。
3ヶ月前、故郷を滅ぼした事件に加担した君は、UGNによる処分を受けた。
下されたのは、教導資格を持つ正規エージェントの下での保護観察処分。
治療を終えた君を引き取りに現れたのは、事件で関わったUGNエージェント、有島まひろだった。
GM:お迎えがきました
北見菫:有島さん……
北見菫:合わせる顔が無い……
GM:いいんだよ菫……菫は幸せになっていいんだ……
北見菫:澪央……
GM:少しずつ立ち直っていこうね
北見菫:ううっ……
北見菫:私頑張るよ……
GM:GMに乗り移ったゴーストが無限に甘やかそうとしてくる……これはいけない……
GM:では次!PC3のまひろさん!
GM:(キャラシート)
有島まひろ:はーい♡
有島まひろ:有島まひろです!32歳人妻、二児の母です♡
GM:うわっ新衣装!!
有島まひろ:秋ニットワンピです♡♡
GM:露出が減ったのに艶やかさがましているんじゃが~~!?
有島まひろ:UGNチルドレン上がりのUGNエージェントで、普段は専業主婦をしてます。
GM:家庭も充実しているのだ
有島まひろ:3か月前、任務で訪れた浅葱島で浅川くんや北見さんに出会い、事件を解決したり、色々ありました。
GM:その節は大変お世話になりました……
有島まひろ:それから、大N市へ赴任が決まり引っ越すことになりました。街がすごく大変な状況なので、支部の人員を増やすことになったんですって。
有島まひろ:夫もUGNエージェントですから、ちょうどいい人材だったんでしょうね。
有島まひろ:こんな時こそ、家族の力を合わせて頑張らなくっちゃね!
GM:ようこそ大N市へ!
有島まひろ:は~い!がんばるぞ♡
有島まひろ:性能はキュマイラ/ブラム=ストーカーの白兵型。
有島まひろ:幻想種:サキュバスのキュマイラ因子に感染しており以下略。
GM:略された
有島まひろ:隠密しながらパッと舞ってガッとやってチュッと吸います。
有島まひろ:前回からの成長としては、《破壊の爪》とイージーエフェクトの《かぐわしき鮮血》を獲得しました。
有島まひろ:あと澪央ちゃんにメモリー取りました。
GM:まひろさん……
有島まひろ:澪央ちゃん………
有島まひろ:以上です。みんなを幸せにするためがんばるぞ!
GM:はい!そんなまひろママのハンドアウトはこちら!
シナリオロイス:北見菫
君は経験豊富なUGNの正規エージェントだ。
UGN日本支部からの人員拡充要請に従い、君たち一家はN市へと住まいを移すことになった。
遅れてやってくる夫と二人の子供を迎えるため、君は新たな家族と共に空港へと車を走らせる。
到着した君たちを出迎えたのは、家族の乗った飛行機が空中で消失する光景と、
空港を、更には君たちをも飲み込もうと広がり続ける"黒い霧"だった。
GM:菫ちゃんをよろしくお願いします……
有島まひろ:菫ちゃんを幸せにしてあげなくっちゃ…
有島まひろ:澪央ちゃんのためにも…
GM:頑張って!旦那さんと子どもたちもママを待ってるわ!
有島まひろ:家族~~!!
有島まひろ:有島家で大集合するんだから!がんばるぞ!
GM:はい!よろしくお願いします!
有島まひろ:よろしくお願いします!
GM:では最後!PC4の太田さん!
GM:(キャラシート)
太田止隆:ほい来た。太田止隆です!
太田止隆:チルドレン上がりのエージェント。生まれも身寄りもなく、物心ついた頃にはUGNの実験体でチルドレンでした。
太田止隆:UGN黎明期には実験体相応の目に遭ったり、FHの戦闘に駆り出されて同期がポロポロいなくなったり、ということも珍しくない環境でしたが
太田止隆:それら全て踏まえUGNに対しては肯定的。態度は悪くも従順有能なエージェントとして働いております。いっときは中枢評議員の直衛としても働いたぞ。
GM:超エリートなのだ
太田止隆:幻聴に悩まされたりといった精神面の問題もあったんですが、少し前に、複雑な過程を経てUGNを出奔して行方知らずになった友人と再会。
GM:色々あったよね……
GM:太田さんの活躍は『ワールド・エンド・モラトリアム』に詳しいぞ。チェックしてくれよな!
太田止隆:してくれよな!
太田止隆:以来そっちの方もじんわり快方に向かい、N市における伏せ札の一枚として、普通の仕事をしたり、危険な仕事をしたりしています。
太田止隆:今回は普通の仕事の一貫として、新米イリーガルを連れて任務に当たるみたいです。まあなんも起きんだろ……
GM:なんかあったとしても太田さんなら一捻りだぜ
太田止隆:あ、浅葱島のことは報告書経由で経緯を把握している感じを想定してます。例のアイツが絡んでいたので、目は通しておくでしょう。
GM:情報収集も抜かりがない、流石だ
太田止隆:性能としては、攻撃と防御をそれなりの水準で兼ね備えた前衛ファイター。
太田止隆:装備とエフェクトの力で、それなりに守り、それなりに殴ります。攻撃面は《フェイタルヒット》への依存が大きいので、防御の方が安定はしてるかな。
GM:相変わらず穴のない性能……その調子でニュービーの面倒を見てやってくれ!
太田止隆:熱気と冷気を右手左手くらいの感覚で気軽に扱い堅実に戦線を支えるオーヴァードです。
GM:そんな太田さんのハンドアウトはこちら!
太田止隆:はーい。あんまり教導に適性はないが……導こう! よろしくお願いします!
シナリオロイス:"N市長" 但馬勇緒
君は療養の名目でN市に滞在する優秀なエージェントだ。
普段は極秘任務に従事する君だが、昼行灯を装う以上は表の仕事もこなさなければならない。
今回君に押し付けられた仕事は要人───この街の市長の警護ともう一つ、新人イリーガルの教育係だ。
空港で護衛対象を待つ君たちは、正体不明の"黒い霧"に飲み込まれてしまう。
新人には荷の重い展開だが、君にとっては慣れたものだろう。
悪意を持って運命を手繰り寄せる何者かが居るのなら、押し止めるのが君の役目だ。
GM:いつものです
太田止隆:まったく事件には事欠かないぜ!
太田止隆:熱気と冷気を同時に自在に扱ってしまう有能さをもって、警護と教育も同時にこなしてご覧に入れましょう。
GM:信じてるぜ!相棒!(腕組親友面)
太田止隆:飲みのネタになるかな~
GM:飲みすぎるなよ
GM:後始末が大変だから……
GM:というわけで以上のメンバーでお送りしていきます!
GM:改めてよろしくお願いします!
赤川累:よろしくお願いします~!
北見菫:よろしくお願いします!
太田止隆:よろしくお願いします!
有島まひろ:よろしくお願いします!
GM:それでは、OPに入っていきましょう。
GM:今回のOPですが、少し特殊な順番となっており
GM:まひろさんと太田さんのOPには、それぞれ北見さんと赤川くんが侵蝕無しで登場できます
有島まひろ:ほうほう
北見菫:お得~
GM:赤川→大田(&赤川)→北見→有島(&北見)という順番ですね
赤川累:私らは2回登場するってわけね
GM:その通り!
GM:というわけで先ずは赤川君OPからやっていきましょう。
【OP/赤川累】
赤川累:赤川累の侵蝕率を+2(1d10->2)した(侵蝕率:36->38)
GM:赤川くんは学生ですが
GM:学校は星辰館でいいですか?
赤川累:あっではそういうことで!
GM:他の学校が良いなら受け付けます
GM:了解!
星辰館高校
GM:星辰館高校は市内でも最大の規模を誇る高校だ。
GM:オーヴァードの在校生も数多く、UGNの管理も行き届いており
GM:この街に越して来た君は、UGNの職員に薦められるがままにこの学校への編入を決めた。
GM:放課後、校庭。
GM:まだ慣れない家路につく君の後ろから、声がかかる。
男子生徒:「赤川ー!今帰り?」
赤川累:「ん。ああ」まっすぐ校門へと向けていた足を止め、振り返る。ブレザージャケットの制服を着た男子生徒。
赤川累:「そのつもりだけど」
男子生徒:「んだよ水臭いなー。遊ぶとこ案内してやるって言ったじゃん」
男子生徒:これと言って特徴のない、人の良さそうな男子生徒だ。たまたま君の後ろの席になった縁で、よく話しかけてくる。
男子生徒:「な、どうせ暇だろ?部活も入る気ねーって言ってたし」
赤川累:「……好意はありがたいけれど」彼なりの気遣いだろうと言うのは分かる。しかし、だからと言って学生らしい社交に時間を割くつもりは起きない。
赤川累:「悪いけど、他のやつを誘ってやってくれ」
赤川累:彼の言葉の通り、転校して間もないころはいくつもの部活に勧誘された。その気はない、と断っている内に数日でその足も途絶えたけれど。
男子生徒:「え~、マジかよ。この前もそう言ってたじゃん!」
赤川累:「本当に悪いとは思ってるよ……俺は、こういう奴なんだ」
男子生徒:「頼むって!赤川来るってことにしたおかげでC組の女子も誘えたんだから……」
男子生徒:「あ……」
男子生徒:ふと、男子生徒の視線が君から校門へと移る。
?????:校門には、背の高い少女が立っている。
赤川累:「勝手にそんな話を……」つられて、そちらへと視線を移す。
?????:星辰館の生徒ではない。黒字に赤い線のセーラー服。
?????:四角い眼鏡に縁取られた怜悧な視線が、君を捉え
?????:「……赤川累ってのはアンタかい?」
赤川累:「そうですけど。……どちらさまで?」警戒するような視線。一歩、踏み出して応じる。
男子生徒:「おいおいおい!やべーってあれ!」君の隣で狼狽する
男子生徒:「あの制服、阿修女じゃん!」
男子生徒:「なんか目つけられることしたのか?赤川……」
赤川累:「やべー、って言うと?……ああ、なんとなく分かった」
GM:阿修羅地獄堂女学院。近隣では有名な不良校だ。
赤川累:彼の口ぶりから、あまり良い噂の立たない高校なのだろうなと察しつつ。
赤川累:「しかし、心当たりは全く無いな。……どうして俺の名前を?」
?????:ゆっくりと君に近づき
?????:「聞いたのさ。随分前に」
?????:「……浅木澪央からね」
赤川累:「……!」
赤川累:目を見開く。明らかな動揺の色。
澪標深々子:「アタイの名前は澪標深々子」
澪標深々子:「澪央の件で話がある。面貸しな」
澪標深々子:くい、と顎で校門の外を指す
赤川累:「……ああ、分かった。付き合う」頷く。
GM:やり取りを遠巻きに見る生徒たちを残し、君は少女に付いて行った。
純喫茶 アゼルバイジャン
澪標深々子:「いきなり押しかけて済まなかったね」
澪標深々子:コーヒーをかき混ぜながら君に笑いかける。先程より幾分柔らかい表情だ
赤川累:「……そうだな。少し驚いた、色々と」
澪標深々子:「ああ言うのが一番手っ取り早いと思ってさ」
赤川累:「まあ、な。その通りだよ」
赤川累:「澪央とはどういう関係だったんだ?」アイスティーに手も付けないまま、単刀直入に訊ねる。
澪標深々子:「あいつ、中学の時水泳やってただろ?」
澪標深々子:「大会で何回も戦ったんだ。一度も勝てなかったけどね」
赤川累:「ああ……そう言えば、本土の大会にも出てたっけな」
澪標深々子:「あいつが大会に出なくなってからも、たまーにLINEで連絡取ってて」
澪標深々子:「それが3ヶ月前、ぱったり途絶えた」
赤川累:「……」
澪標深々子:「単刀直入に聞くよ」
澪標深々子:「……澪央が死んだって本当かい?」
澪標深々子:「ああ、言葉は選ばなくていい」
澪標深々子:少し顔を近づけて「アンタがUGNに世話になってるのは知ってる。アタイも似たようなもんだからね」
赤川累:「……そうか」彼女がUGN、と口にしたのを聞いて。少し周囲に視線を配ったあと。
赤川累:「ああ。……君の想像している通りだ」
赤川累:「今から3か月前に。浅木澪央は、死んだ」
赤川累:一語一語、区切るように。言葉を吐き出す。
澪標深々子:「………そうかい」暫し目を伏せて
澪標深々子:「魔街指定の話なんて、いちいちイリーガルにまで降りてこないからね。調べるのに苦労したが」
澪標深々子:「アタイのツテも、中々馬鹿にできないね。漸く生き残ったあいつの知り合いに会うことが出来た」
赤川累:「用件は、今のを確かめる事でいいのか? ……もっと詳しく聞きたいなら、それも話すけれど」
赤川累:「それとも、他に何か?」
澪標深々子:「いや、いいさ。正直見てられないからね」
赤川累:「……そんなに酷かったか」
澪標深々子:「そうさね……ま、今更他校の男泣かせたって言いふらされるくらいどうってことはないが」
澪標深々子:「その調子だと、禄にお別れもできずにこっちに来たんだろ」
GM:君達は島民がジャーム化した翌日に、UGNの手配師た船で島を離れている。
赤川累:「……そうだな。結局、葬儀もやれてないままだ」
赤川累:海に落ちた彼女の遺体は、あるいはUGNの調査隊に回収されたのかもしれないが。魔街として封鎖された今となっては、一イリーガルの自分に知るすべはない。
澪標深々子:「なら、これ」
澪標深々子:ポケットから何かを取り出し、君の前に置く。
赤川累:「それは?」
GM:深々子が手を離すと、赤いストラップの付いた四角い包みがある。
GM:神社のお守りだ。
GM:『猗蛇祇神社』と刺繍されている。
澪標深々子:「形見分けだ」
赤川累:「……っ」表情が歪む。
赤川累:「……いいのか。君が貰ったんだろ」
澪標深々子:「ああ、最後の大会の後にあいつから受け取ったもんだが」
澪標深々子:「ご利益、学業成就だってさ。アタイにはあまり縁がない」
澪標深々子:「アンタが持ってた方が、あいつも喜ぶかと思ってね」
赤川累:彼女が背負っていたもの。彼女を縛り付けていたもの。そんな所の神様が、と吐き捨ててやりたい思いはある。
赤川累:それでも、彼女が最後まで背負い、護ろうとしていたものである事も。彼女がそこに込めただろう願いも。きっと真実で。
赤川累:「……」手に取ったまま、じっとその刺繍を見つめる。
赤川累:お前の未来を守ってやりたかったんだ、とどこか誇らしげに告げた少女の。その姿が、瞼に浮かんで
赤川累:「……ありがとう」手にして、胸ポケットに入れる。
赤川累:「確かに受け取った」
澪標深々子:「……アタイの用はそれだけだ」
澪標深々子:席を立つ。伝票を手に持って。
澪標深々子:「………じゃあね。迷惑料だ。ここは奢りにしてやるよ」
赤川累:……去っていくその背を呼び止めようとして、やめる。
赤川累:あいつが俺の事をどんな風に言っていたか、なんて。今更、人伝に聞き出す話じゃないだろう。
赤川累:それから、深呼吸ひとつ。手の付けていなかったグラスを、一気に空にして
赤川累:「うっ……く」口元をナプキンで拭く。苦みに歪んだ口元が、僅かに緩んで。
赤川累:「これで……少しはましな顔になったか」伝票を手に、立ち上がる。結局のところ、彼女の意志を慮るならこそ、足を止めている時間はないのだと
赤川累:そう、何度目かの結論に至って。ふと、スマートフォンに通知が届いている事に気付く。UGN支給用の連絡端末だ。
GM:この3ヶ月、君はUGNの下でエージェントとしての研修を受けてきた。最低限のものではあるが……
GM:通知には任務内容の要約と、『N市国際空港』への地図。
GM:これが、UGNイリーガル"シンダーテイカー"の初仕事だ。
赤川累:「……ああ」漸く、という思いはある。それと同時に、僅かな恐怖。
赤川累:浅葱島での一件と同じように。人が超常の力を以て人を傷付け合う、その渦中に踏み込むのだと。
赤川累:「やってやる」
赤川累:問題はない。覚悟は、とうにできている。
赤川累:……この時は、そう思っていた。
GM:ロイスは太田さんOPの後にまとめて取りましょう。
赤川累:はーい
【OP/太田止隆】
GM:では続けて太田さんOPに入ります!赤川くんは侵蝕無しで登場可能!
太田止隆:太田 止隆の侵蝕率を+10(1d10->10)した(侵蝕率:35->45)
GM:このOPでは、空港で二人に顔合わせしてもらった後、任務内容を説明するので
赤川累:登場します!(一応宣言)
GM:いい感じにギクシャクするか信頼関係を築くかした後
GM:事件が発生します。
GM:それでは行ってみよう!
N市国際空港
GM:N市の空の玄関口、N市国際空港。
GM:日々多くの人と飛行機が行き交う広大な空港のラウンジで、君達二人は今回の任務対象の到着を待っていた。
斑鳩裂:『はい、というわけで~』
斑鳩裂:『本日一緒にお仕事してくれる赤川くんです~パチパチパチ~~~!』
斑鳩裂:端末から響く気の抜けた声は
斑鳩裂:太田止隆の所属するUGNのカヴァー企業『斑鳩セキュリティサービス』の社長、斑鳩裂
太田止隆:ゴルフバッグを背に担いだ太田は、気の抜ける声を聞きながら苦々しく瞑目している。
太田止隆:赤川くんから見れば僅かに歳上のように見えるが、それでもそう大きな差はないだろうとも当たりをつけられるだろう。
赤川累:「はい、赤川です。よろしくお願いします」護衛らしく見えるよう、黒のスーツに着替えている。見るからに緊張した面持ち。
斑鳩裂:『はいはい~赤川くんは若いのに礼儀正しくてえらいわね~』
斑鳩裂:「ほら、隆くん。貴方も挨拶しなさいっ」
赤川累:ビジネスマンとしてはいかにも気の抜けた振る舞いを、自分に気を遣ってくれているのだろうか……などと思いながら見遣りつつ。
太田止隆:「……"ナイトバイポーラー"、太田止隆。名乗る時は」
太田止隆:「コードネームも名乗った方が良い。それを使いたがる奴もまだ多いし、紛らわしい名前が被った時の回避に便利だ」
赤川累:「あっ、と……失礼しました。改めて、"シンダーテイカー"です」
赤川累:その助言を素直に受け止める。……事前の資料から、年がそう離れてはいない事も、それでありながらエージェントとしては歴戦の人物だとも知らされている。
太田止隆:「よろしく頼む、"シンダーテイカー"……赤川」 彼に目を向ける
太田止隆:「最初に言っておくと、俺もあまり、君のようなのを教えて導いてやるということは得意じゃない。先回りして気を利かせたり、引っかかる所がないか気を配ったり、とかな」
太田止隆:「だから、何か分からないことがあれば何でも聞いてくれ。黙るべき所では黙ってもらうが、そうでなければ基本的には答える」
赤川累:「はい、分かりました。ありがとうございます」
太田止隆:浅く腕を組んで 「……もし仕事が終わったら」
太田止隆:「それを報告したり、話したりしたいと思う相手はいるか」
赤川累:「……え」少し意外そうに、何度かまばたきをして。
赤川累:「はい、います」
赤川累:「自分が初めて関わった……というよりは、巻き込まれたR案件で」
赤川累:「自分達を助け、導いてくれた人です。ここに入るに当たっても、世話になりました」
太田止隆:目を閉じる 「良いことだ。……俺が言っておきたいことは二つ」
太田止隆:「何があっても、それを忘れないこと。仕事を終えて、帰って、その相手と話をしたいという気持ちを忘れないことだ。何があっても」
太田止隆:いわゆる、絆。オーヴァードを人の域に留める重大な要素のことである 「そして」
太田止隆:「頭を動かし続けることだ。どんな目に遭っても、何が起こっても、思考を止めないこと」
太田止隆:「考えるのを止めた奴から死ぬ。……良いな? ゴールと、そのゴールに辿り着くまでの方法の話として、覚えておくように」
太田止隆:ふう、と息を吐いて 「他にいくらでも教えるべきことはあるが、まあこれだけ覚えていれば何とかなるだろ。だから、俺が教えるのはこれだけだ」
太田止隆:「分からない所は?」
赤川累:「……っ。はい」絆、人との繋がり。オーヴァードになって間もない頃に、研修で何度も耳にした言葉だ。
赤川累:「……」少し考え込んで、かぶりを振る。「いえ。今の所は」
太田止隆:「よし。後はもう教育するされるの話はなし」
太田止隆:「俺と、"シンダーテイカー"、君は同じ任務を持ち同じ仕事をする、対等のメンバーだ」
太田止隆:「分からないことは聞いてくれ。だが甘えるな。思考を止めるな。……やれるか?」
赤川累:「対等の……」つまり、目の前の彼と同じように戦い、同じように責任を負うということ。それを、いま一度自分自身に問いかけて。
赤川累:「はい」頷く。「俺は、やります」
斑鳩裂:『はぁ~あの隆くんもオトナになったのねえ……お姉さんちょっと感動したわぁ』小さくこぼして
太田止隆:「よし」 また一つ頷き、端末に目を戻す 「……仕事にあたって、必要な確認をしただけだ。仕事の話にしてくれ」
斑鳩裂:『それじゃ、二人共打ち解けた所で』
斑鳩裂:『"ナイトバイポーラー"、"シンダーテイカー"。本日の任務の説明に入るわよ』
斑鳩裂:『今回の任務は要人の護衛。護衛対象は』
斑鳩裂:『"但馬勇緒"。ご存知この街の市長さんね』
太田止隆:「市長……」 目を細める。いくつかの資料で、その存在は把握している
斑鳩裂:『あ、累くんは来たばかりだから知らないかな?』
赤川累:「そう、ですね。今回の件で初めて名前を聞きました」
斑鳩裂:『どうにも影が薄いのよねえ、この街の市長』
斑鳩裂:『本来、但馬市長を始め行政関係者の護衛は』
斑鳩裂:『公安のSPが務めるのが慣例で、UGNは締め出されてた分野なんだけど』
斑鳩裂:『ほら、この前のフェス会場のテロ事件。あれの後始末で公安もバッタバタらしくてね』
斑鳩裂:『晴れて今回、ウチにお鉢が回ってきたってわけ』
太田止隆:「あの騒動の煽りか……ならば仕方ないな」
斑鳩裂:『そして当然ウチが絡むからには』
斑鳩裂:『今回の市長の行動ルートに、R災害の危険性ありって判断されたってこと』
斑鳩裂:『ではでは、お手元の資料を御覧ください~』
赤川累:促されるまま、手元に視線を落とす。
GM:君達のタブレットに、今回護衛として随行する市長の行動ルートが転送される
太田止隆:指示の通り資料を見る 「R災害の危険性というのも、随分具体的な話だな。脅迫なり、テロの情報を掴んだり、という話ではないのか」
斑鳩裂:『そ、"事件"じゃなくて"災害"なのよね~今の所』
赤川累:「人為的な原因ではない、という事ですか」
斑鳩裂:『市長は今外遊の帰りで、もうじきこの空港に着陸します。んで、その足でこの周辺の湾岸地区をぐるっと視察』
斑鳩裂:「それでねぇ、今湾岸地区で報告されてる奇妙な現象が一つあって、それが」
斑鳩裂:『"闇霧航路"』
太田止隆:「感傷的だな」
斑鳩裂:『嫌いじゃないけどねぇ、私は』
赤川累:「ローレライ……確か、歌で船乗りを呼び込んで殺すとかいう」
太田止隆:「普通は海、暗礁にいるものだがな」 先んじて情報を目で追う 「人恋しいのかもしれん」
斑鳩裂:『そうそう。それ。もっとも報告されてる限りはそこまで物騒ではなくて』
斑鳩裂:『道路、空路、海路、鉄道、とにかく道と呼ばれる場所の極々狭い範囲で』
斑鳩裂:『突発的に"黒い霧"が発生して、通ったものを飲み込んでいく』
斑鳩裂:『んで、数秒後に何事もなく出てくる』
赤川累:「何事もなく……」怪訝に首をかしげる。
太田止隆:「……なるほど。扱いに困るタイプだな」
太田止隆:「異変であることには違いないし、もしかしたら何かあって、次の瞬間にはとんでもないことを引き起こすかもしれないが」
太田止隆:「現時点で害がなさすぎる。よって、規模の大きい対処……視察を取りやめるとか」
太田止隆:「そういうことがしづらい訳だ」
斑鳩裂:『そういうこと。今の所報告は30件弱、それに対して死傷者はゼロ』
斑鳩裂:『共通している内容としては』
斑鳩裂:『霧の中に入ってから出るほんの少しの間、歌うような声と』
斑鳩裂:『視界に泡みたいのが浮かんで、その中に何かが映ってるっていう話なんだけど』
斑鳩裂:『いかんせん一瞬過ぎて報告も曖昧でね』
斑鳩裂:『そういうわけだから"あらゆる状況に的確に対処可能"な人員が求められたわけ』
太田止隆:「その一瞬だけ仕事が『調査』になるかもしれんな。各種記録装置の準備もしておこう」
太田止隆:赤川くんを見る 「出来そうか? 『あらゆる状況に的確に対処』」
赤川累:「何が起きるか分からないと踏んで備えるべき、と……」口にするのは簡単だけれど。
赤川累:「……」すぐには答えられない。
太田止隆:肩をすくめる。もちろんそんなことを本気で赤川くんには求めていないし、明朗な返事が帰って来ずに却って良かったと思っている。
斑鳩裂:『まあまあそう固くならないで』
斑鳩裂:『今回君に来てもらったのは。まあ……ウチが零細ってのもちょっとはあるけど』
斑鳩裂:『一つは、"そういう事態"になる可能性が、総合的に低いと判断されたからだし』
斑鳩裂:『もう一つ、もしものことが起こっても、そこにいるお兄さんなら』
斑鳩裂:『君を守り抜いて任務もやり遂げる。そう太鼓判を押された結果だから、ね』
太田止隆:「評価賜り感涙だ」 表情一つ変えずに 「まあ、実際彼女の言う通りだ」
赤川累:「……それでも。甘えのない、対等のメンバーだと言いましたから」どこか反抗するように、言葉を返す。
赤川累:「俺も、やれるだけの事はやります」
太田止隆:何か喋りかけていたが、彼の言葉を聞き、閉ざす
斑鳩裂:『あらぁ……素直で健気。誰かさんも見習ってほしいわ~』
赤川累:「……いえ。すみません。生意気な事を」
太田止隆:「十分な心構えだ。……『誰かさん』という表現は、自分自身を指すこともあるのか?」
斑鳩裂:『可愛げもみならってほしいわぁ』溜息をついて
斑鳩裂:『……と、もうすぐね』
太田止隆:「警戒のあまり目的が果たせなくなれば意味はないが、そうでなければその心構えは頼もしい」
太田止隆:再び赤川くんを見る 「頼りにしよう。"シンダーテイカー"」
赤川累:「……はい、"ナイトバイポーラー"」視線を真っ直ぐに受け止めて、それから。彼と並ぶように立って
赤川累:予定通りに運べばもうすぐこちらに向かう機影が見えるだろう、その空の方角を見遣る。
太田止隆:「フ」 吐息混じりに笑い、もう一度端末の資料を見直し始める
GM:ラウンジの窓から一機、君達の眼下に広がる滑走路に着陸しようと高度を下げる機影が見えてくる。
GM:飛行機が着陸用の車輪を展開した、次の瞬間
GM:ズ……
GM:最初は、黒い点が
GM:ズ ズ ズアアアアアアア!!!!!
GM:瞬きしん間にそれが爆発するように膨れ上がる。
GM:爆発のようにも見えるがそうではない
GM:"霧"だ
GM:黒い霧が飛行機を包み込み
GM:それでも勢いを止めず、滑走路を、更には君達の居る空港の建物まで到達する。
赤川累:「な、っ……!」目元を擦る。果たして見間違いではなく、その様子はまさに資料で見た通りの。
赤川累:「霧だ! "闇霧航路(ローレライ)"が、飛行機を……っ!」
GM:霧は、初めから存在しないかのように壁やガラス窓を素通りし
GM:瞬く間に、君達や他の乗客を飲み込んでいく。
太田止隆:「……!」 少し遅れてタブレットから顔を上げるが、実際、多少早く気付いた所で大した対応もできていなかっただろう
太田止隆:声を上げることもない——それに意味があるとは思えなかったからだ。ただ最低限、肩腕で頭を庇い、黒い奔流に飲まれる
斑鳩裂:『隆くん!?累く……』ザザッというノイズとともに通信が途切れる。
赤川累:通信の繋がっている斑鳩さんへ聞こえるように張り上げた声も、届いたかどうか分からないまま。なすすべなく闇の中に沈み込む。
GM:視界が黒く塗りつぶされ、同時に
GM:奇妙な浮遊感と共に、意識もまた塗りつぶされていく。
GM:その中で、遠くから響く微かな唄声とともに
????:──────"みつけた"
GM:と、聞こえた気がした。
GM:OP終了!ロイスの所得が可能です。
太田止隆:"N市長" 但馬勇緒/○尽力/猜疑心
赤川累:"闇霧航路":懐旧/〇恐怖 にしておきます。
GM:OK!
【OP/北見菫】
GM:---
GM:続いて北見さんのOPです
GM:登場侵蝕をどうぞ!
北見菫:北見菫の侵蝕率を+4(1D10->4)した(侵蝕率:32->36)
N市 UGN第四支部
GM:浅葱島での事件の後、重症を負った君は
GM:治療と、処分が決まるまでの拘留を兼ねて
GM:この第4支部内の施設に留め置かれていた。
GM:これまで数回、UGNの職員からの聴取を受けている。
GM:事件の傷もほぼ完治し、今日がその最終日
GM:君の処分が言い渡される日だ。
夏目靖章:「はい。というわけでおめでとう。北見菫くん」
夏目靖章:「今日から晴れて自由の身だ」
夏目靖章:「夕方には迎えが来るから、荷物をまとめておくように」
北見菫:「……はい」ぼそりと答えるのは、陰鬱な空気を纏った少女。
北見菫:美しくフリルをあしらった西洋人形のような装いだが、それもまるで喪服めいてすら見える。
北見菫:その目には光が無く、右腕の肘から先は、中身のない袖だけがゆらゆらと揺れている。
夏目靖章:軽薄そうな笑みを浮かべた黒スーツの男が首を傾げる。
夏目靖章:「せっかく出られるっていうのに元気がないけど」
夏目靖章:「どうしたんだい?せっかくの美人が台無しだ」
北見菫:「……いえ。そんな事は」かぶりを振ると、二つに束ねた髪が揺れる。
北見菫:「……お世話になりました。皆さんにも、よろしく伝えてください」深々と頭を下げる。
夏目靖章:「ふむ……」これは重症だな、と顎に手を当てる
夏目靖章:「一応、詳しく聞いとくかい?処分の経緯」
北見菫:「……」
北見菫:少しの間。
北見菫:「……はい。お願いします」ぼんやりと頷く。本心ではそれもどうでもいいと思っているような。
夏目靖章:「では手短に」
夏目靖章:「君は浅葱島の一件に関して、首謀者に積極的協力を行ったことが確認されている」
夏目靖章:「島民のジャーム化を促すレネゲイド汚染を看過し、ジャーム化した島民を殺害することで」
夏目靖章:「体内から賢者の石……の、なり損ないを採集していた」
夏目靖章:「オーヴァードに一般の法律は適用できないが、慣例に照らしてみれば」
夏目靖章:「無期限の抑留か或いは、これまでのパーソナリティを消去した上での監視といったところか」
北見菫:「……どうして……」目を伏せて。
北見菫:「どうして、そう、ならなかったんですか」
北見菫:懇願するように──あるいは、どこか責めるかのように言う。
夏目靖章:「情状酌量の余地はある。君が首謀者……スターゲイザーに犯行を教唆されていたのは調べが付いてるし」
夏目靖章:「その際、正常な判断力を乱すよう手を加えられていたのも確認済みだ」
北見菫:「……でも……それだって……」食い下がろうとするが、
北見菫:「……。……いえ。そうですか」それを呑み込むように瞑目する。
北見菫:「分かりました。ありがとう、ございます」
夏目靖章:「……まあ、それでも一番の理由は」
夏目靖章:「そう強く主張して上に食い下がったエージェントがいたからだよ」
北見菫:「……?」
夏目靖章:「UGNの目的はオーヴァードの取締りでも懲罰でもない」
夏目靖章:「人間社会との共存、どんな罪を犯しても、その可能性があるのなら摘み取るわけにはいかないってのが、建前でもあり本音でもあるわけだが」
夏目靖章:「今時珍しいけどね。覚醒した子を直接引き取って面倒見るってのは」
北見菫:一瞬、戸惑うような顔をして。すぐに答えに行き当たる。エージェントの知人は一人しかいない。
北見菫:「……有島さん、ですか……?」
夏目靖章:「ああ、そうだ。有島まひろさん」
夏目靖章:「君には彼女の監視の元、日常に戻ってもらう」
夏目靖章:「扱いとしてはイリーガルで、彼女の助手といったところだが、実際の運用は彼女に一任されているからね」
夏目靖章:「よく話し合って、今後のことを決めるといい」
北見菫:「…………」
北見菫:戸惑うように黙り込む。引き取り手が見つかった話をしているというのに、その様はむしろ道を見失った迷子のように見える。
北見菫:何とか、こくりと頷いて返す。
夏目靖章:少し困ったように笑って「うん」
夏目靖章:「そうそう、落ち着いたら赤川累くんにも連絡してあげるといい」
夏目靖章:「俺の専門は遺産の管理でね、以前彼と面談した時に君のことを気にしていた」
夏目靖章:「今日こうして説明役をやってるのもその縁なんだ」
北見菫:「……」僅かに顔を上げて。
北見菫:「彼……どうしてるんでしょう、今」
夏目靖章:「彼もこの街に住んでいるよ。少し前から学校にも通ってる」
夏目靖章:「同時にUGNの訓練も受けてるけどね」
夏目靖章:「将来はエージェント志望だそうだ」
北見菫:「……そう、ですか……」
北見菫:「……」
北見菫:「……あの」
夏目靖章:「ん、なんだい?」
北見菫:「島は……あの島は、どうなったんでしょうか」
夏目靖章:「浅葱島か……」
夏目靖章:「………」
夏目靖章:「……いや、済まないね。魔街指定が適用された後の情報は俺でも簡単には教えてもらえないんだ」
夏目靖章:「少なくとも、あの島には今誰もいない。それは確かだと思うけどね」
北見菫:「……。そうですか……」
北見菫:左手で、右腕の先のあたりに触れて。
北見菫:「……すいません。ありがとうございます」
夏目靖章:「俺たちは何もしてないさ。それはこの後来る有島さんに言ってあげるといい」
夏目靖章:そう言って席を立つ
夏目靖章:「さて、他に質問がなければ説明は以上だ」
北見菫:「……はい」
北見菫:「ありがとう、ございました」また礼を言って、深々と頭を下げる。
夏目靖章:そこにない右腕を掴む左手を見て
夏目靖章:「元気でね。今すぐは無理かもしれないが……」
夏目靖章:「痛みもまた、絆の一つだ。じっくりと向き合うといい」
夏目靖章:静かに扉を締めて、部屋を出ていく。
北見菫:「……」その言葉に、触れる左手の力を強める。
北見菫:……感触が、残っている。
北見菫:あたたかく、ぬるぬると湿った臓腑を掻き分ける感触。
北見菫:異形と化した父の肌に触れる感触。
北見菫:友人を──澪央の身体を、貫いた感触が。
北見菫:今も腕に。無い筈の右腕に残っていて。どんな時も私を苛んでいる。
北見菫:引き裂いて、切り落としてしまいたくとも、そこにもう腕は無くて。
北見菫:ただ、逃れようのない罪だけが、そこに横たわっている。
北見菫:左手で目元に触れる。
北見菫:その感触で、涙が出ていないことを確認する。
北見菫:この3カ月で、自分が泣いているのかどうかも分からなくなってしまった。
北見菫:右腕が痛む。失くしたその腕が。
北見菫:仮にそれが、自分への罰だというのなら。
北見菫:「……軽すぎる」
北見菫:ぽつりと呟いて。慣れぬ左手でコップを傾けた。
GM:トン トン トン
GM:君の後ろの扉から、ノックの音が響く
GM:思ったより長い時間が経っていたようだ
GM:彼女が、君を迎えに来た
【OP/有島まひろ】
GM:続いて有島さんのOPに入ります。北見さんは引き続き登場。ロイスはその後まとめて!
GM:侵蝕をどうぞ!
有島まひろ:1d10+32
DoubleCross : (1D10+32) → 6[6]+32 → 38
N市 幹線道路
GM:第4支部から北見菫を引き取った君は
GM:続けて、飛行機でこの街へ訪れる夫と二人の子供を迎えに行くため
GM:その足で、空港へ続く道に車を走らせていた。
北見菫:「……」膝の上に手を置いて、窓の外を眺めている。
有島まひろ:五人乗りの車内。流行りの歌手の最新アルバムが、ステレオから流れている。
有島まひろ:後部座席には、子供の使うようなブランケットが放置されている。
有島まひろ:菫ちゃんは知らない家族の生活が、どうしてもそこに滲んでいた。
有島まひろ:「…どこか、コンビニでも寄ってく?」
北見菫:「いえ……」どこか居心地悪そうに。「大丈夫、です」
有島まひろ:「そう」ちらり、と視線を向ける。
有島まひろ:「…気まずいわよね。知らないおばさんが、突然、馴れ馴れしくしてくるんだもの」
北見菫:「……いえ……」かぶりを振って。「そんな……ことは」
北見菫:手を組もうとして、それが出来ないことに気付く。
有島まひろ:「ありがとう。いいのよ」
有島まひろ:「ねえ、私のこと、何て呼んでくれる? まひろさんって呼んでほしいんだけど」
北見菫:「え、あ……」
北見菫:「……わ、分かりました。あの……」
有島まひろ:「うん」
北見菫:「……ま……」
有島まひろ:赤信号。ゆるゆるとスピードが落ちる。
有島まひろ:カチカチとウィンカーが鳴る。
北見菫:言葉につかえながら。
有島まひろ:「………うん」
北見菫:「……まひろ、さん……」
北見菫:絞り出すように口にする。
有島まひろ:「うん」
有島まひろ:「ありがとう」
北見菫:「……」小さく口を開いて。結局何を言えばいいのか分からなくて、いえ、とだけ返す。
有島まひろ:「…菫ちゃんにはね、これから、まひろさんの家族として過ごしてもらうことになるんだけど」
有島まひろ:「別にね、いいの。私たちに恩を感じる必要はないわ」
北見菫:「でも……そんな……」
北見菫:小さな身体をさらに小さくするように俯く。
有島まひろ:「いいのよ。たまたま、ちょっと知り合いの家で過ごすだけって思ってくれれば」
有島まひろ:「だって。私がやりたくて、やってるだけだもの」
北見菫:「……」
北見菫:「……有し……。……まひろ、さんは……どうして、私を……?」
有島まひろ:「うん」
有島まひろ:信号が変わる。ゆるりと左折し、車はまたスピードを上げていく。
有島まひろ:「もう聞いたかと思うけど……オーヴァードってね、ジャームになるともう戻れなくなってしまうのよ」
北見菫:軽く、バランスの取れない身体。カーブに合わせて傾いて。
北見菫:「……はい。聞きました」自分がそうなりかけていたという話も。
有島まひろ:「うん。……あの、島での夜のことね」
有島まひろ:「私、あなたに言ったの。思い出してって。あなたの周りの人達のことを、思い出してって」
有島まひろ:「…そうすれば、帰ってこられるって、私、経験で分かってたから。……そしたら」
有島まひろ:「あなたが、本当に帰ってきてくれたの」
有島まひろ:「…だから、あなたがこうして生きているのは、私が手を差し伸べたせい」
有島まひろ:「私の責任です。だから、最後まで、あなたの面倒を見る」
北見菫:「……」暴走時の記憶は朧げだ。だがその中で、確かに彼女の声を聞いたような気がする。
北見菫:「……でも、私」
北見菫:車内に視線を移す。その隅々に感じる、他人の──彼女と、彼女の家族の生活の、人生の徴に。
北見菫:「きっと……迷惑です。あなた達の……邪魔になる」
有島まひろ:「あら、そんなことないわよ」
有島まひろ:「家族が増えるのは良いことだわ。ましてや、菫ちゃんみたいな可愛い子」
有島まひろ:くすくすと笑いながら、ハンドルを動かす。
北見菫:「……」
北見菫:ありがとう、と。きっとそう言うべきなのだろう。
北見菫:だがその言葉は、胸につかえてどうしても出てこない。
北見菫:母を亡くしたのは、物心つく前の頃だ。殆ど記憶にも無い。
北見菫:……もしも居たら、こんな風だったのだろうか。
有島まひろ:「ねえ、菫ちゃん」茶目っけのある声で言う。
有島まひろ:「これから一緒に過ごすために、ひとつ約束しましょう」
北見菫:「約束……?」
有島まひろ:「うん。気持ちを隠さないこと」
有島まひろ:「嫌だったら、嫌だって言いましょ。嬉しいときは、嬉しいと言ってほしいわ」
有島まひろ:「私はそうするから、菫ちゃんにもそうしてほしい。私とあなただけの約束」
北見菫:「……それは……」それはきっと、自分にはとても難しいことだ。
北見菫:「……」
北見菫:少し逡巡して。
北見菫:「……努力、します」
北見菫:薄っすらと頷く。
有島まひろ:「うん。良い子ね」その様子を見て、目を細めた。
GM:海岸沿いの道を抜けて、遠目に滑走路が見えてくる
有島まひろ:「そろそろ着くからね、準備して───」
有島まひろ:言いながら滑走路を一瞥する。
GM:ちょうど、君達の家族を乗せた飛行機が着陸体制に入ろうとし
GM:次の瞬間
GM:ズ ズ ズアッ!!
GM:黒い球体が一気に膨張し、飛行機を飲み込んだ
有島まひろ:「────!?」動揺する。ハンドルがぶれる。
北見菫:「……え……」目を向けたその光景に瞠目する。
GM:黒い球体はやがて輪郭を崩し、霧となって空港を飲み込み
GM:更に膨れ上がり、君達の進行方向へと迫ってくる
有島まひろ:着陸時間からして、あの飛行機は、ちょうど自分の家族が乗ったそれではないか。
有島まひろ:そんな一抹の不安がよぎるが、それと同時、進行方向から迫る霧に気付く。
北見菫:「何……何ですか、これ」自分にもそれが異常な事態ということは分かる。有島さんの顔を見る。
有島まひろ:「……っ」菫ちゃんの声で、凍り付いた思考がようやく動き出す。
GM:今Uターンすれば、辛うじて君達二人は霧を振り切れるかも知れない。
有島まひろ:「分からないわ、でも……!」ハンドルを切り返す。
有島まひろ:R案件、FHによるテロ、様々な可能性が脳裏をよぎる。
北見菫:「っ、う……」急転する車内、細い片腕だけでなんとか身体を支える。
GM:反転した車が、少しずつ霧のを引き離していく
GM:しかし
????:───"みつけた"
GM:放射状に拡がっていた霧が、突如として君達の方向に集中し
GM:勢いを増しながら、またたく間に車を飲み込んでいく。
有島まひろ:「……っ!」フロントガラスの前に広がる景色が、みるみるうちに暗闇に呑まれていく。
GM:視界が黒く塗りつぶされると同時に、タイヤが道路を捉える感覚が消え
GM:奇妙な浮遊感とともに、二人の意識を沈めていく。
GM:深く、深く、海の底へと──────
GM:OP終了!ロイスが所得可能です
有島まひろ:北見菫/庇護:〇/遺志/ロイス で取得します
北見菫:有島まひろ 尊敬/〇負い目 で取得します
GM:OK!
GM:では続いて合流シーンに参ります!
【Middle1】
GM:合流です。全員登場!
赤川累:赤川累の侵蝕率を+10(1d10->10)した(侵蝕率:38->48)
有島まひろ:1d10+38
DoubleCross : (1D10+38) → 6[6]+38 → 44
太田止隆:太田 止隆の侵蝕率を+6(1d10->6)した(侵蝕率:45->51)
北見菫:北見菫の侵蝕率を+9(1D10->9)した(侵蝕率:36->45)
??????
GM:ふと、懐かしい匂いがして
GM:君、赤川累は目を覚ます。
GM:頬に当たる木の感触と、微かに運ばれてくる潮の香り。
GM:風はなく、室内のようだ。テーブルに突っ伏している。
赤川累:(……今の、は)微睡んだ意識の中で聞いた誰かの声と、懐かしい匂い。
赤川累:……額を抑えながら、顔を上げる。大きな怪我はしていない事を確認しつつ。
赤川累:(そうだ……黒い霧に、取り込まれて。それから)
赤川累:(……どうなったんだ? この場所は……)立ち上がり、周囲の探索を始める。
GM:あたりを見回すと、同じ様なテーブルと椅子が並んでいる。
GM:飲食店のようだ。
GM:無国籍でゴチャゴチャした内装と古ぼけた店構え
GM:壁に貼られたメニュー表は、コーヒーの種類よりもむしろ昼食やサイドメニューのほうが充実している。
赤川累:「な……っ」
赤川累:「そんな、筈は……」その並びが、記憶の中にある景色と繋がって。
GM:開店前なのか、看板は店内に仕舞われている。
GM:『喫茶 メドレー』
GM:君の故郷に一軒しかなかった、今はないはずのの店だ。
赤川累:(……同じ、だ。何もかも)まぼろしがそこに在る事を確かめるみたいに、もう一度その机に触れて。
赤川累:そうだ。今となってはどこにも、在るはずがない場所。
赤川累:(……であれば、精神攻撃の類か。俺の記憶から再現した……?)拙い経験から、この場に起きている事の可能性を導こうと思索しつつ。
GM:君が不可解な事態に混乱しながらも思索を続けていると
GM:ギィ……
GM:店の奥から、古い階段が軋む音が聞こえる。
GM:誰かが降りてきたようだ。
赤川累:「……!」
赤川累:「誰か、いるのか」
太田止隆:ギシ、ギシ、と、静かだが隠すでもない足音がしばしば響いて。
太田止隆:「俺だ」
太田止隆:店の奥から、姿を現す。担いでいたゴルフバッグは既になく、片手には剣のような武装、背には盾を背負っている。
赤川累:「ああ……太田さんか」そちらへ向けていた警戒を、僅かに緩める。
太田止隆:「ひとまずは無事なようで何より。意識ははっきりしているか? 痛みは?」
赤川累:「問題なく。動けます」
太田止隆:「よし」 頷く 「ひとまず調査だ。ここがどこか……いや、『これ』が『何』か。判断する材料が何もない。まるで分からん」
赤川累:「……その事なんですが」
太田止隆:「この建物を調べるよりは、外……に出た方が良いだろう。まずは外部からの危険がないかを確かめ……」
太田止隆:「? 何だ」
赤川累:「俺は、この場所を知っています」
太田止隆:怪訝に目を細める 「……それは?」
赤川累:「見間違える筈もない。……俺の住んでた場所は、言ってしまえば随分と田舎で」
赤川累:「飲食店なんて、ここくらいしか無かったんだ。何度も通い詰めた」
太田止隆:「……浅葱島だな?」
赤川累:「ええ。……本物かどうかはともかく」
太田止隆:「少なくとも、この店はその島にあった唯一の飲食店に見える、と」
赤川累:「そうです。たまたま似通っている、なんてものじゃない」
GM:窓の外は深い霧に覆われている。君達を飲み込んだものと違って、尋常の白い霧ではあるが
GM:外の様子を確認するには、扉を開けて出ていくしか無いだろう。
赤川累:「……表の様子も同じ、という訳にはいかないようですが」窓の外を横目に見やり。
赤川累:自分があの島に暮らしていた十数年、これほど深い霧が出た事なんてなかった。
太田止隆:……魔街指定されたかの島が、不自然に『消失』したことは、報告を読んでいる。
太田止隆:偶然、その数少ない生き残りである少年と組むことになる以前から、大きな異常の一つとして頭に入れていた。甚大なる怪現象であり、しかしさしたる続報はなかったが……
太田止隆:「……どちらにしても外だな。ひとまずは出てみよう。状況が分からなければ方針も立てられない」
赤川累:「……ええ、賛成です」
赤川累:「俺達と同じように、巻き込まれた人がいるかもしれない」
赤川累:着陸しようとしていた飛行機丸ごとと、辺り一帯を飲み込まんとしていた霧の事を思い出しながら。
太田止隆:店の扉を開き、外へ。背負っていた盾を構え、その裏から刃を剣に装着し、双身となった剣を逆の手に構える。
太田止隆:「先導は俺が。赤川、君はこの空間が『浅葱島を再現したものである』と仮定し……」
太田止隆:「道案内を頼む。……ひとまずは、他に家屋のある所が良い」
赤川累:「分かりました。そうですね、ここからであれば……」取り出した端末の描画機能を使って、簡単な地図を描いて見せながら
赤川累:「……この辺りの住宅街を目指すのが良いかと」
赤川累:「…………」目を細めて、霧の向こうを見透かしながら。
太田止隆:それを一瞥して 「そうしよう。……今ここから見える範囲も、君の記憶通りか?」
GM:外に出た君達の目に、広い風景が飛び込んでくる。霧に覆われて遠くまでは確認できないが
GM:海からの坂の起伏、山へ続く並木道、すぐそこの川にかかる小さな橋
GM:それは紛れもなく、赤川累の記憶に残る浅葱島だ
GM:そして、ところどころ砕かれひび割れた道路に、倒壊した家屋
GM:赤く残る血痕
GM:あの日の惨劇も、変わらずに消えないままだ。
赤川累:「……」溜息を吐く。「ええ。霧がかかっている他は、全く同じです」
赤川累:きっと偽物だと分かっているのに。懐かしい、と感じてしまう自分がいる。
太田止隆:「分かった。進もう」 歩き始める
赤川累:頷き、その後に続く。
太田止隆:「……浅葱島の事件のことは、俺も聞き及んでいる。報告書を読んだだけではあるが……」
太田止隆:血痕の脇を通り過ぎながら 「UGNとしても、なかなかの規模の事件だったからな」
太田止隆:「しかし、例の黒い霧に取り込まれた結果がこれとなると……」
太田止隆:足を止める 「……何だ。光?」
有島まひろ:それは車のサーチライトだ。
有島まひろ:霧の先で、こうこうと光り、近付いてくる。累くんの記憶では、あの惨劇の最中、車など走っていなかったはずだ。
赤川累:「車……?」咄嗟にナンバーと運転者の顔を見ようとするが、霧に霞んで。
太田止隆:「……接近してくる。赤川、一応構えを」
太田止隆:「敵対者の可能性は低いと思うが、分からん」
赤川累:「……はい」
有島まひろ:それは2人を照らすと同時に停まる。バタン、と、ドアの開閉する音。
有島まひろ:「────累くん!」
赤川累:「え……」
赤川累:「有島、さん……?」
赤川累:驚き、目を見開いて。「えっと……敵ではありません。味方です」太田さんに告げる。
北見菫:もう一つドアの開く音がして。助手席から降りてくるのは、少女。
北見菫:「赤川……くん」
北見菫:霧の中、後ろめたさの滲む表情で見つめる。
赤川累:「北見さんまで……」あの事件で重傷を負って、ずっと療養していた。近々、退院するとは聞いていたが……こんな場所で出会うとは。
太田止隆:「……知り合いだな? あるいは」 目を細める 「『知り合いのように見える』かだ」
赤川累:「あ……」その言葉に、気を引き締め直して
有島まひろ:「……それはあなた達だってそうよ」ため息をつくように言う。
太田止隆:「もっともだ」 前方の二人へ 「こちらはUGN、"ナイトバイポーラー"だ。悪いが最低限、確認させて欲しい」
太田止隆:「どういう経緯でここに来た? 俺と彼は、空港での任務中に黒い霧に巻き込まれた。そちらは?」
有島まひろ:「私もUGNです。”ノギルーム”、有島まひろ。そちらの累くんとは、彼の覚醒時に知り合ったの」
有島まひろ:「私は彼女と、私用で空港に向かおうとしていたんです。そうしたら、あなた達と同じく、黒い霧に巻き込まれた」
北見菫:「……」辺りに残る血痕、自らが引き起こした惨劇の痕を直視できず、ずっと俯いている。
赤川累:「空港って、N市国際空港ですよね。じゃあ……あの時、近くにいたのか」
有島まひろ:「そう。飛行機が黒い霧に飲まれるのを見て、それから一瞬」累くんに言います。
太田止隆:「……なるほど。浅葱島の件の報告書は読ませてもらってる」
有島まひろ:「……それは、話が早くて助かるわ」
有島まひろ:「なら事情はご存知だと思うけど、彼女は北見菫ちゃん。今はUGNイリーガルで、私の監視下にあるわ」
北見菫:こくり、と頷く。
太田止隆:「……彼女があの事件のか」 ちらりと目を向けて
赤川累:「ええ」敢えて言葉を省いた事を汲み取り、ただ頷く。
太田止隆:「……分かった。ひとまずこれ以上、互いにあれこれ疑るのはなしにしよう」
太田止隆:「互いに互いの知らない情報を出し合った。意識・知識から作り出す幻覚の類にしては高等が過ぎる」 構えを緩めながら
赤川累:「なるほど、そうやって判別を……」感心したように呟いている。
太田止隆:「人手もあった方が良いしな。……改めて、"ナイトバイポーラー"太田止隆だ。赤川は……俺が紹介するまでもないな?」 前の二人へ
北見菫:「……」赤川くんをもう一度見て、小さく頷く。何か声を掛けようとして……やめる。
有島まひろ:「うん。改めてよろしく。累くんのことは、たくさん知ってるわ」目を細める。
太田止隆:「だろうな。よろしく頼む。”ノギルーム”、有島に、北見」
赤川累:「ありがとうございます」二人の応答に、礼を言いつつ。「……それで、これからの動きは」
赤川累:「脱出方法の模索と、他の被害者の捜索……でしょうか」
太田止隆:「被害者の捜索を優先したい。俺と、彼女ら。黒い霧に触れた者が、どちらもここにいたとしたら」
太田止隆:「飛行機の搭乗客。そして空港にいた関係者。どちらも同じようにこの場所に取り込まれているだろう。人数も多いし、放置したくはない」
有島まひろ:「同感だわ」頷く。
赤川累:「そうですね……賛成です」
北見菫:「……」変わり果てた島の光景に目をやり、吐き気と、逃げ出したくなる衝動を必死に堪える。
北見菫:自分の罪をそのまま突き付けられている気持ちだ。もし自分が地獄に堕ちたとしたら、きっとこんな場所だろう。
北見菫:何とか頷いて肯定の意を示す。
有島まひろ:「2人は空港で任務に携わっていたんでしょう? この状況と、関係はあるのかしら」
太田止隆:「足ができたのは正直助かる。島内を見て回るにも有用だ。……関係しそうな事柄なら、一応聞いている」
太田止隆:「闇霧航路と言ってな。説明は……移動しながらで間に合うだろう」
太田止隆:そこまで言って、おもむろに北見さんの方を見る 「おい」
太田止隆:「何か不調が?」
北見菫:びくり、と背を跳ねさせて。
北見菫:「……ぁ……」
有島まひろ:「……今、すごく体調が悪いの。優しくしてあげて」
赤川累:「……元々、病み上がりなんだろ。無理はするなよ」その様子を見て、堪らず口出しをする。
北見菫:「……い、いえ」恐る恐るといった様子でかぶりを振る。その身体も声も小さく震えて。
北見菫:「……大丈夫……です……」消え入りそうな声で言う。
太田止隆:「悪いがそれ(優しくすること)は苦手分野だ。が、不調な者を置いて立ち話をしないくらいの気遣いはある」
有島まひろ:「………車、乗って」3人に声を掛けます。
太田止隆:「当てはあるか? こちらには喫茶店があったが」
太田止隆:双身剣を分割し、携帯できる形状にしながら
有島まひろ:「喫茶店の他に、この島にあるものといえば……」その続きを言うべきか、逡巡する。
北見菫:「……診療所、が」恐る恐る口を開き
北見菫:「……診療所が……あります。そこでなら、休めると……」
北見菫:俯いたまま言う。
太田止隆:「もし残っていれば、物資的にもそちらの方が潤沢そうだな……そちらが良いと思う」
有島まひろ:「そうね。…行きましょうか」
GM:深い霧を切り裂いて、車は進んでいく。
GM:船頭を導く唄声は、未だ聞こえないままだ。
GM:シーン終了!ロイス、購入が可能だよ!
