タイトル



メインログ/雑談ログ




Character


Espoir/アッシュ・ノイ・ジラード (キャラシート)

Sol/ルカ(斑鳩・フォード) (キャラシート)

model-620/クレア・アップルシード (キャラシート)

鉄王Roi de fer/ギルトレット・レッドフォード (キャラシート)

Mélusine / L'Immortelle/デュバリー (キャラシート)

GM:すきゃっと

サブGM:DT

ゲスト:いちま・自動・敗者T

Index


Case01『邂逅/ENCOUNTER』
Case02『叢林死行/HOW TO GENOCIDE』

Opening
【OP1/集結】
【OP2/混沌】
【OP3/嵐前】
Middle phase
【Middle1】
【Middle2】
Climax
【Climax/BATTLE OF ROMA】
Ending
【ED】



Trailer



イタリア、シチリア島で発生した大規模ワーディング現象から15時間。
被害は留まる気配を見せず広がり続け、その全容解明も一向に進まぬままだった。
これ以上発生源の進行を許せば、欧州全土が壊滅的な被害を受けかねない。
事態を重く見た各国はオーヴァード戦力を結集。戦時中の国同士すらも一時休戦し、前代未聞の一大オーヴァード部隊が結成された。
だが、過剰なまでの戦力の集結は、実情としては多分に各国の政治的思惑を孕んだものだった。
難航し暗礁に乗り上げる戦略会議、反目しあう各国のオーヴァード達。
交戦が始まるより先に、臨時基地は世界に広がる冷戦のカリカチュアと化しつつあった。
そんな中、アイギスに与えられた任務は後方での待機と拠点の防衛。
政治的に各国の後塵を拝するアイギスに貧乏籤が回ってきた形だ。
絡み合う疑念と策謀、様々な思惑が交差する中、史上最大のオーヴァード戦の戦端が、無人のローマで開かれようとしていた。

Double Cross The 3rd edition
リプレイ・リバース Case03
『伊国超人戦/BATTLE OF ROMA』
ダブルクロス──それは裏切りを意味する言葉。







Preplay


GM:ではリプレイ・リバース第3話 はじめていきましょう
GM:まずは自己紹介!アッシュくんからお願いします。
アッシュ:d'accord.
アッシュ:フランス唯一のオーヴァード戦力、EspoirことArche・Noé・Girard。
アッシュ:なんて、もう3話目だしこんな初歩的なことは皆知ってるよな?
GM:みんな しってるね!
アッシュ:前回、ナイジェリアの一件でちょっと軍とごたいつたりしたけど、一応まだ国の希望として軍属で戦ってる。
アッシュ:変に口出してこなけりゃこっちも文句ないんだけどな。リッケンバッカーを超えるって目標も決まったし、今回もバッチリ戦ってくぜ。
アッシュ:成長はライトニングリンクのレベル上げ、喰らわれし贄と巨人の影習得、武器持ち変え、技能上げ。
アッシュ:要は侵蝕そんなに上げないようにしつつ火力を上げた感じ。恒常的な攻撃力アップだな。
GM:また強くなってる
アッシュ:メモリーとか範囲攻撃も欲しかったけど、その辺はまた追々かな。ともあれ今回もよろしく。
GM:OK!ではお次!
GM:同じくPC1のルカくんお願いします!
ルカ:https://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEYn9-c9QMM
ルカ:はーい
ルカ:ルカだよ~ 本名は斑鳩・フォード。コードネームは"sol"だよ。
ルカ:元アメリカ軍の一兵卒。万年反抗期でお馴染み、死んだ妹への感情引きずりまくりボーイです。
エミリア:ルカ~~
ルカ:こら!こっち来るな!
エミリア:ちゃんとハンカチは持ちましたか?
ルカ:持ったし!邪魔すんじゃねえし!
ルカ:そんなこんなで前回はですね、死んだ妹とアッシュくんを重ねていることをラストのモノローグにて暴露しました。
ルカ:なので今回はPC1同士ということもあり、アッシュくんとの関係性をもっと深めていきたいな~と思っています~
ルカ:あとエミリアちゃんともお話したいことがあるので会話チャンスを狙います。
ルカ:成長報告としては、今回は新規エフェクトを3つ獲得しました。
ルカ:《復讐の刃》LV2+《報復の牙》LV1+《デビルストリング》LV1です。
GM:成長期
ルカ:いまいち火力が上がらない分を手数で稼げたらいいな~という目論見です。
ルカ:以上です。今回もがんばるぜ~よろしくお願いします~
GM:OKがんばって!では次!
GM:PC2のクレアくんお願いします!
クレア:うむ!
クレア:https://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEYw-in-QMM
クレア:クレアだ。アメリカの巨大軍事企業アップル社が作った人造オーヴァード。クールだけどちょっと抜けてて仲間思いの狙撃兵。
クレア:最強のオーヴァード"リッケンバッカー"の複製体であり、ごく限られた時間だけ彼と同等の力を行使できます。
クレア:って今まで言ってきましたけど前回本物のリッケンバッカーがメチャクチャして帰ったのでホントに同等かは怪しいです。
GM:そんなことないって~
クレア:前回は死んだはずの親友ジョニーが何者かに改造されて登場。彼と戦い、今度こそお別れしました。
クレア:リッケンバッカーを超えると言う約束と、ジョニーをあんな目に合わせた相手の謎を解き明かすためこれからも戦うぞ!
クレア:成長はジョニーのメモリーを取得して生存力アップ。
GM:がんばってこ!
クレア:エフェクト回数回復の《闘争の渦》と、カバーリングの《砂の結界》を覚えました
クレア:かゆい所に手が届く狙撃兵として頑張っていきます!よろしくお願いします!
GM:だいぶ器用になった!では次!
GM:PC3のギルトレットさんお願いします!
ギル:http://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEY99b1-wMM
ギル:どうも、ギルトレット・レッドフォードです。
GM:ギルくん~~
ギル:鉄王の異名を持つ古参オーヴァードだよ。コードネームと同じ名前の重火器ゴーレムを操って戦います。
ギル:戦う理由は愛する家族……唯一残った妹のためです。料理も上手で歌も教えてくれるしとってもかわいいできた妹なんだ。
ギル:Unforgettable、いい曲だよね。彼女のためにも絶対生きて帰るぞ~!アイギスの皆も一緒にね。
GM:なんていい人なんだ
ギル:性能的には戦車に乗ってマルポンするシンプルな構成。敵の攻撃は竜鱗と合わせてすごい装甲値で耐えます。
GM:勘弁しちくり~~
ギル:今回は調達や射撃などの基礎能力をあげた他、孤独の魔眼で範囲攻撃に対応できるようにしました。
GM:勘弁しちくり~~~~~
ギル:なんか前回の引きを見るに私と因縁のある相手が登場するようだけどどうなるんだろう……。
ギル:侵蝕が高いのが怖いけど、攻守ともにがりがり働いて最年長として皆を導いていきたいです。よろしくね。
GM:よろしくお願いします!ではラストにデュバリーさんお願いします!
デュバリー:http://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEY9sy-8wMM
デュバリー:デュバリーでデュバよ~。
デュバリー:娼婦互助組織"メリュジーヌの娘たち"の長。フランスを中心とした西欧における娼婦たちの王にして母。
GM:デュバ吉~
デュバリー:"メリュジーヌ"、"死なない女"と称されるその正体は、不老の少女にしてレネゲイドビーイング、デュバリーなのである。
デュバリー:前回の事件では少年にメモリーを植え付けつつ、この世界の起点である“プロホロフカの惨劇”にも急接近をしたりしなかったり。
GM:渦中だぜ
デュバリー:そんなこんなで色々あり"アイギス"への協力は継続しつつも、最近は以前に比べるとちょっとだけ積極性が下がっているかもしれない。
デュバリー:娼婦たちに被害が出ているからかな? 世界的・歴史的真実への接近に臆しているのかな?
デュバリー:とはいえ大事が起こればちゃんと駆けつける良い女です。今回もやっていきましょう。
GM:頼れる女だぜ
デュバリー:成長面については、基礎力を上げるだけ上げました。前回までに比べて、全開時の射撃固定値が10くらい上がった。
GM:上がりすぎ
デュバリー:あとようやく《マグネットフォース》を覚え、メジャーアクションで行動できるようになりました。ようやく!
GM:爆強化
デュバリー:性能面では結構今まで難しい感じでしたが、今回からもう少し良い動きが見せられるでしょう。よろしくお願いします!
GM:よろしくお願いします!
GM:今回はハンドアウトは共通にして至極シンプル、ほぼトレーラーの通りになりますので、これから行うOPにて直接説明させて頂きます。
ギル:どうなるんだろ、私達……
ルカ:ドキドキ
クレア:ワクワク
デュバリー:デュバデュバ
アッシュ:そわそわ



【OP1/集結】

GM:全員登場です。登場侵蝕をどうぞ。
ルカ:ルカの侵蝕率を1D10(→ 8)増加 (30 → 38)
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を1D3+3(→ 5)増加 (30 → 35)
アッシュ:アッシュ・ノイ・ジラードの侵蝕率を1d10(→ 2)増加 (32 → 34)
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を1d3+3(→ 5)増加 (42 → 47)
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を6増加 (46 → 52)
フランス シェルブール港 戦艦ルイジアナ 艦長室
GM:1963年9月9日未明。
GM:傭兵組織アイギスの構成員たちは突然の緊急招集を受け、一同艦長室へと足を運んでいた。
GM:急な招集は時々あることだったが、今回は特に急を要すると聞かされていた。
GM:君達を待っていたのは、指導者である舞・R・アーデルハイド、オペレーターのミルシュカ・ヴェルレーヌ。
GM:そして同じく所属オーヴァードであるハミース・アル=フサイニーとエミリアだった。
ミルシュカ:「……」いつになく──配属されたばかりの頃のような、緊張の面持ちで君達を迎える。
:「全員揃ったな」
ギル:「やあ。急な呼び出しにも関わらず、よく来てくれたね皆」一番最初に船長室についてようかな。深夜の呼び出しにも関わらず、いつもと変わらない様子で皆を迎える
アッシュ:「マジで急だよな……。それだけのことがあったんだろうけどさ」
アッシュ:ルイジアナ住まいではないため、軍の寮から駆けつけている。欠伸混じりに伸び。
ルカ:「…あんた、何か知ってんの?」いつもと変わらない不機嫌そうな顔でやってくる。
ギル:「ははは。いや、実は僕もついさっきついたところで、何も事情は知らないんだけどね」
ルカ:「知らねえのかよ」
クレア:「こういう時ギルが一番乗りなのはいつものことだ」眠気覚ましのミントキャンディーを口に放り込む。
デュバリー:ほとんど最後の方にやって来て、扉を閉める。特に言葉は発しない
ルカ:一番後方に座る。
ハミース:「……すぐ分かるから黙って聞いてろ」
:「さて、急な招集への参上を労ってやりたいところだが……事態は急を要する。早速本題に入らせて貰おう」
:まだ長い煙草を灰皿に押し付け、口を開く。
:「シチリアの件、この中でまだ聞いていない者は?」
ギル:聞いてるんでしょうか
GM:大体情報で6くらい出せれば噂は聞いてる感じですね
クレア:軍事かな?
GM:判定はいらないんですがまあそうですね 今後どんどん噂話になっていきます
ギル:「にわかには信じがたいけどね」じゃあ噂だけ知ってることにしよ
ルカ:4dx アイギス
DoubleCross : (4DX10) → 8[5,7,8,8] → 8

GM:判定成功なので聞いてる!
ギル:「でも、君の口から話が出るってことは……そういうことなんだろうな」
ルカ:「マジなのかよ」怪訝な顔をする。
ハミース:「日本人でも知ってんだろうよ今や」
アッシュ:「道理で上がバタついてる訳だな。こんな時間だってのに少将まで雁首揃えて緊急会議だってさ」
ギル:「彼女も不安がってるだろうな……」と胸のロケットを握る
ルカ:「化け物が現れてシチリア全土が半日で壊滅したって?」
エミリア:「えっ!?そうなんですか!?」
クレア:「化け物が現れて。というのは正確じゃないかもしれないけどな」
ミルシュカ:「私は津波で湾岸部が全滅したとか聞きましたが……」怪訝な顔。
クレア:「住民が突然殺し合いを初めたという話も聞いた」
アッシュ:「カバーストーリーだろ。怪物が現れました、なんて市井に流せる情報じゃねーし」
:頷く「改めて説明と確認が必要だな」
ルカ:「どっちにしろ、オーヴァードなら化け物でいいだろ」
ルカ:ひとりごつ。舞さんに視線を向ける。
:「昨日……9月8日の15時頃、イタリア南部との通信が一斉に途絶した」
:「何が起きたのか、正確には不明だが……確かなのはその原因が恐ろしく大規模な《ワーディング》にあるということだ」
:「推定範囲はおよそ半径500km」
ギル:「……似ているね、あの時と」メガネを直しながら言う。
クレア:「イタリアの半分を包み込む程の《ワーディング》か……」
クレア:「規模で言えば満州の時以上だな」
:「ああ。中心地はシチリアと推測されるが、ギリシャなど周辺国の沿岸も巻き込む規模だ」
ハミース:「イタリアつーのがめんどくせえこったな。ろくな戦力もねえだろもう」
アッシュ:「デリュージュ一強だもんな。というか、だったの方が正しいか」
ルカ:「公式的にはまだ生きてるらしいけど」皮肉っぽく呟く。
:「何しろ情報が錯綜している。先程の津波と怪物の話に加えて、エトナ火山が噴火したなどという話まで出ている」
:「だが、唯一つ確かなことがある。その中心地にはオーヴァードがいる。それも恐ろしく強力な、だ」
ハミース:「テューポーンだったりしてな」
エミリア:「何ですかそれ?」
ハミース:「ギリシャ神話最強の怪物だよ。最後はエトナ火山を投げつけられて封印されたっつーな」
エミリア:「へぇぇ~っ」素直に感心している
クレア:「日本軍のアレを見た後だと、あながち冗談とも言い切れないな」溜息
アッシュ:「つまり、そいつをどうするかって話だよな?」
アッシュ:楽しみを見つけたとばかりに瞳が輝く。
ルカ:イヤそうな顔をする。
:「ああ」机上で掌を組む。
:「不明オーヴァードは現在北上中。このまま放置すれば間違いなく欧州は壊滅だ」
:「周辺国からオーヴァードの派遣が決定したが……何しろ規模が規模だ」
:「互いに呼応する形で、その数は膨れ上がりつつある。公式に表明されているだけで既に30名近い」
ギル:「今までにない戦いになるね」
アッシュ:ひゅうと口笛を吹く。 「ここ周辺のオーヴァード総動員って勢いだな」
:「いくら強力だと推測されるとはいえ、単体のオーヴァードに対しては余りにも過剰な戦力だ」嘆息する
デュバリー:「……それで」 今まで押し黙って舞を見ていたデュバリーが、おもむろに口を開く
デュバリー:「私たちはどうするの?」
:「フランスから要請が下った」
:「我々も“Espoir”と共に参戦、事態の解決に当たる」
アッシュ:「良いね!あいつらにしては迅速で良い判断だ!」
ギル:「それが任務なら従おう。……それにしても、前回はあれだけアッシュを引き止めていたのにね」
ギル:「僕たちの評価が上がったのかな」
クレア:「今回は火元が近すぎるのもあるんだろう。原因が北上しているならフランスは通り道だ」
クレア:「対岸の火事とは行かないさ」
ルカ:「化け物退治?」
ハミース:「どの化け物だよ」
ハミース:「本当にそいつか?それともどこの国のだ?」
:「この事態、最早各国の目的としては、不明オーヴァードの制止には収まらん」
:「今後政治的空白が避けられないイタリアの統治権に、集まった他国オーヴァードへの牽制や情報収集、そして不明オーヴァード自体の利用価値……」
:「考えられる思惑としては枚挙に暇がない。フランスとしては静観も出来ないが、オーヴァードの群れの中に単身“Espoir”を放り込むのも避けたいところだろう」
アッシュ:「要は利益が絡んでるならグズグズしてられないってことだろ」
アッシュ:「理由は何でもいいさ。大事なのは暴れられるかどうかだからな」
ギル:「そう簡単に、事が進めばいいんだけれど……」
:「まあ、アイギスとしてもここで一枚噛んでおくのは悪くない。今後の活動において様々なメリットに成り得るだろう」
:「そういう訳で、諸君には虎穴に飛び込んで貰うことになる。よろしいかな」
ハミース:「いつものこったろ」
アッシュ:「勿論。やめろって言われても飛び込むね」
クレア:「たまには兎狩りの仕事が恋しくなるな。生憎、ありつけたことはないが」
ルカ:「…何千万人が死んでるっつうのに」
ギル:「僕も構わない。ルカくんの言う通り。今この瞬間にも命を奪われている人々がいるんだ。放ってはおけないよ」
エミリア:「勿論です!行ってテュポ……?をやっつけましょう!」
ルカ:「……」不機嫌そうになる。「利益でも政治でもいいけど。そういう命令なら従う」
デュバリー:ふ、と細く息を吐く 「……良いよ。そういう経緯と任務であれば。きっと役に立つでしょう」
デュバリー:(……救える"数"で言えば、間違いなくこれが上なんでしょうね) イタリアの"友人"から先だって受け取っていた連絡を思いつつ
ギル:「ただ……気を引き締めておいたほうがいい。僕の見立てでは、半分ってところかな」
ハミース:「何がだよ」
ギル:「参加を公表しているオーヴァードのうち、生き残れるのは」
ミルシュカ:「そ、それは流石に……これだけオーヴァードがいるのですし……」戸惑ったように
ハミース:「やめろやめろ縁起でもねえ」
アッシュ:「甘いなミルシュカ。オーヴァードっていうのは数じゃない」
アッシュ:「デリュージュのこと覚えてるだろ?満州の怪物でも良い」
アッシュ:「戦いは数、なんてのはオーヴァードが出てくる前の常識なんだよ」
ギル:「同じ匂いがする。あの惨劇の時と」一瞬、その目線が普段のものとは違う、鋭いものに変わって。
ミルシュカ:「……」歴戦の二人からの言葉に、ごくりと喉を鳴らす。
クレア:「大丈夫だ。ミルシュカ」
クレア:「少なくとも、自分たちは全員帰ってくる。……必ずな」
ミルシュカ:「……ええ。私も、そのお手伝いをします」怯えを振り払うように頷く。
:「兎も角、決まりだな」
ミルシュカ:「臨時合同軍は現在スイス、ベルンに集結しつつあります」
ミルシュカ:「舞さんのゲートで付近まで転移、以降は車を手配してありますので、皆さんも合流をお願いします」
ギル:「舞」船長室を出る間際でリーダーに声をかけるよ
:顔を向ける。
ギル:「安心して。命令は忘れていないよ」
:「……」煙草を取り出し、火を点ける。「……当然だ」
ギル:それを聞いて、安心したように微笑んで部屋を出ます。
ルカ:「……、エミリア」
ルカ:みんなにならって部屋を出つつ声をかけます。
エミリア:むん、と意気込みながら歩いていたが、呼び止められてぱっと顔を上げる。
エミリア:「ルカ!」
エミリア:たたたと走ってきて「何でしょうか!?」
ルカ:「……」その様子を見ながらムッとする。「うん」
ルカ:「これからあんたもおれもまた戦闘になるわけだろ」
エミリア:「ええ、恐らくは!」
ルカ:「ナイジェリアのとき、あんた、さんざん言ってきただろ。何のために戦うのか」
ルカ:「死んだ妹以外の理由つくった」
エミリア:「えっ!?」
エミリア:つんのめって転びそうになる。
エミリア:「そうなんですか!?」
ルカ:「ああ」
エミリア:「なんですか!?」
エミリア:わくわくした顔、勢い勇んで問い掛ける。
ルカ:「そこにいるフランスの英雄に、『あんたを勝たせ続ける』って約束した」
ルカ:「じゃ」
ルカ:それだけ言って、大股で歩み去って行く。
エミリア:「え……」
エミリア:背後を振り向く。「……アッシュさん?」
エミリア:「…………」
エミリア:半分開いたままの艦長室のドアと、遠ざかっていくルカの背中を見比べる。
エミリア:「……そ……」
エミリア:「……そうですか!それは……!!」
エミリア:胸の前で両手を握って
エミリア:「……良かったです!すごく……!」
エミリア:誰に聞かせるでもなく言う。
エミリア:「…………!」
エミリア:握られた拳を見下ろし、しばらく黙り込み。
エミリア:それからまた、小走りで駆けて行った。

---

アッシュ:船長室を出て行く面々に続こうとして、ふと思いついたように踵を返す。
アッシュ:「ミルシュカ」
ミルシュカ:資料から顔を上げる。「ん、何?」
アッシュ:ぐに、と上げた頬を指で摘まむ。
ミルシュカ:「む」
ミルシュカ:摘ままれたまま顔を顰める。
ミルシュカ:「……あによ?」
アッシュ:「なーんか硬くなってんなって」
アッシュ:「これだって、いつもなら手くらい払ってるとこだろ?」
アッシュ:言いながら挟んだ頬をむにむにと弄る。
ミルシュカ:少しムキになったように手を払って「固くもなるでしょ、そりゃ」
ミルシュカ:「こんなの前代未聞だし……これだけのオーヴァード、何が起きるか分からないでしょ」
アッシュ:「何が起こるか分からない、なんて戦場じゃいつもの話だろ」
ミルシュカ:「そうかもしれないけど……。……だからあなたは緊張しないわけ?」
アッシュ:「してないね。むしろワクワクしてる」
アッシュ:「前代未聞の事態ってことは、前代未聞のオーヴァードが現れたってことだ」
アッシュ:「ソイツがどんな奴でどれくらい強いのか。考えるだけで心が躍る」
ミルシュカ:「聞くまでもなかったか」呆れたように、だが緊張が解れた様子で笑う。
アッシュ:「だろ?分かりきってること聞くくらいには緊張してたみたいだな」
アッシュ:「ちょっとは解れたか?」 そう笑ってもう一度頬に手を伸ばす。
ミルシュカ:「やーめーて」手を掴んで防ぐ。
ミルシュカ:「あなたを放っておいたら、自分でどんどん死地に突っ込んでいきそう」
ミルシュカ:「ほんと、オペのし甲斐があるわ」苦笑交じりに溜息を吐く。
アッシュ:「ほっとかないのが仕事だろ?オペレーター」
ミルシュカ:「ええ、そうね」
ミルシュカ:「あなたに逆に気を遣わせてたんじゃオペレーター失格だわ」
ミルシュカ:掴んだ手を握り直して握手をする。
ミルシュカ:「ありがと。余計なことはこっちに任せて、思いっきり遊んできて」
アッシュ:「当然。前代未聞の遊び場を堪能してくるさ」
アッシュ:「今回も先導頼むぜ、相棒」
ミルシュカ:「ええ。楽しんできて、相棒」
アッシュ:二ッとイタズラっぽく笑んで手を振り、船長室を出る。
アッシュ:目的地はイタリア。新たなる戦場へと舵を切った。



GM:シーン終了。ロイス取得、購入判定可能です。
ルカ:シナリオロイス的なのってありますか?
GM:一応不明オーヴァードがそうですね
ルカ:はあい
GM:あと……この後のシーンで出たりでなかったりします
アッシュ:なるほどね
ルカ:おお~ じゃあ会うまで空けておこうかな いったん保留にします
ルカ:いや
ギル:最後話しかけたし舞さんに取ろうかな
ルカ:エミリアに取る
デュバリー:あっ 意志表示
デュバリー:ドナーカード
クレア:ルカち…!
ルカ:エミリア/庇護:〇/隔意/ロイス これです
クレア:ロイス保留。購入は応急手当キット
アッシュ:ミルシュカに取ろうかな 〇信頼/隔意で
クレア:3dx+4>=8
DoubleCross : (3DX10+4>=8) → 8[7,8,8]+4 → 12 → 成功

デュバリー:じゃあ私も意志表示カードするか…… アイギス/有為/○迷い で取ります
クレア:購入成功して終了!
ルカ:応急手当キット狙います
ルカ:2dx+1>=8 
DoubleCross : (2DX10+1>=8) → 10[7,10]+3[3]+1 → 14 → 成功

ルカ:ええ~~なんだこの出目は…… ともかく買えました。以上です
ギル:リーダー/舞・R・アーデルハイド/P:信頼○/N:悔悟/ロイス これで
サブGM:あっ君たち
サブGM:弾薬庫のレベルを上げているのでは
GM:そうだった
クレア:ハッ
ギル:購入はそうだなー
ルカ:アッ!
ルカ:達成値+4!
サブGM:・弾薬庫 LV2 調達判定達成値+4 これがあるぜ
デュバリー:ワァ~……イ
デュバリー:ライトマシンガン買います コネ使用
クレア:俺達は思ったより金持ちだったようだな
ギル:早速買っておくか、大口径機関砲
デュバリー:7dx+4=>20
DoubleCross : (7DX10+4>=20) → 10[1,1,4,4,4,8,10]+1[1]+4 → 15 → 失敗

ギル:手配師つかいま~す。残り1個
デュバリー:ケチっとる場合か! 財産5支払って購入!
ギル:4DX+14+4 
DoubleCross : (4DX10+18) → 10[2,3,8,10]+8[8]+18 → 36

クレア:ヤバ
ギル:財産2点使って購入するぜ!
ルカ:固定値ヤバ…
ギル:残りの財産は36点になりました。おわり
アッシュ:一応応急手当キット狙います
アッシュ:1dx+5>=8
DoubleCross : (1DX10+5>=8) → 4[4]+5 → 9 → 成功

アッシュ:成功!以上で



イレナ:「……へえ、あれが連邦議事堂か。きれいな建物だね」
イレナ:古びた車から外を眺める、銀髪の少女。
イレナ:振りむいて、隣の席に笑いかける。
イレナ:「もう顔、見せてくれないの」

"赤套チェルヴォネ"イレナ・アニエラク
ポーランド陸軍所属。17歳。
銀髪紫眼の北国育ちらしい容姿の少女兵。明朗快活で誰にでも愛想良く接する。
父親は陸軍の高官であり、"黒狼"の後見人でもある。国への奉仕を幼少より求められ、そのように結果を出しているが、本人の愛国心は希薄。
強力な発火能力者であり、広範囲の殲滅戦を得意とする。

エドヴァルト:「……」その視線を受け止める影は
エドヴァルト:黒い人狼が、軍服を纏っている。そう形容する他にない、人ならざる異形の姿。

"黒狼クドラク"エドヴァルト・ヴィトス
ポーランド陸軍少佐。
生来のオーヴァード。10代後半の青年。スラヴの伝承にある吸血鬼の名を自称し、人前でその獣化を解く事はない。
親の手で山中に遺棄されていた所を軍に保護され育てられた過去があり、祖国への忠誠は強い。
性格は寡黙にして苛烈。戦場では衝動を隠す事がなく、敵兵の血肉を貪りながら殺戮を続ける姿により敵味方共から恐れられている。

イレナ:「緊張してる?」くすくすと覗きこむ。
エドヴァルト:「集中はしている。……これから、任務だろう」
エドヴァルト:「お前の方は気が抜けすぎだ。イレナ」
イレナ:「……まあ。私くらい明るくしておかなくちゃね」
イレナ:「いちおう会議なんだからさ。友好的な態度も必要でしょう?」
エドヴァルト:「……そうだな。お前は、それでいい」
イレナ:「うん。エドも、だからいつも通り……」
イレナ:「いつも通りが、ね」
イレナ:「……すごく頑張ることを、いつも通りって言うべきじゃない気もするけど」
エドヴァルト:「いつも通りだろう。微笑むのはお前の役目で、恐れさせるのが俺の役目だ」
エドヴァルト:「共通しているのは、殺すことだな」
イレナ:「もう。またそんな言い方」
イレナ:「……でも、そうだね」
イレナ:「ひとりにはさせないよ」
イレナ:「私、得意だもの」
エドヴァルト:「……なら、やはり。いつも通りだな」
エドヴァルト:「俺達は……性格も、適性も、能力も。何もかも違っているが」
エドヴァルト:「これまでも……二人で任務をこなして、二人で生きて帰ってきた」
エドヴァルト:「今度もそうなる」
エドヴァルト:ぶっきらぼうにそう言って、逸らすように窓の外を見やる。
イレナ:「うん」嬉しそうに頷く。
エドヴァルト:「……そろそろ着くな」
イレナ:「ん」白亜の建物を眺める。
イレナ:窓をわずかに開ける。異国の匂い。すこし熱を帯びた。
イレナ:(……微笑むのも、殺すのも、得意)
エドヴァルト:遅れて窮屈そうに車から降りる。何気ない所作の間でも、その眼光は一分の油断もなく光っている。
イレナ:軽やかに降り立った少女が、その冷酷な目つきを受けとめる。
エドヴァルト:そうして、運転手が離れていったのを確認すると。不自然ない足取りで少女の傍へと身を寄せる。
エドヴァルト:「……別に、もうお前の前で人に戻る気がなくなったという訳じゃない」
エドヴァルト:そこで、ようやく最初の質問に応じる。
エドヴァルト:低く鋭く、しかし他の誰にも聞こえないような声音。
エドヴァルト:「俺は、場を弁えているだけだ。それと」
エドヴァルト:「……血で濁った舌には、口直しが必要だ」
イレナ:「……ふふ」身を寄せ返す。
イレナ:「わかったわかった」
エドヴァルト:俺は変わっていない、という事をただ伝えるために。
エドヴァルト:選んだ言葉がどうにも甘えるような風になってしまった事が、どうにも気恥ずかしくなる。……それを顔に出すことはないが。
イレナ:「帰ったら、いつものケーキ、また作るしさ。スイスにも…」
イレナ:「もしかしたら、美味しいのあるかも」
イレナ:「私の作るシャルロットほどじゃないでしょうけど」と、おどけてみせる。
エドヴァルト:「……ああ。そうだな」僅かに目を細める。「楽しみにしていよう」
エドヴァルト:その一言を区切りに、僅かに緩んでいた気配が再び黒狼としてのそれに戻る。
イレナ:彼のその表情を、どんな姿でも変わらない眼差しを、だれも知らない。
イレナ:それを噛み締めて、彼の歩幅についていく。
エドヴァルト:足取りは大きく、迷いなく。だが、振り向かずとも少女を置いてけぼりにはしない。
イレナ:(……得意だから、ひとりにはさせない)
イレナ:(きみだけを、英雄なんて怪物にはしない)
イレナ:獣の男と少女が歩いていく。

---

パメラ:ベルン市街。
パメラ:一見して平和な日常の内にあるそこは、
パメラ:しかしどこか落ち着かない気配を、その裏側から滲ませてもいる。
パメラ:その一角。カフェの店舗外に設えられたテラスにて。
パメラ:「……はぁぁ」
パメラ:「久々の……甘味」
パメラ:一切れのケーキの皿を前にして、大袈裟に感動に浸る女がいる。
パメラ:長身。赤毛。薄汚れた旅装。
パメラ:道行く人々とは明らかに違う、浮いた姿。
ロクサーヌ:「……能天気ね」その向かいに座る。気怠げな眼をした、長い黒髪の女。
ロクサーヌ:その机に並ぶ食事は、対照的に簡素なものだ。軽くジャムを塗ったパンと水を、何度も寄り道をするようにゆっくりと食べている。
ロクサーヌ:「随分とまた、大事になってきてるみたい。気が滅入るわ」
ロクサーヌ:空いた方の手に持っていた新聞を、ぱさりと空いた椅子の上に置く。
パメラ:「だからそんなに食が細いのかい」
パメラ:「いいんだぜロキシー。たまの贅沢したってさ」
ロクサーヌ:「貴方ほど図太くないだけ」溜息。「これから嫌ってほど血を見る時に、何食べたって美味しくないでしょ」
パメラ:「……そりゃまあ」前髪をいじる。「それが仕事で、収入源で、そう見込んでるからこそこう言ってるわけだけども」
パメラ:「慣れない? やっぱり」
ロクサーヌ:「……。別に、気遣ってもらいたい訳じゃないわ」
ロクサーヌ:「私の勝手でこうしてるだけだもの。……辛気臭い女が目の前にいるとケーキが不味くなるって言うなら、外すし」
パメラ:「まさか!」
パメラ:「そうじゃないよ。君と一緒の食事は楽しいし」
パメラ:「そんなこと言えた立場じゃないって弁えてもいる。こう見えたってね」
パメラ:笑い、傍らの椅子に立てかけたものを一瞥する。
パメラ:革の鞘に収められた長剣。白兵戦用の装備自体は“現代の”戦場では珍しくないものだが、それにしても時代がかった。
ロクサーヌ:「…………」なんとも言えない顔をするが
ロクサーヌ:「……そう」変に反論しても押し負かされると経験上分かっているので、諦めてそれだけの応答を発した。

“プラスエックス”パメラ・ガーストン
カナダ出身の傭兵。
オーヴァードとして秀でた個人ではないが、家に伝わるレネゲイドアイテム(遺産)の剣に適合しており、
かつて竜殺しに用いられたというその力を引き出すことができる。
何かと気安い性格で、隠遁状態だった“ガヴィダの魔女”を訪ねて傭兵稼業に誘い、半ば強引に説き伏せて連れ出した。
弟妹が多くおり、彼らを経済的に楽にしてやることが目的。
そのため金銭にはがめつく、今回の事変に関与するのも稼ぎ時と見ての部分が大きい。

"ガヴィダの魔女"ロクサーヌ
「プロホロフカの惨劇」以前から存在したと見られる、不老の特性を持つオーヴァード。
数百年前から西欧の民間伝承において「困難の打開を求める人間への助けとして、特別な力を持った宝物を授ける」とされていた存在。
長らく世俗との関わりを断って山奥に隠遁していたが、ここ数年はパメラ・ガーストンに付き従い、表立って傭兵としての活動を行っている。
陰気なペシミストであり、契約に基づかない関係を信頼しない性格。無生物に擬似的な生命エネルギーを付与・使役する能力者。

パメラ:「……で」
パメラ:「どんな感じかな。世間一般的な景気は」
パメラ:椅子の上に置かれた新聞を示して。
ロクサーヌ:「……」紙面を見て、何かを言おうと何度か口をぱくぱくとして。
ロクサーヌ:「……自分で読んで」不機嫌そうにそれを手渡す。
パメラ:フォークを咥えて受け取り、目を通す。
パメラ:「……ふーん」
パメラ:「まあ知ってる通りか。でもさ」
パメラ:「どっちかって言うと、私が知りたいのは」
パメラ:フォークを置き、両手で顎を支えて笑う。
ロクサーヌ:「……何?」その笑みを訝るような目。
パメラ:「こういう状況が、君にはどう感じられるのか、の方」
パメラ:新聞で伝えられる凶報と、それを裏付けるような余所者の流入、物資の動きの停滞。
パメラ:そうした情勢下で、この見知らぬ二人組に向けられる視線も少なくはない。
ロクサーヌ:「……ふうん」そこで私を頼りにするんだ、と思う。言わないけれど。
ロクサーヌ:口元に手を当てて、暫し空を見上げて、ぽつりと
ロクサーヌ:「……いやな匂いがするわ」
ロクサーヌ:「不確定な情報を前に、最大限の準備を整えて」
ロクサーヌ:「これだけやったんだから、きっと何とかなるだろう……って言い聞かせてる感じ」
ロクサーヌ:「人が死ぬのって、そういう時よ」
パメラ:「なるほどねえ」
パメラ:「じゃ、一つ追加だ」
パメラ:「いっぱい活躍していっぱいお金を貰う、“ガヴィダの魔女”ここにありと示す、プラス」
パメラ:「なるべく死なせない。どう?」
ロクサーヌ:「どう?って……」呆れたように呟き、少し言葉を探して。
パメラ:「君のお気に召すかなって」
ロクサーヌ:「……私は別に、貴方ほど金銭や名誉に執着している訳ではないのだけれど」
ロクサーヌ:「それが貴方のやりたい事なら、支えるし、見届けるつもりよ」
ロクサーヌ:「それとも……死にたくないなら、やめた方がいい」
ロクサーヌ:「って言えば、翻るの?パメラ・ガーストンは」
パメラ:「無いね。それで止まってたら何もできないだろ」
ロクサーヌ:「私が今日まで生きて貴方に出会えたのは、そこで止まり続けたからだけれど」
ロクサーヌ:「……どうでもいい話ね。貴方の人生は貴方のものだもの」
パメラ:「……」
パメラ:「もういっこ出来たな。やりたいこと」
パメラ:「今回の仕事を通してさ」
パメラ:「君をすっごく怒らせてみたい」
ロクサーヌ:「……はあ?」意味が分からない、という顔。
ロクサーヌ: 「それをして、貴方に何か得があるの?」
パメラ:「言っておくけど」
パメラ:「私、これでも君の役に立てるつもりだからな」
パメラ:「何も昔っからそんな風だったわけじゃないだろ」
パメラ:「だから知りたいんだ。これをされたら怒るってくらい、君の琴線に触れるものは何なのか」
ロクサーヌ:「……」僅かに目を見開いて、すぐに元の大きさに戻る。「別に、私は。貴方にそんな事を期待してないわ」
パメラ:「しろってば!」
ロクサーヌ:「……もしかして貴方。何だって、勢いで押せば私が通してくれると思ってる?」
ロクサーヌ:そう言ってからふと、パメラが腰に帯びた剣へと視線を移して。
ロクサーヌ:「最初に、言ったでしょ。その剣を裏切らないように生きて」
ロクサーヌ:「私の契約が貴方に求める対価は、それだけよ」
ユーゴスラビア ベオグラード空港
-:スイス行きの軽飛行機が、飛行場に停泊している。
-:その中。
ミラン・サイフェルト:一人の青年が、本を片手に席にくつろいでいる。
ミラン・サイフェルト:青黒い長髪にメガネを掛けた、線の細そうな男。
ジナイーダ:「やあ、やあ」
ジナイーダ:ずかずかと乗り込む女。オレンジゴールドの長い髪が揺れ、軍靴が軽やかな音を立てる。
ミラン・サイフェルト:それを見て顔をしかめた。
ジナイーダ:「その陰気な顔も久々に見たな。懐かしくて嬉しいよ」
ジナイーダ:「そんな不健康そうな顔の軍人、うちにはいなかったからね!」
ミラン・サイフェルト:「……本当にクロアチアと同道することになるとはな」本をパタンと閉じる。
ジナイーダ:勝手に隣に座る。「ほんとにねえ」
ジナイーダ:「あんだけ揉めたのはなんだったんだよって。ふふ」
ミラン・サイフェルト:「憎たらしいほどに変わらないな。ジーナ」
ミラン・サイフェルト:「空いてるだろ。他が」
ジナイーダ:「やだよ。せっかくの相棒との再会なんだから。嬉しがりなさい」
ミラン・サイフェルト:「元相棒、だろ」
ジナイーダ:にやにやと肩をすくめる。

“グニェーファ・グロム”ミラン・サイフェルト
ローマ危機に応じて臨時糾合されたユーゴスラビア臨時連合軍の所属オーヴァード。26歳。
元はセルビア軍人。真面目で篤実と思われているが我は強く、自分のペースを乱されると苛立つタイプ。
超精密な有視界狙撃を可能とする類まれなる異能を持つが、準備中は過集中により狙撃以外の行動を取れない欠点を持ち、過去のバディとの連携でこそ真価を発揮していた。

"モリマラ"ジナイーダ・レコ
ローマ危機に応じて臨時糾合されたユーゴスラビア臨時連合軍の所属オーヴァード。27歳。
 通常はクロアチア軍の所属。
少女期より超人兵士として戦場に身を置くが、戦闘力・統率力・判断力どれも常人並み或いは以下。 
ただし、運あるいは確率を操作する能力を持つと見られ、偶発的な事故によって彼女の周囲では異常な幸運がたびたび発生する。 
自身でも「豪運」を自称する、軽薄な陽気さと確信に満ちた言動の持ち主。

ミラン・サイフェルト:「……」
ミラン・サイフェルト:「どうだったんだ。今までは」
ジナイーダ:「私ほど、あんたにとって都合のいい女は他にはいないでしょ」
ジナイーダ:「んー?」
ジナイーダ:「どうって…前と同じだよ」
ジナイーダ:「上手くいった。なにもかも」
ジナイーダ:「まあ、国はよくならなかったけどね」
ミラン・サイフェルト:「自分だけがうまくいく。変わりゃしないか」
ジナイーダ:「国ほど大きくなかったらねえ」
ジナイーダ:「傍にいるほんのちょっとくらいだよね。ま、人間そんなもん」
ミラン・サイフェルト:「……」
ジナイーダ:「そっちはどうよ」
ミラン・サイフェルト:「知ってるだろう」
ミラン・サイフェルト:「うまく行ってない。何もかも」
ジナイーダ:ミランの持っている本を覗き込んでいる。眉をひそめる。難しい。
ジナイーダ:「はは!」
ミラン・サイフェルト:「やれることは限られてる」閉じた本を鞄にしまう。
ジナイーダ:「でも、今日は良い一日じゃない。私と会えたし」
ジナイーダ:「私と会えたってことは、私とやるってことは。うまくいくってことだ」
ミラン・サイフェルト:「……そうありたいもんだな」
ミラン・サイフェルト:その顔を見て。「吸わないのか?」
ジナイーダ:けらけら笑って。「ふ」目を細める。
ジナイーダ:「幸運にも、ライターを忘れたの」
ミラン・サイフェルト:「……」
ミラン・サイフェルト:懐からライターを取り出す。「不運にもここにある」
ジナイーダ:当然とばかりに、シガレットの箱から二本取り出す。
ミラン・サイフェルト:当然のように一本受け取って、火を点ける。
ミラン・サイフェルト:火を移し渡して。「……あれから吸ってなかった」
ジナイーダ:煙草を咥えた唇をかすかに寄せて、離れる。
ジナイーダ:「へえ」
ミラン・サイフェルト:「……思い出すだろ。どうでもいいことばかり」煙を吹かす。
ジナイーダ:「ふ、はは」
ミラン・サイフェルト:「無柳の慰めにはならない。この娯楽は」
ジナイーダ:「いま言おうと思ってたよ。私のことを思い出すんだろって」
ミラン・サイフェルト:「言われると腹が立つからな」
ミラン・サイフェルト:「先に言うことにした。お前のペースには乗らない」
ジナイーダ:「私もね。こういうのは言われるほうがグッとくるんだな」
ジナイーダ:「久々にリードして頂戴ね、ミラン?」
ミラン・サイフェルト:「重くなってないだろうな、ジーナ」
ジナイーダ:「はあ~?」
ジナイーダ:「確かめてから言えっての」
スイス ベルン ホテル『ベルビューパレス』
GM:この事態に際し、ドイツ軍は周辺国の中でも先んじて派兵を決定、オーヴァード部隊“ゲシュペンスト”に出動を要請した。
GM:“ゲシュペンスト”は大戦期からナチスが収集したオーパーツ──“遺産”の運用と、オーヴァードに関するデータ収集、何より対オーヴァード戦闘を目的とした特殊部隊であり
GM:9月8日中にはベルンに到着した一行は、議事堂のすぐ隣に位置するホテル『ビューパレス』に宿泊。一夜を明かし、議事堂での会議に赴かんとしていた。
ゲオルグ:「……」
ゲオルグ:人気の少ないロビー。ソファに座って巌のように黙り込んでいる老人。
ゲオルグ:“ゲシュペンスト”指揮官にして歴史の生き証人──ゲオルグ・クローヴィンケル。
ゲオルグ:普段から滅多に口を開くことはなく、今日もそれは同様だ。

ゲオルグ・クローヴィンケル
ドイツ軍中将。オーヴァード部隊“ゲシュペンスト”指揮官。
当時兵士として“プロホロフカの惨劇”の現地で覚醒した、最古参オーヴァードの一人。1963年時点で72歳。
惨劇について最も深く知る人物であり、他国から何度も身柄を狙われているが、一度として機密を漏らしたことはない。

エリアス:ひときわ色の濃い新しい軍服に、ひょろりとした体躯の青年。きょろきょろと周囲を見回し、居たたまれなさそうにしている。

"ゲシュペンスト・ツヴェルフ"エリアス・シュナイダー
ドイツ陸軍所属。"ゲシュペンスト"隊員。17歳。
田舎の村で生まれ育ったが、オーヴァードとして覚醒。陸軍に所属したばかりの青年。
近年発見された三種混合種(トライブリード)の保有者。環境に肉体を最適化させ、己を変形・調整することに適性が確認されている。
他人に影響されやすいお調子者だが、人懐こく忠実な気性。
超人兵士による戦闘には不慣れであり、恐怖と戸惑いを覚えているが、戦闘時には遺産との高い適合により心身ともに理想の兵士を体現する。

エリアス:「おれ、こういう会議とか、ぜんぜん地元でも出たことないんですけど……」
エリアス:「みなさんについていくしかできないんで、ほんと、よろしくお願いしますね…」
クラウディア:「あはは、そんな緊張しなくていいよ~」
クラウディア:ブロンドの髪を水色のリボンで括り、小柄な身を軍服に包んだ少女。
クラウディア:緊張する後輩を和ませるため、というよりはごく自然と出たような笑みを浮かべている。

"ゲシュペンスト・ツェーン"クラウディア・ローデ
ドイツ陸軍"ゲシュペンスト"隊員。18歳。
性格は奔放で享楽的、自己の欲望に対して忠実。
天才を自称して憚らず、実際にそのエフェクト出力は屈指。
金属線を媒介した振動伝達による広域破壊を得意とする。撃破した兵士のドッグタグを蒐集する趣味がある。

クラウディア:「エリアスくんは礼儀とかしっかりしてると思うし」
クラウディア:「難しいことを決めたりするのは、ほら。隊長とかの仕事だしね」
エリアス:「た、たしかにそうっすね」
エリアス:「つか、ほかの国のオーヴァードと戦わないでちゃんと喋るのも緊張するな…」
イルゼ:「何が緊張しなくていいだ!ローデ!!」
イルゼ:神経質そうな顔立ちの少女が、その印象通りに激昂する。
クラウディア:「わっ、急に大声出すじゃん」
エリアス:「おおっ」その声に、呼ばれていないのにビビる。
クラウディア:「大丈夫?ちゃんと寝付けてる?」
イルゼ:「貴様はさぞかしよく眠れただろうな大尉……」
イルゼ:「集合時間に5分も遅れてきた貴様が言えたことか!まず自分が礼節を身に着けろ!」

“ゲシュペンスト・ゼクス”
イルゼ・イリーネ・キルステン
ドイツ陸軍大尉。“ゲシュペンスト”隊員。18歳。
貴族の生まれであり、士官学校で首席の成績を収めていた優秀な候補生。遺産適合の選抜試験を突破する形でオーヴァードとなった。
自他共に厳しい性格であり、風紀と規律を重んじる。遺産の契約により元来の性格が更に加速している。
様々な効果をもたらす呪言を、遺産の効果により遠方、広範囲に届かせることが可能。支援と妨害を主とする。

イルゼ:「いいか部隊の全員を5分も待たせているのだぞ!300秒だ!戦場では死に直結する長さだぞ!分かっているのか!!」
クラウディア:「分かってる分かってる、戦場では遅れないから」
エリアス:クラウディアさんが叱られていることが分かっているので、すごすごと後退して避難している。
イルゼ:「タイもゆるゆるで……このような……!」怒りの形相でクラウディアの首元を締め付けている。
クラウディア:「わっ……ちょっと、そんなに締め付けたら動きにくいよ」
カタリーナ:「喧嘩はだめだよ~」ぱん、と手を打つ。
カタリーナ:間の伸びたような声が響く。ふわふわと柔らかい印象の少女が微笑んでいる。
カタリーナ:「よいことを考えようよ」
カタリーナ:「ごはんもすごい美味しくてベッドもふわふわだった~」
カタリーナ:「スイスっていいところだ」

“ゲシュペンスト・ドライ”カタリーナ・アウラー
ドイツ陸軍所属“ゲシュペンスト”所属。19歳。
雌雄一対の遺産の適合者であり、隊内で最も遺産の侵蝕が激しくジャーム化寸前である。
怒りと悲しみの両感情を喪失しており、常に心からにこにこと笑みを浮かべている。
熱気と冷気を組み合わせた両腕から殺人的な近接火力をもたらす部隊の破壊役。

エリアス:「カ、カタリーナさん」ほっとした様子。「ごはん旨かったですよねえ」
イルゼ:「く……」上官に仲裁されてしぶしぶ手を放す。
クラウディア:「ねー、いい街だよね。日程に余裕があったら観光とかしたかったくらい」
カタリーナ:「できないのかな?」
エリアス:「こ、このメンバーでですか?!」
イルゼ:「……今は非常時です。そのような場合ではないでしょう」
クラウディア:イルゼが離れるや、座り直しながらタイを緩めている。
アウグスト:「……お前たち」
アウグスト:弛緩し始めた空気の中、彫像じみて立っていた男が薄目を開ける。
アウグスト:「我々は軍務で訪れた身であり、かつ、国の代表と見られる立場でもある」
エリアス:はっとなり、びしっとつま先を揃えて立つ。
アウグスト:「このような衆目のある場では、振る舞い方に気を付けろ」

“ゲシュペンスト・アイン”アウグスト・ヨアヒム・フォン・ヴィンツィンゲン
ドイツ陸軍所属。“ゲシュペンスト”隊員。27歳。
由緒ある貴族家の出であり、その自負と、後述する遺産の代償への対策として、高潔な振る舞いを自らに課している。
そうした性質に加えて隊の中では年長であることから、隊内ではまとめ役を担う立場。
遺産は聖人の遺体の一部を肉体に移植したもの。
その力によりオーヴァードの知覚でも捉え難い高速戦闘を可能としているが、それは理性なき狂奔へと至る衝動を齎すものでもある。

エリアス:「は、はい隊長!」
イルゼ:「仰る通りです」うんうん頷いている。
クラウディア:「はーい、気を付けます」あんまり気を付けてなさそうな返答。
カタリーナ:「ゆるくでいいよ~」
カタリーナ:「私達の求められる振る舞いは、戦場のだよ?」
イルゼ:「これから望む議事堂の中は、戦場のようなものでしょう」
アウグスト:「そういうことだ」
イルゼ:「既に各国のオーヴァードが集結しているようです。あの傭兵ども……アイギスの連中まで来ているとか」
エリアス:「へえ…!フランスと最近仲良しこよしなんですっけ」
アウグスト:「何も突然賢くなれとは言わん。ただ」
アウグスト:「必要な時以外は黙ってじっとしていればいい。それだけでもらしくは見える」
カタリーナ:「アイギス、いっぱい活躍しててすごいよね~やっぱり強いのかな」
カタリーナ:「お友達になれるかな」
エリアス:黙ってじっとしよう…とし、「友達は無理では…」やっぱり話してしまう。
クラウディア:「……」ちょっとだけ黙ってみるが、エリアスが口を開いたのでいいかと思い直す。
クラウディア:「戦場って言っても、会議にいるメンバーとは協力関係なんだよね?今回は」
イルゼ:「国家の間に真の意味での協力などあるものか」
イルゼ:「第一、“バルチック艦隊”がいるんだぞ」
カタリーナ:「ロシアの?いると困るの?」
エリアス:「ソビエトの連中か…あいつら、おとなしく協力とか絶対しないですよね…」
アウグスト:「……」眉間を揉むが、今度は無駄な話題ではないようなので野次馬がいないか気を配る程度にしておく。
エリアス:「目的もおれらとカブってそうですし。そのへんも…えーと、警戒。する感じで」
カタリーナ:「すごそうだもんね」
イルゼ:「全くだ。何をしてくるか知れたものではない」忌々しげな顔をする。
カタリーナ:「あれ、私達が使えたら、もっと楽しいことになるよ」
カタリーナ:「みんな喧嘩をやめて仲良くしてくれるかな」
エリアス:「……楽しいなんてもんじゃ…」
クラウディア:「あはは、そこまで素直じゃないんじゃないかな」
クラウディア:「今度は私達が囲まれる側になるかも」
エリアス:「それこそソビエトに確保されるくらいなら、とは思いますけど」
エリアス:「……こんなの、おれらがうだうだ言っても仕方ないか」
ゲオルグ:「……我々には」
ゲオルグ:不意にしわがれた声が響く。
カタリーナ:「っ」ピシっとする。
エリアス:また慌てて姿勢を正す。
クラウディア:「……」背筋を伸ばしてそちらを見る。
アウグスト:かすかに瞠目して向き直る。
ゲオルグ:「力が必要だ」
ゲオルグ:皺だらけの老人から放たれているとは思えないような、重苦しい圧を帯びた声。
ゲオルグ:「それがどのような異端のものであろうと、屈服させ、我が物にしなければならぬ」
ゲオルグ:「貴様らはその任を果たすことだけを考えていればよい」
ゲオルグ:「……行くぞ」
ゲオルグ:杖を付いて立ち上がり、議事堂へと歩き出す。
エリアス:姿勢を正したまま、緊張した面持ちでそれに続く。
イルゼ:ぴしりと敬礼をして、背筋を伸ばして続く。
クラウディア:ふう、と息を吐き、笑みの消えた面持ちで彼の後へと続く。
カタリーナ:少しの間姿勢を正していたが外の小鳥を見上げて、しばらくして遅れて続いた。
アウグスト:「……」先を行く四人の背中を厳しい目で見つめ。
アウグスト:左右に瞳を動かした後、殿で続く。



【OP2/混沌】

GM:引き続き全員登場!
ルカ:ルカの侵蝕率を1D10(→ 8)増加 (38 → 46)
アッシュ:アッシュ・ノイ・ジラードの侵蝕率を1d10(→ 5)増加 (34 → 39)
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を1d3+3(→ 5)増加 (47 → 52)
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を1D3+3(→ 6)増加 (35 → 41)
ギル:+3使おうかな
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を1D3+3(→ undefined)増加 (52 → NaN)
ギル:?
GM:なんだろ
ギル:1d3+3
DoubleCross : (1D3+3) → 3[3]+3 → 6

ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を6増加 (52 → 58)
ギル:怖いので手動であげました
GM:OK
スイス ベルン 連邦議事堂
GM:ベルンの美しい街並みに聳える、白亜の建築──スイス連邦議会議事堂。
GM:平時は国会に利用されているその建物は今、大勢の人々が犇めきあい、異様な緊張と熱気に包まれていた。
GM:イタリアでの事態に際し、参戦するオーヴァードの総数は50人以上に膨れ上がり、議事堂内には更にその10倍近い関係者が集結していた。
GM:これほど多くのオーヴァードが一堂に会するのは、間違いなく有史以来初のことだろう。
GM:様々な国と勢力のオーヴァードが一つ所に集められ、会場には不穏な空気が漂いつつあった。
GM:そして、傭兵組織である君達アイギスに向けられる目もまた、あまり穏やかなものであるとは言えなかった。
GM:君達は周囲から視線が刺さるのを感じるかもしれない。
ギル:眼鏡を直して「聞いていたよりも多いね。それだけ何処の国も注目しているってことか」
ミルシュカ:「まさかあれ以上増えるとは……」
クレア:「どこの国も引っ込みがつかなくなってしまったのかもな。半端な戦力を寄越して成果なし。とするわけには行かないだろうし」
エミリア:「人がいっぱいですね……」呆けたようにキョロキョロしている。
ギル:「人気者だね。皆が君を見てるよ、アッシュ」
アッシュ:「みたいだな」 視線にさらされるのはいつものことだ。気にする様子もない。
ギル:「フランスの中とは少し毛色が違うようだけど……君には関係ないか」
アッシュ:「まあね。相手が何を感じてようと、オレが何を感じるかには関係ないし」
デュバリー:「これだけのオーヴァードがいて、普段は血を血で洗ってるんだから、救えたものじゃない」
ルカ:「今だって似たようなものじゃないの」
デュバリー:「『今』じゃなかったら、少なくともオーヴァード以外は死んでるでしょ」
ルカ:「救えたものじゃないな」鼻を鳴らす。
ギル:「何かあったのかい?デュバリー。君にしてはやけに機嫌が悪いみたいだけれど……」
デュバリー:「別に」 少し髪に触れて 「人が多いからかもね」
アッシュ:「そう?ブリーフィングでも妙に静かな気がしたけど」
クレア:「体調が優れないなら外で待っていても構わないぞ。自分が護衛につく」
デュバリー:「……イタリアには訪れたことがあってね」
デュバリー:「女の子はみんな可愛くて、情熱的で。友達も何人かできた」
ハミース:「マジか。そりゃ怪物ももったいねえことする」
デュバリー:「この事件が起きたばかりの頃、助けを求める連絡がいくらか来て……でも結局、私はそれに応じなかった」
デュバリー:「"アイギス"が動く事態だと、早々に分かっていたから」 少し目を伏して 「で、今、この睨み合いだもの」
デュバリー:「救えたものじゃない」 平坦な口調は、それでも普段より沈んでいるようだろう
アッシュ:「眉間にシワも寄るって?」
デュバリー:自分の眉間を撫でる 「寄ってる? 表情はいつも繕ってるつもりだけど」
アッシュ:「慣れると意外と分かりやすいとこあるからな。わざと分からせてるのかもだけど」
アッシュ:「なんにせよ、救えないのなんて元からだろ」
アッシュ:「その救えない状況を、オレ達がどれだけ救うかって話」
アッシュ:「違う?」
デュバリー:普段なら。……いや、以前なら。
デュバリー:その言葉に自然に頷けていただろう。だけど、ならば、今は。
デュバリー:「……そうだね」 薄く、どこか疲れの滲んだ笑みを浮かべて、それだけ返す
アッシュ:「……」 常と明らかに違うその笑みを見て、僅かに目を見開く。
ギル:「せめて仇は取ろう。彼女たちのためにも」
ハミース:「死んでるとも限らねえだろうが」
エミリア:「そうですよ!まだワーディングで気絶してるだけかも!」
デュバリー:「生きていても、死んでいても」 前に目線を向けて 「見つけに行くよ。多分、私しかそれができないんだから」
クレア:「……気絶しているだけにしても、飲まず食わずなら体は衰弱する」
ルカ:「気絶できるならまだいいけどな」皮肉げにぼやく。
ルカ:「瞬きもできないのは、あれは最悪」
アッシュ:「つまりは急がないとってことだな」
クレア:「まずは、この会議が早く終わることを祈ろう」
アッシュ:「長引く気しかしないけど」
GM:そんな君達の会話の合間、人垣が俄かにざわつく。
GM:「……ルカ!おい!お前ルカだよな!?」
GM:人ごみを掻き分けて、一人の影がルカの前まで歩み出る。
ルカ:「……あ?」
トミー・ウェイクマン:「……やっぱりそうだ!」
トミー・ウェイクマン:その顔は、少し大人びてはいるが、ルカがよく知るものだった。
トミー・ウェイクマン:トミー・ウェイクマン。かつて君が暮らしたストリートでの、幼い頃からの友人だった。

トミー・ウェイクマン
メキシコ陸軍所属。
元はアメリカのストリート育ちで、数ヶ月前の覚醒に際しメキシコに亡命した。
軽い性格の楽天家。何事もコインで決める主義。

トミー・ウェイクマン:「こんなとこで何してんだよ、お前!?」
ルカ:「……」青い瞳を見開いて、信じられないものを見たような顔をする。
ルカ:「お前こそ…」
ルカ:「マジか? おい…マジか」
ルカ:「トミーか?」
トミー・ウェイクマン:「そうだよ!」バンバンと肩を叩く。
ルカ:「いや」普段だったら肩を組み直すところだが、動揺している。棒立ち。
トミー・ウェイクマン:「マジでルカだよな!?お前、噂だと死んだことになってたぜ!?」
トミー・ウェイクマン:「軍行ってから行方も知れないし……生きてたのかよ!マジ良かったなあ!」
ルカ:「……うるさい。ちょっと黙れ」引き離す。
デュバリー:「?」 見上げる 「お友達?」
エミリア:「お知り合いですか、ルカ……?」
ハミース:「情熱的なな」
トミー・ウェイクマン:「ええ!?オイオイ何だよ!感動の再会じゃんかよ!」
ルカ:「黙ってろって」渋面。「……、…地元の知り合い」
クレア:「地元というと、アメリカか」
ハミース:「アメリカは今回参加してねえだろ」
アッシュ:「アンタの地元?の割には随分元気だな」
ルカ:「つか、それよりも、それよりもだ」
ルカ:「おれの知ってるお前はただの不良。一般人」
ルカ:「オーヴァードじゃなかった」
トミー・ウェイクマン:「そう!!」指を差す
ルカ:「やめろ」はらう。
トミー・ウェイクマン:「いやマジでビビったぜ~……俺がオーヴァードだぜ!?ありえねーだろ!」手を叩いて爆笑する
ルカ:「……アメリカが」
ルカ:「お前を捕まえたのか」
ルカ:眉間に皺を寄せながらそう聞く。
トミー・ウェイクマン:「いーや」かぶりを振る。
トミー・ウェイクマン:「オーヴァードの扱いはよく知ってるからな。こうなってまず考えたのは逃げることだった」
ルカ:「………」苦虫を嚙み潰したような顔。
トミー・ウェイクマン:「命がけで国境を越えて、メキシコに亡命した。今はそっちの軍にいる」
トミー・ウェイクマン:「まあ、アメリカほど扱いは悪くねーよ。そこそこ楽しくやってる……」
ルカ:「……そう。良かった。それは何よりだ」
トミー・ウェイクマン:「それより、お前は?何でこんなとこいんだよ?軍の仕事か?」
トミー・ウェイクマン:「……メイは?元気か?」
ルカ:「………」渋面のまま、思いきり口を噛みしめる。
ギル:「あー……」苦笑いしながら、二人の間に割って入る「昔話に花を咲かせてるところ悪いんだけど……トミーくん。僕たちにも色々事情があってね」
ギル:「その話はまた、今度にしてもらっても……」と言いながらルカくんの様子を見る
ルカ:「死んだ」遮るようにして言う。
トミー・ウェイクマン:「……」凍り付いたように固まる。トミーもメイとは幼い頃、何年も共に過ごしてきた。
ギル:「ああ、うん……」気まずそうに視線をそらす
ルカ:「………、………。そうだな。詳しい話はあとでだ」
トミー・ウェイクマン:「……。……そう、か……」
ルカ:「あとでだ。トミー」
トミー・ウェイクマン:かぶりを振る「……ああ。悪かったな、ルカ……」
トミー・ウェイクマン:「……会えて嬉しいぜ。また後で話そうな」
ルカ:「ああ」
ルカ:それだけ言う。
ルカ:「………、余計なお世話」トミーさんを見送った後、ギルくんにも言います。
ギル:「そんな気はしてた。すまないね」
エミリア:「……」ルカに何か声を掛けようと口を開き、結局噤んでしまう。
ルカ:返事の代わりに、忌々しそうに舌打ちする。
ルカ:叩かれた肩に触れる。やはり、正真正銘、知る友人だった。眩暈がしそうだ。
クレア:「……ルカ」後ろから声をかける
ルカ:「……んだよ」振り返る。
クレア:「思うところはあるだろうが、この仕事をやっていて古い友人に会えることは貴重だ」
クレア:「仲良くするべきだと思う。少なくとも今は、敵対する理由もないんだからな」
ルカ:「…ご忠告どうも」
ルカ:「務めるよ。……悪いやつじゃなかった。おれが知ってる頃のあいつのままならだけど」
クレア:「きっと変わらないさ。オーヴァード化で知能が変質することはあるが、本質は同じ。馬鹿は馬鹿のままだし」
クレア:「友達は、友達だ」
ルカ:「……そう」
ルカ:否定も肯定もできず、短く返事をするに留めた。

---

GM:異様な熱気と緊張の中、臨時合同軍の全体会議が始まった。
GM:議場に集まったのは、およそ50人以上のオーヴァード達。
GM:当然、戦場で何度も顔を合わせ、殺し合った者同士も多い。そうした者たちは席を離しつつも、やはり剣呑な雰囲気を漂わせていた。
GM:議長を務めるのは、現状でイタリアの最高責任者である男──レーモ・ベリザリオ・タヌッチ。
GM:たまたま海外出張中で難を逃れただけの、イタリア陸軍少将だ。明らかに身に余る大役に、緊張が収まらない様子でいる。
ギル:「数だけ聞くのと、こうして直接見るのとではまた違うね。すごい光景だ」
アッシュ:「しかも数だけじゃなくて質もスゴいからな。どっかで見た顔ばっかだ」
デュバリー:「写真を撮った方が良いよ。タイトルは『史上最悪の火薬庫』」
クレア:「実際、火をつけたい輩も多いだろうな。出来るのかは別としてだが」
ルカ:「ガキばっか…」
ハミース:「見ろよ。あそこ、ドイツの」
ハミース:「ゲオルグだ。ゲオルグ・クローヴィンケル」
ゲオルグ:議席について、彫刻のように動かずにいる。
デュバリー:「……最古のオーヴァードか。名前と顔くらいしか知らないけど」

レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:「えぇと……それでは、改めて現状の確認に移りたいと思います……」
GM:たどたどしい謝辞を済ませ、ようやく本題に移る。
ギル:「おっと。そろそろ本題かな」一度背筋を正して話を聞くよ
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:冷や汗をかきながら、たどたどしく資料を取り出す。
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:「現在、イタリア南部からの通信復旧の目途は立っていません」
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:「イタリア、バチカン、スロベニアからの避難は進行中ですが……避難民の受け入れ先選定の進捗も芳しくありません」

カタリーナ:キョロキョロとしている。「何かが見てる感じする……」
エリアス:「ひえ、怖いこと言わないで下さいよ!」
エリアス:「おれそういうホラーだめなんで!」
クラウディア:「あはは、これだけ人のいるとこに幽霊なんて出てこないでしょ」
クラウディア:「ってか幽霊ゲシュペンストは私達の方だし」
アウグスト:「ホラーで済めばいいがな」鼻を鳴らす。「どんな企みをする者がいても不思議ではない。警戒は絶やすな」

ジナイーダ:「お~、ゲシュペンストいまあんな若い連中なんだ。元気そう」頬杖をついてぼんやり見ている。
ルカ:「なんだありゃ。ハイスクールかよ」
クレア:「6人か……流石にドイツは本腰を入れて来ているな」
ハミース:「むしろ入れすぎだろ。何考えてやがる?」
クレア:「自分たちもそう言われてるんじゃないか?アイギスも含めればフランスだって6人派遣していることになる」
イレナ:人形のように座って資料を見ている。「あれがアイギスか。フランスはほんとうに傭兵頼りなんだね…」ぽつりと。

クラウディア:「見てるの、あそこかな」視線を感じた方に小さく手を振り返している。
イルゼ:「大人しくしていろ」クラウディアの手を叩く
クラウディア:「あうっ……もう。喧嘩はするなって言われたでしょ、イルゼ先輩」手を上げた事を咎めるように言う。

デュバリー:「どっちもイタリアが潰れれば次だからね」 軽く手を振って返す
アッシュ:「年も案外変わんないしな。カタリーナ……あのピンク髪の子とか、確かアンタと同い年くらいだぜ」
アッシュ:指で指して見せながらルカに言う。
ルカ:「じゃあ、あんたよりは年上だ」アッシュくんに返す。
アッシュ:「そうなるね。そんで戦歴はほぼ同等だ」
ルカ:「ふうん」
アッシュ:「つまりアンタの大先輩ってことだよ、ルーキー」
アッシュ:揶揄い混じり、数か月振りの呼称。
ルカ:「うるせえな」眉間に皺を寄せる。「肩でも揉んでやれば満足か?」
アッシュ:「見た目で判断するのを卒業してくれれば文句ないよ」
ルカ:「ガキはガキだろ。中身がなんだって」

エリアス:「うわ、カタリーナさん、なんかしたんすか」
エリアス:「アッシュ・ノイ・ジラードから指さされてますけど…」
カタリーナ:「なかよしだよ?」
カタリーナ:「たくさん遊んだの」
エリアス:「はあ…」

レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:「《ワーディング》の発生源とされる不明オーヴァード……仮にαと呼称しますが……」
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:資料を捲り「えー、あ、αは現在も北西方向に移動中であり、被害範囲から推定して数時間後にはローマ市外に到達すると見られます」
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:「ご……合同軍の目的としては、αのこれ以上の進行を阻止し、《ワーディング》の発生を停止させることにあります」
トミー・ウェイクマン:「はいはい!そもそもそのα?って何物なんすか?イタリアの人?」挙手する
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:「げ……現状では、不明としか言えません……通信が復旧せず、何の情報も……」

エドヴァルト:「……分かってはいたが、随分な人数だな。あの男にそれを纏めきる能力があるとも思えん」油断なく周囲を見渡しながら、静かに呟く。
デュバリー:視線をよそに向ける 「……それにあっちはお向かいさん、つまりユーゴスラビアの方の人だね。片方は見た覚えがある」
デュバリー:「あの目立つオオカミさんはポーランドだったかな」
デュバリー:「それでも知らない人が大半。……ヨーロッパ以外からも来てるのかな?」
アッシュ:「みたいだな。あっちの剣持ちとか、多分軍属ですらなさそうだ」
アッシュ:「エンブレム付いてないし、顔つきが軍に居るやつと違う」
ギル:「興味が湧くのは仕方ないけど、程々にしておきなよ。変に情が湧いたら苦しむのは自分たちだ」

パメラ:「おっ。アッシュ・ノイ・ジラードがこっち見た」ウインクを返す。
パメラ:「たまんないよね。この空気」議場の隅から全体を窺いつつ、傍らの女に話しかける。「この緊張感とぬるさの両立を生で見るだけでも来た甲斐があった」
ロクサーヌ:「……思ってた以上に、みんな子供ね」憂鬱そうにぼやいている。「見た目じゃなく、中身の話よ」
ロクサーヌ:「これから一緒に死線で協力する相手だと思うと、私は目眩がしてきたけれど……」
パメラ:「最初はこの会議全体に協力ってつもりだったけど。売り込む先は個別に見極めた方がいいかもなあ」
ロクサーヌ:「そうね……見定めておかないと。少しでもマシそう所を」

ミラン・サイフェルト:「……」(あれがアッシュ・ノイ・ジラード……)
ミラン・サイフェルト:「……」(本物か?影武者かもしれんが……)

ティベリオ・ディルーカ:「わざわざ要るのかよこんな会議が」机に足を投げ出している若い男。
ティベリオ・ディルーカ:「こんな外人どもに頼らずとも、俺がそいつをぶっ殺しゃいいんだろうが」
ティベリオ・ディルーカ:「お客さんたちは座ってていいぜ」

“ヘイルメリーヘイル”ティベリオ・ディルーカ
イタリア空軍所属。
元シチリアンマフィアで、オーヴァード化に伴い軍に徴用された。
実力は“デリュージュ”に大きく劣るとされ、後塵を拝し続けてきた。
非常に粗野で野心的で、彼の消息不明をのし上がる絶好の機会と捉えている。

ジナイーダ:「それができないと思われてるから、こうなってんでしょうに」
レナート:「“デリュージュ”のオマケがよく言うぜ」
ティベリオ・ディルーカ:「アァッ!?」
レナート:「大体、国がこんな状態だってのに、テメーは一体何してたんだ?あ?」

レナート・ペトローヴィチ・リヴァノフ
ソビエト軍“バルチック艦隊”所属。
未成年ながら部隊の主力の一人であり、部隊に誇りを持つ一方、他国のオーヴァードに対し敵愾心を隠さない面もある。
勝気な性格で皮肉屋。上官に対しては従順。

ティベリオ・ディルーカ:「それは……あれだよ!テメーらみてえな連中からの防衛戦をだな……!」
ギル:「タヌッチくんの声が聞こえなくなってきたな」
ルカ:「なんの話してるんだっけ」
クレア:「何もわからない。という話だろう」溜息
クレア:「全員を集めたのは失敗だったな。この程度の情報なら個別に書面で通達すれば事足りた」
ハミース:「バカ言えクレアちゃんよ。情報の宝庫だろうが」
ハミース:「こいつら全員とやり合うかも知れねんだ。見れるだけ見とけ」
クレア:「万全を期すに越したことはないが、できれば徒労で終わってほしいな」
デュバリー:「……こうしてる間にも、南の方ではどんどん人が倒れてるんだろうけどね」
ルカ:「同感」ムスッとしている。
ギル:「この騒がしさ、子供の頃を思い出すな。僕の故郷は小さな街でね、放課後は妹も一緒に街の子供達皆で……」誰にでもなく話し始めるよ

レナート:「大体、正体も規模も分からん相手と戦うなんざ、そんな作戦あり得ねえだろ」
レナート:「そもそも!どうして“リッケンバッカー”がいねえんだよ!」
レナート:「あいつが来りゃそれで片付く話だろうがよ!」
イレナ:「出た。“リッケンバッカー”」
イレナ:「物語の神様みたいな扱いだね」
ハミース:「いりゃこんな集める必要もなかったのは確かだな」
アッシュ:「そしたらそれこそソ連のやつらも居なかっただろうけどな」

エリアス:「人多すぎて覚えきらないですね。軍服着てない人も多いし…!」
カタリーナ:「外出たくなってきたなあ」
エリアス:「あ、空気すいます?おれコーヒー買ってきますけど…」
カタリーナ:「そうじゃなくて~」
アウグスト:「……」眉を動かす。
クラウディア:「確かに喉乾いたかも……ていうか、隊長」ちょっと真面目な顔になってアウグストの傍に行く。「これ参加してる意味あります?」

アッシュ:「はーぁ」 一つ溜息をついてから手を挙げる。
アッシュ:「hé!少将!この場に居ないやつの話してても仕方ないし、居るやつの話しようぜ」
アッシュ:「要は誰がどの位置についてどう攻め込むか、が決めるべきことだろ?」
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:「そっ……そうですね、作戦の話を……」
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:「お願い出来ると~……」上目遣いにオーヴァード達を伺う。
デュバリー:「お願いされちゃった」 自分の爪を撫でながら
ジナイーダ:「それどこに指揮とらせるの」
ミラン・サイフェルト:「この数のオーヴァードを指揮できるやつなぞ居るはずもないか」
アウグスト:クラウディアを一瞥し。
アウグスト:「そういうことであれば」ゲオルグの背後より、やや唐突に声を張り上げる。
アウグスト:「我々が偵察を承ろう」
アウグスト:「戦力上も最大というところだ。危険な任には丁度よいだろう」
カタリーナ:「お~やろうやろうよ」
イルゼ:「ええ!それが良いかと!」
デュバリー:ぼそり 「……誰より最初に川へ飛び込む者は、そこに金が落ちていることを知っている」
レナート:「おい待て、既定路線に持ち込もうとしてんじゃねーよ」
“バーバヤガー”:「レナート」嗄れた、だが力強い声が遮る。「おれが言う」
エリアス:「ソビエトもやっぱり言い出しますよね」こそっと。「…!」
レナート:「! ……はい」素直に頷く
イレナ:「実在したんだね、“バーバヤガー”」目を細める。
“バーバヤガー”:「お前らの好きにはさせねえぞゲオ坊の孫ども。大方おれらを出し抜こうって肚だろう」
“バーバヤガー”:「そうは卸さねえぞ……それになあ、気にいらねえな」
“バーバヤガー”:「誰の戦力が最大だって?」
クラウディア:「うわ、あのお婆さんめっちゃ睨んでくる……」
ゲオルグ:「……」落ち窪んだ目から、鋭い眼光を“バーバヤガー”に向ける。

“バーバヤガー”
本名・年齢不詳。ソビエト軍“バルチック艦隊”の首魁である老将。
魔女とも称される怪人物で、そのパーソナルティを知るものは少ない。
足が悪く、常に杖をついて歩いているが、オーヴァード戦では自らも前線に立ち、手ずから指揮を執る。

ハミース:「うわっあのババアまだ現役なのかよ」
ジナイーダ:「戦力…と言っても。そこの男以外にも待機させてるのかな、あれ」
カタリーナ:「やっぱり~、なんか見てるよ」上を見上げている。
エリアス:「…ホラーじゃなくて…本気のやつですか」カタリーナさんの視線を追う。
ゲオルグ:「……いい加減に引退したらどうだ、“バーバヤガー”」
“バーバヤガー”:「仕事がなくなったら辞めてやるとも。すぐにでもね」
“バーバヤガー”:「ハエ叩きが終わんねえんだ」
ゲオルグ:「貴様の顔もとうに見飽きた。死に場所を求めるのなら他所でしろ」
イリーナ:『……』
イリーナ:“バーバヤガー”の懐より、彼女の耳にだけ届く音がする。
イリーナ:まずはノイズ。続いて声。
イリーナ:『……指示を?』
イリーナ:『私はいつでも構わない』
“バーバヤガー”:「イリーナ。すっこんでな」
イリーナ:『了解。楽ならその方が良い』
ティベリオ・ディルーカ:「おい待て、テメエら勝手に……!」
ティベリオ・ディルーカ:「俺の国だろうがッ!」
ギル:「今してるのは戦力の話じゃないのかい?」
アッシュ:「デリュージュが出られるんなら、イタリアの指揮で納得されたかもしれないけどな」
リシェ:静かに嘆息する。「……まあ、その人達を単独で動かすのに反対なのは賛成ですね」
リシェ:「だからといって……一緒に行かせるのもどうかと思うけど」ソビエト側に目を向ける
リシェ:「いきなり殺し合いでも始められたら堪らないわ」

リシェ・デ・メステル
オランダ王立保安隊所属。
地元の名家の一人娘であり、半年前、許婚との婚姻の直前でオーヴァードに覚醒、婚約は白紙となり軍属となった。
冷静だが穏やかな物腰で、その美貌から軍内でも人気が高い。

トミー・ウェイクマン:「いや……じゃあ結局どうすんの?」
クレア:「戦力の順で言うなら」すっと立ち上がる。
クレア:「自分たちにも発言権があるだろう。ここは」
クレア:「アイギスに偵察を任せてはもらえないか」
レナート:「ああ?何言ってんだこいつ」
アウグスト:「傭兵に? 冗談だろう」
クレア:「傭兵だからだ。自分たちはフランスから派遣された立場ではあるが、本来は中立の組織、国家間の利害関係とは距離を置いている」
ジナイーダ:「フランス経由な時点で、その中立性も怪しい気はするけどねえ」
ルカ:「……こいつら」
ルカ:「話まとめる気ないだろ」
“バーバヤガー”:「そのフランスの腰抜けが最前線に秘蔵っ子をやるってか?」
“バーバヤガー”:「親にでもお出かけしていいか聞いてみな」
アッシュ:「安心してくれmademoiselle.優秀なオペが付いてるんで」
アッシュ:「最前線へのチケットもバッチリ手配してくれるさ」
クレア:「イタリア国内の人民、財産、権益に一切手は出さないと約束しよう」
ティベリオ・ディルーカ:「信用できるわきゃねえだろが!」
ティベリオ・ディルーカ:「クソどもが……俺の国でこれ以上しゃしゃらせねーぞ」
リシェ:「……誰も妥協しようとしないのだから、話がまとまる訳がないわね」
クレア:「……指揮権はあくまで当事国であるイタリア政府にある」タヌッチへ顔を向けて
クレア:「選べ。それが君の仕事だ」
エリアス:「おお、うまいな…」年下に見える少年に目を見張る。「押し切れる相手に押し切ろうとしてるんだ」
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:「……い、いや、その……」
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:脂汗をかきながら、オーヴァード、特にドイツとソビエトの面々に目をやる。
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:「わ、私は…………」
デュバリー:「……ダメね」 ため息交じりに 「器じゃなさ過ぎる」
ハミース:「つってもなあ。誰がやっても角が立つぞ」
ハミース:「結局どこも好き勝手にやることになるんじゃねえのか」
ギル:「そうなりそうだね。やれやれ……」
トミー・ウェイクマン:「あっちょっといいスか?よく分かんないんすけど」
トミー・ウェイクマン:「誰が先に行くか決まんないなら、みんな一緒に行けばいいんじゃないッスか?」
ルカ:「はは」笑う。「一番簡単でシンプルなアイデアだな」
ジナイーダ:「あは!大移動だ。面白そうではある」
リシェ:「……過剰戦力にも程があるけど……」
ギル:「これは半分じゃ済まないかな」
エドヴァルト:「……そうだな。俺達は」静かに口を開く。「監視もなく何かを任せられるほど、互いを信用していない。そういう話だろう、これは」
ハミース:「あんなんいやがるのか……どこの国だありゃ」
イレナ:ハミースさんの言葉に視線を投げ、にっこり笑う。
デュバリー:「ポーランド。結構有名だよ。女の子にも人気」
ハミース:「あっちの美人もか」手を振る。「ポーランドいい国だな」
イレナ:振り返さず、視線を戻す。
アッシュ:「なら全員平等にスタート切って早い者勝ち、って?」
アッシュ:「良いじゃん。賛成一票投げとく」
ルカ:「言うと思った」アッシュくんに。
“バーバヤガー”:「どこぞの国がしゃしゃるよりは余程マシさね」
リシェ:「早いもの勝ちじゃ余計戦争でしょ……」
エリアス:「す、すごく…暗殺とか起きそうですね…」
アウグスト:「効率も悪い」呟く。
リシェ:「イタリアに出現したオーヴァードなのだから、所有権はイタリアのものに、というのが妥当なところかしら」
レナート:「イタリアなんて国が今後も存続するのか分かんねーけどな」
ティベリオ・ディルーカ:「んだとコラァ!」
ラジーク・マフフーズ:「……それが角が立つまい」褐色の大男が立ち上がる。「我々は」
ラジーク・マフフーズ:「余計なことを考えるべきではない」
ラジーク・マフフーズ:「そもそも、あれに対して、現状が過剰戦力であるなどと」
ラジーク・マフフーズ:「誰が保証した?」
ロクサーヌ:「……本当にね」小さな声で、同調するように呟く。
ギル:「ようやく意見が合いそうな人が出てきたね」
アッシュ:「あ、エジプトんとこの」 国同士の関係上顔を合わせた覚えがある。
ラジーク・マフフーズ:「驕るものから死ぬことになる」

“砂海の鮫”ラジーク・マフフーズ
エジプト反体制組織「スエズ解放機構」の一員。
砂漠に生きる少数民族の出。肉以外を口にしないなどの独自の宗旨を持つ。
スエズ運河を占領したイタリア・フランスへの交渉カードとするために任務に従事する。
寡黙で篤実な性格だが、戦場では苛烈の一言。

レナート:「50対1でか?あり得ねえだろ」鼻で笑う。
レナート:「んなもん、“リッケンバッカー”以上ってことになる」
カタリーナ:「だったら面白そうだね」
デュバリー:「……確認したの?」
デュバリー:「あれが"リッケンバッカー"以上じゃないって」
レナート:「アレ以上が出てきたら、その時は世界の終わりだろ」
デュバリー:「ふうん……世界の終わりを座って受け入れる主義なんだ、"バーバヤガー"様は」
ギル:「今日と同じ明日が来る保証なんてどこにもない」
ギル:「僕達はそれを一度学んだはずだろう。君の上官も含めてね」惨劇のことを言ってるよ
ルカ:「国が終わりかけてるから止めようとしてんだろ…」
レナート:「チッ……傭兵が食って掛かってきやがって……」
“バーバヤガー”:「レナート。おれはお前にアイギスとじゃれ付けなんて仕事は任せてねえぞ」
“バーバヤガー”:「おれを困らせるな」
レナート:「……ッ…… すいません」
リシェ:「……主力は一部隊として行動、αの戦力を確認、確保。場合によっては交戦して鎮圧」
リシェ:「拠点には少数戦力を残して、確保後の身柄はイタリアが所有する」
リシェ:「……こんなところでどう?他に妙案はあるかしら」
デュバリー:「ない」 頭の痛くなるような権謀術策ごっこを抜けられる流れを感じ、はっきりと主張を強める
デュバリー:「どんな愚策で、どんな無策でも、ここで皆が座ってるよりは良いよ」
アウグスト:「……」明らかに都合の良すぎる案ではある、が。ゲオルグに視線を移す。
ゲオルグ:無言で首肯する。少なくともここで更に波風を立てる気は無いらしい。
アッシュ:「ま、戦わなきゃ勝てないからな」
アッシュ:「とりあえず戦場に向かうとこから始めないと。さっきも言ったけど、フランスは賛成」
ミラン・サイフェルト:「ユーゴスラビア連合も異論なし」
ジナイーダ:「先に言われた。賛成」
“バーバヤガー”:「……好きにしやがれ。おれたちは元々おれたちのやりかたでやる」
ロクサーヌ:「……先が思いやられるわね」ふう、と息苦しそうに溜息をつく。
パメラ:「あのお姫様かっこいいな~」対照的に気楽な様子。
エドヴァルト:「此方としても異存はないが」
エドヴァルト:「聞いているか?」タヌッチを睨むように見やる。「……お前もその席に立っているなら、頷くか首を振るかくらいの仕事はできるだろう」
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:「あっ……は……はい!」
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:議場を見渡し「そ、それでは……賛成多数として、この作戦を可決しようと思います」
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:「そ、それから……」
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:「……在留戦力に関してですが──」
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:議場のオーヴァード達を見回し、恐る恐る口を開いた。

---

GM:そこから更に続いた論争の末、陣地にて後方支援と警護、連絡役を務めることとなったのは、アイギスだった。
GM:国家、軍に対して一組織でしかないアイギスの政治的弱所でもあるが、何よりアッシュをなるべく他国のオーヴァードの前に晒したくないフランス側の意思が介在した形でもある。
GM:斯くして空前の事態を前にして、アイギスは陣地での在留という、紛れもない貧乏籤を喰らうこととなった────



GM:シーン終了。ロイス・購入可能です
ギル:とほほ~
ギル:ロイスはあまりにもキャラが多すぎるので遠慮しておこう
ルカ:ww
ルカ:わかる
アッシュ:こっちもロイスは保留 キリが無くなる
ルカ:あ~~~~~~ううん でもな トミー………
ギル:購入だけやります。手配師使って大口径機関砲を狙おうかな
ギル:4DX+18 
DoubleCross : (4DX10+18) → 9[2,4,8,9]+18 → 27

ルカ:トミーにとります 地元の友人なので
クレア:こっちもロイスは保留で
ギル:11点財産を使って買っちゃお。財産は残り25点になりました
アッシュ:購入はアームドスーツでも狙うか
ルカ:トミー・ウェイクマン/友情/不安:〇/ロイス
デュバリー:ロイス保留します。購入にシューターズジャケット
デュバリー:4dx>=13
DoubleCross : (4DX10>=13) → 7[1,3,3,7] → 7 → 失敗

デュバリー:焦ることはない……以上です
アッシュ:あ、購入達成値にボーナス着くよ
クレア:シューターズジャケット購入
アッシュ:ルイジアナの効果で+4
クレア:3dx+8>=13
DoubleCross : (3DX10+8>=13) → 7[2,4,7]+8 → 15 → 成功

ギル:そうだぜ!
ルカ:じゃあデュバリーの分をこっちでチャレンジ シューターズジャケット
ルカ:2dx+5>=13
DoubleCross : (2DX10+5>=13) → 5[4,5]+5 → 10 → 失敗

クレア:ルイジアナバフで買えたぜ!装備して終了!
ルカ:財産点1点足らん!次回に期待
ルカ:以上です 終わり
アッシュ:じゃあこっちもシューターズジャケットにしとこ
アッシュ:1dx+5>=13
DoubleCross : (1DX10+5>=13) → 4[4]+5 → 9 → 失敗

アッシュ:ダメだ、ゴメン こっちも以上で
ギル:いじょいじょ
デュバリー:ふたりともあたしのために……



【OP3/嵐前】

GM:NPCとの会話シーンになります。全員登場
ルカ:ルカの侵蝕率を1D3+3(→ 6)増加 (46 → 52)
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を1D3+3(→ undefined)増加 (58 → NaN)
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を1D3+3(→ 6)増加 (41 → 47)
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を1d3+3(→ 6)増加 (52 → 58)
アッシュ:アッシュ・ノイ・ジラードの侵蝕率を1d10(→ 1)増加 (39 → 40)
アッシュ:ギル君、+を半角にしないと
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を1D3+3(→ 6)増加 (0 → 6)
ギル:なるほどね
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を6増加 (58 → 64)



GM:このシーンではPCひとりにつきNPCひとりを選んで会話をして貰います。
GM:このシーンで選んだNPCに対して、後に有利な効果が発生します。
GM:なるべく生き残ってほしい相手を選ぶと吉です
ギル:そんな!急に言われても心の準備が……
アッシュ:オレ達の選択で……

---

GM:長らく続いた合同会議がようやく終わった後、トミーがルカに駆け寄ってくる。
トミー・ウェイクマン:「ルカ!今話せるか?」
ルカ:「ん」顔を上げる。
ルカ:「ああ。うちの連中もいないし」
トミー・ウェイクマン:「……いないか?」ルカの背後を見る
ルカ:「あ?」
エミリア:「あっ……」ルカの後ろに隠れるように付いてきていた。
エミリア:「……」
エミリア:「お……お気になさらず……」
ルカ:「……だそうだ」
トミー・ウェイクマン:「……。……彼女じゃないよな……?」
ルカ:「違う」分かりやすくイライラした顔をする。
ルカ:「いいよ、あんたも。下手なとこ行かれるよりここに居られた方がマシ」エミリアちゃんに言う。
エミリア:「あっ……は、はい」少し迷った様子を見せながら頷く。
トミー・ウェイクマン:「……まあいいや。改めて久しぶりだなあ、ルカ」
ルカ:「おう」
ルカ:そのまま再会のハグ。
トミー・ウェイクマン:「お前更にデカくなったな~」けらけらと笑って。
トミー・ウェイクマン:「何から話せばいいんだか……てか結局聞いてなかったわ、お前なんでこんなトコいんの?」
ルカ:「……クソ重い話になるけど」
ルカ:「笑って流せよ」
トミー・ウェイクマン:「おお……努力するわ」
ルカ:「はは」小さく笑う。
トミー・ウェイクマン:「……それで?」壁に背を預け、耳を傾ける。
ルカ:「うん」「ストリートでお前らと別れた後、まあ、どうにか軍には入れて、メイとも再会できた」
ルカ:「アメリカでのオーヴァードの扱いは、まあ…分かるだろ」
ルカ:「メイは、そういう状況に身を置いてて」
ルカ:「……努力したんだけどな。結局、戦場で死んだ」
トミー・ウェイクマン:「……」渋面を浮かべる。
トミー・ウェイクマン:「……そうか……」
ルカ:「……おれも死にかけてて」
ルカ:「あいつはおれを守って死んだ」
ルカ:「その時に、血が混ざったんだろうな。おれは覚醒して、生き延びた」
ルカ:妙に淡々と話せた。「…その時に、アイギスに拾われた。んで、今はそこにいる」
トミー・ウェイクマン:「……」天を仰いで、それからルカに視線を戻す。
トミー・ウェイクマン:「メイが……」
ルカ:「……」明るくも暗くもない表情で、トミーを見返す。
トミー・ウェイクマン:息を吐いて、軽く背を叩く。
トミー・ウェイクマン:「……キツかったな」
ルカ:「……。……キツいよ」
トミー・ウェイクマン:「……なんつーかさ」
トミー・ウェイクマン:「ストリートじゃ、誰かが死ぬのなんてしょっちゅうだったろ」
ルカ:「…そうだな」
トミー・ウェイクマン:「レナルド、アラン、ティム……」
トミー・ウェイクマン:「……名前も覚えてない奴だって大勢いる」
ルカ:「ああ。馬鹿みたいな理由で死んだ奴らだって大勢」
トミー・ウェイクマン:「そういう奴らの死に様を、いつも何度も見てきた」
トミー・ウェイクマン:「けどやっぱさ、俺が一番嫌だと思う死に方は……」
トミー・ウェイクマン:『彼ら』を思い出すように瞑目する。
トミー・ウェイクマン:「……一人ぼっちで死ぬことだ」
ルカ:「……」静かにその横顔を見る。
トミー・ウェイクマン:「……お前はさ、最後……メイと一緒に居てやれたんだろ?」
トミー・ウェイクマン:「わざわざ軍に入ってまでさ……」
ルカ:「……」閉口する。
ルカ:「よせ。慰めんな」
トミー・ウェイクマン:「ちげーよ」
ルカ:「あ?」
トミー・ウェイクマン:「……俺だって、メイの友達だったんだ」
トミー・ウェイクマン:「だから、なんつーかな……」
トミー・ウェイクマン:「……ありがとな」
トミー・ウェイクマン:「あいつを一人で寂しく死なせないでくれて」
トミー・ウェイクマン:そう言って、悲しげに笑う。
ルカ:「……」目を逸らす。「…お前の友達を」
ルカ:「救ってやれなかった」
ルカ:「ごめん」
トミー・ウェイクマン:「俺に言うか?それ」苦笑する。
トミー・ウェイクマン:「俺なんて、何も出来なかったよ」
トミー・ウェイクマン:「よくやったよ、お前は。マジでさ」
ルカ:「…だから良いんだよ、慰めは……」
ルカ:肩をぐいぐい押す。
トミー・ウェイクマン:「バカ、こいつは俺の分の慰めだよ」
ルカ:「…メイのことマジで好きだった?」
トミー・ウェイクマン:「友達としてな」
トミー・ウェイクマン:「……いや、どうなんだろ?よく分かんね」
トミー・ウェイクマン:笑う「ガキだったしな」
ルカ:「そうか」笑う。「あの頃は楽しかった」
ルカ:「今は? 楽しくやれてんの」
ルカ:トミーくんの様子を見ます。
トミー・ウェイクマン:「ああ、それなりに。お前は?」
ルカ:「それなりだな」
トミー・ウェイクマン:「なら良かった」ニッと歯を見せて、
トミー・ウェイクマン:「……あの頃は楽しかったっつったろ。俺もそう思う」
トミー・ウェイクマン:「でもよ、よく思い出してみりゃ、あの頃なんてロクなことなかったんだよな」
トミー・ウェイクマン:「さっき言った通りバタバタ人は死ぬし、メシだってロクに食えねえし、生きるのに必死でさ」
トミー・ウェイクマン:「きついことばっかだった。兵士になった今とどっちがマシなんだか」
ルカ:「……そうだな」
トミー・ウェイクマン:「……でも思い返してみると、やっぱ楽しかったと思うんだよな~」頭の後ろで腕を組んで。
トミー・ウェイクマン:「今もそうなんじゃねえかな」
トミー・ウェイクマン:「後から思い返したら、すっげー楽しかったと思うかもしれない」
ルカ:「……」
ルカ:「お前、そういう奴だったな。本当、なんつーか…」
トミー・ウェイクマン:「何だよ?」
ルカ:「いや」微かに笑う。「褒めてる」
トミー・ウェイクマン:「ホントかよ~~?」
トミー・ウェイクマン:「まあ、俺はそうだったらいいなと思うし、そう思ってた方がラクだろ?」
ルカ:「……ああ」
ルカ:「トミー」呼びかける。
トミー・ウェイクマン:「おん?」
トミー・ウェイクマン:「何だよ、ルカ」
ルカ:「……お前みたいな考えには、まだなれないけど」
ルカ:「………」「……なんだろうな。お前とは友達でいたいと思うよ」
トミー・ウェイクマン:「何だよそれ?」呆れたように笑う「ずっとそうだろ?」
トミー・ウェイクマン:「そうだ、せっかく会えたんだ。今度メシでも行こうぜ」
ルカ:「気軽に言いやがる」苦笑する。「そうだな。ありったけ肉を食おう」
トミー・ウェイクマン:「おー、食おう食おう。てかお前彼女とかいんの?」
ルカ:「いないよ。お前は?」
トミー・ウェイクマン:「ハ。こう見えてもメキシコじゃモテモテ……」
ルカ:「はいはい」
ルカ:「じゃあ寂しい男同士仲良くな」
トミー・ウェイクマン:「おい!まだ途中だろうがよ!」
トミー・ウェイクマン:「クソ~……アイギスってかわいい子いねーの?」
ルカ:「さあね。来てみたらわかるんじゃないの」
トミー・ウェイクマン:「考えとくわ」笑って「じゃ、また帰ってきたらな」
ルカ:「あっそ」笑って返す。「ああ。また」
トミー・ウェイクマン:「そっちの彼女にもよろしくな」ひらひら手を振って、踵を返し去っていく。
ルカ:「……」それを見送る。
ルカ:振り返って、エミリアを見る。
エミリア:「……」ルカの後ろで話を聞いていた。
ルカ:「いつもの調子はどこいったの」
エミリア:「な……なんですか?」
エミリア:「わたしはいつも通りですが…………?」
エミリア:そう言うが、明らかに覇気に欠けている。
ルカ:「会話に混ざってこなかった」
ルカ:「あんたらしくない」
エミリア:「そ……それは……」あたふたして
エミリア:「……る、ルカの……昔のお友達のようでしたので……」
ルカ:「気にするあんたじゃないだろ」
ルカ:「戦艦で話してからだ」顔を覗き込む。
エミリア:「再開を邪魔してはいけないかと……」
エミリア:「うっ……」
エミリア:「わ……わたしを何だと思っているのですか!?ルカ!」
ルカ:「勝手にやるやつ」
ルカ:じっと見つめる。
エミリア:「……わたしは……」
エミリア:目を逸らす。
エミリア:「……ルカの……」
ルカ:「うん」
エミリア:「ルカにとって、いちばん良いように……」
エミリア:「そうなればよいと……」
ルカ:「エミリア」
ルカ:「あんたの気持ちを聞いてる」
エミリア:「……」
ルカ:「何回も言っただろ。おれに懐く必要はないし、おれを気に掛ける必要はない」
エミリア:すうと息を吸い込んで、そのまま詰まらせたように黙り込む。
ルカ:「友達ならいる。戦う理由もある」
ルカ:「いいんだよ」
ルカ:エミリアのその顔をじっと見つめている。
エミリア:「……」
エミリア:「……ですか?」ぼそりと呟く。
ルカ:「ん」
エミリア:「……どうして、そんなことを聞くのですか」
エミリア:僅かに震える声。
ルカ:「あんたの本音を聞きたいから」
エミリア:「聞いて……どうするのですか」
ルカ:「聞いてから考えるよ」
ルカ:「…どんなものであれ」
エミリア:「……」
ルカ:「心配だのなんだの、それっぽい綺麗事を並べられるよりは良いよ」
エミリア:ぎこちなくかぶりを振る。
エミリア:「……わかりません」
エミリア:「そんなことに……一体何の意味があるのですか」
エミリア:「ルカは……」
エミリア:「……っ……ルカは……!」
ルカ:「うん」
エミリア:何度も呼吸を繰り返し、目から溢れそうになるものを堪えようとする。
エミリア:「……わたしのことなど、どうでもいいのではありませんか……!?」
ルカ:「……」
エミリア:自ら言葉にしてしまったことで、とうとう涙が溢れ出す。一度堪えきれなくなれば、あとは止まらなかった。
ルカ:「……」困ったようにその様子を見る。
ルカ:「おれにどうでもいいと思われるの、イヤなんだろ」
エミリア:「……っ……」
エミリア:ぼたぼたと床に水滴が落ちる。拭っても拭っても止まらない。
ルカ:「言っていいよ。なんでも」
エミリア:胸が締め付けられるような気がして、言葉は嗚咽となって纏まらない。
ルカ:「……だいたい」
ルカ:「どうでもいいとは言ってない」
エミリア:「…………」
エミリア:「なんな……ですか……!」
ルカ:「どっちかっていうと」
ルカ:「あんたが戦場に立つのをあんま歓迎できない」
ルカ:「似合わないから」
ルカ:「……何より、あんたは妹とは違う」
ルカ:「だから、あんたを、おれが戦う理由にはできないよ」
エミリア:「……ぅ……」
エミリア:「……うぅうぅうううう~~~~っ…………!」
ルカ:「なんだよ」
エミリア:雫に濡れた、全く力の籠っていない拳で、ルカの胸元を殴り付ける。
エミリア:「わかりません!!」
エミリア:「ルカの……ルカの…………!!」
エミリア:「………………!!」
ルカ:拒否もしない。
エミリア:何か罵倒しようとしたようだが、語彙が見当たらなかった。
エミリア:泣きながら睨むようにして、議事堂の廊下を走り去っていく。
ルカ:それを見送る。
ルカ:「……本音聞きたいつってんのに」
ルカ:「逃げんな」
ルカ:ぼやいて、自分もそこから立ち去る。

