
メインログ/雑談ログ
Trailer
昨日と同じ今日。今日と同じ昨日。
繰り返し時を刻み、変わらないように見える世界。
その裏側で、戦い続ける者達がいる。
既に変貌した、陽の当たらぬ世界で。
狂い咲くのは徒花か、それとも──。
拘束困難なオーヴァード犯罪者を封じ込める為、UGNと各国が合同で造り上げた大監獄──ソピステス合同更生院。
不可能とされてきた脱獄に挑むべく、囚人たちはその力を結集する。
だが他者を踏み付け害する罪人たちに、真の協力など叶うのか。
そしてこの監獄に隠された秘密とは──。
Double Cross The 3rd edition
Replay Bloom Case08
『冬尽飛燕の虚幽獄』
ダブルクロス──それは裏切りを意味する言葉。
Index
【Preplay】
GM:それでは『冬尽飛燕の虚幽獄』セッション始めていきましょう!
GM:まずは自己紹介です。PC番号がないので行動値順で
GM:籠羽さんからどうぞ!他の方は汚い野次を飛ばしてください。
石黒せいら:ウオオーッ
籠羽ゆりは:はーい
純恋バレンタイン:ヒャッハー
織世明日姫:脱げーっ!
籠羽ゆりは:NOW LOADING……💌

籠羽ゆりは:(キャラシート)
GM:配信前の待機画面だ
籠羽ゆりは:はじめましての君も、おかえりなさいの君もっ!
籠羽ゆりは:\📺✨こ~んにて〜〜んっ✨📺/
籠羽ゆりは:君の心に"ぺたり"と貼りつくお洒落ステッカー屋さんVtuber!
籠羽ゆりは:恋文にてんだよ〜っ!!
GM:かわいい!
織世明日姫:配信画面だ!!
石黒せいら:ヒューッ
籠羽ゆりは:……と、いう個人VTuberの中の人をやっていた元大学生です。
純恋バレンタイン:🎉
籠羽ゆりは:とある女性某との破局を経てOVへ覚醒し、ついでに生来の内気陰キャさが吹っ切れ、
籠羽ゆりは:一般人リスナー達へのおねだりによって多種多様な重犯罪を教唆し、それを眺めて自己満足に浸る趣味がありました。
GM:とんでもねえ女
織世明日姫:信者ファンネルのやばいやつだ
籠羽ゆりは:しかし、飽きと共に自分と同等の超能力を持つ犯罪者と遊びたい欲求が強まり
籠羽ゆりは:警察へ出頭して現在に至ります。
籠羽ゆりは:趣味はポップなステッカーの自作。しばしば人や物へ許可なく貼付しがちです。
石黒せいら:犯罪者じゃん
純恋バレンタイン:ヤベー
籠羽ゆりは:貼られた人は剝がさないでくれるとうれしいなぁ~
GM:お風呂とかどうするんだろう
織世明日姫:不同意貼付罪
籠羽ゆりは:防水加工もばっちりです
GM:すごい
籠羽ゆりは:性能は雑に火力を盛った雑ツインバースト屋。
籠羽ゆりは:雑にオリジンサイバーで情報収集を頑張ったり、活力の雫による雑デバフ解除で雑に役に立ちます。
石黒せいら:犯罪エフェクト持ってる
石黒せいら:よくないですよ デバフ解除とか……
籠羽ゆりは:この犯罪者だらけのセッションで少しでも安心するために……必要だったから……
籠羽ゆりは:全員ステッカーでべったべたにします。よろしくお願いします~~!
GM:OK!全員メンバーシップにしてください!それでは次!
GM:織世さん自己紹介お願いします!
織世明日姫:はいっ

織世明日姫:(キャラシート)
石黒せいら:女だ!
織世明日姫:そら女でしょうよ
織世明日姫:織世明日姫です! この漢字で「おぜ あずき」と読みます。
籠羽ゆりは:純真そうな女の子だ!
GM:かわい~
GM:きっといい子なんだろうな
織世明日姫:ご覧の通り、儚げな容姿の少女です。どっからどう見ても犯罪とか野蛮さとは無縁な美少女……
純恋バレンタイン:ええ~
石黒せいら:うるせ~
織世明日姫:フリーターをしながら、大好きなカズくんと楽しく過ごしていました。彼のしたいことを、一生懸命に手伝う健気な暮らし。
GM:ノンケじゃねーか!
石黒せいら:男じゃん!
籠羽ゆりは:レズじゃないじゃん!!
石黒せいら:死ね~ッ
織世明日姫:今日一の罵声
純恋バレンタイン:帰れ
織世明日姫:具体的には、義賊と称して強盗やらなんやらしていたのを、主に暴力担当として補佐。
織世明日姫:最終的には放火とかした罪をまるっと被り、監獄にぶち込まれることになった哀れなチンピラです。
GM:やべー女すぎる
石黒せいら:犯罪者じゃん!
籠羽ゆりは:怖すぎる
純恋バレンタイン:まるっと?放火はしてるんじゃねーか
織世明日姫:性能的には、ピュアハヌマーンのサイレン使い。暴走を振り撒きつつ固定値でドーンするよ。
石黒せいら:犯罪者じゃん!(2回目)
GM:危険すぎる
織世明日姫:原理的には声にまつわる能力者です。普段から儚い美声を発しつつ、戦闘時には破壊をもたらし、特にオーヴァードに強い敵性を示したりするよ。
GM:危険すぎるって
石黒せいら:こんな女出さないほうがいいよシャバに
織世明日姫:なんかここ……さっきからすごい罵声くるし、犯罪者ばっかりで怖いし、はやくカズくんの下に帰りたいな……
織世明日姫:帰るためにがんばります よろしくお願いします
GM:ノンケってことはレズってことですからね 頑張ってください
GM:それでは次!純恋さんお願いします!
純恋・バレンタイン:はーい

純恋・バレンタイン:(キャラシート)
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタイン、日系アメリカ人です。
石黒せいら:女だ!
GM:すごい名前だ
籠羽ゆりは:イケメン美女~!!
織世明日姫:イケ女!
石黒せいら:面を見せろ~!
純恋・バレンタイン:本名はバイオレット・バレンタインだけどクソみたいな父親が嫌いなので
純恋・バレンタイン:日本名のスミレを名乗っています
織世明日姫:こんなスタイリッシュ囚人服が許されていいのかよ
石黒せいら:ガイジンじゃん ガイジンとかみんな犯罪者でしょ
純恋・バレンタイン:UGNに所属していましたがムカつくので脱走し
純恋・バレンタイン:犯罪組織に転がり込みましたがムカつくのでボスをぶっ殺して組織を乗っ取りました
石黒せいら:記憶をいじったりしてる邪悪組織の出なんだ やばいやつじゃん
織世明日姫:やばすぎる
GM:素行が悪すぎる
純恋・バレンタイン:木っ端犯罪者を暴力で従えてブイブイ言わせてました
石黒せいら:暴力とか野蛮すぎ!
純恋・バレンタイン:犯罪は雑魚がやることなので
純恋・バレンタイン:自分は悪くないです
籠羽ゆりは:強者理論だ
GM:こいつ……イカれてやがる
織世明日姫:一番のワルの論理じゃん
石黒せいら:自己正当化するカスしか居ないのかここには
純恋・バレンタイン:そんな事をしてたら組織を潰されて捕まりました
純恋・バレンタイン:犯罪者のカスを暴力で支配してただけなのに酷くないですか?
GM:当たり前体操
織世明日姫:おまわりさん! こいつ危険だから一生閉じ込めといて!
石黒せいら:犯罪者がよ
純恋・バレンタイン:血流をコントロールする能力と功夫を組み合わせたバカ高い身体スペックを持っていて
純恋・バレンタイン:銃で撃たれても車で轢かれてもしなないバカです
石黒せいら:やば
織世明日姫:こわすぎ
GM:固くて力のあるバカ嫌すぎる
純恋・バレンタイン:檻の中でも周囲に女を侍らせて好きにやっている
純恋・バレンタイン:でも檻の中とかムカつくのでそろそろ出たいと思っています
石黒せいら:女を侍らせてるならいいことかもしれん
籠羽ゆりは:流石に出ちゃいけないでしょ……
純恋・バレンタイン:愛読書はドラえもんなので知識ドラえもんで脱獄を図りましょう
GM:役に立つことあるのか……?
純恋・バレンタイン:通り抜けフープがあれば一発ですね
石黒せいら:あればね
織世明日姫:あるかなあ
籠羽ゆりは:あるといいなぁ
純恋・バレンタイン:イージーエフェクトで重機並みのパワーがあるので普通の壁くらいは壊せそう
純恋・バレンタイン:とりあえず、機嫌が悪くなると暴れるぞ
石黒せいら:嫌すぎ
GM:やめてくれ
織世明日姫:野生の熊?
純恋・バレンタイン:気に入った子には優しく裏切り者は許さないスタイルでやっていきます
純恋・バレンタイン:よろしくね
GM:暴力で頑張ってください!それでは最後!石黒さんお願いします!
石黒せいら:は~い!

石黒せいら:(キャラシート)
織世明日姫:うわっかわっ
純恋・バレンタイン:刑務所の写真のやつだ
籠羽ゆりは:かわいい~~
GM:なんかかわいい立ち絵が出来とる!
純恋・バレンタイン:犯罪者じゃねーか
石黒せいら:はい!これまでにご紹介された最低の囚人どもとは一線を画す……なんら恥じることのないか弱い普通の美少女です。
織世明日姫:語るに落ちすぎてる
GM:そんな美少女がどうして捕まったんだ……?
石黒せいら:記憶処理するような隠蔽体質の悪の組織に立ち向かう、ファルスハーツという大正義組織に属しており、
石黒せいら:「アプサラー」という人材派遣セルのメンバーでした。
織世明日姫:正義の味方だったんだ 奇遇ですね
石黒せいら:いっしょにしないで
石黒せいら:そこでいろいろな手段……いろいろな手段を駆使して目的を上手いこと引き出す諜報員をしていました。
石黒せいら:なんか甘いひとときを過ごしてもらったり……そういういいことです
GM:なんかわかんないけどいい人そう!
純恋・バレンタイン:スパイだ
石黒せいら:その中でも対女性専任でやってきたんですけど……さるUGNとかいう悪の組織の高官の娘を篭絡……もとい
石黒せいら:仲良しになろうとしてたら、その高官にバレて捕まりました。逮捕権もないくせに……許しがたい蛮行です
GM:悪が未然に防がれた
織世明日姫:私人逮捕系UGNだ
籠羽ゆりは:捕まったんならほな悪人やな……
石黒せいら:仕方がないので今は看守に他人の行動を密告したり体を売ったりして……
石黒せいら:ちょっとグレードのよいものに囲まれながら優雅に慎ましく暮らしています。
純恋・バレンタイン:エッチ~
織世明日姫:じゃあ出なくていいじゃん
GM:何て女だ
石黒せいら:普段はヘラヘラしてますが、普通に気が短いので全然すぐキレます
織世明日姫:こわ すぐキレる若者
石黒せいら:衣食住では住が一番! 間接照明じゃないと体調が悪くなります。最近はドライフラワー作ってるよ~
GM:嫌な女すぎる~~
石黒せいら:性能は……他の暴力女どもとは違って攻撃能力は全然ありません。どこかで武器を買えば武器の攻撃力で一応攻撃できるレベル。
石黒せいら:かよわいピュアソラリスなので……
GM:じゃあ安心だな~
織世明日姫:かわいいところもあんじゃん
石黒せいら:あとできることといったら……
純恋・バレンタイン:ひよわ~
石黒せいら:私に反抗的なやつの情報判定のダイスを振れなくしたり 私に従順なやつの判定をほぼ確実に成功に持っていく支援ができたりするだけのささやかな能力くらいです
GM:何やってんだお前ェ!
籠羽ゆりは:ヤバくないですか!?
織世明日姫:最も悪と書いて最悪
石黒せいら:今陣のPCたちはイージーや技能用に追加経験点を支給されており、色々取れるな~と思ったので
石黒せいら:色々技能をこまいの取ったりもしています。みんなのを見比べてみるのも一興のよう
石黒せいら:そんな感じ!みんなと仲良くしていきたいな~ 仲良くできない子は何もさせてあげないね
石黒せいら:よろしくお願いします!
純恋・バレンタイン:ヒドイ
織世明日姫:現在進行形で脅迫罪ですこのひと
GM:OK!最悪女として頑張ってください!
GM:それではこのイカれたメンバーでセッション始めていきましょう!皆さんよろしくお願いします!
GM:こういうの本当にイカれてることあるんだな
石黒せいら:本当にそう
石黒せいら:よろしくおねがいします~
織世明日姫:よろしくおねがいします!
純恋・バレンタイン:よろしくお願いしま~す
籠羽ゆりは:よろしくお願いします!!
【OP】
GM:オープニングシーンです。PCは登場時に登場侵蝕を振って頂く形になります。
某日 某UGN支部
GM:大拡散から20年。今やどこにでもあるような、都市圏のUGN支部の一つ。
GM:この支部は今、ある問題を抱えていた。より正確に言えば……ある一人の女によって困らされていた。
日下部緑:「開けて!ここ開けてください!……出せーっ!」

日下部緑:「偉い人呼んでください!こんなのおかしいです!私……悪いことなんてしてません!」
日下部緑:「出せーーっ!」
GM:支部に備え付けられた簡易的な留置施設から、小さな支部中に響く声で騒いでいる女。ここ数日、ずっとこの調子だ。
GM:元々、この支部は誰かを長く拘留しておくような施設でもなく、職員たちは皆この騒ぎにうんざりしていた。
UGN職員:「まだ騒いでるのか?」「よくもまあ飽きずに……」
UGN職員:「オーヴァードであることは確かなんだろ?」「それは間違いないって」「じゃあ普通の刑務所にも送れないじゃないか」
UGN職員:「ここはやっぱり……あそこしかないか」「やりすぎじゃないですか?」「仕方ないだろう。ウチにずっと置いてはおけんよ」
日下部緑:「聞こえてるんですか!?おーい!話を……あっ」
GM:職員の一人が留置所の鍵を開け、彼女──日下部緑を外に連れ出す。
日下部緑:「良かった!分かってくれたんですね!私……うっ……!?」
GM:職員たちが彼女の隙をついて、大きなマスクを被せる。異臭がしたと思うと、緑の意識は急速に遠のいていく。
日下部緑:「な……何で……こんな……」
GM:視界が闇に沈んでいき、そして──
---
看守長:「……さっさと起きろ!!」
日下部緑:「ふぎゃッッ」
GM:身体に衝撃を受けて目を覚ます。どのくらいかは分からないが、眠らされていたようだ。
GM:見れば、自分と同じような境遇の人々……いずれも女が、周囲には何人かいるようだ。
織世明日姫:織世明日姫の侵蝕率を1D(→ 6)増加(37 → 43)
織世明日姫:「…………」
籠羽ゆりは:33+1d10
DoubleCross : (33+1D10) → 33+8[8] → 41
看守長:「起きろ!貴様も!さっさと起きんか!」

看守長:囚人たちの頭からマスクを剥ぎ取り、乱暴に平手打ちしたり蹴り飛ばしたりして目を覚まさせる。
織世明日姫:「うっ……」
籠羽ゆりは:「…………んん」
籠羽ゆりは:「うるさいなぁ」
織世明日姫:呻いて、身体を起こす。疑り深い目つきで周囲を見回す。
籠羽ゆりは:のっそりと上体を起こし、寝ぼけ眼をぐしぐしと擦る。
織世明日姫:「何……なんですか? ここ」
GM:窓は硬質素材で塞がれており、異様な雰囲気で分かりづらいが……どうやら車両、護送バスの中らしい。
籠羽ゆりは:「すいませ~ん、まだ眠たいんでもうちょっと静かにしてくださいよ~……」
織世明日姫:ぼそぼそとした喋り方ながら、涼やかに鳴る声音は剣呑な雰囲気を幾分和らげる響きがあった。
看守長:「誰が私語していいと言った!?」
織世明日姫:「ひっ」
看守長:看守長……らしき女が、乱暴に警棒で囚人を殴りつける。
籠羽ゆりは:「うわっ……」
日下部緑:「やっ……やめてください!そんな乱暴……許されませんよ!」
看守長:「黙れ」
看守長:看守が手元の装置を操作すると同時、緑の身体に強烈な電流が流れる。
日下部緑:「あッ……ッああっ!?」
GM:痙攣するように倒れる。気付けばその場の囚人たちの首には、物々しい首輪が取り付けられている。電流はそこから発されたもののようだ。
織世明日姫:「っ……!」 息を呑む。声を出さないのは、同じ目に遭うやもしれぬ恐怖がためだ。
籠羽ゆりは:「バチバチ音いってる。痛そ~~……」
籠羽ゆりは:他人事のようにのほほんと眺めている。
看守長:「無駄口を叩くな!さっさと車外に出ろ!」
看守長:籠羽の背中を警棒で殴りつけるようにして、外に出るよう促す。
籠羽ゆりは:「あだっ!」
織世明日姫:「……」 大人しく従って外に出る。倒れた少女を気にするように一瞥をくれながら。
籠羽ゆりは:「いったいなぁ……はいはい、出ます、出ますよぉ~」
日下部緑:「う、ぐっ……」嗚咽を漏らしながら、よろよろ這うようにして車外へと出る。
籠羽ゆりは:プラチナブロンドのふわふわポニーテールを揺らしつつ、背中も摩りながら車外へ。
GM:……君達の目の前に広がるのは、物々しい銃座や鉄条網で武装された高い壁に囲われた、巨大な建造物。
GM:神話の迷宮が現実のものとなったかのような印象を与えるそれは、囚人を決して外に出さぬための檻だ。
GM:そこは、特殊能力を持ち、通常の施設では到底収監しきれないオーヴァード犯罪者を収容するため、UGNと各国が合同で造り上げた大監獄。
GM:名を、ソピステス合同更生院と言った。
GM:……それから、写真撮影に書類への記入、隅々まで及ぶ身体検査……様々な入所手続きを経て、君達は所内へと足を踏み入れた。
GM:看守の先導で監獄内を進む君達に、他の囚人たちから口々に野次が飛ぶ。
囚人:「ヒューッ!女だ!」「新入りじゃん!可愛いねぇ~」
取り巻き受刑者B:「キャハハ、生意気そうな顔してるよ」
囚人:「お嬢ちゃんどこから来たのォ~?」「可愛がってあげるからこっちおいでよ!ギャハハ!」
取り巻き受刑者A:「へっへっへ、すぐ泣いちゃうんじゃね~かァ?」
織世明日姫:「っ…………」 顔をしかめながら連れられている。
織世明日姫:(さ、最悪……! なんなの、ここ……!)
日下部緑:「な、何なんですか……この人たち……!」
籠羽ゆりは:「あっはは~。こんなの低予算映画の中にしか存在しないと思ってたけど」
籠羽ゆりは:「やっと実感湧いてきたかも~」
籠羽ゆりは:ひらひらと野次一人ひとりに手を振り返す。
織世明日姫:「あ、あの」 プラチナブロンドの少女の袖を引く。
織世明日姫:「私語、やめたほうが……」
籠羽ゆりは:「え~?だって、私達こんなに歓声受けてるんだよ?」
籠羽ゆりは:「きっちりお返ししてあげなきゃ失礼だと思うな~っ、私」
織世明日姫:「わけわかんない……」
織世明日姫:(巻き添えで目をつけられたくなくて注意したのに、謎の思想が倍返ってきた……)
籠羽ゆりは:「……っていうか」
籠羽ゆりは:「キミめっちゃ声綺麗だねぇ~☆羨ましいなぁ~!」
織世明日姫:「ぅえっ!?」
織世明日姫:「あ、ん……!」 礼を言うべきか、いいから黙ってと言うべきか。
籠羽ゆりは:「私もこんな美声だったら、配信で調声入れなくて済むんだけど~……っ」
籠羽ゆりは:「と、ごめんね。私、籠羽ゆりは」
織世明日姫:「わ、わかったから! ありがとう、黙って……!」 両方になった。
織世明日姫:「あたしは……織世明日姫、です」
籠羽ゆりは:「いいじゃんいいじゃん。きっとキミも"特別"な何かを持ってるんでしょ?」
看守長:「私語を叩くな!!」電流!
籠羽ゆりは:「興味あるn、っ~~~~~~~~!!??」
織世明日姫:「とくべつ……はぐっ!?」
日下部緑:「げぅっ……!な、何で私も……!」
取り巻き受刑者A:「ギャハハハ」指さして笑う
籠羽ゆりは:「っ……げほっ、がほ。ひど~い!!」
織世明日姫:「だ、だから言ったのに……!」
看守長:「連帯責任だ!着いたぞ。さっさと入れ!」
籠羽ゆりは:「はいは~い。後で覚えてろよ~っ……」
GM:看守が足を止めたのは、「201」という房の前だった。施錠が解かれ、扉が開かれる。
GM:雑居房のようで、中には既に先住の囚人がいるようだ。
織世明日姫:「うう……」 激痛と屈辱でよろめきながら、中を見る。
石黒せいら:「え~!?なんでここに入れるの!?」
籠羽ゆりは:「むっ。こんな大きな建物なのに一人部屋じゃないんだ……っと?」
石黒せいら:「追い出してって言ってたじゃん!」
看守長:「黙れ!」ビビビビ
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を1D10(→ 4)増加(36 → 40)
看守長:「他の看守に色目を使って良い思いをしているようだが、私はそうはいかん。部屋の空きなどリソースの浪費だ!」
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を1D10(→ 6)増加(32 → 38)
純恋・バレンタイン:「君に決定権があるワケじゃないだろう?」
石黒せいら:「んんっ……あああっ!」悩ましげな声を上げる。「もお~っ……」
純恋・バレンタイン:「君は実にバカだな」
石黒せいら:「は?あんたに言われたくないんですけど?」
籠羽ゆりは:ここまで終始、朗らかに笑っていた籠羽が、目をまん丸くして部屋に居る一人を見つめて。
籠羽ゆりは:「…………」
織世明日姫:「うるさっ……」 先住らに面食らっている。
籠羽ゆりは:「……あ~」掌を額にぺちんと当てて。
看守長:「静かにしろ!いいか!」
純恋・バレンタイン:「静かにしろ~!」雑なモノマネ
純恋・バレンタイン:「アハハハハハ」
石黒せいら:「ぷっ」
石黒せいら:「似てな……」
看守長:「……」二人の首輪に電流が流される。純恋の首輪は特別性で、強力な大電流が流れる。
石黒せいら:「んんっ!」悩ましげな声を上げている。わざとらしい。
純恋・バレンタイン:「あ゛~」低周波治療を受けている程度の反応
看守長:「……いいか」
看守長:「ここに入った以上、貴様らのようなクズ以下の存在を、我々で面倒を見てやることになるんだ。有難く思え!」
純恋・バレンタイン:「だ、そうだよ?とても有難い話だね」
看守長:「本来貴様らのような社会に存在してはならないゴミ共は、殺した方が世の為なんだ。貴様らが息をして酸素を浪費していられるのは偏に我々の慈悲によるものだということを忘れるな!」
石黒せいら:「ありがと~」
石黒せいら:「やさし~」
純恋・バレンタイン:「感動しちゃいそうだ」
籠羽ゆりは:「そっか~、じゃあ遠慮なくっ!これからお世話になりま~す」
籠羽ゆりは:びしっ。敬礼っ。
織世明日姫:「…………はーい」 瞳は反抗的な色ではある。
日下部緑:「こ、この人たち……どうしてこんなに態度悪いの……?」
看守長:「チッ」
看守長:「もし問題など起こしてみろ。死ぬよりも後悔させてやる」
看守長:「石黒。バレンタイン。新入りの面倒は貴様らで見ておけ。もし何かあれば貴様らの責任だ。食事のグレードを3ランク下げることになるぞ」
純恋・バレンタイン:「ッふふ…」
石黒せいら:「え~!」
純恋・バレンタイン:「それは、敵わないな」
石黒せいら:「3ランクって……一番下じゃん!豚の餌だよ餌!」
看守長:「以上だ!!」
看守長:反論に取り合わず、乱暴に扉を閉めて去っていく。
石黒せいら:「あ~!逃げた~!」
籠羽ゆりは:「……ふぃ~」
籠羽ゆりは:「やっと嵐が過ぎ去ったね。よかったよかった」
織世明日姫:扉の閉まる音に身をすくませて、ようやく息をつく。
織世明日姫:「うん……」
織世明日姫:「これから、こんな毎日なんだ」
日下部緑:「……」警戒するように自分の腕を抱きながら、周囲に視線をやっている。
石黒せいら:「あいつ最悪なんだよ~マジ」
石黒せいら:「優しくしてくれないもん」
純恋・バレンタイン:「看守長くんは真面目なのさ」
織世明日姫:「それは……」
織世明日姫:(従順な態度を見せないからじゃ……) 言っていいのか少し迷う。
純恋・バレンタイン:「で?」
純恋・バレンタイン:と新入りの方に目線を向ける。
日下部緑:「……っ」緊張したように唇を引き結ぶ。
純恋・バレンタイン:「おいおいおい、そんな緊張しなくてもいいさ」
石黒せいら:「え、てか本当に増えるの~?」今更興味を持ったかのように一瞥して。
石黒せいら:「えっ」
織世明日姫:(このひと、服すご……) 上から下へと視線を動かし。
籠羽ゆりは:「……みたいですね~。今日からお世話になりますってことで」
純恋・バレンタイン:明らかに改造された特注の服を着ている
石黒せいら:「ゆり?」
純恋・バレンタイン:デザイナーブランドの囚人服にブーツだ
籠羽ゆりは:「自己紹介とかした方がいいっすかね?イケメンのおねえさ……」
籠羽ゆりは:「…………」
織世明日姫:「…‥どうも」 ぺこりと頭を下げて。「……知り合い、なの?」
石黒せいら:「え~?久しぶりじゃない!?」
日下部緑:「え……そうなんですか?」
籠羽ゆりは:じとっとした、視線をせいらに向けて。
籠羽ゆりは:「いや」
純恋・バレンタイン:「なんだ、この最低女子の知り合いかい?」
籠羽ゆりは:「初めましてじゃないっすか?多分、会ったことないと思いますけど~」
石黒せいら:「え~っ!?」
純恋・バレンタイン:「アハハハ、人違いだって」
籠羽ゆりは:くすくすと喉を鳴らすように笑いながら、鉄ドアの前に腰を下ろして。
織世明日姫:「ああ……あるよね、そういうナンパ」
石黒せいら:「いや見間違えないし!」
石黒せいら:「ゆりじゃん……ゆりは……う~ん……」
籠羽ゆりは:「ま~ま~。こんな窮屈なトコに何年も居たら、知り合いの顔も朧気になるってもんだしさ~」
石黒せいら:「……籠…………籠…………」
石黒せいら:「……籠羽!」
純恋・バレンタイン:「何年も取っ捕まってるマヌケに見えるんだって」
籠羽ゆりは:「…………」嘆息。
純恋・バレンタイン:「アッハハハ!」
日下部緑:「や……やっぱり知り合いなんじゃ……?」
織世明日姫:「合ってる……」 ついさっき聞いたばかりだ。
石黒せいら:「ほら!」
石黒せいら:「なんで無視するの~」
籠羽ゆりは:「せっかく濁してやろうと思ったのに……コイツさぁ……」
籠羽ゆりは:小さくひとりごちてから。元の明朗な笑顔に戻って。
籠羽ゆりは:「どーもーっ。籠羽ゆりはですっ」
石黒せいら:「ゆりじゃん~……ってか性格変わった?」
石黒せいら:「大学デビュー?」
籠羽ゆりは:「あん時から大学生だったろうがよぉ……」ド低い声。
石黒せいら:「え~まあいいや嬉し~!」
石黒せいら:「また仲良くしようね~」
籠羽ゆりは:「えーっとぉ。まぁ、そう、しがない大学生だったんだけど~☆」半ば無視する形で進める。
純恋・バレンタイン:「そいつと関わりたくないなら、こっち来なよ」
純恋・バレンタイン:「面倒は見てあげるよ」
織世明日姫:(昔に何かあったのかな……)
籠羽ゆりは:「……これアレっすよね。"歴"が低いと舐められる、って奴ですよね?」
籠羽ゆりは:そそくさと純恋に身体をよせつつ。
石黒せいら:「脳筋の下僕とか地獄じゃん。やめなって」
純恋・バレンタイン:「君と違って性格は破綻してないからねえ」
籠羽ゆりは:「ええっとぉ」
籠羽ゆりは:「私、実は動画配信者で……Vtuberってやつ。聞いたことありますぅ?」
石黒せいら:「服もまともに着れないくせに人語を喋んないで~?」
日下部緑:「あ……知ってます。なんかオタクの人の……」
織世明日姫:「聞いたことはあるけど……」
籠羽ゆりは:「そ~そ~!陰キャオタク御用達の!」
純恋・バレンタイン:「すぐ脱いでる露出狂じゃないんでねえ」
籠羽ゆりは:「そういう、私の事がだ~い好きなリスナー達に」
純恋・バレンタイン:「へぇ~」
籠羽ゆりは:「手取り足取りアドバイスして、その子が一番向いてそうな犯罪をやらせて遊んでました~っ☆」
日下部緑:「犯罪を……やらせて遊ぶって……えぇっ……」
石黒せいら:「え~?ゆりが……?」
籠羽ゆりは:「犯罪教唆?っていうんだって」
織世明日姫:「……ええぇ」 引いてる。
日下部緑:「そ、それって……犯罪じゃないですか!!」
石黒せいら:「ここ刑務所だよ~?」
籠羽ゆりは:「逆に、やってない人いるの?」
純恋・バレンタイン:「はぁ~、なるほどね」
織世明日姫:日下部に控えめながら頷いている。「……刑務所、だけど」
織世明日姫:「そんな、なんでもないみたいに……」
日下部緑:「……そ、そう、ですよね……ここにいるってことは……全員……」
純恋・バレンタイン:「雑魚に犯罪をさせるのは当然だしね」
日下部緑:「なっ……」
籠羽ゆりは:「わかる~!」
純恋・バレンタイン:「しょうもない犯罪なんて自分でやるもんじゃないよ」
石黒せいら:「何~?反省してたらえらいの?」
石黒せいら:「やっておいて?じゃあ最初からやんなよ」
織世明日姫:「そっ……うじゃ、ないけど」
籠羽ゆりは:「いやぁ、イケお姉さん!パイセンとは上手くやって気そうな気がしますよ~」
日下部緑:「あ……あなたもその犯罪教唆で捕まったんですか?」純恋に
織世明日姫:「っ……!」 言い返す言葉がなく、視線だけで睨む。
石黒せいら:「んふふっ!」
石黒せいら:「そんなわけないじゃん」
石黒せいら:「そんな頭あるわけないじゃん~」
純恋・バレンタイン:「あ~ん?」
石黒せいら:「だってこいつさ~」
石黒せいら:「頭を使えって言ったら石頭のことだと思うんだよ?」
石黒せいら:「ドラえもんかつーの」
純恋・バレンタイン:「いちいち細かい事を考えてセコイ犯罪をやるのはカスの役割なんだよ」
籠羽ゆりは:「あははっ。流石にジョークっすよねパイセン~っ」
純恋・バレンタイン:「犯罪ってのは、楽するためにやるんだよ」
純恋・バレンタイン:「それなのにさ」
純恋・バレンタイン:「いろいろ苦労を重ねてやるなんて」
純恋・バレンタイン:「その名の通りご苦労な事さ」
織世明日姫:「…………」 所在なく手を握り合わせている。
織世明日姫:(やっぱり、最悪だ。ここ……)
石黒せいら:「それで捕まってたら世話ないが~?」
純恋・バレンタイン:「僕のやってる事はそう言う連中から金を巻き上げる事だよ」
籠羽ゆりは:「そっすよね~!上から見下ろして駒を動かす役が一番楽しいっすよね~」
籠羽ゆりは:「……女をとっかえひっかえ浮気するカスは」
石黒せいら:「そこでシンパシー感じるなら組めなくない?」
純恋・バレンタイン:「せせこましい詐欺の果てに捕まってる君がいうとギャグに聞こえるよ」
日下部緑:(こ、この人たち……)
石黒せいら:「どっちかは下になるだろ」
籠羽ゆりは:「やっぱ」
石黒せいら:「は~!?セコくないけど!?」
籠羽ゆりは:「文句垂れるしか能のない小物っすよね~~っ」
純恋・バレンタイン:「というか、昔から女をとっかえひっかえしてたのかい?」
純恋・バレンタイン:「アハハハハ」
籠羽ゆりは:ぎろり、とせいらを睨んで。
石黒せいら:「してないし!」
日下部緑:「あの……お、落ち着いてください」
織世明日姫:「えっ……あっ」 やっと得心がいった。
織世明日姫:「そういう関係だった、んだ……!?」
日下部緑:「ねえ……あなた、さっきから大丈夫?」織世に声を掛ける
籠羽ゆりは:「そーそー。明日姫ちゃん気を付けた方がいいよ~~」
織世明日姫:「あ、うん。だいじょうぶ……」
日下部緑:「こんなところ来るようには見えないけど……もしかして、間違えてここに入れられちゃったの?」
織世明日姫:「かどうかは、あんまり自信ないけど……」
籠羽ゆりは:「あの女は上辺だけの甘言がめっちゃ上手だからさ~」
石黒せいら:「変な印象植え付けないでよ~!」
籠羽ゆりは:「信用しない方が身のためだよっ☆」
織世明日姫:「……間違えて、っていうか。その……」
石黒せいら:「私はいつも本気なのに……」
織世明日姫:「あっ。織世明日姫、です」 思い出したように、まず名乗り。
石黒せいら:「明日姫ちゃんっていうんだ!声可愛い~!」
石黒せいら:「声優さん?」
織世明日姫:妖精の鳴らす鈴のような、澄み切った声が雑居房に響く。「全然、そういうんじゃないけど……」
織世明日姫:「カズく……恋人がね。いて……そのひとが、いろいろと」
織世明日姫:「お仕事を、してて。手伝ってたんだけど……トラブっちゃって」
石黒せいら:「うん。本当いい声……」小さく呟いて。
純恋・バレンタイン:「トラブルねぇ」
織世明日姫:「それでここに来ることに、っていうか……」
籠羽ゆりは:「……えっ!ってことは」
石黒せいら:「身代わりにされちゃったの?」
籠羽ゆりは:「ひょっとして彼氏さんの代わりに捕まって……可哀そう……」
日下部緑:「え……そんな、ひどい……」
織世明日姫:「ひ、ひどくないよ! させられたわけでもないしっ……!」
石黒せいら:「ええーっ!?そんなん別れたほうがよくない?」
純恋・バレンタイン:「は~、カス野郎だねえ」
織世明日姫:「あたしが、そうするって! カズくんは義賊……正義の味方なんだからって」
織世明日姫:「カスじゃないもん……!」 きっと睨む。
籠羽ゆりは:「ふーん……」
石黒せいら:「じゃあ明日姫ちゃんは自ら罪を被ろうってしたってこと?」
織世明日姫:「お仕事だって、悪いやつとかが隠してるお金とかを取り戻して、貧しいひとに渡すとかって」
籠羽ゆりは:こっそりと、牢の角隅に近寄り。小さく人差し指を振る。
石黒せいら:「そんなの……とっても心が綺麗なんだね~!」
織世明日姫:「詳しくは知らないけど……すっごく、ちゃんとしたことだもん」
日下部緑:「そ、そうなの?義賊……そうなのかな……」
籠羽ゆりは:「なんか、だんだん読めてきたかも~」
純恋・バレンタイン:「アハ!」
石黒せいら:「素敵だなあ、明日姫ちゃん……私、明日姫ちゃんとお友達になりたいなあ」
籠羽ゆりは:ひらひらと指先で光を揺らしてから、ぱちんと。指を鳴らす。
織世明日姫:「ともだち……あたしと?」
籠羽ゆりは:「明日姫ちゃん……ひょっとして、その彼氏さんに騙されてない?」
織世明日姫:「!」
石黒せいら:「うん。ダメ、かな……?」応えてもらえるか不安の色の隠せない、弱ぼらしい、それでいて美しい声。
織世明日姫:「だから、騙されてなんて……」
籠羽ゆりは:「この浮気カスみたいにさ~、適当に上辺だけの言葉を並べて都合よく操ってさ~」
石黒せいら:「いや浮気してないけど?」
織世明日姫:「うっ……」 せいらの声音に、ぐらりと揺れかかる。先程までの軽蔑すべき犯罪者然とした態度を見ていて猶。
日下部緑:「ちょ、ちょっと……!事実だとしても、言い方ってものがあるじゃないですか!」
籠羽ゆりは:「ええっ?だって、騙された側はさぁ」
籠羽ゆりは:「こんなキツい言い方でもしないと、その事実に気づけなそうじゃない?」
石黒せいら:「てか騙された騙されたって……」
籠羽ゆりは:鳴らした指先に現れたのは、淡いピンク色の光を放つ小さなハート型のステッカー。
石黒せいら:「最初はそっちからだったじゃんか。私は仕事じゃないならお願いされなきゃ自分からはしないの」
籠羽ゆりは:ぺたり、と部屋の壁に貼り付ける。
籠羽ゆりは:「……うん?」
籠羽ゆりは:「ちょっとちょっと。なんで私から告白したみたいになってんの」
織世明日姫:「ま、また始まった……!」
籠羽ゆりは:「元はと言えば、アンタが家焼かれたから泊めて~って押しかけて来たのが始まりじゃんか」
石黒せいら:「そこはそうだけどさ~」
純恋・バレンタイン:「ハハ、ああいう上手い事言う連中には気を付けた方が良いよ」明日姫の肩に腕を回して密着
籠羽ゆりは:飛行機のステッカー。ぺたり。ラブレターのステッカー。ぺたり。
日下部緑:「……」居心地悪そうな顔で、周囲を睨むように見ている。
織世明日姫:「と……とにかく!」 回される腕に抵抗しながら。「あたしは、カズくんがいるところに早く帰らなきゃいけないんで……!」
石黒せいら:「でも身代わりだとして……」
織世明日姫:「その、問題とか起こして長引いたりしたら、困るのでっ。お、大人しくしてもらえると、助かる……ます」
純恋・バレンタイン:「ま、いいじゃないか。騙されても気持ちよく騙してくれればウィンウィンの関係さ」
石黒せいら:「罪はあるんでしょ?」
石黒せいら:「ここに無実の人間なんて来るわけ無いんだもん」
純恋・バレンタイン:「それはそうだねえ」
籠羽ゆりは:無機質な壁が少しずつ、虹色に彩られたポップなステッカーで飾り立てられていく。
石黒せいら:「あ、ごめんね、それで……」残り一人を覗き込む。
石黒せいら:「あなたはどうしてここに?」
日下部緑:「……私は……」
日下部緑:「……何もしてません」
石黒せいら:「え~?」
石黒せいら:「それじゃあ分からないよ」
織世明日姫:「……本当に?」
籠羽ゆりは:「……およ。貴方も騙されて収監された系?」
日下部緑:「違います!騙されてなんかいません!」
日下部緑:「無実なんです。悪いことなんて何もしてないのに……捕まって、気付いたらここにいて……!」
織世明日姫:確かに、他3人の犯罪者たちが悪びれる風もなかったのと対照的に、居心地悪そうにしていたのは印象的だったが。
日下部緑:「こ、こんなのおかしいですよ……!どうして私がこんな……」
純恋・バレンタイン:「アハハ」
純恋・バレンタイン:「本当かい?」
石黒せいら:「ええ~っ!それは大変だねえ」
織世明日姫:「冤罪、とか? 誤認逮捕、みたいな……」
石黒せいら:「私が相談乗ってあげようか?これからどうすればいいか」
日下部緑:「本当です!こ、こんなの……絶対間違ってます!」
石黒せいら:「親身に聞いてあげるよ」
日下部緑:「これからどうするって……」
籠羽ゆりは:「本当に?それは……ひどいなぁ」
日下部緑:「じゃ、じゃあ……」
日下部緑:「どうやったら、ここから出られるんですか?」
純恋・バレンタイン:「そうは言っても」
石黒せいら:「え?それは無理」
純恋・バレンタイン:「罪の内容は宣告されなかったのかい?」
純恋・バレンタイン:「身に覚えがなくてもさ」
日下部緑:「それは……」言い淀む。
日下部緑:「ど、どうしてですか」
石黒せいら:「もしかして、知らないの?ここがどこか……」
織世明日姫:「刑期?が終わったら……じゃないんですか?」
石黒せいら:「でも無実だって言いたいなら、服する罪がないんでしょ?」
GM:ソピステス合同更生院は、オーヴァードを収容するためにUGNを始めとした各国機関が協力して造り上げた監獄だ。脱獄に成功したという話は、少なくとも君達が聞く限りでは無い。
日下部緑:「あの……」
日下部緑:「……皆さんは……ここから出たくないですか?」
織世明日姫:「それは、もちろん出たいけど……」
籠羽ゆりは:「ん~……まだ来たばっかなのに?」
石黒せいら:「居たいやつなんているの?」
籠羽ゆりは:蝶のステッカー、虹のステッカーをペタリと扉に貼り付けながら。
籠羽ゆりは:「そりゃまぁ。いつかは」
純恋・バレンタイン:「さあ?探せば一人くらい入るかもね」
日下部緑:「いつかって……いつですか?」
石黒せいら:「ああ。私がいるからって答える子はいるかもね」
籠羽ゆりは:「さぁ……」
日下部緑:「私……こんなの絶対嫌です。何も悪いことしてないのに、このままここで過ごすなんて……わ、私まだ十代なのに!」
純恋・バレンタイン:「長い事居ると飽きてはくるねえ」
日下部緑:「私……脱獄します」
織世明日姫:「…………」「えっ」
純恋・バレンタイン:「アハッ」
日下部緑:「絶対します。だから、あの、手伝ってくれませんか?」
籠羽ゆりは:「おぉう」
織世明日姫:「脱獄……脱獄!?」
石黒せいら:「ふふっ。がんばれ~」
石黒せいら:「えっ?手伝うの?」
日下部緑:「私を手伝ってくれたら……皆さんも、一緒に脱獄させてあげます」
日下部緑:「どっ……どうですか?」
織世明日姫:「だ、ダメだよ! そんなことしたら、模範囚?じゃなくなっちゃう……」
籠羽ゆりは:「……へぇ、大きく出たね」
純恋・バレンタイン:「ココが何処かもわからないのにかい?」
石黒せいら:「もしかしてあなた……ちょっと待ってまず名前聞いていい?」
織世明日姫:「早く出るためには、模範囚じゃなきゃ……」
日下部緑:「緑です。日下部緑」
石黒せいら:「可愛い名前~。緑ちゃんはさ」
石黒せいら:「それができるような能力を持ってるんだ?」
石黒せいら:「それ次第で、せーらは全然乗ってもいいよ?」
日下部緑:「えっ……?」
日下部緑:目を瞬いて、たじろぐようにして
日下部緑:「……」
日下部緑:「それは……」
日下部緑:「な……無いですけど……」
石黒せいら:「はあっ?」
織世明日姫:「ええ……」
籠羽ゆりは:「ないんだ」
籠羽ゆりは:小さく嘆息。
純恋・バレンタイン:「じゃあ、何か計画とか情報は?」
籠羽ゆりは:「さっそく。"特別"を観れるって期待しちゃったのにな~~」
日下部緑:「……それは……」
日下部緑:「……い、今から考えます。だって、まだ来たばっかり、だし……」
石黒せいら:「緑ちゃんかわい~」
石黒せいら:「小動物みたいだよね」
日下部緑:「な……バカにしてるんですか!?」
石黒せいら:「え~?そんなことないよ?」
石黒せいら:「本当に可愛いと思ってるもん。お友達になりたいな……」
純恋・バレンタイン:「ま、とりあえずここで過ごしてみれば良いんじゃないかな」
純恋・バレンタイン:「暮らしてみれば意外と気に入るかも」
籠羽ゆりは:「ほぉら。まーたそうやって懐に入り込もうとする」
石黒せいら:「ここで上手くやってきたいなら、せーらとは仲良くしておいた方がいいよ?」
籠羽ゆりは:緑とせいらの間に腕を割り入れて。
日下部緑:「そんなのおかしいです!!いる必要も無い監獄にいるなんて、絶対間違ってます!!」
石黒せいら:「それさえできてれば楽しく過ごせるんだから」
純恋・バレンタイン:「ハハハ、悪い冗談だ」
日下部緑:「私は……絶対ここから出て行きます!」
籠羽ゆりは:「でも、心意気は立派なんだよねぇ」
純恋・バレンタイン:「僕の方についていれば」
織世明日姫:「あの……」 おずおずと挙手し。「さっき、どれくらいここにいなきゃいけないのかって、罪状でわかるって話でしたけど」
純恋・バレンタイン:「少なくとも身の安全は保障してあげよう」
籠羽ゆりは:じーっと、緑の瞳をのぞき込んで。
石黒せいら:「明日姫ちゃん何~?」
日下部緑:「っ……」必死に視線を返す。
織世明日姫:「……強盗を何回かと、放火と……あと他にもいくつか……だと」
織世明日姫:「どれくらいになりますか……?」
織世明日姫:「半年くらいでは出たいんですけど……」
籠羽ゆりは:「……うん。すっごく、綺麗な眼をしてる」
石黒せいら:「え?外なら無期懲役じゃない?」
織世明日姫:「え゛っ」
石黒せいら:「別にここでも変わんないかそれより重いくらいでしょ」
純恋・バレンタイン:「人が死んでたらムリだねえ」
GM:そもそも、オーヴァードの存在が各国に共有され、この施設が完成したのもそう昔のことではない。
純恋・バレンタイン:「死んでなくても30年は固いし」
籠羽ゆりは:「いいんじゃない」
GM:君達が知る限り、まだ刑期を満了して出所した囚人はいない。
織世明日姫:「そんな……!」
籠羽ゆりは:「私も手伝ってあげよっか。脱獄」
日下部緑:「えっ……い、いいんですか……!?」
純恋・バレンタイン:「累積計算なら100年超えるだろうね」
籠羽ゆりは:「うん!」
織世明日姫:「あ……あたしも!」 ふたりの方へ歩み寄る。
日下部緑:「あ、ありがとうございます……!えっと……籠羽さん……」
籠羽ゆりは:「ゆりは。下の名前でいーよ」
日下部緑:「織世さんも……!」
籠羽ゆりは:「明日姫ちゃんも!やろやろ!」
織世明日姫:「そ、そうだよ。考えてみれば簡単な話だよね。脱獄したら、半年も待たなくていいんだし」
純恋・バレンタイン:「で?」
石黒せいら:「3人で仲良くなってる!ずるい~!」
日下部緑:残り二人を見て「あ、あの……確かに私は……能力も無いし、計画も……まだ全然ですけど」
純恋・バレンタイン:「具体策も情報もなしでやる気なのかい?」
日下部緑:「でも……やってみないと分からないと思います!!」
織世明日姫:「待っててね、カズくん……あたし、すぐ帰るから……!」
籠羽ゆりは:「これから考えるんですよ~っ」
純恋・バレンタイン:「君たちは実にバカだな」
籠羽ゆりは:「パイセンもやりましょーよ!そっちの方がきっと楽しいっすよ!」
織世明日姫:「ば、バカだって……3人集まったら、いい感じになるって言うじゃないですか」
純恋・バレンタイン:「バカが3人集まっても3バカになるだけさ」
純恋・バレンタイン:「でも、そうだね」
織世明日姫:「ぐっ……だったら、もっと増えたらもっと良くなるって」
籠羽ゆりは:「そーそー。私は皆が一致団結して」
籠羽ゆりは:「皆だけの"特別"を見せ合いっこできたら嬉しいなぁ~~☆」
純恋・バレンタイン:「ヒマつぶしには丁度いいかも」
織世明日姫:(よく考えたら……脱獄しようとしてるの、このふたりに思いっきり聞かれちゃってるし)
織世明日姫:(仲間に引き入れなきゃやばそう……!)
織世明日姫:「せーらさんも、一緒にやりませんか……?」
織世明日姫:「ほら、おともだち……になってくれるんですよね? だから、一緒に……!」
石黒せいら:「え~? どうしようかな~?」
石黒せいら:「……!」
籠羽ゆりは:「…………」苦々しそうに口元を引き攣らせて。
石黒せいら:「じゃあ……」言いかけてゆりはのほうを見て。
石黒せいら:「ゆりは?」
織世明日姫:(本当は、こんな倫理観のない犯罪者たちと仲良くなんてしたくないけど……)
石黒せいら:「一緒は嫌?」
籠羽ゆりは:「……何?」
籠羽ゆりは:「そもそも、できることなら二度と顔も見たくなかったんだけど……」
石黒せいら:「え~、私は会えて嬉しかったのに……」
籠羽ゆりは:「アンタを省いて、お得意のすり寄りで誰かにチクられても癪だし」
籠羽ゆりは:「いーんじゃない?……しぶしぶ。しぶしぶだけど……」
石黒せいら:「ゆり、優しい……そういうところは変わんないね」
石黒せいら:目にうっすら涙をためている。
籠羽ゆりは:天井を仰ぎ見る。
純恋・バレンタイン:(カスの目にも涙だ)
日下部緑:「じゃ、じゃあ……決まりですね!」
純恋・バレンタイン:「まあ良いだろう」
日下部緑:「皆さん……頑張りましょう!絶対脱獄しましょうねっ」
日下部緑:「あのっ……もし捕まったら、全部私がやったってことにしていいので……!」
石黒せいら:「それはそうするよ」
石黒せいら:「豚の餌になるのやだし……」
織世明日姫:「絶対に脱獄するんだ……! できなきゃおばあちゃんになっちゃう……!」
石黒せいら:「まあ、これも何かの縁だし」
純恋・バレンタイン:「そうならないように考えるんだろ?」
石黒せいら:「みんなともっと仲良くなっていけるといいよね」
籠羽ゆりは:「……流石に、そんな薄情なことはしないよ」
石黒せいら:「そう考えると楽しみになってきたなあ」
純恋・バレンタイン:「ハァ~」せいらの服を掴んで横にどかす
籠羽ゆりは:「ただ、私も痛いのとか辛いのとかは嫌だから。皆隠し事なしで、力合わせて頑張っていこうね~☆」
純恋・バレンタイン:「君の楽しみは脱線の予感しかしないな」
籠羽ゆりは:ぴょん。ぴょんと小さく床を跳ねて天井に手を伸ばす。
石黒せいら:「なんでさ。協力してやるなら仲いいに越したことはないでしょ?」
籠羽ゆりは:牢屋の中、反面ほどが既にさながら遊園地の様にステッカーで染め上げられており。
純恋・バレンタイン:「改めて、純恋・バレンタインだ。よろしくね」
石黒せいら:ゆりはの身体を抱えあげてやる。「天井貼る?」
籠羽ゆりは:更に天井へ風船のステッカーを貼りつけようとして。
籠羽ゆりは:「気安く触るな!浮気者~~っ!!」げしげし。
純恋・バレンタイン:「犯罪は行程が増えれば増えるほど失敗するんだ。だからシンプルな方がいい」
石黒せいら:「あっせーらはせーらね。石黒せーら」
石黒せいら:「だから浮気じゃないって~!」
織世明日姫:「いつの間に……」 ステッカーだらけの部屋を見つつ。
純恋・バレンタイン:「目的と手段と欲望をごっちゃにすると面倒なんだよ」
日下部緑:(ほ……本当にこの人たちで大丈夫かな……)
GM:斯くして牢獄の片隅で、小さな脱獄計画は産声を上げた。暗中にすら踏み入らぬ一歩目、その行く末は果たして──。
GM:シーン終了。ロイス取得は出来ません。調達も出来ません。囚人なので
純恋・バレンタイン:そんな~
石黒せいら:ええ~っ
織世明日姫:ひーん
石黒せいら:ダメ……?《ビューティフルボイス》
籠羽ゆりは:そんな!私達が何をしたっていうのよ!
GM:いい声でもダメ
石黒せいら:そんなあ~
織世明日姫:あたしも、したいな……《ビューティフルボイス》
GM:ASMRでもダメ
GM:それではミドルシーンを開始していきます。登場侵蝕をどうぞ!
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を1D10(→ 7)増加(38 → 45)
籠羽ゆりは:41+1d10
DoubleCross : (41+1D10) → 41+3[3] → 44
織世明日姫:織世明日姫の侵蝕率を1D(→ 10)増加(43 → 53)
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を1D10(→ 7)増加(40 → 47)
GM:---
GM:まずは改めてレズロワクロスのルール確認です。
GM:
①PCはセッション中、ロイスの取得が制限される。
②PCを作成する際、1人に1つ『秘密』を設定する。『秘密』はそのキャラクターの設定や出生や過去、シナリオの舞台に関わる重大なものでもよいし、個人的な感情などについてのささやかなものでもよい。
また、その『秘密』を調べるに相応しいと思われる任意の<情報:>技能を設定する。
③セッションはサイクル制で進行する。
ミドルシーンにおいてPCには順番にシーンプレイヤー権が与えられ、シーンプレイヤーは登場してほしいPCを指名、双方合意の上でロールを行う。
1シーンの制限時間は40分とし、これをPC全員で1巡することで1サイクルとする。
シナリオに応じて多少変動するが、OP・合流シーン・クライマックス等を別として、原則3サイクル分のロール機会が与えられる。
④サイクル内、自分がシーンプレイヤーのシーンでは以下の行動から1つを選択して実行可能。
・ロイスを取得する
シーンに登場しているPC・NPCから1人を選び、相互にロイスの取得を行う。
・情報収集を行う
シナリオ上用意された情報項目、もしくはPC・NPCの『秘密』を調査する。シーンに未登場のキャラクターも対象にしてよい。
・戦闘を行う
シーンに登場しているキャラクター全員を参加者とし、1ラウンドの戦闘を発生させる。
⑤『秘密』を調査する判定は各『秘密』に設定された技能で行い、難易度は
PCの場合……『15-(そのPCがシナリオ中に取得したロイス数×3)』、
NPCの場合……『15-(終了したサイクル数×5)』
となる。
情報項目・『秘密』の内容は、情報収集判定を行ったPCのみに開示される。
PCは、自分が所持している情報項目・『秘密』の内容を、同じシーンに登場している別のキャラクターに受け渡してもよい。
⑥サイクル内で発生する戦闘は、先に相手を戦闘不能にしたキャラクターの勝利とする。
3人以上の戦闘の場合は最後まで戦闘不能にならなかったキャラクターの勝利。同タイミング・同行動値で双方が戦闘不能になった場合、与えたダメージの大きいキャラクターの勝利となる。
勝者となったキャラクターは、以下から1つを選んで各敗者に命令できる。
・ロイスを取得させる
相互にロイスを取得する。この際、勝者は敗者が取得するロイスのP/N感情のどちらか片方を自由に指定してよい。この感情を敗者が許可なく変更することはできない。
・情報を奪う
勝者は敗者が所持している情報項目・『秘密』から1つを指定し、その内容を知ることができる。敗者本人の『秘密』でもよい。
⑦3サイクル終了時、PLは1人1票ずつ最もレズロワシップに則ったロールを行ったPC・NPCに投票を行い、最も票を獲得したキャラクターは時間無制限のエクストラシーン権を獲得する。(※同票の場合のみGMが1票を加える。)
⑧このセッション内で獲得した各ロイスは、全てSロイスをタイタス化・昇華するのと同じ昇華時効果として使用してよい。
⑨バックトラックに失敗したPCはロストせず、即座に侵蝕率を99%まで低減する。
ただし、PLあるいはGMが適当と思われる身体あるいは精神に対する重篤な損傷を受ける。
シナリオとして適当と思われ、双方の合意がある場合は通常通りジャーム化、ロストする場合もある。
GM:基本は事前に告知していた通りです。シーンの制限時間は、今回は40分。
GM:また、NPCは通常のシーン権を持ちませんが、代わりにシナリオ中1回に限り自由なシーン権を持っています。
GM:そして、今回のセッションは基本的に判定で進行していきます。
GM:判定→PCシーン1・2→判定→PCシーン3・4→判定 という構成で進行していき、全部で3サイクル行う予定です。
GM:まずはミドル1サイクル目。判定に関して、チュートリアル代わりに軽く行ってみましょう。
GM:脱獄計画を考え出した君達は、まずは何より情報を集めることにした。
GM:ここソピステスで情報を求めると言えば、行くべきはただひとつ。君達は情報屋として所内で有名な囚人、“ジギタリス”のもとへと向かった。
ジギタリス:「へぇ、ヘェ、ヘェ……この監獄を出る方法?」
ジギタリス:“ジギタリス”は他の囚人からかき集めた物資の中に埋もれるようにして、優雅な生活を送っているようだ。どこから仕入れたのか、メロンに生ハムを載せて食べている。
純恋・バレンタイン:「死体としてはナシで頼むよ」
ジギタリス:「そんなの知ってどうするってんですかい?姐さん方」
織世明日姫:「すっごいの食べてる……」
石黒せいら:「新人の子達が気にしてるから……教えてあげようと思って」
籠羽ゆりは:「お気に入りの枕を忘れちゃったんで、取りに帰りたいな~って思って~☆」冗談ぽく茶化す。
石黒せいら:「優しい先達だと思わない?」
日下部緑:「はい!!脱獄するんです!!」
石黒せいら:「緑ちゃん~?」
織世明日姫:「だ、ダメ!」 がばっと口をふさぐ。
日下部緑:「むごご……!」
籠羽ゆりは:「あっ……まぁ……」
籠羽ゆりは:「聞いちゃった時点で脱獄だと察されると思うんで、セーフかな……あはは」
ジギタリス:「カハハハ! そんなこと言い出す人ぁ久々に見ましたぜ」
織世明日姫:「セーフなんだ……!? ……セーフっぽい」
ジギタリス:「脱獄ねぇ。情報が無いわけじゃあ無いですぜ。バレンタインの姐さんまで関わってるとなりゃ、あたしとしても一枚噛んだっていい」
ジギタリス:「ですがねえ……ンン……」
ジギタリス:顎先を痩せた指で擦って
織世明日姫:「あっ。情報料が必要とか、そういう……?」
ジギタリス:「ええ。タダってわけには行きませんねェ……情報料は勿論のこと、こりゃ口止め料も弾んでもらわにゃ……」
石黒せいら:「まあそうなるよねえ」
ジギタリス:「何しろこういう性分なモンで……弾みで誰に何を話すか分かったもんじゃないんでねえ……」
織世明日姫:「で、でもお金なんて……」 ある?と先輩組に目配せ。
GM:ジギタリスは対価を求めています。《調達》もしくは《交渉》難易度13、もしくはイージーエフェクト、ロールで情報を引き出すことが出来ます。
石黒せいら:なるほど こういう感じになっていくんだ
籠羽ゆりは:なるほどなぁ~~
純恋・バレンタイン:へぇ~
織世明日姫:ははあ~
石黒せいら:代表者が判定する感じですか?
GM:そうですね 失敗したら他の人も判定できます。
石黒せいら:なるね
GM:全員失敗したら登場侵蝕で再判定できます。
織世明日姫:完全に理解
GM:というわけで、行けそうな人からどうぞ。
純恋・バレンタイン:じゃあ調達で
純恋・バレンタイン:いきます
純恋・バレンタイン:1dx+2>=13
DoubleCross : (1DX10+2>=13) → 2[2]+2 → 4 → 失敗
石黒せいら:姐さん舐められてる
GM:よわすぎる
籠羽ゆりは:パイセン……!
純恋・バレンタイン:(手持ちはない)のポーズ
織世明日姫:じゃあ交渉で……《ビューティフルボイス》があるとプラスになったりしますか?
GM:なるほど そうだな……+2差し上げましょう
石黒せいら:美声ってすごい
織世明日姫:やった~
籠羽ゆりは:素敵~~
純恋・バレンタイン:GOGO
織世明日姫:2dx+2>=13
DoubleCross : (2DX10+2>=13) → 6[6,6]+2 → 8 → 失敗
石黒せいら:声が良いだけの雑魚
織世明日姫:ダメ! 声がよくてもべしゃりが下手
籠羽ゆりは:ちょっと惜しい
GM:特に指示されてない技能でも、これ使えば行けるだろって自信があれば提案してみても構いません
籠羽ゆりは:それでも普通に調達でやってみますね
籠羽ゆりは:3dx+2>=13
DoubleCross : (3DX10+2>=13) → 9[1,6,9]+2 → 11 → 失敗
石黒せいら:おしい
GM:惜しい
籠羽ゆりは:ちょっとずつ伸びてる
織世明日姫:ちなみに財産とかって使えるんですっけ
GM:今回は使えます
石黒せいら:まああたしまだ判定あるし 取っておいてもいいんじゃないかしら
籠羽ゆりは:はぁい じゃあ失敗で
織世明日姫:いけーっ
石黒せいら:では……情報:噂話で挑戦してみたいです。逆にジギタリス側の秘密を握っていて口止め交換するみたいなイメージ。
GM:なるほど……いいでしょう では難易度は13で
石黒せいら:6dx+1>=13
DoubleCross : (6DX10+1>=13) → 10[2,6,6,8,9,10]+10[10]+1[1]+1 → 22 → 成功
石黒せいら:神のシンドロームの力
織世明日姫:つっよ!
純恋・バレンタイン:つよ
GM:強い……成功です!
籠羽ゆりは:すごい~~
GM:ではロールどうぞ。
ジギタリス:「……何だい黙りこくって。金が無いなら帰ってくだせえよ。こっちも慈善事業じゃないんでね」
純恋・バレンタイン:「チッ…仕方ないじゃないか」
織世明日姫:「お金はないんですけど……あたしたち、なるはやで出なくちゃいけなくって」 切実な言葉を玲瓏な声が紡ぐ。
純恋・バレンタイン:「今は手持ちがないんだ」
籠羽ゆりは:「パイセン!ひょっとして、情報量に足るお金を持って」
籠羽ゆりは:「ないっ!?」
石黒せいら:「今もでしょ~?」
織世明日姫:「だってこんな、最悪な犯罪者ばっかのトコ、いたくないじゃないですか……ふつうに」
石黒せいら:「聞こえてんぞ~」
純恋・バレンタイン:「ある時はあるんだよ」
日下部緑:「お、お金って……そんなこと言われても……」
日下部緑:「あ、後払いとか……」
純恋・バレンタイン:「ちょっと服を新調したばかりでね」
籠羽ゆりは:「ここ、服買えるんですね……うむむ、入牢初日組は論外だし……」
石黒せいら:「え?じゃあそのバカみたいにボタン付けるのにお金使っちゃったの?」
織世明日姫:「じ、じゃあせめて心を込めてお願いしましょうよ!? あたしみたいに……!」
ジギタリス:「即金でこれくらいは貰わないと話にならないね」ジェスチャーは刑務作業の報酬で3-4カ月は必要な額だ。
石黒せいら:「吹っ掛けるねえ~」
籠羽ゆりは:「めっちゃ足元見られてるっぽいなぁ~」
純恋・バレンタイン:「ダルダルなシャツで体の線を緩く見せてるビッチとは違うんだよ」
織世明日姫:「そんなに、なんですか……!?」
純恋・バレンタイン:「僕の体はちゃんと引き立てないと損だろ」
ジギタリス:「へッ……あたしは別にいいんですぜ?他にもお客様は山ほどいるんだ」
純恋・バレンタイン:「うーん、面倒だな」
ジギタリス:「このことを看守にチクったほうが、いい稼ぎになるってんなら……」
織世明日姫:「お金の代わりに出せるものとか……ないですかね……?」
石黒せいら:「え?あるよ?」
純恋・バレンタイン:「力ずくで…お?」
織世明日姫:「あるんですかっ」 ぱっと表情が明るくなる。
日下部緑:「そ……それを早く言ってくださいよ!」
籠羽ゆりは:「あ~、それって……」じとっとした視線でせいらを見る。
石黒せいら:「せーらだって……情報源は山ほどあるんだし」
純恋・バレンタイン:「ああ…はいはいはい」
石黒せいら:「でもなんか~。イヤじゃない?ジギちゃんもこれで動くの……」
ジギタリス:「あん?……何だってんですかい」
石黒せいら:「お互い合意のほうがいいじゃん。これにしちゃったら……」SDカードを取り出して。
石黒せいら:「脅迫じゃん」投げ渡す。「中身見ていいよ」
石黒せいら:「他の人には見せないほうがいいけど」
ジギタリス:「これが何だって……」中身を確認し「……」さっと青ざめる。
織世明日姫:「SD……が、そんな高価なんですか?」
純恋・バレンタイン:「面倒くさい手順を踏んだ物々交換さ」
籠羽ゆりは:「……多分、重要なのは入ってるデータじゃないかな」
石黒せいら:「そうそう。可愛い女の子の映像」
籠羽ゆりは:「さっき言ったでしょ。コイツは、人の心にすり寄るのが得意なんだって」
ジギタリス:「……いやいやいや!皆様方!何を水臭いことを仰っているのやら!」
純恋・バレンタイン:「使い道があるかどうかもわからないものを毎日コツコツ集めてご苦労様さ、全くね」
石黒せいら:「今あったでしょ?」
織世明日姫:「なるほど……?」 いまいち理解しきれない状態で、とはいえ効果的だったのはわかった。
ジギタリス:「世の中ねえ!やっぱり金じゃあありやせんよ!大事なのは助け合い!そう!誠意の籠った真心ですよ!」
純恋・バレンタイン:「うぇ~」
石黒せいら:「わ~!そうだね、そうだよね?」
籠羽ゆりは:「めっちゃ掌返されてる」
石黒せいら:「理解してくれてよかった~」
ジギタリス:「さささ!皆さんが困ってると仰るならこのジギタリス放っちゃおけねえですよ!聞きたいことがあれば何なりとお申し付けくだせえ!」
織世明日姫:「ほっ……よかった」
ジギタリス:へこへこ揉み手している。
日下部緑:「えっと……じゃあ脱獄の件……」
ジギタリス:「ええ、ええ、脱獄ね!それならあたしより打って付けの奴をご紹介しやすよ!」
ジギタリス:「実はこの牢獄には……“脱獄王”って呼ばれてるオーヴァードが収監されてるんでさあ」
GM:この刑務所に来てから長く、噂に耳聡ければ聞いたことくらいはあるかもしれない。
純恋・バレンタイン:「んなヤツいたっけ?」
織世明日姫:「だつごくおう……」
籠羽ゆりは:「……脱獄王?」
籠羽ゆりは:「そんなあからさまな通り名の囚人とか、めっちゃ怪しそうじゃ……?」
石黒せいら:「あ~……」
石黒せいら:「なんかそんな話あったね」
織世明日姫:「いるんだ……」
籠羽ゆりは:「はえぇ~」
石黒せいら:「王を自称するコードのやつなんて全部胡散臭すぎて今の今まで忘れてたかも」
ジギタリス:「何でも各所の監獄をことごとく脱獄し、どこでも手に負えないってんでここに送られてきたとか……」
石黒せいら:「狂人でしょ」
ジギタリス:「さらに聞くところによりゃあ……この監獄も一度は脱獄したことがあるって噂ですぜ」
純恋・バレンタイン:「その度に捕まっているんじゃないのか?」
石黒せいら:「だったら今居ないじゃん~?」
ジギタリス:「さあ?それがどうしてまたムショに入ってるのかまでは、あたしには」肩を竦めて
籠羽ゆりは:小首を傾げる。
ジギタリス:「ですが、脱獄のこともこの刑務所のことも、他の誰より詳しいのは確かですぜ」
織世明日姫:「結局はウワサっぽい……? なんか、そういう作り話みたいな」
籠羽ゆりは:「う~ん、どうにも胡散臭いけど」
織世明日姫:「本当に、すごいひとなのかな……?」
籠羽ゆりは:「火のないところに煙は立たないし」
石黒せいら:「でも噂を流す意味はないでしょ?看守の方にだって」
籠羽ゆりは:「脱獄し過ぎて脱獄するのが趣味になって、お気にの刑務所にわざわざ捕まったりとか」
石黒せいら:「一回出たけど監獄の中に好きな子が居て……会いたくて戻ってきたとか!」
ジギタリス:「もし会いたいならお教えしやすよ。多少手間はかかりやすがね」
織世明日姫:「んん……まあ、他に探すところもないもんね」
籠羽ゆりは:「浮気カスの癖に乙女っぽいことを……!」
石黒せいら:「だから浮気じゃないって~!」
籠羽ゆりは:「ふ~んだ」そっぽを向く。
籠羽ゆりは:「さておき……ええっと、どうする?緑ちゃん」
石黒せいら:「ゆり~……」
日下部緑:「……一応……会うだけ会ってみていいんじゃないでしょうか?」
日下部緑:「ダメなら他の方法を探せばいいだけですし……」
石黒せいら:「まだ全然知らない子だし……お友達になれるかもしれないしね」
純恋・バレンタイン:「話のネタくらいにはなるかもしれないね」
籠羽ゆりは:「さっすがリーダー☆決断が早いねっ」ぱちん、と両手を叩く。
純恋・バレンタイン:「笑い話かもしれないが」
織世明日姫:「ウワサを聞きつけてやってきた脱獄しそうなやつを捕まえちゃう罠……」
織世明日姫:「とかじゃないといいけど」
ジギタリス:「まあ……皆さんが知らないのも無理はねえですよ。それが奴に会うのにひと手間かかるってのと同じ原因でして」
ジギタリス:「脱獄未遂以来、奴は独居房にぶち込まれてるんでさあ。食事も自室、本来は自由時間には出歩けるはずなんですが……そこでも顔を見せない」
ジギタリス:「となると……奴に会えるチャンスってのは、実質的に……同じ刑務作業で一緒になるしかないってことになります」
織世明日姫:「偶然にかけるしかないってこと?」
ジギタリス:「そこが問題なんでさあ。幸か不幸か、奴が配属されてるのは専門作業でして」
ジギタリス:「その監督官にいい腕を見せれば、雇ってもらえる可能性はありやす」
石黒せいら:「あっ刑務作業ってのは3種類あるのね」
石黒せいら:「普通の通常作業と……」
石黒せいら:「おばあちゃんとか身体の弱い人向けの軽作業、それから……」
石黒せいら:「今ジギちゃんの言った専門作業。文字通りだね」
純恋・バレンタイン:「大まかに分ければ、だろ」
織世明日姫:「ふんふん」
石黒せいら:「知識や腕がないとやれない種類の仕事……ちょっと」
純恋・バレンタイン:「そこからも細かく分かれてる。特に専門は」
石黒せいら:「人が説明してる時に細かい例持ち出さないでくれる?」
籠羽ゆりは:「へえ……刑務作業って、皆ミシン使って延々小物を縫い続けるもんだと思ってたけど」
籠羽ゆりは:「結構細かく分かれてるんすね~」
日下部緑:「それで……その専門作業って、具体的には?」
ジギタリス:「ええ。“脱獄王”が配属されてるのは……」
ジギタリス:「炊事担当。つまりは────料理です」
GM:シーン終了。
【Cycle1】
GM:サイクル1の順番を決定します。
GM:全員1D100を振ってください。出目が大きい人から好きな順番の指名権を得ます。
石黒せいら:やるぞ~
籠羽ゆりは:1d100
DoubleCross : (1D100) → 24
石黒せいら:1d100
DoubleCross : (1D100) → 91
織世明日姫:1d100
DoubleCross : (1D100) → 79
純恋・バレンタイン:1d100
DoubleCross : (1D100) → 70
GM:では石黒さんからどうぞ
純恋・バレンタイン:高めなのに
籠羽ゆりは:皆高くない!!??
石黒せいら:は~い 1番やります
GM:それでは織世さん
織世明日姫:えー わかんない 2番目で
GM:では純恋さん
純恋・バレンタイン:3番目~
GM:それでは順番は 石黒→織世→純恋→籠羽 このようになりました。
籠羽ゆりは:ひぃ~ん
石黒せいら:ワオワオ やるぞ~
GM:サイクル1 シーン1に入っていきます。
GM:シーンPCは石黒さんです。
石黒せいら:は~い
GM:その前に……判定項目をお出しします
判定項目
籠羽ゆりはの『秘密』 《情報:裏社会》難易度15
織世明日姫の『秘密』 《情報:噂話》難易度15
純恋・バレンタインの『秘密』 《情報:噂話》難易度15
石黒せいらの『秘密』 《情報:噂話》難易度15
日下部緑の『秘密』 《情報:噂話》難易度15
純恋・バレンタイン:噂好きか?
GM:シーンに他PCを呼べる他、判定はシーン前、シーン後どちらでも行えます。
GM:行動は決まっていますか?
石黒せいら:これ状況としてはどういうシーンになるんでしょうか?
石黒せいら:夕食から就寝までの自由時間みたいな感じなのかな
GM:割とどこでも大丈夫です 厳密にタイムスケジュールが管理されていたり、制限時間があったりするシナリオではないので
GM:シーンとシーンの間が数日開いてても大丈夫です
石黒せいら:あ~ なるね
石黒せいら:自分のやりたいことに合うタイミングにしちゃっていいというわけ
GM:そうですね 一応の設定はありますが、フレーバー程度なのでロール優先で
石黒せいら:じゃあ作業終わり戻るタイミングで声かける感じで行こうかな~
石黒せいら:情報収集シーンをやるよ~
石黒せいら:まず出るか
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を1D10(→ 10)増加(45 → 55)
石黒せいら:ひい~ん
GM:あっ登場侵蝕はミドル1開始時に振ったのでそれでOKです
石黒せいら:あっよかった シーンとしては同じなのね
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を45に変更(55 → 45)
GM:ロールしてから情報収集しますか?
石黒せいら:先にしちゃおう 籠羽ゆりはさんを呼び、彼女の秘密を調べようと思います。
籠羽ゆりは:え~っ!?
GM:OKです
石黒せいら:裏社会は技能もコネも無いから……素振りで判定かな 判定して問題ないですか?
GM:どうぞ!
石黒せいら:6dx>=15
DoubleCross : (6DX10>=15) → 9[2,3,6,7,9,9] → 9 → 失敗
石黒せいら:《夢の雫》を自分に使用。
石黒せいら:達成値を+14して23にします。
GM:強すぎる
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を3増加(45 → 48)
籠羽ゆりは:そんな、私の情報なんて大したことないのに……!
GM:では成功 籠羽さんの秘密を石黒さんにお渡しします
石黒せいら:わ~い
GM:お渡ししました
石黒せいら:みました なるほどね
GM:それではシーンを始めていきましょう
石黒せいら:案内初日は、刑務作業を免除されている。彼女らの案内が仕事自体になるためだ。
石黒せいら:それらを終え、食事を済ませ(グレードは下がらなかった)た後の自由時間。
石黒せいら:「あ……ね、ゆり」袖を引き引き止める。「話したい」
籠羽ゆりは:「……えぇ?」彼女の顔を見るや否や、朗らかな顔が曇っていく。
籠羽ゆりは:「どーいう風の吹き回し?」
石黒せいら:「どういうって……」
石黒せいら:「ゆりが避けてるじゃん……」
籠羽ゆりは:「だって、勝手に居なくなったのはそっちじゃん」
籠羽ゆりは:「気まずいに決まってるでしょ……」
石黒せいら:「それは……」
石黒せいら:「捕まってたし……」
籠羽ゆりは:視線を逸らして、僅かに逡巡し。
籠羽ゆりは:「……分かったよ。話だけ聞いたげる」
石黒せいら:「えっとね。ゆりのとこから離れたのはそうっていうか……」
石黒せいら:「せーらは新しい仕事入って。それがカテキョの仕事でさ」
石黒せいら:「今のゆりなら分かるんだよね?せーらはFHで、そのカテキョ先の子がUGN」
石黒せいら:「……分かるんだよね?」
籠羽ゆりは:「ん~……ぶっちゃけ、チャットでリスナーに教わっただけだから」
籠羽ゆりは:「細かいとこはわかんないけど。多分大丈夫」
籠羽ゆりは:視線を俯かせたまま。低い声でぼそぼそと語る姿は、再会時のときとはまるで別人であり。
石黒せいら:「うん。まあそれで……結構いいとこまで言ってたんだけど」
石黒せいら:「親バレして」
石黒せいら:「それからここ」
籠羽ゆりは:かつて貴方が篭絡した、黒髪で根暗だった頃の籠羽ゆりはを想起させるだろう。
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:「え。今のが言い訳ってこと?」
石黒せいら:「え?あ~……」
石黒せいら:「セックスしたかってこと?」
石黒せいら:「してないよ」
籠羽ゆりは:「……噓だよ。私、見たもの」
籠羽ゆりは:「私と全然違うタイプの女の子と一緒に並んで歩く、私に向ける笑顔とそっくりに笑うアンタを」
籠羽ゆりは:「仕事って言ってるけどさ、私の家にもぐりこんだのも」
籠羽ゆりは:「仕事で何かトラブって、都合のいい隠れ蓑としてたまたま選んだだけでしょ!」
石黒せいら:「違……違うもん!」
石黒せいら:「本当に家燃やされて!」
籠羽ゆりは:目元が潤み、唇が微かに震えたまま、きっと睨みつける。
石黒せいら:「心当たりは洗ったけど……!全部違うっぽかったし!」
石黒せいら:「いろいろお気にだったのに~……!」思い出しムカつきしている。
籠羽ゆりは:「…………」涙目のまま、せいらの瞳を覗き込んで。
籠羽ゆりは:「……で?何が言いたいの?」
石黒せいら:「だから~……」
石黒せいら:「……またっていうか。今度は……」
石黒せいら:「ゆりと仲良くなりたいの」
石黒せいら:「またお家で、料理食べたり、映画見たり、どうでもいい話とかしたり……手とか繋いだり……」
石黒せいら:「外で手服とか雑貨とか見に行くみたいな」
石黒せいら:「そういうのをちゃんとやりたい」
籠羽ゆりは:「……それは」
籠羽ゆりは:「単なる、女友達として?」
石黒せいら:「友達と恋人の境界線って何?」
石黒せいら:「せーらにはいまいちわかんないよそういうの……」
籠羽ゆりは:「え~……?」
籠羽ゆりは:「じゃあ、せいらは女友達と仲良くショッピングした帰りにそのまま夜までコースってこと?」
石黒せいら:「セックスしたいって向こうが言うなら」
籠羽ゆりは:「陰キャかよ」
石黒せいら:「はあっ!?」
石黒せいら:「ゆりに言われたくない!」
籠羽ゆりは:「だってそうじゃん!仲良くなりたいから、求められたら身体まで差し出すなんて自罰的すぎでしょ!」
石黒せいら:「ゆりだって気持ちよかったんでしょ!?」
籠羽ゆりは:「私はっ!アンタなら、私みたいな陰キャを受け入れて、外へ連れだしてくれるかもって信じて……」
籠羽ゆりは:「~~~~~~~っ!!!」
籠羽ゆりは:「気持ちよかったよ!!」
石黒せいら:「そうなんじゃんか……」
石黒せいら:「てか何?それで陰キャやめたの?」
籠羽ゆりは:「はっ、初めてだったんだから、そうでしょ……」
石黒せいら:「それでこんなとこまで来て?」
石黒せいら:「えっいやそこは普通に……」
石黒せいら:「全然濡れない子とかいるよ初めてだと」
籠羽ゆりは:「そうなんだ~。ふ~ん。経験たっぷりな子は違いますね~~」
石黒せいら:ゲフン、と大げさに咳払いして。
籠羽ゆりは:つーんと顔を逸らす。ただ、それはやや動きが過剰ぎみで。
籠羽ゆりは:陰キャを止めた理由をあまり追及されたくないから、話を逸らしたようにも見えるかもしれない。
石黒せいら:「……それってさ」
石黒せいら:「せーらのせいなの?」
籠羽ゆりは:「……まぁ」
籠羽ゆりは:「間違いなく、こんな所まで来る理由になったのは、そうだよ」
石黒せいら:「……出たいんでしょ」
石黒せいら:「ゆりが来たって言うから……ちょっとは調べたんだよ」
石黒せいら:「情報源もあるし」
籠羽ゆりは:「……はぁ。呆れた」
籠羽ゆりは:「ちょっと安心したかも。思ったよりも、私の事を想っててくれたんだね」
籠羽ゆりは:「そう。重課金のリスナーに、情報がてら色々相談されちゃってさ」
石黒せいら:「そりゃそうでしょ。ゆり可愛いし……」
石黒せいら:「せーらみたいなのを受け入れてくれたんだもん」
籠羽ゆりは:「緑ちゃんがいなくっても。その内一人で脱獄しようと……」
籠羽ゆりは:「……はぁ」
籠羽ゆりは:「一つだけ、聞いてもいい?」
石黒せいら:「うん?」
籠羽ゆりは:「せいらにとって。私と同じくらい仲良しの子はどれだけいるの?」
籠羽ゆりは:「500人くらい?」
石黒せいら:「そんなに居ないって……」
籠羽ゆりは:「いるんじゃんかよ~~~っ!!」
石黒せいら:「あっ……」
石黒せいら:「いや、いや……」
石黒せいら:「何をもって仲良しとするかじゃない?こういうのって」
籠羽ゆりは:「えぇ……えっとぉ……」かぁっ、と頬を赤らめて。
籠羽ゆりは:「その……」
籠羽ゆりは:「せ、セックスしたいくらい、仲の良い子……」
石黒せいら:「いないよ」
石黒せいら:「安心した?」
籠羽ゆりは:「…………」
石黒せいら:「それともまだ不安?」
石黒せいら:「何をしたら信じてくれる?」
籠羽ゆりは:陰キャらしく視線は合わせられない。だけど、彼女のすべらかな手をそっとつかんで。
籠羽ゆりは:「……信じていいのかな」
籠羽ゆりは:「私の家で、貴方が優しく手ほどきしてくれた頃のと、同じヤツ」
籠羽ゆりは:「してくれたら……信じちゃうかもしれない」
石黒せいら:「……」
石黒せいら:「……ふふ」蠱惑的に笑って。
石黒せいら:「ゆりって……」これまでと異なる声音で、囁く。
籠羽ゆりは:「……っ」甘い声色に、びくんと肩が跳ねる。
石黒せいら:「結局そうなんじゃん。エッチなんだあ~……」
石黒せいら:「人来ないところ知ってるよ。行こっか?」
籠羽ゆりは:「……バカ。きっと、そうやって、沢山。女たらし込んでるくせに……」
籠羽ゆりは:"バカ"が指し示すのは彼女だけではないと、自分でも分かり切っていて。
籠羽ゆりは:はにかむ笑顔を見せるのが恥ずかしくて、ただ、小さく頷いた。
GM:ソピステスは広く、また多くの刑務所がそうであるように、外とは別のルールがあり、暗黙の了解があり、空気がある。
GM:入所したばかりの囚人は、何も知らずに獣の巣に放り込まれたようなものだ。格好のカモである──誰も案内人がいなければ。
取り巻き受刑者A:「ヒャッハハハ、食堂の使用料を払ってもらおうかねえ」新入りに絡むモブ
日下部緑:「し、使用料……?そんなものが必要なんですか?」
取り巻き受刑者A:「当然だろ~?」
日下部緑:「でも私、来たばっかりでお金無いんです。そうしたらご飯食べられないんですか!?」
取り巻き受刑者A:「そうかそうか、金がないのか仕方ないね」
取り巻き受刑者A:「親切なお姉さんが貸してあげようじゃない」
日下部緑:「えっ!?そんな、悪いですよ!」
取り巻き受刑者A:「大丈夫大丈夫、そんな悪く思わないように利子つけとくからさ」
取り巻き受刑者A:「気に病む事ないよ~」
日下部緑:「利子……?そ、そうなんですか?それなら……」
日下部緑:(こんな刑務所で親身にしてくれるなんて……すごくいい人だなあ)
織世明日姫:「す、純恋さんっ。ちょっとはぐれた隙に緑ちゃんが、たいへんなかんじに……!」
純恋・バレンタイン:「チッ…止めておけ」
純恋・バレンタイン:「そういう事は新入りにするものじゃないさ」
取り巻き受刑者A:「アッ…ね、姉さん」
取り巻き受刑者A:「へっへっへ、お知り合いで?」
純恋・バレンタイン:「成り行きだけどね」
織世明日姫:「えっ」 チンピラ同士を見返す。「どういう……?」
純恋・バレンタイン:「食堂の使用料なんてものはない…まあ、いい場所や先着の物を買い占めて値段を吊り上げるのはある」
取り巻き受刑者A:「その席は私らが並んで確保した場所でね」
取り巻き受刑者A:ちょうど部屋の端で数人で話をするのに向いている人気の場所だ
取り巻き受刑者A:「姉さんなら当然使ってくれても良いですよ」
純恋・バレンタイン:「悪いな」
織世明日姫:「ははあ……」
日下部緑:「? ? 親切は……?」
純恋・バレンタイン:「そういう事を知らないやつがその場所に座ろうとすると難癖をつけるんだ」
織世明日姫:「なんか……顔がきいてる? ってやつなんですか? 純恋さん」
織世明日姫:「……番長?みたいな」
純恋・バレンタイン:「番長?ふふッ」
織世明日姫:「な、なんですか」
純恋・バレンタイン:「いや、面白い表現だな」
純恋・バレンタイン:「日本のマンガでしか聞かないね」
日下部緑:「番長っていうか……捕まってちっちゃいとこでいばってるだけなら、ガキ大将と同じじゃないですか」
織世明日姫:「笑うことないじゃん……」 不貞腐れてる。
日下部緑:「ジャイアンみたいな……」
純恋・バレンタイン:「アハハハ、かもしれないね」
織世明日姫:「ジャイアン……なるほど」
純恋・バレンタイン:「でも、その場所でそれなりに力を持ってる僕についていると」
純恋・バレンタイン:「今見たいな不利益を被る事はなくなるよ?」
織世明日姫:「それは……すごくありがたいですけど」
日下部緑:「でも……それっておかしいですよ!」
日下部緑:「不利益って何ですか?公共の場所はみんなで分け合って使うのが正しいじゃないですか!」
織世明日姫:(でもこのひと、カズくんのことカスって言ったから……)
織世明日姫:(…………)
純恋・バレンタイン:「公共だって!ワハハ!」
日下部緑:「な……何がおかしいんですか!」
純恋・バレンタイン:「外だって同じだろ?でもココじゃもっと顕著さ」
純恋・バレンタイン:「そもそも分け合うモノが少ないんだ」
日下部緑:「だ……だから力ずくや人数で奪い合うっていうんですか?」
純恋・バレンタイン:「そうだよ」
日下部緑:「そんなのって……間違ってます!動物と一緒じゃないですか!」
織世明日姫:緑の言葉に同意している。「……やっぱり、最悪な場所」
純恋・バレンタイン:「だって、動物と同じみたいなヤツだからここにいるんだよ」
純恋・バレンタイン:「君たちはそうじゃない」
純恋・バレンタイン:「僕だって、そうじゃないかも」
純恋・バレンタイン:「でも、ここにいる大半は犯罪者だからね」
純恋・バレンタイン:「他人のモノを何かしら奪ってきた連中だよ」
織世明日姫:「…………」
純恋・バレンタイン:「そんな人たちがここで我慢できる?しないでしょ?」
日下部緑:「そ、それは……そうかもしれないですけど……」ぐっと唇を噛んで
純恋・バレンタイン:「でも動物っていう例えはよかったね」
日下部緑:「でも、刑務所って……罰を受けて、反省するために入れられるところじゃないんですか?」
純恋・バレンタイン:「動物だから、力に敏感」
純恋・バレンタイン:「そう、罰」
日下部緑:「その中でも同じことをしてたら……ずっと何も変わらないじゃないですか!」
純恋・バレンタイン:「罰って言う不利益を受けると動物だって学ぶんだ」
純恋・バレンタイン:「犯罪したらこういう最悪の場所に来ちゃうってね」
純恋・バレンタイン:「だから反省はしなくても学ぶ」
純恋・バレンタイン:「君らもここに来たくないなら、もう悪い事しないでね」
日下部緑:「……私は……」「……してません……悪いこと……」
純恋・バレンタイン:「ウフ!」
純恋・バレンタイン:「そっちは?悪い事してない?」
織世明日姫:「あたしは……」
純恋・バレンタイン:二人の肩に手を回して引き寄せる
純恋・バレンタイン:耳元に囁く。
純恋・バレンタイン:「自分が間違った事してないって信じてる?」
純恋・バレンタイン:「なら、いいじゃない」
純恋・バレンタイン:「僕が守ってあげる」
織世明日姫:「……だって。それしか、なかったもん」
純恋・バレンタイン:「このカスみたいな場所で普通に過ごせるようにね」
日下部緑:「~っ!」頬を染めてじたじたともがく。非力だ。
織世明日姫:「……純恋さんも、そうなの?」 腕の中で、見上げるようにして問う。
織世明日姫:「間違ってないって。ここを出ても……また、そう生きるの?」
織世明日姫:煌めく夜露のように、儚く消え入りそうな声。それでも不思議と、耳に染み入るように届く。
純恋・バレンタイン:「ふぅん、そうだね」
純恋・バレンタイン:「僕はやりたくない事をやるつもりはないんだ」
純恋・バレンタイン:「君も、そうだろ」
織世明日姫:「あたしは……わかんないけど」
純恋・バレンタイン:「僕は生き方を変えるつもりはないし」
純恋・バレンタイン:「可愛い子を手助けする事は嫌いじゃない」
織世明日姫:「……でも、同じなのかな。けっきょく……あたしのことしか、考えてないのかな」
純恋・バレンタイン:「自分の事だけ考えなよ。愛されたいっていうのも自分の為だよ」
日下部緑:「そ、そんなのって……勝手ですよ!」
日下部緑:「皆がそんな風にしてたら……世界中この刑務所みたいになっちゃうじゃないですか!」
純恋・バレンタイン:「ならないよ、そんなに世の中悪人ばっかりじゃないだろ?」
純恋・バレンタイン:「それとも」
純恋・バレンタイン:「君たちも本当は悪い子なのかな?」
織世明日姫:「…………」 腕の中で、顔を伏せている。
織世明日姫:表情は、「……わかんない」
日下部緑:「……私は……」
日下部緑:食堂の猥雑な喧騒の中、静かに拳を握った。
純恋・バレンタイン:手を放す。
純恋・バレンタイン:「応援はしてあげる、力は貸してあげる」
純恋・バレンタイン:「だから、僕が困ったときは」
純恋・バレンタイン:「助けてくれると嬉しいな」
GM:サイクル1 シーン2
GM:シーンPCは織世さんです。
織世明日姫:うーーん どうしようかな
織世明日姫:とりあえず振りますね
織世明日姫:2dx>=1
DoubleCross : (2DX10>=1) → 9[3,9] → 9 → 成功
GM:謎の判定が成功しましたね
GM:行動はお決まりですか?
織世明日姫:せーらさんかな お話したいです
石黒せいら:あっは~い!
GM:シーンの内容は決まっていますか?
織世明日姫:お話がしたいなとは思ってたんですけど 前のシーンが これなあ
石黒せいら:すみません……
織世明日姫:なんか……終わって、ふたりが分かれたあととかに話す感じかな
石黒せいら:はい 終えて現れます
GM:OK ではシーンを開始しましょう
織世明日姫:「――あっ。せーらさんっ」
織世明日姫:ばったりと出会ったその少女を呼び止める。探していた様子で、小走りで近づきながら。
石黒せいら:「うん、この声は……」振り向く。「明日姫ちゃん?」
石黒せいら:どこか感情の欠落したようにも見える顔つき。だがどこか上気した雰囲気の残り香を漂わせている。
織世明日姫:「ごはん、食べました? 緑ちゃんと純恋さんとはいたんですけど……ゆりはちゃんとふたり、いないし」
織世明日姫:「……?」
石黒せいら:「あ~……忘れてた」
織世明日姫:どこか、覚えのある雰囲気。感じたことのある香り。でもそれが、あと一歩で繋がらないまま。
織世明日姫:「どうしましょ。作業……はなさそうですけど」
織世明日姫:「てか……シャワー浴びた方がよさそう、です? なんか……」
石黒せいら:「ああ~。そだね。ベタベタだ」
織世明日姫:「運動とか、した後みたいな……」
石黒せいら:「一緒に入る?」
織世明日姫:「一緒に……?」
織世明日姫:その言葉で、いろいろなものが繋がる。この特有の熱っぽい香りも。彼女のこれまでの言動も。
織世明日姫:“ふたり”がいなかった理由も。
織世明日姫:「……本当に」
石黒せいら:「……うん?」
織世明日姫:「女のひと同士で……シた、んですか?」
石黒せいら:「え?うん」
石黒せいら:「ゆりとセックスしてた」
織世明日姫:「そ、そんなさらっと……!」
石黒せいら:「明日姫ちゃんが聞いたんじゃんか」
石黒せいら:「もっと恥じらうように応えてほしかった?」
織世明日姫:「ですけど……だって」
織世明日姫:「……せーらさんは、女のひとが好きなんですか?」
織世明日姫:「ゆりはちゃんも……浮気とか、たくさん言ってましたし」
石黒せいら:「うん?まあそうかな」
石黒せいら:「明日姫ちゃんはカレシいるんだっけ?」
織世明日姫:「はい」 頷く。
石黒せいら:「嫌だったら答えなくていいけど」
石黒せいら:「非処女?」
織世明日姫:「んうっ……!」
織世明日姫:喉につっかえてまろび出る、そんな声すらもどこか艶やかな響きを持って。
織世明日姫:「……そう、ですけど」
石黒せいら:「やっぱり。だからこういうことだよね」
石黒せいら:「セックスって言うのは男の何を突っ込むことであって……」
石黒せいら:「女同士でするのはおかしいって思うんだ」
織世明日姫:「そっ、そういうわけじゃ……!」
石黒せいら:「じゃあ何?興味でも湧いた?」
織世明日姫:否定しつつも、半分は図星のようなものだ。少なくとも、理解が及ばない、という意味では。
織世明日姫:「……不思議なんです。その、ナニ……し方とかは、おいといて」
織世明日姫:「だって、ふつうは……女は、女を好きにならない。そういう、セックスとか……したいって」
織世明日姫:「……思ったんですよね。せーらさんは。ゆりはちゃんは」
石黒せいら:「ふふ、ははっ」
織世明日姫:「…………」
石黒せいら:「ふつうの女は刑務所にも入らねえつーの」
石黒せいら:「人の家に上がり込んで強盗したりもしないし、火をつけたりもしない」
石黒せいら:「そうでしょ?」
織世明日姫:「……じゃあ」
織世明日姫:「ここにいる時点で、あたしも……ふつうじゃない」
織世明日姫:「やっぱり、そうなのかな」
石黒せいら:「っハア……」
石黒せいら:「……今更?」
石黒せいら:「てかさ……」
石黒せいら:「それでなにか困るの?」
織世明日姫:「えっ……」
石黒せいら:「明日姫ちゃんの普通って何?」
石黒せいら:「自分の全部が全部世の中の過半数に入ってること?」
織世明日姫:「……あたしは、ただ」
織世明日姫:「カズくんがいて。ただ、一緒にいれて」
織世明日姫:「そうであるだけで、よかったのに……」
石黒せいら:「……」ふと、険の入った表情を緩めて。
石黒せいら:「……そうだね。そういうもんだよね」
石黒せいら:「好きな人と一緒に居られる……それ以上に欲しいものなんて無いのかも」
織世明日姫:「……せーらさんも」
織世明日姫:「そうなんですか? ……好きだから、ゆりはちゃんと」
織世明日姫:「そういうことした……んですよね?」
石黒せいら:「……ふふ」
石黒せいら:「明日姫ちゃんのセックスって、好き合った先の形なんだ?」
織世明日姫:「えっ……えっ?」
織世明日姫:「それは……そう」
織世明日姫:「じゃ、ないんですか……?」
石黒せいら:「そうとは限らなくない?」
石黒せいら:「明日姫ちゃんここでムラついたらどうする?」
石黒せいら:「愛しのカズくんと会えないけど……」
織世明日姫:「ムラっ……て」
石黒せいら:「思うこと無いの?」
織世明日姫:「そ……んな、の」
織世明日姫:思うことなど、あるに決まっている。この監獄に来る前ですら、幾度と。
織世明日姫:「……だ、だとしても」
織世明日姫:「それが、セックスと何の関係が」
石黒せいら:「だから、その解消手段の話」
石黒せいら:「自分でオナってもいいけどさ……」
石黒せいら:「人としたら、もっといいって思う人が居ても不思議じゃないでしょ?」
織世明日姫:「でも。それ、浮気……ですよね」
石黒せいら:「好き勝手に睦み合えない監獄なんだから……そういうこともままあるわけ」
石黒せいら:「浮気かどうかは……人によるんじゃないの?」
織世明日姫:「…………」
石黒せいら:「てか、明日姫ちゃんがガチ拒否だろうといいんだけどさ……」
石黒せいら:「向こうに襲われる可能性はあるんだからね?」
織世明日姫:「えっ」
石黒せいら:「えっじゃないよ」
石黒せいら:「ここに来た時に……思わなかった?」
石黒せいら:「襲われるかもって」
織世明日姫:「……たしかに、みんなすごいこと言ってて……最悪だな、って思いましたけど」
織世明日姫:「でも、そんなの……動物」 純恋の言っていた言葉が再び返ってくる。
石黒せいら:「ま、逆に武器にもなるんだよ?」
石黒せいら:「”ジギタリス”に渡した情報だって、どうやって手に入れたんだと思う?」
石黒せいら:「簡単だよね。知ってる人に貰った」
織世明日姫:「情報源、って言ってましたよね」
織世明日姫:「あ。でも、あの時も情報を交換してて……じゃあ」
織世明日姫:「最初にもらった情報は……?」
石黒せいら:「これで貰ったの」自らの胸に手を当てるようにして。
織世明日姫:「これ……」 さりげない挙動は、これまでの明日姫には伝わらなかっただろうが。
織世明日姫:今までの話を踏まえれば、さすがに察しがついた。
織世明日姫:「……ここは。女でも。そういう……価値が、あるんだ」
石黒せいら:「そう。女同士がセックスするっていう……異常な、気持ち悪い行為でね」
織世明日姫:あるいは、ここに限らず。明日姫が知らなかっただけで――世界はすでに、“そう”だったのかもしれない。
石黒せいら:「明日姫ちゃんも。そういう手立てを教えてほしければ言ってね」
石黒せいら:「直接教えてあげるし。逆に……」
石黒せいら:「本当に絶対に無理だなって思うなら、せーらと仲良くしてたほうがいいかもだよ」
石黒せいら:「こっちでやってあげる」
織世明日姫:「…………」 それらの言葉を、心の中にしまいこむ。
織世明日姫:「……ありがとうございます。いろいろと教えてくれて……」
石黒せいら:「全然いーよ。明日姫ちゃんとは仲良くしたいんだ~」
織世明日姫:「あたしも。せーらさんとは、お友達……でいたいです」
織世明日姫:「だから、今は……とりあえず。行きましょう、シャワー」
織世明日姫:慌てて、付け足す。「……別々でっ」
GM:相互にロイスの取得が可能です。
織世明日姫:あっそういう目的だったそういえば
石黒せいら:-新人ちゃん/織世明日姫/好奇心:○/隔意/ロイス
織世明日姫:-お友達?/石黒せいら/感謝:◯/嫌悪
織世明日姫:で!
GM:新人たちの入居から間もなく、所では購買の機会が訪れた。
GM:週に一回、書籍や洗面器具といった自弁品を、刑務作業の報奨金で購入できる機会が訪れる。この日は更に月に一度の嗜好品が搬入される日でもあった。
GM:人気と需要が高いものはカートで搬入される他、ある程度の品ならば注文すれば次回の受け取りも可能だ。
GM:所内のロビー、購買部の周囲は多くの囚人たちで賑わいを見せている。
囚人:「おい!チョコこの銘柄じゃないの無いのかよ!」「進撃の巨人2の新刊は?」
取り巻き受刑者C:「ありませ~ん」
取り巻き受刑者C:販売担当も刑務作業の一つだ
日下部緑:「に、賑やかですね……」
籠羽ゆりは:「わぁ……☆」
籠羽ゆりは:パープルに輝く瞳をキラめかせながら、嗜好品の品々を眺めている。
純恋・バレンタイン:「市販品の他に刑務作業で作った製品も販売しているよ」
籠羽ゆりは:「刑務所暮らしって、こーいうお菓子とかファッションとはかけ離れてた世界だと思ってたんですけど」
籠羽ゆりは:「案外、充実してるんすね!パイセンっ」
純恋・バレンタイン:「これなんかは縫製作業の受刑者に知り合いが居てね」
純恋・バレンタイン:服を見せる
純恋・バレンタイン:「発注すれば作れるんだ」
籠羽ゆりは:「えぇ~っ!」
日下部緑:「それ、改造じゃなくて発注だったんですね……」
籠羽ゆりは:「そっか!イカつい虎のジャケットはパイセン発のセンスだったんすねぇ~」
日下部緑:「確かに、囚人服も色々あるんですね。こっちのは袖がビリビリだし……こっちのは……」
日下部緑:「……って……何ですかこれ!ほとんど紐じゃないですか!!」
取り巻き受刑者C:「お似合いですよ!試着しますか?」
籠羽ゆりは:「うわっ……最低限文化的生活すら危うそう……」
籠羽ゆりは:「でも、緑ちゃん可愛いから似合うかもよ~っ」完全に他人事。
日下部緑:「こ、こんなの……駄目ですよ!!公序良俗に反します!!」
取り巻き受刑者C:「エアコンの効かない夏場なんかに最適ですよ」
日下部緑:顔を真っ赤にして突き返す。
日下部緑:「あっ、そ、そういう機能的な服だったんだ……」
籠羽ゆりは:「納得しちゃうんだ……」
純恋・バレンタイン:「フフッ」
純恋・バレンタイン:「試着を手伝ってあげようか?」
日下部緑:「け、結構ですっ……! もう!」
純恋・バレンタイン:「残念」
籠羽ゆりは:「そーだなぁ、緑ちゃんには……」
籠羽ゆりは:「案外、こういう甘めのふりふりゴシックドレス風囚人服が似合うかもっ」
日下部緑:「こっ……こんなのまであるんですか……!?」
籠羽ゆりは:緑ちゃんの身体にドレスを合わせて、きゃいきゃいと楽しんでる。
取り巻き受刑者C:「私が縫いました」
日下部緑:「すごい……」
取り巻き受刑者C:「ご要望があればオーダーメイドも可能ですよ」
籠羽ゆりは:「すご。もはや本職ってレベル」
日下部緑:「た、確かに可愛い……ですけど。私に似合うかどうか……」
取り巻き受刑者C:「外では本職でしたので…ではスリーサイズから計測しましょうか?」
日下部緑:「……いや、ていうかお金も無いし。……純恋さんとゆりはさんは何か買うんですか?」
取り巻き受刑者C:「ハァ…ハァ…」
取り巻き受刑者C:「お金なんて…測定は無料ですよ」
取り巻き受刑者C:「カップとかも手作業で丁寧に…」
日下部緑:「測定したいだけじゃないんですか……!?」
籠羽ゆりは:「めちゃくちゃ丁寧に採寸しようとしてる……」
純恋・バレンタイン:殴る
取り巻き受刑者C:「ふぎゃッ」
籠羽ゆりは:「ちょ、パイセンっ!?」
日下部緑:「ちょっ……暴力は良くないですよ!!」
純恋・バレンタイン:「その子は有名セレブ御用達のデザイナーだったが」
純恋・バレンタイン:「盗撮や猥褻、画像の販売なんかでぶち込まれたのさ」
取り巻き受刑者C:「ボス~、いいじゃないですか。女の子の体触りたいんですよ」
日下部緑:「えぇっ」二度見
純恋・バレンタイン:「まあ、腕はいいから触らせてもいいなら良い服作ってはくれるよ」
日下部緑:「よ、よくないですよ……!いや、だからって暴力も……」
取り巻き受刑者C:喜んでいる
純恋・バレンタイン:「殴られて喜ぶタイプの子なんだ」
籠羽ゆりは:「なるほど。んじゃ、パイセンのジャケットとかもこの子に作ってもらったんすか?」
純恋・バレンタイン:「そうだよ」
日下部緑:「喜んでるならいいのかな……い……いいの?いいのかな……」
籠羽ゆりは:「ふぅ~ん、パイセンは女の子によこしまな気持ちで」
籠羽ゆりは:「触らせてあげてもいいタイプなんすねぇ」
純恋・バレンタイン:「そうだよ」
取り巻き受刑者C:「自室でじっくり…ハァハァ…計測させていただきましたァ…」
籠羽ゆりは:「ねっとりしてるなぁ」
純恋・バレンタイン:「触られるのも」
純恋・バレンタイン:ゆりはの腰に手を回して
籠羽ゆりは:「ひゃっ」
純恋・バレンタイン:「触るのも嫌いじゃないよ」
籠羽ゆりは:「……へぇ~、ふぅ~ん」
籠羽ゆりは:「私もパイセンの御眼鏡に適うくらいには可愛い女の子ってことで」
純恋・バレンタイン:「ここの良い所はむさ苦しい男が居ない所だね」
籠羽ゆりは:唇がわざとらしく形の良い口角を歪めて。
籠羽ゆりは:「そんな、素直に褒められて喜んじゃう子に」
籠羽ゆりは:「プレゼントっ☆あげたりとか……したくならないっすか!?」
籠羽ゆりは:びしっ、と。お菓子売り場に並ぶ、焦がしミルクチョコレートのチーズタルトを指さして。
日下部緑:「あっ……Vtuberって……確かあれですよね」
日下部緑:「す……スパ……エスパーダみたいな……」
純恋・バレンタイン:「ふぅん」
純恋・バレンタイン:「おい」
籠羽ゆりは:「えっ?に、滲み出す混濁……?」
取り巻き受刑者C:「はぁい、ただいま!」
取り巻き受刑者C:チョコタルトを持ってくる
純恋・バレンタイン:「ありがと」
日下部緑:「あっ、そう!スパチャです!」
籠羽ゆりは:「あ~」
籠羽ゆりは:「……っ!!パイセン!?」
純恋・バレンタイン:「あ~ん、して?」
純恋・バレンタイン:切り分けさせたタルトを指でつまんで
籠羽ゆりは:「ふえっ」
純恋・バレンタイン:ゆりはの口の前に差し出す
純恋・バレンタイン:「あ~ん」
籠羽ゆりは:「……えへ。ちょっと恥ずかしいっすけど」
籠羽ゆりは:「いただきます。パイセン」
籠羽ゆりは:はにかむような笑顔で。小鳥がついばむように一口。
籠羽ゆりは:「~~~~~~♡♡」
純恋・バレンタイン:そのまま口腔内に指を入れる
籠羽ゆりは:「っ、う、むぅ!」
日下部緑:「うわっ」目を丸くする
純恋・バレンタイン:「指にチョコついちゃった」
純恋・バレンタイン:「勿体ないから、さ」
籠羽ゆりは:口内に入り込んだ異物感に、一時だけ目をまん丸くしながらも。
籠羽ゆりは:「……はひへんほ、ひほははふいはぁ……」
籠羽ゆりは:ちろっ。愛し気に、丁寧に。純恋のすべらかな指に付着したチョコを嘗めとって。
純恋・バレンタイン:「んん…」
純恋・バレンタイン:その指でゆりはの唇をゆっくり撫でてから。
籠羽ゆりは:「……ん、ちゅ」
純恋・バレンタイン:口から引き抜き
籠羽ゆりは:瑞々しい唇から指が離れると、銀糸がとろりとこぼれて。
日下部緑:「……えぇ~……」耳を赤くする
純恋・バレンタイン:その指で自分もチョコタルトを摘み口へ。
日下部緑:「な……なんか……えぇ……?」
籠羽ゆりは:「ごちそうさまっす。ぱーいせん」舌先で唇をなぞる。
純恋・バレンタイン:「甘くて、美味しいね」
純恋・バレンタイン:チョコと指に付いた雫を嘗めとる。
籠羽ゆりは:「良かったっす!私の見込みも、捨てたもんじゃないみたいで~」
純恋・バレンタイン:「フフ…それはどうも」
籠羽ゆりは:「とはいえ。この御恩を返さずにいてはVの名折れなんで……」
純恋・バレンタイン:「緑も食べるかい?」
日下部緑:「え゛っ」チョコと指を見て
日下部緑:「けっ……結構です……!」
籠羽ゆりは:「私にできることがあったら、何でも言ってくださいね☆」
籠羽ゆりは:「え~っ、勿体な~い」
純恋・バレンタイン:「そう?楽しみにしてるよ」
日下部緑:(刑務所って……こんな人ばっかりなの……?)
炊事担当:「で……あんた達が炊事係希望だって?」
GM:刑務所内の食事を一手に担う炊事担当の作業班のリーダーは、恰幅の良い中年女性だった。
GM:キッチンは戦場のような有様で、担当の囚人達が大量の料理を規定時刻に間に合わせるべく、忙しなく動き回っている。
炊事担当:「何はともあれ、まずは腕の方を見せて貰おうか。話はそれからだ」
炊事担当:「最低限美味いのは前提、うちは速さと手際の良さも無いとやってられないからね」
石黒せいら:「うえ~……」
石黒せいら:「ここ外れなんだよなだから……」ぽつりと。
日下部緑:「あの……皆さん料理って……どうですか?」
籠羽ゆりは:「ん~……一応、自炊とかお料理配信とかはしたことあるけど」
石黒せいら:「まあせーらはやろうと思えばなんでもできるよ。疲れるけど……」
籠羽ゆりは:「沢山の人に炊事できるかっていうのは、ちょっと別の素養になるかもなぁ~……」
織世明日姫:「あたしも……自分たちが食べるぶんくらいは、作ってたけど」
純恋・バレンタイン:「あんまりやらないな」
純恋・バレンタイン:「作ってもらう方が早かったから」
日下部緑:「私もです……お母さんに作って貰ってたから……」
織世明日姫:「あ。たまにカズくんが友達連れてきたときとかに、たくさん作ってたりはしたかな……」
GM:というわけで判定です。基本の判定は《芸術:料理》で難易度11。
GM:引き続きイージーエフェクト等別の手段も使用可能です。
純恋・バレンタイン:《百万馬力》で力の必要な作業を《かしずく歯車》で正確な包丁さばきや計量を《強化心肺》でそれらを長時間続けられます
純恋・バレンタイン:料理は体力と正確性と持久力です
GM:う~んちょっと厳しいか……?とはいえ+3差し上げましょう
籠羽ゆりは:すごいっす、パイセン!やっちゃってくださいよぉ~っ!
純恋・バレンタイン:2dx+3>=11
DoubleCross : (2DX10+3>=11) → 10[10,10]+5[2,5]+3 → 18 → 成功
石黒せいら:つよ
籠羽ゆりは:すげぇ!!
石黒せいら:もう一人でいいじゃん
純恋・バレンタイン:ドヤー
織世明日姫:すご!
GM:めっちゃ出来てる
石黒せいら:せーらたち味見係してよ
GM:判定は突破ですが、他の方も振ってみていいですよ
織世明日姫:じゃあ振っちゃお
石黒せいら:ふっちゃお~
織世明日姫:2dx+2>=11
DoubleCross : (2DX10+2>=11) → 2[1,2]+2 → 4 → 失敗
石黒せいら:1dx>=11
DoubleCross : (1DX10>=11) → 6[6] → 6 → 失敗
純恋・バレンタイン:メシマズキャラは誰かな~?
織世明日姫:やる気がなさすぎる
籠羽ゆりは:<芸術:配信>で振ってもいいですか?お料理配信したことあるんで
GM:雑魚ども
GM:流石に厳しいかな~~
GM:この世のほぼすべてが配信で判定できるようになってしまう
籠羽ゆりは:了解です~ じゃあ普通に判定
籠羽ゆりは:7dx>=11
DoubleCross : (7DX10>=11) → 8[2,4,6,6,7,7,8] → 8 → 失敗
石黒せいら:グラデーションにはなってる
GM:では純恋さんだけ上手に料理できました
炊事担当:「ムッ!あんた……見た目によらず筋がいいじゃないかい!」
純恋・バレンタイン:「やれやれ、こういうのは効率的に沢山作るのが大事だからね」
純恋・バレンタイン:大鍋も難なく振るうし熱い油もお構いなしで作業する
炊事担当:「料理は度胸と体力!よく分かってるじゃないかい」
織世明日姫:「えっと。あの調味料どこ……ぎゃんっ!」
炊事担当:「他の連中とは大違いだよ!」
織世明日姫:手際自体は悪くなかったが、頻繁に他人とぶつかってしまう。ひとりのキッチンでしか料理経験がない。
日下部緑:「く、ぐっ…… あ、明日姫ちゃん、大丈夫……?」
石黒せいら:「あはは、意外な才能~」中華鍋の前でお玉をだらだらかき混ぜている。鍋を振る気がない。
籠羽ゆりは:「いやぁ、普通に作る分には愛情とか手際じゃないかなぁ……」
日下部緑:ぷるぷる震える猫の手で包丁を握り、にんじんを切ろうとしている。
籠羽ゆりは:作るべき量を前提とした大量の野菜を見て、早々に、匙を投げるように包丁を投げた。
織世明日姫:「み、緑ちゃんはやめといたほうがいいんじゃないかな……?」 嫌な予感がすごい。
日下部緑:「だ、大丈夫だよ!これくらい……あっ!」ズルッ
石黒せいら:「お肉たっぷりになったら喜ぶかもよ~」
籠羽ゆりは:「緑ちゃんっ!?」
日下部緑:ドシュ!包丁が明日姫のすぐ横に突き刺さる。
織世明日姫:「ひぇっ!?」
籠羽ゆりは:「ひゃ~~……こわぁ……」
石黒せいら:「あはは!やば!」ケラケラ笑っている。鍋の底の方は焦げかかっている。
純恋・バレンタイン:「フッ」
籠羽ゆりは:両目を掌で覆い、指の隙間から追うやつ。
日下部緑:「ご、ごごごめん!包丁が言う事聞かなくて……」
織世明日姫:ぱらりと色素の薄い髪が数本落ちる。それが混入した皿は、もはや食べられたものではなく。
純恋・バレンタイン:「女子力は?」滅茶苦茶上から目線の表情
籠羽ゆりは:「……意外だけども、流石っすねパイセン!まさかこんなに料理ができるなんて」
織世明日姫:「う、うん……あたしたち、もうやめとこっか」
石黒せいら:「女子力ではなくない?」
日下部緑:「うぅっ……こんなはずじゃ……」
純恋・バレンタイン:「か弱い女の子っぽさを出して…料理もできないんだね」
石黒せいら:「こんなんゴリラの腕力じゃなきゃ振れないもん~」
純恋・バレンタイン:「かわいい」
石黒せいら:「えっ……」
石黒せいら:「かわいい……」
石黒せいら:「へえ……」普通に喜んでいる。
籠羽ゆりは:「その文脈から可愛いに繋がることあるんだ……」ちょっと口元をむっとして。
織世明日姫:(ばかにされてると思うけど……)
炊事担当:「決まりだね。そっちのデカいのは採用!」
炊事担当:「残りのはとっとと帰りな!」しっしっ
石黒せいら:「え!?」
石黒せいら:「かわいいのに!?」
織世明日姫:「そ、そこをなんとかなりませんか……?」
純恋・バレンタイン:「はいはい、専門職はワリが良いからね。どうせ刑務作業やるならこれでもいいさ」
純恋・バレンタイン:「ジャガイモの皮むきとか皿洗いくらいならできるんじゃないかな」
純恋・バレンタイン:「流石に」
炊事担当:「かわいさなんて腹の足しにもなりゃしないよ!早くどかないとレバニラの具にしちまうよ!」
籠羽ゆりは:「あっ、応援役しますよ!パイセン、応援があるとやる気が湧くタイプなんじゃないすか~っ」
石黒せいら:「肝臓は売りたくないなあ~……」
日下部緑:「い、行きましょう……レバーかニラにされそうです」
石黒せいら:「ニラになることあるかなあ」
籠羽ゆりは:「むぅ……仕方ないか」
織世明日姫:「純恋さんにお任せしちゃうことになりますけど……」
石黒せいら:「でもあいつだけ残して大丈夫……?当初の目的忘れて料理にハマって店持ちたがりそうじゃない?」
石黒せいら:「それで接客最悪でSNSで炎上して潰れるの」
日下部緑:「そ、そんなこと……」無いとは言えない
籠羽ゆりは:「いやパイセンなら……うーん……そうなのかな……」あまり自信がない。
織世明日姫:「客層ももとから最悪でしょうけどね……ここのお店なら」
石黒せいら:「味だって……」こっそり小指ですくい取って一舐め。
石黒せいら:「……」
石黒せいら:「まあ味は置いといてもね」
純恋・バレンタイン:「これでも、所内では人気があるんでね」
日下部緑:「美味しかったんですか……?」
籠羽ゆりは:「そのごまかし方は……美味しかったんだね~☆」
石黒せいら:「は!?言ってねーし!」
純恋・バレンタイン:「僕に接客されたい子は一定数いるんだよ」
籠羽ゆりは:唇がわざとらしく形の良い口角を歪めて。
織世明日姫:「味も、手際もよくて、ファンまでいたら……じゃあもう、人気店になっちゃう」
籠羽ゆりは:「とにかく、お願いしますねパイセン。店開いたらぜひ食べに行きますんで~」
GM:そんなわけで、純恋の手際によって、何とか無事に炊事係に入り込むことには成功した。
GM:作業の合間を縫って、純恋は“脱獄王”らしき相手を呼び出すことにも漕ぎ着けた。だが、その当人というのが──
“脱獄王”:「……何なのですか?お前たちは」
“脱獄王”:鮮やかな金髪の、小柄な少女だ。刑務所にいるのが異様に見えるほど幼い。十代前半だろうか。

