『赫灼/Counter Renegades』

メインログ/雑談ログ

Trailer


 鴻央会傘下の暴力団、流々家組と黄衣会の対立は、N市市内で大規模な抗争に発展した。その発端となったのは、市内に蔓延しつつある新型の麻薬と、構成員の大量失踪を巡るもの。
 だがそれら全ての原因は、全く予想だにしなかった場所――地球の裏側にあった。

 麻薬カルテル、ロス・サングレス。新興カルテルながら破竹の勢いで勢力を拡大しつつある彼らが目を付けたのは、全く新しい犯罪の形。オーヴァードを利用しての、絶対に捕捉されない麻薬ビジネスだった。

 この『新たな脅威』に対し、UGN、警視庁組織犯罪対策部、厚生労働省麻薬取締部、さらには米DEAを交えての、異例の合同捜査が決定した。
夜霧のように実体を掴ませないカルテルに対し、検挙の切り札とされたのは、UGNエージェントによる潜入捜査。
 監視対象は、ロス・サングレス躍進の原動力となった一人のオーヴァード――『シカリオ』、≪ネグロ・ムエルテ≫。メキシコという国の闇を体現したような彼女もまた、かつては理想を理想を胸に抱いたUGNエージェントだった。

 過去と現在。
 理想と責務。
 能力者と非能力者。
 腐敗した街と茫漠たる荒野。
 因果と因果が、交錯する。

 ダブルクロス The 3rd Edition『赫灼/Counter Renegades』
 ダブルクロス、それは裏切りを意味する言葉。




新垣御守 あらがき みもり (キャラシート)
日馬美礼 くさま みらい (キャラシート)
豊島正則 とよしま まさのり (キャラシート)
矢ヶ崎藍華 やがさき あいか (キャラシート)
鴻上禮次郎 こうがみ れいじろう (キャラシート)

Preplay

GM:ではまず自己紹介から
GM:PC1! 新垣さんどうぞ!
新垣御守:うおおおおお!!
新垣御守:企画の最序盤から登場しておきながらいいとこナシでお馴染み!第二支部長新垣御守です!
GM:ベリショパンクス支部長!
新垣御守:腕は折れるわトカゲに襲われるわ、人手不足で借りてきた部下は警察案件に飛び込み始末書の嵐!!
新垣御守:冷静に振り返って不憫すぎるなこいつ…
新垣御守:という感じですが、なんやかんや今日もどっこい生きてる戦場帰り赤髪エセパンクス女の子
GM:頑張って生きて
新垣御守:ついこないだはようやくネームドの部下も出来たぞ!3人も!1人内輪もめで死んだけどな!
新垣御守:がんばります。
新垣御守:性能的には、わかりやすい先制取ってRCで範囲攻撃型
新垣御守:ブラッドボム、邪毒で三段階の追加ダメージが入るのが特徴
新垣御守:毒のエキスパートだ!倒すと多分わざマシンとかくれる
新垣御守:以上!今回は存分にNPCの元姉貴分に巨大感情をぶつけていいと聞いてワクワクしています
新垣御守:よろしくな!!
GM:OK!よろしくお願いします!
GM:そんな新垣さんのハンドアウトはこちら!
GM: シナリオロイス:リリアナ・マルティネス
君はベテランと呼んでいいUGNエージェントだ。
かつて、君には共に戦う相棒がいた。正義と平和を愛し、人々の為に戦っていた相棒はしかし、UGN本部に転属となって間も無く出奔し、消息不明となっていた。
その相棒は今、凶悪なオーヴァードとして、麻薬カルテルに身を置いているという。カルテルへの合同捜査に伴い、かつての彼女を知る君に、捜査協力の要請が下った。

GM:愛憎百合を、やるんだ
GM:よろしくお願いします!
新垣御守:ウヒヒヒヒーッ!!
新垣御守:よろしくおねがいします!!

GM:それでは次!
GM:PC2! 日馬さんお願いします!
日馬 美礼:はいはーい。気付いたら一時期えらく顔が売れてた、第四支部長の日馬美礼(くさま・みらい)だよ。
日馬 美礼:コードネームはダンタリアン、今回対外だから名乗る機会あるかもしれないなあ。
日馬 美礼:ああ。そうそう、白南風くんにはお世話になってます。
GM:大変お世話になっております。
日馬 美礼:いやいや。受けてもらえないといろいろ辛いキャラ立てしてるから……と、世知辛い話はおいといて。
日馬 美礼:まあ、戦闘力は初期PCなみ。何せまともに戦闘力伸ばす要素に経験点1点も入れてないからね!
GM:尖りすぎている
日馬 美礼:かわりにカンパニーデータとかエンブレムデータとかごっそり常備化してある。役に立つといいんだけど。
日馬 美礼:データはメモにまとめてあるけど、とりあえず初期段階で<調達>3Lv伸びたり(財産点上がったり)とかするから、確認しといてね。
日馬 美礼:今回はUGN側責任者ってことで、まあなんとかするよ。
日馬 美礼:必要なら国家権力ともぶつかるけど、不要な争いはしないのが正義の味方ってもんだからね。そぉだろ?
GM:日馬さんは裏表の無い素敵な人です
日馬 美礼:ありがとう。素直な評価、嬉しいよ。
日馬 美礼:あ。そうそう、手持ちの財産ポイントを他人に使えるから、リサーチとか調達で困ったら言ってね。
日馬 美礼:こんなとこかな。じゃあ、ハンドアウトお願いします。
GM:はい!それではハンドアウトはこちら!
GM:シナリオロイス:五十嵐健一
君は合同捜査でUGNの代表として指揮を執ることになった。UGN、UGN本部、警察、麻薬取締部、DEA。大きな軋轢と断絶を持つ組織と組織の中で、なんとか作戦を成功に導かねばならない。
そんな時、組対の五十嵐警部が君に声をかけてくる。刑事としては珍しく親UGN派である彼は、君と同じく組織間の不和をなんとか取り持とうとしていた。

GM:支部長!頑張ってください!
GM:よろしくお願いします!
日馬 美礼:頑張るよ。よろしく!

GM:ではお次は
GM:PC3! 豊島さんお願いします!
豊島 正則:うす!
豊島 正則:「UGNの豊島だ。初めましてか久しぶりかはともかく、今回の道連れはアンタら、ってわけか」
豊島 正則:「ん?言い方がいちいち不吉だ、ってか?ハハ、そりゃ仕方無ェだろ。なんせ、こちとら札付きの凶鳥だ」
豊島 正則:「なぁに、もしもの時の後始末は任せとけ。そういうのは慣れてるんでな」
豊島 正則:"凶鳥(フッケバイン)"豊島正則。全身を傷跡と包帯で覆われた、20歳にして歴戦のUGNエージェント。一応高校3年生。
豊島 正則:やさぐれた風ではあれどなんだかんだで面倒見はよく、けれどある程度距離は置きたがる、という困った生き物。
GM:留年り高校生!
豊島 正則:そう、ダブりなのだ…!
豊島 正則:自身の腕前と併せ、死んだ仲間の記憶、経験、技術を再現して戦う。特に、師直伝の槍捌きは、死を運ぶ凶鳥と呼ぶに相応しい。
豊島 正則:N市では第二支部長補佐という役職を任せられ、ますます学校に行く時間がなくなったのが悩みの種だとか。
GM:また留年しちゃうよ!
豊島 正則:火力自体は初期データからさほど伸びていませんが、カバーリング、範囲攻撃の収束、射程シーン攻撃とかゆいところに手が届く成長を心がけました。
豊島 正則:あと、Dロイス(屍人)とガードとエンブレムの防具のおかげでやたら頑丈です。
豊島 正則:死んだら学校行けねえからな!
GM:学校行こう!
豊島 正則:俺、無事に帰ったら…ちゃんと学校行くんだ…。
豊島 正則:フラグをおっ立てるのは置いといて、ハンドアウトをお願いします!
GM:はい!ではハンドアウトはこちら!
GM:シナリオロイス:エージェント・シンシア
君は今回の合同捜査において、突入・確保要員として起用されたオーヴァードだ。ただ敵を倒すだけの仕事だと思っていたところに、UGN日本支部長霧谷雄吾から直々に指令が下る。それは合同捜査で手一杯のPC2に代わって、本部から派遣されてきたエージェント、シンシアの対応を任せるというもの。平たく言えば、接待だ。
だが、いざ到着したシンシアは、とても本部エージェントとは思えないような人物だった。

GM:仲良くしてあげてくださいね
GM:よろしくお願いします!
豊島 正則:はい、よろしくお願いしま…さては面倒だからって接待押し付けやがったなあの女!?
豊島 正則:改めて、よろしくお願いします。

GM:はい!それでは次!
GM:矢ヶ崎さんお願いします!
矢ヶ崎藍華:はい!
矢ヶ崎藍華:矢ヶ崎藍華、第六の矢ヶ崎朱華の双子の妹でイリーガルです!
矢ヶ崎藍華:異常なレネゲイド適正のせいで覚醒時に大事故を起こし、けっこうな被害者とトラウマを遺してしまったロケットスタートを経て、今は何でも屋をやる高校生になりましあ
GM:ロケットスタートだよ
矢ヶ崎藍華:表面的にはほがらかで人懐っこく、気に入った人には概ね犬のような甘え方をしてきます。
矢ヶ崎藍華:しかし実際のところ、生き残った人々に対する罪悪感が今でも重くのしかかっております。特に姉に対しては複雑極まりねえ感情が残っている…
GM:でかい感情 素晴らしい
矢ヶ崎藍華:最近の女の子は一筋縄ではないのでした。
矢ヶ崎藍華:性能は、極悪ジョックエフェクト・ツインバーストを全力で使用した破滅的RC。ガードさせることにより紅蓮の衣のダメージ加算で高い打点を稼ぎます
矢ヶ崎藍華:相手に応じて範囲・射程を可変させることが出来ます。露払いに狙撃、決戦爆縮のモードを搭載しており、とにかく暴れます
GM:とんでもねえ火力だよ
GM:助けてくれ
矢ヶ崎藍華:あ、それと。これとっても大事な情報なんですけど
矢ヶ崎藍華:おっぱいがすごく大きいです。よろしくお願いします!ハンドアウトお願いします
GM:いいことだ…何よりも…
GM:ハンドアウトはこちら!
GM:シナリオロイス:チコ
君はまだUGNに所属して日が浅いエージェント、もしくはイリーガルだ。
その立場を利用して、カルテルへの潜入要員として白羽の矢が立った。
指定された待ち合わせ場所に赴くと、君を迎えたのは一人のオーヴァードだった。名前をチコという。まだ年若く、思慮も浅そうに見える彼女は、しかしカルテルの麻薬輸送を一手に担う重要人物だった。
君は彼女のもと、カルテル内部に潜入し、その全貌を白日の下に晒さねばならない。

GM:順番ではPC4ですが
GM:おそらく出番はいちばん多いぞ!
GM:よろしくお願いします!
矢ヶ崎藍華:マジで!?
矢ヶ崎藍華:よろしくお願いします!がんばって懐柔するぞ~~

GM:それでは次!
GM:PC5鴻上さん!トリをお願いします
鴻上禮次郎:応ともっ!
鴻上禮次郎:鴻上禮次郎、ヤクザの組長をやっていました
鴻上禮次郎:仁義を第一とする古風な任侠で、FHとの関係を深めていく鴻央会に対して不信感を強めていたところ
鴻上禮次郎:麻薬カルテルの襲撃により自らの組が壊滅してしまいます
鴻上禮次郎:(号泣)
GM:ひどい…誰がこんなことを…
鴻上禮次郎:その時のストレスが原因でせっかく生き延びたはずの情婦の出産でトラブルが発生、お腹の子供も情婦も同時に失って、何もかもを失ったので
GM:何ッ!
鴻上禮次郎:麻薬カルテルを殺して死に花を咲かせることに決めました
GM:情婦…殺されたのかと思ってたぜ…
GM:殺していいですか?
鴻上禮次郎:良いですよ!
GM:OK!殺します!
鴻上禮次郎:流れで殺していきましょう!
鴻上禮次郎:というわけでダイナミック自殺のためにUGNの皆様のお世話になります!
鴻上禮次郎:ミドルからクライマックスにかけて咎人の剣で何もかもぶったぎる火力を吐き出し続けるシンプルな構成です!
鴻上禮次郎:みんなよろしくねっ!
GM:OK!ではハンドアウトはこちら!
GM:シナリオロイス:???
君は鴻央会傘下暴力団、鴻鵠会の組長だ。
構成員の大半がカルテルにより殺害され、組は機能停止に陥った。君は玉砕覚悟で仇討ちに赴かんとしたところを、義父に止められる。
彼の指示により、君は今回の合同捜査に参加することになった。君はUGNと、そこに所属するオーヴァード達の現実と真実を知ることになる。

GM:シナリオロイスはあとで明かすので、その時既に一杯だったら取らなくても大丈夫!
GM:まあ…1個は開けておいてもらった方がいいかな?というアレです
鴻上禮次郎:イエス!
鴻上禮次郎:つまり一つ開けておけというフリ!
GM:そういう感じ!よろしくお願いします!

GM:では始めましょう!よろしくお願いします!
新垣御守:うおおお!
新垣御守:ヨロシクオネガイシマス!
鴻上禮次郎:おねがいします!!!!!!
矢ヶ崎藍華:よろしくお願いしますが!!!
豊島 正則:よろしくお願いしまーす!

Index


【OP1 シーンPC:新垣御守】
【OP2 シーンPC:鴻上禮次郎】
【OP3 シーンPC:日馬美礼 豊島正則 矢ヶ崎藍華】
【Middle1 シーンPC 新垣御守 日馬美礼 豊島正則 鴻上禮次郎】
【Middle2 シーンPC:矢ヶ崎藍華】
【Middle3 シーンPC: 新垣御守 日馬美礼 豊島正則 鴻上禮次郎】
【Middle4 シーンPC:日馬美礼】
【Middle5 シーンPC:新垣御守 豊島正則 矢ヶ崎藍華】
【Middle6 情報収集シーン】
【Middle7 シーンPC:鴻上禮次郎】
【Middle8 シーンPC:豊島正則】
【Middle9 シーンPC:矢ヶ崎藍華】
【Middle10 シーンPC:新垣御守 日馬美礼 豊島正則 鴻上禮次郎】
【Middle11 シーンPC:矢ヶ崎藍華】
【Middle12 シーンPC:日馬美礼】
【Middle13 シーンPC:矢ヶ崎藍華】
【Middle14 シーンPC:豊島正則】
【Middle15 シーンPC:矢ヶ崎藍華】
【Middle16 シーンPC:鴻上禮次郎】
【Middle17 シーンPC:新垣御守 日馬美礼】
【Middle18 シーンPC:新垣御守 日馬美礼 豊島正則 矢ヶ崎藍華】
【Climax】
【共通ED】
【ED:日馬美礼】
【ED:鴻上禮次郎】
【ED:豊島正則、矢ヶ崎藍華】
【ED:新垣御守】

【OP1 シーンPC:新垣御守】

GM:登場侵蝕どうぞ!
新垣御守:1d10+29
DoubleCross : (1D10+29) → 1[1]+29 → 30

GM:----------
新垣御守:私の産まれは沖縄で、那覇からも遠い、何にもない港町。
新垣御守:母さんも父さんも私がなんにも覚えてない頃に死んで、おばあと一人暮らし。
新垣御守:もう何にも覚えてないけど、縁側で聞いた三線の音色だけは、何故かよく覚えてる。
新垣御守:ある時、港に遊びに行って
新垣御守:男たちが包みを受け渡す所を見た。
新垣御守:白い、粉の入った包み。11歳の子供でもそれが何かは分かる。
ガラの悪い男たち:「オイッ!ガキがいるぞ!」
ガラの悪い男たち:「見られた!捕まえろッ!!」
ガラの悪い男たち:「……どうする?」
ガラの悪い男たち:「向こうの連中にこのまま渡しちまえ……あいつらなら」
ガラの悪い男たち:「魚の餌にするなり、売り捌くなり、適当にやるだろう」
新垣御守:殴られて、目を覚ましたら、また殴られて
新垣御守:ようやく意識がはっきりとしてきた時には、荷台に揺られていた。
新垣御守:周りから聞こえてくるのは、聞いたことのない言葉。
新垣御守:みんな私と同じくらいの子供たちばっかりだった。
新垣御守:車を降ろされて、崩れた白いブロックの門をくぐって……
新垣御守:その建物をよく覚えている。
新垣御守:中に居たのは、袋を被せられた人々だった。
新垣御守:私達はその向かいに立たされて
新垣御守:順番に、銃を握らされる。
ゲリラ:「×××」
ゲリラ:「……××!」
新垣御守:一番端の子供が蹴り飛ばされる。
新垣御守:何度も、何度も、何度も。血が口から溢れ出ている。
新垣御守:言葉は分からなくても、何を言ってるのかは分かる。
新垣御守:私は銃を持ち上げて、向かいに立っている誰かに向けた。
新垣御守:……痛みと空腹で朦朧とした頭で考える。
新垣御守:きっと、この人は
新垣御守:泥棒だとか、人殺しだとか
新垣御守:こんな目に会う理由があったんだ。こうなって当然の人間なんだ。
新垣御守:そうに違いない。
新垣御守:……初めて引いた引き金は、思ったより軽かった。
新垣御守:それから私は、沢山引き金を引いた。
新垣御守:武器を持っている人にも、武器を持っていない人にも
新垣御守:男の人にも、女の人にも、私と同じくらいの子供にも。
新垣御守:やがて私の血は毒になった。
新垣御守:毒が煙になって、傷つくほど、人を殺す。
新垣御守:私が殺した人たちが、私を通して地獄に呼んでいる。
新垣御守:もっと寄越せ。もっと寄越せ。
新垣御守:それで、後は、そう。
新垣御守:あの日がやってきた。

GM:----------
GM:数年前 中国西南部
GM:----------

GM:細かく砕いた粉末を、一息に鼻腔に吸い込むと、意識に薄い膜が張られた。
GM:君は粗末な石造りの民家の壁に寄り掛かり、ドラッグを服用していた。この村に駐屯して一週間近くが経つ。もうすぐ備蓄されていた食糧も尽きるので、そろそろ移動する頃だろう。元いた住民がどうなったかは、言うまでもない。
GM:テロ組織の構成員は、大半が強制徴用された少年兵だった。少年らに自らの手で肉親を殺させ、退路を無くしてから麻薬に溺れさせて判断力を奪うのが、テロリスト達の常套手段だった。
GM:君を取り巻く戦況は日に日に悪化しつつあり、戦闘は激しさを増す一方だった。公には認められていないが、今や世界のどこに行っても、オーヴァードのいない紛争地など存在しない。
GM:オーヴァードであることは前提条件であって、もはや飛び抜けたアドバンテージではないのだ。
GM:仲間達が次々に補充されては死んでいく中で、君だけが生き延び続けることができているのは、ひとえにその特異性によるものだった。
GM:君が感染したレネゲイドウイルスは、他のレネゲイドを抑制し、害する、希少な性質を帯びていた。
GM:『対抗種』。
GM:そう呼ばれる特殊なオーヴァードは、一般人に対するオーヴァードのように、他のオーヴァードに対し、戦闘において明確な優位性を持っていた。
新垣御守:「……」
新垣御守:薬を入れると、少しだけ、「声」が弱まる気がする。
新垣御守:それでも消えるわけじゃない。
新垣御守:もっと寄越せ。もっと寄越せ。
新垣御守:撃ってくるから殺せ、撃たれない内に殺せ
新垣御守:男だから殺せ、女だから殺せ
新垣御守:今日は空が晴れているから殺せ、今日は雨が降っているから殺せ
新垣御守:見えたから殺せ、聞こえたから殺せ、匂うから殺せ、殺せ、殺せ、殺せ
新垣御守:しゅーーーーー。
新垣御守:掌の傷から、極彩色の煙がゆらめき。
新垣御守:やがて、傷の回復とともに、止まる。
GM:テロリスト達は君が戦果を上げるたびに大袈裟に褒め称えたが、君にはそんなことはどうでもよかった。
GM:初めは強制されて服用したはずの麻薬は、今ではほとんど四六時中欲するようになっていた。
GM:成分が切れれば禁断症状に苦しみ、ガンパウダーでも構わずに使った。
GM:アッパーか、ダウナーか。どちらにしても朦朧とする意識の中、テロリスト達と、「声」の命令のまま敵を殺し、そうしてまた麻薬に溺れる。
GM:そんな生活がどれほど続いたのかも、もう分からなくなっていた。
新垣御守:声に従う。
新垣御守:私の体を動かすのは『声』で
新垣御守:私はそれを小さな部屋の隅で眺めているだけ。
新垣御守:ただ終わるのを、じっと待っているだけ。
新垣御守:ああ、なんて、なにもかも
新垣御守:かんたんなんだろう。
GM:――そんな時だった。

GM:……遠くから、微かに銃声と怒号が聞こえてくる。
新垣御守:「……!」
GM:初めは散発的だったその音は、やがて断続的になり、次第に近く、大きくなってくる。
新垣御守:ナイフを握る。
GM:「敵襲ーーッ!!」
GM:怒号が響き渡り、君の意識は一気に覚醒する。
新垣御守:私に傷を付けるような人間が相手だとすれば、銃では遅すぎる。
新垣御守:だから奪ったもの以外では、銃は使わない。
GM:君の周囲の少年兵達が銃をひっ掴み、銃声の方向へ駆り立てられるように、我先にと走っていく。
新垣御守:民家を盾にしつつ、それに続く。
新垣御守:私の役割は「大物狩り」だ。
新垣御守:怪物には怪物を。
GM:最後尾を行く君が、その場に辿り着いた時には、
GM:既に、周囲は静まり返っていた。
GM:折り重なるように地面に倒れる兵士達。そこに無傷で立つ人影があった。
GM:女だ。髪は黒。武器は無い。戦場の最中にあって、寛いですら見えるような悠然さで、立ち尽くす君を見つめている。
GM:君には直感的に理解できる。オーヴァード――つまり、敵だ。
新垣御守:隠れる必要が無いと直感で理解出来る。
新垣御守:隠れても意味がないからだ。
新垣御守:「……」
新垣御守:ナイフを逆手に構え
新垣御守:音もなく跳躍する。
新垣御守:異常に発達した脚のバネを使った奇襲。
新垣御守:これで頚椎を一撃で切断し
新垣御守:無力化した相手を馬乗りで刺し続ける。
新垣御守:私の一番得意な手だ。正面から躱せた奴はいない。
???:「……」
???:女の口が、にぃ、と、笑みの形に歪む。
新垣御守:空中で上下を逆さにしながら
新垣御守:その笑みを見る。
新垣御守:しまった。そう気付く。
???:瞬間。
???:女の腕から、血液が噴出する。形成されたのは、目が醒めるような鮮やかな赤の刃。
???:君と同じ、ブラム=ストーカーの能力者だ。
新垣御守:「!!」
???:鞭のようにしなる血の刃が、君の跳躍を迎撃する!
新垣御守:対処不可能な空中の死角から、撃ち落とされる!
新垣御守:「が……!」
新垣御守:着地し、傷口から煙が漏れる。
新垣御守:しゅう。しゅう。
???:女は悠然と、君に歩み寄ってくる。
GM:傷は浅い。まだ戦える力はあるはずだ。
GM:負ければ、死ぬ。
新垣御守:「……ぅうううう!!」
新垣御守:ブシッ!
新垣御守:掌を深く切りつけ
新垣御守:傷口から、猛毒の煙を吹き付ける!
???:「!」
新垣御守:ゴォオオッ
新垣御守:人も、獣も、オーヴァードも
新垣御守:麻痺させ、朽ちさせ、死に至らしめる猛毒が
新垣御守:木々の間を吹き抜ける。
???:女は咄嗟に口元を覆い、咳き込んで怯む。
???:「――毒か……!」
新垣御守:勝てる。殺せる。
新垣御守:一気に距離を詰め、馬乗りになり
新垣御守:ナイフを振り上げる!
GM:その瞬間。
GM:がくん、と。
GM:君の腕から、急激に力が抜けていく。
新垣御守:「……!?」
新垣御守:「あ……?」
新垣御守:ナイフを取り落とす。
GM:脱力感と同時に、全身が焼けるように痛む。
新垣御守:「はぁ……ううぅ…!」
新垣御守:「何を……!」
新垣御守:「した……!!」
GM:自らの身で味わったことはなかったが、君はその症状の原因に気付く。
GM:今の君は、君が殺してきたオーヴァード達の、死の間際の姿と全く同じ。
GM:この女は、『対抗種』だ。
新垣御守:「!!」
GM:隙を見せた瞬間、
GM:女の掌底が、君の顎を強かに打ち据えた。
GM:乾いた破裂音が響き渡る。
新垣御守:地面を転がる。脳が揺らされ、意識が朦朧とする。
新垣御守:そして指先が震える。自分の命を離れて、肉体が壊れていく感覚。鈍い痛みが遅れてそれに続く。
新垣御守:「はぁ…うぐぁ…っ!」
新垣御守:だから何だというのだろう。
新垣御守:殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。
新垣御守:『声』に従わなくちゃ。
新垣御守:元々この体は、もう私のものじゃないんだ。
新垣御守:私は私のものじゃないんだ。
新垣御守:私はもう、どこにもいないんだから。
新垣御守:「……殺す……殺す……」
新垣御守:よろめき、立ち上がろうとする。
???:「んっ」
???:すかさず君の腹に、容赦ないトーキックが突き刺さる。
新垣御守:「ごほ!」
新垣御守:女の前に、ただ崩れ落ちる。
新垣御守:「殺さなきゃ、殺さなきゃ」
???:「……は? まだやる気かよ」頭上から、呆れたような声。
新垣御守:しがみつく。縋るように。
新垣御守:「殺したから、殺さなきゃ、私、私」
新垣御守:「……人を、ころしちゃった……」
???:「…………」
新垣御守:ごめんなさい。ごめんなさい。
新垣御守:涙が出てくる。ただ許して欲しくて、もういない沢山の人達に。
新垣御守:なんでこんな所に、私はいるんだろう。
???:女は、君の傍に座り込み、目線を合わせると、
???:「やるな、お前」
???:そう言って、白い歯を見せて笑った。
???:「安心しろよ。私は敵じゃない。逆だ」
新垣御守:「……え……」
新垣御守:ようやくそこで、女の顔を直視する。
GM:女は君を見て、少し悲しそうに、しかし心配いらないというように、笑顔を作る。
リリアナ:「私はリリアナ。リリアナ・マルティネス。UGNエージェントだ。こっちの政府と提携してテロ組織を……あー、つっても分からんか」
リリアナ:リリアナと名乗った女は頭を掻き、
リリアナ:「要するに、だ」
リリアナ:「お前を助けに来た」
リリアナ:そこで君は気付く。一目では分からなかったが、周囲に倒れる少年兵達は、その誰もが無力化されただけで、致命傷は負っていないようだ。
新垣御守:「……もう」
新垣御守:「もう、しなくていいの……?」
リリアナ:「……んー、それなんだけどさァ……」
リリアナ:リリアナは困ったような顔をして、
リリアナ:「あと、1回だけ。お前次第、かもしんない」
新垣御守:「?」
新垣御守:殺せ。殺せ。殺せ。
新垣御守:声は止まっていない。
リリアナ:「とりあえず、聞きたいんだけどさ……。……リーダーはどこにいる?」
GM:---------
GM:「たっ、助けてくれ、何でもする、金なら払う……!」
GM:つい数十秒前まで少女を犯していたテロ組織のリーダーは、全裸にシャツだけの姿で額を地に擦り付けた。
GM:その姿を、痩せ細った少女がガラス玉のような目で見つめている。
リリアナ:「さあてなぁ、処遇は任せると言われてるんだけど……」
GM:「な……なら頼むよ……!見逃してくれ、なっ!俺は政府にも顔が効く!ここで見逃してくれたほうが、あんたにも、あんたの組織にも、きっと益になるぜ……!」
新垣御守:「……」
リリアナ:弄んでいるのか、本当に悩んでいるのか、リリアナはしばらくううん、と唸って、
新垣御守:リリアナの背後、男を見つめている。
リリアナ:「よし」
リリアナ:君に拳銃を手渡した。
新垣御守:「え……」
リリアナ:「こういうのはさ、やっぱり当事者じゃなきゃ判断できんだろ」
新垣御守:掌の中の銃と、リリアナの顔を見比べる。
リリアナ:「安心しろよ、何したって罪に問うたりしないから」
リリアナ:「まあ、私だったら……」
リリアナ:男を冷たい目で見下ろし
リリアナ:「殺すけどな」
新垣御守:「……」
GM:「あ……あんた何言って……!」
新垣御守:銃を男に向ける。
GM:「や、やめろ……!」
新垣御守:これまで何度も、何百回も。
新垣御守:そうして来たように。
新垣御守:殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。
GM:男は取り乱し、必死の形相で叫ぶ。
GM:「お、恩を忘れたのか!?この化け物が……!やめろォ!!く、来るなァ……!!」
新垣御守:「リリアナ」
新垣御守:「これで、聞こえなくなるの?」
新垣御守:「これで、終わりに出来るの……?」
リリアナ:「…………」
リリアナ:「そうだ、と言いたいところだが」
リリアナ:「私は、嘘はつきたくない」
リリアナ:「お前の苦しみは、これからも癒えることのないものかもしれない」
リリアナ:「一生、抱えていかなきゃいけないものかもしれない」
新垣御守:「うん……」
新垣御守:照準を男に合わせる。
リリアナ:「だが……」
リリアナ:怯える男を見下ろし、
リリアナ:「少なくとも、こいつの為に誰かを殺すことは、しなくてよくなる」
リリアナ:「まあ、決めるのはお前だ」
リリアナ:「任せるよ」
新垣御守:みんなこいつが悪いんだ。
新垣御守:みんながこいつを呼んでいる。
新垣御守:殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。
新垣御守:私はそれを、小さな部屋の隅で。
新垣御守:「……あれ?」
新垣御守:引き金を引く指が動かない。
新垣御守:違う。
新垣御守:殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。
新垣御守:うるさい。うるさいうるさいうるさい。
新垣御守:バキィッ!
新垣御守:部屋の隅に、銃を投げつける。
リリアナ:「…………」
新垣御守:「私は、私は」
新垣御守:「殺したくなんかない……!!」
GM:君の肩に、リリアナの手が置かれる。
新垣御守:「誰も殺したくない……」
新垣御守:「ここでやめる。もう戻りたくない」
リリアナ:「うん」
リリアナ:「………いいんだよ、それで」
新垣御守:「リリアナ……リリアナぁ……」
リリアナ:「うん」
新垣御守:「うああああああん…うあああああん!!」
リリアナ:「……そうだよな」
新垣御守:リリアナにしがみついて、泣く。
新垣御守:私が、やっと私に帰ってこれた。
新垣御守:おかえり。ただいま。
GM:「はっ……はは、はっ……!」
GM:安堵に息を吐き、笑みを漏らす男。
GM:「そうだ。それでい――」
GM:その頭を、
GM:「がびゅ」
GM:リリアナの腕から伸びた血の刃が、串刺しにする。
リリアナ:「言ったよな」
リリアナ:「処遇は任せられてる」
GM:ごとん、と、死体が床に倒れる音。
GM:リリアナはそれを見下ろし、煙草に火をつけ、
GM:泣きじゃくる君に屈みこむ。
GM:そして君の手を握り、抱き締める。
新垣御守:ただ腕の中で震える。
新垣御守:温かい。人の肌が温かいなんて感じるのは
新垣御守:ああ、いつぶりだっただろう。
GM:不確かな慰めは、口にしない。ただ一言。
リリアナ:「……つらかったな」
GM:そう、言った。

GM:----------
GM:数ヶ月後 沖縄
GM:----------

新垣御守:「おばあ!!」
新垣御守:病室に駆け込む。沢山のチューブに繋がれたおばあちゃんは
新垣ウタ:「……ああ……御守ちゃん……」
新垣ウタ:「遅うなったねえ……」
新垣御守:一言だけ、そう言ってくれた。
新垣御守:そうして、眠るように
新垣御守:一週間後に息を引き取った。
GM:テロ組織から解放され、救出された君は
GM:UGNで治療とカウンセリングを受けたのち、
GM:本人の強い希望から、急ぎ帰郷することとなった。
GM:故郷に残してきた祖母は、
GM:君の帰りを待つためだけに、ずっと耐えてきたかのようだった。
新垣御守:水平線に向かって、おばあの体だった煙が流れていく。
新垣御守:ずっと待たせてごめんね。遅くなってごめんね。
新垣御守:私戻ってきたよ。この海に。もう大丈夫だよ。
新垣御守:白い珊瑚の1つを拾い上げ、握りしめる。
GM:……君は、火葬場から立ち昇る煙を見上げている。
GM:その日は祖母の葬儀だったが、居並ぶ参列者達の無遠慮な視線や陰口に、思わず外の空気を吸いに来たところだった。
GM:「……お祖母さん、最後に何だって?」
GM:不意に、背後から声を掛けられる
新垣御守:「!」
新垣御守:振り返る。
GM:そこには、煙草を咥えたリリアナが立っていた。
新垣御守:「リリアナ!」
新垣御守:ぱあっと笑顔を浮かべ、飛びつく。
リリアナ:「おわ、とと」
リリアナ:それをしっかりと抱き留める。
新垣御守:「……あれ?なんでここにいるの?」
新垣御守:ふと気づいて、変な顔。
リリアナ:「は?お前、私が沖縄県民にでも見えるのかよ」
リリアナ:「私は優しいから、お前の様子を見に来てやったに決まってんだろ!この!」
リリアナ:リリアナは君の頭を指でつっつく。
新垣御守:「えぅっ!?」
新垣御守:「で、でも、お仕事とか」
新垣御守:「忙しいんじゃ、ないの?」
新垣御守:伏し目がちにリリアナを見る。
リリアナ:「いいんだよ、子供はそんなこと気にしなくて」ふっと笑う。
リリアナ:「元気してたか、ミム……ミ……モ……」
リリアナ:リリアナは口をもごもごさせて、
新垣御守:「……ふふ」
リリアナ:「……日本人の名前は発音しづらいんだ」と目を逸らした。
新垣御守:「言いにくいんだ。外人さんだもんね」
新垣御守:「元気だったよ。もうすっかり」
新垣御守:「……あの国の事が、昔みたい」
新垣御守:掌を見る。
リリアナ:「……そっか。そりゃよかった。……マジでな」複雑な顔で、君の表情を見つめる。
新垣御守:何度も同じ場所にナイフで刻んだ傷の痕。
新垣御守:「リリアナ」
リリアナ:「ん?」
新垣御守:「……ありがとう。来てくれて」
新垣御守:「あの時私に選ばせてくれて」
新垣御守:「私、私ね」
新垣御守:「新垣御守だよ。おばあがいて、この島で産まれて。それを」
新垣御守:「……やっと、思い出せた」
新垣御守:また瞳に涙が滲む。本当にこの砂浜に立てていることが、現実だと思えなくて。
新垣御守:「リリアナ……ありがとう」
リリアナ:「…………」
リリアナ:しばらく、視線をさまよわせて。
リリアナ:「……感謝なんて、しなくていンだよ」
リリアナ:「私が好きにやったことだ」
リリアナ:「お前を助けたのも、お前に選ばせたのも、」
リリアナ:「ただ私が勝手にやっただけだ」
リリアナ:「それがいい方向に転がったってんなら、」
リリアナ:「それは運が良かったか、お前が頑張ったからだろ」
リリアナ:「今日こっちに来たのだって」
リリアナ:「別に?ホントはちょっと本場のゴーヤチャンプルーが食べたいなって思っただけだし?」
GM:だが君は、彼女が医師の反対を押し切り、君が帰郷できるように手を尽くしていたことを知っている。
新垣御守:「……」
新垣御守:それを聞いて、顔を寄せ
新垣御守:頬に口づけします。
リリアナ:「ああ!?」
リリアナ:ばっ、と身を放し、
新垣御守:「あはは!びっくりしてる!」
リリアナ:「な……何してんだオメー!!そういうのは好きな奴が出来た時にやれ!!」
リリアナ:「クソッ!マセガキが……!」
新垣御守:「外人さんなのに、ほっぺにキスくらいで」
新垣御守:「リリアナってカレシいないんでしょ」
新垣御守:いたずらっぽくニコニコしている
リリアナ:「ああ!?いるわ!!ウジャウジャいるわ!!わんさかいるわ!!」
新垣御守:「ウソ!絶対ウソ!あはは!」
新垣御守:「……リリアナが勝手にするなら」
新垣御守:「私も勝手にするよ」
新垣御守:「いつまでだって忘れない。リリアナがどんなになっても」
新垣御守:「私の大好きな人だから」
リリアナ:「…………」視線を逸らして、むずがゆいような顔をして。
リリアナ:「あー、ミモ、ルィ、ミム……」
リリアナ:「……ああ! お前、なんかあだ名とか無いわけ?」
リリアナ:「発音できねえっての、この名前」
新垣御守:「……えーっと」
新垣御守:「アニー」
新垣御守:「って呼んでた子がいたよ。赤って意味だから」
リリアナ:「へえ?」感心したように。
新垣御守:自分の髪をくいくい引っ張る。
リリアナ:「アニー……うん、いいじゃないか」
リリアナ:「今度からそう呼ばせてもらうよ、アニー」
新垣御守:「じゃあさ、あの」
新垣御守:「あのね……」
新垣御守:手を背中側で組んで、言いにくそうに
リリアナ:「ん?」咥え煙草をぴくりと動かす。
リリアナ:「何だよ、モジモジしやがって」
新垣御守:「えっと、ね」
新垣御守:「リリ姉って、呼んでもいい……?」
新垣御守:「……………お姉ちゃん……いないから……」
リリアナ:「……ふーん」
リリアナ:リリアナは少し目を細める。
リリアナ:「別にいいぜ。友達からはリリィって呼ばれてるしな」
新垣御守:「……!」
リリアナ:「にしても、私が姉ちゃんってガラかよ?」苦笑する。
新垣御守:「じゃあ、リリ姉ね。リリ姉!」
新垣御守:「っふふ、お母さんのほうがいいかな」
リリアナ:「あー、わ、分かった分かったって!じゃれるな!ここあっちーんだよ!」
新垣御守:「リリ姉おばさんだもん!えへへ」
リリアナ:「いや、やめろよお前…私まだ十代だぞ……」
リリアナ:「ホントまじで……やめろよ……」
新垣御守:君の背中によじよじ上り、首にぶら下がる。
新垣御守:「おばさんじゃん!おばさんおばさーん!」
リリアナ:「クソッ!このガキ……!見てろ!」
リリアナ:リリアナは君をおんぶしたまま猛然とダッシュし、
リリアナ:そのまま、海に向かって飛び込んだ。
リリアナ:「喰らえーーー!!」
新垣御守:「わぷ!」
新垣御守:「あはは!あははは!やったなー!」
新垣御守:ぱしゃぱしゃと水面に飛沫を立てながら
新垣御守:塩水が口に入るのも構わず、大きく笑う。
リリアナ:「こいつ!大人を舐めるな!おら!おらおら!!」
GM:そうして、二人で子供のように遊んでいると、
GM:瞬く間に時間は過ぎ去っていた。
GM:二人は砂浜に並んで腰を下ろす。
リリアナ:「お前、これからどうするんだ?」
リリアナ:不意に、リリアナはそんなことを訊いてきた。
新垣御守:「えーっと、UGN?の人も言ってたけど」
新垣御守:「学校行くよ。今まで遅れた分、全部宿題だって」
新垣御守:「こんなにあるんだよ!こーんなに!気が重いなー」
リリアナ:「ははは!」リリアナは大きく笑って、
リリアナ:「いいや、いいことだよ」
リリアナ:「やることがあるってのは、いいことだ」
リリアナ:「なあ、アニー」ぽつりと呟く。
新垣御守:「……なあに、リリ姉」
新垣御守:膝を抱えながら、そっちを見る
リリアナ:「お前はこれから、色んなものを見て、色んな事を知って、色んな思いを感じて……」
リリアナ:「そうやってこの国で、少しずつ大人になっていける」
リリアナ:「当たり前の、他の奴らと、同じようにな」
リリアナ:「……人はやり直せるんだよ、アニー。どんな過去があったって、何度だってな」
リリアナ:そう言うリリアナの瞳には、何か深い実感のようなものが見て取れた。
リリアナ:「……お前は、きっと」
リリアナ:リリアナは君の頭に手を置いて、
リリアナ:「幸せになれるよ」
新垣御守:「……」
新垣御守:とすっとリリアナの方にもたれかかり
新垣御守:「リリ姉も幸せになってね」
新垣御守:「でないと、私、グレてやるから」
リリアナ:「…………そりゃあ、」
リリアナ:「何が何でも、ならないとな」
リリアナ:彼女はそう言って、愉快そうに笑った。
新垣御守:ーー1年後、中学を出た私は、そのままUGNに連絡を取った。
新垣御守:あの後リリアナの言ってたみたいに、普通の勉強をして、普通の遊びをして、普通の友達も出来た。
新垣御守:でもやっぱり、私がなりたい大人の姿も、本当に傍にいたい人も
新垣御守:一年くらいじゃ、変わるはずがなかった。

GM:----------
GM:数年後 N市埠頭
GM:----------

GM:……夜明け前の埠頭を、一人の少女が走っていく。
GM:まだ中学生ほどの幼い少女の息は荒く、足をもつらせながら、何度も背後を振り返る。
GM:少女は国際テロ組織、FHの一員だった。だが所属していたセルがUGNにより壊滅し、彼女一人が残されたのだ。
GM:後方から聞こえてくる、もう一つの足音。追手だ。少女はさらに足を早める。埠頭を埋め尽くすコンテナの間を縫って、必死に逃げる。
リリアナ:「行ったぞ、アニー!!」
GM:その声にほんの少し振り向いた、一瞬の隙が命取りだった。
新垣御守:「あいよ!任せといて!」
新垣御守:「そっから先は……通行、止めっ!!」
新垣御守:ばしっ!!
新垣御守:少女の背丈を飛び越える動き、
GM:「!」突然の新手に驚愕し、硬直する少女。
新垣御守:空中で逆転しながら、後頭部に振り抜くのは
新垣御守:がつん!
新垣御守:強化ゴム製の警棒だ。ショックはあるが、怪我にはならない。
GM:「うえっ!?」
GM:衝撃を受け、少女はなすすべなく地面に転がる。
リリアナ:「よくやった、アニー!」
GM:追い付いてきたもう一人のUGNエージェント――リリアナが、少女をしっかりと拘束する。
GM:少女は激しく抵抗し、罵詈雑言を吐き散らす。
新垣御守:「へへへ。これが実力ってもんだよ。リリ姉」
GM:「クソッ!!離しやがれクソババア!!ぶっ殺すぞ!!」
リリアナ:「ああ、お前もようやく……誰がババアだ!!私はまだ22だ!!汚い言葉を使うんじゃねえクソガキが!!殺されてえのか!!」
新垣御守:「言われてるねぇ。でも」
新垣御守:「おおっと、ほら。そのお姉ちゃん怖いからさ」
新垣御守:「あんまりそういう事言わない方がいいと思うよ?特にトシのことは」
リリアナ:「それじゃ私が気にしてるみてえだろ!マジで若いんだっての!ふざけんなよなお前!」
新垣御守:ニコニコと二人の方に近づきながら
新垣御守:「……ふー」
新垣御守:夜空を見上げ、白い息を吐く。
GM:「クソ!!お前らUGNか……!汚い犬どもが、私に触るな……!」
新垣御守:殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。
新垣御守:声は今だって聞こえてる。でも。
新垣御守:少女の傍にしゃがみこんで
新垣御守:「それだけ元気あるなら大丈夫だ。よく覚えときなよ、新垣御守に、そっちはリリアナ」
新垣御守:「あんたをやっつけた正義の味方の名前。んで、リベンジでも何でも計画してよ」
新垣御守:「……待ってるからさ」
新垣御守:唇の端を上げる。
GM:「…………。 ……お、お前らUGNの名前なんて……!」
リリアナ:「ああ!?触るな!?じゃあ触ってやるよオラ!!どうだこの!!オラオラ!!」
新垣御守:「あはははは!リリ姉!マジ嫌がってんじゃんか、ほら~」
GM:「うあああ!!やめろ!!おい!!そ、そっちの!!助けろっ……あははは!!やめっ……助けてっ……」
新垣御守:殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。
新垣御守:ああ、それでも、今日も
新垣御守:私は私でいることが出来た。
新垣御守:「いっひひひ。ひー、涙出てきた」
GM:少女とリリアナの低次元な口喧嘩はしばらく続き、終わる頃には何やら仲良くすらなっていた。リリアナにはそういった、ごく狭い対象へのカリスマのようなものがあった。
GM:少女を見送る際、リリアナは彼女に呼び掛けた。
リリアナ:「……いいか。お前はまだ若い。いくらでもやり直せる。罪を償って、新しく正しい道を歩き出せ」
新垣御守:「ん。生きてさえいれば、ね」
GM:少女は返事はしなかったが、その言葉をしっかりと聴いているようだった。
新垣御守:その横で頷く。
新垣御守:2人分の缶コーヒーを持ってリリアナの傍へ
新垣御守:「本当、なんてゆーか」
新垣御守:かしゅ。
新垣御守:「懐に入るのが上手いっていうかさ、すぐ仲良くなるよね」
リリアナ:「……そうかぁ?」
新垣御守:「これでなんでモテないのかなー」
GM:UGN職員に連行されていく彼女を見送り、缶コーヒーを受け取って、リリアナは大きく背伸びをした。
リリアナ:「さて、疲れたな。ラーメン食って帰ろうぜ、アニー」
新垣御守:「今日もお疲れ様、リリ姉」
新垣御守:「いいの?太るよ?ダイエットは?」
リリアナ:「うっ……。い、いいんだよ!私が太ったってお前にゃ関係ないだろ!」
新垣御守:「えー、やだよ、コンビの片割れがジャバザハットみたいなんて」
リリアナ:「ラーメン食って太るなら、私はブクブクに肥えてやる」
新垣御守:「うーわ」
新垣御守:「じゃあ付き合う私もデブになっちゃうじゃん!」
リリアナ:「そうだ。堕ちるなら、二人一緒に地獄に堕ちようぜ」ひひ、と悪戯っぽくリリアナは笑い、
リリアナ:「それじゃあ……」
リリアナ:「負けた方の奢りな!」
リリアナ:言うや否や、リリアナは全速力で駆けていく。
新垣御守:「あ!マジ!?この女…!」
新垣御守:「ふざけんなー!待てー!こっのぉ!」
新垣御守:それに続いて、背中を追いかける。
新垣御守:歳も遠いし、リリアナは実績のあるエージェントで、私はチルドレン。
新垣御守:任務の時くらいしか、こんなに沢山は話せない。
新垣御守:このまま夜が明けなかったらいいのに。
新垣御守:走る背中を追いかけながら、そんな風に思う。
GM:----------
リリアナ:「……なんでお前が勝つんだよ」憮然とした表情で、リリアナはずるずるとラーメンをすする。
新垣御守:「まー、追いつかれたら死ぬって思春期でしたから」
新垣御守:ずるずると、こっちもラーメンを。
GM:よく任務の後に二人で来る屋台だった。リリアナは日本のラーメンが好きらしく、何かといってここに連れてこられる。
リリアナ:「……この国は、素晴らしい場所だ」
リリアナ:ショウガをどばどばかけながら、リリアナが唐突に言う。
新垣御守:「ん…?」
リリアナ:「正義が正義としてあり続けられる。子供が未来に希望を持てる。今日と同じ明日が、当たり前のようにやって来ると思ってる。当たり前になりすぎて、享受する側は気付いていないくらいだ。それが一体どれだけ、恵まれた奇跡であるのか……」
新垣御守:「ああ、まあ、そうだね」
新垣御守:「……本当に」
新垣御守:スープの中に揺れる照明。
リリアナ:「……お前なら、その価値もよく分かるだろう」
新垣御守:温かな食べ物。血の匂いのしない路地。銃声に怯えなくて済む夜の時間。
新垣御守:「……本当のこと、言えばさ」
リリアナ:「ん」
新垣御守:「夢みたいだよ。今この瞬間も」
リリアナ:その言葉に、リリアナは遠い目をする。
リリアナ:「夢」
新垣御守:「私は今もずっと、あの山にいて」
新垣御守:「それが夢を見てるんじゃないかって、時々思う」
リリアナ:「夢、か」
リリアナ:「確かに、そうだな」
新垣御守:「リリ姉も……そんな風に思う時、あるの?」
リリアナ:リリアナは、答えない。ただ少し、困ったような笑みを見せる。
リリアナ:「なあ、アニー」
新垣御守:「?」
リリアナ:「私たちは、この夢を……この『当たり前』を、守らなきゃいけない」
リリアナ:「……この国を、私の故郷みたいにしちゃいけないんだ」
リリアナ:そう言った彼女の表情は苦く、どこか苦難に耐える巡礼者を思わせた。
新垣御守:「……リリ姉」
新垣御守:「リリ姉の産まれた場所って、どんな所?」
リリアナ:……リリアナは、答えない。ただ、君は彼女の横顔に、ほんの少しの怒りと、罪悪感のようなものを感じ取る。
リリアナ:「なあ、アニー。もしも私がいなくなっても、きっとこの平和を守ってくれよ」
リリアナ:彼女は、唐突にそんなことを言った。
新垣御守:「!」
リリアナ:この時彼女には既に本部への移籍が打診されていたことを、君は後になって知る。
新垣御守:その横顔を、覗き込んで。
新垣御守:「私、出来るかな」
新垣御守:「リリ姉がいなくても、私」
新垣御守:「1人で出来るかな……」
リリアナ:「……お前だから、頼むんだ」
リリアナ:「自信を持て」
リリアナ:「お前は、私の自慢だ」
リリアナ:そう言って、リリアナは目を閉じる。
リリアナ:君と初めて会った時からのことを、思い出すかのように。
新垣御守:「……」
新垣御守:その言葉に、少し涙ぐんで
新垣御守:「分かってるよ。私だって、私だって」
新垣御守:「リリ姉に恥ずかしくないように、立派に、出来るよ。だから」
新垣御守:「いなくなったり、しないでよぉ……」
新垣御守:あーあ、また泣いてる。
新垣御守:この人と一緒にいる時の私は、いつも泣いてばっかりだ。
リリアナ:「……いつまで経っても、泣き虫だけは治らないな、お前は」
リリアナ:リリアナは、君を胸元に抱き寄せる。
新垣御守:「うう…うううっ…うぇえ……」
新垣御守:それでこの人の胸は
新垣御守:……いつも温かい。
リリアナ:「なあ、アニー。きっとだぞ」
リリアナ:君の背中をぽんぽんと優しく撫でながら、
リリアナ:「きっとこの、夢みたいな平和を、守ってくれよ」
新垣御守:「……っ」
新垣御守:震えながら、なんとか、それでも頷く。
リリアナ:「……ああ、良かった」
リリアナ:「……お前が約束してくれるなら、私も安心できる」
リリアナ:彼女はそう言って、心の底から安堵したように笑った。
GM:それから間も無く、リリアナは米国のUGN本部へ栄転となった。
GM:旅立つ彼女は君や同僚達との別れを惜しみ、目に涙を浮かべ、いつまでも手を振り続けていた。
GM:リリアナ・マルティネスがUGNを出奔したという噂が聞こえてきたのは、それからおよそ一年後のことだった。
GM:----------
GM:シーン終了。
新垣御守:うおおおおおおお
GM:ロイス取得が可能です。
新垣御守:ロイス取得!!!!!!!!
新垣御守:恩人/リリアナ・マルティネス/尊敬○/傾倒/ロイス
新垣御守:以上!!!!!!!!
GM:OK!


【OP2 シーンPC:鴻上禮次郎】

鴻上禮次郎:32+1d10
DoubleCross : (32+1D10) → 32+2[2] → 34


GM:---------
GM:数日前 N市 鴻央会傘下事務所
GM:-----------

GM:鴻鵠会。
GM:指定暴力団鴻央会、その大量の下部組織の中でも稼ぎ頭として知られつつ、昔ながらの任侠を信条とする彼らは、界隈では一目置かれる存在だった。
GM:だが、組長である君が所用でほんの数時間、事務所を空けた内に――『何か』が起きた。
GM:事務所に控えていたはずの構成員達が、数時間の内に忽然と姿を消した。残されたのは争った形跡と、大量の血痕のみ。
GM:敵対組織の襲撃が疑われたが、捜査は遅々として進まなかった。
GM:鴻鵠会は幹部を含む構成員の大半を失い、殆ど機能停止の状態に追い込まれた。
GM:鴻鵠会の稼ぎに目を付けた他組織が虎視眈々と隙を伺い、守ってきた縄張りが安いチンピラ崩れに好き放題荒らされる状況を、ただ黙って見ていることしか出来ないような状況。
GM:だが、やがて明らかになった真相は、誰も想像だにしなかったものだった。
鴻上剛蔵:「――誰が画ぇ描きよるんかと思っとったら」
鴻上剛蔵:半裸でベッドに横たわり、若い女にマッサージをさせながら、大柄な老人がちらりと君に目をやる。
鴻上剛蔵:鴻上剛蔵。君の義父にして前鴻鵠会組長、現鴻央会幹部。一線を退きはしたものの、かつて武闘派で知られたその眼光は、少しも衰えることのない鋭さを保っていた。
鴻上剛蔵:「まぁさかどこぞの外人たあの。けったいじゃのぉ、全く」
鴻上剛蔵:言いながら、剛蔵は小指で耳垢をほじくる。
鴻上禮次郎:「組長(オヤジ)さんよ……」
鴻上禮次郎:「うちの組はもう、駄目だ」
鴻上禮次郎:メガネを直しながら、深くため息をつく
鴻上剛蔵:「…………」
GM:一週間ほど前。山菜採りに山に入った老人が、タケノコに押し上げられる形で地面から飛び出た人間の腕を発見した。
GM:警察が付近を捜索すると、周囲からは重機で掘ったと思われる穴に無造作に埋められた遺体が、数十人分発見された。
GM:遺体は主に市内有力暴力団関係者のものだった。流々家組、黄衣会、そして鴻鵠会。一部の遺体は激しく損傷しており、凄惨な拷問の跡が見て取れた。
鴻上禮次郎:「せっかく預かった舎弟も、シノギも、まるっきり……駄目にした」
鴻上禮次郎:拳を握り、震わせる
鴻上禮次郎:「最初は、内輪もめかと思った。それなら構わなかった」
鴻上剛蔵:それを見て、溜息をつく。
鴻上禮次郎:「組長(オヤジ)にとって、俺が邪魔ならば俺も近々死ねと言われるだろう。まあそれも親の為だと」
鴻上禮次郎:「思えたかも……しれねえ」
鴻上禮次郎:壁を殴り、拳に血をにじませる
鴻上禮次郎:「だがどこぞのガイジン共に! 舎弟も、子分も、シノギも! みんな台無しにされた!」
鴻上禮次郎:「俺を破門してくれ組長(オヤジ)! あの毛唐ども! モツぶっこ抜いて湾に撒いてやる!」
鴻上剛蔵:「……おい……禮次郎……」
鴻上禮次郎:「組にゃあ迷惑かけねぇ! だから……は、はい」
鴻上剛蔵:「……流々家と黄衣が喧嘩したばっかりで、みんなピリピリしとる。……馬鹿なことは考えんで大人しゅうしとけ」
鴻上禮次郎:「……組長(オヤジ)」
鴻上禮次郎:ため息をつく
GM:「ありゃあ小鳥よ。てめぇの限界も知らない若え燕よ。その内てめぇの羽で崖ん叩き付けられよる。最後に勝つのは俺たち鴻鵠よ。おう、そうじゃろう、禮次郎よ」
鴻上禮次郎:「そうかもしれねえ」
鴻上禮次郎:「鴻鵠会の全戦力の九割は、俺は、まだ此処に居る」
鴻上禮次郎:「だけどな、どうしても引き下がれねえ事情があるんだ」
GM:「阿保が……お前も三と六は弁えとろうが。今お前が下手打ってムショでも喰らってみい、組は本当にお終いじゃ」
鴻上剛蔵:「お前は仕事が出来るけえ、ションベン刑でも喰ろうた思うて、ちぃっと耐えれば、再起の目はいくらでもある」
鴻上剛蔵:「死んだモンより、今生きてるモンのこと考えたほうがええじゃないの。違うか?のお」
鴻上禮次郎:「ガキが居たんだよ」
鴻上剛蔵:「…………」ぴくり、と眉を動かす。
鴻上禮次郎:「俺のガキが、つい先日、ハッキリしたばかりでさ」
鴻上禮次郎:「あの襲撃で行方知れずの……カナコの腹の中に……」
鴻上禮次郎:声に涙が滲んでいた
鴻上禮次郎:鬼と呼ばれた男の涙であった
鴻上剛蔵:「……禮次郎、お前……」
鴻上剛蔵:「……親の言う事が聞けない言うんか?」
鴻上剛蔵:静かに、しかし底冷えするような声。
鴻上禮次郎:「オヤジ、俺は死んだ。あんたの可愛い息子は死んだ……そう思ってくれ……」
鴻上剛蔵:「……そんなら、お前……」
鴻上剛蔵:剛蔵の眼光が、君を見据える。
鴻上剛蔵:「腹ァ切る覚悟は、出来とるんじゃろうな」
鴻上禮次郎:「おうとも……」
鴻上剛蔵:「…………」
鴻上剛蔵:「ハァ、そうかい」
鴻上禮次郎:「ケジメ、つけてくらぁ……!」
鴻上剛蔵:剛蔵は溜息をつくと、大きく伸びをしてゴキゴキと関節を鳴らす。
鴻上剛蔵:「まあ、待て。禮次郎」
鴻上禮次郎:「……?」
鴻上剛蔵:「……組対の五十嵐、お前も知っとるよな。ガキん頃から世話ばなっとるじゃろ」
鴻上禮次郎:「ああ……あの人にゃ頭が上がんねえや」
鴻上剛蔵:「おう。そん五十嵐サンとこで、近い内に例の外人ども潰すデカい捕り物があるそうなのよ」
鴻上剛蔵:「お前、そこん世話ァなってこい」
鴻上禮次郎:「——ッ!」
鴻上剛蔵:「お前は五光者(オーヴァード)じゃけえ、鉄砲玉くらいにゃあ使ってもらえるじゃろ。五十嵐サンには儂が頼んどくけえ、行ってこい」
鴻上禮次郎:剛蔵の足元に駆け寄り、自らの額を床にすり付ける
鴻上禮次郎:「かたじけねぇ……!」
鴻上剛蔵:「……のォ、禮次郎よ……」
鴻上剛蔵:「……この渡世で仁義通す言うんは、難儀なことよのォ」
GM:老人の言葉には、時代に取り残された男の深い悲哀が込められているように思えた。
GM:だとすれば、彼に生き方を教わった、君もまた――。

GM:君が事務所を出ると、一人の男が追い縋ってくる。
GM:「兄貴ィ!」
鴻上禮次郎:用意していた喪服に着替え、何処か清々しい気持ちで歩いていた。
鴻上禮次郎:続く陰口も、冷笑も、遠くなっていた。
鴻上禮次郎:そんな彼の意識を、その声が現実に揺り戻した。
鴻上禮次郎:「……サブじゃねえか」
黒川:数少ない鴻鵠会の生き残り、黒川。君の舎弟でもある。
黒川:「兄貴、ホントに行くつもりですかい!?」
黒川:「例の外人、相当ヤバい連中なんでしょう!? い……いくら兄貴でも……!」
鴻上禮次郎:「ったりめえだ。俺が全力で力を使えば、それで片がつく」
鴻上禮次郎:「だいたい、考えてもみろ。そんなやべえガイジン共が何故俺を避けた」
鴻上禮次郎:「奴らビビってやがるのさ……」
鴻上禮次郎:精一杯、舎弟の前で見せる虚勢だった。
黒川:「で、でも……!」
鴻上禮次郎:「お前の扱いは組長(オヤジ)さんに任せてる。心配すんなって」
黒川:黒川は言い淀み、
黒川:「……そりゃあオレだって、カナコさんの事は……残念でしたが……」
GM:各所で麻薬カルテルに殺された被害者は、暴力団構成員だけではない。彼らの取引先や、ただシノギの一部で働いていた従業員、そして、肉親や恋人。
GM:君の内縁の妻は、まだ見つかっていない。
黒川:「そ、そういう話じゃあねえでしょうよ!」
黒川:「兄貴……じゃあせめて俺も、俺も連れて行ってくだせえよ……!」
黒川:意を決したように言う。
黒川:「何でもします!三下仕事でも鉄砲玉でも、何でも!役に立ちます!だから……!」
鴻上禮次郎:「……ふっ、五光者(オーヴァード)でもないお前に、何ができる」
鴻上禮次郎:「お前は生きて、伝えてくれ。鴻上禮次郎って馬鹿が居たことを」
黒川:「あ…兄貴!待ってくだせえ!兄貴!鴻上の兄貴ぃ!!」
黒川:「……兄貴ィ……!」
鴻上禮次郎:そのまま、一人車に乗り込もうとする
鴻上禮次郎「ま、俺も勝手言って出てきた身だ。お前が好き勝手を通しても、誰にも文句は言わせねえさ」
鴻上禮次郎:そう言い残すと、車は黒川サブロウタをおいて走り出した。
黒川:彼には、それを止められない。
GM:去り行き遠くなっていく車影を、黒川は目に涙を浮かべ、いつまでも見つめていた。
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイス取得可!
鴻上禮次郎:うーん、オヤジ!
鴻上禮次郎:いや、素直に黒川に取るか~~~~~!
鴻上禮次郎:ロイスは
鴻上禮次郎:可愛い舎弟だ……だから死ぬなよ 黒川サブロウタ 連帯感/隔意◯
鴻上禮次郎:これで!
GM:OK!

【OP3 シーンPC:日馬美礼 豊島正則 矢ヶ崎藍華】

矢ヶ崎藍華:35+1d10
DoubleCross : (35+1D10) → 35+8[8] → 43

豊島 正則:1d10+33
DoubleCross : (1D10+33) → 7[7]+33 → 40

日馬 美礼:1d10+42
DoubleCross : (1D10+42) → 4[4]+42 → 46


GM:----------
GM:現在 N市 UGN N市第四支部 支部長室
GM:----------

霧谷雄吾:『いやあ、大変なことになりましたね』
霧谷雄吾:モニターの向こうで、困ったように苦笑する一人の男。人当たりの良さと同時に、凛とした覇気のようなものを備えている。UGN日本支部長、霧谷雄吾。
霧谷雄吾:『組対・麻取・UGNでの合同捜査……しかも潜入捜査。よくこんな計画が通ったものです』
GM:セクショナリズムを基本姿勢とする警察組織においての合同捜査。それも相手は現場捜査員から蛇蝎のごとく嫌悪されているUGN。過去に例がない訳ではなかったが、殆ど前代未聞と言っていい事だ。
日馬 美礼:「それで、よりにもよってぼくに振るあたりが、霧谷さんの人の悪さだよねえ」
日馬 美礼:「まあ、確かにN市絡みの十三人でなら、客観的に見て上から数えたほうが早いとは思うけど」
豊島 正則:「他人のことを言えた義理かよ。よりにもよって、と言やあこっちも大概だろうが」
豊島 正則:部屋の中にいる面々を見回して、苦笑い。
矢ヶ崎藍華:「あはは…先輩も、私がこんな場面にいるようなタイプじゃないと思いますよね」
矢ヶ崎藍華:同じく苦笑い。イリーガルである以前に、基本は第六地区で動いてる人間だ。まずここに来る可能性は低い
霧谷雄吾:『すいません。私も直接現場に出られればよかったのですが、何分スケジュールが厳しくてですね……』そう言う霧谷の頬はこけ、目の下には隈が刻まれている。彼の多忙ぶりはUGNでは有名だ。
日馬 美礼:「規模としては大きいし、前代未聞ではあるけれど、日本総括が動くには事態の重要性が低すぎる」
日馬 美礼:「そういうことだろ? 無理しすぎないでほしいね。上が霧谷さんじゃなくなったら、この地区の存続も危ういんだから」
日馬 美礼:「いやいや、ぼくとしてはライトスタッフを集めたつもりなんだぜ?」
日馬 美礼:人の悪い笑みを浮かべたまま(そして眼前にモニタを表示させたまま)車椅子で信地旋回。
霧谷雄吾:『いや、頼もしい限りです』苦笑する。
矢ヶ崎藍華:後ろ手に握ったイヤホンを所在なさげに指でいじっている。
豊島 正則:「…変わらねぇな、どいつもこいつも」
豊島 正則:車椅子の支部長、自信なさげなイリーガル。画面の向こうの男。そして、自分。
霧谷雄吾:『……今回、皆さんには、かなりの負担を掛けてしまうことになるでしょうが……』そこで一度言葉を切って、画面越しに真っ直ぐな視線を向ける。
霧谷雄吾:『私がこの計画を打診されて、許可を出したのは、これがそれだけ重要な任務だと考えたからです』
霧谷雄吾:『どうかみなさん、よろしくお願いします』そう言って、深く頭を下げる。
矢ヶ崎藍華:「よっ」
矢ヶ崎藍華:「よろしくおねがいしますっ」ぺこっ
日馬 美礼:「そういうところは、変わらないよね。霧谷さん。了解」
豊島 正則:ひらひらと、軽く手を振る。
豊島 正則:「あいよ。お呼びがかかったとありゃあ是非は無ぇさ」
矢ヶ崎藍華:(あわわわ…霧谷さんにお願いされるの、初めてじゃない?これ、凄い機会じゃない…?)
豊島 正則:「…で、概要は聞いちゃいるが、具体的な仕事ってのは何になる?うちの支部長にも、後でしっかり説明しなきゃならねえからな」
霧谷雄吾:『はい。それでは、具体的なお仕事なのですが…』
日馬 美礼:「……あとはこちらの手筈、ということでいいかな? 総括殿」
霧谷雄吾:『ええ。今回、日馬さんには現場責任者をお願いしています』
霧谷雄吾:『……あの、何卒穏便に……』
霧谷雄吾:無理だろうな、と思っているようで、力無く笑う。
日馬 美礼:「穏便に。犠牲なく、平和裏に。もちろんですよ」
豊島 正則:「(…本気で言ってんのが余計にタチ悪ぃんだよな、こいつ…)」
豊島 正則:などとしかめっ面で考えている。
霧谷雄吾:「…………」信じていいものかどうか僅かな逡巡の間があり、やがて諦観の笑み。
霧谷雄吾:『それから……捜査員・突入要員として、豊島さんと新垣さん』
霧谷雄吾:『新垣さんは、今この場にはいらっしゃいませんが……』
矢ヶ崎藍華:「?」打ち合わせで時間かかるところなのだろうかここ?と考えている
霧谷雄吾:『……彼女は、今回の……』
霧谷雄吾:霧谷はそこで少し言葉を詰まらせる。彼もかつてのリリアナとは面識があった。新垣とリリアナ二人揃って、彼と通話をしたこともある。丁度今のように。
日馬 美礼:「……その話は、当人からのほうがいいんじゃないかな?」
霧谷雄吾:『……そうですね。失礼しました』かぶりを振る。
霧谷雄吾:『……そして……特に潜入要員として、矢ヶ崎さんには一段と大きな負担を掛けてしまうことになりますが……』
霧谷雄吾:画面越しに矢ヶ崎を見る。
矢ヶ崎藍華:「そんなことないですよぉ~~!!」
矢ヶ崎藍華:体いっぱいに手を振り回しつつ
矢ヶ崎藍華:「お姉ちゃ…姉が動けない分も!がんばりますっ!期待してて下さいっ!」
日馬 美礼:「うちの機材とスタッフは自由に使ってくれて構わないよ。矢ヶ崎くん。もちろんバレない範囲でだけど」
霧谷雄吾:『はい。私からも働きかけて、全力でサポートとバックアップに尽くしたいと思っています』
豊島 正則:「…まぁ、俺やそこの狸女、うちの支部長がが潜入に向かねぇってのは分かる。目立つわ、顔が売れすぎてるわ、ロクなことが無ぇ」
矢ヶ崎藍華:「はいっ!使い方、あとで教えて下さい!」正直さっぱり分からない
霧谷雄吾:『……とはいえ、もしもの時は自分の命が最優先です。無理はなさらないように、どうかお願いします』
霧谷雄吾:と、画面の向こうから、霧谷を急かす声が聞こえてくる。
霧谷雄吾:『すいません、もう時間のようです……。あ、最後にもう一つ!』
霧谷雄吾:『実は今回の合同捜査に際して、本部から一人、エージェントが派遣されてくることになっていまして……』
霧谷雄吾:『そちらの対応を、豊島さんにお願いできればと考えているのですが……』
矢ヶ崎藍華:「!本部…」
豊島 正則:「…なんだ、そりゃ。つまりはアレか」
豊島 正則:「接待でもしろ、ってのか?そういう腹芸は、それこそ支部長やらの得意分野だろうに」
豊島 正則:やや不機嫌そうに、半ばモニターを睨むように。
霧谷雄吾:『まあ……そうですね。包み隠さず、平たく言えば、そうなってしまいますね』
日馬 美礼:「そういう相手でもないってことだろ? 人柄だよ、人柄」
矢ヶ崎藍華:「そうですよ、先輩!」豊島さんの手を取る
豊島 正則:「師匠ならともかく、槍を振り回すだけが能の男に何を期待してやがんだ。…ったく」
豊島 正則:包帯でぐるぐる巻きの手を握られたまま、もう一度苦笑い。
矢ヶ崎藍華:「先輩見た目のことずっと気にしてますけど、大丈夫!誠実な人ですよ!現役JKが保証しますッ」
豊島 正則:「なるべく穏便に済ますさ。本部の連中の相手は、まあ経験が無いワケじゃない。なんとかなるだろうよ」
日馬 美礼:「うん。頼むよ、豊島くん」
日馬 美礼:「接待しろっていうなら幾らでもするけどさ。何しろ政治をさせたら勝ち目がないんだ」
日馬 美礼:「得意だろ? それ以前のとこで食い止めるの」
豊島 正則:「そしてその保証は一体何の効果があんだ…?」
豊島 正則:半分呆れたようなジト目。
矢ヶ崎藍華:「女子高生ですよ!?人類史上最強とうたわれた存在です!」
矢ヶ崎藍華:「だいじょーぶ!!」
日馬 美礼:「ついでに、きみと同じ作戦に参加してるイリーガルからの聞き取りも読み上げるかい?」
日馬 美礼:「どうせ女性なんでしょう、総括?」
霧谷雄吾:『ええ、そうですが……よく分かりましたね』目を見開いている。
豊島 正則:「…嫌な予感しかしねぇ」
霧谷雄吾:『……本部は今回の件を、日本におけるUGNの立場を左右する……と捉えているのかもしれません……好意的に考えれば』
霧谷雄吾:霧谷はやや含みのある言い方をする。
日馬 美礼:「悪くいうなら、これ以上の事態になった場合、末端に問題があったことにしなきゃいけないわけだ」
豊島 正則:「となりゃあ、この街の13の支部もどうなるもんか。…想像は簡単だな」
矢ヶ崎藍華:「え……?」
豊島 正則:「…いや、うちらだけで済む話じゃねぇか」
霧谷雄吾:『査察と監視……。一応の目的はそれでしょう』
霧谷雄吾:『ただ、それだけであるという想定は今回、最良の部類です』
霧谷雄吾:『……今回来日するエージェント・シンシアは、本部では所謂改革派……特にアッシュ・レドリック氏の忠実な部下として知られています』
霧谷雄吾:『私は改革派の方々には、あまり良く思われていないようなので……』
霧谷雄吾:苦笑する。
日馬 美礼:「寝不足の原因はそれですか。総括。"ミリオンサンズ"ね」
矢ヶ崎藍華:「ど、どういう方なんですか?」
日馬 美礼:「つまんないやつだよ」
豊島 正則:「あの陰険眼鏡が、他人を好きになるトコなんか想像できねぇがな。…つまりはそういう奴だよ」
矢ヶ崎藍華:「はあ…」このふたりが異口同音にマイナスを口に出すのは、余り聞いたことがない
霧谷雄吾:『……誰かの個人的な思惑、例えば私の弱味を探ったり、横槍を入れたり……なら、まだいいのですが』
霧谷雄吾:『近年特に活発な、日本UGNを中枢評議会の管理下に置こうとする一連の流れが関わっているとしたら、話は変わってきます』
霧谷雄吾:『……くれぐれも、注意してください』
日馬 美礼:「了解。できる範囲で。ただ、完全にその気でこられたらさすがに厳しいね」
日馬 美礼:「悪魔の証明ができる知り合いには、さすがに心当たりがないから」
豊島 正則:「あいよ。せいぜい、ご機嫌取りを頑張るとするさ」
矢ヶ崎藍華:「いい子にしときます…!なんか好きな香りとかあれば、おしえてください」
霧谷雄吾:『ええと、確か彼女は……』
GM:再び、霧谷を急かす声。
霧谷雄吾:『おっと……! それでは、皆さんの無事と、任務の成功を祈っています。では!』
GM:そこで、慌ただしく通話は途切れる。
豊島 正則:「…ほんっと変わんねぇなあ、あの人は」
日馬 美礼:「あの人が変わったら、そりゃお終いさ」
矢ヶ崎藍華:「はじめてお会いしました…!」鼻息荒い。
豊島 正則:「案外フットワークが軽いからな、あの人。そのうちフラっとこの街に来るかもしれねえ」
豊島 正則:そん時に改めて挨拶すりゃいい、と言って笑ってから。
豊島 正則:「…しかしな、藍華」
豊島 正則:声のトーンを落として。
矢ヶ崎藍華:「はい?」
豊島 正則:「俺やそこの狸女、うちの支部長がが潜入に向かねぇってのは分かる。目立つわ、顔が売れすぎてるわ、ロクなことが無ぇ」
矢ヶ崎藍華:まだ興奮してる様子
豊島 正則:「…それで”何でも屋”のお前に白羽の矢が立った、ってトコだろう」
矢ヶ崎藍華:「た、確かに初対面だと先輩は難しそうですね…」
矢ヶ崎藍華:「……」あの時ほどではないけど、真剣な面持ちをみてようやく多少落ち着く
豊島 正則:「それで引き受けたってことは、相応の覚悟があるってことだ。少なくとも俺や、今回絡む支部長ふたりはそう見なす」
矢ヶ崎藍華:「覚悟…それって」
矢ヶ崎藍華:「命にかかわるってことですか?」
矢ヶ崎藍華:“隣に住んでる人のこと”を聞かれているかのように答える
豊島 正則:「ああ。お前と、そして他人のな」
矢ヶ崎藍華:「……そっかあ」
矢ヶ崎藍華:少々の思案ののち、にっこりとした笑みを浮かべる
矢ヶ崎藍華:「大丈夫ですっ、こうやってお話を振ってもらえたってことは…全くやれなくはないって思われてることですよね?」
日馬 美礼:「もちろん」笑顔。
豊島 正則:「むしろ、その手の組織の中じゃ、ある意味引く手数多になりそうだから心配してんだよ」
矢ヶ崎藍華:「えへへ…だから、いいんです!わたし、苦しいことや困難なことじゃないと、むしろ駄目かもしれないですから!」
日馬 美礼:「ま、彼女を推薦したのはぼくだ。信じてもらって構わないよ?」くふふ。と笑う。
矢ヶ崎藍華:「この最強の女子高生に任せといてくださいよ!」
豊島 正則:「…そう、か」
矢ヶ崎藍華:「んふふ~」
豊島 正則:朗らかに笑う少女に、何か言いたいことがあるような素振りではあったが。
矢ヶ崎藍華:「もしかして、先輩…心配なんですかあ?」
豊島 正則:「ああ。でもまぁ、お前がやる気だってんなら、俺は何も言うコトはねぇさ」
矢ヶ崎藍華:「心配なんだあ…えへへへ」
矢ヶ崎藍華:腕を開いてがばりと豊島さんに抱きつく
矢ヶ崎藍華:「だいじょーぶですよー。矢ヶ崎はだいじょーぶ。先輩も頑張ってきてくださいね—」
矢ヶ崎藍華:よしよし
日馬 美礼:「見せつけてくれるなあ。それじゃ、表に車を回してあるから」
豊島 正則:「…くそ、やっぱ心配するだけ損じゃねえのかこいつ…あと笑うんじゃねえ狸女!」
矢ヶ崎藍華:「あ、じゃあこれもっててください」
矢ヶ崎藍華:ゴソゴソとポケットをさぐって
矢ヶ崎藍華:ウォークマンを豊島さんに渡します
豊島 正則:「…お前、これは」
矢ヶ崎藍華:「持ってるとあんまり良い印象しないと思うので…」
矢ヶ崎藍華:「えへへ。でも恥ずかしいかも?音楽の趣味って、人に知られると少し恥ずかしくないですか?」
日馬 美礼:「ごゆっくり」くふふ、と笑って、きゅるきゅると車輪を鳴らして支部長室を出ていく。
豊島 正則:「男の腕に抱き着くのは恥ずかしくないのか…。…まあそういうことなら」
矢ヶ崎藍華:「?」
矢ヶ崎藍華:「誰にでも抱きつきませんよ?」
矢ヶ崎藍華:あっけらかん
豊島 正則:「……またお前はそういう……」
矢ヶ崎藍華:「んふふ。じゃあ行ってきますね。」
豊島 正則:ため息を吐くべきか笑うべきか、迷うような声で応えてから。
矢ヶ崎藍華:ウォークマンを握らせて
豊島 正則:「ああ、行ってこい。お前の音楽の趣味、勉強させてもらうとするさ」
豊島 正則:「…終わったらきっちり返さねえとな」
矢ヶ崎藍華:「はい!…それじゃあ」
矢ヶ崎藍華:鼻歌を口ずさみながら、支部を後にします
矢ヶ崎藍華:「“Nobady comes to help you forever. ”」
矢ヶ崎藍華:「“Sad sad kiddy so long.”……」
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイス取得可!
日馬 美礼:んー。枠多いからね、今は抑えとく。
矢ヶ崎藍華:あ、そうそうGM
GM:はい!
豊島 正則:PC間ロイス枠として、矢ヶ崎さんに「■庇護/不安」で取得しましょう。
矢ヶ崎藍華:処理として意味があるかわからないですけど、手持ちのオーディオプレイヤー(アクセサリ相当)を豊島さんに譲渡しておいていいでしょうか
GM:OKです!
豊島 正則:ではお預かりします!
矢ヶ崎藍華:はーい!じゃあ先輩…もっといてください!
GM:銃弾から命を救ってくれたりするかもしれないし…
矢ヶ崎藍華:そうそう
矢ヶ崎藍華:ロックに目覚めてバンドを汲むかもしれない
豊島 正則:いそうだけどさ、全身包帯バンドマン!
日馬 美礼:バンド?
豊島 正則:バンドだけに。
豊島 正則:あっすんませんなんでもないです。
矢ヶ崎藍華:ロイスは豊島先輩に「○慕情/劣等感」で取得します
GM:OK!
矢ヶ崎藍華:異常

【Middle1 シーンPC 新垣御守 日馬美礼 豊島正則 鴻上禮次郎】

日馬 美礼:1d10+46
DoubleCross : (1D10+46) → 7[7]+46 → 53

鴻上禮次郎:34+1d10
DoubleCross : (34+1D10) → 34+1[1] → 35

豊島 正則:1d10+40
DoubleCross : (1D10+40) → 10[10]+40 → 50

新垣御守:1d10+
DoubleCross : (1D10+) → 10

新垣御守:40
新垣御守:だ!