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デュバリー:泥を掻いて泥を探すような会合を終えて。
デュバリー:すっかり冷めた様子で、ギルと共に議事堂を後にする。
ギル:「疲れたろう。宿舎まで送るよデュバリー」
デュバリー:「うん。……途中は良い感じだったんだけど」
デュバリー:「結局色々、面倒な話が絡んで、なあなあ……って感じになったね」
デュバリー:「動かないよりはましにしてもさ」
ギル:「現地を見たわけでもない。情報も入ってきていない。皆深刻さが解らなくても無理はない」
ギル:「君のように、親しい人からの助けを求められれば、また違うんだろうけど……」
エドヴァルト:「……そうだな。分からない、と言うのが問題だ。何にしても」
エドヴァルト:巨大な体躯に見合った大きな歩幅で議事堂から出てきた男が議事堂から出てきて、君達に話しかける。
エドヴァルト:「協力する相手の思惑さえ分からないから、ああして探り合いに余分な労力を使うことになる」
イレナ:そのそばに、銀の長い髪に帽子をかぶった少女。
ギル:振り向いて「やあ。ポーランドの」
イレナ:「アイギスの…鉄王とメリュジーヌ。こんにちは」微笑んで帽子を取る。
デュバリー:首を傾げるようにして振り返る 「こんにちは。ポーランドの美女と野獣さん」
イレナ:「ふふ!おふたりも、少しそんな感じね」
デュバリー:「情報の不明、思惑の不明。どちらも事実だから困りものね」
イレナ:「私たちは国としても軍としても小規模だし、どのみちこういうところでは不利だよね」
イレナ:「ソビエトも来てるし…」
イレナ:「いっそ、うちも傭兵でも雇ってくれればなあ。エドの負担も減る」笑う。
エドヴァルト:「余計な世話だ」イレナを嗜めるように。「……連中やドイツのように、余計な諍いに力を回している余裕はないのは事実だが」
デュバリー:「……それでも動き出しただけ良かった。あなたたちも前線に向かうんでしょ」
デュバリー:「何か餞別してあげたい気分だけど、この辺りじゃ大したものはなさそうね」
イレナ:「うちはエドと私くらいしか、まともに前線に出られないしね…」
ギル:「フランスの英雄が羨ましがっていたよ」
イレナ:「へえ」
イレナ:「アッシュ・ノイ・ジラード。戦闘狂ってうわさは本当なんだ」
イレナ:「……ずいぶんと明るい人だったしね」
デュバリー:「戦闘狂、っていうか。……」 何か言おうとして、言葉にはならず、視線を落とす
エドヴァルト:「羨ましい、か。分からないでもない」
エドヴァルト:「俺のような怪物にとって、戦場は生き場所だからな」
イレナ:視線を上、獣の顔へ。
イレナ:人形のように無表情にその顔を見て、すぐ微笑む。
デュバリー:「怪物」 同じくエドヴァルトを見上げ
デュバリー:「……実際、どこまで人間を外れてるの?」
デュバリー:「ポーランドの抱かれたくないハンサムNo.1さんは」
ギル:「息苦しそうだね、そっちの彼は。君も苦労していそうだ」とイレナさんに
イレナ:「そう、苦労しているの。まあ…でも、おかげで私も降りる気にはならないかな」ギルさんに応える。
エドヴァルト:「……は。獣の方の性質ってやつが、身体の方に刻み込まれているんだろう」
エドヴァルト:「時折、普通の食事じゃ物足りなくなる。殺戮と血風の中で、狂ったように肉を貪る事が……」
エドヴァルト:「俺という生物の、深い所に根付いているらしい」
イレナ:微笑んだままそれを聞いている。
デュバリー:「……ということは、普段は普通の食事が取れるんだ」
デュバリー:「デートの時も、わざわざ血の滴る手料理じゃなく、星のあるレストランで楽しめるのかな」
イレナ:それを聞いて、今度は心底、のようにくすりと吹き出す。
エドヴァルト:「……何が可笑しい」不服そうに。
イレナ:「いえ、ふふ!」
イレナ:「メリュジーヌ、話すのがとても上手な方だね。どんなハンサムでも話術で落とせそう」
デュバリー:「そう? 大事なことじゃない」
デュバリー:「首から上が獣の男性を好きになってから慌てたくないもの」
デュバリー:少し笑って 「今はあなた以外知らないけれど」
エドヴァルト:「確かに分からないことが問題だとは言ったが、俺はお前の知的好奇心を満たす為にここへ来た訳じゃない。……随分と、恐れ知らずだな。色々な意味で」
イレナ:「あなた以外知らない。…殺し文句って感じ。勉強になります」楽しげに。
ギル:「デュバリー。あまり年下をからかわない」
ギル:「意地悪な大人は嫌われるよ」
デュバリー:「じゃあやめとく」 さらりと髪を梳いて 「真面目だったけどね」
デュバリー:実際、他意はなく、純然たる興味であり、周囲の植物から情報を拾って、近くにジェラートの屋台を見つけたからこその気遣いでもある。
イレナ:(大人なんだ。すごく上にも見えるし、下でもおかしくなく見える…)
イレナ:「意外だったな。会議で見かけたより、ちょっと印象が違う。…あなたもだし、鉄王も」
デュバリー:「光も空気も悪かったからね、あそこは。もし会ったのがあなたたちじゃなくて、レナートとかティベリオだったら、きっといじめてたよ」
ギル:「僕からすれば、恐れ知らずは君たちの方に思えるけどね。父上は今回の件、どう思っているんだい?」
イレナ:「…ああ」
イレナ:そう。上官である父親から鉄王の話は聞いたことがあった。
イレナ:こんな温厚そうな男とは聞いていないが。
ギル:「君を前線に送り込むのを、彼は反対したんじゃないかな?なにせ家族なんだから……」
イレナ:「……特には。そういう思考も擦り切れていくんじゃないのかな。長く軍人をしていると…」
イレナ:「国を守ることと家族を守ることの区別がなくなっていくような。別に悪いこととは思わないけど」
ギル:「そうか。昔は優しげな人だったんだけど……年月は人を変えるものだね。残念だ」
エドヴァルト:「……区別が付かない訳ではないだろうが。国あっての家族だ」
エドヴァルト:「今度の件が本国への脅威となって波及する、その可能性を警戒した上での判断だろう」
デュバリー:「オーヴァードになってしまうと、使わない訳にはいかないからね」 ハリエットのことを思い出しつつ
ギル:「君たちも気をつけて。自分が何のために戦っているのか。自分が何を守りたいのか……見失わないように」
イレナ:「まあ。ここでの結果が交渉の手札になったり…色々とあるのもわかるしね」
イレナ:「不満ってわけじゃないよ。エド、気にしないでね?」目を細める。
エドヴァルト:「……ああ」イレナに小さく応じて
ギル:「二人が戦うのは、父上のためかい?」
イレナ:「いいえ。…そう考えるということは、あなたは家族のためなの?」
ギル:「ああ。故郷に妹がいるんだ」
ギル:「年の少し離れた妹でね。ちょうど君たちくらいだよ。頭のいい子で……万が一にも彼女には、戦いを知ってほしくない」
ギル:「彼女に、平和な世界にいて欲しい……それが僕の戦う理由さ」
デュバリー:その話題になると、持て余すように指先で髪の毛を弄び始める
エドヴァルト:「噂よりも随分と、情に深い男だな」
エドヴァルト:「祖国の為だ。……父や母の顔は知らん。知る前に俺を捨てたからな」
エドヴァルト:「そういう意味では、俺は祖国に産み育てられた。ある意味で、その問いの答えは正かもしれない」
ギル:「国のため、か……。君も。噂では恐ろしい話ばかり聞いていたけど」
ギル:「その年で随分立派じゃないか。今回の任務は危険なものになるだろうけど……君たちなら乗り越えられる。そんな気がするよ」
イレナ:「そう。…ありがとう」
エドヴァルト:「……言われるまでもない事だ」ギルの祝福に対しては、そう応じて
イレナ:「平和なところにいてほしいから、戦う…か」それだけ、小さく呟いて。
イレナ:「フランスは傭兵に頼めるだけ柔軟だよね。ほんと。…アイギスも、思ってたより話しやすいし」
ギル:「後ろには僕達アイギスがいる。今回の最大戦力がね。背中は任せてくれ」
デュバリー:「……そうだね。その点においてだけは、信頼してくれれば良い。後方から後方なりの助けはさせてもらう」
エドヴァルト:「宛にはしないが、覚えておこう」
イレナ:「同じく」
デュバリー:「うん。それくらいの方が気のかけがいがある」
ギル:「居場所に困ったら、君も来るといい。僕達アイギスは全てのオーヴァードの味方だ」イレナさんに
ギル:「国より大事なものがあるなら、僕達はそれを尊重する。覚えておいてくれ」
イレナ:「居場所、ね」一瞬だけ隣をちらりと見やり、すぐ戻して。「困るときは」
エドヴァルト:「……その言葉は看過できないな、"鉄王"」
エドヴァルト:「うちの人間を誑かすような真似は控えてもらおう」
イレナ:「うん。まだしばらく来なさそう」
デュバリー:「叱られてるよ、ギル。私のこと叱っておいて……」
ギル:「そういうつもりで言ったわけではないんだけれど……はは。歳を取ると皆こうなるのかもね」
イレナ:「長く勝ち残ってきた先人の言葉は、ちゃんと心には留めておくよ」
イレナ:帽子を被りなおす。
ギル:「ごめんごめん。君のお姫様を取るつもりはないから、安心してくれ」
ギル:言ってから、美女と野獣は王子のほうだったかな?とか思ってます
イレナ:ぱちくりと瞬きをして、「ですって、ふふ」
エドヴァルト:「お姫さ……」僅かにまばたきをして。「……理解が早くて助かる。円満な協力を続けられそうだ」
イレナ:「…そうだ、おふたり、このあたりで甘いお菓子の店は知らない?」
イレナ:「疲れる前に食べておきたいの。美味しい店だとなおよし」
デュバリー:「ああ。だったら近くにジェラートの屋台が来てる。イタリア式かな」
デュバリー:「味は分からないけど、客足はある」
イレナ:「そっか。ありがとう。よければ、並ぶなら手伝ってほしいところ」
イレナ:「ひとりで並ぶのはさみしいしね」
デュバリー:ギルを見上げて 「……どうする? 私はちょうど一息入れたかった所だけど」
エドヴァルト:「氷菓子か。体調を崩すなよ」自分は食べる気はないという態度。
イレナ:「はいはい」
ギル:「帰る前に寄っていこうか」
ギル:「ジェラートは僕の街にはなくてね。妹にも一つ買って行ってあげたいと思ってたんだ」
デュバリー:「じゃあ、そうしようか。そっちの国のことも聞かせて欲しいと思ってたし……あ、でもエドヴァルトは並ばないの」
エドヴァルト:「……甘い物は舌が嫌う」
エドヴァルト:この身体でいる間は、という言葉を飲み込んで言う。
デュバリー:「なら最後に一つだけ聞いて良い? ……食事のことは分かったけど」
デュバリー:「その口でキスはどうするの?」
イレナ:「へっ」なぜか先にびっくりする。
エドヴァルト:「…………知るか」
エドヴァルト:怒るべきかどうか迷って、それだけ言い捨てて背を向ける。
デュバリー:「ふぅん」
イレナ:「ほ、ほら!行くよ!みんな!」
ギル:「ああ、ああ。デュバリー、だからからかうのはやめなって……」
デュバリー:まじまじ口元を見ていたが、背を向けられると興味を失ったようになり
デュバリー:「……イレナはどう思う? ギルはああ言うけど、からかいじゃなくてね。純粋に気になって……」
デュバリー:屋台の方角を見つつ
イレナ:ジェラート屋へ向けようとした足を止めて。
イレナ:「……んー」
イレナ:「ひみつ」
デュバリー:「あら」
デュバリー:知っていなければ出てこなさそうな言葉に目を丸くしつつ、屋台に向かって歩いていく。

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クレア:「クルミのタルトか……これもいいな」
クレア:議事堂から少し歩いた先にある町の商店街。
クレア:隣国が緊急事態のため通常通り開いている店は少ないが
クレア:それでも連邦議会のお膝元ということで、逆に街に留まっている者も多い。
クレア:「キルシュトルテ……こういうのもあるのか」
クレア:ケーキ屋や菓子店をハシゴしながら、目についた甘味を片っ端から味見している
クレア:「こっちはヘーゼルナッツの風味が効いている。これなら艦でも作れるか……?」
イリーナ:そこへ、背後から近付く足音がある。
イリーナ:静かだが、特に隠そうという風でもない。
イリーナ:「……気楽なものだな」
イリーナ:「良いのか。そんなことをしていて」
イリーナ:声は女のもの。
クレア:「渋顔で菓子を食べる趣味はないな」
クレア:振り向かず言葉を返す。
クレア:片手はケーキを掴んだまま。もう片方はコート下の拳銃に伸びている。
クレア:「余暇は精一杯満喫するものだ」
クレア:「仕事のパフォーマンスにも関わる。君はどうだ?」
イリーナ:「道理か」頷く気配がある。「別に邪魔をしようと言うんじゃない」
イリーナ:「一緒してもいいか。多少なら奢る」
クレア:「構わない。人数が多い方が良いものだしな。食事というのは」
クレア:「しかし、意外だな」
クレア:少し戸惑ったうように首をひねって
クレア:「君はあの議事堂でも自分たちを見ていたな?おそらくは外から」
クレア:「自分は狙撃手だ。姿は見えなくても、気配は何となく区別できる」
クレア:「てっきり君は」振り向く
クレア:「誰にも顔を見られたくないんだと思っていた」
イリーナ:同じ目線の高さに顔がある。
イリーナ:白金色の髪にアイスブルーの双眸。それを感心するような、面白がるような風にわずかに細めて。
イリーナ:「……ふうん」
イリーナ:「誤解がある、が」
イリーナ:「やはり天敵だな」
イリーナ:一人納得した様子で頷く。「食べながらでいいだろう。何か頼め」
クレア:「今は味方だ」コートの中から手を出して。
クレア:「ではこれと、これと、これ。あとこれも」
クレア:三人分くらいの量を指差す。
クレア:「助かった。実は持ち合わせがあまり無くてな」
イリーナ:「給料が悪いのか。意外だな」
クレア:「いや、騙されやすい性分故、大金は持ち歩かないよう言われている」
イリーナ:「成程」
イリーナ:財布を取り出し、自身はビスケット類と紅茶を頼む。
クレア:「ありがとう。この御礼は必ず返そう。あー……」
クレア:「自分はクレアと言う」
クレア:「君は?」
イリーナ:「イリーナだ」
イリーナ:「“バルチック艦隊”、“ミチオール”。イリーナ・ミハイロヴナ・ロパートキナ」
クレア:「よろしく、イリーナ」
クレア:菓子店に併設されたテラスへと歩きながら
イリーナ:「そうできるよう願いたい」
イリーナ:同じくそちらへ続いて。「会議では」
イリーナ:「随分と目立っていた」
イリーナ:「何か企みがあるものだと思ったが」
クレア:「目立つつもりはなかった。結果的にそうなってしまったけどな」
イリーナ:「ではどんな心算だった?」
クレア:「それが気になって尾けていたのか?」
イリーナ:「ああ。半分は」
クレア:「半分か」
クレア:皿の上のタルトを半分に切り分ける
クレア:「別に、自分には切って分けるほどの思惑はない」
クレア:「あの時言ったままだ。他の国より先に、イタリア国内に入りたかった」
イリーナ:「何のために」
クレア:「仕事のため。火事場泥棒のような真似はしないが、件のオーヴァードに最初に接触出来るなら越したことはない」
クレア:「それから……」
クレア:「仲間の身内が助けを求めている。時間が惜しかった」
クレア:「生きているにしろ、死んでいるにしろ、君たちが常人を気にかけるとは思えなかったからな。荒らされる前に済ませたかった」
イリーナ:「……」紅茶を啜る。
イリーナ:「傭兵と名乗るのをやめたらどうだ」
クレア:「ではなんと?」
クレア:同じ様に砂糖たっぷりの紅茶を啜って
イリーナ:「そうだな」
イリーナ:「赤い十字でも掲げておけ」
イリーナ:「ちょうどここが本場だったろう」
クレア:「そうか……それは良いかもな」
クレア:「医療スタッフを常に帯同させれば、無駄に死ぬ者も減らせるだろう。敵も味方も」
クレア:「参考になった。帰ったらリーダーに提案してみるよ」
クレア:「けど、傭兵であることは変えられそうにない」
クレア:「傷を癒やした所で、それは死なないだけだ」
クレア:「生きるには、戦うしかない」
イリーナ:「……生きるには、か」
クレア:そう言っている内に、一皿目を食べ終わる。
クレア:「それで、もう半分はなんだったんだ?」
イリーナ:かすかに笑う。
クレア:「……もしかして、君も食べたかったか?」
クレア:「それなら半分差し出すが……」
イリーナ:「懐柔だよ」
クレア:「……?誰を?」
イリーナ:「天敵なんだ。鳥撃ち猟師が」
クレア:「ああ、そういうことか」
クレア:「自分はてっきり君も同業だと思っていたが」
イリーナ:「察しが良い」
イリーナ:「あの議事堂の面々の中で、“私”の敵になるとしたら、おそらくお前だけだったからな」
イリーナ:「こうして勇気を振り絞り、無防備を押して会いに来た」
クレア:「そうすると、これは猟師への貢物か」二皿めを平らげる
クレア:「日本の童話にもあったな。あれは鶴だったか狐だったか」
クレア:「確かその話では、最後まで正体を隠したせいで猟師はそいつを撃ち殺してしまうんだが」
クレア:「その点君は賢明だ」
イリーナ:「へえ」
イリーナ:「では報われるかな」
クレア:「最初から敵対するつもりはない。少なくともこちらからはな」いつの間にか三皿目も空になっている。
クレア:「けど、そうだな」
クレア:「自分は猟師ではなく狙撃手だ。一度引き金に手をかけたら、撃ち落とすまで離すことはない」
クレア:「だから、君を撃たないと言う約束はできないな」
クレア:「出来るとすれば……うん」
クレア:「一度で良ければ、君の敵を撃とう」
イリーナ:「……ふ」
クレア:「良い狙撃手は、良い猟師よりもずっと獲物を選べるものだ」
イリーナ:「紳士め。本気にしそうだよ」
イリーナ:言って、最後に残った紅茶を飲み干す。
イリーナ:「だがまあ、死地に赴く慰めにはなった」
クレア:「本気だよ、自分の仲間を撃つわけには行かないけどね」
イリーナ:「最後に聞いていいか」
クレア:「まだなにか?まあ……」テーブルの端に皿を3枚重ねる
クレア:「構わない。皿はまだ一つ残っている」
イリーナ:「もしも夜空の星に手が届くとしたら」
イリーナ:「お前はそれをどうする?」
クレア:「夜空の、星……」その言葉に、何かを思い出すように空を仰ぐ
クレア:「そうだな……自分は正直、届くという想像がつかないが」
クレア:「なにしろこいつでも届かない所にある」懐の銃をちらりと見せて
クレア:「けど、うん。もしこの手が届いたと仮定するなら」
クレア:「名前を刻みたい、かな」
クレア:「あと、旗を立ててみるのも良いかもしれない」
イリーナ:「ふうん?」興味を抱いた顔をする。「誰に見せる」
クレア:「誰かに。きっと、次にその星にたどり着いた奴になるのかな」
クレア:「自分は、"自分たち"はここまでこれたということを、誰かに知ってもらいたい」
イリーナ:「成程」
イリーナ:「……アップルシードか」
クレア:「きっとそれが、何よりの証明になる。自分と、あいつらへの」
クレア:「満足の行く答えだっただろうか?」
イリーナ:「ああ」
イリーナ:「確かに傭兵でなければならないのだろうな、お前たちは」
クレア:「ああ。約束がある」
クレア:「それを守るためには、きっとまだまだ戦い続けないといけないんだろう」
クレア:「できれば、君とはそうなりたくはないな」
イリーナ:「同感だ。とは言え」
イリーナ:席を立つ。
イリーナ:「空、宇宙、オーヴァード──新たな地平が啓かれれば、そこが新たな戦場になる」
イリーナ:「逃げられはしない身でできるのは、出くわさないよう祈ることだけだがな」
クレア:「……そうかもな」
クレア:四皿目の菓子。アップルパイの最後のひと切れにフォークを突き刺す
クレア:おおよそこの世界にあるあらゆる物質には、互いに引き寄せ合う万有の性質が働いているという。
クレア:林檎の木から実が落ちるように当然の法則で、良いものも悪しきものも平等に。
クレア:「そんなことで墜ちるわけにはいかないな。お互いに」

“ミチオール”イリーナ・ミハイロヴナ・ロパートキナ
ソビエト軍“バルチック艦隊”所属。悲観と厭世の染み付いた女航空機乗り。
元は宇宙飛行士を志望しており、選考においても有力な候補と目されていたが、
戦争の激化を受けた軍上層部の意向により転属。訓練の成果を戦場で用いることとなった。
乗機は既存のソ連空軍機ではなく、自らの物体創造能力によって組み上げたもの。
その性能は非オーヴァードが搭乗するそれとは一線を画している。


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サブGM:議事堂近くのクレープ屋。
サブGM:本場フランスのものに比べれば、そう豪華なものではない。
サブGM:それでも、貴重な甘味の屋台であることに違いはなく、行政府の近くながら、女性や子供が多くある。
サブGM:遠い隣国のことなど露知らず、平和を謳歌している。
カタリーナ:その中に、軍服姿でクレープを食べている少女がある。
アッシュ:「あれ、カタリーナじゃん」
アッシュ:その後ろから声をかけたのは、彼女より少し幼い少年。
アッシュ:堅苦しい空軍のジャケットを脱いで、代わりに私用のそれを羽織っている。
カタリーナ:「はむ……ん」くると向く。
カタリーナ:「アッシュだあ~」
アッシュ:「久しぶり。どう?調子」
アッシュ:まるで友人のように気安い言葉を投げかけながらクレープを一つ注文する。
カタリーナ:「ばっちりだよ~」にこにこと笑う。「アッシュは?」
アッシュ:「こっちも上々。結構色々あったし、聞いてるだろ?」
アッシュ:「そっちとは暫くご無沙汰だけどさ」
カタリーナ:「すごいよね~アッシュくん。鼻が高いよ」
カタリーナ:「あ、敵にこういうこと言っちゃだめなんだっけ」
アッシュ:「良いんじゃね。アウグスト辺りが聞いたら眉吊り上げるだろうけど」
アッシュ:「幸いなことに今は居ない」
アッシュ:渡されたチョコクレープを大きく一口頬張る。
アッシュ:「ん、割と美味いな」
カタリーナ:「んふふ~。ね?」
カタリーナ:「スイスのごはんおいし~」
アッシュ:「ドイツは芋とソーセージばっかっていうもんな」
アッシュ:「ましてや軍属だと、節制がどうこうとかうるさそう」
カタリーナ:「そうなの~」
カタリーナ:「おいしいものをたくさん食べたほうが元気出て頑張るのにね」
カタリーナ:「あ、でもお芋もソーセージも好きだよ」
アッシュ:「大賛成。その点で言えばうちも悪くないんだけどな」
カタリーナ:「フランスもごはんおいしいって言うよね」
アッシュ:「ヨーロッパでも指折りだからな。それこそクレープも本場だし」
カタリーナ:「おお」
アッシュ:「でも、今日に限って言えばキミのとこが羨ましいよ」
アッシュ:大仰に肩をすくめる。
カタリーナ:「ん~?なんで?」
アッシュ:「そのフランスのせいでお預け喰らったから」
カタリーナ:「あっ」手を合わせて。「そっか」
アッシュ:「正確に言えば軍のせいだけど」
カタリーナ:「アッシュは後方待機だもんね」
アッシュ:「マジでさぁ……。よりによってオレを後方待機にする?普通」
カタリーナ:「強いのにねえ」
アッシュ:「ましてやオレ自身が前線出たがってるってのにな」
アッシュ:「最近こういうの多くてさぁ。嫌になる」
カタリーナ:「そうなの?」
カタリーナ:「こっそり出ちゃったら?」
アッシュ:「考えたよ。実際」
アッシュ:「でも、そのときは出なくて済んだ。とある奴のお陰で」
カタリーナ:「ん~?」
アッシュ:「気になる?」 新しいおもちゃを自慢したい子供のような顔。
カタリーナ:「なる~」
アッシュ:「オペが付いたんだよ。とびきり有能な」
アッシュ:「そいつが軍とか政府とか他の政府に話通して、出撃許可を出してくれた」
カタリーナ:「おお」
カタリーナ:「そういうの楽しそうだよねえ」
アッシュ:「楽しいって言うにはストレスだったけどな。後5秒遅かったら許可前に抜刀してたし」
カタリーナ:「……その時怒った?」
アッシュ:「キレたよ。勿論」
アッシュ:「オレにとっての最大の楽しみを、アイツらの勝手な心配で邪魔されたんだぜ?」
アッシュ:「これ続けるんなら出て行くって上司相手にタンカまで切った」
カタリーナ:「おお」
カタリーナ:「すごいなあ、アッシュ」
アッシュ:「でも結局オレのタンカに意味はなかったし、オレが出撃できたのはオペの奮闘のお陰だった」
アッシュ:「だから、なんつーか……任せることにした」
カタリーナ:「なんか変わった?」
カタリーナ:「前は全部オレがオレが~だったよね」
アッシュ:「変わったっていうか変えたかな、まだあんま実感ないけど。でも、少なくとも」
アッシュ:「今は前よりキレてない。案外アイツがどうにかするかもって思ってる」
カタリーナ:「ふ~ん」
カタリーナ:「でもさ、アッシュが後ろでいいかもよ」
アッシュ:「へえ?なんで?」
カタリーナ:「私たちで倒せるくらいなら、アッシュはつまんない戦いでしょ?」
カタリーナ:「私たちも負けちゃうなら、アッシュは楽しい戦いだから」
アッシュ:「ははっ」 思わずというように噴き出して。
アッシュ:「ヤバいなカタリーナ。うちの上の連中よりよっぽどオレのこと分かってるじゃん」
カタリーナ:「えへへ~」にこにこと笑う。
カタリーナ:ずっと笑っている。
アッシュ:「……」 数年前、初めて戦場で出会った彼女を一瞬思い返して。
アッシュ:「そっちはどう?なんか変わったことある?」
カタリーナ:「ん~?あっ、あのね、新しい子が入ってきたよ!」
カタリーナ:「エリアスくんっていうの。さっきも居たよ」
アッシュ:「ああ、あのひょろっとしてるやつ」
アッシュ:「確かになんかアワアワしてたし、見るからに新兵って感じだったな」
カタリーナ:「優しい子だよ~」
カタリーナ:「補充は久々だからうれしかったなあ」
アッシュ:「番号幾つ?前に10は越してた気がするけど」
カタリーナ:「ん~……elfは前に死んじゃったから」
カタリーナ:「zwölf。12だっけ。確かそう」
サブGM:かつては一人ひとりが失われたことに、深く嘆き戦闘にさえならなかったはずだが。
サブGM:その様相は一切見えない。
アッシュ:「そっか」
アッシュ:「キミ自身は?何か変わった?」
カタリーナ:「ん~……」
カタリーナ:「優しくなった?かも」
カタリーナ:「エリアスくんが来たからかな?」
アッシュ:「なるほど。道理で」
アッシュ:「ますます綺麗に笑うようになったと思ってたんだ」
アッシュ:冗談めかして笑って、口説き文句のような言葉を吐く。
カタリーナ:「えへへ~……」照れ照れと笑う。
アッシュ:「大事にしてやれよ。貴重な後輩なんだし」
カタリーナ:「うん。貴重だよ~」
カタリーナ:「アウグストもクラウディアもイルゼもエリアスもみんな貴重」
カタリーナ:「あっあとおじいちゃんと祖国も!」
カタリーナ:「アッシュはなにが大事?」
アッシュ:「そうだな……」
アッシュ:「戦場と仲間、その後に国かな」
アッシュ:「軍は国とは別カウントで」
カタリーナ:「おお」
カタリーナ:「じゃあ私も戦場が大事!」
アッシュ:「マジで?初の前線であんなにピーピー泣いてたのに?」
カタリーナ:「え~?」
カタリーナ:「泣いてないよう」
アッシュ:「泣いてたって」
アッシュ:戦場という地獄の中。目を真っ赤に腫らし、自身の能力制御も定まらなかった。
アッシュ:そんな彼女は、もう彼女の中に居ないのだろう。
カタリーナ:「泣いてないよう」にこにこと笑う。
アッシュ:「はいはい。じゃあそういうことにしとくか」
カタリーナ:「うん。そういうことなの~」
カタリーナ:クレープの残りを食べきって。
カタリーナ:「今日は味方だけど。また今度”遊ぼう”ね」
カタリーナ:「アッシュと遊ぶのは楽しいもの」
アッシュ:「ああ。未だに決着も付いてないしな」
アッシュ:フランスとドイツの諍いは多いが、そのどれもが小競り合いだ。勝敗が付くまで戦ったことはない。
カタリーナ:「今度は本場のクレープ食べに行こうかな~」
アッシュ:「そのときはオレのお気に入りの店を紹介するよ」
カタリーナ:「やったあ」
アッシュ:「ここより数段上の味を保証する。期待していいぜ」
カタリーナ:「ふふ。楽しみだな~」
カタリーナ:「でも今はイタリア料理が食べたいから」
カタリーナ:「そっちは楽しみにとっておくね!」
アッシュ:「なら、まず無事に帰って来いよ」
アッシュ:「Bonne chance」
カタリーナ:「Ade~」
カタリーナ:手を振って去っていく。その腕はどこか禍々しくも見えた。
アッシュ:「……はーあ」
アッシュ:オーヴァードは超人だ。その肉体は常人と一線を画し、戦場という地獄を潜り抜けてなお平然と生き続ける。
アッシュ:オーヴァードは人間だ。その精神は常人のソレと大差なく、戦場という地獄の中でいとも容易く捻じ曲がる。
アッシュ:「ホント、綺麗に笑うようになっちまって」
アッシュ:恐怖に泣いていた彼女はもう居ない。仲間の死を悼んでいた彼女はもう居ない。殺し殺される仲である自分を憤怒や憎悪をもって睨んでいた彼女ももう居ない。
アッシュ:そうやって感情が擦り切れた先で、オーヴァードは超人から怪物になる。
アッシュ:「決着、付けれると良いけど」
アッシュ:敵ではありながらも、同時に長い付き合いになる戦友。幸運あれと祈った心に嘘はない。
アッシュ:彼女もまた、アッシュにとって大事な戦場の一人なのだから。

---

エミリア:「はっ……はっ……」
エミリア:息を切らせて、議事堂の外まで走ってきた。通りに出て、膝に手を付き立ち止まる。
エミリア:その拍子に、また涙がぼろりと零れ落ちた。通行人に見られている気がして、慌てて目元を隠す。
エミリア:「……う……」
エミリア:服の袖がじわりと濡れてくる感触を感じる。涙は止まらず、その場から動けなくなってしまう。
デュバリー:そんなエミリアの頬に、何かくすぐったいような感覚が来る。
デュバリー:植物のツタだ。すぐそこに植わっていたそれが伸びて、頬に触れている。
デュバリー:それとほとんど同時に
デュバリー:「……何してるの?」 と声。正面から
エミリア:「……?」
エミリア:その感触と声に気付いて、泣き腫らした顔を上げる。
デュバリー:まばらに行き交う人の合間、デュバリーが、何か不思議なものを見た目で、エミリアを見ている。
エミリア:「あ……デュ、デュバリーさん……」
エミリア:ぐしぐしと、乱暴に涙を拭う。
デュバリー:まばたきをする 「意外」
デュバリー:「あなたも泣くし、涙を隠そうとするのね」
エミリア:「……な、泣いてなんていません……」すん、と鼻をすすりながら言う。
エミリア:「何でもありません……」
デュバリー:揺れるように歩み寄って 「ルカと何かあった?」
エミリア:「なっ」
エミリア:明らかに動揺し「どっ……どうしてルカが出てくるのですか!!」
エミリア:「何も……ありません!別に……ふつうです!わたしは……!!」
デュバリー:「ないでしょ、他に。あなたがそんなに泣くなんて」
デュバリー:「ケガとかなら分かるけど、そうでもないし……あ、泣いてないんだっけ」
エミリア:「う……ぐ……」
エミリア:言い逃れ出来なくなって俯くと、また大粒の涙が零れ落ちる。
デュバリー:「……んー」 小首を傾げ
デュバリー:「……ここ、目立つよ」 結局そう声をかけ手を取り、宿舎へと歩き始める
エミリア:「あ……」
デュバリー:「それとも、どこか出かけたい?」 恐らく宿舎にはルカがいるだろう
エミリア:手を引かれるまま歩き出す。その掌に安心と共に情けなさを覚え、ぎゅっと目を瞑る。
エミリア:「……ルカには……会いたくありません……」
エミリア:それだけ絞り出すように口にする。
デュバリー:「ん」 軽く頷くと、明らかな方向転換はせず、しかし行き先を帰る。テーラーやアパレルショップ、小物屋なども並ぶ仕立て街の方へ
デュバリー:そして、しばらく何も話さない。やかましくもない、しかし静かでもない、がやがやとした人混みの中を、静かに歩き続ける
デュバリー:周囲の植物と交感し、最低限危険がないことを確かめながら。婦人服の店などがちらほらと散見されるようになってくる。
エミリア:「……」
エミリア:ずっと押し黙っていたが、やがてぽつりと口を開く。
エミリア:「……ルカは……」
エミリア:「……わたしがいなくても大丈夫だと」
エミリア:「そう言うのです」
デュバリー:「うん」 相槌
デュバリー:「ルカはそうだろうね」
エミリア:「……っ……」
エミリア:握った掌に力が籠る。
エミリア:「……ルカは……!」
エミリア:「わたしが、戦わないほうがよいと……」
エミリア:「……わたしでは、ルカの戦う理由にはなれないと……」
エミリア:「……そう、言うのです……」
デュバリー:「うん」 やはり相槌
デュバリー:「確かにルカは、そうかもしれない」
デュバリー:「……それで」 何かを遮るように続ける
デュバリー:「エミリアは悲しかったの?」
エミリア:「…………」
エミリア:そう問われると、往来の真ん中で不意に立ち止まってしまう。
エミリア:「……わ」
エミリア:「わたしは……」
デュバリー:合わせて止まる。その表情を見る
デュバリー:「うん」 相槌を打ちながら
エミリア:「……わたし……何も出来ません……」
エミリア:引き攣ったようなその顔には、悲しみと困惑。そして大きな恐怖が滲んでいた。
デュバリー:「…………」
エミリア:「料理のような……身の回りのことも……」
エミリア:「皆さんのように、ものを考えることも……」
エミリア:「……な、何一つ、うまく出来ないんです」
デュバリー:「……そう」
デュバリー:「難しいよね。料理も、考えることも。みんな大人で、経験を積んでるし」
エミリア:まばたき少なく、ぎこちなく頷く。
エミリア:「……それに……」
エミリア:「綺麗な宝石や服も……大きな家も……」
エミリア:「何も……。……何も持っていないんです」
デュバリー:「……そうだね」
デュバリー:「エミリアはエミリアの体と服だけで、ルカに見つけられた」
デュバリー:「お金を稼ぐことだってできないもんね」
デュバリー:本当は親の、その存在を何より承認するものの庇護にあるような齢だ。だが、その親の存在すら定かでなく、彼女を認めるものは、何もない。
エミリア:先程よりももっとゆっくり、油が切れ錆びた絡繰りのように頷く。
エミリア:それを認めてしまうことが恐ろしいように。
エミリア:「……。……だ、だから……」
エミリア:掠れた呼気が漏れる。
エミリア:「……わたし……戦うしか出来ないんです」
エミリア:「わたしに出来るのは、戦うことしかなくて」
エミリア:「それが無かったら……それを、止められたら……」
エミリア:「……ルカが……それが嫌だと言うのなら……」
エミリア:恐怖に染まる表情。早く、浅い呼吸を何度も繰り返す。
エミリア:「……わたし──」
デュバリー:不意に
デュバリー:繋いでいた手を離し、すぐそこのベンチに座る。何の気遣いもなく。
デュバリー:腿に肘を着いて、手を組んで 「エミリアは」
デュバリー:「セックスって知ってる?」
エミリア:「──」
エミリア:口を開きかけたまま固まる。
エミリア:「…………?」
デュバリー:「それを知らない人はいないし、やらない人はいない」
デュバリー:「少なくとも、大人ならね。人間は本能のようにそれを求めて、本能の赴くままにそれをやる」
エミリア:「……い、いえ……」
エミリア:かぶりを振って「し、知りません、わたし……」
デュバリー:「でもやらないんだよ。子どもはね」
デュバリー:「まだ準備ができていないから」
エミリア:「…………?」
エミリア:呆気にとられた当惑の表情。
エミリア:「な、何なのですか、それは……?」
エミリア:「どうして今、そのお話を……?」
デュバリー:エミリアの表情を見る。それは何となく、今一番目にかけている少女のそれに似ていて、でもそれより暗く、彷徨っている。
デュバリー:「あなたは戦うしか出来ないんじゃなくて……」
デュバリー:「……準備ができていないだけ。ありとあらゆることに対して」
エミリア:黙ったまま聞いている。
デュバリー:「順序がある。積み重ねなきゃいけないの。この世界のことは、ほとんどすべて」
デュバリー:「それが何もないのに、ただ目的だけ決めて、背伸びして、手を伸ばして、声を上げたって」
デュバリー:「届かない。……そういう風になっている」
エミリア:「……で、では……!」
エミリア:「それでは、どうすればいいのですか……!?」
デュバリー:「……教えてあげる。たった一つ確かなのはね」
デュバリー:首を傾げ、髪が流れ落ちる 「正解なんて誰にも分からないってこと」
デュバリー:「……エミリア。はっきり言って、あなたはだいぶ不幸なの」
エミリア:「……不幸……?」
デュバリー:「財産も、技術も、……親もない。あなたくらいの子ならあるべき庇護が、何もない」
デュバリー:「この世界の多くの人にとっての『正解』……『正解らしき道』を辿ることができない」
デュバリー:「そういう自覚はあった? エミリア」
エミリア:「……」
エミリア:微かに頷く。恐らく無意識の内に理解していたのだろう。
エミリア:「……だ、だから……」
エミリア:「わたしは、戦わないと……」
デュバリー:「うん」 少し笑む 「だからこそ」
デュバリー:「あなたの道は安易なものにはならない。安易な道というのは……」
デュバリー:「何か一つ、信じられるものがあるということ」
エミリア:「……信じられる、もの……?」
デュバリー:「信じられるものが一つしかないということは……」
デュバリー:「暗闇を歩くのに、たった一つの電灯しか持っていないに等しい。それが損なわれた時、あなたは永遠に歩けなくなってしまう」
エミリア:「…………」
デュバリー:「戦いだけを信じて、あなたより強い人が現れたらどうすればいい? あなたみたいに、ある日突然現れたとしたら」
エミリア:「……それは……」
デュバリー:「ルカだけを信じて、ある日突然彼が……」 言いかけて 「……ああ……」 何かを得心したような溜息
エミリア:言い掛けて、それを想像してみて、言葉に詰まる。その先に何も見えなかったから。
エミリア:そして立ち止まったその姿は、今の自分と重なって見えた。
デュバリー:「……エミリア」
デュバリー:優しく笑いかける 「ルカはあなたのことが嫌いでもなければ、不要でもない」
デュバリー:「彼は素敵な人よ。私が保証してあげる」
エミリア:「……」
エミリア:「……わたし……」
エミリア:俯きがちに、ぼそぼそと
エミリア:「……戦うのをやめてしまったら……ルカにあげられるものが、なにもありません」
エミリア:「そうしたら……ルカも……皆さんも……」
エミリア:「……わたしが、要らなくなるのではありませんか……?」
デュバリー:「じゃあ、約束しようか」
デュバリー:「少なくとも私は、エミリアを要らないなんて思わない」
デュバリー:今まで何人もの迷える少女に、寄る辺を保証してきたように。
デュバリー:「だから、確かめて来ると良い」
デュバリー:「自分が何になれるのか、皆があなたをどんな存在だと思っているか」
デュバリー:「時間をかけて、ゆっくり積み重ねて、ね」
エミリア:「…………」
エミリア:視界が再び、じわりと滲む。
エミリア:あるいはそれは、エミリアにとっては生まれて初めて、誰かに本当の心の内を晒した瞬間だったのかもしれない。
デュバリー:ベンチから立ち、ハンカチを渡す
エミリア:「……ありがとう、ございます……」
デュバリー:「大丈夫。エミリア」
デュバリー:「あなたならできる」
デュバリー:……それは保証ではない。エミリアがどうなるかどうかなど、未明の闇の向こう。明日は誰も知れたものではない。
デュバリー:だが、その言葉こそが、今の彼女に必要な最高のものなのだろうと、デュバリーは分かっている。
デュバリー:それはデュバリーが今のデュバリーになる前、遠く霞のかかった温もりの記憶の中、自分を励ましてくれた言葉だから。
エミリア:「……ありがとうございます、デュバリーさん……」
エミリア:ハンカチを握って、ただそれだけ。
エミリア:目元を拭うことも出来ずに立ち尽くし、涙を零し続けていた。

---

ルカ:宿舎でギルを見つけて、歩み寄っていく。
ルカ:「ギル。時間ある?」
ギル:「おや、ルカくん。問題ないよ。部屋に戻って休むつもりだったから」
ギル:「なにか相談かい?会議で気になることでもあったかな」
ルカ:「ん」両手に持っている小瓶を見せる。瓶ビール。
ルカ:「付き合えよ」
ギル:「未成年飲酒は感心しないな……って、普段なら言うんだけど」
ギル:「スイスでは16歳から大丈夫なんだってね。いいよ。付き合おう」
ルカ:「そうなのか?そりゃ知らなかった」愉快そうに笑い、瓶をひとつ渡します。
ルカ:「いつも20歳って言い張ればだいたい騙せる」
ルカ:「じゃあほら。乾杯」瓶を傾ける。
ギル:「あはは。まあ、君の顔つきなら騙されても無理はないね。乾杯」コツンと軽く瓶を当てて、ぐっと一口でかなりの量を流し込む
ルカ:それをちょっとぎょっとしたように見る。
ギル:「どうしたんだい?君も飲みなよ、ルカくん」
ルカ:「…ああ」自分も瓶を傾ける。さすがにそこまでの量は飲まない。
ギル:「どうだい、最近は。エミリアくんとは上手くやれてる?」
ルカ:「さっき苛めて泣かせてきた」
ギル:「悪い男だね、見た目通り。ダメだよ、女の子には優しくしなくちゃ」
ルカ:「そうかよ」仏頂面でそれだけ言う。
ギル:瓶をもう一度傾けて「……と言っても、僕も昔はよく喧嘩して、妹を泣かせてたけどね」
ギル:「仲良くなるためにはそういう瞬間も必要なのかも」
ルカ:「……エミリアのことはいい。それより」
ルカ:「あんたに聞きたいことがあるんだ。そう、妹のことで」
ギル:「いいけど……もしかして狙ってるんじゃないだろうね?ダメだよ、いくら可愛いからって」
ルカ:「そういう話じゃない」イライラする。
ギル:「それならいいんだけど」
ルカ:「あんた。妹が大切だろ。妹のために戦ってるとも言ってた」
ギル:「ああ、世界で一番大切な家族さ」
ルカ:「もしもの話だ」
ルカ:「その世界で一番大切な家族が、おれ達と同様、オーヴァードになったら」
ルカ:「あんたどうする。戦場に妹が来ることを歓迎できるか?」
ギル:それを聞いて急に表情が消える。
ギル:「僕の妹はオーヴァードにはならないよ」
ギル:「戦場にも来ない」
ルカ:「……」瓶を傾けながら怪訝な顔をする。
ルカ:「なんで言い切れる」
ギル:「僕の妹は危ないことはしないんだ」
ルカ:「ふうん。おれの妹は危ないことしかしなかった」
ギル:「万が一にも妹が居なくなったら……壊れてしまう」
ルカ:「そうだな」
ルカ:「案外、壊れないもんだよ」
ギル:「もしもそうなったら……」はっ、と表情を取り戻して
ギル:「……ああ、ごめん。そうだね……」
ギル:「実際、君が初めてアイギスに来た時は心配でたまらなかったよ」
ギル:「どうにかなってしまうんじゃないかって……でも杞憂だった」
ルカ:「そりゃどうも」皮肉っぽく言う。「ああ。おかげ様で」
ギル:「街にも馴染んで友達まで作って。まあ、もう少し僕達とも仲良くしてほしいけどね」
ルカ:「オーヴァードと仲良くできる気がしなかった」
ギル:「まだオーヴァードは苦手?」
ルカ:「………」
ルカ:「逆に聞くが」ギルくんを見ます。
ルカ:「あんたは、子供が得意げに戦争に参加してるのを平然と受け入れられるのか?」
ギル:「それはとても……答えにくい質問だね」
ギル:思案している。ビール瓶の腹を中指で何度もとん、とんと叩く。
ギル:「オーヴァードが……現れる前から。子供が戦争に駆り出されることは多かった」
ルカ:「…だから今更って?」
ギル:「褒められたことじゃない。けど……そうだね。僕は受け入れてしまっているのかも」
ルカ:「そうか」じっと見つめていた目を逸らす。
ギル:「同時に変えたいとも思ってる。オーヴァードになったら、子供だろうと問答無用で戦場送り」
ギル:「そうじゃない。戦いを望まないオーヴァードは、戦わなくて済むように。オーヴァードにとっての安息の地を作る」
ギル:「それがアイギスの理念だ。今は無理でも、いつかは……」
ルカ:「……」
ギル:「……ごめん。言い訳みたいに聞こえるよね」
ルカ:「いや」
ルカ:「それがあんたの本音なら、良いよ」
ルカ:「本音なら」繰り返す。「…信じるよ」
ギル:「オーヴァードと仲良くなれる気がしてきたかい?」
ルカ:「あんたとはな」
ルカ:「年下のやつらは、ずっと受け入れられない。今の状況が続く限り」
ギル:「できれば他の皆とも、偏見なく接してほしい。君の妹だってオーヴァードだったんだ」
ルカ:「……だったからこそ」
ルカ:「……、だめだ。思い出すし比べちまうし」
ギル:「……そうか。そうだね」瓶に口をつけて、残りを飲み干す
ルカ:「自分の」口を開く。
ルカ:「自分の価値観がおかしいのかとよく思う」
ギル:「戦場がまともな場所じゃないのさ」
ルカ:「……おれ達はまともか?」
ギル:「こんな話ができるうちはね」
ルカ:「はは」
ルカ:おかしくて笑う。
ギル:瓶を置いて
ギル:「ありがとう。君の本音が聞けてよかった」
ルカ:まだこちらの中身は残っている。じっとしたままギルを見る。
ギル:「……?」
ルカ:「……いや」
ルカ:「付き合わせて悪かったな」
ギル:「帰ってきたらまた。次は僕のオススメを持ってくるよ」
ルカ:「一番強いやつにしてくれ」
ギル:「後悔するなよ」微笑んで、部屋に戻っていく
ギル:「……ああ、それから」途中で振り返り
ギル:「妹の連絡先。気になったらいつでも聞いて。僕から紹介しておくから」
ギル:ウインクして今度こそ部屋に戻っていきます
ルカ:「……」返事をする間もなく去られてしまう。仏頂面で取り残される。
ルカ:「じゃあ会わせろって言ってもどうせ誤魔化すんだろ…」
ルカ:「良い兄貴ぶりたいなら」
ルカ:「戦場に妹が来たら、どう思うかくらい、きちんと考えとけ」
ルカ:残った瓶の中身を飲み干しても酔える気がせず、苛々と首を振った。

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サブGM: ベルン旧市街を取り囲むように流れる、アーレ川。
サブGM:その川に掛かる橋のたもとに、一人の男が座り込んでいる。
ラジーク・マフフーズ:岸辺の砂を浚っては、手に流して透かしている。
アッシュ:「観光かい?」 その後ろから声がかかる。
ラジーク・マフフーズ:「……」振り向く。「“Espoir”か」
アッシュ:「よう、"砂海の鮫"。戦場外だと初めてだったか?」
ラジーク・マフフーズ:「わざわざ会いに行く道理もあるまい」
アッシュ:「確かに。お互いにな」
アッシュ:そう言いながらも当然のように彼の隣へ。そのまま川の流れへ目を向ける。
ラジーク・マフフーズ:「……穏やかなものだ」
アッシュ:「それに綺麗だ。セーヌ川なんて傍に寄ると鼻が曲がるって言われてるぜ」
ラジーク・マフフーズ:「看過し難いな」などと返して。「かつてはこの河も、度々洪水を引き起こしたと聞いた」
ラジーク・マフフーズ:「人々の営みの成果が、荒れ狂う竜を御したと」
アッシュ:「氾濫はいつの時代も悩みの種らしいからな」
アッシュ:「治水に成功すればそれだけで英雄として名が残るくらいには」
ラジーク・マフフーズ:「……英雄か」
アッシュ:「アンタはどう?」
アッシュ:「英雄って呼ばれてみたい?河を征したい?」
ラジーク・マフフーズ:「英雄と呼ばれることに興味はないが」
ラジーク・マフフーズ:「目的のために必要であれば名乗ることもしよう」
ラジーク・マフフーズ:「……私は、国に倣う人間ではない」
ラジーク・マフフーズ:「お前たちのように、傭兵として力を鬻ぐ者でもない」
ラジーク・マフフーズ:「本来、国に命を狙われる身だ」
アッシュ:「ま、反体制なんて名乗ってるんだしな」
ラジーク・マフフーズ:「どうにも今回は、我が国エジプトの連中は“北上する災厄”には興味はないがね」
ラジーク・マフフーズ:「だからこそ、私が来る余地がある」
アッシュ:「国本体が来てたらアンタは出てこれないもんな」
アッシュ:「で、河を征するために来たと」
ラジーク・マフフーズ:「征するのではない」
ラジーク・マフフーズ:「解放するべきだ。お前たちの支配から」
ラジーク・マフフーズ:「誰しもが平等に、広くこの路をわたれるようにする」
ラジーク・マフフーズ:「フランスやイギリスが管理を恣にする状態は、好ましくない」
アッシュ:「……へえ」 ちょっと意外そうに眼を見開いて。
アッシュ:「てっきり自分の国のためって言うんだと思ってた」
ラジーク・マフフーズ:「我が国のためではある。そうすることで一定の利は生まれるだろう」
ラジーク・マフフーズ:「だが、何よりもだ」水面を眺める。
ラジーク・マフフーズ:「先人の拓いた道行きが、誰かの思惑で矯められるのが我慢ならない」
ラジーク・マフフーズ:「路は後に続く者のためにあるべきだ」
ラジーク・マフフーズ:「それを示すためなら、英雄にでも怪物にでもなろう」
アッシュ:「……はは」 小さく笑って。
アッシュ:「さっきああ言ってたけどさ」
アッシュ:「アンタ、英雄らしいと思うよ。オレよりもね」
ラジーク・マフフーズ:「……フランスの英雄が弱気か?」
アッシュ:「いいや。心構えの話」
アッシュ:「オレが戦うのは負けるのが嫌いだからだ。それと勝つのが好きだから」
アッシュ:「そうやってオレが戦って、勝って、そしたら誰かが英雄と呼んだ」
アッシュ:「別に呼ばれて嫌って訳じゃないからそのまま呼ばれてるけどさ」
アッシュ:「本来英雄って呼ばれるのは、アンタみたいな人だろうってことくらい分かる」
アッシュ:「ま、戦ったらオレが勝つけどな」
アッシュ:挑発でさえなく事実を述べたように。当然と言いたげに笑う。
ラジーク・マフフーズ:「……フ」薄く笑う。
ラジーク・マフフーズ:「今ここで打ち合えばそうだろうな。だが」
ラジーク・マフフーズ:「うみではそう言わんことだ。俺の牙がお前の船体を食い破ることになるだろう」
アッシュ:「食い破られた程度で沈む船なら、オレは墓標さえないまま海の底で寝てる」
アッシュ:「そっちこそ、替えの牙まで使い果たす覚悟をしておいた方が良いぜ」
ラジーク・マフフーズ:「……肝に銘じよう」獰猛に笑い。「だが」
ラジーク・マフフーズ:「我々が今征すべき海は、アドリアやティレニアだ」
ラジーク・マフフーズ:「お前とともに航ることを、今は誇りとしよう、英雄」
アッシュ:「それは賛成。生憎とオレは後詰の留守番だけどな」
アッシュ:「アンタが無事に帰港するよう祈っとくよ、英雄」

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サブGM:議事堂近くのバーの一角。周辺は治安の良いとは言え、
サブGM:通りを一本、二本抜ければ別だ。決して治安が良いとは言えない区画もある。
サブGM:その場末のようなバーの一角。古びた4人掛けのテーブルを男が専有している。
ティベリオ・ディルーカ:「……」安物のワインを呷っている。
ギル:「やってるかな?適当なのを一杯もらえる?」天井に頭をぶつけかねない、ひょろりとした大男がバーに入ってくる。
ティベリオ・ディルーカ:「……」その男を一瞥して。
ティベリオ・ディルーカ:「……テメエ」
ギル:「さっきまで友達と飲んでてね。一度部屋に戻ったんだけど、飲み足りなくて。よろしく」店主に注文して
ギル:「おや。きみはイタリアの……ディルーカくん」
ギル:「奇遇だね。こんなところで。相席しても?」勝手に向かいの席に座るよ
ティベリオ・ディルーカ:「誰もいいつってねーだろうが、”鉄王”さんよ」
ギル:「一人で寂しくないのかい?僕は寂しい。それに肩を並べて戦うんだ。少しくらい親睦を深めておかないと」
ティベリオ・ディルーカ:「ハッ」鼻で笑う。「後方仕えがなに言ってやがる」
ギル:「一品奢るよ。席代ってことで。それでもダメかい?」
ティベリオ・ディルーカ:「誰がテメエらに二度も国で好き勝手させるか……勝手にしろ」
ティベリオ・ディルーカ:「このボロ店で一番上等なのを寄越せ!」店主に叫ぶ。
ギル:「君はデリュージュとは親しかった?」運ばれてきた酒を一口あおりながら
ティベリオ・ディルーカ:「……ア?」
ティベリオ・ディルーカ:「んなわきゃねーだろうが。あのお高く止まった紳士サマはな」
ティベリオ・ディルーカ:「こっちにゃ目もくれねえ。おおかた野良犬扱いが関の山だ」
ギル:「それはよかった。殺したのは僕達だ。恨まれてたらどうしようかと」
ティベリオ・ディルーカ:「ハッ!むしろ逆だな」
ティベリオ・ディルーカ:「テメーらには感謝してるぜ?邪魔者が消えてようやく俺様の天下だ」
ティベリオ・ディルーカ:「アイツをぶっ殺してくれやがってよ……」
ティベリオ・ディルーカ:「……」
ティベリオ・ディルーカ:「……チッ」
ギル:「なら邪険にすることないじゃないか。感謝の意を評して、奢りはなしになったり……しない?」
ティベリオ・ディルーカ:「翻してんじゃねえぞダボが」
ギル:肩をすくめて「ダメだと思ってた」
ティベリオ・ディルーカ:「テメエらがうちの国に舐めたマネしやがったことに違いはねえだろうが」
ギル:「仕事だからね。君だって他の国を攻撃したことあるだろう」
ギル:「うん、でも……こういう会話もいいね」
ティベリオ・ディルーカ:「アア?」
ギル:「オーヴァードが出現してから、戦士はどんどん若くなってくばかり」
ギル:マドラーで酒をかき混ぜる「僕に悪態をついてくる相手もどんどん少なくなってきた」
ティベリオ・ディルーカ:「ジジイやババアがデカイ面してる国もあるがな」
ギル:「気に食わない?なら少しは気が合うね」
ギル:「今度の戦い、どうなると思う?」
ティベリオ・ディルーカ:「決まってんだろうが」
ティベリオ・ディルーカ:「俺がブチ殺す」
ティベリオ・ディルーカ:「亡霊連中でもねえ。お船並べた連中でもねえ」
ティベリオ・ディルーカ:「テメエらでもねえ。まして“リッケンバッカー”でもな」
ティベリオ・ディルーカ:「俺だ。俺が殺す」
ティベリオ・ディルーカ:「テメエらはせいぜいそれを見届けてろ」
ギル:「君が天下を取る所を?」
ティベリオ・ディルーカ:「そういうこった。守護聖人なんざガラじゃねーがな」
ティベリオ・ディルーカ:「だが奴の玉座を踏むのは快適だろうよ」
ギル:「では、未来の王にこちらの貢物を」
ギル:と言って運ばれてきた料理をディルーカの前に
ティベリオ・ディルーカ:「フン」鼻で笑って。「王が朝貢か?」
ギル:「外交も仕事の一つさ」
ティベリオ・ディルーカ:ぐい、と盃を飲み干して。「そりゃ賢明なこって」
ギル:「懐かしいな。昔もそう……君のような男がいたよ。王になろうとした男が」
ギル:「彼はどうなったんだったか……」

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イルゼ:ドイツ軍が一泊したホテル、『ベルビューパレス』。
イルゼ:ローマへの出立を前にして、イルゼ・イリーネ・キルステンは、一度部屋に戻り身支度を整えていた。
イルゼ:「……確かに良いホテルではあるが」
イルゼ:ネクタイを直しながら、鏡越しに睨み付ける。
イルゼ:「何故貴様と相部屋なんだ」
クラウディア:「なんでこいつと相部屋なんだ!って?」
クラウディア:「あはは。被った」
イルゼ:「チッ……」これ見よがしに舌打ち
クラウディア:「嫌われたもんだな~。私は別に、イルゼ先輩のこと嫌いじゃないんだけど」
イルゼ:「私は貴様が不愉快だ」苛立たし気に「同室では安らぐこともままらなん」
クラウディア:ベッドの上にあぐらをかいて腰掛け、愉快そうに笑っている。
クラウディア:「わあ、そりゃ大変だ。子守唄でも歌いましょうか?」
イルゼ:「要らん!!」大きな音を立てて鏡台を叩く。
イルゼ:「何なんだその人を舐めた態度は!私は先輩だぞ!!」
クラウディア:「あらら、物に当たることないじゃん」
イルゼ:「五月蠅い……!」
クラウディア:「だって、先輩だって私のことそんざいに扱うじゃないですか」
クラウディア:「私も同じに返してるだけっていうか。後輩としてちゃんと可愛がってくれたら、態度も変わるかも……なんて」
イルゼ:「先にふざけた態度を取っているのは貴様の方だ!!」
イルゼ:つかつかとベッドに歩み寄り、間近で睨む。
イルゼ:「何故貴様のような女が我が部隊に……!」
クラウディア:「何故ってそりゃ、私、優秀ですから」
クラウディア:「ちゃんと成果も出してますし」胸に付けた勲章を指で摘んで見せる。「……評価もされてる」
クラウディア:「先輩は格式ばっか気にしすぎです」
クラウディア:「窮屈な型に合わせる事にばかり拘ってコンディション落とすより、自由にやって成果が出るほうがいいでしょ?」
イルゼ:「……まともな教育も受けていない、野良犬が……」
イルゼ:「この私に知ったような口を叩くな……!」
クラウディア:「黙れって言ってます?話しかけてきたのはそっちなのになあ」
イルゼ:「……!」
イルゼ:勲章を憎々しげに見つめる。イルゼは士官学校を首席で卒業したエリートであり、若くして大尉の座に就いている。
イルゼ:だが階級で言えば、クラウディアも同じく大尉だ。
クラウディア:「なんです、その顔」じっと目を見て。「……ああ、次はあれかな。また当ててみましょうか」
クラウディア:「なんでこんな女がこれほどの力を持っているのだ、ってやつ」
イルゼ:「…………!」
イルゼ:クラウディアの胸元を掴み上げる。
イルゼ:「貴様……!!」
イルゼ:燃えるような瞳でその顔を睨み付ける。
イルゼ:これまでに積み重ねてきた誇りが、自らの人生が、目の前にいるこの女に否定されるような思いがする。
イルゼ:ただオーヴァードとして強いというだけで。戦術も碌に学んでいない、どこの生まれとも知れない、こんな女に。
イルゼ:もしこれ以上この女が功績を立て、あまつさえ自分より上の階級になったら。その時自分は気が狂ってしまうかもしれない。
クラウディア:「……お、やります?いいですよ、ウォーミングアップに丁度いいし」
クラウディア:「心配しなくても……この後に差し支えないよう、ちゃんと怪我のないように寝かせてあげますから」
クラウディア:平時と変わらない陽気さのまま。握手でもするように、襟首を掴むその手首にそっと手を添える。
クラウディア:特段力は込もっていないが。これ以上踏み込むなら本気で応戦する、という表明でもある。
イルゼ:「ッ……!!」
イルゼ:手を放して、押すようにして離れる。
クラウディア:「……あら」そのままベッドに尻を付く。イルゼの顔を見上げる。「冷えました?頭」
クラウディア:「ふふ。私が先輩のこと嫌いじゃないの、そういうとこです」
イルゼ:イルゼの能力は直接戦闘には向かない。故にオーヴァードとして功績を立てても評価されづらく、そして1対1ではクラウディアには敵わない。
イルゼ:横たわる厳然たる事実、何度も反芻してきたそれは、だが未だに奥歯を軋ませる。
イルゼ:「黙れ……!!」
イルゼ:「それ以上その口を開くと……!」
クラウディア:「開くと……どうするんです? ベーゼでもして塞ぐ?」
クラウディア:からかうように言って、すうと自分の口元に人差し指を添える。
イルゼ:「……!!」
イルゼ:かっと頭に血が昇る。気が付けばクラウディアをベッドに押し倒していた。
クラウディア:「でも先輩はやり方知らないか……って」
クラウディア:「えっ」
クラウディア:咄嗟のことに驚きに見開いた眼で、イルゼの顔を見上げる。
イルゼ:「どうして……」
イルゼ:怒りで頭が白くなり、呼吸が荒い。すぐ間近にあるその顔を、思うまま滅茶苦茶に殴り付けてやりたくなる。
イルゼ:「どうして貴様のような女が……!」
クラウディア:「……」勢いのまままた煽るような事を言おうとして、止める。「私が、なんです?」
イルゼ:「…………」
イルゼ:吐息が触れあいそうな距離にあるその顔をただ睨んで、肩口を掴んだ腕に強く力を込める。
クラウディア:「ちょっ……痛い痛い」
クラウディア:その手首を掴み返して。「……もう、なんです?急に黙りこくっちゃって」
イルゼ:「……」
クラウディア:「……」
クラウディア:不意に、その腕をぐいと引き寄せる。
イルゼ:「な」
クラウディア:身体ごと手繰り寄せるようにして抱きとめる。何やら分からぬまま、イルゼの唇に柔らかなものが触れた。
イルゼ:「──」
イルゼ:暫時、思考が停止する。
イルゼ:それから弾かれたようにベッドから飛び退いて、背後の鏡台に強かに背中をぶつけた。
イルゼ:「…………な」
イルゼ:何が何やら分からず、視界が揺れる。
クラウディア:「……ふふ」その様子を、面白いものが見れたとばかりに眼を細めて見る。
イルゼ:怒りよりも困惑、更に通り越して恐怖すら浮かぶ顔。
イルゼ:「き……貴様」
イルゼ:「何を……」
クラウディア:「何を……って」
クラウディア:「誘ったの、そっちじゃないですか」
イルゼ:「ッ……ふざけるな!!」
イルゼ:部屋の外まで響きそうな大声で叫ぶ。
イルゼ:「誰が……誰が貴様などに……!!」
イルゼ:口元を押さえて、真っ赤な顔で睨み付ける。
クラウディア:「わっ……そんなに声が出るなら、なんでさっき黙りこくってたんですかぁ」
イルゼ:「黙れ!!」
イルゼ:「黙れ、黙れ黙れ、黙れ…………!!」
イルゼ:声は徐々に弱々しくなって、その場にしゃがみ込む。
クラウディア:「……」ふう、と溜息を吐いて立ち上がり
クラウディア:ゆっくりとした足取りで近づき、蹲るその背中を見下ろす。
クラウディア:「……はいはい、悪かったですよ。でもね」
クラウディア:「私だって、飼い犬と恋人以外にお腹に乗られる趣味はないんです」
イルゼ:「ッ……!!」
クラウディア:「……それに、言ったでしょ」
クラウディア:「私は先輩のこと、嫌いじゃないんだって」
クラウディア:それきり、言い捨てるようにして
クラウディア:ばたん、と扉の閉まる音がした。

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ロクサーヌ:ベルン市内の医療用品店。どこか浮世離れした雰囲気を持つ黒髪の女が、ゆっくりと歩いている。
ロクサーヌ:容姿は整っているが、別段目立つ訳ではない。見るものが見れば、むしろ目立たないための所作が身についていると分かる。
ロクサーヌ:(……ううん。叶うならこれと、これも持っておきたいけれど)
ロクサーヌ:(流石に嵩張りすぎる気がする……)
ロクサーヌ:オーヴァード・非オーヴァードを問わず、怪我をした人間の治療に携わった経験も少なくはないが
ロクサーヌ:こうして行軍のために携帯する品を選ぶという事については、よく分からない。元よりの悲観的な性格も相まって、どれも必要そうに見えてきてしまう。
ロクサーヌ:(パメラ、どこへ行ったのかしら……)
クレア:「消毒薬はもっと強いものにした方が良い。包帯はそんなには要らないな。オーヴァードの血はすぐ止まる」
クレア:その横から唐突に声をかける。
ロクサーヌ:迷子の子供のようにきょろきょろと周囲を見渡していたが。「へっ」不意に声を掛けられて、驚いたような声を出す。
ロクサーヌ:「ええと……貴方、さっきの議事堂にいた」
クレア:「クレアと言う」
クレア:「……突然済まない。迷っているようだったから」
ロクサーヌ:「ロクサーヌ、よ。……そう、同業者だものね。詳しいんだ」
ロクサーヌ:「いえ……余計なお節介、という事はないわ。今回に関してはね」
ロクサーヌ:「……ありがとう」少し間が合ってから、忘れていたように付け足す。
クレア:「自分も専門家ではない。仲間の受け売りだ」
クレア:「迷惑でないなら良かった」表情を変えないまま
ロクサーヌ:「いえ……借りができたわ。貴方」
ロクサーヌ:「何か、私にして欲しい事はあれば……聞くけれど。釣り合う範囲でなら」
クレア:「さっきの話だが、オーヴァードなら常在細菌程度は放置しても問題ない。逆に毒を洗い流すには一般流通品では不十分だ」
ロクサーヌ:「……なるほど」
クレア:「これでいいだろう」明らかに人間用ではない薬品を棚から取って渡す。
クレア:「自分も買う」二本の内、もう一本は自分の手に。
ロクサーヌ:「……ありがとう」受け取って、じっとそのラベルを見る。「覚えておくわ……」
クレア:「そうすると良い」
クレア:「お礼は……別にいらないんだが。そうだな……」
ロクサーヌ:「私の流儀なのよ。精算は、できる時にしておかないと」
ロクサーヌ:「……また会えるとも限らないし」
クレア:「なら、君の故郷の料理を一つ教えてくれ。一番美味いと思うやつを」
クレア:「店の名前でも良い。いつかそこに行った時に訪ねてみたい」
ロクサーヌ:「貴方、美食家なの? いえ……悪いけれど、その望みは叶えてあげられそうにないわ」
ロクサーヌ:「生まれ育った場所……はあるけれど、店なんてないし」
ロクサーヌ:「産み育ててくれた人は、もうどこにもいないから」
クレア:「……そうか。それは済まなかった」表情は変わらないが、声色は僅かに沈んで
ロクサーヌ:「別に、同情させたい訳じゃ……こっちも、気にしてないし」
クレア:「うん、なら故郷じゃなくても構わない」
クレア:「今ここにいるということは、ずっとその場所で暮らしている訳でもないんだろう?」
クレア:「君が今まで世界を巡ってきた中で一番だと思うものを聞かせて欲しい」
ロクサーヌ:「……場所に愛着がある訳じゃないわ。大抵は、何もない山奥よ。海辺だった事もあったけれど」
ロクサーヌ:「でも……好きな料理なら、一つ心当たりがある」
ロクサーヌ:「子供の頃、母さんが作ってくれた……豆と野菜とパンを炒めて作った、トマトスープ」
ロクサーヌ:「……そっちの質問は、難しいわね」
ロクサーヌ:「感傷と味覚を切り分ける事って、中々できないから……少なくとも、私には」
クレア:「いや、十分参考になった。ありがとう」
ロクサーヌ:「……そう? 悪かったわ、気を遣わせて」
ロクサーヌ:「あまり……愉快な話をするのは、得意じゃないの」
クレア:「自分も気は使っていないし、利かせるのは得意じゃない。素直な気持ちを言っただけだ」
クレア:「母親の料理というのは、成程。確かに食べたことがなかった」
ロクサーヌ:「……そう。美徳ね。妄りに言葉を飾り付けるよりはずっと」
ロクサーヌ:「……」彼の育ちにも事情があるんだな、とは察しつつも。敢えて何かを言うべきとも考えない。
クレア:「少しは方便も覚えろと仲間には怒られる」肩をすくめて
クレア:「そういえば、議事堂ではもうひとりいたように見えたが」
ロクサーヌ:「ああ……仕事仲間よ。普段は、こういう買い物も彼女に任せていたから」
クレア:「そうか。大変だな」
ロクサーヌ:「これから先の仕事ほどじゃないでしょう」
パメラ:「どっちが大変って話だい、そりゃ」横合いから声。
パメラ:話し込む二人の傍らに旅装の女が立っている。呆れ顔。
ロクサーヌ:「……パメラ」
クレア:「君は……噂をすればだな」眉をピクリと動かして声の方へ向く
パメラ:「ナンパか引き抜きか。どっちにしても勘弁してくれよ」
パメラ:「見る目は流石ってところだけどさ。クレア・アップルシード」
クレア:「買い物について助言していただけだ」
クレア:「来るものは拒まないのは事実だがな。アイギスの活動に興味があるのなら紹介するぞ」
ロクサーヌ:「助けてくれただけよ、彼」
ロクサーヌ:「それに……引き抜きだとしても、私が貴方との契約を置いて他所へ行くと思われているなら、少しばかり遺憾だけれど」
パメラ:「そんなこと思っちゃいないけどさあ」
パメラ:「口車に乗せられてほいほい連れ込まれそうな気はするっていうか……」
ロクサーヌ:「なっ……」
ロクサーヌ:「……子供のくせに、人を子供みたいに……」
クレア:「奇遇だな。自分もよく言われる」
パメラ:「似たもの同士かよ」溜息。「まあ……お礼は言う。目に留めてくれたのが君でよかった」
クレア:「礼はもう十分貰ったが、受け取っておくよ」
クレア:そう言いながらいつの間にか自分の会計を済ませている。
ロクサーヌ:「……さっき、助けてくれた彼にお礼をしたわ」クレアが離れた時に、パメラにだけ聞こえるような声で言う。
ロクサーヌ:「貴方の知らない私のことを一つ、教えてあげた」
パメラ:「んえっ」
パメラ:「何それ! 何教えたの」
ロクサーヌ:「……ふふ。そういう反応するんだ」面白がるように、僅かに口元を緩める。
クレア:「?」後ろで聞こえた妙な声に怪訝な顔をしながら
ロクサーヌ:「秘密。……聞かれて答える内容なら、お礼にならないもの」
ロクサーヌ:「ほら。まだ、買うものあるんでしょ」
ロクサーヌ:少しだけ得意げにそう言って。クレアに小さく手を振って、次の店へと向かおうとする。
パメラ:「こいつ~……」
クレア:「……」小さく手を振り返して、離れていく二人を見送る。
クレア:「……仲、良いんだな」どう表現すべきか迷った末に、ポツリと呟いた。

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ルカ:瓶の中で、炭酸が静かに弾けて消えてゆく。やはり飲む気がしない。
ルカ:「……何」視線に気づいて顔を上げる。
エリアス:ひょろりとした青年と目が合う。会議場で見た軍服とエンブレム。
ルカ:ハイスクールみたいな集団の一員。眉間の皺が一気に深まる。
エリアス:「あー、いや。アイギスの人っすよね…」
エリアス:「って、そんな顔しなくても!」
ルカ:「もともとこの顔」
エリアス:「あ、じゃあすみません」
ルカ:「納得すんのかよ」
エリアス:「人の顔にあれそれ言うのよくないでしょ」
ルカ:「ああそう」息を吐く。「で。何? 欲しいの」半分になったビール瓶を向ける。
エリアス:「いいんですか?」ぱっと喜ぶ。
ルカ:「いいよ。飲みかけでもいいなら」
エリアス:「貰います。やー、飲まないとやってられなくて」
ルカ:「……ドイツだっけ」青年を怪訝そうな顔で見る。
ルカ:「ビールが水代わり?」
エリアス:「はは!そこまでではないですね。フランスだってワインしか飲まないわけじゃないでしょ」
エリアス:ビールを貰う。一口飲む。
エリアス:「……いやあ、だって」
エリアス:「国を問わず搔き集められる、未曽有の危機の前ですよ」
エリアス:「普通にしてたらやってられない」
ルカ:「……」一瞥する。
ルカ:「普通みたいなこと言うやつ」
エリアス:あんま旨くないな、と正直に零し、もう少し飲む。咳き込む。
エリアス:「ええ?」
エリアス:「そりゃそうでしょ!」
ルカ:「んだよ。落ち着いて飲めよ」
エリアス:「もー。はい…」
エリアス:「……あなたもアイギスでは新人だって聞きましたけど」
エリアス:「落ち着いてるんすね。なんか」
ルカ:「あ?」
エリアス:「堂々として見える。…これも顔で判断だな」
ルカ:「あんたはおれのこと知ってるみたいだけど」
ルカ:「こっちはあんたのことを何も知らない…何」
エリアス:「知ってるっつーか…上からアイギスの隊員の情報ちょっと来たんで…や、すいません」
ルカ:「どう判断してほしいの」仏頂面。
エリアス:「普通になんか話しちゃったな」苦笑する。「エリアスです。エリアス・シュナイダー」
エリアス:「べつにどう判断しろというわけじゃないっすよ。雑談したくて…」
ルカ:「…ルカ」
エリアス:「…あ。名前ですか。ルカ。それは知らなかったんで、聞けて良かった」
エリアス:「呑んで人と話すと、気が紛れます」
ルカ:頬杖をつく。
ルカ:「…仲間といなくていいの」
エリアス:「………やーーー………」
ルカ:「んだよ」
エリアス:「なんかそういうんじゃないんすよね」
ルカ:「昼間はずいぶん楽しそうにしてただろ」
エリアス:「そ、そう見えました!?」普通に驚いている。
ルカ:「……何」不機嫌そうな顔になっていく。
エリアス:「いや、いい人たちですし、尊敬もしてますけど」
エリアス:「そういう距離感ではない……ってか、軍ってそんなもんかと思ってました」
エリアス:「おれも入ったばっかであんま分かんないんですけど…」
ルカ:「……」
ルカ:青年を一瞥し、目を逸らす。「……オーヴァードになれて」
ルカ:「良かったと思うか」
エリアス:へ、と一瞬驚き。「……どうなんすかね」
エリアス:「良かったってことにしたいなあとは、思います」
ルカ:「…そう」
エリアス:「…なんつうのかな…」
エリアス:瓶を揺らす。故郷とは違って見える琥珀色。
エリアス:「オーヴァードになって、いろいろ知ると…その前どう考えてたんだか、よくわからなくなりません?」
エリアス:「一回、泳げるようになったら、海入って浮いたら泳いじゃう的な…」
ルカ:「………」
ルカ:「人を殺すこととか?」
エリアス:手が止まる。
エリアス:「……そうですね」
ルカ:「いくらでも泳げるようになった」
エリアス:「はい」
エリアス:「溺れるかもしれないけど、それはそれとしてね」
エリアス:「それでなんか…目の前でなんか起きてたら、泳いで行っちゃうじゃないすか」
エリアス:「怖いし」
ルカ:「なんで怖くなんの」
エリアス:また呑んでいる。「……えっ。だって」
エリアス:「なんかできたかもって、後からずっと思いません?」
ルカ:「………」答えない。
ルカ:「お人好しだな、あんた」
エリアス:「ビビりなんですよ」
エリアス:「なんかできたのにしなかったって、いもしない奴に言われてる気がする」
ルカ:「そう」ビールの瓶に自分の姿が映る。目を逸らす。
エリアス:「いもしない奴…まあ、おれなんですけど。それが怖い」瓶を持ち上げる。自分を凝視する。
エリアス:「……ので、いろいろ怖くならないようにやってるっていう……何言ってんだろうな」
エリアス:自分から目を逸らす。
ルカ:「いいんじゃないの」
ルカ:「…自分で」
エリアス:隣にいる、初対面の青年を見る。やはり堂々として、自分とは全然違って見える。
ルカ:「自分を責める時ほど、終わりがないもんはないだろ」
エリアス:瓶に映る像を見ていたときのように、じっと見て。
エリアス:「そうっすね」笑う。
ルカ:ますます嫌そうな顔をする。
ルカ:「あんたの人生だから、良いけど」
ルカ:「最終的に決めるのはあんただし……でも」
エリアス:「はい」きょとんとしている。
ルカ:「その考えでいるとすぐ死にそう」
ルカ:微かに笑う。「それでいいなら良いけど」
エリアス:「……よ、よく言われます」
ルカ:「よく言われんのかよ」
エリアス:「すぐには性格とか変えられないでしょ!」
ルカ:「性格を変えられなくても、違うやり方を覚えることはできるだろ」
エリアス:「む……それはそうっすね…」
エリアス:「ルカはどんなやり方を知ってるんですか?」
エリアス:「自分で考えなさいって言われる奴か、これ」ぼやく。
ルカ:「はは」
ルカ:「優先順位をつけてた」
ルカ:「絶対に守りたい身内と、それ以外」
ルカ:「…あんたにゃつけられなさそうだな」
エリアス:ぽかんとして、へにゃりと崩す。
エリアス:「……はは」
ルカ:「なに喜んでんだよ」肩を叩く。立ち上がる。
エリアス:「いや、なんか」
エリアス:「普通の話を聞いたんで」
ルカ:「悪いな。普通で」
エリアス:「あなたは褒めて言ってくれてるのかと思ったんすけどー」
エリアス:瓶に残った、泡の薄い酒を飲み干す。
エリアス:「いや、なんか思うじゃないすか。こんなとこにいる人はみんな…」
ルカ:「まともじゃない?」
エリアス:「英雄みたいな」
エリアス:「そう。同じっすけど」
エリアス:「まあ。そういう感じで思ってたんで。」
ルカ:「……」青年を見下ろす。多分年下だと思う。
ルカ:「褒めてねえよ」
エリアス:「はい?」
ルカ:「あんたも」
ルカ:「自分で望んでこんなところに来たんだろ」
ルカ:「普通じゃない」
エリアス:笑ったような顔のまま、眉を下げる。「あなたは?」
ルカ:「少なくとも」
ルカ:「英雄にはなりたくない」
エリアス:「……褒められてないのに、変な話ですけど」
エリアス:「うん。なんか。よかった」
エリアス:「無性に安心しました。初対面なのにね」
ルカ:「そりゃどうも。味方の時は頼ってくれ」
エリアス:「はは!お願いします。あなた、すげえ頼れそうだし」
エリアス:「おれもそのときは、そこそこやりますね」
ルカ:「あっそ。じゃ、そこそこやれるようぐっすり寝てくれよ」
エリアス:「ガキ扱いだ」嫌そうではない。むしろ、楽しげに。
ルカ:「ああ。良かったな」
ルカ:「酒を引き取ってくれてどうも。んじゃ、おやすみ」
エリアス:「ええ。こちらこそありがとうございました。楽しかったです」
エリアス:「おやすみなさい」
ルカ:楽しげな表情に仏頂面で返し、そのまま踵を返す。
エリアス:酒が回り始めたかもしれない、淡い酩酊のまま部屋へ戻っていく。
エリアス:普通じゃない状態。明日はもっと。
エリアス:(大丈夫になっちゃうな)ぼんやり思いながら。
ルカ:一瞬振り返る。ひょろひょろした足取りで青年が客室の方に向かったのを見て、視線を戻す。
ルカ:(……おれが頼れそう?)
ルカ:じゃあ敵の時はどうするんだ、と言いかけ、能天気に笑うのを見て口をつぐんだ。
ルカ:「見所ねえガキ」
ルカ:忌々しそうに言って、自らも部屋に戻るため廊下を進む。
ルカ:能天気に笑う彼のように、自分を見て能天気に笑いかけてくる少女も、望んで戦うと言う。
ルカ:ますます苛々してくる。どいつもこいつも、と吐き捨てる。

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デュバリー:(信じられるものが一つしかないということは)
デュバリー:(暗闇を歩くのに、たった一つの電灯しか持っていないに等しい)
デュバリー:(それが損なわれた時、あなたは永遠に歩けなくなってしまう)
デュバリー:人は己を見ることはできない。鏡像を見るのにすら、鏡の前に立つ必要がある。
デュバリー:エミリアへ何となしに投げかけたその言葉は……
デュバリー:……夕方を過ぎる頃、不意にコーヒーに映った自分の鏡像から帰ってきて
デュバリー:デュバリーは宿舎ロビーのソファに座り込んで、物思いに耽らされていた。
デュバリー:窓の外は夜。食事時は過ぎているが、何も口にしないまま。
アッシュ:宿舎のドアが軋み、見慣れた銀髪が入ってくる。
アッシュ:「ああ、デュバリー。ちょうど良かった」
デュバリー:目線だけが向き、少し遅れて顔も 「アッシュ」
アッシュ:「さっき外で美味そうなの見つけたんだ」
アッシュ:そう言って手に提げていた袋を差し出す。
デュバリー:二、三度瞬いて受け取りつつ 「私に?」
アッシュ:「そう。えーっと、ヌストルテ?だって」
アッシュ:「キャラメル平気だったよな?確か」
デュバリー:「ナッツの。……うん、好き」
デュバリー:「ありがとう」 その言葉、そして表情は、いつものように平坦で、色がない
デュバリー:あるいは出立前に見せた疲労、のようなものも見受けられないだろう。
アッシュ:「良かった」
アッシュ:そう言うと、そのままソファの隣に座り込む。
デュバリー:受け取ったものを少し眺めて、口につけた所で
デュバリー:「!」 隣に座られ、ぴくりと反応する
デュバリー:「……どうしたの? 珍しい。なんか」
デュバリー:そのままヌストルテを齧るように食べて 「……どうだった? 各国のオーヴァード」
デュバリー:「結構見てきたんでしょ」
アッシュ:「まあね。顔馴染みと初対面と」 数えるように指を折って見せて。
アッシュ:「有意義に話せたよ。戦場じゃああは行かないし」
デュバリー:「だよね。状況が状況だし、いろいろな意味で二度とはないだろう機会」
デュバリー:「……」 そしてまたヌストルテを齧る
デュバリー:沈黙の裏で、空調の音、時計の音が流れていく。窓の向こうの夜光も、こちらには届かない。
アッシュ:「そっちは?」
アッシュ:当然彼女も何人かと会話を交わしたんだろうと思っている。彼女の一番の武器は情報だから。
デュバリー:「ポーランドの、ほら、狼男の人」
デュバリー:「話したよ。一緒にいた女の子とほぼできてた」
デュバリー:「でもそれくらいかな。エミリアの話、聞いてあげたりしてたから」
デュバリー:「もう少しすれば、別口で何か分かるかもしれないけど……」
アッシュ:「へえ。エミリアとデュバリーってなんか珍しいな」
アッシュ:「ああいや、別に急かしたかった訳じゃないんだ」
デュバリー:「女同士だもの。そういう時もあるよ」
デュバリー:「……でも、言われてみれば確かに、ちょっと収穫が少ないかもね」
デュバリー:「折角だし、この場で補填しようかな」
アッシュ:「そう?休んだって良いと思うぜ。せっかく甘いの食ってるんだし」
デュバリー:「休みながらでもできることはある」 少しだけ笑う 「フランスの英雄の情報収集とかね」
アッシュ:「なるほどね」 クツリと笑って。
アッシュ:「調子戻ってきたみたいだな。安心した」
デュバリー:「……気遣いさせてしまった?」
アッシュ:「デュバリーが普段してる分に比べたらしてないようなもんだよ」
アッシュ:「ただお菓子を買って帰ってきただけだからな」
デュバリー:「でも普段はしないことだからね。驚いた」
デュバリー:また齧る 「……状況が変わった訳じゃない」
デュバリー:「私の"娘たち"には被害が出続けているし、イタリアの"友人"たちもそう」
デュバリー:「私の好きな人たちは、守る手が届かないまま失われ続けている」
アッシュ:「そしてオレ達は何も出来ない」
デュバリー:「ええ」
アッシュ:「それが一番キツイ?」
デュバリー:唇の周りに付いた焼き菓子の破片を撫で取って
デュバリー:「うん。今はそれが一番きつい、って思ってるかな」
アッシュ:「今は、なんだ」
アッシュ:「会議の前の時、ちょっと話したじゃん」
デュバリー:「うん」
アッシュ:「あの時、なんか疲れてるように見えてさ」
アッシュ:「ビックリした。デュバリーは慣れると分かりやすいけど、それは相手に分かるようにしてる分だけだと思ってたから」
アッシュ:「普段ならあんなとこで疲れなんて見せないだろ」
アッシュ:「だからよっぽど参ってるんだと思ったんだけど……」
アッシュ:「弱るよな。思いついた出来そうなことといえば、菓子買って帰ることくらいだ」
デュバリー:「戦場では古今無双の英雄に秘められた、意外な弱点」
デュバリー:「……ううん、意外でもないか」
デュバリー:真面目な口調である。だが口元にはかすかに笑み
デュバリー:「あれは……多分、あの時が一番絶望してたからかな」
デュバリー:「先行きは見えず、事態が良く動く想像もできず、ただ漠然と、だけど確実に、私の大切なものが失われていっている」
デュバリー:「流れ続ける血を止めることもできず、眺めるしかできないみたいな……」
デュバリー:「そういう気持ちになったの、もう随分久しぶりだったから」
アッシュ:へえ、と意外そうに漏らして。
アッシュ:「珍しいの、デュバリーの方だろ」
デュバリー:「私の方?」
アッシュ:「人前で疲れた顔した上、昔話なんて。明日はきっと雪より珍しいものが降るぜ」
デュバリー:「……星が良い」
デュバリー:「そうしたらあなたも、今ちょっと悪くなった私の機嫌を良くするのにどうすれば良いか、すぐ分かるでしょう」
アッシュ:「3回願えばって?実際アリかもな」
アッシュ:「キミの考えが分かった試し、割と無いもんな。最初からそうだ」
アッシュ:「なんで気に入ってもらえたのかも、なんで手を貸してくれるのかも。未だに知らない」
デュバリー:「……流れ星へのお願いに、それを知りたいって使う?」
アッシュ:「ん、ん……」 視線が浮く。ロビーの窓ガラスから見える夜空に星を探すように。
アッシュ:「やめとく。レディの秘密を暴くのはマナー違反だろ」
アッシュ:「そのくらいのデリカシーはある」
デュバリー:「……」 それには唇だけの笑みを返し、窓の外へ目を向けて
デュバリー:「……なら、もし願えるなら何を願うのかな」
デュバリー:「アッシュ・ノイ・ジラードに、願いはある?」
アッシュ:「そうだな」 今度の間は先ほどより短く。
アッシュ:「今はないな。願う分の時間を使って、空を眺めることにする」
アッシュ:「星が流れた先でどう消えるかって意外と見たことないから」
デュバリー:「……ふふ」 漏らすような笑い
アッシュ:「なんだよ。何か笑えること言った?」
デュバリー:「そうね。素晴らしい答えだと思う」
デュバリー:事実、その答えはデュバリーにとってあまりに明確な、文字通りの『答え合わせ』であった。
デュバリー:アッシュ・ノイ・ジラードは望まない。自らの目で確かめる。
デュバリー:「良い情報収集だよ」
アッシュ:「なら良かった」
アッシュ:「どうやら星に願わなくても機嫌を直せたみたいだしな」
デュバリー:「ええ。……ああ、ううん、それはちょっと違うかな」 一度頷きかけ、すぐに否定する
デュバリー:「私の機嫌ということであれば、あの会議が終わった頃には、もうほとんど落ち着いていたの」
デュバリー:「何だかんだで、集まったオーヴァードがイタリアに向けて動き出して……自分がやることも定まったら、落ち着いちゃって」
デュバリー:「だから、厳し目に採点すれば、あなたのお気遣いは、遅かったし、有効かどうかも分からない」
デュバリー:「……お菓子のセンスは良いかな」
デュバリー:最後のひとかけらを口に入れ、指先を唇で挟む。
アッシュ:「ちぇ。じゃあ次はどうするかな」
アッシュ:「クレアみたいに普段から菓子を持ち歩きでもすればいい?」
デュバリー:「駄目だよ、アッシュ。女は男に答えを教えないの」
デュバリー:「女が一番綺麗でいられるのは、男の思考の中だって知ってるからね」
デュバリー:椅子を立つ 「そのままでいいよ。あなたはそれで」
アッシュ:「そう?そしたらまた周回遅れの気遣いになるかもだけど」
デュバリー:ふ、と吐息を漏らして
デュバリー:「周回遅れでも、お菓子は甘いし、気遣いは嬉しいものだからね」
デュバリー:「それよりも、私は……」
デュバリー:……唇に浮かびかけたのは、ある種の謝罪だが。多分それすら、彼を困惑させるだけだろうし。
デュバリー:「……それもいいや。おやすみ、アッシュ」
デュバリー:「明日から忙しいよ」
アッシュ:「ん。おやすみ、デュバリー」
アッシュ:「Bon rêve.」
アッシュ:そう挨拶を残すと一足先に自室へと帰っていく。
デュバリー:その背を見送って、テーブルのコーヒーを片付け始める。
クレア:「なんだ。出遅れてしまったみたいだな」
デュバリー:「……あなたは別にそれでいいんだ、アッシュ……」
デュバリー:「わ」
クレア:灯りの落ちた廊下の先へアッシュの背が見えなくなると同時に、反対側から音もなく現れる。
デュバリー:何か漏らしかけた言葉が、ひゅんと喉へ引っ込む
デュバリー:「クレア」
クレア:「こんばんは。デュバリー」
デュバリー:「うん。……そうだ、クレアも、もしかしてだけど」
クレア:右手には小さなトレイと、コーヒーカップが2つ乗せられている。
デュバリー:「あの会議の時、声を上げたの、あなたには珍しいと思ったんだけど」
デュバリー:「気を使わせてた?」
クレア:「気を使うのは得意じゃない」困ったように笑う。
クレア:「ただ、自分も助けたいと思った」
クレア:「デュバリーの大切な人なんだろ?」
クレア:「けど済まなかった。慣れないことをしてみたが上手くは行かなかったな」
デュバリー:「拙くても気持ちが嬉しいなんて、良くある話だけど」
デュバリー:「今回もそれだから。……大切な人という言葉は少し重いけど、そう」
デュバリー:「友達。みんな大切にしてるから」
クレア:「良いことだ」
デュバリー:「……」 そう口にして、何だか浮ついた言葉だな、と自覚し、何となく周囲の植物に知覚を広げる。……アッシュと話している間はそれも忘れていた。
デュバリー:「……クレアは」
デュバリー:「流星を見たら何を願う?」
クレア:「それ、流行っているのか?」少し驚いた風に
デュバリー:「え?」 ぱちりと瞬く
クレア:「ああ、済まない。昼間にも似たようなことを聞かれて」
デュバリー:「へえ。……誰に?」
クレア:「星に手が届いたらどうするって。少し意味合いは違うのかな」
クレア:「ソビエトのオーヴァードだ。イリーナと言っていた」
デュバリー:「イリーナ」 女だ……と思いつつ
クレア:「議事堂には居なかったが、デュバリーも妙な気配は感じていただろ?」
デュバリー:「ああ、うん。何か通信の電波は感じてたかな。さすがに乱れがひどかったから、受信はできなかったけど……」
デュバリー:「……アッシュともさっき、そんな話をして」
デュバリー:「私はアッシュが、何かすごい願いをするんじゃないかと勝手に思ってた」
クレア:「ああ、やっぱりあの人影はアッシュだったのか」
デュバリー:「うん。それでアッシュは、何も願わないで、流れ星を観察するんだって」
クレア:「その口ぶりだと、期待はずれだった」
クレア:「……ようにも見えないな。その顔は」
デュバリー:薄く笑う 「……うん。ううん? 期待外れだった」
デュバリー:「"期待"が"外れ"てたの。私のね。でも、そうだよなって」
デュバリー:「アッシュは確かに流星を眺めてると思わない?」
クレア:「うん……そうかもな。願い事なんて柄でもないし」
クレア:「自分の好奇心に正直な奴だからな。アッシュは」
クレア:「アッシュらしい。……けどそうなると」
クレア:「デュバリーは、本当は何を期待していたんだ?」
デュバリー:「何でも良いんだけど、何か、途方もないことか……信じられないくらい些細なことか」
デュバリー:「……本当に何でも良かったんだけど。そうだね。アッシュ・ノイ・ジラードの英雄譚が未来にあったとして……」
デュバリー:「その柱に書かれるようなことがあって欲しかった」
デュバリー:「でも実際はそんなので。それを聞いてね。何だか色々……」 少し言葉を選び 「……分かった感じがして」
クレア:「わかったって、何を?」
クレア:そこまで口をついて、しまったかなと身構える。いつものデュバリーの調子なら、そこは察する所だと窘められてもおかしくはない。
デュバリー:「色々なこと。アッシュのこと。私のこと。……とてもたくさんのこと」
デュバリー:「長い話になる。……一晩私と付き合ってくれるなら、話すよ?」
デュバリー:垂れた前髪を透かして、僅かにからかうような笑み。
クレア:「明日は早いぞ。一晩中は作戦に支障が出る。幾ら待機とは言ってもな」
クレア:「けど」持っていたカップをテーブルに置く。
クレア:「眠くなるまでなら付き合える。丁度君のために持ってきたんだ」
デュバリー:髪が揺れる 「私のため?」
クレア:「ビアフラで約束したから。ちゃんと美味いコーヒーを飲ませると」
クレア:「菓子は大したものじゃないけどな。深夜だし、昼間に食べすぎてしまった」
デュバリー:「その話? 何も今じゃ……」 言いかけて、明日の保証など当然ないことを思い出す
デュバリー:少し心が浮つきすぎていたのかもしれない。小さく頷く 「……うん。そう。なら貰おうかな、今」
クレア:「良かった」珍しく自然に微笑んで
クレア:「機嫌、直ったみたいだったから。いらないかなと思っていたんだ」
クレア:カップにコーヒーを注ぐ。焙煎したての豆の香りがロビーに漂う。
デュバリー:「自分の機嫌を良くしてくれるものなんて、いくらあっても困らないもの」
デュバリー:「あなたからのものなら、なおさら」
クレア:「光栄だな」
クレア:「と言っても、自分があげられるのはコーヒーか甘味ぐらいのものだが」
クレア:「それでよければ、好きな時に」
デュバリー:「素敵な組み合わせ。……お菓子もまた、手作りして。好きだもの」
クレア:「もちろんだ。自分もその方が楽しい」
クレア:「願いを叶えられるような力はないが」
クレア:「星よりは簡単に、手が届く所にいるよ」

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サブGM:議事堂近くのホテル。ドイツの面々が宿泊するホテルよりはグレードの落ちるが、
サブGM:それでも十分なグレードのものだ。
サブGM:作戦当日の早朝。その一室に陽光が差す。
サブGM:男は瞼を開け、手を伸ばした。
ミラン・サイフェルト:ベッドの傍らに置いた眼鏡を取り、身につけた。
ミラン・サイフェルト:「……」半開きの目のまま、髪をガシガシと掻く。
ジナイーダ:その傍ら、隣が動いても気にすることなく寝息を立てている。
ジナイーダ:このまま何時間でも寝て過ごせる。そういう気質だ。
ミラン・サイフェルト:「……」その肩を揺らす。「おい」
ミラン・サイフェルト:「これで遅参しましたは笑いものにもならないぞ」
ジナイーダ:「ん~」揺られている。「ん……」
ジナイーダ:緩慢に目を開ける。
ジナイーダ:「……おお。寝起きに見る顔じゃない」むにゃむにゃと笑う。
ミラン・サイフェルト:「……」溜息を付いて。「じゃあ何ならよかった」
ジナイーダ:伸びをする。「や~」
ミラン・サイフェルト:「地獄の戦場か?それよりはマシな自負があるが」
ジナイーダ:「まだ死神の顔は見たことがないなあ」
ジナイーダ:「可愛い照れ隠しだとでも思ってよ」手を適当に伸ばし、服を拾う。
ミラン・サイフェルト:「自分で言うことか?」こちら側に落ちている服を拾ってやって。
ミラン・サイフェルト:「まあ、あいにく、おれもそいつの顔を拝んだことはない」
ジナイーダ:受け取る。とりあえず着ていく。「ふ……」
ジナイーダ:「生憎なの」
ミラン・サイフェルト:「後ろ姿ばかり見ていればな。気になりもする」
ミラン・サイフェルト:「そいつの顔を拝んだやつの顔なら見飽きたが」冷蔵庫から水の入った瓶を取り出す。
ミラン・サイフェルト:一本投げ渡す。
ジナイーダ:「相変わらず気が利く」受け取る。ぐいっと飲む。
ジナイーダ:声が嗄れるなんてこともないのにな、と思う。
ジナイーダ:「あんたにとってはさあ」
ミラン・サイフェルト:「何だ」
ジナイーダ:「見飽きることのが不運なの?」
ミラン・サイフェルト:「……どうだかな」
ミラン・サイフェルト:「昔は逆だった。それがおれの幸運だと思ってたが」
ミラン・サイフェルト:「終ぞ後ろ姿も見えなくなったからな」
ジナイーダ:「そんなやつより私を構うことになったのは、間違いなく幸運といえる」
ジナイーダ:「どんな絶世の美女だって、後ろ姿だけじゃあね!」
ミラン・サイフェルト:「そうだな。存外こちらを向けば後悔するかもしれん」
ジナイーダ:立ち上がる。男の腕にわずか、収まってから離れる。
ミラン・サイフェルト:その姿を目でわずかに追って。
ミラン・サイフェルト:「続くと思うか?幸運が」
ミラン・サイフェルト:「揺り戻しがどこかで来る。おれにはそういう感覚が未だに抜けない」
ジナイーダ:ふは、と笑う。
ミラン・サイフェルト:「……何がおかしい」
ジナイーダ:「おかしいよ。ずっと」
ジナイーダ:「それが私やあんたなのか」
ジナイーダ:「そうじゃなくて、もっと大きいなにかなのかなんて、私は知らないけど」
ジナイーダ:「……昨晩はそんな未来なんて、どうだっていいみたいな目をしてたくせにね?」
ミラン・サイフェルト:「……」
ミラン・サイフェルト:「お前」
ミラン・サイフェルト:「重くなったな」
ジナイーダ:答えずに軽く蹴る。体術の心得はない。
ミラン・サイフェルト:「図星か」
ジナイーダ:「もっと重くなっておけばよかった。抱えるのにはまだ困らないでしょ」
ミラン・サイフェルト:「馬鹿を言え。落とさないかヒヤヒヤしてる」
ジナイーダ:肩を揺らす。少年のようなざっくばらんとした笑い。
ジナイーダ:「揺り戻しね」
ミラン・サイフェルト:「……」薄く笑う。
ジナイーダ:「来るとしても、今じゃないよ」
ミラン・サイフェルト:「そもそも、あの頃から考えていたような口を利いたが」
ミラン・サイフェルト:「思い返せば、常に考えていたわけではないな」
ジナイーダ:「へえ」
ミラン・サイフェルト:「今でないのもそうだ」
ジナイーダ:「私といて、そんなこと考える隙があったんだとしたら」
ジナイーダ:「それは腹が立つなあと思ってたところ」
ミラン・サイフェルト:「……そのお前の自信はどこから来るのやら」
ジナイーダ:能力が高いわけではない。戦うことも、考えることも、優れてはいない。
ジナイーダ:この男にしても、どの軍でもうまくやっていける身ではないだろう。
ジナイーダ:「おれが持たせたんだ、くらい言わないんだよなあ」
ジナイーダ:そのままドアへ向かう。
ジナイーダ:上着は皺がついて、そのまま着るには堪えない。替えが欲しかった。
ミラン・サイフェルト:その後ろ姿を見送って。
ジナイーダ:「どこから来るかなら、戦場から来る」
ジナイーダ:「自信を失くすときが来るとしたら、たぶん」
ジナイーダ:「それをあんたが見ることはないんじゃない」
ジナイーダ:それだけ楽しげに言って、出て行く。
ミラン・サイフェルト:「……お前は何も分かってないよ、ジーナ」
ミラン・サイフェルト:去った後に独り言つ。
ミラン・サイフェルト:>ジナイーダ:「どんな絶世の美女だって、後ろ姿だけじゃあね!」
ミラン・サイフェルト:「どうだか」

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デュバリー:朝、宿舎のロビー。
デュバリー:街並みがひそやかに寝静まっている頃から、デュバリーは起き出してそこに座っていた。もとよりそこまで眠らないたちだ。
デュバリー:それに、次第に目を覚ましていく世界を眺めるのは、そんなに嫌いなことではない。
デュバリー:(……クレアのの方が美味しいかな)
デュバリー:少しざらつきのあるコーヒーを口にしながら、周囲の植物と交感しつつ、静かに時を過ごす。
ルカ:朝日が昇り、それでも朝食の時間には早い頃。
ルカ:ロビーにやって来る。デュバリーならもう起きていると思った。
デュバリー:視線だけを向ける 「おはよう」
ルカ:「おはよ。今、いいか」
ルカ:仏頂面で言う。
デュバリー:「? いいけど」 頷くように首を傾げる
デュバリー:「珍しいね。ルカが一直線にそんななんて」
ルカ:「頼み事したくて」斜め向かいに座る。
デュバリー:まばたき 「頼み」
ルカ:「エミリアのこと」
デュバリー:音を立てずにコーヒーを啜る
ルカ:「後方待機とはいえ、いつ戦闘になるか分からないだろ。今日から。…それで」
ルカ:「もし戦闘になったときは、あんたのそばにつけて欲しい」
ルカ:「あいつ、トライブリードの能力を高めるんだから。対象があんたでもいいだろ」
デュバリー:「……そうだね。何だかんだ私もここまで使われてるのは、そこも踏まえてのことだと思うし」
デュバリー:「『私でもいい』のは確かだけど」
デュバリー:「『私のほうが良い』かは、どうかな」
ルカ:「………今はあんたの方が良いよ」仏頂面で言う。
デュバリー:「いずれまた、ルカの方が良くなる?」
ルカ:「あいつがそう思うならそうなる」
ルカ:「おれは、ずっと『デュバリーの方が良い』と思う」
デュバリー:「みんなの意見は違うと思うよ。少なくとも、戦力を考えたら」
デュバリー:「エミリアの能力は不安定だけど、それぞれの役目を考えたら、ルカの方が良いって言うだろうね」
ルカ:「うん」ムスッとする。
ルカ:「それも分かる」
ルカ:「だから、こうしてあんたに頼みに来た」
デュバリー:「……」 頷くか、傾げるか。どちらともつかぬふうに首が動き、亜麻の髪がわずかに波立つ
デュバリー:まだ中身の入っているコーヒーのカップをテーブルに置いて
デュバリー:「昨日、エミリアと話はしたの」
デュバリー:「あなたが泣かせた後にね」
ルカ:「…」デュバリーを一瞥。「…してないよ」
デュバリー:「そう。私はした。話して、エミリアのことは、少し分かってあげられたんじゃないかって思ってる」
デュバリー:「もう少し早くそうしてあげればとも、ちょっと思った。いくら転戦していたとはいってもね」
ルカ:「…どう思ったの」
デュバリー:「鳥が、卵から孵って最初に見たものを親と思うのは」
デュバリー:「愚かだからじゃない。天敵の飛ぶ空の下、生き残るためには、それが一番だから」
デュバリー:「あの子は鳥で」 視線を落とす 「でも鳥じゃない」
ルカ:「……偶然なんだよ」
ルカ:「エミリアが最初に会ったのがおれだったのは、ただの偶然」
ルカ:「人間なら、適切な誰かを保護者に選べる」
デュバリー:「どうかな。誰が適切かなんて、分からないよ」
ルカ:不機嫌そうな顔になる。「…それなら」
ルカ:「それなら、それで。そう言ってくれりゃいい」
ルカ:「お前は優しいはずだのお前が心配だの、それらしいこと並べられるよりは…」
デュバリー:少し目を細めてルカを見る 「正しさみたいなものが欲しいのね」
デュバリー:「盲信ではなく、客観性。……言葉にすれば当然か」
ルカ:「会ったばかりのやつに、いきなり全幅の信頼を寄せられてみろ」
ルカ:「怖いよ」
ルカ:それだけ言う。
デュバリー:「自分以外を知らない小鳥に懐かれて、気持ち良く思う人だっている」
デュバリー:「けど、うん。あなたはそうじゃないよね」
デュバリー:「……エミリアと話してちょっと気付いたんだ。アッシュにしてたことに比べれば、大したことではないけど……」
デュバリー:「私もあまり、正しくルカを見れていなかったんだなって」
ルカ:「…なに」怪訝そうな顔をする。
ルカ:「どこ聞いてほしいの、それ」
デュバリー:「あなたが訊きたいようにしたら?」 微かに笑う
デュバリー:「欲に応えるのは得意だよ」
ルカ:「……」不機嫌そうな顔になる。「…じゃあ気になった方を聞く」
ルカ:「あんた、アッシュ・ノイ・ジラードを、英雄だと思うか」
デュバリー:「いいえ」
ルカ:「なんだと思うの」
デュバリー:「素直な少年」
デュバリー:「英雄にだってなれる」
ルカ:「…優しいな」
デュバリー:「ふふ」「あなたほどじゃない」
ルカ:「おれは箱入りのクソガキだと思う」
ルカ:「優しくない」
ルカ:苛々する。「……あいつ、戦って勝つことしか考えてない」
ルカ:「勝手にこっちが夢見て話すと、勝手にがっかりする」
デュバリー:(あなたがそうやって不機嫌な顔になるのが、何よりの証拠だとは思うけど……)
デュバリー:思うに留めて置く。別にからかいたい訳ではない。
デュバリー:「……考えてないのは、素直だからだと思うし」
デュバリー:「あなたが言うように、無知だからでもあると思う」
デュバリー:「そうだね、彼の特異性と強さを褒めそやして、みんなが与える英雄という呼び名は……」
デュバリー:「不釣り合いで、実情には合っていないのかもしれない」
ルカ:「……」相槌のかわりに、デュバリーを見る。
デュバリー:ソファに背を預けて 「でも私は、その全てに」
デュバリー:「『今はまだ』と着けて良いと思う」
デュバリー:「エミリアのことも、アッシュのことも、きっとあなたの何かにも」
ルカ:「…あんたは」
ルカ:「アッシュを、英雄にしたいの」
デュバリー:「なって欲しい。何か途方もなく、全てを守って、救ってくれるようなものに」
デュバリー:「……って、思ってたこともある」
ルカ:「ん」
デュバリー:「なんか、変な話なんだけど。……今は別に、あんまり思ってない」
デュバリー:「少なくとも、英雄にしたいとも、なってほしいともね」
ルカ:「うん」
ルカ:「……なんであれ」
デュバリー
ルカ:「とりあえず勝ち続けてくれりゃ、おれ達がこうして勝手にウダウダ考えてるのが、ただの『余計なお世話』になる」
デュバリー:「アッシュについてはね。エミリアのことについては」
デュバリー:「『良いお世話』だよ。……だから、あなたのお願いは聞いてあげる」
ルカ:「……どうも」
デュバリー:「個人的には、あなたのお世話も焼いてあげたいんだけど」
デュバリー:「不器用を直すのは難しいからな」
ルカ:「……」眉間に皺を寄せる。
ルカ:「ほっとけ」
デュバリー:「怒らせちゃった」 楽しげに笑い
デュバリー:「……戦争は続くし、毎日は続いて、みんな少しずつ前に進んで、成長してって、していくんだろうけど」
デュバリー:「全部、勝って、生きている限りは、だから」
デュバリー:「周りのお世話も良いけど、何よりもそれだからね、ルカ」
デュバリー:「必要な時は、エミリアもアッシュも」
デュバリー:「……分かった?」
ルカ:「……うん」
デュバリー:「ん」 頷いて 「コーヒー、貰ってくれば?」
デュバリー:「アメリカの味だよ」
ルカ:ますます不機嫌そうな顔になる。「…そんな故郷の思い出し方はしたくねえよ」
デュバリー:「じゃあ紅茶にすると良い。そっちはフランスと同じ味のはず」
ルカ:「……ん」立ち上がる。「デュバリー」
デュバリー:「ん?」
ルカ:「あんたからは絶対に世話を焼かれたくない」
ルカ:「情が沸く」
ルカ:「…紅茶にする」ロビーを出て行く。
デュバリー:「あら」 そっと手を振って見送る
デュバリー:「甘えてもいいのに。……ん、それとも大人っぽい方が好みっていうことだったかな……」
デュバリー:当てなく、朝日の下の草木のように揺れながら、時は過ぎていく。