“脱獄王”:「いきなり呼びつけるとは不躾な。不敬ですよ」
石黒せいら:「え~っ!可愛いじゃん~!」
織世明日姫:「……こども?」
石黒せいら:「もっとゴリラだと思ってた!」
純恋・バレンタイン:「不敬?」
籠羽ゆりは:「わお☆めっちゃかわいい~~!!」
“脱獄王”:「無礼者……!控えなさい!王族の前ですよ!」
織世明日姫:「王族……なの? その、“脱獄王”の王って」
織世明日姫:「ほんとにそうっていう……?」
“脱獄王”:「『王』ではありません。まだ『姫』です」
石黒せいら:「てか王さまが飯炊きとか……姫?」
籠羽ゆりは:「うんうん……うん?」
純恋・バレンタイン:「『姫』ね」
“脱獄王”:「我が名はエルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク。高貴な王家の血を引く者です」
織世明日姫:「じゃあ“脱獄姫”なんじゃ……わかんなくなってきた」
純恋・バレンタイン:「確かに髪は綺麗だね」
純恋・バレンタイン:ツインテールの髪に指を通す
石黒せいら:「ふうん。お姫様扱いされたいんだ?」
石黒せいら:「不敬~」
籠羽ゆりは:「あー、王位を継承する前だから姫ってことなんだねぇ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「気安く触るのではありません!」手を叩いて
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしを呼び出して、一体何のつもりですか?よからぬことを企んでいるなら、衛兵を呼びますよ」
日下部緑:「あの……この子が本当に“脱獄王”なんですか?」小声
石黒せいら:「お姫様のお知恵を拝借したいんですよ~」へらへらと。
石黒せいら:「ここ抜けたことがあるって本当?」
織世明日姫:「どうなんだろ……まだあんまり、すごそうには感じないけど」 小声。
純恋・バレンタイン:叩かれた手をヒラヒラさせてひっこめる。
織世明日姫:「態度だけすごい……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……。 ……どこでそれを?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ええ。本当……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……の筈よ」
石黒せいら:「下々で噂になってて~……」
石黒せいら:「……筈?」
籠羽ゆりは:「その割には歯切れ悪そうだねぇ」
織世明日姫:「自分でわかってないの……?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ふん……下々の者は王族のゴシップが好きだものね」
純恋・バレンタイン:「と言う事は、全部が事実じゃないって事なのかな?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……わたくしはこれまで、いくつもの監獄に投獄され、その苦難を自らの力で切り抜けてきたわ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「当然……このソピステスも例外では無い。仲間を集め、計画を練り……知恵と勇気で脱獄を成し遂げた……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……筈よ」
石黒せいら:「だったら今ここにいるのはおかしくないの?」
籠羽ゆりは:「エルヴァリヤ様は姫であらせられるのに、幾度も牢獄に囚われるようなことをしたんですね~」
籠羽ゆりは:「やっぱ、脱獄しすぎて抜け出すのが癖になっちゃたの?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」ゆりはをきっと睨みながら
純恋・バレンタイン:「一度抜け出した子を同じ檻には入れないよね」
籠羽ゆりは:「ツンとした顔もカワイイ~~☆」にやけ顔で返す。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……。……覚えていないの」
純恋・バレンタイン:「ひょっとして記憶消去ビームとか受けてたりして」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:目を伏せる。
石黒せいら:「ええ~?」
籠羽ゆりは:「……あ~」
織世明日姫:「覚えてない……なんてこと、あるの?」
純恋・バレンタイン:「え?そうなの?」
織世明日姫:「そんな、物語みたいなおっきいことしといて」
純恋・バレンタイン:「適当に言ったつもりなのに」
織世明日姫:「ふつう、忘れないんじゃ……」
籠羽ゆりは:「記憶の消去。脱獄上級者を安全に閉じ込めておく手段としてはアリ……なのかなぁ」
石黒せいら:「じゃあ全部ウソなんじゃないの? 脱獄の話とか……」
石黒せいら:「王族の話とか」
籠羽ゆりは:「更生院の存在自体がかなりファンタジーよりだし」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「嘘じゃない!」声を荒げて
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……気付けば独房にいて、この監獄に来てからの記憶が殆ど抜け落ちていたのよ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「自分が脱獄を企図していたのは辛うじて分かるけれど、具体的な計画、それに……誰を協力者に選んだのか、全く思い出せなくなっていたの」
純恋・バレンタイン:「頭を強く打ったとかは?」
織世明日姫:「…………」 にわかには信じられない話だが、嘘を言ってるにしては真に迫っているとも感じる。
日下部緑:「あの……記憶って、あれじゃないんですか?ここ作ったのって確か……」
石黒せいら:「あ~……」
石黒せいら:「記憶処理?」
籠羽ゆりは:「えっ。本当にそんなことできるの?」
純恋・バレンタイン:「記憶消去ビームだ」
純恋・バレンタイン:「実在したんだ」
織世明日姫:「記憶……しょり?」 きいたことない単語だ。
石黒せいら:「UGNにはあるらしいよ。オーヴァードのことを知ったパンピーを……」
純恋・バレンタイン:「え?知らない?メンインブラック見た事ない?」
石黒せいら:「それ使って元の世界に戻してるとか」
石黒せいら:「オーヴァードに効くかは知らないけど……普通に効くのかな」
織世明日姫:「見たことない……ですけど。そんな、それって」
織世明日姫:「なんか、ヤバそう……悪者みたい」
石黒せいら:「悪者だって~」
籠羽ゆりは:「……ああ。一般人には"特別"な能力を秘匿すべき……ってやつだね」
石黒せいら:「せーらたちを閉じ込めてるし!」
籠羽ゆりは:「私らは普通に悪人だからでしょ」
織世明日姫:「秘匿すべき……かぁ」
織世明日姫:ぼんやりと掌を見つめる。「……やっぱり、ふつうじゃないから」
籠羽ゆりは:「さておき。経緯はどうあれ、エル様に脱獄時の記憶がないということは……」
純恋・バレンタイン:「じゃあお姫様は元々どんな罪状で投獄されたのかな?」
籠羽ゆりは:「私達の計画、また白紙に逆戻りじゃない?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「それは……下々の者には言えません。王家に関わるやんごとなき事情ですから」咳払いして「……計画?」
石黒せいら:「強い刺激を与えたら戻ったりしないかな?」
石黒せいら:「味わったことのないような……」
籠羽ゆりは:「エル様に脱獄ノウハウを聞いて、皆で脱出☆ハッピーハッピーって計画ですぅ」
織世明日姫:「記憶をしょりできるなら、逆もできたりとか? 記憶とりもどしビーム、みたいな」
石黒せいら:「まあでも、それがムショにあるかはわかんないよ?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……脱獄する気なのですか?……お前達が?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:訝し気に君達を見る。
純恋・バレンタイン:「まあね」
石黒せいら:「え?うん」
純恋・バレンタイン:「出来るなら」
織世明日姫:同様にこくりと頷く。
籠羽ゆりは:「はい!此方におわす緑ちゃんが入牢初日に脱獄を宣誓して」
日下部緑:「はい!します!」
籠羽ゆりは:「この誇り高き意志の元に集った私達、皆で力を合わせようとしてるのです!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:少し考えるようにして
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「記憶が戻らずとも……この刑務所の構造は一通り把握しています」
石黒せいら:「おお~」
籠羽ゆりは:「すごぉい」
純恋・バレンタイン:「えらいえらい」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「莫迦にしていませんか?」キッ
石黒せいら:「かわい~!」
織世明日姫:「す、すごいよ、本当に! それで、他にも覚えてることは……?」
籠羽ゆりは:「してないよぉ~☆ほら、ステッカーあげよっかエル様?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「何ですかそれは?施しなど受けません!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……計画自体も……無聊の慰めに考えはしました。ですが……」
籠羽ゆりは:「そんにゃあ」差し出そうとした王冠型ステッカーがしょんぼりしている。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ですが、本当にやる気ですか?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「上手く行く保証はありません。仮に成功しても、わたくしのように再び捕まって、記憶を消されることになるかもしれません」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そうなれば……今こうして共にいる仲間のことも、忘れてしまうことになるかもしれないのですよ」
純恋・バレンタイン:「でもさ」
純恋・バレンタイン:「記憶を消されたって事は」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「共に協力してくれた仲間の顔も思い出せない……。わたくしは、それが最も重い罰に感じます」
純恋・バレンタイン:「一度抜け出せたルートを塞いでいないって事じゃないかな」
純恋・バレンタイン:「その協力してくれた仲間とかの条件を満たせば」
石黒せいら:「そもそも塞げないもの?」
石黒せいら:「……珍しく賢そうなこと言うじゃん」
純恋・バレンタイン:「もう一回脱出できるって事だよ」
純恋・バレンタイン:「君は僕の事をバカだと思っているようだね」
籠羽ゆりは:「可能性はゼロじゃないってことすよねぇ、さっすがパイセン!」
織世明日姫:「あたしも……絶対、しなきゃだから。脱獄」
純恋・バレンタイン:「面倒な事を考えるのが面倒なだけなんだ」
織世明日姫:「みんなが言ってるみたいに、いける可能性があるんだったら。そこに賭けてみたい」
石黒せいら:「怠惰の言い訳はいいから。とにかく、みんな出る気みたいだし」
籠羽ゆりは:「それに……エル様?」
純恋・バレンタイン:「で、お姫様はもう一度同じ条件を整えたら脱出できるんだろ?」
石黒せいら:「姫ちゃんだって、こいつらに思い入れないでしょ?」
石黒せいら:「やるだけ得じゃない?」
籠羽ゆりは:「悔しくないですか?せっかく脱獄出来たのに、記憶を消されたからもう諦めるって」
籠羽ゆりは:「忘却の彼方へ飛んでった王家の兵達も、貴方が再び立ち上がる日を心待ちにしてると思うなぁ~~」
織世明日姫:「エルちゃ……様も。脱獄して、しなきゃいけないことがあるから。何度もがんばったんだよね?」
織世明日姫:「だったら、もう一度がんばってみようよ。……あたしたちと一緒に」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」一人一人の顔を見る。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……本当に……覚悟はいいのですね?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「脱獄計画というのは一蓮托生です。一度動き出せば途中下車は出来ない。誰か一人が裏切れば、全てが瓦解します」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お前達は信用に足るのですね?」
純恋・バレンタイン:「看守にチクるなってさ」
石黒せいら:「なんでこっち見るの?」
日下部緑:「裏切ったりする人なんて……いませんよ!ねえ!」
籠羽ゆりは:「一番チクりそうだからかな」
織世明日姫:こくこくとしきりに頷いている。「信じてもらえるかは、わかんないけど……!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」瞑目し「……分かりました。あまり説得力はありませんが……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「背に腹は代えられません。お前達に賭けてみましょう」
石黒せいら:「うん。決まりだね。じゃあどうする?」
石黒せいら:「結束を高め合うために……もっと深くつながっておく?」
織世明日姫:「あ、ありがとう、エルさま……!」 パッと安堵の笑みが浮かぶ。
籠羽ゆりは:「ブレねぇなこの女……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「まずは前提として……この刑務所の警備体制について知っておいて貰いましょうか」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「この中に、自分で脱獄を試みてみたことがある者は?」
籠羽ゆりは:「そもそも来て日が浅いっす」
石黒せいら:「看守にはお願いしたことあるけど~……」
純恋・バレンタイン:「看守ぶん殴ったことくらいは皆あるよね?それくらいかな」
織世明日姫:ふるふると否定する。
日下部緑:「私も来たばっかりなので……」
石黒せいら:「全然だめ。他は便宜図ってくれるのに」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「では……そうですね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そこの大きいの。殴るのに自信があるようですね」
純恋・バレンタイン:「コンクリートの壁くらいなら壊せるけど」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「いいでしょう。ではその辺りの壁を思い切り殴ってみなさい」
石黒せいら:「えっ行けるの?キショ……」
純恋・バレンタイン:「バレたら面倒なんだけどな」
純恋・バレンタイン:《百万馬力》を使用します
純恋・バレンタイン:重機並みのパワーが出せる
純恋・バレンタイン:「フゥ~…」
純恋・バレンタイン:「破ッ!」
純恋・バレンタイン:割と綺麗な型通りの正拳が壁にめり込み
純恋・バレンタイン:少なくない振動が周囲に響く
織世明日姫:「ひっ……」 衝撃にたたらを踏む。
石黒せいら:「うひ~……」
籠羽ゆりは:「うぉおっ……」足元がよろける。
GM:相当な威力の一撃だったはずだが、壁は──まるでびくともしない。
石黒せいら:よろめいたゆりを支えながら。「あれ?」
織世明日姫:「本当にジャイアン……あれっ」
石黒せいら:「見掛け倒しじゃん」
GM:壊れるどころか、ヒビ一つ入っていない。殴られたことすら分からないような有様だ。
純恋・バレンタイン:指で手に持ったフライパンを半分に曲げる
籠羽ゆりは:「わ、割れてないっすねぇ……」支えられ、少しだけ顔を赤らめる。
純恋・バレンタイン:「これやるよりはちゃんとやったけど?」
織世明日姫:「ち、ちからはすごい……ってことは」
織世明日姫:「壁が、もっとすごい……?」
石黒せいら:「たしかに、せーらたち能力を制限されてないもんね」
GM:だが、殴った純恋の拳に然程の反動が無い辺りから、ただ純粋に固いというのではないことが察せられるかもしれない。
石黒せいら:「その必要がないから?」
籠羽ゆりは:「……オーヴァード版海楼石みたいな材質で出来てるんすかね?」
純恋・バレンタイン:「ん~、ただ硬いだけなら同じ場所を正確に殴っていけば何とかなりそう~って感じもするけど」
純恋・バレンタイン:「そういう感じではないね!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「この刑務所の壁は、ただの壁ではありません」
織世明日姫:自分も壁にぺたりと触れてみつつ。「……わかんないや」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「レネゲイドを駆使して作られたもののようです。モルフェウスによる物理的強度、バロールによる空間的強度、オルクスによる概念的強度……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「それらが同時に掛け合わされて、単純な攻撃では傷一つ付かないようになっています」
籠羽ゆりは:「手が込んでるなぁ~」
織世明日姫:「れねげ……もる、えっと?」 知らない単語がドバっと来た。
石黒せいら:「とにかく絶対無理ってことだよね?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:頷き「また、囚人の首輪には電気ショックの他……あまり知られていませんが、爆破機能が付いています」
織世明日姫:「ば、爆破!?」
石黒せいら:「え?」
石黒せいら:「聞いてないんだけど……」
籠羽ゆりは:「ずいぶんと悪趣味っすねぇ」
織世明日姫:思わず首輪に触れる。「め、めっちゃヤバいじゃないですか……!」
純恋・バレンタイン:「そんな玩具だったんだ」
籠羽ゆりは:「でも、私達って多少の傷くらいならすーっと、すぐ治っちゃうし」
籠羽ゆりは:「爆発もギリギリ堪え切れたりとかしないっすかね?」
籠羽ゆりは:手首を手刀で切る所作。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「オーヴァードによってはそうかもしれません。ですが爆破は前段で、本命はその後の看守による拘束でしょうから」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「また、全ての首輪には追跡チップが仕込まれている他、戦闘力や変身能力など特に脱獄の危険性が高い囚人には、24時間の生体監視システムが施されているようです」
石黒せいら:「なんかサービスいいなあ」
籠羽ゆりは:「ある意味VIP待遇だね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「施設を囲む外壁は約12メートル。この壁も当然頑強で、武装した看守が常に警備しています。突破は困難でしょう」
石黒せいら:「え?無理じゃない?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「監視システムも完璧に近いです。所内のほぼ全箇所はモニタリングされており、特に外に通じる箇所は死角がありません」
織世明日姫:「秘密の抜け道とかがあったり……?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「物資の運搬や人の出入りも、X線その他の検査で綿密にチェックされており、不審があればすぐ取り除かれます」
石黒せいら:「なんか無理な話しか出てこなくない~?」
籠羽ゆりは:「遠回しに諦めろって諭されてるのかな私達」
織世明日姫:「エルさま、ほんとにそんなところから脱獄を……?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ですが、脱獄は不可能ではありません」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:ペンを片手にメモをして「ここに書いた通りの人材を集めてください」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「まだ具体的な計画については話せませんが……お前達が信頼に足ると分かれば、その時改めて説明しましょう」
織世明日姫:「その人材を連れてきたら信じてくれる……ってこと?」
GM:メモには既に名前が書き込まれている。既に当たりは付けてあったようだ。
籠羽ゆりは:「サブイベのおつかいみたいになってきたね~」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「それは、お前たちの働き次第です」
織世明日姫:「ダメな可能性もあるんだ……でも、やるしかない、か」
石黒せいら:「お姫ちゃんに信じてもらえるようにがんばらなきゃね」
純恋・バレンタイン:「他にやる事もないしアテもないわけだから」
純恋・バレンタイン:「やっておくしかないね」
織世明日姫:「脱獄に必要なひとってことは、どっちにしろあたしたちにも必要なひとだし」
籠羽ゆりは:「おっけ~。当分は忙しくなりそう☆」
籠羽ゆりは:メモに王冠のステッカーをぺたりと貼り付けます。
GM:シーン終了。
GM:以降、 ・エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュクの『秘密』 が調査可能になりました。
石黒せいら:ぐへへ お姉さんたちにおしえてごらん……
GM:というわけで、続いてサイクル1 シーン3
GM:シーンPCは純恋さんです。
純恋・バレンタイン:はーい
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を1D10(→ 7)増加(47 → 54)
GM:登場侵蝕は最初に振ったので大丈夫です
純恋・バレンタイン:ぶち込まれる前の因縁を一つくらい明らかにしておくか~
純恋・バレンタイン:ゆりはちゃんにロイス取る方向で交流しようかな
籠羽ゆりは:はぁ~い☆
GM:シーンの内容は決まっていますか?
純恋・バレンタイン:自分の組織潰された話とかしていきながら距離を詰めたいから
純恋・バレンタイン:お仕事中にしようかな
GM:OKです それではシーンを開始します
純恋・バレンタイン:部材倉庫。
純恋・バレンタイン:様々な物資が保管されており、それらを棚に収納したり運び出すのも受刑者の労務の一つだ。
純恋・バレンタイン:あまり人気がないが希望者が少ない時は人目がなくサボりやすいので
純恋・バレンタイン:定期的に受刑者で示し合わせてヒマな時間帯を作り出すようにしている。
純恋・バレンタイン:「その医薬品の箱を棚に入れれば終わりだからさ」
純恋・バレンタイン:と言いながら大量の資材を軽く抱えて運んでいる。
純恋・バレンタイン:純恋にとっては特に苦もない楽な仕事だ。
籠羽ゆりは:「はぁーい☆私が運んどくっすよ~」
籠羽ゆりは:純恋の持つ資材達に比べれば、遥かに軽い医療品箱を抱える。
籠羽ゆりは:「いやぁ。まさかダルい刑務作業にこんな穴場があったなんて知らなかったっす」
籠羽ゆりは:「さっすがパイセンっすねぇ~~」
純恋・バレンタイン:「まあねえ」
純恋・バレンタイン:そこの片隅に置かれたソファは看守室用の名目だが運び出されずにここに放置され受刑者たちの休息場所になっている
純恋・バレンタイン:そこに体を投げ出すように座る
籠羽ゆりは:「……よしっと。あとは、定時まで適当に時間つぶしときゃOKかなぁ」
純恋・バレンタイン:他の受刑者もそろそろ仕事を終えた様子だ。
籠羽ゆりは:ぺしぺし、両掌を叩いて。
取り巻き受刑者C:「じゃあ、私らはこの辺で~」
取り巻き受刑者C:そう言って他の受刑者は部屋を出ていく。
純恋・バレンタイン:「ああ、お疲れ~」
籠羽ゆりは:「お疲れ様です~☆」にこやかに手を振って見送る。
純恋・バレンタイン:何故か設置してあるソファの後ろに隠された冷蔵庫から冷えたコークの瓶を取り出し
純恋・バレンタイン:素手で栓を外して飲む。
純恋・バレンタイン:その瓶をそのままゆりはに渡す。
籠羽ゆりは:「パイセン、どこに行っても慕ってくれる囚人が沢山いるっすねぇ」
純恋・バレンタイン:「飲む?」
籠羽ゆりは:「のみまーす!」
籠羽ゆりは:純恋の隣にぴょんと座り、瓶を受け取って一口。
籠羽ゆりは:「ぷはぁっ」
純恋・バレンタイン:「ふふ」
籠羽ゆりは:「炭酸が染みる……刑務所の食事って味気ないから、こういう健康に悪い飲食物はありがてぇっす」
純恋・バレンタイン:「看守用の嗜好品をちょろまかしてるのさ」
純恋・バレンタイン:「それがこの場所の作業が人気の要因の一つだね」
籠羽ゆりは:唇から零れ落ちそうになった雫の一滴を舌で舐め取りつつ。
籠羽ゆりは:「いやぁ~。ここ最近、パイセンにはずっとお世話になりっぱなしで」
純恋・バレンタイン:「気にしなくていいよ、僕の好きでやっているからね」
籠羽ゆりは:「私も取り巻きになっちゃいそうっすよ」
純恋・バレンタイン:「お、僕のグループに入るかい?割と待遇はいいよ」
純恋・バレンタイン:「少なくとも無駄な暴力に巻き込まれる危険性は減るからね」
籠羽ゆりは:「入ったら、せいらが反吐吐きそうな顔して見てきそう」
純恋・バレンタイン:「アッハハ、その顔は見てみたいな~」
純恋・バレンタイン:「それでさぁ」
籠羽ゆりは:「はいっす」
純恋・バレンタイン:「結局何やって捕まったの?配信だっけ?」
純恋・バレンタイン:「それってこんな所にぶち込まれるような事なの?」
籠羽ゆりは:「あ、私の"歴"っすか?えーっとぉ」
籠羽ゆりは:「配信で何かするとすぐBANされちゃうんで、表向きは普通のVtuberとして活動してたんすよ」
籠羽ゆりは:「私のリスナー……"にて民"っていうんすけど」
籠羽ゆりは:「スパチャで大金はたいて私にコメ変をして貰ったりとか、特に重課金者向けの子とかに個別会話してあげたりしてて」
籠羽ゆりは:「暇つぶしに、そのリスナー達に向いてそうな犯罪を手取り足取り教えてあげて」
籠羽ゆりは:「どう転ぶかな~~ってのをネットニュースとかで確認したりしてたんすよ」
純恋・バレンタイン:「へぇ~」
純恋・バレンタイン:「”にて民”かァ~」
籠羽ゆりは:「そ。"恋文にてん"のリスナーだから"にて民"っす☆」
籠羽ゆりは:楽しそうにくすぐるような声が響く。
純恋・バレンタイン:「フゥ~ン」
純恋・バレンタイン:効き心地良さそうに耳を傾ける。
純恋・バレンタイン:「僕も似たようなものでね」
純恋・バレンタイン:「色んな犯罪者を集めて金を持ってこさせる代わりに」
純恋・バレンタイン:「安全を保障してあげてたんだ」
籠羽ゆりは:「やってること、犯罪者から見たら普通にいい人っすよね」
籠羽ゆりは:「ここで囚人達に慕われてるのも頷けるっす~」
純恋・バレンタイン:「だよね~」
純恋・バレンタイン:「可愛い奴らだったし、そういう連中に攻撃してくるような虫は丁寧に潰してたもんさ」
純恋・バレンタイン:「でも、たまに僕を裏切る子がいてさ」
純恋・バレンタイン:「そういう時は悲しかったなあ」
籠羽ゆりは:「む。不届きものっすねぇ」
純恋・バレンタイン:「名前は忘れちゃったけどデカい口を叩いてるわりに自分じゃ何もせずに僕の組織の情報とか金を掠め取ってた男も居たし~」
純恋・バレンタイン:「あと、これは本当に悲しいんだけど」
純恋・バレンタイン:「僕を売った子も居たんだよ」
籠羽ゆりは:「ま、まだ居るんすか裏切者……?」犯罪者って、実は信用ならないのかな。
純恋・バレンタイン:「そのせいで今ここにいるワケだけどさぁ~」
純恋・バレンタイン:「その子に聞いたんだよ。何でこんな事をしたの?って」
純恋・バレンタイン:「指を色んな方向に向けながらさ」
籠羽ゆりは:「ふむふむ」真剣に耳を傾けつつも、つい癖で人差し指を振るってステッカーを取り出し。
純恋・バレンタイン:「そしたら泣きながら何かよくわからない事ずっと言ってたんだけど」
籠羽ゆりは:ソファの小さくほつれた穴を埋めるように貼り付けていく。
純恋・バレンタイン:ズッと顔をゆりはに近づける。
籠羽ゆりは:「っとぉ?」
純恋・バレンタイン:「今”わかっちゃった”」
純恋・バレンタイン:ゆりはの頬を撫でながら顔をこちらに向けさせる。
籠羽ゆりは:「……な、何がっすか?」直感的に、腰を浮かして、ちょっとだけ距離を取ろうとするが。
純恋・バレンタイン:「”にてみん”とか”にてんサマ”とかって」
純恋・バレンタイン:「君だったんだねぇ」
籠羽ゆりは:「…………」慌てて、脳内でリスナーにやらせたことのある犯罪を思い浮かべていき
籠羽ゆりは:「あっ」
純恋・バレンタイン:「良いんだ。別にそれはね」
籠羽ゆりは:リスナーの一人である、下部"組織"の末端。メン限会話で相談を持ちかけられたのが切っ掛けで
籠羽ゆりは:同じく恨みや鬱憤を抱えた下部組織の郎党に、水面下で根回しと布教を経て専用のディスコ窓を作り
籠羽ゆりは:皆で連携し、組織の土台を崩そうとした"大仕事"の記憶へと辿り着いた。
純恋・バレンタイン:「その子たちが裏切ったのは悲しかったけどそういう事が出来る子は」
純恋・バレンタイン:「僕は大好きだよ」
純恋・バレンタイン:顔を近づけて首筋を軽く噛む。
籠羽ゆりは:「……あ、はは、は」
籠羽ゆりは:先ほどまで信頼しきっていたはずなのに、今はどうしてか。
籠羽ゆりは:「恐縮、っす。パイセン……」
純恋・バレンタイン:痛みの無いようにむしろ気持ちが良くなるように。
純恋・バレンタイン:首筋に噛み跡をつける。
籠羽ゆりは:「んっ……」
純恋・バレンタイン:「だから、その事は気にしないであげる」
籠羽ゆりは:殺されてもおかしくないはずなのに。優しく愛でられて、脳が恐怖とのコンフリクトを起こして。
純恋・バレンタイン:僅かな出血、その血を味わう。
籠羽ゆりは:「……ふふ」勝手に、口元が吊り上がる。
籠羽ゆりは:「私、貴方に何されても文句言えなくなっちゃいましたね」
純恋・バレンタイン:「だから、僕と仲良くして…」
純恋・バレンタイン:「ふふ、裏切らないでね」
籠羽ゆりは:「勿論っすよ」
純恋・バレンタイン:顔を離す
純恋・バレンタイン:「それは良かった」
純恋・バレンタイン:舌で口元を舐める
籠羽ゆりは:観念するかのように。じわりと甘い吐息がこぼれて、舌先をくすぐった。
GM:相互にロイスが取得可能です。
純恋・バレンタイン:籠羽ゆりは/血の味は甘い〇/裏切らないでほしい
籠羽ゆりは:純恋・バレンタイン/〇信頼感/恐怖
GM:所内での本格的な料理は炊事係の担当だが、余暇時間には申請すればキッチンを使用することも許可されている。
GM:刃物類が危険の少ないプラスチック製であったり、多少の制限は掛けられ不便もあるが、趣味程度の料理であれば十分楽しめる。
石黒せいら:「ということで……交友を温めるために……」
石黒せいら:「料理をしましょう」
石黒せいら:「他の手段はダメっていうから……」
織世明日姫:「まあ、いきなりはちょっと……メンバー的にも」
日下部緑:「おお……刑務所に来てこんな……普通っぽいこと出来るなんて思いませんでした」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「どうしてわたくしも……」
石黒せいら:「姫ちゃんは炊事担当だったんでしょ?色々教えてもらえると嬉しいなって」
石黒せいら:「それに……」
織世明日姫:「でも、料理はいいと思います。緑ちゃんも、いつまでも『ああ』は……」
日下部緑:「あ、『ああ』って……!」
石黒せいら:「料理で幅効かされるとムカつかない?」
織世明日姫:若干短くなった横髪をなぞりつつ。
織世明日姫:「あっ、そういう狙い……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「下々の者は料理も出来ないのですか?嘆かわしい……」
石黒せいら:「そうなの、だから……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「この程度、最低限の淑女の嗜みでしょうに」
石黒せいら:「お姫ちゃんに優しく手ほどきしてほしいなって……ダメかな~?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……こほん。頼られては仕方ありませんね……」
織世明日姫:「エルさま、お姫さまなのに料理できるの、すごいね。なんかそういうの……召使てきなひとがやりそうだけど」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「しかし姫ちゃんというのは不敬です。お姫様と呼びなさい」
石黒せいら:「ふふ。はあい。お姫様っ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ええ、まあ。……この程度のことは当然です」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「民のやることを知っていなければ……良い為政者にはなれませんからね」
織世明日姫:「えらいんだねえ……でも、いいよね。お料理」
石黒せいら:「あはは。色々知りたいお年頃なんだ……」
織世明日姫:「あたしもたくさん作ってきたけど。やっぱり、食べてくれるひとがいて、そのために作るのって」
織世明日姫:「しあわせだったなあ……」
石黒せいら:「過去形~?」
日下部緑:「明日姫ちゃんは……か、彼氏さんがいるんだっけ?」
織世明日姫:「だって今は離れ離れですし……うん、そうだよ」
日下部緑:「いいなぁ……どんな人なの?」
石黒せいら:「いいなあなの?」
石黒せいら:「緑ちゃんもカレシ欲しいんだ?」
日下部緑:「えーっ……まあ、だって……人並には……」
織世明日姫:「えっとね……こんなあたしのこと、必要だって言ってくれて」
織世明日姫:「たまに乱暴だったり、勝手だったりすることもあるけど……でも、優しくもしてくれて」
石黒せいら:「男の人ってそういうとこあるからねえ」
織世明日姫:「……えへへ。緑ちゃんも、きっといいひとと出会えるよ」
日下部緑:「え~っ、なんか……素敵だね!そういうの……!」
日下部緑:「乱暴で勝手って……それって、俺様系みたいな?」
石黒せいら:「王さま気取りみたいな?」
織世明日姫:「そんな感じ、かな? うん。『俺の言うこと聞いてりゃ大丈夫だ』……とか」
織世明日姫:「頼りになるんだぁ」 うっとりとした声音は、聞くものすべてに幸福感を分け与えるような響きだ。
石黒せいら:「でもさあ~……」
日下部緑:「わぁ~……」与えられている
石黒せいら:「大丈夫じゃなかったんじゃないの?」
石黒せいら:「だからここにいるんでしょ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:興味なさげに玉ねぎを切っている。
石黒せいら:目線はその指先の所作に向いている。
織世明日姫:「うっ……!」
織世明日姫:「そ、それは……そういうことだって、あるじゃないですか」
石黒せいら:「てかさあ」
織世明日姫:「あの時は、カズくんもテンパっちゃって。放火とか……いらなかったとは、思いますけど」
石黒せいら:「今頃他の女作ってるんじゃないの?」
日下部緑:「ほっ」
織世明日姫:「っ……!」
日下部緑:「放火したの……?」ドン引き
石黒せいら:「放火したよ」
石黒せいら:「ウチに」
織世明日姫:「そ、そんなこと……ない、よ」
日下部緑:「え!?!?」
織世明日姫:「えっ」
日下部緑:「そうだったんですか!?」
織世明日姫:「せ……せーらさん、ち」
織世明日姫:「だったの……!?」
石黒せいら:「うん。顔は見えなかったけどさ~……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:流石に「え……!?」という顔になっている
石黒せいら:「その綺麗な声、忘れるわけ無いじゃん?」
織世明日姫:確かに強盗に及ぶ際は、目出し帽やマスク等の変装を欠かしたことはなかった。
石黒せいら:「よく心に響いたなあ……」
織世明日姫:「声……声、で」
織世明日姫:「…………」
日下部緑:「えっ、えっ……」
織世明日姫:「お、怒って……ます、よね」
日下部緑:二人を見比べて「し……知ってて今まで普通にしてたんですか……?」
石黒せいら:「えっまあ……」
石黒せいら:「その頃はブチ殺そうって思ってたけど……」
織世明日姫:「で、ですよね……」
石黒せいら:「でも明日姫ちゃんが言ったんじゃんか」
織世明日姫:さすがに当人を前にすると、申し訳ない気持ちが少しは出てくるが。
石黒せいら:「身代わりになったんでしょ?」
石黒せいら:「じゃあさ……」
石黒せいら:「誰だろうね?死ぬべきなのって」
織世明日姫:「誰、って……」
織世明日姫:「あ……あたし、です。罪とか、ぜんぶ」
織世明日姫:「あたしのせいだからって。だから、今ここにいるんじゃないですか」
織世明日姫:「カズくんが悪いとか……他の女とか、そういうの」
日下部緑:「あ、明日姫ちゃん……?」
織世明日姫:「やめてください……!」 泣きそうな表情で凄んでいる。
石黒せいら:「……ちょっと、泣かないでよ~」
石黒せいら:「せーらが悪いみたいじゃん」
日下部緑:「明日姫ちゃん、ちょっと落ち着いて……。せいらさんも、ええと……その……」おろおろしている
織世明日姫:呼吸が荒くなっている。胸を手で押さえるようにして、落ち着けようとはしているが。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:(こいつら全然料理しないじゃないか……)
石黒せいら:「ごめんごめん。今ボコそうとかは思ってないって。本当だよ?」
織世明日姫:「……はい」
石黒せいら:「むしろ仲良くしたいな~って思ってるんだよ」
織世明日姫:「脱獄、しなきゃですもんね。いちれんたくしょうで」
織世明日姫:「……じゃあ。仲良くする、ために」
石黒せいら:「うん?」
織世明日姫:「ちゃんと、しましょうか。……お料理」
石黒せいら:「あ~」
石黒せいら:「忘れてた」
日下部緑:「あ……そういえばそうだった……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お前達……」呆れたような顔「もう大体終わりましたよ」
石黒せいら:「ええ~っ!」
石黒せいら:「じゃあお姫様の手料理を……」
石黒せいら:「美味しく食べるだけになっちゃうんだ」
石黒せいら:「……」
石黒せいら:「全然それでいいな……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:フライパンの中で美味しそうなハンバーグが人数分焼けている。
織世明日姫:「ご、ごめんなさいっ。ぜんぶやってもらっちゃって……!」
石黒せいら:「わ~美味しそ~!」
石黒せいら:「あっお皿洗いくらいはするから!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「当たり前です!」
織世明日姫:「すっごい美味しそう……本当に、得意なんだね。お料理」
石黒せいら:「家族に作ったりしてたの?」
日下部緑:「いつもやってるだけはありますね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……家族は……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……。……ほら、並べてください。冷めないうちに」
石黒せいら:「あ~~~……」
石黒せいら:「ごめんね~」頭を撫でる。
石黒せいら:「変なこと聞いちゃったね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:明らかに話題を逸らしつつ、付け合わせと共にハンバーグを並べる。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「っ……気安く触るのではありません!」
織世明日姫:「はいっ」 その様子には気づかず配膳を手伝う。
石黒せいら:「真剣になら触ってもいい?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「真剣に……触る……??」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「マッサージですか……?」
石黒せいら:「マッサージされたいの?」
石黒せいら:「してあげようか?」
織世明日姫:「あの……エルさま。そのひと、なんというか」
織世明日姫:「き、気をつけてくださいね……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「? え、ええ……」よく分かっていない。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お前達はそちらで食べなさい。私はこちらで食べます」
石黒せいら:「明日姫ちゃんの思ってるようなことはしないよ~?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:自分の分の皿だけ別に、キッチンの端で食べようとする。
織世明日姫:「あ、そうなんですか」 ほっとしたような。
石黒せいら:「明日姫ちゃんがどんなこと思ったかはわかんないけど」
織世明日姫:「いや……だって。その」 口ごもりつつも。
織世明日姫:「……って。エルさま、一緒に食べないの?」
石黒せいら:「ほんとだ。なんで?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「な……何ですか?気にせず結構」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「高貴な身分の人間は……下々の者と食卓を共にしないものです」
石黒せいら:「そこをなんとかならない?」
織世明日姫:「そ、そっか……」 そういうものか、と納得はしつつ。
石黒せいら:「今だけは身分の別は同じでしょ? ほら、ええと……」
石黒せいら:「円卓の騎士みたいな!」
石黒せいら:「あれは王さまと騎士が一緒に座るじゃん」
石黒せいら:「なんか……そんな感じで!」
日下部緑:「お~……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……。……分かりましたよ……」
織世明日姫:「あたしも……ちょっと違うけど。作ったものを、誰かと一緒に食べるの……好きだったな」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:渋々と言った様子で同じテーブルに着く。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:その食事の所作は、決して行儀が悪いものではないが……
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:どことなくぎこちない。正式なマナーを学んだものとは思えないような。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:それを隠すように、身を小さくするようにして食べている。
織世明日姫:その様子にも気づくことはなく。「んっ……美味しい!」
石黒せいら:普通に食べていたが、途中からびちゃびちゃとソースを零しながら食べている。
織世明日姫:「お店のごはんみたい……すごいなあ、エルさま」
石黒せいら:「美味しい~!これなら……」
石黒せいら:「あいつが一人マウント取れないじゃん」
日下部緑:「そういう問題ですか……?」
石黒せいら:「そういう問題なの~」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」何も言われない様子に、ほっと胸を撫で下ろした。
織世明日姫:2dx>=4
DoubleCross : (2DX10>=4) → 6[6,6] → 6 → 成功
GM:サイクル1 シーン4
GM:シーンPCは籠羽さんです。
籠羽ゆりは:はぁい
籠羽ゆりは:どうしようかな……そしたら
籠羽ゆりは:まだ会話できてない明日姫ちゃんへロイス交換しにいきましょうか
織世明日姫:やったあ
GM:シーンの内容は決まっていますか?
籠羽ゆりは:作業終わりで、シャワー一緒に行こうよ~って声かけます。
GM:OKです それではシーンを開始しましょう。
GM:---
籠羽ゆりは:遡ること、入所してから最初の夜。
籠羽ゆりは:せいらとセックスして一度別れた後、そういえばシャワーを浴び忘れていたことに気づいて。
籠羽ゆりは:追いかけた先で目に入ったのは、明日姫ちゃんと一緒にシャワールームへ入っていく姿。
籠羽ゆりは:二人の表情から、仲睦まじく寄り添い……って展開ではないとすぐ分かったけど。
籠羽ゆりは:それにしては、明日姫ちゃんの面持ちが
籠羽ゆりは:今まで見た事ないほど深妙なのが気がかりだった。
籠羽ゆりは:それから数日後。色々と流されるまま、浮ついてた自分の気持ちに整理を付けてから。
籠羽ゆりは:「明日姫ちゃーん☆」
籠羽ゆりは:作業後、せいら達に見つからないタイミングで呼び掛けた。
織世明日姫:「わっ。……ゆりはちゃん?」
織世明日姫:「作業おつかれさま」 普段通りの様子で迎える。
籠羽ゆりは:「お疲れ様~」ひらひらと手を振る。
籠羽ゆりは:「流れ作業みたいなのでも、延々手を同じ手を動かし方してるとさ」
籠羽ゆりは:「飽きと疲れのダブルパンチがきっついよねぇ」
織世明日姫:「あはは……ちょっとわかるかも」
織世明日姫:「おしゃべりするわけにもいかないもんね」 首輪をなぞる。
籠羽ゆりは:「あはは。作業中にだべってたらすぐバレちゃいそうだもんね」
籠羽ゆりは:「そだ。部屋に戻る前に、軽くシャワー行かない?」
織世明日姫:「ん。そうだね、そうしよっか」
籠羽ゆりは:彼女の右手を、自身の左手で包み込むように重ねて。
籠羽ゆりは:「いこっか」
織世明日姫:びっくりして、一瞬身体が跳ねるが。「う、うん」
織世明日姫:「こ、混まないうちにね……!」 曖昧な力で握り返し、歩き出す。
籠羽ゆりは:歩幅を合わせながら並んで、道すがら。
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:「明日姫ちゃん」
織世明日姫:「うん? なにー?」
籠羽ゆりは:「私達がココに入ってきた日の夜。せいらと一緒にシャワー行くとこ見たんだけど」
籠羽ゆりは:「どんなこと話してたのっ?☆」
織世明日姫:「入ってきた日の、夜……」 思い返し。「……あ、ああ~……!」
織世明日姫:「み、見られてたんだ……!」
織世明日姫:「ち、ちがうよ!? その、やましい感じとかは、なくって……!」
織世明日姫:なぜか釈明のような言葉から入ってしまい。こっちこそが、ふたりの関係を知ってしまったからこそ。
織世明日姫:「その……ふ、ふたりがさ」
織世明日姫:「……シてたの。あたしも、気づいちゃって……それで」
籠羽ゆりは:「…………」
織世明日姫:気恥ずかしさを滲ませた声は、普段の清涼さに淫靡な色が混じる、独特の魅力を醸しながら。
籠羽ゆりは:「あのバカ、赤裸々に何でもかんでも話しすぎだろ……」低い声で呟き。
織世明日姫:「あたし、ぜんせん知らなくって……女のひとと女のひとが、そういう」
織世明日姫:「好きになったり……え、っち。する、とか……」
織世明日姫:「それで、せーらさんにそれを教えてもらってたんだ」
籠羽ゆりは:「……え。それって、結局やましい感じじゃ?」
織世明日姫:「ち、ちがうよ!?」
籠羽ゆりは:「教えるってソレ以外に何があるの?」
織世明日姫:「そういう教え方も、せーらさんは言ってたけど! こ、断ったもん!」
織世明日姫:「違うからね、ゆりはちゃん……!」
籠羽ゆりは:「教えようとはしたんだね……」嘆息。だが、諦観と半分くらいは納得も含まれている。
籠羽ゆりは:「ごめんね。アイツ、そういうのにやたら開放的なところあるみたいだからさ」
籠羽ゆりは:「彼氏いる子にそーいう誘いを平気でさぁ……」
織世明日姫:「う、うん。そういうのは感じるけど……でも」
織世明日姫:「それでも、せーらさんが好きなんだよね? ゆりはちゃんは」
籠羽ゆりは:「…………ん」歯切れ悪そうにうつむく。
織世明日姫:身体を交えるのは好きだからだけではない――と、せーらには言われたものの。
織世明日姫:未だに価値観の上では、それが一番に来る。そのはずだったが。
織世明日姫:「……えっ。ち、ちがうの……?」
織世明日姫:「あ、ケンカ中、とか? またせーらさんがなんかやって……?」
籠羽ゆりは:「ああいや、その」
籠羽ゆりは:「自分でもちょっと、自分のことがよく分からなくなってきててさ」
籠羽ゆりは:「あー。明日姫ちゃんも恋人いるし……ちょっとだけ、相談してもいいかな?」
織世明日姫:「……うん。あたしでよければ」
籠羽ゆりは:ありがと、と小さく頭を下げてから。
籠羽ゆりは:「私、せいらのこと浮気カスって言ってたでしょ」
織世明日姫:「言ってたね、すごく」
籠羽ゆりは:「あの日、そのことについて釈明貰って、流されるままに……その」
籠羽ゆりは:「シちゃうことになったんだけどさ」
織世明日姫:「そ、そういう流れだったんだ……」
籠羽ゆりは:気恥ずかしさから口元を隠して。
織世明日姫:実のところ恋バナの経験値は少ない。他人からの赤裸々な話を聞き、こちらも恥ずかしくなってしまう。
籠羽ゆりは:「本当ならさ。抱いて貰ったら今までの不安とかが解消されるモンだと思うじゃん?」
籠羽ゆりは:「真逆だったんだ。不安な気持ち、収まるどころかどんどん膨れ上がってる」
織世明日姫:「…………」
織世明日姫:「それは……うん。それも、ちょっとわかるかも」
織世明日姫:「あたしも。カズくんが、知らない匂いとかして帰ってきたり。そういう名刺……みたいなの、持ってたり」
織世明日姫:「ケンカ、ってほどじゃないけど。揉めて……でも、好きって言われて、えっちで話が終わったりさ」
籠羽ゆりは:「……あの」
籠羽ゆりは:「やっぱ」
籠羽ゆりは:「ダメじゃない?その彼氏……」
織世明日姫:「……なんか、逆に不安になっちゃったりね」
織世明日姫:「そ、そうやってまた……!」
織世明日姫:「あ、あたしの話はいいから! ゆりはちゃんとせーらさんの話だよね!?」
籠羽ゆりは:「むぅ……そっか。絶対止めたほうがいいと思うけどな……」
織世明日姫:「せーらさんと、ちゃんと話してみるとかはどうなのかな」
織世明日姫:「本当に自分のこと好きなのかなって。相手も、自分と同じ気持ちなのかな……って」
織世明日姫:「言わないと伝わらなかったりするのかも」
籠羽ゆりは:「……一応、好きかどうかを聞いてみたりもしたんだけどさ」
籠羽ゆりは:「全然教えてくれないんだよね。私が好きってこと以外の何かを」
織世明日姫:「そっかあ……隠し事っていうか。秘密がありそうな感じがしちゃってるんだ」
籠羽ゆりは:頷く。
籠羽ゆりは:「多分。不安なのは、きっとせいらの本心が見えてないからかな」
籠羽ゆりは:「仕事だとか情報のためとか誤魔化して、肝心なことは何も教えてくれないし」
織世明日姫:「せーらさんの本心……」
籠羽ゆりは:「せいらの"好き"は」
籠羽ゆりは:「所詮、適当に扱っても慕ってくれるセフレみたいなもんだとしか思ってないのかもね」
織世明日姫:「……それは、つらいね」
織世明日姫:「あたし」 触れていたゆりはの手を、しっかりと握りしめる。
織世明日姫:「ゆりはちゃんのこと、応援するから……!」
織世明日姫:「あたしも、機会があったらせーらさんに聞いてみる! ゆりはちゃんのこと、どう思ってるのかって」
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:「明日姫ちゃんは、本当に優しいね」
籠羽ゆりは:「彼氏がどうとか関係なく、勿体ないと思っちゃうくらいにさ」
織世明日姫:「あたしはただ、好きなひとと本当に好き合えるのが、しあわせだなって思ってるだけだよ」
織世明日姫:「……えっ?」
籠羽ゆりは:ぱちん、と指を鳴らす。
織世明日姫:「わっ」
籠羽ゆりは:指先からぽん、と小気味よい音とともに、小さなハート型のステッカーが表れて。
籠羽ゆりは:あなたの頬をそっと撫でて、ぺたっと貼り付ける。
織世明日姫:「な、なに? ステッカー……?」 自分で自分の頬は見れず。
籠羽ゆりは:「私さ。犯罪歴柄、結構見る目があってさ」
籠羽ゆりは:「会話してると、何となくその人が得意そうなことが分かるの」
織世明日姫:「う、うん。それが……?」
籠羽ゆりは:目を細めて、にやりと唇の端を持ち上げて。
籠羽ゆりは:「私は、惚れちゃった女に現在進行形で振り回されてるバカな女だけどさ」
籠羽ゆりは:貼られた箇所がじわりと熱を持ち、波打つ快感がじゅわり広がっていく。
籠羽ゆりは:完熟の白桃に、ほんの少しアルコールの酩酊感が加わったような、脳をとろけさせる発情の香り。
織世明日姫:「んっ……!?」 不思議な感覚に声が零れる。
籠羽ゆりは:「キミは、結構タチよりな気がするよ」
織世明日姫:「タ、チ……?」
籠羽ゆりは:「ひょっとしたら」
籠羽ゆりは:「キミなら、愚かな私をせいらから救ってくれるかも……ってね」
織世明日姫:「ん……」 酩酊したような感覚では、確からしい言葉も思考も紡がれることはなかったが。
織世明日姫:無意識の下で、握った手の指は絡み合っていた。
籠羽ゆりは:「……お。ついた。シャワールーム」
籠羽ゆりは:きぃ、と扉を開けると。
籠羽ゆりは:壁や天井、排水口のふちに至るまで、無数のステッカー。
籠羽ゆりは:甘ったるく、無邪気に、でもどこか淫靡な気配を帯びて貼り付いている。
籠羽ゆりは:「練習、してみよっか?」
織世明日姫:「…………」
織世明日姫:まとまらないままの頭が、小さくこくりと頷いた。
GM:相互にロイスが取得可能です。
籠羽ゆりは:織世明日姫/〇期待/羨望
織世明日姫:-脱獄同盟/籠羽ゆりは/尽力:〇/不安/ロイス
石黒せいら:夕食から閉房――消灯までの時間は、囚人に与えられた自由時間である。
石黒せいら:この201号室にとっても例外ではない。その房内。
石黒せいら:元々大きく引かれていた部屋を半分にする線は、今は有耶無耶に消されている。
純恋・バレンタイン:「くァ…ふぁ~ァ」
石黒せいら:その一角のベッドには、勝手に天蓋がつけられてヴェールのようなもので仕切られている。
純恋・バレンタイン:反対側の壁際のベットの上で欠伸をする。
石黒せいら:そのベッドの上に立ち、通風孔に紐をくくりつける。
純恋・バレンタイン:簡易ベットだがマットレスなどは良い物を融通して使用している。
石黒せいら:生花をくくって干している。
日下部緑:「あの……せいらさん?」
石黒せいら:「うん?」
日下部緑:「何してるんですか?それ……」
石黒せいら:「何って……ドライフラワー作ってるの」
日下部緑:「ど、ドライフラワー……!?」
石黒せいら:「こうしたらずっと綺麗でしょ?」
日下部緑:「いや、ドライフラワーの意味を聞いてるんじゃなくて……」
日下部緑:「ここ、刑務所ですよね?そんな優雅な……」
日下部緑:「どこから持って来たんですか?そんな花」
純恋・バレンタイン:「貢がせてるのさ」
石黒せいら:「大変だよ~。"お願い"して持ってきてもらったの」
石黒せいら:「あんたも似たようなもんでしょうが」
日下部緑:「お願い……すると、持って来て貰えるんですか?」小首を傾げて
日下部緑:「看守さんですか?私も何か頼んでみようかな……」
純恋・バレンタイン:「止めはしないけどおススメもしないな」
石黒せいら:「緑ちゃんもする?緑ちゃんならいけるんじゃない?」
石黒せいら:「可愛いもん。胸もおっきいし……」
日下部緑:「え……関係あります……?」無意識に手で胸元を隠すようにする
石黒せいら:「あ~。そうだね。相手は選んだほうがいいか」
石黒せいら:「一人ガチのロリコンいるから」
純恋・バレンタイン:「はぁ~、そっちに居ると悪い癖がうつっちゃうよ~」
石黒せいら:「そいつは選ばないようにしたほうがいいよ」
純恋・バレンタイン:「真面目に聞かない方が良い」
日下部緑:「ロリ……? え……?? はぁ……」
石黒せいら:「ちょっと、真面目な話邪魔しないでくれるかな?」
純恋・バレンタイン:「不真面目な話の間違いだろ~?」
石黒せいら:「ううう~っ……!てか!」
石黒せいら:「個室に戻してほしいんだけど!」
純恋・バレンタイン:真新しいファッション誌を取り出してひらく
純恋・バレンタイン:「”お願い”してみたら~」
日下部緑:「個室も……お願いしたら行けるんですか?」
日下部緑:「脱獄王さんは個室……っていうか独房みたいですけど」
石黒せいら:「行けてたのに~」
石黒せいら:「取り上げられたの!」
純恋・バレンタイン:「今回のは看守長の決定だから流石に難しいかな」
石黒せいら:「最悪……てかあいつもロリコンなんかなやっぱ?」
石黒せいら:「あ!だからお姫様は個室なんじゃない!?」
石黒せいら:「繋がったな……」
純恋・バレンタイン:「アハハハ、そうかもね」
純恋・バレンタイン:「でも君の場合は単純にせいらに個室渡すと悪い事に使うからだろ」
石黒せいら:「いいことの間違いでしょ~?」
日下部緑:「よく分からないけど……私はせいらさんが同じ部屋で嬉しいですよ!」
石黒せいら:「緑ちゃん……!」
日下部緑:「純恋さんもせいらさんも、色々教えてくれるし……助かってます!」
石黒せいら:「緑ちゃんは可愛いな~」
純恋・バレンタイン:「えらいえらい」
純恋・バレンタイン:「何か欲しいモノあったら言ってね」
日下部緑:「え……それもお願いですか?」
石黒せいら:「恐喝だろ」
純恋・バレンタイン:「安全保障の対価だよ」
純恋・バレンタイン:「誰もトラブルには巻き込まれたくないからねえ」
日下部緑:「せいらさんは純恋さんにはしないんですか?お願い」
石黒せいら:「え?」
純恋・バレンタイン:「ハァ?」
石黒せいら:「ええ~~~~?」
日下部緑:「えっ?えっ?」
石黒せいら:「せーらも選ぶ権利があるかな……」
日下部緑:「な、何か変なこと言いました……?」
石黒せいら:「痛そうじゃん」
純恋・バレンタイン:「こっちもそんな猫なで声聞きながらは嫌だよ」
石黒せいら:「はあ~?みんな好きって言ってくれるもん!」
石黒せいら:「てかあんたマジ下手そうじゃん。なんか……」
石黒せいら:「ドマゾばっか取り巻きに集めて乱暴にすればいいとしか思ってなさそう」
石黒せいら:「フツーにセックスできないんじゃないの?」
純恋・バレンタイン:「料理が下手な女よりは器用だけど?」
石黒せいら:「ヘタじゃないし!」
日下部緑:「えっ……セックスって……え……?」顔が上気していく。
日下部緑:「あっ……お……お願いって……あ……」
純恋・バレンタイン:ポケットからキャンディを取り出して口に入れてモゴモゴする
純恋・バレンタイン:「れ…」
純恋・バレンタイン:舌の上に折り畳まれたキャンディの包み紙。
日下部緑:「え!?じゃあせいらさんって看守とエッチする代わりに色々便宜を図って貰ってるってことですか!?!?」
石黒せいら:「おお……」
石黒せいら:「え?」
石黒せいら:「そうだけど?」
純恋・バレンタイン:それを手に取ってフゥと空気を入れると小さな紙風船になる
日下部緑:「なっ……なっ……そんな……」
純恋・バレンタイン:「だからそう言ってるんだよ」
純恋・バレンタイン:「悪い誘いだって」
日下部緑:「い……いけませんよ!!そんなこと……!!」
石黒せいら:「てか逆に何だと思ってたの……」
日下部緑:「か、可愛くお願いするみたいな……」
石黒せいら:「アハハ!可愛~!」
純恋・バレンタイン:「可愛くはお願いするんじゃない?」
日下部緑:「せいらさんもだし……か、看守も最低です!立場を笠に着て、そんな……」
純恋・バレンタイン:「アハハハハ」
日下部緑:「よ……良くないですよ!そんな風に……!」
純恋・バレンタイン:「むしろ、真面目な看守狙うでしょ。せいらは」
石黒せいら:「え?うん」
純恋・バレンタイン:「看守を責めるのは可哀そうだって」
石黒せいら:「だってこっちとセックスして当然みたいな顔してるやつなんて……」
石黒せいら:「全然便宜図ってくれないじゃん」
純恋・バレンタイン:「罪悪感に付け込んでるんだよ~”お願い”ってのはさ」
純恋・バレンタイン:「真似しちゃダメだよ~」
石黒せいら:「弱みに付け込んでるのはあんただって同じでしょうが」
石黒せいら:「力のない不安感に付け込んでるんじゃんか」
日下部緑:「さ、最低です……エッチです!」
日下部緑:「せ……せいらさんはそれでいいんですか!?」
石黒せいら:「むしろせーらのほうが……」
純恋・バレンタイン:「安心の提供って言って欲しいな僕は」
石黒せいら:「相手が気持ちよくなってるんだからいいじゃん?」
石黒せいら:「え?そこはこう……」
石黒せいら:「脱獄したらしなくていいわけだし」
石黒せいら:「緑ちゃんがうまくしてくれるんでしょ?」
日下部緑:「……!」
日下部緑:「そ……。 ……はい……そのつもり……ですけど……」
石黒せいら:「じゃあそんな不安がらなくていいよ~」
石黒せいら:「それとも……心細くなってきちゃった?せーらのベッド来る?」
日下部緑:「いっ……行きません!!」
日下部緑:顔を真っ赤にして
純恋・バレンタイン:「じゃあこっちおいで~」
純恋・バレンタイン:「守ってあげるよ~」
日下部緑:「行きません!!!」
石黒せいら:「やめときなって。寝返りで潰されるよ」
日下部緑:「わ……私は……本当に好きな人としかえっちしませんから!!!!」大声
石黒せいら:「えっちはしたいんだ?」
純恋・バレンタイン:「好きな人とはするんだって」
日下部緑:「そっ……ちっ……そういう話じゃありません!!!」
日下部緑:「せいらさんも純恋さんも……誰か本当に好きな人っていないんですか?」
石黒せいら:「……」
石黒せいら:「そうなれたらいいねって」
石黒せいら:「思ってはいるよ」
日下部緑:「だ、だったら……そういう人がいるなら……」
日下部緑:「他の人と……しない方がいいんじゃないですか……?」
純恋・バレンタイン:「う~ん、新鮮な意見だね」
純恋・バレンタイン:「だってさ」
石黒せいら:「緑ちゃんにはセックスはこうあるべきがあるんだ?」
石黒せいら:「それってさ……子どもを作るためのってこと?」
石黒せいら:「それ以外は全部間違い?」
日下部緑:「それは……」
日下部緑:「……。そ、そうは言いませんけど……」
日下部緑:「でも、せいらさんが自分を簡単に扱うようなのは……あんまり見たくないです」
石黒せいら:「……緑ちゃんは優しいね」
石黒せいら:「どうしてこんなところに来たんだろう」
純恋・バレンタイン:「冤罪だっていってるだろ」
純恋・バレンタイン:「だよね」
石黒せいら:「本当かな?可愛すぎ罪とかじゃなくて?」
石黒せいら:「優しすぎ罪とか……」
日下部緑:「そんな罪ありません!」
日下部緑:「私……悪いことしてません」
日下部緑:「だから……いえ、でも……せいらさんも、純恋さんも……私にとってはいい人です」
石黒せいら:「ふふ。そうだね。だったら……」
日下部緑:「明日姫ちゃんも、ゆりはちゃんも。……だからやっぱり、皆でここを出たいです」
石黒せいら:「それを周りに言えるようにならないと」
石黒せいら:「一緒に出ようね」
純恋・バレンタイン:「じゃあ頑張らなくっちゃね」
GM:“脱獄王”からメンバー集めを任された君達は、さっそく一人目のもとへと向かった。
GM:まず指示されていたのは、セリョーギナという名のRBの女だった。彼女は独房の暮らしのようだが、外には普通に出てきているらしく、食事の時間を狙えば難なく接触することが出来た。
セリョーギナ:「……えぇ~?……脱獄?」
セリョーギナ:「それもあの“脱獄王”の計画かぁ……ふぁあ……」
セリョーギナ:深い隈の刻まれた顔で、眠そうに欠伸をする。
セリョーギナ:「ふぅん……確かに……行けそうだね」
石黒せいら:「じゃあ乗ってくれるってことでいいのかな?」
セリョーギナ:「うぅん……確かに興味はあるけどねぇ……」
セリョーギナ:「今それどころじゃなくって……」くぁ、とまた大きな欠伸をする
純恋・バレンタイン:「何か問題でも抱えてるのかい?」
織世明日姫:「……寝不足なんですか?」
籠羽ゆりは:「何一つ悩みなさそうなお眠顔に見えるけどな~~」
セリョーギナ:「見て分かるでしょ~?不眠だよ不眠」
石黒せいら:「不眠?」
セリョーギナ:「この刑務所、アレが無いんだよ……アレが無いと……あたし眠れなくって……」
セリョーギナ:「こんなんじゃ脱獄に計画とか絶対無理だよ~」
籠羽ゆりは:「何だろ。やっぱ、お気に入りの枕とかかな……?」
セリョーギナ:「決まってるでしょ?」
セリョーギナ:「ASMRだよ」
純恋・バレンタイン:「ハハハ」
織世明日姫:「えー、えす?」
籠羽ゆりは:「わぁお」
純恋・バレンタイン:「マジで言っているのかい?」
石黒せいら:「あ~。そういう子居るよね」
セリョーギナ:「あたし、ASMRが無いと全然眠れなくて……」
セリョーギナ:「はぁ……でもこんな刑務所じゃ……手に入るわけないしなぁ……」
織世明日姫:「その、えーえす……? みんな知って」 顔を見回す。その視線がゆりはへと至ったところで
織世明日姫:ぎぎぎ、と逆戻り。「……るんです、か?」
籠羽ゆりは:「"Autonomous Sensory Meridian Response"」
石黒せいら:「明日姫ちゃん知らないの?要はね……」顔を耳元に近づけて。
石黒せいら:「こうやって~」ふ、と吹きかける。
織世明日姫:「ひゃいっ!?」
籠羽ゆりは:「人が聴覚への刺激によって感じる、心地よさやぞくぞくする快感なんだけど……」
石黒せいら:「声で気持ちよくなっちゃお~ってやつ」
日下部緑:「それって……エッチなやつじゃないんですか……?」
織世明日姫:「あ……な、なるほど……!」
石黒せいら:「そうだよ~?」
日下部緑:「そうなんですか!?」
純恋・バレンタイン:「エロとは限らないだろ~。フッアハハハ」
籠羽ゆりは:「いやいやいや。一応、そういった目的のも売られてるけどさ」
石黒せいら:「え?そうなの?」
籠羽ゆりは:「川のせせらぎとか鳥のさえずり。人間由来の音でいうと、耳かきとか添い寝とか」
日下部緑:「ゆりはちゃん、詳しいんだ……」
日下部緑:「も、もしかしてVtuberってそういうこともするの……?」
籠羽ゆりは:「リラックス効果や睡眠を誘導する効果を目的とする一般向けのもあるんだから」
織世明日姫:「声だけじゃないんだね……んん」 首輪の上から自身の喉を撫でる。
籠羽ゆりは:「そりゃあ、Vの必修科目に決まってるでしょ☆」Vピース
日下部緑:「そっ……そうなんだ……」想像して耳を赤らめる。
石黒せいら:「セリちゃんはどういう系のなの?」
セリョーギナ:「う~ん、あたしは何でも……」
セリョーギナ:「でもやっぱり、可愛い女の子が寝かしつけてくれるやつかな~……」
セリョーギナ:「あっ、エッチなのでもいいよ」
石黒せいら:「ほら~!」
石黒せいら:「ほら~」何故か誇らしげ。
日下部緑:「やっぱりそうなんだ……!」
籠羽ゆりは:「エッチなの聴いて、ちゃんと寝られるの……?」
籠羽ゆりは:「普通に添い寝系の方が入眠に向いてる気がするけど」全年齢向け配信者的観点。
織世明日姫:「え、えっちかはともかく……!」
石黒せいら:「イッたまま力抜けてそのまま寝ちゃうとか結構あるよ」
織世明日姫:「セリョーギナさんに満足してもらえれば、協力してもらえるんだよね」
純恋・バレンタイン:「使っているのか」
GM:というわけで、セリョーギナにASMR音声作品を収録して渡す、あるいは他の方法で快眠に導くことで判定を達成できます。
GM:基本の判定は《調達》難易度6でレコーダーを調達+《芸術:音声作品》難易度12となります。
織世明日姫:これってそれぞれ1回ずつ挑めるんですかね? それとも班分け的な?
GM:別々の人が判定する感じですね 誰かが1回ずつ成功すればOKです
石黒せいら:直接添い寝すればレコーダーの調達なんていりませんよ
GM:別の技能値がこれだけあるから達成値盛ってくれっていうのもいいですよ
石黒せいら:知識:医療があるのですが……
石黒せいら:入眠に導くというのは……どう考えても医療行為ですよね。
GM:医療か……
石黒せいら:《ビューティフルボイス》もありますよ
GM:別途《知識:医療》難易度9に成功すれば《芸術:音声作品》に+2できるとします
石黒せいら:なるほどね
GM:《ビューティフルボイス》は+5差し上げます
純恋・バレンタイン:芸術:カラオケ2があります 子守歌も広義のASMR音声ではないでしょうか
石黒せいら:最強イージーじゃん
籠羽ゆりは:すげ~~
織世明日姫:わ~い
GM:カラオケか………………
GM:別途《芸術:カラオケ》で難易度11に成功すれば+2差し上げます
純恋・バレンタイン:了解
織世明日姫:なんだろな 〈知識:奉仕〉とかどうですかね 耳掃除ASMRをするなら使えたり……?
GM:奉仕は合ってそう 別途《知識:奉仕》難易度6に成功すれば+3差し上げます
織世明日姫:やったぜ
籠羽ゆりは:じゃあ私調達側に回ろうかな
籠羽ゆりは:ビューティフルボイス持ちに勝てる気がしないため~
籠羽ゆりは:3dx+2>=6
DoubleCross : (3DX10+2>=6) → 8[2,7,8]+2 → 10 → 成功
籠羽ゆりは:はいレコーダー
石黒せいら:えらすぎ
純恋・バレンタイン:ヤッター
GM:では調達はOK!
織世明日姫:せんきう~
石黒せいら:じゃあみんなでやっていくか 採用バトルだッ
織世明日姫:うおお 絶対に勝つ!!
石黒せいら:2dx+4>=9 知識:医療
DoubleCross : (2DX10+4>=9) → 5[5,5]+4 → 9 → 成功
純恋・バレンタイン:とはいえゆりはちゃんは感覚7あるから普通に強かったと思うな
純恋・バレンタイン:カラオケチャレンジ
織世明日姫:2dx+2>=6 知識:奉仕
DoubleCross : (2DX10+2>=6) → 10[2,10]+5[5]+2 → 17 → 成功
GM:奉仕うますぎ
織世明日姫:どエロになっちゃった
純恋・バレンタイン:2dx+2>=11
DoubleCross : (2DX10+2>=11) → 7[2,7]+2 → 9 → 失敗
純恋・バレンタイン:ぼえ~
石黒せいら:1dx+5>=12 芸術:音声作品
DoubleCross : (1DX10+5>=12) → 5[5]+5 → 10 → 失敗
織世明日姫:ジャイアン!
石黒せいら:くっ……
純恋・バレンタイン:芸術:音声作品
籠羽ゆりは:彼氏、羨ましいな……
純恋・バレンタイン:2dx>=12
DoubleCross : (2DX10>=12) → 6[6,6] → 6 → 失敗
織世明日姫:3dx+8>=12 芸術:音声作品、ボーナス込み
DoubleCross : (3DX10+8>=12) → 8[1,1,8]+8 → 16 → 成功
純恋・バレンタイン:ダメ
織世明日姫:あぶなっ
石黒せいら:つよ
純恋・バレンタイン:流石~
GM:強い
籠羽ゆりは:さっすが~~
GM:ではDLsiteでランキング入りするくらいのやつが録れました
石黒せいら:いや……すみません これ失敗するの許せないから……
石黒せいら:自分に《夢の雫》します
GM:なんだこいつ!?
籠羽ゆりは:草
織世明日姫:www
純恋・バレンタイン:www
石黒せいら:達成値+14して24にしました
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を3増加(48 → 51)
GM:じゃあ二人いるパターンのやつを収録してください
織世明日姫:左右から攻めるか
石黒せいら:Wビューティフルボイスでね
GM:数日後。
セリョーギナ:「うぅ……眠い~……」
セリョーギナ:また食堂でうつらうつらしている。スプーンを握る手も今にも取り落としそうだ。
日下部緑:「あっ。いましたよ!」
セリョーギナ:「なんだぁ……また君達?」
籠羽ゆりは:「おいっす~☆」
純恋・バレンタイン:「せっかく要望に応えに来たのに」
セリョーギナ:「悪いけど、やっぱりパスだよ~……全然眠れないままで……」
籠羽ゆりは:「注文通り、声良しの二人にASMR録音してもらってきたよ」
織世明日姫:「…………」 後ろの方で小さくなっている。
セリョーギナ:「えっ……それ本当!?」
石黒せいら:「ふふ。せーらと明日姫ちゃん2人でね」
籠羽ゆりは:「両耳ついてるタイプのバイノーラルマイク使ったから、ほぼ生声の立体音響になってると思うぜ~」
セリョーギナ:「えぇ~?そうは言っても……君達素人でしょ~?」じろじろと訝し気に二人を見て
石黒せいら:「でも可愛いでしょ?」
石黒せいら:「ちゃ~んと顔も覚えてね」
セリョーギナ:「分かってないなぁ……」
セリョーギナ:「音声作品はジャケットじゃなくて中身なんだよ」
織世明日姫:「あ、あたしの方は、聴かなくてもいいから……」 恥じらいを滲ませた消え入りそうな声。
石黒せいら:「どっちもいいほうがいいじゃん」
石黒せいら:「それに後から"増す"んだってば」
セリョーギナ:「はぁ……あたしの鑑賞に耐えうるものになってるとは思えないけど~……まあ一応……」
セリョーギナ:言って、いそいそとイヤホンを耳に着ける。
GM:レコーダーの電源を入れると、音声作品がスタートする。
石黒せいら:ごそごそと、布を持ち上げるような音。
石黒せいら:"あなた"の布団に誰かが入り込んできたような。
石黒せいら:「あ……起こしちゃった?」耳元で囁かれているかのような、緊密な声。
セリョーギナ:「むっ!!」
織世明日姫:逆側からも、同様の音。寄り添うように、耳元に吐息の音がかかる。
石黒せいら:ハスキーでありながらセクシーであり、穏やかでありながら蠱惑的な色を孕む。
織世明日姫:「ごめんなさい……あたしたちも、寂しくって」
石黒せいら:「一緒に寝てもいいよね……?」不安げに。
織世明日姫:やや間を空け、「……えへへ。ありがと」 キミの了承にホッとしたような、柔らかな絹を指先でなぞるような音が耳の中へと入り込む。
セリョーギナ:「これは……!!」
石黒せいら:「そっちも眠れないの? じゃあさ……」
石黒せいら:「リラックスしよっか……吸って~?」
石黒せいら:「すうう……」
織世明日姫:「……吐いて~?」
織世明日姫:「ふう~っ……」
セリョーギナ:「スーッ……!ハーッ……!」
石黒せいら:「ふふっ。だめ~♡ もっかいしよ?」
石黒せいら:「吸って~?」
石黒せいら:「すう~っ……」
織世明日姫:「……吐いて~?」
織世明日姫:「っ……はあぁ……」
セリョーギナ:「ハァ……!ハァ……!」
セリョーギナ:「すごい……!」
籠羽ゆりは:「(本当にASMRで寝られるタイプなの?この興奮具合で……?)」訝しみながら眺めている。
石黒せいら:「手足はだら~っと、リラックスして~……」
織世明日姫:「……あたまのなかも、空っぽにしちゃって……?」
石黒せいら:「気持ちいい事だけ、考えてね?」
純恋・バレンタイン:「(どう考えても寝られないでしょ)」
織世明日姫:「あたしたちの声だけを感じて……?」
石黒せいら:「感じて、感じて、感じて……」
石黒せいら:「ずずずーっと、ふわふわ~っと……」
織世明日姫:「……うん。その調子」
織世明日姫:「えらい、えらい……♪」
セリョーギナ:「……………………」
セリョーギナ:穏やかな表情で寝息を立てている。
日下部緑:「寝た…………!」
籠羽ゆりは:「情緒どうなってんだ……」
石黒せいら:「え~……」不服げ。
織世明日姫:「…………うぅ」 達成感もなんのその。羞恥の方が上回っている。
石黒せいら:「ここからの明日姫ちゃんパートがそれはもうすっごいのに……」
石黒せいら:「もったいない」
日下部緑:「そうなの……!?」
織世明日姫:「せ、せーらさん! いいからっ……!」
籠羽ゆりは:「そーだね。せいらに負けず劣らずの艶やかさで……良かったねぇ」うんうん頷いてる。ディレクター目線。
純恋・バレンタイン:「興奮させたら寝れないでしょ」
石黒せいら:「あんな言葉が明日姫ちゃんの口から……」
石黒せいら:「は?でも寝たじゃん」
石黒せいら:「カラオケとは違うんです~」
籠羽ゆりは:「ともかく、要求はクリアだと思うけど……これ、起こした方がいいかな?」
織世明日姫:「ううう~っ……!」 顔を真っ赤にして俯いてしまう。
石黒せいら:「明日でもいいんじゃない?」
織世明日姫:(なんか……なんか、ヘンだよ、あたし……! この間から……!!)
日下部緑:「そうですね……気持ちよさそうですし……」
純恋・バレンタイン:「くっ」声が単純にデカすぎた
GM:そんなわけで、君達は無事にASMRを収録し、一人目のメンバーを勧誘することに成功したのだった。
【Cycle2】
GM:サイクル2を開始します。まずは順番決めのダイスロール!
籠羽ゆりは:1d100
DoubleCross : (1D100) → 84
織世明日姫:1d100
DoubleCross : (1D100) → 26
石黒せいら:1d100
DoubleCross : (1D100) → 21
純恋・バレンタイン:1d100
DoubleCross : (1D100) → 61
GM:ではまずは籠羽さん!
籠羽ゆりは:今度は私が上だ
石黒せいら:ベッドでは下なのに
籠羽ゆりは:ぎ~っ 3番目にしとこ
GM:では次は純恋さん
純恋・バレンタイン:ん~
純恋・バレンタイン:じゃ1番目にしとこかな
GM:では織世さん
織世明日姫:しからば2番目かなあ
石黒せいら:4になりました
GM:では 純恋→織世→籠羽→石黒 このようになりました。
GM:そして現在の判定難易度はこちら。
判定項目
籠羽ゆりはの『秘密』 《情報:裏社会》難易度9
織世明日姫の『秘密』 《情報:噂話》難易度9
純恋・バレンタインの『秘密』 《情報:噂話》難易度12
石黒せいらの『秘密』 《情報:噂話》難易度12
日下部緑の『秘密』 《情報:噂話》難易度10
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュクの『秘密』 《情報:軍事/メディア》難易度10
GM:というわけでサイクル2 シーン1
GM:シーンPCは純恋さんです。
純恋・バレンタイン:は~い
GM:行動は決まっていますか?
GM:その前に全員登場侵蝕をどうぞ シーンが切り替わります
GM:調達判定も1回して構いません
純恋・バレンタイン:ヘ~イ
織世明日姫:織世明日姫の侵蝕率を1D(→ 9)増加(53 → 62)
純恋・バレンタイン:ヤッター
籠羽ゆりは:44+1d10
DoubleCross : (44+1D10) → 44+10[10] → 54
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を1D10(→ 3)増加(47 → 50)
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を1D10(→ 2)増加(51 → 53)
石黒せいら:調達はパワーピストル買っておこう
純恋・バレンタイン:ポールアームでも買っちゃお
籠羽ゆりは:あんまりほしいものないなぁ
石黒せいら:6dx+2>=15
DoubleCross : (6DX10+2>=15) → 10[3,3,5,6,10,10]+9[7,9]+2 → 21 → 成功
石黒せいら:ふつうに買えたな……
純恋・バレンタイン:1dx+2>=8
DoubleCross : (1DX10+2>=8) → 1[1]+2 → 0 (ファンブル) → 失敗
純恋・バレンタイン:へこ~
石黒せいら:それは柱っていうのよ
織世明日姫:ないなあ…… 高性能治療キットとかにしとこ
籠羽ゆりは:パイセン!私が買ってきてあげるっす!!
織世明日姫:あっ この調達って登場侵蝕反映前ですかね?
GM:面倒なので後ってことでいいですよ!
純恋・バレンタイン:え~?うれし~
籠羽ゆりは:3dx+2>=8
DoubleCross : (3DX10+2>=8) → 9[5,5,9]+2 → 11 → 成功
織世明日姫:あざます! ダイスボーナスうれち
織世明日姫:3dx>=9
DoubleCross : (3DX10>=9) → 8[3,7,8] → 8 → 失敗
籠羽ゆりは:へへっ。日頃の恩返しっす☆
織世明日姫:うーん、財産はいいや 失敗です
籠羽ゆりは:ポールアームをパイセンにパスして以上。
純恋・バレンタイン:ウェポンケースに入れておこ
GM:では改めて純恋さんのシーンです。
純恋・バレンタイン:情報を開けに行きたいんでせいらちゃん協力してくれない?
石黒せいら:え~どれ?
純恋・バレンタイン:緑ちゃんは開けといた方が良いと思うんだよね
石黒せいら:くれるならいいよ~
純恋・バレンタイン:イイヨ
石黒せいら:わーい じゃあでます
純恋・バレンタイン:場所はどうしよ
純恋・バレンタイン:自室?
石黒せいら:しますか 部屋
GM:ロール→判定で大丈夫ですか?
純恋・バレンタイン:それで~
GM:ではシーンを開始します。
純恋・バレンタイン:自室のベットの上で取り巻きの女を裸にして膝枕をさせ、スナックを摘みながら雑誌を読んでいる。
純恋・バレンタイン:この時間帯は他のメンバーは作業などで居ないはず…だった。
石黒せいら:扉が開き、女が二人。
純恋・バレンタイン:「ふんふふ~ん♪」
石黒せいら:囚人と看守。それらは房内を見て。「げっ」
取り巻き受刑者D:「えッ?」
石黒せいら:「あ~……。またにしよっか~?」看守の女にそう言ってぐいぐいと帰らせる。
石黒せいら:「また今度ね~」
純恋・バレンタイン:「ちッ…今は僕の時間のはずだろ?」
石黒せいら:「そこの時計でしょ?」檻の間からかすかに見える時計を指して。
石黒せいら:「あれ昨日から止まってるって」
純恋・バレンタイン:「ハァん?何だよ」
取り巻き受刑者D:「あ、あのォ~」
石黒せいら:「まあいいよ」自分のベッドに戻って。「続けてて?」
石黒せいら:イヤホンを取り出しつけ始める。
純恋・バレンタイン:「興覚めだよ、ったく」
純恋・バレンタイン:「行っていいよ」
取り巻き受刑者D:「は、はぁ~い」
取り巻き受刑者D:そそくさと着替えて出ていく。
石黒せいら:それを横目で見て。「てかさ~……」
石黒せいら:「無理だろもうこれ」
石黒せいら:「5人になったら……」
純恋・バレンタイン:「新入り達は真面目に刑務作業行ってるんだから」
純恋・バレンタイン:「その間くらいは使えるって」
石黒せいら:「せーらの個室~……」
純恋・バレンタイン:「君だってちゃんとした場所でヤる方が盛り上がるだろ?」
純恋・バレンタイン:「知らないよ、個室じゃないんだから」
石黒せいら:「別に場所とかはどうでもいいけど。まあ硬いとこはイヤくらいで……」
石黒せいら:「看守長の弱みとか知らないの?」
純恋・バレンタイン:「看守長ね~」
純恋・バレンタイン:「ガード硬いんだよね」
純恋・バレンタイン:「こっちでコナかけてる看守は知らないって」
純恋・バレンタイン:「そっちは?」
石黒せいら:「ぜーんぜん。浮いた話なし」
石黒せいら:「行き遅れるんじゃないのそのうち」
純恋・バレンタイン:「こんな場所で看守長やってる時点でどっかおかしいからねえ」
石黒せいら:「マジでそうすぎ~」足の爪を切り始めている。
純恋・バレンタイン:「よっと」ブーツを脱いでせいらのベットの方へ近づく。
石黒せいら:横目でちらりと見るが特に気にした様子もなく。
純恋・バレンタイン:「マニキュア、最近良いのある?」
純恋・バレンタイン:ベッド脇の化粧品を勝手に物色し始める。
石黒せいら:「ちょっと……」
純恋・バレンタイン:「ナチュラル系多いな、もうちょいビビットな色使わない?」
石黒せいら:「せーらはそういうの似合うんです~。あっその右奥のやつ」
石黒せいら:「シャネルの新作だって」
純恋・バレンタイン:「へぇ~」
石黒せいら:「せーらは合わんかな~って感じだったけどあんたはいいんじゃない?」
純恋・バレンタイン:「ん~」
純恋・バレンタイン:ベットに座って人差し指の爪に試し塗りしてみる。
石黒せいら:入れ替わるように純恋のベッドの方に行き、ファッション雑誌を漁っている。
石黒せいら:2,3冊引っ掴んでまた自分のベッドへ。
純恋・バレンタイン:「そこの最新号のアクセ、入る伝手あるってさ」
純恋・バレンタイン:「何か要る?」
石黒せいら:「え、嘘?前ダメだったのに……」
純恋・バレンタイン:「新しく入った看守いるじゃん、ちょい年増のおばさん」
純恋・バレンタイン:「あの人そういうの趣味なんだって」
石黒せいら:「へえ~」
石黒せいら:「あっこれよくない?あとこれとこれとこれ」いくつか選んで。
純恋・バレンタイン:塗った爪をライトに当てて光具合を見る。
純恋・バレンタイン:「あー、それね」
石黒せいら:「ゆりでしょ、明日姫ちゃんでしょ、緑ちゃんにお姫様」
石黒せいら:「合うくない?」
純恋・バレンタイン:「ふん…」
純恋・バレンタイン:横から雑誌を覗き込む。
純恋・バレンタイン:「ちょっと子供っぽいけど」
石黒せいら:「はあ~!?」
純恋・バレンタイン:「あの子らには合いそう」
石黒せいら:「だからいいんじゃん!」
純恋・バレンタイン:「だから良いって言ってんの」
純恋・バレンタイン:「最後まで聞けよ」
石黒せいら:「……」
純恋・バレンタイン:「まあいいや、それね。入れとく」
純恋・バレンタイン:「君は?なんか欲しいの無い?」
石黒せいら:「ん~」
石黒せいら:「あんまかな。アクセは服とのトータルだし……」
石黒せいら:「服がこれだとあんま付ける気沸かない」
純恋・バレンタイン:「服オーダーすりゃいいのに」
石黒せいら:「まずボーダーがダサいから」
純恋・バレンタイン:「それは言えてる」
石黒せいら:「てかさ~!アメリカはオレンジのやつなんでしょ?」
石黒せいら:「せーらそっちのほうがよかった!」
純恋・バレンタイン:「ハハッ」
純恋・バレンタイン:「だからこのジャケット通ってるんだけどね」
純恋・バレンタイン:「ほぼ虎柄だけど」
石黒せいら:「いやシマはダサいでしょ」
純恋・バレンタイン:「センス合わない~」
純恋・バレンタイン:「アニマルは可愛いだろ」
石黒せいら:「オストリッチとかじゃん。いいのは」
石黒せいら:「柄!感あるやつは無理」
純恋・バレンタイン:「はァ~ん?」
純恋・バレンタイン:「ま、いいけど」
純恋・バレンタイン:「んでさァ」
石黒せいら:「ん~」ごろごろ寝転び始めている。
純恋・バレンタイン:「マジで脱獄できると思う?」
石黒せいら:「どーだろ。せーらは無理だと思うけど……お姫様が自信ありげじゃん?」
石黒せいら:「まあやってみてもいいんじゃない?知らない力持つ子もいるかもだし」
純恋・バレンタイン:「そうだねぇ」
純恋・バレンタイン:「たださ~」
純恋・バレンタイン:「明日姫とゆりはは解る。何考えてんのかじゃなくて出る理由はあるだろ?」
純恋・バレンタイン:『姫も脱獄する気はあるだろ」
純恋・バレンタイン:「僕と君もさ、まあ出たいかっ言われたらな~」
石黒せいら:「ここよりはマシっしょ」
純恋・バレンタイン:「じゃあ、緑ちゃんは?」
石黒せいら:「緑ちゃんは冤罪なんでしょ?自称」
石黒せいら:「じゃあ一番出たいんじゃんか」
純恋・バレンタイン:「それ、なんだよな~」
純恋・バレンタイン:「ここ一番で目的が微妙にずれたら嫌じゃない?」
純恋・バレンタイン:「悪人と一緒には出たくないとかさ」
石黒せいら:「あ~……」
石黒せいら:「てかそっち警戒してたんだ?意外」
純恋・バレンタイン:「裏切りはな~」
石黒せいら:「せーらがチクるかもって思ってんのかと思った」
純恋・バレンタイン:「ハハハハハ」
純恋・バレンタイン:ゴロンと転がってせいらの膝に頭を乗せる
純恋・バレンタイン:「そういう事するかもしれないけど」
純恋・バレンタイン:「面白そうなうちはやらないでしょ」
石黒せいら:「重……」ぼやきながら髪を梳く。
純恋・バレンタイン:「やるなら一番嫌なタイミングで裏切るだろ君は」
石黒せいら:「あははっ」
純恋・バレンタイン:「変なタイミングで変な事されるのが嫌なんだよ、僕は」
石黒せいら:「まあ今やっても証拠ないしな~」
石黒せいら:「別にやらないけど」
純恋・バレンタイン:「そっか~」
純恋・バレンタイン:「それはそれで面白いと思うけど」
純恋・バレンタイン:「たださ、まあ保険だよ。緑ちゃんを信用しておきたいじゃない?」
純恋・バレンタイン:「その辺りで手ェ貸してくれないか?」
石黒せいら:「だから探っておくってことね。2人で」
純恋・バレンタイン:「そ~」
石黒せいら:「ま……そんくらいはいーよ」
純恋・バレンタイン:「おっけ~」
石黒せいら:「許してやる……てか重いんだけど!」
石黒せいら:「どけって!」
純恋・バレンタイン:「あいあい」
純恋・バレンタイン:柔軟な下半身で一気に飛び上がって立つ
純恋・バレンタイン:ついでに髪の毛の匂いを嗅ぐ。
純恋・バレンタイン:「その香水、新しいヤツ?」
GM:純恋さんは行動が可能です。
純恋・バレンタイン:日下部緑の『秘密』 《情報:噂話》難易度10
純恋・バレンタイン:を探ります
GM:OK 判定どうぞ!
純恋・バレンタイン:コネ:情報収集チーム カスタムサヴィを使用 ダイス+1 達成値+1
純恋・バレンタイン:2dx+1>=10
DoubleCross : (2DX10+1>=10) → 8[5,8]+1 → 9 → 失敗
純恋・バレンタイン:タスケテせらえもん
石黒せいら:しょうがないな~バレ太くんは
石黒せいら:《夢の雫》~
石黒せいら:達成値を+14。
純恋・バレンタイン:イエーイ
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を3増加(53 → 56)
GM:では純恋さんに日下部の秘密をお渡しします
純恋・バレンタイン:フゥン
純恋・バレンタイン:せいらさんにも共有します
石黒せいら:みたい~
石黒せいら:わーい
GM:OKです
GM:お渡ししました。
石黒せいら:ほ~ん
石黒せいら:みました
純恋・バレンタイン:なるほどなるほど~
GM:ソピステスでの入浴は、週に3回、大浴場と決められている。
GM:入浴時間は厳密に決められており、それほどゆっくり出来るものでもないが、汗を流すには十分だ。
日下部緑:「はぁ……」
日下部緑:シャワーを浴びながら嘆息する。何か運動でもしていたらしい健康的な体つき。普段二つ結びの黒髪は下ろしている。
日下部緑:「お風呂くらい毎日入らせてくれてもいいと思いませんか?」
織世明日姫:「そ」
織世明日姫:「ソウダネ……」
織世明日姫:星々のささやきのような平生の美声は、どこかぎこちなく震えている。
籠羽ゆりは:「まったくだよ~」
籠羽ゆりは:既に浴槽に浸かり、ぐ~っと両腕を伸ばしてリラックス。
織世明日姫:一糸まとわぬ裸身を伝う水滴は、腕や身体の捻りでしきりに隠そうとする谷間へと吸い込まれている。
織世明日姫:「…………」
織世明日姫:視線は、壁とゆりはとをせわしなく行き来していた。
籠羽ゆりは:淡く光を弾くような白銀の髪がふわりと肩に垂れ落ちている。
籠羽ゆりは:「ん~?どしたの明日姫ちゃん」
籠羽ゆりは:「せっかく足を伸ばして湯舟に浸かれるんだから、今のうちに堪能しとかないと~」
織世明日姫:「なっ」 ぎくりと肩が跳ね。「ナンデモナイ、よ……?」
織世明日姫:「う、うん。そうだよね、うん……」
籠羽ゆりは:不思議そうにのぞき込む。丸みを帯びたふくよかな胸が、ふるんと柔らに揺れる。
織世明日姫:おずおずと湯船に身を浸す。少しだけ距離を離して浸かろうとしていたが。
織世明日姫:「~~っ……!」 覗き込まれた瞳に。揺れる身体に。挽き込まれそうな意識を強いて振り払う。
日下部緑:「確かに、今日はいつもより様子がおかしいような……」
日下部緑:「大丈夫?風邪でも引いた?」
日下部緑:首を傾げる。女性の視線を気にしておらず、マナーで局所程度は辛うじて隠している。
織世明日姫:「ぜ、ぜんぜん! 元気だよ、緑ちゃ……」
籠羽ゆりは:ぴと、と。明日姫ちゃんの額に掌を当てて。
籠羽ゆりは:「むー……」
織世明日姫:視線の逃げ先として吸い込まれた、緑の。今までは全く意識していなかったはずの裸身にすら、どこか揺れ動く心があるようで。
織世明日姫:「ひゃっ……!」
籠羽ゆりは:「あったまってる最中だから、高熱なのかどうか全然わからないな……」
籠羽ゆりは:「でも、大丈夫そうならよかった☆」自然体のまま、いつも通り朗らかに笑う。
織世明日姫:「っ……」
織世明日姫:「ゆ……ゆりはちゃん、さ」
籠羽ゆりは:「うん?」
織世明日姫:湯の中に肩まで浸かり、身を縮めている。「……気にしてない、の?」
籠羽ゆりは:「え~?あー。あ~……」
籠羽ゆりは:「そっか、この前」
日下部緑:「?」きょとんとして
日下部緑:「二人、何かあったの?」
籠羽ゆりは:「明日姫ちゃんに色々と相談に乗ってもらったんだ。せいらとのことで」
織世明日姫:「ゆ、ゆりはちゃ……」 あけすけに言うのでは、と止めようとした言葉だったが。
織世明日姫:「……そ、そう。そうなの……!」
織世明日姫:ほっと胸を撫で下ろしながら、曖昧な笑みを付け足す。
日下部緑:「へえ、そうなんだ……」
日下部緑:「……? それでなんで挙動不審になるの?」
織世明日姫:「い、いやあ……えっと……」
籠羽ゆりは:「え~。ひょっとして、シちゃったこと気にしてるの?」
織世明日姫:「あたしの方も、恥ずかしいところ……じゃなくて、話、しちゃって……」 再びはぐらかそうとしたが、既に遅く。
織世明日姫:「…………もお~っ……!」
織世明日姫:「一回は、止めてくれたと思ったのに……!」
日下部緑:「しちゃったって…… ……何を?」
籠羽ゆりは:「あっはは。せいらのバカの気持ちがちょっと分かった気がする~」
織世明日姫:「最悪だよっ……!」
籠羽ゆりは:くすくす、と喉を鳴らすように笑いながら。
織世明日姫:「何って、えっち……」
織世明日姫:「……あっ」
日下部緑:「え!?!?!?」浴場に響く大声
日下部緑:「えっちしたの!?!?!?」
籠羽ゆりは:「うわぁお☆」両耳をふさぐ。
織世明日姫:「緑ちゃっ……! こえ、おっき……!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「何だあやつらは……」離れた場所で辟易している
ジギタリス:「へぇ……」メモ
日下部緑:「ごっごめん……!だ、だ……だって……!」
籠羽ゆりは:「そーだよ。関係性で不安に陥ってる私の相談に、真摯に応えてたっくさん励ましてくれてさ」
織世明日姫:「もおおぉ……!」 最終的には自爆だったが、顔を真っ赤にして膨れている。
日下部緑:顔を真っ赤にして二人の顔を見比べる。
籠羽ゆりは:「そのまま、慰めて貰っちゃたんだ……」
日下部緑:丁度二人とも全裸のせいで、ありありとその様子を想像できてしまって。
日下部緑:「え、え、えぇえ……!」
日下部緑:「だ、だって……」かぶりを振って
織世明日姫:「あ、あたし……! あの時は、ちょっとヘンだったっていうか」
日下部緑:「明日姫ちゃん……彼氏いるんじゃないの……!?」
織世明日姫:「なんか、ヘンな気分でっ。それに、そう」
織世明日姫:「カズくんもいるのに……! あ、あんなこと、しちゃって」
織世明日姫:「ゆ、ゆりはちゃんだって、そうでしょ?」
籠羽ゆりは:「え~。だって、あのせいらだよ?」
織世明日姫:「せーらさんのこと、相談してて。好きなひといるのに……あんな」
籠羽ゆりは:「監獄でのQOLを上げるためとか、情報だとか仕事のために平気で他の女と寝て」
籠羽ゆりは:「それを明日姫ちゃんみたいな純粋一途な子に誇っちゃうようなヤツだよ?」
織世明日姫:「…………」
籠羽ゆりは:「人数比で行ったら誤差だよ誤差」
日下部緑:「ひ、比率の問題なの……?」
織世明日姫:「あたしは、そうじゃないと思う……」
織世明日姫:「ゆりはちゃん、言ってたよね。せーらさんの好きがわからないって」
織世明日姫:「だからって、ゆりはちゃんまで、自分の好きを曖昧にしちゃったら……」
織世明日姫:「本当に、なにもわかんなくなっちゃわない、かな……?」
籠羽ゆりは:「……ん~」
籠羽ゆりは:「そうかも、ね」視線を俯かせ、浴槽の水面をくるくると指で回して。
籠羽ゆりは:「あの時も言ったけど。私、自分のことがよく分かってなくてさ」
籠羽ゆりは:「せいらのホントの気持ちは知りたいけど、私の境遇と彼女の境遇は多分、全然違うもので」
籠羽ゆりは:「"セックスするしないが好きの基準かどうか分からない"って言いきった女の本心なんて」
籠羽ゆりは:「生半可なやり方じゃ辿り着けないような気がしちゃったんだよね」
織世明日姫:「……じゃあ、どうだった?」
織世明日姫:「あたしと、シてみて……どうだったの?」
籠羽ゆりは:「……正直に言うとさ」
籠羽ゆりは:「明日姫ちゃん、初めてなのにスッゴいなって思っちゃった……」両掌で顔を隠す。
織世明日姫:「っ…………!!」
織世明日姫:「そっ、そういう感想を聞いたんじゃなくってえ……!」 これ以上ないくらい、顔を真っ赤にしている。
日下部緑:(す……すごい話してる……)ほぼ湯船に埋まっている
籠羽ゆりは:「明日姫ちゃんの"応援"はさ。清涼さと淫靡さが混じり合ってるような声色で、その、めっちゃ蠱惑的でさ」
籠羽ゆりは:「手探りだけど献身的な愛撫と一緒に、耳元で囁かれるだけでぞくぞくして、お腹がきゅうっとしちゃった☆」
日下部緑:「……」思わず明日姫の顔を見る。
籠羽ゆりは:頬を赤らめたまま、蕩けたような瞳で明日姫の指に視線を送る。
織世明日姫:「~~~~っっ」 真っ赤な顔で、見たことないくらいに眉を吊り上げ、ぷるぷると震えている。
織世明日姫:「……ばかっ! ばかばかばかっ!」
籠羽ゆりは:「……ごめんね」
籠羽ゆりは:「バカな私を慰めるために、気を使ってもらっちゃって」
織世明日姫:子どもじみた罵倒の言葉すらも、彼女が持つ天使の囁き声にかかれば、煽情を煽るような響きがあり。
織世明日姫:「っ……」
日下部緑:(……本当に……え……エッチしたんだ……この二人……)ありありとその様を脳裏に描いてしまい。
籠羽ゆりは:「明日姫ちゃんが嫌だったら、犬に噛まれたと思って忘れていいし」
籠羽ゆりは:「でも。貴方の"応援"は素敵で、い~っぱい励まされちゃったことだけ覚えておいて」
日下部緑:(女同士で……そんな……)
日下部緑:(こ……これからどんな顔で話したらいいの……?)
織世明日姫:「……ないじゃん」
織世明日姫:「忘れられるわけ、ないじゃん……だから」
織世明日姫:「こんなんなってんじゃん……」
織世明日姫:「……ん」 最後の言葉にだけは、あの時のように小さくこくりと頷いて。
籠羽ゆりは:そんな、照れ屋で純粋で、生真面目で愛らしい彼女の頭をそっと撫でる。
籠羽ゆりは:「──やっぱ。ボンクラ彼氏には勿体ないなぁ」
GM:それでは次のシーンです
GM:サイクル2 シーン2
GM:シーンPCは織世さんです。
織世明日姫:はーい
織世明日姫:とりあえずダイス振ってから考えます
織世明日姫:3dx>=8
DoubleCross : (3DX10>=8) → 8[1,6,8] → 8 → 成功
織世明日姫:ふむ
GM:謎に成功しましたね
織世明日姫:いやーー悩む これ どうしようかな
織世明日姫:秘密を抜きたいのと、お話がしたいので、せーらさんお願いできますか?
石黒せいら:は~い
GM:行動とロールの内容はお決まりですか?
織世明日姫:お話内容的にはゆりはちゃんのお話をしたい気持ちで、秘密は純恋さんのが抜きたいんですけど
織世明日姫:どうすれば摺り合うかな~これ
石黒せいら:あとでしれっとやっちゃう?
織世明日姫:うーんそれもあり
織世明日姫:そうしますか
織世明日姫:話してるうちにそういう流れになるかも知らんし……
GM:それではシーンを開始しましょう
織世明日姫:大浴場を出て。火照った顔と頭を冷ますために、当て所なく散歩をしていた。
織世明日姫:ほう、と息を吐く。未だ冷めぬ熱の塊が、夕の闇に溶けていく。
石黒せいら:「明日姫ちゃんじゃん」横合い。少し上から覗き込む顔。
織世明日姫:びくり、と身を竦ませて。「……せーら、さん?」
石黒せいら:「ふふ。取って喰ったりしないよ~」
織世明日姫:「い、いえ、そんな……」 取って、喰う。そんな言葉にすら、今の明日姫は別の意味を見出してしまいそうで。
織世明日姫:「………‥うぅ」
石黒せいら:「何何。悩み事?」
石黒せいら:「脱獄の方法以外だったら相談乗れるよ」
織世明日姫:「相談……」
織世明日姫:「じゃあ、あの……いいですか? 相談」
石黒せいら:「うん……あ~、そうだね」
石黒せいら:「こっちソファあるよ」手を引いて、そちらへ招いて。
石黒せいら:すとん、と座らせて。隣に座る。「どした?」
織世明日姫:ソファに背までは預けず。握った拳を膝の上に置いて、緊張した様子のまま。
織世明日姫:「……前に、言ってましたよね。好き合ったから、セッ……」 えふ、と一度つっかえ。「……クス。するわけじゃないって」
石黒せいら:「うん。言ったねえ」
織世明日姫:「あたしも、いろいろと考えることがあって。……せっくすが、浮気に入るかも人それぞれ……とか」
石黒せいら:「……明日姫ちゃん」
石黒せいら:「童貞捨てた?」
織世明日姫:「けふっ!」
石黒せいら:「図星か」
織世明日姫:げほげほとえづく。そうして漏れる声すらも、やはり独特の艶めかしさを抱いて。
織世明日姫:「……えっと、ですね」
織世明日姫:「相談……は半分で。もう半分は、謝罪……といいますか」
石黒せいら:「謝罪?いいよいいよ。せーらの手ほどき拒否っといてってことでしょ?」
石黒せいら:「別に覚えなきゃダメって話じゃないもん」
織世明日姫:「それもですし。その……シちゃったのが」
織世明日姫:「ゆりはちゃんで……」
石黒せいら:「えっ」
石黒せいら:「マジ……?」
織世明日姫:「で、でもですね! ゆりはちゃんも、すっごく悩んでいて……!」
織世明日姫:「せーらさんのことが嫌いになっちゃったとか、そういうことじゃないんです! それだけは、わかってほしくて……!」
石黒せいら:「ゆりから誘ったってこと?」
織世明日姫:「え~~っと……」 目を逸らし。
石黒せいら:じとー。と見つめる。
織世明日姫:「……ゆりはちゃんと、シャワー浴びようってなって。その時に、なんか……あの」
織世明日姫:「ステッカーがぁ……」 しどろもどろな弁明。
石黒せいら:「ふうん……ゆりと明日姫ちゃんがね……」
石黒せいら:「何?それでせーらにマウント取りに来たの?」
石黒せいら:「お前の女抱いてやったぞって?」
織世明日姫:「ち、ちがいますっ!」
織世明日姫:「……ゆりはちゃん、言ってたんです。せーらさんの『好き』がわからない、って」
織世明日姫:「せーらさんは……浮気とか、たくさんしてるって。好きじゃないひととでも、そういうことするじゃないですか」
織世明日姫:「それ自体は、もういいとしても。……せーらさんは、ゆりはちゃんのことを本当は、どう思ってるのか」
織世明日姫:「あたし、知りたいんです。ゆりはちゃんのこと、応援するって言ったから」
石黒せいら:「……」
織世明日姫:自分の心が、かつてなく揺れている自覚はある。それでも、あの時言った気持ちに、嘘はないから。
石黒せいら:「セックスがせーらの一番好きの形じゃない。それは本当」
石黒せいら:「でも……」
石黒せいら:「結局ゆりはせーらとセックスしたいんでしょ」
石黒せいら:「じゃあ……好きの形は一緒じゃないじゃん」
織世明日姫:「それは……だって」
織世明日姫:「好きなひとと、そういうことがしたいって。ゆりはちゃんの気持ちは……少なくとも」
織世明日姫:「あたしは、そう思うもん……!」
石黒せいら:「好きでもない女とヤッておいて?」
石黒せいら:「随分と都合の良い考えじゃない?それ」
織世明日姫:「そ、それは……!」 反論はあるが、せーらの発言の方が正論ではある。
織世明日姫:「…………じゃあ、せーらさんは」
織世明日姫:「せーらさんにとっての、一番の好きの形って」
織世明日姫:「なんなんですか……?」
石黒せいら:「……それは……」
織世明日姫:今度はこちらが、じっとりと見つめている。
石黒せいら:「……一緒にいること」
石黒せいら:「……それだけ」
織世明日姫:「…………」
織世明日姫:「かわいい……」 思わずぽろりと零れた。
石黒せいら:「はあっ!?」
石黒せいら:「バカにした!?」
織世明日姫:「じ、じゃなくて! すっごい、かわい……えっと、素敵だなって……!」
織世明日姫:「わかりますよ、あたしも! 何でもない日に、ソファでだらっと座ってるだけ、とか……」
織世明日姫:「特別なことなんてなくても、ただ一緒にいるだけで満たされたり、みたいな」
石黒せいら:「……」
石黒せいら:「……なんだ」
石黒せいら:「一緒なんじゃん……」
織世明日姫:「せーらさん……それ、ゆりはちゃんにも伝えませんか?」
石黒せいら:「……聞いてくれるかな」
織世明日姫:「くれますよ。ゆりはちゃん、せーらさんのこと大好きですから」
石黒せいら:「……そう?」ソファに深く身を沈めて。
石黒せいら:「現役でラブラブの子が言うと説得力があるねえ」
織世明日姫:「えへへ……でも、ふたりがちゃんとラブラブになっちゃったら」
織世明日姫:「お部屋の中、ちょっといづらくなっちゃうかも」 冗談めかして笑ってみせて。
石黒せいら:「ふふ。じゃあせーらともセックスしとく?」
石黒せいら:「こんなもんか~ってなるかもよ」
織世明日姫:「え、ええ……!?」
織世明日姫:「さ、さすがにそれは、ちょっと……」
石黒せいら:「あはは!」後ろ手に回した髪を撫でながら。「冗談だよ~」
石黒せいら:「でも明日姫ちゃんと仲いいままがいいのはホント」
石黒せいら:「居づらいな~って空気出されたら泣くよせーら」
織世明日姫:「あははっ。そしたら、みんなでイジって紛らわせようかな」
織世明日姫:「緑ちゃんは、恋人に憧れてる感じだったから……もっと騒がしくなっちゃいそう」
石黒せいら:「でも女同士なんて不潔なんじゃないの?」
石黒せいら:「緑ちゃん、清純ぶってるし」
織世明日姫:「ぶってるって……嫌な言い方しちゃダメですよ」
石黒せいら:「あはは、そうだねえ」
石黒せいら:「でも明日姫ちゃんはぶってたよね?」
石黒せいら:「女同士とかありえないみたいな顔してさ~……」
織世明日姫:「うっ……」
石黒せいら:「ゆりに抱かれて気持ちよくなっちゃったんでしょ?」
石黒せいら:「浮気者~」
織世明日姫:「き、気持ちよくなんかっ……!」
織世明日姫:「……のーこめんと、で」
石黒せいら:「言ってるじゃんそれ」
織世明日姫:「だって……も、もう! この話は、おしまいです!」
石黒せいら:「ふふ。は~い」
石黒せいら:「カズくんには愛してもらえるといいね?」
石黒せいら:「あ、それか男にも使えるやつ教えてあげようか?」
石黒せいら:「お尻とか」
織世明日姫:「えっ、そんなやつも……おしり!?」
織世明日姫:「ヤだなあ。帰ったときに、変なことばっか覚えてたら……誤解されちゃうかも」
石黒せいら:「誤解じゃないでしょ~?」
織世明日姫:「…………」
織世明日姫:「え、えっちが浮気に入るかは、人それぞれ……らしいので」
織世明日姫:「けーすばいけーす……で、今回は、のーかん……」
織世明日姫:「……無理かなあ」
石黒せいら:「悪い子になっちゃったなあ……いや」
石黒せいら:「元から犯罪者のクズだったわ」
織世明日姫:今度は、観念したように苦笑して。「……ですね」
石黒せいら:「ようやく認めた。考えてもみなよ」
石黒せいら:「周りだってみんなそうだよ。例えばあいつだって、少し掘ってみれば……」
石黒せいら:「……お尻じゃなくね」
織世明日姫:この流れで純恋さんの秘密を調べます
GM:OKです 判定どうぞ!
織世明日姫:3dx>=12
DoubleCross : (3DX10>=12) → 6[2,2,6] → 6 → 失敗
石黒せいら:しょうがないな~
織世明日姫:せらリーニョ!
石黒せいら:《夢の雫》!やり方を教えました 達成値を+14してね
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を3増加(56 → 59)
織世明日姫:わあい 20です
GM:こいつ……無敵か
純恋・バレンタイン:ウワー、僕の秘密が
GM:では織世さんに純恋さんの秘密をお渡しします
織世明日姫:どきどき
GM:お渡ししました
石黒せいら:せーらにもちょうだい~
GM:秘密を譲渡しますか?
織世明日姫:マスター、彼女にも同じものを
GM:OKです
石黒せいら:わ~い
GM:お渡ししました
石黒せいら:見!
GM:エルヴァリヤの独居房。
GM:独房に収容される囚人は、当人の凶暴性や危険性以外にも、他の囚人から保護している意味合いもあり、本来であれば別室の囚人の入室は許可されないのだが
GM:本人の招待ならば別だ。最近、彼女が比較的扱いがゆるい区画に移動してきたのもある。
GM:エルヴァリヤの部屋は雑居房よりも随分と狭く、そのこじんまりとした室内には沢山の書籍や筆記用具の類が並んでいた。
GM:書籍は海外のものが多く、図面や建築関係といった専門的なものと、絵本のような児童向けのものが入り混じっている。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……わざわざわたくしの部屋に来なくともよいでしょうに」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:普段人を招くことが無いのか、何となく居心地悪そうにしている。
純恋・バレンタイン:「一度見て見たかったんだ、独居房」
籠羽ゆりは:「右に同じっす。気になるじゃないですか独居房」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「見ての通りです。さして面白いものでもないでしょう」
籠羽ゆりは:恒例行事。さっそく、ペタペタと机の柱に王冠ステッカーを張り付けている。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「あっ、こら!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:ぺしんとゆりはの手をはたく
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「領土侵犯ですよ!」
籠羽ゆりは:「あだっ!?」
純恋・バレンタイン:「個室、よりはしっかりしてるね」
籠羽ゆりは:「も~っ。よくぽんぽんと王族っぽいワードで突っ込みできるなぁ」
純恋・バレンタイン:「懲罰房っていうより単純に隔離用か」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「全く……油断も隙もありませんわ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:ぷりぷりと怒っている。机の上には彼女が書いた無数の文章。暗号化された脱獄の計画書のようだ。
籠羽ゆりは:「でも。一人用と考えれば雑居房よりもずっと過ごしやすそうっすねぇ~」
純恋・バレンタイン:専門書籍は読めそうになく、顔をしかめるが。
籠羽ゆりは:机の計画書を1枚手に取り、眺めつつ。
純恋・バレンタイン:「あ、この絵本懐かしいね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……そうですか? わたくしからすれば、お前達が羨ましいですよ」
籠羽ゆりは:「そうなの?」
籠羽ゆりは:「あーっ、ひょっとして一人だと寂しいんですかぁエル様っ☆」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「あ、勝手に読まないでください!」『スイミー』をひったくる。
籠羽ゆりは:「それなら、私達の部屋に遊びに来てくれてもいいんですよ?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「それは……そうですよ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:僅かに目を伏せる。
籠羽ゆりは:「……ほむ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくし、今までどこの刑務所でも、独房以外で過ごしたことがありませんでしたから」
純恋・バレンタイン:「なんで?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「それは……。……当然、わたくしは王族ですから」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「雑居房に入れられたのは、この監獄が初めてだったんです。すごくにぎやかで、楽しかった気がするのに……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「今は、誰と同室だったのかも思い出せないのです」
籠羽ゆりは:「あー……」
純恋・バレンタイン:「ふぅん」
純恋・バレンタイン:スイミーの表紙を眺める
籠羽ゆりは:「確かに、脱獄の計画を複数人で練られるのを嫌って……てのはありそうだもんね」
純恋・バレンタイン:「友達が居たかも、しれないもんね」
純恋・バレンタイン:「一緒に計画を練るくらいには親密、目的が同じなら」
純恋・バレンタイン:「仲は良かったかもしれない」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ええ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:本棚に並ぶ背表紙を撫でて。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「初めて出来た友人だったかもしれないのに……忘れてしまった」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「薄情者ですね、わたくしは」
籠羽ゆりは:「違うでしょっ☆」
籠羽ゆりは:むにっ、と。彼女の幼くももちっとした柔らかいほっぺをつねる。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「むぎゅっ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「にゃ……にゃにを……」
籠羽ゆりは:「悪いのは、貴方の記憶を奪った奴ら」
純恋・バレンタイン:「忘れさせられたんだよ」
籠羽ゆりは:「罪状が何であれ、どんな刑罰を受けるのであれ」
籠羽ゆりは:「かけがえのない"楽しかった"まで奪われるのは、領域侵犯にもほどがあると思うよ、私」
籠羽ゆりは:頬を膨らませて。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」ゆりはをじっと見て「ですが……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「脱獄を成功に導けなかったのは……やはり、わたくしの責任ですから」
純恋・バレンタイン:「そうなのかい?」
純恋・バレンタイン:「成功した後に捕まったのかもしれないじゃないか」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:白い指先が滑るように本棚から『星の王子さま』を取り出し、その表紙に目をやる。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そうだとしても……いえ、どうあったとしても」
純恋・バレンタイン:「もしかしたら、君の友達は外で自由になっているかもしれない」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「彼女らがわたくしの計画を信じて、運命を委ねてくれたのは紛れもない事実ですから」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「完璧な成功に導けなかったなら……それはやはり、わたくしの裏切りなのです」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そして今……もしかしたら、わたくしはまた同じ過ちを繰り返そうとしてるのかもしれません」
籠羽ゆりは:「真面目すぎるよっ!!」
籠羽ゆりは:「どーして計画実行の初期段階から失敗したときのことばっか考えてんの~~」
純恋・バレンタイン:「しかも同じって事はないだろ」
純恋・バレンタイン:「前回に僕たちは居なかったんだからさ」
籠羽ゆりは:「それに、今度は私達が友達なんだからさ」
籠羽ゆりは:「エル様や皆に忘れられたくないから。脱獄で自分にできることは精一杯頑張るつもり」
籠羽ゆりは:「じゃあ、貴方はどう?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくし……?」
籠羽ゆりは:「そ。私達のこと、実はめんどくさいって思ってるなら計画だって」
籠羽ゆりは:「ふっつ~に失敗しちゃうだろうけどさ」
籠羽ゆりは:「これから、私達とたっくさん楽しいことして」
籠羽ゆりは:「今までとは比べ物にならないほど、固い絆で結ばれた友達になっちゃえば」
純恋・バレンタイン:「そうそう」
籠羽ゆりは:「初めての脱獄、完・全・成・功!!にできちゃうかもよっ☆」満面の笑みでVピース。
純恋・バレンタイン:「だから今から手始めにってワケさ」
純恋・バレンタイン:ポケットからトランプを取り出す。
純恋・バレンタイン:「じゃ~ん」
籠羽ゆりは:「いぇ~い!!」パチパチとパイセンに拍手。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「友達……」ピースとトランプを前に、目を瞬いて
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……良いのですか?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしは……お前達とは違う世界の住人……王族だというのに……」
純恋・バレンタイン:「ぷはッ」《かしずく歯車》で美しくシャッフルしながら
純恋・バレンタイン:「良いんじゃない?」
純恋・バレンタイン:「下々の者と交流するくらいの度量があってこその王族だろ?」
籠羽ゆりは:「出たっ!!パイセンの超精密ショットガンシャッフル!!精密すぎてカードを傷めない!!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……。……そうですね……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:俯きがちだった顔に、小さな微笑を見せて。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……お見苦しいところを見せましたね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「王族は下々の民を導かねばならないというのに……逆に諭されてしまうとは」
籠羽ゆりは:「よーっし!じゃあ、ババ抜きやりましょ!ババ抜き!」
籠羽ゆりは:「負けた人は、顔にステッカー1枚の罰ゲームで!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「よいでしょう。……何なのですか?そのステッカーは」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「罰になるものなのですか?」
純恋・バレンタイン:「どんだけ出てくるの?ソレ」
籠羽ゆりは:「ん~?じゃあ、ちゃーんと恥ずかしいタイプの罰ゲームにしときます?」
籠羽ゆりは:両手の指を同時に弾く。ポップテイストな大量のステッカーが手品めいて床へどさっと落ちる。
純恋・バレンタイン:「お~?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ひゃっ……」
籠羽ゆりは:「パイセンの"特別"が馬鹿力なように、これが私の"特別"な能力っす」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「成程。これが……」1枚手に取って
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……貼って大丈夫なものなのですか……?」
籠羽ゆりは:「大丈夫だよ~☆ほら、体に優しい素材にしてるから」自分もぺたりと、クローバーのステッカーを頬に。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そ、そうですか。とにかく……負けませんよ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:真剣な表情で手札のトランプを見据え、
籠羽ゆりは:「(けっこう隙だらけだな、この子)」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ところで……ひとつ良いでしょうか」
純恋・バレンタイン:「何?」
籠羽ゆりは:「?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「あの……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ババ抜きとは何でしょうか……?」
純恋・バレンタイン:「なるほど~」
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:「ひょっとして、初回投獄以前の記憶もないの……?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「なっ……ありますよ!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ただ……そのババ抜きというものを知らないだけです!!」
純恋・バレンタイン:「Old Maidだよ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「バカにしないでください!!」
籠羽ゆりは:「マジか~~」
純恋・バレンタイン:「Lose with the Jokerって言ったりもするね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そ……そう言われても」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「トランプというものは知っていますが……」
純恋・バレンタイン:「む、英語圏のババ抜きも知らないか」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「その……実際に遊んだことは……」
籠羽ゆりは:「っていうか、そもそも」
純恋・バレンタイン:「名前がわからないだけかと思った」
籠羽ゆりは:「王国ってどこの国なのかも教えてもらってない気がしてきた」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「っ……」
籠羽ゆりは:「英語が伝わらないって、かなり辺境というか……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「それは……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:気まずそうに目を逸らす
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「い……言えません」
純恋・バレンタイン:「ええ~?」
純恋・バレンタイン:「聞きたいなぁ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ひ……秘密です!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「王族には……下々の者には想像もできない……やんごとなき事情があるのです!」
籠羽ゆりは:「むぅ。まだまだ好感度が低いってことなのかなぁ~」
籠羽ゆりは:「ま、それなら……お話したくなるまで、気長に待っててあげるね☆」
純恋・バレンタイン:「仕方ない、じゃあルールからだね」
純恋・バレンタイン:「ここで交友を深めていこうじゃないか」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:背けていた顔を二人の方に動かして、小さく頷いた。
GM:君達が次に向かったのは、マルヤ・パロヤルヴィという名の囚人のもとだった。
GM:マルヤは模範囚として知られているらしく、君達の誘いにも毅然とした態度を示した。
マルヤ・パロヤルヴィ:「……脱獄?何を馬鹿なことを……」
マルヤ・パロヤルヴィ:「我々は囚人だ。犯した罪を償い、清い体となって初めて懲役の意味があるというものだ」
マルヤ・パロヤルヴィ:「君達も今の内によく考えたほうがいいぞ。自分の犯した罪を認め、今後の身の振り方を決めるんだな」
マルヤ・パロヤルヴィ:「帰ってくれ。看守に密告しないだけ、ありがたいと思ってほしいな」
織世明日姫:「で、でも……! あたしたち、はやく出なきゃいけない事情があるんです」
織世明日姫:「何十年もこんなところ、いられない……」
籠羽ゆりは:「うっへ~。いるんだなぁ、こんな監獄にも委員長タイプ……」
石黒せいら:「こんなんほっとけばよくない?他で代わりになるのくらい見つかるでしょ」
日下部緑:「う~ん、でもこの人の言う事にも一理……はっ……いけないいけない」
籠羽ゆりは:「割とせいらに賛成だけど……でも、エル様のご指名だし……」
純恋・バレンタイン:「じゃあやめるのかい?脱獄」
石黒せいら:「緑ちゃんが一理あるのはおかしくない?」
石黒せいら:「冤罪なら償うものゼロじゃん」
日下部緑:「そ……そうですよ!他の人たちはともかく……私は無実なんです!何とかなりませんか!?」
石黒せいら:「緑ちゃんっていい性格してるよねえ」
籠羽ゆりは:「ひどぉい☆緑ちゃん、私達は一蓮托生じゃなかったの~?」
マルヤ・パロヤルヴィ:「冤罪?それは気の毒に思うが……かと言って協力するわけにはいかないな」
マルヤ・パロヤルヴィ:「とにかく帰ってくれ。それではな」
GM:というわけで、取り付く島もなかった。
GM:君達は一度出直し、作戦を練り直すこととした。
GM:というわけで、まずはマルヤの情報を調べる必要があります。
GM:任意の《情報》難易度9で、マルヤについて調べることが出来ます。
織世明日姫:(2+1)dx+1>=9 <情報:裏社会>
DoubleCross : (3DX10+1>=9) → 10[4,5,10]+6[6]+1 → 17 → 成功
石黒せいら:つよ
GM:成功!
籠羽ゆりは:わぁお
石黒せいら:メロついてるのか~?
織世明日姫:全知全能
純恋・バレンタイン:つよ~
GM:では開示します。
マルヤ・パロヤルヴィについて
過去に女性問題で収監されたらしい。女に弱い。
純恋・バレンタイン:ww
籠羽ゆりは:草
石黒せいら:犯罪者じゃん
織世明日姫:あたしが開けたくなかったかも
純恋・バレンタイン:ド直球レズ
石黒せいら:なんでわかったんだろうね
GM:というわけで、《篭絡に使えそうな技能》難易度10で篭絡することが出来ます。
石黒せいら:そんなはしたない技能をお持ちの人がいるのかしら
織世明日姫:う~ん ないかも
籠羽ゆりは:技能ではないかなぁ……
純恋・バレンタイン:ないな
純恋・バレンタイン:力ずくで押し倒してやっちゃうか
石黒せいら:知識:人体くらいしか……
織世明日姫:あえていうならこれか……? <知識:奉仕>
GM:《知識:奉仕》認めましょう
籠羽ゆりは:ファンにさせればいいんですよね?
籠羽ゆりは:《芸術:配信》通りませんか……?
純恋・バレンタイン:一緒にカラオケ行って距離縮めるのは?
純恋・バレンタイン:芸術:カラオケ
GM:《芸術:配信》認めましょう
GM:カラオケはどうかなあ……
籠羽ゆりは:マジか
純恋・バレンタイン:ダメならしょうがないね
織世明日姫:《ビューティフルボイス》があるとなにかボーナスあったりしますか?
GM:+2差し上げましょう
籠羽ゆりは:《快楽の香気》《超越的能力》《竹馬の友》《超越的能力》でボーナスくれませんか?
織世明日姫:わ~い
織世明日姫:すご
GM:すごすぎるだろ
GM:+……5かな……
籠羽ゆりは:やった~~
石黒せいら:おとしてるやん
籠羽ゆりは:じゃあ《芸術:配信》で振ってみます
織世明日姫:(2+1)dx+2+2>=10
DoubleCross : (3DX10+4>=10) → 10[2,9,10]+4[4]+4 → 18 → 成功
籠羽ゆりは:7dx+1+5
DoubleCross : (7DX10+6) → 8[2,2,3,4,4,4,8]+6 → 14
籠羽ゆりは:ひっく!!
純恋・バレンタイン:十分だったな
石黒せいら:振るだけ振るか 芸術:媚び+ビューティフルボイスでどうでしょう
GM:媚び認めましょう ボイスは同じく+2で
石黒せいら:1dx+2>=10
DoubleCross : (1DX10+2>=10) → 4[4]+2 → 6 → 失敗
石黒せいら:ダメ
織世明日姫:タイプじゃないのか?
純恋・バレンタイン:振るだけ振るなら交渉かな
石黒せいら:そんな~
純恋・バレンタイン:交渉で振っても良いですか?
GM:いいでしょう
石黒せいら:じゃあ交渉にすればよかったな……w
石黒せいら:6倍振れるじゃん
純恋・バレンタイン:まあ技能ないけど
純恋・バレンタイン:1dx
DoubleCross : (1DX10) → 4[4] → 4
GM:では織世・籠羽のW篭絡が成功しました
籠羽ゆりは:やった~~
GM:というわけで……
マルヤ・パロヤルヴィ:「……また君達か」
マルヤ・パロヤルヴィ:房を訪れた君達を見て眉を顰める。
マルヤ・パロヤルヴィ:「何度来ても同じことだ。私はそんなことには協力できない」
織世明日姫:「そこをなんとか……あっ」
織世明日姫:何かに気づいたように、マルヤへと近づいていく。
織世明日姫:「マルヤさん。もしかして……肩、凝ってたりしませんか?」
マルヤ・パロヤルヴィ:「? 何……?」
マルヤ・パロヤルヴィ:「肩? 別にそんな……」
石黒せいら:「触られることに忌避の少ない肩から攻めていく……やるね明日姫ちゃん」後方で腕組みしている。
織世明日姫:「あたしに任せてくださいっ。こういう、ちょっと得意で……」 するりと背後にまわり、その肩に指をかける。
マルヤ・パロヤルヴィ:「ウッ」
マルヤ・パロヤルヴィ:身体を強張らせて
マルヤ・パロヤルヴィ:「お、おい。そんなこと頼んで……」
織世明日姫:「ぎゅっ……ぎゅっ……」
純恋・バレンタイン:「うーん、もう押し倒した方が早くないか?」座って眺めている
織世明日姫:細い指からほんのりと温もりが広がり、くすぐったいような感触が、頑なな身体へと浸透していく。
マルヤ・パロヤルヴィ:「う……」最初は警戒して緊張していた様子だったが、その感触に徐々に解されていく。
マルヤ・パロヤルヴィ:(こいつ……いきなり密着してこんなことを……おかしいぞ……)
マルヤ・パロヤルヴィ:(まさか……こいつ……)
マルヤ・パロヤルヴィ:(私のことが好きなのか…………!?)
織世明日姫:「……ふふっ。やっぱり、こんなに張ってたんですね」
織世明日姫:「ちゃんと力、抜いてくださいね……?」 耳元には、天使の美声が囁いてくる。
マルヤ・パロヤルヴィ:「あっ……あぁ……そ、そうか……」
石黒せいら:「うん、耳元にも近づきやすい……武器を分かってるね~」
マルヤ・パロヤルヴィ:どぎまぎして再び固くなっている。
籠羽ゆりは:「……も~。言ってる傍から」
籠羽ゆりは:「マッサージなんだから、もっと、リラックスしないと――」
籠羽ゆりは:ぴと。
籠羽ゆりは:マルヤの懐に潜り込み、すべらかな腕を背中にそっと回して、引き寄せる。
マルヤ・パロヤルヴィ:「うっ…………!?」
マルヤ・パロヤルヴィ:「お、おい……!」
籠羽ゆりは:やわらかくて熱を帯びた双丘が押し当てられ、むにゅりと形を変えながら。
マルヤ・パロヤルヴィ:(おっぱいが当たっている!!!!!)
籠羽ゆりは:「……ほぉら。力を抜いて。身を任せて~」熱っぽい吐息に絡んだ声で囁いたかと思うと。
籠羽ゆりは:唇を寄せて耳元へ、ふーっ、と。耳たぶを吐息でくすぐる。
石黒せいら:「ゆりって攻める時あんな感じなんだな~」
マルヤ・パロヤルヴィ:「はひゅ♡だめぇ……♡」
マルヤ・パロヤルヴィ:(い……いや……おかしいぞ……!)
マルヤ・パロヤルヴィ:(こいつら……二人揃ってこんなことを……絶対におかしい……!)
マルヤ・パロヤルヴィ:(普通……何の理由も無くこんなことをするはずがない!)
マルヤ・パロヤルヴィ:(そうか……読めてきたぞ……!!さてはこいつら……!)
マルヤ・パロヤルヴィ:(私のことが好きなんだな…………!?)
純恋・バレンタイン:「意思が弱いのかな?」
籠羽ゆりは:「ねぇ……マルヤさん」
石黒せいら:「よく模範囚できてたよね」
石黒せいら:「恥ずかしくないのかなあ」
籠羽ゆりは:「私達、どうしてもこの牢獄から出ないといけない理由があってさ」
籠羽ゆりは:「そのためには……貴方の力が、ど~しても必要なんだぁ♡」
マルヤ・パロヤルヴィ:「なっ……う……ぐ……」
マルヤ・パロヤルヴィ:「し……しかしだな……」
籠羽ゆりは:掌をマルヤの頬に添わせて、ぺたっとピンク色のクマのステッカーを貼りつける。
織世明日姫:「こんなこと頼めるの……マルヤさんしか、いなくて」
織世明日姫:切実な声音が、熱っぽい吐息を伴って耳の奥から脳髄へと侵食する。
織世明日姫:「……ダメ?」
籠羽ゆりは:「……いいよね?」
籠羽ゆりは:ステッカーからふわりと香る甘い芳香。それだけで、胸の奥がじんわりと熱を帯びていき――
マルヤ・パロヤルヴィ:「うっ……うぅ……♡」
マルヤ・パロヤルヴィ:「し……仕方ないな…………!」
マルヤ・パロヤルヴィ:「今回だけ……特別だぞ……!」
マルヤ・パロヤルヴィ:絞り出すように、形だけ渋々首肯する。
日下部緑:「本当ですか!?やったぁ!」
石黒せいら:「緑ちゃん感謝の証だよ!ハグしに行ってハグ!」
石黒せいら:「ここでは普通の挨拶だよ~」
日下部緑:「はい!ぎゅーっ!」
織世明日姫:「ありがとうございますっ……! ……はあっ」 やり遂げた疲労と共に、どっと羞恥心がわきあがってくる。
マルヤ・パロヤルヴィ:「うっ……!や、やめろぉ……」
籠羽ゆりは:「はぁい!ご視聴ありがとうございました~~☆」一仕事終える直前くらいの営業スマイル。
マルヤ・パロヤルヴィ:(そんな……三人から同時に惚れられるなんて……私はどうなってしまうんだ……!?)
石黒せいら:「明日姫ちゃんやるね~。免許皆伝かな?」
純恋・バレンタイン:「立派なものだ」
織世明日姫:「あ、あはは。こないだのもあって、ちょっと慣れてきたのかな」
GM:というわけで、君達は無事に二人目の協力者を確保することに成功したのだった。
GM:サイクル2 シーン3
GM:シーンPCは籠羽さんです。
籠羽ゆりは:せいらを呼びたいです。
石黒せいら:呼ばれます
GM:OKです 行動とシーンは決まっていますか?
籠羽ゆりは:行動は……
籠羽ゆりは:相手のロール次第で決めたいと思ってます
石黒せいら:なんだと~
籠羽ゆりは:シーンは、刑務作業終わりのタイミングかな……
GM:了解です それではシーンを開始しましょう
籠羽ゆりは:いつもの刑務作業を終えた後の、自由時間に入ろうとする頃合い。
籠羽ゆりは:「……せいら」
籠羽ゆりは:ぽす、と。彼女の背に頭を当てて。プラチナブロンドのポニーテールがふわりと揺れる。
籠羽ゆりは:「お話、したいんだけど」
籠羽ゆりは:「どっか、今の時間二人きりになれるとこ。知ってる?」
石黒せいら:「ん~?」頭を撫でる。「どした?」
石黒せいら:「ん、じゃあ……」
籠羽ゆりは:「…………」撫でられたまま、目を俯かせている。
石黒せいら:刑務作業を終えて戻る波に逆行するように、その手を引く。
石黒せいら:医務室へ。鍵を掛ける。
石黒せいら:「せーらここ担当なんだ。手伝いだけど」
石黒せいら:「この時間は先生休憩だし、誰も居ない」
籠羽ゆりは:「…………」医務室に当然備え付けられている、白シーツのベッドに目を向けてから。
籠羽ゆりは:「うん。ありがと」
籠羽ゆりは:ぽすん、と。柔らかなベッドの縁に腰を落として。
籠羽ゆりは:「どーぞ。こちらへ」
石黒せいら:隣りに座って。「テンション低くない?」
籠羽ゆりは:「そりゃあ……その。話したいことが」
籠羽ゆりは:「謝罪と、お願いだからね」
籠羽ゆりは:「……あれ?明日姫ちゃんから、話聞かなかった?」
石黒せいら:「ああ、明日姫ちゃんとセックスした話?」
石黒せいら:「聞いたよ?」
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:「何でもなさそうだね。浮気カスって煽られるくらいの覚悟できてたのに」
石黒せいら:「いやいや……」
石黒せいら:「どの口がすぎん?それは」
籠羽ゆりは:「ちゃんと自覚あるんだな……」
石黒せいら:「てか別に……」
石黒せいら:「ゆりが誰とセックスしても気にしないよ、せーらは」
籠羽ゆりは:「それは、せいらが誰とでもセックスしてるせいで」
籠羽ゆりは:「咎められるだけの資格がないから……って意味?」
石黒せいら:「誰とでもではないって~……」
石黒せいら:「明日姫ちゃんとか緑ちゃんとかとはしてないよ」
石黒せいら:「ん~。そうじゃなくてさ」
石黒せいら:「他の人とセックスしたって構わないって本当に思ってるの」
石黒せいら:「資格……まあ資格なのかな?そうかも」
籠羽ゆりは:「……はぁ」
籠羽ゆりは:「やっぱりだ。……昔から、おかしいと思ってたんだよ」
籠羽ゆりは:身体を寄せて、顔を寄せて、目と鼻のすぐ傍で視線を合わせる。
籠羽ゆりは:「せいら」
石黒せいら:「うん?」
籠羽ゆりは:「セックスばっかり経験豊富なくせに」
籠羽ゆりは:「恋愛がド下手くそすぎない?」
石黒せいら:「……」
石黒せいら:「……だって」
石黒せいら:「そっちのほうが難しいじゃん」
籠羽ゆりは:「それは……否定しないけど」
籠羽ゆりは:「私みたいな陰キャが恋愛素人なのは、至極当然じゃん」
籠羽ゆりは:「せいらみたいな陽キャが、恋人が他の女と寝ることに対して抱くであろう感情を」
籠羽ゆりは:「何一つ理解してなさそうなのが、不思議でならないの」
石黒せいら:「いや、せーらだって分かるよ。でもそれってさ」
石黒せいら:「セックスすることになの?」
石黒せいら:「他の子に気持ちが移ることにでしょ?」
石黒せいら:「別に、移らないならいいんじゃないの?って思うんだけど」
籠羽ゆりは:「一つの指標にはなるんじゃない?」
籠羽ゆりは:「私が気にしてるのは」
籠羽ゆりは:「気持ちとセックスが全く結びつかないものだと思ってそうな節があるところだよ」
石黒せいら:「……せーらはセックスしたからって好きになるわけじゃないし」
石黒せいら:「そういう子がいるのは分かってるよ。だから使ってきたんだし」
石黒せいら:「せーらはそうじゃないから」
籠羽ゆりは:「……そうじゃ、なさすぎるんだよ」
籠羽ゆりは:「せいらの仕事先ってさ。確か、FHってとこだよね?」
石黒せいら:「うん。"アプサラー"ってセル。セルってわかる?まあ会社?みたいな」
籠羽ゆりは:「せいらは、多分調べ済だと思うけど……訳知り顔な、私のリスナーから聞いた話だとさ」
籠羽ゆりは:「FHセルってのは」
籠羽ゆりは:「欲望のために目標と手段を選ばず、残虐非道はお手の物」
籠羽ゆりは:「大量殺人も、破壊工作も、人体改造も平気でやってのける」
石黒せいら:「そだね。まあそういう感じじゃない?」
石黒せいら:「あ。でもせーらのとこはいっぱい殺したりはしてないかな?」
籠羽ゆりは:「……私はずっと、せいらが女を抱くのが得意だから」
籠羽ゆりは:「そういう、仕事や情報源にしているだと思ってた」
籠羽ゆりは:「本当は、FHにそれを強制されて」
籠羽ゆりは:「仕事や情報源にせざるを得なかったんじゃないか、って」
籠羽ゆりは:「思った、ん、だけど……」
石黒せいら:「……だったら?」
石黒せいら:「だったらゆりにとって、なにか変わるの?」
籠羽ゆりは:「ひどすぎるでしょ!!」
籠羽ゆりは:「せいらになんてことさせてんの。私達、未成年だよ」
籠羽ゆりは:「どんな女でも満足させられて、どんな女からも情報を引き出せるようになるまで」
籠羽ゆりは:「どれだけ仕事させられたらそうなるのよ」
石黒せいら:「”神々の接待役”はそういうのを育てるところだからね」
籠羽ゆりは:ぐっと睫毛を伏せて、震える手を膝の上でぎゅっと握る。
石黒せいら:「修行中の人間を誘惑して堕落させるために、遣わされる天女」
石黒せいら:「”ターラー”はその一柱」
籠羽ゆりは:「…………ほんと、なんだ」
籠羽ゆりは:堰を切ったみたいに溢れ出して、私は、頬に涙を伝わせながら、せいらの手に触れて。
石黒せいら:「……ゆり?」
籠羽ゆりは:「ごめん、なさい」
籠羽ゆりは:「私。自分が辛い思いばっかりの過去だったから」
籠羽ゆりは:「貴方の気持ち、今の今まで、慮れなかった」
石黒せいら:「そこは……せーらも慮れてなかったじゃん」
石黒せいら:「浮気カスらしいし?」
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:「ねぇ、せいら」
籠羽ゆりは:「私、もっと貴方のこと。いっぱい知りたい」
籠羽ゆりは:「バカな私には想像も付かないような、辛いことが沢山あるかもしれないけど。それも、全部」
石黒せいら:「その結果、ゆりが傷つくことになっても?」
籠羽ゆりは:「…………もう」
籠羽ゆりは:「当たり前でしょ?」
籠羽ゆりは:「"普通の恋人"ってさ。お互いの背負ってるものを"一緒に傍で"支えることだと思うから」
籠羽ゆりは:「料理食べたり、映画見たり、どうでもいい話とかしたり、手とか繋いだり」
籠羽ゆりは:「たまにはお出かけして、服とか雑貨とか、見に行くみたいな」
籠羽ゆりは:「そういうことしながら。一緒に、歩きたいな」
石黒せいら:「……うん」小さく。
石黒せいら:だが確かに、そう頷いた。
籠羽ゆりは:――ぽろぽろ、ぽろぽろ。
籠羽ゆりは:小さな子供みたいに、堰が切れたように。
籠羽ゆりは:溢れんばかりに涙をこぼしながら、貴方を抱きしめた。
GM:籠羽さんは行動が可能です。
籠羽ゆりは:>石黒せいらの『秘密』 《情報:噂話》難易度12
籠羽ゆりは:マイナー《オリジン:サイバー》使用、侵蝕56になって【社会】達成値+10
籠羽ゆりは:何もなければ、振ります。
石黒せいら:妨害しません。
籠羽ゆりは:…………振ります。
籠羽ゆりは:3dx+11
DoubleCross : (3DX10+11) → 8[3,5,8]+11 → 19
GM:では籠羽さんに石黒さんの秘密をお渡しします。
石黒せいら:はわわ……
GM:お渡ししました。
籠羽ゆりは:全ての理解を得ました。
GM:刑務所の中庭に当たる、野外活動場。
GM:ここでは囚人の運動不足を防ぐため、定期的に軽い運動が催される。今はキャッチボールが行われていた。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わっ……ど、どこに投げているのですか!」
日下部緑:「ごっ、ごめ~~ん!」
織世明日姫:「あはは。難しいよねぇ」
純恋・バレンタイン:「ま、体を動かすというのには得手不得手があるものさ」
織世明日姫:「んっ……えいっ!」 大振りのムーブでふんわりとした球を投げる。
純恋・バレンタイン:「よっと」
純恋・バレンタイン:やや高めの位置を難なくキャッチ。
織世明日姫:「な、ないすきゃっち!」
純恋・バレンタイン:指先でボールをクルクルと回転させる。
織世明日姫:「えてふえて、で言うと。純恋さん、こういうの得意そうですよね」
純恋・バレンタイン:「そうだね、体を動かす時っていうのは何も考えずに済む」
純恋・バレンタイン:手首の振りだけでボールを投げ返す。
純恋・バレンタイン:比較的ゆっくりとしたスピードだ。
純恋・バレンタイン:正確に明日姫の手の位置に落下してくる。
織世明日姫:「わっ……すごっ」 最初から動かぬままのグローブに、すっぽりとボールが収まる。
日下部緑:「おぉ~、ナイスピッチ」
織世明日姫:「なんでもできますよね、純恋さん。こういうのも、料理だってそうでしたし」
純恋・バレンタイン:「なんでも、かぁ」
純恋・バレンタイン:「そうでもないよ、得手不得手さ」
純恋・バレンタイン:「僕にも苦手な事はある」
織世明日姫:「そうなんですか?」
織世明日姫:「なんだろう……あっ、歌とか?」
純恋・バレンタイン:「カラオケは好きだよ」
織世明日姫:「あの音声録る時は、ちょっと……でしたっけ」 思い出して微笑ましくしながら、「えいっ」投げ返す。
純恋・バレンタイン:「得意なのはドラえもんの主題歌さ」
純恋・バレンタイン:さっとキャッチして背後に投げる。
織世明日姫:「え~っ! なんか、イメージと違うかも……ああ、でも」
織世明日姫:「?」
純恋・バレンタイン:後方のバスケットゴールに跳ね返って明日姫の手元へボールが戻ってくる。
織世明日姫:「えっ!? わ、わわっ……!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「見事なものですね……」
織世明日姫:予想の外すぎて、動かずとも取れたボールを落としそうになりながら、なんとか捕まえる。
純恋・バレンタイン:「お褒めに預かり光栄だな」
純恋・バレンタイン:「苦手な事は他人に任せて僕は自分のやりたい事をやってたからね」
純恋・バレンタイン:「こういうのは得意なのさ」
織世明日姫:「な、なるほど……」
織世明日姫:だからってこんなすごいことできるかな、と首を捻りつつも。
織世明日姫:「……それで。苦手なことってなんなんですか?」
織世明日姫:「こんなにすごい純恋さんの苦手なこと……逆にすごい知りたくなってきちゃいましたよ」
純恋・バレンタイン:「細かい事を考える事、物事を計画的に行う事」
純恋・バレンタイン:「かな」
織世明日姫:「ふんふん……?」
純恋・バレンタイン:「だから脱獄計画なんて」
純恋・バレンタイン:「一人じゃやる気はなかったね~」
織世明日姫:「ふふっ。じゃあ、緑ちゃんとエルさまがいてくれてよかったですね」
織世明日姫:「あたしも。ふたりのおかげで純恋さんが一緒にきてくれたから、よかったなぁ」
日下部緑:「えぇ~?いやぁそんな……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そんなことを言って、まだ上手く行ったわけではないのですよ?」
純恋・バレンタイン:「そう!そう言う所!」
純恋・バレンタイン:「良いよね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「な……なんですか」鼻白む
純恋・バレンタイン:「計画的なのに慎重」
純恋・バレンタイン:「僕には向いてない素養だし」
純恋・バレンタイン:「口だけじゃないって感じがして凄くいいよ~」
純恋・バレンタイン:「デカい事だけ言う人って信用できないからさ」
織世明日姫:えいっ、と投げ返し。「……そういうひとがいたんですか?」
純恋・バレンタイン:「居たよ~」
日下部緑:「そんな人が?」きょとんとしている
純恋・バレンタイン:キャッチ。
純恋・バレンタイン:ボールにスピンをかけて地面に投げつける。
純恋・バレンタイン:不規則に跳ねながら明日姫の手元に戻っていく。
純恋・バレンタイン:「組織の下請けやってた人でね」
織世明日姫:驚きつつも、毎回正確に手元に返ってくるのはわかった。ので、グローブは動かさずキャッチする。
純恋・バレンタイン:「大儲けするとか色々調子のいい事言ってさ」
純恋・バレンタイン:「凄い才能があって能力があるから~って言うんで」
純恋・バレンタイン:「いくつか仕事を任せてたんだけど」
純恋・バレンタイン:「結局自分ではやってなかったし」
織世明日姫:「へええー。そんなひとが……」
純恋・バレンタイン:「僕に黙って組織の情報を使って自分だけ儲けようとしてたんだ」
純恋・バレンタイン:「酷くない?」
織世明日姫:「たしかに、ひどいです……ねっ」 投げ返す。やはりふんわりとした、山なりのボールだ。
日下部緑:「そんな……最低じゃないですか!」
純恋・バレンタイン:「だろ?」
純恋・バレンタイン:「しかも、自分の失敗をこちらに擦り付けようとして来てさ」
純恋・バレンタイン:「金に目がくらんで組織の情報を外部に売ってたりしたもんだから」
織世明日姫:「えええ……最低じゃないですか」
純恋・バレンタイン:「僕が捕まる原因の一つだね~」
純恋・バレンタイン:「まあ、捕まる前にちゃんと“話”はしたんだけどさ」
織世明日姫:「はなし……ですか?」
純恋・バレンタイン:「そ、話」
純恋・バレンタイン:「ああ、その時もキャッチボールしてたな」
純恋・バレンタイン:「ボールキャッチできなくてさ」
純恋・バレンタイン:「僕も思いっきり投げてたし」
純恋・バレンタイン:「20球目くらいから、自分は悪くないとか」
純恋・バレンタイン:「付きまとってくる女のせいだ、アイツが愚図でミスしたんだ」
純恋・バレンタイン:「とか人のせいにしだしたから」
織世明日姫:「あ、あはは……純恋さんが全力で投げたら、腕とれちゃいそ……」
純恋・バレンタイン:「ちょっと腹立ってきてさ」
織世明日姫:冗談半分の相槌が、やがて話の凄惨さに消え入っていく。
純恋・バレンタイン:力いっぱい上空へ投げる。
純恋・バレンタイン:刑務所の高い壁に当たってゆっくりと落ちてくる。
織世明日姫:白球の行方を視線が追いかける。
純恋・バレンタイン:「あれはダメだよ」
純恋・バレンタイン:「付き合ってる気になってた彼女が可哀そうだったね」
織世明日姫:「…………」
織世明日姫:「……それで、そのひとは」
織世明日姫:「どうなったんですか……?」
純恋・バレンタイン:「100球くらい”キャッチボールしてたら動かなくなっちゃった」
日下部緑:「……え……」
純恋・バレンタイン:「最後の方は持ってるお金になりそうなモノを差し出したりしてきたけど」
純恋・バレンタイン:「指輪とか、あれ彼女に貰ったやつだと思うんだよね」
純恋・バレンタイン:「なんだったかな~」
織世明日姫:「ゆびわ……」
純恋・バレンタイン:「何だったかな…その人の名前覚えてないんだけど」
純恋・バレンタイン:「kz…いや…Azだったかな」
純恋・バレンタイン:「どっちもだったかも。変なイニシャルだよねKZ」
織世明日姫:「…………」
純恋・バレンタイン:「だから何となく覚えてる」
純恋・バレンタイン:「まあ酷い人だったよ~」
純恋・バレンタイン:「本当に彼女が可哀そうでさ、あとで探そうとしたんだけど」
純恋・バレンタイン:「そうこうしてるうちに捕まっちゃったんだ」
純恋・バレンタイン:「無事でいると良いな」
織世明日姫:俯いている。凄惨な話に気分が下がっているだけのようにも見える。
織世明日姫:「……“カズ”。“アズ”」
純恋・バレンタイン:「ん?何か言った?」
純恋・バレンタイン:ようやく落ちてきたボールをキャッチして。
純恋・バレンタイン:かる~く明日姫に投げる。
織世明日姫:呟きは、平時の美しき音色とは程遠い、暗い響きのまま中空に消えて。
純恋・バレンタイン:「本当にゴミみたいなカスだったよ~」
織世明日姫:投げられたボールは受け入れられることなく、華奢な身体に当たって、転がった。
純恋・バレンタイン:「あ、ごめん」
純恋・バレンタイン:走って近寄る。
純恋・バレンタイン:「大丈夫かな」
純恋・バレンタイン:「怪我してない?」
織世明日姫:「…………いえ」
織世明日姫:「大丈夫、です」 運動時間終了を告げる声に紛れ、踵を返した。
純恋・バレンタイン:「そう?」
純恋・バレンタイン:「じゃあ、戻ろっか」
純恋・バレンタイン:エルと緑にも一緒に戻るように促して。
純恋・バレンタイン:運動時間は終了した。
織世明日姫:3dx>=11
DoubleCross : (3DX10>=11) → 7[1,2,7] → 7 → 失敗
織世明日姫:取得している「五味カズオ」に対するロイスをタイタス化します。
純恋・バレンタイン:オワー
純恋・バレンタイン:カズオ―
GM:サイクル2 シーン4
GM:シーンPCは石黒さんです。
石黒せいら:は~い では……
石黒せいら:織世明日姫さんを呼び、先に彼女の秘密を探ろうかな。
石黒せいら:PCの秘密なんて全部集めた方が良いに決まってるんだから
GM:OKです
織世明日姫:や~ん
石黒せいら:ロイスは1個持ってるから難易度12かな 噂話いきます
GM:いや
GM:探られる側が持ってるロイス数なので
GM:《情報:噂話》難易度9かな
石黒せいら:あっそっち依存なんだ はあい
石黒せいら:6dx+1>=9
DoubleCross : (6DX10+1>=9) → 10[2,3,7,8,9,10]+10[10]+7[7]+1 → 28 → 成功
石黒せいら:夢の雫なんていらないかも
織世明日姫:知りすぎ
GM:では石黒さんに織世さんの秘密をお渡しします
石黒せいら:わ~い 全PCの秘密ゲットだぜ
GM:お渡ししました。
GM:シーンの内容はお決まりですか?
石黒せいら:みました
石黒せいら:シーンは……明日姫ちゃん医務室来れそう?
石黒せいら:来れそうならそこでお話とかかな
織世明日姫:はいー
GM:OKです それではシーンを開始しましょう
GM:刑務作業が終わった夕刻。
GM:それぞれの作業場から出てきた囚人たちが、ぱらぱらと散発的に宿舎へと吸い込まれていく。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「む……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:通りがかった二人に気付いて顔を上げる。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お前達も今終わったところですか」
純恋・バレンタイン:「あー」適度にサボっていた帰りだ
籠羽ゆりは:「…………」
純恋・バレンタイン:「うん、そうだよ」
籠羽ゆりは:心ここにあらずといった呆け。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……籠羽ゆりは?」
純恋・バレンタイン:「ん、どしたの?」
籠羽ゆりは:「……ん、うぇ?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「どうしましたか。体調でも優れないのですか?」
籠羽ゆりは:「えっ、あ。えーっと……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:少し心配そうな表情をする。
純恋・バレンタイン:「いつもの調子はどうしたんだい?」
籠羽ゆりは:「だ、大丈夫大丈夫☆いつも通りですよエル様☆」
籠羽ゆりは:「えっ!!??」
籠羽ゆりは:「なっ☆なーに言って☆んす☆か!?ホントにいつも通☆りっすよ、パ☆イセン!!」
純恋・バレンタイン:「エル様」
純恋・バレンタイン:と肩を寄せる。
純恋・バレンタイン:「これは何かあった顔ですよ?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「全くいつも通りには見えませんが……」
籠羽ゆりは:「あは、あははは……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「何かあったなら正直に仰いなさい」
籠羽ゆりは:「……はい」素直に観念。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お前の不調はチーム全体の不利益になることを自覚しなさい」
純恋・バレンタイン:「こういう浮かれ女の顔は良く知ってるんだよねえ」
純恋・バレンタイン:「よし、喫茶コーナー行こ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「体調が優れないのなら休みなさい。いいですね」
純恋・バレンタイン:「尋問タイムだ」
籠羽ゆりは:「えっ、えええ?」
純恋・バレンタイン:「いやいや」
純恋・バレンタイン:「エル様、休むタイミングじゃないですよ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「む……そ、そうですか?」
純恋・バレンタイン:「体調はむしろ良いはずだから」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「良い?しかし……」
籠羽ゆりは:「あ、あの。私は本当に大丈夫ですんで、お二方がお気に慣らさらずとも~……」
籠羽ゆりは:摺り足で少しずつ距離を取ろうとしている。
純恋・バレンタイン:ガシっと肩を組む。
純恋・バレンタイン:「いや~、そうはいかないよ」
籠羽ゆりは:「うおっ」
籠羽ゆりは:「そ、ソフトタッチなのにビクともしない!?」
純恋・バレンタイン:「こういう話は娯楽の少ない塀の中じゃ貴重だからね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「こういう話……??」
純恋・バレンタイン:「何があったかキッチリ話してもらおうか」
籠羽ゆりは:「うう、ぐぐぐ……」
籠羽ゆりは:「……分かりました、パイセン達。ゆりはも覚悟を決めます」
籠羽ゆりは:すぅーっ、はぁーっ。大きく深呼吸し、白銀のポニーテールを軽く揺らしてから。
籠羽ゆりは:「……せいらが」
籠羽ゆりは:「自分のこと、やっと教えてくれたんです」
純恋・バレンタイン:「おッ?」
純恋・バレンタイン:「ほ、ほう~」
籠羽ゆりは:「監獄の外に居た時から今まで、私のことは全部筒抜けなのに」
籠羽ゆりは:「せいらはずっと自分の仕事と本心を隠してて。それが、どうしようもなく不安で」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:(どうして石黒せいらの話が出てくるのでしょうか……?)
籠羽ゆりは:「明日姫ちゃんが、応援してくれてね」
籠羽ゆりは:「好きな人と本当に好き会えるのが、幸せ。そう、教えてくれたから」
純恋・バレンタイン:「あー…うーん」
籠羽ゆりは:「気持ちの整理がついて、せいらと向き合う決心がついたの……」
純恋・バレンタイン:「ふむふむ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「?」
籠羽ゆりは:頬を赤らめ。紫の瞳は蕩けていて。口元はにやけていて。
純恋・バレンタイン:(つまりだねエル様、ゆりははせいらが好きって事ですよ)小声で
純恋・バレンタイン:「うんうん!それで?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「なっ……そうだったのですか?」
籠羽ゆりは:「そしたらさぁ……」
籠羽ゆりは:GM。石黒せいらの『秘密』を二人に公開することはできますか?
GM:むっっ……
GM:ちょっと待ってくださいね
籠羽ゆりは:はぁい
GM:では設定された条件を満たしたので、まず個別の『秘密』を公開します。
【秘密】(織世明日姫用)
石黒せいらはかつて、棲家に強盗に押し入られ、証拠隠滅のために燃やされたことがある。
その下手人は織世明日姫であった。
だが、その時に聞いた明日姫の“声”が、彼女は強く印象に残っていた。
その声の持ち主に、せいらは惹かれている。自らのものを奪い去った相手であっても。
想い人が別にいようとも、問題にはならない。
この秘密が全体公開されたとき、あなたは好意で織世明日姫にロイスを取得し、
織世明日姫に対するあらゆる判定達成値に+3する。
【秘密】(籠羽ゆりは用)
石黒せいらはかつて、籠羽ゆりはと関係を持っていたことがある。
家を強盗に燃やされ、ゆりはの家に転がり込んでいた時期である。
UGN幹部の娘を籠絡する任務のためにゆりはを捨て、関係を解消してからも、
せいらのゆりはへの執着は消えておらず、ステッカーも貼ったままだ。
この監獄で再会できたことを、せいらは運命のように感じている。
この秘密が全体公開されたとき、あなたは好意で籠羽ゆりはにロイスを取得し、
籠羽ゆりはに対するあらゆる判定達成値に+3する。
【秘密】(純恋・バレンタイン用)
すぐに自分のものになるような女も、他に好きな人がいるような女も、面白くはない。
石黒せいらの、目下の極上のターゲットは純恋・バレンタインであった。
純恋の強固に思える強さを挫き、あるいは助けることで依存させ、自分のものにする。
そのための能力が、自分に備わっていると、石黒せいらは確信している。
それはこの監獄を抜けた先でも同じくでもある。
この秘密が全体公開されたとき、あなたは好意で純恋・バレンタインにロイスを取得し、
純恋・バレンタインに対するあらゆる判定達成値に+3する。
【秘密】(全体公開されるとき、個別の秘密を破棄してこれを公開する)
皆と仲良くしたい、特別と言える関係になりたいとは本気で考えている。
だが、友人同士のスキンシップの範疇を逸脱するような、女同士の性接触はせいらにとって、嫌悪の対象でしかない。
それらはセルの命令や、釈放のためなど……必要に駆られてやらざるを得ないにすぎないものだ。
セッション中に関係を持ったキャラクターがおり、愛情以外のロイスを結んでいた場合、
N感情を嫌悪に変更し、タイタスにする。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「えっ……?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「で、ですが……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「確か……石黒せいらは、わたくしとの出会いに運命を感じるとか何とか……」
純恋・バレンタイン:「挨拶だよ、それ」
籠羽ゆりは:「そーそー。あんまり気にしない方がいいよソレ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そ、そんな……そうだったのですね」
純恋・バレンタイン:「で?で?」
籠羽ゆりは:「うん……私、ね」
籠羽ゆりは:「せいらに抱かれてる時、ずっと自分だけが気持ちよくなってばかりで」
籠羽ゆりは:「彼女にとって都合のいいセフレ扱いなんだと思ってた」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「せふれ……?」
純恋・バレンタイン:「うーん、その可能性はなくはないが…まあ続きを聞こう」
純恋・バレンタイン:(あ、ごくごく親密なフレンドくらいの意味で考えておけばいいよ)小声で
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「成程……」
籠羽ゆりは:「だから、私は『せいらにとって都合のいい女』になろうと頑張ってて」
純恋・バレンタイン:「あ~…うんうん」
純恋・バレンタイン:「あるあるだな」
籠羽ゆりは:「お互いに自分の心を苦しめ続け合う形になって」
籠羽ゆりは:「このまま、袋小路まで歩み続けることになっちゃうのかなって思ってた」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「友人というのも……色々と複雑なのですね」
籠羽ゆりは:「でもさ。せいらの本心を確認できた今では」
純恋・バレンタイン:「複雑にするのが好きなんだよ、あいつは」
籠羽ゆりは:「私もちゃんと、恋人の一人としてせいらと並んで歩けるんだって」
純恋・バレンタイン:「へぇ~」
籠羽ゆりは:「一緒に居られる資格を、ようやく持てるようになったんだって思うと」
籠羽ゆりは:「こう……ほわほわって、なっちゃってさ~」
純恋・バレンタイン:「エル様はそういう相手居る?」
純恋・バレンタイン:「あ、惚気だ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「それは……わたくしには、よく分かりませんが……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ええと……その……」慎重に言葉を選ぶように「よ……よいのですか……?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「その本心というのも……誰にでも同じようなことを言っているわけでは、ないのですか……?」
籠羽ゆりは:「うん?」
純恋・バレンタイン:(鋭い所を突いてくるな)
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「で、ですから……先程、せいらの本心を聞けた……と言いましたが」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「石黒せいらは……私に運命を囁くような口振りも、到底演技とは思えませんでした」
籠羽ゆりは:「え?いや、だから」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お前に語ったその『本心』というのが、そういったものと同じではない保証はあるのでしょうか……?」
籠羽ゆりは:「全部本心なんだよ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「? ……??」目を丸くしている。
籠羽ゆりは:「せいらは、みーんなが好きなんだよ」
純恋・バレンタイン:「ハァン」
純恋・バレンタイン:「なるほど?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「つまり……誰にでも愛を囁くのも、その全てが本心であるから問題がないと……?」
籠羽ゆりは:力強く頷く。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そ……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:純恋に目をやる
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そういうものなのですか?」
純恋・バレンタイン:「いや、皆が好きっていうのと欲張りは同じみたいなもんだからねぇ」
純恋・バレンタイン:「全部自分のモノにしたいっていうのをそう表現するとそうなるんじゃないか?」
純恋・バレンタイン:「それで満足できるかって話だけど」
籠羽ゆりは:「……そーいう、わけだからさ☆」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そう……なのですか……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしには……よく分かりません……」
籠羽ゆりは:にやけを含めた笑顔で、エルヴァリヤの傍にすり寄っていく。
籠羽ゆりは:「せいらが本心から貴方のことを好きって言ったなら」
純恋・バレンタイン:「少なくとも見本にしちゃダメな大人の見本だよ」
籠羽ゆりは:「私にとっても、だーいすきだよ、エル様♡」
籠羽ゆりは:ぴたり、と抱き寄せて、華奢な身体へ吸い付くように密着させる。
純恋・バレンタイン:「コレもだし」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「なっ……えぇ……!?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わ……訳が分かりません……!」
純恋・バレンタイン:「もちろん僕もさ」
純恋・バレンタイン:「悪い大人しかいないんだよ」
籠羽ゆりは:「む。エル様ってひょっとして同担拒否タイプ?」
籠羽ゆりは:「私は、好きな人が好きな人とも、たーくさん仲良ししたいタイプだからさ」
籠羽ゆりは:エル様の耳たぶにそっと指を這わせて。
籠羽ゆりは:小さな💌型のシールをちゅっと貼りつける。
籠羽ゆりは:「……それとも、イヤ?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「う、ッ……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:思わず耳元を抑えて
籠羽ゆりは:瞳を潤ませながら、まるで捨てられた子犬のように、彼女のつぶらな瞳をのぞき込んで。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「い……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:その視線に弱ったように。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「嫌……では……ありませんが……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:何も理解していないのに、頷いてしまう。
純恋・バレンタイン:「おい、あまり子供を虐めるな」
純恋・バレンタイン:「ほどほどにしておけ」
籠羽ゆりは:「……ふふ」満足げに、ぱっと放して。
籠羽ゆりは:「だから言ったでしょ、私のことは大丈夫だって」
籠羽ゆりは:「心配してくれてありがとう。エル様☆」
籠羽ゆりは:いつも通りの朗らかな笑みで、飄々とした声を響かせた。
石黒せいら:ゆりとそのまま別れて。しばらくそのままベッドの上でもの思いにふけっていたが。
石黒せいら:人の気配を感じて。「どうぞ~?」
織世明日姫:――運動の時間から、しばらくの記憶がない。
織世明日姫:何を思って、何をしようとしていたのか。気づけば、吸い込まれるように足が向かっていて。
織世明日姫:「…………」