GM:----------
GM:N市 第六地区
GM:----------

GM:人里離れた山中に、その洋館は建っていた。
GM:元は市内ホテルの別館として建てられたが、交通の便の悪さから業績不振となり、売りに出されたところを日馬美礼が買い取った物件。
GM:元は豪奢な調度品が並んでいたそこに、今は内装にそぐわない無骨なデスクやPC類、大量の資料が運び込まれていた。
GM:この洋館こそ、今回の合同捜査の本拠地となる場所だった。
GM:いよいよ間も無く初回会議が始まろうとしており、捜査関係者はここに一同に会していた。
GM:組対・麻取・UGNの三組織合同とはいえ、その性質上、この捜査は存在自体が秘匿されており、捜査員は20人にも満たないほどだった。
GM:組対の刑事達は、UGNのオーヴァード達に対し興味、奇異、不信の目をあからさまに隠そうともしなかったが、さらにその中に、ある意味でこの場に最も相応しくない男が一人。
GM:警察官、特に組対の所属であれば、彼を知っている者も多い。
GM:全身から暴力の匂いを漂わせる、明らかに堅気ではない男。彼の名を、鴻上禮次郎といった。
鴻上禮次郎:「……」
新垣御守:「や~」
新垣御守:「悪いね豊くん。お偉いさんと顔合わせんの任せちゃって」
新垣御守:「お蔭でこっちも滑り込みで片付いたわ」
新垣御守:壁にもたれながら、器材が並んでいくのを眺めている。
豊島 正則:「そりゃあ何よりだ。…他の支部なら「あんま前に出るな」って言うところなんだろうがな」
新垣御守:「そうも言ってらんないでしょ。今回ばっかりは」
新垣御守:「……なんでこういう事になっちゃうかなあ」
新垣御守:少し目を伏せて、頭をがしがし
日馬 美礼:「前に出てくる支部じゃなきゃ、そもそも協働を承諾してないよ」くふふ、と笑う。
日馬 美礼:「遠慮なく使ってくれよ。どうせこういう目的のために確保しといたんだから」いつもより軽装。
豊島 正則:「こういう目的じゃなけりゃ、何日かゆっくり逗留してみてえな。…ま、それこそ、そうも言ってられねえか」
新垣御守:「おっとぉ、四番先輩」
新垣御守:「今回も世話んなります。あー」
日馬 美礼:「先輩ねえ。いつもながらどうもむず痒いな。新垣さんのが年上じゃん」
新垣御守:「なんて呼べばいいです?四番さん、四番ちゃん、日馬ちゃん?」
新垣御守:「そーれなんだよなあ」
新垣御守:「年上年下の後輩先輩ってやりにくいよねー」
日馬 美礼:「ついでに職歴でも先輩だしさ。そりゃ支部長としてはぼくのが先任だけど」
日馬 美礼:「日馬ちゃんでも美礼ちゃんでもいいよ。愛を込めて呼び捨てでも」
新垣御守:「んじゃータメでいこーよタメで」
新垣御守:「そっちもこっちもさ、よろしくミレーちゃん」
豊島 正則:「俺含めて、お互いそういうの気にするタチじゃねぇだろうよ。……まあ」
新垣御守:「で、さて」
鴻上禮次郎:(なんだこいつは、ガキの集まりじゃねえか……)
鴻上禮次郎:むすっとしながら周囲の様子を伺っている
豊島 正則:「あちらさんはどうやら、そういう世界の人間らしいにおいがするけどな」
新垣御守:「そっちの見慣れないアンちゃんは、どこのどなたさん?」
鴻上禮次郎:「……あん?」
鴻上禮次郎:新垣さんの方をちらりと見る
新垣御守:「ミレーちゃんのお知り合いで?」
新垣御守:「警察ってフウには見えないでしょ」
日馬 美礼:「"警察関係者"だろ?」とさ、と車椅子の背もたれに身を預ける。
新垣御守:「”関係者”……ね」
豊島 正則:「…ま、そういうことになってんなら、掘り返すモンでもねぇだろうさ」
鴻上禮次郎:「……おい」 自分を連れてきた警官に声を掛ける
新垣御守:「あー、こっち来て話しません?」
新垣御守:「私らも手持ち無沙汰なんで」
新垣御守:ゆるーく手を振る
鴻上禮次郎:「……少し待て嬢ちゃん、責任者にスジを通してからだ」
五十嵐警部:「ん、おお、禮次郎、と……」
五十嵐警部:一人の刑事が、君に呼ばれて近付いてくる。
五十嵐警部:五十嵐健一。組対所属の警部。君への処罰がまだ逮捕、ではなく補導、だった頃からの付き合いだ。
鴻上禮次郎:「すまねえが、あちらの面子にゃ仁義を切って、あんたに迷惑はかからないかね」
五十嵐警部:「ああ、なるほど。丁度良かった。その事だがな……」
五十嵐警部:UGNの面々をちらりと見て、
五十嵐警部:「今回お前には、UGNの指揮下に入ってもらう。名前くらいは知ってるよな?」
GM:裏社会の人間であれば、その実態はともかく、UGNの名前と活動程度は既に皆多くが知る所だ。
鴻上禮次郎:「おう、知ってるさ」
鴻上禮次郎:(元鴻央会としては好きな相手じゃあねえがな……)
五十嵐警部:「まあ、組対がヤクザ引き連れてるってのもまずいだろうからな…… どうも、初めまして」
五十嵐警部:オフィスの中で、一際目立つ集団。どう見ても警察官とも麻薬取締官とも違う。UGNエージェントだ。
五十嵐警部:五十嵐は車椅子に乗った少女――日馬美礼に歩み寄る。
五十嵐警部:「日馬さん……ですね?今回ご一緒させて頂く、組対の五十嵐です。どうぞよろしくお願いします」
鴻上禮次郎:「つまり、黙っておけってことか……」 小さく呟く
鴻上禮次郎:「よろしくおねがいします」 一緒になって挨拶をする
日馬 美礼:「こりゃどうも、ご丁寧に」
日馬 美礼:にやり、と人の悪い笑みを浮かべる。
五十嵐警部:握手を差し出し、五十嵐は思わず、といった様子で日馬の姿を見つめる。
五十嵐警部:「(こんな子供が……)」
日馬 美礼:手を握り返す。子供の手だ。妙に体温が低い。
鴻上禮次郎:(うちの組の若いのも、UGNに翻弄されたと聞くが……)
鴻上禮次郎:(信じるしかねえのか……)
鴻上禮次郎:(あいつらをやったガイジンも……もしかしたら)
日馬 美礼:「うまくいくことを祈っていますよ、五十嵐さん……階級のほうがいいかな?」
GM:「…………」その掌の小ささに、少し黙り込み、
五十嵐警部:「あ、ああ、すいません。よろしくお願いします……」
五十嵐警部:「ああ、一応警部なんぞやらせてもらってますが……」
五十嵐警部:「五十嵐、で構いませんよ」
日馬 美礼:手を離して。で、きゅる、と車椅子が微妙に角度を変える。
日馬 美礼:「年上のうえに身内でない相手ですから。しかるべき態度をとる努力くらいはしますよ、五十嵐さん」
日馬 美礼:鴻上さんを見上げている。
五十嵐警部:「ああ、失礼。紹介が遅れました」
五十嵐警部:「……既にお話は行ってるかと思うんですが、こちらが……」
五十嵐警部:背後の鴻上をちらと見る。
鴻上禮次郎:「心配すんなよご両人。警察関係者……以上だ」
日馬 美礼:なんともいえない笑顔を浮かべる。
日馬 美礼:「……さて」
日馬 美礼:「順番が前後しまして失礼」
日馬 美礼:両手をすっと広げる。
日馬 美礼:「お初にお目にかかりますね。こちらは、世界の守護者を名乗る当市第四支部の長」
日馬 美礼:「姓は日馬、名は美礼。コードネームはN面一臂(ダンタリアン)」
日馬 美礼:「世界は違うけど一家を預かる身だ。下足を預けてくれた相手を無下にはしないよ」
日馬 美礼:「……こういうのでいいんだっけね?」
鴻上禮次郎:「……くっ」
鴻上禮次郎:「ふふふ……」
鴻上禮次郎:おかしくておかしくてたまらないというように笑い出す
鴻上禮次郎:「良いねえ、素敵だよ嬢ちゃん」
日馬 美礼:「そりゃ助かった。一回やってみたかったんだ」くふふ。と笑う。
鴻上禮次郎:「悪いな、五十嵐さん。こりゃもう隠さなくて良いだろう」
五十嵐警部:「…………」あきれ顔をして。
新垣御守:「あー、やっぱりそっち系の方で?」
五十嵐警部:「まあ、お前のツラじゃ隠せるもんも隠せないか」
豊島 正則:「…まあ、あれで隠してるつもりだったなら、面の皮が厚いにも程があるわなあ」
新垣御守:「すんません。私は第二の新垣で、そっちのは補佐の豊島くん」
豊島 正則:新垣支部長の紹介を受け、応、と鷹揚に手を挙げる。
鴻上禮次郎:スッ、と自然な所作で手のひらを差し出し、腰を落とす。
鴻上禮次郎:それは黒の和服にぴったりと馴染んでいた。
鴻上禮次郎:そしてよく通る低い声が朗々と部屋に響く。
鴻上禮次郎:「失敬、お時間お借りする」
新垣御守:「……ヘイヘイ豊くん。相手アレだよ。怒らせたら何スっか」
新垣御守:「って、おう!?」
新垣御守:びっくり
鴻上禮次郎:そして場が静まったのを見計らい、一息に
鴻上禮次郎:「早速お控え下すって有難うござんす。無様を引きつけまして御免を蒙ります。支部長さん御免を蒙ります。支部長補佐御免を蒙ります。向かいまする皆さんとはお初にござんす。従いまして手前こと生国は東京にござんす。当時縁持ちまして東京は新宿に住居(すまい)仕ります。渡世につきましては諸般の事情にて親なし子なしの身分にござんす。姓名の儀は『鴻上禮次郎』、人呼んで『鏖殺(アウトレイジ)』。お見掛け通りしがない五光者(オーヴァード)にござんす。お見知りおかれまして行末万端よろしくお頼み申します」
鴻上禮次郎:そうして男はわずかに頭を下げる。終わったのだ。
それと同時に空気が動き出すような感覚があった。
それでやっと、自らが釘付けにされていたのだと、その場に居た者は気がついた。

新垣御守:「……お、おお」
新垣御守:「こういうの生で初めて見ちゃった……」
GM:周囲の警官が、一体何事かと君たちを見ている。
GM:「なんだあれ、マル暴か?」「ほらアレだろ?UGN……」
新垣御守:「あ、あー、なんでもないですよーなんでもなーい」
新垣御守:「器材器材!椅子とかね!はいはい!」
新垣御守:手をブンブン
日馬 美礼:「……と。まあ、こういう人だってさ」にやりと新垣さんを見る。
新垣御守:「嫌ってほど伝わりましたって…」
日馬 美礼:「よろしくね、鴻上さん」
鴻上禮次郎:「略式だが、良いもんだろ?」 日馬を見てニッと笑う
新垣御守:「私ら大丈夫かね、豊くん」
新垣御守:2人を見回してから、傍らに
新垣御守:垂れ下がった視線を送る。
豊島 正則:「……なんつーか、ここまでマジモンとは思わなかったが」
豊島 正則:「いいんじゃねえか。…やくざな商売、って点じゃあ、俺らも似たようなモンだろうよ」
豊島 正則:半ば呆れ気味に。
新垣御守:「男の子だよな~~こっちゃもうハラハラしてるって」
鴻上禮次郎:場を見渡し、人々の動揺を確認してから満足気にニヤリと笑う
五十嵐警部:「……お前は……」また呆れ顔。
五十嵐警部:「いつまで経っても、根っこはガキだな……」
鴻上禮次郎:「へへっ」
鴻上禮次郎:「まあ安心してくれよ。今回は仇討ち合戦に来ているだけでね。悪党らしいことは何もしねぇ」
豊島 正則:「仇討ち…ねえ」
新垣御守:「……仇?」
新垣御守:「それ、私らが聞いていい話、鴻上さん。」
鴻上禮次郎:「部下と妻子の仇討ちだ。矜持も仁義も捨てた身だが、多少は飾って死にてえのさ」
日馬 美礼:「なるほど」
新垣御守:「……」
鴻上禮次郎:「別に隠すことじゃねえよ。それよりも、疑われて俺を使ってもらえねえってのが一番困る」
日馬 美礼:「ところで鴻上さん。生きて帰ったらどうするんだい?」
鴻上禮次郎:「生きて帰ったら?」
鴻上禮次郎:「そうさな。俺はもう組を裏切った不忠不孝の裏切り者(ダブルクロス)。どこぞで惨めに野垂れ死ぬさ。悪党ってのは惨めに死ななきゃいけねえからな」
新垣御守:「……あー、鴻上さん」
新垣御守:「あんた信用できない人じゃないってことはよく分かった」
新垣御守:「けど、だから」
鴻上禮次郎:眉をピクリと動かす
新垣御守:「こっちも言っておかなきゃいけない事がある」
新垣御守:泳いでいた視線が定まる。真っ直ぐ鴻上の方へ。
新垣御守:「この作戦はウチが主体。ウチのやりかた……あんたらの言い方でいくと」
新垣御守:「『流儀』って事になるかな。多分」
新垣御守:「それを呑んでもらいたい」
鴻上禮次郎:「構わねえさ……俺は外様の身だ」
新垣御守:「オッケー、じゃ、まず1つに」
新垣御守:「自分の身は守って欲しい。あんたの人生設計は私も知らんけど」
新垣御守:「任務が終わるまでは生き延びるつもりでやってもらう」
新垣御守:「特攻野郎は何しでかすか分からんから。問題ない?」
鴻上禮次郎:「OKだ。生きなきゃ殺せねえ」
新垣御守:「ありがと。んで2つ目」
新垣御守:「私たちは軍隊や殺し屋じゃない。衝突は極力避けてもらう」
新垣御守:「こっちは何人死なせずに済むかでそろばん弾いてる。それが窮屈だって言うなら、連れてけない」
日馬 美礼:にやにや笑いを浮かべたまま、膝の上で指を絡めている。
鴻上禮次郎:「かまやしねえ」
鴻上禮次郎:「俺はケジメが付けられればいい」
鴻上禮次郎:「舐められっぱなしで終わっちゃあ、地獄で奴らに合わす顔がねえってだけさ」
鴻上禮次郎:(それに——)
鴻上禮次郎:(こいつらはまだ俺の『奥の手』を知らねえ)
鴻上禮次郎:(仁義も、矜持も、今の俺にゃあねえんだよ)
新垣御守:「……」
新垣御守:含みを感じつつも、視線を一度下げて
新垣御守:「それ聞けてよかった。よろしく頼むよ。鴻上さん」
鴻上禮次郎:「ああ、世話になるぜ」
豊島 正則:「…まあ、なんだ。たぶん、こん中じゃあアンタに一番近い気質なのは俺じゃないかと思うんだが」
鴻上禮次郎:「ほう? そうなのかいアンちゃん?」
豊島 正則:「ああ。つっても、アンタの尺度で言やあ…ああ、外道仕事ばっかりこなしてきた類だ。…ともあれ、だ」
豊島 正則:乱暴に、包帯の上から頭を掻いて。
豊島 正則:「誰かを後ろから刺さなきゃならねぇ、って事態だけは御免だ。…誰かが何かをしでかそうとするのを止めるとなりゃあ」
豊島 正則:「当然、そうなっちまうからな。…そうならねえことを祈るよ」
鴻上禮次郎:「何もしてなくても後ろから刺される覚悟はしてきたが……はは、そうだな」
鴻上禮次郎:「そこら辺はわきまえてるさ」
鴻上禮次郎:「そして、一つ良いかあんちゃん」
豊島 正則:「ああ、なんだい」
鴻上禮次郎:「あんた、近いけど違うよ。あんたは悪党じゃねえ……そんな気がする」
鴻上禮次郎:「少なくとも俺みたいな惨めな死に方は……いや、わかんねえけど、しないで欲しい。するなよ。ああ何言ってるんだ俺」
鴻上禮次郎:「ま、そんだけだ。よろしく」
豊島 正則:「……ああ、よろしくな」
豊島 正則:そう言うアンタは、と言いかけて。この男を的確に表する言葉も、相応の交流もまだないことに気付いて。
豊島 正則:静かに挨拶を返す。
五十嵐警部:場が収まったのを見て五十嵐はひとつ息をつき、「……では、私はこれで。鴻上、皆さんに失礼のないようにな」
五十嵐警部:そう言って踵を返す。
日馬 美礼:笑顔のない目で、じっと鴻上さんを見ている。
新垣御守:「ミレーちゃーん、出てる出てる。色々」
新垣御守:固い笑顔で見送る

GM:その時、日馬の白衣の袖が、くいくいと引っ張られる。
日馬 美礼:「ん?」
GM:見ると傍に、一人の幼い少女が立っていた。
日馬 美礼:「ああ。失礼、きみが話の?」
新垣御守:「おっとぉ、ヤクザの次はちびっ子か~」
新垣御守:「何?迷子?」
新垣御守:しゃがみ込む
シンシア:「N市第四支部支部長 日馬美礼さんですね」
シンシア:少女は抑揚のない声で言う。
日馬 美礼:「ああ。直前まで通達無しで乗り込んできたのは驚いたよ。お名前を伺っても?」
シンシア:「私は≪ネクベト≫、シンシア・アップルヤードです」
シンシア:「今回の捜査期間中、あなたの指示を仰ぐよう言われています」
シンシア:ぺこりと頭を下げ、
シンシア:「よろしくお願いします」
日馬 美礼:「よろしく。ミス・アップルヤード」
豊島 正則:「…うん?いや待て、ってこたあその子が…」
新垣御守:「あーーー……そうみたいね」
日馬 美礼:「おーい豊島くん。きみの担当だぜ」
新垣御守:「まじでか」
鴻上禮次郎:「……ッ!」
鴻上禮次郎:(こんな子供まで……)
新垣御守:「うし……うん」
豊島 正則:「…マジか」
新垣御守:「予定通り頼んだ。支部長補佐」
新垣御守:「私にはこれ無理だわ」
豊島 正則:「こういう時だけ役職をフル活用すんじゃねえよ!」
鴻上禮次郎:(現場はさておき、UGNって連中も大概外道じゃ……)
鴻上禮次郎:「今の俺にゃ何も言えねえか」 小さく呟く
鴻上禮次郎:(ガキ、欲しかったなあ……)
新垣御守:「あー、既に厳しい視線も感じるし」
豊島 正則:などと新垣さんに応じてから。
新垣御守:「第一、アレ。ヤンママと思われたくねえし」
日馬 美礼:「ああ。ありそうだねえ。うちにもいるけど大変そうでさあ」
新垣御守:「あと、ま」
新垣御守:「守る能力ないしね、私」
新垣御守:掌の傷を見る
日馬 美礼:「ということで、ミス・アップルヤード。現地での応対に彼をつけます」
豊島 正則:「…ああ、悪ぃがそっちのお姉ちゃんは色々忙しいらしくてな。こっちにいる間は、俺が相手をすることになる」
豊島 正則:シンシア、と名乗った少女の前で、片膝を突いて視線を下げる。
シンシア:「……」ガラス玉のような目で、豊島くんを見る。
シンシア:「…………」
豊島 正則:「……なんだ、どうした。ああ、やっぱこの顔(ナリ)じゃあ怖いか…?」
シンシア:「…………」まるで聞こえていないように、丸きり無視。
シンシア:「……日馬支部長」
日馬 美礼:「何かな」
シンシア:「捜査期間中、彼と会話してもよろしいでしょうか?」
新垣御守:「……はい?」
日馬 美礼:「どうぞ、ご随意に」笑顔。
日馬 美礼:「楽しい経験になると思うよ」
シンシア:「了解しました」無表情に頷く。
新垣御守:「あー……」
新垣御守:「そういう系ね」
豊島 正則:「…エージェントっつーか、これは」
豊島 正則:巣から放り出されたばかりのチルドレンたちのようだ、と。そう思ったことは口には出さないが。
シンシア:「よろしくお願いします。≪ネクベト≫、シンシア・アップルヤードです」平坦な声で、豊島くんに言う。
新垣御守:その表情、その目の色。
新垣御守:フラッシュバックする。死んでいった『仲間』たちの面影。
新垣御守:「ほんっと」
新垣御守:「どこもかしこもよぉ」
新垣御守:小さく呟き、ポケットに手を突っ込む
豊島 正則:「"凶鳥(フッケバイン)"、豊島正則だ。正則、でいい。…あー…」
豊島 正則:本当に、その通りだ。どこもかしこも狂っている。だから、せめて。
豊島 正則:「シンシア。…シンシア、でいいな?短い間かもしれねえが、よろしく頼む」
豊島 正則:交わす言葉は、ごく普通の、ありきたりのものを。
鴻上禮次郎:(え、只のガキじゃないのか……?)
日馬 美礼:「うちの系列だとね、若いやつのほうが危ないんだよ。ぼくより下だともっとかな」何事もなかったかのようなにやにや笑いを鴻上さんに向けて。
新垣御守:「『らしい』こと言わせてもらったつもりなんだけどね」
新垣御守:鴻上さんに苦笑して
新垣御守:「これじゃカッコつかないわ」
鴻上禮次郎:新垣さんに向けてニッと笑う
日馬 美礼:「いい機会かもしれないだろ? ミモリ」ミモリ、は日本語ではないような発音で。「きみには複雑かもしれないけどさ」
新垣御守:「機会……か」
新垣御守:「しょーじき私は、それが自分に出来るかどうか」
新垣御守:まだ、と言いそうになって
新垣御守:「……だから皆がいるわけだよね」
新垣御守:「豊くん、悪いけど」
新垣御守:「責任重大だ」
新垣御守:肩に手を置く。
新垣御守:「こっちはこっちで、血は堰き止める。それくらいしか出来ないから……頼むわ」
豊島 正則:「ほんとにな。…ああ、俺も出来ることなんてのはたかが知れてる」
豊島 正則:「だからよ、結局のところ。上から下まで、全員で駆けずり回るしかねぇんだろ、俺達は」
新垣御守:「そういうことだよねったく……向いてないっての」
鴻上禮次郎:(思ったよりもUGNってのはアップアップみてえだな)
鴻上禮次郎:(となるとまあ、多少はヤクザとしての社会的な力も役に立つのかもな)
シンシア:「"凶鳥"、豊島正則さん。はい。よろしくお願いします」深くお辞儀をして、
シンシア:勢いあまって近くのデスクの角に、したたかに頭を打ち付ける。
新垣御守:「おおあっ!?」
シンシア:「…………」顔を上げると、額が赤くなっている。
新垣御守:「ちょちょ、大丈夫!?コブんなってない!?」
豊島 正則:「……ンだかなあホント。ほれ、見せてみろ」
豊島 正則:上着のポケットから、絆創膏、ガーゼ、真新しい包帯を取り出して。
シンシア:「……問題ありません」言葉通り、表情は本当に平然としている。
シンシア:何か、不自然さを覚えるほどに。
新垣御守:「あー……」
新垣御守:「痛かったら痛いって、言ったほうがいいよ」
新垣御守:「これはマジ。経験的に」
シンシア:「…………」
日馬 美礼:「確認したいけどキミ、痛覚あるの?」
シンシア:「……私に痛覚はありません。不要な機能です」
豊島 正則:「…だとしてもな。女の子が頭ぶつけて赤くしてんのは、見てて気持ちのいいもんじゃねえんだ」
豊島 正則:半ば無理やり、赤くなっている額に、絆創膏をぺたり。
新垣御守:「……それに」
新垣御守:「それでも痛いって言っといた方がいいよ」
鴻上禮次郎:「……見ちゃいられねえ」
鴻上禮次郎:スッと立って日馬に近寄る
鴻上禮次郎:「UGNの事情に口出しするつもりはねえが、そんな子供を見てるのはきつい」
鴻上禮次郎:「煙草吸ってくらぁ」
日馬 美礼:「だってさ。市街で動いてもらうことになるから、そう演じる努力はしてもらいたいね、ミス・アップルフィールド」
日馬 美礼:「喫煙所は二階のベランダだよ」
鴻上禮次郎:「さんきゅ、一つ借りだな」
新垣御守:「言ってれば誰かが手を貸してくれる。ほら、今みたいにさ」
新垣御守:「それって、どっちにもいいことだからさ」
シンシア:「…………」抵抗はせずに、ただ黙って豊島さんに処置を受けながら、
シンシア:ただ、透き通った瞳で、彼のことを見つめていた。
GM:----------
GM:その様子を遠巻きに見つめて、一人の刑事が顔を顰める。
小宮刑事:「UGNって、何なんですかね。本当に信用できるんですか?」
五十嵐警部:「小宮、そんなこと言うもんじゃない」
五十嵐警部:五十嵐は嗜めるような声色。
五十嵐警部:「情報開示は受けただろう。UGNは厚労省管轄の国際組織だ。得体の知れないところじゃない」
小宮刑事:「でも五十嵐さん!もし本当だとしたら、時々ある『上からの指示』とかでいきなり操作が打ち切られる件、あれも全部UGN絡みってことでしょう!? 」
小宮刑事:「だとしたら、今まで一体、何件のヤマを横取りされて――」
五十嵐警部:「小宮」
GM:ほんの一瞬、五十嵐が発した怒気に、小宮は気圧されて押し黙った。物腰穏やかではあるが、五十嵐は長年組対で刑事を務めてきた男だ。
五十嵐警部:「前に他所の所轄と合同捜査した時も言ったな」
五十嵐警部:「誰が最後に逮捕するか、なんてのは重要じゃない。誰かが最後に逮捕する、その結果が重要なんだ。その為に俺たち警察官は、それぞれに出来ることを全力でやればいいんだ」
五十嵐警部:「外部だって同じだ。彼らは彼らにしか出来ないことを、全力でやっているんだろう。俺たちには分からない形で」
小宮刑事:「……でも五十嵐さん!やっぱり信用できないっスよ!殆ど子供みたいな連中まで混じって……ヤクザみたいのもいるし……」
小宮刑事:「特に責任者の日馬美礼……でしたっけ? あんなに明るい髪色で、白衣でメガネで車椅子で……」
小宮刑事:「それにあの顔!絶対何か企んでますよ!しかもまだ、16っていうじゃないですか!本当に現場を任せていいんですか!?」
五十嵐警部:「………………」
五十嵐警部:その言葉には少し思うところがあったのか、五十嵐は黙り込む。
GM:厚労省と公安警察はかつてオーヴァードに対する姿勢で対立し、その禍根はそのまま厚労省管轄のUGNにも引き継がれた。
GM:そうでなくとも、現場の警察官と非公開組織であるUGNとの溝は、俄かには埋めがたいものがあった。
GM:……それぞれの思惑を乗せたまま、しかし時計の針は止まることはない。
GM:時刻は午前10時。合同捜査が、始まろうとしていた。
GM:----------
GM:シーン終了。

【Middle2 シーンPC:矢ヶ崎藍華】

矢ヶ崎藍華:43+1d10
DoubleCross : (43+1D10) → 43+1[1] → 44


GM:----------
GM:N市 輪移湖付近山中
GM:----------

GM:周囲を鉄壁で囲まれた作業場。
GM:うず高く自動車やコンテナが積み上げられ、プレハブの宿舎が備え付けられたこうした場所はヤードと呼ばれ、しばしば犯罪者や不法入国者の温床となることから、昨今特に問題視されている。
GM:鉄と土の匂いが立ち込めるヤードの中央で、矢ヶ崎をじっと見つめる少女が一人。
GM:幼さの残る顔立ちを、タトゥーとピアスで装飾して、ふてぶてしくガムを噛んでいる。周囲には君達を見張るように、そこかしこにカルテル構成員らしき武装した男達が控えている。
チコ:「仲間になりたいってのは、あんた?」
矢ヶ崎藍華:「はいっ」
矢ヶ崎藍華:《虹の香り》。タバコの匂いを再現して流しておく
チコ:「ふーん……」
チコ:およそ裏社会に足を踏み入れようとする人間には見えない君だが、チコはタバコの匂いを嗅いでやや猜疑心を弱めたようだ。
矢ヶ崎藍華:(やっぱり、あんまりいい匂いじゃないなあ…)
矢ヶ崎藍華:内心辟易しながら、匂いを維持する。
チコ:少女は君に歩み寄り、くちゃくちゃとガムを噛みながら、前後左右からじろじろと舐め回すように見つめる。
矢ヶ崎藍華:「ど、どうしました?」
チコ:「…………」
矢ヶ崎藍華:(怪しまれてるよぉ~!)
チコ:「……まあいいや。オーヴァードなんでしょ?とりあえず能力見せてよ、のーりょく」
矢ヶ崎藍華:「……!」
矢ヶ崎藍華:「ち、ちょっと…私のは、なんてゆーか」
矢ヶ崎藍華:「あ、あんまり見栄えがよくないとゆーか…!」
チコ:「は?」怪訝そうな顔をして。
チコ:「あんたオーヴァードなんでしょ?能力使えないわけ?それともニセモン?」
チコ:「オーヴァードじゃないなら、ウチにはいらないよ」
矢ヶ崎藍華:「ち、違いますよぉ…!ほらっ」
矢ヶ崎藍華:《ワーディング》を一瞬だけ出す
GM:周囲の構成員たちが、ばたばたと倒れていく。
チコ:「…ふ~ん…」
矢ヶ崎藍華:「…ねっ!」
矢ヶ崎藍華:できますよ!
チコ:「確かにオーヴァードではあるっぽいけど。そんなん誰でも出来んじゃん」
チコ:「姉さんには、役に立つ奴を連れてこいって言われてんのー!」
矢ヶ崎藍華:「あう……」
チコ:「ワーディングしかできないヤツなんて、連れてっても褒めてもらえない~!」
矢ヶ崎藍華:「……」
チコ:ぷんぷんと怒っている。
矢ヶ崎藍華:「わ、わかりました……」
チコ:「ん?」
矢ヶ崎藍華:(どーしよう…取り敢えずリボンつけたままなら多少弱いかな…)
チコ:「じゃあ、それ」
チコ:「そのクルマでいいよ」近くのスクラップを指し示す。
矢ヶ崎藍華:「あの」
矢ヶ崎藍華:「離れておいて下さい」
チコ:「ん?」
矢ヶ崎藍華:「ちょっと、コントロールが苦手なので」
チコ:不審そうな顔で、しかし言われた通りに離れる。
矢ヶ崎藍華:ぼっ
矢ヶ崎藍華:左手に、小さい火球が生まれる。実際にぶつけるにしては、あまりに頼りない
矢ヶ崎藍華:昏い色を発しながら燃えるそれを…頭上に浮かべて
矢ヶ崎藍華:手に生まれた翳りを、直接車に押し当てる−−−刹那
矢ヶ崎藍華:破断音。圧壊音。金属が声帯を持って悲鳴を上げるならこういう音かもしれない
矢ヶ崎藍華:矢ヶ崎藍華の触れたポイントから黒い影が球状に膨らみ、包まれたスクラップがその形のとおりに“握りつぶされる”
チコ:「ウォッ!?」
チコ:驚愕に目を見開き、膨らませていたガムがぱちんと弾ける。
矢ヶ崎藍華:「……ッッ!!」
矢ヶ崎藍華:…だけにとどまらない
矢ヶ崎藍華:ぼこ ぼこ
矢ヶ崎藍華:球状の影が仙人掌の成長の如く“仮足”を伸ばし、車を食い散らかしていく
矢ヶ崎藍華:「……!!!」
矢ヶ崎藍華:能力を無理やり終了させた後に残ったのは、月面のような大小様々なクレーターと
矢ヶ崎藍華:隕鉄の如く圧縮された金属塊の粒のみである
チコ:「すっげー!!マジ!?かっけー!!」
チコ:興奮した様子でぴょんぴょん跳ねて、
矢ヶ崎藍華:「…ハァーッ!!はぁーっ……」
矢ヶ崎藍華:汗みずくだ。一番最小限に押し止めようと努力はしてみたのだが
チコ:「お前すげーじゃん!気に入った!あたしチキータ!みんなにはチコって呼ばれてる!」
チコ:君の背中をばしばしと叩く。
矢ヶ崎藍華:「お、お気に召しましたか…?」
矢ヶ崎藍華:どうにか笑顔を浮かべる。
チコ:「うんうん!お前すげーよ!」上機嫌で笑う。
矢ヶ崎藍華:ただ解き放つだけならば、こんなに消耗はしない
矢ヶ崎藍華:(今回は、割と上出来だったかな…)
チコ:「よっしゃ!仲間に会わせてやるよ!ちょっと待ってろ!」
チコ:チコは目の前の空間に手をかざすと、
チコ:レネゲイドを集中させ、練り上げ始める。
チコ:「……んん……」
矢ヶ崎藍華:ぐっと、疲労した手を握って
矢ヶ崎藍華:(いける…!第一段階、成功!)
矢ヶ崎藍華:(先輩、私頑張ってますよ!)
GM:1分ほど経ったころ、空間に真っ黒な穴が開く。
GM:それはバロールの≪ディメンジョンゲート≫と呼ばれる能力だが、
GM:他の能力者のそれと比べ、明らかに大きく、そして安定している。
チコ:「よし!上出来!」
チコ:「ほら、行こうぜ!」
矢ヶ崎藍華:(わあ…すごい…)
チコ:チコが君の手を引き、
チコ:異界への異界への入り口異界への入り口めいた、不吉な暗黒の渦の中へと誘う。
矢ヶ崎藍華:「はいっ!チコさん、ついてきますぜっ!」
矢ヶ崎藍華:姉のおどけた喋り方を真似つつ
矢ヶ崎藍華:ゲートへと足を踏み入れましょう

GM:ゲートを抜けると、その先は
GM:高級そうなホテルの一室と思しき場所だった。
矢ヶ崎藍華:「おお…!」
矢ヶ崎藍華:(すごい…!テレビでしか見たこと無いよ)
GM:窓の外からは、少し見覚えのある景色が見える。
GM:N市内に聳える、高級ホテルの最上階だ。
チコ:「姉さん!姉さん!連れてきました!」はしゃぐ子供のように、チコは部屋の奥へ駆けていく。
矢ヶ崎藍華:「あ、えっと!ここで待っていれば…!?」
矢ヶ崎藍華:「行っちゃった…」
矢ヶ崎藍華:豪奢な雰囲気に押されて落ち着かない。こういう時にイヤホンがあればよかったのに
GM:では、君は恐る恐る、チコの行った先を覗いてみる。
GM:その部屋には三人が控えていた。
矢ヶ崎藍華:(誰だろ)
矢ヶ崎藍華:あんまりお行儀よくないな~と思いながらチラチラ見ている
GM:一人は短いシャツを着た白人の中年。椅子にどっかりと腰掛け、机に広げた白い粉末を、一万円札を使ってトントンと叩き細かくしている。
矢ヶ崎藍華:「…!!」(ホンモノだ…ホンモノのオクスリだよ…!)脳内をかけめぐる保険の授業のビデオ
GM:一人はアジア人らしき男。スーツを着込み、冷たい印象の男だ。君の存在に気付き、ちらりと目を向けてくる。
矢ヶ崎藍華:「あっ、えと」
矢ヶ崎藍華:取り敢えず慌てて会釈
陈浩宇:「……」無言で君を見つめ、ふいと目を逸らす。
GM:そしてもう一人は、黒髪の女。
GM:ライダースジャケットを着込み、褒められるのを期待してうきうきした様子のチコを、冷たく見下ろしている。
リリアナ:「…………」
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:(…あのひと)(写真で見た)
チコ:「でね!でね!姉さん!あいつスゴいんですよ!」
チコ:「……あれ……ね、姉さん……?」
矢ヶ崎藍華:日馬さんとのやり取りを覚えている
矢ヶ崎藍華:リリアナさん。UGNから離反したひと。何か因縁があるみたいだけど
チコ:「クルマがね!ばきばきばき!!って!マジで凄くて!」
GM:彼女の冷たい反応に違和感を覚えたのか、チコの声がトーンダウンする。
矢ヶ崎藍華:「…?」
リリアナ:「……チコよぉ……」
GM:骨の髄まで凍えるような、恐ろしく冷たい声。
チコ:「う、うん……?」
リリアナ:「お前に任せたクスリよぉ、一袋足りねェんだわ」
リリアナ:「どこ行ったか知ってるか? なあ」
GM:凍てつくような緊張感。君に向けられたものではないが、凄まじい圧を感じずにはいられない。
チコ:「…………」
チコ:チコは視線を落とし、大量の汗をかいてぶるぶると震える。
矢ヶ崎藍華:(うわあ…)
矢ヶ崎藍華:ビリビリと、とんでもない量の殺気を感じている
矢ヶ崎藍華:(…取り敢えず、すぐに楽になるならマシかなあ)
矢ヶ崎藍華:それを受けて、怯えるのではなく
矢ヶ崎藍華:これから起きることに対しての憂いを感じて眉をひそめている
チコ:震える手で、ポケットからプラスチックにも似た小さな結晶が詰まった小袋を差し出す。
リリアナ:「…………」
リリアナ:リリアナはそれを受け取ると、
リリアナ:再びチコに視線を戻す。
リリアナ:「お前さあ、コレ」
リリアナ:袋を振り、
リリアナ:「どうするつもりだった?」
チコ:「よ……ヨソに流したり!売ったりするつもりじゃなくて……!」
チコ:「た、ただ、自分でやってみたら、どんなもんなんだろうって……き、気になって……!」
チコ:チコは汗だくになり、必死に弁解する。
矢ヶ崎藍華:「……」
リリアナ:「ふぅん」
リリアナ:リリアナはそう言うと、薬の袋を置いて、
リリアナ:チコの顔面を、拳で殴りつけた。
リリアナ:室内に甲高い破裂音が響き渡る。
チコ:「げぅっ……!!」
チコ:チコは鼻血を噴き出し、家具を巻き込んで倒れこむ。
リリアナ:「チコよぉ」
リリアナ:チコに歩み寄り、屈みこむ。
リリアナ:「何度も言ってんだろ、クスリに手ぇ出したら売人は終わりだ」
チコ:「ううっ……ね、姉さん……ごめんなさい……」
矢ヶ崎藍華:その様子を見て、二人の方に駆け出します
矢ヶ崎藍華:「あ、あの~…?」
リリアナ:「ん」
矢ヶ崎藍華:「あ、こ、こんにちは。」
リリアナ:君に気付き、怪訝な顔をする。
リリアナ:「……ああ、コイツが連れてきたっていう……」
矢ヶ崎藍華:「島崎彩夏って言います。」偽名。ダミーの戸籍も用意してある
リリアナ:「ふーん」頭からつま先まで眺める。
矢ヶ崎藍華:「はいっ!それで、その。ごめんなさい!」
リリアナ:「あ?何だよ」
矢ヶ崎藍華:「チコ先輩に、“クスリって先輩も持ってるんですよね。どういうのなんですか?”って聞いちゃって」
矢ヶ崎藍華:「先輩、気を利かせて用意しようとしちゃったみたいで…ご迷惑おかけしました…!」
矢ヶ崎藍華:“申し訳なさそうな様子”で、ペコペコと頭を下げる
リリアナ:「……ふーん」
リリアナ:チコを一瞥する。
チコ:「……!? ……?」
チコ:何を言っているのか、という顔をしている。
リリアナ:「……まあ、そういうことにしといてやるよ」つまらなそうに頭を掻く。
リリアナ:「……でもお前、ウチに入りたいんだろ?」
矢ヶ崎藍華:「は、はい」
リリアナ:「なら、覚えとけ」
リリアナ:チコと君に顔を寄せ、
リリアナ:「自分の売り物に手ぇ出すようになったら、売人は終わりだ」
リリアナ:「この世界で長生きしたいなら、それだけは絶対にやめとけ」
リリアナ:「分かったな」
矢ヶ崎藍華:「は…」
矢ヶ崎藍華:「はいい~!肝に銘じますっ!!」
矢ヶ崎藍華:ブンブンと首をタテに振って
チコ:「うう……姉さん……すんません……すんません……」
チコ:ボロボロと涙をこぼす。
アレハンドロ:「おい、リリアナ」
アレハンドロ:白人の男が口を開く。
アレハンドロ:「ったく、何だよそいつは、イヤミかよ」
アレハンドロ:言いつつも、丸めた一万円札を鼻にあて、白い粉末を一気に吸引する。
アレハンドロ:「ウアッ! おお……効くねぇ……」にやにや下品に笑う。
リリアナ:「……」
リリアナ:リリアナは不快感も隠さず、答えない。
陈浩宇:「……おい」
陈浩宇:今度はアジア人風の男が口を開く。
陈浩宇:「ブツをちょろまかして、お咎めがそれだけか?随分甘い気がするが?」
陈浩宇:流暢な日本語だが、ややイントネーションに中国っぽい色が混ざっている。
リリアナ:「……チッ……」露骨に舌打ち。
リリアナ:「いいだろうが。私のモンをどうしようが、私の勝手だ」
陈浩宇:「それにその子供」
陈浩宇:不意に君に目を向ける。
矢ヶ崎藍華:「はいっ」
陈浩宇:「仲間にする気なのか?」
リリアナ:「ああ?そうだよ。役に立つオーヴァード……なんだろ?チコ」
チコ:「はい!もうすごくて!ブワァ~~!!でバキバキバキ!!って感じで!!」
チコ:身振り手振りでわさわさ表現する。
リリアナ:「使えるヤツはいくらでも必要な時期だろ。お前も言ってたじゃねえか」
陈浩宇:「……信用できないな」
陈浩宇:じっとりと、男は君を睨みつける。
矢ヶ崎藍華:「……」
陈浩宇:「近頃、警察が俺たちを嗅ぎまわってるって話があった」
陈浩宇:「そいつ、本当にただの子供か?」
陈浩宇:「カルテルに入ろうなんてガラには見えんぞ」
リリアナ:「面倒くせえなぁ……」辟易して顔を顰める。
リリアナ:「………時間が無えってのに」
リリアナ:「じゃあどうすりゃいいってんだよ?読心能力のオーヴァードにアテでもあんのか?」
陈浩宇:「ない」
リリアナ:「それじゃあ、いくら言い合おうが堂々巡りじゃねえかよ」
リリアナ:「少しは考えてモノ言えや、ボケが」
陈浩宇:「……」
陈浩宇:男はしばし黙り込み、
陈浩宇:「そうだ、アレが使えるだろう」
リリアナ:「ああ?」
陈浩宇:「あの男だ。午前中の奴」
アレハンドロ:「へえ」
アレハンドロ:白人男がいやらしく口元を歪める。
アレハンドロ:「ロス・サングレスの伝統的しきたりに従うってわけか」
リリアナ:「……」
リリアナ:「くだらねえ。好きにしろよ」
リリアナ:吐き捨てるように言う。
矢ヶ崎藍華:(しきたり…?)
矢ヶ崎藍華:「チコ先輩、大丈夫ですか…?」
矢ヶ崎藍華:取り敢えず肩を貸して立ち上がらせようとします
チコ:「ああ……あたしは大丈夫、だけど……」
チコ:不安そうな顔。
チコ:「お前こそ、大丈夫かよ……?」
矢ヶ崎藍華:「え…?」
矢ヶ崎藍華:「もしかして、しきたりってのと関係有るんですか?」
チコ:「……」
チコ:チコは気まずそうに口を噤む。
GM:アジア人の男が、部屋の外の部下たちに指示を出すと、
GM:10分ほどで、構成員たちが一人の男を部屋に連れてくる。
GM:男の全身は、まるでつい今しがたまで暴行を受けていたかのように赤く腫れあがり、頭には麻布の袋が被せられている。
GM:「ウウッ!!ウウ!!ウウーーーッ!!」
GM:猿轡でも噛まされているのか、男は不明瞭な獣のような呻き声をあげる。
矢ヶ崎藍華:「……!!!」
陈浩宇:アジア人は、君にナイフを手渡す。
陈浩宇:「殺せ」
矢ヶ崎藍華:テレビでこういうのを見たことが有る気がする
矢ヶ崎藍華:(本当に、あったんだ)
矢ヶ崎藍華:急過ぎて、現実感が一切ない
アレハンドロ:「新入りにはまず殺しを覚えてもらうのがウチのしきたりでなあ」楽しそうな声色で話す。
アレハンドロ:「これをやらせると度胸も付くし、途中で逃げるヤツも少なくなる」
アレハンドロ:「この国じゃあ人殺しは足が付きやすいんで、省いてたんだが……」
陈浩宇:「……この男は、丁度数時間前に、ウチの品物に手を出そうとしたコソ泥だ」
陈浩宇:縛られた男を足先でつつく。
陈浩宇:「まともな身分もない浮浪者のクズだ。殺してもバレる心配はない」
陈浩宇:「遠慮なく殺していい」
矢ヶ崎藍華:ぎゅう、とナイフを握り込む
矢ヶ崎藍華:(どうしよう どうしよう どうしよう)
矢ヶ崎藍華:チコさんの肩を離してから、ナイフを握りしめたままイスの前へと移動する
GM:君の手に握られたナイフが、鈍く光っている。
矢ヶ崎藍華:握る手が白くなるほどに力強く握っている
GM:「ウウウウウ!!ウウウウゥーーーーッ!!」
GM:何かを感じたのか、男が一層激しく叫ぶ。
GM:その場の全員の視線が、君に注がれている。
矢ヶ崎藍華:(なんで どうして この人はそんなにわるいことしたの?)
矢ヶ崎藍華:…埃の匂いがする。
矢ヶ崎藍華:“あの日”の匂い。放っておけば、鉄錆た匂いも、大量の鮮血の匂いもするだろう
矢ヶ崎藍華:(あのとき)(わたしは)
矢ヶ崎藍華:(どうすればよかった?)
陈浩宇:「どうした」
陈浩宇:急かすように言う。
陈浩宇:「殺せないのか?」
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:「……心配なんです」
矢ヶ崎藍華:半ば、朦朧とした意識で
矢ヶ崎藍華:つい心からこぼれ出る言葉を紡いでいる
矢ヶ崎藍華:「私、ちゃんと−−−」
チコ:「……?」不明瞭な言葉に怪訝そうな顔。
GM:その時。
GM:『おい……おい、お前、UGNだろ』
GM:突然、声が聞こえてくる。
矢ヶ崎藍華:「…!」
GM:君の頭の中に、直接。
矢ヶ崎藍華:ハッとして、あわてて状況を思い出し、ナイフを向け直す
GM:周囲の誰も、口を開いてはいない。
GM:『いいから、殺せ!はやく!』
矢ヶ崎藍華:(…いや、不味いですよね…?)
GM:『大丈夫なんだよ! 俺!俺!目の前にいんだろ!』
矢ヶ崎藍華:(前…?)
矢ヶ崎藍華:注視しましょう
GM:君の目の前にいるのは、
GM:麻袋を被せられた傷だらけの男。
GM:「ウウウウーーーーーッ!!」
GM:暴れるふりをして、さりげなくコクコクと頷く。
矢ヶ崎藍華:(ほ、ホントに大丈夫なんですね!?)
矢ヶ崎藍華:(ホントの!ホントに!?)
GM:『マジで大丈夫だって!』
矢ヶ崎藍華:一応決心したように、イスの前に歩みだしつつ
矢ヶ崎藍華:「~~~~!!」
GM:『これが仕事なの!俺は!』
矢ヶ崎藍華:(………)
GM:『お前が失敗したらギャラがパァなんだよ!』
GM:『ほら殺せ!』
GM:『さっさと殺せ!』
GM:『殺せ!!』
GM:「ウウウーーッ!!」
GM:男が大きく上を向き、君の前に喉笛を曝け出す。
矢ヶ崎藍華:「あああ~~~ッッ!!!」
矢ヶ崎藍華:ナイフを思いっきり振りかざし
矢ヶ崎藍華:喉笛に突き立てる!!
GM:「ゴボッ!!」
矢ヶ崎藍華:「………」
GM:男の喉から、大量の血液が噴き出す。
矢ヶ崎藍華:脳が爆発したような感覚、そして虚脱
矢ヶ崎藍華:フラフラと、イスから離れて、へたり込みます
GM:男は床に倒れ、びくびくと痙攣し、
GM:そのまま動かなくなる。
矢ヶ崎藍華:(……だ、大丈夫ですよね…?)心で念じてみる
アレハンドロ:「オオイ!やりやがったぜ!!」椅子から立ち上がり、楽しそうに。
リリアナ:「…………」君を見つめている。その感情は読み取れない。
矢ヶ崎藍華:「………は」
矢ヶ崎藍華:「うっ」
矢ヶ崎藍華:吐き気がこみ上げ、そのまま朝食のフレンチトーストがこぼれ出る。
GM:声が引き続き聞こえてくる。『おい!大丈夫だって!にしてももっと上手く刺してくれよなぁ!』
矢ヶ崎藍華:(…!!!)
GM:『痛くなくても血で窒息すると苦しいんだぜ!』
GM:男はぴくりとも動かないように見えたが、
GM:君だけに見える角度で、そっと指を動かす。
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:…まだ、匂いがする
矢ヶ崎藍華:吐瀉物にまみれた中でも、埃の匂いは消えてなかった
矢ヶ崎藍華:(……)感じられるのは茫洋とした心の砂嵐でしょう。
陈浩宇:「……おい」
陈浩宇:アジア人が部下に指示を出すと、男の死体が運び出されていく。
GM:『おい!ちゃんと仕事したって言っといてくれよな!』
GM:『麻取の猫山とかいうヤツ!ちゃんとギャラ払えってよ!』
GM:『頼んだからなーー!』
GM:表では無言の死体として、男は部屋から運ばれていく。
リリアナ:「……これで文句は言えないよな?」
陈浩宇:リリアナの挑発に、不機嫌そうに顔を背ける。
陈浩宇:「……ふん……」
アレハンドロ:「はっは!久々に見られたわ!いやー意外とやるじゃねえか!そいつ!」
チコ:「だ、大丈夫かよ……?」
チコ:背後から君を支えるように手を添える。
矢ヶ崎藍華:「!!」
矢ヶ崎藍華:怯えるように飛び退いて
矢ヶ崎藍華:「あっ……」
矢ヶ崎藍華:「…だ、大丈夫、です」
チコ:「……」明らかに心配そうな目で、君を見る。
リリアナ:「何はともあれ、だ」
リリアナ:リリアナは君に歩み寄り、その顔をじっと見つめる。
矢ヶ崎藍華:「認められたんですよね?やったあ」
矢ヶ崎藍華:暴徒に一通り殴打され続けた後の盾のような笑顔を無理やり作る
リリアナ:「そうだ。使えるヤツは大歓迎だ。そのうえ度胸もあると来てる」
リリアナ:リリアナは口を歪めて笑い、
リリアナ:「ようこそ。ロス・サングレスへ」
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:全員ロイス取得可!
GM:まとめて!
日馬 美礼:んー。残り枠がこんだけなんだよね。……五十嵐さんには確保しておく。「■誠意/憐憫」
矢ヶ崎藍華:シナリオロイスをまず取りましょう。チコちゃんに「かわいい/憐憫○」で
矢ヶ崎藍華:後はちょっと保留します
新垣御守:とりあえず日馬さんに!
新垣御守:信用○/猜疑
新垣御守:まだ懐に入れてないから同じ支部長といえこんなもんかなと
新垣御守:以上!
豊島 正則:シナリオロイスをまだ取ってなかったっぽいので、ここで。
豊島 正則:シンシアに「■好奇心/隔意」で。以上!
GM:OK!

【Middle3 シーンPC: 新垣御守 日馬美礼 豊島正則 鴻上禮次郎】

GM:侵蝕どうぞ!
新垣御守:1d10+30
DoubleCross : (1D10+30) → 8[8]+30 → 38

豊島 正則:1d10+50
DoubleCross : (1D10+50) → 6[6]+50 → 56

日馬 美礼:1d10+53
DoubleCross : (1D10+53) → 9[9]+53 → 62

鴻上禮次郎:35+1d10
DoubleCross : (35+1D10) → 35+3[3] → 38

豊島 正則:いやあ、飛ばしてますね我々。
GM:まだいっぱいシーンあるのに…
GM:----------
GM:互いの腹の内を探るような重苦しい空気の中、第一回捜査会議は幕を開けた。
GM:まずは形式的な自己紹介が行われる。中でも特に目を引いたのは、場の空気も意に介さずにこにこ笑みを浮かべる一人の男。
猫山部長:「関東信越厚生局麻薬取締部から来ました、猫山です。まあ皆さん、余計な緊張は邪魔なだけですよ。もっと肩の力を抜いて行きましょう」
猫山部長:猫山は続けて、歳若い白人の男を紹介する。
猫山部長:「こちらはDEA(米麻薬取締局)のフレデリック・ビショップ捜査官です。麻薬カルテルの事情にも詳しく、今回捜査に協力していただける運びとなりました」
ビショップ捜査官:「御紹介に預かりました、DEAのビショップです。皆さんどうぞよろしくお願いします」
GM:ビショップはやや訛りの入った発音で挨拶をした。
GM:ただ外国人というだけでなく、どことなくモデルか俳優のような佇まいに、一目で高級品と判るスーツ。捜査員の中で明らかに浮いていた。
新垣御守:「どもっす、こっちが第二の新垣、んでそっちが第四の日馬さん」
日馬 美礼:「よろしく。一応、今回のこちらの責任者だよ」
日馬 美礼:別の意味で浮いているのが、軽く手を振る。
新垣御守:「こっちのハムナプトラがうちの補佐の豊くんです」
豊島 正則:「遠回しにミイラ呼ばわりすんじゃねえよ。…まあ、短い間になるんだろうが、よろしく頼む」
新垣御守:「ごめんごめん、これ掴みいいからさ。へへっ」
猫山部長:「おお、UGNの!いやぁ、一度お会いしてみたかったんですよ」人の良さそうな笑み。
猫山部長:「いやはや、皆さん噂に違わぬ個性的な方々のようで……」
鴻上禮次郎:(マトリに、メリケンねえ……) 不機嫌そうな顔
豊島 正則:「ったく…。…で、こっちの強面が…」
豊島 正則:鴻上をどう紹介しようか、と言い淀む。
新垣御守:「そっちは紹介しなくても話通ってるでしょ。多分」
新垣御守:「どうする、もいっちょやっとく?」
新垣御守:すいすいと宙に手を切るポーズ
猫山部長:鴻上を見て、無言でにっこり微笑む。
日馬 美礼:「一応録音あるし、止めといたほうがいいんじゃないかな?」
新垣御守:「みたいっすね……んじゃ話は早い」
鴻上禮次郎:「ありがたいな」
新垣御守:「そっちさんの情報から聞かせてもらえます?」
GM:一通りの挨拶が済むと、五十嵐警部がスクリーンの傍らに歩み出る。
五十嵐警部:「それでは、本捜査の概要をご説明します」
GM:捜査員全員に向け、五十嵐はマイクを構える。
五十嵐警部:「先月2日、N市内において共に指定暴力団鴻央会の傘下組織である流々家組と黄衣会が、大規模な抗争を引き起こしました」
五十嵐警部:「この抗争で流々家組は死者1名負傷者5名、黄衣組は負傷者12名、さらに無関係の民間人に2名の負傷者を出し、その他威嚇射撃、双方の事務所の窓ガラスが割られる、発煙筒を投げ込まれる等の騒ぎとなりました」
GM:スクリーンにはガラの悪い男達の顔写真や道路に散乱したガラス片のスライドが映し出される。
五十嵐警部:「この抗争の発端となったのは、双方の構成員の大量失踪です」
五十嵐警部:「現在N市内では流々家、黄衣のみならず月吼會、鴻鵠会、黒山羊一家など、組織を問わず暴力団関係者が失踪を遂げており、流々家、黄衣はこれを互いに相手の仕業だと考えたわけです」
鴻上禮次郎:(本当に、あのバカども……)
新垣御守:「で、それを糸引いてるやつがいると」
日馬 美礼:「物騒なもんだ」
GM:スライドに次々と映し出される顔写真。鴻上の見知った顔ばかりだ。そして、彼自身の部下達の写真も。
鴻上禮次郎:ムスッとした表情のまま、腕を組む
五十嵐警部:「しかし、抗争勃発から数日、状況が一変します。山菜採りに山に入った民間人が埋められた人体の一部を発見。通報を受け周囲を捜索したところ、付近から次々と埋められた遺体が発見されました」
GM:スクリーンには掘り出されビニールシートに並べられた大量の死体が大写しにされる。腐敗こそ然程ひどくはないが、一部は生々しい暴行の跡や手足の欠損が見て取れる。通常のマスメディア等ではまず見ることのない光景だ。
豊島 正則:「なんとまあ、雑なこった」
豊島 正則:火のついていないタバコを咥えたまま、半眼でモニターを眺めている。
五十嵐警部:「被害者は暴力団員のみならず、その関係者、また彼らが経営に関与する風俗店、パチンコ店、裏カジノ等の従業員、さらには偶然の目撃者と思しき無関係の一般人等、多岐に及びます」
五十嵐警部:「これらの殺人・死体遺棄の容疑者として浮かんだのが、ここ半年ほどで市内に出回るようになった、他暴力団とは全く異なるルートで密輸されていると見られる麻薬の、元締め集団です」
五十嵐警部:「陸路・空路・海路のどれも網に掛からず、兼ねてから捜査は難航していましたが……猫山さんの尽力で、とうとうその正体を突き止めました」
GM:麻取の猫山が鷹揚に会釈する。
五十嵐警部:「麻薬カルテル、『ロス・サングレス』」
GM:スクリーンが切り替わり、地図上に示された活動地域、活動期間、構成人数などの情報が映し出される。
五十嵐警部:「本来中南米からアメリカを拠点とするこのグループが日本で活動を開始したのは」
五十嵐警部:五十嵐はほんの少し言い澱み、
五十嵐警部:「……オーヴァードの存在が背景にあるものと思われます」
GM:捜査員達の間に、何とも言えない空気が漂う。今回の捜査に当たって基本的な情報開示は受けているはずだが、それでもやはり俄かには信じきれないというのが実情だろう。
新垣御守:「もうこれおなじみのヤツだよな……続けてくれます?」
新垣御守:後頭部に視線を受けつつ促す。
五十嵐警部:「この組織に関する詳しいお話は、ビショップ捜査官にお願いします」
GM:五十嵐に代わり、ビショップがマイクを引き継ぐ。
ビショップ捜査官:「ロス・サングレスは、主にメキシコを拠点として活動する、比較的新興のカルテルです」
ビショップ捜査官:「10年ほど前、有力カルテル、『フアレス・カルテル』から分派する形で生まれたカルテルであり、後発組織のため発足当初は細々と活動していましたが、近年急激に勢力を拡大しつつあります」
ビショップ捜査官:「リーダーはこの男、アレハンドロ・エスコバル」
GM:スライドには小太りの白人が映し出される。短いシャツを着て、ふてぶてしく笑っている。
ビショップ捜査官:「元はアメリカの官僚です。本名アレハンドロ・アルバラード。エスコバルとはコロンビアの伝説的麻薬王、パブロ・エスコバルから取ったもので、本人は彼の隠し子であり正当後継者を標榜しています。つまりは箔付けですね」
GM:どこの国、どこの裏社会でもよくある話だ。金と暴力の為に全てが一瞬で泡と消える不確かな環境で、だからこそ形の無い名誉や正当性の看板をありがたがる。
ビショップ捜査官:「官僚時代の人脈を活かして器用に立ち回っており、中々尻尾を掴ませません。政治手腕は確かなようで、古巣であるフアレス・カルテルと表向き良好な状態を保っているのもアレハンドロによるものと思われます」
ビショップ捜査官:「しかし、ロス・サングレスの躍進の原動力となったのは、彼ではなく……」
GM:ビショップが手元を操作し、スライドを切り替える。映されたのは一枚の写真。
GM:かなり望遠で撮られたものらしく画質は荒く、顔もよく判別できない。
GM:だがその場において新垣だけは、その立ち姿と黒髪だけで、それが誰であるのか瞬時に理解できる。
新垣御守:「……」
ビショップ捜査官:「リリアナ・マルティネス」
新垣御守:特に表情は変わらない。
新垣御守:ただいつものように気の抜けた視線で、ぼんやりとそれを見つめ。
新垣御守:「……なんでこうなんのかなぁ」
新垣御守:とだけ呟く。
ビショップ捜査官:「ロス・サングレス専属のシカリオ(殺し屋、近年では特にオーヴァードのものを指す)であり、非常に強力なオーヴァードです。彼女の加入以降、ロス・サングレスは飛躍的に勢力範囲を拡大しました」
GM:示された地図上では、ほんの数年で組織の勢力圏が2倍以上になっているのが見て取れる。
新垣御守:「エラい張り切ってんね。仕事熱心な奴だ」
新垣御守:苦笑する。
日馬 美礼:「使い方だろうね。優秀だな」指を組み替える。
鴻上禮次郎:支部長二人の反応を見て、一瞬だけ眉をピクリと動かす。
ビショップ捜査官:「その経緯ゆえに発言力も大きいようで、直接の暗殺や抗争以外の組織運営の指揮も行なっていることもあり、ロス・サングレスの実質的な指導者は彼女であるという見方が大半を占めています」
ビショップ捜査官:「彼女は元UGNエージェントというお話ですが……」
GM:その言葉に、組対の刑事達から俄かに君達に不信の目が向けられる。
新垣御守:「そ、身内の不始末ってことで……あー」
豊島 正則:「上手いこと噛み合っちまったのかねえ…。拙い時期に拙い奴が拙いトコにいた、ってわけだ」
鴻上禮次郎:「身内の不始末……ねぇ」 小さく呟く
鴻上禮次郎:噛み付こうと思えば徹底的にか見つける
鴻上禮次郎:だがまだ旨味は少ない
鴻上禮次郎:破落戸(レッガー)の華はキリトリの見極め、まだサメのような笑みを浮かべるだけだ
新垣御守:「任せちゃっていいです?」
新垣御守:日馬さんに
日馬 美礼:「ぼくらが呼ばれてる理由だね。こちらの立場の説明は必要かな、ビショップ捜査官?」
ビショップ捜査官:「ええ、それでは……」五十嵐とアイコンタクトを交わし、「そうですね、よろしくお願いします」
日馬 美礼:『ありがとう、捜査官殿』流暢な英語で言って微笑。
日馬 美礼:「さて。ということで、こちらはUGN。日本国内は労厚省の下部組織ってことになってるけど、実際は国際組織の出先機関だ」
日馬 美礼:「概ね、超能力者で超能力者の悪党と戦ってる国際秘密結社のたぐいだと思ってもらっていいよ」
日馬 美礼:「洋画を見る趣味のある人は?」
日馬 美礼:一瞬待って。
鴻上禮次郎:手を挙げる
小宮刑事:挙手。
猫山部長:挙手。
ビショップ捜査官:両手で挙手
日馬 美礼:「それなら話が早い。------(具体的な名前。編集)みたいなもんだ」
日馬 美礼:「あいにくまだ、宇宙人の軍団と戦争したことはないけどね。それで、彼女……リリアナは」
日馬 美礼:「確かにもとうちのエージェントで、国際的に飛び回っていたけれど、まあこの地域と縁のある管轄だった」
日馬 美礼:「もとUGNの人員の不始末、かつこちらの専門分野が関わってる可能性が高い。そこでぼくらに声がかかったわけだ」
日馬 美礼:「詫び賃の手付けってわけじゃないが、施設含めていろいろ提供させてもらってるよ」若干楽しそうでもある。
新垣御守:「こういう時さあ。あっという間に空気作るのマジで上手いよね。」
新垣御守:「ほんと頼りになるわ。若干怖いけど」
新垣御守:横の豊島くんに小声で。
豊島 正則:「だからこそ16で支部長、ってことだろ。…頼もしいんだか恐ろしいんだか」
豊島 正則:小声で応え、つまなそうに、煙草のフィルターを噛み潰す。
日馬 美礼:「協力は惜しまない。遠慮なく活用してくれると嬉しいね。ぼくらは、いつだって正義の味方だから」
五十嵐警部:「そうだ。この施設も日馬さんのご厚意で提供していただいているものだ。全員感謝するように」
GM:捜査員たちはまだ完全には不信が拭えないようだったが、一応の納得の色を見せる。
鴻上禮次郎:(そうだな……よし)
鴻上禮次郎:「あー、質問良いかい」
日馬 美礼:「どうぞ。鴻上さん」
鴻上禮次郎:「UGNってのは、総体としてはここに居る俺たちや麻薬カルテルを遥かに超える巨大組織だが、巨大故に世界各地で頻発する問題に対応せねばならず、現実問題としてこの案件に割けるのは今の人数の五光者(オーヴァード)が限界って認識で良いか?」
鴻上禮次郎:「でなきゃ、こうして手と手を取り合って俺たちみたいな只の人間と組むこともない訳だしよ」
日馬 美礼:「そうだね。身内の恥を晒すことになるんだが、特に中南米は色々と大変なんだ」
日馬 美礼:「表に出てこないやつを含めて、麻薬カルテルやら非合法PMCの数が膨大でね。現地でも処理に苦慮してる」
鴻上禮次郎:「分かった。あんたたちも、俺たちも、ひとまず世のため人のためって訳だ」
日馬 美礼:「理解が早くて助かるよ」笑顔。
鴻上禮次郎:「おう、説明ありがとよ。それだけわかりゃあ組むのには十分だ」
鴻上禮次郎:ニッコリ笑ってから黙る
ビショップ捜査官:「…………」日馬支部長に向け、続けても?のジェスチャー。
日馬 美礼:『どうぞ』笑顔でハンドサイン。
ビショップ捜査官:「……ええと、捜査対象となっている幹部が、もう一人」
GM:今度は陰気な顔をしたアジア人が映される。
ビショップ捜査官:「陈浩宇(チェンハオユウ)。日本での経理担当です」
猫山部長:「うわぁ、おっかない顔」
猫山部長:猫山がわざとらしくおどけて見せる。
ビショップ捜査官:「ロス・サングレスが日本に進出して以降、つまりはたった数ヶ月前に加入した構成員ながら、日本での経理を任されているようです。この辺りは日本においての人材不足と、マルティネスの実力主義が関係していると思われます」
ビショップ捜査官:「ロス・サングレスの主な商品はクラックコカインですが、特筆すべき点としては品揃えの豊富さが挙げられます」
ビショップ捜査官:「大麻、ヘロイン、コカインは当然として、LSD、MDMA、マジックマッシュルーム等、更には危険なフェンタニル系、デソモルヒネ系の流通も確認されています」
ビショップ捜査官:「この辺りは後発業者として他業者との差別化を測ろうとする思惑が伺えますね。高純度・高品質で固定客を確保するよりも浅く幅広い客層を相手にする戦略のようです」
ビショップ捜査官:「また、ロス・サングレスはその暴力性でも知られます。まあ、これはこの組織だけでなく、メキシコ系カルテル全般に言えることですが……」
GM:スライドが切り替わり、凄惨な光景の数々が映し出される。
GM:内臓を引き摺り出され、道路に晒し者にされた死体。山羊に括り付けられた大勢の生首。目鼻と耳と性器を切り落とされ口に詰め込まれた死体。顔の皮が縫い付けられたサッカーボール。
豊島 正則:「…雑とは言ったが、ここまで丁寧にやってくれとも言ってねえんだよなあ」
新垣御守:「おーう、エチケット袋、いる人は?」
新垣御守:「美礼ちゃんは?」
日馬 美礼:「ん?」茶菓子を食べている
小宮刑事:「おぇっ……!」
GM:酸鼻を極める写真の数々に、小宮を始めとする捜査員の一部が顔色を変える。
鴻上禮次郎:(カナコ……)
GM:メキシコのギャングは、世界でも類を見ないその残虐性で広く知られ、恐れられている。
GM:まるで死者を弄ぶかのような彼らの残虐性の根源は、単に組織間の見せしめのエスカレートの結果だとも、アステカから端を発し死者の日の祭典まで連綿と連なるメキシコ特有の文化によるものだとも言われるが、一説にはこんなものがある。
GM:彼らメキシコ人は、自らのアイデンティティに暗い傷を抱えている。かつてのスペインによる侵攻と迫害、支配。
GM:自分達は尊厳を冒され凌辱された先祖達の子孫であると同時に、もう半分は暴力で支配を成した憎むべき征服者達の血も流れている。
GM:故に自らの出自と存在を無条件に肯定することが出来ないのだと。自らの生を祝福出来ない者にとっては、自らの死は軽くなり、他者の死は更に軽くなるのだ、と。
ビショップ捜査官:「中南米では麻薬戦争は激化する一方であり、ロス・サングレスは後発組織として、他組織との抗争に多大な労力を払うより、この日本という新たな市場を開拓する道を選んだものと思われます」
新垣御守:「人も薬も、運べるもんならどこにでも、か」
日馬 美礼:「賢明だ。いや、"こっち側"の南米情勢を知ってたら当然かな」
新垣御守:「ほんと、誰も彼も仕事熱心だわ」
ビショップ捜査官:「一部の有力なカルテルは、中南米においては絶大な権力を握っており、警察組織や司法機関に汚職の根を深く根付かせるのは勿論、街一つを完全に支配下に置いているものもあります」
ビショップ捜査官:「ロス・サングレスは現状、日本において新興中の新興、文字通りの外様と言えます。しかしこのまま手をこまねいていれば、莫大な資金力を背景にこの国に深く根を下ろすのも時間の問題と言えるでしょう」
五十嵐警部:「ありがとうございました、ビショップ捜査官」
五十嵐警部:五十嵐が再びマイクを手に取る。
五十嵐警部:「……私はこの件を、単なる麻薬密輸に関する一捜査と考えるべきではない、と考えている」
五十嵐警部:五十嵐は静かに言う。
五十嵐警部:「私はまだレネゲイドやオーヴァードの存在を知らされて日が浅いが、それでも一つ分かることがある」
五十嵐警部:「この国は、明らかにレネゲイドに関して後進国だ。法整備も成されず、現場の捜査環境も構築されず、連携も取れていない」
五十嵐警部:「だから目を付けられたんだ。舐められてるんだ、俺たちは」
五十嵐警部:五十嵐は憤懣を押し殺すように拳を握る。
五十嵐警部:「ここが、今こそが、今後のこの国の犯罪史を左右する分水嶺だ」
五十嵐警部:「悪しき前例を作ってはいけない。この街を、この国を、奴らにとって都合のいい餌場にしてはならないんだ」
五十嵐警部:「捜査員一同の働きに期待します。必ず我々の手で、被疑者を摘発しましょう」
五十嵐警部:五十嵐は決然と言い切った。

GM:その後数時間に渡って会議は続き、解散の頃には既に陽が落ちかけていた。
GM:捜査本部である館を出て、一旦ラボに帰ろうとする日馬に、五十嵐が声を掛けてくる。
五十嵐警部:「日馬さん!」
日馬 美礼:「何か? 五十嵐警部」きゅる、と音を立てて車ごと振り向く。
五十嵐警部:「この後お時間はありますか?懇親を兼ねて猫山さんも交えて一杯……」そこで改めて日馬さんを見て、「……は、まずいか……」
五十嵐警部:「……じゃあ、その……お茶でも?」
五十嵐警部:そう言って、困ったように苦笑した。
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイス購入可!
豊島 正則:ロイスは保留!
鴻上禮次郎:ロイス保留!
鴻上禮次郎:購入は!
鴻上禮次郎:ブルーゲイル!
日馬 美礼:こちらもロイス保留。とっときたい相手はいたしね!
日馬 美礼:何か確保しときたいものがある人?
新垣御守:ロイス!豊島くんに信頼○/隔意で!
鴻上禮次郎:カンパニー! ヤクザバッジ!
新垣御守:め…メイド服…!!
鴻上禮次郎:これらの力で俺の調達は8にまで上昇する!
鴻上禮次郎:2dx+8>=20
DoubleCross : (2R10+8[10]>=20) → 7[3,7]+8 → 15 → 失敗

豊島 正則:こちらは特には…!藍華ちゃんに渡す用にアルティメイド服を用意しときたい、ってくらいでしょうか。
鴻上禮次郎:財産点5点をぶっこんで一つ確保!
日馬 美礼:みんなガリガリ買うなあ。足りなかったら言ってよ、こっちから財産P回すから。
豊島 正則:じゃあ狙いましょう、アルティメイド服。
鴻上禮次郎:富豪パワーだ……
日馬 美礼:じゃ、とりあえず自分用のUGNボディアーマー買おうかな。
日馬 美礼:3dx+7>=12
DoubleCross : (3R10+7[10]>=12) → 6[2,4,6]+7 → 13 → 成功

日馬 美礼:買った。装備しとくよと。
豊島 正則:まずは素で振ってみます。無形は…重い…。
日馬 美礼:あ。そうそう、社会ダイス+1されるからねー
新垣御守:こっちもメイド素振り!
豊島 正則:はーい。調達+3も込みで…
新垣御守:4dx+3
DoubleCross : (4R10+3[10]) → 8[1,5,6,8]+3 → 11

豊島 正則:2dx+1+3>=20
DoubleCross : (2R10+1+3[10]>=20) → 3[2,3]+4 → 7 → 失敗

豊島 正則:駄目だった。
新垣御守:ぬあーっ!やはり厳しい!
鴻上禮次郎:社会ダイス+1されるの忘れてたぜ!
日馬 美礼:自前の財産Pで足りる方には回さなくていいかな? とりあえず豊島さんに8点。(残り財産P:93)
豊島 正則:有難い。ここに増えた6点のうち5点を入れて、成功に。
新垣御守:ではこっちは自前で注ぎましょう
新垣御守:財産8使用!これで残り7!購入成功で装備!以上!
GM:OK!

【Middle4 シーンPC:日馬美礼】

日馬 美礼:1d10+62
DoubleCross : (1D10+62) → 7[7]+62 → 69

GM:----------
猫山部長:「五十嵐さん、それ美味しい?」
猫山部長:猫山の視線の先には、五十嵐の食べる季節限定ショートケーキがあった。
五十嵐警部:「美味しいですよ」
猫山部長:「一口くださいよ」
五十嵐警部:「嫌ですよ……自分で買ってください」
猫山部長:「ケチだなあ」
GM:猫山は口を尖らせる。
GM:第5地区『成田ベーカリー』。
GM:パンとケーキの名店として地元で知られ、店内にはこうして買ったケーキをそのまま食べられるスペースも設けられている。
GM:君はこの店で、組対を率いる五十嵐と、麻取を率いる猫山と共に会食することになった。
GM:二人はこの店にはよく来ているようで、慣れた様子で幾つもケーキを注文していた。
日馬 美礼:「仲いいねえ。別部署じゃなかったですか?」歯が割れるほど甘いサバランと紅茶を飲んでいる。
五十嵐警部:「いやあ、前にも捜査で一緒になって、その時に趣味が合うと分かりまして……」
猫山部長:「その時から時々一緒に色々行ってるんですよ」
五十嵐警部:「男一人ではこういう店は入りづらいし、部下には恥ずかしくて頼めないし……」
猫山部長:「私は一人でも大丈夫ですけどねえ?」
五十嵐警部:「ちょっと!猫山さん……!」
日馬 美礼:「そういう顔してますね」
猫山部長:「あら、そう見えます?ふふ」
日馬 美礼:「さて。それで、お話っていうのは?」人の悪い笑み。
五十嵐警部:「……いやあ、実際、何か火急の用だとか、重要機密というわけではないんですが」
五十嵐警部:「懇親会というのも本当ですよ。仲を深めたほうが捜査もスムーズに行きますし」
五十嵐警部:「まあ、ですが、そうですね……」
五十嵐警部:五十嵐は君を一瞥し、
五十嵐警部:「……興味があるんです。個人的に、UGNという組織について」
日馬 美礼:「個人的に、ね」
日馬 美礼:「言っとくけど、こう見えても真面目な中間管理職なんだ。言えないことだってありますよ?」
五十嵐警部:「ええ、それは勿論」
五十嵐警部:「私もそうですよ。言えない部分は、言えない、で構いません」
五十嵐警部:「……開示された情報と、私の理解力では、半分も理解できているか怪しいところですが……」
日馬 美礼:「猫山さんもかな?」
猫山部長:「私ですか?」
猫山部長:「いえいえ、私はレネゲイド?だとかオーヴァード?だなんて、聞いてもよく分かりませんので」
猫山部長:「ケーキを食べてます。どうかお気になさらず」
日馬 美礼:「つまり、組織の体質については一家言、かな?」
猫山部長:「おやおや、これは手厳しい」
猫山部長:「あまりいじめないでくださいよ。こんなおじさんを捕まえて!」
猫山部長:細い目で笑う。
日馬 美礼:「おじさんがこんな小娘に、その逃げ口上使うかなあ」目を細めて笑う。
日馬 美礼:「まあ、いいよ。ぼくでよかったら、ごちそうになった分くらいは話しますとも」車椅子をきゅるりと鳴らして、テーブルの上で指を組む。
五十嵐警部:「あー、いいでしょうか」小さく手を挙げる。
日馬 美礼:「どうぞ」
五十嵐警部:「UGNの業務とは、オーヴァードの保護や研究、それに危険なオーヴァードやジャームとの戦闘……」
五十嵐警部:「この『ジャーム』、というのは、猫山さんには危険度では重火器を装備した薬物中毒者のようなもの、と伺っているのですが」
日馬 美礼:「実被害の隠蔽と、関係各所への圧力」
五十嵐警部:「その認識で間違いないのでしょうか?」
日馬 美礼:「平均的にはその程度で間違いないね。ただし、個体差が大きいから一概には言えない」
五十嵐警部:「……」小さく頷く。
日馬 美礼:「わかりやすく言うと、ジャームっていうのは発狂した超能力者だ。どんな特性があるかは千差万別」
日馬 美礼:「ぼくだって一応その"超能力者"の分類だけど、まあ、何もできないしね」肩をすくめる。
五十嵐警部:ごくり、と生唾を呑み込む。
日馬 美礼:「強力なやつになると、記録に残ってるだけで街一つを更地に変えたとか」指を折る。
日馬 美礼:しばらく沈痛な面持ちで黙り込む。
日馬 美礼:「まあ、そこまでの事態になることは滅多にないよ。特に今回のケースだと考えにくい」へらりと笑う。
日馬 美礼:「傾向としてそこまで行くと、組織立って動いてることがきわめて少ないからね」
五十嵐警部:予想外の破壊規模に面食らった様子ながら、続ける。
五十嵐警部:「……それに対し、UGNは派遣されたエージェントが直接戦闘によって対処する……機動隊やSAT、自衛隊のように……。そうですね?」
日馬 美礼:「SATが近いかな。基本的には少数対少数。多数であたることは滅多にない」
五十嵐警部:「……なるほど」
日馬 美礼:「色々な都合はあるんだが、人員不足以上に、超能力者の特性が大きい。まあ、そこは機密ということでよろしく」
五十嵐警部:「ええ、分かっています」深く頷く。
五十嵐警部:「しかし、それでは、その……」
五十嵐警部:改めて、日馬さんをじっと見て。
日馬 美礼:「子供?」
五十嵐警部:「!」
五十嵐警部:ぎくりとした表情を浮かべる。
日馬 美礼:「これは公開情報だけどね、オーヴァードが激増してから三十年は経ってない」
日馬 美礼:「つまり、効率良い養成方法が確立してから、組織内生え抜きの育成枠となったら、確実に法制上は未成年さ」
日馬 美礼:「ああ。ぼくは違うけどね。これはプライバシーなんで黙秘するよ」
五十嵐警部:「…………」しばらく、黙り込む。
五十嵐警部:「……私には、娘がいましてね」
五十嵐警部:「今年で17になります」
日馬 美礼:「高校生? このあたりだと星辰館かな」
五十嵐警部:「ええ。そうです。星辰館の、2年生」
五十嵐警部:「……もっとも、私は仕事、仕事で、家族にはすっかり嫌われてしまいましたが」
五十嵐警部:力なく苦笑する。
日馬 美礼:「そりゃお気の毒に。お察しするよ。対応側はいつだって大変だ」
五十嵐警部:「……正直に言って、私はあなたや、今回の……」少し言葉を不自然に切る。矢ヶ崎の潜入はUGN側とこの場にいる二人しか知らない極秘事項だ。
日馬 美礼:「矢面に立つのが、納得できない?」
五十嵐警部:「……」
五十嵐警部:「……ええ、その通りです」
日馬 美礼:「それは当然だ。五十嵐さん。そういう人がいないと困るんだよ、ぼくらとしてはさ」
五十嵐警部:「……日馬さん。当事者であるあなたに訊くのもどうかと思いますが、言わせていただきます」
日馬 美礼:「どうぞ」
五十嵐警部:「……UGNとは一体、どんな組織なんですか? 本当に信用していいのですか?」
日馬 美礼:「何かと聞かれたら、正義の秘密結社さ」
日馬 美礼:「信用はしてもらいたいけど、でも、なかなか難しいのはよく知ってる」
日馬 美礼:「……いちおうこれも公開情報だったかな」ふっと目線を上げて、虚空を目で追う。
日馬 美礼:「話題に出ていた"超能力者"。オーヴァード、もしくはジャーム。潜在的には……」
日馬 美礼:「世界人口の五十%以上が該当する。って言ったら、五十嵐さん、あなたは信じますか?」
五十嵐警部:「…………!?」
五十嵐警部:がたん、と椅子を揺らす。
五十嵐警部:「……まさか、そんな……」
猫山部長:「ええ~っ、本当ですか?びっくりだなぁ」
日馬 美礼:知ってたな、という目線。
日馬 美礼:「もちろんいまのところ、目覚めないで一生を終える人がほとんどだよ」
日馬 美礼:「ただ、目覚めたぼくらは、きわめて死ににくく、そして常識を超えた現象を引き起こす」
日馬 美礼:「それこそ身一つで、重火器で武装したような戦闘力を発揮する人間がいたとして」
日馬 美礼:「それを拘束する手段は、事実上存在しない。そうだよね?」
五十嵐警部:「…………」
五十嵐警部:少し考えこみ、
五十嵐警部:「それが出来るとしたら……」
五十嵐警部:君に目を向ける。
日馬 美礼:「同等の能力を持った人間で編成された組織が、それにあたるのが合理的だよね」
日馬 美礼:つまらなそうな表情で肩をすくめる。
日馬 美礼:「事実がひろく明らかになったら、何が始まるかは火を見るより明らかだ」
日馬 美礼:「"超能力者が実在することを公開することはできない"。しかし、"法制度で彼らを裁くこともできない"」
日馬 美礼:「そのギャップを埋めるために活動しているのが、ぼくら、UGNということになるね」
日馬 美礼:「正義の味方じゃなかったら、怖くて仕方ないだろ? こんなの」人の悪い笑み。
五十嵐警部:「……しかし……いや、それでも……」
五十嵐警部:「組織の理念としては納得できます。確かに理屈としては正しい」
五十嵐警部:「でも、実際に現場で戦う、あなた達は……オーヴァードは……!」
五十嵐警部:「……怖くは、辛くはないんですか!?」
日馬 美礼:「そうだね。それこそ個人差はあるけど」
日馬 美礼:「ことぼくに関しては誓えるよ。戦うことそのものを拒む人間を、現場に送り出したことはない」
日馬 美礼:「リスクが高いだけだからね。そんなのは、それこそ合理的じゃない」
五十嵐警部:「……それでは……」
五十嵐警部:目の前の日馬美礼を、自分の娘とそう変わらない幼い少女を見つめる。
五十嵐警部:「……あなたは……?」
日馬 美礼:「ぼくについてなら」
日馬 美礼:一瞬すっと真顔になって。
日馬 美礼:「恐いね。何かを無くすのはとても恐い。だから、必要ならいくらでもやるさ」
日馬 美礼:「といっても専門はデスクワークでね。いや、ここんとこ暑いんで外出着がなくて大変だったんだぜ?」
五十嵐警部:「…………」
日馬 美礼:幼さの残る顔に、ひとの悪いにやにや笑いを浮かべたまま、冷めかけた紅茶を口に運ぶ。
五十嵐警部:固い表情のまま、考え込む。
猫山部長:「まあまあ、UGNの皆さんに関しては、これからのご活躍を見てから判断してもおかしくないでしょう、ねえ?」
猫山部長:五十嵐の肩にポンと手を置く。
猫山部長:「……おっと、失礼」
猫山部長:鳴り始めた携帯を取り出し、通話に出る。
日馬 美礼:「まあ、最後の結果だけ見てもらえるとありがたいね」五十嵐の顔を見たまま、車椅子に身を預ける。
猫山部長:「ああ、君か……それは良かった。はいはい、勿論。当たり前じゃないですか……はい、はい……」
猫山部長:すぐに通話は終わり、二人に向き直る。
猫山部長:「……いいご報告が。例の件、ひとまず第一段階はクリアしたようですよ」
五十嵐警部:「!」
日馬 美礼:「そりゃ何よりだ」
猫山部長:「協力者から連絡がありまして。これで一安心ですね」
日馬 美礼:小さく息を吐く。
日馬 美礼:「あとはこっちの連絡待ちか。成果があるといいけどね」

GM:遅くならないうちに、ささやかな懇親会は解散となった。
猫山部長:「それではお二人とも、また」
GM:店の前で君達と分かれ、猫山は去っていく。
五十嵐警部:「……日馬さん」
五十嵐警部:ぼそりと呟く。
日馬 美礼:「何か? 五十嵐さん」
五十嵐警部:「猫山さんのことは……信用しないほうがいいですよ」
日馬 美礼:眼鏡の下で目を細めて、五十嵐の顔を見上げる。
日馬 美礼:「覚えておきますよ」
五十嵐警部:「ああ、失礼!言い方が物騒でしたね!」掌を振って否定する。
五十嵐警部:「いえ、彼は善人ですし、優秀な捜査官なのですが、何と言いますか……」
五十嵐警部:苦い顔をして、
五十嵐警部:「言い方は悪くなりますが……彼は相当、タヌキですよ」
五十嵐警部:「私も何度出し抜かれたことか……」
日馬 美礼:「タヌキか。豊島くんあたりによく言われるんだよね」
日馬 美礼:「スタンドプレイで犠牲にならないようには、気をつけますよ。五十嵐さん」
日馬 美礼:「ありがとうございます」
五十嵐警部:「…………」
日馬 美礼:「……ご心配なく」
五十嵐警部:五十嵐は何とも名状しがたい表情を浮かべてから、
五十嵐警部:「……お送りしましょう」
五十嵐警部:とだけ言った。
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイス可!
日馬 美礼:ロイス設定は……うーん、最終値が読めないんだよな。購入はなしかな?
日馬 美礼:ロイスはなし。購入なしならこのまま終わり!
GM:OK!