GM:シーン終了。ロイス・購入可能です
GM:最後の購入チャンスです
ルカ:さ 最後
ギル:そうだったとはね
アッシュ:もう最後?
クレア:まだOPなのに…
ルカ:誰か絶対欲しいやつありますか?
デュバリー:なんてことだ
デュバリー:ライトマシンガンは手に入ったので絶対ということはないかなあ
GM:2回くらい購入していいですよ
アッシュ:あ、やった
デュバリー:アバウト
ルカ:わあい
クレア:うれしい
ギル:私は大口径機関砲を買います
ギル:2DX+18
DoubleCross : (2DX10+18) → 7[6,7]+18 → 25

ギル:出目はしょぼいけど財産13点使って買おう
ギル:ギルトレット・レッドフォードの財産を13減少 (25 → 12)
アッシュ:じゃあシューターズジャケットチャレンジでもするかな
アッシュ:1dx+6>=13
DoubleCross : (1DX10+6>=13) → 7[7]+6 → 13 → 成功

ルカ:あっすごい
アッシュ:あ、買えた デュバリーにパス!
デュバリー:あっもらっちゃった もらいます スイス製!
クレア:ギガンティックモードで爆散させる用の武器でも買おうかな
ルカ:ブルゲ購入でも狙うかな
ルカ:2dx+1>=20
DoubleCross : (2DX10+1>=20) → 8[3,8]+1 → 9 → 失敗

ギル:あともう一個買えるのか
ルカ:無理だ あと+4を忘れずにね はい
アッシュ:こっちもあともう1個どうしようかな
デュバリー:ミドルの具合が分からないし
デュバリー:狙えそうなら応急手当のトランクの方、ないならキットの方が丸いかな
ルカ:2dx+1+4>=8 弱者なので応急キット
DoubleCross : (2DX10+5>=8) → 9[6,9]+5 → 14 → 成功

ルカ:えっええ~高い目 でも買いました
アッシュ:じゃあ応急手当キット買っとこ
アッシュ:1dx+6>=8
DoubleCross : (1DX10+6>=8) → 10[10]+8[8]+6 → 24 → 成功

アッシュ:ヤバない?これで手持ちが2個になって終了!
ギル:範囲攻撃用の武器買っても上手く使えん気がするし
ギル:医療トランク買おうか
ギル:2DX+18>=20
DoubleCross : (2DX10+18>=20) → 3[1,3]+18 → 21 → 成功

ギル:ギリギリ成功
デュバリー:ブルーゲイルに1回挑んでおく
デュバリー:4dx+4=>20
DoubleCross : (4DX10+4>=20) → 10[7,9,9,10]+8[8]+4 → 22 → 成功

デュバリー:成功しちゃった ルカくんが欲しがってたので渡しておこう
ルカ:あっありがとうございます!!もらいます
クレア:まずは予備のボルトアクションライフル
クレア:3dx+8>=15
DoubleCross : (3DX10+8>=15) → 9[3,6,9]+8 → 17 → 成功

アッシュ:今回皆購入の出目良いな
デュバリー:そして応急手当キット
デュバリー:4dx+4=>8
DoubleCross : (4DX10+4>=8) → 5[2,3,5,5]+4 → 9 → 成功

デュバリー:なんとかかえたぜ 以上です!
ギル:+4でかいね
クレア:もう一個はライトマシンガン狙ってみようかな
クレア:3dx+8>=20
DoubleCross : (3DX10+8>=20) → 7[6,6,7]+8 → 15 → 失敗

ギル:フリーダム
クレア:とりあえず一個予備できたので良しとする



【Masterscene】

イタリア ローマ
GM:9月10日の未明にベルンを出発した臨時合同軍の一行は、同日の昼頃にはローマ市街まで到達した。
GM:平時ならば観光客で賑わう古都は、今は完全に避難が完了し、もぬけの殻となっていた。
GM:列を成した軍用車が車道の真ん中に停車すると、異様にすら感じる静寂が一同を包む。
クラウディア:「はー……静かだねえ」田舎へ帰省でもした子供のように、のんびりとした声音。
ジナイーダ:「おお。こんなに静かなローマはお目にかかったことがないな」
カタリーナ:「観光し放題だね~」
イルゼ:「……」普段ならばクラウディアの呑気さを窘めそうなところだが、黙っている。
クラウディア:「あはは、お店も閉まってると思うけどね」
エリアス:「…あれ、イルゼさん元気ないです?」
イルゼ:「……そんなことは無い」かぶりを振る
イルゼ:「コンディションの調整も兵士の義務だ……私は緊張感を持って任務に臨んでいるに過ぎない」
イルゼ:微妙に早口で言う。
エリアス:「そっすか…?」不思議そうにしつつ。普段の戦場もそうではないような。
カタリーナ:「いつもは緊張感持てって言うのにねえ」
クラウディア:「あら。先輩……もしかして、緊張しちゃってたり?」
イルゼ:「……違う……絡んでくるな」目を逸らす。
パメラ:「逃げ遅れたやつだっているはずだろ。どうなってんだ……」隊列の後方で独り言ちる。
エドヴァルト: 「……」イレナと共に静かに周囲を睨み渡し、鼻を利かせている。
トミー・ウェイクマン:「すげ~、マジでローマじゃん!ヘップバーンの映画で見たまんま」
トミー・ウェイクマン:「あれ見たやついる?超面白かったよな~」
イレナ:トミーさんを無視。周囲を見渡し、障害物を確認している。
“バーバヤガー”:「おれは見たぞ。ありゃいい映画だ」
トミー・ウェイクマン:「おばあちゃんも見たの!?マジ良かったよな~!」
ジナイーダ:「ヘップバーン綺麗だったよねえ。私はあの男ムカついたけど」笑う。
レナート:「おばあちゃんって……テメェ……」
“バーバヤガー”:「若い女には見えねえだろうさ」
ジナイーダ:「いや…ヘップバーンの顔以外あんま覚えてないな」ぼやく。
ミラン・サイフェルト:「お前は……」呆れる。
アウグスト:「……」部下や同行者のやり取りを黙殺し、険しい面持ちで警戒している。
リシェ:「……予想では間もなくαがローマ市街に到達するところだけれど」周囲を見回す。
リシェ:「……そもそも、人一人この街から見つけ出すのも容易ではないわね」
エドヴァルト:「……呑気なものだな」賑やかな会話を耳に、顰め面で小さく呟く。
イレナ:「そうだね。…そもそも、どんな姿や移動をしてるのかすらまだ、わからないのにな」
カタリーナ:「ねえイルゼ、どうしたの~?」
カタリーナ:「お腹痛いの?」
イルゼ:「……ち……違います。大丈夫ですから……」
イルゼ:気まずそうに顔を背ける。特にクラウディアから。
クラウディア:「……あれ、イルゼ先輩マジで調子悪そう?」
クラウディア:からかっていたが、本気で心配するように逃げていく顔を見やる。
イルゼ:「誰のせいだと……!」
エリアス:「あ、いつもに戻ってる」
クラウディア:「あ、ちょっと戻った」
エリアス:「よかった~」
“バーバヤガー”:「おいおいゲオ坊、お前の所は躾もなってないのかい」
“バーバヤガー”:「それじゃあ先が危ぶまれるってもんさね。なあ」
“バーバヤガー”:「イリーナ」
イリーナ:『──』
イリーナ:逡巡とも嘆息ともつかぬ一拍を置いて。
イリーナ:『了解ダー
イリーナ:上空。
イリーナ:虚しくも晴れ渡る蒼穹に、複数の光点が生じ、膨れ上がる。
ジナイーダ:瞠目。感知はでき、しかし対処する能力はない。「あれ!」
カタリーナ:「あっ」見上げる。「来る。何かな」
ロクサーヌ:「……」パメラと共に、隊列の後方を警戒していたが。徐に空を見上げる。「え」
ゲオルグ:「……」
ゲオルグ:瞬間、ドイツ軍の乗ってきた軍用車が膨張、変形する。
エリアス:声をあげようとして、ゲオルグの動きを見て止まる。
ゲオルグ:1秒にも満たぬうちに奇怪な鋼鉄のトーチカが形成、部隊の全員を覆い隠す。
イリーナ:ほぼ同時、着弾。
カタリーナ:「わあっ」
イリーナ:轟音と閃光。高高度からの爆撃により、ドイツ陣営を中心とした一体の地面が抉れ──
アウグスト:「……構えろ。お前たち」
アウグスト:濛々と立ち込める粉塵の中から声が響く。
アウグスト:「戦争クリークだ」
クラウディア:「あははっ……今のマジ? 喧嘩売られてるじゃん、私ら」
エリアス:「はっ」《代謝制御》。思考を鎮静化。
エリアス:小銃を取り出す。そこに影が伸び、腕と融合する。銃口を取りつけた影の黒い鎧となる。
カタリーナ:「Alles klar~」間延びした声のまま、両の二の腕を抱えるように。
ゲオルグ:炎が燃え盛るが、トーチカは食い破られてはいない。周囲の石畳を巻き込んで、生物のごとく更に膨らんでいく。
ゲオルグ:形成された砲口から鉄片が射出され、“バーバヤガー”に迫る。
“バーバヤガー”:それをかわそうともせず。「レナート」
レナート:軌道に飛び込み、鉄片を弾き落とす。全身黒に染まり、牙と爪、鱗の生えた姿。
パメラ:「おいおいおい……」
トミー・ウェイクマン:「いやっ……ちょいちょいちょい……何何!?」
ロクサーヌ:「はあ……? こいつら、正気……?」
“バーバヤガー”:「死にたくねえ奴らはすっこんでな」
“バーバヤガー”:「死んでる連中はもういっぺん死んどきな」
リシェ:「な……仲間割れをしている場合ですか!」
レナート:「仲間じゃねえからな、最初から」
ミラン・サイフェルト:「……元からこれが狙いか。ジーナ!」駆け寄り、その体を掲げあげる。
ジナイーダ:当然のようにそうされる。「こうなったか!」
カタリーナ:両肩のゲシュペンストの徽章を、180度ひっくり返す。
カタリーナ:そこから針が飛び出し、その体を穿ち。彼女たちは変貌する。
クラウディア:「ぐ、っ……」ぞぶり、と胸章から伸び出た針が深く己の身を刺す。神経を侵蝕していく。「ふふ」
クラウディア:「……良いね。相手も大物だらけだ」反転した亡霊ゲシュペンストのエンブレムの上で、酷薄に笑う。錆色の鉄砂が、煙のようにその周囲を漂う。「昂ぶってきた」
イルゼ:「く……」呼吸のたび、酸素が身体に行き渡るかのようにレネゲイドが励起されていく。思考が戦闘のそれへと切り替わっていく。
カタリーナ:右腕からは激しく炎を噴出し、左腕からは静かに氷が侵食する。そういった創り変えられたかたちを取る。
カタリーナ:「あは~」
“バーバヤガー”:熱持つ蒸気が周囲に立ち込める。鱗持つ獣の姿が複数にもぶれていく。
エリアス:穿たれた針が思考を均していく。(…普通、こんなのやってられないよな)
エリアス:(だから、普通じゃなくなる)《完全演技》。使用する遺産の所持者、あるいはそれが望む姿に自分を仕立て直していく。
エリアス:恐れることなかれ、と影が微笑む。英雄であれ。そう望まれる。なれない。だから、それを模倣する。
エリアス:銃口を蒸気の奥へ向ける。
ミラン・サイフェルト:「下がるぞ。こんなのに巻き込まれるのはごめんだ」
ミラン・サイフェルト:「どうしてこんな短期間さえ一緒になれない」舌打ちして。
ジナイーダ:「了解。…私らの国ほどじゃあないでしょ」笑う。
トミー・ウェイクマン:「お……おいおいおい!待て待て待てって!」
トミー・ウェイクマン:「やめようぜこんなの!どうすんだよ!ヨーロッパが大変なんだろ!?」
アウグスト:上下逆転した胸の徽章から、じわりと黒色の筋が広がる。菌糸の如く。
アウグスト:それは軍服の上から全身を覆い、漆黒の人型となり──かけて。
アウグスト:「──フゥ──」
アウグスト:びくりと脈打ち、右腕へと凝集。
アウグスト:肘から先のみを、黒い陽炎を立ち昇らせる刀剣へと変える。
アウグスト:「……私の国は。そのような名ではない」
イレナ:「エド。…私は撤退すべきだと思う。きみは?」
エドヴァルト:「……看過できんな。何にしても、俺達は同盟を結んだ」
エドヴァルト:「何故、とは問うまい。離反者は狩るべきだ。違うか?」
イレナ:「……私にはそんな義理はないけど。…あなたの狩場は、この世のどこにだって作るよ。私は」
エドヴァルト:「俺の義理でもない。国として同盟を結んだ。その義理を果たす」イレナにそう告げて、悠然と踏み出る。
エドヴァルト:その肉体にも、佇まいにも変化はない。元より「このような状況」を心していた故に。
ティベリオ・ディルーカ:《おい!何が起きてやがる……!どうなってやがるそっちは!》上空を飛ぶ戦闘機からの通信。
ティベリオ・ディルーカ:《テメエら一体何を――!》
ロクサーヌ:「……引き返すわよ、パメラ」周囲を警戒しながら、既にその場を離れつつある。「こんな馬鹿な真似、付き合っていられない」
パメラ:「賛成だね。これが契約書に書いてあれば別だったけど」肩を竦める。
パメラ:(とは言え)
パメラ:(あの人らの力と勝敗。それくらいは見ておきたいが──)
ラジーク・マフフーズ:その戦いの趨勢には、興味を示さずに居たが。
ラジーク・マフフーズ:「……何だ」
ラジーク・マフフーズ:「……何が?」
リシェ:「あなた達、いい加減に──」
リシェ:言い掛けて、ラジークの視線に気付き、その先を目で追う。
リシェ:地平線に向けられた双眸が、大きく見開かれる。
ジナイーダ:「ミラン、あれ──!」
GM:地響きが、オーヴァード達を揺らした。
リシェ:「……」
リシェ:「……何、あれ」



【Middle1】

GM:全員登場です
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を1d3+3(→ 5)増加 (58 → 63)
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を1D3+3(→ 6)増加 (47 → 53)
ルカ:ルカの侵蝕率を1D3+3(→ 5)増加 (52 → 57)
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を1D3+3(→ 4)増加 (64 → 68)
アッシュ:アッシュ・ノイ・ジラードの侵蝕率を1d3+3(→ 4)増加 (40 → 44)
スイス ベルン 連邦議事堂
GM:会議から一夜が明けると、既にベルンでも避難が進みつつあるのか、街からはめっきり人気が失せていた。
GM:待機中である君達の他は、会議が終われば議事堂に用は無い。関係者も殆どがそれぞれの滞在先にはけていき、堂内は閑散としていた。
GM:そんな中、静まり返った廊下を一人歩いていたデュバリーの耳に、響いてくる音がある。
GM:……ジリリリリリリ ジリリリリリリ
GM:通路に反響しているのは、電話のベルだ。
デュバリー:「……」 歩幅を緩める
デュバリー:尋常のそれであれば、こういった聞こえ方はしない。これは
デュバリー:(……満州の時の)
デュバリー:音の発生源を探す。
GM:通路の一画、忽然と備えられた電話台の上に、古めかしい電話が置いてある。隅々まで整備された議事堂にあってその光景は、異様に映るかもしれない。
GM:ベルは鳴り続けている。周囲に受話器を取る者はいない。
デュバリー:あの時は、危急の状態であった。天より全てを砕く光が降り注ぎ、それに命も飲まれようとしていた。だが、今は……
デュバリー:(……今そうなっていない保証はない)
デュバリー:(私が気付いていないだけで……)
デュバリー:(問題は、それを、何故……)
デュバリー:考えながらも、淀みなく受話器に手が伸びる。
デュバリー:「……こんにちは」
GM:少しの静寂。そして、
アレンデ:『こんにちは、“死なない女”』
アレンデ:『お久し振りですね。私のことを覚えておいでですか?』
アレンデ:変声機越しの、男女の判別もつかぬ声。
デュバリー:「"アレンデ"」
デュバリー:「もう少ししたら、忘れていたかも」
デュバリー:「でも覚えてる。……今日は何が?」
アレンデ:『貴女もお忙しい方ですからね。満州以来ですか』
アレンデ:『貴女にお伝えしたいことがあります』
アレンデ:『と言うより、お願いしたいことが』
デュバリー:「……お願い」
デュバリー:この前は『手助け』だった。今度は、お願い
アレンデ:『では手短に』
アレンデ:『合同軍は全滅します』
デュバリー:「……」
デュバリー:「……しちゃうんだ、全滅」
デュバリー:なんとか返す。可能性として考慮していないではないが、いざ"アレンデ"の口からそう伝えられると、その情報はとてつもなく重い。
アレンデ:『何人かは生き残るでしょうが。損耗率が5割を越えるのは確かでしょうね』
デュバリー:「悲劇。……そんなに、α……イタリアを北上しているオーヴァードは、とんでもないの?」
アレンデ:『α、そう呼ばれているのでしたね。偶然でしょうがよく言ったものです』一人ごちるように言って
アレンデ:『ええ。放置すればヨーロッパ……いえ』
アレンデ:『世界が滅ぶでしょうね。こう言うと大袈裟すぎて、冗談に聞こえるかもしれませんが……』
アレンデ:途方もない話を、平然と口にする。
デュバリー:「……いいよ。信じてあげてもいい。実際、合同軍が全滅すれば、そうもなる」
デュバリー:「それで? ……『車』はどこにあるのかな」
アレンデ:『今回は、こちらで用意するまでもないかと。間もなく届くと思いますよ、『誰』かは分かりませんが』
アレンデ:『……こちらとしても、このような形で人類が滅ぶのは本意ではありません』
アレンデ:『これは私の計画ではない。それはご理解ください』
デュバリー:「……上客、っていうのは」
デュバリー:「たまに来て大盤振る舞いするんじゃなく、ちょくちょく顔を出してくれる人のことを言うんだけど」
デュバリー:「あなたもそうしてくれないかな。そうすれば、あなたの言葉に全部、そうだね、って頷いてあげられる」
アレンデ:『この事態が収束した暁には、直接貴女にお会いしますよ』
アレンデ:『その時に店が残っているかは貴女次第ですが』
デュバリー:にわかに目を丸くする。それは正直、想定していない返事ではあった
デュバリー:だが、軽く息を吐いて、すぐに調子を取り戻す 「……分かった」
デュバリー:「元より、世界どころかヨーロッパ、どころか、イタリアでだって、被害が広がって良いと思ってるわけじゃない」
デュバリー:「オーヴァードαを止めるよう動く。……それがあなたのお願いで良い?」
アレンデ:『ありがとうございます。いえ、本題はここからです』
デュバリー:「ん」 相槌を打つ。記憶力で困ったことはないが、何となしにメモのようなものを探してしまう
アレンデ:『件のエミリアという少女を、ローマに同行させてください』
デュバリー:「……エミリアを」
アレンデ:『はい』
デュバリー:「……意図を訊きたいな、それは」 元よりアイギスの重要な戦力であり、そばで見てやると約束した以上、連れて行くつもりではあるが、それを特段に指定することには、強力で重要な意図を感じた
アレンデ:『貴女は賢者の石というものをご存知でしょうか?』
デュバリー:「……錬金術の産物だっけ」
デュバリー:「聞いたことはある……あまり詳しくはないけど。全能の物質。石を黄金に変えるとか、命を作り出すとか……」
アレンデ:『流石、博識ですね。ですが我々にとってその名は別の意味を持ちます』
アレンデ:『賢者の石とは、高濃度のレネゲイドウィルスの結晶体』
アレンデ:『手にした者は、レネゲイド能力を爆発的に向上させます。それはまさしく、世界を変え得るほどの力です』
デュバリー:(『我々』……)
デュバリー:「……通称みたいなものね。それとも逆だったりするのかな。ともかく、そういうものがあるとは分かった」
アレンデ:『そして今ローマを侵攻しているαとは、生命を持った巨大な賢者の石のようなものです』
アレンデ:『賢者の石は体積と純度によってその能力を増す。小さな石でも莫大な力を持ちますが、αの場合は──』
アレンデ:『……並のオーヴァードが何人挑んでも、相手にならないでしょう』
デュバリー:「そんなものが歩いているから、イタリアは大変なことになっているし」
デュバリー:「そんなものを相手にするから、連合軍は全滅して……いや、ううん、そっちはそれ以外もかもしれないけど、まあ」
デュバリー:「……事情は分かったよ。それで、エミリアを連れて行けっていうことの、意味も」
デュバリー:「『並』じゃなくなるためだよね?」
アレンデ:『ご理解が早くて助かります』
アレンデ:『ええ。αを倒せる可能性があるとすれば、エミリアという少女以外には無い』
デュバリー:「あのジャパニーズ・トールと同じように、か」
アレンデ:『オーヴァードならば誰しも知っていることでしょう』
アレンデ:『怪物を倒せるのは、同じ怪物だけだと』
デュバリー:「……嫌な言い方」
デュバリー:「エミリアがオーヴァード以上の怪物だって言ってるみたい」
アレンデ:『おや。私は好きですよ、怪物』通話越しに笑声を響かせ
アレンデ:『それでは、“死なない女”』
アレンデ:『皆さんの健闘をお祈りしています』
デュバリー:「次話す時を楽しみにしてるよ」
GM:そうして通話は途切れ、閑散とした通路に静寂が戻ってくる。
デュバリー:受話器をこちらから置いてやろうかと思ったが、そのときには既に通話が切れていた。
デュバリー:「……せめて、皆がいる時にかけてくれれば良いのに」
デュバリー:「説明しなきゃいけないんだ、今の話……」
デュバリー:ぼやきながら、その場を後にする。

---

GM:議事堂の庭木の枝を折りながら、中庭に巨大な鳥が落下してきたのは、デュバリーが電話を受けてから15分ほど後のことだった。
GM:周囲の関係者が何事かとざわめく中、血まみれの巨鳥の身体は見る間に縮んでいき、一人の青年の姿となった。
トミー・ウェイクマン:「……ルカ!!」
トミー・ウェイクマン:「アイギス!!……いや、誰でもいい……来てくれ……!」
トミー・ウェイクマン:引き裂けたジャケットには夥しい血が滲み、半身は重度の火傷を負っている。
ルカ:「……、トミー!」それを目撃した途端、駆け寄る。
ルカ:抱き起す。身体の様子を確認し、苦虫を嚙み潰したような顔になる。
トミー・ウェイクマン:「ゴホッ……!」血混じりに咳き込む。「ルカ……」
ルカ:「医務室…」運ぼうとします。
トミー・ウェイクマン:「いい」腕を掴んで止める。
トミー・ウェイクマン:「それより……全員呼んでくれ。アイギスの……」
トミー・ウェイクマン:「あと、軍の偉いやつとか……ああクソッ、誰でもいい……!」
ルカ:「……」トミーを見る。「…大丈夫」
ルカ:「大丈夫。お前、十分目立ってた。呼ばなくても来る」
ギル:「これは一体、何の騒ぎだい」ルカくんから幾分遅れて、野次馬を押しのけて現れるよ
ルカ:「ほら」来た気配を察して言う。
トミー・ウェイクマン:「ああ……」
トミー・ウェイクマン:焦点の朧な目で、荒い呼吸を繰り返す。ここまで相当無理して急いで来たのだろう。
アッシュ:同じく、ルカの言葉を肯定するように歩み出る。
アッシュ:「メキシコんとこのやつか。前線で何かあったんだな?」
ハミース:「おいそりゃお友達じゃねえか。遠路はるばるなんだってんだ」
クレア:「どこかから攻撃を受けたわけではなさそうだが……」ギルの後ろから、銃を担いで駆けつける。
エミリア:「ひ……ひどい怪我です!病院に行かなくては……」皆から遅れて走ってくる。
ギル:「救護隊はもう呼んである。それより彼の話を聞こう」とエミリアさんを諌めるよ
トミー・ウェイクマン:「……」面々を見回し、息を吐く。
ルカ:「何があったの」
トミー・ウェイクマン:「……全滅だ」
ハミース:「全滅?」
ルカ:「αか?」
トミー・ウェイクマン:震えながら頷く。
トミー・ウェイクマン:「……合同軍はもう、軍の形を成してない……」
トミー・ウェイクマン:「き……来てくれ」ルカの腕を縋るように掴む。
トミー・ウェイクマン:「撤退すら出来ないんだ……このままじゃ本当に、全員死んじまう」
ルカ:「撤退すらできない…?」
トミー・ウェイクマン:「馬鹿デカい化け物に、小さいのがウジャウジャ来て……」
トミー・ウェイクマン:「み、皆焼けちまった……全部……」
トミー・ウェイクマン:ひどく怯えながら、譫言のように呟く。
トミー・ウェイクマン:「そ、そうだ援軍……援軍を呼んでくれ」
トミー・ウェイクマン:「リッケンバッカーだ!あいつなら何とか……」
トミー・ウェイクマン:「出来る……って……」
トミー・ウェイクマン:言葉の途中で、その語気はどんどん萎んでいく。
ルカ:「トミー」
ルカ:「……休んでろ」
トミー・ウェイクマン:「いや……そうは行かない」
トミー・ウェイクマン:「車じゃ間に合わない……俺が乗せていく」
トミー・ウェイクマン:「それが一番早い……だから一緒に来てくれ」
デュバリー:枝がしなり、不可解に跪くような動きを見せる
デュバリー:背が低く、かがみ込むような形になった樹に、デュバリーが腰掛けている。
アッシュ:「戦闘機辺り引っ張り出すんじゃダメなのか?」
アッシュ:「その傷じゃあ、乗せれる数にも限りがあるだろ」
トミー・ウェイクマン:「……いるのか、運転できる奴が?」
トミー・ウェイクマン:「それと、手配に掛かる時間……それが俺より速いなら、そっちでもいい」
クレア:「……いや、ワーディングの中に入る以上は自分たちの誰かが操縦する必要がある」
クレア:「自分は心得がない。他のみんなも、乗れるという話は聞いていないな」
ルカ:「隊長の力を借りりゃ…」振り返ろうとして、デュバリーに気付く。
デュバリー:「……誰かはわからないが、か」
ルカ:「何か知ってるのか」デュバリーに言います。
デュバリー:「連絡があってね」
デュバリー:「"アレンデ"から。……聞いてくれる?」
エミリア:「連絡……?」
デュバリー:「彼は連合軍の全滅を、もう15分も前に予見していて……」
デュバリー:「私たちが迅速に動き、αを止めなければ、世界は終わると言った」
デュバリー:「……そして、現地に辿り着くための足も、来ると」
デュバリー:トミーを見る
アッシュ:「えぇ……なんだっけ、あの満州の時のやつ?」
ハミース:「……暫定美女か。つくづく用意がいいことで」
デュバリー:「うん、そう。満州の時の」
デュバリー:「彼は確かに、あの満州での私たちの窮地を……その脱出手段も含めて言い当てた前歴がある。信用せざるを得ない」
トミー・ウェイクマン:「……」世界が終わるという言葉にも、驚いた様子は微塵もない。それだけのものを見てきたのか。
ルカ:「…最低だな」忌々しそうに言う。「出発する前に連絡すりゃよかった」
ギル:「なら急ごう。彼も出来ると言っているんだ」
クレア:「元より、こういった事態のための待機要員か……。少々度が過ぎてはいるけどな」
ルカ:「……」反対はしない。嫌そうな顔はしている。
ミルシュカ:『こちらオペレーター。聞こえますか』
ミルシュカ:君達の無線から声が響く。
アッシュ:「っと、どうした?聞こえてるよどうぞ」
デュバリー:「……ミルシュカ」
ミルシュカ:『話は聞こえてました。舞さんは今外出中ですが、連絡して急遽向かって貰ってます』
ミルシュカ:『そちらの移動には間に合わないでしょうが……』
ミルシュカ:『一先ず出撃許可は下りています』
アッシュ:「マジ?さっすが」
アッシュ:「前回みたいに戦場に着いた後って言われたらどうするかと思ってたとこ」
トミー・ウェイクマン:「……行けるんだな?」
ルカ:「そうみたい」
アッシュ:「行けるぜ。早い方が良いんだよな?」
トミー・ウェイクマン:「ああ」
トミー・ウェイクマン:トミーの身体が再び変形していく。全身は羽毛に覆われ、口部は硬質な嘴に。腕は翼に。
デュバリー:「あなたこそ、少しの治療もしないで大丈夫?」
デュバリー:「私とエミリアは軽いけど、ギルは重いよ」
トミー・ウェイクマン:そうして、その場の全員を乗せても余裕がある巨鳥の姿へと獣化を遂げる。
トミー・ウェイクマン:「……大丈夫」
トミー・ウェイクマン:「飛ぶのは得意だ」
ルカ:「……」そんな言葉は聞きたくなかったな、と思う。
ギル:「信じるよ。君はルカの友人だ」
ハミース:「待て。俺らはいいが、嬢ちゃんも連れてくのか?」
ハミース:「それもそいつのオーダーか?」
デュバリー:「……道中で話すけど、そういうこと」
エミリア:「……わたしは……」
エミリア:デュバリーに目を向けて、頷く。
エミリア:「……だ、大丈夫です」
デュバリー:「行こう、エミリア。……いろいろ、教えてあげたいことはあるけど」
デュバリー:「ここで駄目になったら、きっと無駄になっちゃうから」
デュバリー:「行こう」
エミリア:「……はい……!」
ルカ:何か言いかけてやめる。
クレア:「……」ジョニーが今際の際に遺した言葉を思い出す。
クレア:「(彼女を守ってやってくれ、か)」
クレア:「……無理にでも理由を聞いておくべきだったな」
トミー・ウェイクマン:「よし……行くぞ。シートベルトは無いからな」
トミー・ウェイクマン:全員を背に載せて、巨大な翼を広げる。
トミー・ウェイクマン:「しっかり捕まっててくれ」

---

GM:君達全員を背に乗せ、トミーは恐ろしく速く飛んだ。
GM:疲労困憊、満身創痍の状態にありながら、まさしく一陣の風の如く。
GM:もし君達がオーヴァードでなければ、きっと振り落とされていただろう。
GM:暴風のような空気抵抗を受けながら、ローマに近付いてくるにつれ、誰からともなく異変に気付く。
GM:まだ真昼だというのに、向かう先、地平線の空が真っ暗になっている。まるで夜との境界線を見ているかのように。
GM:更に近付くと、それが立ち昇る膨大な黒煙によるものだと分かる。地上は一面火の海になり、赤の光が下方から黒雲を照らしていた。
GM:兵士である君達には見覚えのある光景かもしれない。大規模な空爆を受けた時のそれに近いが、それにしても桁違いの規模だ。核兵器でも投下されたように見える。
ギル:「……すごい光景だ。僕もこんな状況は見たことがない」
クレア:「これが全部αの仕業だと言うのか……」
アッシュ:「アメリカ辺りが勝手に核落としてたって言われても納得するな、こりゃ」
デュバリー:先ほど採った樹の枝を伸ばし、自分やエミリアの体を固定している
GM:やがて、煙の合間に幾つものシルエットが浮かんでくる。遠目からは鳥に見えたが、それにしては大きすぎる。
GM:それは長い首と尾を持ち、四肢と翼を同時に備えていた。羽毛でなく鱗に覆われ、角と牙、鉤爪が生えている。
GM:それは童話や伝説に描かれる、翼竜とでも言うべきものだった。それも見渡す限りの空を埋め尽くすほどの、夥しい数だ。巨大な翼を羽撃かせ、赤黒の空を旋回している。
ルカ:「…ドラゴン?」怪訝な顔。
ルカ:「…幻覚でも見てんのか」
デュバリー:眉をひそめる 「そっちの方が希望があるかもね」
クレア:「同感だな」いつでも撃ち落とせるよう、銃を構える。
トミー・ウェイクマン:「……あんなの、ただの雑魚だ」
トミー・ウェイクマン:吐き捨てるように言う。
デュバリー:「じゃあ本命は?」
アッシュ:「『小さいのがウジャウジャ』って言ってたもんな」
アッシュ:「『馬鹿デカい』やつが居るわけだ」
GM:その下方、地上にもまた、異様な光景が広がっていた。
GM:かつて世界で最も美しいと謳われた古都ローマの街並みは、今や炎に呑まれて燃え盛り、見る影もない。
GM:そんな中を、蠢くものたちの姿がある。
GM:奇妙に歪んだ人型の群れ。四肢は歪曲、或いは異常に発達しており、毛皮や鱗、角など、様々な獣の形質を帯びた異形。
GM:炎に巻かれた地獄絵図にあってそれは、さながら亡者や悪鬼のようにも見える。
GM:そんな怪物の軍勢が、黒蟻が如く地上を埋め尽くし、不気味に蠢いていた。
ルカ:「地獄絵図」大地を眺めて嫌そうに呟く。
デュバリー:顔をしかめる。酸鼻極まる惨状。予想はしていたが、だからと言って実際に目の当たりにした時、心動かずにすむわけではない。
トミー・ウェイクマン:「……見えてきたぞ」
トミー・ウェイクマン:トミーの声が緊張と恐怖を帯びる。
トミー・ウェイクマン:「奴だ」
GM:やがて黒煙の向こうから、巨大な──とてつもなく巨大なシルエットが姿を表す。
ハミース:「んだよありゃあ……」
GM:炎が形を成したかのような紅蓮の体躯。高層ビルほどもあるその身体は鱗と甲殻に覆われ、上方は煙に霞んでいる。
GM:脚は樹齢数千を数える大樹の如く。たった一歩進むごとに地震めいた地響きを巻き起こし、飴細工の如く建物を踏み潰してはクレーターめいた足跡を刻んでいる。
GM:長大な尾の先からは引っ切り無しに炎が噴き出し、周囲に止め処なく災禍を振り撒き続けている。
GM:そして何より異様なのは、その頭部。
GM:凶悪な角と牙を備えたその首は、全部で七つ。尋常の生物に非る異常極まる姿は、禍々しいと共にある種の神々しさすら放っている。
GM:神話に描かれるが如き、多頭の龍。それが“α”の正体だった。
ギル:「満州を思い出すね。いや、あれよりも禍々しさは上か」
アッシュ:「首が7か。ヒドラ……はヘビで首が9だっけ?」
クレア:「黙示録の獣……と言った方が近いかもな」
クレア:「ここに信心深い奴がいなくてよかった」
ギル:「……市民の生き残りは望めなさそうだね」
デュバリー:「一応地下室とか……」 自分で言いながら、ないだろうな、と思っている
ルカ:「これをおれ達でどうにかしろってか」
ハミース:「無茶言うなよ……あの蜘蛛野郎の比じゃねえぞ」
ギル:「連合軍の残党と合流しよう」
ギル:「勝機はある」エミリアをちらりと見て「ただそのためにはあの怪物まで近づかないと。戦力は多いほうが良い」
エミリア:「…………」不安げな顔、胸元で拳を握り締めている。
トミー・ウェイクマン:「ああ……あそこだ、突っ込むぞ」
GM:トミーは市街地の一画、奇妙なオブジェのような巨大な石塊に向け急降下する。
GM:モルフェウス能力者が錬成した避難場所だろう。備えられた砲台が近付いてくる怪物を迎撃していたが、トミーに気付いてか一時砲撃が止む。
GM:内部に入ると、そこには生き残ったオーヴァード達の姿があった。
GM:その数は出発時の半数以下となり、誰も皆満身創痍の状態だ。
トミー・ウェイクマン:「……ぐっ……」
トミー・ウェイクマン:限界が訪れたのか、殆ど不時着に近い形で着地する。
デュバリー:自分とエミリアを支えていた樹枝を地上へ伸ばし、着陸を軟化させる。
アッシュ:「っと」 地に伏せたトミーを足蹴にしてしまわないよう飛び降りる。
ルカ:「大丈夫か」トミーの様子を伺っている。
トミー・ウェイクマン:「大、丈夫だ……」荒い呼吸を繰り返す。「それより、皆を……」
エリアス:「……ほんとうに連れてきてくれたんですね」
デュバリー:「すごいことになってるね。もうすぐ世界が滅びそうっていうこと以外に、何か分かってたりするの?」
ギル:「詳しい状況を教えてくれるかい。誰が残っているのかも」階段を降りるように着地して尋ねるよ
リシェ:「……全滅です」
リシェ:シェルターの隅に座り込み、震える声を上げる。眼鏡には罅が入り、半ば溶解している。
リシェ:「生き残ったのは、ここにいるだけ……」
クレア:「半分以下、か」シェルターを見渡す。
ラジーク・マフフーズ:「……むしろこれだけ残ったほうが幸運に思えるがな」荒い息を吐く。
ジナイーダ:焦げた外套を脱ぎ、トミーさんの方へ寄越している。「そうかもね」
イリーナ:「幸運か」俯いたまま呟く。「じわじわ狩り殺される恐怖が楽しめているというわけだ」
クラウディア:「あはっ、元気ないじゃん。さっきまで私らをぶっ潰すって息巻いてたくせにさ」腕と脚に包帯を巻きながら、ソビエトの連中を睨みやる。
クレア:「イリーナも無事だったか」
クレア:「借りを返す機会は残っていたみたいだな。良かった」
イリーナ:「……この状況でそれが言える図太さは感心する」僅かに笑う。ドイツ勢には反応しない。
エリアス:「こちらでも一応、削ろうとはしたし…多少はできたかもしれませんけど。分かりません」
アッシュ:「マジ?前哨戦してたの?」
カタリーナ:「すごい強かった~」
カタリーナ:「死んじゃうかと思った」
エリアス:黒い鎧に似た影がぼろぼろと崩れている。妙に平静な声色。「……今も死にそうですが」
ルカ:「…まだ生きてる」エリアスくんにそれだけ言う。
エリアス:「はい。ですね。まだやれます」
エリアス:「……そのために彼にも無理を押してもらったんです」
レナート:「おい……テメェら……」
レナート:「リッケンバッカーはどうしたよ!?あいつが来ねえんじゃ何人来ても意味ねえだろーがよ!!」
ギル:「彼は長期休暇中だよ。わがままを言っても仕方ないだろう」
デュバリー:「……なるほど」 レナートの言葉に頷き 「力は残っていても、打開の明確な目処はなしか」
イルゼ:「まだやれる、って……」
イルゼ:「……嘘でしょ?」
イルゼ:「やるの、まだ」
イルゼ:「……あれと?」
アッシュ:「そのためにオレらが来たんだろ」
ロクサーヌ:「……率直に言って。たったこれだけの援軍で、状況が改善するとは思えないわ」
ギル:「無理について来いとは言えないね。士気のない味方は戦場では足手纏いだ」
ティベリオ・ディルーカ:「馬鹿言ってんじゃねえよ!テメエらは何しに来たつーんだ!?」
ティベリオ・ディルーカ:「俺らを逃しに来たんじゃねーのか!あるんだろテメーらには!」
ティベリオ・ディルーカ:「俺らを逃がす手段が!違うか!?」
デュバリー:「……逃げた所で」
デュバリー:「今止めなきゃ、逃げた先まであれは来るよ」
ティベリオ・ディルーカ:「……っ……」
デュバリー:「止めなきゃ、止まらないでしょ」
レナート:「……」力無く、呆れたような笑みを浮かべる。「馬鹿共が……」
レナート:「アレと戦ってない内は、いくらでもデカい口叩けるだろうよ」
ルカ:「どうすんの」アイギスの面々に言う。
ルカ:「こいつの説明、すんの」エミリアを視線で示す。
デュバリー:「した方が良い」
デュバリー:迷わず言う 「戦力は一人でも欲しい。そのために必要なのは、可能性だから」
デュバリー:「秘密を守るより重要だと思う。……後先は、大変だろうけど……」
エミリア:「……あ……」視線がルカとデュバリーとを行き来する。
アッシュ:「ま、後も先も無くなる瀬戸際だからな」
アッシュ:「一番大事なのは当人の意思だろうけど」
ギル:「エミリア。君の力を皆に教えるよ。いいかい?」
エミリア:「……」しばらく逡巡して「……はい」
エミリア:こくりと頷く。
ルカ:エミリアを一瞥する。いつもの不機嫌そうな顔。
デュバリー:首を傾げるように頷くと、他の面々の方を向く。そして話す……もちろん全てではない。
デュバリー:"アイギス"のエミリアには、一度限りの切り札となり得る出力増強の手段がある。それが使えることを確認しているのは、ルカと自分のみ。
デュバリー:それを使って現状を打開するために来た。多くは話せないが、自分たちがこんな地獄までトミーに乗ってやってきたのを信用してもらうほかない。
デュバリー:「……提示できる選択肢は、二つ」
デュバリー:「私たちを信じて、一緒に戦ってくれるか。私たちを信じず、すり潰されるのを待つか」
デュバリー:「……どう?」 そこにいる面々を見渡す
トミー・ウェイクマン:「……マジか……?」とても信じ難いという顔をエミリアに向ける。
パメラ:「ちょっと信じ難い話だな。信じたいけど」汗の滲む顔でへらりと笑う。血の滲む包帯を腹に巻いている。「外見てきたんだろ。その上でアレをなんとかできるって?」
エドヴァルト:「……それが、お前達の勝算か」血と泥に塗れた顔で、睨みつけるようにエミリアを見やる。
レナート:「切り札ね……」まるで信じていない顔でせせら笑う。
エミリア:「……っ……」その場の全員の視線に晒されてたじろぐ。反射的にルカの背に隠れかけて、止める。
ルカ:「………」
ルカ:こっちが動いて、さりげなく背中に彼女を隠す。
クレア:「実績はある」
クレア:「日本軍の"荒御魂"。この中にも知っている者はいるだろう」
ジナイーダ:「おお。……あれみたいなもんなの、お嬢さん」
アッシュ:「いや、アレを倒した方」
クレア:「"リッケンバッカー"以外に、単独であれを破壊できる者がここにいるなら、そいつに任せても良いがな」
パメラ:「ニホンのアレをやった……」目を細める。「アイギスがって話は聞いてたが」
クラウディア:「……へえ。そんな強そうには見えないけど」
ミラン・サイフェルト:「その子供が?」
ルカ:「おれが」遮るように言う。
ルカ:「実際にやったのはおれ」
ルカ:「こいつは増強しかできない。しかも、おれと、そこのデュバリーに対してだけ」
レナート:「そいつはまた随分と不便な能力だな」
エリアス:何も言わず、ルカと少女をじっと見ている。
イレナ:「武器と人間みたいなもの?」
デュバリー:頷く 「どちらかと言えば、風車と風かな。単独でも動くけど、それを圧倒的に後押ししてくれる」
イレナ:「……どっちでもいいけど。とにかく、あなたたちをセットで運用すればいいってことだね」
ラジーク・マフフーズ:「お前はその増強があれば、あれを打ち倒せると?」
ルカ:「…そうだな」「……少なくとも、今よりはマシにできるよ」
ギル:「彼らで無理なら、"リッケンバッカー”でも無理だ。世界は終わる」
リシェ:「……無理ですよ……」
リシェ:「遠くから見ただけでは分からないでしょうが、アレにはもう近付くことすら出来ません」
アッシュ:「理由は?」
“バーバヤガー”:「熱さね」
リシェ:頷く
リシェ:「……周囲は超高温状態で、近付いただけで肺が焼かれて常人なら即死です」
リシェ:「オーヴァードでも、まともに行動など……」
GM:具体的には、《苛烈なる熱気》LV20が使用されています。
GM:シェルターの外、ローマ市街では、達成値60以下の判定は失敗になります。
デュバリー:今の季節ありがたいな
ミラン・サイフェルト:「もちろん上空もだ。下手に突っ込めば翼を焼かれる」
イレナ:「火を吐くんだよ。並みのサラマンダー能力者の比じゃない」
ギル:「短期決戦になるな」
ルカ:「どうせやれるのは一発のみだ」
アッシュ:「良いね、やっぱドラゴンつったら炎だもんな」
アッシュ:「水とか雷って言われるよりテンション上がる」
イレナ:アッシュさんを睥睨する。
エドヴァルト:「つまり……多くの戦力が必要だと言うのは」
エドヴァルト:「お前達の切り札を到達させるための道を作れと言う事か」
レナート:「短期決戦なんて出来るかよ、お前らだって分かんだろ」周囲のオーヴァードを見回し
レナート:「見ただろ、あの再生力を。何度ぶち込んだって効いてやしねえ」
レナート:「ありゃ本物の不死身だ。殺し切れるわけがねえ」
ギル:「無理にとは言わない。だが想像してみてくれ。あの怪物が君たちの故郷に足を踏み入れた時のことを」
ギル:「愛する祖国や家族を守りたいなら、あるいは、その仇を取るには僕達が戦うしかない」
ギル:「君たちが誰一人として力を貸さなくとも、僕はやるよ。命に変えても守りたい人がいるからね」妹の写真が入ったロケットを握りしめる
ロクサーヌ:「……そんなもの、もうないわよ」掠れるような声でぽつりと呟く。
クレア:「それでも、思い出はあるだろう」
クレア:「戦う理由なら、それで十分だ」
ロクサーヌ:「……」クレアの目を見てから、しばし瞑目する。
ジナイーダ:「てか、どのみち撤退もまともにできないんだよね。移動手段尽きてるし」
ティベリオ・ディルーカ:「口だけでは何でも言えるつってんだよ」
ギル:「口だけかどうか、ここで黙って見届けるのも選択肢の一つだ」
ゲオルグ:「……」
ゲオルグ:ずっと黙り込んでいたが、ぽつりと口を開く。
ゲオルグ:「“ゲシュペンスト”」
アウグスト:「……は」
ゲオルグ:「……事ここに至っては、最早隠しておく意味も無いだろう」
ゲオルグ:他国のオーヴァード達に目を向け
ゲオルグ:「貴様らにも、その蛮勇の対価として、冥途の土産に教えてやる」
デュバリー:「?」 ゲオルグを見る
ギル:「ゲオルグさん?一体何を……」
ゲオルグ:「儂がプロホロフカで見たものは──」
ゲオルグ:「──まさしく、あれだ」
デュバリー:「……!」
アウグスト:僅かに瞠目する。
エドヴァルト:「な……」
パメラ:「……マジか」
“バーバヤガー”:「……奴さんが引き起こしたって?」
ジナイーダ:「おいおい…」
ゲオルグ:「兵士達はただ死んだのではない」今も翼竜を撃ち落とし続ける砲台に目をやり
ゲオルグ:「皆がああなった。化物に」
ゲオルグ:「……儂以外はな」
クラウディア:「ど……どうやって、切り抜けたんです?その時は」
クレア:「貴方は、なぜ生き残った?」
ゲオルグ:「……戦った」
ゲオルグ:「つい一刻前まで仲間だった者たちを殺し、殺し、殺し続け、そして……」
ゲオルグ:僅かに言い淀むような、何かを隠すような間があり
ゲオルグ:「……消えたのだ」
ゲオルグ:「あれらは不意に、忽然と姿を消した」
ルカ:「…全部?」怪訝な顔。「あのバカでけえドラゴンも、化け物どもも?」
ゲオルグ:「……そうだ」
ゲオルグ:「生き残った儂は、世界で最初のオーヴァードと呼ばれるが……」
ゲオルグ:「実際には違う。儂の他にも、覚醒した兵士は多く居た」
ゲオルグ:「だが、皆死んだ」
ゲオルグ:「今度もそうなる」
デュバリー:(……でしょうね) 写真のことを思い出している
ティベリオ・ディルーカ:「……待てよ、なら、今回だって消えてくれんじゃねえか」
ジナイーダ:「……んじゃあさー。今回も忽然と消えるって可能性はあるの」
ティベリオ・ディルーカ:「そうだ!そうに決まってる!ここさえ凌ぎゃあよ……!」
ジナイーダ:「げ…こいつと被った」
ティベリオ・ディルーカ:「アァ!?」
ゲオルグ:「……無いな」
ゲオルグ:不思議と確信を持った口調。
ゲオルグ:「それは無い」
ギル:「何かそう言いきれる理由が?」
ロクサーヌ:「……どうして、そう言い切れるの」
ゲオルグ:「少なくとも欧州が焦土になるまでは、そんなことは起こりはしない」
ゲオルグ:「……我らはあれを捕える心算でいたが……」
ゲオルグ:息を吐く。長く重ねた年月を吐き出すかのように。
ゲオルグ:「……やはり、あれは人の手に負えるものではない」
カタリーナ:「言っちゃっていいの~?」
アウグスト:「…………」
“バーバヤガー”:「はん。どうせ碌でもない事を企んでるとは思ったがね」
ゲオルグ:「貴様らが言えた義理か」
ゲオルグ:「撤退するぞ、“ゲシュペンスト”」
カタリーナ:「はーい」
クラウディア:「了解。でも、具体的には? 車とか潰れちゃってるけど」
ゲオルグ:「最早選択肢は無い。ここからは如何に損害を減らせるかだ」
ゲオルグ:「我が故国は焼け落ちるだろう。だが今ならばまだ再興の道はある」
ゲオルグ:「たとえ南極だろうと、月の上だろうと……アーリア人の魂はどこにあっても滅びることはない」
デュバリー:「……撤退するなら」
デュバリー:「その前にもう一つ聞いておきたい。……どうして確信してるの?」
デュバリー:「プロホロフカでは、……あなたの言葉を信じるなら、忽然と消えたのに」
デュバリー:「今度は欧州を焼き尽くすまで止まらないと断言するその理由」
デュバリー:「あなたのような人は、発言の意味をよく分かっていると思うんだけど……」
ゲオルグ:瞑目する「……強欲が過ぎるぞ、小娘」
ゲオルグ:「我らが国家機密を教えてやったのだ。これ以上言う必要は無い」
デュバリー:「あれを止めようとしてるんだもの。強欲にだってなる」
デュバリー:「……けど、まあ、うん。話す気がないことは、分かった」
デュバリー:つまりまだ『知っている』のだ。その上で沈黙を選んだ。その行為に意味があると、沈黙を選択したのだ。
アッシュ:「はーぁ。もう良いよ、デュバリー」
デュバリー:「アッシュ」
アッシュ:「爺さんの話の長さには人種関係ないんだな」 くだらないと言いたげに言い切って。
アッシュ:「結局さ。どうすんだよアンタら」
アッシュ:「ここで祈るか、尻尾巻いて逃げるか、こっちに乗って戦うか」
アッシュ:「乗るやつ居ないんだったらそれでも良いよ。オレがここに居る18人分働いてやるから」
アッシュ:「とにかく意見表明だけしてくれ。そうでないと作戦立案に移れない」
ラジーク・マフフーズ:「……悪いが」
ラジーク・マフフーズ:「お前の国に一人で勝たれると、私は立場がない」
ラジーク・マフフーズ:「何人か分の働きを貸してもらおうか」
アッシュ:「オーライ、まずは英雄が一人参加。後は?」
ゲオルグ:「……」
ゲオルグ:不意に地面が──トーチカがうねるように変形する。
ゲオルグ:他国のオーヴァードを外に放り出し、石材が形を変えて多脚戦車めいた形を取る。
ゲオルグ:遅々とした歩みだろうが、αの進路から離れ異形の群れから距離を取るには十分だろう。
GM:シェルター外に出ると、一気に熱波が襲ってくる。異形の軍勢の足音と、不気味な唸りや叫びが耳に届く。
ティベリオ・ディルーカ:「グエッ……!おい待て……!」
ティベリオ・ディルーカ:「俺もその中に入れやがれッ!」
デュバリー:「っ、と」 自分と、やはりエミリアの身を、枯れた木の根を伸ばして辛うじて受け止め
エミリア:「わわわ……」
ルカ:デュバリーとエミリアの様子を一瞥、自分はトミーを引っ張って受け止める。
リシェ:「っ……ま、待って……!」
リシェ:弱々しく手を伸ばす。
アッシュ:「d'accord.ドイツも不参加」
ギル:「やれやれ……撤退する方法があるなら、彼らも連れて行ってくれればいいのに」と戦意喪失した面々を見て
デュバリー:「……消えちゃったね、選択肢」
アウグスト:「悪く思うな」
アウグスト:「これが正解というものだ」
アウグスト:そう言って。
アウグスト:形成されつつある石の戦車から、単身で外に飛び降りる。
エリアス:「隊長!?」
クラウディア:「は……? ちょっと、隊長!?」
カタリーナ:「どうしたの~?撤退だよ?」
エリアス:《代謝制御》《完全演技》を崩れさせる。「なぜ!」
アウグスト:「そうしろ。お前たちは」
アウグスト:「私は残る」
イルゼ:「たっ……た、隊長……!?」
イルゼ:「死んでしまいますよ!!」
ゲオルグ:「……」
ゲオルグ:「何の心算だ?」
アウグスト:「二つ」
アウグスト:「万に一つでも彼らが勝った場合、我らは機密を晒した上、戦闘にも参加しなかったことになる。それは悪手というものだ」
アウグスト:「そして」
アウグスト:「分かっていたのでしょう」
アウグスト:「この作戦が無謀であると。分かっていながら、こうしてのこのこと死地に赴き、多くを死なせた」
アウグスト:「その慢心を雪ぐ者が必要だ」
ゲオルグ:「……」
ゲオルグ: ギ ギ ギ
ゲオルグ:戦車の砲口が、アウグストに向けられるが──
ゲオルグ:「……」
ゲオルグ:それが放たれることはない。
ゲオルグ:「……貴様らも、好きにしろ」
ゲオルグ:「儂はもう、疲れた」
ゲオルグ:深い皺の下の目を瞑る。
カタリーナ:「はーい!」ぴょんと飛び降りる。
アウグスト:「……」砲口を向けられても平然としていたが。「おい!」
アウグスト:カタリーナの行動には声を上げる。
アッシュ:「やっぱ来るか」 くつりと楽しそうに笑う。
カタリーナ:「Einだけずるいよ~」
アウグスト:「撤退しろと言ったぞ。お前は特にだDrei!」
カタリーナ:「でも好きにしろって言われたもん~」
カタリーナ:「Zweiなら残ったでしょ?」
アウグスト:「お前は……!」
クラウディア:「好きにしろ、って……え、好きにしていいの?」
エリアス:《代謝制御》。……深く息を吐く。
エリアス:「我々に自由に判断を許してくださいましたこと、感謝します」ゲオルグに敬礼する。
エリアス:「貴方が我が国の英雄です。…おれはそうなれなくても」
エリアス:飛び降りる。「叱るならおれもお願いします!」
カタリーナ:「エリアスも?」
ルカ:「……やっぱまともじゃない」苦々しい顔。
デュバリー:「おじいちゃんみたいに、まともになられても困るしね」
クラウディア:「ええ~……なんか、こっちが置いてけぼりじゃん」
イルゼ:「何を考えているんだ、皆……!」
アッシュ:「で?ドイツは3人で打ち止め?」
アウグスト:「一人だ!」
エリアス:「じゃないでしょ!」アウグストさんに思わず突っ込む。
クラウディア:「そうじゃない?私、普通にまだ死にたくないしなあ」
アウグスト:「帰れと言うんだ。事実上ここに残ることに意味は無い……!」
エリアス:「おれ、故郷が焼けるのは困るんですよ」苦笑する。
レナート:「マム、俺達はどうしますか」
レナート:「どう撤退します?」
“バーバヤガー”:「こいつらも食いそびれたしねえ」
イリーナ:「……」
“バーバヤガー”:「……距離をとって待機。見届けてやろうじゃねえか大見得切った連中を」
“バーバヤガー”:「見込みのあるやつが死にかけたら拾うくらいはしてやる。甲板掃除からやらせてやるよ」
レナート:「了解です!」
イリーナ:「了解」長く息を吐く。
GM:そんな会話の合間、アイギスの無線に通信が入る。
:『──聞こえるかアイギス。どうぞ』
ルカ:「隊長」
アッシュ:「聞こえてるよ、どうぞ」
:『たった今ベルンに現着した。状況は把握している』
クレア:「有り難い。こちらは現地の部隊と合流したところだ」
:『ミルシュカと共にこちらから指揮を執る』
:『いいか、αは必ずここで仕留める。全員異論は無いな』
アッシュ:「naturellement勿論
ギル:「よろしく、リーダー。異論はないよ」
クレア:「了解」
ハミース:「俺らは、な」
デュバリー:「……異論無し」
ルカ:「ああ。構わない」
:『時間が無い。作戦を伝える。協力するオーヴァードがいるならそちらにも聞こえるように』
デュバリー:通信機の音量を上げ、残存しているメンツにも聞こえるように向ける
:『丁度コロッセオにゲートを設置してある。私が直接出て、ありったけの火薬を転移、αを撃滅する』
ギル:「リーダーが?」
:『こういう時に動かなければ意味がないだろう』
ギル:「……」
ミルシュカ:『……主な行動としては5つ。状況は予測不可能です。現場の判断を優先し、各自臨機応変に動いてください』
ミルシュカ:『まずはαをコロッセオまで誘き寄せる為の、誘導路の形成』
ミルシュカ:『モルフェウス能力者を中心に、その他進路上の家屋の破壊、外敵の排除を行ってください』
ミルシュカ:『次にαに対しての陽動。誘導路に固定すると同時に、注意を集中させて他の作業に攻撃が行かないようにしてください』
ミルシュカ:『ただし、担当者には極めて大きな危険が予想されます。お気を付けて』
ミルシュカ:『それから、ジャーム群の排除。α周辺のジャームを掃討しなければ、作戦遂行は困難です』
ミルシュカ:『シチリア周辺の数千万人がジャーム化していると推測されます。全滅させるのではなく、局所的に数を減らしてください』
ミルシュカ:『そして最も重要な任務として、尾部の切断』
デュバリー:「尾……?」
ミルシュカ:『はい。周囲に炎を噴出しており、極めて危険です』
ミルシュカ:『尾を排除しない限り、接近すら危ういでしょう』
アッシュ:「だから個別で任務化されてるって訳か」
デュバリー:「……おばあちゃんも、熱が一番問題だって言ってたからね」
ルカ:「道作って、敵を誘き寄せて、周りを片付けて、尻尾切って…」
アッシュ:「残りの一つは?」
ミルシュカ:『最後は負傷者の救助です。これは作戦の形で伝えるまでもないかもしれませんが……』
ミルシュカ:『……死者は少しでも少ない方がいいですから』
ミルシュカ:『要点としては以上です。何か質問はありますか』
ルカ:「…αを倒すのは、結局、隊長なんだな」
ルカ:「一任していいのか?」
ルカ:暗に、エミリアのことを聞いている。
クレア:「リーダーとミルシュカの見立てを疑うつもりはないが……」
クレア:「現にリッケンバッカーは核爆弾の直撃を受けて生還している」
クレア:「それ以上だとも言われる相手を、本当に火薬だけで撃滅できるのか?」
:『火力をかき集めるのはこれからだ』
:『そこは各国の協力と……私とミルシュカを信じてもらうしかないだろうな』
クレア:「……わかった。そういう事なら口は挟まない」
ルカ:「…有能なオペレーターなんだろ」
ルカ:「信じるさ」
ハミース:「待て待て待て」
ハミース:「大事なことを忘れてんだろうが」
ルカ:「んだよ」
アッシュ:「他に乗るやつが居るかって話?」
ハミース:「火器なんざぶつかるわけねーだろ」
ハミース:「熱の鎧とやらをどうするってんだ」
リシェ:「……そうよ」静かに聞いていたリシェが口を挟む。
リシェ:「そもそもアレには、近付くことすらままならない……そんな作戦、不可能よ」
エミリア:「……あの……」
エミリア:おずおずと歩み出る。
エミリア:「それ……わたしが何とか出来るかもしれません……」
デュバリー:「……エミリア」
ルカ:イヤそうな顔をしてそれを見る。
エミリア:エミリアの身体から、実体の無い光の花が咲き乱れる。
エミリア:花々は淡い光と共に散っていき、花弁は周囲のオーヴァード達の身体に溶け込むように消えていく。
エミリア:同時、周囲で燃え盛る炎の熱を、まるで感じなくなる。
GM:《苛烈なる熱気》の効果が無効化されました。
ジナイーダ:「…なにが起きた」
ルカ:「…」眉間に皺が寄る。「……あんた」
ロクサーヌ:「何……今の」驚愕に目を丸くし、エミリアを見る。「貴方がやったの……?」
クレア:「これは……炎が消えたわけではない」自分の手のひらを見つめて
クレア:「自分達に対してだけ無効化している……?どうやって……」
エミリア:「……直接の攻撃は、防げないと思いますが……」
エミリア:「熱いのくらいなら、何とか出来ると思います」
デュバリー:「……おかしいな。話してる感じ、尻尾の方に連れてくことになると思ってたんだけど」
パメラ:「……そっちの二人だけって話じゃなかった?」ルカとデュバリーを見る。
アッシュ:「触媒になるのがその二人なんだよ。オマケはオレ達ももらったことがある」
パメラ:「へえ。そりゃまた不思議なもんだ……」手を照明の蝋燭に伸ばしたり引っ込めたりしている。
ラジーク・マフフーズ:「……成程。あるいはアイギスに相応しい力かもしれんな」
アッシュ:「それより」
アッシュ:「これで作戦への不満もエミリアの力への疑念も無くなっただろ?」
アッシュ:「改めて乗るか乗らないか決めてくれ。そんでさっさと持ち場を決める」
アッシュ:「ここで突っ立ってても勝利は降ってこないからな」
リシェ:かぶりを振って、静かに後ずさる。
リシェ:「……こんなの、馬鹿げてる……」
リシェ:「どうせみんな死ぬのよ……!」
イレナ:「きみはどうする。エド。私は…本当にどっちでもいいよ」薄く笑う。「勝利だってどうでもいい」
エドヴァルト:「……生還は、確かに重要任務だ」黙って作戦を聞いていたが、静かに口を開く。「最も、それは」
エドヴァルト:「俺達が、ポーランドの守護力たるただ二人のオーヴァードであるからだ」
エドヴァルト:「たとえ国土が焼き尽くされようと、だと」去っていったゲオルグ達の方角を見る。「腑抜けた話だ」
エドヴァルト:「祖国を此処と同じ様にはしない。その為に、俺達は来た」「違うか?イレナ」
イレナ:「きみがそう望むなら。なんだって守るよ」
イレナ:「……きみだけにはさせない」
クレア:「……協力を強要はしないが、はっきり言って先程までとは状況が変わっている」戦意を失っている面々に向けて
クレア:「ゲオルグ翁がいない以上、要塞の維持は不可能だ。選択肢は死ぬか生きるかではなく……」
クレア:「立ち止まるか、進むか。それだけでしかない」
パメラ:「……どうしたい? ロキシー」
パメラ:「君の意向を優先するよ。逃げろってなら背負ってでも逃げる」
ロクサーヌ:「……私は」力なくその目を見る。
ロクサーヌ:「彼らは信じろと言うけれど……信じられないわ、こんな状況じゃ。誰のことも」
ロクサーヌ:「だから……アイギスの作戦が上手くいくとは思わないのと、同じくらい」
ロクサーヌ:「ここで逃げ出した私達が、無事に生き延びられるとも思っていない」
ロクサーヌ:「……どうせ……」
ロクサーヌ:「……どうせ裏切られるなら、パメラ。貴方が良いわ」
ロクサーヌ:「私は。貴方の決断に、付いていきたい」
パメラ:「ごめんな」力なく笑う。「君を森から連れ出したのはさ」
パメラ:「もっと楽しいものを見せてやるためだった」
ロクサーヌ:「……っ」
パメラ:「その意味じゃあ、もう裏切っちゃってるわけだけど」
パメラ:「……それでもまだ付き合ってくれるかい」
ロクサーヌ:「……平気よ。貴方に期待なんて、してなかったから」
ロクサーヌ:「でも……今は、ちょっとだけしてる」
パメラ:「なら」
パメラ:「私達は協力する」アイギスの面々に顔を向けて。「これでも竜退治の英雄の血なんだ。ちょっぴり期待してくれていいぜ」
パメラ:「それでさ、絶対生き残って」
パメラ:「君に笑ってもらうよ。ロキシー」
ジナイーダ:「……私、こういう局面の判断、すごい苦手なんだよなあ」ぼやく。「はー…」
ミラン・サイフェルト:「……知っている。で?どうしたい」
ミラン・サイフェルト:「判断をしろと言ってるんじゃない。希望を言えと言ってる」
ジナイーダ:「……どうした、優しいこと言って。数時間遅いよ」
ミラン・サイフェルト:「永遠に遅いよりはマシだろう」
ジナイーダ:「はは。相変わらず…」
ジナイーダ:「……強引にしちゃあくれない」
ミラン・サイフェルト:「どうせ決まってるんだろう」
ミラン・サイフェルト:「どっちだ」
ジナイーダ:「……協力するよ。アイギス」
ジナイーダ:「ミラン。重たかろうがもう少しは」
ジナイーダ:「抱えてられるでしょ。……久々に」
ジナイーダ:「戦火の中をあんたと走るのもいいかもと思った」
ミラン・サイフェルト:「……決まりだな」
ミラン・サイフェルト:「悪い提案じゃない」
ミラン・サイフェルト:「ユーゴスラビア連合はアイギス麾下でやらせてもらう」
ティベリオ・ディルーカ:「バカバカしい……勝手にやってろ」
ティベリオ・ディルーカ:「俺は御免だね。犬死になんざ」
ティベリオ・ディルーカ:「死んだやつに価値なんざねえだろうが」
クレア:「一人で生き残る算段があるのなら止めはしない」
クレア:「帰るところがあるのなら帰ればいいだろう。ただ……」
クレア:「彼は、力尽きる瞬間まで此処に帰ろうとしていたぞ」
ティベリオ・ディルーカ:「それで力尽きた」
ティベリオ・ディルーカ:「下らねえな。俺はそうはならねえ」
ティベリオ・ディルーカ:「算段ならあるさ。テメエらがたてになってくれる」
ティベリオ・ディルーカ:「ありがてえことで」ひらひらと手を振り踵を返す。
クレア:「そうか。ならせいぜい騒がしくしてやるとしよう」同時に、リシェさんの方も一瞥して
クレア:「一つ訂正しておこう。君たちは『部隊は全滅した』と言ったな」
クレア:「確かに普通の軍隊なら半分が損耗すれば全滅だが、自分達はオーヴァードだ」
クレア:「通常の兵科には縛られず、補給も、治療も、本来単独で完結させられる。その意志がある限り、体は動く」
クレア:「例え最後の一人になっても、戦い生き続けられる」
クレア:「だから訂正する。君たちの部隊はまだ全滅していない」
リシェ:「…………」
クレア:「自分達には協力しなくていい。ただ」
クレア:「君たちに出来ることをして欲しい」
クレア:「それだけだ。引き止めて悪かったな」踵を返してその場を離れていく。
リシェ:罅の割れたレンズ越しにその顔を見て、後ろめたそうに目を逸らす。
リシェ:(……出来ること、なんて……)
リシェ:(今死なないだけで、精一杯なのに……)
トミー・ウェイクマン:「……」
トミー・ウェイクマン:逡巡と苦悩の表情で俯く。トミーにとって、戦場に出るのはこれが初めてのことだ。
トミー・ウェイクマン:目の前で大勢が死んでいった。引き裂かれ、血に塗れて死んでいく者。無惨に踏み潰される者。跡形もなく焼き尽くされる者。
トミー・ウェイクマン:それは恐ろしい光景だった。彼が初めて知る、戦場の現実だった。
トミー・ウェイクマン:体力は限界。負傷も重い。何より、足が竦むほど恐ろしい。こんな場所からは今すぐ逃げ出したい。
トミー・ウェイクマン:……だが。
トミー・ウェイクマン:顔を上げ、ルカ──斑鳩・フォードの背中に目を向ける。
トミー・ウェイクマン:同じストリートで育ち、同じくオーヴァードになったばかりの彼は、今、逃げようとはしていない。
トミー・ウェイクマン:この地獄を見て尚、戦おうとしている。
トミー・ウェイクマン:「……」
トミー・ウェイクマン:焼け焦げたジャケットからコインを取り出す。片面は煤に塗れ、黒く染まっている。
トミー・ウェイクマン:小気味良い音と共に、それを空中に放り投げ、手の甲でキャッチする。
トミー・ウェイクマン:「……」
トミー・ウェイクマン:ゆっくりと掌をどかし、それを確認して。
トミー・ウェイクマン:顔をくしゃくしゃにして目を瞑る。
トミー・ウェイクマン:「…………あぁあ~~~っ!!クソッ!!」
トミー・ウェイクマン:迷いを振り切るように叫んで、大股で歩み出る。ルカの隣に。
ルカ:「………」横目で一瞥。
トミー・ウェイクマン:「お前ら、いっつもこんなことしてるわけ?冗談きついぜ……」
トミー・ウェイクマン:冷や汗を浮かべながら強がって、歯を見せて笑う。
ルカ:無言で肩を殴る。ずいぶん久しぶりにそういうことをした。
ルカ:「……ここまで連れてきて、こうなることは分かってたくせに」
ルカ:「お前とこんなやり取りしたくなかった。最悪だ」
トミー・ウェイクマン:「俺はそう悪くない気分だよ」
トミー・ウェイクマン:「最悪の時に、隣に友達がいるってのは」
ルカ:「……一人になるなよ。絶対」
ルカ:「あとそのコインはもうやめろ」
トミー・ウェイクマン:「なんでよ」
ルカ:「お前なら」
ルカ:「自分で良い方を選べる」
トミー・ウェイクマン:「はは!」
トミー・ウェイクマン:コインを宙に弾き、掌で掴み取る。
トミー・ウェイクマン:「言ってくれるぜ」
ルカ:「最悪」ムスッとし続ける。
エミリア:炎から巻き起こる上昇気流が、火の粉を巻き上げてエミリアの髪を揺らす。
エミリア:実体の無い光の花が、止め処なく咲いては散っていく。
エミリア:「……」
エミリア:燃え盛る街と、地平線、地響きと共に進行してくるαの姿を静かに見遣る。
エミリア:それから、ルカとデュバリーに目を向ける。
エミリア:「ルカ、デュバリーさん、ごめんなさい」
エミリア:ぺこりと頭を下げる。
エミリア:「でも、わたし……やりたいんです」
エミリア:「今、わたしにしか出来ないことがあるのなら……」
エミリア:「……やっぱり、やるべきだと……そう思うんです」
エミリア:曲がらぬ意思を秘めた瞳が、炎を反射して煌めく。
ルカ:「………」仏頂面。
ルカ:「デュバリーは? 言うことあるか」
デュバリー:「私は」
デュバリー:「言いたいことは、言われなくてもちゃんと言えるよ」
デュバリー:「誰かと違ってね」
ルカ:「……」
ルカ:忌々しそうな顔をする。
ルカ:「誰かって誰だよ」
デュバリー:対照的に、少しだけ笑う 「言ったほうが良い?」
ルカ:「…おれは」苛々した口調で言う。
ルカ:「エミリアこそ言わないやつだと思うけど」
デュバリー:頷く 「それは間違いない」
エミリア:「そっ……そんなことはありません!!」
デュバリー:「ルカよりだめ」
ルカ:「そう。おれよりだめ」
エミリア:「ルカより………………!?!?!?」
エミリア:ショックを受けた表情で凍り付く。
ルカ:「そういうやつが、やりたいって言ったんだから」
ルカ:「いいんだよ」
デュバリー:「いいんだって」
エミリア:「……いいのですか……?」
デュバリー:「聞き直したら、やっぱりダメって言うかもよ、ルカ」
デュバリー:「それともダメな方が良い?」
ルカ:「言う」ムスッとしている。
エミリア:「やっ……嫌です!」
エミリア:「いやっ……嫌ではなく……?ええと……?」
エミリア:「や……やります!」
エミリア:「絶対やりますから!!」
エミリア:「ルカが何と言おうと!わたしの勝手にやります!」
ルカ:「うん。これも何度も言ってるだろ」
ルカ:「勝手にやれって…」
エミリア:「……!」
ルカ:「………だから」
ルカ:「あんたは…やりたいことやっていいんだよ」
エミリア:「……はい!!」
エミリア:迷いの無い笑みを浮かべ、力強く頷いた。
GM:燃え盛る街、揺らめく地平線の向こうから、巨竜の咆哮が轟いた。

---

GM:ではここで皆さんに行って頂く判定について説明します

・誘導路形成
αをキルゾーンまで誘導すべく、誘導路の形成と障害物の排除を行う。
《情報:任意》《RC》難易度105/任意の攻撃判定で難易度120
この判定を失敗したPCに対し、即座に判定値30、攻撃力50の攻撃が発生する。

・陽動
他所の作業の安全確保と同時にαの誘導を行う。
任意の攻撃判定で難易度40
この判定を行なったPCに対し、即座に判定値15、攻撃力50の攻撃が発生する。
→『誘導路形成』の難易度-50、以降『尾部切断』判定時C値-1

・ジャーム群排除
αの周囲に群がるジャームを掃討する。
任意の攻撃判定で難易度30、これを3回連続で行う。途中で失敗した場合、成功回数のみ累積する。
この判定を行なったPCに対し、即座に判定値15、攻撃力5の攻撃が3回発生する。
→『誘導路形成』『陽動』の難易度を-20する。

・尾部切断
周囲に炎を噴出している尾部を切断する。
任意の攻撃判定を行い、120点のダメージを与える。装甲値10。
→『誘導路形成』の難易度を-30する。
この判定が未達成の場合、クリンナップ時にPC全員に対して判定値10、攻撃力50の攻撃が発生する。

・負傷者救護
負傷した味方の救援に向かう。
《知識:医学》で判定、任意のNPC1人の耐久力を2+(達成値÷10)回復させる。《応急手当かキット》などのアイテムを所持している場合、使用して効果を達成値として上乗せしてもよい。上限4。



各PLはラウンド毎に上記から1つ選んで判定を行う。前のラウンドと違う判定を行うことも可能。
クリンナップ時、ハプニングチャートを決定する。
判定に失敗した場合、達成値は累積するが、ハプニングが追加で1つ即座に発生する。

このハプニングチャートではNPCの『耐久力』が減少する。
NPCは初期状態では各自3の耐久力を有しており、0になった時点で死亡する。
ただし、ミドルシーンでPCが会話を行なったNPCは、初期耐久力が5となる。


GM:何らかの形でエンゲージが必要な場合、PCに最も都合の良い形で考えて大丈夫です。
GM:また役に立ちそうなイージーエフェクト等の申請、達成値修正も可能です。
GM:何か質問などございますか?
ギル:今の所ダイジョブです
ルカ:判定を行った際に発生する攻撃はリアクション・カバー可能ですか?
GM:可能です!
ルカ:了解です!
デュバリー:するかはさておきドッジ代行も可能というわけね
GM:そうですね!
ギル:あ。達成値累積するらしいですけど
ギル:ダメージも累積なんでしょうか
GM:ダメージも累積です!
ギル:アイス!
GM:大丈夫そうかな?
クレア:とりあえず大丈夫!
アッシュ:こっちも大丈夫
ルカ:大丈夫!
デュバリー:あ、大丈夫です
ギル:あ、ジャーム群排除の3回連続判定って
ギル:1回の行動でいっぺんに連続でできる感じなんですか?
GM:そうですね!1回の手番で3回振ってもらいます
ギル:全ての理解者
GM:では今回のセッションではもうひとつ特殊ルールがあるので、そちらを説明します
ルカ:おお
GM:バックトラックに関するルールです。
デュバリー:なにっ
クレア:なんだとぉ
GM:皆さん心のどこかで油断しているのではないでしょうか
GM:言うてキャンペーンやしそんな死なないっしょ(笑)と
ルカ:怖すぎる前置き
ギル:死なないっしょ(笑)
GM:でもそれでは緊張感に欠けるのでちょっとだけ死んでもらいます
ギル:w
デュバリー:あっちょっと死ぬっ
ギル:いきなり殺さないでください
アッシュ:どういうこと?
クレア:死ぬことにちょっとも何もないのよ

バックトラック判定後、侵蝕率が101%以上だったキャラクターは、通常のロストの代わりに以下のオプションを選択することが出来る。
・あなたは身体、精神、能力などに回復不可能なダメージを負った。このダメージは設定として以降のセッションに引き継がれる。
また、今回のセッションで配布される経験点を獲得できず、今後のキャンペーンにおいてはタイタスを昇華しても「不利な効果を消す」と「戦闘不能状態を回復する」の2種類の効果しか受けられない。なおSロイスの効果は通常通り受けられる。
このオプションはキャンペーン中に一度しか使用できない。


デュバリー:……ちょ、ちょっと死んでる……!
ルカ:や やだすぎるな
アッシュ:つまり1回は死ねるからマジで殺すつもりのバランスで行くよってこと?
クレア:ゾンビィ…
ギル:これもう私受けてたりしませんよね
デュバリー:そういうことだったとはね
GM:正体見たり
クレア:様子がおかしいとは思っていたが…
アッシュ:一人だけ前倒しで精神やられてたってこと?
ルカ:更にやられたらもうどうなっちゃうんだよ
デュバリー:経験点を獲得できずがちょっとつらいねえ
ルカ:経験点獲得できないのつらいよねえ
アッシュ:やっぱ死ぬのは良くないですね
アッシュ:生きて帰りましょう
デュバリー:(あっ死んだ状態で戦闘終わると経験値ゲットできないやつかこれ……)
クレア:絶対に死んだりなんかしない!
ルカ:絶対不敗戦場!
ギル:気合でがんばります
アッシュ:やったるぜ



【Masterscene2】

同時刻 スイス ベルン
GM:臨時合同軍全滅の報を受けると、各国軍高官から我先にとベルンからの退避が始まった。
GM:街には非常事態を告げるサイレンが鳴り響き、議事堂は閑散としていた。
GM:静まり返った議場の中央、ジタンに火を点ける。黒煙草がじりじりと燻る。肺を煙で満たし、深く吐き出す。
:「……貴方は逃げなかったのですね」
:議場の隅、怯えた様子で居心地悪そうに身を縮める男に声を掛ける。
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:「……に、逃げる度胸も無かっただけです」
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:力無く笑う。顔面は蒼白で、小さく震えている。
:「よろしい」
:微かに笑み、灰皿に灰を落とす。
:「ミルシュカ」
ミルシュカ:『はい』
:「周辺国を中心に各国に連絡。連中の臍繰りを出させろ。今使わねば船は沈むぞ。金塊を抱えたままな」
:「法王もとっくに避難しているだろう。バチカンも引き合いに出してそちらでもつついてみろ」
ミルシュカ:『……了解しました』緊張の滲む声で返す。
:「タヌッチ殿」
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:「はっ……はいっ?」
:「現状、イタリア臨時政府の最高責任者は貴方ですね?」
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:念押しのような確認に、目を逸らして言い淀む。「ええ……まあ……」
:「許可を頂きたい。戦後、今回の供与と功績に応じてイタリア領土の分割統治権を各国に与える」
:「それからコロッセオ……いや、ローマを焦土にする許可を」
レーモ・ベリザリオ・タヌッチ:「そっ……そんな……それは……!」
:「なるべく早くにお願いします。それだけ交渉がスムーズに進みますので」
:狼狽するタヌッチを横目に紫煙をくゆらせ、暫時考え込む。
:最悪の場合、ゲートを開いてαを太平洋や南極に放逐するという手段もある。
:だがそれは単なる時間稼ぎに過ぎない。何より、αがそこから移動して発生した被害に関して、舞──アイギスに責任の追及が及びかねないことは明白だ。
:それは間違いなく、アイギスという組織そのものの存続に関わる傷と成り得るだろう。
:(やはり、彼らを信じるしか無いか──)
:ジタンから燻った灰が、ぼろりと零れ落ちた。



【Middle2】

GM:全員登場です
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を1d3+3(→ 4)増加 (63 → 67)
ギル:ずんずんちゃちゃちゃ
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を1D3+3(→ 5)増加 (68 → 73)
ルカ:ルカの侵蝕率を1D3+3(→ 5)増加 (57 → 62)
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を1D3+3(→ 4)増加 (53 → 57)
アッシュ:アッシュ・ノイ・ジラードの侵蝕率を1d3+3(→ 5)増加 (44 → 49)
ギル:高まってきた
アッシュ:珍しく一番低い



GM:では早速判定に入っていきます
GM:改めて項目はこちら

・誘導路形成
αをキルゾーンまで誘導すべく、誘導路の形成と障害物の排除を行う。
《情報:任意》《RC》難易度105/任意の攻撃判定で難易度120
この判定を失敗したPCに対し、即座に判定値30、攻撃力50の攻撃が発生する。

・陽動
他所の作業の安全確保と同時にαの誘導を行う。
任意の攻撃判定で難易度40
この判定を行なったPCに対し、即座に判定値15、攻撃力50の攻撃が発生する。
→『誘導路形成』の難易度-50、以降『尾部切断』判定時C値-1

・ジャーム群排除
αの周囲に群がるジャームを掃討する。
任意の攻撃判定で難易度30、これを3回連続で行う。途中で失敗した場合、成功回数のみ累積する。
この判定を行なったPCに対し、即座に判定値15、攻撃力5の攻撃が3回発生する。
→『誘導路形成』『陽動』の難易度を-20する。

・尾部切断
周囲に炎を噴出している尾部を切断する。
任意の攻撃判定を行い、120点のダメージを与える。装甲値10。
→『誘導路形成』の難易度を-30する。
この判定が未達成の場合、クリンナップ時にPC全員に対して判定値10、攻撃力50の攻撃が発生する。

・負傷者救護
負傷した味方の救援に向かう。
《知識:医学》で判定、任意のNPC1人の耐久力を2+(達成値÷10)回復させる。《応急手当かキット》などのアイテムを所持している場合、使用して効果を達成値として上乗せしてもよい。上限4。


GM:ラウンド1
GM:セットアップから!
クレア:なし!
ルカ:なし~
ギル:ないです
アッシュ:Lever l'ancre:加速装置Lv3+ヴァジュラLv3&背徳の理Lv3+喰らわれし贄Lv3+巨人の影Lv1
アッシュ:→行動値+9、攻撃力+18、暴走、判定D+6、ライトニングリンクのLv+2、侵蝕値+12
アッシュ:アッシュ・ノイ・ジラードの侵蝕率を12増加 (49 → 61)
アッシュ:アッシュ・ノイ・ジラードのイニシアチブを16に変更 (7 → 16)
デュバリー:これ早めに動いた方が良いやつだな。《加速装置》
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を2増加 (67 → 69)
デュバリー:行動値は+8!
ギル:すみません
ギル:ないって言ったけど行動値の関係で戦車乗ったほうがいい気がしてきたので
ギル:コーリングシステム使って乗ります。行動値0に。
アッシュ:そしてこちらも加速装置の効果を切ります、元の7に戻る
GM:ではイニシアチブ
GM:行動値14 デュバリーさんの手番です
デュバリー:よし来た。マイナーで《オリジン:ヒューマン》+《オリジン:プラント》
デュバリー:メジャーで ・ジャーム群排除 に挑みます。エフェクト等は特に使わないぜ。
GM:任意の攻撃判定で難易度30、3回連続です
GM:判定どうぞ!
デュバリー:前回までの私はそれすら危うかったでしょう。だが今回は……違うぞ!
デュバリー:3dx+25+12=>30
DoubleCross : (3DX10+37>=30) → 8[4,6,8]+37 → 45 → 成功

デュバリー:3dx+25+12=>30
DoubleCross : (3DX10+37>=30) → 9[8,9,9]+37 → 46 → 成功

デュバリー:3dx+25+12=>30
DoubleCross : (3DX10+37>=30) → 7[2,6,7]+37 → 44 → 成功

クレア:随分鍛え直したな…
GM:やっぱ強えぜ……デュバリー!
アッシュ:安定性がダンチ
ルカ:デュバリーちゃんすごおい!
デュバリー:フハハ! 射撃訓練をいっぱいした甲斐があった!
GM:判定は成功!
ギル:訓練偉いぞ~
GM:判定値15の攻撃が3回発生します。リアクションをどうぞ
デュバリー:すべてに《ゲットダウン》で対応します
デュバリー:3dx+25+12=>15
DoubleCross : (3DX10+37>=15) → 9[2,5,9]+37 → 46 → 成功

デュバリー:3dx+25+12=>15
DoubleCross : (3DX10+37>=15) → 5[4,5,5]+37 → 42 → 成功

デュバリー:3dx+25+12=>15
DoubleCross : (3DX10+37>=15) → 9[3,8,9]+37 → 46 → 成功

GM:くっ……だが侵蝕は上げてもらう!
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を10増加 (69 → 79)
アッシュ:コスパが良すぎる
GM:ヤロ~~

GM:都市を埋め尽くす大小様々な異形の群れと、空を飛び交う無数の翼竜。
GM:αの意思に従うかのようにその進行に随伴し、周囲の動くものを手当たり次第に攻撃している。
GM:彼らに包囲された状態では、まともに動くことも困難だろう。
デュバリー:持ち込んだ機銃を枯れ木に撃たせ、ジャームの群れを払う。もちろん、相手は雲霞が如き恐怖の軍勢だ。穴を空けることすら叶わない。
デュバリー:だからこれは、時間稼ぎ。――交感能力の範囲と帯域を、非実戦的な領域にまで広げている。
デュバリー:(樹よ人よ。草よ銃よ)
デュバリー:(炎に踏み躙られ、灰の下に息絶える君たちよ)
デュバリー:(……永久の眠りのその前に、今その力を差し出してもらう)
デュバリー:呼びかけ、力を分け与える相手は、焼き払われた草木の根であり、命絶えた人々である。
デュバリー:市民の記憶から破壊された市街の地勢を引きずり出し、灰の下から欠損部位を焦げ付いた草木で補った兵士の死体が立ち上がる。
デュバリー:銃を持つ者は空の翼竜へ引き金を引き、持たぬ者は怒りに吠えながら地上の異形に組み付く。
デュバリー:最初に機銃を撃っていた枯れ木は、いつの間にかデュバリーのを守るように取り込みつつ、市街全ての残存する植物の命を吸い上げて、
デュバリー:赤い竜には到底及ばないながらも見上げるほどの高さに屹立し、主なき火気を枝葉と突き出し、火線を放って天地の異形を撃ち払う。
デュバリー:……あるいはその有様を冒涜と謗る者もいるであろう。死者を引き起こし、自らの火力と操るとは、事実、尊厳も神も恐れぬ所業である。
デュバリー:(でもそれで良い)
デュバリー:もはや聖句にて報われぬものに報う。それが彼女の選んだ道。それこそがMélusine(隣人なる怪物)の生である。
デュバリー:αにまとわりつくような地上の異形たちが、空の翼竜たちが目に見えて列を乱し始めたのを視認して、通信機に手を当てる。
デュバリー:「小型の相手は、このまま側面から圧をかける」
デュバリー:「αはお願い」
ジャーム:インプ:「キィッ……!?」
ジャーム:ワイバーン:「ギャアァッ!!」
GM:怪物の進行が乱れ、血の匂いに狂ったように騒ぎ立てる。
GM:未だ膨大ではあるが、少なくとも周囲の敵は戸惑い、あるいは引き付けられている。味方のもとに向かう数は減じることが出来ただろう。
デュバリー:死した者の想念を手繰るのに手一杯で、焦げ付いた樹に抱かれたまま、指先一つ動かせない。
デュバリー:(……こんな使い方をしたのが初めての割にはやれてるけど、どれだけもつやら)
デュバリー:(お願い、みんな)

GM:『誘導路形成』『陽動』の難易度が-20されました。
GM:行動値10 クレアくんの手番です
クレア:待機します。
GM:では行動値7 アッシュくんの手番です
アッシュ:こちらも待機します
GM:行動値6 ルカくんの手番です
ルカ:はーい
ルカ:マイナーなし。
ルカ:メジャーで・陽動 に挑みます。《コンセントレイト:モルフェウス》《ペネトレイト》オートで《砂の加護》を使用。
ルカ:白兵で命中判定
GM:任意の攻撃判定で難易度40、-20されて難易度20です
GM:判定どうぞ!
ルカ:(4+1+3+2)dx7+8-1>=20
DoubleCross : (10DX7+7>=20) → 10[1,2,2,3,4,5,6,7,8,9]+10[3,9,10]+5[1,5]+7 → 32 → 成功

ギル:がんばれ~
GM:判定成功!
ルカ:やったー
クレア:いいぞ~
ルカ:ルカの侵蝕率を8増加 (62 → 70)
GM:ですがルカくんに判定値15、攻撃力50の攻撃が発生します。
GM:リアクションをどうぞ
ルカ:ドッジに挑みます!
ルカ:6dx>=15
DoubleCross : (6DX10>=15) → 10[2,8,9,9,9,10]+9[9] → 19 → 成功

ルカ:成功した
GM:避けとるやん!
アッシュ:強い!
ルカ:エーッ うれしい
GM:ではダメージはありません。
デュバリー:えらいぜ
ルカ:ピースピース
クレア:さすが肉体派だぜ
GM:『誘導路形成』の難易度が-50され、以降『尾部切断』の判定時はC値が-1されます。
ギル:ありがち~
アッシュ:助かる~

ルカ:「あのさ」瓦礫の中を進みながら、アッシュに話しかける。
ルカ:「あんた、ワクワクしすぎ」
アッシュ:「ええ?じゃあ聞くけどさ」
アッシュ:「ドラゴンをマジで見てみたいって思ったこと無いの?今まで生きてて一回も?」
ルカ:「ない」
ルカ:「龍を見たと思ったことはある」
アッシュ:「マジ?東洋のドラゴンだっけ」
ルカ:「そう」アッシュを見る。彼の方が身長が低いので、見下ろす形になる。
アッシュ:「良いな、今日で東西制覇じゃん。どこで見たんだ?」
アッシュ:「これ終わったらソイツにも会いに行きたい」
ルカ:「……」「……あんたもよく知ってるよ」
ルカ:「それより」話題を変える。
ルカ:「状況が状況だろ。そういう素ぶりしてると、あんたのこと嫌うやつも出てくるんじゃないの」
アッシュ:「ソレ、なんか問題ある?」
ルカ:「あんただって…」道すがら、いくつもの死体がある。
ルカ:「死を悼む気持ちはあるだろ」
アッシュ:「そりゃね。流石にそれが0って程人でなしじゃない」
アッシュ:「少なくとも今は」
ルカ:「ん」
ルカ:「それに、ある。もうひとつ」
ルカ:「嫌いな相手に命を預けるのも、嫌われてるヤツが命を預けようとするのも」
ルカ:「死ぬほどリスキー」
ルカ:「誰かが言ってた」
アッシュ:「へえ」 ドラゴンを見やる姿勢のまま、横目に視線だけルカへ送る。
アッシュ:「顔に似合わず律儀なとこあるよな、アンタ」
ルカ:「………」ムスッとする。「顔はいいだろ」
アッシュ:「じゃあルーキーを脱却しつつあるアンタに追加講義だ」
ルカ:「なんだよ」
アッシュ:「オレは負けない。だから負けるリスクを気にしなくていい」
アッシュ:「だから嫌われてようと好かれてようと関係ない。お分かり?」
ルカ:「分かるかよ」
ルカ:「あんたは一人で戦ってるわけじゃないんだ」
アッシュ:「知ってるよ」
アッシュ:「現に今、アンタがココに居る」
ルカ:「そう」
ルカ:「だから言ってる」仏頂面。
アッシュ:「これ以上嫌いになるような真似すんなって?」
ジャーム:ワイバーン:言葉を交わす二人に気付き、上空から数頭の翼竜が急降下、金切り声と共に襲い来る。
ルカ:「おれが、じゃないよ」
ルカ:こちらを噛みつこうとした翼竜の頭を、むしろこちらが掴み取る。右腕が瞬時に異形に変化している。
ルカ:「あんたのその、負けないって確信」
ルカ:「……希望にできるだろ。ここにいるやつらの」
ルカ:「分けてやってもいいんじゃないの」
ジャーム:インプ:そのルカの背後から、小型の異形が飛び掛かる。首元を狙い、鉤爪を振りかぶる。
アッシュ:「希望ねえ」
アッシュ:シャランと剣と鞘が擦れる音がして、異形の群れが吹き飛ぶ。
アッシュ:一瞬遅れて、青い閃光が炸裂した。吹き飛んだ異形の群れが雷によって焼け焦げる臭いが漂う。
アッシュ:「オレとしては、普段と変わらないんだよな」
アッシュ:「英雄と呼びたいヤツは呼べばいい。無謀と思うヤツはそう思えばいい」
アッシュ:「それと同じ。信じたいヤツが信じて、信じられないヤツは信じない」
アッシュ:「その割合を変えるために、オレがオレの振る舞いを変える必要ある?」
ルカ:振り向く。
ルカ:「あるよ」
ルカ:「あんたのことを信じて、あんたのことを英雄と思う奴が、一人でも増えれば」
ルカ:「それだけ、死ぬ奴が減るだろ」
アッシュ:「……ふーん」
ルカ:「……少なくとも」「おれは、友達がいる。そいつには死んでほしくない」
アッシュ:こちらも振り向く。自分とは色味の違う青を見つめて。
アッシュ:「自分じゃやらないの?」
ルカ:「おれじゃ無理だよ」
ルカ:「この場で一番、勝利を確信してるの、あんただろ」
ルカ:「だから…アッシュ・ノイ・ジラードに、頼んでる」
アッシュ:「つまり、アンタにとっての英雄ってのは」
アッシュ:「どんな状況でも勝利を確信してるヤツってこと?」
ルカ:「……」
ルカ:アッシュを見る。
ルカ:「いや」
ルカ:「その希望を与えてくれる人」
ルカ:「…。だから、考えといて」話を打ち切る。ジャームの群れが迫ってきている。
ルカ:「あと」
ルカ:「おれがあんたのこと嫌いって言うのは」
ルカ:「あんた見てると、死んだ妹のこと思い出すから」
ルカ:「年齢と戦歴が同じくらいだ。……じゃ」
ルカ:それだけ言って、道を分かれてジャームの群れに飛び込んでいく。
アッシュ:「……」 ぽかんとしたような顔でそれを見送って。
アッシュ:「今言うことか?」
アッシュ:「つーか、年と戦歴くらいだろ一緒なの……」
アッシュ:「やっぱよく分かんねーわ、アイツ」という呟きは誰に聞かれるでもなく戦火に紛れた。
ルカ:……廃墟のなかに聳え立つ高層ビル程の背丈がある巨樹は、デュバリーが用意した足場である。
ルカ:常人のそれを遥かに超越した身体能力で一気に駆け上がり、紅蓮の竜に向けて弾丸の如く飛びかかる。
ルカ:紅い鱗に鉤爪を引っ掛けて、表皮を切り裂きながら頭部を目指す。
ルカ:振り落とされそうになりながら、しがみついて飛び移って、竜の注意を惹きつける。
ルカ:羽虫みたいだなと思う。
α:切り裂かれた側から、鱗を纏った表皮は瞬時に再生していく。
α:だが、纏わりつく異物の存在には気付いたらしい。
α:文字通り虫でも払うかのように、身体を揺さぶる。それだけでも凄まじい衝撃と揺れ、暴風がルカを襲う。
ルカ:「クソ」腕を継ぎ接ぎの盾のように変化させながら、嵐をしのぐ。
ミルシュカ:『……αの進行、鈍っています!』
ミルシュカ:『もう少しだけ耐えてください、“Sol”!』
ルカ:「分かってるよ」
ルカ:「……、なんとかしてくれんだろ」

GM:行動値0 ギルさんの手番です
ギル:なんとかかんとか
ギル:マイナーは特になし。メジャーで《マルチウェポン》《ヴァリアブルウェポン》《無形の影》《コンセントレイト:ウロボロス》
ギル:尾部切断を試みる良い
ロクサーヌ:あっではギルさんを支援します
ロクサーヌ:NPCカード効果が「オートアクションで使用可能。装備一つを指定し、その攻撃力・ガード・装甲値のいずれかを、シーン中+15する。」なので
ギル:支援してして~♡
ロクサーヌ:大口径機関砲の攻撃力を+15しとこう
ギル:ありがとうございます。使用武器は大口径機関砲*3と戦車砲で。
ギル:C値が1下がって6……でいいのかな。いきます
GM:任意の攻撃判定を行い、120点のダメージを与える。装甲値10。
GM:判定どうぞ!
ギル:11DX6+4 回れ~
DoubleCross : (11DX6+4) → 10[1,2,3,4,4,4,5,6,9,9,9]+10[2,2,5,6]+10[10]+2[2]+4 → 36

ギル:C6なのにびみょい
GM:振り足し無ければダメージどうぞ~
ギル:滅茶苦茶成功できるか微妙なラインな気がするな
ギル:今自前の攻撃力が78で、ロクサーヌさんの私怨で93
ギル:ブラックスミスの効果で1d10増加があるから、93+5d10になるんだけど
ギル:120出るかメッチャ微妙なラインなんだよね。出目が良ければ出るしちょっと悪ければでない
ハミース:NPCカードを使用します。
ギル:おっなんだなんだ
ハミース:“سهم فضي”ハミース・アル=フサイニー 効果:判定直後に使用、達成値を+5。例外としてラウンド1回使用可能。
ハミース:繰り上げておくぜ 達成値を
アッシュ:あ、ダイス増加じゃない!
ルカ:お~~
ギル:ちょっとだけ増えた
クレア:ちょっと豪華なバディムだ
ギル:へいへい!他に乗るやつは居ないかい!
ギル:今なら助力し得だよへいへい!
ギル:無いようだしダメージを……出すか
GM:120出すな~~~~~
ギル:5d10+1d10+21+21+21+15+15 倒れろ~
DoubleCross : (5D10+1D10+21+21+21+15+15) → 25[1,1,9,4,10]+10[10]+21+21+21+15+15 → 128

GM:ぐえ~~~~~~~~~~~~~~
アッシュ:バッチリ出てる
ギル:ガー不装甲無視です!
ルカ:やっば
GM:一発で出されることある??
デュバリー:狂ってる
ギル:二人共ラブ
GM:『誘導路形成』の難易度を-30、クリンナップ時の攻撃が無効化されます。
ギル:では演出するぜ

GM:αの巨大な尾は半ばから燃え盛り、その業火を周囲に振り撒き続けている。
GM:これがある限り、被害は広がる一方だ。そしてまた、凶悪な攻撃手段でもある。
ギル:ジャーム群の波が途絶え、ルカが陽動を行っている隙にαの尾へと接近している。
ギル:「悍ましいね。だが準備には十二分な時間があった。それに、英雄に道を譲ってもらったんだ。失敗すれば名が廃る」
ギル:炎に照らされ膨れ上がった影の中から、黒い鉄の巨人が浮上する。
ギル:「余力のある者は力を貸せ!あれを落とせるかどうかがこの戦いの鍵だ!」周りのオーヴァードに向かって呼びかけるとともに
ロクサーヌ:声に応じて、両の手を開く。十本の指先からそれぞれに、青白い人魂のような炎が生まれ出る。
ロクサーヌ:そのかたちは煙のように棚引いて背を伸ばし、撚り合って、一頭の大蛇へと変じていく。
ロクサーヌ:飛び上がったそれが"鉄王"の巨体へと齧りつき、その身を鋼の内へと潜り込ませた。
ロクサーヌ:間もなくその影が、灼灼たる熱を帯びた蛇の紋様として両の腕に浮かび上がる。
ロクサーヌ:「鍛冶神ガヴィダの指、くろがねに魂を灯し分ける焔。その全部」
ロクサーヌ:「貴方に貸し与えた。……行って!」
ギル:巨人が天に向かって吠える。その背から翼を広げるかのように、炎に包まれた無数の銃口と砲塔がαに向かって展開され
ギル:「蹴散らせ……“鉄王”!」一斉に火を放つ。一発で戦車をも行動不能にする弾丸が、千を、万を超えてわずか数秒のうちに吐き出され、竜の尾を噛みちぎらんとする。
ハミース:光の矢が殺到する。それはまるで火勢を強めるように――否。
ハミース:強めたのはそれに照応する影。蛇を浮かべる巨腕の勢いを強めた。
GM:凄まじい轟音と共に、銃火が巨木の如き尾を撃ち抜く。
GM:半ばから吹き飛び、地響きと共に地に落ちる尾。夥しい血飛沫が津波の如く街を染め、灯された炎が揺らめく。
α:「────」
α:幾つかの頭が悲鳴を上げ、幾つかの頭が怒りの唸りを響かせる。
レナート:「……マジかよ」
レナート:遠方の高台からその光景を眺め、瞠目する。
“バーバヤガー”:「へえ。衰えずか」
ギル:「よかったのかい?彼女に怒られてしまうんじゃないかな」と、ロクサーヌに向かって
ロクサーヌ:「あれを一気に切り落とす大きさを持っているのは、貴方だと思ったから」
ギル:「もう一人いるけど……彼には力をとっておいてもらいたくてね。ハミースもありがとう。悔しいが僕一人じゃ足りなかった」
ハミース:「馬鹿言え。まだ何本もぶら下げてんだろうが」
ハミース:「全部へし折ってからにしやがれ」
ギル:「行こう。僕達にできるのはここまでだ。あとは……」コロッセオに目を向け
ギル:「……無理はしないでくれよ、舞」

GM:イニシアチブ0 待機していたアッシュくんの手番です
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を14増加 (73 → 87)
アッシュ:誘導路形成行きます!
GM:現在の難易度は-100
GM:《情報:任意》《RC》難易度5/任意の攻撃判定で難易度20です
アッシュ:Flairer le vent:コンセントレイト:ウロボロスLv3+シャドーテンタクルスLv1
アッシュ:C値-3、射程10m、侵蝕値+3
GM:判定どうぞ!
アッシュ:(3+3+6+2+1)dx7>=20
DoubleCross : (15DX7>=20) → 10[1,1,1,1,2,2,3,5,7,7,7,8,9,9,10]+10[1,2,5,5,6,6,7]+10[8]+10[7]+10[8]+4[4] → 54 → 成功

ルカ:わっすご!
アッシュ:やる気に満ちてた
アッシュ:アッシュ・ノイ・ジラードの侵蝕率を3増加 (61 → 64)
GM:クソ~~~~
GM:では成功です。判定突破!