織世明日姫:ふらり、と。幽鬼じみて姿を見せた。色素の薄い髪の少女。
石黒せいら:「明日姫ちゃん?」
石黒せいら:「……だよね?」見紛うはずもないのに。
石黒せいら:そう付け加えてしまう。
織世明日姫:「せーら、さん」
織世明日姫:それから、思い出したようにあたりを見回して。
織世明日姫:「……なんで、ここに?」
石黒せいら:「なんでって……明日姫ちゃんが来たんでしょ」
石黒せいら:「せーらは当番だから……ちょっと……残業したけど……」
織世明日姫:「あ……そっか。そうだった、かも」
石黒せいら:「運動だったんじゃないの?どうしたの?調子悪い?」
織世明日姫:ぽつぽつと紡ぐ言葉には、美しさよりも儚さを濃く感じる。表情は、虚ろ。
織世明日姫:「運動……してました。キャッチボール……純恋さんと」
織世明日姫:「っ……!」
織世明日姫:呼吸が荒くなりだす。肩を掻き抱くようにして、ふらりと。
石黒せいら:「あ~……」ベッドに連れて行ってやり、座らせる。
石黒せいら:そのまま肩を抱くようにして。「あれとキャッチボールなんてしたから、痛かったんだね?」
石黒せいら:「本当に困るよね、暴力バカっていうか……」
織世明日姫:「痛い……?」
織世明日姫:「……痛い。痛いです」
織世明日姫:「腕じゃなくて」 抱かれた肩を、むしろしなだれかかるように。体重を預ける。
織世明日姫:「心がっ……」 柔らかな熱が密着する。
石黒せいら:「……明日姫ちゃん」
石黒せいら:「何があったの?話せる?話したくない?」
石黒せいら:「大丈夫だよ、ここは怖くないから……」
織世明日姫:「……あたし」
織世明日姫:「ひとりぼっちになっちゃった」
織世明日姫:「どうしよう。ねえ。どうしよう」
石黒せいら:「独りって……カズくんが待ってるんでしょ?」
織世明日姫:ふるふると、肩にもたれた頭が小さく揺れる。
織世明日姫:「いないの」
織世明日姫:「死んじゃった。……もう、なにもないの」
石黒せいら:「え?」
石黒せいら:意外な……ことではない。やっていけるように聞こえなかったし、そういうこともあるだろうと思っていた。
石黒せいら:だが……
石黒せいら:純恋・バレンタインとの運動中に分かることではない。はずだ。それはとりも直さず……
織世明日姫:「純恋さんが、殺しちゃったって。あの、リング。“カズ”も、“アズ”も。他に、ないもん」
石黒せいら:「そう……なんだ」
織世明日姫:しゃくりあげる子どものような話し方だ。自分自身、まだ整理がついていないのかもしれない。
織世明日姫:「あたし……もう」
織世明日姫:「無理かも」
石黒せいら:「無理って……」
織世明日姫:「外に出たって、なにもない。ここにいたって……どこにいたって」
織世明日姫:「ひとりぼっち。もう、生きてけない」
石黒せいら:「……そんなことない」
石黒せいら:「そんなことないよ。ね、明日姫ちゃん……」
石黒せいら:「せーらのこと嫌い?どうでもいい?」
織世明日姫:「せーらさんのこと……?」
石黒せいら:「うん。私のこと」
織世明日姫:「…………。せーらさん、は」
織世明日姫:「あたしのこと、いつも気にかけてくれて。お友だちになりたいとか、おうちのことも、水に流してくれたり」
石黒せいら:(流してまではないけどな……)と思ったが言わずにおくだけの理性はある。
織世明日姫:「一緒にいるだけでいい、とか。そういうとこも……すてきで」
織世明日姫:「……でも」
織世明日姫:「ゆりはちゃんのこと、好きなんでしょ?」
石黒せいら:「うん。でも……」
石黒せいら:「だから明日姫ちゃんはどうでもいいなんて思わないよ」
石黒せいら:「明日姫ちゃんのこと、大事に思ってるから」
石黒せいら:「無理なんて言わないで」
織世明日姫:「…………」
織世明日姫:「でも。せーらさんは」
織世明日姫:「あたしとゆりはちゃん、どっちかしか助けらんない。どっちかは、ぜったいに死んじゃうってなったら」
織世明日姫:「ゆりはちゃんを助けるんでしょ?」
石黒せいら:「それは……」
織世明日姫:「あたしの『どうでもよくなさ』って、それくらいなんでしょ?」
石黒せいら:「違う、違うって……!ん~……!」
織世明日姫:「……もう、イヤなの」
織世明日姫:「これだけは、って思ってたものが、なくなって」
織世明日姫:「今度こそは……って。ずっとずっと、それだけのためにって生きてたものが」
織世明日姫:「それでもなくなって……もう、耐えらんない」
石黒せいら:「……これだけはって思わなくていいよ!」
石黒せいら:「……今だけでいいから」
石黒せいら:「今だけ、せーらが明日姫ちゃんの支えになるから」
石黒せいら:「それから、明日姫ちゃんが本当に大事なものを見つければいいから」
石黒せいら:「ね?」
織世明日姫:「…………」
織世明日姫:せーらの膝にのしかかるように、体重が動く。
織世明日姫:「じゃあ……」
織世明日姫:身を乗り出す。虚ろな瞳の影が、対面の少女の顔を覆い隠すようにし。
織世明日姫:「言って?」
織世明日姫:そのまま通り過ぎる。薄い唇が、耳元に寄る。
織世明日姫:「あたしのこと、好きだって」
石黒せいら:一瞬、その表情が歪むが。
石黒せいら:《ハイ&ロー》。脳内の化学物質を変化させ、感情をスイッチのように切り替えることができる。
石黒せいら:ぱっと。薄く微笑んで。
織世明日姫:それは、かつてあなたが聴いたのと、同じ声音。神々が気紛れにもたらした、至上の旋律のように。
石黒せいら:「好きだよ。明日姫」恋い焦がれる少女のような、弾む声で。
織世明日姫:「あたしだけを見てくれる?」
石黒せいら:「うん。でも……」
石黒せいら:「言葉だけで信じられる?」
石黒せいら:す、と両手を伸ばして迎え入れるように。
織世明日姫:「……いいの?」 その挙動を、光なき眼が見ている。
織世明日姫:「せーらさん、えっち、イヤなんじゃないの?」
石黒せいら:「うん。嫌。きらい。気持ち悪い。反吐が出る」
石黒せいら:「でも、明日姫ちゃんはしたくならないの?」
織世明日姫:「…………」
織世明日姫:「好きなひととなら。でもさ」
織世明日姫:「『好きになろうとして』するえっち」
織世明日姫:「全然、好きじゃなかった」
織世明日姫:「せーらさんも、きっとそうだよ」
織世明日姫:「あたしのためって、するえっち。きっと」
織世明日姫:「今までで、いちばん最悪なんじゃないかな」
石黒せいら:「そうかも。で? 明日姫ちゃんはさ……」
石黒せいら:「今、今までで一番最悪な気分なんでしょ?」
石黒せいら:「そんな気分を……」
石黒せいら:「他のやつに味わって貰えそうだけど」
石黒せいら:「どうする?」
織世明日姫:小さく噴き出して。「ぜんぜん、うれしくないよ」
織世明日姫:「誰かがどうなるとか、あたしはもう、いいもん」
織世明日姫:「せーらさんが嫌な気持ちになって。あたしが少しだけまんぞくしたって」
織世明日姫:「……どうせまた、ひとりぼっちになっちゃうんだ」
石黒せいら:「……」
石黒せいら:そのまま横たえるように身体を傾けさせて。「……そっか」
石黒せいら:「じゃあ、せーらじゃないのかなあ……」髪をすくようにして、寝かしつけるようにして。
石黒せいら:「フラれちゃった」そのまま撫でるように、ただ落ち着くのを待つように。
石黒せいら:「……今日はここに泊まれるようお願いしておくから」
石黒せいら:「また明日ね、明日姫ちゃん」
織世明日姫:「…………」
織世明日姫:返事はなく、寝返りでベッドが軋んだ。
GM:シエン・ユーシーは、この刑務所でも多少名を知られた囚人だ。
GM:彼女はその剛腕と荒っぽい性格で他の囚人を取り巻きとして従え、所内でも独自の勢力を築いている、所謂ボス格の囚人だった。
GM:当然、同様の立場にある純恋・バレンタインとは何かにつけて諍いが絶えないライバル関係であり──
GM:エルヴァリヤが用意した協力者リストにその名を見つけた時、君達には少なからずの衝撃があったことだろう。
GM:多くの囚人でごった返す食堂。計画を持ち掛けられたシエンは君達に剣呑な目を向ける。
GM:だが彼女の反応は意外なものだった。
シエン・ユーシー:「へぇ? 面白そうじゃねえか」
シエン・ユーシー:「いいぜ。乗ってやってもいい」
石黒せいら:「ええ~?」
日下部緑:「ほ……本当ですか!?」
純恋・バレンタイン:「はぁん?随分と素直な事だね」
籠羽ゆりは:「およ。話に聞いた時は、大乱闘になりそうだなっと思ったけど……」
織世明日姫:「…………」 後ろで黙って見ている。
取り巻き囚人:「姉御!本気ですかい!?」「(計画は聞こえなかったけど)こんな奴ら信用置けませんよ!」
シエン・ユーシー:「ああ。他でもないあの脱獄王の計画ってんなら見込みはある」
シエン・ユーシー:「オレは奴が脱獄をやり遂げた時にはもうここに居たんだ。あの時は蜂の巣をひっくり返したような大騒ぎだったもんだ……」
シエン・ユーシー:「ま、その後すぐに戻ってきちまったみたいだがな」肩を竦め
純恋・バレンタイン:「前回の成功を知ってるって事か」
シエン・ユーシー:「一度出来たことが二度出来ないなんてこたぁ無いだろう。警備体制や施設の構造もそう根本的に変えられるもんじゃあない」
シエン・ユーシー:「が……オレが協力するってんなら一つ、条件がある」
籠羽ゆりは:「またこの流れっすか~?」
石黒せいら:(じゃあお姫様が脱獄したのはウソじゃないんだ)「条件?」
シエン・ユーシー:「この計画のリーダーをオレにすることだ」
石黒せいら:「あ~そういうタイプ……」
シエン・ユーシー:「今後オレの言う事には絶対従ってもらう。これが条件だ」
籠羽ゆりは:「みんな我儘さんすよねぇ、パイセ~ン」
純恋・バレンタイン:「はぁ?」
純恋・バレンタイン:「君の脳はどういう構造をしているんだ?」
純恋・バレンタイン:「何で君がリーダーになるんだ」
シエン・ユーシー:「何もおかしなことは言ってねえだろ。オレは──」
シエン・ユーシー:「自分より弱え奴の言う事は聞かない主義なんでな」
シエン・ユーシー:純恋に挑発的な目を向ける。
純恋・バレンタイン:「じゃあ、言う事聞き給えよ」
織世明日姫:「……ていうか、あたしたちのリーダーって緑ちゃんだよね」
織世明日姫:「緑ちゃんが、あのひとに勝てばいいってこと?」
織世明日姫:目元に薄っすらと隈を帯びている。普段の涼やかな風のような美声も、どこか退廃的な掠れを孕みつつ。
石黒せいら:「おお……頑張れそう?」
日下部緑:「い、いや……私は別にこだわりありませんけど……」困った顔
籠羽ゆりは:「…………」彼女の、光が消失した瞳を横目で覗きつつ。
石黒せいら:「別に誰がリーダーでもいいけどさ」
石黒せいら:「何でも従うってのはな~」
籠羽ゆりは:「うんにゃ。この人は多分パイセンを目の敵にしてるだけじゃないかな」
籠羽ゆりは:「パイセンがここで優劣決めちゃえば、緑ちゃんにも従ってくれると思うよ」
シエン・ユーシー:どかりと食堂の椅子に腰を下ろす。
シエン・ユーシー:「誰でもいいぜ。一人出な。ここで殴り合うわけにもいかねえ……」
シエン・ユーシー:肘を支点に太い腕を机上に立て、君達を見る。
シエン・ユーシー:「こいつで決めよう」
シエン・ユーシー:アームレスリングの構えだ。
籠羽ゆりは:「あっ。誰でもいいんだ」
石黒せいら:「てか腕やば……」
石黒せいら:「脚くらいあるじゃん」
織世明日姫:「そうは言っても、あたしたちの中で一番つよそうなひとって……」
GM:代表者一人の判定による勝負となります。簡易的な戦闘で攻撃判定を行い、相手に与えたダメージによって勝敗を決めます。リアクションはドッジのみ不可。
籠羽ゆりは:鮮血の奏者などによる、非代表者の火力支援とかはできますか?
GM:なるほど バレなそうな形なら可能としましょう
籠羽ゆりは:りょかいです~
GM:誰が出ますか?
石黒せいら:誰だろ~
籠羽ゆりは:ひ弱なソラリスにゃ無理な話よ
純恋・バレンタイン:出まーす
織世明日姫:がんばえ~
籠羽ゆりは:やっちゃえパイセン!!
シエン・ユーシー:「フン……そう来なくちゃな」
シエン・ユーシー:「お前は前々から目障りだったんだ。ここで直々に叩き潰してやるよ」
石黒せいら:「緑ちゃんが出るまでもないからね」
石黒せいら:「まずは前座とやってもらおうってわけ」
籠羽ゆりは:「やっちゃえパイセ~ン!!」後ろで拳を上げてやいのやいのしてる。
純恋・バレンタイン:「まだ自分の方が強いと思ってたのか」
織世明日姫:「……がんばってくださいね。おとくいの、暴力で」
純恋・バレンタイン:「君は実にバカだな」
取り巻き囚人:「姉御!そんな奴ぶちのめしてやってくだせえ!」「そうっすよ!身の程を知れってんだ!」
取り巻き受刑者D:「うるせーぞ!ざ~こ!」
囚人:「おい!ユーシーとバレンタインがやるってよ!」「マジかよ!?」
取り巻き受刑者C:「そうだそうだ~」
日下部緑:「な……なんかどんどん人が集まって……」
石黒せいら:「ふふ、序列ついちゃうねえ」
GM:騒ぎを聞きつけて次々に囚人が詰めかけ、周囲には人だかりが生まれ、異様な熱気が渦巻きつつある。
籠羽ゆりは:「うっわぁ、賭けにしてその元締めやれば金稼ぎできそうな熱狂っすね~☆」
GM:二人が血管の浮いた太い腕をがっしりと組み合い、筋肉が隆起する。
日下部緑:「えーと……では……」
日下部緑:「か……開始っ!」
GM:簡易戦闘を開始します。セットアップから。
シエン・ユーシー:《虚無の城壁》ガード値上昇
籠羽ゆりは:《鮮血の奏者》+サングイン 対象パイセン、R中攻撃力+18
純恋・バレンタイン:『オーバーフロウ血流』《赫き鎧》を使用しHP1消費して装甲値24の防具を装備
籠羽ゆりは:侵蝕60、HP23で以上っす
織世明日姫:《狂騒の旋律》。純恋さんの攻撃力をラウンド中+15し、暴走させます。
織世明日姫:織世明日姫の侵蝕率を5増加(62 → 67)
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を3増加(50 → 53)
純恋・バレンタイン:HP30
シエン・ユーシー:シエンの腕の周囲、空間がゆらぐ。
純恋・バレンタイン:「ふぅん?」
シエン・ユーシー:バロール能力によって空間が歪み、彼女の腕がその場に強力に固定される。
石黒せいら:「えっそれいいの?無理じゃない?」
石黒せいら:「倒せないでしょ」
シエン・ユーシー:「どうした? もう試合は始まってるぜ?」
シエン・ユーシー:生半に力を入れるくらいでは、その固定はまるでびくともしない。
籠羽ゆりは:「そのむっちぃ筋肉は何のためにあるんだ……」
純恋・バレンタイン:「倒せない?」
純恋・バレンタイン:「つまらない冗談だな」
籠羽ゆりは:「(……ま。"特別"が如何に強力といえど)」
籠羽ゆりは:「(使い手にちょっかい入れれば多少は揺らぐでしょ?パイセンの超耐性を信じて……)」
籠羽ゆりは:《快楽の香気》。高ぶる観客達の熱狂に溶け込んで、微かに甘ったるい果実の香りが周囲一帯に立ち込める。
純恋・バレンタイン:オートアクションでポールウェポン装備して行動値を2下げます
純恋・バレンタイン:せいらちゃんより下になる事で支援を受けやすくしておく
織世明日姫:(……純恋さん)
織世明日姫:《彼方からの声》。その言葉は、純恋にだけ届いている。
織世明日姫:織世明日姫の「声」は、オーヴァードに覚醒した際に現在の声質に変貌を遂げた。
織世明日姫:花棘一体の理が如く、美しき音色の裏に、オーヴァードに対し強い攻撃性を示す固有の周波数領域を持つ。
織世明日姫:(純恋さんが殺したっていう、したうけの……“KZ”ってひと)
織世明日姫:普段は隠されているそれは、本人の意思や精神の昂りに応じて鎌首をもたげる。
織世明日姫:(あれ、カズくん)
純恋・バレンタイン:(…)
織世明日姫:(あたしの恋人でした)
純恋・バレンタイン:(…なるほど…ね)
織世明日姫:ざりざりとした不協和音が脳を侵食する。レネゲイドの攻撃性が、無理やりに引き上げられる。
織世明日姫:(……見せてくださいね。純恋さんの、つよいところ)
純恋・バレンタイン:(ふ…フフ)
純恋・バレンタイン:不安定な感情が脳内を揺らす。
純恋・バレンタイン:全く気にせずに踏みつぶしてきた蟻が。
純恋・バレンタイン:無数の蟻が脳内を這いずり。
純恋・バレンタイン:精神を削り取るような不快感と同時に起こる高揚。
純恋・バレンタイン:(気にする必要もない過去なんかが、この僕に集るな…)硬直する筋肉が隆起し力を否応に引き出していく。
GM:では行動値6 シエン・ユーシーの手番です
シエン・ユーシー:マイナー《魔眼槍》で武器作成
シエン・ユーシー:メジャー《コンセントレイト:バロール》+《巨人の斧》
シエン・ユーシー:攻撃します
シエン・ユーシー:5DX7+4
DoubleCross : (5DX7+4) → 10[1,2,5,5,8]+4[4]+4 → 18
GM:リアクションどうぞ
純恋・バレンタイン:暴走につきリアクション不可
シエン・ユーシー:ではダメージ
シエン・ユーシー:2D10+19+15
DoubleCross : (2D10+19+15) → 18[8,10]+19+15 → 52
純恋・バレンタイン:『ノンストップ鼓動』《赤河の支配者(赤河の宝玉)》+《異形の加護》
純恋・バレンタイン:Dロイス屍人も入れて軽減します
純恋・バレンタイン:装甲は有効ですか?
GM:有効です
純恋・バレンタイン:はーい
純恋・バレンタイン:52-24-8d10-2
DoubleCross : (52-24-8D10-2) → 52-24-48[6,7,9,4,2,9,6,5]-2 → -22
純恋・バレンタイン:無傷でした
石黒せいら:やば
GM:固すぎる
籠羽ゆりは:やべぇ
織世明日姫:つよすぎ
シエン・ユーシー:「テメェさえいなければ……このムショでオレの邪魔する奴はいなくなる」
シエン・ユーシー:シエンの腕の周囲を重力が取り巻き、軋む音と共に、純恋の腕へと圧倒的な荷重が襲い来る!
シエン・ユーシー:「オラァッ!骨ごとバキバキに……へし折ったらァアアッ!!」
純恋・バレンタイン:「君の脳は進化が遅れているらしい」
純恋・バレンタイン:「スゥ―…ハァー」
純恋・バレンタイン:精神はぐちゃぐちゃに乱れ。
純恋・バレンタイン:レネゲイドは暴走し始めている
純恋・バレンタイン:それでも純恋の体に染みついた呼吸は血流を活性化させ。
純恋・バレンタイン:肉体に血を過剰に供給する。
純恋・バレンタイン:「君ごときの邪魔は…僕がわざわざしなくても」
純恋・バレンタイン:純恋は日々のルーティンとしての呼吸と筋トレを欠かす事はない。
純恋・バレンタイン:「そもそもバカな君は自滅するんだから意味がない」
純恋・バレンタイン:「そして、そもそもの力も、日々の鍛錬もレベルが違うって事を知った方が良い」
純恋・バレンタイン:腕の筋肉が膨れ。
純恋・バレンタイン:重力をものともせず、微動だにしなかった。
シエン・ユーシー:「な……何……?」
シエン・ユーシー:空間を操っているのは自分の方だというのに、まるで物理法則が歪んだかのようなその光景に、思わず唖然とする。
石黒せいら:「いや……」
石黒せいら:「キショ……」
シエン・ユーシー:「ぐっ……ぬ……ぐおぉおぉおおっ……!!」
織世明日姫:「…………」
シエン・ユーシー:顔を真っ赤にして渾身の力を籠める。もう片方の腕で机を抱え込むようにして、反則すれすれの足掻きを見せても……その腕はまるでびくともしない。
取り巻き囚人:「う……嘘だろ……」
純恋・バレンタイン:「君はさァ!僕に勝つための努力をしてたのかなァ?!」
籠羽ゆりは:「……あは」
籠羽ゆりは:「(これ、ひょっとして援助要らない……?)」
GM:石黒さんは支援しますか?
石黒せいら:しません!そのままいきな
GM:では純恋さんの手番です
純恋・バレンタイン:一応ダメ押しはしておくか マイナーで『ハイボルテージ心電』《赫き重刃》HP1消費して攻撃力+24
純恋・バレンタイン:メジャーで『ヒートアップ体熱』《原初の赤:一閃》《コンセントレイト》
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を7増加(53 → 60)
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を5増加(60 → 65)
GM:判定どうぞ!
純恋・バレンタイン:8dx7+1
DoubleCross : (8DX7+1) → 10[2,3,6,6,9,9,9,10]+10[1,3,7,10]+6[5,6]+1 → 27
シエン・ユーシー:ガード《グラビティガード》
GM:ダメージどうぞ!
純恋・バレンタイン:3d10+5+24+15+18
DoubleCross : (3D10+5+24+15+18) → 20[3,7,10]+5+24+15+18 → 82
シエン・ユーシー:82-5D10-15-5
DoubleCross : (82-5D10-15-5) → 82-24[7,1,8,1,7]-15-5 → 38
純恋・バレンタイン:結構頑張るな
GM:
シエン・ユーシー
ダメージ0
純恋・バレンタイン
ダメージ38
GM:よってこの勝負……純恋・バレンタインの勝利!
純恋・バレンタイン:イエーイ
籠羽ゆりは:ナイスぅ!
織世明日姫:強すぎ
石黒せいら:やばいって
シエン・ユーシー:「ぐ……ぬ……ふんっ……!ぐぐぐ……!ふぐぅうおおっ……!」
純恋・バレンタイン:「くは!はは!」
シエン・ユーシー:「こ……の……野郎っ……!こんな……!」
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの能力はシンプルだ。
純恋・バレンタイン:ただ、血流を高速かつ大容量で循環させ。
純恋・バレンタイン:呼吸によって取り込んだ酸素を大量に消費する。
純恋・バレンタイン:それを日常から行う事で。
純恋・バレンタイン:筋力を凝縮し力を増す。
純恋・バレンタイン:明らかにおかしい心音の鼓動が響く。
純恋・バレンタイン:「だから、ダメなんだ」
純恋・バレンタイン:「くだらない事を考えていても何にもならないぞ」
純恋・バレンタイン:「ただ積み重ねた力に…君は負けるのさ」
純恋・バレンタイン:「ハハ!アハハハ!」
純恋・バレンタイン:「小賢しい異能で耐えて見せてくれ」
純恋・バレンタイン:「さあ、どうする?何かできるのかい?」
純恋・バレンタイン:少しずつ腕を倒していく。
シエン・ユーシー:「ば……馬鹿な……こんなっ……」
シエン・ユーシー:茹でられたように顔を真っ赤にしながら、ほとんど横向きの体勢で全身の力を使って必死に抵抗する。
シエン・ユーシー:「こ、こんな……ただの筋肉バカにっ……!」
シエン・ユーシー:「あ……あり得ねえっ……!」
シエン・ユーシー:「ぐおぉおおおおおっ……!」
シエン・ユーシー:自分の腕ごとみしみし軋ませながら、全力の重力で最後の反撃を試みる。
純恋・バレンタイン:「ほらぁ…頑張れ♡」
純恋・バレンタイン:「もうちょっとだよ♡」
シエン・ユーシー:「……」腕を見る。微動だにしていない。
純恋・バレンタイン:「さ~ん、に~、い~ち」
純恋・バレンタイン:「ドン!」
純恋・バレンタイン:一気に腕を倒す。
シエン・ユーシー:「ギャアァアァーーーーッ!!」
シエン・ユーシー:巨体が宙を舞い、椅子と周囲の野次馬ごと巻き込んで転倒する。
純恋・バレンタイン:「あ~、悪い悪い」
囚人:「ウオォオオオ!!」「バレンタインの勝ちだ!」「アタシの金が~~!!」
取り巻き囚人:「姉御ーーッッ!!」
取り巻き受刑者D:「やり~ッ!」
取り巻き受刑者C:「やったー!姉さん最高!」
石黒せいら:(積み重ねつっても……個人のだけじゃ説明つかないでしょフツーに。この差は)
石黒せいら:(ゆりがなんか”匂わせ”てたけど……これでも足りない)
籠羽ゆりは:「あ、は、はは……」
石黒せいら:「明日姫ちゃん……何かした、今?」
籠羽ゆりは:ひきつった顔で空笑い。冷や汗が頬を伝って垂れ落ちる。
純恋・バレンタイン:頭の中がチカチカする。
織世明日姫:一連の光景を、感情のない瞳が見ていた。
籠羽ゆりは:「(私、もしパイセンの組織潰そうとした時にヘマしてたら)」
織世明日姫:「……こんなかんじだったんだなぁ」
日下部緑:「す……すごい……本当に強いんだ……!」
籠羽ゆりは:「(絶対、首繋がってなかったなぁ……)」
純恋・バレンタイン:倒れたシエンの腕を掴んで立たせ。
織世明日姫:呟いて、せーらの方へ視線を移し。「……どうだろね?」
石黒せいら:「……」
純恋・バレンタイン:「フゥ~」
シエン・ユーシー:「ま……待て……オレはまだ……」
シエン・ユーシー:肩で息をしながら、再び机上に構えようとする。
純恋・バレンタイン:「血…出てるね」
純恋・バレンタイン:ツゥ~っと傷口に舌を這わせて舐めとる。
シエン・ユーシー:「ッ……テメェ……」
純恋・バレンタイン:「苦い…フフ…いい」
純恋・バレンタイン:暴走による吸血衝動を満たす事で。
純恋・バレンタイン:気持を落ち着けていく。
GM:その時。
看守長:「何の騒ぎだ!!」
GM:看守長の一括と共に、数人の看守が食堂に怒鳴り込んでくる。
純恋・バレンタイン:声の方を振り返る。
純恋・バレンタイン:「あ、すいません」
看守長:「バレンタイン……ユーシー……また貴様らか……!」
純恋・バレンタイン:「転んじゃったみたいでぇ~」
看守長:中心に居る二人を見て忌々し気な顔をする。
純恋・バレンタイン:「いや、本当」
囚人:「やべっ!」「逃げろ逃げろ!」
囚人:看守の顔を見て蜘蛛の子を散らすように人が引いていく。
シエン・ユーシー:「おい……待て、勝負は……ぐあぁっ!?」
純恋・バレンタイン:「まさか喧嘩なんてしてたらお互い服とかタダじゃすまないでしょう?」
純恋・バレンタイン:腕を掴んで座らせようとする。
シエン・ユーシー:首輪から強力な電撃を流され、ユーシーの身体が跳ねる。
純恋・バレンタイン:「あ、ちょっと」
看守長:「黙れ。貴様らのくだらん御託など求めていない」
看守長:「貴様らがどれほどの恩情でこのソピステスで生かされているのか、もう忘れたようだな……」
純恋・バレンタイン:「う~ん、誤解なんですけどね~」
看守長:「少し甘くすればすぐに付け上がる。これだから貴様らクズ共は耐え難い」
純恋・バレンタイン:「わかってますよ、勿論ですって」
看守長:「そうしてナメた態度を取れるのも今日限りだ。おい」
GM:看守長の指示で、数人の看守が純恋を囲んで抑え込む。
純恋・バレンタイン:「うわッ!ちょっと!ちょっと待って!」
純恋・バレンタイン:抵抗せず抑え込まれる。
看守長:「これまで看過してきたのも限界だ。貴様らはまとめて懲罰房にぶち込む」
看守長:「期間は……そうだな、貴様らを従順にさせるには……一年は入ってもらおうか?」
看守:「か……看守長、それでは廃人に……」
日下部緑:「い……一年って……」
看守長:「意見は求めていない。連れていけ」
GM:看守が純恋を立たせ、連行しようとする。
石黒せいら:「え?これやばくない?」
織世明日姫:「行っちゃうね」
籠羽ゆりは:「……詰みじゃないかな」
日下部緑:「そんな……ま……待ってください!」
日下部緑:叫ぶと同時、看守長の目の前に立ち塞がる。
看守長:「……何だ?」
日下部緑:「あのっ……誤解なんです!純恋さんは悪い人……」
日下部緑:「……悪い人ではあるんですけど……」
日下部緑:「でも、この騒ぎは純恋さんが好きで起こしたわけじゃありませんし……!」
純恋・バレンタイン:「酷い」
日下部緑:「き、聞こえました!廃人にするとかって……それは……それは何か、違うと思います!」
純恋・バレンタイン:「そ、そうだそうだ~」
日下部緑:「こんな横暴なやり方……絶対おかしいです!間違ってます!私は……認められません!」
看守長:「おい」
看守:「はっ」
看守:ガシッ
看守長:「そいつも連れていけ」
石黒せいら:「えっ」
純恋・バレンタイン:「え?」
日下部緑:「えっ!?嘘っ!?」
日下部緑:「わぁああああぁあ!?た……助けてくださいーーーっ!!」
籠羽ゆりは:「緑ちゃ……」
織世明日姫:「やばいね」 平坦な声。
籠羽ゆりは:咄嗟に口を噤む。下手に前へ出れば、芋づる式に懲罰房へ連行されかねない。
純恋・バレンタイン:「ちょちょっと待って、関係ない子を巻き込むのはどうかと思うなぁ!」
?:「……あらあら……いけませんね、看守長」
?:と、その時。人込みを分けるような鶴の一声が響いた。
GM:囚人がざわめいて道を開ける。
看守長:「! ……所長……」
純恋・バレンタイン:「所長~?」
籠羽ゆりは:「(……所長!あの人が)」
織世明日姫:「しょちょう……」

