エンゲージ
従者AB
(5m)
矢ヶ崎藍華
GM:セットアップ!
矢ヶ崎藍華:無し!
GM:エネミーなし!
GM:では行動値15、従者から!
矢ヶ崎藍華:あ、行動値負けてるのでオートでメイド服装備します
GM:はい!
GM:では改めて従者A!
GM:≪氷の回廊≫でエンゲージ
GM:メジャー≪血族≫+≪亡者の一撃≫+≪従者の呪い≫
GM:8DX
DoubleCross : (8R10[10]) → 10[4,5,6,6,7,8,9,10]+7[7] → 17
GM:ヨシ!
矢ヶ崎藍華:ドッジ!
矢ヶ崎藍華:ケケーッメイド服はドッジ補正がかからないんだぜ—っ
矢ヶ崎藍華:3dx+1
DoubleCross : (3R10+1[10]) → 6[1,5,6]+1 → 7
矢ヶ崎藍華:はい…ダメージおねがいします…
GM:ダメージ!
GM:2D10+20
DoubleCross : (2D10+20) → 12[8,4]+20 → 32
矢ヶ崎藍華:それだとメイド服で受けて
矢ヶ崎藍華:残りHP…5!
GM:判定ダイス-3個!
GM:従者が四つ足で飛び掛かり、君の腹に喰らいつく!
GM:鋭利な骨の牙が、骨肉を深々と抉る!
矢ヶ崎藍華:「けふっ…」
GM:従者B!
GM:同じくエンゲージ!
GM:≪血族≫+≪亡者の一撃≫+≪従者の呪い≫
GM:8DX
DoubleCross : (8R10[10]) → 10[1,2,5,8,8,8,10,10]+5[4,5] → 15
矢ヶ崎藍華:ドッジ!
GM:ヨシ!
矢ヶ崎藍華:3dx+1
DoubleCross : (3R10+1[10]) → 7[4,5,7]+1 → 8
GM:ダメージ!
矢ヶ崎藍華:はい…ダメージおねがいします…
GM:2D10+20
DoubleCross : (2D10+20) → 11[6,5]+20 → 31
矢ヶ崎藍華:しんじゃう!リザ!
矢ヶ崎藍華:72+1d10
DoubleCross : (72+1D10) → 72+8[8] → 80
日馬 美礼:あ。もう1Dね。(回復量)
矢ヶ崎藍華:はいさ!
矢ヶ崎藍華:8+1d10
DoubleCross : (8+1D10) → 8+2[2] → 10
GM:体勢を崩した君に、さらに2匹目の従者の牙が迫る!
従者B:「ご あぁぁっ!」
矢ヶ崎藍華:「……ッッ」
矢ヶ崎藍華:届いてはいけない位置に刺さった牙からもたらされる激痛
矢ヶ崎藍華:それを霞ませる、“あの時”の匂い
矢ヶ崎藍華:「−−−埃臭い」
GM:では矢ヶ崎さんの手番!
矢ヶ崎藍華:マイターン
矢ヶ崎藍華:マイナー無し。
矢ヶ崎藍華:メジャーコンボ【ボグ・ディラック】
《エクスプロージョン》+《ツインバースト》+《原初の赤:紅蓮の衣》
GM:ウギャーーーーー
GM:来い!
矢ヶ崎藍華:Dロイス【守護天使】起動。ダイス+5、ダイスデバフ無視
矢ヶ崎藍華:10dx+5 対象、2体
DoubleCross : (10R10+5[10]) → 10[1,4,5,6,7,10,10,10,10,10]+10[1,4,4,10,10]+7[1,7]+5 → 32
矢ヶ崎藍華:あら、回るね
矢ヶ崎藍華:ああ、もちろん
GM:ドッジ不可でしたよね……?
矢ヶ崎藍華:ドッジ不能
矢ヶ崎藍華:です
GM:うお~~っガード!
GM:ダメージどうぞ!
矢ヶ崎藍華:ガードにより紅蓮の衣が適用されます
矢ヶ崎藍華:4d10+39
DoubleCross : (4D10+39) → 18[8,5,4,1]+39 → 57
矢ヶ崎藍華:諸々有効
矢ヶ崎藍華:侵蝕 89
GM:にゃんにゃんにゃんにゃんにゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
GM:死にました……
GM:演出どうぞ!
矢ヶ崎藍華:ウオーッ
矢ヶ崎藍華:「…わざわざ、来てくれたんだ」
矢ヶ崎藍華:攻撃動作は至って単純
矢ヶ崎藍華:右足を持ち上げて
矢ヶ崎藍華:「じゃあね」影の淀みに思いっきり踏み降ろす
矢ヶ崎藍華:跳ね飛ばした漆黒の淀みが従者を捉え、全身を影の球体に収めると
矢ヶ崎藍華:ぐ しゃ
矢ヶ崎藍華:……直径1cmにも満たないサイズへと爆縮させた
従者:「………ガ…………!」
GM:断末魔すら発せられずに、
GM:従者だったものたちが、かつん、と床に転がる。
GM:後にはただ、静寂だけが残された。
矢ヶ崎藍華:…ジジッ
矢ヶ崎藍華:能力の余波が周囲の空間を斬る。空気の破裂音が幾度か鳴り…
矢ヶ崎藍華:収まった
矢ヶ崎藍華:リボンを付け直す
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:「埃臭い」
GM:…戦闘終了です。
GM:----------
田井中次郎:「はあ……ッ はぁ……ッ……!」
GM:第二支部のエージェント、田井中次郎は、壁に凭れて肩で息をしていた。
GM:全身至る所が裂傷と火傷にまみれ、
GM:彼の能力で構成された影の装甲も、そのほとんどが剥ぎ取られていた。
リリアナ:「……弱い」
GM:それを見て、リリアナはつまらなそうに言う。
リリアナ:「弱すぎるな、UGN」
田井中次郎:「……ぐ……」
田井中次郎:立っているのがやっとという状態だ。なんとか影の刃を構えるが、あまりにも頼りない。
リリアナ:「人類の盾なんだろ? そんなザマで何かを守れるとでも?」
リリアナ:「ええ? おい」
GM:リリアナの全身から、瞬時に大量の血の槍が伸びる。
田井中次郎:「……!」
GM:防御は間に合わず、手足、腹、胸、至る所を貫かれ、昆虫標本めいて壁に縫い付けられる。
田井中次郎:「があぁッ……!」
リリアナ:「……がっかりだな、UGN第二支部」
リリアナ:「少しは期待してたってのに、戦えるのはお前だけか?」
田井中次郎:「…………!」
田井中次郎:その言葉に視線を鋭くし、重傷で散漫になっていた影を、再び収束させる。
田井中次郎:編み上げたのは、突撃槍めいた形状の武器。
リリアナ:「へえ、やる気かよ」少し感嘆したように。
リリアナ:「いいよ」
リリアナ:「殺してやる」
リリアナ:リリアナが、巨大な鎌めいた血液の刃を構成する。
リリアナ:その色は、赤というより、どす黒い。
田井中次郎:「……俺は……!」
リリアナ:リリアナの致死の刃が、振り下ろされる。
リリアナ:血の刃が、田井中の首を切断する。
リリアナ:その寸前で、
リリアナ:ぴたり、と止まった。
リリアナ:「…………」
田井中次郎:「…………!?」
リリアナ:「(従者がやられたな……増援か……)」
リリアナ:リリアナはひとつ嘆息し、
リリアナ:「……やめだ」
リリアナ:「お前、命拾いしたな」
田井中次郎:「何……!?」
田井中次郎:信じられるはずもなく、硬直する。
リリアナ:「一応聞いといてやるよ。お前、名前は」
田井中次郎:「…………」
田井中次郎:「……"ナイトメアブリンガー"……だ……」
リリアナ:「マジ!?」
リリアナ:「ダッッッッッセえ名前!!」
田井中次郎:「ダッ…………!?」
リリアナ:「じゃあな、UGN」
リリアナ:ショックを受ける田井中をよそに、リリアナの身体が血液に置換されていく。
リリアナ:「次に会ったら、殺してやるよ」
リリアナ:そうして、その姿はかき消えた。
田井中次郎:「…………」
田井中次郎:遠くから走ってくる、足音をぼんやりと聞く。
矢ヶ崎藍華:「ハァ…ハァ……!」戦闘音、叫ぶ声
矢ヶ崎藍華:「……!!!」そして見つけた。満身創痍の男の人
田井中次郎:ずるり、と脱力し、座り込む。
田井中次郎:背後の壁には、べったりと血の跡が残る。
矢ヶ崎藍華:「だ、だいじょうぶですか…!?」
矢ヶ崎藍華:駆け寄って、体を支えましょう
矢ヶ崎藍華:「しっかりして下さい!!」ハンカチや服を取り出して、酷い出血部位を縛っていこう。何でも屋は、応急処置も求められるんだ
田井中次郎:「……"ブラックドワーフ"……か……?」
矢ヶ崎藍華:「そうですよ…!」
田井中次郎:あまり目も見えていないらしく、視線が合わない。
矢ヶ崎藍華:いつもはドワーフと呼ばれるのがなんとなく恥ずかしかったけど、今はそれどころじゃない
田井中次郎:「す……まない……助かった……」
矢ヶ崎藍華:「田井中さん、今救護班に連絡しますから…」
田井中次郎:「……う……」
田井中次郎:「礼を……言……」
田井中次郎:そこで、田井中は意識を失う。
矢ヶ崎藍華:「……!!!」
矢ヶ崎藍華:脈を見ます。
GM:辛うじて脈拍と呼吸はある。
GM:だが出血がひどい。
GM:背後の扉から、戦闘が終わった気配を感じてか、恐る恐る非戦闘員達が顔を出す。
矢ヶ崎藍華:「あっ、皆さん…!」
GM:「田井中さん……!?」「嘘……!ひどい……!」
矢ヶ崎藍華:「お願いします、急いで手当を…」
GM:「はい!救護班に連絡を……!」
矢ヶ崎藍華:「O型の人は、輸血もお願いします」
GM:閉ざされていた扉の奥にも怪我人達が見えるが、皆、田井中ほどはひどくないようだ。
GM:この場は彼らと救護班に任せても大丈夫だろう。
矢ヶ崎藍華:「………ッッ」
GM:君は一刻も早く、待機命令が出されているホテルに戻らなくてはならない。
矢ヶ崎藍華:(田井中さんが、ずっと護っていたんだ)
矢ヶ崎藍華:(なのに、私は……私は……!!)
矢ヶ崎藍華:唇が切れ、血が滲むのを感じながら
矢ヶ崎藍華:「……ごめん、なさい」
矢ヶ崎藍華:「私は、任務に戻ります」血が凍るような気持ちで言葉をこぼして
矢ヶ崎藍華:踵を返して戻ります。
GM:----------
GM:君が恐る恐るホテルに戻ると、
GM:部屋には先ほどまで一緒だった下部構成員だけでなく、
GM:リリアナ、アレハンドロ、陈の三人が揃っていた。
GM:ドアを開けて入ってきた君を、リリアナが冷たい目で見下ろす。
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:服は着替えてきて、血も念入りに拭った上で《虹の香り》でごまかしている
リリアナ:「……待機命令を出していたはずだが」
リリアナ:「どこに行ってた?島崎彩夏」
矢ヶ崎藍華:「はい!」
矢ヶ崎藍華:「リリアナさんが、取引のタイミングで待機っていうの、初めてだと聞いてたもんで」
矢ヶ崎藍華:「もしお手伝いできることがあるなら~ッ!と!探していたところでした!」
矢ヶ崎藍華:空虚な気持ちを隠すように、空元気でしゃべる
リリアナ:「……それで? お前はどこにいた?」
矢ヶ崎藍華:「あちこち探し回っていたんですよね~」
リリアナ:「…………」リリアナの視線が、どこまでも昏く、冷たくなっていく。
矢ヶ崎藍華:怖くないといえば嘘かもしれない
矢ヶ崎藍華:でも、あの場で踏みとどまっていただろう一人の男の人の姿が、彼女には映っていた
リリアナ:「組織にネズミが紛れ込んでいると聞いて」
リリアナ:「試してみたんだよ」
リリアナ:「『このタイミング』で支部が襲撃されれば、増援が来るのにはかなりの時間を要する」
リリアナ:「UGNってのはお仲間思いの連中ばかりだからな」
リリアナ:「運が良ければ、の駄目元だったが、見事に掛かってくれたな」
リリアナ:「お前がホテルを開けたと聞いて驚いたよ」
リリアナ:「……お前……」
リリアナ:「UGNの犬だろ」
リリアナ:リリアナの眼光が、君を射抜く。
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:どこか空虚な気持ちで、その眼光を受け止める
矢ヶ崎藍華:「ははは。面白い冗談ですねえ」
矢ヶ崎藍華:「知ってますか?実は私、前にUGNのチルドレンの試験受けたこと有るんですよ」
矢ヶ崎藍華:「すごいつよい能力だから、いけるだろうな~って思って。」
矢ヶ崎藍華:「…落とされましたけどね。“能力のコントロールが下手すぎ”って。」
リリアナ:「…………」
矢ヶ崎藍華:「…私の凄さが分かってないんですよ、あいつら」
矢ヶ崎藍華:本当のことだ
矢ヶ崎藍華:“嘘を突く必要があるときは、本当を混ぜる。”
リリアナ:「…………で?」
リリアナ:つまらなそうに、先を促す。
矢ヶ崎藍華:第六の薬師寺さんから習った方法だ
矢ヶ崎藍華:「義理立てですっけ?」
矢ヶ崎藍華:「してやる必要、あるんですかね」
矢ヶ崎藍華:表情筋が安い笑顔を作る
矢ヶ崎藍華:これくらい、なんでもない
リリアナ:「……顔に似合わず、案外嘘が上手いな、お前」
リリアナ:「今はUGNはそういう訓練もするのか?」
矢ヶ崎藍華:「そうなんですか?初耳だなあ」
チコ:「あ、アヤカ……」チコが不安げに君に目を向ける。
陈浩宇:「……島崎彩夏。もう嘘を吐くのはいい」
陈浩宇:その時、陈が唐突に割って入る。
陈浩宇:「……悪いな、マルティネス」
リリアナ:「……ああ?」
陈浩宇:「次に目を付けてる取引先のボスが、そいつを気に入ってな」
陈浩宇:「私の指示で、接待に出していた」
リリアナ:「……ああ!?」
リリアナ:がたん、と音を立ててリリアナが立ち上がる。
リリアナ:「お前!私の許可も取らずに……!」
矢ヶ崎藍華:「……!?」
矢ヶ崎藍華:内心動揺するが、おくびにもださないように務める
陈浩宇:「だから、黙っていた。こいつが自分から、組織の役に立ちたいと言い出したからな」
陈浩宇:「だがお前は許可を出さないだろうと思った。それで黙っていた」
リリアナ:「……そうなのか?」君をじっと見る。
矢ヶ崎藍華:「………はい……」
矢ヶ崎藍華:頑張ってたのに、残念。といった風に
矢ヶ崎藍華:…半分は、本気で
リリアナ:「……そうか……」
リリアナ:少し表情を緩め、
リリアナ:「悪かったな。疑ったりして」
矢ヶ崎藍華:「いえ……」
矢ヶ崎藍華:「仕方ないですよ。新入りなんですから」
矢ヶ崎藍華:ゆるい笑顔を作る
リリアナ:「いいや。いいか、覚えとけよ。私たちは家族だ」君にずいと顔を寄せる。
リリアナ:「家族の間に隠し事は無しだ。分かったな?」
矢ヶ崎藍華:「はいっ」
矢ヶ崎藍華:ぐっと拳を握って
リリアナ:「陈!!元はといえばテメーが悪いんだろうが!!ふざけやがって!!」
陈浩宇:「……以降気を付ける」無関心そうに顔を背ける。
アレハンドロ:「揉め事は済んだのかよ?ったく騒ぎやがって……」アレハンドロは我関せず、ずっとダウナー系ドラッグを吸い続けている。
矢ヶ崎藍華:「………」それとなく陈さんに視線を向けてみる
陈浩宇:「……」顔は向けず、それとなくハンドサインを送る。
チコ:「よかったなあ!アヤカ!マジでビビったぜ!!」
チコ:心底嬉しそうに、君の背中をばしばしと叩く。
矢ヶ崎藍華:ハンドサインを確認して
矢ヶ崎藍華:「えへへ。先輩もごめんなさい」
GM:----------
GM:ホテルから少し離れた路地裏。
GM:君は陈と密かに落ち合った。
陈浩宇:「……あ、危ないところでしたね……」
陈浩宇:「本当に、肝が冷えました……」
陈浩宇:訛りの無い日本語。
矢ヶ崎藍華:「あはは……」
矢ヶ崎藍華:「まさか、幹部の側にまでいらっしゃるとは…」
陈浩宇:「ええ……僕は、宇都宮浩明といいまして」
矢ヶ崎藍華:「ふ」「ふつう~ッ」
陈浩宇:「一応、麻薬取締官です…上司の指示で、半年くらいかな? 前から、潜入捜査を行ってました」
陈浩宇:「今回の任務で、密かにあなたの手助けをするよう、上司に言われていまして……」
陈浩宇:「いやしかし、さっきは危なかったですね……寿命が縮みましたよ、本当……」
矢ヶ崎藍華:「へええーっ」
矢ヶ崎藍華:そう言えば、この人がナイフを刺した人を連れてきたんだっけ
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:嫌なことを思い出した
矢ヶ崎藍華:「…これから、どうしましょうか。」
矢ヶ崎藍華:「あっ、そう!取引現場は、どうなってるかわかりますか…!?」
陈浩宇:「……今回の突入は、やはり罠だったようです」表情を険しくする。
矢ヶ崎藍華:「……!!!」
矢ヶ崎藍華:やはり
陈浩宇:「先程、連絡がありました」
陈浩宇:君の様子を見て、慌ててかぶりを振る。「……あ……か……勘違いしないで!あなたのせいじゃありませんよ!」
矢ヶ崎藍華:「…はい……」
矢ヶ崎藍華:こういう時は、気の毒な姿を見せると余計に気を使わせてしまう
矢ヶ崎藍華:出来る限りで気丈な振りをする
陈浩宇:「……いや、慰めではなく! ……実は……捜査本部に、内通者がいたらしいんです……」
陈浩宇:声が小さくなる。
矢ヶ崎藍華:「!?内通者が…」
陈浩宇:「こちらの作戦が、筒抜けだったようです。だからあなたが責任を感じる必要なんて、全くないんですよ!」
矢ヶ崎藍華:「そう、だったんですね」
矢ヶ崎藍華:優しい人だ。
矢ヶ崎藍華:実際にそうなんだろう。理詰めで納得させてくれる人は、いい人だ
陈浩宇:「……それにしても……」
陈浩宇:「僕も随分苦労させられていると思っていたのですが」
陈浩宇:「まさか、君のような若い子まで……」
矢ヶ崎藍華:「良いんですよ」
陈浩宇:君を改めて眺めて、すこし涙ぐむ。
矢ヶ崎藍華:「あららら……」
陈浩宇:「今回の突入が失敗した以上、まだ潜入は続けなければなりませんが……」
陈浩宇:「これからは二人密かに連携を取り合って、頑張っていきましょう!」
矢ヶ崎藍華:「はいっ」
矢ヶ崎藍華:「今度こそ、ちゃんと抑えられるように…!」
矢ヶ崎藍華:握りこぶしを作って
矢ヶ崎藍華:「宇都宮さん、大丈夫ですよ!ホントーに助かりましたから!」
矢ヶ崎藍華:「第六地区に遊びに来ることがあったら、是非連絡下さいッ!何でも屋、やってますから!!」
陈浩宇:「え!?何でも屋!?」
陈浩宇:「その歳でもう自立を……?なんて偉いんだ……」
陈浩宇:また涙ぐむ。
矢ヶ崎藍華:「あららら……」
矢ヶ崎藍華:何でこの人、この様子で幹部まで入り込めたんだろう…
陈浩宇:「きっと、きっと!今回の任務、成功させましょうね……!」
矢ヶ崎藍華:「はい。」
矢ヶ崎藍華:優しく微笑んで
矢ヶ崎藍華:「じゃあ、夜も遅いですから」
矢ヶ崎藍華:一旦、皆のところへ戻ったほうが良いかもしれない。細かい報告をしないと
矢ヶ崎藍華:踵を返して
矢ヶ崎藍華:「−−−まだ」「埃臭い」
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイス購入可!
矢ヶ崎藍華:宇都宮浩明/かわいい○/心配/ロイス
矢ヶ崎藍華:購入はどうしようかな
矢ヶ崎藍華:じゃあウェポンケース!
矢ヶ崎藍華:6dx+4
DoubleCross : (6R10+4[10]) → 9[1,2,6,6,6,9]+4 → 13
矢ヶ崎藍華:財産5点使って購入!
矢ヶ崎藍華:戻ったら新垣支部長に渡します
GM:OK!
新垣御守:ありがた~い
GM:----------
GM:N市 某ビル屋上
GM:----------
GM:まだ朝日も昇らぬ夜明け前。
GM:薄明に、リリアナの吸うタバコの火だけがぽつんと浮かんでいた。
GM:ビル風になびくリリアナの黒髪に、さらに強い風が吹き付ける。
GM:傍らに降りてきたのは、背に翼を生やした男……ビショップ。
リリアナ:「…………」
リリアナ:顔も向けず、また煙草に火をつける。
ビショップ捜査官:「いやァ、参った参った」
ビショップ捜査官:「バレちまったよ。奴ら意外と鼻が利く」
リリアナ:「ざまァねえな」嘲笑う。
リリアナ:「結局分かったのか?内通者は」
ビショップ捜査官:「ダメだな。相当上の連中しか知らないらしい。ネズミの存在自体疑いたくなってきたぜ」
リリアナ:「使えねえなぁ……」
リリアナ:煙を吐き出す。
ビショップ捜査官:「まあ、何にせよ用心しろよ。本当に信用できるヤツしか傍に置かないことだな」
リリアナ:「分かってるっての。バカにしてんのか」
ビショップ捜査官:「俺はしばらく身を隠す。お前らも、一緒にいるのが見られちゃまずいだろ」
リリアナ:「ああ、だが……」
ビショップ捜査官:「例の取引には顔出せってんだろ?分かってるよ、じゃあな」
ビショップ捜査官:それだけ言い残し、ビショップは再び飛び去る。遠目には、大きな鳥にしか見えないだろう。
リリアナ:「……」
リリアナ:リリアナは静かに煙草をふかしていたが、
リリアナ:しばらくして、
リリアナ:「……ゴホッ……!」
リリアナ:「ごほっ……ゲホッ……!」
リリアナ:激しく咳き込み、身体を折り曲げる。
リリアナ:咳はしばらく止まらず、ようやく荒い呼吸で顔を上げた時には、
リリアナ:口元を抑えていたその手には、どす黒い血がべったりと付いていた。
リリアナ:「クソ……ッ」
リリアナ:忌々しそうに、その黒血を睨む。
リリアナ:「まだ……もう少し保ってくれよ……」
リリアナ:「……アニー……」
リリアナ:その小さな呟きは、吹き荒ぶビル風にかき消された。
【Middle12 シーンPC:日馬美礼】
日馬 美礼:1d10+88
DoubleCross : (1D10+88) → 9[9]+88 → 97
GM:----------
GM:襲撃事件から、数日。
GM:慌ただしい事後処理も何とか一段落し、
GM:君は小宮と共に、UGNの代表として、五十嵐家を訪れていた。
GM:まだ葬式も済んでおらず、棺は自宅に安置されている。
GM:遺影に映った五十嵐は、厳格な表情をしている。警察手帳の写真だろう。
小宮刑事:「…………」
小宮刑事:小宮が線香を前に、遺影に向け手を合わせる。
日馬 美礼:ああ。喪服は着てるよ。チャコールグレイの。
GM:君の傍には、五十嵐の妻が控えている。
日馬 美礼:「お悔やみを申し上げます」
GM:「すいません、わざわざお越しいただいて……」
GM:大袈裟な悲しみの表情は見せない。警察官の妻ゆえの覚悟だろうか。
日馬 美礼:「いえ。ご主人がおられなかったら、今の現場は纏まりませんでした」
GM:「……そうですか……ありがとうございます」小さく微笑を見せる。
GM:そこに、近付いてくる足音。
GM:がらりと、襖が勢いよく開かれる。姿を見せたのは、まだ年若い少女。
GM:君達に、怒りと不信の目を向けている。
小宮刑事:「あ…………」
小宮刑事:小宮はばつが悪そうに、
小宮刑事:「美紀……ちゃん……」
GM:その名には君も聞き覚えがある。五十嵐の娘の名前だ。
日馬 美礼:「お邪魔しています」
五十嵐美紀:「…………」自分とほとんど変わらない歳に見える君を一瞥し、怪訝な顔をして。
五十嵐美紀:「……小宮さん。どういうことなんですか?」問い詰めるような口調。
五十嵐美紀:「父は何故死んだんですか?誰かに殺されたんですか?」
五十嵐美紀:「詳しい事情も話せないって、どういうことなんですか!」
GM:「美紀……!」母の叱責にも、美紀は止まらない。
五十嵐美紀:「お父さんの胸……!普通の傷じゃなかった!あんな傷、どうやったら……!」
五十嵐美紀:「小宮さん!答えてくださいよ!私は、お父さんが何のために、どうやって死んだかも分からないんですか!?」
小宮刑事:「……………」小宮は顔をぐしゃぐしゃにして、黙り込む。
日馬 美礼:きゅる、と音を立てて、小宮さんと美紀ちゃんの間に割り込む。
日馬 美礼:「五十嵐美紀さんだね」
五十嵐美紀:「……!」
五十嵐美紀:「……あなたは?」
日馬 美礼:「五十嵐警部は、私たちと共同で捜査に当たっていました」
五十嵐美紀:「……」
五十嵐美紀:「捜査……?」
五十嵐美紀:「失礼ですけど……あなた、おいくつなんですか?」
日馬 美礼:「こちら側の代表者を勤めさせていただいています」
日馬 美礼:「納得はできないでしょうが、身分は明かせません。職務上の秘密にあたるもので」
日馬 美礼:普段を知っているならとても信じられないような声色だ。
五十嵐美紀:「……」黙って聞いている。
日馬 美礼:「この結果は、我々の手落ちです。責めるならば、小宮さんではありません」
五十嵐美紀:「…………どんな捜査をしているのかは、やっぱり、機密なんですか」
日馬 美礼:「ええ。それを伏せなければならないのが、アンフェアだというのは承知しています」
日馬 美礼:「しかし、どうであっても、我々が彼を死なせたという事実は変わりません」
日馬 美礼:「申し訳ありません」
日馬 美礼:深く頭を下げる。
五十嵐美紀:「……」
五十嵐美紀:美紀は何度か口を開いては、何かを言おうとして閉じるのを繰り返し、
五十嵐美紀:それから、
五十嵐美紀:「……この前、父が帰ってきた時……久しぶりに話をしたんです」
五十嵐美紀:「父は今、少し変わった人たちと捜査をしている……そう言ってました」
五十嵐美紀:君と車椅子に目を向ける。
五十嵐美紀:「……私はその時、大丈夫なの、って、聞いたんです」
五十嵐美紀:「……父は……」
五十嵐美紀:「……父は、大丈夫だと。信頼できる、現場と命を預けられる人たちだと」
五十嵐美紀:「そう、言っていました」
五十嵐美紀:静かに、その時のことを思い出すように。
日馬 美礼:「五十嵐警部は、我々側の事情を汲んでくださっていました」
日馬 美礼:「この通り、明かせないことの多い身分です。それでも、最善を尽くしてくださった。そう認識しています」
五十嵐美紀:「……。 ……私は……正直言って、あなた方のことはよく分かりません。……初対面ですし」
五十嵐美紀:「……でも……」
五十嵐美紀:「あの父が、そこまで言うような方たちなのだとしたら」
五十嵐美紀:「信じてみようと思います」
五十嵐美紀:「だから……お願いです。具体的な内容は分からなくて構いません」
五十嵐美紀:「父と一緒に捜査していた、その事件が解決したら……」
五十嵐美紀:「どうか、それだけは教えていただけませんか」
五十嵐美紀:「お願いします」
日馬 美礼:「ええ」
日馬 美礼:「必ずこちらに、もう一度伺います」
日馬 美礼:「すべてが片付いたら。できるだけ早くに」
日馬 美礼:一拍おいて。
日馬 美礼:「……性分でして。失礼なことを申し上げます、美紀さん」
五十嵐美紀:「……はい? 何でしょうか」
日馬 美礼:「少しだけ、安心しているんですよ」
日馬 美礼:「あなたのことを、お父様から伺っていました」
五十嵐美紀:「え……」
日馬 美礼:「仕事に打ち込みすぎた自分は、きっと嫌われているだろうと」
五十嵐美紀:「……!」
日馬 美礼:「……五十嵐さんの思っていたことが伝わっていたと、そうわかりましたから」
五十嵐美紀:「……そう、です、か……」
五十嵐美紀:美紀は目元を隠すように俯く。
日馬 美礼:「……次は、事件が解決したあとにまた」
日馬 美礼:「小宮さん。もうよろしいですか」
小宮刑事:「あ……ええ……」
小宮刑事:小宮は君たちの話を黙って聞いていた。
小宮刑事:「そうです、ね……そろそろ失礼しましょうか」
GM:君達は五十嵐家を後にする。
GM:去り際、背後から、微かな少女の泣き声が聞こえてきた。
GM:----------
GM:正午の日差しの中、君と小宮は本部への帰路についた。
日馬 美礼:「やれやれ。肩がこった。遺族報告は苦手だよ」
小宮刑事:「……すいません。ああいうの、本当は俺……私の役目なのに」
小宮刑事:一回り年下の君に、畏まって。
日馬 美礼:「何度やってもなれないね。必要な仕事とはいえ」
小宮刑事:「……自分だったら、あんな風には出来なかったと思います。恨み言を聞いて、罵倒されて、それを黙って受け止めて」
小宮刑事:「そういうものだと思っていました。あんな風には……」
小宮刑事:「……」
日馬 美礼:「それが真っ当な人間のやることだよ。それに、礼を言うには早すぎるぜ」
小宮刑事:「……そう、ですね……」
小宮刑事:「……日馬さんも仰っていたことですが……」
日馬 美礼:「ああ」
小宮刑事:「五十嵐さん、あんな風に言って……本当は娘さんも、五十嵐さんのこと……」
日馬 美礼:きゅるきゅると電動車椅子の車輪が鳴る。ゆるい坂を登っていく。
日馬 美礼:「数少ない幸運だね」
小宮刑事:「……俺、五十嵐さんのこと、大好きだったんです。……刑事として尊敬してました」
小宮刑事:「……新人の頃からお世話になって、刑事のいろはを叩きこんでもらいました」
小宮刑事:「これからその恩をやっと返せると思ってたのに……それなのに……」
小宮刑事:「……俺のせいで……!」
小宮刑事:小宮の足が止まる。
日馬 美礼:「DEAの協力が得られなくなった以上」
日馬 美礼:「ぼくらの領分じゃない“普通の犯罪者”たちを、相手にするひとが必要だ」
日馬 美礼:「最後まで付き合うつもりはあるかい、小宮刑事」
小宮刑事:「……はい」
小宮刑事:顔を上げ、君を見据える。
小宮刑事:「俺……」
小宮刑事:「多分、嫉妬してたんだと思います」
小宮刑事:「最初は、色んな事件を横から持っていかれることへの反発だと思ってました」
小宮刑事:「得体の知れない組織への不信感とも」
小宮刑事:「……でも。多分、それよりもっと大きな気持ちがあって」
日馬 美礼:「ヒーロー?」
小宮刑事:ぎくり、とした表情をする。
日馬 美礼:「嫉妬されるほど良いもんじゃないよ」
小宮刑事:「……はい」
小宮刑事:「……しがらみに縛れらながらしか動けない警察から見て、貴方たちUGNは、とても自由に見えた」
小宮刑事:「人に知られず、戦う……まるで、そう……映画のヒーローみたいに」
日馬 美礼:「こっちはこっちでしがらみまみれだ。隣の畑は青く見える」
小宮刑事:「……その通りですね」
小宮刑事:「実際に一緒に捜査して、分かりました」
小宮刑事:「貴方がたUGNも、不自由な中で戦っているんだって」
日馬 美礼:「事件が終わって」
日馬 美礼:「ヒーローとヒロインがキスして、カメラが空に登ってスタッフロール」
日馬 美礼:「終わったあとにはコメディタッチの寸劇でもやってさ。途中の色々は、めでたしめでたしで丸められる」
日馬 美礼:「そういうのは、正直言ってぼくは大好きだけどね。でも、なかなかそうはいかない」
日馬 美礼:「死んだ人も、行ってしまったひとも帰ってこない。こぼれたミルクは戻らない」
日馬 美礼:「ミルクくらいなら、なんとか戻そうと心がけちゃいるけどね」くふふ。と小さく笑う。
小宮刑事:「……」その言葉を胸に刻むように、静かに聴く。
日馬 美礼:「どんなとこでも、変わらないさ。変わってしまったらきっと、それこそがお終いだ」
日馬 美礼:「いや、小娘が言うことじゃなかったな。悪いね小宮さん」
小宮刑事:「……いいえ」深く、大きくかぶりを振る。
小宮刑事:「五十嵐さんが言っていたこと、やっと分かったような気がします」
小宮刑事:「誰が最後に逮捕するかは重要じゃない。誰かが最後に逮捕する、その結果が重要なんだと」
小宮刑事:「その為に、ただそれぞれに出来ることを全力でやればいいんだと」
小宮刑事:「当たり前の言葉のようですが」
小宮刑事:「自分には、今まで分かっていなかった」
小宮刑事:「だから……」
小宮刑事:一瞬、その表情に深い悔恨を覗かせて。
小宮刑事:「……日馬さん」
日馬 美礼:「何かな。小宮さん」
小宮刑事:「……この捜査。最後まで。死ぬ気でやります」
小宮刑事:「お供させてください」
日馬 美礼:「お供なんてとんでもない。暴対の代表はきみだぜ、小宮さん」くふふ。と笑って。
日馬 美礼:「よろしく。最善を尽くそうじゃないか」
小宮刑事:「……はい……!」
GM:まだ高い日差しの中、
GM:大小二つの不釣り合いのシルエットが、並んでゆっくりと坂を上っていった。
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイス購入可!