ミルシュカ:『尾の切断を確認!』
ミルシュカ:『今がチャンスです。コロッセオへの誘導路の形成を!』
アッシュ:「ギルのヤツ、マジで独り占めかよ」
アッシュ:不満げに独り言ちる。作戦概要説明時から、尾の切断を引き受ける気で居たためだ。
アッシュ:ギルから「僕に任せて。もし仕留め損ねた時はフォローを頼むよ」と柔らかながらはっきり言われて渋々譲ったが、玩具を取り上げられた子供のように拗ねている。
ミルシュカ:『拗ねないの!まだ仕事は残ってる!』
アッシュ:「分かってるよ。道造れば良いんだろ?」
ミルシュカ:『そうよ。それともこういうのは自信無い?』
アッシュ:「まさか」
アッシュ:辛うじて倒壊を免れた高い屋根の上。眼下の街を見下ろして。
アッシュ:「やるからには全力だ」
アッシュ:尾を切られ狂乱するドラゴンからは約百メートル。そして目的地であるコロッセオまでは数キロメートル。
アッシュ:今から二つを直線で結ぶ。それが今のアッシュの仕事だ。
アッシュ:「一番美味しいとこは取られたけど、その分こっちも派手に行こうか」
アッシュ:手に携えるは愛刀。ここ最近の酷使を考慮し、打ち直されたばかりの刀身が鏡のように光を反射する。
アッシュ:まずはその刀身を雷が奔り蒼に染める。それを覆うように影が新たな刀身を形作り黒に堕ちる。
アッシュ:蒼、黒、蒼、黒。しばしそれが繰り返される。常の戦闘であれば割けないほどの時間をかけて剣が打ち直されていく。
アッシュ:そして、いつしか斑になったそれの長さが2mをも越した頃。
アッシュ:「行くか」 彼は重力に任せ飛び降りる。
アッシュ:影と雷が絡み合いながら軌跡を描く。それは肥大した刀身をも更に超え、伸び続ける。
アッシュ:――目標ばかりを見据えるアッシュにその自覚は無いが。それは絡み合う二頭の龍にも見えただろう。
ルカ:「………」遠く、紅い竜に爪を立てながら。その双龍が視界に入る。
ルカ:「遅え」呟く。
アッシュ:その呟きへは雷鳴が応えた。振りぬかれた刃に遅れるように周囲へとそれが伝播していく。
アッシュ:刃が届いた数百メートルはそれだけで消し飛んだ。そしてその先の数キロメートルへは。
アッシュ:「やっぱ良い仕事すんだよな」
アッシュ:デュバリーが張り巡らした植物の根。それは彼女の能力によって、雷電を伝播させる。
アッシュ:常であれば自分へと電力を供給してもらうのが主だが。今回は逆に自分の雷を運ぶ形となった。
GM:αの前方、コロッセオまでの建造物が軒並み吹き飛ばされ、進路を導くように巨大な溝が刻み込まれる。
GM:それは山の如き巨体を導くにも、十分な道だ。
カタリーナ:「おお~さすがアッシュだ~」
カタリーナ:「なんとかなりそうじゃない?」
エリアス:「こんなの……まるで」
エリアス:「…………」黙り、その雷光を見る。
エリアス:(これが本物か)
トミー・ウェイクマン:「すっげぇ……」
トミー・ウェイクマン:「……あんなのと一緒に戦ってんのかよ、あいつ」
ミルシュカ:『……誘導路の形成を確認!』
ミルシュカ:『αがコロッセオに到達次第、爆破します!総員、退避の準備を!』
α:形成された道に沿って、巨体がゆっくりと歩み出す。
ルカ:「……疲れた」αの頭部から飛び降り、脱出する。
デュバリー:通信機からミルシュカの声を聞き、また屹立する砲火の樹の根の知覚を通じ、それを感知する。
デュバリー:(これで、この惨劇は……)
α:地響きと共に、一歩、二歩と踏み出す。が──
α:「……」
α:頭の一つが、前方のコロッセオを見る。
クレア:「………」その歩みを、焼け残った尖塔からライフルのスコープ越しに見守る。
ギル:「待て、なんだか様子が……」
α:別の頭が、下方の地面に向けて大きく口を広げ──
α:瞬間、大爆発が巻き起こる。
デュバリー:(……!?)
α:衝撃波と共に、巨大な火柱が上がる。それが口内から放った火球によるものだと認識できたのが、何人いたか。
ルカ:「どうなって……」背後から爆炎が迫る。廃墟を飛び移って逃れながら、αを見やる。
クレア:「尾から火を吹くなら、口から吹けるのも道理か……いや、今はそんなことより」爆炎の先へ目を凝らす。
α:足元の障害物を避けようとするただの気まぐれか、或いは進む先に何らかの危険を感じ取ったのか。
α:いずれにせよ、αの足元は再びまっさらな焦土へと変わっている。
クレア:「……道が崩れた」
α:そうして、コロッセオから逸れた方向へと一歩を歩み出す。
アッシュ:「おいおい、せっかく人が誂えた花道が気に入らないって?」
アッシュ:文句のような言葉とは裏腹に、その声音は弾んで。
ルカ:「……」しかめっ面をする。「……絶対、喜んだ奴いたな」
アッシュ:「流石だな。ドラゴンってのはそうでなくちゃ」
ミルシュカ:『……ッ……誘導失敗です!まずい、再度形成を……』
ミルシュカ:『……ちょっと待って、何あれ……!?』
GM:悲鳴のようなミルシュカの無線と共に、異音が響き渡る。
ギル:「おいおい、今度はなんだい……?」
α:半ばから切断された筈のαの尾。その断面から骨肉が盛り上がり、鱗に覆われ、見る間に再生していく。
ラジーク・マフフーズ:「……馬鹿な」
パメラ:「はあ!?」
イレナ:「エド!」叫び、せめて火を操作しようとし。「……あれ!」
α:元の通り──ではない。再生した部分からは二又に別れ、一層分厚い甲殻に覆われ、更に激しく燃え上がって周囲に炎を噴出する。
GM:常軌を逸した高温に、周囲の道路標識やマンホールが赤熱していく。
GM:《苛烈なる熱気》のLVが30に上昇。達成値90以下の判定は失敗となります。
GM:エミリアのNPC効果で無効化。
ルカ:エミリアちゃん……………
エミリア:「……く、あ……!」
エミリア:応じ、咄嗟に出力を上げる。街中に散らばったオーヴァード、その全員に加護を届けている。
エミリア:咲き乱れる非実体の花々は周囲の石畳を侵蝕し、一面異様な花畑めいた様相を呈していく。
エドヴァルト:「ッ……!」迫るジャームを叩き潰していたが、爆風がその影を諸共に吹き飛ばした。
エドヴァルト:瓦礫の山へと叩きつけられるが、すぐに這い出る。致命傷ではない。「……恩に着る」エミリアを見やり、それだけ言い捨てて戦闘に戻る。
ミラン・サイフェルト:「こっちもこっちで訳が分からないな……何が……」
ジナイーダ:「ツイてんだかツイてないんだか」
ジナイーダ:「いや……普通にヤバいほうか」
デュバリー:エミリアの様子を見て、伸ばしていた木の枝、根のうち、必要ない部分を切り落としにかかる。
デュバリー:切り落とされた枝根は、当然瞬時に燃え上がる。……文字通り枝葉末節ゆえ、負担がどれほど軽減できるかわかったものではないが。
デュバリー:(……エミリアの様子次第では、防備を解いて生身で戦う必要がありそうか。こまったな)
ギル:「作戦変更だね。どうするミルシュカ」
ミルシュカ:『……』
ミルシュカ:逡巡の間があった。それから。
ミルシュカ:『……もう一度です。別の作戦を立て、全員に伝達している時間的猶予は……ありません』
ミルシュカ:『ジャームも集まってきています。今度は更に困難な作業が予想されますが……』
ミルシュカ:『……αの進行速度から見ても、恐らくこれが最後のチャンスになります』
ミルシュカ:『……今度は更に、確実な遂行を。皆さん……お願いします』
ロクサーヌ:「もう一度、って……今、通じなかったのに……?」
リシェ:「……ほら、言ったじゃない」
リシェ:「どうせ全部無駄なのよ」
リシェ:終末の光景を眺め、呟く。
ロクサーヌ:「……っ」何も言葉が出ず、俯く。
エリアス:黙って鎧に似た影を生成している。それが炎の余波で焦げ、消えた。
“バーバヤガー”:「……潮時かもしれんな。いつでも動けるように準備しときな」
レナート:「……はい、マム」
イリーナ:「……了解」
ルカ:「…アッシュ」
ルカ:「……」「このまま再挑戦しても全員死ぬ」仏頂面で言う。
ラジーク・マフフーズ:「……なにか腹案が?」
ルカ:「さあ」ムスッとしている。「期待してるだけ」
エリアス:一瞥する。酩酊とは程遠い、感情を均した目。「英雄にですか?」
ルカ:「…そうなってくれるならな」
アッシュ:「はあ」 マイクに入らないよう一つ呆れたようなため息を付いて。
アッシュ:「要はアレだろ?次はオレも尻尾の切断に回れるって訳だ」
ミルシュカ:『ええ、そうよ。やる気出た?』
アッシュ:「勿論。ギルに独り占めされずに済むんだからな」
アッシュ:「他のヤツらはどうだ?ドラゴンの尾を落とすなんてきっとこの先そうない経験だぜ?」
ギル:「ハミースとロクサーヌもいた」
アッシュ:「なら三人占めか?まあどっちにしろ、だ」
トミー・ウェイクマン:「……もう一度、って……」遥か頭上で鞭のようにしなる、巨大な尾を見上げる。
トミー・ウェイクマン:(……また同じことになるんじゃねえのかよ……?)
アッシュ:「オレ達はやる。もう一回でも、あるいはもう何回でも」
アッシュ:「戦わなきゃ勝てないからな。そうだろ?」
アッシュ:「アンタらがどうするかは自由だ。最初に言った通り」
アッシュ:「乗っても良い。降りても良い。絶望しても良いし、その辺で泣き喚いてても良い」
アッシュ:「ただ、戦いたいけど躊躇ってるヤツが居るんなら」
アッシュ:「これを理由にすると良い。『アッシュ・ノイ・ジラードがこう言った』」
アッシュ:「『オレ達は必ず勝つ』ってな」
ロクサーヌ:「……」迷うように視線を動かす。順にこの場の人々の顔を見て、最後には相棒の所で止まる。
ルカ:「……勝つ自信は?」アッシュくんに。
ルカ:「どこから来てんの」
アッシュ:「オレがアッシュ・ノイ・ジラードだから」
アッシュ:「オレは誰にも勝てないなんて思ったことないし、現に負けたことも無い」
アッシュ:「今回も同じ。アイツは確かにバカデカいしクソ熱いしありえないくらいタフだけど」
アッシュ:「勝てないなんて思ってない」
アッシュ:「7つあるんなら1個くらい首貰って部屋に飾れるか、楽しみにしてるくらいにはな」
ルカ:「……」顔をしかめながら、堂々と発せられるその言葉を聞く。
エリアス:《代謝制御》《完全演技》を解除する。人と話すためのルーティン。治まっていた冷や汗が垂れる。
ルカ:「…だ、そうだけど」隣にいるエリアスくんに。
エリアス:その瞬間に話しかけられて、肩が揺れる。「……」
エリアス:「おれは……乗ります。けど…それは」複雑そうな顔。「おれ個人としては」
エリアス:「あなたの力に対しての信頼であって、あなたへの信頼じゃない」
エリアス:申し訳なさそうに。汗が地面に落ちる前に揮発する。
エリアス:「おれだって手を汚してる。きれいごと言える立場じゃない。でも」
エリアス:「でも、これだけの惨状と死を前にして、楽しそうなあなたが、おれは……」
エリアス:「おれは怖いです」《代謝制御》。汗が引く。
エリアス:「そう思っているのに、あなたを信じて乗るなんて嘘は言えない」
アッシュ:「別に良いよ。アンタがオレをどう思ってようと、それはオレにも戦況にも関係ない」
エリアス:「はは」《完全演技》。微笑む。「おれ、わりと酷いこと言った気がしますけど」
アッシュ:「そう?正直で良いヤツなんだなって思ったけど」
ルカ:渋面でそのやり取りを聞いている。
ルカ:「好かれる努力をしろって言ったんだ」不機嫌そうにぼやく。
エリアス:「……力にはなれると思います。でも、…これは酷い言葉でしたよ、やっぱり」苦笑いを浮かべる。
エリアス:「それに。あなたでなくても、ひとりを祀り上げる過ちは、もうおれたちの国にはできないことですしね」
カタリーナ:「あはは。それ言うと怒られるんだよ~」
カタリーナ:「しーらない」
エリアス:「怒る人、いまいないでしょ」

イルゼ:「……」
イルゼ:ゆっくりと戦場から遠ざかっていく多脚戦車の中から、炎に霞む巨影を見遣る。
イルゼ:「……ローデ」
クラウディア:「おお、まだまだ元気にやってるね……何です?」
イルゼ:「貴様、家族は?」
クラウディア:「え? いないけど」
クラウディア:「どうしたの、急に」
イルゼ:「……いいや」
イルゼ:「思っただけだ」
イルゼ:「……顔向け出来んな」
クラウディア:「何、イルゼ先輩はいるの?」
クラウディア:「いや、普通はいるか。変なこと聞いちゃった」
イルゼ:「キルステン家は名門だ」
イルゼ:「貴様のような野良犬とは……」
イルゼ:「……」黙り込む。
クラウディア:「ふーん、家がお金持ちなんだ。いいなあ」
イルゼ:「……ならば、何故兵士になった」
クラウディア:「なんでって、まあ」
クラウディア:「みんなが羨ましかったから、かな」
イルゼ:「羨ましかった?」
クラウディア:「親は顔も覚える前に空襲で死んじゃったし、遺産とかも一緒に焼けちゃったし」
クラウディア:「施設のおばさんは善い人だったけど、いつも忙しくて私なんかに構わなかったし」
クラウディア:「なんか……惨めだな、って思って」
クラウディア: 「人に羨まれる側になりたかったんだ。だから、軍の実験に志願した」
イルゼ:「……」
イルゼ:クラウディアの顔をじっと見て。
イルゼ:「……ならば、こんなところで死ぬ義理も無い、か」
クラウディア:「……あら、意外と反応薄い」
クラウディア:「もっと軽薄だのなんだのっていつもみたく怒るのかと思った」
イルゼ:「……貴様は私とは違う」
イルゼ:「私も、貴様とは違う」
イルゼ:「それを証明してやる」
イルゼ:「……隊長。失礼します」
イルゼ:言って、戦車から飛び降りる。
クラウディア:「証明……って」
クラウディア:「えっ……ええ?本気?」
ゲオルグ:「……」振り返りすらしない。
イルゼ:「貴様は来るな、ローデ」
イルゼ:「野良犬には過ぎた戦場だ」
クラウディア:「……いつも私と張り合いたがってるのは、知ってましたけど」
クラウディア:「子供みたいなプライドに命まで懸けちゃって。後悔しますよ、きっと」
イルゼ:「したくないから、行くんだ」
イルゼ:言って、燃え盛る市街地へと歩いていく。
クラウディア:「……」
クラウディア:それ以上は何も言えないまま、小さくなっていく背を見送る。
クラウディア:その表情は呆れているようにも、見捨てられたようにも見えた。

イレナ:「エド」
イレナ:「私はさ、きみに諦めたいって言われたら嬉しい」
エドヴァルト:「……イレナ」
エドヴァルト:一つ、何かを諦めたように溜息を吐いて。
エドヴァルト:「……俺は。本当は、戦争が嫌いだ」
イレナ:「知ってるよ?」
エドヴァルト:「人を殺す事が嫌いだ。血に濡れる事も、牙や爪で引き裂く感触も」
エドヴァルト:「……そうか」それもまた、諦めたように呟いて。「それでも、この道を進んできたのは」
エドヴァルト:「大義があったからだ。守るべき人々がいたからだ」
エドヴァルト:「俺を英雄だと受け入れてくれる、居場所があったからだ」
イレナ:「……うん」目を細める。
エドヴァルト:「それを失ったら……それを諦めてしまったら、俺は」傍らに転がった、ジャームの死体を見やる。「あれと同じになる。ただの人殺しだ」
イレナ:「きみがきみを認められなくなる」
イレナ:「……………なら、私はまだきみと戦いたい」
イレナ:「私には大義なんかない」
イレナ:「ほんとうは、きみのためですらないのかも」
イレナ:「……私は、ほんとうは、人を殺すことなんかどうだっていい」
イレナ:「嫌ですらない………きみを捨てた人々は、きみを怪物みたいって言ったけどさ」」
イレナ:「私からすれば、私………いや、それよりも」
イレナ:「私からすれば、こんなところにいる英雄どもほどの怪物はいない」
イレナ:「私も含めて。それでも………きみがそれを望むなら」
イレナ:「そうやって君のせいにすることでしか」
イレナ:「そんなことでしか理由を持てないヤツなんだよ」
エドヴァルト:「……」そう口にする、いつになく寂しそうな幼馴染の顔を、静かに見つめて。
エドヴァルト:「……一つ増えた。理由が」呟き、火炎へと向き直る。
エドヴァルト:「いつもお前が言っていた事が、分かった気がする」
イレナ:「なにが」
エドヴァルト:「お前を一人にしてやりたくない」
イレナ:「…………」
イレナ:「…………ふ、ふふ」
イレナ:男の顔を見上げた。この顔がひとのかたちをとることを知っている。
イレナ:私にとっては綺麗ごとみたいな、浮ついた理由。そんな言葉を、ひどく誠実に言う。
イレナ:(……じゃあ、きみがいないなら。私はほんとうに、どうなってもいいな)

パメラ:「……さすがだね、“Espoir”。役者が違うわ」ロクサーヌの視線に振り向き、決まり悪げに頬を掻く。
パメラ:「あんな風に君を勇気付けられれば良かったんだけど、私にはちょっと無理そうだ」
パメラ:「ミスター・ヴァーミリオンみたいな腕っこきでもなし。“ガヴィダの魔女”の武器の力で、どうにかこうにかここに立ってる」
パメラ:「さもなきゃ名もなき兵士の一人として、火の海に消えてた。きっと。とっくに」
ロクサーヌ:「……」沈痛な面持ちで、その言葉を聞いていたが。
ロクサーヌ:「……じゃあ、どうするの」恐る恐るそう訊ねる。
ロクサーヌ:続く彼女の言葉にどんな答えを期待しているのか、自分でも分からないまま。
パメラ:「……」
パメラ:「脅す、かな」
ロクサーヌ:「脅す、って……」
ロクサーヌ:「誰を?」
パメラ:「君を。そうだな」
パメラ:「もしもこんな所で死んだら、生き残った全員に恥ずかしい秘密をバラすぞ──とか」
ロクサーヌ:「……私のこと、子供だと思ってる?」
ロクサーヌ:じとっとした眼差し。
パメラ:「知ってるかい」
パメラ:「今の社会じゃ、嫌いな食べ物を皿の端に寄せるようなやつはハイスクールを卒業できないんだ」
ロクサーヌ:「なっ……何の話よ」
パメラ:「ピラフに入ってたエビの話だけど?」
ロクサーヌ:「そうじゃなくて! なんで、今そんなどうでもいい話を……!」
ロクサーヌ:僅かに怒気を孕んだ声を張り上げる。
パメラ:「あははは」おかしそうに笑う。
パメラ:「怒ってくれた」
ロクサーヌ:「怒っ……」そう言われて、カフェでそんな話をしていた事を思い出して。
ロクサーヌ:「……本当に、何なのよ。もう」毒気を抜かれたように息を吐く。
ロクサーヌ:「こんな話に、何の意味があるわけ」
パメラ:横を向く。まるで星空を見上げるみたいに、黒煙と火の粉と、燃え盛る巨竜の尾が切り裂く空を仰ぐ。
パメラ:「私はまだ全然死ねない」
パメラ:「家族がいるし。まだまだ儲けて楽にしてやりたいからね」
パメラ:「でも」
パメラ:「君は君だよ。ロクサーヌ。私についてこなくたっていい」
ロクサーヌ:「……」
パメラ:「けど、死なせることだけはしない」
パメラ:「だから脅しだよ。もし君が私より先に死んだら」
パメラ:「土の下でも真っ赤になるような失敗を会う人ごとに言いふらした上に、“ガヴィダの魔女”を子供に大人気の絵本にしてやる」
パメラ:「この竜退治でもらった金を元手にね」
ロクサーヌ:「な……っ」
ロクサーヌ:「……ばっか、みたい」
ロクサーヌ:「大体、貴方は」
ロクサーヌ:「ただ生き延びればそれで幸い、みたいなことを言うけれど」
ロクサーヌ:「逃げて生き延びることなら、私の方がよく知ってる」
ロクサーヌ:「色んなものを諦めるのよ」
ロクサーヌ:「……最初に諦めたのは、大人に庇護された安全な生活。そうしなければ、大切な人に類が及ぶから」
ロクサーヌ:「その次が、自分の手は汚さないという綺麗事」
ロクサーヌ:「そうやって、何百年、色んなものを捨てていった先で」
ロクサーヌ:「大切なものも、この世で成し遂げたいことも」
ロクサーヌ:「何一つ残ってなかった」
ロクサーヌ:「……もう一度」伏せていた目を上げる。君を見る。「それを作る気だって、なかったはずだった」
パメラ:「……」
ロクサーヌ:「……だから」
ロクサーヌ:「もう捨てたくない。そんな事をしたって、その先に意味なんてないから」
ロクサーヌ:「生き延びるなら、一緒によ」
パメラ:まじまじと見返して。
パメラ:「──ははっ!」くしゃりと顔を歪める。「何だよそれ」
パメラ:「君がそんな風に言ってくれたこともバラすからな。いいのかい」
ロクサーヌ:「ダメって言っても聞かないくせに」
パメラ:小さく笑って背を向ける。
パメラ:「生きてくれてたら言わないさ。それに」
パメラ:「……どんなお願いだって聞いてやる」
パメラ:「笑ってもらうとも約束したからな」
パメラ:単なる炎の照り返しか。
パメラ:垣間見えるその頬は、僅かに朱に染まって見えた。

ティベリオ・ディルーカ:ローマ・チャンピーノ空軍基地。
ティベリオ・ディルーカ:半壊した飛行場に、辛くも破壊を免れた飛行機を見繕った。
ティベリオ・ディルーカ:脱出のためにそれに乗り込み、空を見上げた。
ティベリオ・ディルーカ:すべてを見下し、地上に理不尽を押し付けるための、澄み渡る青空ではなく、
ティベリオ・ディルーカ:すべてを躙る、地上も空も全て無為に帰すかのような、紅に染まる炎の空。
ティベリオ・ディルーカ:それをもたらした怪物の巨影は、ここからでもひどく大きく認められた。
ティベリオ・ディルーカ:「何もかも……バカげてやがる」
ティベリオ・ディルーカ:「なんであんなモンにかかずらいやがるんだ……」
ティベリオ・ディルーカ:操縦桿を握る。「俺はテメーらとは……テメーとは違うぞ」
ティベリオ・ディルーカ:「生き抜いてやる」

GM:判定が更新されます。

・誘導路形成②
更に強固な誘導路の形成、障害物の排除、コロッセオへの拘束等を行う。
《情報:任意》《RC》難易度155/任意の攻撃判定で難易度170
この判定を失敗したPCに対し、即座に判定値40、攻撃力70の攻撃が発生する。

・陽動②
直接攻撃によりαを引き付け、誘導路方向に進行させる。
任意の攻撃判定で難易度65
この判定を行なったPCに対し、即座に判定値25、攻撃力70の攻撃が発生する。
→『誘導路形成②』の難易度-50、以降『尾部切断②』判定時C値-1

・ジャーム群排除②
集結しつつあるジャームを掃討する。
任意の攻撃判定で難易度40、これを4回連続で行う。/対象が《範囲》以上の攻撃判定で難易度20、これを2回連続で行う。
この判定を行なったPCに対し、即座に判定値15、攻撃力5の攻撃が(判定を行った数)回発生する。
→『誘導路形成②』『陽動②』の難易度を-40する。
この判定が未達成の場合、クリンナップ時にハプニングが1回追加で発生する。

・尾部切断②
強固に再生した尾部を再度切断する。
任意の攻撃判定を行い、300点のダメージを与える。装甲値10。
対象が《範囲》以上の攻撃は、ダメージを2倍として算出する。
→『誘導路形成②』の難易度を-50する。
この判定が未達成の場合、クリンナップ時にPC全員に対して判定値20、攻撃力70の攻撃を行う。

・負傷者救護
負傷した味方の救援に向かう。
《知識:医学》で判定、任意のNPC1人の耐久力を2+(達成値÷10)回復させる。《応急手当かキット》などのアイテムを所持している場合、使用して効果を達成値として上乗せしてもよい。上限4。


GM:あとまさかの前回説明し忘れてたんですが ・誘導路形成 を達成した時点でクリアとなります
GM:ラウンド進行はそのまま引き継がれ、1ラウンド、待機していたクレアくんの手番からになります。
クレア:はい!
クレア:ジャーム群排除②を判定します。《ギガンティックモード》を使用し、範囲攻撃で二回判定
クレア:この場合、マイナーアクションは一回扱いですか?
GM:そうですね……1回でいいですよ
GM:対象が《範囲》以上の攻撃判定で難易度20、これを2回連続で行う。
クレア:あいえ、装備壊れるからマイナー2回あると装備しなおせるなと思って
GM:あ、じゃあそれでもOK!
クレア:ありがとうございます!
GM:判定どうぞ!
クレア:では一回目。ナイフを装備し《カスタマイズ》LV3《コンセントレイト:モルフェウス》LV3《ギガンティックモード》LV1
クレア:8dx7+5>=20
DoubleCross : (8DX7+5>=20) → 10[2,2,4,5,6,6,8,9]+10[8,10]+10[7,9]+10[5,9]+10[7]+10[10]+10[8]+10[9]+5[5]+5 → 90 → 成功

GM:??????
アッシュ:ヤバ
クレア:すっごい成功
ギル:メチャ回っちゃった
GM:えっ……何……?
ルカ:www
GM:とりあえず1回成功です……
デュバリー:怖
アッシュ:陽動楽勝してたじゃん
GM:2回目どうぞ
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を7増加 (57 → 64)
クレア:二回目、拳銃を装備し《カスタマイズ》LV3《コンセントレイト:モルフェウス》LV3《ギガンティックモード》LV2
クレア:あとルイジアナの効果忘れてました。ダイス+2
クレア:11dx7+5>=20
DoubleCross : (11DX7+5>=20) → 10[5,5,6,7,7,7,8,9,9,10,10]+10[2,3,5,5,5,8,8,10]+10[5,7,9]+10[3,9]+2[2]+5 → 47 → 成功

クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を7増加 (64 → 71)
GM:では判定成功!ですが
クレア:どや!
GM:判定値15、攻撃力5の攻撃が2回発生します
GM:リアクションを2回どうぞ
クレア:くぅ~ん、回避します
クレア:2dx+1>=15 一回目
DoubleCross : (2DX10+1>=15) → 4[3,4]+1 → 5 → 失敗

クレア:2dx+1>=15 二回目
DoubleCross : (2DX10+1>=15) → 9[5,9]+1 → 10 → 失敗

クレア:どっちもダメ
ルカ:どっちかカバーします?
デュバリー:片方《マグネットフォース》しようかな
デュバリー:ルカくんのが侵蝕低いので任せた!
クレア:どっちかしてくれると…!
ルカ:あい!じゃあ二回目を《崩れずの群れ》でカバーします。
ルカ:ルカの侵蝕率を2増加 (70 → 72)
クレア:ありがたし……
GM:ではダメージ 往生せいや!
GM:2D10+5
DoubleCross : (2D10+5) → 10[3,7]+5 → 15

GM:2D10+5 2回目
DoubleCross : (2D10+5) → 13[3,10]+5 → 18

アッシュ:二人とも無事で済みましたね
ルカ:HP13で生存です
クレア:装甲で3引いて12、HP11で生存!
GM:小癪ですわ!

GM:君達の抵抗に気付いてか、αを取り囲む異形の軍勢は更にその数を増しつつある。
GM:市街地を覆いつくし、地平線までさざ波のように蠢く黒い影。その全てが君達の敵だ。
クレア:「これ以上話している時間はないようだな」銃を担ぐ
クレア:「露払いは任せてもらおう」銃を構え、照星を覗き込む。
ジャーム:ゴブリン:金切り声を上げ、小型の異形がクレアに飛び掛かる。手にしたナイフ──人だった頃のものか──を振り上げる。
クレア:「……!」回避行動は取らない。
クレア:否、取れない。既に照準は定められている。
クレア:敢えて肩でその刃を受け、至近距離で脇に抱えた小銃の乱射を浴びせる。
ジャーム:ゴブリン:「グェッ……」血飛沫と共に穴だらけになるが──
ジャーム:コボルト:無論、襲ってくるのは一体ではない。獣人めいた姿の異形。
ジャーム:コボルト:クレアの背後から、鋭利な獣爪を振り下ろす。
ルカ:その爪を、異形の爪で受け止める。
ルカ:瞬時、蹴り飛ばす。
ルカ:コボルトの身体が破裂するように弾ける。のを見る。
ルカ:「…」クレアを一瞥して何も言わず、そのまま近場の敵を排除していく。
クレア:「感謝する」視線を動かさないまま言葉だけを告げて
クレア:引き金を引く。
クレア:連続して6発。地平線を埋め尽くす軍勢に対してはあまりにも些細な抵抗。
クレア:その弾丸は敵陣に直進すること無く、空中で解けて変成し
クレア:妖精のような羽を生やして、器用に異形達の間を掻い潜りながら目標地点へと到達する。
クレア:ぱしゃりと弾丸が弾け、ペンキを垂らしたように着弾点がマーキングされる。
クレア:「着弾確認。後の準備は」空を見上げる。
クレア:「もう済んでいる」
クレア:数秒と経たず、着弾点に凄まじい衝撃と土煙が上がる。
クレア:超高硬度からの落下物体。クレアが切り札として用いる重金属弾頭が、六ヶ所同時に飛来していた。
GM:軍勢から悲鳴が上がり、俄雨めいて血飛沫や体の破片が舞い散る。
GM:突然のことに怪物達は右往左往し、狂乱が伝播して隊列が乱れていく。
クレア:巨大な鉄杭は大地への衝突で弾けること無く。その衝撃のまま地中へと潜航していく
クレア:数秒の後、地中から爆発音。
クレア:やがて、その音をさらにかき消すような地響きを伴って、異形たちの足元に亀裂が走っていく。
クレア:「元はこの街の住人だったんだろう、ならせめて……」
クレア:都市国家ローマの歴史は、紀元前700年以上の昔にまで遡る。
クレア:太古の昔より脈々と積み上げられてきた都市構造。現在、赤き災厄によって蹂躙され、焼き払われんとしているそれは、ほんの表層に過ぎない。
クレア:大火、戦乱、天災。街が災禍に見舞われる度に、人々は廃墟の上に土砂を重ねて更地にし、その上に新たな都市を築き上げた。
クレア:そうして作り上げられたローマの地中には、何十層にも及ぶ深大な地下遺構群が形成されている。
クレア:無論それらは既に地層の一部となって久しいが、この戦闘とそれに伴う破壊によって、地中に堆積した岩石や植物はその多くが吸い上げられ、空洞化している。
クレア:即ち、彼らを屠るのは銃弾ではなく、この街が積み上げた3000年の歳月そのものだ。
クレア:「眠れ。故郷で」
GM:夥しい数の異形たちが、地を裂いた巨大な穴へと呑み込まれていく。さながら小さな虫のように。
GM:巻き起こった膨大な土埃が、一時燃え盛る炎の光すら覆い隠す。
レナート:「……あいつら……」
レナート:撤退しようとする間際、その爆轟を聞き、破壊の光景を見遣る。
レナート:「俺は“リッケンバッカー”を呼んだはずだろ」
レナート:「……一体、何を連れてきやがった」
ミルシュカ:『……敵陣形、崩壊!今なら突破出来ます!』
ギル:「流石だね。行こう、僕達はもう一度尾を落としに行く」クレアくんがジャームの群れを壊滅させるのを横目に、もう一度αの尾へ向かっていくよ
クレア:「急げ!次はないぞ!!」
アッシュ:「今度はオレに譲ってくれよな」 暢気に言いながらギルの後に続く。
ルカ:「……」去って行く二人を見やり、しかめっ面でその場を離れて行く。

GM:クリンナップ
GM:・尾部切断② が未達成のため、PC全員に対して判定値20、攻撃力70の攻撃が発生します。
ギル:どきどき
GM:全員リアクションをどうぞ。
ルカ:ドッジします
ルカ:6dx>=20
DoubleCross : (6DX10>=20) → 9[1,3,7,8,9,9] → 9 → 失敗

アッシュ:暴走中のためリアクション不可
ギル:《竜鱗》で装甲を上げて対応します
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を4増加 (87 → 91)
クレア:ドッジ!
クレア:2dx+1>=20
DoubleCross : (2DX10+1>=20) → 10[9,10]+5[5]+1 → 16 → 失敗

クレア:頑張ったのに…!
デュバリー:ドッジしてやっても構わんのだが、カバーリングすることになるかな
ルカ:カバーしよう
ギル:デュバ吉結構侵蝕高いし避けてもいいんでない?
デュバリー:そんな気がしてきたのでドッジします。《ゲットダウン》
アッシュ:ルカ君のが今低いですしね
デュバリー:3dx+25+12=>20
DoubleCross : (3DX10+37>=20) → 5[4,4,5]+37 → 42 → 成功

クレア:むしろ侵蝕私のほうが低いからだれかカバー欲しかったら言ってね
ギル:多分平気
ルカ:私次のラウンド何もしない可能性あるから
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を2増加 (79 → 81)
アッシュ:実は今最低値なので平気
クレア:ならみんな素で受ける感じかな
GM:いいのか~?
ルカ:誰かカバーしときたいな
デュバリー:それはもったいない気がする ルカ>クレアすれば?
ルカ:そうね クレアくんまたカバーします
クレア:あっじゃあ……お願いします!!
ルカ:《崩れずの群れ》!クレアくん!
ルカ:ルカの侵蝕率を2増加 (72 → 74)
GM:ではダメージ!
GM:3D10+70 装甲有効
DoubleCross : (3D10+70) → 22[8,8,6]+70 → 92

ギル:うわたけえ
ルカ:ヤバ
クレア:ヤッバ
ルカ:バッチリ死にます リザレクト!
ルカ:ルカの侵蝕率を1D3+3(→ 5)増加 (74 → 79)
ギル:装甲で63点軽減して29ダメージ。HP1でギリギリ耐えます
GM:は??
デュバリー:あぶなっ
ルカ:HP5で復活
クレア:硬すぎ
デュバリー:あぶなっじゃねえ 何耐えてんだ
ルカ:どゆこと
GM:狂ってるだろ
アッシュ:92を食いしばれるのおかしいのよ
ギル:精神上げてるおかげでHP高いのだ
ルカ:アッシュちゃんもリザレクトしよ
アッシュ:あ、そうだった
アッシュ:アッシュ・ノイ・ジラードの侵蝕率を1d10(→ 10)増加 (64 → 74)
ルカ:トップスピード
アッシュ:アッシュ・ノイ・ジラードのHPを10に変更 (29 → 10)
アッシュ:なんかリザで10出すことに慣れてきてしまってる
ルカ:最低値でよかった
GM:また、ここでハプニングが発生します。
ルカ:きた
クレア:きたわね
GM:う~ん……こっちで振るか 振ってもらうか……
GM:こっちで振ります
GM:1D100
DoubleCross : (1D100) → 69

GM:ア~ン
GM:60〜69:予想外の奇襲。NPC1人の耐久力を3減少させる。ランダムなPC1人が《知覚》難易度8で判定を行い、成功した場合ダメージを無効にする。
アッシュ:なに……?
ルカ:ヒエ
アッシュ:命懸かってるじゃん
ギル:即死じゃん
クレア:こっわ
GM:まずNPCを選択します
GM:choice[アウグスト,カタリーナ,イルゼ,クラウディア,エリアス,ティベリオ,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,トミー,リシェ]
DoubleCross : (choice[アウグスト,カタリーナ,イルゼ,クラウディア,エリアス,ティベリオ,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,トミー,リシェ]) → カタリーナ

ギル:お、おしまいちゃん!
ルカ:カッカタリーナ
カタリーナ:あたしだ~
デュバリー:死にそう~
クレア:逃げて~
GM:カタリーナさんですね
アッシュ:でも即死は無くなった
アッシュ:補正ある筈だから
ルカ:よかった
クレア:ほんとだ
GM:次に知覚判定をしてもらうPC
GM:choice[アッシュ,ルカ,クレア,ギル,デュバリー]
DoubleCross : (choice[アッシュ,ルカ,クレア,ギル,デュバリー]) → クレア

GM:チッ……感覚高いところ来たな
アッシュ:頑張れクレア君!
クレア:任せてくれ
GM:《知覚》難易度8で判定をどうぞ
ギル:がんばれ~
ルカ:クレアくんならできるぜ
クレア:技能はないが……やるしかない!
GM:ファンブルしろ!
クレア:5dx>=8
DoubleCross : (5DX10>=8) → 6[3,3,5,5,6] → 6 → 失敗

ルカ:あーーーっ
クレア:ぐえ~~~~~~っ
デュバリー:アワワ……
ギル:しんでる!
アッシュ:マジかよ
GM:振り足し等無ければ3点のダメージです
ギル:デュバリーちゃんの妖精くらいか
デュバリー:《妖精の手》……
デュバリー:切る……?
ギル:死なないからまだいいんじゃない?
クレア:そうね……
デュバリー:んじゃ瀕死になってもらいましょ
ルカ:次ラウンド救助できるといいねえ
アッシュ:2か……こわ……
ギル:そうだね。救助判定もあることだしね
カタリーナ:耐久5→2になったよ
クレア:すまない…

GM:煌々と燃え盛り、天を裂くかのようなαの尾が、しなる鞭めいて四方八方に打ち払われる。
GM:それだけで空は真っ赤に染まり、火の粉と呼ぶにはあまりにも大きすぎる、家屋よりも巨大な炎塊が周囲一帯に嵐のように降り注ぐ。
GM:それは建物を破壊し、異形の群れを巻き込み、そして当然君達をも、全てを焼き尽くしていく。
ギル:「ぐっ……!」鉄王が竜の尾を正面から受ける。踏みしめた地面がえぐれ、いくつもの建物を破壊しながらギリギリのところで踏みとどまるよ。
ギル:反動で、口の端から黒い血が伝う。「やはり正面から受けるのは無理があるな……。次が来る前に落とさないと、すぐにでも死人が出るぞ」
デュバリー:砲火の樹に炎が触れ次第、即座にそこを切り捨てる。直撃コースの一発は、とっさに枝を細く伸ばすことで受け止め、やはり切り捨てることでやり過ごした。
デュバリー:(派手だけど、延焼さえ起こさなければ耐えられる)(……あと数発くらいは)
クレア:弾頭を錬成する要領で、瓦礫を繋ぎ合わせて壁を作ろうとするが
クレア:「ぐっ……」
クレア:先程の反動か、満足に錬成できないまま膝をつく
ルカ:振り返って、地面を殴る。
ルカ:遠くにいるクレアの周囲の瓦礫がひとりでに動き、彼を守る壁が組みあがる。
クレア:「今回は……よく助けられる」
ルカ:自分が炎塊を食らうのは諦めた。頭を振って、更に進む。
クレア:「いや、君がそういう役回りを買っているだけか……」
クレア:「アイギスの名に一番相応しいのは、君かもしれないな……ルカ」走っていく背を見て呟く。
アッシュ:「ははっ。これがドラゴンの炎か」
アッシュ:業火の中から悠然と歩み出る。その姿は黒に染まり、しかしそれは炭化によるものではない。
アッシュ:自身を包んでいた影を解く。その下の肌は既に再生を終えていた。
アッシュ:「アイツより熱い炎は久しぶりだ」
アッシュ:幸運を祈った――現在もどこかで戦っているはずの古馴染を思い浮かべて。
GM:辺り一帯に降り注ぐ業火。その混乱の中、君達の誰も気付かない。
ジャーム:リーパー:「──」
ジャーム:リーパー:両腕を巨大な刃状に硬質化させたジャームが、カタリーナの背後から忍び寄り──
ジャーム:リーパー:背中からその胴を、串刺しにして貫く。
カタリーナ:「あっ」そのまま身じろぎし、振り向き。「後ろか~」
カタリーナ:炎の右腕から熱気を、氷の左腕からは冷気を。押し止めるに使っていた両腕を、迎撃に回そうとして。
カタリーナ:龍炎が薙がれたその刹那。
カタリーナ:炎の腕が一瞬飲まれ、元の素手に。
カタリーナ:絶対的な主人に遵うように、より強い火勢に奪われる。
カタリーナ:「あれ、嘘」
アウグスト:「──!」離れた位置で刃を振るっていた男の姿が、絵の具を水に溶かすように消える。
アウグスト:転瞬、突風。
アウグスト:カタリーナを貫く刃が根元から断たれ、それが具わっていた腕も地に落ちる。頭頂から股間までが切断され、左右に分かれて倒れ伏す。
ジャーム:リーパー:「……?」
ジャーム:リーパー:反応すら出来ない。正中から両断され、メリメリと音を立てて真っ二つになった死体が血だまりに沈む。
アウグスト:「アウラー!」
カタリーナ:「アウグスト!」かふ、と血を吐いて。「持ち場はいいの?」
カタリーナ:左腕の冷気が噴出し、身を凍らせながら傷を塞ぐ。塞がれてなおその勢いは止まらない。
アウグスト:「構わない」
アウグスト:「一つ増えたとしてもだ。お前は下がれ」
カタリーナ:「え~?」
アウグスト:「……無茶に任せて死なれては」
アウグスト:「Zweiに申し訳が立たん」
カタリーナ:「ふ~ん」不服そうだが、その色は弱い。
カタリーナ:「でもね、アウグスト」
カタリーナ:「下がる場所なんてないよ?」
カタリーナ:後ろを見やる。竜の炎により生まれた嵐が、未だ燻る。
アウグスト:「チッ」
アウグスト:前。尽きぬ軍勢の黒い影が、よろよろと湧き出しては向かってくる。
アウグスト:「だから来るなと言ったんだ……」
アウグスト:「半面に力を集中しろ。背後は私がやる」
カタリーナ:「は~い。エリアスは?」
カタリーナ:「まだ生きてる?」
エリアス:尽きぬ軍勢の姿、その黒を黒が裂く。
エリアス:散弾。黒い鎧の青年が飛び降りる。「生きてます」
エリアス:「…よかった。ふたりとも」目を細める。
カタリーナ:「お~」火の消えた片手を振って応える。
カタリーナ:「よかったよかった」
エリアス:「って、手」
エリアス:息を呑む。「少佐、おれはどのように」
アウグスト:「私の指示を聞く気があるのか?」皮肉めかして言って。
アウグスト:「一つだけだ」
エリアス:笑う。「お聞かせください」
アウグスト:「生き残れ。……」
アウグスト:「……そのために必要なことを考えて動け。孤立するな。小者どもを抑えることを意識しろ。何れにせよ主役は我々ではないのだ。遺憾ながらな」
カタリーナ:「Alles klarわかってる~……私はちゃーんと聞くよ」
カタリーナ:「その命令!」重力波のような強烈な圧力の壁が吹き出す。敵勢を押し留めていく。
エリアス:「はい。おれも、カタリーナさんも、隊長側の皆さんも。…あなたも!」
エリアス:肉体から生成された無尽蔵の弾丸が広がる。
エリアス:「主役英雄なんて。……そんなもの、なれなくたって」
エリアス:「なれないからこそ、おれは嬉しいですよ」

GM:ラウンド2

・誘導路形成②
更に強固な誘導路の形成、障害物の排除、コロッセオへの拘束等を行う。
《情報:任意》《RC》難易度115/任意の攻撃判定で難易度130
この判定を失敗したPCに対し、即座に判定値40、攻撃力70の攻撃が発生する。

・陽動②
直接攻撃によりαを引き付け、誘導路方向に進行させる。
任意の攻撃判定で難易度25
この判定を行なったPCに対し、即座に判定値25、攻撃力70の攻撃が発生する。
→『誘導路形成②』の難易度-50、以降『尾部切断②』判定時C値-1

・(済)ジャーム群排除②
→『誘導路形成②』『陽動②』の難易度を-40する。


・尾部切断②
強固に再生した尾部を再度切断する。
任意の攻撃判定を行い、300点のダメージを与える。装甲値10。
対象が《範囲》以上の攻撃は、ダメージを2倍として算出する。
→『誘導路形成②』の難易度を-50する。
この判定が未達成の場合、クリンナップ時にPC全員に対して判定値20、攻撃力70の攻撃を行う。

・負傷者救護
負傷した味方の救援に向かう。
《知識:医学》で判定、任意のNPC1人の耐久力を2+(達成値÷10)回復させる。《応急手当キット》などのアイテムを所持している場合、使用して効果を達成値として上乗せしてもよい。上限4。


GM:セットアップから!
ギル:何も🍆
デュバリー:《加速装置》。行動値を+8
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を2増加 (81 → 83)
アッシュ:今回は無し!
ルカ:なしだよ~
クレア:なし!
GM:ではイニシアチブ
GM:行動値14、デュバリーさんの手番です

デュバリー:進路の変更により間近となった竜を、樹に抱かれたまま見上げる。ローマの死と命を束ねてなお、そのサイズ差は歴然。
デュバリー:(……エミリアの様子、現在の状況を考えると、悠長に展開なんてしていられない)
デュバリー:(敵群は……)
デュバリー:刹那、地中より爆音。クレアの攻撃による破壊的埋葬殲滅。
デュバリー:「ふ」
デュバリー:思わず苦笑する。そんなにも完璧に露払いを果たされてしまっては、自分はこの巨竜に挑むしかないではないか。
デュバリー:(恨むんだから)

デュバリー:というわけで恨みつつ陽動にかかります。攻撃判定65は下がって25になっているだろう!
GM:OK! 任意の攻撃判定で難易度25です
デュバリー:《零距離射撃》、と言おうとしたが、これ別になくてもいけるやーつ よって素の射撃判定です
デュバリー:4dx+25
DoubleCross : (4DX10+25) → 8[3,3,8,8]+25 → 33

GM:射撃が上手すぎる女
ルカ:すごいよ~
クレア:さすがだ
GM:では判定成功!ですが即座に判定値25、攻撃力70の攻撃が発生します。リアクションをどうぞ
アッシュ:安定感
デュバリー:そいつは《ゲットダウン》だ!
デュバリー:4dx+25+12
DoubleCross : (4DX10+37) → 10[1,1,9,10]+8[8]+37 → 55

ルカ:すごすぎ
デュバリー:一回転のおまけつきだぜ
GM:射撃が上手すぎる女
デュバリー:それじゃあー ちょっと単身で陽動できる気がしないので、力を借ります。白兵できそうな人 さっきいっぱい喋ってたドイツ組以外だと
デュバリー:choice[トミー,エドヴァルト,パメラ]
DoubleCross : (choice[トミー,エドヴァルト,パメラ]) → パメラ

デュバリー:途中で声かけるから適当に対応してください

GM:異形の群れも、オーヴァード達も、αにとっては足元で蠢く虫けら程度の存在でしかないのだろう。
GM:君達をほとんど無視しながら、巨竜は明後日の方向に進路を向け、都市を薙ぎ倒しながらゆっくりと進んでいく。
デュバリー:クレアの殲滅で敵を失った兵士であったものたちを、大樹の下へ招集する。枯れた根がぞんざいにそれを食らい、樹へと取り込んでいく。
デュバリー:だが、支配下に置いた樹と命と銃、その全てを再整理して、最高効率の攻撃をしたとしても、明らかに出力が足りない。
デュバリー:(やけになって通用する相手じゃない。かといって私自身の出力だと、これはもう限界だし……)
デュバリー:樹を通じた知覚を広げる中、その存在に気付いた。
デュバリー:(……Mickle fails that fools think(下手の考え休むに似たり)、か)
デュバリー:通信機を取る 「もしもし。そっちの、カナダから来た……パメラだよね。聞こえてる?」
デュバリー:「今、すぐ近くに立ってる樹から通信しているんだけど……」
パメラ:「えっ誰、メリュジーヌ!?」騒音混じりの焦った声での返答。
パメラ:「樹から!?」
デュバリー:「うん。時間、もったいないから、すごくシンプルにお願いするんだけど」
デュバリー:「今からあの前脚の、膝くらい? まであなたを連れてくから」
デュバリー:「思い切り斬ってもらって、傷をつけてほしい。陽動に必要なの」
デュバリー:「できる?」
デュバリー:訊く口調からはあまり感情を察せられないが、どちらかというと有無を言わせない圧のようなものを漂わせている。
パメラ:「……やんなきゃどうしようもないってことだろ」
デュバリー:「ありがとう。ごめんね、いきなりで」
デュバリー:「じゃあ5秒くらい後に……」 「……届けるから」
デュバリー:言うや否や、パメラの足元がにわかに震え始める
パメラ:苦笑する。
パメラ:「無茶苦茶だ……ボーナスくれよ」
デュバリー:「依頼主に談判できるよう、頑張らなきゃ」
デュバリー:「ね」 その言葉と同時、街の焼けた灰と土を突き破り、黒黒とした樹の根がパメラの足元から隆起する。
デュバリー:パメラ一人乗るには十分な太さ。初めは気遣うように緩やかに首を上げたが、すぐに速度を増し、パメラを先端に乗せて竜の前膝を目指していく。
デュバリー:伸びる根の側面からは銃が枝根のように突き出して、最後の銃弾を吐き出し、接近するジャームを牽制している。
パメラ:「うおぉおぉお……!」
デュバリー:伸びる根とは対照的に、先ほどまで屹立していた大樹は見る見るうちに解けていく。赤く燃える空に突き上がる根を見上げ、通信機に手をかける。
デュバリー:「うん、良い感じ良い感じ……あと5秒くらいかな」
デュバリー:「4、3……よろしく」
デュバリー:根の速度は上がり続け、竜の膝のすぐそばをすれ違わんとしている。
GM:樹根が伸びるに従い、パメラの眼前に高層ビルの如き前脚が迫る。
パメラ:「──!」
パメラ:両足を踏ん張り、振り落とされないようにするのがやっと。
パメラ:それだけでじゅうぶんに偉業だ、普通は。ましてやこの柱、どころか、間近で見ては円筒形とも思えない、壁めいた前脚を斬れだなんて。
パメラ:「注文が、」
パメラ:踏み切り、跳躍する。
パメラ:空中で鞘を払う。年代物の長剣が大気に晒される。その刀身に指を走らせて。
パメラ:(頼むよ、ご先祖様)
パメラ:「ガーストン──モーディフォードの竜殺し」
パメラ:呟く。甲高く澄んだ音が鳴り渡り、白光が得物を包み、実体のそれよりもはるかに長い、輝く剣を形成する。
パメラ:それを。
パメラ:「オッ、ラアアアアアアアアアアア!!!!」
パメラ:紅蓮の壁目掛け、振り下ろす。
デュバリー:「……へえ」
デュバリー:(近くにいたから選んだだけなんだけど……いや)
デュバリー:(『そういうとこも含めて』なのかな)
α:超硬質の鱗が断ち切られ、竜の前脚から重油め いた黒血が噴き出す。
α:「ア ア ァ ア ア──」
パメラ:「──……キツすぎるってもんだろ、まったく」神話めいた形態は刹那。持ち主が自由落下に移る中、光はすぐに薄れて消え、元の古ぼけた剣のかたちに戻る。
α:轟くような苦悶の声。傷は瞬時に塞がり、跡すら残らないが──気を引くことには成功したらしい。怒らせた、とも言える。
α:幾つもの大蛇のような頭が鎌首を擡げ、大顎を開く。
パメラ:「で、着地は面倒見てもらえ……いや……」
パメラ:「死ぬのでは?」
α:人一人など、牙の一本にも満たない大きさ。それらが空を裂き、衝撃波を伴って殺到する。
パメラ:「ぎゃーーーーーーーーーーーー!!」
デュバリー:根は空中でぐんとうねり、パメラの落下先へ。硬い根に激突するような格好になるが、それもそんな所を気遣っている場合ではないためだ。
デュバリー:既に地上から離れてもなお動き続ける根は、あるいはその側面に生えた銃は、次々にその顎門に噛み砕かれ、今度こそ残骸となって散っていく。
デュバリー:「……んん」
デュバリー:「ごめん。地上間に合わない」
デュバリー:通信機越しに言うと同時、パメラの身をそのへんに放り出す。オーヴァードならすごく痛いで済むくらいの高度。
パメラ:「ゲホッ──はあ!?」
デュバリー:そしてその直後、刹那前までパメラを乗せていた根の最後の残骸が、やはり最後の竜の頭の無慈悲な牙に、噛み砕かれる。
パメラ:「ふ」
デュバリー:「……まあ、希望は繋がったということで……」
デュバリー:陽動を受けて動きを変えたαを見上げつつ、ちょっと申し訳ない気持ちと共に、『け』の辺りで通信機を切る。
パメラ:「ふざけんなぁーっ!」市街の狭間へ落下していく。
α:先程は尾を切られても頓着しなかったが、進路を邪魔された故か、明らかな反応を示す。
α:逃げる得物を追うように、竜頭がしゅるしゅると蠢き、牙を打ち鳴らす。

GM:行動値10 クレアくんの手番です
クレア:待機します!
GM:では行動値7、アッシュくんの手番です
アッシュ:では尻尾の切断に挑戦します。
GM:任意の攻撃判定を行い、300点のダメージを与える。装甲値10。
GM:判定どうぞ!
アッシュ:その前に、NPCカードのイレナさんにお手伝いを頼みます
イレナ:おお!はーい
イレナ:"赤套チェルヴォネ"イレナ・アニエラク
効果:メジャー判定の直前に使用可能。その攻撃の射程を至近、対象を範囲(選択)に変更する。攻撃行動のみ使用可。

イレナ:つかいまーす
GM:なんだとぉ……
アッシュ:これで算出ダメージが2倍換算になるぜ あと陽動が済んでるからC値も-1
アッシュ:これを織り込んだ上で、マイナー無しのメジャーではコンボを使用
アッシュ:Ramer les rames:コンセントレイト:ウロボロスLv3+シャドーテンタクルスLv1+アームズリンクLv3+ライトニングリンクLv5+ミカヅチLv1
アッシュ:C値-3、射程10m、判定D+3、攻撃力+20、ダメージ+3D、侵蝕値+13
ルカ:《砂の加護》します。ダイス+3個してね
ルカ:ルカの侵蝕率を3増加 (79 → 82)
アッシュ:助かる!では判定!
アッシュ:19dx6
DoubleCross : (19DX6) → 10[1,2,2,2,3,3,3,3,3,3,5,5,5,5,6,7,8,8,9]+10[3,6,8,9,9]+10[1,7,10,10]+4[1,1,4] → 34

アッシュ:数の割にショボいな……
GM:ダメージどうぞ!
アッシュ:12+18+20+3d10+4d10
DoubleCross : (12+18+20+3D10+4D10) → 12+18+20+16[4,6,6]+17[4,1,6,6] → 83

GM:痛い
アッシュ:これが倍!
アッシュ:アッシュ・ノイ・ジラードの侵蝕率を13増加 (74 → 87)
ルカ:かなりいい感じなのでは
クレア:デカいわね
GM:装甲値10で73
GM:C(300-73-73) 残耐久
DoubleCross : c(300-73-73) → 154

エドヴァルト:あっごめんまって ダメージ前に使います
エドヴァルト:オートアクションで使用可能。そのシーン中、対象一人の装甲値を-30(最低値0)する。
アッシュ:シーン中なんだ
GM:何ぃ……
ルカ:すご
GM:まあでもこの場合はここだけですね 一応
エドヴァルト:あっ了解です
GM:C(300-83-83) 残耐久
DoubleCross : c(300-83-83) → 134

GM:メチャメチャ減らされたな……
GM:しかし1回で達成ではないのでハプニングが発生します
アッシュ:くっ
クレア:そうなるのか…
GM:まずは対象NPC
GM:choice[アウグスト,カタリーナ,イルゼ,クラウディア,エリアス,ティベリオ,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,トミー,リシェ]
DoubleCross : (choice[アウグスト,カタリーナ,イルゼ,クラウディア,エリアス,ティベリオ,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,トミー,リシェ]) → イレナ

ルカ:わああ
イレナ:はーい
ギル:あわ~
アッシュ:反撃来てる!
クレア:はわわわ
ギル:手助けしたし妥当だ
GM:イレナさんですね
GM:ハプニングチャートを振ります
GM:1D100
DoubleCross : (1D100) → 7

GM:なっ……なんだと…………
イレナ:なになに
アッシュ:怖い反応しないで
ルカ:なに~
エドヴァルト:早く教えて……
GM:02〜09:幸運。NPC1人の耐久力を1回復させる。
GM:命拾いしたな
ルカ:おお!
イレナ:おお!
エドヴァルト:ええっ
クレア:やった~
エドヴァルト:そんな温情が……
アッシュ:最高~
ギル:生きていたようだな
イレナ:わーい
デュバリー:あるのかそんなことが
GM:イレナさんは耐久値が1回復。
イレナ:いま5/5なんですが
イレナ:上限は越えることあるのかな?
アッシュ:6になる?
GM:6になりますね 特に上限は無いです
ギル:無いんだ
ギル:不死身のイレナだ
イレナ:生命力の塊になりました。
ルカ:超健康体に
エドヴァルト:シノビガミで頑健積んでる人みたいになってる

GM:行動値6 ルカくんの手番です
ルカ:はーい
ルカ:待機します~
GM:では行動値0、ギルくんの手番です
ギル:わ~い
ギル:尻尾の切断にチャレンジしてみるよ~
ギル:マイナーで戦車砲に弾を補給して、メジャーで《マルチウェポン》《ヴァリアブルウェポン》《無形の影》《コンセントレイト:ウロボロス》
GM:任意の攻撃判定を行い、134点のダメージを与える。装甲値10。
GM:判定どうぞ!
ギル:武器は大口径機関砲*3+戦車砲でチャレンジしてみます。
ギル:行くぞ~
ギル:13DX6+4 うおおおお
DoubleCross : (13DX6+4) → 10[1,2,5,5,6,6,6,7,7,7,7,10,10]+10[1,2,3,3,5,6,7,8,10]+10[2,6,7,10]+10[7,7,8]+10[1,4,8]+10[7]+10[10]+10[6]+4[4]+4 → 88

GM:回すな~~
GM:ギャアアア
ギル:メチャ回った
クレア:すごいぞ~!
ルカ:ヤッバ
アッシュ:羨ましい出目
サブGM:ハミっとく?
GM:クッ……ダメージどうぞ!
ギル:すみませんねえ私ばかり……
ルカ:あっハミっとけば?
ギル:貰っておきたいかも
アッシュ:繰り上がるからね
ハミース:“سهم فضي”ハミース・アル=フサイニー 効果:判定直後に使用、達成値を+5。例外としてラウンド1回使用可能。
ハミース:貰っていきな
ギル:ワンチャン130行けるか……?頑張ってみます
GM:やめてくれカカシ
ギル:10d10+1d10+21+21+21+15+15 ガー不、装甲無視!
DoubleCross : (10D10+1D10+21+21+21+15+15) → 55[7,5,7,8,9,10,1,2,5,1]+8[8]+21+21+21+15+15 → 156

GM:ウギャアアアアアア
ギル:やったぜ~!
デュバリー:ひっどい
GM:何なんだこいつ!
クレア:粉砕してしまったぜ
ルカ:ひどい
アッシュ:最強すぎ
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を12増加 (91 → 103)
ギル:でもこれで100を超えてしまった
GM:では項目達成です
GM:→『誘導路形成』の難易度を-30する。
ギル:私から演出していってアッシュくんにつなげていいかな

ギル:「行くぞアッシュ。僕が動きを止める。今度こそ思う存分叩き込んでやってくれ」
アッシュ:「d'accord.さっきの分まで存分に味わわせてもらうさ」
ギル:ある程度接近したところでアッシュと二手に分かれる。鉄王を操り、まだ建物の残る市街地の方へ。
ギル:「さあ、二度目は何処まで食い込めるか。挑んでみるか……鉄王!」
ギル:建築物を踏み台に、鉄の巨人が燃え盛る街を跳ぶ。歴史ある街並みを瓦礫の山に変えながら、打ち下ろすように尾へ銃撃を浴びせ、その動きを抑える。
GM:銃火の嵐が業火を打ち払う。真紅の鱗を削ぎ落し、再生より早く肉を削り取っていく。
ギル:「まだだ、まだ行ける。全て出しつくせ、鉄王!」触腕のように伸びた影が瓦礫の中から鉄筋を絡め取り、それすらも弾丸として射出していく。兵器の限界を超えた飽和射撃
ギル:同時に、顔に黒い影が血管めいて広がっていく。侵蝕限界が近づいている証拠だ。
ギル:「頼むぞアッシュ。僕もそう長くは持たない……!一撃で決めてくれ!」
イレナ:鉄の巨人の影が炎の中に差した。
イレナ:果たして自分に何ができるだろうか。
イレナ:本来は広範囲の炎を発生させ、操ることが本分だった。だが。超人兵士の域をも超えたこの景色で、できることなど。
イレナ:>ギル:「居場所に困ったら、君も来るといい」
イレナ:>ギル:「国より大事なものがあるなら、僕達はそれを尊重する。覚えておいてくれ」
イレナ:(だけど、残念。私の大事なものはひとつだけ。それを見失うことはない)
イレナ:(……まだ。できることはあると、エドは言うだろう)
イレナ:それだけでいい。燃え盛る炎に己の火を溶かす。無理やり操れば、そこだけ炎が退いて。
イレナ:道ができる。
エドヴァルト:声による呼応も必要ない。呼吸のように何度も繰り返した連携だ。
エドヴァルト:黒狼が駆ける。手足四つを使い、獣の歩法を以て大樹めいた龍の脚を登り上がっていく。
エドヴァルト:ぐわん、と上半身が捩れるようにして爪撃を撃ち込む。鱗を引き千切り、滝の様に噴き出す返り血を浴びながら
エドヴァルト:致命打には遥か及ばずとも、止まることなく尾の表面を疾駆してそれを繰り返す。
ギル:「あれは……ポーランドの二人か」炎が消えたのを見て
ギル:「ありがたい、少しでも時間が稼げれば、それで……!」
α:纏わりつく虫を払おうとするかのように、巨躯を揺さぶり、炎を撒き散らす。それだけで凄まじい暴威、破滅の嵐に等しい。
アッシュ:己が身を投げうつような二人の能力により、地獄めいた戦場に道が拓く。
アッシュ:その道の真ん中を。あるいは悠然とした笑顔さえ浮かべ、一人の少年が往く。
アッシュ:手には未だ蒼と黒が絡みつくサーベル。その雷と影が再び勢いを増していく。
エドヴァルト:……限界を感じ取る。龍の怒りのもと虫のように弾き飛ばされる前に、あるいは「本命」たる一撃に巻き込まれないために、黒い影は地上へと駆け下りる。
アッシュ:それと入れ替わるように跳んだ。すれ違いざま、一言声をかける。
アッシュ:「merci.アンタの連れ合いにもお礼を言っておいてくれ」
アッシュ:「オレのよりアンタの言葉の方がよっぽど響くだろうしな」
エドヴァルト:「だが、これから俺達がお前に礼を言うことになる」
エドヴァルト:「そうなんだろう、英雄」
アッシュ:「ははっ。そうだな、任せてくれ」
エドヴァルト:交錯する少年の笑顔へ向けて、そう口にした己の言葉に、
エドヴァルト:込められていたのは揶揄か祈りか。自分自身でも判然としなかった。
アッシュ:肥大した剣を振り上げる。尻尾に比べればマッチとも呼べないようなサイズだ。
アッシュ:しかし、雷という攻撃の本質はそのサイズにはない。そして、影という攻撃の本質は見かけのサイズにない。
アッシュ:蒼き雷は敵の体内をどこまでも駆け巡り、黒き影は瞬きの間にどこまでも忍び寄る。
アッシュ:故に。その酷く小さな剣が突き立てられたその地点から、竜の肉は焼け焦げ切り落とされていく。
アッシュ:傍から見れば、もはや不条理にさえ見えただろう。起こりえない偉業であっただろう。
アッシュ:しかし事実だ。アッシュ・ノイ・ジラードが踏みしめた鱗のその下で、雷と影は竜を侵蝕し続ける。
α:爆ぜる音と共に、二又の尾から血煙が噴き出す。
α:鱗が弾けて市街地に落下していく。甲殻に罅が走る。そうして遂に、再び尾は切断される。
α:炎と血を撒き散らしながら、真紅の尾が落ちた。凄まじい地響きと、竜の咆哮が響き渡る。
アッシュ:地響きを立てて地へと堕ちた尻尾の上で、彼は笑う。
アッシュ:「さあ、どうする?もう一回生やしてみるか?」
アッシュ:「そうしてくれたら、ギルのスコアを超えれるかもだな」
ラジーク・マフフーズ:「……これが、アッシュ・ノイ・ジラードか」
ラジーク・マフフーズ:口角をわずかに吊り上げる。
ギル:「やったか……」尾生の切断を見届けて膝をつく。同時に鉄王が崩れて影の海へ落ちていくよ。「後はもう一度、コロッセオへ誘導すれば……」
ルカ:渋面でただ見つめている。(……ああ)
ルカ:(その力は確かに、信頼されるだろうよ)
α:巨竜の怒りに触れたのか、辺りに雷鳴のような唸り声が響き渡る。
α:その怒りが視界の中に居た者に向けられる。遥か上方から、竜がイレナに首を向ける。
α:開かれたその大顎の奥から、眩い光が漏れ始める。
イレナ:「……あ」目を見開く。眩しく、視界が白く染まる。
イレナ:動くことを忘れ、吸い込まれるように凝視する。
エドヴァルト:「──イレナっ!」威光とも呼ぶべき殺気を感じ取るや、既に駆け出している。
エドヴァルト:いつ放たれるとも知れない射線上へと飛び込む事にも一切の躊躇はない。故にこそ、辛うじて間に合った。
イレナ:その声に意識が引き寄せられ、身体がふわりと。
エドヴァルト:綿のように軽い少女の身体を、攫うように抱え上げると
エドヴァルト:ダン、と地を強かに蹴りつける音がして。総身の膂力を前進する速度へと注ぎ込む。
α:エドヴァルトにほんの一瞬遅れ、火球が放たれる。凄まじい爆発と共に、衝撃と炎が周囲を吹き飛ばした。
エドヴァルト:爆風に押しやられるようにして、少女を抱いたまま瓦礫の裏へと転がり込んだ。
イレナ:広い背に腕を回したまま。「…ごめん」
エドヴァルト:「……無事なんだな」
イレナ:「大丈夫。ふふ」
エドヴァルト:確かめるように、その姿を見下ろして。
エドヴァルト:「そうか」その応答に、深く安堵する己を自覚する。
イレナ:安堵しているのがわかる。目を細める。
エドヴァルト:「なら……まだ、やれるか」
イレナ:彼がそうして安堵するたび、見失わないで済む。見失えないでいてしまう。
エドヴァルト:きっと確かめるまでもない事を、そう口にする。
イレナ:「もちろん」
イレナ:そう花が咲くように微笑む。
エドヴァルト:(……あるいは、ここで彼女が否定してくれる事を僅かにでも期待したのだろうか。俺は)
エドヴァルト:「……」
エドヴァルト:「なら、行くぞ」
エドヴァルト:幾らかの間があったが。柔らかに抱き下ろして、すぐに前を向く。
イレナ:立てる。歩ける。できてしまう。まだ。自分も、彼も。
イレナ:それを喜べる心を、もう長く、本当には思い出せていない気がした。

GM:イニシアチブ 待機していたルカくんの手番です
ルカ:マイナーアクション。《骨の剣》《死招きの爪》。武器を作成。
ルカ:ルカの侵蝕率を7増加 (82 → 89)
ルカ:メジャーで・負傷者救護 します。《知識:医学》で判定。応急手当キット使用。
ルカ:対象はカタリーナちゃん!
GM:ほう……
ルカ:3dx+2d10
ルカ:ムッ 別に振らないとダメなのね
ルカ:3dx
DoubleCross : (3DX10) → 10[2,3,10]+6[6] → 16

ルカ:2d10
DoubleCross : (2D10) → 17[7,10] → 17

ルカ:なんか…良い目なのでは? 33です
GM:では2点+達成値なので 上限の4回復ですね
GM:カタリーナさんは耐久を4回復してください
カタリーナ:やった~
カタリーナ:ありがと~ ぎゅってしてあげる
ルカ:照れちゃう 何点に戻ったの?
カタリーナ:6になったよ~
ルカ:すご~い

ルカ:(…化け物退治は)(英雄どもの仕事)
ルカ:視線を逸らす。目の前のジャームを蹴り飛ばす。
ルカ:「あんた」
ルカ:軍服姿の少女に声をかける。
カタリーナ:冷気を噴出しながら周囲を固めていたが。「うん~?」
ルカ:「それ」片腕を見やる。
ルカ:「応急処置する」
カタリーナ:「できるの?」今は炎が消えた手を伸ばす。
ルカ:「…普通の処置なら」
ルカ:「元米軍。これでも」
カタリーナ:「お~」
カタリーナ:「元敵だあ」笑う。
ルカ:華奢な手を受け取る。顔をしかめる。
ルカ:「そうだよ」渋面。
ルカ:懐から救急用品を取り出し、手慣れた仕草で、兵士としては至って一般的な処置を施していく。
カタリーナ:くい、と手を軽く握る。
カタリーナ:「ちょっと貰っていい?」
ルカ:「いいよ」消毒薬などのことかと思う。出そうとする。
カタリーナ:「やった~」
カタリーナ:少しばかり、体温を奪われたような。だがそれも一瞬。
ルカ:「………」眉間の皺が深まる。
カタリーナ:「あったか~」
ルカ:「…そう」
カタリーナ:「あっちょっと離れて」
ルカ:「んだよ」
カタリーナ:直後、その腕から炎が噴出する。「治った!」
カタリーナ:その火がギリギリを舐める。
ルカ:巻いた包帯が一瞬で消滅。
ルカ:眉間の皺がますます深まる。
ルカ:「…………あっそ」
カタリーナ:「おお~すごい」
ルカ:「……元気になったの」
カタリーナ:「うんっ」
ルカ:「ああそう」「……」
ルカ:「あいつ。エリアス」
カタリーナ:「ん~?エリアスがどうしたの」
ルカ:「まだ生きてるかわかる?」
カタリーナ:「ああ、うん、大丈夫!」
カタリーナ:「私が受けたもん」にこにこと笑う。
ルカ:「…何をだよ」渋面。
カタリーナ:「攻撃」
ルカ:「まあいいや。生きてるなら」
ルカ:「………あっそ」
ルカ:「………」何か言いかけて、親しく話してもしかたないと思う。やめる。
ルカ:「じゃあ頑張って」
カタリーナ:「ありがとね~!」熱気のこもった手を振る。
ルカ:「うるせ」
カタリーナ:「ピンチなら手伝ってあげる~!」
ルカ:「いらねえ」
カタリーナ:「え~」
ルカ:無視して、炎が燃え盛り続ける廃墟の方へと進んでいく。
ルカ:化け物退治は英雄の仕事。
ルカ:なので、五番目の任務を勝手にやっている。
ルカ:人知を越えた怪力で、崩れた家屋の瓦礫を持ち上げる。パラパラと土埃が落ち、そこにあった日常の残骸が目に入る。
ルカ:惨状を見て、顔をしかめる。
ルカ:(……生存者なんて、いないだろ)
ルカ:誰かの家族だったはずの命だ。踏みつぶした蟻みたいだった。

GM:イニシアチブ 待機していたクレアくんの手番です
クレア:はい!
クレア:誘導路形成に挑戦します!
GM:《情報:任意》《RC》難易度15/任意の攻撃判定で難易度30
GM:判定どうぞ!
クレア:ウェポンケースからボルトアクションライフル装備、マイナーで起動し達成値+5
クレア:メジャー『Blackbird Bullet』《カスタマイズ》LV3《コンセントレイト:モルフェウス》LV3 ボルトアクションライフルを使用して判定。
クレア:11dx7+11>=30
DoubleCross : (11DX7+11>=30) → 10[1,2,2,4,5,6,6,6,7,8,9]+10[3,4,7]+6[6]+11 → 37 → 成功

クレア:ギリギリだけど成功!
GM:くそ~~ では全項目達成です!
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を4増加 (71 → 75)

GM:クリンナップ
GM:・尾部切断② 達成済みのため、PCへの攻撃は発生しません
GM:ハプニングが発生します
GM:choice[アウグスト,カタリーナ,イルゼ,クラウディア,エリアス,ティベリオ,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,トミー,リシェ]
DoubleCross : (choice[アウグスト,カタリーナ,イルゼ,クラウディア,エリアス,ティベリオ,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,トミー,リシェ]) → イルゼ

ルカ:かわいそうすぎ
ギル:も、戻ってきたばかりに
GM:1D100
DoubleCross : (1D100) → 82

デュバリー:出目も高い
GM:ムッ……
ルカ:コワ
クレア:怖い数字きた
ギル:死んだか~?
GM:80〜89:窮地。NPCをランダムに2人選択し、耐久力が3以上だった場合2、2以下だった場合1減少させる。
GM:もう一人追加します
ルカ:ヒィ
ギル:ほう……
アッシュ:マジ?
GM:choice[アウグスト,カタリーナ,イルゼ,クラウディア,エリアス,ティベリオ,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,トミー,リシェ]
DoubleCross : (choice[アウグスト,カタリーナ,イルゼ,クラウディア,エリアス,ティベリオ,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,トミー,リシェ]) → ティベリオ

クレア:死にはしないが超ピンチ
ルカ:ティッティベリオ!!
ギル:ティ、ティベリオー!
GM:ティベリオさんです
アッシュ:ティベリオー!
ギル:お前は英雄になるんじゃなかったのか!
クレア:そんな…!
ティベリオ・ディルーカ:俺じゃん
ギル:イルゼさんの時と反応違いすぎて笑っちゃった
デュバリー:微妙に距離取ってた連中が……w

α:幾つもの頭が四方八方を向いて、連続して火球を吐き出す。
α:狙いも定かではない、滅茶苦茶な攻撃。αに足元を纏わりつく小魚を払おうとする程度のものだろうが、
α:そのスケールは、人にとっては致死の破壊と災厄に他ならない。
ティベリオ・ディルーカ:「おい、待て、ふざけんな……!」その余波。狙ったもののはずもない。
ティベリオ・ディルーカ:ただその残火が、飛び立った瞬間の飛行機の翼を掠めた。
ティベリオ・ディルーカ:そのまま大きくバランスを崩し、再び地に叩きつけられた。
ティベリオ・ディルーカ:機体がひしゃげる。「ガッ!」その体もコンソールに叩きつけられて。
ティベリオ・ディルーカ:「脱出を……クソ」お釈迦になったのかそれも機能しない。
ティベリオ・ディルーカ:「クソがっ……!」座席を叩く。
ティベリオ・ディルーカ:出ることも出来なければ、動かして逃げることもままならない。
ティベリオ・ディルーカ:まして、戦いに加わることも。
ティベリオ・ディルーカ:「こんなことならいっそ……」
ティベリオ・ディルーカ:「……チッ」炙られるを待つ鉄の棺桶の中で、ただ悪態を吐いた。

イルゼ:「……隊、長」
イルゼ:戦場に残ったアウグスト達のもとに、イルゼが姿を現す。
イルゼ:ジャームの群れを単身で突破してきたのか、その身体は血に塗れ、重度の火傷を負っている。満身創痍の状態だ。
アウグスト:「……Sechs」
エリアス:「い………イルゼさん!?どうして……!!」
カタリーナ:「イルゼ~?どうしたの?」
アウグスト:眉間に皺を寄せる。「何があった。中将とZehnは」
イルゼ:「……いえ。無事だと思います。私の独断で戻りました」
イルゼ:頬に付いた乾いた血を払い、アウグストに目を向ける。
アウグスト:「……」
カタリーナ:「どうして?」
イルゼ:「……小官がそうしたいと思ったからです」遠くから響いてくる地響きの中。
イルゼ:「一度は敵前逃亡した身でありますが──」
イルゼ:「叶うならば、隊長。原隊復帰の許可を」
エリアス:(それでも、戦闘向きではないと言われる能力で、ひとり……)
アウグスト:大きく息を吐く。「我々の」
アウグスト:「我々の指揮官は中将だぞ」
カタリーナ:「むこうが原隊だよねえ」
カタリーナ:「こっちは死兵!」にこにこ笑う。
イルゼ:「今、現場に居るのは隊長です」
イルゼ:「それに……止められませんでしたから」
イルゼ:「……は……」
イルゼ:自らの顔に手をやって、微妙な表情で微かな笑みを浮かべる。
イルゼ:(……まるでローデのようなことを言う)
エリアス:「……はじめて見たかもしれません。イルゼさんの笑ったとこ…」
イルゼ:「亡霊ゲシュペンストになった日から、既に命なき身。死ぬならば戦場でと決めていました」
イルゼ:「お願いします、隊長」
カタリーナ:「どうするの~?」
アウグスト:「私は──」
アウグスト:「お前を高く評価していた。私がこちらに来た以上、お前がZehnに付いていてくれれば安心できるともな」
アウグスト:「買い被りだった」
アウグスト:ひとの形のままの左手で額を覆う。「どいつもこいつも……」
イルゼ:「は。申し訳ありません」
エリアス:「カタリーナさんとおれ、言われてません、それ?」
カタリーナ:「アウグスト、褒めようよ~」
カタリーナ:「怒るのはよくないことだよ」
イルゼ:(……そうだ、本当に。何をしているのだろうな、私は)
イルゼ:(こんなのはただの、子供じみた意地だ。その為に今死のうとしている)
イルゼ:既にリザレクトは限界だ。特に腹の傷が深く、血が止まらない。
アウグスト:「怒ってはいない」
アウグスト:「怒るのはこの戦いが済んだ後だ」
アウグスト:「勝手な真似を後悔させてくれる。精々生き延びるがいい」
イルゼ:「……はい!」
イルゼ:敬礼をする。軍人になって以来、何百、何千と繰り返してきた行為。染み付いた規範そのもの。
イルゼ:(……だが、こんなのは初めてだな)
イルゼ:意識にあるのはあの女のことだった。してやったりとでも言うような優越感が胸中を満たしていた。
イルゼ:(悪くない気分だ)

ミルシュカ:『再度尾の切断を確認、最終工程に移ります』
ミルシュカ:『コロッセオまでαの誘導を。……これが最後のチャンスです。皆さん、お願いします』
クレア:「了解した」通信に短く応えて、赤き竜の巨体を見上げる。
クレア:一回目の誘導よりもコロッセオに近づいてはいるが、相手はただの獣ではない、ある種の狡猾さを身に着けている。
クレア:生半な誘導路を作った所でまた突破されるのがオチだろう。ならば……
クレア:「ラジーク・マフフーズ」通信機越しに呼びかける。
クレア:「一つ、頼まれて欲しい」
ラジーク・マフフーズ:「……どうした?」
クレア:「君の異名は自分達も聞き及んでいる。もし此処が欧州の都市ではなく、エジプトのの砂漠だったなら」
クレア:「君はアッシュ・ノイ・ジラード以上の英雄だ。その認識に間違いはないな?」
ラジーク・マフフーズ:「……自分で名乗るものでもあるまい。だが」
ラジーク・マフフーズ:「そう他称されるだけの働きを、私に期待しているのか?」
ラジーク・マフフーズ:「言ってみろ」
クレア:「今からここに海を作る」
ラジーク・マフフーズ:「……海?」
クレア:「アドリア海でもエーゲ海でもない。君の砂海うみだ」
クレア:「モルフェウス能力と言っても千差万別。自分達は君ほど砂を自在に操る事はできないが」
クレア:「瓦礫を砂に変える。それだけなら可能なはずだ。通常やっている錬成を途中で止めればいいだけだからな」
ラジーク・マフフーズ:「そこに路を引けるのだな、お前は」
ラジーク・マフフーズ:「従おう。導け」
クレア:「任された」そう言って、通信を広域に切り替える。
クレア:「君たちにも協力して欲しい」
ルカ:「…何」モルフェウス能力者。通信に応える。
クレア:「時間は十秒。手の内を晒す必要はない。作るのはただの砂だ」
クレア:「自分の能力が及ぶ範囲の瓦礫という瓦礫を砂に分解する。それだけに集中してくれればいい」
クレア:「コロッセオまでの道のりをすべて砂で埋めて、一気に押し流す」
クレア:「不安定な流砂の上では、奴の巨体もかえって不利に働くはずだ」
クレア:「無論、相手も抵抗するだろうが、そこは自分が動きを押さえる。その限界が十秒」
ラジーク・マフフーズ:「十分だ」
ラジーク・マフフーズ:両手を牙のように構えて握りしめる。
ルカ:「…了解」
クレア:二人の返答に頷きつつ、答えを返さない何人かに向けて言葉を続ける。
クレア:「自分は英雄ではない。自分の能力以上の事柄に対して約束し、責任を持つ事はできない」
クレア:「だからこれは、自分から英雄達への要請だ」
クレア:「力を尽くせとは言わない。ただ、貸して欲しい」
クレア:「その程度、君たちなら容易いことだと自分は信じている」
ミラン・サイフェルト:クレアの傍らのジャームが撃ち抜かれる。
ミラン・サイフェルト:「……くそ」
ミラン・サイフェルト:「それで動けないほどうまく出来ちゃいない」
リシェ:「…………」
リシェ:何も言わず、ただ端正な顔を歪める。
イリーナ:指揮官を一瞥する。
“バーバヤガー”:「……やめときな。少なくともここはね」
“バーバヤガー”:「奴らで取れる」
イリーナ:肩を竦めて。「だそうだ」
イリーナ:視線を向ける先には眼鏡の女がいる。
リシェ:「……」
リシェ:嫌そうに、居心地の悪そうな顔で視線を逸らす。
イリーナ:「うるさい婆さんバーブシカだろう。窮屈でな」
ゲオルグ:無線は繋がっているが、戦車が引き返すことはない。瓦礫の街を黙々と進んでいく。
クレア:「──────」銃を構える。息を止めたまま、引き金を引く。
クレア:姿勢を変えること無く、瞬く間に連射。放った弾丸は14発。
クレア:不可解な軌道を描く妖精弾は赤龍の七つの頭の頂上へと昇っていき。
クレア:その先にある標的へ着弾する。即ち、七対十四個の眼球。
クレア:おおよそ汎ゆる生物に共通して、眼球は大概に露出した最も柔らかい部位だ
クレア:無論、それでも巨竜のサイズに対して通常の弾丸なら埃が付いたようなものでしかないが。
クレア:着弾と同時、竜の四方から大きな破裂音と共に、巨大な物体が射出される。
クレア:瓦礫を繋ぎ合わせて造られた即席の攻城弓。
クレア:先に着弾した弾丸の軌跡をたどるように、それらは14の眼球に同時に衝突し、深々と突き刺さる。
クレア:瞬時に始まる再生。しかし僅かの間、竜の視界が完全に遮られる。
α:炎の中で輝く竜眼から、体液が噴出する。
α:再生までの一瞬、視界を奪うには十分だ。竜の歩みが一時止まり、奪われた視界を訝しむような声が響く。
クレア:「今だ!!」
クレア:通信機に叫ぶと同時に自身も地面に腕を叩きつける。大地が一瞬波打ち、徐々に砂となって流れていく。
ラジーク・マフフーズ:構えた両腕、それで作られた顎。それの向いた一帯が食われたように削られ、巨大な砂塵の竜巻と化す。
ラジーク・マフフーズ:渦潮のように巻き狂い、荒波のごとく寄せ立てる、砂の大海を現出した。
ルカ:地面に右腕で触れる。波紋状に瓦礫が震え、一気に細かな砂塵へと分解されていく。
ルカ:かつて美しい街並みを作り上げていただろう建物らが、呆気なく、英雄の操る津波と化していく。
α:視界と共にバランスを喪失した巨躯が、自らの重量ゆえに揺らぎ、たたらを踏む。
リシェ:ダメ押しのようにαの足元の建造物が崩れ、同質量の劇毒の液体へと変ずる。
リシェ:「これ以上怒らせないで……!」
リシェ:焦り、切羽詰まった声。
リシェ:「やるならさっさと終わらせてよ……!!」
クレア:「押し流すぞ!"砂海の鮫"!!」
ラジーク・マフフーズ:(足りんと踏んだが)
ラジーク・マフフーズ:「あながちそうでもないようだ」
クレア:コロッセオに向けて弾丸を放つ。それは、クレア固有のオルクス領域のパスを繋ぐためのもの
クレア:天から地へ物体が落下するという、当然の法則。銃口は天で、弾丸は地。
クレア:領域の指向性が砂の海の潮流を強め、滝が落ちる様に竜の巨体を押し出していく。
GM:その巨体ゆえに、一度バランスが崩れると加速し、止まらない。
GM:砂に押し流され、αの巨体がコロッセオに衝突。
GM:凄まじい轟音と共に大理石の外壁を粉砕し、膨大な粉塵を巻き上げて内部へと雪崩れ込む。
ミルシュカ:『最終誘導、完了!後は……!』
:「皆、ご苦労だった」
:崩れ行くコロッセオの土煙の中に、舞の姿がある。
:「ここまでよく戦ってくれた。諸君に敬意を払う」
:煙草を咥え、体勢を立て直さんとする竜の巨躯を見上げる。
ギル:「リーダー……!」
:「これより爆破を行う。全員下がっていろ」
:その言葉と同時、コロッセオの上空、空間が歪む。
:世界で唯一、舞・R・アーデルハイドが有する空間転移能力──《ディメンジョンゲート》。
:普段アイギスが移動に用いるものとは比較にならぬ巨大なゲートが、コロッセオの上部に天蓋めいて広がる。
:黒い闇の向こうから、無数の巨大な鉄塔が姿を現す。
:大小も形状も様々なそれらは、全てがアイギスが各国から徴収した核ミサイルに他ならない。
:その数は奇しくも、合同軍のオーヴァード達と同程度だった。
:それは世界に蔓延する人同士の不信の表れであり、オーヴァードへの恐怖の具現そのものだ。
:「よくもここまで溜め込んだものだと、感心すらするが──」
:「今この瞬間だけは、彼らに感謝しよう」
デュバリー:砂塵と化した街地の脇、コロシアムそばの丘の陰からそれを見上げた刹那、言いしれない根源的な恐怖が脳裏に走った。
デュバリー:核の炎。それは、フランス首都パリにて、『以前』のデュバリーを殺害したものに他ならない。それは死、そのものだ。
デュバリー:(……そばに誰もいなくてよかった) 顔を押さえながら、静かに呼吸をして、それから視線を外せずにいる。
ギル:「皆もっと離れろ。この位置でもまだ危険だ。巻き込まれるぞ!」
アッシュ:「これ離れてどうこうなるやつか?再生前提だろ」
ルカ:「再生」顔をしかめる。「全員、間に合うのか」
クレア:「それでも、リッケンバッカーは生き延びた」
クレア:「自分達ができないと言うわけには行かないだろう」
GM:閃光。
GM:αの眼前で、数十もの核兵器が一斉に起爆する。
GM:ただ一つでも都市を灰燼と化す破滅の炎。それが幾重にも重なって、超絶の破壊と化す。大規模な火山の噴火をゆうに越えるエネルギーが、人の手によって解き放たれるが──
GM:起爆と同時、コロッセオの周囲を取り囲むように巨大なゲートが複数展開。
GM:その破壊の大部分を、内部だけで押し留める。
ハミース:「……どうやら俺らごと焼き殺す覚悟はお偉いさんになかったようで」
GM:衝撃波と熱、轟音。視界を焼く閃光は収まらないが、死の業火は君達にまで及ばない。
エミリア:「…………!」
エミリア:瞠目し、その光景を見る。光の花はオーヴァード達を放射線からも守っている。
ルカ:体中に纏わりつくように、実体のない光の花が無数に生まれて散っていく。
GM:凄まじい黒煙が遥かな上空まで巻き上がっていき、ローマ市街が煙に包まれる。
ギル:爆風の余波に一瞬目を覆い。「……どうだ……やったか……!?」
ミルシュカ:『……爆破の成功を確認』ノイズ混じりの声が響く。
ミルシュカ:『作戦終了です……お疲れさまでした』
ミルシュカ:肩の力が抜けたように、通信先からため息が聞こえる。
アッシュ:「……」 それに応えずなおもコロッセオの方向を見据える。
デュバリー:「……終わった、か」
デュバリー:辛うじて声の震えを押さえ、漏らすように返して、ゆるやかに膝をつく。
ハミース:「二度と御免だな」
ルカ:光の花弁に顔をしかめる。コロッセオを見やる。
ギル:「ああ……あの”リッケンバッカー”も耐えたのは一発だけ」
ギル:「それをあの至近距離で何十発も食らったんだ。どんなオーヴァードでも生きていられるはずがない」
クレア:「……作戦は終了したが」
クレア:「成否はあくまで対象の撃滅。残骸を確認するまでが任務だ」
クレア:「この煙はまだ暫く晴れなそうだがな」言葉とは裏腹に、安堵した様子で息をつく。
:「……」大規模なゲートの連続使用に体力を使い果たした様子で、深く息を吐く。
ギル:「……リーダー!」疲れた様子の舞さんに駆け寄るよ
:「ギルトレットか……問題ない」
:「いや……。……肩を貸してくれるか。少しの間でいい」
ギル:「またとんでもない無茶をしたね。でもありがとう。お陰で助かった」
:「いいや。お前達の奮戦のお陰だ」
ギル:「ああ」膝を曲げて目線を合わせ、舞さんに肩を貸すよ「そうだね。この被害で済んだのは間違いなく皆のお陰だ」
ギル:「帰ろう、僕達の家に」
トミー・ウェイクマン:「つ……疲れた……」瓦礫に大の字に転がる。「もうマジ無理だってぇ~~……」
トミー・ウェイクマン:「オーヴァードってこんなハードなの?もう俺軍とかやめちゃおうかな……」
ルカ:「……言ったな」
ルカ:微かに笑う。「おすすめするけど」
トミー・ウェイクマン:「アイギスか……」寝転がったまま君達に目を向けて「悪くなさそうなところじゃん」
ルカ:「コインで決めるなよ」手を伸ばす。
GM:爆心地から立ち昇る煙が、風に流されて徐々に晴れていく。
トミー・ウェイクマン:「ああ……」その手を取ろうとして。
GM:黒い帳のようなその向こうで、何か巨大な影が動いた。
トミー・ウェイクマン:「……は?」
ルカ:「あ?」
ラジーク・マフフーズ:「……馬鹿な」
アッシュ:「ははっ」
GM:地響きと共に、地面が揺れる。
ロクサーヌ:「……嘘、でしょ。これだけやって、まだ……」
クレア:「……」沈痛な面持ちで目を瞑る。
ギル:「まさか……いや、そんなはずは……」
:「……」
:咥えた煙草が地面に転がる。
GM:巨大な影がゆっくりと黒煙を突き破り、真紅の竜頭が姿を現す。
GM:幾つかの頭は吹き飛び、装甲は大きく削り取られ、吹き飛ばされている──
GM:が、君達の目の前で、それらは見る間に再生していく。
GM:骨が生え、新たな肉が盛り上がり、鱗に覆われ、甲殻となり。失った首すらも元の通りに戻っていく。
GM:時間を巻き戻すように、或いは、新たな生命が生み出されるかのように。
デュバリー:崖に手をついて、有り得ないものを見る眼で、それを見上げる。
デュバリー:有り得ない、なんて、言葉としてはあまりにも端的で、もはやオーヴァードなどというものが横行するこの時代に、どれほどの強度があるか分かったものではないが、それでも、口にしてしまう。
デュバリー:「有り得ない……」
ギル:「使い方を変えれば、地球を滅ぼせるだけの火力はあった筈だ」
ギル:「星一つより、あの竜の方が上だとでも言うのか……!」
ミルシュカ:『あ……』
ミルシュカ:『……α、健在です!全員……全員、退避を……』
ミルシュカ:呆然とする面々を我に帰すべく、通信の向こうから叫ぶ。
ルカ:「……どこに」
ルカ:「どこに逃げんだよ」忌々しそうに呟く。
アウグスト:目を伏せる。
:「……ぐ……」
ギル:「舞……!?」
:ゲートを形成しようとして、叶わない。限界まで出力を振り絞った後であり、
:また彼女の他に知る由は無いが、そもそも《ディメンジョンゲート》とは、レネゲイド的緊張状態で生半に使えるような能力ではない。
ギル:「やめるんだ。あれだけの力を使った後だ。無理をすれば取り返しのつかないことになるぞ」
:「だが……このままでは全員死ぬぞ!」
クレア:「……(ここに、もしお前がいたとしたら)」
クレア:「(なにか変えられたか……?"リッケンバッカー")」
アッシュ:「何、逃げるの?」
アッシュ:「せっかく首が元通りになって7つ落とせるってのに」
ロクサーヌ:「……それで、もう一度落ちた首が再生されるところを見物するって?」
アッシュ:「いいや。見てる暇も惜しいからもう一度落とすさ」
ルカ:「……大体」
ルカ:「あんた一人で出来るって、本気で思ってんの」
アッシュ:「他が全員尻尾巻いて逃げるか、あるいは絶望して座り込むならオレ一人になるな」
アッシュ:「それでもやるけど。それにさぁ」
アッシュ:「ドラゴンが核で死ぬなんてちょっとイヤだろ」
アッシュ:「竜を倒すのは、英雄の役割じゃん」
ルカ:「………ガキの発想」
GM:風が吹く。
GM:αに向けて空気が収束するように、冷たい風が吹き抜けていく。
エドヴァルト:「おい……揉めている場合か。来るぞ!」
“バーバヤガー”:「レナート!イリーナ!」
“バーバヤガー”:「退避!」
イリーナ:「──!」
イリーナ:気だるげだった様から一転、地に両手を突いて防壁を錬成にかかる。
レナート:「……はい……!」言われるよりも早く動いている。
ジナイーダ:「……ヤバいな。たぶん」
GM:見る間に周囲の温度が下がり、灼熱の地獄だった街全体が、凍土のように冷え切っていく。
GM:特にαの周囲は氷点下を遥かに下回っているらしく、あらゆるものが白く凍り付き始める。
アウグスト:「我々もだ」負傷しているイルゼの腕を掴み、体ごと脇に抱え込むようにして。
イルゼ:「た……隊長!」
アウグスト:「エリアス! お前はDreiを!」
エリアス:「はい!」駆けだし、カタリーナの体を覆うように庇う。
カタリーナ:「あっ」その様子を見て。「最初の……」
カタリーナ:「一番強いの」
イルゼ:「またアレが来るなら、どこに逃げても……!」
リシェ:「……だ……だから言ったのよ」
リシェ:地面にへたり込み、呟く。
リシェ:「全部無駄だった……」
リシェ:「皆、死ぬのよ……」
GM:αの七つの頭から、爆発するように業火が噴き出す。
GM:単発の火球ではない。それは神話に描かれる、竜の吐息ブレス
ラジーク・マフフーズ:「……アイギス!あれが奴の必殺だ!」
ラジーク・マフフーズ:「凌げ!」
ギル:「……伏せろ、舞!」リーダーの頭を抱きかかえるようにしてかばう。
:「ッ……ギル!!」
GM:超高温の炎が止まることなく噴出し続け、津波のように周囲の全てを焼き尽くしていく。

GM:攻撃判定が発生します
ギル:うお~
GM:まずはPC全員に対して判定。
α:200DX7
DoubleCross : (200DX7) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,1,1,2,2,2,2,3,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,6,6,6,7,8,8,8,9,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,2,2,2,2,7,8,10]+5[2,2,5] → 45

GM:各自リアクションをどうぞ
ルカ:これデュバリー避けれるんじゃない?
デュバリー:気付いてしまったようだな
アッシュ:暴走でリア不
ギル:避けばり~
ルカ:ドッジします~
ルカ:7dx>=45
DoubleCross : (7DX10>=45) → 10[3,4,5,6,6,9,10]+2[2] → 12 → 失敗

ルカ:無理ぽよ
クレア:ドッジ!
クレア:2dx+1>=44
DoubleCross : (2DX10+1>=44) → 7[1,7]+1 → 8 → 失敗

ギル:どうしよっかな~。固定値すごそうだし竜鱗しても無理そう
デュバリー:《ゲットダウン》 勝負
デュバリー:4dx+25+12=>45
DoubleCross : (4DX10+37>=45) → 7[1,2,5,7]+37 → 44 → 失敗

デュバリー:ぐおお
ルカ:エ~ッ
ギル:惜しい
ギル:所詮ダイス4個などこんなもんよ
ルカ:ハミカード使えんか?
ギル:ハミちゃん私の手番で使っちゃった
アッシュ:妖精はまだあるのでは
デュバリー:この時点の妖精とリザレクトならリザレクトの方が安い気がする
ギル:妖精使って避けるのも勿体ない気がする
ルカ:なるほどね 《崩れずの群れ》でギルくんカバーします
ギル:助かる~
ルカ:ルカの侵蝕率を2増加 (89 → 91)
ギル:新入りに甘えます。
クレア:侵蝕余裕あるからアッシュ庇おうか?
ギル:その方がいいかも
アッシュ:あ、じゃあお願い
ルカ:ですね
ギル:1リザレクトより1カバーのほうが安いしね
クレア:《砂の結界》でアッシュをカバー
デュバリー:素で受けるぜ
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を2増加 (75 → 77)
GM:ではダメージ
GM:5D10+100 装甲有効
DoubleCross : (5D10+100) → 32[9,7,9,6,1]+100 → 132

ルカ:まあ綺麗な固定値
ギル:やべ~
アッシュ:クソデカダブルクロスしとる
デュバリー:お前のほうがやべ~だろうが
ルカ:消し飛びます リザレクト
ルカ:ルカの侵蝕率を1D3+3(→ 6)増加 (91 → 97)
ルカ:HP6で復活!
GM:ルカくん登場侵蝕になってる
ルカ:あっほんとだ
ルカ:ふりなおします~
ルカ:1d10
DoubleCross : (1D10) → 6

ルカ:同じだった
GM:かわらない
デュバリー:当然倒れます 《リザレクト》!
デュバリー:1d10
DoubleCross : (1D10) → 6

デュバリー:デュバリーの侵蝕率を6増加 (83 → 89)
デュバリー:デュバリーのHPを6に変更 (26 → 6)
クレア:消し飛んで《リザレクト》!
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を1d10(→ 9)増加 (77 → 86)
GM:また、全てのNPCの耐久力を1減少させます。
ギル:あっ死んだ
GM:この効果で耐久力が0になる場合、1D100判定を行う。出目が50以下だった場合、耐久力1で生存する。
デュバリー:aa-
クレア:こわ~
ルカ:えっ
ギル:ティベ太郎ー!
アッシュ:ティベリオ!
クレア:死ぬな!
ルカ:イルゼも!
アッシュ:イルゼも!
ギル:イッイルゼ
ギル:クラウディアさんと会わずに死んでいいのかよ
イルゼ:振ります
ルカ:100でろ!
イルゼ:1D100
DoubleCross : (1D100) → 84

ギル:死んじゃった
ティベリオ・ディルーカ:振ります。
ティベリオ・ディルーカ:1d100
DoubleCross : (1D100) → 99

ギル:ティベリオー!
デュバリー:ああ~
クレア:お前ら…!
ルカ:(ヤッベ)
アッシュ:ティベー!
ギル:2分の2!
GM:イルゼ、ティベリオは耐久力が0に。死亡します。
ルカ:えーーーっ
ギル:サヨナラ……
アッシュ:二人が……
クレア:そんな~~っ
ルカ:やだ~~~っ
ギル:NPC効果使えや!
ルカ:ギルくん!
デュバリー:ひどい
アッシュ:死人にムチ打たないで
ギル:何もせずに死んでいいのかよティベリオ~