所長:「お話は概ね聞きました。その子の言う通り……今回の騒ぎに対しては、懲罰房は些か処罰が重いのではありませんか?」
看守長:「いえ、しかし……」
所長:「そもそも……刑務所とはただ罪人を罰するためのものではありません。囚人に人としての暮らしと生活を与え、己の罪を悔い改める機会を与えるのが本来の存在意義……」
所長:「あなたのやり方は強引に過ぎます、看守長」
看守長:「ぐ……」
所長:「とは言え、騒ぎを起こしたのは事実……処罰は必要でしょう」
所長:「中心となった二名は配給のランクを2つ下げるものとします。それで構いませんね」
純恋・バレンタイン:「うぐ~」
看守長:「いや、それでは軽すぎ……」
所長:「構いませんね?」
看守長:「…………」
所長:「……はい」軽く両手を叩いて
所長:「さあ皆さん、騒ぎはもうおしまいです。解散してください」
純恋・バレンタイン:「はぁい」
GM:その一声で、野次馬も看守たちも皆潮が引くように引き上げていく。
日下部緑:「え……」きょとんとして「……助かった……んですか?」
石黒せいら:クスクスと笑っていたが。「……みたい?」
石黒せいら:「緑ちゃんかっこよかったよ~!」
日下部緑:「え……な……何も出来ませんでしたけど……」
織世明日姫:「……あの看守長さんが、ぜんぜん逆らえないんだね」
純恋・バレンタイン:「僕の活躍は~?」
籠羽ゆりは:「怖いなぁ☆裏でどんな教育をされてるやら……」
純恋・バレンタイン:「大分頑張ったと思うんだけど…」
籠羽ゆりは:「あっ、パイセン!!お疲れ様っす!!」
石黒せいら:「やっぱ付き合ってるのかな~。だからこっちに転んでくれないの」
石黒せいら:「え?ああおつかれ」
籠羽ゆりは:「相手の怯え切った目と言ったら!めっちゃ痛快だったっすよ~~」
織世明日姫:「うん。緑ちゃんもかっこよかったし……」
織世明日姫:「純恋さんも。やっぱり、すごいですね」
織世明日姫:薄っすらと浮かべた笑みにも、その声音にも。一切の感情は読み取れない。
籠羽ゆりは:「……ん~」
純恋・バレンタイン:「くぅ…対応の差」
籠羽ゆりは:「(せいら。明日姫ちゃんがああなってるの何でか知ってる?)」
石黒せいら:「(……後で話す)」
純恋・バレンタイン:(とは言え…やっぱり本当か)
純恋・バレンタイン:(困ったな…明日姫)
籠羽ゆりは:「(……?)」小首を傾げるが、それならと頷く。
GM:こうして一悶着ありつつも、君達は何とか無事に騒ぎを切り抜けたのだった。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……順調のようですね」
GM:君達は再びエルヴァリヤの独房へと集まっていた。
石黒せいら:「集まってはいるけどさ……」
籠羽ゆりは:「めっちゃ薄氷の上を歩かされてる気分だけどね☆」
石黒せいら:「結局何をさせるためなのか聞いてないんだけど?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「食堂で騒ぎがあったと聞きましたが……シエン・ユーシーは勧誘できたのですか?」
織世明日姫:「……なんか、へんなひとばっかりだよね」
籠羽ゆりは:「一応誘えたっす」
石黒せいら:「乗るけど自分より強いやつにしか従いたくないって」
石黒せいら:「で、まあ……こいつに負けたし」
純恋・バレンタイン:「あれだけ大口叩いてたんだし、従うだろ」
石黒せいら:「吐いた唾は飲めないよね。みんなに恥ずかしいとこ見られちゃったんだもん」
籠羽ゆりは:「看守達とのイザコザはあったけど、所長が出てきてなんやかんやお咎めなしだったし」
純恋・バレンタイン:「僕のゴハンは悲しい事になったが」
石黒せいら:「自業自得だろ……」
純恋・バレンタイン:「相手が騒いだんだろ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「それならば良かったです」
純恋・バレンタイン:「僕のせいじゃない」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そうですね……そろそろ、計画について話してもいい頃合いでしょうか」
日下部緑:「おっ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「とは言え……方法自体はシンプルなものです。図案などは書き起こしていないので……口頭で説明します」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「まず第一に必要なのは、首輪の爆破機能の解除です」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「脱獄の最中も、脱獄した後でも……これがあっては話しになりませんから」
純恋・バレンタイン:「そりゃそうだ」
純恋・バレンタイン:ウンウンと頷く。
織世明日姫:「はずせるんだ。これ」 首輪をなぞっている。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「セリョーギナというRBを勧誘しましたね。彼女はオリジン:サイバーのRBです」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「直接機器に触れさえすればおよそあらゆるクラッキングが可能な人材です。首輪の解除は彼女が担当します」
石黒せいら:「えっすごいじゃん」
籠羽ゆりは:「……ふぅーん」目を細めて鼻を鳴らす。
石黒せいら:「エッチな音声のマニアなだけじゃないんだ」
織世明日姫:「あのひとが……」 変わらぬ表情で当時のことを思い出している。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「首輪の解除が済んだら、次に、他の囚人に騒ぎを起こさせて看守の注意を引きます」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「首輪の機能さえ無ければ、屈強なオーヴァードならば多少は看守にも抵抗できるはずです。首輪を解除するにも限界がありますから、他の囚人を全員……とはいきませんが」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「適任と思われる囚人は既に見繕ってあります。後ほど勧誘をお願いします」
石黒せいら:「脱獄計画と教えずに引き込むってこと?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「いえ。ただ……」少し思案して「……まあ、これは後ほど」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「騒ぎが起きたら、セリョーギナを看守に変装させ、コントロール室に侵入させて一部の監視カメラをループ映像に切り替えます」
籠羽ゆりは:「セリョーギナさんめっちゃ便利キャラだな……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「変装はマルヤ・パロヤルヴィが担当します。看守側に緊急ロックダウンという手段を取られない為、残念ながら監視システム全体をダウンさせるわけにはいきませんが……」
石黒せいら:「ただの女の子に弱すぎちゃんじゃないんだ」
織世明日姫:「あのひとも、すごいとこはすごいんだ」
純恋・バレンタイン:「へ~」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ここまで来れば、後はシンプルです」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「機能停止させた監視カメラの死角を通って大浴場に行き、壁を破壊。配管の内部を通って外部へ脱出します」
籠羽ゆりは:「……あれ?」
石黒せいら:「壁は壊れないんでしょ?」
籠羽ゆりは:「大浴場の壁って、例の能力複合堅牢防壁じゃないの?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ええ」頷き
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「この刑務所の壁は、物理的・空間的・概念的に強化されている……と説明したはずです」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ですから、物理的・空間的・概念的な破壊を同時に試みます」
織世明日姫:「……?」
石黒せいら:「?」
籠羽ゆりは:「ど、どういうこと……?」
純恋・バレンタイン:「つまり?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「単純な攻撃では効かない、とも、その為に必要な人材を用意する、とも言いましたね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「簡単に言えば、異なるオーヴァード三名に、同時に壁の破壊に着手してもらいます」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「空間攻撃担当はシエン・ユーシー。概念攻撃担当はこれから勧誘して貰います」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「物理攻撃担当は……」純恋に目を向ける
純恋・バレンタイン:「僕か」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「試算では恐らくこれで破壊できるはずです。とはいえ、実際に試行するまでは賭けとなりますが……」
純恋・バレンタイン:「ふふん、まあ任せてくれ」
石黒せいら:「なるほど、だから力押しバカが2人も要ったんだ」
石黒せいら:「こっちクビにするのかと思った」
純恋・バレンタイン:「バカとは何だ、バーカ」
織世明日姫:「がいねん攻撃……ってのはわかんないけど」
籠羽ゆりは:「先の勝負で二人の実力は折り紙付きっすもんね。信頼してるっす」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「他にも懸念点は……いくつか」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「まず、配管は所内でも一番大型のものが通っていて、外部に直通している大浴場を選びましたが……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「純恋とシエンの体格では問題なく通り抜けられるかは不安なところです」
日下部緑:「ダイエットとか……します?」
純恋・バレンタイン:「僕はスマートな体形だぞ?」
籠羽ゆりは:「身長の方はどうしようもなくない?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「次に……ここからは直接は関係のない話なのですが」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしはこの刑務所に来て三年になりますが、ここから出た囚人の話は一度も聞いたことがありません」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そして……一度脱獄を企てたにしては、わたくしの扱いが軽すぎることも気に掛かります」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「こうしてもう一度脱獄を企図し、お前達と会話することが出来ている時点で……妙だとは思いませんか?」
石黒せいら:「それこそ懲罰房で全然おかしくないもんね?」
籠羽ゆりは:「そだね。脱獄の主犯こそ懲罰房1年が妥当って感じする」
織世明日姫:「脱獄自体は成功したって、さっきのひとも言ってたもんね」
織世明日姫:「それなのに……ってのは」 頷く。
籠羽ゆりは:「処罰を審査する人が小っちゃい子好きだったのかな……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ええ」頷き「この監獄はどこかおかしい。何か……致命的、かつ根本的な見落としがあるような気がしてならないのです」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「具体的にどう、とは言えないのですが……。わたくしに記憶さえあれば……」
籠羽ゆりは:「ほーら、また弱気になってるよエル様~」
籠羽ゆりは:「分かんないならやってみるしかない。そうでしょ?」なでなで。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ぅ……。それは、分かっていますが……。……こら!気安く撫でるのではありません!」
織世明日姫:「その、がいねんさんも。まだ仲間にできてないしね」
石黒せいら:「やっぱり真剣に撫でられたいのかな」
純恋・バレンタイン:「小動物っぽさあるねえ」
織世明日姫:「そのころには、記憶も戻ってるかもしれないし」
籠羽ゆりは:「そっか!ごめんエル様、真剣みが足りなかった……!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そういう問題でもありません~~!」
籠羽ゆりは:わしゃわしゃ、と両手を素早い指捌きで動かしながらにじり寄る。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「誰かこの狼藉者を何とかしてください!」
籠羽ゆりは:「ほぅらエル様。リラックスリラックス~☆」
織世明日姫:「……いいんじゃない? エルさま」
織世明日姫:「そーゆー刺激で、記憶が戻っちゃうかもよ?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「え……そ……そういうものなのですか……?」
石黒せいら:「心配になるくらい素直すぎる」
籠羽ゆりは:「せいら~っ、エル様のお身体を抑えてて~」
石黒せいら:「え~? あんまり乱暴しちゃダメだよ~?」
日下部緑:「これって悪……?いやスキンシップ……うーん……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ぶ……無礼者!王族に向かって……放しなさい!いやーーっ!」
GM:独房棟に、絹を裂くような悲鳴が響いた。
GM:サイクル終了。購入判定が可能です。
石黒せいら:欲しいものある人いる?
石黒せいら:結構なものまで狙えるっちゃ狙えるけど
籠羽ゆりは:奏者分のHP回復しないで困ることは流石にないか……?
籠羽ゆりは:まぁ高級手当もっとくか
織世明日姫:ウーン特にないなあ
織世明日姫:高性能治療キットにしとこ
織世明日姫:(2+1)dx>=9
DoubleCross : (3DX10>=9) → 8[2,3,8] → 8 → 失敗
織世明日姫:だめ
純恋・バレンタイン:セットアップも埋まってるからね2ラウンド目にちょっと早く動いても そんなに変わらなさそうだし
籠羽ゆりは:3dx+2+10>=9 オリジンサイバー込み
DoubleCross : (3DX10+12>=9) → 10[3,5,10]+9[9]+12 → 31 → 成功
石黒せいら:すご!
籠羽ゆりは:すげ~ 購入しました
純恋・バレンタイン:つよ~
籠羽ゆりは:いったん持っておいて以上です
純恋・バレンタイン:応急手当買っておくか
石黒せいら:ボルトアクションライフル持っておこう
純恋・バレンタイン:2dx+2>=8
DoubleCross : (2DX10+2>=8) → 10[4,10]+3[3]+2 → 15 → 成功
石黒せいら:いや……PDWいけるか PDW行ってみます
石黒せいら:6dx+2>=30
DoubleCross : (6DX10+2>=30) → 10[2,5,8,9,10,10]+4[2,4]+2 → 16 → 失敗
石黒せいら:《夢の雫》で+14して30に。購入。
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を3増加(59 → 62)
GM:やべ~
織世明日姫:みんな購入つよつよ
籠羽ゆりは:怖すぎ
石黒せいら:ふふん
【Cycle3】
GM:それでは最終3サイクルに入っていきます。
GM:まずは手番決めのダイスロール!全員1D100をどうぞ!
石黒せいら:1d100
DoubleCross : (1D100) → 66
籠羽ゆりは:1d100
DoubleCross : (1D100) → 33
純恋・バレンタイン:1d100
DoubleCross : (1D100) → 90
織世明日姫:1d100
DoubleCross : (1D100) → 12
石黒せいら:散ったなあ
織世明日姫:ふにゃあ……
GM:ではまずは純恋さんです
純恋・バレンタイン:この混乱状況は様子を見ていきたいな~ 3番手で
GM:では次は石黒さん
石黒せいら:4で
GM:では籠羽さん
籠羽ゆりは:難しい回り方しちゃったなぁ
籠羽ゆりは:2で
織世明日姫:そんなことある?
GM:全員様子見したすぎだろ
GM:それでは順番は 織世→籠羽→純恋→石黒 このようになりました。
GM:サイクル3 シーン1
GM:シーンPCは織世さんです。
織世明日姫:はい!
織世明日姫:情報項目って出たりします?
GM:あっそうですね
GM:少々お待ちを
石黒せいら:そういえば我々出てないかも
織世明日姫:ほんとだ
GM:そうだった 登場お願いします!
純恋・バレンタイン:登場だ
織世明日姫:織世明日姫の侵蝕率を1D(→ 10)増加(67 → 77)
籠羽ゆりは:60+1d10
DoubleCross : (60+1D10) → 60+5[5] → 65
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を1D10(→ 9)増加(65 → 74)
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を1D10(→ 1)増加(62 → 63)
GM:情報項目はこちらになります
情報項目
籠羽ゆりはの『秘密』 《情報:裏社会》難易度9
織世明日姫の『秘密』 《情報:噂話》難易度9
純恋・バレンタインの『秘密』 《情報:噂話》難易度12
石黒せいらの『秘密』 《情報:噂話》難易度12
日下部緑の『秘密』 《情報:噂話》難易度5
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュクの『秘密』 《情報:軍事/メディア》難易度5
石黒せいら:あたしのはもうないぜ
織世明日姫:あざます!
GM:そうだった
織世明日姫:じゃあ、緑ちゃんを呼びたいです。行動は秘密を調べます。
GM:了解です 先に判定しますか?
織世明日姫:先にしちゃいます
GM:OKです どうぞ!
織世明日姫:(2+2)dx>=5
DoubleCross : (4DX10>=5) → 10[2,6,9,10]+8[8] → 18 → 成功
織世明日姫:めちゃめちゃ知ってた
GM:では秘密をお渡しします
GM:お渡ししました
織世明日姫:ははあ~ なるほど
GM:では……緑のシーン権をここで使用して制限時間を無効にします
織世明日姫:!?
GM:シーンの内容はお決まりですか?
織世明日姫:えーと ごはんとか食べながらお話ししようかなって思ってました
GM:OKです それではシーンを始めていきましょう
織世明日姫:ガヤガヤと賑わしい食堂。初日は面食らったものだが、慣れとは恐ろしいもので。
織世明日姫:「緑ちゃん。ここ、空いてるよ」
日下部緑:「あっ、うん。ありがと」
日下部緑:人込みに押されながら、何とか空いた席に腰を下ろす。
織世明日姫:「ごはん、どう? ランク落とすって言ってたけど」
日下部緑:「見てこれ!」何かの魚の皮のようなものを箸でつまむ。
日下部緑:「おかずこれだけだって……ひどいと思わない!?」
織世明日姫:「ほんとに『罰』してるね」
織世明日姫:「あたしのおかず、いる?」
日下部緑:「えぇっ、いいよ!明日姫ちゃんがお腹空いちゃうよ」
織世明日姫:「大丈夫だよ。いま、あんまり食欲なくって」
織世明日姫:「それに、緑ちゃんには元気でいてほしいもん」
日下部緑:「だからじゃない。明日姫ちゃん、ただでさえ元気無さそうだから心配で……」
日下部緑:「……その。やっぱり……あの事……だよね」
織世明日姫:「あのこと?」
日下部緑:運動場で件の話をした時、緑もその場にいた。
日下部緑:「えっと……だから……」
日下部緑:「純恋さんが……彼氏さん……その……」
日下部緑:ぼかそうとしてほぼ言ってしまっている。
織世明日姫:「……ん。そうだね……」
織世明日姫:「あたし……脱獄しなきゃって」
織世明日姫:「はやくカズくんのところに帰らなきゃって。そればっかり、思ってて」
織世明日姫:「……でも。それももう、なくなっちゃった」
日下部緑:「そんな……」
日下部緑:言葉を失い、それから必死に探す。
日下部緑:「で……でも……でもさ……!」
日下部緑:「あ、明日姫ちゃん……えっと……」
織世明日姫:「うん」
日下部緑:ひどい扱いを受けていたのではないか、利用されていたのではないか、そんなことを口にしようとして寸前で止まる。
日下部緑:「……ほ、他には……?他には無いの?」
日下部緑:「外でやりたいこととか……待っててくれる人とかさ……!」
織世明日姫:「…………」 少しだけ、過去を思い返す間を過ごし。「外には、ないかな」
織世明日姫:「あたしね。家族とも仲が悪くて。友だちも……いたんだけど、いなくなっちゃって」
織世明日姫:「カズくんだけだったの。カズくんしかいなかったから……絶対に、見捨てられたくないって」
織世明日姫:「カズくんに嫌われないように。ひとりぼっちにならないために……お料理もそう。えっちもそう」
織世明日姫:「犯罪だって、そう」
日下部緑:「……!」
織世明日姫:「ほんとはわかってた。悪いことだって。ウソつかれて、好きに使われてるって。……あたしも、悪いんだって」
織世明日姫:「でも……手放せなかったんだよね」
日下部緑:「そんなの……そんなのおかしいよ!」
日下部緑:「明日姫ちゃんみたいな子が……」
日下部緑:息を吸って「……利用されて、悪いことさせられて……」
日下部緑:「それでこんなとこ入れられて、ひどい扱い受けるなんて……そんなのおかしいじゃん!」
織世明日姫:「おかしくないよ」 感情がこもらないままの瞳。「……おかしくないって、いまは思ってる」
織世明日姫:「……でも、ありがとう。あたしのために、それだけ言ってくれて」
織世明日姫:「それと……ごめんね、緑ちゃん」
織世明日姫:「最初のころ、あたしのこと庇ってくれてたよね」
織世明日姫:「結局、あたしもここのみんなと同じだったのに」
日下部緑:「そんなこと……」
日下部緑:言葉は途切れ、今にも泣きそうな顔をする。
日下部緑:「……」
日下部緑:「私……」
織世明日姫:「うん」
日下部緑:「……お母さんがね、警察官だったの」
織世明日姫:「警察官……えらいひと?」
日下部緑:「ううん。全然普通の警官なんだけど……」
日下部緑:「でも、小さい頃から……間違ったことはしちゃいけないって教わってきて、私も……お母さんを尊敬してたから、その通りにやってきたつもり」
日下部緑:「だから、正直……ここに来た時、ここに居る人たちのこと……。……距離を取って、見下してたんだ。……こんな奴ら、って」
織世明日姫:「わかるよ。あたしも、軽蔑してた」
日下部緑:「……でも、皆……純恋さんとか、すごく悪い人なのに、話してるといい人みたいに思えるし…… 中には、明日姫ちゃんみたいな子もいるって……」
日下部緑:「当然のことが、今更になって分かってきて……」
日下部緑:「……私、どうしたらいいのか分からなくて」
日下部緑:「何が正しいのか、何が間違ってるのか……」
日下部緑:膝の上で拳を小さく握るようにする。
織世明日姫:「……緑ちゃんは」
織世明日姫:「どうして、ここに来たの?」
日下部緑:「……私は……」
日下部緑:「…………」
日下部緑:黙り込んでしまう。声高に無実を主張することもなければ、言葉を発することもない。
織世明日姫:瞳に感情はない。声にも、色のない聴き心地のよさだけがある。
織世明日姫:「ちょっとだけ知っちゃったんだ。緑ちゃんが、どうしてここに来たのか」
日下部緑:「……!」
日下部緑:顔を上げて明日姫を見る。
織世明日姫:「……あたしも、緑ちゃんと同じだよ」
織世明日姫:「緑ちゃんのことを知ってる。いつだって一生懸命で、誰かのために怒れて」
織世明日姫:「自分のなかの大事なことのためにがんばれる子。……だから」
織世明日姫:「なにがあっても、嫌いになんてならないよ」 少しだけ、微笑むようにして。
日下部緑:「…………」
日下部緑:その笑みを見て軽く瞑目し、箸を置いて明日姫に向き直る。
日下部緑:「……うん……分かった」
日下部緑:小さく息を吐き
日下部緑:「明日姫ちゃん……」
日下部緑:「パパ活って知ってる?」
織世明日姫:頷く。「なんか、男のひととデートしてお金もらう、的な」
日下部緑:「あ……ごめん。順番おかしかったな……」
日下部緑:「……えっとね。あたしの友達が……」
日下部緑:「……ううん。友達ってほどでもなくて。ちょっと話したことがあるクラスメイト、くらいの子なんだけど」
日下部緑:「お家があまり裕福じゃなくて、仕方なく、その……パパ活みたいなことをやってたらしいんだ」
織世明日姫:「そっか。緑ちゃんがやってたんじゃないんだ」
日下部緑:「えっ……ち……違うよ!」
日下部緑:「そうじゃなくて……うん、それでね」
日下部緑:「私は、それは……正しいとは思わないけど……本人だって、やりたいと思ってやってるわけじゃないだろうし……」
日下部緑:「私が経済的に援助してあげられたらいいけど、そんなことも出来ないし……どうしたらいいのか、って思ってたけど、問題はそこじゃないの」
日下部緑:「……その子ね。パパ活をやってるって教師に知られて……」
日下部緑:「その教師に脅されて、無理やり……その、そういうことを……させられてたらしいの」
織世明日姫:「わあ……そういうマンガみたい」
日下部緑:「私……それを知って、絶対許せないって思って」
日下部緑:「止めさせなきゃって思って、色々考えたの。私一人で詰め寄っても、適当に誤魔化されるだろうとか……」
日下部緑:「だから……絶対に誤魔化しが効かないような騒ぎを起こしてやろうと思ったの」
日下部緑:「そいつの授業中に、クラス全員の前で殴ってやって騒ぎになれば、もみ消し出来ないんじゃないかって」
織世明日姫:「……緑ちゃんて、やっぱり」
織世明日姫:「思い切りがいいのは、ずっとなんだね」
日下部緑:「そ、そうかな……」
日下部緑:「……でもね……思ってもなかったことが起きたの」
日下部緑:「私、そんな力も無いし、教師を殴るって言っても、別に怪我させるようなつもりは無くて、騒ぎにさえなれば……って思ってたんだけど」
日下部緑:「いざそいつに詰め寄って、腕を構えたら……すごい怒りと一緒に、身体の底からよく分からない力が湧いてくるような感じがして……」
日下部緑:「そのまま殴ったら……そいつ、すごい吹っ飛んで黒板突き破っちゃって……」
織世明日姫:「……オーヴァード、っていうんだっけ。あたしたち」
織世明日姫:「知らなかったんだ。なってるの」
日下部緑:「うん。それか……多分、その時になったんだと思う」
日下部緑:「それを知ったのも……後からだったけどね。思ったよりもすごい騒ぎになっちゃって、警察からUGNに連れていかれて……」
日下部緑:「それで……今はここにいる」
織世明日姫:「…………」
織世明日姫:「ずっと、無実だって言ってたのは」
織世明日姫:「自分がしたことは、間違ったことじゃないからってこと?」
日下部緑:躊躇いがちに頷く。
日下部緑:「私は……今でも、自分がしたことは間違ってないと思ってる」
日下部緑:「でも……正しいのかどうかも、よく分からなくて……」
日下部緑:「その教師は、命に別状はなかったらしいけど……そのクラスメイトのことについてまでは、分からなくて」
日下部緑:「もしかしたら……。……私のせいで、もっと悪い状況になってるかもしれない……」
日下部緑:絞り出すような声で言って。
日下部緑:「だから……私、すぐにでもその子に会いに行かなきゃいけないんだ……」
織世明日姫:「それが、緑ちゃんの『大事なもの』……なんだ」
織世明日姫:「……うん。やっぱり、緑ちゃんは正しい子だよ」
織世明日姫:「あたしはね。自分のこと……自分がしたこと。しようとしてたこと」
織世明日姫:「『間違ってた』って思ってるの」
日下部緑:「……それは……」
織世明日姫:「『自分が』、ひとりぼっちになりたくない」
織世明日姫:「『自分が』捨てられたくない。『自分が』嫌われないうちに会わなくちゃ」
織世明日姫:「自分が、自分が……って。自分のことしか、考えてなかったんだ」
織世明日姫:「でも……緑ちゃんは。誰かのために怒って、誰かのために戦ってる」
織世明日姫:「すごいよ。あたしにはできなかった……正しいことなんだよ」
日下部緑:「……明日姫ちゃん」
日下部緑:「確かに……明日姫ちゃんのやったことは……せいらさんの家燃やしたり…… 悪いことかもしれない」
織世明日姫:「……うん」
日下部緑:「でも……今自分で言ったじゃない。明日姫ちゃんは、それが間違ってたって……もう自分で分かってるんでしょ?」
日下部緑:「……それなら、それでいいじゃない。反省して……またやり直せば、今度はきっと……明日姫ちゃんだって、その『正しいこと』が出来るよ」
織世明日姫:「できるかな……あたしも。緑ちゃんみたいに」
織世明日姫:「正しいこと。本当に大事なことを、見つけられるかな……」
日下部緑:「出来るよ」
日下部緑:明日姫の手に自分の掌を重ねる。
日下部緑:「私……今までずっと、間違ったことはしないようにしようって思って生きてきた」
日下部緑:「でも、ここに来て……皆や明日姫ちゃんに会って、思ったの」
日下部緑:「一度間違えた人が、もう一度やり直すことを許されないなんて……。そんなの、それが一番間違ってるよ」
日下部緑:「明日姫ちゃんなら出来るって、私は信じてる」
日下部緑:「私は絶対、最後まで見捨てたりしないから」
織世明日姫:「………ほんとう?」
織世明日姫:初めて、声に熱が熾る。闇の中に咲いた、儚く、それでも確かにそこにある灯。
織世明日姫:「あたしと……一緒に?」
日下部緑:「うん。本当」
日下部緑:確かに頷く。頼りなく、何の根拠も保証も無いが。
日下部緑:「だって、ここ出られても……私達脱獄犯でしょ?」
日下部緑:「そのまま元の生活には戻れないだろうし……それじゃあ、一緒に居た方がいいでしょ」
日下部緑:「それに……明日姫ちゃん、いつも自分なんて……みたいな事ばっかり言うけど」
日下部緑:「私は好きだからね、明日姫ちゃんのこと」
織世明日姫:「っ……!!」
織世明日姫:瞳から大粒の涙が零れる。取り戻した感情が、嗚咽となって溢れ出る。
日下部緑:「あっ……明日姫ちゃん!?」
日下部緑:「えっ……ど、どうしよう……!なっ、泣かないで……!」
日下部緑:わたわたしながら、食堂のおしぼりで涙を拭う。
日下部緑:周囲の囚人が、何事かと視線を向ける。
織世明日姫:「あたし……あたし……!」
織世明日姫:「もう、間違えない……! 緑ちゃんみたいに、誰かのためにって」
織世明日姫:しゃくりあげながら言葉を紡いでいく。「……正しいこと、したい。できるように、なるっ……」
織世明日姫:「……緑ちゃんと、一緒に」
織世明日姫:涙を拭う手に、自分の手を重ね。ぐしゃぐしゃの顔で、笑った。
日下部緑:「……うん……」
日下部緑:ひどく泣き濡れたその顔を見て、それでも綺麗だと思った。
日下部緑:言い知れぬ鼓動の高鳴りを覚えながら、ぎこちなく身を寄せて、軽く触れ合うだけの不器用な抱擁をする。
日下部緑:「……うん。私が、ちゃんと見てるね」
日下部緑:「また間違えたっていいよ。その時は……私も一緒に謝るよ」
日下部緑:「だから、明日姫ちゃんも……」
日下部緑:黒髪を揺らし、照れたように笑う。
日下部緑:「……私のこと、ちゃんと見てて」
織世明日姫:「うんっ……!!」
織世明日姫:ぎこちない力で抱きしめ返す。本当に大事なものを、壊さぬように――それでも、手放さぬようにと。
織世明日姫:織世明日姫の秘密を公開します。
GM:OKです。
織世明日姫の『秘密』
あなたはなによりも孤独を恐れている。
かつてのあなたは家族と折り合いが悪く、親友の少女だけが唯一の心の支えだった。
その中でオーヴァードへと覚醒し、極度の暴走状態のままに家族を崩壊させ、親友の少女にも化け物と拒絶され寄る辺を失った記憶が、今もあなたのトラウマとなっている。
そんなあなたに手を差し伸べてくれた五味カズオから、己が身も心も都合よく利用されていることを知りつつも離れられないでいた。
もう独りぼっちには戻りたくない。だから、早く彼の下に帰らなければならない。
でも、いつまで待ってくれるだろう? ただの一度も、彼は面会に来てくれていない。
あるいは、彼は既に――。気丈に振る舞っていても、胸中には常に不安の嵐が吹き荒んでいる。
あなたは、一度失敗するまで以下のタイミングで<意志>判定を行う。
・あなたがシーンプレイヤーであるミドルシーンの開始時
・シーン内であなたの不安を煽るような会話や出来事があったミドルシーンの終了時
難易度は「【現在のサイクル数】+【当該判定の既回数×3】」とし、失敗した場合、あなたの精神は限界を迎えたことになる。
即座に、取得している「五味カズオ」に対するロイスをタイタス化する。
以降、あなたのバッドステータス「暴走」を「変異暴走」として扱う。この効果は、あなたが新たな依存先を見つける・他者に寄らずに自己を確立する等、何らかの形で孤独を解消したと見做された場合に解除される。
織世明日姫:条件達成により、解除でお願いします。
GM:了解です。暴走の解除を認めます。
石黒せいら:時を違えて、場所を同じく食堂にて。
石黒せいら:豪奢、というには心もとないが。通常の囚人よりいささか豪華なものをプレートに乗せて。
石黒せいら:お願いして融通してもらったものだ。
石黒せいら:「美味しそ~」
籠羽ゆりは:「お~い、せいら~☆こっちこっち!」
籠羽ゆりは:パイセンと一緒に空き席を確保済。飄々とした声で呼びかける。
純恋・バレンタイン:不貞腐れた顔で座っている。
石黒せいら:「はあい」とん、とプレートを置く。焼けたてのパンの匂いが鼻腔をくすぐる。
籠羽ゆりは:「見てみて!パイセンのごはん、すっごいよ」
純恋・バレンタイン:黒いというか焦げてカチカチのパン。
石黒せいら:「炭?」
純恋・バレンタイン:スープ…と呼ぶのもおこがましい薄い塩味がするお湯にコーンが数粒沈んでいるコーンスープ。
籠羽ゆりは:「わざわざ焦がす様に作ったのかな」
石黒せいら:「手間掛かってんじゃ~ん」
純恋・バレンタイン:野菜のヘタに塩を振ったものをピクルスと称したもの。
純恋・バレンタイン:ぬるい水。
純恋・バレンタイン:「おかしいだろ」
純恋・バレンタイン:「2ランク下ってもうちょっとマシじゃなかったか?」
籠羽ゆりは:「流石に気の毒になってきたっす……」
籠羽ゆりは:「パイセン!私のをちょっと分けてあげるっすよ~~」
石黒せいら:「やめときな~。目えつけられるよ」
籠羽ゆりは:プレートを寄せる。匂いの香ばしい焼き鮭とあったかご飯にお味噌汁、バランスの整った副菜達。
籠羽ゆりは:せいらのプレートほどではないが、他の囚人に比べて、割かし豪華な料理が揃っていた。
籠羽ゆりは:「バレなきゃ犯罪じゃないんで大丈夫だよ」
純恋・バレンタイン:「ライスが冷めてないのズルいな」
石黒せいら:「てか分けてあげるなら緑ちゃんにじゃない?」
石黒せいら:「とばっちりじゃん」
純恋・バレンタイン:「僕だって皆の為に頑張ったんだけど?」
籠羽ゆりは:「あ~。でも、今日は私達と刑務時間サイクルがズレてるしなぁ」
籠羽ゆりは:「明日姫ちゃんが一緒だから、明日姫ちゃんに分けて貰ったりすればいいかも」
石黒せいら:「自分のためにでしょ~?」
石黒せいら:「……あの子全部渡しそうだな~……」
籠羽ゆりは:「あはは☆明日姫ちゃん優しいからな~……」
籠羽ゆりは:「……あ~」
純恋・バレンタイン:「今、だいぶヤバいよね。明日姫」
籠羽ゆりは:「そう。明日姫ちゃんが最近ちょっとやつれてる件、気になってたんだ」
石黒せいら:「ヤバいよね~じゃねえだろ」
籠羽ゆりは:「二人とも、何でか知ってるの?」
石黒せいら:「せーらは知ってるけど……」純恋をちらりと見て。
純恋・バレンタイン:「半分は僕のせいかな」
石黒せいら:「半分ね。てか知ってんのかよ」
籠羽ゆりは:「?」
石黒せいら:「カズくんって居たじゃん。明日姫ちゃんのカレシ?」
純恋・バレンタイン:「シエンと揉めてた時になんかしてたでしょ」
純恋・バレンタイン:「あの時自分から言ってきたんだよ」
石黒せいら:パンを齧りながら。「こいつがぶっ殺しちゃったんだって」
純恋・バレンタイン:「ヒモだよヒモ」
石黒せいら:「え~。マジ?」
籠羽ゆりは:「…………」口に運ぼうとした鮭が落ちる。
純恋・バレンタイン:「彼氏と思ってたの明日姫だけだろ?」
籠羽ゆりは:「それは……そりゃあ、そうなるかもね」
純恋・バレンタイン:「詳しい所は知らないけどさ」
純恋・バレンタイン:「せいらは何か知ってんの?」
純恋・バレンタイン:「関係性とか」
石黒せいら:「まあ察しはつくけどさ。だとしてもっていうか……」
石黒せいら:「だからこそっしょ」
純恋・バレンタイン:「僕にとっては口だけで嘘ばっかりで組織の情報とか金を抜こうとして」
純恋・バレンタイン:「そこからも言い訳しか言わずに人のせいにしたんだもん」
石黒せいら:「彼氏彼女よりも依存関係のほうが……」
石黒せいら:「失ったときに崩れ方デカいじゃんか」
純恋・バレンタイン:「そりゃケジメはつけるだろ?」
籠羽ゆりは:「パイセンの言うことは最もっすけど」
純恋・バレンタイン:「どのくらいの依存だったわけ?」
石黒せいら:「誰かさんにぶっ殺されたって知ったらああなるくらい」
籠羽ゆりは:「異性の依存関係なんて、大抵ぶっとんでるもんだし……」
純恋・バレンタイン:「あとね、明日姫の彼氏とかそういうの知らなかったから」
純恋・バレンタイン:「僕に嘘をつくのはいいさ、ちゃんと嘘ついただけの夢見せてくれるならね。でも僕を売ったり裏切る相手に容赦する理由なんてないからさぁ」
籠羽ゆりは:「はは……」冷や汗。
石黒せいら:「あんたを裏切りでもしたやつは大変そ~」
純恋・バレンタイン:「バレたあとにちゃんとごめんなさいできて埋め合わせができるんなら全然良かったのに」
純恋・バレンタイン:「その辺出来てないって事は明日姫にとっても良くないよ」
石黒せいら:「はは。じゃあ言ってやったら?」
石黒せいら:「明日姫に。お前の男は殺されて当然だったんだからお前にとっていいことをしたんだって」
石黒せいら:「泣いて喜びそう」
純恋・バレンタイン:「最低じゃない?こいつ~」
籠羽ゆりは:「まぁ……その……事実ならしょうがないっすけど……」はぐらかす。
籠羽ゆりは:「実際問題、けっこう大変じゃないすか、コレ」
籠羽ゆりは:「明日姫ちゃん。彼氏がいないって分かったら、もう脱獄頑張る理由なくないかな?」
石黒せいら:「ムカつくやつにひどい目に合わせることは興味ないって言ってたから」
石黒せいら:「最悪せーらたちが売られることはないとは思うけど……」
籠羽ゆりは:「ふむぅ」腕組み。
籠羽ゆりは:「だとしても。エル様も言ってた通り、私達の誰かが平常でないことは脱獄の可能性を大きく下げうる」
籠羽ゆりは:「それに……」
籠羽ゆりは:「あの、健気で優しい子が。荒んだ目のままでいるのは、ちょっとやだな」
純恋・バレンタイン:「そうなんだよねえ」
石黒せいら:(強盗はするけどな……)
純恋・バレンタイン:「つーかさ、君のアレも原因の一つでしょ」
純恋・バレンタイン:「八方美人でさァ」
石黒せいら:「はあ?転嫁すんなし」
籠羽ゆりは:「……え。なんか明日姫ちゃんに余計なこと言ったの?」
石黒せいら:「別にせーらは相手居るとこに行ったりしないし。仕事でしか……」
純恋・バレンタイン:「信用できそうな相談相手~って思ったらコレでしょ?」
純恋・バレンタイン:「ああなってから君に対する態度もおかしかったじゃん」
純恋・バレンタイン:「僕だけが悪いなら他に依存しそうなのにあんなになってるんだもん」
石黒せいら:「てかそれで半分こっちが悪いって主張なの?」
石黒せいら:「いやキショすぎ……」
純恋・バレンタイン:「いや?そもそもとしてカズが悪い」
石黒せいら:「まあそれは……」
純恋・バレンタイン:「だとしても君に非がないわけじゃないだろ」
石黒せいら:「せーらはマジで立ち直って欲しいって思ったんだけど?」
石黒せいら:「でも向こうがしないって」
籠羽ゆりは:「……本人が手を差し伸べるのを拒否ったんなら」
籠羽ゆりは:「救いようない気がする。せいらは悪くないよ」
石黒せいら:「誰よりも明日姫ちゃんが好きだったらちょっとは違ったのかなって」
石黒せいら:「あ、明日姫ちゃんのことは好きだよ?」
純恋・バレンタイン:「ハァ~…なるほどねえ」
籠羽ゆりは:「…………」諦観が入り混じった表情のまま、視線を落とす。
純恋・バレンタイン:硬いパンを齧る。
純恋・バレンタイン:「モグむぐ…かった…苦~」
石黒せいら:「マズそ~」
純恋・バレンタイン:「試してみる?」パンをちぎって差し出す。
純恋・バレンタイン:「交換しようじゃないか、その肉でいいぞ」
石黒せいら:「は?嫌」
石黒せいら:プラスチックのフォークで頑張って肉を切り分けている。
籠羽ゆりは:「……パイセン。私の冷ややっこと交換するっす。何とかの肉っす」
純恋・バレンタイン:「日本人は豆好きだよね」
石黒せいら:「畑ね」
籠羽ゆりは:「そう、畑だ~」
純恋・バレンタイン:「トーフキューブってそのまま固形で食べる文化なんだよな」
純恋・バレンタイン:交換してもらう
籠羽ゆりは:固いパンを受け取る。とりあえず口元に運んでみて。
籠羽ゆりは:「かっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ」
籠羽ゆりは:「た!!」
石黒せいら:「あはははっ!」
籠羽ゆりは:「そもそも嚙み切れないんすけど!!なんでこれ喰えてるんすかパイセン!?」
純恋・バレンタイン:「?」
石黒せいら:「じゃあお似合いの食事なんじゃないの~?」
籠羽ゆりは:「ホントにパイセンを虐めるために焼き加減を調整してるんすかね……」
純恋・バレンタイン:「硬いって言っただろ?」
純恋・バレンタイン:「普通はスープに浸して食べるんだよ」
籠羽ゆりは:「限度ってもんがあるんすよ~っ」
籠羽ゆりは:「お湯じゃないっすかソレ」
純恋・バレンタイン:ちぎったパンに貰ったトーフをのせて食べる。
純恋・バレンタイン:「マズくなるから僕はやらないけど」
籠羽ゆりは:仕方なく、自前のお味噌汁に浸して柔らかくしてみる。
純恋・バレンタイン:「焦げに塩味追加したくない」
石黒せいら:「マズくなりようないだろ」
石黒せいら:「元から底辺なんだから……」
籠羽ゆりは:「うわ。お味噌汁が黒に染まってく……」
純恋・バレンタイン:「水分でコゲの苦みが口の中に広がって後味が残るんだよ」
純恋・バレンタイン:「噛んで食べればそこまで残らないからね」
籠羽ゆりは:「パイセン基準の言葉で物を考えると、危険だってことが良く分かったっす~」
籠羽ゆりは:かろうじて嚙み切れるようになったパンをもさもさとほおばる。
石黒せいら:「まあでも、出れるなら食べ納めかもよ?」肉を口にしながら。
石黒せいら:「今のうちに味わっておくという線もあるかも」
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:「はいっ♡せいら、あ~ん♡」満面の笑みで、焦げパンを差し出す。
石黒せいら:「え?要らない……」
籠羽ゆりは:「びっくりするくらい高速で掌くるくるしたな……」
純恋・バレンタイン:「何事もチャレンジだよ」
石黒せいら:「苦いの嫌い」
籠羽ゆりは:「む~……食わず嫌いは大きくなれないよ?」
石黒せいら:「十分大きいと思うんだけど……」
純恋・バレンタイン:「苦味は大人の味だよ?」
石黒せいら:「へえ~。だから好き好んでそんなパン食べてるんだ」
石黒せいら:「おっとな~」
籠羽ゆりは:「このパンは苦味っていうか、苦っすけどね……」
石黒せいら:「せーらはこどもの苦くないパンでいいや」柔らかいパンをかじる。
純恋・バレンタイン:「こいつ…」
籠羽ゆりは:「そうだなぁ……じゃあ、私の黒ゴマプリンと交換っこしよ☆」
石黒せいら:「交換?」
籠羽ゆりは:「そ。せいらの食べてるやつ、私も食べてみたい」
石黒せいら:「いいよ。どれほしいの?」
石黒せいら:「ゆりならどれ持ってってもいーよ」
籠羽ゆりは:「やった~っ!」
純恋・バレンタイン:「扱いが違い過ぎるだろ」
籠羽ゆりは:「じゃあ、提供:デザートだし、希望:デザートにしよっかな」
石黒せいら:「ん~」シューアイスを半分に割る。
石黒せいら:「はい」
籠羽ゆりは:瞼を閉じて、小さな口を開ける。
石黒せいら:「……」薄く笑って。
石黒せいら:差し入れるように、その口元に詰め込む。
籠羽ゆりは:「……はむ」
石黒せいら:「おいしい?」
籠羽ゆりは:「~~~~~~~~っ♡」
籠羽ゆりは:「焦げが蔓延した口に染み入るバニラアイスのくちどけとひんやりした食感」
籠羽ゆりは:「高低差ありすぎて最っ高……」
石黒せいら:「低を体よく利用してる……」
純恋・バレンタイン:「う~」
籠羽ゆりは:「……っと、私もちゃんとお返ししなきゃね」
籠羽ゆりは:ほころんだ顔をそのままに、黒ゴマぷりんを大きめに一口すくって。
石黒せいら:「ん……」口を開けて、目を閉じて待つ。
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:雛鳥が餌を待つような彼女の口を、細めた瞳でじっと見つめて。
籠羽ゆりは:「はい」そっと、口元へ運ぶ。
石黒せいら:「ん……」
籠羽ゆりは:「……どう?」
石黒せいら:「うん。食べたことある味。フツーの」
籠羽ゆりは:「え~~」
純恋・バレンタイン:「ズルい」
籠羽ゆりは:「そこは……なんか、あーん要素で美味しくなったとか言ってほしかった~~」
石黒せいら:「美味しくはならないけど……」
籠羽ゆりは:頬を膨らませながら。
石黒せいら:「でもやれてうれしいかも」
籠羽ゆりは:「……ふふ」
籠羽ゆりは:「そーそー、そういうのでいいんだよ」
純恋・バレンタイン:「君らだけいいもの食べてるのおかしいよ」
石黒せいら:「おかしくないです~」
籠羽ゆりは:「交換っこだもんね~」
純恋・バレンタイン:「くそ~」
籠羽ゆりは:黒ゴマプリンをもう一つ掬って。羨ましそうなパイセンの前へ持っていく。
籠羽ゆりは:「はい、あ~ん♡」
石黒せいら:「え、え~!」
石黒せいら:「ずるい!」
籠羽ゆりは:「今交換っこしたじゃん……」
純恋・バレンタイン:「あ~ん」
純恋・バレンタイン:目を閉じて口を開ける
石黒せいら:「そうだけど~……」
籠羽ゆりは:「……ふふ。あーんするときは、せいらもパイセンも同じ表情するんすねぇ」
石黒せいら:「は!?」
籠羽ゆりは:そっと、口元に運んであげる。
石黒せいら:「こんなアホ面してない!」
純恋・バレンタイン:「お、美味しい」
純恋・バレンタイン:良く味わって飲み込む
純恋・バレンタイン:「アホって何だ!」
純恋・バレンタイン:「ちゃんと美味しいと言えるぞ僕は」
純恋・バレンタイン:「ありがとうね、ゆりは」
石黒せいら:「食べてるものが食べてるものだからでしょ~?」
石黒せいら:「何と比べても天国じゃんか」
純恋・バレンタイン:「そうやって、感謝の気持ちを忘れてるんだなあ」
籠羽ゆりは:「えっへへ。日頃のお返しっすよ~」
籠羽ゆりは:はにかむ様な笑顔で。
GM:サイクル3 シーン2
GM:シーンPCは籠羽さんです。
籠羽ゆりは:はーい
籠羽ゆりは:エル様の情報を開けたいなと思うんすけど
籠羽ゆりは:呼びたいのはせいらです
石黒せいら:まかせな
GM:OKです
GM:・エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュクの『秘密』 《情報:軍事/メディア》難易度5
籠羽ゆりは:なんか普通に素振りでも開けられそうだけど、一応
籠羽ゆりは:コネ:情報収集チーム、デヴォーティを1回ずつ使用して達成値+6
籠羽ゆりは:4dx+6>=5
DoubleCross : (4DX10+6>=5) → 7[2,2,3,7]+6 → 13 → 成功
GM:成功!では秘密をお渡しします
籠羽ゆりは:なるほど、理解を得ましたが……
籠羽ゆりは:そのまま、せいらと会話します。
石黒せいら:秘密トレードしない~?
石黒せいら:あたしも知りたい
GM:OK シーンの内容はお決まりですか?
石黒せいら:純恋秘密か緑秘密なら渡せるよ~
籠羽ゆりは:シーンは、休憩時間のいい感じでのロケーションで会話っすかね……
GM:OK それではシーンを開始しましょう
籠羽ゆりは:貴方は、不審に感じ始めているかもしれない。
籠羽ゆりは:ここ最近、貴方の生業に少しずつやり辛さが表面化してきていることへ。
籠羽ゆりは:骨抜きにしたはずの看守達に取り付けた約束をリスケされたり、すっぽかされたり。
籠羽ゆりは:キープしていたはずの空き部屋が急に使えなくなったり、施錠されるようになったり。
籠羽ゆりは:まるで、真綿で首を締めるかのように、少しずつ、少しずつ。
籠羽ゆりは:貴方の支配力を重く見た看守長が対策を講じ始めたのだろうか。
籠羽ゆりは:だが、探りを入れてもそれらしき証左は出てこない。
籠羽ゆりは:では、貴方が"お願い"によって得た獄中生活での潤いも、枯れ始めているのだろうか?
籠羽ゆりは:否。失ったはずの利益は、別口から補填されつつあった。
籠羽ゆりは:
――えへ、びっくりした?カスミソウっていう生花なんだって。
――せいら、ドライフラワー好きだもんね。たまたまゲットしたから……プレゼントっ☆
籠羽ゆりは:
――うーん。私、所詮陰キャだからさ。ファッションとかアクセサリーとかよくわかんなくて。
――ほら、新刊のファッション雑誌が都合よく手に入ったからさ。教えて、ほしいな。
籠羽ゆりは:
――すっごいねぇ。大浴場貸し切り!まるでホテルに来たみたい。
――あぁ。私が初めて自作したステッカー、まだ持っててくれたんだ……嬉しい。
籠羽ゆりは:両者には明確な契機が存在する。
籠羽ゆりは:籠羽ゆりはに、本心と過去を打ち明けた次の日からだ。
籠羽ゆりは:
籠羽ゆりは:「……ねぇ、せいら!」
籠羽ゆりは:自由時間の開始に合わせて。いつも通りの朗らかな笑みで、貴方の袖を引っ張る。
石黒せいら:「……ゆり」
籠羽ゆりは:「監視塔の倉庫整理を担当するついでに、鍵を拝借したんだけどさ」
籠羽ゆりは:「屋上に出ると、星空が見えるんだって」
籠羽ゆりは:「今から行ってみない?」
石黒せいら:「うん。いいね……」そのままついて行って。
石黒せいら:着くや否や。鍵を抜き取って閉める。
石黒せいら:「ねえ」
石黒せいら:「どういうこと?」
籠羽ゆりは:「……?どういうことって?」
石黒せいら:「ゆりがなんかしてるよね」
石黒せいら:「じゃなきゃ……説明がつかない」
籠羽ゆりは:「え~っ?何のことかなぁ☆」
石黒せいら:「ごまかさないで」
石黒せいら:「……ここで物手に入れるって、そんな楽なことじゃない」
石黒せいら:「……なんかやってんでしょ、ゆりが」
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:「うん。やり方は私流だけど……」
籠羽ゆりは:「せいらと同じこと、私も始めたんだ」
石黒せいら:「は?」
籠羽ゆりは:「陰キャだし、まだまだ拙いから、せいらが得てきたモノには及ばないけど」
籠羽ゆりは:「素人仕事過ぎて、せいらに指摘されたら恥ずかしいから黙ってたんだ」
籠羽ゆりは:「……ごめんね☆」
石黒せいら:「……」
石黒せいら:「本音は?」
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:いつもの朗らかな笑顔が、少しずつ崩れていく。最初に二人きりで会話した時の、陰キャだった頃の顔つき。
籠羽ゆりは:「……だって」
籠羽ゆりは:「せいらをこれ以上、苦しませたくなかったから」
石黒せいら:「だからって……」
石黒せいら:「それであんたが苦しむんじゃ意味ないでしょうが」
石黒せいら:「せーらはここいじって……」こめかみをとんとんとして。「考えないようにできるの」
籠羽ゆりは:「……でも、嫌なんでしょ?女の子を抱くの」
石黒せいら:「それは……」
籠羽ゆりは:「私にだって、お誂え向きの能力があるからさ」
石黒せいら:「……」沈黙。否定ではない。
籠羽ゆりは:パチン、と。指をはじくと、ハートマークのステッカーが出現する。
籠羽ゆりは:「ステッカーの香りのことも、せいらは知ってるんでしょ?」
石黒せいら:「うん。相手を仲の良いお友達みたいに思わせて。やりようによっては……」
石黒せいら:「イかせることもできる、ってとこ?」
籠羽ゆりは:「ん~。そこまで精度のいい"特別"じゃないんだよね」
籠羽ゆりは:「直接貼れば、その子を気持ちよくさせてあげられるんだけど」
籠羽ゆりは:「最初は警戒されるからさ。部屋に沢山貼って、香りを充満させるの」
籠羽ゆりは:「私にも適用されちゃうけど。ちゃんと、目的は果たせるから……」
石黒せいら:「てか具体的なやり方が聞きたいんじゃないんだけど。だから……」
石黒せいら:「ゆりは苦じゃないの?その……」
石黒せいら:「好きでもない人とセックスするの」
籠羽ゆりは:「……ん~?」
籠羽ゆりは:「私は大丈夫だよ。せいらに、ちゃんと手ほどきして貰ったから」
籠羽ゆりは:ぽたり、と、一滴。
籠羽ゆりは:「恋人同士はさ、辛いことを、傍で支え合って乗り越えていくこと、だから」
籠羽ゆりは:また一滴。つぶらな瞳から溢れる涙が、静かに零れ落ちた。
籠羽ゆりは:「だから……だ、い、じょうぶ……」
石黒せいら:「一方的に辛いんじゃないじゃあ……!」
石黒せいら:「ふざけてんの?今自分で言ったことも自分で出来てないじゃん」
石黒せいら:「支え合う?あんたが一人で支えようとしてることのどこが?」
石黒せいら:「フザけんなよ。あんたのそれは……」
石黒せいら:「せーらをバカにしてるだけ」
籠羽ゆりは:「…………!」
籠羽ゆりは:「じゃあ、私はどうやったら」
籠羽ゆりは:「貴方にとっての"特別"に、なれるの?」
籠羽ゆりは:睫毛は濡れて重くなり、視界は滲んで、貴方の顔が見えなくなっていく。
石黒せいら:「……」
籠羽ゆりは:「私は、貴方が家に転がり込んで来てくれなかったら」
籠羽ゆりは:「遅かれ早かれ、自分で首吊って死んでたと思う」
石黒せいら:「は?」
籠羽ゆりは:「……貴方は、私の手を掴んで、地の底から救ってくれた」
籠羽ゆりは:「ずっと。再会する前も、後も。引け目のようなものを感じていたんだと思う」
籠羽ゆりは:「私にできること。何もないと思ってたから」
籠羽ゆりは:「……このやり方なら」
籠羽ゆりは:「貴方の隣へ、並ぶに足ると、納得できる資格が得られると思った」
籠羽ゆりは:「でも……っ」
籠羽ゆりは:ぐっと唇を噛みしめて、両手で自分の身体をぎゅうっと抱きしめる。
籠羽ゆりは:「せいらをバカにしてるんじゃない」
籠羽ゆりは:「わたしが、ただバカなだけ」
石黒せいら:「せーらは別に……」
石黒せいら:「資格なんて何も求めない。ただ……」
石黒せいら:「せーらのことを、セックス抜きでも好きで居てほしいの」
石黒せいら:「私が望むのは、本当にこれだけ」
石黒せいら:「他は……どうだっていいんだから。だから……」
石黒せいら:「ゆりにしてほしいことは、せーらの代わりに仕事をしてくれることじゃない」
石黒せいら:「ただ。あの頃みたいに……」
石黒せいら:「一緒に住んで、くだらないことやくだらなくもないこと笑ったり泣いたり怒ったりしたいの」
石黒せいら:「セックスも……まあ、たまになら我慢するし」
石黒せいら:「それじゃだめ?」
籠羽ゆりは:「……っ」
籠羽ゆりは:「ううん。ダメじゃないよ」
籠羽ゆりは:「せいらが本当に望んでるなら。私もそうしたいと思う」
籠羽ゆりは:「……でも」
籠羽ゆりは:「最初に、二人きりで話した時と。同じこと聞くね」
籠羽ゆりは:「そうしたいと思える女性は、私の他に何人いるの?」
石黒せいら:「……セックスしたいくらい仲の良い子は一人も居ない」
石黒せいら:「だけど……」
石黒せいら:「セックスがあっても、我慢できそうなのは……」
石黒せいら:「ゆりしかいない。うん……」
石黒せいら:「ゆりだけ」
籠羽ゆりは:「……え?」
石黒せいら:「……なんで自分から聞いておいてびっくりしてるの……」
籠羽ゆりは:「だって。せいら、こういう時ずっとはぐらかすから」
籠羽ゆりは:「ちゃんと、答えをくれると思ってなくて……」
石黒せいら:「それはだって……」
石黒せいら:「セックスが嫌とか言ったら……」
石黒せいら:「みんなせーらのこと嫌いになると思って……」
籠羽ゆりは:「……あはは」泣きはらした顔に、朗らかさが表れる。
籠羽ゆりは:「せいら、やっぱり恋愛下手くそじゃんか」
石黒せいら:「うるさいなあ……!じゃあ!」
石黒せいら:「これきりもうしない!これなら恥かかないでしょ?」
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:ぺたん。と。腰が抜けてへたり込む。
石黒せいら:「ゆり?」
籠羽ゆりは:「そっかぁ」
籠羽ゆりは:「安心って、こういうことなんだね」
籠羽ゆりは:ぐしゃぐしゃになった顔でも。心の底から溢れ出た幸せで、にへらと笑って。
籠羽ゆりは:「せいら」
籠羽ゆりは:「好きだよ」
石黒せいら:「うん。私も好き。ゆり」かすかな笑みではなく。
石黒せいら:なれないような。どこかぎこちないようにも見えた。
籠羽ゆりは:エル様の秘密を共有します
石黒せいら:2つ持ってるけどどっちほしい~?
籠羽ゆりは:ん~
籠羽ゆりは:そしたら緑ちゃんかな
石黒せいら:どっちでも公開にはなるかな ゆりしか持ってない人いないから
石黒せいら:は~い
GM:ではせいらさんに秘密を渡し
GM:緑の秘密は公開となります
日下部緑の『秘密』
日下部緑は無罪を主張しているが、刑務記録によれば、彼女は紛れもない犯罪者だ。
彼女は衆人環視状況で傷害事件の現行犯で逮捕されており、証拠も全て揃っている。
冤罪である可能性も低く、むしろ他の囚人よりも罪としては歴然としていると言える。
籠羽ゆりは:はえぇ~~
石黒せいら:言ったとおりではあるわけね
籠羽ゆりは:ギミックもなさげですね
石黒せいら:ギミックなんて普通ないでしょ
籠羽ゆりは:せいらにだけは言われたくないよっ☆
GM:所内の体育館。それなりの規模の館内には、囚人が身体を動かせる様々な設備が備わっている。
GM:バスケットボールとゴールもその一つだ。バスケットは割と人気があり、運動時間や余暇時間に楽しむ囚人の姿がよく見かけられる。
日下部緑:「うっ」
日下部緑:フリースローを外して苦い顔をする。
日下部緑:「全然入らない……」
織世明日姫:「あははっ。どんまい、緑ちゃん」
織世明日姫:てんてんと転がるボールを拾いに歩いていく。その顔には、かつてのような感情が戻っている。
純恋・バレンタイン:「背筋を伸ばすと良いよ」
純恋・バレンタイン:転がってきたボールを拾う。
純恋・バレンタイン:「や」
織世明日姫:「……っ」
日下部緑:「純恋さん……」
織世明日姫:見上げる。自分よりも大きな姿。
日下部緑:「……伸びてると思うんだけどなぁ……姿勢はいいってよく言われるし」
日下部緑:言いつつ、僅かに明日姫を庇うような位置に立つ。
純恋・バレンタイン:「ふぅん」
純恋・バレンタイン:ダムダムとボールをバウンドさせてから軽くジャンプしてフリースロー
純恋・バレンタイン:ゴールにボールを入れる。
日下部緑:「うわっ、すご……」
織世明日姫:何度も目の当たりにしてきた、純恋の身体能力。それを再び目にし。
織世明日姫:「……ありがと、緑ちゃん」
純恋・バレンタイン:「…」少し驚いた顔。
織世明日姫:「大丈夫だから」 一歩踏み出し、目の前に立つ。
織世明日姫:「純恋さん」
純恋・バレンタイン:「うん」
日下部緑:「……」心配そうにしつつ、それを見守る。
織世明日姫:「……ワンオンワン、でしたっけ」
織世明日姫:「してくれませんか?」
日下部緑:「えぇっ」
日下部緑:「えっ」二人の身長差を見比べて
日下部緑:「えっ!?」
純恋・バレンタイン:「…うん」
純恋・バレンタイン:「いいよ」
日下部緑:「だ……大丈夫なの……?」
日下部緑:純恋に対しては、自分達にそう乱暴なこともしないだろうという信用はあるが……それでもやはり心配だ。
織世明日姫:「わかんない……」 コートの中央へ歩いていく。「でも」
織世明日姫:「たぶん。これが、あたしの『正しいこと』だと思うから」
純恋・バレンタイン:ゆっくりコートへ歩いていく。
織世明日姫:腕を広げて構える。緊張しているように、身体は固く見える。
日下部緑:その表情を見て、小さく息を吐いて頷く。「……分かった」二人きりになるようコートの外に出て
日下部緑:「……頑張って」
織世明日姫:「うん……!」
純恋・バレンタイン:その二人のやり取りを見ている。
純恋・バレンタイン:「ふぅん」
織世明日姫:「な、なんですか」
純恋・バレンタイン:「良い感じだなと思ってさ」
純恋・バレンタイン:ニヤニヤ笑う。
日下部緑:「ええまあ、いい感じですが……」文脈を理解していない
織世明日姫:「そ、そんなっ……」 赤くなりかけた顔のまま、「……は、はい」
純恋・バレンタイン:「復讐しに来るかと思って待ってたのにさぁ~」
純恋・バレンタイン:「来ないな~って思ったら…振られちゃったかなァ」
純恋・バレンタイン:「オフェンス?ディフェンス?どっちからする?」
織世明日姫:「……しますよ」
日下部緑:「そんなつもりで……え゛っ」
織世明日姫:足元に転がってきたボールを拾い。「これが……復讐、ですっ!」
織世明日姫:仕掛ける。速くも鋭くもない、素人そのものの動き。
純恋・バレンタイン:「はッ!」
純恋・バレンタイン:ターンして進路を遮るようにステップ
織世明日姫:「っ……う、わっ」
純恋・バレンタイン:「ハハ!それで!どうする?」
織世明日姫:「ぐっ……こっち!」 抜け出そうとするが。
日下部緑:「……ッ、う……」思わずコートに踏み入りそうになって、寸前で抑える。口元を抑えながら、祈るような気持ちで見守っている。
純恋・バレンタイン:「そもそもさ!僕が恨まれるのおかしくな…いや、おかしくないけどさ」
純恋・バレンタイン:「全部僕のせいじゃないだろ」
織世明日姫:「……!」
純恋・バレンタイン:フェイント気味にボールに手を伸ばす。
織世明日姫:「あっ……!」 反射的にボールを遠ざける。足元が乱れ。
織世明日姫:「あうっ」 転倒する。
純恋・バレンタイン:地面に頭が当たらないように素早く支える。
日下部緑:「……!」駆け寄りたいのを必死に抑え、伸ばそうとした手は口元に運ぶ。
純恋・バレンタイン:ボールを取って。
純恋・バレンタイン:「攻守交替だね」
日下部緑:「あ、明日姫ちゃん……!」
純恋・バレンタイン:立ち上がるのを待つ
日下部緑:「頑張れ……!」
織世明日姫:ぐ、と袖で汗を拭う。「……はい」
織世明日姫:「あたし……ハァ」 構える。すでに肩で息をついている。「あたし……!」
織世明日姫:「悲しかった。カズくんが、死んじゃったって。純恋さんに殺されたって、知って」
織世明日姫:「でもそれは、カズくんが死んじゃったことじゃなくて。……あたしが」
織世明日姫:「また独りになったことが、悲しかった! そればっかりで……!」
織世明日姫:「でもっ!」 キュ、とシューズが床を踏む。「もう、そうはならない! なりたくないの!」
純恋・バレンタイン:「あの男は、ああいう生き方を選んで!」
純恋・バレンタイン:ダムダム。
純恋・バレンタイン:ドリブルを始める
純恋・バレンタイン:「その結果ああなった。僕が相手だろうとそうでなかったとしても」
純恋・バレンタイン:「そう言う結末になっただろう」
織世明日姫:「っ……」 目を瞠る。動きを少しでも見極めようと。
純恋・バレンタイン:グッと一歩踏み出す。
純恋・バレンタイン:「君はどうなんだ?それすら選んでないんじゃないのか?」
織世明日姫:「これから、選ぶっ……そのために!」
織世明日姫:「挑んでるの!」
織世明日姫:ダン、と跳ぶ。腕を伸ばす。
純恋・バレンタイン:「選ぶだって?」
純恋・バレンタイン:「結局誰かに依存するのは選ぶとは言わないよ!?」
純恋・バレンタイン:と緑の方を一瞥する。
日下部緑:僅かに純恋の視線が逸れたその一瞬。
日下部緑:「……明日姫ちゃん……!行けっ……!」
織世明日姫:「っ――あああああっ!!」
織世明日姫:織世明日姫の「声」は、物理のみならず精神へも干渉しうる。その対象も、他人ならず自分までも。
織世明日姫:緑の声に鼓舞され、自ら発した声が。限界以上の肉体駆動を引き出し。
純恋・バレンタイン:「お、おおゥ!?」
織世明日姫:指先がボールに触れる。小さな力だったが、確かにボールを引き寄せる。
織世明日姫:「……違うもん!」
織世明日姫:「あたしは……もう、依存するんじゃなくて! 緑ちゃんと、一緒に……」
織世明日姫:「一緒に、生きていくために! 選ぶんだ!!」
織世明日姫:「~~~っ!」 ボールを奪い、へろへろのままに走る。
日下部緑:「す、すごいっ……!」思わず口元を抑えて
日下部緑:「明日姫ちゃんっ……明日姫!頑張れーっ!」
純恋・バレンタイン:(追えないわけじゃないけど)
織世明日姫:「はあっ……はあ」 汗を散らし。髪も乱れ。
織世明日姫:「よ、弱くったって。それでも」
純恋・バレンタイン:(まあいいか)
織世明日姫:「あたし、たちっ……『正しい』んだっ……!」
純恋・バレンタイン:「ゴールに入れたいなら背筋を伸ばせ!」
織世明日姫:「っ……!」
純恋・バレンタイン:「ウダウダ、メソメソしてたら欲しい物なんて手に入るもんか!」
織世明日姫:ゴールの前で、姿勢を正す一瞬。
織世明日姫:「……はいっ!」
織世明日姫:『正しい』フォームで放ったボールは、それでも一度、リングに当たり。
織世明日姫:ぐるりと危なっかしげに回った後、ゴールを潜り抜けた。
日下部緑:「や…… やっ……た……」
織世明日姫:「はっ……はああっ……」
織世明日姫:すべてを出し尽くしたようにへたり込む。息を整えながら。
日下部緑:「……明日姫ちゃん!頑張ったね……!すごいよ……!」
日下部緑:駆け寄って、汗だくの身体を構わず抱き締めて。
織世明日姫:「み、緑ちゃん……! き、汚いよ……?」
日下部緑:「何が? 明日姫ちゃん、ホントにすごいよ!かっこよかった……!」
日下部緑:掻き抱くように頭を撫でて、それから。
日下部緑:「……ありがとうございました、純恋さん……」
織世明日姫:「純恋さん……」
純恋・バレンタイン:「お礼言われる事してないんだけど」
純恋・バレンタイン:「ハァ~…本当に」
純恋・バレンタイン:「良い子過ぎるんだよなァ~」
GM:ミドル 集合シーン
GM:……の前に、NPCのシーンを挿入します。籠羽さんを召喚します。
籠羽ゆりは:えっ
籠羽ゆりは:はい……召喚されます……
GM:---
GM:その日籠羽ゆりはは、一人エルヴァリヤの独房へと呼び出された。
GM:数人で訪れることはあれど、一人で、それも向こうから呼び出されたのは初めてのことだ。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「来ましたか、籠羽ゆりは」
籠羽ゆりは:「は、はい。召集の命に応じ、参上仕りました……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そう緊張しなくてもよろしい。今お茶を用意します」
籠羽ゆりは:「はいぃ……」きっちり背筋を伸ばして正座している。
籠羽ゆりは:「(……ど、どうしよう。私だけが呼ばれる理由って言ったら)」
籠羽ゆりは:「(幾度となく行った過度なスキンシップにより、ついにエル様がお冠になってしまったことくらいしか……!)」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「と言っても、個人用の電気はありませんから、市販品ですが。紅茶はストレートとミルクどちらがよいですか」
籠羽ゆりは:「あ、え~っと、そしたら」
籠羽ゆりは:「甘い方が嬉しいから……ミルクの方かな?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「分かりました」言って、紅茶花伝のボトルを開けて静かにティーカップに注いでいる。
籠羽ゆりは:「紅茶花伝かぁ~」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ところで……ゆりは?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:静かに声を発する。
籠羽ゆりは:「はっ、はい!!」
籠羽ゆりは:「えーっと、その……ごめんなさいっ!!」
籠羽ゆりは:ジャパニーズ土下座。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:土下座を見下ろして
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「何です?」
籠羽ゆりは:「ふぇ?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「何についての謝罪ですか?これは」
籠羽ゆりは:「え、いや。私が呼ばれた理由って、てっきり」
籠羽ゆりは:「エル様を抱きしめたり撫でたりしすぎたことによる不敬罪でお怒りを貰うのかなと思って……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「な……」頬を染めて
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「違います。わたくしはそんなに狭量ではありません」
籠羽ゆりは:「よかった~……」胸を撫でおろし、足を崩す。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「その程度のことで民を罰するなど、王族としてあるまじきことです。まあ、確かにお前の態度は不敬な部分が大いにありますが……」
籠羽ゆりは:「うぐっ」
籠羽ゆりは:「え、えーっと。寛大なる姫の器量に最大限の感謝を示しつつ……」
籠羽ゆりは:「そしたら、何で私だけをお呼びに?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そうですね」ボトルを置いて
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ゆりは」
籠羽ゆりは:「はいっ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お前は、わたくしのオーヴァードとしての力についてはもう知っていたかしら?」
籠羽ゆりは:「……ええっと、エル様の"特別"のことですか?」
籠羽ゆりは:「可愛すぎること……?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「はぁっ?」表情を崩して「真面目に聞いているのですよ!」
籠羽ゆりは:「(その、砕けた表情で怒ったり照れたりするのが魅力的なんだけどなぁ……)」
籠羽ゆりは:「正直に言うと。さっぱり分かってないです」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そうでしょうね。明かしていませんから」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしの権能は三つ。世俗で言うところの、トライブリードというものに属します」
籠羽ゆりは:「とらいぶりーど」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「一つに、思考能力。ノイマンシンドロームに属する力であり、わたくしはこれによって幾つもの脱獄を計画し、実行に移してきました」
籠羽ゆりは:「如何にもな、エル様らしい"特別"だね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「もう一つは、毒物の生成。体内で猛毒を生成できますが、手で直接触れた相手にしか効果はありません」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「これを使ったことは、生涯で数えるほどしかありません」
籠羽ゆりは:「……へぇ~」
籠羽ゆりは:「そっちはあんまり結び付かないなぁ。てっきり、その人の個性に見合った"特別"が身に付くものとばかり思ってたけど」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ええ。この能力は、わたくしも出来れば使いたいものではありません」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そして、最後の一つは──」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「空気と音響の反射による、立体空間把握能力」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしはこの力によって、どのような閉ざされた監獄であれど、隠し扉や地下に至るまで、あらゆる構造をつぶさに把握することが出来るのです」
籠羽ゆりは:「か」
籠羽ゆりは:「かっこいい~……」キラキラした薄紫の瞳で、熱い視線を送る。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「この能力は、動体に対してもリアルタイムで作用することが出来ます」
籠羽ゆりは:「なるほどなぁ」
籠羽ゆりは:「確かに、牢獄から抜け出すために必要な素養が二つもある貴方は」
籠羽ゆりは:「"脱獄王"の名に恥じない"特別"な人ってことになりそうだね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……まだ分かっていませんね」
籠羽ゆりは:「……?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:君の顔をじっと見る。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「この力は、刑務所内全体、囚人や看守全員の動作を探ることは難しいですが、警戒している箇所で誰がどう動いたか程度なら、いつでも知ることが出来ます」
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:「!!!???」
籠羽ゆりは:ずざざっ、と。顔を真っ赤にしながら、猛スピードで壁際まで後退。
籠羽ゆりは:「え、え。じゃあ、私が直近で色々"おねだり"してたことも――」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そんなことはどうでもいい」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:一瞬、恐ろしく冷たい表情をして。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:後ずさった拍子に、ピン、と何かが外れる音がした。
籠羽ゆりは:「……!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:瞬間、部屋の四方八方から鋼鉄のワイヤーが飛来し、ゆりはの身体を拘束する。
籠羽ゆりは:「っ、なぁ!?」
籠羽ゆりは:咄嗟に指を弾こうとしたが、それすら間に合わず。なすすべなく四肢が固定される。
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:「エル、様?これは……どう、いう」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしが警戒していたのは……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お前がその“おねだり”とやらで足を踏み入れた、記録室です」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「籠羽ゆりは」
籠羽ゆりは:「……き、記憶室?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:小柄な少女が、ぺたぺたと足音を響かせながら、拘束されたゆりはへと歩み寄る。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「探りましたね?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしの過去を」
籠羽ゆりは:「っ……」
籠羽ゆりは:僅かな逡巡を経て。観念したように、頷く。
籠羽ゆりは:「……ごめん。貴方のことを探ったのは、決して疑ってたとか、そういうのじゃなくて」
籠羽ゆりは:「ずっと気になってたの。囚人ナンパの働きで、貴方は私達のことを信用していると言ってた割に」
籠羽ゆりは:「ババ抜きしたり、七並べしたり、スピードしたり」
籠羽ゆりは:「一緒に、たくさん遊んだのに。自分の素性に繋がる一切だけは、教えてくれなかったから」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:眉を顰める。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そんな理由で?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「どこかの手の者では……」
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:「私が、そんな賢そうに振舞ってたと思う?」
籠羽ゆりは:「怪しませちゃってごめんね。でも、さ」
籠羽ゆりは:「エル様も言ってた通り、私達の誰かが平常でないことは脱獄の可能性を大きく下げうる」
籠羽ゆりは:「どんなに楽しい時間でも。どんなにふざけ合ってても」
籠羽ゆりは:「時折貴方が決まって見せる、寂しげな表情が。どうしても忘れられなくて」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
籠羽ゆりは:「……だから。少しでも、力になれないかと思って」
籠羽ゆりは:「調べようとしました……が。特に何もわかりませんでした……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:ひたり、と。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:間近まで詰め寄ったエルヴァリヤの掌が、片方は君の首筋を軽く掴み、片方は左胸に触れる。
籠羽ゆりは:「っ……?」
籠羽ゆりは:びくんと、小さく体が跳ねるものの。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……今、お前の脈拍と鼓動を測っています」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「嘘を吐いたと判断すれば、お前はその場で毒によって死ぬでしょう」
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:それ以上は、余計な動きや抵抗はせず。なすがまま身を任せる。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「答えなさい」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……今言ったことは、全て本当ですか?」
籠羽ゆりは:「はい。嘘偽りない本当です」
籠羽ゆりは:「天女様と、姫様の名に誓って」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:幼く大きな瞳が、じっとその顔を覗き込んで。
籠羽ゆりは:王族たる者の視線に気圧されることなく、まっすぐに見つめ返す。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お前は他の者の指示を受けて動く、わたくしを狙った脱獄計画の裏切り者ではありませんか?」
籠羽ゆりは:「はい。裏切者じゃありません」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:視線を逸らさず、二者の瞳が間近で交錯する。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「では……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……わたくしの……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……わたくしの。その……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:歯切れを悪くして
籠羽ゆりは:「?」小首を傾げる。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……。……友達に、なってくれるというのは……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「あれは……本当に本当ですか?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:伏し目がちにゆりはを見上げる。
籠羽ゆりは:「…………」きょとん、と目をまん丸く。
籠羽ゆりは:「っぷ」
籠羽ゆりは:「あっははははははははははは☆」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「な……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「笑うのではありません!このっ……」
籠羽ゆりは:「ははは……、ふぅ。あー、面白かったぁ。監獄に来て、いっちばん爆笑しちゃったかも」
籠羽ゆりは:肺の中の空気をすべて消費し、息を切らせて。ようやく整えたかと思うと。
籠羽ゆりは:「本当か本当じゃないか、でいうと」
籠羽ゆりは:「私視点じゃ、どっちとも言えないんじゃないかなぁ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……なっ……」
籠羽ゆりは:「私達は」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……こ……殺しますよ……!分かっているのですか!?」きゅっと首を絞める
籠羽ゆりは:「もうと……ぐぇっ」
籠羽ゆりは:首元を閉められ、慌てて止めるよう伝えようにも手足は固定されたまま。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「はっ……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:力を緩める。「……こほん」
籠羽ゆりは:「……げほ、がほ」
籠羽ゆりは:「っ、もう。エル様は王族なのに、早とちりなんだからぁ……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」視線を逸らして「……それで?」
籠羽ゆりは:「だーかーらっ☆」
籠羽ゆりは:「私達は、もう友達なんだから」
籠羽ゆりは:「本当かどうかは、貴方が一番分かり切ってるでしょう?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「…………」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:数秒の沈黙。ゆりはの表情をじっと見つめて。それから。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
籠羽ゆりは:「……いや~。姫様のご尊顔が麗しすぎて照れちゃうな~」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:大きく嘆息する。
籠羽ゆりは:「下々の者にゃ、独り占めするにはまぶしすぎますぜ☆」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……謝罪します。申し訳ありませんでした」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:手を放して、絡みついたワイヤーを外しにかかる。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「このようにして疑って掛かるなど……わたくしの方こそ、恥ずべき……王族らしからぬ、友達として失格の行いでした」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「どうか、許してください」
籠羽ゆりは:「……っと。え~?」
籠羽ゆりは:手首に結び付いたワイヤーを落とすと、そのままエル様の絹のようにつややかな頭髪をそっと撫でて。
籠羽ゆりは:「気にしなくていいよ。私は今まで不敬なセクハラばっかしちゃってたし」
籠羽ゆりは:「その分のお仕置きってことで。ノーカン☆だよ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:消沈した様子で、大人しく撫でられるままにしている。
籠羽ゆりは:「そもそも、疑われる動きをしちゃった時点で私の……あ~~♡」
籠羽ゆりは:目を細めて、口元が吊り上がる。
籠羽ゆりは:「しおらしいエル様も、カワイイ~~♡いっしょにショートで歌ってみたやろうよ~~☆」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「こ……こら……!付け上がりすぎですよ!油断も隙も無い……!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:普段よりやや弱々しく拒絶して、
籠羽ゆりは:「……えっへへ。そーそー」
籠羽ゆりは:「可愛くて、恥ずかしがりで、なのにとっても賢くて、頼りになる」
籠羽ゆりは:「エル様のそういうところ。私は大好きだよ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「っ……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:振り上げた腕の下ろしどころを失って、
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ばか。不敬者……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:小さく呟いて腰を下ろす。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……改めて……掛けてください、ゆりは」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お前には少し……話しておきたいことがあります」
籠羽ゆりは:「……っと。落ち着いたみたいで良かった」
籠羽ゆりは:同じく腰を下ろします。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:先程の紅茶(花伝)を改めて差し出して。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……わたくしのことを探ったようですが……具体的には、どこまで掴めましたか?」
籠羽ゆりは:「……えーっとね」
籠羽ゆりは:「囚人名簿の記名欄に、"偽名の可能性あり"の但し書きがあったね。ただ、王族であることは」
籠羽ゆりは:「間違いない。あと、エル様が更にお若い頃に、よく分からん国名の所に帰ろうとした、みたいな記載があったね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……そうですか」息を吐いて
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ええ。以前から言っている通り……わたくしはある国の王族です」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ただし……その国は今、危機に瀕しているのです」
籠羽ゆりは:「……危機?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「はい。内乱が勃発して、国が大きく乱れているのです」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「幼いわたくしは、その政争に巻き込まれ……政敵からの保護の為、特例措置で監獄に送り出されたのです」
籠羽ゆりは:「……!」
籠羽ゆりは:「そっかぁ。ようやく、合点がいった」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「もっとも……そんな事情を理解できたのも、随分後になってからのことでしたが」自嘲気味に目を伏せる。
籠羽ゆりは:「エル様の振る舞いは、とても犯罪をしでかしたようには見えなかったからね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「きっとわたくしの敵からすれば……わたくしは王族に生まれた時点で罪人なのでしょう」
籠羽ゆりは:「ぐぅっ。パンピー陰キャには縁のない外交事情……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ともあれ、幼いわたくしからすれば……突然訳も分からず家族から引き離され、一人監獄で人目を避けて暮らすことは、とても耐えがたいことでした」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「その頃、わたくしはオーヴァードに覚醒したのだと思います。最初の脱獄は、7歳の時でした」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ですが、十分な準備の効く監獄と異なって、外の世界では子供が一人で出来ることなどたかが知れています」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「故郷を目指したわたくしはすぐに捕まり、また脱獄しては捕まりを繰り返し……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「その結果として、“脱獄王”などと呼ばれるようになってしまいました」
籠羽ゆりは:「……たくさん、頑張ってきたんだね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「皮肉でしょう。国を追われた王族が、よりにもよって脱獄の『王』などとは」
籠羽ゆりは:「私の精魂根腐れしてた幼少期とは大違いだよ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「こんな努力など……何の意味もありません」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしは王族として、成すべきことを何も出来ていないのです」
籠羽ゆりは:「……でも。貴方の原動力は」
籠羽ゆりは:「貴方の祖国と、貴方が治めるべき民草達でしょう?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……はい」
籠羽ゆりは:「そもそもさ~」
籠羽ゆりは:「御年7歳から、他人のため"だけ"に身を粉にして働いてるのは凄まじく凄いことだよ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……その分、民は我々王族の為に尽くしてくれているのです。それに報いるのは当然ではないですか」
籠羽ゆりは:「脱獄したら、適当に日本の小学校を訪問してみなよ。びっくりするくらい幼稚なガキばっかだから」
籠羽ゆりは:「だーかーらっ!」
籠羽ゆりは:ずいっと、エル様に顔を近づけて。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「っ」
籠羽ゆりは:「エル様はまじめすぎなのっ!」
籠羽ゆりは:「そんなに根詰めてたら、折角美しいブロンドへアがあと数年で薄くなってきちゃうかもよ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「な、そんな……いえ。ですから……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:言葉を探すようにしていたが、結局根負けしたように。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……そう……ですね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お前がそこまで言うのなら……。わたくしも、少しは自らを誇りに思っていいのかもしれませんね」
籠羽ゆりは:「……私に言わせれば」
籠羽ゆりは:「こんな牢獄で長年ほったらかしにされてる時点で、祖国だなんてほっといてもいいような気がしてるけど」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そんなわけにはいきません!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ですが、ええ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「これまでわたくしは……自分のことを、故国にとって何も出来ていない、王族失格者だと恥じてきましたが……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お前のお陰で、少しだけ気が楽になりました」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ありがとう。ゆりは」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:そうしてどこか険の抜けた、年相応の笑みを浮かべる。
籠羽ゆりは:「……ふふ」穏やかな笑みを返して。
籠羽ゆりは:「私の方こそ、ありがとう。色々辛かった時のこと教えてくれて」
籠羽ゆりは:「私達は一蓮托生。貴方の計画に最後まで付いていくつもりだってこと、代表してこの場で誓うよ」
籠羽ゆりは:「そんでもって。もし、皆で無事に、この牢獄を抜け出せたらさ」
籠羽ゆりは:「エル様の祖国に、日本のお土産を持って遊びに行きたいな」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……大変ですよ。きっと」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「辿り着くだけでも大ごとですし……祖国も、遊びに行けるような状態かどうか」
籠羽ゆりは:「そもそも、脱獄したって私ら犯罪者のままでしょ?全国指名手配とかされるのかな?」
籠羽ゆりは:「いまさら一つ二つ、苦労を上塗りしたって誤差だよ誤差~」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そうですね」口元を抑えてくすくす笑って、それからゆりはを見上げる。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……あなたには、本当のことを話しておきます」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「今まで、誰にも言ったことはありませんでしたが……」
籠羽ゆりは:「……お、おお?」
籠羽ゆりは:ただならぬ雰囲気に、思わず背筋を正す。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしの故郷の名は、クロドヴァ公国」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしの本当の名前は……エルヴァリヤ・ウルスラ・エリーカ・カンテミール」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「王族の末席に名を連ねる王女です」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしの夢は……いつか故国に凱旋し、内乱を平定し……国を平和にすることです」
籠羽ゆりは:「クロドヴァ公国」
籠羽ゆりは:「エルヴァリヤ、ウルスラ、エリーカ、カンテミール……」
籠羽ゆりは:噛みしめる様に、とつとつと口ずさんでいく。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「理解できなくともいいのです。ただわたくしが、あなたに、言っておきたかったのです」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしが即位した暁には……ふふ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お前を筆頭騎士に取り立ててやっても構いませんよ。ゆりは」
籠羽ゆりは:「……やっばぁ。両親に除け者扱いされて、すべり止めの大学を中退しかけてた私が」
籠羽ゆりは:「麗しき王の側近になれるなんて。大出世だねっ☆」
籠羽ゆりは:Vピース。配信者に相応しい、朗らかで愛らしく笑みを浮かべながら。
籠羽ゆりは:「これから長い付き合いになるなら、改めて……」
籠羽ゆりは:「よろしくね。エル様っ☆」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ふ……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:笑みを零して
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「誓約の口付けでもさせようかと思いましたが……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「やめておきましょう。我々は、友達ですからね」
籠羽ゆりは:「……お気遣い、どうもですぅ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「な、何ですか……不満そうですね」
籠羽ゆりは:彼女の能力で、私の近況など全て把握されていると思ったが故の言葉だったが。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「しますか?わたくしは構いませんが……」
籠羽ゆりは:「あっ。ひょっとして、知られてない?」
籠羽ゆりは:「私と、せいらのこと……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「石黒せいらが……何です?」
籠羽ゆりは:「……あ~。その、ですね」
籠羽ゆりは:「先日、お話しました件。続きがありまして……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ええ」
籠羽ゆりは:「今度こそ、正式に、せいらと復縁しましたことを……ご報告……」
籠羽ゆりは:だんだんと、言葉尻が消極的になっていく。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ああ……そうなのですか。それは良かったですね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……それで?」首を傾げる
籠羽ゆりは:「ふぇ?」
籠羽ゆりは:「いや、女付きの側近に口付けの栄誉は相応しくないとか……そういう話になるのかなって……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「…………?」
籠羽ゆりは:「……あ~」
籠羽ゆりは:「そうじゃん。エル様が聡明過ぎてついうっかりしてたけど」
籠羽ゆりは:「肝心なところは年相応だったもんね~」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:しばらく頭を捻っていたが、やがて気付いたように
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「なっ……ばっ……莫迦!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「騎士の誓いのキスと言えば……手の甲に決まっているでしょう!!」
籠羽ゆりは:「えっ!!??そうなの!!??」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「な、何を考えているのですか……!不敬!痴れ者!えっち!!」
籠羽ゆりは:「内心どきどきしちゃって、せいらにどう言い訳すればいいかと思って……うぐぅ~」
籠羽ゆりは:「そこまで言うなら、エル様は王族らしく、清く正しい誓約の口付けを交わせるんですね!?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「な……そんなこと……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「と……当然交わせるに決まっているでしょう!?」
籠羽ゆりは:「ふぅ~~ん!じゃあ、お願いしちゃおっかなぁ!!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……! ……い……いいでしょう……その程度、王族として当然です!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:売り言葉に買い言葉で立ち上がり、ゆりはを見上げる。
籠羽ゆりは:「うぉっ……」実際に挑むとなると、全身に緊張が走る。だが、大人として引き下がるわけにはいかず。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「片膝をついて、その場に跪くのです。顔もまだ上げないで」
籠羽ゆりは:「そ、そうなんだ……ふーん!やってやろうじゃんか!!」
籠羽ゆりは:頬を赤らめながらも、言われるがままに片膝をついて。顔を伏せたまま跪く。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……よろしい」咳払いして
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:それから、ゆりはの肩に手を置く。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ここに誓約する」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:少女の声で、しかし厳かな響き。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「汝、籠羽ゆりはは、クロドヴァの王女エルヴァリヤ・ウルスラ・エリーカ・カンテミールの従者として」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ここに正式な騎士たる責務を──」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:エルヴァリヤが屈みこむ。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ちゅ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:頬に柔らかな感触。
籠羽ゆりは:「……っ」
籠羽ゆりは:「ちょ」
籠羽ゆりは:「待ってよぉ!!??」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……あははっ!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:君が顔を上げた時には、既にエルヴァリヤは部屋の出口にいる。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「いつもの仕返しですっ!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:悪戯っぽく言って、そのまま逃げるように駆けていく。
籠羽ゆりは:勢いあまって尻餅をつく。真っ赤っかになりながら、走り去る姫様の後ろ姿を、目で追って。
籠羽ゆりは:「……やられたぁ~」
籠羽ゆりは:「あれが王たる者の器、ってやつで」
籠羽ゆりは:「下々の者には、一生掛かっても敵わないものなんだなぁ……」
籠羽ゆりは:ぱたん、と。床に大の字になって倒れこんだ。
石黒せいら:刑務所内。ミニシアター。
石黒せいら:「何見る~?」手持ちのお菓子を持ち込んでいるが、駄菓子類が多い。いつになく質素。
織世明日姫:「い……いいんですかね、こんな」
織世明日姫:「ふつうの、遊んでるみたいな……」 やや及び腰でいる。
石黒せいら:「なんか人権的に出来ないとまずいんだって」
織世明日姫:「なるほど……じゃあ、いいのか」
純恋・バレンタイン:「規範を守ってる囚人にはこういう娯楽があるっていう風にしておけば、自然と守るようになるって話」
織世明日姫:「あっ。あたし、怖いのはあんまり……」
純恋・バレンタイン:「ま、そこまで真面目じゃなくてもここの利用はゆるそうだけどね」
石黒せいら:「犬が死ぬやつ以外ね」
石黒せいら:「あと家が燃えるやつもやだ」
純恋・バレンタイン:「ふーん、じゃあホラーとかサスペンスはやめといて」
織世明日姫:「っ、げほっ……!」 飲みかけたお茶を噴き出す。
純恋・バレンタイン:「そんな細かい指定わからないって」
織世明日姫:「せ、せーらさん……! じゃあ、あたしだって」
純恋・バレンタイン:「大規模アクションはやめとくか」
織世明日姫:「ボールで拷問するかんじのやつ、NGで」
石黒せいら:「無いの?Does the Dog Dieみたいなやつ」
石黒せいら:「……」
石黒せいら:「明日姫ちゃん吹っ切れた?」
織世明日姫:「へっ?」
純恋・バレンタイン:「ジャンル狭すぎ…」
織世明日姫:「あ~……ま、まあ、その」
石黒せいら:「いやなんか雰囲気違うっていうか……戻った?」
織世明日姫:「ご心配をおかけしました……」 照れたようにはにかみながら、ぺこりと頭を下げる。
純恋・バレンタイン:「そういう感じなわけ」
石黒せいら:「……」
石黒せいら:「……女か」
石黒せいら:「誰?」
織世明日姫:「その……とりわけせーらさんには、一番沈んでる時にお世話になって」
純恋・バレンタイン:「大体わかるでしょ」
織世明日姫:「う、えっ……!?」
織世明日姫:「そっ……なんで、そんな」
織世明日姫:「…………」 真っ赤になって頭から煙を出しつつ。
石黒せいら:「え~?秘密なの?秘密にされてたら……」
石黒せいら:「せーら手え出しちゃうかもよ」
織世明日姫:「だ、ダメです!」
純恋・バレンタイン:面倒くさそうな顔をする
織世明日姫:「わかりました、言いますよ……! 緑ちゃんですっ!」
石黒せいら:「へえ~っ!」
石黒せいら:「あの子そういうのダメそうじゃなかったんだ。隅に置けないなあ~……」
織世明日姫:「は~……焦るなあ、もう」 手で顔をパタパタ扇いでいる。
石黒せいら:「かわい~」
織世明日姫:「……えっと、そういうわけなので。あたしはもう、大丈夫です」
織世明日姫:「みんなと一緒に、絶対に脱獄します。改めて、よろしくお願いします」
石黒せいら:「そっか。よかった」
織世明日姫:曇りなき目に晴れやかな表情。その美声も、今までの清涼なる輝きを取り戻している。
織世明日姫:「……純恋さんにも、お付き合いいただいたので。吹っ切る、というか……なんだろ」
石黒せいら:「そういう意味だとあれかもな~。せーらも明日姫ちゃんに家燃やされてよかったかも」
石黒せいら:「それでゆりに会えたわけだし……」
純恋・バレンタイン:「良いのか、それ」
織世明日姫:「あ~……たしかに」
織世明日姫:「えへへ。じゃああたし、ふたりのキューピッドですね」
石黒せいら:「んふふ。そーかも」
純恋・バレンタイン:「結局元鞘か?」
石黒せいら:「何、悪い?」
織世明日姫:「お式には呼んでくださいね! スピーチとかしちゃおうかな……」
石黒せいら:「挙げられる国あるのかな~」
純恋・バレンタイン:「ふぅ~ん、って感じだね」
石黒せいら:「お姫様の国とか?どこか知らんけど」
純恋・バレンタイン:「いいな~、どいつもこいつも幸せでさ」
石黒せいら:勝手に適当な恋愛系の邦画を流している。男が病気で死ぬやつらしい。
織世明日姫:「あ、あはは……純恋さんはいないんですか? 気になってるひととか……」
石黒せいら:「おらんの?」
純恋・バレンタイン:「あ~…どうだろ」
石黒せいら:「いねーのかよ。あんだけ侍らせてんじゃん?」
織世明日姫:「仲のいいひととか……そうそう。いるイメージはありますけど」
織世明日姫:「ああでも、そのひとたちも一緒に脱獄できるのかなあ……」
純恋・バレンタイン:「気になってるって言えば君たちはそうだよ」
石黒せいら:「あれは?あのなんだっけ……筋肉仲間の」
石黒せいら:「はあ?きも」
純恋・バレンタイン:「ただ、湿っぽい話は苦手でね」
織世明日姫:「えっ……」 おしり半分だけ後退るが。
純恋・バレンタイン:「アハハハ、そうそう。それくらいの距離感が良いんだ」
純恋・バレンタイン:「僕の言動にちゃんと引いてくれるくらいのね」
織世明日姫:「…………」
純恋・バレンタイン:「自分で最悪のカスの自覚があるからねえ」
織世明日姫:「……純恋さん。あの、あたし」
織世明日姫:「確かに、カズくんが殺されたって聞いて……すごいつらくなったり、わけわかんなくなっちゃったりしたけど」
織世明日姫:「純恋さんのこと、恨んではないですからね」
織世明日姫:「あたしたちは、間違ってた。……たぶん、純恋さんじゃなくっても、そのうちきっと」
織世明日姫:「ばちがあたってた。どっかで、終わりになってたと思うんです」
織世明日姫:「だから……たとえ、最悪でも。カスでも」
織世明日姫:「あたしたち、仲間ですから」
石黒せいら:「まあ最悪でカスなのはみんな似たようなものだし?」
織世明日姫:「あはは。違うのは、緑ちゃんくらいかなあ」
石黒せいら:「あ、明日姫ちゃん、あのね……?」
石黒せいら:「緑ちゃんも無実じゃないみたいなんだけど……本当に傷害やって目撃者もいっぱいいるって……」
織世明日姫:「え? 知ってますよ?」
石黒せいら:「え?」
純恋・バレンタイン:「そうなの?」
織世明日姫:「緑ちゃん本人からも聞きましたし……その件は、緑ちゃんの『間違ってない』戦いだったんです」
織世明日姫:「でも、事件は事件ですし。こうやって監獄にも入れられちゃってるし、脱獄もしようとしてて……」
石黒せいら:「そういうところがよかった?」
織世明日姫:「本当に間違ってないのかな、って。緑ちゃんも悩む時が、あるかもしれないから」
純恋・バレンタイン:「ふぅ~ん」
織世明日姫:躊躇いがちに頷く。「……そのたびに、あたしが支えます。それが、あたしのいまの『本当に大事なこと』です」
石黒せいら:「……そ」
石黒せいら:「なんか……」
石黒せいら:「ホントに好きなんだね。次の依存先とかじゃなくって」
石黒せいら:「いいことだよ。うん」
織世明日姫:「えへへ……も、もう! 恥ずかしいなあホント……!」
織世明日姫:言いつつも、頬は緩みきってはいる。
純恋・バレンタイン:「そういう意味でも吹っ切れたよね」
織世明日姫:「み、見ましょうよ映画! どんな内容でしたっけ……!」 無理くり話題の転換を図る。
石黒せいら:「今病室でうっすい会話してるよ~」
純恋・バレンタイン:「つ~か、面白くないなコレ」
織世明日姫:「あはは…‥変えちゃいますか。何があるだろ……」
石黒せいら:「え~!」
石黒せいら:「ここからセックスして体調悪くなるのが面白いんじゃん!」
石黒せいら:「あたりめーだろって感じで~」
織世明日姫:「せーらさん……」
純恋・バレンタイン:「そんなの楽しんでどうするんだよ」
石黒せいら:「え?面白くない?」
織世明日姫:「あたしはふつうに幸せになるやつがいいけどなあ……」
純恋・バレンタイン:「大体邦画の恋愛ものは死ぬ話でしか作れないのか?」
石黒せいら:「あ!今見た!?見た!?」
石黒せいら:「昭和の設定なのにスマホ映ってんの!」
織世明日姫:「も~。粗ばっか探して……」
純恋・バレンタイン:「ショーワ?何時代?」
石黒せいら:「違うって、こういう映画のほうが見てるときにワイワイできるじゃん?」
石黒せいら:「途中飛ばしてお菓子取りに行ったりトイレとか行けるし。部屋で見るならこういうのだって」
織世明日姫:「……まあ、それもそうですね」
純恋・バレンタイン:「そうかなあ」
石黒せいら:「女優の子もかわいいし~」
織世明日姫:「ハッピーな恋愛映画とかは、別の機会がいっか……」 ぼそりと独り言ちる。
純恋・バレンタイン:「て言うか本当に死ぬのこれ?」
織世明日姫:「あと何分あるのかな……あっ」
純恋・バレンタイン:「病棟の管理どうなってるんだよ」
織世明日姫:「あたし、いま映った友だちの子のほうが好きかも」
石黒せいら:「あ~……」
石黒せいら:「ちょっと緑ちゃん似てんね」
石黒せいら:「分かりやす」
織世明日姫:「あぐっ……!」
織世明日姫:「……内緒にしてくださいね。緑ちゃんには……」
石黒せいら:「え~?喜ぶんじゃない?」
織世明日姫:「で、でもなんか……似てるっていっても、別の女の子に、って」
織世明日姫:「ていうか、あたし……緑ちゃんは、外見で好きになったわけじゃ」
織世明日姫:言いかけて、いつかの大浴場で緑の裸身に目を奪われた一瞬があることを思い出す。
石黒せいら:「だとしてもビジュ気にしなくなったら終わりだよ~?」
石黒せいら:「ちゃんと磨いたほうがいいよ。いいもの持ってるんだから」
織世明日姫:「…………そうですね」
純恋・バレンタイン:「お、じゃあ体鍛える?」
織世明日姫:かつての日々でも、外見を磨くことは怠らなかった。それは、相手に『嫌われないため』。
織世明日姫:でも今度からは……『もっと好きになってもらうため』に、そうしてもいいのかもしれない。
織世明日姫:「純恋さん式のフィットネス……死んじゃいそう」
石黒せいら:「やめとけって」
石黒せいら:「バキバキなるよ~。ウケんよ」
純恋・バレンタイン:「ああン?」
純恋・バレンタイン:「駄菓子ばっかり食べてぷよぽよになると嫌われちゃうぜ?」
石黒せいら:「……いつものよりはマシだし」
石黒せいら:普段はもっとチョコレートなどガンガン食べていた。今は甘くないものばかり。
織世明日姫:「……ふふっ」
純恋・バレンタイン:「ついでに君も鍛えてやろうかァ~?」
織世明日姫:「せーらさんも、気にしてるんだ」
石黒せいら:「それもあるけどさ……」
石黒せいら:「やめたの」
石黒せいら:「お願い」
純恋・バレンタイン:「ハァ~」
織世明日姫:「……そうなんですね」
織世明日姫:「ゆりはちゃんのため、ですか?」
石黒せいら:「ん、まあ……」
石黒せいら:「そんなとこ」
純恋・バレンタイン:「マジかよ」
織世明日姫:「そっかぁ……」
織世明日姫:「よかったね……ゆりはちゃん」
織世明日姫:応援すると言った言葉が。自分の行動が。どれだけ彼女のためになったのかは、わからないが。
織世明日姫:「……あたしも、できてたのかも」
織世明日姫:「『正しい』こと」
石黒せいら:「あっ見て見て!セックスシーン!」
石黒せいら:「なんかぜんぜんそれっぽくないの!」
純恋・バレンタイン:「病人だからじゃない?」
織世明日姫:「また趣味悪いんだから……でも、あ~」
織世明日姫:「これはたしかに……」
純恋・バレンタイン:「病人がセックスすんなって話だけど」
石黒せいら:「ね~」
織世明日姫:「んー……この感じでシてるのって……うーん」 自分の腰を少しだけ浮かせて何かを思案して。
織世明日姫:「無理じゃない……?」
純恋・バレンタイン:「腰の位置ずれてるからね」
石黒せいら:「ね、やるならこう……」腰をくねらせて。
石黒せいら:「こうなるじゃん?」上下に軽くグラインドするように。
織世明日姫:「うんうん」
石黒せいら:「エアプなんかな」
織世明日姫:「えー。あれじゃないですか? リアルすぎると、女優さんの事務所に怒られるとか」
石黒せいら:「あ~。なるね」
石黒せいら:「慣れてんのかってなるんだ」
織世明日姫:「そうそう。清純派とかで売ってると、気を遣うのかなーとか」
純恋・バレンタイン:「女優が当てたくないんじゃない?」
純恋・バレンタイン:「男の股間に体」
織世明日姫:「あ~~……」
石黒せいら:「でもだったらこうやればよくない?」再び姿勢を変えて。
石黒せいら:「こうしてこう……いやダメか」
石黒せいら:「カメラ映り悪いな」
織世明日姫:「うーん。男のひとがそこで……だと」 イメージでのシミュレーションに限界を感じ。
織世明日姫:「せーらさん。あの体勢やって」
石黒せいら:「はいはい。こう?」
純恋・バレンタイン:「カメラ位置はこの辺?」
織世明日姫:「うんうん。で、あたしがこう……」 せーらに密着する形で配置し。
織世明日姫:「……うーん。やっぱり無理あるよ」
純恋・バレンタイン:「滅茶苦茶浮気現場撮影ポジになってるけど」
織世明日姫:「…………」
石黒せいら:「え?ほんとだ」
石黒せいら:身体を擦り寄せるようにして。「緑ちゃんに撮って送っちゃう?」
織世明日姫:「な、なにするんですかーっ!」
純恋・バレンタイン:「やっぱ腰が10㎝下がらないと無理あるな」
純恋・バレンタイン:「もっと迫真でいこうよ」
織世明日姫:「違うよ! 緑ちゃん、これは違うから……!」 虚空に向かって叫ぶ。
石黒せいら:「明日姫ちゃんに犯される~」
織世明日姫:「や、やっぱり……最悪の、カスだぁ……!」
純恋・バレンタイン:「大丈夫!ゆりはにも送っておくからさ」
石黒せいら:「えっ」
石黒せいら:「ちょ、やめてよ!」
織世明日姫:「そ、そっか! こうなったら地獄に道連れ……!」
純恋・バレンタイン:「やめる理由がないなあ」
石黒せいら:「は!?じゃああんたの秘密バラそうか!?」
純恋・バレンタイン:「はァ?知られて困るような事ないんだよ僕は」
石黒せいら:「あんだろうが。言ってやろうか」
純恋・バレンタイン:「くっ…」
純恋・バレンタイン:「いつの間に」
織世明日姫:「秘密って、確かになんかありましたね……っとと」
織世明日姫:立ち上がった拍子に足がもつれ、映画のチャンネルを変えてしまう。画面に新たに映るは。
織世明日姫:戯画化された、そのモチーフのキャラクター。
純恋・バレンタイン:「ぴッ?」
織世明日姫:「あっ……」
石黒せいら:「くくっ、あははっ!」
石黒せいら:「かわいいじゃん~」
織世明日姫:「す、純恋さん!? ホントだったんだ……じゃなくて」
織世明日姫:「大丈夫ですか~っ!?」
純恋・バレンタイン:「チャンネル…変えてよぉ」
純恋・バレンタイン:呼吸が荒くなる。
石黒せいら:「いや……」
石黒せいら:「誰?」
織世明日姫:「あわわわわ」 チャンネルを戻す。ちょうど男が死ぬところだ。
織世明日姫:「ほ、ほーら純恋さん! いま死にますからね~!」
純恋・バレンタイン:「ハァ…ハァ…」
純恋・バレンタイン:「もう居ない?」
織世明日姫:「いないいない!」
石黒せいら:「いや……明日姫ちゃん分かってないね」
織世明日姫:「えっ?」
石黒せいら:「ここからけっこう保つよこいつ」
石黒せいら:「すげ~引っ張んの」
織世明日姫:「そうなんだ……」
織世明日姫:チャンネルをアニメに戻す。「じゃあいいか」
石黒せいら:「あはっ明日姫ちゃんドS~まあかわいいアニメの方がいいよねえ?」
純恋・バレンタイン:「ひ…」
純恋・バレンタイン:「や、やめて」
純恋・バレンタイン:「やめろよぉ…」
石黒せいら:「あははははっ!」
織世明日姫:「…………」
石黒せいら:「おっかし~……」
織世明日姫:チャンネルをドラマに戻す。
純恋・バレンタイン:クッションを頭に被ってソファの後ろに蹲る
織世明日姫:「なんか……」
織世明日姫:「いい、かも」
石黒せいら:「緑ちゃん……」
石黒せいら:「強く生きなよ……」ぼそりと。
織世明日姫:「し、しないよ!? 緑ちゃんにはっ……!」
織世明日姫:「しない……うん、たぶん……きっと……」
純恋・バレンタイン:「僕にはするんだ…」
石黒せいら:「どうかな~?」
石黒せいら:「ノッたら地が出そう」
織世明日姫:「うっ……そ、それは……えっと……」
織世明日姫:かつての一夜の過ちにおいても、自身の行為の側がどちらだったかといえば。
織世明日姫:「……緑ちゃんが、どうか……ですかね」
石黒せいら:「てか緑ちゃんってそういうのいけるの?」
石黒せいら:「不潔とか言ってた気がするけど」
織世明日姫:「えっ……」
織世明日姫:「た……たしかに。前に……あのお料理の時も」
織世明日姫:「あたしの話……彼氏に、いいな~って……」
織世明日姫:「あ……」
織世明日姫:「あたしが、舞い上がってただけ……?」
石黒せいら:「それはカレシの話じゃん?」
石黒せいら:「カノジョって発想ある?」
織世明日姫:「な……ないかも……!」
織世明日姫:「あたしも……最初はその発想、なかったし……」
織世明日姫:「…………」
織世明日姫:「じゃあ……あたしの、目標」
織世明日姫:「緑ちゃんに、『好きな女の子』として見てもらう……に」
織世明日姫:「なるの……?」
石黒せいら:「あはは。がんばれ~」
織世明日姫:「うう……」 恥ずかしさと落胆と、他にもたくさんの慌ただしい感情がないまぜになりながら。