日馬 美礼:PC間に結べないのは残念なんだけど、ここは小宮くんにとっとかないと嘘だよね。
日馬 美礼:「協力者:小宮守:■誠意/不安」で。購入はどうしようかな。何か欲しいものある人いるかい?
日馬 美礼:じゃ、シルバーハンマー買っとくかな。
日馬 美礼:6dx+7>=20
DoubleCross : (6R10+7[10]>=20) → 5[1,3,4,4,4,5]+7 → 12 → 失敗
日馬 美礼:ん。財産8入れて残り57。調達成功して終わり。
GM:OK!
【Middle13 シーンPC:矢ヶ崎藍華】
GM:ではまず情報収集項目の開示から
・エージェント・シンシアについて
UGN本部エージェント、シンシア・アップルヤードは、7年前に事故で死亡している。その際オーヴァードに覚醒し、モルフェウス能力で自ら身体を再構成し本日に至る。肉体は成長を止めており、代謝もほとんど無い。
精神的にも感情に乏しくなったが、生への執着ゆえか、そのレネゲイド出力は非常に高く、またジャームに何例か報告されている、殺害したオーヴァードの能力の一部を取り込む特性が発現している。戦闘時には強化外骨格を形成する。しかし常時レネゲイドで肉体を維持し続けなければならない為、UGNによる定期的な侵蝕調整が必要不可欠となっている。
本部エージェントとして登用されたのは、その抜きん出た戦闘能力と従順さによる。
・フレデリック・ビショップについて
DEA所属の麻薬取締官。元々フアレス・カルテルの息がかかった汚職捜査官であり、ロス・サングレス設立に際してそちらにも関わりを持つようになった。
強力なオーヴァードでもあり、シンドロームはキュマイラ/エグザイル。
金をこよなく愛し、利益の為ならどんな手段も厭わない。また暴力を振るうのが好きで、然程必要でない殺しも進んで行う。
GM:そして矢ヶ崎さんに行ってもらった技能判定!
矢ヶ崎藍華:押忍
GM:こちらは潜入任務中において、いい働きをしてリリアナの信頼を得ることができるかどうか?の判定になっておりました
矢ヶ崎藍華:良い働き…
GM:見事成功しましたので
GM:今回はミドル戦闘から約1か月後のシーンからスタートです
GM:その間…頑張ったんでしょうね!矢ヶ崎さん……
矢ヶ崎藍華:ア……
矢ヶ崎藍華:ア………?
矢ヶ崎藍華:がんばりました
GM:こう……真面目な働きっぷりがね……
GM:お茶汲みとか……(ギャングとは???)
矢ヶ崎藍華:優しさで出来ておりました。
矢ヶ崎藍華:たぶん宇都宮さんの手回しが効いたり、リリアナさんの気遣いが効いたんでしょう
矢ヶ崎藍華:恵まれているよ…
GM:はい!そういう感じ!
GM:では行きましょう 侵蝕どうぞ!
矢ヶ崎藍華:89+1d10
DoubleCross : (89+1D10) → 89+1[1] → 90
矢ヶ崎藍華:ナイス調整
GM:---------
GM:N市 歓楽街
GM:----------
GM:「ず…ずびばぜん……ゆるじでぐだざい……」
GM:「ひぃ……ひぃぃ……!」
GM:リリアナにしつこく絡んできたチンピラが、路地裏で殴り倒され、許しを請う。
リリアナ:「さっさと行け。殺すぞ」
GM:チンピラは悲鳴と共に、這いつくばるようにして逃げていく。
矢ヶ崎藍華:後ろで様子を見守っている。絡んできたのは向こうなので、あまり良心の呵責を覚えない
矢ヶ崎藍華:何より、この人はこの程度で済ませているからだ。
GM:君はチコと共に、リリアナに連れられて街に出てきていた。
GM:今日は何か重要な用事があるらしく、三人とも高級な服で正装している。
リリアナ:「あー……ドレス大丈夫か? 見てくれ、アヤカ」
リリアナ:リリアナが黒いドレスの大きく空いた背中を君に見せる。
矢ヶ崎藍華:「はいはい~ッおまかせを」
矢ヶ崎藍華:(やっぱり綺麗だなあ…)
GM:特に破れやほつれは無いようだ。
矢ヶ崎藍華:体に異常はないですか?
GM:うーん
GM:せっかくだから≪知覚≫で判定どうぞ!難易度7
矢ヶ崎藍華:オッケイ!一番苦手!
矢ヶ崎藍華:3dx+1
DoubleCross : (3R10+1[10]) → 10[2,10,10]+7[6,7]+1 → 18
矢ヶ崎藍華:目ざとい!
GM:ジロジロ見てる!
矢ヶ崎藍華:妹の眼光
GM:では、特に目立った異常は無いように見えますが、
GM:なんとなく、常に前線に立つオーヴァードにしては、少し痩せすぎで、骨が浮いている、不健康な印象を受けます。
矢ヶ崎藍華:(あれ…?こんなに細いの…?)
矢ヶ崎藍華:姉の体型を思い浮かべる。白兵型の中でも肉体に優れていた姉だが、ここまで差があるとは思えない
チコ:「何見とれてんだよ、アヤカ~」チコが茶化す。
矢ヶ崎藍華:「あっ!?へ、へへっごめんなさい…」
矢ヶ崎藍華:「大丈夫ですぜ姉さん!」
チコ:チコも普段のラフな服装とは違い、フォーマルなドレスを窮屈そうに着込んでいる。
リリアナ:「そうか。ありがと」
矢ヶ崎藍華:疑問を押し込みつつ、確認を終えた
リリアナ:リリアナは歩きながら、
リリアナ:「この国のああいう連中を見てると、虫唾が走る」
リリアナ:そう吐き捨てるように言う。
矢ヶ崎藍華:「……」
リリアナ:「ほんの少し手を伸ばすだけで生活も人生も変えられるのに、何もしようとしない」
リリアナ:「この上なく恵まれた環境にいて、ただ無為にそれを浪費していく」
リリアナ:「どれだけ必死に求めても、その欠片すら手に入らない連中が、山程いるってのに」
矢ヶ崎藍華:「…はい……」
リリアナ:「……おっと……」
リリアナ:そこで我に返ったように、
リリアナ:「いや、お前らに聞かせる話じゃなかったな」
矢ヶ崎藍華:「い、いえいえッ」
リリアナ:「悪いな、ジジイの小言みたいなこと」
矢ヶ崎藍華:「姉さんが思ってることが聞けて、良かったですよ」
チコ:「?」内容の二割も理解していない。
矢ヶ崎藍華:「たまに姉さん、一人で何もかもやっちゃうところがあるから…」
矢ヶ崎藍華:少し本音だ。
リリアナ:「……はは、お前は本当に世渡り上手だな」
リリアナ:そう言いつつも、少し嬉しそうに。
リリアナ:「……おっと、ここだ」
リリアナ:一軒の店の前で、リリアナは足を止める。
矢ヶ崎藍華:「ここ…」
GM:見るからに普通の店とは一線を画す、豪奢なアジア風の店構え。
GM:一般層はほとんど出入りすることもない高級店。
GM:中華料理店『栄盆』だ。
リリアナ:「行くぞ」
矢ヶ崎藍華:「はいッ」
GM:見るだけで気圧されるような店構えに、リリアナはすいと入っていく。君もその後に続いた。
GM:----------
GM:既に席で君たちを待っていたのは、スーツ姿の数人の男。
GM:その内の一人に、君は捜査資料で見覚えがある。
矢ヶ崎藍華:1ヶ月も組織に入っていれば、空間にも慣れたものだ。冷静にどういう人物かを確認する
GM:鴻鵠会傘下最大勢力、『痣徒会』。その若頭を務める男。
GM:これまでとは比較にならない、大物だ。
矢ヶ崎藍華:(やくざさんか…)
リリアナ:「どうも、お招き預かり光栄です」
GM:「やあ、どうも。こちらこそ、今日はよろしくお願いします」
矢ヶ崎藍華:合わせてぺこり
チコ:「ウッス!チャス!チャス!」
矢ヶ崎藍華:「チコ先輩、まずいですよ…」
矢ヶ崎藍華:いつものこととはいえ
チコ:「まじ!?すいません!ウッス!」
矢ヶ崎藍華:(ほんと、素直でいい人だなあ…)
矢ヶ崎藍華:マフィアでさえなければ、ほんとうの意味で仲良くできたかもしれないのに
矢ヶ崎藍華:幾度となく傷んだ良心がまたも疼く
GM:若頭の両脇に備える男達は終始剣呑な目を光らせていたが、
GM:少なくとも表向きは、会食は和やかな空気で進んでいった。
チコ:「アヤカ!このエビめっちゃうまいぞ!食ってみ!」
チコ:口の周りにベタベタとソースをつけて。
矢ヶ崎藍華:「はいっ先輩!あとソースついてますよ!」
矢ヶ崎藍華:ふきふき
リリアナ:「あーあーあー……」呆れ顔。
リリアナ:「すいませんね、やかましくて」
矢ヶ崎藍華:「すいませんっ」
GM:「いえいえ。食事は賑やかなほうが楽しいですよ」
GM:若頭は笑みを絶やさない。所謂インテリヤクザ然とした雰囲気の男だ。
GM:「……さて。……ところで、『牧場』のお話ですが……」
GM:不意に、男が文脈からは意味不明のことを言う。
矢ヶ崎藍華:「?」
チコ:「……ぼくじょう?」
リリアナ:「ええ」
リリアナ:ぴくりと表情を動かす。
矢ヶ崎藍華:唐突に出たので、(経営してる農家の話かな…?)とか思っている
GM:「羊の件、受けさせていただきます。うちの父もラムには目がないもので。……7頭で5、今月30日でどうですか」
リリアナ:「……」
矢ヶ崎藍華:(ひつじ)
リリアナ:「7頭なら7ですね。直接向こうの牧場から仕入れてくる必要がある」
チコ:「え、これ、何の話だか分かるか……?」小声で君に訊く。
矢ヶ崎藍華:「えっと……」
矢ヶ崎藍華:「うちって、牧場とも取引してましたっけ…?」
GM:「では、6ならどうです?」
リリアナ:リリアナはしばらく黙考する様子を見せ、
リリアナ:「6.5。代わりに選りすぐりのをお渡ししましょう」
矢ヶ崎藍華:(…値段交渉。)
矢ヶ崎藍華:本当に羊を取引するなら、わざわざこんなところで会食をしながらする必要はない
GM:「分かりました。では、6.5で」
GM:双方合意に達したらしく、二人は中華の大皿の上で握手を交わす。
矢ヶ崎藍華:…30日。
矢ヶ崎藍華:何か、まずいものが取引されるのだろう
GM:「これを機に、今後もよい取引が出来ることを期待しています。あ、リップサービスではないですよ」
GM:「父も、この新しいビジネスには大変興味を示しておりまして」
GM:「是非、直接お会いしたいと」
矢ヶ崎藍華:父。つまり、痣徒会のトップ
リリアナ:「……それは、願ってもないことですね」
リリアナ:「私どもも、幹部総出で歓待させていただきますよ」
矢ヶ崎藍華:(…今度、こそ)
矢ヶ崎藍華:2つの大きい組織を押さえるチャンスかもしれない
チコ:「なんか分かんないけど上手く行ったっぽくね?よかったなー!アヤカ!」
矢ヶ崎藍華:「はいっ!」
矢ヶ崎藍華:「ラム肉、美味しいですもんね…!久しぶりに食べたいなあ」
GM:リリアナと若頭、ロス・サングレスと痣徒会が、乾杯を交わす。
GM:その場で君だけが、その光景を違った視点から見つめていた。
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイス購入可!
矢ヶ崎藍華:押忍。
矢ヶ崎藍華:ロイスは満杯なので
矢ヶ崎藍華:購入を狙います。ブルーゲイル!
矢ヶ崎藍華:5dx+4
DoubleCross : (5R10+4[10]) → 10[3,5,7,7,10]+10[10]+2[2]+4 → 26
矢ヶ崎藍華:すこぶる調子がいい
GM:強すぎる
矢ヶ崎藍華:入手!2つ目なので誰かにあげよう
矢ヶ崎藍華:1つ目でした
矢ヶ崎藍華:勘違い!以上
【Middle14 シーンPC:豊島正則】
豊島 正則:1d10+85
DoubleCross : (1D10+85) → 6[6]+85 → 91
GM:----------
GM:捜査本部
GM:----------
GM:かつてない大口取引の情報を得て、捜査本部は皆慌ただしく働いていた。しかしその中に、シンシアの姿は無かった。
GM:シンシアはここのところ、ずっと中庭の隅で一人、ただ朝から晩までスマートフォンで何かをしているようだった。
GM:この日もシンシアは、君が来ても変わらずに画面をタップし続けていた。
シンシア:「…………」
豊島 正則:「仕事か」
シンシア:「……いえ……」
豊島 正則:自分が役割を果たす場面まで、実のところ、やれることはそう多くない。これを見越しての接待役だったのか、と思わなくもないが。
豊島 正則:おかげでここ最近はこうして、シンシアの隣で特に何もせず、ぼうっと過ごすことが多い。
GM:スマートフォンの画面では、無闇矢鱈と露出度の高い美少女が、巨大な剣で敵を薙ぎ倒している。流行りのソーシャルゲームだ。
GM:キャラクターの強化に必要な素材の入手効率が良いステージを、延々と繰り返し攻略する――所謂、『周回』と呼ばれる作業だ。
豊島 正則:「そういうの、やるんだな。お前はもっとこう…味気ない奴だと思ってたが」
豊島 正則:体を傾けて、横合いから画面を覗き込む。
シンシア:「……こうして意味のないことをしていると、落ち着くんです」
シンシア:アイコンをタップして、スキルを発動する。
シンシア:「私のすることには、全て何の意味も無いですから」
シンシア:画面をタップしながら言う。
豊島 正則:「そう思うのは、一度死んだから、か?」
豊島 正則:画面から視線を外して、斜め前の天井を見上げながら。
シンシア:「……」
シンシア:ぴくり、と眉を動かす。
シンシア:「……はい」
シンシア:「私は既に死人です。ただ仮初めの生にしがみ付いているだけ。ただの死に損ない、いえ、生き損ないです」
シンシア:「ですから今更、何かしたところで意味が無いんです」
GM:画面の中で、元より露出度の高い美少女の服が、さらに不自然に破ける。
豊島 正則:「悪いな。知られたくないことでも、調べなきゃ気が済まないのが俺達の性分だ」
豊島 正則:「相手が本部エージェントとなりゃあ尚更、だ。納得してくれとは言わねえが、知っといてもらえると有難い」
シンシア:「当然の行動だと思います。私もあなた方の経歴については調べさせていただきましたので」
豊島 正則:「ああ、となると…」
シンシア:「……ええ」
シンシア:「あなたの過去に関しても、書類上程度には」
豊島 正則:ちらり、とまた横目でスマートフォンの画面を見る。よく分からないものを見るような目を細めてから。
豊島 正則:「…意味が無いと言やあ、俺が、俺達がやってきたことほど無意味なことは無えさ」
豊島 正則:「現場に着いた頃には、いや。俺達にお呼びがかかる頃にはもう手遅れ。生き残ってる奴を全員殺して、場を納めるだけだ」
豊島 正則:「で、時には身内同士で殺し合い。誰を助けるわけでもない」
豊島 正則:「死体喰いの鴉呼ばわりされて、生き残ったのは俺ひとり、ってな」
シンシア:「…………」
豊島 正則:誇るでも、自嘲するでもなく。軽く、淡々と、己の足跡を語る。
シンシア:「……豊島さんの言ったことを、自分なりに考えていたんです」
シンシア:不意に、ぽつりと口を開く。
豊島 正則:ほう、と応じる。
シンシア:「……私は文字通り、自分が生きる為だけに戦っています。UGNの補助無しには最低限の生命活動を維持できない以上、任務に従い続けるしかありませんから」
シンシア:「あなたは仰いましたね。自分を生かしてくれる人を、死なせたくない。そのために戦うのだと」
シンシア:「私にはよく理解できませんでした。私にそのように思える他者がいないからでしょうか?」
シンシア:「あなたには、そのように思える人がいるのですよね」
豊島 正則:「…………」
豊島 正則:懐を探る。いつも持ち歩いていた煙草は、あの日、鴻上に投げ渡して以降買っていない。
豊島 正則:「…うちの支部は人手不足でな。そのくせ悪人はボウフラみたいに湧いてきやがる」
豊島 正則:「その上、支部長の…御守の方針で、悪人相手でもなるべく死人は出すな、と来てる」
シンシア:「……非合理的ですね」
豊島 正則:「で、悪人どもが全員更生するワケじゃねえ。となると、御守の見てないとこで始末するほか無え、って場合もある」
豊島 正則:「…あいつも薄々感づいてるんだろうがな。何も全員始末するワケじゃないし、必要なことだってのは話せば理解してくれる、はずだ」
豊島 正則:「まあ、こっちから話すつもりは無え。要は、今も昔も、俺のやってることは変わらない」
豊島 正則:「…変わら、なかった」
シンシア:「…………?」
シンシア:小首を傾げる。
豊島 正則:自分のスマートフォンを取り出し、何回か操作。一枚の写真を表示して、シンシアに端末ごと渡す。
シンシア:それを受け取り、
シンシア:「……これは……?」
豊島 正則:映っているのは心底面倒くさそうな顔をしている自分と、そんな自分の首に腕を回して笑っている少女、矢ヶ崎藍華。
豊島 正則:「いつだか、いきなり俺を巻き込んで自撮りなんぞしやがって。待ち受けにしてください、とか言って送りつけられた」
シンシア:「しているのですか?待ち受け」
豊島 正則:「するかよ。…いや、一回勝手に設定されて、それ以来ちゃんとロックをかけるようにしたんだが」
豊島 正則:まあともあれ、と一息。
豊島 正則:「こいつの、藍華の経歴についても知ってんだろ。具体的に言やあ、廃工場の一件だ」
シンシア:「……ええ……」
シンシア:小さく頷く。
豊島 正則:「なら、俺がその現場にいた、ってのも知ってるな。…ああ、酷いもんだったよ」
シンシア:「…………」黙り込む。自分の事故の記憶を思い出すかのように。
豊島 正則:「死人こそまだ出ちゃいなかったが、それも時間の問題だった。怪我人の呻き声が合唱みてえに響く中、どんどん建物がひしゃげてく」
豊島 正則:「その真ん中にいやがったのが、こいつだ」
豊島 正則:こつん、と。シンシアが持つ自分の端末の中で、笑顔を浮かべる藍華を突く。
シンシア:「"ブラックドワーフ"……矢ヶ崎、藍華」
豊島 正則:「無力化しろ、なんてオーダーだったが。上じゃ殺す他無い、って判断だったんだろうな。だから、俺が名指しされた」
豊島 正則:「ああ、俺もそのつもりだったさ。…実際、あいつを見るまでは、な」
シンシア:写真の中の、矢ヶ崎さんを見つめる。
シンシア:「…………」
豊島 正則:「狂ったように笑ったり、泣き喚いたりする相手を殺すってのは慣れちゃいるが」
豊島 正則:「あの時のあいつは、何も無かった。…辺り一面に怪我人が転がってて、その中には自分の姉貴もいたってのにな」
シンシア:「……何も、無い……?」
豊島 正則:「何も、だ。ジャームってのは良くも悪くも、衝動に駆られて動くモンだが」
豊島 正則:「まるで、オーヴァードとしての機能を発揮するだけにそこに在る、そんな感じだったのさ。あの時のあいつは」
シンシア:「………………」
シンシア:ほんの僅か、一瞬だけ目を見開く。
豊島 正則:「だから、躊躇った。いやまあ、躊躇ってる間に、腕も足も、ついでに内蔵もボロボロにされたんだが」
豊島 正則:あれは痛かった、と。苦笑いのような、懐かしむような表情を浮かべる。
豊島 正則:「…まあ、結局どうなったかと言えば」
シンシア:スマートフォンに映し出された、矢ヶ崎さんの笑顔に目を落とす。
豊島 正則:「俺はあいつを殺さずに済んだ。あいつは…ああ、これは俺が勝手に語っていいことじゃないな」
豊島 正則:「…ああ、そうだ。殺し殺されるのが当たり前だった俺達だったけど」
豊島 正則:「藍華が生きてる限り、俺は、俺の心は生きている。…師匠に顛末を聞かれりゃ、女々しいって笑われそうだけどな」
シンシア:「……」
シンシア:シンシアはしばらく黙り込んで、
シンシア:「……彼女が、あなたの戦う理由……」
シンシア:「……そう、そうなのですね」
シンシア:「……それならば、豊島さん。あなたにひとつお聞きしたいのです」
シンシア:ガラス玉のような目が、君を見つめる。
豊島 正則:その目を真っすぐ見返して、頷く。
シンシア:「もし、あなたの戦う理由である人が……彼女、矢ヶ崎藍華がいなくなったとして……」
シンシア:「もしくは、最初からいなかったとしたら」
シンシア:「その時、あなたはどうするでしょうか?」
シンシア:「それでもあなたは、今と同じく戦えるのでしょうか?」
シンシア:純粋な興味からの質問。君と、君の境遇に対しての。
豊島 正則:「ああ、戦う。…最初からいなかったんなら、俺の在り方は昔のままだろうし」
豊島 正則:「いなくなったんなら。これまでみたいに、いなくなった奴らのことを背負いながら、闘い続ける」
豊島 正則:だが、と。少しの間を置いて。
豊島 正則:「言っただろ。死なせたくないから戦う、と。…ああ、そうだ。今はお前の仮定に対して答えたが」
豊島 正則:「俺があいつに対してすべきことは、まさにそれだ。…あいつと一緒に死んでやるってのも、まあ悪い結末じゃあないが」
豊島 正則:「どんなに苦しくても、生きてる方がいい。俺みたいな死人が言うのも可笑しな話だけどな」
シンシア:「……そう、ですか……」
シンシア:小さく頷く。
豊島 正則:そうだよ、と言って笑ってから。
豊島 正則:「…生きたい、死にたくないってのも立派な動機だ。でもな、シンシア」
豊島 正則:ぽん、と。シンシアの頭に、包帯だらけの掌を置いて。
豊島 正則:「せっかくこうして縁が出来たんだ。自分と関りのある奴には、しかめっ面を晒すより、笑っててもらいたい」
豊島 正則:「…急には無理でもな。ちょっとずつ、先のことを考えるくらい。誰にだって赦されてんじゃねえか」
シンシア:「…………」
シンシア:「わ」
シンシア:「私に、言っているのですか……?」
シンシア:驚きと、戸惑いの表情。
豊島 正則:「お前以外誰に言ってんだよ。…そりゃあな、俺にとって藍華が大切な奴だって話をしてたのは確かだが」
豊島 正則:「それがイコール、お前を気にかけちゃいないって話でもないだろ」
シンシア:「…………」しばらく、ぽかんと口を開けてから。
シンシア:それを誤魔化すように、俯く。
シンシア:「……豊島さん」
豊島 正則:「ああ」
シンシア:「……私は、あなたが羨ましいのだと思います」
シンシア:「守るべき大切なものを守れるというのは、本当に幸福なことですから」
シンシア:シンシアの言葉には実感が篭っていた。彼女の家族は、彼女がオーヴァードになると同時に死んだという。
豊島 正則:「俺だって、最初から誰かを守りたかったわけじゃない」
豊島 正則:「巡り合った。…陳腐だけど、そう言う他ない」
豊島 正則:「…だからな、シンシア」
豊島 正則:シンシアの頭に置いていた手を、そっと離して。
豊島 正則:「お前も、俺も、藍華も。誰も彼も」
豊島 正則:「他の誰かを想う気持ちを忘れない限り、何度だって幸福になっていいんだよ。それが、生きるってことだろ」
シンシア:シンシアの瞳に、ほんの一瞬、何らかの感情が顔を覗かせ――
シンシア:「…………っ……!」
シンシア:大きくかぶりを振る。ほんの一瞬、胸に浮かんだその感情を、迷いだとして振り切るように。
シンシア:「それでも」
シンシア:「それでも私は戦いますよ。きっとあなたが、そうであるように」
シンシア:「独りであろうと、間違っていようと」
シンシア:「たとえ相手が……」
シンシア:君に目を向け、
シンシア:「誰であろうと」
GM:君と彼女の間に、ほんの一瞬、ひりついた緊張感が走る。
豊島 正則:「ああ、それでいい。…俺がこれからどう足掻いても、鴉だったことは変わらないし」
豊島 正則:「お前の、これまでの7年も変わらない。…変えちまったら、それは」
豊島 正則:「それこそ、あらゆるものへの裏切りだ。生きてる奴、死んだ奴、これから出会う奴、誰もへの」
シンシア:「…………」
シンシア:シンシアは立ち上がり、写真が表示されたままのスマートフォンを君へと返す。
シンシア:「……突入作戦、今度こそ成功するといいですね」
シンシア:「……『お互いに』、頑張りましょう」
豊島 正則:「ああ。武運を祈るよ。お互いに、な」
豊島 正則:受け取ったスマートフォンの画面を見る。電源ボタンを押して画面が暗転したそれを、懐へ。
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイス購入可!
豊島 正則:ロイス…はシンシアへの「■好奇心/隔意」を「■尽力/脅威」に書き換えます。
豊島 正則:購入は特にないけど、ブルーゲイルを狙って…みる!
豊島 正則:4dx+1+3>=20
DoubleCross : (4R10+1+3[10]>=20) → 8[1,7,8,8]+4 → 12 → 失敗
豊島 正則:失敗。以上で!
GM:OK!
【Middle15 シーンPC:矢ヶ崎藍華】
矢ヶ崎藍華:90+1d10
DoubleCross : (90+1D10) → 90+3[3] → 93
GM:----------
GM:君はリリアナの側近として、大型取引に向けた麻薬の仕入れに同行することになった。
GM:チコの生成したゲートを通り抜けると、そこはもう異国の空の下だった。乾いた空気。嗅ぎ慣れない匂い。メキシコ。ロス・サングレスの本拠地だ。
GM:君に続き、構成員たちが次々とゲートを通り抜けてくる。そこは郊外のアジトらしく、粗末な建物の外には茫漠たる荒野がどこまでも広がっている。
GM:日本に残った陈からは、ゲートの向こうでは自分やUGNのサポートも十分に効かないので気を付けるよう、何度も念を押されている。ある意味、これまでの潜入で最も危険な仕事だ。
矢ヶ崎藍華:軽く咳き込みながら、空を仰ぐ。空の色がぜんぜん違う…明らかに国内ではない
GM:数十分のチャージによりゲートを具現化したチコは、物陰でぐったりと休んでいる。彼女の能力は相当に体力を消耗するらしい。
矢ヶ崎藍華:「チコ先輩お疲れさまっす!」
矢ヶ崎藍華:取り敢えず脇につめたいポカリをはさませておく
チコ:「おう……アヤカ……」
チコ:よろよろと手を上げる。
チコ:「マジで疲れたよ、こんなにデカいの久々だからさー」
GM:その時、話し込んでいたリリアナが声を荒げた。スペイン語で意味は分からないが、何かトラブルがあったらしい。
矢ヶ崎藍華:「!」
矢ヶ崎藍華:「なんだろう…ちょっと見てくるっすね!」
矢ヶ崎藍華:だいぶ口調が影響を受けている気がしないでもないと苦笑しつつ、それとなく近づいてみましょう
GM:リリアナも君たちのもとに歩いてくる。
矢ヶ崎藍華:「何かあったんですか…?」
リリアナ:ひとつ溜息をつき、
リリアナ:「……モチレロ(運び屋) が何人か、他所のカルテルに殺されてるらしい。それで他の奴らもイモ引いちまって、在庫が予定の納入数に届いてない」
リリアナ:焦りと憤懣の表情。
矢ヶ崎藍華:「それじゃ、期日までに数を揃えることが…?」
リリアナ:「……ああ。このままだとな」
リリアナ:「直接取りに行くしか方法はないな。ここで到着を待ってる暇はない」
矢ヶ崎藍華:「直接……」
チコ:「姉さん、私が……」
チコ:青白い顔でチコが歩み出る。
リリアナ:「無理だ。お前には帰りのゲートを開いてもらわないといけない。そこまで体力が持たないだろ」
矢ヶ崎藍華:「先輩!無理はいけないですよ!」
チコ:「うう……。 で……でも……!」
リリアナ:「アヤカの言うとおりだ。姉貴分なんだろ? 言うこと聞いてやれよ。 ……陸路で行く。待ってろ」
GM:リリアナは車を手配しにその場を離れる。
チコ:「…………」
チコ:チコは力無く項垂れる。
矢ヶ崎藍華:「チコ先輩…」
矢ヶ崎藍華:気持ちはわかる。役に立ちたくて、気持ちだけが先行している
チコ:「ごめん……あたし、肝心な時に役に立てなくて……」
矢ヶ崎藍華:「何を言ってるんですか!」
チコ:「!」
矢ヶ崎藍華:「先輩は日本に帰るためのルートっていう、作戦の要じゃないですか!だから姉さんもああいったんですよ!」
矢ヶ崎藍華:「たとえ多少元気でも、チコ先輩には休んでもらったはずですよ!役に立ってもらいたいポイントがあるんですから!」
チコ:「そ……そっか?そうかな……」
矢ヶ崎藍華:「はいっ」
チコ:「えへへ、そっかそっか……」
矢ヶ崎藍華:(……なんで励ましてるんだっけ)
矢ヶ崎藍華:忘れがちだけど、この人も麻薬カルテルの構成員で…悪いことしてる人なのに…
矢ヶ崎藍華:どうにも見放してあげることが出来ない。得な人だなあ
GM:チコが少し元気を取り戻したころ、リリアナが運転手と共に、高級車に乗ってくる。荒野で雑に使われているためか、あちこち傷がついている。
リリアナ:「行くぞ。すぐに出発だ」
矢ヶ崎藍華:「はいっ」
矢ヶ崎藍華:(現場の風景もある程度覚えておくといいよね。)
GM:君達は車に乗り込む。行先は商品が立ち往生しているコスタリカ。危険で困難な旅路が予想された。
GM:----------
GM:車は休みなく走り続けた。長距離の悪路に車中の環境は最悪といえたが、チコ達は慣れている様子だ。
GM:途中差し掛かった街で、リリアナは「頭を低くしておけ」と注意した。その理由はすぐに分かった。車外から銃声が聞こえてきたからだ。
矢ヶ崎藍華:「っ!?」
リリアナ:「この辺は今、二つのカルテルが主導権を奪い合ってる。四六時中こんな感じだ」
矢ヶ崎藍華:「な、慣れてますね……」
矢ヶ崎藍華:しっかり屈めて、急所を外側に出ないように
リリアナ:「まあ……そりゃそうだろ」
リリアナ:「平和ボケしすぎじゃないか?私ら一応ギャングだぞ」
リリアナ:「ていうか、お前もな」
チコ:チコも特に気にした様子はなく、呑気に欠伸をしている。
矢ヶ崎藍華:「ははは…姉さんにかわいがってもらってますから」
GM:街は荒れ果てている様子だった。壁に残された弾痕。路上に座り込む痩せ細った人々は生きているのか死んでいるのかも分からない。時折、武装した警官を満載したピックアップトラックが走っていくのが見えた。
GM:何より目を引いたのが死体だ。看板や街灯からいくつも魚の干物めいてぶら下げられ、そのままになっている。
矢ヶ崎藍華:本当の無法地帯というものを初めて見る
リリアナ:「見せしめだ」
リリアナ:それを横目に、つまらなそうに呟く。
矢ヶ崎藍華:「……」
矢ヶ崎藍華:死体。
矢ヶ崎藍華:ふつうの人のそれを、まじまじと見ることなんて今まで無かった。
矢ヶ崎藍華:(…こんな、なんだ……)
リリアナ:「国は貧しい連中に何もしてくれない。大の男が毎日必死に働いて、自分一人が食っていくのがやっとだ」
リリアナ:「それ以外の子供や老人、もしくは家族を養おうとでもするなら、麻薬産業に手を出すしかない。だからいつまで経っても殺し合いは終わらない」
リリアナ:「ここじゃこんなのはそこら中にある。この辺りはただ治安が最悪ってだけだから、まだマシな方だ」
GM:車を運転する男も、君の隣のチコですら、驚いた様子は無い。
矢ヶ崎藍華:「姉さんは、ここより酷い中を、沢山見たことがあるんですね」
リリアナ:「……酷いっていうか、なあ……」
リリアナ:頭を掻いて、
リリアナ:「まあ、今回は最悪なことに、その辺も通ることになるからな」
リリアナ:「嫌でも分かるはずだ」
矢ヶ崎藍華:「…?」
矢ヶ崎藍華:いまいち飲み込めないといった様子
リリアナ:「……っと、そろそろ日暮れだ。さっさと抜けて、宿を探そう」
リリアナ:リリアナはただの旅行者のような口調で言った。
GM:----------
GM:比較的マシな宿を探し、一泊することになった。
GM:部屋は余っていたが、君は放っておくと何をするか分からないチコの目付け役として相部屋に押し込まれた。
GM:暑かった昼とは打って変わり、夕方からはかなり冷え込んできた。外からは屋台の香辛料の匂いが漂ってくる。
チコ:「あーあ、すぐ帰れると思ったのになー」
チコ:ベッドに倒れ込み、チコは不服そうに口を尖らせる。
チコ:ここは彼女の故郷であるはずだが、里帰りにもまるで喜んでいない様子だ。
矢ヶ崎藍華:「この取引が終われば、暫くはゆっくり出来るといいですね」
矢ヶ崎藍華:微笑む。
矢ヶ崎藍華:実際には、取引どころか組織そのものを終わらせようとしている顔で
チコ:「そうだな~! ホント、最悪だってのこんなとこ!日本サイコーだよ!」
矢ヶ崎藍華:「…チコ先輩って、ここの出身ですよね。」
矢ヶ崎藍華:「姉さんと会うまでって、何してたんですか?」
チコ:「あー、そうだなあ……」
チコ:「あたしはさー、親いないから」
チコ:あっけらかんと言う。実際、彼女にとっては当然のことなのだろう。
チコ:「気付いた時?あ、モノゴコロ?とか言うんだっけ?まあ、家も無いからずっと街でウロウロしててさ。路上生活?とかってやつ?それだったわけ」
矢ヶ崎藍華:「はい…」普通のこと、なんだな。
チコ:ベッドに転がったまま、顔だけ君に向けて話す。
チコ:「最初は乞食やったり、生ゴミとか食ってたんだけどさ。そのうち、同い年くらいの連中でつるんで、スリやるようになってさ」
チコ:「結構上手くいってたと思うんだけど……その時、偶然、姉さんに目ぇ付けちゃったわけ」
チコ:ひひ、と笑う。
チコ:「ボコボコにされたよ。でもさ、その後メシ食わせてくれて……」
チコ:チコは顔を綻ばせ、
チコ:「あれは美味かったなあ……」
チコ:「で、姉さんはあたしを拾ってくれてさ。しばらくは使い走りやってたんだけど……。……オーヴァードになった時は嬉しかったなー。これで姉さんの役に立てる!って思ってさ」
チコ:「姉さんにはすっげえ感謝してんだよね。あたし、姉さんいなかったら今どうなってるか分かんないし」
チコ:「姉さん、かっこいいし、強いし、美人だし。あたしもあんな風になりたいんだ」
矢ヶ崎藍華:“最近やっていたバイトの内容”をしゃべるみたいに、平然と極限の生活を行ってきたことを語る人が目の前にいる
矢ヶ崎藍華:私は…正しいことをしているつもりだ。
矢ヶ崎藍華:でもそれが、こんなふうに、未来を楽しみに待てる人の希望を奪い取っているとしたら…?