GM:購入はその辺のお店やUGNが置いてったものを拝借した感じ!
太田止隆:ロイスは保留。購入は~
有島まひろ:累くんにロイス取るよ~ 赤川累/信頼:〇/恐怖/ロイス
太田止隆:応急手当キット!
太田止隆:2dx+1=>8
DoubleCross : (2R10+1[10]>=8) → 6[1,6]+1 → 7 → 失敗
赤川累:太田さんに取ろう。 太田止隆:〇感服/劣等感 で
北見菫:ロイス保留で応急~
北見菫:1DX+2>=8
DoubleCross : (1R10+2[10]>=8) → 1[1]+2 → 3 → ファンブル
太田止隆:財産1使って確保しとこ
太田止隆:以上
北見菫:ヒン……以上です
有島まひろ:購入は応急手当!
有島まひろ:1dx>=8
DoubleCross : (1R10[10]>=8) → 8[8] → 8 → 成功
有島まひろ:買えました♡
赤川累:こっちも応急買おう
赤川累:2dx+2>=8 購入
DoubleCross : (2R10+2[10]>=8) → 4[1,4]+2 → 6 → 失敗
赤川累:ダメ!おわりです
GM:OK!
【Middle2】
GM:ミドル2、ここから情報収集となります
GM:シーンプレイヤーはまひろさん。他全員登場可能!
有島まひろ:1d10+44
DoubleCross : (1D10+44) → 5[5]+44 → 49
赤川累:赤川累の侵蝕率を+5(1d10->5)した(侵蝕率:48->53)
北見菫:北見菫の侵蝕率を+2(1D10->2)した(侵蝕率:45->47)
太田止隆:太田 止隆の侵蝕率を+3(1d10->3)した(侵蝕率:51->54)
---
GM:まずはお手元のフィールドマップを御覧ください。
GM:『喫茶メドレー』『北見診療所』など、探索可能な場所がマーキングされています。
GM:それぞれの場所に判定項目が設けられており
GM:達成していくことで、新たな項目や場所が開放されていきます。
赤川累:なるほどだぜ
GM:現在探索可能な場所はこちら。
『北見診療所』
・診療所を拠点化する。
《白兵》難易度9 《知識:お掃除》難易度5
★達成で特別ルール解放
『喫茶店 メドレー』
・物資を運び込む
《白兵》難易度9 《運転》難易度5
★達成で新規判定項目解放
『浅木島高校』
・高校を探索する
《情報:UGN》難易度7
★達成で新規判定項目解放
『浅葱港』
・港を調査する
《情報:UGN》難易度6
GM:各々どれを判定するか選びな!
太田止隆:新規判定項目が解放された場合、このシーン中にそれを調べられますか?
GM:可能ですよ~
有島まひろ:診療所行っていいかしら?
太田止隆:いいと思いまーす
赤川累:お願い!
北見菫:じゃあメドレーやろうかな
有島まひろ:じゃあせっかくだし《知識:お掃除》で振ります。
有島まひろ:1dx+1>=5 失敗したらごめんね
DoubleCross : (1R10+1[10]>=5) → 9[9]+1 → 10 → 成功
有島まひろ:めっちゃ成功した
GM:お掃除名人!
北見菫:掃除上手~
赤川累:ママすご~い
太田止隆:ママじゃん
有島まひろ:ママです♡
北見菫:メドレー行きます
北見菫:4DX+4>=9
DoubleCross : (4R10+4[10]>=9) → 8[4,5,8,8]+4 → 12 → 成功
有島まひろ:すごい!
北見菫:やったぁ♡
GM:力持ちだ
太田止隆:罪じゃん
赤川累:あっ情報ってコネや財産は使えない感じですか?
GM:処理的には謎ではありますが
GM:使っていいことにします。コネや財産で培ってきたものもあるでしょう。
赤川累:やったあ
赤川累:じゃあわたし高校調べようかな
赤川累:2dx>=7 情報:UGN
DoubleCross : (2R10[10]>=7) → 6[4,6] → 6 → 失敗
赤川累:財産1点使う! 5>4です
有島まひろ:おお、よかった
GM:新人にしてはよく頑張ったわね
北見菫:赤川くんは立派だね
太田止隆:まあそんなに急がなくても良いか……港を調査します。コネ:UGN幹部使用。
太田止隆:4dx+1=>6
DoubleCross : (4R10+1[10]>=6) → 9[1,5,8,9]+1 → 10 → 成功
太田止隆:そういうこと!
GM:危なげなし!
有島まひろ:すばらしいぜ
赤川累:流石の先輩だぜ
北見菫:さすが~
GM:それでは全員成功したので、順番に貼っていきますね。
・診療所を拠点化する。
診療所の中はそれほど荒れておらず、居住スペースも無事だった。
北見菫と北見耕三の私室をそれぞれ使えば、男女別で寝泊まりも可能だろう。
多くはないが薬品の蓄えもあり、簡単に掃除するだけで当面の拠点として利用できそうだ。
★達成報酬:以降のシーンでは、PCは登場侵蝕を1d10する代わりに、1d3+3することを選んでも良い。
・物資を運び込む
事件から3ヶ月が経っているはずだが、店に保存されていた食材は時間が止まっていたかのように鮮度を保っている。
当時、島の水源は重篤なレネゲイド汚染に晒されていたが、島外からの仕入れ品なのか食品にレネゲイドが残留している様子もない。
水道は止まっているが、真水の蓄えもあるようだ。向こう一週間程度は飢えの心配はないだろう。
→『食事を作る』判定が解放。
GM:食事を作る判定についても詳しく開示しておきましょう。
・食事を作る(シーン一回まで、シナリオ中何度でも判定可能)
《芸術:お料理》難易度6
★達成報酬:シーン内に登場しているPCの侵食率を〈−達成値÷2〉しても良い。
GM:生命線なので情報の進み方と相談して上手く使ってね
・高校を探索する
校内には、UGNが島民の退去誘導時に通信・解析拠点として使用した際の機材が残されていた。
魔街指定に伴う掃討作戦に於いても、引き続き利用するつもりだったのだろう。
非常電源は生きており、短時間であれば計器類を動かせそうだ。
外部との通信が行えるかは怪しいが、この島を包む現象の解明には役立つだろう。
→『解析機材を動かす』が解放。
・港を調査する
島の周囲は深い霧に包まれている。
港にはかつて何艘もの漁船や貨物船が停泊していたが、今は一つも見当たらない。
海に見える部分は、近づくと海水ではなく全て霧で形作られていることがわかり、空港で見た黒い霧と酷似している。
浮力は海水とそう変わらないが、空港で見せたように触れると力を奪われてしまうようだ。
潜ったり泳いだりしてこの先を調査することは難しいだろう。
GM:情報項目は共有メモにもまとめてあるのでわからなくなったら見てね
有島まひろ:はあーい
GM:では共有シーンに入ります。
北見診療所
GM:君達は手分けをして、拠点の設営と周辺の第一次探索を終えた。
GM:霧が深く時間の感覚は曖昧だが、時計を信じるなら午後15:00頃。
GM:君達は一度診療所に集まり、情報を整理していた。
北見菫:「……」確かめるように壁やテーブルに触れる。表面の木目も小さな傷も、自分がよく知るものだ。
北見菫:もう二度と戻れることは無いと思っていた家だ。尽きない後悔の中に、僅かばかりの嬉しさもある。
北見菫:だがそこに、父の姿は無い。
太田止隆:「……ひとまずここは拠点として申し分なさそうだな」
太田止隆:整理された診療所内を眺める 「物資はどうだったんだ」
有島まひろ:「ええ、簡単に掃除したし。薬も見つけたわ」
北見菫:「……3ヵ月……経ってるはずですよね」
太田止隆:「どのくらいの調査になるかはさておき、助かる話だ……ん?」
北見菫:「『メドレー』の食材は、どれも新鮮でした。レネゲイド……も、感じなくて」
北見菫:「水も……何の変哲もないみたいで。それは……私達にとっては、助かりはしますけど……」
北見菫:「……どういうことなんでしょうか」
赤川累:「……」何かを答えようとして、口を閉ざす。納得のいく説明を立てられる気がしない。
太田止隆:頬杖をつく 「浅葱島について、表になっていない事実が一つある」
太田止隆:「"ノギルーム"は知っているか?」
有島まひろ:「……」太田さんを見やる。「……ええ」
北見菫:「表になっていない……?」
赤川累:「……? 魔街指定された以外にも、何かあるんですか」
有島まひろ:「私は、掃討作戦にも参加する予定だったから。……」
有島まひろ:「……浅葱島は、ある日突然、海から姿を消したのよ」
赤川累:「なっ……」
北見菫:「……?」言葉の意味がすぐには読み取れず、怪訝な顔をする。
太田止隆:「文字通りだ」
太田止隆:「掃討作戦実行の前日に、『消えた』。跡形もなく」
赤川累:港の辺りを見て回ってきた時の事を思い出す。海がある筈の場所に、黒い霧が満ち渡っていて。
赤川累:そうして生まれた闇の水面に、ひとつ浅葱島だけが浮かんでいる。
北見菫:「……っ……え……?」そこで、今自分が立っている場所の異常さを思い出して。
北見菫:咄嗟に有島さんの顔を見てしまう。口には出さないが、何故、と問うように。
有島まひろ:「……」申し訳なさそうに、その視線を受け止めて目を伏せる。
太田止隆:「地図の上から消えた魔街、どころの話じゃあない。浅葱島はもう、少なくとももともと存在していた海の上には、物理的に存在しないんだ」
有島まひろ:「…私たちは、あの霧に包まれてここに来た」
有島まひろ:「どんな事態に巻き込まれてるにせよ。あれの正体を突き止めないことには、どうにもならなそうね」
太田止隆:「北見の最初の質問に立ち返るなら……」
太田止隆:「そもそも浅葱島は、三ヶ月前から消失していて、そのタネは不明だが、時間的・空間的に隔絶された……簡単に言うのであれば」
太田止隆:「異次元で、時が止まった状態になっていてもおかしくない。……『そもそもこの島では、3ヶ月も経っていない』ということが考えられる」
太田止隆:「なんで、食材、水、その他資材は、使える状態であれば遠慮なく使わせてもらおう。不気味と言えば不気味だが、飢えるよりはマシだろう」
北見菫:「そんなことって……」オーヴァードになってまだ日が浅く、到底素直には呑み込めない話だが。
北見菫:「……」経験を積んできた二人のエージェントの言葉に、強いて頷きを返す。
赤川累:「……"闇霧航路"に呑まれたものは、数秒後に元の通りに出てくる──と言うのは」
赤川累:「そもそも、見落としだった訳だ。呑まれたままになって、出てこない物もある」
赤川累:「それが、この浅葱島であり。今の俺達でもある……」
太田止隆:「そういう考えもできる。あるいは、数秒後に元通りでてくる、という点にも疑うべき所はあるかもしれないが……」
赤川累:「……じゃあ、本当に。夢や幻覚の類じゃなく……浅葱島なのか、ここは」
太田止隆:「本物の浅葱島、という線は強いと見ている。高校で見つけたものもあったしな」
赤川累:「UGNが置いて行った設備ですか。最初は何故と思ったけど……掃討作戦の実行前に島が消えたのなら、筋は通る」
有島まひろ:「…私たちはともかく、太田くんは災難ね」
太田止隆:「災難?」
有島まひろ:「浅葱島と私たち3人を結びつけるのは簡単だけど、あなたはそうじゃないから」
有島まひろ:「なんとなくそう思っただけ。気にしないで」
太田止隆:「……そうだな。そもそもどこからどこまでが偶然なのか……」 小さく独り言のように
北見菫:「私達3人……」その言葉に周囲を見回して。
北見菫:「……そうだ。どうして私達だけ……なんでしょうか」
北見菫:「飛行機は……空港の人は、無事なのかな……」
GM:これまでの探索では、結局君達以外の人間は発見できていない。
赤川累:「……そうだな。あれだけの人数が同時に巻き込まれたのなら、誰も見つけられていないというのは流石に不自然だ」
赤川累:「島の南部は大方見て回ってきたけど……いくら霧が濃いとはいえ、そこまで見落とすはずもないだろう」
太田止隆:「逆に、浅葱島関係者だけを、ということであれば、"ノギルーム"の言う通り、俺がいるのはおかしい」
有島まひろ:「オーヴァードだけが、って線も考えたけど。同じオーヴァードであるうちの夫も、霧に飲まれているのよね」
太田止隆:「……夫?」
有島まひろ:「あ、うん。言ってなかったかしら」
有島まひろ:「私用で空港に来てたって言ったじゃない。あれ、家族を迎えに来てたの」
太田止隆:「家族」 目を2、3度瞬かせて 「……なるほど」
赤川累:「そう、ですか……ご家族が」家庭を持っているという事は元から聞いていた。いたって円満な仲だということも。
北見菫:「……心配……ですね」有島さんを見て。
有島まひろ:「ありがとう。でも、夫だって強い人だから。大丈夫よ」安心させるように言う。
赤川累:「……」心配でない筈がない。ただ、この人は大人だからこういう言い方をするんだ。
太田止隆:咳払いし 「ともかく、俺たち以外の人間はまだ発見されていない。あの黒い霧に触れたものすべて取り込まれるなら、人……はもちろん」
太田止隆:「航空機も取り込まれた線が高いと見ている。自動車が取り込まれたんだからな」
太田止隆:「そうなれば、そのものでなくても痕跡を見つけることは難しくないだろう。そのためには、高校にあった観測機材を動かしたいところだ」
赤川累:「機体そのものごと来ているはず……言われてみれば、その通りですね」頷く。
有島まひろ:「そうしたら…高校まで行ってみるのが次の方針かしら?」
北見菫:「まず、何が起きているのか探る……ってことですね」
太田止隆:「そうだな。機材を動かすには人手もあった方が良いだろう。生憎専門家はいない」
有島まひろ:「ふふふ、肉体労働専門だものね。私たち」
太田止隆:「……あと、そうだ。港も見てきたが、船の類いはなし。そもそも海に見える、島を取り囲むものは、そもそも海じゃなかった」
有島まひろ:「海じゃなかった?」
北見菫:「……?」
太田止隆:「霧だ。……極論、この空間にはこの浅葱島と霧しか存在しないと予測できる」
赤川累:「ええ。あの時の、黒い霧が……」
北見菫:「え……」絶句する。
太田止隆:「泳いで潜っての肉体労働で海の方をどうにかするのは困難だろうということだ。一応念頭に置いておいてくれ」
赤川累:「触れようにも、意識を奪われそうになって。……現時点での探索は難しいかと」
北見菫:「……仮に、船や飛行機が見つかったとしても……」
北見菫:「……出られるんでしょうか、ここから」不安げに言う。
有島まひろ:「大丈夫よ。UGNのエージェントはね、なんでも解決できちゃうんだから」
有島まひろ:「ね、太田くん」にこっとする。
太田止隆:苦々しい表情をして 「……楽観的な意見を無責任に口にするのは好かないので、黙っていたんだが」
太田止隆:「まあ、入って来れたんだ。出る手段もあるだろう」
赤川累:「……ここから出る、ってのもそうだし」
赤川累:「この島をこのままにもしておけない。……海に、戻してやらないと」
有島まひろ:「まあ」累くんの言葉に目尻を下げる。
北見菫:「そう……ですね」彼らの言葉を、完全に信じられたわけでも、楽観視できたわけでもないが。
北見菫:赤川くんを見て、頷く。
太田止隆:(そう思うものなのか) 腕を組んで彼の言葉を聞いている
赤川累:「霧を起こしているのが何だか知らないけど」
赤川累:「……これ以上、無茶苦茶にさせてやれるかよ」
GM:シーン終了。ロイス、購入が可能です。
太田止隆:ロイスは保の留 購入は……UGNボディアーマー!
北見菫:太田止隆 感服/〇隔意
太田止隆:2dx+1=>12
DoubleCross : (2R10+1[10]>=12) → 2[1,2]+1 → 3 → 失敗
有島まひろ:ロイスは保留!
太田止隆:zenzen dame 以上!
有島まひろ:UGNボディーアーマー狙ってみよう
有島まひろ:1dx>=12
DoubleCross : (1R10[10]>=12) → 4[4] → 4 → 失敗
赤川累:じゃああたしもボディアーマー買おう
有島まひろ:zako 以上!
赤川累:2dx+2>=12
DoubleCross : (2R10+2[10]>=12) → 10[10,10]+10[2,10]+6[6]+2 → 28 → 成功
北見菫:1DX+2>=8 応急
DoubleCross : (1R10+2[10]>=8) → 8[8]+2 → 10 → 成功
北見菫:以上!
赤川累:うわっ買えた
GM:子どもたちえらいぞ~
赤川累:ガードするし太田さんが持つのがよさげかな 渡しとこう
有島まひろ:累くんすごっ
赤川累:特にいらなければ自分で持っとくけど
太田止隆:受け取ります! ありがてえ~
赤川累:じゃあ渡した!以上です~
GM:OK!
【Middle3】
GM:続いてミドル3、情報収集の続きです。
GM:シーンプレイヤーは北見さん、全員登場可能。
北見菫:47+1D3+3
DoubleCross : (47+1D3+3) → 47+2[2]+3 → 52
GM:このシーンから1d3+3を選択可能です。
赤川累:赤川累の侵蝕率を+5(1d3+3->2+3)した(侵蝕率:53->58)
有島まひろ:49+1d3+3
DoubleCross : (49+1D3+3) → 49+1[1]+3 → 53
太田止隆:太田止隆の侵蝕率を+6(1d3+3->3+3)した(侵蝕率:54->60)
---
GM:今行ける場所はこちら。
『猗蛇祇神社』
・隠し部屋を調べる。
《知識:レネゲイド》《情報:UGN》難易度6
★補足資料を入手
『星の砂浜』
・海岸を散策する
《知覚》《調達》難易度5
★達成でキーアイテム入手
赤川塁が判定した場合のみ、トリガーシーン発生
『北見診療所』
・食事を作る(シーン一回まで、シナリオ中何度でも判定可能)
《芸術:お料理》難易度6
★達成報酬:シーン内に登場しているPCの侵食率を〈−達成値÷2〉しても良い。
『浅木島高校』
・解析機材を動かす
《知識:レネゲイド》難易度9
★達成で外部との通信方法開放
北見菫:神社行きます!
北見菫:2DX>=6
DoubleCross : (2R10[10]>=6) → 4[4,4] → 4 → 失敗
北見菫:財産2使います~
北見菫:残り3点
GM:おこづかいパワー!
赤川累:じゃあ砂浜の散策行きます。
北見菫:あ、ていうか使えるのかなこれ……
GM:使っていいよ~
北見菫:やったぁ
赤川累:2dx+2>=5 調達!
DoubleCross : (2R10+2[10]>=5) → 4[2,4]+2 → 6 → 成功
GM:ぎりぎり!
GM:よかったねえ
太田止隆:解析機材を動かす、行きまーす
太田止隆:6dx+2=>9
DoubleCross : (6R10+2[10]>=9) → 10[2,4,4,7,7,10]+9[9]+2 → 21 → 成功
太田止隆:バンバンに動かせた
有島まひろ:うわ~すごい
北見菫:さすがすぎる
GM:超優秀
太田止隆:ゲーミング解析機材みたいになってる
有島まひろ:最後にお料理つくりまーす!
有島まひろ:2dx+1>=6
DoubleCross : (2R10+1[10]>=6) → 7[3,7]+1 → 8 → 成功
GM:おいし~!
有島まひろ:成功した~ -4しても良いよーってことでいいのかな?
GM:皆さん侵蝕-4していいですよ~!しなくてもいい!
赤川累:わーい!するする
太田止隆:食べとこ 60 -> 56
北見菫:おいしい!
赤川累:58->54です
北見菫:52>48に
有島まひろ:わあい 食べて食べて~ 53>49に
GM:それでは順番に開示していきます。
GM:海岸の散策については次回シーンへのヒキになるので、このシーンの最後に場面を設けて開示します。
赤川累:わ~たのしみだなあ
GM:他の二項目はこちら
・隠し部屋を調べる
神社の奥を調べると、容易に隠し部屋を発見することが出来た。
レネゲイドに反応して入り口が浮かび上がる杜撰な仕組みで、これまでは浅木家の人間以外近づかなかったため問題なかったようだ。
予定通り掃討作戦が実施されればUGNが発見していただろうが、部屋の中は手つかずのままだった。
中には神社の裏の役目、レネゲイドや遺産に関する古文書が収められていた。
君達はその中から一つ、気になる記述を見つけた。
★補足資料『霧事件』を入手。
★『浅葱島の遺産について』を開放
・霧事件
約一年前、N市で発生していたR事件。
夜の市街に不自然な霧が発生し、市民が失踪するという連続行方不明事件だったが、
その実態は警察等を巻き込んだ、戦前から続く国家ぐるみのレネゲイド兵器実験だったとされる。
事件はUGNの手によって解決し、多数の警察庁幹部の更迭という形で幕を閉じた。
神社の古文書には、戦前、最初期の"霧"の開発に際して軍の特務機関からの接触があったと記録されていた。
・解析機材を動かす
解析の結果、霧の範囲は島の周囲20kmに及ぶことがわかった。
それが引き起こす現象は、強力な重力異常と電波障害であり、
次元の断絶、或いは因果律の混線はその残滓こそ残っていたが、現時点では一切確認できなかった。
即ち、この島は物理的には君達の世界と地続きのどこかに存在する、本物の浅葱島である。
★『外部との通信を行う』が解放。
GM:外部との通信についても、難易度を開示しておきましょうか
・外部との通信を行う。
《調達》《知識:機械工学》難易度100
北見菫:ふざけているのか~~~~~~
有島まひろ:100て
太田止隆:うーん、これは骨が折れそうだぞ
太田止隆:全身の骨がな
GM:頑張れば出来ないことはない
赤川累:ロイス全部切ればワンチャン……
太田止隆:『外部との通信を行う』が解放 ではないが
赤川累:どっかにマスコネ落ちてないかな……
GM:それでは調査シーンに移ります。
猗蛇祇神社
GM:漁港の近くに鎮座する猗蛇祇神社の拝殿。
GM:ここの神職であった浅木澪央がFHのエージェントであったことは、君達の中で既に共有されている。
GM:この現象の手がかりとなるものを求めて、赤川塁と北見菫は
GM:これまで入ったことのない、神殿の奥へと足を踏み入れた。
GM:君達が入った瞬間、床の一部が淡く光り
GM:地下へと続く隠し扉が現れる。
赤川累:「今、あそこ……光ったか」
GM:境内にめぼしいものはなかった、後はこの奥だけだ。
赤川累:「……っと。そういう仕掛けが」
北見菫:「……知ってた?こんな仕掛け……」以前は病弱で、外を出歩くこともままならなかった。当然、こうして神社に来るのも初めてのことだ。
赤川累:「いいや。ここまで奥に入った事はないよ……いかにも怪しげではあるけど」
北見菫:「……後ろ、見ててくれる」言って、地下へと降りていく。
赤川累:「調べない訳にもいかないよな。君は……っと」先導しようとするより早く、先に歩き出した彼女を追う。
北見菫:恐れが無いわけではない。だがそれよりずっと強い使命感、あるいは強迫観念に突き動かされるように、足を進める。
GM:暫く進むと、開けた部屋に出る。
GM:そこには所狭しと古文書や怪しげな物品が並べられていた。
北見菫:「……!」圧倒され、息を呑む。「これ……」
赤川累:「ここは……」少女の後ろから、部屋の中を覗き込んで。「資料庫、のようなものか」
GM:埃は積もっていない。最近まで手入れされていたようだが
GM:棚に並べられた書物が妙に乱雑であったり、上下逆であったりする辺りに
GM:ここを管理していた人間の人となりを感じることが出来るかも知れない。
赤川累:「賊に荒らされてごちゃごちゃになった……って訳でもなさそうだな」
北見菫:「……」知る限り、ここの管理者……神社の巫女は、一人しかいない。
北見菫:「……赤川くんはそっちからお願い。私は、こっちから見るから」
赤川累:「ああ、分かった。何か見つけたら、教えてくれ」
赤川累:「……」戸棚から、文書の一つを手に取る。乱雑に押し入れられて、表紙の端の折れ曲がったそれを直して。
赤川累:「……ったく、あいつ。本は大事に扱えって言っただろ」誰にともなく、呟く。……中を開く。
北見菫:「……」資料に目を通しながら、赤川くんの顔を盗み見る。あんなことがあって、まだ自分と言葉を交わしてくれるのか。
北見菫:自分のことをどう思っているのか。などと、聞けるわけもなく。
GM:古文書に書かれていたのは、20年前のレネゲイド覚醒以前から受け継がれてきた
GM:異能、遺産、それらを扱う神事についての記述。
GM:その多くは今の君達の知識では到底読み解け無いものばかりだったが
GM:何気なく開いた一冊、見覚えのある内容が目に留まる。
GM:そこには、戦中と思われる新聞の切り抜き
GM:『霧ノ神隠シ 夜間出歩キ 用心ノ報セ』という記事の欠片と
GM:その霧について、それ以前に軍部と接触を持った旨が記されていた。
GM:UGNの研修を受けた君は、直近のN市で発生した重大事件についても一通り聞き及んでいる。
GM:これはその中の、『霧事件』と呼ばれる警察が関与した事件の資料に酷似していた。
北見菫:「……どうかした?」
赤川累:「ああ。これ……"霧の神隠し"って」応じて、切り抜きの張り付けられた書物を机の上に開く。
北見菫:「霧……。関係、あるのかな」切り抜きを見つめる。
赤川累:「霧に包まれたものが、神隠しに遭ったみたいに消え去るって話だ。黒い霧とは書いてないが……今の状況に近い」
北見菫:「……とりあえず、二人に見せてみよう」
赤川累:「ああ。そう、だな……」
赤川累:「……」N市で起きた"霧事件"のこと。軍部への技術提供がされたという記録。結びつくものが見えなくもないが
赤川累:はかばかしい推論が出せる訳でもない。正規エージェントの意見を伺うという言葉には、ひとまず賛成する。
北見菫:「……」それ以上弾むべく会話もなく、沈黙を誤魔化すように残りの資料を眺める。
北見菫:外からの潮騒の音が、地下に反響して響いている。
北見菫:「……ごめんね」不意に、ぽつりと口を開く。
北見菫:「成り行きでも」
北見菫:「……顔を合わせるべきじゃなかった」
赤川累:「……なるほど。そういう風に考えていたのか」
北見菫:「……それ以外に、何があるのよ」
北見菫:「この場で殴られたって……ううん」
北見菫:「私は……あなたに殺されたって、文句は言えない」
赤川累:「俺は……君がどうなったのか、心配だった。他に思う事がないと言えば嘘になるけど……一番はそれだ」
北見菫:「心配、って……」
北見菫:困惑の表情を浮かべる。
赤川累:「……本当に殺す気なら、あの時に殺してる」
赤川累:「と言っても、覚えてないんだったか。……悪い」
北見菫:「……覚えてるわ。少しは」
北見菫:右腕を上げる。力なく垂れ下がる袖。
北見菫:「忘れたなんて、許されない」
北見菫:「私が皆を……」
北見菫:「澪央を、殺したんだから」
赤川累:「許されない……か」何かを思い出すように、その袖先をじっと見て。
赤川累:「俺も、自分の事が許せない」
赤川累:「君が澪央を殺した、と言うのが事実なら」
赤川累:「澪央が俺を庇って死んだ、と言うのもまた事実だ」
北見菫:「……」
赤川累:「……それに、何より」
赤川累:「あの島で、斗星朔夜の……"スターゲイザー"の一番傍に居たのも、俺だった」
赤川累:「何一つ……あいつの悪意に気付けず、碌に疑いもせず。あの島で起きた全てを見過ごしてしまった」
赤川累:「オーヴァードなんて言って……こんな異能があっても、俺にできた事は」
赤川累:「ジャームへと変わり果てた人を、終わらせてやる事ばかりで」
赤川累:「……元に戻してやれたのは、君くらいだ」
北見菫:「……それも……私がいなければ起きなかったことでしょ」
北見菫:「あいつを疑いもせず、いいように使われて、皆を殺して」
北見菫:「私が憎いでしょう、赤川くん」
北見菫:胸の内の憤懣を見透かしたように言う。
赤川累:「……そうだな。君のした事を、許したつもりはない」
赤川累:「だけど。"君がいなければ起きなかったことだ"なんて言って」
赤川累:「自分の過ちの全部を、君に押し付けるつもりもない」
北見菫:「……」その言葉を、むしろ顔を顰めて聞く。
北見菫:この世で自分の罪を正しく理解し、そして裁く権利があるのは、最早彼一人だ。
北見菫:罵り、罰してくれればどれだけ楽だったか知れないのに。それすら許してくれないのか。
赤川累:「……憎んで欲しいのか?」
北見菫:「……そうだよ」
赤川累:「俺に……君のやった事に、報いのようなものを与えて」
赤川累:「天秤の均衡を取るような……そういう真似を、期待していたのか?」
北見菫:「天秤なんて、もうとっくに壊れてるよ」
北見菫:「何をしたって償えないなら、せめて憎んで、慰めてくれたっていいでしょ」
北見菫:「そうじゃなきゃ、私。どうしていいか分からない」
北見菫:「……だから、会いたくなかったんだ」恨み言のように零す。
赤川累:「……」
北見菫:「……この事件が解決したとしても」
北見菫:「私達、もう。二人で会うべきじゃないね」
赤川累:「……君がそう思うなら、好きにしろよ」
北見菫:「そうする」
北見菫:自嘲気味に笑って、小さなバスケットを手渡す。
北見菫:「……お弁当。有島さんが作ってくれたから、食べて」
北見菫:「先に帰るから」
赤川累:「……ああ」少し躊躇ってから、それを受け取る。
北見菫:「……じゃあね」
北見菫:それだけ言って、地上へと上がっていく。
赤川累:「……俺は」その背中を見ながら、独り言のように。
赤川累:「俺のは、罪とか罰とかじゃない。ただの意地だ」
赤川累:「あいつが命懸けで守り通したものが、無価値じゃなかったって」
赤川累:「それを世界に証明したくて。だから、必死でやってる」
赤川累:「……君もそうかもしれないと思った、とまでは言わないけどな」最後の一言は、溜息のように零して。
GM:君達は別々に、神社を後にした。
浅葱島高校
GM:同じ頃、有島まひろ、太田止隆の二人は
GM:UGNが残した解析機器を起動するため、浅木島高校に足を運んでいた。
太田止隆:学校の机に、解析機器と接続したノート端末を広げ、何やら操作しつつ、弁当を頬張っている
有島まひろ:バスケットの中に個包装された、ロールパンと食パンで作ったサンドイッチだ。
有島まひろ:中身は卵やハム、冷凍の白身フライなどと、レタスときゅうりがサンドされている。
太田止隆:「……似たようなのは触ったことがある。何か異常がなければコケることはないだろ……あむ」
太田止隆:「美味い」
有島まひろ:「あ、ありがとう。安心しました」微笑む。
有島まひろ:「すっかり太田くんに頼り切りで、申し訳ないから、これくらいはねえ」
有島まひろ:ほう、とため息をつくように言う。
太田止隆:「緊張した状況下で、ちゃんとした食事を取れるかどうかは、精神的にも良く作用する」
太田止隆:「あっちも今頃よろしくやってるだろう。子供同士で積もる所もあるだろうしな」
有島まひろ:「……」こちらもサンドイッチを片手に持っているが、一口食べただけで手が止まっている。
有島まひろ:「そのことなんだけど」
太田止隆:「ん」
有島まひろ:「太田くん、浅葱島事件の資料は読んだって言ってたでしょう。それって、どれくらい把握してるのかしら」
有島まひろ:「累くんと、菫ちゃん。2人が、どんな立場だったかって、ご存じ?」
太田止隆:「……どんな立場だったか? 家のことくらいは把握しているが……」
太田止隆:「赤川は教会の一人息子。北見は診療所の一人娘。どちらも母親が不在」
有島まひろ:「……うん」
太田止隆:「赤川は"スターゲイザー"と極めて緊密に接触している。北見は"スターゲイザー"の働きかけで擬似的な……いわゆる"人格のみのジャーム"を発現し」
太田止隆:「結果的に浅葱島の全土、全島民を巻き込む大災害を発生させた。……他にも、単なる情報ならまだいくらかあるが」
有島まひろ:「いえ、いいわ。十分」瞬きする。
太田止隆:作業中のモニタをちらりと見て、サンドイッチを頬張る。そして視線は有島さんへ
有島まひろ:「…累くんと菫ちゃんは、元々知り合いだったのよ。その間には、一人の女の子がいて」
有島まひろ:「累くんの幼馴染で、菫ちゃんの親友だった、浅木澪央ちゃんって女の子。彼女もオーヴァードだったの」
太田止隆:「それも把握してる。有名無実化しているとはいえ、FHエージェントだったんだろう」
有島まひろ:「うん」
有島まひろ:「…太田くん」
太田止隆:「何だ」
有島まひろ:「澪央ちゃんが、暴れる菫ちゃんから累くんを庇って亡くなったことは知ってる?」
太田止隆:「……そうだったか。そこまでの仔細は気に留めていなかった。交戦の結果そうなったとは把握していたが」
有島まひろ:「まあ、そうよね…、報告書に、そんなことまで書いてないから」
有島まひろ:「…心配になってきた。やっぱり2人で行かせたの、失敗だったかしら………」
有島まひろ:オロオロと窓の外に目をやる。
太田止隆:「心配は理解するが、遅かれ早かれだな」
太田止隆:「俺や"ノギルーム"ならともかく、戦歴のない二人を単独行動させる訳にはいかない。かといって、その人間関係のこじれを気にして、俺たちどちらが二人に必ずつく、というのも」
太田止隆:「能率的でない。……今はまだ危険度が高くはない状態だ。何か起きても取り返しはつくんじゃないか」
有島まひろ:「……」笑う。「ありがと。心強いわ」
太田止隆:「お前を落ち着かせるために無根拠な楽観論を口にしただけだ。……北見のことは知らないが」
太田止隆:「赤川は軽々に取り返しのつかないことをする奴じゃないと俺は見ている。片方が冷静でいてくれれば、どうにかなるだろう」
太田止隆:「ま、俺は戦闘経験ばかり積み重ねてきたエージェントだからな。人間の機微に関してはお前の見立ての方が正確だろうが……」
太田止隆:サンドイッチを食べ切り、ノートPCのモニタを見て、一つ二つ操作する。モニタがまた、忙しく動き始める
有島まひろ:「私、あなたがここに居てくれて良かったって思ってるけどね」
有島まひろ:モニタを見ながらぽつりと言う。
太田止隆:「……さて。実際の所、俺は報告書の上のことしか知らないからな」
太田止隆:「最後に片を付けるのはあいつら自身で、それを助けられるのはやはりお前だろう」
有島まひろ:「……うん」
有島まひろ:手を差し伸べ続ける。そう決めた。たとえどういう結果になろうとも。
有島まひろ:あの日あの子と約束を交わした自分の、これはエゴだ。そう思っている。
太田止隆:「もちろん、そんな必要が発生しないのが一番だが。……ん、出たか」
有島まひろ:「……ん、どう?」太田くんの隣でモニタを覗き込みます。
太田止隆:いくつか操作して、観測結果がグラフィカルにモニタ上に表示される。口元を押さえ、せわしなくマウスで順繰りに確認し、モニタを凝視し
太田止隆:「……地球上だな」 ぽつりと漏らす
有島まひろ:「え? だって、ずっと観測されていなかったのよ」
太田止隆:「だが、少なくとも今この瞬間は、そうだ」
有島まひろ:「……」モニタをまじまじと見つめながら、髪をかき上げる。
太田止隆:「俺は当初、ここは何らかの要因で異なる次元に隔離された、島『だけ』の空間かと思っていたし……実際、そのような隔離が行われていた痕こそあるが」
太田止隆:「今は違う。辺りを満たす霧がもたらすのは、強力な重力異常と電波障害、その他レネゲイドへの干渉くらいで」
太田止隆:「……」 もぞりと椅子に座り直し 「……ここは地球上。霧の外には俺たちの知る地球が、恐らくある」
有島まひろ:「……………んんん」
太田止隆:「一応今、通信確認のタスクを走らせてるが……」
有島まひろ:「できそうなの?」
太田止隆:モニタの隅にFailedのポップアップが出る 「まあ、自動調整では駄目だな」
太田止隆:「この島を包む電波と重力の異常値を調べ、適切な値を入れて対応してやる必要があるが」
太田止隆:背もたれに身を預ける 「こんなの、UGN本部のエンジニアだってそうそうできることじゃない。事実上不可能だな」
有島まひろ:「あらまあ」
有島まひろ:「…まあ、島を3カ月も遮断された空間に閉じ込めていたような霧が相手だものね。そう上手くはいかないか」
太田止隆:「霧そのものをどうにかできればまだ希望があるかもしれないが、現時点では空論と言って良い」
有島まひろ:「とはいえ、さっきよりは前進してるわ」
太田止隆:「ああ。『通信で助けを呼ぶことは現在不可能である』という収穫があっただけで良しとするしかない」
有島まひろ:「うん……。そうね」ため息。
太田止隆:首を回しつつ 「それと、飛行機に関する痕跡も、目立つものは発見できずだ」
有島まひろ:「………」
有島まひろ:「そう」
太田止隆:「狼煙の一つでも焚ければ違うんだが、この霧ではそれもな」
太田止隆:ちらりと彼女を見て 「家族と言っていたが」
太田止隆:「子供もいるのか」
有島まひろ:「うん。11歳のお兄ちゃんと9歳の女の子」
太田止隆:また目を瞬かせる 「……そうか」
太田止隆:「北見のように、養子のような扱いでもなく……?」
有島まひろ:「あらあら、私、何歳だと思われてるのかしら」ころころと笑う。
有島まひろ:「実子です。うふふ、写真見る? かわいいのよ」
太田止隆:眉をひそめる 「そういうのじゃない。写真もいらん。作戦上不要だ」
有島まひろ:「あらあら」
太田止隆:「まったく……」 ノートパソコンに向かって、しばし(あまり意味のない)操作をした後
有島まひろ:「……心配かどうかって?」
太田止隆:「……そんなのは聞くまでもない」
太田止隆:「心配だろう。お前はそういうタイプだ」
有島まひろ:「うん」
有島まひろ:「すごく心配。すべて投げうって探しに行けるならそうしたいし、泣き叫べるなら泣き叫んじゃうかも」
有島まひろ:「自分の子供ですもの。オーヴァードじゃないしね……」
太田止隆:「俺自身にそういう感情はあまりない。家族の情だとかは分からんし、理解できては困るとすら思う。作戦上不要だからだ」
太田止隆:「が」 膝を組む 「そういう感情があり、それを大事にしている人間の重要性は理解しているつもりだ」
太田止隆:「無事であれば良い。……本当に一人で探しに行ったり、泣き叫んだりしない限りは、俺もそう思っておく」
有島まひろ:「ふふふ、しないわよ、大丈夫。そんなことができるほど、若くなくなっちゃったの」
太田止隆:「会ったのが若くなくなったあとで良かった」
有島まひろ:「………」
有島まひろ:「ふ」「ふふ。今の、口説いたの?」
太田止隆:「な」
有島まひろ:「ふふふ。冗談です、冗談」くすくす笑っている。
太田止隆:「……」
太田止隆:背筋が伸び、開きかけた口を閉じて、ノート端末もぱたんと閉じる
太田止隆:先ほどまでより厳かな口調で 「……ここでの調査は切り上げで良いだろう」
太田止隆:「戻るぞ。神社の調査結果を知りたい」
有島まひろ:「あらあら、怒らないで。謝るから」
太田止隆:「怒っていない。作戦上不要な感情を俺は持たない」
有島まひろ:「まあ、つれないこと」
太田止隆:厳しい表情を浮かべ、揺るぎない足取りでその場を後にする
有島まひろ:穏やかに微笑みながら、その背中についていく。
星の砂浜
GM:北見菫と別れた君は、同じ道を通って帰るのも気が咎めたのか
GM:漁港近くの海岸を、宛もなく歩いていた。
GM:往時であれば絶景と言うべき砂浜だが、現在の霧の中にあっては物寂しい景色が広がるだけだ。
赤川累:「……」今や海岸とも呼べなくなった異様なその景色を、横目に見やる。
赤川累:こうした様になってすら、風に潮の香りが乗っているのは。どこか不思議で、しかし懐かしさもあって。
GM:あまりにも見慣れた光景。それ故に、最初は気づかなかったが
GM:ふと、君は立ち止まる。
GM:忘れようのない、忘れたくても焼き付いて離れないあの日の記憶。
GM:ここは、彼女と……
GM:"星を見るもの"と、初めて出会った砂浜だ。
赤川累:……覚えている。忘れる訳にはいかないし、思い出さずにはいられない。
赤川累:(確か、あの辺りだったか……)感慨と呼ぶには些か冷え切った想いを胸に、防波堤へと視線を移す。
GM:すると、君はあることに気付く
GM:防波堤の影になった砂浜の上に、一筋
GM:足跡だ。真新しい足跡が残っている。
赤川累:「ん……?」
赤川累:目を見開く。見間違いかと目を擦りながら、足跡の方へと近づく。
GM:大きさから見て、女性か子供だろうか。
赤川累:(誰か……生存者が、この辺りに? いや……)
赤川累:(一人だけで、この砂浜に? あり得ない話ではないが……)一瞬ばかり、躊躇ってから。その足跡をたどり始める。
GM:それは、海岸から道路の方へと伸びて、途中で途切れている。
GM:その途切れた足跡の傍らに何かが落ちているのを、君は認めるだろう。
GM:端に辿り着くと、落ちているものもはっきり見えてくる。
GM:通信端末のようだ。ただし市場に出回っているものの中には見覚えがなく
GM:UGNで支給されているそれとも、外観が異なる。
赤川累:「これは……」警戒しつつ、それを手に取る。
GM:★『通信端末』を入手した。
GM:一般的なスマホとそう変わらないサイズだが、電源は入っていない。
GM:しばらく試してみたが、起動する気配はなかった。
赤川累:「……さっぱりだな。下手に弄って壊すのも不味いし、太田さん達に見せてみるか……」
GM:そうして、君が端末をしまうと
GM:ザッ ザッ
GM:砂を踏みしめる軽い音が聞こえる。
????:「あー!やっぱりここにいた!」
赤川累:「……」帰路へ向けた足を止める。警戒しつつ、振り返る。
赤川累:まさか、北見菫ではあるまい。他の遭難者であればいいが──
????:快活な声とともに、君の前に現れたのは、同年代の少女だ
????:真っ白なブラウスに、小麦色に日焼けした肌のコントラストが眩しい。短く切り揃えられた焦げ茶色の髪が塩風に揺れて、瞳にかかる。
????:そう、その瞳だけが───。
赤川累:「──」数秒、何が起きたとも呑み込めず。言葉を失う。
浅木澪央:「やっと会えたね。累」
浅木澪央:───浅木澪央。
浅木澪央:君をかばい命を落としたはずの、その少女の
浅木澪央:「ああ───」
浅木澪央:「おかえりなさい。累」
赤川累:「……澪、央」
赤川累:思わずその名を呼ぶ。……そんな筈はないと、理性が呼びかける。死人は蘇らないし、二度と喋る事もない。
赤川累:……本当に?一度は、あの縁側で息を吹き返しかけたのを見たのに?レネゲイドなどという、超常の体現に等しい因子がこの世界には満ちているのに?
浅木澪央:霧の中でも、日は落ち、夜が訪れる。
浅木澪央:闇の中で、かつて海の碧を讃えていたはずのその瞳だけが
浅木澪央:濁りきった血のように、紅く輝いていた。
GM:シーンを終了します。
GM:今回はロイスのみ可能!
赤川累:ううう と、取りたいが……次のシーンでにするわよ
北見菫:ほ 保留で……
有島まひろ:太田くんに取ります……
太田止隆:有島まひろ/○誠意/隔意
太田止隆:これで!
有島まひろ:太田止隆/誠意:〇/隔意/ロイス 同じくこれで
GM:OK!
【Middle4】
GM:ミドル4、先程の場面の続きからになります。
GM:全員登場可能ですが、
GM:まずはシーンプレイヤーの赤川くんのみ、登場して下さい。
赤川累:赤川累の侵蝕率を+10(1d10->10)した(侵蝕率:54->64)
赤川累:すみません上のなし!
GM:あいよ!