GM:爆炎の波が全方位に解き放たれ、ローマの街を呑み込んでいく。
GM:どこにも逃げ場無く、全てを燃やし尽くす炎の渦が、木々を蒸発させ、石材を焼き焦がし、鋼鉄を融解させていく。
GM:それはかつて罪の都を灰に帰した神の炎を思わせる、破滅の業火。
GM:大量の異形の軍勢も諸共に。そして当然、脆弱な人の身体など、ひとたまりも無い。
ギル:「くっ……!」先程の攻撃で、ギル自身も限界を迎えている。鉄王の展開が間に合わない。
ルカ:「……クレア!」叫ぶ。再び地面に腕を叩きつける。
クレア:「一箇所に固まれ!一人でも多く影に入るんだ!!」
クレア:ルカの横に並んで地面を叩く、不格好な障壁が組み上げられていく。
ルカ:クレアとともに、大地に広がった砂塵を引き寄せて障壁を展開し続ける。
デュバリー:咄嗟に身を守り、何か防御しようとするが (……違う)
デュバリー:(相手が動くなら、これは、まだ……ッ!)
デュバリー:崖の陰に身を屈め、最低限の防護。業火をその身に受けつつ、オーヴァードの再生力で何とか凌ぐ。
GM:数秒、数十秒。永遠にも思える時間が、それでも尚終わらない。
アウグスト:「クッ──」路地に飛び込んで遮蔽を図ると共に、炎へ立ち塞がるようにして守ろうとするが。
イルゼ:「隊、長……!」
イルゼ:アウグストに抱えられたまま、諸共に炎に呑み込まれる。
GM:爆炎は留まらず、アウグストもまとめて焼き焦がしていく。
イルゼ:「あ、あ……!」
イルゼ:リザレクトは限界だ。出来たとしても、この炎の中でどれほどの意味があっただろうか。
イルゼ:最早只人と同じように、炎に焼き焦がされていく。
イルゼ:「大、尉……」炎の中で伸ばした腕も、言葉を発する肺も、全てが燃えていく。
カタリーナ:「アウグスト!イルゼ!」
エリアス:それを視認できたときにはもう。遅い。声をあげることもできない。
エリアス:《代謝制御》《完全演技》。呼吸する。できる。アウグストさんをせめて引っ張りあげ、カタリーナの傍へ。
GM:そうして、ローマ市街を焦土と化し、ようやく炎の噴出は収まる。
GM:全てが燻り燃えさかる煉獄の中で、竜の巨影だけが悠然と佇んでいた。
イルゼ:「……」
イルゼ:アウグストに守られていた箇所以外、身体は殆ど炭化している。あと数分の命だろう。
イルゼ:「隊長……」
イルゼ:掠れ、消えそうな声を漏らす。
イルゼ:「ありがとう、ございます……」
アウグスト:「…………」歯を噛み締め、修羅の形相となって耐える。
アウグスト:「喋るな」
イルゼ:「……」
イルゼ:両目は沸騰し消失している。黒一色の視界で何かを探すように、僅かに頭を動かす。
イルゼ:「ローデは……」
イルゼ:「来ていませんか」
アウグスト:「……」
アウグスト:「いない」
イルゼ:「……そうですか」
イルゼ:「良かった」
イルゼ:口元を僅かに笑みの形にする。
イルゼ:「……お世話になりました、隊長」
イルゼ:「最後に……伝言をお願いできますか」
アウグスト:「何だ」
イルゼ:「奴が来たら、言ってやってください」
イルゼクラウディア:「なんでって、まあ」
イルゼクラウディア:「みんなが羨ましかったから、かな」
イルゼ:あの女の言葉を思い出す。馬鹿げている、と思った。
イルゼ:(……ローデ。私にとっては、ずっと貴様が──)
イルゼ:アウグストに向け、歯を見せて笑う。
イルゼ:「……ざまあみろ、って」
イルゼ:そして、それが最後の言葉だった。
アウグスト:「馬鹿者め」
アウグスト:ふ、と笑う。
アウグスト:耐えていた。灼熱と、目の前で部下の肉体が焼失していく様に。
アウグスト:その必要も、最早ない。
アウグスト:「Scheiße!!」
アウグスト:怒号を発し、壁を殴りつける。

ティベリオ・ディルーカ:巨竜の業火の波。それは彼の感知せぬままに、その棺桶まで殺到した。
ティベリオ・ディルーカ:「おい、なんだよ、こいつは……!」
ティベリオ・ディルーカ:ただ、何も動けぬままに、ジリジリとその残骸が焼け落ちていく。
ティベリオ・ディルーカ:「クソ、なんでだ、俺はまだ何も、来るな、来るな」
ティベリオ・ディルーカ:「俺あ死なねえんだ、こんな、こんな馬鹿な死に方があるかよッ!」
ティベリオ・ディルーカ:「俺は、生き延びて、英雄に――」
ティベリオ・ディルーカ:「“デリュージュ”を超えた、英ゆ
ティベリオ・ディルーカ:燃焼による一酸化炭素中毒。それは彼の意識を一瞬で刈り取った。
ティベリオ・ディルーカ:そのまま焼かれていくことだろう。リザレクトの限界まで。
ティベリオ・ディルーカ:それは誰にも認められることなく終わった。

GM:焦土に巨大な足音が響く。
GM:全てを焼き尽くして怒りを発散したように、αが再びゆっくりと進行を始める。
GM:君達に目もくれず、焼け残った異形の軍勢を率い、ゆっくりと、だが確実に遠ざかっていく。
ミルシュカ:『……』
ミルシュカ:『……α、再び進行を開始、しました……』
デュバリー:「……見れば分かる。私が聞きたいのは」
デュバリー:「『どうするか』。……どうするの?」
ギル:「無事かい、リーダー?」ごほっ、と咳き込みながらリーダーに手を貸して立ち上がらせるよ。
:「……ああ……」ギルトレットに手を借りて立ち上がり
ギル:「クレア、ルカ。ありがとう。思っていたより無理をしていたみたいだ。助けられたね」
ルカ:「……こいつに言って。礼は」クレアの肩を押す。
クレア:「こんな時くらいしか助けさせてくれないからな。ギルは」
ギル:「反論したいけど、そんな時間も余裕もないな」
アッシュ:「ん、merci.」
:「……正直に言おう。決め兼ねている」
:「この人数のオーヴァードと、この量の兵器」
:「どちらも今の世界で集められる、最大限であったはずだ」
ルカ:ドイツの若い兵士達に視線を移す。顔をしかめている。
:「これで殺せない相手を、これ以上どうにか出来る……」とは思えない、と言い掛け、「……保証はない」
:「諸君の意見を聞きたい」
ギル:「……それでもやるしかない。αがこのイタリアだけで満足するとは限らない」
ギル:「それに、アッシュは勝つつもりだ。僕には、仲間を置いて逃げることはできない」
デュバリー:その場にはいない。崖に背を預けたまま、通信機越しに答える 「甘い言葉を囁かせてもらうけど」
デュバリー:「『私たちはやれるだけやった』。……あとはあのαが……私達のおかげで、力尽きるのを座って待つのも」
デュバリー:「いい加減現実的な線、とは思ってるかな、私」
リシェ:「力尽きるって……アレが?」
リシェ:「見たでしょう。首を落としても生えてくる奴よ」
リシェ:「アレは本当の不死身。私達は滅ぼされるのを待つしかないのよ」
リシェ:何もかも諦めた様子で座り込んでいる。
デュバリー:「あれを殺すよりは、残った力でそういう気分悪いこと言う女を撃った方が、楽だし生産的でしょうね」
リシェ:「……やるならやれば?」
リシェ:自棄になった様子でせせら笑う。
リシェ:「どうせみんな死ぬんだから」
ギル:「やめるんだ、二人共」
ギル:「僕達は怪物かもしれない。だが死ぬまでは人として生きるべきだ」
デュバリー:「……」 ギルに止められ、不服そうに沈黙する
エドヴァルト:「……だが、撤退した事は過去にもあったんだろう」
エドヴァルト:氾濫する業火の中で、小さな身体を抱き込むように守っていた。徐々に再生が間に合いつつあるその身をゆっくりと動かす。
エドヴァルト:「ゲオルグはああ言っていたが……痛めつけた分だけ、その機会が早まる可能性だってある」
イレナ:(……折れてくれないんだもんな、エドは)離れていく体温に、薄く笑って聞いている。
トミー・ウェイクマン:「なあ……その爺さんの話だって、どこまで信用できるか分かんねーだろ……?」
トミー・ウェイクマン:「俺達、こんだけやったんだからさ……!誰かに文句言われる筋合いもないだろ!」
トミー・ウェイクマン:「十分だ!もう十分頑張ったよ!」両手を広げ、声を張り上げる。
トミー・ウェイクマン:「ルカ!なあ!もう帰ろうぜ……!」
ギル:「……そうだね。君たちは若い。ルカも無理して付き合うことはないよ」
ルカ:「……ああ」
ルカ:「こんなところで死にたくないし」
ルカ:「そう言うやつを無理して引き留めたくない」「…けど」ムスッとした顔で言う。
ルカ:「他にどうにかできる奴もいないだろ」
ギル:それを聞いて少し微笑んで「そうだね。間違っても、これを家族に任せたりはできない。やっぱり僕は戦うよ」
ルカ:「家族」不機嫌そうに言う。「…そうだな。任せたくはない」
ロクサーヌ:「……」気力の尽きたように膝をついたきり、口を開く事もない。長かった髪もひどく焼け焦げている。
ロクサーヌ:ただ、そうやって言い争う者達を、どこか遠くの景色を見るようにぼんやりと見ている。
ジナイーダ:「……これが、運の尽きなのかなあ。なんか夢っぽい。悪夢か」
パメラ:「……はは。ひどい空気」足を引き摺るようにしながら、生存者の集まりに合流する。
パメラ:全身に火傷を負い、打撲や裂傷の痕も複数見て取れる。満身創痍と言って良い姿。
パメラ:「無理もないだろうけどさ……」
ギル:「これから変えるのだって無理じゃないさ」
ルカ:「おれとあんたで変えんの?」ギルに言います。
ギル:「それに答えられるのは僕じゃない」と言ってクレアくんにデュバリー、そしてアッシュを見るよ
リシェ:「……どうしてよ?」
リシェ:理解が出来ないものを見る、恐怖すら帯びた目で君達を見る。
リシェ:「どうしてまだやるつもりなの」
リシェ:「これだけ散々な目にあって、どうしてまだ戦えるのよ!」
リシェ:「何で私達なのよ!?何で……!」
リシェ:「ちょっと前まで、私達だってただの人間だったじゃない!」
リシェ:「それがどうして、他の連中の代わりにこんなに傷ついて、怖い思いしてまで戦わなきゃいけないわけ……!?」
リシェ:「ただ偶々、偶然!オーヴァードだったってだけで!」
リシェ:「どうしてそんな責任、背負わなきゃならないのよ……!」
リシェ:押し殺していたものが噴出したように、堰が切れたように泣き崩れる。
デュバリー:(発情した猫のほうがまだましに鳴く) 目を閉じて通信機を少し遠ざけている
クレア:「……そうか、君は」どこか感心したように
クレア:「頼まれたから戦っていたんだな」
リシェ:睨むようにクレアを見る。
リシェ:「……オーヴァードなら誰でも、好きでこんなことしているとでも?」
クレア:「別に非難したいわけではない」
クレア:「自分のためでなく、ただそう願われたから、叶えるための力があったから」
クレア:「それだけで戦場に立つのなら、それは十分高潔な選択だ」
リシェ:「……」
クレア:「そして君は君に出来ることをやりきった。確かに、これ以上戦う必要はないだろうな」
クレア:「君の国の人々も責めはしないだろう。少なくとも、その謂れはない」
リシェ:「高潔なんて……そんなんじゃない」
リシェ:「選択肢なんて無かったわ。戦わなければ、どんな目に合うか。どんな目で見られるか」
リシェ:「ここに居る人達も……死んだ人達だって、そういう人が大半だったでしょう」
クレア:「そうかも知れないな。本当に好きで戦っている連中なんて、それこそ」
クレア:「傭兵である自分達ぐらいかもしれない」
リシェ:「……何故戦うの、貴方は」
クレア:「自分もかつて、戦えと命令された。自分を生み出した人間に」
クレア:「その後には、戦ってくれと託された。兄弟にだ」
クレア:「今はもう誰もいない。戦えと願う者も、戦わないことを責める者も」
クレア:「自分の中には、もう自分しかいない」
リシェ:「……」
リシェ:クレアの顔を見て、それから目を背ける。
クレア:「だから、理由なんて大したものじゃない」
クレア:「ただ、自分が満足したいだけだ」
クレア:「約束がある」遠く、αが去っていく方を見る。
クレア:このまま奴が欧州を縦断すれば、最後には北欧、北方連合の支配地へと行き着く。
クレア:そうなれば"リッケンバッカー"は必ず立ち塞がるだろう。
クレア:奴が勝つのならまだ良い。しかし、もしリッケンバッカーですらαに滅ぼされたとしたら。
クレア:「もし奴が死んだら、自分は永遠に約束を叶える機会を失ってしまう」
クレア:「ここで諦めたらどうやっても奴の勝ち逃げだ。だが、もしも追いかけてアレを倒せたのなら」
クレア:「それはもう、"リッケンバッカー"を超えたと言っても許されるかもしれない」
クレア:振り返る。どこか子供のような笑みを浮かべて。
クレア:「チャンスなんだ。だから行く」
リシェ:「……馬鹿げてる……」
リシェ:「貴方、英雄にでもなりたいわけ……」
クレア:「少なくとも、あいつらにとっては」
クレア:「兄弟達にとってだけは、自分は常に英雄だ」
クレア:「誰にとってもそうであるつもりはない。そういった仕事は」
クレア:「他に向いてる奴がいる」
ギル:「すまない。……正直に言うと、αの力は想像以上だった。君が戦意を失うのも無理はなかったね。戦えとは言わないよ」
ギル:「だが、僕は誰かを守るために、代わりに傷ついて、怖れを殺して戦うのは誇り高いことだと思う」
ギル:「何より、僕達アイギスはオーヴァードの人権を守るための組織だ。君たちが戦えないというなら、それを守るのも僕達の使命だ。だから戦う」
リシェ:「誇りなんて、そんなもの……死んだら何の意味も無いじゃない……!」
ギル:「僕はそうは思わない。今日までに死んだ者達、今日死んだ人達。彼らの誇りは必ず誰かに受け継がれる」
ギル:「そう信じてる……あるいはそう信じないとやっていけないのかもしれないけれど」
リシェ:「他人の為に戦って、その代わりに死ぬことになっても……それでいいって言うの」
ギル:「死ぬのは嫌さ。でも、他の誰かを代わりに戦わせるよりはいい」そう言って首元から下げたロケットを指先で軽く弄ぶよ
ギル:「きっと殆どの兵士が僕と同じことを思ってたはずさ」
リシェ:「……」
リシェ:僅かにロケットに視線を移す。そこに彼の家族が写っているのだろうか。それが戦う理由なのだろうか。
ギル:「気になるかい?生きる理由が一つ増えたね」
ギル:「全部終わったら見せてあげてもいい。自慢の家族なんだ」
リシェ:「……」
リシェ:視線を逸らす。
ギル:やれやれと呆れたように微笑んでから、こちらも視線をαに戻すよ
アッシュ:「というかさぁ」
アッシュ:「キミが諦める理由の方がよく分かんないだよな、オレには」
リシェ:「は…………?」
アッシュ:「アイツは不死身でオレ達は滅ぼされるしかないだっけ」
アッシュ:「なんでそう思うの?」
アッシュ:揶揄いのない、ただ純粋な疑問の視線を向ける。
リシェ:「な……何を見てたの、貴方」
リシェ:「散々やったのよ!貴方たちが来る前も!」
リシェ:「50人のオーヴァードが挑んで、あれだけの爆弾も浴びせて、ローマを灰にして……」
リシェ:「その結果がこれじゃない!何一つ変わってない!」
リシェ:「全部無駄だったのよ……見れば分かるでしょう!」
ギル:「ああ、折角落ち着きかけてたのに……」
アッシュ:「んー。コレはオレの経験論なんだけどさ」
アッシュ:「オーヴァードが不死身なのってリザレクトの恩恵って言われてるだろ」
アッシュ:「でもそれにも侵蝕の限界がある。だから限界点を過ぎれば死ぬ」
アッシュ:「限界点を超えてなお攻撃し続けるのがオーヴァードの殺し方の鉄則、ってさ」
アッシュ:「でも、ホントにそうか?」
アッシュ:「ここに居る連中なら覚えもあるだろ。リザレクト出来る領域を超えても、それでも」
アッシュ:「まだ終われないって戦い続けたことがあるんじゃないか」
アッシュ:「正直なとこ、オレはオレが最強だって思ったことはそんな無いよ」
アッシュ:「オレより剣が上手い奴も、オレより火力が高いヤツも、オレより速い奴も、オレよりタフなやつもいくらでも居た」
アッシュ:「でも、オレより多く立ちあがったヤツは居ない」
アッシュ:「オレよりも負けたくないヤツを、今まで一度も見たことがない」
アッシュ:リザレクトという肉体の恩恵が切れた時、オーヴァードを動かすのは精神だ。
アッシュ:今あるものを切り捨てでも立ち上がること。死ぬほど苦しかろうと戦い続けること。それを自分の意志で選ぶこと。
アッシュ:それがアッシュ・ノイ・ジラードが不敗を誇り続ける理由であると、彼は自認している。
アッシュ:「だから今回も同じ。アイツは砲撃も斬撃も爆撃も超えて立ち上がったかもしれないけど」
アッシュ:「オレもアイツの炎も尾も爪も超えて立ち上がる。アイツがぶっ倒れるその瞬間まで」
アッシュ:「そうやってアイツに勝つんだよ。必ずな」
ルカ:しかめっ面で、話してる中に加わる。
ルカ:「…だそうだけど」しゃがみこむ。リシェさんを見る。
ルカ:「あんたの希望にはなった?」
リシェ:「……」
ルカ:「……あのさ」
ルカ:「ちょっと前まで、ただの人間だった時に」
ルカ:「怖い事は全部、オーヴァードがなんとかしてくれるって思ってただろ」
ルカ:「戦争なんて絵空事で、ニュースで、非現実」
ルカ:「…あんたがその中に飛び込むことになったのは、ただの偶然で、悲劇だよ」
リシェ:「……」
リシェ:僅かに顔を上げ、ルカを見る。
ルカ:見返す。「…あんたが、それでも、戦うとしたら」
ルカ:「家族とか、友人とか、好きな物とか」
ルカ:「そういう下らないものにしか、理由なんて求められないと思うし」
ルカ:「それでいいんじゃない。…無理だって、しなくてもいいと思うけど」
ルカ:「……ただ、あんたは」しかめっ面。「……一人じゃない。幸い」
ルカ:「どうする」「この非現実な英雄どもを信じてみる?」
リシェ:「…………」
リシェ:ゆらりと音も無く立ち上がる。
ルカ:しゃがんだまま、それを見る。
リシェ:溶けかけた眼鏡越しにルカをじっと見て、それからアッシュに視線を移す。
リシェ:「……貴方が語る、その希望なんてモノのせいで……これまでに大勢が死んだ」
リシェ:「これからも死ぬ」
リシェ:「貴方が、そんな風に……」
リシェ:「そんな風に、夢なんて見せるから。ありもしない英雄の姿を見せるから」
リシェ:「……責任が取れるの?」
リシェ:「死んでいった人に。これから死んでいく人に」
リシェ:「アレを倒せるって、そう言い切れるの!?無駄にならないと、そう言えるの!?」
アッシュ:真っ直ぐに見つめ返す。その瞳には恐怖も不安も逡巡も一切なく。
アッシュ:「倒すよ。必ず」
アッシュ:「オレはオレが英雄らしいとは思わないし、キミ達に夢を見せてるつもりもない」
アッシュ:「でも、オレを英雄と呼びたいなら呼べばいい。夢だと思うならそれを見てもいい」
アッシュ:「誰もがオレを英雄と呼んでも、逆に誰一人英雄と呼ばなくても」
アッシュ:「オレは必ず勝つ。それだけだ」
リシェ:「……ッ……!」
リシェ:顔を歪め、それ以上の言葉を失ったように立ち尽くす。
ルカ:立ち上がる。不機嫌そうな顔をしている。
ルカ:(……どっちにしろ)
ルカ:荒野の景色が焼き付いている。浴びせられる罵声と嘲笑。その対象になっている彼女の姿。
ルカ:(あれよりはマシな扱いだろ)
ルカ:「……言いたいときに言いたい事言うやつは」通信機に呼びかける。
ルカ:「今は言いたい事はないってことでいいの」
デュバリー:「猫は泣き止んだようね」
デュバリー:独り言のように漏らす。アイギスの面々の言葉は、座り込んだまま通信機越しに聞いていた。先ほどよりは少し穏やかな感情で……だけど。
デュバリー:「……だけどね。今疲れているから本音を言うけど、正直、あなたがそうして家族を引き合いに出すのは業腹よ、ギル」
デュバリー:「あなたの家族とやらは、もうあなたのその脳の内側にしかいないくせに」
デュバリー:「ただ『家族』という単語だけで、私は実在する無数の女の子の顔を思い出して、足に力を入れなきゃいけなくなるの」
デュバリー:長らく座り込んでいた所から、ようやく立ち上がる 「本当に不公平で、たまらないわ。……で?」
デュバリー:「十分休めたし、そろそろ行動方針が欲しいんだけど」
ルカ:「言いたい放題…」
:「……そうだな」
:「世界が滅びれば、我々アイギスの存在理由も無くなる」
:「やれるだけやったと諦観するには、残念ながらまだ早い」
:「戦える者だけで構わん。この際、α自体を倒せなくてもいい」
:「何らかの手段で、これ以上の進行を阻止し──」
トミー・ウェイクマン:「……おい……」
トミー・ウェイクマン:不意に、ひどく震えた声を上げる。
ルカ:「なに」視線を向ける。
トミー・ウェイクマン:「……何だよあれ……?」
GM:トミーの視線は遠く、αのもとに注がれている。
GM:いつの間にか、巨竜はその歩みを止めていた。
ギル:「動きが止まった……?」
GM:その前脚が、次第に変形していく。
GM:脚先、指が裂けるように大きく伸び、その間に膜が形成されていく。
ギル:「これは……不味いな」
GM:見る間に肥大化し、巨躯を覆い隠すカーテンのように広がっていく。腰部からも同じように、新たな骨肉が伸びている。
ハミース:「……こいつは……最悪ヨーロッパじゃ済まねえぞ」
ミルシュカ:『……αの形状、変化していきます……これは……』
ミルシュカ:『……嘘でしょ……そんなのって……』
トミー・ウェイクマン:「……翼だ」
α:竜が巨躯を起こし、後脚で立ち上がる。二対四枚の天を衝く翼を形成し、今にも飛び立たんとしている。
クレア:「……飛べるというのか?あの巨体が……」
ロクサーヌ:「……成長、したの」
ロクサーヌ:「もっと多くの人間を、狩るために……」
:「……総員、戦闘態勢!」
ギル:「デュバリーの言ったとおり、休憩はもう十分だろう」
アッシュ:「ああ、勿論」
アッシュ:「爪に牙に炎に翼。全部揃っててこそドラゴンだもんな」
ルカ:しかめっ面。
デュバリー:「みんなこのまま呆然としてくれれば、私はもう少し休めて良かったんだけど」
デュバリー:「……言ってられないか」
:「飛び立たれれば終わりだ!何としてでも離陸を阻止せよ!」
ギル:「了解、リーダー」再び影の海から鉄王を展開するよ

GM:判定項目が追加されます。

全ての項目において、判定を行なったPCに対し、即座に判定値200DX7、攻撃力70の攻撃が発生する。一度判定を行うごとに、攻撃力が+3D10される。
『防衛』以外の判定を行うごとに、50%の確率でハプニングが発生する。


・防衛
味方の防衛と攻撃の相殺に回る。
判定を行うPCは行動値に関わらずセットアッププロセス時に宣言・判定を行う。
任意の攻撃判定を行い、ダメージを算出する。その値に装甲値・ガード値・ダメージ軽減値を足した値だけ、そのラウンド中、自身を含むPC全員へのダメージを軽減する。

・前翼破壊
身体の前方、巨大な翼を破壊する。
任意の攻撃判定を行い、120点のダメージを与える。装甲値0。

・後翼破壊
身体の後方、甲鱗に覆われた翼を破壊する。
任意の攻撃判定を行い、100点のダメージを与える。装甲値30。

・拘束
αの離陸を妨害する。
《RC》難易度20/任意の攻撃判定で難易度50
以降PCは『前翼破壊』『後翼破壊』判定のダイス+10、C値-2、攻撃力+30
セットアッププロセス毎にこの判定は未達成の状態となり、達成値は0になる。
クリンナッププロセス時にこの判定が未達成の場合、αが《瞬間退場》を使用する。


デュバリー:防衛した人は破壊や拘束の判定を行えます?
GM:防衛で1手番になります!
デュバリー:はーい
デュバリー:判定を行ったPCに対する攻撃はカバーリング可能ですか?
GM:可能です
ルカ:エンゲージはこれまで通り、PCにとって最も都合のいい形で考えて大丈夫ですか?
GM:大丈夫です!
ルカ:はーい
アッシュ:シーンは変わってないはずだし、エフェクトは効果持続してて良いです?
GM:そうですね、シーン継続で3ラウンド目です
アッシュ:はーい

α:離陸を阻止せんと接近するオーヴァード達に気付き、αが首を擡げる。
α:辺り構わず火球が放たれ、再び周囲を灼熱の地獄と変える。また全身からも鎧じみた爆炎が噴き出し、近くにいるだけで常人ならば蒸発しているであろう熱気が荒れ狂う。
GM:《苛烈なる熱気》のレベルが40に上昇。達成値120以下の判定は無効化されます。
GM:エミリアのNPC効果で無効化。

エミリア:「……ルカ」
エミリア:額に玉のような汗を浮かべ、息を切らせながら声を漏らす。
ルカ:「っ……」身体中が炙られて、息もできないような。
ルカ:「……」そういう環境のはずだ。本来なら。
ルカ:少女が立つ姿を見やる。
エミリア:花々は一層激しく咲き乱れ、エミリアの周囲だけ、瓦礫の山がまるで花畑のようだ。
エミリア:「……ハシグロクロハラアジサシというそうなんです」
エミリア:唐突に口にする。
ルカ:「なに」怪訝な顔。
エミリア:「港に、鳥が巣を作っていて……。知っていましたか?」
ルカ:「…知らない」
エミリア:「毎日見に行っていたら、漁師のおじ様に、名前を教えて頂いたんです」
エミリア:「沖で漁をしていると、渡り鳥が時々、船の上で休んでいくそうで……」
エミリア:「それが切っ掛けで、鳥に詳しくなったんだそうです」
エミリア:場違いに楽しそうな顔で、くすりと笑う。
ルカ:「……」その微笑を見やる。「…そう」
ルカ:「あんた、おれ以外に喋るやついたんだ」
エミリア:「ルカはわたしを何だと思っているのですか!」
エミリア:「お友達なら、沢山できました。ルイジアナの皆さんも、港で会う方々も、皆親切にしてくれます」
ルカ:「そりゃ良かった」
ルカ:「この間、あんたが、あの死ぬほど固くて甘いケーキ持ってきたときに」
ルカ:「『ひとりで作った』って言うから」
ルカ:「教えてもらう先もいないのかって」微かに笑う。
エミリア:一瞬、きょとんとした顔をして。
エミリア:「あれは……」
エミリア:「自分一人で頑張りたかったのです!ルカに食べてほしくて……」
ルカ:「なんで?」
エミリア:「……」
ルカ:エミリアを見る。
エミリア:「思ってほしかったんです」
エミリア:「……意外とやるやつだ、と」
ルカ:「………」
ルカ:「は」笑う。
ルカ:「それが本音かよ」
エミリア:「なっ……食べてほしかったのは本当です!!」
ルカ:「分かってるよ」
エミリア:「でも、駄目だったので……今はクレアさんに教えて頂いています」
エミリア:「いずれぎゃふんと言わせます。お肉も焼きます」
ルカ:「そう」 それだけ言う。
エミリア:「それで、ええと……何の話でしたか」
エミリア:「あっ、そうです」両の掌を合わせ
ルカ:その仕草を見ている。
エミリア:「つい最近、その鳥が、巣に卵を産んだんです」
エミリア:「いつ小鳥が生まれるのか、とても楽しみにしています」
ルカ:「……そうか」
エミリア:「……こんなに熱くては、目玉焼きになってしまいますね」
エミリア:少しだけ目を細め、炎を吐く竜を見遣り。
エミリア:「だから、その……」
エミリア:「ええと……」
エミリア:「……頑張ります!わたし!」
ルカ:「エミリア」
エミリア:「はい?」
ルカ:「おれは、あんたがいなくてもやっていける」
ルカ:「あんたも、おれがいなくてもやっていける」
ルカ:「んで」
ルカ:「話はこれで終わり?」
エミリア:「……」
エミリア:大きな瞳が、ルカの顔をじっと見つめる。
エミリア:「……そうかもしれませんね」
エミリア:「……そうだとしても……」
ルカ:「うん」
エミリア:「……それでも」
エミリア:「わたしは、ルカの傍に居たいです」
エミリア:「ルカも、わたしの傍に居てほしいです」
ルカ:「はは」
ルカ:「なんでそう思うのか」
ルカ:「全部終わったらまた聞くから」
エミリア:「ええ……?」
エミリア:「きゅ……急にそんな……難しいことを言われても……困ります!ルカ!」
ルカ:「頑張れ」愉快そうに言う。
ルカ:「そういうこと考えてる方が、あんたには似合うよ」
ルカ:少なくとも、今だけは灼熱を忘れているみたいに。そう思って、口にするのはやめた。

ローマ郊外
GM:αの放った業火はローマ市街を焼き尽くし、それは退避を続けていたゲオルグの元まで届いた。
GM:黒焦げになった大量の異形の屍の上、激しい炎に晒されて罅割れた多脚戦車が停止している。
ゲオルグ:「……ゴホッ……」
ゲオルグ:車内で咳き込む。軍服は焼け焦げ、車内で蒸し焼きにされる形で全身に火傷を負っている。
クラウディア:「っ、ぐ……」じわじわと身を焼く火傷に晒されながら、なんとか身を捩る。袖口から伸びた鋼線を振るう。
クラウディア:戦車の装甲を引き裂きながら、ずるりと這い出る。そうして、外の光景を目にする。
クラウディア:「……っ、こんな……」
クラウディア:これ以上薪になるようなものもないローマの地表を、更に舐めるように炙り削った風景には、まさしく焦土という言葉が相応しい。
クラウディア:(……あいつ、どうなったのかな)
クラウディア:その先へ向かった同僚の事を思うが、すぐにかぶりを振る。
クラウディア:「指揮官、動けますか……?」
ゲオルグ:「……うむ……」
ゲオルグ:焼け焦げた多脚戦車が軋む音と共に再生していく。
ゲオルグ:ギシギシと揺れながら一歩を踏み出すが、その歩みは遅い。
クラウディア:その応答に、僅かばかり安堵の息を漏らして。
クラウディア:「……」数秒、逡巡するような間があって。
クラウディア:「……あの」
クラウディア:「もう、無理じゃないですか。逃げるの」
ゲオルグ:「……」背を向け、返答はない。
クラウディア:「だって……もう一度今と同じのが来たら、またこうなりますよ」
クラウディア:「ねえ……あいつ、一度は撤退したんですよね」
クラウディア:「もう一度、同じようにはできないんですか」
クラウディア:「あそこで戦ってる奴らに混じって……攻撃を、続ければ」
クラウディア:「もしかしたら、また……逃げ帰ってくれるかもしれない」ひどい希望的観測だと思いながら、そう口にする。
ゲオルグ:「……」
ゲオルグ:暫し重い沈黙があり。
ゲオルグ:「……あの時」
ゲオルグ:「奴が消えたのは、逃げたのではない」
クラウディア:「え……?」
ゲオルグ:「儂は奴に、攻撃すら出来なかった。敵の……怪物の群れに囲まれ、そんな余裕など無かった」
ゲオルグ:「奴は自身の意思で消えたのではない」
クラウディア:「……だったら、どうして」
ゲオルグ:「……あの場に居た怪物は、奴だけではない」
ゲオルグ:「そしてそれを、操る者たちがいた……あの惨劇が起こると、予め知っていた者達……」
ゲオルグ:「……いいや。奴らにとっても想定外だったのかもしれんが……」
ゲオルグ:「あの竜は、奴らと共に消えた。全ての証拠と記録も抹消され、知る者は儂一人になった」
クラウディア:「え……」
クラウディア:息を呑む。耳にした言葉を何度も頭の中で反芻し、飲み込む。そうしなければ、理解が追いつかない。
クラウディア:「……あれと同格の怪物が、もう一匹」
クラウディア:「そんなものを、操れる人間が……」
クラウディア:俄には信じがたい。だが……ゲオルグからの事前の情報があってなお、ゲシュペンストの目的が「αの確保」になった経緯は分かった気がする。
クラウディア:現にそれと同等の技を可能とする人間がいた。……恐れるのも、最もな事だ。それに対抗しうるだけの力を求めるのも。
クラウディア:「……何者、なんですか。そいつらは」
ゲオルグ:「……それは、船だった」
ゲオルグ:「軍艦だ。本来、プロホロフカのような内地に現れる筈もない」
ゲオルグ:「それを操る人間を、儂らは……軍の上層、ほんの一握りは、『船員』と呼んでいる」
クラウディア:「船員……」
ゲオルグ:「そして、その内の一人に、あの男が居た」
ゲオルグ:「ジョン・フォン・ノイマン」
ゲオルグ:「……『船員』共は……あの船はアメリカのものだ」
ゲオルグ:「そしてあの惨劇を引き起こしたのも、恐らく……」
クラウディア:「……そんな」
ゲオルグ:「……再びあの竜が現れたのは、奴らの思惑だろう」
ゲオルグ:「あの怪物をコントロール出来ているとは思えん……だが、ただ解き放つだけで、結果は見ての通りだ」
クラウディア:「……こっちの大陸を、実験場扱いしてるって事ですか」
クラウディア:「馬鹿げてる……!なんで、そんな……」
ゲオルグ:「或いは、奴らの邪魔者を一層する気かも知れん」
ゲオルグ:「欧州を焼き尽くすまで止まらんと言ったのは、そういうことだ」
クラウディア:「…………」
ゲオルグ:「次はソビエトか、他のどこかか……」
ゲオルグ:「……この20年、この時に備えてきた。奴らに対抗するべく力を求めてきた」
ゲオルグ:「ありとあらゆる手段を講じてきた。人の道を外れることもな」
ゲオルグ:「……だが、その結果がこれだ」
ゲオルグ:「全ては無駄だったな」
ゲオルグ:長年の鬱積を吐き出すように、自嘲する。
クラウディア:「……っ、そんな」
クラウディア:長い付き合いではなくとも……部下として、この老人の性格は知っているつもりだ。
クラウディア:彼が「ありとあらゆる手段を講じてきた」と口にするなら、それは文字通りの事なのだろう。
クラウディア:少なくとも……クラウディア・ローデ一人の力量や思いつきで為せるような事は、全て。
クラウディア:「じゃあ……だったら、どうすれば」
クラウディア:「このまま……私も、隊のみんなも、あそこにいる奴らも」
クラウディア:「そいつらの思惑通り、消されるしかないって事なんですか……!?」
ゲオルグ:「……」
ゲオルグ:戦車に窓のように穴を生じさせ、荒涼たる外の景色を見る。
ゲオルグ:遠くに竜の姿が霞んで見える。その動きはただ歩いているだけではない。
ゲオルグ:「……奴らは……」
ゲオルグ:「まだ戦っているのか」
クラウディア:「…………」共に、そちらへ視線をやる。
クラウディア:あの巨体の足元に、彼女も辿り着いているのだろうか。
クラウディア:「……そのようです」
ゲオルグ:「…………」
クラウディア:「……指揮官」
クラウディア:「私には、貴方のような大義はありません」
クラウディア:「ただ、自分が求めるもののために軍人になり、自分の為に戦ってきました」
クラウディア:「だから、死にたくはありません。それは今も変わりない」
ゲオルグ:無言のまま、その言葉を聞いている。
クラウディア:「……ですが」
クラウディア:「いえ、だからこそ」
クラウディア:「そんなくだらない連中の悪意の手に、我が身が磨り潰されようとしているのであれば」
クラウディア:「……そして、どこにも活路が見えないのであれば」
クラウディア:「せめて、噛み付いてやりたいと思います」
ゲオルグ:「……」
ゲオルグ:多脚戦車の歩みが、ゆっくりと止まる。
ゲオルグ:「……大尉」
クラウディア:「……はい」
ゲオルグ:「……こうして貴様と言葉を交わすのは、初めてだが」
ゲオルグ:「存外気が合うようだな」
ゲオルグ:戦車が一度、大きく揺れて。
ゲオルグ:先程とは逆の方向に、再び歩み始める。

---

ルカ:業火が燃え盛る戦場。遠くに見える巨竜が動くたびに大地は揺れ、身体には絶えず光の花が纏わりついては消えて行く。
ルカ:しかめっ面で一帯を見渡してから、息を吐く。
ルカ:「…エリアス」
エリアス:どこかぼんやりと皆を見ていた。「はいっ?」
エリアス:「あ、ルカ!」
ルカ:「うるせ」手元の物を放り投げる。
エリアス:「まだ何も……おっと」
エリアス:受け取る。見る。
ルカ:瓶。人間用とは思えない薬品…オーヴァード用の消毒液。
ルカ:「それ」
エリアス:「ルカは使ってます?聞きましたよ、カタリーナさん手当てしてくれたって」
ルカ:「…そうだよ。だから、あのマフラーの人がまた怪我したらぶっかけといて」
ルカ:しかめっ面。
エリアス:「……はは。あの人、怪我とか気にできないから」
エリアス:「ありがとうございます」
ルカ:「………何人」
ルカ:「何人減ったの」
エリアス:最初の連合軍からどれだけ。
エリアス:「連合軍では、数えられてません。別れた人たちも多い」
エリアス:「うちの部隊では、合流しに来てくれた人が、さっき……」
エリアス:「亡くなりました」
ルカ:「……」一瞥する。「…そんな距離感じゃないつってたくせに」
エリアス:「それとこれとは……別でしょ」苦笑する。
ルカ:「そうかよ」
エリアス:「ルカだって、人が死ぬのは耐えられないはずだ。だからカタリーナさんを助けてくれた」
エリアス:「違いますか」
ルカ:「……」「……別に」
ルカ:「あんたとあんたの仲間がどんな仲だったのかも、あんたが今どういう感情なのかも」
ルカ:「おれには分からないし、知らない」
エリアス:「はい」
ルカ:「…ただ」
ルカ:「今、この場所で、数万人が死んでる」
ルカ:「あんたの同僚もその一人に加わった」
ルカ:「残念だ」仏頂面。「……それだけ」
エリアス:「そう思ってくれているだけで…」
エリアス:「そう思う心を、持っていてくれるだけでも」
エリアス:精神に作用するレネゲイドの行使は、今はしていない。臆病な青年のまま、困った顔をする。
エリアス:「嬉しい。ってのも変ですね。…なんだろうな」
ルカ:「……」その顔を見る。「…普通の顔もできんじゃん」
エリアス:「へっ。なんすか」
ルカ:「さっきまでの顔より話しやすい」
エリアス:「……あー。あれは……まあ」
ルカ:「いいよ別に。説明してほしいわけじゃない」
エリアス:「あ、すいません。おれ頭よくないんで、普通に言葉出ねえや」
エリアス:笑う。
ルカ:「いいよ。こっちも、どうせ理解できない」
ルカ:仏頂面。
ルカ:「まだやれんの、あんたは」
エリアス:「やれます。ルカは?」
ルカ:「うん」
ルカ:「やるしかないだろ」
エリアス:「……完全におれが言えた義理じゃないんすけど」
エリアス:「数万人の死を、そうやって、意識できてしまえて。大丈夫なんですか」
ルカ:「あ?」怪訝な顔する。
エリアス:「これからもずっと続くじゃないですか」
ルカ:「……」
エリアス:「おれは…そういうの、分けるように、できます。そういうふうにできてるし、やってる」
エリアス:「そういう自分になれるんです。でも」
エリアス:「……まともじゃやってらんないでしょ?」
エリアス:酒を飲んだときのように、叱られた少年のように苦笑する。
ルカ:「………」「……どうせ」
ルカ:「一番経験したくない死はもう経験してる」
エリアス:「……それでも、おかしくなれない」
エリアス:呟き、瓶を弄ぶ。
エリアス:「そっか」
ルカ:「……」しかめっ面。「…分かったようなクチきくんじゃねえよ」
エリアス:「あっ」驚く。「……確かにそうっすね。普通に、失礼でした」
ルカ:「うるせえ」雑に背中を叩く。
エリアス:「いたっ」大げさに痛がる。
ルカ:「それ」瓶を見やる。「やけ酒にはすんなよ」
エリアス:「はは! そのへん厳しい上司もいますんで」
エリアス:「大丈夫です。うん」
エリアス:「ありがとうございます」
ルカ:その顔を一瞥して、そのまま大股で去って行く。
エリアス:瓶をぎゅっと握る。息を吐く。「おし。……まだまだ!」

GM:ラウンド3
GM:セットアップから!
ギル:私はなし
ルカ:なしでございます
アッシュ:エフェクトなし
クレア:《剣の王城》LV5 シーン中、日本刀を5本入手。モルフェウスのエフェクトを組み合わせた攻撃の攻撃力+10
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を4増加 (86 → 90)
デュバリー:加速するぞ加速するぞ 《加速装置》!
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を2増加 (89 → 91)
ギル:クレアくん王城使って平気?
ギル:そんな火力いることあったっけ
クレア:120行けばもっかい使えるし、次の動きあった時の保険で構えといても大丈夫かなという感じ
ギル:たし蟹
GM:ではイニシアチブ 行動値14、デュバリーさんの手番です
デュバリー:拘束を……しましょう。何はなくともね。
GM:《RC》難易度20/任意の攻撃判定で難易度50
GM:判定どうぞ!
デュバリー:任意の攻撃判定で難易度50~~? 《零距離射撃》で行きます。
デュバリー:5dx+25+12=>50
DoubleCross : (5DX10+37>=50) → 9[1,2,5,7,9]+37 → 46 → 失敗

ルカ:デュバ~!?
アッシュ:惜しい
GM:おやおや
デュバリー:《妖精の手》。1を10にして47にしてもう一回転。ここからだぜ。
GM:何だとぉ……
ギル:20%で失敗
サブGM:待ちな
デュバリー:何だとぉ……
ルカ:きっきみは
クレア:その声は!
ハミース:NPCカードを使用します。達成値を+5。
デュバリー:なんて便利な男なんだ。
GM:貴様……サブGM!
クレア:ハミ~ッ
ギル:再計算中……
デュバリー:これで達成値は51!
ルカ:ハミース仮面!
サブGM:お前とのGMごっこは楽しかったぜ~?
GM:この……裏切りもんがァ!
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を2増加 (91 → 93)
ギル:ピ、ピガ~。成功カクリツ、95%、イジョウ
GM:では判定成功です。以降PCは『前翼破壊』『後翼破壊』判定のダイス+10、C値-2、攻撃力+30
デュバリー:これで拘束は完了!
ルカ:さすがよデュバリー!
GM:しかしハプニングが発生するぜ
GM:1D100
DoubleCross : (1D100) → 79

GM:したぜ
ギル:次は誰が死ぬんだろ
GM:これは発生するかどうかなので 次に内容を決めます
GM:1D100
DoubleCross : (1D100) → 15

ギル:ハポハポ~
GM:オ~~ン!?
デュバリー:おやおや
クレア:低めだ
ルカ:オ~~ッ
ギル:まさか……蘇り!?
アッシュ:いいやつでは?
GM:10〜19:順調な進行。ダメージは発生しない。
デュバリー:フ……
GM:クソが代!(国歌)
クレア:やった~!
ルカ:ヤッタネ~ッ
GM:では次!
GM:イニシアチブ10 クレアくんの手番です
クレア:ここは……待機します!
GM:何を企んでいる小僧~
GM:ではイニシアチブ7 アッシュくんの手番です
サブGM:ここで使おうかな ネクスト・NPCカードを
ルカ:なっなにをするつもりだ
GM:何だぁ……?
ギル:時の棺
“バーバヤガー”:“バーバヤガー” 効果:イニシアチブに使用、シーン(選択)対象のラウンド間の攻撃力を+20する。
“バーバヤガー”:対象はPC全員です。
アッシュ:マジ!?
GM:こっ……このババア!
ギル:バッチャ!
ルカ:ババア!
クレア:ありがとうババア!!
デュバリー:ババア~~!!
GM:この老いぼれがァ~~~ッ!
GM:ハッ……
GM:ちょっと待ってください
アッシュ:なんだ……?
GM:さっきのデュバ手番で攻撃発生するのを忘れていました
ルカ:あっ
クレア:そういえばそうだった
GM:ギリ間に合いそうなので今撃つぜ
GM:200DX7
DoubleCross : (200DX7) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,5,5,5,5,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10]+10[1,1,1,2,3,3,3,4,4,4,4,4,5,6,7,7,7,7,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9]+10[2,2,3,4,6,6,6,6,7,8,8,9,9,10]+10[2,2,3,3,9,9]+10[5,9]+3[3] → 63

GM:死ね~~~~~ッ
ギル:殺せ殺せ~!
ルカ:避けろ!デュバリー!
デュバリー:これは……
デュバリー:受けます。リザレクトで100行かない方に賭けた方が良い
GM:ではダメージ
GM:7D10+70
DoubleCross : (7D10+70) → 42[7,7,6,8,3,9,2]+70 → 112

デュバリー:当然倒れます。《リザレクト》
デュバリー:1d10
DoubleCross : (1D10) → 7

デュバリー:オォン……
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を7増加 (93 → 100)
デュバリー:デュバリーのHPを7に変更 (6 → 7)
アッシュ:ピッタリか……
ルカ:ちょうど…
ギル:100になっちゃった
デュバリー:ま、ちょうどいいハンデってヤツさ
クレア:惜しかった
ギル:私も100超えてるしな
ギル:余裕余裕
GM:では改めてアッシュくん!
アッシュ:はい!
アッシュ:後翼の破壊にチャレンジします
アッシュ:マイナー無しのメジャーでコンボ!
GM:任意の攻撃判定を行い、100点のダメージを与える。装甲値30。
GM:判定どうぞ!
アッシュ:Allumez le moteur:コンセントレイト:ウロボロスLv3+シャドーテンタクルスLv1+アームズリンクLv1+ライトニングリンクLv5+バリアクラッカーLv1
アッシュ:C値-3、射程10m、判定D+3、攻撃力+20、装甲無視、ガード不可、侵蝕値+13
アッシュ:27dx5
DoubleCross : (27DX5) → 10[1,1,1,3,3,3,4,4,4,4,5,5,6,6,6,7,7,7,8,8,8,8,9,9,9,10,10]+10[1,1,2,2,2,3,3,3,4,5,7,7,7,8,9,9,10]+10[1,2,3,3,4,4,6,9]+10[1,8]+2[2] → 42

アッシュ:出目がな……
GM:ダメージどうぞ!
アッシュ:12+18+20+30+20+5d10
DoubleCross : (12+18+20+30+20+5D10) → 12+18+20+30+20+20[10,1,1,1,7] → 120

アッシュ:まあ超えたので良し!
ルカ:あっ
GM:グギャ~~~~~ッ
クレア:超えとる!
アッシュ:支援とボーナスだけで50あるしな……
ルカ:よかった!
GM:では判定成功。ですが……
アッシュ:アッシュ・ノイ・ジラードの侵蝕率を13増加 (87 → 100)
GM:後翼が破壊されたことで、前翼の耐久値が+50されます。
クレア:なんやて!?
ギル:なんだぁ……?
ルカ:何~ッ
デュバリー:あァ~!?
アッシュ:聞いてないが!?
GM:そしてアッシュくんに攻撃が発生します
GM:200DX7
DoubleCross : (200DX7) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,1,2,2,2,2,3,5,5,5,5,5,6,6,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,10,10,10,10]+10[1,1,2,3,4,4,5,6,7,7,10,10,10,10]+10[1,4,5,6,6,10]+2[2] → 52

アッシュ:リア不!ダメージ来いや!
GM:ダメージ!
ギル:カバーはいいのかな
ルカ:する!
ルカ:《崩れずの群れ》でアッシュくんをカバーします
アッシュ:助かる!
ルカ:ルカの侵蝕率を2増加 (97 → 99)
GM:ではダメージ!
GM:6D10+70+3D10
DoubleCross : (6D10+70+3D10) → 14[3,2,2,2,3,2]+70+13[4,2,7] → 97

ルカ:消し飛び!
ルカ:リザレクトします
ルカ:1d10
DoubleCross : (1D10) → 8

ルカ:ギャー
ルカ:ルカの侵蝕率を8増加 (99 → 107)
ルカ:HPも8になりました
GM:そしてハプニングも!
GM:choice[発生,未発生]
DoubleCross : (choice[発生,未発生]) → 未発生

ルカ:やった~
GM:何だとぉ……
ギル:なんもおきん
クレア:運はこちらに見方しているようだな
アッシュ:やったぜ
ルカ:アッシュくんの次、イニシアチブ6はルカの手番だよ
ルカ:待機するよ
エミリア:自主待機できてえらいですよルカ
ルカ:やめろっつの~
ギル:その次はまさか……私!?
ルカ:ひとりでギルキュア!
GM:行動値0 ギルくんの手番です
ギル:俺はひとりじゃない……デュバとバッチャがくれた攻撃力+50……これさえあれば……!
GM:狂ってるよ~~~
ギル:という事で前翼破壊を試みます。《マルチウェポン》《ヴァリアブルウェポン》
ギル:マイナーで戦車砲に給弾してから攻撃判定するぜ。
ギル:使用武器は戦車砲+大口径機関砲*4
GM:任意の攻撃判定を行い、170点のダメージを与える。装甲値0。
GM:判定どうぞ!
ギル:4DX8+4 うおおおお
DoubleCross : (4DX8+4) → 10[1,4,8,8]+2[1,2]+4 → 16

ギル:侵蝕は8上がります。
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を8増加 (103 → 111)
GM:ダメージどうぞ!
ギル:ダメージ行きます。ガード不可装甲無視です
ギル:2d10+1d10+114+20+30
DoubleCross : (2D10+1D10+114+20+30) → 14[5,9]+5[5]+114+20+30 → 183

GM:く 狂ってる
ルカ:つよすぎるよ
クレア:ヤバすぎ
GM:バケモンが!!
デュバリー:ヤバ
アッシュ:マジで言ってる?
ギル:購入3回できれば無敵!
GM:では……判定突破になります
GM:でも反撃は受けろ~~ッ
ギル:だがもう流石に侵蝕が洒落にならないので次の攻撃は庇ってください……
ルカ:クレアくんおねがい~
GM:200DX7
DoubleCross : (200DX7) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10]+10[1,2,2,3,3,3,4,4,5,5,5,5,5,5,6,6,6,7,7,7,8,8,8,9,10,10,10,10,10]+10[1,2,2,3,3,5,5,5,6,8,8,10]+10[3,3,10]+6[6] → 56

ギル:やめろ~っ
ギル:ファンブルしろ!
クレア:まかせとけ
ギル:一応ドッジしてみよ
ギル:4DX
DoubleCross : (4DX10) → 10[2,3,8,10]+6[6] → 16

ギル:たすけち~
クレア:《砂の結界》ギルをカバーします。
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を2増加 (90 → 92)
ギル:うおーありがとう……!妹と手紙のやり取りしていいよ
クレア:緊張するな
ルカ:かわいそう
GM:死ね~~ッ
GM:6D10+70+6D10
DoubleCross : (6D10+70+6D10) → 45[8,9,10,7,8,3]+70+27[7,2,1,5,7,5] → 142

ギル:私が142回死ぬダメージだ
クレア:塵となり、無から再び生まれ出ます。《リザレクト》
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を1d10(→ 7)増加 (92 → 99)
GM:そしてハプニング!
GM:choice[発生,未発生]
DoubleCross : (choice[発生,未発生]) → 未発生

GM:こ……こいつら…………!
ルカ:やった~~~~!!
クレア:ギャハハハッ!!
アッシュ:運命が生きろと言ってる
デュバリー:おやおや~~??
ギル:生きるのじゃリシェ
ギル:諦めるにはまだ早いぞい
ルカ:天が味方しているようじゃな
ギル:ハプニングチャートが振られなければ人はしなないんじゃ
GM:そしてクレアくんの手番が残っているのですが……
ルカ:ルカもだよ~
GM:アッ そうじゃん
GM:なんで3手番で終わっとんねん!!
アッシュ:はっはっは
GM:あり得んだろ
ルカ:すごいねえ
クレア:強くなりすぎてしまったようだな
ギル:これが脳の中にしか居ない妹の力だぜ
GM:二人は・負傷者救護 を行って頂いて構いません この判定には攻撃・ハプニングも発生しません
ギル:皆も妹作ろうね
ルカ:オオッッ
クレア:やった~
ルカ:ではリシェさんに救護判定します。《知識:医学》で判定。応急手当キット使用。
ルカ:3dx
DoubleCross : (3DX10) → 10[1,3,10]+2[2] → 12

ルカ:2d10
DoubleCross : (2D10) → 14[8,6] → 14

ルカ:達成値26です~
サブGM:4点回復でリシェ耐久が2→6になります。
クレア:続いて救護判定。対象はクラウディアさん。応急手当キット使用します。
クレア:3dx
DoubleCross : (3DX10) → 8[1,3,8] → 8

クレア:2d10
DoubleCross : (2D10) → 10[6,4] → 10

GM:クラウディアさんが3点回復で2>5ですね

クラウディア:反転したゲオルグとクラウディアは、今にも羽ばたかんとする龍の足元を目指して、炎の海を突破していた。
ゲオルグ:オーヴァード達の後方から爆音。ジャームの群れが吹き飛ばされる。
ゲオルグ:傷付き焼け焦げた多脚戦車が半壊寸前の車体を軋ませ、ぎこちない歩みで味方のもとへと辿り着く。
クラウディア:袖口から伸びた鋼線が、ジャームの群れに巻き付いた。次の瞬間には赤く爆ぜさせる。
クラウディア:単独戦闘に向かないイルゼ一人のものよりも、幾分か手際が良い行軍だ。……当人らには比較する由もない事ではあるが。
アウグスト:「……」手近なジャームを両断した後そちらを見、諦めたように瞑目する。
クラウディア:「本当に、どれだけ湧いたら止まるのかしら……」呟いて、見知った顔に目を留める。「ああ」
クラウディア:「さっきぶりですね、隊長」気安く片手を上げる。
アウグスト:「……撤退なされたのでは?」
ゲオルグ:「……気が変わった」
ゲオルグ:「20年振りに、ここで雪辱を果たすのも悪くない」
ゲオルグ:「ヴィンツィンゲン。命令がある」
アウグスト:皮肉の一つでも言いたくなる。悪い傾向だ。強く口元を引き締める。
アウグスト:「は」
ゲオルグ:「この戦いが終わったら、“ゲシュペンスト”は解散する」
クラウディア:「えっ」
ゲオルグ:「隊員を率い、新たな部隊を設立せよ。指揮は貴様が執れ」
アウグスト:微かに眉を動かす。
アウグスト:「拝命いたします──とお答えしても良いが」
アウグスト:「私は既に御命令に背いた身ですぞ」
ゲオルグ:「言ったろう。儂はもう疲れた」
ゲオルグ:「いい加減に、引退させてくれ」
ゲオルグ:深い皺の刻まれた老人の顔に、ほんの微かに笑みの色が浮かぶ。
アウグスト:「……了解」
アウグスト:敬礼し、静かで忠実な軍人の顔で答える。
アウグスト:次の句もまた同じように。
アウグスト:「Sechsは死にました」
クラウディア:「……え。Sechs、って」
クラウディア:「イルゼ……キルステン大尉、が?」
クラウディア:「死んだ……?」
アウグスト:そちらを見る。「お前には伝言を頼まれた」
アウグスト:「『ざまあみろ』とな」
クラウディア:「……」
クラウディア:「……それだけ、ですか」
クラウディア:視線を迷わせる。乱れかけた呼吸が、何かに押し込められるようにすぐに引いていく。
アウグスト:沈黙で肯定する。
クラウディア:その代わり、肩に付けた徽章が疼くように熱くなる。
クラウディア:「ばっかみたい……だから、言ったのに」
ゲオルグ:「……」
ゲオルグ:「“亡霊ゲシュペンスト”は──呪われた名だ」
ゲオルグ:「20年前、儂は全てを失った。部下と戦友を手に掛けて、自分だけが残された」
ゲオルグ:「生き残ったのではない。死に損なったのだ」
ゲオルグ:「以来、ずっと死に場所を求め続けてきた」
ゲオルグ:「だが何の因果か、見送ってばかりでまるで死ねん」
ゲオルグ:「儂はあの日に既に死んでいて、故に死ぬことも許されんのかも知れん」
ゲオルグ:「“亡霊”とは、そういう名だ」
クラウディア:「……死ぬことが目的なんですか?」
クラウディア:「違うでしょ。死ぬこと自体に意味なんてない」
クラウディア:「生きてやりたい事があるんでしょ。命を懸けてまで、勝ちたい相手がいるんでしょ」
クラウディア:「……何が、"ざまあみろ"だ」
クラウディア:「そんなんで、勝ったつもりなの……?勝手に死んで、勝手に満足して……っ」
クラウディア:「……みんな、馬鹿ばっかりだ」
ゲオルグ:「……意味があったと思いたいのだ」
ゲオルグ:「あの日生き残ったのには、同胞を殺めたのは、無為では無かったと」
ゲオルグ:「あれを打ち倒すことが叶えば、それが証明できる」
ゲオルグ:「その為には死んでも構わん。それが死に場所を見つけるということだ」
クラウディア:「……」
ゲオルグ:「……だが、それは儂一人の話だ」
ゲオルグ:「“亡霊”の名は、貴様らには相応しくない」
ゲオルグ:「これからを生きる貴様らにはな」
クラウディア:「……言われ、なくたって」
クラウディア:「こんな所では、死にません。絶対……」
アウグスト:「……これを渡しておく」
アウグスト:クラウディアに歩み寄り、手に金属の札を握らせる。
クラウディア:「……。これって」
クラウディア:握らされたそれに視線を向ける。数秒、考え込むように黙り込む。
アウグスト:「お前が持っているのが──」言葉を探すようにして。
アウグスト:「Sechsの望みだろう」
アウグスト:自分の意志や、彼女の遺産の代償を勘案したような言い方は避けた。
クラウディア:自分にとって……この金属札は、勲章と同じだ。集めた数だけ、英雄としてこの世界からの承認を得られるという証。
クラウディア:それを手にするために奪った命の事なんて、今まで気にかけた事はない。
クラウディア:この世界には、自分の幸福のために蹴落とし利用するべき他人がいる。ただそれだけの話だから。
クラウディア:……だから、受け取りたくなかった。もしも、私がそれを受け取ったなら
クラウディア:そうやって奪ってきた命の中に、彼女の事も含めてしまいそうだと思ったから。
クラウディア:「……まさか」冗談のように微笑んで応じる。
クラウディア:「私に持たせてたら、絶対怒るでしょ。あの人は」
クラウディア:「……家族が、いるんでしょ。そっちに届けてやってくださいよ」
クラウディア:「あの人がどれだけ大事にされてたかは、知りませんけど」
クラウディア:「少なくとも……あの人にとっちゃ、大事な繋がりだったみたいですし」
アウグスト:「彼女の遺品は他にもあるが」
アウグスト:「お前に渡せそうなものはそれだけだ」その他については通常の手続きを経て、遺族の元に送られるのだろうから。
アウグスト:「だからそれくらいは、遺言を預けたお前にあってもいい……」
アウグスト:「のではないか」
クラウディア:「……」しばし逡巡するように視線を迷わせて。
クラウディア:「……ああ、もう」
クラウディア:「分かりました、よ!」
クラウディア:そう言うや、ドッグタグを掴み取り、自分のものを吊るしているネックレスに繋げて通す。
アウグスト:「……無理を言ったようなら済まない」
クラウディア:「……別に。あの人には私、勝ちっぱなしでしたし」
クラウディア:「最後の一回くらい折れてあげてもいいかなって、思っただけ」
アウグスト:「そうか」
クラウディア:「……それで」どこか興奮した様子のまま、場の空気を振り払うように切り出す。「どうやって倒すんですか、あいつ」

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ルカ:巨竜への対応を迫られている間も、小型の怪物達の襲撃が止んだわけではない。
ルカ:彼女の背後めがけて飛び掛かろうとした小型の異形の頭を掴み取り、更に迫る群れに向かって叩きつける。
ルカ:群れごと吹き飛ぶ。燃え盛る廃墟に衝突、瓦礫が崩れ、悲鳴のような音が聴こえてくる。
リシェ:「……!」
リシェ:瞠目し、振り向く。
ルカ:「……」見返す。
リシェ:「……ありがとうございます」
リシェ:言いつつも、苦々しく顔を顰めている。
ルカ:「別に」不機嫌そうな顔でこちらも言う。
ルカ:「……さっきの」
リシェ:「はい?」
ルカ:「あんたの嘆き。おかしいとは思わなかった」
ルカ:「だいたい同意見だ」
ルカ:ムスッとした顔。
リシェ:「……貴方が?」
リシェ:訝しむように見て。
リシェ:「傭兵なんてしているのに……」
リシェ:「現に今も、戦おうとしている」
ルカ:「……」答えず。「……あんたは?これまで、戦ったことないの」
リシェ:「……オーヴァード以外となら。戦いと呼べるものではありませんでしたが」
リシェ:「そもそも、軍に入るなんて思ってもいなかった」
ルカ:「そんな身なりだ」溶けかけた眼鏡、会議の時はずいぶん上品そうだった衣服を見る。
ルカ:「初陣がこれ? 散々だな」
リシェ:「本当に」自嘲するように。
リシェ:「自分がオーヴァードになって戦うなんて……」
リシェ:「戦場がこんなに……」
リシェ:「…………」
ルカ:「…今回は、だいぶ特殊だと思うけど」
ルカ:「だいぶ」「…ハードな部類だ」
リシェ:「その口振りだと、貴方は初めてじゃなさそうね」
ルカ:「うん」頷く。「…だから、まあ、やってられてる。まだ」
ルカ:「あんたは、結局、どうなの」
ルカ:「……別に」「やってられないで、いいけど」
ルカ:「軍人なんだろ。国に戻れば英雄扱いじゃないの」
リシェ:「ヨーロッパを滅ぼす戦場から、自分だけ逃げ出した英雄?」
リシェ:「笑えるわね、それ」
ルカ:「………」「笑わないよ」
ルカ:「ただの人間だった時なら、笑ったかもしれないけど」
ルカ:「……でも、そうだ」リシェさんを見る。
ルカ:「あんたらは、そうだろう」
ルカ:「あんたの故郷に住む国民が、あんたらを勝手に『英雄』だと思って、勝手に期待してる」
リシェ:「……そうね」
リシェ:「勝手な期待よ」
リシェ:「勝手な希望」
リシェ:「オーヴァードは怪物で、人間じゃないって見る人もいるけど」
リシェ:「英雄だってそう。全部勝手に押し付けて、結局、同じ人間として見てないのよ」
ルカ:「そうだ」
ルカ:英雄と言われるなら、まだマシだ。荒野。浴びせられる罵声と嘲笑。正反対の光景を知っている。
ルカ:「……それを」
ルカ:「ただの人間だった時に、していたから」
ルカ:「その罪悪感を、いま晴らそうとしてる」
ルカ:「おれはね」
ルカ:故郷に、当然のように根付いていて、妹が覚醒するまで抱いていた、彼らを軽蔑する感情と。
ルカ:妹が人間であることを知る事実と。妹が超人へと変貌した事実と。
ルカ:妹が自分を庇って死んだ事実と、今、自分がここにいる事実が。
ルカ:ごちゃまぜになって、整理はついてない。
リシェ:「……そう」
リシェ:「あの英雄よりは、余程共感できる」
リシェ:「そういう方が。私にとっては」
ルカ:「はは」低く笑う。「それは良かった」
ルカ:「まあ、あんたには、もっと綺麗な理由の方が似合いそうだ」
ルカ:「まだ、あんたのこと」
ルカ:「ただの人間として扱ってくれる奴、あんたの近くにはいるんじゃないの」
リシェ:「……。……どうかしらね」
ルカ:「その返事」
ルカ:「少なくとも、心当たりは、まだ生きてるってことだろ」
ルカ:「……」遠く、巨竜を見やる。「…それだけ」
ルカ:「逃げるのも危ないから。頑張って」
ルカ:仏頂面でそう言って、その場を去って行く。
リシェ:「……」
リシェ:その背をただ無言で見つめる。
リシェ:オーヴァードだと分かった時、婚約者の家族はリシェを遠ざけ、二人を引き裂いた。
リシェ:以来、婚約者とは一度も会っていない。彼自身の気持ちも確かめないままに。
リシェ:しかしだからと言って、今の自分が会いに行く資格など、あるのだろうか。人ならぬ身。いつ死ぬかも分からず──否、今まさに死のうとしている、自分が。
リシェ:「……私達オーヴァードの帰る場所なんて」
リシェ:「一体、何処にあるのよ……」

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クラウディア:数百メートルの炎海を抜け、仲間との合流と、僅かな追悼の後。
クラウディア:息をつく間などある筈もない。
クラウディア:今なお標的への道を塞ぐように集まり続けるジャームの群れを掃討する事が、アウグストから下された目下のクラウディアの役目だ。
クラウディア:袖口から鞭のように伸びた鋼線を振るう。モルフェウスのレネゲイドによって毎秒ごとに形を変えて伸びるそれに触れた端から、内側から爆ぜるようにジャームが砕け散っていく。
クラウディア:「っ、これで……随分、見晴らしも良くなったかな」
クラウディア:少なくとも、彼らの進軍を遮るような壁は消えた。赤い血に染まった鋼線を砂鉄へと解体しながら、僅かに息をつく。
クラウディア:「しかし、これだけ焼き尽くされたってのに、どこから湧いてきてるんだか……」
ジャーム:スライム:僅かに気を抜いたその瞬間、足元の瓦礫が跳ね上がる。
ジャーム:スライム:瓦礫の下に潜んでいたのか、人体がドロドロに溶け液状になったかのような異形が這い上がり、クラウディアの脚を拘束する。
クラウディア:「!? しまっ……」
クレア:次の瞬間、スライムの腐肉から幾つかの飛沫が上がる。
クラウディア:「おわっ」咄嗟に鋼線を再構築しようとした矢先、足元の飛沫に目を見開く。
クレア:彼方から放たれた弾丸。それは、この人形の怪物が人間であった頃でれば有していたであろう急所を的確に射抜くが
クレア:粘体の塊となった今ではさほどの効果もなく、勢いを失って腐肉の中に留まる。
クレア:しかし、その弾丸の中に込められていた何かが溶け出すと、スライムの様子が一変する。
クレア:腐肉が沸騰するように泡立ち、異臭とともにその体積を瞬く間に減じていく。
クラウディア:飛び去るように離れてから、再構成した鋼線でスライムへと追撃を加えようとするが。その様子を見て留まり、振り返る。
クレア:「無事か」
クラウディア:「貴方は……アイギスの人だっけ」
クラウディア:「ん、全然大丈夫」
クレア:「クレアだ。クレア・アップルシード」
クレア:「君は確かゲシュペンストの10番だな。撤退したものと思っていたが」
クラウディア:「そう。ありがと、クレアくん」
クラウディア:「クラウディア・ローデよ。……まあ、そのつもりだったんだけど」
クラウディア:「気が変わったの。それに、逃げるのなんて無理そうだったしね」
クレア:「それもそうか。だが共に戦ってくれるのなら心強い」
クラウディア:「あは、納得が早くて助かるな」
クラウディア:「一度逃げた奴の事なんて信用できない、なんて面倒なこと言われなくて良かった」
クラウディア:軍靴に付着した粘液をこそぎ落とすように、ぐりぐりと瓦礫を踏みにじりながら言う。
クレア:「アレを見て逃げる選択ができるのなら、かえってまともな判断力があると言えるだろう」
クラウディア:「ふ。それはちょっと思った」
クレア:「そして、今こうして戦いに戻ってきたということは」
クレア:「お互いまともじゃない」
クレア:「疑うだけ無駄と言うものだ」
クラウディア:「なるほどね。それもそうだ」
クラウディア:「……ねえ、クレアくん。嫌なこと聞いていい?」
クレア:「ん」ふと、クラウディアの胸元に下げられたものに反射した光が目に入る。
クレア:「自分に答えられることなら」
クラウディア:「そっちの仲間は、何人やられたの?」
クレア:「この戦いでは、まだ損害は出ていない。今の所はな」
クラウディア:「そう。……良かったね」
クレア:「そちらは、欠員が?」
クラウディア:「うん、一人」
クラウディア:「……仲は悪かったけど」
クラウディア:「それでも。知ってる奴に死なれるのって、すごく嫌な気分」
クレア:「それは……」
クレア:「寂しいからか?それとも、悔しいからか」
クレア:「君の仲間が、君にとってどんな存在だったのか、自分は知らないが」
クレア:「それを持つのなら、答えは考えておいたほうがいい」胸元のタグを指差して
クラウディア:「……」
クラウディア:(……あいつが、私にとってどんな存在だったか)
クラウディア:「……私、欲張りでさ」
クラウディア:「小さい頃から、欲しいものが沢山あったの」
クラウディア:「誰かが自分の持ってないものを見ると、すぐ欲しくなる」
クラウディア:「道行く人が身につけてる、温かそうな手袋とマフラー。銀色のブレスレット。ギア付きの自転車」
クラウディア:「広告の中の俳優が持ってる、真っ赤な宝石とか。不思議な色の付いたジュースや、知らない花の匂いがする香水」
クラウディア:「あと……ストリートの好きな店に入って、食べたいメニューだけを注文する自由とお金。それに」
クラウディア:「私を抱き上げてくれる人。出かける時、頬にキスをしてくれる人」
クラウディア:「成果を出した時、よくやったって頭を撫でてくれる人」
クラウディア:「……悪い事や間違った事をした時、叱ってくれる人」
クレア:「……」
クラウディア:「だから……欲しかったんだと、思う」
クラウディア:「いつも喧しくて、口うるさくて」
クラウディア:「絶対に私の事を方っておかない、あの人の事が」
クラウディア:……絶対に?どうだろう。
クラウディア:最後には、私を置いて一人で行ってしまった訳だけれど。
クラウディア:果たして彼女の中には、自分の事なんて、単に目障りな敵としか映っていなかったんじゃないだろうか。
クレア:「自分にも、親はいない」遠くを見て、ぽつりとつぶやく
クラウディア:……分からない。そんなの、知らない。もう確かめる術もない。
クレア:「自分の持ち物なんてものはなかったし、手に入れられる機会も、ねだれるような環境でもなかった」
クレア:「ただ、不思議と自分は飢えてはいなかった。どこか、受け入れてしまっていた」
クレア:「だが、隣には君のような奴もいた」
クレア:「ありもしない物を求めて、出来もしない夢を語る奴だった」
クラウディア:「……」
クレア:「今思うと、自分は最初あいつが少し嫌いだったのかもしれない」懐かしそうに笑う。
クラウディア:「……その子は、どうなったの?」
クレア:「もういない。全部押し付けて逝ってしまった」
クラウディア:「そう。……じゃあ、背負ってるんだ」
クレア:「いい迷惑だ。いつもあいつの見通しが甘いせいで、こっちが尻拭いをする羽目になる」
クラウディア:「……そうだね。本当に、勝手なやつ」
クラウディア:……そこで、ふと思う。
クラウディア:「ざまあみろ」とだけ私に言い伝えたあいつは、何を残そうとしたんだろうか。
クレア:「ああ、勝手だな。けど、それでも」
クレア:「あの時、自分とあいつの立場が逆だったら、きっと同じ言葉を託しただろう」
クレア:「そんな気がする」呟き、クラウディアに背を向け歩いていく。
クラウディア:「……ああ」
クラウディア:その声を聞きながら、指先で弄ぶように拾い上げて、ドッグタグを見る。見慣れた名前がきらめく。
クラウディア:「貴様に託してやるものなどない」と、そう聞こえた気がして。
クラウディア:「そうだな」
クラウディア:「あの人なら、きっとそう考えるし」
クラウディア:「……私が貴方でも、きっとそう思う」
クラウディア:受け取る相手のいない言葉を、そう小さく吐き零した。

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ルカ:美しい街並みだったはずの景色。死臭がする。
ルカ:先程の戦闘で、半ば砂子と化した焼け跡を眺める。
ルカ:まず、無惨な死体達が目に付く。焦げたテーブル、椅子らしきものの残骸。地面に転がる看板。
ルカ:看板を拾い上げる。カフェテラスか、パブか。そういった店だったはずだ。
ルカ:「……あのさ」隣にいる少年に声をかける。
ルカ:「さっきの…人に話してたことだけど」リシェさんのこと。
アッシュ:「ん?どうかした?」
アッシュ:未だ蒼雷の絡みつく剣を払い、一度納刀する。
アッシュ:その間も視線は竜から外していない。今まさに、羽を捥がれている最中のそれを俯瞰し続ける。
ルカ:「…あんたにとって、勝つことが一番の喜びだっていうのは、分かるし」
ルカ:「個人的には、嫌いじゃないけど」
ルカ:「……」「一人でも勝てるって、絶対に信じてて。それで」
ルカ:「それで…、勝った後はどうするのかって、思う」
アッシュ:「そりゃ決まってるだろ」
アッシュ:「多少休んで、それから次の戦いを探すんだよ」
ルカ:「うん」巨竜を眺める。「それは」
ルカ:「あんたが、たとえば…リッケンバッカーを倒して、誰よりも強いことが分かった後も?」
アッシュ:「ああ。オレがリッケンバッカーより後に生まれたみたいに、オレくらい強いヤツがオレの後に生まれてくるかもしれないだろ?」
アッシュ:「まだ楽しいと思える戦いがあるかもしれないのに隠居なんてこと出来ないね」
ルカ:「……その生き方を、続けるとして…」アッシュくんを見ます。いつもの仏頂面。
ルカ:「…おれは」
ルカ:「あんたに、戦いとか…軍とかから離れた場所に、知り合いとか、好きな場所があればいいと思う」
ルカ:「そういうの、あるの」問いかけます。
アッシュ:「ん?」 そこでようやく彼を見上げて。
アッシュ:「あるけど」
ルカ:「どんなの」
ルカ:仏頂面で聞く。
アッシュ:「軍はクソだけど国の皆は好きだし。行きつけの店も結構あるし」
ルカ:「……そいつらは」
ルカ:「あんたのこと、ただの人間として扱ってくれるの」
アッシュ:「さあ。オレを何扱いしてますかなんて聞いたことないし」
アッシュ:「でも、別に人間扱いじゃなくたっていいと思ってるよ」
アッシュ:「だってオレ、オーヴァードだし。"ただの"人間じゃないのは事実だろ?」
ルカ:「……生憎だけど、おれはそうは思わないよ」
ルカ:アッシュくんの顔を見つめます。「あんただって、"ただの"人間。…15歳の、子供だよ」
アッシュ:「ふーん」
ルカ:「…誰からも人間扱いされなくなったら」
ルカ:「それこそ、戦いだけを求める、怪物になる。……それが、どういう状態なのかは」
ルカ:「おれより、あんたの方が知ってるだろ」
アッシュ:「知ってるけどさぁ。逆にアンタはまだ知らないだろ」
アッシュ:「英雄扱いだって言うほど悪いもんでもないって」
ルカ:じっと見つめる。「…知らないけど」
ルカ:「まったく同じように、国から持て囃された妹が、そのまま死んだんだ」
ルカ:「…だから、おれは」
ルカ:「あんたがこのまま、戦いしか要らないって言うなら…似たように、いつか一人で死んでしまう気がしてならないよ」
アッシュ:「2つ」
ルカ:「……」
ルカ:「なに」仏頂面。
アッシュ:「そうならないって根拠が2つある」
ルカ:「言って」
アッシュ:「第一に、アメリカの扱いとフランスの扱いがマジで同じとは思わない」
アッシュ:「少なくとも、オレには街の連中からオーヴァードだって事を理由に謗られた覚えはない」
ルカ:「………」
ルカ:「そうだな」
ルカ:「こっちの故郷はそんな感じだ。オーヴァードには誹謗中傷の嵐」
ルカ:「…だとしても」
ルカ:「国のやつらが勝手に英雄扱いするって言うくせに、こういう時の理由には上げる」
ルカ:「…別に、それが悪いってことじゃない。むしろ、良い事じゃないの」
ルカ:手に持っていた、焦げた看板を地面に落とす。「……たとえば」
ルカ:「あんたが、真っ先に戦績を伝えたい相手とか」
ルカ:「戦場の話をしないで休日を過ごせる相手がいるって言うなら」
ルカ:「こんなの、余計なお世話だし」看板を足で踏む。砂子に代わる。
アッシュ:「……アンタさ、結局英雄扱いが気に食わないの?良いと思ってんの?」
アッシュ:「それにまだ一つしか理由言ってないんだけど」
ルカ:「……分かんないの」
ルカ:アッシュくんを見ます。「…もう一つ、聞くけど。なに」
アッシュ:「そうそう。そもそもの話だけど」
アッシュ:「アイギスアンタらが居るだろ」
アッシュ:「最近遊戯室によく行くから顔馴染み増えたし、ミルシュカとは普通に遊びにも行くし」
アッシュ:「クレアとただ菓子食う時もあるし、ギルの話を聞く時もあるし」
アッシュ:「デュバリー……は正直分かんないけど。どこ気に入られたんだか未だに分かんないから」
アッシュ:「ま、そこはそことして。極めつけに」
アッシュ:「オレをただの15歳の子供だっていうアンタが居る」
ルカ:「……」アッシュくんを見ます。
アッシュ:「つまり、アンタが心配してるほど孤独でも戦闘狂でもないってこと」
ルカ:不機嫌そうな顔。「……うるせ」
アッシュ:「まさかアンタに人付き合いについて心配されるとはな」
アッシュ:「つい数か月前はオレがしてた側だってのに」  くつくつと笑う。
ルカ:「人付き合いの心配してるのは」
ルカ:「ずっとこっちだよ」
アッシュ:「したじゃん。仲間と仲良くしとけって」
ルカ:「したよ」
アッシュ:「うん。思ったより出来てて安心した」
ルカ:「…」アッシュくんを一瞥。目を逸らす。「…そりゃどうも」
アッシュ:「まあとにかくさ」
アッシュ:「オレは死なないし勝ち続ける」
アッシュ:「オレはアメリカじゃなくてフランス所属だし、アイギスも居るから」
アッシュ:「おまけにお節介な白鳩もついてるしな」
アッシュ:あのときと変わらない、悪戯っぽく不敵な笑みでルカを見上げる。
アッシュ:「――勝たせ続けるんだろ?」
ルカ:「………」 眉間に皺を寄せる。
ルカ:手を伸ばして、その頭を雑に撫でる。髪が乱れる。
ルカ:「そうだよ。あんたを死なせないために」
ルカ:「クソガキ」
ルカ:いろいろ迷って、それだけ言う。
アッシュ:振り払う訳でもなく、避ける訳でもなく。ただするままに任せる。
アッシュ:ルカに踏まれた看板の慣れの果てが、風に攫われて散っていった。


GM:巨大な翼が形成されていくと同時、αが接近しつつある存在に気付き、幾つもの首が一斉に君達を向く。
GM:離陸を邪魔するものを蹴散らさんと、その喉奥から煌々と炎が漏れ出す。
“バーバヤガー”:その高熱に煽られてか、周囲には蒸気が立ち込める。
“バーバヤガー”:否。それは彼女自身の手管だ。
“バーバヤガー”:その霧の中で、人影が無数に散乱する。
“バーバヤガー”:その場のオーヴァードを象ったかのような、影の軍隊を作り出す。
“バーバヤガー”:「Двум смертям не бывать,二度も死にゃしねえが
“バーバヤガー”:「а одной не миновать.いっぺんは避けられねえさ
“バーバヤガー”:「死ぬ気でやりな!ヒヨコ共! おれはこれ以上舐められんのはごめんさね」
ギル:「性格の悪さは何年経っても変わらずか、”バーバヤガー”。今はそれが頼もしいけど」
“バーバヤガー”:「おれはずっと変わんねえさ」
“バーバヤガー”:「舐められたら殺す」
ギル:「怪物相手でも、か。これで接近はできそうだが、果たして間に合うか……」影の軍隊に紛れてαに近づいていく
アッシュ:「大丈夫だろ。間に合わせてくれるヤツが居る」
デュバリー:……霧の中、反射する影法師と共にデュバリーは立っている。先ほどまでいたコロッセオ手前の丘とは反対側に。
デュバリー:ローマの地を焦土に返した業火に耐えられる生命など、ほぼ存在しない。
デュバリー:先のパメラを巻き込んだ一撃が、この地に炭化しながらも残存した生命を全て束ねた、デュバリーにとって想定可能な最後の、最大の一撃だった。
デュバリー:だからその次が必要だと言われれば、想定の外、夢想妄想の域に手を伸ばすほかなくなる。
デュバリー:先の攻撃の後、作戦の再開までずっと、コロッセオ手前の丘――パラティヌスと呼ばれるそこにいたのは……
デュバリー:そこに、あるはずだったからである。現人神にして、羅国開祖者ロムルスが、このローマの始まりと共に突き立てた槍が。
デュバリー:古代ローマとともに生まれ、古代ローマとともに朽ちていった始まりの伝承の樹の……たとえそれが地上でとうに朽ちていても、その根が、あるはずだったからだ。
デュバリー:……果たしてデュバリーは、今その矮躯に木の短槍を携えている。丘の地中、交感の末に感じた、力ある植物の根の存在を、引きずり出したものがそれだ。
デュバリー:これが本当に狼と軍神の子ロムルスの槍の穂先で、伝承に基づきその形を取ったのか。ただデュバリーの願望が大いに混ざった想念が無意識にその形を作らせたのか。
デュバリー:分からない。本当に分からない。
デュバリー:この先に勝利があるのかも、自分の行いが報われるのかも、全てが守られることがあるのかも、分からない。分からない。ただ――
デュバリー:(……行く手と、この手に可能性があって、それが私を駆り立てる限り)
デュバリー:(私はまだ戦える)
デュバリー:(お前がローマを司るものだというなら)
デュバリー:翼を広げ自分たちを睨む竜を仰ぎ、コロッセオの先、なお新しい炎と灰に包まれた街並みに、その短槍を突き立て、
デュバリー:「……全部出しきって、この街の仇を討ってみなさい……!」
デュバリー:全ての力で灰の下の草木の残り根の力を引き出す。
デュバリー:……結果として、デュバリーは想定を超える力を手にした。灼熱の灰の下に眠る植物の命の残滓を瞬時に結集させ、狙い通りに放出することができた。その手応えを確かに感じた。
デュバリー:それが果たしてデュバリーの底力によるものか、始祖ロムルスの槍の力なのかは分からない。
デュバリー:ただ事実だけが残る。
デュバリー:飛び立とうとした竜の翼が、枯れているのに恐ろしく強靭で殺意に満ちた、棘だらけの蔦、あるいはそこから生み出された影の蔦に囚われており……
デュバリー:……αの飛翔は、刹那ながら完全に妨害されたという、揺るぎない事実が!
デュバリー:「アッシュ! ギル!」
デュバリー:「行って! 言うまでもないと思うけど、一分も持たせられないから!」
ギル:「それだけあれば十分だ。十分にしてみせる」
アッシュ:「十分じゃまだ控えめだな。十全に仕上げてやるさ」
α:乾いた蔦に拘束され、竜が咆哮する。
デュバリー:突き立てた槍を握り、離さない。咆哮する竜の双眸を、正面から見上げる。
α:身動きを封じられたまま暴れようと藻掻き、地震めいた揺れが巻き起こる。
α:そしてその瞳が、自らを縛る鎖の根元にいるデュバリーの姿を認める。
デュバリー:(そう。あとは)
デュバリー:(何の破壊力も持たない私に、首を一つ向けるがいい)
デュバリー:(その隙を"アイギス"がこじ開けてみせる)
α:開かれた竜の顎から巨大な火球が放たれ、爆炎と衝撃がデュバリーを呑み込んだ。
アッシュ:「さて。オレ前もらうな」
アッシュ:それだけ言うと、大きく踏み込む。足元に巻き付いた影とその体内を駆け巡る雷による高速軌道。
ギル:「なら僕は後ろだな。クレア、カバーを頼めるか?もう余力がない。防御は君に任せる」
クレア:「了解した。後のことは気にせず全力でやると良い」ギルの後方で弾倉を取替えながら応える。
アッシュ:踏み込み一つで竜の足先へ。踏み込み二つで前腕を駆け上り。踏み込み三つで宙高くに。
ギル:「……落とせなければ、皆がいだき始めた希望が消える。上手くやれよ、アッシュ」背中を見送りながらつぶやくよ。
アッシュ:先程まで斑に混ざり合っていた剣は、いつの間にか様相を変えていた。
アッシュ:原型を保っているのは柄だけ。迸る蒼き雷が刃の代わりとなっている。
アッシュ:「せっかくイカした翼だけど。狩り取らせてもらうぜ」
アッシュ:振るい始めには常と変わらない程度だった刃渡りが、瞬時に伸びる。先程の尾の切断の発展形だ。
アッシュ:芯の代わりに潜ませた影を伸長させ、伝わせた雷で焦がしながら脆くなった肉を断つ。
アッシュ:一度より太く頑強な尾を断ったその刃を、変形したばかりの翼が防げる道理などない。必然的に――
アッシュ:2枚の翼が纏めて根元から切り落とされる。地へと落ちたそれらが鈍く地響きを立てた。
α:形成途中の翼が断ち切られ、膨大な血飛沫が撒き散らされる。紅の翼がゆっくりと地に落ち、竜の唸りが響く。
α:だが、まだ終わらない。
α:残されたもう一対の翼が、失われた役割を補うかのように、更に巨大に、強靭に発達していく。
ギル:「……進化したつもりか。だが、むしろ都合がいい。これだけ大きければ、狙いを付ける必要がなくなる」
ギル:αの後方、広場の中心に立ち、手をαの前翼に向けてかざす。“鉄王”の巨躯を維持するだけの力は、まだ戻っていないが……
ギル:攻撃だけに限定すれば展開は可能だ。αが翼を大きく広げた瞬間、広場全体に影が広がり、そこから無数の砲塔が姿を表す。
ギル:影から現れたのは、この作戦のために調達した最新式だけではない。錆付き汚れた、いつの物だかわからない、使い古された無限にも思える銃口。
ギル:普段は鉄王を形作っているくろがねの骨格が、オーヴァード同士の戦いでは使い物にならない狙い定まらぬ骨董品が、全て本来の平気としての役割を取り戻し、一斉にαの翼に向けて火を吹く。
ギル:「核は耐えきったようだが、それで人間に勝ったと思うな」
ギル:「お前が倒れないのなら……100年分でも1000年分でもぶつけてやる!守るべきものがある限り……僕達は諦めない。戦い続けてやるぞ!」
α:竜鱗は尋常の銃火ならばまるで通さぬ程の硬度を持っている。だが豪雨のような弾丸の雨に晒され、少しずつ削り取られていき──
α:鱗が弾き飛び、甲殻がひしゃげ、やがて大きく穴が空き、吹き飛ばされていく。
ギル:「ぐっ……!」翼がちぎれ落ちるとともに膝をつく。「クレア……!後は頼む!」
α:“鉄王”の巨体に向け、更なる巨体から反撃が振るわれる。
α:幾つもの頭から同時に放たれる火球。灰の舞う空が真っ赤に染まる。
クレア:「ああ……少し借りるぞ!」銃撃の雨が止むと同時、ギルと入れ替わるように前に出る。
クレア:銃弾を撃ち尽くし、熱でひしゃげた"鉄王"の無数の銃口。
クレア:その撃鉄がもう一度落とされ、最後の弾丸が一斉に放たれる。
クレア:捻れた銃口から飛び出した銃弾は当然の様に狙いなど定まらないはずだが。
クレア:それらは空中で不自然に軌道を変え、緑色の燐光を発しながら火球を向かえ撃つ。
クレア:接触の瞬間、空が光で満たされる。自らを炸裂させた衝撃で、火球の威力を削いだ。
クレア:「……流石に、この数は」
クレア:「鳥を撃つようには行かないな」
ギル:「そりゃ、相手は竜だからね……」苦笑する
クレア:弾幕をすり抜けた残り火が眼前に降り注ぐ。それでも、体ごと障壁を作り出して衝撃を堰き止めた。
クレア:「だが、これで墜ちる」
α:二対四枚の翼は完全に破壊され、竜の羽搏きが止まる。
α:バランスを崩した巨躯が倒れ込み、地響きと共に凄まじい粉塵が巻き起こる。
ギル:「最悪の事態は回避できたようだけど……」
α:……やがて煙の中から立ち上がったその姿は、変形した翼を再び元通りの前脚へと再生している。
α:それは竜が、この場に留まると決めたということに他ならない。
α:そしてそれは、君達を明確に敵と認めたということであり──
α:全力を以て、君達を排除するということだ。
α:灼熱の戦場に、幾重にも重なる巨竜の咆哮が響き渡った。



GM:シーン終了。
GM:ロイス取得のみ可能です。
ギル:αちゃんに取ろうかな
ギル:敵性存在/α/P:感服/N:驚異○/ロイス
デュバリー:まあ取るならそこかな
デュバリー:α/尽力/○仇敵/ロイス
デュバリー:以上ンニャねえ
ギル:あと舞さんにも取ろう
ギル:上司/舞・R・アーデルハイド/P:信頼○/N:不安/ロイス 死なないか不安です
クレア:話した時取るの忘れてたのでイリーナに 親近感○/警戒 で取得
クレア:あとαに 標的○/驚異 で取得
クレア:以上~
アッシュ:ルカ君に○信頼/疑問、αに○期待/尽力辺りで取ろうかな
アッシュ:枠一個余らせた状態で以上!
ルカ:エリアスくんに 好意:〇/隔意 リシェさんに 誠意:〇/同情 で取得します
ルカ:以上~



【Climax/BATTLE OF ROMA】

GM:クライマックスシーンです。全員登場!
ルカ:ルカの侵蝕率を1D3+3(→ 4)増加 (107 → 111)
アッシュ:アッシュ・ノイ・ジラードの侵蝕率を1d3+3(→ 4)増加 (100 → 104)
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を1d3+3(→ 4)増加 (100 → 104)
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を1D3+3(→ 4)増加 (99 → 103)
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を0増加 (111 → 111)
ルカ:わー侵蝕率高い方になってしまった 低かったのに
ギル:あれ
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を1D3+3(→ 6)増加 (111 → 117)
ギル:私のほうが高いから兵器
アッシュ:誤字に見えない誤字
ルカ:ブンドドド



GM:ではまずエンゲージから
エンゲージ



頭部 ジャーム:地上*5
(500m)
胴体 大型ジャーム*2
(500m)
尻尾 ジャーム:空中*5



ギル:多いな~
アッシュ:多くない!?
ギル:500m、白兵型が大変そう
GM:エンゲージは離れていますが、αは自分の身体なのでカバーリング等自由に行うことができます。
クレア:ズルいぜ
ギル:Eロイスの効果かな
GM:またαに対しては特殊ルールが適応されます。

・通常、同エフェクトによる効果は最もLVが高いもののみが適当されるが、αに対しては全てを累積の形で適応する。同PCの同エフェクトによる効果であっても同様であり、また邪毒のランク等も累積する。


アッシュ:なるほど
ギル:毒殺が有効!
デュバリー:フゥン?
GM:デバフで2回殴ったらそのまま2倍になる感じです ただ今回はみんな狂気火力人間しかいないのでそんなに恩恵ないかも
ギル:紫電使いがいれば……
アッシュ:罪人の枷持ちのデュバリーをお忘れか
ギル:R持続じゃなかったっけ
アッシュ:あ、そうだっけ
ギル:頼もしいことに変わりはない!
デュバリー:覚えるか 《加速する刻》
ルカ:敵の全滅が勝利条件ですか?
ルカ:ジャームも倒さなきゃだめなのかな
GM:そうですね αの討伐で勝利としましょう
ルカ:雑魚を無視する手もある!
アッシュ:でも雑魚が庇う可能性もあるしな……
ギル:ありそう
GM:また、αが攻撃を行う度にハプニングが発生します。
GM:NPCカードが使用可能です。

舞・R・アーデルハイト
(常時)
PC全員は戦闘移動、全力移動を行う際、シーン内の任意の位置に移動してよい。
(ラウンド1回)
ダメージ判定の直前に使用可能。ダメージ+(主砲LV×20)+20


アッシュ:主砲!?
ギル:本当に舞なのかな
ギル:メラニーだったりしない?
ルカ:しつもんです~
ルカ:えーと 何て言ったらいいかな 戦闘移動の際なんですけど
ルカ:通常のルール通り移動エフェクトとかは使用する必要ありますよね
GM:あっそうですね マイナーが埋まってる場合はそうです
ルカ:あっはあい 了解です

エミリア
(常時)
エネミーによる《苛烈なる熱気》の効果を無効化する。
(シナリオ1回)
このシーンの間、PC1人の任意のエフェクトレベルを、本来の最大レベルに関わらず+10してもよい。


GM:PCはルカくんを選択します。
ルカ:い いいのかな
ルカ:ありがとうございます!
ギル:すげえ素手だ!
ルカ:どのエフェクトにするかはここで宣言した方がいいでしょうか
GM:ここでも大丈夫だし後でも大丈夫です~
ルカ:じゃあ一旦保留にして 決まり次第宣言します~
GM:了解です~
GM:戦闘開始時のエンゲージはPCが自由に選択して構いません。ここで宣言お願いします
デュバリー:さすがに情報が少ないw 移動は自在だからどうとでもなる気はするけど
デュバリー:固まった方が良いかな 特に希望なければ全員尻尾辺りにしておきますか
ルカ:カバーリングできるから一緒に居た方が良いのかな
アッシュ:アッシュが加速したらジャーム空中の行動値越せるし尻尾が良いかも
ルカ:じゃあ尻尾にしましょか~
クレア:私はそれでOKよ~
ギル:俺は馬鹿だからよくわかんねえけど、大量にいる敵にエンゲージバラされてもそれはそれで面倒なんじゃねえか?
ギル:なんかNPCの効果でなんとかなるらしいのでなんとかなりました。尻尾で大丈夫です
GM:OK~
エンゲージ



頭部 ジャーム:地上*5
(500m)
胴体 大型ジャーム*2
(500m)
尻尾 ジャーム:空中*5 アッシュ、ルカ、クレア、ギル、デュバリー




α:巨竜の七つの頭、十四の瞳が君達を見据える。
α:燃え盛る炎は意思を以て苛むかの如く、更に火勢を増していく。
α:これまで羽虫を払うが如く無関心だった竜の、本物の敵意。それが初めて君達に向けられる。
α:これまでに対峙したどんなオーヴァードよりも圧倒的な、津波のようなレネゲイドの圧力が君達を襲う。
GM:衝動判定、難易度9です。
ルカ:4dx+3>=9
DoubleCross : (4DX10+3>=9) → 7[3,4,7,7]+3 → 10 → 成功

ルカ:ルカの侵蝕率を2d10(→ 6)増加 (111 → 117)
ギル:11DX+1>=9
DoubleCross : (11DX10+1>=9) → 10[2,2,2,3,7,7,7,9,9,9,10]+9[9]+1 → 20 → 成功

ギル:強い意志
クレア:4dx+2>=9
DoubleCross : (4DX10+2>=9) → 10[2,2,9,10]+10[10]+4[4]+2 → 26 → 成功

ルカ:みんなヤバい
クレア:意志力の化身
アッシュ:6dx+1>=9
DoubleCross : (6DX10+1>=9) → 9[2,5,5,5,8,9]+1 → 10 → 成功

デュバリー:7dx+3=>9
DoubleCross : (7DX10+3>=9) → 9[3,4,4,4,5,8,9]+3 → 12 → 成功

アッシュ:アッシュ・ノイ・ジラードの侵蝕率を2d10(→ 12)増加 (104 → 116)
クレア:2d10
DoubleCross : (2D10) → 18[10,8] → 18

クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を18増加 (103 → 121)
ルカ:クックレア
クレア:むしろアージに届いたからラッキーだぜ
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を2d10(→ 10)増加 (117 → 127)
ギル:ふつう
デュバリー:2d10
DoubleCross : (2D10) → 13[4,9] → 13

デュバリー:デュバリーの侵蝕率を13増加 (104 → 117)

ギル:「ここで負ければ結局は元の木阿弥だ。やるしかないね」
ギル:妹の写真が入ったロケットを握りしめる。それだけで魂の奥底から勇気が湧いてくる。
ギル:思いの力がαから放たれるレネゲイドを打ち消すぜ

GM:クライマックス戦闘を開始します。

GM:ラウンド1
GM:セットアップから!
アッシュ:Lever l'ancre:加速装置Lv4+ヴァジュラLv4&背徳の理Lv4+喰らわれし贄Lv4+巨人の影Lv1
アッシュ:→行動値+12、攻撃力+24、暴走、判定D+8、ライトニングリンクのLv+2、侵蝕値+12
アッシュ:アッシュ・ノイ・ジラードの侵蝕率を12増加 (116 → 128)
ルカ:ブルーゲイルあるけどどうしよう 使った方がいいかな
デュバリー:先手は取っておこう。《加速装置》
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を2増加 (117 → 119)
クレア:オートで《闘争の渦》LV2 《剣の王城》の使用回数を一回回復し、即座に闘争の変異暴走を受けます。
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を5増加 (121 → 126)
クレア:そして《剣の王城》LV6 シーン中、日本刀を6本入手。モルフェウスのエフェクトを組み合わせた攻撃の攻撃力+12
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を4増加 (126 → 130)
ギル:う~む……尻尾に先に動かれてしまうが
デュバリー:行動値は17になる
ギル:あ、これ前のシーン戦車乗ってたけど
ギル:このシーンでは乗った状態からスタートするのが良いのか乗って無くて良いのかどっちだろう
GM:どっちでもOK!
ギル:じゃあ乗ってない状態で始めるてセットアップで調整する形にしよう
アッシュ:サブGMから行動値順にセットアップした方が良いかもとのお触れです
α:尻尾 《王者の威声》LV10+《支配者の瞳》LV10
α:ラウンド間トループの攻撃力+20、達成値+20 対象はジャーム:空中
GM:他はありません
ルカ:こちらなしです
ギル:頭に先んじれるし乗らずに始めようかな。
ギル:無しで
GM:ではイニシアチブ
GM:行動値19 アッシュくんの手番です
クラウディア:イニシアチブでNPCカード使用します。
クラウディア:効果:イニシアチブプロセスに使用可能。エンゲージ表に存在している任意数のキャラクターを選択し、それらを指定した一地点に移動・エンゲージさせる。
クラウディア:αには流石に効かないらしいので、他のやつをPC達のエンゲージにまとめます。
ギル:これって尻尾と胴体も同じところに持ってこれるのかな
ギル:無理だった
アッシュ:めちゃ強いなコレ……
ギル:丸まるαくんは居なかったか……
デュバリー:とぐろを巻くドラゴン
エンゲージ



頭部*7[10] ジャーム:地上[3]*5
アッシュ[19]ルカ[6]ギル[0]クレア[10]デュバリー[17]
大型ジャーム[4]*2 ジャーム:空中[9]*5

(500m)

胴体[0]

(500m)

尻尾[14]




GM:最悪の女じゃよ
アッシュ:ぎゅうぎゅうだよエンゲージ
ルカ:満員電車
“バーバヤガー”:こちらもNPCカードを使用します。
GM:やめろ~~~~~~~
“バーバヤガー”:“バーバヤガー” 効果:イニシアチブに使用、シーン(選択)対象のラウンド間の攻撃力を+20する。
“バーバヤガー”:対象はPC5人。
ルカ:ババア!
クレア:ありがとうババア!
アッシュ:最高~~!
ギル:もぐもぐ
GM:ババア~~~~~ッ
GM:改めてアッシュくん行動どうぞ
イレナ:じゃあここでNPCカードかな。
イレナ:効果:メジャー判定の直前に使用可能。その攻撃の射程を至近、対象を範囲(選択)に変更する。攻撃行動のみ使用可。
イレナ:アッシュさんに使用します。
アッシュ:めちゃ助かる!!
アッシュ:ではマイナー無し、メジャーでコンボ
アッシュ:Allumez le moteur:コンセントレイト:ウロボロスLv4+シャドーテンタクルスLv1+アームズリンクLv4+ライトニングリンクLv6+ミカヅチLv2+バリアクラッカーLv2
アッシュ:C値-3、射程10m、判定D+4、攻撃力+24、ダメージ+3D、装甲無視、ガード不可、侵蝕値+19
アッシュ:対象は今エンゲージに居るジャーム全部と頭部7つ!
GM:判定どうぞ!
アッシュ:21dx7
DoubleCross : (21DX7) → 10[1,1,1,1,1,2,3,4,4,4,5,5,6,6,6,7,8,9,10,10,10]+10[2,4,6,8,10,10]+5[1,2,5] → 25

アッシュ:出目がさぁ
アッシュ:ハミースお願いできる?
ハミース:りょーかい
ハミース:達成値を+5します。
GM:ジャーム:空中《イベイジョン》17 大型ジャーム《イベイジョン》12 ジャーム:地上《イージスの盾》LV2
GM:頭部はガード、それと
GM:《炎陣》LV1
GM:1<5
2<6
3<7
4<胴体

GM:このようにカバーリングします
クレア:バリクラだからガードは無効じゃないのかい
GM:そうか……
デュバリー:胴体が4を?
サブGM:地上くんが……
デュバリー:ってそりゃそうか すみません
GM:じゃあドッジしちゃお~~
GM:7 200DX
アッシュ:達成値は上がって30です
GM:なんだっけ いっぱい振るやつ……
サブGM:逆かな
ギル:どどんとふにはあったけど
ギル:ここには存在しない可能性がある
サブGM:tekeyにはなくなったんだっけ そうかも
GM:200DX
DoubleCross : (200DX10) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,2,2,3,3,3,4,4,5,5,5,6,6,7,8,8,9,10,10,10]+8[2,3,8] → 28

GM:200DX
DoubleCross : (200DX10) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+8[2,2,5,5,5,6,6,6,8,8,8] → 18

GM:200DX
DoubleCross : (200DX10) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,3,3,4,4,5,6,7,7,8,8,8,9,9,9,9,10]+6[6] → 26

GM:200DX
DoubleCross : (200DX10) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+9[1,1,3,4,4,4,5,6,6,7,7,8,9,9,9] → 19

GM:200DX
DoubleCross : (200DX10) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,1,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,5,6,6,7,7,8,9,10,10,10,10]+9[1,4,7,9] → 29

GM:200DX
DoubleCross : (200DX10) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,2,3,3,5,5,5,6,6,6,6,6,8,8,9,10,10,10]+10[5,9,10]+3[3] → 33

GM:200DX
DoubleCross : (200DX10) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,2,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,5,6,6,6,7,7,7,7,10,10]+9[4,9] → 29

GM:惜しいな……
GM:首6くんはドッジしました
アッシュ:上げておいてよかった……
デュバリー:ハミーズさんに救われすぎている
GM:じゃあカバーの形が~
GM:えっと……
GM:1<5
2<7
3<胴体