【Middle5 シーンPC:新垣御守 豊島正則 矢ヶ崎藍華】

新垣御守:1d10
DoubleCross : (1D10) → 6

矢ヶ崎藍華:44+1d10
DoubleCross : (44+1D10) → 44+8[8] → 52

新垣御守:44に。
豊島 正則:出ましょう。
豊島 正則:1d10+56
DoubleCross : (1D10+56) → 1[1]+56 → 57

豊島 正則:OKOK

GM:----------
GM:N市 うみねこ海浜公園
GM:----------

GM:深夜。
GM:昼の間は家族連れやカップルで賑わうこの場所も、この時間はすっかり人気が無くなっていた。
GM:豊島は尾行や監視を念入りに確認しつつ、
GM:潜入捜査の第一段階を遂げた矢ヶ崎と落ち合うこととなった。
矢ヶ崎藍華:「…こんな時間に歩いてたら、先生に怒られちゃうなあ……」
矢ヶ崎藍華:誰に見せるわけでもない笑顔を浮かべ、隈のある目をこすりながら公園へとやってくる
GM:頭上では灯に吸い寄せられた虫たちが、静かに舞っている。
豊島 正則:誘蛾灯と化した街灯の下、佇む影がある。
矢ヶ崎藍華:「あ」
矢ヶ崎藍華:「先輩だ…こんばんは」
豊島 正則:細長い円筒形のケースを背にしたソレは、一見して変わった釣り人のように見えなくもない、が。
豊島 正則:「よう。元気そう…には見えねぇな」
矢ヶ崎藍華:「んふふ」
矢ヶ崎藍華:ゆるゆる近づいていく
矢ヶ崎藍華:「いやあ、さすがに緊張感たっぷりですねえ~。洋画でしか見たことなかったですよお」
矢ヶ崎藍華:疲れた目元以外は変わらないように振る舞っている。むしろ、深い笑みを浮かべるように
豊島 正則:「御守の奴は別の用事があるんだとよ。で、代わりに俺ってワケだが…」
矢ヶ崎藍華:「ああ、第ニ地区の支部長さんですね?あいさつとかしないでいいのかな」
豊島 正則:「…むしろ良かったかもな。今のお前を見た途端、捜査本部に怒鳴り込みやがるぞ、アイツ」
矢ヶ崎藍華:「ええ~?」
矢ヶ崎藍華:「それは困っちゃうなあ…」
矢ヶ崎藍華:けらけら
豊島 正則:「そう言うと思ったよ。…一応、頼まれたからな。ウチの支部長からお前への…ああ、提案を預かってる」
矢ヶ崎藍華:「?」
豊島 正則:「お前、全部忘れて降りる気はあるか」
矢ヶ崎藍華:「え?」
矢ヶ崎藍華:「?」「さらさらないですけど」
矢ヶ崎藍華:少々面食らったような表情
矢ヶ崎藍華:「何ですか今更。」
豊島 正則:「だろうな。俺も、一応言ったってだけだ。…あいつはあいつで、色々察したんだろうが」
矢ヶ崎藍華:「出る前に言ってくれたじゃないですか」
矢ヶ崎藍華:「“引き受けたってことは、相応の覚悟があるってことだ。少なくとも俺や、今回絡む支部長ふたりはそう見なす”って」
矢ヶ崎藍華:「かたっぽだけ足突っ込んで、“きゃー無理ですぅ~”って言って帰るのが、相応の覚悟だって思われてるんですか?」
矢ヶ崎藍華:「ねえ」
矢ヶ崎藍華:「…先輩が言いづらいなら、新垣さんに直接話したほうが良いですか?」
矢ヶ崎藍華:「それか日馬さんでもいいですよね。どこにいらっしゃいますか?もうお姉ちゃんには連絡したから時間は大丈夫なんですよ」
矢ヶ崎藍華:「教えてくださいよ、先輩」
矢ヶ崎藍華:「ねえ」
豊島 正則:「…藍華」
豊島 正則:包帯の隙間から覗く目。その奥に、暗いものを浮かび上がらせながら。
矢ヶ崎藍華:「?」
矢ヶ崎藍華:真っ暗な中で、電灯の光が矢ヶ崎藍華の目を昏く輝かさせている
矢ヶ崎藍華:疲れ切って尚、その目は見開かれたままだ
豊島 正則:「あれからも”こっち側”に残り続けるって決めたのは、お前自身だ。俺は、他人の人生を背負える程、人間が出来ちゃいない」
豊島 正則:「でもな」
豊島 正則:「お前が壊れてくのを見て黙ってられる程、他人に無関心ってワケでもない」
豊島 正則:「…お前、ここに来る前、鏡は見たか」
矢ヶ崎藍華:「鏡?」
矢ヶ崎藍華:「……」カバンを探って、手鏡を出す
矢ヶ崎藍華:「……わあ。ひどい」
豊島 正則:「全くだ。…ったく、せっかくの可愛らしい顔だってのによ」
矢ヶ崎藍華:「あ」
矢ヶ崎藍華:「んふふ、褒めてくれたぁ…」
矢ヶ崎藍華:どこか張り詰めていた笑顔が、今度こそ弛緩した笑みに変わる
矢ヶ崎藍華:「んー」そのままべったり張り付いて
矢ヶ崎藍華:「大丈夫ですよぉ。矢ヶ崎はまだやれますから…お二人にも伝えて下さい」
矢ヶ崎藍華:カバンを更に探って、小袋を取り出す
矢ヶ崎藍華:「はい、これ。日馬支部長さんに渡してくださいね。」スキを見て拾った麻薬の欠片だ。
豊島 正則:「あいよ。…あの女のことだ、これと簡単な話を合わせりゃ、後は頭ン中で組み立てやがるだろうさ」
豊島 正則:その後も、細々としたいくつかの情報をやりとりして。
豊島 正則:「……ああ、それとな」
豊島 正則:一方的に寄り掛かられるだけだったのを、片腕を藍華の背に回して抱き寄せながら。
矢ヶ崎藍華:「!」
矢ヶ崎藍華:「はっ、ひゃい」
豊島 正則:「自分が、もうどうしようも無く壊れちまったと思ったら。その時は、俺のところに来い」
豊島 正則:「もしお前が来なかったら、俺の方から行く。…あの時、お前を殺さなかったのは俺だからな」
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:呆けたように、口を開いて
豊島 正則:ほんの少し前のような、もうずっと昔のような。廃工場の跡地、呻き声が響く中で立ち尽くす少女の姿を思い出しながら。
豊島 正則:「…なんて、な。あんま難しく考えんな」
豊島 正則:藍華の背中に回していた腕に、一瞬、少しだけ力を込めてから。そっと身体を離す。
矢ヶ崎藍華:「あ、え?あ、はい」
矢ヶ崎藍華:気温が上がったような気がする
矢ヶ崎藍華:急に目が痛みだしてきたような。ああ~っ考えなしに来ちゃったかな
豊島 正則:「言い忘れたこと、伝え忘れたことはあるか?次はいつ会えるか、分かったもんじゃねえ」
豊島 正則:自分らしくもないことをしたものだ、と自嘲する代わりに。努めて、事務的な話を。
矢ヶ崎藍華:「はいっ」
矢ヶ崎藍華:「ああ、そうそう。えーと、まとり?の、ねこやまさんによろしくって伝えて、だそうです。」
矢ヶ崎藍華:「連絡員の人が仕事をしたから、それを伝えてって」
矢ヶ崎藍華:あの時のことがよぎる、けど
矢ヶ崎藍華:少しだけ、怖くない気がした。
豊島 正則:「…あのハゲにか。ああ、確かに聞いた」
豊島 正則:頷いてから。
矢ヶ崎藍華:うんうんと頷いて
矢ヶ崎藍華:「じゃあ、矢ヶ崎は戻りますっ!」
矢ヶ崎藍華:「先輩、夜更かししたらお肌に悪いですからね!速く帰ってお休みくださいね!ではでは~っ」
豊島 正則:「ああ、行ってこい。…また、な」
矢ヶ崎藍華:ぶんぶん手を降って
矢ヶ崎藍華:踵を返して、再び魔窟への歩みを進めていった
豊島 正則:手を振り返し、藍華の姿が暗闇に融けたのを見届けてから。
豊島 正則:懐からオーディオプレイヤーを取り出し、イヤホンを耳へ。そのまま。
豊島 正則:アルバム一枚分の再生が終わるまで、じいっと、暗闇を見続けていた。

GM:----------
GM:捜査本部 控室
GM:----------

GM:元々が宿泊施設であるがゆえに、この捜査本部には多くの部屋が余っており、捜査員一人一人に個室が供与されていた。
新垣御守:「……」
GM:その内のひとつ、猫山に与えられた部屋で
GM:君は、彼を睨みつけていた。
新垣御守:座ったまま少し腰を曲げて膝の間で手を組み、眼の前に座る男をジッと見ている。
猫山部長:「あの……」
猫山部長:突然入ってきた君に面食らっている。
新垣御守:「猫山さん」
猫山部長:「あ、はい?」
新垣御守:「現場の矢ヶ崎の件、アンタの絵図?」
新垣御守:「いや、もうそういう回りくどいのはいいや」
新垣御守:「アンタの仕組みだよね」
新垣御守:淡々と言う。瞬きさえしない。
猫山部長:「…………ああ!」合点が行ったというように。
猫山部長:「ええ、協力者を派遣したのは私ですよ」
猫山部長:悪びれずに言う。
新垣御守:「……ふー」
新垣御守:ため息1つついて
新垣御守:「ウチが外部協力員を使うっていうのは前提で」
新垣御守:「そもそも今回出来る限り素人を用意しろっていうのはそっちのオーダー」
新垣御守:「こういう現場の子らに直接負担がいくやり方されちゃ」
新垣御守:「こっちの沽券に関わる」
新垣御守:「……揃う足並みも揃わんでしょこれじゃ」
猫山部長:「…………?」
猫山部長:悪びれず、むしろ怪訝そうな顔。
猫山部長:「私、責められているんでしょうか?」
新垣御守:「報連相くらいしてください」
新垣御守:「現場のイリーガルの扱いまで全任するとは一言も言っちゃいないでしょ」
猫山部長:「そこは失礼しました。ただ、情報の価値というのは知る人間が少なければ少ないほど高くなります」
猫山部長:「事前に打てる策は全て打っておくもの」
猫山部長:「今回の件は、幾つか用意しておいた策のひとつが、たまたま上手く行っただけでして」
猫山部長:「その全てを明かしてしまうのは、こちらとしても少々困りますので」
新垣御守:「……要するに」
新垣御守:「手札は明かすつもりはない、その癖こっちは体よく人だけ寄越せって」
新垣御守:「アンタそう言ってるように聞こえるけど」
猫山部長:「……ううん、そう言われてしまうと、人聞きが悪いですねえ」
猫山部長:「私なりに、最大限気を配っているつもりなんですよ?」
猫山部長:「ロス・サングレスの伝統の事は知っていましたので」
猫山部長:「今回は万が一の為に協力者を事前に配置しておきました」
猫山部長:「『殺され屋』ですよ」
猫山部長:「ご存知ですか?彼のこと……」
GM:ここで知識判定どうぞ
新垣御守:おお!
新垣御守:難易度は!
GM:難易度7!
新垣御守:目覚めよ知識!行きます!
新垣御守:軍事は使えます?
GM:軍事か~
GM:まあ…良し!!
新垣御守:やったぜ!顔が広い!
新垣御守:3dx+2
DoubleCross : (3R10+2[10]) → 6[3,4,6]+2 → 8

新垣御守:通った!
GM:では、君はその名を知っている。
GM:『殺され屋』とは、日本を中心に世界各地、主に裏社会で活動するフリーランスのオーヴァードだ。
GM:『死んだという事実』『殺したという事実』が必要とされる場面は、想像以上に多岐にわたって存在する。
GM:彼はエグザイル/ソラリスの能力者であり、その相貌偽装能力と肉体変化能力により、
GM:どんな状況でもクライアントの指定通りに『殺され』、そして悠々と帰還する。
GM:処刑されたはずの某国の政治犯や、近年勃発した中東の内乱の引き金となった事件にも関与していると噂されている。
新垣御守:「一応知ってますよ。スタントマンでしょ。アジア周りの」
猫山部長:「ええ。今回は彼を雇いましてね」
猫山部長:「新入りのために『伝統儀式』が行われる可能性に備えてね」
猫山部長:「もし無駄骨で済んだら、その時はその時です」
GM:やや無理のある説明のようにも思えるが、真偽は定かではない。
新垣御守:「死人を出さず、余計な根回しも金も必要ない」
新垣御守:「最初から狙いが全部ハマったなら、脱帽モンだと思いますけどね」
猫山部長:「まあ、彼へのギャラは高かったですが……」
新垣御守:「でも、今私が言ってんのはそこじゃない」
猫山部長:「……?」
新垣御守:「猫山さん」
新垣御守:「自分でやった事あります?」
猫山部長:「?」
猫山部長:首を傾げる。
新垣御守:「ナイフで人の喉、こう、ぐりっと」
新垣御守:「あれ、結構硬いんだよね」
猫山部長:「……ありませんね。自分では」
新垣御守:「……アンタの言うことにはスジが通ってる。額面通り受け取ればだけど」
新垣御守:「で、こっちにはこれ以上追求する立場も無い、時間も無駄」
新垣御守:スッと立ち上がって
新垣御守:「だから……」
新垣御守:猫山の頬に指を添える。細く艶めかしい、二十過ぎの女の指。
猫山部長:「……? 何ですか……?」不審そうに、僅かに目を開き、
新垣御守:そのまま口づけする。
猫山部長:「……!?」
猫山部長:驚愕に硬直する。
新垣御守:「……ぷぁ……」
新垣御守:涎の糸を淡桃色の唇から引いて、隈のかかった目尻を下げ、微笑む
猫山部長:「な……何を……!?」口元を抑え、数歩後ろに下がる。
新垣御守:「なんてことないでしょ……これはただの、憂さ晴らし」
新垣御守:唇の端、
新垣御守:血が滲んでいる。立ち上がる寸前、自分で噛み切った傷。
猫山部長:「……?」
猫山部長:それに気付き、
猫山部長:怪訝そうな顔をした瞬間――
新垣御守:猫山の全身の内臓粘膜が、焼け付くような激痛に晒される!
猫山部長:「が……あっ……!?」
猫山部長:凄まじい激痛に、思わず身体を折り曲げて蹲る。
猫山部長:「こっ……これ……は……!」
新垣御守:かつ、こつ
新垣御守:崩れ落ちた猫山に近づき、しゃがみ込んで、襟を掴んで引き起こす。
猫山部長:「ぐっ……!」
新垣御守:「眼の前にいるのが何なのか、分かってないでしょ、アンタ」
新垣御守:「化物、舐めちゃダメだよ」
新垣御守:温度のない目で、その顔を覗き込む
猫山部長:「…………!」全身から脂汗を噴き出しながら、君の目を見る。
猫山部長:「……………ぐ……………!」
猫山部長:激痛からか、寒気からか、手足がガクガクと震える。
新垣御守:「痛みは数分で消えますんで。今日のとこはこれで」
新垣御守:「報告、連絡、相談は」
新垣御守:「重ね重ね、宜しくお願い致しします」
猫山部長:「…………!」
新垣御守:仰々しく一礼して、そのまま立ち去る。
猫山部長:「……この程度、……しなければ……!」
猫山部長:去ろうとする背中に、声が掛けられる。
新垣御守:「……」
新垣御守:一瞥する
猫山部長:荒い呼吸で蹲ったまま、猫山が言葉を吐く。
猫山部長:「……本当に信用など、されませんよ……!」
猫山部長:嗚咽を漏らし、汗まみれの顔で。
猫山部長:「リリアナ・マルティネスには…………!!」
新垣御守:「……!」
新垣御守:その言葉に、拳を握りしめ
新垣御守:黙して部屋を出る

GM:捜査本部を出た君は、帰路に就いていた。
GM:第二地区の通りは薄暗く、人影も少ないが
GM:オーヴァードである君には危険は無いだろう。
新垣御守:「……はぁ」
新垣御守:歩きながら、裏拳をゴツンと額に当てる。
新垣御守:「やーっちまったーやーっちまったー……」
新垣御守:「絶対死ぬほど怒られるー……第四さんに土下座回りー……おげー……」
新垣御守:ぶつぶつ俯いて陰気な歌を口ずさむように、えっちらおっちら
GM:そんな時、君の携帯電話に着信が入る。
GM:プライベートでなく、仕事用。
GM:発信元は、非通知。
新垣御守:「うおっ!もう話が!」
新垣御守:「……あ、違う」
新垣御守:少し怪訝に思いつつも、電話に出ます
GM:「…………」
GM:僅かなホワイトノイズの他には、
GM:何も聞こえてこない。
新垣御守:「あー第二支部長新垣御守は明日の朝まで旅に出ております」
新垣御守:「探さないでください、御用の方は発信音の後に……」
GM:「…………」
新垣御守:「?」
GM:「…………」
新垣御守:「ちょっと」
新垣御守:「誰、何?」
GM:所謂無言電話だ。
GM:「…………」
GM:電話の向こうからは、何も聞こえてこない。
新垣御守:「……」
新垣御守:ただ、微かな息遣いと
新垣御守:気配、としか呼べない何かだけが、そこにはあって。
新垣御守:「……ぁ」
新垣御守:とさり、と右腕から提げていたビニール袋が
新垣御守:地面に落ちる
新垣御守:「リリ、ねえ……?」
GM:「…………」
GM:僅かに、驚いたような間があって、
GM:「……どうして分かった?」
リリアナ:「……アニー」
GM:君をその名で呼ぶのは、この世界にただ一人しかいない。
新垣御守:「バカ……分かるよ」
新垣御守:「ずっと近くで、ずっと見てたんだよ」
新垣御守:「顔くらい、見えなくても分かるよ……」
GM:――リリアナ・マルティネス。
新垣御守:涙が零れそうになる。
新垣御守:割り切ったつもりでも、噛み殺したつもりでも、抑えきれないモノが
新垣御守:私とこの人の間には、大きすぎる。
リリアナ:「……はは、泣いてんのか?」
新垣御守:「泣くワケないじゃん。っ…アンタさあ」
新垣御守:「私が今、いくつになったと思ってんの?ねえ」
リリアナ:「22だろ?」
リリアナ:間を置かず答える。君の記憶にあるよりも、少しだけ掠れ、疲れたような声。
新垣御守:涙声に聞こえないように、声だけを取り繕って
新垣御守:「……支部長やってんだよ」
新垣御守:「私が、私がさあ」
新垣御守:「あんなだった、私がだよ」
リリアナ:「…………」
リリアナ:リリアナは何も答えない。
新垣御守:「リリ姉」
新垣御守:「今どこにいるの、何してるの」
新垣御守:「リリ姉が敵なんて」
新垣御守:「嘘だよね……」
新垣御守:「……会いたいよ……」
リリアナ:しばらく、沈黙があり。
リリアナ:「……お前が、UGNの支部長か」
リリアナ:ぽつりと呟く。
リリアナ:「その様子じゃあ、私のことも知ってるんだろ」
リリアナ:「……今、何をしてるのかも」
新垣御守:「知ってるよ!!それで」
新垣御守:「それで、信じろっていうの……?」
新垣御守:「リリ姉が、この国に薬をばら撒いて」
新垣御守:「子供にナイフを持たせてるって」
リリアナ:「…………」
新垣御守:「ああそうですか、そうなんですかって」
新垣御守:「言えたら……どんなによかったか……」
新垣御守:「ずっとグチャグチャだよ。何がなんだかわかんないよ!」
新垣御守:「嘘だって言ってよ……リリ姉……」
リリアナ:「……なあ、アニー」
リリアナ:かつてのような、優しい声で。
リリアナ:「……私と一緒に来いよ」
リリアナ:「UGNなんて辞めて」
リリアナ:「昔みたいに、二人でさ」
リリアナ:「そうすれば、私たち」
リリアナ:「いつまでだって、一緒にいられるぜ」
新垣御守:「リリ、姉」
新垣御守:その言葉に、思考で停止する。
新垣御守:心臓が高鳴る。
新垣御守:私はあの森から帰ってこれた。リリ姉がいたから。
新垣御守:私はUGNに入った。リリ姉と一緒に居たかったから。
新垣御守:私、私のしたい事ってずっと。
新垣御守:殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。
新垣御守:声は止まない。いつまでも。だから、いつものように。
新垣御守:私は、私を選ばないと。
新垣御守:「……リリ姉」
リリアナ:「……ああ」
新垣御守:「質問に答えてないよ」
新垣御守:「ロス・サングレスのシカリオは」
新垣御守:「リリアナ、アンタなの?」
リリアナ:「………………」
リリアナ:永劫にも思える、数秒の沈黙があった。
リリアナ:それから、リリアナは
リリアナ:「……そうだ」
リリアナ:とだけ答えた。
新垣御守:「……わかった」
新垣御守:「リリ姉、一緒には行けない」
新垣御守:「私は、私であるために」
新垣御守:「この国の、『当たり前』の平和を、守る」
新垣御守:「それを壊そうとするアンタは敵だ。リリアナ・マルティネス」
新垣御守:「……立派にやるよ。アンタの言ったことを」
新垣御守:「世界一、大好きだから」
新垣御守:ボロボロと、涙が溢れる。
リリアナ:再びの沈黙。
リリアナ:それから、
リリアナ:「そうか」
リリアナ:という、短い返答。
リリアナ:電話越しでは、そこに篭められた感情は、読み取れない。
リリアナ:「それじゃあ、やってみろ」
新垣御守:「……うん」
リリアナ:「私は、この街の」
リリアナ:「何もかもを、壊してやる」
リリアナ:明確な憎悪の篭った、怨嗟の言葉。
新垣御守:「なんで……」
新垣御守:「何があったんだよ」
新垣御守:決意は固まった。それでも問わずにはいられない
新垣御守:ずっと傍にいて、一度も聞いたことのない声。
新垣御守:何がその声を出させているのか、聞かずにいられない。
リリアナ:「……お前には、関係ない」
新垣御守:「リリアナ……!!」
リリアナ:「あったとしても、教えない」
リリアナ:「お前はまだ、ガキだからな」
リリアナ:突き放すような言葉。
新垣御守:「……そう」
新垣御守:「いい、わかった」
新垣御守:「ガキならガキなりの方法がある」
新垣御守:「アンタの首根っこひっ捕まえて、絶対に聞き出すから」
リリアナ:「……へえ。楽しみにしてるぜ」
リリアナ:挑発的な声色。
リリアナ:「……じゃあな。また近いうちに会おう」
リリアナ:「今度は電話越しじゃなく、な」
リリアナ:「――新垣御守」
GM:ぶつり、と
GM:通話は途切れる。
新垣御守:「……」
新垣御守:数秒、ただぼんやりと手元の携帯を見て
新垣御守:「ーーッ!!」
新垣御守:壁に叩きつけようとするが、すんでの所で止める。
新垣御守:「これ以上怒られる要素、増やしてどうすんだっての」
新垣御守:……支部長なんだからさ。
新垣御守:その言葉は、口には出さず、喉の奥に秘めて。
新垣御守:上着のポケットに手を突っ込んで、独り立ち去っていく。
GM:何もかもが、見る影もなく変わり果ててしまっていた。
GM:かつて憧れた人も、彼女との関係も、交わした約束も。
GM:独り去り行くその背中を、唯一かつてと変わらぬ月が、青白く照らしていた。
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイス可
GM:購入も可
矢ヶ崎藍華:ロイスは保留。
新垣御守:ロイス!
新垣御守:リリアナ・マルティネスをSロイス指定します
矢ヶ崎藍華:おお
GM:来た来た来ましたよ
新垣御守:そして購入!一応応急手当
矢ヶ崎藍華:私は、じゃあウェポンケースを狙います
矢ヶ崎藍華:速度が命
新垣御守:3dx+3
DoubleCross : (3R10+3[10]) → 3[2,2,3]+3 → 6

新垣御守:出目しょっぼ!
新垣御守:お前ガッタガタやないけ!
矢ヶ崎藍華:4dx+4
DoubleCross : (4R10+4[10]) → 10[2,7,7,10]+5[5]+4 → 19

GM:そりゃな…
新垣御守:以上!
矢ヶ崎藍華:ヘイ直撃購入!
豊島 正則:ロイスは保留で。購入はリアクティブコートを狙います。
豊島 正則:2dx+1+3>=36
DoubleCross : (2R10+1+3[10]>=36) → 7[2,7]+4 → 11 → 失敗

豊島 正則:失敗。以上で。
矢ヶ崎藍華:ああっと
矢ヶ崎藍華:メイド服ください
豊島 正則:アルティメイド服はどうしましょうね。今渡してしまうか、ミドル戦闘後あたりにするか。
豊島 正則:では渡しておきましょう。
矢ヶ崎藍華:ありがたく!
矢ヶ崎藍華:ウェポンケースにしまっておきます。行動値確保
豊島 正則:改めて以上で!
矢ヶ崎藍華:以上で
GM:OK!

【Middle6 情報収集シーン】

GM:情報収集シーンです
GM:項目はこちら

・合同捜査メンバーについて(情報:噂話/UGN)難易度6
・ロス・サングレスについて(情報:噂話/裏社会)難易度7
・密輸手段について(情報:裏社会)難易度8
・次回取引について(情報:裏社会)難易度9


GM:シーンPCは豊島さんと鴻上さん、ほか自由!
鴻上禮次郎:いぇー!
GM:失敗したら侵蝕1D10で再挑戦可能です
豊島 正則:うっす。では侵蝕から。
鴻上禮次郎:めっちゃ登場侵食!
日馬 美礼:出ておこうかな。情報収集だと。
豊島 正則:1d10+57
DoubleCross : (1D10+57) → 6[6]+57 → 63

鴻上禮次郎:38+1d10
DoubleCross : (38+1D10) → 38+1[1] → 39

日馬 美礼:1d10+69
DoubleCross : (1D10+69) → 3[3]+69 → 72

矢ヶ崎藍華:あ、出れるのですね私も
矢ヶ崎藍華:52+1d10
DoubleCross : (52+1D10) → 52+7[7] → 59

鴻上禮次郎:妻子と部下殺されててこれだけ冷静なの……怖いよ
GM:早速張り切ってどうぞ!
矢ヶ崎藍華:アイムソラリス。どこでもいけます
矢ヶ崎藍華:というか日馬支部長バフによってなんでも出来る気がします
豊島 正則:金ならある!(他人の金)
鴻上禮次郎:ヤクザは裏社会の専門家じゃけえの
鴻上禮次郎:次回取引とか……やっちゃりてぇのぉ
鴻上禮次郎:広島系ヤクザじゃないのでエセ広島弁ロールででできないのが惜しい
矢ヶ崎藍華:余裕があるので密輸手段か次回取引が良いですね。
矢ヶ崎藍華:何しろ潜入中だし
日馬 美礼:まあ、まともな技能がある人が振ってくれたまえ。財産Pなら出す。
鴻上禮次郎:俺次回取引行くので、ガサキちゃんは密輸でどっすかね!
矢ヶ崎藍華:ではそっちで
矢ヶ崎藍華:ダイス数が1個ブーストかかってるから、ええと
矢ヶ崎藍華:4dx
DoubleCross : (4R10[10]) → 10[2,4,9,10]+7[7] → 17

矢ヶ崎藍華:突破
日馬 美礼:エフェクト抜きだといろいろ乏しいぼくは、素直に合同捜査メンバーを調べておくよ。
日馬 美礼:4dx+1>=6
DoubleCross : (4R10+1[10]>=6) → 8[1,7,8,8]+1 → 9 → 成功

豊島 正則:では、ロス・サングレスについてやりましょうか。
豊島 正則:情報:噂話で、コネを使いつつ。
豊島 正則:5dx+1>=7
DoubleCross : (5R10+1[10]>=7) → 10[2,5,6,6,10]+7[7]+1 → 18 → 成功

豊島 正則:無駄に回って成功。
鴻上禮次郎:元々の裏社会Lv4、ヤクザバッジの+2、そしてカンパニー効果でダイス+1
鴻上禮次郎:ダイスじゃあねえな、達成値+1か
鴻上禮次郎:2dx+4+2+1>=9
DoubleCross : (2R10+4+2+1[10]>=9) → 4[2,4]+7 → 11 → 成功

鴻上禮次郎:手堅く成功
GM:ざ、財産すら必要としてない
GM:ではめでたく全成功なので全開示!

・合同捜査メンバーについて
五十嵐警部……組織犯罪対策課の警部。多くの経験を積み、また強い信念を持った刑事。高校生の娘がいるが、家庭環境はあまり良くない。

小宮巡査部長……組対の捜査員、五十嵐の部下。意欲に溢れた新人警官だが、それ故に勇み足になりがち。五十嵐を心から尊敬している。アメコミ映画が好き。

猫山部長……関東信越厚生局麻薬取締部部長。気さくで温和な性格で、いつも笑みを絶やさない。組織間の軋轢にも進んで仲裁を買って出ようとする。甘いものが好き。

ビショップ捜査官……DEAから派遣された麻薬捜査官。メキシコ・中南米の麻薬・カルテル事情に詳しい。一部ジャンルに偏った邦画が好きらしい。

エージェント・シンシア……今回の合同捜査に際し、UGN本部から派遣されたエージェント。13歳。感情と表情に乏しく、常にぼんやりしている。シンドロームはモルフェウス/エンジェルハィロゥ。




・ロス・サングレスについて
新興カルテルながら本国では古巣フアレス・カルテルから引き継いだ形で警察・司法機関に腐敗の根を深く根付かせている。生半可に逮捕は出来ず、仮に起訴まで漕ぎ着けてもすぐに釈放されてしまう。日本においても販売範囲と勢力を広げ、同じような腐敗の芽を根付かせようとしている、いわば地固めの段階にある。




・密輸手段について
栽培地・精製工場は共に中南米にあり、長年他組織と同じようにアメリカを中心に密輸していたが、オーヴァードの利用で一気に経路が拡大された。その鍵となったのがバロールシンドロームのオーヴァード・チコであり、高出力で安定性の高い≪ディメンジョンゲート≫を長時間維持できる。ただし、ゲートの形成には一定時間のチャージが必要。組織はチコと同じ仕事のできるバロールシンドロームを探しているが、成果は芳しくないようだ。




・次回取引について
次回の取引は一週間後、東北地方を中心に活動する暴力団≪大椅子組≫を相手に行われる。商品はコカインを中心に4000万円規模。取引現場は山形県内の廃工場。構成員を率いてリリアナが直接赴くようだ。






GM:----------
GM:N市 合同捜査本部
GM:----------

日馬 美礼:「さて。ということで、こちらの主な目当ては次の取引ってことになるね」
鴻上禮次郎:「そうだな……」
鴻上禮次郎:「ま、俺に情報を流した大椅子組の古参が、そのあたりは頑張ってくれるだろうよ」
日馬 美礼:「助かるね。蛇の道は蛇ってわけだ」
鴻上禮次郎:「カルテルが嫌いなヤクザはどこにでも居るって訳さ」
日馬 美礼:「姉ヶ崎くんからの報告が正しければ、この距離でゲートを使ってくれるかは良くて五分五分」
日馬 美礼:「新垣支部長に話を聞けたらよかったんだが、嫌なタイミングが重なるもんでね」
日馬 美礼:「不在の第二管区で、ちょっとした"組織内のトラブル"が持ち上がって、緊急で対処に戻るハメになった」
豊島 正則「…忙しく飛び回るのは結構だが、たまにブレーキが外れるのがな。何をしでかしやがったのやら」
豊島 正則:合間を見て藍華からの”伝言”を伝えた時の、猫山の表情を思い出しながら、苦笑い。
鴻上禮次郎:と、そこで組織内のトラブルと聞いて
鴻上禮次郎:「あんだ。UGNもか。どこも変わんねえな」
日馬 美礼:「人が多くなると、どうしてもね。秘密主義ならなおのことさ」肩をすくめる。
日馬 美礼:「さて。今のところはこんなところかな。他に何か報告がある人?」
豊島 正則:「まあ、俺らみたいな年で支部長だの補佐だの言ってんだ。脛に傷持つ輩も少なくねぇ、ってことさ」
豊島 正則:端末の画面に目を落としながら、欠伸交じりに。
鴻上禮次郎:「子供を戦わせてる時点で無理があるんだよ、無理が……」
矢ヶ崎藍華:『むむむ!』
鴻上禮次郎:「……いや、あんたらの腕は信じてるんだが、な」
鴻上禮次郎:「 ! ? 」
矢ヶ崎藍華:『子供扱いは困りますよ!こんにちは!』
矢ヶ崎藍華:先入先で独自回線から出力し、タブレット画面に映し出されている。
豊島 正則:「…音声は切れ、って言っただろうが」
鴻上禮次郎:「お、おう。エージェントさんよ」
鴻上禮次郎:「悪かったな……?」
鴻上禮次郎:眼の前の二人と違って明らかに“カタギ”っぽいので困惑している
豊島 正則:「ああ、顔を合わせるのはこれが初めてか。いや、実際合わせちゃいねえんだが…」
日馬 美礼:「ああ。ということで、ゲートの設定が始まったら報せてくれるとありがたいね。矢ヶ崎くん」
矢ヶ崎藍華:『りょーかいです!』ビシッ
鴻上禮次郎:「えっと、その」
矢ヶ崎藍華:『始めまして、こーがみさん。現場潜入の“ブラックドワーフ”…矢ヶ崎です!』
矢ヶ崎藍華:ビシッ
鴻上禮次郎:「潜入者、か」
矢ヶ崎藍華:うんうんと頷く
日馬 美礼:「第二所属の矢ヶ崎くんだ。新人でね」
鴻上禮次郎:「お初にお目にかかる。“鏖殺(アウトレイジ)”鴻上禮次郎。ケチな悪党だ」
鴻上禮次郎:「——新人!?」
鴻上禮次郎:目を丸くする
矢ヶ崎藍華:『はいっ』
鴻上禮次郎:「待て、新人にそんなやべえ潜入を!?」
鴻上禮次郎:「しかも、おまっ、未成年……だよな……!?」
矢ヶ崎藍華:『今回のオーダーに合わせて、顔の割れていない人員とのことでしたので…志願させていただきました!』
矢ヶ崎藍華:ふんすふんす
鴻上禮次郎:「変装か、なら分かる。部下にもそういう奴が……っ!?」
鴻上禮次郎:(——もしかして、イカれてやがる)
矢ヶ崎藍華:『音声は大丈夫ですよ先輩。今の時間は干渉されないはずです』
鴻上禮次郎:「あー……」
豊島 正則:あいよ、と藍華に応じてから。
豊島 正則:「納得出来ねぇ、って顔だな鴻上さん」
鴻上禮次郎:めちゃくちゃ複雑そうな表情を浮かべる
鴻上禮次郎:「いや、その、なんだ」
鴻上禮次郎:「今の俺は一匹狼。拾っていただいた以上、文句は……文句は……」
矢ヶ崎藍華:『むう』
鴻上禮次郎:拳を握り、震わせる
鴻上禮次郎:「ああ! 駄目だ!」
日馬 美礼:「あるならどうぞ。ただし状況は動かせないよ」淡々と。
鴻上禮次郎:「鴻央会はFHともつるむ」
鴻上禮次郎:「俺はその中でガキの潜入エージェントも見てきた」
鴻上禮次郎:「だが、FHでも……最低限の訓練や処置は行っていた」
鴻上禮次郎:ため息をつく
鴻上禮次郎:「支部長さん、補佐さん、どう思うんだねあんたらは」
鴻上禮次郎:「確かにそこの嬢ちゃんは、元より表の世界じゃ生きていけなさそうな雰囲気だが……」
日馬 美礼:「FHの手法に比べたら、効率的じゃないね。しかしぼくらは、これを選んできた」
日馬 美礼:「誤解しないでもらいたいんだが、訓練過程は入れてるぜ? 管轄の話はややこしいけどね」
豊島 正則:「中には、完全に巻き込まれて”こっち側”に来ちまったようなのもいるが…そうだな、例えばだ」
豊島 正則:「俺が最初にジャームを殺したのは、中学に上がりたてくらいの頃だ。そん時にUGNに拾われて、今に至る」
豊島 正則:「うちの支部長、御守の場合は経歴がちょいと特殊でな。ただ、俺の時より年上ってことはないだろうさ」
豊島 正則:「…なあ、鴻上さん。あんたみたいな人たちは、世界の裏道を歩き慣れ
豊島 正則:(途中切れ)歩き慣れちゃいるんだろう」
豊島 正則:「けどな、ここは世界の裏側だ。誰も知らない間に、変わっちまった世界だ」
豊島 正則:「なら…そこでやるべきこと、やらなきゃならねぇことってのは、子供でも変わりゃしない」
豊島 正則:「…それでも敢えて、俺達とFH(あいつら)…いや、俺達とジャームの違いを挙げるなら、だ」
豊島 正則:「俺達は、俺達以外の誰かのために、この世界に身を置いている。それを、美礼の言葉を借りたなら「愛と正義」と呼ぶし…」
豊島 正則:「あんたに馴染み深い言葉に言い換えるなら。侠、ってやつになるんだろうさ」
豊島 正則:静かな声で、そこまで語り終えると。懐からタバコの箱を取り出して。
豊島 正則:少し考えてから、鴻上さんに投げ渡す。
鴻上禮次郎:「お、さんきゅ」
鴻上禮次郎:ニコリと笑う
豊島 正則:「…若造のくだらない話を聞かせちまった侘びだ。どの道、ここじゃロクに吸えないからな」
鴻上禮次郎:「お前さん、大概真面目で損するタイプだろ」
豊島 正則:ふん、と鼻を鳴らすように笑う。
日馬 美礼:「もっと身も蓋もない話をするならね。鴻上さん」言葉が切れたタイミングで、遮るように口を開く。つまらなそうな顔で。
日馬 美礼:「表の世界では生きていけない、と言ったね。もともとやくざだったなら、実感が薄いかもしれないけど」
日馬 美礼:「ぼくらは、オーヴァードであることを自覚した時点で、もはや表の世界では生きていけない」
日馬 美礼:「これは大前提だ」
日馬 美礼:「簡単に人を殺せる。傷をおえば塞がる。病院にすらかかれない。何より、“法で裁かれることができない”」
日馬 美礼:「そのうえでどうするかは、各人に任せてはいるけどね。どうなるかは、察しがつくんじゃないかな?」
鴻上禮次郎:タバコに火をつけようとして、ここが禁煙だと思いだして慌ててしまう
鴻上禮次郎:「俺が生きているのは日本の裏社会であって、オーヴァードの社会じゃない。そして、今ここはオーヴァード社会のルールが通る場所。それは分かった」
鴻上禮次郎:「そして一つ、食い違いがあるってのも分かったよ」
鴻上禮次郎:「俺たちヤクザものが筋を通すのはつまるところ、手前の為だ。手前の見栄、手前の意地、手前の仁義、そういったものが行動原理だ」
鴻上禮次郎:「だがUGN、あんたたちは徹頭徹尾他人の為に命をかける」
鴻上禮次郎:「だから俺たちは噛み合わない——けど」
鴻上禮次郎:「多くがそれと知って踏み外したヤクザ共と、多くが知らずして踏み外したあんたたちじゃあ……世界を保つ為のルールが違う
鴻上禮次郎:矢ヶ崎ちゃんの映る画面を見てため息をつく
矢ヶ崎藍華:『……』
鴻上禮次郎:「もうとっくに……か。悪いな、気づかんかった。本当にすまん」
鴻上禮次郎:「俺が目覚めたのは十三歳。ケチなチンピラを全員ぶち殺した時のこと」
鴻上禮次郎:「五光者(オーヴァード)でなくとも、気合の入った筋者ならやってやれねえことはねえ」
鴻上禮次郎:「だから……気づかなかったんだよ」
鴻上禮次郎:「お前らは戻れるんじゃねえか……って思ってた」
鴻上禮次郎:タバコのボックスを懐にしまい、背を向ける
鴻上禮次郎:「悪い。湿っぽくしたわ。ちょっとヤニ吸ってくる」
日馬 美礼:人の悪い笑みが戻っている。
日馬 美礼:「喫煙所は二階だよ」
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイス購入可
鴻上禮次郎:ブルーゲイル
矢ヶ崎藍華:購入!
鴻上禮次郎:ブルーゲイルな゛の゛です゛!
鴻上禮次郎:2dx+6>=20
DoubleCross : (2R10+6[10]>=20) → 10[3,10]+5[5]+6 → 21 → 成功

鴻上禮次郎:いぇー!
日馬 美礼:購入。クリスタルシールド。手配師使って……
豊島 正則:ヤクザの手に薬物が渡ったぞ!
矢ヶ崎藍華:自前で欲しいものは揃ったけどどうしようかな
日馬 美礼:7dx+7>=25
DoubleCross : (7R10+7[10]>=25) → 10[2,4,5,7,8,8,10]+8[8]+7 → 25 → 成功

日馬 美礼:よし。買った。
矢ヶ崎藍華:豊島さんに強化素材を送ろうかな
鴻上禮次郎:薬物二枚目じゃい!
矢ヶ崎藍華:強化素材を購入します
日馬 美礼:ロイスは……あと3枠ねえ。まだ保留。
日馬 美礼:以上かな。
矢ヶ崎藍華:4dx+4
DoubleCross : (4R10+4[10]) → 10[2,4,6,10]+4[4]+4 → 18

矢ヶ崎藍華:成功!
豊島 正則:ありがたい…!
矢ヶ崎藍華:豊島さんに譲渡。武装の攻撃力かガード値に+1してくださいな
矢ヶ崎藍華:ロイスは保留しておきます。以上
鴻上禮次郎:ロイスがPCロイスの御守ちゃんの分含めるとあと一つしか余裕が無いので保留です
豊島 正則:では得物(混沌なる者の槍)の攻撃力に+1します。
豊島 正則:こちらはリアクティブコートを。今はまだ手配師とかは使わず、出ればラッキーくらい。
豊島 正則:3dx+1+3>=36
DoubleCross : (3R10+1+3[10]>=36) → 4[1,4,4]+4 → 8 → 失敗

豊島 正則:ですよね!ロイスは保留。以上で!
GM:チームがブルジョアすぎる

【Middle7 シーンPC:鴻上禮次郎】

鴻上禮次郎:いぇ~!
鴻上禮次郎:39+1d10 10くらい出て欲しいですね
DoubleCross : (39+1D10) → 39+10[10] → 49

GM:すごい
鴻上禮次郎:真のデュエリストになっちゃった……
GM:----------
GM:君が喫煙所を訪れると、そこには既に先客が二人。
五十嵐警部:「……ん、鴻上か」
鴻上禮次郎:「おっ」
小宮刑事:「……げっ……」君を見て露骨に顔を顰める。
鴻上禮次郎:「ほうほう……若いのも」
鴻上禮次郎:「五十嵐さん、ご一緒していいかい?」
五十嵐警部:「おう、遠慮するな」そう言って紫煙を吐き出す。
鴻上禮次郎:「へへ、ありがてぇ」
小宮刑事:「……ドーモ」不承不承といった様子。
鴻上禮次郎:先程、豊島さんからもらった煙草を取り出す
五十嵐警部なら普段と違う銘柄と分かるかもしれない

五十嵐警部:「…………」横目でちらりと見る。「……珍しいな。いつもの以外とは」
鴻上禮次郎:「豊島って補佐さんからのいただきもんでね」
五十嵐警部:「……ああ、UGNの……」
鴻上禮次郎:「俺につまらない話を聞かせたわびだってんだが……いや、良い若者だったよ」
五十嵐警部:「……そう、か……」
五十嵐警部:五十嵐はしばし無言で煙草をくゆらせ、
鴻上禮次郎:「あの子らも、組の若いのも、そう違いはねえなって分かっちまった」
五十嵐警部:それから口を開く。
五十嵐警部:「……」
五十嵐警部:「……なあ、お前達……」
五十嵐警部:「……UGNについて、どう思う?」
小宮刑事:「信用できませんよ!あんなの!」
小宮刑事:小宮が食い気味に言う。
鴻上禮次郎:「海外のマフィアみたいなもんだろ。FHと何も変わんねえよ」
鴻上禮次郎:「だが、まあ——」
鴻上禮次郎:「FHと違って利他主義者の狂人揃いだ」
鴻上禮次郎:(おっかねぇ連中だよ)
五十嵐警部:「…………」
小宮刑事:「得体が知れないし、態度は悪いし、会議は不規則発言ばっかだし!」
小宮刑事:「車椅子のオレンジ髪とか、ミイラ男とか、不良とか!」
鴻上禮次郎:「おいおい子供だぞ。礼儀がなってないのは当たり前じゃねえか」ケラケラと笑う
小宮刑事:「くっ……!」お前もヤクザだろ、とは流石に言えない。
鴻上禮次郎:「いやほら、俺なんかはヤクザだけどさ。不動産業の社長もやってたりするわけよ」
鴻上禮次郎:「だから新人の教育なんてのにもたま~に関わる」
鴻上禮次郎:「だから、あれくらいの若者はあんなもんだって思ってたほうが、気が楽だぜ」
鴻上禮次郎:「あんたも何時か偉くなるんだしさ。練習と思えば良いのさ」
小宮刑事:「…………!」言い返そうとして、堪える。
小宮刑事:「……とにかく、信用できませんよ!捜査なんて、ウチだけでやればよかったんです!」
五十嵐警部:「小宮、お前のそれはただの見た目の印象だろう」
鴻上禮次郎:「五十嵐さんの言う通りだ。それに警察所属のオーヴァードを十分量引っ張り出せるのか?」
小宮刑事:「…………それは……!」
五十嵐警部:「……鴻上、お前から見て、どうだ? 彼らは信頼できると思うか?」
五十嵐警部:「現場と命を預けられるか?」
鴻上禮次郎:「信頼は……信頼はできねえ。だが現場と命は預けられる」
鴻上禮次郎:「そう」
鴻上禮次郎:「あいつらは自分の損得じゃ動かねえ。強い信念がある」
鴻上禮次郎:「その信念を共有できるこの現場ただ一点に限り、全てを預けることは可能だ」
鴻上禮次郎:煙を吐き出す
五十嵐警部:「そうか…………」
五十嵐警部:「俺はなあ、正直、判りかねてる」
鴻上禮次郎:「……」
五十嵐警部:「UGNって組織は、まあ、正直なところ、小宮の言う通り得体が知れない」
五十嵐警部:「オーヴァードなんてのもピンと来ないし……何より、あんな年端も行かない子供たちを……ってな」
五十嵐警部:「でも、実際に接する彼らは、俺の目からは……誠実で善良な人間に見えた」
小宮刑事:「五十嵐さん!?」
小宮刑事:小宮が声を上げる。
鴻上禮次郎:「あれだ。同じなんだよ、組にやってくるガキどもと」
五十嵐警部:「……同じ?」
鴻上禮次郎:「生まれ、育ち、性根。色んな事情で組に来るガキどもと同じだ。もうそれしかないんだ」
鴻上禮次郎:「この平和な日本でも、オーヴァードでなくても、生まれた場所じゃあ生きて行けずにヤクザをすがるガキは居る」
鴻上禮次郎:「暴力を振るう親、いじめっ子、生まれた土地への差別、UGNの連中に比べりゃあそりゃぬるいが、それでも多くは“それしかない”んだ」
鴻上禮次郎:「それしかないってだけで、五十嵐さんの言う通り、どいつもこいつも……」
鴻上禮次郎:煙草の火を灰皿に押し付け、深くため息をつく
鴻上禮次郎:(カルテルに殺された……あいつらも……)
鴻上禮次郎:(ガキみたいなもんだったよな……カナコ……)
五十嵐警部:「……やりきれない話だな……」
GM:五十嵐が呟いた時、背後から足音。
GM:そこにいたのは、背の高いスーツ姿の白人。
ビショップ捜査官:「おや、ご一緒してもよろしいですか?」
鴻上禮次郎:「おう、あんたもいける口か」
ビショップ捜査官:「ええ、まあ」薄く笑い、懐から煙草を取り出す。
ビショップ捜査官:海外産のものらしく、パッケージにはグロテスクな真っ黒の肺の写真と、警告文が大きくプリントされている。
ビショップ捜査官:ジッポライターで火をつけ、旨そうに一服する。
鴻上禮次郎:「せっかくだ。日本の煙草も買ってきなよ。合わなくても土産話の種にはなるからさ」
ビショップ捜査官:「そうですね、仕事柄色々なところに赴くので、色々試してみてます」微笑。
ビショップ捜査官:「…………」そこで、君の顔をじっと見つめる。
鴻上禮次郎:それに微笑で返す
鴻上禮次郎:当たり障りのない空気を作るための手段だ
ビショップ捜査官:「……あの、失礼。少し小耳に挟んだのですが……」
ビショップ捜査官:「……鴻上さんは、その……」
ビショップ捜査官:「……ヤクザ、なのですか?」
鴻上禮次郎:「隠すことでもねえわな」
鴻上禮次郎:「今は組を捨てた身。野良(フリーランス)のオーヴァードってことになってる」
鴻上禮次郎:「だからまあ今は見逃してくんな」
ビショップ捜査官:「オー!!ヤクザ!!」ビショップの表情がぱっと輝く。
鴻上禮次郎:「 ! ? 」
ビショップ捜査官:「私日本のヤクザ映画、大好きです!!」
ビショップ捜査官:「ケンタカクラ!ブンタスガワラ!」
ビショップ捜査官:「ギリ!ニンジョー!キョーダイノサカズキ!」
ビショップ捜査官:「ヤクザ映画とても面白いです!私大好きです!」
鴻上禮次郎:「マジか? あれ、昔のヤクザが多くて今のヤクザと全然違うからな」 苦笑しながらも英語で話す
ビショップ捜査官:「本物のヤクザに会えるとは…感激です…」
小宮刑事:うげぇ、という顔。
鴻上禮次郎:「アハハ……そう言ってもらえると嬉しいがねえ……」 気分的に打ち解けてきたため英語続行
ビショップ捜査官:がっしりと君の手を取る。
鴻上禮次郎:しっかりと握り返す
ビショップ捜査官:「是非一緒に頑張りましょう! 協力して犯人を捕まえてケジメを付けさせましょうね!ね!」
鴻上禮次郎:「へへっ、話が分かるじゃねえか。よろしく頼むよ」
ビショップ捜査官:「……ア! そうでした!」
鴻上禮次郎:「どうした?」
ビショップ捜査官:「鴻上さん……『鴻鵠会』の人……でしたよね?」
五十嵐警部:「……」ぴくりと眉を動かす。
鴻上禮次郎:「……」
鴻上禮次郎:五十嵐警部の方を見る
鴻上禮次郎:(思ったよりも詳しいな)
五十嵐警部:どうしたものか、という顔。彼が言ったわけではないらしい。
鴻上禮次郎:「そりゃあお前、仁義ってものがある」
鴻上禮次郎:「詳しいことは聞かないでくれると、助かるんだが……?」
ビショップ捜査官:「オォ……そうですか……?」
ビショップ捜査官:「いえ……もしよろしければ……」
ビショップ捜査官:「市内のヤクザを襲っているらしい、ロス・サングレスのシカリオのこと」
ビショップ捜査官:「お教えできればと思ったのですが……」
鴻上禮次郎:「……聞かせておくんな」 英語を続ける余裕が無くなる
鴻上禮次郎:表情も酷く真面目なものになる
ビショップ捜査官:「いえ……私はDEAですので、彼らの内情には多少詳しいと自負しているのですが……」
ビショップ捜査官:「今回見つかった、ヤクザ関係者の大量の死体」
ビショップ捜査官:「結論から言えば……あれをやったのは、今捜査線上に浮かんでいる、リリアナ・マルティネスとは違うと思うのです」
鴻上禮次郎:「なに……!? あいつ以外に、まだ大物が居るっていうのかよ」
鴻上禮次郎:「死んだやつの中には、俺が鍛えた手練だって居たんだぞ」
ビショップ捜査官:「それは何とも言えませんが……」
ビショップ捜査官:「リリアナは、これまで基本的にオーヴァードのみを相手にしてきています」
ビショップ捜査官:「他組織のオーヴァードや、UGNエージェントに対する切り札、それが彼女なのです」
ビショップ捜査官:「一般人を大量に殺害するのは、彼女の仕事ではないかと」
鴻上禮次郎:「参ったな……それこそ鏖殺せにゃあ部下の仇が討てねえって訳だ」
鴻上禮次郎:「……そのあたりの詳しい情報が欲しくてこちらに来てるんだが」
五十嵐警部:「捜査本部で物騒な話だな……」釘を刺すように。
鴻上禮次郎:警部の指摘でハッとしてゴホゴホと咳き込む
鴻上禮次郎:「あー、ともかくだ」
鴻上禮次郎:「情報提供に感謝する。なにせ元とはいえUGNサマだ。言われてみりゃあ、あいつにも他のUGN連中と同じ大層な志ってもんがあるのかもな」
ビショップ捜査官:「それはどうだか、分かりませんが……」困ったような顔をして、
ビショップ捜査官:「お役に立てたなら、幸いです」
ビショップ捜査官:「頑張りましょうね!必ず奴らを逮捕して、ギリとジンギを通しましょう!」
鴻上禮次郎:「ハハッ、サンキュー」
鴻上禮次郎:(……ま)
鴻上禮次郎:(今の俺に、義理も仁義も矜持もねえんだけどさ)
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイス購入可!
鴻上禮次郎:ロイス保留!
鴻上禮次郎:購入!
鴻上禮次郎:救急セット!
鴻上禮次郎:2dx+6>=8
DoubleCross : (2R10+6[10]>=8) → 9[3,9]+6 → 15 → 成功

鴻上禮次郎:いぇー!
GM:OK!
鴻上禮次郎:以上です!

【Middle8 シーンPC:豊島正則】


豊島 正則:1d10+63
DoubleCross : (1D10+63) → 4[4]+63 → 67

GM:----------
小宮刑事:「ウワーーーーーーーッ!!!!!」
GM:捜査本部内で悲鳴が上がった。何事かと視線が集まるが、その手に持ったコーヒーカップを見て、またか、と皆席に戻る。
小宮刑事:「ゲボッ!ゲボォーッ!!」
小宮刑事:「誰だよこのコーヒー淹れたの!間違えただろ!砂糖と味覇間違えただろ!なあ!」
豊島 正則:「むしろなんで置いてあんだよ味覇」
シンシア:「……あの……」
シンシア:おずおずと、シンシアが歩み出る。
シンシア:「申し訳ありません。私です」
シンシア:「なんなりと処罰を」
小宮刑事:「あ、ああ……」
豊島 正則:「…あー…」
小宮刑事:気まずそうに目を逸らす。
小宮刑事:「いや……いいんだよ、わざとじゃないんだろ、大丈夫だから……」
豊島 正則:「…すまん、口直しに使ってくれ」
豊島 正則:プルタブに手をかけていた缶コーヒーを、小宮の机に置く。
小宮刑事:「あ、ありがとうござ……ありがとう」
GM:シンシア・アップルヤードは、捜査本部内で明らかに浮いていた。
GM:彼女が幼い少女というだけではない。
GM:コーヒーを淹れれば大量の犠牲者を出し、書類を作らせれば本部を紙の山で埋もれさせる。
GM:そんな凄まじい失敗続きの彼女を、いい大人が強く叱るわけにもいかず――しかも外部組織のお偉いさんだ――、本部ではすっかり腫れもの扱いされていた。
GM:とうとう『仕事があったら呼ぶから』という、実質的な何もしなくていい宣言を出され、
GM:今、彼女は屋敷の中庭で独り、ぼんやりと空を眺めていた。
シンシア:「…………」
豊島 正則:作業は一旦落ち着いている。藍華からの定期連絡の時間にも、まだ余裕がある。そんなことを確認してから。
豊島 正則:「よう。少し、いいか」
豊島 正則:無遠慮に声をかける。
シンシア:「………」顔を上げ、君を見る。
シンシア:「はい。待機中です」
豊島 正則:「そりゃよかった。ああ、どっちがいい。お前の好みが分からないから、どっちも苦手だったら悪いが」
豊島 正則:持ってきた2本のペットボトル、無糖の紅茶と甘い炭酸飲料を示しながら。
シンシア:「……では、左の方を」迷いのない、まるであらかじめ用意されていたような受け答え。
豊島 正則:そうか、と応えて。シンシアから見て左の方、ややマニアックな銘柄の炭酸飲料のボトルを渡す。
シンシア:「……頂きます」
シンシア:「……」ごきゅ、ごきゅ、と、飲むというより吸引するような飲み方。
シンシア:べこべことペットボトルがへこんでいく。
シンシア:ものの数秒で飲み干し、「ご馳走さまでした」と手を併せる。
豊島 正則:その様子を、じっ…と見てから。
豊島 正則:「美味いか、それ」
シンシア:「はい、とても美味しかったです」ガラスの瞳で君をじっと見る。
シンシア:「ありがとうございました」
シンシア:定型文のような感想だ。
シンシア:「……豊島さんは、今回の任務で」
シンシア:「突入要員を務めるのですね」
シンシア:不意に、そんなことを言う。
豊島 正則:「ああ。色々あって支部長補佐なんて役職に収まっちゃいるが、元々、そういうのしか能がないからな」
シンシア:「……そうですか」
シンシア:少しの沈黙。
シンシア:「私は突入作戦には参加できませんが、頑張ってください」
豊島 正則:「おう。…もうちょいと可愛げのある声で言ってくれりゃ、やる気も高まるんだが」
シンシア:「…………」
GM:君はそこで、疑問に思うかもしれない。
GM:本部エージェントといえば、UGNでも選りすぐりの人材が集められた一流揃いのはずだ。
GM:彼女は要領も悪く、会話や政治にも不向きに見える。その上、直接戦闘にも参加できないとなれば、
GM:何故彼女は本部エージェントなどになれて、何故派遣されてきたのだろうか。
豊島 正則:「…なあ、シンシア」
シンシア:「はい」
豊島 正則:そんな、ここにいる皆の、きっと誰もが思い浮かべているであろう疑問を。
豊島 正則:「お前、何がしたい?」
豊島 正則:自分なりの言葉で、口にする。
シンシア:「…………」
シンシア:「……質問の意図が、把握しかねます」
豊島 正則:「ああ、そりゃ悪かった。…正直、本部エージェントってのにはいい思い出がないもんでな」
シンシア:「……」
豊島 正則:「なんせあいつら、毎度横から首を突っ込んでくるくせに、権限は国レベルの支部長に匹敵するときたもんだ。昔は色々と…」
豊島 正則:「…ああ、お前に聞かせる話じゃなかったな、こりゃ」
シンシア:シンシアは聞いているのかいないのか分からない様子で、黙っている。
豊島 正則:「…まあ、つまりは。何を考えているか分からない奴には、どう接すりゃいいのか分からねえが」
豊島 正則:「そいつが何をしたいのか、何のためにここにいるのか。それが分かりゃあ安心できるし、場合によっちゃ協力もできる」
シンシア:「…………」
シンシア:「参考になるかどうか、分かりかねますが」
シンシア:シンシアはぽつぽつと話し出す。
シンシア:「……私は、何もできません」
シンシア:「会話で楽しんでいただくこともできません。社交性を発揮して場をとりなすこともできません」
シンシア:「誰かに命令を頂けなければ、自分では何も判断することができません」
シンシア:「役立たず、という評価をよく頂きます」
豊島 正則:「そりゃまた極端だな。…そんなお前が、本部エージェントの肩書でここにいるってことに、理由は色々あるんだろうが」
シンシア:「私の、したいこと。欲求、ですか……」
シンシア:しばらく考え込み、
シンシア:「…………」
豊島 正則:「そう、今はお前の話だ」
シンシア:「……私は……」
シンシア:「……死にたくない」
シンシア:そう呟く。
シンシア:「……いえ、生きたい、というのが正しいでしょうか」
豊島 正則:「そんなの、生まれたなら当たり前だ…と言いたいが」
豊島 正則:紅茶のペットボトルの蓋を開け、一口。
豊島 正則:「聞かせてくれるか。続き」
シンシア:「……」
シンシア:一瞬、口を開こうとして、
シンシア:すぐに噤む。
シンシア:「……私の身上については、開示許可が下りていません」
シンシア:「すべてお話しすることは、できません」
豊島 正則:「そうか、そりゃ残念だ。…ああ、なら。代わりに俺の話を聞いてくれ」
シンシア:「……?」
シンシア:「はい。お聞きします」
豊島 正則:「俺がこっち側に、ああ、オーヴァードになったのも、丁度お前くらいの年でな」
豊島 正則:あのヤクザのおっさんも同じくらいらしいが、と。何がおかしいのか、小さく笑ってから。
豊島 正則:「なりたてにはよくある話らしいんだが。俺は、なんだって出来る気になってた」
シンシア:シンシアは黙って聞いている。
豊島 正則:「で、そうなると当然、後で報いが来るってワケだ。俺の場合は、ああ」
豊島 正則:「ジャームを殺して、ジャームになった味方を殺して。気が付いたらひとりぼっち、ってな」
豊島 正則:恥じ入るでもなく、誇るでもなく。ただ、自分に起こったことを振り返るように。
シンシア:「…………」
シンシア:「……その後……現在に至って……」
シンシア:不意に口を開く。
シンシア:「質問を返すようですが――」
シンシア:「……あなたは今、何がしたいのですか?」
豊島 正則:「そんなのは決まってる」
豊島 正則:「俺を生かしてくれる人を、死なせたくない」
豊島 正則:「…そのためにジャームを殺す、ってのは、我ながら酷い矛盾だ。笑い話にもなりゃしねえ」
シンシア:「…………」
シンシア:じっと、透き通った瞳が君に向けられる。
シンシア:シンシアはそれから顔を背けて地面を見て、
シンシア:「……13歳の頃」と口を開く。
豊島 正則:先を促すように、ああ、と頷く。
シンシア:「私は、両親と車で街に出かけました」
シンシア:「普段家を空けてばかりの父と一緒で、母も機嫌が良さそうでした」
シンシア:「私も、とても嬉しかった」
シンシア:「その日は丁度クリスマスを間近に控え」
シンシア:「街も美しく飾り付けられ、まるで夢のようでした」
豊島 正則:空を見上げ、その光景を思い浮かべようとする。思い出されるのは、全く違う光景だけれど。
シンシア:「しかし、数日前に降った雪で、路面は凍結していました」
シンシア:「車はスリップし、街路樹に激突し」
シンシア:「両親は即死、私も下半身と内蔵の大半を損傷しました」
シンシア:「……」
シンシア:シンシアはそこで黙り込み、それきり何も言わない。
豊島 正則:「いなくなった奴は、戻ってこない。…ああ、そりゃ当たり前だ。なんせ、死んじまったんだからな」
シンシア:「…………」
豊島 正則:「けど、覚えててやることなら出来る。…家族と同じくらい、大切な奴を探すことも、きっとな」
豊島 正則:「それもこれも、生きていてこそ、だ。だから」
豊島 正則:「シンシア。お前が死にたくない、生きていたいと願うのは。何も、間違っちゃいない」
シンシア:「…………そう、でしょうか」
シンシア:そこで初めて、僅かに感情のようなものを覗かせる。
シンシア:だがそれも、すぐに無表情の仮面にかき消される。
シンシア:シンシアは立ち上がり、ぺこりと礼をする。
シンシア:「ジュース、ご馳走様でした。美味しかったです」
シンシア:ゴミ箱に投げ入れようとボトルを放るが、弾かれて床に転がる。
シンシア:「……」
豊島 正則:苦笑いを浮かべて、立ち上がり。弾かれたペットボトルを拾う。
シンシア:「……申し訳ありません」
豊島 正則:ひょい、と軽くそれを投げてゴミ箱に投げ入れてから。
豊島 正則:「気にするなよ。突き合わせたのはこっちなんだから」
シンシア:「……ありがとうございます」
シンシア:「……数日中に突入任務でしたね」
シンシア:「頑張ってください。本部も期待しています」
シンシア:あくまで、淡々と言う。
豊島 正則:「ああ。無事帰ってきたら、そうだな」
豊島 正則:「変な飲み物を飲ませた侘びだ。何か好きなものがあったら、奢らせてくれ」
豊島 正則:「味やにおいが分かるなら、食事を楽しんだっていいだろ。生きるってのは、そういうことだ」
シンシア:「……好きなもの、ですか」
シンシア:シンシアはしばらく考え込んで、顔を上げる。
シンシア:「……思い出しておきます」
GM:----------
GM:ロイス購入可!
豊島 正則:ロイスは保留!リアクティブコートチャレンジ!
豊島 正則:3dx+1+3>=36
DoubleCross : (3R10+1+3[10]>=36) → 10[1,5,10]+1[1]+4 → 15 → 失敗

豊島 正則:チャレンジ失敗!リサーチがあるっぽいので弾は温存!以上で!
GM:OK!

【Middle9 シーンPC:矢ヶ崎藍華】


矢ヶ崎藍華:マイターン
矢ヶ崎藍華:59+1d10
DoubleCross : (59+1D10) → 59+2[2] → 61


GM:----------
GM:N市 第二地区 グランドホテル『ビヤーキー』
GM:----------

GM:カルテルの幹部たちは、ほぼ毎日のように滞在拠点を変えていた。
GM:下っ端の構成員達は直前までその行く先すら把握していない。
GM:幸いにして君は、リリアナの直属の部下として、チコと共にその移動に同行することができていた。
矢ヶ崎藍華:(毎日間取りの違う部屋にいるの、落ち着かないなあ)
GM:そしてこの日は、予定された取引当日。
GM:予定では、深夜2時から山形県内で取引のはずだったが、
GM:何故かリリアナは、予定時刻が迫ってもホテルから動こうとしなかった。
チコ:「ね、姉さん…?」
チコ:不審そうにチコが声を上げる。
矢ヶ崎藍華:「……」
チコ:「あの、そろそろ行かなくて、いいんですか……?」
リリアナ:「ああ。待ってろ」
GM:リリアナは慌てた様子もなく、悠然としている。
GM:見たところ、取引する商品すら用意していないように思える。
矢ヶ崎藍華:(…どういうことかな?)
GM:取引現場には既に取引相手と、君の情報をもとに捜査員たちが待機しているはずだ。
矢ヶ崎藍華:(…まさか)
GM:一体何事かと、下部構成員たちにも静かな動揺が広がっていく。
GM:かちっ。
GM:とうとう、時計の針が約束の時刻を示す。
リリアナ:「さて、と」
リリアナ:そこでようやく、リリアナが腰を上げた。
チコ:「姉さん!行くんですね?今ドアを……」
リリアナ:「いらない」
チコ:「……え……?」
矢ヶ崎藍華:「……!?」
リリアナ:リリアナは君とチコを含む部下たちを見回し、
リリアナ:「待機だ」
リリアナ:と告げる。
GM:動揺が広がる。この場にアレハンドロと陈はいない。指示を請うべきはリリアナだけだ。
チコ:「え……?え……?」
リリアナ:「私は出てくる」
矢ヶ崎藍華:(どうしよう……これって)
リリアナ:「いいか、待機だぞ」
リリアナ:そう言い残して、リリアナは一人で部屋を出て行ってしまう。
矢ヶ崎藍華:(知らせたほうがいいよね……)
矢ヶ崎藍華:どういうことかと狼狽えている。内心も似たようなものだ
GM:残された構成員たちの動揺とざわめきは、次第に大きくなっていく。
チコ:「なあ、アヤカ……姉さん、どうしたのかな……」
矢ヶ崎藍華:「何でしょうね…」
チコ:不安そうにチコが言う。
矢ヶ崎藍華:「私、取引って初めてなんですけど、以前にこういうことってありましたか?」
チコ:「どうだろう、無かったと思う……あたしの覚えてる限りじゃ」
矢ヶ崎藍華:(今回初めてってこと…?ま、まずいよ…)
矢ヶ崎藍華:このままでは嘘の情報を掴まされたことになる。戻れば、周りの組織とUGNとの間にも溝が出来るだろう
チコ:「最近、あたし、姉さんの考えてること、よくわかんねえよ……」
チコ:「前からだけどさ。姉さんはあたしなんかよりずっと賢いし」
チコ:「でも……なんていうか、最近の姉さんは、なんか焦ってるように見えるってーか……」
矢ヶ崎藍華:「焦り……」
チコ:「なあ、ホントに待ってていいのかな?やる気があるヤツだけ付いてこいって意味なのかな?」
チコ:「あたしバカだから分かんねえよ………なあアヤカ、どうしたらいいと思う……?」
矢ヶ崎藍華:(これって、日本に進出する意味でも大事な取引なんだよね。それを個人で動くってことは)
矢ヶ崎藍華:(なにか、隠しているのかも…?)
矢ヶ崎藍華:「ふむむむ」
GM:時間だけが、刻一刻と過ぎていく。
矢ヶ崎藍華:「……話を聞いてみましょう」
チコ:「話……?」
矢ヶ崎藍華:「正直言って私もあんまりわかんないんですけど…」
矢ヶ崎藍華:「ちゃんと理由聞いて、お手伝い出来るならしたいじゃないですか!よくしてもらってますし」
チコ:「……そ……そうだよな!」表情が明るくなる。
チコ:「いいこというじゃん、お前!流石あたしの妹分!」
チコ:わしわしと頭を撫でる。
矢ヶ崎藍華:「えへへへ」
矢ヶ崎藍華:撫でられるがまま
矢ヶ崎藍華:(……言いなりになってても、情報は大したものは掴めない)
矢ヶ崎藍華:(懐に飛び込んで、今までの分を取り返さなくちゃ。大丈夫、私)
矢ヶ崎藍華:(強いから)
GM:その時。
GM:君の携帯電話が着信する。
矢ヶ崎藍華:「!」
矢ヶ崎藍華:「せ、先輩ご免なさい!ちょっとコレがアレみたいで」
矢ヶ崎藍華:「すぐ戻ってきますね…!」
チコ:「え、おい!なんだよ!?アレ!?」
GM:画面に表示されたその発信元を見て、
GM:君は、とても大きな嫌な予感を覚えた。
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイスのみ可!
矢ヶ崎藍華:ロイスは…
矢ヶ崎藍華:リリアナ・マルティネス/感服/猜疑心○/ロイス
矢ヶ崎藍華:以上です
GM:OK!

【Middle10 シーンPC:新垣御守 日馬美礼 豊島正則 鴻上禮次郎】


日馬 美礼:1d10+72
DoubleCross : (1D10+72) → 8[8]+72 → 80

新垣御守:1d10+44
DoubleCross : (1D10+44) → 4[4]+44 → 48

鴻上禮次郎:49+1d10
DoubleCross : (49+1D10) → 49+9[9] → 58

豊島 正則:1d10+67
DoubleCross : (1D10+67) → 9[9]+67 → 76


GM:----------
GM:山形県内 廃工場
GM:----------

GM:深夜。
GM:君達は既に、取引現場とされる廃工場を遠巻きに包囲していた。
GM:五十嵐警部のもとに、小宮が報告に訪れる。
小宮刑事:「大椅子組、ロス・サングレス、共に車両での敷地内への侵入を確認しました」
小宮刑事:「仮にブツを処分されても、不法侵入で引っ張れますよ」
五十嵐警部:「そんなことをしても意味がない。ここで確実に仕留めるぞ」
新垣御守:「いやー、すんませんすんません」
新垣御守:小宮さんと同時に車から降り、日馬さんの方へ
日馬 美礼:「不自然なところはないか。ふぅん」
日馬 美礼:「ミモリ。頭は冷えたかい?」
新垣御守:「うわっ、手厳しいコメント……いやそっちも反省してますっつうか」
GM:刑事たちは怪訝そうな顔をしている。
GM:猫山からは何の報告も受けていない。
鴻上禮次郎:「ほらほら、今は身内なんだ。疑う暇あったらあっちを見張ったらどうだい」 少し離れて刑事たちの相手をして目をそらさせようとする
豊島 正則:「ま、落ち着いてんならいいんじゃねぇか。ドスを腰だめに構えて突撃するような場面じゃねえんだから」
新垣御守:「ちょっと、興奮してもらんなくて」
新垣御守:苦笑い。表情は暗い。
新垣御守:「支部の守り、任せてた人がちょっと、自棄起こしちゃってね」
新垣御守:「望月さんって……まあベテランの人で私も世話になってたんだけど。奥さんが事故で、それでね」
豊島 正則:「……そうか。そうなっちまったか」
新垣御守:「……ま、しょーがないでしょ。人間なんだから」
日馬 美礼:「話は聞いてるよ。でも後にしよう」
新垣御守:「あー、そうすね」
新垣御守:「……」
新垣御守:確かに今しても仕方がない話ではある。
新垣御守:しかし同時に、妙な胸騒ぎを覚えている自分もいる。
新垣御守:「奴さん、どんなもん?」
新垣御守:捜査員の1人から双眼鏡を借りて
新垣御守:工場の方を覗き込む。突入に気持ちを切り替えるために。
豊島 正則:「静かなもんだ。まあ、賑やかなのを期待してたわけじゃあないが」
五十嵐警部:「……今、敷地内に入ったところのようです。間もなく取引開始かと思われます」
新垣御守:「オケ。じゃあこっから先はこっちの出番だ」
猫山部長:「やあ、皆さん、今回は頼りにしてますよ」
猫山部長:猫山が鷹揚な笑みを浮かべて、のしのしと姿を現す。
猫山部長:「オーヴァードの相手は、やはりオーヴァードでないと。そうでしょう?」
新垣御守:「仰る通りで……分かってくれたなら嬉しいですよ」
新垣御守:「ちゃんと連携通してくれたみたいですし」
猫山部長:「まあ、少々……」
猫山部長:「思うところもありましてね、ふふ」
小宮刑事:「……?」首を傾げる。
鴻上禮次郎:(なーんかろくでもないことでもあったのかね)ため息
日馬 美礼:半眼で猫山を見る。
新垣御守:「今後ともよしなに。そっちの期待、裏切るつもりは無いんで」
豊島 正則:「…まあ、正義ってのは人それぞれってのは、美礼を見てりゃ嫌ほど分かるわな」
豊島 正則:ため息を吐きたいような気分で、いや実際、半分ため息のような声。
日馬 美礼:「おいおい。そりゃどういう意味だい」
豊島 正則:「その薄い胸に手ェ当てて考えてみろ。…ったく」
鴻上禮次郎:「ははっ、やっぱ苦労してんだなアンちゃん」
新垣御守:「まあまあ。上手く使ってくれんなら、相手の思惑なんてなんでもいいよ」
新垣御守:「使い方に一言二言文句は言ってもね」
日馬 美礼:「じゃあ、実務的なところから始めようか。といっても、ごく単純に」
新垣御守:「うい。単純に、一番私ららしいとこで行きますか」
新垣御守:伸びをしてから、双眼鏡を捜査員に放って返して
日馬 美礼:「前後の通用口から突入。相手の反応と同時にワーディング。あとは可能な限り、敵オーヴァードの捕殺を優先」
新垣御守:工場の方へと歩き出す
新垣御守:「撃ってこないのは撃たなくていいからね」
新垣御守:「その方が面倒くさくない」
鴻上禮次郎:「しゃあねえなあ~」
鴻上禮次郎:「そう言われちゃあ従うしかねえや」
鴻上禮次郎:白杖をつきながら、悠々とついていく
日馬 美礼:「ぼくらの力だって無限じゃないからね」肩をすくめる。「効率的だ」
日馬 美礼:「肝心のときに使い果たしてた、じゃ、シャレにならないだろ?」
豊島 正則:「あいよ。つまりはいつも通り、と」
GM:君達は、機動隊じみた対ワーディング装備の組対刑事と、協力を要請した地元県警と共に、廃工場を包囲する。
GM:中の様子を伺うと、数人の人影と、ぼそぼそと不明瞭な話し声。
GM:うちひとつは、長い黒髪にライダースジャケット。リリアナ・マルティネスのものに相違ない。
五十嵐警部:五十嵐は君たちにアイコンタクトを送る。突入のタイミングは一任されている。
鴻上禮次郎:(あの女が仇かどうかは知らねえが……)
鴻上禮次郎:(ぶった切ってやる……!)
新垣御守:(……ああ)
新垣御守:(来ちゃったか、ここまで)
新垣御守:鴻上さんと並行するような視線をリリアナに向けつつ
新垣御守:音もなく歩く。闇の中を滑るように日馬さんと位置を合わせる。
日馬 美礼:新垣さんと反対側に回り込んでいる。で、車椅子からパワーローダーみたいな大きさのアームが生えて。
日馬 美礼:重い鉄扉を殴り飛ばす。盛大な音を立てて工場の内側へ吹っ飛んで。
豊島 正則:吹き飛ぶ扉と同時、槍を手に最初の一歩を踏み込む。
新垣御守:「はいそこまで」
新垣御守:「UGNだよ。分かるでしょ」
新垣御守:豊島くんの背後から跳躍。
新垣御守:錆びた足場の1つへと降りて、見下ろす全員に告げる。
GM:君達と同時に、刑事たちが工場内に雪崩れ込む。
日馬 美礼:相手が反応したのを見計らって、《ワーディング》展開。……したいけどねえ。
リリアナ:「…………」
リリアナ:リリアナはそれを一瞥する。
鴻上禮次郎:「……抵抗してくれりゃあ、楽なんだがねぇ」
新垣御守:「……ロス・サングレス御一行様。お迎えだ」
GM:「…………」
GM:ヤクザ達も同様に、君達に目を向ける。
GM:ぶつぶつと何かを呟いているが、抵抗らしい抵抗は無い。
新垣御守:「包囲されてるよ。こうなっちゃどうしようもないでしょ」
リリアナ:「…………」何かを小声で呟いている。
鴻上禮次郎:ヤクザたちの方を見て簡単にアイコンタクトをとる
日馬 美礼:「各自。警戒」突入後最初にクチにしたのがこれ。端的な内容。
豊島 正則:「まあ、ここで一網打尽にして終わり、となりゃあ楽なんだが…」
新垣御守:「はいはいそういう物騒言わない」
新垣御守:「このまま大人しく行けばそれで……」
新垣御守:「……ん」
小宮刑事:「動くな!動くなよ……!」拳銃を手に、リリアナ達に近付く。
鴻上禮次郎:「来るか」
新垣御守:目を細める。何かがおかしい。
新垣御守:静か過ぎる。
鴻上禮次郎:「——待て小宮、下がれ!」
小宮刑事:「何言ってんですか、無抵抗じゃないですか!いま逮捕せずに……」
新垣御守:「ヘイ!前出ちゃダメ!!」
新垣御守:それを見て、大声を上げる!
GM:近付いた小宮は、彼らの呟く言葉を耳にする。
GM:「ゼブルンの地、ナフタリの地、海に沿う地方、ヨルダンの向こうの地、異邦人のガリラヤ」
GM:「暗黒の中に住んでいる民は大いなる光を見、死の地、死の陰に住んでいる人々に、光がのぼった」
GM:「この時からイエスは教を宣べはじめて言われた、『悔い改めよ、天国は近づいた』…………」
小宮刑事:「な……何……言ってる……?」
鴻上禮次郎:「チィッ!」 小宮をかばうために飛び込もうとする
新垣御守:「……!」それに援護を合わせようと、するが
GM:瞬間、
GM:別方向から、ガラスの割れるけたたましい音が響く。
豊島 正則:「…くそ、上手くいくワケがねぇか…!」
GM:廃工場の二階、窓を突き破り、
GM:真っ白な何かが落下してくる!
鴻上禮次郎:「 ! ? 」
GM:それは、この場にはまったく不釣り合いに見える、異形。
GM:エナメルのような質感の、曲線を基調とした、2メートルほどはあろうかという、隙間も接合部も無い細身の全身甲冑。
GM:『それ』が、突如として目の前に現れた。
五十嵐警部:「……!?」
鴻上禮次郎:「こいつは……!?」白杖をモルフェウスの能力で純白の日本刀に錬成
そして小宮を庇うようにして構える

日馬 美礼:《テクスチャーチェンジ》完全解除したフォールンヴィークルを、ぶつける勢いで白い塊に突っ込む。
GM:白い仮面の異形が、腕を掲げる。
日馬 美礼:マシンアームを振り下ろす。
GM:指先から光が漏れ、収束し、圧縮されていく。オーヴァードである君たちには、凄まじいレネゲイド出力が理解できる。
鴻上禮次郎:「——合わせる」
鴻上禮次郎:マシンアームの振り下ろしと同時に音もなく接敵、白の指先を切り落とそうと刃を振るう
GM:アームが振り下ろされた瞬間、
GM:光が弾ける。
日馬 美礼:舌打ち一つ。
豊島 正則:「…!」
GM:カ ァ ン ! !
GM:拍子木のような、甲高い音が鳴り響く。
GM:同時に、眩いプリズム光と、破壊の奔流が解き放たれる。
GM:直撃は避けられたが、凄まじい衝撃に、日馬と鴻上は吹き飛ばされる!
豊島 正則:槍の切っ先を地面に突き立てる。不定形の影が壁のように立ち上がり、光を幾分か減衰させる、が。
新垣御守:「ッ!!」
新垣御守:足場から更に高く跳躍!軽業師のような動きでそのまま物陰に滑り込む!
日馬 美礼:多脚戦車が、関節の隙間から白煙を吹いて低くバウンド、廃工場の壁に直撃する。
豊島 正則:「…くそ、なんて出力だ。それなりのオーヴァードで出せる力じゃねえぞ、こいつぁ」
鴻上禮次郎:「くそがっ!」 空中でモルフェウスの砂を飛ばしながら姿勢制御を行い着地
新垣御守:「五十嵐さん!聞こえてたら包囲下げて!」
GM:そしてその直線状にいるのは、リリアナ・マルティネス。
GM:避ける間もなく、その頭部が一瞬で蒸発する。
小宮刑事:「ひっ……!?」
新垣御守:「!!」
新垣御守:それを目撃し、一瞬固まる。
鴻上禮次郎:「運が良いじゃねえかぁ! 小宮ァ!」 全速力で小宮に駆け寄る
GM:だが……
GM:ごぼり、と、何かが湧きたつような音。
GM:頭部を失ったリリアナが、そしてその周囲の両組織の構成員たちが、
GM:次々と姿を変えていく。
日馬 美礼:「ダミーだよ! 構えろ!」
GM:現われたのは、また異形。
GM:ほとんど黒に近いような血液で構成された、戦闘人形。
GM:ブラム=ストーカーの能力――従者。
GM:襤褸を纏った黒い骨。腕だけが異様に発達し、鋭い鉤爪を備えている。
新垣御守:「やられた……!」
豊島 正則:「つまるところはめられた、ってワケだ。…考えるのは後だな、こりゃあ」
新垣御守:「こっちのフォーメーションは想定通りで行く!」
新垣御守:「五十嵐さん!その人達下げて!!」
五十嵐警部:「全員後退ッ!!…………小宮っ!!」
鴻上禮次郎:「間に合え——」
小宮の首根っこを掴んで安全圏までぶん投げようとする!