赤川累:赤川累の侵蝕率を+6(1d3+3->3+3)した(侵蝕率:54->60)
GM:どっちみち興奮してるようね
星の砂浜
浅木澪央:「おーい、累?」
浅木澪央:硬直する君の眼前で手を振る
赤川累:「あ……ああ」
赤川累:「久しぶり、だな……澪央」
赤川累:記憶の中の彼女と変わりなく振る舞うその姿に、気付けばそう返している。
浅木澪央:「ふふ、何ヶ月ぶりにかわいい幼馴染に会ったってのに愛想悪すぎない?」
浅木澪央:「ほれ、もっと情熱的になってもいいんだぞー」
浅木澪央:君の前で両手を大きく広げる
赤川累:「……」
浅木澪央:「……あれ?来ないの?」
赤川累:「その、悪い。……正直、どうしていいか分からないんだ」
浅木澪央:「しゃーないなあ、それじゃあ……」そのまま君へと近づき
浅木澪央:「えいっ」
浅木澪央:その胸元に飛び込み、抱きしめる。
赤川累:「3か月も前に、死んだと思ってた奴が、目の前で元気そうにして……う、わっ!?」
浅木澪央:「会いたかった……」確かめるように顔を埋めて
浅木澪央:「本当に、会いたかったんだよ。累」
赤川累:「……ああ」
赤川累:「俺だって、同じだよ。……会えるものなら、会いたかった」
赤川累:「だから、こんな風になって。驚いてるし……それ以上に、嬉しいし」
赤川累:「良かったな、って歓迎したい気持ちもある」
浅木澪央:「へへ、やったじゃん」
浅木澪央:「だったらもっと嬉しそうにしろよ~!おらおら~!」
浅木澪央:強引に君の頬をつまんで笑顔を作ろうとする。
赤川累:腕の中の体温と、懐かしい声音に。揺さぶられるものを感じながら。
赤川累:「む、っ……」そうやって、いつか最後にそうしたように、口角を吊り上げながら。
赤川累:「……澪央」
赤川累:君を見るその目は、どこか笑っていない。
浅木澪央:「んー?」
赤川累:「ごめん」
浅木澪央:方や笑顔を貼り付けたまま
浅木澪央:「なになに?なんか謝られることしたっけ?」
浅木澪央:「累が無愛想なのは別に良いんだよ?今に始まったことじゃないし……」
赤川累:「本当は……このままずっと、こうやってふざけ合っていられたら。どれほど良いか分からないけど」
赤川累:「俺は、お前を疑わなきゃいけない」
赤川累:あの時そうしなかったことが、自分が何より悔いている過ちだ。だから、二度目はない。
赤川累:そこに見過ごせない違和感があるなら、追及する。……相手が誰であっても、だ。
浅木澪央:「ほほー?」小さく首を傾げて
赤川累:「さっき……"おかえりなさい"って言ったよな」
赤川累:「俺達みたいに、あの黒い霧に巻き込まれてここに来た奴の言い方じゃない」
赤川累:「それは……」
赤川累:「なら……お前はずっと、ここに居たのか」
赤川累:「霧に呑まれて海から消えた、この浅葱島に」
浅木澪央:「そりゃそうだよ。"おかえりなさい"じゃん」
浅木澪央:「累がやっと此処に……」
浅木澪央:「"私の"浅葱島に帰ってきたんだから」
赤川累:「……お前の、浅葱島……?」
浅木澪央:「そうだよ」
赤川累:「……頼む。納得のいく説明をしてくれ」
赤川累:「俺が、ちゃんと澪央のことを信じられるように」
赤川累:嫌な予感が、繋がりそうになる気配を振り払いたくて。どこか縋るような声になって。
浅木澪央:「説明しろって言っても……」困ったように笑って
浅木澪央:「参ったなあ。私も教えてもらった通りにやってるだけでよくわかってないんだよな」
浅木澪央:「目が覚めたらこの島から誰も居なくなっちゃっててさ」
浅木澪央:「あーあ、このまま一人ぼっちかーって思ってたら」
浅木澪央:「よくわかんないけど、勝手に頭に浮かんできたんだよね」
浅木澪央:「この島の使い方とか、それにこの霧の使い方も」
浅木澪央:「どうすれば外に出られて」
浅木澪央:「どうすれば、累と一緒に居られるかも」
GM:彼女と会話する内、君はあることに気づくだろう。
GM:隔絶された霧の中でも、微かに風が吹き、木々が揺らめき
GM:自然の音が、本来なら耳に届いていた。
GM:それらが今は、一切聞こえて来ない。
GM:この空間だけが切り取られたかのように、静寂に包まれている。
赤川累:「……」
GM:《Eロイス:悪意の伝染》が使用されています。
GM:このEロイスは、浅木澪央が《ワーディング》を使用することで自動的に解除されます。
GM:現在、赤川くん以外のPCはシーンに登場できません。
赤川累:なるほどね……。
赤川累:「頭の中に声が聞こえて、教えてもらった……」
赤川累:「……"まるで、天使様が話しかけてくれたみたいに"か?」
浅木澪央:「天使様ぁ?」
浅木澪央:「ウチの宗派知ってる?それを言うなら神様だろっつ—の」
浅木澪央:「まあでもなんつーか、今はほら」
浅木澪央:「私が、この島の神様って言っても良いのかもね~、なんつって」
赤川累:「ああ……俺だって、らしくないこと言ったと思うよ」
赤川累:「……覚えてないのか? 北見さんが、どうなったのか」
浅木澪央:「……ねえ、累」
浅木澪央:「ずっと探してたんだよ」
赤川累:「……そうか」
赤川累:「この場所に連れて来たのも、お前がやったのか」
浅木澪央:「へへ、もちろん菫のことも覚えてるし」
浅木澪央:「それ以外ある?この島は私だって言ったじゃん」
浅木澪央:「本当に、ずっと探してたんだ」
浅木澪央:「最初は小さい穴しか開けられなかったけどさ」
浅木澪央:「何度も何度も何度も」
浅木澪央:「この人も違う、あの人も違うって」
浅木澪央:「本当は、皆食べたかったんだけど」
浅木澪央:「頑張って我慢したんだよ」
浅木澪央:「知らない人を連れてきても気使っちゃうしね」なんとも無いような表情で
赤川累:「食べた……?」
浅木澪央:「我慢したって言ってるでしょ」
赤川累:「……霧の中に消えたものがすぐに出て来たのは、そういう事か」
赤川累:「なら……俺達と一緒に飲み込んだ飛行機や他の人達も、元に戻したのか?」
浅木澪央:「あ~、あれはどうだったかなあ」
浅木澪央:「あんだけでかいのは初めてだから、吐き出すのも一苦労だし」
浅木澪央:「"あいつ"のお腹の具合次第かな」
赤川累:「……!」
赤川累:その、知らない誰かの生き死になんてどうでもいいと言った口ぶりに。
赤川累:いつか、彼女との間に見た隔絶を思い出して。
浅木澪央:「ああ、言ってなかったけ」
浅木澪央:「私さ、起きた時は一人ぼっちかーって思ったんだけど」
浅木澪央:「実は、一人じゃなかったんだよね」
赤川累:「……誰なんだよ、"あいつ"って」
浅木澪央:「ほら」霧の海を指差す
赤川累:その指が示す方へ、振り返る。
GM:ひた、ひた、と
GM:霧の中から、小柄な人影が浮かび上がってくる
?????:「こらー、澪央。アンタまた自分だけ好き勝手喋って、累君困ってるでしょ」
GM:褐色の肌に、焦げ茶の髪を後ろにまとめた、目の前の少女とよく似た印象の女性
GM:君の古い記憶に、もしかすると面影が残っているかも知れない。
浅木澪央:「母さんはうるさいなあ」
赤川累:「母さん、って……」
浅木真魚:「ごめんね累君。いつも面倒かけて」
浅木澪央:「覚えてない?うちの母さん」
浅木澪央:「おじさんが置いてってくれたんだ。寂しくないようにって」
赤川累:澪央の母親が、ずっと前に亡くなった事は覚えている。3か月前、なんてものじゃない。もっとずっとずっと、昔の話だ。
赤川累:「……覚えてるよ」
赤川累:「お前が見た事ないくらい泣きじゃくってて、びっくりしたんだ」
浅木澪央:「はぁ~?そんなのお互い様だし」
赤川累:「……もう、10年近く前の話だろ」
浅木澪央:「関係ないよ。ここに居るんだから」
浅木澪央:「ここならそれが出来るんだよ。現にほら……」
赤川累:「できる、って……」死者の蘇りなんて、そんな事が
GM:澪央の母の姿をしたモノがやってきた方向から、もう一人
GM:女性の人影が近づいてくる。
GM:スラリとした長身に、つややかな黒髪
GM:優しげな目元は、あの日
GM:灰になったはずの、君の……
浅木澪央:「じゃーん!累のお母さんでーす!」
赤川累:「あ……」もしも叶うのだとしたら……そんな都合のいい奇跡が、本当にあるのだとしたら
赤川累:自分は、それを否定できるだろうか。
赤川景:「…………」
赤川累:こうした光景を……夢に見なかったと、言えるだろうか。
赤川累:「かあ、さん……」
赤川景:母の面影を持つそれは、柔らかな笑みを浮かべたまま君の前に立つ
赤川景:「累……」
赤川累:「……本、当に」
赤川累:「帰って、来たの」
浅木澪央:「そうだよ」君の肩に指を沿わせる
浅木澪央:「みーんな帰ってきたの」
浅木澪央:「累が寂しくないように、皆帰ってきたんだよ」
浅木澪央:「だから、ほら」
赤川累:「……ああ」一歩、踏み出す。母の影の方へと。
赤川景:「……大きくなりましたね。累」
赤川景:母は変わらず微笑んでいる。
赤川景:まるで、その表情以外を知らないかのように、変わらず。
赤川累:「っ、そりゃ……4年、経ったからな」
赤川累:「ずっと、話がしたかった」
赤川累:「父さんと仲良くしろって……お願いだって、言ってたのに……」
赤川累:「俺、守れなくて……最後まで喧嘩したまま、父さんも死んで……」
赤川景:「良いんですよ」君の頭に手を置いて
赤川景:「あの人も頑固ですから。男同士だとぶつかることもあったでしょう」
赤川累:「……そう、だね」
赤川累:「最後の最後まで、頑固な人だった」
赤川景:「ふふ、累も大概ですよ。なんと言ってもあの人の子供なんですから」
赤川累:「……自覚はあるけどさ」
赤川景:「でも、ほら。もう良いでしょう?」
赤川景:「今まで一人でよく頑張りましたね」
赤川景:「これからはずっと……ずっと一緒です」
赤川累:「そうだね」
赤川累:「……本当に、こうやって」
赤川累:「死んだ人が、元の通りに帰って来られるんだったら……」
赤川累:「きっと、何もかもどうでもよくなってたと思う」
浅木澪央:「どうでもいいじゃん」
浅木澪央:「好きな人と一緒にいる以上に、大切なことなんてあるの?」
浅木澪央:「ねえ、一緒に居てよ。累」
浅木澪央:君に縋り付くように
赤川累:「……澪央」
浅木澪央:「もう、どこにも行かせたくない。ずっとそばにいて欲しい」
浅木澪央:「累は……」
浅木澪央:「累は、私が護ってあげるんだから」
赤川累:「……それ。また悪い癖だ」いつかのように、そう呟いて。
赤川累:「なあ、覚えてるか?」
浅木澪央:「なあに?」首を傾げて
浅木澪央:「私が累との思い出を忘れるわけ無いじゃん」
赤川累:「小学校に入る前の年だ。俺が足を滑らせて、服着たまま海に落ちて」
赤川累:「思いっきり溺れかけて……それで、お前に助けてもらった」
浅木澪央:「うん……うん。あったねそんなことも」
赤川累:「あの頃の俺、ガキだったからさ」
赤川累:「年の近い女の子に、そんな風に助けられて。……言ってしまえば、めちゃくちゃ悔しかったわけ」
浅木澪央:「へへ~ざま~みろ~」
赤川累:「そういう所が余計に煽ったのもあると思うけどな……!」
赤川累:「だから、それから……」
赤川累:「もう同じような事がないように、泳ぎの練習はしまくったし」
赤川累:「勉強をちゃんとやるようになったのも……お前に分からない所を教えられるのが、楽しかったからだし」
浅木澪央:「あはは、なにそれ初耳」
赤川累:「言ってないからな」
浅木澪央:「だったらもっと感謝してもらわんとな~ほれほれ」
赤川累:「……感謝だけじゃなくて」
赤川累:「俺は、お前に返したかったんだよ。……もっと、色々なものを」
赤川累:「それが結局、何だ。勝手に人を守って満足に死んでいきやがって」
赤川累:「また"護ってあげるんだから"なんて言われてもな」
赤川累:「俺は……そんなの、もう御免なんだよ」
浅木澪央:「ああ、本当」ケラケラと笑って
浅木澪央:「馬鹿だったよねぇ。私」
浅木澪央:「累の未来を守るなんて言っちゃってさあ。ふふ」心底おかしそうに肩を震わせる。
浅木澪央:「どんだけ張り切っても」
浅木澪央:「その時、累の隣に私はいないのにね」
浅木澪央:「ほーんと、馬鹿」
赤川累:「……」それを彼女自身が自嘲するなら、俺に止める権利なんてないけれど。
赤川累:「それでも、だ」
赤川累:「この世界で、本当に誰かを助けられるのは……ああいう馬鹿な奴の覚悟なんだって」
赤川累:「俺はそう思ってる。頑固だからな」
赤川累:「……まるで"神様"みたいに、都合のいい奇跡が」
赤川累:「人の夢を叶えて、救ってくれるなんて」
赤川累:「俺は……悪いけど、信じられない」
赤川累:《インスピレーション》を使用します。
GM:許可します。
GM:質問をどうぞ。
赤川累:質問内容は、「この蘇りのような現象の正体は何ですか?」で
GM:回答します。
赤川累:赤川累の侵蝕率を+2した(侵蝕率:60->62)
GM:まず浅木澪央については、死亡した彼女の肉体と、猗蛇祇神社に封じられていた祭神……RBのジャームが接続することで蘇生した存在であり
GM:彼女の肉体と記憶を有しているだけの、ジャームです。
GM:また、浅木真魚、赤川景の両名については
GM:彼女をジャーム化させたFHエージェントが所有する、自我を完全に白紙化した人間に特定個人の人格を植え付けることでその人物になりきることができる人形で
GM:君達とは縁もゆかりもない、そう思い込んでいるだけの赤の他人です。
GM:また、彼女たちは浅木澪央の眷属として既にジャーム化しています。
GM:開示できる情報は以上です。
赤川累:確認しました。ありがとうございます。
赤川累:「……ああ」母の振る舞いの節々に感じていた違和感が、形を結んでいく。果たして、
赤川累:「人が人のまま生き返る事は、きっとない」
赤川累:「俺自身も、あるいはもう」あの海辺で、いちど死んだ時から。
赤川累:「どこか壊れてしまっているのかもしれないけれど」
浅木澪央:「だからさあ……」ぐい、と
浅木澪央:君の服を掴んで、引き寄せる
浅木澪央:「人間じゃなくたっていいじゃん」
浅木澪央:ぞぶ、と
浅木澪央:少女の指が、彼女自身の脇腹に抉り込まれる
赤川累:「っ……!」
浅木澪央:ぐじゅ、ぐじゅ……と
浅木澪央:かつて、北見菫に貫かれた傷跡から、臓腑をかき回し
浅木澪央:そこからすくい上げた血で、唇に一筋
浅木澪央:赤黒い紅を引く
浅木澪央:「ねえ、累も一緒になれば良いんだよ」
浅木澪央:君の首の後に腕を回し
浅木澪央:「私と一緒に──────」
浅木澪央:唇を近づける。そこからは
浅木澪央:腐りきった魚の腹綿を煮詰めたような、おぞましい匂いがした。
赤川累:「……それ、でも」間近に迫った、その眼を逸らさないまま。「俺は、人じゃなくても」
赤川累:「この世界で、普通に暮らす事ができていた人達を」
赤川累:「巻き込みたくはない。……俺と同じには、したくない」
赤川累:同時。右腕に、力を籠める。風の凪いだ空気に、熱が走って
浅木澪央:止まらない。衝動のままに、君を我が物にしようと──────
赤川累:──その右腕を振るおうとして。まだ躊躇がある。肩を掠めて、熱が僅かに肌に触れて
赤川累:同時、腹部への衝撃。膝蹴りを叩き込んだ。
浅木澪央:「………!」
浅木澪央:たたらを踏んで後ずさる。しかし
浅木澪央:腹を擦るが、さしたるダメージが有るようには見えない。
赤川累:反作用に任せて、距離を取る。……大きく息を吐く。その目には、明白な敵意がある。
浅木澪央:「……へえ」
浅木澪央:「ほんっと、頑固だね。累は」目を細める
赤川累:「……お互い様だろ」
浅木澪央:「ちょっとぐらいならかわいいもんだけどさあ。流石に焦れちゃうかな。これ」
浅木澪央:目を閉じ、一度大きく息を吐いて
赤川累:「諦めろよ。俺は、お前と同じにはなれない」
赤川累:「お前の望むものは、もう手に入らない。……どうやってもだ」
浅木澪央:「そっか……」目を開ける。赤黒い煌めきが、より深みを増す。
浅木澪央:「───好きだよ。累」
浅木澪央:「けれど」
浅木澪央:「私のものにならない累は。大っ嫌い」
浅木澪央:《ワーディング》
浅木澪央:「だからこっからは、力ずくだ」
GM:浅木澪央から発せられた《ワーディング》が砂浜を、更には
GM:島全体を覆っていく。
GM:少女の周囲に、ひとりでに泡が浮かび上がり
GM:それはやがて解けて、霧となって周囲に立ち込める。
赤川景:「ウウ……アアアアアアアアアアアアア!!!!!」
赤川景:同時に、傍らにあった二人の女性もその姿を異形へと変質させる
赤川景:女性的なシルエットを僅かに保った、人魚のような怪物の姿
赤川景:君の母は、エラに当たる部分が燃え盛る炎で形作られており
浅木真魚:彼女の母は、周囲に風を纏い宙を泳ぐように旋回している。
GM:《Eロイス:悪意の伝染》が解除されました。以降、このシーンは全員登場可能となります。
赤川累:「……人形遊びはやめたのかよ」その変異を横目に見ながら。
赤川累:「我儘なやつだ。……本当に」拳を固め、構え直す。ここ数か月、訓練の中で繰り返した型。
赤川累:「その我儘の、十分の一でも。生きてる内に言ってほしかったよ」
浅木澪央:「おかしな事言うなぁ。累は」
浅木澪央:「どう見ても生きてるでしょ。私」
赤川累:「……それでも、お前はもう。元の澪央じゃない」
赤川累:「俺が手にかけた……父さんや、北見先生や。他の村の人たちだって」
赤川累:「"生きてはいた"よ」
浅木澪央:「……ふーん、そういうこと言うんだ。それじゃあ」
浅木澪央:澪央の周囲に霧が集まり始める「そんなの、何回でも作り直してあげる」
浅木澪央:「累もわかるよ。一回ぐちゃぐちゃになっちゃえばさ」
浅木澪央:澪央の腹から流れていた血が揮発し、霧に赤い色が混じり始める
赤川累:「変わり果てて、歪んでしまって……もう戻れないから」その血と霧から放たれるレネゲイドの瘴気が、ジャームのそれであると嫌でも分からせる。
赤川累:「終わらせるしかなかった……他に、ないんだ」初めて人だったものを殺してから、この数か月。何度となく自分に言い聞かせた言葉。
浅木澪央:赤川累を取り囲むように、じわじわと密度を上げていき……
北見菫:「……澪央!」不意に、少女の声が響く。
北見菫:見ると防波堤の上、砂浜を見下ろすように、北見菫が立っている。
浅木澪央:「………」気怠げに声の方を向く
北見菫:診療所に戻る途中、ワーディングを察知して引き返してきた。澪央の姿に目を見開いて。
浅木澪央:「……あ、菫じゃん」
赤川累:「っ……」そちらへ視線を移す。「北見さん!」
北見菫:「澪央……澪央だよね!?」
北見菫:防波堤から飛び降り、砂浜を駆け寄る。かつての病弱な姿からは考えられない身軽さで。
北見菫:「本当に……本当に澪央なの?嘘、なんで……」
浅木澪央:「わわっ、菫ったら慌てすぎ」かつてと同じ表情で笑う
浅木澪央:周囲に立ち込めていた霧は、僅かに薄らいでいる。
北見菫:「……!」その笑顔を見て、涙ぐんで。
北見菫:レネゲイド。超常の力の存在を、自分は既に知っている。
北見菫:炎や雷を操り、傷を癒し、時間すら支配する。
北見菫:ならば死んだ友人が生き返ることに、何の不思議があるというのか。
北見菫:「澪央……!」
浅木澪央:「砂浜でそんな走ったらコケるよ?唯でさえ菫はなよっちいんだから」
赤川累:「……違う」
赤川累:「違うんだ。北見さん……」
北見菫:「ごめん……澪央、私、私……」
北見菫:一筋涙が零れると、それは止めどなくなって。
北見菫:「ずっと謝りたくて……ううん、謝って済むことじゃないのは分かってるの、でも……」
北見菫:「……澪央……ごめんね、私……あなたを……!」
北見菫:膝を折り、縋り付くように泣きじゃくる。
浅木澪央:「うん」その肩に手を置いて
浅木澪央:「泣かないで良いんだよ菫……だってさ」
浅木澪央:菫の手を取り、屈んで目線を合わせる
浅木澪央:「私の方がお礼を言いたいくらいなんだもん」
北見菫:「……え……?」顔を上げる。
浅木澪央:その赤い瞳を、半月に歪めて
浅木澪央:「菫」
浅木澪央:「私を殺してくれて、ありがとう!」
北見菫:「……は……」
北見菫:何一つ理解できず、ただ唖然と呼気を漏らす。
北見菫:またいつもの冗談だろうかと、その顔を見て。
北見菫:「……何、言って……」
赤川累:「……っ」泣きじゃくり謝る少女の背に、かける言葉を躊躇していたが。「ダメだ北見さん! 澪央から離れろ!」
赤川累:「そいつは、元の澪央じゃない!」
北見菫:「赤川くん……?何言ってるの……」
北見菫:僅かに震える声で言う。
北見菫:「澪央は澪央じゃない……」
北見菫:目を背けるように、自分に言い聞かせるように言う。胸の奥で首を擡げる違和感を、必死に黙らせる。
赤川累:「俺達を、飛行機の人達やまひろさんの家族をこの場所に取り込んだ」
赤川累:「この島の霧を司る、ジャーム……"闇霧航路"だ」
浅木澪央:「ねえ、菫も帰ってきてくれたんだよね」
浅木澪央:「ああ、でもごめんね」
浅木澪央:「……本当は菫にも、家族を用意してあげたかったんだけど」
浅木澪央:ふと、上空を旋回していた異形に合図をする。
GM:ボトッ
GM:砂浜に、バスケットボール程の塊が落とされる
北見菫:「……」反射的に、それに目をやる。
GM:人間と海棲生物が合わさったような異形
GM:それは、ジャームの首だ。
GM:魚ではない。つるりとした黒い肌に、規則正しく並んだ牙は、鯱に似ている。
GM:かつて、北見菫の父、北見耕三がジャームとなった姿と同じものだ。
赤川累:「……ッ!」その姿に、見覚えがある。否、忘れる筈もない。
北見菫:「ひ────」
浅木澪央:「ちょっと失敗しちゃった」照れたように笑う。
浅木澪央:「私の血、あげすぎても上手く行かないみたい」
北見菫:かくん、と膝が折れ、砂浜に頽れて。
北見菫:「……あ…………ぁ……ッ…………」
北見菫:うまく力の入らない足で、這いずって『それ』から目を逸らし、逃れようとする。
北見菫:「嫌……澪央……澪央、何で……!!」
浅木澪央:「ああ、でも安心していいよ」
浅木澪央:その上から、朗らかな声を浴びせる
浅木澪央:「母さん達で結構慣れたから」
浅木澪央:「累や菫は、ちゃーんと」
浅木澪央:「私と一緒にしてあげるからね」
北見菫:「嫌、嫌ぁあっ……!」
北見菫:「ごめんなさい……!澪央、ごめんなさい……!」
北見菫:「何でもするから……そんなもの見せないで……!」
北見菫:震えながら、喉を詰まらせたようにひゅうひゅうと不規則な息をする。
浅木澪央:首をかしげる「どしたの?菫ってそんな泣き虫だったけ?」
浅木澪央:「それも一回死ねば治るかなぁ?」
北見菫:肘の先、失くした右腕を抑えつける。皆を、彼女を殺めた時の感覚が、甦ってきて。
北見菫:救いを求めるように澪央を見上げて
北見菫:「澪央……」
北見菫:涙でぐしゃぐしゃになった顔で、懇願する。
北見菫:「お願い……」
北見菫:「意地悪しないで……」
浅木澪央:「意地悪?変なこと言うね?」
浅木澪央:そう言って見下ろす笑顔は、いつかと何ら変わらない
浅木澪央:「せっかく菫が喜ぶと思ったのに……」
浅木澪央:「じゃあ言ってみなよ」
浅木澪央:「菫は私に、どうしてほしいのかな?」
北見菫:「……どう、して……?」一瞬、呆けたように言葉を詰まらせる。
北見菫:自分が彼女を殺したことは事実だ。それは彼女がどうあろうと覆ることではない。
北見菫:このような責め苦を受けるのも、当然のことだ。そうだ。自分は確かに、これを望んでいたはずだ。
北見菫:彼女に罰されたいと。自分の罪を責め、許さないと罵倒してほしいと。
北見菫:そう答えるべきだ。分かっている。その筈なのに。
北見菫:「……澪央……」
北見菫:結局、口から漏れるのは。
北見菫:「……許して……」
浅木澪央:「あ、わかっちゃったかも!」
浅木澪央:「許すも何も、恨んでないって言ってるのに」口を尖らせる
浅木澪央:「でもわかっちゃった。つまりこういうことだよね」
浅木澪央:「殺してほしいんでしょ」
北見菫:「……っ……」
北見菫:その顔を見る。例え冗談だろうと、彼女がそんな事を言うはずがない。
北見菫:だって、そうだ。自分は、この命は、澪央に助けてもらったのだから。
浅木澪央:「私にしてくれたみたいに、一回死んで楽になりたいんだよね」
浅木澪央:「うん、きっと菫も気にいるよ。それまで悩んでたり、我慢してたことが馬鹿らしくなるくらい」
浅木澪央:「とっても、気持ちいいからさ」頬を赤らめて笑う。
北見菫:記憶と変わらぬその笑顔に、却って決定的な変質を。
北見菫:かつての彼女と違うものがその身体を支配していることを、どうしようもなく理解してしまう。
北見菫:「う……」
北見菫:「げぇ、ええっ」
北見菫:込み上げてくるものを堪えきれず、胃の中身を砂浜にぶちまける。
赤川累:「……もう、分かっただろ」崩れ落ちた北見菫の前に、庇うように立って。
赤川累:「無理はしなくて、良いから。……逃げてくれ」
赤川累:「こいつは、俺が止める」
北見菫:「……」赤川くん、と口に出そうとして。それすら出来ない。
浅木澪央:「汚いなあ、せっかくの砂浜が台無し」片手を上げる
浅木澪央:「それじゃお母さん。やっちゃって」
赤川景:「ガアアアアアアアアア!!」
浅木真魚:「ゥウウウウウウウウウウウウウ!!」
GM:2体の怪物が、上空から二人に襲いかかる。
北見菫:逃げるにも戦うにも、動けずにいる。何も出来ず蹲ったまま。
赤川累:「……っ!」菫を庇うように立ち、右腕を構え迎え撃とうとして。
赤川景:異形の人魚が、燃え盛る身体で二人を抱擁せんと手を広げ───
有島まひろ:1d3+3+49
DoubleCross : (1D3+3+49) → 3[3]+3+49 → 55
赤川累:──頭上、振るわれたその腕を掴み止める。芯まで焼き焦がすような熱が怪物の手首を灼く。
浅木真魚:その上から、風を纏った鉤爪が二人を掴み上げようと迫る。
赤川累:「ぐ、っ──!」両手の塞がった状態で、抗する手段はない。
赤川累:「く、そっ……!」受け止めたまま足を摺り退き、無理矢理に菫を庇うように動こうとして──
有島まひろ:何もないと思われた宙が揺らぎ、蝙蝠のような巨大な羽が広がって頭上から影を落とす。
有島まひろ:「───させないわよ!」羽が盾のように自在に動き、鉤爪を弾き飛ばす。
浅木真魚:「ゥウ……!?」はじき出され、澪央の傍らへ退く
北見菫:その声に僅かに顔を上げる。
北見菫:「……まひろ、さん……」
有島まひろ:「菫ちゃん!」
太田止隆:太田止隆の侵蝕率を+5(1d3+3->2+3)した(侵蝕率:56->61)
太田止隆:剣からの炎の噴出と、上昇気流の操作。
太田止隆:"ノギルーム"に一歩遅れるよう調整してその場に到達した太田は、双身剣の片方に燃え盛る炎を宿して、
太田止隆:「——!」 横一閃。赤川くんの止めている、彼の母の記憶を埋め込まれた怪異を両断せんとする。
赤川景:「ガ……アアアアア!!」たまらず出鱈目に身体を暴れさせ、間一髪腕を振り解いて後ずさる
太田止隆:回避されても、動きは止まらない。そのまま大きく燃える剣を振るえば、自らと、異形従える少女との間に炎の壁がにわかに立つ。
太田止隆:ささやかな防壁だ。剣を握り直し、その表にUGNのエンブレムが刻まれた盾を構えて。
赤川累:「あ、っ……」拮抗していた力が崩れて、姿勢を立て直し。
赤川累:「太田さん……有島さん」新たに乱入した二人の姿を確認する。
浅木澪央:「UGN……」
太田止隆:「赤川」
太田止隆:「5秒で答えろ」
太田止隆:「彼女は、保護するべき相手か、倒すべき敵か」
赤川累:「それは──」
赤川累:「──敵、です」
太田止隆:……炎の壁が収まり、彼我互いの姿が露わになる。 「……よし。十分だ」
有島まひろ:2人の会話を横に、菫ちゃんを抱きしめる。
北見菫:「……っ……」
有島まひろ:「大丈夫よ。大丈夫」
北見菫:呆然とされるがままに。
有島まひろ:「……死者は蘇らない。あなたは、もう、誰も殺さなくていいの」
北見菫:「う」
北見菫:「う、うぅ……えぇ……」
北見菫:敵を前にして、それでもそのあたたかさに、張り詰めていたものが緩んで。ぼろぼろと大粒の涙を零す。
有島まひろ:「……」抱きしめる力が強くなる。
有島まひろ:「………菫ちゃん。あそこにいる人たちは、あなたの知ってる人じゃない」
有島まひろ:「だから………、私は、彼女達を眠らせてあげたい」
北見菫:腕の中で必死に嗚咽を堪えて。「私、も……」
北見菫:「……戦います。……私も」
有島まひろ:「……分かった」
北見菫:「澪央も、私を……助けてくれたから……」
北見菫:「ここで逃げたら……きっと、死ぬより後悔する」
有島まひろ:「……うん」微笑む。「その調子だわ。戦いましょう、一緒に」
北見菫:「……はい」堅く目を瞑り、そして開く。
北見菫:「一緒に」
浅木澪央:「はぁ、違いますよ。まひろさん」冷たい声色で
浅木澪央:「菫と累は、私と"一緒に"ここで暮らすんです」
浅木澪央:「邪魔しないでもらえません?それとも」
浅木澪央:「まひろさんも一緒にいてくれるなら、私はとっても嬉しいですけど」
有島まひろ:「あら、ありがとう。そうね、女同士の話をしましょうって約束、果たせなかったもの」
有島まひろ:「でも、澪央ちゃん。ちゃんと累くんとお話できたのかしら?」
浅木澪央:「もちろん!たくさん話しました」
浅木澪央:「そうだよね?累」
浅木澪央:「私の気持ち、ちゃんと伝わったでしょ?」
赤川累:「ああ。……よく分かったよ」
赤川累:「俺は、お前を止めなくちゃいけないって事が」たとえ、もう一度死なせる事になっても。
赤川累:「……北見さん」視線は逸らさないまま
赤川累:「君の気持ちは分かった。戦いたいと言うなら、止めはしない」
赤川累:だけど。
赤川累:友達の為に戦うという、頑なな決意を聞いて。その姿を重ねずにはいられなくて。
赤川累:「……それでも、どうか」
赤川累:「君は、死なないでくれよ」
北見菫:「……誰が死ぬもんか」
北見菫:涙を拭い、ゆっくりと立ち上がる。
北見菫:「私は、澪央に助けてもらったから」
北見菫:「どれだけ辛くたって……絶対に生きなくちゃいけないの」
北見菫:「ただ」
北見菫:息を吸って、変わり果てた友人を見据える。
北見菫:「ここで澪央を救えないなら」
北見菫:「死んだほうがマシよ」
浅木澪央:「わかんないかなあ……」赤黒い霧が再び立ち込める
浅木澪央:「私が救ってあげるって言ってんの」
浅木澪央:「神様だからね」
GM:───ミドル戦闘を開始します。
GM:エンゲージはこちら
エンゲージ
浅木澪央[5] 浅木真魚[6] 赤川景[7]
(5m)
赤川塁[15] 北見菫[6] 有島まひろ[5] 太田止隆[10]
GM:セットアップから!宣言をどうぞ!
太田止隆:ないさ!
北見菫:なし!
有島まひろ:なしよ!
赤川累:なし!
赤川景:《ブラッドコート》HP6消費 ラウンド中装甲値を+12
浅木真魚:《スタートダッシュ》《一声散開》
浅木真魚:浅木澪央と一緒にPCのエンゲージへ戦闘移動
浅木澪央:《フルディフェンス》《フルパワーアタック》
浅木澪央:ラウンド中リアクション、オートアクションの判定ダイス+10、攻撃力+20
エンゲージ
赤川景[7]
(5m)
浅木澪央[0] 浅木真魚[6]
赤川塁[15] 北見菫[6] 有島まひろ[5] 太田止隆[10]
GM:そしてイニシアチブに行く前に
浅木澪央:《Eロイス:衝動侵蝕》
浅木澪央:PCは衝動判定を行って下さい。難易度は9。
浅木澪央:失敗した場合、吸血の変異暴走を受けてもらいます。
太田止隆:9dx+1=>9
DoubleCross : (9R10+1[10]>=9) → 10[1,2,3,3,4,5,5,7,10]+4[4]+1 → 15 → 成功
有島まひろ:えっすご
太田止隆:2d10
DoubleCross : (2D10) → 4[1,3] → 4
太田止隆:太田止隆の侵蝕率を+4した(侵蝕率:61->65)
北見菫:48+1D3+3 登場侵蝕忘れてたのでここで
DoubleCross : (48+1D3+3) → 48+1[1]+3 → 52
北見菫:2DX>=9
DoubleCross : (2R10[10]>=9) → 10[4,10]+8[8] → 18 → 成功
北見菫:意志つよつよ
北見菫:52+2D10
DoubleCross : (52+2D10) → 52+9[2,7] → 61
有島まひろ:1dx>=9
DoubleCross : (1R10[10]>=9) → 7[7] → 7 → 失敗
有島まひろ:55+2d10
DoubleCross : (55+2D10) → 55+7[2,5] → 62
赤川累:4dx+1>=9 思い出の一品使用
DoubleCross : (4R10+1[10]>=9) → 10[4,6,7,10]+1[1]+1 → 12 → 成功
赤川累:赤川累の侵蝕率を+15(2d10->9,6)した(侵蝕率:62->77)
GM:キミらやるね……
赤川景:《ストレイトブラッド》
赤川景:ブラッドコートの効果を解除し、北見さんの達成値を-12します
北見菫:なんでぇぇ
GM:吸血の変異暴走を受けているキャラクターは、いかなる方法でもHPを回復できません。
有島まひろ:えぇぇぇぇぇぇ
北見菫:我ら渇きの主シスターズが……
GM:通常手番で暴走解除するか、一回戦闘不能になれば治ります。
赤川累:親子じゃなくて姉妹だったとはね
有島まひろ:はーい
浅木澪央:「ふ……あははははは!!」
浅木澪央:腹部の傷跡を抉り、血の霧を撒き散らす。
浅木澪央:それは、レネゲイドの暴走を誘引する魔性の血
浅木澪央:正常な精神を持つ者であっても、その血を更に啜り、飲み込みたいという欲求を喚起する
太田止隆:盾を構えた左半身を前へ。呼吸を静かに、少女を見据える。
太田止隆:(……形は違うが、衝動の喚起。常通りで対応できる)
有島まひろ:「────っ………」元々吸血の衝動を持つ自分には、それはあまりに相性が悪かった。
有島まひろ:顔をしかめる。内なるレネゲイドの因子が高揚し、血を求め始める。
赤川累:「く、っ……」彼女の血に危険性がある事は予想がついていた。それでも、空気を媒介として伝染するそれを完全に防ぐ事は難しかった。
赤川累:目先が眩む。抑えた呼吸の隙間から入り込んだその熱を、結局は精神力によって耐え忍ぶ。
北見菫:「澪央……」自身の抱く殺戮衝動を抑えるだけでも、最低限の訓練を受けたに過ぎない。
北見菫:覚えの無いそれに対応できるはずもなく、澪央の腹から流れる血の匂いに意識を奪われる。
浅木澪央:各々が衝動に抗った一瞬の間に、間合いを詰めている。
浅木澪央:かつて携えていた剣ではなく、今はその身から溢れ出る血が、臓腑が
浅木澪央:触手のようにのたうち、鋭い切っ先を君達に向ける。
浅木澪央:「もっと浴びさせてあげる」
浅木澪央:「そして、みんな一緒になろうよ」
赤川累:「っ……しばらく見ない間に、随分。趣味が悪くなったよな」耐えきった後、強がるように口にして。
GM:
GM:イニシアチブ15 赤川くんの手番です
赤川累:はい。
赤川累:マイナーはなしで
赤川累:メジャー:塵灰回帰/《コンセントレイト》《インスタントボム》《コンバットシステム》《ブラストフォーカス》
赤川累:対象は浅木澪央。
GM:妨害なし!判定しな!
赤川累:7dx+5@7 命中!
DoubleCross : (7R10+5[7]) → 10[2,3,3,4,6,6,9]+5[5]+5 → 20
浅木澪央:《復讐の刃》
浅木澪央:赤川くんにリアクション不可の反撃
浅木澪央:17dx7+4
DoubleCross : (17R10+4[7]) → 10[1,2,2,3,4,4,4,5,5,6,6,7,8,9,9,10,10]+10[1,2,4,9,9,9]+10[4,4,7]+2[2]+4 → 36
太田止隆:その《復讐の刃》には《炎陣》でカバーリング!
浅木澪央:よかろう
太田止隆:よってダメージはこっちでもらいます
浅木澪央:ダメージ出します!
赤川累:ありがとう~!
赤川累:こっちもダメージ出します
赤川累:3d10+27 装甲無視
DoubleCross : (3D10+27) → 14[5,8,1]+27 → 41
浅木澪央:4dx+21
DoubleCross : (4R10+21[10]) → 9[2,4,7,9]+21 → 30
浅木澪央:しょっぱ…
赤川累:dxになってる……
太田止隆:UGNボディアーマーの装甲8込みで22点被弾。問題なく耐える!
太田止隆:あっ
GM:あっ
GM:すいません振り直します
浅木澪央:4d10+21
DoubleCross : (4D10+21) → 22[5,10,5,2]+21 → 43
赤川累:敵に塩送っちゃったぜ
太田止隆:UGNボディアーマーの装甲8込みで35点被弾。無理!
太田止隆:《リザレクト》
太田止隆:太田止隆の侵蝕率を+2(1d10->2)した(侵蝕率:65->67)
太田止隆:太田止隆のHPが2になった(HP:32->2)
浅木真魚:《波紋の方陣》
浅木真魚:浅木澪央へのダメージを軽減します
赤川累:ぬぬーっ
浅木真魚:41-6d10
DoubleCross : (41-6D10) → 41-38[10,8,7,3,4,6] → 3
太田止隆:減るなあ!
有島まひろ:すっごい減らしたね!?
赤川累:え~めっちゃ仕事するじゃん
浅木澪央:3ダメージ!そして
浅木澪央:《Eロイス:黒き歓び》ダメージを受けるごとに、このシーン中浅木澪央が行うあらゆる判定の達成値を+2する。
浅木澪央:《Eロイス:死は甘きもの》浅木澪央がダメージを受けた場合、ダメージを与えたキャラクターの侵食率は3上昇する。
赤川累:め、めちゃくちゃしやがる
浅木澪央:常時効果としてこの二つが発動しています
赤川累:赤川累の侵蝕率を+12した(侵蝕率:77->89)
赤川累:今のがエフェクト使用分で
赤川累:赤川累の侵蝕率を+3した(侵蝕率:89->92)
太田止隆:ヒエー
赤川累:これがEロイス分
太田止隆:《炎陣》の分侵蝕増加
太田止隆:太田止隆の侵蝕率を+2した(侵蝕率:67->69)
GM:では演出!
赤川累:「──!」迫りくる浅木澪央の歩みに応じて、こちらも踏み出している。
浅木澪央:「あは───」
浅木澪央:「いいよ、来て。累」立ち尽くしたまま、構えは取らない
赤川累:滑るような歩み、懐へ。左手が少女の肩へと伸びて掴んで
赤川累:二歩目。自身の肉体を灰化しながら発熱する右腕を、泳ぎ掻くような動きから
赤川累:「──ら あッ!」少女の頭部めがけて突き出している。
浅木澪央:ボウッ、と
浅木澪央:灼熱の拳を受けて、顔の半分が炭化する
赤川累:今度こそ躊躇はない。一息に命を刈り取ると決めた攻撃。……だったはずだ。
浅木澪央:「あは」しかしそのまま、腕を振り上げ
浅木澪央:「ありがとう。累」
浅木澪央:「お返ししてあげるね」
赤川累:「ッ──!!」
浅木澪央:ぎちり、と触手が赤川くんの四肢を縛り上げ、動きを封じ
浅木澪央:そのまま、頭部めがけて腕を振り下ろす。
太田止隆:その攻撃へ、横合いから割って入る。炎を纏っている方とは逆、氷の鋭刃を振るって触手を断ち、
太田止隆:盾でその一撃を阻もうとして (……長い! これでは諸共か!)
太田止隆:すんでの所で赤川くんを蹴り飛ばし、振り下ろされる打撃を無防備な肩で受ける。
浅木澪央:ザクリ、鋭く変質した爪が方の肉を抉る。
赤川累:「……!」一瞬の光景、その意を汲み取って。蹴り飛ばされた方向へ転がり、距離を取る。
太田止隆:「ッ……」 歯を軋らせ、声を噛み殺す。深く臓腑まで食い込んだ触手を、やはり勢いよく振るう氷の刃で切断し、
太田止隆:身体に刺さったままの触手の残骸を、突き刺さった所から燃やし、灰へと返す。受けた傷も、同様に焼き塞ぐ。
赤川累:「太田、さん……」立ち上がり、構えを取り直して。その姿が目に入る。
赤川累:防御能力者としては一級と聞いていた、その彼が。一撃でこれ程の深い傷を負っていて。
浅木澪央:「さっきからあなた……」
浅木澪央:「一体何者ですか?累に対して偉そうに指図しちゃって」
浅木澪央:炭化した顔の反面に手を当てる。霧が集まり、一瞬で元の姿に戻る。
太田止隆:「……UGNエージェント。"ナイトバイポーラー"。この任務では"シンダーテイカー"、赤川累の同僚だ」
太田止隆:「が」 双身の剣を構え直して 「別にそんなことを聞きたい訳じゃないだろう。いや、そもそも『聞きたい』ですらない」
太田止隆:「……ただ邪魔だと思ってるんだろう? 俺だけは」
浅木澪央:「なーんだ、よくわかってるんじゃないですか」
浅木澪央:「その通りです。あなたは私の島にはいらないので」
浅木澪央:「ぐちゃぐちゃの団子にして魚の餌にしてあげます」
GM:イニシアチブ10 太田さんの手番です。
太田止隆:攻撃ヘナヘナだけど待機して良くなる見込みもないなー 攻撃しよう
太田止隆:《コンセントレイト:ノイマン》+《コントロールソート》。バトルガーディアンで攻撃。対象は浅木真魚!
GM:こい!
太田止隆:9dx8-4
DoubleCross : (9R10-4[8]) → 10[1,2,4,5,7,8,8,9,10]+10[7,7,8,10]+6[1,6]-4 → 22
GM:あ、真魚の方ね
太田止隆:そうです!
浅木澪央:《獣王の献身》
太田止隆:エーッ
浅木澪央:からの《復讐の刃》
太田止隆:そんなことしなくて良いんだよ、澪央ちゃん
浅木澪央:対象をこちらに変更し反撃します
浅木澪央:17dx7+6
DoubleCross : (17R10+6[7]) → 10[1,2,2,2,3,4,5,6,6,6,7,8,8,9,9,9,10]+10[1,1,2,3,7,9,10]+5[2,2,5]+6 → 31
太田止隆:3d10+11
DoubleCross : (3D10+11) → 15[7,5,3]+11 → 26
太田止隆:諸々有効
浅木真魚:《Eロイス:ありえざる存在:雲散霧消》
浅木真魚:そのダメージを-30
太田止隆:ククク……ダメージを無効化したな。Eロイスは発動しない!
浅木澪央:4d10+21 諸々有効
DoubleCross : (4D10+21) → 27[7,10,2,8]+21 → 48
太田止隆:まあ……一方的に殴られるのだが……
太田止隆:グエーッ、耐えられません。《リザレクト!》
太田止隆:太田止隆の侵蝕率を+1(1d10->1)した(侵蝕率:69->70)
太田止隆:太田止隆のHPが1になった(HP:2->1)
太田止隆:エコ
GM:省エネがよ……
GM:演出をどうぞ!
太田止隆:「田舎の神秘者が排外的なのは当然だが……」
太田止隆:「……!」 そこまで言って、前触れ無く大きな動きを見せる。目の前の彼女に向けて、ではない。
太田止隆:狙いは浅木真魚を装っていた怪異だ。それが先の赤川の攻撃を阻んだ防御の起点であることは見えていた。
太田止隆:背後に向けた剣が火を噴き、ジェット噴出の勢いでその怪異へと迫る。
浅木澪央:「ダメですよ」その飛躍よりも早く
浅木澪央:怪物と入れ替わるように、太田さんの頭上に身を翻し
浅木澪央:「それ、私のなんですから」
太田止隆:(速い) そして、彼女の攻撃も見えている。噴出を調整し、速度を緩めつつ頭上を狙う。機動ではなく迎撃へ。
太田止隆:強引に転回しつつ、攻撃は受ける覚悟の上で、凍てつく鋭刃にて彼女を斬撃せんとする。
浅木澪央:それに交差するように、手刀を突き出す。
浅木澪央:凍てついた刃は過たず少女の頭蓋を両断したかに見えたが
浅木澪央:その刃が通った瞬間、ざらりと
浅木澪央:少女の頭部が霧となって形を崩し、斬撃を素通りさせる。
太田止隆:(幻覚……ではなく、本当に霧化したか!)
太田止隆:ただでさえ無理な攻撃変更だ。その反撃を防御する余地はない。
浅木澪央:「今度こそ、取っ……」
浅木澪央:心臓を刳りぬく軌道、そのつもりであったが
浅木澪央:少女の腕は、その上の胸板の肉を抉るに留まる。
浅木澪央:着地「……しぶといですね。それに」
浅木澪央:指先についた血を舐め取る「……美味しくない」
浅木澪央:「やっぱりいらないです」
太田止隆:「ッ」 息を呑み、勢いのまま数歩距離を取り、肩越しに盾を構え直す 「……フ」
太田止隆:「確かに自然とは縁のない人生だったな。不味くもなるかもな」
太田止隆:「得な体質だ。人を食う奴に味で気に入られる必要など、まず有り得ん」
GM:続いてイニシアチブ7 赤川景
赤川景:マイナーなし、メジャー《コンセントレイト:サラマンダー》《氷の塔》《紅蓮の衣》
赤川景:PC達に範囲攻撃。ガードした場合与えるダメージ+10
赤川景:6dx7+4
DoubleCross : (6R10+4[7]) → 10[1,5,8,8,9,9]+5[2,3,5,5]+4 → 19
北見菫:暴走リアクション不可!
有島まひろ:暴走リア不!
赤川累:ドッジします
赤川累:4dx+1>=19
DoubleCross : (4R10+1[10]>=19) → 7[2,5,6,7]+1 → 8 → 失敗
赤川累:だめ!
有島まひろ:累くん~っ
太田止隆:ガードします。《八重垣》+《氷盾》。そして《炎陣》で赤川くんをカバーリング。
太田止隆:ギャリソンズシールドとエバースタンドの特殊効果も双方使用
GM:やる気じゃん……
赤川景:ダメージ出します
赤川景:2d10+15 ガードした場合+10
DoubleCross : (2D10+15) → 4[1,3]+15 → 19
赤川景:ゲ~!
太田止隆:氷盾15、武器ガード10、ギャリソンズシールドで8、エバースタンドで10。計43。問題なし!
赤川累:頼もしすぎる……
有島まひろ:かっこよ…
有島まひろ:こちらHP12で生存!
北見菫:北見菫のHPを11した(HP:30->11)
北見菫:生存!
太田止隆:太田止隆の侵蝕率を+7した(侵蝕率:70->77)
赤川景:燃え盛る鰓を持つ人魚が、祈るように両の手を合わせる
赤川景:君達の周囲の霧が凝固し、泡となり
赤川景:それが割れた瞬間、内側から夥しい炎が吹き上がり、君達を取り囲んで焼き尽くそうとする。
太田止隆:「……熱量なら!」
太田止隆:赤川くんを庇うように踏み込みつつ、盾でまず第一波を防御。
赤川累:「……!」元より自分のこれは、防御には向かない能力だ。だから、分かっている。
赤川累:連携上の単純な合理として、彼が盾のように動く事も。せめてその負担が小さくなるよう、身を屈めて陰へと入り込む。
赤川景:防がれた炎は群れをなす魚の姿となって、再び殺到する
太田止隆:さらに冷気の壁を立てて勢いを弱め、激しい勢いで氷の剣を振るい、炎の魚を切り払う。
太田止隆:煌めく冷気の残滓が、炎の残骸すら余さず沈める。
太田止隆:(……しかし、この勢いだと守れるのはここまでだ)
赤川景:無数に別れた炎の魚は、勢いを削がれながらもその盾を掻い潜り、周囲に熱をばら撒く
北見菫:「く……!」菫の周囲を冷気が取り囲み、不可視の壁として炎を相殺する。だが噴き上がる高温の蒸気に皮膚を炙られ、苦悶の声を漏らす。
有島まひろ:「……っ!」冷気を逃れた炎の魚が殺到し、身体を焼く。
GM:イニシアチブ6 北見さんの手番です
北見菫:マイナーで≪赫き剣≫
北見菫:北見菫の侵蝕率を+3した(侵蝕率:61->64)
北見菫:北見菫のHPを9した(HP:11->9)
北見菫:メジャーで≪コンセントレイト:ブラム=ストーカー≫+≪鮮血の一撃≫+≪ブラッドボム≫
北見菫:対象は……澪央!
北見菫:北見菫の侵蝕率を+5した(侵蝕率:64->69)
GM:こい!
北見菫:7DX8+4
DoubleCross : (7R10+4[8]) → 10[1,3,6,7,7,8,10]+4[2,4]+4 → 18
北見菫:北見菫のHPを7した(HP:9->7)
浅木澪央:《復讐の刃》
浅木澪央:17dx7+6
DoubleCross : (17R10+6[7]) → 10[1,1,2,2,3,4,5,6,6,6,8,8,9,9,9,9,10]+10[1,3,4,6,7,9,9]+10[3,7,7]+10[8,10]+10[5,8]+3[3]+6 → 59
北見菫:ふぎゃあ~
北見菫:ダメージ!
浅木澪央:6d10+21
DoubleCross : (6D10+21) → 30[1,2,4,9,6,8]+21 → 51
北見菫:2D10+10 ダメージで更に3D点HPを失う
DoubleCross : (2D10+10) → 12[10,2]+10 → 22
北見菫:死ぬのでリザレクト
北見菫:69+1D10
DoubleCross : (69+1D10) → 69+1[1] → 70
浅木澪央:まだ生きてます
GM:皆省エネだね……
北見菫:ブラッドボムをくらえ!
浅木澪央:3d10
DoubleCross : (3D10) → 5[3,1,1] → 5
北見菫:嘘でしょ
浅木澪央:ラッキー!