チコ:「……だから、姉さんのジャマする奴は、絶対許さない」
チコ:チコが身を起こし、君をじっと見る。
チコ:「な、お前もそうだろ? アヤカ」
矢ヶ崎藍華:「え、えっ?あっ、はい」
矢ヶ崎藍華:「……成功、させましょうね」
チコ:チコはにっこり笑い、
チコ:「おう!勿論!」
矢ヶ崎藍華:私は、なんなんだろう
チコ:「頼りにしてるぜ!お前はあたしの妹分だからな!」
矢ヶ崎藍華:何をしたら、正解なんだろう
矢ヶ崎藍華:「はい」
チコ:君の背中をばしばしと叩く。
矢ヶ崎藍華:微笑んで
チコ:「一緒に頑張ろうな! ていうかもう寝るか! 明日も早いしな!」
チコ:チコはそう言って布団に潜り込む。
チコ:「電気消してくれなー」
矢ヶ崎藍華:「はいっ。元気をつけないと!おやすみなさい」
矢ヶ崎藍華:電気を消して、眠りにつきましょう
GM:電気を消すと、部屋は暗闇に包まれる。
GM:答えの無い煩悶を抱えたまま、夜は過ぎていった。
GM:----------
GM:車が信号で止まると、粗末な身なりの子供が窓ガラスを拭きに来た。駄賃をせがむ子供を、運転手が追い払う。
GM:この国ではよくある光景だが、リリアナは表情を険しくした。
リリアナ:「……まずいな」
矢ヶ崎藍華:「何か、あるんですか?」
GM:「急ぎましょう」運転手の男が言う。
リリアナ:「ああ、頼む」
GM:車はスピードを上げた。リリアナは珍しく、少し緊張しているように見える。
リリアナ:「昨日言った、最悪の場所ってのが、ここだ」
矢ヶ崎藍華:ただならぬ雰囲気を感じ、取り敢えずいつでも能力を起動出来るように心構えておく
リリアナ:「本当ならこんな街、通るべきじゃないんだが。迂回してる時間は無い。背に腹は代えられない」
GM:リリアナはそう言うが、昨日の街とは違い、この街はごく普通の様子に見える。人々が笑顔で行き交い、銃声も聞こえない。むしろこの国でも管理が行き届いた平穏な街に思えるだろう。
矢ヶ崎藍華:「…あ、あれ?」
リリアナ:「……ここは街全体が一つのカルテルに完全に掌握されてるんだ。警察もほとんど無力だし、この中で殺されたら外に知られることもない」
リリアナ:「この街では余所者はすぐに見つかる。街の全員に見張られてる。さっきの子供、あれも今頃誰かに私達を報告して金を貰ってる頃だろう」
矢ヶ崎藍華:「…!」
リリアナ:「私の顔は結構売れてるからな。下手に手を出さないほうがいいと思われるか、ここで潰しておこうと思われるか……」
リリアナ:「……とにかく、気を抜くなよ」
矢ヶ崎藍華:「じゃあ、ここにいる人全員が…敵……」
GM:その予想は僅か数十分後、悪い方向で的中することになった。
GM:高速で走る君達の車に、さらに猛スピードで接近してくる二台のバン。一台は後方に付け、もう一台はさらにスピードを上げて、君達の前方を塞ぐ。
GM:一瞬見えた車内には、銃を持った複数の男。
チコ:「ね、姉さん!あれ!!」
リリアナ:「ヤバいな」
リリアナ:リリアナは助手席で体を捻り、小さな窓から飛び出して車の屋根に立つ。
矢ヶ崎藍華:「うわあ、凄い人数……」
リリアナ:「アヤカ!私は前をやる! お前は後ろだ!」
矢ヶ崎藍華:「えっ……」
矢ヶ崎藍華:「は、はい…!やってみます!」
GM:車窓から銃口が覗いた瞬間、巨大な血の刃が振り下ろされる。前方のバンは真っ二つに両断、弾き飛ばされ、一瞬遅れて爆発する。
GM:その爆炎の中から、もう一台のバンが猛追してくる。
矢ヶ崎藍華:狭い車内で展開するのには難儀する。手の甲の上に火球を展開して、翳りを生み出していく
矢ヶ崎藍華:(ついてこれなくすればいいんだよね…)
リリアナ:「アヤカ! 来るぞ!」
矢ヶ崎藍華:右手の翳りが泡立ち、淀んだ黒い流体が流れ出てくる
矢ヶ崎藍華:窓の外に手を出して、流体を地面に流していく。地面に触れた流体は球状に膨れ上がり、病原菌のごとく増殖しては地面を爆縮し蹂躙する
矢ヶ崎藍華:ものの数十秒で、まともに追走することは出来ない状態になるだろう
矢ヶ崎藍華:「…よし…!」
GM:「…………!」
GM:複数の男達が銃を手に身を乗り出そうとしていたところに、破壊の嵐が吹き荒れる。
矢ヶ崎藍華:破壊の奔流が車に届くギリギリ前で、能力をオフにした。
GM:バンは急ブレーキをかけ、不安定な姿勢だった男たちがぼとぼとと零れ落ちる。
GM:苦し紛れに銃撃をするが、もう君たちには届かない。
チコ:「うわーー!!すっげえ!おい!やったじゃねーか!おい!」
チコ:チコが感激して君に抱き着く。
矢ヶ崎藍華:「はい…上手く、行きましたね。えへへ」
矢ヶ崎藍華:能力を使った消耗で汗だくになりながら、安堵の息を漏らす
リリアナ:「……もうすぐ街を抜ける。それ以上は追ってこないだろう」
リリアナ:「よくやった、アヤカ」
リリアナ:君の肩をぽんと叩く。
リリアナ:「お前はやっぱり、いい拾い物だったよ」
矢ヶ崎藍華:「あはは…頑張りました」
GM:車は街を抜け、荒野へと進んでいく。
GM:----------
GM:その後、君たちは何事もなく順調に進み、予定から数日遅れながら無事に商品を確保した。
GM:ジャングルに隠された『キッチン』。今、チコは帰りのゲートを開くためにレネゲイドを収束させている。
チコ:「……よっしゃ! そろそろ帰れるぞー、アヤカ」
矢ヶ崎藍華:「はーい!」
チコ:「……あれ?」
チコ:チコはキョロキョロと辺りを見回す。
チコ:「……姉さん、どこ行ったのかな? もうすぐ開くのに……。アヤカ、ちょっと呼んできてくれよ」
矢ヶ崎藍華:「ホントですね…探してきます!」
矢ヶ崎藍華:何処に行ったんだろう
矢ヶ崎藍華:トイレとかかな?とか考えながら辺りを探してみます
GM:君が少し周囲を探しても、リリアナは見つからない。呼びかけてみても返事はない。
GM:その時、少し遠くから咳の音が聞こえてくる。
矢ヶ崎藍華:「姉さーん!」
矢ヶ崎藍華:「…?」
矢ヶ崎藍華:酷い咳込みの音だ
矢ヶ崎藍華:一応警戒しつつ、近づいてみます
GM:君がその音の方向に近付くと、
GM:リリアナは物陰に隠れるようにして、地面に蹲っていた。
矢ヶ崎藍華:「えっ!?」
矢ヶ崎藍華:「姉さん!?どうしたんですか!?だ、誰かが…!?」
矢ヶ崎藍華:屈んで、周囲を警戒します
GM:何度も咳を繰り返し、呼吸は荒い。手と口元はどす黒い血で染まっており、地面にも信じられない量の血の跡が残っている。
リリアナ:「…………!」
リリアナ:君に気付き、しまった、という顔をする。
リリアナ:「アヤカ、か…………」
リリアナ:口元の血を拭う。
リリアナ:「何でもない。ちょっとした持病だ」
矢ヶ崎藍華:「撃たれたんですか!?速く治療を…持病?」
矢ヶ崎藍華:「なんでもないって…こんな血の量で、なんでもないって無いですよ…!」
リリアナ:「ああ、誰かにやられたわけじゃない。大丈夫だ」
リリアナ:「……すぐに収まる。問題ない」
矢ヶ崎藍華:本気で心配している。「この人は、敵だ」と頭で分かっているつもりなのに
矢ヶ崎藍華:「…ずっと、黙ってたんですか」
矢ヶ崎藍華:思えば、ドレスを着ていた頃から痩身がすぎると思っていた
リリアナ:「…………悪いか? 私のことだろ」
リリアナ:ごほ、とまた咳き込む。
矢ヶ崎藍華:「心配もさせてもらえないんですか?」
リリアナ:「…………」
矢ヶ崎藍華:「……私には姉がいます。」言う必要がないと思っても、つい、口に出してしまう
矢ヶ崎藍華:「凄く頑張って、難しい学校に進学して。本当に凄いお姉ちゃんでした。“これから学校で沢山頑張っていきたいね”って言ってました。」
矢ヶ崎藍華:「…数ヶ月した後」「姉は、全ての表情を失っていました。」
リリアナ:「……何……?」
リリアナ:怪訝な表情。
矢ヶ崎藍華:「ちょうど、今の姉さんみたいな幹事でしたよ」
矢ヶ崎藍華:「“大丈夫”。“自分の問題だから”。」
矢ヶ崎藍華:「…何があったのかって聞いても。いくら泣いても。姉は、そうとしか言ってくれませんでした」
リリアナ:「…………」
矢ヶ崎藍華:「…あの時はちゃんと言えなかったけど、今は何をいいたいのか自分の中でまとまっています」
矢ヶ崎藍華:「姉さん。大丈夫なのは貴方だけですよ。貴方の家族を救いたいなら、ちゃんと話して下さい」
矢ヶ崎藍華:本当に、何を言ってるのだろう
矢ヶ崎藍華:この人は、倒すべき相手。最後は分かれるべき人。
矢ヶ崎藍華:なのにどこかで、放ってはおけなくなっている
リリアナ:リリアナはしばらく黙り込み、はあ、と嘆息する。
リリアナ:「……仕方ないんだ。治らねえんだよ、これは」
矢ヶ崎藍華:「……」
リリアナ:「病院に行っても無駄だ。ちょっと訳ありでな」
リリアナ:「だから、仕方ねえんだよ。どうしようもない」
リリアナ:「無駄に気ぃ遣わせたって、面倒だろ」
矢ヶ崎藍華:「…本当に、打つ手が無くったって。」
矢ヶ崎藍華:「言ってもらえないなんて、寂しすぎますから。」
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:「“家族の間に”?」
リリアナ:「…………」
リリアナ:叱られる子供のような、ばつが悪そうな顔。
リリアナ:「……隠し事は、無しだ」
矢ヶ崎藍華:「はい。」
矢ヶ崎藍華:「…行きましょう。チコ先輩には流石に、日本に帰ってから話したほうがいいですよね。」
リリアナ:「いや……いいや!それでもだ!」リリアナはかぶりを振って、
リリアナ:がん、と君の背後の壁に手を付き、至近距離で見つめる。
矢ヶ崎藍華:「!」
リリアナ:「……それでもだ。家族でも。いいか。お前にはバレちまった以上、仕方ないが……」
リリアナ:「このことは、誰にも言うな……!」
リリアナ:「誰にもだ。特にチコには。絶対にだ」
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:さっきまでくずおれていた人から発せられるとは思えない気迫
矢ヶ崎藍華:(お姉ちゃん……)
矢ヶ崎藍華:(こういう気持ちだったの…?)
矢ヶ崎藍華:「……わかりました。」
矢ヶ崎藍華:「行きましょう。チコ先輩が消耗しちゃいます」
リリアナ:「……ああ」
リリアナ:リリアナはふらりと踵を返し、
リリアナ:「……帰るぞ。今回の取引、成功させなきゃならない」
リリアナ:そう言って、よろよろと歩いていく。
矢ヶ崎藍華:姉とだぶつくその背中を見ながら
矢ヶ崎藍華:最後には妥当すべきその背中を見ながら
矢ヶ崎藍華:自分自身がどうあるべきなのかを考えつつ、後についていきます
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイスのみ可!
矢ヶ崎藍華:も…もうとれない…(絶望)
矢ヶ崎藍華:以上!
GM:OK!
【Middle16 シーンPC:鴻上禮次郎】
GM:登場どうぞ!
鴻上禮次郎:74+1d10
DoubleCross : (74+1D10) → 74+1[1] → 75
GM:----------
GM:N市 鴻央会傘下事務所
GM:----------
GM:君は鴻上剛蔵に呼び出され、彼の事務所へと足を運んだ。
鴻上禮次郎:「破門状が出されたつもりでいたんだがねぇ……」
GM:引退以来ラフな服装の多い剛蔵は珍しく久々の古風な紋付袴に身を包み、
GM:かつての現役時代を思わせる威圧感を漂わせていた。
GM:彼の隣には、君の舎弟である黒川が、身を小さくして縮こまっている。
鴻上禮次郎:「……お久しぶりです」
鴻上禮次郎:一方
鴻上禮次郎:禮次郎は組長としての仕事着である豪奢なスーツ
鴻上禮次郎:喪服をイメージした和服ではなく、ビジネスマンでもあり、ヤクザでもある己の戦闘服に戻っていた。
鴻上剛蔵:「……遊びは終わりじゃ、禮次郎」
鴻上剛蔵:地の底から響くかのような声。
鴻上剛蔵:「くだらんことはやめて、組に戻れ」
鴻上剛蔵:「ええ加減、気も済んだじゃろう」
鴻上禮次郎:「……組にゃあ、戻ります」
鴻上禮次郎:「戻りますが、戻らにゃあならんのは知ってますが……」
鴻上禮次郎:深く頭を下げる
鴻上禮次郎:「もう少し、もう少しだけ待ってくれませんか、組長(オヤジ)さん……!」
鴻上禮次郎:「後少しで、仇が討てるんです……! あいつらの仇が……!」
鴻上剛蔵:「待たん」
鴻上剛蔵:ぴしゃりと跳ねのけるような言葉。
鴻上剛蔵:「今回の件、痣徒が関わっとるそうじゃの」
鴻上禮次郎:「……ああ、俺もUGNから聞いた」
鴻上禮次郎:「奴らも殺す」
鴻上剛蔵:「こんクソボケがぁ!!」
鴻上剛蔵:けたたましい音と共に机を殴り、立ち上がる。
鴻上禮次郎:「——なっ!?」
鴻上禮次郎:親同然に思っていた相手の怒りに、思わずたじろぐ
鴻上剛蔵:「痣徒と云やあ鴻央でもアタマ張ってる組じゃろうが!」
鴻上禮次郎:「……それは」
鴻上剛蔵:「つまりウチにとっちゃあ親に当たる!お前も分かろうが!!」
鴻上剛蔵:「そんな相手に手を出したとあっちゃあ、お前」
鴻上剛蔵:「破門程度じゃ済まん。絶縁……いんや」
鴻上剛蔵:君をじっと見て、
鴻上剛蔵:「鴻央会から追われることになろう」
鴻上禮次郎:「……」
鴻上剛蔵:「それが分からんのか?」
黒川サブロウタ:「あ……兄貴……」
黒川サブロウタ:不安げに君を見る。
鴻上禮次郎:胸元の鴻央会のバッジを外し、差し出す。
鴻上禮次郎:「分かるが、よ」
鴻上禮次郎:「なあ組長(オヤジ)……いや、父さん」
鴻上禮次郎:「俺はね、あんたに見せられるヤクザ映画が嫌いだった」
鴻上剛蔵:「……」
鴻上禮次郎:「どいつもこいつも馬鹿ばかり、つまらねえ目先の利益の為に殺した殺された……あほじゃねえかと」
鴻上禮次郎:「だから、俺は目指したんだよ。馬鹿じゃないヤクザって奴を……金があって、仁義を通す余裕もあって、強いヤクザって奴を」
鴻上禮次郎:「それをよ」
鴻上禮次郎:「あの男は笑いやがった……」
鴻上禮次郎:「俺の築いた家族を、俺の描いた夢を、笑いやがった……」
鴻上禮次郎:「笑えよと思ってたはずなのにさぁ……!」
鴻上禮次郎:「で、気づいたね。どうやら俺も馬鹿だったみてえだぁっ!」
鴻上禮次郎:バッジを床に叩きつける
鴻上禮次郎:(ビショップの話を思い返すと)
鴻上禮次郎:(もしかしたら、まだ生きて囚われてる奴らが居るかも知れねえ)
鴻上禮次郎:(何に使おうとしているかは分からねえが)
鴻上禮次郎:(なにをするにしても——そいつらをどうにかしてからだ)
鴻上禮次郎:(今はまだ、その部分も含めて誰にも話せねえな)
鴻上剛蔵:呆れかえった、というように、わざとらしく嘆息して。
鴻上剛蔵:「百歩譲って、お前が勝手にバカやって、勝手に野垂れ時ぬのは構わねえよ」
鴻上剛蔵:「したらよ、こいつらはどうなるんだい」
鴻上剛蔵:傍らの黒川を示す。
黒川サブロウタ:「…………」
鴻上禮次郎:「……ッ」
鴻上禮次郎:深く息を吐きだす
鴻上禮次郎:「まだ生き残っているシマの連中も家族みてえなもんだ」
鴻上禮次郎:「家族を見捨てる訳にはいかねえ。そいつは道理ってもんだ」
鴻上禮次郎:「——だが」
鴻上禮次郎:「抑えられねぇんだ。レネゲイドの衝動とは違う。それをねじ伏せる……FHの連中の言う欲望って奴が」
鴻上剛蔵:「欲望だぁ?」
鴻上禮次郎:「鴻央会に研修に来ていたマスター・エロスってエージェントが言っていたのさ」
鴻上禮次郎:「欲望は衝動をねじ伏せる。人間の煮え立つ激情は、意思無きウイルスになど屈さない」
鴻上禮次郎:「俺はあのビショップの野郎とは違う! 絆が有って、欲があって、生きている!」
鴻上禮次郎:「俺は俺を生きる為に! 俺のやりたいようにやらせてもらう! 話は以上だ! 気に入らねえってんなら——」
鴻上禮次郎:自らの白杖を刀に再錬成し、床に突き刺す。
鴻上禮次郎:「オヤジィ! あんたがこいつで! 俺を好きにしやがれってんだぁ!」
鴻上剛蔵:「……禮次郎。こいつはなぁ、俺が頼み込んで今、月吼會で部屋住みやらしてんのよ」黒川を見て。
鴻上剛蔵:「他の連中も、それぞれ必死に踏ん張ってる」
鴻上剛蔵:「だがなあ、頭のお前がいなきゃ、組はバラバラだ」
鴻上剛蔵:「道理も通してえ、欲も遂げてえ、そんなこたぁ土台無理な相談よ」
鴻上剛蔵:「今ここで決めな」
鴻上剛蔵:「組を捨てるか、てめぇ一人の意地を通すか」
黒川サブロウタ:「……あ……兄貴ィ……!」
黒川サブロウタ:縋り付くように言う。
黒川サブロウタ:「戻ってきてくだせえよぉ……!」
黒川サブロウタ:「兄貴がいなきゃ俺……俺……!」
鴻上禮次郎:(死んだ家族のために生きている家族を見捨てるか、見捨てられるか)
鴻上禮次郎:(死人のために……生きた人間を犠牲にするなんて俺にゃあできねえ……ッ!)
鴻上禮次郎:(けど、カナコ……もしも生きているなら俺は……!)
鴻上禮次郎:「……ぐぅ」
鴻上禮次郎:黒川の目を見て、苦しそうに呻く
鴻上禮次郎:「父さん、あんたって人は……」
鴻上禮次郎:剛蔵を見て、苦々しく呟く
鴻上禮次郎:「俺は、俺は……」
鴻上禮次郎:脳裏に浮かぶFHの魔人たちの姿、欲望に生き欲望に死す超越者たちの自由な生き様
鴻上禮次郎:脳裏に浮かぶUGNの勇者たちの姿、誰かの為にと身を削り日常を守る強い生き様
鴻上禮次郎:(——俺は、どちらにもなれない)
鴻上禮次郎:諦めるようにもう一度ため息をして、膝をつく
鴻上禮次郎:「二週間だ」
鴻上禮次郎:「二週間でダメなら、金輪際馬鹿な事は言わねえ」
鴻上剛蔵:「…………」
鴻上剛蔵:剛蔵は、君の眼前に突き立てられた刀を引き抜き、
鴻上禮次郎:「頼むよ、父さん……最後のわがままだ」
鴻上剛蔵:上段に構え、一息に突きを放つ。
鴻上剛蔵:ガ キン !
鴻上剛蔵:君の顔のすぐ横、額縁にクモの巣状のヒビが走る。
鴻上剛蔵:「……二週間」
鴻上剛蔵:「ええじゃろう。答えを出すのだけは待ってやる」
鴻上剛蔵:「だが勘違いするなよ」
鴻上剛蔵:「痣徒に盾突いた時、お前がどうなるか」
鴻上剛蔵:「それはまた、別の問題じゃ」
鴻上剛蔵:「バカ息子を庇うにも、限度っちゅうモンがある」
鴻上禮次郎:「……ああ」
鴻上禮次郎:(何年かけてでも——)
鴻上剛蔵:刀を引き抜き、君に投げ渡す。
鴻上禮次郎:(痣徒はぶっ潰してやる)
鴻上禮次郎:刀を受け取る。
鴻上剛蔵:「ワシはもう、知らん」
鴻上剛蔵:「お前を庇うことは出来ん」
鴻上剛蔵:「だがいいか」
鴻上剛蔵:「どうせ道を外れるんなら、中途半端じゃあ勿体ない」
鴻上剛蔵:「……とことんまでやれよ」
鴻上剛蔵:それだけ言って、君に背を向ける。
鴻上禮次郎:深く一礼をする。
鴻上禮次郎:「……サブ」
黒川サブロウタ:「……兄貴……」
黒川サブロウタ:捨てられた犬のような目。
鴻上禮次郎:それから、一枚の紙を取り出す。
黒川サブロウタ:「……兄貴……?こいつは……?」
鴻上禮次郎:「次の企画書だ。俺が戻ってきたら動かす」
黒川サブロウタ:「!」
黒川サブロウタ:ぱっと表情が輝く。
黒川サブロウタ:「は……はい!」
黒川サブロウタ:「兄貴!俺!待ってますから!」
黒川サブロウタ:「絶対!いつまでも!待ってますから!!」
鴻上禮次郎:「おう、待ってろ……鴻央会は家族を見捨てねぇ……」
鴻上禮次郎:普段はいつも不機嫌そうな男が
鴻上禮次郎:その時だけ、ほんの少し、心の底から笑った
GM:----------
GM:シーン終了。
GM:ロイス購入可!
鴻上禮次郎:購入無し! 今手持ちのるるぶの範囲で欲しいものが特に無い!
鴻上禮次郎:ロイス!
鴻上禮次郎:可愛い舎弟だ……だから死ぬなよ 黒川サブロウタ 連帯感◯/隔意
鴻上禮次郎:こちらに変更します!
GM:OK!
【Middle16.5 シーンPC:鴻上禮次郎】
GM:登場どうぞ!
鴻上禮次郎:75+1d10
DoubleCross : (75+1D10) → 75+5[5] → 80
GM:----------
GM:君が剛蔵との会話を終え、事務所を出た、その直後。
GM:車に乗り込み、一服しようとした時だった。
鴻上禮次郎:「さて、UGNの奴らと合流せにゃならんな……企画書もサブに渡しちまったし……あとは」
鴻上禮次郎:「あとは……ケリつけるか」
鴻上禮次郎:火をつける
GM:ガ シャ ァァン!!
GM:凄まじい轟音と揺れ。
鴻上禮次郎:「 ! ? 」
GM:車のボンネットに、何かが落下してくる!
鴻上禮次郎:「カチコミか!」
GM:君が目にしたのは、歪み切った醜悪な笑み。
鴻上禮次郎:車から飛び出そうとする!
鴻上禮次郎:「テ、テメエは——!」
ビショップ捜査官:「鴻上ィィ~~ッ……」
ビショップ捜査官:ひしゃげたボンネットの上で、ビショップがにたりと笑う。
鴻上禮次郎:「ビショップゥウウウウウ!」
GM:車から飛び出そうとするが、
GM:車体が歪み、ドアが開かない!
鴻上禮次郎:「お前、俺のこと大好きだなぁおい!?」
ビショップ捜査官:「油断しすぎじゃあねえのかァ!? ええ!? ヤクザさんよォ!!」
鴻上禮次郎:刀を錬成し、射出する!
ビショップ捜査官:真正面から、肉の触手で受け止める!
ビショップ捜査官:「こういうの、ここでは何て言うんだっけ?……ああ、そうそう」
ビショップ捜査官:「カチコミだァアーーーッ!!アハハハハハハーーッ!!」
鴻上禮次郎:「カチコミ! 良いね! だが只で死ぬとか思うんじゃあねえぞ!」
鴻上禮次郎:禮次郎はスーツを脱ぎ捨てる!
鴻上禮次郎:腹には大量のダイナマイトが巻きつけられている!
ビショップ捜査官:「……ッハァ!?」
ビショップ捜査官:歪んだ表情のまま固まる。
鴻上禮次郎:「根比べと行こうぜぇえ~~~~~~! 捜査官さんよぉおおお~~~~~~~~!」
鴻上禮次郎:煙草の火を、ダイナマイトに向けて落とす
鴻上禮次郎:「お前の大好きな! ヤクザ映画みてえにぬぁああああああああっ!」
ビショップ捜査官:「テメッ……気違いか手前は~~~~ッ!!!?」
鴻上禮次郎:刹那
鴻上禮次郎:車に仕掛けられていた爆薬と、禮次郎自身が腹に巻き付けていたダイナマイトが
鴻上禮次郎:真紅の炎と大地を揺らす轟音を伴い、二人を包み込む
鴻上禮次郎:ワーディングの効果で、誰も出てこない
鴻上禮次郎:静寂の後、煙の影から現れたのは……
GM:まだ燃え盛る路上に、ビショップが着地する。
GM:全身を硬質の翼で覆い、火傷を負いつつも、生きている。
鴻上禮次郎:転がり落ちる二本の腕、高そうなスーツの燃えカス、メガネだったもの
ビショップ捜査官:それを見下ろし、嘲笑する。
ビショップ捜査官:「ハァ……ビビらせやがって」
ビショップ捜査官:「やっぱり面白ェなァ、ヤクザってのは。どいつもこいつもバカばっかだ」
ビショップ捜査官:「ま、死んじまったら終わりだけどな!」
ビショップ捜査官:くくく、と喉を鳴らして笑い、
ビショップ捜査官:「鴻上禮次郎、お前も所詮」
ビショップ捜査官:「この程度の男だったってことだよ」
GM:燃え盛る車両だけを残し、ビショップはいずこかへ飛び去って行く。
GM:しばらく経って、ワーディングの効果が切れた頃。
GM:事務所から一人の男が飛び出してくる。
黒川サブロウタ:「兄貴ーーーーッ!!」
黒川サブロウタ:車に駆け寄り、熱を帯びたサングラスを、火傷するのも厭わず拾い上げる。
黒川サブロウタ:「兄貴……そんな……嘘だ……!」
黒川サブロウタ:「兄貴ィィーーーーッ!!」
GM:裏路地に、彼の絶叫だけがこだました。
GM:----------
GM:ラストロイス購入タイム!
鴻上禮次郎:よし!
鴻上禮次郎:では!
鴻上禮次郎:まずロイス変更で
鴻上禮次郎:企画書早く読んで 黒川サブロウタ 連帯感◯/焦り
最高に面白いけど……殺す ビショップ捜査官→共感/殺意◯
鴻上禮次郎:新しくロイス取得で
鴻上禮次郎:ああ、会いたいなぁ…… 鴻上カナコ 純愛/後悔◯ Sロイスに指定します
GM:SロイスOK!
鴻上禮次郎:以上で!