GM:鴻上が走る。だが先程のダメージが大きい。
GM:あと数歩、届かない。
鴻上禮次郎:「うおおおおおおおおおお!」
GM:従者が間近の小宮に向け爪を振り上げ、
小宮刑事:「あ……!」
GM:異形の鉤爪が、小宮を庇った五十嵐の胸を袈裟に深々と切り裂く。
鴻上禮次郎:「畜生がっ!」
五十嵐警部:「…………が…………!」
小宮刑事:「……五十嵐さんッ!!」
鴻上禮次郎:また、守れなかった
鴻上禮次郎:「五十嵐さんをつれて下がれ!」
鴻上禮次郎:遅れながらも踏み込み、異形の怪物に刃を放つが……
GM:その一撃も、鉤爪が受け止める。
鴻上禮次郎:「なにっ!?」
小宮刑事:「ああ……ああ……!」
小宮刑事:深手を負った五十嵐を引きずり、離れようとする。
日馬 美礼:瓦礫に埋まった下から、じっと見ている。
GM:途端に、現場は阿鼻叫喚の修羅場と化す。
GM:従者たちが、刑事たちを次々と襲いかかる。響き渡る悲鳴と怒号。
GM:その混乱に紛れ、白い仮面は姿を消す。
新垣御守:「ああ、もう」
日馬 美礼:「敵オーヴァードへの対応を優先して」
豊島 正則:「…ああ。全員までは手が回らねえ」
新垣御守:「走って!走れる人全員!走れ!」
鴻上禮次郎:「俺たちが殿軍か。任侠だねぇ」
GM:その喧噪の中、新垣の携帯に着信。
GM:普通の通信なら届かないはず。緊急回線だ。
新垣御守:「……!」
新垣御守:煙幕を張りつつ、横目に確認する。
新垣御守:日馬さんたちの元へ着地。
GM:君は戦況に目を配りつつ、通信を聞く。
GM:「だ……第二支部付近のエージェントに緊急通信……!」
GM:非オーヴァードのオペレーターの声だ。ひどく焦っているのが声色から分かる。
GM:「現在第二支部は、未確認オーヴァードによる襲撃を受けています……!」
新垣御守:「!!」
GM:「負傷者多数!現在田井中さんが単独で応戦していますが、それもいつまで保つか分かりません!」
GM:「支部の付近にいるエージェントは、大至急救援を……!」
新垣御守:望月が離反し、支部の防衛は大幅に薄くなっている
新垣御守:代理は既に手配済みだが、それも昨日の今日だ。
新垣御守:満足に配備されているはずがない。
新垣御守:「……ああ、そう」
新垣御守:ギシッと端末を握りつつ
新垣御守:「どこまで先回りしてたんだか……クソ!」
日馬 美礼:「"相手が何だろうと"この場はぼくの責任だ。前の相手を優先!」強い語気は誰に向けたものか。
新垣御守:眼の前の敵を見る。
新垣御守:今は部下を信じる事しか出来ない。
鴻上禮次郎:「組長(オヤジ)さんの言う通りだったな……」 かかわらない方が良い相手だったと、改めて実感する
鴻上禮次郎:「だけど——」
鴻上禮次郎:「今更止まれねえ」
鴻上禮次郎:刀を正眼に構え直す
豊島 正則:「…ままならねえなあ、本当に」
新垣御守:「ボヤいてもしょうがないでしょ。皆を信じて」
新垣御守:「やることやるよ。さあ」
新垣御守:ナイフを抜き、構える
GM:ミドル戦闘を開始します。
GM:エンゲージはこちら

エンゲージ
従者ABC

(5m)

従者DE

(5m)

PC


鴻上禮次郎:素早い従者sだ……!
GM:ではセットアップから
GM:エネミーは無し
豊島 正則:こちらも無し。
鴻上禮次郎:ちょっと相談
鴻上禮次郎:ブルーゲイル飲むと14まで上がるんですけど、1足りないんですよね
鴻上禮次郎:誰か行動値上げるブツあったら融通してもらえるとありがたいです……
新垣御守:アクセル!
鴻上禮次郎:アクセル単体で範囲持ちが上がるならそれはそれで!
新垣御守:こっちが範囲撃てるので
新垣御守:自身に!行動値15!先頭集団に追いつく!
鴻上禮次郎:ではそれでお願いします!
日馬 美礼:ユニークコード使用宣言。PC全員のメジャーアクション、シーン中ダイスボーナス+2。
新垣御守:やったぜ
鴻上禮次郎:いぇー!
豊島 正則:ありがたく。
新垣御守:ぎしり。
新垣御守:大腿に力を込める。束ねた鋼のような筋繊維が、皮膚の下で収縮する。
新垣御守:「ちょっと悠長してらんないから。急がせてもらう」
GM:行動値15、新垣さんの手番です。
新垣御守:参ります!
GM:どうぞ!
新垣御守:マイナーで5m後退。エンゲージを切ります。
新垣御守:メジャーでコンセ+魔獣の衝撃+増加の触媒+蝕む赤+血の宴+ブラッドボム
新垣御守:敵後方エンゲージ、ABCに範囲攻撃!!
GM:こい!
新垣御守:9dx7+9
DoubleCross : (9R10+9[7]) → 10[1,2,2,2,3,4,6,7,9]+10[4,10]+10[8]+5[5]+9 → 44

新垣御守:よっしゃあ!!
GM:エエーッ
新垣御守:あ、違う
新垣御守:すいませんまずイニシアチブにメイド服をパージ!
新垣御守:そうしないと行動値補正で追いつけない!
GM:ドスケベ
新垣御守:なので命中も固定値3下がって
新垣御守:41に!
新垣御守:41が命中値でござんす
GM:ガードだ!ダメージどうぞ!
新垣御守:ウオオオッ!死んでくれや関口ィ!
新垣御守:7d10+11
DoubleCross : (7D10+11) → 36[3,6,4,5,8,3,7]+11 → 47

GM:??????????
新垣御守:ダメージヨシ!
GM:死に申した
新垣御守:よっしゃあ!
GM:カバーリングするべきだった…!毒使いだから火力そんな出ないかなって…!
GM:演出どうぞ!
新垣御守:ブラッドボムのダメージを受けるまでもない!
新垣御守:「……あんたらのやり口は、遠慮してやれるラインを踏み越えた」
新垣御守:ずずず、ず
新垣御守:真紅の髪から、絵の具が流れ出るように
新垣御守:肌へと色が移っていく。
新垣御守:「警告色を踏み越えたら」
新垣御守:「生きては帰れないってこと」
新垣御守:だっ!!
新垣御守:ヤドクガエルの脚力で跳躍、そして空中でナイフを掌にかざし
新垣御守:切り裂く!吹き出すのは極彩色の猛毒煙!
新垣御守:ごぉあ!!
従者:「…………!」
新垣御守:従者たちを、あらゆる細胞を破壊する死の風が包む!
GM:成す術もなく、毒の煙に包まれる!
従者:「ギィッ…………!」
GM:ぼこぼこと表面が泡立ち、レネゲイドによる結合を失い、どろどろと全身が溶解していく。
GM:三体の従者が、瞬く間に色付きの水たまりへと変わる。
新垣御守:着地、上着を脱ぎ捨て、毒々しい紅色へと染まった肌を晒す。
新垣御守:「……ふー」
新垣御守:「後ろは片付けたから、前!お願い!」
日馬 美礼:「了解」
鴻上禮次郎:「任せなっ!」
GM:ネクスト!従者D!
GM:≪氷の回廊≫で飛行状態で移動、新垣さんにエンゲージ。
GM:メジャーで≪血族≫+≪亡者の一撃≫+≪従者の呪い≫
新垣御守:そっちかい!
新垣御守:メイド服脱がされちゃったから装甲も無いよ!
新垣御守:対抗主のバックファイアも受けてるし!
GM:死ねーっ!
GM:8DX
DoubleCross : (8R10[10]) → 8[1,1,2,4,4,6,8,8] → 8

GM:?
GM:アホ!
新垣御守:オラーっ!かわす!ドッジ!
新垣御守:4dx
DoubleCross : (4R10[10]) → 5[1,4,5,5] → 5

GM:やったでおい!
新垣御守:低レベルな争い!
新垣御守:ダメージください!
GM:1D10+20
DoubleCross : (1D10+20) → 6[6]+20 → 26

新垣御守:死!リザレ!
新垣御守:1d10+61
DoubleCross : (1D10+61) → 7[7]+61 → 68

新垣御守:高まりおるわ
GM:てめぇの人生を滅茶苦茶にしてやるぜ!
新垣御守:笹木ミラーマッチやめろ!
GM:骨の従者が全身の骨を発条のようにして跳躍、
GM:黒い鉤爪を新垣に振り下ろす!
新垣御守:「ぐふっ…ヘイヘーイ…」
新垣御守:「仲間思いな奴だ、ったくさあ!」
新垣御守:貫かれつつ、後退!
GM:従者Eの手番!
GM:≪氷の回廊≫で三人にエンゲージ、
GM:choice[2,3,5]
DoubleCross : (CHOICE[2,3,5]) → 3

GM:豊島君に≪血族≫+≪亡者の一撃≫+≪従者の呪い≫!
GM:あ!そうだ
豊島 正則:来いやァ!
GM:従者の呪いで新垣さんはラウンド間ダイス-3です
GM:8DX
DoubleCross : (8R10[10]) → 10[3,4,4,6,6,9,10,10]+6[4,6] → 16

GM:ウオ~~ッ
豊島 正則:ガードしておきましょう。
豊島 正則:《レネゲイドイーター》の使用を宣言しておきます。
GM:ダメージ!
GM:2D10+20
DoubleCross : (2D10+20) → 10[6,4]+20 → 30

GM:諸々有効!
GM:1ダメージ受けるとダイス-3個です
豊島 正則:まずガードで4点。屍人を使用。
豊島 正則:これに《レネゲイドイーター》の軽減も合わせて振って。
豊島 正則:6d10
DoubleCross : (6D10) → 41[6,5,10,9,3,8] → 41

GM:wtf
豊島 正則:厳密に言えば軽減とガードは別枠ですが、ともあれ45点止めた。
新垣御守:かってえ
GM:ナンチューコト?スッゴイカワイソ
豊島 正則:振り下ろされる黒い鉤爪を、別の黒いものが、がっしりと掴む。
従者:「……!?」
豊島 正則:それは、正則の影から伸びるもの。不定形な、おぼろげな人型をした何か。
豊島 正則:鉤爪がギリギリ届かない、肌に触れるまで1ミリもない場所に立ったまま。
従者:「……ギ……ギ……!」
豊島 正則:「悪ぃな。死に難いってのが、俺の唯一の取り柄なのさ」
従者:振りほどこうとするが、まるでびくともしない!
豊島 正則:伸ばされた異形の腕を、槍で軽く払う。
従者:「……!」
豊島 正則:同時、影も雲散霧消し。従者への拘束は消滅した。
GM:ネクスト鴻上さん!
鴻上禮次郎:うす!
鴻上禮次郎:Eに仕掛けます!
鴻上禮次郎:マイナーでインフィニティウェポン
鴻上禮次郎:メジャーで咎人+コンセ+カスタマイズ
鴻上禮次郎:判定よろしいでしょうか
GM:どうぞ!
鴻上禮次郎:8dx8+5 白兵
DoubleCross : (8R10+5[8]) → 10[1,2,3,4,4,6,8,9]+7[4,7]+5 → 22

鴻上禮次郎:剣精の手!
GM:ってどういう効果でしたっけ!
鴻上禮次郎:妖精の手です!
GM:ウワーッ
GM:どうぞ!
鴻上禮次郎:カスタマイズぶんぶんまるした時だけに使える妖精の手的な!
鴻上禮次郎:行くぜ!
鴻上禮次郎:1dx8+25
DoubleCross : (1R10+25[8]) → 10[8]+10[8]+10[8]+6[6]+25 → 61

鴻上禮次郎:死ぬがよい
GM:?????
GM:ド、ドッジ
GM:8DX
DoubleCross : (8R10[10]) → 10[2,2,3,3,4,4,7,10]+2[2] → 12

GM:ダメージどうぞ!
鴻上禮次郎:42+7d10 装甲有効
DoubleCross : (42+7D10) → 42+44[5,5,9,6,5,7,7] → 86

GM:死ぬに決まってるだろ!
GM:演出どうぞ
鴻上禮次郎:いぇ~!
鴻上禮次郎:縮地と呼ばれる古武術の足運びで一気に加速。禮次郎は従者に斬りつける。
鴻上禮次郎:先ほどと同じように刀は弾かれる——が。
鴻上禮次郎:「死で以て撫でつけろ——雪風」
鴻上禮次郎:純白の日本刀に罅が入り、砕け散る。
鴻上禮次郎:従者の身体についたわずかな疵からその欠片は入り込み、内側で再度刀剣を形成。
鴻上禮次郎:内側から従者を切り裂き、無数の剣が飛び出す。
従者:「…………―――――!!」
従者:髑髏の顎を大きく開き、声にならない悲鳴を発する。
鴻上禮次郎:この時点で従者は絶命。しかし彼は止まらない。
鴻上禮次郎:「ははっ、部下も親も子も居ねえと思いっきり暴れられるんだなあ。こんなのガキの時分以来だ」
鴻上禮次郎:剣の弾幕は逃げ惑う刑事を追う従者に向けて飛ぶ。
鴻上禮次郎:禮次郎はそのまま剣を捨てて両手を従者に押し当てる。
鴻上禮次郎:すると従者はまたたく間に砂へと分解され、しかる後に刀剣となって四方八方へ乱れ飛び、弾幕を厚くする。
鴻上禮次郎:後には何も残らない。
GM:刑事たちが、信じられないものを見る目でそれを見ている。
小宮刑事:「……オーヴァード……」
GM:ネクスト手番豊島さん!
豊島 正則:待機で!
日馬 美礼:じゃ、ぼくだね。行こうか。マイナーで新垣さん側のエンゲージへ戦闘移動。メジャーで残った従者Dに攻撃。
GM:どうぞ!
日馬 美礼:13dx7+4 《巨匠の記憶》《コンセントレイト》
DoubleCross : (13R10+4[7]) → 10[1,1,2,2,3,4,4,6,7,7,8,9,10]+10[1,2,8,9,9]+10[4,7,10]+10[5,7]+10[9]+10[8]+3[3]+4 → 67

日馬 美礼:お。出目が走った、67。
GM:ウワーーッ
GM:ガード!ダメージどうぞ!
日馬 美礼:7d10+13 装甲有効
DoubleCross : (7D10+13) → 45[4,9,9,6,2,5,10]+13 → 58

GM:死にました……
GM:演出どうぞ!
日馬 美礼:瓦礫を跳ね上げて、巨大な昆虫のようなシルエット、多脚戦車ヤゴコロが突撃する。
日馬 美礼:巨大な"前肢"を振り上げ、新垣さんの真横を、きっちり身体に触れない軌道で打ち下ろす。
従者:「…………!?」
日馬 美礼:従者の身体を貫通し、地面に縫い止める。
日馬 美礼:「これで最後かな?」目線は周囲へ。戦車のセンサ類を全開にしている以上、相手を見る必要はどこにもない。
GM:轟音と地響き。
GM:従者は物言わぬ血液の塊へと変わり、ばしゃり、と崩れ落ちる。
GM:戦闘終了です。
新垣御守:「ふー……お疲れ」
新垣御守:ずず
新垣御守:肌の色が、髪へと戻っていく
豊島 正則:「ああ。…後は負傷者の手当と、現場の調査といきたいとこだが…」
日馬 美礼:「負傷者を搬送。とりあえずいま、三系統移動手段を抑えてる」何も操作している様子はない。思考戦車は脳直で動くから。
豊島 正則:「最速最短ので頼む」
日馬 美礼:「まずは市内まで。陸路も空路もそこまでは一緒だ」
日馬 美礼:音もなく、大げさなアクションで、歩行戦車が折り畳まれて電動車椅子にしか見えないモノになる。
GM:現場は惨い有様だった。
GM:君たちの手で従者は倒されたとはいえ、怪我人は多数。
GM:中でも特に重症なのは、五十嵐だった。
小宮刑事:「五十嵐さん!五十嵐さんッ!!」
五十嵐警部:「う…………」
鴻上禮次郎:「……」五十嵐警部にゆっくりと近寄る
GM:五十嵐の傷は深い。戦闘経験を積んだ者には分かるだろう。
GM:もう助からない。
鴻上禮次郎:「五光者(オーヴァード)の抗争で、前に立つなと言ったでしょうに」
豊島 正則:「…そうだな。せめて、そのくらいの時間はあるべきだ」
鴻上禮次郎:俯く
五十嵐警部:「は……は……身体が、勝手に……な……」血塗れの顔で苦笑する。
日馬 美礼:「五十嵐さん」
五十嵐警部:「日馬……さん……」
五十嵐警部:よろよろと、顔を向ける。
日馬 美礼:「ごめん。後手に回った」沈痛な、という表情だ。
五十嵐警部:「日馬さん……あなたに……伝えなければならないことが……」
日馬 美礼:頷いて、するりと車椅子を降りる。ふらつく足元で、身を屈める。
五十嵐警部:「この捜査本部に、内通者が……」五十嵐は咳き込み、血の塊を吐き出す。「……内通者が……います……」
日馬 美礼:「特定は」冷えた、はっきりとした小声で。
五十嵐警部:「ええ、既に……できています」
小宮刑事:「……!?」
五十嵐警部:「ロス・サングレスは……日本に来て日が浅い……」
五十嵐警部:「組織に内通者を送り込む余地など、ないでしょう……」
五十嵐警部:「しかし……」
五十嵐警部:「日本以外の、国なら……?」
日馬 美礼:頷く。
GM:五十嵐が視線を向けた先。
GM:そこにいたのは、今回の突入でずっとさりげなく後方に控え、最前線に出ないようにしていた男。
ビショップ捜査官:「…………」
五十嵐警部:「……内通者は、彼の他に……いない……!」
五十嵐警部:「……彼を……!」
五十嵐警部:既に事切れる寸前の、振り絞るような言葉。
新垣御守:そちらに冷めた視線を送る。
新垣御守:「らしいですけど」
新垣御守:既にナイフは抜いている。
豊島 正則:「…いかにも、って風体ではあるがね」
鴻上禮次郎:「……妥当だわな」
ビショップ捜査官:「と、突然そんな……」
ビショップ捜査官:狼狽した様子で。
日馬 美礼:『失礼ですが。あなたを拘束します、ミスタ・ビショップ』
日馬 美礼:『なに。短ければ、N市に戻るまでの間ですよ』
新垣御守:「豊くん、抑えて」
豊島 正則:「わーってるよ。…俺たちゃ殺し屋じゃねえ。俺の稼業は似たようなモンだったが、少なくとも今は」
豊島 正則:「守る側の人間だ」
新垣御守:「……で」
新垣御守:「鴻上さんも、抑えてね」
鴻上禮次郎:「……ちっ」
鴻上禮次郎:「まあこいつは仇と直接関係ないしな」
ビショップ捜査官:「いや、そんな……!何の証拠があるんですか!?」
ビショップ捜査官:「皆さん、冷静になってくださいよ……!」
ビショップ捜査官:へらへらと、人当たりの良い軽薄な笑みを浮かべる。
鴻上禮次郎:「悪いなビショップさん。仮に証拠が無いとしても、調べにゃならんのよ」
ビショップ捜査官:「……!」
鴻上禮次郎:「なにせこれはR案件。UGN様のお言葉は絶対さ」
鴻上禮次郎:首筋を指でスーッとなぞる
日馬 美礼:「協力に感謝するよ。鴻上さん」目を細める。笑っていない。
鴻上禮次郎:日馬に向けてサメのように笑ってみせる
新垣御守:「……頭のよろしくない単純な話ですいませんけど」
新垣御守:「私らにはこの、五十嵐さんが」
新垣御守:「もう死ぬって時に冗談言う人とはちょっと思えないんで、一応、確認だけ」
新垣御守:「アンタもそう思うでしょ?」
新垣御守:ビショップさんに。
ビショップ捜査官:「………………」
ビショップ捜査官:ビショップはしばらく弁解を試みていたが、
ビショップ捜査官:急に静かになって、黙り込み。
ビショップ捜査官:ぽつりとつぶやく。
ビショップ捜査官:「……フェンタニルという薬物を知っていますか?」
ビショップ捜査官:「元は麻酔薬や鎮静剤として使われている薬物なんですがね」
ビショップ捜査官:「モルヒネの200倍程度の効果を持つ非常に強力な麻薬でもあります」
ビショップ捜査官:「これを他の薬に混ぜるだけで、利益率は格段に跳ね上がる」
ビショップ捜査官:「入手も容易でして、少し前まではその辺の薬局でも簡単に入手できました」
ビショップ捜査官:「難点といえば、あまりに強力すぎて、ほんの少し分量を間違えただけで、使用者を死に追いやってしまうこと」
ビショップ捜査官:「ただそれだけで、この夢のような薬の販売をご法度とする業者も割といましてね」
ビショップ捜査官:「フェンタニルに頼らず、客との信頼の上で、死の危険性のない高品質なドラッグのみを扱う、だの宣うんですよ」
ビショップ捜査官:「全くもって馬鹿らしい」
ビショップ捜査官:「自分たちも所詮、薄汚い売人だというのに」
ビショップ捜査官:「おかしいと思いませんか?」
ビショップ捜査官:「……ねえ?」
ビショップ捜査官:ビショップの口が、耳まで避けるように歪む。
日馬 美礼:「どうでもいいな」
日馬 美礼:「バカバカしいということだけは同意するけどね。ミスタ・ビショップ」
日馬 美礼:『薄汚い裏切り者の扱いに、斟酌する必要もありませんね?』
日馬 美礼:マシンアームが見せつけるように伸び上がった後、勢いよくビショップに向かって振り下ろされる。
ビショップ捜査官:「ははははッ!」
ビショップ捜査官:それを、自らの腕で受け止める。
GM:感じられるのは、その細い身体に秘められた、尋常ではない膂力。
日馬 美礼:「やっぱりね。あの状況で前線に出てきておいて、ワーディングが効くとか悪い冗談だ」
新垣御守:「……ま、そうなるよね」
鴻上禮次郎:真横から短刀でビショップの脇腹を突き刺そうと飛び込む
新垣御守:今度は止める気配すらなかった。即座にナイフで掌を切りつける。
鴻上禮次郎:「つまりあれか、お前か」
ビショップ捜査官:「おっとォ!鴻上禮次郎!!」
ビショップ捜査官:瞬時に、不自然な体勢から鋭い蹴りを放つ。
鴻上禮次郎:「重いっ!」 ケリを受けて後ずさる
ビショップ捜査官:「このクソみたいな仕事で、あなたに会えたのだけは本当に楽しかった」
新垣御守:「……豊くん!」ケリを受けた鴻上さんを受け止めつつ
ビショップ捜査官:「私はヤクザ映画が大好きなんですよ」
鴻上禮次郎:「お前だな? お前だよなぁ?」 話も聞かずにずんずんと近づく
ビショップ捜査官:「義理とか人情だとか、そんなくだらないものの為に」
ビショップ捜査官:「アジアの小汚い猿が無様に死んでいくのを見るのは気分がいい!!」
鴻上禮次郎:もう一度刀を錬成し、振り下ろす
ビショップ捜査官:一歩も動かず、肩口から伸びた触手が刃を受け止める。
鴻上禮次郎:「あははははははは!」
ビショップ捜査官:「最高のコメディだ!!」
鴻上禮次郎:「ハハハハハ! 俺も今最高の気分だ! ぶち殺す!」
鴻上禮次郎:凶暴な笑みを浮かべ、更に剣を錬成し、斬りつける
豊島 正則:「…ああ、悪ぃがご両人」
豊島 正則:たん、と爪先を床に打ち付ける。
豊島 正則:「そこまでだ」
豊島 正則:自身の影から。この場にいる皆の影から。残骸の物影から。
鴻上禮次郎:制止を聞く素振りはない!
豊島 正則:無数の、影で出来たヒトガタが現れ。鴻上とビショップに、十重二十重に絡みつく。
鴻上禮次郎:「お前の身体と俺の剣。どっちが先に止まるか……楽しいショーになるぞおい!」 絡みつかれながらも執拗に動き続け、触手を相手に剣を振るい続ける
ビショップ捜査官:「……チッ……!」身体にまとわりつく影を、忌々しそうに見る。
新垣御守:「オッケ、そのまま」
新垣御守:腕をかざし、跳躍、ボコボコと体内から猛毒が湧き上がる!
鴻上禮次郎:「もらったぁ!」 まとわりつかれた為に剣が遅くなる!
ビショップ捜査官:「イイこと教えてやるよ、鴻上禮次郎」
鴻上禮次郎:「なにぃ?」
ビショップ捜査官:凄まじい膂力で影ごと腕を振るい、攻撃を受け止める。
鴻上禮次郎:「正面から……止めたか……!」
ビショップ捜査官:「お前の手下殺したのなァ、……俺だよ」
ビショップ捜査官:にっこりと笑う。
鴻上禮次郎:「へへっ」
鴻上禮次郎:「じゃなきゃあ、言えねえもんな」
鴻上禮次郎:「てめえは念入りに……ぶっ殺してやらぁ!!!!」
ビショップ捜査官:「ははははははッ!!!」
鴻上禮次郎:刹那
鴻上禮次郎:禮次郎の殺意が限界まで膨れ上がり、ジャームにも似た異様な出力が検知されるが——
ビショップ捜査官:瞬間、ビショップの背中から、巨大な骨肉の翼が出現する。
新垣御守:「鴻上さん!そこ退く!いや退かなくてもいい……ッ!!」
新垣御守:2人をまさに薙ぎ払わんとした時
ビショップ捜査官:ビショップは瞬時に舞い上がり、廃工場の天井近くまで達する。
新垣御守:風圧で毒煙は吹き飛ばされる!
鴻上禮次郎:「ゔぁあああああああああああ!!!!!!!」
鴻上禮次郎:地面が隆起し、無数の剣がビショップに向けて射出される
鴻上禮次郎:だがいずれも、当たらない
豊島 正則:「ち…!」
豊島 正則:無数の影も、風圧で霧散してゆく。
ビショップ捜査官:「カマトトぶってんじゃあねえぞッ!!同じ穴の狢がッ!!」
ビショップ捜査官:怒気と軽蔑を露わに、叫ぶ。
鴻上禮次郎:「——ッ」
鴻上禮次郎:新垣の毒煙をまともに吸い、よろめく
ビショップ捜査官:「世界中どこに行っても、どいつもこいつもそうだ……!」
ビショップ捜査官:「所詮は暴力をタネに人の生き血を啜る、人でなしの分際で」
ビショップ捜査官:「誰も彼も自分だけは人間ですってツラをしやがる……!」
ビショップ捜査官:「虫酸が走るんだよ……!!」
ビショップ捜査官:端正な顔を醜く歪め、ぎりぎりと歯軋りをする。
ビショップ捜査官:「あの女が……リリアナ・マルティネスのいいところは、そこだ」
ビショップ捜査官:「あいつは俺が何をやろうが止めたりしない」
ビショップ捜査官:「奴は人間の振りなんてしない。俺に好きな事をやらせてくれる。俺に俺でいさせてくれる」
ビショップ捜査官:「だから手を組んだ……!」
新垣御守:「!!」
鴻上禮次郎:「ビショ……ップ……!」
鴻上禮次郎:(お前の言いたいことが……少し分かる……)
ビショップ捜査官:「それじゃあな!鴻上禮次郎!!」
ビショップ捜査官:ビショップが君たちを見下ろし、せせら笑う。
鴻上禮次郎:「また会おうぜ! クソ野郎!」
鴻上禮次郎:「てめえは俺が地獄に送る!」
ビショップ捜査官:「お前の女と腹のガキに」
ビショップ捜査官:「よろしく言っておいてやるよ」
鴻上禮次郎:「なにっ!?」
GM:ビショップはさらに大きく羽ばたき、星の無い夜の空に姿を消す。
GM:≪瞬間退場≫です。
鴻上禮次郎:「おい待て! くそっ!」
鴻上禮次郎:「クソが……」
鴻上禮次郎:拳を握りしめる
小宮刑事:「……うぁ……うぁああああああッ!!」
小宮刑事:ビショップが姿を消した空に向け、小宮が拳銃を乱射する。
小宮刑事:弾丸はただ闇に消え、銃声だけが虚しく響き渡る。
鴻上禮次郎:「小宮さん、やめな」
鴻上禮次郎:「俺だってむかっ腹が立ってる」
日馬 美礼:「本命はN市だね。引き上げよう」
小宮刑事:「誰か……誰か追えないんですか!?」
小宮刑事:五十嵐を抱えて、必死に叫ぶ。
小宮刑事:「オーヴァードなんでしょう!?誰か……誰か……!!」
日馬 美礼:「ぼくらは万能じゃない。あの速度だと間に合わないね」
新垣御守:「……ああ、そう」
新垣御守:「相方の趣味は、元々いいなんて言えたもんじゃなかったけど」
新垣御守:「今回は、ちょっと酷いよ……」
新垣御守:見上げながら、独り言ちて
日馬 美礼:「……最後まで来る気は、あるかな? 小宮刑事」
小宮刑事:「ぐ……」
小宮刑事:日馬さんの言葉を聞き、泣き崩れる。
小宮刑事:「ぐぅうう……!」
鴻上禮次郎:「あのよ」
鴻上禮次郎:「小宮さん、ここらが潮時だぜ」
小宮刑事:「…………」
鴻上禮次郎:「引くなら今のうちだ。若い内はこういうどうしようもねえことだってあらあ」 養父の言葉をなぞり、肩に手を置く。
小宮刑事:小宮は、何も答えない。
GM:遠くから、サイレンの音が近づいてきていた。
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイス可!
豊島 正則:ロイスは保留で。購入なしなら以上!
鴻上禮次郎:ごめんなさい最後に一つだけ!
GM:そして鴻上さんのシナリオロイスは……ビショップ捜査官!
GM:はい!
鴻上禮次郎:いぇー!
新垣御守:ロイスなし!メイド服を拾い直して着込みます
新垣御守:酷い字面だ
鴻上禮次郎:小宮のセリフの後に(しかし、よろしく言っておくってなぁ……どういうことだ?)ってのを入れておいていただけると!
鴻上禮次郎:ロイス!
GM:着たり脱いだり
GM:了解です!
日馬 美礼:残り幅がこんだけか。「ジャーム:ビショップ:有為/■侮蔑」でロイス取得、以上。
新垣御守:購入はえーっと
鴻上禮次郎:俺もああなったのかもしれねえが……殺す ビショップ捜査官→共感/殺意◯
新垣御守:医療トランク…行っちゃうか~~~
GM:あ、今回はロイスのみ!
新垣御守:あ、はい!失礼!
新垣御守:では以上!
GM:ヨシ!
鴻上禮次郎:禮次郎も周囲のヤクザに対して思ってたことを言われちゃったので
日馬 美礼:あ。そうそう、新垣さん。リザの回復量+1d10があるよ。今のうちに合算していいかなGM
GM:あ、どうぞ!
鴻上禮次郎:絶対に殺したいんだけど、同時に「俺も父親やカナコが居なきゃああなってたかもなあ」って感覚があります
日馬 美礼:侵蝕率は据え置き。
GM:時間があればたっぷりやりたいところだったが
GM:それはクライマックスに!
GM:HPプラスどうぞ!
鴻上禮次郎:ちょっとあの捜査官とは思った以上に通ずるところがあるので
鴻上禮次郎:時間があればたっぷり話したいですね
新垣御守:まじで!?
新垣御守:すげー!振ります!
新垣御守:1d10+7
DoubleCross : (1D10+7) → 3[3]+7 → 10

新垣御守:オッケー!以上!
GM:OK!

GM:----------
GM:では……スケジュールの関係で時空を歪めて情報収集判定だけやります!
GM:判定結果の情報はまたあとで出すので
GM:判定に成功したという結果だけをこの世界に残してくれ!
新垣御守:キング・クリムゾンッ!!
鴻上禮次郎:ヒョイっと!
GM:項目はこちら!
GM
・エージェント・シンシアについて2(情報:UGN 難易度10)
・フレデリック・ビショップについて2(情報:裏社会 難易度10)


GM:そしてもうひとつ!
GM:矢ヶ崎さんには何らかの判定で
GM:達成値12以上を出していただきます
GM:技能は自由、財産使用可!
新垣御守:ビショーーップ
GM:これが何の判定かは……後のお楽しみになっちゃいますが!
豊島 正則:では、まずこちらでシンシアを抜きにいきましょうか。
鴻上禮次郎:ビショップはオレがやる!!!!!!!!
日馬 美礼:お願い。ぼくはとりあえず後方待機するから。項目増えたら対応するよ。
GM:とりあえず登場と判定どうぞ!
新垣御守:右に同じ
豊島 正則:おっと。
豊島 正則:1d10+80
DoubleCross : (1D10+80) → 5[5]+80 → 85

矢ヶ崎藍華:わっちもですな
日馬 美礼:1d10+84
DoubleCross : (1D10+84) → 4[4]+84 → 88

鴻上禮次郎:3dx+7 裏社会
DoubleCross : (3R10+7[10]) → 9[5,7,9]+7 → 16

矢ヶ崎藍華:61+1d10
DoubleCross : (61+1D10) → 61+3[3] → 64

鴻上禮次郎:1d10+72
DoubleCross : (1D10+72) → 2[2]+72 → 74

矢ヶ崎藍華:凪
新垣御守:1d10+68
DoubleCross : (1D10+68) → 7[7]+68 → 75

矢ヶ崎藍華:では早速判定行くぜ!情報:噂話でいいですか!?
GM:何でも大丈夫!
豊島 正則:では情報:UGNでコネも使用。
矢ヶ崎藍華:じゃあそれ!
矢ヶ崎藍華:コネ:噂好きの友人を使用!
豊島 正則:6d10+1
DoubleCross : (6D10+1) → 32[9,8,5,6,2,2]+1 → 33

豊島 正則:違う!
豊島 正則:6dx+1
DoubleCross : (6R10+1[10]) → 10[1,1,5,6,7,10]+2[2]+1 → 13

矢ヶ崎藍華:7dx+1
DoubleCross : (7R10+1[10]) → 9[1,1,1,4,6,7,9]+1 → 10

豊島 正則:OKOK
矢ヶ崎藍華:財産2点使います
新垣御守:カネこそが無敵の力
日馬 美礼:予算は山程用意してあるからね。と。
GM:じゃあ全部成功!
GM:予算がおかしい…もっときつくすればよかった…
GM:ではこのシーンでは成功したという結果だけが残りますが
GM:あとで時空間のゆがみで情報が開示されます
日馬 美礼:はいはい
豊島 正則:うす。
GM:時空歪みパワーで今回の購入判定は+2点ボーナスしていいですよ!
GM:ではロイス購入どうぞ
鴻上禮次郎:ロイスは特になしとして……
日馬 美礼:ロイス保留。購入は、何か欲しいものある人いる?
新垣御守:えーーっと
矢ヶ崎藍華:セットアップあいてるし1つだけブルゲ確保しておきたいですね
新垣御守:医療トランク…?
矢ヶ崎藍華:それは私が買うので、そちらを狙われると
豊島 正則:リアクティブコートがあれば、と思いますが優先度は低くて大丈夫です。
鴻上禮次郎:あっ
鴻上禮次郎:エンディングで乗る為の乗用車買います
矢ヶ崎藍華:予算がほとんど削れてないし、いろいろ買えそう
鴻上禮次郎:もしくは移動時のフレーバー用
日馬 美礼:じゃあ、ぼくがリアクティブコート狙おうか。なあに、なんとかなるさ。
日馬 美礼:2つ目の手配師使用。
矢ヶ崎藍華:ではブルーゲイル!サービス点も乗って
新垣御守:とりあえず自前で医療トランク
矢ヶ崎藍華:5dx+6
DoubleCross : (5R10+6[10]) → 10[6,7,7,8,10]+7[7]+6 → 23

鴻上禮次郎:3dx+6+2>=22
DoubleCross : (3R10+6+2[10]>=22) → 8[5,7,8]+8 → 16 → 失敗

矢ヶ崎藍華:素で買えちゃったよ…
鴻上禮次郎:惜しい!
新垣御守:4dx+3
DoubleCross : (4R10+3[10]) → 10[2,9,9,10]+7[7]+3 → 20

新垣御守:ファハハハ
新垣御守:で、即使用!
日馬 美礼:7dx+7+2>=36 リアクティブコート
DoubleCross : (7R10+7+2[10]>=36) → 10[5,5,7,8,10,10,10]+7[2,5,7]+9 → 26 → 失敗

新垣御守:2d10+10
DoubleCross : (2D10+10) → 5[4,1]+10 → 15

日馬 美礼:はい。じゃあ財産点10点入れて成功。残り83点。
鴻上禮次郎:余りそうなら財産点6点ほどお借りしてもよろしいでしょうか……
新垣御守:15点まで回復
GM:おかしいでしょ!予算が!
矢ヶ崎藍華:日馬金融
日馬 美礼:じゃあそっちにも回そう。6点出して残り77点
鴻上禮次郎:わーい!
新垣御守:えっぐい
豊島 正則:残高が凄い。
日馬 美礼:ということで、リアクティブコートだよ。豊島くん。
豊島 正則:ありがたい。これでまた硬くなれる…。
鴻上禮次郎:EDではインテリヤクザらしいオトクなビジネス話持っていくね
矢ヶ崎藍華:豊島さんも購入機会残ってるし
豊島 正則:あとは何があればいいですかね。新垣さん用の回復アイテム?
矢ヶ崎藍華:何か買うといいですよ。
日馬 美礼:期待してるよ。
矢ヶ崎藍華:念のために2つ目のブルゲとかかな?
新垣御守:あ、そうですね
矢ヶ崎藍華:新垣支部長用のウェポンケースでもいい
新垣御守:どうせこの後医療トランクで回復するので
新垣御守:HPは
豊島 正則:ああ、ではブルーゲイルを。
新垣御守:クリスタルシールドもらえると
豊島 正則:おっと。
矢ヶ崎藍華:クリシーのほう!
新垣御守:かたくなります!
豊島 正則:了解です、では手配師も使って。
豊島 正則:6dx+1+3>=25
DoubleCross : (6R10+1+3[10]>=25) → 9[2,4,6,7,8,9]+4 → 13 → 失敗

新垣御守:がんばれ豊くん!
豊島 正則:12点ください…!
新垣御守:ママ~~お小遣い~~
日馬 美礼:じゃあ12点。残り65、キリがよくていいね。
GM:だからおかしいでしょ!予算が!
新垣御守:すごすぎる
豊島 正則:ではクリスタルシールド入手!新垣支部長へトス!
鴻上禮次郎:やっぱり日馬ままはみんなのママ
新垣御守:いただきます!絆を感じる!
矢ヶ崎藍華:凄い。素でアンチマテリアルライフルが2丁買える
豊島 正則:絆(マネー)
鴻上禮次郎:みんなのママなんだよ! バブー!
GM:日馬支部長は私のママなんですが!?!?
矢ヶ崎藍華:ウワッ本性表してきた
日馬 美礼:まあまあ。あとでゆっくりね。
新垣御守:えっち…
GM:では終了…!
鴻上禮次郎:ばぶぅ……

【Middle11 シーンPC:矢ヶ崎藍華】


GM:侵蝕どうぞ!
矢ヶ崎藍華:64+1d10
DoubleCross : (64+1D10) → 64+8[8] → 72

GM:----------
矢ヶ崎藍華:「ハァ……ハァ……!!」
矢ヶ崎藍華:「……ッッ」
矢ヶ崎藍華:私が 私がちゃんとしていれば
GM:救援要請の通信を受け、君はホテルを飛び出した。
GM:ようやく第二支部に辿り着いた時には、周囲は予想外に静かなものだった。
GM:だが、君が支部の内部へと足を踏み入れると……
GM:そこには、激しい戦闘の跡があった。
GM:抉れた壁。砕け散った家具。残された血痕。
矢ヶ崎藍華:こんな深い場所まで……!!
矢ヶ崎藍華:奥歯が砕けんばかりに歯を食いしばる
GM:そして、
GM:黒い血液で作られた、骨格のみの犬のような、怪物。
GM:四足歩行型の従者だ。
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:「あなた?」
GM:周囲に、他に人の気配はない。
矢ヶ崎藍華:「ねえ、あなただけ?」
矢ヶ崎藍華:「呼ぶなら、呼んでよ。速く」
従者:「グゥウウウッ……!」
従者:ただ、唸り声を上げる。
矢ヶ崎藍華:「ねえ。」
矢ヶ崎藍華:「全部、壊してあげるから。」
矢ヶ崎藍華:おさげを作っている髪留めを解く
矢ヶ崎藍華:片方は姉からもらった大切なもの。
矢ヶ崎藍華:片方は、レネゲイドを抑制するためのもの
矢ヶ崎藍華:頭上に小さい火球が灯り、小さな体躯の作り出す影を大きく作り出す。影は澱んだ湖沼のごとく蠢き、真っ黒な霞が周囲に溢れ出す。
矢ヶ崎藍華:ああ、ひさしぶりだ
矢ヶ崎藍華:全力で、壊してもいいんだ
GM:戦闘開始です。


エンゲージ
従者AB

(5m)

矢ヶ崎藍華


GM:セットアップ!
矢ヶ崎藍華:無し!
GM:エネミーなし!
GM:では行動値15、従者から!
矢ヶ崎藍華:あ、行動値負けてるのでオートでメイド服装備します
GM:はい!
GM:では改めて従者A!
GM:≪氷の回廊≫でエンゲージ
GM:メジャー≪血族≫+≪亡者の一撃≫+≪従者の呪い≫
GM:8DX
DoubleCross : (8R10[10]) → 10[4,5,6,6,7,8,9,10]+7[7] → 17

GM:ヨシ!
矢ヶ崎藍華:ドッジ!
矢ヶ崎藍華:ケケーッメイド服はドッジ補正がかからないんだぜ—っ
矢ヶ崎藍華:3dx+1
DoubleCross : (3R10+1[10]) → 6[1,5,6]+1 → 7

矢ヶ崎藍華:はい…ダメージおねがいします…
GM:ダメージ!
GM:2D10+20
DoubleCross : (2D10+20) → 12[8,4]+20 → 32

矢ヶ崎藍華:それだとメイド服で受けて
矢ヶ崎藍華:残りHP…5!
GM:判定ダイス-3個!
GM:従者が四つ足で飛び掛かり、君の腹に喰らいつく!
GM:鋭利な骨の牙が、骨肉を深々と抉る!
矢ヶ崎藍華:「けふっ…」
GM:従者B!
GM:同じくエンゲージ!
GM:≪血族≫+≪亡者の一撃≫+≪従者の呪い≫
GM:8DX
DoubleCross : (8R10[10]) → 10[1,2,5,8,8,8,10,10]+5[4,5] → 15

矢ヶ崎藍華:ドッジ!
GM:ヨシ!
矢ヶ崎藍華:3dx+1
DoubleCross : (3R10+1[10]) → 7[4,5,7]+1 → 8

GM:ダメージ!
矢ヶ崎藍華:はい…ダメージおねがいします…
GM:2D10+20
DoubleCross : (2D10+20) → 11[6,5]+20 → 31

矢ヶ崎藍華:しんじゃう!リザ!
矢ヶ崎藍華:72+1d10
DoubleCross : (72+1D10) → 72+8[8] → 80

日馬 美礼:あ。もう1Dね。(回復量)
矢ヶ崎藍華:はいさ!
矢ヶ崎藍華:8+1d10
DoubleCross : (8+1D10) → 8+2[2] → 10

GM:体勢を崩した君に、さらに2匹目の従者の牙が迫る!
従者B:「ご あぁぁっ!」
矢ヶ崎藍華:「……ッッ」
矢ヶ崎藍華:届いてはいけない位置に刺さった牙からもたらされる激痛
矢ヶ崎藍華:それを霞ませる、“あの時”の匂い
矢ヶ崎藍華:「−−−埃臭い」
GM:では矢ヶ崎さんの手番!
矢ヶ崎藍華:マイターン
矢ヶ崎藍華:マイナー無し。
矢ヶ崎藍華:メジャーコンボ【ボグ・ディラック】
《エクスプロージョン》+《ツインバースト》+《原初の赤:紅蓮の衣》

GM:ウギャーーーーー
GM:来い!
矢ヶ崎藍華:Dロイス【守護天使】起動。ダイス+5、ダイスデバフ無視
矢ヶ崎藍華:10dx+5 対象、2体
DoubleCross : (10R10+5[10]) → 10[1,4,5,6,7,10,10,10,10,10]+10[1,4,4,10,10]+7[1,7]+5 → 32

矢ヶ崎藍華:あら、回るね
矢ヶ崎藍華:ああ、もちろん
GM:ドッジ不可でしたよね……?
矢ヶ崎藍華:ドッジ不能
矢ヶ崎藍華:です
GM:うお~~っガード!
GM:ダメージどうぞ!
矢ヶ崎藍華:ガードにより紅蓮の衣が適用されます
矢ヶ崎藍華:4d10+39
DoubleCross : (4D10+39) → 18[8,5,4,1]+39 → 57

矢ヶ崎藍華:諸々有効
矢ヶ崎藍華:侵蝕 89
GM:にゃんにゃんにゃんにゃんにゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
GM:死にました……
GM:演出どうぞ!
矢ヶ崎藍華:ウオーッ
矢ヶ崎藍華:「…わざわざ、来てくれたんだ」
矢ヶ崎藍華:攻撃動作は至って単純
矢ヶ崎藍華:右足を持ち上げて
矢ヶ崎藍華:「じゃあね」影の淀みに思いっきり踏み降ろす
矢ヶ崎藍華:跳ね飛ばした漆黒の淀みが従者を捉え、全身を影の球体に収めると
矢ヶ崎藍華:ぐ しゃ
矢ヶ崎藍華:……直径1cmにも満たないサイズへと爆縮させた
従者:「………ガ…………!」
GM:断末魔すら発せられずに、
GM:従者だったものたちが、かつん、と床に転がる。
GM:後にはただ、静寂だけが残された。
矢ヶ崎藍華:…ジジッ
矢ヶ崎藍華:能力の余波が周囲の空間を斬る。空気の破裂音が幾度か鳴り…
矢ヶ崎藍華:収まった
矢ヶ崎藍華:リボンを付け直す
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:「埃臭い」
GM:…戦闘終了です。
GM:----------
田井中次郎:「はあ……ッ はぁ……ッ……!」
GM:第二支部のエージェント、田井中次郎は、壁に凭れて肩で息をしていた。
GM:全身至る所が裂傷と火傷にまみれ、
GM:彼の能力で構成された影の装甲も、そのほとんどが剥ぎ取られていた。
リリアナ:「……弱い」
GM:それを見て、リリアナはつまらなそうに言う。
リリアナ:「弱すぎるな、UGN」
田井中次郎:「……ぐ……」
田井中次郎:立っているのがやっとという状態だ。なんとか影の刃を構えるが、あまりにも頼りない。
リリアナ:「人類の盾なんだろ? そんなザマで何かを守れるとでも?」
リリアナ:「ええ? おい」
GM:リリアナの全身から、瞬時に大量の血の槍が伸びる。
田井中次郎:「……!」
GM:防御は間に合わず、手足、腹、胸、至る所を貫かれ、昆虫標本めいて壁に縫い付けられる。
田井中次郎:「があぁッ……!」
リリアナ:「……がっかりだな、UGN第二支部」
リリアナ:「少しは期待してたってのに、戦えるのはお前だけか?」
田井中次郎:「…………!」
田井中次郎:その言葉に視線を鋭くし、重傷で散漫になっていた影を、再び収束させる。
田井中次郎:編み上げたのは、突撃槍めいた形状の武器。
リリアナ:「へえ、やる気かよ」少し感嘆したように。
リリアナ:「いいよ」
リリアナ:「殺してやる」
リリアナ:リリアナが、巨大な鎌めいた血液の刃を構成する。
リリアナ:その色は、赤というより、どす黒い。
田井中次郎:「……俺は……!」
リリアナ:リリアナの致死の刃が、振り下ろされる。
リリアナ:血の刃が、田井中の首を切断する。
リリアナ:その寸前で、
リリアナ:ぴたり、と止まった。
リリアナ:「…………」
田井中次郎:「…………!?」
リリアナ:「(従者がやられたな……増援か……)」
リリアナ:リリアナはひとつ嘆息し、
リリアナ:「……やめだ」
リリアナ:「お前、命拾いしたな」
田井中次郎:「何……!?」
田井中次郎:信じられるはずもなく、硬直する。
リリアナ:「一応聞いといてやるよ。お前、名前は」
田井中次郎:「…………」
田井中次郎:「……"ナイトメアブリンガー"……だ……」
リリアナ:「マジ!?」
リリアナ:「ダッッッッッセえ名前!!」
田井中次郎:「ダッ…………!?」
リリアナ:「じゃあな、UGN」
リリアナ:ショックを受ける田井中をよそに、リリアナの身体が血液に置換されていく。
リリアナ:「次に会ったら、殺してやるよ」
リリアナ:そうして、その姿はかき消えた。
田井中次郎:「…………」
田井中次郎:遠くから走ってくる、足音をぼんやりと聞く。
矢ヶ崎藍華:「ハァ…ハァ……!」戦闘音、叫ぶ声
矢ヶ崎藍華:「……!!!」そして見つけた。満身創痍の男の人
田井中次郎:ずるり、と脱力し、座り込む。
田井中次郎:背後の壁には、べったりと血の跡が残る。
矢ヶ崎藍華:「だ、だいじょうぶですか…!?」
矢ヶ崎藍華:駆け寄って、体を支えましょう
矢ヶ崎藍華:「しっかりして下さい!!」ハンカチや服を取り出して、酷い出血部位を縛っていこう。何でも屋は、応急処置も求められるんだ
田井中次郎:「……"ブラックドワーフ"……か……?」
矢ヶ崎藍華:「そうですよ…!」
田井中次郎:あまり目も見えていないらしく、視線が合わない。
矢ヶ崎藍華:いつもはドワーフと呼ばれるのがなんとなく恥ずかしかったけど、今はそれどころじゃない
田井中次郎:「す……まない……助かった……」
矢ヶ崎藍華:「田井中さん、今救護班に連絡しますから…」
田井中次郎:「……う……」
田井中次郎:「礼を……言……」
田井中次郎:そこで、田井中は意識を失う。
矢ヶ崎藍華:「……!!!」
矢ヶ崎藍華:脈を見ます。
GM:辛うじて脈拍と呼吸はある。
GM:だが出血がひどい。
GM:背後の扉から、戦闘が終わった気配を感じてか、恐る恐る非戦闘員達が顔を出す。
矢ヶ崎藍華:「あっ、皆さん…!」
GM:「田井中さん……!?」「嘘……!ひどい……!」
矢ヶ崎藍華:「お願いします、急いで手当を…」
GM:「はい!救護班に連絡を……!」
矢ヶ崎藍華:「O型の人は、輸血もお願いします」
GM:閉ざされていた扉の奥にも怪我人達が見えるが、皆、田井中ほどはひどくないようだ。
GM:この場は彼らと救護班に任せても大丈夫だろう。
矢ヶ崎藍華:「………ッッ」
GM:君は一刻も早く、待機命令が出されているホテルに戻らなくてはならない。
矢ヶ崎藍華:(田井中さんが、ずっと護っていたんだ)
矢ヶ崎藍華:(なのに、私は……私は……!!)
矢ヶ崎藍華:唇が切れ、血が滲むのを感じながら
矢ヶ崎藍華:「……ごめん、なさい」
矢ヶ崎藍華:「私は、任務に戻ります」血が凍るような気持ちで言葉をこぼして
矢ヶ崎藍華:踵を返して戻ります。

GM:----------

GM:君が恐る恐るホテルに戻ると、
GM:部屋には先ほどまで一緒だった下部構成員だけでなく、
GM:リリアナ、アレハンドロ、陈の三人が揃っていた。
GM:ドアを開けて入ってきた君を、リリアナが冷たい目で見下ろす。
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:服は着替えてきて、血も念入りに拭った上で《虹の香り》でごまかしている
リリアナ:「……待機命令を出していたはずだが」
リリアナ:「どこに行ってた?島崎彩夏」
矢ヶ崎藍華:「はい!」
矢ヶ崎藍華:「リリアナさんが、取引のタイミングで待機っていうの、初めてだと聞いてたもんで」
矢ヶ崎藍華:「もしお手伝いできることがあるなら~ッ!と!探していたところでした!」
矢ヶ崎藍華:空虚な気持ちを隠すように、空元気でしゃべる
リリアナ:「……それで? お前はどこにいた?」
矢ヶ崎藍華:「あちこち探し回っていたんですよね~」
リリアナ:「…………」リリアナの視線が、どこまでも昏く、冷たくなっていく。
矢ヶ崎藍華:怖くないといえば嘘かもしれない
矢ヶ崎藍華:でも、あの場で踏みとどまっていただろう一人の男の人の姿が、彼女には映っていた
リリアナ:「組織にネズミが紛れ込んでいると聞いて」
リリアナ:「試してみたんだよ」
リリアナ:「『このタイミング』で支部が襲撃されれば、増援が来るのにはかなりの時間を要する」
リリアナ:「UGNってのはお仲間思いの連中ばかりだからな」
リリアナ:「運が良ければ、の駄目元だったが、見事に掛かってくれたな」
リリアナ:「お前がホテルを開けたと聞いて驚いたよ」
リリアナ:「……お前……」
リリアナ:「UGNの犬だろ」
リリアナ:リリアナの眼光が、君を射抜く。
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:どこか空虚な気持ちで、その眼光を受け止める
矢ヶ崎藍華:「ははは。面白い冗談ですねえ」
矢ヶ崎藍華:「知ってますか?実は私、前にUGNのチルドレンの試験受けたこと有るんですよ」
矢ヶ崎藍華:「すごいつよい能力だから、いけるだろうな~って思って。」
矢ヶ崎藍華:「…落とされましたけどね。“能力のコントロールが下手すぎ”って。」
リリアナ:「…………」
矢ヶ崎藍華:「…私の凄さが分かってないんですよ、あいつら」
矢ヶ崎藍華:本当のことだ
矢ヶ崎藍華:“嘘を突く必要があるときは、本当を混ぜる。”
リリアナ:「…………で?」
リリアナ:つまらなそうに、先を促す。
矢ヶ崎藍華:第六の薬師寺さんから習った方法だ
矢ヶ崎藍華:「義理立てですっけ?」
矢ヶ崎藍華:「してやる必要、あるんですかね」
矢ヶ崎藍華:表情筋が安い笑顔を作る
矢ヶ崎藍華:これくらい、なんでもない
リリアナ:「……顔に似合わず、案外嘘が上手いな、お前」
リリアナ:「今はUGNはそういう訓練もするのか?」
矢ヶ崎藍華:「そうなんですか?初耳だなあ」
チコ:「あ、アヤカ……」チコが不安げに君に目を向ける。
陈浩宇:「……島崎彩夏。もう嘘を吐くのはいい」
陈浩宇:その時、陈が唐突に割って入る。
陈浩宇:「……悪いな、マルティネス」
リリアナ:「……ああ?」
陈浩宇:「次に目を付けてる取引先のボスが、そいつを気に入ってな」
陈浩宇:「私の指示で、接待に出していた」
リリアナ:「……ああ!?」
リリアナ:がたん、と音を立ててリリアナが立ち上がる。
リリアナ:「お前!私の許可も取らずに……!」
矢ヶ崎藍華:「……!?」
矢ヶ崎藍華:内心動揺するが、おくびにもださないように務める
陈浩宇:「だから、黙っていた。こいつが自分から、組織の役に立ちたいと言い出したからな」
陈浩宇:「だがお前は許可を出さないだろうと思った。それで黙っていた」
リリアナ:「……そうなのか?」君をじっと見る。
矢ヶ崎藍華:「………はい……」
矢ヶ崎藍華:頑張ってたのに、残念。といった風に
矢ヶ崎藍華:…半分は、本気で
リリアナ:「……そうか……」
リリアナ:少し表情を緩め、
リリアナ:「悪かったな。疑ったりして」
矢ヶ崎藍華:「いえ……」
矢ヶ崎藍華:「仕方ないですよ。新入りなんですから」
矢ヶ崎藍華:ゆるい笑顔を作る
リリアナ:「いいや。いいか、覚えとけよ。私たちは家族だ」君にずいと顔を寄せる。
リリアナ:「家族の間に隠し事は無しだ。分かったな?」
矢ヶ崎藍華:「はいっ」
矢ヶ崎藍華:ぐっと拳を握って
リリアナ:「陈!!元はといえばテメーが悪いんだろうが!!ふざけやがって!!」
陈浩宇:「……以降気を付ける」無関心そうに顔を背ける。
アレハンドロ:「揉め事は済んだのかよ?ったく騒ぎやがって……」アレハンドロは我関せず、ずっとダウナー系ドラッグを吸い続けている。
矢ヶ崎藍華:「………」それとなく陈さんに視線を向けてみる
陈浩宇:「……」顔は向けず、それとなくハンドサインを送る。
チコ:「よかったなあ!アヤカ!マジでビビったぜ!!」
チコ:心底嬉しそうに、君の背中をばしばしと叩く。
矢ヶ崎藍華:ハンドサインを確認して
矢ヶ崎藍華:「えへへ。先輩もごめんなさい」

GM:----------

GM:ホテルから少し離れた路地裏。
GM:君は陈と密かに落ち合った。
陈浩宇:「……あ、危ないところでしたね……」
陈浩宇:「本当に、肝が冷えました……」
陈浩宇:訛りの無い日本語。
矢ヶ崎藍華:「あはは……」
矢ヶ崎藍華:「まさか、幹部の側にまでいらっしゃるとは…」
陈浩宇:「ええ……僕は、宇都宮浩明といいまして」
矢ヶ崎藍華:「ふ」「ふつう~ッ」
陈浩宇:「一応、麻薬取締官です…上司の指示で、半年くらいかな? 前から、潜入捜査を行ってました」
陈浩宇:「今回の任務で、密かにあなたの手助けをするよう、上司に言われていまして……」
陈浩宇:「いやしかし、さっきは危なかったですね……寿命が縮みましたよ、本当……」
矢ヶ崎藍華:「へええーっ」
矢ヶ崎藍華:そう言えば、この人がナイフを刺した人を連れてきたんだっけ
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:嫌なことを思い出した
矢ヶ崎藍華:「…これから、どうしましょうか。」
矢ヶ崎藍華:「あっ、そう!取引現場は、どうなってるかわかりますか…!?」
陈浩宇:「……今回の突入は、やはり罠だったようです」表情を険しくする。
矢ヶ崎藍華:「……!!!」
矢ヶ崎藍華:やはり
陈浩宇:「先程、連絡がありました」
陈浩宇:君の様子を見て、慌ててかぶりを振る。「……あ……か……勘違いしないで!あなたのせいじゃありませんよ!」
矢ヶ崎藍華:「…はい……」
矢ヶ崎藍華:こういう時は、気の毒な姿を見せると余計に気を使わせてしまう
矢ヶ崎藍華:出来る限りで気丈な振りをする
陈浩宇:「……いや、慰めではなく! ……実は……捜査本部に、内通者がいたらしいんです……」
陈浩宇:声が小さくなる。
矢ヶ崎藍華:「!?内通者が…」
陈浩宇:「こちらの作戦が、筒抜けだったようです。だからあなたが責任を感じる必要なんて、全くないんですよ!」
矢ヶ崎藍華:「そう、だったんですね」
矢ヶ崎藍華:優しい人だ。
矢ヶ崎藍華:実際にそうなんだろう。理詰めで納得させてくれる人は、いい人だ
陈浩宇:「……それにしても……」
陈浩宇:「僕も随分苦労させられていると思っていたのですが」
陈浩宇:「まさか、君のような若い子まで……」
矢ヶ崎藍華:「良いんですよ」
陈浩宇:君を改めて眺めて、すこし涙ぐむ。
矢ヶ崎藍華:「あららら……」
陈浩宇:「今回の突入が失敗した以上、まだ潜入は続けなければなりませんが……」
陈浩宇:「これからは二人密かに連携を取り合って、頑張っていきましょう!」
矢ヶ崎藍華:「はいっ」
矢ヶ崎藍華:「今度こそ、ちゃんと抑えられるように…!」
矢ヶ崎藍華:握りこぶしを作って
矢ヶ崎藍華:「宇都宮さん、大丈夫ですよ!ホントーに助かりましたから!」
矢ヶ崎藍華:「第六地区に遊びに来ることがあったら、是非連絡下さいッ!何でも屋、やってますから!!」
陈浩宇:「え!?何でも屋!?」
陈浩宇:「その歳でもう自立を……?なんて偉いんだ……」
陈浩宇:また涙ぐむ。
矢ヶ崎藍華:「あららら……」
矢ヶ崎藍華:何でこの人、この様子で幹部まで入り込めたんだろう…
陈浩宇:「きっと、きっと!今回の任務、成功させましょうね……!」
矢ヶ崎藍華:「はい。」
矢ヶ崎藍華:優しく微笑んで
矢ヶ崎藍華:「じゃあ、夜も遅いですから」
矢ヶ崎藍華:一旦、皆のところへ戻ったほうが良いかもしれない。細かい報告をしないと
矢ヶ崎藍華:踵を返して
矢ヶ崎藍華:「−−−まだ」「埃臭い」
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイス購入可!
矢ヶ崎藍華:宇都宮浩明/かわいい○/心配/ロイス
矢ヶ崎藍華:購入はどうしようかな
矢ヶ崎藍華:じゃあウェポンケース!
矢ヶ崎藍華:6dx+4
DoubleCross : (6R10+4[10]) → 9[1,2,6,6,6,9]+4 → 13

矢ヶ崎藍華:財産5点使って購入!
矢ヶ崎藍華:戻ったら新垣支部長に渡します
GM:OK!
新垣御守:ありがた~い


GM:----------
GM:N市 某ビル屋上
GM:----------

GM:まだ朝日も昇らぬ夜明け前。
GM:薄明に、リリアナの吸うタバコの火だけがぽつんと浮かんでいた。
GM:ビル風になびくリリアナの黒髪に、さらに強い風が吹き付ける。
GM:傍らに降りてきたのは、背に翼を生やした男……ビショップ。
リリアナ:「…………」
リリアナ:顔も向けず、また煙草に火をつける。
ビショップ捜査官:「いやァ、参った参った」
ビショップ捜査官:「バレちまったよ。奴ら意外と鼻が利く」
リリアナ:「ざまァねえな」嘲笑う。
リリアナ:「結局分かったのか?内通者は」
ビショップ捜査官:「ダメだな。相当上の連中しか知らないらしい。ネズミの存在自体疑いたくなってきたぜ」
リリアナ:「使えねえなぁ……」
リリアナ:煙を吐き出す。
ビショップ捜査官:「まあ、何にせよ用心しろよ。本当に信用できるヤツしか傍に置かないことだな」
リリアナ:「分かってるっての。バカにしてんのか」
ビショップ捜査官:「俺はしばらく身を隠す。お前らも、一緒にいるのが見られちゃまずいだろ」
リリアナ:「ああ、だが……」
ビショップ捜査官:「例の取引には顔出せってんだろ?分かってるよ、じゃあな」
ビショップ捜査官:それだけ言い残し、ビショップは再び飛び去る。遠目には、大きな鳥にしか見えないだろう。
リリアナ:「……」
リリアナ:リリアナは静かに煙草をふかしていたが、
リリアナ:しばらくして、
リリアナ:「……ゴホッ……!」
リリアナ:「ごほっ……ゲホッ……!」
リリアナ:激しく咳き込み、身体を折り曲げる。
リリアナ:咳はしばらく止まらず、ようやく荒い呼吸で顔を上げた時には、
リリアナ:口元を抑えていたその手には、どす黒い血がべったりと付いていた。
リリアナ:「クソ……ッ」
リリアナ:忌々しそうに、その黒血を睨む。
リリアナ:「まだ……もう少し保ってくれよ……」
リリアナ:「……アニー……」
リリアナ:その小さな呟きは、吹き荒ぶビル風にかき消された。

【Middle12 シーンPC:日馬美礼】


日馬 美礼:1d10+88
DoubleCross : (1D10+88) → 9[9]+88 → 97

GM:----------
GM:襲撃事件から、数日。
GM:慌ただしい事後処理も何とか一段落し、
GM:君は小宮と共に、UGNの代表として、五十嵐家を訪れていた。
GM:まだ葬式も済んでおらず、棺は自宅に安置されている。
GM:遺影に映った五十嵐は、厳格な表情をしている。警察手帳の写真だろう。
小宮刑事:「…………」
小宮刑事:小宮が線香を前に、遺影に向け手を合わせる。
日馬 美礼:ああ。喪服は着てるよ。チャコールグレイの。
GM:君の傍には、五十嵐の妻が控えている。
日馬 美礼:「お悔やみを申し上げます」
GM:「すいません、わざわざお越しいただいて……」
GM:大袈裟な悲しみの表情は見せない。警察官の妻ゆえの覚悟だろうか。
日馬 美礼:「いえ。ご主人がおられなかったら、今の現場は纏まりませんでした」
GM:「……そうですか……ありがとうございます」小さく微笑を見せる。
GM:そこに、近付いてくる足音。
GM:がらりと、襖が勢いよく開かれる。姿を見せたのは、まだ年若い少女。
GM:君達に、怒りと不信の目を向けている。
小宮刑事:「あ…………」
小宮刑事:小宮はばつが悪そうに、
小宮刑事:「美紀……ちゃん……」
GM:その名には君も聞き覚えがある。五十嵐の娘の名前だ。
日馬 美礼:「お邪魔しています」
五十嵐美紀:「…………」自分とほとんど変わらない歳に見える君を一瞥し、怪訝な顔をして。
五十嵐美紀:「……小宮さん。どういうことなんですか?」問い詰めるような口調。
五十嵐美紀:「父は何故死んだんですか?誰かに殺されたんですか?」
五十嵐美紀:「詳しい事情も話せないって、どういうことなんですか!」
GM:「美紀……!」母の叱責にも、美紀は止まらない。
五十嵐美紀:「お父さんの胸……!普通の傷じゃなかった!あんな傷、どうやったら……!」
五十嵐美紀:「小宮さん!答えてくださいよ!私は、お父さんが何のために、どうやって死んだかも分からないんですか!?」
小宮刑事:「……………」小宮は顔をぐしゃぐしゃにして、黙り込む。
日馬 美礼:きゅる、と音を立てて、小宮さんと美紀ちゃんの間に割り込む。
日馬 美礼:「五十嵐美紀さんだね」
五十嵐美紀:「……!」
五十嵐美紀:「……あなたは?」
日馬 美礼:「五十嵐警部は、私たちと共同で捜査に当たっていました」
五十嵐美紀:「……」
五十嵐美紀:「捜査……?」
五十嵐美紀:「失礼ですけど……あなた、おいくつなんですか?」
日馬 美礼:「こちら側の代表者を勤めさせていただいています」
日馬 美礼:「納得はできないでしょうが、身分は明かせません。職務上の秘密にあたるもので」
日馬 美礼:普段を知っているならとても信じられないような声色だ。
五十嵐美紀:「……」黙って聞いている。
日馬 美礼:「この結果は、我々の手落ちです。責めるならば、小宮さんではありません」
五十嵐美紀:「…………どんな捜査をしているのかは、やっぱり、機密なんですか」
日馬 美礼:「ええ。それを伏せなければならないのが、アンフェアだというのは承知しています」
日馬 美礼:「しかし、どうであっても、我々が彼を死なせたという事実は変わりません」
日馬 美礼:「申し訳ありません」
日馬 美礼:深く頭を下げる。
五十嵐美紀:「……」
五十嵐美紀:美紀は何度か口を開いては、何かを言おうとして閉じるのを繰り返し、
五十嵐美紀:それから、
五十嵐美紀:「……この前、父が帰ってきた時……久しぶりに話をしたんです」
五十嵐美紀:「父は今、少し変わった人たちと捜査をしている……そう言ってました」
五十嵐美紀:君と車椅子に目を向ける。
五十嵐美紀:「……私はその時、大丈夫なの、って、聞いたんです」
五十嵐美紀:「……父は……」
五十嵐美紀:「……父は、大丈夫だと。信頼できる、現場と命を預けられる人たちだと」
五十嵐美紀:「そう、言っていました」
五十嵐美紀:静かに、その時のことを思い出すように。
日馬 美礼:「五十嵐警部は、我々側の事情を汲んでくださっていました」
日馬 美礼:「この通り、明かせないことの多い身分です。それでも、最善を尽くしてくださった。そう認識しています」
五十嵐美紀:「……。 ……私は……正直言って、あなた方のことはよく分かりません。……初対面ですし」
五十嵐美紀:「……でも……」
五十嵐美紀:「あの父が、そこまで言うような方たちなのだとしたら」
五十嵐美紀:「信じてみようと思います」
五十嵐美紀:「だから……お願いです。具体的な内容は分からなくて構いません」
五十嵐美紀:「父と一緒に捜査していた、その事件が解決したら……」
五十嵐美紀:「どうか、それだけは教えていただけませんか」
五十嵐美紀:「お願いします」
日馬 美礼:「ええ」
日馬 美礼:「必ずこちらに、もう一度伺います」
日馬 美礼:「すべてが片付いたら。できるだけ早くに」
日馬 美礼:一拍おいて。
日馬 美礼:「……性分でして。失礼なことを申し上げます、美紀さん」
五十嵐美紀:「……はい? 何でしょうか」
日馬 美礼:「少しだけ、安心しているんですよ」
日馬 美礼:「あなたのことを、お父様から伺っていました」
五十嵐美紀:「え……」
日馬 美礼:「仕事に打ち込みすぎた自分は、きっと嫌われているだろうと」
五十嵐美紀:「……!」
日馬 美礼:「……五十嵐さんの思っていたことが伝わっていたと、そうわかりましたから」
五十嵐美紀:「……そう、です、か……」
五十嵐美紀:美紀は目元を隠すように俯く。
日馬 美礼:「……次は、事件が解決したあとにまた」
日馬 美礼:「小宮さん。もうよろしいですか」
小宮刑事:「あ……ええ……」
小宮刑事:小宮は君たちの話を黙って聞いていた。
小宮刑事:「そうです、ね……そろそろ失礼しましょうか」
GM:君達は五十嵐家を後にする。
GM:去り際、背後から、微かな少女の泣き声が聞こえてきた。

GM:----------

GM:正午の日差しの中、君と小宮は本部への帰路についた。
日馬 美礼:「やれやれ。肩がこった。遺族報告は苦手だよ」
小宮刑事:「……すいません。ああいうの、本当は俺……私の役目なのに」
小宮刑事:一回り年下の君に、畏まって。
日馬 美礼:「何度やってもなれないね。必要な仕事とはいえ」
小宮刑事:「……自分だったら、あんな風には出来なかったと思います。恨み言を聞いて、罵倒されて、それを黙って受け止めて」
小宮刑事:「そういうものだと思っていました。あんな風には……」
小宮刑事:「……」
日馬 美礼:「それが真っ当な人間のやることだよ。それに、礼を言うには早すぎるぜ」
小宮刑事:「……そう、ですね……」
小宮刑事:「……日馬さんも仰っていたことですが……」
日馬 美礼:「ああ」
小宮刑事:「五十嵐さん、あんな風に言って……本当は娘さんも、五十嵐さんのこと……」
日馬 美礼:きゅるきゅると電動車椅子の車輪が鳴る。ゆるい坂を登っていく。
日馬 美礼:「数少ない幸運だね」
小宮刑事:「……俺、五十嵐さんのこと、大好きだったんです。……刑事として尊敬してました」
小宮刑事:「……新人の頃からお世話になって、刑事のいろはを叩きこんでもらいました」
小宮刑事:「これからその恩をやっと返せると思ってたのに……それなのに……」
小宮刑事:「……俺のせいで……!」
小宮刑事:小宮の足が止まる。
日馬 美礼:「DEAの協力が得られなくなった以上」
日馬 美礼:「ぼくらの領分じゃない“普通の犯罪者”たちを、相手にするひとが必要だ」
日馬 美礼:「最後まで付き合うつもりはあるかい、小宮刑事」
小宮刑事:「……はい」
小宮刑事:顔を上げ、君を見据える。
小宮刑事:「俺……」
小宮刑事:「多分、嫉妬してたんだと思います」
小宮刑事:「最初は、色んな事件を横から持っていかれることへの反発だと思ってました」
小宮刑事:「得体の知れない組織への不信感とも」
小宮刑事:「……でも。多分、それよりもっと大きな気持ちがあって」
日馬 美礼:「ヒーロー?」
小宮刑事:ぎくり、とした表情をする。
日馬 美礼:「嫉妬されるほど良いもんじゃないよ」
小宮刑事:「……はい」
小宮刑事:「……しがらみに縛れらながらしか動けない警察から見て、貴方たちUGNは、とても自由に見えた」
小宮刑事:「人に知られず、戦う……まるで、そう……映画のヒーローみたいに」
日馬 美礼:「こっちはこっちでしがらみまみれだ。隣の畑は青く見える」
小宮刑事:「……その通りですね」
小宮刑事:「実際に一緒に捜査して、分かりました」
小宮刑事:「貴方がたUGNも、不自由な中で戦っているんだって」
日馬 美礼:「事件が終わって」
日馬 美礼:「ヒーローとヒロインがキスして、カメラが空に登ってスタッフロール」
日馬 美礼:「終わったあとにはコメディタッチの寸劇でもやってさ。途中の色々は、めでたしめでたしで丸められる」
日馬 美礼:「そういうのは、正直言ってぼくは大好きだけどね。でも、なかなかそうはいかない」
日馬 美礼:「死んだ人も、行ってしまったひとも帰ってこない。こぼれたミルクは戻らない」
日馬 美礼:「ミルクくらいなら、なんとか戻そうと心がけちゃいるけどね」くふふ。と小さく笑う。
小宮刑事:「……」その言葉を胸に刻むように、静かに聴く。
日馬 美礼:「どんなとこでも、変わらないさ。変わってしまったらきっと、それこそがお終いだ」
日馬 美礼:「いや、小娘が言うことじゃなかったな。悪いね小宮さん」
小宮刑事:「……いいえ」深く、大きくかぶりを振る。
小宮刑事:「五十嵐さんが言っていたこと、やっと分かったような気がします」
小宮刑事:「誰が最後に逮捕するかは重要じゃない。誰かが最後に逮捕する、その結果が重要なんだと」
小宮刑事:「その為に、ただそれぞれに出来ることを全力でやればいいんだと」
小宮刑事:「当たり前の言葉のようですが」
小宮刑事:「自分には、今まで分かっていなかった」
小宮刑事:「だから……」
小宮刑事:一瞬、その表情に深い悔恨を覗かせて。
小宮刑事:「……日馬さん」
日馬 美礼:「何かな。小宮さん」
小宮刑事:「……この捜査。最後まで。死ぬ気でやります」
小宮刑事:「お供させてください」
日馬 美礼:「お供なんてとんでもない。暴対の代表はきみだぜ、小宮さん」くふふ。と笑って。
日馬 美礼:「よろしく。最善を尽くそうじゃないか」
小宮刑事:「……はい……!」
GM:まだ高い日差しの中、
GM:大小二つの不釣り合いのシルエットが、並んでゆっくりと坂を上っていった。
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイス購入可!
日馬 美礼:PC間に結べないのは残念なんだけど、ここは小宮くんにとっとかないと嘘だよね。
日馬 美礼:「協力者:小宮守:■誠意/不安」で。購入はどうしようかな。何か欲しいものある人いるかい?
日馬 美礼:じゃ、シルバーハンマー買っとくかな。
日馬 美礼:6dx+7>=20
DoubleCross : (6R10+7[10]>=20) → 5[1,3,4,4,4,5]+7 → 12 → 失敗

日馬 美礼:ん。財産8入れて残り57。調達成功して終わり。
GM:OK!