北見菫:澪央~ッ
北見菫:死は甘きもので侵蝕上昇
北見菫:北見菫の侵蝕率を+3した(侵蝕率:69->72)
浅木澪央:HPクソ雑魚なので実はだいぶピンチだけとギリ生きてます
北見菫:あとフィードバックでこちらもまた死亡
北見菫:72+1D10
DoubleCross : (72+1D10) → 72+3[3] → 75
北見菫:自分が心を支配されていた──ジャームだった時のことを、思い出す。
北見菫:殺戮の衝動に呑まれるがまま、大勢の人を殺した。それを疑問にも思わなかった。
北見菫:おぞましい、人を辞めた怪物の思考。自分では抜け出すことも出来なかっただろう。
北見菫:救い出してくれたのは、ただ一人の友人──浅木澪央だ。
北見菫:自分の場合は、それは表層に植え付けられた意識に過ぎなかった。だからこうして、もう一度戻ってくることが出来た。
北見菫:けれどもし、人であることを捨て切って、その思考が存在の本質となっていたとしたら。
北見菫:他でもない彼女が……澪央が、そうなっているのだとしたら。
北見菫:この世界に、これほど悲しくて、許せないことがあるだろうか。
北見菫:「……澪央」
北見菫:腕を伸ばす。半ばから失った右腕を。
浅木澪央:「ふふ、菫」
浅木澪央:迎えるように腕を広げる
北見菫:全身から鮮血が螺旋を描いて収束し、同時に白く凍り付く。生み出されるのは、赤血と白氷の義手。
北見菫:「……待ってて」
北見菫:「今度は私が────」
北見菫:ぱきぱきと音を立て、腕が更に一本の槍へと変形する。
北見菫:「助けるから」
北見菫:砂浜を蹴って駆け出す。技術も何も無い、ただの突進。あるのは決して止まらないという覚悟だけ。
浅木澪央:「ああ……嬉しいなぁ」
浅木澪央:「またあの時みたいに殺してくれるんだね」
北見菫:血槍を構え、振るい、突き出す。あの時──彼女を殺めた時と同じように。
北見菫:しかし今度は、自分自身の意思で。
北見菫:「澪央ッ!!」
浅木澪央:「おいで、菫」
浅木澪央:「今度は、もっと深いところまで奪ってあげる」
北見菫:迷いが無い訳が無い。だがこれは、自分がやらねばならないことだ。
北見菫:紅の槍で、澪央の腹を刺し貫く。
北見菫:「う、うぅ、ううううう……!」
浅木澪央:槍が深々と突き刺さる。滴る血が地面へと落ちる前に凍結する
浅木澪央:そして、かつてと同じ様に
浅木澪央:ザシュザシュザシュッ!
浅木澪央:溢れ出た触手が牙を剥いて血槍に噛みつき、貪っていく
北見菫:「う、ぐ……くっ……」
北見菫:視界が滲む。獣のように唸りながら、奥歯を噛み締める。
浅木澪央:赤血と白氷の腕を伝い、その肉までも食い尽くそうと───
北見菫:そのまま、触手に身体を貫かれる。
浅木澪央:「あれー?これで終わ……」
北見菫:だが同時に、槍が、触手が、全て真っ白に凍り付く。
浅木澪央:「!!」
北見菫:「く、ふっ……」
北見菫:血を吐きながら笑みを浮かべて。
北見菫:「そのまま、離すんじゃないわよ」
北見菫:澪央を貫いたまま、槍が爆発するように変形。無数の棘となって体内を貫く。
浅木澪央:「あ……ッ……ガッ……」
北見菫:「私だって……」
北見菫:「泥試合なら、負けるつもりないわよ」
浅木澪央:「かっ……は……ふふ……」爆発に胴を抉られ、骨を露出させながらも、笑みを絶やさず
浅木澪央:「痛い……」
浅木澪央:「痛いよ……お母さん……」
浅木澪央:「ふふ……」
GM:同じくイニシアチブ6 浅木真魚
浅木真魚:マイナー《形状変化:速》シーン中行動値+18
浅木真魚:メジャー《癒しの歌》
浅木真魚:浅木澪央のHPを4d10+2回復
浅木真魚:4d10+2
DoubleCross : (4D10+2) → 28[4,8,8,8]+2 → 30
浅木真魚:すっごい回った……30回復しました
北見菫:何だそのダイス
有島まひろ:ママ、過保護
浅木真魚:巨大な人魚の如き異形が、少女の呟きに応えるかの様に空から舞い降り
浅木真魚:傷ついた身体を抱えあげる。
浅木真魚:自らの手首を噛みちぎり、その血を少女の口元に垂らしながら
浅木真魚:「la……lalala……ah……lala……」
浅木真魚:先程までの方向とは別人のような涼やかな唄声とともに、霧が浅木澪央の周りに集まって身体を包み
浅木澪央:少しずつ、その傷を癒やしていく
浅木澪央:「ああ……ふふ、やっぱり」
浅木澪央:「お母さんは私を護ってくれるんだね」
浅木澪央:再び立ち上がる
GM:最後のイニシアチブ 有島さんの手番です。
有島まひろ:はあい
有島まひろ:マイナーアクション。《完全獣化》《破壊の爪》。
有島まひろ:あっすいません
有島まひろ:マイナーアクション。《完全獣化》《破壊の爪》《襲撃迷彩》。
GM:はいはい
有島まひろ:これに訂正!
GM:ゲゲッ
GM:どうぞ~
有島まひろ:武器作成・隠密状態になりまして
有島まひろ:メジャーアクション。《コンセントレイト:キュマイラ》《渇きの主》《血に飢えた跳躍》。
有島まひろ:澪央ちゃんに攻撃します
有島まひろ:12dx@8+3
DoubleCross : (12R10+3[8]) → 10[1,3,3,3,4,5,5,5,7,7,7,9]+4[4]+3 → 17
有島まひろ:え、エエ~ッ!?
浅木澪央:うーん出目は振るわないけど破壊の爪もあるしな……
浅木真魚:《崩れずの群れ》
浅木真魚:澪央をカバーリングします。
有島まひろ:何~っ
有島まひろ:ダメージ!
浅木真魚:ガード
有島まひろ:2d10+18 装甲値無視
DoubleCross : (2D10+18) → 15[9,6]+18 → 33
浅木真魚:ゲーッ!
浅木真魚:HPは28……落ちます
有島まひろ:わ~~良かった!
浅木真魚:復活もなし!戦闘不能です
有島まひろ:侵蝕率19上昇して81になります。
GM:演出どうぞ!
有島まひろ:身を包む暗闇はイブニングドレスのようなシルエットを作り出す。
有島まひろ:それは澪央ちゃんが立ち上がると同時、霧に混じって再び姿を消していく。
有島まひろ:姿を宙に溶かし、飛翔。そして澪央ちゃんの首元に纏わりつくように姿を現し、牙を突き立てる。
浅木澪央:「あ……」霞む視界に紛れて、その位置を掴むことはできない
有島まひろ:霧に紛れ、少女の首元を狙って飛び込むが───
浅木真魚:しかし、そこへ巨体が割り込む
浅木真魚:少女を突き飛ばし、夢魔の牙の前へその首筋を晒し
浅木真魚:「ガ……アアアアアアア!」
有島まひろ:「………っ!」怪異に急襲を阻まれ、そのまま狙いを逸らすこともできず、怪異に牙を突き立てる。
有島まひろ:その血を吸った瞬間、目の前のその存在が、少女の母を名乗るだけの、赤の他人であることを直感した。
浅木澪央:「ああ……お母さん……」
浅木澪央:怪物が生命力を吸い取られるさまを静かに見ている
有島まひろ:「……澪央ちゃん」
有島まひろ:「……死者は、蘇らないの。あなたも同じ」
有島まひろ:「あなたは、もう、死を受け入れたはずでしょう」
浅木真魚:定められた行動論理のままに、娘を傷つけるものに一矢報いようとがむしゃらに暴れるが
浅木真魚:振り上げた鉤爪を振るう力も無くなり、沈黙する。
浅木澪央:「…………」
有島まひろ:動かなくなった巨体を地面に横たわらせ、澪央ちゃんを見据える。
浅木澪央:「………ふふっ」
浅木澪央:しばらくそれを見つめていたが、小さく嘲笑うとともに前を向いて
浅木澪央:「あーあ、お母さん壊れちゃった」
浅木澪央:「結構気に入ってたのになあ」
有島まひろ:「お母さんじゃないわ」
有島まひろ:「ただの人形でしょ」
有島まひろ:「……あなたも。澪央ちゃんを気取った、人形よ」
有島まひろ:「これ以上、あの子を冒涜するのはやめてちょうだい」
浅木澪央:「うるさいなあ」
浅木澪央:「人形も人間も、何も変わらないじゃないですか」
浅木澪央:「浅木澪央は、みんなを護りたいんです」
浅木澪央:「だって、みーんな私のものだから」
浅木澪央:「あ、そうだ」
浅木澪央:「壊れちゃったお母さんの代わりに、まひろさんが私のお母さんになってくださいよ」
有島まひろ:「………」
浅木澪央:「ずっと、そうだったらいいなーって思ってたんです」
浅木澪央:「ふふ、ね?」
浅木澪央:「お願い。お母さん」小さく首を傾げて嘲笑う
有島まひろ:「っ」一瞬、弱り切った顔を見せる。
有島まひろ:「……ありがと。でも、ごめんなさいね」
有島まひろ:「娘が一人できたばっかりで、忙しいのよ」
浅木澪央:「…………」すっと表情が消えて
浅木澪央:「ふーん、そうですか」
浅木澪央:「じゃあ、その子が居なくなれば、まひろさんは私のお母さんになってくれますよね」
浅木澪央:「ふふ、楽しみだなあ」
有島まひろ:「……そう。じゃあ、やってみなさい」
有島まひろ:「ここにいる皆を潜り抜けて、私に触れることができたなら」
有島まひろ:「いくらでも。おままごとに付き合ってあげるわよ」
GM:クリンナップ
GM:特に無いと思うので、第一ラウンドを終了します
GM:第二ラウンド
GM:再びセットアップから。
GM:宣言をお願いします。
赤川累:ありません!
北見菫:なし。
有島まひろ:なしです!
浅木澪央:《フルディフェンス》《フルパワーアタック》
浅木澪央:ラウンド中リアクション、オートアクションの判定ダイス+10、攻撃力+20
赤川景:なし
太田止隆:ないぜ!
GM:それではイニシアチブ15 赤川くんからです
赤川累:はい。マイナーはなしで
赤川累:メジャー:塵灰回帰/《コンセントレイト》《インスタントボム》《コンバットシステム》《ブラストフォーカス》。対象は浅木澪央。
赤川累:8dx+5@7 命中。
DoubleCross : (8R10+5[7]) → 10[1,2,4,4,7,8,10,10]+6[2,3,4,6]+5 → 21
浅木澪央:《復讐の刃》
浅木澪央:17dx7+8
DoubleCross : (17R10+8[7]) → 10[1,1,2,2,2,2,2,3,3,4,4,8,8,8,9,10,10]+10[2,4,5,7,7,9]+10[2,2,8]+6[6]+8 → 44
太田止隆:もちろんそれを《炎陣》でカバーリング
浅木澪央:ダメージ出します
赤川累:こっちもダメージ!
赤川累:3d10+27
DoubleCross : (3D10+27) → 20[6,6,8]+27 → 47
浅木澪央:5d10+21
DoubleCross : (5D10+21) → 36[6,8,8,7,7]+21 → 57
赤川累:赤川累の侵蝕率を+12した(侵蝕率:92->104)
赤川累:赤川累の侵蝕率を+3した(侵蝕率:104->107)
赤川累:下のがEロイス分です
浅木澪央:ぐぬ……HPは40。戦闘不能です
太田止隆:こっちも耐えられやしないぜ! 《リザレクト》!
太田止隆:太田止隆の侵蝕率を+10(1d10->10)した(侵蝕率:77->87)
太田止隆:太田止隆のHPが10になった(HP:1->10)
太田止隆:太田止隆の侵蝕率を+2した(侵蝕率:87->89)
浅木澪央:《蘇生復活》
浅木澪央:HP1で復活します
GM:演出どうぞ!
赤川累:血と臓腑の匂いが満ちたこの戦場で、自分はまだ傷一つ負っていない。
赤川累:太田止隆が、二度。己を庇うように護ってくれたからだ。
赤川累:"……そうやってお前は" "また、護られてばかりいる"
赤川累:声が、大きくなる。
赤川累:"違うだろう"
赤川累:"お前がやれ" "あの子を救ってやれ" "お前の手で"
赤川累:(……救えるもんかよ)声を遮るように、かぶりを振って。
赤川累:(人を救うってのは、本当は)
赤川累:(あの日、浅木澪央がやったみたいな事を言うんだ)
赤川累:(俺は……俺にできるのは、ただ)
赤川累:(今はこれ以上、悪夢が続かないように──)
赤川累:翳した右腕が、いっそう烈しい熱を帯びて。灰化現象が加速していく。
赤川累:「澪央……ッ!」
浅木澪央:「ふふ、きれいな色」その腕よりもなお赤い瞳を輝かせて
浅木澪央:「欲しいなぁ」
赤川累:自身の腕の血肉をも塵に変えながら、黒い帯を残して
赤川累:跳躍。露になった黒い腕骨、死を象ったような様相のそれを、唐竹割に振り下ろす。少女の頭部へと。
浅木澪央:その拳を受ける寸前、再び少女の身体が霧となって解ける
浅木澪央:渾身の一撃は虚しく空を切り、代わりに血の抱擁が少年を包み込む
浅木澪央:そのはずが───
浅木澪央:ジュッ
浅木澪央:「──────あ」
赤川累:「っ、──!」目を見開く。続く責めを、耐え忍ぶ覚悟をして
浅木澪央:「あ……っづ……!!……熱ぃいいあああ!!!!」
浅木澪央:霧は解けず、灼熱の拳に掴まれ、再び形をなす。
赤川累:「……!」その声に、表情を歪ませるが。
赤川累:(止めるな、躊躇うな……っ!)そのまま腕にレネゲイドを集め続け、出力を高めていく。半端に生かす事が何よりの苦痛だと知って。
浅木澪央:「ぐ……こん……のぉ!!!」
浅木澪央:怒りの形相に顔を歪めて、刃のように変質した左腕を少年へ振り下ろす。
太田止隆:その凶刃を、横合いから炎の剣が受けて止める。
浅木澪央:「また……邪魔を……!」
太田止隆:「行け、赤川……振り切れ!」 声を上げながら、その攻撃の成就を妨害するものを、身を以て庇う
太田止隆:度重なる攻撃を受けた身体は内側から断裂するかのような痛みを訴えるが、それを噛み殺す。膂力と技術で攻撃を阻み続ける。"ナイトバイポーラー"ならば、できる。
赤川累:「お、おおおおお……ッ!!!」その姿を見て。声を聴いて。ただ、裂帛の咆哮を以て応じる。
赤川累:極限の発熱、片腕の感覚が消えうせるほどの。両脚に力を込めて、擦るように踏み出す。その右腕を押し込み続ける。
浅木澪央:「ううぅ……あああああああああああああ!!!!!!!」
浅木澪央:赫灼を超えて、白く輝きを放つその腕に熱されて
浅木澪央:浅木澪央の身体が、文字通り蒸発していく
北見菫:「っ……澪央……!」思わず悲鳴に近い声を上げる。
浅木澪央:熱した石を水に投げ入れたかのように全身が沸騰し……
浅木澪央:否、元よりその体は、血と泡の塊と化していたのだから、それは当然の帰結だった。
浅木澪央:断末魔と共に、少女の身体は泡と消え、泡はやがて解けて風に溶けて
浅木澪央:……そして、再び霧となって寄り集まる。
浅木澪央:赤黒い水の塊が、再び少女の形を取る
太田止隆:「……ッ、ハッ」 それを見て、荒く息を吐く。ここで仕留めるつもりで動いたし、赤川は確かにそれをしようとしたが、まだ届かなかったのか
赤川累:「ぐ、っ……」限界に近い攻撃を行って、膝をつく。息は荒く、見上げるように、再び姿を得た少女を見据える。
北見菫:「……み……」その様に、声を失う。
有島まひろ:「………っ」
浅木澪央:「ハ……ァ……ハァ……ッ……はは……」
浅木澪央:「……ちょっと怒っちゃったかも」
赤川累:「……そう、かよ」仕留め切れなかった。余計に苦しませた。……自分の力不足だ。
浅木澪央:「ふふ、痛いのは気持ちいいけどさ」息を整え、君達を睨みつける
浅木澪央:「死ぬほど痛いのは、大っ嫌いなんだよね」
赤川累:「死なせるつもりでやった、からな……」息を整えながら。もう一度、立ち上がって。
赤川累:「……なあ、澪央」
赤川累:「お前が護りたいと言った、"みんな"の中に」
赤川累:「お前の知らない誰かは、入っていないんだな」
赤川累:「有島さんの家族も、太田さんも。他の乗客も……みんな」
赤川累:「どうでもいいと、思ってる」
浅木澪央:「当然じゃん」
浅木澪央:「私は、私が欲しい物を護ってあげるの」
赤川累:「……なら、教えてやる」
赤川累:「名前も知らない誰かの痛みを分からないやつは」
赤川累:「誰にも寄り添えない。誰とも繋がれない」
赤川累:「世界で、たった一人になるんだよ」
浅木澪央:「…………っ」
赤川累:「どれだけ、強く想っている相手がいたとしてもだ」
赤川累:誰より自由で、何処へでも行ける筈の彼女が、そうだった。
赤川累:星の数ほどある世界の中で、誰とも幸福を分かち合えない孤独を抱えていた。
赤川累:「だから……俺は、お前を」
赤川累:「"一人ぼっち"のままにはしない。絶対に」
浅木澪央:「……ちがう……もん」無意識の内に、一歩後ずさる
浅木澪央:「違う……私は、今だって……!」
浅木澪央:「ひとりじゃないもん……!だってそうでしょ……!?」
浅木澪央:「累は……」
浅木澪央:「菫は、まひろさんは……!」
浅木澪央:「私が痛がってるのを知っててくれたもん!!」
赤川累:「……」その、孤独に怯えたような視線を受け止めて。
浅木澪央:「だから……へへ、だからさ」
浅木澪央:「私も教えてあげるんだよ?」
浅木澪央:「おんなじ様に、お腹の中かき回して、顔を焼いて」
浅木澪央:「おんなじ痛みを分かち合ってあげる」
浅木澪央:「だから私、ひとりじゃないよね?」
赤川累:「……」ゆっくりと、首を振って。
赤川累:「……もう、おしまいにしよう」
赤川累:そう告げる。一歩、踏み出す。
赤川累:ロイス取得します。浅木澪央:懐旧/〇告別
浅木澪央:「………っ!!」その仕草を見た瞬間
浅木澪央:怒りとともに、両腕が膨張し、枝分かれした刃を形作る
浅木澪央:「うるさい!うるさいうるさい!!」
浅木澪央:「私はまだ──────」
浅木澪央:血霧の刃が撃ち出されようとする、その瞬間に
?????:ジャララララララララララッ!!
?????:霧の海の中から、無数の鎖が浅木澪央の身体に巻き付き、拘束する。
浅木澪央:「な……!?」
赤川累:「っ──!?」
太田止隆:「……!」 そちらに対して身構える
北見菫:「……!? 何!?」
?????:「ずいぶん長い散歩だな。"ローレライ"」姿を見せず、くぐもった声だけが響く
浅木澪央:「アルレシャ……」
浅木澪央:忌々しげに零しながら、身体から力が急激に抜けていく
太田止隆:(……"ローレライ"だと? そう呼んだのか、彼女を?)
有島まひろ:(澪央ちゃんが”ローレライ”だと知る者? それは────)
アルレシャ:「遊ばせるのはここまでだ。お前にはまだ役目がある」アルレシャと呼ばれた声の主が淡々と告げる
アルレシャ:「"レーヴァティ"。足止めは任せた」
赤川景:聞き慣れぬ名で呼ばれたそれが、君達の前に立ちはだかる
赤川累:「……お前が」声のした方へ、視線を移す。……浅木澪央が、ひとりでにこのような形での蘇生を果たした可能性も零ではないが。
赤川累:「お前が、澪央をこんな風にしたのか」
赤川累:未だ姿を見せないそれに、刺すような殺気を向けて。
アルレシャ:「答える義理はない」
赤川累:「……そうかよ」吐き捨てるように呟く。
アルレシャ:「だが強いて言うなら……浅木澪央は死んだ」
アルレシャ:「それが全てだ」
北見菫:「何よ……それ……」呆然と呟く。
アルレシャ:吐き捨てると同時に、鎖を巻き取る。
アルレシャ:《瞬間退場》
浅木澪央:同時に《瞬間退場》
GM:浅木澪央は、霧の海の中へと引きずり込まれていった。
北見菫:「……!澪央!待って!澪央……!」必死に叫ぶ声が、虚しく響く。
赤川累:「な、澪央……っ!」追い縋ろうとした先に、怪物が立ちはだかり遮る。
赤川景:燃え盛る身体が道を塞ぐ。追うことはできないだろう。
太田止隆:「……先走るな。次の行動は、目の前の敵を仕留めてからだ!」
GM:イニシアチブ10 太田さんの手番です
太田止隆:待機します。HPが4くらいしかないなら殴るのもやぶさかではないが……
GM:承知!
GM:では続いて同値、赤川景の手番
エンゲージ
赤川景[7]
(5m)
赤川塁[15] 北見菫[6] 有島まひろ[5] 太田止隆[10]
GM:エネミーが2体消えてエンゲージはこう
赤川景:マイナーなし、メジャーで《コンセントレイト:サラマンダー》《氷の塔》《紅蓮の衣》
赤川景:6dx7+4
DoubleCross : (6R10+4[7]) → 10[1,3,3,4,4,7]+6[6]+4 → 20
有島まひろ:対象はPCみんなでしょうか?
赤川景:全員に範囲攻撃。ガードした場合ダメージ+10
赤川累:ドッジ試行します。
赤川景:みんなよ~
有島まひろ:はあい!暴走リア不!
赤川累:5dx+1>=20 せいっ
DoubleCross : (5R10+1[10]>=20) → 9[1,1,5,7,9]+1 → 10 → 失敗
赤川累:だめ!
北見菫:暴走!
太田止隆:20行っちゃうとHP10あっても分が悪いな……ドッジします
太田止隆:4dx=>20
DoubleCross : (4R10[10]>=20) → 9[3,5,7,9] → 9 → 失敗
太田止隆:《炎陣》で赤川くんをカバーリング
赤川累:ありがとう~~
GM:ダメージ!
赤川景:3d10+15
DoubleCross : (3D10+15) → 15[3,8,4]+15 → 30
太田止隆:装甲の恩恵しか受けられないので22点ダメージ。死!
太田止隆:太田止隆の侵蝕率を+2(1d10->2)した(侵蝕率:89->91)
太田止隆:太田止隆のHPが2になった(HP:10->2)
北見菫:HP0!リザレクト!
有島まひろ:リザレクトが上手い
北見菫:75+1D10
DoubleCross : (75+1D10) → 75+3[3] → 78
GM:なんだこいつ……
GM:みんな上手いねえ
有島まひろ:リザレクト!
有島まひろ:1d10+81
DoubleCross : (1D10+81) → 8[8]+81 → 89
有島まひろ:あれ…
有島まひろ:下手だった
北見菫:当たりどころが……
赤川景:燃え盛る尾を振るう。再び火の粉が炎の魚となって君達に殺到する。
太田止隆:「く……ッ!」 剣と盾で可能な限り受け止める。自らへのダメージを減らすためではなく、赤川へのダメージを阻むために
太田止隆:事前に目を通していた資料と二度の攻撃を見て分かったことに、彼の攻撃は破壊力相応に負荷が強い。ダメージは可能な限り抑えてやるべきだ
有島まひろ:「っあう……!」回避行動をとることも、誰かを庇うこともできず、身を焼かれる。
有島まひろ:自身の動揺を痛感し、情けなさに歯嚙みする。
北見菫:「うあ、ああぁああっ……!」澪央を見失い、隙だらけのところに炎を受け、悲鳴を上げる。
赤川累:「っ……!」間近で熱が弾けるが、自分には届かない。ただ傷ついていく仲間の背中を見て、唇を噛む。……その悔しさを戦意に変えろと、自分に言い聞かせて。
赤川景:「ゥウウウ……」低い唸り声をあげながら、尚立ちはだかる。
GM:続いてイニシアチブ6 北見さんの手番です
北見菫:はい!
北見菫:マイナーで戦闘移動、赤川景にエンゲージ。
北見菫:メジャーで≪コンセントレイト:ブラム=ストーカー≫+≪鮮血の一撃≫+≪渇きの主≫+≪ブラッドボム≫
北見菫:対象赤川景。
赤川景:来な!
北見菫:北見菫のHPを1した(HP:3->1)
北見菫:北見菫の侵蝕率を+9した(侵蝕率:78->87)
北見菫:7DX8+4
DoubleCross : (7R10+4[8]) → 10[1,2,2,4,7,10,10]+4[1,4]+4 → 18
赤川景:ドッジ!
赤川景:6dx
DoubleCross : (6R10[10]) → 8[1,2,3,5,7,8] → 8
有島まひろ:よかった~っ
赤川景:だめ!ダメージをどうぞ!
北見菫:死ね~ッ
北見菫:2D10+10 装甲無視 ダメージで更に3D失う
DoubleCross : (2D10+10) → 11[8,3]+10 → 21
赤川景:ぐ……まず21ダメージをそのまま受けます。まだ生きてる
北見菫:渇きの主で回復
北見菫:北見菫のHPを17した(HP:1->17)
赤川景:3d10 ブラッドボム
DoubleCross : (3D10) → 26[10,6,10] → 26
赤川景:ふざけんな!
北見菫:どうだ……?
赤川景:HPは29。当然のように死にます
赤川景:復活もなし
北見菫:よかった~ こちらも反動ダメージを受けて、そのまま倒れます
GM:皆さんの勝利です
GM:演出どうぞ~
北見菫:「……」ふらりと佇んで、立ちはだかる異形を見据える。
北見菫:既に心身は限界に近い。あの声は何者で、澪央をどうしたのか。何もかも分からないことばかりだ。
北見菫:真っ直ぐに敵の元に駆け出す。炎の魚に身を焼かれながら。
北見菫:全身が千切れそうに痛い。けれど足は止めない。あの時の澪央は、きっともっと痛かっただろう。
赤川景:「ゥウウウ……!」火勢を強めても怯まないその姿に気圧される
北見菫:「邪魔──」
北見菫:振りかぶった血の義手が弾け、無数の刃となる。
北見菫:「しないでッ!!」
北見菫:ほとんど抱き着くようにして、至近距離。血の刃でジャームを串刺しにする。
赤川景:「ガ……ァァァアアアア!!!」
赤川景:全身を刃で貫かれ、苦悶の内にのたうち回る
赤川景:「グ……ゥ……!」
赤川景:苦し紛れに少女を引き剥がそうとするが……
北見菫:「私は……まだ……」
北見菫:朦朧とする意識で、腕を掲げ。
北見菫:「澪央……に……」
北見菫:最後の力を振り絞り、拳を強く握り締める。
北見菫:同時、ジャームに突き刺さった刃が一斉に破裂。放たれた極低温の冷気が、異形を真っ白な氷像へと変える。
赤川景:「─────────」
赤川景:断末魔を上げる暇すらなく、燃え盛る身体が炎ごと凍りつき
赤川景:粉々に砕けて、砂浜に転がる
北見菫:「……」血の匂い。肉が焼ける匂い。それに混じって、嗅いだ覚えのない嫌な匂いがする。
北見菫:視界の隅に、焼け焦げた自分の髪が映る。
北見菫:(ああ……やだな)
北見菫:(父さんに、よく。褒めてもらったのに……)
北見菫:場違いにそんなことを思いながら、意識を失い崩れ落ちる。
有島まひろ:「菫ちゃんっ!」
有島まひろ:崩れ落ちた少女に駆け寄り、抱き寄せる。
有島まひろ:「………」意識を失っているものの、命に別状はないであろうことを確認し、息を吐く。
太田止隆:「……」 目の前の敵が動かなくなったことを確認し、周囲を伺う。特に、浅木澪央と"アルレシャ"が消えていった霧の向こうを
太田止隆:だが、もう来まいと漠然に直感している。『足止め』という言葉に、嘘はないだろうと。
太田止隆:「……全員無事だな?」 後ろの二人へ、確かめるように
有島まひろ:「ええ」少し声が震えた。頭を振る。
赤川累:そのまま、ふらふらと……澪央が呑み込まれて行った霧の方へと向かう。そこには、何も見通せない霧ばかりが広がっていて。
赤川累:「……クソッ」
赤川累:死なせてでも止めると、そう決めたのに。結局、自分の為した事は。
赤川累:「……」振り返る。怪物だったものの骸が、赤く彩られた砂浜に斃れていて。
有島まひろ:「累くん………」全身を赤く染めた少女を抱いて、呆然と彼を見上げる。
赤川累:皆の方へと戻って来る。冷静になれと、何度も自分に言い聞かせる。……口を開く。
赤川累:「北見さんは……いえ、お二人も」
赤川累:「かなり負傷しています。……診療所に戻って、手当てをした方が、いいかと」有島さんと太田さんを、交互に見やりながら。
太田止隆:ふう、と息を吐いて 「誰に行ってるんだ、誰に」
有島まひろ:「そう、そう」ふふ、と笑う。
太田止隆:「戻ろう。互いの調査の報告と、治療と、今後の……」
太田止隆:「……あの敵について。考える必要がある。……彼女を抱えて歩けるか?」 有島さんに
有島まひろ:「ええ、肉体労働なら任せてちょうだい」気丈に笑う。
赤川累:「あ……必要なら、手伝いますが」手袋を着け直す。大きな怪我はしていないし、太田のような武器も構えていない。
有島まひろ:「ありがと、累くん」微笑んだまま。「……ありがとう」
有島まひろ:「ごめんなさい。私、いま、菫ちゃんを手放したら、……、どうにかなってしまいそうだから」
赤川累:「いえ……」その視線の奥にあるものを感じ取って、僅かに俯く。
赤川累:「……分かり、ました」
赤川累:そう言って、それ以上は彼女の顔を見ないように。太田の方へと並び、先を歩いて行く。
有島まひろ:「ううん、胸を張って。さっき、かっこよかったんだから」
赤川累:足を止める。「……ありがとうございます」
赤川累:「貴方に、少しでも頼もしいと思ってもらえたなら……良かった」
赤川累:振り向かないまま、そう言って。再び歩き出す。
有島まひろ:「…………」その姿が、かつて島の朝日を浴びてこちらを向いた、あの時の姿に重なって。
有島まひろ:胸の中にわだかまる思いが少しこみ上げて、何と言っていいかもわからず、少女のように立ち尽くす。
太田止隆:「……"ノギルーム"!」
太田止隆:手を差し出す 「キーだけよこせ。運転は俺もできる」
有島まひろ:「……あ」呆けたような顔で瞬き。
有島まひろ:「うん。ありがと………」言われるがまま、キーを差し出して。
有島まひろ:「………あ、私の服脱ぎっぱなしだから、適当にどけてね」
有島まひろ:蝙蝠の羽根を生やした夢魔の姿に変化したままであることを唐突に思い出す。
太田止隆:こめかみを押さえて 「人のことは良い。とりあえず歩いて後部座席に座るだけしろ」
有島まひろ:「はあい」
GM:シーン終了。ロイスの所得が可能です。
赤川累:こちらはなしで!
北見菫:保留です~
太田止隆:ロイスは保留!
有島まひろ:うぅ~ん うぅ~~ん 保留~!
GM:OK!
【Middle5】
GM:ミドル5 最後の情報収集です
GM:シーンプレイヤーは北見さん。他全員登場可能
北見菫:北見菫の侵蝕率を+6(1D10->6)した(侵蝕率:87->93)
有島まひろ:1d3+3+89
DoubleCross : (1D3+3+89) → 2[2]+3+89 → 94
太田止隆:太田止隆の侵蝕率を+4(1d3+3->1+3)した(侵蝕率:91->95)
赤川累:赤川累の侵蝕率を+6(1d3+3->3+3)した(侵蝕率:107->113)
---
GM:残る情報項目はこちら
『北見診療所』
・古文書解読:浅葱島の遺産について
《知識:レネゲイド》《情報:UGN》難易度9
★達成で新規情報項目開放
・食事を作る(シーン一回まで、シナリオ中何度でも判定可能)
《芸術:お料理》難易度6
★達成報酬:シーン内に登場しているPCの侵食率を〈−達成値÷2〉しても良い。
・外部との通信を行う。
《調達》《知識:機械工学》難易度100
有島まひろ:100て
GM:遺産についてを開けると最後の項目が開放されます
太田止隆:切るしかないな すべてのロイスを
GM:通信はまあ……やりたけりゃ止めはしないが……
有島まひろ:ママはお料理つくり班になりますね
赤川累:解読しようかなあ
北見菫:様子見丸
太田止隆:見丸!
GM:挑みな!
赤川累:じゃあ古文書解読行きます!知識レネゲイドで!
赤川累:6dx+1>=9
DoubleCross : (6R10+1[10]>=9) → 10[3,4,8,9,10,10]+8[3,8]+1 → 19 → 成功
有島まひろ:おお~っ優秀
北見菫:流石ね赤川くん
赤川累:古文の学びが生きた
北見菫:あっこれ二人以上でお料理はできるんですか?
GM:あっうう~~~ん……
有島まひろ:GMの想定通りでいいですよ~!
GM:想定してなかったけど、二人でお料理するの見たいから
GM:二人で判定する場合は、達成値を合計してもいいよ
太田止隆:いきなり生の欲望が出てきた
赤川累:ちょっと同意するしかない理由きたな……
有島まひろ:え~っありがとうございます♡
北見菫:やった~!
北見菫:ありがとGMさん……♡
赤川累:菫ちゃんがサキュバスに染まっとる……
GM:まあこの後の項目がちゃんと開ければの話だがな!
有島まひろ:じゃあお料理判定いきま~す
有島まひろ:4dx+1>=6
DoubleCross : (4R10+1[10]>=6) → 6[1,3,4,6]+1 → 7 → 成功
GM:おいしい
有島まひろ:よかった~ ギリギリだったけど成功!
GM:菫ちゃんも太田さんを信じて今のうちに振るかい?
北見菫:う~ん 一応様子見で!
GM:では先に情報を開示します!
・浅葱島の遺産について
UGNの調査では、浅木澪央が持つ遺産は、『深海都市の夢』に分類される無形の遺産であると推測されている。
往々にして継承者は遺産から莫大な生命力を与えられる代わりに、沈んだ都市の復活のために動くよう夢の中で命じられる。
浅木家の巫女の場合、継承した瞬間から、かつての都市の残影を蜃気楼や白昼夢の形で日常的に幻視すると記録されている。
猗蛇祇神社の古文書によると、この遺産は遥か古代に太平洋に没した文明が残した『碑文』と呼ばれる物の『写し』らしい。
『碑文』の代表的な性質は効果範囲内の生命体の活性化・再構築とされ、正しく使用すれば国土に豊穣と繁栄を齎す物だが
浅葱島の遺産はこれを原典としながらも、複製の過程で致命的な変質を果たした悪質な『異本』であると記されている。
★『猗蛇祇異本の性質と巫女の使命について』を開放
GM:判定項目は以下となります。
・猗蛇祇異本の性質と巫女の使命について
《知識:レネゲイド》《情報:UGN》難易度12
★達成で赤川教会へ移動可能に
・食事を作る(シーン一回まで、シナリオ中何度でも判定可能)
《芸術:お料理》難易度6(複数挑戦の場合は達成値合算)
★達成報酬:シーン内に登場しているPCの侵食率を〈−達成値÷2〉しても良い。
・外部との通信を行う。
《調達》《知識:機械工学》難易度100
太田止隆:では行きますか……猗蛇祇異本の性質と巫女の使命について。《知識:レネゲイド》にて
太田止隆:10dx+2=>12
DoubleCross : (10R10+2[10]>=12) → 10[1,2,4,4,4,5,6,8,9,10]+1[1]+2 → 13 → 成功
有島まひろ:さすが太田くん!
太田止隆:アッブネ 成功!
北見菫:すごい!
GM:やるじゃん
GM:では開示します。
・猗蛇祇異本の性質と巫女の使命について
猗蛇祇異本の性質は、生命体の上限なき活性・増殖拡散・過剰適応。
即ち、効果範囲内のあらゆる生命に速やかなジャーム化を促すものである。
にもかかわらず、浅葱島では先の事件が起こるまで、猗蛇祇の巫女以外の全ての住民がジャームにもオーヴァードにもならずに生活していた。
それは二十数年前のレネゲイドウイルス拡散によって世界人口の8割が潜在的感染者となって以降も変わらず、
島内ではそもそも感染者自体の割合が著しく低かったとされている。
これは、『異本』を受け継ぐ代々の巫女が、その力が外に漏れ出さないよう土地を巡るレネゲイドの流れを管理し
最終的には自らを人柱とした封印を施すことで、遺産の不活性状態を維持してきたためである。
猗蛇祇の巫女とは、島に縛られているのではなく、遺産の力を縛り島の人々を守る使命のために
その身を捧げることを選んできた一族だ。
GM:全ての情報項目を抜いたことで
GM:新たな行き先を選ぶことができます。
『赤川教会』
・教会に向かう
自動成功(このシーン内で選択可能)
GM:あとお料理と通信もやれるよ!
GM:教会へは全員が手番を消費しても行けるものとします
北見菫:お料理しよう~
北見菫:4DX+7
DoubleCross : (4R10+7[10]) → 8[2,4,5,8]+7 → 15
有島まひろ:ええっすごい
北見菫:やったね
GM:超お料理上手
太田止隆:ど、どこからその固定値が……?
赤川累:技能7もあるのと思ったらママの達成値足しただけだった
北見菫:いやこれあれです まひろさんのと合わせたやつ
GM:ほんとだ
太田止隆:びっくりした。そういうことね!
有島まひろ:あっなるほど!
GM:切り上げで侵蝕率を8減らせるぞ!
赤川累:減らす減らす
赤川累:113->105 になります
太田止隆:ありがてえ……あったけえメシがありがてえよ…… 95 -> 87
北見菫:減らします~ 93>85
有島まひろ:減らします~94>86
北見診療所 キッチン
GM:君達は拠点へと戻った。
GM:心身ともに満身創痍ではあるが、その様な時こそ栄養補給を欠かすわけにはいかない。
GM:赤川、太田が神社から持ち込んだ古文書を解読する間
GM:君達は食事の準備に勤しむのだった。
有島まひろ:「こういう時はね、カレーが一番よ」
北見菫:「カレー……ですか」
有島まひろ:ニットワンピースに着替え直した姿で、菫ちゃんに微笑む。
有島まひろ:「そうそう、嫌いな人はいないし、お腹も膨れるし」
北見菫:血に塗れた服から動きやすい服装に着替えて、エプロンを着けている。元々この家にあったものだ。
北見菫:「……そうです、ね。分かりました。お手伝いします」
北見菫:ぎこちないながらも、こくりと頷く。
有島まひろ:「ありがとうございます」微笑む。「そうしたら、お米を炊いておいてもらっていいかしら」
北見菫:「分かりました」言われて、慣れた様子で戸棚を開ける。
有島まひろ:こちらも、喫茶店から運び出した食材を勝手に漁り、野菜を刻んでいく。
北見菫:「……すいません、二人だと少し狭いですね、ここ」米を研ぎながら。
有島まひろ:「あら、こんなものじゃない?」包丁が野菜を刻む、トントンと音がする。
有島まひろ:「…いつも、菫ちゃんがお料理してたの?」
北見菫:「はい。父は……家事のほうは、もう全然でしたから」ほんの少し表情を緩めて。
北見菫:「……まひろさんの旦那さんはどうですか?」
有島まひろ:「うち? うちもねえ、パパは全然だめなのよねえ」
有島まひろ:「私が先にN市に来ちゃったから、たぶん家はレトルト三昧だわ」
北見菫:「それは……ちょっと心配ですね」小さく苦笑する。
北見菫:「……確か……旦那さん、も……UGNエージェント、なんですよね?」
有島まひろ:「そう。出会ったときは、イリーガルだったんだけど」
有島まひろ:「それが子供の頃でね。大人になって、彼はエージェントになったの」
北見菫:「……子供のころからのお知り合いなんですね」
有島まひろ:「そう……」「……幼馴染ってわけじゃ、ないけどね」
有島まひろ:「ちょうど菫ちゃんと同じ年くらいに出会ったから」
有島まひろ:刻んだ人参や玉ねぎをザルに移す。
北見菫:収納からフライパンを取り出して。「……まひろさんは、その頃からUGNに?」
有島まひろ:「うん。チルドレンって聞いた?」
北見菫:「ええ。……そうなんですか?」少し驚いたように。
有島まひろ:「そうなのよ?」その表情に微笑む。
有島まひろ:「今ではすっかり、お節介のおばさんですけどねえ」
北見菫:「いえ、そんな……」
北見菫:UGNチルドレン。身寄りがなく、施設で育てられた子供たち、と聞いている。
北見菫:だがその境遇から想像できる人物像から、目の前の彼女はあまりにかけ離れているように思えた。
北見菫:「……」
有島まひろ:「私、両親がいないのよね」
有島まひろ:「物心ついてからずっと、UGNにいたの」
北見菫:「……」手を止めて、その顔を見る。
有島まひろ:コンロにかけたフライパンで、肉と野菜を炒め始める。
有島まひろ:「うん……。小さい頃はね、感情表現とか、ぜんぜんできなくて」
有島まひろ:「分からなかったのよね。やり方とか。意味とかも」
北見菫:「見えないです……全然」
有島まひろ:「でも、高校生の時に、今のパパに出会って……」
有島まひろ:「ふふふ」
有島まひろ:「恋が人を変えたんです」
有島まひろ:照れ臭いのか、そんな風に短く話す。
北見菫:「こ、恋……ですか」こちらも少し照れたように、誤魔化すように鍋に水を注ぐ。
有島まひろ:「そう。………」
有島まひろ:「……澪央ちゃんとも、この話、したのよね」
北見菫:「……」その名に、ぴたりと手が止まって。
北見菫:「……そう、ですか。澪央と……」
北見菫:「……」
北見菫:「……あの子」
有島まひろ:「ん?」
北見菫:「……何か言ってましたか?その、恋の話で」
有島まひろ:「うん。私がね、言ったの。好きな人には、ちゃんと気持ちを伝えないと伝わらないわよって」
有島まひろ:「そうしたらね、気持ちは…自分で伝えるって。でも、彼と離れ離れになりそうで、寂しいって」
有島まひろ:「そんなこと、話したわね」鍋に炒めた具材をいれて、煮込み始める。
北見菫:「……ふ、ふ」
北見菫:口元に笑みを浮かべる。だが目には涙が滲んで。
有島まひろ:「…………」
北見菫:「……そう、ですよね。そうですよ」
北見菫:「そういうのが……」
北見菫:「……本当に、澪央らしいです」
有島まひろ:「…………うん」
有島まひろ:「澪央ちゃん、意地っ張りで、がんばりやさんで」
有島まひろ:「すごく、優しい子だったわね」
北見菫:「……はい」
北見菫:堪えるように瞑目して、結局、床に雫がぽたりと落ちる。
北見菫:「……まひろさんは、これまで……UGNで長い間働いてきたんですよね」
有島まひろ:「うん、そうよ」
北見菫:「……それじゃあ……」
北見菫:少し言い淀んでから、
北見菫:「……誰か、大事な人が……ジャームになったことは、ありますか」
有島まひろ:「………」
有島まひろ:「……身の回りで、そういう事が無かったとは言えないけど」
有島まひろ:「でも、ものすごく近しい人がジャームになったことは、無かったわ」
有島まひろ:「ずっと、ただ、いろんな人を見てきた」
北見菫:「……。……分からないんです」
北見菫:「私は……澪央に、何をしてあげられるのかって」
北見菫:「何か、あったとしても……私にそれが、許されるのかって」
北見菫:「……私……全然、何も。分からなくて……」
北見菫:途方に暮れたように俯く。
有島まひろ:「………」
有島まひろ:「私は、血液からその人の感情を読み取れるの」
有島まひろ:「……澪央ちゃんが亡くなった時、私はあの子の血液から、あの子の思いを読み取った」
有島まひろ:「澪央ちゃんは、あなたのこと、大丈夫かなって心配してて」
有島まひろ:「でも、それと同じくらい、大丈夫なはずだって、信頼してた」
北見菫:「……っ……」
北見菫:その言葉に、息を詰まらせて。
有島まひろ:「菫ちゃん」「あなたの親友の信頼に、あなたが応えてあげて」
有島まひろ:華奢な身体に、そっと手を伸ばす。
有島まひろ:「大丈夫よ」抱き締めます。「澪央ちゃんは、あなたのことが、大好きなんだから」
北見菫:腕の中で、押し殺した嗚咽が聞こえ始める。
北見菫:「……わたし……私……」
有島まひろ:「うん」背中を優しく撫でる。
北見菫:「……UGNで、い……言われたんです」
北見菫:「き……記憶処理という選択肢も、あるって……」
有島まひろ:「………うん」
有島まひろ:その単語に、一瞬手が止まる。
北見菫:「私は利用されていただけで、ジャームだった頃の記憶は、悪影響にもなるからって……」
北見菫:「でも……そんなの……忘れるなんて、絶対許されないって……」
北見菫:「一生、抱えて。罪人として生きていくべきなんだって、思いたいのに」
北見菫:「なのに」
北見菫:腕の中で、小さく震えて。
北見菫:「……あなたに」
北見菫:「あなたに優しくされると、甘えたくなるんです」
北見菫:「私も……幸せになれるんじゃないかって、そんな風に思えて、しまって」
北見菫:「そんな事」
北見菫:「許されるわけ、ないのに……」
有島まひろ:「なんでだめなのよ」
有島まひろ:身体を離し、その泣き顔を真剣な眼差しで見つめる。
有島まひろ:「あなたは、罪を抱えて生きる覚悟を決めた。それで十分じゃない」
有島まひろ:「十分、あなたは苦しんだのよ」
北見菫:「……」
北見菫:何か言おうとして、言葉にならず。今度は自分から有島さんを抱き締める。
有島まひろ:「私は────あなたが生きる選択肢を、あなたに与えたこの私は」
有島まひろ:「あなたが罪だと思っているものを、一緒に背負っていると、そう思っているんです」
有島まひろ:「生きてほしいの」
有島まひろ:結局は、シンプルな答えだった。「…あなたに、幸せになってほしいの」
北見菫:「……わた、し……」
北見菫:子供のように泣きじゃくりながら。
有島まひろ:「菫ちゃん」
有島まひろ:「だから、私の家族になって」
有島まひろ:ぎゅうと抱きしめる。
北見菫:「私、私……」
北見菫:「……迷惑、じゃ、ないですか」
有島まひろ:「ばかね」
有島まひろ:「そんな風に思ってたら、上層部に食い下がるわけないでしょう」
北見菫:「……う、ううぅっ……」
北見菫:それ以上は、言葉にならず。
北見菫:ただ泣きながら、有島さんに縋り付く。
有島まひろ:その声を、体温を感じて、もう離さないようにと、
有島まひろ:己に刻むように、そして、未来に彼女の幸せが訪れることを願って、
有島まひろ:ただ、しっかりとその身体を抱きしめていた。
北見診療所 診察室
GM:君達二人は、傷の治療と古文書の解読を兼ねて
GM:主を失った診察室に集まっていた。
太田止隆:服を脱ぎ、傷を押さえつけるように包帯で巻いた状態で、古文書に目を通している。
赤川累:手際よく処置を進め、太田の肩に包帯を巻いていく。「……これで」
太田止隆:「助かる。手際が良いな」 古文書から目は離さないまま
赤川累:「ええ……これでも医者を目指してました。多少ですが、心得はあります」
赤川累:そう言って、こちらも古文書の方へ視線を移す。
太田止隆:「……」 包帯の具合を確かめるように、関節を動かして
太田止隆:「目指して『ました』なのか? 過去形?」
赤川累:「……そうですね。今は」再生した右腕を見やって
赤川累:「こっちが、自分の進むべき道だと思ってます」
太田止隆:「……レネゲイドウィルスなんてものを知って、現代医療の意味が分からなくなったか?」
太田止隆:「夏に、"スターゲイザー"に巻き込まれて覚醒したんだったな」
赤川累:「……意味がない、とまでは言いませんが」
赤川累:深く息を吐く。「あの島であった事を、今でも夢に見ます」
太田止隆:「…………」 古文書をめくっている
赤川累:「理不尽な力に、自分の内側を書き換えられて……何も分からないまま、家族や友人を襲って。殺し合って」
赤川累:「それは……どんな病や怪我よりも、恐ろしくて悍ましい事だと。そう思ったから」
太田止隆:「あれほどの規模であのような事件が起こるのは、珍しいことではあるが」
太田止隆:「ないでもない。もっと大規模なことも、もっと凄惨なことも」
太田止隆:「そういうものだけを打ち払えれば良いなら、確かにそれが正しいんだろう」
赤川累:「……」
太田止隆:目を細めて、古文書を読みながら 「否定するつもりは毛頭ない。俺はまさにそういったものだ」
太田止隆:「お前の能力も良い。お前の力があれば、多くの強大な敵を……悪を。倒すことができる。保証する」
赤川累:「……はい」左手で、右腕を掴む。斗星朔夜……"スターゲイザー"に与えられた熱が、そこに脈打っている。
太田止隆:「だが、急いでこうだと決め切る必要もない」
太田止隆:「医療者も重要な存在だ。確実に人を救っている。俺だって、傷の治療を受けられるから全力で戦える」
太田止隆:「進歩する技術は、見えない形で数え切れないほどの人間を救うだろう」
赤川累:「……」小さく頷く。自分も、この短い訓練機関で何度もその世話になっている。
太田止隆:「赤川。"シンダーテイカー"。今のお前を否定するつもりはない。ただ……」
太田止隆:「今のお前は、少々ばかり特別な状態だということは頭に置いておけ」
赤川累:「特別……?」
太田止隆:「事件に巻き込まれて覚醒したオーヴァードなんて、俺も何人も見てきたが、お前はその中でもかなり数奇だ」
太田止隆:「あの"スターゲイザー"の悪辣な仕掛けで、一夜で故郷を失い、その故郷が消滅したと思ったら、今度は幼馴染みが……なんてな」
太田止隆:「一人の身には重すぎる事態だ。そんなのを背負いきって、まっすぐ歩き続けられる人間なんていない」
赤川累:「……」
太田止隆:「……だが、未来。何ヶ月、何年、何十年か分からないが」
太田止隆:「歩き切った後に、また自分の進んできた道を振り返る機会が得られるかもしれん。……だから」
太田止隆:「急ぐなよ。決定を。自分はこうする、なんて決めつけるようなことは」
赤川累:「……本当は」呟く
太田止隆:「ああ」
赤川累:「もう一つ、叶えてみたい事があります」
赤川累:"シンダーテイカー"はこの右腕で、怪物となり果てた人を灰へ還す。今までも、きっとこれからも。
赤川累:だけど、自分の本当の望みは。
赤川累:「……ジャーム化したオーヴァードを、元に戻すこと」
赤川累:「誰もがそこら中で試みて、叶わなかった事で」
太田止隆:「…………」
赤川累:「きっと……一生を棒に振るような真似になると、思って」
赤川累:「……でも、そうですね」
赤川累:「それを切り捨てるには、まだ……早かったのかも」
太田止隆:「そうだな。それは叶わない。少なくとも今は」
太田止隆:「……だが未来。技術、理解、変化……そういったものを経て、叶うこともあるかもしれない」
太田止隆:目を細める 「何も急いで、切り捨てるようなことはないんだ。生きて、未来にさえたどり着けば」
太田止隆:「何もかも手に入る未来だって、あるかも知れん」
赤川累:「……そう、ですね」自分の、未来。あの夜、幼馴染の少女が命懸けで守り抜いてくれたもの。
赤川累:「生きて、帰らないと。俺も……皆も」
太田止隆:「ああ。それでいい。何を目指そうと、夢見ようと」
太田止隆:「未来にさえ届けば良い。それは停滞期間なんかじゃないんだ」
太田止隆:「……だから、見失うなよ。そのために今、必要なことを」
赤川累:「……。はい」その目を見て、頷いて
赤川累:自分の頬をぱちぱちと叩く。
太田止隆:「キツかったら言え。いくらでも代わる」
赤川累:「ありがとうございます。……俺は、大丈夫です」
太田止隆:「ああ。そうみたいだな」 眼尻を下げて、頷き
赤川累:そう言って、再び古文書の方へと向かう。
太田止隆:ほどなく真剣な目に戻り、また古文書をめくり始める
北見診療所
GM:往時は食堂としても使われていた広間。
GM:君達は4人集まり、情報の摺り合わせと今後に付いて話し会うことにした
GM:食卓には、できたてのカレーが並んでいる。
有島まひろ:揃いの皿とスプーンに、特に男性陣にはたくさんの量を盛り付けて。
有島まひろ:「一通り、調べたことの報告は済んだし。みんな疲れたでしょ。どうぞ食べてください」
北見菫:「あ……おかわりもあるので……どうぞ」
太田止隆:「貰おう。外の様子が様子だから、実感はないが……時間はだいぶ経ってる」
太田止隆:「腹には入れておかないとな。……いただきます」 スプーンを取ってから、思い出したようにそう付け足し、食べ始める
赤川累:「えっと……ありがとうございます」女性陣ふたりに向けて会釈しつつ。
有島まひろ:「いえいえ。菫ちゃん、料理上手で助かっちゃった」
北見菫:「い、いえ……ほとんどお手伝いしただけですから……」
北見菫:少し照れたように、自分もカレーを食べ始める。
赤川累:「いただきます」静かに手を合わせて、食べ始める。
有島まひろ:「ふふ」穏やかに微笑んで、自分もスプーンを動かし始める。
太田止隆:大きめの一口を口に入れて、すっと飲み込み 「……ん」
太田止隆:「カレーだな」
北見菫:(褒めてるの……?)