【Middle17 シーンPC:新垣御守 日馬美礼】
日馬 美礼:1d10+97
DoubleCross : (1D10+97) → 2[2]+97 → 99
新垣御守:1d10+68
DoubleCross : (1D10+68) → 5[5]+68 → 73
GM:----------
GM:第二支部
GM:----------
GM:同時襲撃事件から二週間ほどが経った。
GM:襲撃直後に残されていた生々しい血痕や、破壊された調度品の類は片付けられており、
GM:停止させられた施設もある程度の復旧が進んではいるが、
GM:それでもやはり、まだあちこちに襲撃の傷跡が残されている。
GM:そんな第二支部で、君はひとり立ち尽くしていた。
新垣御守:手の中にあるのは、ぼやけた灰色のプリントアウト。
新垣御守:監視カメラの1つに映し出されていた、見間違えるはずのない黒髪の相貌がそこにはある。
新垣御守:「……ちょっとは手加減しなよ。ホント」
新垣御守:溜息を吐き、灰色に焼き付けられたコピー紙をくしゃくしゃにして捨てる。
GM:そこに、廊下の向こうから、聞きなれたきゅるきゅるという車椅子の音。
GM:第四支部支部長、日馬美礼。そしてもう一人。
GM:日馬支部長の自走式のはずの車椅子を、わざわざ自らの手で押してくる長身の女。
新垣御守:「……ん、っと」
GM:日馬の部下であるUGNエージェントだ。
日馬 美礼:「やあ」
新垣御守:壁に寄りかかって物思いに耽っていたがそちらに視線を送る。
新垣御守:「あー、ういっすういっす。そちらさんが、えーっと」
白南風白蘭:ぺこりと一礼。
白南風白蘭:「第二支部長の、新垣さんですね~?」
日馬 美礼:「白南風白蘭。うちのエージェントだよ。まあ、挨拶は後にしよう」
白南風白蘭:「白南風です。いつも日馬がお世話になっております~」
新垣御守:「ぷっはは!」
新垣御守:「噂の新入りさん、やっぱ面白そうな子じゃん。美礼ちゃん」
日馬 美礼:「だろ? お気に入りでね」くふふ。と笑う。
新垣御守:「そーそ、私が新垣。ま、よろしくね」
新垣御守:「いやー、こんな機会でも無かったら女子トークでもしたかったんだけどさ」
日馬 美礼:「そういうわけにもいかないね。まずは真面目な話がある」
日馬 美礼:「新垣支部長」ミモリ、ではない。
新垣御守:「……あいさ。どしたの」
日馬 美礼:「本件の責任者として判断する。UGNとしては、リリアナ・マルティネスの捕殺に、第一方針を固めざるをえない」
日馬 美礼:「異論は?」
新垣御守:「……」
新垣御守:「あるわけないって」
日馬 美礼:「まあそうだろうね。そこを誤るような人間じゃないのはよく知ってる」
日馬 美礼:人の悪い笑みが戻る。
新垣御守:「……偶に言ってくる人もいるんだけどさ」
新垣御守:「私が言ってる死なせないようにっていうの、ただの努力目標だから」
新垣御守:「1人生かして捕まえるのに躍起になって」
新垣御守:「こっちで2人死なせるようだったら、迷わず撃ってって」
新垣御守:「……計算合わなくなったらさ、それこそオシマイだから」
日馬 美礼:「いや、そこは重要だよ。ぼくらが忘れちゃいけないものだ」
日馬 美礼:「……でも、やっぱり少し冷静さを失ってるね? ミモリ」
日馬 美礼:「いいかい。ぼくはこう言ってるんだぜ」
日馬 美礼:「ロス・サングレスの検挙より、リリアナの殺害を優先しろ、って」
日馬 美礼:「いちおう、それなりの理由はあるんだが」
新垣御守:「それって……あー」
新垣御守:「連帯指示系としての判断?上からのお達し?それかまた別の?」
日馬 美礼:「個人的な話をしようか」
日馬 美礼:問じたいには答えずに、ことばを続ける。
日馬 美礼:「ぼくら第四は技術局を名乗ってるが、実際のところ」
日馬 美礼:「UGNの持っている技術の先進性というのは、業界じゃ大したことはない」
日馬 美礼:「何しろ倫理規定が厳しいからね。先進性じゃFHに、実用性じゃ米軍あたりにすら遅れを取る」
日馬 美礼:「でも、そんなUGNが、たったひとつだけ。他の組織より優越する技術があるんだが」
日馬 美礼:「それが何かわかるかい、ミモリ?」
新垣御守:「私技術屋じゃないし、クイズも得意じゃないよ」
日馬 美礼:「きみのほうが得意なやつなんだけどな」
日馬 美礼:「チルドレン」
新垣御守:「……」
日馬 美礼:「ロイス理論を基盤にした、チルドレンの育成・教育カリキュラム」
日馬 美礼:「面白いことに、これを真面目に取り合っている組織は、UGNの他にほぼ存在しない」
日馬 美礼:「言い換えれば」
日馬 美礼:「これが、UGNの持っている唯一の特殊性だし、穢させてはいけないたぐいのものでもある」
日馬 美礼:「リリアナは」
日馬 美礼:言葉を切る。反応を伺うように下から目線を合わせる。
日馬 美礼:「裏切りは問題じゃない。犯罪者になるのだって珍しい話じゃないさ」
新垣御守:「……その漏出要因となる」
新垣御守:「って事、でしょ」
日馬 美礼:「漏出原因どころか」
日馬 美礼:「"彼女はそれを、すでに外で安定化させようと試みてる"。ぼくとしてはそう判断せざるをえない」
日馬 美礼:「どうかな。彼女に育てられた身としては。ミモリ」
新垣御守:「……あのさ」
日馬 美礼:「うん。何かな」
新垣御守:わしわし頭を掻いて
新垣御守:「どこまで聞いてる?どんな感じで?」
日馬 美礼:「きみの略歴とリリアナとの馴れ初め。あとは当時の報告書の類は一通り読ませてもらったよ」
日馬 美礼:「直接の聞き込みはやってないから、書面になってないものは知らないけど」
新垣御守:「……プライバシーとか、無いんだもんな~」
新垣御守:「言ってる場合でもないけど、ったく」
新垣御守:苦笑しつつ
日馬 美礼:「不公平に考えるならぼくのも読んでいいよ。全部公開してるから」
日馬 美礼:「……ところで、このあいだ届いたメキシコ旅行記は読んだかい?」
新垣御守:「一応ね。タコスがどうとかって」
新垣御守:「あの子も結構肝太いわ」
新垣御守:「流石第四さんのお墨付き」
新垣御守:本題から逸らすように、戯ける。
日馬 美礼:「きみ、うちのことを何だと思ってるんだい」くふふと笑って。
日馬 美礼:「あれさ。不自然じゃなかった?」人の悪い笑みを浮かべたまま。
新垣御守:「チキンってのも、悪くはないんじゃないの」
新垣御守:「人の好みによるでしょ」
新垣御守:冗談めいて、俯きながら
日馬 美礼:「ぼくはマトンとかのが好きだなあ」
日馬 美礼:頬杖をついて。
日馬 美礼:「ロス・サングレスの拠点から生産基地まで片道四日強」
日馬 美礼:「チコって子の能力チャージにどんだけかかるか知らないけどさ」
日馬 美礼:「普通、まともなオーヴァードなら、そんだけあったら体力回復はお釣りが来るよね?」
日馬 美礼:「一日で戻れるっていうなら話はわかるよ。わざわざ陸路を選んだ理由があるかな?」
新垣御守:「……クイズは得意じゃないんだって」
日馬 美礼:「クイズねえ。じゃあもうひとつ」
日馬 美礼:「途中で彼女らが通過した"整った街区"ね。カルテルに制圧されていてるっていう」
日馬 美礼:「ジャングル走破できる車使って、わざわざそこを通過した理由、思いつくかい?」
日馬 美礼:「リリアナのプロファイルは、ミモリのほうがよく知ってるだろ?」
新垣御守:「派手好きだったけどね」
新垣御守:「……無駄は嫌いな人だったよ」
日馬 美礼:「目下の相手をつれて、わざわざ自分の顔が知れてる危険な相手のお膝元を通過する」
日馬 美礼:「半日どころか数時間にも満たない短縮のために、わざわざそんなコースは選ばない?」
新垣御守:「理由がなきゃ、選ばないでしょ」
新垣御守:「美礼ちゃんさ」
日馬 美礼:「何かな」
新垣御守:「性格悪いって言われない?」
日馬 美礼:「よく言われる」
新垣御守:「だよね、ま」
新垣御守:「ズカズカしてる人は結構好きだよ」
新垣御守:「……慣らしでしょ、要するに」
日馬 美礼:「そう。慣らし、もしくは必要な作業工程」
日馬 美礼:「ざっくり省略して言うならさ。チコは、きみだ。ミモリ」
日馬 美礼:「リリアナ・マルティネスは、きみをモデルケースにして、ロス・サングレスで彼女の"子どもたち"を育てようとしてる」
新垣御守:「それによっぽど、カエル女なんかより使い出がある」
日馬 美礼:「どうかな。耐用年数十年近いチルドレンは統計上そうとう貴重だぜ?」
新垣御守:「どーも、16歳の支部長サンに言われると嬉しいよ」
新垣御守:「……」
新垣御守:少し沈黙して
新垣御守:「……リリ姉は、そんな事しない」
新垣御守:「ってさ」
新垣御守:「言いたいよ。本当なら」
日馬 美礼:「言いたい?」
新垣御守:「言いたいだけだよね」
日馬 美礼:「きみをモデルケースに選んだのは…」
日馬 美礼:「きみなら裏切らない、それこそ何年経っても自分に従ってくれる」
日馬 美礼:「あるいは、自分が死んだ後に志まで継いでくれるだろうって」
日馬 美礼:「そんな確信があったからかもしれないけどね。まあこれは予断だな」
新垣御守:「あの人の気持ちの矢印が逆向いちゃったなら」
新垣御守:「そうするでしょ。私はもう」
新垣御守:「こっちで行く事にした……実際」
新垣御守:「電話もかかってきたよ。大して情報にもなんなかったから話して無かったけど」
日馬 美礼:「帰ってこい、って?」
新垣御守:「そ、無理って断ったけどね」
新垣御守:「……だから、なおさら別のアヒルの雛をもっかい連れて行くしかない」
新垣御守:「ふざけんな、って思うよ。何考えてんだって」
新垣御守:「でもさー」
日馬 美礼:探るように、目線を合わせている。
新垣御守:「昨日の自分と明日の自分なんて、別の人間じゃん」
新垣御守:「どう転んでもいいし、どう変わってもいいって……」
新垣御守:「あの人が言ってた」
新垣御守:「だから、あの人だけ変わんなって言っちゃったら」
新垣御守:「……そんな酷いこと、言えないよ」
日馬 美礼:目を細める。
日馬 美礼:「話を持ち出してよかったよ」
日馬 美礼:「……白蘭だけ連れてきた理由でもあるんだが」
日馬 美礼:「UGN内に、彼女のシンパが残ってる可能性はかなり濃いよね?」
新垣御守:「はは!どうかな」
新垣御守:「結構手は早い感じだったから。無きにしもあらずだよね」
新垣御守:「分かんないでしょ。そんなの。そいつら次第だよ」
新垣御守:「今の状況だってどう思ってもいいし、なんとも思ってないかも」
日馬 美礼:「そうだね。だといいんだけど」とさり、と車椅子の背もたれに身を預ける。
日馬 美礼:「これは怒っていいけど、少し羨ましいよ。ぼくは、そういうのに縁がないから」
新垣御守:「……あー」
新垣御守:「どういうの?」
新垣御守:「クイズは、マジでダメなんだって」
日馬 美礼:「葛藤に縁がないっていう話。親代わり姉代わりは、裏切るより先に死ぬようなやつばっかりだからね」
新垣御守:「うわっ、それ性格最悪の皮肉にしか聞こえないよ?」
新垣御守:「私以外には」
日馬 美礼:くふふ。と笑う。
新垣御守:「……これはさ」
新垣御守:「いいんだよ。あの人がくれた」
新垣御守:「選ぶってことは、いい」
新垣御守:「だから、選ぶことにしてる。何回でも、どんな時にも。選ばない私は、私じゃない」
新垣御守:掌の中に、ずっと重さがある。
新垣御守:銃一丁分の重さ。あの日投げ捨てた重さが。
新垣御守:「……誰にも譲れないよ、だから」
新垣御守:「羨ましいでしょ?」
日馬 美礼:「心底」
新垣御守:今度はこちらが唇の端を、意地悪そうに上げて
新垣御守:「……さーーってと」
新垣御守:「メンヘラカウンセリング終わり、あー」
新垣御守:「白南風さん、退屈してなかった?」
白南風白蘭:「……あ、終わりましたか~?」窓の外の蝶々から視線を戻す。
日馬 美礼:「終わった。じゃあ、報告よろしく、白蘭」
白南風白蘭:「はい。第二支部は皆さんお忙しいそうなので、代わりに私が~」
白南風白蘭:真剣な空気を意に介さぬ、フワフワした口調。
白南風白蘭:「先日の同時襲撃の件、中間事後報告ですね~」
新垣御守:「聞く聞く。状況は?」
GM:白南風は資料を捲る。しばらくつらつらと長ったらしい報告が続き、被害状況の項目に差し掛かる。
白南風白蘭:「まず警察側、麻薬取締部側の被害ですが、重傷者2名、軽傷者7名、殉職1名となってますねぇ」
GM:殉職者。五十嵐のことだ。
白南風白蘭:「負傷者は命に別状なし、UGNの治療で既に現場復帰済みです~」
日馬 美礼:人の悪い笑顔はそのままで、内心は今ひとつ伺えない。
白南風白蘭:「この件で色々と突っつかれてるみたいですが、そこは省略しますね~」ぱらぱらと資料を飛ばし。
新垣御守:「土下座回りパート2発動だね……はぁあ……」
白南風白蘭:「それで、肝心の第二支部の被害ですが~」ちらり、と支部の様子と新垣さんを見る。
新垣御守:「……いいよ、続けて」
新垣御守:「気なんか遣わなくていい。私はそういう立場じゃない」
白南風白蘭:「それでは~」にっこりと笑う。
白南風白蘭:「破壊された施設に関しては、既に他支部のモルフェウス能力者を中心に支援を要請、」
白南風白蘭:「大半が修復され、現在は通常業務には支障をきたさない形まで復旧しています」
白南風白蘭:「続いて人的被害ですが」
白南風白蘭:「オーヴァード、非オーヴァード合わせて重傷者3名、軽傷者12名」
新垣御守:「……死人は?」
白南風白蘭:「…………」少し目を伏せて、
白南風白蘭:「この内、唯一直接応戦したエージェント、"ナイトメアブリンガー"……え? 誰が考えたんですかこの名前?」
新垣御守:「それはいいから……いや私もちょくちょく思うけど」
新垣御守:「……ジロくんが?」
新垣御守:最も負傷が大きかったと報告を受けている。
白南風白蘭:「……"ナイトメアブリンガー" 田井中次郎は特に大きな負傷を受け、つい昨日まで意識不明でしたが……」
新垣御守:故に、覚悟はしている。
白南風白蘭:「つい先程……」
白南風白蘭:「…………」
新垣御守:「……そっか」
白南風白蘭:「……意識が戻られたそうです!わ~!よかったですね~!」ぱちぱちと拍手。
新垣御守:ずこーーーっ!
新垣御守:古典的にすっ転ぶ
日馬 美礼:「やあ、見事に膝から行ったね。大丈夫かい」
新垣御守:「……だからさぁ」
新垣御守:「クイズ番組大好きコンビか!!」
新垣御守:「ったくも~……」
新垣御守:パシパシと埃を叩きつつ
白南風白蘭:「田井中さんは道坂病院に入院中だそうです~」
白南風白蘭:「お見舞いに行くと入院患者は喜ぶ傾向が高いですよ~」
新垣御守:「オッケーオッケー、あー」
新垣御守:「林藤さんと仲良くするようにって、伝言といて」
白南風白蘭:「了解しました~」メモを取る。
新垣御守:「一段落ついたら美味いお菓子でも買っていってやんないと」
日馬 美礼:「ああ。身内への挨拶は、色々片付いてからだね」
新垣御守:安堵の表情で伸びをしつつ
新垣御守:「なんかオススメの店ある?美礼ちゃん」
新垣御守:「そういうの、詳しいって聞いてるから」
日馬 美礼:「あとでお使い用のデータベースでも渡すよ」
新垣御守:「ありがと、恩に着る」
新垣御守:ウィンクして
日馬 美礼:「どういたしまして」
新垣御守:「……死人はゼロ、か」
新垣御守:「私にはもったいない部下だよ。ホント」
日馬 美礼:「誇れるように、ぼくらも仕事の続きといこうか。ミモリ」
日馬 美礼:自分にとっての部下であるところの白蘭にウィンク。
白南風白蘭:「?」
白南風白蘭:首を傾げる。
新垣御守:「そうだね。がんばってよかったって、思えてもらえた方がいい」
新垣御守:「うし!気合い入れてくか!」
新垣御守:パシッと自分の頬を張りつつ、部屋を出ていく。
GM:時刻は零時を回ろうとしていた。君は疲れた足で、久々の家路を急ぐ。
GM:普段はただ寝に帰るだけのような家。この日もそうであるはずだった。
GM:だが、違った。
GM:君のマンションの前、路上に、ごく小さな赤い光が見える。
新垣御守:「……?」
新垣御守:目を細める
GM:目を凝らしてみると分かる。恐らくは、煙草の火だ。
新垣御守:いつものように、ドリンク剤入りのビニール袋を手に下げて
新垣御守:火の方に進んでいく。今度は取り落とさない。
新垣御守:「あのさ」
新垣御守:「路地は全区画禁煙なんだよ」
新垣御守:「今はそうなの、この国じゃ」
GM:近付いてみると、その輪郭が徐々に明らかになる。
GM:長い黒髪。ライダースジャケット。
GM:煙草の火が闇の中で動き、
GM:ふう、と煙を吐く音がする。
リリアナ:「……へえ、知らなかったよ」
リリアナ:月明かりに照らされたリリアナが、君を見て笑みを零す。
新垣御守:「覚えといた方がいいよ。どこもうるさいから」
リリアナ:「なるほどな」
リリアナ:煙草を地面に捨て、靴で踏み消す。
新垣御守:「私は吸わないけどね。今も」
新垣御守:こっちも、笑い返す。
新垣御守:涙腺が、今だって震えそうになるけど、耐えられる。
新垣御守:もう心は、ハッキリと定まった。
リリアナ:「そんな恰好して?」
リリアナ:じろじろと君を見る。
新垣御守:「これ?これは趣味じゃないってば」
新垣御守:「髪に合わせてんの。その方が分かりやすいでしょ」
新垣御守:「何かと、分かりやすいのが大事なわけ。立場があるとさ」
リリアナ:「立場ねえ」
リリアナ:つまらなそうに。
新垣御守:いつものように、あの日のように笑いかけながら
新垣御守:ポケットの中で、スマホを操作する。
新垣御守:録音と、位置発信。手がかりを少しでも握りたい。
リリアナ:「支部長だもんな、UGNの」
リリアナ:「……それでそんなに」
リリアナ:じっと君の手元を見る。
リリアナ:「薄情になっちまったのか?」
新垣御守:「……ち」
新垣御守:「どの口が言うんだか」
新垣御守:操作を止める。
リリアナ:「久々の再会ってのに、連れないな」
新垣御守:「大事な支部がめちゃくちゃなんだよ」
新垣御守:「妹分の食い扶持はどうなってもいいわけだ」
リリアナ:「たかが一人に制圧されるほうが悪い」
リリアナ:「ガッカリしたぜ。お前の支部って聞いて、期待してたのにな」
新垣御守:「うわっ、出てったくせに先輩面」
新垣御守:「そういうのウザがられるって、最近だと」
新垣御守:かつかつとアパートの階段を上る
リリアナ:「あー、ちょっと待て」
新垣御守:「……上がってかないの?」
リリアナ:「やめだ、やめ。こんな言い合いしに来たわけじゃねえんだよ」
リリアナ:頭をぼりぼり掻き、
リリアナ:「お前の部屋にもちょっとは興味はあるけどな」
新垣御守:「……だったら」
新垣御守:「何?」
新垣御守:スマートフォンの代わりに、死角で懐手
リリアナ:「うん、あれだ」
新垣御守:掴むのは、ナイフの柄。
リリアナ:「ラーメン食いにいこうぜ、御守」
新垣御守:「………………。」
新垣御守:「いや」
新垣御守:「さっすがに予想外だわ」
新垣御守:脱力する。
新垣御守:「……マジで言ってる?」
リリアナ:「離れて以来こっちの味が忘れらんなくてさぁ」
リリアナ:「向こうのはラーメンってより、ヌードルだろ、ありゃ」
新垣御守:「あー」
新垣御守:「ラーメンってさ、無いんだよね。結構、あのカンジ」
新垣御守:「いや、じゃなくて」
リリアナ:「ほら、さっさと行こうぜ。昼飯抜いてきてんだよ」
リリアナ:言うや否や、君に背を向け歩き出す。
新垣御守:「それでここまで来たわけ?」
リリアナ:「そうだけど?」
リリアナ:「ほら、忘れたか?」
リリアナ:「遅れた方の奢りだぞ」
新垣御守:「……」
新垣御守:呆然と、その背中を見て
新垣御守:「ちょっと、マジで……あのさぁ」
新垣御守:「ほんっと……ああ」
新垣御守:天を仰いで、目を瞑って
新垣御守:走り出す。リリアナの背中に向かって。
新垣御守:そのまま追い越していく。
新垣御守:「覚えてるよ!バカ姉!!!」
リリアナ:「……はっ」
リリアナ:リリアナはそれを見てひとつ笑い、歩みを早めた。
リリアナ:「まさかまだ残ってるとはなあ」
リリアナ:リリアナがラーメンを啜る。
新垣御守:「腕がいいんじゃないの。やっぱ」
新垣御守:こちらもずるずると
GM:かつて、任務の後によく二人で来ていた屋台。
GM:味はあの頃とまるで変わっていない。
リリアナ:「いいことだ。価値あるものが残るってのは」
リリアナ:ショウガをバサバサとトッピングしながら。
新垣御守:「……よく言うよ、ホント」
新垣御守:「マジで、分かってると思うけど」
新垣御守:「アンタ、やってる事的にも、目の前の人間との関係的にも」
新垣御守:「即、ぶっっっっっ殺されてもおかしくないんだからね」
リリアナ:「まあ、だろうな」
リリアナ:平然とした顔。
新垣御守:「……しょうが」
リリアナ:「ん?」
新垣御守:手を出す
新垣御守:「しょうがを渡せっつってんの」
リリアナ:「ん」
新垣御守:「ん」
リリアナ:ほとんど空になったそれを手渡す。
新垣御守:「……」
新垣御守:「おっちゃん!!しょうが!!ない!!」
新垣御守:「山盛りで!超特急で!持ってきて!!」
GM:「あら、ごめんねえ。今日はもう遅いから、切れちゃったんだよぉ」
GM:人の良さそうな老店主が、申し訳なさそうに言う。
新垣御守:「…………」
新垣御守:ゴン、とカウンターに頭を打つ。
GM:「ごめんなさいね」
新垣御守:「マジで」
新垣御守:「ぶっっっっっっ殺されても、おかしくないからね!!」
新垣御守:がるるるる、とリリアナを睨む。
リリアナ:「やらねーぞ」山盛りのしょうがをパクパクと口に運ぶ。
GM:そのまましばらく、二人でラーメンを啜り。
GM:不意に、リリアナが口を開いた。
リリアナ:「まあ、これが食べたかったってのもマジだけど」
リリアナ:「それだけじゃない。てか、んなわけねえだろ……」
新垣御守:「……」
リリアナ:「つまんねえ話がしたくなったんだよ」
リリアナ:器に視線を落としたまま話す。
新垣御守:「それだけじゃ、ダメなの?」
新垣御守:ぽつりと零す。
リリアナ:「…………」
リリアナ:その意味をおそらくは理解しつつ、
リリアナ:返答はしない。
新垣御守:「……ちょっと、ホントに、バカだな」
新垣御守:「すっげー、今、バカ言った……はは」
新垣御守:「こんな店連れてくるからだよ」
新垣御守:肘をカウンターについて
新垣御守:「話って?」
リリアナ:「…………ほんとに、つまんねえ話だよ」
リリアナ:「昔のお前には聞かせられなかったくらい、しょうもねえ話」
リリアナ:「……聞く気、あるか?」
新垣御守:「聞くよ」
新垣御守:「昔の自分と、今の自分は違う」
新垣御守:「どうにだって変われるから」
リリアナ:横目で、君を見る。
リリアナ:「……それ、点いてないよな」スマートフォンの録音のことを言う。
新垣御守:たん、とテーブルの上に置く
新垣御守:「ぶっ壊してもいいよ」
新垣御守:「私もさ、今は、色々整理ついたから」
新垣御守:「あの時、アンタに拾われた子供でもない」
新垣御守:「UGNの正義の味方でもない」
新垣御守:「……友達だから」
新垣御守:「聞かせてよ」
リリアナ:スマートフォンをちらりと見て、「……は、別にいいよ」
リリアナ:「親父さんにも聞かれちゃうしな」
新垣御守:「そりゃそうだ」
新垣御守:くくっと笑う
GM:老店主はさりげなく首を振る。客のことには関わらない主義らしい。
GM:少しの静寂の後、リリアナは静かに話し出す。
リリアナ:「私の母親はアメリカ人でな。父親はカルテルのギャングだった……らしい。名前も顔も知らないけどな」
リリアナ:「何せ母親は、物心付いた頃にはもう狂っちまってたからな。まともに話ができたことは一度もない」
リリアナ:「これも祖母……に当たる相手から聞き出したことなんだが、どうも母はメキシコ旅行中にカルテルの男に拉致されて、レイプされたらしくてな」
リリアナ:「その時、旦那になるはずだった相手も殺されたらしい。私を堕ろさなかったのも、既に正気じゃなかったんだろうな」
リリアナ:くく、と笑う。
新垣御守:「……身の上話なんて」
新垣御守:「初めて聞いた」
新垣御守:言葉少なに、結露のついたコップを口に運ぶ
リリアナ:「だから言ったろ。つまんねえ話だって」
リリアナ:「こんなの、誰にも話したことねえよ」
リリアナ:やや不服そうに。
リリアナ:「……で、私が生まれた。母親は子育てなんて出来る状態じゃないし、祖父母に当たる人らも引き取りを拒否したってんで、施設に入れられることになった」
リリアナ:「まあ……お決まりの話で、その施設ってのが酷い有様でな。なんとか逃げ出したのが8か9の頃かな」
リリアナ:「でも、そんな歳の子供があの国で一人で生きていくには、盗みか、麻薬に関わるか、売春しかない」
リリアナ:「私が選んだのは二番目だった」
リリアナ:「運び屋というか、使い走りだよな。警察も子供はよく調べないから、かなり白昼堂々運べるんだ。こう、クッキーが入ってるような紙袋に、コカイン詰めてさ」
リリアナ:懐かしむような口調。
リリアナ:「……で、初めて人を殺したのが11の頃」
リリアナ:「しつこく言い寄ってくる男に襲われそうになって、咄嗟に近くにあった銃でさ。たまたま頭に当たって、一発で死んじまった」
リリアナ:「でもそれが丁度、私が下っ端だったカルテルの縄張りを荒らしてたチンピラだったらしくてな」
リリアナ:「たんまり報酬を貰って、気付けばシカリオになってた」
新垣御守:「……それで」
新垣御守:「それが、その連中との付き合いが」
新垣御守:「今も続いてるわけ?」
リリアナ:「……まあ、それもあるな」
リリアナ:咥えた楊枝を動かす。
リリアナ:「つまりは、私はUGNからシカリオになったんじゃない。結局、元に戻っただけなんだよ」
リリアナ:リリアナは自嘲して笑う。
新垣御守:「なんでさ」
リリアナ:「ん」
新垣御守:「戻らない事は、選べなかったわけ?」
新垣御守:「手柄も立てて、本部にまで行って」
新垣御守:「なんでそれで、また」
リリアナ:「……どうだろうな……」
リリアナ:「他の道もあったのかもしれない。ただ、私には見えなかっただけなのかもな」
リリアナ:リリアナは黙り込む。
新垣御守:「……私じゃ」
新垣御守:「私じゃ足りなかったの?」
リリアナ:「………………」
新垣御守:「信じて欲しかったよ」
新垣御守:「変わるななんて、私が、助けてもらった私じゃ口が裂けても言えないけどさあ」
新垣御守:「自分のやった事は意味があるって、きっと価値があるって」
新垣御守:「私は、私は」
新垣御守:「アンタのなんなんだよ……」
リリアナ:「………………」
リリアナ:リリアナは一度、口を開いて何かを言おうとして、
リリアナ:それを、呑み込んだ。
リリアナ:「……続けるぞ」
新垣御守:何も言えない。
新垣御守:どれだけ押し殺そうとしても、頭の中のぐちゃぐちゃはすぐ湧き上がってくる。
リリアナ:「……シカリオになって何年か後に、オーヴァードに覚醒した。これでもう敵無しだと思った矢先に……UGNに捕まったんだ」
リリアナ:「最初は抵抗したけど……まともな教育も受けられて、身分も与えられて、エージェントにしてもらって……恵まれてたよな。ツイてたよ」
リリアナ:「……で、ある時、中国政府と連携して、ミャンマー辺りのオーヴァード関連テロ組織を叩こうってことになってな。私も駆り出された」
リリアナ:「……それで、その時……」
リリアナ:リリアナは少し言葉を切って、
リリアナ:「……お前と出会った」
リリアナ:褪せた瞳で、君のことを見る。
新垣御守:その目と向き合う
新垣御守:あの日、覗き込んだ瞳と
新垣御守:光は褪せても、同じ色だ
リリアナ:「……一目見て思ったよ。こいつは私に似てるって。理由は分からないけど、とにかくそう思った」
リリアナ:「お前といるのは、楽しかったよ。充実してたし、自分は正しいことをしているっていう実感が持てた」
リリアナ:「エージェントとして立ち直っていくお前を見てると、自分まで誇らしい気持ちになったよ。何だか、私の過去まで救われるような気がした」
リリアナ:リリアナの表情が綻ぶ。人生で最も輝かしい時期を回想する人間の顔。
新垣御守:じゃあ、なんで。
新垣御守:そう叫びそうになって、押し殺す。
新垣御守:きっとこの人は、それを話に来たんだから。
リリアナ:「……だからかな」
リリアナ:その表情に、影が差す。
リリアナ:「自分も、真っ当な人間になれるだなんて思っちまったのは」
リリアナ:リリアナは嘲笑する。過去の自分を、或いはその運命を。
リリアナ:「……UGN本部での仕事は、思い通りにいかないこともあったけど、やりがいがあったよ。自分でも、よく頑張ってたと思うぜ、本当」
リリアナ:「でもある日、気付いちまった。本部に流れる、不審な金の動きに」
リリアナ:「見ないふりすりゃよかったんだよな。でもその時は止められなかった。調子に乗ってたんだよ、要は。私がこの不正を暴いてやるって張り切ってさ」
リリアナ:「で、結局。私は本部の一部派閥が政府官僚に不正献金を行なってることを突き止めた。……突き止めちまった」
リリアナ:「……昔、お前と埠頭でFHチルドレンを捕まえたことがあっただろ。覚えてるか?」
リリアナ:話が不意に飛躍する。
新垣御守:「夜の……港で」
新垣御守:リリアナの紡ぐ言葉に呆然としつつ
新垣御守:記憶を辿り、呟く
リリアナ:「そう、それだ」小さく頷く。
リリアナ:「あの子、FHなんかに入っちまったのが悪運だっただけで、根はいい子でさ」
リリアナ:「ちょくちょく、その後も様子を見に行ってたんだ」
リリアナ:「…………」
リリアナ:リリアナの目が、暗く沈み込む。
リリアナ:「いつも予算カツカツのUGNが、どうやって不正献金なんて捻出してたか分かるか?」
新垣御守:「まさか……」
リリアナ:「……そう」
リリアナ:「……企業だよ。レネゲイドの研究データ、どころかオーヴァードやジャームそのものまで検体として、企業に横流ししてたんだ。よくある話だ。三位一体の腐敗だよ」
リリアナ:「名簿の中には、私達が助けたあのチルドレンの名前もあった。……いいや、助けたと思ってた、だな。結局、私らが殺したようなもんだ」
リリアナ:横顔に、深い悔恨を滲ませる。
新垣御守:「じゃあ、あの後」
新垣御守:「……そんな」
新垣御守:ただ、リリアナの横顔を見つめることしか出来ない。
リリアナ:「…………」胸元をさぐり、煙草が空であると気付き、しまう。
リリアナ:「……踏み込み過ぎたと気付いた時には、もう遅かった。私は危うく消されかけて、UGNを逃げ出すしかなくなった」
リリアナ:「……それで、故郷に帰ってきた。メキシコは世界でも特にUGNの立場が弱い地域だからな」
GM:FHと麻薬カルテルの台頭により、UGNメキシコは弱体化の一途を辿っている。確かに身を隠すには絶好の場所だろう。
リリアナ:「結局、正しい道を歩むどころか、お天道様の下を歩けなくなっちまったわけだ。UGNに戻ることも、まともな仕事に就くことも出来ない」
リリアナ:「それでまた、三択を迫られることになった」
GM:即ち、盗みか、麻薬か、売春か。
リリアナ:「敵対組織のオーヴァードを散々殺したよ。ギャングなんて言っても所詮アマチュアだ。UGNで訓練を積んだ私の敵じゃなかった」
リリアナ:「UGNからも何度か刺客が差し向けられてきたよ。一々確認はしてないけど、地元支部だけじゃなく本部のオーヴァードもいたと思う。あいつら、私が生きてると都合が悪いらしい」
リリアナ:また嘲るように笑う。
リリアナ:「戦って、戦って、戦い続けて。……戦い過ぎたんだな」
リリアナ:「ツケが回ってきた」
リリアナ:自らの掌を見る。
リリアナ:「UGNの調整も受けずに、対抗種のレネゲイドを使い続けたツケだ。全身あちこち喰われちまってさ」
リリアナ:「どうも、長くないらしい」
リリアナ:「気を付けろよ。お前も対抗種だろ」
リリアナ:はは、と笑う。
新垣御守:「……」
新垣御守:死ぬ。眼の前で笑っているこの人が。
新垣御守:報告にも、何らかの病を患っている、過労の可能性はあると、そう書かれていた。
新垣御守:本人の口から告げられて、絶対の事実として、それが杭のように胸に撃ち込まれる。
新垣御守:組織の腐敗、浅はかだった自分、リリアナに降り掛かったすべて。
新垣御守:ぐちゃぐちゃになった頭の中は、収まる気配がない。
リリアナ:「……で、だ」
リリアナ:「……最初は諦めて、適当に死んでやろうと思ったよ。自分のやってきたことを思い返して、バカみたいに教会に行ってみたりした。ウケるよな」
リリアナ:「でも、そんな時に久々にこの国に来て、考えが変わった」
リリアナ:「ここは、あまりに綺麗だった。記憶の中の美しい姿と、まるで変わらないままだった」
リリアナ:「正義が正義としてあり続け、子供は未来に希望を持って、誰もが暴力と死に怯えることなく暮らしている。それが当然であるかのように」
リリアナ:「……虫酸が走ったよ」
リリアナ:リリアナの顔が、歪む。
リリアナ:浮かんだその感情は、憎悪。
新垣御守:「……え」
新垣御守:混乱の中、その表情に
新垣御守:心のすべてが静止する。
リリアナ:「オーヴァードの苦しみを知らずに安穏と暮らしている人間が憎い、FHの連中はよくそんな理屈を吐くだろ」
リリアナ:「昔はそんなの分からなかった。自分勝手で愚かな話だってな。でも、故郷からこの国に来てようやく分かったよ」
リリアナ:「痛みを知らずに生きてる連中を、自分と同じところまで引き摺り下ろしてやりたいって気持ちがな」
リリアナ:「……痣徒会は全国に販路を持つ巨大組織だ。あそこに商品が流れれば、ドラッグとそれを巡る暴力は、一気に国全体に拡散する」
リリアナ:「撒かれた火種はもう収まらない。ドラッグの生み出す莫大な金とオーヴァードの絶対的暴力は権力を蝕んで、この国の基盤を根底から腐らせていくだろう」
リリアナ:「私はこの国を、地獄に変えてやる」
GM:そう言ったリリアナの憤怒と憎悪は、確かに真実のものだった。
GM:だが君は、恐らく世界で君だけは、その表情の中に、何か別のものを感じ取れる。
GM:それが何かは分からないが、世界そのものに向けられたような、果てしなく大きな怒りの底に、もっと大きな何かが隠されているかのような。
新垣御守:「あのさ」
新垣御守:「……あのさ」
新垣御守:拳を握りしめる。震えている。
リリアナ:「……」それを横目で見る。
新垣御守:「一息に、そんなこと言わないでよ」
新垣御守:「一つ一つ、こっちはさ、飲み込もうとしてるのにさ」
新垣御守:「ほんと、何ていうか……勝手だよ」
リリアナ:「私と何年もやってきて」
リリアナ:「今さら分かったのか?」
リリアナ:はん、と笑う。
新垣御守:バァン!!
新垣御守:カウンターを叩き、立ち上がり
新垣御守:リリアナの胸ぐらを掴む!