織世明日姫:「い……いいですよ。やってやりますとも……!」
織世明日姫:「この脱獄で、あたしがこう……すっごいカッコよく、活躍して」
織世明日姫:「緑ちゃんを、惚れさせてやるんだからっ……!!」
石黒せいら:「脱獄予定には明日姫ちゃんの活躍予定入ってなかったけどね」
純恋・バレンタイン:「ふぅ~ん」
純恋・バレンタイン:ソファの後ろから顔だけ出す
織世明日姫:「なっ、ぐぅ……!」
石黒せいら:「あ、死んだ」
石黒せいら:「こっからも長いんだよな~」
GM:壁を破壊する最後の要員として選ばれたのは、ララ・コトという囚人だった。
GM:彼女は君達の話を真剣に聞いている様子だったが……
ララ・コト:「いやぁ……成程ね」
ララ・コト:「話は分かったよ。でもあたしはパスかな」
織世明日姫:「ぱ、パス……ですか?」
織世明日姫:「どうして……」
ララ・コト:「どうしてって……だってリスク高すぎでしょ」
純恋・バレンタイン:「理由を聞きたいね」
ララ・コト:「成功する保証も無いし、もし仮に成功したって一生脱獄犯でしょ?」
石黒せいら:「常識的じゃん」
ララ・コト:「それはちょっとなぁ~」頭の後ろで腕を組み
石黒せいら:「何も反論できない」
日下部緑:「ぐぅ……」ぐうの音
純恋・バレンタイン:「正論だね」
籠羽ゆりは:「そりゃ……そうだねぇ……」
籠羽ゆりは:「でも、そのリスクを押し通してでも脱出できれば」
純恋・バレンタイン:「それで、ここにずっといるワケかい?」
織世明日姫:「ララさんが、えっと……がいねん攻撃?のひとですよね」
籠羽ゆりは:「貴方だって、シャバでやり残したことの一つくらいは清算できるんじゃないかな☆」
織世明日姫:「よくわかんないけど……代わりもいなそうな、あたしたちに絶対必要なひとだから」
織世明日姫:「どうしても、頼めませんかっ……!?」
ララ・コト:「いや~、無理だねえ」
ララ・コト:「やり残したことって……逆じゃん、それ」
ララ・コト:「だって、それ失敗したら最悪死ぬじゃん」
籠羽ゆりは:「ぐうっ……」
ララ・コト:「それはやだな~。あたしまだやりたいことあるんだよね~」
石黒せいら:「何~?」
籠羽ゆりは:一歩後ずさる。木っ端大学中退寸前程度の学歴に、隙のない正論は"効く"。
ララ・コト:ゆりはを一瞥し「ま、そういう事なんで。悪いね。他にはチクらないでおくからさ、頑張ってよ」
GM:というわけで、まるで取り合う様子が無かった。
GM:任意の《情報》難易度15で、ララの情報について探ることができます。
織世明日姫:(2+1)dx+1>=15 <情報:裏社会>
DoubleCross : (3DX10+1>=15) → 10[4,7,10]+6[6]+1 → 17 → 成功
純恋・バレンタイン:強い
織世明日姫:はりきっておる
石黒せいら:つっよ
籠羽ゆりは:つよ~~
純恋・バレンタイン:速攻だ
GM:つよっ
GM:では開示します
ララ・コトについて
彼女はある配信者の大ファンだったらしく、最近それが活動休止したことで消沈していたようだ。
親しい囚人の話によれば、彼女は身体のあちこちに見慣れない模様があり、訊ねてみるとタトゥーではなくステッカーらしい。
籠羽ゆりは:わぁ~~……
GM:
ララ・コト:「あれ……またあんたら?」
ララ・コト:「うーん……悪いんだけど、何回来て貰ってもおんなじだと思うけど……」
籠羽ゆりは:「ふふん。それだけ、私達が本気だってことを証明したいだけだよ☆」
籠羽ゆりは:先ほどとうって変わって、自信気に彼女の傍へ。
ララ・コト:「な……何よ?色仕掛け?そんなんじゃ……」
籠羽ゆりは:ぺた、と。
籠羽ゆりは:ぴんと張り詰めたような、小さな粘着感が、貴方の手の甲へ。
ララ・コト:「……へっ」
籠羽ゆりは:「これは、お近づきの印」
ララ・コト:ステッカーとゆりはの間で視線が行き来する。
ララ・コト:「えっ、あれっ、これって……!」
籠羽ゆりは:「昔ネットで売ってたやつより、ずっと品質のいい粘着面になってるから」
ララ・コト:「もしかして……あんたも『にて民』なの!?」
籠羽ゆりは:「今日から、こっちを身体に貼って……」
籠羽ゆりは:「……あ。そりゃそうか。実際の私を見たってワケじゃないものね」
ララ・コト:「? 違うの?」
ララ・コト:「でも……このステッカーよく手に入ったね?こんな監獄でどこから……」
籠羽ゆりは:「どこでってそりゃあ」
籠羽ゆりは:「私が自作したからね。そのステッカー」
ララ・コト:「え?」
ララ・コト:「……え?」
ララ・コト:「……」
ララ・コト:「────!!」高音
籠羽ゆりは:「私の声ってさぁ。配信上だと、ちょーっとだけ調整を掛けてるけど」
籠羽ゆりは:「ここにいるってことは、私が手取り足取りアドバイスしてあげた子の一人ってことだよね」
ララ・コト:「えっ嘘っ……ウソウソウソ!本物!?マジ!?嘘!!」
籠羽ゆりは:「なら。聞き覚えあるんじゃないかな~☆」
ララ・コト:「やだっメイクしてないっ……えっ……そうですよね!?だって……うわっ!うわ……ヤバいヤバいヤバい!」
ララ・コト:「本物ですよね!?確かになんか声似てるなって思って……うわぁ!こんなところで会えるなんて……」
石黒せいら:「ゆりって本当に人気だったんだ……」
籠羽ゆりは:「(よかった~。中の人に対しても推しとして認識してくれる子で)」
ララ・コト:「あっ私初期からのにて民で……ノヴァクエの時から……あっていうかモンシュピでぇ……」
籠羽ゆりは:内心、胸を撫でおろしつつ。彼女の傍に一歩近寄って。
ララ・コト:「嘘~~……中の人もこんな可愛いとかマジありえなくないですか?やばすぎるんですけど……無理~~……」
日下部緑:「何が無理なんでしょうか?」小声
純恋・バレンタイン:「凄く早口になってる」
籠羽ゆりは:「うれしい~☆超・超・超古参じゃないですか~☆」
織世明日姫:「感極まって、どうしようもなくなっちゃって……みたいな?」 小声。
籠羽ゆりは:「私も、直接"にて民"に会える機会に恵まれて、と~~っても嬉しいなぁ☆」
ララ・コト:「はい!あっごめんなさいこんな一気に喋っちゃって……えぇ~っ超感動です!一生の思い出になります……!」
ララ・コト:「あっ私あの議事堂に火つけたやつに参加してて~……それで捕まっちゃったんですけど~……」
籠羽ゆりは:「(……あっ。あの子か~。いっつもメチャ長文コメと高額スパチャして、表の配信で有名人になってた)」
石黒せいら:「えっ放火……」
石黒せいら:「ゆり……」
織世明日姫:「うわ~。火はダメですよねえ」
ララ・コト:「でもそれでこうやってにてんさんに会えたならもう最高です!!マジやってよかった~~……!」
石黒せいら:明日姫の向こう脛を蹴る。
織世明日姫:「たっ……!」
籠羽ゆりは:「うんうん!じゃあさ、さっき私が言ってた件なんだけど~」
石黒せいら:「せーらたちより反省してないやついるんだ」
籠羽ゆりは:「私がやり残したことってさ。休養中になってる"恋文にてん"の配信を、もう一度復活させたいんだよね」
ララ・コト:「はっ……や……やっぱり……そうですよね……!」
ララ・コト:「にてんちゃんはまた絶対帰ってくるって信じてました……!」
籠羽ゆりは:「ちゃんと禊を終えて、潔白になってから退所する道も考えたんだけど……」
籠羽ゆりは:「やっぱり。私は一日でも早く、皆とまたお話ししたい」
ララ・コト:「勿論じゃないですかぁ!!むしろやらせてもらっていいんですか!?ヤバ~~!!」
ララ・コト:「えっ!」
ララ・コト:「誰とか殺せばいいですか? 死にます?」
純恋・バレンタイン:「一番ヤバくないこれ」
石黒せいら:「ゆりが作ったバケモンだからね」
日下部緑:「ゆりはちゃん……」ドン引きしている
籠羽ゆりは:「まーまー、落ち着いて。今、皆で計画立ててる最中だからさ」
織世明日姫:「やっぱりこれくらいぶっ飛んでないと、がいねんとか壊せないのかな……」
籠羽ゆりは:「貴方の"特別"は、私の脱出劇に欠かせない、肝心要を務めることになる」
籠羽ゆりは:「その時まで、正座待機して待ってること☆」ウィンクでとどめ。
ララ・コト:「はぁあぁああぁっ……!」
ララ・コト:精神的に絶頂している
GM:こうして君達は、脱獄に向けたピースをまた一つ揃えたのだった。
GM:サイクル3 シーン3
GM:シーンPCは純恋さんです。
純恋・バレンタイン:はーい
純恋・バレンタイン:交流していこうかな
純恋・バレンタイン:NPCの呼び出しをお願いしたいのですが
GM:了解です。誰を指名しますか?
純恋・バレンタイン:所長をお願いしたいです!
GM:了解です。
GM:シーンの内容はお決まりですか?
純恋・バレンタイン:そうですね、一般看守をイージーエフェクトの《血液暗示》で操作して
純恋・バレンタイン:何とか面会するチャンスを取りたいと思いますが
純恋・バレンタイン:どうでしょうか
GM:とんでもないことをするな……了解です
GM:それではシーンを開始していきましょう
純恋・バレンタイン:通路の暗がりで看守の首筋に噛みついている。
純恋・バレンタイン:他人の血液に接触する事で簡単な命令を下す。
純恋・バレンタイン:純恋のオーヴァードらしい異能であり。
純恋・バレンタイン:唯一のもの。
純恋・バレンタイン:「さあ…君クラスの権限があれば」
純恋・バレンタイン:「所長と偶然会える場所の設定は…できるね」
純恋・バレンタイン:そうやって、所長の視察途中で他の看守の同行が少ないタイミングを見計らって。
純恋・バレンタイン:会う機会を作った。
看守:「……」
所長:「……あら?」
所長:囚人の利用時間外の図書室。
所長:様子のおかしい看守の様子に気付き、所長が本を読んでいた手を止める。
純恋・バレンタイン:書棚の影からゆっくりと歩み出る。
純恋・バレンタイン:「先日は、どうも」
所長:「あなたは……」
所長:「……純恋・バレンタインさんですね。今は囚人は利用時間ではありませんよ」
所長:突然の遭遇にも、柔和な態度で応じる。
純恋・バレンタイン:「それは、失礼」
純恋・バレンタイン:「しかし、どうしても貴女と話がしたかった」
純恋・バレンタイン:「罰なら受けますよ」
所長:「あらあら……」
所長:意識を失った様子の看守を一瞥し
所長:「随分と熱烈なのですね」
純恋・バレンタイン:「ああ、その余裕」
純恋・バレンタイン:「先日の騒ぎも、どの程度把握していたのか」
純恋・バレンタイン:「教えてもらっても?」
所長:「何か特別なことでも?」微笑して
所長:「囚人同士の諍いを、看守長が過剰に罰そうとしていたから諫めたまでのこと……」
所長:「よくあることですよ。看守長は少し業務に真面目過ぎるところがありますから……」
純恋・バレンタイン:「それは確かにね」
純恋・バレンタイン:「でも、彼女くらい真面目で無ければ僕らのようなクズを抑えられないだろ?」
純恋・バレンタイン:「それとも…」
純恋・バレンタイン:「その程度がどうでも良いくらい貴女が強いのか…」
純恋・バレンタイン:目を細めて相手の表情を観察する。
所長:「……強い?」
所長:「強い……ふふふ」
所長:微笑は崩れず、むしろ更に深まる。
所長:「それは……腕っぷしのことでしょうか?」
純恋・バレンタイン:「アハ…ハハ、違うよ」
純恋・バレンタイン:「ただの力自慢ではダメなんだ」
純恋・バレンタイン:「そんなのは強さの一角さ。僕もそのレベルだけど」
純恋・バレンタイン:「そういう物を超えた力ってものがあるだろう?」
純恋・バレンタイン:「そういう危機感が最近薄れてきていてね」
純恋・バレンタイン:「悪党の自覚が薄れそうになってきたんだ」
所長:「確かに、あなたの言う通りですね」
所長:「私がこのソピステスの長である限りは……」
所長:「この場の誰よりも大きな権限と責任、動かせる裁量を……」
所長:「端的に言えば権力であり、場を支配する力を持っているということになるでしょう」
所長:「私に余裕があるとすれば……」
所長:「それはこのソピステスを、部下達を……そしてあなた方を信用しているからでしょうね」
純恋・バレンタイン:「信用?」
純恋・バレンタイン:「それほどに僕たちは従順かい?」
所長:「ええ」頷く「現に──」
所長:「ただの一度も、このソピステスから抜け出した囚人は存在しませんから」
所長:「私達は責任を持ってあなた方を管理する。あなた方は私達に管理される」
所長:「その関係こそ、正しい形というものです」
純恋・バレンタイン:「正しいか…それでこそだ」
純恋・バレンタイン:「”賭けを”しないか?」
所長:「賭け?」
所長:「あなたと私が、ですか?」
純恋・バレンタイン:「そうだ」
所長:「ふふ……」本の背表紙を指で撫でて「どんな賭けでしょう?」
純恋・バレンタイン:「君のその自信を崩したい」
純恋・バレンタイン:「どんな方法でもいい」
純恋・バレンタイン:「それが出来れば僕の勝ち」
所長:「あらあら……」
所長:「そんなに私が気になりますか?照れてしまいますね」
純恋・バレンタイン:「そうだ、君を僕のものにしたい」
所長:笑みの形に細められた眼が薄らと開き、純恋を見る。
所長:「それでは、あなたは何を賭けるのですか?」
純恋・バレンタイン:「僕の身柄と…”金”だ」
所長:「あなたの身柄は既にこのソピステスのもとにあります。金というのは……囚人であるあなたが?」
所長:「どちらもあなたの自由に出来るものとは思えませんが」
純恋・バレンタイン:「隠し金庫の噂を知っているか?かつてここに収監されていた囚人が持ち込んだ金を」
純恋・バレンタイン:「それに関する情報がある」
所長:「隠し金庫……」
純恋・バレンタイン:「僕らには危機感が足りない、目的を手にするのに気が緩み過ぎている…」
純恋・バレンタイン:「どうかな?」
純恋・バレンタイン:「僕を愛そうとする理由には不十分かい?」
所長:「ふ、ふふ……ふふふふふ……」
所長:「隠し金庫……隠し金庫ですか」
所長:「そんなものが……本当にこのソピステスに存在すると?」
純恋・バレンタイン:「そこは信用してくれとしか言えない」
所長:「ふ、ふ……面白いですね」
所長:「でしたら……好きに探してみればよろしい」
所長:「賭けの件も……そんなことを言われたのは初めてです」
純恋・バレンタイン:「ありがとう」
所長:「どうぞ、受けて立ちましょう。ご自由になさってください」
所長:所長が静かに立ち上がると同時、棚の影から数人の看守が現れる。ずっと前から待機していたようだ。
純恋・バレンタイン:「その笑顔を泣き顔に変えてあげる、きっとね」
所長:「……ええ。ふふ、楽しみにしておりますよ」
純恋・バレンタイン:「ありがとう、僕も君と殺し合えるのを楽しみにしている」
所長:看守が純恋を両脇から拘束し、所長から引き剥がすように図書室から出ていく。
純恋・バレンタイン:(さて、脱獄のハードルがガン上がりしたかな)
純恋・バレンタイン:(怒られるかな)
純恋・バレンタイン:(まあ、いいや)
純恋・バレンタイン:(フフ…ㇵハハハ)
純恋・バレンタイン:連れ出されます
GM:純恋さんは行動が可能です。
純恋・バレンタイン:所長に秘密とかってありますか? なければロイスを取りたいです
GM:秘密は特に用意してないです ロイスは取得可能です
純恋・バレンタイン:じゃあロイスを取ります
純恋・バレンタイン:愛情〇/殺意で!
所長:純恋・バレンタイン 興味/〇嫌悪 で取得します
織世明日姫:201の雑居房。売店で買い上げてきた、お菓子やジュースをずらりと並べ。
織世明日姫:「ゆりはちゃん、おめでとうっ!」
織世明日姫:あればクラッカーでも鳴らしていただろう、そんな華やいだ声で祝福する。
石黒せいら:「えっおめでと~。なんかあったん?」
織世明日姫:「いや、なにって……」
籠羽ゆりは:「あはは、ど~もど~も☆」
籠羽ゆりは:「……確かに、なんで私が祝われてるんだろ?」
織世明日姫:「応援してたんですよ。ゆりはちゃんが、せーらさんと一緒になれるようにって」
織世明日姫:「せーらさんともいろいろ話したじゃないですか!」
石黒せいら:「え~。じゃあせーらも祝われてよくない?なんでゆりだけなの?」
織世明日姫:「だって、ゆりはちゃんの方がすっごい悩んでたし……」
織世明日姫:「……まあ、せーらさんも悩んでたのも、知ってますけど」
籠羽ゆりは:「うぅ、その節は大変ご迷惑をお掛けしまして……本当に……」しおらしく頭を下げて。
織世明日姫:「じゃあ」 お菓子を小皿にざっと取り分け。「ふたりともおめでとう~ってことで」
織世明日姫:「え~っ。そんな、あたしが好きでやってただけっていうか……!」
石黒せいら:「ありがと~。てか明日姫ちゃんのおめでたの話はゆり知ってるの?」
織世明日姫:「おめっ……!」 げほ、と咳き込む。
籠羽ゆりは:「いや、その……私がごにょごにょした件とか……今思えば……って」
織世明日姫:「そ、その言い方……!」
石黒せいら:「セックスね」
籠羽ゆりは:「そうそう!明日姫ちゃんこそ、見た感じは……もう大丈夫そうだね」
織世明日姫:「あ、あぁ~~……いやあ、まあ……」
織世明日姫:「あれも、その……今にして思えば、いい経験にはなったというか」
織世明日姫:「……えっちな意味じゃなくてね!?」
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:「あっ。元気を取り戻したのって、女が出来たから?」
石黒せいら:「ね~だろ他の意味」
石黒せいら:「そうそう」
石黒せいら:「相手知りたい~?なんとね……」
織世明日姫:「うぐっ……だ、だから」
籠羽ゆりは:「気になる気になる!だれだれ?」
織世明日姫:「女の子を、その……好きになるって、気持ちを」
籠羽ゆりは:「やっぱ、私の見込み通りタチ?それともネコ?」
織世明日姫:「……も~~!」
織世明日姫:「緑ちゃんです! はいはい、これでいいんでしょ!!」
石黒せいら:「あっどっちなんだろ」
石黒せいら:「よく言えました~」
籠羽ゆりは:「……マジか!」
籠羽ゆりは:「へぇ~、あの緑ちゃんがねぇ~……ほえぇ~~」
石黒せいら:「ね~?」
織世明日姫:「その……タチ?とかネコ……とか」
織世明日姫:「いまだによくわかってないんですけど」
籠羽ゆりは:「大浴場で私達の一夜の話を聞いてた感じ」
籠羽ゆりは:「全然耐性とかなさそうだったから……ひょっとして、そういうのはまだなのかな?」
織世明日姫:「……‥」 一転、消沈した様子でこくりと頷く。
石黒せいら:「ま~たしかに男女だとあんまないか」
織世明日姫:「あたしは……緑ちゃんのこと、好きだけど。向こうはたぶん……」
石黒せいら:「どっちが攻めか的な」
織世明日姫:「ちょっとなかよしな友だちくらいしか、思ってないんじゃ……」
籠羽ゆりは:「……そうだねぇ。どっちかが積極的にならないと中々そーいう関係までいかなそうな気がする」
織世明日姫:「攻め……?」
石黒せいら:「セックスするときにどっちが手綱握るかってこと」
織世明日姫:「あ……あぁ~」
籠羽ゆりは:「あの夜は、明日姫ちゃんが私のこと、沢山可愛がってくれたじゃんか」
籠羽ゆりは:「緑ちゃんにも、そういうことしてあげたいって感じ?」
織世明日姫:「だっ……そ、それは、だって……!」
石黒せいら:「ゆりやっぱバリネコなんだな」
織世明日姫:「ゆりはちゃん、あたしのことヘンな感じにしてたでしょ……!!」
籠羽ゆりは:「はい……不安諸々があり……その節は本当に……」ジャパニーズ土下座の構え。
石黒せいら:「え?せーらのせい?」
織世明日姫:「あっ……ちがっ。お、怒ってるとかじゃなくてね!?」
籠羽ゆりは:「直接ではないけど、せいらのせいではあるかな……」
石黒せいら:「え~。ごめんごめん」頭を撫でる。
石黒せいら:「許して~」
籠羽ゆりは:「い~よ、許してあげる~♡」飼い猫みたいに、気持ちよさげに撫でられ。
織世明日姫:仲睦まじい様子の二人を、ニコニコと見ながら。ジュースを一口飲み。
織世明日姫:「……いいなぁ」
籠羽ゆりは:「…………」せいらの肩に、すりすりと頬を寄せながら。
石黒せいら:「緑ちゃんだって……これくらいは嫌がらないんじゃない?」顎を撫でながら。
籠羽ゆりは:「そうだね、可愛がってほしいって言ってみたら?」ごろごろと喉を鳴らす真似をしつつ。
織世明日姫:「…………」「そう、かな」
石黒せいら:「ネコ視点だろそれは」
織世明日姫:「なんか……もし、イヤだったらとか。本当に、全然友だちとしか思われてないんじゃとか」
籠羽ゆりは:「え。あー……じゃあ」
織世明日姫:「そういうこと、考えちゃって」
籠羽ゆりは:立ち上がり、明日姫ちゃんの傍へにじり寄る。
織世明日姫:「……ゆりはちゃん?」
石黒せいら:「どこまでが友達でどこまでが恋人とか、その子次第だもんねえ」
籠羽ゆりは:勢いよく、明日姫ちゃんの顔の傍の壁に掌を叩きつけて。
籠羽ゆりは:「明日姫」
織世明日姫:「ひぇっ……」
織世明日姫:「は、はいっ」
籠羽ゆりは:「沢山、可愛がってあげるよ」
織世明日姫:「……!!」
籠羽ゆりは:目を細め、顔を寄せる。目と鼻の先、息が掛かるまで近づいて……
石黒せいら:「ゆ~り~?」
石黒せいら:羽交い締めに。
籠羽ゆりは:「にゃあっ!」
織世明日姫:「っ……!」 思わず、目をきゅっと閉じてしまっていたが。
織世明日姫:「…………」 ちら、と目を開ける。
石黒せいら:「浮気か~?」
籠羽ゆりは:「……って、誘ってあげるのはどうか?って提案しようとしただけだよ~」
織世明日姫:「あ……危なかった~~っ」 はあ、はあと息をつく。
籠羽ゆりは:「浮気じゃないよ」
石黒せいら:「じゃあ明日姫呼びはおかしいでしょ~が」
籠羽ゆりは:「……あ~、ひょっとして、嫉妬?嫉妬しちゃった?」
織世明日姫:「違うからね緑ちゃん、これはその、浮気とかじゃないから……!」
石黒せいら:「……したら悪い?」
籠羽ゆりは:「え……」
籠羽ゆりは:「嬉しい……」
石黒せいら:「ゆり……」
籠羽ゆりは:「せいら……」
織世明日姫:「…………」
織世明日姫:「あたし、ダシにされてる?」
石黒せいら:「え?あ、してないしてない!」
織世明日姫:「……別に、いいですよーだ。そもそも、おふたりをお祝いする会ですし……」
石黒せいら:「とにかくどういうアプローチするかだよね、あ、じゃあこういうのはどう?」
織世明日姫:「むしゃむしゃ……」 お菓子を食べてる。
織世明日姫:「……?」
籠羽ゆりは:「お、百戦錬磨の本領発揮?」
石黒せいら:「せーらが緑ちゃんとセックスするじゃん?」
織世明日姫:「は?」
石黒せいら:「緑ちゃんは女の子と気持ちよくなる事を覚えるから……」
籠羽ゆりは:「は?」
石黒せいら:「あとは明日姫ちゃんが押し倒すだけ!」
織世明日姫:「はっ倒しますよ!?」
石黒せいら:「え!?」
籠羽ゆりは:「やっぱ浮気カスじゃんか!!」
石黒せいら:「これは教育じゃん!せーらだって別にしたくないけど……」
石黒せいら:「明日姫ちゃんがいきなり迫ったらあれじゃん?」
石黒せいら:「『不潔です!明日姫ちゃん、そんな子だと思わなかった……!』って言われるよ」声真似。そこそこ似ている。
織世明日姫:「そ、そういうのは……もっと、順番を踏んで少しずつすればいいでしょ!?」
織世明日姫:「まずは手紙をやりとりしたり……ふたりでお出かけしたり……そうやって、少しずつ」
籠羽ゆりは:「……明日姫ちゃんって昭和の生まれだったの?」
織世明日姫:「『私、明日姫ちゃんのこと……!?』って」 声真似。あんまり似てない。
織世明日姫:「えっ……」
石黒せいら:「……あのね」
石黒せいら:「それで満足するような女……」
石黒せいら:「せーらくらいだよ」
籠羽ゆりは:「びっくりした。文通からスタートする恋愛なんて古代文め……」
籠羽ゆりは:「えっ!?」
織世明日姫:「するんだ……満足」
石黒せいら:「うん……ってせーらのことはいいから」
織世明日姫:「じゃあ……せーらさんも、昭和生まれですね」
石黒せいら:「嫌すぎ……とにかく、距離を近づけることじゃなくて」
石黒せいら:「意識してもらうことが大事じゃん?やっぱりここは……」
籠羽ゆりは:「ごめん……私、せいらにそんな一面があったこと知らなくて……」
石黒せいら:「好きって言いまくるしかないよ」
織世明日姫:「好きって、言いまくる……!」
石黒せいら:「言われた方は否が応でもどんどん意識するから。これ使えるから」
籠羽ゆりは:「脱獄したらまた一から、文通から始めよっか……?」
織世明日姫:「な、なるほど……!」
石黒せいら:「今から文通したいって意味じゃないんだけどな~」
籠羽ゆりは:「よかった……字下手くそだから……」
籠羽ゆりは:「でも、せいらの言うことは私も正しいと思うよ」
籠羽ゆりは:「どれだけ近しい間柄でも、他人の想いなんて、誰にも分からないもんね」
織世明日姫:「ゆりはちゃんも言ってくれるなら、効果ありそう!」
織世明日姫:「よーし……! 好き、好き、好き……」 イメトレ中。
籠羽ゆりは:「……それにさ。明日姫ちゃんにしかない武器もあるじゃん」
織世明日姫:「えっ……武器?」
籠羽ゆりは:とんとん、と自分の首回り……喉を指差す。
石黒せいら:「エッチなボイスだね!」
織世明日姫:「げふっ、ごふっ!」
籠羽ゆりは:「緑ちゃんの耳元で、生声ASMR配信してみな?」
石黒せいら:「あ、あれのコピーうっかり渡したらいいじゃん!」
籠羽ゆりは:「多分"トぶ"と思う」
織世明日姫:「そ、それは……!」
織世明日姫:「う……ああぁ~~っ……!」 なんらかの葛藤をしている……!
石黒せいら:「それをやるってことは……」
石黒せいら:「添い寝するってことだよ~?」
石黒せいら:「したくないの……?」
織世明日姫:「し、したっ……!」
織世明日姫:「……いや、でもぉ~……!」
籠羽ゆりは:「頑張れ、明日姫ちゃん!あと少し!!」
織世明日姫:くねくねと身を捩りながら苦悩している……!!
石黒せいら:「そんな日和ってていいのかな~?」
籠羽ゆりは:「いーっちゃえ!いーっちゃえ!」手拍子。
石黒せいら:「緑ちゃん、可愛いし、胸もおっきいし……」
石黒せいら:「ここ出たら誰かに取られちゃうかもよ~?」
織世明日姫:「う、うううっ……!」
織世明日姫:「さ」
織世明日姫:「最終手段、で……おぼえて、おきますっ……!!」
石黒せいら:「あ~あ。執行猶予何年になるんだろう……」
織世明日姫:はあーっ、はあーっと肩で息をする。脳内でのなんらかの争いの跡だった。
籠羽ゆりは:「……ふふ。でも、明日姫ちゃんぽいっちゃぽいかもね」
籠羽ゆりは:「私達はおーえんしてるよ。二人のこと」
籠羽ゆりは:「困ったことがあったら、なんでも相談に乗るからね☆」ウインク。
織世明日姫:「……うん。そのときは、よろしくねっ」
GM:サイクル3 シーン4 最後の手番です
GM:シーンPCは石黒さんです。
石黒せいら:はい!
石黒せいら:では……
石黒せいら:エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュクさんを呼び……
石黒せいら:戦闘を仕掛けます。
GM:!?
GM:了解です。
GM:シーンの内容はお決まりですか?
石黒せいら:独居房に普通に押しかけようかな
GM:了解です それではシーンを開始していきましょう
石黒せいら:「やっほ~、お姫様?」独居房にふらり、と顔を出す。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……石黒せいら?」
石黒せいら:「うん。せーら」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:一人室内で図面を見ていた。目を瞬く。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お前一人ですか?どうかしましたか?」
石黒せいら:「うん、ちょっと……」
石黒せいら:「相談したいことがあって」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「相談ですか。計画のことでしょうか?」
石黒せいら:「あ、ううん!そういうのじゃないんだ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:ちらりと周囲の目を気にする素振りを見せる。
石黒せいら:「もっと個人的な……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「個人的な……?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:ピンと来ない様子で小首を傾げる。金髪が肩に流れた。
石黒せいら:「……ふふ。やっぱ」
石黒せいら:「ゆりこーゆーの好きそうだなあ……」ぽつり、と呟いて。
石黒せいら:「ごめんね?」その片手には小さな拳銃。
石黒せいら:「ちょっと……分かってもらいたくって」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「な……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:鈍く光るそれを見て、表情が強張る。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「せいら、何を……」
GM:戦闘を開始します。
石黒せいら:セットアップないです!
エルヴァリヤ(10)
(5m)
石黒せいら(4)
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:セットアップなし。
GM:行動値10 エルヴァリヤの手番です
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:うーん……でも……
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:攻撃は……できないかな……
石黒せいら:そうかも
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:待機します。
GM:行動値4 石黒さんの手番です。
石黒せいら:マイナーでエンゲージ、メジャーはパワーピストルで攻撃します。
GM:判定どうぞ!
石黒せいら:2dx
DoubleCross : (2DX10) → 8[5,8] → 8
石黒せいら:《夢の雫》。達成値を+14して22に。
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を3増加(63 → 66)
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:ドッジします
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:判定前に 《妨害排除》LV3
石黒せいら:なんてことするんだ
石黒せいら:犯罪ですよ!
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:次の判定のダイス減少効果を無効に
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:ドッジ 《リフレックス:ノイマン》LV2+《アナライズ》LV3
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:7DX8+2>=22
DoubleCross : (7DX8+2>=22) → 7[3,4,4,6,7,7,7]+2 → 9 → 失敗
GM:失敗です ダメージどうぞ!
石黒せいら:3d10+8 装甲有効
DoubleCross : (3D10+8) → 13[2,7,4]+8 → 21
GM:21点か……
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:HP29なので戦闘不能にはなりません
石黒せいら:くっ……
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:残り8点
GM:行動値0 待機していたエルヴァリヤの手番です
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:流石に反撃
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:メジャー 《コンセントレイト:ノイマン》LV3+《即席武器》LV3+《コンバットシステム》LV3
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:白兵で攻撃します
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:11DX7+2
DoubleCross : (11DX7+2) → 10[2,5,8,8,8,8,8,10,10,10,10]+10[1,2,3,4,5,5,6,6,7]+3[3]+2 → 25
石黒せいら:あっ妨害……
GM:あっ妨害どうぞ
石黒せいら:《盲目の羊》《シュガーラッシュ》。盲目の羊のLVを+2し、判定ダイスを-11個。
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を7増加(66 → 73)
GM:丁度0やんけ!
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:では判定失敗です
GM:クリンナップ
GM:ラウンド2 セットアップです
石黒せいら:ないです
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:ありません
GM:行動値10 エルヴァリヤの手番です
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:再びメジャー 《コンセントレイト:ノイマン》LV3+《即席武器》LV3+《コンバットシステム》LV3
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:攻撃します
石黒せいら:《盲目の羊》で妨害
石黒せいら:-11個です
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を4増加(73 → 77)
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:失敗です……
GM:では行動値4 石黒さんの手番です
石黒せいら:再びメジャーでパワーピストル素撃ち
石黒せいら:2dx
DoubleCross : (2DX10) → 8[7,8] → 8
石黒せいら:《夢の雫》。達成値を+14して22に。
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を3増加(77 → 80)
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:ドッジします
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:《妨害排除》LV3+《リフレックス:ノイマン》LV2+《アナライズ》LV3
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:7DX8+2>=22
DoubleCross : (7DX8+2>=22) → 10[2,2,6,7,8,8,9]+10[3,9,10]+7[3,7]+2 → 29 → 成功
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:避けた!
石黒せいら:ひ~ん
GM:ラウンド3
石黒せいら:セットアップなし
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:セットアップなし
GM:行動値10 エルヴァリヤの手番です
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:う~ん……
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:《コンセントレイト:ノイマン》LV3+《即席武器》LV3+《コンバットシステム》LV3+《居合い》LV3で攻撃
石黒せいら:なんか増やしとるな
石黒せいら:《盲目の羊》します
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を4増加(80 → 84)
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:失敗するしかない
GM:では行動値4 石黒さんの手番です
石黒せいら:メジャーでパワーピストル素撃ち
石黒せいら:3dx
DoubleCross : (3DX10) → 10[6,10,10]+4[2,4] → 14
石黒せいら:《夢の雫》。達成値を+14して28に。
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を3増加(84 → 87)
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:《妨害排除》LV3+《リフレックス:ノイマン》LV2+《アナライズ》LV3
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:これで妨害排除はラストです
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:7DX8+2>=28
DoubleCross : (7DX8+2>=28) → 10[2,3,3,4,5,6,8]+7[7]+2 → 19 → 失敗
GM:失敗!ダメージどうぞ
石黒せいら:3d10+8 装甲有効
DoubleCross : (3D10+8) → 10[2,7,1]+8 → 18
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:残りHP8なので戦闘不能
GM:石黒さんの勝利となります。
石黒せいら:ふふん
GM:石黒さんは
・ロイスを取得させる
・情報を奪う
のどちらかを選択できます。
石黒せいら:じゃあ……ロイス取ってもらおうかな 感情はシーン後にでも決めておいてください。
GM:了解です。
GM:
石黒せいら:それは不意打ち気味の一射だ。およそしっかり狙ったようなものでは無いように見えた。
石黒せいら:だが、その凶弾はエルヴァリヤへと過たず向かう。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「う、ッあぁあっ……!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:鮮血と共に、幼い声の悲鳴が上がる。
石黒せいら:「あれ?子供相手だと勝手が違う?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:激痛が走り、だがそれが困惑していたエルヴァリヤに状況を認識させる。
石黒せいら:「大人ならそこ抜いたら一発だと思ったんだけど」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「石黒せいら……!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:毅然として睨み付け、机上の万年筆を掴み取る。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そうですか、ゆりはでなく、あなたが……!」
石黒せいら:「ゆりははゆりはなんだ?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「逆賊が……何を、世迷言を!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:銃を持つせいらの腕の腱を狙って、正確に万年筆が振り抜かれる。
石黒せいら:攻撃に転じようとした瞬間。
怪生物:エルヴァリヤの視界には、怪生物の姿がある。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……えっ……?」
怪生物:「ダメダメ!せいらを攻撃するなんて許さないぞ!」
怪生物:その奇怪な生物はぴょんぴょんと飛び跳ねて視界を妨げている。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「な、何ですか、これはっ……!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:万年筆を振り回し払いのけようとするも、まるで効果が無い。
怪生物:「今だよせいら!ここを狙って!」
石黒せいら:そこを狙い撃つかのように。追撃の銃弾。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ッ!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:視界が塞がれていても、空気の動きで辛うじてそれを察知。倒れ込むようにして回避する。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:机に倒れ込み、書籍や文房具がぶちまけられると同時。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「や……ぁっ!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:ペーパーナイフを掴み取り、せいらへと投擲する。
怪生物:「ダメ!君はどうしてせいらをいじめるのさ!」
怪生物:「そんな危ないものをせいらに向けちゃダメだ!」
怪生物:視界を覆うように、その怪物の存在感が大きくなる。ナイフはその体をすり抜けた。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……く……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:脱獄は何度も経験すれど、戦闘経験は殆ど無い。
石黒せいら:その怪物の体をすり抜けるようにして。
石黒せいら:3発目。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:混乱したまま、どうすればいいのか全く分からない。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「きゃあぁっ……!!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:倒れ込んだまま、躱すことも出来ない。撃ち抜かれて悲鳴を上げる。
石黒せいら:それと同時に、怪物の姿はふと消えて。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:物が散乱した床に倒れ込んで、弱々しくせいらを見る。
石黒せいら:近づいてしゃがみ込む。「ゆりからね」
石黒せいら:「あなたの匂いがしたの。会っただけじゃなくてさ……」
石黒せいら:「ゆりとなかよくしたでしょ?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「…………!? …………?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:まるで理解できないまま、乱れた呼吸を繰り返す。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……どうして、ですか……信じていたのに……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「最初から、ですか……?最初から、わたくしを殺すつもりで……」
石黒せいら:「え?全然?」拳銃はもうしまってしまっている。
石黒せいら:「ただ……分かってほしかったの」
石黒せいら:「ゆりにちょっかいかけたら……こうなるって」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ちょ……ちょっかい……?」
石黒せいら:「せーら、ようやく気づいたんだ」
石黒せいら:「ゆりが好きなんだ」
石黒せいら:「だから、誰にも取られたくないの」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「す……好き合っているとは、聞いています……それが、何を……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「いたずらの……ことですか?あれはいつも、ゆりはの方から……」
石黒せいら:「いたずらか~……」
石黒せいら:「それ、もうしないようにお姫様の方から言っておいてくれないかな?」
石黒せいら:「せーらからのお願い。ああ……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「い……いつも言っています!でも、やめてくれないのはゆりはで……」
石黒せいら:「お願い、もうしないって約束したんだった」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「何を……一体……」
石黒せいら:「とにかくそれだけなの。あなたをこれ以上は攻撃しないし」
石黒せいら:「脱獄にだって協力するよ?ただ、本当にこれだけなんだ」
石黒せいら:「ゆりはせーらのもの」
石黒せいら:「シンプルじゃない?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ふ……っ…… ふっ……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:激痛に肩で息をする。自分を見下ろす女の視線。混乱と恐怖に、堪えていた涙が滲む。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ゆ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ゆりは……助けて……」
石黒せいら:「ねえ、聞いてた?」
石黒せいら:「ゆりは私を助けに来るの。あなたの騎士様は……」
石黒せいら:「自分で見つけてよ。ね?お願い」
石黒せいら:「あ~またお願いしちゃった……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ど、どうして……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:震える声で弱々しくかぶりを振る。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「いやです。そんな、どうして……」
石黒せいら:「大丈夫だよ。エルちゃんは可愛いし、まだ若いし……本物の王族なんでしょ?」
石黒せいら:「絶対にいい人見つかるから。せーらも応援するから、ね?」
石黒せいら:「だから……ゆり以外にしてね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「どうしてですか!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ゆりはは、やっと見つけた……本当の……大事な、友達なんです」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「どうしてそれを、わたくしから奪おうとするのですか……!?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「あなたには……他にも沢山、友達がいるのではありませんか!?」
石黒せいら:「せーらからゆりを取ろうとしてるのはあんたでしょ!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしには……っ」
石黒せいら:「要らないもん全部!せーらは……」
石黒せいら:「唯一思い合える人が欲しかった!それに、こんな私なんて……」
石黒せいら:「全部好きでいてくれる人なんてもういないもん!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「それが……ゆりはだと言うのですか?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「だから特別だと……」
石黒せいら:「……うん」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……わたくしは……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「あなたとも、友達になりたいと思っていたのですよ。……せいら」
石黒せいら:「……ごめんね。こんなクズと付き合わないほうがいいよ」
石黒せいら:「脱獄まではさ……我慢してよ。大人しくするから」
石黒せいら:「もっとさ。真っ当な子となりなよ。お友達」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……どうして……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:何度目か分からない問いかけを虚空に溶けさせ、涙を零す。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……仕方ないではありませんか……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「出逢ってしまったのですから……」
石黒せいら:「……」
石黒せいら:それを聞きながら、ふらふらと立ち上がって。
石黒せいら:「本当に、どうしてだろ」
石黒せいら:吐き捨てるように言い残して、その場を後にした。
GM:相互にロイスが取得可能です。石黒さんは相手のP/N感情のどちらかを指定できます。
石黒せいら:こちらはエルヴァリヤ/好意/嫉妬:○/ロイスで取得します。
石黒せいら:こちらにはN隔意で取得してください。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:では 石黒せいら 友情/〇隔意 で取得します。
籠羽ゆりは:雑居房"201"。
籠羽ゆりは:「……あれ?」ベッドに寝転びながら、壁に掛けられた時計を一瞥し。
籠羽ゆりは:「明日姫ちゃん、パイセンって今日どっかで会った?」
織世明日姫:「え? えーっと……」
織世明日姫:記憶を手繰るが。「……ないかも?」
織世明日姫:「朝はいたはずだけど……作業は被らなかったし」
織世明日姫:「なにか用事なのかな」
籠羽ゆりは:「そっか。私も、今朝きり見てないからさ。どうしたのかなーって……」
織世明日姫:「うーん……」 考えてみる。最近の純恋さんの様子。
純恋・バレンタイン:看守が房の扉を乱暴に開ける
織世明日姫:「……最近純恋さん、ちょっとテンション低めっていうか……そんな気もしたけど」
織世明日姫:「どこかで……わっ!?」
籠羽ゆりは:「……っ、パイセン!?」
看守:「おらッ、大人しくしてろ」
純恋・バレンタイン:投げ込まれます
織世明日姫:「す、純恋さんっ!?」
籠羽ゆりは:慌てて駆け寄り、純恋の上半身を支えて。
織世明日姫:「どうしたんですか!? ど、どっかでケンカとか……?」
籠羽ゆりは:「パイセン!?いったい何が……け、喧嘩っすか!?」
純恋・バレンタイン:「痛いな~」(全然痛そうじゃない)
看守:「チッ!」
看守:舌打ちをして去っていく。
織世明日姫:「お、お怪我は……なさそう」
純恋・バレンタイン:「やあ」
籠羽ゆりは:「流石、頑丈っすね……肌に触れた感じ普通に柔らかいのに……」
織世明日姫:「やあ……?」
織世明日姫:「えっと……なにかあったんですか?」
純恋・バレンタイン:「いや、ちょっと人に会ってきたんだ」
織世明日姫:「ひと、ですか?」
織世明日姫:「わざわざ会いに行くひとって……エルさまとか?」
純恋・バレンタイン:「所長」
籠羽ゆりは:「えっ」エル様との会話を思い出し、内心どきっとしつつ。
籠羽ゆりは:「えっ!!!???」
織世明日姫:「なんだ、所長さんか~……」
織世明日姫:「……所長さん!?!?」
籠羽ゆりは:「また看守に連行されて……いや」
籠羽ゆりは:「会いに行ったんすか?わざわざ、所長に?」
純恋・バレンタイン:「行ったよ~」
織世明日姫:「じ、自分から……なんで……」
純恋・バレンタイン:「君たちほどではないけど、僕も看守に無理は言えるんでねえ」
純恋・バレンタイン:「ちょっと宣戦布告にね」
織世明日姫:「せんせんふこく……!?」
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:「じゃあ、脱獄するって宣言してきちゃったってこと!?」
織世明日姫:「……言っちゃダメでしょ~~!?」
純恋・バレンタイン:「そこまでは言ってないけど、察してはくれただろうな」
純恋・バレンタイン:「だって、君たち」
純恋・バレンタイン:「最悪脱獄できなくても恋人がいれば良いか、くらいになってるじゃないか」
籠羽ゆりは:「……え?」
織世明日姫:「そっ……そんなことは……」
純恋・バレンタイン:「そんな事は?」目が細くなる
純恋・バレンタイン:舐めるような笑み。
純恋・バレンタイン:「自分たちがカスの悪党だって忘れ始めてないか?」
織世明日姫:「……あたしは。緑ちゃんが、すぐにでも出たいって言ってるから……一緒に出なきゃ、って思ってますけど」
織世明日姫:「でも……ちょっと、気持ちがゆるんでるって意味では」
織世明日姫:「否定、できないかも……です」
籠羽ゆりは:「……確かに、私はカスの犯罪者って認識で間違いないっすけど」
籠羽ゆりは:「せいらは。セルの思惑に巻き込まれたって意味では完全に被害者だし」
純恋・バレンタイン:「そんな君らがもう脱獄が成功したみたいな感じでイチャイチャしてるの」
籠羽ゆりは:「エル様は。何も悪いことしてなくて、ただただ祖国に帰りたいだけっすから」
純恋・バレンタイン:「どうかと思うなあ」
純恋・バレンタイン:「せいらか~」
純恋・バレンタイン:「あの性格で悪くないとでも?」
純恋・バレンタイン:「そういや、居ないけど」
純恋・バレンタイン:「エルちゃんには悪いと思うかな」
籠羽ゆりは:「……どういう、意味っすか」
純恋・バレンタイン:「エルちゃんの脱獄の可能性が減ったって意味だよ」
純恋・バレンタイン:「それ以外は、どうだろ」
純恋・バレンタイン:「まあ、あの性格の悪さは嫌いじゃない。むしろ僕も好きだからね」
籠羽ゆりは:「つまり、恋人が出来て腑抜けた私達を戒めるために」
籠羽ゆりは:「一度失敗したら次がない脱獄の難易度をベリーハードにしてきたってことすか?」
籠羽ゆりは:「本当に、それだけなら」
純恋・バレンタイン:「いや?これは単純に僕の好みの問題」
籠羽ゆりは:「怒るっす、よ……?」
織世明日姫:「あ、あたしたちがたるんでたのはわかりましたけど……!」
織世明日姫:「……他にも、あるんですか?」
織世明日姫:「そうした理由っていうか。意味が……」
純恋・バレンタイン:「怒るぅ?君たちの気のゆるみで失敗しても良いなら。僕の好きなやりかたで失敗するのも同じだろう?」
純恋・バレンタイン:「僕はね、死を感じたいんだ」
織世明日姫:「“し”……?」 自分の中で、その漢字が結びつかない。
純恋・バレンタイン:「血を交わしてこそ、その相手を知ることができる」
純恋・バレンタイン:「そういう、信仰。いや性癖かな」
純恋・バレンタイン:「それは止められない」
純恋・バレンタイン:「君たちの誰かがその相手で居て欲しかったけど」
純恋・バレンタイン:「流石に野暮ってもんだろ?相手がいるのに割り込むのはさ」
織世明日姫:「…………」
織世明日姫:「そういうこと、だったんですか? ……“良い子過ぎる”って」
純恋・バレンタイン:「そうだね」
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:「りょーかいっす。それなら、どうしようもないっすね」
籠羽ゆりは:ベッドに腰を下ろし、両手を上げて。
織世明日姫:「……だとしたら」
籠羽ゆりは:「パイセンにとっての信仰が、私達にとっての恋心と同じってことなら」
籠羽ゆりは:「咎める権利なんてあるわけないじゃないっすか」
織世明日姫:ぺこ、と頭を下げる。「ありがとう、ございます」
織世明日姫:「あの時も。別の時も……あたしたちと無理やり、そういう感じになるとか」
織世明日姫:「そういうこともできたのに、しないってしてくれたのは」
織世明日姫:「あたしは、よかったなって思うから」
純恋・バレンタイン:「ここで、僕を殺しに来てくれた方が嬉しいのは確かだけどね」
織世明日姫:「それは……あの……」
織世明日姫:「ただでさえむずかしくなったのに、さらに減っちゃったりしたら」
織世明日姫:「さすがに無理ですし……」
純恋・バレンタイン:「まあ、こういうのは自主性が大事だから」
純恋・バレンタイン:「ちゃんと本人の意思で殺しに行くくらいが僕の好み」
純恋・バレンタイン:「それが僕なりの愛だよ」
織世明日姫:「……その、所長さんとは」
織世明日姫:「できそうでしたか? 純恋さんの、愛」
純恋・バレンタイン:「出来ると良いな」
純恋・バレンタイン:「だからゴメンね」
純恋・バレンタイン:「巻き添えにはするから」
織世明日姫:その言葉を聞けば、ふっと顔が綻んで。「……まあ、しちゃったものはしょうがないですからね」
織世明日姫:「あたしたち、どうせ最悪のカスですし。これ以上、下がりようもないですもん」
織世明日姫:棚から、お菓子を取ってくる。この間振る舞った残りだ。
織世明日姫:「純恋さんも、したいこと見つかって……おめでとうございますっ!」
籠羽ゆりは:「……ふふ。いーんじゃないすか?私も、全面的にパイセンを応援するっすよ」
籠羽ゆりは:「パイセンを牢獄に落とした張本人として、どんな償いができるか」
純恋・バレンタイン:「ハハ、じゃあ僕も君たちの恋路を応援しようかな」
籠羽ゆりは:「ずっと考えてきてたんすけど」
籠羽ゆりは:「所長さんとパイセンが愛し合えるよう、私にできることは何でもするっすよ」
籠羽ゆりは:明日姫ちゃんの隣に並んで、スナック菓子の一つを開けて。
籠羽ゆりは:「だから……これは、その前哨祝いってことで」
純恋・バレンタイン:「いいね、乾杯するか~」
籠羽ゆりは:いつも通りの、飄々とした朗らかな笑みで。
織世明日姫:「しましょ! かんぱーいっ!」 涼やかな声が音頭をとる。
籠羽ゆりは:「いぇーい!かんぱーいっ☆」勢いよくグラスを掲げて。
純恋・バレンタイン:「かんぱ~い!」
純恋・バレンタイン:笑顔でグラスを掲げた。
GM:ここで全てのサイクルシーンが終了しました。
GM:MVPを決める為の投票を行います。
GM:PLは1人1票ずつ、最もレズロワシップに則ったロールを行った自分以外のPC・NPCを選び、GMに秘話で投票してください。
GM:最も票を獲得したキャラクターは、時間無制限のエクストラシーンを行う権利を獲得します。
GM:票が出揃いました
GM:投票の結果、今回のMVPに選ばれたのは……
GM:籠羽ゆりはさんです!おめでとうございます!
石黒せいら:おめでと~
織世明日姫:おめでとう~!!
純恋・バレンタイン:おめでとうございます
籠羽ゆりは:なんでだよ!!!!!!!
籠羽ゆりは:はい……ありがとうございます……
GM:籠羽さんには商品としてエクストラシーン権が与えられます。
籠羽ゆりは:拝受します……
GM:脱獄計画に必要な囚人は、残すところあと一人となった。
GM:最後の一人が果たすのは、騒ぎを起こして陽動し、看守を惹き付ける役目。
GM:それは看守に簡単には捕縛されない戦闘力が必要とされる他──
GM:何より、他の役割とは異なり、確実にその一人だけは脱獄できない役回りだった。
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「……成程。事情は分かった」
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:選ばれたヨセフィーナ・アールクヴィストという囚人は、落ち着いた雰囲気と静かな佇まいが特徴的な女だった。
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「その計画なら……私は脱出できない、ということになるな」
日下部緑:「それは……はい。そうなんですが……」
日下部緑:「勝手なお願いなのは分かってます!そこを何とか……お願いできませんか!?」頭を下げる
石黒せいら:「(……バカ正直に言ってよかったの?)」
織世明日姫:「お願いしますっ……!」 隣で頭を下げている。
石黒せいら:「(誤魔化したほうが良かったんじゃ……)」
純恋・バレンタイン:「(どうなんだろ)」
籠羽ゆりは:「(でも、事実としてそうするしかないし……)」
籠羽ゆりは:「(案外そういうことを受け入れる酔狂な性格の子なのかも?)」
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「いや、いい。分かったよ」かぶりを振って
純恋・バレンタイン:「良いのかい?」
織世明日姫:「えっ!」 ぱっと頭を上げる。
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「その脱獄王ってのも人が悪いね。どこまで考えてのことなんだか」
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「条件によっては協力してもいい」
石黒せいら:「条件?」
籠羽ゆりは:「(……そりゃ、そうか)」
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:頷き「外に子供がいるんだ」
石黒せいら:「えっ」
籠羽ゆりは:「えっ」
織世明日姫:「お子さん……!?」
純恋・バレンタイン:「じゃあ尚更出たいんじゃないのか?」
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「私はオーヴァードだし、犯罪者だ。今更出て行っても迷惑になるだけだ」
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「だがお前達が脱獄した暁には、その子が不自由なく暮らしていけるだけの金を渡してやってほしい」
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「それが条件だ。もっとも、履行に関しては……お前達を信じる他には無いがね」
織世明日姫:「お金……って、どれくらいだろう……?」
石黒せいら:「まあ、人一人を不自由なく養うって……」
日下部緑:「うーん、養育費と……生活費……学費も……」
石黒せいら:「結構なもんだよ」
籠羽ゆりは:「脱獄囚にとって相当に重い負債なのは、間違いないね」
織世明日姫:「ど、どうしよう……!」
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「もし同意するなら……まずは証拠を見せてほしい」
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「お前達がそれだけの金を用意できるという証拠を」
石黒せいら:「ま、そうなるよね」
織世明日姫:「でも、証拠って言ったって……どうすれば」
石黒せいら:「せーらは無いよ?前の家でなら結構持ってたんだけど……」
石黒せいら:「誰かに燃やされちゃって」
籠羽ゆりは:「(根に持ってる……)」
織世明日姫:「あたしも……強盗してたお金、ぜんぶカズくんが管理してたから」
織世明日姫:「口座も、しらないし。燃やした時のもどっかいっちゃったかも」
日下部緑:「い……いちいちチクチクしなくてもいいじゃないですか!反省してるんですから……!」ぎゅっと庇うように抱き寄せる
石黒せいら:「どっか行かすなよ~……」
織世明日姫:「きゅっ……!」 温もりと柔らかさを感じ、喉から変な声が出る。
純恋・バレンタイン:「う~ん」
GM:というわけで、《調達》判定の合計値40でクリア。またそれとは別枠で、この刑務所内で大きな財産に当たる情報を持っている人は、《知覚》難易度8でそれを調査することも可能です。
織世明日姫:大きな財産……!?
籠羽ゆりは:そんな都合の良い情報が!
純恋・バレンタイン:やるか~
純恋・バレンタイン:《知覚》8を
純恋・バレンタイン:そっち先にやってみてダメなら調達で行く?
石黒せいら:別枠だから好きにやって良さそう
籠羽ゆりは:調達でも抜けなくはなさそう
織世明日姫:知覚の先になんかあるかもだしね
純恋・バレンタイン:支援があれば調達でもいけそうではあるよね
籠羽ゆりは:まずは知覚チャレでよさそうっすね
純恋・バレンタイン:じゃあ知覚で振ってみますね
石黒せいら:やりな
純恋・バレンタイン:《裸の王様》で人海戦術をとるのでボーナスついたりしませんか?
GM:いいでしょう +3差し上げます
純恋・バレンタイン:ヤッター
純恋・バレンタイン:3dx+3>=8
DoubleCross : (3DX10+3>=8) → 9[5,7,9]+3 → 12 → 成功
純恋・バレンタイン:行けました
GM:OK それでは……
刑務所内の隠し財産
君の持つ情報通りに所内をくまなく捜索してみたが、財産らしきものはまるで見つからなかった。
そもそも、情報では財産は施設の15階に隠されているはずだが、この刑務所は4階までしか存在していない。
君が騙されたか、情報が間違っているか、暗号の解読を誤ったか……
いずれにしても、財産の捜索は全くの空振りに終わった。
石黒せいら:ぜんぜん違うじゃん!
織世明日姫:ないんかい!
純恋・バレンタイン:あらら~w
籠羽ゆりは:なんということだ……
石黒せいら:じゃあ……素直に調達するしか無い
純恋・バレンタイン:頑張るか
織世明日姫:していくか~
籠羽ゆりは:やるか~~
石黒せいら:8dx+2
DoubleCross : (8DX10+2) → 10[3,3,3,4,5,9,10,10]+10[1,10]+4[4]+2 → 26
純恋・バレンタイン:ww
石黒せいら:フ……
GM:なんだこいつ!?
籠羽ゆりは:おっかねもちぃ!!
純恋・バレンタイン:余裕ジャン
純恋・バレンタイン:続いて行こう
織世明日姫:した? お願い
石黒せいら:これからするのかも
織世明日姫:(2+1)dx+0
DoubleCross : (3DX10) → 10[2,5,10]+7[7] → 17
籠羽ゆりは:せいら……?
純恋・バレンタイン:2dx+2
DoubleCross : (2DX10+2) → 10[6,10]+1[1]+2 → 13
純恋・バレンタイン:回る回る
籠羽ゆりは:余裕で草
石黒せいら:みんなお願いしてる?
籠羽ゆりは:オリジンサイバー使うどころか私の手番も要らなかった
GM:では余裕でクリア!
GM:稼げるアピールなり証拠なりを見せていきましょう
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「……ん……」
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:房の中で座禅を組んでいたが、君達に気付き目を開ける。
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「……どうなった?」
石黒せいら:「今すぐキャッシュでってわけには行かないけど……」
石黒せいら:ジャラジャラとアクセサリ類の入った箱を見せる。
石黒せいら:「とりあえず一日でこんくらいは稼げる。ここで」
石黒せいら:「外ならもっと行けるって証明にはならない?」
純恋・バレンタイン:「僕も組織の伝手が外に多少残ってる、全員が逮捕されたわけじゃないからね」
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「うん……」アクセサリを光に透かすようにして「成程。いいね」
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「真贋を見抜けるわけじゃないが、お前がやり手だってことはよく分かる」
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「そっちのも……まあ汚かろうと金には違いない」
石黒せいら:「せーら達が稼いだら全部汚いお金だよ~?」
石黒せいら:「クリーンさを求められたら出せるお金なくなっちゃうよ」
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「それはそうだな」
籠羽ゆりは:「(Vtuber稼業で荒稼ぎした資産まで持ち出すと、せいらとの逃亡資金が不安になるけど……)」
織世明日姫:「あたしだって……! 具体的に何が、っていうと、困るけど……」
籠羽ゆりは:ちら、と明日姫ちゃんの方を見て。
織世明日姫:「でも、絶対に用意できる! する……!」 後ろに、愛する少女を置いて。「ちゃんと、真っ当な手段で」
日下部緑:「はい!すぐ用意する保証はありませんけど……!」
日下部緑:「でも、一生掛けても払ってみせます!」
織世明日姫:「お願い。信じてっ……!」 切実な声音。心の奥底からすくい上げられたように、震えて。
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「……」片目を細めるようにしてそれを受けて。
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「……良いだろう。元々降って湧いた希望だ」
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「お前達を信じて、やれるだけはやってみる」
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「だから、約束の方は頼んだよ」
籠羽ゆりは:「……ありがとう、ございます」深く礼をして。
織世明日姫:「はいっ! ぜったい!」
石黒せいら:「ま、任せてよ」
純恋・バレンタイン:「任せてくれたまえ」
日下部緑:「はい……!ありがとうございます!」
GM:斯くして、とうとう最後の一人が仲間に加わり──
GM:君達の脱獄計画は、いよいよ決行を待つのみとなった。
GM:シーン終了。
GM:購入判定が可能です。
籠羽ゆりは:ほしいものある人、いる……?
織世明日姫:マストで必要なものはないかも
純恋・バレンタイン:補助防具で生存率あげられるかな~くらいか
籠羽ゆりは:私ブルゲ使えないしな
純恋・バレンタイン:リアクティブアーマー
純恋・バレンタイン:ワンチャン狙います
純恋・バレンタイン:2dx+2>=24
DoubleCross : (2DX10+2>=24) → 2[1,2]+2 → 4 → 失敗
純恋・バレンタイン:カスの出目
石黒せいら:シューターズジャケット狙おうっと
籠羽ゆりは:この次のシーンがクライマックスとなる認識でよいですか?
石黒せいら:8dx+2>=13
DoubleCross : (8DX10+2>=13) → 10[2,6,7,8,8,8,9,10]+3[3]+2 → 15 → 成功
石黒せいら:買えました 装備
織世明日姫:わんちゃんメイド服……はワンもなさそうだし
織世明日姫:身の丈ボディアーマーくらいにしとこ
織世明日姫:(2+1)dx+0>=12
DoubleCross : (3DX10>=12) → 8[1,4,8] → 8 → 失敗
織世明日姫:おかねちょうど残ってるや 使っちゃお
織世明日姫:織世明日姫の財産を4減少(4 → 0)
GM:そうですね この次がクライマックスになります 購入はもうないです
籠羽ゆりは:了解です。高級手当を消費しときます
籠羽ゆりは:いや……クライマックス2あるか?
籠羽ゆりは:やっぱやめます
籠羽ゆりは:パイセンのリアクティブアーマーにチャレンジしてみますね
純恋・バレンタイン:頑張れ
籠羽ゆりは:4dx+2>=24
DoubleCross : (4DX10+2>=24) → 8[4,7,8,8]+2 → 10 → 失敗
籠羽ゆりは:足り……ないっすね 申し訳ない……
純恋・バレンタイン:コレ成功して受け取ったら殺しに来るのか?
籠羽ゆりは:戦いたすぎだろ……!!
【Climax】
GM:クライマックスシーンです。全員登場!
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を1D10(→ 9)増加(87 → 96)
石黒せいら:やばいかも
織世明日姫:織世明日姫の侵蝕率を1D(→ 1)増加(77 → 78)
籠羽ゆりは:65+1d10
DoubleCross : (65+1D10) → 65+9[9] → 74
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を1D10(→ 2)増加(74 → 76)
囚人:「……あんな子この辺にいたっけ?」「さあ……他所の階から遊びに来てんじゃないの?」
GM:全員急いで夕食を済ませた、夜の余暇時間開始直後。
GM:ところは雑居房201。あまり見かけない金髪の少女を、他の囚人たちが物珍し気に見ながら歩いていく。
純恋・バレンタイン:「ほらほら、見世物じゃないよ!散って散って!」
純恋・バレンタイン:手で追い払う仕草
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「さて……全員揃っていますね」
純恋・バレンタイン:「はぁ~い」
セリョーギナ:「いるよ~」
織世明日姫:「はいっ」
籠羽ゆりは:「はーい☆」
マルヤ・パロヤルヴィ:「ああ」
シエン・ユーシー:「チッ……」
石黒せいら:ひらひらと手を振る。
ララ・コト:「スゥー……」ゆりはの匂いを肺に取り込んでいる
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「うん」
日下部緑:「はい!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「計画は事前に説明した通り。看守のシフトも調査から変更なし」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「これより計画を決行します。準備はよろしいですか?」
純恋・バレンタイン:「勿論だとも」
織世明日姫:「いけますっ……!」
籠羽ゆりは:「いつでもいけるよ、エル様」
石黒せいら:「いいよ~」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」せいらに対してはやや警戒するような目を向けるが「それでは……」
籠羽ゆりは:「……?」視線の流れに、少しだけ違和感を覚えて。
日下部緑:「あ……ちょ、ちょっと待って!その前にいいですか?」
織世明日姫:「ど、どうしたの、緑ちゃん? なにか忘れ物……?」
石黒せいら:「何~?」
日下部緑:「ううん。そうじゃないんだけど……」
日下部緑:君達の前に歩み出て
日下部緑:「……皆さん……」
日下部緑:深々と頭を下げる。
日下部緑:「ありがとうございました」
日下部緑:「ここまで来られたのは……全部皆さんのおかげです」
石黒せいら:「ふふ。それ今~?」
日下部緑:「私一人じゃ……絶対……何も出来なかったと思います」
石黒せいら:「出られてからでしょ」
日下部緑:「そ、それは……そうかもですけど……っ」
日下部緑:「で、でも何か……ここまでで既に感謝してるっていうか……それを伝えたくて……!」
織世明日姫:「……うん。伝わってるよ、緑ちゃん」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……石黒せいら……」やや口ごもり「……の言うように、礼ならば成功した後で好きなだけ受け取ります」
純恋・バレンタイン:「まあ、そうだね」
籠羽ゆりは:「…………」
純恋・バレンタイン:「でも、感謝の気持ちはいつ聞いても良いものさ」
純恋・バレンタイン:「聞かなきゃ伝わらないからね」
純恋・バレンタイン:「人の気持ちってのはさ」
籠羽ゆりは:「……そう、だね。それに、私達も緑ちゃんには感謝してるんだ」
籠羽ゆりは:「貴方が投獄初日に大見えを決めてなきゃ、ここまでスムーズには協力者が集まらなかったろうし」
石黒せいら:「そもそも脱獄しようって発想にもならなかったと思うなあ」
日下部緑:「いや……わ、私なんてただ言い出しただけで、何も……」
日下部緑:「今も……お礼すらいい感じに言えてないし~……」
織世明日姫:「その最初の一歩が、すっごいことなんだよ。緑ちゃんだからできたことで……」
織世明日姫:「もうひと頑張り。一緒に、しよう!」
日下部緑:「明日姫ちゃん……ありがとう……」
ララ・コト:「あ、そういうイチャつきいいんで……早くしてもらえる?」
日下部緑:「な……い……イチャついてなんていません!ねえ!」
織世明日姫:「そ……そうだよ!? ま、まじめな場なんだから!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ふう……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「問題ありませんね。それでは……」少し緊張したように息を吐き「……始めましょう。各員所定の位置に」
GM:---
GM:数分後。多くの囚人が集まるロビーの中心で、大きな混乱と騒ぎが起きていた。
看守:「止まれ!抵抗をやめろ!」「おい!爆破が効かないぞ……故障か!?」
GM:その中心で看守たちと交戦するのは、たった一人のオーヴァード。巨大な水の球体を攻撃と防御に利用し、看守を打ちのめし、また攻撃を捌いている。
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「……フーッ……」
囚人:「何だ?喧嘩か?」「それどころじゃねえよ!看守とやり合ってるってよ!」「いいぞ!やれやれ!」
取り巻き受刑者D:「ワーワー!」
GM:大量の野次馬が囃し立て、中には自分も参戦しようとする者までいる。よく騒ぎの起こる所内でも稀に見る喧騒だ。
看守:「お前ら下がれ!くそっ……多すぎる!」「駄目だ!応援呼べ!」
---
GM:一方で、君達はコントロール室付近の房に身を潜めていた。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……騒がしくなってきましたね。上手くやっているようです」
石黒せいら:「あの人マジで強いんだ」
籠羽ゆりは:「うひゃ~、皆びっしょびしょだね……」
純恋・バレンタイン:「う~ん、勿体ないな」
織世明日姫:「助かった……けど。ちゃんと、報いないとね」
マルヤ・パロヤルヴィ:「OK。こっちも準備完了だよ」
マルヤ・パロヤルヴィ:マルヤが作った巨大な肉のスーツを、セリョーギナへと被せる。
マルヤ・パロヤルヴィ:肉がぐにぐにと変形し、瞬く間にセリョーギナの姿が体格から顔、服装に至るまで、コントロール室の看守と瓜二つのものへと変わる。
純恋・バレンタイン:「何コレ、面白いな」
織世明日姫:「すごっ……!」
セリョーギナ:「うわぁ……なんかあったかい……気持ち悪い~……」
石黒せいら:「すご~」
純恋・バレンタイン:「ドラえもんの変装セットみたい」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」耳を欹て「静かに。コントロール室で動きが……」
---
看守:「ふー……応援要請だ。うぅ……行ってくる」
看守:「おい、待ちなよ」
看守:警備担当の看守が席を立とうとしたところで、モニター担当に呼び止められる。
看守:「お前、まだ牡蠣で腹治ってないんだろ?あたしが代わってやるよ」
看守:「え……本当?悪いね」
看守:「ああ。まあそこの騒ぎ以外は平和なもんだし、モニターだけ見ててくれりゃいいから」
GM:---
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……アクシデントです」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:表情が強張る。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「シフトの予定と違う看守が出て行ってしまいます。これでは……」変装したセリョーギナを見る
マルヤ・パロヤルヴィ:「何っ……すぐに変えるのは無理だぞ!?用意には時間が掛かるんだ」
純恋・バレンタイン:「犯罪計画なんてミスするのが当たり前さ」
織世明日姫:「えっ……! ど、どうすんの……!?」
純恋・バレンタイン:「複雑な計画立てたって結局はその場の勢いに任せるしかなくなる」
石黒せいら:「次の作戦は~?」
GM:コントロール室には他の看守も大勢いる。強行突破は難しいだろう。
GM:だが変装したセリョーギナと同じ顔の看守が、今も室内に居座ってしまっている。
織世明日姫:「あたしが強盗バレそうになったときは……とりあえずぶっ飛ばしてたけど」
織世明日姫:「……無理そ~……!」
GM:君達は何とか怪しまれないようにセリョーギナをコントロール室に送り込まねばならない。忍び込むか、誘い出すか、あるいは別の方法か。
GM:というわけで、皆さんには自由な発想のロールやイージーエフェクトで窮地を脱して貰います。
石黒せいら:なんだと~
籠羽ゆりは:なるほどなぁ
GM:セリョーギナがコントロール室の内部に到達し、機器に直接触れてハッキングを達成することが成功条件となります。
純恋・バレンタイン:周辺に見張りとか他の看守は居ますか?
純恋・バレンタイン:内部に何人か居る感じ?
GM:内部は広く、10人弱程度詰めています。力づくで騒ぎにならずに制圧するのは不可能でしょう。
織世明日姫:明日姫だったら、《彼方からの声》と《ビューティフルボイス》で当該看守だけをおびき出してみる……とか?
石黒せいら:当該看守を診てあげる名目で呼び出すとかかな~
GM:なるほど ロールで試してみていいですよ
看守:「……随分粘るな……しかしどうして首輪が作動しないんだ?」
看守:セリョーギナが変装したのと同じ顔の看守が、ぼんやりと暇そうにモニターを眺めている。
看守:「うっ、気持ち悪い……やっぱり牡蠣なんて食べるんじゃなかった……」
織世明日姫:(……はぁぁ、スッキリしたぁ)
織世明日姫:看守の耳にだけ届く声。音量の加減か、扉の外から漏れ聞こえる独り言のように聞こえる。
看守:「?」僅かにそちらに目を向ける。
織世明日姫:(お腹痛くてしょうがなかったけど、まさか監獄イチの名医とたまたま会えるなんて)
織世明日姫:(この騒ぎでもう房に帰っちゃうみたいだから、もしお腹痛いひといたら、すぐに診てもらわなきゃ……)
看守:「なっ……監獄一の名医が!?」ガタンと立ち上がる
織世明日姫:説明的な口調も、耳を愛撫する鈴音が違和感を包み込んでしまう。
看守:「こうしちゃいられない!すぐに行かないと……!あれ?でも監獄一の名医って誰だろう……」
看守:誘われるままにいそいそと部屋の外へと出て行く。
看守:廊下まで出て「あれ……?」
看守:「さっき独り言言ってた人は……?監獄一の名医はどこに……」
看守:きょろきょろとあたりを見回す。
石黒せいら:「あれ、どうしたの?」偶然通りがかった囚人が居たようだ。
看守:「ん……ああ」
看守:「今、この辺を誰か通らなかったか?何か健康そうな奴とか……医者に詳しそうな奴とか……」
石黒せいら:「え~!せーら詳しいよ!医療マンガとか全部読んでるし!」
石黒せいら:「じゃあ調子悪いの?あ、待ってね……」
石黒せいら:「……食あたりでしょ?」
看守:「おいおい、医療漫画なんて……えっ?」
看守:「ど、どうしてそれを……?」
石黒せいら:「だって……いつも見てるんだもん」
石黒せいら:「それくらい分かっちゃうよ」にこりと微笑む。
看守:(うっ……顔が良い……!)
看守:「いつもって……私をか?どうしてそんな……」
石黒せいら:「それは……」ゴニョゴニョとして。「い、今はいいじゃん。それより……」
石黒せいら:「ちゃんと医務室行こ?点滴打って、安静にして寝てなきゃダメなんだから」
石黒せいら:「肩貸すよ?」
看守:「肩を!?」胸を見る
看守:「いや……しかしだな……」
GM:では……《芸術:媚び》または《芸術:嘘泣き》難易度7で判定してもらいましょう
石黒せいら:そんな技能が……
石黒せいら:あるな……
石黒せいら:《芸術:嘘泣き》 行きます
石黒せいら:ビューティフルボイスを駆使したら補正付きません?
GM:+2差し上げましょう
石黒せいら:やった~
石黒せいら:3dx+3>=7
DoubleCross : (3DX10+3>=7) → 5[4,4,5]+3 → 8 → 成功
石黒せいら:美声で良かった~
GM:では成功!!
石黒せいら:「……グスッ」鼻をすする音。
石黒せいら:「せーらは心配で……身体を大事にしてほしいだけなのに……」
石黒せいら:「言うこと聞いてくれないの……?」
看守:「えっ……お、おい……!何も泣かなくても……」
看守:明らかにあたふたして
看守:「わ、分かった分かった……行けばいいんだろ?医務室……」
石黒せいら:「……本当?」
看守:「ああ。丁度薬が欲しかったところなんだ……いたた……」
石黒せいら:「よかった~」身体を押し付けるようにして、その体を支える。
石黒せいら:「向こうで……ゆっくりしようね?」
看守:(ウッ……いい匂いがする!)
看守:「し……仕方ないな……」
看守:鼻の下を伸ばしながらその場を離れていく。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「よし……いいですよ!今です!」
セリョーギナ:「あ、あんなで本当に通るんだ……」
籠羽ゆりは:「ナイス連携……なんだけどさぁ……」
籠羽ゆりは:「あれ"お願い"じゃない……?」眉間に皺を寄せてる。
織世明日姫:「よ、よしっ…‥役に立った……!」
GM:看守に変装したセリョーギナがコントロール室へと足を踏み入れる。周囲に怪しまれる様子もなく、そのまま監視カメラを事前に用意したループ映像に切り替える。
セリョーギナ:「アタタ……ヤッパリオ腹ガァ~」
セリョーギナ:そうして無事に再びコントロール室から出てくる。
日下部緑:「や、やった……!やりましたね!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「急いで大浴場に。……石黒せいら……はまだ戻ってきませんか?」
織世明日姫:「そ、そうだ。せーらさんに、戻ってきてって伝える…‥?」
日下部緑:「そっか!明日姫ちゃんえらい!やってみて!」
織世明日姫:「うんっ!」 再び、《彼方からの声》のチャンネルを合わせる。
織世明日姫:(せーらさん! 作戦完了! 戻ってきて!)
石黒せいら:(よしよし、甘えんぼさんだね~、いい子いい子……あ~、明日姫ちゃん?)
石黒せいら:(これ終わったら現地で合流しよ)
織世明日姫:(え……? は、はいっ)
織世明日姫:「……えっと。終わったら現地合流……って」
純恋・バレンタイン:「遅れたら置いてくかァ?」
籠羽ゆりは:「むぅ……寝かしつけてさっさと帰ってくればいいのに~」
純恋・バレンタイン:「本人が来るって言ってるんだから仕方ないね」
純恋・バレンタイン:「行こう行こう」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「分かりました。時間の猶予はありません、ヨセフィーナもどこまで保つか……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「とにかく、急ぎましょう」
---
GM:大浴場の周辺は閑散としていた。元々利用時間外には解放されておらず、囚人が不審な動きをしていれば看守が飛んでくるが……どうやら監視カメラはしっかりとループ映像に切り替わっているようだ。
GM:広々とした大浴場は静まり返り、まだ湯気が立ち込めている。壁の一箇所をエルヴァリヤが確かめるように触れる。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ここです。ここを壊せば、大型のパイプが通っているはず」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そこから外に出られるはずです」
ララ・コト:「で……息を合わせて攻撃すればいいんでしょ?それくらい余裕じゃん」
シエン・ユーシー:「チ……まあ、オレも一度言ったことは曲げねえよ。大人しく協力してやる」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「純恋。準備はいいですか?」
籠羽ゆりは:「ララ~っ、頑張って~☆」ひらひら手を振ります。
純恋・バレンタイン:「おっけー」
ララ・コト:「うぉっ……アッス!フヘッ……頑張ります!!ッス!へへへっ……」
純恋・バレンタイン:「コレ、大丈夫?」
籠羽ゆりは:「だいじょーぶっすよ。パイセンも、いっちょかましてやってくださいっす!」
純恋・バレンタイン:「はいはい」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「こほん。それでは、三人とも構えて……」
GM:その時である!
Big Blast Sonic 鼠:「ヂュヂューーッ!!」
純恋・バレンタイン:「えッ!?」
織世明日姫:「ね、ねずみっ!?」
籠羽ゆりは:「……はぇ?」
純恋・バレンタイン:「にゃ!にゅわあ~ッ!」
GM:突如としてエグいくらい巨大な鼠が現れ、大浴場を高速で爆走しはじめたではないか!
織世明日姫:「ああっ、純恋さんーーーっ!!」
純恋・バレンタイン:バカみたいにジャンプ
純恋・バレンタイン:「い、いやああああああああああああああ!」
純恋・バレンタイン:少女のような悲鳴
織世明日姫:「純恋さんはネズミが苦手なの! このままじゃ、使いものにならないよ!」
籠羽ゆりは:「えっ?何?パイセンが甲高い悲鳴を上げて……えっ?」
籠羽ゆりは:「そうなの!!??」
GM:これこそソピステス合同更生院でまことしやかに囁かれてきた都市伝説の正体、音速で走る巨大なネズミ……Big Blast Sonic 鼠である!
純恋・バレンタイン:天井の照明に抱き着いてぶら下がっている
日下部緑:「えぇ~っ!?ど、ドラえもんじゃないんですから!」
石黒せいら:「え~っBig Blast Sonic 鼠じゃん。マジなんだ~」遅れて現れてヘラヘラ笑っている。
純恋・バレンタイン:「や、やだあああああ!はやく!どけてよゥ!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「くっ!このっ……にゃんっ!」捕まえようとして濡れた床で滑り、転ぶ。
織世明日姫:「どどどどうしよう……! あれ、追い払えるの!?」
籠羽ゆりは:「エル様!大丈夫……!?」
シエン・ユーシー:「オイ!何やってんだ!そんなことしてる場合か!?」
ララ・コト:「騒いでると誰か来ちゃうって~!」
純恋・バレンタイン:「うえ゛え゛え゛~ん」
籠羽ゆりは:エル様の傍に駆け寄り、肩を支えようとして。
織世明日姫:「でも、だって、このままじゃ純恋さんが……!」
石黒せいら:「つってもあのバカ力の代わりなんて出来ないからなあ」ゆりの肩を押さえるようにして、エルに手を差し出す。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「う……ゆりは、ありが……」肩を借りかけて、びくりと怯えたように後ずさる。
石黒せいら:「ネズミを何とかするしか無いんじゃない?」
籠羽ゆりは:「あ、っと……」せいらにインターセプトされ、少しだけ目をまん丸くして。
籠羽ゆりは:先ほどから、エル様の視線や反応に対して、違和感を拭い切れていないものの。
織世明日姫:「ネズミをおびき寄せるなら……えっと、チーズとか……?」
籠羽ゆりは:「そ、うだね。あのネズミを、何とかしないと……」窮地の解決を優先し、気持ちを切り替える。
純恋・バレンタイン:「ネズミやだああああああ!」でけー声でぎゃんぎゃん泣きわめく!
GM:判定になります。純恋さんが《意志》判定難易度30に成功する、もしくは他の方が任意の攻撃判定で難易度40を達成することでネズミを無視する、あるいは止めることが出来ます。
GM:Big Blast Sonic 鼠はドッジを行っているので、ドッジ不可エフェクトによっても仕留められます。
石黒せいら:なるほどね
純恋・バレンタイン:まずは僕の意思のパウワーを見せてやるとするか
純恋・バレンタイン:2dx+1>=30
DoubleCross : (2DX10+1>=30) → 8[5,8]+1 → 9 → 失敗
石黒せいら:意志よわよわ♡
純恋・バレンタイン:衝動判定くらいならクリアできるのにィ~
籠羽ゆりは:じゃあ、私がソラリス最強RCエフェクトで頑張ってみたいです
籠羽ゆりは:《エクスプロージョン》《ツインバースト》 対象ネズミ
GM:なにっっ
籠羽ゆりは:3dx
DoubleCross : (3DX10) → 4[2,3,4] → 4
籠羽ゆりは:ドッジ不可です
Big Blast Sonic 鼠:4~?その程度では……
Big Blast Sonic 鼠:ギャアアアッ
GM:では無事にBig Blast Sonic 鼠を捉えることに成功しました!
GM:侵蝕を上げてロールどうぞ!
籠羽ゆりは:侵蝕81
Big Blast Sonic 鼠:「ヂュヂューーッ!」
Big Blast Sonic 鼠:Big Blast Sonic 鼠は壁や天井を所狭しと超高速で走り回っている。
Big Blast Sonic 鼠:人間を襲ってくる気配は無いが……嫌である!
純恋・バレンタイン:「やー!」
織世明日姫:「あ、あんなのどうやって……!」
日下部緑:「み、右!?いや左……上!?」
石黒せいら:「いや無理そ~……」ピストルを一応構えているが狙いがつけられない。
籠羽ゆりは:「……も~っ。哺乳類とはいえ、流石に"香り"は対象外だからなぁ」
籠羽ゆりは:「だけど、ひたすら周囲を走り続ける習性があるなら」
籠羽ゆりは:「通過しそうな所にありったけの罠を"貼って"おけばいいって話だよね☆」
籠羽ゆりは:ぱちん、ぱちん、ぱちん。
籠羽ゆりは:ゆりはの指先が軽快な音を爪弾くたび、無尽蔵にステッカーが生成され、大浴場の床にまき散らしていく。
籠羽ゆりは:その全てが、粘着面を上部として配置されていた。
Big Blast Sonic 鼠:「チチチ……」
Big Blast Sonic 鼠:ネズミは本来警戒心の強い生き物だが、Big Blast Sonic 鼠は音速で走り続けているうえに体も巨大だ。
Big Blast Sonic 鼠:当然、ステッカーの全てを避けられるわけもなく。やがてその一枚を……踏む!
Big Blast Sonic 鼠:「ヂッ?」
籠羽ゆりは:「あーあ、貼り付いちゃった♡」
籠羽ゆりは:意地悪気に目を細めて、指先でピストルを作り。
籠羽ゆりは:「ばぁーん」
籠羽ゆりは:瞬間。周囲のステッカーが一斉に鼠へと収束し────
籠羽ゆりは:KABOOOOOOOOOOOOOM!!!!!
籠羽ゆりは:轟音とともに虹色の爆風が炸裂。キラキラした閃光と、爆炎に交じるカラフルなステッカーの破片が吹き荒ぶ。
Big Blast Sonic 鼠:「チュウ~~~~~ッ!?!?」
Big Blast Sonic 鼠:「ピ……ピカ……」
Big Blast Sonic 鼠:いかにBig Blast Sonicといえど、ネズミはネズミだ。なすすべもなく爆風に巻き込まれ、その場にぽとりと転がる。
籠羽ゆりは:「Thank you for Watching!」
石黒せいら:「ゆり~」ぎゅっと。「かっこい~!」
日下部緑:「す……すっごい……!」
籠羽ゆりは:ふうっ、と。指鉄砲の銃口から立つ煙を飛ばすような仕草をして。
織世明日姫:「っ……」 爆風に揺れた髪が落ち着くころ。「……ゆりはちゃん、つっよいんだ……!」
籠羽ゆりは:「きゃう!……えっへへ。私だってやればできるんだから~☆」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……あ……」控えめに「よ……よくやりましたね、ゆりは……」
ララ・コト:「はぁあっ……! に、にてんちゃん……」
純恋・バレンタイン:「なごんでないで!は、はやくソレどっかやってええええええ」転がったネズミを指さす。
ララ・コト:「ヴッ……」達している
籠羽ゆりは:「……っ、エル様!」
純恋・バレンタイン:「ララ!お前はあとで死ねえええ!」
籠羽ゆりは:「こっちは大丈夫。ひとまず、壁破壊をさっさと進めちゃおう!」
純恋・バレンタイン:「転がったらOKじゃない!ある!ネズミ!死体~!」
純恋・バレンタイン:「なにも大丈夫じゃないよお~」
日下部緑:「ほら、純恋さん!向こうにやりましたから……」
日下部緑:ネズミをつまんで遠くに持っていき、蛇口で手を洗っている。
石黒せいら:「てかネズミの何がダメなんそんな?」
織世明日姫:「もう大丈夫ですから! 降りて来て~!」
純恋・バレンタイン:シュタ!
純恋・バレンタイン:「逆に聞くけどネズミの何処が大丈夫なんだ」
籠羽ゆりは:「……いや、ホントに意外だなぁ。ギャップ萌えエグいっすよパイセン☆」親指を立てる。
純恋・バレンタイン:「うるせぇ~」
純恋・バレンタイン:「ドラえもんの肌が黄色から青になるんだぞ」
純恋・バレンタイン:「信じられるか?ドラえもんだぞ?}
日下部緑:「ドラえもん経由の恐怖なんだ……」
石黒せいら:「あんたはタヌキ型ロボットじゃねーだろ」
籠羽ゆりは:「逆に、鼠が嫌い過ぎてドラえもんに親近感が生まれたとか……?」
織世明日姫:「純恋さんはドラえもんじゃなくてジャイアンでしょ……ほら、お役目ですよ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ふう……」他のことを振り払うように深呼吸して「切り替えてください。作業に取り掛かりましょう」
純恋・バレンタイン:「キャット!ノータヌキ!」
純恋・バレンタイン:「任せ給え(きりッ)!」
シエン・ユーシー:「ったく……無駄に待たせやがって」
シエン・ユーシー:シエンの脚の周囲を重力が渦巻く。本来は足技主体のオーヴァードらしい。
純恋・バレンタイン:「あと誰がジャイアンだ」
純恋・バレンタイン:「スゥ―!ハァー!」呼吸を整える。
ララ・コト:「にてんちゃんの為だし……頑張るぞ!」
ララ・コト:囚人服を捲り上げた二の腕に、刃物で切った生々しい傷跡のように無数の呪言が刻み込まれている。
ララ・コト:ぽたぽたと傷口から血液が垂れると、それに触れた浴場の床の水がぐずぐずと腐敗していく。
石黒せいら:「うわ、やば……」
織世明日姫:「あ、危なくないの、それ……?」
織世明日姫:一歩後退る。
籠羽ゆりは:「う……がっ、頑張れ☆頑張れ☆」慄きを跳ね退けるは、配信者の意地。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……い、行きますよ」ララの腕からやや目を逸らしながら
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「3、2、1!」
シエン・ユーシー:「オラッ!」
ララ・コト:「えい」
純恋・バレンタイン:「呼! 破ッ!」
GM:轟音が響く。空間、概念、そして物理的衝撃。
GM:三人が息を合わせて攻撃すると、大浴場の壁は嘘のように簡単に砕け散って、大穴が穿たれる。
GM:散らばった瓦礫の向こうに、張り巡らされた太いパイプが見えている。
石黒せいら:「おお……」
セリョーギナ:「マジ?」
織世明日姫:「あ……開いたぁ!」
籠羽ゆりは:「やったぁ~!!」
日下部緑:「ほ、本当に壊れた……!」
純恋・バレンタイン:「こんなもんだかな」カンフーの拳打の姿勢から態勢を戻す。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……やりましたね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:壊れた壁に歩み寄り、配管を確認する。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……このパイプです。間違いありません」
純恋・バレンタイン:「これをどうするんだったかな?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:他のパイプから集約される形の、一際太いパイプに触れる。人ひとりぶんならば入れそうな太さだ。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ここを通り抜ければ下水道に出るはずです。そこから2つ目の梯子を上がれば地上、ソピステスの外に出られます」
セリョーギナ:「よーし、じゃあ早速……」衝撃で裂目の入ったパイプに足を踏み入れ
セリョーギナ:「ぶぇーっ!めっちゃ髪の毛とかある……ぐぇえ~~っ!」
籠羽ゆりは:「……そりゃあ、下水に繋がる管だからね」
純恋・バレンタイン:「それくらい気にしてどうするんだ」
織世明日姫:「我慢しなきゃ、なのかな……!」
日下部緑:「い、行きましょう……明日姫ちゃん、大丈夫?」
純恋・バレンタイン:「姫はどうする?肩車でもしようか?」
織世明日姫:「だ、大丈夫だよ! 緑ちゃんも、足元気をつけてね……!」
籠羽ゆりは:「せいらは?こーいうの大丈夫?」
石黒せいら:「普通に無理だけど……やるしかなくない?」
籠羽ゆりは:「だね。さっさと抜けちゃおう!」
日下部緑:「せ、狭い……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしなら心配なく。お前達よりも慣れていますから」
GM:そうして君達は汚濁にまみれてパイプをくぐり、下水道に出た。
GM:据えた匂いの薄暗い水路をしばらく歩いて、一つ目、そして二つ目の梯子を見つける。
GM:それを昇って、恐る恐る慎重にマンホールの蓋を開ける……。
GM:光が差し込む。這い出たそこは、路上だった。
純恋・バレンタイン:「おお~」
GM:見れば殆ど何もない、木と畑、草地ばかりの広々とした土地が地平線まで広がっており、そこを細い道が真っすぐに貫いている。
織世明日姫:「ほ……本当に、外っ……!」
籠羽ゆりは:「っう。やーっと外だぁ☆」ぴょん、と飛び上がる。
純恋・バレンタイン:「良いじゃないか!」
石黒せいら:「ん~……!」大きく伸びをして。
GM:振り返れば、まだそれほど遠くない位置にソピステスの建物が見える。
石黒せいら:「なんか、思ったより呆気なかったね」
織世明日姫:「やった……! やったね、緑ちゃんっ!」
日下部緑:「うん……!外、外だ……!本当に……!」
純恋・バレンタイン:「よっ!はっ!」準備体操を始める
籠羽ゆりは:「……や、まだか。看守達に気付かれない内に、更生院から離れないと」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:ソピステスを真剣な視線で見遣って息を吐く。「ええ。その通りです」
籠羽ゆりは:「ふふ。でも、エル様の計画完璧だったね。えらい、えらい~☆」
織世明日姫:「そっか……逃げおおせるまでが脱獄、だね」
籠羽ゆりは:今まで何度もそうしてきたように、彼女の頭を撫でようとして。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」ぴく、と、僅かに身体を強張らせる。
純恋・バレンタイン:「ん?」
石黒せいら:「……ここからはどういう予定?」
純恋・バレンタイン:「どうかしたのかい?」
籠羽ゆりは:「……っ、ごめん。まだゴールじゃないもんね」慌てて、手を引っ込める。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「あ……いえ」警戒するような視線を一瞬せいらに向けるが
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……まだ大事にはなっていないようですが、それも時間の問題です」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「とはいえ……徒歩で離れるにしてもここは見通しが良すぎますね。何か……」
セリョーギナ:「おーい」
純恋・バレンタイン:(まだ大事になってないかァ?本当にそうかな)
GM:エンジン音が響き、他の囚人たちを乗せた一台の軽トラックが停車する。
シエン・ユーシー:「近くに落ちてたぜ、これ!」
石黒せいら:「そんなことあるんだ」
織世明日姫:「へ~! ラッキーですね!」
日下部緑:「そんなことあるんですか!?」
籠羽ゆりは:「……エンジン大丈夫?実は罠で、一定時間燃やし続けたら爆発する仕組みに、なってるとか」
セリョーギナ:「うん。鍵掛かってたけど外したから大丈夫~」
石黒せいら:「落ちてたってそういう……」
日下部緑:「えっ……じゃあ落ちてたっていうか……」
籠羽ゆりは:「むぅ……都合がよすぎる、気もするけど……」
籠羽ゆりは:「最悪、車一台分の爆発ならギリ生存できそうな気もしてきた」
石黒せいら:「ま、歩くよりはマシかも」
純恋・バレンタイン:「荷台でいいか?」
純恋・バレンタイン:女子たちを掴んで荷台に放り込んでいく。
織世明日姫:「盗難……わあっ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そうですね。行きましょう」既に荷台に乗り込んでいる
純恋・バレンタイン:「さっさと移動しよう」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「なるべく早く遠くへ」
籠羽ゆりは:「ぎゃっ!腰を鷲掴みされて持ち上げられた!?」
石黒せいら:「ドライブだね~」
日下部緑:「おっとっと……」明日姫を抱えるように受け止めて
織世明日姫:「むぎゅっ……あ、ありがと……!」
日下部緑:「うん。トラックの荷台に乗るの、初めてだなあ……」
マルヤ・パロヤルヴィ:「全員乗ったな?行くぞ」
GM:そうしてトラックは再発進する。懸念したような罠の気配も無く、車は田舎道を揺れながら走っていく。
GM:後方を振り返れば、夕暮れの中、牢獄の輪郭が徐々に遠ざかっていく。
GM:頬を撫でる風は、間違いなく外の世界のものだ。
純恋・バレンタイン:「あ~るはれた~ひ~るさがり~♪こ~うし~が売られ~ていく~♪」
純恋・バレンタイン:「ドナドナド~ナ~ド~ナ~」
シエン・ユーシー:「やめろよ縁起でもない……」
石黒せいら:「うるせ~!」囃し立てながらもケラケラ笑っている。
籠羽ゆりは:「……ん~。やっぱり、服に匂いついちゃったな」しきりに袖を嗅ぎながら。
織世明日姫:「……うう。はやくお風呂入りたいな……」
石黒せいら:「ね~?」
日下部緑:「みんなグチャドロだもんね。シャワー浴びたいな……」
純恋・バレンタイン:3dx+2 芸術:カラオケ
DoubleCross : (3DX10+2) → 10[2,8,10]+7[7]+2 → 19
純恋・バレンタイン:無駄にうまい
日下部緑:「あ、明日姫ちゃん。目、閉じて。綺麗にしてあげる」
籠羽ゆりは:「ね。せいらの、綺麗な顔も台無し……」
籠羽ゆりは:「……なんか、普通に顔良くてムカつくな。泥もアクセントになってる気がする」
石黒せいら:「なんでよ~?」
織世明日姫:「えっ? じ、じゃあ、お願い……」 言われたとおりに目を閉じる。
石黒せいら:「ゆりも可愛いよ」
籠羽ゆりは:「え~っ、そっかな~☆えへへ……」
日下部緑:「うん」何の気なしに細い指先で明日姫の頬や鼻先、額についた汚れを払っていく。
純恋・バレンタイン:(やっぱ危機感ないよな~)鼻歌
織世明日姫:「っ……!」 指先が触れるたび、ドキドキと鼓動が高鳴ってしまう。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:まだ気を抜いていない様子で、後方を見つめている。
日下部緑:「それにしても……これからどうします?」
織世明日姫:(あ、あたしもしたげる、って言ったら……なんか……キモいかな……!?)
籠羽ゆりは:明日姫ちゃんに向けて、指の動きだけで"いけ!やり返せ!"って伝えます。
石黒せいら:「まあどっかに転がり込むしか無いんじゃないの~?」
織世明日姫:こくこく、と頷く。「み、緑ちゃん!」
日下部緑:「どこかっていうと……うん?」
石黒せいら:「テキトーなセルとか……あと……」
織世明日姫:「次、あたしもやったげる……!」 変に上擦った声を整えつつ、平静な笑顔を作り上げて。
石黒せいら:「(ゆりのとこは?どうなの?)」小声で。
日下部緑:「あ、ほんと?ありがとう~。じゃあお願い」
日下部緑:無警戒に目を閉じてあどけない顔を晒す。
籠羽ゆりは:「(家は無理。ただ、街の空き地とか公園の土中に海外口座の通帳やら現金を隠してるから)」
織世明日姫:「う、うん……!」 ごくりと生唾を呑んで。震える指を伸ばす。
籠羽ゆりは:「(避難所にはできないけど、後々行ければ~……って感じ)」
織世明日姫:(わ……わ~~~っ……!) 努めて平常心を装い、顔についた汚れを落としていく。
日下部緑:「ん……ふふ、ちょっとくすぐったい……」
織世明日姫:「えっ!?」 びくん、と身体が跳ねる。「ご、ごめんね!? 変だったかな!?」
日下部緑:「いや、変とかじゃなくて……ふふっ!」
織世明日姫:くすぐったがる声に、よからぬ感情がせり上がってしまいそうな衝動をどうにか抑え込みつつ。
織世明日姫:「……お、終わったよ!」
日下部緑:「ありがとね。ちょっとすっきりした……」ついでのように、目についた明日姫の髪の汚れをつまみ払いながら
日下部緑:「セルかぁ……純恋さんとかはどうなんですか?」
純恋・バレンタイン:「ん~、まあ全員逮捕されたわけじゃないし」
純恋・バレンタイン:「隠れ家とか一時拠点はあるよ」
織世明日姫:ついでに触れられた不意討ちに、はあ~っ……と息をつきつつ。「……あたしも、どうするか考えなきゃ」
純恋・バレンタイン:「素人の数に任せた感じの不確定な潰れ方だったしね?」
籠羽ゆりは:「……私、パイセンの拠点に行ったら」
純恋・バレンタイン:「それに弱小犯罪組織なんてどこにでも転がってるんだからそれを奪えばいいんだよ」
純恋・バレンタイン:「ん~?」
籠羽ゆりは:「脚をコンクリで固められて沈められたりとかしないっすよね……?」
石黒せいら:「いやせーらがさせないからね」
純恋・バレンタイン:「アッハハハ!して欲しい?」
織世明日姫:「住んでたとこには戻れなそうだし。実家は……だし。もう、犯罪はなあ……」
籠羽ゆりは:せいらの背に隠れて、頭をブンブン横に振る。
石黒せいら:「は?殺すぞ?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」小さく身体を強張らせる。
純恋・バレンタイン:「殺せるもんならね」
純恋・バレンタイン:「まあ、別にゆりはちゃんは遊び半分でやっただけで、私を裏切ったり売ったりしたわけじゃないでしょ」
純恋・バレンタイン:「いーよ、別に。その分また貸しを返してくれればさ」
籠羽ゆりは:「……遊びじゃないっすよ。リスナーの願いを応えるために、全力で工作したし」
籠羽ゆりは:「全力じゃなきゃ、パイセンの組織は崩せなかったと思うんで」
石黒せいら:「てかもういいじゃん?入る前と入ってた頃の話は」
石黒せいら:「出たんだし終わりで」
織世明日姫:「ヨセフィーナさんのためのお金も必要だし、働かなきゃだなあ~……」
籠羽ゆりは:「……うん。とはいえ、パイセンへの借りはちゃんと返すんで。ご期待に……っす」
日下部緑:「ま……まあ、そういうことなら、とりあえず」
---
日下部緑:「そこに……」
GM:気付けば、君達はよく馴染んだ場所にいた。
GM:灰色の壁。鈍く光る鉄格子に、味気のない二段ベッド。
GM:ソピステス合同更生院、雑居房201。
日下部緑:「……え?」
織世明日姫:「…………」
織世明日姫:「へっ?」
籠羽ゆりは:「…………」
石黒せいら:「あ?なんで……」
純恋・バレンタイン:「…何」
籠羽ゆりは:「は?」
織世明日姫:「ゆ、夢……みてた?」
純恋・バレンタイン:体を起こす
織世明日姫:「脱獄する……みんなで……」
純恋・バレンタイン:「なんだなんだ…」
純恋・バレンタイン:「夢なワケないだろ?」
籠羽ゆりは:「っ……時間!今、何時!?」
GM:身体の汚れはそのままだ。先ほどまで荷台に座っていた感触もある。
籠羽ゆりは:「服の匂いは……取れて、ない!?」
石黒せいら:「いやいやいや……」
石黒せいら:「どういうこと?」
GM:時間のずれも、見たところ無いように見える。
織世明日姫:「じ、じゃあ……! 夢じゃないなら」
囚人:「あ~……いや面白かったなあ」
織世明日姫:「何が起こってんの……!?」
囚人:房の外を囚人が会話しながら通りかかる。
石黒せいら:「そっくりそのまま……せーらたちが移ってきたみたいな……」
籠羽ゆりは:「……これも、誰かの"特別"が引き起こしたことなのかなぁ」
囚人:「なかなか粘ったよな、あいつ」「うん。気持ちよかったね、看守をバタバタ……」
籠羽ゆりは:「それにしちゃ随分と大規模、な……」
囚人:「しかし、何がしたかったんだ?」「さあ……暴れたかったんじゃないの?」「勝てるわけないしなあ」
籠羽ゆりは:「そうだ、ヨセフィーナさんは!?」
GM:喧騒に包まれていた所内は、既に普段の余暇時間程度のざわめきに戻っている。
GM:ヨセフィーナも既に鎮圧されたと見ていいだろう。
石黒せいら:「まあ、普通に考えたら……」
石黒せいら:「懲罰房じゃない……?」
籠羽ゆりは:「……っ」まだ持ち堪えていれば、助けられたかもしれないが。
石黒せいら:「そこは織り込み済みでしょ。ただ……」
石黒せいら:「せーらたちが応えられない」
石黒せいら:「なんで……?」
石黒せいら:「上手く行ってたじゃん……」
織世明日姫:「あたしたち……なにか、見落としてた……?」
籠羽ゆりは:「……私達以外はどうなってる?エル様や、他の皆は?」
純恋・バレンタイン:「意識が途切れる瞬間を覚えてるかい?」
純恋・バレンタイン:「僕は全く気付かなかった」
純恋・バレンタイン:「そのまま一瞬でここだ」
石黒せいら:首を横に振って。「……見に行く?とりあえず」
石黒せいら:「他のみんな……」
籠羽ゆりは:「誰かが、私達を牢に転送した"特別"を観てるかもしれない。あるいは……」
織世明日姫:「う、うん。もしかしたら、みんなは出れてるかも……」
GM:バン!
純恋・バレンタイン:「おっと!?」
GM:房の扉に、小さな手が置かれる。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……はぁっ……!……はぁっ……!」
籠羽ゆりは:「エル様!」
純恋・バレンタイン:「君もかお姫様」
織世明日姫:「エルさまも、戻されて……?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:エルヴァリヤだ。走ってきたのか息を切れ、金髪は乱れ、君達と同じようにその体は汚れている。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「…………」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:荒い息を吐きながら、揺れる瞳で君達を見て。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……お」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……思い出しました……」
石黒せいら:「……え?」
シエン・ユーシー:「オイどうなってんだこれ!」
セリョーギナ:「戻ってきちゃったんだけど~……」
GM:他の囚人たちも次々と顔を出す。
織世明日姫:「みんな戻ってきてる……!」
籠羽ゆりは:「や、やっぱり全員……?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
純恋・バレンタイン:「何を思い出したのかな?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……そうです。前回の脱獄でも……同じように、刑務所からしばらく離れたところで、突然房に戻されました」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「その時の脱獄は、既に看守に気付かれていたので……房に戻されて即座に捕まり…… ……」
日下部緑:「じゃあ……ずっとこうってこと?」
石黒せいら:「ここがそういう仕掛けになってるか……そういう事ができるやつが看守にいる?」
織世明日姫:「脱獄できない、っていうのは。それだけ厳しいって意味じゃなくて……」
織世明日姫:「……『脱獄できない』って意味だった、ってこと……!?」
籠羽ゆりは:「看守達に気付かれなくとも、自動的に転送が発生するようになってる……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……考えてみれば、最初から不自然でした」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「千差万別の能力を持つオーヴァードをまとめて捉えておける刑務所など、本当に実現可能でしょうか?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「一度脱獄したはずのわたくしに対して、あまりにも扱いが軽かったのも……」
石黒せいら:「壁の強度に絶対の自信があったんだ」
石黒せいら:「せーらたちが壊したやつじゃなくて、もっと外の壁に」
純恋・バレンタイン:「じゃあ、この後はちょっと記憶処理してお互いの事忘れて終わりか?」
日下部緑:「そ、そんなのって……!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……単に……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「『一定距離離れた囚人を自動的に房に転送する』というシステムでは……説明のつかないことがあります」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「看守側がそれだけの自信を持つにしては、あまりに単純かつ脆すぎます」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「バロールやオルクス、空間移動できるオーヴァードなどいくらでもいます」
石黒せいら:「普通そんなことさせたかったら……首輪の発信器と連動させるもんね」
石黒せいら:「これはそうなってない」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:頷く「判定が存在する箇所をすり抜ける、従者などを用いる……方法はいくらでもあるはずです。それでも誰も脱獄を成し得ていない」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「考えられる結論としては……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:息を吐き「……恐らく、この監獄に『外』など、最初から存在していない」
石黒せいら:「は?」
籠羽ゆりは:「…………」
石黒せいら:「意味分かんないんですけど……」
織世明日姫:「ど、どういうこと?」
籠羽ゆりは:「でも、転送される直前までは、外に居たはず……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……思い当たる節はありませんか?皆さん、覚えていませんか?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「最初にここに来た時、どのようにして連れてこられましたか?」
日下部緑:「えっと……バスに乗せられて……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「その前です」
籠羽ゆりは:「ん~。確か、おっきなマスクみたいなのを急にガバっと被せられて」
織世明日姫:「ヘンな臭いがして、眠っちゃって……?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ええ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「恐らくここは、現実と地続きではない。レネゲイドによって作られた異空間です」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「我々はそこに、精神のみ転移させられた……言うなれば、夢のような」
純恋・バレンタイン:「ハァ~?」
織世明日姫:「いくうかん……ゲームのステージ、みたいな?」
籠羽ゆりは:「えぇ……?」自分の掌を、ぐー、ぱーと順に動かして。
石黒せいら:「え?じゃあ現実のせーらたちは別にいるってこと?」
織世明日姫:「そこから外のマップが作られてないから、端っこで戻ってきちゃう……」
籠羽ゆりは:「違和感ない、けど……ていうか。"特別"だって普通に使えてるし」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そうなるように作られているはずです。違和感があれば、気付かれてしまいますから」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「監獄の警備が『現実的に』十分に厳重なのもそのためでしょう」
籠羽ゆりは:「やたら高い再現性も、異空間であること自体を隠すため、か」
籠羽ゆりは:「……手ぇこんでるなぁ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「純恋・バレンタイン……確か、情報通りに探したはずの隠し財産が見つからなかった、と言っていましたね?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「階層すら合っていなかったとも」
純恋・バレンタイン:「ないね」