有島まひろ:「いいでしょ、普通の味で」
赤川累:「ん……そんな事は。美味しいです」
有島まひろ:「良かった。美味しいって」菫ちゃんに微笑む。
北見菫:「ん、ん……はい」はにかむように頷く。
有島まひろ:目を細める。
赤川累:「……」言ってから、久しくそんなこと口にしていなかったなと思う。……父と二人で囲む食卓は、いつもぎこちなく冷めきっていて。
赤川累:今となってはそれすらも、懐かしいと思えるけれど。
太田止隆:「インド原産の料理が日本の家庭の味として馴染んでいるのはなんとも不思議な話だが」
太田止隆:「素材の臭みをスパイスで均一に消し、好き嫌いがある子供でも食べられるようにするという工夫は、確かに家庭じみている」
北見菫:有島さんと違って、太田さんは思い描いていた通りのチルドレン出身らしさだな、と思いながら目をやる。
太田止隆:北見さんの視線を感じると、少しだけスプーンを止めて 「……美味いぞ」 やはり思い出したように付け足す
北見菫:「あ……、ありがとうございます」慌てたように返す。悪い人ではないのだろうな、と思う。
有島まひろ:「太田くんは物知りねえ」首を傾げる。「霧のことも、どんどん調べてくれるし」
太田止隆:「高校にあった機材に表示されたものを読んだだけだ。実際、何か解決できるレベルの情報はない」
太田止隆:「神社で見つかった資料の中にも、霧に関する情報は見つからなかったしな。……それ以外の実入りは、考えられないくらいあったが」
赤川累:「そう、ですね……」
赤川累:どこか躊躇い混じりに、小さく頷いて。
北見菫:「……私……」スプーンを止めて、俯きがちに。
北見菫:「全然、知りませんでした。澪央のこと」
北見菫:「あの子のこと、自由でいいな、なんて、思って……」
赤川累:「……気取らせたがらない奴だからな」
有島まひろ:「自由って、思われたかったのよ。きっと」
北見菫:「……」小さく頷く。
赤川累:「何だって平気な振りをするんだ……気を遣わせたくなかったんだろうけど」
赤川累:「そうやって、勝手に無理を重ねて……」
赤川累:それ以上の言葉は呑み込む。
有島まひろ:「………」累くんをちらりと見た後、太田くんに視線を向ける。
有島まひろ:「神社で分かったことが、これからのヒントになるかしら」
太田止隆:「『猗蛇祇異本』の遺産としての性質は、最悪に近い」
太田止隆:「二十年前の大拡散を経た現代においては、適当な都市に持ち込むだけで無造作にジャームを増産するだろう。それ以外の悪事も、実に考え甲斐があるレベルだ」
太田止隆:「だからそれを悪用せんとする者……"アルレシャ"と言ったか。そういった外部の者が絡んでいるのは、まあ違和感はない」
太田止隆:「だが、ヒントがあるかと言うと……」 肘をつく 「……正直、それ自体に大きな力があったとしても」
太田止隆:「島を異次元保存する。通信を阻む霧を出す。現在確認できている事象とはあまり接続していないのではないか、というのが俺の見解だ」
太田止隆:「ここの神社と霧事件と関与がある、つまり長い歴史があるということを踏まえても……」
太田止隆:「……ヒントと言うには弱い気がする」
赤川累:「……そう、ですね」その意見は自分が読み解いた部分の解釈とも符合する、と頷いて。「あの黒い霧……澪央が使っていた力は、むしろ」
赤川累:星の砂浜で、彼女と対峙した時のことを思い出す。
赤川累:その赫い瞳の奥に、彼女ではない何か……人外のものが、根を張っていると感じた。
赤川累:「恐らくは……あの神社に奉られていた、神」
赤川累:「そう呼ばれるレネゲイドの集合体……オリジン種のレジェンド、と言うんでしたか」
赤川累:「そちらに由来する力だと思います」
太田止隆:「レネゲイドビーイング、レジェンド種、というのが適切だな」
赤川累:「……あ、っと。覚え直しておきます」
北見菫:「……神……って……」呆気に取られたように。
太田止隆:「猗蛇祇神社の祭神か……」 頬杖をついたままカレーを口に運び 「土着のものはスケールがピンからキリまでだからな」
太田止隆:「そいつが単独でこれだけのことをしているとなると、相当だ。……有り得なくはないんだろうが……」
赤川累:「あいつ自身、自分を神様のようなもんだって名乗ってた」
有島まひろ:「アルレシャが、島の神様を使って何かをしようとしている……、と考えれば」
有島まひろ:「さっきの戦闘の時に、澪央ちゃんを連れ去った理由として筋が通るわね」
北見菫:「……」宗派は違うとはいえ、元々信心深い性質だ。神様まで当然のようにレネゲイド由来の存在として語られると、何だかくらくらしてくる。
北見菫:「……澪央とあいつ……“アルレシャ”……は今、島のどこかにいるんでしょうか」
北見菫:「他に探してないところといったら……」
北見菫:ほぼ無意識に赤川くんのほうに目をやって。
北見菫:「北の方……かな」
赤川累:「……そうだな」
太田止隆:「赤川教会か」
赤川累:頷く。「礼拝堂もあって、それなりに広い。……何かの拠点に作り変えるなら、その辺の民家よりは向いてるでしょう」
太田止隆:「……ある意味では、こちらも神の家だ」
有島まひろ:「まだ、空港と飛行機の中にいた人も見つかってないですからね」
有島まひろ:「澪央ちゃんとアルレシャじゃなくて、そっちの人たちがいてくれると、嬉しいんだけど……」
赤川累:「そう、ですね……彼らが何処に居るのかまでは分かりませんが」
赤川累:「まだこの霧の内側に居る、という事は澪央が言っていました。……あそこで嘘を吐く理由もないと思う」
太田止隆:「そうだな。飛行機で来たということは、こちらにある移動手段もあるまい。そうなると、拠点を定めて動かずにいるのは賢明で自然な判断だし」
太田止隆:「それが教会であることも不思議じゃない。ああいう所は精神が安らぐものだからな」
北見菫:「……」心配そうに有島さんを見る。
有島まひろ:「ふふ、二人とも、優しい」穏やかに菫ちゃんに笑いかける。
有島まひろ:「大丈夫。大丈夫よ……。それにほら、うちの家族だけじゃなくって、市長さんもいるんでしょう?」
太田止隆:「そうだ。そういう意味でも、そこまで不安視はしていない」
北見菫:「そう、ですね……」頷いて見せて。「……じゃあ、食べ終わったら早速行ってみますか?」
有島まひろ:「うん、そうしましょ。今度は運転しますからね、私」
赤川累:「そうですね。……俺も、賛成です」
太田止隆:「異議はない。疲労してる者がいるなら休んでからでも十分だろうが……早い方が良いのも確かだ」
太田止隆:「支度をしよう。……赤川、ちょっと手伝ってくれ」
太田止隆:食べ終えた皿を置き、席を立つ
赤川累:「あっ、はい」頷き、立ち上がって後を追う。
太田止隆:……隣室まで移動し、置いてあった装備を手に取る。調子を確かめるように、刃の機構から軽い熱気だけを出す。
赤川累:「あ……そうだ、太田さん。情報という程の話でもないので、さっきの場で出すか迷ったんですが」
赤川累:部屋に立ち行って、ふと思い出したように。
赤川累:「浜辺で、こういった物を拾いました」スーツの上着ポケットから、通信端末を取り出す。
太田止隆:「……ん?」 振り返る 「端末?」
赤川累:「ええ。どうも、故障しているみたいなんですが……」
赤川累:「……少なくとも、この島で誰かがこれと同じ型を使っているのは見た事がないです」
太田止隆:「……ブランドは書いてあるか? 市製品なら分かりやすくとこかにあるはずだ。刻印とか」
赤川累:「刻印、ですか……」ひっくり返して、じろじろと見て回す。
GM:刻印やそれに類するものは見当たらない
赤川累:「……なさそうです。市販品ではないのかも」
太田止隆:「UGN支給のものでもないはずだ……となると」
太田止隆:「消去法の推測でもっとも割が高いのは」 目を細める 「FHになるか」
赤川累:「あ……」
赤川累:「"スターゲイザー"の一件の時に、"コピーキャット"セルのエージェントがこの島で活動していました」
太田止隆:「それもある。……あとは浅木澪央も、所属としてはFHだったな?」
赤川累:「……ええ。そうですね」別に、不思議ではない。FHの末端とはいえ、他セルや上層部とのコミュニケーションが必要とされることもあるだろう。
太田止隆:「後は"アルレシャ"。……俺たちの分かる範囲だと、候補はこの辺りか」
太田止隆:「推測にしかならないがな。機械に通じた者がいれば、情報を引き出せるんだが……」
太田止隆:「……最大限の警戒をするなら、敵の罠を想定して放棄するべきだろう。だが、正直そこまですることもないように思う」
太田止隆:「なにかに使えるかも知らん。扱いは任せる」
赤川累:「罠……」あまり考えなかった可能性だ。数秒、手に持ったそれを見つめて。
赤川累:「……分かりました」再びポケットに収める。
太田止隆:「ん」 小さく頷き 「……俺も、聞きたいことがある」
太田止隆:おもむろに切り出す
赤川累:敵の仕掛けにしては、あまりに魅力がなさすぎる。もう少し確実性の高い手段を取るだろう、と考えた。
赤川累:「聞きたいこと?」
太田止隆:「…………」 珍しく歯切れ悪く、言葉を選んでいたが、やがて口を開く
太田止隆:「……お前は、自分の教会のことを隅々まで知っていると言い切れるか?」
赤川累:「え……」
赤川累:予想しなかった方向からの問いに、僅かに目をしばたかせて。
赤川累:「……いえ。俺は」
赤川累:「かなり前から、信仰者ではありませんでした……礼拝にも、出ていなかったし」
赤川累:「こいつも、単に……母に贈られた形見だから、身に着けているだけです」首に提げたネックレスの十字架を、握って見せて。
太田止隆:「そうか。……だよな」
赤川累:「だから……ええ。知らない事の方が、きっと多くすらある」
赤川累:「……どうして、今。そんな事を聞いたんです?」
赤川累:彼の考える危惧を、どこか薄らとは察しながら。確かめるように問いかける。
太田止隆:ふう、と息を吐く 「……今から話すのは、十割俺の勝手な想像だ。まったくの的外れである可能性の方が高い。その上で、そうでない可能性のために戯言を吐いておく」
赤川累:「……」
太田止隆:「あの事件の資料を読んだ時、一つだけどうしても引っかかったことがあった」
太田止隆:「事件の中、最初にジャームになったのは、君の父親だったな」
太田止隆:「何故だ?」
赤川累:「何故、って……」
太田止隆:「……事件の原因は、海に遺棄されていた賢者の石適合者の遺骨から滲み出ていたレネゲイドだった。水と魚を介して、それを口にした人を汚染したとしたら」
太田止隆:「最初に『そうなる』のは漁業関係者か、あるいは日常的に海水に触れている者だろう」
赤川累:答えられない。……飲み水が汚染されていた他は、単なる無作為の結果として、父の発症が早かっただけだと考えていた。
太田止隆:「……まあ、あの"スターゲイザー"が関わっている以上、そいつが悪趣味を働いた可能性も多分にある。当然な」
赤川累:「……それは」
赤川累:「いえ……でも、俺はそれよりもっと前に、ジャームに襲われました」
太田止隆:「……オーヴァードではなかった頃か」
赤川累:「ええ……」頷く。
赤川累:「あれも、誰かの成れの果てだとしたら……あるいは、発症自体はもっと前から起きていて」
赤川累:「ずっと隠匿されていた……のかも……」言っていて、自分でも無理があると思う。
太田止隆:「……あるいは『行方不明者』になっていた、か……魚類の形質を持ち……自我が豹変するものでなければ……」
赤川累:誰が?どうやって?そこに対する確信的な答えは、持ち合わせていないのだから。
太田止隆:それから少しばかり、ぶつぶつと独りで言葉にならない言葉を口にし続け
太田止隆:「……そうだな。済まん。やはり俺の勘ぐりが過ぎたのかもしれん」 そう結論づける
太田止隆:肩を竦める 「俺としても、強敵と」
太田止隆:肩を竦める 「俺としても、強敵と戦うことはいくらでもあったが、このレベルの怪奇現象に巻き込まれることはあまりない」
太田止隆:「緊張して余計な可能性を数えていたかも知れない。悪いな」
赤川累:「……いえ。そんな事は」かぶりを振る
太田止隆:指を立てて 「悪いが一旦忘れておいてくれ。他の二人にも秘密だ。……その可能性を踏まえて、お前だけを呼んだ」
赤川累:「……分かり、ました」頷きはするが。
赤川累:猗蛇祇神社の教えが、奉るものが……巫女と呼ばれる役目が守り続けてきた物の正体が
赤川累:時を経る中で歪んだ信仰と、そこから漏れ出す毒であった事が分かった今。
赤川累:その島と同じ土地に根付く、もう一つの信仰の礎が。厄のないものでない保証は、きっとない。
赤川累:……そこから逃げ続けた自分の選択の結果が、今なのだとすれば。
赤川累:自分が置いてきたものと、向き合う覚悟を決めるとしよう。
赤川累:「行きましょう」
太田止隆:「ああ」 武器を携えて 「確かめに行こう」
---
GM:処理の関係上、念の為確認します。
GM:このシーンで『赤川教会へ行く』を選択した場合、
GM:以降、『料理を行う』『外部との通信を行う』を判定することはできなくなります。
GM:赤川教会へ行くのでよろしいですか?
有島まひろ:いいよね?
赤川累:いいと思います!
北見菫:いいと思います~
太田止隆:シーン空回しして4人で仲良く料理しまくれば、理論上は侵蝕率を0まで下げられそうですが……
有島まひろ:そんなに食べられないよお~
北見菫:食材尽きそう
太田止隆:太田が料理できないのがバレないように教会へ行きましょう
GM:オッケー!
赤川累:時間経過ペナルティでヤバいのが発生しそうだし素直に行っときましょう
GM:では張り切ってまいりましょう
赤川教会 礼拝堂
GM:教会の礼拝堂は、先の事件の折にジャームに荒らされた様子もなく
GM:往時と変わらぬ荘厳さと静寂を保っている。
GM:外にある墓地に人々の亡骸が眠っていれば、また事態は異なったのかも知れない
GM:死体がレネゲイドの力でジャームとして蘇るというケースは多く散見される。この島の遺産の性質を考えれば尚更だ。
GM:だが、この浅葱島においては、感染症の防止等の理由から本来の教会の教義である土葬は行われず。
GM:宗派を問わず、死者は火葬にて送るというのが慣例であった。
GM:礼拝堂の中は、海側に大きく空いたステンドグラスの他は華美な装飾もない
GM:長椅子が数列並び、その前に小さな説教台、部屋の隅には古いオルガンが備え付けられており
GM:奥の壁に大きな十字架が立てかけられているだけの質素な作りは、
GM:この神の家を預かっていた者の精神性をよく表しているようでもあった。
赤川累:「……」あの惨劇のあとだ。もっと変わり果てた様になっている事すら覚悟していたけれど。
赤川累:「思ったより……変わりないな」呟く。別段、そのことを喜んでいるという声音ではない。
北見菫:辺りを見回す。父に連れられ日常的に通っていた教会。だが、自分の足で訪れるのは初めてのことだ。
太田止隆:双身の剣と盾を手に、どちらかというと周囲、外の方を警戒している
太田止隆:(ここまで遭遇はなし……となると、あとは南下するか、東側かだが……)
有島まひろ:「誰もいない……のかしら」辺りを見回しながら呟く。
GM:そうしていると
GM:礼拝堂の奥、長椅子の影に隠れるようにして
GM:しくしく、しくしくと
GM:小さくすすり泣く様な声が聞こえてくる。
有島まひろ:「………?」それに気付く。
赤川累:「……!?」目を見開く。声のする方へと、視線を辿らせる。
北見菫:「だっ……誰……?」
?????:「ああ……なんという悲劇でしょう……」
?????:そこにいたのは、修道服に身を包んだ若い女だ。
?????:十字架の前に跪いて身を屈め、さめざめと泣いている。
?????:「盟主様より授かったたった一つの繋がりを……ああ、永遠に失ってしまうなんて……!」
?????:「私はなんと罪深い女なのでしょう……!」
?????:「哀しい……私、哀しくて哀しくて」
?????:「ああ!今にもこの身を海に投げ出してしまいたい……」
?????:ごぽ……
?????:女の足元から、小さくあぶくが湧く様な音が聞こえたような気がした。
?????:「ぐす……うう」
?????:「えうえうえうえうああああああ」
?????:ほとんど土下座するような格好で号泣し始める。
北見菫:「……あの……?」困惑して、皆と顔を見合わせる。
太田止隆:相変わらず外部を警戒し、聴覚だけはそちらに向けているが、
太田止隆:「……十分警戒しろ」 その異様さに、さすがに口を挟む
赤川累:「……分かっています」こちらも。単なる被害者にしては流石に何かがおかしい、と感じている。
有島まひろ:「……」怪訝な顔をしたまま、女性に声をかけます。「…ねえ、あなた」
GM:そうして、君達が女に近づいた瞬間
GM:ヴ……ン
GM:赤川くんが浜辺で拾った端末。今までどうやっても起動しなかったそれが
GM:画面に光を灯す。
?????:《マスターズコネクション》
?????:外部との通信を成功させ、端末に接続。
赤川累:「……!」懐の、その振動に反応して。片手で取り出す。
?????:『まったく、やっと繋がったか……』男の声が響く
?????:『おい!いるんだろう!状況を報告しろイカレ女!!』
太田止隆:「……!?」 さすがに意識がそちらへ向く
?????:「あら……?」その声に顔を上げる
?????:『おい!聞こえているのか!!"マスターティアーズ"!!』
赤川累:「は……?」聞き覚えのない声と、突如として繋がった通信。呆気にとられつつも、目の前の女へと注意を向け直す。
"マスターティアーズ":「まあ!その声はもしや……盟主様ではありませんか!?」
"マスターティアーズ":"マスターティアーズ"と呼ばれた女が、笑い泣きしながら近づいてくる。
北見菫:「……? ……?」どうしていいか分からずおろおろしている。
赤川累:「"マスターティアーズ"、って……」そのコードネーム自体は知らないが。マスターの名を冠する者の意味くらいは教えられている。
赤川累:「お前ら、FHか……!?」
太田止隆:「……赤川、渡すな。そのまま話させてやれ」
太田止隆:静かな口調で言う。無用の波風を立たせないように
有島まひろ:「菫ちゃん。いつ戦闘になってもいいようにして」菫ちゃんの前に立ちながらそっと囁く。
北見菫:「は……はい……」緊張した面持ちで頷く。
"マスターティアーズ":「もしや、貴方様がこちらを届けてくださったのでございますか?」
赤川累:「……」僅かに逡巡。
赤川累:おもむろに、受話器の口をそちらへと向ける。
赤川累:依然、視線は目の前の修道女から外さないまま。
赤川累:「別に、そのつもりはなかったが」
"マスターティアーズ":「ふぐっ……ありがとうございますぅううう~」赤川くんへ向けて、泣きながら頭を下げる。
赤川累:「アンタの落とし物だったのか、これ……うわっ!」
赤川累:その奇妙なまでの勢いに、警戒と共に後退って。
?????:『ん?おい待て"マスターティアーズ"』
?????:『そこに誰かいるのか?こちらから送ったのは貴様一人のはずだ』
?????:『現地人が生存しているはずもない』
赤川累:「……」どうする?と、太田さんと有島さんの方へ目配せする。
?????:『何者だ。所属と名前を答えよ』
?????:『……いや待て。状況から予想はつく』
?????:『UGNか?』
有島まひろ:頭を振る。
太田止隆:「……」 少し逡巡。たとえば、旅客機の客を名乗って情報を引き出すことも考えられたが
太田止隆:頷き 「そうだ」 答える。後先の展望のないハッタリなど無意味と見きった
太田止隆:「N市UGN所属、"ナイトバイポーラー"。お前は?」
?????:『ふっ……』小さく吹き出す音
?????:『ぶふっ……ははははははははははは!!これは傑作だ!』
?????:『小賢しい"ロレム・イプサム"め、御しきれぬコマを使うからこうなるのだ!手間が省けたわ!』
?????:「ん?ああ、そうだったな」
?????:『隠すような名ではない。礼に則って問われたならば答えよう』
?????:『"イデア"』
太田止隆:苦々しい表情になる。"マスターティアーズ"の名を聞いた時から、そんな予感はしていたが
"イデア":『人としての名はエルドラ・ユニオン。FH十二の頂点が一席』
"イデア":『リエゾンロード、"イデア"である。聞き覚え程度はあろう?』
GM:リエゾンロード、"イデア"
GM:FHを統括するとされる大幹部、"リエゾンロード"の一人であり
GM:表の世界においても、有数の富豪として知られる"リエゾンロード"唯一の『明確なオーヴァード』
GM:つい先日、単身でN市の第三支部へ乗り込み
GM:一時、第三区画を完全に掌握する事件を起こしたことを君達は知っていても良い
北見菫:「リエゾン……?」怪訝な顔で不快そうに。「知らないわよ。ここに何の用?」
太田止隆:その言葉に、思わず口角が綻ぶ。笑みである
赤川累:「"イデア"、だって……?」研修の中でも、特に重要人物として聞かされた名だ。
赤川累:FHを指揮するリエゾンロードの一角という立場のこと、広く知られた表の顔のこと……そして直近で起きた第三地区での事件のこと。
"イデア":『おっと、身の程を弁えん輩もいるようだな』
"イデア":『だが善いぞ。許す。正直な所そこなイカレ女よりはよっぽど話が通りやすい』
有島まひろ:「強引な男性を警戒するのは、女性として突然のことじゃない?」
"イデア":『はっ、強者に傅く歓びを教えてやってもいいが……』
"イデア":『今は時間が惜しい。何の用だと聞いたな』
"イデア":『教えてやろう。その上で、貴様らUGNに取引を申し込む』
"イデア":『一時的な同盟というやつだ。光栄に思えよ』
北見菫:(何?この偉そうな奴……)
赤川累:「……」噂で聞く以上に高慢だな、とは思うが。わざわざ言葉にする事はしない。
太田止隆:「……正直な所、お前のようなのと組むことはあまりにリスキーだと俺は思っている」
太田止隆:「第三区画どころか、N市全体すら制圧し得る戦力を揃えておいて、何もせず帰っていったお前なら、その逆だって有り得るだろうということだ」
太田止隆:「が、……こちらとしても情報が余りに少ない。まずは話を聞かせてもらいたい所だな」
"イデア":『ふん、戯け。一度決裂した商売に固執するほど暇ではないわ』
"イデア":『俺がそこな"マスターティアーズ"を送り込んだのはな』
"イデア":『止めるためよ。その島を用いた計画……』
"イデア":『リエゾンロード"ロレム・イプサム"の陰謀をな』
太田止隆:「フーッ……」 目元を押さえる。"リエゾンロード"なる者の名を、別々に、この短時間に聞くことになるとは
北見菫:「……」知らない単語ばかり出てきてイライラしている。
赤川累:「……リエゾンロード同士で対立してる、って事か」
"イデア":『元より馴れ合ったつもりはない。まあ、俺がロードの椅子に推してやったおかげで向こうは却って動きづらくなったようだがな。フハハ、いい気味だ』
有島まひろ:「……ロレム・イプサムは、この島で何を企んでるの?」
"イデア":『この島の遺産の性質程度は調べがついているな?』
"イデア":『ついているだろう?俺と取引するのだ、当然その程度の能力はあると考えて話すぞ』
北見菫:「……猗蛇祇異本のことでしょ」
太田止隆:「生命の無限活性、拡散、そして適応変化。影響を受けた者は、レネゲイドウィルス保持者なら即座にジャームと化すレベルの危険性だ」
"イデア":『ああ、それだ。見立て通りで安心したぞ』
"イデア":『この島は元来"ロレム・イプサム"の直轄地でな』
"イデア":『この島に『異本』の種を埋めたのも、後に『霧』の研究に関わらせたのも奴の仕業よ』
太田止隆:「島……というよりは、それを管理する巫女の家系の源流を作り……日本軍のレネゲイド研究にも関与していたと」
"イデア":『まあ、霧の方は遥か昔にコスト競争でコテンパンに負かして撤退させがな。先の事件で使われたのは同等の結果を引き起こす別の技術だ』
赤川累:「随分と……長生きなんだな。"ロレム・イプサム"ってのは」
"イデア":『"リエゾンロード"は大なり小なりそんなものよ。100年生きていないのは俺くらいのものだ』
"イデア":『奴は来るべき計画のため、この島を少しずつ加工していった』
有島まひろ:「計画…?」
"イデア":『どこぞの小娘が好き勝手したおかげで強引に決行を早めたようだがな。おかげでこちらも出遅れた』
"イデア":『そう、計画だ。なに、簡単なことよ』
"イデア":『この島は今、N市へ向かっている』
北見菫:「……は……?」
赤川累:「……」声音こそ平静を装いながら、表情を顰めている。"ロレム・イプサム"……顔もまだ知らないその男が、浅木澪央という少女の運命に身勝手なくびきを立てた事は既に確からしい。
太田止隆:その言葉には、むしろ眉をひそめる。自分たちは、N市からこの空間に取り込まれたのだ
太田止隆:(物理的にどういった相関で……いや、まあ良いか) (こういうのは、喋らせた方が早い)
北見菫:「この島が?……何、それ。動いてるって事?」
有島まひろ:「………待って。この島を……この遺産を、N市に?」
"イデア":『正確に言えば、既に到着していて、浮き上がる時を待っていると言ったほうがいいか。とにかくだ』
"イデア":『もうじき、『異本』が完全に島に根を張る』
"イデア":『遺産の力が完全に活性化するということだ』
"イデア":『その島が、あの街に根を下ろしたら……おい』
GM:端末に、地図のような画像が表示される
"イデア":『これが貴様達のいる島だ。そして……』
太田止隆:「……いや、待て」
有島まひろ:「……これ」
太田止隆:2つの地図を見て、それに気付く
有島まひろ:こちらも眉根を寄せて、その2つの地図を見ている。
"イデア":『これが貴様らの街』
"イデア":『そこに根を下ろすとな……くく』
赤川累:「な……」
"イデア":『馬鹿げた絵面だがなぁ、初めて見た時は流石に吹き出したぞ』
赤川累:「この島を少しずつ加工していった、って……そういう意味かよ」
北見菫:「加工……って……」絶句する。
"イデア":『だが、起こる事態は笑い事では済まん』
"イデア":『さながら知られざる第14地区といったところか?いやはや』
"イデア":『つまらない男と思っていたが、思いの外道化のセンスはあったようだ』
太田止隆:「……つまり、浅葱島は」
太田止隆:「元よりN市を侵掠するために用立てられた地だったと?」
"イデア":『その通りだ。しかもただの侵略ではないぞ』
"イデア":『奴は限定的ではあるが、鉱床への接続手段を隠し持っている』
有島まひろ:「鉱床って」絶句する。浅葱島の惨劇を招いた原因となったのも、鉱石───賢者の石の紛い物だった。
"イデア":『その力があれば、この島は新しく根付いた土地ではなく』
"イデア":『異聞となる。即ち』
"イデア":『"最初からそこにあった"ことになる』
"イデア":『"世界の結び目"という仮説がある。この世界は複数の可能性の中から都合の良い部分を選び取ったパッチワークであり』
"イデア":『貴様らの街は、その終節点であるという。そこに余分な糸を編み込んだらどうなるか……』
"イデア":『"ナイトバイポーラー"。貴様は覚えがあるのではないか?』
北見菫:「……?」余りにスケールの大きい話に眩暈を覚えながら、太田さんに目をやる。
太田止隆:「……プロセスは大違いだが、結局の所は同じだな」
太田止隆:「本来あったものは、世界から弾き出され、後から来たものが正しい、ということになる」
"イデア":『うむ。この場合はな』
太田止隆:「それを人ではなく、土地でやろうというんだな?」
"イデア":『……オーヴァードが覚醒時にジャーム化する確率は、本来五分五分だと言われている』
"イデア":『だがN市においては、不自然な程にオーヴァードの比率が大きい。八割を超えている』
"イデア":『この土地がそれを選んだのだ』
"イデア":『故に、貴様らの街の歴史に"異本"が根付いたのなら』
"イデア":『今現在、オーヴァードとして在るはずの者たち、その半数以上が』
"イデア":『"ジャームであった"ことになる』
"イデア":『正真正銘、魔街の完成であろうな。もはや魔都と呼ぶべきか……』
"イデア":『それが何を孕むことになるかは……最早自明よな』
太田止隆:「……なるほど」
太田止隆:「しかもその根本は、近付けばジャームと化す猗蛇祇異本の下にある」
太田止隆:「成立すればまず間違いなく、巻き返しは効かんだろうな」
北見菫:「……仮にそれが……事実だとして……」額を抑えながら
北見菫:「何の得があるのよ、そんなことして……」
赤川累:「……そういうもの、なのか」どこか現実感がない。自分達の生きている世界と歴史が、そうして一息にひっくり返されてしまう様なものだったと言われて
有島まひろ:「……あなたにとっても、この計画は得策ではないのね」イデアに言う。
"イデア":『無論だ』
"イデア":『俺は"オーガン"の誕生を認めん。画一された世界なぞ反吐が出る』
太田止隆:「おい。言っておくがそれこちら(UGN)では、機密中の機密だ」
太田止隆:「迂闊に口にせんでくれ。後が面倒なんだ」
"イデア":『おっと、貴様は出来る男に思えたが、素人のお守りだったか』
有島まひろ:「……違うわよ」
有島まひろ:「もっとシンプルな問題なの。こっちはね」
"イデア":『ほう?』
有島まひろ:「故郷と友達が、すごく身勝手な陰謀に利用されて、踏みにじられてる」
有島まひろ:「世界の命運なんかより、そちらの方が、よほど問題だわ」
北見菫:「……まひろさん……」
有島まひろ:「ね」茶目っ気のある笑みを浮かべる。
赤川累:「ええ」頷いて
赤川累:「……正直。あんたの態度や立場に不信を抱かないと言えば、嘘になるよ」受話器に向かって語り掛ける。
赤川累:「世界の命運だって、どうだっていい筈がない。でも」
赤川累:「今は、そんな事どうでも良くなるくらい……その"ロレム・イプサム"って奴のやった事には腹が立ってる」
北見菫:「……うん」
北見菫:「私も、澪央の為に出来ることなら……何でもする」
"イデア":『ふん……理由なんぞなんでも構わんが』
"イデア":『であれば、貴様らにもこの問題を解決する意思ありと見て問題ないな?』
太田止隆:「……取れる選択肢が限られているのが問題だが」
太田止隆:「信憑性の面で言えば、今はお前を信用できる。この場に限ればな」
"イデア":『ならば、ほれ』
GM:いつの間に繋がったのか、君達の端末にマップが送信される。
太田止隆:それを見下ろす。新たに追加されたマーカーを見る
GM:浅葱島の地図だ。その中心、浅葱山と呼ばれる場所の山頂にマーキングがされている
赤川累:「これは……」目を細める。「浅葱山、か」
"イデア":『その山の頂が、この霧の出処だ』
"イデア":『先ずはこの霧を晴らさなければ始まらん』
北見菫:「……何があるの、そこに」
"イデア":『何でもかんでも聞こうとするな。自分で確かめるんだな』
北見菫:顔を顰め「ムカつく……」小声で毒づく。
有島まひろ:「霧を晴らした途端、島がそのまま地上に落ちる…なんてことにはならないわよね」
"イデア":『そこまではならんさ。既にこの島には根が行き届きつつある』
"イデア":『いわば、島全体が多種多様なジャームの複合体となるのだ』
"イデア":『この島が起こす怪異が、ある種なんでも有りなのもそういった理由よ』
赤川累:「島全体が、ジャームに……」非生物がレネゲイドに感染・発症する例もある。あり得ない話ではないのだろうが。
"イデア":『だが少なくとも、霧を晴らせば、この島の内部を覆っていた"圏界"が綻ぶ』
"イデア":『そうすれば、中の"ローレライ"にも手が届くだろうよ。ああ、それと』
"イデア":『空港で飲み込まれたとかいう飛行機。アレも圏界の中にあるはずだ』
"イデア":『流石に奴は扱いに困るだろうからな』
有島まひろ:「……!」
北見菫:「まひろさん……!」
有島まひろ:「………」じっと眉根を寄せている。敵の前だ。動揺を見せたくはない。
"イデア":『以上だ。山中には奴の眷属が放たれているだろうが』
赤川累:「……最初から最後まで、説明の足りない用語だらけだが。訊かれても説明する気はないんだよな」
赤川累:「まあ、それでも。……何をすべきかと言うのは、分かった」
"イデア":『それはそこなイカレ女が処理してやる。元より雑魚散らしの専門家だ』
北見菫:「……あなたは来ないの?」
"イデア":『人の上に立つ身というのは忙しいのだ。貴様も大人になれば解るぞ小娘』
"イデア":『安心しろ。貴様らが全員死んだら、雇用主として仇くらいは取ってやる』
北見菫:「……」至極嫌そうな顔。
赤川累:「……そろそろやめておけよ。そいつと喧嘩しても疲れるだけだ」小声で菫ちゃんに
北見菫:「分かってるわよ。赤川くんうるさい」
赤川累:「……。元気出て来たな」
赤川累:少し嬉しそうに言って、離れる。
"イデア":『ではな。……"マスターティアーズ"!』
"マスターティアーズ":「あらあら、お話は終わりましたでしょうか」赤川くんからするりと端末を抜き取る。
"マスターティアーズ":「やっとお声を聞けましたのに、出てくるのは絶望的な展望ばかり」
"マスターティアーズ":「私は哀しい……」
太田止隆:「……だが、その"絶望的な展望"については、相互に共有できたな?」
"マスターティアーズ":「左様にございます」
"マスターティアーズ":「この世は悲劇に溢れておりますが、ええ」
"マスターティアーズ":「皆様と哀しみを分かち合うことこそ、数少ない私の歓び」
"マスターティアーズ":「私の名は"マスターティアーズ"。森羅万象が織りなす悲嘆と悲劇に寄り添う、涙の王なれば」
"マスターティアーズ":「ああ、きっと貴方様方とも……」
"マスターティアーズ":うっとりとした眼差しで、赤川くんと北見さんの瞳を見る
赤川累:「……」眉を顰める。……"皆でおんなじ痛みを分かち合うんだ"、と笑って告げる幼馴染の姿を思い出して。
"マスターティアーズ":「………あら?」
"マスターティアーズ":「あらあらあら……?」
北見菫:「……」一歩引いて、有島さんの裾を握る。
赤川累:「……いや。悪いけど、あんたとは仲良くなれなさそうだ」
北見菫:「同感ね……」
"マスターティアーズ":スン……と表情が消え、意気消沈したように肩を落とす
"マスターティアーズ":「はあ……そうですか。あなた方も少年漫画の住人でしたか」
赤川累:「少年漫画かどうかは知らないけど……」
"マスターティアーズ":「それでは仕方ありません。これにて失礼仕ります」
"マスターティアーズ":そそくさと教会の出口へ歩いていき、一度だけ君達に振り向いて
"マスターティアーズ":「ごきげんよう、皆様。その旅路が美しき涙とともにあらんことを」
"マスターティアーズ":ぺこりと一礼して教会を出ていく。
北見菫:「……」
赤川累:「まあ……ああ言った以上、ちゃんと協力はするよ」事務的に、それだけ告げる。
太田止隆:「…………」 こめかみを押さえている
有島まひろ:「……はああ」思わず息を吐く。
太田止隆:「……正直、現状は度し難い。神性圏界など、俺ですら詳しくは知らん。神禍討滅局の仕事だろうが……」
有島まひろ:「待って待って、太田くん」
太田止隆:「何だ」
有島まひろ:「二人が、もうついていけないって顔してる」
北見菫:「……」端末と、そこに表示された地図を見て。「全然分かりませんけど……」
太田止隆:「俺だって、話を聞くだけでここまで疲れたのは久しぶりだ。……だからもう、難しいことを言うつもりはない」
北見菫:「とにかく山に向かえばいいんですよね?」
太田止隆:「そう」 菫ちゃんの端末を指差す 「それでいい」
赤川累:「それで、飛行機や空港の中の人を助け出す。澪央も……訳の分からない計画に利用されてるなら、止める」
赤川累:「そして、"アルレシャ"にしろ、誰にしろ……その邪魔をする奴が出てきたら、そいつらも倒す」
有島まひろ:「うん」微笑む。「それでいいわ」
太田止隆:頷き、武装を持ち直す 「幸い、道はさっきの奴がある程度均してくれている」
太田止隆:「拓けている間に行こう。……霧の中の登山だ。神経を使うぞ」
太田止隆:そう言って、教会の外へ出る
有島まひろ:「ううん、もう着替えとこうかしら…」呟きながら、その後に続く。
北見菫:「……」緊張した様子で、右袖を揺らして後を追う。
赤川累:後を追うように、外へと歩き出して。
赤川累:数歩、外に出た所で、ふと足を止める。……振り返る。
赤川累:見慣れた佇まい。丘を登りやってくるこの島の信徒たちに向けて開かれたその門は、いつもと変わらぬ姿をして。
赤川累:あるいは、誰かの帰りを待っているかのように。
赤川累:……果たして、太田止隆が提示した可能性は杞憂だったようで。
赤川累:それで良い。それを確かめるだけでも、ここに来た意味はあった。
赤川累:「……行って来ます」
赤川累:きっと、二度と誰も帰る事のない場所へ、そう告げて
赤川累:翻った少年の姿は、霧の満ちる山へと消えていった。
GM:シーン終了。購入、ロイス所得が可能です。
有島まひろ:応急使って回復します!
有島まひろ:2d10+8
DoubleCross : (2D10+8) → 11[9,2]+8 → 19
有島まひろ:更に応急の購入判定
有島まひろ:3dx>=8
DoubleCross : (3R10[10]>=8) → 8[4,5,8] → 8 → 成功
有島まひろ:買えた!のでこれも使って回復
有島まひろ:19+2d10
DoubleCross : (19+2D10) → 19+11[9,2] → 30
赤川累:ロイスなしで、応急買います
赤川累:5dx+2>=8
DoubleCross : (5R10+2[10]>=8) → 8[2,3,6,7,8]+2 → 10 → 成功
赤川累:よっしゃい。太田さんが来たら使ってもらう感じで
太田止隆:応急の手当をキット!
太田止隆:4dx+1=>8
DoubleCross : (4R10+1[10]>=8) → 9[1,4,6,9]+1 → 10 → 成功
太田止隆:先に買ったものも合わせて2個使います
太田止隆:2d10+2d10
DoubleCross : (2D10+2D10) → 14[10,4]+18[9,9] → 32
太田止隆:スゴ……全快 以上
太田止隆:太田止隆のHPが32になった(HP:2->32)
有島まひろ:すご…
北見菫:えっと 応急使います
北見菫:1+2D10
DoubleCross : (1+2D10) → 1+9[6,3] → 10
北見菫:もう一個購入判定
北見菫:3DX+2>=8
DoubleCross : (3R10+2[10]>=8) → 10[1,8,10]+4[4]+2 → 16 → 成功
北見菫:即使います
北見菫:10+2D10
DoubleCross : (10+2D10) → 10+7[3,4] → 17
北見菫:あんま回復せんかった……以上!