新垣御守:「分かってたよ……!分かってても……!!」
新垣御守:手が震えているのは、怒りのせいだ。
リリアナ:「……放せよ」
リリアナ:小さく呟く。
新垣御守:「なんで何にも言わないんだよ!!」
新垣御守:「なんで、一回でも」
新垣御守:「私に話してくれなかったの」
リリアナ:「……バカ、言えるかよ、こんなの」
リリアナ:胸倉をつかまれたまま。
新垣御守:「地獄に堕ちるにも一緒だって……」
新垣御守:「言ったじゃん……」
リリアナ:「……はは」
リリアナ:「よく覚えてたな、そんなこと」
リリアナ:「言って、どうなった」
リリアナ:「何かが変わったか?」
リリアナ:「お前も追われる身になって」
リリアナ:「それだけだ。何も変わらない」
新垣御守:「違う!!」
新垣御守:「1人と、2人は全然違うんだよ」
新垣御守:「違う答えが出せる、違う世界になる」
新垣御守:「……私は」
新垣御守:「アンタが教えてくれたことを……返したかった」
リリアナ:「……教えた、こと?」
新垣御守:「差し伸べられた手があれば」
新垣御守:「未来は選べるんだよ」
新垣御守:「……リリ姉」
リリアナ:リリアナは沈黙し、天を仰いだ。そうして長い息を吐き出す。吸ってもいない煙草の煙を、吐き出すかのように。
リリアナ:「……そうかもしれない」
リリアナ:「お前の言ってることは、正しいかもしれない」
リリアナ:「……でも、もう遅いんだ」
リリアナ:「そうはならなかったんだよ」
リリアナ:「……アニー……」
新垣御守:「そんな事……誰も決めてない」
新垣御守:「私が決めさせない」
新垣御守:「だから」
新垣御守:「私はアンタを諦めない」
新垣御守:「テロなんて間違ってるだの、子供を兵隊にするなだの」
新垣御守:「そういう話じゃない」
新垣御守:「……私は!」
新垣御守:「アンタの世界に1人になりたい」
新垣御守:「……リリ姉。隠さないで、何も」
新垣御守:至近距離で、まっすぐに見上げる。
新垣御守:「妬ましいから全員殺してやって、それで終わりなんて」
新垣御守:「そんなつまんないタマじゃないでしょ」
新垣御守:「ハッキリ言えよ!!」
リリアナ:少し、目を見開き。口元を笑みの形に歪める。
リリアナ:「……なんだよ」
リリアナ:「人にあれだけ言っておいて……」
リリアナ:「……お前も随分、勝手な奴だな」
新垣御守:「選んできたんだよ……ここまでずっと」
新垣御守:「だからこれは、アンタのせいだ」
リリアナ:「…………。 ……私の?」
リリアナ:君を見下ろすその距離は、かつてより幾分か近付いて。
新垣御守:静かに頷く。
新垣御守:「責任、取らせてやる」
新垣御守:「そう決めたから」
新垣御守:吐息の触れ合う距離で、見上げる
リリアナ:「……へえ」
リリアナ:「どうする気だよ」
リリアナ:笑みを浮かべる。
新垣御守:「アンタの妬みだの、憎しみだの、真っ向からぶっ潰して」
新垣御守:「ついでに、そう……ああ」
新垣御守:「大体ナメてんだよね!」
新垣御守:「私の代わりだとかいうさあ、ガキンチョ共も」
新垣御守:「尻蹴っ飛ばして追っ払う!!」
リリアナ:「ああ!?お前の代わりだぁ!?」
リリアナ:「っ……誰が言ってんだよ!そんなこと!」
リリアナ:声を荒げるが、
リリアナ:君は知っている。
リリアナ:それはリリアナが痛いところを突かれた時の反応だ。
新垣御守:「とぼけてんじゃねーよ!ロリコン女!!」
新垣御守:「マジで、マッジッでふざけてる!!」
新垣御守:「世界にも、その娘にとっても、そんでアンタにも」
新垣御守:「ありがたメーワクなんだよ!バーーーーカ!!!!!」
リリアナ:「ロ……!?この、お前……!!」
リリアナ:「お前、お前こそ……!」
リリアナ:「……あー……アレだ!」
リリアナ:「アレだお前、勝手に髪切ってんじゃねーよ!似合ってねーんだよ!バーーーーカ!!」
新垣御守:「うるッ!さい!」
新垣御守:「気にしてんだよ!この!!」
新垣御守:リリアナの髪を引っ張りだす
リリアナ:「いぃっってェなこの!放せよ!」
新垣御守:「アンタにッ……必要なのは……はぁッ……はッ……」
新垣御守:「ずっと私なんだよ!アンタの隣にいていいのは……」
新垣御守:「"アニー"だけなんだよ!」
リリアナ:「は、ははッ……!面白え……」
リリアナ:「なら………証明してみせろよ」
リリアナ:「力づくでな。お前の言う理屈、何もかも」
リリアナ:「"新垣御守"……!」
新垣御守:「……ッ」
新垣御守:振りほどかれて、よろめく
新垣御守:「……上等だよ」
新垣御守:「"リリアナ・マルティネス"」
新垣御守:息を切らしながら、睨みつける
リリアナ:にやりと、歯を見せて笑う。
リリアナ:「お前は、私には勝てないよ」
リリアナ:「お前はいつまでも、ガキのままだ」
リリアナ:リリアナの全身が、血液に置換されていく。
リリアナ:対抗種のレネゲイドに侵蝕された、その漆黒の血液が、
リリアナ:夜の闇へと、溶けるように消えていった。
GM:あとには、ただ君だけが残された。
新垣御守:「はー……はぁーっ……」
新垣御守:それを肩で息を切らしながら、見送り
新垣御守:ふらりと、屋台のカウンターに近づく。
新垣御守:「……おっちゃん」
新垣御守:「水…………。」
GM:「……はいよ」
GM:店主は何も聞かず、ただ冷たい水を差しだした。
GM:----------
GM:ロイスのみ可!
新垣御守:リリアナへの感情を変更
新垣御守:尊敬○/傾倒→恋慕○/執着で
GM:アイヤーーーーーー!!
新垣御守:Sロイス指定します
GM:アー!!アー!!!!
GM:了解です
GM:アーーー!!!
【Middle18 シーンPC:新垣御守 日馬美礼 豊島正則 矢ヶ崎藍華】
日馬 美礼:1d10+99
DoubleCross : (1D10+99) → 7[7]+99 → 106
矢ヶ崎藍華:93+1d10
DoubleCross : (93+1D10) → 93+5[5] → 98
豊島 正則:1d10+91
DoubleCross : (1D10+91) → 9[9]+91 → 100
新垣御守:1d10+73
DoubleCross : (1D10+73) → 8[8]+73 → 81
豊島 正則:グワーッ!?
GM:----------
GM:N市 市街
GM:----------
GM:取引当日。
GM:突入を目前に控え、君達は現場からやや離れたビルの屋上に待機していた。
GM:取引現場となるのは、白昼堂々、市内のレンタルホール。
GM:君たちのもとに、猫山が報告に訪れる。
猫山部長:「周辺住民の避難、まもなく完了だそうです」
日馬 美礼:「ありがとう、猫山さん。さて、しかし大きなハコを抑えたもんだ」
日馬 美礼:「品評会用かな」少し目を眇める。
新垣御守:「こそこそやってりゃいいのにね」
猫山部長:「あえて街中を選んだのは、こちら側のワーディングを容易に使わせない意図もあるかと」
猫山部長:「何せ痣徒の構成員は膨大ですからね」
猫山部長:「弾避けくらいにはなると思ったのかもしれません」
豊島 正則:「ま、元から気軽に使えるモンでもねえしな。UGN(ウチら)なら尚更だ」
新垣御守:「……」
新垣御守:この国を地獄に変える。
新垣御守:リリアナのその言葉を思い出す。
日馬 美礼:「もしくは、市内で戦争起こすのがサブプロットに入ってるか、かな」
日馬 美礼:「いずれ、やることは変わらない。優先順位は飲み込んでるかい?」
新垣御守:「もしくはもしくは、その辺見せといて」
新垣御守:「要は挑発だ。舐められてんね。ほんと」
猫山部長:「……それと、もうひとつ報告が」
日馬 美礼:「何かな。変な荷物でも紛れ込んでる?」
GM:君たちをちらりと見る。
GM:その中に、鴻上禮次郎の姿は無い。
猫山部長:「いえ、鴻上さんのことですが」
GM:彼はここ数日、姿を見せていない。
豊島 正則:「あっちはあっちの事情があんだろうと思ってたんだが…なんかあったのか、あのオッサンに」
猫山部長:「……昨夜、市内で大破炎上した車両が発見されまして」
猫山部長:「調べたところ、それが鴻上さんの車だったようです」
日馬 美礼:「行方不明と」
新垣御守:「そんくらいで死ぬようなタマじゃないだろうけど」
新垣御守:「間に合うのかね」
猫山部長:「ええ、被害状況からおそらくはオーヴァードによる襲撃を受けたものと見られます」
猫山部長:「……」
猫山部長:猫山は言葉を切り、
猫山部長:「……車内からは、体の一部……彼の腕が見つかったそうです」
日馬 美礼:「腕一本?」
猫山部長:「いえ」
猫山部長:「両腕、です」
日馬 美礼:「ふぅん」
新垣御守:「……拉致られたセンってのもあるわけね」
豊島 正則:「……そうか」
豊島 正則:大して多く話したわけではないが、思う所はあるのか。返す言葉は、極短い。
日馬 美礼:「弔問は、やるなら事件が片付いたあとにしよう。それと」
日馬 美礼:「猫山さん。予定の避難範囲さ。一ブロック外周まで伸ばしてもらうことは?」
日馬 美礼:「居住者数からすると、そう時間はかからないと思うけど」
猫山部長:「今からですか? 悟られないようにですから、少し難しいですが」
猫山部長:「……分かりました。やってみましょう」
日馬 美礼:「お願いします」
猫山部長:「ああ、報告は以上です。皆さん、ご武運を祈ってますよ!」
猫山部長:そう言って、早速部下たちに指示を出しに行く。
日馬 美礼:「……それじゃ、こっちも動こうか。予定通り、豊島くんは先行してもらって」
日馬 美礼:「ことが始まったあとは、矢ヶ崎くんをキャッチアップ。まあ、念の為だ。いつもどおりだと思ってもらっていいよ」
豊島 正則:「あいよ。…悪いな、俺の勝手で一番槍を貰っちまって」
豊島 正則:先行させてほしい、と言い出したのは自分だ。その理由までは話していない、が。
日馬 美礼:「適材適所さ。妥当だと思うから許可してる」
新垣御守:「まあね、むしろ」
新垣御守:「いつも任せちゃって悪いよ。ホント」
豊島 正則:「ハ。なんなら、お前らが来る前に片付けちまってもいいんだが」
豊島 正則:傷だらけの口元を歪めるように、小さく笑って。
豊島 正則:「…んじゃ、よろしく頼む」
新垣御守:「オッケ。背中は任せてね」
日馬 美礼:「ん。じゃあ、ミモリ。よろしくね」
豊島 正則:おう、と手を挙げてから。釣り竿ケースのような、細長い円筒形のウェポンケースを背負って。隣のビルの屋上、更にその隣、と。
豊島 正則:黒い影の残滓を散らしながら、跳び渡り、姿を消す。
GM:----------
GM:ホールには、所狭しと豪勢な料理や酒の類が並べられている。
GM:そこにひしめき合う人間たちは、皆ドレスやスーツで着飾ってはいたが、
GM:誰も彼も、裏社会の匂いを隠しきれてはいなかった。
GM:君達――ロス・サングレスの面々は既にホール内で待機していたが、痣徒会の主要幹部たちはまだ姿を見せてはいない。
アレハンドロ:「ビショップのバカはまだ来てねえのかよ、あいつ、ちゃんと来いって言っといたのに……」
GM:ネクタイをゆるめつつ、ぶつくさと文句を言うアレハンドロ。リリアナはつまらなそうに料理をつまんでいる。
チコ:「おいアヤカ!この肉めっちゃうまい!!」
チコ:分厚い肉をフォークで突き刺して、大声で。
矢ヶ崎藍華:「チコ先輩、またソースついてますよ!」
矢ヶ崎藍華:ふきふき
チコ:「むぐぐ……」
矢ヶ崎藍華:(……今日、だよね)
矢ヶ崎藍華:思わず真顔で、口を拭き続けてしまう
チコ:「ぐぐぐぐぐ……」
陈浩宇:「島崎、少しいいか」
陈浩宇:不意に君に声を掛ける。
矢ヶ崎藍華:「!」
矢ヶ崎藍華:「はいっ」
GM:ホールの隅で、人に聞かれないよう小声で話す。
陈浩宇:「いよいよ、今日ですね……」
矢ヶ崎藍華:「はい、今度こそ…」
矢ヶ崎藍華:強く両手を握って
矢ヶ崎藍華:「成功、させなくちゃ…!!」
矢ヶ崎藍華:皆に少なからぬ犠牲が出たことを聞いた
陈浩宇:「そうですね。前回のように、罠ではないようですが……」不安げに辺りを見回す。
陈浩宇:「突入後は混乱が予想されます」
陈浩宇:「くれぐれも、気を付けてくださいね……!」
矢ヶ崎藍華:チャンスがまた来るかもしれない。だが先延ばしになったぶん、犠牲が増える可能性は増大する
矢ヶ崎藍華:「はい!絶対に……」
矢ヶ崎藍華:今回で、終わらせなくちゃ
陈浩宇:「僕たちの潜入も、今日で終わり……だといいんですが……」
陈浩宇:「はやく帰って、ゆっくりしたいですよ。本当……」力なく苦笑する。
矢ヶ崎藍華:「大丈夫ですよ!」
矢ヶ崎藍華:「今日の日のために、支部長さん達が沢山準備してきたんですから…!」
陈浩宇:「……! そ、そうですよね……!」
陈浩宇:「ありがとうございます。いや、僕の方が励まされてしまいましたね……」
陈浩宇:「……頑張りましょう!」
矢ヶ崎藍華:「はいっ」
矢ヶ崎藍華:チリチリと、レネゲイドのうねりを感じている。侵蝕が高まっている感覚だ
GM:その時、ホールにざわめきが起きる。
矢ヶ崎藍華:「……?」
GM:見ると、ちょうど痣徒会の幹部たちが入場してくるところだ。
矢ヶ崎藍華:(来た…)
GM:枯れ木のような老人が、見たところリーダーらしい。その周囲に君が見たインテリ風の男と、さらに何人かの幹部が控えている。
陈浩宇:「おっと……! 戻りましょうか」
矢ヶ崎藍華:「はい。ここで怪しまれるわけにはいきませんよね」
矢ヶ崎藍華:「じゃあ…お気をつけて」
陈浩宇:「はい。矢ケさ……島崎さんも」
GM:「本日はお招きいただき、ありがとうございます」
アレハンドロ:「いいえぇ。こちらこそ光栄ですよ!我々のような新参者にチャンスを頂けて……」
GM:しばらく、肩書通りの社交辞令が交わされていたが――
GM:その空気は、唐突に一変した。
GM:若頭の隣に控えていた男が、ふと君に目をやり、表情を変える。
GM:「……!」
矢ヶ崎藍華:「……?」
GM:そして慌てて、若頭へと何か耳打ちをする。
GM:途端に、若頭の表情が一変した。
GM:「……まんまと一杯喰わされたようですね、ロス・サングレスさん」
アレハンドロ:「……ん……?」
アレハンドロ:「ええと……何のお話でしょうか……?」愛想笑いを浮かべる。
GM:「いや、貴方たちも喰わされた側、かな?」
GM:若頭は君たちから――いや、君からゆっくりと距離を取る。
GM:その前を、武装した部下たちが固める。
矢ヶ崎藍華:「……!?」
矢ヶ崎藍華:(え…え……?)
矢ヶ崎藍華:まさか、バレた…?
GM:「この街……N市でこんな稼業をやるっていうのはね」
GM:「即ち、オーヴァードと関わっていくことと同義でね」
GM:「いけ好かないFHの連中とも時には仲良くしながら」
GM:「必死に自分のとこに新しい人材を抱え込もうとしてるわけだ」
GM:「当然、不倶戴天の敵になるのは……」
GM:「UGN」
アレハンドロ:「な……!?」
アレハンドロ:驚愕の目で、君を見やる。
矢ヶ崎藍華:「ええ…?」
矢ヶ崎藍華:必死に呆れたような表情を浮かべる
矢ヶ崎藍華:大丈夫だ。こないだUGNとは関与してないという話はした
矢ヶ崎藍華:同じ態度を続ければいいはずだ…!
GM:「ウチじゃあ市内の支部の位置もいくつか把握しててね」
GM:「普段、こいつはその見張り役なんですよ」傍らの男を示して。
GM:「そこの子供」
GM:明確に、君を指し示す。
GM:「UGNに出入りしてたらしいですよ」
GM:「どう考えます? これを」
アレハンドロ:「なっ……! なっ……!?」口をぱくぱくさせ、男と君を交互に見る。
陈浩宇:「……!」
矢ヶ崎藍華:「いつの、話ですか?」
矢ヶ崎藍華:「ここの人たちには話したんですけど、そりゃ1回くらいはチルドレンの試験を受けたりしましたが、それっきりですよ……?」
GM:「何か月か前、繰り返し複数回」
矢ヶ崎藍華:「…………」
GM:「通ると思うかい?いや……」
GM:アレハンドロを見て、
GM:「通すのですかな? お宅では、そんな言い訳を」
矢ヶ崎藍華:血が音を立てて引いていくような感覚を感じる
矢ヶ崎藍華:どうして どうして いちばん大事な時に
アレハンドロ:「おっ……お前ぇ……!」怒りの篭った目を君に向ける。
アレハンドロ:「マルティネス!おい!なんで黙ってる!!」
リリアナ:「…………」
リリアナ:リリアナは黙したまま何も言わない。
リリアナ:それどころか、その口元を僅かに歪ませる。
アレハンドロ:「お前に任せた部下だろうが!お前の……!」
アレハンドロ:「……!? まさか、お、お前、知って……!?」
GM:痣徒会の銃口が、一斉に君に向けられる。
GM:「ネズミは殺さなくちゃならない」
矢ヶ崎藍華:「−−−−」
GM:「まさか異論はありませんね?」
矢ヶ崎藍華:高級なホテルにそぐわぬ…寂れた場所の埃の匂い
アレハンドロ:「…………」半ば放心したような顔。
矢ヶ崎藍華:いつになく強く、あの時の匂いを感じている
GM:「こうなった以上、どのみち取引は中止ですが」
GM:「それはそれ、です」
GM:「ケジメは付けさせていただきますよ」
GM:男達が構えた幾つもの引き金が、同時に引かれそうになった時――。
GM:彼らの全身に、影で編まれた異形のヒトガタが絡みつく。
矢ヶ崎藍華:「!!!」
GM:「なっ!?」「うぉおお!?」
GM:突然の予想外の事態に、慌てふためく男達。
矢ヶ崎藍華:(これって)
矢ヶ崎藍華:そう、あの時
矢ヶ崎藍華:埃の匂い、鉄錆の匂い、鮮血の匂い
矢ヶ崎藍華:そして−−−
豊島 正則:「取引がご破算ってんなら…」
豊島 正則:部屋の中や扉の外ではなく。上。天井の向こうから、声がする。
豊島 正則:天井に、染みのような影が一点。それがじわりじわりと広がり、ひび割れ、そして。
豊島 正則:「もう、忍ぶ必要も無えってワケだ」
豊島 正則:粉々に砕け散る影の破片と共に。白い包帯をはためかせながら、ホールに飛び降りる。
矢ヶ崎藍華:「−−−先輩。」
矢ヶ崎藍華:急激な緊張と弛緩で笑いだしてしまいそうだった。これじゃあまるで覚醒した日と同じじゃないか
豊島 正則:「悪いな、遅くなった。…しかしまあ、飛び込んだはいいものの」
豊島 正則:「えらく切羽詰まってんじゃねえか。ここにいる誰も彼もがよ」
矢ヶ崎藍華:「~~~っ!!」
矢ヶ崎藍華:「先輩~~っ!!」
矢ヶ崎藍華:気づいた時には駆け出して、思いっきり飛びついてしまう。完全に反射的な動きだ
豊島 正則:「っと…」
豊島 正則:右手に槍を持ったまま、その身体を左腕で抱き寄せる。
GM:「……おい!何してる!さっさと殺せ!!」
GM:突然の事態に呆けていた男達が、豊島に向け一斉に銃を構える。
GM:瞬間、
GM:ホールに、何か小さなものが投げ込まれた。
豊島 正則:魔眼を槍の切っ先に展開、盾としようとする…が。
GM:豊島とリリアナだけが、それに反応する。
豊島 正則:「…!」
豊島 正則:咄嗟に槍を手放し、右手で藍華の目を塞ぐ。
リリアナ:「全員目ェ瞑って伏せ……!」
GM:閃光。
GM:一瞬遅れて、甲高い破裂音。
GM:「突入ッ!!」
GM:号令と共に、捜査員たちが現場に雪崩れ込む。
新垣御守:ザ ッ
新垣御守:捜査員と共に突入、豊島さん達の元へ一足飛びに。
新垣御守:「オーケー。矢ヶ崎ちゃんは確保よし」
豊島 正則:「…くそ。そういやそんな手はずだったよなぁ…!」
日馬 美礼:「じゃ、あとは制圧。本命は……」
新垣御守:「あー、私が第2支部長だけど」
新垣御守:「挨拶とかは後ね。とりあえずよろしく」
リリアナ:「…………」
リリアナ:うっすら笑みを浮かべ、新垣を見つめる。
新垣御守:「……逃げたりしないわけだ」
新垣御守:「今度はしょーもない等身大フィギュアとかじゃないよね?」
矢ヶ崎藍華:「…はいっ」
矢ヶ崎藍華:抱きつき姿勢から降り立って、髪留めを外す。やるべきことは分かる
GM:現場は途端に混乱に包まれた。抵抗するヤクザ達を、武装した捜査員が次々と捉えていく。
チコ:「ね、姉さん!逃げましょう!姉さん!」
チコ:チコがリリアナにしがみつく。
チコ:「今ゲートを……!」
豊島 正則:「…とまあ、そういうワケだ。大人しくお縄についてくれりゃあ有難いんだが」
豊島 正則:「…そうも行かねぇか」
GM:その時、ホールの外から異音が鳴り響く。
GM:カ ァ ン !!
GM:混沌を切り裂いたのは、拍子木を打ち鳴らしたような、聴きなれない高音。
GM:同時に、ホールを一条のプリズム光が貫いた。
GM:斜線上にいたヤクザと捜査員たちとが、一瞬で蒸発する。
矢ヶ崎藍華:「…!?」
GM:光はチコの肩口を掠め、鮮血が迸る。
チコ:「う……あぁぁッ……!?」
リリアナ:「!! おい!!」
矢ヶ崎藍華:「あ………?」
豊島 正則:「くそ、また問答無用かよ…!」
日馬 美礼:「……さて、本部の政争がどうなってるのか、最後まで確認できなかったわけだけど」
日馬 美礼:「ここまで見境なしか。参ったね」
GM:どろどろに溶解した壁の向こうから、異形が姿を現す。
GM:全身純白の、エナメルめいた輝き。先日君たちを襲ったのと同一の相手だ。
豊島 正則:「…だろう、な。オーダーとしちゃ、大方こんなところだろ」
豊島 正則:「全部、なかったことにしろ」
新垣御守:「出たとこ勝負にしといたのが裏目だねこりゃ」
新垣御守:「……ま、いちいち裏とってる尺ないっつーの」
新垣御守:異形に向けて忌々しげに目を細める。
チコ:「ね、姉、さん……!」
チコ:大量の流血が、ドレスを濡らしていく。
矢ヶ崎藍華:「……っ!!」
GM:捜査員たちが発砲するが、純白の装甲には傷一つ付かない。
豊島 正則:「…巻き込まれた連中は言うまでも無ぇが。そっちの子も」
豊島 正則:ちらりと、背後の光景。血を流す少女に視線。
ヴァルチャー:「…………」
ヴァルチャー:どこか鳥を思わせる、曲線で構成された外骨格。表情の伺えない頭部を、君達に向ける。
矢ヶ崎藍華:「抑えたほうが、良いですよね」
矢ヶ崎藍華:ぢり
矢ヶ崎藍華:能力が凝縮されていく
矢ヶ崎藍華:「大丈夫」
豊島 正則:「…藍華?」
豊島 正則:応える声に、不安が混ざる。
矢ヶ崎藍華:頭上に火球は灯らず、にもかかわらず影は淀みを増していく
日馬 美礼:「まずい。豊島くん」
矢ヶ崎藍華:灯は、コントロールのために編み出した手法だ。それを無しで能力を行使することも出来る
矢ヶ崎藍華:だが、その挙動は
矢ヶ崎藍華:「今度は、ちゃんと」
豊島 正則:「…ち!」
日馬 美礼:「抑えて!」
豊島 正則:無理だ。駆動を始めた力を、抑え込むことはできない。
豊島 正則:ならば。藍華の力が発動した、その後に出来るのは、ただひとつ。
新垣御守:「……豊くん!」
ヴァルチャー:「……!」膨大なレネゲイドを感知し、動きが止まる。
矢ヶ崎藍華:「一撃で、楽にしてあげる」
矢ヶ崎藍華:ぢ
豊島 正則:駆け出す。向かう先は、藍華の視線の中心点。
矢ヶ崎藍華:足元の淀みが爆発的に隆起し、殺到する!
矢ヶ崎藍華:狙いは白い異形と…チコ!
チコ:「……アヤ……カ……?」
チコ:流血に塗れつつ、呆然とした顔。
豊島 正則:「……!」
豊島 正則:盾、ではない。魔眼の出力を最大にし、空間自体を一時的に歪めて。
豊島 正則:収縮し爆発する空間、その焦点を、自分の下へと引き寄せる。
矢ヶ崎藍華:「え」
矢ヶ崎藍華:はずみのついた淀みは止まらない。収束した地点で黒い球体と化し、“範囲内”のものを握りつぶす
豊島 正則:「ぐ…おぉ…ッ!?」
豊島 正則:唖然とする綾香の視界の中で。包帯に包まれた左腕が、球体に呑み込まれ。
豊島 正則:血煙すら残すことなく、爆ぜ消える。
豊島 正則:「…ハ。腕一本で済んだなら上等か…!」
矢ヶ崎藍華:「−−−−」
豊島 正則:無論、無事で済む算段があったわけでなく。身体に染み付いた何かが、ギリギリ致命傷を避けさせただけのこと。
矢ヶ崎藍華:からん、と。周囲の喧騒の中でも、豆粒大のサイズに潰れた腕だったものが地面に落下する音が耳に届く
ヴァルチャー:「…………!」
ヴァルチャー:凄まじい破壊力を目にしてか、ヴァルチャーは輪郭を歪ませるようにして姿を眩ませる。
矢ヶ崎藍華:「……いや」
矢ヶ崎藍華:「いやあああああああ!!!」
矢ヶ崎藍華:膝から崩れ落ち、淀みの中にしゃがみ込んでしまう
豊島 正則:姿を消した白い異形を、一瞬視線が追うものの。
豊島 正則:響き渡る悲鳴と痛みに、意識は引き戻される。
チコ:「……ヤバい……! 姉さん! 逃げ……!」
GM:チコが咄嗟に、仲間を逃がそうとゲートを開こうとする。
陈浩宇:「く……そ……っ……!」
陈浩宇:宇都宮は逡巡したが、
陈浩宇:「畜生っ!!」
陈浩宇:拳銃を抜き、チコの胸を撃ち抜いた。
チコ:「あ……れ……」
矢ヶ崎藍華:「あっ」
チコ:血を吐いて、ゆっくりと倒れる。
チコ:「ねえ……さ……」
リリアナ:「……チコッ!!」
GM:同時に、天井に空いた穴から、陈のもとに影が差す。
豊島 正則:「……ああ、くそ。結局、こうなっちまうか…!」
陈浩宇:「――え」
GM:ど ぐしゃ
GM:遥か上空から落下した巨大な何かが、
GM:彼の全身を一瞬で圧し潰す。
矢ヶ崎藍華:「 」
猫山部長:「……宇都宮くん!!」
猫山部長:対ワーディングマスクの奥で、猫山が細い目を見開く。
GM:土煙の中から姿を現したのは、フレデリック・ビショップ。異形と化した腕で、掴んだ宇都宮の頭部を握り潰す。
ビショップ捜査官:「オイオイオイオイ何だよ何だよ何だよ何だよ……」
ビショップ捜査官:「ちょぉっと遅刻したと思えば……」
ビショップ捜査官:「すっげーーえ面白そうになってんじゃねえかよ!! はははははッ!!」
豊島 正則:「…テメェか」
矢ヶ崎藍華:瞬間的に、こころとからだが切り離されていく
矢ヶ崎藍華:埃、鉄錆、鮮血
矢ヶ崎藍華:矢ヶ崎藍華という個人の意志から切り離されたそれが
矢ヶ崎藍華:360度、見境なく伸び始めた…!