【Middle13 シーンPC:矢ヶ崎藍華】


GM:ではまず情報収集項目の開示から

・エージェント・シンシアについて
UGN本部エージェント、シンシア・アップルヤードは、7年前に事故で死亡している。その際オーヴァードに覚醒し、モルフェウス能力で自ら身体を再構成し本日に至る。肉体は成長を止めており、代謝もほとんど無い。
精神的にも感情に乏しくなったが、生への執着ゆえか、そのレネゲイド出力は非常に高く、またジャームに何例か報告されている、殺害したオーヴァードの能力の一部を取り込む特性が発現している。戦闘時には強化外骨格を形成する。しかし常時レネゲイドで肉体を維持し続けなければならない為、UGNによる定期的な侵蝕調整が必要不可欠となっている。
本部エージェントとして登用されたのは、その抜きん出た戦闘能力と従順さによる。

 

・フレデリック・ビショップについて
DEA所属の麻薬取締官。元々フアレス・カルテルの息がかかった汚職捜査官であり、ロス・サングレス設立に際してそちらにも関わりを持つようになった。
強力なオーヴァードでもあり、シンドロームはキュマイラ/エグザイル。
金をこよなく愛し、利益の為ならどんな手段も厭わない。また暴力を振るうのが好きで、然程必要でない殺しも進んで行う。



GM:そして矢ヶ崎さんに行ってもらった技能判定!
矢ヶ崎藍華:押忍
GM:こちらは潜入任務中において、いい働きをしてリリアナの信頼を得ることができるかどうか?の判定になっておりました
矢ヶ崎藍華:良い働き…
GM:見事成功しましたので
GM:今回はミドル戦闘から約1か月後のシーンからスタートです
GM:その間…頑張ったんでしょうね!矢ヶ崎さん……
矢ヶ崎藍華:ア……
矢ヶ崎藍華:ア………?
矢ヶ崎藍華:がんばりました
GM:こう……真面目な働きっぷりがね……
GM:お茶汲みとか……(ギャングとは???)
矢ヶ崎藍華:優しさで出来ておりました。
矢ヶ崎藍華:たぶん宇都宮さんの手回しが効いたり、リリアナさんの気遣いが効いたんでしょう
矢ヶ崎藍華:恵まれているよ…
GM:はい!そういう感じ!
GM:では行きましょう 侵蝕どうぞ!
矢ヶ崎藍華:89+1d10
DoubleCross : (89+1D10) → 89+1[1] → 90

矢ヶ崎藍華:ナイス調整

GM:---------
GM:N市 歓楽街
GM:----------

GM:「ず…ずびばぜん……ゆるじでぐだざい……」
GM:「ひぃ……ひぃぃ……!」
GM:リリアナにしつこく絡んできたチンピラが、路地裏で殴り倒され、許しを請う。
リリアナ:「さっさと行け。殺すぞ」
GM:チンピラは悲鳴と共に、這いつくばるようにして逃げていく。
矢ヶ崎藍華:後ろで様子を見守っている。絡んできたのは向こうなので、あまり良心の呵責を覚えない
矢ヶ崎藍華:何より、この人はこの程度で済ませているからだ。
GM:君はチコと共に、リリアナに連れられて街に出てきていた。
GM:今日は何か重要な用事があるらしく、三人とも高級な服で正装している。
リリアナ:「あー……ドレス大丈夫か? 見てくれ、アヤカ」
リリアナ:リリアナが黒いドレスの大きく空いた背中を君に見せる。
矢ヶ崎藍華:「はいはい~ッおまかせを」
矢ヶ崎藍華:(やっぱり綺麗だなあ…)
GM:特に破れやほつれは無いようだ。
矢ヶ崎藍華:体に異常はないですか?
GM:うーん
GM:せっかくだから≪知覚≫で判定どうぞ!難易度7
矢ヶ崎藍華:オッケイ!一番苦手!
矢ヶ崎藍華:3dx+1
DoubleCross : (3R10+1[10]) → 10[2,10,10]+7[6,7]+1 → 18

矢ヶ崎藍華:目ざとい!
GM:ジロジロ見てる!
矢ヶ崎藍華:妹の眼光
GM:では、特に目立った異常は無いように見えますが、
GM:なんとなく、常に前線に立つオーヴァードにしては、少し痩せすぎで、骨が浮いている、不健康な印象を受けます。
矢ヶ崎藍華:(あれ…?こんなに細いの…?)
矢ヶ崎藍華:姉の体型を思い浮かべる。白兵型の中でも肉体に優れていた姉だが、ここまで差があるとは思えない
チコ:「何見とれてんだよ、アヤカ~」チコが茶化す。
矢ヶ崎藍華:「あっ!?へ、へへっごめんなさい…」
矢ヶ崎藍華:「大丈夫ですぜ姉さん!」
チコ:チコも普段のラフな服装とは違い、フォーマルなドレスを窮屈そうに着込んでいる。
リリアナ:「そうか。ありがと」
矢ヶ崎藍華:疑問を押し込みつつ、確認を終えた
リリアナ:リリアナは歩きながら、
リリアナ:「この国のああいう連中を見てると、虫唾が走る」
リリアナ:そう吐き捨てるように言う。
矢ヶ崎藍華:「……」
リリアナ:「ほんの少し手を伸ばすだけで生活も人生も変えられるのに、何もしようとしない」
リリアナ:「この上なく恵まれた環境にいて、ただ無為にそれを浪費していく」
リリアナ:「どれだけ必死に求めても、その欠片すら手に入らない連中が、山程いるってのに」
矢ヶ崎藍華:「…はい……」
リリアナ:「……おっと……」
リリアナ:そこで我に返ったように、
リリアナ:「いや、お前らに聞かせる話じゃなかったな」
矢ヶ崎藍華:「い、いえいえッ」
リリアナ:「悪いな、ジジイの小言みたいなこと」
矢ヶ崎藍華:「姉さんが思ってることが聞けて、良かったですよ」
チコ:「?」内容の二割も理解していない。
矢ヶ崎藍華:「たまに姉さん、一人で何もかもやっちゃうところがあるから…」
矢ヶ崎藍華:少し本音だ。
リリアナ:「……はは、お前は本当に世渡り上手だな」
リリアナ:そう言いつつも、少し嬉しそうに。
リリアナ:「……おっと、ここだ」
リリアナ:一軒の店の前で、リリアナは足を止める。
矢ヶ崎藍華:「ここ…」
GM:見るからに普通の店とは一線を画す、豪奢なアジア風の店構え。
GM:一般層はほとんど出入りすることもない高級店。
GM:中華料理店『栄盆』だ。
リリアナ:「行くぞ」
矢ヶ崎藍華:「はいッ」
GM:見るだけで気圧されるような店構えに、リリアナはすいと入っていく。君もその後に続いた。
GM:----------
GM:既に席で君たちを待っていたのは、スーツ姿の数人の男。
GM:その内の一人に、君は捜査資料で見覚えがある。
矢ヶ崎藍華:1ヶ月も組織に入っていれば、空間にも慣れたものだ。冷静にどういう人物かを確認する
GM:鴻鵠会傘下最大勢力、『痣徒会』。その若頭を務める男。
GM:これまでとは比較にならない、大物だ。
矢ヶ崎藍華:(やくざさんか…)
リリアナ:「どうも、お招き預かり光栄です」
GM:「やあ、どうも。こちらこそ、今日はよろしくお願いします」
矢ヶ崎藍華:合わせてぺこり
チコ:「ウッス!チャス!チャス!」
矢ヶ崎藍華:「チコ先輩、まずいですよ…」
矢ヶ崎藍華:いつものこととはいえ
チコ:「まじ!?すいません!ウッス!」
矢ヶ崎藍華:(ほんと、素直でいい人だなあ…)
矢ヶ崎藍華:マフィアでさえなければ、ほんとうの意味で仲良くできたかもしれないのに
矢ヶ崎藍華:幾度となく傷んだ良心がまたも疼く
GM:若頭の両脇に備える男達は終始剣呑な目を光らせていたが、
GM:少なくとも表向きは、会食は和やかな空気で進んでいった。
チコ:「アヤカ!このエビめっちゃうまいぞ!食ってみ!」
チコ:口の周りにベタベタとソースをつけて。
矢ヶ崎藍華:「はいっ先輩!あとソースついてますよ!」
矢ヶ崎藍華:ふきふき
リリアナ:「あーあーあー……」呆れ顔。
リリアナ:「すいませんね、やかましくて」
矢ヶ崎藍華:「すいませんっ」
GM:「いえいえ。食事は賑やかなほうが楽しいですよ」
GM:若頭は笑みを絶やさない。所謂インテリヤクザ然とした雰囲気の男だ。
GM:「……さて。……ところで、『牧場』のお話ですが……」
GM:不意に、男が文脈からは意味不明のことを言う。
矢ヶ崎藍華:「?」
チコ:「……ぼくじょう?」
リリアナ:「ええ」
リリアナ:ぴくりと表情を動かす。
矢ヶ崎藍華:唐突に出たので、(経営してる農家の話かな…?)とか思っている
GM:「羊の件、受けさせていただきます。うちの父もラムには目がないもので。……7頭で5、今月30日でどうですか」
リリアナ:「……」
矢ヶ崎藍華:(ひつじ)
リリアナ:「7頭なら7ですね。直接向こうの牧場から仕入れてくる必要がある」
チコ:「え、これ、何の話だか分かるか……?」小声で君に訊く。
矢ヶ崎藍華:「えっと……」
矢ヶ崎藍華:「うちって、牧場とも取引してましたっけ…?」
GM:「では、6ならどうです?」
リリアナ:リリアナはしばらく黙考する様子を見せ、
リリアナ:「6.5。代わりに選りすぐりのをお渡ししましょう」
矢ヶ崎藍華:(…値段交渉。)
矢ヶ崎藍華:本当に羊を取引するなら、わざわざこんなところで会食をしながらする必要はない
GM:「分かりました。では、6.5で」
GM:双方合意に達したらしく、二人は中華の大皿の上で握手を交わす。
矢ヶ崎藍華:…30日。
矢ヶ崎藍華:何か、まずいものが取引されるのだろう
GM:「これを機に、今後もよい取引が出来ることを期待しています。あ、リップサービスではないですよ」
GM:「父も、この新しいビジネスには大変興味を示しておりまして」
GM:「是非、直接お会いしたいと」
矢ヶ崎藍華:父。つまり、痣徒会のトップ
リリアナ:「……それは、願ってもないことですね」
リリアナ:「私どもも、幹部総出で歓待させていただきますよ」
矢ヶ崎藍華:(…今度、こそ)
矢ヶ崎藍華:2つの大きい組織を押さえるチャンスかもしれない
チコ:「なんか分かんないけど上手く行ったっぽくね?よかったなー!アヤカ!」
矢ヶ崎藍華:「はいっ!」
矢ヶ崎藍華:「ラム肉、美味しいですもんね…!久しぶりに食べたいなあ」
GM:リリアナと若頭、ロス・サングレスと痣徒会が、乾杯を交わす。
GM:その場で君だけが、その光景を違った視点から見つめていた。
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイス購入可!
矢ヶ崎藍華:押忍。
矢ヶ崎藍華:ロイスは満杯なので
矢ヶ崎藍華:購入を狙います。ブルーゲイル!
矢ヶ崎藍華:5dx+4
DoubleCross : (5R10+4[10]) → 10[3,5,7,7,10]+10[10]+2[2]+4 → 26

矢ヶ崎藍華:すこぶる調子がいい
GM:強すぎる
矢ヶ崎藍華:入手!2つ目なので誰かにあげよう
矢ヶ崎藍華:1つ目でした
矢ヶ崎藍華:勘違い!以上

【Middle14 シーンPC:豊島正則】


豊島 正則:1d10+85
DoubleCross : (1D10+85) → 6[6]+85 → 91


GM:----------
GM:捜査本部
GM:----------

GM:かつてない大口取引の情報を得て、捜査本部は皆慌ただしく働いていた。しかしその中に、シンシアの姿は無かった。
GM:シンシアはここのところ、ずっと中庭の隅で一人、ただ朝から晩までスマートフォンで何かをしているようだった。
GM:この日もシンシアは、君が来ても変わらずに画面をタップし続けていた。
シンシア:「…………」
豊島 正則:「仕事か」
シンシア:「……いえ……」
豊島 正則:自分が役割を果たす場面まで、実のところ、やれることはそう多くない。これを見越しての接待役だったのか、と思わなくもないが。
豊島 正則:おかげでここ最近はこうして、シンシアの隣で特に何もせず、ぼうっと過ごすことが多い。
GM:スマートフォンの画面では、無闇矢鱈と露出度の高い美少女が、巨大な剣で敵を薙ぎ倒している。流行りのソーシャルゲームだ。
GM:キャラクターの強化に必要な素材の入手効率が良いステージを、延々と繰り返し攻略する――所謂、『周回』と呼ばれる作業だ。
豊島 正則:「そういうの、やるんだな。お前はもっとこう…味気ない奴だと思ってたが」
豊島 正則:体を傾けて、横合いから画面を覗き込む。
シンシア:「……こうして意味のないことをしていると、落ち着くんです」
シンシア:アイコンをタップして、スキルを発動する。
シンシア:「私のすることには、全て何の意味も無いですから」
シンシア:画面をタップしながら言う。
豊島 正則:「そう思うのは、一度死んだから、か?」
豊島 正則:画面から視線を外して、斜め前の天井を見上げながら。
シンシア:「……」
シンシア:ぴくり、と眉を動かす。
シンシア:「……はい」
シンシア:「私は既に死人です。ただ仮初めの生にしがみ付いているだけ。ただの死に損ない、いえ、生き損ないです」
シンシア:「ですから今更、何かしたところで意味が無いんです」
GM:画面の中で、元より露出度の高い美少女の服が、さらに不自然に破ける。
豊島 正則:「悪いな。知られたくないことでも、調べなきゃ気が済まないのが俺達の性分だ」
豊島 正則:「相手が本部エージェントとなりゃあ尚更、だ。納得してくれとは言わねえが、知っといてもらえると有難い」
シンシア:「当然の行動だと思います。私もあなた方の経歴については調べさせていただきましたので」
豊島 正則:「ああ、となると…」
シンシア:「……ええ」
シンシア:「あなたの過去に関しても、書類上程度には」
豊島 正則:ちらり、とまた横目でスマートフォンの画面を見る。よく分からないものを見るような目を細めてから。
豊島 正則:「…意味が無いと言やあ、俺が、俺達がやってきたことほど無意味なことは無えさ」
豊島 正則:「現場に着いた頃には、いや。俺達にお呼びがかかる頃にはもう手遅れ。生き残ってる奴を全員殺して、場を納めるだけだ」
豊島 正則:「で、時には身内同士で殺し合い。誰を助けるわけでもない」
豊島 正則:「死体喰いの鴉呼ばわりされて、生き残ったのは俺ひとり、ってな」
シンシア:「…………」
豊島 正則:誇るでも、自嘲するでもなく。軽く、淡々と、己の足跡を語る。
シンシア:「……豊島さんの言ったことを、自分なりに考えていたんです」
シンシア:不意に、ぽつりと口を開く。
豊島 正則:ほう、と応じる。
シンシア:「……私は文字通り、自分が生きる為だけに戦っています。UGNの補助無しには最低限の生命活動を維持できない以上、任務に従い続けるしかありませんから」
シンシア:「あなたは仰いましたね。自分を生かしてくれる人を、死なせたくない。そのために戦うのだと」
シンシア:「私にはよく理解できませんでした。私にそのように思える他者がいないからでしょうか?」
シンシア:「あなたには、そのように思える人がいるのですよね」
豊島 正則:「…………」
豊島 正則:懐を探る。いつも持ち歩いていた煙草は、あの日、鴻上に投げ渡して以降買っていない。
豊島 正則:「…うちの支部は人手不足でな。そのくせ悪人はボウフラみたいに湧いてきやがる」
豊島 正則:「その上、支部長の…御守の方針で、悪人相手でもなるべく死人は出すな、と来てる」
シンシア:「……非合理的ですね」
豊島 正則:「で、悪人どもが全員更生するワケじゃねえ。となると、御守の見てないとこで始末するほか無え、って場合もある」
豊島 正則:「…あいつも薄々感づいてるんだろうがな。何も全員始末するワケじゃないし、必要なことだってのは話せば理解してくれる、はずだ」
豊島 正則:「まあ、こっちから話すつもりは無え。要は、今も昔も、俺のやってることは変わらない」
豊島 正則:「…変わら、なかった」
シンシア:「…………?」
シンシア:小首を傾げる。
豊島 正則:自分のスマートフォンを取り出し、何回か操作。一枚の写真を表示して、シンシアに端末ごと渡す。
シンシア:それを受け取り、
シンシア:「……これは……?」
豊島 正則:映っているのは心底面倒くさそうな顔をしている自分と、そんな自分の首に腕を回して笑っている少女、矢ヶ崎藍華。
豊島 正則:「いつだか、いきなり俺を巻き込んで自撮りなんぞしやがって。待ち受けにしてください、とか言って送りつけられた」
シンシア:「しているのですか?待ち受け」
豊島 正則:「するかよ。…いや、一回勝手に設定されて、それ以来ちゃんとロックをかけるようにしたんだが」
豊島 正則:まあともあれ、と一息。
豊島 正則:「こいつの、藍華の経歴についても知ってんだろ。具体的に言やあ、廃工場の一件だ」
シンシア:「……ええ……」
シンシア:小さく頷く。
豊島 正則:「なら、俺がその現場にいた、ってのも知ってるな。…ああ、酷いもんだったよ」
シンシア:「…………」黙り込む。自分の事故の記憶を思い出すかのように。
豊島 正則:「死人こそまだ出ちゃいなかったが、それも時間の問題だった。怪我人の呻き声が合唱みてえに響く中、どんどん建物がひしゃげてく」
豊島 正則:「その真ん中にいやがったのが、こいつだ」
豊島 正則:こつん、と。シンシアが持つ自分の端末の中で、笑顔を浮かべる藍華を突く。
シンシア:「"ブラックドワーフ"……矢ヶ崎、藍華」
豊島 正則:「無力化しろ、なんてオーダーだったが。上じゃ殺す他無い、って判断だったんだろうな。だから、俺が名指しされた」
豊島 正則:「ああ、俺もそのつもりだったさ。…実際、あいつを見るまでは、な」
シンシア:写真の中の、矢ヶ崎さんを見つめる。
シンシア:「…………」
豊島 正則:「狂ったように笑ったり、泣き喚いたりする相手を殺すってのは慣れちゃいるが」
豊島 正則:「あの時のあいつは、何も無かった。…辺り一面に怪我人が転がってて、その中には自分の姉貴もいたってのにな」
シンシア:「……何も、無い……?」
豊島 正則:「何も、だ。ジャームってのは良くも悪くも、衝動に駆られて動くモンだが」
豊島 正則:「まるで、オーヴァードとしての機能を発揮するだけにそこに在る、そんな感じだったのさ。あの時のあいつは」
シンシア:「………………」
シンシア:ほんの僅か、一瞬だけ目を見開く。
豊島 正則:「だから、躊躇った。いやまあ、躊躇ってる間に、腕も足も、ついでに内蔵もボロボロにされたんだが」
豊島 正則:あれは痛かった、と。苦笑いのような、懐かしむような表情を浮かべる。
豊島 正則:「…まあ、結局どうなったかと言えば」
シンシア:スマートフォンに映し出された、矢ヶ崎さんの笑顔に目を落とす。
豊島 正則:「俺はあいつを殺さずに済んだ。あいつは…ああ、これは俺が勝手に語っていいことじゃないな」
豊島 正則:「…ああ、そうだ。殺し殺されるのが当たり前だった俺達だったけど」
豊島 正則:「藍華が生きてる限り、俺は、俺の心は生きている。…師匠に顛末を聞かれりゃ、女々しいって笑われそうだけどな」
シンシア:「……」
シンシア:シンシアはしばらく黙り込んで、
シンシア:「……彼女が、あなたの戦う理由……」
シンシア:「……そう、そうなのですね」
シンシア:「……それならば、豊島さん。あなたにひとつお聞きしたいのです」
シンシア:ガラス玉のような目が、君を見つめる。
豊島 正則:その目を真っすぐ見返して、頷く。
シンシア:「もし、あなたの戦う理由である人が……彼女、矢ヶ崎藍華がいなくなったとして……」
シンシア:「もしくは、最初からいなかったとしたら」
シンシア:「その時、あなたはどうするでしょうか?」
シンシア:「それでもあなたは、今と同じく戦えるのでしょうか?」
シンシア:純粋な興味からの質問。君と、君の境遇に対しての。
豊島 正則:「ああ、戦う。…最初からいなかったんなら、俺の在り方は昔のままだろうし」
豊島 正則:「いなくなったんなら。これまでみたいに、いなくなった奴らのことを背負いながら、闘い続ける」
豊島 正則:だが、と。少しの間を置いて。
豊島 正則:「言っただろ。死なせたくないから戦う、と。…ああ、そうだ。今はお前の仮定に対して答えたが」
豊島 正則:「俺があいつに対してすべきことは、まさにそれだ。…あいつと一緒に死んでやるってのも、まあ悪い結末じゃあないが」
豊島 正則:「どんなに苦しくても、生きてる方がいい。俺みたいな死人が言うのも可笑しな話だけどな」
シンシア:「……そう、ですか……」
シンシア:小さく頷く。
豊島 正則:そうだよ、と言って笑ってから。
豊島 正則:「…生きたい、死にたくないってのも立派な動機だ。でもな、シンシア」
豊島 正則:ぽん、と。シンシアの頭に、包帯だらけの掌を置いて。
豊島 正則:「せっかくこうして縁が出来たんだ。自分と関りのある奴には、しかめっ面を晒すより、笑っててもらいたい」
豊島 正則:「…急には無理でもな。ちょっとずつ、先のことを考えるくらい。誰にだって赦されてんじゃねえか」
シンシア:「…………」
シンシア:「わ」
シンシア:「私に、言っているのですか……?」
シンシア:驚きと、戸惑いの表情。
豊島 正則:「お前以外誰に言ってんだよ。…そりゃあな、俺にとって藍華が大切な奴だって話をしてたのは確かだが」
豊島 正則:「それがイコール、お前を気にかけちゃいないって話でもないだろ」
シンシア:「…………」しばらく、ぽかんと口を開けてから。
シンシア:それを誤魔化すように、俯く。
シンシア:「……豊島さん」
豊島 正則:「ああ」
シンシア:「……私は、あなたが羨ましいのだと思います」
シンシア:「守るべき大切なものを守れるというのは、本当に幸福なことですから」
シンシア:シンシアの言葉には実感が篭っていた。彼女の家族は、彼女がオーヴァードになると同時に死んだという。
豊島 正則:「俺だって、最初から誰かを守りたかったわけじゃない」
豊島 正則:「巡り合った。…陳腐だけど、そう言う他ない」
豊島 正則:「…だからな、シンシア」
豊島 正則:シンシアの頭に置いていた手を、そっと離して。
豊島 正則:「お前も、俺も、藍華も。誰も彼も」
豊島 正則:「他の誰かを想う気持ちを忘れない限り、何度だって幸福になっていいんだよ。それが、生きるってことだろ」
シンシア:シンシアの瞳に、ほんの一瞬、何らかの感情が顔を覗かせ――
シンシア:「…………っ……!」
シンシア:大きくかぶりを振る。ほんの一瞬、胸に浮かんだその感情を、迷いだとして振り切るように。
シンシア:「それでも」
シンシア:「それでも私は戦いますよ。きっとあなたが、そうであるように」
シンシア:「独りであろうと、間違っていようと」
シンシア:「たとえ相手が……」
シンシア:君に目を向け、
シンシア:「誰であろうと」
GM:君と彼女の間に、ほんの一瞬、ひりついた緊張感が走る。
豊島 正則:「ああ、それでいい。…俺がこれからどう足掻いても、鴉だったことは変わらないし」
豊島 正則:「お前の、これまでの7年も変わらない。…変えちまったら、それは」
豊島 正則:「それこそ、あらゆるものへの裏切りだ。生きてる奴、死んだ奴、これから出会う奴、誰もへの」
シンシア:「…………」
シンシア:シンシアは立ち上がり、写真が表示されたままのスマートフォンを君へと返す。
シンシア:「……突入作戦、今度こそ成功するといいですね」
シンシア:「……『お互いに』、頑張りましょう」
豊島 正則:「ああ。武運を祈るよ。お互いに、な」
豊島 正則:受け取ったスマートフォンの画面を見る。電源ボタンを押して画面が暗転したそれを、懐へ。
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイス購入可!
豊島 正則:ロイス…はシンシアへの「■好奇心/隔意」を「■尽力/脅威」に書き換えます。
豊島 正則:購入は特にないけど、ブルーゲイルを狙って…みる!
豊島 正則:4dx+1+3>=20
DoubleCross : (4R10+1+3[10]>=20) → 8[1,7,8,8]+4 → 12 → 失敗

豊島 正則:失敗。以上で!
GM:OK!

【Middle15 シーンPC:矢ヶ崎藍華】


矢ヶ崎藍華:90+1d10
DoubleCross : (90+1D10) → 90+3[3] → 93

GM:----------
GM:君はリリアナの側近として、大型取引に向けた麻薬の仕入れに同行することになった。
GM:チコの生成したゲートを通り抜けると、そこはもう異国の空の下だった。乾いた空気。嗅ぎ慣れない匂い。メキシコ。ロス・サングレスの本拠地だ。
GM:君に続き、構成員たちが次々とゲートを通り抜けてくる。そこは郊外のアジトらしく、粗末な建物の外には茫漠たる荒野がどこまでも広がっている。
GM:日本に残った陈からは、ゲートの向こうでは自分やUGNのサポートも十分に効かないので気を付けるよう、何度も念を押されている。ある意味、これまでの潜入で最も危険な仕事だ。
矢ヶ崎藍華:軽く咳き込みながら、空を仰ぐ。空の色がぜんぜん違う…明らかに国内ではない
GM:数十分のチャージによりゲートを具現化したチコは、物陰でぐったりと休んでいる。彼女の能力は相当に体力を消耗するらしい。
矢ヶ崎藍華:「チコ先輩お疲れさまっす!」
矢ヶ崎藍華:取り敢えず脇につめたいポカリをはさませておく
チコ:「おう……アヤカ……」
チコ:よろよろと手を上げる。
チコ:「マジで疲れたよ、こんなにデカいの久々だからさー」
GM:その時、話し込んでいたリリアナが声を荒げた。スペイン語で意味は分からないが、何かトラブルがあったらしい。
矢ヶ崎藍華:「!」
矢ヶ崎藍華:「なんだろう…ちょっと見てくるっすね!」
矢ヶ崎藍華:だいぶ口調が影響を受けている気がしないでもないと苦笑しつつ、それとなく近づいてみましょう
GM:リリアナも君たちのもとに歩いてくる。
矢ヶ崎藍華:「何かあったんですか…?」
リリアナ:ひとつ溜息をつき、
リリアナ:「……モチレロ(運び屋) が何人か、他所のカルテルに殺されてるらしい。それで他の奴らもイモ引いちまって、在庫が予定の納入数に届いてない」
リリアナ:焦りと憤懣の表情。
矢ヶ崎藍華:「それじゃ、期日までに数を揃えることが…?」
リリアナ:「……ああ。このままだとな」
リリアナ:「直接取りに行くしか方法はないな。ここで到着を待ってる暇はない」
矢ヶ崎藍華:「直接……」
チコ:「姉さん、私が……」
チコ:青白い顔でチコが歩み出る。
リリアナ:「無理だ。お前には帰りのゲートを開いてもらわないといけない。そこまで体力が持たないだろ」
矢ヶ崎藍華:「先輩!無理はいけないですよ!」
チコ:「うう……。 で……でも……!」
リリアナ:「アヤカの言うとおりだ。姉貴分なんだろ? 言うこと聞いてやれよ。 ……陸路で行く。待ってろ」
GM:リリアナは車を手配しにその場を離れる。
チコ:「…………」
チコ:チコは力無く項垂れる。
矢ヶ崎藍華:「チコ先輩…」
矢ヶ崎藍華:気持ちはわかる。役に立ちたくて、気持ちだけが先行している
チコ:「ごめん……あたし、肝心な時に役に立てなくて……」
矢ヶ崎藍華:「何を言ってるんですか!」
チコ:「!」
矢ヶ崎藍華:「先輩は日本に帰るためのルートっていう、作戦の要じゃないですか!だから姉さんもああいったんですよ!」
矢ヶ崎藍華:「たとえ多少元気でも、チコ先輩には休んでもらったはずですよ!役に立ってもらいたいポイントがあるんですから!」
チコ:「そ……そっか?そうかな……」
矢ヶ崎藍華:「はいっ」
チコ:「えへへ、そっかそっか……」
矢ヶ崎藍華:(……なんで励ましてるんだっけ)
矢ヶ崎藍華:忘れがちだけど、この人も麻薬カルテルの構成員で…悪いことしてる人なのに…
矢ヶ崎藍華:どうにも見放してあげることが出来ない。得な人だなあ
GM:チコが少し元気を取り戻したころ、リリアナが運転手と共に、高級車に乗ってくる。荒野で雑に使われているためか、あちこち傷がついている。
リリアナ:「行くぞ。すぐに出発だ」
矢ヶ崎藍華:「はいっ」
矢ヶ崎藍華:(現場の風景もある程度覚えておくといいよね。)
GM:君達は車に乗り込む。行先は商品が立ち往生しているコスタリカ。危険で困難な旅路が予想された。

GM:----------

GM:車は休みなく走り続けた。長距離の悪路に車中の環境は最悪といえたが、チコ達は慣れている様子だ。
GM:途中差し掛かった街で、リリアナは「頭を低くしておけ」と注意した。その理由はすぐに分かった。車外から銃声が聞こえてきたからだ。
矢ヶ崎藍華:「っ!?」
リリアナ:「この辺は今、二つのカルテルが主導権を奪い合ってる。四六時中こんな感じだ」
矢ヶ崎藍華:「な、慣れてますね……」
矢ヶ崎藍華:しっかり屈めて、急所を外側に出ないように
リリアナ:「まあ……そりゃそうだろ」
リリアナ:「平和ボケしすぎじゃないか?私ら一応ギャングだぞ」
リリアナ:「ていうか、お前もな」
チコ:チコも特に気にした様子はなく、呑気に欠伸をしている。
矢ヶ崎藍華:「ははは…姉さんにかわいがってもらってますから」
GM:街は荒れ果てている様子だった。壁に残された弾痕。路上に座り込む痩せ細った人々は生きているのか死んでいるのかも分からない。時折、武装した警官を満載したピックアップトラックが走っていくのが見えた。
GM:何より目を引いたのが死体だ。看板や街灯からいくつも魚の干物めいてぶら下げられ、そのままになっている。
矢ヶ崎藍華:本当の無法地帯というものを初めて見る
リリアナ:「見せしめだ」
リリアナ:それを横目に、つまらなそうに呟く。
矢ヶ崎藍華:「……」
矢ヶ崎藍華:死体。
矢ヶ崎藍華:ふつうの人のそれを、まじまじと見ることなんて今まで無かった。
矢ヶ崎藍華:(…こんな、なんだ……)
リリアナ:「国は貧しい連中に何もしてくれない。大の男が毎日必死に働いて、自分一人が食っていくのがやっとだ」
リリアナ:「それ以外の子供や老人、もしくは家族を養おうとでもするなら、麻薬産業に手を出すしかない。だからいつまで経っても殺し合いは終わらない」
リリアナ:「ここじゃこんなのはそこら中にある。この辺りはただ治安が最悪ってだけだから、まだマシな方だ」
GM:車を運転する男も、君の隣のチコですら、驚いた様子は無い。
矢ヶ崎藍華:「姉さんは、ここより酷い中を、沢山見たことがあるんですね」
リリアナ:「……酷いっていうか、なあ……」
リリアナ:頭を掻いて、
リリアナ:「まあ、今回は最悪なことに、その辺も通ることになるからな」
リリアナ:「嫌でも分かるはずだ」
矢ヶ崎藍華:「…?」
矢ヶ崎藍華:いまいち飲み込めないといった様子
リリアナ:「……っと、そろそろ日暮れだ。さっさと抜けて、宿を探そう」
リリアナ:リリアナはただの旅行者のような口調で言った。

GM:----------

GM:比較的マシな宿を探し、一泊することになった。
GM:部屋は余っていたが、君は放っておくと何をするか分からないチコの目付け役として相部屋に押し込まれた。
GM:暑かった昼とは打って変わり、夕方からはかなり冷え込んできた。外からは屋台の香辛料の匂いが漂ってくる。
チコ:「あーあ、すぐ帰れると思ったのになー」
チコ:ベッドに倒れ込み、チコは不服そうに口を尖らせる。
チコ:ここは彼女の故郷であるはずだが、里帰りにもまるで喜んでいない様子だ。
矢ヶ崎藍華:「この取引が終われば、暫くはゆっくり出来るといいですね」
矢ヶ崎藍華:微笑む。
矢ヶ崎藍華:実際には、取引どころか組織そのものを終わらせようとしている顔で
チコ:「そうだな~! ホント、最悪だってのこんなとこ!日本サイコーだよ!」
矢ヶ崎藍華:「…チコ先輩って、ここの出身ですよね。」
矢ヶ崎藍華:「姉さんと会うまでって、何してたんですか?」
チコ:「あー、そうだなあ……」
チコ:「あたしはさー、親いないから」
チコ:あっけらかんと言う。実際、彼女にとっては当然のことなのだろう。
チコ:「気付いた時?あ、モノゴコロ?とか言うんだっけ?まあ、家も無いからずっと街でウロウロしててさ。路上生活?とかってやつ?それだったわけ」
矢ヶ崎藍華:「はい…」普通のこと、なんだな。
チコ:ベッドに転がったまま、顔だけ君に向けて話す。
チコ:「最初は乞食やったり、生ゴミとか食ってたんだけどさ。そのうち、同い年くらいの連中でつるんで、スリやるようになってさ」
チコ:「結構上手くいってたと思うんだけど……その時、偶然、姉さんに目ぇ付けちゃったわけ」
チコ:ひひ、と笑う。
チコ:「ボコボコにされたよ。でもさ、その後メシ食わせてくれて……」
チコ:チコは顔を綻ばせ、
チコ:「あれは美味かったなあ……」
チコ:「で、姉さんはあたしを拾ってくれてさ。しばらくは使い走りやってたんだけど……。……オーヴァードになった時は嬉しかったなー。これで姉さんの役に立てる!って思ってさ」
チコ:「姉さんにはすっげえ感謝してんだよね。あたし、姉さんいなかったら今どうなってるか分かんないし」
チコ:「姉さん、かっこいいし、強いし、美人だし。あたしもあんな風になりたいんだ」
矢ヶ崎藍華:“最近やっていたバイトの内容”をしゃべるみたいに、平然と極限の生活を行ってきたことを語る人が目の前にいる
矢ヶ崎藍華:私は…正しいことをしているつもりだ。
矢ヶ崎藍華:でもそれが、こんなふうに、未来を楽しみに待てる人の希望を奪い取っているとしたら…?
チコ:「……だから、姉さんのジャマする奴は、絶対許さない」
チコ:チコが身を起こし、君をじっと見る。
チコ:「な、お前もそうだろ? アヤカ」
矢ヶ崎藍華:「え、えっ?あっ、はい」
矢ヶ崎藍華:「……成功、させましょうね」
チコ:チコはにっこり笑い、
チコ:「おう!勿論!」
矢ヶ崎藍華:私は、なんなんだろう
チコ:「頼りにしてるぜ!お前はあたしの妹分だからな!」
矢ヶ崎藍華:何をしたら、正解なんだろう
矢ヶ崎藍華:「はい」
チコ:君の背中をばしばしと叩く。
矢ヶ崎藍華:微笑んで
チコ:「一緒に頑張ろうな! ていうかもう寝るか! 明日も早いしな!」
チコ:チコはそう言って布団に潜り込む。
チコ:「電気消してくれなー」
矢ヶ崎藍華:「はいっ。元気をつけないと!おやすみなさい」
矢ヶ崎藍華:電気を消して、眠りにつきましょう
GM:電気を消すと、部屋は暗闇に包まれる。
GM:答えの無い煩悶を抱えたまま、夜は過ぎていった。

GM:----------

GM:車が信号で止まると、粗末な身なりの子供が窓ガラスを拭きに来た。駄賃をせがむ子供を、運転手が追い払う。
GM:この国ではよくある光景だが、リリアナは表情を険しくした。
リリアナ:「……まずいな」
矢ヶ崎藍華:「何か、あるんですか?」
GM:「急ぎましょう」運転手の男が言う。
リリアナ:「ああ、頼む」
GM:車はスピードを上げた。リリアナは珍しく、少し緊張しているように見える。
リリアナ:「昨日言った、最悪の場所ってのが、ここだ」
矢ヶ崎藍華:ただならぬ雰囲気を感じ、取り敢えずいつでも能力を起動出来るように心構えておく
リリアナ:「本当ならこんな街、通るべきじゃないんだが。迂回してる時間は無い。背に腹は代えられない」
GM:リリアナはそう言うが、昨日の街とは違い、この街はごく普通の様子に見える。人々が笑顔で行き交い、銃声も聞こえない。むしろこの国でも管理が行き届いた平穏な街に思えるだろう。
矢ヶ崎藍華:「…あ、あれ?」
リリアナ:「……ここは街全体が一つのカルテルに完全に掌握されてるんだ。警察もほとんど無力だし、この中で殺されたら外に知られることもない」
リリアナ:「この街では余所者はすぐに見つかる。街の全員に見張られてる。さっきの子供、あれも今頃誰かに私達を報告して金を貰ってる頃だろう」
矢ヶ崎藍華:「…!」
リリアナ:「私の顔は結構売れてるからな。下手に手を出さないほうがいいと思われるか、ここで潰しておこうと思われるか……」
リリアナ:「……とにかく、気を抜くなよ」
矢ヶ崎藍華:「じゃあ、ここにいる人全員が…敵……」
GM:その予想は僅か数十分後、悪い方向で的中することになった。
GM:高速で走る君達の車に、さらに猛スピードで接近してくる二台のバン。一台は後方に付け、もう一台はさらにスピードを上げて、君達の前方を塞ぐ。
GM:一瞬見えた車内には、銃を持った複数の男。
チコ:「ね、姉さん!あれ!!」
リリアナ:「ヤバいな」
リリアナ:リリアナは助手席で体を捻り、小さな窓から飛び出して車の屋根に立つ。
矢ヶ崎藍華:「うわあ、凄い人数……」
リリアナ:「アヤカ!私は前をやる! お前は後ろだ!」
矢ヶ崎藍華:「えっ……」
矢ヶ崎藍華:「は、はい…!やってみます!」
GM:車窓から銃口が覗いた瞬間、巨大な血の刃が振り下ろされる。前方のバンは真っ二つに両断、弾き飛ばされ、一瞬遅れて爆発する。
GM:その爆炎の中から、もう一台のバンが猛追してくる。
矢ヶ崎藍華:狭い車内で展開するのには難儀する。手の甲の上に火球を展開して、翳りを生み出していく
矢ヶ崎藍華:(ついてこれなくすればいいんだよね…)
リリアナ:「アヤカ! 来るぞ!」
矢ヶ崎藍華:右手の翳りが泡立ち、淀んだ黒い流体が流れ出てくる
矢ヶ崎藍華:窓の外に手を出して、流体を地面に流していく。地面に触れた流体は球状に膨れ上がり、病原菌のごとく増殖しては地面を爆縮し蹂躙する
矢ヶ崎藍華:ものの数十秒で、まともに追走することは出来ない状態になるだろう
矢ヶ崎藍華:「…よし…!」
GM:「…………!」
GM:複数の男達が銃を手に身を乗り出そうとしていたところに、破壊の嵐が吹き荒れる。
矢ヶ崎藍華:破壊の奔流が車に届くギリギリ前で、能力をオフにした。
GM:バンは急ブレーキをかけ、不安定な姿勢だった男たちがぼとぼとと零れ落ちる。
GM:苦し紛れに銃撃をするが、もう君たちには届かない。
チコ:「うわーー!!すっげえ!おい!やったじゃねーか!おい!」
チコ:チコが感激して君に抱き着く。
矢ヶ崎藍華:「はい…上手く、行きましたね。えへへ」
矢ヶ崎藍華:能力を使った消耗で汗だくになりながら、安堵の息を漏らす
リリアナ:「……もうすぐ街を抜ける。それ以上は追ってこないだろう」
リリアナ:「よくやった、アヤカ」
リリアナ:君の肩をぽんと叩く。
リリアナ:「お前はやっぱり、いい拾い物だったよ」
矢ヶ崎藍華:「あはは…頑張りました」
GM:車は街を抜け、荒野へと進んでいく。

GM:----------

GM:その後、君たちは何事もなく順調に進み、予定から数日遅れながら無事に商品を確保した。
GM:ジャングルに隠された『キッチン』。今、チコは帰りのゲートを開くためにレネゲイドを収束させている。
チコ:「……よっしゃ! そろそろ帰れるぞー、アヤカ」
矢ヶ崎藍華:「はーい!」
チコ:「……あれ?」
チコ:チコはキョロキョロと辺りを見回す。
チコ:「……姉さん、どこ行ったのかな? もうすぐ開くのに……。アヤカ、ちょっと呼んできてくれよ」
矢ヶ崎藍華:「ホントですね…探してきます!」
矢ヶ崎藍華:何処に行ったんだろう
矢ヶ崎藍華:トイレとかかな?とか考えながら辺りを探してみます
GM:君が少し周囲を探しても、リリアナは見つからない。呼びかけてみても返事はない。
GM:その時、少し遠くから咳の音が聞こえてくる。
矢ヶ崎藍華:「姉さーん!」
矢ヶ崎藍華:「…?」
矢ヶ崎藍華:酷い咳込みの音だ
矢ヶ崎藍華:一応警戒しつつ、近づいてみます
GM:君がその音の方向に近付くと、
GM:リリアナは物陰に隠れるようにして、地面に蹲っていた。
矢ヶ崎藍華:「えっ!?」
矢ヶ崎藍華:「姉さん!?どうしたんですか!?だ、誰かが…!?」
矢ヶ崎藍華:屈んで、周囲を警戒します
GM:何度も咳を繰り返し、呼吸は荒い。手と口元はどす黒い血で染まっており、地面にも信じられない量の血の跡が残っている。
リリアナ:「…………!」
リリアナ:君に気付き、しまった、という顔をする。
リリアナ:「アヤカ、か…………」
リリアナ:口元の血を拭う。
リリアナ:「何でもない。ちょっとした持病だ」
矢ヶ崎藍華:「撃たれたんですか!?速く治療を…持病?」
矢ヶ崎藍華:「なんでもないって…こんな血の量で、なんでもないって無いですよ…!」
リリアナ:「ああ、誰かにやられたわけじゃない。大丈夫だ」
リリアナ:「……すぐに収まる。問題ない」
矢ヶ崎藍華:本気で心配している。「この人は、敵だ」と頭で分かっているつもりなのに
矢ヶ崎藍華:「…ずっと、黙ってたんですか」
矢ヶ崎藍華:思えば、ドレスを着ていた頃から痩身がすぎると思っていた
リリアナ:「…………悪いか? 私のことだろ」
リリアナ:ごほ、とまた咳き込む。
矢ヶ崎藍華:「心配もさせてもらえないんですか?」
リリアナ:「…………」
矢ヶ崎藍華:「……私には姉がいます。」言う必要がないと思っても、つい、口に出してしまう
矢ヶ崎藍華:「凄く頑張って、難しい学校に進学して。本当に凄いお姉ちゃんでした。“これから学校で沢山頑張っていきたいね”って言ってました。」
矢ヶ崎藍華:「…数ヶ月した後」「姉は、全ての表情を失っていました。」
リリアナ:「……何……?」
リリアナ:怪訝な表情。
矢ヶ崎藍華:「ちょうど、今の姉さんみたいな幹事でしたよ」
矢ヶ崎藍華:「“大丈夫”。“自分の問題だから”。」
矢ヶ崎藍華:「…何があったのかって聞いても。いくら泣いても。姉は、そうとしか言ってくれませんでした」
リリアナ:「…………」
矢ヶ崎藍華:「…あの時はちゃんと言えなかったけど、今は何をいいたいのか自分の中でまとまっています」
矢ヶ崎藍華:「姉さん。大丈夫なのは貴方だけですよ。貴方の家族を救いたいなら、ちゃんと話して下さい」
矢ヶ崎藍華:本当に、何を言ってるのだろう
矢ヶ崎藍華:この人は、倒すべき相手。最後は分かれるべき人。
矢ヶ崎藍華:なのにどこかで、放ってはおけなくなっている
リリアナ:リリアナはしばらく黙り込み、はあ、と嘆息する。
リリアナ:「……仕方ないんだ。治らねえんだよ、これは」
矢ヶ崎藍華:「……」
リリアナ:「病院に行っても無駄だ。ちょっと訳ありでな」
リリアナ:「だから、仕方ねえんだよ。どうしようもない」
リリアナ:「無駄に気ぃ遣わせたって、面倒だろ」
矢ヶ崎藍華:「…本当に、打つ手が無くったって。」
矢ヶ崎藍華:「言ってもらえないなんて、寂しすぎますから。」
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:「“家族の間に”?」
リリアナ:「…………」
リリアナ:叱られる子供のような、ばつが悪そうな顔。
リリアナ:「……隠し事は、無しだ」
矢ヶ崎藍華:「はい。」
矢ヶ崎藍華:「…行きましょう。チコ先輩には流石に、日本に帰ってから話したほうがいいですよね。」
リリアナ:「いや……いいや!それでもだ!」リリアナはかぶりを振って、
リリアナ:がん、と君の背後の壁に手を付き、至近距離で見つめる。
矢ヶ崎藍華:「!」
リリアナ:「……それでもだ。家族でも。いいか。お前にはバレちまった以上、仕方ないが……」
リリアナ:「このことは、誰にも言うな……!」
リリアナ:「誰にもだ。特にチコには。絶対にだ」
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:さっきまでくずおれていた人から発せられるとは思えない気迫
矢ヶ崎藍華:(お姉ちゃん……)
矢ヶ崎藍華:(こういう気持ちだったの…?)
矢ヶ崎藍華:「……わかりました。」
矢ヶ崎藍華:「行きましょう。チコ先輩が消耗しちゃいます」
リリアナ:「……ああ」
リリアナ:リリアナはふらりと踵を返し、
リリアナ:「……帰るぞ。今回の取引、成功させなきゃならない」
リリアナ:そう言って、よろよろと歩いていく。
矢ヶ崎藍華:姉とだぶつくその背中を見ながら
矢ヶ崎藍華:最後には妥当すべきその背中を見ながら
矢ヶ崎藍華:自分自身がどうあるべきなのかを考えつつ、後についていきます
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイスのみ可!
矢ヶ崎藍華:も…もうとれない…(絶望)
矢ヶ崎藍華:以上!
GM:OK!

【Middle16 シーンPC:鴻上禮次郎】


GM:登場どうぞ!
鴻上禮次郎:74+1d10
DoubleCross : (74+1D10) → 74+1[1] → 75


GM:----------
GM:N市 鴻央会傘下事務所
GM:----------

GM:君は鴻上剛蔵に呼び出され、彼の事務所へと足を運んだ。
鴻上禮次郎:「破門状が出されたつもりでいたんだがねぇ……」
GM:引退以来ラフな服装の多い剛蔵は珍しく久々の古風な紋付袴に身を包み、
GM:かつての現役時代を思わせる威圧感を漂わせていた。
GM:彼の隣には、君の舎弟である黒川が、身を小さくして縮こまっている。
鴻上禮次郎:「……お久しぶりです」
鴻上禮次郎:一方
鴻上禮次郎:禮次郎は組長としての仕事着である豪奢なスーツ
鴻上禮次郎:喪服をイメージした和服ではなく、ビジネスマンでもあり、ヤクザでもある己の戦闘服に戻っていた。
鴻上剛蔵:「……遊びは終わりじゃ、禮次郎」
鴻上剛蔵:地の底から響くかのような声。
鴻上剛蔵:「くだらんことはやめて、組に戻れ」
鴻上剛蔵:「ええ加減、気も済んだじゃろう」
鴻上禮次郎:「……組にゃあ、戻ります」
鴻上禮次郎:「戻りますが、戻らにゃあならんのは知ってますが……」
鴻上禮次郎:深く頭を下げる
鴻上禮次郎:「もう少し、もう少しだけ待ってくれませんか、組長(オヤジ)さん……!」
鴻上禮次郎:「後少しで、仇が討てるんです……! あいつらの仇が……!」
鴻上剛蔵:「待たん」
鴻上剛蔵:ぴしゃりと跳ねのけるような言葉。
鴻上剛蔵:「今回の件、痣徒が関わっとるそうじゃの」
鴻上禮次郎:「……ああ、俺もUGNから聞いた」
鴻上禮次郎:「奴らも殺す」
鴻上剛蔵:「こんクソボケがぁ!!」
鴻上剛蔵:けたたましい音と共に机を殴り、立ち上がる。
鴻上禮次郎:「——なっ!?」
鴻上禮次郎:親同然に思っていた相手の怒りに、思わずたじろぐ
鴻上剛蔵:「痣徒と云やあ鴻央でもアタマ張ってる組じゃろうが!」
鴻上禮次郎:「……それは」
鴻上剛蔵:「つまりウチにとっちゃあ親に当たる!お前も分かろうが!!」
鴻上剛蔵:「そんな相手に手を出したとあっちゃあ、お前」
鴻上剛蔵:「破門程度じゃ済まん。絶縁……いんや」
鴻上剛蔵:君をじっと見て、
鴻上剛蔵:「鴻央会から追われることになろう」
鴻上禮次郎:「……」
鴻上剛蔵:「それが分からんのか?」
黒川サブロウタ:「あ……兄貴……」
黒川サブロウタ:不安げに君を見る。
鴻上禮次郎:胸元の鴻央会のバッジを外し、差し出す。
鴻上禮次郎:「分かるが、よ」
鴻上禮次郎:「なあ組長(オヤジ)……いや、父さん」
鴻上禮次郎:「俺はね、あんたに見せられるヤクザ映画が嫌いだった」
鴻上剛蔵:「……」
鴻上禮次郎:「どいつもこいつも馬鹿ばかり、つまらねえ目先の利益の為に殺した殺された……あほじゃねえかと」
鴻上禮次郎:「だから、俺は目指したんだよ。馬鹿じゃないヤクザって奴を……金があって、仁義を通す余裕もあって、強いヤクザって奴を」
鴻上禮次郎:「それをよ」
鴻上禮次郎:「あの男は笑いやがった……」
鴻上禮次郎:「俺の築いた家族を、俺の描いた夢を、笑いやがった……」
鴻上禮次郎:「笑えよと思ってたはずなのにさぁ……!」
鴻上禮次郎:「で、気づいたね。どうやら俺も馬鹿だったみてえだぁっ!」
鴻上禮次郎:バッジを床に叩きつける
鴻上禮次郎:(ビショップの話を思い返すと)
鴻上禮次郎:(もしかしたら、まだ生きて囚われてる奴らが居るかも知れねえ)
鴻上禮次郎:(何に使おうとしているかは分からねえが)
鴻上禮次郎:(なにをするにしても——そいつらをどうにかしてからだ)
鴻上禮次郎:(今はまだ、その部分も含めて誰にも話せねえな)
鴻上剛蔵:呆れかえった、というように、わざとらしく嘆息して。
鴻上剛蔵:「百歩譲って、お前が勝手にバカやって、勝手に野垂れ時ぬのは構わねえよ」
鴻上剛蔵:「したらよ、こいつらはどうなるんだい」
鴻上剛蔵:傍らの黒川を示す。
黒川サブロウタ:「…………」
鴻上禮次郎:「……ッ」
鴻上禮次郎:深く息を吐きだす
鴻上禮次郎:「まだ生き残っているシマの連中も家族みてえなもんだ」
鴻上禮次郎:「家族を見捨てる訳にはいかねえ。そいつは道理ってもんだ」
鴻上禮次郎:「——だが」
鴻上禮次郎:「抑えられねぇんだ。レネゲイドの衝動とは違う。それをねじ伏せる……FHの連中の言う欲望って奴が」
鴻上剛蔵:「欲望だぁ?」
鴻上禮次郎:「鴻央会に研修に来ていたマスター・エロスってエージェントが言っていたのさ」
鴻上禮次郎:「欲望は衝動をねじ伏せる。人間の煮え立つ激情は、意思無きウイルスになど屈さない」
鴻上禮次郎:「俺はあのビショップの野郎とは違う! 絆が有って、欲があって、生きている!」
鴻上禮次郎:「俺は俺を生きる為に! 俺のやりたいようにやらせてもらう! 話は以上だ! 気に入らねえってんなら——」
鴻上禮次郎:自らの白杖を刀に再錬成し、床に突き刺す。
鴻上禮次郎:「オヤジィ! あんたがこいつで! 俺を好きにしやがれってんだぁ!」
鴻上剛蔵:「……禮次郎。こいつはなぁ、俺が頼み込んで今、月吼會で部屋住みやらしてんのよ」黒川を見て。
鴻上剛蔵:「他の連中も、それぞれ必死に踏ん張ってる」
鴻上剛蔵:「だがなあ、頭のお前がいなきゃ、組はバラバラだ」
鴻上剛蔵:「道理も通してえ、欲も遂げてえ、そんなこたぁ土台無理な相談よ」
鴻上剛蔵:「今ここで決めな」
鴻上剛蔵:「組を捨てるか、てめぇ一人の意地を通すか」
黒川サブロウタ:「……あ……兄貴ィ……!」
黒川サブロウタ:縋り付くように言う。
黒川サブロウタ:「戻ってきてくだせえよぉ……!」
黒川サブロウタ:「兄貴がいなきゃ俺……俺……!」
鴻上禮次郎:(死んだ家族のために生きている家族を見捨てるか、見捨てられるか)
鴻上禮次郎:(死人のために……生きた人間を犠牲にするなんて俺にゃあできねえ……ッ!)
鴻上禮次郎:(けど、カナコ……もしも生きているなら俺は……!)
鴻上禮次郎:「……ぐぅ」
鴻上禮次郎:黒川の目を見て、苦しそうに呻く
鴻上禮次郎:「父さん、あんたって人は……」
鴻上禮次郎:剛蔵を見て、苦々しく呟く
鴻上禮次郎:「俺は、俺は……」
鴻上禮次郎:脳裏に浮かぶFHの魔人たちの姿、欲望に生き欲望に死す超越者たちの自由な生き様
鴻上禮次郎:脳裏に浮かぶUGNの勇者たちの姿、誰かの為にと身を削り日常を守る強い生き様
鴻上禮次郎:(——俺は、どちらにもなれない)
鴻上禮次郎:諦めるようにもう一度ため息をして、膝をつく
鴻上禮次郎:「二週間だ」
鴻上禮次郎:「二週間でダメなら、金輪際馬鹿な事は言わねえ」
鴻上剛蔵:「…………」
鴻上剛蔵:剛蔵は、君の眼前に突き立てられた刀を引き抜き、
鴻上禮次郎:「頼むよ、父さん……最後のわがままだ」
鴻上剛蔵:上段に構え、一息に突きを放つ。
鴻上剛蔵:ガ キン !
鴻上剛蔵:君の顔のすぐ横、額縁にクモの巣状のヒビが走る。
鴻上剛蔵:「……二週間」
鴻上剛蔵:「ええじゃろう。答えを出すのだけは待ってやる」
鴻上剛蔵:「だが勘違いするなよ」
鴻上剛蔵:「痣徒に盾突いた時、お前がどうなるか」
鴻上剛蔵:「それはまた、別の問題じゃ」
鴻上剛蔵:「バカ息子を庇うにも、限度っちゅうモンがある」
鴻上禮次郎:「……ああ」
鴻上禮次郎:(何年かけてでも——)
鴻上剛蔵:刀を引き抜き、君に投げ渡す。
鴻上禮次郎:(痣徒はぶっ潰してやる)
鴻上禮次郎:刀を受け取る。
鴻上剛蔵:「ワシはもう、知らん」
鴻上剛蔵:「お前を庇うことは出来ん」
鴻上剛蔵:「だがいいか」
鴻上剛蔵:「どうせ道を外れるんなら、中途半端じゃあ勿体ない」
鴻上剛蔵:「……とことんまでやれよ」
鴻上剛蔵:それだけ言って、君に背を向ける。
鴻上禮次郎:深く一礼をする。
鴻上禮次郎:「……サブ」
黒川サブロウタ:「……兄貴……」
黒川サブロウタ:捨てられた犬のような目。
鴻上禮次郎:それから、一枚の紙を取り出す。
黒川サブロウタ:「……兄貴……?こいつは……?」
鴻上禮次郎:「次の企画書だ。俺が戻ってきたら動かす」
黒川サブロウタ:「!」
黒川サブロウタ:ぱっと表情が輝く。
黒川サブロウタ:「は……はい!」
黒川サブロウタ:「兄貴!俺!待ってますから!」
黒川サブロウタ:「絶対!いつまでも!待ってますから!!」
鴻上禮次郎:「おう、待ってろ……鴻央会は家族を見捨てねぇ……」
鴻上禮次郎:普段はいつも不機嫌そうな男が
鴻上禮次郎:その時だけ、ほんの少し、心の底から笑った
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイス購入可!
鴻上禮次郎:購入無し! 今手持ちのるるぶの範囲で欲しいものが特に無い!
鴻上禮次郎:ロイス!
鴻上禮次郎:可愛い舎弟だ……だから死ぬなよ 黒川サブロウタ 連帯感◯/隔意
鴻上禮次郎:こちらに変更します!
GM:OK!

【Middle16.5 シーンPC:鴻上禮次郎】


GM:登場どうぞ!
鴻上禮次郎:75+1d10
DoubleCross : (75+1D10) → 75+5[5] → 80

GM:----------
GM:君が剛蔵との会話を終え、事務所を出た、その直後。
GM:車に乗り込み、一服しようとした時だった。
鴻上禮次郎:「さて、UGNの奴らと合流せにゃならんな……企画書もサブに渡しちまったし……あとは」
鴻上禮次郎:「あとは……ケリつけるか」
鴻上禮次郎:火をつける
GM:ガ シャ ァァン!!
GM:凄まじい轟音と揺れ。
鴻上禮次郎:「 ! ? 」
GM:車のボンネットに、何かが落下してくる!
鴻上禮次郎:「カチコミか!」
GM:君が目にしたのは、歪み切った醜悪な笑み。
鴻上禮次郎:車から飛び出そうとする!
鴻上禮次郎:「テ、テメエは——!」
ビショップ捜査官:「鴻上ィィ~~ッ……」
ビショップ捜査官:ひしゃげたボンネットの上で、ビショップがにたりと笑う。
鴻上禮次郎:「ビショップゥウウウウウ!」
GM:車から飛び出そうとするが、
GM:車体が歪み、ドアが開かない!
鴻上禮次郎:「お前、俺のこと大好きだなぁおい!?」
ビショップ捜査官:「油断しすぎじゃあねえのかァ!? ええ!? ヤクザさんよォ!!」
鴻上禮次郎:刀を錬成し、射出する!
ビショップ捜査官:真正面から、肉の触手で受け止める!
ビショップ捜査官:「こういうの、ここでは何て言うんだっけ?……ああ、そうそう」
ビショップ捜査官:「カチコミだァアーーーッ!!アハハハハハハーーッ!!」
鴻上禮次郎:「カチコミ! 良いね! だが只で死ぬとか思うんじゃあねえぞ!」
鴻上禮次郎:禮次郎はスーツを脱ぎ捨てる!
鴻上禮次郎:腹には大量のダイナマイトが巻きつけられている!
ビショップ捜査官:「……ッハァ!?」
ビショップ捜査官:歪んだ表情のまま固まる。
鴻上禮次郎:「根比べと行こうぜぇえ~~~~~~! 捜査官さんよぉおおお~~~~~~~~!」
鴻上禮次郎:煙草の火を、ダイナマイトに向けて落とす
鴻上禮次郎:「お前の大好きな! ヤクザ映画みてえにぬぁああああああああっ!」
ビショップ捜査官:「テメッ……気違いか手前は~~~~ッ!!!?」
鴻上禮次郎:刹那
鴻上禮次郎:車に仕掛けられていた爆薬と、禮次郎自身が腹に巻き付けていたダイナマイトが
鴻上禮次郎:真紅の炎と大地を揺らす轟音を伴い、二人を包み込む
鴻上禮次郎:ワーディングの効果で、誰も出てこない
鴻上禮次郎:静寂の後、煙の影から現れたのは……
GM:まだ燃え盛る路上に、ビショップが着地する。
GM:全身を硬質の翼で覆い、火傷を負いつつも、生きている。
鴻上禮次郎:転がり落ちる二本の腕、高そうなスーツの燃えカス、メガネだったもの
ビショップ捜査官:それを見下ろし、嘲笑する。
ビショップ捜査官:「ハァ……ビビらせやがって」
ビショップ捜査官:「やっぱり面白ェなァ、ヤクザってのは。どいつもこいつもバカばっかだ」
ビショップ捜査官:「ま、死んじまったら終わりだけどな!」
ビショップ捜査官:くくく、と喉を鳴らして笑い、
ビショップ捜査官:「鴻上禮次郎、お前も所詮」
ビショップ捜査官:「この程度の男だったってことだよ」
GM:燃え盛る車両だけを残し、ビショップはいずこかへ飛び去って行く。
GM:しばらく経って、ワーディングの効果が切れた頃。
GM:事務所から一人の男が飛び出してくる。
黒川サブロウタ:「兄貴ーーーーッ!!」
黒川サブロウタ:車に駆け寄り、熱を帯びたサングラスを、火傷するのも厭わず拾い上げる。
黒川サブロウタ:「兄貴……そんな……嘘だ……!」
黒川サブロウタ:「兄貴ィィーーーーッ!!」
GM:裏路地に、彼の絶叫だけがこだました。
GM:----------
GM:ラストロイス購入タイム!
鴻上禮次郎:よし!
鴻上禮次郎:では!
鴻上禮次郎:まずロイス変更で
鴻上禮次郎:企画書早く読んで 黒川サブロウタ 連帯感◯/焦り
最高に面白いけど……殺す ビショップ捜査官→共感/殺意◯

鴻上禮次郎:新しくロイス取得で
鴻上禮次郎:ああ、会いたいなぁ…… 鴻上カナコ 純愛/後悔◯ Sロイスに指定します
GM:SロイスOK!
鴻上禮次郎:以上で!

【Middle17 シーンPC:新垣御守 日馬美礼】

日馬 美礼:1d10+97
DoubleCross : (1D10+97) → 2[2]+97 → 99

新垣御守:1d10+68
DoubleCross : (1D10+68) → 5[5]+68 → 73


GM:----------
GM:第二支部
GM:----------

GM:同時襲撃事件から二週間ほどが経った。
GM:襲撃直後に残されていた生々しい血痕や、破壊された調度品の類は片付けられており、
GM:停止させられた施設もある程度の復旧が進んではいるが、
GM:それでもやはり、まだあちこちに襲撃の傷跡が残されている。
GM:そんな第二支部で、君はひとり立ち尽くしていた。
新垣御守:手の中にあるのは、ぼやけた灰色のプリントアウト。
新垣御守:監視カメラの1つに映し出されていた、見間違えるはずのない黒髪の相貌がそこにはある。
新垣御守:「……ちょっとは手加減しなよ。ホント」
新垣御守:溜息を吐き、灰色に焼き付けられたコピー紙をくしゃくしゃにして捨てる。
GM:そこに、廊下の向こうから、聞きなれたきゅるきゅるという車椅子の音。
GM:第四支部支部長、日馬美礼。そしてもう一人。
GM:日馬支部長の自走式のはずの車椅子を、わざわざ自らの手で押してくる長身の女。
新垣御守:「……ん、っと」
GM:日馬の部下であるUGNエージェントだ。
日馬 美礼:「やあ」
新垣御守:壁に寄りかかって物思いに耽っていたがそちらに視線を送る。
新垣御守:「あー、ういっすういっす。そちらさんが、えーっと」
白南風白蘭:ぺこりと一礼。
白南風白蘭:「第二支部長の、新垣さんですね~?」
日馬 美礼:「白南風白蘭。うちのエージェントだよ。まあ、挨拶は後にしよう」
白南風白蘭:「白南風です。いつも日馬がお世話になっております~」
新垣御守:「ぷっはは!」
新垣御守:「噂の新入りさん、やっぱ面白そうな子じゃん。美礼ちゃん」
日馬 美礼:「だろ? お気に入りでね」くふふ。と笑う。
新垣御守:「そーそ、私が新垣。ま、よろしくね」
新垣御守:「いやー、こんな機会でも無かったら女子トークでもしたかったんだけどさ」
日馬 美礼:「そういうわけにもいかないね。まずは真面目な話がある」
日馬 美礼:「新垣支部長」ミモリ、ではない。
新垣御守:「……あいさ。どしたの」
日馬 美礼:「本件の責任者として判断する。UGNとしては、リリアナ・マルティネスの捕殺に、第一方針を固めざるをえない」
日馬 美礼:「異論は?」
新垣御守:「……」
新垣御守:「あるわけないって」
日馬 美礼:「まあそうだろうね。そこを誤るような人間じゃないのはよく知ってる」
日馬 美礼:人の悪い笑みが戻る。
新垣御守:「……偶に言ってくる人もいるんだけどさ」
新垣御守:「私が言ってる死なせないようにっていうの、ただの努力目標だから」
新垣御守:「1人生かして捕まえるのに躍起になって」
新垣御守:「こっちで2人死なせるようだったら、迷わず撃ってって」
新垣御守:「……計算合わなくなったらさ、それこそオシマイだから」
日馬 美礼:「いや、そこは重要だよ。ぼくらが忘れちゃいけないものだ」
日馬 美礼:「……でも、やっぱり少し冷静さを失ってるね? ミモリ」
日馬 美礼:「いいかい。ぼくはこう言ってるんだぜ」
日馬 美礼:「ロス・サングレスの検挙より、リリアナの殺害を優先しろ、って」
日馬 美礼:「いちおう、それなりの理由はあるんだが」
新垣御守:「それって……あー」
新垣御守:「連帯指示系としての判断?上からのお達し?それかまた別の?」
日馬 美礼:「個人的な話をしようか」
日馬 美礼:問じたいには答えずに、ことばを続ける。
日馬 美礼:「ぼくら第四は技術局を名乗ってるが、実際のところ」
日馬 美礼:「UGNの持っている技術の先進性というのは、業界じゃ大したことはない」
日馬 美礼:「何しろ倫理規定が厳しいからね。先進性じゃFHに、実用性じゃ米軍あたりにすら遅れを取る」
日馬 美礼:「でも、そんなUGNが、たったひとつだけ。他の組織より優越する技術があるんだが」
日馬 美礼:「それが何かわかるかい、ミモリ?」
新垣御守:「私技術屋じゃないし、クイズも得意じゃないよ」
日馬 美礼:「きみのほうが得意なやつなんだけどな」
日馬 美礼:「チルドレン」
新垣御守:「……」
日馬 美礼:「ロイス理論を基盤にした、チルドレンの育成・教育カリキュラム」
日馬 美礼:「面白いことに、これを真面目に取り合っている組織は、UGNの他にほぼ存在しない」
日馬 美礼:「言い換えれば」
日馬 美礼:「これが、UGNの持っている唯一の特殊性だし、穢させてはいけないたぐいのものでもある」
日馬 美礼:「リリアナは」
日馬 美礼:言葉を切る。反応を伺うように下から目線を合わせる。
日馬 美礼:「裏切りは問題じゃない。犯罪者になるのだって珍しい話じゃないさ」
新垣御守:「……その漏出要因となる」
新垣御守:「って事、でしょ」
日馬 美礼:「漏出原因どころか」
日馬 美礼:「"彼女はそれを、すでに外で安定化させようと試みてる"。ぼくとしてはそう判断せざるをえない」
日馬 美礼:「どうかな。彼女に育てられた身としては。ミモリ」
新垣御守:「……あのさ」
日馬 美礼:「うん。何かな」
新垣御守:わしわし頭を掻いて
新垣御守:「どこまで聞いてる?どんな感じで?」
日馬 美礼:「きみの略歴とリリアナとの馴れ初め。あとは当時の報告書の類は一通り読ませてもらったよ」
日馬 美礼:「直接の聞き込みはやってないから、書面になってないものは知らないけど」
新垣御守:「……プライバシーとか、無いんだもんな~」
新垣御守:「言ってる場合でもないけど、ったく」
新垣御守:苦笑しつつ
日馬 美礼:「不公平に考えるならぼくのも読んでいいよ。全部公開してるから」
日馬 美礼:「……ところで、このあいだ届いたメキシコ旅行記は読んだかい?」
新垣御守:「一応ね。タコスがどうとかって」
新垣御守:「あの子も結構肝太いわ」
新垣御守:「流石第四さんのお墨付き」
新垣御守:本題から逸らすように、戯ける。
日馬 美礼:「きみ、うちのことを何だと思ってるんだい」くふふと笑って。
日馬 美礼:「あれさ。不自然じゃなかった?」人の悪い笑みを浮かべたまま。
新垣御守:「チキンってのも、悪くはないんじゃないの」
新垣御守:「人の好みによるでしょ」
新垣御守:冗談めいて、俯きながら
日馬 美礼:「ぼくはマトンとかのが好きだなあ」
日馬 美礼:頬杖をついて。
日馬 美礼:「ロス・サングレスの拠点から生産基地まで片道四日強」
日馬 美礼:「チコって子の能力チャージにどんだけかかるか知らないけどさ」
日馬 美礼:「普通、まともなオーヴァードなら、そんだけあったら体力回復はお釣りが来るよね?」
日馬 美礼:「一日で戻れるっていうなら話はわかるよ。わざわざ陸路を選んだ理由があるかな?」
新垣御守:「……クイズは得意じゃないんだって」
日馬 美礼:「クイズねえ。じゃあもうひとつ」
日馬 美礼:「途中で彼女らが通過した"整った街区"ね。カルテルに制圧されていてるっていう」
日馬 美礼:「ジャングル走破できる車使って、わざわざそこを通過した理由、思いつくかい?」
日馬 美礼:「リリアナのプロファイルは、ミモリのほうがよく知ってるだろ?」
新垣御守:「派手好きだったけどね」
新垣御守:「……無駄は嫌いな人だったよ」
日馬 美礼:「目下の相手をつれて、わざわざ自分の顔が知れてる危険な相手のお膝元を通過する」
日馬 美礼:「半日どころか数時間にも満たない短縮のために、わざわざそんなコースは選ばない?」
新垣御守:「理由がなきゃ、選ばないでしょ」
新垣御守:「美礼ちゃんさ」
日馬 美礼:「何かな」
新垣御守:「性格悪いって言われない?」
日馬 美礼:「よく言われる」
新垣御守:「だよね、ま」
新垣御守:「ズカズカしてる人は結構好きだよ」
新垣御守:「……慣らしでしょ、要するに」
日馬 美礼:「そう。慣らし、もしくは必要な作業工程」
日馬 美礼:「ざっくり省略して言うならさ。チコは、きみだ。ミモリ」
日馬 美礼:「リリアナ・マルティネスは、きみをモデルケースにして、ロス・サングレスで彼女の"子どもたち"を育てようとしてる」
新垣御守:「それによっぽど、カエル女なんかより使い出がある」
日馬 美礼:「どうかな。耐用年数十年近いチルドレンは統計上そうとう貴重だぜ?」
新垣御守:「どーも、16歳の支部長サンに言われると嬉しいよ」
新垣御守:「……」
新垣御守:少し沈黙して
新垣御守:「……リリ姉は、そんな事しない」
新垣御守:「ってさ」
新垣御守:「言いたいよ。本当なら」
日馬 美礼:「言いたい?」
新垣御守:「言いたいだけだよね」
日馬 美礼:「きみをモデルケースに選んだのは…」
日馬 美礼:「きみなら裏切らない、それこそ何年経っても自分に従ってくれる」
日馬 美礼:「あるいは、自分が死んだ後に志まで継いでくれるだろうって」
日馬 美礼:「そんな確信があったからかもしれないけどね。まあこれは予断だな」
新垣御守:「あの人の気持ちの矢印が逆向いちゃったなら」
新垣御守:「そうするでしょ。私はもう」
新垣御守:「こっちで行く事にした……実際」
新垣御守:「電話もかかってきたよ。大して情報にもなんなかったから話して無かったけど」
日馬 美礼:「帰ってこい、って?」
新垣御守:「そ、無理って断ったけどね」
新垣御守:「……だから、なおさら別のアヒルの雛をもっかい連れて行くしかない」
新垣御守:「ふざけんな、って思うよ。何考えてんだって」
新垣御守:「でもさー」
日馬 美礼:探るように、目線を合わせている。
新垣御守:「昨日の自分と明日の自分なんて、別の人間じゃん」
新垣御守:「どう転んでもいいし、どう変わってもいいって……」
新垣御守:「あの人が言ってた」
新垣御守:「だから、あの人だけ変わんなって言っちゃったら」
新垣御守:「……そんな酷いこと、言えないよ」
日馬 美礼:目を細める。
日馬 美礼:「話を持ち出してよかったよ」
日馬 美礼:「……白蘭だけ連れてきた理由でもあるんだが」
日馬 美礼:「UGN内に、彼女のシンパが残ってる可能性はかなり濃いよね?」
新垣御守:「はは!どうかな」
新垣御守:「結構手は早い感じだったから。無きにしもあらずだよね」
新垣御守:「分かんないでしょ。そんなの。そいつら次第だよ」
新垣御守:「今の状況だってどう思ってもいいし、なんとも思ってないかも」
日馬 美礼:「そうだね。だといいんだけど」とさり、と車椅子の背もたれに身を預ける。
日馬 美礼:「これは怒っていいけど、少し羨ましいよ。ぼくは、そういうのに縁がないから」
新垣御守:「……あー」
新垣御守:「どういうの?」
新垣御守:「クイズは、マジでダメなんだって」
日馬 美礼:「葛藤に縁がないっていう話。親代わり姉代わりは、裏切るより先に死ぬようなやつばっかりだからね」
新垣御守:「うわっ、それ性格最悪の皮肉にしか聞こえないよ?」
新垣御守:「私以外には」
日馬 美礼:くふふ。と笑う。
新垣御守:「……これはさ」
新垣御守:「いいんだよ。あの人がくれた」
新垣御守:「選ぶってことは、いい」
新垣御守:「だから、選ぶことにしてる。何回でも、どんな時にも。選ばない私は、私じゃない」
新垣御守:掌の中に、ずっと重さがある。
新垣御守:銃一丁分の重さ。あの日投げ捨てた重さが。
新垣御守:「……誰にも譲れないよ、だから」
新垣御守:「羨ましいでしょ?」
日馬 美礼:「心底」
新垣御守:今度はこちらが唇の端を、意地悪そうに上げて
新垣御守:「……さーーってと」
新垣御守:「メンヘラカウンセリング終わり、あー」
新垣御守:「白南風さん、退屈してなかった?」
白南風白蘭:「……あ、終わりましたか~?」窓の外の蝶々から視線を戻す。
日馬 美礼:「終わった。じゃあ、報告よろしく、白蘭」
白南風白蘭:「はい。第二支部は皆さんお忙しいそうなので、代わりに私が~」
白南風白蘭:真剣な空気を意に介さぬ、フワフワした口調。
白南風白蘭:「先日の同時襲撃の件、中間事後報告ですね~」
新垣御守:「聞く聞く。状況は?」
GM:白南風は資料を捲る。しばらくつらつらと長ったらしい報告が続き、被害状況の項目に差し掛かる。
白南風白蘭:「まず警察側、麻薬取締部側の被害ですが、重傷者2名、軽傷者7名、殉職1名となってますねぇ」
GM:殉職者。五十嵐のことだ。
白南風白蘭:「負傷者は命に別状なし、UGNの治療で既に現場復帰済みです~」
日馬 美礼:人の悪い笑顔はそのままで、内心は今ひとつ伺えない。
白南風白蘭:「この件で色々と突っつかれてるみたいですが、そこは省略しますね~」ぱらぱらと資料を飛ばし。
新垣御守:「土下座回りパート2発動だね……はぁあ……」
白南風白蘭:「それで、肝心の第二支部の被害ですが~」ちらり、と支部の様子と新垣さんを見る。
新垣御守:「……いいよ、続けて」
新垣御守:「気なんか遣わなくていい。私はそういう立場じゃない」
白南風白蘭:「それでは~」にっこりと笑う。
白南風白蘭:「破壊された施設に関しては、既に他支部のモルフェウス能力者を中心に支援を要請、」
白南風白蘭:「大半が修復され、現在は通常業務には支障をきたさない形まで復旧しています」
白南風白蘭:「続いて人的被害ですが」
白南風白蘭:「オーヴァード、非オーヴァード合わせて重傷者3名、軽傷者12名」
新垣御守:「……死人は?」
白南風白蘭:「…………」少し目を伏せて、
白南風白蘭:「この内、唯一直接応戦したエージェント、"ナイトメアブリンガー"……え? 誰が考えたんですかこの名前?」
新垣御守:「それはいいから……いや私もちょくちょく思うけど」
新垣御守:「……ジロくんが?」
新垣御守:最も負傷が大きかったと報告を受けている。
白南風白蘭:「……"ナイトメアブリンガー" 田井中次郎は特に大きな負傷を受け、つい昨日まで意識不明でしたが……」
新垣御守:故に、覚悟はしている。
白南風白蘭:「つい先程……」
白南風白蘭:「…………」
新垣御守:「……そっか」
白南風白蘭:「……意識が戻られたそうです!わ~!よかったですね~!」ぱちぱちと拍手。
新垣御守:ずこーーーっ!
新垣御守:古典的にすっ転ぶ
日馬 美礼:「やあ、見事に膝から行ったね。大丈夫かい」
新垣御守:「……だからさぁ」
新垣御守:「クイズ番組大好きコンビか!!」
新垣御守:「ったくも~……」
新垣御守:パシパシと埃を叩きつつ
白南風白蘭:「田井中さんは道坂病院に入院中だそうです~」
白南風白蘭:「お見舞いに行くと入院患者は喜ぶ傾向が高いですよ~」
新垣御守:「オッケーオッケー、あー」
新垣御守:「林藤さんと仲良くするようにって、伝言といて」
白南風白蘭:「了解しました~」メモを取る。
新垣御守:「一段落ついたら美味いお菓子でも買っていってやんないと」
日馬 美礼:「ああ。身内への挨拶は、色々片付いてからだね」
新垣御守:安堵の表情で伸びをしつつ
新垣御守:「なんかオススメの店ある?美礼ちゃん」
新垣御守:「そういうの、詳しいって聞いてるから」
日馬 美礼:「あとでお使い用のデータベースでも渡すよ」
新垣御守:「ありがと、恩に着る」
新垣御守:ウィンクして
日馬 美礼:「どういたしまして」
新垣御守:「……死人はゼロ、か」
新垣御守:「私にはもったいない部下だよ。ホント」
日馬 美礼:「誇れるように、ぼくらも仕事の続きといこうか。ミモリ」
日馬 美礼:自分にとっての部下であるところの白蘭にウィンク。
白南風白蘭:「?」
白南風白蘭:首を傾げる。
新垣御守:「そうだね。がんばってよかったって、思えてもらえた方がいい」
新垣御守:「うし!気合い入れてくか!」
新垣御守:パシッと自分の頬を張りつつ、部屋を出ていく。

GM:時刻は零時を回ろうとしていた。君は疲れた足で、久々の家路を急ぐ。
GM:普段はただ寝に帰るだけのような家。この日もそうであるはずだった。
GM:だが、違った。
GM:君のマンションの前、路上に、ごく小さな赤い光が見える。
新垣御守:「……?」
新垣御守:目を細める
GM:目を凝らしてみると分かる。恐らくは、煙草の火だ。
新垣御守:いつものように、ドリンク剤入りのビニール袋を手に下げて
新垣御守:火の方に進んでいく。今度は取り落とさない。
新垣御守:「あのさ」
新垣御守:「路地は全区画禁煙なんだよ」
新垣御守:「今はそうなの、この国じゃ」
GM:近付いてみると、その輪郭が徐々に明らかになる。
GM:長い黒髪。ライダースジャケット。
GM:煙草の火が闇の中で動き、
GM:ふう、と煙を吐く音がする。
リリアナ:「……へえ、知らなかったよ」
リリアナ:月明かりに照らされたリリアナが、君を見て笑みを零す。
新垣御守:「覚えといた方がいいよ。どこもうるさいから」
リリアナ:「なるほどな」
リリアナ:煙草を地面に捨て、靴で踏み消す。
新垣御守:「私は吸わないけどね。今も」
新垣御守:こっちも、笑い返す。
新垣御守:涙腺が、今だって震えそうになるけど、耐えられる。
新垣御守:もう心は、ハッキリと定まった。
リリアナ:「そんな恰好して?」
リリアナ:じろじろと君を見る。
新垣御守:「これ?これは趣味じゃないってば」
新垣御守:「髪に合わせてんの。その方が分かりやすいでしょ」
新垣御守:「何かと、分かりやすいのが大事なわけ。立場があるとさ」
リリアナ:「立場ねえ」
リリアナ:つまらなそうに。
新垣御守:いつものように、あの日のように笑いかけながら
新垣御守:ポケットの中で、スマホを操作する。
新垣御守:録音と、位置発信。手がかりを少しでも握りたい。
リリアナ:「支部長だもんな、UGNの」
リリアナ:「……それでそんなに」
リリアナ:じっと君の手元を見る。
リリアナ:「薄情になっちまったのか?」
新垣御守:「……ち」
新垣御守:「どの口が言うんだか」
新垣御守:操作を止める。
リリアナ:「久々の再会ってのに、連れないな」
新垣御守:「大事な支部がめちゃくちゃなんだよ」
新垣御守:「妹分の食い扶持はどうなってもいいわけだ」
リリアナ:「たかが一人に制圧されるほうが悪い」
リリアナ:「ガッカリしたぜ。お前の支部って聞いて、期待してたのにな」
新垣御守:「うわっ、出てったくせに先輩面」
新垣御守:「そういうのウザがられるって、最近だと」
新垣御守:かつかつとアパートの階段を上る
リリアナ:「あー、ちょっと待て」
新垣御守:「……上がってかないの?」
リリアナ:「やめだ、やめ。こんな言い合いしに来たわけじゃねえんだよ」
リリアナ:頭をぼりぼり掻き、
リリアナ:「お前の部屋にもちょっとは興味はあるけどな」
新垣御守:「……だったら」
新垣御守:「何?」
新垣御守:スマートフォンの代わりに、死角で懐手
リリアナ:「うん、あれだ」
新垣御守:掴むのは、ナイフの柄。
リリアナ:「ラーメン食いにいこうぜ、御守」
新垣御守:「………………。」
新垣御守:「いや」
新垣御守:「さっすがに予想外だわ」
新垣御守:脱力する。
新垣御守:「……マジで言ってる?」
リリアナ:「離れて以来こっちの味が忘れらんなくてさぁ」
リリアナ:「向こうのはラーメンってより、ヌードルだろ、ありゃ」
新垣御守:「あー」
新垣御守:「ラーメンってさ、無いんだよね。結構、あのカンジ」
新垣御守:「いや、じゃなくて」
リリアナ:「ほら、さっさと行こうぜ。昼飯抜いてきてんだよ」
リリアナ:言うや否や、君に背を向け歩き出す。
新垣御守:「それでここまで来たわけ?」
リリアナ:「そうだけど?」
リリアナ:「ほら、忘れたか?」
リリアナ:「遅れた方の奢りだぞ」
新垣御守:「……」
新垣御守:呆然と、その背中を見て
新垣御守:「ちょっと、マジで……あのさぁ」
新垣御守:「ほんっと……ああ」
新垣御守:天を仰いで、目を瞑って
新垣御守:走り出す。リリアナの背中に向かって。
新垣御守:そのまま追い越していく。
新垣御守:「覚えてるよ!バカ姉!!!」
リリアナ:「……はっ」
リリアナ:リリアナはそれを見てひとつ笑い、歩みを早めた。