【Masterscene】
浅葱山 山頂
GM:浅葱山。浅葱島のほぼ中央に位置する島の最高峰である。
GM:山の真下の地中には、島東部の断崖からしか入れない地下空間が広がっており
GM:そこに猗蛇祇神社の本殿が設けられていることから、この山も神域として崇拝の対象となっていた
GM:山頂、島内でも一際霧の濃いこの領域に佇む影はない。
GM:しかし
?????:「ご苦労だったね、"アルレシャ"」
?????:「ここに来て計画がご破算になったのでは、流石に目も当てられない」
アルレシャ:「……私からしてみれば、ご破算にしたがってるのはアンタの方だと思うけどね」
アルレシャ:「やり方が杜撰過ぎる。何故今まで"ローレライ"を野放しにしていた?」
アルレシャ:「"イデア"派の介入までは想定の内だが、UGNを引き入れたのは明らかに異常事態だ」
アルレシャ:「アンタが欲しいものは"アレ"だけだったはずだろ」
GM:霧の中に、声だけが響く。
GM:落ち着いた男の声と、電子音声を介していると思われるくぐもった声。
?????:「この島の主は俺じゃなくて彼女だよ。ここまで動かして来るには彼女の意思が必要だった」
?????:「それに、俺はジャームの中には入りたくないんだ。動かしにくいし、気持ちが悪い」
?????:「まあ、おかげでこの子の自我も程々に磨り減ってくれた。この段階まで来ると、むしろ自由意志が邪魔なのは事実だからね」
?????:「ここは、結果オーライ。ということで」
?????:冴えない印象の笑い声が響く
アルレシャ:「………」黙ったまま、霧の中から何かを投げ込む
浅木澪央:どさり、と
浅木澪央:その身体が地面に転がる。意識はないようだ。
?????:「それでは仕上げと行こう」
?????:「"アレルシャ"、君は先に離脱しなさい。次の仕事を与える」
アルレシャ:「…………」答えず、スゥ……とその場から気配を消す。
?????:「さて」
?????:「澪央ちゃん。これが最後の仕事だ」
浅木澪央:少女の身体が何かに抱え上げられ、宙に浮く。
?????:「"彌榮、彌榮"」
?????:「"巫女の血を劔に捧ぐ"」
?????:「"いざ緋色の根を降ろせ"」
GM:霧の中で鈍く、何かが赤く輝いた。
【Middle6】
GM:クライマックス前です。全員登場。
赤川累:赤川累の侵蝕率を+6(1d3+3->3+3)した(侵蝕率:105->111)
太田止隆:太田止隆の侵蝕率を+6(1d3+3->3+3)した(侵蝕率:87->93)
北見菫:85+1D3+3
DoubleCross : (85+1D3+3) → 85+3[3]+3 → 91
有島まひろ:1d3+3+3+86
DoubleCross : (1D3+3+3+86) → 2[2]+3+3+86 → 94
有島まひろ:? なんか3余計に足しちゃった 91です
GM:皆張り切ってるぜ
浅葱山 山頂
GM:山頂への道のりは驚くほど順調だった。
GM:約束の通り、障害は"マスターティアーズ"が取り除いたのだろう、
GM:所々、ヘドロのような悪臭を漂わせる液体に木々が薙ぎ払われ、沈み込んでいる光景が見て取れた。
GM:無傷で頂へと到達した君達の前には
GM:一層深い霧が立ち込めている。しかし、その奥で僅かに
GM:巨大な物体が、緋色の鈍い光を発している。
赤川累:「あの人、ちゃんとやってくれたんだな……」順調な道程を終えて、感心と困惑の混じった呟き。
北見菫:「……とてもそうは見えなかったけど。仕事はちゃんとやるタイプみたいね」
北見菫:軽く眼下を振り返る。山登りなど、自分とは一生縁が無いものだと思っていた。
太田止隆:端末のマーカーを見下ろす 「山頂と言えるのはこの辺り……」
太田止隆:「……あの何かある辺りで間違いはないか?」
赤川累:「ええ。霧が深いけれど……そのはずだと」
赤川累:太田さんの言葉に頷き、緋色の光へと視線を移す。
北見菫:「あれ……」赤い光に目を凝らす。「元々あんなのあった?赤川くん」
赤川累:「いや、知らない。……何か分かりますか?」大人二人に訊ねる。
有島まひろ:「私はまったく」困ったように首をかしげる。
太田止隆:「分からん。霧の発生源と推測することはできるが」
有島まひろ:「生き物なのかしら。近づいてみないとだめそうねえ」
太田止隆:「あまり迂闊に近寄りたくはないが……遠隔から探れる者もないか」
太田止隆:武器と盾を持ち直し、一歩一歩、確かめるような歩調で歩み寄る
GM:その真下まで近づいた所で、漸くその輪郭が浮かび上がる。
GM:それは、樹木のように見えた。
GM:しかし、その表面を覆うのは樹皮ではなく
GM:緋色に鈍く輝く、金属質の物体。
GM:鋼の枝が複雑に絡み合い大樹の形を成し
GM:同様に、地中深くまでその根が張り巡らされているであろうことが見て取れる。
GM:何人かは、その姿と色に見覚えがあるかも知れない
GM:かつて浅葱澪央が携えていた、猗蛇祇神社の神剣。
GM:異常なまでに成長してはいるが、鋼でありながら樹木のように伸長する性質はよく似ている。
赤川累:周囲に警戒しつつ、その少し後ろに続く。「……これは」足を止め、見上げる。
北見菫:「……」暴走状態のことであっても、それはしっかりと記憶に刻み込まれている。
北見菫:「な、に……これ……」
太田止隆:「塔……いや、樹、か? これも外部から持ち込まれたものなのか?」
有島まひろ:「いえ…、この島で、これに似たものを見たことがあるわ」眉をひそめている。
赤川累:「……よく似た物を、知っています」僅かに絶句してから、そう呟く。
赤川累:「もっとずっと小さかったけれど、これと同じように……木のような形をして、枝のように伸びる」
赤川累:「剣……でした。澪央が……浅木澪央が、使っていた武器です」
有島まひろ:コクンと頷く。
北見菫:何も言えずに、呆然と樹を見つめる。
太田止隆:「……そいつは」 樹を見上げる
GM:君達が緋色の樹を見上げると、その中腹、幾筋もの枝葉に包み込まれるようにして
GM:一人の少女が埋め込まれているのがわかる。
浅木澪央:「──────」
赤川累:「な……!」観察するうちに、それに気付く。
太田止隆:目を細めて彼女を見る 「……なるほど」
太田止隆:「あるいは遺産か、それに類し、隣接するものということか。それも」
北見菫:「……ッ……」息を詰まらせて。
北見菫:「澪央!!」悲鳴を上げる。
GM:答えはない。眠るように目を閉じている。
GM:それもそのはずだ
GM:彼女の心臓には、深々と
GM:元の形状そのものの神剣が突き刺さっている。
GM:大樹の枝葉は、全てそこから伸びていることがわかるだろう。
GM:彼女が、この樹の核だ。
北見菫:「ひっ……な……何で……」
北見菫:「何で、こんな……」ふらふらと、縋るように樹に触れる。
有島まひろ:「……これが、霧の出処ってこと……?」
GM:ザ……ザザッ……
GM:それと同時に、君達の端末が勝手に起動する。
太田止隆:「さて。少なくとも彼女には、問うて応じることができるようには見えないが」
太田止隆:勝手に起動した端末を見下ろしつつ
赤川累:「何にしても、早く降ろしてやらないと……!」
"イデア":『到着したようだな』
赤川累:木の幹に触れるため、駆け寄ろうとしかけて。……その通信に気付き、足を止める。
有島まひろ:「どこかで見てらっしゃるの?」呆れたような視線。
"イデア":『そこまで自由にできるなら俺が自分で行っている』忌々しそうに
"イデア":『大凡、俺の試算したタイムスケジュール通りだ、中々優秀だな』
北見菫:「……」不審の目で端末を見る。「……澪央は……」
北見菫:「……何をされたの。どうなってるのよ、一体」
赤川累:「……なら、俺達がどうしようとするかも分かってるだろ」
"イデア":『まあ待て。貴様らがどうするかは勝手だが』
"イデア":『まずは俺から直々に、"どうするべきか"を教えてやる』
赤川累:「……。聞かせてくれ」
太田止隆:「…………」 黙って聞いている
"イデア":『その樹の根はこの島全体に行き渡っている』
"イデア":『この島を制御するための神経節であり、物理、概念の両方で島の形を維持するための骨格だ』
"イデア":『そして、この島がN市に接続した暁には』
"イデア":『その樹の根を通じて、貴様らの街を侵す先触れとなる』
"イデア":『それの"核"になっているモノの衝動は"自傷"であろう?』
赤川累:「そうだ……と思う」浜辺での、彼女の振る舞いと言葉を思い出しながら。
"イデア":『そいつは根を通じて、土地に自らの衝動を伝播させる』
太田止隆:「ただ物理的に伐り倒せば良い……というようには聞こえんな、そうなると」
"イデア":『自らを傷つけ、それが癒やされる度に』
"イデア":『少しずつ、"別のもの"へと変質させる。そうやって歴史を侵す装置ということだ』
有島まひろ:「…そういう装置になるように、作られたんでしょう」
有島まひろ:「ひどいことをする」顔をしかめている。
北見菫:「……あんた達の勝手な理屈なんて、どうだっていい」怒りを露わに言う。
北見菫:「どうすれば澪央をあそこから下ろせるの」
"イデア":『降ろす手段はない』
北見菫:「……何ですって……?」
"イデア":『核だと言っただろう。一時的に切り離しても、アレが生きている限り即座に接続は回復する』
"イデア":『故に、燃やすしかない』
赤川累:「……」
太田止隆:「衝動により動く機構であるなら、その衝動の発生源を取り除けと」
太田止隆:「そういう理屈だ」
北見菫:「……どいつも、こいつも……」
北見菫:「……ふざけないでよ……」俯き、呻くように言って、端末を握り締める。
赤川累:「……澪央の身体を燃やすと、どうなる?」
"イデア":『ここまで成長しては、殻を燃やしても即座に島が停止することはない』
"イデア":『しかし、"霧"は晴れる。この島を覆う霧は』
"イデア":『この島が力を振るう触媒であると同時に、ここを外界と隔絶し"神性圏界"を補強する暗幕だ』
"イデア":『それが弱まれば、"圏界"の中に侵入し、猗蛇祇異本そのものを破壊することが出来る』
有島まひろ:「これを燃やせば、圏界……猗蛇祇異本そのものがある場所に行けるようになるのね」ため息をつくように言う。
"イデア":『他の方法ではこの島は止まらん。このままこいつがN市へ到達すれば』
"イデア":『何が起こるかは、先に話した通りだ。こいつは仲間を作ることに執心していたのだろう?』
"イデア":『嬉々としてジャームを増やしていくだろうさ』
"イデア":『こいつの根が届く所は、等しく自分自身となる。そして』
"イデア":『自傷のジャームは、己が肉体を弄り回すことにかけては万能に近い』
GM:クライマックスへの移行方法を開示します。
GM:・緋色の樹を燃やす
GM:判定:自動成功 赤川累のみ判定可能
太田止隆:「……あそこにある核は、浅木澪央の声、姿、記憶と言葉を持つが」
太田止隆:「本来彼女であったものは既に死に、あれもまたジャーム。在るだけで人を害するもの。であればどちらにしても、取り除く以外に道はない」
太田止隆:腕を組む 「元々から分かっていたことだ。……それが打開の手にも繋がっている。それだけのこと」
赤川累:「……分かって、います」
赤川累:「覚悟だって、していた」
赤川累:「父さんも、北見先生も……他の、ジャームになった人達も」
赤川累:「みんな、そうしてきた。……他に、それ以上の方法がなかったから」
赤川累:「本当の意味で救う事なんて、叶わなかったから。だから……」
北見菫:「……」黙り込む。理屈では、頭では理解している。それでも、納得など出来るはずがない。
北見菫:赤川累を見る。彼は既に、こんな想いを何度もしてきたのだろうか。
"イデア":『本来、尋常の手段で燃やすことはできなかろうが……』
"イデア":『貴様らは見内だそうだからな。恐らく拒むことはあるまい。それが自傷のジャームというものだ』
太田止隆:「ならば俺も無理だろう。大層警戒されていた」
赤川累:「……」自傷。単に自分の肉体だけでなく、自分自身の大切なもの……自分という世界を形作る一部を傷付ける衝動。
赤川累:講習の中で聞いた教えを、思い出す。……浅木澪央の姿を見上げる。
赤川累:ジャームとなり果てた彼女にとって、今もまだ。自分がその中に数えられているというのなら。
"イデア":『うむ……時間だ。ではな、伝えるべき事は伝えたぞ』
"イデア":通信は途切れる
有島まひろ:「………」累くんの横顔を眺める。決意を固めているだろう彼に、言葉をかけるべきか、逡巡する。
有島まひろ:ゆっくりと樹に歩み寄り、その表面に触れる。鋼でありながら、脈打つような体温を感じる。
有島まひろ:「澪央ちゃん」祈るように、その樹木に口づけた。《ブラッドリーディング》を使用。
有島まひろ:樹木の表面に流れる成分を通じて、彼女の思いを…願いを、理解する。
GM:ジャームと成り果てた浅木澪央には、二つの願いしか存在しない。
GM:この星のどこへでも行ける自由と
GM:大切な人の側に、永遠にあり続けること
GM:それを叶えるために"ロレム・イプサム"が提示したのが、これだ。
GM:ジャーム化した所で、本当の意味で遺産の呪縛から逃れることはできない。
GM:であるなら、街が、国が、世界が、彼の存在する全てが
GM:自分自身となってしまえば、それは側にいることと同義ではないか
GM:ジャームである少女は、そう信じている。
GM:絆を失った、どこまでも孤独な存在であるが故に。
有島まひろ:「………」
有島まひろ:「ばかね」
有島まひろ:累くんの夢を応援したいが、離れ離れになるのがつらいと、そう語った少女の姿が、
有島まひろ:ずっと脳裏に刻み込まれている。
有島まひろ:彼女の望みが、彼と一緒にいることなのであれば──やはり、その終止符を打つことができるのは、累くんしかいないだろう。
GM:君達の視線が、少年の右腕に集まった、その時
GM:ここで全員に知覚判定です。難易度は6。
赤川累:5dx+1>=6
DoubleCross : (5R10+1[10]>=6) → 9[1,1,7,9,9]+1 → 10 → 成功
有島まひろ:4dx>=6
DoubleCross : (4R10[10]>=6) → 10[1,6,9,10]+3[3] → 13 → 成功
太田止隆:3dx=>6
DoubleCross : (3R10[10]>=6) → 10[4,4,10]+9[9] → 19 → 成功
北見菫:4DX+1>=6
DoubleCross : (4R10+1[10]>=6) → 7[3,6,7,7]+1 → 8 → 成功
GM:では、全員が気付きます。一歩退いて見守っていた太田さんが一番早かったかも知れない。
GM:赤川くんの懐から、何かが地面に落ちた。
太田止隆:「……赤川。それは?」
赤川累:「え……」促され、視線を落とす。
GM:此処に来る前、澪標深々子から澪央の形見として受け取った、神社のお守りだ。
GM:これまでの戦闘でボロボロになっていたようで、紐は千切れ、袋が開いている。
GM:中から木札と、小さく折り畳まれた和紙がはみ出していた。
GM:何か、書いてあるようだ。
赤川累:僅かに躊躇して。……左手で、それに手を伸ばす。拾い上げる。
有島まひろ:「あら…、澪央ちゃんの神社のお守り?」袋に刺繍された文字を読んで、首を傾げる。
北見菫:「……何か、入ってる……?」
GM:和紙を広げると、そこには筆文字で短い言葉が残されていた。お守りに入れる祝詞のたぐいだろう。
GM:もしかすると、生前に彼女が唸りながら慣れない筆を走らせていた光景を、目にしたことがあるかも知れない
GM:達筆とは言い難い丸文字で、しかし一筆一筆、心を込めたことは見て取れる。
GM:そこに書かれていたのは、ただ一言。
-:『あなたの夢が、ちゃんと叶いますように』
赤川累:「っ……!」
GM:それは、澪標個人に向けて書かれたものでは恐らく無いだろう。
GM:それは、会ったこともない、顔も名前も知らない『誰か』に向けられた
GM:浅木澪央の、本当の願いだ。
赤川累:(そう……だよな)
赤川累:初めて会った時から、そうだった。……親の言いつけを守らず、祭の喧騒に足を運んで、ひとり迷子になっていた
赤川累:まだ顔も名前も知らない子供を、手を引いて助けてくれたあの時から。
赤川累:(ずっと、最初から……お前は、そういう奴だった)
赤川累:あるいはジャームの身となった彼女こそが、抑圧から解放された彼女の本当の願いの体現だったのかもしれないと、
赤川累:そう迷う事もあったけれど。……それでも。
赤川累:今の彼女の中から欠落した"それ"は、
赤川累:やはり確かに、浅木澪央という人間の一部であったはずで。
赤川累:「……澪央」
赤川累:樹の上の少女に、呼びかける。届いてはいないと分かった上で。
有島まひろ:「ねえ、累くん」張り詰めた顔をした少年に、そっと話しかける。
有島まひろ:「…昔、澪央ちゃんと、話したことがあるの」
有島まひろ:「累くんは、将来、お医者さんになるつもり……だったんでしょう?」
赤川累:「……」頷く。
有島まひろ:「そのために、あなたが本土に渡ってしまって…、そうしたら、ずっと遠い場所に行ってしまうかもって」
有島まひろ:「そのまま、困ってる人を助けるために、本土の…たくさん困ってる人がいる所に行ってしまうんだろうって」
有島まひろ:「…言ってた。でも」
有島まひろ:「それが、あなたのやりたいことなら、それを守りたいって」
赤川累:「……っ」
赤川累:"私が護りたかったのは累の未来なんだ"、と。そう告げた彼女の言葉を思い出す。
赤川累:その献身と愛を、最後には身を以て示された。知らないと言えるはずがない。
有島まひろ:「………でも、今の澪央ちゃんは、違うことを考えてる」
有島まひろ:「世界に、根を張って、全部を自分のものにしてしまえば」
有島まひろ:「どこにでも、行けるようになるって………」
有島まひろ:「………そうすれば、ずっと、あなたの傍にいられるから」
有島まひろ:「……寂しかったのかな。でも、同じくらい、優しい子よね」
赤川累:「……ええ」
赤川累:「優しいのも、寂しいのも。……きっと、どっちも本心だったんでしょう」
赤川累:ジャームの妄執、その多くは生前の欲求を根源として生まれると聞いた。
赤川累:「どっちも、本物の澪央で……だけど」
赤川累:「その片方だけが、削ぎ落とされて……今、こうなってる」
有島まひろ:「累くん」微笑む。
有島まひろ:「澪央ちゃんはね、あなたのことが、大好きなのよ」
赤川累:「……はい。知っています」
北見菫:「……」
北見菫:枝を広げる巨大な樹を、静かに見上げる。
北見菫:浅木澪央のことを想う。思い出す。もうそこにはいない彼女のことを。
北見菫:都会の病棟でも、見知らぬ島でも一人きり、腫れ物に触れるように扱われていた自分に。
北見菫:ただの同い年の少女として接してくれたのは、たった一人、彼女だけだった。
北見菫:──きっと私は、彼女に嫉妬していたのだ。
北見菫:そのどこまでも自由な姿に。臆病な私と違って、他人の為に本気になれる、その気高く美しい姿に。
北見菫:彼女が見せようとしていた姿を、与えられるがままに飲み込んで。それ以上踏み込もうと、本当の彼女を知ろうとしなかった。
北見菫:だから私は、彼女のことを本当には信じ切れなかった。
北見菫:だから一人で悩んで、思いつめて。甘い言葉に踊らされて、取り返しのつかないことをした。
北見菫:澪央はいつでも、最後まで。こんな私のことを信じてくれていたのに。
北見菫:
北見菫:悔しく思う。
北見菫:たった一人の親友に、そうなれるはずだった彼女に、何もしてあげられない自分を。
北見菫:彼女に救われて、彼女を救うことのできない自分を。
北見菫:今それができるのは、すべきなのは、きっと自分ではなく──。
北見菫:「……赤川くん」
北見菫:かつて彼女が想いを寄せた少年に向け、口を開く。
北見菫:「私には、出来ないことだから。お願い」
北見菫:「あの子を、もう、楽に……」
北見菫:そこで一度言葉を切って。かぶりを振る。
北見菫:「……ううん」
北見菫:その言葉は、ただの欺瞞かもしれない。
北見菫:ただの口当たりのいい、誤魔化しかもしれない。行為の本質は何も変わらないかもしれない。
北見菫:それでも。それが分かっていても、口にする。自分には出来ないそれを彼に託す。願いのように。祈りのように。
北見菫:「澪央を……」
北見菫:「──助けてあげて」
赤川累:「……ああ」
赤川累:頷く。その瞳と声音の奥にある、無力感と悔しさと──あるいは祈りにも近い願いを、汲み取って。
赤川累:その意思が、右腕へと伝導する。発現する灰化現象──ここまでの戦いで十分に侵蝕の高まったそれは、一瞬の内に自らの血と肉を塵とし
赤川累:禍々しい黒色の腕骨が、灰の風に晒される。
赤川累:一歩、踏み出す。……その掌が、樹皮に触れる。
赤川累:
赤川累:──夢を見る。
赤川累:浅葱島が、焔と怪物の闊歩する地獄になったあの夜から
赤川累:何度となく、同じような夢を見る。
赤川累:精神と肉体を超常のちからに蝕まれて、人ではないものになり果てた人々
赤川累:その影が、燃え盛る煙の向こうから
赤川累:つめたい、渇く、寂しい、苦しい──と
赤川累:呻きを上げて、こちらに這い寄って来る景色。
赤川累:その中には、両親の、浅木澪央の、北見耕三の、学友の、学校の先生の、近所に暮らしていた人々の
赤川累:沢山の見知った顔が見えて。それと同じくらい、知らない顔もあって。
赤川累:何とか助けてやりたくて、彼らに手を伸ばして
赤川累:……果たして、その手は誰にも届く事はない。
赤川累:掴めるのは、風と灰ばかり。
赤川累:今もまた、そうだ。歪められた浅木澪央の運命を、自分はただ終わらせる事しかできない。
赤川累:(……それでも)
赤川累:(それでも、きっと)
赤川累:変わっていく。
赤川累:今はそうやって戦い続けた先に、積み重ねた先に
赤川累:より良いものを掴めることがある。救われる命もある。
赤川累:少しでも、マシになっていく未来がある。
赤川累:──"生きて、未来にさえたどり着けば"
赤川累:──"何もかも手に入る未来だって、あるかも知れん"
赤川累:太田止隆の言葉を思う。
赤川累:あるいはそれは、自分が否定してきたような信仰と変わりのない
赤川累:心を救うための、誤魔化しの嘘のような物なのかもしれない。
赤川累:(……だったら、それが俺の信仰でいい)
赤川累:(何もかもは救えないし、神様になんてなれないけれど)
赤川累:(歩みを止める事だけはしない。未来を諦める事だけはしない)
赤川累:いつか届くだろう未来の為に、目の前に灰を──救おうとして、届かなかった人の証を
赤川累:積み上げ続ける。灰を掴む者(シンダーテイカー)という名は、その覚悟の証明だ。
赤川累:だから、今もまた──
赤川累:
赤川累:──永い眠りから覚めるような、発熱。
赤川累:赤川累の右手から浸透するレネゲイドが、紅色の大樹を侵蝕していく──黒い灰が。死の表象が。
赤川累:罅割れ、軋むような音が鳴る。その巨大な姿がぐらつくと同時。無数に分かれた枝が、黒に染まり、風の中へと溶けていく。
GM:緋色の樹が、炎すら出さないままに燃え、灰が舞い上がる。
GM:枝葉の先から崩れ、遥か深くに届く根もまた、緩やかに燃え落ちていく。
GM:やがてすべての枝が焼け落ち、最後に残されたその核
GM:浅木澪央の身体へと、死灰は到達する。
赤川累:視線は彼女の元へと向いている。自分が行った事の結果を、何よりの目的を。過たず確かめるために。
GM:灰化現象の勢いは、そこで僅かに鈍化する。
GM:彼女を支配する遺産の最後の力が、死の灰に抗おうとせめぎ合う。
GM:しかし、それも一瞬のこと。
GM:黒き灰に抗った緋色の鋼は、やがて白光を放ちながら崩れだし
GM:少女の身体は、本来彼の腕が引き起こすそれとは真逆の、真っ白な灰となって
GM:風と共に、空へと舞い上がっていった。
GM:この島の住人は、その信仰に関わらず、火葬によって送られる。
GM:浅木澪央もまた、彼女が護ってきたこの島の……
GM:彼女が最後まで守り抜いた者の手によって、そのように葬られた。
GM:友の、愛する人の、見知らぬ誰かの幸福を祈った彼女の願いは、
GM:此処に、確かに護られた。
赤川累:「……ああ」空へと消えていく。悪意と運命に翻弄され続けた少女の、これまでを想う。
赤川累:「どうか、安らかに」
赤川累:「さようなら。澪央」気づけば、どこにも届かない言葉を零していた。
北見菫:「……! 澪央……!」
北見菫:舞い散る灰を掴もうとして。掌の中、すぐにさらさらと消えていく。
北見菫:「……!」
北見菫:涙が零れる。握り締めた拳を、胸にぎゅっと押し当てて。
北見菫:「ごめん」
北見菫:「ごめん、澪央」
北見菫:本当の意味で、彼女がもうここにはいないことは分かっている。
北見菫:既に彼女は、あの時死んでいて。動いていたのは、ただ形を模しただけの残骸なのだと、分かっている。
北見菫:けれど、無意味だと知りながらも、人が大切な墓所に想いを託すをやめられないように。
北見菫:消えゆくその残滓に、言葉を零す。
北見菫:「結局、最後まで……一度も言えなかったね」
北見菫:「……ありがとう、澪央」
北見菫:「私を助けてくれて」
北見菫:「私と……私なんかと」
北見菫:「友達で、いてくれて……あり……が……」
北見菫:最後は言葉にならなくて。その場に泣き崩れる。
有島まひろ:(────ああ)
有島まひろ:あの島の惨劇の中、命を落としてしまった彼女のことを…累くんや菫ちゃんは、傷のように抱えてしまうだろうから。
有島まひろ:青空の下、明るく笑っていたような、そんな彼女の軽やかな姿のことも、大切に思い出してほしくて。
有島まひろ:澪央ちゃんのことを、悲しい思い出だけにさせないようにと、そう思っていたけど。
有島まひろ:「………太田くん、ごめんなさい」
太田止隆:視線だけ彼女へ向ける
有島まひろ:「こんなところで、感情に振り回されてるようじゃ、エージェント失格よね………」
有島まひろ:声が震える。瞬きをすると、涙が一粒零れた。
有島まひろ:「ごめんね…、私、これから何か起こったときに、まともに対処できなかったら、ごめん…」
太田止隆:「……感情を殺せることは強みだろうな。感情のままに振る舞うことは弱みかもしれん」
太田止隆:「それでも、感情を抱いて、発露し、言葉に、表情にできることは、強さになることもある」
太田止隆:「人に寄り添える強さだ」
有島まひろ:「……うん」
太田止隆:前髪に指で触れて 「……気にするな。そういうことは俺が気を配る」
太田止隆:「お前はお前の思うままにしていろ。するべきだ」
有島まひろ:「ありがと。ありがと……」
有島まひろ:そう言われた途端、今までどうにか保っていたものが解れ、
有島まひろ:溢れるように涙が零れる。静かに、彼女を弔う。
太田止隆:……灰の舞う空を仰ぐ。遠い宙で散った、太田止隆の友を想っても、涙を零すことはない。
太田止隆:情なきことを強さとするか。情あることを弱さとするか。実際、そんなのは水掛け論で、絶対の回答が出るなんてことはなく
太田止隆:泣き崩れることがあっても、その涙を拭って前へ進むことができるのなら、それは涙を流さぬことと同じく、あるいはそれ以上に強いことのはずだ。
太田止隆:……彼女たちは未来を向けるだろう。だから、この場を沈黙と理性にて守護することは。
太田止隆:(案じてくれるな)
太田止隆:(誇らしいとも)
GM:やがて、最後に燻っていた熱も風の中に消え失せて
GM:そして、霧は晴れる。
N市 30km沖合 洋上
GM:その夜は、月が隠れていた。
GM:沖合から発達した積乱雲が立ち上って空を覆い、時折雷鳴が響く様は、今にも雨が降り出しそうで
GM:しかし、ふと、なんの前触れもなく
GM:その雲が晴れる。
GM:月明かりに照らされて空に浮かぶのは、巨大な島。
GM:闇霧に包まれた航路は此処に途絶えた。
GM:船頭を導く唄もまた、途絶えた。
GM:しかしそれでも、船は最後の力を振り絞って進む。
GM:絶望の彼岸まで、残る猶予は少ない。
浅葱山 山頂
GM:月が近い。
GM:潮騒の音が今までよりもはっきりと響く
GM:しかし、海岸線に海は見えず、代わりに
GM:山から北、遠目にではあるが、まばらに光る筋がある。
GM:N市の光だ。
GM:浅葱島は現在、N市の目と鼻の先の空に浮いている。
GM:君達がその光を認めると同時
GM:ビシッ……ビシッ……
GM:足元に大きな亀裂が走る。
赤川累:「……!?」
GM:バ ゴ ォ ッ !!
GM:それは瞬く間に拡がりって地割れとなり
GM:底の見えない、漆黒の深淵が、君達を迎え入れようと口を開けている。
GM:山頂の地面が、大きく陥没する。
北見菫:「っ……!」揺れに体勢を崩して、屈み込んだままその亀裂を覗き込む。
太田止隆:「……さて、全員離れるなよ」
有島まひろ:「……"圏界"の入口が開いたのね」
赤川累:「この中に……"ローレライ"の本体と、他の遭難者が」体勢の崩れた北見さんを支えつつ、こちらも奥へと視線を向ける。
有島まひろ:「ん……。もう、N市は遠くに見えているし…、時間の猶予はなさそうね」
太田止隆:「そして、猗蛇祇異本。この島の巫女に、運命を課してきた元凶の遺産もだ」
太田止隆:「その全ての回収なくして、決着は有り得ない」
赤川累:「通信は回復しただろうけど……援軍を呼んでいる時間もない、か」
北見菫:「……行こう」赤川くんを支えに立ち上がる。
北見菫:「澪央を利用した奴らに、これ以上思い通りになんてさせない」
有島まひろ:「ふふ」菫ちゃんに微笑む。「どうやら、心配ご無用みたいね」
太田止隆:イージーエフェクト《アップドラフト》を使います。局所的に熱を操作し、上昇気流によって無理のない速度での落下を可能とする。
太田止隆:剣を掲げ、気流による往路を作り出しつつ 「いつでも行けるぞ」 と、声だけかけておく
有島まひろ:「行きましょうか。…累くんも、大丈夫?」
赤川累:「……ええ」頷く。「この島も、澪央たちも利用して……こんな計画、最後まで潰してやらなきゃ気が済まない。それに」
赤川累:「まだ、手の届くかもしれない人達がいる。……立ち止まっては、いられません」
有島まひろ:「…うん」微笑む。「あなたの力で…顔も知らない人たちを、守って」
有島まひろ:「そして、生きて帰りましょう」
北見菫:「……赤川くん」
北見菫:振り返って目を向ける。
赤川累:「……何だ?」その視線を受け止める。
北見菫:じっと目を見て。
北見菫:「私まだ、ちゃんと仲直りしてないから」
北見菫:「勝手に死なないでね」
北見菫:「それだけ」
北見菫:言い残して、片手でスカートを抑えて穴に身を投じる。
赤川累:「……」ふ、と。少し気の抜けたように笑って。
赤川累:「そっちもな」
有島まひろ:「あ、菫ちゃん、ちょっと!」追いかけるようにして穴に身を投じていく。
赤川累:こちらもすぐ後を追うように、闇の中へと飛び込む。
太田止隆:「やれやれ」
GM:そうして三人が飛び込んだ後
GM:太田さんの端末に、短いメッセージが入る。
太田止隆:微かに、だが悪い気分ではなく苦笑を口角に浮かべつつ
太田止隆:身を投じる前に、そのメッセージを確認する。
GM:先程の様なリエゾン級のハッキングを除いて、君の端末にアクセス出来るものは限られている。
GM:直属の上司である斑鳩か、或いはその上……
"リヴァイアサン":『市民の情報規制は万全です』
"リヴァイアサン":『急ぎ応援を編成していますが、猶予はありません』
"リヴァイアサン":『よって、ここは伏せ札を切る時だと判断します』
"リヴァイアサン":『後はよろしく。以上』
太田止隆:(相変わらず無駄に義理堅い)
太田止隆:了解の2文字だけを返して、端末を懐に入れ直し
太田止隆:「よろしくなるとも」
太田止隆:気流を収束させながら、静かに闇の中へ身を投じる。
GM:シーン終了。ロイス所得が可能です。
赤川累:こちらはなしで!
北見菫:保留で!
有島まひろ:同じく保留で!
太田止隆:赤川累/○信頼/憐憫 これだけとっとこ
GM:OK!
【Climax】
GM:クライマックスです。全員登場!
赤川累:赤川累の侵蝕率を+6(1d3+3->3+3)した(侵蝕率:111->117)
有島まひろ:1d3+3+91
DoubleCross : (1D3+3+91) → 3[3]+3+91 → 97
太田止隆:太田止隆の侵蝕率を+5(1d3+3->2+3)した(侵蝕率:93->98)
北見菫:北見菫の侵蝕率を+6(1D10->6)した(侵蝕率:91->97)
魔嶼・猗蛇祇
GM:君達が降下した深淵は、どこまでも深く続いていた。
GM:浅葱山は島の最高峰と言っても精々標高300m弱の小山だが
GM:体感では既に何千mもの暗闇を落ち続けているように思える。
GM:延々続くと思われた闇の中で、漸く
GM:眼下にぽつりと、小さな白点が浮かび上がってきた。
?????:「少々……遅かったな」
?????:純白の千早……巫女の装束を纏った少女だ
?????:その顔つきは、先程君達が弔ったはずの浅葱澪央によく似ている。しかし
?????:その肌は闇の中にあって尚わかる程黒く、髪は純白
?????:「魂のないただの器だが、何事もスペアは用意しておくものだな」
赤川累:降下する気流の中で姿勢を立て直しながら、その姿に気付く。
赤川累:「──お前、は」目を細める。
赤川累:「誰だ」
?????:「私の名に意味など無い」
?????:「ただそこに"ある"ことを確かめるために流し込まれる間に合わせ」
?????:「故に、いつぞやは"ロレム・イプサム"と名乗ったこともあったか」
?????:「しかし、今は適当ではないだろう。この器を間借りしてる身としてはね」
"ローレライ・カノープス":「私は、"ローレライ"」
"ローレライ・カノープス":「ああ、安心したまえ。浅葱澪央ではない」
"ローレライ・カノープス":「さっき言った通り、彼女が失われた時のためのスペア、間に合わせだ」
太田止隆:「あの樹が失われても、この島が未だ動きを止めないのは、お前がいるから……ということだな?」
太田止隆:手にした双身の剣の片刃には、既に炎を宿している。その炎でもって、空間を照らし出す
"ローレライ・カノープス":「まあ、そう長く保つものではないが」
"ローレライ・カノープス":「君達を排除して、この島をN市へ到達させる。そのくらいは造作も無いとも」
北見菫:「……」困惑の表情が、やがて敵意へ変わっていく。
北見菫:「あんた達が、澪央を……」
赤川累:「……お前は澪央じゃない。そんな事は分かってる」苛立たし気に。
赤川累:「何が器だ。……この島も、澪央も。お前の道具として使われるために在った訳じゃない」
赤川累:「"ロレム・イプサム"、"ローレライ"……名前なんて、何だっていい。重要なのは」
赤川累:「俺が何より怒っているのは」
赤川累:「お前らが、誰かが迎えられたはずの未来を踏み躙ったって事だ」
有島まひろ:「……あなたが、”ロレム・イプサム”であるならば………」
有島まひろ:眉をひそめて、目の前の少女を見る。亡くなったはずの人間が、蘇ったかのように現れる現象を、
有島まひろ:自分達は、海辺の戦闘でも経験している。
有島まひろ:「……その体も、本当はどこからか奪ってきた、何の関わりもない人なんでしょう」
"ローレライ・カノープス":「その通りではあるが……そう気軽に言われてはたまらないな」
"ローレライ・カノープス":「それなりにコストがかかっているんだ」
"ローレライ・カノープス":「ただ攫っただけでは使い道がないからね」
"ローレライ・カノープス":「"教育"と"洗浄"を積み重ねて初めて、白紙の器となる」
"ローレライ・カノープス":「一人の人間を"誰でもないもの"にするというのは、手間と時間がかかるものなのだよ」
有島まひろ:「な…っ」絶句する。「人を、まるで人形みたいに……」
北見菫:「……」顔を顰める。反吐が出る、他人を利用し使い潰すことに何の躊躇も感慨も抱かない者の理屈だ。
北見菫:こんな相手に澪央が利用されたと思うと、臓腑が煮えくり返る。
有島まひろ:「空港と飛行機にいた人々は…、絶対にあなたなんかに渡さない……!」
"ローレライ・カノープス":「飛行機……ああ、あれか」
"ローレライ・カノープス":そういった瞬間、暗闇に淡い光が広がる。
有島まひろ:「!」
"ローレライ・カノープス":そこは、深海の様に一面が白灰色の砂に覆われた不毛の地だ
"ローレライ・カノープス":息苦しくはないが、所々水中でも無いのに泡が浮かび上がり
"ローレライ・カノープス":幾つもの岩盤が中に浮かび、その中の一つに、君達は立っている。
"ローレライ・カノープス":その頭上、一際大きな泡に包まれて、空港で君達の目の前から消えた飛行機が浮かんでいる。
太田止隆:(圏界……神なるものの理による空間か、これが)
有島まひろ:「…………っ」表情が揺らぐ。
北見菫:「何……これ……」余りにも現実離れしたその光景に立ち竦み、目を見張る。
"ローレライ・カノープス":「安心するといい、まだ何もしていない」飛行機を指して
赤川累:「っ……」攻撃を受けたのかと思い、構えを取る。周囲を警戒し……そうして、頭上に浮かぶその姿を見止める。
"ローレライ・カノープス":「あれの使い道はこの後だからね」
有島まひろ:「何を………」
"ローレライ・カノープス":「それに答える必要はないだろう」
"ローレライ・カノープス":「月並みな台詞だが……」
"ローレライ・カノープス":「君達はここで滅びるのだからね」
GM:言葉と同時に、深海が大きく鳴動する。
GM:地中から金属質の触手が幾つも湧き出し
GM:周囲を囲む岩盤そのものが、意志を持ったように軋みをあげる
"ローレライ・カノープス":「浅葱澪央は良くやってくれた。今ここに」
"ローレライ・カノープス":「浅葱島は真実、魔嶼となった」
"ローレライ・カノープス":「後は私だけで事足りる」
"ローレライ・カノープス":少女の足元から、巨大な影が起き上がりそれを飲み込む。
"ローレライ・カノープス":それは大きな顎門……否
"ローレライ・カノープス":貝殻だ。巨大な貝の怪物が、少女を飲み込み
"ローレライ・カノープス":再び、2枚の殻が開く
"ローレライ・カノープス":浅葱島の祀神、古き"海棲"の血族
"ローレライ・カノープス":その触手が少女の背に何本も突き刺さり、同化している。
"ローレライ・カノープス":「さて、時間だ。そろそろお引取り願おう」
太田止隆:「歓待されざる来客がどちらか、分かりきってるだろう」
"ローレライ・カノープス":「妙なことを言うな、君は」
"ローレライ・カノープス":「ここは私の島だよ。君達が生まれる前からずっとね」
北見菫:「違う」
北見菫:「ここはあの子の島よ。あの子がずっと、守ろうとしてきた場所」
北見菫:鮮血が噴き出し、失くした右腕を形作る。
北見菫:「あんた達が何をしようとしてるかなんて、私には分からない。どうでもいい」
北見菫:「だけどここは、澪央の大切な場所なの」
北見菫:そして、自分の手で滅ぼした場所。
北見菫:「私の友達に手を出した報い……受けてもらうわ」
有島まひろ:「……そうね。それくらいシンプルな方が、私も好きだわ」
有島まひろ:「あなた達の野望なんて、どうでもいい。だけど」
有島まひろ:「あなた達の行いを、決して許すことはできません。必ず、ここで止める」
有島まひろ:しかと相手を見据える。
太田止隆:「結局お前は、島の外の人間にとっても、島の人間にとっても、許されざることをしている訳だ」
太田止隆:「主か開祖を気取った所で、結局それでは怒りをいたずらに買うばかり」
太田止隆:「あとはお前がそれに耐えられるかどうか。……確かめてやろう」
赤川累:「あいつが……澪央が」
赤川累:「自分の命を賭けて護ろうとしたものを、お前の手なんかに穢させはしない」
赤川累:「……俺自身と、北見さん。あの日の浅葱島で、生き延びた人々。この島そのもの。……そして」
赤川累:「……」泡の中に浮かぶ、飛行機を見上げる。
赤川累:名前も顔も知らない人々の命が、そこにある。未だ、手の届く場所に。
赤川累:「全部……全部、あいつが大切にしようとしていたものだ」
赤川累:「くれてやるものか」熱と共に、右腕を翳す。……今度こそ、灰ではない何かを掴み取る為に。
"ローレライ・カノープス":「揃って"スターゲイザー"に踊らされた分際でよく吠えたものだ……」
"ローレライ・カノープス":「いいだろう。ならば君達を」
"ローレライ・カノープス":「この島に葬られる、最後の死者にするとしよう」
GM:海底が一際大きく鳴動し、空気が沸き立つ。
GM:クライマックス戦闘を開始します。
"魔嶼・猗蛇祇":《神性圏界》
"ローレライ・カノープス":《神性圏界》
GM:島そのものと、"ローレライ"、独自の版図を作り出す異形の《ワーディング》が
GM:空間全体に行き渡り、神域の法則を君達へと押し付ける。
GM:衝動判定。難易度は9です。
太田止隆:10dx+1=>9
DoubleCross : (10R10+1[10]>=9) → 10[1,2,3,4,4,5,5,6,9,10]+4[4]+1 → 15 → 成功
太田止隆:2d10
DoubleCross : (2D10) → 18[10,8] → 18
太田止隆:太田止隆の侵蝕率を+18した(侵蝕率:98->116)
北見菫:4DX>=9
DoubleCross : (4R10[10]>=9) → 10[4,7,10,10]+8[7,8] → 18 → 成功
北見菫:97+1D10
DoubleCross : (97+1D10) → 97+9[9] → 106
北見菫:106+1D10
DoubleCross : (106+1D10) → 106+8[8] → 114
北見菫:ぐええ高すぎ
赤川累:6dx>=9
DoubleCross : (6R10[10]>=9) → 8[2,3,7,8,8,8] → 8 → 失敗
赤川累:あっ思い出の一品の+1忘れてた!
GM:足しな!
赤川累:じゃあ+1で9になって成功……!
赤川累:赤川累の侵蝕率を+12(2d10->6,6)した(侵蝕率:117->129)
有島まひろ:3dx>=9
DoubleCross : (3R10[10]>=9) → 4[3,4,4] → 4 → 失敗
有島まひろ:2d10+97
DoubleCross : (2D10+97) → 10[2,8]+97 → 107
有島まひろ:暴走しました~
GM:まずは現在のエンゲージ
エンゲージ
"魔嶼・猗蛇祇"[6](シーン全体にエンゲージ)
"ローレライ・カノープス"[4]
(5m)
赤川累[15] 北見菫[6] 有島まひろ[5] 太田止隆[10]
GM:この戦闘の特殊ルールとして
GM:島そのものである"魔嶼・猗蛇祇"は、他のキャラクターがどこにいても同じエンゲージにいるとして扱います。
GM:これは《神性圏界》の付随効果とします。
GM:また、"魔嶼・猗蛇祇"は《究極存在》の効果によりあらゆる戦闘ダメージを受け付けません。
GM:このエネミーを倒すには、以下のFS判定を達成し、島の核となる遺産、猗蛇祇異本を破壊する必要があります。
■FS判定:猗蛇祇異本を破壊せよ
〈知識:レネゲイド〉〈情報:UGN〉難易度8
(各種エフェクトの組合せによる達成値ボーナスあり)
進行値:0/12
終了条件:6ラウンド経過orPCの全滅
最大達成値:30
規定の進行値到達で、そのラウンド中"魔嶼・猗蛇祇"に『復活エフェクト使用不可』状態を付与
GM:この戦闘では、上記のFS判定と、通常戦闘を並行して行います。
GM:質問はあるかな~?
太田止隆:ひとまず大丈夫!
有島まひろ:FS判定はどのタイミングでやるんですか? 各PCの手番前?
GM:メジャーアクションで、どちらかを選んで頂きます
赤川累:なるほど
北見菫:OK!
GM:判定を行った場合は攻撃できません
有島まひろ:理解!
赤川累:理解しました~
GM:では初めます!
---
GM:第一ラウンド
GM:セットアップから。宣言をお願いします。
赤川累:ありません。
有島まひろ:ありません~
太田止隆:なし!
北見菫:ないです!
"魔嶼・猗蛇祇":《空中庭園》
"魔嶼・猗蛇祇":全キャラクターを戦闘移動させます。エンゲージは以下の通り。
エンゲージ
"魔嶼・猗蛇祇"[6](シーン全体にエンゲージ)
赤川累[15]
(10m)
北見菫[6] (10m) "ローレライ・カノープス" (10m) 太田止隆[10]
(10m)
有島まひろ[5]
北見菫:なっなんだと
有島まひろ:ひゃあ
太田止隆:フーム
"ローレライ・カノープス":《狂騒の旋律》《原初の黄:鮮血の奏者》《螺旋の悪魔》《背徳の理》《極限暴走》
"ローレライ・カノープス":HPを4消費し、ラウンド中攻撃力+24、ウロボロスのエフェクトを組み合わせた場合更に+18
"ローレライ・カノープス":シーン中ウロボロスのエフェクトを組合せた判定のダイス+8。変異暴走:自傷が発動。
"ローレライ・カノープス":即座に5d10のHPを失います。
"ローレライ・カノープス":5d10
DoubleCross : (5D10) → 32[7,8,7,8,2] → 32
"ローレライ・カノープス":戦闘不能。暴走が解除されます。
"魔嶼・猗蛇祇":《原初の黒:奇跡の雫》
"魔嶼・猗蛇祇":ローレライの戦闘不能を回復
"ローレライ・カノープス":《混沌の宿命:激情の早鐘》戦闘不能からの回復時、次のメインプロセスまで判定C値-1
"魔嶼・猗蛇祇":君達の立っていた岩盤が四つに砕け
"魔嶼・猗蛇祇":"ローレライ"を囲むように、ばらばらに引き離される。
太田止隆:「! 慌てるな! 引き離されるだけだ!」
有島まひろ:「……! 累くん!菫ちゃん!」後ずさって姿勢を保つ。
赤川累:「っ……!」変動する足場から逃れようとするが、間に合わず弾き飛ばされる。
北見菫:「まひろさん……!」体勢を崩しかけて、血の楔で自身を岩盤に縫い留める。
赤川累:「大丈夫、です!」姿勢を立て直しながら、応じる。
GM:ではイニシアチブ……に行く前に一個忘れてました。
GM:地中から湧き上がる幾つもの泡、それに混じって
GM:紫色の毒々しい泥の塊が数個、ゆらゆらと落ちてくる。
・NPCカード:"マスターティアーズ"
『腐泥人形』《原初の紫:崩れずの群れ》
カバーリングを行う。シーン3回まで。
GM:これが使えます。
GM:改めてイニシアチブ15、赤川くんの手番です。
赤川累:はい。では
赤川累:マイナーで戦闘移動。カノープスにエンゲージしまして
赤川累:メジャーで異本破壊判定に挑戦。知識:レネゲイドでいきます
GM:どうぞ!
赤川累:6dx+1>=8
DoubleCross : (6R10+1[10]>=8) → 7[1,5,5,7,7,7]+1 → 8 → 成功
赤川累:あ、あっぶな
GM:進行値1/12
GM:まだ規定値には達しません。
赤川累:やむなし
GM:続いてイニシアチブ10、太田さんの手番です。
太田止隆:では同様にFS判定をするわけですが
太田止隆:GM、自分《熱感知知覚》というイージーエフェクトを持っていまして
太田止隆:レネゲイドそのものを探査するには役立たずとも、視界不良のなかで動けることによる単純な捜索効率の上昇は見込めると思うんですが、いかがでしょう!
GM:認めます!達成地に+2!
太田止隆:やったー じゃあマイナーで"ローレライ・カノープス"にエンゲージして、メジャーでFS判定。<知識:レネゲイド>
太田止隆:11dx+4
DoubleCross : (11R10+4[10]) → 10[2,2,4,4,5,6,8,8,9,10,10]+6[6,6]+4 → 20
太田止隆:よーしよし
GM:優秀過ぎる
北見菫:えらすぎる
有島まひろ:さすが伏せ札さん
GM:進行値4/12
GM:最初の既定値に達しました。
■FS判定:猗蛇祇異本を破壊せよ
進行値:4/12
"ローレライ・カノープス"は自身の負荷を省みぬ勢いでその肉体を攻撃的に変質させているが、その度に傷が治癒されていき、その耐久力は不死身に等しい。
君達は、"魔嶼・猗蛇祇"の触手を通じて遺産の力がローレライに流れ込んでいることを察知する。
触手は切った端から再び生えて接続される。ローレライを倒すには、この空間のどこかにある"猗蛇祇異本"の本体を破壊するしかなさそうだ。
進行値4到達報酬
・ラウンド中"魔嶼・猗蛇祇"に『復活エフェクト使用不可』状態を付与
・シーン中PCのあらゆる判定のダイスを+3
以降の判定技能を〈白兵〉難易度12 に変更する。
太田止隆:ここまで降りてきた時のように、上昇気流を発生しつつ剣からの炎の噴射で裂ける地盤を渡って歩く。
太田止隆:("神性圏界"の中なら、ただ尋常の手段で倒せるとは思わないが……)
太田止隆:高度を取りながら、"ローレライ・カノープス"を眺め下ろして
赤川累:迫る触手と、砲弾めいた岩を躱し、あるいは砕きながら。"ローレライ・カノープス"へと距離を詰める。
赤川累:何度も進路を曲げ、走る最中の一瞬。頭上に視線を遣る。太田止隆の姿がある。
太田止隆:「……そのまま行け! フォローはする!」
赤川累:視線を以て応じ、すぐに翻った。せり上がった岩盤を蹴り、飛び上がる──ローレライの頭上を瞰する。
"ローレライ・カノープス":「走り回るだけか?」貝柄から伸びた触手が盾のように重なり、頭上の君へと突き上げられる。
赤川累:「器用じゃないもんでな」自分の能力は、そういう類だ。結局は、動き回って触れなければ何もできない。
赤川累:「それでも」それを達成するための技術を、磨いてきた。重なる触手との接触までの猶予を、須臾の内に読み切って
赤川累:右腕を薙ぐように払う。束ねたそれらを、過たずに握り捉えて。
"ローレライ・カノープス":「む───」
赤川累:──発熱。黒色のレネゲイドが浸透し、その構造を侵していく。
赤川累:そのまま、引き千切るようにして。目の前の敵が持つ、最大の手足を奪い──
"ローレライ・カノープス":束ねられた触手は、その熱によってまとめて崩れ落ち、千切れていく
"ローレライ・カノープス":しかし
"ローレライ・カノープス":「怖いな……聖者の遺産か。相性が悪い」
"ローレライ・カノープス":千切れ飛んだ断面の組織がボコボコと膨張し
"ローレライ・カノープス":一瞬の内に再生する。その先端は鏃や鎌など、より攻撃的な形状に作り変えられている
"ローレライ・カノープス":「"此処"で戦えて良かったよ」
赤川累:「っ、な」
赤川累:眼を見開く。再生するだろうとは思っていた──しかしこれは、あまりにも早すぎる。
"ローレライ・カノープス":「これでは心許ないな。もう少し増やしておくか」
"ローレライ・カノープス":そういうと自らの身体を触手で切り刻み
"ローレライ・カノープス":その傷口が瞬時に再生し、新たな触手を生み出していく。
"ローレライ・カノープス":「さて、今度は片手で抱えきれるかな」
赤川累:「……!」
"ローレライ・カノープス":増殖した触手が、今度は前と左右の三方から赤川へと殺到する
太田止隆:……再生したばかりの攻撃部位を斬撃する。長く鋭く、白い靄を纏う氷の刃が、右方より迫るそれらを再び斬り飛ばす。
太田止隆:更に勢いのまま、前方から迫る触手へ、今度は逆側の炎を纏った刃。斬撃を受けた部位は燃えながら断ち切られる。
太田止隆:「……」 だが、それで終わるとは思っていない。双の刃に、より鋭く、より燃え上がる力を込めながら、"ローレライ・カノープス"を睨む。
"ローレライ・カノープス":「ほう……大したものだ」
"ローレライ・カノープス":触手は一度その動きを止めるが、間を開けずに再生して再び君達へ切っ先を向けている。
赤川累:「太田さん……この、敵は」
太田止隆:「……生半可な傷は、再生による変化にしかならん。与えるならば、本体……制御・嗜好を司るあの人型へ重い一撃……なのは勿論だが」
太田止隆:「そもそものエネルギーソースがあるはずだ。遺産、『猗蛇祇異本』。生命に対する無限の干渉能力」
赤川累:「……! あの遺産か。あの文書の中では、形態は不明とあったけれど……」
太田止隆:「表面を切り刻んでもこちらが消耗するだけだろう。そちらを砕かなければ力負けする。……それがどこにあるかだ」
"ローレライ・カノープス":「それを許すと思うかね?」
太田止隆:「圏界の内にあるお前に繋がっている以上、この場からは届かない、ということは有り得ない。……フン」
太田止隆:「許しを乞うた覚えも、許されなければならない覚えもない。勝手にやるさ」
赤川累:「なるほど、そして……」"ローレライ・カノープス"の言葉を受けて。「今の話、否定はしないんだな」
"ローレライ・カノープス":「なるほど、よく見ている」
"ローレライ・カノープス":「言ったはずだぞ。今やこの島そのものが遺産なのだ」
"ローレライ・カノープス":「蟻に象の心臓を噛み砕くことはできないさ」
GM:イニシアチブ6 北見さんの手番です。
北見菫:マイナーで≪赫き剣≫
北見菫:HP消費して武器作成します
北見菫:北見菫の侵蝕率を+3した(侵蝕率:114->117)
北見菫:北見菫のHPを13した(HP:17->13)
北見菫:メジャーで≪コンセントレイト:ブラム=ストーカー≫+≪鮮血の一撃≫+≪渇きの主≫+≪ブラッドボム≫+≪フレイムタン≫
北見菫:対象"ローレライ・カノープス"!
GM:酷いことする
GM:来な!
北見菫:10DX7+4
DoubleCross : (10R10+4[7]) → 10[1,2,2,5,7,7,8,9,9,10]+6[1,3,3,6,6,6]+4 → 20
GM:ドッジ!
北見菫:避けんといて~
GM:9dx+1>=20
DoubleCross : (9R10+1[10]>=20) → 10[4,4,6,7,8,9,9,9,10]+10[10]+4[4]+1 → 25 → 成功
北見菫:嘘だろ
有島まひろ:え~つ
GM:えっまじか
"ローレライ・カノープス":避けました♡
北見菫:クソ~~~
北見菫:北見菫の侵蝕率を+11した(侵蝕率:117->128)
北見菫:「あなたを倒して……」
北見菫:真紅の義腕を敵へと向ける。それは見る間に凍り付き、血と氷の巨大な槍へと変貌して。
北見菫:「もう、全部、終わらせる……!」
北見菫:激情と共に槍が放たれる。血の尾を引いて飛翔し、敵を穿たんと真っ直ぐに迫る。
"ローレライ・カノープス":その槍は、堅牢な貝殻によって容易く防がれる。
"ローレライ・カノープス":「北見菫。君には特に面倒をかけられた」
"ローレライ・カノープス":「"スターゲイザー"の走狗のまま死んでおけば良かったものを……だが」
"ローレライ・カノープス":「巫女を一度殺しておいてくれたのは助かったよ」
"ローレライ・カノープス":「色々やりやすくなった。差し引きでいえばゼロと言ったところだが」
北見菫:「ッ……」
北見菫:見知った姿から放たれる言葉に、ほんの一瞬顔を歪めて。自分の動揺を自覚する。
"ローレライ・カノープス":「疲れただろう。もう眠るといい。」
"ローレライ・カノープス":「許しが欲しいのなら、私が与えよう」
北見菫:息を吐いて、迷いを振り払う。姿形に意味など無い。彼女はもういないのだ。どこにも。
北見菫:「必要ないわ」
北見菫:「それは私の、大事な荷物だもの」
北見菫:今度こそ、敵を敵として見据える。
北見菫:浅木澪央はもういない。
北見菫:だからこそ、自分達が継がねばならないのだ。失われたその意思を。
GM:イニシアチブ6 "魔嶼・猗蛇祇"の手番
"魔嶼・猗蛇祇":《破砕の顎》《王者の声》《原初の赤:雷の剣》《コンセントレイト:オルクス》
"魔嶼・猗蛇祇":"魔嶼・猗蛇祇"はシーン全体にエンゲージしています。よって
"魔嶼・猗蛇祇":PC全員に至近で接触しているとし、範囲攻撃を行います。
太田止隆:い、インチキ~!
赤川累:なんてことわよ
北見菫:そんなことある?
有島まひろ:ひええ
"魔嶼・猗蛇祇":13dx7+6
DoubleCross : (13R10+6[7]) → 10[1,2,3,3,5,6,6,7,7,8,8,10,10]+10[1,4,5,6,7,9]+6[6,6]+6 → 32
"魔嶼・猗蛇祇":ドッジダイス-2!
有島まひろ:暴走のためリアクションできません~~
北見菫:5DX+1 ドッジ
DoubleCross : (5R10+1[10]) → 8[1,1,2,3,8]+1 → 9
赤川累:一応のドッジ
赤川累:3dx+1>=32
DoubleCross : (3R10+1[10]>=32) → 10[1,3,10]+2[2]+1 → 13 → 失敗
太田止隆:ガード、《氷盾》+《八重垣》。そして赤川くんをカバーリング。ギャリソンズシールド・エバースタンドの効果使用
太田止隆:《炎陣》でカバーリング、ね!
赤川累:助かりまくり!
太田止隆:これにより52点までは防げるぞ。どうだ……!
"魔嶼・猗蛇祇":ではダメージ!
"魔嶼・猗蛇祇":4d10+19
DoubleCross : (4D10+19) → 25[6,8,7,4]+19 → 44
太田止隆:完全に弾く!
"魔嶼・猗蛇祇":ひえ~!
赤川累:頼もしすぎ
太田止隆:太田止隆の侵蝕率を+7した(侵蝕率:116->123)
北見菫:"ローレライ・カノープス" 懐旧/〇敵意 でロイス取得、即昇華して復活します HP14
有島まひろ:"ローレライ・カノープス" 遺志/〇:憤懣 でロイス取得、即昇華してHP15で復活します
"魔嶼・猗蛇祇":神性圏界全体が再び鳴動する
"魔嶼・猗蛇祇":周囲に浮かぶ岩盤が一斉に君達を向き
"魔嶼・猗蛇祇":弾丸の如く射出される。それらは互いにぶつかり、砕け合って
"魔嶼・猗蛇祇":無数の岩石の雨となって君達へ降り注ぐ。
赤川累:「……!」眼前の敵とは別の気配、この領域そのものからの攻撃。
赤川累:雨のように注ぐそれらを、躱す事も弾く事も不可能であるとすぐに断ずる。……自分には。
太田止隆:氷の剣を大きく振るい、辺りに煌めく霧のような粒子の幕を張る
太田止隆:そして、盾を中心に氷の壁を展開。冷気は盾のみならず、自らのレネゲイドを宿した幕にまで伝播し、そのまま広く厚い壁と化す
太田止隆:それらは内部に激しい冷気を込め、攻撃を受ければ砕けた地点から反応装甲めいて冷気が吹き上がり、飛礫をむしろ壁の一部として取り込んでいく。
有島まひろ:「菫ちゃ…っあう!」岩石の雨に身体を穿たれながら、少女の姿を探す。
北見菫:「う、ぁあ……ッ!」血の刃を振るい迎撃するが、全方位からの攻撃にどうしても死角が生まれる。打ち据えられ、切り裂かれて血が噴き出す。
"魔嶼・猗蛇祇":ゥオオオオオオォン………
"魔嶼・猗蛇祇":唸るような地響きがこだまする。
"魔嶼・猗蛇祇":この島そのものの君達への殺意が少しずつ膨れ上がっていく。
太田止隆:「……傷ついた所から強くなるのは、何もそちらの専売特許ではないんだ」攻撃が止めば氷の壁は消えるように溶け、受け止めた礫がボロボロと奈落へ落ちていく
GM:イニシアチブ5 有島さんの手番です
有島まひろ:はーい
有島まひろ:マイナーアクション。《完全獣化》《破壊の爪》《襲撃迷彩》。
有島まひろ:10m前進して、ローレライちゃんに接敵します。
エンゲージ
"魔嶼・猗蛇祇"[6](シーン全体にエンゲージ)
赤川累[15] 太田止隆[10]
北見菫[6] (10m) "ローレライ・カノープス"
有島まひろ[5]
有島まひろ:メジャーアクション。《コンセントレイト:キュマイラ》《渇きの主》《血に飢えた跳躍》。隠密状態で、ローレライちゃんに白兵攻撃!