豊島 正則:見知った少女が、死を撒き散らそうとするその光景が、不思議と懐かしく感じられたからか。
ビショップ捜査官:「……んだ、こりゃ……!?」
新垣御守:「ああ……くそ!」
新垣御守:タンッ タンッ
新垣御守:「誰も彼もだよ……!」
新垣御守:影を躱しつつ、リリアナからは視線を切らない
リリアナ:彼女も同じように、混沌の中で新垣を見つめる。
新垣御守:「こうしたかったワケ!?これが見たかったの!?」
新垣御守:「……答えろッ!リリアナ!」
リリアナ:――リリアナは、何も答えない。
豊島 正則:「……美礼、一旦離れてくれ。それと、御守のことも頼む」
日馬 美礼:緊急退避の信号を全力でぶちまけて。
日馬 美礼:「ミモリ」
日馬 美礼:「退くよ。下と警察は動いてる」
新垣御守:「……ッ」
新垣御守:リリアナへと向かおうとする脚を止めて
日馬 美礼:「退くんだ」上着の裾を強く引く。
新垣御守:タッと、影を躱しつつ日馬さんの傍へ
新垣御守:「……分かってるよ」
新垣御守:引く手を軽く払いつつ
新垣御守:「悪い、やっぱ……うん」
新垣御守:「居てくれてよかったよ。美礼ちゃん」
日馬 美礼:「いいさ。これが仕事だ」
日馬 美礼:「あとは、終わってからにしよう」
新垣御守:リリアナとビショップを睨みつつ
新垣御守:負傷した捜査官たちを一人二人掴みながら
新垣御守:脱出に向かう、矢ヶ崎に対峙する豊島とすれ違う瞬間。
新垣御守:「豊くん、任せられる?」
豊島 正則:「ああ。…大丈夫だ、死なねえよ」
新垣御守:「……だよね。じゃあもう一回」
新垣御守:「アンコールだ。信じてるよ」
新垣御守:一瞬だけ視線を合わせて、建物を脱出する。
豊島 正則:おう、と軽い声で応える。
チコ:「ねえ……さん……」
チコ:ドレスを血に染めたチコが、力を振り絞って頭上に大量のゲートを展開する。
リリアナ:「馬鹿!!やめっ……!!」
GM:瞬間、ゲートに呑み込まれ、カルテル構成員たちは姿を消す。
GM:辺りは途端に、廃墟のように静まり返る。
GM:後に残されたのは、ただ二人。
GM:矢ヶ崎藍華と、豊島正則。
豊島 正則:「…ったく、何もここまで再現しなくてもいいだろうに」
豊島 正則:自分たち以外がいなくなったことを確認してから。場違いな、不敵な苦笑い。
矢ヶ崎藍華:「 あ」「あ れ………?」
矢ヶ崎藍華:なにしてたんだっけ
矢ヶ崎藍華:わたし、現場で待ってて、ばれそうになったら先輩が来てくれて、それで
豊島 正則:「あの時も、もう周りに立ってる奴は誰もいねえってのに」
豊島 正則:「所構わず、手当たり次第に潰してやがったな、お前は」
豊島 正則:今起きていることを説明するように、言葉を紡ぎながら。ゆっくりと、一歩ずつ。藍華へと歩みを進める。
矢ヶ崎藍華:「………!!!先輩…うで……」
矢ヶ崎藍華:誰がやったのか、もう分かっている。
矢ヶ崎藍華:努力を惜しんだつもりはない。 誰かを恨むつもりもない。
矢ヶ崎藍華:それでもまた、私は私に絶望している。
矢ヶ崎藍華:「こないで」
矢ヶ崎藍華:「もうこないで、先輩」
豊島 正則:「…いや、威力と精度で言やああの時以上だ。こんな形で成長を実感するたあ、思っちゃいなかったが」
豊島 正則:告げられた言葉を無視するように、また一歩。
矢ヶ崎藍華:「来ないでっ!!!」
矢ヶ崎藍華:私は“黒色矮星(ブラックドワーフ)” 最も冷たく、最も暗い星の亡骸
矢ヶ崎藍華:ひたすらに近づく光を飲み込む、星の最期
矢ヶ崎藍華:はは、今は文字通りじゃないか。
矢ヶ崎藍華:どこかで冷笑をする心
矢ヶ崎藍華:「もう……私は、だめなんです」
矢ヶ崎藍華:「このまま、終わらせてください」
矢ヶ崎藍華:へたり込んだ足元の影はふつふつと沸き、少しずつ体を地面より低い位置へ沈めている。
豊島 正則:「……そうだな。お前が、もう駄目だと思ったら。お前が化物になっちまったんなら」
豊島 正則:「俺が、お前を殺してやる。……確かに俺はお前に、そう言った」
豊島 正則:この街に来て間もない頃。他支部管轄地区への応援として引っ張り出された現場。
豊島 正則:そこで交わした会話は、約束は。今思うと、彼女をこちら側に引き戻すにしては、あまりに物騒であったけれど。
豊島 正則:こうして、現実となって、目の前にある。
矢ヶ崎藍華:「やめて…もう、これ以上近づかないで…」
矢ヶ崎藍華:汚濁の泡が足元の影から浮き上がっては、破裂音と共に爆縮し潰れる。常人ならば直撃どころか余波ですら重傷を追いかねない。
豊島 正則:「……そうだな。今そうしてやるのも、悪くねえが」
豊島 正則:周囲に満ちる”死”そのものを無視するように、無造作に歩みを進める。
豊島 正則:無論、一歩の度に肉は削がれ、血は流れ、傷は増えてゆくが。
豊島 正則:それでも、死には半歩届かない。届かせてくれない。
矢ヶ崎藍華:歩みを止めず、傷つく様を見て心を痛め、更に淀みはうねる。
矢ヶ崎藍華:止まって 止まって
豊島 正則:止まらない。生きている限り、止まれない。
豊島 正則:そして、この身体は、心は。生きることを、手放させてはくれない。
豊島 正則:……そう、たとえ。
矢ヶ崎藍華:バジュッ
豊島 正則:「……」
豊島 正則:視線を、自分の足元へ。
矢ヶ崎藍華:下腿を丸くくり抜くように、泡が弾ける
矢ヶ崎藍華:「………!!」
矢ヶ崎藍華:「もう……」「やめて…………」
矢ヶ崎藍華:「先輩が、しんじゃう」
豊島 正則:肉が球場に抉られ、一瞬遅れて、左足の腿から下が消し飛ぶ。そのまま、べしゃりと。血と泥の水たまりに、正面から倒れ込む。
豊島 正則:「死なねえよ」
豊島 正則:……たとえ、腕の一本、足の一本が消し飛ばされても。
豊島 正則:右腕一本で、槍を杖代わりに立ち上がり。また一歩、一歩と。
矢ヶ崎藍華:影とは違う、温かい流体で手が濡れていることに気づく。
矢ヶ崎藍華:最初から、ずっと泣いていた
豊島 正則:「……なあ、藍華。俺は、これまで沢山殺してきた。化物も、なりかけも、そしてきっと、そのどちらでもない奴も」
豊島 正則:「……ああ、そりゃあきっと、正しいことだった。さっき女の子を撃った奴も、きっと、それが正しいと思ったからそうした」
矢ヶ崎藍華:「私は、正しくなんてありません」
矢ヶ崎藍華:「私はあの日、沢山の人を傷つけました。」「癒えない傷を沢山つけてしまいました。」
矢ヶ崎藍華:四肢を失った人。失明した人。子供が産めなくなった人。
矢ヶ崎藍華:「一度でも良いから、私はそういう人たちに謝りたかった…でも、出来ないんです。」
矢ヶ崎藍華:一般人への記憶処理。カバーストーリー。“あれは事故だった”。
矢ヶ崎藍華:「…ふとした時に、あの時の匂いがします。埃、鉄錆、鮮血…皆さんの、呻き声…」
矢ヶ崎藍華:「……それは、私が乗り越えるべきだと思っています」「なのに」
矢ヶ崎藍華:「……思ってしまった」
矢ヶ崎藍華:“いっそあの時、この人達が死んでいたら、私は苦しまずに済んでいた”
矢ヶ崎藍華:「愚かな考えです。間違っています。何も生み出さない最低の答えです。」
矢ヶ崎藍華:現に今、自分はチコを失ったことで苦しんでいる。わかっていたことなのだ
矢ヶ崎藍華:「なのに」「なのに…私は…!!」
豊島 正則:「……そうだな。お前がやったことは、正しくない。お前がそう考えてることは、正しくない」
豊島 正則:あっさりと肯定する。当たり前だ、とでも言っているように聞こえる声で。
豊島 正則:「でもな、藍華」
豊島 正則:足を片方失った分、歩みは遅くなる。それでも、半歩ずつでも。
豊島 正則:「お前は、自分のやったことを覚えている」
豊島 正則:「今回起こったことも、きっと、お前をこれから苦しめる」
豊島 正則:「……確かに、お前にとっちゃ一方通行の罪悪感だ。行き場のない苦しみだ」
豊島 正則:「それを、俺が肩代わりしてやることは出来ない。この世の誰にも、それは出来ない」
豊島 正則:ぽたり、ぽたりと。足から、砕けた腕の断面から、血が滲み、雫となって落ちる。
豊島 正則:「でもな。お前が苦しんでる限り、お前の中には」
豊島 正則:「生きている。お前が傷付けた誰かも、もう何も言えない誰かも」
豊島 正則:「お前は、背負って生きている。……そうしてる限り、お前は化け物じゃあ、ない」
矢ヶ崎藍華:「…せん、ぱい……」
豊島 正則:「だからな、藍華」
豊島 正則:半ば、力尽きて倒れるかのように。沈みゆく藍華の前に膝を突く。
豊島 正則:「俺は、お前を殺さない。殺したくない」
豊島 正則:「……頼む」
豊島 正則:「俺に、お前を、殺させないでくれ」
豊島 正則:願うように、手を伸ばす。
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:何もかもがまっくらなままだ。でも
矢ヶ崎藍華:まっくらな中で、それでも温かい闇が伸ばされている
矢ヶ崎藍華:…もう、暗い中で、一人で沈んでいくのは、嫌だ
矢ヶ崎藍華:叱られないかと怯えるような子供のように、恐る恐る伸ばされた手を取って
矢ヶ崎藍華:自分だけの凶鳥を抱き寄せる
矢ヶ崎藍華:……影は、自然と落ち着いていく。
豊島 正則:引き上げる、のではなく。彼女は最初からずっと、そこにいた。だから。
豊島 正則:引き寄せられるかのように、腕一本、足一本分軽くなった、傷だらけの身体を投げ出す。
矢ヶ崎藍華:「ごめんなさい、先輩……」
矢ヶ崎藍華:「こんなに、怪我をさせてしまって」
豊島 正則:「死にかけんのはいつものことだ。気にすんな。…ってもまあ、お前は気にするに決まってるからな」
豊島 正則:「借りはゆっくり、時間をかけて返してくれりゃあいい」
矢ヶ崎藍華:「はい…は゛い゛っ……」
矢ヶ崎藍華:それからひとしきり、静かに泣いて
矢ヶ崎藍華:「……リリアナさん達を、追いましょう。」
矢ヶ崎藍華:「私がやったことです。私自身でけじめをつけたい。」
豊島 正則:「ああ。やることはまだ残ってる。…話をしなきゃいけない奴も、な」
矢ヶ崎藍華:髪留めは、つけない。姉からもらった大事な物を、今は汚したくないし
矢ヶ崎藍華:何より皮肉なことに、能力の使い方を今の出来事である程度心得てしまった
矢ヶ崎藍華:「先輩、勇気をもうちょっと下さい」
矢ヶ崎藍華:ぎゅ~~~~っっと。体を密着させて、鼓動の暖かさを感じて
矢ヶ崎藍華:立ち上がります。
日馬 美礼:その空気をまるで無視するように。きゅるきゅると、わざとらしくかすかなモーター音。
矢ヶ崎藍華:「…日馬、さん」
日馬 美礼:「話はもういいかい?」
豊島 正則:「……やっぱ来やがったか」
矢ヶ崎藍華:「はい。……すいませんでした」頭を下げて
日馬 美礼:「そりゃ現場責任者だぜ? 様子くらいは伺ってるって」
豊島 正則:感じた体温を名残惜しく感じながら、笑う。
矢ヶ崎藍華:「どんな処分でも受けます。」
矢ヶ崎藍華:「ですから、まだ続けさせて下さい」
矢ヶ崎藍華:唇をかたく結んで、
日馬 美礼:「何言ってんだきみは?」人の悪い笑顔。
日馬 美礼:「あのさ矢ヶ崎くん。きみ、自分が何やったかわかってるかい?」
矢ヶ崎藍華:「えっ…?」
日馬 美礼:「不幸な事故で潜入任務を最後の最後でご破産にされて、挙げ句に"外部"の介入で現場はむちゃくちゃ」
豊島 正則:「……ここに来て降ります、は通じねえわな」
矢ヶ崎藍華:「ぼ、暴走して…」ちらりと先輩を見る。生々しく残る傷跡。「味方を傷つけてしまいました…」
日馬 美礼:「問題。きみ、うちとか警察に被害出してると思う?」
日馬 美礼:「豊島くんはいいんだよ。怪我するのが仕事なんだから」
矢ヶ崎藍華:「………」
豊島 正則:酷ぇな、と日馬の言葉を笑い飛ばす。
日馬 美礼:「気分が悪いからって処分申し出られても困るんだよね。ということでこっちに合流」
矢ヶ崎藍華:「…日馬さん」あえて支部長を外して
日馬 美礼:「何かな」
矢ヶ崎藍華:「性格悪いって、言われませんか?」
日馬 美礼:「よく言われるね」くふふ。と笑って。
日馬 美礼:「じゃあ次だ。豊島くん、立てるかい?」
豊島 正則:「問題ない、と言いてぇが厳しいな。……というわけでだ、美礼」
豊島 正則:「3つ、頼みがある」
日馬 美礼:「内容によるね。どうぞ」
豊島 正則:「ひとつ。さっきの騒ぎで出た怪我人の手当と、死んだ奴の…ああ、後のこと。これは頼むまでも無えな」
日馬 美礼:「仕事だからね。もうスタッフが動いてる。2つ目は」
豊島 正則:「ふたつ。藍華に、何か着替えを。……ドレスも悪かねえが、俺の血で随分汚しちまった」
矢ヶ崎藍華:「えへへ…」
矢ヶ崎藍華:無理やりといった様子で笑う
日馬 美礼:「手配させよう。それから?」
豊島 正則:ああ、と頷いて。
豊島 正則:「みっつ。俺の腕と足、形だけ、なんならガワだけでもいい。どうにかできるか。いや」
豊島 正則:「お前なら、できるはずだ」
日馬 美礼:「ぼくにはなんもできないって。ただ、うちはスタッフが優秀だからね」
日馬 美礼:かしゅ、と小さな音がして、車椅子の脇から無針注射器が転がり落ちる。
豊島 正則:「……お前、それの中身は」
日馬 美礼:「事件が長期化しすぎてるからね。リザレクト限界超えたときのための保険」
日馬 美礼:「うちで研究してるウロボロス血清だよ。リザレクトを暴走させて無理矢理再生させるやつ」
日馬 美礼:人の悪い笑みを貼り付けたまま。
日馬 美礼:「使うと死ぬほど疲れるからね。ろくに休憩時間もないが、まあ、戻るまで労ってもらうといいよ」
豊島 正則:「……話にゃ聞いてたが、あいつ抜きでも効くようになったのか。そりゃ何よりだ」
矢ヶ崎藍華:「えっ?じゃあその」
矢ヶ崎藍華:「先輩、手足が戻ってくるかもですか!?」
日馬 美礼:「戻ってもらわにゃ困るよ。まだ仕事があるんだから」
矢ヶ崎藍華:「はいっ!!」
矢ヶ崎藍華:「出来ることなら何でもします!!」
豊島 正則:「かも、じゃねえ。こいつが言うからには確実だろうさ。……だがまあ」
日馬 美礼:「豊島くん、自分で打てる? それとも彼女に打ってもらうとこかな?」
豊島 正則:「続けられるってんなら是非も無い。……ああ、そのくらいなら自分で…」
豊島 正則:と言いかけて、傍にいる藍華を見る。
日馬 美礼:くふふ。と笑って。
矢ヶ崎藍華:ふんふんと、鼻息荒く期待した目でキミを見てます
日馬 美礼:「さすがにこれ以上は野暮天だな。表で待ってるから、あんまり時間かけないでね」
日馬 美礼:きゅるきゅるとわざとらしいモーター音とともに転回。
豊島 正則:「……ほんっと人が悪ぃ……」
豊島 正則:小さな背中にひと睨みしてから。
豊島 正則:「……つーわけだ。悪いが、頼む。……どんな副作用があるか知れたもんじゃないが」
矢ヶ崎藍華:「はいっ」
豊島 正則:受け取った無針注射器を、藍華に渡してから。
豊島 正則:「まあ…お前が傍にいてくれりゃあ、大丈夫だろうさ。何故だか知らんが、そんな気がする」
矢ヶ崎藍華:「えへへ…」
矢ヶ崎藍華:駄目だ。酷いことした後なのに、そんな事言われちゃったら
矢ヶ崎藍華:「…ご免なさい日馬支部長さん、あと一つだけ」
矢ヶ崎藍華:ニヤける顔を抑えるように、気をそらすための質問
矢ヶ崎藍華:「私のコードネームって…どういう意図で名付けられたんですか?」
矢ヶ崎藍華:事件の後で分析のために第四へと回され、そこで日馬支部長に名付けられたコードネーム、“ブラックドワーフ”
矢ヶ崎藍華:どういう返答が来ても行動は変わらないが、気になっていたことを解決するいいタイミングではあった
豊島 正則:「……ああ、そういやあ、ドワーフと言やあ…あんま、女につける名前じゃねえな…」
豊島 正則:脈絡のない質問を、子守歌のように聞きながら、目を閉じ耳を傾ける。
矢ヶ崎藍華:「ホントですね」くすっと笑って
日馬 美礼:「ん。ああ、きみが来た日ね。たまたま読んでたんだよ、普通の雑誌を」
日馬 美礼:「黒色矮星って知ってるかい? 宇宙で一番見えにくい星だそうだ」
矢ヶ崎藍華:「はい。自分でも調べました」
矢ヶ崎藍華:星の中でもひときわ冷たく、光を吸収してしまう
日馬 美礼:「そうか。じゃあ、知ってるとおりかもね。あれの真ん中さ」
日馬 美礼:「何もかも構造を失うほど壊れてしまったあとに、誰も見たことがない、何より硬いコアが残るって話」
日馬 美礼:「コア。まあ宝石だね。ねえ、あれほんとなのかな。調べてたんだろ、きみ?」
矢ヶ崎藍華:「…………」
矢ヶ崎藍華:「……いえ、初耳でした」
矢ヶ崎藍華:そうだったんだ
矢ヶ崎藍華:私は、恵まれている。
豊島 正則:「……本物の星のことは知らねえが」
豊島 正則:「宝石なら。光るものなら。……ああ、確かに」
豊島 正則:「ここにある、と断言してやれる。……そのくらい言ってもいいだろ、なあ…」
矢ヶ崎藍華:「!!!!!」
豊島 正則:血を失ったからか、ぼんやりしたものに支配されつつある思考で、そんなことを漏らす。
矢ヶ崎藍華:湯気の音が聞こえるかのように顔を真っ赤に上気させて
矢ヶ崎藍華:「な、何言ってるんですか先輩~~~!!!」
矢ヶ崎藍華:「ほらっ!ミスすると脇腹から腕が生えますよ!!!おとなしくして!!!!」
豊島 正則:おう、と若干気圧されるように応えて、目を閉じたまま、ぐったりと。藍華に身を委ねる。
矢ヶ崎藍華:「まったくもう……」
矢ヶ崎藍華:「変なこと、言うんですから……」
矢ヶ崎藍華:真っ赤な顔をさせたまま、無針注射器を構えなおした。
GM:----------
GM:未だ遠くから轟音と地響きが伝わる中、
GM:現場から退避した捜査員たちは、姿を消したロス・サングレスを追うべく慌ただしく動いていた。
猫山部長:「すぐに検問張ってください!絶対市内から逃がさないように!」
猫山部長:猫山が声を張り上げる。表情には焦燥と憔悴の色が濃い。
GM:ゲートを開く際、チコのチャージは一瞬だった。そう遠くへは行っていないはずだ。
GM:つまり、まだ近くに潜伏しているはず。
新垣御守:「あの深手、それにあれだけの溜めだと、どんな能力者でもそう遠くには飛ばせない」
新垣御守:「だから……悪いですけど。アンタ達が頼りってこと」
新垣御守:「お願いします、猫山さん」
猫山部長:「つまり、そこからは通常の手段で、ということですか……」
新垣御守:頷く。
猫山部長:「しかし、一体どこに……」
猫山部長:猫山が禿げ上がった頭をがんがん叩く。
猫山部長:「考えろ……考えろ……」
新垣御守:「こっちに感知タイプでもいれば話変わったんですけどね……はるかちゃん、いやダメか」
新垣御守:一瞬、支部で負傷したチルドレンの1人を思い浮かべるが
新垣御守:どうやって連絡を取っても間に合わない。
新垣御守:こちらの顔にも焦燥が浮かびだす
GM:一同に暗い空気が立ち込めそうになった時、
新垣御守:「……」
小宮刑事:「……船です!」
小宮刑事:小宮が声を上げる。
新垣御守:「!」
新垣御守:そちらに視線を送る。
小宮刑事:「以前、組対で五十嵐さんと一緒に調べたことがあります!」
小宮刑事:「密入国者が利用している疑いのある、貨物船!」
小宮刑事:「日米間航行の船……恐らく奴らの行き先は……」
小宮刑事:「……埠頭です!!」
小宮刑事:切羽詰まった表情で叫ぶ。
新垣御守:猫山さんと顔を見合わせ
猫山部長:頷く。
新垣御守:「……小宮くん」
小宮刑事:「はい!」
新垣御守:「分かった。アンタに賭ける」
小宮刑事:「……はい!」
小宮刑事:決然と頷く。
新垣御守:「後は任せて。アンタと、私らと」
新垣御守:「五十嵐さんが、ここまで追い詰めたんだ。逃がすわけにはいかないでしょ」
小宮刑事:「はい。オーヴァードに対抗できるのは、同じオーヴァードだけ……」
小宮刑事:君の顔をしっかりと見て、言う。
小宮刑事:「一人の警察官として、UGNの皆さんに、お願いします」
新垣御守:「……お願いされた」
新垣御守:ニッと笑って
新垣御守:「よっしゃ、やるとすっかぁ」
新垣御守:肩をぐるぐる回しつつ、皆への伝達と、即移動に移る。
GM:向かう先、決着の地は、N市埠頭。
GM:新垣御守とリリアナ・マルティネス。二人の因縁が今、交錯しようとしていた。
GM:----------
GM:最後のロイス購入タイム!
日馬 美礼:特になければ為念自前のウェポンケース調達しとくよ。ファンブル以外。
新垣御守:うおおおお
日馬 美礼:ロイスはあと一枠か……ごめん、ちょっと保留。
矢ヶ崎藍華:たいせつなひと/豊島正則/純愛○/劣等感/ロイス に変更して、Sロイスに指定します
矢ヶ崎藍華:OKですか
新垣御守:こっちもダブルウェポンケース状態を目指す!
豊島 正則:まずロイス。藍華ちゃんのロイスを「■幸福感/脅威」に書き換え、Sロイスに。
GM:OKです!
豊島 正則:こちらは問題なく!<Sロイス化
矢ヶ崎藍華:押忍!ありがたく!
新垣御守:あ!すいません!
GM:アワワワ…
矢ヶ崎藍華:そして新垣さんにウェポンケースを渡します
新垣御守:ありがたく!メイド服を指定!
新垣御守:で、GM相談なのですが…
GM:はい
新垣御守:医療トランクをミドル終わりに持ってたのをすっかり忘れてて
豊島 正則:購入は特に…ない!のでブルーゲイルを狙っておきましょう。
新垣御守:前シーン今シーン合わせて振ってもよいですか…?
GM:いいですよ!
新垣御守:レズセックスにのめりこみすぎた…
GM:ふれふれ!
豊島 正則:5dx+1+3>=20
DoubleCross : (5R10+1+3[10]>=20) → 9[5,5,7,8,9]+4 → 13 → 失敗
新垣御守:やったーー!!
新垣御守:慈悲深きGM!
新垣御守:では2回使用!
日馬 美礼:おっけい。じゃあウェポンケース買う。
新垣御守:4d10+10
DoubleCross : (4D10+10) → 12[4,4,3,1]+10 → 22
豊島 正則:失敗!必ず要るというわけではないので、ここまでで。
日馬 美礼:5dx+7
DoubleCross : (5R10+7[10]) → 10[1,2,5,6,10]+5[5]+7 → 22
新垣御守:びみょいがまあよし!
矢ヶ崎藍華:ええと
日馬 美礼:問題なく調達。クリスタルシールド収納しとくよ、と。
矢ヶ崎藍華:カンパニー効果でさらに+2d10回復しますよ
新垣御守:こっちもウェポンケース!
日馬 美礼:あ。回復一回ごとに乗るからね、1d10。
新垣御守:へ~~
新垣御守:超絶ありがたい
新垣御守:日馬さん…ママ
新垣御守:振ります
矢ヶ崎藍華:こっちはどうしようかな
新垣御守:2d10+22
DoubleCross : (2D10+22) → 15[8,7]+22 → 37
矢ヶ崎藍華:ブルゲを買いましょう。
新垣御守:全快!
新垣御守:で、ウェポンケース購入
矢ヶ崎藍華:6dx+4
DoubleCross : (6R10+4[10]) → 10[4,5,7,7,7,10]+3[3]+4 → 17
矢ヶ崎藍華:足りない!いいや。以上!
GM:ヨシ!
日馬 美礼:ん、いいよ。3点払っとく。抑えときな。
矢ヶ崎藍華:じゃあもっときます!
GM:OK!
日馬 美礼:残り54点。まあよしよし。
GM:おかしいでしょ!
新垣御守:6dx+3
DoubleCross : (6R10+3[10]) → 10[3,3,7,7,9,10]+8[8]+3 → 21
新垣御守:購入ヨシ!クリシーを指定!
新垣御守:で、メイド服もクリシーもケースの中へシューッ!
新垣御守:以上!
GM:人目を避けながら、僅かに残ったロス・サングレスの面々は市内を移動していた。
チコ:「ねえ……さん……」
チコ:リリアナに背負われた瀕死のチコは、うわ言のように何度も同じことを繰り返す。
チコ:「姉さん……アヤカのこと……許してやってくれよ……」
チコ:「あいつ……マジでいいやつなんだよ……」
チコ:「あたし、姉貴分だから……守ってやらなきゃ……」
チコ:「なあ……姉さん……」
リリアナ:「分かった!分かったからもう喋るな!」
アレハンドロ:「おい!まだそいつ抱えてんのかよ!」
アレハンドロ:焦燥に駆られたアレハンドロが叫ぶ。
アレハンドロ:「どうせもうゲートも開けねえんだろ!この辺に捨ててっちまえば……!」
GM:その顔面に、リリアナの拳がめり込む。
アレハンドロ:「うぐぁぁぁ!!鼻が……鼻が……!!」
リリアナ:「折ったんだよ!!うるせえなッ!!」
ビショップ捜査官:「言いたくはありませんが……確かにその子を抱えて逃げるのは無理じゃないですか?」
ビショップ捜査官:「ここに置いていくのが得策かと」
リリアナ:「どいつもこいつもうるせえなッ!!黙ってろ!!」
チコ:「ねえさん……」
チコ:チコが弱々しく呟く。
チコ:「あたし、役立たずでも……」
チコ:「足手まといになるのは、嫌です……」
リリアナ:「何言って……!」
チコ:「置いてって、ください……」
チコ:「大丈夫、あたしもオーヴァードですから」
チコ:「死には……しませんよ……」
チコ:浮かべた笑みは、あまりにも弱々しい。
リリアナ:「…………」
リリアナ:リリアナはしばらく黙り込んで、
リリアナ:「……分かった」
リリアナ:そう、重々しく呟いた。
リリアナ:「いいか、必ず迎えに来るからな」
リリアナ:「どこにいても必ずだ、いいな!」
チコ:それにチコは、ただ小さく頷き返す。
GM:一行はチコを残し、移動を再開する。
GM:目的地は、埠頭。
GM:チコが加入する以前に目を付けていた、彼らの息のかかった貨物船だ。
GM:何度もパトカーのサイレンを聞いては、その度じっと身をひそめる。
GM:全員、精神的に限界に近かった。
アレハンドロ:「クソッ……!クソッ……!」
アレハンドロ:「あのガキも、陈も……!」
アレハンドロ:「どいつもこいつも、裏切り者ばっかりだ……!」
リリアナ:リリアナも荒い息をして、
リリアナ:ふと、ジャケットにしまっていたものに気付く。
リリアナ:小さな袋に詰められたコカイン。
リリアナ:本来であれば、サンプルとして渡すはずだったもの。
リリアナ:「……」
リリアナ:リリアナはしばらくそれを見つめて、
リリアナ:ライターで炙ると、血液で構成した針で、自らの腕に注入する。
リリアナ:「……はぁっ……! はぁっ……!」
リリアナ:「……はぁ……」
アレハンドロ:「お、おい……?」
ビショップ捜査官:「…………」
GM:その光景を、アレハンドロや構成員が信じられないものを見る目で見つめる。
リリアナ:リリアナはゆっくりと笑みを浮かべ、
リリアナ:「……行くぞ!」
リリアナ:再び移動を再開する。
リリアナ:埠頭ははもう、目前に迫っていた。
GM:----------
GM:既に日は落ちかけていた。
GM:リリアナたちは、やっとの思いで埠頭に辿り着く。
GM:かつてエージェントとして駆け抜けた場所を、逃亡者として走る。
GM:貨物船は既に停泊していた。彼らが乗り込み、金を渡せば、すぐにでも出港するだろう。
GM:だが。
GM:先頭を行くリリアナが、足を止める。
GM:行く手に立ち塞がる人影。
GM:夕焼けに、赤い髪が燃えるように輝いている。
GM:その姿を、彼女の姿を、リリアナが見紛うはずもなかった。
リリアナ:「……来たな」
リリアナ:まるで予期していたかのように、笑みを浮かべる。
リリアナ:「――新垣御守」
【Climax】
矢ヶ崎藍華:98+1d10
DoubleCross : (98+1D10) → 98+3[3] → 101
豊島 正則:1d10+100
DoubleCross : (1D10+100) → 10[10]+100 → 110
鴻上禮次郎:80+1d10
DoubleCross : (80+1D10) → 80+6[6] → 86
ガラの悪い男たち:81+1d10
DoubleCross : (81+1D10) → 81+10[10] → 91
新垣御守:www
新垣御守:ともかく91です
日馬 美礼:1d10+106
DoubleCross : (1D10+106) → 7[7]+106 → 113
矢ヶ崎藍華:謎の人たち…
日馬 美礼:113。
GM:----------
リリアナ:「お前なら来ると思ってたよ」
リリアナ:まるで慌てた様子もなく、言う。
アレハンドロ:「ゆ……UGN……!」
新垣御守:「……悪党ってのは」
新垣御守:「どういう理由で港に集まんのかね」
新垣御守:「その辺、実感としてどうなんさ」
新垣御守:リリアナに視線を向け、こちらも気安く笑う。
リリアナ:「確かに、そういうイメージあるな」
リリアナ:「私も結構船乗ったりしたよ」
リリアナ:「ほら、密漁の縄張り争いとかさ。あと薬の取引とか……色々あるだろ」
新垣御守:「……最初から、アンタは自分のこと悪党だって思ってたのかもだけど」
新垣御守:「私はヒーローだと思ってた」
新垣御守:「勝手だーなんてキレてたけど、なんてことない」
新垣御守:「私も最初から、勝手だったよ」
リリアナ:「そりゃあ、買い被りだよ」
リリアナ:かぶりを振る。
リリアナ:「お前の思い違いだ」
リリアナ:「私はずっと、生まれた時から」
リリアナ:「『こんな』だよ」自嘲気味に笑う。
新垣御守:「だよね。でもガキだったからさ」
新垣御守:「見たいようにしか、見れなかった」
新垣御守:「……でも、そんな勘違いだって取り返せる。やり直せるって信じる」
新垣御守:「誰もやり直せないって、決めちゃいないからね」
リリアナ:「……そうかな」
新垣御守:「そうだって」
新垣御守:「……ここで止まってもらう。リリアナ・マルティネス」
新垣御守:確固たる視線で
新垣御守:リリアナを射抜く。
リリアナ:「…………」
ビショップ捜査官:「おやおや……UGNですか……」
新垣御守:「そうだよ。ビビった方がいいんじゃない」
新垣御守:「曲がりなりにも、世界の守護者だ」
ビショップ捜査官:舌打ちをして、背から巨大な翼を生やす。
ビショップ捜査官:「そうさせてもらうわ! 悪いが一抜けだ!」
ビショップ捜査官:「俺は捕まるのなんざ御免なんでね!」
ビショップ捜査官:翼を大きく羽ばたかせ、上空に逃れようとする、
ビショップ捜査官:が――
新垣御守:「やめときなって」
新垣御守:「無駄だから」
鴻上禮次郎:「ビショップ~」
鴻上禮次郎:声がした
鴻上禮次郎:「お前言ったじゃねえかよ」
ビショップ捜査官:「……あん?」
鴻上禮次郎:逃げ道だった筈の船の中から
鴻上禮次郎:「ケジメつけましょうねってさぁ~~~~~~!」
鴻上禮次郎:「一緒につけようぜぇえ~~~~~~~~~~~~!」
鴻上禮次郎:船の舳先に立つ男
ビショップ捜査官:「な……あ……ッ!?」
鴻上禮次郎:リザレクトとモルフェウス能力で再錬成した両腕を構え
鴻上禮次郎:唱える
ビショップ捜査官:「手前はッ……!!」
鴻上禮次郎:
「無無明亦無無明尽」
「森羅万象一切合切一刀両断」
「是則剣理也」
「抜刀——空無辺処雪風《ネクロノミコン》」
鴻上禮次郎:刹那、空気が変わった
鴻上禮次郎:祈りの造花と呼ばれる遺産がある。
鴻上禮次郎:それは絶望に折れた者の魂を吸い寄せ、取り込むEXレネゲイドだ。
鴻上禮次郎:禮次郎は自らが持つこの遺産の力に、モルフェウスのシンドロームを使ってほんの少し改変を加えた。
鴻上禮次郎:すなわち、魂の複製&転写(コピー&ペースト)。
鴻上禮次郎:完全に引き寄せることはできなくとも、その力の応用で他者の魂の鏡像を生み出すことはできる。
鴻上禮次郎:禮次郎は呼んだ。今回の事件で喪われた多くのものたちの魂を、怨念を。
鴻上禮次郎:幽冥の境を断ち切り、モルフェウスの砂とそれに飲まれた密輸船を通じ、オルフェウスの如く現世へと呼び出した。
鴻上禮次郎:無数の亡者が群れ集い、巨大な腕のようになりながらビショップの逃げ先を塞ぐ
鴻上禮次郎:魑魅魍魎、邪魅怨霊、集い集い集い集い群れ集いて列を為す。
鴻上禮次郎:骨ばった手。焼けただれた皮膚。痛い痛いと呻く声。無数の死者が、凍える風を伴って黄泉の国より帰ってくる。
鴻上禮次郎:ゾンビ極道により形成された死者の軍団である。
ビショップ捜査官:「んだ、こりゃあああぁぁッ!!」
ビショップ捜査官:死者たちの腕に鷲掴みにされ、
ビショップ捜査官:地面へと引きずり降ろされる!
鴻上禮次郎:「あーあ……殺し過ぎだよ馬鹿野郎」
ビショップ捜査官:「てめぇええええッ……! この俺を……!!」
ビショップ捜査官:怒りに満ちた表情で、鴻上を睨みつける。
鴻上禮次郎:「ビショップゥ……ケジメ、好きだろぉ? なぁ?」
新垣御守:「で、どっち相手にしたい?」
新垣御守:「大人しく捕まるなら」
新垣御守:「そこの怖いお兄さんだけ」
新垣御守:「ケジメ付けるんなら、まあ、そん時生きてるかは分からんけど」
新垣御守:「私たちだけ」
新垣御守:「抵抗するなら……どっちも」
新垣御守:「選びなよ。ビショップさん」
ビショップ捜査官:「ブッ!!殺す!!鴻上禮次郎ォォォッ!!」
ビショップ捜査官:その言葉も耳に入らぬ様子で、叫ぶ。
ビショップ捜査官:全身が膨張し、異形の筋骨と醜悪な触手が露わになる。
ゾンビヤクザ:「くみちょぉ……」
ゾンビヤクザ:「見ててくださいよぉ……!」
ゾンビヤクザ:ビショップの足に
ゾンビヤクザ:一人、また一人と
ゾンビヤクザ:弾き飛ばされながらもすがりつく
ゾンビパンピー:「結婚する予定だったのに……おで……」
ビショップ捜査官:「知らねェ―――よ!!てめえらなんかッ!!」
ゾンビパンピー:そうして、ビショップの機動力を封殺する様を——
鴻上禮次郎:「知らねえだろうなあ……だから死ぬんだよ、お前は」 ニヤニヤと見下ろす
ビショップ捜査官:哄笑と共に、無造作にゾンビたちを弾き飛ばす。
ビショップ捜査官:「悪いのはてめえらだろ!!弱い奴は死んで!!殺されて!!当然だろうがッ!!」
ビショップ捜査官:「あァーーッはっはっはっはァーーーッ!!」
日馬 美礼:『さて。まずは投降をお勧めだ。相応の扱いは約束するともさ』状況お構いなしに、拡声器越しに、流暢で汚いスペイン語で。
ビショップ捜査官:「うるせえぞUGNッ!!」
ビショップ捜査官:「そんな戯言! 誰が聞くんだよ!!」
GM:ビショップがさらに剛腕を振るおうとした時、
GM:上空が光輝く――七色に。
GM:次の瞬間、その場の全員を、降り注ぐ破壊のプリズム光が襲った。
ビショップ捜査官:「ぐおぉおおおおおッ!?」
リリアナ:「…………本部エージェントか」
日馬 美礼:「おっと」車椅子から防護シェルが展開する
新垣御守:軽業めいて光を躱す
GM:吹き荒ぶ破壊の嵐の中、上空から天使めいて降り立つのは、純白の異形。
ヴァルチャー:「…………」
鴻上禮次郎:「……ッ! 組員の半分が消し飛んだぞ……!?」
鴻上禮次郎:ゾンビ組員たちの盾の中から顔を出す
豊島 正則:「まあ…そうなるよなぁ!」
豊島 正則:槍の切っ先を天に向け、傘のように魔眼を展開。左腕は、だらりと下げられたまま。
矢ヶ崎藍華:光の隙間を縫うようにしてかわし
矢ヶ崎藍華:豊島さんのまだ白い左腕をかばうように、並び立ちます
リリアナ:「……役者は揃ったってわけか」
リリアナ:その場の全員を見渡して、最後に新垣御守に目を向ける。
新垣御守:「まあね。一応聞くけどさ」
リリアナ:「何だよ」
新垣御守:望む答えなど返ってくるはずはない。それでも。
新垣御守:「チコって娘。今ならこっちで手当も受けさせられる」
新垣御守:「そこのデカブツにも手出しはさせない」
新垣御守:「……だから、そう」
新垣御守:「切った張ったは抜きに出来ない?」
リリアナ:「…………」
リリアナ:リリアナは黙り込む。本気で逡巡しているように見えた。
リリアナ:だが。
リリアナ:「……御守よォ」
新垣御守:「何?」
リリアナ:「……お前も分かってんだろ?」
リリアナ:「今更、止まれないんだよ」
リリアナ:「ここまで来たら、もう」
リリアナ:「私たちは、行くところまで行くしかないんだよ」
リリアナ:「だから――」
リリアナ:リリアナが、ゆっくりと腕を構える。
リリアナ:全身から、漆黒の血液が迸る。
リリアナ:「……決着を着けよう」
新垣御守:「今更だの」
新垣御守:「決着だの」
新垣御守:「ホンット、諦めだけは良くなったよね」
新垣御守:ずずずず
新垣御守:真紅の髪色が、真水に絵の具が流れ込むように、肌に移っていく
新垣御守:「キッツいやつで行くから、目え覚ませ。バカ」
日馬 美礼:「あー。テステス。N市UGNへ」やや割れた拡声器
日馬 美礼:「ぼくらはカルテル側オーヴァード、ならびに"乱入してきた不明な目標"の無力化を目標として動く」
日馬 美礼:「敵は多いが、まあいつものことだ。正念場だよ。始めようか、皆」
豊島 正則:「無力化、ね。毎度ながら、殺すより厄介なオーダーだが」
矢ヶ崎藍華:頭上に火球が灯る。ただ淀むだけだった足元の影は渦巻きを伴い、激しく規則的に流動を始める。
矢ヶ崎藍華:「だからこそ、挑む価値があります」
矢ヶ崎藍華:「“我ら、刃の切っ先”」
新垣御守:「そ」
新垣御守:「それめんどくさがっちゃったら、お題目も立たないって」
鴻上禮次郎:「俺は従うが……さて、うちの組員は血の気が多いからねぇ」
鴻上禮次郎:「へへへ」
GM:ビショップ、そしてリリアナが、物理的圧力すら生じさせる、強力なワーディングを展開する。
ビショップ捜査官:Eロイス≪堕落の誘い≫
GM:衝動判定失敗で100以下の場合侵食率が100に。
GM:難易度は9です、どうぞ!