純恋・バレンタイン:「痕跡すらなかった」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そのことも辻褄が合います。恐らくその情報は……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ここではない、もう一つの……言わば本物の『ソピステス』を示している。眠り続ける囚人の肉体を保存しておくような施設の……」
石黒せいら:「でも分かっちゃえば簡単じゃん。ここから出ればいいんでしょ?」
石黒せいら:「こっちで死ねばいいんじゃない?」
織世明日姫:「そ、そういうもんなの!?」
日下部緑:「そうなんだ……!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」しばらく思案して
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「確かに、囚人が自殺した、というのは……他の監獄ではそう珍しいことではありません」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「しかし言われてみれば……ソピステスではそういった話は聞いたことがありませんでした」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「オーヴァードの再生能力によるものと思っていましたが……」
織世明日姫:「でも、危険じゃない!? もしこっちで死んじゃって、向こうで目覚めなくて……こう、植物人間てきなのになっちゃうとか」
シエン・ユーシー:「え……どっちだよ?正解?不正解?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……死者の話も脱獄の話も無い以上、ここでは死ぬことが出来ないのかもしれません」
石黒せいら:「……外に出たときと同じってこと?」
石黒せいら:「最初に戻される……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「本当のところは分かりません。ただ、脱獄に繋がることは無いはずです。これだけのシステムを構築して、そんな簡単な抜け道を見落とすはずはない」
籠羽ゆりは:「戻った先の肉体も管理されてるなら、大抵のことは対策されてそうだね」
織世明日姫:「リスポーンしちゃうんだ……」
日下部緑:「え……それじゃあ……」
日下部緑:周囲を見回して
日下部緑:「どうすれば……?」
石黒せいら:「えっマジでどうすんのさ」
織世明日姫:「夢の中でどれだけがんばったって、結局は夢でしかない……」
籠羽ゆりは:「……今度こそ、詰んでるのかな」
ララ・コト:「いや」
ララ・コト:「必ず脱出の方法はあるはずだよ。何かこの場所を成立させてる根幹、大黒柱……ってか、要するに弱点があるはず」
ララ・コト:「そうでもなければ、この規模と強度の空間は成立させられないと思うな」
純恋・バレンタイン:「良くわからないけど」
純恋・バレンタイン:「それを見つけろって事?」
マルヤ・パロヤルヴィ:「弱点……?」
セリョーギナ:「弱点って何~?そんなの見たことある?」
織世明日姫:「弱点……ってことは、看守のひとたちが厳重に守ってたりするのかな」
日下部緑:ハッとして「まさか……」
籠羽ゆりは:「……更生院を更生院たらしめる、核となる存在」
織世明日姫:「知ってるの? 緑ちゃん……!」
日下部緑:「見つかりづらくて、壊しづらければいいんですよね?っていうことは……」
日下部緑:「Big Blast Sonic 鼠……」
織世明日姫:「そ、そっか……!」
織世明日姫:「…………もう倒したよね? ゆりはちゃんが」
籠羽ゆりは:「ふっつーに私がバクハツさせちゃったけど……」
日下部緑:「あっ……そうだった」
日下部緑:「じゃあ……一体……」
織世明日姫:「で、でもいい意見だったかも! こうやって、たくさん考えてけばきっと見つかるよ!」
石黒せいら:「緑ちゃんってアホなの?」
織世明日姫:「せーらさんっ!!」
日下部緑:「なっ……アホじゃありません!!」
籠羽ゆりは:「いや、そこが緑ちゃんの一番素敵なところだから……」
籠羽ゆりは:「そうだね。何となくアタリはついたかな」
織世明日姫:「そうそう! あたしも緑ちゃんのそういうとこ、好……」
日下部緑:「ゆりはちゃん……!? それは!?」
織世明日姫:ぐ、と飲み込み。「……ゆ、ゆりはちゃん。なにが……?」
石黒せいら:「(なに日和ってんの~?)」ほっぺをつねる。
籠羽ゆりは:「要は、この更生院で"いっちばん偉い"存在なんじゃないかなぁって☆」
織世明日姫:「(だ、だってぇ~~!)」 涙目でつねられてる。
純恋・バレンタイン:「ふぅん?」
織世明日姫:「ひょれっへ……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……! ゆりは……それです!」
石黒せいら:「あは!それ~……」
石黒せいら:「違ったらヤバそうだね」
石黒せいら:「懲罰房で済むのかな?」
籠羽ゆりは:「違ったら違ったで、でも近しい存在ってのは間違いなさそうじゃん?」
籠羽ゆりは:「チャレンジしてみる価値あると思うな~」
織世明日姫:頬をさすりながら。「……何もしなくても、そのうちバレて記憶が消されちゃったりするなら」
織世明日姫:「いちかばちか、やってみるしかない……のかも」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……考えてみれば不自然でした。囚人にとっては何の用事も無く、脱獄にも関わらないはずが、極めて警備の厳重な場所がありました」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そのうえ、機能的には一切の意味は無いにも関わらず、この監獄の丁度中心に位置している」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ある種当然のこととして流していましたが……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……所長室。そこしかないでしょう。ゆりは……お手柄ですよ!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:興奮した様子で頬を紅潮させ、ゆりはの手を掴む。
籠羽ゆりは:「!……えへっ☆姫様に褒められちゃった~」面映ゆそうに、華奢な掌を包み返して。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……あっ」我に返ったようにさっと手を引く。
石黒せいら:「……」
籠羽ゆりは:「む。恥ずかしがることないのに……」
純恋・バレンタイン:(何かあったのかこの二人)
織世明日姫:「じゃあ、これから所長さんに殴り込みだね……!」 ぐっと拳を握る。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……そうですね。大浴場はそのままのはず……気付かれればまともに動けなくなります」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「人員を二つに分けます。所長室に向かう班と、陽動を行う班。すぐに始めますよ!」
---
GM:数分後、所内は再び騒然としていた。
GM:囚人たちが突如として暴動を始めたのである。暴力が連鎖し、怒号と悲鳴、戦闘音が響き渡る。
看守:「おい、何なんだ!何が切っ掛けの暴動だ!?」「それがよく分からなくて……」
看守:「どうして首輪が効かないんだ!?故障か!?」
セリョーギナ:「はぁ……はぁ……」
セリョーギナ:「疲れた……ほら並んで……順番~……」
暴れる囚人:「ヒャハァ~ッ!自由だァ~!」
凶悪囚人:「女がいっぱいいるじゃねえかァ~!」
Big Blast Sonic 鼠2:「ヂュヂューッ!」
シエン・ユーシー:「懲罰房も開放するぞ。もっと騒ぎをデカくしねえとな」
ララ・コト:「にて民のオフ会思い出すなあ……」しみじみ
取り巻き受刑者C:「ウワァ!デカいネズミがいるゥ!」
マルヤ・パロヤルヴィ:「女がいっぱいいるじゃないか……!」
看守長:「……どうなっている!?さっさと鎮圧しろ!」
看守:『ダメです、とんでもない数で……わぁあっ!』
看守長:「クソッ!一体何故こんな……」
所長:「落ち着いてください、看守長」
所長:所長室の椅子に腰掛けたまま、表情を崩さない。
所長:「暴動程度、想定の範囲内です。時間は掛かるでしょうが問題ありません。とにかく冷静さを失わないように」
看守長:「しかし……は、はい……」
所長:「ここの警備は万全なままです。であれば、何も問題は……」
GM:その時、所長室の扉がけたたましく破られる。
看守長:「!?」
純恋・バレンタイン:「ウォラッ!」
純恋・バレンタイン:「失礼しま~す!」
純恋・バレンタイン:扉を蹴破った足をプラプラ揺らす。
純恋・バレンタイン:「どうも、カチコミにきました」
純恋・バレンタイン:「僕です」
看守長:「きっ……貴様ァ……!!」
所長:「あらあら……」
所長:「これは少々驚きました」
織世明日姫:「なんか……懐かしいな、この感じ」 続いて姿を現しながら。
織世明日姫:「……っと。あたしたち、脱獄しなきゃなので……!」
織世明日姫:「手荒なこと、します! ごめんなさい!」
石黒せいら:「あはっ、手荒なことって何しちゃおうね~?」
石黒せいら:「そうだな~、やっぱり……」
石黒せいら:「大事な所長さんをグチャグチャにしちゃうのが効く?」
石黒せいら:「楽しみだなあ~……」
純恋・バレンタイン:「おい、アレは僕のモノだぞ」
純恋・バレンタイン:「横取りはするなよ」
籠羽ゆりは:「あっはは☆良かったじゃないすか、パ~イセン。やりたいことできそうで」
籠羽ゆりは:「露払いは任せてください。そーいうのが得意なんで!」
籠羽ゆりは:淡いプラチナブロンドのポニーテールを揺らしながら、飄々と入室する。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……こんなに派手な脱獄は、わたくしも初めてですね……」
日下部緑:「あの……すみません……世間的には、あなた達の方が正しいのかもしれませんけど……」
日下部緑:「でも私……この刑務所の何もかも、納得できませんから……!」
日下部緑:「だから、脱獄させてもらいます!」
所長:「……」
所長:「脱獄ですか。その為にわざわざここへ足に運ぶとは……」
所長:「どうやら既に、気付いているようですね」
所長:ぷつり、と制服のボタンを外す。
所長:制服の前が開くと、その下から、眩いばかりの光を放つ、大きな宝石のような結晶体が現れる。
純恋・バレンタイン:「おっ」
織世明日姫:「あれが……”弱点”!?」
石黒せいら:「ひゅ~っ……え。何あれ」
所長:「脱獄……脱獄ですか」
所長:「愚かですね。仮にここを抜け出したとして、一体どこへ行くというのです?」
所長:「我々オーヴァードは、いずれジャームとして災厄を振り撒くのが定め」
所長:「生まれたその時から、等しく罪人だというのに」
籠羽ゆりは:「……あ~。何か、私のリスナーがそんな話してたっけなぁ」
籠羽ゆりは:「知ったこっちゃなくない?」
籠羽ゆりは:「おままごと世界にずーっと閉じ込められて、慎ましく人生を浪費する位なら」
籠羽ゆりは:「皆でわいわい、外で"やりたい"ことやってる方が楽しいって思っちゃったからね☆」
所長:「醜悪極まりませんね」
所長:「あなたのようなオーヴァードがいるから……」
所長:「いえ。既にジャームなのでしょうか?」
織世明日姫:「ジャーム……ってのは、わかんないけど」
織世明日姫:「罪人だって、間違いをしちゃったひとだって……やり直していいんだって」
織世明日姫:「もう一度、『正しい』を目指していいんだって。あたしは、その言葉に救われたから」
織世明日姫:「信じたいから……だから、止まれない。光の中に、進みたいの!」
日下部緑:「……明日姫ちゃん」
日下部緑:決意を帯びた瞳と共に、その手を強く握る。
織世明日姫:力強く頷き、手を握り返す。声に震えは、もうない。
所長:「……浅ましい」
所長:「感情、絆、人との繋がり……」
所長:「それを食い潰し、やがては自ら手にかける。それがオーヴァードの必定です」
石黒せいら:「なんかさ~」
石黒せいら:「UGNっぽくもなくない?あんたのそれ」
石黒せいら:「オーヴァードと人とを仲良しこよしさせたいんじゃないの?これはたださ……」
石黒せいら:「せーらたちを閉じ込めて悦に浸ってるゲス女じゃん?」
石黒せいら:「早く開放しなよ」
所長:「ええ。否定はしませんよ」
所長:「オーヴァードは一分の例外なく、世に災いを齎す存在です」
所長:「私はいずれ、全てのオーヴァードをこのソピステスに収監する……」
所長:「自らがジャームとなる前に。それが私に出来る、唯一にして最大の善行に他なりません」
石黒せいら:「こいつ思ったよりヤバいかも~!」
籠羽ゆりは:「せいらがそう言うなら、マジでイかれてるんだなぁ……」冷や汗。
純恋・バレンタイン:「犯罪者の言う事は真に受けない方がいいよ」
純恋・バレンタイン:「貴女は僕たちを全力で潰せばいいのさ」
純恋・バレンタイン:「簡単だろ?」
所長:「純恋・バレンタイン……」
所長:「賭けは不成立です。あなた如きに、私とこのソピステスを破ることなど出来ませんよ」
純恋・バレンタイン:「アハハ!そんなのやって見なけりゃわからないさ!」
純恋・バレンタイン:「賭けは続行だ!オールベットだ!」
純恋・バレンタイン:「ここで死んだってかまわないぞ、僕は!」
所長:「教えて差し上げます」
所長:「私がこのソピステスを預かるに至った最大の要因は──」
所長:所長室の内部に凍て刺すような冷気が満ち、壁や床が急速に凍り付いていく。
所長:「私が他の誰より、強いからです」
GM:クライマックス戦闘を開始します。
GM:衝動判定 難易度9です
石黒せいら:4dx>=9
DoubleCross : (4DX10>=9) → 9[1,5,8,9] → 9 → 成功
織世明日姫:(2+1)dx+0>=9
DoubleCross : (3DX10>=9) → 10[6,9,10]+9[9] → 19 → 成功
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を2D10(→ 6)増加(96 → 102)
純恋・バレンタイン:2dx+1>=9
DoubleCross : (2DX10+1>=9) → 2[1,2]+1 → 3 → 失敗
籠羽ゆりは:4dx>=9
DoubleCross : (4DX10>=9) → 7[5,5,5,7] → 7 → 失敗
織世明日姫:織世明日姫の侵蝕率を2D(→ 18)増加(78 → 96)
籠羽ゆりは:81+2d10
DoubleCross : (81+2D10) → 81+9[5,4] → 90
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を2D10(→ 8)増加(76 → 84)
純恋・バレンタイン:暴走しま~す
エンゲージ
所長、看守長
(5m)
PC
(5m)
精鋭看守
GM:NPCカードが使用可能です。
日下部緑
1ラウンドに1回使用可能。
判定の直後に使用可能。判定の達成値+3。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク
1ラウンドに1回使用可能。
判定の直前に使用する。その判定に対して、全ての不利な効果を無効にする。
GM:ラウンド1
GM:セットアップから!
石黒せいら:なし
所長:《先陣の火》LV6+《トーチライト》LV1 行動値+30
所長:+《氷の城塞》LV6 ラウンド中受けるダメージ-18
織世明日姫:《狂騒の旋律》! ラウンド中対象の攻撃力+[LV×3]し暴走させる。
織世明日姫:ほしいひとはもらって~ あたしは受けます
籠羽ゆりは:《鮮血の奏者》+サングイン HP22、自身攻撃力+18、侵蝕94
織世明日姫:織世明日姫の侵蝕率を5増加(96 → 101)
純恋・バレンタイン:『オーバーフロウ血流』《赫き鎧》
石黒せいら:その《狂騒の旋律》に対し……
純恋・バレンタイン:おい!
石黒せいら:《シュガーラッシュ》を使用します。
純恋・バレンタイン:ヤッター
石黒せいら:LVを+2。
看守長:《サポートデバイス》LV3 【精神】判定ダイス+6
純恋・バレンタイン:もらいます
織世明日姫:これで100%なので、シュガーラッシュ分も含めて+24です。
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を3増加(102 → 105)
籠羽ゆりは:ナイス連携!いただきまーす
純恋・バレンタイン:狂騒の旋律を受けます
石黒せいら:狂騒受けるよ~
純恋・バレンタイン:防護点24
GM:ではイニシアチブ
GM:行動値42 所長の手番です
石黒せいら:はやすぎ
純恋・バレンタイン:敵が精鋭看守で良かった デカいネズミじゃなくて
純恋・バレンタイン:早いな~
織世明日姫:あ! 使えるのなら
織世明日姫:《スピードフォース》したいかも
GM:何ッッ
GM:OKです
織世明日姫:やったあ 動きます
織世明日姫:マイナーでエンゲージ切っとこうかな うーん
織世明日姫:2m後退で、味方エンゲージと精鋭の間あたり?
織世明日姫:織世明日姫の侵蝕率を4増加(101 → 105)
エンゲージ
所長、看守長
(5m)
籠羽、純恋、石黒
(2m)
織世
(3m)
精鋭看守
織世明日姫:メジャー、《サイレンの魔女》《終焉の残響》。
織世明日姫:装甲値無視、リアクション不可、カバーリング時ガード不可のモリモリアタックです。
GM:ヒェ~~ッッ
織世明日姫:対象は、変異暴走してないので……敵の3人!
GM:判定どうぞ!
織世明日姫:(2+3)dx+14
DoubleCross : (5DX10+14) → 9[1,2,3,9,9]+14 → 23
GM:リア不なので受けるしかない!ダメージどうぞ!
織世明日姫:うお~っ
織世明日姫:3D10+42+2D10
DoubleCross : (3D10+42+2D10) → 11[1,2,8]+42+9[8,1] → 62
織世明日姫:あ、シュガラぶんはいってないかも
織世明日姫:68です
GM:オイオイオイ
石黒せいら:暴の才能ありすぎ
GM:所長のHPを68減少(0 → -68)
織世明日姫:織世明日姫の侵蝕率を9増加(105 → 114)
織世明日姫:織世明日姫のHPを3減少(26 → 23)
GM:看守長のHPを68減少(0 → -68)
所長:《閃熱の防壁》LV5
所長:精鋭看守へのダメージを軽減します
GM:68-7D10
DoubleCross : (68-7D10) → 68-40[1,7,9,8,4,5,6] → 28
織世明日姫:すごい減った!
GM:精鋭看守のHPを28減少(0 → -28)
GM:生き延びるぜ
純恋・バレンタイン:yaruna-
GM:行動値42 所長の手番です
所長:マイナー 《火の檻》LV2+《炎の加護》LV6 自身エンゲージ封鎖 ダイス+6
所長:メジャー 《コンセントレイト:サラマンダー》LV4+《灼熱の砦》LV6+《アイスコフィン》LV6+《焦熱の弾丸》LV13+《コキュートス》LV5
所長:対象PC全員 命中でラウンド間対象が行う判定達成値-24
織世明日姫:ひええ
石黒せいら:削り切れるのか……?《盲目の羊》《タブレット》してみます。
石黒せいら:ダイスを-12個。
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を6増加(105 → 111)
所長:0にはなりません 判定!
所長:4DX7+6
DoubleCross : (4DX7+6) → 10[1,1,4,9]+6[6]+6 → 22
石黒せいら:暴走
籠羽ゆりは:暴走~
織世明日姫:変異暴走じゃないからリア不!
純恋・バレンタイン:暴走~
所長:ではダメージ
所長:3D10+18+26
DoubleCross : (3D10+18+26) → 10[5,2,3]+18+26 → 54
織世明日姫:ひぃん 死にます
石黒せいら:死!
籠羽ゆりは:流石に死!
純恋・バレンタイン:『ノンストップ鼓動』《赤河の支配者》《異形の加護》
純恋・バレンタイン:54-8d10-2
DoubleCross : (54-8D10-2) → 54-61[8,10,8,6,6,4,10,9]-2 → -9
純恋・バレンタイン:装甲もあります
織世明日姫:かった
純恋・バレンタイン:無傷
石黒せいら:やば
籠羽ゆりは:かた~~
織世明日姫:カズくんのロ……すでにタイタスだわ これで復活
籠羽ゆりは:94+1d10
DoubleCross : (94+1D10) → 94+6[6] → 100
石黒せいら:初期ロイスのシュリのロイスを昇華して復活。
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を7増加(84 → 91)
GM:では行動値16 籠羽さんの手番です
織世明日姫:織世明日姫のHPを12に変更(23 → 12)
籠羽ゆりは:はーい
籠羽ゆりは:マイナーで2m右のエンゲージに移動
籠羽ゆりは:メジャー《エクスプロージョン》《ツインバースト》
エンゲージ
所長、看守長
(5m)
純恋、石黒 (2m) 籠羽
(2m)
織世
(3m)
精鋭看守
籠羽ゆりは:で、
籠羽ゆりは:なんか達成値-24とかいうデバフがついているため……
籠羽ゆりは:判定の直前で《活力の雫》を自身に使用。暴走と達成値デバフを解除してダイス+2個
GM:何ィ!?
籠羽ゆりは:あ、対象は所長の方のエンゲージに範囲攻撃です
GM:判定どうぞ!
籠羽ゆりは:7dx
DoubleCross : (7DX10) → 10[3,6,7,8,9,10,10]+8[7,8] → 18
籠羽ゆりは:回った ドッジ不可です
所長:ガード 《灼熱の結界》LV7+《氷盾》LV5
石黒せいら:緑カード使っちゃったら?ダメージふえるし
籠羽ゆりは:えっ、明日姫ちゃんを差し置いてもらっていいのかな~~☆
織世明日姫:そ、そういうんじゃないし……!
織世明日姫:もうあたしの手番終わったし、いっちゃえ!
籠羽ゆりは:では、ありがたくいただきます!
GM:では+3!
看守長:ドッジできないのでガードします
籠羽ゆりは:21!何もなければダメージ……!
GM:ダメージどうぞ!
籠羽ゆりは:3d10+41+24
DoubleCross : (3D10+41+24) → 13[4,1,8]+41+24 → 78
GM:ゲ~ッ
織世明日姫:つよつよ!
籠羽ゆりは:侵蝕111……!
GM:C(78-25-14-18)
DoubleCross : c(78-25-14-18) → 21
GM:所長のHPを21減少(-68 → -89)
看守長:装甲で軽減
GM:看守長のHPを68減少(-68 → -136)
GM:行動値11 看守長の手番です
看守長:マイナー 《多段攻撃》LV1 メジャーアクションを2回行う
看守長:メジャー 《コンセントレイト:モルフェウス》LV4+《ペトリファイ》LV5+《パラライズ》LV6+《砂の楔》LV8+《砂の刃》LV13+《ストライクモード》LV6+《クリスタライズ》LV6
看守長:命中で硬直、シーン間対象のガード値-24(マイナー使用で解除)、行動値-10(マイナー使用で解除)、装甲無視
看守長:反抗的な態度を取ってきた純恋・バレンタインを攻撃するぞ
看守長:12DX7+6
DoubleCross : (12DX7+6) → 10[2,2,2,6,7,7,7,7,8,8,8,10]+10[4,4,6,6,7,9,10,10]+10[1,4,4,9]+1[1]+6 → 37
純恋・バレンタイン:暴走~
看守長:ダメージ
看守長:4D10+15+6D10+18
DoubleCross : (4D10+15+6D10+18) → 30[8,10,6,6]+15+31[8,5,4,7,5,2]+18 → 94
純恋・バレンタイン:デカ!
純恋・バレンタイン:『ノンストップ鼓動』《赤河の支配者》《異形の加護》
純恋・バレンタイン:暴走中なので異形の加護に回数制限はありません
純恋・バレンタイン:94-8d10-2
DoubleCross : (94-8D10-2) → 94-43[3,7,10,4,6,1,2,10]-2 → 49
純恋・バレンタイン:伸びないな~
純恋・バレンタイン:装甲無視なので死
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を7増加(91 → 98)
純恋・バレンタイン:リザレクトできるよ
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を1D10(→ 10)増加(98 → 108)
看守長:2回目のメジャー
看守長:《コンセントレイト:モルフェウス》LV4+《ペトリファイ》LV5+《パラライズ》LV6+《砂の楔》LV8+《砂の刃》LV13+《ストライクモード》LV6
看守長:命中で硬直、シーン間対象のガード値-24(マイナー使用で解除)、行動値-10(マイナー使用で解除)
看守長:反抗的な態度を取ってきた石黒せいらを攻撃するぞ
石黒せいら:あたし~!?
看守長:12DX7+6
DoubleCross : (12DX7+6) → 10[1,1,2,2,3,6,6,7,8,8,10,10]+10[1,2,4,5,7]+2[2]+6 → 28
石黒せいら:暴走
看守長:ダメージ
看守長:3D10+15+6D10
DoubleCross : (3D10+15+6D10) → 15[8,1,6]+15+33[1,3,4,10,5,10] → 63
石黒せいら:ぴいい……
石黒せいら:エルちゃんのロイスを昇華して復活。あと2枚です
GM:行動値6 精鋭看守の手番です
純恋・バレンタイン:行動値0か~
精鋭看守:メジャー《コンセントレイト:ブラックドッグ》LV3+《雷の牙》LV3+《スタンボルト》LV1
精鋭看守:対象は~
精鋭看守:choice[籠羽,織世,純恋,石黒]
DoubleCross : (choice[籠羽,織世,純恋,石黒]) → 籠羽
精鋭看守:籠羽ゆりは!
籠羽ゆりは:わ~~
精鋭看守:ドッジダイス-3 ダメージで放心
精鋭看守:8DX7+2
DoubleCross : (8DX7+2) → 10[2,3,4,4,7,7,7,8]+10[4,4,6,9]+10[7]+1[1]+2 → 33
GM:やる気のある看守
籠羽ゆりは:(4-1)dx>=33
DoubleCross : (3DX10>=33) → 5[1,1,5] → 5 → 失敗
籠羽ゆりは:全然ダイス違う どのみち失敗だけど
精鋭看守:ダメージ!
精鋭看守:4D10+4
DoubleCross : (4D10+4) → 25[6,5,4,10]+4 → 29
GM:やる気がある
籠羽ゆりは:普通に死ぬ!モンドシュピゲルをタイタス化して蘇生します
籠羽ゆりは:HP11、あと3枚……
GM:行動値0 純恋さんと石黒さんの手番です
石黒せいら:どうぞ~
純恋・バレンタイン:支援貰えるなら貰うけど ないならこのまま攻撃するかな って感じ
純恋・バレンタイン:せいらちゃんが自分で攻撃する感じ?
石黒せいら:無理かな~
石黒せいら:-24を解消できるのが片方だけだし
石黒せいら:だったらこっちが殴るよりはじゃない?
純恋・バレンタイン:じゃあ導きの華とかもらえる?
石黒せいら:そういえばメジャーアクションなんてあったな……
織世明日姫:エルちゃんの解除って使ってないんだっけ
純恋・バレンタイン:戦乙女の導きか
石黒せいら:それを純恋さんが使うんじゃない?
織世明日姫:なるほど~
石黒せいら:でもどうなんだ ロイスで解除してもらったほうがいいのか
石黒せいら:一番余裕あるし 耐久があるから
石黒せいら:1人残っても仕方がないからな……
純恋・バレンタイン:それでもいいよ
石黒せいら:じゃあそれでやってみますか 長期戦してる場合じゃない
純恋・バレンタイン:OK
純恋・バレンタイン:恩師だったUGNの教官のロイスをタイタス昇華して不利な効果を全部消します
純恋・バレンタイン:オートでポールアームを装備
純恋・バレンタイン:マイナーで『ハイボルテージ心電』《赫き重刃》HP2消費で武器の攻撃+28
純恋・バレンタイン:メジャーで『ヒートアップ体熱』《一閃》《コンセ》で全力移動し
純恋・バレンタイン:所長たちにエンゲージして攻撃します
GM:判定どうぞ!
純恋・バレンタイン:10dx7+1
DoubleCross : (10DX7+1) → 10[2,2,3,4,5,5,8,8,10,10]+10[6,6,10,10]+10[1,8]+3[3]+1 → 34
GM:対象は所長ですか?
純恋・バレンタイン:所長です
所長:ガード 《灼熱の結界》LV7+《氷盾》LV5
GM:ダメージどうぞ!
純恋・バレンタイン:4d10+5+24+28
DoubleCross : (4D10+5+24+28) → 23[2,10,3,8]+5+24+28 → 80
GM:C(80-25-14-18)
DoubleCross : c(80-25-14-18) → 23
GM:所長のHPを23減少(-89 → -112)
GM:侵蝕もあげてね
純恋・バレンタイン:はーい
GM:行動値0 石黒さんの手番です
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を5増加(108 → 113)
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を5増加(113 → 118)
石黒せいら:マイナーで明日姫ちゃんのところに移動。相手攻撃がシーンと単体だけなら狂騒もらう方がいいや。
石黒せいら:いや……硬直してるわ
石黒せいら:暴走解除かな……
石黒せいら:メジャーでパワーピストルを精鋭看守に素打ち。
石黒せいら:5dx
DoubleCross : (5DX10) → 7[2,3,4,6,7] → 7
石黒せいら:じゃないわ その前に……
石黒せいら:この重篤デバフを……
石黒せいら:解除してくれるよね、エルちゃん……?
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:ビクッ
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:は、はい……
石黒せいら:ありがと♡
石黒せいら:改めて、《夢の雫》。達成値を+16。
石黒せいら:23になりました。
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を3増加(111 → 114)
精鋭看守:何~~イベイジョンが18もあるのに
GM:では命中します ダメージどうぞ!
石黒せいら:3d10+9+24 装甲有効
DoubleCross : (3D10+9+24) → 19[9,5,5]+9+24 → 52
GM:こんなでかいの??
石黒せいら:狂騒ってすごい
GM:精鋭看守のHPを52減少(-28 → -80)
GM:くっ……死にました
石黒せいら:わ~い
織世明日姫:やったー!
籠羽ゆりは:さっすがせいら~♡
石黒せいら:エルちゃんのおかげだね
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:キッ……
純恋・バレンタイン:こわ
GM:ではクリンナップ
GM:ラウンド1終了。
純恋・バレンタイン:HP回復します
純恋・バレンタイン:《不死者の恩寵》
純恋・バレンタイン:4d10+5
DoubleCross : (4D10+5) → 24[4,7,3,10]+5 → 29
純恋・バレンタイン:全快しました
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を5増加(118 → 123)
GM:なんだこいつ!?
純恋・バレンタイン:HP31
純恋・バレンタイン:奥歯を強くかみしめる。
純恋・バレンタイン:体中の血液を循環させるために。
純恋・バレンタイン:東洋武術で言うところの気を巡らせるために。
純恋・バレンタイン:一拍の心音が。
純恋・バレンタイン:常人では考えられぬほどの血流を生み出すほどに。
純恋・バレンタイン:ドクン。
純恋・バレンタイン:頭の先から、足の指先まで一気に血が巡り。
純恋・バレンタイン:純恋の体表を硬化していく。
純恋・バレンタイン:口元から流れる一筋の血は。
純恋・バレンタイン:溢れ出る血流の力を示していた。
織世明日姫:「はあ、はあっ……!」 知らず、呼吸が荒くなっている。
織世明日姫:無理もない――凍り付いた室内。所長が放つ威圧感は、明日姫がこれまで体験したことがないもの。
織世明日姫:当然だ。本格的なオーヴァードとの戦闘は、明日姫にとってこれが初めてなのだから。
石黒せいら:「明日姫ちゃん、大丈夫」肩に手を置く。
石黒せいら:「"ルイ"の言う通りにすればいいからね」
織世明日姫:「せ……ら、さん」
織世明日姫:「ルイ……?」
怪生物:刹那、織世明日姫の眼前に、触腕と目を持つ不可解な生物が映る。
織世明日姫:「!?」
石黒せいら:それは他のものには視認されず、織世明日姫の目にだけ見えている。
怪生物:「せいらのお友達、がんばって!」
織世明日姫:「これ……せーらさんの、ペット?」
織世明日姫:「しゃべった!」
石黒せいら:「ま、お友達かな」
怪生物:ぴょんぴょんと跳ねていく。「怖がらなくていいんだ!相手もこっちの事が分かってない……」
怪生物:「怖がってる!」
織世明日姫:「そっか……せーらさんの友だちなら。あたしも友だち、かな」
怪生物:「狙うならここだよ!」触腕で看守たちを指さしている。物理法則を無視したように伸び切っている。
怪生物:ピカピカと光っている。「いけるいける!」
織世明日姫:「ん……ありがとう」 いつのまにか、呼吸は落ち着いていた。
織世明日姫:背が伸びる。喉が通る。紡がれるは、否応なく聞き惚れる声。
織世明日姫:「……『ごめんなさい』とは、思ってるよ」
織世明日姫:その声は、聖域に響く賛歌が如くに心を奪う。誰もが一瞬、動きを止めて。
看守長:「……!?」
織世明日姫:「暴力も。脱獄も。やっちゃいけないことって……そうかもしんないけど」
織世明日姫:あるいはその声は、これまで抑えられていたのかもしれない。
織世明日姫:首輪の爆破機能。もしも、その恐怖が無意識に喉を狭めていたとしたならば。
織世明日姫:「あたしは……あたしだけは。こう言ってあげるんだっ……!」
織世明日姫:その軛から解き放たれた声は、保有する能力を遺憾なく発揮する。
織世明日姫:「――『間違ってない』っ!!」
織世明日姫:爆音という程の叫びではない。にも関わらず、周囲の騒音が遠ざかったかのように、その声だけが聞く者の耳を衝く。
所長:「……」眉根を寄せる。
織世明日姫:その声は――脱獄者たちのリミッターを破壊し、レネゲイドを活性化させ。
織世明日姫:看守たちのレネゲイドに棘を突き立て、掻き毟るように破壊する。
日下部緑:「……! 明日姫、ちゃん……!」
織世明日姫:「っ……けふっ、こほっ」 身体を小さく折る。口元に当てた掌の隙間から、わずかに血が滲む。
純恋・バレンタイン:「アハ…ハハ」
石黒せいら:「え……すっご……」
看守長:「ぐ……が、ぁああッ……!」
織世明日姫:「みんな……! や」
織世明日姫:「やるよ……っ!」
看守長:目鼻、体の各所から血が滲み、激痛に身を捩る。
籠羽ゆりは:「……ひゃー、こっわ」
純恋・バレンタイン:「良いね…ハハ」
看守長:「反逆者、が……! 優しくしていれば……付け上がりおって……!」
石黒せいら:「優しくしてたこと無いじゃん!」
GM:バキッ ギギギギギギギ……!
GM:軋むような大音響が轟き、明日姫の囁きを一部掻き消し、看守たちが致命傷を防がれる。
織世明日姫:「っ……!!」
GM:それはクレバスが裂けるかのような凍結音だった。辺り一面が急速に凍り付き、壁や天井……氷の迷宮、否、監獄が形成されていく。
所長:「あなた方の処遇はどうしましょうね?」
怪生物:「せいらを傷つけるな~!」所長の目にしか視認されぬそれが、視界を塞ぐように立ちはだかる。
怪生物:だが、それはあくまで視界を妨げる効果しかない。実際の現象には干渉できず……
所長:「ここまでの所業、単なる懲罰房では足りないでしょう。二度目の脱獄を企てた者は特に……」
怪生物:無差別にも近い攻撃への対応ができるものではない。
所長:視界を塞がれつつも、僅かに視線を動かすのみだ。元より所長の能力は正確性よりも大規模攻撃が脅威となる。
所長:ガギャッ!
所長:氷の壁や天井、四方八方から鋭利な氷柱が無数に伸び、鉄の処女のごとく君達を串刺しにする。
所長:「四肢を切り落として、再生できないよう固定しておきましょうか」
純恋・バレンタイン:「ハッ!」拳と拳を眼前で打ち合わせる。
純恋・バレンタイン:「血龍ッ!」
純恋・バレンタイン:その肌が氷の柱をすべて受けとめる。
純恋・バレンタイン:一気に自分を硬化させ体温を上昇させたのだ。
純恋・バレンタイン:「効かないねッ!」
織世明日姫:「っ……あああぁっっ!」 こちらは、為すすべなく貫かれる。そもの体術が拙く、攻撃後の消耗もあった。
石黒せいら:「ぐ、んんっ……!」
石黒せいら:「ちょっと、これ……っ! 外れない……!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「かはッ……」
純恋・バレンタイン:「氷が纏わりついてくる?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:戦闘向けの能力は何も持ち合わせていない。ゆりはに語った毒の能力もその場限りのはったりだ。
籠羽ゆりは:「……っ、ぐ、ああ!ちょっと!!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:小さな身体を氷の棘が貫き、急速に凍り付いていく。
籠羽ゆりは:「私の大切な人に、何してくれてんのさ!!」
籠羽ゆりは:全身を氷柱に穿たれ、苛む苦痛を漏らすよりも先に。憤りを露わにして。
所長:君達を貫いたまま、巻き込むように氷が広がっていく。囚人すらも氷獄の一部とするかの如く。
日下部緑:「み、皆……っ」
日下部緑:成すすべなく貫かれ、激痛に零した涙すらも凍り付く。
織世明日姫:「み……どり、ちゃんっ……!」
織世明日姫:差し貫かれる彼女を守れない自分に無力感を抱きながら、自身も凍り付いている。
籠羽ゆりは:「……はぁ、ふーっ」
籠羽ゆりは:怒りに満ちた表情から一転。氷で覆われた迷宮監獄を冷めた目で一瞥し。
籠羽ゆりは:「暗くて、冷たくて。押しつけがましい貴方にお似合いの、つまらない世界ね」
籠羽ゆりは:既に準備は完了している。明日姫ちゃんの賛歌砲撃に所長達の意識が削がれたタイミングで。
籠羽ゆりは:所長達の周囲一帯、所狭しと貼り付けられた、可愛らしいポップなステッカー達を。
籠羽ゆりは:「私にとって掛けがえのない、大切で、大好きな人達を」
籠羽ゆりは:「こんな世界に閉じ込めたり、傷付けられるのをただ、放っておくのは」
籠羽ゆりは:「籠羽ゆりはの"やりたいこと"じゃない」
籠羽ゆりは:ポニーテールがふわりと宙を踊って。所長達に背を見せ、振り向いて。
籠羽ゆりは:「だから――」
籠羽ゆりは:「私好みの世界に、変えてあげるよっ!」
看守長:「何を──」
籠羽ゆりは:ウインク一つ。トリガーを引く動作に似せて、
籠羽ゆりは:指を鳴らしたその瞬間――
籠羽ゆりは:ド ッ カ ァ ァ ン !!!!!!!
籠羽ゆりは:世界が、虹色に爆ぜた。
看守長:「ぐ……おぉおおぉおっ!?」
看守長:爆発をまともに受け、氷の壁に強かに打ち据えられる。
所長:「く……」
所長:氷の牢獄が瞬時に変形し、幾重もの壁が爆風を防ぐ。それでも無傷とはいかない。
籠羽ゆりは:「あっはは☆さんきゅーふぉあうぉっちんぐ!!」
籠羽ゆりは:血液から精製した虹色の泥、および泥から制作したステッカーを起点とし、
籠羽ゆりは:キメ演出をトリガーとして、ポップでカラフルなパワーパフ的爆発を引き起こす。籠羽ゆりはの"特別"。
所長:「犯罪の扇動……快楽目的の愉快犯……」
所長:「衝動のままに行動するオーヴァード……何と醜悪な……」
石黒せいら:「ゆり~!」
所長:所長の体が氷に閉ざされ、透明な壁に幾重にも乱反射して姿を眩ます。
籠羽ゆりは:「……うぇ。氷、固すぎ!?」手をひらひらと、声援に応えながら。
看守長:その氷の迷路の奥から、じゃらりと鋼の鎖が伸びる。
看守長:「ここまでだ……! 屑共!!」
看守長:錬成された鋼鉄の鉄球と錠前が、純恋とせいらに絡みつくように拘束する。
看守長:「指導ォオ!!」
純恋・バレンタイン:「むっ!」
石黒せいら:「ちょっと、こんなの避け――」
看守長:鎖が鞭のようにしなり、空気を切り裂く甲高い音と共に二人を打ち据える。
石黒せいら:「ああああっ!」
看守長:「指導!!指導!!指導ォオオオッ!!」
石黒せいら:「んっ、ふっ、んぐんっ……!」
純恋・バレンタイン:再び血流を巡らせようとするが氷が邪魔で完璧に態勢を組めない。
純恋・バレンタイン:「ぐッ!こ、この…!」
純恋・バレンタイン:「邪魔だッ!この氷!受けらッ!あぐッ…!」
純恋・バレンタイン:鳩尾に鉄球がめり込み。
純恋・バレンタイン:「あ…ぐ…ううッ」
看守長:「人を越えた力を持ちながら、その力で人を害さんとは……」
看守長:「貴様らオーヴァード犯罪者は、社会にあってはならぬ、だが社会の軛から外れた巨大な害虫だ!!」
看守長:「故に我々が裁き!閉じ込め!!管理せねばならんのだ!!!」
看守長:超重量の鋼の拘束具が、君達の動きを封じ込める。
純恋・バレンタイン:「こっ…のお!」
石黒せいら:「いや、ちょっと、マジで無理だって……」じたばたもがくが全く解けそうにない。
精鋭看守:看守長の攻撃と共に、部下の看守たちが銃撃を放つ。囚人拘束用のテーザーガンだ。
精鋭看守:一糸乱れぬチームワーク。首輪から発せられるのと同様の強力な電流が、囚人を麻痺させる。
日下部緑:「うっ……あ、ぐっ……」
日下部緑:「ッ……こ、このままじゃまずい、です……!」
純恋・バレンタイン:「ふぅ~…ふぅ~…」
純恋・バレンタイン:鎖と氷に押しつぶされながら乱れた呼吸を整えていく。
純恋・バレンタイン:「スゥ―…ハァー」
純恋・バレンタイン:「なめないで…貰いたいね」
純恋・バレンタイン:「撥!」
純恋・バレンタイン:一気に筋力を増強させ鎖を引きちぎり氷を粉々に砕く。
純恋・バレンタイン:と、同時にその辺に落ちていた砕けた排水管を手に取り一気に走り出す。
看守長:「何!? 完全に封じ込めたはず……!」
純恋・バレンタイン:「何も…要らないんだ!」
純恋・バレンタイン:「その女を組み敷けるならね!」
純恋・バレンタイン:クルリと回転させるとそれはすぐに手に馴染む。
純恋・バレンタイン:外に居た時の過去や思い出など。
純恋・バレンタイン:必要ない。
純恋・バレンタイン:今ここで血を流し流させる事。
純恋・バレンタイン:その顔の余裕をはぎ取る事が。
純恋・バレンタイン:全てに優先する。
純恋・バレンタイン:「喰らえッ!」
純恋・バレンタイン:渾身の一撃をすさまじい腕力で振り下ろした。
所長:幾重にも形成された氷の柱が、それを受け止めようとして──
所長:「!」
純恋・バレンタイン:「うわああああ!」力で押し込んでいく。
所長:「ぐ、っ……!?」
所長:硬質の氷が次々に砕かれ、その一撃は所長へと届く。
石黒せいら:「ウソ、ゴリ押しで……!?」
所長:「ぐ、ふっ……!?」
籠羽ゆりは:「……あはは☆さっすがパイセンっす!」
所長:排水管が肩口にめり込む異音が響き、所長の表情が一瞬、苦痛に歪む。
織世明日姫:「純恋さん……」 磔のまま、薄っすらと開いた視界で。
織世明日姫:「……楽しそう」
純恋・バレンタイン:「ハハ!まだ浅かったか!」
純恋・バレンタイン:ジャンプして着地。
純恋・バレンタイン:「楽しい~」
所長:「浅ましい……まるで獣ですね」
所長:「そんな力に何の意味があります?何が成し得ます?」
石黒せいら:「めちゃくちゃだな~……」
純恋・バレンタイン:「君も獣になりなよ」
純恋・バレンタイン:「その方が人生楽しいぞ」
所長:「人であることを捨てておいて、よくもほざきますね……!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……石黒せいら……」
石黒せいら:追撃に動きたいところではあるが、全く体を動かせそうにない。
石黒せいら:「も~……最悪……うん?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:僅かに恐れの色が混ざった声が届く。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……その姿勢からで構いません」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「後方、氷の天井、壁1枚隔てた箇所を、55度の角度で撃ってください」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そこに……看守がいます」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:目視では何も見えないが、空間把握による情報を口にする。
石黒せいら:「55度とか言われてもわかんねーし……それって……」
"ルイ":「これくらい?」エルヴァリヤの目にだけ映る怪物が、触腕を2本、角度をつけて伸ばしている。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ッ」後ずさりそうになるのを堪え、「……はい」頷く。
石黒せいら:石黒せいらのレネゲイド能力はただ一つ。"自らの幻視する友人"を共有すること。
石黒せいら:「おっけ」ベリベリと氷に張り付く肌を引き剥がしながら、
石黒せいら:指示された角度に設定し、発砲。
GM:銃弾は凍り付いた天井で跳弾し、角度を変える。その軌道の先、見えない位置から悲鳴が上がる。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……仕留めました」
石黒せいら:「はは……すご」
石黒せいら:「すごいね……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:それから、拘束されたせいらをじっと見上げるようにして。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……石黒せいら」
石黒せいら:「……うん」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「申し訳ありませんでした」
石黒せいら:「は?」
石黒せいら:「逆でしょ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:かぶりを振って。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「あの時は……お前が何を言っているのかまるで分からず、混乱し……恐怖しました」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ですが、それから……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……お前とゆりはが仲良くしている姿を見ると、わたくしも……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……何か、胸の中にいやなザラザラがあるのに気付いたのです」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「それで……お前の言っていたことも……少しだけ、意味が分かったと思います」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ですから、申し訳ありませんでした」
石黒せいら:「……だから、違うって」
石黒せいら:「せーらが、エルちゃんが可愛くて、頭も良くて……カッコよくって」
石黒せいら:「いい子だから。だから嫌だったの」
石黒せいら:「……ごめん」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「それは、仕方の無いことです」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしは王族ですから。庶民に羨まれるのは、生まれつき当然のことです」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お前が気にすることではありません、せいら」
石黒せいら:「……ふ。ちょっと訂正」
石黒せいら:「性格はそんなかも」
GM:ラウンド2
GM:セットアップから
石黒せいら:なし
所長:《先陣の火》LV6 行動値+30
純恋・バレンタイン:ナイヨー
看守長:《サポートデバイス》LV3 精神ダイス+6
織世明日姫:まあ使おう……《狂騒の旋律》
織世明日姫:自分に。攻撃力+24
織世明日姫:織世明日姫の侵蝕率を7増加(114 → 121)
籠羽ゆりは:《鮮血の奏者》+サングイン 対象私。HP9、侵蝕115、攻撃力+21
GM:ではイニシアチブ
GM:行動値42 所長の手番です
織世明日姫:《スピードフォース》します
GM:何っ では手番どうぞ!
織世明日姫:いちおう、マイナーでせーらさんにエンゲージ
織世明日姫:メジャー、《サイレンの魔女》。所長と看守長に攻撃。
GM:判定どうぞ!
織世明日姫:(2+3)dx+14
DoubleCross : (5DX10+14) → 9[3,3,5,6,9]+14 → 23
所長:あっ失礼 セットアップで《氷の城塞》LV6も使ってます
所長:ガード 《灼熱の結界》LV7+《氷盾》LV5
看守長:ドッジ 《守りの砂》LV2
看守長:12DX+6>=23
DoubleCross : (12DX10+6>=23) → 10[1,2,2,2,3,3,4,4,5,8,9,10]+8[8]+6 → 24 → 成功
GM:避けちゃった
織世明日姫:かなちい
GM:なんか判定後に使えるNPCカードがあるから今ならいいらしいという噂が市中で囁かれています
織世明日姫:じゃ、じゃあ……いただきます 緑ちゃんの効果を
日下部緑:頑張って!
織世明日姫:頑張る♡♡♡
織世明日姫:達成値+3で、26になりました
GM:ではドッジ失敗!ダメージどうぞ!
織世明日姫:ダメージロール前に、せーらさんのロイスを昇華。Sロイス効果でBLのガード値無視を適用します。
GM:ガード無視~~!?
織世明日姫:うおおおおおお
織世明日姫:3D10+42+6+2D10
DoubleCross : (3D10+42+6+2D10) → 11[4,4,3]+42+6+10[6,4] → 69
GM:看守長のHPを69減少(-136 → -205)
GM:看守長HP0 戦闘不能
GM:所長のHPを69減少(-112 → -181)
純恋・バレンタイン:やった?
GM:所長はギリギリ生存!
石黒せいら:おお~
織世明日姫:織世明日姫の侵蝕率を4増加(121 → 125)
織世明日姫:織世明日姫の侵蝕率を5増加(125 → 130)
籠羽ゆりは:固すぎる……!
織世明日姫:はあはあ
GM:行動値42 所長の手番です
所長:マイナー 《火の檻》LV2+《炎の加護》LV6 自身エンゲージ封鎖 ダイス+6
所長:メジャー 《コンセントレイト:サラマンダー》LV4+《灼熱の砦》LV6+《アイスコフィン》LV6+《焦熱の弾丸》LV13+《コキュートス》LV5
所長:命中でラウンド間対象が行う判定達成値-24
所長:対象PC全員
所長:16DX7+6
DoubleCross : (16DX7+6) → 10[1,1,1,1,3,3,5,6,6,7,7,8,8,8,8,9]+10[1,5,5,6,6,7,8]+10[8,10]+10[5,9]+10[9]+4[4]+6 → 60
GM:すごいやる気だ
GM:あっ妨害入れます?
石黒せいら:どうせ消しきれないからしない!
純恋・バレンタイン:暴走もなくなったのでガードだ
織世明日姫:リア不です!
石黒せいら:4dx>=60 一応ドッジ
DoubleCross : (4DX10>=60) → 9[1,2,3,9] → 9 → 失敗
石黒せいら:まあそう
籠羽ゆりは:2dx>=60
DoubleCross : (2DX10>=60) → 7[7,7] → 7 → 失敗
石黒せいら:明日姫ちゃんを行動放棄カバーします。
織世明日姫:せーらさん……!
所長:ではダメージ
所長:7D10+18+26
DoubleCross : (7D10+18+26) → 35[1,10,6,2,2,8,6]+18+26 → 79
純恋・バレンタイン:『ノンストップ鼓動』《赤河の支配者》《異形の加護》
石黒せいら:当然耐えられない とはいえもうほぼ出来ること無いんだよな……
石黒せいら:そのまま倒れます。
純恋・バレンタイン:79-8d10-4-24-6
DoubleCross : (79-8D10-4-24-6) → 79-51[5,5,4,7,9,8,9,4]-4-24-6 → -6
籠羽ゆりは:私も死にます 明日姫ちゃんのロイスをタイタス化して蘇生
石黒せいら:やばすぎるって
GM:こいつ固すぎだろ
純恋・バレンタイン:受けきりました
織世明日姫:なんなんだこいつ
GM:では行動値16 ゆりはさんの手番です
籠羽ゆりは:はい
籠羽ゆりは:マイナーなし
籠羽ゆりは:メジャー《エクスプロージョン》《ツインバースト》対象所長
籠羽ゆりは:達成値-24のデバフがあるので……
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を7増加(123 → 130)
籠羽ゆりは:すみません、一応マイナーで明日姫ちゃん達のエンゲージに移動させてください
籠羽ゆりは:でもって、エル様のNPCカードを貰いデバフ解除します
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:ゆりは わたくしの騎士として励みなさい
籠羽ゆりは:はい。必ずや、エル様の計画に成功を……
籠羽ゆりは:5dx
DoubleCross : (5DX10) → 10[1,1,9,9,10]+7[7] → 17
所長:ガード 《灼熱の結界》LV7+《氷盾》LV5
GM:ダメージどうぞ!
籠羽ゆりは:2d10+41
DoubleCross : (2D10+41) → 6[1,5]+41 → 47
所長:防げるかも……
純恋・バレンタイン:そんな気がする
所長:C(47-25-14-18)
DoubleCross : c(47-25-14-18) → -10
石黒せいら:ひええ……
織世明日姫:やべ~~~
籠羽ゆりは:わー……
所長:瀕死だけどノーダメージなので生きています
純恋・バレンタイン:ウェー
籠羽ゆりは:侵蝕122
GM:行動値3 純恋さんの手番です
純恋・バレンタイン:殴るしかないな~
純恋・バレンタイン:《一閃》《コンセ》
純恋・バレンタイン:11dx7+1-24
DoubleCross : (11DX7-23) → 10[1,2,2,3,4,5,5,8,9,10,10]+6[2,4,6,6]-23 → -7
純恋・バレンタイン:あー
籠羽ゆりは:すみません、《活力の雫》!!
籠羽ゆりは:-24のデバフを帳消しします!侵蝕126
純恋・バレンタイン:じゃあ17です
GM:デバフ無くても普通に出目が低い
石黒せいら:ダイス増えるんじゃない?
籠羽ゆりは:そだ、ダイス+3個です
GM:振り足しいいですよ
純恋・バレンタイン:3dx7+1
DoubleCross : (3DX7+1) → 10[3,4,7]+10[10]+5[5]+1 → 26
GM:上がっとる
純恋・バレンタイン:26です
織世明日姫:あがるんかい
所長:ガード 《灼熱の結界》LV7+《氷盾》LV5
GM:後乗せなければダメージどうぞ
純恋・バレンタイン:Sロイスのダメージバーストくらいか
石黒せいら:所長のロイスならオレンジにすれば
石黒せいら:ダメージバーストより飛ばせるかも
織世明日姫:つよ
籠羽ゆりは:おお!
純恋・バレンタイン:なるほど
純恋・バレンタイン:所長は仇敵ライバルだから
純恋・バレンタイン:ORにしてやれば
GM:何だと~~~ッ
純恋・バレンタイン:その対象にのみだったら+10Dだ
純恋・バレンタイン:ロイス対象にのみのOR効果を使います
GM:許可します!
純恋・バレンタイン:3d10+28+5+10D10
DoubleCross : (3D10+28+5+10D10) → 20[5,7,8]+28+5+47[10,9,1,9,6,1,1,1,7,2] → 100
GM:でぇ~~っっ
石黒せいら:やば
籠羽ゆりは:パイセン……!!
織世明日姫:ジャイアン!!!
所長:C(100-25-14-18)
DoubleCross : c(100-25-14-18) → 43
所長:無理だ……HP0!
純恋・バレンタイン:ヤッター
籠羽ゆりは:勝った!!
所長:復活エフェクトはありません
石黒せいら:おお……!
織世明日姫:うおおおおおおおお!!!!!!
GM:戦闘終了です。
石黒せいら:ヤッタ~
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を5増加(130 → 135)
GM:バックトラックを行います
GM:まずはEロイスを……そんなのあったかな……
Big Blast Sonic 鼠
《ありえざる存在》
《覚醒する世界》
石黒せいら:www
石黒せいら:お前!?
純恋・バレンタイン:ww
籠羽ゆりは:Big Blast Sonic 鼠!!??
織世明日姫:おまえが持ってんのかよ!?!?!?
純恋・バレンタイン:あり得ざる存在だけども!
石黒せいら:《ありえざる存在》やなあ……
籠羽ゆりは:ありがとう……Big Blast Sonic 鼠……
織世明日姫:ありがとう、Big Blast Sonic 鼠……!
GM:振りたい方はどうぞ。
織世明日姫:振ります!!!
石黒せいら:振らないやつはアホ!
籠羽ゆりは:122-2d10
DoubleCross : (122-2D10) → 122-4[1,3] → 118
純恋・バレンタイン:振るに決まっている
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を2D10(→ 5)減少(114 → 109)
織世明日姫:織世明日姫の侵蝕率を2D10(→ 11)減少(130 → 119)
石黒せいら:残りロイス2 2倍振りします。
籠羽ゆりは:118-4d10 倍振り
DoubleCross : (118-4D10) → 118-30[10,8,10,2] → 88
籠羽ゆりは:3点!
石黒せいら:石黒せいらの侵蝕率を4D10(→ 27)減少(109 → 82)
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を2D10(→ 12)減少(135 → 123)
石黒せいら:帰還 3点です
織世明日姫:希望が見えてきた! 倍振り!
純恋・バレンタイン:2倍ぶりします
織世明日姫:織世明日姫の侵蝕率を2D(→ 7)減少(119 → 112)
石黒せいら:やばくない?
織世明日姫:…………
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を4D10(→ 23)減少(123 → 100)
GM:明日姫…………?
籠羽ゆりは:えっ……
織世明日姫:いや 少ないわ
純恋・バレンタイン:追加振り
織世明日姫:もう2個あります!!!
GM:そうだよね
織世明日姫:織世明日姫の侵蝕率を2D(→ 11)減少(112 → 101)
織世明日姫:はあはあはあはあ
石黒せいら:よかった
織世明日姫:心臓止まるかと思った
籠羽ゆりは:生きた……
純恋・バレンタイン:純恋・バレンタインの侵蝕率を2D10(→ 14)減少(100 → 86)
織世明日姫:追加振りです!!
織世明日姫:織世明日姫の侵蝕率を2D(→ 13)減少(101 → 88)
純恋・バレンタイン:3倍で振って帰還しました
石黒せいら:ギリギリの戦いだった……
織世明日姫:ひ~~~ん 生きて帰って来れた
GM:では全員帰還!おめでとうございます
籠羽ゆりは:やった~~~~!
純恋・バレンタイン:ネズミが無かったら丁度100で死んでいた
石黒せいら:ネズミに感謝しなきゃじゃん
純恋・バレンタイン:あぶなかった ありがとうネズミ
純恋・バレンタイン:ヤダー
純恋・バレンタイン:ネズミのEロイス振ならくてよければ振らないよ
GM:では演出!
織世明日姫:「…………」
織世明日姫:手足を貫かれ、立っているのもやっと。辛うじて、首を捻って喉を守っただけの満身創痍。
織世明日姫:(強い…‥強すぎるよ) 攻撃は可能。だが、心は折れかけて。
日下部緑:「……き……」
日下部緑:「──明日姫ちゃん!」
織世明日姫:緩慢な動作で首が動く。視線の先に、少女がいる。
日下部緑:吹き荒れる冷気の中、満身創痍の身体を引きずるように、明日姫へと近付く。
織世明日姫:「む……無理、しないで」
日下部緑:皮膚は裂け、肉は固まり、噴き出す血飛沫すら凍り付いていく。
織世明日姫:「そんなの……死んじゃう、よ」
日下部緑:この状況で、緑の能力で出来ることは何も無かった。
日下部緑:それでも、だからこそ、そうしなければならないと思った。
日下部緑:何とか明日姫のもとまで辿り着き、指と指とを絡ませるように、その手を強く握る。
織世明日姫:「緑、ちゃん……」
日下部緑:凍り付いて二度と離せなくなるかもしれない。それでもいいと思った。
日下部緑:「明日姫ちゃん……」
日下部緑:睫毛まで白く霜の降りた顔に、笑みを浮かべる。
日下部緑:「私、信じてるよ」
日下部緑:「約束……」
織世明日姫:「っ………‥」
日下部緑:「明日姫ちゃんなら、出来るよ。絶対」
日下部緑:掌を手繰り寄せる。凍て付く冷気の中で、その胸の鼓動と体温を確かに伝えるように。
日下部緑:「……がん、ばって……!」
織世明日姫:感じる。目の前の少女が生きている証。そこにいて、寄り添ってくれているということを。
織世明日姫:「……うん」
織世明日姫:「見ててね。あたしのこと」
織世明日姫:「聞いてて……あたしの、言葉」
日下部緑:「うん」
日下部緑:頷き、身を寄せ、傷付いた明日姫を支えるようにする。
日下部緑:「教えて……私に」
日下部緑:「明日姫ちゃんの、全部」
織世明日姫:目を細めて支えられながら。「……ねえ」 呼びかける。眼前の存在へ。
織世明日姫:織世明日姫の声には、力がある。物理的な破壊の力。精神を侵す魔性の力。その声を、無視することはできない。
織世明日姫:「あたしたちオーヴァードが、みんな罪人だって。……もし、本当にそうだとしても」
織世明日姫:「……あたしは、『声』がなかったら死んでたかもしれない」
織世明日姫:オーヴァードになる前。少女の声は、聴くに堪えない醜い声で。それを厭う家族から、口を開くことを許されず。
織世明日姫:結果、覚醒に伴い得た美声は。家族を破壊し。親友の拒絶を招き。害虫を呼び寄せ、やがて罪を背負うことになった。
織世明日姫:だが――それでも。
織世明日姫:「罪があったから、みんなと出会えたんだから」
織世明日姫:「間違ってても、あたしには必要だった。間違ってるかもしれないけど、大切だった」
織世明日姫:「だって。みんなと」 今一度、掌を強く握り。「……緑ちゃんと」
織世明日姫:すう、と胸が膨らむ。脳裏を過ぎるのは、せーらの助言。
織世明日姫:「――『好きな女の子と、出会えたんだからっっ』!!!」
織世明日姫:今度は、純粋に。莫大な音圧が衝撃波じみて放たれ、問答無用の破壊を押しつける。
織世明日姫:所長と看守長――および、彼女たちの周囲の床も、壁も、椅子も机も棚も、何もかも。
織世明日姫:爆音の壁が激突したかのような衝撃の渦で、吹き飛ばされる。
看守長:「が、ッあ……!!」
看守長:純粋な破壊力が全身を打ち据え、そして凄まじい音圧に意識が刈り取られる。
看守長:「……貴、様……」
看守長:がくんと脱力し、受け身も取れずに崩れ落ちる。
所長:「……ぐ…………!」
所長:氷の防壁で防ごうとして、大音響の前に無意味。反響した破壊力が全身を貫く。
所長:「何て……自己中心的な考えでしょうか……」
所長:「そんなことが……認められるとでも……」
織世明日姫:「…………だから。げほっ」 口元を拭う。引かれた赤い線に構わず。
織世明日姫:「出ていく、よ。緑ちゃんと……みんなと、一緒に!」
日下部緑:「すごい……すごいよ明日姫ちゃん!」
日下部緑:興奮した様子で、支えながら抱き着くようにして
日下部緑:「えへへっ……ありがとう!私も大好きだよ!」
織世明日姫:「……! 緑ちゃんっ……!」
日下部緑:全く屈託のない笑みで答える。
織世明日姫:「…………」
織世明日姫:(つ……伝わって、ない…………!?)
所長:「……あくまで抵抗、しますか……」
所長:「ここまでしても足りないとは、やはり痛みや言葉による教育程度では不十分」
所長:「全員纏めて、全身氷漬けにしてあげましょう……!」
所長:所長を中心に、膨大な冷気が吹き荒ぶ。
所長:先ほどまでと異なり、所長室の空間を丸ごと氷にと閉ざそうとするかのように、足元から急速にすべてが凍り付いていく。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「いけない……!」
織世明日姫:「っ……緑ちゃん!」 少女を庇うように抱きしめる。
籠羽ゆりは:「……っ、こいつ!」
日下部緑:「明日姫ちゃん……! っ、ぐ……」見る間に足元から氷が這い上がってくる。
純恋・バレンタイン:「ハハ!フフ!アッハハハ~ッ!」
純恋・バレンタイン:足元は凍り付いた。
純恋・バレンタイン:しかし、純恋の体からはむしろ湯気すら立ち上っていく。
純恋・バレンタイン:先ほど受けた傷口もじわじわと流血が収まり塞がっていく。
純恋・バレンタイン:「血華!」
純恋・バレンタイン:体温コントロールによって熱量をあげそれを運動エネルギーに変換代謝しているのだ。
石黒せいら:「世話の焼ける……」抱き合う2人を引き上げるようにして。
織世明日姫:「えっ……せーらさ、」
"ルイ":「こっちこっち!」2人にしか見えない影が手を振り、冷気の影響力の少ないところへと誘導する。
日下部緑:「えっ、なっ何これ……せいらさん!?」
石黒せいら:「明日姫ちゃんさあ……」
石黒せいら:「言えたじゃん。いーよそれで」その体が庇になり、冷気を阻害する。
織世明日姫:「っ……!」 その動きの意図を、たしかに受け取り。
石黒せいら:「伝言お願い。ゆりに」
石黒せいら:「任せ――」その体が完全に凍りつく。
日下部緑:「せいらさん……!」
織世明日姫:「……はいっ!」 緑の手を引き、ルイの導くままに駆ける。
織世明日姫:(――ゆりはちゃん!) 冷気吹き荒ぶ中。そこにいるだろう少女にだけ、届く声。
織世明日姫:(せーらさんから……『任せた』って!)
籠羽ゆりは:「…………っ」声は、確かに届いた。それが意味する状況も。
籠羽ゆりは:だが、震えが止まらない。凍てついた掌では、指を弾いてステッカーを増やすこともままらならず。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ゆりは」
籠羽ゆりは:「……エル、様?」氷結で千切れた唇で、応える。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:遠慮がちに寄り添うように、囚人服の裾を小さく引っ張る。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……この、状況で……こほっ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:肺まで凍り付いているのか、何度も震え咳き込みながら訥々と言葉を発する。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「所長まで攻撃を届かせるのは……難しいでしょう」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「しかし……この形振り構わない様子、相手も……く、こほっ……限界が近いはずです」
籠羽ゆりは:「……だいじょう、ぶ、私じゃ、ちょっと罅を入れられるかどうかだけど」
籠羽ゆりは:「あの人の"愛"なら、届きそうだと思うから」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「はい。純恋なら大丈夫……思い切り……やりなさい」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:低体温にぐらりとよろめき、
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「あなたなら出来ます。あなたの主を……信じなさい」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そうでしょう。……私の騎士……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:何とかそれだけ言って力尽きるように、くたりと崩れ落ちる。
籠羽ゆりは:「っ、あは☆私なんかが、期待されちゃって。はずいなぁ~」
籠羽ゆりは:眼下で倒れ伏す我が王には一瞥もせず。今、必要なのは、彼女を支えることじゃない。
籠羽ゆりは:皆が繋いだ希望を、最後の一人に託すこと。
籠羽ゆりは:凍結した指の肌を噛みちぎり、鮮血を変換。キラキラした虹色の流体をくるくると弄び。
籠羽ゆりは:生み出したのは。美しさも見栄えもない、簡素で頼りない虹の短剣。
籠羽ゆりは:されど。"お願い"と"助言"に賛美された刃は。まるで、世界を分かつ威光を宿しているようで。
籠羽ゆりは:「パーイセン」
籠羽ゆりは:「これで、借りは返したっすよ」
籠羽ゆりは:ほんの瞬き。小さな星が爆発したような、華やかな閃光が広がった。
純恋・バレンタイン:足元の氷が邪魔だった。
純恋・バレンタイン:ダメージは受けなかったが動きを制限されては自分の力を示す為に最適な行動ができない。
純恋・バレンタイン:(くそ…)
純恋・バレンタイン:その瞬間、ゆりはの声が耳に届いた。
純恋・バレンタイン:「ハハ、仕方ないな…いいさ。これでチャラにしておくよ。心の友」
純恋・バレンタイン:閃光と同時に足に力を入れる。
純恋・バレンタイン:足が動く。
純恋・バレンタイン:進める。
純恋・バレンタイン:求めるモノの場所へ。
純恋・バレンタイン:「ハ!ハハハハハ!」
純恋・バレンタイン:一気にジャンプする。
純恋・バレンタイン:「君は僕のモノだッ!」
所長:「ッ……!」
純恋・バレンタイン:武器を一気に突きつける。
所長:拒絶するように冷気が吹き荒れる。氷塊と暴風とが純恋を打ち据えるが、まるでその勢いを殺すことは出来ない。
純恋・バレンタイン:「うわあああああああああああッ!」
所長:「ッ、あぁああああああっ!!」
純恋・バレンタイン:だがそれだけでは不十分だ。
純恋・バレンタイン:自分を殺せる相手には全てを。
純恋・バレンタイン:捧げなければならない。
所長:純恋を貫き動きを止めようと、四方八方から氷が伸びる。
所長:「何、なの……」
純恋・バレンタイン:武器も。
純恋・バレンタイン:腕も。
所長:「何なんですか、あなたはッ!!」
純恋・バレンタイン:氷に掴まれる。
純恋・バレンタイン:それを手足が千切れるほどに無理やり引き抜いて。
純恋・バレンタイン:口を大きく開けて。
純恋・バレンタイン:「僕は純恋・バレンタインッ!」
純恋・バレンタイン:首筋に噛みつく。
所長:「う、あぁあッ……!?」
純恋・バレンタイン:「君を倒す者さ!」
純恋・バレンタイン:(甘くて冷たくて熱い)
純恋・バレンタイン:「賭けは…僕の勝ちだ…」
純恋・バレンタイン:「君は僕のモノ…絶対に手放さないよ」
純恋・バレンタイン:首から口を離し。
純恋・バレンタイン:血の滴る口で所長の口を塞いだ。
純恋・バレンタイン:相手の意識が途切れるまで。
所長:「…………!」
所長:ひどく表情を歪めて抵抗するが、凄まじい力の前に全く意味を為さない。
所長:「……最……低…………っ……!」
所長:忌々し気に呟き、がくりと意識を失う。
GM:そして、激戦と冷気の余波によって、その胸元の宝石にぴしりと罅が走り、砕け散る。
GM:それと同時、君達の視界が白く染まっていく。
GM:世界の表面が剥がれ落ち、崩れ落ちるかのように全てが歪み、白く塗り潰され──
---
GM:君達は薄闇の中で目を覚ます。
GM:ひんやりとした空気。棺のような狭い場所に押し込められているのか、手足を動かそうとするとすぐ壁に当たる。
GM:蓋を開き外に出ると、全身あちこちに点滴やカテーテルの管が装着されているのが分かる。見れば視界一面、ずらりと同様のカプセルのようなものが並んでいる。
囚人:「うぉっ……何これ!?」「ここどこ……?」
純恋・バレンタイン:「んあ?狭っま」
織世明日姫:「あだっ! ……ううぅ」 一度蓋にぶつけた額をさすりながら、身を起こす。
石黒せいら:「ん~~~~」這い出て、改めて大きく伸び。「こうなってたんだ」
籠羽ゆりは:「……うわ。知らない天井」だるそうに上体を起こす。
ヨセフィーナ・アールクヴィスト:「……? 何だ、これは……」
マルヤ・パロヤルヴィ:「お、女がいっぱいいる……!」
石黒せいら:「それは元からだろ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……お前達!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:息を切らして、素足のエルヴァリヤが走ってくる。
純恋・バレンタイン:「んんん~」体を伸ばす。
籠羽ゆりは:「せいら、皆……エル様も。よかった、これで脱獄できたんだね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「いえ、まだです」
籠羽ゆりは:「えっ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「大変なことになりました。極めてまずい状況です」
籠羽ゆりは:「まっ……まだ問題があるの!?」
石黒せいら:「何が?」
織世明日姫:「まずいって……?」
純恋・バレンタイン:「何かあったのかい?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「たった今探ってみた結果……この場所は全20階層、どのフロアもここと同じように囚人を収容しておくカプセルが安置されています」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「しかし、どうやらこの場所は……」
囚人:「ヒャッハァ~!どこなんだここは~!?」「とにかくぶっ壊して外に出ようぜえ!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「あっ……まずい!」
石黒せいら:「あ~……」
GM:短絡的な囚人が壁面を破壊すると同時、凄まじい暴風が君達を襲う。
籠羽ゆりは:「っ、うぉおお!?風やっば!」
純恋・バレンタイン:「無軌道犯罪者だもんねえ」
織世明日姫:「う、あっ……!?」
囚人:「ヒャァ~~ッ!?」
石黒せいら:「普通に難攻不落の立地ではあるんだ」
純恋・バレンタイン:「うっわ、何?」
織世明日姫:吹き飛ばされそうになってカプセルの縁を掴む。
囚人:壁に空いた穴に無軌道囚人たちが次々に吸い込まれていく。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ここは……単なる建造物ではありません!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:必死にカプセルに掴まりながら
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「地上数千メートルの……高空プラットフォームです!」
純恋・バレンタイン:「どういう事?」
石黒せいら:「え、やばくない?」
純恋・バレンタイン:「飛んでるの?」
籠羽ゆりは:「ええっ!?それ、どうやって降りればいいの!?」
織世明日姫:「ぜ、ぜんぜんイメージ湧かない……!」
GM:壁に空いた穴から、遥か下方に青いもの……海らしきものが霞んで見える。
織世明日姫:「……ていうか」 キョロキョロと見回す。「緑ちゃんは……?」
純恋・バレンタイン:「誰だい?こんな刑務所企画したのは!」
籠羽ゆりは:「確かに、一般人には見つかりにくそうだけどさぁ……!」
石黒せいら:「金かかってんな~……」
織世明日姫:「落っこちたり、飛ばされたりしちゃったら……」
GM:そうしている間にも、暴風がカプセルや囚人を次々と巻き込み、亀裂が広がるように穴は広がり……見る間にプラットフォーム自体が崩壊していく。
囚人:「ウワーーッツ!」「助けてーッ!」
織世明日姫:「すごいことになってる~~!?」
籠羽ゆりは:「……っ、このカプセル群を管理してる人とかいないの!?」
石黒せいら:「ちょ……逆に壁脆すぎるだろ!」
石黒せいら:「どういう設計してんの~!」
籠羽ゆりは:「パラシュートとか、点滴運搬用のエレベーターとか!」
GM:大量の瓦礫が空中に舞い飛び、更に崩壊は加速していく。
石黒せいら:「ゲート能力者とかいないの!?」
籠羽ゆりは:「あっても間に合わなそ~!!」
純恋・バレンタイン:「飛び降りて死なないの僕くらいか」
GM:そしてそれはすぐに君達の足元まで及び、轟音と共に足元が崩れ去る。
織世明日姫:「あわわわわ……!」
GM:君達は浮遊感と共に、空中へと投げ出される。
純恋・バレンタイン:「ウワー!?」
籠羽ゆりは:「っ、ちょ……うわあっ!!」
石黒せいら:「即死しなくても溺れ死……きゃあっ!?」
織世明日姫:「わああああぁぁぁあっ……!!」
純恋・バレンタイン:「心肺も強いからなあああああああッ!?」
GM:身を切るような風の音。重力に引かれ、上昇気流にあおられ、錐揉み状に揉みくちゃになって落下していく。
GM:見上げれば巨大なプラットフォームが急速に崩壊し、巨大な瓦礫が降り注ぐ。見下ろせば一面の海。
織世明日姫:「緑ちゃんっ……緑ちゃんは……!?」 落下しながらも探している。
GM:重力に引かれるままに落下していき、海面に叩きつけられる直前。
GM:君達を次々と、横合いから衝撃が襲う。
織世明日姫:「っ……!?」
純恋・バレンタイン:「にゃわー!?」
籠羽ゆりは:「ひゃああっ!?」
石黒せいら:「無理無理無理無理無理……今度は何!?」
GM:だが気付けば、先ほどまでの浮遊感と落下は止まり、その体はゆっくりと浮き上がっている。
日下部緑:「……はぁ……」
日下部緑:「ギリギリ間に合いましたね……!」
織世明日姫:「み」
織世明日姫:「緑ちゃんっ……!!」
日下部緑:君達を何とか掴み取ったその背には、青黒の巨大な翼が生えている。
純恋・バレンタイン:「デッカ…」
織世明日姫:「無事でよかっ……!?」
籠羽ゆりは:「……お?おおっ!」
日下部緑:風を切る音を遮るように、力強い羽搏きの音が耳に届く。
石黒せいら:「え!?なにそれ!?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「えっ……?」きょとんとしている
織世明日姫:「それ……どうしたの!?」
籠羽ゆりは:「翼、すっご……これが、緑ちゃんの"特別"?」
日下部緑:「どうしたのって……最初からだよ?」
日下部緑:「言ったでしょ……刑務所じゃ役に立たない能力だって」
純恋・バレンタイン:「役に立つと思うけど」
石黒せいら:「……それ、弱いじゃなくて……」
石黒せいら:「"拡げる場所がない"って意味だったんだ」
織世明日姫:「そっか……そっかな……? でも」
織世明日姫:「まっすぐで、力強くて……綺麗」
織世明日姫:「……緑ちゃんらしいね」
日下部緑:「えへへ……ありがと」嬉しそうに笑って
日下部緑:「で、でも……正直ギリギリだから、皆お互いしっかり掴まっといてね……!」
石黒せいら:「そういう事言わないでよ~!」
織世明日姫:「う、うん!」 がっしりと掴み合う。
純恋・バレンタイン:「おっけー」
籠羽ゆりは:「みっ……緑ちゃん、頑張れ☆頑張れ☆」
GM:落下してくる瓦礫から逃れ、弧を描いて旋回する。下方には海面に多くの囚人が漂っているのが見える。
ララ・コト:「あぁっ……推しが遠ざかっていく……」
シエン・ユーシー:「いいからさっさとゲート入れ!疲れんだよこれ!」
GM:瓦礫に交じって、ひらひらと紙のようが舞い散る。
GM:それは──純恋の情報にあった隠し財産だ。プラットフォームの崩壊に巻き込まれ、風に乗って海へと落ちていく。
石黒せいら:「あれお金じゃない!?全部吹っ飛んでんじゃん~!」
囚人:「ヒャハァ~ッ!金だァ~!」「あたしのモンだァ~!」バシャバシャ奪い合っている
純恋・バレンタイン:「えっ!」
純恋・バレンタイン:「うわあああああ!僕のお金がああ!」
純恋・バレンタイン:「開けるのにパスワードが必要だったはずなのにィ!」
籠羽ゆりは:「すげ~……人と金がゴミのようだなぁ☆」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ふぅ……」息を吐いて
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「これで本当に……脱獄ですね」
GM:視界に広がるのは、どこまでも続く海と空。
日下部緑:「……ところで……どうします?これから……」
織世明日姫:「逃亡生活……になるんだよね?」
石黒せいら:「ま、だとしても……」
石黒せいら:「これだけの人数が一緒に出ちゃったんでしょ?絞って追い切るのとは訳が違うから」
石黒せいら:「フツーのお尋ね者くらいなんじゃない?」
籠羽ゆりは:「フツーくらいの追手なら、"特別"でどうとでもなりそうだね」
籠羽ゆりは:「じゃあ……意外と大丈夫なのかな……」
純恋・バレンタイン:「取り敢えず、どっか休める場所にいかないか?」
籠羽ゆりは:「そっすね。どこか適当な島に……」見渡す。
籠羽ゆりは:「島……」
籠羽ゆりは:「ある?」
日下部緑:「な……無くない……?」
日下部緑:「はぁ……はぁ……」
日下部緑:「わ、私もう疲れてきたよ~……」
石黒せいら:「もうちょっと頑張って……!」
織世明日姫:「み、緑ちゃん! もうひとがんばり~!」
籠羽ゆりは:「いっ……いけいけ緑ちゃん!大翼キレてるよ~☆」
日下部緑:「も……もう無理~~……」へろへろと落下していく。
石黒せいら:「よし、落ちても無事なやつ落とそう!」
石黒せいら:「軽くしよ!」
織世明日姫:「そ、そっか! 純恋さん、お元気で!!」
純恋・バレンタイン:「ハァー?うっせ!」ガシっとせいらと明日姫の肩に手を回す
純恋・バレンタイン:「じゃあ君たちも一緒だぞ」
織世明日姫:「えええ! せーらさんだけにしてくださいよ!」
石黒せいら:「なんで!?」
籠羽ゆりは:「ちょっ!?せいらは置いてってよ!!」
織世明日姫:「あたしは最後だよ!? 緑ちゃんのこと好きだもん!!(?)」
純恋・バレンタイン:「知るか!」
石黒せいら:「明日姫ちゃん掴む手つきやらしくない?」
織世明日姫:「そっ、そそそそんなことないですけど!?!?」
籠羽ゆりは:「あらら☆どさくさに紛れて……やっぱ、シたがりなんだね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」さりげなくゆりはに掴まる。
織世明日姫:慌てて手を離してバランスを崩しかけ、「あわわわ」 がっしりと掴み直す。
籠羽ゆりは:死に間際の軽口を叩きながら、せいらとエル様の腰にそれぞれ腕を回して固定。
純恋・バレンタイン:「もうこいつらだけ落としても良いんじゃないのか?」
石黒せいら:「暴れんなし……!」ゆりはにしなだれかかるように首に手を回す。
織世明日姫:「た、たしかに! 3人セットならそのぶんお得かも!」
籠羽ゆりは:「はあっ!?そーいう薄情なのやめようよっ!合理主義者がよぉ~っ!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お、お前達……力を合わせて脱獄したというのに……友情というものはないのですか?」
純恋・バレンタイン:「愛と友情は別物じゃないか?」
日下部緑:「重い~~っ!」
GM:一羽の燕は春を作らず。ごく小さな、無力な意地から始まった計画は、やがて多くを動かし、遂には巨大な監獄を破り去った。
GM:君達を閉じ込める檻も、腕を縛る鎖も、足を留める錠も、行く手を阻むものは何も無い。
GM:君達は、どこまでも自由だった。
【ED/ソピステス合同更生院 雑居房201班員】
GM:……その後、君達は何とか浜辺まで辿り着き、小さな港町で少しばかりの休息を得た。
GM:ソピステスの崩壊は、レネゲイド絡みの案件ということもあり、今のところ大きく表立って報道や手配などはされていないようだ。だがUGNがどの程度動いているのかは分からない。
GM:それぞれの技能で安宿と軽食、シャワーと着替えにありついた君達は、今、古びたダイナーで朝食をとっている。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お前達、よく働いてくれましたね。勲章ものですよ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:カジュアルな古着に身を包み、少し上品な田舎の少女といった佇まいだ。
日下部緑:「本当に疲れましたよ……」
日下部緑:猫が目からビームを放って宇宙人と戦っているパーカー(これしかなかった)を着て机に突っ伏している。
織世明日姫:「お疲れさま……緑ちゃんのおかげだよ」
織世明日姫:適当に見繕った水色のワンピース姿で、ぐったりした少女を労わっている。
籠羽ゆりは:「エル様も、計画指揮お疲れ様。よーやく、皆のやりたいことができるね……」
籠羽ゆりは:無地の黒パーカーとブルー系デニム。見るからに陰キャ臭さが抜けてないファッション。
石黒せいら:「ここもいい街だけどさ」オーバーサイズのパンキッシュなTシャツに、ダメージジーンズ。
石黒せいら:「長居はできなさそう。近すぎるもんね」メイプルシロップのたっぷり掛かったベルギーワッフルを口に。
純恋・バレンタイン:「まったくだよ、緑には感謝の気持ちで一杯さ」どこで調達したのかブランドのスーツを着ている。
純恋・バレンタイン:パンケーキにシロップを浸しナイフで切り分けて食べる。
日下部緑:「どこにあったんですか?そんなの……」
石黒せいら:「つーか目立ちすぎでしょ」
石黒せいら:「離れて歩いてほしい」
織世明日姫:「そのわさわさ、いります?」
純恋・バレンタイン:「ちゃんとテーラーで”お話”して借りてきたんだよ」
籠羽ゆりは:「私はいいと思うっすよ!鼠も逃げ出すくらい威圧感があるっす!」
純恋・バレンタイン:「ハァ…何て言うか…」と皆を見て
純恋・バレンタイン:「地味」
石黒せいら:「逃亡犯の意味分かってないバカがなんか言ってる」
織世明日姫:「派手すぎに比べたら地味で全然いいですけど……」
純恋・バレンタイン:「エル様は王族なんだから良いモノ着ないとダメだよ?」
籠羽ゆりは:「パイセンが隣にいるから全部台無しっすけどね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「時と場合というものがあるのでは……」
純恋・バレンタイン:「別に地味でも良いから良いモノ着なよ~」
純恋・バレンタイン:「やっすい化繊のシャツとかさ~」
純恋・バレンタイン:「ダメだって」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「うぅん……そういうものでしょうか……?」
籠羽ゆりは:「あっ、純朴すぎて影響されかけてる……!」
日下部緑:「でも、こうやって外で食事してると……」大きなハンバーガーをぱくついて
日下部緑:「本当に外に出てきたんだな~って感じますね」
石黒せいら:「分かる、久々にこんなのびのび出来るよ~……」
純恋・バレンタイン:「そうだね~」
日下部緑:「あ、明日姫ちゃん一口食べる?」口をつけたハンバーガーを差し出す
石黒せいら:「ご飯だってずっと急かされてたもんね」
籠羽ゆりは:「やっぱ経験って、大事だね……もう二度とあんなトコ帰りたくない……」
織世明日姫:「首輪もないですしね――」 すっきりした喉をさすっていたが。
織世明日姫:「えっ!? い……」
織世明日姫:ごくり、喉が鳴る。「……いいの……!?」
日下部緑:「? いいけど……シェアしようよ」
日下部緑:「はい、あ~ん」
織世明日姫:「そ、そうだね……」 あっけらかんとした態度に落としかけた肩が。
織世明日姫:「っ……!!」 間髪入れず跳ねる。「あ……」
織世明日姫:「あ~ん……!」
日下部緑:「はい」何も気にしていない様子で、口の跡のついた箇所を食べさせて「美味しくない?こういうの久々だからかなぁ」
織世明日姫:もぐ、と控えめにかぶりつく。咀嚼しているが、味など頭に入ってこない。
織世明日姫:「そ、そうかも……? じ、じゃあ、あたしのも……」
織世明日姫:注文していたサンドイッチを手に。「あ……あ~ん……?」
日下部緑:「あーん……」そのままぱくりと口をつけて
日下部緑:「……うん! こっちも美味しいな~……コックさんの腕がいいのかな」
織世明日姫:「ね、ね~……」 緑のかじった跡の残るサンドイッチを、呆然と見ている。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:その様子を眺めていたが「……何だか」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「初めてかもしれません。こういうのは」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:ぽつりと言う。
石黒せいら:「そりゃそうでしょ。何度もあるもんじゃなくない?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そうではなくて」微笑を零してかぶりを振って
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「今まで……脱獄してもずっと一人で、追っ手を気にして……少しも気の休まる時はありませんでしたから」
純恋・バレンタイン:「家族とか友達との食事は落ち着かないと中々だもんね」」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「いつもすぐに捕まってしまいましたし……こうして外の世界でゆっくりするというのは、本当に幼いころ以来かもしれません」
籠羽ゆりは:「……ふふ。良かったね~エル様」
籠羽ゆりは:「そーゆう、気を抜いた笑い方してるとさ。ちゃんと、年相応の女の子みたいで可愛いよ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「かわ……」僅かに瞠目して、それからじっとりとゆりはを見る。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「王族に対してそれは……褒めているのですか?」
籠羽ゆりは:「うん?王族が可愛くなくちゃいけない理由、なくない?」
籠羽ゆりは:「エル様みたいな。賢さも可愛さも兼ね備えたお姫様、とっても素敵だと思うよ~☆」にへら、と微笑みかける。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……。……こほん」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:咳払いして、金髪の毛先を指でくるくると弄る。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「まあ……。臣下からの称揚として、謹んで受け取っておきましょう。光栄に思うように」
籠羽ゆりは:「ありがたき幸せにございます、エル様ぁ」なでなで。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……き、気安く……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:口ではミリ程度反抗しつつ、撫でられるままにしている。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……と……ところでお前達、今後はどうするつもりですか?」
籠羽ゆりは:「あ。あ~……」虚を突かれたように目を見開いて。
石黒せいら:「セルに戻るのもヤだしな~」
織世明日姫:「……あたしも、結局どうしようかな。元の家には帰っても意味ないし」
純恋・バレンタイン:「アイツらさァ」
純恋・バレンタイン:「脱獄した奴ら」
純恋・バレンタイン:「あの辺、何人か誘ってまた仕事でもしようかな」
籠羽ゆりは:「お。組織再復興すか?」
純恋・バレンタイン:「取り敢えずはね~」
純恋・バレンタイン:「金も要るしさ」
籠羽ゆりは:「そっすよねぇ。先立つものがなければ何とやらで……」
籠羽ゆりは:「私は、とにかく自分の街に戻りたいっすね」
純恋・バレンタイン:「配信は?」
籠羽ゆりは:「自宅は多分、差し押さえられてると思うっすけど」
籠羽ゆりは:「街の空き地や雑木林、至るところに現金とか海外口座の通帳とか埋めてるんで」
籠羽ゆりは:「一通り回収して、自宅に防音室を作って……それからっすね」
日下部緑:「よ、用意周到だね……」
籠羽ゆりは:「税金対策しないと、はちゃめちゃ持ってかれるからね……」
純恋・バレンタイン:「アカウントはBANされてんじゃない?」
籠羽ゆりは:「っすね~~……なんで、一からやり直しっす」がくんと、両腕突っ伏してうなだれる。
石黒せいら:「別に1からでもゆりならどうとでもなるでしょ」
石黒せいら:「てかゆりはさ……あっちのラインはないの?」
純恋・バレンタイン:「アハハハ、いいじゃん」
籠羽ゆりは:「ライン?」
石黒せいら:「依頼主の」
籠羽ゆりは:「あー……"モンドシュピゲル"」
籠羽ゆりは:「依頼のやり取りと報酬の先払いが完了した瞬間に音信不通になっちゃってさー」
籠羽ゆりは:「今思うと。私の熱狂的重課金リスナーじゃなくて、私にあの最悪監獄を潰させるために」
籠羽ゆりは:「情報提供した誰かなんじゃないかと思うんだよね~~」
籠羽ゆりは:籠羽ゆりはの秘密を全公開してもよいですか?
GM:許可します。
石黒せいら:「そうだね、きっと……」(……"セリョーギナ"あたりのためなんだろうね)
GM:
籠羽ゆりはの『秘密』
"恋文にてん"は――本人の知る由もないが――ゼノスの外部協力者である。
籠羽ゆりはの人格を喰らって生誕した電子人格型RB"恋文にてん"は、ネット上で暴虐の限りを尽くして退屈を覚えていた。
そんなある日、メンバーシップ加入者の一人"モンドシュピゲル"との個人DMで世界の真実を知らされる。
退屈を埋めるために自首して刑務所に収監されたのは"モンドシュピゲル"の提案。
その際、報酬(投げ銭)および支援物資の対価として指令を与えられ、"恋文にてん"は深く考えもせずに承諾した。
"モンドシュピゲル"、もとい"プランナー"都築京香からの指令はたった一つである。
「ソピステス合同更生院に収容され、然る後に脱獄せよ」
籠羽ゆりは:「つーわけで、街に戻るまではひもじい生活になりそう」
籠羽ゆりは:「……ごめん、せいら。それまで我慢しててね」
石黒せいら:「なんで謝んの。せーらの望みちゃんと聞いてなかった?」
籠羽ゆりは:「ふぇ?」
石黒せいら:「ゆりが一緒に居てくれること」
石黒せいら:「言ったじゃん~……」
籠羽ゆりは:「……あっは☆」
籠羽ゆりは:「そーそー、これからはずっと一緒にいられるね~」面映ゆそうに笑って。
織世明日姫:「…………」 しばらく黙考していた。
織世明日姫:「……緑ちゃんは?」
織世明日姫:「やっぱり、お家に帰るんだよね?」
日下部緑:「いやぁ……私もうちは無理じゃないかな。捕まっちゃうよー」
日下部緑:「でも、とりあえず……例のクラスメイトにはまず会いたいかな。その後どうなったのかちゃんと確かめないと……」
日下部緑:「その後は、出来る仕事を探して……住める場所も探さないとだね」
日下部緑:「でも二人暮らしってなると、結構広くないとダメかなぁ……? どう思う?」
織世明日姫:「あ~、そうだね。あたしが住んでた部屋もわりと……」
織世明日姫:「……‥‥」
織世明日姫:「へっ?」
日下部緑:「うん?」目を瞬く。
織世明日姫:「ふ、ふたりぐらし……って」
織世明日姫:「緑ちゃんと?」
日下部緑:「? うん……」
日下部緑:「明日姫ちゃんと」
織世明日姫:「………‥」 宇宙猫みたいになってる。
日下部緑:「あ、あれっ?」口に手をやって
日下部緑:「ご、ゴメン! 私てっきりそういう意味かと……!」
日下部緑:「早とちりだった!?うわっ、は、ハズいな~~!ご、ごめんね!?」
織世明日姫:「あっ! 違っ……そ、そうじゃなくてね!?」
織世明日姫:「あ、あたしも……緑ちゃんと、一緒にいたいなって、思って!」
織世明日姫:「帰るところはないから、じゃあ行きたいところは……居たいところは、って考えて。でも」
織世明日姫:「……同じこと、思ってくれてたんだ」
日下部緑:「だって……言ったでしょ?」笑い掛けるようにして
日下部緑:「私は明日姫ちゃんをずっと見てるし……」
日下部緑:「明日姫ちゃんは私のこと、ずっと見ててくれるんでしょ?」
日下部緑:「じゃあ、一緒にいないと! でしょ?」
織世明日姫:「っ……!」 じわり、と浮かんだ涙を隠すように、傍らの少女に抱きつく。
織世明日姫:「うん! いるよっ……!」
織世明日姫:「大好きな緑ちゃんと、一緒に!」
日下部緑:「あはは……もう、明日姫ちゃんったら大げさだよ~」
日下部緑:笑いながらも、しかし嬉しそうにそれをしっかりと受け止める。
石黒せいら:「……なーんか、思ったより心配ないのかも」
籠羽ゆりは:「だね。初々しすぎて、なんだかまぶしいなぁ……」
純恋・バレンタイン:「何とかなっていくんじゃない?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そういうことなら……」ナフキンで口元を拭いて
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ここで解散という形になるでしょうか」
籠羽ゆりは:「……あっ。そうじゃん」
籠羽ゆりは:「エル様は?当面のアテとかはあったりするの……?」
純恋・バレンタイン:「あー…確かに」
石黒せいら:「国に戻るの?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「当てというほどのものはありませんが……そうですね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「当面は祖国に帰るための資金作り、地盤固め……そういったところから始める形になるでしょうか」
織世明日姫:「エルさまなら、なんとかなりそう。頭いいもんね」
純恋・バレンタイン:「ふぅ~ん」
籠羽ゆりは:「資金作り……」
日下部緑:「え~……でも、頭いいって言っても……身分証もない子供でしょ?」
籠羽ゆりは:「そのうら若きお歳で?」
日下部緑:「バイトも出来ないんじゃ……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ええと……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そ……そうなのですか…………?」
石黒せいら:「え?プランあるわけじゃないの?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:子供の頃から王室と監獄で育った為、外の世界の常識が無い。
籠羽ゆりは:「あー……えっとね。せいら」
籠羽ゆりは:「エル様、かなりの世間知らず。ババ抜きも七並べも知らないほどの箱入り娘」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「なっ……せ……世間知らずなどではありません!!」
石黒せいら:「相当だな……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ただまだ下々の暮らしのことをあまり知らないだけです!!」
織世明日姫:「めちゃめちゃ『お姫さま』なんだ……!」
石黒せいら:「その下々ってやつ日本にいるうちはやめなね」
純恋・バレンタイン:「じゃあ住むところから生活の勉強も要るわけだ」
籠羽ゆりは:「うーん。そしたらさ」
石黒せいら:「いやそういう"売り方"でいけるか……?」
籠羽ゆりは:「エル様。私達と一緒に来ない?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……?」
石黒せいら:「は?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「一緒に、というのは……?」
籠羽ゆりは:「言ったでしょ?私の街にVtuber埋蔵金が眠ってるって」
籠羽ゆりは:「その一部を持ってけば、祖国に帰るまでの費用は捻出できると思うからさ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……。 ……い、いえ……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ゆりは。お前の忠義は大変ありがたいですが、しかし……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」ちらりとせいらを見る。
籠羽ゆりは:「せいら。ちょっとだけ我慢させちゃうことになるけど……いいよね?」
籠羽ゆりは:「なんか、エル様に負い目っぽいの感じてるみたいだし」
石黒せいら:「ゆり。それは……」
石黒せいら:「ゆりがエルちゃんと仲良くしてるからエルちゃんを撃ったんだけど……」
日下部緑:「!?」
純恋・バレンタイン:「は?」
籠羽ゆりは:「…………」
織世明日姫:「へっ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」思い出したのか、少し蒼白くなって俯いている。
純恋・バレンタイン:「え?大丈夫かい?」
純恋・バレンタイン:「痛みとかは」
籠羽ゆりは:「どういう、こと?」
織世明日姫:「せ、せーらさん、それ……」
石黒せいら:「どういうって、そのままだけど……」
織世明日姫:「な、なにかの例えてきな……じゃ、ない?」
日下部緑:「えっ……え……?」
石黒せいら:「例えではなく。拳銃で……」
日下部緑:理解の範疇を越えて噛みつく勢いに達せていない。
純恋・バレンタイン:「独占欲つっよ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ま……待ってください」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「い、いいのです。せいらを責めないでください」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「もう終わった話ですから……」
石黒せいら:「よくはないけど……とにかくさ」
純恋・バレンタイン:「え~?良いのかい」
石黒せいら:「せーらはそうしちゃうやつなんだから」
籠羽ゆりは:「…………」
石黒せいら:「負い目だとか……そういうんじゃなくって。何と言うか……」
石黒せいら:「……またやらない保証、自分で出来ないから」
石黒せいら:「無理だと思う」
籠羽ゆりは:「……そっか」
籠羽ゆりは:「せいらがダメだって言うんなら、しょーがないね」
石黒せいら:「……せーらが出ようか?」
純恋・バレンタイン:「家くらいなら僕は用意しても良いぜ?」
籠羽ゆりは:「ううん。私がエル様におべっかしちゃってたから、怒っちゃったんだもんね」
籠羽ゆりは:「いーよ。エル様が許すっていうのなら、私はもう何も言わない」
籠羽ゆりは:「でも。もし、また撃ちたくなっちゃう衝動が抑えきれなくなったら」
籠羽ゆりは:自分の胸に手を当てて。
籠羽ゆりは:「私にしてね」
石黒せいら:「……」
石黒せいら:「そうだよね、そう……」
石黒せいら:「本当は、ゆりがそうしたんだから、ゆりに向けるべきなのに」
石黒せいら:「せーら、そうしなかった」
石黒せいら:「ゆりに嫌われたくないから……」
籠羽ゆりは:目を細めて。奥底にある嫉妬心を見透かすかのように、せいらの瞳をのぞき込んで。
籠羽ゆりは:「……うれしいな。私」
籠羽ゆりは:「ずっと、せいらに嫌われたくなくて。不安で不安で、たまらなかったのに」
籠羽ゆりは:「今は、せいらがそうなんだね」
石黒せいら:「……だって」
石黒せいら:「好きなんだもん……」
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:きゅ、と。怯える様に呟く彼女の身体を抱きしめて。
籠羽ゆりは:「うん。私も、せいらのことが大好き」
籠羽ゆりは:「ずーっと、ずーっと一緒」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:その光景から目を背けるように、グラスの中で溶け行く氷をひとり静かに見つめる。
籠羽ゆりは:「……そういうわけだから、さ」振り向き、エル様の方へ。
籠羽ゆりは:「ごめんね、エル様。せいらが寂しがりやで、我儘っこだから、一緒に連れてけなさそう」
籠羽ゆりは:「でも。吐いた唾は飲み込まない。お金はちゃんと渡すから」
籠羽ゆりは:「……パイセン。エル様のこと、頼めるっすか?」
純恋・バレンタイン:「いいよ」
純恋・バレンタイン:「安全と衣食住はちゃんと」
純恋・バレンタイン:「なにしろ脱獄の恩人だからね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……いえ。お金のことなら必要ありません、ゆりは」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「それはお前が、自分とせいらの為に使ってください」
籠羽ゆりは:「……そ、っか」目を伏せて。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:次ぐ言葉を制するように、小さな身を乗り出し、ゆりはの鼻先に人差し指で触れる。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「主の心配など、従者がする必要はありません」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「純恋も、その気持ちだけ有難く受け取っておきます」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしなら大丈夫です。今までずっと、一人でやってきたのですから」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:そうして少しだけ寂しそうに笑って。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……それでは、そろそろ行きましょうか」
純恋・バレンタイン:「本当に大丈夫かい?」
純恋・バレンタイン:「ああ、まあそう決めたのならいいさ。困ったらいつでも僕を頼ってくれ」
日下部緑:「……私達のところに来てもいいんだよ?ね、明日姫ちゃん……?」
織世明日姫:「う、うん! もちろん!」
織世明日姫:「あたしたちには、特別なにかがあるわけじゃないけど…‥でも」
織世明日姫:「……ひとりよりは、絶対いいよ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……感謝します。その時には、是非」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:そう言って、どこか困ったような笑みを浮かべた。
GM:支払いを済ませてダイナーを出ると、既に陽は高く昇っていた。
GM:監獄では感じることの無かった、太陽の光。春先、既に暑いくらいの陽光が、潮風の匂いのする駐車場へと照り付ける。
日下部緑:「……あの!」
日下部緑:「……また、皆で会いましょうね。絶対!」
石黒せいら:「……うん。監獄以外で」
純恋・バレンタイン:「アハハ!あんまり会わない方が良いかもしれないけど!いつかきっとね」
籠羽ゆりは:「……もちろん。また、皆で食事しよーね」
織世明日姫:隣で頷く。「……会ってまた、狭い部屋でおでこつき合わせて、おしゃべりしよう!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ふ……どうでしょうね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「その時にはもう、お前達では軽々しく面会できない位になっているかも……」
織世明日姫:「その時は、無理やり押しかけちゃおうか」
織世明日姫:「だってあたしたち、最悪のカス犯罪者だもん」
籠羽ゆりは:「そんなの細かいこと、気にする必要ないよ。エル様」
日下部緑:「じゃあ、脱獄の逆だね……何ていうのかな……」
籠羽ゆりは:「約束はちゃんと、果たすからさ」
純恋・バレンタイン:「そうそう、僕たちは僕たちの好きにするからね」
純恋・バレンタイン:「止められはしないよ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ええ。そうでしたね」目を細めるようにして笑って
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「また会いましょう。必ず」
GM:そのようにして、君達は別れた。
GM:降り注ぐ真昼の陽光、鼻を擽る潮の匂いが、いつまでも脳裏に残っていた。
【ED/純恋・バレンタイン】
南米 プライベートビーチ
GM:UGNは各国にその捜査網を張り巡らせているが、それも世界の全てとはいかない。
GM:ここ南米は麻薬戦争により警察組織の弱体が著しく、またUGNもFH勢力に押され、捜査の手がほとんど及ばない無法地帯となっている。
GM:赤道付近の陽がじりじりと肌を焼くプライベートビーチ。遠くに霞むように聳えるビル群は、その殆どがギャングやカルテルの汚れた金によって建てられたものだ。
セリョーギナ:「あち~~」
セリョーギナ:水着でビーチチェアに寝転んでいる。
純恋・バレンタイン:「ハァ~…そりゃ熱いに決まってるよ」
純恋・バレンタイン:「赤道近くだもん」
純恋・バレンタイン:ゴールドの水着を着てゴロゴロしている。
ジギタリス:「ま……湿度が無い分日本の夏よりはマシでさあね」
ジギタリス:「バカンスには丁度いいですぜ」
マルヤ・パロヤルヴィ:「水着の女……」
純恋・バレンタイン:「しばらくはあっちの方には戻れないもんね~」
純恋・バレンタイン:「日本の夏って最悪だと思わない?」
純恋・バレンタイン:「南米より気温高くて湿度も高い」
ララ・コト:「そんな国でずっと配信活動してたなんて……流石にてんちゃん……」
ララ・コト:「復活配信まだかなぁ……ちゃんとリマインダーもしてるよぉ……」
純恋・バレンタイン:「ララはあっちに残るかと思ってたんだけど」
純恋・バレンタイン:「推しの傍に居なくてもいいの」
ララ・コト:「ハァ……やれやれ」呆れたようにかぶりを振って
ララ・コト:「分かってないなぁ……推しとの距離は物理じゃなくて心の距離なんだよね」
ララ・コト:「いつだって私とにてんちゃんはモニター1枚隔てて繋がってるってわけ……」
ララ・コト:「それに、スパチャ代も稼がないといけないしね」
純恋・バレンタイン:「へぇ~」背後から絡みつくように近づいてララの胸越しにタブレットの画面を覗き込む。
純恋・バレンタイン:「それ、過去のにてんアカウントだろ?BANされてないワケ?」
ララ・コト:「チャンネル自体で問題起こしたわけじゃないからねぇ……Youtuberがファン食ったりして大炎上してもチャンネルがBANされるわけじゃないでしょ?」
純恋・バレンタイン:「なるほどなあ」
純恋・バレンタイン:ララの首筋の汗を指先で拭う。
ララ・コト:「ていうか……距離近くない?」
純恋・バレンタイン:「いいじゃないか。可愛い物を愛でるくらいしかすることがない」
純恋・バレンタイン:「だろ?マルヤ」
マルヤ・パロヤルヴィ:「いや……私は……」
純恋・バレンタイン:地元のマフィアを併合して一応の拠点づくりは終わっている。
マルヤ・パロヤルヴィ:「あまり不健全なのは良くないと思うが……」チラチラ見ながら
純恋・バレンタイン:「え゛~?」
純恋・バレンタイン:「見るくらいだったら触った方が良いと思わない?」
純恋・バレンタイン:「ほら、この腹筋とかさぁ」
純恋・バレンタイン:と砂浜をゴロゴロ転がっていく
マルヤ・パロヤルヴィ:(鍛えられた女……)
セリョーギナ:「元気だね~」でかい葉っぱのうちわで扇いでいる
純恋・バレンタイン:寝ているシエンにとびかかる。
純恋・バレンタイン:「ほら、コイツ!この腹筋触って見なよ」
シエン・ユーシー:「うぉっ……なんだテメェ!?離しやがれ!」
純恋・バレンタイン:「い~や~だ~」
シエン・ユーシー:「クソッこいつ……ビクともしねえ……!」
純恋・バレンタイン:「ほれほれ!胸は柔らかいんだぜ!」
ララ・コト:「ま~たやってるよ……」
ジギタリス:「で……純恋の姉御ォ」
ジギタリス:「いつまでもこうしてノンビリだけしちゃいられねえでしょう?」
ジギタリス:「今後どうするおつもりですかい」
純恋・バレンタイン:「今後ォ~?」
純恋・バレンタイン:「そうだね、ひとしきり拠点を作りつつ暴れていこうとは思う」
純恋・バレンタイン:「こっちが目立っておけば」
純恋・バレンタイン:「他の子が追われる可能性減るだろ?」
純恋・バレンタイン:「恩返しだよ恩返し」
純恋・バレンタイン:「君らもそう思うだろ?」
ララ・コト:「へえ~?いいじゃん、楽しそうで」
シエン・ユーシー:「暴れるねぇ……」頬杖を付いて「具体的にはどうすんだよ」
純恋・バレンタイン:「ここから少し離れた地域が今無政府状態に近い内戦になってるんだけど」
純恋・バレンタイン:「まあ、簡単に言えばギャングの抗争だからさ」
純恋・バレンタイン:「そこなら目立つ」
セリョーギナ:「え~、南米のギャングって相当やばいんじゃないの~?」
マルヤ・パロヤルヴィ:こくこく頷く
純恋・バレンタイン:「ヤバいよ~」
純恋・バレンタイン:「だから外部から干渉されにくいんだ」
純恋・バレンタイン:「そこで目立った後は一旦潜伏する」
純恋・バレンタイン:「表向きにはそこに居るって感じを装っておけば」
純恋・バレンタイン:「しばらくは追ってはかからないよ」
純恋・バレンタイン:「放って置けば勝手に死ぬから」
純恋・バレンタイン:「そこから名前変えるなりなんなりして逃げようって事」
ララ・コト:「そう上手くいく~?」
純恋・バレンタイン:「どうかな~」
純恋・バレンタイン:「でもさ、あんな無茶苦茶な刑務所から脱獄できたんだし」
純恋・バレンタイン:「これくらいはやっとかないと一生追われる立場だよ?」
純恋・バレンタイン:「死んだことにしておくのが一番さ」
シエン・ユーシー:「この辺のギャングは麻薬でたんまり儲けてるからな。昔は世界の長者番付に載った麻薬王も居たって話だ」
シエン・ユーシー:「そいつらを横からぶちのめせば……一生遊んで暮らせるかもな」
シエン・ユーシー:「中々うまそうな話だ。オレは乗ったぜ」
純恋・バレンタイン:「そうそう、金と新しい身分をゲットしようって話!」
純恋・バレンタイン:「いいね~、流石暴力担当は話が分かる~」
ララ・コト:「え~、そんなに?」スマホで検索して「うわぁ、マジじゃん」
純恋・バレンタイン:「どしたんだい?」
ララ・コト:「じゃああたしも。にてんちゃんに赤スパ投げまくらないといけないし……」
ララ・コト:「金だよ金!たっぷり稼げそう」
純恋・バレンタイン:「だろ?」
純恋・バレンタイン:カクテルをストローで吸う。
セリョーギナ:「お金かぁ……」
純恋・バレンタイン:「無いよりはある方が絶対良いって」
セリョーギナ:「それだけあれば……声優をメイドにして毎晩生声ASMRで寝つけるかなぁ……」
マルヤ・パロヤルヴィ:「何ッ!?」
マルヤ・パロヤルヴィ:「いつ出発する?私も同行する」
純恋・バレンタイン:「ぶふぁ!」カクテルを吹き出す。
純恋・バレンタイン:「いきなりやる気になるんだ」
マルヤ・パロヤルヴィ:「ギャングは民衆の暮らしを害する悪党どもだからな。我々の手で排除するのが人としてまさしく当然の行いと言えるだろう。これは決して金銭やそれによって得られる女性との接触の為ではないということにはくれぐれも留意してもらいたい。あくまでも社会的正義に基づいた正しい行いをしようという私の純粋な気持ちによるもので……」
純恋・バレンタイン:「正当化すご」
純恋・バレンタイン:「んじゃ、全員一致?」
シエン・ユーシー:「おう」
ララ・コト:「うん」
セリョーギナ:「異議な~し」
マルヤ・パロヤルヴィ:「ああ」
純恋・バレンタイン:「OK、じゃあ決まりだな」
純恋・バレンタイン:四人を抱えて海へ飛び込む。
純恋・バレンタイン:どっぱ~ん。
セリョーギナ:「うわ~~~!?」
シエン・ユーシー:「おまっ……何だよ!?」
マルヤ・パロヤルヴィ:「がぼがぼ……」
純恋・バレンタイン:「話が決まれば。せっかく海に来てんのに泳がないのは損だよ、何の為の水着なのさ」
ララ・コト:「分かるけど急すぎるっしょ!」
純恋・バレンタイン:「普通に言っても何だかんだ言って水に入らないだろ?」
ジギタリス:「オ~~イ!」
ジギタリス:「あたしも混ぜてくだせぇよ~~!」
純恋・バレンタイン:「いいよ!早く来な~」
ジギタリス:「ヒヒャァ~ッ!」水飛沫と共に飛び込む
純恋・バレンタイン:「うわ!水飛沫あげすぎ!」
セリョーギナ:「こういうノリ苦手~~~」
純恋・バレンタイン:「慣れだよ慣れ!」
純恋・バレンタイン:「やって見りゃ楽しいって」
純恋・バレンタイン:手に持ったビーチバレーを軽くぶつける。
セリョーギナ:「そういうもんかなぁ……」軽くトスする
ララ・コト:「うわ!足になんか触った!」
マルヤ・パロヤルヴィ:「何!?痴漢か!?」
シエン・ユーシー:「こんなとこに痴漢なんて……」
メキシコ巨大殺人オクトパス:「ギャギャ~~ッ!!」
純恋・バレンタイン:「プライベートビーチだぞ?」
純恋・バレンタイン:「…」
純恋・バレンタイン:「何?」
セリョーギナ:「あれは……メキシコ巨大殺人オクトパス!?」
ララ・コト:「メキシコ巨大殺人オクトパスじゃん!」
純恋・バレンタイン:「その固有名詞を知ってんの?」
シエン・ユーシー:「本物初めて見たぜ!」
マルヤ・パロヤルヴィ:「まさかメキシコ巨大殺人オクトパスとはな……」
純恋・バレンタイン:「嘘でしょ。みんな知ってる?」
純恋・バレンタイン:「ジギタリス…君だけは僕の味方だよね?」
ジギタリス:「やばいですぜ!メキシコ巨大殺人オクトパスはメキシコ近海に出没する巨大なタコで簡単に人間を絞め殺しやすぜ!」
純恋・バレンタイン:「そんな~」
メキシコ巨大殺人オクトパス:「メキャァ~~ッ!」
ララ・コト:「うわ~っ!エッチな感じで触手に絡まれるーッ!」
セリョーギナ:「助けて~~」
純恋・バレンタイン:「この!二人を離せ!」メキシコ巨大殺人オクトパスに向かっていく。
マルヤ・パロヤルヴィ:「むっ……まずい!」
シエン・ユーシー:「乗るな純恋!戻れ!」
純恋・バレンタイン:「たこ焼きにしてやるぞ!」
メキシコ巨大殺人オクトパス:「キョダサツ~~ッッ!」
純恋・バレンタイン:渾身のパンチ!
メキシコ巨大殺人オクトパス:メキシコ巨大殺人オクトパスの巨大な殺人触手が見る間に純恋を絡め取り──
メキシコ巨大殺人オクトパス:「メヒコーーッ!!」
純恋・バレンタイン:「ウワー!?」
メキシコ巨大殺人オクトパス:凄まじい膂力で空中へと放り投げる!
セリョーギナ:「ああ~~っ!!」
ララ・コト:「死んだ!?」
純恋・バレンタイン:青い海の上。
純恋・バレンタイン:南米の太陽が近い。
純恋・バレンタイン:このバカ騒ぎがいつまで続くかは僕の知った事ではない。
純恋・バレンタイン:目立てば、彼女は追ってきてくれるだろうか。
純恋・バレンタイン:あの監獄を破壊した後、責任者の彼女がどうなったかは知らない。
純恋・バレンタイン:だけど、あの屈辱を晴らしに来てくれれば嬉しい。
純恋・バレンタイン:籠羽ゆりはの事は気になっていた。
純恋・バレンタイン:僕の組織を壊すほどの女。
純恋・バレンタイン:中々楽しい後輩だった。
純恋・バレンタイン:織世明日姫には悪い事をした。
純恋・バレンタイン:だが、彼女は別の支えを得て立ち直った。
純恋・バレンタイン:石黒せいらとの喧嘩の日々は心地よかった。
純恋・バレンタイン:あれをずっと続けるのも悪くはなかった。
純恋・バレンタイン:でも、結局僕は彼女たちの一番にはなれない。
純恋・バレンタイン:ガサツでバカでその場の勢いで生きている僕には相応しいだろう。
純恋・バレンタイン:だから。
純恋・バレンタイン:せめて、彼女たちが幸福であってくれればいいし。
純恋・バレンタイン:僕は僕で楽しく生きてやるのだ。
純恋・バレンタイン:人生には刺激と興奮が必要だ。
純恋・バレンタイン:追ってくれないのなら、いつかこちらから押し掛けるのも悪くない。
純恋・バレンタイン:所長なのか元所長なのかわからないけど。
純恋・バレンタイン:楽しみにしておいてくれ。
純恋・バレンタイン:とりあえず、今死ななかったらだけどね。
純恋・バレンタイン:「うわああああああああ!?」
GM:赤道直下の陽射しの下、盛大な水飛沫が上がった。
【ED/織世明日姫】
GM:監獄内の伝手で新たな身分を手に入れた明日姫と緑の両名は、なんとか新居を構えるにこぎつけ、レンタカーでそこに向かうこととなった。
GM:今、君──織世明日姫は一人、車内で緑の帰りを待っている。緑の『やるべきこと』を果たすためだ。
GM:風の強い、肌寒い日。カーステレオからはラジオの音声が流れている。
織世明日姫:「…………」