リリアナ:「まさかまだ残ってるとはなあ」
リリアナ:リリアナがラーメンを啜る。
新垣御守:「腕がいいんじゃないの。やっぱ」
新垣御守:こちらもずるずると
GM:かつて、任務の後によく二人で来ていた屋台。
GM:味はあの頃とまるで変わっていない。
リリアナ:「いいことだ。価値あるものが残るってのは」
リリアナ:ショウガをバサバサとトッピングしながら。
新垣御守:「……よく言うよ、ホント」
新垣御守:「マジで、分かってると思うけど」
新垣御守:「アンタ、やってる事的にも、目の前の人間との関係的にも」
新垣御守:「即、ぶっっっっっ殺されてもおかしくないんだからね」
リリアナ:「まあ、だろうな」
リリアナ:平然とした顔。
新垣御守:「……しょうが」
リリアナ:「ん?」
新垣御守:手を出す
新垣御守:「しょうがを渡せっつってんの」
リリアナ:「ん」
新垣御守:「ん」
リリアナ:ほとんど空になったそれを手渡す。
新垣御守:「……」
新垣御守:「おっちゃん!!しょうが!!ない!!」
新垣御守:「山盛りで!超特急で!持ってきて!!」
GM:「あら、ごめんねえ。今日はもう遅いから、切れちゃったんだよぉ」
GM:人の良さそうな老店主が、申し訳なさそうに言う。
新垣御守:「…………」
新垣御守:ゴン、とカウンターに頭を打つ。
GM:「ごめんなさいね」
新垣御守:「マジで」
新垣御守:「ぶっっっっっっ殺されても、おかしくないからね!!」
新垣御守:がるるるる、とリリアナを睨む。
リリアナ:「やらねーぞ」山盛りのしょうがをパクパクと口に運ぶ。
GM:そのまましばらく、二人でラーメンを啜り。
GM:不意に、リリアナが口を開いた。
リリアナ:「まあ、これが食べたかったってのもマジだけど」
リリアナ:「それだけじゃない。てか、んなわけねえだろ……」
新垣御守:「……」
リリアナ:「つまんねえ話がしたくなったんだよ」
リリアナ:器に視線を落としたまま話す。
新垣御守:「それだけじゃ、ダメなの?」
新垣御守:ぽつりと零す。
リリアナ:「…………」
リリアナ:その意味をおそらくは理解しつつ、
リリアナ:返答はしない。
新垣御守:「……ちょっと、ホントに、バカだな」
新垣御守:「すっげー、今、バカ言った……はは」
新垣御守:「こんな店連れてくるからだよ」
新垣御守:肘をカウンターについて
新垣御守:「話って?」
リリアナ:「…………ほんとに、つまんねえ話だよ」
リリアナ:「昔のお前には聞かせられなかったくらい、しょうもねえ話」
リリアナ:「……聞く気、あるか?」
新垣御守:「聞くよ」
新垣御守:「昔の自分と、今の自分は違う」
新垣御守:「どうにだって変われるから」
リリアナ:横目で、君を見る。
リリアナ:「……それ、点いてないよな」スマートフォンの録音のことを言う。
新垣御守:たん、とテーブルの上に置く
新垣御守:「ぶっ壊してもいいよ」
新垣御守:「私もさ、今は、色々整理ついたから」
新垣御守:「あの時、アンタに拾われた子供でもない」
新垣御守:「UGNの正義の味方でもない」
新垣御守:「……友達だから」
新垣御守:「聞かせてよ」
リリアナ:スマートフォンをちらりと見て、「……は、別にいいよ」
リリアナ:「親父さんにも聞かれちゃうしな」
新垣御守:「そりゃそうだ」
新垣御守:くくっと笑う
GM:老店主はさりげなく首を振る。客のことには関わらない主義らしい。
GM:少しの静寂の後、リリアナは静かに話し出す。
リリアナ:「私の母親はアメリカ人でな。父親はカルテルのギャングだった……らしい。名前も顔も知らないけどな」
リリアナ:「何せ母親は、物心付いた頃にはもう狂っちまってたからな。まともに話ができたことは一度もない」
リリアナ:「これも祖母……に当たる相手から聞き出したことなんだが、どうも母はメキシコ旅行中にカルテルの男に拉致されて、レイプされたらしくてな」
リリアナ:「その時、旦那になるはずだった相手も殺されたらしい。私を堕ろさなかったのも、既に正気じゃなかったんだろうな」
リリアナ:くく、と笑う。
新垣御守:「……身の上話なんて」
新垣御守:「初めて聞いた」
新垣御守:言葉少なに、結露のついたコップを口に運ぶ
リリアナ:「だから言ったろ。つまんねえ話だって」
リリアナ:「こんなの、誰にも話したことねえよ」
リリアナ:やや不服そうに。
リリアナ:「……で、私が生まれた。母親は子育てなんて出来る状態じゃないし、祖父母に当たる人らも引き取りを拒否したってんで、施設に入れられることになった」
リリアナ:「まあ……お決まりの話で、その施設ってのが酷い有様でな。なんとか逃げ出したのが8か9の頃かな」
リリアナ:「でも、そんな歳の子供があの国で一人で生きていくには、盗みか、麻薬に関わるか、売春しかない」
リリアナ:「私が選んだのは二番目だった」
リリアナ:「運び屋というか、使い走りだよな。警察も子供はよく調べないから、かなり白昼堂々運べるんだ。こう、クッキーが入ってるような紙袋に、コカイン詰めてさ」
リリアナ:懐かしむような口調。
リリアナ:「……で、初めて人を殺したのが11の頃」
リリアナ:「しつこく言い寄ってくる男に襲われそうになって、咄嗟に近くにあった銃でさ。たまたま頭に当たって、一発で死んじまった」
リリアナ:「でもそれが丁度、私が下っ端だったカルテルの縄張りを荒らしてたチンピラだったらしくてな」
リリアナ:「たんまり報酬を貰って、気付けばシカリオになってた」
新垣御守:「……それで」
新垣御守:「それが、その連中との付き合いが」
新垣御守:「今も続いてるわけ?」
リリアナ:「……まあ、それもあるな」
リリアナ:咥えた楊枝を動かす。
リリアナ:「つまりは、私はUGNからシカリオになったんじゃない。結局、元に戻っただけなんだよ」
リリアナ:リリアナは自嘲して笑う。
新垣御守:「なんでさ」
リリアナ:「ん」
新垣御守:「戻らない事は、選べなかったわけ?」
新垣御守:「手柄も立てて、本部にまで行って」
新垣御守:「なんでそれで、また」
リリアナ:「……どうだろうな……」
リリアナ:「他の道もあったのかもしれない。ただ、私には見えなかっただけなのかもな」
リリアナ:リリアナは黙り込む。
新垣御守:「……私じゃ」
新垣御守:「私じゃ足りなかったの?」
リリアナ:「………………」
新垣御守:「信じて欲しかったよ」
新垣御守:「変わるななんて、私が、助けてもらった私じゃ口が裂けても言えないけどさあ」
新垣御守:「自分のやった事は意味があるって、きっと価値があるって」
新垣御守:「私は、私は」
新垣御守:「アンタのなんなんだよ……」
リリアナ:「………………」
リリアナ:リリアナは一度、口を開いて何かを言おうとして、
リリアナ:それを、呑み込んだ。
リリアナ:「……続けるぞ」
新垣御守:何も言えない。
新垣御守:どれだけ押し殺そうとしても、頭の中のぐちゃぐちゃはすぐ湧き上がってくる。
リリアナ:「……シカリオになって何年か後に、オーヴァードに覚醒した。これでもう敵無しだと思った矢先に……UGNに捕まったんだ」
リリアナ:「最初は抵抗したけど……まともな教育も受けられて、身分も与えられて、エージェントにしてもらって……恵まれてたよな。ツイてたよ」
リリアナ:「……で、ある時、中国政府と連携して、ミャンマー辺りのオーヴァード関連テロ組織を叩こうってことになってな。私も駆り出された」
リリアナ:「……それで、その時……」
リリアナ:リリアナは少し言葉を切って、
リリアナ:「……お前と出会った」
リリアナ:褪せた瞳で、君のことを見る。
新垣御守:その目と向き合う
新垣御守:あの日、覗き込んだ瞳と
新垣御守:光は褪せても、同じ色だ
リリアナ:「……一目見て思ったよ。こいつは私に似てるって。理由は分からないけど、とにかくそう思った」
リリアナ:「お前といるのは、楽しかったよ。充実してたし、自分は正しいことをしているっていう実感が持てた」
リリアナ:「エージェントとして立ち直っていくお前を見てると、自分まで誇らしい気持ちになったよ。何だか、私の過去まで救われるような気がした」
リリアナ:リリアナの表情が綻ぶ。人生で最も輝かしい時期を回想する人間の顔。
新垣御守:じゃあ、なんで。
新垣御守:そう叫びそうになって、押し殺す。
新垣御守:きっとこの人は、それを話に来たんだから。
リリアナ:「……だからかな」
リリアナ:その表情に、影が差す。
リリアナ:「自分も、真っ当な人間になれるだなんて思っちまったのは」
リリアナ:リリアナは嘲笑する。過去の自分を、或いはその運命を。
リリアナ:「……UGN本部での仕事は、思い通りにいかないこともあったけど、やりがいがあったよ。自分でも、よく頑張ってたと思うぜ、本当」
リリアナ:「でもある日、気付いちまった。本部に流れる、不審な金の動きに」
リリアナ:「見ないふりすりゃよかったんだよな。でもその時は止められなかった。調子に乗ってたんだよ、要は。私がこの不正を暴いてやるって張り切ってさ」
リリアナ:「で、結局。私は本部の一部派閥が政府官僚に不正献金を行なってることを突き止めた。……突き止めちまった」
リリアナ:「……昔、お前と埠頭でFHチルドレンを捕まえたことがあっただろ。覚えてるか?」
リリアナ:話が不意に飛躍する。
新垣御守:「夜の……港で」
新垣御守:リリアナの紡ぐ言葉に呆然としつつ
新垣御守:記憶を辿り、呟く
リリアナ:「そう、それだ」小さく頷く。
リリアナ:「あの子、FHなんかに入っちまったのが悪運だっただけで、根はいい子でさ」
リリアナ:「ちょくちょく、その後も様子を見に行ってたんだ」
リリアナ:「…………」
リリアナ:リリアナの目が、暗く沈み込む。
リリアナ:「いつも予算カツカツのUGNが、どうやって不正献金なんて捻出してたか分かるか?」
新垣御守:「まさか……」
リリアナ:「……そう」
リリアナ:「……企業だよ。レネゲイドの研究データ、どころかオーヴァードやジャームそのものまで検体として、企業に横流ししてたんだ。よくある話だ。三位一体の腐敗だよ」
リリアナ:「名簿の中には、私達が助けたあのチルドレンの名前もあった。……いいや、助けたと思ってた、だな。結局、私らが殺したようなもんだ」
リリアナ:横顔に、深い悔恨を滲ませる。
新垣御守:「じゃあ、あの後」
新垣御守:「……そんな」
新垣御守:ただ、リリアナの横顔を見つめることしか出来ない。
リリアナ:「…………」胸元をさぐり、煙草が空であると気付き、しまう。
リリアナ:「……踏み込み過ぎたと気付いた時には、もう遅かった。私は危うく消されかけて、UGNを逃げ出すしかなくなった」
リリアナ:「……それで、故郷に帰ってきた。メキシコは世界でも特にUGNの立場が弱い地域だからな」
GM:FHと麻薬カルテルの台頭により、UGNメキシコは弱体化の一途を辿っている。確かに身を隠すには絶好の場所だろう。
リリアナ:「結局、正しい道を歩むどころか、お天道様の下を歩けなくなっちまったわけだ。UGNに戻ることも、まともな仕事に就くことも出来ない」
リリアナ:「それでまた、三択を迫られることになった」
GM:即ち、盗みか、麻薬か、売春か。
リリアナ:「敵対組織のオーヴァードを散々殺したよ。ギャングなんて言っても所詮アマチュアだ。UGNで訓練を積んだ私の敵じゃなかった」
リリアナ:「UGNからも何度か刺客が差し向けられてきたよ。一々確認はしてないけど、地元支部だけじゃなく本部のオーヴァードもいたと思う。あいつら、私が生きてると都合が悪いらしい」
リリアナ:また嘲るように笑う。
リリアナ:「戦って、戦って、戦い続けて。……戦い過ぎたんだな」
リリアナ:「ツケが回ってきた」
リリアナ:自らの掌を見る。
リリアナ:「UGNの調整も受けずに、対抗種のレネゲイドを使い続けたツケだ。全身あちこち喰われちまってさ」
リリアナ:「どうも、長くないらしい」
リリアナ:「気を付けろよ。お前も対抗種だろ」
リリアナ:はは、と笑う。
新垣御守:「……」
新垣御守:死ぬ。眼の前で笑っているこの人が。
新垣御守:報告にも、何らかの病を患っている、過労の可能性はあると、そう書かれていた。
新垣御守:本人の口から告げられて、絶対の事実として、それが杭のように胸に撃ち込まれる。
新垣御守:組織の腐敗、浅はかだった自分、リリアナに降り掛かったすべて。
新垣御守:ぐちゃぐちゃになった頭の中は、収まる気配がない。
リリアナ:「……で、だ」
リリアナ:「……最初は諦めて、適当に死んでやろうと思ったよ。自分のやってきたことを思い返して、バカみたいに教会に行ってみたりした。ウケるよな」
リリアナ:「でも、そんな時に久々にこの国に来て、考えが変わった」
リリアナ:「ここは、あまりに綺麗だった。記憶の中の美しい姿と、まるで変わらないままだった」
リリアナ:「正義が正義としてあり続け、子供は未来に希望を持って、誰もが暴力と死に怯えることなく暮らしている。それが当然であるかのように」
リリアナ:「……虫酸が走ったよ」
リリアナ:リリアナの顔が、歪む。
リリアナ:浮かんだその感情は、憎悪。
新垣御守:「……え」
新垣御守:混乱の中、その表情に
新垣御守:心のすべてが静止する。
リリアナ:「オーヴァードの苦しみを知らずに安穏と暮らしている人間が憎い、FHの連中はよくそんな理屈を吐くだろ」
リリアナ:「昔はそんなの分からなかった。自分勝手で愚かな話だってな。でも、故郷からこの国に来てようやく分かったよ」
リリアナ:「痛みを知らずに生きてる連中を、自分と同じところまで引き摺り下ろしてやりたいって気持ちがな」
リリアナ:「……痣徒会は全国に販路を持つ巨大組織だ。あそこに商品が流れれば、ドラッグとそれを巡る暴力は、一気に国全体に拡散する」
リリアナ:「撒かれた火種はもう収まらない。ドラッグの生み出す莫大な金とオーヴァードの絶対的暴力は権力を蝕んで、この国の基盤を根底から腐らせていくだろう」
リリアナ:「私はこの国を、地獄に変えてやる」
GM:そう言ったリリアナの憤怒と憎悪は、確かに真実のものだった。
GM:だが君は、恐らく世界で君だけは、その表情の中に、何か別のものを感じ取れる。
GM:それが何かは分からないが、世界そのものに向けられたような、果てしなく大きな怒りの底に、もっと大きな何かが隠されているかのような。
新垣御守:「あのさ」
新垣御守:「……あのさ」
新垣御守:拳を握りしめる。震えている。
リリアナ:「……」それを横目で見る。
新垣御守:「一息に、そんなこと言わないでよ」
新垣御守:「一つ一つ、こっちはさ、飲み込もうとしてるのにさ」
新垣御守:「ほんと、何ていうか……勝手だよ」
リリアナ:「私と何年もやってきて」
リリアナ:「今さら分かったのか?」
リリアナ:はん、と笑う。
新垣御守:バァン!!
新垣御守:カウンターを叩き、立ち上がり
新垣御守:リリアナの胸ぐらを掴む!
新垣御守:「分かってたよ……!分かってても……!!」
新垣御守:手が震えているのは、怒りのせいだ。
リリアナ:「……放せよ」
リリアナ:小さく呟く。
新垣御守:「なんで何にも言わないんだよ!!」
新垣御守:「なんで、一回でも」
新垣御守:「私に話してくれなかったの」
リリアナ:「……バカ、言えるかよ、こんなの」
リリアナ:胸倉をつかまれたまま。
新垣御守:「地獄に堕ちるにも一緒だって……」
新垣御守:「言ったじゃん……」
リリアナ:「……はは」
リリアナ:「よく覚えてたな、そんなこと」
リリアナ:「言って、どうなった」
リリアナ:「何かが変わったか?」
リリアナ:「お前も追われる身になって」
リリアナ:「それだけだ。何も変わらない」
新垣御守:「違う!!」
新垣御守:「1人と、2人は全然違うんだよ」
新垣御守:「違う答えが出せる、違う世界になる」
新垣御守:「……私は」
新垣御守:「アンタが教えてくれたことを……返したかった」
リリアナ:「……教えた、こと?」
新垣御守:「差し伸べられた手があれば」
新垣御守:「未来は選べるんだよ」
新垣御守:「……リリ姉」
リリアナ:リリアナは沈黙し、天を仰いだ。そうして長い息を吐き出す。吸ってもいない煙草の煙を、吐き出すかのように。
リリアナ:「……そうかもしれない」
リリアナ:「お前の言ってることは、正しいかもしれない」
リリアナ:「……でも、もう遅いんだ」
リリアナ:「そうはならなかったんだよ」
リリアナ:「……アニー……」
新垣御守:「そんな事……誰も決めてない」
新垣御守:「私が決めさせない」
新垣御守:「だから」
新垣御守:「私はアンタを諦めない」
新垣御守:「テロなんて間違ってるだの、子供を兵隊にするなだの」
新垣御守:「そういう話じゃない」
新垣御守:「……私は!」
新垣御守:「アンタの世界に1人になりたい」
新垣御守:「……リリ姉。隠さないで、何も」
新垣御守:至近距離で、まっすぐに見上げる。
新垣御守:「妬ましいから全員殺してやって、それで終わりなんて」
新垣御守:「そんなつまんないタマじゃないでしょ」
新垣御守:「ハッキリ言えよ!!」
リリアナ:少し、目を見開き。口元を笑みの形に歪める。
リリアナ:「……なんだよ」
リリアナ:「人にあれだけ言っておいて……」
リリアナ:「……お前も随分、勝手な奴だな」
新垣御守:「選んできたんだよ……ここまでずっと」
新垣御守:「だからこれは、アンタのせいだ」
リリアナ:「…………。 ……私の?」
リリアナ:君を見下ろすその距離は、かつてより幾分か近付いて。
新垣御守:静かに頷く。
新垣御守:「責任、取らせてやる」
新垣御守:「そう決めたから」
新垣御守:吐息の触れ合う距離で、見上げる
リリアナ:「……へえ」
リリアナ:「どうする気だよ」
リリアナ:笑みを浮かべる。
新垣御守:「アンタの妬みだの、憎しみだの、真っ向からぶっ潰して」
新垣御守:「ついでに、そう……ああ」
新垣御守:「大体ナメてんだよね!」
新垣御守:「私の代わりだとかいうさあ、ガキンチョ共も」
新垣御守:「尻蹴っ飛ばして追っ払う!!」
リリアナ:「ああ!?お前の代わりだぁ!?」
リリアナ:「っ……誰が言ってんだよ!そんなこと!」
リリアナ:声を荒げるが、
リリアナ:君は知っている。
リリアナ:それはリリアナが痛いところを突かれた時の反応だ。
新垣御守:「とぼけてんじゃねーよ!ロリコン女!!」
新垣御守:「マジで、マッジッでふざけてる!!」
新垣御守:「世界にも、その娘にとっても、そんでアンタにも」
新垣御守:「ありがたメーワクなんだよ!バーーーーカ!!!!!」
リリアナ:「ロ……!?この、お前……!!」
リリアナ:「お前、お前こそ……!」
リリアナ:「……あー……アレだ!」
リリアナ:「アレだお前、勝手に髪切ってんじゃねーよ!似合ってねーんだよ!バーーーーカ!!」
新垣御守:「うるッ!さい!」
新垣御守:「気にしてんだよ!この!!」
新垣御守:リリアナの髪を引っ張りだす
リリアナ:「いぃっってェなこの!放せよ!」
新垣御守:「アンタにッ……必要なのは……はぁッ……はッ……」
新垣御守:「ずっと私なんだよ!アンタの隣にいていいのは……」
新垣御守:「"アニー"だけなんだよ!」
リリアナ:「は、ははッ……!面白え……」
リリアナ:「なら………証明してみせろよ」
リリアナ:「力づくでな。お前の言う理屈、何もかも」
リリアナ:「"新垣御守"……!」
新垣御守:「……ッ」
新垣御守:振りほどかれて、よろめく
新垣御守:「……上等だよ」
新垣御守:「"リリアナ・マルティネス"」
新垣御守:息を切らしながら、睨みつける
リリアナ:にやりと、歯を見せて笑う。
リリアナ:「お前は、私には勝てないよ」
リリアナ:「お前はいつまでも、ガキのままだ」
リリアナ:リリアナの全身が、血液に置換されていく。
リリアナ:対抗種のレネゲイドに侵蝕された、その漆黒の血液が、
リリアナ:夜の闇へと、溶けるように消えていった。
GM:あとには、ただ君だけが残された。
新垣御守:「はー……はぁーっ……」
新垣御守:それを肩で息を切らしながら、見送り
新垣御守:ふらりと、屋台のカウンターに近づく。
新垣御守:「……おっちゃん」
新垣御守:「水…………。」
GM:「……はいよ」
GM:店主は何も聞かず、ただ冷たい水を差しだした。
GM:----------
GM:ロイスのみ可!
新垣御守:リリアナへの感情を変更
新垣御守:尊敬○/傾倒→恋慕○/執着で
GM:アイヤーーーーーー!!
新垣御守:Sロイス指定します
GM:アー!!アー!!!!
GM:了解です
GM:アーーー!!!

【Middle18 シーンPC:新垣御守 日馬美礼 豊島正則 矢ヶ崎藍華】


日馬 美礼:1d10+99
DoubleCross : (1D10+99) → 7[7]+99 → 106

矢ヶ崎藍華:93+1d10
DoubleCross : (93+1D10) → 93+5[5] → 98

豊島 正則:1d10+91
DoubleCross : (1D10+91) → 9[9]+91 → 100

新垣御守:1d10+73
DoubleCross : (1D10+73) → 8[8]+73 → 81

豊島 正則:グワーッ!?

GM:----------
GM:N市 市街
GM:----------

GM:取引当日。
GM:突入を目前に控え、君達は現場からやや離れたビルの屋上に待機していた。
GM:取引現場となるのは、白昼堂々、市内のレンタルホール。
GM:君たちのもとに、猫山が報告に訪れる。
猫山部長:「周辺住民の避難、まもなく完了だそうです」
日馬 美礼:「ありがとう、猫山さん。さて、しかし大きなハコを抑えたもんだ」
日馬 美礼:「品評会用かな」少し目を眇める。
新垣御守:「こそこそやってりゃいいのにね」
猫山部長:「あえて街中を選んだのは、こちら側のワーディングを容易に使わせない意図もあるかと」
猫山部長:「何せ痣徒の構成員は膨大ですからね」
猫山部長:「弾避けくらいにはなると思ったのかもしれません」
豊島 正則:「ま、元から気軽に使えるモンでもねえしな。UGN(ウチら)なら尚更だ」
新垣御守:「……」
新垣御守:この国を地獄に変える。
新垣御守:リリアナのその言葉を思い出す。
日馬 美礼:「もしくは、市内で戦争起こすのがサブプロットに入ってるか、かな」
日馬 美礼:「いずれ、やることは変わらない。優先順位は飲み込んでるかい?」
新垣御守:「もしくはもしくは、その辺見せといて」
新垣御守:「要は挑発だ。舐められてんね。ほんと」
猫山部長:「……それと、もうひとつ報告が」
日馬 美礼:「何かな。変な荷物でも紛れ込んでる?」
GM:君たちをちらりと見る。
GM:その中に、鴻上禮次郎の姿は無い。
猫山部長:「いえ、鴻上さんのことですが」
GM:彼はここ数日、姿を見せていない。
豊島 正則:「あっちはあっちの事情があんだろうと思ってたんだが…なんかあったのか、あのオッサンに」
猫山部長:「……昨夜、市内で大破炎上した車両が発見されまして」
猫山部長:「調べたところ、それが鴻上さんの車だったようです」
日馬 美礼:「行方不明と」
新垣御守:「そんくらいで死ぬようなタマじゃないだろうけど」
新垣御守:「間に合うのかね」
猫山部長:「ええ、被害状況からおそらくはオーヴァードによる襲撃を受けたものと見られます」
猫山部長:「……」
猫山部長:猫山は言葉を切り、
猫山部長:「……車内からは、体の一部……彼の腕が見つかったそうです」
日馬 美礼:「腕一本?」
猫山部長:「いえ」
猫山部長:「両腕、です」
日馬 美礼:「ふぅん」
新垣御守:「……拉致られたセンってのもあるわけね」
豊島 正則:「……そうか」
豊島 正則:大して多く話したわけではないが、思う所はあるのか。返す言葉は、極短い。
日馬 美礼:「弔問は、やるなら事件が片付いたあとにしよう。それと」
日馬 美礼:「猫山さん。予定の避難範囲さ。一ブロック外周まで伸ばしてもらうことは?」
日馬 美礼:「居住者数からすると、そう時間はかからないと思うけど」
猫山部長:「今からですか? 悟られないようにですから、少し難しいですが」
猫山部長:「……分かりました。やってみましょう」
日馬 美礼:「お願いします」
猫山部長:「ああ、報告は以上です。皆さん、ご武運を祈ってますよ!」
猫山部長:そう言って、早速部下たちに指示を出しに行く。
日馬 美礼:「……それじゃ、こっちも動こうか。予定通り、豊島くんは先行してもらって」
日馬 美礼:「ことが始まったあとは、矢ヶ崎くんをキャッチアップ。まあ、念の為だ。いつもどおりだと思ってもらっていいよ」
豊島 正則:「あいよ。…悪いな、俺の勝手で一番槍を貰っちまって」
豊島 正則:先行させてほしい、と言い出したのは自分だ。その理由までは話していない、が。
日馬 美礼:「適材適所さ。妥当だと思うから許可してる」
新垣御守:「まあね、むしろ」
新垣御守:「いつも任せちゃって悪いよ。ホント」
豊島 正則:「ハ。なんなら、お前らが来る前に片付けちまってもいいんだが」
豊島 正則:傷だらけの口元を歪めるように、小さく笑って。
豊島 正則:「…んじゃ、よろしく頼む」
新垣御守:「オッケ。背中は任せてね」
日馬 美礼:「ん。じゃあ、ミモリ。よろしくね」
豊島 正則:おう、と手を挙げてから。釣り竿ケースのような、細長い円筒形のウェポンケースを背負って。隣のビルの屋上、更にその隣、と。
豊島 正則:黒い影の残滓を散らしながら、跳び渡り、姿を消す。

GM:----------

GM:ホールには、所狭しと豪勢な料理や酒の類が並べられている。
GM:そこにひしめき合う人間たちは、皆ドレスやスーツで着飾ってはいたが、
GM:誰も彼も、裏社会の匂いを隠しきれてはいなかった。
GM:君達――ロス・サングレスの面々は既にホール内で待機していたが、痣徒会の主要幹部たちはまだ姿を見せてはいない。
アレハンドロ:「ビショップのバカはまだ来てねえのかよ、あいつ、ちゃんと来いって言っといたのに……」
GM:ネクタイをゆるめつつ、ぶつくさと文句を言うアレハンドロ。リリアナはつまらなそうに料理をつまんでいる。
チコ:「おいアヤカ!この肉めっちゃうまい!!」
チコ:分厚い肉をフォークで突き刺して、大声で。
矢ヶ崎藍華:「チコ先輩、またソースついてますよ!」
矢ヶ崎藍華:ふきふき
チコ:「むぐぐ……」
矢ヶ崎藍華:(……今日、だよね)
矢ヶ崎藍華:思わず真顔で、口を拭き続けてしまう
チコ:「ぐぐぐぐぐ……」
陈浩宇:「島崎、少しいいか」
陈浩宇:不意に君に声を掛ける。
矢ヶ崎藍華:「!」
矢ヶ崎藍華:「はいっ」
GM:ホールの隅で、人に聞かれないよう小声で話す。
陈浩宇:「いよいよ、今日ですね……」
矢ヶ崎藍華:「はい、今度こそ…」
矢ヶ崎藍華:強く両手を握って
矢ヶ崎藍華:「成功、させなくちゃ…!!」
矢ヶ崎藍華:皆に少なからぬ犠牲が出たことを聞いた
陈浩宇:「そうですね。前回のように、罠ではないようですが……」不安げに辺りを見回す。
陈浩宇:「突入後は混乱が予想されます」
陈浩宇:「くれぐれも、気を付けてくださいね……!」
矢ヶ崎藍華:チャンスがまた来るかもしれない。だが先延ばしになったぶん、犠牲が増える可能性は増大する
矢ヶ崎藍華:「はい!絶対に……」
矢ヶ崎藍華:今回で、終わらせなくちゃ
陈浩宇:「僕たちの潜入も、今日で終わり……だといいんですが……」
陈浩宇:「はやく帰って、ゆっくりしたいですよ。本当……」力なく苦笑する。
矢ヶ崎藍華:「大丈夫ですよ!」
矢ヶ崎藍華:「今日の日のために、支部長さん達が沢山準備してきたんですから…!」
陈浩宇:「……! そ、そうですよね……!」
陈浩宇:「ありがとうございます。いや、僕の方が励まされてしまいましたね……」
陈浩宇:「……頑張りましょう!」
矢ヶ崎藍華:「はいっ」
矢ヶ崎藍華:チリチリと、レネゲイドのうねりを感じている。侵蝕が高まっている感覚だ
GM:その時、ホールにざわめきが起きる。
矢ヶ崎藍華:「……?」
GM:見ると、ちょうど痣徒会の幹部たちが入場してくるところだ。
矢ヶ崎藍華:(来た…)
GM:枯れ木のような老人が、見たところリーダーらしい。その周囲に君が見たインテリ風の男と、さらに何人かの幹部が控えている。
陈浩宇:「おっと……! 戻りましょうか」
矢ヶ崎藍華:「はい。ここで怪しまれるわけにはいきませんよね」
矢ヶ崎藍華:「じゃあ…お気をつけて」
陈浩宇:「はい。矢ケさ……島崎さんも」
GM:「本日はお招きいただき、ありがとうございます」
アレハンドロ:「いいえぇ。こちらこそ光栄ですよ!我々のような新参者にチャンスを頂けて……」
GM:しばらく、肩書通りの社交辞令が交わされていたが――
GM:その空気は、唐突に一変した。
GM:若頭の隣に控えていた男が、ふと君に目をやり、表情を変える。
GM:「……!」
矢ヶ崎藍華:「……?」
GM:そして慌てて、若頭へと何か耳打ちをする。
GM:途端に、若頭の表情が一変した。
GM:「……まんまと一杯喰わされたようですね、ロス・サングレスさん」
アレハンドロ:「……ん……?」
アレハンドロ:「ええと……何のお話でしょうか……?」愛想笑いを浮かべる。
GM:「いや、貴方たちも喰わされた側、かな?」
GM:若頭は君たちから――いや、君からゆっくりと距離を取る。
GM:その前を、武装した部下たちが固める。
矢ヶ崎藍華:「……!?」
矢ヶ崎藍華:(え…え……?)
矢ヶ崎藍華:まさか、バレた…?
GM:「この街……N市でこんな稼業をやるっていうのはね」
GM:「即ち、オーヴァードと関わっていくことと同義でね」
GM:「いけ好かないFHの連中とも時には仲良くしながら」
GM:「必死に自分のとこに新しい人材を抱え込もうとしてるわけだ」
GM:「当然、不倶戴天の敵になるのは……」
GM:「UGN」
アレハンドロ:「な……!?」
アレハンドロ:驚愕の目で、君を見やる。
矢ヶ崎藍華:「ええ…?」
矢ヶ崎藍華:必死に呆れたような表情を浮かべる
矢ヶ崎藍華:大丈夫だ。こないだUGNとは関与してないという話はした
矢ヶ崎藍華:同じ態度を続ければいいはずだ…!
GM:「ウチじゃあ市内の支部の位置もいくつか把握しててね」
GM:「普段、こいつはその見張り役なんですよ」傍らの男を示して。
GM:「そこの子供」
GM:明確に、君を指し示す。
GM:「UGNに出入りしてたらしいですよ」
GM:「どう考えます? これを」
アレハンドロ:「なっ……! なっ……!?」口をぱくぱくさせ、男と君を交互に見る。
陈浩宇:「……!」
矢ヶ崎藍華:「いつの、話ですか?」
矢ヶ崎藍華:「ここの人たちには話したんですけど、そりゃ1回くらいはチルドレンの試験を受けたりしましたが、それっきりですよ……?」
GM:「何か月か前、繰り返し複数回」
矢ヶ崎藍華:「…………」
GM:「通ると思うかい?いや……」
GM:アレハンドロを見て、
GM:「通すのですかな? お宅では、そんな言い訳を」
矢ヶ崎藍華:血が音を立てて引いていくような感覚を感じる
矢ヶ崎藍華:どうして どうして いちばん大事な時に
アレハンドロ:「おっ……お前ぇ……!」怒りの篭った目を君に向ける。
アレハンドロ:「マルティネス!おい!なんで黙ってる!!」
リリアナ:「…………」
リリアナ:リリアナは黙したまま何も言わない。
リリアナ:それどころか、その口元を僅かに歪ませる。
アレハンドロ:「お前に任せた部下だろうが!お前の……!」
アレハンドロ:「……!? まさか、お、お前、知って……!?」
GM:痣徒会の銃口が、一斉に君に向けられる。
GM:「ネズミは殺さなくちゃならない」
矢ヶ崎藍華:「−−−−」
GM:「まさか異論はありませんね?」
矢ヶ崎藍華:高級なホテルにそぐわぬ…寂れた場所の埃の匂い
アレハンドロ:「…………」半ば放心したような顔。
矢ヶ崎藍華:いつになく強く、あの時の匂いを感じている
GM:「こうなった以上、どのみち取引は中止ですが」
GM:「それはそれ、です」
GM:「ケジメは付けさせていただきますよ」
GM:男達が構えた幾つもの引き金が、同時に引かれそうになった時――。
GM:彼らの全身に、影で編まれた異形のヒトガタが絡みつく。
矢ヶ崎藍華:「!!!」
GM:「なっ!?」「うぉおお!?」
GM:突然の予想外の事態に、慌てふためく男達。
矢ヶ崎藍華:(これって)
矢ヶ崎藍華:そう、あの時
矢ヶ崎藍華:埃の匂い、鉄錆の匂い、鮮血の匂い
矢ヶ崎藍華:そして−−−
豊島 正則:「取引がご破算ってんなら…」
豊島 正則:部屋の中や扉の外ではなく。上。天井の向こうから、声がする。
豊島 正則:天井に、染みのような影が一点。それがじわりじわりと広がり、ひび割れ、そして。
豊島 正則:「もう、忍ぶ必要も無えってワケだ」
豊島 正則:粉々に砕け散る影の破片と共に。白い包帯をはためかせながら、ホールに飛び降りる。
矢ヶ崎藍華:「−−−先輩。」
矢ヶ崎藍華:急激な緊張と弛緩で笑いだしてしまいそうだった。これじゃあまるで覚醒した日と同じじゃないか
豊島 正則:「悪いな、遅くなった。…しかしまあ、飛び込んだはいいものの」
豊島 正則:「えらく切羽詰まってんじゃねえか。ここにいる誰も彼もがよ」
矢ヶ崎藍華:「~~~っ!!」
矢ヶ崎藍華:「先輩~~っ!!」
矢ヶ崎藍華:気づいた時には駆け出して、思いっきり飛びついてしまう。完全に反射的な動きだ
豊島 正則:「っと…」
豊島 正則:右手に槍を持ったまま、その身体を左腕で抱き寄せる。
GM:「……おい!何してる!さっさと殺せ!!」
GM:突然の事態に呆けていた男達が、豊島に向け一斉に銃を構える。
GM:瞬間、
GM:ホールに、何か小さなものが投げ込まれた。
豊島 正則:魔眼を槍の切っ先に展開、盾としようとする…が。
GM:豊島とリリアナだけが、それに反応する。
豊島 正則:「…!」
豊島 正則:咄嗟に槍を手放し、右手で藍華の目を塞ぐ。
リリアナ:「全員目ェ瞑って伏せ……!」
GM:閃光。
GM:一瞬遅れて、甲高い破裂音。
GM:「突入ッ!!」
GM:号令と共に、捜査員たちが現場に雪崩れ込む。
新垣御守:ザ ッ
新垣御守:捜査員と共に突入、豊島さん達の元へ一足飛びに。
新垣御守:「オーケー。矢ヶ崎ちゃんは確保よし」
豊島 正則:「…くそ。そういやそんな手はずだったよなぁ…!」
日馬 美礼:「じゃ、あとは制圧。本命は……」
新垣御守:「あー、私が第2支部長だけど」
新垣御守:「挨拶とかは後ね。とりあえずよろしく」
リリアナ:「…………」
リリアナ:うっすら笑みを浮かべ、新垣を見つめる。
新垣御守:「……逃げたりしないわけだ」
新垣御守:「今度はしょーもない等身大フィギュアとかじゃないよね?」
矢ヶ崎藍華:「…はいっ」
矢ヶ崎藍華:抱きつき姿勢から降り立って、髪留めを外す。やるべきことは分かる
GM:現場は途端に混乱に包まれた。抵抗するヤクザ達を、武装した捜査員が次々と捉えていく。
チコ:「ね、姉さん!逃げましょう!姉さん!」
チコ:チコがリリアナにしがみつく。
チコ:「今ゲートを……!」
豊島 正則:「…とまあ、そういうワケだ。大人しくお縄についてくれりゃあ有難いんだが」
豊島 正則:「…そうも行かねぇか」
GM:その時、ホールの外から異音が鳴り響く。
GM:カ ァ ン !!
GM:混沌を切り裂いたのは、拍子木を打ち鳴らしたような、聴きなれない高音。
GM:同時に、ホールを一条のプリズム光が貫いた。
GM:斜線上にいたヤクザと捜査員たちとが、一瞬で蒸発する。
矢ヶ崎藍華:「…!?」
GM:光はチコの肩口を掠め、鮮血が迸る。
チコ:「う……あぁぁッ……!?」
リリアナ:「!! おい!!」
矢ヶ崎藍華:「あ………?」
豊島 正則:「くそ、また問答無用かよ…!」
日馬 美礼:「……さて、本部の政争がどうなってるのか、最後まで確認できなかったわけだけど」
日馬 美礼:「ここまで見境なしか。参ったね」
GM:どろどろに溶解した壁の向こうから、異形が姿を現す。
GM:全身純白の、エナメルめいた輝き。先日君たちを襲ったのと同一の相手だ。
豊島 正則:「…だろう、な。オーダーとしちゃ、大方こんなところだろ」
豊島 正則:「全部、なかったことにしろ」
新垣御守:「出たとこ勝負にしといたのが裏目だねこりゃ」
新垣御守:「……ま、いちいち裏とってる尺ないっつーの」
新垣御守:異形に向けて忌々しげに目を細める。
チコ:「ね、姉、さん……!」
チコ:大量の流血が、ドレスを濡らしていく。
矢ヶ崎藍華:「……っ!!」
GM:捜査員たちが発砲するが、純白の装甲には傷一つ付かない。
豊島 正則:「…巻き込まれた連中は言うまでも無ぇが。そっちの子も」
豊島 正則:ちらりと、背後の光景。血を流す少女に視線。
ヴァルチャー:「…………」
ヴァルチャー:どこか鳥を思わせる、曲線で構成された外骨格。表情の伺えない頭部を、君達に向ける。
矢ヶ崎藍華:「抑えたほうが、良いですよね」
矢ヶ崎藍華:ぢり
矢ヶ崎藍華:能力が凝縮されていく
矢ヶ崎藍華:「大丈夫」
豊島 正則:「…藍華?」
豊島 正則:応える声に、不安が混ざる。
矢ヶ崎藍華:頭上に火球は灯らず、にもかかわらず影は淀みを増していく
日馬 美礼:「まずい。豊島くん」
矢ヶ崎藍華:灯は、コントロールのために編み出した手法だ。それを無しで能力を行使することも出来る
矢ヶ崎藍華:だが、その挙動は
矢ヶ崎藍華:「今度は、ちゃんと」
豊島 正則:「…ち!」
日馬 美礼:「抑えて!」
豊島 正則:無理だ。駆動を始めた力を、抑え込むことはできない。
豊島 正則:ならば。藍華の力が発動した、その後に出来るのは、ただひとつ。
新垣御守:「……豊くん!」
ヴァルチャー:「……!」膨大なレネゲイドを感知し、動きが止まる。
矢ヶ崎藍華:「一撃で、楽にしてあげる」
矢ヶ崎藍華:ぢ
豊島 正則:駆け出す。向かう先は、藍華の視線の中心点。
矢ヶ崎藍華:足元の淀みが爆発的に隆起し、殺到する!
矢ヶ崎藍華:狙いは白い異形と…チコ!
チコ:「……アヤ……カ……?」
チコ:流血に塗れつつ、呆然とした顔。
豊島 正則:「……!」
豊島 正則:盾、ではない。魔眼の出力を最大にし、空間自体を一時的に歪めて。
豊島 正則:収縮し爆発する空間、その焦点を、自分の下へと引き寄せる。
矢ヶ崎藍華:「え」
矢ヶ崎藍華:はずみのついた淀みは止まらない。収束した地点で黒い球体と化し、“範囲内”のものを握りつぶす
豊島 正則:「ぐ…おぉ…ッ!?」
豊島 正則:唖然とする綾香の視界の中で。包帯に包まれた左腕が、球体に呑み込まれ。
豊島 正則:血煙すら残すことなく、爆ぜ消える。
豊島 正則:「…ハ。腕一本で済んだなら上等か…!」
矢ヶ崎藍華:「−−−−」
豊島 正則:無論、無事で済む算段があったわけでなく。身体に染み付いた何かが、ギリギリ致命傷を避けさせただけのこと。
矢ヶ崎藍華:からん、と。周囲の喧騒の中でも、豆粒大のサイズに潰れた腕だったものが地面に落下する音が耳に届く
ヴァルチャー:「…………!」
ヴァルチャー:凄まじい破壊力を目にしてか、ヴァルチャーは輪郭を歪ませるようにして姿を眩ませる。
矢ヶ崎藍華:「……いや」
矢ヶ崎藍華:「いやあああああああ!!!」
矢ヶ崎藍華:膝から崩れ落ち、淀みの中にしゃがみ込んでしまう
豊島 正則:姿を消した白い異形を、一瞬視線が追うものの。
豊島 正則:響き渡る悲鳴と痛みに、意識は引き戻される。
チコ:「……ヤバい……! 姉さん! 逃げ……!」
GM:チコが咄嗟に、仲間を逃がそうとゲートを開こうとする。
陈浩宇:「く……そ……っ……!」
陈浩宇:宇都宮は逡巡したが、
陈浩宇:「畜生っ!!」
陈浩宇:拳銃を抜き、チコの胸を撃ち抜いた。
チコ:「あ……れ……」
矢ヶ崎藍華:「あっ」
チコ:血を吐いて、ゆっくりと倒れる。
チコ:「ねえ……さ……」
リリアナ:「……チコッ!!」
GM:同時に、天井に空いた穴から、陈のもとに影が差す。
豊島 正則:「……ああ、くそ。結局、こうなっちまうか…!」
陈浩宇:「――え」
GM:ど ぐしゃ
GM:遥か上空から落下した巨大な何かが、
GM:彼の全身を一瞬で圧し潰す。
矢ヶ崎藍華:「 」
猫山部長:「……宇都宮くん!!」
猫山部長:対ワーディングマスクの奥で、猫山が細い目を見開く。
GM:土煙の中から姿を現したのは、フレデリック・ビショップ。異形と化した腕で、掴んだ宇都宮の頭部を握り潰す。
ビショップ捜査官:「オイオイオイオイ何だよ何だよ何だよ何だよ……」
ビショップ捜査官:「ちょぉっと遅刻したと思えば……」
ビショップ捜査官:「すっげーーえ面白そうになってんじゃねえかよ!! はははははッ!!」
豊島 正則:「…テメェか」
矢ヶ崎藍華:瞬間的に、こころとからだが切り離されていく
矢ヶ崎藍華:埃、鉄錆、鮮血
矢ヶ崎藍華:矢ヶ崎藍華という個人の意志から切り離されたそれが
矢ヶ崎藍華:360度、見境なく伸び始めた…!
豊島 正則:見知った少女が、死を撒き散らそうとするその光景が、不思議と懐かしく感じられたからか。
ビショップ捜査官:「……んだ、こりゃ……!?」
新垣御守:「ああ……くそ!」
新垣御守:タンッ タンッ
新垣御守:「誰も彼もだよ……!」
新垣御守:影を躱しつつ、リリアナからは視線を切らない
リリアナ:彼女も同じように、混沌の中で新垣を見つめる。
新垣御守:「こうしたかったワケ!?これが見たかったの!?」
新垣御守:「……答えろッ!リリアナ!」
リリアナ:――リリアナは、何も答えない。
豊島 正則:「……美礼、一旦離れてくれ。それと、御守のことも頼む」
日馬 美礼:緊急退避の信号を全力でぶちまけて。
日馬 美礼:「ミモリ」
日馬 美礼:「退くよ。下と警察は動いてる」
新垣御守:「……ッ」
新垣御守:リリアナへと向かおうとする脚を止めて
日馬 美礼:「退くんだ」上着の裾を強く引く。
新垣御守:タッと、影を躱しつつ日馬さんの傍へ
新垣御守:「……分かってるよ」
新垣御守:引く手を軽く払いつつ
新垣御守:「悪い、やっぱ……うん」
新垣御守:「居てくれてよかったよ。美礼ちゃん」
日馬 美礼:「いいさ。これが仕事だ」
日馬 美礼:「あとは、終わってからにしよう」
新垣御守:リリアナとビショップを睨みつつ
新垣御守:負傷した捜査官たちを一人二人掴みながら
新垣御守:脱出に向かう、矢ヶ崎に対峙する豊島とすれ違う瞬間。
新垣御守:「豊くん、任せられる?」
豊島 正則:「ああ。…大丈夫だ、死なねえよ」
新垣御守:「……だよね。じゃあもう一回」
新垣御守:「アンコールだ。信じてるよ」
新垣御守:一瞬だけ視線を合わせて、建物を脱出する。
豊島 正則:おう、と軽い声で応える。
チコ:「ねえ……さん……」
チコ:ドレスを血に染めたチコが、力を振り絞って頭上に大量のゲートを展開する。
リリアナ:「馬鹿!!やめっ……!!」
GM:瞬間、ゲートに呑み込まれ、カルテル構成員たちは姿を消す。
GM:辺りは途端に、廃墟のように静まり返る。
GM:後に残されたのは、ただ二人。
GM:矢ヶ崎藍華と、豊島正則。
豊島 正則:「…ったく、何もここまで再現しなくてもいいだろうに」
豊島 正則:自分たち以外がいなくなったことを確認してから。場違いな、不敵な苦笑い。
矢ヶ崎藍華:「    あ」「あ れ………?」
矢ヶ崎藍華:なにしてたんだっけ
矢ヶ崎藍華:わたし、現場で待ってて、ばれそうになったら先輩が来てくれて、それで
豊島 正則:「あの時も、もう周りに立ってる奴は誰もいねえってのに」
豊島 正則:「所構わず、手当たり次第に潰してやがったな、お前は」
豊島 正則:今起きていることを説明するように、言葉を紡ぎながら。ゆっくりと、一歩ずつ。藍華へと歩みを進める。
矢ヶ崎藍華:「………!!!先輩…うで……」
矢ヶ崎藍華:誰がやったのか、もう分かっている。
矢ヶ崎藍華:努力を惜しんだつもりはない。 誰かを恨むつもりもない。
矢ヶ崎藍華:それでもまた、私は私に絶望している。
矢ヶ崎藍華:「こないで」
矢ヶ崎藍華:「もうこないで、先輩」
豊島 正則:「…いや、威力と精度で言やああの時以上だ。こんな形で成長を実感するたあ、思っちゃいなかったが」
豊島 正則:告げられた言葉を無視するように、また一歩。
矢ヶ崎藍華:「来ないでっ!!!」
矢ヶ崎藍華:私は“黒色矮星(ブラックドワーフ)”  最も冷たく、最も暗い星の亡骸
矢ヶ崎藍華:ひたすらに近づく光を飲み込む、星の最期
矢ヶ崎藍華:はは、今は文字通りじゃないか。
矢ヶ崎藍華:どこかで冷笑をする心
矢ヶ崎藍華:「もう……私は、だめなんです」
矢ヶ崎藍華:「このまま、終わらせてください」
矢ヶ崎藍華:へたり込んだ足元の影はふつふつと沸き、少しずつ体を地面より低い位置へ沈めている。
豊島 正則:「……そうだな。お前が、もう駄目だと思ったら。お前が化物になっちまったんなら」
豊島 正則:「俺が、お前を殺してやる。……確かに俺はお前に、そう言った」
豊島 正則:この街に来て間もない頃。他支部管轄地区への応援として引っ張り出された現場。
豊島 正則:そこで交わした会話は、約束は。今思うと、彼女をこちら側に引き戻すにしては、あまりに物騒であったけれど。
豊島 正則:こうして、現実となって、目の前にある。
矢ヶ崎藍華:「やめて…もう、これ以上近づかないで…」
矢ヶ崎藍華:汚濁の泡が足元の影から浮き上がっては、破裂音と共に爆縮し潰れる。常人ならば直撃どころか余波ですら重傷を追いかねない。
豊島 正則:「……そうだな。今そうしてやるのも、悪くねえが」
豊島 正則:周囲に満ちる”死”そのものを無視するように、無造作に歩みを進める。
豊島 正則:無論、一歩の度に肉は削がれ、血は流れ、傷は増えてゆくが。
豊島 正則:それでも、死には半歩届かない。届かせてくれない。
矢ヶ崎藍華:歩みを止めず、傷つく様を見て心を痛め、更に淀みはうねる。
矢ヶ崎藍華:止まって 止まって
豊島 正則:止まらない。生きている限り、止まれない。
豊島 正則:そして、この身体は、心は。生きることを、手放させてはくれない。
豊島 正則:……そう、たとえ。
矢ヶ崎藍華:バジュッ
豊島 正則:「……」
豊島 正則:視線を、自分の足元へ。
矢ヶ崎藍華:下腿を丸くくり抜くように、泡が弾ける
矢ヶ崎藍華:「………!!」
矢ヶ崎藍華:「もう……」「やめて…………」
矢ヶ崎藍華:「先輩が、しんじゃう」
豊島 正則:肉が球場に抉られ、一瞬遅れて、左足の腿から下が消し飛ぶ。そのまま、べしゃりと。血と泥の水たまりに、正面から倒れ込む。
豊島 正則:「死なねえよ」
豊島 正則:……たとえ、腕の一本、足の一本が消し飛ばされても。
豊島 正則:右腕一本で、槍を杖代わりに立ち上がり。また一歩、一歩と。
矢ヶ崎藍華:影とは違う、温かい流体で手が濡れていることに気づく。
矢ヶ崎藍華:最初から、ずっと泣いていた
豊島 正則:「……なあ、藍華。俺は、これまで沢山殺してきた。化物も、なりかけも、そしてきっと、そのどちらでもない奴も」
豊島 正則:「……ああ、そりゃあきっと、正しいことだった。さっき女の子を撃った奴も、きっと、それが正しいと思ったからそうした」
矢ヶ崎藍華:「私は、正しくなんてありません」
矢ヶ崎藍華:「私はあの日、沢山の人を傷つけました。」「癒えない傷を沢山つけてしまいました。」
矢ヶ崎藍華:四肢を失った人。失明した人。子供が産めなくなった人。
矢ヶ崎藍華:「一度でも良いから、私はそういう人たちに謝りたかった…でも、出来ないんです。」
矢ヶ崎藍華:一般人への記憶処理。カバーストーリー。“あれは事故だった”。
矢ヶ崎藍華:「…ふとした時に、あの時の匂いがします。埃、鉄錆、鮮血…皆さんの、呻き声…」
矢ヶ崎藍華:「……それは、私が乗り越えるべきだと思っています」「なのに」
矢ヶ崎藍華:「……思ってしまった」
矢ヶ崎藍華:“いっそあの時、この人達が死んでいたら、私は苦しまずに済んでいた”
矢ヶ崎藍華:「愚かな考えです。間違っています。何も生み出さない最低の答えです。」
矢ヶ崎藍華:現に今、自分はチコを失ったことで苦しんでいる。わかっていたことなのだ
矢ヶ崎藍華:「なのに」「なのに…私は…!!」
豊島 正則:「……そうだな。お前がやったことは、正しくない。お前がそう考えてることは、正しくない」
豊島 正則:あっさりと肯定する。当たり前だ、とでも言っているように聞こえる声で。
豊島 正則:「でもな、藍華」
豊島 正則:足を片方失った分、歩みは遅くなる。それでも、半歩ずつでも。
豊島 正則:「お前は、自分のやったことを覚えている」
豊島 正則:「今回起こったことも、きっと、お前をこれから苦しめる」
豊島 正則:「……確かに、お前にとっちゃ一方通行の罪悪感だ。行き場のない苦しみだ」
豊島 正則:「それを、俺が肩代わりしてやることは出来ない。この世の誰にも、それは出来ない」
豊島 正則:ぽたり、ぽたりと。足から、砕けた腕の断面から、血が滲み、雫となって落ちる。
豊島 正則:「でもな。お前が苦しんでる限り、お前の中には」
豊島 正則:「生きている。お前が傷付けた誰かも、もう何も言えない誰かも」
豊島 正則:「お前は、背負って生きている。……そうしてる限り、お前は化け物じゃあ、ない」
矢ヶ崎藍華:「…せん、ぱい……」
豊島 正則:「だからな、藍華」
豊島 正則:半ば、力尽きて倒れるかのように。沈みゆく藍華の前に膝を突く。
豊島 正則:「俺は、お前を殺さない。殺したくない」
豊島 正則:「……頼む」
豊島 正則:「俺に、お前を、殺させないでくれ」
豊島 正則:願うように、手を伸ばす。
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:何もかもがまっくらなままだ。でも
矢ヶ崎藍華:まっくらな中で、それでも温かい闇が伸ばされている
矢ヶ崎藍華:…もう、暗い中で、一人で沈んでいくのは、嫌だ
矢ヶ崎藍華:叱られないかと怯えるような子供のように、恐る恐る伸ばされた手を取って
矢ヶ崎藍華:自分だけの凶鳥を抱き寄せる
矢ヶ崎藍華:……影は、自然と落ち着いていく。
豊島 正則:引き上げる、のではなく。彼女は最初からずっと、そこにいた。だから。
豊島 正則:引き寄せられるかのように、腕一本、足一本分軽くなった、傷だらけの身体を投げ出す。
矢ヶ崎藍華:「ごめんなさい、先輩……」
矢ヶ崎藍華:「こんなに、怪我をさせてしまって」
豊島 正則:「死にかけんのはいつものことだ。気にすんな。…ってもまあ、お前は気にするに決まってるからな」
豊島 正則:「借りはゆっくり、時間をかけて返してくれりゃあいい」
矢ヶ崎藍華:「はい…は゛い゛っ……」
矢ヶ崎藍華:それからひとしきり、静かに泣いて
矢ヶ崎藍華:「……リリアナさん達を、追いましょう。」
矢ヶ崎藍華:「私がやったことです。私自身でけじめをつけたい。」
豊島 正則:「ああ。やることはまだ残ってる。…話をしなきゃいけない奴も、な」
矢ヶ崎藍華:髪留めは、つけない。姉からもらった大事な物を、今は汚したくないし
矢ヶ崎藍華:何より皮肉なことに、能力の使い方を今の出来事である程度心得てしまった
矢ヶ崎藍華:「先輩、勇気をもうちょっと下さい」
矢ヶ崎藍華:ぎゅ~~~~っっと。体を密着させて、鼓動の暖かさを感じて
矢ヶ崎藍華:立ち上がります。
日馬 美礼:その空気をまるで無視するように。きゅるきゅると、わざとらしくかすかなモーター音。
矢ヶ崎藍華:「…日馬、さん」
日馬 美礼:「話はもういいかい?」
豊島 正則:「……やっぱ来やがったか」
矢ヶ崎藍華:「はい。……すいませんでした」頭を下げて
日馬 美礼:「そりゃ現場責任者だぜ? 様子くらいは伺ってるって」
豊島 正則:感じた体温を名残惜しく感じながら、笑う。
矢ヶ崎藍華:「どんな処分でも受けます。」
矢ヶ崎藍華:「ですから、まだ続けさせて下さい」
矢ヶ崎藍華:唇をかたく結んで、
日馬 美礼:「何言ってんだきみは?」人の悪い笑顔。
日馬 美礼:「あのさ矢ヶ崎くん。きみ、自分が何やったかわかってるかい?」
矢ヶ崎藍華:「えっ…?」
日馬 美礼:「不幸な事故で潜入任務を最後の最後でご破産にされて、挙げ句に"外部"の介入で現場はむちゃくちゃ」
豊島 正則:「……ここに来て降ります、は通じねえわな」
矢ヶ崎藍華:「ぼ、暴走して…」ちらりと先輩を見る。生々しく残る傷跡。「味方を傷つけてしまいました…」
日馬 美礼:「問題。きみ、うちとか警察に被害出してると思う?」
日馬 美礼:「豊島くんはいいんだよ。怪我するのが仕事なんだから」
矢ヶ崎藍華:「………」
豊島 正則:酷ぇな、と日馬の言葉を笑い飛ばす。
日馬 美礼:「気分が悪いからって処分申し出られても困るんだよね。ということでこっちに合流」
矢ヶ崎藍華:「…日馬さん」あえて支部長を外して
日馬 美礼:「何かな」
矢ヶ崎藍華:「性格悪いって、言われませんか?」
日馬 美礼:「よく言われるね」くふふ。と笑って。
日馬 美礼:「じゃあ次だ。豊島くん、立てるかい?」
豊島 正則:「問題ない、と言いてぇが厳しいな。……というわけでだ、美礼」
豊島 正則:「3つ、頼みがある」
日馬 美礼:「内容によるね。どうぞ」
豊島 正則:「ひとつ。さっきの騒ぎで出た怪我人の手当と、死んだ奴の…ああ、後のこと。これは頼むまでも無えな」
日馬 美礼:「仕事だからね。もうスタッフが動いてる。2つ目は」
豊島 正則:「ふたつ。藍華に、何か着替えを。……ドレスも悪かねえが、俺の血で随分汚しちまった」
矢ヶ崎藍華:「えへへ…」
矢ヶ崎藍華:無理やりといった様子で笑う
日馬 美礼:「手配させよう。それから?」
豊島 正則:ああ、と頷いて。
豊島 正則:「みっつ。俺の腕と足、形だけ、なんならガワだけでもいい。どうにかできるか。いや」
豊島 正則:「お前なら、できるはずだ」
日馬 美礼:「ぼくにはなんもできないって。ただ、うちはスタッフが優秀だからね」
日馬 美礼:かしゅ、と小さな音がして、車椅子の脇から無針注射器が転がり落ちる。
豊島 正則:「……お前、それの中身は」
日馬 美礼:「事件が長期化しすぎてるからね。リザレクト限界超えたときのための保険」
日馬 美礼:「うちで研究してるウロボロス血清だよ。リザレクトを暴走させて無理矢理再生させるやつ」
日馬 美礼:人の悪い笑みを貼り付けたまま。
日馬 美礼:「使うと死ぬほど疲れるからね。ろくに休憩時間もないが、まあ、戻るまで労ってもらうといいよ」
豊島 正則:「……話にゃ聞いてたが、あいつ抜きでも効くようになったのか。そりゃ何よりだ」
矢ヶ崎藍華:「えっ?じゃあその」
矢ヶ崎藍華:「先輩、手足が戻ってくるかもですか!?」
日馬 美礼:「戻ってもらわにゃ困るよ。まだ仕事があるんだから」
矢ヶ崎藍華:「はいっ!!」
矢ヶ崎藍華:「出来ることなら何でもします!!」
豊島 正則:「かも、じゃねえ。こいつが言うからには確実だろうさ。……だがまあ」
日馬 美礼:「豊島くん、自分で打てる? それとも彼女に打ってもらうとこかな?」
豊島 正則:「続けられるってんなら是非も無い。……ああ、そのくらいなら自分で…」
豊島 正則:と言いかけて、傍にいる藍華を見る。
日馬 美礼:くふふ。と笑って。
矢ヶ崎藍華:ふんふんと、鼻息荒く期待した目でキミを見てます
日馬 美礼:「さすがにこれ以上は野暮天だな。表で待ってるから、あんまり時間かけないでね」
日馬 美礼:きゅるきゅるとわざとらしいモーター音とともに転回。
豊島 正則:「……ほんっと人が悪ぃ……」
豊島 正則:小さな背中にひと睨みしてから。
豊島 正則:「……つーわけだ。悪いが、頼む。……どんな副作用があるか知れたもんじゃないが」
矢ヶ崎藍華:「はいっ」
豊島 正則:受け取った無針注射器を、藍華に渡してから。
豊島 正則:「まあ…お前が傍にいてくれりゃあ、大丈夫だろうさ。何故だか知らんが、そんな気がする」
矢ヶ崎藍華:「えへへ…」
矢ヶ崎藍華:駄目だ。酷いことした後なのに、そんな事言われちゃったら
矢ヶ崎藍華:「…ご免なさい日馬支部長さん、あと一つだけ」
矢ヶ崎藍華:ニヤける顔を抑えるように、気をそらすための質問
矢ヶ崎藍華:「私のコードネームって…どういう意図で名付けられたんですか?」
矢ヶ崎藍華:事件の後で分析のために第四へと回され、そこで日馬支部長に名付けられたコードネーム、“ブラックドワーフ”
矢ヶ崎藍華:どういう返答が来ても行動は変わらないが、気になっていたことを解決するいいタイミングではあった
豊島 正則:「……ああ、そういやあ、ドワーフと言やあ…あんま、女につける名前じゃねえな…」
豊島 正則:脈絡のない質問を、子守歌のように聞きながら、目を閉じ耳を傾ける。
矢ヶ崎藍華:「ホントですね」くすっと笑って
日馬 美礼:「ん。ああ、きみが来た日ね。たまたま読んでたんだよ、普通の雑誌を」
日馬 美礼:「黒色矮星って知ってるかい? 宇宙で一番見えにくい星だそうだ」
矢ヶ崎藍華:「はい。自分でも調べました」
矢ヶ崎藍華:星の中でもひときわ冷たく、光を吸収してしまう
日馬 美礼:「そうか。じゃあ、知ってるとおりかもね。あれの真ん中さ」
日馬 美礼:「何もかも構造を失うほど壊れてしまったあとに、誰も見たことがない、何より硬いコアが残るって話」
日馬 美礼:「コア。まあ宝石だね。ねえ、あれほんとなのかな。調べてたんだろ、きみ?」
矢ヶ崎藍華:「…………」
矢ヶ崎藍華:「……いえ、初耳でした」
矢ヶ崎藍華:そうだったんだ
矢ヶ崎藍華:私は、恵まれている。
豊島 正則:「……本物の星のことは知らねえが」
豊島 正則:「宝石なら。光るものなら。……ああ、確かに」
豊島 正則:「ここにある、と断言してやれる。……そのくらい言ってもいいだろ、なあ…」
矢ヶ崎藍華:「!!!!!」
豊島 正則:血を失ったからか、ぼんやりしたものに支配されつつある思考で、そんなことを漏らす。
矢ヶ崎藍華:湯気の音が聞こえるかのように顔を真っ赤に上気させて
矢ヶ崎藍華:「な、何言ってるんですか先輩~~~!!!」
矢ヶ崎藍華:「ほらっ!ミスすると脇腹から腕が生えますよ!!!おとなしくして!!!!」
豊島 正則:おう、と若干気圧されるように応えて、目を閉じたまま、ぐったりと。藍華に身を委ねる。
矢ヶ崎藍華:「まったくもう……」
矢ヶ崎藍華:「変なこと、言うんですから……」
矢ヶ崎藍華:真っ赤な顔をさせたまま、無針注射器を構えなおした。

GM:----------

GM:未だ遠くから轟音と地響きが伝わる中、
GM:現場から退避した捜査員たちは、姿を消したロス・サングレスを追うべく慌ただしく動いていた。
猫山部長:「すぐに検問張ってください!絶対市内から逃がさないように!」
猫山部長:猫山が声を張り上げる。表情には焦燥と憔悴の色が濃い。
GM:ゲートを開く際、チコのチャージは一瞬だった。そう遠くへは行っていないはずだ。
GM:つまり、まだ近くに潜伏しているはず。
新垣御守:「あの深手、それにあれだけの溜めだと、どんな能力者でもそう遠くには飛ばせない」
新垣御守:「だから……悪いですけど。アンタ達が頼りってこと」
新垣御守:「お願いします、猫山さん」
猫山部長:「つまり、そこからは通常の手段で、ということですか……」
新垣御守:頷く。
猫山部長:「しかし、一体どこに……」
猫山部長:猫山が禿げ上がった頭をがんがん叩く。
猫山部長:「考えろ……考えろ……」
新垣御守:「こっちに感知タイプでもいれば話変わったんですけどね……はるかちゃん、いやダメか」
新垣御守:一瞬、支部で負傷したチルドレンの1人を思い浮かべるが
新垣御守:どうやって連絡を取っても間に合わない。
新垣御守:こちらの顔にも焦燥が浮かびだす
GM:一同に暗い空気が立ち込めそうになった時、
新垣御守:「……」
小宮刑事:「……船です!」
小宮刑事:小宮が声を上げる。
新垣御守:「!」
新垣御守:そちらに視線を送る。
小宮刑事:「以前、組対で五十嵐さんと一緒に調べたことがあります!」
小宮刑事:「密入国者が利用している疑いのある、貨物船!」
小宮刑事:「日米間航行の船……恐らく奴らの行き先は……」
小宮刑事:「……埠頭です!!」
小宮刑事:切羽詰まった表情で叫ぶ。
新垣御守:猫山さんと顔を見合わせ
猫山部長:頷く。
新垣御守:「……小宮くん」
小宮刑事:「はい!」
新垣御守:「分かった。アンタに賭ける」
小宮刑事:「……はい!」
小宮刑事:決然と頷く。
新垣御守:「後は任せて。アンタと、私らと」
新垣御守:「五十嵐さんが、ここまで追い詰めたんだ。逃がすわけにはいかないでしょ」
小宮刑事:「はい。オーヴァードに対抗できるのは、同じオーヴァードだけ……」
小宮刑事:君の顔をしっかりと見て、言う。
小宮刑事:「一人の警察官として、UGNの皆さんに、お願いします」
新垣御守:「……お願いされた」
新垣御守:ニッと笑って
新垣御守:「よっしゃ、やるとすっかぁ」
新垣御守:肩をぐるぐる回しつつ、皆への伝達と、即移動に移る。
GM:向かう先、決着の地は、N市埠頭。
GM:新垣御守とリリアナ・マルティネス。二人の因縁が今、交錯しようとしていた。
GM:----------
GM:最後のロイス購入タイム!
日馬 美礼:特になければ為念自前のウェポンケース調達しとくよ。ファンブル以外。
新垣御守:うおおおお
日馬 美礼:ロイスはあと一枠か……ごめん、ちょっと保留。
矢ヶ崎藍華:たいせつなひと/豊島正則/純愛○/劣等感/ロイス に変更して、Sロイスに指定します
矢ヶ崎藍華:OKですか
新垣御守:こっちもダブルウェポンケース状態を目指す!
豊島 正則:まずロイス。藍華ちゃんのロイスを「■幸福感/脅威」に書き換え、Sロイスに。
GM:OKです!
豊島 正則:こちらは問題なく!<Sロイス化
矢ヶ崎藍華:押忍!ありがたく!
新垣御守:あ!すいません!
GM:アワワワ…
矢ヶ崎藍華:そして新垣さんにウェポンケースを渡します
新垣御守:ありがたく!メイド服を指定!
新垣御守:で、GM相談なのですが…
GM:はい
新垣御守:医療トランクをミドル終わりに持ってたのをすっかり忘れてて
豊島 正則:購入は特に…ない!のでブルーゲイルを狙っておきましょう。
新垣御守:前シーン今シーン合わせて振ってもよいですか…?
GM:いいですよ!
新垣御守:レズセックスにのめりこみすぎた…
GM:ふれふれ!
豊島 正則:5dx+1+3>=20
DoubleCross : (5R10+1+3[10]>=20) → 9[5,5,7,8,9]+4 → 13 → 失敗

新垣御守:やったーー!!
新垣御守:慈悲深きGM!
新垣御守:では2回使用!
日馬 美礼:おっけい。じゃあウェポンケース買う。
新垣御守:4d10+10
DoubleCross : (4D10+10) → 12[4,4,3,1]+10 → 22

豊島 正則:失敗!必ず要るというわけではないので、ここまでで。
日馬 美礼:5dx+7
DoubleCross : (5R10+7[10]) → 10[1,2,5,6,10]+5[5]+7 → 22

新垣御守:びみょいがまあよし!
矢ヶ崎藍華:ええと
日馬 美礼:問題なく調達。クリスタルシールド収納しとくよ、と。
矢ヶ崎藍華:カンパニー効果でさらに+2d10回復しますよ
新垣御守:こっちもウェポンケース!
日馬 美礼:あ。回復一回ごとに乗るからね、1d10。
新垣御守:へ~~
新垣御守:超絶ありがたい
新垣御守:日馬さん…ママ
新垣御守:振ります
矢ヶ崎藍華:こっちはどうしようかな
新垣御守:2d10+22
DoubleCross : (2D10+22) → 15[8,7]+22 → 37

矢ヶ崎藍華:ブルゲを買いましょう。
新垣御守:全快!
新垣御守:で、ウェポンケース購入
矢ヶ崎藍華:6dx+4
DoubleCross : (6R10+4[10]) → 10[4,5,7,7,7,10]+3[3]+4 → 17

矢ヶ崎藍華:足りない!いいや。以上!
GM:ヨシ!
日馬 美礼:ん、いいよ。3点払っとく。抑えときな。
矢ヶ崎藍華:じゃあもっときます!
GM:OK!
日馬 美礼:残り54点。まあよしよし。
GM:おかしいでしょ!
新垣御守:6dx+3
DoubleCross : (6R10+3[10]) → 10[3,3,7,7,9,10]+8[8]+3 → 21

新垣御守:購入ヨシ!クリシーを指定!
新垣御守:で、メイド服もクリシーもケースの中へシューッ!
新垣御守:以上!