豊島 正則:ウオーッ!
矢ヶ崎藍華:もう突破してるんだよなあ
鴻上禮次郎:ありがてぇ
矢ヶ崎藍華:6dx+1 思い出の一品補正も込で
DoubleCross : (6R10+1[10]) → 10[4,5,7,8,9,10]+9[9]+1 → 20
日馬 美礼:4dx+1>=9
DoubleCross : (4R10+1[10]>=9) → 3[1,3,3,3]+1 → 4 → 失敗
豊島 正則:8dx+2>=9
DoubleCross : (8R10+2[10]>=9) → 10[1,3,6,6,7,7,7,10]+10[10]+10[10]+6[6]+2 → 38 → 成功
鴻上禮次郎:3dx+1>=9
DoubleCross : (3R10+1[10]>=9) → 10[4,7,10]+10[10]+3[3]+1 → 24 → 成功
矢ヶ崎藍華:意志の力/Force of will
GM:成功しちゃったよ鴻上さん
豊島 正則:意志が すごく つよい
鴻上禮次郎:めっちゃ意思
日馬 美礼:あ。暴走した。まあ仕方ないか。最悪ロイス切ろう。
鴻上禮次郎:これはあれだ
鴻上禮次郎:ヤクザ一人の意思じゃない
鴻上禮次郎:皆の思いを背負ってる
鴻上禮次郎:86+2d10
DoubleCross : (86+2D10) → 86+6[3,3] → 92
日馬 美礼:2d10+113
DoubleCross : (2D10+113) → 11[4,7]+113 → 124
矢ヶ崎藍華:101+2d10 侵蝕上昇
DoubleCross : (101+2D10) → 101+6[1,5] → 107
矢ヶ崎藍華:安定している…!
豊島 正則:2d10+110
DoubleCross : (2D10+110) → 9[6,3]+110 → 119
豊島 正則:OKOK
新垣御守:5dx+1
DoubleCross : (5R10+1[10]) → 9[4,4,8,8,9]+1 → 10
新垣御守:2d10+91
DoubleCross : (2D10+91) → 6[1,5]+91 → 97
GM:クライマックス戦闘を開始します。
豊島 正則:うす!
矢ヶ崎藍華:押忍
エンゲージ
リリアナ
(10m)
ビショップ、従者ABC
(10m)
PC
(10m)
"ヴァルチャー"
新垣御守:いいね!
GM:イニシアチブから!
矢ヶ崎藍華:セットアップください!
GM:間違えた!
GM:セットアップ!
GM:エネミーはなし なしかな? なしで
日馬 美礼:ユニークコード起動。鴻上さん含めて、PCサイド全員の判定+2d。
新垣御守:ではアクセル!矢ヶ崎さんの行動値を+8
新垣御守:16に。
新垣御守:浸蝕は98
矢ヶ崎藍華:押忍!じゃあ今回はブルゲは節約して、無し!
鴻上禮次郎:セットアップ!
鴻上禮次郎:ブルーゲイル! 行動値+5!
鴻上禮次郎:侵食が97!
豊島 正則:なし!
GM:ではイニシアチブ!
GM:行動値15 従者ABC!
矢ヶ崎藍華:行動値16です!
GM:なにっ
GM:ヤバ!どうぞ
GM:殺さないで
矢ヶ崎藍華:アクセルをもらいましたからね
新垣御守:ぶっころせ!
矢ヶ崎藍華:マイナーでビショップのエンゲージに接敵!
矢ヶ崎藍華:メジャーコンボ【エルゴスフィア】!
《コンセ:ウロ》+《エクスプロージョン》+《ツインバースト》+《原初の赤:紅蓮の衣》+《オーバードーズ》
矢ヶ崎藍華:攻撃時にメイド服装着!
GM:ギエー
矢ヶ崎藍華:14dx7+5 対象は従者ABCとビショップ野郎!
DoubleCross : (14R10+5[7]) → 10[2,2,3,4,4,5,5,5,5,7,8,8,8,9]+10[1,3,3,5,7]+10[10]+10[8]+10[9]+5[5]+5 → 60
GM:ウワーーーー
GM:従者ズは回避
矢ヶ崎藍華:ああもちろん
矢ヶ崎藍華:ドッジ不能!
GM:死
GM:ダメージどうぞ…
矢ヶ崎藍華:全員ガードですか?
GM:はい
矢ヶ崎藍華:では紅蓮の衣適用で、ダメージ!
矢ヶ崎藍華:7d10+63 あっと、書き忘れていたけど【守護天使】も使用しております
DoubleCross : (7D10+63) → 41[6,7,7,3,2,6,10]+63 → 104
矢ヶ崎藍華:諸々有効
GM:ぐおおおおおおお
GM:従者は、死ぬ!!
GM:ビショップは…
GM:イージスの盾!
GM:104-4D10
DoubleCross : (104-4D10) → 104-22[10,5,6,1] → 82
GM:ぐえええええ
GM:2枚張りした≪拒絶の結界≫が剥がれます
矢ヶ崎藍華:持っていたとはね
GM:でもまだ、結構生きてる!
GM:演出どうぞ
GM:あ、そう!
GM:≪自動触手≫喰らえーーーっ
矢ヶ崎藍華:うげーっ
GM:18ダメージです
矢ヶ崎藍華:何点ですか!
矢ヶ崎藍華:しんじゃう…!
矢ヶ崎藍華:宇都宮さんのロイスを切って復活!
矢ヶ崎藍華:ロールします
矢ヶ崎藍華:「うわあ、凄い。」思わず声に出る。
矢ヶ崎藍華:人間の異形化した存在は珍しくないが、ここまでのものは久しぶりだ
矢ヶ崎藍華:「…まあ、でも。」
矢ヶ崎藍華:「倒します」
矢ヶ崎藍華:右手から溢れ出す淀みを、一閃。筆を振るがごとく黒い線が弧状に伸び
矢ヶ崎藍華:そこから病んだ葡萄のごとく、黒い球体が連鎖的に伸び爆縮していく!
ビショップ捜査官:「……!?」
ビショップ捜査官:その異様で不吉な光景に、硬直する。
矢ヶ崎藍華:汗一つかかない。
矢ヶ崎藍華:今まで苦しんでいたのは、制御だ。出力そのものならばまだあがる
矢ヶ崎藍華:侵蝕122
GM:球体に触れた従者たちが、一瞬で粉みじんになる。
GM:そして、ビショップの文字通り半身が抉り飛ばされ、虚空へとかき消える!
ビショップ捜査官:「ぐおぉッ!?なんだああああァこりゃああああぁぁ!!」
矢ヶ崎藍華:「!」
ビショップ捜査官:半身を吹き飛ばされながらも、ビショップはまだ生きている。
矢ヶ崎藍華:手加減したつもりはない。だが、この人は確かに耐えた
矢ヶ崎藍華:尋常ではない強度を感じ取る。
ビショップ捜査官:傷口から骨肉が盛り上がり、削られた半身を瞬く間に再生する。
ビショップ捜査官:「んだよ、この出力は……! 速攻で一抜けするかと思ったぜ……」
ビショップ捜査官:「バケモンが……!」
ビショップ捜査官:恐れ混じりに、軽蔑するように吐き捨てる。
矢ヶ崎藍華:「ええ、そうですね」
矢ヶ崎藍華:最早怯まない。全部背負っていくとキメたのだ
矢ヶ崎藍華:「ですから、理性のある“人間”の貴方には」
矢ヶ崎藍華:「投降してもらえると助かります」
ビショップ捜査官:「……ガキが……!」
GM:行動値14! 鴻上さん!
鴻上禮次郎:行きます!
鴻上禮次郎:マイナーでスーパーランナー+インフィニティウェポン
鴻上禮次郎:大好きなビショップ君に女が近づいているので傍にいって思い出させてあげます
鴻上禮次郎:メジャーで咎人の剣+コンセ+カスタマイズ+クリスタライズ
鴻上禮次郎:対象はもちろんビショップ君!
GM:どうぞ!
鴻上禮次郎:行くぜ!
鴻上禮次郎:97→101
鴻上禮次郎:12dx7+5 白兵
DoubleCross : (12R10+5[7]) → 10[2,2,2,3,4,4,6,8,9,9,9,10]+10[4,6,7,8,10]+10[1,3,7]+6[6]+5 → 41
鴻上禮次郎:剣聖の手
鴻上禮次郎:101→114
鴻上禮次郎:114→116
GM:ぐっ……ガードと≪殺意の壁≫!
鴻上禮次郎:1dx7+45
DoubleCross : (1R10+45[7]) → 10[7]+1[1]+45 → 56
GM:攻撃力-12
GM:そしてイージス!
鴻上禮次郎:66-12+6d10 装甲無視!
DoubleCross : (66-12+6D10) → 66-12+24[4,2,10,4,3,1] → 78
鴻上禮次郎:ガードは有効だずぇ~~~~! 来いよ!
GM:俺が攻撃力だと思っていたのは達成値だった
GM:何だこの火力は
GM:とんでもないモラルハザードだよ
鴻上禮次郎:咎人だからな……
GM:78-12-4D10
DoubleCross : (78-12-4D10) → 78-12-18[10,1,6,1] → 48
GM:ウワーーー
GM:まだ!生きてる!
鴻上禮次郎:あっ
鴻上禮次郎:もう-12してますよ
矢ヶ崎藍華:うげえ
GM:ゲエーーーー
矢ヶ崎藍華:じゃあ60ですね
豊島 正則:び、ビショップ…!?
GM:ギリギリ生きてる!こいつはメイン盾だから!
GM:演出どうぞ!
GM:あ!待って!
鴻上禮次郎:おっ!?
GM:自動触手くらえーーーーッ
GM:18ダメージ!
鴻上禮次郎:もらってく~!
鴻上禮次郎:HP27→9
矢ヶ崎藍華:ああ
GM:あらためて演出どうぞ!
矢ヶ崎藍華:自動触手、ラウンド1回だったような
GM:ア!!!!?
GM:今の無し!!
鴻上禮次郎:はい!
鴻上禮次郎:じゃあ演出タイム!
GM:ビショップ……!生きてくれ……!
鴻上禮次郎:「さあ始めようや……鴻鵠会のカチコミだぁああああああああああ!」
鴻上禮次郎:無数の死者を踏み台に、統べるように滑るようにしてビショップの懐まで潜り込む。
鴻上禮次郎:袈裟斬りの一刀。
ビショップ捜査官:「鴻上……!鴻上禮次郎ォォォッ!!」
ビショップ捜査官:迎え撃たんと、腕に鋭利な骨の刃を生成する。
鴻上禮次郎:超人であるビショップには、その流麗な動きにも僅かなすきを見出して反撃できた……筈だった。
鴻上禮次郎:「海の彼方にゃあよぉ!」
鴻上禮次郎:「死者の国ってのがあるらしい!」
鴻上禮次郎:ビショップの足を、腕を、死者が掴む
ビショップ捜査官:「……ああ!?」
ビショップ捜査官:がくん、と大きく体勢を崩す。
鴻上禮次郎:口々に、やってくれ、頼む、兄貴、組長、そう呟いて、ビショップの身体にまとわりつく。
ビショップ捜査官:「離ッ……!?」
鴻上禮次郎:「てめぇら! 抑えとけよぉっ!」
鴻上禮次郎:「俺が!」
鴻上禮次郎:それらごと突き刺し
鴻上禮次郎:「俺たちが!」
鴻上禮次郎:それらごと切り裂き
鴻上禮次郎:「鴻鵠会だァアアアアアアアア!」
鴻上禮次郎:刀剣に再錬成して内側から爆発を起こす!
ビショップ捜査官:「がぁぁあああッ!!?」
ビショップ捜査官:大量の血肉が噴出し、鴻上の全身を赤一色に染め上げる。
矢ヶ崎藍華:(この人……)画面越しで見ただけだったけど
矢ヶ崎藍華:(やくざさんだったんだ……)
ビショップ捜査官:「ク……ソ……ボ……ケ……ヤクザがあああぁぁああッ……!!」
ビショップ捜査官:鴻上に凄まじい憎悪の篭った目を向ける。
鴻上禮次郎:「ギャハハハハッ! 楽しいなあぁ! ええおいビショップゥ!?」
ビショップ捜査官:体内に巨大で鋭利な金属片をいくつも残したまま、それでもビショップは倒れない。
GM:ネクスト手番!リリアナ!
GM:マイナーで≪赤き鎧≫生成!
GM:メジャーで≪コンセントレイト:ブラム=ストーカー≫+≪紅の刃≫+≪血の宴≫+≪殺戮領域≫+≪ブラッドバーン≫!
GM:対象は日馬さん豊島さん新垣さん!
GM:12DX7+6
DoubleCross : (12R10+6[7]) → 10[1,2,3,3,4,4,4,6,7,7,9,9]+10[2,5,7,10]+10[5,9]+10[7]+10[7]+10[9]+4[4]+6 → 70
GM:あ、孤独しますか?
豊島 正則:判定は振られましたが、割り込んで《孤独の魔眼》したい!
GM:OK!
GM:ダメージ行きます
豊島 正則:ではガード!《レネゲイドイーター》も使用!
GM:8D10+40+2D
DoubleCross : (8D10+40+2D6) → 53[8,9,7,6,8,2,9,4]+40+7[3,4] → 100
豊島 正則:でかいよ!
GM:諸々有効!
GM:ダイス間違えたな…
豊島 正則:最後が6になってますね…
GM:振りなおしても良いですか?
豊島 正則:どうぞどうぞ。
新垣御守:どうぞどうぞ
GM:ありがたく!
GM:8D10+40+2D10
DoubleCross : (8D10+40+2D10) → 40[10,3,8,8,1,6,3,1]+40+8[4,4] → 88
GM:やっぱり下がった!
豊島 正則:落ちたけどそれでも大概だよ!
豊島 正則:まずはガード値が
豊島 正則:5d10+4
DoubleCross : (5D10+4) → 17[1,2,3,5,6]+4 → 21
豊島 正則:屍人が
豊島 正則:2d10
DoubleCross : (2D10) → 14[9,5] → 14
豊島 正則:88からガードで21、屍人で14、アリベイドスーツを使って更に5、装甲で11
豊島 正則:やるか。リアクティブコートの効果を使用。
豊島 正則:3d10
DoubleCross : (3D10) → 18[4,7,7] → 18
豊島 正則:ダメージ適用直前に更に18点削って、被ダメージは19点。HP8で生存。
GM:えええええええ
GM:固すぎやろ!
豊島 正則:1発限りの芸当だがな!
豊島 正則:演出ください!
日馬 美礼:一手凌げりゃ十分さ。
リリアナ:リリアナの周囲、嵐のように吹き荒れていた黒血が、急速に一点に収束する。
リリアナ:一瞬の静寂。
リリアナ:刹那、
リリアナ:限界まで圧縮された血液の刃が、三人に向かって解き放たれる!
リリアナ:「ら……あァァッ!!」
豊島 正則:「させねえよ」
豊島 正則:全て打ち払う、などといった技量はない。半身が思うままに動かぬのであれば尚更のこと。ゆえに。
豊島 正則:ただ、魔眼をもって、全ての血刃を己に吸い寄せるのみ。
豊島 正則:己が身に達した血刃が、肉を削り、骨を砕き、臓腑を抉る。それでもなお。
豊島 正則:「……させねえし、死なねえ」
豊島 正則:屍人は、生きている。
リリアナ:「……は、マジか」少し目を見開き、咥え煙草を不機嫌そうに動かす。
リリアナ:「割と引くぞ、ソレ」
リリアナ:メインプロセス終了時に≪夜魔の領域≫!
リリアナ:行動値0で再行動。
矢ヶ崎藍華:うげええ
ヴァルチャー:行動値12.ヴァルチャー!
ヴァルチャー:マイナーなし!
ヴァルチャー:メジャーで≪コンセントレイト:エンジェルハィロゥ≫+≪光の弓≫+≪雷の槍≫+ ≪氷の塔≫+≪砂の刃≫+≪大地の牙≫+≪振動球≫+
ヴァルチャー:≪スターダストレイン≫!
矢ヶ崎藍華:ぎゃああああ
豊島 正則:おごーッ!
ヴァルチャー:対象、自分以外の全員!
日馬 美礼:来たねえ。装甲無視入りの大盤振る舞い。
ヴァルチャー:何かございますか!
鴻上禮次郎:俺はないです!
新垣御守:なし!
日馬 美礼:暴走中だからね。リアクションなし。
豊島 正則:新垣支部長は素受けになるとして、日馬さん、カバーはご入用か。
日馬 美礼:どっちにしろロイス吹っ飛ぶんだよね。だったら貰える?
豊島 正則:そうですね、同じように1つ飛ぶならこちらで引き受けましょう。
ヴァルチャー:12DX7+10
DoubleCross : (12R10+10[7]) → 10[1,1,3,4,5,6,7,8,9,9,10,10]+10[1,3,5,6,7,7]+6[4,6]+10 → 36
ヴァルチャー:ウッ あんまりだな…
新垣御守:オートでクリシー装備!ガード!
豊島 正則:というわけで、《原初の紫:軍神の守り》!日馬支部長をカバー!
日馬 美礼:ありがとう!
豊島 正則:リアクションとしては《レネゲイドイーター》を使用してのガードを。
矢ヶ崎藍華:ドッジ!
矢ヶ崎藍華:5dx+1
DoubleCross : (5R10+1[10]) → 9[3,4,5,7,9]+1 → 10
矢ヶ崎藍華:だめ…
リリアナ:ガード。
ビショップ捜査官:ガード≪イージスの盾≫
鴻上禮次郎:ワンチャンスのドッジ!
鴻上禮次郎:6dx
DoubleCross : (6R10[10]) → 10[1,2,5,7,10,10]+7[2,7] → 17
鴻上禮次郎:まあ無理!
ヴァルチャー:ダメージ!
ヴァルチャー:4D10+42
DoubleCross : (4D10+42) → 25[3,8,9,5]+42 → 67
ヴァルチャー:装甲無視!
矢ヶ崎藍華:しぬ
新垣御守:死ぬわこんなん!
豊島 正則:固定値が凄い。
新垣御守:リザレ!
新垣御守:98+1d10
DoubleCross : (98+1D10) → 98+2[2] → 100
豊島 正則:5d10+4
DoubleCross : (5D10+4) → 26[4,4,10,7,1]+4 → 30
日馬 美礼:いいとこだ。
矢ヶ崎藍華:リリアナさんのロイスを昇華して復活!
鴻上禮次郎:部下たちへのロイスを使って蘇生! 死にゆく友に未練など!
ビショップ捜査官:ヒンッ!死ぬなビショップ!
豊島 正則:ん、そうか。屍人で軽減されるのは、カバーで2倍になった後のダメージか。
ビショップ捜査官:67-4D10
DoubleCross : (67-4D10) → 67-27[7,9,7,4] → 40
ビショップ捜査官:生きた!!!!!!
矢ヶ崎藍華:マジで
鴻上禮次郎:おのれビショップ!!!!!!!!!!
リリアナ:リリアナも元気
豊島 正則:ではこちらは死ぬので…リリアナに「有為/■脅威」でロイスを取得!タイタス化、昇華して復活!
ヴァルチャー:夕暮れの中にあって、なお眩い光がヴァルチャーのもとに収束していく。
ヴァルチャー:一際光が強く輝いた瞬間、七色の破壊の奔流が上空に向かって放たれた。
新垣御守:「…!全員退避!!」
ヴァルチャー:光は曲線を描き、その場の全員に無差別に降り注ぐ!
矢ヶ崎藍華:「!!」
矢ヶ崎藍華:「きゃあああ!!!」
矢ヶ崎藍華:破壊の奔流が身を焼く。過大な攻撃能力に反して、防御は殆ど無い
ビショップ捜査官:「ご……あああぁぁッ!!」
ビショップ捜査官:リリアナはなんとか軌道を逸らしたが、体勢を崩したままのビショップには直撃する!
ビショップ捜査官:「ゆ……UGNゥゥ……!!」
鴻上禮次郎:「ぐっ……ううううぅっ!」
日馬 美礼:「あ。まずいな」
豊島 正則:「そう思ってんなら、動くんじゃねえぞ」
豊島 正則:日馬とヴァルチャーの間に立ち、魔眼の盾を、薄く、広く展開。己を守るのなら狭く、厚くが定石ではあるが。
豊島 正則:少しでも、その先にいる者たちへの被害が軽減できれば、と。無駄であるとは分かっていても。
豊島 正則:「…ハ。これで身軽になった、ってな…!」
豊島 正則:光に己が身と、刺さっていた血刃を焼き崩されながら、笑う。
ヴァルチャー:己の攻撃を受け止めた豊島を、ただ感情の読み取れぬ無貌で見つめる。
GM:ネクスト新垣さん!
新垣御守:おっけー!
新垣御守:ではマイナーで2m左に移動
新垣御守:エンゲージを切りつつ、メジャーでコンセ+魔獣の衝撃+増加の触媒+蝕む赤+ブラッドボム+造血剤
GM:対象は!
新垣御守:対象はビショップくん!
ビショップ捜査官:ぐおおおお≪魔獣の咆哮≫!
新垣御守:オートでメイド服も装備!
新垣御守:こ、こいつ!
ビショップ捜査官:ダイス-6個!
新垣御守:めちゃくちゃ往生際が悪いな!
矢ヶ崎藍華:侵蝕と支部長の追加分が無くなった
ビショップ捜査官:死にたくない!
新垣御守:8dx7+9
DoubleCross : (8R10+9[7]) → 10[1,1,2,2,2,5,5,7]+10[8]+10[8]+4[4]+9 → 43
新垣御守:いいから死ね!
ビショップ捜査官:ぐ……うおおおおお!!
ビショップ捜査官:ドッジだ!!
ビショップ捜査官:7DX>=43
DoubleCross : (7R10[10]>=43) → 8[1,2,2,6,7,7,8] → 8 → 失敗
ビショップ捜査官:どうして俺はドッジなんてしてしまったんだろうな
ビショップ捜査官:最後の最後でイージスを信じられなかった…
新垣御守:7d10+14
DoubleCross : (7D10+14) → 26[2,4,1,7,8,2,2]+14 → 40
ビショップ捜査官:死!!
新垣御守:ビショ沢サン…
GM:演出どうぞ!
新垣御守:そして、対抗種のバックファイアでこちらも死ぬため
新垣御守:ビショップにロイス取って即昇華
新垣御守:脅威○/敵愾心/昇華済み
日馬 美礼:【肉体】+10+1d10まで回復するよ。(チーム効果)
新垣御守:あ!!!
新垣御守:そうか!!
豊島 正則:あ、自分も忘れてた…!
新垣御守:まずリザの回復量が違う!
新垣御守:今振ってもいいですか?
GM:どうぞ!
新垣御守:2+1d10
DoubleCross : (2+1D10) → 2+7[7] → 9
豊島 正則:では自分もここで。
豊島 正則:1d10+11
DoubleCross : (1D10+11) → 6[6]+11 → 17
新垣御守:で、対抗種のバックファイアで
GM:死なない!
新垣御守:残り6
新垣御守:日馬支部長~~~!!
GM:なんてこった……日馬美礼……!
新垣御守:ではとりあえずビショップくんには取得まで!昇華はしない!
GM:あらためて演出どうぞ!
新垣御守:たんッ たんッ
新垣御守:光に傷負いながらも、軽業師のように跳び回り続ける。
ビショップ捜査官:「UGN……UGN……!」瀕死の身体で、ずるずると這いずる。
ビショップ捜査官:「許せねえ……同じオーヴァードのくせに……」
ビショップ捜査官:「てめぇらも化け物のくせに……!」
新垣御守:「それ以上動かない方がいい」
新垣御守:「立つなら」
新垣御守:「アンタは死ぬ」
ビショップ捜査官:「うるせえ……うるせえうるせえうるせえぇええーーーーッ!!」
新垣御守:距離は遠間、しゃがみ込みながら
新垣御守:攻撃の気配はない。
ビショップ捜査官:がく、がくと
ビショップ捜査官:震えながら、膝に力を入れようとする。
新垣御守:「……」
新垣御守:「警告はした」
ビショップ捜査官:「どいつもこいつも人間ぶりやがって……!」
ビショップ捜査官:「ムカつくんだよ……!」
ビショップ捜査官:「自分だけは、自分だけは特別だと思ってやがる」
ビショップ捜査官:「違う!!違う違う、違う!!」
ビショップ捜査官:肋骨が肉を突き破り、地面に刺さって身体を支えようとする。
ビショップ捜査官:「お前も……お前もお前も!!どいつもこいつも人でなしの分際で……!」
新垣御守:「私には」
新垣御守:「アンタが特別、化物ぶりたかっただけみたいに見えるけどね」
ビショップ捜査官:「おっ」
ビショップ捜査官:「俺は!!」
新垣御守:びし びし びし
ビショップ捜査官:「俺はぁあああ!!」
ビショップ捜査官:新垣に対し、醜悪な拳を振り上げようとした、その瞬間。
新垣御守:地面に広がった血溜まりから
新垣御守:一斉に猛毒の煙が、ビショップに向け吹き上がる!
ビショップ捜査官:「ぐ……あぁッ!?」
ビショップ捜査官:「こんな、ただの霧……」
ビショップ捜査官:「……え」
新垣御守:急激に肉と骨を分解させ
新垣御守:レネゲイドごと塵に返す。
ビショップ捜査官:どろどろと。
新垣御守:「アンタも私も、普通だよ」
ビショップ捜査官:腕が、手足が、臓腑が、頭が。
新垣御守:「普通の人間が普通の人間を、今1人、殺した」
ビショップ捜査官:溶解し、崩れ落ちていく。
新垣御守:「……34人目」
新垣御守:小さく呟く。あの日から
ビショップ捜査官:「嫌だ……嫌だ……俺は……お……れ……」
ビショップ捜査官:「まだ……」
ビショップ捜査官:「何……に……も……」
新垣御守:自分で引き金を引いた数。
ビショップ捜査官:「………………」
GM:どしゃり。
GM:もう再生もかなわない。物言わぬ肉塊と化したビショップが、血だまりに崩れ落ちる。
新垣御守:「……」
新垣御守:そのビショップ捜査官だったものを見据えながら、立ち上がり
新垣御守:視線はその先のリリアナへ。
鴻上禮次郎:「……チッ、気に食わねえな。気に食わねえが……」
鴻上禮次郎:クライマックスなのでここでロイス取得!
鴻上禮次郎:もったいぶったPC間ロイス!
鴻上禮次郎:一つ、借りができちまったな…… 新垣御守 恩義◯/嫉妬
鴻上禮次郎:以上です!
GM:行動値6 豊島さんと日馬さんですね
豊島 正則:うっす。
日馬 美礼:こっちはヴァルチャー攻撃予定。先動くかい?
豊島 正則:や、どうぞ。
日馬 美礼:OK。じゃあ仕掛けるよ。マイナーで戦闘移動。ヴァルチャー側へエンゲージ、と。
日馬 美礼:メジャーアクションで通常攻撃。ビショップへのロイスをタイタス化。昇華してC-1に。
日馬 美礼:15dx6+4 《コンセントレイト》《巨匠の記憶》
DoubleCross : (15R10+4[6]) → 10[1,1,1,1,1,2,4,5,7,8,8,8,8,9,9]+10[1,1,3,3,7,7,9]+10[4,6,10]+10[6,8]+4[4,4]+4 → 48
日馬 美礼:よし。まずまず走ったね、達成値48だ。
GM:ウオーー
GM:ドッジ!
GM:4DX>=48
DoubleCross : (4R10[10]>=48) → 10[7,8,8,10]+2[2] → 12 → 失敗
GM:ダメージどうぞ!
日馬 美礼:5d10+13 装甲有効
DoubleCross : (5D10+13) → 34[10,4,4,9,7]+13 → 47
日馬 美礼:出目は大きいね。装甲有効の47点。
日馬 美礼:ほんとうに、対ジャーム戦闘は好きじゃない。単純に、この出来損ないのカラダは、RVの衝動に耐えられないからだ。
日馬 美礼:今も、湧き上がる飢えが。より正体の知れないオーヴァードであるリリアナ・マルチネスを解体しろ、と。
日馬 美礼:できもしないのに。そんなものは黙殺する。思考戦車を自動操縦にセット。白い"外敵"にそのまま、全速力で激突させる。
ヴァルチャー:「……!」
ヴァルチャー:攻撃後の反動は流石に大きいらしく、ほとんど動けずに衝撃をまともに喰らう!
日馬 美礼:「やぁ」めりこんだ"前肢"の間から、白い装甲を覗き込む。
ヴァルチャー:「……」
日馬 美礼:「おとなしくはできないかな。無理だよねえ」
ヴァルチャー:純白の装甲が大きくへこんでいる。甚大なダメージであるはずだ。
ヴァルチャー:それでも、ゆっくりと人形めいて立ち上がる。
日馬 美礼:露骨に嘆息。
日馬 美礼:「じゃあ続けようか」
GM:豊島さんどうぞ!
日馬 美礼:侵蝕128。
豊島 正則:はい。マイナーで藍華ちゃん、鴻上さんのエンゲージに合流。
豊島 正則:メジャーでリリアナに、《C:ウロボロス/無形の影/シャドーテンタクルス/シャドースクラッチ/瞬速の刃》で攻撃。
豊島 正則:17dx7+2
DoubleCross : (17R10+2[7]) → 10[1,1,1,2,3,5,6,6,7,7,7,8,8,9,10,10,10]+10[2,3,4,8,8,8,8,9,10]+10[1,3,5,5,8,10]+10[2,9]+10[7]+1[1]+2 → 53
豊島 正則:達成値53で!
GM:高っ
GM:回避!
GM:7DX>=53
DoubleCross : (7R10[10]>=53) → 10[1,3,6,6,8,9,10]+9[9] → 19 → 失敗
GM:ダメージどうぞ!
豊島 正則:6d10+19
DoubleCross : (6D10+19) → 41[1,7,8,8,10,7]+19 → 60
豊島 正則:装甲有効、60点。
GM:ええーー
GM:カバー屋でこの火力
GM:装甲で減らして、健在!
GM:演出どうぞ!
豊島 正則:「さて、まだ満足に動きゃしないこの身体だが」
豊島 正則:事実。距離を詰めるのにも、左腕は力なく垂らしたまま。左足は引きずるように。とても、槍を自在に操れる状態ではない。
豊島 正則:「なぁに、問題ない。ヒトとしてのカタチさえ残ってりゃあ…」
豊島 正則:防御に使っていた魔眼は、槍の穂先に。
豊島 正則:「俺は、俺達は、戦える」
豊島 正則:共に歩む影は、地面から浮き上がり。操り人形のように、壊れかけた身体を、外側から駆動させる。
豊島 正則:通常と遜色ない、あるいは通常以上に鋭さを感じさせる構えから。
豊島 正則:「……啼け、大鴉」
豊島 正則:振り上げた槍が伸び、魔眼と融合した穂先は大きさと重さを増して。
豊島 正則:巨大な戦斧と化して、血鎧を纏ったリリアナに直撃する。
リリアナ:防御を貫通した一撃に、身体を深々と抉られる。
リリアナ:「はっはァ!! やるじゃん、UGNエージェント!!」
リリアナ:噴き出した血も、また彼女の武器と化す。
豊島 正則:「アンタもな。……いや、実際笑いごとじゃねえが」
リリアナ:「一応、名前、聞いとこうか?」
豊島 正則:ふん、と小さく笑ってから。
豊島 正則:「豊島正則。人呼んで”凶鳥(フッケバイン)”」
豊島 正則:「死体を喰う、あさましい鴉…だった男だよ」
リリアナ:「覚えとくよ――最後まで生きてたらな」
GM:行動値0、リリアナの再行動です。
GM:リリアナが、血液を刃に変え、自らの喉元に突き立てる。
GM:噴き出す黒血。
GM:同時に、彼女のレネゲイドが、急速にその出力を増していく。
GM:自身の侵蝕率を強制的に高める、≪ジェノシフト≫と呼ばれる技術。
GM:だが彼女のそれは、常軌を逸した激しさで行われている。
GM:ジャーム化も辞さない、ということだろう。
GM:リリアナが煙草を咥えなおす。彼女の全身より噴き出す黒血から、
GM:真紅の爆炎が吹き上がる。
リリアナ:「本気出すとしようか」
リリアナ:マイナーなし。
リリアナ:メジャーで
リリアナ:≪コンセントレイト:ブラム=ストーカー≫+≪紅の刃≫+≪血の宴≫+≪殺戮領域≫+≪ブラッドバーン≫+≪プラズマカノン≫+≪バーストブレイク≫
リリアナ:対象、新垣御守!