GM:こうか……?
サブGM:4が素で受けるというわけね
ギル:4がジャームをかばうのはどうですか?
ギル:ダメージが2倍になっておすすめですよ
GM:やだ……
GM:ではダメージどうぞ! 地上くんはリアクション放棄
デュバリー:ドラゴンの ちょっといいとこ 見てみたい
アッシュ:12+24+24+20+4d10+3d10
DoubleCross : (12+24+24+20+4D10+3D10) → 12+24+24+20+23[7,3,3,10]+13[8,4,1] → 116

アッシュ:装甲・ガード無視!
GM:痛すぎ晋作
ルカ:すごい~
ギル:範囲でこれは流石に痛いやろ~
GM:かわいいジャームくん達が全滅します
アッシュ:よっし!
デュバリー:残念でもないし当然
クレア:ジャームくん~
ギル:きゃ~♡死ぬ所も可愛い~♡
ルカ:カワイイ~
GM:首は1・2・3・6が残存 4・5・7が切断されます
GM:胴体にもダメージが入ります
GM:侵蝕上げて演出どうぞ!
アッシュ:アッシュ・ノイ・ジラードの侵蝕率を19増加 (128 → 147)
エンゲージ



頭部1[10]頭部2[10]頭部3[10]頭部6[10]
アッシュ[19]ルカ[6]ギル[0]クレア[10]デュバリー[17]

(500m)

胴体[0]

(500m)

尻尾[14]




クラウディア:「……ほら」未だ、威容を誇る竜を見上げる。
クラウディア:「貴方は死んだのに、あいつはまだピンピンしてるじゃん」
クラウディア:「やっぱり、犬死にだよ。こんなの……」
クラウディア:「……だから」
クラウディア:「私が……私達が、貴方を勝たせてあげる」
クラウディア:「そうすれば、貴方の戦いにも、少しは意味があったって言えるでしょ……!」
クラウディア:掌から展開された金属線が、再三の地上破壊によって脆くなった大地へと潜り込む。
クラウディア:ここまで移動しながらの戦闘と、先程のジャーム掃討の間に市街中に散布した砂鉄群。
クラウディア:鋼線の形から解体してなお、今もそれらはクラウディアの能力影響下にある。
クラウディア:本命の仕掛けの時に備えて、制御集中を途切れさせる事なくそうしていた。……今がそれだ。
クラウディア:先んじて展開していた「部品」を吸収しながらその距離を伸ばしていき、地平遠くのジャームの群れを通り抜けて裏手へ。
クラウディア:この距離で動き回る多数の敵を正確に掴み捕らえるまでの絶技は、クラウディアには叶わない。……故に、それらは互いに絡み合って網の形を取る。
クラウディア:ギ ィィィィン!
クラウディア:鋼の触肢を媒介して伝達した破壊振動が、けたたましい音色と共に空気を裂いて
クラウディア:触れれば弾け飛ぶ可視化された死線が、彼らを一つ所へ追い立てる。
ジャーム:オーガ:「グォァッ……!」
ジャーム:ワイバーン:「ギャアッ!?」
GM:悍ましい異形の群れが、まるで牧羊犬に追い立てられる家畜の如く。
GM:犇めきあって、互いに押し合い、踏みつけ合うまでに圧迫され、追い詰められる。
アッシュ:「gentil.良い仕事だな、ドイツの十番」
アッシュ:自身の胸の前、真っ直ぐ天を指すように剣を構える。城に飾られた鎧や王に侍る騎士のように。
クラウディア:「ありがと。でも、広げすぎた。そろそろ続かないかも」手元で解けかかっている鋼線を引き締め直しながら
クラウディア:「吹き飛ばすの、任せていいんだよね?」
アッシュ:「勿論。後10秒だけ堪えてくれ。それと」
アッシュ:「全員伏せろ!手荒く行くぜ!」
アッシュ:大きく吠えると同時、構えた剣から黒と蒼とが吹き上がるように溢れた。
アッシュ:今までと同じなのは、雷を纏った影であること。今までと違うのは、剣と呼べるだけの形を保っていないこと。
トミー・ウェイクマン:「うおっ……マジかよ!?」
“バーバヤガー”:「離れな。あっちに殺られたかあないだろう」
クレア:「言われた通りにしたほうが良い。竜が火を吐く前から消し炭になりたくないならな」通信機越しに告げる。
アッシュ:例えるなら荒れ狂う嵐。あるいは全てを押し流す濁流。もしくは――それらを引き連れ巻き起こす暴龍。
アッシュ:規模こそ桁違いながら、焼き焦がす出力にも断ち切る切れ味にも変わりはなく。それが通る度にジャーム達の肉体が細切れになっていく。
アッシュ:支流のように別れのたうつそれがようよう収まる頃には、周囲の異形たちは皆息絶え、計三本の竜の首が落ちていた。
アッシュ:「――はは。半分は落とせなかったか」
GM:焼け焦げた地面に夥しいジャームの残骸が転がり、地響きと共に巨大な首が立て続けに落下する。
GM:首の断面から噴水のように血飛沫が噴き出し、周囲を赤黒い血液で染めていく。
ギル:「アッシュといい、“ゲシュテンペスト”といい……全く。この光景を見ると、彼らが戦わなくて済むように……なんて考えるのが馬鹿らしくなってくるね」
ギル:「こういうのが、慣れていくってことなんだろうな」
クラウディア:「っ、すご……」崩した地面の穴から顔を出しながら、その閃光が齎した結果を見渡し呟く。
ルカ:「……」眉間に皺を寄せる。「どうせ余計なお世話だよ…」
ミルシュカ:『頭部三箇所の切断確認!このまま続けてください!』
ハミース:「ひゅう」口笛を吹いて。「竜殺しの気分はどうだ?三匹もよ」
アッシュ:「三匹って気はしないな。だって3/7だろ?」
アッシュ:「だからか、まだまだ全然足りない」
ミルシュカ:『……いや、待って、あれは……!』
ギル:「アッシュの言う通り。喜ぶにはまだ早いぞ、ハミース。奴には再生能力が有る」
ギル:「七つ同時に切り落とすまではとても殺したとは……」

GM:イニシアチブ
α:胴体 Eロイス【さらなる絶望】2回使用
α:頭部2本を再生(再配置)します 残り1・2・3・4・5・6に

GM:巨木の切り株の如き断面から、白骨が伸び、肉が盛り上がる。
ミラン・サイフェルト:「……いくらなんでも、早すぎる……!」
GM:血と体液に塗れながら、落とされたはずの首が見る間に再生していく。
ミルシュカ:『……頭部、再生していきます……!そんな、もう……!?』
エンゲージ



頭部1[10]頭部2[10]頭部3[10]頭部4[10]頭部5[10]頭部6[10]
アッシュ[19]ルカ[6]ギル[0]クレア[10]デュバリー[17]

(500m)

胴体[0]

(500m)

尻尾[14]



ギル:「これがあの竜と戦うということか……」
アッシュ:「ま、その割に1個直し損ねてるけどな」
アッシュ:「結構限界近いんじゃないか?向こうも」
ミルシュカ:『はい。どんなオーヴァードでも、再生能力には限界があるはずです』
ミルシュカ:『攻撃を続けてください。勝機は必ずあります』
リシェ:(……馬鹿馬鹿しい……)
リシェ:(全部落としたところで、また生えてこない保証なんて無いのに)

GM:イニシアチブ 行動値14 デュバリーさんの手番です
デュバリー:ウーン どうしようかなこういう状態だと
アッシュ:範囲攻撃しそうなとこに罪人の枷入れに行くとか?
デュバリー:エンゲージ距離に泣きをみたぜ。ということで行動します
デュバリー:マイナーで《オリジン:ヒューマン》+《オリジン:プラント》 シーン間【感覚】判定達成値を+10、エフェクト使用時の達成値を+5
デュバリー:メジャーで《零距離射撃》+《罪人の枷》 対象は頭部1
GM:来やがれ~~
デュバリー:使用武器はライトマシンガン  行くぞ!
デュバリー:6dx+25+15-2
DoubleCross : (6DX10+38) → 8[1,2,3,6,7,8]+38 → 46

デュバリー:いかようにもしな!
α:頭部はガード、胴体が《炎陣》でカバーリング、《灼熱の結界》LV10でガード
デュバリー:ア~ン?
GM:ダメージどうぞ
デュバリー:頭部は意味ないの分かってるから武器効果使っておくか ライトマシンガンの特殊効果で放心しておきな!
デュバリー:5d10+10
DoubleCross : (5D10+10) → 30[2,9,8,2,9]+10 → 40

GM:何だとぉ……
デュバリー:諸々有効
GM:ダメージは全然入りませんが《罪人の枷》は入って放心もします
GM:ハッ……
デュバリー:すみません、ババアの力で+20します
GM:何だとぉ……………………
デュバリー:なので60! あと命中さえすればラウンド中達成値-14!
GM:ではダメージも入る!
デュバリー:やったぜババア
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を13増加 (119 → 132)

デュバリー:先に受けた炎の灰から、膝をついてどうにか身を起こす。焦げきった木槍、らしきものを固く握ったまま、壁に背を預けて。
デュバリー:(……落ちたってことは、木は全部焼き砕いたということね)
デュバリー:(だったらさぞ……"舞ってる"でしょう……!)
デュバリー:霧の中、無数の樹の破片に意識を集中させ、交感する。目を開かずとも状況は把握できる。アッシュが切り落とした首が、再生しようとしている。
デュバリー:再生しようとしているということは…… (……付け入る隙ってこと!)
デュバリー:手にした棒きれを再生する竜の首の一つに向けると、焦げた樹の残骸、もはや灰と言って良いものが、刹理に反してそこに殺到する。突き刺さる。侵食する。
デュバリー:溢れかえらんばかりの炎のレネゲイドの力を逆用し、その巨大な傷口へ休息に根付き、芽生えることで、動作を阻害せんとするのだ。
α:鮮血滴る傷口から、樹根や芽が芽吹き、正常な再生を妨げる。
α:ねじ曲がる骨格、木々を巻き込んでいく肉。歪な形に形成されて、未だ竜の頭としての用を成さない。
ミルシュカ:『頭部の再生、阻害されています!今なら……』
ミルシュカ:『ッ……後方!攻撃来ます!』

GM:イニシアチブ 行動値14 尻尾の手番です
α:メジャー 《コンセントレイト:サラマンダー》LV3+《氷の戒め》LV4+《憎悪の炎》LV1+《ブリザードブレス》LV20
α:命中でラウンド間全判定ダイス-5、ダメージで憎悪付与
ギル:ブリザードブレスかっこいいな~
デュバリー:ヤンチャねえ
α:対象はアッシュ・ルカ・クレア・ギル
ギル:範囲攻撃なのかな
ルカ:女装すればデュバリーだと思われて避けられないかな
α:197DX7
DoubleCross : (197DX7) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,2,2,2,2,2,3,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,6,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,10,10,10]+10[1,1,1,2,3,5,5,7,7,7,8,8,8,9,10,10]+10[1,2,2,3,3,5,6,6,9]+10[7]+10[7]+3[3] → 73

アッシュ:暴れてんねえ!
イリーナ:待ちな
GM:何ぃ……
クレア:イリーナ!
アッシュ:まさか……
イリーナ:必要なら止めますが どうしますか
アッシュ:止めてほしい!
クレア:めっちゃ止めてほしいです
ルカ:止めて!
ギル:死なないうちにやるのだ
デュバリー:憎悪とペナルティは嫌
イリーナ:じゃあ止める!NPCカードを使用します。

NPCカード:イリーナ
効果:いずれかのキャラクターが攻撃の判定を行う直前に使用可能。その攻撃の射程を至近に変更する。この効果によって適切な対象が存在しなくなった場合、その判定は失敗となる。


アッシュ:最高~~~!
GM:何だとぉ………………
クレア:天使
GM:許せね~~~~~~~~
ギル:許せ……
GM:では判定は失敗となります
GM:しかし攻撃は発生したので ハプニングは発生します
ルカ:やった~
ルカ:やったじゃなかった
アッシュ:低い出目出ろ!
クレア:死ぬな!
GM:1D100
DoubleCross : (1D100) → 90

クレア:デッカ
GM:あっ……
ギル:しんでる
ルカ:なに~~!?
GM:90〜99:致命的なダメージ。NPC1人の耐久力を3減少させる。
ギル:しんでる……
デュバリー:あーあ
ルカ:あっあっ
アッシュ:ヤバい
クレア:あばばばば
アッシュ:だ、誰に……?
GM:対象は……
GM:choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,トミー,リシェ]
DoubleCross : (choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,トミー,リシェ]) → トミー

アッシュ:トミー!?
GM:トミーです。
ルカ:あっ
クレア:と、トミー!
デュバリー:ワッ……
ギル:うわ~っ
アッシュ:いや、4だからギリ生存!
GM:耐久力4>1
ルカ:ハイ………………

α:αが燃え盛る尾を振り回し、業火を撒き散らす。
α:余りのスケール感に遠目からは緩慢に見える動作だが、その巨大さゆえに、先端の速度は音速をゆうに超える。
α:その尾は避けようがない脅威となって、空中でジャームと対峙するトミーの身体を打ち据えた。
トミー・ウェイクマン:「が……ッ……!?」
ルカ:「……ッ」顔を上げる。「トミーッ」
トミー・ウェイクマン:瞬く間に地面へと叩きつけられる。鳥へと獣化した全身は炎に包まれ、翼は妙な方向にひしゃげている。
α:尾の攻撃は尚も止まることなく、鞭のようにしなって君達へと迫る。
ルカ:「クソッ」そちらに駆け寄ろうとするが、尾の攻撃に阻まれる。
ギル:「気をそらすなルカ、来るぞ!」
イリーナ:振りかざされる尻尾の彼方より、一筋の光芒が空へ舞い上がる。
イリーナ:天を覆う黒煙を切り裂いて、流星の如く飛ぶその軌道から。
イリーナ:遠く鋭い音と共に、いくつかの煌きを地に投げ放つ。
クレア:「この、光は……」目を細めながら空を見上げる。
イリーナ:────ィ ン
イリーナ:飛行の速度と落下の加速を掛け合わせた投槍の投下武装。
イリーナ:それらは尾を円形に抉り取り、貫通。勢いのままに地に突き刺さり、大量の粉塵を巻き上げてクレーターを作る。
イリーナ:『……二度は期待してくれるな』
イリーナ:『好きにしろ。私もそうしているだけだ』
α:甲殻が弾け飛び、振るわれた尾の軌道が逸れる。君達の上空を巨大な尾が通過して、暴風と火の粉と共に影が差した。
クレア:「……返す前に借りが増えてしまったな」
クレア:「だが問題ない。一つは返せる」
クレア:「今すぐにな」

GM:イニシアチブ 行動値10 クレアくんの手番です
クレア:はい!マイナーはなし。
クレア:メジャーで『Flower of Kent』《カスタマイズ》LV4《コンセントレイト:モルフェウス》LV4《ギガンティックモード》LV2《魔弾の射手》LV4更にオートで《オーバーロード》LV2
クレア:作成した日本刀を2本使用して首のエンゲージを攻撃。そのうち一本を《オーバーロード》対象に指定。メインプロセス終了後に二つとも破壊。
GM:来やがれ~~
クレア:15dx7+4
DoubleCross : (15DX7+4) → 10[1,1,2,3,4,4,4,5,6,6,6,8,9,10,10]+10[1,2,4,10]+4[4]+4 → 28

クレア:《剣精の手》
クレア:ダイスを一個10にして追加振り
クレア:1dx7+34
DoubleCross : (1DX7+34) → 1[1]+34 → 0 (ファンブル)

ルカ:切ない
クレア:クソが世
ギル:そういう事もある
GM:避けたるわい
GM:かわせピカチュウ×6!
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を2増加 (130 → 132)
GM:200DX>=34
DoubleCross : (200DX10>=34) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+9[1,1,1,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,4,5,5,5,6,7,7,8,9,9,9] → 19 → 失敗

GM:200DX>=34
DoubleCross : (200DX10>=34) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,1,2,2,2,3,3,4,4,4,5,6,6,6,7,8,9,9,9,9,9,10,10,10]+4[1,2,4] → 24 → 失敗

GM:200DX>=34
DoubleCross : (200DX10>=34) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,3,3,3,5,6,6,6,6,7,7,7,8,8,9,9,9,10,10]+4[3,4] → 24 → 失敗

GM:200DX>=34
DoubleCross : (200DX10>=34) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,2,2,2,2,4,5,5,5,7,8,8,8,8,9,9,9,10,10]+9[7,9] → 29 → 失敗

GM:200DX>=34
DoubleCross : (200DX10>=34) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[2,3,4,4,5,5,6,8,8,8,8,9,9,10,10,10]+8[1,2,8] → 28 → 失敗

GM:200DX>=34
DoubleCross : (200DX10>=34) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,2,2,2,3,4,5,5,5,5,5,6,6,7,7,8,9,10,10]+2[1,2] → 22 → 失敗

GM:ファック
クレア:ギャハハハッ
アッシュ:良かった良かった
クレア:ダメージ出すね
GM
1<5
2<6
3<胴体 が《炎陣》でカバー

α:胴体は《灼熱の結界》LV10
GM:ダメージどうぞ!
クレア:4d10+51+20 装甲有効
DoubleCross : (4D10+51+20) → 18[2,4,3,9]+51+20 → 89

GM:ホァァァ
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を16増加 (132 → 148)
α:胴体 《閃熱の防壁》LV8 対象ダメージ10D軽減
α:これを頭4に使用
α:89-10D10
DoubleCross : (89-10D10) → 89-49[4,5,5,9,4,2,3,3,4,10] → 40

GM:頭部1・2・3・4が残存 4は減ってます
GM:胴体もまだ元気
クレア:しぶといぜ

クレア:「約束がある」胸ポケットに手を当てる。
クレア:「ここで終わるわけには行かない。そうだろ」中に納められた金属の筒を握りしめる。
クレア:《ワーディング》。巨竜が放つものに比べればごく小さな範囲だが
クレア:半径数kmの真球を描くその空間が、クレアの領域の最大有効範囲
クレア:枯渇しかけていたレネゲイドが、再び湧き上がる。
クレア:上空数千m、ワーディングの最端に6つの星が輝く。
クレア:天上に錬成された重金属弾頭。先程の戦闘で撃ち尽くしたそれが、再び装填される。
クレア:「墜ちろ」手を振り下ろすと同時に、その中の2つが落下する。
クレア:大気との摩擦で赤熱したそれは、まっすぐに巨竜の首へ目掛けて飛来し
クレア:激突の寸前、一瞬でその形状を薄く引き伸ばし、巨大な刃へと姿を変える。
クレア:成層圏近くから振り下ろされたギロチンが、巨竜の首を断つ。
α:巨大な首が断ち切られ、竜の咆哮が響き渡る。
α:鏡のような断面から、一瞬遅れて鮮血が迸った。
クレア:「すべての首をカバーしたつもりだったが……一度に2つが限界か」
クレア:「だが今度は再生が遅い。今のうちに───」

GM:イニシアチブ
α:胴体 【さらなる絶望】×2
α:頭部2本を再生
α:残存は1・2・3・4・5・6に
エンゲージ



頭部1[10]頭部2[10]頭部3[10]頭部4[10]頭部5[10]頭部6[10]
アッシュ[19]ルカ[6]ギル[10]クレア[10]デュバリー[17]

(500m)

胴体[0]

(500m)

尻尾[14]



α:落とされた首の断面から炎が噴き出し、デュバリーの植物による拘束を焼き払う。
α:そして今までが嘘のように、更に高速で頭部が再生していく。
α:「 グ ググ グ────」
α:まるで意思と知性を持ち、クレアの言葉を嘲笑うかのように。竜の首から不気味な低い唸りが漏れる。
クレア:「……先は長そうだ」変わらない表情の端に、暑さのせいではない汗を浮かべる。

GM:行動値10 ギルくんの手番です
ギル:は~い
ギル:マイナーで戦車に搭乗して、メジャーで《マルチウェポン》《ヴァリアブルウェポン》《無形の影》《コンセントレイト:ウロボロス》《零距離射撃》
ギル:大口径機関砲*4と戦車砲で攻撃します。対象は首1
ギル:15DX7+4 うおー
DoubleCross : (15DX7+4) → 10[3,3,3,3,4,4,5,6,7,7,8,8,8,9,9]+10[2,3,4,6,6,8,10]+10[1,10]+4[4]+4 → 38

ルカ:オオッいい感じ
ギル:大丈夫かな~
GM:為替ピカチュウ!
GM:200DX>=38
DoubleCross : (200DX10>=38) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,2,2,2,3,3,3,4,6,6,7,7,8,8,9,10,10]+4[2,4] → 24 → 失敗

ギル:中国語……?
GM:くっ……
ギル:ではダメージ
GM:胴体がカバーします
GM:で、
ギル:なんだとぉ……
GM:いや……どうするかな……
GM:やっぱり素通しします ダメージどうぞ!
ギル:4d10+1d10+99+20 ガード不能装甲無視
DoubleCross : (4D10+1D10+99+20) → 14[2,4,6,2]+7[7]+99+20 → 140

GM:ひえ~~~
GM:頭部1は吹き飛びます
ギル:胴体に見捨てたれた男……
ルカ:やったー
アッシュ:よしよし
クレア:憐れな頭部よ
GM:残存は2・3・4・5・6。
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を16増加 (127 → 143)

ギル:「戦場に長く居すぎたか……僕らも年貢の納め時かもね」笑う竜を前に苦笑する。
ギル:「いや……だとしても弱音を吐くには速いか。僕らの後ろにはまだ、守るべきものがいる……」
ギル:崩れた瓦礫と、戦場に残された無数の銃弾、銃身、装甲をかき集め、再び鉄の巨人を作り上げる。
ギル:散っていったオーヴァード達の物、叶わぬとわかりながら応戦を続けた兵士たちのもの
ギル:あるいは愛する家族を守るため武器をとった市民達の物。
ギル:死んでいった者達が残した絶望的な戦いの跡を寄り集めた漆黒の巨兵が立ち上がり、雄叫びとともに龍の首へと襲いかかる。
ギル:「蹴散らせ、鉄王!この怪物に僕らの見てきた戦場を教えてやれ!」
ギル:放たれること無く終わった無数の戦禍が、巨人を介して龍の竜へと打ち込まれた。
α:巨体が激しく抵抗して暴れ回り、膨大な粉塵と共に地響きが轟く。
α:苦しむような声と共に、強靭な筋繊維の裂ける異様な音が響き渡り、血飛沫を撒き散らして竜の首が引き千切られた。

GM:行動値10 頭部の手番です
アウグスト:NPCカードを使います
GM:何ぃ……
アウグスト:効果:イニシアチブプロセスに使用可能。対象はイニシアチブプロセスにメインプロセスを行える。ただし、対象とするキャラクターは未行動でなければならない。対象はこの効果を拒否可能。
アウグスト:ルカくんに!
GM:許せね~~~~~~
ルカ:わーい!動きます
ルカ:まずNPCカード:エミリアちゃんの効果で《死招きの爪》のレベルを+10します。
ルカ:レベル14になったドン
ルカ:マイナーアクション。《骨の剣》《死招きの爪》。武器を作成。
ルカ:メジャーアクション。《コンセントレイト:モルフェウス》《ペネトレイト》オートで《砂の加護》しダイス+4個。
ルカ:頭部6に白兵攻撃するわよ
ロクサーヌ:NPCカードを使います。
ロクサーヌ:効果:オートアクションで使用可能。装備一つを指定し、その攻撃力・ガード・装甲値のいずれかを、シーン中+15する。
ロクサーヌ:ルカ・素手の攻撃力を更に+15します
GM:ひえ~~~~
ルカ:最強の素手!
GM:来やがれ~~~
ルカ:(4+3+4)dx7+8-1
DoubleCross : (11DX7+7) → 10[1,1,2,2,4,5,5,6,6,7,9]+10[5,8]+2[2]+7 → 29

ルカ:ヒッ
GM:へへっ 避けちゃお
GM:200DX>=29
DoubleCross : (200DX10>=29) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+9[1,1,1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7,7,7,8,9,9,9] → 19 → 失敗

GM:くっ……
クレア:あらあら…
ギル:ルカに惚れちゃったかな
ルカ:あっぶな
GM:ダメージどうぞ!
ルカ:3d10+70+10+20+15 装甲値無視
DoubleCross : (3D10+70+10+20+15) → 14[5,3,6]+70+10+20+15 → 129

ルカ:129ダメージ!装甲無視です
GM:ギェ~~~ッ
GM:頭部6はしにます
ルカ:やったー
アッシュ:ナイス!
GM:残り2・3・4・5
ルカ:ルカの侵蝕率を15増加 (117 → 132)
エンゲージ



頭部2,3,4,5[10]
アッシュ[19]ルカ[6]ギル[0]クレア[10]デュバリー[17]

(500m)

胴体[0]

(500m)

尻尾[14]



アウグスト:混沌とした戦場の一角。有象無象のジャームを斬り捨てざま、ルカの傍らに人影が降り立つ。
アウグスト:「失礼する。アイギスの“Sol”か」
ルカ:「…そうだけど」怪訝な顔。
アウグスト:「ゲシュペンストのEinsだ。部下が世話になった」
ルカ:目線が彷徨う。遠方にいる倒れた友人、話しかけてきた軍人…ドイツの軍服。
ルカ:「…何もしてない」ムスッとした表情で言う。
アウグスト:「そうか」特に拘るでもなく頷いて。「攻勢を頼みたい。手は貸す」
ルカ:「……」トミーから視線を引き剥がす。アウグストさんを見ます。
アウグスト:「私のレネゲイドを注ぐことになる。容れてもらえるか」
ルカ:「お礼の品ってわけか、……」
ルカ:「体温奪われるよりは良いな。勝手にやって」
アウグスト:「かたじけない」左手でルカの背に触れる。
アウグスト:最初はじわりとした温度の広がり。それがすぐに野火の如き熱と速さを以て全身へ広がり、総身に力を満ちさせ、血液が沸騰するような賦活を齎す。
アウグスト:そこにはまた故も知れぬ全能感が伴う。勇気。使命心。囁きかけ、唆す。偉業を成せと。
ルカ:酩酊に似て非なる、得体の知れない高揚感。
ルカ:「…っ」眉間に皺を寄せる。それを歓迎できる性格なら良かった。
ルカ:「…あれと似てんな。どうも」
アウグスト:「うん?」
ルカ:「いや」目を逸らす。「なんでもない」
アウグスト:「ふむ。……ああ、それと」
アウグスト:「これは相互に益のある協力だ。礼は改めてさせてもらう」
アウグスト:「だから貴殿も、生き残りたまえ」
ルカ:「……は」微かに笑う。
ルカ:「務めるよ」
ルカ:巨竜を見上げる。
ロクサーヌ:「行くの?あれを斬りに」
ロクサーヌ:瓦礫の隙間を抜け出してきた女が、その横顔を見て訊ねる。
ロクサーヌ:青白い人魂めいて周囲を旋回する数本の短剣が、這い寄るジャームの群れを斬り裂いている。その剣速は徐々に弱まりつつある。
ルカ:「いもしない生存者を探すのも飽きたし」
ルカ:そっけなく返す。「やるだけやってみる」
ロクサーヌ:「……なら、預けてもいい? 私の力じゃ、届かないし、斬り裂けない」
ルカ:「いいけど」
ルカ:「他のやつらの方が良かったって言うなよ」
ロクサーヌ:冷え切った両の手に、気力を込める。……何度か燻るような熱が走ってから、もう一度青白い炎が灯る。
ロクサーヌ:「大丈夫よ」掌が罅割れるように痛むが、顔色には出さない。薄らと微笑む。
ロクサーヌ:「私は、私のやることで何かを変えられるなんて思ってない」
ロクサーヌ:「それでも、何かをせずにはいられないだけ。上手く行ったって、失敗したって」
ロクサーヌ:「その結果は、貴方のものよ」
ルカ:顔をしかめる。「……失敗ばっかだ」
ロクサーヌ:「私と同じね」
ロクサーヌ:指先から生み出された火炎の蛇が、ルカの腕についばむように触れる。
ロクサーヌ:次第に入り込んでいくその熱が、血中に熱を呼び起こすような感覚をもたらす。
ルカ:「そう」先ほど与えられた高揚感を柔らかくならすような心地。それが身体中を巡っていく。
ルカ:「…じゃあ、お互い様で」
ロクサーヌ:「……そうね、でも」
ロクサーヌ:「貴方はまだ、私とは違うと思う。だから……」
ロクサーヌ:「頑張って」
ルカ:「……」眉間に皺を寄せる。
ルカ:「あんたもね」
エミリア:「……ルカ~~」
ルカ:「……なんだよ」
ルカ:瓦礫から出て行こうとして遮られる。
エミリア:臨戦態勢のルカのもとに、背後から気が抜けるような声が聞こえてくる。
ルカ:しかめっ面で振り向く。
エミリア:振り返ると、瓦礫に広がる光の花畑の中心に、少女が倒れている。
ルカ:「………」
エミリア:「こちらに来てください、ルカ~~」
ルカ:大股で歩み寄る。片手で引っ張り上げるようにして起こします。
エミリア:その全身から咲き乱れる光の花は、止め処なく勢いを増している。
エミリア:「あっ……」
エミリア:引き上げられても、立つことが出来ない。
エミリア:見ると、片脚の半ばから先が無い。
エミリア:膝の辺りから先が、編まれた糸が解けるようにして花へと変わっている。
ルカ:「……」「……は?」
ルカ:それを認め、片手で引き上げた姿勢で動きが止まる。
エミリア:握ったその腕も、表面から徐々に花へと置換されているのが分かる。
ルカ:「おい……」
エミリア:「何だか脚がゆるいなあとは思っていたのですが……」
エミリア:「びっくりしました……」
ルカ:「なにを、能天気な…」
ルカ:何かを言おうとして言えなくなる。迷って黙り込む。
エミリア:「ちょっと、頑張りすぎたみたいです」笑って「でも、今止めるわけにはいきませんから……」
ルカ:「……無理しろとは言ってない」
エミリア:「そうですね」
ルカ:「コントロールできないの。完璧に抑え込まなくたって、こいつらならどうにかなるだろ」
エミリア:「なりますかね?」竜と業火を見遣る。エミリアの支援が無ければ、息を吸い込むだけで呼吸器から体内が焼けてしまうだろう。
エミリア:「でも……そうですね。これ以上、皆さん全員に力を届けるのは難しそうです」
エミリア:「だから、一人だけ……」
エミリア:「ルカ。あなたに持っていってほしいのです」
ルカ:眉間に皺を寄せる。
エミリア:「よいでしょうか?」
ルカ:「………」
エミリア:「言っておきますが、わたし、絶対にやめませんよ」
ルカ:「分かってる」
ルカ:状況と彼女の性質、そして自らの戦闘能力を考えれば、そうだ、その役目は自分が一番適任なんだろう。
ルカ:それ以上に。
エミリア:「ルカがしないというのなら、デュバリーさんにお願いします。それがだめでも、別の人に」
ルカ:「…あっそ」
ルカ:「……」嫌そうな顔。「……断ろうと思ったけど」
ルカ:「理由が思いつかなかった」
エミリア:「では、お願いします」
ルカ:「…他のやつの方が良かったってあとで言うなよ」
エミリア:「ルカはいつもそれですね」
ルカ:「だってそうだろ」拗ねたような顔。
ルカ:「ルーキーなもんで」
エミリア:「……ルカ」
ルカ:「なに」エミリアの顔を見る。
エミリア:「目が覚めてから、わたし、色んなものを見ました。たくさんの人に会いました」
エミリア:「素敵なものをたくさん知りました。大勢の人たちに親切にしてもらいました」
エミリア:「けれどやっぱり、わたしは……」
エミリア:「あなたがいいのです、ルカ」
エミリア:そう言って、屈託の無い笑みを浮かべる。
エミリア:握った掌から、膨大なレネゲイドの奔流が注ぎ込まれる。
エミリア:コントロールすら困難な凄まじいエネルギーの塊が、ルカの全身に流れ込む。
ルカ:「…………」 対比的に、ますます眉間に皺を寄せ、仏頂面になる。
ルカ:せっかく落ち着かせていた全能感が、また呼び起こされて、入りまじってぐちゃぐちゃになる。
ルカ:この灼熱の地獄にあって、複数人を平然と過ごさせるようなエネルギーだ。それを一か所に集められて注がれる。
ルカ:喜ばしいのを通り越して、痛みなのだと思うなら、まだマシな気がする。自分の身体であることを忘れてしまいそうだ。
ルカ:それを感じ取らせるのは彼女に悪い気がした。少し黙り込んで、感覚を取り戻す。
ルカ:「……生意気」
ルカ:それだけ言う。
ルカ:右腕に視線を移す。火炎の蛇と光の花がくるりと舞うようにして消えるのを見た。
ルカ:「あんたは」
ルカ:エミリアに聞きます。
ルカ:「あれを倒せるって思う?」
エミリア:「はい」
エミリア:頷く。
エミリア:「皆さんが……」
エミリア:「ルカとわたしが。頑張るなら」
エミリア:「きっと倒せると思います」
ルカ:不機嫌そうにそれを一瞥する。「…あっそ」
ルカ:巨竜を見上げ、そこから駆け出す。
ルカ:…駆け出したつもりだった。踏みしめた地面が抉れて、身体が浮くように飛んだ。
ルカ:(………んな)膨れ上がりきった身体能力に狼狽しつつ、能力を使用。右上半身を変化させる。
ルカ:砂塵が舞い散る。戦場と化したこの街の残骸をかき集めて細工したような、武骨なデザインの、巨大で鮮烈な鉤爪が生まれてゆく。
ルカ:知れず、持て余したレネゲイドが肩口から溢れ、飾りを作る。カーテンのような。羽根と言うのが一番洒落ている。
ルカ:弾丸のように飛び、熱の迸る体表を蹴り飛ばして、巨竜の身体を一直線に登りあがる。
α:幾つもの首がルカに向け喰らい付くが、まるで捉えられず、牙が次々に空を切る。
ルカ:竜の瞳を見据えた。小さく見えた。
ルカ:「…………ォラァッ!」 振りかざした鉤爪でもって、竜の首に一撃を食らわせる。
α:衝撃波に大気が震え、爆発するように竜頭が吹き飛んだ。
α:咆哮が重なり、バランスを崩した巨体が揺れる。
トミー・ウェイクマン:「……マジか、あいつ……」
トミー・ウェイクマン:倒れ込んだまま目を丸くする。
ルカ:火炎の蛇と光の花が視界に揺れて、さらに偉業を成せと脳内で囁かれる。
ルカ:「うるせ」ぼやく。
ミルシュカ:『更に頭部の損傷を確認…… ……反撃来ます!』

GM:行動値10 頭部の手番です
GM:頭部は残存数に応じて行動します。
GM:2・3・4で1回分行動
α:《コンセントレイト:サラマンダー》LV3+《コキュートス》LV30
α:対象PC全員
α:198DX7
DoubleCross : (198DX7) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,8,9,9,9,9,10,10,10,10]+10[1,2,2,3,3,4,4,4,5,5,5,8,8,8]+10[5,7,9]+10[5,7]+10[10]+10[8]+5[5] → 85

クレア:ここに来て回し始めたな…
ギル:いや~ちょっと避けられないっす
デュバリー:それは受からないねえ
ギル:流石にこのレベルはわたすもどうしようもないべ
アッシュ:無理無理 リア不だし棒立ちで喰らう
クレア:暴走リア不でまんじりともせず受ける
ギル:1億分の1以下の確率にかけてドッジしてみよう
ルカ:奇跡は起こすものと信じ…
ルカ:8dx>=85 ドッジ
DoubleCross : (8DX10>=85) → 8[1,3,4,4,5,5,6,8] → 8 → 失敗

ギル:4DX+1
DoubleCross : (4DX10+1) → 10[1,3,3,10]+6[6]+1 → 17

ルカ:起こせませんでした
ギル:ルカちは
ギル:復讐の刃じゃないの!?
デュバリー:4dx+1=>85
DoubleCross : (4DX10+1>=85) → 7[2,5,6,7]+1 → 8 → 失敗

ルカ:あっ
クレア:そうじゃん復讐し放題よ
ルカ:まだ修正間に合います?
アッシュ:復讐した場合ってどこに当たるんだろ
GM:う~ん……もう振ってるけど……
GM:今回だけOK!
ルカ:ワッ…すみません!次回から気をつけます
アッシュ:ありがたや……
クレア:優しい
ルカ:《復讐の刃》します~
GM:攻撃してるのは4の扱いになります
ルカ:8dx8
DoubleCross : (8DX8) → 10[1,1,3,3,4,4,4,9]+10[10]+4[4] → 24

デュバリー:というわけでね 《マグネットフォース》でアッシュくんをカバーリングします
アッシュ:助かる!
ギル:誰か私も守ってくれ
クレア:ごめんよ~暴走しちゃっててカバーできひん
ルカ:あっ+8の固定値足すの忘れてた 24+8で32になります
ルカ:NPCカードないかな~?
エリアス:あるよ~

"ゲシュペンスト・ツヴェルフ"エリアス・シュナイダー
効果:オートアクションで使用可能。カバーリングを行う。


α:胴体が頭4をカバーします
ルカ:ルカの侵蝕率を6増加 (132 → 138)
ギル:それならクレアくんかばったほうがいいかもね
ギル:一応既に私より侵蝕高いし
クレア:今後も一発が重いのでね……お願いできるかい……?
エリアス:りょ!クレアさんをカバーしますね。
クレア:ありがと~!
ギル:今後はこんなとんでもない固定値じゃなければ私は竜鱗で受けきれるはず……
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を2増加 (132 → 134)
アッシュ:これでお互いダメージ?
GM:ではダメージ
ルカ:ダメージ出します!
α:9D10+90 装甲有効
DoubleCross : (9D10+90) → 50[9,8,5,6,5,3,4,7,3]+90 → 140

ルカ:4d10+70+10+20+15 装甲有効
DoubleCross : (4D10+70+10+20+15) → 27[8,8,3,8]+70+10+20+15 → 142

アッシュ:上回ってる!
ギル:ドラゴンと正面から殴り合っていやがる!
ルカ:ちょっと勝った!
クレア:ボスの出目より高いのヤバ
α:胴体《氷壁の守護》LV9でダメージ軽減
α:142-10D10
DoubleCross : (142-10D10) → 142-41[2,3,1,10,7,1,5,4,7,1] → 101

α:まだ生きてます
GM:オラッ死にな!
ルカ:140ダメージは普通に食らい、死にます
エドヴァルト:あっ待って!NPCカード使います
エドヴァルト:効果:オートアクションで使用可能。そのシーン中、対象一人の装甲値を-30(最低値0)する。
エドヴァルト:胴体の装甲を減らす!
GM:ヤロ~~
ルカ:ヤッタ~~
GM:でも生きてるもんね
アッシュ:しぶといな……
ルカ:なに~
GM:死になさい!
デュバリー:280点食らってもちろん死ぬぜ! αへのロイスをタイタスにして昇華、復活
デュバリー:デュバリーのHPを11に変更 (7 → 11)
ルカ:うーん 手番に登場するエリアスくんのロイスをタイタスにして昇華、復活します。
ルカ:HP8⇒15!
ギル:食らうのは140点だが死にます。同じくαのロイスをタイタスにして昇華、復活
クレア:エリアスくんに守ってもらって無傷!
アッシュ:こっちもデュバリーに守ってもらって無傷!
GM:一番侵蝕低いのは……
GM:デュバリーさんか
α:《クリメイト》LV20
α:蘇生エフェクト使用時に1D10+40ダメージ
デュバリー:ギャー!
デュバリー:蘇生エフェクトではないけど……
GM:そういえばそうだな……
デュバリー:?
GM:命拾いしたな……
デュバリー:直前に280点与えといて言う台詞か?
GM:しかしハプニングは起きます
GM:1D100
DoubleCross : (1D100) → 86

アッシュ:ヤバそう
ルカ:また高い出目が世!
デュバリー:高め安定になってんねえ
GM:80〜89:窮地。NPCをランダムに2人選択し、耐久力が3以上だった場合2、2以下だった場合1減少させる。
GM:choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,トミー,リシェ]
DoubleCross : (choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,トミー,リシェ]) → トミー

デュバリー:あっ
GM:choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,トミー,リシェ]
DoubleCross : (choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,トミー,リシェ]) → トミー

アッシュ:トミー!?
デュバリー:うわっ
クレア:と、トミー!
ギル:あ……
ルカ:?
アッシュ:Takeyの殺意がヤバい
デュバリー:これは誰かを庇ったんでしょ
クレア:なんでピンポイントで引くんだよ
ルカ:???
GM:殺意すごすぎるな
GM:でもこれはミスなのでもう一人選びます
アッシュ:オーバーキルだが
GM:choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,リシェ]
DoubleCross : (choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,リシェ]) → ラジーク

アッシュ:ラジークさん!
GM:トミー、ラジーク
デュバリー:なんてこった
ルカ:えっ
クレア:ラジークさんまで…
ルカ:あっ
GM:トミー 1>0 ラジーク 2>1
ルカ:あっ
アッシュ:トミー……
GM:トミーは死亡します。
ルカ:あっ
GM:更に頭部5が行動します
α:《コンセントレイト:サラマンダー》LV3+《焦熱の弾丸》LV30
α:choice[アッシュ,ルカ,クレア,ギルトレット,デュバリー]
DoubleCross : (choice[アッシュ,ルカ,クレア,ギルトレット,デュバリー]) → デュバリー

α:対象デュバリー
デュバリー:おやおや 勝負したいのかね
α:200DX7 死ね~~~っ
DoubleCross : (200DX7) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,4,4,5,5,5,5,5,5,5,6,7,7,7,8,9,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,2,4,5,5,6,7,8,9,9]+10[1,1,5,8]+10[10]+1[1] → 61

ギル:相手はダイス200個やぞデュバリー
ギル:勝算があるのか……?
クレア:やっちゃってくださいよデュバ姐さん
デュバリー:ないよ 素ドッジ
アッシュ:頑張れデュバリー!
ルカ:ないの
アッシュ:ないんかい
デュバリー:5dx+1=>61
DoubleCross : (5DX10+1>=61) → 10[2,3,9,9,10]+5[5]+1 → 16 → 失敗

クレア:デュバ…
GM:次からはリフレックスを持ってくるんですねェ~ッ
α:7D10+32 ダメージ
DoubleCross : (7D10+32) → 38[5,7,1,7,6,4,8]+32 → 70

デュバリー:当然死にます そうだな……アイギスへのロイスをタイタスにして昇華、復活
ギル:もう俺達の仲間じゃないってことかよ
デュバリー:迷いのロイスだから!
GM:そしてハプニングも発生
GM:1D100
DoubleCross : (1D100) → 21

ギル:えへへ
アッシュ:あ、良いヤツでは
GM:20〜29:負傷。NPC1人の耐久力を1減少させる。
クレア:久しぶりの低め
アッシュ:そうでもなかった
クレア:場合によっては死ぬわね
GM:choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,リシェ]
DoubleCross : (choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,リシェ]) → ジナイーダ

ギル:1減少は優しい
ジナイーダ:おー
アッシュ:まだセーフ、だけど……
ジナイーダ:へりまーす
ジナイーダ:のこり1!
ルカ:ヒー
GM:胴体も行動しちゃおう 行動値0
α:メジャー 《クローズウーンズ》LV10
ギル:何かしらんエフェクト来たな
α:HPを回復します
デュバリー:クソわよ!
ルカ:そんな…
α:11D10
DoubleCross : (11D10) → 69[8,2,6,10,8,4,3,7,4,9,8] → 69

アッシュ:最悪
クレア:インチキ胴体野郎め
ギル:フン……

α:αの頭部が、一斉に裂けんばかりに大顎を開く。
α:煌々と漏れ出す炎。周囲の温度が急速に下がり始める。
ミルシュカ:『……ブレス来ます!防御態勢!!』
α:爆炎が解き放たれる。衝撃と業火が嵐のように荒れ狂い、α以外の全てのものを焼き焦がしていく。
アッシュ:「デュバリー、任せていい?」
アッシュ:荒れ狂う影と雷は、出力が高い代わりに反動も大きい。ほぼ棒立ちの状態で通信機へと呼び掛ける。
デュバリー:「そっちは『防御態勢』だの『任せる』だの一言で済む、でしょうけど……ッ」
デュバリー:言いながらも、アッシュの足元の地中の木の根を支配下から外す。これにより崩落。クレアの攻撃に着想を得た……と言うには矮小すぎるが。
デュバリー:だが結果として作り出された高低差の壁が、結果的に炎の流れの隙間となって、アッシュを守る。
デュバリー:「……言っておくけど、この手もジリ貧だからね」
デュバリー:「早く首を落としきらなきゃ、通信機を切ってやるんだから」
アッシュ:「いつも任せきりで悪いとは思ってるって。merci」
アッシュ:「もう少しだけ待っててくれ」
クレア:迫りくる爆炎に身を晒しながら、構わず次弾発射の構えを取る。
クレア:自分の命の残量はわかっている。おそらく他の者よりも正確に。
クレア:今まで通り、託された命を燃やして、自分はただこの引き金を引くことに集中する。それが最善だ。
エリアス:そこに黒い鎧が駆け寄り、咄嗟に赤炎から射手を守る。
クレア:「……君は」
エリアス:影の鎧がわずかに火に溶け、再生成。熱した空気を吐く。「ドイツの。ゲシュペンストの12(zwölf)です」
エリアス:「次弾も頼みますよ、っていう、勝手な期待です」苦笑する。
クレア:「……済まない」困ったように笑う。
ルカ:爆炎に煽られながら空中で無理やり身を翻し、竜の首元に接近。
ルカ:落下の勢いを載せて、鉤爪で体表を抉るように破壊しようとする。
α:鉤爪は首を切り裂き、深い傷を刻み込むが、それも超絶の再生力で見る間に塞がり、修復されていく。
ルカ:舌打ち。
トミー・ウェイクマン:「……! が……あ……!」
トミー・ウェイクマン:全身の骨折から身動き取れず、そのまま炎に炙られ続ける。
トミー・ウェイクマン:激痛が走るが、それも一瞬のこと。肺の中の酸素が燃焼し、急速に意識が遠退いていく。
トミー・ウェイクマン:「……ル、カ……」
トミー・ウェイクマン:遠く、巨竜に挑みかかる、古い友人の姿を見遣る。
トミー・ウェイクマン:(……ああ……少しは、お前の役に立てると思ったんだけどな……)
トミー・ウェイクマン:(クソみたいな場所でも、これなら、ずっとあのストリートに居た方が……)
トミー・ウェイクマン:最後に諦観の笑みを浮かべる。
ルカ:その時に。目の前の怪物を倒すことだけ考えていて。
ルカ:炎に焼かれ落下した彼のことを、忘れていなかったと、言い切れるだろうか。
トミー・ウェイクマン:全身を焼き焦がす痛みも、最早遠くに感じる。ゆっくりと目を閉じる。
トミー・ウェイクマン:「……お前は、生き残れよ……ルカ……」
トミー・ウェイクマン:炎の中でその声は、届くことは無かった。
ルカ:通信機越しに微かに声が聞こえた気がして、そちらの方を見ようとして。
ルカ:巨竜がまた動く。視線は結局、怪物を向いた。

GM:クリンナップ
α:《フェニックスの翼》LV6
α:HPを30回復します
クレア:この欲張りさんがよ
ルカ:いっぱい持ってんねえ
ギル:どの部位だろう
GM:あっ 胴体ですね
アッシュ:まあ胴体しか削れてないもんな

GM:ラウンド2
GM:セットアップから
アッシュ:加速装置Lv4のみ、行動値がまた+12で19、侵蝕は+2
アッシュ:アッシュ・ノイ・ジラードの侵蝕率を2増加 (147 → 149)
ギル:なんもないです
ギル:ナンモナイト
クレア:なし!
ルカ:ブルーゲイル使用します。行動値+5で11になります。
ルカ:ルカの侵蝕率を5増加 (138 → 143)
デュバリー:《加速装置》。行動値+9
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を2増加 (134 → 136)
α:頭部《戦力増員》LV3
α:同エンゲージにジャーム:空中を3体配置します
クレア:厄介すぎる
α:尻尾の方が頭部より速いのでトループバフは使えない 残念
ギル:なしって言ったけどNPCの人が助けてくれるようなので使ってもらいたいです
サブGM:はーい
ギル:戦車のせいで行動値0になっちゃったな~
ギル:こんな時サラマンダーのエフェクトが急に使えるようになったらな~
ギル:先陣の火で先手取るんだけどな~
カタリーナ:カタリーナ・アウラー 効果:「制限:-」のサラマンダーのエフェクト一つをそのシーン間LV1で取得する。
カタリーナ:《先陣の火》を指定し、ギルに習得させます。
ギル:ありがとうございます!早速使用しよう
GM:こいつらァ~~ッ
ギル:いま侵蝕143なので2レベル、行動値が元の10に上がるぜ
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を2増加 (143 → 145)
エンゲージ



頭部2,3,4,5[10]
アッシュ[19]ルカ[11]ギル[10]クレア[10]デュバリー[17]
ジャーム:空中[9]*5

(500m)

胴体[0]

(500m)

尻尾[14]



GM:イニシアチブ
GM:行動値19 アッシュくんの手番です
アッシュ:マイナーで戦闘移動。舞の効果を使って500m先の胴体の地点まで動く。
アッシュ:そしてメジャーでコンボ。Leve la voile:コンセントレイト:ウロボロスLv4+シャドーテンタクルスLv1+アームズリンクLv4+ライトニングリンクLv6
アッシュ:C値-3、射程10m、判定D+4、攻撃力+24、侵蝕値+9
GM:判定どうぞ!
GM:違う
アッシュ:22dx7
DoubleCross : (22DX7) → 10[1,2,2,2,2,2,3,3,4,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10]+10[3,4,6,7,8,10,10]+10[1,4,7,8]+10[1,7]+10[8]+10[7]+10[7]+1[1] → 71

GM:対象は!
アッシュ:あ、胴体です!
クレア:いい感じに回った
ルカ:出目たっか!
アッシュ:やっと回った……
α:《灼熱の結界》LV10ガード
GM:ダメージどうぞ!
アッシュ:12+24+24+8d10
DoubleCross : (12+24+24+8D10) → 12+24+24+54[3,8,9,9,7,3,7,8] → 114

アッシュ:良し!上振れ!
ルカ:いいぞいいぞ
GM:あぶね~~
クレア:高い!
α:ミカヅチがあったら死んでたかも 瀕死です
アッシュ:チッ 落としきれなかったか
アッシュ:アッシュ・ノイ・ジラードの侵蝕率を9増加 (149 → 158)
GM:行動値17 デュバリーさんの手番です
デュバリー:待機しまーす
GM:ではイニシアチブ
α:胴体 【さらなる絶望】
α:頭部1を再生します
デュバリー:こいつ攻撃直前まで温存してたのか……
GM:残存は1・2・3・4・5。
クレア:いやらしい…
ルカ:あくどい
GM:行動値14 尻尾の手番です
α:メジャー 《コンセントレイト:サラマンダー》LV3+《氷の戒め》LV4+《憎悪の炎》LV1+《ブリザードブレス》LV20
α:対象は~
α:choice[アッシュ,ルカ,クレア,ギルトレット,デュバリー]
DoubleCross : (choice[アッシュ,ルカ,クレア,ギルトレット,デュバリー]) → ギルトレット

α:ギルくんとそのエンゲージ
ギル:私のエンゲージとはね
ルカ:嫌だ~
クレア:来るな~
アッシュ:一番多いとこ狙ってくる
ギル:孤独の魔眼つかお~
α:なんだとぉ……
ルカ:ありがたすぎる
クレア:さすがギル
アッシュ:ギル君の新エフェクト!
ギル:対象を自分一人にするぜ。
ギル:侵蝕は5上がる
GM:許せね~~~~
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を5増加 (145 → 150)
α:197DX7 死ね~~~~っ
DoubleCross : (197DX7) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,1,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,5,5,6,6,7,7,7,7,7,7,8,8,9,9,10,10]+10[1,1,1,1,2,3,3,4,6,7,10,10]+5[2,2,5] → 45

デュバリー:おや
デュバリー:ギルさん、これはドッジですよ
ルカ:おっ
GM:竜鱗!竜鱗!
ギル:貴女ほどの方がそう仰られるのなら……
GM:竜鱗で耐えるのが令和最新トレンド!
ギル:ドッジしてみよ~何が起こるのかな~
ギル:5DX+1
DoubleCross : (5DX10+1) → 10[3,7,8,9,10]+5[5]+1 → 16

デュバリー:失敗ですなあ。
GM:ほら~失敗したじゃん~
ギル:避けられないデュバよ~!
GM:だから竜鱗にしておけばよかったのに~
デュバリー:《運命の切り替え》。ドッジ判定を代わりに行います
GM:なんだとぉ……
ギル:ま、まさかデュバリー……家族のことまだ怒って……
ギル:やった~!
デュバリー:もちろん《ゲットダウン》で射撃判定だ。行くぞ!
デュバリー:5dx+25+15=>45
DoubleCross : (5DX10+40>=45) → 9[3,3,5,7,9]+40 → 49 → 成功

デュバリー:成功しました
GM:ギェ~~~~ッ
ルカ:デュバ様~!
アッシュ:さすデュバ
GM:女ァ……!
デュバリー:(やっとこのコンボ使えた……)
ギル:ママかと思ってたけど妹だったか……
GM:友情コンボかましやがって……
クレア:やったねデュバ姐さん
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を5増加 (136 → 141)
GM:では失敗します ちくしょ~~~~~~
ルカ:わーい
GM:でもハプニングは起きます
ギル:かわいそう
デュバリー:それはそう
クレア:え~ん
ルカ:そんな~
GM:1D100
DoubleCross : (1D100) → 71

GM:70〜79:ジャームが押し寄せる。NPC3人の耐久力を1ずつ減少させる。
アッシュ:3人か……
クレア:怖い
ルカ:ラジークさん当たりませんように…
ギル:3人は結構当たりそう
GM:こりゃ3人死ぬかもな
ルカ:あっジーナもやばいんだ 勘弁しちくり
GM:choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,リシェ]
DoubleCross : (choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,リシェ]) → エドヴァルト

GM:choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,バーバヤガー,レナート,イリーナ,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,リシェ]
DoubleCross : (choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,バーバヤガー,レナート,イリーナ,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ジナイーダ,ラジーク,リシェ]) → ジナイーダ

アッシュ:うわっ
ギル:あっ
ルカ:あーー!!
GM:choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,バーバヤガー,レナート,イリーナ,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ラジーク,リシェ]
DoubleCross : (choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,バーバヤガー,レナート,イリーナ,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ラジーク,リシェ]) → バーバヤガー

クレア:やってんな
ルカ:ババアもー!
GM:エドヴァルト、ジナイーダ、バーバヤガー
ギル:瀕死ババア
アッシュ:一応引く確率のが低いはずなのに引くんだよな……
デュバリー:やってんねえ!
ジナイーダ:しんだ
“バーバヤガー”:しにかけ
エドヴァルト:残り3です
GM:イニシアチブ
クレア:おっと待ちな
α:胴体 《魂焦がして》LV10
GM:何い……?
クレア:このイニシアチブでシューターズジャケットを脱いで行動値12になるぜ!
GM:エッチじゃん
α:HPの現在値と最大値を上昇させます
α:10D10
DoubleCross : (10D10) → 42[1,7,2,6,1,7,5,2,7,4] → 42

α:フ~ 健康になったぜ
アッシュ:良い空気を吸うな
ギル:HPすご
クレア:もっと不摂生な生活しろ
デュバリー:穴という穴から喫煙しろ
GM:では行動値12 クレアくんの手番です
クレア:はい!マイナーはなし
クレア:メジャーで『Flower of Kent』《カスタマイズ》LV4《コンセントレイト:モルフェウス》LV4《ギガンティックモード》LV2《魔弾の射手》LV4更にオートで《オーバーロード》LV2
クレア:作成した日本刀を2本使用して首のエンゲージのエネミー全員を攻撃。そのうち一本を《オーバーロード》対象に指定。メインプロセス終了後に二つとも破壊。
クレア:いくぞ~
GM:来やがれ!
クレア:14dx7+4
DoubleCross : (14DX7+4) → 10[1,2,2,5,5,6,6,7,7,8,9,9,9,10]+10[3,5,6,6,7,7,8]+10[4,5,7]+10[9]+10[9]+10[10]+10[10]+10[9]+10[10]+6[6]+4 → 100

ルカ:ヤッバ
クレア:フン……
GM:ええ…………?
アッシュ:強すぎ
GM:おかしいだろ
ギル:つよい
GM:1<4
2<5
3<胴体 カバー

α:胴体《灼熱の結界》LV10
ギル:これ、1,4と2,5のカバー消しませんか?
アッシュ:アリかも
クレア:消して欲しい~
ルカ:ではそうします。《デビルストリング》2回使用して
デュバリー:ルカ・豪腕がカバー消す
GM:おい……!やめろ!
GM:犯罪だろ!
ルカ:1<4と2<5に使われた《炎陣》を打ち消すぜ
クレア:ルカ・ザ・ハンド
ルカ:更にダメージロール前に《餓狼の爪》を使い、ダメージを+115してもらうぜ
レナート:NPCカードを使用
ギル:何を言っているんだろう
レナート:ダメージダイス+5
クレア:ウオオーーッみなぎってきたぞ
クレア:レナっちまで!
ルカ:ルカの侵蝕率を15増加 (143 → 158)
GM:マジでやめろ~~
クレア:リーダーのNPCカードも使います。攻撃力+20
GM:やめろ~~~~~
GM:ダメージ来いや!
クレア:10d10+5d10+51+115+20  装甲有効
DoubleCross : (10D10+5D10+51+115+20) → 53[10,3,6,4,1,2,5,4,10,8]+36[7,9,4,9,7]+51+115+20 → 275

GM:?????????
ギル:ヤバスンギ
ルカ:すご
クレア:これが絆の力じゃ
ギル:5Dで36かなりやってるな……w
デュバリー:死ゾ
アッシュ:この戦闘中最大値では?
GM:くっ……ぐっ……手の打ちようがねえ……
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を16増加 (148 → 164)
GM:胴体は破壊されます。頭部の残存は3のみ。
アッシュ:よっしゃ!
ルカ:やったー!
GM:部位が破壊されたことで残る部位のダイス数が-70されます。
ルカ:おお!
アッシュ:なるほどね
クレア:すげ~!
デュバリー:なるほどな
ギル:どれくらい関係有るのかわからん……w
エンゲージ



頭部3[10]
ルカ[11]ギル[10]クレア[12]デュバリー[17]

(500m)

アッシュ[19]

(500m)

尻尾[14]



GM:イニシアチブ
GM:頭部 尻尾 《バーサークセルフ》LV4
GM:暴走し、ダイス数+2
デュバリー:一体何を……
α:《紅蓮の憎悪》LV5 の効果で攻撃力+15
α:《ワイルドファイア》LV7の効果で行動値+21
α:さらに尻尾が《加速する刻》
α:再行動を行います
ギル:なんだとぉ……
クレア:小癪な真似を
デュバリー:こいつめ~
α:《コンセントレイト:サラマンダー》LV3+《氷の戒め》LV4+《憎悪の炎》LV1+《ブリザードブレス》LV20+《バーストブレイク》LV99
ギル:LV99なに
アッシュ:なんか増えてる!?
クレア:なにそれ
デュバリー:超怒ってる
α:choice[アッシュ,ルカ,クレア,ギルトレット,デュバリー]
DoubleCross : (choice[アッシュ,ルカ,クレア,ギルトレット,デュバリー]) → ルカ

ルカ:こわいよお
ルカ:こわいよおお
クレア:こっちくんな!
ギル:避けろルカち!
GM:対象ルカクレアギルの3人
ギル:俺ら全員だったわ
ギル:デュバ~!?
クレア:やめろ~
デュバリー:デュバリー 外されがち
ギル:《孤独の魔眼》しよ~
アッシュ:相変わらずばらけてる方には飛んでこない
ルカ:すご~
GM:またかよ!
ギル:侵蝕100でエフェクトレベル+1!
クレア:ギルトレット大明神
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を5増加 (150 → 155)
ギル:侵蝕的には守ってもらいたいくらいなんだが……対象が沢山いるからな
ギル:私一人に買えるぜ、対象を
α:129DX7 
DoubleCross : (129DX7) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,7,7,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10]+10[1,2,2,3,3,3,3,4,4,4,6,6,6,7,8,9,10]+10[4,5,6,7]+1[1] → 41

デュバリー:おやおや
クレア:おやおや
ルカ:あらあら
ギル:様子が……?
GM:41もあれば当たるだろ~
デュバリー:ギルさん ドッジですよドッジ
GM:竜鱗!
ギル:どうせ竜鱗しても耐えられないからな~
アッシュ:さすデュバ準備しとこ
ギル:ダメ元でドッジしてみるか~
GM:竜鱗!竜鱗!竜鱗!
ギル:5DX+1
DoubleCross : (5DX10+1) → 10[1,4,5,9,10]+8[8]+1 → 19

ギル:うわ~ん
GM:ほら~
デュバリー:失敗したな
デュバリー:《運命の切り替え》でドッジを代行します
GM:ギーーッ
デュバリー:《ゲットダウン》使用 いくぜ
デュバリー:5dx+25+15=>41
DoubleCross : (5DX10+40>=41) → 9[1,1,6,6,9]+40 → 49 → 成功

デュバリー:避けもいた
ルカ:お姉さま~!
GM:この女ァ~~~~~
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を5増加 (141 → 146)
アッシュ:さすデュバ
ギル:流石我が妹……
GM:では失敗になります 許せねえ
デュバリー:どんどんありえざる血縁が生じつつあるな
GM:しかしハプニングは起きるぜ
ルカ:慈悲はないのか~
GM:1D100
DoubleCross : (1D100) → 53

ギル:終わりだ……
GM:50〜59:重傷。NPC1人の耐久力を2減少させる。
ルカ:きゃーー
GM:誰か一人死にそう
ギル:ドキドキ
クレア:痛すぎ
デュバリー:死にそうな所来たな
ギル:文芸部
アッシュ:死なないでくれ……
GM:choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ラジーク,リシェ]
DoubleCross : (choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,バーバヤガー,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ラジーク,リシェ]) → バーバヤガー

デュバリー:バッババア!
クレア:ババア!
ギル:ば、ババアーっ!
ルカ:ババア!?
GM:バーバヤガーです
“バーバヤガー”:しんだ……
クレア:年寄りを労れよ
ギル:絶対死なないと思ってたのに……!
ルカ:嘘でしょ
アッシュ:死なないキャラだろアンタは!
ギル:貴重なおばばキャラが……
GM:そして行動値31になった頭部が行動します
ギル:反則だ
α:《コンセントレイト:サラマンダー》LV3+《焦熱の弾丸》LV30
α:choice[アッシュ,ルカ,クレア,ギルトレット,デュバリー]
DoubleCross : (choice[アッシュ,ルカ,クレア,ギルトレット,デュバリー]) → アッシュ

α:対象アッシュくん
ギル:あっちゃん!
デュバリー:あっ 地味にどうしようもない所に
α:132DX7
DoubleCross : (132DX7) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10]+10[1,2,2,3,3,3,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,6,7,8,8,8,8,9,9,9,9,9,10]+10[1,2,3,4,5,6,6,6,9,10,10]+10[2,6,8]+2[2] → 52

アッシュ:リア不!ダメ来い!
α:6D10+32+15 装甲有効
DoubleCross : (6D10+32+15) → 37[5,10,9,7,4,2]+32+15 → 84

アッシュ:喰らって即死!αのロイス切って復活!
アッシュ:アッシュ・ノイ・ジラードのHPを13に変更 (10 → 13)
ギル:ルカくんに守ってもらうのは?
クレア:砂塵使っても良い気がするわよ
ルカ:まだ間に合います?
アッシュ:それがあったか まだロイス切れてないからましな方だけど
GM:いいですよ~
ルカ:まあアッシュ様は次ラウンドも確実に動きそうだから
ギル:でもそれ言うと確かに
ギル:ルカくんの侵蝕も結構ヤバいっすね
ルカ:そうなんニャンね
ギル:これからもう一回動いて餓狼キメるとなると
ルカ:うーーん そう ちょっとその心があり迷ってた
ギル:ロイスも一個なくなってるし、見でもいいかも
アッシュ:じゃあ見送りにしますか
ルカ:ごめんね!ではこのままでお願いします
GM:では死になさい!
GM:ハプニングも起きます
GM:1D100
DoubleCross : (1D100) → 24

クレア:おっ低め
GM:20〜29:負傷。NPC1人の耐久力を1減少させる。
GM:だが死にかけなら死ぬぜ
アッシュ:死にかけに当たりませんように……!
GM:choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ラジーク,リシェ]
DoubleCross : (choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ラジーク,リシェ]) → アウグスト

ルカ:あっアウ様!
ギル:ぐっさん!
GM:死んだか……?
アウグスト:1残ってます
ルカ:よかった……
GM:命拾いしたな……
GM:ではイニシアチブ 行動値6 ルカくんの手番です
ルカ:待機します!
ギル:今は11!
ギル:私が10!
GM:ほんとだ
ルカ:私もスルーしちゃったw
GM:行動値10 ギルくんの手番です
ギル:因みになんですけど、首の暴走って変異暴走とかではないんですよね
GM:いや 変異暴走ですね
ギル:そういえばアージ使ってた
GM:闘争です 一応
クレア:闘争の変異暴走はメジャーじゃないと解除できないやつだぜ!
クレア:リア不なのは通常の暴走と一緒なのだ
GM:クッ……解説マスコットクレア……
ギル:マイナーで戦車砲に給弾、メジャーで《マルチウェポン》《ヴァリアブルウェポン》《無形の影》《コンセントレイト:ウロボロス》《零距離射撃》
ギル:残った最後の首を攻撃します。
GM:判定どうぞ!
ギル:16DX7+4
DoubleCross : (16DX7+4) → 10[1,2,2,3,3,3,4,5,5,6,6,6,8,10,10,10]+10[2,8,8,9]+6[4,5,6]+4 → 30

ギル:追加で何かとかはもらわなくて大丈夫かな……?
ルカ:なんかあります…? もらえるやつ
ギル:恐らくない気がするので振っちゃうぜ
ギル:4d10+1d10+99 ガード不能装甲無視
DoubleCross : (4D10+1D10+99) → 28[6,6,9,7]+3[3]+99 → 130

ギル:殺意たけえ
ルカ:安定してつええ
クレア:固定値の暴力
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を16増加 (155 → 171)
GM:くそ~~~~
α:頭部は破壊されます
ギル:すぱすぱ
ルカ:いやったね
ギル:いえ~い
α:部位破壊によりダイス数-70
ギル:尻尾だけで生きてるの怖すぎるよ~
アッシュ:尻尾って真っ先に切り捨てられるものじゃないのか
エンゲージ



ルカ[11]ギル[10]クレア[12]デュバリー[17]

(500m)

アッシュ[19]

(500m)

尻尾[35]



GM:行動値0
GM:待機していたデュバリーさんの手番です
ルカ:まって!
GM:そうか
デュバリー:お前はクソデカアームの
GM:ルカくんも待機だった そちらが先です
ルカ:見せてやるぜ クソデカアームの威力をな
ルカ:はあい
ルカ:マイナーで戦闘移動します。舞さんのNPCカードの効果で尻尾まで一気に行くぜ
ルカ:メジャー。《コンセントレイト:モルフェウス》《ペネトレイト》オートで《砂の加護》しダイス+4個。
ルカ:尻尾に白兵攻撃します
エンゲージ



ギル[10]クレア[10]デュバリー[17]

(500m)

アッシュ[19]

(500m)

ルカ[11]
尻尾[14]



GM:来やがれこの野郎
ルカ:(4+4+4)dx7+8-1 うおお
DoubleCross : (12DX7+7) → 10[1,1,4,6,8,8,8,8,9,10,10,10]+10[1,5,5,6,6,7,9,10]+10[1,8,9]+10[1,7]+3[3]+7 → 50

α:暴走!
GM:ダメージどうぞ
ルカ:おお!ついでに芸術技能を持ってるともらえるカードがあるから
ルカ:ついでだし…いや…まあいいか 意味ないし
ルカ:ダメージだします
サブGM:あ、じゃあその前にこれ試してみますか
ルカ:えっなに
ラジーク・マフフーズ:NPCカードを使用します。
クレア:ラジークさん!
ラジーク・マフフーズ:“砂海の鮫”ラジーク・マフフーズ 効果:任意のダイスロール1回を選択し、振り直す。振り直す前の数字を使用してもよい。
ギル:面白いの持ってるね?
デュバリー:すごっ
サブGM:より回るかもしれん
ルカ:え~♡
ギル:それダイス目悪い時のアッシュくんに使ってほしかったな……w
アッシュ:前のも選択可能なの有能
アッシュ:それはそう
サブGM:それは……すまねえ
アッシュ:それはマジでそう
ギル:いや……でもありがたい!
ルカ:とはいえ…もっかい振ってみます
サブGM:ということで 同じ判定を再挑戦ください
ルカ:(4+4+4)dx7+8-1 うおお
DoubleCross : (12DX7+7) → 10[1,1,1,3,3,4,5,7,10,10,10,10]+10[2,4,8,8,9]+10[3,6,8]+5[5]+7 → 42

ギル:そういう事もある
サブGM:元から高かったからな……
ルカ:駄目だった
ルカ:振り直し前を採用します!
GM:ダメージ来い!
ルカ:6d10+115 装甲値無視
DoubleCross : (6D10+115) → 39[4,8,7,7,3,10]+115 → 154

GM:いたすぎ
α:だがまだ生きている
ルカ:チクショ~
ルカ:ルカの侵蝕率を8増加 (158 → 166)
GM:では待機していたデュバリーさんの手番です
デュバリー:うーん、落とせればそりゃあNPCへの被害は防げるが……
ギル:落とせる気全然しないのは確かだね
デュバリー:次のカバーを考えて動こう となるとマイナーで舞の効果を使ってアッシュくんと同じエンゲージに移動して終了かな
エンゲージ



ギル[10]クレア[10]

(500m)

アッシュ[19]デュバリー[17]

(500m)

ルカ[11]
尻尾[14]



GM:ではイニシアチブ
α:《加速する刻Ⅱ》
デュバリー:あらまあ
α:再行動します
クレア:また来た!
ギル:なんだとぉ……
アッシュ:マジか
ギル:どれだけうちの子を殺せば気が済むんだ
ルカ:やめちくり~
ギル:俺の家族を……!
α:《コンセントレイト:サラマンダー》LV3+《氷の戒め》LV4+《憎悪の炎》LV1+《ブリザードブレス》LV20+《バーストブレイク》LV99
デュバリー:死ねばもれなく親族入りさせるのやめてもろて
クレア:家族増えまくり
GM:choice[アッシュ,ルカ,クレア,ギルトレット,デュバリー]
DoubleCross : (choice[アッシュ,ルカ,クレア,ギルトレット,デュバリー]) → アッシュ

α:対象アッシュ、デュバリー
アッシュ:またこっちか
ギル:デュバ介護が光る
クレア:さっきの移動が活きた
ルカ:していてよかった
α:59DX7
DoubleCross : (59DX7) → 10[1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10]+10[1,1,1,1,1,3,3,4,4,4,4,6,6,6,7,7,7,7,7,7,8,8,9,9,10]+10[1,1,4,4,4,4,6,6,7,7,10]+4[2,3,4] → 34

α:命中でラウンド間全判定ダイス-5、ダメージで憎悪付与
デュバリー:半端に避けても意味がないのでガードします。《マグネットフォース》でアッシュくんをカバー
ルカ:ダメージ適用前に《砂塵の城壁》を使用します。受けるダメージを0に。
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を2増加 (146 → 148)
ルカ:1d10
DoubleCross : (1D10) → 3

GM:何だと……
ルカ:ルカの侵蝕率を3増加 (166 → 169)
デュバリー:ダメージは入らないってわけ!
ルカ:HP8点失ってHP7点になりました!
GM:こいつら凌ぎすぎだろ~~~~~
GM:イニシアチブ
リシェ:NPCカードを使用
ギル:なにっ
リシェ:効果:オートアクションで使用 対象の邪毒ランクを+10する。対象:単体
ルカ:なんだなんだ
ルカ:おお!
クレア:リシェち~
アッシュ:邪毒使い!
ギル:それを……誰に……!?
デュバリー:何で微妙に発狂した想定をしているんだよ
イルゼ:尻尾です
デュバリー:死者もツッコむ
ギル:起こしてしまってすまない
ルカ:空から…
クレア:まさにゲシュペンストってわけ
ギル:君はゆっくり眠っていてくれ……破ァ!
GM:αの攻撃のハプニングを振るぜ
ギル:思い出してしまったようだな……
GM:1D100
DoubleCross : (1D100) → 6

アッシュ:それもあった
ルカ:おお!?
アッシュ:あ!
クレア:おや~?
GM:チィィィッ
ギル:リシェさんが防いだことにしようぜ
GM:02〜09:幸運。NPC1人の耐久力を1回復させる。
GM:クソが代
ルカ:やった~
GM:choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ラジーク,リシェ]
DoubleCross : (choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ラジーク,リシェ]) → クラウディア

アッシュ:最高!
GM:さっきチャットタブ間違えたのは伏線
ルカ:そういうことだったとはな
クラウディア:耐久6になりました
アッシュ:めっちゃ頑丈
GM:クリンナップ
GM:αに邪毒のダメージ。まだ生存しています

アッシュ:「もうちょいキルマーク稼ぎたいとこだが」 言いながら一度剣を肩へと担ぐ。
アッシュ:「本体の方潰しとかないとキリがなさそうだな」
アッシュ:「一回こっち任せたわ」
アッシュ:それだけその場の仲間へ告げると、脚に影を纏わせて跳躍。
アッシュ:数を減らした首のうちの一つの上へと飛び乗ると――。
アッシュ:バヂィッ
アッシュ:スパークと共に現れた刀身が首を半ばまで貫いて輝く。
アッシュ:そのまま、苦悶に呻く竜の首を事も無げに駆け降りる。蒼い雷光と紅い鮮血が軌跡を描いた。
GM:巨体から血飛沫が噴き出し、アッシュを赤く染め上げていく。雷光に蒸発する血液で、赤い蒸気が上がる。
アッシュ:「お、らぁっ!」
アッシュ:首の終着点。胴体へと帰結したその地点まで来たところで、突き立てていた剣を更に深くへと刺しこむ。
アッシュ:竜の内部へと埋め込まれていた刀身――影が更に伸びる。植物の根のように広がって、その命の源を探り当てる。
アッシュ:後は今まで通り。影と雷によって肉は切り裂かれ、その内部の心臓が露出する。
アッシュ:「さて。一発デカいの頼むぜ、クレア!」
アッシュ:再び奔る雷をビーコンのように竜の心臓に纏わせながら、通信機へと呼び掛ける。
GM:脈動する心臓は現実離れした巨大さを誇り、さながら原子炉を思わせる。繰り返されるのは、生命そのものを感じさせる強靭な鼓動。
GM:だが急所ゆえか、再生力も高い。一瞬で傷が塞がり、見る間に覆い隠されていく。
クレア:「ああ、好都合だ」ビーコンから抑揚のない声が届く
クレア:「今のうちにまとめて首を落とす」
クレア:中天に光る四連星。その内2つが別かたれ墜ちる。
クレア:巨木にも等しい大質量の重金属塊の自由落下、しかし、それだけでは足りない。
クレア:竜の巨体と再生力の前では、高硬度からの衝撃と炸裂ただ一撃だけでは出力不足、であるならば
クレア:手数を増やす。金属塊は落下しながら鍛ち直され、巨大な剣へと姿を変える。
クレア:空気との摩擦で刀身を赤く染めた大剣が二振り、龍の首を断ち切りながら大地に突き立てられる。
α:切断された側から、見る間に新たな首が再生していく。埒外の生命力。
クレア:「ルカ、使え」
ルカ:「無茶苦茶ッ……」
クレア:「君にしか振るえないものだ。今の君の腕力にもある程度耐えられるように造ってある」
クレア:「援護はする。生えて来なくなるまで斬って斬って斬りまくれ」
ルカ:「……分かったよ!」
ルカ:両手でその大剣を握る。剣技の心得は全くないが、自分が巨大な鋏になったと考えれば良い。
クレア:「聞いていたな、リーダー」通信機越しに
クレア:「照準の座標は今送った通りだ。ルイジアナに伝えてくれ」
:「メラニー。行けるな」
:こちらも無線に語り掛ける。
メラニー:「もちろん!ああ、この日をどれだけ待ったか……」
:αの傷口の間近に、巨大なゲートが開かれる。
:空間の裂け目から覗くのは、遥か遠く、シェルブール港に停泊中の戦艦ルイジアナ、その主砲。
メラニー:「たっぷりとこの子の魅力を教えてあげる――"ルイジアナ"主砲、斉射!」
ルカ:周辺に漂う砂鉄群の残滓…クラウディアが使用していたそれをかき集め、支配下に置く。
ルカ:強靭な鋼の触肢が大地より伸びて、巨竜の身体にしがみ付くように巻き付く。一瞬だけ、その動きを阻害する。
:轟音、爆風。至近からの艦砲射撃が竜の骨肉を吹き飛ばす。
:「戦艦など時代遅れの遺物だが……」紫煙をくゆらせ、その光景を見上げ「私にはこの方が合っている」
レナート:巨竜の苦鳴の中、黒い影が戦場を駆け抜ける。
レナート:「オォッ……ラァアアッ!!」
レナート:全身を漆黒の刺と角、鱗に覆われた、竜人めいた姿。腕から眩い雷の槍を形成し、αの片脚に叩き込む。
α:立て続けの攻撃で、巨体がバランスを崩す。
レナート:「はっはー!今だ傭兵!ぶちかませ!!」
ルカ:「…うるっせえ!」叫び答えながら、半ば重力に身を任せ、振り子のようにぐわんと回る。
ルカ:両手に握る大剣で、竜の首を叩き折るように両断していく。
クレア:「大丈夫、君なら出来る」竜の首の数と同じだけ、銃声が響く。
クレア:「自分が導く」弾丸が大剣の軌道を先取って竜の首筋をかすめると、大剣はその軌跡をなぞっていとも容易く首を斬り落とす。
クレア:竜の首が生え変わる度に、幾度も的確に刃を急所へと導いていく。
α:狂乱するような悲鳴。年経た巨木の如き竜頭が次々に落とされていく、神話めいた光景。
ギル:アッシュもクレアも凄まじいが、それよりも……「あれがルカか……本当に……?あの竜と正面からやりあうなんて、満州の時以上の……!」
レナート:「……見てるかよ、リッケンバッカー」
レナート:それを見上げ呟く。
レナート:「いいや、テメェは見ちゃいねえだろうな……」
レナート:「テメェはここに居ねえ。これは俺達の戦いだ」
レナート:「今ここに居る、俺達の……」
α:αが一際大きな咆哮を上げる。
α:苦痛と怒りに満ちた声。追い込まれた獣の発するものだ。
α:その声に反応するように、無数のジャームが津波のように押し寄せる。
α:同時にαも辺り構わず火球を放ち、巨大な尾を鞭のように滅茶苦茶に振り回す。
ミルシュカ:『一度距離を……いや、背後にも敵群……!』
ギル:「……!下がれルカ、クレア!」
ギル:二人を守るように鉄王が竜の前へと踊り出る。その巨大な体躯で火球と尾の攻撃を正面から受け止めるよ。
クレア:「ギル……!」頭部の制圧に集中していた意識が引き戻される
ギル:「ぐっ……!」顔に浮き出た血管がブチブチと千切れ血を流す「だ、ダメか……!僕一人では出力が……!」
GM:鉄王の装甲が軋む。燃え盛る尾の炎が、次第に鋼鉄を融解させていく。
GM:膂力の差は歴然だ。“鉄王”ごと尻尾を振り回そうとする。
デュバリー:今までの稼働上限をはるかに超えた出力での交感を継続した結果、意識は広域に拡散し、自他の境界すら曖昧になってきている。
デュバリー:だから分かる。精確に分かる。背後のジャームも、前方の巨大な尾も、捨て置けばいずれかの命を奪い得るものであると。
デュバリー:(……それなら私は、当然こっちを取る)
ギル:踏みしめていた地面が捲り上がり、鉄王の体が吹き飛ばされる直前
デュバリー:(恨みなよ) 槍を向けるのはギルの"鉄王"に向けて。
デュバリー:焼け焦げた灰、樹であったものの残骸が鉄王の欠損を補い、修復するかのようにまとわりつく。融解は転じてより強固な装甲へ。
デュバリー:「出力は補助するから」 ギルに言う 「制御に専念して、敵の攻撃を膠着させて」
ギル:「……!ああ、助かった。了解だデュバリー!」
デュバリー:(攻撃は止まっていない……竜の抵抗を可能な限り阻止して、攻撃の手を緩めないよう続けるしかない)
デュバリー:(本当に本当の、正念場ね……) ふらつきながらも立ち上がり、少しでも制御精度を高めるため、竜へと接近していく。
ルカ:蝗のように押し寄せるジャームの群れをくぐり抜けて、戦場の残骸を纏う鉄王の背後に辿り着く。
ルカ:その時に見た。ジャームの渦に消えてゆく者達を。
GM:デュバリーとギルトレットがα本体を押し留める中、周囲ではオーヴァード達が夥しいジャームの大群に苦戦を強いられていた。
GM:ローマ以南の住人が丸ごとジャームになったかのような数。それは殆ど事実であるのだろう。多勢に無勢。一人、また一人と手傷を追っていき、そして──
ジャーム:マンティコア:「ゴォ、ァアアァアッ!」
ジャーム:マンティコア:一際大型の、獣型のジャーム。平時であっても苦戦するであろう怪物すら、無数の軍勢の一体に過ぎない。
ジャーム:マンティコア:怪物はジナイーダに襲い掛かり、強靭な前脚の爪でその胸元を深々と切り裂いた。
ジナイーダ:倒れ伏す。血を吐く。
ジナイーダ:自分を抱えていた男に、「---」なにか呟いて、笑う。
ミラン・サイフェルト:「ジーナ……!クソッ……」
ミラン・サイフェルト:彼女を抱えたまま逃げる。彼女なしでは満足に射撃を行うこともままならない。
α:空気を震わす咆哮と共に、竜が暴れ狂う。
α:巨大な首が突進するように地表すれすれを滑る。それだけで蒸気機関車の正面衝突よりも遥かに凄まじい攻撃。
α:大顎を明けた竜頭は跳ね飛ばすようにアッシュに衝突し、尚も止まらない。
α:その終点、“バーバヤガー”を空中に跳ね上げ、大口でそのまま喰らい付く。
“バーバヤガー”:「チィッ……!」
レナート:「……!!マム!!」
α:一本一本が人体よりも巨大な、無数の牙。噛みつくというより、擂り潰されるという方が近い。
α:万力のような咬撃が、口内の“バーバヤガー”を押し潰していく。
“バーバヤガー”:「レナート!おれたちは”艦隊”だ!」すり潰されながら叫ぶ。
“バーバヤガー”:「旗艦が死んでも艦隊は死なねえ!お前が指揮を――」
イリーナ:『……』皮肉と諦念の入り混じった呼吸だけを零す。
α:言葉が終わるより早く、“バーバヤガー”を血煙に変え、口内へと呑み込んだ。
レナート:「あっ……あぁアァアッ……!!」
レナート:伸ばした手は空を切る。絶望に満ちた悲鳴が漏れる。
レナート:「────」
レナート:沈黙は一瞬。胸を満たすのは憤怒。
レナート:「……イリーナッ!!」
レナート:「クソトカゲをブチ殺すぞ!!」
イリーナ:『……参戦したからにはその心算だろう』
イリーナ:『尽くせるだけは尽くすとも。指揮官殿』
ギル:「……おおおおおっ!」デュバリーの支援を受けて、ようやく鉄王が尾を押し返す。攻撃を反らし、地面へと叩きつける。
ギル:「……それ以上見るな、ルカ」同時に、背後へ目を向けているルカへと言葉をかける
ルカ:「……、……」はっとしたようにギルくんを見ます。
ギル:「ここは戦場だ。死は君だけの物じゃない」
ギル:「後で僕達も一緒に背負う。今は生き抜くことを考えるんだ」
ルカ:「……」「……あんたの本心から出てる言葉だと信じるよ」
ギル:「戦友に嘘はつかないさ」ルカくんにロイスを取るよ
ギル:戦友/ルカ・斑鳩・フォード/P:友情/N:不安○/ロイス
ルカ:虚を突かれたのを押し殺して、ふてくされたような表情になる。
ルカ:「…どうする。手伝う」
ギル:「いや、手負いの首は僕達に任せろ。君はあの尾を頼む」
ルカ:「分かった」頷く。
ギル:「忘れないでくれ。どれだけ多くのものを託されても、君は、いや、僕達は一人で戦ってるんじゃない」
ギル:「君だって子供なんだ。年上を偶には頼ってくれ」
ギル:「……ドイツの3番!このままだと砲塔が持たない。君の力も貸してくれ」
ギル:「ルカの通る道を開く!行くぞ!」
カタリーナ:「お?いいよ~」
ルカ:「…、20歳って言や……」「……」ムスッとする。
ルカ:そのまま跳躍。弾丸のように、ジャーム渦巻く赤黒い空へと飛び込んで行く。
ルカ:「じゃあ、なんとかしろよ…!」
ギル:鉄王を操り、残った頭部へと駆けていく。銃弾の嵐を浴びせながら接近、直接首を落としにかかるぞ
カタリーナ:激しく炎と氷がぶつかり合い、鉄王の溶けた砲身が、焼き鈍され、焼き直される。
カタリーナ:「どーん!」さらに、重力が歪んだような衝撃。その巨体を加速する。
ギル:「意地の見せ所だ……蹴散らせ、鉄王!」
α:豪雨のような銃火と、氷炎により強化された巨体による攻撃。
α:メキメキと巨木がへし折れるような異音と共に、最後に残った首が引き千切られる。
ルカ:空中に舞う小型のジャームを蹴り飛ばしながら、尾の部分まで加速を続けつつ移動する。
ギル:「行け、振り返るな、ルカ!」
ラジーク・マフフーズ:後方から砂の風が吹く。
ラジーク・マフフーズ:それは左右を、視界を覆い、巨竜からその小さな体を覆い隠した。
ラジーク・マフフーズ:「……路はある。そのまま進め!」
ルカ:有り余るレネゲイド因子を右腕に集中させる。決して美しくはない、破壊するためだけの土くれの細工が出来上がる。
ルカ:螺旋を描くように強大な鉤爪が研ぎ澄まされ、矛となり。
ルカ:「………ッオラァアアアアア!」
ルカ:砂嵐を突破……巨竜の尾に、衝突する。
α:衝撃に尻尾の炎が揺れ、爆発するように火の粉が舞い飛ぶ。
α:一撃で甲殻が吹き飛ばされ、巨大な尾がひしゃげ、抉り取られる。
GM:……やがて、戦場の誰からともなく、異変に気付く。
ミルシュカ:『……』
ミルシュカ:『……再生……してない……?』
GM:無限とも思える生命力を見せ、幾度となく切断されては瞬く間に再生してきた、αの七つの首。
GM:だが今、そのいずれもが新たな首を生やさぬままに断面を晒し、血を滴らせている。
レナート:「効いてる……おい!見えるか!?効いてるぞ!!」
ギル:「ようやく底が見えてきた……か?」
デュバリー:「盛り上がるのは……完全に止まってからにしてほしいんだけど」
デュバリー:「……盛り上がってそれが近付くなら、それでもいい」
ルカ:勢いに吹っ飛ばされつつ、どうにか受け身をとって地面に着地。顔を上げる。
ゲオルグ:再生せぬままの首を見上げ、静かに目を細める。
ゲオルグ:(……無駄ではなかったか)
GM:残った尾がメキメキと音を立てて変形していく。
GM:巨竜に残った生命力を注ぎ込むように、一本の太く巨大な首へと変わっていく。尋常の生命ではあり得ない、異常な変形。
クレア:「前も後ろも関係なしか。竜というよりもはやアメーバだな」
ギル:「滅茶苦茶だ。いくらオーヴァードとはいえ。本当に同じ生き物なのか、こいつは……?」
アッシュ:「逆に言えば、そんな手使うくらいには追い詰められてるってことだろ」
α:「ゴ…… ギ ッ 」
α:引き裂けるように新たな大顎が開き、喉奥が煌々と輝く。
α:閃光。放たれた業火が、アッシュ達を呑み込まんと迫る。
デュバリー:「……~っもう……!」 勘弁してくれと声を漏らしつつ、残った力を絞り出すようにして、辺りの灰へ感覚を広げ始める
デュバリー:そして組み上げる。今まで交感していた樹木の構造を走馬灯じみた速度で想起し、灰を材料に樹木の壁を逆生成する。
デュバリー:当然、そんなことで迫る炎を防げる訳がない。攻撃を押し止めるのはほんの数瞬。息を吸って吐く程度の時間だ。だが、それだけの時間を稼げる。
ルカ:「……」先ほど、ラジークが目くらましに使った砂嵐の残滓が周囲に残っている。それに目を留める。
ルカ:組み上がった樹木の壁に寄り添うように、大量の砂が集まっていく。壁の厚みが増す。
ルカ:樹木の壁が焼き切れようとも、背後に集う砂の壁が蠢き、迫る業火を呑み込む。
GM:燃え盛る炎の中、αが君達を見る。狂乱と憤怒、憎悪に満ちた瞳。
GM:その牙の間からボタボタと血が滴り落ち、巨大な雫が足元に落下して蒸発していく。
GM:再生したばかりの頭部だ。負傷によるものではない。
リシェ:「…………!」
リシェ:割れた眼鏡と焦げた銀髪。αに向けて両腕を翳し、その巨体の内部に直接毒物を生成し続けている。
リシェ:「……あなた達のせいよ……」
リシェ:「ここまで怒らせたら、もう逃げられない……」
リシェ:「どうせ死ぬ……みんな死ぬのよ」
リシェ:「何をしても死ぬなら……やるだけやってからから死んでやる……!」
デュバリー:(遅いし。逃げるタイミングがあった、みたいな言いよう)
デュバリー:思いはするが、口にはしない。体力の無駄遣いだし、もし何か言い返されても、それに言い返す余力はさらに無駄遣いだからだ。
デュバリー:それにわざわざ、一矢報いる気になった所に横槍を入れるものでもない。たかが一矢だろうとこ、この竜を止めるのに必要な一矢になるかもしれない。

GM:ラウンド3
GM:セットアップ!
ルカ:ないよっ 行動値11⇒6に戻ります
クレア:なし!
ギル:ないぜ!あとエフェクトの効果が切れて行動値が0になるぜ
デュバリー:さすがにもういらんはず。侵蝕率節約のためになしで
アッシュ:こちらも無しで 行動値が7に
GM:エネミーは無し。
ギル:尻尾ちゃんだけだもんね
エンゲージ



ギル[0]クレア[12]

(500m)

アッシュ[7]デュバリー[8]

(500m)

ルカ[6]
尻尾[35]



GM:イニシアチブ
GM:行動値35 αの手番です。
α:《コンセントレイト:サラマンダー》LV3+《氷の戒め》LV4+《憎悪の炎》LV1+《バーストブレイク》LV99 《コキュートス》LV30
α:対象PC全員
α:57DX7
DoubleCross : (57DX7) → 10[1,1,1,1,1,1,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,2,3,3,3,4,4,5,6,6,7,7,7,7,8,9,9,9,9,10,10]+10[1,3,4,5,5,6,6,8,9,9,10]+10[2,5,5,10]+1[1] → 41

α:命中でラウンド間全判定ダイス-5、ダメージで憎悪付与
ギル:どうしてそんなひどいことするんや
ギル:う~ん流石に耐えられなさそう。なんとかならないかな
ルカ:リアクション放棄で《復讐の刃》!
ゲオルグ:NPCカードを使用します
アッシュ:リア不!
ギル:おっなんだろう
デュバリー:何だとお……?
ルカ:何……?
アッシュ:何だろ
ギル:一瞬NPCカードでリア不にしてくるのかと思った
ゲオルグ:効果:ダメージ判定の直前に使用。その判定に対し、装甲値を+50してダメージを算出する。対象:範囲(選択)
アッシュ:つっよ!?
ルカ:エッどっちに!?
ゲオルグ:対象はギルくんとクレアくん
クレア:おじいちゃん!
ゲオルグ:それからもう一つの効果
ギル:おー
ゲオルグ:効果:NPCへのハプニングの発生を1回分無効化する。
アッシュ:めちゃ良いヤツ持ってる!
ルカ:おお!
ギル:これなら竜鱗で耐えられそう
ギル:おじいちゃんに甘えて《竜鱗》しよ~
クレア:リア不だからダメージ腐るのに賭けるぜ
デュバリー:じゃあ運命の切り替えはなし。マグネットフォースもメインプロセスが必要になる未来は見えないのでメジャー放棄でアッシュくんカバーリングしよ
ルカ:復讐の判定するね~
ギル:装甲33+50+50で133になるはず
GM:狂気
クレア:硬すぎ
ルカ:10dx7
DoubleCross : (10DX7) → 10[1,1,2,4,5,5,5,6,7,8]+10[3,8]+10[10]+3[3] → 33

ルカ:おっえらい回り
GM:ではダメージ!
ルカ:こっちもダメージ出す!
α:5D10+20+5D10
DoubleCross : (5D10+20+5D10) → 33[10,5,9,1,8]+20+32[9,1,5,8,9] → 85

ルカ:4d10+115 装甲有効
DoubleCross : (4D10+115) → 23[5,9,6,3]+115 → 138

ギル:出目すごくない?
ルカ:無茶苦茶
クレア:ヤバス
アッシュ:つっよ
GM:なにこれ……
α:でもまだ生きてます
デュバリー:しにます。樹々/○遺志/憐憫 人々/○遺志/憐憫 にロイスを取り、人々の方をタイタスに昇華して復活
ルカ:しにます リシェさんへのロイスをタイタス昇華して復活。
アッシュ:まだ生きてんのか
ギル:ナントカ生きてます
ルカ:ルカの侵蝕率を6増加 (169 → 175)
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を4増加 (171 → 175)
クレア:おじいちゃんパワーでも無理 ゲオルグさんに 敬意○/不安でロイスを取って昇華。復活します。

α:αの周囲が急速に冷却されていく。炎が消え、冷気が立ち込め、ほんの一時、仮初の静寂が下りる。
クレア:「この寒気は……!」
ギル:「……!あれだけ首を落として、まだ打てるのか……!」
ルカ:「あんなの、防げねえっつの…」身体の再生を急ぐ。
デュバリー:(来るか) 灰を纏った樹木の壁を一所にまとめ、ねじ上げる。さながら石塔のように。
アッシュ:「悪いなデュバリー。さっきから任せっきりで」
アッシュ:そうは言いつつも、悪びれたような顔でもない。いつもの悪戯っぽい笑み。
α:そして、爆発。αの周囲全方位に、凄絶な業火が解き放たれる。
α:頭部、首の断面、甲殻の隙間──自らの身を薪とするかの如く、αの全身ありとあらゆる箇所から爆炎が噴き出す。
デュバリー:業火の波から、塔の影にアッシュを庇う。自分は当然受けるがままだ
デュバリー:「……あなたができないことを代わりにやっているだけ」
デュバリー:「だからあなたは、私の代わり、に、ッ」  言葉は切れ、熱波によりまた身体が吹き飛ばされる
アッシュ:「ああ」 その瞳は変わらず竜を見据えて。
アッシュ:「キミの出来ないことをする」
ルカ:「……ッ、今が一番隙だらけだろッ…」業火に突っ込み、飛び出して、尾から再生した頭部を狙う。
ルカ:空中で無理やり身体を回転させ、巨大な剣の形に研ぎ澄ました砂の矛を、首を捻じ切るように叩きつける。
α:新たな頭部に巨大な傷が刻み込まれるが、その傷からもさらに炎が噴出する。
ルカ:「…かはっ」当然、全身が灼熱に焼かれ、爛れる。結果を見ないまま再び地に落ちていく。
ギル:鉄王を盾にブレスを防ごうとする。この火力、通常なら耐えられるものではないが……
ゲオルグ:ギルトレットを──そしてその傍らの“ゲシュペンスト”を覆い隠すように、巨大な石の壁が生み出される。
ゲオルグ:焼け焦げたローマの街並みをそのまま凝縮したかのような壁は、じりじりと溶け落ちながらもαの爆炎にも耐える。
ギル:「ルカのもの……じゃない。これはドイツの……」
クレア:「これは……」焼け爛れた半身を再生させながら壁を見上げる。
クレア:全身が焼かれる寸前、壁の内側に潜り込んだ。
ゲオルグ:そして壁は、更に変形していく。生み出されるのは巨大な砲口。
クラウディア:「指揮官っ!」業火が舐め尽くす圏内にいる。逃げられないと悟り、砂鉄を紡ぎ上げてその防壁を補強するが……元より防御は本領ではない。彼がいなければ消し炭になっていただろう。
エリアス:「そんな」影の鎧では己の身の範囲しか守れない。それですら溶け落ちていくというのに。
ゲオルグ:それはかつて只人であり、一人の軍人であったゲオルグ・クローヴィンケルの部隊が運用し、彼の人生で目にした最も純粋な力の形──カール自走臼砲III号車、“オーディン”。
ゲオルグ:轟音と共に放たれた砲撃がαの首を捉え、放たれ続ける炎を強制的に停止させる。
ゲオルグ:「カ、ハッ……」
カタリーナ:「お~」
ゲオルグ:力を使い果たして倒れ込み、焼け焦げた喉で咳き込む。
カタリーナ:「……?」
エリアス:「…なぜですか。あなただってもう、限界のはず!」
ゲオルグ:「……亡霊がようやく、死に場所を見つけられただけのことだ」
ゲオルグ:リザレクトが働いていない。生成した壁からレネゲイドが霧散していく。
ゲオルグ:「……行け。死者は振り返るものではない」
クラウディア:「っ……」拳を握りしめて、俄に顔を伏せる。
エリアス:(…助からない)心より先に理屈で理解できてしまう。
ゲオルグ:「お前達は生者だ。亡霊ではない」
ゲオルグ:「そして生きたくば、戦うしかない」
アウグスト:「……は」
アウグスト:「しかし、暫しお待ちあれ」
アウグスト:「証明は間もなくです。最後に焼き付けて行かれよ」
アウグスト:「貴方のなさってきたことが意味を結ぶ、その瞬間を」

GM:行動値12 クレアくんの手番です。
クレア:マイナーはなし
クレア:『Flower of Kent』《カスタマイズ》LV5《コンセントレイト:モルフェウス》LV5《魔弾の射手》LV5更にオートで《オーバーロード》LV3
クレア:作成した日本刀を2本使用してαを攻撃。そのうち一本を《オーバーロード》対象に指定。メインプロセス終了後に二つとも破壊。
GM:判定どうぞ!
クレア:16dx7+4
DoubleCross : (16DX7+4) → 10[1,3,4,4,4,4,5,5,6,6,7,8,9,9,9,9]+10[2,3,5,9,9,9]+10[1,8,10]+10[9,10]+10[4,8]+4[4]+4 → 58

クレア:どうじゃっ
サブGM:ハミる?
ルカ:ハミの旦那!
クレア:ほしいかも~
ハミース:OK 達成値+5するぜ
クレア:サンキューハミハミ
クレア:達成値は63!
α:60DX>=63 ドッジ
DoubleCross : (60DX10>=63) → 10[1,1,1,1,1,1,1,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10]+9[5,5,8,9,9] → 19 → 失敗

ルカ:怖いダイス数
GM:ダメージどうぞ!
クレア:一緒に砲撃の効果も使うよ!
ギル:がんばれ~
クレア:7d10+53+20 装甲有効
DoubleCross : (7D10+53+20) → 32[2,3,5,2,8,2,10]+53+20 → 105

アッシュ:デカい!
ルカ:どうだ~~
GM:フ……
α:まだ死なぬ
ルカ:何~~ッ
クレア:オイオイオイ
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を13増加 (164 → 177)
α:HP0 《燃える魂》LV? で復活

クレア:「(生きたければ……か)」崩れていく城塞を上へと駆け上がる。
クレア:未だその形を維持しているカール自走砲へと手を触れ、力を流し込む。
クレア:ゲオルグによって編まれたそれを、自らのレネゲイドで補い、変質させていく。
クレア:「……ああ、戦うさ」
クレア:「ハミース。照準を。普段の得物とは勝手が違う」
ハミース:「あいよ。1本だと狙いやすくていい」
ハミース:光の矢が砲身の先端に、十字のように展開される。
クレア:轟音。十字の中心を貫いて、赤い閃光が奔る。
クレア:長さも、口径も、通常の数倍に巨大化した砲身から打ち出された超重弾頭が、αへの1km以上の距離を減衰することなく一瞬で横断し
クレア:巨大な顎門に深々と穿たれ、炸裂する。
α:巨大な頭部に大穴が空き、更に内部から爆発する。
クレア:「これで……」確かな手応えに、思わず息をつくが
α:膨大な血飛沫。天を覆う架橋めいた首が一瞬、ぐらりと揺れ……その途中で止まる。
α:煙を上げながら超高速で再生し、歪に生成された大小幾つもの瞳が君達を映す。
クレア:「……何なんだ、お前は」
クレア:「そこまでして、一体何を憎んでいる」
クレア:驚異と共に感じた、言いようのない不気味さ。些細な疑問が不意に口から出る。
α:答えは無く、ただ雷鳴のような唸り声だけが漏れる。それは生物の本能か、知性ゆえの憤怒か。

GM:行動値7 アッシュくんの手番です。
アッシュ:d'accord.マイナーで舞の効果も使って尻尾のエンゲージまで移動
アッシュ:メジャーはコンボ。Leve la voile:コンセントレイト:ウロボロスLv4+シャドーテンタクルスLv1+アームズリンクLv4+ライトニングリンクLv6
アッシュ:C値-3、射程10m、判定D+4、攻撃力+24、侵蝕値+9
GM:判定どうぞ!
アッシュ:22dx7
DoubleCross : (22DX7) → 10[1,1,1,1,2,3,3,3,3,3,5,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,10]+10[2,3,3,4,7,9,10]+6[4,5,6] → 26

アッシュ:ダイスがマジでさぁ!
α:避けちゃお
α:60DX>=26 ドッジ
DoubleCross : (60DX10>=26) → 10[1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,8,8,8,8,9,9,9,10,10,10,10]+10[4,4,5,10]+5[5] → 25 → 失敗

α:クソッ!!
ルカ:あっっっぶな
アッシュ:あっぶね!!!
クレア:こわすぎ
ギル:セーフ
α:誰か妖精の手使って
アッシュ:ダメージ行くぞ!
GM:ダメージどうぞ!
アッシュ:12+24+24+3d10
DoubleCross : (12+24+24+3D10) → 12+24+24+14[9,2,3] → 74