織世明日姫:髪をさっぱりと切っている。心機一転のつもりと、ささやかな節約のため。
日下部緑:「ふーっ……わぷっ」
織世明日姫:「あっ。おつかれ、緑ちゃん」
日下部緑:強い風で髪を乱しながら、早足で車内に戻ってくる。

日下部緑:「うん、お待たせ明日姫ちゃん……」
織世明日姫:ペットボトル飲料を差し出す。「……どうだった?」
日下部緑:「ありがと。……うん」
日下部緑:キャップを開け、こくりと一口飲んで
日下部緑:「会えたよ。ちゃんと。それで……」
日下部緑:「結局あの後、大事になって……あの子、転校することになっちゃったんだって」
織世明日姫:「……うん」
日下部緑:「でも、教師の方もしっかり問題になって……処分もされたし、ネットでも炎上したみたいで……」
日下部緑:「それで、なんか……お礼言われちゃった。ありがとう、って」
織世明日姫:「うん……うん」 頷いて、ただ聞いている。
日下部緑:困ったのと照れくささが半々といった様子で笑う。
日下部緑:「どうなんだろう。良かったのかな……わかんないけど」
日下部緑:「でも、その子……元気そうにしてた」
日下部緑:「だから、まあ。……悪い気分じゃないかな」
織世明日姫:「……緑ちゃんの、がんばり」
織世明日姫:「『正しかった』って。あたし、思うよ」
織世明日姫:「よかったね、緑ちゃん」 身を乗り出して、頭に触れる。
日下部緑:「……うん……」
日下部緑:目を細め、身を寄せ、こつん、と額と額を触れ合わせる。
日下部緑:「明日姫ちゃんにそう言って貰えると……安心するな」
日下部緑:「ありがとね。一緒に来てくれて……」
織世明日姫:ドキドキと早鐘を打つ音が、伝わらないように祈りながらも。
織世明日姫:「だってあたしたち……一緒にいないと、でしょ?」
織世明日姫:「どこでだって、一緒にいさせてよ」 微笑む。
日下部緑:「ふふ……そうだね」
日下部緑:くすぐったそうにくすくす笑って、じっと間近からその瞳を見つめる。
日下部緑:「……」
織世明日姫:「っ……な、なに……?」
織世明日姫:(ば、バレた……!? あたしがいま、めちゃめちゃ平静を装っていること……!!)
日下部緑:「うん? いや」
日下部緑:「明日姫ちゃんの眼、綺麗だなって」
織世明日姫:「ぅえっ!? め、眼?」
日下部緑:更に覗き込むようにして「うん。普通に日本人だったっけ?明日姫ちゃんって」
織世明日姫:じわり、と汗が滲んでくる。「た、たぶん……親戚の、おじいちゃんとかまでは知らないけど……」
織世明日姫:「あ、あたし、あんまり家族と喋ってなかったから! あ、あはは……!」
日下部緑:「ふ~ん……あっ」
日下部緑:単なる興味だったのか、ぱっと身を離して
日下部緑:「もう行かなきゃね。ガソリンも安くないし、今日中に大家さんから鍵貰わないと」
織世明日姫:「そ、そうだね! 行こう行こう!」
織世明日姫:車が発進する。揺れる車内で、こっそりと溜め息をつく。
織世明日姫:(け……結局、また焦らされっぱなしだぁ……!)
GM:用意された新居は、元々二人が住んでいた地域よりも、随分と北の地域にあった。
GM:高速道路を乗り継ぎ新居に向かう途中、君達は新居で過ごすための家具の用意が無いことに気付き、急遽道中のショッピングモールで車を停めた。
日下部緑:「うーん……とりあえず何が必要だと思う?明日姫ちゃん……」
日下部緑:駐車場で固まった身体を解すように伸びをする。
織世明日姫:「お金もそんなにないし……最低限必要なものだけは揃えないとだね」
織世明日姫:「冷蔵庫とか、お布団とか……洗濯は、お金たまるまではコインランドリーでもいいかもだけど」
日下部緑:「ふむふむ……そういえば明日姫ちゃんはちゃんと自立して暮らしてたんだもんね」
日下部緑:「私、実は親元から離れるのって初めてで……」恥ずかしそうに言う
織世明日姫:「自立……って言っていいのかはわかんないけど」
織世明日姫:「一緒に選んでこうよ……! あ、あたしたちの家、なんだから」
織世明日姫:後半は上擦りつつも、なんとか言い切って、笑む。
日下部緑:「そうだね!二人で使うんだもんね」
日下部緑:そんな会話をしつつ、モール内の家具店に足を運ぶ。
日下部緑:「えっと……衣食住……は……関係ないか。住だけだもんね」
日下部緑:「となると……絶対必要なのは……」
日下部緑:「やっぱりベッドかな?」
織世明日姫:「そうだね。ソファとベッドが一緒になってるやつもあったりするけど……」
織世明日姫:「やっぱりちゃんとしてるやつじゃないと、身体痛くなっちゃったりしそう」
日下部緑:「でも、ちゃんとしたベッドは……うわっ」値段を見て
日下部緑:「こんなにするんだ……」
織世明日姫:「そ……そうだね」
織世明日姫:以前に住んでいた際は、金の制限は存在しなかった。だから、金銭感覚はやや疎い部分もあり。
織世明日姫:「ふたりぶんで、お手頃なのだと……うーん。これくらいになっちゃうかぁ」
日下部緑:「値段を考えると、敷布団のほうがいいかな?これと毛布を2つずつだから~……」
日下部緑:「あっ!」
織世明日姫:「どうしたの?」
日下部緑:名案が浮かんだというように手を合わせ
日下部緑:「一緒に寝れば一つ分で済むよ!」
織世明日姫:「!?!?」
織世明日姫:「そっ……それは、たしかに……だけど」
日下部緑:「名案じゃない?ちょっと狭いかもだけど、贅沢言ってられないし……」
織世明日姫:「緑ちゃんは……い、イヤじゃない?」
織世明日姫:「あたしと一緒に、寝る……の」
日下部緑:「え? 私は全然……あっ」気付いたように
日下部緑:「ごめん、明日姫ちゃん気になるタイプか。そうだよね」
織世明日姫:「ち、違っ!」
織世明日姫:「ぜ、全然大丈夫だよ!? せ、せつやく……しなきゃだしね!」
日下部緑:「あれ、そう?よかった~」
織世明日姫:すう、はあ、と深い呼吸で落ち着ける。「……ちょっと大きめの、一個。でいこう……!」
日下部緑:「まだ北の方は結構寒いみたいだし、くっついて寝ればあったかいもんね」
織世明日姫:「んぎっ」
織世明日姫:「……ソウダネ。暖房、節約ニモ、ナルネ……」
日下部緑:「うん!」にこにこしながら格安の布団をカートに乗せて
日下部緑:「他は~……うーん?何だろう?」
織世明日姫:「……あとは、くつろぐ時とか……カーペットだったりクッションだったり」
織世明日姫:「キッチンまわりだと冷蔵庫とか、調理器具……食器とか?」
日下部緑:「成程……カーペットとクッションは……すぐじゃなくてもいいかな? キッチンかぁ~」
日下部緑:「冷蔵庫も結構高そうだよね……でも調理器具は無いと困るよね」
織世明日姫:「冷蔵庫は新品じゃなくて、リサイクルショップとか見てみてもいいかもね」
織世明日姫:「ベッドは中古はちょっと、だけど。お料理用品も……」
織世明日姫:獄内での一幕を思い出し。「……料理は、あたしがやればいい、かな……?」
日下部緑:「そっか。そういうのもあるか~」
日下部緑:「明日姫ちゃん、お料理上手だもんね!」
日下部緑:「毎日明日姫ちゃんの料理が食べられたら幸せだろうなぁ」
織世明日姫:「そっ」
織世明日姫:噴き出しかけたところを、ぐっと堪える。(……そう何度も、やられてたまるかっ!)
織世明日姫:「……言ったでしょ? あたし」
織世明日姫:「食べてくれるひとのために作るの、しあわせだったって」
織世明日姫:じっと、緑の瞳を見つめて。「これから毎日……緑ちゃんのために、作るよ」
織世明日姫:(……どうだっ!)
日下部緑:「本当!?」
日下部緑:その手を取ってぎゅっと握って。
織世明日姫:「ひゃっ」
日下部緑:「嬉しい~~……! 明日姫ちゃんの料理が食べられるなら、他の家事当番全部私がやってもいいよ!」
日下部緑:「うーん……でもそれはそれで大変かな? 私が料理してもいいけど……自信無いなぁ」
織世明日姫:「あっ、そっ……じ、じゃあ」
織世明日姫:「あたしが、教えてあげるね……? いまは、ほら」
織世明日姫:「プラスチックの、危なくない包丁とかも売ってるし……!」
織世明日姫:握られた手にじわりと浮かぶ汗を、どうか鎮まれと穏やかでない心中のまま。
日下部緑:「いいの? えへへ……じゃあ頑張ってみようかな……」
日下部緑:「せっかくなら、明日姫ちゃんにも私の料理、食べてほしいもんね」
織世明日姫:「ぅうう~っ……!」 がく、と膝をつきかける。
日下部緑:「あ、明日姫ちゃん……!?」
日下部緑:「どうしたの!?大丈夫!?」
織世明日姫:「だ、大丈夫……! ちょっと、気持ちがいっぱいになっちゃっただけ……」
日下部緑:「気持ちが……!?」
織世明日姫:はあ、はあ、と本日何度目ともわからない乱れた息を整える。
日下部緑:「う~ん……熱……」額に触れて「は無いかな……いや……ちょっと熱い……?」
織世明日姫:「ぴっ」
織世明日姫:「ほ、ほんとに大したことないよ!? 気にしないで……!」
日下部緑:「そ……そう?無理しないでね……?」
織世明日姫:「へいき、へいき……!」 力こぶを作ってみせるが、どうにも頼りないままだった。
織世明日姫:(手強すぎるよ、緑ちゃん……!!)
GM:それから君達は他のこまごまとした必需品を買い揃え、何とか夕方前には新居に辿り着いた。
GM:春先にしては随分と冷たい風に吹かれ、レンタカーを降りる。知らない土地の匂いがした。
GM:そこはやや古びたアパートの一室。二人で住むには少し手狭な、だが暮らしていくには十分な部屋。まだ何も物が無く、がらんとしている。
日下部緑:「おぉ~……」
織世明日姫:「なにもないね……」
日下部緑:「結構広……くはないか。でも思ってたより全然悪くないね!」
日下部緑:両手いっぱいに抱えた荷物を、殺風景な床に下ろす。
織世明日姫:「……うん。これから、ここに暮らすんだ」
織世明日姫:「どうしよっか。ちょっと休む?」
日下部緑:「そうだね。明日姫ちゃんも疲れた? 私は疲れたよ~」
織世明日姫:「あはは。あたしも疲れた……」
織世明日姫:身体だけでなく、精神的にも。何もない床にぺたんと腰を下ろす。
日下部緑:ガサガサとビニール袋を漁って、2リットルのペットボトルと、今しがた買ったばかりの二人分のマグカップを取り出す。
日下部緑:テーブルも無いので床に直に置いて、とくとくと危なっかしくジュースを注いで。
日下部緑:「乾杯しよっか。えーと……何にがいいかな」
織世明日姫:「うーん……あたしたちの、新たな門出に……とか?」
日下部緑:「あはは! いいね。私たちの新たな門出に乾杯!」
織世明日姫:「かんぱいっ!」 コツン、と小気味よい音を鳴らす。
日下部緑:こくこくとジュースを飲んで、息を吐く。窓の外で橙に染まった陽が傾いていた。
日下部緑:「……なんか……ドキドキするね」
織世明日姫:ごくん、と甘い潤いを嚥下して。「……ドキドキ?」
日下部緑:「うん。本当に新しい生活が始まったんだな、って思って……」
日下部緑:「しかも、一人じゃないなんて」
織世明日姫:「……そうだね」
織世明日姫:「ひとりだったら、ドキドキじゃなくて……ハラハラとか。怖い方が大きかったかも」
織世明日姫:「でもいまは。ドキドキ……あたしもしてるし」
織世明日姫:「ワクワクも、してるかな」
日下部緑:「そうだね。……ふふっ!」
日下部緑:すぐ隣で気持ちが一緒に通じ合ったことを嬉しそうに笑う。
日下部緑:「刑務所じゃ、そんなこと考える暇も無かったもんね」
織世明日姫:「うん」 目を閉じて、少し前の日々を思い出す。「……すごいところだったなあ」
織世明日姫:「最初に入った時なんて、殴られるわ電流流されるわ……すごいひどいことも言われたし」
日下部緑:「本当だよね。でも今になってみればいい思い出……」
日下部緑:「……でもないか……うん……」
織世明日姫:「あ、あはは……」
日下部緑:「……でも、そう。私も、全部滅茶苦茶で、こんなところ入れられて最悪って思ってたけど……」
日下部緑:「考えてみれば、あの日一緒にソピステスに入れられたから、今こうやって明日姫ちゃんと一緒にいられるんだよね」
織世明日姫:「うん……そうじゃなかったら、出会えてなかったかも」
日下部緑:「そう思ったら……すごく……何ていうかな」
日下部緑:「……運命?なんて言ったら、大げさかもだけどさ」
日下部緑:「嬉しいな……って。そう思う」
織世明日姫:「…………」 少しだけ、身体を動かす。
織世明日姫:半身分近づいて、肩と肩が触れ合うくらいに。「あたしも」
織世明日姫:「緑ちゃんに会えて……こんなふうに、過ごせて。すごく嬉しい」
織世明日姫:「運命……運命か」
織世明日姫:「そうだったらいいな……」 身を傾け、温度を分かち合う。
日下部緑:「……」
日下部緑:自分より少し小柄なその体の重さと温かさに、どこか新生活への高揚とは違った胸の高鳴りを感じて。
日下部緑:「……ん、うん……」
日下部緑:戸惑いと、不明瞭な呟きと共に頷く。
日下部緑:「あ……えっと……も、もう結構暗いね。そろそろ夕ご飯にする?」
織世明日姫:「……?」 小首を傾げつつも。「……うん、そうだね」
織世明日姫:「今日はどうしよう。疲れてるし……なにか買ってくるか、お外にするか」
日下部緑:「そうだね。この近くって何かお店あるのかな……」言いながら、ぱちんと電灯のスイッチを入れて。
日下部緑:部屋が明るくならない。
織世明日姫:「……あれっ」
日下部緑:「……あれ?」
日下部緑:ぱちん、ぱちん。
日下部緑:「えっ?」
織世明日姫:「電気……通ってない?」
日下部緑:「……」
日下部緑:電力会社に確認してみると、入居に際して手続きの抜けがあり、電気が使えるようになるのは早くとも明日以降とのことだった。
日下部緑:「ご……ごめん……」
日下部緑:「私こんなんで……」
織世明日姫:「…………」
織世明日姫:「……ふ、ふふ」
織世明日姫:「ご、ごめっ……ふふふっ」 堪えきれないように、笑いが溢れ。
織世明日姫:「な……なんか、あたしたち」
織世明日姫:「締まらないね……! あははっ!」
日下部緑:「ふ……あはは……」
日下部緑:「……も~~!笑わないでよ~~!」自分も笑いながら肩を揺さぶる。
織世明日姫:「だって~! 緑ちゃんらしいっていうか……!」
日下部緑:「あ! その言い方ひどくない!? 傷付いた~!」
織世明日姫:「ごめん、ごめんって……!」
日下部緑:二人身を寄せ合うように、スマートフォンのライトを灯り替わりにして、地平線に消えていく夕日を眺める。部屋はもう随分と暗い。
日下部緑:「はぁ~あ…… とりあえず、どうする?今日……」
織世明日姫:「ん~……電気がないと、なんにもできないんだねえ」
織世明日姫:「今日はもう、このままお喋りしててもいいかな……」
織世明日姫:「ごはんも、まあ……お菓子はあるしね」
日下部緑:「新生活っていうか……お泊り会みたいだね」
織世明日姫:「ふふっ。じゃあ……そういう話もしちゃおっか」
織世明日姫:「緑ちゃんは、これからどうしたい?」
日下部緑:「うーん、そうだなぁ……」
日下部緑:まだ新品のテープがついたままの毛布を取り出して広げ、二人まとめて被る。
日下部緑:「まずはとりあえず、出来る仕事を探して……何とか暮らしていけるようにはしたいけど……」
日下部緑:「その後は……ええとね」
織世明日姫:「うん」 頷いて聞いている。
日下部緑:「……まだぼんやり考えてるだけだし、無茶かもしれないんだけど……」
日下部緑:「……私……いつかUGNに行ってみたいなって思って」
織世明日姫:「UGN……って」
織世明日姫:「あの監獄とか作ってたとこ、だっけ」
日下部緑:「うん」頷いて
日下部緑:「今私達手配中だし、顔なんて出したら即捕まっちゃうかもしれないし……」
日下部緑:「具体的にはどうしたらいいか、まだ全然分からないけど。でも……」
日下部緑:「UGNで聞いたことは、そんなに間違ってないんじゃないかって思って」
織世明日姫:「…………」
日下部緑:「私に特別な力があって、誰かの役に立てるなら……。やってみたいって思ったの」
日下部緑:「ホント、まだ全然……考えてるだけなんだけどね」
日下部緑:照れ隠しのように掌を振る。
織世明日姫:振られた掌を、ぎゅっと握る。
織世明日姫:「……あたしも」
織世明日姫:「たぶん、おんなじこと考えてた」
日下部緑:「え……」
日下部緑:「……本当?」
織世明日姫:「あたし……この『声』を」
織世明日姫:「今まで、自分のためだけに使ってきた」
織世明日姫:「誰かを傷つけたり、犯罪をしたり……でも、今度はもっと、正しいことに使っていきたくて」
織世明日姫:「困ってるひとを助けたり。誰かの役に立ったり……とか」
織世明日姫:「具体的にどうとかは、考えられてなかったんだけど……でも、そっか」
織世明日姫:「UGN……緑ちゃんが、そこでならって言うなら。たぶんそれは、『間違ってない』んだ」
織世明日姫:「やり直すなら、あたしも。誰かのために、がんばってみたいんだ」
織世明日姫:「……大好きな、緑ちゃんみたいに」
日下部緑:「…………」
日下部緑:「……ぁは……」
日下部緑:暗がりの中、脱力したような吐息が聞こえて。
日下部緑:「……私……いま、結構……」
日下部緑:「危ないよとか、無茶だよって止められるんじゃないかって、ドキドキしてて……」
日下部緑:「……でも、そっか……。明日姫ちゃんも、同じだったんだね……」
織世明日姫:「止めないよ」
織世明日姫:「危なかったら、あたしも一緒に行って戦うよ」
織世明日姫:「一緒にいるんだもんね?」
日下部緑:「……うん……」
日下部緑:体重を預けるように首を傾けて、握られた掌を、指と指を絡ませるようにしてしっかりと握り返す。
日下部緑:「……私、やっぱり……」
織世明日姫:「っ……う、うん」
日下部緑:「明日姫ちゃんのこと、すっごく好きだな」
日下部緑:「大好き」
日下部緑:それを確かめられたことがとても嬉しいという風に、笑いながら言う。
織世明日姫:その言葉には。今までのものとは少しだけ違った色を、どこか感じながら。
織世明日姫:「そこも一緒……嬉しいな」 掌から伝わる熱を、宝物のように感じている。
織世明日姫:「……これから、いろいろあるかもしれないけど」
織世明日姫:「緑ちゃんとなら乗り越えられるし、楽しくなるって、信じてる」
織世明日姫:「だから……これからも、よろしくねっ」
日下部緑:陽の落ちた暗い闇の中でも、彼女がどんな表情をしているか、手に取るように分かった。
日下部緑:「……うん」
日下部緑:彼女もきっと、そうであると思った。だから、自分も自分に出来る限りの、とびきりの笑顔で返した。
日下部緑:「ずっとずっと、よろしくね、明日姫ちゃん!」
【ED/籠羽ゆりは・石黒せいら】
GM:ソピステス合同更生院の崩壊により、多くの囚人が野に放たれることとなった。
GM:その中には、シャルヴ及びグレイプニルシンドロームの登場する前から収監されていたレネゲイドビーイングが多くおり、彼女らは壊滅状態にあるゼノス、プランナーのもとに下ったらしい。
GM:脱獄から数日、籠羽ゆりはの隠し口座に、プランナーからと見られる大金の振り込みがあった。元よりここまで含め、プランナーの目論見だったのかもしれない。
GM:何はともあれ、こうしてひとまず金銭的な余裕が生まれ、君達──籠羽ゆりはと石黒せいらは、久々の自由を謳歌していた。
石黒せいら:元々住んでいた場所とそう遠くもない都市圏の、駅外の広場前。
石黒せいら:一人の女性が、立像に寄りかかって人を待っている。