有島まひろ:13dx@7+3
DoubleCross : (13R10+3[7]) → 10[1,2,2,5,5,5,6,6,7,7,7,8,10]+10[3,4,9,10,10]+10[1,4,10]+1[1]+3 → 34
"ローレライ・カノープス":うぐぐ……
"ローレライ・カノープス":ドッジ!
"ローレライ・カノープス":9dx9+1>=34
DoubleCross : (9R10+1[9]>=34) → 10[2,3,4,5,6,7,8,9,9]+7[3,7]+1 → 18 → 失敗
有島まひろ:やった~!
"ローレライ・カノープス":だめ!ダメージどうぞ!
有島まひろ:4d10+22
DoubleCross : (4D10+22) → 19[3,10,5,1]+22 → 41
有島まひろ:装甲値無視です!
"魔嶼・猗蛇祇":《隆起する大地》ダメージを-1d10+18
有島まひろ:え~っ
"魔嶼・猗蛇祇":41-1d10-18
DoubleCross : (41-1D10-18) → 41-7[7]-18 → 16
"ローレライ・カノープス":だいぶ削れたけど……
"ローレライ・カノープス":それでも無理!戦闘不能!
有島まひろ:よっ よかった~!
"ローレライ・カノープス":こいつはめちゃくちゃ貧弱なの
"ローレライ・カノープス":《魔獣の証》で復活
"ローレライ・カノープス":《混沌の宿命:激情の早鐘》
"ローレライ・カノープス":判定のC値を更に-1
有島まひろ:岩石の雨に打たれながら、その姿がじわじわと空気に溶けていく。
有島まひろ:脱げた服がばさりと岩盤に落下した時に、蝙蝠の羽を広げた夢魔が、少女の頭上に羽ばたいていた。
"ローレライ・カノープス":その羽を穿たんと、鏃の付いた触手を放つ。
有島まひろ:羽の先端が棘のように伸びて、迫る触手を交わしながら、繭のように包んで少女の体を穿つ。
"ローレライ・カノープス":「か……ふ……」
有島まひろ:「………その姿、やめてくれないかしら」顔をしかめている。
"ローレライ・カノープス":全身を穿たれ、小さく吐く息に血が混じる
"ローレライ・カノープス":「それは……何故かな?」
"ローレライ・カノープス":「君は、浅木澪央とは縁もゆかりもなかったと記憶しているが」
"ローレライ・カノープス":穿たれた傷は、瞬時に癒やされていく。
有島まひろ:「……そうかもね。数日、言葉を交わしただけの仲よ」
有島まひろ:「でも。それでも、あの子は私に心を許してくれたの」
有島まひろ:「……それだけで、あなたを不愉快に思う理由としては、十分だわ」
"ローレライ・カノープス":「成程、ならば君も付いていってあげるといい」
"ローレライ・カノープス":「冥土の道行きも、伴が4人もいれば寂しくないだろう」
有島まひろ:「お生憎様。あなたは彼女のことを何も分かってない!」
有島まひろ:「澪央ちゃんがそんな風に思うはずもないわ。彼女を弄ぶのも───いい加減にしなさい!」
GM:イニシアチブ4 "ローレライ・カノープス"の手番
"ローレライ・カノープス":《完全獣化》《エアロドライブ》シーン中の肉体判定ダイス+6。素手データを攻撃力+10 命中-2 ガード0に変更。素手を使用した攻撃時にHP-5
"ローレライ・カノープス":メジャー《原初の赤:要の陣形》《シャドーテンタクルス》
"ローレライ・カノープス":10m以内のPC三名に素手で攻撃
"ローレライ・カノープス":choice[赤川,北見,有島,太田]
DoubleCross : (CHOICE[赤川,北見,有島,太田]) → 赤川
"ローレライ・カノープス":赤川くん以外の三人!
北見菫:最悪のとこ引いたな……
有島まひろ:わ~
"ローレライ・カノープス":23dx8+2
DoubleCross : (23R10+2[8]) → 10[1,1,2,2,2,3,4,4,4,4,5,5,6,6,7,8,8,8,8,9,9,10,10]+10[5,7,7,7,9,9,10,10]+10[1,2,6,10]+10[9]+5[5]+2 → 47
北見菫:7DX+1 ドッジ
DoubleCross : (7R10+1[10]) → 10[2,4,5,5,10,10,10]+9[1,5,9]+1 → 20
有島まひろ:暴走リアクション不可です~
太田止隆:ドッジもあんま意味ないのでガードだけしておこう。《炎陣》で有島さんをカバーリング
有島まひろ:わ~!ありがたい!
GM:他にカバーリングはあるかい!
北見菫:NPCカードでティアーズさんにカバーしてもらいます~
GM:ではダメージ!
GM:5d10+52 諸々有効
DoubleCross : (5D10+52) → 32[8,4,10,1,9]+52 → 84
北見菫:高すぎ
有島まひろ:わあ~
太田止隆:それはどうしようもない値! 倒れます。"ローレライ・カノープス"/尽力/○敵意 でロイス取って即タイタス昇華、復活!
太田止隆:太田止隆のHPが12になった(HP:32->12)
太田止隆:太田止隆の侵蝕率を+2した(侵蝕率:123->125)
"ローレライ・カノープス":エアロドライブの反動でHP-5
"ローレライ・カノープス":また、メインプロセスを行ったため《激情の早鐘》のC値補正がリセットされます
"ローレライ・カノープス":巨大な貝の化け物の周りに、大量の泡が集まり始める
"ローレライ・カノープス":泡は瞬く間に空間を満たし
"ローレライ・カノープス":その内側で、俄に空気が渦を巻き始める
"ローレライ・カノープス":やがてそれは、泡の膜を内側から突き破り
"ローレライ・カノープス":連鎖するように旋風とともに破裂して、海底に嵐を巻き起こす。
"ローレライ・カノープス":自らを傷つけることも厭わない死の旋風が、君達に叩きつけられる。
太田止隆:(……この攻撃、は)
太田止隆:(防ぎきれないか!) 空気の撹拌が、熱量の収束、防壁の構築をかき乱すと判断した。氷により最低限の盾のみを作り、その身で有島さんの前方へと飛び込む
太田止隆:(方位からして、赤川は自分でなんとかする……今、攻めの手を欠く訳にはいかない!)
有島まひろ:「太田くん…っ」攻撃直後、体勢を整え切れなかったところを庇われ、声を上げる。
北見菫:(駄目だ、防ぎきれない……!)思わず強く目を瞑る。
腐泥人形:すると、紫色の泡が瞬時に膨張し
腐泥人形:泥で形作られた、巨大な人形となる
腐泥人形:泥人形は北見さんの上に覆いかぶさり、旋風の刃を身を挺して呈して防ぐ
北見菫:「っ……この能力……」山頂までの道程で見た光景を思い出す。「あの人の……?」
北見菫:驚愕と共に泥人形を見上げる。
腐泥人形:役目を終えた泥人形は、静かに崩れ去っていった。
太田止隆:攻撃を受け、受けた所からの《リザレクト》で原型を保ちつつ背後を確かめて、その様相を見る
太田止隆:「あれは……何だ? ……チッ……」
赤川累:「……!」太田の読み通り、泡の拡散が比較的手薄な位置にいた。
赤川累:高速思考による物理演算──互いに衝突する突風の中に生まれた僅かな凪を見出し、身を滑り込ませている。
赤川累:(皆は……)呼吸を整えながら、仲間の方を見る。……まだ誰も、欠けてはいない。
"ローレライ・カノープス":「存外しぶとい……」
GM:クリンナップ
GM:ラウンド終了と同時に、"魔嶼・猗蛇祇"の復活エフェクトが解禁されます。
GM:PCは特に無いと思うので次ラウンドへ移行!
---
GM:第二ラウンド
GM:セットアップから!宣言願います!
北見菫:なし!
赤川累:ない!
太田止隆:ないぞ!
有島まひろ:なしよ!
"ローレライ・カノープス":《狂騒の旋律》《原初の黄:鮮血の奏者》《螺旋の悪魔》
"ローレライ・カノープス":HP4消費。攻撃力アップし暴走
"ローレライ・カノープス":5d10
DoubleCross : (5D10) → 36[7,9,8,5,7] → 36
"ローレライ・カノープス":自傷の変異暴走で戦闘不能
"魔嶼・猗蛇祇":《原初の虚:アクアウィターエ》ローレライを復活
"ローレライ・カノープス":《混沌の宿命:激情の早鐘》判定のC値-1
GM:あっごめんなさい
"魔嶼・猗蛇祇":《絡め取る大地》
"魔嶼・猗蛇祇":ラウンド中、赤川くんの行動値を-10
赤川累:ぐえーっ
北見菫:何ィ~~~
太田止隆:こいつ……!
GM:これ忘れるとこだった
有島まひろ:謝ってこれ!
赤川累:3になっちゃった……
GM:それではイニシアチブ10 太田さんから!
太田止隆:FS判定を進めます。《コンセントレイト:ノイマン》+《コントロールソート:白兵》
太田止隆:武器を使わなくて良いから達成値マイナスもない……身軽だぜ!
太田止隆:11dx7
DoubleCross : (11R10[7]) → 10[1,2,2,3,3,3,7,7,9,10,10]+10[3,3,4,9,10]+10[5,7]+10[9]+5[5] → 45
太田止隆:また僕何かやっちゃいました?
北見菫:えらすぎ
GM:虚構(ウッソ)だろ
太田止隆:最大値30なので+4かな
有島まひろ:伏せ札~ッ
有島まひろ:(うちわ)
GM:進行値8/12
GM:規定進行値に達しました。
■FS判定:猗蛇祇異本を破壊せよ
進行値:8/12
進行値8到達報酬
・ラウンド中"魔嶼・猗蛇祇"に『復活エフェクト使用不可』状態を付与
・シーン中PCのあらゆる判定のC値を-1(下限6)
太田止隆:判定の変更とかはなく?
GM:判定値の変更は、演出の後に開示します。
GM:"魔嶼"から"ローレライ"への生命力供給は以前健在だが
GM:修復部位によって、若干のタイムラグが有るように見える。
GM:絶え間なく攻撃を繰り返せば、法則が見えてくるかも知れない。
太田止隆:間断なく襲いくる大地の腕を焼き、凍らせ、その倍の数斬断し、本体・"ローレライ・カノープス"から付かず離れず立ち回り続ける。
太田止隆:大規模な攻撃がくれば、背後のメンバーをカバーする。その前提で、付け入る隙を探し求め、只管に攻撃を繰り返す。
太田止隆:無限の如き力があっても、真に無限などない。全能の如き力があっても、紛うことなき全能などない。
"ローレライ・カノープス":「少し……煩わしいな」
"ローレライ・カノープス":切断され、凍りついた端から、新たな触手が生え変わっていく
"ローレライ・カノープス":同様に本体のへの傷も、数秒の間に完全に治癒する。
太田止隆:「……ほう」 またも長大化した氷の刃で、触手の2本を諸共に斬り千切り
太田止隆:「煩わしいと感じるくらいの神経は残っていたか。無敵ではいられないんだな、島と自身を一体としても」
"ローレライ・カノープス":「……何を勘ぐっているのか知らないが」
"ローレライ・カノープス":「無駄なことだ。君達と我々では、生命としての尺度(スケール)が違う」
"ローレライ・カノープス":切断された二本の触手がより集まり、更に肥大化して
"ローレライ・カノープス":煩い虫を叩き潰さんと振るわれる
太田止隆:双身剣、先の氷の刃とは逆の刀身に、眩いほどの火柱が立ち、
太田止隆:迎撃に斬り上げる。その触手をほぼ縦一文字に両断する。
太田止隆:そして、ぽつりと 「……秒数を数える訓練をする」
"ローレライ・カノープス":「………っ」
太田止隆:「静穏な状態で。戦闘訓練をしながら。全速力で駆けながら。極寒、極暑、激しい音楽を、眠くなる子守唄を聞きながら」
太田止隆:「当たり前だよな。どのような状態であれ、何秒後に攻撃、という命令が来るたびに時計を真顔で覗き込んでいては、ただの間抜けだ」
"ローレライ・カノープス":「何の話を……」
太田止隆:白く煌々と燃え盛る炎の剣を、無造作に担ぎ直して
太田止隆:「俺が無為にお前と遊ぶ訳がないだろう」
太田止隆:「今まで斬って停めたその悪趣味な触手54本。その発生箇所、サイズ、斬撃角度、与えた熱量、……その再生に必要とした時間」
太田止隆:自身の側頭を示し 「その値と、そこから導き出される推定は、既にここで出来上がりつつあるということだ」
太田止隆:「急いで潰した方が良いんじゃないのか?」 薄く笑う
"ローレライ・カノープス":「……貴様」初めて、忌々しげに顔を歪める。
"ローレライ・カノープス":「…………」暫し瞑目して
"ローレライ・カノープス":「……いいや、悪いがその挑発には乗らないさ」
"ローレライ・カノープス":「認識を改めよう。急所を晒して戦うべき相手ではなかった」
"ローレライ・カノープス":「故に、隠させてもらう」
GM:広範囲に展開していた触手が、"ローレライ"の周囲を重点的に守るように集まり始める。
GM:同時に、空間を満たしていた"遺産"の圧力が幾分か弱まったのを、そこにいる者たちは感じ取る。
太田止隆:「防戦態勢か。今からそうして甲斐を得られるか」
太田止隆:「結果はすぐ出るぞ」
"ローレライ・カノープス":「元よりこちらは持久戦だ」
"ローレライ・カノープス":「"ナイトバイポーラ—"頭は良く回るようだが、突破力は如何程のものかな」
GM:FS判定の判定技能が変更されました。
GM:"ローレライ"は再生能力を低下させる代わりに、遺産を位相的に隔絶された場所に隠しています。
GM:通常の手段では、場所を割り出し破壊することはできないでしょう。
以降の判定技能を〈知覚〉難易度256 に変更する
ただし、特定のエフェクトを使用した場合、進行値+4で自動成功となる
太田止隆:何~ッ
有島まひろ:256??
北見菫:む……無理だ……クリアできるわけない……
赤川累:どうしろって言うんだ……
有島まひろ:い、いったいどうしたら………
GM:フハハハ、貴様らはここで終わりだ
赤川累:イデアくんが急に駆け付けてくれるかも……
GM:精々自分の手番まで指折り数えて待つがいい……では次!
GM:イニシアチブ6 北見さんの手番です。
GM:今のエンゲージはこちら
エンゲージ
"魔嶼・猗蛇祇"[6](シーン全体にエンゲージ)
赤川累[15] 太田止隆[10]
北見菫[6] (10m) "ローレライ・カノープス"
有島まひろ[5]
北見菫:マイナーで戦闘移動、みんなのところにエンゲージします
北見菫:メジャーで≪コンセントレイト:ブラム=ストーカー≫+≪鮮血の一撃≫+≪渇きの主≫+≪ブラッドボム≫+≪鮮血の修羅≫
北見菫:対象カノープス。
北見菫:北見菫のHPを12した(HP:14->12)
GM:来な!
北見菫:死ね~~~っ
北見菫:13DX6+4
DoubleCross : (13R10+4[6]) → 10[1,2,2,2,2,4,4,4,5,5,5,10,10]+4[2,4]+4 → 18
北見菫:嘘でしょ?
GM:なんか避けれそうだけど……
"ローレライ・カノープス":こいつのアルゴリズムは《復讐の刃》優先!
"ローレライ・カノープス":勝負じゃ!
北見菫:マジかよ!
"ローレライ・カノープス":23dx6+2
DoubleCross : (23R10+2[6]) → 10[1,1,2,3,3,4,4,5,5,5,5,6,7,7,7,9,9,9,9,9,10,10,10]+10[1,4,6,6,8,8,8,8,8,9,10,10]+10[1,1,3,3,4,5,5,7,7,8]+10[1,3,7]+1[1]+2 → 43
北見菫:ふざけんな!
有島まひろ:すごっ
"ローレライ・カノープス":ダメージ出すぜ!
太田止隆:《炎陣》 その攻撃はカバーリングします
GM:OK!
"ローレライ・カノープス":5d10+52
DoubleCross : (5D10+52) → 15[3,1,3,1,7]+52 → 67
北見菫:ひぇ~~
"ローレライ・カノープス":エアロドライブでHP-5
太田止隆:もちろん耐えられない。"N市長" 但馬勇緒/のロイスをタイタスにして昇華、復活!
太田止隆:あとさっきの判定分も含めて侵蝕率増加します
太田止隆:太田止隆の侵蝕率を+6した(侵蝕率:125->131)
北見菫:太田さんの尊い犠牲は無駄にはしない!ダメージ!
北見菫:2D10+12 装甲無視
DoubleCross : (2D10+12) → 14[9,5]+12 → 26
北見菫:ダメージでHP20回復 更にHP4D点ロスト クリンナップ時追加で30点ダメージです
"ローレライ・カノープス":酷いこと言ってる
"ローレライ・カノープス":まず通常ダメージで戦闘不能
"ローレライ・カノープス":エンブレム:エンジェルで回数を増やした《魔獣の証》で復活
"ローレライ・カノープス":《混沌の宿命:激情の早鐘》判定C値を更に-1
"ローレライ・カノープス":そしてブラボダメージ
"ローレライ・カノープス":4d10
DoubleCross : (4D10) → 19[6,3,5,5] → 19
"ローレライ・カノープス":……戦闘不能
"ローレライ・カノープス":《原初の虚:不死不滅》で復活
GM:そっちもブラボダメージをくらいな!
北見菫:渇きの主でHP最大値30まで回復してから19点失います 更にプロセス終了時5点失い、残り6点
北見菫:北見菫の侵蝕率を+12した(侵蝕率:128->140)
GM:生きてるとはね……
北見菫:「……は。持久戦なら望むところよ」
北見菫:菫の全身から流れ出す血液が、周囲で別の形を成していく。
北見菫:形成されてゆく無数の刃。扇状に広がるそれを纏った姿は、豪奢なドレスを彷彿とさせる。
北見菫:「あなたの収支を全部マイナスにして、盤面をひっくり返してやるまで」
北見菫:「死んでも止まってあげないから」
北見菫:空間を埋め尽くす夥しい刃が、次々と"ローレライ・カノープス"に放たれる。
"ローレライ・カノープス":「止まるさ。人は死ねば止まるものだよ」
北見菫:「へえ。あなた、意外とものを知らないのね」
北見菫:自身の失血も意に介さない物量での攻め。触手の迎撃を潜り抜けた幾つかの刃がその身体に突き刺さり、それを起点に極低温の冷気が解放される。
北見菫:「教えてあげるわ。例え死んでも、失くならないものがあるって」
"ローレライ・カノープス":「む……」凍結により、触手の動きが鈍くなっていく
"ローレライ・カノープス":「……この程度か?悪いがこれでは───」
北見菫:再生と同時に侵蝕されるように、間断なく。ジャームの身体が傷口から白く凍り付いていく。
北見菫:「……私、レネゲイドには詳しくないんだけど」
北見菫:「これでも同じように再生できるのかしら?」
北見菫:くすり、と挑発的な笑みを浮かべる。
"ローレライ・カノープス":凍りついた触手の内側から、組織を新生させて突き破ろうとするが……
"ローレライ・カノープス":それを上回るスピードで、冷気が侵食していく。
"ローレライ・カノープス":「……舐められたものだな」
"ローレライ・カノープス":しかし、次の瞬間
"ローレライ・カノープス":"ローレライ"の肉体の凍結箇所の全てが、異常な熱とともに膨張し
"ローレライ・カノープス":血飛沫を上げて弾け飛ぶ
"ローレライ・カノープス":自身への負荷を度外視した異常増殖による生体爆弾。
"ローレライ・カノープス":砕けた甲殻が飛轢となって、少女へと降り注ぐ。
北見菫:「……!」全ての刃を攻撃に注ぎ、防ぐことなど出来ない。
北見菫:咄嗟に腕を翳し、衝撃に耐えようとして──
太田止隆:そこへ割り込むのは、盾を中心として張られる氷の壁だ。
太田止隆:完全ではない。いくつかの攻撃は壁を突き破ってくる、だがそれも、剣と己が身で全て阻んでいる。
北見菫:「ッ……! 太田さん!」
太田止隆:「負傷は……ないな、良し」 受けた傷を内側から燃やすように再生しつつ
太田止隆:「良い攻撃だ。あれは効いてる。このまま続けてくれ」
太田止隆:「この戦いは、終わらせられる」
北見菫:「……!」眼前に立つその背を見据えて。
北見菫:「はい……!」こくり、と感謝と共に頷く。
太田止隆:フ、と僅かに笑い 「なあお前、俺に突破力の有無を聞いたな。……今、答えを見せてやっている」
太田止隆:「分かるか?」 "ローレライ・カノープス"を、戦意滾る目で見返して
"ローレライ・カノープス":「理解し難いな」シュウシュウと蒸気を上げて肉体が再生していく。
"ローレライ・カノープス":「この程度なら"異本"から漏れ出る分で十分対応可能だ」
"ローレライ・カノープス":「尋常の手段では我々に届かんよ。いい加減諦めろ」
GM:イニシアチブ6 "魔嶼・猗蛇祇"の手番
"魔嶼・猗蛇祇":《ワールドシェイカー》《破砕の顎》の使用回数を回復。次に与えるダメージ+2d10
"魔嶼・猗蛇祇":マイナーなし、メジャー《破砕の顎》《王者の声》《原初の赤:雷の剣》《コンセントレイト:オルクス》
"魔嶼・猗蛇祇":PC全員に攻撃
"魔嶼・猗蛇祇":13dx7+6
DoubleCross : (13R10+6[7]) → 10[1,1,2,2,3,3,4,6,6,7,7,7,10]+10[2,4,10,10]+10[1,8]+5[5]+6 → 41
"魔嶼・猗蛇祇":悪くない
有島まひろ:ひえ~暴走リア不!
北見菫:11DX9+1 ドッジ
DoubleCross : (11R10+1[9]) → 8[1,2,3,3,5,5,7,7,8,8,8]+1 → 9
赤川累:ドッジします。ダイス+3、C-1込みで
赤川累:8dx+1@9>=41 こう!
DoubleCross : (8R10+1[9]>=41) → 10[2,2,6,6,7,9,9,10]+10[3,5,9]+7[7]+1 → 28 → 失敗
太田止隆:ガードするとして、この値だと多分だいぶ分が悪いな……
"魔嶼・猗蛇祇":攻撃力は19+2d10だぞ
北見菫:島が親切
赤川累:流石俺達の生まれ育った島だぜ
太田止隆:無理だな! エフェクトなしの素ガード。で、《炎陣》で有島さんをカバーリング
有島まひろ:太田くん♡
"魔嶼・猗蛇祇":くたばりな!
"魔嶼・猗蛇祇":5d10+19+2d10
DoubleCross : (5D10+19+2D10) → 32[9,2,5,10,6]+19+12[7,5] → 63
赤川累:戦闘不能!"闇霧航路"のロイスを切って復活します。
赤川累:赤川累のHPを12にした(HP:27->12)
太田止隆:当然無理! 有島さんのロイスをタイタスにして復活!
北見菫:浅葱島に 〇尽力/罪悪感 でロイス取得、即昇華、HP14で復活します
有島まひろ:太田くん~っ
"ローレライ・カノープス":「凍えるのがお望みならそうしよう」
"魔嶼・猗蛇祇":言葉と同時に、空間内部の気温が急激に下がり始める。
"魔嶼・猗蛇祇":ォオオオオオオオオオオォンン……
"魔嶼・猗蛇祇":耳鳴りと共に、空中に巨大な氷柱が出現し
"魔嶼・猗蛇祇":君達の頭上に落とされる。
"魔嶼・猗蛇祇":更に、砕けた氷柱の周りに竜巻が渦を巻き
"魔嶼・猗蛇祇":氷の破片とともに荒れ狂い、周囲を蹂躙する。
有島まひろ:「次から次へと、手札が途切れないこと……!」その竜巻を眼前に、自身では回避できないことを瞬時に判断し、
有島まひろ:だからこそ、即座に攻撃態勢をとる。
太田止隆:「こんな南国に……」
太田止隆:「つららなんてできない、だろう!」 地面に突き立てた剣を中心に氷の巨槍を形成して落下してくる氷柱を迎撃
太田止隆:だが、続く嵐は防ぎきれない。巨槍をそのまま地面へ薙ぎ倒しそこから壁を盾、面にて攻撃を阻み、守る
太田止隆:"ローレライ・カノープス"へ至る経路を。そこを行こうとしている彼女を
赤川累:その攻撃の出所を、捉えてはいた。しかし、回避するための経路を見出すとほぼ同時
赤川累:変形した大地より伸び出る触手、それらが自分の道を塞ぐように展開する。(……! 無理だ)
赤川累:そう断じて、耐え忍ぶ備えをした一瞬の後。凍てつく渦動の中に囚われる。
赤川累:「ぐ、うっ……!」庇うように腕を前へ。氷礫に身を斬り刻まれながら、かろうじて立ち続ける。
北見菫:「っ、が……!」咄嗟に血液の盾を形作るが、あまりにも質量が違い過ぎる。
北見菫:衝撃に軽々と吹き飛ばされ、岩肌に叩き付けられ、そのまま動かない。血液の硬質化が解け、周囲に血溜まりが広がっていく。
有島まひろ:「──────っ」累くんと菫ちゃんが傷ついた姿が視野に入る。怒りに、表情が満ちる。
GM:続いてイニシアチブ5 有島さんの手番です
GM:現在のエンゲージは
エンゲージ
"魔嶼・猗蛇祇"[6](シーン全体にエンゲージ)
赤川累[15] 太田止隆[10]
北見菫[6] "ローレライ・カノープス"[4]
有島まひろ[5]
GM:みんな一緒!
有島まひろ:なかよし!
有島まひろ:では、マイナーアクションで《襲撃迷彩》。隠密状態に。
有島まひろ:メジャーアクションで《コンセントレイト:キュマイラ》《渇きの主》《血に飢えた跳躍》。
有島まひろ:ローレライに攻撃します!
"ローレライ・カノープス":来な!
有島まひろ:16dx@6+3
DoubleCross : (16R10+3[6]) → 10[2,3,3,3,4,4,7,7,7,8,8,8,9,9,10,10]+10[1,1,2,2,3,4,6,8,9,10]+4[1,3,4,4]+3 → 27
有島まひろ:ふ、普通~~っ
"ローレライ・カノープス":普通だ…
"ローレライ・カノープス":ドッジします
有島まひろ:ドッジドキドキ
"ローレライ・カノープス":23dx8+1>=27
DoubleCross : (23R10+1[8]>=27) → 10[1,2,2,2,2,3,3,3,4,5,6,6,6,6,7,7,8,8,9,9,9,9,10]+10[1,1,2,3,6,8,8]+7[6,7]+1 → 28 → 成功
有島まひろ:!?
"ローレライ・カノープス":や、やった!
太田止隆:ワーオ
北見菫:うぎゃ~~~
赤川累:エエ~ッ
有島まひろ:ろ…ロイスきります!
"ローレライ・カノープス":ゲーッ!
有島まひろ:太田くんのロイスをタイタス化して昇華、+1d!
"ローレライ・カノープス":いや、1さえ出れば……
有島まひろ:27+1d10
DoubleCross : (27+1D10) → 27+10[10] → 37
有島まひろ:えっ極端
北見菫:やった~!
"ローレライ・カノープス":ギャーッ!!
赤川累:っしゃい!
太田止隆:よしよし……
"ローレライ・カノープス":まんじりともせずダメージを受けます
有島まひろ:うえーい!
有島まひろ:4d10+22
DoubleCross : (4D10+22) → 23[5,6,7,5]+22 → 45
有島まひろ:装甲値無視45ダメージ!
"ローレライ・カノープス":ぐぬぬ……
"魔嶼・猗蛇祇":《隆起する大地》
"魔嶼・猗蛇祇":45-1d10-18
DoubleCross : (45-1D10-18) → 45-5[5]-18 → 22
"魔嶼・猗蛇祇":ダメ!戦闘不能!
有島まひろ:よかった~~っ
"ローレライ・カノープス":《イモータルライフ》《再生の王笏》復活し6d10点回復
北見菫:なに~~~~
有島まひろ:ギャッ まだ復活すんの
赤川累:いくつあるんだよ~ッ
"ローレライ・カノープス":6d10
DoubleCross : (6D10) → 18[2,2,1,2,1,10] → 18
北見菫:ホホホ…………
太田止隆:あっフニャフニャ王笏
"ローレライ・カノープス":しょっぱい出目だけど全回復しました
赤川累:全回復なんだ……
北見菫:最大値低っ
有島まひろ:18だったんだ…
"ローレライ・カノープス":いやもっと低いよ……(目逸らし)
"ローレライ・カノープス":復活タイミングで再び《激情の早鐘》を使用。合計C値-3
有島まひろ:先ほどから、彼女の放つレネゲイドを浴びてずっと、己のレネゲイドを制御しきれていない。
有島まひろ:年数ばかり経ているけれど、特異性は持ち合わせていない、能力自体は凡庸なエージェント。
有島まひろ:だからずっと、基本に忠実に、せめて最低限のことはできるようにと、そんな訓練ばかりこなしてきた。
有島まひろ:「尋常の手段って言ったわね」
有島まひろ:氷の嵐の中、太田くんが拓いてくれた経路がある。
有島まひろ:姿勢を低くし、一気に飛翔し───姿を消す。
有島まひろ:面白味のある攻撃ではない。姿を消失させ、隙をついたところを、一突きにする。
有島まひろ:それだけだ。それだけを、何度でも与える。
"ローレライ・カノープス":「消えたか……だが、知っているぞ」
"ローレライ・カノープス":「それはあくまで光学欺瞞に過ぎない。ならば、攻撃の瞬間を待てばいい」
有島まひろ:変形させた翼が、ローレライの体を引き裂こうとする。
有島まひろ:「ええ、その通りよ!」
"ローレライ・カノープス":その一撃を読み、触手を突き出している。
有島まひろ:触手だけを切り裂いて、また姿を消し、
有島まひろ:「───それでも!」別方向から躍り出て、また翼を食らわす。
"ローレライ・カノープス":「ち……」再びの迎撃。しかしその時には彼女の姿は既になく
有島まひろ:更に、更に、更に。何度も繰り返し、攻撃を与える。
"ローレライ・カノープス":繰り返し、繰り返し、的確に虚を突く攻撃に、少しずつ防御が追いつかなくなっていく
"ローレライ・カノープス":「……羽虫が」気づけば、足元には千切れ飛んだ触手と夥しい血溜まりが広がっている。
有島まひろ:そして───遂に。何度目かの攻防の末に、その身をとらえる。
"ローレライ・カノープス":「か……っ……」
有島まひろ:「残念」ささやき声が、耳元でした。
有島まひろ:「悪魔よ」
有島まひろ:心臓を、翼が穿つ。
"ローレライ・カノープス":深々と胸を貫かれ。数秒間、小さく痙攣し
"ローレライ・カノープス":そのまま沈黙する。
"ローレライ・カノープス":しかし
有島まひろ:「──!」予感がして、ずるりと翼の先を抜いて距離をとる。
"ローレライ・カノープス":次の瞬間、"ローレライ"の心臓から、緋色の刃が何本も飛び出す。
"ローレライ・カノープス":それらは寄り集まってその体を支え
"ローレライ・カノープス":その周りに再び肉が湧き出し、肉体を再生させる。
"ローレライ・カノープス":「無駄……だ」
有島まひろ:「………」
有島まひろ:口元に飛んだローレライの血を舐める。「そう、思うなら」
有島まひろ:「あなたはやっぱり、澪央ちゃんじゃないわね」
"ローレライ・カノープス":「……当然だ。浅木澪央は死んだ」
"ローレライ・カノープス":視線を奥にずらす。
"ローレライ・カノープス":「君が殺したんだ。そうだろう、赤川累」
GM:イニシアチブ3 赤川くんの手番です。
赤川累:はい。マイナーはなし。
赤川累:メジャーで、FS判定に《インスピレーション》を使用したいです。
GM:了解しました。
GM:《インスピレーション》の使用により、判定は自動成功。
GM:猗蛇祇異本の在り処がわかります。
赤川累:赤川累の侵蝕率を+2した(侵蝕率:129->131)
■FS判定:猗蛇祇異本を破壊せよ
進行値:12/12
FS判定達成報酬
・"魔嶼・猗蛇祇"の戦闘不能
GM:これによってFS判定を達成。
GM:"魔嶼・猗蛇祇"は戦闘不能となります。復活もありません。
赤川累:「そうだな。澪央はもう死んだ。……俺が、終わらせた」
赤川累:「だけど、お前は何も分かってない」
赤川累:「"浅木澪央は良くやってくれた?"……いいや、違う。全くもって違う」
"ローレライ・カノープス":「ほう……?」
"ローレライ・カノープス":「では君には何が解るというのかね」
赤川累:あいつがいなければ。あいつの言葉がなければ。
赤川累:きっと自分は、ここに来るより前に折れていただろう。
赤川累:……ただの意地だ。証明したかった。あいつが命を擲って護り残したものに、意味があったのだと。
赤川累:だから、こう言ってやる。
赤川累:「お前の計画を止めるのは。ここでお前を討つのは」
赤川累:「あいつが護り通したものであり」
赤川累:「あいつの遺志だ」
GM:その時、君の右腕の中に
GM:微かに、刺すような熱が伝わってくる。
GM:それは次第に熱を増して
GM:君の掌の中で輝きを放つ。
赤川累:「……!」普通に能力を使った時とは異なる、その感覚に気付く。
GM:そこに握り込まれていたのは、灰だ
GM:君の腕が引き起こす灰化現象による黒灰ではなく
GM:真白に燃え尽き、僅かな燻りを残す、一握の灰。
GM:この世に僅かに残った、浅木澪央の遺灰だ。
"ローレライ・カノープス":「何だ……それは」
"ローレライ・カノープス":「………!」
"ローレライ・カノープス":その熱に呼応するように
"ローレライ・カノープス":"ローレライ"の心臓もまた、輝きを放つ。
赤川累:(……ああ)その灰を握り締める。
赤川累:(悪いな……また、お前に助けられた)
"ローレライ・カノープス":先程有島に穿たれた時には隠されていた、位相をずらされていたそれが
"ローレライ・カノープス":本来の契約者である彼女の欠片に共鳴して、その姿を現し世に表そうとしている。
GM:"猗蛇祇異本"の本体は、"ローレライ"の心臓だ。
赤川累:結局、出会った時から……こうして、最後まで。自分はあの少女に敵う事はないのだろうかと。
赤川累:そう思うと、場に似つかわない微かな笑みが浮かんだ。
赤川累:──走り出す。進む道筋を塞ぐように現れる触手を、礫を、氷塊を
赤川累:あるいは躱し、削り、灰化させながら"ローレライ"の元へと迫る。
赤川累:……眼前の敵の出力はなるほど底知れず、その全てを並列操作する技量は恐るべきだ。
赤川累:しかし、四人同時を相手にしている現状──正しく集中すれば、局所的な動作精度においては上回る事も能う。
赤川累:我が身が傷つくことも省みず、北見菫の与えた損傷。
赤川累:猛威を振るう氷雪の中に、太田止隆が作った経路。
赤川累:執拗に重ね続けた連撃の中で、有島まひろが生み出した疲労。
赤川累:浅木澪央の遺灰だけではない──彼らの生み出した機会が、その到達を可能にした。
赤川累:「──ようやくだ」
"ローレライ・カノープス":「馬鹿な……!」繰り出す触手は尽く灰となって崩れ落ちる。
"ローレライ・カノープス":再生が追いつかない。心臓の熱が、その正常な制御を妨げている。
赤川累:"ローレライ・カノープス"の眼前に、黒骨が突き出される。人の腕と呼ぶには歪に形崩れて、死を象徴するようなそれが
赤川累:「ようやく、掴んだ」
赤川累:心臓へと突き立った。
赤川累:振り払い切れない触手を身に受け、斬り刻まれながらしかし、前進を止めなかった。
赤川累:傷つき血に濡れた顔が、その間近で酷薄な笑みを浮かべる。
GM:その腕が掴んだものは、緋色に輝く鏡面に判読不能な文字が書き記された、方石の破片だ
GM:禍々しい光を放つそれは、君の腕の中で数度脈打って
GM:やがて、炎を上げることなく、灰となって崩れていく。
"ローレライ・カノープス":「ぐ……おぉおおおおおおおおおお!?」
"ローレライ・カノープス":"ローレライ"の胸に、ぽっかりと虚空が開く
赤川累:「……終わりだ」その手応えを感じて、呟く。
赤川累:「お前がこの島に埋め込んだ、歪んだ神話は……澪央たちを縛り付けていたものは」
赤川累:「"シンダーテイカー"が、今。終わらせた」
赤川累:あるいはその言葉は、ここにはいない誰かに向けたかのように告げられて。
GM:緋色の欠片が完全に黒に染まると同時に
"魔嶼・猗蛇祇":周囲を漂っていた岩盤が、吹き荒れていた嵐が
"魔嶼・猗蛇祇":或いは地に落ち、或いは霧散して、
"魔嶼・猗蛇祇":静寂に包まれる。
"魔嶼・猗蛇祇":ピキ ピキ ピキ
"魔嶼・猗蛇祇":空間そのものに亀裂が走り、程なくして
"魔嶼・猗蛇祇":パ リ ン ッ
"魔嶼・猗蛇祇":海底の風景が一般、巨大なドーム型の洞窟へと移り変わる。
"魔嶼・猗蛇祇":本来、猗蛇祇神社の本殿が存在した大洞窟
"魔嶼・猗蛇祇":神の版図ではない、かつての故郷へと、君達は戻ってきた。
"魔嶼・猗蛇祇":"魔嶼"……ジャームとしての浅葱島は、たった今消滅した。
"ローレライ・カノープス":「馬鹿な……!このような……事が……!」
太田止隆:「いよいよ化けの皮も剥がれてきたようだな」
太田止隆:口角を上げる 「次はどうする。圏界がもう一度開けるよう、別の神にでも祈ってみるか?」
"ローレライ・カノープス":「ぐ……ぅう………!」醜く顔を歪めて
"ローレライ・カノープス":「神に……祈るだと……?この私がか?」
"ローレライ・カノープス":「馬鹿にするのも大概にしろ……神とは」
"ローレライ・カノープス":「ただの機構に過ぎない。私は……それを玩弄するために在るモノだ!」
太田止隆:「ということは、もう縋る相手もないということか」
太田止隆:「めでたく詰みだな」
有島まひろ:「…もうお人形遊びはおしまいよ」
有島まひろ:「言うだけ言ってあげる。投降しなさい」
"ローレライ・カノープス":「……………」胸に穴を開けたまま、静かに後ずさる。
"ローレライ・カノープス":「詰み……ああ、詰みか」
"ローレライ・カノープス":「認めよう……しかし」
"ローレライ・カノープス":「敗北を認めるわけにはいかない」
"ローレライ・カノープス":「盤面に打つ手がないのなら」
"ローレライ・カノープス":再び、ワーディングが放たれる。
"ローレライ・カノープス":崩壊した圏界を、自身の力のみで強引に編み直す。
"ローレライ・カノープス":「盤面ごとひっくり返してやる」
赤川累:「……なら、最後までだ」引き抜いた拳を、もう一度構え直す。
赤川累:赤い眼をした少女の姿を、睨みつけて。
赤川累:「お前にはまだ、返してもらってないものがある」
"ローレライ・カノープス":「君達はここで死ね。私は」
"ローレライ・カノープス":「次の遊戯へ向かうとしよう」
GM:"ローレライ・カノープス"の手番です。
"ローレライ・カノープス":メジャー《原初の赤:要の陣形》《シャドーテンタクル》
"ローレライ・カノープス":choice[赤川,北見,有島,太田]
DoubleCross : (CHOICE[赤川,北見,有島,太田]) → 太田
"ローレライ・カノープス":太田さん以外の三人に攻撃!
太田止隆:かしこい
有島まひろ:よりによって!
"ローレライ・カノープス":23dx6+2
DoubleCross : (23R10+2[6]) → 10[1,1,1,2,3,3,3,3,4,4,5,6,6,7,7,7,8,8,8,9,9,9,9]+10[2,3,3,5,6,8,8,8,9,9,9,10]+10[2,3,3,3,3,6,6,8]+5[4,4,5]+2 → 37
"ローレライ・カノープス":そんなでもない
有島まひろ:暴走リア不なのよ~
北見菫:11DX9+1>=37 ドッジ
DoubleCross : (11R10+1[9]>=37) → 10[1,1,1,2,6,6,9,9,9,9,9]+10[1,5,7,7,10]+5[5]+1 → 26 → 失敗
有島まひろ:えっすごい
北見菫:だいぶ頑張ったんだけどな~
赤川累:ドッジ!
赤川累:9dx+1@9>=37
DoubleCross : (9R10+1[9]>=37) → 10[1,3,4,4,4,5,6,7,10]+1[1]+1 → 12 → 失敗
赤川累:何かの間違いで達成値が合計されてればな~
太田止隆:カバーはなし
北見菫:NPCカードで庇ってもらいます~
"ローレライ・カノープス":ではダメージ
"ローレライ・カノープス":4d10+52
DoubleCross : (4D10+52) → 23[1,5,10,7]+52 → 75
有島まひろ:なにそれ~ 死!
有島まひろ:累くんのロイスをタイタス化して復活。HP15です~
赤川累:澪央のロイスをタイタス化して昇華、復活。HP12です。
"ローレライ・カノープス":エアロドライブでHP-5
"ローレライ・カノープス":メインプロセスを行ったため、C値補正が0に戻ります
"ローレライ・カノープス":洞窟の中に、歪な都市の影が浮かび上がる。
"ローレライ・カノープス":かつて深海に沈んだ歳の記憶、その末裔たる神性
"ローレライ・カノープス":零落した神の最後の力で、その終わりを再現する。
"ローレライ・カノープス":即ち、大海嘯。
"ローレライ・カノープス":大量の水が湧き出して大渦を作り
"ローレライ・カノープス":君達ごと全てを飲み込まんと迫りくる。
北見菫:未だ血を流し倒れ込んだまま、起き上がらずにいる。死んでいるかのように岩肌に転がって。
有島まひろ:「菫ちゃん……っ!」先ほど倒れた彼女に駆け寄りながら叫ぶ。
赤川累:「ぐ、っ──!」大質量の流体。およそ自分の能力で対処できる範疇ではない。
太田止隆:「浸水……」
太田止隆:(物理的な原則下のものではない……圏界の残骸か。だが!)
太田止隆:どのような発生であれ、生じる現象が物理法則に則っているものならば……大量の水の発生により、空気が逃げて行く流れがあるのならば。
太田止隆:それに乗るのは容易い。来た時と同じく、熱操作により上昇気流を生成する
太田止隆:「来い! こっちだ! 走れ!」
有島まひろ:華奢な少女の体を抱き起す。
有島まひろ:「累くん、頑張って!」菫ちゃんを抱えた状態で、駆け出しながら叫ぶ。
赤川累:「大丈夫、です……!有島さんは、そのまま北見さんを──!」流れ込む潮の流れに脚を取られながら、逃げ延びるべき経路を辿る。
腐泥人形:君達に迫りくる奔流の前に、泥の塊が立ちはだかり
腐泥人形:離脱するごく僅かな間、その流れを押し止める。
"マスターティアーズ":『はあ……本当に、興ざめです』
"マスターティアーズ":『悪くない悲劇ではありましたが……幕切れで醜く喚かれては喜劇になってしまいます』
"マスターティアーズ":『うぅ……哀しい……』
"マスターティアーズ":洞窟に声が反響し
"マスターティアーズ":次の瞬間には、その主の気配は消えていた。
赤川累:「さっきの、あの人の仕業か……!」驚きとも感謝ともつかない言葉を吐きながら、太田の生み出した気流へ向けて跳ぶ。
太田止隆:(結局何なんだアイツは……!)
太田止隆:そう思いつつも、その熱気流の塔を揺るがすことはない。三人が届くのを確かめるや、速度を更に早める。一方通行の離脱
有島まひろ:上昇気流に乗って、上へと飛翔しながら、ちらりと下を振り返る。
有島まひろ:「飛行機は…沈んでしまったの……?」焦燥感を隠すことができず、思わず呟く。
"ローレライ・カノープス":洞窟はいまや完全に荒波に飲み込まれている。しかし、そこに"ローレライ"の姿はない。
"ローレライ・カノープス":君達が気流に乗って離脱した先……浅葱山の山頂で、既に待ち構えている。
太田止隆:三人を先導するように上昇気流で舞い上がると、ふわりとした動きでそのまま"ローレライ・カノープス"へ斬りかかる。
太田止隆:攻撃ではない。逃走阻止、迎撃阻止。二重の牽制だ。
"ローレライ・カノープス":僅かに残った触手で、その斬撃を受け止める。
"ローレライ・カノープス":下半身に融合していた神の姿はない。
有島まひろ:「……」菫ちゃんを抱えたまま、ローレライの動きを注視する。
赤川累:息が乱れている。潮波から逃れる最中、それの運んできた礫や氷塊によって幾つもの傷を受けた。
赤川累:それでも、血を流しながら立っている。赤い瞳を睨みつけて。
"ローレライ・カノープス":満身創痍、二本の足で辛うじて立っている状況だが
"ローレライ・カノープス":「そのまま……」
"ローレライ・カノープス":「動かないでもらおうか」
"ローレライ・カノープス":同時、"ローレライ"の足元が隆起する。
太田止隆:「……」 盾と双身剣を構え、その動きを睨む
"ローレライ・カノープス":君達から距離を取った、その背後に
"ローレライ・カノープス":神性圏界の中で囚われていた飛行機が出現する。
有島まひろ:「……っ!」苦々しく眉を寄せる。
"ローレライ・カノープス":触手を飛行機に巻きつけ、その機体を軋ませていく。
赤川累:「……っ。こいつ……!」
"ローレライ・カノープス":「大事なものなのだろう?」
有島まひろ:「…………」荒い息を静める。血と混じって、汗が流れる。
有島まひろ:「ええ」ゆっくりと瞬く。「そうよ」
"ローレライ・カノープス":「死に体とはいえ、君達が私を殺す間にこいつをへし折り、乗客を刳り殺す程度は出来る」
"ローレライ・カノープス":「選び給え」
"ローレライ・カノープス":「このまま私が死ななければ、この島は街へ到達する」
"ローレライ・カノープス":「本来の目的には遠く及ばないが……この質量だ、少なくない犠牲は出るだろう」
"ローレライ・カノープス":「かたやこの中にいる数十の命と引換えに私を仕留めれば」
"ローレライ・カノープス":「この島は崩れ去る。計算の上では議論の余地すら無いが」
"ローレライ・カノープス":「さあ、どうする?私はどちらでもいい」
赤川累:……優先順位に迷いはない。最初から、こいつを仕留める事よりも、救える人の命を救うと決めている。
赤川累:横目、隣に立つ二人へ視線を向ける。
太田止隆:(……斬れる)
太田止隆:それは、触手を斬れるという意味ではない。"ローレライ・カノープス"がその飛行機を絞め殺さんとする間に、それを斬り伏せられるということだ。
太田止隆:そしてこの場に於いてそれを為すべきは……大なる犠牲を止めるため、小なる犠牲を自らの手で生み出す決断をするべきは。
太田止隆:(俺だ) ……頭の中で、慈悲のないカウントダウンが刻まれ始める。
有島まひろ:「………。……大丈夫よ」累くんの視線を受け止め、血と汗で汚れた顔で、小さく微笑む。
有島まひろ:「私は、家族を信じてる」
赤川累:「──」その眼差しに。言葉に。なんて寂しい強さなんだろうかと思う。
赤川累:不安でない筈がないのに。縋れるものがあるなら、縋りたいはずなのに……この人は、この状況に至っても尚、強い。
赤川累:かける言葉を見つけられず。振るうべき腕を持ち上げる事もできず。
赤川累:……神に祈りたい心地というのは、今のようなものを言うのだろう。
赤川累:(……それでも、俺は)思考を止めるな、と。受けた教えにただ忠実に、可能性を思索し続ける。
"ローレライ・カノープス":「君達がどちらを背負うか……」笑みが溢れる
"ローレライ・カノープス":「しかと見せてくれ」
GM:クリンナップです。
GM:エネミーはなし
北見菫:≪鮮血の修羅≫の効果発動。
北見菫:“ローレライ・カノープス”のHPを30点失わせます。
GM:なんだと……
"ローレライ・カノープス":《ヴォールトキーパー:命の終着》によって最大HPは12
"ローレライ・カノープス":戦闘不能です。復活エフェクトはもうありません。
"ローレライ・カノープス":戦闘終了。君達の勝利です。
北見菫:──心臓が、ひどく熱い。
北見菫:有島まひろ。太田止隆。赤川累。“ローレライ・カノープス”。
北見菫:激戦で負傷した敵味方、その傷口から流れる夥しい血が、辺りを赤く染めている。
北見菫:「……ゴホッ……」
北見菫:その中で、痛みと共に意識を取り戻す。
北見菫:自分が、あたたかな体温に抱えられていることに気付いて。
北見菫:「……ありがとうございます、まひろさん」
北見菫:小さく笑みを浮かべる。
有島まひろ:「……菫ちゃん」その言葉に、小さな微笑みを浮かべる。
北見菫:有島まひろに支えられて、北見菫が起き上がる。
北見菫:“ローレライ・カノープス”と、人質にされた飛行機を見据えて。
北見菫:「……」
北見菫:「人は、死ねば止まるものだと……」
北見菫:「そう言ったわね。"ローレライ”」
北見菫:重傷と共に大量に失血。満身創痍の状態だ。よろめき咳き込んで、口内の血を吐き捨てる。
"ローレライ・カノープス":「それが何か?」
北見菫:「……知らないのなら教えてあげる」
北見菫:「私を……私達をここに立たせてるのは、あなたが駒として使い捨てたあの子よ」
北見菫:「あなた達が利用してきた、沢山の人達の内の一人」
北見菫:「浅木澪央。あなたが駒として使い潰した、どこでにもいる女の子」
北見菫: ず ず
北見菫:流れ出したすべての血が、ゆっくりと螺旋を描きながら収束していく。
"ローレライ・カノープス":「どこにでもはいないさ。君は彼女の得意性を理解していないな」
"ローレライ・カノープス":「彼女の喪失は私としても大きな痛手だったんだ」
"ローレライ・カノープス":「今から替えを作るのは骨が──────」
北見菫:「そうかもね」瞑目して。
北見菫:「あなたの言う理屈とは違うけれど」
北見菫:「あんな子はきっと、他にはどこにもいない」
北見菫:現れるのは、かつて片腕と引き換えに作り上げたそれより更に巨大な、紅蓮の大槍。
北見菫:その切っ先が、“ローレライ・カノープス”に向けられる。
赤川累:「……!北見さん、それは──」彼女の攻撃の気配を感じ取って。人質を取られている状況だと、諌めるように口にする。
北見菫:「……あなたを倒すのは、私じゃない」
北見菫:「あの子よ」
北見菫:槍が解き放たれる。敵を穿たんと迫る、断罪の槍が。
"ローレライ・カノープス":「……そうか」
"ローレライ・カノープス":槍がその身を貫こうという刹那
"ローレライ・カノープス":ガ キ ン ッ
"ローレライ・カノープス":地中に隠されていた最後の触手が、空高く槍を跳ね上げる。
"ローレライ・カノープス":「君達の答え、しかと聞き届けた」
"ローレライ・カノープス":同時に、触手に力を込める。
"ローレライ・カノープス":一秒もしない内に機体はへし折れ、触手が乗客たちを貪り食らうだろう。
赤川累:(間に合わない──だったら、せめて)彼女が飛行機を捩じ切るより早く、その命を終わらせるしか。踏み出し、右手を伸ばそうとして──
北見菫:凍り付くような一瞬の中で。
北見菫:……心臓が、ひどく熱い。
北見菫:「──遅い」
北見菫:
北見菫: ぱ き ん
北見菫:
北見菫:ジャームの身体が、最後の触手が、真っ白に凍り付く。動く間も無く、無数の氷棘がその身を磔にする。
北見菫:先の攻撃で与えた傷から既に体内に潜ませていた、菫自身の血液。
北見菫:有島まひろに、赤川累に、浅木澪央に救われた。北見菫の、人としての命。
北見菫:その心臓に流れる血潮が、“ローレライ・カノープス”を捕らえる。
"ローレライ・カノープス":「……か……っ…………は……?」
北見菫:「言ったはずよね」
北見菫:「神だとか、計画だとか。そんなのどうだっていい」
北見菫:「私の友達に手を出した報いを、受けてもらう」
北見菫: ぱ し ゃ り
北見菫:瞬間、上空で大槍が弾けた。ただの鮮血となって散り、"ローレライ・カノープス"に降りかかり────
北見菫:直後、極低温で再凝結。
北見菫:それはまるで、茨の冠のように。
北見菫:四方から伸びる無数の槍が、その身体を貫いた。
"ローレライ・カノープス":「ぐ……!?が……ああああああああ!!?」
"ローレライ・カノープス":体内から飛び出す氷柱によって、降り注ぐ血棘によって
"ローレライ・カノープス":磔刑に処されたそれは、自嘲するかのように口元を歪める。
"ローレライ・カノープス":「かっ……はは、は……」
"ローレライ・カノープス":「よりに……よって、幕切れが、これとは……」
"ローレライ・カノープス":「この様では……とても、"太陽"を……」
"ローレライ・カノープス":「嗤えん……な……」
"ローレライ・カノープス":そうして事切れると同時に、その体が泡の塊となり
"ローレライ・カノープス":やがて揮発するように風に溶けて霧散する。
"ローレライ・カノープス":浅葱島を"魔嶼"へと変え、N市をも侵そうとした元凶
"ローレライ・カノープス":"ローレライ"は、ここに消滅した。
赤川累:……その光景を見た。行き所を失った右手から、力が抜ける。
赤川累:戦いの終わりと共に。ずっと握り締めていた拳が、ゆるりと解かれる。
赤川累:その掌から、白い灰が零れだして
赤川累:浅葱島の風に舞い上がり、碧い空に溶け消えた。
GM:クライマックスシーンを終了します。
---
GM:バックトラック!