α:生きてます
アッシュ:アッシュ・ノイ・ジラードの侵蝕率を9増加 (158 → 167)

ギル:一度地に落ちて、しかし再び立ち上がり竜に挑もうとするルカを一瞥し
ギル:「アッシュ!」その目をアッシュくんに移し声をかけるよ。
アッシュ:「ん?」 目の前に空いたゲートへ飛び込む前で立ち止まる。
ギル:「今、ルカが出している力は明らかに限界を超えてる。そして……悔しいが、今のルカに並べるのは君だけだ」
ギル:「ルカを頼む。……頼んでいいかい?」
アッシュ:「今更だな」 二ッと笑って。
アッシュ:「頼まれるのも任されるのも慣れてる。一つ増えたとこでどうってことないさ」
ギル:「ああ……そうだったね」
ギル:「でも、できれば君もルカと……」
アッシュ:話は終わったとばかりに向き直り、ゲートへと飛び込む。そしてゲートの先は――。
アッシュ:歪な瞳と鋭い鼻の先。新たに生成された首の正面。
アッシュ:一度納刀していた直剣からチン、と音が鳴る。同時、走った閃光が竜の顔面へ一文字の傷を刻む。
アッシュ:ゲートによる転移と合わせた居合による奇襲。その反動を利用して身を翻し、音もなく着地する。
α:硬質の甲殻が切り裂かれ、鱗が弾け飛んで鮮血が散る。
α:だが首そのものを切り落とすには至っていない。炎交じりの吐息と共に、耳を劈く咆哮をあげる。
アッシュ:「Wesh.調子はどうだ?」 咆哮を意に介さない、軽い声音。
アッシュ:「まだやれるか?」

GM:行動値6 ルカくんの手番です。
ルカ:ウッス!
ルカ:マイナーなし。メジャーで《コンセントレイト:モルフェウス》《ペネトレイト》オートで《砂の加護》しダイス+5個。
ルカ:尻尾くんに攻撃しやす!
GM:判定どうぞ!
サブGM:NPCカード使います
ルカ:おお!
ミラン・サイフェルト:汎用効果のほうが強いことに気づきました メジャーアクションのダイスを+5個します。
ルカ:やった~~
ルカ:では改めて
ルカ:(9+5+5)dx7+8-1
DoubleCross : (19DX7+7) → 10[1,2,3,4,4,4,4,5,5,6,6,7,7,8,9,10,10,10,10]+10[1,1,3,7,7,8,9,10]+10[3,4,6,8,10]+10[6,10]+2[2]+7 → 49

ルカ:あと1!
α:60DX>=49 ドッジ
DoubleCross : (60DX10>=49) → 10[1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,4,4,4,4,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,8,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10,10]+10[3,6,7,8,10]+10[10]+1[1] → 31 → 失敗

アッシュ:怖いな回避
クレア:こえーよ
ルカ:こわっ
GM:ダメージどうぞ!
ルカ:5d10+75+11+15 装甲無視
DoubleCross : (5D10+75+11+15) → 35[7,5,6,10,7]+75+11+15 → 136

ルカ:さっきと同じ出目だ 136装甲無視です
GM:くっ……
ルカ:どうだ……
α:HP0
α:《蘇生復活》で復活します。
ギル:やっちゃった……
ギル:あっあっ
ルカ:あっあっあ~~
ルカ:ルカの侵蝕率を8増加 (175 → 183)
クレア:しぶとすぎ!
アッシュ:あるのか……
デュバリー:なんてやつ

ルカ:「………まだ」
ルカ:息を吐く。
ルカ:気を抜くと、過大すぎる力を使っている反動に襲われてぶっ倒れそうだ。前回は一撃を放って気絶したくらいだから、
ルカ:今、こうしてこれほどの時間動けているのは、成長の証か、もしくはただの意地だ。
ルカ:「……やれる」 だから、英雄の言葉が聞こえて、不機嫌な顔で大地を蹴り飛ばした。
アッシュ:「C’est super.行ってこい」 意地であることを見透かしているのか、あるいはただ彼の成長を面白がっているのか。
アッシュ:ひらりと片手を振って踏み出す彼を見送る。
ルカ:もはや組み立てる武器も綺麗な形を保てない。廃材で繋がった、ただの巨大な鉤爪が生まれる。
ルカ:飛ぶように身体を駆ける。鱗が剝がれかけた首を狙う。
ルカ:「ッラァアアッ!」質量で抉り取るように、力任せに叩きつける。
α:衝撃波が大気を揺らし、巨大な首が半ばから弾け飛ぶ。
α:地響きと共に地に落ちる頭部。一瞬の静寂が周囲を包む。
ルカ:「っどうだ……」それを見た。そのまま、崩れた街へ落下する。
ギル:「いや、まだだ……!」
α:だが、ミシミシと軋む音が響くと共に、αの全身が異常な変化を遂げていく。
α:「ギ ィ ァ ア ア ァ ア ア ! !」
α:鱗を突き破り、脚が歪にへし折れ、滅茶苦茶な再生と変形が高速で繰り返される。
α:最早どこが急所か、本体かもわからぬような、無数の首や脚、尾が見る間に形成されていく。
エミリア:「……ル、カ……」
エミリア:戦場の一画、淡く輝く花畑のようになった瓦礫の上から、その光景を見遣る。
エミリア:最早両足の膝から下は花に置換され、立ち上がることもできない。
ミルシュカ:『……! 攻撃、来ます!』
ギル:「くっ……!あと一歩なのに……!皆、備えるんだ!」

GM:イニシアチブ
α:《魂焦がして》LV30
α:30D10 HP現在値・最大値アップ
DoubleCross : (30D10) → 146[2,6,6,5,1,1,6,1,5,3,5,7,5,8,2,2,2,5,5,7,3,10,6,6,9,7,9,4,4,4] → 146

α:《加速する刻》
α:《コンセントレイト:サラマンダー》LV3+ 《コキュートス》LV30+《バーストブレイク》LV99+《結合粉砕》LV3
α:対象PC全員
ギル:タスケテ~
α:60DX7
DoubleCross : (60DX7) → 10[1,1,1,1,1,1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,5,6,6,6,6,7,7,7,7,7,7,7,8,8,9,9,9,9,10,10,10,10,10,10,10,10,10,10]+10[1,2,2,2,3,5,5,5,6,6,6,7,7,7,8,9,9,10,10,10,10,10,10]+10[1,1,2,3,3,5,6,7,7,7,8,8]+10[2,5,6,7,7]+10[6,9]+10[8]+5[5] → 65

デュバリー:うおっ、跳ねてきたな
ギル:ヤバそう
クレア:避けるのもキツイ
アッシュ:こっちはリア不
ギル:ゲオルグさんもう一回NPCカード使って
クレア:蘇って!
ルカ:復讐る?
クレア:それがあったか
ギル:ルカちの侵食ヤバない?
ルカ:このまま死ぬとなるとかなりヤバいのはヤバい
ギル:ヤバいのだけわかる
アッシュ:ギル君の攻撃で行けると踏むなら復讐しない方が良さげではあるけども
ギル:任せていいんだぜ
ルカ:そしたら復活しないでいいかしら
ギル:そっそこまでは……わからん!
デュバリー:復活しないは刻IIと言われた瞬間に死ぬのでアレ
ルカ:ダヨネ……………
ルカ:じゃあとりあえず復讐は使わずそのまま回避するね!
ルカ:10dx>=65
DoubleCross : (10DX10>=65) → 10[1,2,2,3,4,5,5,9,10,10]+10[6,10]+5[5] → 25 → 失敗

デュバリー:がんばりが見える
ルカ:えっすごい 頑張った
クレア:がんばった
アッシュ:頑張ってえらい
ギル:ドッジしてみよ~
クレア:こちらはリア不
ギル:5DX+1
DoubleCross : (5DX10+1) → 9[5,5,5,5,9]+1 → 10

ギル:カス
デュバリー:デュバリーの回避はC値がないので跳ねには弱い……多分次に備えた方が良い というわけで素ドッジだけしておきます
デュバリー:5dx+1
DoubleCross : (5DX10+1) → 10[5,8,8,9,10]+7[7]+1 → 18

デュバリー:ウム
GM:ダメージ!
α:7D10+20+5D10
DoubleCross : (7D10+20+5D10) → 45[6,5,9,8,9,2,6]+20+41[10,9,5,10,7] → 106

クレア:出目良すぎ
ギル:おぎゃあおぎゃあ
デュバリー:まあどっちにせよ死ぬし……樹々のロイスをタイタスして昇華、復活します。
ルカ:死ます トミーのロイスをタイタス昇華して復活します
ギル:7つあると思っていたけど何度見直してもロイスが一つ足りない!
ギル:とりあえずこの場はリッケンバッカーくんのロイスをタイタスにして昇華、復活しよう
クレア:燃え尽きます。ルカに連帯感○/羨望でロイスを取って昇華復活。
アッシュ:αのロイスを昇華。それとは別に戦友/〇楽しみ/敵愾心で取っておきます
ギル:で、せっかくだからアッシュにロイスとろ~。アッシュ/P:信頼/N:劣等感○/ロイスで。
ギル:以上
GM:ハプニングが発生します
GM:1D100
DoubleCross : (1D100) → 58

GM:50〜59:重傷。NPC1人の耐久力を2減少させる。
クレア:痛い…!
GM:対象は……
GM:choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ラジーク,リシェ]
DoubleCross : (choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ラジーク,リシェ]) → イリーナ

GM:イリーナさん。
イリーナ:ぬう。とはいえ耐久力が4あったので
イリーナ:4から2になって死亡はせず。
GM:しぶとい奴らだ……

GM:αの身体が燃え盛り、四方八方に火炎が放たれる。
GM:狂乱の足掻きじみた、狙いすら定まらぬ滅茶苦茶な攻撃だが、壮絶なスケールから放たれるそれは、恐るべき脅威であり災禍そのものだ。
GM:周囲のあらゆるものが次々に吹き飛ばされ、焼き焦がされ、燃やし尽くされていく。
ギル:「ぐぅ……!ここで倒れるわけには……!」
デュバリー:熱波に流れる髪が、再生に伴い蔦混じりになる。またそれが熱波で焼かれる。手指は枝と化し、また炭化し、人のそれとして再生する。
デュバリー:オーヴァードの力が人の形ヒューマンズネイバーの限界をいよいよ超えようとしている。
ルカ:落下しゆく身体がそのまま焼かれる。「ぐあっ……」
ルカ:同様、生きたまま焼かれて地面を転がっていた親友が脳裏によぎった。
イリーナ:『……!』火線のひとつに捉えられ、高空を飛ぶ機体の片翼がもぎ取られる。墜落しかかり、急場で錬成をし直して持ち堪える。
クレア:「もう少し……奴の動きも精細を欠いている。もう少しのはずなんだ……」焼けた喉から声を絞り出す。
アッシュ:炭化して黒くなった身体を影が包み、その境界が曖昧に解けていく。
アッシュ:その末端が影法師のように揺らぎながら依然として竜と相対し。
アッシュ:「……ドラゴンってのは強いからドラゴンなんだけどさ」
アッシュ:「討伐されるってのもドラゴンの重要な一要素と思うんだよな。ましてや」
アッシュ:「これは英雄譚だから、な」 異形と化した竜を見上げ、言い聞かせるように笑う。

ルカ:つんざくような竜の咆哮を聞きながら、受け身もとれず瓦礫に突っ込む。
ルカ:「クソッ……」反動によるガタがきはじめていて、すぐに身動きできない。空を見上げて舌打ちする。
ミラン・サイフェルト:「……お前は」
ミラン・サイフェルト:「……アイギスの」
ルカ:視線だけ動かす。「…手、貸せ」
ミラン・サイフェルト:「……」手を引く。手のひらにぬるりと生暖かい感触。
ルカ:その感触を受けて、まじまじと男を見る。
ミラン・サイフェルト:「……俺のじゃない」
ミラン・サイフェルト:「お前を引く力はある」
ルカ:手を引かれながら、どうにか起き上がる。緩慢に頭を振りながら、会議の時の彼の姿を思い出す。
ルカ:もう一人の女といた。
ルカ:「……そうか」渋面で言う。
ルカ:「最悪だな」
ミラン・サイフェルト:「ああ」自分は座り込む。「何よりもな」視線を傍らに向ける。
ミラン・サイフェルト:崩れかけた瓦礫の山――かろうじて家だったことが見て取れるそれの陰。
ミラン・サイフェルト:女が倒れていた。腹に穴が空いている。
ルカ:彼の視線をなぞり、それを見やる。顔をしかめる。
ルカ:「…その人、追いかけんなよ」
ミラン・サイフェルト:「……そうすればよかったと思うがな」
ミラン・サイフェルト:背負っていた銃を構え、突きつける。
ミラン・サイフェルト:引き金を引く。弾は出ない。
ミラン・サイフェルト:「一発残しておけばよかった」
ルカ:「……」呆れたような、困ったような顔。
ルカ:「それは…」
ルカ:「不運だったな」
ミラン・サイフェルト:「……言われたよ」
ミラン・サイフェルト:「私がいなくなるなんて本当に運のないやつ、だと」
ミラン・サイフェルト:「最期がそれかよ」
ルカ:「置いてく方は、勝手なことばっか言いやがる」
ルカ:それだけ言って、巨竜を見上げる。
ルカ:「……」行こうとして、振り返る。「その人は?」
ルカ:「その人は、運があるやつだったの」
ミラン・サイフェルト:「少なくとも男運は無かったな」
ミラン・サイフェルト:「そいつから離れられたのは……どうだかな」
ミラン・サイフェルト:「あまり運があったとは言いたくはない」タバコを取り出し、火を点ける。
ミラン・サイフェルト:「吸うか?」
ルカ:「……まだいい」
ルカ:「1本とっておいて」
ルカ:ぶっきらぼうに返す。
ミラン・サイフェルト:「……そうか」
ミラン・サイフェルト:「じゃあ、こいつだけ持っていけ」銃を投げ渡す。
ルカ:「ん」受け取る。
ミラン・サイフェルト:「その辺りの瓦礫よりはマシな爪になる。俺のもとにあってもどうにも出来ん」
ルカ:「……」「うまく逃げろよ」
ミラン・サイフェルト:「……その必要がなくなるほうがありがたいな」
ミラン・サイフェルト:「うまくやれ」

GM:行動値0
GM:ギルくんの手番です。
ギル:マイナーで移動して、舞さんのNPC効果を使用。尻尾にエンゲージ
ギル:メジャーで《マルチウェポン》《ヴァリアブルウェポン》《無形の影》《コンセントレイト:ウロボロス》《零距離射撃》で、尻尾くんを攻撃しますね
ギル:大口径機関砲*4と拳銃で攻撃します。
GM:判定どうぞ!
ギル:メジャーダイスが-5されてて、戦艦の効果で+2されてて
ギル:9DX7+4-2
DoubleCross : (9DX7+2) → 10[1,2,4,4,4,9,10,10,10]+10[3,8,9,10]+4[2,2,4]+2 → 26

ギル:普通だ
α:実は暴走していたのでリアクション不可!
ギル:噂によると暴走らしい
ルカ:ホッ
ギル:ではダメージ
ルカ:あっ
ルカ:まちな
ルカ:《餓狼の爪》。ダメージ+101してね
ギル:お前を待っていたぜ!
ギル:強すぎ~ダメージ出します
ルカ:ルカの侵蝕率を3増加 (183 → 186)
GM:ダメージどうぞ
ギル:3D10+1d10+87+101
DoubleCross : (3D10+1D10+87+101) → 19[8,8,3]+4[4]+87+101 → 211

ギル:半分ずつだぜ
ルカ:俺とお前で200%だぜ
ギル:やったか!?
GM:うむ……
α:《エナジーシフト》LV4
ギル:うわ~っ
α:受けるダメージを0に HP12回復
ギル:リシェさん~
クレア:こいつ……
ルカ:そんな~~
ギル:邪毒のレベル10倍にしてくれ~
デュバリー:やりたい放題だ
アッシュ:マジで言ってる?
ルカ:あっ待って
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を16増加 (175 → 191)
ルカ:エネミーエフェクトですっけ?
ギル:もう戦えねえぜ
サブGM:Dロイス専用ですね
ギル:Dロイス専用だった気がする
GM:はい
クレア:申し子専用か
ルカ:デビストできない!なんでもないです
GM:残念ながらデビストできません!

ギル:「舞……転移頼む」
:「……」ギルの横顔を一瞥し「……ああ」ゲートを展開する。
ギル:「わかってる。もう僕も限界だ……でももう少しだけ」
ギル:「仲間のために無理をしたいんだ。……ありがとう」
:「……仲間の為にか」微かに苦笑する。「どう言えば私に止められないか、よく分かっている」
:「……死ぬなよ」
ギル:「約束は守るさ」半ば解けかけた鉄王を操作してゲートへ飛び込む
ギル:「……お前の敵は英雄だけじゃないぞ、こっちだ、化け物!」
ギル:舞のゲートを使い瞬時に接近した鉄王が、残った尾に向かって至近距離から弾丸を放つ。
ルカ:「ギルッ」廃墟から瓦礫の獣と化した状態で飛び出す。鉄王の放つ射線の下を潜り抜け、更に前面に躍り出る。
ギル:「ああ、終わらせるぞ、ルカ!」主砲が変形し暴発し、なおも射撃の手を止めない。ここでとどめを刺すために最後の力を振り絞る。
ルカ:手に握っていた狙撃銃が砂塵化し、強靭な鉤爪を構成していく。こちらも、限界を超えた力で横殴りにしようと拳を振りかざす。
ギル:「いくらお前が強くとも、その傷。今のルカと僕の二人がかりなら……!」
GM:醜悪なコラージュめいた異形に対し、弾丸の嵐と膨大なレネゲイドが叩き込まれるが──
ミルシュカ:『ッ……!……待ってください!攻撃中止!!』
GM:切羽詰まった声が飛ぶ。
ギル:「……!?」
ルカ:「なっ…」
GM:αの全身が炎に包まれ、弾丸を次々に溶かし、レネゲイドと共に吸収していく。
GM:骨肉の身体に、溶解した弾丸によって鋼鉄の鱗が生成される。レネゲイドを呑み込み、さらに肥大化していく。
ギル:「鉄王のレネゲイドを喰らって……!?」
ルカ:「んなのアリかよ…!」
ルカ:αの全身から吹き上がる焔から逃れるように、無理やり身体を捻じって後方に退避する。
レナート:「バケモンが……」乾いた血に塗れた顔で舌打ちをする。
ギル:「ぐっ……!」胸を抑えて膝をつく。立ち上がれない。今度こそ本当の限界だ。
ルカ:「ギル……」呼びかけるが、こちらも満足に動けていない。
ギル:「……すまない。少しでも手助けをしたかったんだけどね」
ギル:「僕のことは構うな、ルカ。凌がれた、もう一撃来る……!」
ルカ:横目に右腕を見る。出力の限界を超え、鉤爪の精製を保てず先端から砂塵化していく。
ルカ:「……、うるせえな…!」
リシェ:「死んでよ……」
リシェ:乱れ焼け焦げた髪、煤けた顔。ぼろぼろと涙を流しながら懇願する。「お願いだから、早く死んでよぉぉ……!」

GM:クリンナップ
GM:邪毒によるダメージ適応。まだ生存しています。

GM:ラウンド4
GM:セットアップから。
ギル:梨
クレア:なし!
ルカ:無!
アッシュ:無し
デュバリー:加速も意味ないよなあ ないぜ!
エンゲージ



クレア[12]

(500m)

デュバリー[8]

(500m)

アッシュ[7]ルカ[6]ギル[0]
尻尾[35]



GM:イニシアチブ 行動値35 αの手番です。
ギル:デュバリー助けて~
デュバリー:敵の出目が低いことを祈りな!
ルカ:デュババ~
α:《コンセントレイト:サラマンダー》LV3+《ブリザードブレス》LV20+《バーストブレイク》LV99
α:対象……
α:choice[アッシュ,ルカ,クレア,ギル,デュバリー]
DoubleCross : (choice[アッシュ,ルカ,クレア,ギル,デュバリー]) → ルカ

ルカ:ギャ~~ッ
α:アッシュ・ルカ・ギルトレット
アッシュ:範囲なのがキツイ
ギル:実は160を超えるとエフェクトレベルが1増えるんじゃ
ルカ:まっまさか
ギル:《原初の紫:孤独の魔眼》!3回目だぜ
アッシュ:ギル最高~!
GM:な……何ィ!?
ルカ:ギル~~~!!!
ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を4増加 (191 → 195)
GM:死ぬ気か……ギルトレット!
α:57DX7
DoubleCross : (57DX7) → 10[1,1,1,1,2,2,2,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,7,7,8,8,8,8,9,9,9,9,9,9,9,9,10,10,10,10]+10[1,1,2,2,4,4,4,5,5,6,6,6,7,7,7,8,8,8,10,10]+10[2,4,4,5,5,6,6,8]+10[7]+5[5] → 45

ギル:ギルトレット・レッドフォードの侵蝕率を1増加 (195 → 196)
ギル:5アップじゃった
デュバリー:避けろギルチュウ!
ギル:女の影が見える
ギル:妹からの頼みじゃしかなたいな
ギル:ドッジしてみます
ギル:5DX+1
DoubleCross : (5DX10+1) → 9[2,4,6,7,9]+1 → 10

ギル:うわ~!
ルカ:ああ~~!
ギル:なつき度が足りないよ~
デュバリー:失敗したドッジに対して《運命の切り替え》。代行するぜ
GM:何だとぉ……
GM:45なんて避けられるわけないぜ!
デュバリー:ドッジ時に《ゲットダウン》使用。
デュバリー:5dx+40=>45
DoubleCross : (5DX10+40>=45) → 9[1,3,4,5,9]+40 → 49 → 成功

デュバリー:大丈夫だ、問題ない
GM:バ……バカな……!
ギル:未来見えてる
クレア:すごいぜ
ルカ:さすがデュバ様
デュバリー:デュバリーの侵蝕率を5増加 (148 → 153)
アッシュ:まさかの損害0
GM:だがハプニングは発生するぜ
クレア:そんな~
ギル:デュバもなんだかんだヤバそう
ルカ:やめて~~
GM:choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ラジーク,リシェ]
DoubleCross : (choice[アウグスト,カタリーナ,クラウディア,エリアス,レナート,イリーナ,エドヴァルト,イレナ,パメラ,ロクサーヌ,ミラン,ラジーク,リシェ]) → クラウディア

GM:おっと 順番間違えたが……
GM:1D100
DoubleCross : (1D100) → 15

GM:くっ……!
GM:10〜19:順調な進行。ダメージは発生しない。
ギル:ク!
アッシュ:最高!
ギル:絶対死なせないというイルゼさんの遺志を感じる
ルカ:やったね

α:αが撒き散らしていた炎が急速に鎮火し、更に周囲が凍り付いていく。
α:これまでに何度も見た攻撃の予備動作。
α:だがここに至り、更に形振り構わない様子だ。自らの首や四肢も何本か完全に凍り付き、砕けて落下していく。
ギル:「鉄……王……っ!」気力を振り絞り、盾となるよう鉄王を動かす。
ギル:巨人の影は動かした端から崩れ、無数の鉄片へと戻っていく。だがそれでもいい。
ルカ:「くそ、やめろ、ギル…」庇われてるのが分かる。死ぬほど嫌だが、満足に動けない。
アッシュ:「大人しくしとけ」 ルカを担ぎ上げて、鉄王の影へと移動する。
アッシュ:「任せるとこは任せれば良いんだよ」
ルカ:「……任せるって…」担がれる。ギルの方を見る。
ギル:「やめないさ……僕にも意地がある……!」
ギル:「だけど、本当に、これで限界だ……。後は任せる、デュバリー……!」
α:冷気と氷、静寂が辺りに満ち、一切のエネルギーが消え失せる。そして。
α:──爆発。世界の開闢を思わせるような、荘厳ですらある閃光と業火が解き放たれる。
デュバリー:「……どうして、誰も彼も」「当然みたいに言ってくれるのかしらね」
デュバリー:刹那、色の混じった風が吹いた、ように見えたかもしれない。実際に動いたのは灰であり、風に感じたのは灰が動くに伴って生じた気流。
デュバリー:灰は滑りながら練り束ねられ、槍の如く形成される。そしてそれは、熱量放出の瞬間、確かに竜の頭へと突き出された。
デュバリー:些細な一撃だ。槍は放出の瞬間に消し飛んだ。彼に及んですらいない。だが、確かにその一撃が、放たれる熱量に流れを、逃げ道と言っても良い力の流れを作った。
デュバリー:……立ちはだかるギルの身体に熱が及ぶ。炎が降り注ぐ。常であれば当然のように倒れていたであろう火力だろう。
デュバリー:だが、レネゲイドの力が極限まで励起されている現状であれば。
デュバリー:「……どう?」
デュバリー:「ちゃんと立ってる?」
デュバリー:期待も希望もない。もうずっと疲弊の滲んだ声で、最低限の確認をする。
ギル:辺りが炎の生み出した光に照らされる中、ギルたちの居る場所だけが影になっている。
ギル:「怖い女だよ。本当に、味方で良かった……」炎を受けきり役目を果たした鉄王が、今度こそ崩れていくよ。
デュバリー:「コトの後に言われた言葉としては、史上最低ね」 通信機越しにそれだけ返し、また飛散した灰の一粒一粒と交感を開始する

GM:行動値12 クレアくんの手番です。
クレア:実は《剣の王城》で作った武器がもうない!ので
クレア:移動します。リーダーの効果を使ってαのエンゲージへ
クレア:メジャーは《カスタマイズ》LV5《コンセントレイト:モルフェウス》LV5ボルトアクションライフルでαを攻撃。更に《オーバーロード》LV3使用。
GM:判定どうぞ!
クレア:ボルトアクションライフルの攻撃力を加算し、攻撃後破壊。
クレア:15dx7+6
DoubleCross : (15DX7+6) → 10[1,1,1,1,2,3,4,4,4,4,7,8,9,10,10]+10[1,5,5,7,8]+4[3,4]+6 → 30

クレア:《剣精の手》
クレア:1dx7+36
DoubleCross : (1DX7+36) → 5[5]+36 → 41

α:暴走、リアクション不可
GM:ダメージどうぞ!
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を5増加 (177 → 182)
ルカ:ダメージ直前に《餓狼の爪》。ダメージ+101して!
ルカ:ルカの侵蝕率を3増加 (186 → 189)
クレア:うおおおおいくぜ!
ルカ:やっちまえーー!
クレア:5d10+8+8+101
DoubleCross : (5D10+8+8+101) → 26[8,7,3,2,6]+8+8+101 → 143

α:HPは129
ルカ:おおっ
ギル:やったか!?
クレア:どうだ!?
α:復活エフェクト……
α:ありません!戦闘終了です。
アッシュ:やったーーーー!!
デュバリー:オワッタ……
ルカ:おおーーー!!
クレア:よっしゃ~!
クレア:クレア・アップルシードの侵蝕率を4増加 (182 → 186)
ギル:はあはあはあはあ
ギル:やったか!?
ギル:やったか!?
ルカ:やったよ、ギル…
クレア:おじいちゃんやりましたよ
ギル:終わったようだな……
アッシュ:ようやく……

クレア:αが全力を解き放ち、爆炎を放出し尽くした後の僅かな弛緩。その刹那。頭上に小さなゲートが開く。
クレア:「待っていた。この瞬間が……」
クレア:「お前の最大の隙だ」
クレア:ゲートから落下しながら、空中を漂う塵と灰を集めて巨大な杭を精製する。
クレア:伸ばした腕に合わせて、それを空中で番え、
クレア:憎悪に満ちた竜の瞳と目があった瞬間、雷光の速さで弾丸は放たれた。
クレア:狙うはその眼球。龍鱗に守られていない、最も脆い部位。
クレア:龍の瞳に突き刺さった杭は、その身を半分ほど食い込ませて静止する。とても致命傷には至らない、虫に刺されたに等しい傷。
クレア:しかし次の瞬間、杭は仄かな光を発しその姿を変質させていく
クレア:眼球に突き刺さった部分から伸びた『根』が。竜の体内へと張り巡らされていく。
クレア:デュバリーが撒いた灰から継承した、植物の性質。
クレア:それは竜を殺す銀の弾丸ではない、しかし、竜を殺せる者の力を
クレア:そのレネゲイドを、竜の全身へと浸透させるための道となる。
クレア:「ルカ!!」落下しながら叫ぶ。
ルカ:「ッ……」声が届く。
ルカ:「……くそッ」「だから……っ、なんでおれなんだよっ」やけくそのように叫んで、気力だけで突進する。
ルカ:穿たれた杭によって動きを止めた竜の足を蹴りつけて、その首元まで弾丸めいて飛翔。
ルカ:度重なる攻撃を受け、鱗が剥がれかけた首の裂傷に、綻びかけた鉤爪を捩じ込むように突っ込む。
ルカ:この場にいた数多のオーヴァードから、そしてエミリアから受け取った過大なエネルギーを、全身に注ぎ込む。
ルカ:何度も全身を高揚させる術を受けた。その逆をする。レネゲイドを破壊の力に変える。
ルカ:竜の全身に張った『根』を通して、砂が染み込んで細胞を壊すみたいに、内側から壊し尽くしていく。
α:「────」
α:異形と化した竜が、苦悶の咆哮を上げる。
α:膨大なエネルギーが内部から浸透・炸裂し、夥しい首や四肢が次々に爆散していく。
α:だが、一際大きな咆哮。その全身が激しく燃え上がる。
α:残ったエネルギーの全てを注ぎ込み、再び蘇らんとしているのだ。
ルカ:「はっ……」力を使い果たしきって、ずっと眩暈がする。砂塵化した右腕が、まだ元に戻らない。
ルカ:「まだやる気かよ……」落下しながらその光景を見つめ、次の手を考える…ないとしても。
GM:しかし、瞬間。αを覆っていた炎が、ルカの目の前で掻き消えた。
ギル:「今度は何だ……?」
GM:代わりに実体の無い光の花が咲き誇り、舞い散る。
クレア:「これは……」
ルカ:「……エミリア」閉口する。
エミリア:「……は……」
エミリア:花の山に埋もれるようにして、力を使い果たして目を閉じる。
エミリア:「……ルカ……」
α:巨竜は軋むような音を立てて身じろぎし、やがて完全に静止する。
α:後には巨大な、黒く焦げた炭のような残骸が残った。
GM:灰が降り注ぐ中、辺りを静寂が包む。
ミルシュカ:『……αの停止を、確認……』
ミルシュカ:『……作戦終了』
ミルシュカ:『我々の、勝利です』

GM:バックトラック
GM:Eロイスはこちら

※頭部・胴体・尻尾の合計
【始祖】×3
このエネミーの取得しているエフェクトの最大レベルは「99」となる。
このEロイスは経験点5点分としてカウントする。
【覚醒する世界】×3
【さらなる絶望】×5


GM:11個です。
デュバリー:振らない奴は自殺志願者
アッシュ:とりあえず11個振ります
ルカ:本当にそう
クレア:死にたくねえ!振ります
ルカ:振ります!
デュバリー:153-11d10
DoubleCross : (153-11D10) → 153-67[10,6,3,8,5,6,5,9,7,5,3] → 86

アッシュ:167-11d10
DoubleCross : (167-11D10) → 167-71[8,8,10,10,3,2,1,10,7,4,8] → 96

ルカ:189-11d10
DoubleCross : (189-11D10) → 189-63[3,8,5,4,10,2,10,2,10,4,5] → 126

ギル:なんかすごそうなのあるな……
ギル:風呂
ギル:196-11d10
DoubleCross : (196-11D10) → 196-44[5,1,1,6,6,1,2,5,6,4,7] → 152

クレア:186-11d10
DoubleCross : (186-11D10) → 186-63[2,7,9,8,5,1,1,10,10,8,2] → 123

デュバリー:素振り~
ルカ:ギッギルくん
ギル:うわ~結構やばいかも
デュバリー:86-2d10
DoubleCross : (86-2D10) → 86-7[4,3] → 79

クレア:ジョニーのメモリーを使用し-10
デュバリー:ギル氏……
アッシュ:5個残ってるので素振り
ルカ:えっと2倍振りします
ギル:ロイス4つしか残ってないので倍で振りますね
アッシュ:96-5d10
DoubleCross : (96-5D10) → 96-21[2,5,6,1,7] → 75

ルカ:126-6d10
DoubleCross : (126-6D10) → 126-34[2,10,3,9,8,2] → 92

ギル:152-8d10 えいえい
DoubleCross : (152-8D10) → 152-39[6,4,1,7,5,2,4,10] → 113

ギル:下振れたらやばいな~追加ぶりします
ギル:113-4d10 うおおお
DoubleCross : (113-4D10) → 113-22[10,4,5,3] → 91

アッシュ:頑張って……
クレア:やった!
ギル:セーフ
ルカ:わ~~~っ
デュバリー:なんとかなった!
ルカ:よかった!
アッシュ:あっ良かった!
ギル:ゲオルグのおっさん……ありがとう……
クレア:113からロイス4で倍ふりするよ
クレア:113-8d10
DoubleCross : (113-8D10) → 113-50[7,6,5,2,8,10,8,4] → 63

ルカ:すごい帰還力
アッシュ:全員生還!
デュバリー:みんなおかえり~
GM:では全員生還!
ルカ:よかった~ただいま~
GM:命拾いしたな……
ギル:ひいひい
クレア:よかった…

Dロイス
《変異種》×2
《申し子》


GM:Eロイスと合わせて26点
GM:更にNPC1人生存につき3点進呈します
デュバリー:やばすぎ
GM:13人生存で39点。
アッシュ:ヤッバ
クレア:生きててくれてありがとう
ルカ:すごい
ギル:やった~
ギル:経験点美味しいよ~
アッシュ:美味しい~
GM:いつもの5点、シナリオ10点を加えて合計80点
GM:こちらに侵蝕分を加えて獲得してください。
アッシュ:85点!
クレア:83点!
デュバリー:85点
ルカ:83点
ギル:80点なのだ
GM:食べな!
ルカ:カロリーが高いぜ!ありがとうございます!
デュバリー:半分は冷凍してあとで食べよ~
クレア:悪くしないうちに食べなきゃ
アッシュ:もぐもぐ

リシェ:「……やっ……た……?」
リシェ:呆然と呟く。
ラジーク・マフフーズ:「……どうやら、そのようだな」
ギル:「……!」膝をついたまま、しばらく警戒しαの死骸を見つめていたが
ギル:「ああ……。どうやら本当に……ようやく……」
ギル:脱力し、壁に背を預けるように座り込むよ
ギル:「勝ちだ……僕達の」
:「……ああ。皆、よくやってくれた」
:「……我々の勝利だ」
アッシュ:「はーぁ」 影と雷が晴れ、刀身が露わになった剣を自身の横に突き立てる。
アッシュ:「ラストアタックは取られちまったか」
パメラ:「……くはあ……」背中から地面に倒れこむ。
ロクサーヌ:「……本当、に?死んだ……の……」何度も蘇ってきた記憶がこびりついて、にわかには信じられず。そのままじっと、灰になった竜の骸を見つめている。
クレア:「よくやったな。ルカ」地面に打ち付けられて弛緩する身体を起こして。
クレア:「君に任せて良かった」
ルカ:「……そりゃどうも」横で転がった身体で、クレアを見上げる。「……あんたこそ」
ルカ:「…あんたこそだ」
クレア:「やるべきタイミングで、自分にやれることをやった。誰もがそうだ」周りを見渡して。
クレア:「生き残った者も、死んだ者も」
ルカ:「………」クレアの言葉を聞いてこちらが言葉に詰まり、眉を寄せる。
エリアス:「……これが、アイギス……」
エドヴァルト:「……本当に、やってのけるとはな」
エドヴァルト:血と灰に濡れて人のものに戻りかかっている両腕を、ゆっくりと下ろす。膝をつく。
イレナ:「死ぬんだ、あれ………」
イレナ:「いや……殺せるんだ、か」
レナート:深く息を吐き、その場にしゃがみ込む。「……やりましたよ……マム」
エリアス:「………はーーー!!」【代謝制御】【完全演技】を解除する。
エリアス:膝から崩れ落ちる。「お疲れさまでした……!」
アウグスト:(貴方の勝ちです。閣下)言葉には出さない。もう聞こえないだろうからだ。
アウグスト:「お前たちも、よくぞやった」
カタリーナ:「やったねえ」
クラウディア:「あっ、はは……勝った。生き残った……!」
リシェ:「……」
リシェ:煙が晴れていく中、座り込んだまま。巨竜の残骸と、アッシュとルカ──アイギスの面々を見遣る。
リシェ:(……英雄、か……)
デュバリー:……見渡す限り灰に包まれた市街。その片隅、ぼろぼろに汚れた小さな身体が、崩れかけた壁にもたれかかり、座り込んでいる。
デュバリー:実際の所、歓喜などない。素直にそれを受容するには、今日のデュバリーは死を感じすぎた。
デュバリー:樹々であったものを、人々であったものを、ローマという都市を、呼び起こし、倒れても引きずり起こし、灰になるまで、灰になっても再死を強要した。
デュバリー:今はとにかく、この灰に囲まれて、春を待つ種のように眠ってしまいたいばかりだった。だから……ぼろぼろの通信機に向かって、確かなことだけを口にする。
デュバリー:「……疲れたから寝たいんだけど、寝る前に分かること、報告するから」
デュバリー:「とりあえず、αは今のところ完全に死んでる。体内まで行った灰が、あれは今動いてないって教えてくれてる。……起き出さないことを全世界で祈って欲しいね」
ルカ:どうにか身を起こし、瓦礫に手をつきながら、ずるずると移動を始める。デュバリーの声がどこか遠くにあるようで、けれど明瞭に聞こえる。
デュバリー:「他にも今の所、動きはないはず。オーヴァードの皆さんも、これから一戦交えるつもりがあるなら早めに自白して。世界最大のバカとして記憶しておかなきゃ」
デュバリー:「あと……」
デュバリー:「動かなくなった者の位置を伝える」
デュバリー:ぽつぽつと、竜の骸を起点に、感じ取った死体の座標を告げる。それが誰か、までデュバリーにはわからなかったが……
デュバリー:戦いの中で同胞の死を認識していたのなら、チェックリストを埋めるように、それが誰かが、オーヴァードたちの間で共有されたはずだ。
デュバリー:ただ一つの死体を除いて。
ミルシュカ:『……了解。皆さんを含め、回収を手配しています』
ミルシュカ:『……お疲れさまでした、皆さん』
ルカ:…そもそもこの場面に至って、あの陽気すぎる声が聞こえないのだから、その時点で、どこか覚悟していたんだと思う。
ルカ:座標に辿り着き、その光景を見つめた。かつての友人が黒焦げになっていた。
ルカ:「………」眩暈がしていた。同時に、エミリアの様子も見に行かなければと場違いなことを思った。
ルカ:「………だから」
ルカ:「コインで決めるなって言ったんだ」
GM:黒く焦げた身体の傍に、一枚のコインが落ちている。
GM:激しい炎で半ば溶解し、両面共に真っ黒に煤け、表と裏も分からなくなっていた。
ルカ:膝をついて、どうにかそれをつまみ上げる。
ルカ:だから彼が、結局どの面を見て何を思ったのか分からないし、こっちも何かを話すつもりだったのだが、それも分からなくなった。
ルカ:瞬きをする。眩暈に襲われて、そのまま気を失った。

GM:斯くして、後に伊国超人戦Battle of Romaと呼ばれる戦いは終結した。
GM:数千万の民間人と数十のオーヴァードの犠牲者を出したこの事件は、世界に衝撃と波紋を与え
GM:オーヴァードを危険視する見方が強まったと共に、自国戦力として保有する抑止力としての重要性もまた浮き彫りになる形となった。
GM:戦いに身を投じたオーヴァードはその後、それぞれ各国に帰投したが
GM:多くのオーヴァードの死により各国の戦力バランスは崩れ、またイタリアが政治的空白となったことにより、世界情勢には更なる混沌の渦が生まれようとしていた。



【ED】

ベルン市内 市民病院
GM:激戦を終え、各国が夥しい事後処理や調整に追われる中、戦いを終えたオーヴァード達には束の間の休息が訪れていた。
GM:即座に入院を余儀なくされたもの、息つく間もなく帰国の途に着いた者など境遇は様々だったが、
GM:ベルンに残った者たちは会話を交わしたり、ささやかな祝勝会じみた催しを執り行ったりと、思い思いに過ごしていた。

リシェ:ローマでの戦闘で重傷を負ったリシェは、この市民病院に搬送され、入院を余儀なくされていた。
リシェ:幸い命に別状は無かったが、しばらくまともに動けはしない状態だ。
リシェ:オーヴァードという境遇を考慮されてか、他の患者から離れた個室。恐れからの隔離とも言えるだろう。
リシェ:故国からも離れ見舞客は少ないようで、物の少ない病室に一人ぽつんと横たわっていた。
デュバリー:……デュバリーも、戦闘直後は起き上がれぬほどに疲弊していたが。
デュバリー:そこはレネゲイドビーイングであり、死なない女である。たっぷり半日ほど昏睡して、起き上がってからは数時間ほど陽の光を浴び。
デュバリー:それだけでほとんど元の調子を取り戻した彼女は、今日も常と変わらぬ、美しく静まり返った面持ちで、そよそよと空気の流れるように歩いていた。
デュバリー:そして、流れる風が戸を叩くことなどない。まったく遠慮なく、病室の戸を開く。
リシェ:「…………!」ぎょっとした顔で来訪者を見る。
リシェ:深い隈の刻まれた、疲れ切った面持ち。溶けかけた眼鏡はサイドボードに置いてあり、裸眼。
リシェ:目を凝らすように細め「貴女……」
デュバリー:「意外と殺風景ね。お見舞いの品も……ないではないけど」
デュバリー:手提げのバッグを手に、ぽつぽつと個室へ入っていく 「気の利いたのはそこのオブジェくらいかしら」
デュバリー:「戦いを思い出させるね」 溶けかけた眼鏡のことである
リシェ:「……ノックくらいしたらどうなの……常識が無いわ」非難するように言って、膝の辺りで毛布を握る。
デュバリー:「次来る時はそうしようかしら。だったら嬉しい?」
リシェ:「また来る用があるのならね」
リシェ:元々色白が目を引いた女ではあるが、病室にいるとさながら保護色じみている。
リシェ:「……何の用かしら」
デュバリー:「あの戦いで、負傷で済んだオーヴァードの様子を見て回っている所。ここもその一環」
デュバリー:「だからまあ、すっかりやせ細ったあなたの様子が見られた時点で、用は達成したとも言える」
デュバリー:言葉に反し、椅子を出して座り、バッグの中を漁っている
リシェ:「傭兵アイギスがカウンセリングもしてるなんて知らなかったわね」
リシェ:「そういう貴女は随分と元気そう」
デュバリー:「まさか。次攻め落とす先をどこにするかの判断材料を集めてるのよ」
デュバリー:さらりと言う 「私の本職は潜入と情報収集だからね」
リシェ:「それなら、絶好の相手を見つけたわね」せせら笑うように口元を歪めて、膝の上で骨ばった指を組む。
リシェ:美しかった髪には艶が無く、表情は疲れ切っている。
デュバリー:「オランダか……行ったことはないな。良いところ?」
デュバリー:卓上額に入った葉書サイズの絵を、断りもせずサイドテーブルに置く。素朴な調子で描かれた、鉢植えのチューリップの絵である。
リシェ:「そうね……」口を開きかけて、その絵に目を留める。「……これは?」
デュバリー:「お見舞い。本物の植物だと、私が交感するたび、あなたの陰気な二酸化炭素を吸う羽目になって、困りそうだからね」
リシェ:「……見舞いに来たわけ?皮肉を言いに来たわけ?」
デュバリー:「情報収集って言ったでしょ」 ブラシを取る 「髪、梳いてあげましょうか。ひどいありさま」
リシェ:「……」警戒し、思惑を探るようにその顔色を伺う。
デュバリー:「女の子を綺麗にするのは得意よ?」
リシェ:眉間に皺を寄せ、何か言おうとするように口元を動かしたが、
リシェ:「……好きにしたら?」結局そう言って息を吐く。
デュバリー:バッグからヘアオイルを取り出し、指で背を向けるよう指示しつつ、その髪を手に取る。
デュバリー:少しずつオイルを髪に馴染ませるよう、丁寧にブラシを滑らせる。自称したように、その手付きはこなれていた。
リシェ:抵抗こそしないが、その心地良さが逆に不服とでもいうような複雑な表情を浮かべる。
リシェ:「……」
リシェ:「……オランダは……」
デュバリー:「ええ」 手を止めず、相槌を打つ
リシェ:ぽつりと口を開き、続ける。
リシェ:「……いい国かどうかは、分からない。他の国で生まれたことも、過ごしたことも無いから」
リシェ:「故国って……そういうものでしょう」
リシェ:「……だから、普通の生活を取り上げられて、英雄なんて祀り上げられても……」
リシェ:「……何とか頑張ってみようって、そう思えるくらいには……国を愛してた」
デュバリー:リシェの言葉と、髪をブラシで溶かす音ばかりが、静かな病室に震える。
デュバリー:「たいした頑張りだったわね。……待って、半分は皮肉じゃない」
デュバリー:「議場で話をまとめにかかった時は、素直にあなたを褒めてあげたい気分だったのよ」
デュバリー:「私もあの踊り会議には、ものすごくうんざりしていたから」
デュバリー:「そこだけはね」
デュバリー:念押しするように言って、逆側の髪を手に取り、ブラッシングを続ける。
リシェ:「あんなの……オーヴァードじゃなくたって出来る。ハイスクールの学級委員の仕事でしょ」溜息交じりに。
リシェ:「……正直言って……満更でも無かったのよ」
リシェ:「大勢の役に立てて、皆から尊敬されて……。普通の生き方をすれば、きっと手に入らなかったものばかりで」
リシェ:「自分がこの国を護るなんて、本気で思えたわ」
デュバリー:「いいじゃない」 声音は平坦だが、穏やかだ
リシェ:「……でも、無理だった」
リシェ:俯き、膝の上で毛布を握り締める。
リシェ:「眠れないのよ」
リシェ:「目を閉じても消えないの。あの化け物と、死んでいく人達が……」
リシェ:「あの火が……」
リシェ:震える声を絞り出すように漏らす。
デュバリー:「そうね」
リシェ:「……何も知らなかった」
リシェ:「本物の戦場が、こんなに……」
リシェ:そこで言葉を詰まらせ、静かに肩を震わせる。
デュバリー:撫でるような手付きで、髪をとかし続ける
デュバリー:「まあ、あなたが弱っている分には、私たちとしては損でもないし、どちらでも良いんだけど……」
デュバリー:「一つ言うなら、あれは本物である以上に、規格外ではあったでしょうね」
デュバリー:「どんな戦争でも、多かれ少なかれ人は死んで、家は燃えるでしょうけど」
デュバリー:「あそこまで黙示録みたいになることは、もう後にも先にもないわ。……そうでないと困る」
リシェ:「……それなら、その『規格外』を目にして……」
リシェ:「どうして貴女は、平気でいられるの……」
デュバリー:「……」
デュバリー:理由などわからない、というのがデュバリーの回答だ。何せ現状は単なる結果であり、その経路のどの要因が自らの『平気』を作り出しているかなど、分かったものではない。
デュバリー:ただ、コミュニケーションにおける『正解』がそれではないことくらい、さすがにこのレネゲイドビーイングも学習している。
デュバリー:「……守りたいものは守れた」
デュバリー:「全てを守ることはできなかった、多くを失いはしたけど」
デュバリー:「それに目を向ければ、まあ、多少はましな気持ちになる」
デュバリー:「そういうことかしら」
デュバリー:ブラッシングの手を止める。元通り、とは到底言えないにせよ、その銀髪は色艶を少しばかり取り返し、薄暗い蛍光灯の下で光っているようにも見える。
リシェ:「……」割れた眼鏡に目を落とす。
リシェ:「……無駄じゃなかったって?」
デュバリー:「そういう損得計算じゃなくて、単純に」
デュバリー:「守りたいと思っていたものが、ちゃんと生きていて賑やかなところを見たり、想像したりすれば」
デュバリー:「気が晴れるとか、そういう話」
リシェ:微かに目を細める。
リシェ:「意外と人間らしい」
デュバリー:「明るい所が好きなだけ。本当は可憐な草花なのよ」
リシェ:「なら、貴女の守りたいものって?水とお日さまかしら」
デュバリー:「家族と、仲間。私を慕って、私に親しんでくれる人」
デュバリー:「それが人間にとっての水と光でしょ、多分」
デュバリー:ブラシを油紙で拭いて、バッグに入れ直し、椅子を立つ
リシェ:「……用事は済んだ?」
リシェ:「こんなことまで喋る気じゃなかったのに……上手く付け込まれた気がするわ」
デュバリー:「今のあなたなら6歳児にだって付け込まれるでしょうね。……用事は」
デュバリー:卓上額を指差す 「それを置いた時に済んでた。あとはサービスの掃除みたいなものよ」
デュバリー:「それ、絵葉書。うちの"娘"の一人に、あなたがいた、ってちょっとこぼしたら、いたく興奮しちゃって……」
デュバリー:「なんか、雑誌か何かで知って、ファンだったらしいわ。絵の裏、ファンレターだから。後で読んでおきなさい」
リシェ:「……娘?」やや怪訝な顔をしつつ、描かれたチューリップに目をやる。「……そう……」
デュバリー:「天恵を授かり男にも負けることなく、国を背に負い果敢に立つ、強く美しい銀髪の戦乙女!」
デュバリー:「……らしいわよ。人違いだったらごめんなさい」
リシェ:「……」非難と羞恥の入り混じった表情を浮かべて呻く。
デュバリー:「本国に帰ったら本物で溢れ返るんでしょうけど、今はしばらくそれを見てれば良いんじゃない」
リシェ:「……」
リシェ:じっと絵葉書を眺め、深く息を吐く。
リシェ:「……そうね……礼は言っておくわ」
リシェ:「その子と……それから、一応貴女にも」
リシェ:「……貴女、本当にただの傭兵なの?」
デュバリー:「Mélusine」
デュバリー:「傭兵である前に、人間である前に」
デュバリー:「"娘"たちの母親よ」
デュバリー:薄く笑って踵を返し、病室を後にする。

---

ルカ:ノックをして、返事がなかったら帰ろうと思っていた。
ルカ:眉間に深い皺が刻まれた不機嫌そうな表情で、ノックを3回。
リシェ:どうぞ、と小さな声が返ってくる。
ルカ:「………」「……どうも」のそりと入って来る。入院服から着替えたばかりの、ラフな格好。
リシェ:「貴方は……」
リシェ:ベッドの上から、少し驚いた顔で。
リシェ:「……」
リシェ:「……ええと……」
リシェ:「御免なさい、お名前……聞いていませんでしたね」
ルカ:「…ルカ」ぼそっと言うと、椅子を見つけて勝手にどかりと座る。
ルカ:「名乗ってもなかったな」
リシェ:「……ルカさん」
リシェ:「メステルです。リシェ・デ・メステル」
ルカ:「ん」その表情を見る。陽光に晒された顔が、ずいぶんやつれていた。
ルカ:それでも髪は梳いているようだから、そのおかげか、まだマシには見える。
リシェ:「……貴方も、ここに入院を?」
ルカ:「……ずっと寝てたらしくて、今日の朝起きて」
ルカ:不機嫌そうな顔で言う。「怪我してる訳じゃないし。寝てるのも飽きたから出てきた」
リシェ:「……そうですか」
リシェ:少し言葉を探すように「……お元気そうで何よりです」
ルカ:…与えられた莫大なエネルギーによって、限界を超えて体を酷使していた反動だろう、筋肉痛が極まったような痛みの名残がいまだ残っていたが、
ルカ:だからといって、ただ寝ていると妙なことを考えてしまいそうで嫌だった。それは彼女に告げることでもない。
ルカ:「……なんていうか」こちらも言葉を探る。
ルカ:「あんた、どうしてるかと思って。見に来ただけ」
リシェ:「……生きてますよ。多分」
リシェ:「……いえ……どうなんでしょう」
リシェ:「今でも幻のような気がするんです」
リシェ:「本当は今、この瞬間も……あの地獄で死ぬ間際に見ている、幻覚なんじゃないか……」
リシェ:「そんな風に思えて、仕方ない……」
ルカ:「死後の景色か」
ルカ:壊れた眼鏡に目を留める。勝手にそれを手にとる。
ルカ:「……だったらもうちょっと、冗談みたいに幸せになってるはずじゃないの」
リシェ:「……」
リシェ:「あれが地獄だとすれば……」
リシェ:「……あの光景は、あるいは煉獄か」
リシェ:「それは、罪を清算する場所だったはず」
リシェ:「……少しは消えましたか、貴方の罪悪感は」
ルカ:「………」リシェさんを一瞥します。
ルカ:「……いや」
ルカ:「ただ疲れただけって感じ」
ルカ:ぼそぼそと言う。「…そうだ。そんな話もしたな」
ルカ:「話し過ぎた」
リシェ:「……」少し前に来た女と同じ組織の人間とは思えないな、などと考えながらその顔を見る。
リシェ:「あんな責め苦を受ける咎があるのなら……我々の罪は余程重いのでしょうね」
リシェ:「……背教者か」自嘲するように言って
リシェ:「あの地獄を生き抜いて、それでもまだ消せない罪だというのなら……」
リシェ:「貴方は一体、いつまで戦わないといけないのですか」
ルカ:「…………」ムッと黙り込む。
ルカ:「…あんたが、罪人だとは思えないけど」
ルカ:「おれは」「………」
ルカ:(メイは、おれのせいで死んだ)(トミーは? …こういう思いが燻ってる限り、……)
ルカ:「……知らない」
ルカ:ムスッとした顔で言う。「……人のこと気にするくらい元気になったってことでいいの」
リシェ:「……そうかもね」
リシェ:一枚の絵葉書を手に取る。
リシェ:「『人違い』ではいられないから」ぽつりと言う。
ルカ:怪訝な顔をする。
ルカ:「…ならいい」
リシェ:「……故国に帰るわ」
リシェ:「どこまでやれるかは分からないけど……」
リシェ:「もう少しだけでも。今はまだ、その時じゃないから」
ルカ:「………」その表情を見る。部屋に入った時より溌剌として見えた。
ルカ:「そう。…だったら、まあ」
ルカ:「……良かったんじゃないの」 敵になるかもしれない女に何を言ってるんだろうと、余計に不機嫌そうな顔になる。
ルカ:「見舞いの品も無くて悪かったな」
ルカ:ぶっきらぼうにそう言って、腰を上げる。
リシェ:「ルカさん」去ろうとする背中に声を掛ける。
ルカ:振り返る。
リシェ:「ありがとうございました」
リシェ:「最後に一歩だけ、私が立ち上がれたのは……貴方のお陰です」
ルカ:「……馬鹿」口をへの字に曲げる。
ルカ:「これからだろ」
ルカ:そう言うと、大股に病室を出て行きます。
リシェ:静かにそれを見送って、束の間祈りを捧げた。
リシェ:彼とその心に、安らぎがあるようにと。

---

エリアス:ひょろりとした背の青年。片手には添え木と、それごと腕を吊った布。
エリアス:ベッドの上で手足を持て余したように上半身を起こして、窓の外を見ている。
ルカ:ノック。そこまで大人しい音ではない。
エリアス:「ん? どうぞ」
ルカ:「入る」不愛想な顔で入室してくる。
エリアス:「おお、ルカ!お久しぶりです」
ルカ:「うん」椅子にどかっと座りながら、相変わらず不機嫌そうな顔でいる。
ルカ:「顔、見に来ただけ」
エリアス:「おれも気になってたので、来てくれて嬉しいっすよ」
エリアス:「すごいな。折れてない。キュマイラ入ってると丈夫なのかな」
ルカ:「触るなよ。触られると死ぬほど痛いから」
エリアス:「あー。やっぱそれはそうなんだ」
ルカ:「無理やり動かし続けた反動つうか……」「……こっちの話はいいんだ」
エリアス:「おう」きょとんとして。「ルカの話ではなく?」
エリアス:「おれは無事ですけど…。軍の話?」
ルカ:「………」ムッとする。「……ただ」
ルカ:「顔見に来ただけ」
エリアス:「顔見たら喋りたくなりません?」
エリアス:「……暇なんすよ、ずっとゴロゴロしてるの」
ルカ:「軍の話、したいか」
ルカ:「おれは特にしたくないよ」
エリアス:「いや、したくはない。同じく」笑う。
ルカ:「ああ」微かに笑う。
ルカ:「……それ以外なら付き合う、って、言いたいけど」
エリアス:「けど?」
ルカ:「あんたと仲良くなりたくないな」
エリアス:「え!?」
エリアス:「なんでっすか?おれもう割といい感じだと思ってたんですけど」
エリアス:大げさに驚く。
ルカ:「うるせえな」不機嫌そうな顔をする。
エリアス:「まあアイギスとうちが対立することはあるかもですが」
ルカ:「……なら言うな」どつく。
エリアス:どつかれる。「うげ」
エリアス:「でも、そんなの考えるより、話さないことのが後悔しそうかなって」
ルカ:「………」エリアスくんを見ます。
エリアス:苦笑になる。「大丈夫ですよ」
エリアス:「……具体的に何ってわけじゃないですけど、『おれは』大丈夫です。でした」
エリアス:「ルカも無事で、少なくともいまのおれは嬉しいし」
エリアス:「…なんていうか。別にそんな顔することないでしょっていう」
エリアス:感じです、と言って伸びをする。片手もつられて動きそうになり、痛がる。
ルカ:それをよそに、口元に手を当てる。ますます眉間に皺が刻まれていく。
ルカ:「……………うるせ」
ルカ:「やっぱいい。話さない。帰る」
エリアス:「あっ。おれが生意気でした、もう…!」
エリアス:「あー、帰るなら。アッシュ・ノイ・ジラードにもよろしくお伝えください」
エリアス:「…なんか。何をよろしくだよって感じですけど。うん」
ルカ:「………あんたは」
ルカ:「今の生活、なんだかんだ楽しかったなって、何十年か後にでも思ってそうだな」
エリアス:「……何十年か後まで、生きてると思ってくれるなら」
エリアス:「そう思われてる人生なら、悪くはなさそうじゃないですか?」
ルカ:「…………」一瞥する。
ルカ:その表情に、こういう事を自分に言った友人が重なりそうになって、いや別人だと思い直す。
ルカ:「さあな」
エリアス:「ルカも……」
ルカ:「うるせえ」
エリアス:「……違うなって今、おれも思いました」
ルカ:「……」不機嫌そうな顔でいる。「伝言は伝えとく」
ルカ:「それじゃ。酒は退院してからにしろよ」
エリアス:「はい。来てくれてありがとうございました」「あ、あと」
ルカ:「んだよ」最後に振り向く。
エリアス:「『違う』けど。でも、普通に。出会った人として、心配させてくださいね」
エリアス:「仲良くならなくても、それくらいはするでしょ?」
ルカ:「……」「そう思ってる時点で……、いや」
ルカ:「すんな。馬鹿」
ルカ:ムスッとしたまま言って、返事も聞かずに病室を出て行きます。
エリアス:「……」軍に貸与された遺産は、適合者の抱く恐怖を失わせてゆくという。
エリアス:また今回で、少し、怖くなくなった。きっとこれからも。果てには、この生活が良い思い出にすらなっていくのだろう。
エリアス:(……なっていきたくない人に、おれが言えることとか)
エリアス:(ないんだろうな、ほんとは)

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サブGM:病院のすぐ外のベンチに、一人の男が座っている。
ミラン・サイフェルト:「……」
ミラン・サイフェルト:男は煙草を取り出し、空を仰いだ。
ミラン・サイフェルト:天を仰いだまま。
ミラン・サイフェルト:「……取ってあるぞ」
ミラン・サイフェルト:近づいた青年の先手を取って、声を掛けた。
ルカ:「………」ムッとする。影すらも男には届いていない。
ルカ:ずかずかと近寄って、ベンチに座ります。
ミラン・サイフェルト:「色々と見えるだけだ」一本手渡す。「そう気分を害すな」
ルカ:「オーヴァードってのは……」ムスッとした顔でぼやきながら、受け取る。
ルカ:「火は?」
ミラン・サイフェルト:「難儀だよな」ライターを取り出し、火を点ける。
ミラン・サイフェルト:「全員が火を出せるわけでもねえが」
ルカ:「それに」「あの場所じゃ飽きるほど燃え盛っていたのにな」
ミラン・サイフェルト:「思うところになんてなかなか行かねえもんだ」
ルカ:煙草の先に火が灯る。それを見やり、口に運ぶ。
ルカ:吸う。吸い込んで、思いきりむせて咳き込む。
ミラン・サイフェルト:「……おいまさか」
ルカ:「………」ムスッとした顔を上げる。「………初めて吸った」
ミラン・サイフェルト:「……ふ」幽かに笑って。
ミラン・サイフェルト:「ロクなもんじゃないだろ」
ルカ:「もっと美味いもんだと…、なんだこれ」顔をしかめている。
ミラン・サイフェルト:「肺まで落とすんだよ、煙を。行き渡らせるようにな」
ミラン・サイフェルト:「もっとも……そいつをしたら美味いもんでもねえが」
ルカ:「……美味くなくても」「吸う訳?」横目で見る。
ミラン・サイフェルト:「……どうやらそういうもんらしい」
ミラン・サイフェルト:「俺に勧めたやつはそう言ってたな」
ルカ:「……」煙草を咥えて、先ほどよりよほど僅かな量を吸う。今度はうまくできた。
ルカ:息を吐く。「……さっきまで」
ルカ:「今回……まあまあ話した人たちに、もう一度会ってきて」
ルカ:「話してたけど。なんか」
ミラン・サイフェルト:「なんか?」
ルカ:「…次は敵対するかもしれない相手に何してんだかって…阿呆らしくなったから」
ルカ:ミランさんを横目に見る。「あんたのその煙草の話も、詳しく突っ込まないことにする」
ミラン・サイフェルト:「そうか。そうしたほうが楽だろうな」
ミラン・サイフェルト:「そう割り切れるんならな。だが、俺の見立てじゃ」
ミラン・サイフェルト:「お前はそう出来ない側だろう。こっちだ」
ルカ:「………あんたもかよ」
ミラン・サイフェルト:「うちの国がどことやりあってたと思ってるんだ」
ミラン・サイフェルト:「今はユーゴスラビア連合なんてのたまってたけどな」
ミラン・サイフェルト:「元は国をせっせと分けて争いこいてた。あれが出るまではな」
ルカ:「あれ?」
ミラン・サイフェルト:「飽きるほど出してたろ。火を」
ルカ:「……」思い当たる。「…急ごしらえの軍だったな。そういや」
ミラン・サイフェルト:「急ごしらえであれだけやれたほうが、まあ、幸運だったんだろうがな」
ルカ:「……軍は解散になって」
ルカ:「あんたは…組んでた相手とまた敵対するようになる、予定だったわけ」
ミラン・サイフェルト:「……いや」
ミラン・サイフェルト:「目的を果たせりゃ、そうなってなかったんだろうな。今となっちゃ無謀だったが」
ルカ:「……そう」
ルカ:「うまくいかないな」眼前に広がる景色を眺めている。馬鹿みたいに平穏だった。
ミラン・サイフェルト:「その中で最善をするしかねえってわけだ。俺らが拾えるのは小さい幸運くらいだ」
ミラン・サイフェルト:目の前で車が停まる。
ミラン・サイフェルト:降りてきた運転手に、立ち上がり、金を渡す。
ミラン・サイフェルト:運転手はそのまま車を置いて、病院へと立ち去っていく。
ルカ:「………何」怪訝な顔をしている。
ミラン・サイフェルト:「お前らアイギスは知らないかもしれないが」
ミラン・サイフェルト:「オーヴァードの死体は国に召し上げられる」
ミラン・サイフェルト:「そこでの扱いは……まあ、ロクなもんじゃないだろうな」
ミラン・サイフェルト:車の後部座席に、なにか布にくるまった大きな物があるような。
ルカ:「………あんたの」
ルカ:「……ロクな手段で手に入れてなさそうだな」
ミラン・サイフェルト:「幸運だっただけだ」
ミラン・サイフェルト:「たまたま、担当者が金に困ってた」
ルカ:「誰の幸運だ?」微かに笑う。
ミラン・サイフェルト:「俺のだな」
ミラン・サイフェルト:「これは俺のだ」
ルカ:「……小さい幸運とは思わない」
ルカ:「あんたは……」「……よくやってる。最善を」
ミラン・サイフェルト:「……詳しく突っ込まないなんてこと」
ミラン・サイフェルト:「お前には出来ないよ」
ルカ:「……」顔をしかめる。
ルカ:「最悪だ」
ルカ:「これ以上、話させんな。あんたにこれ以上共感したくない」
ミラン・サイフェルト:「ふ」笑って。「なら、せいぜい死人に囚われ出さないこった」
ルカ:「あんたが言うかよ」こちらも苦笑する。
ルカ:会話を打ち切るように再び煙草を口に咥える。吸い込んで、またむせた。

---

ルカ:頭に浮かんでいた人物とは会えるだけ会ったし、ついでに外をぶらついて潰せるだけの時間を潰した。
ルカ:それ以上、何かすることを思いつかなくなり、諦めて、自分の病室へと戻ってきた。
ルカ:乱暴にドアを開ける。人がいるとも思っていない。
デュバリー:斜いてきた午後の光に満たされた病室。そのベッドに一つ、小さな影が腰掛けている。
デュバリー:「おかえり」「散歩にしては長かったね」
デュバリー:窓を背に影の落ちた逆光の中、金の瞳がルカに、彼の想定していなかった光を向けていた。
ルカ:「……」 あるとしても、彼女が来ているとは思ってなかった。
ルカ:「何……」
ルカ:ドアを開けた格好のままそう言う。
デュバリー:「何、だって。もし今後、自分に会いに来た女の子がいても、そんなこと言ったら駄目だよ」
デュバリー:「入院している仲間を訪ねることがそんなに不思議?」
ルカ:ムッとする。そのままずかずかと部屋に入り、
ルカ:「うるせ」自分はベッドに身を投げてごろりと転がる。
デュバリー:「冷たいんだ。他の国の人たちには会って回ってたのに」
デュバリー:ベッドに腰掛けたまま動じず、顔を見下ろす 「動けるくらいの元気があるのは、良かったけどね」
ルカ:「なんで知っ………」目が合う。
ルカ:「……そういう能力か」
デュバリー:「うん、そう。窓の上から病院の外のベンチを見下ろす能力」
デュバリー:「自分から話しかけに行っているとは思わなかったけど。話し好きじゃない。結構」
デュバリー:……これは嘘である。彼が自分から、知っている顔を探して話しかけに行くことを、実際はそう意外には思っていない。
ルカ:「…いいだろ。普通だ」 ムッとしながら、かけていた色付きのサングラスを外している。
ルカ:「それでも、いつ敵になるかもしれない奴と世間話できるほど器用じゃなかった」
デュバリー:「『普通』は、話し好きならもっと愛想があるものよ。すべき、とかじゃなくて、その方が自分の『好き』を達成しやすいからね」
デュバリー:デュバリーを見れば、その眼が常にルカの顔を見ていることは否応なく知らされるだろう。つぶさな視線には、いっそ圧力すらある。
ルカ:「…」デュバリーを一瞥する。「……、そうだな」
ルカ:「……」「自分で、自分が何してんだか分かんないよ」
ルカ:彼女の視線が、鏡に見られてるような気分になるなと思った。言ってから不機嫌そうに顔をしかめる。
ルカ:「それで、あんたは何しに来たの」
デュバリー:「お見舞いだって言ったのに」
デュバリー:「お土産を渡されないと信じてもらえないの? 意外と欲張りじゃない、ルカ」
デュバリー:「欲張りで……不器用」
デュバリー:「恐ろしく能率の悪いタイプね。戦場では、特に」
ルカ:「説教かよ…」
デュバリー:「お見舞いだってば」
デュバリー:「……お見舞いで説教することは、でもそんなに不自然ではないかな?」
ルカ:「……あんたもよっぽど世話焼きだ」ちょっと笑う。
デュバリー:「子沢山だから。でも、誰に対してもじゃない。必要で……そして、不要な人にだけ」
デュバリー:「実際、少し良かったとは思っているの。不器用で欲張りなあなたでも、自分が何してるのか分からない、ということに気付けているのは」
デュバリー:「それでも、やっぱり。あなたのその、自分でも割り切れない形で、人と関わりに行く姿勢。知ってしまった人が、敵になるかもしれないと……あるいはそう」
デュバリー:「次の特別でもない瞬間に、死をもって分かたれる時が来るかもしれない」
デュバリー:「……だとしても、他人と繋がりを求めてしまう所は、だいぶ気がかり」
ルカ:閉口する。
ルカ:「……別に」
ルカ:「仲良くなりたい訳じゃない」
デュバリー:「Le contraire de l'amour, ce n'est pas la haine, c'est l'indifférence.(愛の対極に位置するのは、憎しみでなく無関心である)」
デュバリー:「仲良くなりたい訳じゃなくても、なっているのよ。知らない状態から、知ることで」
ルカ:「………」デュバリーをただ見る。逸らしてもまた視線を戻しても、彼女はただこちらを見ている。
ルカ:「…だから、本当は」
ルカ:「話すつもりなんて…、誰とも仲良くするつもりもなかった。あんたともだ」
ルカ:「今だって、こうやって…話し過ぎてる」
ルカ:「…分かってる。分かってる…」
デュバリー:その逞しく傷ついた身体を、労るように撫でる
デュバリー:「そうね。本当に」
デュバリー:「あなたは不器用で、欲張りで……優しい」
ルカ:抵抗の代わりに、顔を背ける。
ルカ:「……、だから、甘やかそうとするな」
デュバリー:「言ったでしょう。必要な人に必要なことをしているだけ」
デュバリー:身体を撫でる手が不意に浮き、そっと、ルカの服のポケットの中に何かを差した。
デュバリー:「モロッコ。カサブランカ」
デュバリー:「旅客機の券と、あと、郊外の小さな家の地権書」
デュバリー:「フランスの資本と文化が入ってる。あなたなら労せず馴染める」
ルカ:「……は」
ルカ:ポケットに差されたそれに気付く。
デュバリー:「……今が」
デュバリー:「最後の機会になる。本当は、私がいざという時に使うためのものだったんだけど」
デュバリー:「私はもう引き下がれない。これから起こることの真ん中から、外れることはできないと思う」
ルカ:「……あんたが」
ルカ:「あの戦いの中で…どんだけ不機嫌そうでも、帰ろうとしないのは、疑問に思ってた」
ルカ:「…そう」「引き下がる気なかったんだ」
デュバリー:「……死んだ"娘"が2人。失われた友人が数え切れないほど。そして、αの存在を予見して、私を使ってαを止めさせたアレンデ」
デュバリー:「もう私は『使われる』しかない。ここから先、"娘"と友人を守るためには。……そして、そのことに抵抗はない。自分の定義を変えるだけ」
デュバリー:「"アイギス"の面々……例えばクレアは、兵士として研ぎ澄まされている。あの子はもう、揺るがない照準を持っているから、こういうものは不要」
ルカ:「…だろうな」
デュバリー:「ギルにも……不要ね。彼は、戦場から離れてはいけない。……脳の中を覗き込むことはできないけど、でも、戦場から離れてしまえば、彼は多分、終わってしまう」
デュバリー:「アッシュも当然不要。彼は本当の意味での恐怖をまだ知らない。たとえそれが稚気によるものだとしても、今はまだ、大丈夫」
ルカ:「……」否定する言葉もない。そうだろうと思う。
デュバリー:「他の"アイギス"のメンバーも、クレアかギル……二人ほど極まってはいないにしても、大丈夫な方だと思う」
デュバリー:「そして。……」
デュバリー:少しだけ言葉が止まる。迷いによる沈黙。だが、す、と息を吸って、低いトーンで言葉を続ける
デュバリー:「エミリアは、逃がさない」
ルカ:「………」言葉の意味を理解するのが一瞬遅れた。デュバリーの表情を見つめる。
デュバリー:「彼女はここから先、どうしようもなく代え難い鍵になる」
デュバリー:「アレンデ。α。その存在に、私は証明させられてしまった」
デュバリー:常と変わらぬ平坦な面持ち、ではない。唇は微かに強張り、どこか張り詰めている。
デュバリー:「彼女なりの日常を送って欲しい。彼女なりの幸福を得て欲しい。そういったものは彼女に『必要』。だけど」
デュバリー:「……逃がせない。戦いから離れることは、私は許せない。この先の……運命みたいなものに、彼女は『必要』だから」
ルカ:「………うん」
デュバリー:『……あんたもよっぽど世話焼きだ』
デュバリー:『子沢山だから。でも、誰に対してもじゃない。必要で……そして、不要な人にだけ』
デュバリー:つまるところ、そういうことである。デュバリーがこんな『世話焼き』を働いたのは
デュバリー:ルカにそれが『必要』で、しかしデュバリーにとっては、『不要』だからだ。
ルカ:ポケットに差しこまれた紙の感触が、布越しにある。
ルカ:「……あんたがさ」
ルカ:「泣いてるエミリアを慰めたんだろ。それであいつは…まあ、調子を取り戻してきてる」
ルカ:「そういうことやってて……その上で、あんたが、エミリアを離さないっつうなら」
ルカ:「その選択は、おれには否定できない」
デュバリー:「……あなたは」 打ち切るように話の矛先をルカへ向ける
デュバリー:「まだ手前にある。運命の流れ。……エミリアの力を受け止める役として、確かにあなたはよくやれたけど、理論上それは、私でもどうにかなる」
デュバリー:「戦いなんて新聞紙の向こうの話で、そこに載ってるアイギスとか他国のオーヴァードの名前を指差して」
デュバリー:「実はこいつは知り合いなんだ、なんて話して、自分の息子か娘に、パパすごい、なんて言われながら、奥さんの作った夕飯を食べる」
デュバリー:「そういう所に、まだあなたは辿り着けるし、ここから先に進めば、そちらに戻るのは、きっと苦しくなる」
デュバリー:「……ということを、考えて欲しいと、私は思ってる」
ルカ:「うん」
ルカ:「……にしても、そこまで所帯じみた生活するにはまだ早いよ」
ルカ:少し笑う。
ルカ:「あんたの気持ちは……」「なんていうか」
ルカ:「自分は…普段、こういう事を他人に言ってるのかって…そういう気分になった」
デュバリー:「それは……」
デュバリー:「失礼」 憮然とする
ルカ:「そうかよ。そうだな」
ルカ:「あんたの方がよっぽど器用だ」
ルカ:ポケットに差しこまれたそれを、ろくに見もせずに取り出して、デュバリーに渡す。
デュバリー:受け取る 「受け取られなかったけどね」
デュバリー:「あなたみたいな子一人落とせないなんて、きっと焼きが回ったんだ」
ルカ:「よっぽど不器用な男を口説いたんだろ」
デュバリー:「見誤った。不器用具合を」
ルカ:「ふ」笑う。
ルカ:「…でも、そうだな」
ルカ:「別に、ここから先に進んでも、所帯じみた生活に辿り着けない訳じゃない。…だろ」
ルカ:「たまには、そういうことを考えることにする」
デュバリー:「……まあ、結局はそうなんだけど」
デュバリー:「…………」 しばらく静かに考えていたが、結局言葉は結ばれず
デュバリー:とん、とベッドを立ち、冷たい床に立ち上がる。
ルカ:「聞き分けが悪いもんで」
デュバリー:「不器用、欲張り、失礼で、聞き分けまで悪い」
デュバリー:「どんな物好きが奥さんになるのやら」
ルカ:「……馬鹿」ふてくされたような顔で言う。
ルカ:「……」そこまで言って、こっちも言葉に迷いつつ、結局、出て行くデュバリーの背中に言う。
ルカ:「デュバリー」
デュバリー:「?」 横顔が振り返る
ルカ:「ありがとう。んで」
ルカ:「ここからはお互い様だ。色々」
ルカ:「……それだけ」
デュバリー:「そ」
デュバリー:「ま、転居までいかなくても、気晴らしをしたくなったら言いなさい」
デュバリー:「それも『普通』だしね」
デュバリー:廊下のごみ箱に紙切れを放り捨てて、病室を去っていく。
ルカ:目を細めて見送って、もう一度ベッドに倒れ込む。
ルカ:息を吐く。天井を見つめていて、気付いたらそのまま眠っていた。

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エドヴァルト:スイス・ベルン市内のホテル「ベルビューパレス」。
エドヴァルト:その3階。ホテル従業員にも許可なく入室しないように固く断っている廊下左奥の一室が、エドヴァルト・ヴィトスの仮宿だ。
エドヴァルト:常日頃より、エドヴァルトは……自分の中のオーヴァードとしての強みは、何より生命力であると考えている。
エドヴァルト:射程や手数の不足を、己が身の耐久性によって強引に押し通るような戦い方をした事も少なくない。……今度ばかりは、そういう訳にはいかなかったが。
エドヴァルト:ともあれ、病床に伏して治療を受けるという状態は、彼自身にとっても、またその肉体にとっても慣れたものであり
エドヴァルト:数日の内には必要な活動を再開する事ができた。すなわちは本国への報告と、今この地で可能な更なる情報収集。
エドヴァルト:「……」灰みがかった髪色の、無骨な相貌の青年が、顰め面をして机に向かっている。
エドヴァルト:翠色の光を持った精悍な瞳だけが、人狼の時の姿と変わりない。
イレナ:持ってきた菓子の包みを開く、銀髪の少女。彼の異なる貌に。いや。異ならない貌に平然と、見慣れた様子で向かいにいる。
イレナ:「疲れたでしょ。買ってきたよ」
イレナ:林檎を煮詰めたものを詰めたパイ。
イレナ:水筒に入れた温かな紅茶をコップに注ぐ。
イレナ:何度も庇われたこともあり、比較的怪我は少ないほうだ。長い髪も焦げることなく輝いている。
エドヴァルト:「……ああ」その声に、いくらか緊張が解けたようにして息を吐き、振り向く。
エドヴァルト:「すまないな。こんな物の用意までしてもらって」
イレナ:「エドは働きすぎだよ」苦笑する。「好きでしてるの、これは」
イレナ:「報告すべきことが多かったのは確かだけどね」
イレナ:敵国となりうる国々の調査が、今回ふたりに課せられたもうひとつの役割だった。謎の多いアイギスの手札。バルチック艦隊の"バーバヤガー"の死。重宝される情報は多い。
エドヴァルト:「俺も別に、義務感でやっている訳じゃない。自分が何かしていないと落ち着かないだけだ」
イレナ:「こんなに静かに過ごすのも、ひさびさな気がする」
エドヴァルト:「……そうだな。随分と長い時間、あの場所にいたように感じる」
イレナ:「……帰ったら、また」とだけ言って、紅茶に口をつける。
エドヴァルト:「また?」
イレナ:「また、慌ただしくなるんだなあって」
エドヴァルト:「……そうだな。平和に一歩近付いた、とは言い難い」
イレナ:「情勢はむしろ、より変化していくしね」
イレナ:「……ふたりで生き残れるなんて、思ってなかったな」笑う。
エドヴァルト:「だが、生き残った」
エドヴァルト:「本当にお前が諦めていれば、そうなってはいないだろう」
イレナ:「……そうだね。きみがいるなら、諦められるかと思っていたのに」
イレナ:「きみがいるのに、死ぬなんていやだよ」
イレナ:緑色の目を覗き込む。「ね」
エドヴァルト:「……そうだな」逸らすでもなく、静かに見つめ返す。
エドヴァルト:「お前をひとり置いて行くのは、どうにも心配だ」
イレナ:「自棄になってたかも?」
エドヴァルト:「何を言い遺せば思いとどまってくれるかと考えていたよ。少しだけな」
イレナ:「もう」
エドヴァルト:「そう怒るなよ。弱気を起こしたのはお互い様だろう」
イレナ:「む……そうだけどさ」拗ねるような顔をする。
イレナ:「……例えば。いまなら逃げ出したって、死んだことにできるかもしれない」
エドヴァルト:「…………」
イレナ:「きみがそっちの顔でいたら、ばれないかも。それで静かな家で、私がお菓子を焼いてあげる」
イレナ:「レパートリーも増やして。竈を作ってもらったら、イタリアで食べたピザなんかも焼けちゃう」
イレナ:「そういう夢を見たりもする。弱気っていうより、強気な。能天気な夢ね」
エドヴァルト:「……その夢なら、俺も知っている」
エドヴァルト:「そして、いつも同じように目を覚ます。パターンは二つだ」
イレナ:「どんな目覚め? 聞かせて」
エドヴァルト:「……ある日の朝、手にした新聞の記事に『ポーランドが侵攻された』という文字を見つけるか」
エドヴァルト:「不意に扉ががんがんと叩かれて、『戻ってこい。戻って来てくれ』と、知った声で叫ばれるかだな」
イレナ:目を細めて聞いている。聞き慣れた声、吹雪の音、そういうものはいつだって、私たちから剥がれてはくれない。
イレナ:「そうしたら、きみはきっと駆け出しちゃう」
エドヴァルト:「……そうしなくとも、君は許してくれるんだろうけどな」
エドヴァルト:狼の面影も消えた顔で、どこか疲れたように笑う。
イレナ:「だって、エドが我儘言うことなんて、滅多にないでしょう」
イレナ:「そういうの聞くと、なんだって、私は聞きたくなっちゃうんだよ」
イレナ:「……優越感」
イレナ:硬い軍服の肩を見て、軍徴を少し睨んで、言う。
エドヴァルト:「……そんなに、言わないか。我儘」
エドヴァルト:「君には大分、甘えてしまっている認識でいたんだが」
エドヴァルト:テーブルの上のパイと紅茶に視線を落として言う。
イレナ:「私にだけ、って」
イレナ:「そういうのがね。…ずっと、欲しくて。私にだけ甘えてる、そういうきみが欲しかったの」
イレナ:「だから、私の我儘でもある。混じって、区別つかなかったのかな。私」
エドヴァルト:「……俺は、逆だったな。少し前までの話だが」
エドヴァルト:「君だけを特別扱いする事が、怖かった」
エドヴァルト:「だって……俺も君も、ずっと戦場にいる。そこから離れることは、きっとできないから」
エドヴァルト:「君という人が。俺にとってかけがえのない人間だと認めることを、恐れていたんだと思う」
エドヴァルト:「祖国のため。恩人達のため。仲間のため」
エドヴァルト:「……そうやって、大きな輪の中に溶かし込んで言葉にしていれば」
エドヴァルト:「意識しなくて済む。大切な人が、地獄のような場所で日々を過ごしているという現実に」
イレナ:「地獄なんかじゃないよ。私にとってはね。……人を殺めることだって、きみほど苦しんでない」
イレナ:「でも…そういうことをいつも考えてるのが、エドだよなあ」仕方なさそうに、おかしそうに。
イレナ:「うん。…うん。でも、『少し前』なのね?」
イレナ:悪戯をしかけたように、くちびるに指を宛てて笑う。
エドヴァルト:「……言っただろ、あの時。君を一人にしたくないと」
エドヴァルト:「"Espoir"が言っていたように。俺達の身体の中に、意志や想いの強さに由来する力があるのだとしたら」
エドヴァルト:「俺が生き延びる事ができたのは、君の為に戦おうと思ったからだ。きっとな」
イレナ:笑っていた顔が、かすかに歪む。困り切って、堪えて。「……もう」
イレナ:「そんなこと……それじゃ、私…」
イレナ:「生きていくことを、絶対に諦められなくなる」
エドヴァルト:「……困惑させたなら、悪い。でも」
エドヴァルト:「そうしてくれると、俺は嬉しい」
イレナ:「……もう、もう!」
イレナ:「言ったでしょ。私はきみの我儘は、なんでも叶えてあげたくなるの」
エドヴァルト:「……ああ。ちゃんと覚えている」
エドヴァルト:「……本当は、言うつもりはなかったんだ。でも」
エドヴァルト:「言わずに抱えておくと、いつか後悔しそうだとも思った。……だから言った」
エドヴァルト:「甘えるって、こういう事でいいのかな。イレナ」
エドヴァルト:照れと困惑の入り混じった、年相応の青年の表情。
イレナ:「……そう、だよ」
イレナ:「そうだよ。そういう話を、したかったの。聞きたかったの」
イレナ:年相応の少女の、春に咲く花のような微笑みで。
エドヴァルト:その笑顔を前に。やっぱり自分を誤魔化す事などできないと悟って。
エドヴァルト:「でも、だから……君にだけだからな。今まで通り……君と、二人の時だけだ」
エドヴァルト:それ以上甘えてしまうと、きっと、自分は兵士ではいられなくなる。
イレナ:「…うん。私だけにね」きっと私は兵士ではない。そう在れたことなど、きっと一度もない。
イレナ:それでいい。今このとき、私と彼だけの、ほんのわずか。
イレナ:……戦火のはざま、動乱の途切れ目。そんな少しの時間だけ。
イレナ:少年と少女がそこにいて、そこにある心を、他の誰も知らない。
イレナ:誰にも届かず、そこにある。

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ベルン 格納庫
GM:ソビエトへの帰国を近く控え、所属するオーヴァード二人は格納庫にて飛行機のメンテナンスを行っていた。
GM:と言っても実際のところは、作業をしているのはイリーナだけだ。レナートは格納庫の隅に備えられた椅子に座ったままでいる。
レナート:「……それでよ、その時マムがブワーーーッってやるとな」
レナート:「敵全員1秒でウワーーーーなって瞬殺だったんだぜ!マジすげえだろ!」
イリーナ:「そうか」作業服姿で工具を使いながら。
レナート:「あの時のマムはマジでカッコよくてな~……なあまだ終わんねーのか?ここ蒸し暑いぜ」
イリーナ:「居てくれと頼んだ覚えは無いぞ」
レナート:「そうだっけ?まあいいだろ」小さな丸椅子の上で器用に胡坐をかいている。
イリーナ:嘆息する。
イリーナ:「まだしばらくかかる。知っているか」
イリーナ:「私は本来整備士ではないし、旅客機のパイロットでもないんだ」
レナート:「ああ、宇宙飛行士だろ?」
レナート:「犬を打ち上げるとこまでは行ったって聞いてるが……」
イリーナ:「戦争が無ければ、誰かがライカの後を追えていただろうな」
レナート:「難儀な話だな。壮大な宇宙への夢が今や殺し合いの道具か」
イリーナ:「……そうだ。まったくもって救われん」
クレア:「宇宙に行った犬のニュースは自分も聞いたことがあるが、そうか。今はそんな状況なのか」二人の後ろから抑揚のない声が響く。
クレア:「もたもたしていると、アメリカに先を越されてしまうかもしれないな」
レナート:「!」一瞬警戒の姿勢を見せる。「お前、アイギスの……」
イリーナ:振り返る。
クレア:「帰ると聞いてな。間に合ってよかった」
レナート:「見送りにでも来てくれたのか?」
クレア:「迷惑だったか?知らない仲じゃないのだから見送りくらいはする」
クレア:「イリーナには結局、借りも返せなかったしな」
レナート:「何だよおい!いい奴だなお前!」
レナート:馴れ馴れしく背中をバシバシ叩く。
イリーナ:(それで良いのか)
クレア:特に嫌な顔もせずバシバシ叩かれて体を揺らす
レナート:「今回は助かったぜ。なあお前、ウチに来いよ」
レナート:「強い奴は大歓迎だ」
クレア:「勧誘される立場になったのは初めてだな」
クレア:「悪い気はしないが、遠慮しておく」表情を買えずに
レナート:「え~~?何でだよ」
レナート:「お前なら活躍出来るぜ。お前がいりゃ“リッケンバッカー”にも一泡吹かせられるかもしんねーしな」
レナート:「まあ、しばらくは立て直しになるだろうが……」“バーバヤガー”の抜けた穴のことを言っているのだろう。
クレア:「ああ、だからだよ」困ったように笑って
クレア:「アイギスは気に入っている。恩義もあるし、仲間を見捨てたくはない」
クレア:「けれど何より」
クレア:「彼らといることが、奴に近づく一番の近道になる。と、自分は考える」
イリーナ:(……リッケンバッカー)出撃前にした会話を思い出す。星に届いたら名を刻みたいと言っていたことを。
レナート:「へえ、お前も奴に恨みがあるクチか?」
クレア:「恨みはない。あるのは約束と、興味だけだ」
クレア:「けれど、自分にとってはそれが一番大切な物だから、そうする」
クレア:「実を言うと、ここに来た理由はもう一つあってな」
クレア:「どうしても君たちに直接聞きたかった」
クレア:「バルチック艦隊は、世界で最も多く"リッケンバッカー"と戦ってきた部隊だからな」
クレア:レナートの顔を見て「君はあの時、リッケンバッカーを連れてこいと言ったな」
クレア:「彼ならば、もっと容易くαに勝てていたと思うか?」
イリーナ:横目で今の指揮官を見る。
レナート:「……どうだろうな。今となっては分かんねーよ」
レナート:「ただ、ムカつくことだが……」
レナート:「あの時は奴以外にはいないと思ったのは確かだ」
レナート:「あのオッサンは、強え」
クレア:「……」頷く
レナート:「誰よりも近くで戦ってきたからこそよく分かる……俺は奴が負けるところは想像できねえ」
レナート:「まあ、それでも……」
レナート:「今回勝ったのは俺達だし、いずれ勝つのも俺達だけどな」
レナート:歯を見せて笑う。
イリーナ:(よく言う……)
クレア:「なら、競争することになるな」
クレア:「結果的に、リッケンバッカーはαと戦わなかった。そして、自分達はαに勝った」
クレア:「特定の個人や勢力が抜きん出ていたとは自分は思わない。皆等しく奮戦し、犠牲を払った」
クレア:「だから、まだスタート地点は同じだ」
レナート:「は!いいぜ!俺らが負けるわけねーけどな!」
レナート:「何せそっちは戦艦一隻だろ?俺らは“艦隊”だからな!」自慢げに胸を張る
レナート:「そうだろイリーナ!」
イリーナ:「巻き込まないでくれ」
イリーナ:「と、言える立場でありたかった。少年の心というやつなのか、それは」
レナート:「何だよ、面白そうだろ!」
クレア:「乗り気じゃないのなら、自分を応援してくれると嬉しい」
クレア:「約束したしな。この先一度、君の敵を撃ち落とすと」
クレア:「αは結局自分では仕留めきれなかった。約束はまだ果たせていない」
イリーナ:「それは……ああ」
イリーナ:「お前の腕は見ていた。寒気がした。一発どころではなく、返してもらったつもりだったが」
イリーナ:「違うのか。お前にとって、撃つとは撃ち落とすことなのか」
クレア:「引き金を引くからには、その責任と覚悟がいる」
クレア:「……けど実を言うと、この約束をまだ手放したくないとも思っている」
クレア:「君には、もう少し恩を売っておきたい」
クレア:胸ポケットに手を触れる。その中には、小さく巻いた紙片を収めた金属製のロケットが入っている。
クレア:「自分は今まで、約束のために生きてきた。託されたものを叶えることが生きる意味で、生き甲斐なんだ」
クレア:「けど、それも後少しで終わってしまう」
イリーナ:微かに首を傾げる。
クレア:「自分で次の目標を見つけないといけないという事だ」微かに笑う。
クレア:「例えば、月に旗を立てて見たい。とか」
クレア:「もし自分が先に"リッケンバッカー"に勝てたら、後ろに乗せてくれ」
クレア:「今整備しているこいつじゃなく、君の本当の船の」
イリーナ:「……恐れ入った」
イリーナ:ふ、と笑いを呼気として漏らす。「さっきは何を暢気なと思ったが、撤回する。私としてもお前をソビエトに誘いたい」
イリーナ:「その抜け目の無さと世渡りの巧さは、我が艦隊司令官殿には無いものだ」
クレア:「……?そんな事を言われたのは初めてだ」
クレア:「人付き合いは不得手な方だと自覚していたが……?」首をかしげる。
レナート:「なんか俺バカにされてねーか?」
イリーナ:「気のせいだ。するまでもないだろう」
イリーナ:「まあ、気持ちの上でなら応援するよ。クレア・アップルシード」
イリーナ:「対価も了承した。その時に私がそうできるなら……いや」
イリーナ:「お前がやってのけたなら、私もひとつ力を尽くすことにしよう」
クレア:「ああ」殆ど変化のない表情に少しだけ子供じみた喜色を浮かべて、取り出したメモ書きに新たな文字を記す。
クレア:「楽しみだな。とても」

クレア:シャッターの降りた格納庫に背を向け、日が落ちた道を歩く。
クレア:標高が高いせいもあるが夜風は冷たい。直に短い秋が過ぎ去り、東欧の長い冬がやってくるだろう。
クレア:「……」
クレア:"リッケンバッカー"について、彼らに一つ聞かなかった事がある。答えが出ないことはわかりきっていたからだ。
クレア:あの男が来ていれば、果たしてαを容易く倒せたのか、それを証明する機会はもうない。
クレア:しかし、そもそもそれ以前の問題として
クレア:なぜリッケンバッカーは来なかったのか。
クレア:彼は、故郷の人々を守るために戦っていると言った。
クレア:「故郷とは、どこだ」
クレア:彼が生まれ育った国のことか?文化を共有する共同体のことか?
クレア:イタリアの人々と、或いはその次に犠牲になっただろう欧州の人々との違いは何だ
クレア:何より、あのまま行けばαがいずれ彼の故郷へと至るのは明白だった。
クレア:彼はなぜ動かなかったのか。どこで、何をしていたのか。
クレア:「"リッケンバッカー"……」
クレア:「お前は、本当に英雄なのか……?」
クレア:呟いた言葉が、澄んだ星空へ吸い込まれていった。
スイス ベルン
サブGM:議事堂の横に、小さな屋台が引かれている。
サブGM:ヌストルテの屋台だ。クルミをふんだんに使ったタルト。
カタリーナ:軍服姿のまま、そのケーキ片を頬張る少女の姿がある。
カタリーナ:「おいし~」
アッシュ:「分かる。甘さがちょっと控えめなのが良いよな」
アッシュ:彼女の後ろから、同じく軍のジャケットを羽織った少年が声をかける。
カタリーナ:「アッシュだ~」ケーキの持ってない方の手を振る。
カタリーナ:「これはここが本場なんだって」
アッシュ:「だってな。オレもちょっと前に買ったときに聞いた」
アッシュ:そう言いながら彼女の横に座る。
カタリーナ:「生地しっとりで好き~」はむ、と頬張って。
カタリーナ:「……あ、そうだ!おつかれさま~」
アッシュ:「そっちもお疲れ」 同時に、紙のカップに入ったコーヒーを差し出す。
アッシュ:「生き残った幸運に乾杯、ってな」
カタリーナ:「おお」合わせて突き出して。「Prosit!」
アッシュ:「Cul sec」
カタリーナ:「強かったねえ、あのドラゴン」
アッシュ:「ホント、強かった。流石にあんな桁違いなヤツはオレも初めてだった」
カタリーナ:「ね~。でもアイギスも強いねえ」
カタリーナ:「損耗なしなんだよね?」
アッシュ:「欠員は無しだな。暫く戦えないヤツくらいは居るだろうけど」
アッシュ:「そっちは?」
カタリーナ:「こっちはね~、おじいちゃんとイルゼが死んじゃったよ」ケロリと言う。
カタリーナ:「ほかは無事だよ~」
アッシュ:「爺さんが。マジか……」 流石に驚いた様子で言葉を漏らす。
アッシュ:欠員が出たこと自体は察しているが、具体的な人数や人員を把握する余裕は無かった。
カタリーナ:「びっくりだよね。すごい強かったのになあ」
アッシュ:「あの人、隊長兼創始者とかだろ?この後どうすんの?」
カタリーナ:「アウグスト……あ、えーと、Einが……んー」
カタリーナ:「こんな」目を引っ張って吊り上げる。「こんな人いたじゃない」
カタリーナ:「アウグストが新しいのを作ることになりそうだって」
アッシュ:「なるほどね。確かに歴考えたら次の頭はそこになるか」
アッシュ:「キミもそこに?」
カタリーナ:「うん」にこにこして。「でもアウグストはダメって言うかも!」
アッシュ:「もう戦うなって?」
カタリーナ:「そんな感じ。自分は戦うのにね?」
カタリーナ:「へんだよね」
アッシュ:「変でもないだろ。今回みたいなことがあったんだから」
カタリーナ:「え~、でも自分は出るんだよ?」
カタリーナ:「みんなで逃げる~ならわかるけど」
アッシュ:「逃げようとしても、全員が逃げれる訳じゃなかったろ?」
アッシュ:「キミが逃げ切れなくなるのがイヤなんだろ。自分が逃げ切れないのより」
カタリーナ:「ん~……」
カタリーナ:「でも私たちが戦わなかったらどうしていいか分からないよ」
カタリーナ:「アッシュだって逃げたことないよね」
アッシュ:「そりゃオレは逃げる必要がないからな」 ニッと笑みを浮かべて。
アッシュ:「でも、別に戦いたくないって思うなら手段はあるだろ。例えば……」
アッシュ:「フランスに亡命するとか」
カタリーナ:「おお」
カタリーナ:「おお……?」
アッシュ:「フランスなら戦いたくないヤツは戦わせないってことになってるぜ?デュバリーも軍とは関わってないし」
アッシュ:「ドイツはまあブチギレだろうけど、ゲシュペンストが居なくなった状態でフランスに真っ向から喧嘩は売れないだろうし」
アッシュ:「前に話した本場のクレープ店にも案内できる」 どう?と目で問うように笑いかける。
カタリーナ:「ん~パス!」
カタリーナ:「だって~」冷めかけたコーヒーを飲みながら。
カタリーナ:「私はみんな大事だよ~」
カタリーナ:「アウグストもクラウディアもエリアスも、祖国も戦場も!」
カタリーナ:「本場のクレープは、”今度自分で”行こうかな」
アッシュ:「だと思った」 断られたというのにからりと笑って。
アッシュ:「その時は盛大に出迎えてやるよ」
アッシュ:自分も、彼女も、あるいは彼女がアウグストと呼ぶ彼も。きっと全員が分かっている。
アッシュ:自分達は変われない。戦場から逃げられない。――逃げることを望まない。
アッシュ:それは自負であったり、欠落であったり、義務感であったり。逃げることを選ぶには戦場に立ち過ぎたのだ。きっと。
アッシュ:彼女の幸運を祈る気持ちは変わらない。自分は必ず勝つという自信も揺らがない。ならば。
アッシュ:きっとまた戦場で出会うだろう。それまで彼女の幸運が続いたら。

---

ロクサーヌ:ベルン市内、市民病院。入院個室の一つ。
ロクサーヌ:青白い入院服を着た陰鬱そうな女が、ベッドの上に横たわり、カーテン越しに薄っすらと射す夕日を見ていた。
ロクサーヌ:戦いが終わってから無事を喜んだ後の記憶はあまりない。機械の電源でも途切れたように、ぱったりと意識を失っていたらしい。
ロクサーヌ:詳しい状況を探ろうにも、包帯の巻かれた手足はまだひどく痛んでろくに動かせない。先刻部屋に入ってきた医者から、ひとまずの治療は完了したことと、同じように生きて搬送されてきたオーヴァードの名はかろうじて聞くことができた。
ロクサーヌ:相棒の名前がその中に合ったことに胸を撫で下ろしながら、痛みの残る身体で寝返りをうつ。
ロクサーヌ:長く伸ばしていた黒髪は、焼け焦げて随分と短くなっていた。起きたらどこかの散髪屋に切りそろえて貰わないとな、なんてとりとめもない事を考えていた。
クレア:丁度その時、ノックもなしに広い病室の扉が静かに開いた。
クレア:「起きていたのか」
クレア:紙袋を手に、少し驚いた様子でつぶやく。
ロクサーヌ:「誰……?」にわかに警戒するような視線をやって。「……ああ。貴方は」
クレア:「クレアだ。覚えていなくても仕方はないな。ちゃんと話すのは二度目だ」
ロクサーヌ:しばし朦朧としていた記憶の中から、名前を掘り起こす時間があって。「……そう、クレア。無事でよかった」
ロクサーヌ:「……覚えていたわよ」被って出た声に、少しむくれたように応じる。
クレア:「済まない。誰かのせっかちが感染ったのかもしれないな」
クレア:「入っていいか?」
クレア:「寝ていると聞いたから、土産だけ置いて出直すつもりだったんだが……」
ロクサーヌ:「気にしてないけれど……まあ、構わないわよ。別に、何もない部屋だけれど」
ロクサーヌ:「土産?それは、どうも……ご丁寧ね」
クレア:「大したものじゃない。近くの市場で買ったものだ。危機が去った反動かえらい活気でな。どこもサービスしていたから」
ロクサーヌ:警戒と好奇心が半々という視線で、少年が取り出した物を見る。
クレア:箱の中に何種類かの菓子が詰め込まれている。
クレア:いくつかは人型の焼き菓子で、どこかイタリアで戦ったオーヴァードの面々に似ていた。
ロクサーヌ:「ありがとう……」受け取ろうと手を伸ばしかけて、痛みに声を出す。諦めてベッドに背を預け直す。
クレア:「ここに置いておく。ゆっくり食べると良い」ベッド脇の机に置く。
ロクサーヌ:「どうも。……お返しの用意は、ないのだけれど」
クレア:「ただのお見舞いだ。気にしなくていい」
ロクサーヌ:「……そういうもの、かしら」
クレア:「そういうものだ。それに、半分は仕事で来ているしな」
ロクサーヌ:「まあ、そうよね」単なる私情で見舞いに来るほど近い仲ではなかったよな、と思っている。
ロクサーヌ:「……ずいぶん、浮かれた様子なのね。外」菓子の造形を見て呟く。
クレア:「戦勝記念だそうだ。逞しいな」
クレア:「君は特定の国に所属しているわけではないと聞いた。君の相棒も」
クレア:椅子に腰掛けて
ロクサーヌ:「ええ、そうね」
クレア:「傷が治ったら行く宛てはあるのか?」
ロクサーヌ:「さあ、あるんじゃない?」
ロクサーヌ:「今度の件で、また波が起きそうだもの。次の仕事を見つけるには困らないんじゃないかしら」
クレア:「つまり、傭兵稼業は続けるつもりなんだな」
ロクサーヌ:「あの子が辞めるって言い出さない限りはね」
クレア:「……」少し考えて
クレア:「今日ここに来たのは、あの時君の相棒に止められた続きを話したかったからだ」
クレア:「君が良ければ、アイギスに来ないか?」
ロクサーヌ:「……あら」
クレア:「アイギスの理念は知っているだろう?」
クレア:「仕事が楽になるわけではないが、ずっと二人で戦い続けるよりは、長生きできる見込みはあるだろう」
クレア:「自分達としても、あの戦いを生き抜いた人間が仲間に加わるなら心強い」
ロクサーヌ:「……そうね。魅力的なお誘いなんだと思うわ」
ロクサーヌ:「私個人としても、貴方や貴方の仲間には好感を抱いているし……」
ロクサーヌ:「でも、あの子はきっと嫌がるでしょうね」
クレア:「外からどう見えているかは知らないが、そう堅苦しい組織ではないぞ?」
クレア:「個々の務めを果たしてさえいれば、個人の自由は最大限尊重される」
クレア:「緊急の時はゲートで呼び出されるから、世界中のどこに居てもいいしな」
クレア:「まあ最後のは、賛否両論があるかもしれないが」
クレア:大真面目な表情で唸る。
ロクサーヌ:しばらく逡巡して「……そうね。そういう事なら、あの子に話してみるわ」
ロクサーヌ:「ただ……そうね。その、外からどう見えてるかは分からないけど、ってやつ」
ロクサーヌ:「こっちの方も、ある意味そういう感じっていうか……」
ロクサーヌ:「外から見えてるほど、二人きりじゃないのよ。私達」
ロクサーヌ:「私はともかく、あの子の方には……色々、頼れる後ろ盾があるの」
ロクサーヌ:「だから、その……もし断ることになっても、そこまで心配してくれなくて大丈夫っていうか」
ロクサーヌ:らしくもなく楽観的なことを口走っているな、と思う。
クレア:「それは失礼した。君たちを侮ったつもりはないんだ」申し訳無さそうに眉を寄せて
クレア:「そんなに重く考えなくていい。去るものは追わないのも自分達の流儀だ」
ロクサーヌ:「そっちこそ。別に、謝らなくても……」
クレア:「ただ、自分には……」
クレア:「君がどこか、帰る場所を求めているように思えたから」
クレア:「だから声をかけてみた。アイギスがそうなれるなら嬉しいが、そうでなくても」
クレア:「君が良いのなら、それで良い」
ロクサーヌ:「……そういう風に、見えたかしら」ぽつりと呟く。
クレア:「話はそれだけだ」踵を返して
クレア:「自分達はもうしばらくこの街に逗留している。その気になったら声をかけてくれ」出口へと向かう。
ロクサーヌ:「ええ。……ありがとう」
クレア:返事を背に、扉を閉めようとして「……忘れる所だった」
クレア:「お大事に。ロクサーヌ」
クレア:薄く笑って、扉を締める。
ロクサーヌ:「……そっちこそ、お元気で」
ロクサーヌ:扉に向けてそう言いやる。遠のく足音がすぐに消えるのを聞きながら、白い天井を見上げる。
ロクサーヌ:……亡くなった母も、消え去った故郷も、既に過去の事だ。ずっと昔にそう納得している。
ロクサーヌ:未来へ向かって生きていく内に、新しい繋がりや温もりを手に入れる事は可能だ。
ロクサーヌ:だけど、それは自分の中の思い出の代替にはならない。決して。
ロクサーヌ:(……分かってる。別に、あの子に何かの代わりになってもらおうなんて思ってる訳じゃない)
ロクサーヌ:(ただ、あの子とあの子の剣が……お母さんの遺産と、その祈りの行く先が)
ロクサーヌ:(どうなるのか確かめたい。……それだけが、私の旅の理由)