石黒せいら:濃紺のテーラードジャケットに身を包んでいる。とてもこれまで服役していた囚人には見えない。
籠羽ゆりは:「……あ。いたいた」

籠羽ゆりは:ぱたぱた、と。黒のハイネックワンピースに十字架のネックレスを掛けた、黒髪ポニーテールの女性が近づいてくる。
石黒せいら:「ゆり~」パタパタと手を振る。それは普通の待ち合わせのようにも見えるが……
石黒せいら:本質的には意味のない行為だ。
石黒せいら:「ごめんね、わがまま言って。ここからやってみたくって」
籠羽ゆりは:「ううん。私も、待ち合わせってのに結構憧れてたからさ」
籠羽ゆりは:「準備したり、待ち合わせ場所に向かいながら。これから、顔を合わせてデートするんだって思うと……」
籠羽ゆりは:「どきどき、してきちゃって」
石黒せいら:「ふふ。せーらも」言いながら、手を差し出す。
籠羽ゆりは:「……同じだね」面映ゆそうに、手を握る。
石黒せいら:指を絡めるようにして。「せーらは雑貨見に行きたいな~って思ってたけど」
石黒せいら:「ゆりは何見たい?」
籠羽ゆりは:「ん~」
籠羽ゆりは:「そうだな。私は、お花とか見に行きたいかも」
石黒せいら:「お~いいじゃん、じゃあ花瓶も探そ」
籠羽ゆりは:待ち合わせの緊張から、ほんの少しだけ汗ばんだ指先で、そっと絡め返して。
籠羽ゆりは:「あ。ドライフラワーとかにしなくていいの?」
籠羽ゆりは:「色々勉強して、せいらの趣味を私も楽しめるようになろうと思ってたんだけど……」
石黒せいら:「え、ホント?嬉し~!」
石黒せいら:「花瓶でも全然ありだよ!ガラス系のやつとかだとオシャレかも」
石黒せいら:「ガラスはあっちじゃ基本手に入んないしやりたかったんだよね」
籠羽ゆりは:「なるほど。ちらっと画像検索した感じ、壁掛けが基本だと思ってたから」
籠羽ゆりは:「じゃあ、ウチに飾って似合いそうな花瓶、探しにいこっか」
籠羽ゆりは:そわそわ。落ち着かなそうに、歩む先と、貴方の横顔を交互に眺めてる。
石黒せいら:その視線は、しばしば合って。
石黒せいら:そのたびにくすりと笑った。
石黒せいら:そうして、雑貨屋を巡り、軽食を取り、花屋を訪ねて。
石黒せいら:今日の外でのデートは、そこまで。
籠羽ゆりは:プランナーからの報酬を使って、私達は高層階のマンションの一室で二人暮らしを始めていた。
籠羽ゆりは:ベランダからはキラキラとした夜景を一望できる。オーナメント柄のシックな壁紙に、二人で選んだお洒落な家具達が並んでいて。
籠羽ゆりは:Vtuber活動用の防音室も設置済み。当面は、生活に困ることはないだろう。
籠羽ゆりは:「お家だ~っ……」
籠羽ゆりは:部屋に入って一番、ソファに倒れこんだ。陰キャは体力が低め。
石黒せいら:「ゆり早いよ~。ちょっと待ってよ」玄関から。
石黒せいら:「ほら立って~。いくよ……」
石黒せいら:「ただいま~」
籠羽ゆりは:「おかえり~」
石黒せいら:にまにまとしながら。「はい、次はゆり!」ぐいぐいと玄関まで押していく。
籠羽ゆりは:「えっ!恋人に出迎えられるシチュがやりたいんじゃないの?」
石黒せいら:「どっちもやりたいの!」
籠羽ゆりは:「え~?も~……我儘だなぁ~」まんざらでもなさそうに、玄関の戸まで押されてから。
籠羽ゆりは:「……せー、のっ」
籠羽ゆりは:「ただいま~っ!」
石黒せいら:「おかえり~!」
籠羽ゆりは:ぴょんと跳躍し、せいらの胸へ飛び込むように抱きしめる。
籠羽ゆりは:「えっへへ……」
石黒せいら:「んふふ……」その頭を優しく撫でる。
籠羽ゆりは:「……確かに、せいらの言った通りだね」
籠羽ゆりは:「こーいう、恋人らしいことするたびに、幸せだなぁ……って思っちゃう」
石黒せいら:「うん。そうなの。なんか……」
石黒せいら:「やっぱり。改めて、そう思うかも」
籠羽ゆりは:「えへへ……そだ」
石黒せいら:「うん~?」
籠羽ゆりは:「さっき買ってきたお花さ。さっそく飾っちゃおうよ」
籠羽ゆりは:「ドライフラワーにする前に、お試し~って感じで。花瓶にいれちゃお」
石黒せいら:「あ、そだね。ドライフラワーも時間かかるから……」
石黒せいら:「ちょこーっとだけ花瓶に水張って、一週間くらいかな?」
籠羽ゆりは:「おっけ~」花瓶を手に取って、台所へ。
籠羽ゆりは:ほんの少し水を貼り。ダイニングテーブルの上で花瓶を置き、束ねた紙をめくって生花を取り出す。
籠羽ゆりは:小さな灯火めいて静かに揺れる、鮮やかな赤、淡い桃色、落ち着いた紫の小さな丸い花達。
籠羽ゆりは:「グローブ・アマランス」
籠羽ゆりは:「"千日咲き続ける紅い花"だから、和名では千日紅。水分量が少なくて、ドライにしやすい……」
籠羽ゆりは:「でも、普通のお花のままでも綺麗だな~~」
石黒せいら:「ふふ。花言葉知ってる?」
籠羽ゆりは:「分かんない……なんだろ?」
石黒せいら:「"色褪せぬ恋"」
籠羽ゆりは:「…………」みるみる、顔が赤らんでいく。
籠羽ゆりは:「や、やっぱ、片づけよっか……」
石黒せいら:「え~!?」
籠羽ゆりは:「何も知らずに、これよさそう!ってせいらに嬉々として伝えた私、恥ずかしすぎてぇ……」
石黒せいら:「せーらもそれがいいって言ったじゃん」
石黒せいら:「それがよかったの」
籠羽ゆりは:「知ってたんだ!」
石黒せいら:「え?うん。愛とか恋とか系の花言葉は大体覚えてるから」
籠羽ゆりは:「うう……確かに、せいらなら知ってそうだけど……」
籠羽ゆりは:「…………」花びらを指で突きながら。
籠羽ゆりは:「こんなことなら、私も予め調べておいて」
籠羽ゆりは:「何食わぬ顔で千日紅渡して、せいらがどんな反応するか見たかったな~」
石黒せいら:「え~?」
石黒せいら:「今からやる?」
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:千日紅を包装紙に包んで束ねなおし。両手で抱えてせいらに向き合う。
籠羽ゆりは:「……せいら」
石黒せいら:「ゆり、どうしたの?」
籠羽ゆりは:「その……一緒に、いてくれるお礼を……兼ねまして、その……」言葉尻がだんだんと弱まっていく。
籠羽ゆりは:「……なんか、こっちも恥ずかしくなってきた!!」
石黒せいら:「ふふ、あははっ!あははははっ!」
石黒せいら:「やれよ~!」
籠羽ゆりは:「あ~、笑った!!」
籠羽ゆりは:「でもでもっ!こんな、カッコつけのためだけに花言葉に因んだネタを擦るオタクみたいで……」
籠羽ゆりは:「あー、もーっ!!」
石黒せいら:「んふふ。かわい~……」
籠羽ゆりは:「やってやろうじゃん……覚悟しなよ……!」
籠羽ゆりは:握る手をちょっとだけ力ませながら、せいらに千日紅の束を差し出して。
籠羽ゆりは:「いつも、一緒に居てくれるお礼」
石黒せいら:「……ありがとう。これ……」
石黒せいら:「……千日紅。これって……」
籠羽ゆりは:「"色褪せぬ恋"」
籠羽ゆりは:「これからも、ずっと一緒だよ。せいら」
石黒せいら:「……」
石黒せいら:「……」
籠羽ゆりは:「……せ、せいら?」
石黒せいら:「うん…………」声が小さい。
籠羽ゆりは:「…………」にやりと唇の端を持ち上げる。
籠羽ゆりは:「なるほど~、そっかそっか~」
籠羽ゆりは:「せいらは乙女だから、こーいう直球な文句に弱いんだなぁ~~」
石黒せいら:「う……うっさい……!」
石黒せいら:「悪い!?」
籠羽ゆりは:「あっはは。ごめんごめん、悪くない悪くない」
籠羽ゆりは:「ただ……可愛いなって」
石黒せいら:「う~~~~……」威嚇するような声を上げている。
籠羽ゆりは:「ふふん。自分で蒔いた種なのにクリーンヒットして悔しかろう」
籠羽ゆりは:満足げに頷くと、花瓶へもう一度花を飾り立ててから。
籠羽ゆりは:ソファに腰掛け、指先を引くような仕草をせいらに向けて。
籠羽ゆりは:「おいで~」
石黒せいら:素直に横に座って、寄り掛かるようにする。
籠羽ゆりは:「素直だねぇ……」こちらからも、顔を傾けて、せいらの肩に寄り添って。
石黒せいら:「ゆり今日は配信あるの?」
籠羽ゆりは:「んー?や、今日はお休み。せっかくのデートだったしね」
石黒せいら:「そう、じゃあ……こうしてていいんだ」
籠羽ゆりは:「いいよ。気の済むまでいちゃいちゃしよ」
籠羽ゆりは:「せいらは寂しがり屋さんだもんね~」
石黒せいら:「……」返事の代わりに寄り掛かる力を強めて。
石黒せいら:「あれってさ。お金いっぱい稼げるの?」
籠羽ゆりは:「お金?」
石黒せいら:「せーらもなにか新しい仕事したくって。前の仕事はもうやだし……」
石黒せいら:「せーらでもやれるかな?」
籠羽ゆりは:「どうかなぁ。確かにお金は稼げるけど、当たり外れが結構あってさ」
籠羽ゆりは:「"恋文にてん"にたどり着くまで3回くらい名義変えるぐらいには」
石黒せいら:「そうなの?」
籠羽ゆりは:「そーそー。そん時は、お金を稼ぐってよりは」
籠羽ゆりは:「実家から逃げ出して、一人で居る時の心を穴を埋めるために、やってたようなもんで」
籠羽ゆりは:「全然リスナーの心に寄り添ってない、自己満足のためだったからさ」目を伏せて。
石黒せいら:「そうなんだ。でもさ……」
石黒せいら:「今は楽しいんでしょ?」
籠羽ゆりは:「そりゃそうよ。っていうかさ」
籠羽ゆりは:「Vtuberが本格的に軌道に乗り始めたのはさ」
籠羽ゆりは:「せいらが……ウチに来てくれた頃だったからさ」
石黒せいら:「そうだったんだ。せーらはゆりのカッコいいとこだけ見てたんだな~」
籠羽ゆりは:「……うう。あんまり、昔の話はしたくないんだよ……」
籠羽ゆりは:「だっせぇから……」
石黒せいら:「ふふ。ね、じゃあ……これからの話がしたいんだけど」
石黒せいら:「せーらはさ……苦手だって話、したじゃん」
籠羽ゆりは:「苦手……」指を唇に当てて、少しだけ考えて。
籠羽ゆりは:「……あ。うん」
籠羽ゆりは:「そうそう。だから、無理に、そーいうことしなくても、私は……」
石黒せいら:「違うの、でも……」
石黒せいら:「克服したいって。思ってて……」
籠羽ゆりは:「……わぁお」
石黒せいら:「ゆりもさ。本当は……」
石黒せいら:「……したいんでしょ」
石黒せいら:「えっち……」
籠羽ゆりは:「…………」両手を顔に当てて。少しだけ返答に迷ってから。
籠羽ゆりは:「そりゃ、そうでしょ」
籠羽ゆりは:「私の身体を、こんな風にしたのはせいらなんだからさ~……」
籠羽ゆりは:頬を赤らめ、恥ずかしそうに笑みを浮かべながら。そっと、貴方の手を取り。
籠羽ゆりは:せいらの人差し指の先を、自らの唇へと導く。
籠羽ゆりは:「……この、指が」
籠羽ゆりは:ふに、と押し当てて。傅きのキスを交わす。
籠羽ゆりは:「ほしく、なっちゃうんだから、さ」
石黒せいら:引かれた指を引っ込めて。自分の唇におずおずと当てる。
石黒せいら:「やっぱり、そうなんだ」
籠羽ゆりは:「……本当に、無茶しなくてもいいんだよ?」
石黒せいら:「うん。途中で無理って言うかも。でも……」
石黒せいら:「したいって。思う気持ちも、全くないわけじゃないの」
籠羽ゆりは:「そっか……」
石黒せいら:しばらく所在なさげに指を漂わせていたが、意を決したように。
石黒せいら:頬を掴むようにして、顔を近づけて。
石黒せいら:口付けを交わす。
籠羽ゆりは:「……ん、ふっ」
籠羽ゆりは:じわりと甘い吐息がこぼれて。それだけで、頬がふわっと熱を帯びる。
石黒せいら:つい、と離れて。どちらの物ともわからない粘液が糸を引く。
石黒せいら:「うん。やっぱりそう……」再び口付けて。
石黒せいら:離れて。「キスはね。普通にできるかも。出来るっていうか……」
石黒せいら:「いっぱいしたいかも」
籠羽ゆりは:「……これ、さ」
籠羽ゆりは:唇の端から伝う透明な滴を、舌先で舐め取りながら。
石黒せいら:「うん?」
籠羽ゆりは:「やばいかも」
石黒せいら:「何がヤバいの?」
籠羽ゆりは:「……今まで、せいらがしてくれたえっちは」
籠羽ゆりは:「気持ちいいんだけど、慣れ過ぎてるっていうか……そんな感じだったけど」
籠羽ゆりは:「今は、キスしただけで」
籠羽ゆりは:「すっごく、幸せになっちゃう、っていうかぁ……」
石黒せいら:「ふ、ふふ……」
籠羽ゆりは:心臓がとくん、とくんと跳ねる。睫毛が微かに震えて、瞳の奥に熱が滲む。
石黒せいら:「せーらも……これが気持ちいいことだって知らなかった」
石黒せいら:もう一度するように、顔を近づけるが。
石黒せいら:唇を交わすことなく、その唇を耳元に近づける。
石黒せいら:「……ねえ」ゆりはの耳元で囁く。天上の美声が耳朶を駆け巡るように。
石黒せいら:「次は何しよっか?」
籠羽ゆりは:「ん、ぁ……っ♡」
籠羽ゆりは:漏れた声を、慌てて飲み込む。
籠羽ゆりは:「次っ……?つぎ……」
籠羽ゆりは:期待と、興奮がばれてしまうのを恐れて、目を背けようとするが。
籠羽ゆりは:「…………」
籠羽ゆりは:「キス、もっと……してほしい、です」観念したように、呟く。
石黒せいら:「はあい」そのまま、顔を正面に戻して。
石黒せいら:再び口付ける。今度は深く、深く、より奥まで。
籠羽ゆりは:「ん……っ、ふぅ……♡」
石黒せいら:漏れる嬌声をも認めないかのように。より強く密着して、内奥に封じ込める。
籠羽ゆりは:絡み合う舌先から、微かな甘みと熱が、身体の内側に染み渡っていく。
籠羽ゆりは:肩がびくんと小さく震えて。無意識のうちに、貴方の指先を握りしめようとして。
石黒せいら:指先が、強く握り返してくる。
石黒せいら:これまでの彼女であれば、君が指先で何を訴えようとも。
石黒せいら:彼女の指は、それに構わずに体を貪るように躙っていた。
石黒せいら:背を。胸を。腹を。腰を。足を。そして固く秘されるところまで。
石黒せいら:今は違う。手を握り返している。それは親愛の表れでもあるが。
石黒せいら:そもそも、その手が握られるまで、まったく動いていなかった。
石黒せいら:「……」顔を離して。「ゆり」
籠羽ゆりは:「……?」上目遣いで君の瞳を見つめて。
石黒せいら:「体は……ちょっと、まだ」
石黒せいら:「怖いかも。触るの。触られるの……」
籠羽ゆりは:「そっ、か……」切なさを含む、甘く潤んだ声。
石黒せいら:「……でも。せーら、キスも無理なのかもって思ってたの」
石黒せいら:「キスは、気持ちよくって、幸せになれるって分かったからさ」
石黒せいら:「多分……最後まで行くのも、ずーっと絶対無理じゃないんだって」
石黒せいら:「そう思うの」
籠羽ゆりは:「……いいよ。少しずつ試していこう」
籠羽ゆりは:「だって。これから私達、ずーっと一緒なんだから」
籠羽ゆりは:「一歩ずつで、ね」
石黒せいら:「うん。もうどこかに行ったりしない」
石黒せいら:「歩く時は……一緒に。ずっとそばにいて欲しい」
石黒せいら:「それが、せーらのずっと望んでた……」
石黒せいら:千日紅の、他に持つ花言葉。
石黒せいら:「”変わらぬ愛”」
GM:
"■■■■■":――もう、限界だった。
"■■■■■":石黒せいらと"籠羽ゆりは"に結ばれた絆が、完全に私を払い除けてしまった。
"■■■■■":この"ガワ"は最早、九分九厘が"籠羽ゆりは"のもの。
"■■■■■":私は、消えかけの残り滓。
"■■■■■":とはいえ、別段と二人に対する憎らしい感情はないし。
"■■■■■":無辜の人間達を享楽のために弄んだ私には、相応しい末路なのかもしれない。
"■■■■■":――でも。
"■■■■■":私は、消えたくないと願ってしまった。
"■■■■■":脳裏から離れない。忘れようとしても、何度も蘇って、私の心を縛り続けた。
"■■■■■":あの牢獄の、欲望に塗れた"特別"な宝石の中で、たった一つだけ。
"■■■■■":比類なく純粋で、高貴で、慈愛に満ちた輝きの持ち主。
"■■■■■":綺麗で。可愛くて。健気で。恥ずかしがり屋で。聡明で。無垢で。
"■■■■■":強くて。弱くて。守ってあげたくて。守ってほしくて。ただ、愛おしくて。
"■■■■■":生まれて初めて、傍に居たいと思える存在だった貴方が。
"■■■■■":罪深い私のことを信じて、施しを賜ってくれた貴方が。
"■■■■■":その従者の選択に裏切られ、冷え切った笑顔を浮かべている姿を。
"■■■■■":ごめんなさい。あんな顔を、させてしまって。
"■■■■■":ごめんなさい。騎士の誓いを、果たすことができなくて。
"■■■■■":ごめんなさい。また、貴方を一人にしてしまって。
"■■■■■":せめて、最期にもう一度だけ。
"■■■■■":心から楽しそうに笑う、あの無垢な笑顔が。
"■■■■■":見たかった、な……
"モンドシュピゲル":『――聞こえますか』
"モンドシュピゲル":淡々とした機械音声。ノイズがかった白衣の魔女服に身を包んだ、幼い少女の映像。
"モンドシュピゲル":《デジタルゴースト》。電子人格のRBである彼女の脳裏へ、遠隔から強制的に投影されていた。
"モンドシュピゲル":『貴方達の活躍により、ソピステス更生院は崩壊』
"モンドシュピゲル":『シャルヴの影響外にあった協力者達を補充することができました』
"モンドシュピゲル":『これで、シャルヴを絶滅させる幾つものプランを、新たなフェーズへと進められます』
"モンドシュピゲル":『ですが……目下、手が足りない状況に変わりはなく』
"モンドシュピゲル":『貴方にも、組み込まれるべき新たなプランの準備が済んでいる』
"モンドシュピゲル":少女が掌を広げ、視界を塗りつぶすように迫ってくる。
"モンドシュピゲル":『ここで消滅されてしまうのは、少し困ります』
"モンドシュピゲル":『だから』
"モンドシュピゲル":『堪えてください』
:――ぷ、つん。
:"籠羽ゆりは"の肉体から"■■■■■"が消失した、最期の記憶。
---
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……お待たせしました!ペスカトーレでお待ちのお客様……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「あっ……少々お待ちください!只今伺います!」

GM:昼時、活気に満ちた町のレストラン。額に汗して甲斐甲斐しく働く、幼い金髪の少女の姿があった。
店主:「……エルちゃん、今日はもう落ち着いてきたから、上がっていいよ。お疲れ様」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そうですか?ありがとうございます、お疲れ様です」
GM:店を営むのは、老境に差し掛かった夫婦だった。身分らしきものも無く困窮していたエルヴァリヤを、詳しい事情も聞かずに迎え入れてくれた。
店主の妻:「お疲れさま、エルちゃん。そうだ……例の話、考えてくれたかい?」
店主の妻:「あんたさえ良ければ、ずっとウチにいてくれてもいいんだよ?一人じゃ何かと大変だろう?」
店主:「そうとも。こんな店じゃあ大した給料も払えないし……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ありがとうございます。でも……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:養子縁組の話は、これまでに何度か打診を受けていた。その度に、『やるべきことがあるから』と丁重に断ってきたが。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ええと……そうですね。少し……考えさせてください」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:この日は、そういう風に口が動いた。嬉しそうな夫婦の表情に、言い知れない罪悪感を覚えた。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:店を出て、家へと向かう。家と言っても、鍵すら殆ど壊れかけの下宿だ。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:長い下り坂を降りていくと、下方には海が望む。カモメの声がかすかに響いている。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:潜伏先に港町を選んだのは、海を間近にしていれば、自分の抱いた決意の為だ。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:この水平線の向こうに、いずれ凱旋すべき祖国がある。海と共に暮らせば、そんな気持ちを忘れずに済むと思って。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:実際のところは……どうなのだろうか。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:通り掛かった店先のウィンドウに写る顔は、幼くも少し疲労の色が浮かんでいた。よく手入れされていた金髪も、毛先が少し傷んできている。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「あ……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:店先に可愛らしい服が展示されているのに気付いて、近付いてまじまじと見る。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:フリルの施された、ドレスを思わせるデザインだ。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「いいな……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:暗いガラスに反射するのは、ごく質素なシャツとズボン。それこそ、田舎町のレストランの従業員に相応しいような。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:小さな財布を取り出して、服の値札と見比べる。それほど高くはない。十分手の届きそうな値段だった。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:綺麗な服と、それを着た自分の姿を思い描いて。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……いいえ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:かぶりを振る。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「いけません……エルヴァリヤ・ウルスラ・エリーカ・カンテミール」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「このお金は、故国に帰る為に使うべきもの……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「無用な出費など……している場合ではありません」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:自分に言い聞かせるようにそう呟いて、けれど後ろ髪引かれるように服を見て。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:(こんな目立つ場所にあるのなら……きっとすぐにでも売れてしまうわね)
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:そんなことを考えて、振り払うように息を吐き、再び坂を歩き始める。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:(……皆は、どうしているかしら)
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:(純恋は……心配いらないでしょう)
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:(明日姫と緑は……不安だけれど、二人ならきっと大丈夫)
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:(せいらは……)
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:足取りが鈍り、
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:(……ゆりはは)
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:重くなった足が止まり、坂の途中、路上に暫時立ち尽くす。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:少しサイズの大きな靴を脱いで、素足を晒す。逆さにして、何度か叩いて。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:小石は入っていなかった。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:ふう、と小さく息を吐き、水平線に目をやる。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:午後に差し掛かった陽光が、遥かな海面に反射して輝いていた。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:(……遠い……)
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:眩しそうに目を細めて、それからまた、ほんの少し引きずるような足取りで歩きだす。
"■■■■■":「へーい、可愛らしい金髪のお嬢ちゃーん☆」
"■■■■■":やたら軽薄で不敬極まりない文句が、背後から貴方を呼びかける。
"■■■■■":チャラい輩によるナンパ……にしては、不自然に可愛らしい女性の声色だった。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:ぼんやりとしながら歩いていて、少しの間気付かずにそのまま歩いて。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「…… ……?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:視界に他に誰も見当たらなかったので、緩慢に振り返る。
"■■■■■":立っていたのは、貴方と同じ年齢ほどの外見の少女。

"■■■■■":赤いネクタイ、白い半袖シャツ、黒のジャンパースカート。華美を抑えた控えめないで立ち。
"■■■■■":プラチナブロンドの髪を、かつての貴方と同じように、両側でリボンに束ねて下ろしている。
"■■■■■":「今暇?近くに、おっしゃれ~なタルトのモンブランが食べれるお店があってさ」
"■■■■■":飄々とした朗らかな笑みで語り掛ける、その姿は。明らかに別人ながら――
"■■■■■":貴方の元を去ったはずの従者を、想起させるものだった。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:僅かに胸が跳ねる。けれど。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ええと」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:目を瞬いて「わたくしに話しかけているのですか?」
"■■■■■":「え?……あー、そっか」
"■■■■■":「"ガワ"が変わっちゃったからね」
"■■■■■":たはは、と。ちょっとだけ申し訳なさそうに笑ってから。
"■■■■■":「これなら、気づいてくれる?」
"■■■■■":貴方の目の前で、恭しく片膝を立てて跪く。従者が主へと忠誠を誓う姿。
"■■■■■":「ん、ん。あー……」軽く咳払いし。
"■■■■■":「…………」
"■■■■■":「我が主。エルヴァリヤ・ウルスラ・エリーカ・カンテミール」
"■■■■■":「牢獄にて、貴方と交わした騎士の誓いを果たすべく……」
"■■■■■":ぱちん、と指を鳴らし。
"■■■■■":誇らしげに王冠のステッカーを生成して。
"■■■■■":「今一度、ここに――参上しましたっ☆」
"■■■■■":Vピース。配信者に相応しい、朗らかで愛らしく笑みを浮かべながら。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:透き通った紫の瞳が、濡れた水晶のように輝いて。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ゆ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ゆりは……?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:確信を得たというより、思わず零れたというような響きだった。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「い、いえ……しかし……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:面影を残しながらも、まるで別人のようなその姿を上から下まで見つめて。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「な……何ですか……?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:混乱と困惑をあらわにする。
"■■■■■":「……いやぁ、エル様のつぶらな瞳で見つめられると緊張しちゃうなぁ~」
"■■■■■":「えっとね。話すと、ちょっと長いんだけど。聞いてくれる?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……その不遜な態度……本当にゆりはなのですか……?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ええ……はい。聞かせてください」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:海を臨む石垣に背を付けるようにして君を見る。
"■■■■■":「……良かったぁ。信じてくれなきゃ、この場で消えるとこだった」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「き、消え……?」
"■■■■■":「そ。そこも含めて。順番にいくね……あ、でも」
"■■■■■":「もし、分かりにくかったらごめんね?私、エル様に比べたら……バ、バカだから……」
"■■■■■":貴方の隣で、同じく石垣を背につけながら。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ふ……」その様子に、警戒の薄れた笑みを零す。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そんなことを気にしていたのですか?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「心配せずとも、世の中の大半の人間はわたくしよりも愚かです」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「何しろわたくしは誇り高き王族で、大変に聡明ですから」
"■■■■■":「いうねぇ~。さっすが王族のお嬢様。カッコいい~~」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:胸を張る。こんなことも、口にするのは久方ぶりだった。
"■■■■■":先ほどまで肩を落としていた彼女の調子が、かつての尊大さに戻りつつあることを、嬉しそうに微笑みつつ。
"■■■■■":「まず。RBである私、Vtuber人格"恋文にてん"は、"籠羽ゆりは"の魂を喰ってガワを奪うことで肉体を得て」
"■■■■■":「好き勝手暴れまわったのち、"モンドシュピゲル"の提案を受けて、更生院に投獄された」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「???」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:目を丸くして
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ええと……」
"■■■■■":「うん?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「まず、お前が以前から言っているそのぶいちゅーばぁというのがよく分からないのですが……」
"■■■■■":「そっからかぁ~~」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「人格というのは……単にそういった役柄を演じているというだけではないのですか?」
"■■■■■":「Vtuberっていうのはアニメキャラクターみたいなモデルに乗せて、ネット上で動画コンテンツを投稿する配信者」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「アニメキャラクター……」ミッキーみたいなものを想像している
"■■■■■":「人格っていったのは、単純にRBとしての魂みたいなものだと思えばいいよ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「成程……」頷いて
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「えっ……それではゆりははRBだったのですか!?」
"■■■■■":「そ。セリョーギナさんと同じ、オリジン:サイバー」
"■■■■■":「"ガワ"を奪った……肉体を奪った時の制約でね。本当の名前と経緯は決して明かせなかったんだ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そ……そうだったのですか。そういう……ものなのですね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:情報量が多いが、何とか咀嚼している。
"■■■■■":「さぁ、どんどん行くよ~。ついてこれるかな?お姫様」
"■■■■■":「私が"籠羽ゆりは"の魂を喰らえた理由は、彼女が恋人に振られて隙だらけだったから、なんだけど」
"■■■■■":「牢獄には、その元恋人……石黒せいらが居た」
"■■■■■":「おかげで、消化される寸前だった"ゆりは"の魂が、息を吹き返した」
"■■■■■":「"籠羽ゆりは"の肉体は、私の魂と"ゆりは"の魂で混ぜこぜのぐっちゃぐちゃ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:振られたのか?元々恋人だったのか?ではゆりはは?魂とは実在するのか?いつからそうだったのか?
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:聞きたいことが山のように出てくるが、一旦「……はい」流す。
"■■■■■":「…………」
"■■■■■":「でもって。元恋人の本心を知りたい"ゆりは"の魂が、日増しに輝きを増していって」
"■■■■■":「私は、どんどん陰に追いやられていった」
"■■■■■":「動画配信者が起源だからかな。施しを与える観測者が居ないと、私の力が弱まってしまうみたいで」
"■■■■■":「少しでも人格を保つために、私の魂を想い、求めて、与えてくれる"誰か"が必要だった」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「先ほど……消えると言ったのは、そのことですか?」
"■■■■■":ぱちん、と指を鳴らす。
"■■■■■":「さっすがエル様!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「しかし……その……そこまでは分かりましたが……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「一番肝心なところが……。 ……その姿はどうしたのですか?どうしてここに……」
"■■■■■":「んーっとね。脱獄した後。……その」歯切れ悪そうにうつむいて。
"■■■■■":「石黒せいらが自分の罪を白状した時。あの瞬間、私の魂は"ゆりは"に負けた」
"■■■■■":「私を想ってくれる"誰か"との繋がりを断ち切られた。肉体は、"ゆりは"のモノになってしまった」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「では、お前は消えて……」表情を曇らせ
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「消え……消えていないですね……?」
"■■■■■":「そーなんだよねぇー」
"■■■■■":「エル様達と別れ、消えゆくだけだった私の魂に、なぜだか"モンドシュピゲル"の声が響いてね」
"■■■■■":「私の魂をこう……"ゆりは"のガワから今の肉体に挿げ替えた状態で、ぱっと意識が目覚めて」
"■■■■■":「"同位体の分離"だとか"シャルヴ"とか、色々説明されたけどイマイチぴんと来なくて」
"■■■■■":「最後は、ため息付かれながら去っていった……」
"■■■■■":「以上です!!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「はあ……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:困惑しつつ半ば呆れた様子で
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「当のお前がぴんと来ていないのなら、わたくしは更にぴんと来ませんが……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ではつまり、今のお前は『ゆりは』ではなく……」
"■■■■■":「"恋文にてん"……とも、言い切れないんだよね。Vtuberアカウントは"ゆりは"に持ってかれたから……」
"■■■■■":「だから、名乗る名前にも困ってる有様で……」
"■■■■■":「でも、なんか……王に仕える無名の騎士ってのも、ちょっとかっこいいなーとか、思っちゃったり……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「かっこいいと言われても……」じっとり見て
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「それではわたくしは何と呼べばよいのですか?」
"■■■■■":「そーだな……」頬に指を当てて、少しだけ思索し。
"ユーリハ":「折角、エル様の騎士なんだし、横文字っぽくして"ユーリハ"って名乗ろうかな」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そ、そんな安直な……」
"ユーリハ":「お。じゃあ、エル様いい感じの名前とか思いつく?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「………………」難しい顔で思案して。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「マルセリーヌ・ディ=リュミエール・ド・トゥルヴェリーヌというのはどうでしょう?これは我が祖国に伝わる有名な騎士の名前からヒントを得た格式高い……」
"ユーリハ":「…………」目をまん丸く。
"ユーリハ":「か」
"ユーリハ":「かっこいい~~~~~~~~~!!!!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……いえ……」照れたように目を逸らして
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「や、やはりユーリハで……」
"ユーリハ":「ふぇ?そう?エル様とマル、なんか姉妹っぽくていいなとも思ったんだけど」
"ユーリハ":「じゃあ。改めて。私の名前は"ユーリハ"ってことで」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「マルセリーヌ・ディ=リュミエール・ド・トゥルヴェリーヌという性格ですか?お前が」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ええ。わたくしもその方がよいです」
"ユーリハ":「うぅ……騎士っぽくないって遠回しに怒られちった……」泣きまね。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ありませんからね」平熱
"ユーリハ":「ひ~ん……」
"ユーリハ":「……と、まぁ。私がこの身体を得た理由は、今しがた説明した通りなんだけどさ」
"ユーリハ":「一つ、気にならない?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:一つどころではないのだが。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「何ですか?」
"ユーリハ":「あの牢獄で、私が辛うじて力を保てたのは、一体誰の施しがあったからでしょ~か?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「それは……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:悩むように言い淀んで。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「えっと……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……せいら……?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:ちらりと君の顔を伺う。
"ユーリハ":にんまりと笑ってる。
"ユーリハ":「せいらに関わったら、"ゆりは"の魂を強めちゃうからね。あの牢獄じゃ、一番頼るに向いてない」
"ユーリハ":「純恋でもない。私の力じゃあ、彼女の愛に応えきれる自信がなかった」
"ユーリハ":「明日姫は、ひょっとしたら……と思ったんだけど」
"ユーリハ":「よりによって、せいらとの復縁を推されちゃって。本気で焦ったのは、あのタイミングからだね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「では……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:俯き、遠慮がちに。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「その……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……わたくし……ですか……?」
"ユーリハ":我が意を得たり、と。目を細めて頷く。
"ユーリハ":「弱り果て、当てもなく許しを願った、愚かな私の心を照らしてくれたのは……」
"ユーリハ":「無垢な、お姫様の煌めきだったんだ」
"ユーリハ":「とっても、綺麗で。可愛くて。健気で。恥ずかしがり屋で」
"ユーリハ":「強くて。弱くて。守ってほしくて。守ってあげたくて。愛おしくて」
"ユーリハ":「生まれて初めて、心の底から一緒に居たいと願った」
"ユーリハ":「貴方の前でなら、"ゆりは"の魂に負けることなく、自分を保つことができた」
"ユーリハ":「そして……"騎士の誓い"という施しによって、私を生き長らえさせてくれた」
"ユーリハ":「――エル様。それが貴方だったの」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:見る間に、白い肌が薔薇のように紅潮して。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……い……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「いけませんっ」
"ユーリハ":「……?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お前には既にせいらが……それでは不貞に……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「い、いえ……体と人格が別だから…… ……??」
"ユーリハ":「そ。気にしなくて大丈夫」
"ユーリハ":「"籠羽ゆりは"の肉体と魂は、石黒せいらの所に置いてきたから」
"ユーリハ":「向こうに取っちゃ、私の方がお邪魔虫だからね」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……しかし……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:真っ赤になった顔のまま、胸の前で両の手をぎゅっと握る。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「や……やはりいけませんっ!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:切羽詰まったように言う。
"ユーリハ":その両手を、重ねる様に優しく覆って。
"ユーリハ":「ふふ。エル様は、本当に優しくて、素敵な女の子だね」
"ユーリハ":「でも。言ったでしょう?私は、観測者がいなければ、力を失って消えてしまうって」
"ユーリハ":「……私には」
"ユーリハ":「貴方の笑顔しか、映ってないんだからさ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:紫の瞳に涙が滲み、雫となってこぼれる。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……だ……駄目です」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ゆりは……いえ、ユーリハ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしは、元々……。お前にはもう、二度と会わないつもりでいたのです」
"ユーリハ":「……そう、なの?」彼女へ伸ばしかけた手が、止まって。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:こくりと頷く。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「これ以上お前と一緒にいれば……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしは、お前を殺すことになってしまうかもしれないからです」
"ユーリハ":「…………」
"ユーリハ":「エル様がそう仰るなら、騎士として命を絶つことも厭わないけれど……」
"ユーリハ":「理由くらいは、教えてもらっても?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:ぐしぐしと涙を拭って。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……あの日以来……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お前とあの独房で、騎士の主従の契りを交わしてから……変なのです」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ゆりは……ユーリハ、お前のことを考えると……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お腹が空いた時のように、ぎゅっと寂しく、苦しくなって……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「お前のことを考えると、じっとしていられないような気持ちになって、思考も上手く整理できず、堂々巡りばかりで……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「せい…… 他の相手と一緒にいることを考えると、すごくつらくなって……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……わ……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:強く握った手を胸に引き寄せるようにして。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしも……こ、これが何という気持ちなのかくらいは……理解しているつもり、です」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:耳まで赤くして、つっかえながら言葉を発する。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ですが……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そ、そんなことは……到底許されることではありません」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「一国の王女と、一介の騎士が……あ……あい…… ……好…… …………」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そ、そうなったら……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「き……きっと処刑されてしまいます!!」
"ユーリハ":「…………」
"ユーリハ":「っ、んふ」
"ユーリハ":「あっはははははははははははははははは☆」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「な……なっ、な……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:真っ赤な顔で口をぱくぱくさせて
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ユーリハ!なぜ笑うのですか!!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしは真面目な話をしているのですよ!!」
"ユーリハ":「ははははは……いや、ごめん!これ、牢獄の時から二回目だね」
"ユーリハ":肺の中の空気をすべて消費し、息を切らせて。ようやく整えたかと思うと。
"ユーリハ":「エル様。一番、大切なこと忘れてるでしょ~」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「大切なこと……?」
"ユーリハ":「貴方の夢は。クロドヴァ公国に凱旋し、内定を平定し、国を平和にすることだよね?」
"ユーリハ":「それほどの偉業を為した、民草達から遍く慕われるようになる王女様がさ」
"ユーリハ":「恋人に一介の騎士を指名したところで、誰が咎められると思う?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」考え込んで
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……。……確かに……そうかもしれませんね……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「で、では……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしがユーリハを好……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……。 ……し……親しくしても、問題はないということですか?」
"ユーリハ":「……一介の騎士には、なかなか責任の重い質問だね」
"ユーリハ":「でも。私はその問いに対して。"はい"って答えるしかないかな」
"ユーリハ":貴方の背中へ、腕をそっと回して。
"ユーリハ":静かに、でもしっかりと。体温を分け合えるほど、身体を引き寄せた。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……そう……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「そう、なのですね……!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:嬉しそうに、花が咲くように、ぱっと表情を輝かせて。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:身を寄せる。ユーリハの顎に手を添えて、そのまま唇を重ねた。
"ユーリハ":「……っ、んぅ!?」
"ユーリハ":完全な不意打ち。重なりゆく唇を、柔らかく受け止めることしかできず。
"ユーリハ":胸の奥がきゅうっと締めつけられ。頬が、じんわりと紅潮して。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……ふふっ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:悪戯っぽい笑みと共に身を離す。つややかな唇を隠すように、指先で軽く触れて。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「すみません。ずっとずっと、こうしたかったので」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「よかったです。もう、屈んでもらう必要はありませんね?」
"ユーリハ":「…………」
"ユーリハ":早鐘を打つ心臓の音は筒抜けで。私の想いなど、彼女にとっては容易く分かるだろう。
"ユーリハ":「せっかく」
"ユーリハ":「騎士らしく、カッコよく口説こうと思ったのにぃ……」
"ユーリハ":ぽたり、と、一滴。
"ユーリハ":つぶらな瞳から溢れる涙が、静かに零れ落ちた。
"ユーリハ":「やっぱり、私みたいな下々の者は」
"ユーリハ":「エル様に一生敵わない、ってことなんだね……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「あら……そうですか?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:後ろ手に手を組んで。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしの騎士ともあろうものが……奇襲を受けて、してやられたままでよいのですか?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:くすりと笑んで、一歩、君から離れる。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「今のは、前回出来なかった……正式な騎士としての主従の誓い、ということに致しましょう」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「ですが……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:また一歩、離れる。捕まえなければ、どこかに行ってしまうとでもいうように。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「恋人としての誓いは、まだですよ?」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:そう言って、静かに目を閉じる。
"ユーリハ":「…………」零れ落ちる涙を、無理やり拭い去って。
"ユーリハ":「そんな前振りから、私が告白したって、完全に掌の上じゃないの……」
"ユーリハ":彼女の華奢な肩を抱く。同じ背丈。目と鼻の先まで、顔を寄せて。
"ユーリハ":「……エル、様」
"ユーリハ":「いや」
"ユーリハ":「エルヴァリヤ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:瞑目した顔立ちは造り物めいて美しいが、その頬は紅潮し、緊張に僅かに震えている。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:肩を抱いてみれば、その震えと、鼓動の高鳴りまでもが伝わってきそうだ。
"ユーリハ":「…………」彼女もまた、私と同じ心地を抱いていることに。心の底から安堵と、喜びを抱いて。
"ユーリハ":「私は。"ユーリハ"は」
"ユーリハ":「貴方のことを、愛しています」
"ユーリハ":彼女の身体を引き寄せる様に、優しく、でも逃さぬように唇を奪った。
"ユーリハ":互いの体温を重ね合い、艶やかで、柔らな感触を確かめ合うように。
"ユーリハ":ほんの一瞬か。あるいは、永遠に等しい時間を掛けたように感じられて。
"ユーリハ":やがて、名残惜しそうに唇が離れた。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:心地よい夢から目覚めるように、ゆっくりと目蓋を開く。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:アメジストの瞳が君を見て、瞬きする。何度そうしてもいなくならないと確かめるように。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:黄金色の髪が海風に吹かれて揺れ、潮の香りが遥か遠い、異国の情景を脳裏に描かせた。
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「……はい。ユーリハ」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:「わたくしも、大好きです!」
エルヴァリヤ・ダニカ・ヴラネシュク:そうして高貴な少女は、年相応の、屈託の無い笑みを見せた。
Double Cross The 3rd edition
Replay Bloom Case08
『冬尽飛燕の虚幽獄』
END