GM:人目を避けながら、僅かに残ったロス・サングレスの面々は市内を移動していた。
チコ:「ねえ……さん……」
チコ:リリアナに背負われた瀕死のチコは、うわ言のように何度も同じことを繰り返す。
チコ:「姉さん……アヤカのこと……許してやってくれよ……」
チコ:「あいつ……マジでいいやつなんだよ……」
チコ:「あたし、姉貴分だから……守ってやらなきゃ……」
チコ:「なあ……姉さん……」
リリアナ:「分かった!分かったからもう喋るな!」
アレハンドロ:「おい!まだそいつ抱えてんのかよ!」
アレハンドロ:焦燥に駆られたアレハンドロが叫ぶ。
アレハンドロ:「どうせもうゲートも開けねえんだろ!この辺に捨ててっちまえば……!」
GM:その顔面に、リリアナの拳がめり込む。
アレハンドロ:「うぐぁぁぁ!!鼻が……鼻が……!!」
リリアナ:「折ったんだよ!!うるせえなッ!!」
ビショップ捜査官:「言いたくはありませんが……確かにその子を抱えて逃げるのは無理じゃないですか?」
ビショップ捜査官:「ここに置いていくのが得策かと」
リリアナ:「どいつもこいつもうるせえなッ!!黙ってろ!!」
チコ:「ねえさん……」
チコ:チコが弱々しく呟く。
チコ:「あたし、役立たずでも……」
チコ:「足手まといになるのは、嫌です……」
リリアナ:「何言って……!」
チコ:「置いてって、ください……」
チコ:「大丈夫、あたしもオーヴァードですから」
チコ:「死には……しませんよ……」
チコ:浮かべた笑みは、あまりにも弱々しい。
リリアナ:「…………」
リリアナ:リリアナはしばらく黙り込んで、
リリアナ:「……分かった」
リリアナ:そう、重々しく呟いた。
リリアナ:「いいか、必ず迎えに来るからな」
リリアナ:「どこにいても必ずだ、いいな!」
チコ:それにチコは、ただ小さく頷き返す。
GM:一行はチコを残し、移動を再開する。
GM:目的地は、埠頭。
GM:チコが加入する以前に目を付けていた、彼らの息のかかった貨物船だ。
GM:何度もパトカーのサイレンを聞いては、その度じっと身をひそめる。
GM:全員、精神的に限界に近かった。
アレハンドロ:「クソッ……!クソッ……!」
アレハンドロ:「あのガキも、陈も……!」
アレハンドロ:「どいつもこいつも、裏切り者ばっかりだ……!」
リリアナ:リリアナも荒い息をして、
リリアナ:ふと、ジャケットにしまっていたものに気付く。
リリアナ:小さな袋に詰められたコカイン。
リリアナ:本来であれば、サンプルとして渡すはずだったもの。
リリアナ:「……」
リリアナ:リリアナはしばらくそれを見つめて、
リリアナ:ライターで炙ると、血液で構成した針で、自らの腕に注入する。
リリアナ:「……はぁっ……! はぁっ……!」
リリアナ:「……はぁ……」
アレハンドロ:「お、おい……?」
ビショップ捜査官:「…………」
GM:その光景を、アレハンドロや構成員が信じられないものを見る目で見つめる。
リリアナ:リリアナはゆっくりと笑みを浮かべ、
リリアナ:「……行くぞ!」
リリアナ:再び移動を再開する。
リリアナ:埠頭ははもう、目前に迫っていた。

GM:----------

GM:既に日は落ちかけていた。
GM:リリアナたちは、やっとの思いで埠頭に辿り着く。
GM:かつてエージェントとして駆け抜けた場所を、逃亡者として走る。
GM:貨物船は既に停泊していた。彼らが乗り込み、金を渡せば、すぐにでも出港するだろう。
GM:だが。
GM:先頭を行くリリアナが、足を止める。
GM:行く手に立ち塞がる人影。
GM:夕焼けに、赤い髪が燃えるように輝いている。
GM:その姿を、彼女の姿を、リリアナが見紛うはずもなかった。
リリアナ:「……来たな」
リリアナ:まるで予期していたかのように、笑みを浮かべる。
リリアナ:「――新垣御守」

【Climax】


矢ヶ崎藍華:98+1d10
DoubleCross : (98+1D10) → 98+3[3] → 101

豊島 正則:1d10+100
DoubleCross : (1D10+100) → 10[10]+100 → 110

鴻上禮次郎:80+1d10
DoubleCross : (80+1D10) → 80+6[6] → 86

ガラの悪い男たち:81+1d10
DoubleCross : (81+1D10) → 81+10[10] → 91

新垣御守:www
新垣御守:ともかく91です
日馬 美礼:1d10+106
DoubleCross : (1D10+106) → 7[7]+106 → 113

矢ヶ崎藍華:謎の人たち…
日馬 美礼:113。

GM:----------

リリアナ:「お前なら来ると思ってたよ」
リリアナ:まるで慌てた様子もなく、言う。
アレハンドロ:「ゆ……UGN……!」
新垣御守:「……悪党ってのは」
新垣御守:「どういう理由で港に集まんのかね」
新垣御守:「その辺、実感としてどうなんさ」
新垣御守:リリアナに視線を向け、こちらも気安く笑う。
リリアナ:「確かに、そういうイメージあるな」
リリアナ:「私も結構船乗ったりしたよ」
リリアナ:「ほら、密漁の縄張り争いとかさ。あと薬の取引とか……色々あるだろ」
新垣御守:「……最初から、アンタは自分のこと悪党だって思ってたのかもだけど」
新垣御守:「私はヒーローだと思ってた」
新垣御守:「勝手だーなんてキレてたけど、なんてことない」
新垣御守:「私も最初から、勝手だったよ」
リリアナ:「そりゃあ、買い被りだよ」
リリアナ:かぶりを振る。
リリアナ:「お前の思い違いだ」
リリアナ:「私はずっと、生まれた時から」
リリアナ:「『こんな』だよ」自嘲気味に笑う。
新垣御守:「だよね。でもガキだったからさ」
新垣御守:「見たいようにしか、見れなかった」
新垣御守:「……でも、そんな勘違いだって取り返せる。やり直せるって信じる」
新垣御守:「誰もやり直せないって、決めちゃいないからね」
リリアナ:「……そうかな」
新垣御守:「そうだって」
新垣御守:「……ここで止まってもらう。リリアナ・マルティネス」
新垣御守:確固たる視線で
新垣御守:リリアナを射抜く。
リリアナ:「…………」
ビショップ捜査官:「おやおや……UGNですか……」
新垣御守:「そうだよ。ビビった方がいいんじゃない」
新垣御守:「曲がりなりにも、世界の守護者だ」
ビショップ捜査官:舌打ちをして、背から巨大な翼を生やす。
ビショップ捜査官:「そうさせてもらうわ! 悪いが一抜けだ!」
ビショップ捜査官:「俺は捕まるのなんざ御免なんでね!」
ビショップ捜査官:翼を大きく羽ばたかせ、上空に逃れようとする、
ビショップ捜査官:が――
新垣御守:「やめときなって」
新垣御守:「無駄だから」
鴻上禮次郎:「ビショップ~」
鴻上禮次郎:声がした
鴻上禮次郎:「お前言ったじゃねえかよ」
ビショップ捜査官:「……あん?」
鴻上禮次郎:逃げ道だった筈の船の中から
鴻上禮次郎:「ケジメつけましょうねってさぁ~~~~~~!」
鴻上禮次郎:「一緒につけようぜぇえ~~~~~~~~~~~~!」
鴻上禮次郎:船の舳先に立つ男
ビショップ捜査官:「な……あ……ッ!?」
鴻上禮次郎:リザレクトとモルフェウス能力で再錬成した両腕を構え
鴻上禮次郎:唱える
ビショップ捜査官:「手前はッ……!!」
鴻上禮次郎
「無無明亦無無明尽」
「森羅万象一切合切一刀両断」
「是則剣理也」
「抜刀——空無辺処雪風《ネクロノミコン》」

鴻上禮次郎:刹那、空気が変わった
鴻上禮次郎:祈りの造花と呼ばれる遺産がある。
鴻上禮次郎:それは絶望に折れた者の魂を吸い寄せ、取り込むEXレネゲイドだ。
鴻上禮次郎:禮次郎は自らが持つこの遺産の力に、モルフェウスのシンドロームを使ってほんの少し改変を加えた。
鴻上禮次郎:すなわち、魂の複製&転写(コピー&ペースト)。
鴻上禮次郎:完全に引き寄せることはできなくとも、その力の応用で他者の魂の鏡像を生み出すことはできる。
鴻上禮次郎:禮次郎は呼んだ。今回の事件で喪われた多くのものたちの魂を、怨念を。
鴻上禮次郎:幽冥の境を断ち切り、モルフェウスの砂とそれに飲まれた密輸船を通じ、オルフェウスの如く現世へと呼び出した。
鴻上禮次郎:無数の亡者が群れ集い、巨大な腕のようになりながらビショップの逃げ先を塞ぐ
鴻上禮次郎:魑魅魍魎、邪魅怨霊、集い集い集い集い群れ集いて列を為す。
鴻上禮次郎:骨ばった手。焼けただれた皮膚。痛い痛いと呻く声。無数の死者が、凍える風を伴って黄泉の国より帰ってくる。
鴻上禮次郎:ゾンビ極道により形成された死者の軍団である。
ビショップ捜査官:「んだ、こりゃあああぁぁッ!!」
ビショップ捜査官:死者たちの腕に鷲掴みにされ、
ビショップ捜査官:地面へと引きずり降ろされる!
鴻上禮次郎:「あーあ……殺し過ぎだよ馬鹿野郎」
ビショップ捜査官:「てめぇええええッ……! この俺を……!!」
ビショップ捜査官:怒りに満ちた表情で、鴻上を睨みつける。
鴻上禮次郎:「ビショップゥ……ケジメ、好きだろぉ? なぁ?」
新垣御守:「で、どっち相手にしたい?」
新垣御守:「大人しく捕まるなら」
新垣御守:「そこの怖いお兄さんだけ」
新垣御守:「ケジメ付けるんなら、まあ、そん時生きてるかは分からんけど」
新垣御守:「私たちだけ」
新垣御守:「抵抗するなら……どっちも」
新垣御守:「選びなよ。ビショップさん」
ビショップ捜査官:「ブッ!!殺す!!鴻上禮次郎ォォォッ!!」
ビショップ捜査官:その言葉も耳に入らぬ様子で、叫ぶ。
ビショップ捜査官:全身が膨張し、異形の筋骨と醜悪な触手が露わになる。
ゾンビヤクザ:「くみちょぉ……」
ゾンビヤクザ:「見ててくださいよぉ……!」
ゾンビヤクザ:ビショップの足に
ゾンビヤクザ:一人、また一人と
ゾンビヤクザ:弾き飛ばされながらもすがりつく
ゾンビパンピー:「結婚する予定だったのに……おで……」
ビショップ捜査官:「知らねェ―――よ!!てめえらなんかッ!!」
ゾンビパンピー:そうして、ビショップの機動力を封殺する様を——
鴻上禮次郎:「知らねえだろうなあ……だから死ぬんだよ、お前は」 ニヤニヤと見下ろす
ビショップ捜査官:哄笑と共に、無造作にゾンビたちを弾き飛ばす。
ビショップ捜査官:「悪いのはてめえらだろ!!弱い奴は死んで!!殺されて!!当然だろうがッ!!」
ビショップ捜査官:「あァーーッはっはっはっはァーーーッ!!」
日馬 美礼:『さて。まずは投降をお勧めだ。相応の扱いは約束するともさ』状況お構いなしに、拡声器越しに、流暢で汚いスペイン語で。
ビショップ捜査官:「うるせえぞUGNッ!!」
ビショップ捜査官:「そんな戯言! 誰が聞くんだよ!!」
GM:ビショップがさらに剛腕を振るおうとした時、
GM:上空が光輝く――七色に。
GM:次の瞬間、その場の全員を、降り注ぐ破壊のプリズム光が襲った。
ビショップ捜査官:「ぐおぉおおおおおッ!?」
リリアナ:「…………本部エージェントか」
日馬 美礼:「おっと」車椅子から防護シェルが展開する
新垣御守:軽業めいて光を躱す
GM:吹き荒ぶ破壊の嵐の中、上空から天使めいて降り立つのは、純白の異形。
ヴァルチャー:「…………」
鴻上禮次郎:「……ッ! 組員の半分が消し飛んだぞ……!?」
鴻上禮次郎:ゾンビ組員たちの盾の中から顔を出す
豊島 正則:「まあ…そうなるよなぁ!」
豊島 正則:槍の切っ先を天に向け、傘のように魔眼を展開。左腕は、だらりと下げられたまま。
矢ヶ崎藍華:光の隙間を縫うようにしてかわし
矢ヶ崎藍華:豊島さんのまだ白い左腕をかばうように、並び立ちます
リリアナ:「……役者は揃ったってわけか」
リリアナ:その場の全員を見渡して、最後に新垣御守に目を向ける。
新垣御守:「まあね。一応聞くけどさ」
リリアナ:「何だよ」
新垣御守:望む答えなど返ってくるはずはない。それでも。
新垣御守:「チコって娘。今ならこっちで手当も受けさせられる」
新垣御守:「そこのデカブツにも手出しはさせない」
新垣御守:「……だから、そう」
新垣御守:「切った張ったは抜きに出来ない?」
リリアナ:「…………」
リリアナ:リリアナは黙り込む。本気で逡巡しているように見えた。
リリアナ:だが。
リリアナ:「……御守よォ」
新垣御守:「何?」
リリアナ:「……お前も分かってんだろ?」
リリアナ:「今更、止まれないんだよ」
リリアナ:「ここまで来たら、もう」
リリアナ:「私たちは、行くところまで行くしかないんだよ」
リリアナ:「だから――」
リリアナ:リリアナが、ゆっくりと腕を構える。
リリアナ:全身から、漆黒の血液が迸る。
リリアナ:「……決着を着けよう」
新垣御守:「今更だの」
新垣御守:「決着だの」
新垣御守:「ホンット、諦めだけは良くなったよね」
新垣御守:ずずずず
新垣御守:真紅の髪色が、真水に絵の具が流れ込むように、肌に移っていく
新垣御守:「キッツいやつで行くから、目え覚ませ。バカ」
日馬 美礼:「あー。テステス。N市UGNへ」やや割れた拡声器
日馬 美礼:「ぼくらはカルテル側オーヴァード、ならびに"乱入してきた不明な目標"の無力化を目標として動く」
日馬 美礼:「敵は多いが、まあいつものことだ。正念場だよ。始めようか、皆」
豊島 正則:「無力化、ね。毎度ながら、殺すより厄介なオーダーだが」
矢ヶ崎藍華:頭上に火球が灯る。ただ淀むだけだった足元の影は渦巻きを伴い、激しく規則的に流動を始める。
矢ヶ崎藍華:「だからこそ、挑む価値があります」
矢ヶ崎藍華:「“我ら、刃の切っ先”」
新垣御守:「そ」
新垣御守:「それめんどくさがっちゃったら、お題目も立たないって」
鴻上禮次郎:「俺は従うが……さて、うちの組員は血の気が多いからねぇ」
鴻上禮次郎:「へへへ」
GM:ビショップ、そしてリリアナが、物理的圧力すら生じさせる、強力なワーディングを展開する。
ビショップ捜査官:Eロイス≪堕落の誘い≫
GM:衝動判定失敗で100以下の場合侵食率が100に。
GM:難易度は9です、どうぞ!
豊島 正則:ウオーッ!
矢ヶ崎藍華:もう突破してるんだよなあ
鴻上禮次郎:ありがてぇ
矢ヶ崎藍華:6dx+1 思い出の一品補正も込で
DoubleCross : (6R10+1[10]) → 10[4,5,7,8,9,10]+9[9]+1 → 20

日馬 美礼:4dx+1>=9
DoubleCross : (4R10+1[10]>=9) → 3[1,3,3,3]+1 → 4 → 失敗

豊島 正則:8dx+2>=9
DoubleCross : (8R10+2[10]>=9) → 10[1,3,6,6,7,7,7,10]+10[10]+10[10]+6[6]+2 → 38 → 成功

鴻上禮次郎:3dx+1>=9
DoubleCross : (3R10+1[10]>=9) → 10[4,7,10]+10[10]+3[3]+1 → 24 → 成功

矢ヶ崎藍華:意志の力/Force of will
GM:成功しちゃったよ鴻上さん
豊島 正則:意志が すごく つよい
鴻上禮次郎:めっちゃ意思
日馬 美礼:あ。暴走した。まあ仕方ないか。最悪ロイス切ろう。
鴻上禮次郎:これはあれだ
鴻上禮次郎:ヤクザ一人の意思じゃない
鴻上禮次郎:皆の思いを背負ってる
鴻上禮次郎:86+2d10
DoubleCross : (86+2D10) → 86+6[3,3] → 92

日馬 美礼:2d10+113
DoubleCross : (2D10+113) → 11[4,7]+113 → 124

矢ヶ崎藍華:101+2d10 侵蝕上昇
DoubleCross : (101+2D10) → 101+6[1,5] → 107

矢ヶ崎藍華:安定している…!
豊島 正則:2d10+110
DoubleCross : (2D10+110) → 9[6,3]+110 → 119

豊島 正則:OKOK
新垣御守:5dx+1
DoubleCross : (5R10+1[10]) → 9[4,4,8,8,9]+1 → 10

新垣御守:2d10+91
DoubleCross : (2D10+91) → 6[1,5]+91 → 97


GM:クライマックス戦闘を開始します。
豊島 正則:うす!
矢ヶ崎藍華:押忍

エンゲージ
リリアナ

(10m)

ビショップ、従者ABC
(10m)

PC

(10m)

"ヴァルチャー"

新垣御守:いいね!
GM:イニシアチブから!
矢ヶ崎藍華:セットアップください!
GM:間違えた!
GM:セットアップ!
GM:エネミーはなし なしかな? なしで
日馬 美礼:ユニークコード起動。鴻上さん含めて、PCサイド全員の判定+2d。
新垣御守:ではアクセル!矢ヶ崎さんの行動値を+8
新垣御守:16に。
新垣御守:浸蝕は98
矢ヶ崎藍華:押忍!じゃあ今回はブルゲは節約して、無し!
鴻上禮次郎:セットアップ!
鴻上禮次郎:ブルーゲイル! 行動値+5!
鴻上禮次郎:侵食が97!
豊島 正則:なし!
GM:ではイニシアチブ!
GM:行動値15 従者ABC!
矢ヶ崎藍華:行動値16です!
GM:なにっ
GM:ヤバ!どうぞ
GM:殺さないで
矢ヶ崎藍華:アクセルをもらいましたからね
新垣御守:ぶっころせ!
矢ヶ崎藍華:マイナーでビショップのエンゲージに接敵!
矢ヶ崎藍華:メジャーコンボ【エルゴスフィア】!
《コンセ:ウロ》+《エクスプロージョン》+《ツインバースト》+《原初の赤:紅蓮の衣》+《オーバードーズ》

矢ヶ崎藍華:攻撃時にメイド服装着!
GM:ギエー
矢ヶ崎藍華:14dx7+5 対象は従者ABCとビショップ野郎!
DoubleCross : (14R10+5[7]) → 10[2,2,3,4,4,5,5,5,5,7,8,8,8,9]+10[1,3,3,5,7]+10[10]+10[8]+10[9]+5[5]+5 → 60

GM:ウワーーーー
GM:従者ズは回避
矢ヶ崎藍華:ああもちろん
矢ヶ崎藍華:ドッジ不能!
GM:死
GM:ダメージどうぞ…
矢ヶ崎藍華:全員ガードですか?
GM:はい
矢ヶ崎藍華:では紅蓮の衣適用で、ダメージ!
矢ヶ崎藍華:7d10+63 あっと、書き忘れていたけど【守護天使】も使用しております
DoubleCross : (7D10+63) → 41[6,7,7,3,2,6,10]+63 → 104

矢ヶ崎藍華:諸々有効
GM:ぐおおおおおおお
GM:従者は、死ぬ!!
GM:ビショップは…
GM:イージスの盾!
GM:104-4D10
DoubleCross : (104-4D10) → 104-22[10,5,6,1] → 82

GM:ぐえええええ
GM:2枚張りした≪拒絶の結界≫が剥がれます
矢ヶ崎藍華:持っていたとはね
GM:でもまだ、結構生きてる!
GM:演出どうぞ
GM:あ、そう!
GM:≪自動触手≫喰らえーーーっ
矢ヶ崎藍華:うげーっ
GM:18ダメージです
矢ヶ崎藍華:何点ですか!
矢ヶ崎藍華:しんじゃう…!
矢ヶ崎藍華:宇都宮さんのロイスを切って復活!
矢ヶ崎藍華:ロールします
矢ヶ崎藍華:「うわあ、凄い。」思わず声に出る。
矢ヶ崎藍華:人間の異形化した存在は珍しくないが、ここまでのものは久しぶりだ
矢ヶ崎藍華:「…まあ、でも。」
矢ヶ崎藍華:「倒します」
矢ヶ崎藍華:右手から溢れ出す淀みを、一閃。筆を振るがごとく黒い線が弧状に伸び
矢ヶ崎藍華:そこから病んだ葡萄のごとく、黒い球体が連鎖的に伸び爆縮していく!
ビショップ捜査官:「……!?」
ビショップ捜査官:その異様で不吉な光景に、硬直する。
矢ヶ崎藍華:汗一つかかない。
矢ヶ崎藍華:今まで苦しんでいたのは、制御だ。出力そのものならばまだあがる
矢ヶ崎藍華:侵蝕122
GM:球体に触れた従者たちが、一瞬で粉みじんになる。
GM:そして、ビショップの文字通り半身が抉り飛ばされ、虚空へとかき消える!
ビショップ捜査官:「ぐおぉッ!?なんだああああァこりゃああああぁぁ!!」
矢ヶ崎藍華:「!」
ビショップ捜査官:半身を吹き飛ばされながらも、ビショップはまだ生きている。
矢ヶ崎藍華:手加減したつもりはない。だが、この人は確かに耐えた
矢ヶ崎藍華:尋常ではない強度を感じ取る。
ビショップ捜査官:傷口から骨肉が盛り上がり、削られた半身を瞬く間に再生する。
ビショップ捜査官:「んだよ、この出力は……! 速攻で一抜けするかと思ったぜ……」
ビショップ捜査官:「バケモンが……!」
ビショップ捜査官:恐れ混じりに、軽蔑するように吐き捨てる。
矢ヶ崎藍華:「ええ、そうですね」
矢ヶ崎藍華:最早怯まない。全部背負っていくとキメたのだ
矢ヶ崎藍華:「ですから、理性のある“人間”の貴方には」
矢ヶ崎藍華:「投降してもらえると助かります」
ビショップ捜査官:「……ガキが……!」
GM:行動値14! 鴻上さん!
鴻上禮次郎:行きます!
鴻上禮次郎:マイナーでスーパーランナー+インフィニティウェポン
鴻上禮次郎:大好きなビショップ君に女が近づいているので傍にいって思い出させてあげます
鴻上禮次郎:メジャーで咎人の剣+コンセ+カスタマイズ+クリスタライズ
鴻上禮次郎:対象はもちろんビショップ君!
GM:どうぞ!
鴻上禮次郎:行くぜ!
鴻上禮次郎:97→101
鴻上禮次郎:12dx7+5 白兵
DoubleCross : (12R10+5[7]) → 10[2,2,2,3,4,4,6,8,9,9,9,10]+10[4,6,7,8,10]+10[1,3,7]+6[6]+5 → 41

鴻上禮次郎:剣聖の手
鴻上禮次郎:101→114
鴻上禮次郎:114→116
GM:ぐっ……ガードと≪殺意の壁≫!
鴻上禮次郎:1dx7+45
DoubleCross : (1R10+45[7]) → 10[7]+1[1]+45 → 56

GM:攻撃力-12
GM:そしてイージス!
鴻上禮次郎:66-12+6d10 装甲無視!
DoubleCross : (66-12+6D10) → 66-12+24[4,2,10,4,3,1] → 78

鴻上禮次郎:ガードは有効だずぇ~~~~! 来いよ!
GM:俺が攻撃力だと思っていたのは達成値だった
GM:何だこの火力は
GM:とんでもないモラルハザードだよ
鴻上禮次郎:咎人だからな……
GM:78-12-4D10
DoubleCross : (78-12-4D10) → 78-12-18[10,1,6,1] → 48

GM:ウワーーー
GM:まだ!生きてる!
鴻上禮次郎:あっ
鴻上禮次郎:もう-12してますよ
矢ヶ崎藍華:うげえ
GM:ゲエーーーー
矢ヶ崎藍華:じゃあ60ですね
豊島 正則:び、ビショップ…!?
GM:ギリギリ生きてる!こいつはメイン盾だから!
GM:演出どうぞ!
GM:あ!待って!
鴻上禮次郎:おっ!?
GM:自動触手くらえーーーーッ
GM:18ダメージ!
鴻上禮次郎:もらってく~!
鴻上禮次郎:HP27→9
矢ヶ崎藍華:ああ
GM:あらためて演出どうぞ!
矢ヶ崎藍華:自動触手、ラウンド1回だったような
GM:ア!!!!?
GM:今の無し!!
鴻上禮次郎:はい!
鴻上禮次郎:じゃあ演出タイム!
GM:ビショップ……!生きてくれ……!
鴻上禮次郎:「さあ始めようや……鴻鵠会のカチコミだぁああああああああああ!」
鴻上禮次郎:無数の死者を踏み台に、統べるように滑るようにしてビショップの懐まで潜り込む。
鴻上禮次郎:袈裟斬りの一刀。
ビショップ捜査官:「鴻上……!鴻上禮次郎ォォォッ!!」
ビショップ捜査官:迎え撃たんと、腕に鋭利な骨の刃を生成する。
鴻上禮次郎:超人であるビショップには、その流麗な動きにも僅かなすきを見出して反撃できた……筈だった。
鴻上禮次郎:「海の彼方にゃあよぉ!」
鴻上禮次郎:「死者の国ってのがあるらしい!」
鴻上禮次郎:ビショップの足を、腕を、死者が掴む
ビショップ捜査官:「……ああ!?」
ビショップ捜査官:がくん、と大きく体勢を崩す。
鴻上禮次郎:口々に、やってくれ、頼む、兄貴、組長、そう呟いて、ビショップの身体にまとわりつく。
ビショップ捜査官:「離ッ……!?」
鴻上禮次郎:「てめぇら! 抑えとけよぉっ!」
鴻上禮次郎:「俺が!」
鴻上禮次郎:それらごと突き刺し
鴻上禮次郎:「俺たちが!」
鴻上禮次郎:それらごと切り裂き
鴻上禮次郎:「鴻鵠会だァアアアアアアアア!」
鴻上禮次郎:刀剣に再錬成して内側から爆発を起こす!
ビショップ捜査官:「がぁぁあああッ!!?」
ビショップ捜査官:大量の血肉が噴出し、鴻上の全身を赤一色に染め上げる。
矢ヶ崎藍華:(この人……)画面越しで見ただけだったけど
矢ヶ崎藍華:(やくざさんだったんだ……)
ビショップ捜査官:「ク……ソ……ボ……ケ……ヤクザがあああぁぁああッ……!!」
ビショップ捜査官:鴻上に凄まじい憎悪の篭った目を向ける。
鴻上禮次郎:「ギャハハハハッ! 楽しいなあぁ! ええおいビショップゥ!?」
ビショップ捜査官:体内に巨大で鋭利な金属片をいくつも残したまま、それでもビショップは倒れない。
GM:ネクスト手番!リリアナ!
GM:マイナーで≪赤き鎧≫生成!
GM:メジャーで≪コンセントレイト:ブラム=ストーカー≫+≪紅の刃≫+≪血の宴≫+≪殺戮領域≫+≪ブラッドバーン≫!
GM:対象は日馬さん豊島さん新垣さん!
GM:12DX7+6
DoubleCross : (12R10+6[7]) → 10[1,2,3,3,4,4,4,6,7,7,9,9]+10[2,5,7,10]+10[5,9]+10[7]+10[7]+10[9]+4[4]+6 → 70

GM:あ、孤独しますか?
豊島 正則:判定は振られましたが、割り込んで《孤独の魔眼》したい!
GM:OK!
GM:ダメージ行きます
豊島 正則:ではガード!《レネゲイドイーター》も使用!
GM:8D10+40+2D
DoubleCross : (8D10+40+2D6) → 53[8,9,7,6,8,2,9,4]+40+7[3,4] → 100

豊島 正則:でかいよ!
GM:諸々有効!
GM:ダイス間違えたな…
豊島 正則:最後が6になってますね…
GM:振りなおしても良いですか?
豊島 正則:どうぞどうぞ。
新垣御守:どうぞどうぞ
GM:ありがたく!
GM:8D10+40+2D10
DoubleCross : (8D10+40+2D10) → 40[10,3,8,8,1,6,3,1]+40+8[4,4] → 88

GM:やっぱり下がった!
豊島 正則:落ちたけどそれでも大概だよ!
豊島 正則:まずはガード値が
豊島 正則:5d10+4
DoubleCross : (5D10+4) → 17[1,2,3,5,6]+4 → 21

豊島 正則:屍人が
豊島 正則:2d10
DoubleCross : (2D10) → 14[9,5] → 14

豊島 正則:88からガードで21、屍人で14、アリベイドスーツを使って更に5、装甲で11
豊島 正則:やるか。リアクティブコートの効果を使用。
豊島 正則:3d10
DoubleCross : (3D10) → 18[4,7,7] → 18

豊島 正則:ダメージ適用直前に更に18点削って、被ダメージは19点。HP8で生存。
GM:えええええええ
GM:固すぎやろ!
豊島 正則:1発限りの芸当だがな!
豊島 正則:演出ください!
日馬 美礼:一手凌げりゃ十分さ。
リリアナ:リリアナの周囲、嵐のように吹き荒れていた黒血が、急速に一点に収束する。
リリアナ:一瞬の静寂。
リリアナ:刹那、
リリアナ:限界まで圧縮された血液の刃が、三人に向かって解き放たれる!
リリアナ:「ら……あァァッ!!」
豊島 正則:「させねえよ」
豊島 正則:全て打ち払う、などといった技量はない。半身が思うままに動かぬのであれば尚更のこと。ゆえに。
豊島 正則:ただ、魔眼をもって、全ての血刃を己に吸い寄せるのみ。
豊島 正則:己が身に達した血刃が、肉を削り、骨を砕き、臓腑を抉る。それでもなお。
豊島 正則:「……させねえし、死なねえ」
豊島 正則:屍人は、生きている。
リリアナ:「……は、マジか」少し目を見開き、咥え煙草を不機嫌そうに動かす。
リリアナ:「割と引くぞ、ソレ」
リリアナ:メインプロセス終了時に≪夜魔の領域≫!
リリアナ:行動値0で再行動。
矢ヶ崎藍華:うげええ
ヴァルチャー:行動値12.ヴァルチャー!
ヴァルチャー:マイナーなし!
ヴァルチャー:メジャーで≪コンセントレイト:エンジェルハィロゥ≫+≪光の弓≫+≪雷の槍≫+ ≪氷の塔≫+≪砂の刃≫+≪大地の牙≫+≪振動球≫+
ヴァルチャー:≪スターダストレイン≫!
矢ヶ崎藍華:ぎゃああああ
豊島 正則:おごーッ!
ヴァルチャー:対象、自分以外の全員!
日馬 美礼:来たねえ。装甲無視入りの大盤振る舞い。
ヴァルチャー:何かございますか!
鴻上禮次郎:俺はないです!
新垣御守:なし!
日馬 美礼:暴走中だからね。リアクションなし。
豊島 正則:新垣支部長は素受けになるとして、日馬さん、カバーはご入用か。
日馬 美礼:どっちにしろロイス吹っ飛ぶんだよね。だったら貰える?
豊島 正則:そうですね、同じように1つ飛ぶならこちらで引き受けましょう。
ヴァルチャー:12DX7+10
DoubleCross : (12R10+10[7]) → 10[1,1,3,4,5,6,7,8,9,9,10,10]+10[1,3,5,6,7,7]+6[4,6]+10 → 36

ヴァルチャー:ウッ あんまりだな…
新垣御守:オートでクリシー装備!ガード!
豊島 正則:というわけで、《原初の紫:軍神の守り》!日馬支部長をカバー!
日馬 美礼:ありがとう!
豊島 正則:リアクションとしては《レネゲイドイーター》を使用してのガードを。
矢ヶ崎藍華:ドッジ!
矢ヶ崎藍華:5dx+1
DoubleCross : (5R10+1[10]) → 9[3,4,5,7,9]+1 → 10

矢ヶ崎藍華:だめ…
リリアナ:ガード。
ビショップ捜査官:ガード≪イージスの盾≫
鴻上禮次郎:ワンチャンスのドッジ!
鴻上禮次郎:6dx
DoubleCross : (6R10[10]) → 10[1,2,5,7,10,10]+7[2,7] → 17

鴻上禮次郎:まあ無理!
ヴァルチャー:ダメージ!
ヴァルチャー:4D10+42
DoubleCross : (4D10+42) → 25[3,8,9,5]+42 → 67

ヴァルチャー:装甲無視!
矢ヶ崎藍華:しぬ
新垣御守:死ぬわこんなん!
豊島 正則:固定値が凄い。
新垣御守:リザレ!
新垣御守:98+1d10
DoubleCross : (98+1D10) → 98+2[2] → 100

豊島 正則:5d10+4
DoubleCross : (5D10+4) → 26[4,4,10,7,1]+4 → 30

日馬 美礼:いいとこだ。
矢ヶ崎藍華:リリアナさんのロイスを昇華して復活!
鴻上禮次郎:部下たちへのロイスを使って蘇生! 死にゆく友に未練など!
ビショップ捜査官:ヒンッ!死ぬなビショップ!
豊島 正則:ん、そうか。屍人で軽減されるのは、カバーで2倍になった後のダメージか。
ビショップ捜査官:67-4D10
DoubleCross : (67-4D10) → 67-27[7,9,7,4] → 40

ビショップ捜査官:生きた!!!!!!
矢ヶ崎藍華:マジで
鴻上禮次郎:おのれビショップ!!!!!!!!!!
リリアナ:リリアナも元気
豊島 正則:ではこちらは死ぬので…リリアナに「有為/■脅威」でロイスを取得!タイタス化、昇華して復活!
ヴァルチャー:夕暮れの中にあって、なお眩い光がヴァルチャーのもとに収束していく。
ヴァルチャー:一際光が強く輝いた瞬間、七色の破壊の奔流が上空に向かって放たれた。
新垣御守:「…!全員退避!!」
ヴァルチャー:光は曲線を描き、その場の全員に無差別に降り注ぐ!
矢ヶ崎藍華:「!!」
矢ヶ崎藍華:「きゃあああ!!!」
矢ヶ崎藍華:破壊の奔流が身を焼く。過大な攻撃能力に反して、防御は殆ど無い
ビショップ捜査官:「ご……あああぁぁッ!!」
ビショップ捜査官:リリアナはなんとか軌道を逸らしたが、体勢を崩したままのビショップには直撃する!
ビショップ捜査官:「ゆ……UGNゥゥ……!!」
鴻上禮次郎:「ぐっ……ううううぅっ!」
日馬 美礼:「あ。まずいな」
豊島 正則:「そう思ってんなら、動くんじゃねえぞ」
豊島 正則:日馬とヴァルチャーの間に立ち、魔眼の盾を、薄く、広く展開。己を守るのなら狭く、厚くが定石ではあるが。
豊島 正則:少しでも、その先にいる者たちへの被害が軽減できれば、と。無駄であるとは分かっていても。
豊島 正則:「…ハ。これで身軽になった、ってな…!」
豊島 正則:光に己が身と、刺さっていた血刃を焼き崩されながら、笑う。
ヴァルチャー:己の攻撃を受け止めた豊島を、ただ感情の読み取れぬ無貌で見つめる。
GM:ネクスト新垣さん!
新垣御守:おっけー!
新垣御守:ではマイナーで2m左に移動
新垣御守:エンゲージを切りつつ、メジャーでコンセ+魔獣の衝撃+増加の触媒+蝕む赤+ブラッドボム+造血剤
GM:対象は!
新垣御守:対象はビショップくん!
ビショップ捜査官:ぐおおおお≪魔獣の咆哮≫!
新垣御守:オートでメイド服も装備!
新垣御守:こ、こいつ!
ビショップ捜査官:ダイス-6個!
新垣御守:めちゃくちゃ往生際が悪いな!
矢ヶ崎藍華:侵蝕と支部長の追加分が無くなった
ビショップ捜査官:死にたくない!
新垣御守:8dx7+9
DoubleCross : (8R10+9[7]) → 10[1,1,2,2,2,5,5,7]+10[8]+10[8]+4[4]+9 → 43

新垣御守:いいから死ね!
ビショップ捜査官:ぐ……うおおおおお!!
ビショップ捜査官:ドッジだ!!
ビショップ捜査官:7DX>=43
DoubleCross : (7R10[10]>=43) → 8[1,2,2,6,7,7,8] → 8 → 失敗

ビショップ捜査官:どうして俺はドッジなんてしてしまったんだろうな
ビショップ捜査官:最後の最後でイージスを信じられなかった…
新垣御守:7d10+14
DoubleCross : (7D10+14) → 26[2,4,1,7,8,2,2]+14 → 40

ビショップ捜査官:死!!
新垣御守:ビショ沢サン…
GM:演出どうぞ!
新垣御守:そして、対抗種のバックファイアでこちらも死ぬため
新垣御守:ビショップにロイス取って即昇華
新垣御守:脅威○/敵愾心/昇華済み
日馬 美礼:【肉体】+10+1d10まで回復するよ。(チーム効果)
新垣御守:あ!!!
新垣御守:そうか!!
豊島 正則:あ、自分も忘れてた…!
新垣御守:まずリザの回復量が違う!
新垣御守:今振ってもいいですか?
GM:どうぞ!
新垣御守:2+1d10
DoubleCross : (2+1D10) → 2+7[7] → 9

豊島 正則:では自分もここで。
豊島 正則:1d10+11
DoubleCross : (1D10+11) → 6[6]+11 → 17

新垣御守:で、対抗種のバックファイアで
GM:死なない!
新垣御守:残り6
新垣御守:日馬支部長~~~!!
GM:なんてこった……日馬美礼……!
新垣御守:ではとりあえずビショップくんには取得まで!昇華はしない!
GM:あらためて演出どうぞ!
新垣御守:たんッ たんッ
新垣御守:光に傷負いながらも、軽業師のように跳び回り続ける。
ビショップ捜査官:「UGN……UGN……!」瀕死の身体で、ずるずると這いずる。
ビショップ捜査官:「許せねえ……同じオーヴァードのくせに……」
ビショップ捜査官:「てめぇらも化け物のくせに……!」
新垣御守:「それ以上動かない方がいい」
新垣御守:「立つなら」
新垣御守:「アンタは死ぬ」
ビショップ捜査官:「うるせえ……うるせえうるせえうるせえぇええーーーーッ!!」
新垣御守:距離は遠間、しゃがみ込みながら
新垣御守:攻撃の気配はない。
ビショップ捜査官:がく、がくと
ビショップ捜査官:震えながら、膝に力を入れようとする。
新垣御守:「……」
新垣御守:「警告はした」
ビショップ捜査官:「どいつもこいつも人間ぶりやがって……!」
ビショップ捜査官:「ムカつくんだよ……!」
ビショップ捜査官:「自分だけは、自分だけは特別だと思ってやがる」
ビショップ捜査官:「違う!!違う違う、違う!!」
ビショップ捜査官:肋骨が肉を突き破り、地面に刺さって身体を支えようとする。
ビショップ捜査官:「お前も……お前もお前も!!どいつもこいつも人でなしの分際で……!」
新垣御守:「私には」
新垣御守:「アンタが特別、化物ぶりたかっただけみたいに見えるけどね」
ビショップ捜査官:「おっ」
ビショップ捜査官:「俺は!!」
新垣御守:びし びし びし
ビショップ捜査官:「俺はぁあああ!!」
ビショップ捜査官:新垣に対し、醜悪な拳を振り上げようとした、その瞬間。
新垣御守:地面に広がった血溜まりから
新垣御守:一斉に猛毒の煙が、ビショップに向け吹き上がる!
ビショップ捜査官:「ぐ……あぁッ!?」
ビショップ捜査官:「こんな、ただの霧……」
ビショップ捜査官:「……え」
新垣御守:急激に肉と骨を分解させ
新垣御守:レネゲイドごと塵に返す。
ビショップ捜査官:どろどろと。
新垣御守:「アンタも私も、普通だよ」
ビショップ捜査官:腕が、手足が、臓腑が、頭が。
新垣御守:「普通の人間が普通の人間を、今1人、殺した」
ビショップ捜査官:溶解し、崩れ落ちていく。
新垣御守:「……34人目」
新垣御守:小さく呟く。あの日から
ビショップ捜査官:「嫌だ……嫌だ……俺は……お……れ……」
ビショップ捜査官:「まだ……」
ビショップ捜査官:「何……に……も……」
新垣御守:自分で引き金を引いた数。
ビショップ捜査官:「………………」
GM:どしゃり。
GM:もう再生もかなわない。物言わぬ肉塊と化したビショップが、血だまりに崩れ落ちる。
新垣御守:「……」
新垣御守:そのビショップ捜査官だったものを見据えながら、立ち上がり
新垣御守:視線はその先のリリアナへ。
鴻上禮次郎:「……チッ、気に食わねえな。気に食わねえが……」
鴻上禮次郎:クライマックスなのでここでロイス取得!
鴻上禮次郎:もったいぶったPC間ロイス!
鴻上禮次郎:一つ、借りができちまったな…… 新垣御守 恩義◯/嫉妬
鴻上禮次郎:以上です!
GM:行動値6 豊島さんと日馬さんですね
豊島 正則:うっす。
日馬 美礼:こっちはヴァルチャー攻撃予定。先動くかい?
豊島 正則:や、どうぞ。
日馬 美礼:OK。じゃあ仕掛けるよ。マイナーで戦闘移動。ヴァルチャー側へエンゲージ、と。
日馬 美礼:メジャーアクションで通常攻撃。ビショップへのロイスをタイタス化。昇華してC-1に。
日馬 美礼:15dx6+4 《コンセントレイト》《巨匠の記憶》
DoubleCross : (15R10+4[6]) → 10[1,1,1,1,1,2,4,5,7,8,8,8,8,9,9]+10[1,1,3,3,7,7,9]+10[4,6,10]+10[6,8]+4[4,4]+4 → 48

日馬 美礼:よし。まずまず走ったね、達成値48だ。
GM:ウオーー
GM:ドッジ!
GM:4DX>=48
DoubleCross : (4R10[10]>=48) → 10[7,8,8,10]+2[2] → 12 → 失敗

GM:ダメージどうぞ!
日馬 美礼:5d10+13 装甲有効
DoubleCross : (5D10+13) → 34[10,4,4,9,7]+13 → 47

日馬 美礼:出目は大きいね。装甲有効の47点。
日馬 美礼:ほんとうに、対ジャーム戦闘は好きじゃない。単純に、この出来損ないのカラダは、RVの衝動に耐えられないからだ。
日馬 美礼:今も、湧き上がる飢えが。より正体の知れないオーヴァードであるリリアナ・マルチネスを解体しろ、と。
日馬 美礼:できもしないのに。そんなものは黙殺する。思考戦車を自動操縦にセット。白い"外敵"にそのまま、全速力で激突させる。
ヴァルチャー:「……!」
ヴァルチャー:攻撃後の反動は流石に大きいらしく、ほとんど動けずに衝撃をまともに喰らう!
日馬 美礼:「やぁ」めりこんだ"前肢"の間から、白い装甲を覗き込む。
ヴァルチャー:「……」
日馬 美礼:「おとなしくはできないかな。無理だよねえ」
ヴァルチャー:純白の装甲が大きくへこんでいる。甚大なダメージであるはずだ。
ヴァルチャー:それでも、ゆっくりと人形めいて立ち上がる。
日馬 美礼:露骨に嘆息。
日馬 美礼:「じゃあ続けようか」
GM:豊島さんどうぞ!
日馬 美礼:侵蝕128。
豊島 正則:はい。マイナーで藍華ちゃん、鴻上さんのエンゲージに合流。
豊島 正則:メジャーでリリアナに、《C:ウロボロス/無形の影/シャドーテンタクルス/シャドースクラッチ/瞬速の刃》で攻撃。
豊島 正則:17dx7+2
DoubleCross : (17R10+2[7]) → 10[1,1,1,2,3,5,6,6,7,7,7,8,8,9,10,10,10]+10[2,3,4,8,8,8,8,9,10]+10[1,3,5,5,8,10]+10[2,9]+10[7]+1[1]+2 → 53

豊島 正則:達成値53で!
GM:高っ
GM:回避!
GM:7DX>=53
DoubleCross : (7R10[10]>=53) → 10[1,3,6,6,8,9,10]+9[9] → 19 → 失敗

GM:ダメージどうぞ!
豊島 正則:6d10+19
DoubleCross : (6D10+19) → 41[1,7,8,8,10,7]+19 → 60

豊島 正則:装甲有効、60点。
GM:ええーー
GM:カバー屋でこの火力
GM:装甲で減らして、健在!
GM:演出どうぞ!
豊島 正則:「さて、まだ満足に動きゃしないこの身体だが」
豊島 正則:事実。距離を詰めるのにも、左腕は力なく垂らしたまま。左足は引きずるように。とても、槍を自在に操れる状態ではない。
豊島 正則:「なぁに、問題ない。ヒトとしてのカタチさえ残ってりゃあ…」
豊島 正則:防御に使っていた魔眼は、槍の穂先に。
豊島 正則:「俺は、俺達は、戦える」
豊島 正則:共に歩む影は、地面から浮き上がり。操り人形のように、壊れかけた身体を、外側から駆動させる。
豊島 正則:通常と遜色ない、あるいは通常以上に鋭さを感じさせる構えから。
豊島 正則:「……啼け、大鴉」
豊島 正則:振り上げた槍が伸び、魔眼と融合した穂先は大きさと重さを増して。
豊島 正則:巨大な戦斧と化して、血鎧を纏ったリリアナに直撃する。
リリアナ:防御を貫通した一撃に、身体を深々と抉られる。
リリアナ:「はっはァ!! やるじゃん、UGNエージェント!!」
リリアナ:噴き出した血も、また彼女の武器と化す。
豊島 正則:「アンタもな。……いや、実際笑いごとじゃねえが」
リリアナ:「一応、名前、聞いとこうか?」
豊島 正則:ふん、と小さく笑ってから。
豊島 正則:「豊島正則。人呼んで”凶鳥(フッケバイン)”」
豊島 正則:「死体を喰う、あさましい鴉…だった男だよ」
リリアナ:「覚えとくよ――最後まで生きてたらな」
GM:行動値0、リリアナの再行動です。
GM:リリアナが、血液を刃に変え、自らの喉元に突き立てる。
GM:噴き出す黒血。
GM:同時に、彼女のレネゲイドが、急速にその出力を増していく。
GM:自身の侵蝕率を強制的に高める、≪ジェノシフト≫と呼ばれる技術。
GM:だが彼女のそれは、常軌を逸した激しさで行われている。
GM:ジャーム化も辞さない、ということだろう。
GM:リリアナが煙草を咥えなおす。彼女の全身より噴き出す黒血から、
GM:真紅の爆炎が吹き上がる。
リリアナ:「本気出すとしようか」
リリアナ:マイナーなし。
リリアナ:メジャーで
リリアナ:≪コンセントレイト:ブラム=ストーカー≫+≪紅の刃≫+≪血の宴≫+≪殺戮領域≫+≪ブラッドバーン≫+≪プラズマカノン≫+≪バーストブレイク≫
リリアナ:対象、新垣御守!
新垣御守:よっしゃあああ
GM:喜ぶところではない!
新垣御守:言われてみればそうである
リリアナ:13DX7+6
DoubleCross : (13R10+6[7]) → 10[1,1,2,2,2,3,4,6,7,7,8,9,10]+10[1,2,4,4,9]+6[6]+6 → 32

新垣御守:ともかく来いッ!
新垣御守:回避!
リリアナ:死ねーッ
新垣御守:4dx
DoubleCross : (4R10[10]) → 9[2,4,8,9] → 9

新垣御守:やってみろゴルァ!!
リリアナ:4D10+70+2D10+5D10
DoubleCross : (4D10+70+2D10+5D10) → 24[9,1,5,9]+70+5[3,2]+26[6,1,5,7,7] → 125

新垣御守:お太い!
新垣御守:ホア^~ッ死ぬ
新垣御守:今度こそビショップのロイス切って蘇生!
リリアナ:リリアナがその血塗れの腕を振るう。
新垣御守:11+1d10
DoubleCross : (11+1D10) → 11+5[5] → 16

リリアナ:幾重にも重なった黒い血の刃が飛来し、新垣の全身をズタズタに引き裂く!
新垣御守:「ッ!!」
リリアナ:一瞬遅れて、血液が赤熱。
新垣御守:正面から受ける!深々と傷を負う!
リリアナ:業火が噴き上がり、傷口から体内を焼き焦がす!
リリアナ:さらに対抗種のレネゲイドが、お互いにお互いを喰らいあう。凄まじい激痛。
リリアナ:なお勢い衰えぬ血刃は、遥か後方の大量のコンテナや漁船をバターのように切断し、最後に巨大な水柱を巻き上げた。
リリアナ:高く巻き上げられた海水が、雨のようにこちらまで降り注ぐ。
新垣御守:「……ぐッ…は」
新垣御守:リリアナとは何度も喧嘩した。取っ組み合いになることだってあったし
新垣御守:訓練でだって、いつもこてんぱんにされた。
新垣御守:でも、この痛みは、あの時以来だ。
新垣御守:あの日……この人と出会った日。
リリアナ:「痛いか、御守」
リリアナ:リリアナが、蹲る君を見る。
リリアナ:「痛いなら、そこで寝てろ」
リリアナ:「そうすれば、殺しはしない」
新垣御守:「痛いよ。痛いに決まってんじゃん」
新垣御守:ふらつきながら、立ち上がる
新垣御守:俯いたその口元は
新垣御守:「……は……はは……ふふ」
リリアナ:「…………」
新垣御守:笑っている。
新垣御守:何故かわからないけど、笑ってしまう。
リリアナ:「……まだ、やる気かよ」
リリアナ:呆れたような声。
新垣御守:「やるよ」
新垣御守:「勝負はこれからだ。やっと」
新垣御守:「私はアンタから思いっきり殴られた」
新垣御守:「……こんなに痛かったんだ。ああ、ホントにさあ」
新垣御守:「やっとだよ。これで向き合える」
新垣御守:唇の端の血を、指先で拭って
新垣御守:「次は私が、思いっきり殴る」
リリアナ:「向き合える、か」
リリアナ:「それが敵としてでも、か?」
新垣御守:「敵とか味方じゃない」
新垣御守:「アンタと、私の話だよ」
リリアナ:虚を突かれたような顔。
新垣御守:「……そんな言葉で線引きできるくらい、安くないでしょ」
リリアナ:「お前、ここまで来て……はは」
新垣御守:「マジで、ホント、嫌んなるけど」
リリアナ:「あはは……あっははははは!!」
リリアナ:おかしくてたまらないというような笑い声。
新垣御守:「……はは、ははは!」
新垣御守:「笑うしかないよ……ったくさ」
新垣御守:それでも
新垣御守:この人に出会えて、本当によかった。
新垣御守:やっぱりそう思う。
リリアナ:「ははは、はぁ……いいぜ……それなら」
リリアナ:リリアナが、にやりと笑う。
リリアナ:「――ボコボコにしてやる」
新垣御守:「こっちの台詞」
新垣御守:にっと掌を突き出す。
GM:それは何度目だったか、いつ振りだったか。
GM:二人の視線が、ようやく本当に、交錯した。
GM:---
GM:1ターン目を終了します。
GM:そういえばクリンナップは何かありますかね 多分ないですよね?
鴻上禮次郎:ないですね!
豊島 正則:ないです!
日馬 美礼:なし。
新垣御守:なし!
矢ヶ崎藍華:ないです
GM:ヨシ!2ターン目!

エンゲージ
リリアナ

(10m)

豊島、矢ヶ崎、鴻上

(10m)

(2m)新垣

(10m)

"ヴァルチャー"、日馬

GM:セットアップ!
豊島 正則:あ、そしてリアクティブコートが破壊されたので、微妙に行動値が上がっております。
鴻上禮次郎:セタップ! ブルーゲイル!
鴻上禮次郎:116→121
豊島 正則:なっしん!
日馬 美礼:セットアップ宣言なし。
新垣御守:アクセル!俺に質問するな!!
新垣御守:矢ヶ崎さんの行動値をプラス10!
矢ヶ崎藍華:いただきます!
矢ヶ崎藍華:あ、じゃあ脱がなくてもいける!
GM:エネミーはなし!
GM:ではイニシアチブ!
GM:行動値15になったガサキさん!
矢ヶ崎藍華:マイターン!
矢ヶ崎藍華:マイナーで移動して、
矢ヶ崎藍華:ヴァルチャーと接敵…!そして!
矢ヶ崎藍華:メジャー 最終コンボ【N・N・N(ネガ・ノヴァ・ネメシス)】
《コンセ:ウロ》+《エクスプロージョン》+《ツインバースト》+《原初の赤:紅蓮の衣》+《原初の黒:プラズマカノン》+《原初の白:マシラのごとく》+《オーバードーズ》

GM:【クライマックス戦闘】
矢ヶ崎藍華:もちろん【守護天使】も起動!ダイス+5、マシラによるダイスペナルティ無視!
GM:ぐおおお
GM:どうぞ!
矢ヶ崎藍華:14dx7+5 吹 っ 飛 べ ー !
DoubleCross : (14R10+5[7]) → 10[1,2,2,3,3,4,5,5,8,8,9,10,10,10]+10[3,3,4,7,8,8]+10[4,7,7]+5[4,5]+5 → 40

矢ヶ崎藍華:十二分
矢ヶ崎藍華:もちろん
GM:ガードしかない!
矢ヶ崎藍華:ドッジ不能!
GM:ダメージどうぞ!
矢ヶ崎藍華:ダメージ!
矢ヶ崎藍華:5d10+153
DoubleCross : (5D10+153) → 23[7,2,4,7,3]+153 → 176

GM:いや……おかしいでしょ……
GM:粉々になりました
GM:演出どうぞ!
矢ヶ崎藍華:「……」白い装甲の異形に照準を合わせる。確か、あれは
矢ヶ崎藍華:「…先輩。あれって…」
豊島 正則:「だろうな。……なに、遠慮するこたあ無ぇ」
豊島 正則:「言うべきことは言った。聞くべきことは聞いた。その上で俺達は、ここにいる。……それに」
豊島 正則:「今のお前なら、やれるさ。そうだろう、藍華」
矢ヶ崎藍華:「ふふっ、ずるいですね…先輩」「そんな事言われたら」
矢ヶ崎藍華:頭上の火球が消える。
矢ヶ崎藍華:「私」「めちゃくちゃに頑張れますよ」
豊島 正則:言葉を返す、その代わりに。駆け出す藍華の背を、傷の増えた左上でそっと押す。
矢ヶ崎藍華:再び火球が灯る…今度は、体内。
矢ヶ崎藍華:心臓を中心に、爆発するように全身から影の淀みが噴出し矢ヶ崎藍華の全身を覆い、真っ黒なシルエットへと変貌させる。
矢ヶ崎藍華:「…っせっ!!」
矢ヶ崎藍華:駆ける!
矢ヶ崎藍華:同時に白い異形の背中にも火球が出現し、その影をも写し取る。輪郭が“ヴァルチャー”の映し身へと更に変貌し
矢ヶ崎藍華:到着と同時、真っ黒いプリズム光を、その左手から“ヴァルチャー”へと解き放つ!!
ヴァルチャー:「!!」
ヴァルチャー:姿かたち、のみならず出力までもが自信と瓜二つのそれに、ほんの一瞬動きが止まる。
矢ヶ崎藍華:「……はぁっ!」
ヴァルチャー:「…………!!」
ヴァルチャー:放たれた破壊の奔流に、自らのレネゲイドを同じ形に収束させて、放つ!
ヴァルチャー:凄まじい破壊の渦が吹き荒れ、周囲の全てを粉々に吹き飛ばす。
ヴァルチャー:数秒の拮抗。だがやがて、黒い光がヴァルチャーの光を塗り潰していく。
ヴァルチャー:「!!」
矢ヶ崎藍華:「あなた、強いですね。」
ヴァルチャー:咄嗟に回避しようとするが――
矢ヶ崎藍華:「でも、私のほうが。」
矢ヶ崎藍華:「恵まれていました」
矢ヶ崎藍華:奔流は分厚い装甲を削り取っていく…が、致命までその出力を維持はせず
矢ヶ崎藍華:戦闘不能へと押し止める意志を込めて、放出し終えた
ヴァルチャー:ほんの一瞬掠っただけで、頭部の装甲が粉砕される。
ヴァルチャー:開いた穴から、真っ白な長髪がはらりと垂れる。
ヴァルチャー:「…………」
ヴァルチャー:ひしゃげ、あちこち剥がされた装甲で、
ヴァルチャー:"ヴァルチャー"はゆっくりと、君と豊島くんを見やる。
矢ヶ崎藍華:「…わわっ。」
矢ヶ崎藍華:すごいかわいい女の子じゃん…!先輩、なびいたりしてないよね…?
ヴァルチャー:ほんの一瞬、矢ヶ崎さんにだけ垣間見えた顔を、再び構成した仮面で覆い隠す。
矢ヶ崎藍華:「…もう、休んでていいですよ」
ヴァルチャー:「…………」
ヴァルチャー:機械変換されたような声が、装甲の隙間から漏れる。
ヴァルチャー:「こんなことをしても」
ヴァルチャー:「何も変わりませんよ」
矢ヶ崎藍華:「そうでしょうか?」
矢ヶ崎藍華:「少なくとも私には」
矢ヶ崎藍華:「かわいい女の子と話せる、貴重な時間をもらえましたよ?」
矢ヶ崎藍華:侵蝕149
ヴァルチャー:「…………」
矢ヶ崎藍華:まだ終わっていないのに笑みが溢れる
ヴァルチャー:戸惑ったように、少し君に頭を向けて。
ヴァルチャー:「……あなたにも、すぐに分かるでしょう」
ヴァルチャー:それだけ言い残し、
ヴァルチャー:空気に溶けるように輪郭が薄れていく。
矢ヶ崎藍華:「あっ…?」
ヴァルチャー:≪瞬間退場≫です。
矢ヶ崎藍華:「……」
日馬 美礼:「やれやれ。こっちは片付いたか」遮光シールドを開く。
矢ヶ崎藍華:「…はいっ」
矢ヶ崎藍華:「次も、出来る限りで」
矢ヶ崎藍華:逆を向く。今や残り一人になった相手を見据えるべく
豊島 正則:「……ああ。となりゃあ、あとは」
豊島 正則:消えた輪郭の痕を、ほんの少しの間見つめてから。視線と切っ先を、残る者へと。
GM:残る敵は、ただ一人。
GM:リリアナ・マルティネス。
GM:イニシアチブ!14の鴻上さん!
鴻上禮次郎:うっす!
鴻上禮次郎:マイナーで戦闘移動!
鴻上禮次郎:リリアナに接敵!
鴻上禮次郎:咎人の剣+コンセ+カスタマイズ+クリスタライズ 対象はリリアナ!
GM:どうぞ!
鴻上禮次郎:ダイス振るぜ~~~~~!
鴻上禮次郎:13dx7+5 白兵
DoubleCross : (13R10+5[7]) → 10[1,2,2,2,3,4,4,4,5,5,5,5,10]+10[10]+2[2]+5 → 27

鴻上禮次郎:まだだ!
鴻上禮次郎:剣精の手!
鴻上禮次郎:121→123
鴻上禮次郎:1dx7+35
DoubleCross : (1R10+35[7]) → 6[6]+35 → 41

鴻上禮次郎:66+5d10 装甲無視!
DoubleCross : (66+5D10) → 66+32[3,10,8,6,5] → 98

GM:うげえーっ
GM:だがまだ生きている
GM:演出どうぞ!
鴻上禮次郎:では演出代わりに戦闘会話だ!
鴻上禮次郎:亡者たちが生み出す屍山血河の中を、滑るようにしてリリアナに迫る剣鬼。
鴻上禮次郎:「リリアナさんよぉ! あんたに聞きたいことがある!」
リリアナ:「ああ?」
鴻上禮次郎:そう叫びながら、袈裟斬りに斬りつける。
リリアナ:無造作に、血の刃を一閃する。
鴻上禮次郎:刃と刃がぶつかりあい、禮次郎の雪風は折れる。
鴻上禮次郎:しかし再度錬成。次は逆袈裟に。
リリアナ:「何だお前、あれか。やたらとビショップが絡んでた……」
鴻上禮次郎:「そうだよ。ヤクザさ」
鴻上禮次郎:「この抗争で身重の妻がさらわれちまってな」
鴻上禮次郎:「お陰で血眼なんだわ」
リリアナ:刃を受け止め、口を開く。
リリアナ:「この土壇場で聞くことかよ」
鴻上禮次郎:鍔迫り合いを続けながら、構わずに会話を続ける。
鴻上禮次郎:「逆だよ、今しかねえ。今なら誰にも聞かれねえ」
リリアナ:「はん、そうだな」
鴻上禮次郎:「ビショップのやつならむごたらしく殺すと思ってたが、やつのセリフが妙だった。ぶち殺しただの、なんだの、えげつない挑発のネタになるのによ」
鴻上禮次郎:「あいつ——殺せなかったんじゃないか?」
鴻上禮次郎:「ビショップにそれをさせない誰かが居たんじゃねえか?」
リリアナ:「それは……」
リリアナ:狂気に満ちた表情が、
リリアナ:ほんの一瞬、陰る。
鴻上禮次郎:「今となっちゃあ候補は二人。アレハンドロとあんただ」
リリアナ:「……悪いが、現実はそう甘いもんじゃない」
リリアナ:「直接知るわけはないが――まあ、推測はできる」
鴻上禮次郎:「聞かせてみろよ」
リリアナ:「カルテルってのは、儲かる仕事なら何でもする」
リリアナ:「一番金になるのが麻薬だから、麻薬カルテルと呼ばれてるだけでな」
リリアナ:「密輸に密漁、土地転がしに――」
リリアナ:「それに、人身売買」
鴻上禮次郎:「……そうかい。ま、分かっちゃいたがね」
リリアナ:「妊婦ってのは、高く売れる」
リリアナ:「そう、奴から聞いたことがある」
リリアナ:「売られた先は知らないが」
リリアナ:「おそらくは、もう」
鴻上禮次郎:「——そうか、礼を言うぜ」
鴻上禮次郎:離れざまに、装甲を貫く一閃。
リリアナ:「ッ!」
鴻上禮次郎:今までのどれよりも速く、鋭く。
鴻上禮次郎:「もう俺を縛るものはねえってことか……」
鴻上禮次郎:そして、寂しい太刀筋だった。
リリアナ:虚を突かれ、胴を深々と切り裂かれる。
リリアナ:零れ落ちそうになったはらわたを、
リリアナ:血液操作で無理やり押し留める。
リリアナ:「やるじゃないか、ヤクザさん、だっけ?」
鴻上禮次郎:「ヤクザですらねえさ」
鴻上禮次郎:「つまらねえ人殺しだ」
GM:イニシアチブ!
GM:リリアナの手番
GM:マイナーなし
GM:鴻上さんに≪コンセントレイト:ブラム=ストーカー≫+≪紅の刃≫+≪血の宴≫+≪殺戮領域≫+≪ブラッドバーン≫+≪プラズマカノン≫+≪バーストブレイク≫
リリアナ:13DX7+6
DoubleCross : (13R10+6[7]) → 10[2,3,3,4,5,5,5,6,7,8,8,9,10]+10[1,2,3,8,9]+10[3,10]+4[4]+6 → 40

鴻上禮次郎:おっ、絆結んじゃったか?
鴻上禮次郎:素で受ける!
鴻上禮次郎:まあドッジくらいはする
鴻上禮次郎:7dx 回避
DoubleCross : (7R10[10]) → 10[1,1,4,4,5,7,10]+5[5] → 15

鴻上禮次郎:はい無理!
鴻上禮次郎:ダメージ来い!!!!!
リリアナ:5D10+70+2D10+5D10
DoubleCross : (5D10+70+2D10+5D10) → 34[7,5,4,8,10]+70+12[3,9]+38[7,5,10,9,7] → 154

リリアナ:諸々有効
鴻上禮次郎:無理!
鴻上禮次郎:ビショップを生贄に捧げて蘇る!
鴻上禮次郎:死んだヤツのことは忘れる
リリアナ:「話は済んだか?」
リリアナ:「なら」
鴻上禮次郎:「——来いよ。命だって惜しくはねえ」
リリアナ:瞬間、リリアナの周囲を吹き荒れる黒血の嵐が、爆発的に勢いを増す。同時に硬質化。
リリアナ:「邪魔をしないで」
リリアナ:その全てが業火纏う致死の刃となって、君の全身を襲う!
リリアナ:「貰おうか!!」
鴻上禮次郎:「——ッ」 為す術もなく消し飛ぶ。
鴻上禮次郎:——が
鴻上禮次郎:「まだ……立てちまうねぇ……!」
鴻上禮次郎:ビショップのロイスをタイタスに変え昇華!
鴻上禮次郎:自らの身体を再錬成して、擬似的な回復を行って粘る!
リリアナ:舌打ちしながらも、愉快そうな顔。
鴻上禮次郎:(俺に注意が向いている間に……あいつらがキメてくれると祈ろうか)
リリアナ:「……は。どいつもこいつも……」
GM:ネクスト8!豊島さん日馬さん!
GM:あ!
GM:ごめんなさいその前に
矢ヶ崎藍華:!?
GM:≪夜魔の領域≫
GM:行動値0で再行動
GM:改めてどうぞ~~
新垣御守:この野郎!
GM:あ、今8は豊島さんだけか どうぞ!
GM:レズ特有の複数回行動
豊島 正則:うす、待機します!
GM:OK!
GM:ネクスト7!新垣さん!
新垣御守:オーケー!参ります!
新垣御守:マイナーはなし!メジャーでコンセ+魔獣+触媒+蝕む赤+ブラッドボム+増血剤
新垣御守:対象リリアナ!田井中くんのロイスを切ってC-1!
GM:来い!
新垣御守:えーっと
新垣御守:日馬さんの支援でダイス+2ですよね
日馬 美礼:だよ。
新垣御守:よっしゃあ
新垣御守:13dx6+9
DoubleCross : (13R10+9[6]) → 10[1,2,2,3,4,5,6,6,7,7,9,10,10]+10[2,2,2,3,5,5,10]+10[9]+3[3]+9 → 42

新垣御守:いまいち!
GM:うおおお
GM:ガードだ!
GM:来い!
新垣御守:いけえええええええ!!!
新垣御守:7d10+14
DoubleCross : (7D10+14) → 21[1,1,1,10,2,5,1]+14 → 35

新垣御守:ひっく!
GM:死………
GM:なんなあ!それでは!!
新垣御守:うおおお
新垣御守:ダメージは入りますか!
GM:入ります!
GM:演出どうぞ!
新垣御守:ではブラッドボムの追加ダメージ!こいつはガードも無効だ!
新垣御守:2d10
DoubleCross : (2D10) → 8[7,1] → 8

GM:なにーッ
新垣御守:そして、ランク5の邪毒を付与
GM:ぐおおおおおおお
新垣御守:クリンナップで15点ダメージ!
GM:痛い
GM:演出どうぞ!
新垣御守:鴻上が揉み合った状態のまま
新垣御守:ゴ ォアッ!!
新垣御守:味方もろとも毒煙に巻き込む!しかし
新垣御守:それはリリアナのみの肉体を麻痺させる!微細な成分調整によって
新垣御守:性別、血液型、人種、あらゆる条件で
新垣御守:毒の効き目を0から100まで調整出来る。現在の新垣御守は膨大な経験の果てにその技術を体得している。
リリアナ:「なんだよ御守! この程度か! ええ!?」
リリアナ:叫んでから、異変に気付く。
リリアナ:四肢が、動かない。
鴻上禮次郎:「ハハッ、俺ごとやっちま……やるねぇ!」
新垣御守:「……そっちがしぶとすぎるんだっつーの……でも」
新垣御守:「アンタも私の事は、全部知ってるわけじゃない」
新垣御守:「ガチで喧嘩するのなんか、初めてなんだもん。そうでしょ?」
リリアナ:「……しばらく見ない内に」
リリアナ:「随分器用になったじゃねえか」
新垣御守:「練習したんだよ」
新垣御守:「柄にも無いケドさあ」
新垣御守:「信念ってヤツで、やってんだから」
リリアナ:「……そうか?」
リリアナ:ぎし、ぎし。
リリアナ:麻痺した手足を、筋組織を断裂させるのも厭わずエフェクトで無理やり動作させる。操り人形の要領。
新垣御守:「……」
リリアナ:「お前は、元々」
リリアナ:「そういう奴だろ」
リリアナ:血に塗れた、笑み。
新垣御守:「……見つけてくれなきゃ」
新垣御守:「無いのも一緒だよ」
リリアナ:「なら」
リリアナ:まともに動かせないはずの腕で、挑発のジェスチャー。
リリアナ:「見せてみろよ」
新垣御守:「『まだやる気かよ』」
リリアナ:「…………」
新垣御守:「……あの日と逆だ」
リリアナ:「……お前なら、何て答える?」
リリアナ:「分かってんだろ」
新垣御守:「分かってる」
新垣御守:「……やるよ」
リリアナ:「そう」
リリアナ:「やるさ」
新垣御守:「簡単に仕切り直せたら」
新垣御守:「苦労なんてしないって。だから」
新垣御守:「『お前を助けにきた』」
新垣御守:「来てよ……ぶっ倒れるまで」
日馬 美礼:……さて、動いていいかな?
GM:どうぞ!
GM:行動値6日馬さん!
日馬 美礼:マイナーで暴走解除。メジャーで全力移動。豊島くんにエンゲージ。
日馬 美礼:「ようやく頭がはっきりしてきた。動けるかい」
日馬 美礼:以上。
GM:OK!
GM:くっ……ダイスで決める!
GM:1D5
DoubleCross : (1D5) → 5

GM:鴻上!死ねェ!
新垣御守:うげぇーっ!
鴻上禮次郎:げぇっ!?
GM:マイナーなし!
GM:≪コンセントレイト:ブラム=ストーカー≫+≪紅の刃≫+≪血の宴≫+≪殺戮領域≫+≪ブラッドバーン≫+≪プラズマカノン≫+≪バーストブレイク≫
鴻上禮次郎:ナンデ今回のボス共は俺のことが好きなんだ
リリアナ:13DX7+6
DoubleCross : (13R10+6[7]) → 10[1,2,2,3,3,4,5,5,6,6,8,10,10]+10[2,6,8]+6[6]+6 → 32

リリアナ:低い!
鴻上禮次郎:ワンチャンあるぞ~
鴻上禮次郎:ドッジ!
鴻上禮次郎:7dx
DoubleCross : (7R10[10]) → 9[1,1,4,7,8,9,9] → 9

鴻上禮次郎:ダメー!
リリアナ:4D10+70+2D10+5D10
DoubleCross : (4D10+70+2D10+5D10) → 23[7,3,8,5]+70+5[1,4]+27[9,7,6,3,2] → 125

GM:諸々有効
鴻上禮次郎:死
鴻上禮次郎:演出っちまってください
リリアナ:傷付きつつもすぐ近くで隙を伺う鴻上に対し、
リリアナ:ほんの一瞥。
鴻上禮次郎:「——ッ!」
鴻上禮次郎:(俺を狙ったな)
リリアナ:巨大な血の槍を生成、串刺しにする。槍は体内で弾け、凄まじい爆発を起こす!
リリアナ:「寝てろ、ヤクザ」
鴻上禮次郎:「おう、良い頃合いだ」
鴻上禮次郎:腹に突き刺さる槍。それでもにたりと笑う。
鴻上禮次郎:「ちょっくら地獄で、部下共と飲んでクラぁ」
鴻上禮次郎:大爆発! そして同時に巻き起こるモルフェウスの砂!
鴻上禮次郎:それは一瞬、ほんの一瞬だけ、リリアナの視界を塞ぐ!
鴻上禮次郎:というわけでロイス復活なし!
鴻上禮次郎:ここで寝る!
リリアナ:「!」
リリアナ:気付いた時には――もう遅い。
GM:待機の豊島さん!どうぞ!
豊島 正則:では、待機していたこちらの手番!
豊島 正則:…ダイス増やすならこちらか。マイナーでリリアナにエンゲージ。
豊島 正則:《C:ウロボロス/無形の影/瞬速の刃》でリリアナに攻撃。
豊島 正則:17dx7+2
DoubleCross : (17R10+2[7]) → 10[1,2,3,3,4,4,6,6,6,7,7,7,8,8,8,10,10]+10[3,3,5,5,5,8,8,9]+10[5,7,9]+10[2,8]+10[8]+10[9]+6[6]+2 → 68

豊島 正則:達成値68で!
GM:うおおおお!?
GM:ガード!!
新垣御守:いける!!
豊島 正則:ではダメージ!
豊島 正則:7d10+12+1
DoubleCross : (7D10+12+1) → 41[5,9,8,3,3,5,8]+12+1 → 54

豊島 正則:装甲有効、54点で。どうだ…!?
GM:ぐおおおおお!!
GM:死ぬ!!
GM:だが!
GM:≪蘇生復活≫!
豊島 正則:……!
GM:演出どうぞ!
新垣御守:うおおおお!!
豊島 正則:「動けるか、ねえ。……正直、暴走を抑えるので手一杯、と言いてえが」
豊島 正則:「ここまでされちゃあ、そんなワケにもいかねえよなぁ…!」
豊島 正則:日馬に、そして目の前で爆散した鴻上に応えるように、影で己が身を操って。
豊島 正則:砂煙越しに。最短最速の一撃を以って、リリアナの胸を抉る。
豊島 正則:それは、視界が通っていないとは思えないような。まるで。
豊島 正則:相手がそこにいることを、確信して放たれたかのような一撃。
リリアナ:塞がれた視界を縫って放たれた、渾身の一撃。
リリアナ:常人なら即死であろう、致命的な負傷だ。
リリアナ:「が……あ……ッ……!!」
リリアナ:リリアナの身体が、よろめく。
リリアナ:だが。
豊島 正則:「……ああ、よく効いてるみてえだな。キツいだろ、アイツの毒は」
リリアナ:「……ッ……!!」
リリアナ:自身の体内で、強制的に血液を凝固させる。
リリアナ:骨と肉の軋む音。
リリアナ:壊れた機械のような動きで、
リリアナ:それでも、リリアナは倒れない。
豊島 正則:「まあ、おかげでこうして。アイツがいりゃあ、俺は、俺達は。目を閉じてても戦える」
豊島 正則:「……が、これで終わりってワケでもなさそうだな」
豊島 正則:槍を引き戻し、穂先で凝固した血液を振り払う。
豊島 正則:以上で!
リリアナ:「まだ……だ……」
リリアナ:荒い呼吸。全身黒い血に塗れながら、眼光だけが爛々と輝いている。
新垣御守:「ありがと、豊くん」
新垣御守:「時間ジャスト」
新垣御守:視線を交わしつつ、腕を下げて
新垣御守:無防備に歩み寄る。
豊島 正則:また左足を引きずりながら、そっと新垣に道を譲る。
リリアナ:「御守……! 新垣御守……!!」
リリアナ:ぼたぼたと、血を撒き散らしながら、叫ぶ。
リリアナ:「私はまだ終わってないぞ……!まだだ、まだ……!!」
リリアナ:殆ど、前も見えていない様子だ。
リリアナ:それでも、確かに新垣御守だけを見据えている。
新垣御守:「……」
新垣御守:「終わって、ない?」
リリアナ:「そう、だ……私ならまだやれる……」
リリアナ:ずるずると、引きずるようにして歩み寄る。
リリアナ:「来いよ……まだ……」
リリアナ:腕の中で、僅かな血液を硬質化させ、不格好な刃を形成する。
リリアナ:「私は……」
リリアナ:新垣に向け、刃を振りかぶる。
リリアナ:「私たちは――!!」
GM:クリンナップフェイズ。
GM:邪毒のダメージを適用、15点ダメージ。
GM:リリアナ・マルティネスのHPは0、復活エフェクトはありません。
GM:戦闘終了です。
リリアナ:その動きが、ゆっくりと、止まる。
リリアナ:「…………?」
リリアナ:刃の硬質化が解け、元のただの血液となって流れ落ちる。
リリアナ:同時に、血液操作で無理やり動かしていた全身の動きも止まる。
リリアナ:「…………あ………」
リリアナ:ふらりとよろめき、
リリアナ:ばしゃり、と。自らの血だまりに崩れ落ちる。
新垣御守:毒に侵され、倒れ伏すリリアナを静寂の中見下ろす
新垣御守:そして、ジャケットの懐から
新垣御守:透明の小瓶を取り出す。
リリアナ:弱々しい呼吸で、目だけを動かしてそれを見る。
新垣御守:……いつも持ち歩いている。あの日、生き方を決めた日から。
新垣御守:透明の液体を口に含んで
新垣御守:リリアナを抱え上げ、口移しに
新垣御守:『血清』を流し込む。
新垣御守:常備化アイテム「解毒薬」を使用します。
新垣御守:対象は、リリアナ=マルティネス。
新垣御守:「ぷは」
リリアナ:「………………お、前……………」
リリアナ:腕の中で、なんとか口を動かす。
新垣御守:「終わりじゃないなんて……そんなの、当たり前だよ」
新垣御守:「私は、終わらせないためにいる」
新垣御守:「もう、諦めたりしないよ。リリ姉」
新垣御守:そっと、その頭を胸の中で抱き締める。
新垣御守:「……だから」
新垣御守:「諦めないで」
新垣御守:少し、肩を震わせて。
リリアナ:リリアナが目だけを動かし、
リリアナ:沈みかけた夕陽か。あるいは、それに照らされた君の横顔を見る。
リリアナ:――もしも。
リリアナ:もしも、人が。信じていたものに裏切られ。
リリアナ:自分のことさえ、信じられなくなったとしたら。
リリアナ:その時、人はどうするのだろう。
リリアナ:失意の中で死んでいくのか。
リリアナ:全てに憎悪をぶつけるのか。
リリアナ:あるいは、
リリアナ:信じたものに、何かを託そうとするのか。
リリアナ:彼女の場合、それは――。
リリアナ:「……ああ」
リリアナ:「綺麗だ」
リリアナ:リリアナは、ゆっくりと目を閉じる。
リリアナ:「本当に、綺麗だ」

GM:----------

GM:クライマックスフェイズを終了します。
新垣御守:ウワアアアア
新垣御守:お疲れ様でした!!!!!!
新垣御守:気が狂う
矢ヶ崎藍華:よかった……………
GM:死ぬ
矢ヶ崎藍華:ア!!!!
鴻上禮次郎:お疲れ様でした!!!!
矢ヶ崎藍華:豊島さん、ロイス!ロイス取って!
鴻上禮次郎:あ!?!?!?
豊島 正則:そ、そうだ!
鴻上禮次郎:日馬さんも7つ目とった?
矢ヶ崎藍華:私に2個めでもいいんですよ!!!!!!
豊島 正則:日馬支部長に「■誠意/不信感」で。誠意は感じるんだよ。誠意は…。
矢ヶ崎藍華:フーッ
豊島 正則:重ね取りするよりメモリーにしたいよ!
日馬 美礼:ありがとう。
日馬 美礼:ああ。大丈夫大丈夫、足りる。
矢ヶ崎藍華:メモリー…
日馬 美礼:今128。手持ち4本だからね。低下効果全部使ったら、ロイス増やすと下がりすぎる。
矢ヶ崎藍華:変わらない思い…
GM:では……バックトラック!!
GM:まず
GM:ビショップ
≪拒絶の結界≫
≪拒絶の結界≫
≪堕落の誘い≫(2個扱い)

GM:で4個!
矢ヶ崎藍華:4つ…!
矢ヶ崎藍華:予定より1個多い!
新垣御守:ふる!
矢ヶ崎藍華:もちろん使います
日馬 美礼:使うよー
日馬 美礼:128-4d10
DoubleCross : (128-4D10) → 128-30[4,10,9,7] → 98

鴻上禮次郎:死にたくないのでつかいます
GM:あ、まだあるぞ!
新垣御守:120-4d10
DoubleCross : (120-4D10) → 120-23[9,5,3,6] → 97

矢ヶ崎藍華:149-4d10
DoubleCross : (149-4D10) → 149-19[2,6,1,10] → 130

鴻上禮次郎:136-4d10
DoubleCross : (136-4D10) → 136-17[4,5,3,5] → 119

豊島 正則:使う使う!
矢ヶ崎藍華:ヘイヘイ
矢ヶ崎藍華:あるんですか
豊島 正則:155-4d10
DoubleCross : (155-4D10) → 155-20[7,4,4,5] → 135

新垣御守:ビショップくんありがとう…
GM:ヴァルチャーもあります!
矢ヶ崎藍華:そうとは
鴻上禮次郎:大盤振る舞いじゃん!
豊島 正則:Oh…
GM:≪ファイトクラブ≫
≪飢えたる魂≫
≪ありえざる存在≫
≪ありえざる存在≫
≪ありえざる存在≫
≪ありえざる存在≫

矢ヶ崎藍華:!?
豊島 正則:!?
矢ヶ崎藍華:ろ…ろっこ
鴻上禮次郎:うわぁ…
GM:計……10個!!
矢ヶ崎藍華:振った以上はこれもふらんといかんですぞ
新垣御守:www
新垣御守:ふるよ!!
新垣御守:とんでもないご祝儀だぜ
矢ヶ崎藍華:130-6d10
DoubleCross : (130-6D10) → 130-43[5,9,7,10,7,5] → 87

鴻上禮次郎:119-6d10
DoubleCross : (119-6D10) → 119-28[6,7,3,2,7,3] → 91

矢ヶ崎藍華:ええ…
新垣御守:97-6d10
DoubleCross : (97-6D10) → 97-38[5,8,3,8,8,6] → 59

矢ヶ崎藍華:ええと、素振りで
日馬 美礼:98-6d10
DoubleCross : (98-6D10) → 98-48[8,7,7,9,7,10] → 50

豊島 正則:6個追加振りで
新垣御守:そして素振り!
GM:初大N市で殺したくなくて……
豊島 正則:135-6d10
DoubleCross : (135-6D10) → 135-34[7,5,1,10,3,8] → 101

鴻上禮次郎:素振りしますね……
鴻上禮次郎:91-4d10
DoubleCross : (91-4D10) → 91-14[1,3,1,9] → 77

新垣御守:59-4d10
DoubleCross : (59-4D10) → 59-26[5,2,9,10] → 33

矢ヶ崎藍華:いやわかんねえなこれ。倍振り
新垣御守:初期値じゃねーか!!
鴻上禮次郎:これギガノトランス撃っても素で帰ってこれたじゃん!?
新垣御守:大生存!GMのやさしみに感謝
豊島 正則:そして素振り。カンパニー効果も適用して、まず6つ振って。
矢ヶ崎藍華:レズセは侵蝕に効く
豊島 正則:6d10
DoubleCross : (6D10) → 36[10,10,4,3,5,4] → 36

矢ヶ崎藍華:87-9d10
DoubleCross : (87-9D10) → 87-46[3,8,4,8,5,6,5,4,3] → 41

日馬 美礼:じゃあ倍振りするね。
矢ヶ崎藍華:なんだろうね…
矢ヶ崎藍華:生還!
日馬 美礼:50-8d10
DoubleCross : (50-8D10) → 50-33[5,2,10,1,2,8,4,1] → 17

日馬 美礼:よし。17まで。
豊島 正則:屍人のデメリットで、10を1つ、1に読み替える。101-27で、74%で帰還!
日馬 美礼:おめでとう。よかったよかった。
矢ヶ崎藍華:やったー!!!
GM:加減がわからなくて積みすぎた
GM:帰ってこられればいいんだよ!
GM:めでたいだろ!!
新垣御守:めでてえ!!
豊島 正則:ヒャッホウ!
矢ヶ崎藍華:イヤッフー!!
新垣御守:やさしいGMさんっ…!
どどんとふ:「豊島 正則」がログアウトしました。
どどんとふ:「日馬 美礼」がログインしました。
どどんとふ:「鴻上禮次郎」がログインしました。
どどんとふ:「豊島 正則」がログインしました。
どどんとふ:「新垣御守」がログインしました。
GM:経験点配布するのを忘れていました(痴呆)
豊島 正則:アッハイ
GM:基本の5点+シナリオ5点+Eロイス10点+Dロイス1点
新垣御守:言われてみればそうである
GM:計21点に侵蝕点を足してください~
矢ヶ崎藍華:侵蝕を含めると24点!
日馬 美礼:最終値17だけど、倍振りしてるので3点。
豊島 正則:侵蝕含めて26点。そしてここにSロイスが乗る!
矢ヶ崎藍華:そしてぇ!私もSロイス!
矢ヶ崎藍華:30点!
鴻上禮次郎:26にSロイスが乗って30かな?
矢ヶ崎藍華:Sは5点だぞ
豊島 正則:自分は31点で。
新垣御守:浸蝕39だから3点!
GM:このGM、Eロイス積みすぎだろ
新垣御守:24点、生存です。
鴻上禮次郎:お、31だ~!
鴻上禮次郎:どうやら計算ミスしてたらしいなふふ疲れてるのよモルダー
日馬 美礼:で、24点だね。
GM:それぞれ配布!食べてください
新垣御守:ウメーウメー
新垣御守:いただきます!
鴻上禮次郎:もっしゃもっしゃ……
矢ヶ崎藍華:ズゾゾーッ
矢ヶ崎藍華:いただきます
日馬 美礼:いただきます。
鴻上禮次郎:滋味……
GM:ヨシ!ED始めます!
豊島 正則:はーい!