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パメラ:それから暫くして、再度の客の訪問を告げるノックが転がり込む。
パメラ:「おーい。起きてるう?」次いで暢気な声。
ロクサーヌ:「パメラ……?」聞き慣れた声に、微睡みに沈みかけた意識が引き上げられる。
ロクサーヌ:「起きてるけど……そっちは大丈夫なの、怪我」
パメラ:「あー、まあ」病室の扉がスライドして開いて。
パメラ:暫しの間。
ロクサーヌ:「……あまり大丈夫じゃないのね」その間だけで納得する。
パメラ:それから、慣れない操作にやや苦心する様子で、車椅子の車輪を回して入ってくる。
パメラ:「君よりマシさ」笑う。
ロクサーヌ:「……それは、そうね」
ロクサーヌ:「でも、来てくれて良かったわ」
パメラ:「おう……んあ」
パメラ:ベッドサイドの紙袋に目を留める。「もう誰か来てた?」
ロクサーヌ:「ええ。アイギスのクレアって子……ほら、ドラッグストアで会った」
パメラ:「アイツか……」
パメラ:「メリュジーヌも見かけたんだけどさ。連中はなんで普通に歩けてるんだよ」
パメラ:「一番真っ向からやり合ってたはずだろ」
ロクサーヌ:「さあね、知らないわ……」考えるのも億劫と言いたげな応答。
ロクサーヌ:「それより、伝言を預かってる。傭兵としてアイギスに来ないか、って」
ロクサーヌ:「返事は保留しておいたけど。どうする?」
パメラ:「あんにゃろう。やっぱ引き抜きじゃないか」大袈裟に額を押さえて見せる。
パメラ:「と言うか、伝言? 私も誘われてるのかそれは」
ロクサーヌ:「ええ。私達ふたりとも、一緒に」
ロクサーヌ:「というか。そうでなければ、貴方に伝えるまでもなく断ってるわよ」
パメラ:「……そう?」
パメラ:「君には良い話なんじゃないかと思うけど。少なくとも君が嫌うようなタイプはあそこにはいなさそうだ」
ロクサーヌ:「……なにそれ。私だけ行きたければ好きにしろ、って言ってる?」
ロクサーヌ:少しむっとした様子で君を見上げる。
パメラ:「そうじゃないけどさあ」困った風に頬を掻く。
パメラ:「逆に」
パメラ:「私が行くって言ったらついてきてもらう。どういう選択をしても付き合わせるっていうのも、それはちょっと健全じゃない気がするんだよ」
ロクサーヌ:「でも、契約したでしょう」
ロクサーヌ:「貴方がその剣に認められている限り……私は貴方が死ぬまで傍にいて、力を貸すって」
ロクサーヌ:「それも、健全じゃない?」
パメラ:「いや、分かってるぜ。けど……」
パメラ:寝台に横たわる儚げな姿を見る。苦笑する。
パメラ:「……髪」
ロクサーヌ:「……なによ」
パメラ:「ボロボロになってる」
ロクサーヌ:「そりゃ、なるわよ。あんな場所にいたんだもの」
ロクサーヌ:「服ももう着れないし、気に入ってた小物入れもどこかで落とした。さんざんだわ」
パメラ:車椅子を寄せる。日の射し込む窓辺の側から、ベッドの上の女を覗き込む。
パメラ:こんな時でも、膝の上には、鞘に納まった長剣が乗っている。
パメラ:「切ってあげようか」
ロクサーヌ:「え……」少し意外そうに目をぱちぱちとして。
ロクサーヌ:「あるの?切ったこと」
パメラ:「言ったろ。年下のきょうだいが多いんだ」
パメラ:「……プロの理髪師も“居る”けど」長剣に目を落として。「バーカーはちょっとあれだな」
ロクサーヌ:「……」一緒に長剣に目をやり、少し逡巡して。
ロクサーヌ:「失敗したら、ちょっと恨むけど」
ロクサーヌ:「それでもいいなら、お願い」
パメラ:「ふふっ」
パメラ:「イエス、マム」
パメラ:その後、鋏や櫛の類、それに髪を受けるケープを借り出してきて。
パメラ:傷んだ髪に引っかからないよう、丁寧に櫛を通した後、黒髪に鋏を入れていく。
ロクサーヌ:「……もう」少しばかり痛みの引いてきた上半身を動かし、彼女の方へ頭を預ける。
パメラ:さく、さく、と刃が噛み合うたび、外界の喧騒もまた切り離され、静けさが増していくような感覚。
パメラ:「さっきの話だけど」
パメラ:「私は行けない」
ロクサーヌ:「行けない? 行かない、じゃなくて?」
パメラ:一瞬手が止まる。「……まあね」
パメラ:「そもそもちょっとアンビバレンツなとこあるよな、傭兵組織って」
パメラ:「どこの国にも属さず戦うのに、アイギスって組織には属することになる」
パメラ:「で、まあそうしたら、フランスの敵なんかには回れないだろ」
パメラ:「そういう予定があるわけでもないけど。私は」
パメラ:「自由な立場ってものを愛してるからな」
ロクサーヌ:「…………」どこか不服げにその答えを聞いて。
ロクサーヌ:「……まるで、自分はどこの国にも属してないみたいな言い方だけど」
パメラ:「……」散髪に専念している顔をして。
パメラ:「属してはないさ」
ロクサーヌ:「貴方がそう思っていても、向こうはそう思ってないかも」
ロクサーヌ:「それとも……貴方の信条に反することを命じられた時、いざって時に手を切れるような相手なの?」
ロクサーヌ:「貴方の祖国って」
パメラ:「何のことやら、とだけ」
パメラ:「……あー、いや」
パメラ:「『魔女様には敵わないな』も追加しとく」
ロクサーヌ:「……そりゃね。長く生きていると、子供の隠し事には鋭くなるのよ。お嬢ちゃん」
ロクサーヌ:「それに、別に隠し事をしちゃいけないなんて約束はないものね」
ロクサーヌ:「貴方が私のこと信用できなくて、自分の秘密を打ち明けられなくたって、別に咎める権利なんてないんだわ」
ロクサーヌ:目を閉じたまま拗ねたように言う。
パメラ:「……おいおい」
パメラ:途方に暮れた顔。「悪かったよ」
ロクサーヌ:「いいわよ、別に」
ロクサーヌ:「私だって、貴方に隠し事の一つや二つしてるし」
ロクサーヌ:「まあ。それを打ち明ける機会は遠のいたかもしれないけどね」
パメラ:「ちょっ、そういう……あ」声を上げた拍子に手元が狂い、切った髪の束が閉ざされた瞼の上に落ちかかる。
パメラ:「しまった。ちょっと動かないどいて」
ロクサーヌ:「へっ、何が」
ロクサーヌ:目を閉じたまま、鼻先にむず痒いものが触れるのを感じて思わず身を捩る。
パメラ:「あっこら!」咄嗟に顎を捕まえて抑え込む。
ロクサーヌ:「ひゃっ……! ちょっと、何して……」
ロクサーヌ:ちくちくした感覚があって目蓋を開けないため、状況がよく分かっていない。
パメラ:「何もしないっての! いいから……」言いかけ、はたと、いつになく間近に顔があることに気付く。
パメラ:陶器人形のように冷たく、そして恐ろしく整った造形。頤に触れた手から伝わる体温が、まるで錯覚であるかのように思えるほど。
ロクサーヌ:「……パメラ……?」
ロクサーヌ:再三の静止を受けてようやく大人しく動きを止める。代わりに、急に黙り込んだ君の名を不思議そうに口にする。
パメラ:「……」そっと目元の髪の毛を取り払う。その下から長く濃い睫毛が現れるのを見る。
パメラ:「…………や」
パメラ:「なんでもない。もうオーケー」
パメラ:気まずげに顔を背けながら、掴んだままだった手を離す。
ロクサーヌ:「んん……」ぱちりと両目を開ける。
ロクサーヌ:「ちょっと、今の大丈夫……?失敗してない?」
パメラ:「平気だよ……」顔が赤い。
ロクサーヌ:「……」じい、と朱色のさした頬を見つめる。
ロクサーヌ:「やっぱり……熱、あるんじゃないの?無理して出歩くから……」
パメラ:「いや、本当に何でもないから! 乗り出してくるな!」
ロクサーヌ:「もう。後でちゃんと休みなさいよ……」
ロクサーヌ:「それで……終わったの?散髪」
ロクサーヌ:鏡、どこかにあったかな……ときょろきょろとしている。
パメラ:「もうちょい」肩を押さえて座り直させる。
ロクサーヌ:「ん」座らされる。
パメラ:「……自由な身でいたいのはほんとさ。だから取り込まれないように注意はする。ありがたくも君がついてきてくれるって言うなら、猶更」
パメラ:最後の仕上げに鋏を動かしながら。
ロクサーヌ:「……うん」
ロクサーヌ:「そこは本音なのも、分かってた」
パメラ:「なんて言っても、愛しのわが祖国は飯がまずいからな」
パメラ:「あちこち渡り歩いてよく分かったよ。よその国の奴らがああだこうだ文句を付けてくるのはまったく正当な主張なんだってね」
ロクサーヌ:「へえ」ちょっと意外そうに呟く。
ロクサーヌ:「貴方のこと、なんの料理でも美味しく食べる人かと思ってた」
ロクサーヌ:「どこに行っても楽しそうに食事してるから……」
パメラ:「それだよ」
パメラ:「どこに行っても自分の国より美味いんだ」
ロクサーヌ:「そういう事だったの……」
パメラ:「はは。さて」
パメラ:手鏡を取って渡す。「できたぞ」
ロクサーヌ:「どうも……」じっと鏡に視線を落として。
ロクサーヌ:「うん……悪くない、わ」
ロクサーヌ:「上手なのね、パメラ」
ロクサーヌ:前髪をかきあげて、僅かに笑みを零す。
パメラ:「笑った!」
ロクサーヌ:「えっ……」その声に一瞬、ぎょっとしたように目を見開いて。
ロクサーヌ:「……そうだったわね。約束してた」
パメラ:「ああ」お返しのように明るく笑う。「なんとかギリギリで守れた」
パメラ:「どう? 隠し事はするけど、言ったことはちゃんと守るだろ」
パメラ:「怒らせもしたしね」
ロクサーヌ:「そうみたいね。それじゃあ」今度は、少し意地の悪い笑みを浮かべて。
ロクサーヌ:「もう一つの約束。私の方は、どんなお願いだって聞いてもらえるんだったかしら」
パメラ:「あ? あ~……」
ロクサーヌ:「さて、何にしようかしらね」
パメラ:「言ったかも……」
ロクサーヌ:「……なんてね。綺麗に散髪してもらったし、それでチャラにしてあげるわよ」
パメラ:「……ええ? 何だよ」肩透かしを食らったような顔。
パメラ:「なんかそれも期待が薄かったみたいで釈然としないんだけど!」
パメラ:「言ってみろって! やるから!」
ロクサーヌ:「そう?……ふふ」
ロクサーヌ:「ねえ。貴方の言ってた、『怒った顔が見たい』ってやつ。正直、ピンと来てなかったんだけど」
ロクサーヌ:「さっきの、貴方の困った顔とか……そうやって必死になってる顔を見るのは」
ロクサーヌ:「ちょっと面白いかも」

---

GM:病室のドアがノックもなく開かれる音で、君は目を覚ます。
ティルダ:「エミリアいる?」
ティルダ:派手な髪色にピアス、白衣から覗くタトゥーが特徴的な、アイギスのレネゲイド研究者だ。
ルカ:「……ノックしろよ」寝転がったまま、不機嫌そうな顔で返す。
ルカ:「知らない。いない」
ティルダ:「あれ、そうなの?困ったなあ」
ティルダ:「どこにいるか知らない?いっつもくっ付いてるじゃん」
ルカ:「だから知らないって…」「あっちが勝手にくっ付いてくるだけ」
ルカ:「起きてから顔も見てないし…」
ティルダ:「そうなの?どうしよっかなあ……」
ティルダ:悩んだ様子で腕組みする。
ルカ:「……」何か嫌な予感がして顔を背けるように寝返りをうつ。
ルカ:「検査とかなら時間がくれば戻ってくんじゃないの…」
ティルダ:「そうかもしれないけどね~」
ティルダ:「こっちに来る頃にはだいぶ落ち着いてたけど……今回のあの子の侵蝕率、多分500%は超えてたんだよ」
ルカ:「あ?」
ティルダ:「普通考えられないでしょ。まともな人間じゃいられない数字だ」
ティルダ:「でもあの子、ピンピンしててさ。それが逆に不安」
ルカ:「……」眉間に深い皺が刻まれていく。
ティルダ:「だから再検査したいんだけど……」ルカの顔を見て「……ホントに知らない?」
ルカ:「……」苦々しい顔をする。「……本当に知らない」
ルカ:そのままのろのろと起き上がり、頭を振ります。「知らないよ、クソ……」
ティルダ:「そっか~。分かったよ、ゴメンね起こしちゃって」
ルカ:「別に…」ムスッとした顔で、自分も病室から出る。
ティルダ:「後で見かけたら教えて。それじゃ」ひらひら掌を振って、また逆方向に去っていく。
ルカ:サングラスをかけながらそれを見送り、苦々しい顔で踵を返す。
GM:それからほんの数分ほどして。院内を歩くルカの耳に声が届く。
エミリア:「ルカ~~~~」
エミリア:背後から気の抜けた声と、ぱかぱかとスリッパを鳴らす音が響いてくる。
ルカ:パッと振り返る。不機嫌そうな顔。
ルカ:「…あんた」
エミリア:少しだぼついた病院着に身を包み、トコトコと君のもとに駆け寄ってくる。
エミリア:「探していたのですよ、ルカ!」
エミリア:「こんなところで何をしているのですか?」首を傾げる
ルカ:「……」息を吐いて、頭をがしがしと撫でて髪を乱します。
ルカ:「歩いてただけだ。悪かったな」
エミリア:「そうですか!」特に気にしない様子でニコニコしながら撫でられる。
エミリア:「歩くのは良いことです!特に入院中は体を動かすのが大事だと、看護師さんから言われました」
ルカ:「あんた、調子はいいの」足元を見る。
ルカ:「あんたのこと、再検査したいってティルダが探してたけど」
エミリア:「はい!元気です!」大きめのスリッパから白く細い素足を出して、指を動かしてみせる。
エミリア:一時は花へと分解されていたはずだが、綺麗に元通りになっている。
ルカ:サングラス越しに、訝しげな顔でじっとそれを見ている。
エミリア:「……な……なんですか?」脚をじっと見られていることに気付き、少し恥ずかしそうにする。
ルカ:「…別に」嫌そうな顔をする。
ルカ:「検査は受けろよ」
エミリア:「はい……あっ、そうです。その前に」
エミリア:「これ!」背伸びをして腕を伸ばし、ルカの口に何か押し込んでくる。
ルカ:「やめ…」すごく嫌そうな顔のまま押し込まれる。
エミリア:それは甘い焼き菓子のようだ。エミリアがずっと持っていたのか、体温で少し温かい。
エミリア:「どうですか!」ニコニコしながら反応を伺う。
エミリア:「おいしいでしょう!」
ルカ:顔をしかめたまま咀嚼する。
ルカ:「この間よりは」
エミリア:「わたしが作ったのではありません!」何故か胸を張る。
エミリア:「起きたら病室に置いてあったのです。誰かのお見舞いだと思うのですが……クレアさんでしょうか」
ルカ:「……」「……あんた宛てだろ」
ルカ:「良かったの、おれに分けて」
エミリア:「でも、おいしかったので!」
エミリア:「ルカにも食べてほしいと思って、探していたのです」
ルカ:「ああそう…」「………」「……それはどうも」
エミリア:「おいしかったでしょう!」嬉しそうに笑って、「……あっ」
ルカ:「なんだよ」
エミリア:「こちらに来てください、ルカ!」手を握って、また慌ただしくぐいぐいと引っ張っていく。
ルカ:しかめっ面のまま手を引かれる。「何…」
エミリア:「こちらです!」手を引いて病院の中を歩いていく。
ルカ:「酒飲める場所でも見つけたの」
エミリア:「違います!見てのお楽しみです」
エミリア:「……」「……ところで、気になっていたのですが……」歩きながら、思い出したように口を開く。
エミリア:「あの竜は、一体どこからやって来たのでしょうか?」
ルカ:「……」怪訝な顔をする。「……そうだな」
ルカ:「ドイツの爺さんの話だと、突然現れたんだろ。だから……」「……」
ルカ:「どっかのゲージに入れられたなんて話でもなさそうだ。あんたは何か思いついたの」
エミリア:「いえ」かぶりを振って「でも、気になって」
エミリア:「一匹だけで、他に家族や仲間はいなかったのでしょうか」
エミリア:「何か悪意や目的があって、人を殺していたのでしょうか」
エミリア:「わたしには、そうは見えませんでした」
エミリア:「ただ生きて、そこにいた。わたし達はそれを倒した……」
エミリア:「悪いとは思いません。そうしなければ、わたし達が死んでいたでしょうから」
エミリア:「それが……生きるということなのだと思います」
ルカ:「うん」横顔を見る。
ルカ:「生きることは戦うことって」
ルカ:「あんたの口癖」
エミリア:「はい」頷く
ルカ:「……生きてるだけ、ならいいけどな」
ルカ:「そこにいるだけで何十万人もの人が死んだ。イタリアは壊滅」
ルカ:「こっちにしてみりゃ、たまったもんじゃない。あの竜がどう思ってたにしろ……」
エミリア:「……ルカなら、どうしますか?」歩きながら顔を見上げる。
エミリア:「自分が生きているだけで、他の誰かを害しているとしたら……」
ルカ:見返す。「……オーヴァードになった時点で」
ルカ:「あの竜と同じように扱われてもしょうがないよな」
ルカ:「……さあ」「それでも生きるとかなんとか言えればいいのかもしれないけど」
ルカ:「どうしたら」考えるように呟いて、結局口をつぐむ。「……いや。分からない」
ルカ:「……」エミリアを見ます。「あんたは、自分から死ぬとか言い出しそうだけど。やめとけよ」
エミリア:「わたしは……」口を開きかけて「……あっ、ここです!」
エミリア:二人のもとに、不意に光が差し込む。
ルカ:しかめっ面をして、光の方に視線を向ける。
エミリア:そこは病院の中庭だった。木々が蓄えた緑の葉が陽射しを和らげ、木洩れ日となって降り注いでいる。
エミリア:涼やかな風が吹いて、木々や花壇の花々を揺らし、そこだけ穏やかな時間が流れているかのようだ。
エミリア:人々が木陰で談笑する声が、微かに聞こえてくる。
エミリア:「どうですか?」ルカを見上げ「これが見せたかったんです!」
エミリア:言ってしまえば、さして絶景というわけでもない、どこにでもあるような光景だ。
エミリア:だが木漏れ日を受け、エミリアはとても嬉しそうに笑う。
ルカ:「……」サングラスを外す。午後の柔らかな日差しが途端に差し込んできて、眩しそうに目を細める。
ルカ:「…そう」しかめっ面のまま曖昧に頷く。
ルカ:「気に入ったんだ?」
エミリア:「はい!」屈託なく頷く。
エミリア:「ここにいると落ち着きます。花も綺麗で……ええと……風が気持ちよくて……」
エミリア:「日が……こう……あまり?強くなくて……」
エミリア:「よ……良い感じが……します!」
ルカ:「うん。良い感じだな」
エミリア:「そうですよね!!」ぱっと表情を輝かせて頷く。
ルカ:「戦艦じゃ味わえないしな」サングラスをかけ直しながら返す。
ルカ:「あんたにも似合ってる。こういうところが」
エミリア:「そうですか?」きょとんとした顔をする
ルカ:「そうだよ。残念だったな」
ルカ:彼女の長い髪が日差しに柔らかく透けていた。それを目で追う。
エミリア:「残念……?」首を捻っている。
エミリア:柔らかな風が吹いて、木々の葉を揺らす。髪がそよいで、気持ちよさそうにそれを受ける。
ルカ:答えず、中庭のなかをのしのしと歩み進めていく。
エミリア:「……」
エミリア:「……ルカ」
ルカ:「なに」振り返る。
エミリア:「……わたしは、そんなことはしませんよ」
エミリア:「生きていたいのです」
エミリア:「その為に魚や獣を殺して、花を踏みつけにしても……」
エミリア:「わたしは、生きたいのです」
ルカ:「……そっか」
ルカ:「じゃあ、それに一個追加で」
ルカ:「味方を見捨ててでも、って入れて」
エミリア:「……?」
エミリア:ルカの顔を覗き込むようにして。
エミリア:「ルカ……」
エミリア:「怒っていますか?」
ルカ:「………怒ってないよ」
ルカ:「ただ……」「……我儘を言ってるだけ」
エミリア:「……」
エミリア:ルカの手を両手で握る。
エミリア:「わたしも、我儘ならあります」
ルカ:白い手に視線を落とす。「……言って」
エミリア:「……わたしは、これからも生きたいです」
エミリア:「これからも沢山、綺麗な景色を見て、美味しいものを食べて、色んなことを知って……」
エミリア:「その時、その隣に……」
エミリア:「ルカ。あなたが居てくれると、わたしはもっと嬉しいです」
ルカ:「………」咄嗟に返事ができず、言葉に詰まる。
ルカ:「なんでおれなんだか……」そう言って小さく笑う。
エミリア:「何を言うのです」可笑しそうに笑って
エミリア:「ルカ以外にはいませんよ」
エミリア:「……あっ!」
エミリア:思い出したように声を上げる。
ルカ:「今度は何」
エミリア:「そういえば、ティルダさんに探されていたのでしたね!」
エミリア:「これ以上お待たせしては申し訳ありません。行かなくては……」
エミリア:「ルカ!それではまた!」
ルカ:「照れただろ」背中に聞く。
エミリア:「何がですか!!」
エミリア:背中を向けたまま、来た時と同じようにスリッパを鳴らしながら走り去っていく。
ルカ:「はは」笑って、それを見送る。
ルカ:ひとり残され、小洒落たデザインのベンチを見つけてそこに腰掛ける。
ルカ:…別に、心から気が晴れた訳じゃない。着替えた時、服のポケットに黒焦げのコインが一枚入っているのに気づき、
ルカ:それを咄嗟に病室のサイドボードの引き出しにしまい込んだまま、なんとなく見れないままでいた。
ルカ:エミリアに対してだって、彼女の能力の具合だとか、聞くべきだった気がするし、いや、だからこんな風に思うのが、そもそも…
ルカ:…怒っているわけじゃない。ただ、そう、ずっと途方に暮れている。
ルカ:静かで綺麗な風景の中で、ただ、じっとしている。馬鹿みたいに平穏だった。
ルカ:「………絵」
ルカ:壁に絵を描きたい、とそれだけ思った。ずいぶんしていなかった。

---

デュバリー:choice[デュ,ギル,クレ]
DoubleCross : (choice[デュ,ギル,クレ]) → ギル

デュバリー:ギルべやに突撃だぜ

デュバリー:"アイギス"への帰還を控えた前夜。
デュバリー:全員が快復を迎えたわけでこそないものの、いつまでも停滞している訳にはいかないとして決定された帰還タイミングではあったが
デュバリー:少なくともこの3人は、病院で寝泊まりする必要がない程度にはなっていた。
デュバリー:そしてその夜、デュバリーはクレアを連れてギルの部屋に訪ねたという次第となる。
デュバリー:大した含意はない。戻ればまた何が起こるか分からない。その最後の休暇を、静かにでなく、語らいながら過ごそうと決めただけだ。
ギル:「珍しいね、デュバリー。君から僕を訪ねてくるなんて。クレアと二人きりでなくていいのかい?」
ギル:そう言いながら二人を迎え入れるよ。ワインボトルと人数分のグラスをテーブルに並べる
クレア:「自分は賑やかな方が楽しい。アッシュとルカは外出しているようだからな。必然的にギルの部屋になった」意図を理解していない様子で答える。
デュバリー:「折角だもの。思い返すと普段、作戦の準備でもなく三人で顔を合わすなんて、あまりないでしょ」
デュバリー:「二人の時間とかみんなの時間は作りやすいけど、私たち三人、という機会は、そんなになかったと思って」
デュバリー:慣れた手付きでコルクを開け、3つのグラスにワインを注ぐ
クレア:「そうかもな。自分やギルはルイジアナにいることが多いが、デュバリーには自分の店もある」
クレア:テーブルの中央に持ってきた焼き菓子を広げ、自分のグラスを手に取る。
ギル:「確かに。思い返すと戦いのことばかり話していた気がするよ」
ギル:「後は、僕の妹の話くらいか……それだって僕が話すばかりだったし」
デュバリー:肩をすくめる 「会ったこともないしね」
デュバリー:「何に乾杯する?」 グラスを手に取る
ギル:「じゃあアイギスの無事に」
クレア:「異論はない」
ギル:「誰が欠けてもおかしくない戦いだった。あれを皆で乗り越えられたのは奇跡に近いよ」
デュバリー:「ほんとにね。倒したことそのものも奇跡だとは思うけど……まあ」
デュバリー:「皆の無事の方が大事かな」 軽くグラスを掲げる 「乾杯」
クレア:「乾杯」同じ様にグラスを掲げる。
ギル:グラスを掲げて。「特にエミリアとルカにはひどく負担をかけてしまった。検査で異常がなくてほっとしたよ……と」
ギル:「このままじゃまた戦いの話になってしまうな。いけないね」
デュバリー:「別に、敢えて禁止することもないでしょ」
デュバリー:「話さなきゃ話さなきゃで沈黙するよりはずっとね」
デュバリー:言いつつグラスを揺らし、ゆっくりと傾け唇につける
クレア:「それはそうだが、ギルの気持ちもわかる。戦いの話なら普段の任務でもしているしな」
クレア:「折角オフに集まったのだし、普段はしない話をするのも良い」
デュバリー:「……じゃあ、二人は何してた? ここのところ」
デュバリー:「ずっと病院で治療受けてました、でもないでしょう」
ギル:「僕は少し文字の勉強を。本当は、もう少し観光を楽しみたかったんだけど、かなり侵蝕率が上がっていたからね。病院から出るなと言われてしまったよ」
クレア:「文字の勉強?ギルは元々欧州の生まれだったと記憶していたが」
クレア:「どこか遠くの国にでも行く予定があるのか?」
ギル:「いや、すこし恥ずかしいんだけれど……僕の家は貧しくてね。小さい頃から、学校に通わず働きに出ていたんだ」
ギル:「話すのは問題ないけど、読み書きはまだ苦手な部分が多くてね。勉強し直しているんだよ」
ギル:「妹への手紙も、もっとしっかり書けるようになりたいからね」
クレア:「そうだったのか……任務の時は特に困っている様子もなかったから、気づかなかった」
デュバリー:焼き菓子を口にしつつ 「……そうだったの。真面目ね」
ギル:「指令書のような、仕事で使うものは問題なく読めるからね。気づかなくても無理はないよ」
ギル:「真面目かな?君の娘にも、そういう子は居るんじゃないかな」
デュバリー:「いる、っていうか、そういう子の方がずっと多いよ」
デュバリー:「でも、それで生きてこれたし、これからも生きていけるから、ってわざわざ勉強したがらない子も、やっぱり多い」
デュバリー:「そういうのは良くないって説得して、実際に勉強してもらえれば、確かに良かった、って大体は言ってくれるんだけど……自発的な子は少ないから」
デュバリー:またワインを少し口にする 「だから真面目よ、私から見ても」
ギル:「そうか。僕は妹と遣り取りをする、という目的がはっきりしているからね」
ギル:「遠くとの繋がりがなければ、学ばなくてもいいと思うのは無理もないか」
クレア:「その点、デュバリーは他所の国の文字にも詳しそうだな」
クレア:「世界中にいるんだろう?娘や、友達が」
デュバリー:少し笑う 「友達は確かにそこそこいるけど、"娘"はまだ西欧中心よ」
デュバリー:「確かに一カ国ではないけど、フランスの言葉以外は、ギルと同じ感じ。大まかに読みつつ、辞書を引きながら、よ。書くなんてとても」
デュバリー:「クレアは……ギルと同じ感じなのかな」
ギル:「レシピを読むためには、色んな国の文字を知ってる必要があるんじゃないか?」
クレア:「実を言うと自分も偏っている。それこそレシピに出てくるような、食材や数字なら多少詳しいが」
クレア:「手紙のやり取りとなると難しいな。英語は小さい頃に教え込まされたが、それも日常生活を意図したものではなかったし」
クレア:「フランス語も、最近ようやく簡単な文章が書けるようになってきたところだ」
デュバリー:「そう。食材と数字……あと、料理の動作? が大体分かれば、作るには困らなさそうだものね」
デュバリー:「でも英語ができるのは良い。結局英語よ、英語」
デュバリー:「私もイギリスに生まれておけば楽だったのに」
ギル:「クレアの英語はアメリカじゃないのかな」
クレア:「らしいな。自分は些細な違いだと思うが、イギリスの人間からすると違うらしい」
デュバリー:「文章だとそこまで困らないという話じゃなかったっけ。……でも『1階』が違うんだったかな」
クレア:「アメリカでは"first floor"、イギリスでは"ground floor"だな」
クレア:「ちなみにイギリスはその後2階がfirst……と続いていく。ややこしい」
ギル:「へえ。僕はさっぱり気にしたことなかったな」
デュバリー:「そう。だから、同じ言語のくせに、first floorって言った時、1階になったり2階になったりするの」
デュバリー:「半端に違うの、それはそれで困る。ほとんど同じのくせに……」
デュバリー:愚痴るように言いつつ、またグラスに唇を着ける。進みは緩やかだ
クレア:「自分もそう思うが、きっとその些細な違いを大切にしてきた人たちがいるんだろう」
クレア:「似ているからと同じにされてしまうというのも、それはそれで納得の行かない話だ」
デュバリー:「……それもそうか。私も、単なる売春宿の元締めみたいに思われたら嫌だし」
デュバリー:「そういう、些細な違い……こだわりの積み重ねなのかもね。差異というのは全部。人も、国も……」
クレア:「尊重しすぎるのも考えものだがな。はじめは些細な差異だったものが、いつの間にか"間違え"を積み重ねてしまっていた。ということもあり得る」
クレア:「人も、国も。それを正そうとすることも、もしかしたら傲慢なのかもしれないが」
デュバリー:「……誰もが誰もを正さないのであれば、諍いはしないでしょうけど」
デュバリー:「それも多分孤独だし、見ていられないんでしょうね」 まさしく先ほど話した、自らを教養から遠ざけてしまう"娘"を想う
デュバリー:「……いたずらに小難しい話になった。ワインとお菓子が萎縮しちゃう」
デュバリー:焼き菓子をまた一つ齧る 「次はもっと笑いの出る話にしましょう。何かある?」
ギル:「笑いの出る話か、そうだね……また僕の妹の話になってしまうけど」
ギル:「あれはまだ僕が働きに出る前、僕の街の近くに流れていた、小さな川に遊びに行った時のことで……」
ギル:ワインを飲むのも忘れて、ほほえみながら夢中で妹の話をし始めるよ。
デュバリー:「……まあ、過去の話ならね」 言外に、進行形の虚構を話されるよりはマシだと言っている
クレア:「……きっと、いつかは話せるようになる」熱を帯び始めたギルの言葉を聞き流しながら、ワインを飲み干す。
クレア:「未来の話も」

デュバリー:……こうして、三人で交えたささやかな酒宴は、三人らしく度を外すこともなく
デュバリー:翌日以降を念頭に、きわめて健康的な時間に終わった。
デュバリー:――三人での集まりは、だ。
デュバリー:(酒を飲み交わして、表向きは解散しつつ、改めて部屋に呼ぶなんて)
デュバリー:(相手がギルじゃなかったら相応の"準備"をしてたところね)
デュバリー:さすがに"アイギス"の良き同僚たちが、そういった求めをこちらにしてくることは想定していない。
デュバリー:甘えや信頼も少しはあるが、それ以上にデュバリーは、そういう"匂い"を嗅ぎ損ねることはない。雰囲気という意味でも、あるいは物理的な意味でも。
デュバリー:こんこん、と指の甲でギルの部屋の戸を叩く。観葉植物さえも寝静まる深夜に響いたその音は、実態以上に大きく聞こえた。
ギル:ドアを開いてデュバリーを中に招き入れる。「ありがとう。よく来てくれたね、デュバリー」
ギル:「すまない、こんな呼び方をして。ただ、この話はクレアには聞かせたくなくてね」
ギル:「いや……クレアに限らず、ルカにもアッシュにも」
ギル:と言って椅子にかけるようジェスチャーする。自分も座るよ
デュバリー:「クレアにも、ルカにもアッシュにも聞かせたくない話……」 招き入れられるまま部屋に足を踏み入れる
デュバリー:先ほどまで座っていた椅子に、少し浅めに腰掛ける 「確かに3人とも、まだまだ若いけど……」
デュバリー:「大人向け、というようでもない気がするな」
ギル:「歳のこともあるけれど……君が一番正直に話してくれそうだと思った」
デュバリー:「正直に」
ギル:「世間話は、もう散々したからね。早速だけど本題からに入るよ」
ギル:「……」と言いつつ、テーブルの上で組んだ指を見つめ、しばし沈黙してから
ギル:「……君から見て、僕は最近変わったと思うかい?」
デュバリー:意図を測りかねる問いではあった、が……
デュバリー:「いいえ」 静かに首を振る。少なくとも彼が正直さを求めているなら、そう応じるべきだろうと思った
ギル:「なにか……言動に違和感があったり、話の内容に矛盾があったり、或いは、何かを忘れているような様子は?」
デュバリー:「……いいえ」 ほんの少しだけ間があったが、やはり首を横に振る
デュバリー:それは『最近』のことではないし、『違和感』『矛盾』『忘れている』などといった領域の話ではない。だから、いいえ、だ。
デュバリー:だが、答えながらも、デュバリーは内心で、微かに何か、覚悟のようなものを強いられている気がしていた。
ギル:「……そうか。なら、まだ大きな問題は出ていないんだね」
デュバリー:「『まだ』、『大きな』……」
ギル:「最初に気づいたのは、今回の作戦の出撃前、ルカと話したときだった」
ギル:「エミリアのこと、家族のこと……互いの妹のことを話したのは覚えてる」
ギル:「ただ、その途中……何を話したのか思い出せない部分があるんだ」
デュバリー:「……思い出せない?」
ギル:「そう、そこだけ、電灯を消したみたいに、ルカの表情も声も、思い出せなくなっている」
ギル:「それから、αとの戦いの中でも……君がたしかに僕を怒ったのを覚えている」
ギル:「ただ、君が僕の何に対して怒りを覚えていたのか、そこがすっかり抜け落ちているんだ」
ギル:「思い返せば……以前にも似たような事があった気がする」
デュバリー:「怒っ……」 口にして、思い出す。あの戦いの最中、自分の意識は茫洋としていて、細部まで思い出すことはできない
デュバリー:だが、そこは思い出せる。それを口にした時は、まだそこまで意識は漠然と広げられていなかった。
ギル:「マティアスとの会話のときにも……いや、それよりもっと前から、もしかしたら……」
ギル:「……僕は彼のように、壊れ始めているのかもしれない」
ギル:「君の様子を見ると、まだ影響は大きくないのだろうけれど」
デュバリー:「…………」
デュバリー:……恐怖。
デュバリー:恐怖、のようなものを感じた。その昔、初めて赤子というものを抱いた時に感じた恐怖に似たものを。
デュバリー:自らの力加減で、目の前のものは壊れてしまうのではないか。そうなった時、周りの人間……自分と彼らの繋がりも、諸共に、致命的に壊れてしまうのではないか、という恐怖。
ギル:「このことは、皆には言わないでいてほしい。だがもしも……君の目から見て、僕が皆の脚を引っ張るような事があれば」
ギル:「その時は僕を止めて欲しい。デュバリー、頼めるかい?」
ギル:「……デュバリー?」
ギル:心配そうな、或いは不安げな顔で君の顔を覗き込むよ
デュバリー:「……」 すう、と息を吐き、目を逸らす 「……そうね」
デュバリー:「私に、あなたが止められるか、という破滅的な問題はさておき……その頼みは承る」
デュバリー:「三人にも、少しむずかしい所かもしれないしね。だけど……」
デュバリー:「……さっき話した、英語の話。覚えてる? あなたがあの……微笑ましすぎて反応に困る、妹の話を始める、その前の話よ」
ギル:「ああ。ついさっきのことじゃないか。忘れるはず無いよ」
ギル:「それがどうかしたのかい?」
デュバリー:「どれほど大きな間違いが発生していたのだとしても、それは些細な差異の積み重ねに過ぎなかったのかもしれないし……」
デュバリー:「間違いを正すことで、摩擦が発生したとしても、それは孤独を防ぐためで、敵対ではなく、救いの手なのかもしれない。そういう話」
デュバリー:「…………」
ギル:「……?」
デュバリー:ふう、と息を吐く 「テスト」
デュバリー:「……記憶力のテストをしただけ。短期的なね」
デュバリー:「とりあえずそこに欠落がないのなら、作戦中にあなたが致命的な問題をいきなり起こすということは、ないと思うから」
デュバリー:「ちゃんと覚えていてよ、今の話も」
ギル:「約束するよ。話を聞いてもらえて感謝してる。忘れない」
デュバリー:「よろしい」 座ったまま、姿勢を落ち着きなく整える
デュバリー:「……それ、舞には? 話した?」
ギル:「舞は、ただでさえ今回のことで負担をかけてる。僕のことで、余計な心配をかけたくないんだ」
ギル:「……頼むよ、デュバリー」
デュバリー:「私には心配かけていいってわけ……ううん、冗談。分かってる」
デュバリー:「でも、舞も……そうね。"アイギス"全員。当然で、在り来たりな言葉になるけど」
デュバリー:「あなたはどうしようもなく大事な戦力で、仲間なんだから。たった船一隻が国土で家の、同じ仲間」
デュバリー:「そういう相手が大変な時に……心配するべき時に、心配できない。それほど苦しいこともないんだよ」
デュバリー:「もし次、そういう違和感を感じることがあったら、ちゃんと舞に相談して。話がスムーズにできるように、私も同席するから」
デュバリー:「良い?」
ギル:ぐっ、と唇を引き締め、何度も頷いてから
ギル:「わかった。約束する。それも」
ギル:「でも、舞の前では、強い自分でいたいんだ。できれば……」
ギル:「いや。大丈夫。ちゃんと話すよ。……ありがとう。君に相談してよかった、デュバリー」
デュバリー:椅子を立つ 「その気持ちを汲んで、私から舞には話さないようにしてあげる」
デュバリー:「だから、絶対にそうするように。……あなたは、うん。困らされたりすることも大いにあるけど」
デュバリー:「全部合算すれば、普通に信頼できる人だから」
ギル:「正直な評価をどうも」緊張をほぐす様な気の抜けた笑みを浮かべて。
ギル:「君も、僕が力になれることがあったら、何でも相談してくれ。僕達は”アイギス”の仲間だからね」
デュバリー:眼尻を下げて、少し笑う 「そうね。その時はきっと頼る」
デュバリー:「人に頼るよう言った以上はね。自分を棚に上げたら、叱られそう」
デュバリー:そう言って、笑みのまま手を振り、今度こそギルの部屋を後にする。
ギル:部屋の外までデュバリーを見送って「それじゃあ……お休み、デュバリー」
ギル:デュバリーを見送ってから、自室に戻り、しばし逡巡して
ギル:本棚から、白紙の本を取り出して、日記をつけ始める。
ギル:この戦いで起きたこと、自分の感じた違和感、記憶の欠落、今のデュバリーとの会話。それらを忘れないために
ギル:自分の記憶を書き記していく。学んでいる最中のはずのフランス語を、流暢に使って。

---

:ホテル『ベルビューパレス』。
 :その一室、出撃前にはゲオルグ・クローヴィンケルが宿泊していた部屋へと、アウグストは招集を掛けた。
 :一つには空間の問題だ。この部屋には小さいながらも、四人で座れる円卓がある。
 :そしてもう一つは、当然だが、他の客と隔てられた空間であること。
アウグスト:「……」
アウグスト:部下たちの到着に先んじて、卓に両肘を突く格好で座っている。
カタリーナ:落ち着かない様子でキョロキョロしている。
カタリーナ:「部屋で内装バラバラなんだ~」
エリアス:その椅子の数に不慣れな様子。「クラウディアさん、遅刻か…いやいつもか」
エリアス:「さすがに広いですね…」
カタリーナ:「広いね~」
クラウディア:「どうも、失礼しまーす」どこか締まりのない声と共に、ノックもなく扉が開く。
アウグスト:目線を上げる。「遅いぞ」
クラウディア:「すみません、遅れました。あんまり眠れなくて……」
クラウディア:手で隠して小さく欠伸をする。あまり悪びれた様子もなく席につく。
カタリーナ:「おはよ~」
エリアス:いつもの光景。だが。
エリアス:「おはようございます」気まずそうに返す。
クラウディア:(……なんか、変な感じ)こういう時、いつも自分に向かって怒鳴る人が、もうどこにもいないのだと感じる。別に、声や顔には出さないけれど。
エリアス:「…えっと、それで」
エリアス:「どういう呼び出しなんでしたっけ」
アウグスト:「ああ……」
アウグスト:「端的に言う」
アウグスト:「私としては、お前たちには、今回限りで軍を離れることを勧めたい」
エリアス:「えっ!?」
カタリーナ:「あ~やっぱりそうだ」
カタリーナ:「絶対言うと思った~」
クラウディア:「あは。そんなこと言っちゃって良いんですか?」
クラウディア:「ただでさえ、イルゼ先輩もゲオルグさんもいなくなった所なのに」
クラウディア:「うちの国の軍としてはめちゃくちゃ困るでしょ、そんな風になったら」
カタリーナ:「いいよ~って言わないよねえ」
エリアス:「カタリーナさんは遺産の負担でわかりますけど、おれらもですか?」
カタリーナ:「なんで私だけ分かるなの~」
エリアス:「遺産二個持ちなんてカタリーナさんだけじゃないですか…」と言いつつ、アウグストさんの言葉を待つ。
アウグスト:「お前が愛国心に満ちていたとは知らなかったな」クラウディアを一瞥し。
アウグスト:「……いずれにせよ、そこまで考える役目はお前たちのものではない」
クラウディア:「まさか。ただ、隊長がそんなこと言って大丈夫なんですか?って思っただけ」
アウグスト:「今なら、戦闘で死んだと言って、誰にも疑われんだろう」
アウグスト:「上は今回の敵を知っていたのだから、猶更だ」
カタリーナ:「そうなったら、Einは一人で帰るの~?」
エリアス:「…ってことですよね」
アウグスト:「私は閣下の遺命を受けているのでな」肯定の意。
カタリーナ:「でも、分かってるんじゃないの?」
カタリーナ:「そうなったら、わ~よかった君は無事で!ってならないって」
クラウディア:「はーん。それで、戸籍も名前も、今までの人生もぜんぶ捨てて、本国に見つからないようにこそこそ隠れて生きると良いよって?」
クラウディア:「それこそ私は御免だなあ」手をひらひらと振る。
カタリーナ:「クラウディアにさんせーい」足をプラプラする。
カタリーナ:「私は最後までここだよ」
エリアス:「…そうやって、見ないふりして忘れるほうが、難しいです」
エリアス:「それができてたら、馬車、降りてませんしね」
エリアス:「あっ。クラウディアさんができてるからどうって訳じゃないですからね!」
クラウディア:「え~、私だって結局戻ってきたじゃん。五十歩百歩じゃない?」
クラウディア:仲間はずれにしないでよ、とばかりに唇を尖らせる。
エリアス:「…む。たしかに、そうっすね」
カタリーナ:「あっそうじゃん!アウグストが最初に言う事聞かなかったじゃん」
カタリーナ:「じゃあ私も聞かない」
アウグスト:眉間を揉む。
アウグスト:「これでも親切で言っているぞ」
エリアス:「それはみんなわかってると思いますけど…」苦笑する。
カタリーナ:「ね~?」
アウグスト:「戦場の華々しさが恋しいなら、ちょうど今、手頃な拾い手が近くにいる」
アウグスト:「私についても……懸念は無用だ」
クラウディア:「手頃な拾い手?……もしかして、アイギスのこととか言ってます?」
アウグスト:「ああ」
アウグスト:「奴らであれば無碍には扱わんだろう。それは今回見て分かった」
エリアス:病室に来た青年を思い出す。…どっちにしろ来るなと言われる点では変わりないだろう。
カタリーナ:「あ~、私もアッシュから誘われた」
エリアス:「そうなんですか!?」
カタリーナ:「んー。フランスには自分で行くねって言ったよ」
クラウディア:「無碍には扱わないって。貴方の部下でいても同じじゃないんですか?それ」
アウグスト:「その心算だが、私は一部隊の指揮官以上のものではない」
アウグスト:そもそもこのゲシュペンスト自体、半ば人体実験の産物のようなものだ。そこまでは口に出しはしないが。
アウグスト:「つまり……」
アウグスト:「好機なのだ。今が」
アウグスト:「おそらくより長く続く道を選ぶための」
カタリーナ:「アウグストは来ないの?」
カタリーナ:「私たちだけ道を進んで、自分はBumm!ってこと?」
カタリーナ:指で鉄砲を向けて撃つ真似をする。
アウグスト:「侮るな。そうなる気は無い」
クラウディア:「そう言われてもなあ。なんか……」
クラウディア:「隊長が戦車から一人で降りて残ろうとした時と、同じに見えちゃうんですけど」
アウグスト:「お前には今の私が透けて見えているのか?」
カタリーナ:「そうならなかったのはみんな居たからだよ~」
エリアス:「それに、それ言ったらお互い様になっちゃいません?」
カタリーナ:「私もエリアスも居たじゃない」
カタリーナ:「Sechsも来た!」
クラウディア:「……」その呼び名が出たことに、僅かに顔が強ばる。
エリアス:「たぶん、長く続く道って言っても、そんな変わりませんよね」
エリアス:「クラウディアさんが言ってた、隊長の最後の話」
エリアス:「…そうだとしたら。……もう、よほどのところまで来てるんじゃないですか」
エリアス:「すべて、おれには想像のつかないくらい大きい流れの上にあって。それからは…多少の時差があったって、逃れられないこと。それくらいは…分かります」
クラウディア:……プロホロフカで起きたことの全て、「α」による災厄が何者かの手引によって引き起こされたこと、その裏にいる「船員」達について。
クラウディア:ゲオルグ・クローヴィンケルから聞かされた話は、部隊の皆にはゆうべ伝えた。
クラウディア:国内でも上層部しか知らない機密ではあると言うが……あの男が自分などにそれを伝えた事の意味を、クラウディアなりに考えた結果、そうした。
アウグスト:息を吐く。「我が国は」
アウグスト:「これまで持っていた優位を失った。情報。戦力。閣下という影響力」
アウグスト:「地上を覆う洪水と無関係で居られないのであれば」
アウグスト:「寄る辺に定めるべきは箱舟だ」
カタリーナ:「聖書には幽霊ゲシュペンストは居ないよ~?」
エリアス:席の向かいの男を見る。入隊時には厳格で高貴で、自分などとは程遠く見えたが。
エリアス:ここには同じ人間が四人席についているだけだ。少なくとも自分にとっては。
カタリーナ:「Walpurgisは荒らして、隠して、落書きとかして」
カタリーナ:「最後まで好きに彷徨うの」
カタリーナ:「アウグストが選んだ道に行くよ、私は」
カタリーナ:「Zweiならそうした」
アウグスト:「…………」
アウグスト:「そして死んだ」
カタリーナ:「そうだねえ」
クラウディア:「……"ゲシュペンスト"は、過去に拘り続ける亡霊の名前だって」
クラウディア:「これからを生きる人間には相応しくない。だから捨てろ……って、言われちゃったけどさ」
クラウディア:「やっぱり、無理なんじゃないかな。私達、死んだ人の事は忘れられないし」
クラウディア:「死んだ仲間がやろうとしてた事を、無意味だった事にはしたくないって思っちゃう」
エリアス:隊服に縫い付けられたエンブレムを見やる。墓から這い出る手を模した印。
カタリーナ:「お~。いつになく真面目だ」
クラウディア:「そうかな。正直なだけだよ」
クラウディア:「感じたことを言ってるだけだもん」
エリアス:「いつも通り、っすね」
アウグスト:「だから、変えられんと?」
カタリーナ:「私達、みんな全然似てないけど」
カタリーナ:「変えられないのはみんな一緒だよね~」
エリアス:「…甘っちょろいことだと思いますけど。変えられなくても、やめるんじゃなくて、良くしていきたいです。もっと大きな形で」
エリアス:「…それだって今がチャンスでしょ、って思うし。」
クラウディア:「そこまで頑なでもないけど、大体そんな感じ。それに」
クラウディア:「方舟が一つだけじゃ、全然みんなを乗せ切れないでしょ。そういう話だったよね、あれ」
クラウディア:「私達の船は、そりゃ……あんま大きくないし、ともすれば傾きかかってるのかもしれないけど」
クラウディア:「それを支えとく事にも、意味があるんじゃないの?」
クラウディア:「この国の内側からしか出来ないこと、まだあるでしょ。きっと」
エリアス:「二匹ずつしか乗れない船じゃあ、乗れない奴らが多すぎますもんね」笑う。
エリアス:「おれたちもたぶん乗れないな」
クラウディア:「後味悪いもんね、そういうの。大元の敵を潰したとしても、なんか負けた感じしそう」
カタリーナ:「だって~?」机にべたっとしてアウグストを見上げる。
カタリーナ:「じゃあどうしようか?」
アウグスト:「……」再び息を吐いて。「出来ることなど無いと思っていた」
アウグスト:「私以外の人間にはな」
アウグスト:「あくまで去らないと言うならば、それを覆すだけの働きは見せてもらうぞ」
クラウディア:「ええっ、ひど。気遣う様なこと言いながらそんな風に思ってたんですか」
エリアス:「そんな増長、らしくないですよ」笑う。
カタリーナ:「ね~?」
アウグスト:「忠告痛み入る。だから気を付けているとも」
アウグスト:「部下の身を案じるなどしてな。蹴られてしまったが」
エリアス:「こんな部下の面倒を見られる人も、そうそういなさそうだな…と今思いました」
アウグスト:鼻を鳴らす。
アウグスト:「冗談だ」
クラウディア:「隊長でも冗談とか言うんだ。びっくり」
アウグスト:「稀にはな。さて」
アウグスト:「であるからには、しておくべきことが二つある」
アウグスト:「差し当たって一つだ。もう一つは帰国の途上でもいい」
カタリーナ:「何~?」
エリアス:「なんでしょう」
アウグスト:「新しい部隊の名を決める」
アウグスト:「案がある者はいるか」
クラウディア:「あっ、そういう感じで決めるんだ」
カタリーナ:「え~?どうしようね」
エリアス:「……ぜ、ぜんぜん思いつかない…」
エリアス:真面目に顎に手を宛てうんうん言う。
カタリーナ:「こっちも船ならFalkenburgとか~?でもGespenstのほうが格好いいよねえ」
エリアス:「…もうNeu(新)Gespenst でよくないですか?」
クラウディア:「ううん、それだとゲオルグさんに怒られそう……?」
カタリーナ:「居ないから怒れないよ~」
カタリーナ:「怒るのはよくないことだしね」
クラウディア:「それは……まあ、そうなんだけど」
エリアス:「Gespenst Nächste(次)…?」
カタリーナ:「Gespenst Null!」
エリアス:「かっこいいな…」
クラウディア:「一人ひとりを船と見立てるならFlotte(艦隊)……いや、その方向だとソビエトと被るのか」
クラウディア:「んん~、分かんない……分かんないけど二人はGespenstを外す所から始めようね」
エリアス:助けを求めるようにアウグストさんを見る。
アウグスト:視線を受け、渋々といった風に口を開く。
アウグスト:「……洪水を生き残るという意味でならば、Olive」
アウグスト:「もしくは焦土から芽生えるものとして、Eukalyptus」
クラウディア:「わ、すご。これが教養か……」
エリアス:「おお…!!」目を輝かせる。
カタリーナ:「おお……」
エリアス:「Eukalyptus。いいなあ。忘れないけど、新しくて」
エリアス:「大事なことは忘れないけど、新しく生まれた感じがします!」
アウグスト:「気に入られたなら喜ばしいが。私の案で良いのか」
カタリーナ:「アウグストの隊の案だよ~?」
エリアス:「そうですよ、あなたの隊じゃないですか」
クラウディア:「私も賛成~。いいんじゃないかな、Eukalyptus」
クラウディア:「Oliveも由来は好きだけど、部隊名の響きとしてはEukalyptusのが良いかも」
エリアス:「オリーブは地元の村に生えてたので、なんとなくそっち派ですね、おれも」
カタリーナ:「Eukalyptus!」
アウグスト:「……では、そのようにしよう」認めながらも、少し歯切れ悪く。
アウグスト:「……話は以上だ」
アウグスト:「明朝出立する。準備を整えておけ」
クラウディア:「あれ。もう一つのって言うのは?」
カタリーナ:「気になるよねえ」
エリアス:「たしかに…」
アウグスト:「知りたいか?」
アウグスト:微かに口角を上げる。
クラウディア:「えっ……何ですかその勿体つけ」
エリアス:「そ、そう言われたら余計聞きたくなるじゃないですか!」
アウグスト:「なに。大したことではない」
アウグスト:「ありがたくも部下のまま残ってくれる連中がいるようだからな。指示に背いたことへ怒る準備が無駄にならずに済むというだけだ」
アウグスト:「道中楽しみにしておけ」
アウグスト:「連絡はした。クラウディア・ローデ、明日は遅れないように」
アウグスト:そこまで言って席を立ち、先に部屋を出ていく。
クラウディア:「なんだ、そういう……はあい、気を付けます」
カタリーナ:「怒るのよくないよねえ」と言いながら笑う。
エリアス:「……準備ありの怒りってどんななんすかね……」言って、同じく笑う。
エリアス:そして胸の徽章を外して。
クラウディア:「でも、アウグストさんってあんまり怒らない方だよね」
クラウディア:「どっちかって言うと、注意して静かに突き放すっていうか……」
エリアス:「そっちのが怖いな」
カタリーナ:「そうかも」両肩に徽章のついた上着を脱ぎ捨てて。
カタリーナ:「備えないとね、明日に」
エリアス:テーブルの上に、それを置く。「ですね」
クラウディア:「……ん。そうだね」こちらも軍服の上着を脱いで、らしくもなく丁寧な手付きで畳む。
クラウディア:「反省文とか書かされたりするのかなあ。私、ああいうの苦手なんだけど……」
クラウディア:そんな事をぼやきながら部屋を出ようとして、ふと
クラウディア:ネックレスから下げたままにしていた、二つのドッグタグに指が触れる。
クラウディア:ゆうべ眠る時でさえ、首に掛けたままにしていた。手元に置いておかないと、どうにも落ち着かない気がしたからだ。
クラウディア:……眠れなかった、と言ったのは本当だ。敢えてのんびりと時を過ごして彼女の関心を買うような真似をする理由は、もうない。
クラウディア:別に、悪夢を見る訳ではないけれど。むしろ、とりとめもない事を考えてしまって、勝手に目が覚めていくのだ。
クラウディア:自分があの時に強く引き止めていれば、今も彼女は生きていたのだろうか、なんて。何一つ、意味のない仮定なのに。
クラウディア:仲間の死を無駄にしたくなかったと、ゲオルグ・クローヴィンケルは言った。その為に勝つのだと。
クラウディア:自分は今、その言葉にいつにない共感を覚えてしまっている。
クラウディア:……腕の中、折り畳まれた上着に目を落とす。
クラウディア:見慣れた部隊章。墓石と、そこから這い出る手のモチーフ。亡霊の証。
クラウディア:おもむろにそれを引き剥がして。自らのポケットに収める。
クラウディア:(……別に、死に場所を求めてなんてないけど)
クラウディア:(私がこれを手放すのは、まだ早いと思うから)
クラウディア:(……こういう事しちゃうから、貴方の眼には不良だって見えてたんだろうな。私)
クラウディア:(いいよ。別に、死ぬまで改めるつもりはないし)
クラウディア:(いつか……たくさん長生きした後の未来で、私もそっちに行った時)
クラウディア:(いっぱい叱ってもらうからさ)

---

ルカ:青空の下、赤レンガ色の屋根とした建物が整然と並んでいる。
ルカ:ぼちぼち"アイギス"へ帰還するという話も出ており、ただ漫然と過ごすことが許される日もそろそろ終わりそうだ。
ルカ:快復に向かう体で、今日は市街地まで来ていた。石造りの橋の上、流れる川を見下ろしている。
アッシュ:「アレ?ルカじゃん」
アッシュ:背後から声がかかる。振り返れば、そろそろ見慣れつつある悪戯っぽい笑み。
ルカ:いつも通りの仏頂面で振り返る。
ルカ:「……アッシュ」
ルカ:眉間に皺。「……久しぶりに会ったな」
アッシュ:「病室が別だし、そもそもお互い病室でじっとしてるような性質でもないもんな」
アッシュ:「偶然バッタリ、なんてそう起きる事でもないだろ」
アッシュ:言いながら彼の隣へ歩み寄り、橋の欄干に背を預ける。
ルカ:瞬きして、隣に来る彼を見ている。
ルカ:「怪我、あんたは…」「大丈夫なの」
アッシュ:「多分アンタより大丈夫だよ。そうでなきゃこうして街を歩いてない」
ルカ:「……それもそうだな」
アッシュ:「全く、兄ってのは誰もアンタみたいに心配性なもんなのか?」
アッシュ:揶揄うように笑いながら彼を見上げる。
ルカ:ムッと、ふてくされたような顔になる。「…うるせ」
ルカ:「余計な…」「ことばっかり言ってる。悪かったよ」
アッシュ:「別に?悪いことされたとは思ってないよ」
アッシュ:「アンタ、心配はするけどオレにとって余計なことしないだろ」
ルカ:「……そう思われてるならいいけど」
アッシュ:「願わくば、今後もその調子で頼むぜ。アンタまで戦場に出るなとか言いだしたら堪んないからな」
アッシュ:「ああ、でもそれならそれで本気で手合わせが出来るか?」
ルカ:「やだよ」本気で困ったような顔になる。
ルカ:「あんたと殺し合うのは勘弁だ」
アッシュ:「……それはそうか。心配の理由が理由だもんな」
アッシュ:少しだけ虚を突かれた顔をしてから、ちょっとつまらなそうに肩をすくめる。
ルカ:「……それでも」
ルカ:「あんたは、もしおれと闘わなくちゃいけないって状況になったら、剣を抜くんだろうな」
アッシュ:「そりゃまあね。逆に、アンタは拳を握らないのか?」
ルカ:「………」欄干に手をつき流れる川を見つめて、しばし考える。
ルカ:「……単純に」「あんたに勝てる気がしない」
アッシュ:「ふーん」 半目になって。
アッシュ:「単純にって割には実力だけの話じゃなさそうだけどな」
ルカ:「実力だけでだって、充分あんたの方が強いだろ…」
ルカ:「…でもまあそうだ」ぼそぼそと言う。「そうだな……」
ルカ:「……あんたに」
ルカ:「あんたには勝っていてほしいよ」「そう思っているから、たぶん負ける」
アッシュ:「譲られた勝ちなんて嬉しくないけどな」
ルカ:「ふ…」笑う。
ルカ:「譲ってるわけじゃないよ」
アッシュ:「ん?勝っていてほしいって思うから負けるんだろ?」
アッシュ:「つまり何かしら手抜きなり手心なりがあって負けるんじゃないの?なら譲ったのと一緒だろ」
ルカ:「そっか。なら…」
ルカ:「多分おれは、あんたに気持ち良い勝利を与えてやれないな」
ルカ:「今後も敵対しないことを祈ろう」
アッシュ:「オレとしては一回くらいは本気でアンタとやりあってみたいけどね」
アッシュ:「アンタがその調子じゃ気持ち良く勝てなそうだしな」
アッシュ:「どうするのが良いんだろうな?アンタの妹と真逆の行動でも取ってみせようか?」
アッシュ:「まあ元から性別だのが違うのに重なってんだから無理筋な気もするけど」
ルカ:「……何」欄干を握る。
アッシュ:「? アンタが言ったんだろ。妹と重ねて見てるみたいな話」
アッシュ:「なら妹と重ならなくなったら心配だの手加減だのもしなくなるだろ」
ルカ:「そういうこと…」「冗談でも言うなよ」
アッシュ:「本気だから言ってるんだけど。何か悪かった?」
ルカ:「………」「いや」
ルカ:「あんたは妹とは違う…そんなの分かってるし。そうだとしても戦いたくない」
アッシュ:「ふーん?そうなの?」
アッシュ:「アンタのこれまでの言動の理由、大体ソレで説明が付くからさ。ソレが全部なんだろうと思ったんだけど」
ルカ:「人をなんだと……」
アッシュ:「不器用で不愛想な世話焼き」
ルカ:「………」渋面になる。
アッシュ:「反論がおありで?」 ニヤニヤとチェシャ猫染みた笑み。
ルカ:「うるせ…」
アッシュ:「というか、妹どうこうだけじゃないなら後の理由は何なの?」
ルカ:「………」アッシュを見る。
ルカ:「知りたいの」
アッシュ:「そりゃまあ。なんでか分からないまま心配されてるより、なんでか分かってて心配される方が良くない?」
アッシュ:「心配を軽減とか出来るかに関わらず、気分的に」
ルカ:「それは…そうだな」息を吐く。「……」
ルカ:「…馬鹿にするなよ」
アッシュ:「内容によるかな。善処はするけど」
ルカ:「……確約じゃないなら言いたくない」ムッとする。
アッシュ:「シャイだなぁ。分かった、確約するから」
ルカ:「なんとでも言え…」息を吐くように言う。言ってからも少し言葉に迷う。
ルカ:「………鳩が」
ルカ:「最初に見たものを親と思うみたいなことだ」
ルカ:「覚醒してすぐ死にかけた時に、おれを助けたのが、あんただった」
ルカ:「…気にかける理由と、戦いたくない理由にはなる」
アッシュ:「……なるほどね」
アッシュ:少し呆れたような顔で笑って。
アッシュ:「たったそれだけでオレを勝たせ続けるって約束する辺り、やっぱりアンタは世話焼きだよ」
ルカ:「…たったそれだけじゃなかったんだよ」
ルカ:「こっちにとっちゃ…、くそ、だから言いたくなかった」
アッシュ:「そっちにとってはそうでも、こっちから見たらそれだけとも言いたくなるって」
アッシュ:「偶然あのときアンタの前に最初に立ったのがオレだった、って話だろ」
アッシュ:「ま、それで今こうなってるんなら幸運だったのかもしれないけどな」
ルカ:(……エミリアにあれだけ言っておいて…)アッシュくんの言葉を聞きながらそう思い、自分に呆れる。
ルカ:「……で、納得してくれたの」
アッシュ:「ああ、納得した。嫌われてると思ってたら勝たせるとか言い出した訳も、普通に突っかかる割に本気でキレない訳も」
アッシュ:「だから言うんだけどさ。アンタ、オレに弱みを握られ過ぎじゃない?」
アッシュ:「オレが自分から握ろうとしたわけでもないのに」
ルカ:「……クソ不運だ」眉間に皺を寄せて言う。
ルカ:「そう思ったなら…。……相応に扱ってくれ」
アッシュ:「どうかな。オレ、あんまり相手に合わせて態度を変えるっての得意じゃないからさ」
アッシュ:「多分今まで通りの扱いになると思うけど。文句があるなら言ってくれれば対応したりしなかったりする」
ルカ:「確約しろよ」微かに笑う。
アッシュ:「一回分確約しただけでも十二分にレアなんだよ。感謝してくれ」
ルカ:「あっそ……」アッシュくんを一瞥します。「感謝ね」
ルカ:「してるよ。勝手に」
アッシュ:「そうだな。それが良いよ」
アッシュ:「お互い勝手にやるのがオレ達らしい」
ルカ:今でも、鮮烈な蒼と黒が脳裏に焼き付いている。
ルカ:「そうだな」 正面を眺めたまま返事をする。いま横を向いても、特に視線は合わないだろうなと思った。それで良かった。
フランス シェルブール港 戦艦ルイジアナ
GM:ローマでの激戦から、一週間近くが経った。
GM:死闘によるダメージは未だ残るものの、君達はひとまず退院・帰国する運びとなり、出迎えた戦艦ルイジアナの甲板では、ささやかな凱旋パーティが催されていた。
GM:甲板のテーブルには酒や軽食の類がずらりと並んでおり、クルー達が口々に君達を称える。
GM:アッシュとミルシュカはこの日はフランス側の式典に出席のため不在であり、皆が口々に残念がった。
GM:「一時はどうなることかと思ったよ。ウチの実家まで避難勧告が出てさ」「ドラゴンだったんだろ?どのくらいデカかった?」
デュバリー:「こうして事件は風評に薄められていくのね」
デュバリー:賑やかな中心とは離れた所に椅子を置き、海を眺めている
メラニー:「ルイジアナの主砲が万全だったらもっと早く倒せただろうな~」
メラニー:「もっと予算つけるべきだよ」
クレア:「実際今回は助かった。制空権を取られた状況では、主砲の火力が有効だということがわかったな」
クレア:「ルイジアナの空母改修案には自分も署名したが、取り下げておこう」
メラニー:「は……?なにそれ初耳なんですけど!?」
メラニー:「首謀者どいつよ!」
ギル:「ただ、リーダーを前線に出すなんて、本当はあってはならないことだからね」
ギル:「予算をつけるかどうかは……って、うわ。それどころじゃなさそうだ」
ハミース:「つーか馬鹿言え、あんな戦術何度も出来るかよ。ひとんちにゴリゴリ門開けさせてくれってか?」
ハミース:「んなの横行させようとしたらそれこそ即解体だろ」
デュバリー:「というかそもそも、あんな規模の敵を相手取ることを想定したくはないけど……」
ルカ:同感だなと思いつつ、会話を背にしながら海を眺めている。
エミリア:「ルカ!!これ……このお肉……おいしいですよ!!」
エミリア:並んだ料理を一心不乱に食べている。
ルカ:「………」無視する。
ハミース:「おら構ってやらねえか」野次を飛ばす。
デュバリー:「まあ、万が一のために主砲係がいるのは頼れるよね、ということで」
デュバリー:「これからも変わらずよろしくね、メラニー」
メラニー:「うん、任せ……変わらずって言った?」
メラニー:「予算増額は……」
デュバリー:「……風が気持ち良いわね……」 遠くを見る
ハミース:「てか別に俺らは主計じゃねえだろ……」
ハミース:「せめてリーダー様にねだれよ」
デュバリー:「私は主砲より、船の上で美味しいご飯が食べられるようになりたい。それは確か」
メラニー:「V&Vのいいやつが中古で流れてるんだって今~あっ詳しく説明したほうがいいかな?」
:丁度その折、舞が甲板を歩いてくる。
:「病み上がりに悪いな。皆お前達を出迎えると言って聞かなくてな」
ハミース:「どうだか。かこつけて騒ぎたいだけじゃねえのか」
ハミース:「英雄様が来たらまたやるっていい出すぜこいつらは」
ギル:「なんてことないさ。それよりリーダーのほうこそ。体に異常は無いかい?」
:「私の方は問題ない。負傷も大したことは無いしな」
ギル:「前線に出るのは、体にも心にも思っている以上の負担がかかるからね。違和感があったらすぐに休みを取るんだよ」
:「実際、今回は皆よくやってくれた」
:「今回の件で、アイギスは各国に大きな貸しを作ることが出来た。社会的にも大きな地位向上の一歩として……」
:「……いや、すまない。どうにも私は堅苦しくなってしまうな」僅かに苦笑する
デュバリー:「いいんじゃない。そっち方面で利益があったこと、それを知っておくことも大事なことでしょ」
:「ともかく、言いたいのは……お前達は私の誇りだ」
:「お前達がいなければ、今頃はこの港も焼け落ちていただろう」
:帆を畳み並んだ漁船たち、陽光に煌めく海面と、飛び交う海鳥を見遣る。
クレア:「戦ったのは自分達だけではない」
クレア:「……だがまあ、称賛は素直に受け取るべきだな。それも生き残った者の義務の内だろう」
ギル:「ああ。うれしいね。リーダーにそこまで言われるなんて」
ルカ:「……」眉間に皺を寄せた顔で、舞さんの方に視線だけ向ける。
デュバリー:「協力者として、価値を出せたなら良かった。……二度はごめんだけど」
:「犠牲はあまりに大きいが、得たものもまた多い。今後も……」
ティルダ:その時、船室への扉が勢いよく開かれ、血相を変えたティルダが走り込んでくる。
ティルダ:「リーダー!!」
:その顔を見て表情を変える。
デュバリー:「?」 ティルダに目を向ける
ギル:「ティルダ?何かあったのかい?」
ティルダ:人の群れを突っ切るように君達の前に出て、ラジオを卓上に置く。
ティルダ:「全員静かにして!!」
クレア:「……」食べかけのウィンナーを皿に戻して押し黙る。
ルカ:「んだよ」怪訝な顔をしてぼやいた後、ラジオから聞こえる音に耳を傾ける。
GM:突然のことに、賑やかだった甲板は水を打ったように静まり返る。
GM:聞こえてくるのは男の声──演説のようだ。話しているのはアメリカ合衆国大統領、ヘンリー・ウォレス。
ヘンリー・ウォレス:『……に対し、合衆国は深い哀悼の意を表したいと思います』
ギル:「……」グラスを置いてラジオに耳を傾けるよ
ヘンリー・ウォレス:『非常に遺憾ながら今回の被害を未然に防ぐことは叶いませんでしたが──』
ヘンリー・ウォレス:『しかし我々は、今回イタリアを壊滅させた怪物について、以前より極秘裏に調査を進めていたのです』
ヘンリー・ウォレス:『その成果を本日、皆様に公表させて頂きます』
デュバリー:「……以前より調査、ねえ」
クレア:「物は言いようだな」
ヘンリー・ウォレス:『結論から申しましょう。あれはただの巨大な怪物ではありません』
ヘンリー・ウォレス:『現在我々の世界を脅かしているレネゲイドウィルス、その発生源と言うべき存在なのです』
ハミース:「オリジナルレネゲイドつーことか……20年前から居たのかよあんなのが」
ヘンリー・ウォレス:『我々が“始祖”と呼称しているそれは、単純なウイルスキャリアーとしての脅威だけでなく、恐ろしい能力を持った兵器にも成り得ます』
ヘンリー・ウォレス:『今回の事件は、まさしくそれを世界中に証明したことでしょう』
ヘンリー・ウォレス:『残念ながら、始祖は単なる初期感染源であり、それを倒してウィルスやオーヴァードが根絶されるわけではありませんが……』
ヘンリー・ウォレス:『問題なのはそこではありません』
デュバリー:「……人類最初の娼婦も、たぶんもう死んでるでしょうしね」
ハミース:「最初のアウストラロピテクスもな」
ヘンリー・ウォレス:『我々は既に、もう一体の始祖の存在を確認しています』
GM:放送の向こうと甲板に、同時にざわめきが広がる。
クレア:「……もう一体?」
ハミース:「あ?」
デュバリー:「……二度はごめんって、さんざん言ったつもりなんだけど」
デュバリー:「聞こえてなかったか」
ギル:「落ち着こう。本当に居るとして、あんな化け物を隠して置ける場所なんて何処にもないはずだ」
ヘンリー・ウォレス:『現在、全世界的にオーヴァードが急増しつつあるというデータがあります』
ヘンリー・ウォレス:『それらは全て、この始祖による影響と考えられます。この個体が齎すウィルスは極めて強力であり……』
ヘンリー・ウォレス:『高い発症率と共に、既にオーヴァードである者にすら感染する程の感染力を持っています』
ハミース:「何だ……何の話をしてやがる」
ルカ:「オーヴァードである者にすら感染…?」
ヘンリー・ウォレス:『それを抜きにしても、仮に始祖が動き出せば、ローマの悲劇を再び繰り返すことになるでしょう』
ヘンリー・ウォレス:『そのようなことは、断じて許してはなりません』
ヘンリー・ウォレス:『我々は既に、始祖の所在を特定しています』
ヘンリー・ウォレス:『始祖は現在、傭兵組織アイギスに保持・隠匿されています』
クレア:「……?」
デュバリー:「…………」
ギル:「……だ、そうだけど……?」
ルカ:「……そう」
:「……」顔を顰める。
ギル:「リーダー、心当たりは?」
:「私は相当な大悪党らしいな」
デュバリー:「ついにバレてしまったね……」
クレア:「……出鱈目じゃないのか?アイギスの存在はアメリカからしてみれば目障りのはず」
クレア:「潰すには体の良い口実だ。連中ならやりかねない」
ハミース:「全くねえわけじゃねえだろ」
ハミース:「真偽はともかくとしてだ。連中が何を指して言ってるのかは当たりがつくだろ」
エミリア:「……」
エミリア:「……?」自分に注がれる視線に気付き、困惑した顔で周囲を見回す。
デュバリー:「何を指していようと」
デュバリー:「それが真実じゃないなら、然るべき対応をしなきゃいけない。……それで?」
デュバリー:「"アイギス"はどんな竜を飼ってると思われてるの?」
ヘンリー・ウォレス:『アイギスは現在、その脅威を盾に、我がアメリカを含む数か国に政治的要求を始めています』
ヘンリー・ウォレス:『国際社会の一員として、決して看過できる行為ではありません』
ルカ:「…らしいけど」
デュバリー:「いつの間にそんなことを……」
ハミース:「心当たりは?」
ギル:「してるわけ無いだろう」
:「ある訳があるか」苦々しく嘆息する。
ギル:「ここ最近の戦いで、僕達は力を示しすぎた」
ギル:「彼らが排除しなければまずいと思えるほど、アイギスは成長してしまったんだ」
クレア:「……パーティーはお開きだな」溜息をつく
ヘンリー・ウォレス:『恐るべきことに、始祖は現在、人間としてアイギス、そして一般社会に潜伏しています』
ヘンリー・ウォレス:『放置すればどのようなことになるか分かりません。ご覧ください。これは我々が団結し、必ず打ち倒すべき脅威です』
ルカ:「聞き慣れた言い方だ」顔をしかめる。「オーヴァード排斥の演説がいつもあんな感じ」
GM:クルーの一人が急ぎ甲板上でテレビを接続する。
ハミース:「つーかよ、こいつは……」押し黙って耳を傾ける。
GM:掲げられている写真、そこに映し出されているのは一人の少女の姿だった。
GM:それは君達の見覚えのあるものだ。
エミリア:「…………」
クレア:「エミ、リア……」
デュバリー:「……結構可愛いね、ドラゴン」
デュバリー:「ローマ観光に来たのも、この子だったら良かったのに」
ハミース:「なんでこいつらが写真を持ってる」
ハミース:「ファンか?」
ヘンリー・ウォレス:『我々は断固として立ち向かいます。オーヴァードの脅威と暴力に、決して屈してはなりません』
ヘンリー・ウォレス:『我々はアイギスを打倒し、国際社会に正しい秩序を回復させることをここに宣言します!』
ハミース:「やっぱりか。宣戦布告だよこいつは」
ハミース:「軍に連絡しろ。今にも国境に構えてておかしくねえ」
ギル:「呼び出されたアッシュが無事だといいけど……」
ルカ:「……フランスは」「アイギスの味方してくれるのか」訝しげな顔で言う。
クレア:「どうだろうな。あの国の上層部にアイギスと心中する覚悟があるかは疑問だ」
デュバリー:長めの溜息を吐き、椅子から立つ
デュバリー:「言っておくけど、"あの国"と言わずよ」
デュバリー:「私だって、ひとまず席を立つしかなくなった。そうじゃなければ良いと祈ってたのに」
ハミース:「ドラゴンの引き渡しって線もねえな。要求が作られてるならそれで終わりの保証もねえだろ」
エミリア:「…………」俯いたまま硬直している。
:「……ああ。全員……」
GM:瞬間、沖合の空に黒い稲妻が走った。
ルカ:エミリアに何か声をかけようとして、その稲妻に遮られる。
デュバリー:「もしこれであちらにこれ以上捕捉されたら……いや」
デュバリー:「遅かったかな」
GM:空間が引き裂ける光景──ゲートの形成。それも極めて大規模に、大量に。
GM:その向こうから、次々に巨大な水飛沫を上げ、何隻もの軍艦が着水する。
クレア:「……」コートの内側から拳銃を抜く。
ハミース:「おい……!」舞に振り向く。
:「……私じゃない」
ギル:「クレアの兄弟……ジョニーの時と同じ物か」
ハミース:「馬鹿言え、あんな紛いもんかあれが!」
クレア:「……ジョニー、君が言っていたのはこういうことか」小さくつぶやく
クレア:「本当に……言葉が足りなすぎるぞ。まったく」
ハミース:「完璧に転移させてやがる!マズいぞ……!」
ルカ:「クソ」大股でエミリアに近付いて、彼女を抱き寄せる。
ギル:「何にせよ話は後だ。ワーディングが来るぞ!僕達で対処するしか無い」
:「ッ……全員伏せろ!!」
GM:閃光、轟音、爆発。
GM:艦砲の一斉射撃が、次々と戦艦ルイジアナに着弾する。
GM:悲鳴が上がり、クルー達が次々と血煙に変わり吹き飛ばされる。
ギル:「くっ……!」
GM:一瞬で艦は半壊し、ごうごうと火の手が上がる。
GM:それと同時、君達の目の前にいくつものゲートが開く。
ハミース:「クソ……敵に回すと最悪な能力だこって!」
デュバリー:艦に存在する木材の総量を感知し、そのすべてを支配下に置く。
デュバリー:「……援護は期待しないでよ。私も考えなきゃいけない、この先のことを」
GM:そこから現れる、複数の人影。
朱劉帆:「どれどれ……おッ」
朱劉帆:サングラスの男が大儀そうに身を乗り出し、辺りを見回して凶悪な笑みを浮かべる。
ギル:「お前は……!」
ルカ:「ッ…」エミリアを胸元に抱えたまま、気付いて舌打ちする。
朱劉帆:「やってるやってる。いい感じになってんじゃねェの」
朱劉帆:「よう小僧、元気してたかよ」
朱劉帆:ルカを揶揄うように言う。
ルカ:「……今の今まではな」吐き捨てるように言う。
ルカ:「この瞬間に最悪になった。…今度こそあんたをブッ殺してやる」
朱劉帆:「そりゃあいい!是非頼む……ぜェッ!!」
朱劉帆:空気を切り裂き、鞭めいた蛇腹剣が振るわれる。
GM:突然の奇襲。ただでさえ恐るべき脅威だが、相手は万全で、今の君達は著しく消耗している。
GM:この場で戦うのは困難を極めるだろう。
ギル:「……ルカ!」鉄王の装甲を一部出現させ剣を防ぐよ。「今は抑えろ。ここを抜け出すのが先だ」
ルカ:「チッ…」どうにか生存しているクルー達が巻き込まれることも目に見えている。苛立しげに顔をしかめる。
:「……く……!まずい、撤退するぞ……!」
ギル:「舞、ゲートは?開けるか?」
:「ああ、だが数が多すぎる……!」
:次々にゲートを開いていくが、非戦闘員のクルーが優先で、更に負傷で動けない者も多い。
クレア:「殿は自分が。その間に動けない者を運んでくれ」放った弾丸が煙幕を発し、来襲者の視線を遮ろうとするが……
朱劉帆:「おォッと!」逃げ場を塞ぐように剣を振るう「そう簡単に逃げんなよ。折角ゲストにも来てもらってんだ」
ギル:「何のことだ……?」
???:空間が歪み、ずぷり、とナイフが突き出される。デュバリーの背中に。
デュバリー:「……!」
???:再び空間が揺らめき、女の姿が顕になる。
デュバリー:目を見開く。始めは痛みに。だが次は、その手口に。
デュバリー:歯噛みし、足元から木の槍のようなものを突き出して距離を取りつつ、彼女を振り向く 「……その手」
デュバリー:「やっと会えたわね……!」
???:「そして、さようなら」手をかざすと、ゲートが開く。武装した兵士がなだれ込む。
???:動けぬ者に優先して銃を向けていく。そういう”手口”。
GM:その時、甲板に出現した“鉄王”の一部が、急速に凍り付いていく。
ギル:「くっ……また新手か……!?」
GM:直後、一瞬で槍めいた氷柱が伸び、ギルトレットの腹部を貫いた。
ギル:「がっ……!?」
:「ギル……!」
ギル:「来るな、舞!ゲートの維持を優先するんだ!」
???:「……」その言葉に、舞へと視線をちらりと向ける。
ルカ:「…ッ、どいつだ……」視線を走らせる。
イライザ:冷気と共に姿を現すのは、雪像めいて色素の薄い少女。
イライザ:凍った湖のような瞳に、燃え滾るような憤怒を滾らせてギルトレットを見る。
イライザ:「ようやく会えた……ギルトレット・レッドフォード……」
GM:知らない顔だ。あるいは、ギルトレットには思い出せないのか。
ギル:「ぐっ……!」氷の槍を負って引き抜こうとするよ「……僕を知っているのか……?」
ギル:「だがこの能力、記憶には……」
イライザ:「イフラヴァという街を覚えているか」
イライザ:「いいや、そんな訳が無いな」嘲るように言う。
イライザ:「私はお前に滅ぼされた街の人間だ」
イライザ:「家族も、友達も……」
イライザ:「皆お前に殺された……!」
イライザ:凄まじい怒気。年月を経て澱のように積み重ねられた憎悪を感じさせる。
ギル:「イフラヴァ……?滅ぼされた……?一体何の話をしているんだ……?」
ギル:「エミリアのことといい、出鱈目ばかり言うな」
ギル:「人々を騙せたとしても、それはほんの一瞬の事だけだ」
ギル:「時が経てば必ず真実は明らかになる。君達のやっていることは間違っているぞ」
イライザ:「狂人が……」吐き捨てるように言う。
イライザ:「教えてやる、ギルトレット・レッドフォード」
イライザ:「お前は既に狂っている」
イライザ:「お前は度重なる戦闘で発狂し、自分にとって都合のいいように記憶を捏造するようになったんだ」
ギル:「僕は狂ってなんか居ない。事実を捏造しているのは君達のほうじゃないか!」
ルカ:「ギル…」顔をしかめたまま言う。「……、動揺すんな」
ギル:「……わかってる、ルカ。大丈夫だ。僕は冷静だ」
ギル:「大丈夫、なにも……おかしなことなんて無い」
イライザ:「笑わせるな」
イライザ:「あくまで否定するなら教えてやる」
イライザ:「お前が大事にしている妹など、本当はどこにもいない」
イライザ:「全てお前が作り出した、妄想の産物だ」
ギル:「うるさい。お前の言うことなど信用するか」
ギル:「黙れ!僕のことを言うならまだいい。だが僕の家族を侮辱するな!」
ギル:「彼女は生きてる!オーヴァードとして戦いに出る時僕を見送ってくれた。手紙のやり取りだって毎週してる。ここに写真だってある」
ギル:「それが……存在しないなんてわけがあるか!出鱈目を言うな!」
イライザ:「お前のことは全て調べた。過去も経歴も、何もかもな」
イライザ:「お前はオーヴァードになる以前、幼少からずっと少年兵だった」
イライザ:「家族などいない。故郷すら無い」
イライザ:「何も持たず、人から奪うことしか出来ない、人でなしの傭兵だ」
ギル:「黙れ!嘘だ!」
ギル:「僕には家族がいる。帰る場所だってある!」
ギル:「知ったような口を聞くな、この、嘘吐きの悪魔め!」
イライザ:「虚像が崩れかけているから、そうして必死に否定しなくてはならなくなる」
イライザ:「本当はもう、自分でも分かってるんだろう」
イライザ:「もう一度よく、その写真を見てみろ」
イライザ:「そこに何が写っている?」
ギル:「黙れ、黙れ、黙れ!」
ギル:「決まってるだろう、ここには、僕の妹の姿が……」そう言ってロケットを開くよ
ルカ:「ギル……!」
GM:そこにあったのは、絵だ。
GM:幼児が描いたような拙い絵。
GM:妹の写真など、どこにも無い。
ギル:「あ……?」
クレア:「……」
ギル:「な、なん……?ど、どうして……どうやって……!?」
ギル:そう言って服のポケットを必死に探し始めるよ
ギル:「ど、何処に行ったんだ……!?無い、無い、無いぞ、何処にも!」
イライザ:「そんなもの、最初からどこにも無い」
イライザ:「思い出せ、ギルトレット・レッドフォード」
イライザ:「自分が何をしてきたのか。自分が何者なのか」
イライザ:「罪を思い出して、後悔しながら死ね……!!」
ギル:「知らない……お前のことも、イフラヴァのことも、皆を殺したことも……!」
ギル:「僕じゃない、しらない、しらない、しらない……!」
ギル:「しらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらないしらない!」
:「……ギルトレット……!!」
GM:再びの艦砲射撃。凄まじい爆風が甲板を呑み込み、同時に君達それぞれのもとにゲートが開く。
GM:そうして煙が晴れた時、既にルイジアナにアイギスは残っていなかった。
フランス パリ 公会堂
GM:その日、パリで執り行われるセレモニーに出席することになったアッシュは、舞台袖で出番を待っていた。
GM:これまでの功績と今回の戦いでの活躍を称え、大々的に表彰されるという話だ。
GM:薄暗い舞台袖で、君は長々と続く軍高官の話を聞いている。
ミルシュカ:「ちゃんと聞いてる?アッシュ」
アッシュ:「ん?聞く必要ある話してた?」 伸びをしながら欠伸を一つ。
アッシュ:式典用の正装。普段は緩めている首元も流石に(ミルシュカによって)整えられた。
ミルシュカ:「もう……ほら、また曲がってる」首元に手を伸ばし、ネクタイを締め直す。
ミルシュカ:「あんな戦いの後なのに、変わらないわよね……あなたは」
アッシュ:「そりゃまあ。逆に、何か変わると思った?」
ミルシュカ:「そうだろうけど」嘆息する
ミルシュカ:「私の方は、色々考えるのよ」
アッシュ:「例えば?」
ミルシュカ:その言葉に、少し目を伏せる。
ミルシュカ:「私のオペレーションで何人助けられて、何人死んだのか……」
ミルシュカ:「もっと上手く出来なかったのか。そういうことばかり思い浮かぶ」
アッシュ:「もっと上手く出来なかったか、に関しては何も言えないけどさ」
アッシュ:「あの戦いの中、アイギスは誰も欠けてないしアイギス以外だって生還したヤツは居る」
アッシュ:「そしてオレはオペレーターのお陰でいつも通り好きに戦えた。それが事実だろ?」
ミルシュカ:「……うん……」
ミルシュカ:また嘆息して
ミルシュカ:「……何だか……」
ミルシュカ:「そう言ってほしかったみたいで、自己嫌悪するわ……」
アッシュ:「良いじゃん。実際オレ気遣いが出来るタイプじゃないし」
アッシュ:「疲れてるなり悩んでるなり、そういうのがあるならはっきり言ってくれる方が分かりやすくて助かる」
アッシュ:「苦手とはいえ、お悩みの相棒を励ますくらいはしたいしさ」
ミルシュカ:「ん……」頷く。
ミルシュカ:「そうね。あなたを気遣っても仕方ないし……」
ミルシュカ:「そういうのは本来、こっちの仕事だものね」
ミルシュカ:ぱし、と自らの頬を両手で叩く。
GM:ステージからアッシュを呼ぶ声と、割れんばかりの拍手が響いてくる。
ミルシュカ:「ありがと。励まされたわ」
ミルシュカ:「ほら、英雄の顔を見せてあげて」
アッシュ:「ああ。見せびらかされてやってくる」
アッシュ:ふらりと片手を上げながら、舞台上へ向けて歩み出す。
GM:割れんばかりの大歓声と、滝のようなフラッシュが君を迎える。
GM:「こちらが我がフランスが誇る英雄、アッシュ・ノイ・ジラードです!」
GM:軍人の男がアッシュの手を取って掲げさせる。
アッシュ:いつも通り、堂々とした不敵な笑みを観衆へと向ける。
GM:「この度のローマでの戦いでも、実に勇敢な奮戦ぶりで、見事にヨーロッパを守り抜き……」
GM:「その活躍は今やフランスのみならず遠く海外までも……」
GM:男の話の最中、次第に先程の歓声とは異なる、静かなどよめきが会場に広がっていく。
GM:見ると会場の中央、ステージに向かう通路に、一人の男が立っている。
GM:見すぼらしい身なりの、杖を付いた男。目には包帯、片腕は無い。
傷痍軍人:「……」
傷痍軍人:先日、君と街で会話を交わした男だ。
アッシュ:「……」 僅かに怪訝そうな顔をするが、取られていた手を外すとそちらへ向けて歩み出す。
アッシュ:「やあ、ちょっとぶりだな」
傷痍軍人:「ああ」
GM:「あっ……なっ……」高官が戸惑いながら手ぶりで警備員に指示を出す。
GM:「すみません、式の最中ですのでこちらに……」
GM:警備員が男に触れた瞬間──
GM:「ぎ、びゅっ……!?」
GM:突然、目鼻から血を噴いて倒れる。
GM:会場を悲鳴が包む。それでもパニックにまではならないのは、今ここに君という英雄が、フランスの最大戦力がいるからだろう。
アッシュ:「……やっぱり、祝いに来てくれたって訳じゃないらしいな」
アッシュ:男を見据えた目を細めながらそう言うと、会場へ向けて声を張る。
アッシュ:「オレの戦闘シーンを間近で撮りたい命知らず以外全員下がれ!戦闘中はアンタ達に気を配ってはやれないぜ!」
ミルシュカ:「……アッシュ!」舞台袖からステージに出て、君の剣を投げ渡す。
アッシュ:片手で受け取り、そのまま抜き去る。あの激戦を終えてなお煌めく刃が昼光に照らされる。
傷痍軍人:警備の男の全身が急速に干からびていく。吸収した血液で刃を形成し、床を蹴り抜き一瞬で距離を詰める。
傷痍軍人:恐ろしく速い。君でなければ到底反応できなかっただろう速度。
傷痍軍人:血の刃が振るわれ、君に迫る。
アッシュ:振り上げた刃によって受け止める。硬質な音と蒼い閃光が周囲へと散らばった。
傷痍軍人:「……」視線が至近で交錯した。
傷痍軍人:そのまま数度撃ち合い、距離を取る。
GM:「アッシュ!」
GM:客席から声が上がる。
GM:「頑張って、アッシュ!」「アッシュ様!」「そんな奴早くやっつけて!」
傷痍軍人:「……心地良いか?歓声と声援を受けるのは」
アッシュ:「悪くはないな」 常のように民衆へ手を振るような真似はしない。あるいは、それが出来る敵相手ならしたかもしれないが。
アッシュ:たった一瞬目を離すことが敗北に繋がると、数号の打ち合いで理解していた。
傷痍軍人:「そうか」
傷痍軍人:血の刃が膨張していく。幾本にも分かれた凶悪な刃が君に向けられる。
傷痍軍人:再びの剣閃。先程までより更に速い。
傷痍軍人:君の身体に捌ききれなかった傷が刻まれ、鮮血が散る。
アッシュ:こちらもまた影を枝分かれさせて迎え撃つ。一振りの内に幾つもの刃が打ち合う。
アッシュ:頬に刻まれた傷から血が落ち、だけどその口元には笑み。楽しくて仕方ないと言いたげな。
傷痍軍人:全て見透かしているように、アッシュの連撃を防ぎきる。対照的に、ひどく冷淡な表情。
傷痍軍人:「……若すぎるな」
GM: ────ドシュ 
GM:背中に、熱と共に激痛が走る。
GM:後方に浮かぶ、透明な──水の刃が、君の背を貫いている。
アッシュ:「がっ……」
アッシュ:貫かれたまま、なおも動こうと影が手足を覆う。剣に巻き付いたそれが蠢く。
ミルシュカ:「アッシュ……!」
GM:会場から悲鳴が上がる。
傷痍軍人:刃は体内で枝分かれし、肉と臓腑を貫きながら君を拘束する。
傷痍軍人:膨張していく血の刃の色が薄くなっていく……否、操作していたのは最初から『血』ではない。『水分』だ。
傷痍軍人:「これは、慈悲であり敬意だ」
傷痍軍人:男の顔がぐにゃりと変形し、全く別人のものへと変わっていく。
傷痍軍人:半ばから失われていた筈の腕が、新たに再生していく。
傷痍軍人:「人に利用される、何も知らぬ子供へのな」
“デリュージュ”:「──アッシュ・ノイ・ジラード」
“デリュージュ”:「せめて英雄として殺してやる」
“デリュージュ”:かつてイタリアが誇った英雄、"ローマの守護聖人"。死んだはずの男の姿が、そこにあった。
アッシュ:内部を貫く刃に抗うように、無理矢理に手足を動かす。
アッシュ:当然、肉は避け、皮膚は破れ、血が流れる。それでも止まらない。
アッシュ:戦おうと、勝とうとする意志だけがその体を突き動かす。
アッシュ:それに従うように影もまた動く。正面から、側面から、背後から。デリュージュへと伸びていく。
“デリュージュ”:「……哀れだな」
“デリュージュ”:その瞬間だけ、ほんの僅かに表情が歪む。
GM:アッシュの身体から幾本もの刃が形成され、その全身が切り裂かれる。
GM:夥しく噴き出す鮮血と共に、君の意識は薄れていく。
ミルシュカ:「アッシュ!!」
ミルシュカ:悲鳴に近い声を上げ、君に駆け寄り、庇うように立ち塞がる。
“デリュージュ”:「……」
“デリュージュ”:「……虫唾が走る」
“デリュージュ”:不快そうに眉間に皺を寄せ、血の刃が振るわれる。
GM:その一撃が、空間の裂け目に呑み込まれた。
:「……」
:ゲートから姿を現した舞が“デリュージュ”を一瞥し、アッシュとミルシュカを回収、即座に消失する。
“デリュージュ”:「……」
“デリュージュ”:「……後悔するぞ、アッシュ・ノイ・ジラード」
“デリュージュ”:悲鳴と混乱の中、そう静かに呟いた。
アッシュ:薄れた意識では目まぐるしく変わる状況を把握しきれない。
アッシュ:身を包む浮遊感。これは自分が死に瀕しているからなのか、それとも外部の変化のせいか。
アッシュ:ただ、自分を呼んでいるらしいミルシュカの声が少しずつ少しずつ遠ざかって――。
ルカ:『アイギスがどうとか、能力がどうとか。そういうことじゃないと思う。たぶん』
ルカ:『ただ、あんたが、ただの15歳のガキにしか見えないって、そういう話なんじゃないの』
アッシュ:その言葉だけが、不意に耳の奥に浮かび上がった。
フィンランド
GM:フィンランドは森と湖の国として知られ、どこまでも続くその深い森林は、国土面積の実に70%以上に及ぶ。
GM:木材加工と林業が国の伝統・主要産業であり、一定以下の樹齢の木は私有地であっても伐採を禁じるなど、森林を守るための厳しい法整備が成されている。
GM:また国民は『自然享受権』を保証され、土地の所有権が誰にあろうと、自由に自然を楽しむことが許されている。自然の恵みと共に生きるのが、この国と国民の在り方だった。
GM:針葉樹林に、テンポよく斧を打ち付ける音が小気味よく響いている。
GM:メキメキと音を立てて倒れるアカマツの樹を、腕一本で受け止める男がいた。
リッケンバッカー:「よ……っと」
リッケンバッカー:どこにでもいそうな、作業着姿の中年の男。だがその両腕だけで、軽々と巨大な丸太を持ち上げる。
GM:「エディ、そろそろ休憩しようぜ。疲れちまったよ」
GM:同じ作業着を着た男達が息を吐く。
リッケンバッカー:「いやぁ、もう少しな。先に休んでてくれ」
GM:「ホントお前さんの体力は底知れねえな……」「俺もオーヴァードなりてえな~」
リッケンバッカー:「ははっ!じゃ、ちょっと奥の方に行ってくる」
リッケンバッカー:そうして手を振り、斧一本持って森の深くに歩いていく。
リッケンバッカー:最強のオーヴァード、最強の兵士として名高い“リッケンバッカー”だが、彼は今でも自分の本職は、代々受け継いできた木こりのつもりでいる。
リッケンバッカー:深い森を拓き、自然の中で生き、人の為に働いてきた先祖のことを、彼は誇りに思っていた。
リッケンバッカー:国から莫大な報酬が出るようになった今も、こうして木を切って働き続けているし、山奥の辺鄙な小屋に一人で住み続けている。
リッケンバッカー:友人たちはそんなリッケンバッカーを変人だと揶揄うが、彼にとってはそれが何より自然であり、自分らしい生き方だった。
リッケンバッカー:「さて、この辺で……」
リッケンバッカー:「……ん……?」
リッケンバッカー:森の斜面に何か滑り落ちたような跡を見つけ、目を瞬く。
リッケンバッカー:後を辿ってみると、そこに一人の少年が倒れていた。
リッケンバッカー:意識は無い。爆発にでも巻き込まれたのか、髪や衣服が焦げ、煤けている。
リッケンバッカー:「この子は……」
リッケンバッカー:"アイギス"の傭兵だったはずの子供だ。確か、名前はクレアといったか。
リッケンバッカー:「おい、おい」揺さぶってみるが、返事は無い。
リッケンバッカー:「何でこんなとこにいるんだい」
リッケンバッカー:「他に仲間は……」
リッケンバッカー:"リッケンバッカー"の身体からレネゲイドが放たれる。周囲数キロ範囲を重力偏差で探ってみるが、それらしき気配は無い。
リッケンバッカー:「……うーむ……」
リッケンバッカー:悩むように唸り、息を吐く。「……仕方ないな」
リッケンバッカー:「よっこいしょっと……」
リッケンバッカー:そうして少年を肩に担ぎ、再び歩き出した。







Double Cross The 3rd edition
リプレイ:リバース
Case03『伊国超人戦/BATTLE OF ROMA』
END







GM:ルイジアナのレベルアップができます スクラップになっちゃいましたが
GM:今回使えるのは~
GM:バウンティの代わりにNPCの生存点になります
GM:13人生存で39点。
アッシュ:めっちゃ使えるぜ
ルカ:えっすごい

戦艦ルイジアナ
5ポイントで1LV上昇 最大LV3

・娯楽室 LV3
バックトラック時ダイス+3個
・医務室 LV0
シーン終了時HPを(LV)D回復してよい。
・厨房 LV2
戦闘中メジャー判定ダイス+2個
・弾薬庫 LV2
調達判定達成値+4
・主砲 LV0
メラニーの機嫌が普通


ルカ:6LVも上げられる
デュバリー:医務室厨房弾薬庫全部3まで上げても
デュバリー:1余るじゃん
メラニー:つまり……?
ギル:医務室上げずに主砲3にしてみようよ
デュバリー:最大レベル上げるとかはできないのかな
ルカ:あっ前回4ポイント持ち越ししてました
アッシュ:厨房の効果忘れてた気がするな
ルカ:43点あるみたいです
GM:そうだった!
アッシュ:じゃあ8レベ分上げれるじゃん
ギル:主砲のレベルを上げることで
ギル:メラニーの生存が確定するかも
クレア:なるほどね
デュバリー:43ポイントで5ポイント1レベルで8レベル上げられたら
デュバリー:全部カンストできん?
アッシュ:出来ると思う
ルカ:なんだかそのようね
ギル:あえて主砲を上げないかどうかか
ルカ:ww
アッシュ:上げない理由ないでしょ!
デュバリー:まあでも主砲フェチのテンションたけー女
デュバリー:目印にはなりそう
メラニー:なんでよッ
ギル:上げてないとき専用の台詞があるかも
デュバリー:2週目で回収しよそれ
ギル:全部カンストでお願いします
GM:では全レベル最高になり、メラニーの機嫌も最高になります
ルカ:ヨーソロ~
アッシュ:いえーい
メラニー:やった~~~~~~
クレア:よかったねメラニー
GM:まあもうスクラップなので無意味ですけどね
メラニー:スン……
ギル:おかしいな
ギル:機嫌が最高のはずなんだが
デュバリー:逆に反転して機嫌が最低になってそう
デュバリー:ぺん・チョイスが正解だったのか……?