GM:今回のEロイスは
浅木澪央
《悪意の伝染》
《衝動侵蝕》
《黒き歓び》
《死は甘きもの》
浅木真魚
《ありえざる存在:雲散霧消》
"魔嶼・猗蛇祇"
《神性圏界》
《究極存在》
《愚者の契約》
《超越活性:世界樹の葉》
"ローレライ・カノープス"
《神性圏界》
《超越活性:激情の早鐘》
《超越活性:激情の早鐘》
GM:12個!
赤川累:すごいいっぱいある!
GM:振りたきゃ振りな
太田止隆:どんだけ早鐘したかったんだ
赤川累:振る振る!
有島まひろ:どきどき
有島まひろ:振ります!
有島まひろ:140-12d10
DoubleCross : (140-12D10) → 140-75[8,2,7,5,10,2,6,10,8,1,10,6] → 65
赤川累:131-12d10
DoubleCross : (131-12D10) → 131-68[5,2,8,5,5,2,9,8,8,7,4,5] → 63
太田止隆:131-12d10
DoubleCross : (131-12D10) → 131-70[5,3,9,2,8,10,2,7,3,10,7,4] → 61
太田止隆:完全に真顔
北見菫:140-12D10 振り!
DoubleCross : (140-12D10) → 140-51[4,5,10,2,4,1,2,3,2,3,9,6] → 89
太田止隆:経験値稼ぎに倍振りすっぺ
有島まひろ:倍振りすっぺ
太田止隆:61-6d10
DoubleCross : (61-6D10) → 61-34[5,10,2,8,4,5] → 27
赤川累:あたしも倍振り~
太田止隆:初期値以下!
北見菫:89-10D10 倍振り
DoubleCross : (89-10D10) → 89-63[3,10,1,10,9,3,4,7,6,10] → 26
北見菫:スン……
赤川累:63-6d10
DoubleCross : (63-6D10) → 63-35[8,3,8,3,8,5] → 28
有島まひろ:65-8d10
DoubleCross : (65-8D10) → 65-23[2,1,2,4,1,2,9,2] → 42
有島まひろ:く、くそダイスっ
赤川累:まあこの戦いの後で帰還失敗とかできないよね……!というきもちの強い戦いだったしね
赤川累:これくらい下がる事もあろう
北見菫:ママのダイス怖っ
太田止隆:ママはちょっと興奮が残っちゃったかな?^^
有島まひろ:く…くそ~~っ
GM:シナリオ10点、いつもの5点に
GM:Dロイス:古代種の1点、Eロイス12点で
GM:28点!これに各々侵蝕点を足してくんな!
有島まひろ:倍振り3点で31点じゃきぃ!
太田止隆:31点!
北見菫:31点!
赤川累:31点よ!
GM:では全員31点の経験点を進呈します!
GM:GMは41点もらう!
赤川累:もっておいき~
有島まひろ:わーいわーい
北見菫:おいしい!
GM:みんなおつかれ~!
太田止隆:ズルッ……ゴクゴク……モグッ……
【ED/合同】
N市国際空港 ロビー
GM:"ローレライ"の消滅とともに、浅葱島は崩壊し海の藻屑と消えた。
GM:その大部分は霧となってどこへともなく消えていき
GM:島の大きさに反して、N市とその近海への影響は驚くほど少なかった。
GM:君達が崩壊する浅葱島から、囚われていた乗客とともに辛うじて脱出し
GM:早朝、この空港へと無事帰還した。
斑鳩裂:『いや~一時はどうなることかと思ったけど』
斑鳩裂:『奇跡的に負傷者は軽微、死者ゼロ』
斑鳩裂:『なんとかなるもんよね~、みんなお疲れ様~』
斑鳩裂:通信が回復した端末から気の抜けた声が響く
太田止隆:「それも結果論じみている気はするが」
有島まひろ:「でも、なんとかなったんだから、良いことよ」
太田止隆:「……事実として皆、無事だしな。これで全部が終わりじゃない、後始末はあるにはあるとしても」
太田止隆:「ああ。とりあえずはご苦労様、で良いだろう」
赤川累:「……」霧となって散っていった故郷を想う。生まれながらに世界を侵す呪物として作られたそれは、きっとこうなる他になかったのだろう。
赤川累:寂しさがないと言えば嘘になる。……それでも、今は。
赤川累:「ええ。良かった……本当に」
北見菫:「……そうですね……」心身ともに使い果たして、飛行機の中で熟睡していた。まだ少しフラフラしている。
赤川累:「……大丈夫か?」その様子に、少し心配そうな視線を向ける。
北見菫:「……平気よ」虚勢を張って頷く。
赤川累:「元々、退院して間もなかったんだろ。俺みたいに戦闘訓練を受けてた訳でもないし……」
北見菫:「あなただって同じくらいボロボロじゃない」
北見菫:「訓練を受けなくてこれなら、すぐに追い抜いちゃうかもしれないわね」
赤川累:「……。とりあえず言い返せる元気はあるんだな」
有島まひろ:そんな2人のやりとりを眺めながら、ほうと息を吐く。
有島まひろ:「さっき支部に連絡も取って、処理班が来てくれるらしいから、しばらくここで待機ですって」
有島まひろ:「太田くんも、市長さんのところ行かなくていいの?」
太田止隆:「こうなっては元の仕事どころじゃないからな」
太田止隆:「空港で簡易検査を受けたら病院」
太田止隆:「そこで本格的に検査を受けて、問題なければ元の業務に戻るんだろう。そこまで当然、然るべき人員が付くはずだ」
斑鳩裂:『そうね~。当初の視察はまるっと延期になっちゃったから』
斑鳩裂:『今日の仕事はこれでおしまい。改めてスケジューリングされる頃には』
斑鳩裂:『公安の体制も整ってるだろうし、晴れてお役御免ってところかしらね』
赤川累:「まあ、そうなりますよね……護衛任務だったけど、顔も合わさず終わるとは」
太田止隆:「給料が未払いになるってことはないだろ。それなら良い」
有島まひろ:「累くん、初任務だったのにねえ」
赤川累:「ええ。初任務でした……本当に、何が起きるか分からないもんだ」
北見菫:「どんな人だったんでしょうね、市長さん」
太田止隆:「普通の年寄りだ。とはいえこんな街の市長だからな。今回の件で特にどうこうなったりもしないだろう」
太田止隆:「さすがにこんなことはそうそうありはしないだろうよ。油断をされても困るが、こんなことばかりと警戒するのもやってられん」
有島まひろ:「そうねえ、UGNの任務にしたって、こんな壮大な事件を片付けることはそうないはずなんだけど」
有島まひろ:「でも、この街は例外とも聞くわよ?」
北見菫:「……そうなんですか?」目を瞬く。
赤川累:「俺も研修でそう聞いたな。十三支部制自体、ここでしかないくらい特異な制度らしいし……」
太田止隆:「……まあな」 自分の身に降り掛かった以前の事件、そして目を通した分厚い報告書を思い返して
太田止隆:「ま、そこはそれ。ここに腰を落ち着かせる限りは、何に巻き込まれたとしても落ち着いて対するしかない」
太田止隆:「心構えができる分だけ事態に対する生還率は上がるかもな」
有島まひろ:「二人なら大丈夫よねえ」穏やかににこにことしている。
赤川累:「……覚えておきます」応じながら、"イデア"の語っていた言葉を思い出す。──世界の結び目の終節点、ジャーム化しない事を選ぶ街。
赤川累:太田がその事について詳しく語ろうとしない以上、敢えてそれを問い質すつもりも今はないが。
赤川累:この街の日常が、不安定な揺らぎの上に成り立っていて……薄氷に裏側には、途方もつかない脅威があるらしいという事は察しつつある。
北見菫:「……赤川くん」
赤川累:「ん。何だ?」思考を止めて、少女の方を見る。
北見菫:「ん」片手で持った荷物を差し出す。
北見菫:「持って」
赤川累:「ああ、はいはい」そのまま受け取る。
赤川累:ああは言ったけどやっぱり疲れてるんだろうな、などと思いながら。
北見菫:「……」
北見菫:「赤川くん、言ってたわよね」
北見菫:「自分のことが許せないって」
赤川累:「……そうだな」
北見菫:「……今でもそう?」
赤川累:「……。この事件でやった事は、後悔していないし」
赤川累:「きっと、澪央の遺志に沿う事ができたはずだと……そう思ってはいる」
赤川累:「でも、それはそれだ」
赤川累:「あの夜のことは今でも悔いているし、許されたつもりになる気もないよ」
北見菫:「……。……そう」息を吐く。
北見菫:「それなら、せめて」
北見菫:少しだけ背伸びをして、赤川くんの頭を撫でる。
赤川累:「……!?」
北見菫:「……私が許してあげるわ。あなたのこと」
北見菫:「頑張ったわね。赤川くん」
北見菫:「……ありがとう」
赤川累:困惑したように、少女の目を見て。
赤川累:「……やめてくれよ」呟く。
赤川累:「甘えてしまいそうになる」
赤川累:そっと、その手を振り払って。「……君は、どうなんだ」
赤川累:「憎まれたいとか、罰を受けたいとか」
赤川累:「今も、そう思ってるのか」
北見菫:「……そうね」目を伏せて。
北見菫:「私は、どうやっても償い切れないことをしたわ」
北見菫:「罰を受けて、当然だと思う……。それは今も、変わらないけれど」
北見菫:「でも……それを求めて、縋って生きるのは……ただの甘えだと、今は思うわ」
赤川累:「……そうか」その答えを聞いて、どこか安心したように。
北見菫:「私はね、赤川くん」
北見菫:「……生きるわよ。必死に、精一杯生きて、幸せになりたい」
北見菫:「そうやって生きて、それでも許されずに下されるのが……本当の罰なんだと思う」
北見菫:「……だから、それまでは……」
北見菫:「一生懸命、生きるわ。そうでもしなきゃ、あの子に怒られるもの」
北見菫:寂しげな微笑を浮かべる。
赤川累:「……ああ」
赤川累:「そうだな」
赤川累:「死ぬことは、清算にはならない」
赤川累:「ましてや罰なんかじゃない」
赤川累:誰しもがいつか、ただの灰になる。
赤川累:そこに善悪はないし、救いもない。ただ、始まりがあれば終わりがあるというだけの話だ。だから、
赤川累:「消える事はないんだ。罪も、想いも」
赤川累:「生きている奴にできることは、背負って歩く事だけだ」
北見菫:「……」
北見菫:残された左腕を伸ばして、赤川くんの手を握る。
北見菫:「赤川くん」
北見菫:「また、会いましょう」
赤川累:そっと、握り返して。
赤川累:「ああ、またな」
有島まひろ:「…………」二人の様子を、黙って見ている。もう余計な言葉は要らないだろうし、口を開けば余計な涙が零れそうだったから。
有島まひろ:空港から朝日が差し込み、若者の行く末を祝福するかのように、二人を照らしている。
有島まひろ:こんな光景を見たのは二度目だ。一度目は、あの島の惨劇の直後。
有島まひろ:同じ日の光に充てられた横顔でも、今の方が、よほど…頼もしく、希望に満ちていて。
有島まひろ:だから、あの日とは決定的に違う今日が、もう始まっているのだろう。
【ED/太田止隆】
斑鳩セキュリティサービス 事務所
GM:事件の収束後、検査と治療を終えた君は
GM:改めて、隠れ蓑とするこの警備会社の事務所を訪れていた。
GM:机の上には淹れたての紅茶と、事件の顛末が綴られた詳細な報告書。
GM:目の前には、一応の上司がそれに渋い顔で目を通している。
斑鳩裂:「病院で書き上げてくるなんて仕事熱心よねえ」
太田止隆:「他にできることもないからな」
太田止隆:淹れられた紅茶を口にしつつ
斑鳩裂:「またまた~。実は看護師さんとよろしくやってたんじゃないのぉ?」
斑鳩裂:「お見舞いに言った時、受付で名前出したらちょっとざわついてたわよぉ」
斑鳩裂:「あれは相当な数のファンが付いていると見たわね」
太田止隆:「……ざわついてた? 何かしたかな……」
太田止隆:「別に看護師を口説いたりもしてはいないんだが。まったく……」
太田止隆:「……見舞いの品が俺好みじゃなかったので丸投げしたのが効いたかな……」 少し考え込んでいる
斑鳩裂:「そういうちょっと鈍そうな所が母性をくすぐるのよきっと。医療関係者は心がガサつきやすいから……この街は特に大変そうだし」
太田止隆:「別に鈍くない。今回の任務ではかなり気を回したぞ。俺にしても珍しく」 少し不服そうにしつつ
太田止隆:「大変だというのはそうだがな。……これからいっそうそうなるだろう。この年の瀬などは」
斑鳩裂:「あら意外。男の子は日々成長してるのねえ」
斑鳩裂:「けどそうね……この先もっと大変になるのは目に見えてるものね」
斑鳩裂:「今回の首謀者だって言う"ロレム・イプサム"にしたって」報告書をめくりながら
斑鳩裂:「おそらく、あれで死んだわけじゃないでしょう。過去の記録から見ても、配下の身体に自由に乗り移れるってのは間違いなさそう」
斑鳩裂:「"ローレライ"もその端末の一つって見るのが妥当よね」
太田止隆:「らしいな。仕掛けの……それも、大きな一つは潰せたとしても」
太田止隆:「本人はまだどこかで健在なんだろう。まあ、こればかりはな」
太田止隆:「今回は完全に受け身・後手の対応だった。そこの尾を掴むまで望むのは欲が過ぎる」
斑鳩裂:「そうねぇ。けど向こうも入念な準備をしてきた手が潰されたのは痛いでしょう」
斑鳩裂:「今年が終わるまでがタイムリミット。私達がそうであるように」
斑鳩裂:「奴らにとっても、それは同じことなんだからね。そろそろあっちも焦れてくる頃合いじゃないかしら」
太田止隆:もう一度紅茶を口にして 「だろうな。動きを見せてくるだろう。恐らくはより着実な手」
太田止隆:「リエゾンロードなどと呼ばれている相手だ。切れる札が今回だけということはあるまい」
太田止隆:「……全く。考えることが多い」
斑鳩裂:「そうね、けれど着実な分、手を読む余地も生まれるってもんよ」
斑鳩裂:「相手が日和って定石に頼った時こそ、"伏せ札"の活かし時ってね」
斑鳩裂:「あ、これ霧谷さんの受け売りね」紅茶を啜る。
太田止隆:「まったく人を良く使う」 苦笑して
太田止隆:「既に開かれたつもりではあったが、ま、虚を突くくらいはして見せよう」
斑鳩裂:「うんうん、がんばれがんばれ」満足気に微笑む
太田止隆:しばし思案を巡らせる様子だったが、ふと目を瞬かせ、顔を上げて
太田止隆:「……今」
太田止隆:「何の話をしていたんだったか」
斑鳩裂:「………」目を瞬きさせて
斑鳩裂:「……いや、何って」
斑鳩裂:「これよ!これ!」机の上から
斑鳩裂:分厚いファイルを掲げる。表題は『わくわくクリスマス大作戦』
太田止隆:眉をひそめる 「わくわく……?」
斑鳩裂:「来月の話と侮るなかれ、今のうちに準備しないと間に合わないんだから。隆くんは今年トナカイ役だからね」
斑鳩裂:「というわけでこれから買い出しです」
太田止隆:眉間に刻まれた皺がいっそう深くなるが
太田止隆:脱力したようにそれが消え、嘆息を吐く 「……全く。あんまり突拍子がないことを言うから」
太田止隆:「記憶でも飛んだ気分だ。毎年こんなことをやっているのか……?」
太田止隆:愚痴を言いつつも、そそくさと外出の支度を始める。冷える季節だ
斑鳩裂:「モチのロンよ!そして当然」こちらもコートを羽織り
斑鳩裂:「来年も、再来年もね」
太田止隆:「俺には鬼の喝采が聞こえたよ」
斑鳩裂:「笑いたいやつには笑わせとけばいいのよ」
斑鳩裂:「そのための私達そして……」
斑鳩裂:「そのためのサンタさんだー!いざ、出発!」
斑鳩裂:意気揚々と事務所を出ていく。
太田止隆:はあ、と嘆息し 「まったく。暇だからと人を巻き込んで」
太田止隆:(まあ、俺も一仕事終えて、格別憂慮すべきこともなし)
太田止隆:(……嚆矢にも連絡入れてみるか)
太田止隆:そんなことを思い巡らせながら、事務所の扉を締める。
GM:街の空には、うっすらと曇天が覆っている。
GM:雪が降るまでは、もう少しかかりそうだ。
【ED/北見菫】
梶田記念病院 小児病棟
GM:飛行機の乗客は、空港で簡易的な検査を受けた後
GM:病院で精密検査、治療を受けることになった。
GM:特に非オーヴァードに関しては、試験の影響による発症の確認のため
GM:数日の検査入院という措置が取られた。
GM:有島まひろの子供である、有島睦月、有島ゆめみについても同様である。
GM:君は、面会のために有島まひろと共に病室の前までやってきた。
北見菫:「……」面会を前にして、明らかに緊張しきった様子で座っている。
GM:夫の皆人は既に中に入っているという。扉を開ければ、ついに家族との対面だ。
有島まひろ:「お待たせ、菫ちゃん……」
有島まひろ:廊下を曲がってやって来て、病室前の椅子に腰かけている菫ちゃんを見つける。
北見菫:「あっ、ま、まひろさん……」少しだけほっとしたような顔をして、腰を上げる。
有島まひろ:「あらあら」首を傾げて、穏やかに笑う。「ちょっと、心の準備が必要かしら?」
北見菫:「う……」顔に朱が差す。
北見菫:「……私……」
北見菫:「ちゃ、ちゃんと仲良く……出来るでしょうか……」
有島まひろ:菫ちゃんの隣に座りながら、くすっと笑う。
有島まひろ:「菫ちゃん、一人っ子だったものねえ」
北見菫:「……はい……」
北見菫:人付き合いなど殆ど経験が無い。殆ど澪央くらいのものだ。増してや、新しく家族になるなど。
北見菫:「あの……」
有島まひろ:「ん?」
北見菫:「……聞かせて、いただけますか。皆のこと」
北見菫:有島さんを見て。
北見菫:「知りたいんです」
有島まひろ:「うん」その瞳を見返す。
有島まひろ:「まずパパはね、すごい無口な人で、武士みたいな感じ」
北見菫:「ぶ、武士……」
有島まひろ:「あ、でも、怖い人じゃないのよ?」
有島まひろ:「そうねえ、太田くんが近いかなあ」首を傾げる。
北見菫:「……。そうですね。それは……」
北見菫:少しだけ怖い気もする。それでも、この人が好きになった人なのだから。
北見菫:「……わかります」
北見菫:はにかむように微笑する。
有島まひろ:「ふふ、照れくさいわねえ」
有島まひろ:「でね、お兄ちゃん…睦月の方はね、最近ちょっと年頃でねえ」
有島まひろ:「友達は多くて元気な方だと思うんだけど、最近私に冷たくって」
北見菫:「反抗期、ですか」
有島まひろ:「そうなの」困ったように頬に手を当てる。「菫ちゃんと会って、変なことしないかちょっと心配」
北見菫:「……」少し不安になる。上手くやっていけるだろうか。……いや。
北見菫:「私も……頑張りますから」
北見菫:考えていても仕方がない。自分でそうするしかないのだ。
有島まひろ:「嫌なことは、我慢しなくてもいいからね」
北見菫:「はい。……ゆめみちゃんは?」
有島まひろ:「ゆめみはね、学校では大人しい性格らしいんだけど…でも、お兄ちゃんには結構言うのよね」
北見菫:「そうなんですか?」
有島まひろ:「そう」くすくす笑う。「だらしなくて、嫌になっちゃうんだって。朝も起こしに行ったりしてて」
有島まひろ:「しっかり者で…、でも、お母さんには甘えん坊なの」
有島まひろ:「菫ちゃんのことも、お姉ちゃんができるって大喜びよ」
北見菫:「……お姉ちゃん……」虚を突かれたように。
北見菫:「そっか……私、お姉ちゃんになるんですね……」
有島まひろ:「うん。3人兄妹のお姉ちゃん」
北見菫:「……」むず痒いような、照れくさいような。妙な気分になる。
北見菫:けれど、決して嫌な気分ではない。
有島まひろ:「……菫ちゃん」
北見菫:「……はい」
有島まひろ:その表情を見て、目尻を下げる。「あのね、ありがとう」
有島まひろ:「私たちの家族に、なろうとしてくれて、ありがとうね」
北見菫:「……そんな」かぶりを振って。
北見菫:有島まひろを見る。
北見菫:優しくて、強くて、あたたかくて。
北見菫:自分とは、まるで違う人間だけど。それでも。
北見菫:いつか、彼女のようになりたいと、そう思う。
北見菫:「……私……ちゃんと言えてなかったですね」
有島まひろ:「…ん?」
北見菫:「ありがとうございます、まひろさん」
北見菫:「私を連れ戻してくれて。助けてくれて」
北見菫:「生きていていいって、言ってくれて……」
北見菫:「ありがとうございます」
有島まひろ:「………」瞬きをして。
有島まひろ:困ったように瞬きをする度に、その目元に涙の粒が浮かんで、
有島まひろ:恥ずかしそうに目元を押さえる。
有島まひろ:「いやね、ごめんなさい……」「………」
北見菫:「あ……」「……」その涙を見て、しばらく躊躇って。意を決したように。
北見菫:「……あのっ……!」
有島まひろ:「え…?」
北見菫:「……」何か言おうとして、何度も口をぱくぱくして。
北見菫:「……お……」
北見菫:「おか…………」
北見菫:「………………」
北見菫:結局、顔を真っ赤にして目を逸らす。
北見菫:「す、すみません……」
北見菫:「やっぱりまだ……流石に……」
有島まひろ:その謝った彼女の体を、抱きしめる。
北見菫:「……!」
有島まひろ:とくとくと心臓の音がする。
有島まひろ:「ふふ、半分の年の差の子に、そう言われると、私も照れちゃう」
有島まひろ:「ありがとう、菫ちゃん。……少しずつで、大丈夫よ」
有島まひろ:「ゆっくりで、大丈夫。だって、これからずっと一緒にいるんだもの」
有島まひろ:「時間なんて、飽きるほどあるわ」
北見菫:「……」抱き締め返す。その体温と、心臓の鼓動を感じて。いつ振りか分からない、心の底からの安堵を覚える。
北見菫:「……はい」
北見菫:「はい。いつか……必ず」
北見菫:贖いがたい罪を犯した。何もかもを失った。
北見菫:絶望の淵、もう二度と立ち上がることなど出来ないと、そう思った。
北見菫:けれど、今は違う。一人でないから。この手を引いて、この背を支えてくれる人がいるから。
北見菫:この人となら、きっと歩いて行けると。癒えぬ傷跡を抱えても、消せない過去を背負っても。それでも幸福になっていいのだと。
北見菫:そう、疑いも無く。強く信じていられる。
GM:そうして、君達は二人で病室の扉に手をかける
GM:カラカラと軽やかな音を建てて扉が開き──────
【ED/有島まひろ】
N市 商店街
GM:肌寒い季節、街を往く人にも暖かな装い雨が目立ち始めた。
GM:本格的な商戦はまだ先だが、気の早い店はクリスマス向けの準備をし始める頃合いだ。
有島まひろ:商店街に位置するスーパーマーケット前。買い物用のエコバックを提げて、パーティメニューのチラシをしげしげと眺めている。
有島まひろ:「もう、ケーキの予約も始まってるのねえ」首を傾げる。
有島まひろ:ここは大都市だし、早めに準備しないと間に合わなくなるだろうか。今年は家族も増えたし、華やかにお祝いしたい。
有島まひろ:娘が「手作りケーキが良い」と言い出す気もする。と思ったら「お店のきれいなケーキがいい!」と言い出す気もする。ううん。
有島まひろ:「ううん…………」首を傾げたまま、熟考を重ねている。
?????:「あ………」
GM:すると、君の隣で一つの人影が立ち止まる
有島まひろ:「ん~~~……」
?????:「………まひろ?」
有島まひろ:「…………んん?」声の方に向きます。
?????:背の高い女だ。髪は白く、大きな眼帯で右目を隠している。
"ディアスポラ":かつて、浅葱島の事件で顔を合わせた人物"ディアスポラ"だ。
"ディアスポラ":「ふふ、やっぱりまひろだ」控えめに笑う
有島まひろ:「えっ」目を丸くします。「えええっ?」
"ディアスポラ":「そんなに驚くことかな……?」
有島まひろ:「だ、だって」スターゲイザーの関連で、この街で遭うこともあるだろうと思ってはいたが、まさか昼間の商店街で遭遇するとは思わなかった。
"ディアスポラ":「私だって買い物くらいするんだけど」右手の紙袋には食材やクリスマスツリーのオーナメントと思しき小物が入っている。
"ディアスポラ":「今のうちに買っとくと安いんだよね」
有島まひろ:「あら…。クリスマスの準備?」
"ディアスポラ":「そんなとこ」
有島まひろ:「ふふ」思わず口元が緩む。「よかった、あなたもそういう風に、イベント事を楽しんだりするのね」
"ディアスポラ":「楽しい……かは、どうかな。別に誰かと祝うわけでもないし」
"ディアスポラ":「けど、楽しかったことは……忘れたくないなって思って」
"ディアスポラ":「だから形だけ、ね」
有島まひろ:「…………」その表情に、何か、彼女が抱えているものがあることを察する。
有島まひろ:「ねえ、ディアスポラ。ちょっとお茶でもしない?」
有島まひろ:だから、何も気づかなかったような明るい声色で、話題を切り替える。
"ディアスポラ":「え?でも買い物の途中だったんじゃ……」困惑の表情
有島まひろ:「大丈夫大丈夫、買い出しなんて、夕方までにできればいいんだから」
"ディアスポラ":「そ、そう……?そういうものなんだ……」
有島まひろ:「せっかく会えたんだもの。立ち話もなんだし……」にこにことする。「ね、いいでしょう」
"ディアスポラ":「………」少しだけ、困ったように笑って
"ディアスポラ":「……うん。じゃあせっかくだし、少しだけ」小さくうなずく
有島まひろ:「良かった」ぱっと微笑む。「さっき通り過ぎたところで、気になったお店があったの」
有島まひろ:「ちょうどよかった、あなたと会えて。行きましょ、行きましょ」
"ディアスポラ":「へえ、確かにこの辺り全然変わってたから楽しみ……わっ」
"ディアスポラ":手を引かれて、足早に店へと向かう。
喫茶店 店内
有島まひろ:一面ガラス張りで、観葉植物が置かれた柔らかな雰囲気の店内。
有島まひろ:時間帯もあって、主婦層の多い店内の片隅で、二人並んで座っている。
有島まひろ:今回の事件の顛末を一通り話し終え、紅茶を片手に一息つく。
"ディアスポラ":「そっか、あの後そんなことが……」
有島まひろ:「スターゲイザーとは全く関係のない事件だったけどね。被害が最低限だっただけ良かったわ」
有島まひろ:「うちの車はなくなっちゃったけど」苦笑して言う。
"ディアスポラ":「ふふ、そりゃ確かに痛手だ」つられて笑う
"ディアスポラ":「弁償してくれる相手を自分で倒しちゃってるのが余計にね」
"ディアスポラ":「けどすごいな……そんな大それた計画を未然に防いじゃうなんて」
"ディアスポラ":「私なんて、ずっとアイツを追ってるけど、助けられなかった人の方がずっと多いのに」
"ディアスポラ":「あの時だって……」沈んだ面持ちで窓の外を見る
有島まひろ:「……私は…頼れる人が、3人もいたから」
有島まひろ:「あなたは、ずっと一人で戦っているんでしょう?」
"ディアスポラ":「……まあね。もっともああいう奴だからね。恨みなんてそこかしこで勝ってるから、同じ様に追いかけてる奴はたくさんいるよ」
"ディアスポラ":「一度知り合って……二度会えた人は、滅多にいないけど」
有島まひろ:「しかも、昼間の商店街でね」くすりと笑います。
"ディアスポラ":「……うん、だから嬉しいよ」笑いながら視線を前に戻す。
"ディアスポラ":「また、まひろと会えて、すごく嬉しい」
有島まひろ:「私もよ、……ねえ」目を細める。「それなら、あなたの名前を教えてくれてもいいじゃない」
有島まひろ:「ディアスポラなんて、真昼の商店街には似合わないわ」
"ディアスポラ":モンブランをスプーンで一口運んで「うん、美味しい」
"ディアスポラ":「名前か……」
有島まひろ:「うん」ガトーショコラをフォークで切り分けながら、ちらりと相手の表情をうかがう。
"ディアスポラ":「本当は、誰にも名乗らないことにしてるんだ。あいつを……」
"ディアスポラ":「朔夜を殺すのは、あいつの家族じゃなくて……行き場をなくした、ただの"ディアスポラ"だから」
"ディアスポラ":「全部終わるまで、私はそうしようって」
"ディアスポラ":「だから、必要な時は偽名を使ってる。"ルキナ"もそうだし」
"ディアスポラ":「最近のお気に入りは"ノエル"かな、季節にあってるし」
有島まひろ:「そっか…」
"ディアスポラ":「でも……」
"ディアスポラ":「まひろなら良いよ」
"ディアスポラ":「誰にも言わなそうだしね」
有島まひろ:「まあ」
有島まひろ:嬉しそうに繰り返し頷く。「言いません、言いません」
"ディアスポラ":「ふふ、信じましょー」紙ナプキンを一枚取って
"ディアスポラ":指先を走らせる。なんらかの能力で文字を書いている。
"ディアスポラ":それを君に見せて
"ディアスポラ":「"いのり"」
"ディアスポラ":「私の……お姉ちゃんが付けてくれたんだ」
有島まひろ:「いのり……猪祈、ちゃん」書かれた文字を読む。
有島まひろ:「そうなんだ…。綺麗な名前」
"ディアスポラ":「へへ、ありがと」照れくさそうに笑う
有島まひろ:「ふふ」笑い返す。「…ねえ、猪祈ちゃん」
"ディアスポラ":「うん?」ケーキをもう一口頬張って
"ディアスポラ":「へへ、なんか懐かしすぎて変な感じ」困り顔で笑う
有島まひろ:「あの夜の私たちは……多くを失ったけど。…もっとこうすれば良かった、って思えば切りがないけど……」
有島まひろ:「でも、でもね。累くんと菫ちゃんはね、もしかしたら殺されてたかもしれないけど、救うことができたでしょう」
"ディアスポラ":「…………」
有島まひろ:「結果論でしかないけど……、でも、私たちがしたこと、何も無意味じゃないはずだし」
有島まひろ:「あなたがしていることも、多くの人を救ってるはずよ」
有島まひろ:「だから、ありがとうね」微笑む。
有島まひろ:「あなたのおかげで、私は、家族を守れたもの」
"ディアスポラ":「まひろ……」
"ディアスポラ":「家族……そっか……」
"ディアスポラ":「うん、もしそうだとしたら」
"ディアスポラ":「嬉しいな。私も……」寂しげに微笑んで
"ディアスポラ":「私の家族に、自慢できる気がする」
有島まひろ:「……」「……クリスマスは……」
有島まひろ:「…うちは、ホールケーキを買うの」
"ディアスポラ":「へぇ、豪勢だね。大家族なんだ」
有島まひろ:「ううん、ごちそうを用意しすぎちゃうのよ。いっつも余っちゃって」
"ディアスポラ":「ああ、なるほど」苦笑する
有島まひろ:「誰かお客さんを呼んで、パーティみたいにするのもいいかなって───思うくらい」
有島まひろ:「……そんな風に、過ごしているから」ケーキを食べながら、微笑む。
"ディアスポラ":「確かに、捨てるのはもったいないよね。まひろの料理おいしそうだし」
"ディアスポラ":他人事のように聞いている。
有島まひろ:「ふふ、そう思ってくれるなら、猪祈ちゃんも、来てくれていいのよ」
"ディアスポラ":「え……」目をパチパチとさせて
"ディアスポラ":「私が……?」
有島まひろ:「うん。あなたが」
有島まひろ:「気が向いたらでいいし。住所、書いておくから」バックをごそごそと漁り、ボールペンを見つけて紙ナプキンにさらさらと書く。
"ディアスポラ":「え……いや、流石に迷惑じゃないかな……?家族水入らずに全然知らない女が入って来たりしたら……」慌てたように手を振る
"ディアスポラ":「あ……」ついそれを受け取ってしまう
有島まひろ:「大丈夫よ、パーティは人が多い方が楽しいわ」
"ディアスポラ":「………そう、かな……うん」
"ディアスポラ":「……確かに、そうだったかも知れない」
有島まひろ:「うん」目を細める。
"ディアスポラ":微笑んで、メモ書きを懐にしまう。
"ディアスポラ":「じゃあ、気が向いたら……ね。もしかしたら、夕飯には間に合わないかも知れないけど」
"ディアスポラ":「その時は、煙突から入ることにする」
有島まひろ:「ふふふ」くすっと笑う。「じゃあ、靴下飾っておくからね」
有島まひろ:「とびっきりのプレゼント、待ってるわ」
"ディアスポラ":「緊張させないでよ。最近の流行りなんて知らないんだから……」
"ディアスポラ":「それじゃあ……一応聞いとこうかな」真面目な表情になって
"ディアスポラ":「まひろん家の子供……」
"ディアスポラ":「……寿司とピザとカニ、どれか苦手なものある?」
"ディアスポラ":どこか幼な気な表情で、そう訪ねた。
【ED/赤川累】
星辰館高校 1年教室
教師:「では今日のHRはここまで」
教師:「進路希望調査の提出期限は今週中なので、各自忘れないように」
GM:厳つい顔の男性教師がそう言い残して教室を出ていく。
GM:放課後の教室は、部活に向かう者や遊びの計画を立てる者たちの話し声で賑やかだ。
赤川累:解放されたようなざわめきの中、ひとつ息を吐いて。
赤川累:「……」目の前の白紙の票に視線を落とす。
赤川累:おもむろに、筆記用具を手にして。何かを書きつけようと──
男子生徒:「よ、赤川。今日こそは……」後ろの席から立った男子が、声をかけてくる。
男子生徒:「あれ、まだ出してね—の?進路希望」
赤川累:「っ……ああ。君か」手を止めて、振り返る。
男子生徒:「おう、俺だよ」
男子生徒:「そういや赤川何になりたいのかって謎だよなー」
赤川累:「まあ……少し、忙しくてな」任務後の報告や検査、UGNの方の訓練と教練でどたばたしている中で、すっかり忘れてしまっていた。
男子生徒:「確か、ここ来る前は遠くの小さな島に済んでたんだろ?」
赤川累:「ああ。……そうだよ」
男子生徒:「やっぱり、地元帰ったりすんの?」
赤川累:「……いや」
赤川累:帰れない、とは言わない。UGNの処置によって公的に浅葱島の存在が抹消された現在、記録上の自分の出生地は別の島……という事になっている。
赤川累:「そのつもりはないかな。こっちにいた方が、学べることも多いし」嘘のような、本当のような言葉を返す。
男子生徒:「ふーん、てことはあの噂はデタラメか……」
赤川累:「……何だよ?噂って」怪訝そうに
男子生徒:「赤川、女子とも全然話さないしさ、ちょっと脈ありそうな子にも無反応だし」
男子生徒:「地元に彼女でも残してきたんじゃねーのってな、冗談交じりだけど」
赤川累:「そりゃ……ああ、全くデタラメだな」
赤川累:「そんな相手いなかったよ。この通り、あっちに居た頃もつまらない奴だったからな」
男子生徒:「そうかそうか……なら今度耳にしたら訂正しとくぜ。安心するやつも多いだろうよ」
男子生徒:「主に女子な」
赤川累:「……。君も何か、別のデタラメに乗せられてないか?」怪訝そうに眼を見る。
男子生徒:「いやいや赤川くん~、君は自分の資産価値をわかっておらんよ~?」
赤川累:「な、何だ急にその口調……」
男子生徒:「いいんだよ細かいことは。俺はただ」
男子生徒:「お前に学校生活を楽しんでほしいだけなのよ。俺はそのお零れをもらうだけで充分だからよ」
赤川累:「……」学校生活を楽しむ。この数か月、そんな事は考えてもいなかった。
赤川累:自分の知る世界が裏返って。己の足りなさを思い知って。その先の、辿り着きたい場所を思うと
赤川累:為すべきことは、あまりにも多く見えて。
男子生徒:「というわけでどう?今日とか」
男子生徒:「C組は出禁になったけど、この学校無駄にデカイからな」
男子生徒:「別棟のG組ならイケるだろ。多分」
赤川累:「出禁って……いや、何したんだよ」
赤川累:「答えによっては今後の君との付き合い方を考え直す必要がありそうだ」
男子生徒:「や、やめろ人聞きの悪い……!言っとくが俺も被害者だからな!」
男子生徒:「ストーカーまがいのチビに罪を着せられたんだ……!無実なんだ!」
赤川累:「ストーカー……? どうもよく分からないけど、君も関わる相手は選んだ方がいいぞ」
男子生徒:「へぇへぇ、だからこうして赤川に声かけてるってわけ」
男子生徒:「で、どうよ?行く?行っちゃう?」
赤川累:「行くって……行って、何をするんだよ」
男子生徒:「そりゃお前、ゲーセンとかカラオケで遊んで、飯食って……」
男子生徒:「……後はまあ。成り行き次第よ。ふふふ」
赤川累:「はあ……」いまいち分からないと言った様子の相槌を打つ。
男子生徒:「何だその気のない返事はー!やる気あんのか貴様ー!!」
男子生徒:大げさに怒り出す
男子生徒:「赤川くんよお、女子高生と触れ合えるのは今しかないんだよ。解る?大人になってからやったら犯罪なの」
男子生徒:「今しかできないことを楽しもうぜ。別に遊び以外でもさ。なんかあんだろ、色々と」
赤川累:「……。大人がやったら犯罪になる事をやるつもりなのか……?」少し引いたような眼。
赤川累:「大体、君。あれだ……あまり親しくもない女子に夢を見るような事は」
赤川累:「無用な不幸を生むぞ。本当に」軽口には聞こえない声色。
男子生徒:「え……何その実感のこもった発言……怖……」
赤川累:「……ただの一般論だよ」
男子生徒:「いやまあ、別にいきなり仲良くなんなくてもさ」
男子生徒:「少しずつお互いを知っていけば良いわけよ。女の子にしろ、ダチにしろさ」
男子生徒:「というわけでほれ」君の机を指差し
男子生徒:「さっさと書いて行こうぜ。早くしね—とG組も帰っちまうからよ」
赤川累:「……ああ。そうするよ」そう言って、ペンを握り直し
赤川累:するすると筆を走らせる。……一番上の欄に、「医師」と二文字。
男子生徒:「へぇー」感心したように
赤川累:「そんなに意外だったか?」
男子生徒:「いや……割とイメージ通りっではあるていうか……赤川成績いいもんな」
男子生徒:「けどなんか、今までそんな感じに見えなかったからさ」
赤川累:「……」暫し、黙り込む。何もない場所を見つめたまま。
赤川累:「……治したい病気があるんだ」呟く。
男子生徒:「ほうほう」興味深そうに聞いている
赤川累:「今の医療技術だと、一度それに罹ってしまうと、どうやっても治らなくて」
赤川累:「これまでにも……何十もの研究機関が、その治療法を探していて」
赤川累:「俺なんかじゃ足元にも及ばないくらいの、天才が……何百人と挑んできて」
赤川累:「それでもまだ、手立ては見つかってない。そんな病気がある」
男子生徒:「不治の病ってやつか……」真面目な顔で聞いている
赤川累:「だから……最初は、諦めようかと思った」
赤川累:「どれだけ努力したって、俺一人にそんな力はないし」
赤川累:「叶わない夢を掴もうとして、無駄にできる人生じゃないから」
赤川累:「自分の手の届くこと……できる事だけをやって行こうって」
赤川累:左手で、手袋を嵌めたままの右手に触れる。薄い布の裏側に、今も仄かな熱を感じる。
赤川累:"スターゲイザー"に贈られたもの。命を救うのではなく、終わらせるための力。
男子生徒:「だよなあ……俺もそんな勇気ないわ」
赤川累:「……だけどさ」
赤川累:──敵と戦う力が欲しい。
赤川累:理不尽な悪意の爪が迫った時、傍に居る誰かを守れる人間でありたい。
赤川累:"スターゲイザー"。神とも喩えられるほどの力を持った存在の行く手を、遮る事のできる力が欲しい。
赤川累:──人を救う奇跡が欲しい。
赤川累:あの夜と同じように。ジャームになった者を元に戻す事のできる、人の叡智が。
赤川累:それさえあれば……もっと沢山、助けられた人がいたはずで。
赤川累:(……結局、俺の望みを叶えるには)
赤川累:(どちらかだけじゃ足りないわけだ)
赤川累:太田と言葉を交わして、ようやく認める事ができた。
赤川累:遠大すぎるあまりに否定していた、自分自身の理想。
赤川累:オーヴァードとしては、まだ殆ど何も積み重ねていない己が
赤川累:その両方に手を伸ばすなんて、きっと子供の我儘のような話なのだろう。
赤川累:……別に、若い万能感に酔った訳じゃない。
赤川累:俺一人にそんな力はない。そう思っているのは、今も変わりない。
赤川累:「だけど」
赤川累:「当たり前の事として。俺は別に、一人じゃなくて」
赤川累:「長い時間をかけて歩き続ければ、いつか未来は変わって」
赤川累:「不可能だったことも可能になる」
赤川累:「……昨日と同じじゃない今日が来る」
赤川累:「だからさ。可能性を切り捨てるにはまだ早い、って」
赤川累:「今は、そう思ってる」
男子生徒:「そっか……」しばらく目をぱちくりさせて
男子生徒:ふっと笑う「すげえな。お前」
男子生徒:「格好良いよ」
赤川累:「ああ……いや、こっちこそ、何だ。急に変な話を聞かせてしまって……」
赤川累:誤魔化すようにそう言ってから、言葉を切って。
赤川累:「……でも、ありがとう」
赤川累:「そうやって肯定してもらえて……少し、気が楽になった気がするよ」
男子生徒:「ふふん……良いってことよ」がし、と君と肩を組む
男子生徒:「だからよお、赤川くん……いや、累くん」品のない笑みを浮かべて
赤川累:「……な、何だよ」
男子生徒:「こっちの可能性も、切り捨てたら勿体ないぜぇ」小指を立てる
男子生徒:「な!頼む!一生のお願い!」
赤川累:「お前……なぁ……!人が真面目な話をしてる時に……!」
男子生徒:「お。俺だって真面目な話をしてるんだよ!」
赤川累:「……ああ、もう」その目を見て、どこか観念したように。
赤川累:「いい加減、君の誘いを断り続けるのもそろそろ悪いな……という気はしていたからな」
男子生徒:「へへ、しつこく誘った甲斐があったな」
赤川累:「だが」人差し指を立てる。
男子生徒:「おん?」
赤川累:「普通に……ごく普通に、友人として交遊するだけだぞ」
赤川累:「君が望むような方面の事は、一切期待しないでくれよ」
男子生徒:「ぐへへ……皆さん最初はそうおっしゃるんですよぉ」気持ちの悪い笑みを浮かべる
男子生徒:「……いや、まあ」
男子生徒:「いいよ、それで。お前が楽しけりゃそれでいい」
男子生徒:「行こうぜ。累」鞄を背負う。
赤川累:「……」一瞬、虚を突かれたような様子になって。
赤川累:自分が楽しいかどうか、なんて。あの夜からずっと、考える事もしていなかった。
赤川累:彼や他のクラスメイトをはじめ、遠ざけようとしていたのも……エージェントとしての訓練に時間を割きたいという考えは、勿論あったけれど。
赤川累:そもそも自分はもう、彼らと同じ時間を、楽しみを……分かち合えないんじゃないかと思っていた。
赤川累:そんな自分に時間を割かせるのが、悪いと思ったから。
赤川累:だけど。……ふと、思いだす。
赤川累:あの空港で。「必ず幸せになってみせる」と告げた、北見菫の言葉を。
赤川累:(……ああ、そうだよな)
赤川累:("これ"も切り捨てるには、まだ早い。だから……きっと)
赤川累:"シンダーテイカー"を名乗る必要のない、今くらいは
赤川累:あいつが好きだと言ってくれた笑顔を、忘れずにいよう。
赤川累:「よし、行くか」
赤川累:そう応じて、少年らしい笑みを浮かべる。
GM:雨上がりの空に標は未だ輝かず、星々が自らの光を見ることはない。
GM:船頭を導く声はとうに絶え、それでも彼は今日を超えて明日へと進む。
GM:例えその先に、いかなる後悔が待っていたとしても、迷うことだけはないだろう。
GM:霧は、もう晴れたのだから。
Double Cross The 3rd edition
『澪引くは闇霧航路』
-劇終-
GM:エンディング終了!
GM:おつかれさまでしたー!
赤川累:わっほい!お疲れさまでした!
北見菫:お疲れさまでした……!
太田止隆:お疲れさまでした!!
有島まひろ:おつかれさまでした~!
【Grand Ending】
N市郊外 バス停
GM:街の外れ、山道に面して建てられた小さな小屋
GM:備え付けられたバス停のベンチには、文庫本を読む一人の少女が
GM:二時間に一度停まるかどうかというバスを待っている。
GM:この先には小さな霊園しかない。不釣り合いといえば不釣り合いではあるが。
?????:「座るぞ」
?????:そこの隣に、一人の男が腰掛ける
?????:黄金色の髪に、オリエンタル系の浅黒い肌、青い瞳。
?????:この場には輪をかけて不釣り合いな、派手な雰囲気を纏った男だ
?????:「……"イデア"」
"イデア":「うむ、俺だ」
"イデア":「なに、礼を言っておこうと思ってな」
"イデア":「匿名のリークがあった。"ロレム・イプサム"の今回の動きについてな」
"イデア":「ご丁寧にこちらの放った駒を複数経由させ、足跡を消しては居たが」
"イデア":「まあ、無駄な努力だったな。失せ猫を探すより簡単な捜し物だった」
?????:「……話はそれだけか?」
"イデア":「そう焦るな。裏切り者(ダブルクロス)よ」
"イデア":「いや、三枚舌(トリプルクロス)か?」
?????:「…………」
"イデア":「中々に見所があると言っているのだ」
"イデア":「この業界、一度裏切った者を信用する者など三流も良いところだが」
"イデア":「俺ぐらいになると、『信用できない銘柄』の運用法というのも心得ている」
"イデア":懐からカードを差し出し、少女に渡す。
?????:「…………」表情を変えずに受け取る
"イデア":「次はここへ連絡しろ。足は付かん、俺以外にはな」
"イデア":「時に、一つ気になっていたのだがな」
?????:「……何か?」
"イデア":「あの小僧に渡した、例の小娘の形見。あれは奴の差し金か?」
"イデア":「だとしたら余計に傑作だと思ってなあ。あの道化め、間抜けにも限度というものがあるだろう!フハハハ!」
?????:「……悪いが」
?????:「あれは、"彼女"が望んだことだ。奴は関係ない。それに」
?????:「……"アタイ"も、そうするべきだと思った」
?????:「だからやった。それだけだ」
"イデア":「ふむ……そうか。つまらんな」
"イデア":「ではな、今回はあの男の吠え面を拝めて最高に気分が良かった」
"イデア":そう言って席を立つ
"イデア":「次も良い取引が出来ることを願っているぞ」
"イデア":「"アルレシャ"」
GM:ふと、木々の間を大きく風が抜けて
GM:次の瞬間には、男の姿は消えている。
?????:「…………」静かに、カードを鞄にしまう
GM:同じくして、目の前にバスが停まる。
GM:墓参りと思われる女性が数人降りてくる。乗車口の扉が開き、少女を待つ。
?????:鞄の中から、小さなケースを取り出す。
?????:文庫本を閉じ、ケースの中から眼鏡をつまみ上げて顔にかける。
?????:黒地に赤のラインが入ったセーラー服の裾を押さえて立ち上がり
?????:四角い眼鏡越しに怜悧な視線を前に向けて、背の高い少女が一歩踏み出す。
澪標深々子:「私は………」
澪標深々子:「………………」
澪標深々子:それ以上は口にせず、少女は席に付き
GM:バスは、緩やかに発進した。