【共通ED】



GM:----------

GM:埠頭に落ちた宵闇を、大量のパトランプが赤く照らしている。
矢ヶ崎藍華:「わあ、凄い。」こんな量のパトランプが光っている光景は滅多に見れないだろう。
GM:日本に入国中のロス・サングレスの構成員は、そのほぼ全てが拘束された。
GM:首領であるアレハンドロ・エスコバルも例外ではなく、
GM:今、その腕に、小宮の手で手錠が掛けられた。
小宮刑事:「……19時、26分」
小宮刑事:「……容疑者、確保」
小宮刑事:様々な思いを噛み締めながら、それを押し殺すように、小宮が告げる。
GM:アレハンドロはそれを、呆けたような顔で受け入れた。
鴻上禮次郎:「はー……」
鴻上禮次郎:「良い刑事の、顔になりやがって……」
豊島 正則:「ここまで来りゃあ、後は人間としての司法の出番、と言いてぇとこだが……」
豊島 正則:「……いや、というかアンタ普通に生きて……まぁ、殺したって死にそうに無ぇが」
豊島 正則:目の前で爆散したと思いきや、ピンピンしている鴻上を、呆れ半分に見ながら。
鴻上禮次郎:「あん? 爆発した後に魂ごと再錬成だよ。あのうめえ煙草の礼も済ませてねえのに死ねるかよ」 ヘラヘラ笑う
日馬 美礼:「お疲れ様、小宮刑事」
新垣御守:「ん、お疲れ様」
小宮刑事:「……日馬さん、新垣さん」
小宮刑事:君たちを見て、敬礼をする。
小宮刑事:「この逮捕は、間違いなくUGNの皆さんの協力があったから成し得たことです」
小宮刑事:「……本当に、ありがとうございました」
小宮刑事:深々と頭を下げる。
日馬 美礼:「ありがとう。勿体無いな」慌ただしく、アームレストに浮かんだキーボードのようなものを叩きながら。
新垣御守:「こっちこそ。ウチだけじゃどうにもなんなかったよ」
新垣御守:「……ありがとね」
日馬 美礼:「いいって。ぼくらはそれこそ、感謝されるような仕事はしていないもの」
日馬 美礼:「あとのところは、こちらに任せてもらう。いいかな」
日馬 美礼:警察側の責任者に確認している、ということだ。
小宮刑事:「はい。勿論」
猫山部長:「現行法ではオーヴァードを裁くのは難しいですからねえ」
猫山部長:猫山がひょっこり姿を現す。
猫山部長:「あとはUGNの皆さんにお任せしましょう」
猫山部長:「ロス・サングレスは事実上の壊滅と言っていいでしょう」
猫山部長:「巨大な組織でも、幹部を失えば脆いものです」
猫山部長:「有力カルテルが同様に瓦解した例も、過去何件もありますから」
日馬 美礼:「急速に拡大したからこそ、だね」眉を顰める。
日馬 美礼:「……言っとくけど、こっちはさ。迂闊に覗くとまずい相手しか残ってないからね? 猫山さん」
猫山部長:「あっはっは!」
猫山部長:「……肝に銘じておきますよ」
猫山部長:「UGNも含めてね」
猫山部長:ちらりと新垣さんを見て、笑う。
新垣御守:こっちも唇の端を曲げつつひらひら手を振る。
新垣御守:「……さて」
新垣御守:「これから、か」
新垣御守:振り返って、海の方に目を細める。
GM:その時、埠頭に突風が吹きつける。
新垣御守:「!」
新垣御守:振り返る。
GM:響き渡るヘリコプターのローター音。
GM:ライトを照射しながら現場に降下してくるのは、一機の輸送ヘリ。
GM:君たちの中にも見覚えがある者もいるだろう。UGN本部のものだ。
矢ヶ崎藍華:「わっぷ」
矢ヶ崎藍華:髪が顔にかかる勢い
鴻上禮次郎:「誰だありゃ?」
豊島 正則:「……ま、この流れだとお出ましになるよな、そりゃ」
豊島 正則:藍華の前に、風除けのように立ちながら。
矢ヶ崎藍華:「と、突然、なんですか?」
矢ヶ崎藍華:といいながらさりげなーくふらついている先輩に肩を貸しに行く。
日馬 美礼:「思ったより早かったな。頑張るね」
GM:巨大なヘリからは、ただ一人の小柄な少女だけが下りてくる。
日馬 美礼:手元のキーボードを閉じる。
新垣御守:「ありゃりゃ。一人残らずお疲れだってのに」
GM:吹き荒ぶ風に白い長髪を靡かせるのは、UGN本部エージェント、シンシア・アップルヤード。
鴻上禮次郎:「なんか知らねえけど敵か、ありゃあ」
新垣御守:掌でひさしを作りつつ、そちらを見る。
矢ヶ崎藍華:「あっ!」
矢ヶ崎藍華:(さっきの子…!)
新垣御守:「味方だよ。めんどくさい方の」
GM:何事かとどよめく人ごみを十戒めいて割り、君たちに向かって歩いてくる。
鴻上禮次郎:「切っておくかい? いや、もっと面倒になるか」
新垣御守:「その選択肢が常に真っ先に出てくんのが怖いって……」
日馬 美礼:「面倒になる手合だねぇあれは」
鴻上禮次郎:「へへへ……」
新垣御守:「ま……無いと思うけど」
新垣御守:「撃ってきたらって事で」
新垣御守:小声
鴻上禮次郎:無言でうなずく
豊島 正則:「できりゃあ穏便に済むといいんだがな。……そっちの都合じゃそうはいかねえか、シンシア」
豊島 正則:体の左半分、未だ動きの鈍い側の体重を、支えてくれる愛華に預けて。
シンシア:「……皆さん、任務遂行、お疲れさまでした」
シンシア:ぼろぼろの豊島くんをちらと見てから、会釈。
新垣御守:「こっちこそ、色々してもらっちゃって。ねえ」
新垣御守:珍しく皮肉言いつつ、日馬さんに
日馬 美礼:「だいぶお疲れのよぉだけどね。顔には出ないあたり流石だな」面白そうに。
シンシア:「本部でも今回の働きについては高く評価されるでしょう」
シンシア:まるで素知らぬ顔で、淡々と。
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:さっきのあれは、結局なんだったのか。問う機会なのだが
矢ヶ崎藍華:余りの鉄面皮に、記憶そのものが無いのではとすら疑っている
日馬 美礼:「そりゃぁありがたい。うちも点数稼ぎに汲々としてるもんだからね」砕けた口調。
新垣御守:「……で、ありがたい査定内容のありがたいお告げにご足労してもらったわけでもないでしょ」
新垣御守:「ご用件は?」
シンシア:「それでは」
シンシア:その視線を、一台の医療車両に向ける。
シンシア:「リリアナ・マルティネスの身柄を、本部に引き渡していただきます」
シンシア:平然と言う。
新垣御守:「……だよね」
日馬 美礼:「悪いね。今のとこ、彼女はうちでの尋問受けてもらうことになってるんだよ」
日馬 美礼:「書面も用意しちゃってさ。護送もすぐ来る」わざとらしいばつのわるそうな笑顔。
豊島 正則:「……とまあ、現場指揮官はこう言ってるが、第二支部長としてはどうだい」
豊島 正則:笑顔の日馬を、胡散臭いものを見るような目で見ながら。
新垣御守:「それで引っ込んでくれるんなら。そりゃ恙無いけどさ」
シンシア:「……」
新垣御守:「……そちらさんは?」
シンシア:「彼女は多くのエージェントを殺害した重要参考人であり、また希少なレネゲイドのサンプルでもあります」
シンシア:「身柄は本部で保護します」
矢ヶ崎藍華:眉をひそめる。もともと仮初めとはいえ、かばってくれた人を悪く言われるのはしゃくだ
シンシア:「本部エージェントには国家支部支部長クラスの権限が与えられています」
シンシア:「失礼ですが」
シンシア:「あなた方にはこの指令に対する拒否権はありません」
新垣御守:「オッケー。要するに」
新垣御守:「何がなんでももみ消したいってワケだ」
新垣御守:「あんたらクズだよ」
シンシア:「…………」
シンシア:何も答えない。あるいは答えられないのか。
新垣御守:「豊くん、引き継ぎの書類。書棚の三番だから」
新垣御守:淡々と告げて、ジャケットを肩にかける。
豊島 正則:「仕事の貴賤を論じても仕方無ぇだろうよ。……理屈で言やあ、シンシアの言うことにゃ一理どころじゃねえさ」
新垣御守:完全にブチ切れてるんだけど、脳味噌の底は、冷え切っていて。
新垣御守:「付き合いきれないって」
新垣御守:「だから、仕事の外でご意見させてもらう事にするってハナシ」
日馬 美礼:「まあまあ」
日馬 美礼:冷えた脳みそに、横から水をデキャンタで注ぐような明るい声。
新垣御守:「……」
新垣御守:日馬さんの方を見る。
鴻上禮次郎:(組織に付き合いきれないってのは……分かるぜ、ほんと)
日馬 美礼:「別件の容疑とか、この際どうでもいい話だろ?」
日馬 美礼:「……彼女を本部預かりにする意味が、いま"まだ"あるのかな、ミス・シンシア?」
日馬 美礼:「レドリック評議員はどぉ言ってる?」
シンシア:「…………?」
シンシア:無表情の仮面に、僅かに疑問の色が浮かぶ。
日馬 美礼:ということで、秘密兵器“マスターズコネクション”の効果を使用。
豊島 正則:「……またやりやがったな、このタヌキ」
日馬 美礼:リリアナが掴んだ醜聞、ならびに"その後のリリアナがUGNと交戦するはめになった経緯"についてをアクシズにぶちまける。
日馬 美礼:ああ。いま、彼女から手に入った情報だっていうテイで、詳細に、革新派と保守派の別なくね。
シンシア:ゆっくりと、携帯端末を取り出し、耳元に当てる。
日馬 美礼:「キツネよりは好みだね。愛嬌があってさ」くふふ。と笑う。
日馬 美礼:どうせそんなちんけな汚職に手を染めるのは、革新派でも木っ端議員の下部組織だろ?
日馬 美礼:隠し通せるなら証言潰そうとするだろうけど、"たった今"敵味方に知れ渡ったら、さあ。どうするのが合理的かな。
シンシア:中々応答が無いらしく、表情に焦りを滲ませる。
矢ヶ崎藍華:「…?えっ」
矢ヶ崎藍華:「先輩、今何やったんですか…?」
豊島 正則:「……よく覚えとけ。そして、間違ってもこんな女に育つなよ」
豊島 正則:「こいつはな。愛と正義のためなら、なんでもやる女だ」
豊島 正則:どこかげんなりした声色で、藍華に応える。
日馬 美礼:「正義の味方ってのはそういうもんだぜ? 矢ヶ崎くん」
鴻上禮次郎:「……ふむ、良いじゃねえか」
鴻上禮次郎:「こいつは——良いもん見せてもらったねぇ」
矢ヶ崎藍華:「ふむ……」
矢ヶ崎藍華:「べんきょーになりました」納得できない時は納得した振りをする。
シンシア:応答の無い端末を耳にあてたまま、
シンシア:「な、何を……」
シンシア:「はやく彼女の身柄を……!」
GM:その時、背後からにわかにざわめきが起きる。
GM:警察官たちは何ともない様子だが、現場のUGN関係者たちの間にのみ、大きな動揺が伺える。
矢ヶ崎藍華:「わあ」
GM:「すいません、通してください。はい、皆さんお疲れ様です」
矢ヶ崎藍華:「なんというかこう」
矢ヶ崎藍華:「敵に回しちゃいけないってのを理解させる必要があるわけですね」
GM:人ごみをかき分けて現れたのは、一人の男。
GM:君達も、いや、UGNエージェントならば誰もが知る顔。
日馬 美礼:「これはこれは。わざわざご足労ありがとうございます」
GM:霧谷雄吾。
新垣御守:「……マジ?」
新垣御守:流石に固まる。
豊島 正則:「……あとまあ、知らない方がいいこともある、ってのもな」
鴻上禮次郎:「……霧谷、噂には聞いてたけど本物かよ……!」
矢ヶ崎藍華:「!!!」
霧谷雄吾:「すみません、お待たせしましたね」
矢ヶ崎藍華:「ほんもの!!」
日馬 美礼:「気さくな人なんだよ。五年前くらいはよく来てくれてた」
霧谷雄吾:別の現場からそのままやってきたという様子だ。
矢ヶ崎藍華:「あわわわ…」そうは言っても初めて見るもんは初めて見る
矢ヶ崎藍華:「こここここんばんは」
シンシア:「…………!?」
豊島 正則:「……ああ、俺も直に会うのは5年ぶりくらいか。恨み言のひとつでもぶつけたいとこだが」
霧谷雄吾:「矢ヶ崎さんですね。直接お会いするのは初めてですね」
霧谷雄吾:「今回は本当に、よく頑張っていただきました。お疲れ様です」
霧谷雄吾:にこやかに言う。
矢ヶ崎藍華:「はい!おつかれさま……」
矢ヶ崎藍華:「…でした。」
矢ヶ崎藍華:きっと、私よりも声をかけるべき人はいたのだ。沢山の人が
矢ヶ崎藍華:もういないその人達の代わりとしてしか、私は挨拶出来ないような気がする。
矢ヶ崎藍華:「…皆さんのおかげです」
豊島 正則:「あんま考えんな。素直に受け取っとけ。……いいんだよ、こういう人もいるのさ」
豊島 正則:力の入らない左手で、藍華の頭を2,3度なでる。
矢ヶ崎藍華:「……はい」
霧谷雄吾:霧谷はシンシアに向き直り、
霧谷雄吾:「エージェント”ネクベト”。今回はご足労いただきありがとうございます」
霧谷雄吾:「しかし、彼女の身柄は我々日本側でしっかりと保護させていただきます」
霧谷雄吾:「勿論、取り調べ記録は『包み隠さず』お渡ししますよ」
霧谷雄吾:「今回の捜査では『正体不明の敵オーヴァード』による襲撃もありました」
霧谷雄吾:「我々も、厳重に警護・保護しますので」
霧谷雄吾:「どうか、ご安心を」
シンシア:穏やかながら有無を言わさぬ霧谷の言葉と、通信先から漏れ聞こえてくる怒声に挟まれ、
シンシア:その場でよろめく。
シンシア:「………………!」
矢ヶ崎藍華:「……」
豊島 正則:「……残念だがな、お前さんの負けだよ。いや、勝ち負けの話じゃねぇが……」
豊島 正則:「……こういう終わり方もある、ってことだ。滅多にあるもんじゃねぇが、ああ」
豊島 正則:「俺としちゃ、悪くない。最高とはいかないまでも」
豊島 正則:「こう見えてもな。めでたしめでたし、ってのは嫌いじゃないんだ」
豊島 正則:穏やかに、語り掛けるように。シンシアに告げる。
シンシア:「…………~~~~~!!」
シンシア:無言のまま、駄々をこねる子供のようにかぶりを振って、
シンシア:深く俯く。
日馬 美礼:「あぁらら。大荒れだ。こりゃぁくすりが効きすぎたかな」車椅子から伸びたイヤホンを左耳に突っ込んでいる。
シンシア:そして、ヘリに向かって踵を返す。
シンシア:「こんなこと……こんなことを……しても……」
シンシア:小さな声で、うわ言のように呟く。
シンシア:日馬の言葉を背で受けて、
シンシア:足早にヘリに乗り込む。
GM:見る間にヘリは発進し、すぐに遠くなっていく。
鴻上禮次郎:「なんだったんだ、ありゃ……」
霧谷雄吾:それを見送り、深く溜息。
豊島 正則:「……何もあそこまでやらんでも、と思ないでもねぇが……」
豊島 正則:「よくやってくれた、と言うべきなんだろうな。癪だけどよ」
日馬 美礼:「やったのはぼくじゃなくて、彼女の上司だよ。いろんな意味でね」イヤホンを抜いて、軽く背伸びをする。
日馬 美礼:「あと、うちのスタッフ。言ったろ? 優秀なんだ。すごくね」
矢ヶ崎藍華:「公権力、すごい……」
矢ヶ崎藍華:「先輩、ほそぼそやっていきましょうね」
豊島 正則:「ああ、地に足付けて歩いてくのが一番なのさ、人間はな」
日馬 美礼:「じゃあ、彼女。万が一の預かり先はそういうことでいいですか、霧谷さん」
霧谷雄吾:「ええ。万が一の場合は」
霧谷雄吾:日馬さんを、信頼と隔意の入り混じった目で見る。
日馬 美礼:「了解です」視線の温度には構わず、車椅子で一礼。
日馬 美礼:そういう枠、ってことでちょうどいいのさ。何しろぼくは、それくらいしかできる仕事がない。
日馬 美礼:「……ああ。それとね、ミモリ」
新垣御守:「……」
新垣御守:怒涛の展開にポカーンとしている
日馬 美礼:「ひとり……もしかしてふたりだけになったって、できることはたかが知れてるよ」
新垣御守:「!」
日馬 美礼:「支部長ならよく知ってるだろ? ……まあ、」
日馬 美礼:「なにか壊すだけなら話は別だけど。きみは嫌いだろ? そういうの」
新垣御守:「……だね」
新垣御守:「やっぱ、カッとなるとダメだ」
新垣御守:「見失いそうになるから、そういうの」
日馬 美礼:「努力目標ってことば、ぼくはだいすきだけどね。よろしい」くふふ。と笑って。
新垣御守:「ありがとう。美礼ちゃん。アンタ優しいよ」
日馬 美礼:「やぁ。ようやく理解者が増えたぞ」
新垣御守:「理解者、ね。よく言うよ」
日馬 美礼:「じゃあ、戻ろうか。面倒な仕事はまだまだ残ってる」
霧谷雄吾:「私も、早速なのですが別の現場がありまして」
霧谷雄吾:疲れた顔で苦笑。過密スケジュールの中、いきなり呼びつけれらたらしい。
新垣御守:「ま、一方的に覗き込まれるだけにはなりたくないけどね」
新垣御守:「色んなイミで」
新垣御守:呟きつつ、日馬さんと並んで
霧谷雄吾:「皆さん、今回は本当にお疲れさまでした」
霧谷雄吾:「……私は、皆さんのようなエージェントを、UGNの一員として誇りに思います」
霧谷雄吾:居並ぶ面々を見渡して、晴れやかな顔で言う。
新垣御守:「あー、なんて言っていいか分かんないですけど」
新垣御守:「そういう風に言ってもらえたら……報われます」
新垣御守:医療用車両の方を振り返りつつ
新垣御守:「明日がいい日になればいいってのは、みんな一緒だって。やっぱ思いたいんで」
日馬 美礼:「そのために、ぼくらは働いてるのさ。日常ってのは、そういうもんだ」
日馬 美礼:「だよね?」
新垣御守:「……だよね。そこだけは」
新垣御守:頷き合う。
GM:赤いランプを灯したパトカーが、次第に街へと散っていく。
GM:激しい戦いと非日常の余韻が、夜の闇に溶けていく。
GM:明日になれば、きっとまた。
GM:昨日と変わらぬ、今日が来る。

【ED:日馬美礼】



GM:----------
GM:N市 第四支部 支部長室
GM:----------

霧谷雄吾:『いやあ、大変なことになりましたね』
霧谷雄吾:困ったように苦笑する一人の男。
霧谷雄吾:モニター越しにそれを見るのは、
GM:第四支部長である君、日馬美礼と、その部下、白南風白蘭。
日馬 美礼:「アクシズのほう、まだ騒ぎになってるみたいですねえ」
霧谷雄吾:「ええ。本部だけでなく、水面下であちこち大騒ぎです」
霧谷雄吾:「こちらにも火の粉が飛んできそうで、ひやひやしてますよ」
白南風白蘭:「……言われた通り、」
日馬 美礼:「うん」
白南風白蘭:「あちこちお電話したり『お話』したりしましたけど~……」
白南風白蘭:「結局、何がどうなったんですか?」
白南風白蘭:いまいち状況がよく分かっていない様子で、首を傾げる。
日馬 美礼:「まあ、ざっくりした結論だけ言うと」
日馬 美礼:「ぼくらはまだ、正義の味方でいていいみたいだ、ってことだよ。白蘭」くふふ、と笑う。
白南風白蘭:「そうなんですか? よかったですね~~!」
白南風白蘭:まるで理解しないまま、ぱちぱちと拍手。
日馬 美礼:「ありがとう。ありがとう」片手を上げて、手首から先だけを振る。
日馬 美礼:「ということで、概ねお受けした任務はかたがついたかと思います。総轄」
日馬 美礼:「特別チームの解散と、所属者の本来のポストへの復帰を報告しますよ」
霧谷雄吾:「分かりました。ありがとうございます」
霧谷雄吾:「……やはり、貴方を信頼して任せたのは、正解でした」
日馬 美礼:「いつも言ってたじゃないですか。あなたがたにならできると信じてます、って」
日馬 美礼:「ずいぶん励みになりました。ぼくも使ってるんですよ、あれ」
霧谷雄吾:虚を突かれたような顔。
霧谷雄吾:「……そうですか。それは……」
霧谷雄吾:表情をふっと緩め、
霧谷雄吾:「……光栄、です」
日馬 美礼:「恩返しにしてはキツい状況ですけどね」
霧谷雄吾:「ええ、まったくですね」
日馬 美礼:「ご無理はされないでくださいよ。総轄」
霧谷雄吾:「……お互いに。肝に銘じておきましょう」
GM:モニタの向こうから、霧谷を急かす声。
霧谷雄吾:「おっと……それでは、皆さんにも、改めてよろしくお伝えください」
霧谷雄吾:「今回の件で、UGNは揺れています」
霧谷雄吾:「また別件にも波及する恐れもあるでしょう」
霧谷雄吾:「……その時には、頼りにしていますよ」
霧谷雄吾:ほんの少しだけ、日馬支部長に似た笑みを浮かべる。
日馬 美礼:「もちろん。ぼくらは、そういうときのためにいるんですから」
GM:通信が終わると、室内は静寂に包まれる。
白南風白蘭:「これでひと段落、ですか?」
白南風白蘭:車椅子に座った日馬さんの肩に、両の掌を置く。
日馬 美礼:「そうだね。ようやくまた引きこもりに戻れる」
日馬 美礼:「五虎将軍のトリプルが恋しいよ」
白南風白蘭:「じゃあ、しばらくゆっくりしましょうよ」
白南風白蘭:「最近ずっと帰ってこなかったんですから」
日馬 美礼:車椅子の背もたれにくたりと身を預けて、真上を見る。
日馬 美礼:白蘭の"ひとのかお"がある。
白南風白蘭:少し不機嫌そうな表情だ。
日馬 美礼:「そうだね。ほんとはぼくが出る事態なんて滅多にないんだから」
日馬 美礼:「……いや、でもよかったよ。ほんとうによかった」
白南風白蘭:「?」
日馬 美礼:「最後の最後、冷汗かいてたんだ。五分五分だったからね」
白南風白蘭:「へえ~!」俄かに楽しそうな顔。
白南風白蘭:「美礼さんでもそういうこと、あるんですねぇ」
日馬 美礼:「あるさ。誰だって正義の味方でいられるってのは、希望的観測がすぎる」
日馬 美礼:声が笑っていない。あるいは少しだけ。
日馬 美礼:「ヤゴコロのプロファイルはこうなる可能性が大きいと言ってたけどね」
日馬 美礼:「実際付き合いのない相手のことなんて、そうそうわかんないよ」
日馬 美礼:「そっちのほうはプロだろ? 白蘭」
白南風白蘭:「そうですねえ……」少し考え込んで。
白南風白蘭:「他人の心情なんて、分かるわけはないですよ」
白南風白蘭:「たとえ親子でも、兄弟でも、恋人でも」
白南風白蘭:「現に私は、まだあなたが何を考えているのか、よく分からなくなることがあります」
白南風白蘭:「でも」
白南風白蘭:数歩、歩いて。
白南風白蘭:車椅子の正面に回り込み、屈んで視線を合わせる。
白南風白蘭:「だからこそ、必死になるんじゃないですか?」
日馬 美礼:「いまきみは、だいぶ楽しそうだね。白蘭」
日馬 美礼:人の悪い笑みが戻っている。
白南風白蘭:「ふふ」
白南風白蘭:にっこりと笑う。
白南風白蘭:「見たかったなぁ、美礼さんのその時の顔」
日馬 美礼:「面白いもんじゃないぜ?」くふふ。と笑う。
白南風白蘭:「私にとっては、何より面白いですよ」
白南風白蘭:日馬支部長の頬に触れて、ぐに、と、少しだけ口元を歪めさせる。
日馬 美礼:「じゃあ、珍しいところを見せてあげようか」
白南風白蘭:「え?」
日馬 美礼:「あと一件だけ仕事が残ってるんだ。着替えを手伝ってくれるかい?」
日馬 美礼:一瞬、口にだすのもいやだという顔をして
日馬 美礼:「お風呂もだなあ」
白南風白蘭:「…………」
白南風白蘭:「いつから入ってないんですか?」
日馬 美礼:「まだ一ヶ月は経ってない」数えてない
白南風白蘭:くんくん、と匂いを嗅いで。
白南風白蘭:「一般的には、現代社会においてそれはドン引きされますよ?」
日馬 美礼:「わかってるよ。だから必要なの」
日馬 美礼:「白蘭さ。喪服姿は作れる?」手元のキーボードをいじりながら。
日馬 美礼:手配しているのは、記憶処理班だ。
白南風白蘭:「え? はあ、まあ」
白南風白蘭:見る間に輪郭がぼやけ、黒のフォーマルな喪服を形作る。
白南風白蘭:「割とよく行きますから、冠婚葬祭」
日馬 美礼:「なるほど。よく似合ってるよ」
日馬 美礼:「それなら大丈夫だ。……じゃあ、行こうか」
日馬 美礼:「あんまり遊ぶのはなしにしてくれよ? 白蘭」
白南風白蘭:「いやですねぇ」
白南風白蘭:「部下を信頼してくださいよ、支部長」
日馬 美礼:「勿論」くふふ。と笑って。
GM:いつまでもゆるやかな会話を続けながら、二人の姿は更衣室へと消えていく。

【ED:鴻上禮次郎】



GM:----------
GM:国内某所
GM:----------

GM:森の中に忽然と佇む、白を基調とした建造物。
GM:一見すると電力関連施設にも見えるであろうそれは、FHの研究所だ。
GM:君はそれを眺めながら、ここに至るまでの経緯を思い出していた。

GM:---

鴻上禮次郎:「……」
鴻上剛蔵:「絶縁じゃ」
鴻上剛蔵:ソファに腰掛けて、重苦しい声で言う。
鴻上禮次郎:「おう、そうかい」
鴻上禮次郎:「こうなってみるとまあ、悪くない気分だよ」
鴻上禮次郎:「今まで世話になったな。組長(オヤジ)さん……いや、父さん」
鴻上剛蔵:「……痣徒に手ぇ出したお前がおっては、周りの連中にも迷惑千万じゃ」
鴻上剛蔵:「もう他の組にも絶縁状は回してある」
鴻上剛蔵:「お前はもう、どこに行こうとヤクザにはなれん」
鴻上禮次郎:「最初からこうしときゃ良かったのさ……」
鴻上禮次郎:「……」
鴻上禮次郎:拳を、握りしめる。
鴻上禮次郎:「筋を通せねえヤクザなんぞ、こっちから願い下げさ」
鴻上剛蔵:「…………。……お前とはもう、仲間でも、親子でもねえ」
鴻上剛蔵:「……とっとと出ていきな」
鴻上禮次郎:「……」
鴻上禮次郎:(ああ、でも)
鴻上禮次郎:(でも少し——寂しくなるな)
鴻上禮次郎:「……おうよ」
鴻上禮次郎:背を向け、歩き出す。
鴻上剛蔵:「……」
鴻上剛蔵:「……禮次郎!」
鴻上禮次郎:「……」 振り返る
鴻上剛蔵:立ち去ろうとする君に、一枚の封筒を投げ渡す。
鴻上禮次郎:片膝をついて拾い上げる。
鴻上剛蔵:「……最後にせめてもの餞別じゃ」
鴻上剛蔵:「ワシのとこで調べとった」
鴻上剛蔵:「お前の女は、そこで生きとる」
鴻上禮次郎:「……恩に着ます。剛蔵さん」
鴻上禮次郎:両膝をついて、地面に額をつける。
鴻上剛蔵:「…………」
鴻上剛蔵:背を向ける。
鴻上剛蔵:「……さっさと行けっ!!」
鴻上剛蔵:「お前はもう、ワシとも組とも」
鴻上剛蔵:「何の関係もねえ……!」
鴻上剛蔵:その声は、僅かに震えていた。
鴻上禮次郎:「……道を外れるなら徹底的に」
鴻上禮次郎:それは何時かの父の言葉。
鴻上禮次郎:「お世話に、なりました」
鴻上禮次郎:今度こそ背を向けて、立ち去る。
鴻上禮次郎:それが鴻上禮次郎の、遅い遅い幼年期の終わり。

GM:---

GM:君の妻は、腹の赤子に宿る高いレネゲイド適正に目を付けられ、
GM:FH関連の研究組織に研究対象として買い取られたらしかった。
GM:手紙に記されていたのは、今彼女が軟禁されている施設の場所。
GM:つまりは、今目にしている、ここだ。
鴻上禮次郎:「いやー、やっぱあれだわ」
鴻上禮次郎:「組長とか向いてなかったんだなあ俺」
鴻上禮次郎:偶然出くわした警備のオーヴァードの首を蹴り飛ばし、カラカラと笑う。
鴻上禮次郎:血に濡れた刀を杖に再錬成して、施設を眺め、息を吐く。
GM:施設は静まり返り、警備も手薄に見える。
GM:だが内部には間違いなく、オーヴァードが潜んでいるだろう。
GM:単身で乗り込むのは、危険極まりない。
鴻上禮次郎:「生きるも死ぬも俺一人。生きるも死ぬも腕一つ。剣士の本懐ここにありってな……」
GM:君が単身施設に攻め込もうとした、その時。
GM:「~~~!!~~~!!」
GM:後方から、何かの声が聞こえてくる。
鴻上禮次郎:「……チッ」
鴻上禮次郎:そちらの方を向く。
GM:「ぃ~~!! ぃ~~!!」
GM:森の中から、誰かの叫び声。
鴻上禮次郎:全速力でそちらに駆け出す。
GM:「き~~!! き~~!!」
GM:だがそれは、
GM:「……にき~~!!」
鴻上禮次郎:「あの馬鹿……!」
GM:君の聞き覚えのあるものだ。
鴻上禮次郎:「なにしてやがる! サブ!」
黒川サブロウタ:「兄貴ィ~~~~~~~ッ!!」
黒川サブロウタ:森の草木を踏み分けて姿を現したのは、君の舎弟である……いや、あった、黒川サブロウタ。
鴻上禮次郎:胸ぐらをつかもうとして、できなくて肩を抱きますね。
鴻上禮次郎:「馬鹿野郎……おめえなにしてんだよ、馬鹿野郎……この野郎……」
黒川サブロウタ:全身ぐっしょりと汗をかき、防弾チョッキやヘルメット、ライフルに拳銃、大げさすぎて滑稽なほどの重武装。
黒川サブロウタ:「兄貴!!俺も!!俺も連れてってくだせえよ!!」
鴻上禮次郎:先程までの殺気はなりを潜め、少し嬉しそうな、悲しそうな声をあげ、抱きしめてやりますよ。
黒川サブロウタ:「あ、兄貴……!」
鴻上禮次郎:「サブ、お前……剛蔵さんのところで頑張ってるって聞いてたんだぜ」
鴻上禮次郎:「だから企画書だって置いてった。最悪お前一人でもできるように細かく色々書いてよぉ」
黒川サブロウタ:「兄貴がいなけりゃ、極道なんて……何の意味ありませんよ!」
黒川サブロウタ:「俺はどこだって付いていきます!兄貴が行くなら地の果てだって!」
鴻上禮次郎:「……そうか」
鴻上禮次郎:「本当に、俺と一緒に居たいのか」
黒川サブロウタ:「はい……!」
黒川サブロウタ:何度も必死に頷く。
鴻上禮次郎:「死に場所を探してるって訳じゃあねえんだな……?」
黒川サブロウタ:「俺が探してるのは兄貴の傍だけです!」
黒川サブロウタ:「だから兄貴!」
黒川サブロウタ:「俺だけおいてなんて、いかねえでくださいよ……!」
鴻上禮次郎:「分かったよ」
鴻上禮次郎:ワーディングを発動します。サブロウタを意識だけ保った状態で安全な場所に押し込みます。
鴻上禮次郎:「サブ、お前は弱い」
黒川サブロウタ:「……あっ……!?」
黒川サブロウタ:全身から力が抜ける。
鴻上禮次郎:「強くなれ」
黒川サブロウタ:「あ……あに……き…………」
鴻上禮次郎:「俺の隣に立てる強い男になったら——また会いに来い」
鴻上禮次郎:「待ってるぜ」
鴻上禮次郎:珍しく
鴻上禮次郎:本当に珍しく優しい笑みを浮かべてから
鴻上禮次郎:彼は歩き出す。
鴻上禮次郎:スマートフォンを起動させ、事前に用意していた通りに計画を開始する。
鴻上禮次郎:「——おう、もういいぜ」
鴻上禮次郎:「派手にやっちまってくれよ」
鴻上禮次郎:「イジェクトストーン」
???:ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン......
???:湿った空気を引き裂いて、空を駆ける十文字の影5つ。
イジェクトストーン:「あれは何だ?鳥か?飛行機か?スーパーマンか?」
イジェクトストーン:鳥のように軽やかに舞い、飛行機のように金属光沢を放つそれらは
イジェクトストーン:「Ah tes.tes.」
イジェクトストーン:「Hoi Chuma! キミは爆発好きかな?」
イジェクトストーン:「好んでなくてももワシが好きだから良し!」
イジェクトストーン:超人らしく、当たり前のように大破壊をまき散らした。
イジェクトストーン:《雷神の鎚》《MAXボルテージ》《フラッシングプラズマ》
イジェクトストーン:あらゆる相手をおちょくるかのごとく、両腕をまっすぐ伸ばして空を飛ぶ人型飛翔体
イジェクトストーン:研究所へと、上空から無数の雷球をまき散らすのは、"イジェクトストーン"
イジェクトストーン:鋼からなる十の身体とふざけた態度で戦場を掌握する"アヴェンジャーズ"セルの魔人である。
イジェクトストーン:一見無造作に放たれる電撃の嵐は、確実に研究所の対応力を削ぎ落していく。
イジェクトストーン:────対空設備を除いて
GM:施設に備え付けられた機銃の一斉掃射が、イジェクトストーンを襲う!
イジェクトストーン:「な、なんということじゃ......」
イジェクトストーン:「この爆撃型"イジェクトストーン"は低機動・弱装甲・大☆火力がコンセプト」
イジェクトストーン:「ボムを抱え落ちしてしまうとは情けない!」
GM:あえなく撃墜!
GM:蚊トンボめいて墜落する!
イジェクトストーン:瞬間
イジェクトストーン:KABOOOOOM!!!
イジェクトストーン:狙い通りに撃墜された1人の"イジェクトストーン"が研究所の中心部に墜落し、打ち上げ花火めいて鮮やかな光をまき散らす。
GM:そして、
イジェクトストーン:人を傷つけないクリーンな自爆を、何より好むのが"イジェクトストーン"という怪人だ。
GM:「ぐわ~~~~~~っ!!」
GM:半ば瓦礫と化した研究所から、一人の人影が飛び出してくる!
GM:凄まじい跳躍。明らかにオーヴァードだ。
GM:鴻上の眼前に降り立ったのは、白いスーツの男。
GM:「ゆ、ゆ、UGN~~~~~ッ!!」
GM:眼鏡をかけた顔面に、怒りを溢れさせる。
鴻上禮次郎:「おっ、もしかしてあんたが……?」
GM:「お前達が来るのは分かっていた!!」
GM:「分かっていたが……!!」
鴻上禮次郎:「ど、どうした……?」
GM:「いきなり爆撃するのは流石にマナー違反だろう!!」
鴻上禮次郎:「あ、いや待て待て」
鴻上禮次郎:「勘違いだ。ほら見ろこのバッジ」
鴻上禮次郎:「鴻央会のもんだよ。ちょいと救援に来たんだ」
GM:「何~~~ッ!?」
鴻上禮次郎:「サンプルの運び出しを手伝えってよ」
鴻上禮次郎:「ここは俺に任せてくれ。諦めが悪いのがあんたの持ち味だって聞いてるぜ?」
GM:バッジをよく確認しようと近寄る。
鴻上禮次郎:もちろん本物である。黙って持ち出したのだ。
GM:「確かに……」
GM:「なら手伝え!あの敵を倒すのだ!!」
鴻上禮次郎:(こいつから情報を引き出すのは手間だな……)
鴻上禮次郎:「おう、分かった。俺は向こう側から回る。挟み撃ちだ」
GM:「よし分かった!私はこっちだ!」
鴻上禮次郎:「ああ、頼んだぜ!」
GM:男は猛然と走り出す。少なくともキュマイラ能力者であるらしい。
鴻上禮次郎:禮次郎はそそくさと目星をつけていた方角へと走り出す。
鴻上禮次郎:そして道すがらスマートフォンで今回知り合ったUGNのとある支部長へと電話をかけはじめる。
鴻上禮次郎:「よう、俺だ。潜入は成功した。これからサンプルの確保に入る」
日馬 美礼:『了解。キャッチアップは予定通りに』
鴻上禮次郎:「胎児期からレネゲイドに感染した子供と、それを育む母体」
鴻上禮次郎:「それにFHの研究成果、そしてモルフェウスの剣士をつけて——」
鴻上禮次郎:「そこそこお買い得だろ?」
日馬 美礼:『割の良い買い物だね。ま、きみにも損はさせないさ』
日馬 美礼:『”家族には義理堅いほうなんだ”』くふふ、という含み笑い。
日馬 美礼:『それに、ちょうどよかった』
鴻上禮次郎:「?」
日馬 美礼:『産院を増設してるとこなんだ。施設の試験もやっててね』
鴻上禮次郎:「そいつはいい」
日馬 美礼:『じゃ、気をつけて』
鴻上禮次郎:「おう。あんがとよ、支部長さん」
鴻上禮次郎:と、通話を切って立ち止まる。
鴻上禮次郎:もうすぐで、愛しい家族の囚われた部屋の筈だ。
GM:だがその時、眼前の壁が、爆発するように破壊される!
鴻上禮次郎:「——思ったよりも早かったな」
GM:現われたのは、白スーツのFHエージェント。
GM:「お前~~~~~~っ!!お前お前お前お前~~~~~~~~~っ!!」
GM:指差し。
鴻上禮次郎:「いや~~~~~~! あと五分くらいは信じてくれると思ったんだけどなぁ~~~~~~!」
GM:「騙したな!!こ……この私を!!」
鴻上禮次郎:「ヤクザの言うことなんて信じるほうが悪いんだぜ~~~~~!」
鴻上禮次郎:「ヤクザが筋通すのは昔から“家族”だけって決まってんだよ」
GM:「許さん……!!許さんぞ!!ヤクザ風情が~~~~ッ!!」
GM:男がレネゲイドを解放する!
鴻上禮次郎:「——死を以て」
鴻上禮次郎:抜刀。
鴻上禮次郎:「撫でつけろ——雪風!」
GM:「FHの悪魔と呼ばれたこの力!!」
GM:「その身で……とくと味わえーーーーッ!!」
鴻上禮次郎:「鴻央会の鬼子と呼ばれたのも今は昔!」
鴻上禮次郎:「門出の祝に血祭りにしてやらぁああああッ!」
GM:そうして、二者は交錯する。
GM:振るわれた異形の腕と白刃が、激しい火花と血飛沫を散らした。

【ED:豊島正則、矢ヶ崎藍華】



GM:----------
GM:N市 市内総合病院
GM:----------

GM:N市第四区に建つ総合病院。
GM:最新鋭の設備を備え、高度な手術から長期入院まで対応するこの医院は、UGN第四支部が深く関わりを持つ施設でもある。
GM:君、豊島正則は、この医院の一室に入院していた。
GM:既に事件から一週間近くが経とうとしており、入院生活は退屈のピークを迎えようとしていた。
豊島 正則:実のところ。自分を含め一時離脱者が多い第二支部の人手は、致命的なまでに不足しているのだが。
豊島 正則:怪我は問題ない、すぐ仕事に戻る。我らが支部長にそう告げたところ。
豊島 正則:—それ、あの子の目見ながら言える?
豊島 正則:そう言われてしまっては、ぐうの音も出ない。そんなわけで。
矢ヶ崎藍華:「ふんふんふーん。世界中のまーどからー」
矢ヶ崎藍華:鼻歌を歌いながらにこにこしょりしょり林檎を剥いております
豊島 正則:「……ご機嫌だなあおい」
矢ヶ崎藍華:「フーッ!完成です!」
矢ヶ崎藍華:うさぎちゃん林檎が出来ました。めっちゃ練習したやつ
豊島 正則:本当は、片手ででも自分が剥く方が早かったりするが。それを口にするほど野暮ではない。
矢ヶ崎藍華:「はい、先輩あ~ん」
矢ヶ崎藍華:つまようじで刺してあーんします
豊島 正則:「お、おう……」
豊島 正則:やや気圧されつつ、素直に応じる。
豊島 正則:……というよりも、自分で食べられる、と答えた時に、拗ねながら寂しそうにする顔に耐えられない、というのが本当のところ。
矢ヶ崎藍華:むふー
矢ヶ崎藍華:「それにしても、残念ですよねえ…」自分もりんごを食べつつ、先輩の腕と足を眺めて
矢ヶ崎藍華:「せっかく綺麗に生え直した直後にこんなに傷だらけになるなんて…」
豊島 正則:「ああ、そりゃあ……真っ白い腕ってのは新鮮だったけどな」
豊島 正則:「いいんだよ、俺はこれで」
豊島 正則:まだ満足に動かない左手を、ゆっくり開いて、閉じる。
矢ヶ崎藍華:「むう」
矢ヶ崎藍華:リハビリもやってかないと。
矢ヶ崎藍華:「とにかく美味しいもの食べて元気になってもらいますからね!はいあーん」
豊島 正則:「元気で言やあお前のおかげでとっくに……む、お……」
豊島 正則:半ば口に突っ込まれるように差し出された林檎を、ひとくち、ふたくち。
豊島 正則:そうやって、年下の女性にリンゴを食べさせられ続ける、というこれまで体験したことのない時間が過ぎていく中。
豊島 正則:「……なあ、藍華」
豊島 正則:不意に、声のトーンが、あの街灯の下での夜を想わせるものになる。
矢ヶ崎藍華:「なんですか?」
矢ヶ崎藍華:真面目な話をするときのトーンだと気づく
豊島 正則:「美礼が言ってただろ、お前のコードネームの由来。入院した後な、暇な時に俺もちょっと調べてみた」
矢ヶ崎藍華:「……」
豊島 正則:「最後に残る何か、しかもどう足掻いても観えやしない。……あいつもどういうつもりで名付けたんだか」
豊島 正則:「そう、思ったんだがな。最初は」
豊島 正則:ここが病院でなければ、そして愛華が隣にいるのでなければ、煙草をくわえて火をつけていそうな語り口。
豊島 正則:「けど、外から見えなくても。そこに在る、と確信できるものってのもある」
矢ヶ崎藍華:ゆっくり、その語り口を聞いている
豊島 正則:「問題は。それが、いいものばかりじゃないってことだな」
矢ヶ崎藍華:「…そうですね」
矢ヶ崎藍華:先輩を信じられるのは、こういうところがあるからだ
矢ヶ崎藍華:私を安心させる時でも、絶対にそういうものをごまかしたりしない
豊島 正則:「……警察の連中の話は、もう聞いただろう。お前が潜入中に世話になった、ってヤツのことも、俺は聞いた」
矢ヶ崎藍華:「はい。」今、元気にしているだろうか
豊島 正則:「……御守がな、うちで引き取るってゴネたそうだ。ただでさえ本部相手に危ない橋渡った後だってのに、ったく」
豊島 正則:顔に出てるぞ、と告げる代わりに。苦笑い交じりに。
矢ヶ崎藍華:「…!」
矢ヶ崎藍華:「っっ良かった……」
矢ヶ崎藍華:「…でも、会っていいのかな…」
矢ヶ崎藍華:裏切った。傷つけた
矢ヶ崎藍華:十分嫌われていい理由だ
豊島 正則:「……相手にどう思われてるか、なんて知り様が無ぇさ。分かり合えるのが人間なら、分からないことだらけなのも人間だ」
豊島 正則:「だからな、藍華」
豊島 正則:傷だらけの右腕で、藍華を抱き寄せる。
矢ヶ崎藍華:「わ」
矢ヶ崎藍華:心臓がひっくり返ったかと思った
豊島 正則:「俺は、お前の想いを信じる。お前が抱えているものを信じる」
豊島 正則:「お前が、ここにいることを、信じている」
矢ヶ崎藍華:「……はい」
矢ヶ崎藍華:強い筋肉と、癒えていない傷の数々。そして温かい体温
矢ヶ崎藍華:こんなに安心出来る場所が、他にあっただろうか?
矢ヶ崎藍華:「先輩…もうすこし、このままで…」
豊島 正則:「……嫌われるより苦しいからな。いない奴、会えない奴への負い目ってのは」
豊島 正則:「お前がそいつを抱えて生きられるなら、いくらでも、いつまでも」
矢ヶ崎藍華:「やったあ」
矢ヶ崎藍華:「んふふ、こんなにあったかいなら…いつまでも、抱えていけますよ」
豊島 正則:「……ったく。人が心配してやったってのに」
豊島 正則:呆れたような、安心したような。そんな、不器用な笑み。
GM:その時、
GM:ご がん!!
矢ヶ崎藍華:「ひぇっ」
GM:個室のドアに、何かが叩きつけられるような音。
豊島 正則:「うおっ…!?」
豊島 正則:「……ノックにしちゃ随分ゴツいな」
GM:少しして、コンコンとノックの音。
豊島 正則:ほんの僅かな間、藍華と目を合わせてから、小さく頷いて。
豊島 正則:「どうぞ」
矢ヶ崎藍華:居住まいを正して。顔赤くなってるよね…?
GM:静かにドアが開かれる。
GM:姿を現したのは、額を真っ赤に腫らしたシンシアだった。
シンシア:ぺこりと一礼。
シンシア:「ご無沙汰しています」
矢ヶ崎藍華:「こ、こんにちは…」
矢ヶ崎藍華:「すごく痛そう…」
豊島 正則:「おう。……藍華、冷蔵庫にペットボトルあったろ。水の」
豊島 正則:真っ赤な額を、半眼で見てから。
矢ヶ崎藍華:「はいっ!」
シンシア:「……問題ありません。少々転倒しただけですので」
矢ヶ崎藍華:「頭から…?」
矢ヶ崎藍華:買っておいたペットボトルを取り出しつつ
豊島 正則:「それを減らず口だとか強がりってんだよ。……ま、こんな時までお前らしいっちゃらしいが」
シンシア:「…………矢ヶ崎藍華さん、ですね」
矢ヶ崎藍華:「…はい」
シンシア:されるがままに頭を冷やされながら、矢ヶ崎さんに目を向ける。
矢ヶ崎藍華:あの時以来だ
矢ヶ崎藍華:…やっぱりかわいいなあ。
シンシア:「直接お会いするのは『初めて』ですね」
シンシア:戦闘はなかったことにするらしい。
矢ヶ崎藍華:むっ、とした顔を作ってから
矢ヶ崎藍華:「どうも、始めまし、て!」
シンシア:「お話は伺っています。今回の作戦では、お疲れさまでした」
シンシア:ぺこりと一礼をしてから、その顔をじぃっと見つめる。
シンシア:「…………」
矢ヶ崎藍華:「なんですか?」
矢ヶ崎藍華:むすー
豊島 正則:「……なんだこの空気」
豊島 正則:割り込めない何かを、感じる。
GM:「…………」しばらく無遠慮に眺めまわしてから、
シンシア:「……失礼ですが」
シンシア:「矢ヶ崎さんは今、おいくつでしょうか?」
矢ヶ崎藍華:「へ?」
矢ヶ崎藍華:「じ、十六歳ですけど・・」
シンシア:「そうですか」
豊島 正則:「……?」
シンシア:「私は、二十歳です」
豊島 正則:唐突なやりとりに、盛大に頭の上に疑問符を浮かべる。
豊島 正則:「……ああ、戸籍上というか、事実上というか、そうだな」
矢ヶ崎藍華:「!?」
矢ヶ崎藍華:ここで何故年齢を…?
矢ヶ崎藍華:「………20歳……ハッ!!」
シンシア:矢ヶ崎さんにだけ見える角度で、
シンシア:うっすらと笑みを浮かべる。
矢ヶ崎藍華:「こ」こいつ……!!
豊島 正則:「いや、お前らほんとに何を……というか、だ」
矢ヶ崎藍華:「豊島さん」
矢ヶ崎藍華:先輩呼びではなく
矢ヶ崎藍華:「ここは譲れません」
豊島 正則:「俺の前で、俺にだけ分からない勝負を始めるのはやめてくれねえかなほんと!?」
矢ヶ崎藍華:がるるるるる
豊島 正則:「……あー、その、ともかくだ。シンシア、お前」
豊島 正則:咳払いしてから、視線をシンシアへ向ける。
シンシア:「はい」ぱっと豊島さんに向き直る。
豊島 正則:「美礼の悪巧みを黙認した身で言うのも何だが。大丈夫なのか」
豊島 正則:任務。立場。必要なもの。失ったか、ダメージを受けたか。どちらにせよ、無傷とはいかないだろう、と。
シンシア:「………私はただ、命令に従うだけですので。返答はしかねますが」
シンシア:「ただ」
シンシア:「今回の任務も終了しましたので、予定通り帰国することになりました。次の任務も、もう決まっています」
矢ヶ崎藍華:「!」
シンシア:「エージェントとしての任務遂行に、何の支障もありません」
豊島 正則:「そう、か。……そりゃあ何よりだ、と言っとくよ」
豊島 正則:一か月を共に過ごしても、少なくとも表面上は変わらなかったものが。寂しくもあり、どこか懐かしくもある。
シンシア:「……ええ、ですので」
シンシア:「今日はこうして、お別れの挨拶に伺いました」
矢ヶ崎藍華:「は、はあ……」
矢ヶ崎藍華:さっきのやつはなんだったのか。安堵と呆れの混じった表情
GM:本部から、そのような無用な命令が下されるはずはない。
GM:彼女の意思で、という意味だ。
豊島 正則:「ああ、あのままお別れじゃああまりに……なんだ、こう」
豊島 正則:「最後に見たのが泣き顔だった、ってのはな」
シンシア:「…………」
シンシア:それには答えず、
シンシア:つかつかと、ベッドの上の豊島さんの眼前まで歩み寄る。
シンシア:「豊島さん」
豊島 正則:「……お、おう……?」
矢ヶ崎藍華:「……!」
豊島 正則:つい先ほどまで、藍華がいた空間に、いまは。
シンシア:無表情のシンシアが、豊島さんを見下ろす。
シンシア:「今回の滞在では、お世話になりました」
シンシア:「あなたのお話、大変興味深かったです」
豊島 正則:「……お前さんが望んだものが得られたかは分からねえが」
豊島 正則:「興味深いってんなら、土産代わりにもうひとつ。……俺達のしたことは、意味のないことかもしれない」
豊島 正則:藍華から聞いた、闘いの中での一幕。交わしたという短い会話。
豊島 正則:「人の行いじゃ、世界は変わらねえ。人だって変わるかどうかは、そいつ次第だ。……そういう意味じゃ、意味なんて、ない」
シンシア:「…………」
シンシア:黙ったまま、耳を傾ける。
豊島 正則:「でも、それでいいんだよ。俺たちは、生きている」
豊島 正則:「生きるっていうのは、ほんの少しずつ変わり続けるってことだ。そいつは目に見えない変わり方かもしれねえが」
豊島 正則:「俺も、お前も、藍華も。がむしゃらに生きてる間に、いつの間にか変わる」
豊島 正則:「……理屈はあるんだろうが、そんなもんでいいんじゃねえか。わざわざ自分で、難しくする必要なんて無ぇさ」
矢ヶ崎藍華:「先輩…」
シンシア:「……私も、変われる……」
シンシア:驚いたような、呆然としたような。
シンシア:「……そうなの、でしょうか」
豊島 正則:「そうだよ。何年、何十年経ってから振り返ってみりゃいい。過去の自分を、どうしようもなく恥ずかしく思うかもな」
豊島 正則:「……そういうのを楽しみにしてもいいって、俺は思う」
豊島 正則:くつくつと、喉を鳴らすように、小さく笑いながら。
シンシア:「…………」
シンシア:しばらく、俯き。
シンシア:それから、君の傷だらけの顔をじっと見つめる。
シンシア:「……ああ、そういえば」
シンシア:「確かに、今回の任務で」
シンシア:「ひとつ、今まで知らなかったことを知りました」
豊島 正則:「教えてくれるか。お前が、初めて知ったことを」
シンシア:「…………」
シンシア:衣擦れの音。
シンシア:不意に、シンシアが身を乗り出し、
シンシア:豊島さんに顔を近付ける。
矢ヶ崎藍華:「!?」
豊島 正則:「……おい?」
シンシア:頬に、柔らかな感触が振れる。
矢ヶ崎藍華:「………」
豊島 正則:「……」
矢ヶ崎藍華:「な」
シンシア:「……また近いうちにお会いしましょう、豊島さん」
シンシア:呆然とする二人を残し、
シンシア:シンシアは小さな微笑を浮かべ、風のように病室を去っていった。
矢ヶ崎藍華:「何してるんですかあ~~~!?!?!?」
矢ヶ崎藍華:うぎゃあー
豊島 正則:「ま、待て藍華!仕舞え!せめてその黒いのは仕舞え!?」
豊島 正則:「そしてそっちもなんか説明してけよ!?」
矢ヶ崎藍華:「ぐぬぬぬぬぬ」
矢ヶ崎藍華:涙目で
矢ヶ崎藍華:未だになんかヤバいオーラを出している
豊島 正則:「……一か月でちょっとは読めるようになったつもりだったんだが、やっぱ……わからねぇなあいつ……」
豊島 正則:ドス黒い何かを藍華から感じつつ、それでも。
豊島 正則:「……あー……あのな、藍華」
矢ヶ崎藍華:「なんですかっ!」
豊島 正則:「俺が誰かにどう思われていても。俺の、お前への気持ちには関係ない」
豊島 正則:こんな時だからこそ、改めて。
矢ヶ崎藍華:「へっ」
矢ヶ崎藍華:いきなりそんなこと言い出すもんだから
矢ヶ崎藍華:気持ちが何度も反転して落ち着かない
豊島 正則:「……こういうのは、やっぱりちゃんと言っとかねえと駄目だからな」
豊島 正則:「藍華。俺は、お前が好きだ。……いつ、くたばっちまうかも知れない身だが」
豊島 正則:「決めたからな。誰も彼もがお前を見失ったとしても。俺は、お前を見つけるって」
矢ヶ崎藍華:「……え?その………」
矢ヶ崎藍華:「好きって」
矢ヶ崎藍華:「………好きってことですか!?」
豊島 正則:「他に解釈の仕方があるか。……ああくそ、だからこういうのは苦手なんだよ俺は…!」
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:「ふええ…」
矢ヶ崎藍華:思わず泣き出してしまう
矢ヶ崎藍華:「4歳も歳下で、扱いにくい子供で」
矢ヶ崎藍華:「相手にされないかもって思ってた……」
豊島 正則:「……あのな、忘れてるかもしれないから言っとくが」
豊島 正則:「一応、高校生なんだよ。俺も。……ったく、泣く奴があるか」
矢ヶ崎藍華:「はいっ…」
豊島 正則:殆ど力を感じさせない左手で、そっと藍華の頬に触れる。
矢ヶ崎藍華:触れた手に、自分の手を当てて
矢ヶ崎藍華:「私も」
矢ヶ崎藍華:「私も、だいすき」
矢ヶ崎藍華:「変わっていけるなら、私が本当に駄目になったなら、殺してくれるって約束してくれた先輩が、すき」
矢ヶ崎藍華:「私を大事にしてくれる人はどれだけいても 私を殺して欲しい人は貴方以外にいない。」
矢ヶ崎藍華:私が見えない星でよかった。
矢ヶ崎藍華:あなたはいつだって暗い中を一人で行こうとするから。
矢ヶ崎藍華:見えないからこそ、いつでも傍にいられる
豊島 正則:「……ああ。俺が最後に殺すのは、きっとお前だ。だから」
豊島 正則:見えないものを、そこに在ると信じて探し続ける。誰かはそれを、無意味と嗤う。
豊島 正則:けれど、在ると信じるなら。傍にいると信じるなら。
豊島 正則:「死ぬまで、ずっと一緒だ」
矢ヶ崎藍華:「もちろん、です」
豊島 正則:枕元のオーディオプレイヤーから伸びるイヤホンを、片方は藍華の耳へ。もう片方を、自分の耳へ。
矢ヶ崎藍華:ぐしゃぐしゃの顔で、笑顔を作る
矢ヶ崎藍華:イヤホンは短いから
矢ヶ崎藍華:抜けないように、その大きい胸板によりかかるように、身を近づける
豊島 正則:その笑顔を、そっと抱き寄せる。
豊島 正則:—イントロが聞こえる。歌というのは、自分には馴染みの薄いものだけれど。
豊島 正則:寂しく、穏やかで。冷たく、暖かで。
豊島 正則:そんな不思議な曲が、とても。
豊島 正則:不器用な彼女に/自分には、心地よかった。

【ED:新垣御守】



GM:----------
GM:N市 UGN第二支部 食堂
GM:----------

GM:山盛りのランチAセットを前にして、チコは目を輝かせた。
チコ:「いいの!? これ食っていいの!?」
GM:既に傷はほぼ癒え、絆創膏を貼った顔に元気な表情を見せている。
新垣御守:「食べな食べな。生憎タコスは無いんだけど」
新垣御守:「向かいのコンビニにブリトーはあるよ」
新垣御守:「ってかさ、ブリトーとタコスってどう違うんだろね」
新垣御守:「メキシカンだったらその辺分かったりする?」
チコ:「え? 何? ……知らね―!! わーい!! いただきまーーす!!」
チコ:病院食続きだったのか、大喜びでマナー悪くパクつく。
チコ:「うまい! あんたいい人だな!」
新垣御守:「結構イケるでしょ。あーあー、ソースがソースが」
新垣御守:苦笑しつつ、紙ナプキンを渡したりして
チコ:げっ歯類めいて頬を膨らませている。
新垣御守:「どうだろね。悪い人かもよ」
チコ:「ほうなの?」
チコ:きょとんとした顔。
新垣御守:「少なくともまあ、大して変わんないよ」
新垣御守:「あの人……リリアナとだってね。やってることは」
チコ:「そうなの? じゃあいい人じゃん!」屈託ない顔。
新垣御守:「……!」
チコ:「別に悪いやつだっていーよ。今んとこ、あたしにとってはいい人だし」
新垣御守:「ぷ、はは」
新垣御守:「あー、そうだね。多分そうだ」
新垣御守:「いや、やっぱりいい人って事でよろしく」
チコ:「よろしくよろしく! あ、お代わりいい?」むしゃむしゃとご飯を食べながら
新垣御守:「おう、食え食えーこの食べ盛りっ子がー」
チコ:「やったぜ! やっぱいい人じゃん!」
チコ:「すんませーん!これとこれと、これ!」メニューを指さして、大量の注文。
新垣御守:「ただし、食い終わったら」
新垣御守:「ちょっと付き合ってもらうよ?」
チコ:「……?」
チコ:「何に?」
新垣御守:「お説教」
チコ:「げ」露骨に顔を顰める。
新垣御守:「はは、そんな顔しないの」
新垣御守:「アンタがされるんじゃないんだから」
新垣御守:「むしろ、好きにしていいよ。説教をね」
チコ:「? じゃあ、誰にすんの?」
チコ:椀を持つ手が止まる。
新垣御守:「会ってのお楽しみ。ま、ろくでもない奴だけど」
新垣御守:「お手柔らかにしてやって。多分、いい奴だから」
チコ:「ふ~ん」またもぐもぐし始める。
チコ:「別にいいぜ!あたしがされるんじゃないなら!!」
チコ:「うまいなこれ!」
新垣御守:「噛んで食いな噛んで。喉詰まるって」
チコ:「あ、そうだ」
新垣御守:「ん?」
チコ:唐突に、思い出したように静止する。
チコ:「おねーさん、UGNのヒトなんだよね?」
新垣御守:「そ、ていうかここがまずUGNの建物だよ」
チコ:「へ~、UGNのメシってうまいんだな! 入ろかな」
新垣御守:「……ぶっ」
新垣御守:「はは!」
新垣御守:「いやー、気に入った。チコちゃんさ」
チコ:「うん」魚の尻尾を口からはみ出させて。
新垣御守:「アンタ面白いわ。ファンになったよ」
チコ:「マジ? 困っちゃうな~!」えへへ、と笑う。
新垣御守:「そっちが良ければね。てゆーか、そういう話もするつもりだったし」
チコ:「そーゆー話って? UGN?」
新垣御守:「そ、住む場所と働き口、必要でしょ」
新垣御守:「うちは特に人手不足だからね、猫の手も借りたいってやつ」
チコ:「たしかに……」口をもごもごさせながら、何も考えていないような顔で。
チコ:「んー、考えとく!」
新垣御守:「よろしく」
チコ:「あ、そうそう、それでさ!」
新垣御守:「はいはいそれで」
チコ:「ちょっと聞きたいんだけど、おねーさん、アヤカ……シマザキアヤカってやつ、知ってる?」
チコ:「あれ、違うんだっけ。確か、ええと……」
チコ:ううんと唸り、
チコ:「な、なんだっけ……」
新垣御守:「シマザ……ああ」
新垣御守:「矢ヶ崎藍華?」
チコ:「あ、そうそう!それ!」がたん、と食器を揺らして。
チコ:「あいつ、どこにいるか知ってる?UGNなんでしょ?」
新垣御守:「会いたいんだ」
新垣御守:「会ってどうすんの?」
新垣御守:テーブルに肘を付きながら、面白そうに
チコ:「ん?」ハンバーグを懸命に切り分けながら
チコ:「どうするって……そうだなぁ……」
チコ:「別に? 会いたくってさ」
チコ:当然のように言う。
チコ:「あいつ、私の妹分だから!」
チコ:「会えなくて寂しがってると思うんだよね~」
新垣御守:「……ふふ」
新垣御守:「そりゃ大変だ。会いにいったげないとね」
新垣御守:「向こうもびっくりするよ」
チコ:「だろだろ!」楽しそうに。
チコ:「まあ、ロス……なんちゃらは無くなっちゃったけど」
チコ:「生きてりゃそんなのよくあることだし!」
チコ:「あたしは目の前のメシのほうがよっぽど大事だな~」
チコ:おいしそうにハンバーグを口に運ぶ。
新垣御守:「なるほど。チコちゃんさ」
新垣御守:「アンタ面白いだけじゃなくて、頭もいいよ」
チコ:「え!?!?」目を見開く。
チコ:「嘘……」
チコ:「初めて言われた、そんなこと……」
チコ:呆然と君を見つめる。
新垣御守:「そう?」
新垣御守:「結局大事なのは、目の前のご飯が美味しく食べられるかどうかだって」
新垣御守:「そういうの見失ったときに、みんなやらかすんだよなぁ」
新垣御守:「……いや、しみじみ思うわ」
新垣御守:腕を組みながら
チコ:「あんた、やっぱりいい人だな!」嬉しそうに笑う。
チコ:「あ、そうそう、名前!名前なんてーの?」
新垣御守:「ああ、ごめんごめん。忘れてた」
新垣御守:「私は御守ね。新垣御守。それに」
新垣御守:「……アニーって呼ぶやつもいる」
新垣御守:「よろしくね、チコ」
チコ:「アラガキミモリ……アニー……」
チコ:その名を聞いて、チコの動きが止まる。
チコ:「…………」
チコ:「……んん~~? どっかで聞いたことあるんだけどなぁ……」
チコ:首をひねる。
新垣御守:「さて」
新垣御守:立ち上がり
新垣御守:「お説教の時間。付いてきてね」
新垣御守:「あ、あと食器は向こう」
チコ:「えー、まだ食いたいのに……」
チコ:渋々ながら立ち上がる。
新垣御守:「後で食べな。一気に食べたらお腹痛くなるって」
チコ:「は~~い……」
チコ:名残惜しそうに付いてくる。
新垣御守:「よろしい、賢いチコにはアイスも買ってあげる」
新垣御守:「あとでね」
チコ:「マジ!? サイコー!!」
チコ:俄然嬉しそうに。
GM:君達は支部の廊下を歩いていく。
GM:向かう先は、ひとつの取調室。
チコ:「で、結局誰にお説教すんの?」
チコ:頭の後ろで腕を組む。
チコ:「あたしの知ってるヤツ?」
新垣御守:「そ。ろくでなしの、だけどいい奴で」
新垣御守:「チコのよく知ってる……ほら」
新垣御守:がちゃんと
新垣御守:鍵を空けて、机一つだけの殺風景な部屋の中へ。
GM:取調室の中には、女が一人。
GM:パイプ椅子に深く座って、退屈そうな表情。
チコ:「ね……」
新垣御守:「よ。元気?」
チコ:見るなり、チコが嬉しそうに表情を輝かせる。
チコ:「姉さんだーー!!」
リリアナ:「あ! ちょっ待……」
リリアナ:「ぐおおおおお!!」
新垣御守:「あっははは!」
リリアナ:まだ傷の残る身体を抱き締められ、悲鳴を上げる。
新垣御守:「もっと締めたれ締めたれ!おらおらー!」
リリアナ:「アニー!こいつどうにかしろ!!」
リリアナ:「ぐわああああああ!!」
新垣御守:「えー、やだ~」
新垣御守:「めっちゃウケる顔してるし。あれ、金剛力士像みたい」
チコ:「姉さん!元気そうっすね!! よかったっス!!」
リリアナ:「今元気じゃなくなろうとしてんだよ!!」
新垣御守:「……それにさ」
新垣御守:「そんだけ心配してて、逢いたかったってことでしょ」
リリアナ:「それは分かるが!!」
新垣御守:「受け入れてやんなよ。責任だよ」
リリアナ:「うぎゃああああ!!」
リリアナ:「ぐっ……この……覚えてろよ……!」
新垣御守:「はいはい。んじゃ傷口が開く前にブレイクブレイク」
GM:チコが一通りはしゃぎ終えると、リリアナは深い溜息を吐いた。
新垣御守:チコを離して、椅子に座らせながら
新垣御守:自分もリリアナと向かい合って椅子に座る。
リリアナ:「……で? 今度の事情聴取はお前かよ」
リリアナ:じろりと見る。
リリアナ:「もう大体話しただろ、何回も」
新垣御守:「まあね。聞くこととしてはもう無いから」
新垣御守:「後はこっちから知らせに来た」
リリアナ:「……?」
リリアナ:怪訝な顔。
新垣御守:「……アンタとチコの処遇について」
リリアナ:「…………!」表情に、俄かに緊張が走る。
新垣御守:「一生ここにいたいなら、別にいいけど」
新垣御守:「聞く気ある?」
リリアナ:はぁ、とまた溜息。
リリアナ:「……言ってみろよ」
リリアナ:ちらりと、チコに目をやる。
新垣御守:「……リリアナ=マルティネス、及びチキータ=マルティネスの両名は」
新垣御守:「来月付けで、UGNN市第二支部所属のエージェント及びチルドレンとして配属する。」
リリアナ:「……ああ!?」
リリアナ:声を荒げる。
チコ:「?」何も分かっていない顔。
リリアナ:「……どういう冗談だ、そりゃ」
リリアナ:険しい顔で君を見る。
新垣御守:「両名の同意、及び第二支部長新垣御守の責任に於いて。この辞令を決定事項とする」
新垣御守:「……本気だよ」
新垣御守:「本部のエリート様にしちゃ、ヒラから出戻りって事になるけどね」
リリアナ:「……私がやったことはどうなる」
リリアナ:重々しい声。
リリアナ:「UGNだの、その辺の理由を差っ引いても」
リリアナ:「やったことは消えないだろ」
リリアナ:「私は、裁かれるべきだ」
新垣御守:「あのさ」
新垣御守:「本当、耄碌したよね。それとも忘れたわけ?」
新垣御守:「……自分のやったことがどうなるかって」
新垣御守:「誰の眼の前で言ってんの、それ」
リリアナ:「…………!」
リリアナ:言葉を詰まらせる。
新垣御守:「償うんだよ。命がけで」
新垣御守:「それしかないでしょ。最初から」
リリアナ:「…………」
リリアナ:俯き、黙り込む。
新垣御守:「この国は平和だよ。いいとこだよ」
新垣御守:「だけど、私たちがいるのはずっと地獄だ」
リリアナ:「……こんなこと……」
リリアナ:「……許されるのかよ……」
リリアナ:「……」
新垣御守:「……許すよ」
新垣御守:「世界中がアンタを許さなくても」
新垣御守:「アンタがアンタを許せなくても」
新垣御守:「私は許す」
新垣御守:「それに……」
新垣御守:チコの方に目をやる
新垣御守:「私だけじゃない」
新垣御守:「でしょ?」
チコ:「なんか姉さん説教されてる!あははおもしれー!!」からからと笑う。
リリアナ:「…………」
リリアナ:天を仰ぎ、顔を覆う。
新垣御守:「面白いでしょ。この人結構攻められると弱いんだよね」
新垣御守:「だから突っ張って、すぐ無理する事になる」
新垣御守:「……独りにさせといちゃ、ダメなんだよ」
チコ:「……?」君とリリアナを見比べる。
リリアナ:「……こんな、楽園みたいな国に来てまで……」
リリアナ:「……まだ、地獄を歩く羽目になるのか」
リリアナ:「裁かれたほうが、百倍マシだ」
新垣御守:「でも」
新垣御守:「開き直れるほど、図太くないじゃん。アンタ」
リリアナ:「……そうだな」
リリアナ:「……そうだったな……」
リリアナ:呻くように呟く。
新垣御守:「……そうだよ」
チコ:「……!? ……!?」二人を慌てたように交互に見て。
チコ:「え!? え!? 何!?」
チコ:「どっ……! どういうかんけ……!」
GM:コン、コン。
GM:ノックの後に、取調室の扉が開かれる。
田井中次郎:「よろしいですか、支部長」
田井中次郎:入室してきたのは、つい一昨日退院したばかりの田井中。
新垣御守:「あー、ジロくん。おっはよ」
新垣御守:「傷は?もう大丈夫?」
田井中次郎:「ええ。この程度、何ともありません……UGNエージェントですから」
田井中次郎:わざとらしくコートを翻す。
新垣御守:「……そ」
新垣御守:「ていうかさぁ!」
新垣御守:「毎回思うんだけど、年下なんだから敬語やめてって」
田井中次郎:「え」
新垣御守:「むしろ距離感じるわ!アレもやってくんないし」
新垣御守:「ナイトメアブリンガーだ!っていうヤツ!」
田井中次郎:「ええ……いや、でも……」途端に弱々しくなる。
田井中次郎:「支部長だし……」
新垣御守:「……この微妙に頼りなさそうなのが、田井中くん」
新垣御守:チコの方に
チコ:「よう!タイナカ!」
田井中次郎:「違う!!」
田井中次郎:「ナイトメアブリンガーだ!!」
新垣御守:「あはは!それそれ!」
新垣御守:「支部のこと、色々案内してもらって。あと手続きとかもね」
リリアナ:「あー、あたしがボコボコにしたやつ!」
リリアナ:「悪かったなー、あん時」
田井中次郎:「ヒッ……!?」
新垣御守:「ビビんないビビんない。取って食ったりはしないだろうし」
田井中次郎:怯えた顔で壁を背にして、横歩きでチコの方へ。
新垣御守:「ていうか、これからジロくん先輩になるかもしれないんだから」
新垣御守:「威厳を見せろよ~~ナイトメアブリンガ~~」
新垣御守:意地悪そうにニヤニヤ笑う
リリアナ:「よろしく~、先輩」ひらひら手を振る。
田井中次郎:「ぐぅ……!」
田井中次郎:「チキータ・マルティネス……こちらに来い」
田井中次郎:「このナイトメアブリンガーが直々に支部を案内してやる……!」
チコ:「そうなの? わかった」
チコ:椅子から飛び降り、
チコ:「じゃあまた! 姉さん、ミモリも!」
新垣御守:「あ」
新垣御守:「チコ、ありがとね」
新垣御守:その背中に声をかける
チコ:「ん? 何が?」振り返り、きょとんとする。
新垣御守:「この人がさ……ギリギリのとこでこっちにいられたの」
新垣御守:「繋ぎ止めてくれたのは、多分チコだ」
新垣御守:「だから、ありがと」
チコ:「……? よくわかんねーけど」
チコ:「そうなんすか? 姉さん」
リリアナ:ごとん、と机にうつ伏せになり、
リリアナ:「……そうかもな」と絞り出すように言う。
新垣御守:「……ほら」
新垣御守:「言っときなよ。どうせ独りだと言えないでしょ」
リリアナ:「…………」
リリアナ:「……ありがとな」
リリアナ:突っ伏したまま、言う。
新垣御守:「ん。だってさ?」
チコ:「…………」
チコ:「よくわかんねーけど、それならよかったッス! よくわかんねーけど! あはは!」嬉しそうに笑う。
チコ:「よっしゃ!行くぞタイナカ!」
田井中次郎:「ナイトメアブリンガーだ……!!」
GM:二人はそうして、部屋を出ていく。
GM:後には、君とリリアナだけが残された。
新垣御守:「いい子だよね」
新垣御守:「あんな子置いてっちゃ、ダメだよ」
リリアナ:「…………そうだな」
リリアナ:椅子に座りなおし、頷く。
リリアナ:「……お前さあ」
リリアナ:君を見つめ、
リリアナ:「ホントに支部長やってんのな」
リリアナ:しみじみと言う。
新垣御守:「ははっ」
新垣御守:「やってるよ、どーにかこーにか。向いてないなりにね」
新垣御守:「ああいう、田井中くんとかさ。豊くんとかさ」
新垣御守:「付いてきてくれる子達がいて、やっとなんとかなってる」
新垣御守:「……ちょっとさ」
新垣御守:「昔のアンタの気分、分かった気がするよ」
リリアナ:「……そうかな……」
リリアナ:「私の目から見れば」
リリアナ:「……お前はもう、十分立派な支部長だよ」
新垣御守:「……」
リリアナ:「……何せ、私を倒したんだからな」
リリアナ:照れ隠しのように言う。
新垣御守:「なんか」
新垣御守:「死ぬ前みたいなの、やめてよ」
リリアナ:「……ああ……」
リリアナ:気まずそうに、目を逸らす。
リリアナ:「それなんだけどな……」
リリアナ:「……UGNで、診てもらったんだよ。身体」
リリアナ:「…………」
リリアナ:「あんまり引っ張ってもアレだから、言うけどさ」
リリアナ:「…………」
リリアナ:「……UGNで、治療と調整を受ければ」
リリアナ:「……もうしばらくは、生きられるらしい」
新垣御守:ずこーーーっ!!
新垣御守:とは、ならない。
リリアナ:「……って、あの胡散臭いオレンジ頭が言ってた」
新垣御守:腕を組んで、残念そうにリリアナを見る。
新垣御守:「なーんだ……ちっ」
新垣御守:「ビックリさせてやろーと思ったのに。聞いてたんだ」
リリアナ:「だから言いたかなかったんだよ……」
リリアナ:口を尖らせる。
リリアナ:「気まずいのなんのって……」
リリアナ:「なんか、バカらしくなっちまったよ」
新垣御守:「言われなくてもこっちも知ってたよ。何せ支部長だし」
新垣御守:「……でもさ」
新垣御守:「どうやって治るかまでは、聞いてないんじゃない?」
リリアナ:「……ん?」
リリアナ:顔を上げる。
リリアナ:「そりゃお前……」
リリアナ:「UGNの施設で……」
リリアナ:「……違うのか」
新垣御守:「出た!そのフワフワ認識!」
新垣御守:「マジでズボラ!自分の体の事くらいもうちょっとちゃんと聞いときなよ!」
リリアナ:「う……うっせーな!」
リリアナ:「いいんだよ!それで大体何とかなんだから!」
新垣御守:「オレンジの子、第四の支部長の美礼ちゃんっていうんだけど、あの子から聞いてさ」
新垣御守:「……ちょうど向こうで研究中だったんだって」
リリアナ:「……何を」
新垣御守:「対抗種を長期的に発露したオーヴァードの治療法」
新垣御守:「……血清だよ」
リリアナ:「………………」
新垣御守:「それは別型の対抗種の血からしか、作れない」
リリアナ:やや、表情が動く。
リリアナ:「…………つまり?」
新垣御守:「……繋がりだよ」
新垣御守:「ひとりよりふたり。ふたりよりたくさん」
新垣御守:「私が、みんなが、アンタを死なせない」
リリアナ:脱力したように笑う。
リリアナ:「……お節介な話だな」
リリアナ:「……ああ、でも」
リリアナ:「そうだよな。忘れてたよ」
リリアナ:「……お節介、か。それが……」
リリアナ:「……UGNってとこだったな」
新垣御守:「そ、それで」
新垣御守:「私の知る限り1番のお節介焼きは」
新垣御守:「今、眼の前にいる」
新垣御守:「……おかえり、リリ姉」
リリアナ:「…………買い被りだよ」
リリアナ:苦笑して、君を見つめる。
リリアナ:「……ただいま」
リリアナ:「……アニー」
リリアナ:言葉の通り。
リリアナ:長い旅から、故郷に帰りついたかのような、穏やかな表情。
新垣御守:「んで」
新垣御守:「……なんだってこんなことしたわけ?」
新垣御守:「突っ走りすぎでしょ、いくらなんでも」
リリアナ:「…………」
リリアナ:リリアナはしばらく沈黙して、
リリアナ:「……もうすぐ死ぬって分かった時さ」
リリアナ:「怖かったんだ」
新垣御守:「……」
リリアナ:「UGNに裏切られて、正義とか、理想とか、そういうの全部信じられなくなって」
リリアナ:「それに負けた、私自身のことも信じられなくなった」
新垣御守:「真面目すぎなんだって」
新垣御守:「……でも、まあ。らしいよ」
リリアナ:「……もっと、楽に考えられたら、よかったのかもな」
新垣御守:「それで、自棄起こしたってわけ?」
リリアナ:「…………」
リリアナ:「私は、そんな心のまま、何もせずに死んでいくのがどうしようもなく怖かったんだよ」
リリアナ:「何も信じられないまま、一人ぼっちでさ」
リリアナ:「世界はクソの塊だって、何もかも憎みながら、死ぬ」
リリアナ:「そんなのは嫌だった」
リリアナ:「それでさ……」
リリアナ:リリアナはそこで少し言葉を切る。
リリアナ:「……ピラミッドって、あるだろ」
リリアナ:不意にそんなことを言う。
新垣御守:「……えっ」
新垣御守:「急に何、吉村作治?」
リリアナ:「まあ……そこまでしゃなくてもさ。どこでも大抵、墓を建てるときは、石だろ。でかい石」
リリアナ:「あれさぁ、何でだと思う?」
新垣御守:「クイズはダメだって、知ってるでしょ?」
新垣御守:「もったいぶんないで、ほら」
リリアナ:「だったな」小さく笑う。
リリアナ:「石って、残るんだよ。木とか金属なんかより、ずっと長くさ」
リリアナ:「多分、みんな信じたいんだよ」
リリアナ:「自分がいなくなった後でも、ずっと残り続ける確かなものがある、って」
リリアナ:「私もさ、信じたかったんだ」
リリアナ:「昔に見た、夢みたいな平和な場所」
リリアナ:「それを守る、揺るがない確かな正義」
新垣御守:「……」
リリアナ:「どれだけ踏み躙られても、それは絶対に消えることはない」
リリアナ:「そう信じたかった。自分のことはもう信じられないから」
リリアナ:「この世界でただ一つ」
リリアナ:「信じられる相手に託して、それを確かめて」
リリアナ:「そうして、死のうと思った」
新垣御守:「……へ?」
リリアナ:ふっ、と笑う。
リリアナ:「バカだよな」
リリアナ:君を、君だけを瞳に映す。
新垣御守:「いや、アンタ」
新垣御守:「ふっじゃなくて」
新垣御守:「……普ッッッッッ通に」
新垣御守:「引くわ!!!!!!!」
新垣御守:絶句。
リリアナ:「…………」目を逸らす。
リリアナ:「だから……言う気なんて無かったんだよ……」
新垣御守:「逸らすなこら!いや、まあそれが全部じゃないだろうけどさあ」
新垣御守:「間近で聞かされる方はさあ……マジで……」
新垣御守:「~~~~~~~っ」
新垣御守:「バカ!バカバカ!」
リリアナ:「あーーうるせえうるせー!」
リリアナ:「忘れろ!今のは!」
新垣御守:「忘れられるわけないじゃんか……も~~~」
新垣御守:こっちも顔を真赤にして俯く
リリアナ:「……結局、私はさ」
リリアナ:「そういう人間なんだよ」
リリアナ:「勝手な都合で、散々周りに迷惑かけて」
リリアナ:「お前にも、消えない重荷を背負わせようとした」
リリアナ:「……アニー」
リリアナ:「お前は、私を」
リリアナ:「引き裂いたっていいんだ」
新垣御守:「……」
新垣御守:「リリ姉」
新垣御守:「色々言いたいけど、要はさ」
新垣御守:「半端だからダメだったんだよ」
リリアナ:「…………?」
新垣御守:「……そう思ったんなら、やっぱ真っ先に」
新垣御守:「私のとこに来てよ」
新垣御守:「迷惑かけられるのも、傍で支えるのも」
新垣御守:「私以外の奴なんかにやらせないでよ」
リリアナ:「…………分かった」
リリアナ:「……次からは、そうするよ」
新垣御守:「オッケー」
新垣御守:「全部で寄越してよ。私は」
新垣御守:「……全部が欲しい」
新垣御守:「ホントはさ、遠慮してたんだよ。ずっと」
新垣御守:「こういうことさ、言えないじゃん。だって、アンタにとって私ってなんなのか、分かんなかったから」
新垣御守:「そこまで言うわけね。そこまで言うんなら」
新垣御守:「本当に全部もらってあげる」
リリアナ:「…………。 ……ははっ、お前……」
リリアナ:くつくつと、苦笑交じりに笑う。
リリアナ:「この世界ぜんぶより、お前のほうが信じられるって」
リリアナ:「そう言ってんのにさ」
リリアナ:「……まだ物足りないのかよ?」
新垣御守:立ち上がって
新垣御守:リリアナの座る椅子の傍に
新垣御守:腕を回して、抱き寄せて
新垣御守:「……魔女って呼ばれてた女だよ?」
新垣御守:「骨まで残んないって」
新垣御守:長く赤い舌で
新垣御守:舌なめずりする。
リリアナ:「……何年越しに気付いたのかな」
リリアナ:腕の中、正面から見つめる。
リリアナ:「……手に負えない拾い物したみたいだな」
リリアナ:「……マセガキ」
新垣御守:「選んだことには、セキニン持たなきゃ」
新垣御守:「お姉ちゃん」
新垣御守:ニコリと笑う
リリアナ:「……上等」
リリアナ:「今度は、途中で逃げたりしない」
リリアナ:「だから、」
リリアナ:「最後まで付き合ってもらうぜ? お前にも」
新垣御守:「こっちの台詞」
新垣御守:「……大好きだよ。リリ姉」
リリアナ:「……随分背は伸びたと思ったけど」
リリアナ:「そういうところは進歩が無いな」
リリアナ:「こういう時はな……」
リリアナ:「……愛してる。アニー」
リリアナ:囁くようにそう言って、悪戯っぽく笑う。
リリアナ:「こう言うんだよ」
新垣御守:「っ……」
新垣御守:「そういうのさあ、ほんっとムカつく……ヒラエージェントのくせに」
リリアナ:「そうか。もう支部長サマだもんな」
リリアナ:くく、と笑う。
リリアナ:「敬語使いましょうか? 新垣支部長とお呼びした方がいいですか?」
リリアナ:「どうしてくれるんだよ、支部長さん」
新垣御守:「……」
リリアナ:「生意気な平エージェントをさ」
リリアナ:挑発するように、君を見上げる。
新垣御守:抱き寄せて……静かに唇を重ねる。
新垣御守:「…………こうだよ。バカ」
リリアナ:「……は」
リリアナ:「上出来」
新垣御守:「……死ぬほど恥ずい」
リリアナ:「何だよ今更」
リリアナ:「お前、昔は散々……」
新垣御守:「あー、もう!言うな!この!」
新垣御守:そのまま机の上に押し付けて
新垣御守:両腕を抑えつける。
リリアナ:「…………」
リリアナ:抵抗はしない。
リリアナ:また、にやりと笑う。
新垣御守:「……どこが変わって、変わってないのか」
新垣御守:「教えてもらうから。ここ」
新垣御守:「取調室だよ?」
リリアナ:「へぇ」
リリアナ:目を細めて。
リリアナ:「聞き出してみろよ」
リリアナ:「無理やりでも」
新垣御守:「リリ姉っ……!!」
新垣御守:ジャケットを脱いで投げ捨てようとして
GM:瞬間、
新垣御守:ぴたっ、と入り口の方に目が止まる。
GM:どばん!と、ドアが勢いよく開かれる。
チコ:「ミモリいる~~!?」
チコ:「…………」
チコ:やけに密着した二人を見て、
チコ:「え、何してんの?」
新垣御守:「……」
新垣御守:手にジャケットをかけたまま、完全に石になる。
新垣御守:片手でリリアナを机に抑えつけたまま。
新垣御守:「と」
リリアナ:「……『取り調べ』だよ。なあ? 支部長さん」わざとらしくニコニコした顔。
新垣御守:「とり、しらべ」
新垣御守:「そう、なの」
チコ:「最近の取り調べは変わってんだなー!!」
チコ:「あ、ミモリ! タイナカが呼んでるよ」
チコ:「なんかねえ、事件だって」
新垣御守:「……お、おおお!はい!はい!今いきまーす!ふーーっ!!」
新垣御守:さささっと、ジャケットを着直して
リリアナ:「頑張れよ、支部長さん」
リリアナ:机に座ったまま、ひらひら手を振る。
新垣御守:「がんばるよ、ヒラエージェント」
新垣御守:苦笑しながら、背を向けて
リリアナ:「……で」
リリアナ:「続きは?」
リリアナ:にやにやと、悪戯っぽく。
新垣御守:「……後でね」
新垣御守:少し赤面しつつ
リリアナ:「……後で、か」
リリアナ:「そうだな」
リリアナ:「時間は、いくらでもあるんだ」
新垣御守:「うん。これから、ずっとね」
新垣御守:「さ、今日もやりますか」
新垣御守:「……向いてないなりに、ね」
リリアナ:新垣を見送って、一人残されたリリアナは、じっと自らの掌を見つめる。
リリアナ:そこに流れる血の色は、もう闇のような黒でなく。
リリアナ:御守と同じ、鮮やかな赤。
リリアナ:溜息をついて、小さく笑った。


GM:全行程終了。
GM:お疲れさまでした!
豊島 正則:お疲れ様でしたー!
新垣御守:お疲れ様でしたー!
日馬 美礼:お疲れ様でした。
矢ヶ崎藍華:お疲れ様でした!
鴻上禮次郎:お疲れ様でした!!