新垣御守:よっしゃあああ
GM:喜ぶところではない!
新垣御守:言われてみればそうである
リリアナ:13DX7+6
DoubleCross : (13R10+6[7]) → 10[1,1,2,2,2,3,4,6,7,7,8,9,10]+10[1,2,4,4,9]+6[6]+6 → 32
新垣御守:ともかく来いッ!
新垣御守:回避!
リリアナ:死ねーッ
新垣御守:4dx
DoubleCross : (4R10[10]) → 9[2,4,8,9] → 9
新垣御守:やってみろゴルァ!!
リリアナ:4D10+70+2D10+5D10
DoubleCross : (4D10+70+2D10+5D10) → 24[9,1,5,9]+70+5[3,2]+26[6,1,5,7,7] → 125
新垣御守:お太い!
新垣御守:ホア^~ッ死ぬ
新垣御守:今度こそビショップのロイス切って蘇生!
リリアナ:リリアナがその血塗れの腕を振るう。
新垣御守:11+1d10
DoubleCross : (11+1D10) → 11+5[5] → 16
リリアナ:幾重にも重なった黒い血の刃が飛来し、新垣の全身をズタズタに引き裂く!
新垣御守:「ッ!!」
リリアナ:一瞬遅れて、血液が赤熱。
新垣御守:正面から受ける!深々と傷を負う!
リリアナ:業火が噴き上がり、傷口から体内を焼き焦がす!
リリアナ:さらに対抗種のレネゲイドが、お互いにお互いを喰らいあう。凄まじい激痛。
リリアナ:なお勢い衰えぬ血刃は、遥か後方の大量のコンテナや漁船をバターのように切断し、最後に巨大な水柱を巻き上げた。
リリアナ:高く巻き上げられた海水が、雨のようにこちらまで降り注ぐ。
新垣御守:「……ぐッ…は」
新垣御守:リリアナとは何度も喧嘩した。取っ組み合いになることだってあったし
新垣御守:訓練でだって、いつもこてんぱんにされた。
新垣御守:でも、この痛みは、あの時以来だ。
新垣御守:あの日……この人と出会った日。
リリアナ:「痛いか、御守」
リリアナ:リリアナが、蹲る君を見る。
リリアナ:「痛いなら、そこで寝てろ」
リリアナ:「そうすれば、殺しはしない」
新垣御守:「痛いよ。痛いに決まってんじゃん」
新垣御守:ふらつきながら、立ち上がる
新垣御守:俯いたその口元は
新垣御守:「……は……はは……ふふ」
リリアナ:「…………」
新垣御守:笑っている。
新垣御守:何故かわからないけど、笑ってしまう。
リリアナ:「……まだ、やる気かよ」
リリアナ:呆れたような声。
新垣御守:「やるよ」
新垣御守:「勝負はこれからだ。やっと」
新垣御守:「私はアンタから思いっきり殴られた」
新垣御守:「……こんなに痛かったんだ。ああ、ホントにさあ」
新垣御守:「やっとだよ。これで向き合える」
新垣御守:唇の端の血を、指先で拭って
新垣御守:「次は私が、思いっきり殴る」
リリアナ:「向き合える、か」
リリアナ:「それが敵としてでも、か?」
新垣御守:「敵とか味方じゃない」
新垣御守:「アンタと、私の話だよ」
リリアナ:虚を突かれたような顔。
新垣御守:「……そんな言葉で線引きできるくらい、安くないでしょ」
リリアナ:「お前、ここまで来て……はは」
新垣御守:「マジで、ホント、嫌んなるけど」
リリアナ:「あはは……あっははははは!!」
リリアナ:おかしくてたまらないというような笑い声。
新垣御守:「……はは、ははは!」
新垣御守:「笑うしかないよ……ったくさ」
新垣御守:それでも
新垣御守:この人に出会えて、本当によかった。
新垣御守:やっぱりそう思う。
リリアナ:「ははは、はぁ……いいぜ……それなら」
リリアナ:リリアナが、にやりと笑う。
リリアナ:「――ボコボコにしてやる」
新垣御守:「こっちの台詞」
新垣御守:にっと掌を突き出す。
GM:それは何度目だったか、いつ振りだったか。
GM:二人の視線が、ようやく本当に、交錯した。
GM:---
GM:1ターン目を終了します。
GM:そういえばクリンナップは何かありますかね 多分ないですよね?
鴻上禮次郎:ないですね!
豊島 正則:ないです!
日馬 美礼:なし。
新垣御守:なし!
矢ヶ崎藍華:ないです
GM:ヨシ!2ターン目!
エンゲージ
リリアナ
(10m)
豊島、矢ヶ崎、鴻上
(10m)
(2m)新垣
(10m)
"ヴァルチャー"、日馬
GM:セットアップ!
豊島 正則:あ、そしてリアクティブコートが破壊されたので、微妙に行動値が上がっております。
鴻上禮次郎:セタップ! ブルーゲイル!
鴻上禮次郎:116→121
豊島 正則:なっしん!
日馬 美礼:セットアップ宣言なし。
新垣御守:アクセル!俺に質問するな!!
新垣御守:矢ヶ崎さんの行動値をプラス10!
矢ヶ崎藍華:いただきます!
矢ヶ崎藍華:あ、じゃあ脱がなくてもいける!
GM:エネミーはなし!
GM:ではイニシアチブ!
GM:行動値15になったガサキさん!
矢ヶ崎藍華:マイターン!
矢ヶ崎藍華:マイナーで移動して、
矢ヶ崎藍華:ヴァルチャーと接敵…!そして!
矢ヶ崎藍華:メジャー 最終コンボ【N・N・N(ネガ・ノヴァ・ネメシス)】
《コンセ:ウロ》+《エクスプロージョン》+《ツインバースト》+《原初の赤:紅蓮の衣》+《原初の黒:プラズマカノン》+《原初の白:マシラのごとく》+《オーバードーズ》
GM:【クライマックス戦闘】
矢ヶ崎藍華:もちろん【守護天使】も起動!ダイス+5、マシラによるダイスペナルティ無視!
GM:ぐおおお
GM:どうぞ!
矢ヶ崎藍華:14dx7+5 吹 っ 飛 べ ー !
DoubleCross : (14R10+5[7]) → 10[1,2,2,3,3,4,5,5,8,8,9,10,10,10]+10[3,3,4,7,8,8]+10[4,7,7]+5[4,5]+5 → 40
矢ヶ崎藍華:十二分
矢ヶ崎藍華:もちろん
GM:ガードしかない!
矢ヶ崎藍華:ドッジ不能!
GM:ダメージどうぞ!
矢ヶ崎藍華:ダメージ!
矢ヶ崎藍華:5d10+153
DoubleCross : (5D10+153) → 23[7,2,4,7,3]+153 → 176
GM:いや……おかしいでしょ……
GM:粉々になりました
GM:演出どうぞ!
矢ヶ崎藍華:「……」白い装甲の異形に照準を合わせる。確か、あれは
矢ヶ崎藍華:「…先輩。あれって…」
豊島 正則:「だろうな。……なに、遠慮するこたあ無ぇ」
豊島 正則:「言うべきことは言った。聞くべきことは聞いた。その上で俺達は、ここにいる。……それに」
豊島 正則:「今のお前なら、やれるさ。そうだろう、藍華」
矢ヶ崎藍華:「ふふっ、ずるいですね…先輩」「そんな事言われたら」
矢ヶ崎藍華:頭上の火球が消える。
矢ヶ崎藍華:「私」「めちゃくちゃに頑張れますよ」
豊島 正則:言葉を返す、その代わりに。駆け出す藍華の背を、傷の増えた左上でそっと押す。
矢ヶ崎藍華:再び火球が灯る…今度は、体内。
矢ヶ崎藍華:心臓を中心に、爆発するように全身から影の淀みが噴出し矢ヶ崎藍華の全身を覆い、真っ黒なシルエットへと変貌させる。
矢ヶ崎藍華:「…っせっ!!」
矢ヶ崎藍華:駆ける!
矢ヶ崎藍華:同時に白い異形の背中にも火球が出現し、その影をも写し取る。輪郭が“ヴァルチャー”の映し身へと更に変貌し
矢ヶ崎藍華:到着と同時、真っ黒いプリズム光を、その左手から“ヴァルチャー”へと解き放つ!!
ヴァルチャー:「!!」
ヴァルチャー:姿かたち、のみならず出力までもが自信と瓜二つのそれに、ほんの一瞬動きが止まる。
矢ヶ崎藍華:「……はぁっ!」
ヴァルチャー:「…………!!」
ヴァルチャー:放たれた破壊の奔流に、自らのレネゲイドを同じ形に収束させて、放つ!
ヴァルチャー:凄まじい破壊の渦が吹き荒れ、周囲の全てを粉々に吹き飛ばす。
ヴァルチャー:数秒の拮抗。だがやがて、黒い光がヴァルチャーの光を塗り潰していく。
ヴァルチャー:「!!」
矢ヶ崎藍華:「あなた、強いですね。」
ヴァルチャー:咄嗟に回避しようとするが――
矢ヶ崎藍華:「でも、私のほうが。」
矢ヶ崎藍華:「恵まれていました」
矢ヶ崎藍華:奔流は分厚い装甲を削り取っていく…が、致命までその出力を維持はせず
矢ヶ崎藍華:戦闘不能へと押し止める意志を込めて、放出し終えた
ヴァルチャー:ほんの一瞬掠っただけで、頭部の装甲が粉砕される。
ヴァルチャー:開いた穴から、真っ白な長髪がはらりと垂れる。
ヴァルチャー:「…………」
ヴァルチャー:ひしゃげ、あちこち剥がされた装甲で、
ヴァルチャー:"ヴァルチャー"はゆっくりと、君と豊島くんを見やる。
矢ヶ崎藍華:「…わわっ。」
矢ヶ崎藍華:すごいかわいい女の子じゃん…!先輩、なびいたりしてないよね…?
ヴァルチャー:ほんの一瞬、矢ヶ崎さんにだけ垣間見えた顔を、再び構成した仮面で覆い隠す。
矢ヶ崎藍華:「…もう、休んでていいですよ」
ヴァルチャー:「…………」
ヴァルチャー:機械変換されたような声が、装甲の隙間から漏れる。
ヴァルチャー:「こんなことをしても」
ヴァルチャー:「何も変わりませんよ」
矢ヶ崎藍華:「そうでしょうか?」
矢ヶ崎藍華:「少なくとも私には」
矢ヶ崎藍華:「かわいい女の子と話せる、貴重な時間をもらえましたよ?」
矢ヶ崎藍華:侵蝕149
ヴァルチャー:「…………」
矢ヶ崎藍華:まだ終わっていないのに笑みが溢れる
ヴァルチャー:戸惑ったように、少し君に頭を向けて。
ヴァルチャー:「……あなたにも、すぐに分かるでしょう」
ヴァルチャー:それだけ言い残し、
ヴァルチャー:空気に溶けるように輪郭が薄れていく。
矢ヶ崎藍華:「あっ…?」
ヴァルチャー:≪瞬間退場≫です。
矢ヶ崎藍華:「……」
日馬 美礼:「やれやれ。こっちは片付いたか」遮光シールドを開く。
矢ヶ崎藍華:「…はいっ」
矢ヶ崎藍華:「次も、出来る限りで」
矢ヶ崎藍華:逆を向く。今や残り一人になった相手を見据えるべく
豊島 正則:「……ああ。となりゃあ、あとは」
豊島 正則:消えた輪郭の痕を、ほんの少しの間見つめてから。視線と切っ先を、残る者へと。
GM:残る敵は、ただ一人。
GM:リリアナ・マルティネス。
GM:イニシアチブ!14の鴻上さん!
鴻上禮次郎:うっす!
鴻上禮次郎:マイナーで戦闘移動!
鴻上禮次郎:リリアナに接敵!
鴻上禮次郎:咎人の剣+コンセ+カスタマイズ+クリスタライズ 対象はリリアナ!
GM:どうぞ!
鴻上禮次郎:ダイス振るぜ~~~~~!
鴻上禮次郎:13dx7+5 白兵
DoubleCross : (13R10+5[7]) → 10[1,2,2,2,3,4,4,4,5,5,5,5,10]+10[10]+2[2]+5 → 27
鴻上禮次郎:まだだ!
鴻上禮次郎:剣精の手!
鴻上禮次郎:121→123
鴻上禮次郎:1dx7+35
DoubleCross : (1R10+35[7]) → 6[6]+35 → 41
鴻上禮次郎:66+5d10 装甲無視!
DoubleCross : (66+5D10) → 66+32[3,10,8,6,5] → 98
GM:うげえーっ
GM:だがまだ生きている
GM:演出どうぞ!
鴻上禮次郎:では演出代わりに戦闘会話だ!
鴻上禮次郎:亡者たちが生み出す屍山血河の中を、滑るようにしてリリアナに迫る剣鬼。
鴻上禮次郎:「リリアナさんよぉ! あんたに聞きたいことがある!」
リリアナ:「ああ?」
鴻上禮次郎:そう叫びながら、袈裟斬りに斬りつける。
リリアナ:無造作に、血の刃を一閃する。
鴻上禮次郎:刃と刃がぶつかりあい、禮次郎の雪風は折れる。
鴻上禮次郎:しかし再度錬成。次は逆袈裟に。
リリアナ:「何だお前、あれか。やたらとビショップが絡んでた……」
鴻上禮次郎:「そうだよ。ヤクザさ」
鴻上禮次郎:「この抗争で身重の妻がさらわれちまってな」
鴻上禮次郎:「お陰で血眼なんだわ」
リリアナ:刃を受け止め、口を開く。
リリアナ:「この土壇場で聞くことかよ」
鴻上禮次郎:鍔迫り合いを続けながら、構わずに会話を続ける。
鴻上禮次郎:「逆だよ、今しかねえ。今なら誰にも聞かれねえ」
リリアナ:「はん、そうだな」
鴻上禮次郎:「ビショップのやつならむごたらしく殺すと思ってたが、やつのセリフが妙だった。ぶち殺しただの、なんだの、えげつない挑発のネタになるのによ」
鴻上禮次郎:「あいつ——殺せなかったんじゃないか?」
鴻上禮次郎:「ビショップにそれをさせない誰かが居たんじゃねえか?」
リリアナ:「それは……」
リリアナ:狂気に満ちた表情が、
リリアナ:ほんの一瞬、陰る。
鴻上禮次郎:「今となっちゃあ候補は二人。アレハンドロとあんただ」
リリアナ:「……悪いが、現実はそう甘いもんじゃない」
リリアナ:「直接知るわけはないが――まあ、推測はできる」
鴻上禮次郎:「聞かせてみろよ」
リリアナ:「カルテルってのは、儲かる仕事なら何でもする」
リリアナ:「一番金になるのが麻薬だから、麻薬カルテルと呼ばれてるだけでな」
リリアナ:「密輸に密漁、土地転がしに――」
リリアナ:「それに、人身売買」
鴻上禮次郎:「……そうかい。ま、分かっちゃいたがね」
リリアナ:「妊婦ってのは、高く売れる」
リリアナ:「そう、奴から聞いたことがある」
リリアナ:「売られた先は知らないが」
リリアナ:「おそらくは、もう」
鴻上禮次郎:「——そうか、礼を言うぜ」
鴻上禮次郎:離れざまに、装甲を貫く一閃。
リリアナ:「ッ!」
鴻上禮次郎:今までのどれよりも速く、鋭く。
鴻上禮次郎:「もう俺を縛るものはねえってことか……」
鴻上禮次郎:そして、寂しい太刀筋だった。
リリアナ:虚を突かれ、胴を深々と切り裂かれる。
リリアナ:零れ落ちそうになったはらわたを、
リリアナ:血液操作で無理やり押し留める。
リリアナ:「やるじゃないか、ヤクザさん、だっけ?」
鴻上禮次郎:「ヤクザですらねえさ」
鴻上禮次郎:「つまらねえ人殺しだ」
GM:イニシアチブ!
GM:リリアナの手番
GM:マイナーなし
GM:鴻上さんに≪コンセントレイト:ブラム=ストーカー≫+≪紅の刃≫+≪血の宴≫+≪殺戮領域≫+≪ブラッドバーン≫+≪プラズマカノン≫+≪バーストブレイク≫
リリアナ:13DX7+6
DoubleCross : (13R10+6[7]) → 10[2,3,3,4,5,5,5,6,7,8,8,9,10]+10[1,2,3,8,9]+10[3,10]+4[4]+6 → 40
鴻上禮次郎:おっ、絆結んじゃったか?
鴻上禮次郎:素で受ける!
鴻上禮次郎:まあドッジくらいはする
鴻上禮次郎:7dx 回避
DoubleCross : (7R10[10]) → 10[1,1,4,4,5,7,10]+5[5] → 15
鴻上禮次郎:はい無理!
鴻上禮次郎:ダメージ来い!!!!!
リリアナ:5D10+70+2D10+5D10
DoubleCross : (5D10+70+2D10+5D10) → 34[7,5,4,8,10]+70+12[3,9]+38[7,5,10,9,7] → 154
リリアナ:諸々有効
鴻上禮次郎:無理!
鴻上禮次郎:ビショップを生贄に捧げて蘇る!
鴻上禮次郎:死んだヤツのことは忘れる
リリアナ:「話は済んだか?」
リリアナ:「なら」
鴻上禮次郎:「——来いよ。命だって惜しくはねえ」
リリアナ:瞬間、リリアナの周囲を吹き荒れる黒血の嵐が、爆発的に勢いを増す。同時に硬質化。
リリアナ:「邪魔をしないで」
リリアナ:その全てが業火纏う致死の刃となって、君の全身を襲う!
リリアナ:「貰おうか!!」
鴻上禮次郎:「——ッ」 為す術もなく消し飛ぶ。
鴻上禮次郎:——が
鴻上禮次郎:「まだ……立てちまうねぇ……!」
鴻上禮次郎:ビショップのロイスをタイタスに変え昇華!
鴻上禮次郎:自らの身体を再錬成して、擬似的な回復を行って粘る!
リリアナ:舌打ちしながらも、愉快そうな顔。
鴻上禮次郎:(俺に注意が向いている間に……あいつらがキメてくれると祈ろうか)
リリアナ:「……は。どいつもこいつも……」
GM:ネクスト8!豊島さん日馬さん!
GM:あ!
GM:ごめんなさいその前に
矢ヶ崎藍華:!?
GM:≪夜魔の領域≫
GM:行動値0で再行動
GM:改めてどうぞ~~
新垣御守:この野郎!
GM:あ、今8は豊島さんだけか どうぞ!
GM:レズ特有の複数回行動
豊島 正則:うす、待機します!
GM:OK!
GM:ネクスト7!新垣さん!
新垣御守:オーケー!参ります!
新垣御守:マイナーはなし!メジャーでコンセ+魔獣+触媒+蝕む赤+ブラッドボム+増血剤
新垣御守:対象リリアナ!田井中くんのロイスを切ってC-1!
GM:来い!
新垣御守:えーっと
新垣御守:日馬さんの支援でダイス+2ですよね
日馬 美礼:だよ。
新垣御守:よっしゃあ
新垣御守:13dx6+9
DoubleCross : (13R10+9[6]) → 10[1,2,2,3,4,5,6,6,7,7,9,10,10]+10[2,2,2,3,5,5,10]+10[9]+3[3]+9 → 42
新垣御守:いまいち!
GM:うおおお
GM:ガードだ!
GM:来い!
新垣御守:いけえええええええ!!!
新垣御守:7d10+14
DoubleCross : (7D10+14) → 21[1,1,1,10,2,5,1]+14 → 35
新垣御守:ひっく!
GM:死………
GM:なんなあ!それでは!!
新垣御守:うおおお
新垣御守:ダメージは入りますか!
GM:入ります!
GM:演出どうぞ!
新垣御守:ではブラッドボムの追加ダメージ!こいつはガードも無効だ!
新垣御守:2d10
DoubleCross : (2D10) → 8[7,1] → 8
GM:なにーッ
新垣御守:そして、ランク5の邪毒を付与
GM:ぐおおおおおおお
新垣御守:クリンナップで15点ダメージ!
GM:痛い
GM:演出どうぞ!
新垣御守:鴻上が揉み合った状態のまま
新垣御守:ゴ ォアッ!!
新垣御守:味方もろとも毒煙に巻き込む!しかし
新垣御守:それはリリアナのみの肉体を麻痺させる!微細な成分調整によって
新垣御守:性別、血液型、人種、あらゆる条件で
新垣御守:毒の効き目を0から100まで調整出来る。現在の新垣御守は膨大な経験の果てにその技術を体得している。
リリアナ:「なんだよ御守! この程度か! ええ!?」
リリアナ:叫んでから、異変に気付く。
リリアナ:四肢が、動かない。
鴻上禮次郎:「ハハッ、俺ごとやっちま……やるねぇ!」
新垣御守:「……そっちがしぶとすぎるんだっつーの……でも」
新垣御守:「アンタも私の事は、全部知ってるわけじゃない」
新垣御守:「ガチで喧嘩するのなんか、初めてなんだもん。そうでしょ?」
リリアナ:「……しばらく見ない内に」
リリアナ:「随分器用になったじゃねえか」
新垣御守:「練習したんだよ」
新垣御守:「柄にも無いケドさあ」
新垣御守:「信念ってヤツで、やってんだから」
リリアナ:「……そうか?」
リリアナ:ぎし、ぎし。
リリアナ:麻痺した手足を、筋組織を断裂させるのも厭わずエフェクトで無理やり動作させる。操り人形の要領。
新垣御守:「……」
リリアナ:「お前は、元々」
リリアナ:「そういう奴だろ」
リリアナ:血に塗れた、笑み。
新垣御守:「……見つけてくれなきゃ」
新垣御守:「無いのも一緒だよ」
リリアナ:「なら」
リリアナ:まともに動かせないはずの腕で、挑発のジェスチャー。
リリアナ:「見せてみろよ」
新垣御守:「『まだやる気かよ』」
リリアナ:「…………」
新垣御守:「……あの日と逆だ」
リリアナ:「……お前なら、何て答える?」
リリアナ:「分かってんだろ」
新垣御守:「分かってる」
新垣御守:「……やるよ」
リリアナ:「そう」
リリアナ:「やるさ」
新垣御守:「簡単に仕切り直せたら」
新垣御守:「苦労なんてしないって。だから」
新垣御守:「『お前を助けにきた』」
新垣御守:「来てよ……ぶっ倒れるまで」
日馬 美礼:……さて、動いていいかな?
GM:どうぞ!
GM:行動値6日馬さん!
日馬 美礼:マイナーで暴走解除。メジャーで全力移動。豊島くんにエンゲージ。
日馬 美礼:「ようやく頭がはっきりしてきた。動けるかい」
日馬 美礼:以上。
GM:OK!
GM:くっ……ダイスで決める!
GM:1D5
DoubleCross : (1D5) → 5
GM:鴻上!死ねェ!
新垣御守:うげぇーっ!
鴻上禮次郎:げぇっ!?
GM:マイナーなし!
GM:≪コンセントレイト:ブラム=ストーカー≫+≪紅の刃≫+≪血の宴≫+≪殺戮領域≫+≪ブラッドバーン≫+≪プラズマカノン≫+≪バーストブレイク≫
鴻上禮次郎:ナンデ今回のボス共は俺のことが好きなんだ
リリアナ:13DX7+6
DoubleCross : (13R10+6[7]) → 10[1,2,2,3,3,4,5,5,6,6,8,10,10]+10[2,6,8]+6[6]+6 → 32
リリアナ:低い!
鴻上禮次郎:ワンチャンあるぞ~
鴻上禮次郎:ドッジ!
鴻上禮次郎:7dx
DoubleCross : (7R10[10]) → 9[1,1,4,7,8,9,9] → 9
鴻上禮次郎:ダメー!
リリアナ:4D10+70+2D10+5D10
DoubleCross : (4D10+70+2D10+5D10) → 23[7,3,8,5]+70+5[1,4]+27[9,7,6,3,2] → 125
GM:諸々有効
鴻上禮次郎:死
鴻上禮次郎:演出っちまってください
リリアナ:傷付きつつもすぐ近くで隙を伺う鴻上に対し、
リリアナ:ほんの一瞥。
鴻上禮次郎:「——ッ!」
鴻上禮次郎:(俺を狙ったな)
リリアナ:巨大な血の槍を生成、串刺しにする。槍は体内で弾け、凄まじい爆発を起こす!
リリアナ:「寝てろ、ヤクザ」
鴻上禮次郎:「おう、良い頃合いだ」
鴻上禮次郎:腹に突き刺さる槍。それでもにたりと笑う。
鴻上禮次郎:「ちょっくら地獄で、部下共と飲んでクラぁ」
鴻上禮次郎:大爆発! そして同時に巻き起こるモルフェウスの砂!
鴻上禮次郎:それは一瞬、ほんの一瞬だけ、リリアナの視界を塞ぐ!
鴻上禮次郎:というわけでロイス復活なし!
鴻上禮次郎:ここで寝る!
リリアナ:「!」
リリアナ:気付いた時には――もう遅い。
GM:待機の豊島さん!どうぞ!
豊島 正則:では、待機していたこちらの手番!
豊島 正則:…ダイス増やすならこちらか。マイナーでリリアナにエンゲージ。
豊島 正則:《C:ウロボロス/無形の影/瞬速の刃》でリリアナに攻撃。
豊島 正則:17dx7+2
DoubleCross : (17R10+2[7]) → 10[1,2,3,3,4,4,6,6,6,7,7,7,8,8,8,10,10]+10[3,3,5,5,5,8,8,9]+10[5,7,9]+10[2,8]+10[8]+10[9]+6[6]+2 → 68
豊島 正則:達成値68で!
GM:うおおおお!?
GM:ガード!!
新垣御守:いける!!
豊島 正則:ではダメージ!
豊島 正則:7d10+12+1
DoubleCross : (7D10+12+1) → 41[5,9,8,3,3,5,8]+12+1 → 54
豊島 正則:装甲有効、54点で。どうだ…!?
GM:ぐおおおおお!!
GM:死ぬ!!
GM:だが!
GM:≪蘇生復活≫!
豊島 正則:……!
GM:演出どうぞ!
新垣御守:うおおおお!!
豊島 正則:「動けるか、ねえ。……正直、暴走を抑えるので手一杯、と言いてえが」
豊島 正則:「ここまでされちゃあ、そんなワケにもいかねえよなぁ…!」
豊島 正則:日馬に、そして目の前で爆散した鴻上に応えるように、影で己が身を操って。
豊島 正則:砂煙越しに。最短最速の一撃を以って、リリアナの胸を抉る。
豊島 正則:それは、視界が通っていないとは思えないような。まるで。
豊島 正則:相手がそこにいることを、確信して放たれたかのような一撃。
リリアナ:塞がれた視界を縫って放たれた、渾身の一撃。
リリアナ:常人なら即死であろう、致命的な負傷だ。
リリアナ:「が……あ……ッ……!!」
リリアナ:リリアナの身体が、よろめく。
リリアナ:だが。
豊島 正則:「……ああ、よく効いてるみてえだな。キツいだろ、アイツの毒は」
リリアナ:「……ッ……!!」
リリアナ:自身の体内で、強制的に血液を凝固させる。
リリアナ:骨と肉の軋む音。
リリアナ:壊れた機械のような動きで、
リリアナ:それでも、リリアナは倒れない。
豊島 正則:「まあ、おかげでこうして。アイツがいりゃあ、俺は、俺達は。目を閉じてても戦える」
豊島 正則:「……が、これで終わりってワケでもなさそうだな」
豊島 正則:槍を引き戻し、穂先で凝固した血液を振り払う。
豊島 正則:以上で!
リリアナ:「まだ……だ……」
リリアナ:荒い呼吸。全身黒い血に塗れながら、眼光だけが爛々と輝いている。
新垣御守:「ありがと、豊くん」
新垣御守:「時間ジャスト」
新垣御守:視線を交わしつつ、腕を下げて
新垣御守:無防備に歩み寄る。
豊島 正則:また左足を引きずりながら、そっと新垣に道を譲る。
リリアナ:「御守……! 新垣御守……!!」
リリアナ:ぼたぼたと、血を撒き散らしながら、叫ぶ。
リリアナ:「私はまだ終わってないぞ……!まだだ、まだ……!!」
リリアナ:殆ど、前も見えていない様子だ。
リリアナ:それでも、確かに新垣御守だけを見据えている。
新垣御守:「……」
新垣御守:「終わって、ない?」
リリアナ:「そう、だ……私ならまだやれる……」
リリアナ:ずるずると、引きずるようにして歩み寄る。
リリアナ:「来いよ……まだ……」
リリアナ:腕の中で、僅かな血液を硬質化させ、不格好な刃を形成する。
リリアナ:「私は……」
リリアナ:新垣に向け、刃を振りかぶる。
リリアナ:「私たちは――!!」
GM:クリンナップフェイズ。
GM:邪毒のダメージを適用、15点ダメージ。
GM:リリアナ・マルティネスのHPは0、復活エフェクトはありません。
GM:戦闘終了です。
リリアナ:その動きが、ゆっくりと、止まる。
リリアナ:「…………?」
リリアナ:刃の硬質化が解け、元のただの血液となって流れ落ちる。
リリアナ:同時に、血液操作で無理やり動かしていた全身の動きも止まる。
リリアナ:「…………あ………」
リリアナ:ふらりとよろめき、
リリアナ:ばしゃり、と。自らの血だまりに崩れ落ちる。
新垣御守:毒に侵され、倒れ伏すリリアナを静寂の中見下ろす
新垣御守:そして、ジャケットの懐から
新垣御守:透明の小瓶を取り出す。
リリアナ:弱々しい呼吸で、目だけを動かしてそれを見る。
新垣御守:……いつも持ち歩いている。あの日、生き方を決めた日から。
新垣御守:透明の液体を口に含んで
新垣御守:リリアナを抱え上げ、口移しに
新垣御守:『血清』を流し込む。
新垣御守:常備化アイテム「解毒薬」を使用します。
新垣御守:対象は、リリアナ=マルティネス。
新垣御守:「ぷは」
リリアナ:「………………お、前……………」
リリアナ:腕の中で、なんとか口を動かす。
新垣御守:「終わりじゃないなんて……そんなの、当たり前だよ」
新垣御守:「私は、終わらせないためにいる」
新垣御守:「もう、諦めたりしないよ。リリ姉」
新垣御守:そっと、その頭を胸の中で抱き締める。
新垣御守:「……だから」
新垣御守:「諦めないで」
新垣御守:少し、肩を震わせて。
リリアナ:リリアナが目だけを動かし、
リリアナ:沈みかけた夕陽か。あるいは、それに照らされた君の横顔を見る。
リリアナ:――もしも。
リリアナ:もしも、人が。信じていたものに裏切られ。
リリアナ:自分のことさえ、信じられなくなったとしたら。
リリアナ:その時、人はどうするのだろう。
リリアナ:失意の中で死んでいくのか。
リリアナ:全てに憎悪をぶつけるのか。
リリアナ:あるいは、
リリアナ:信じたものに、何かを託そうとするのか。
リリアナ:彼女の場合、それは――。
リリアナ:「……ああ」
リリアナ:「綺麗だ」
リリアナ:リリアナは、ゆっくりと目を閉じる。
リリアナ:「本当に、綺麗だ」
GM:----------
GM:クライマックスフェイズを終了します。
新垣御守:ウワアアアア
新垣御守:お疲れ様でした!!!!!!
新垣御守:気が狂う
矢ヶ崎藍華:よかった……………
GM:死ぬ
矢ヶ崎藍華:ア!!!!
鴻上禮次郎:お疲れ様でした!!!!
矢ヶ崎藍華:豊島さん、ロイス!ロイス取って!
鴻上禮次郎:あ!?!?!?
豊島 正則:そ、そうだ!
鴻上禮次郎:日馬さんも7つ目とった?
矢ヶ崎藍華:私に2個めでもいいんですよ!!!!!!
豊島 正則:日馬支部長に「■誠意/不信感」で。誠意は感じるんだよ。誠意は…。
矢ヶ崎藍華:フーッ
豊島 正則:重ね取りするよりメモリーにしたいよ!
日馬 美礼:ありがとう。
日馬 美礼:ああ。大丈夫大丈夫、足りる。
矢ヶ崎藍華:メモリー…
日馬 美礼:今128。手持ち4本だからね。低下効果全部使ったら、ロイス増やすと下がりすぎる。
矢ヶ崎藍華:変わらない思い…
GM:では……バックトラック!!
GM:まず
GM:ビショップ
≪拒絶の結界≫
≪拒絶の結界≫
≪堕落の誘い≫(2個扱い)
GM:で4個!
矢ヶ崎藍華:4つ…!
矢ヶ崎藍華:予定より1個多い!
新垣御守:ふる!
矢ヶ崎藍華:もちろん使います
日馬 美礼:使うよー
日馬 美礼:128-4d10
DoubleCross : (128-4D10) → 128-30[4,10,9,7] → 98
鴻上禮次郎:死にたくないのでつかいます
GM:あ、まだあるぞ!
新垣御守:120-4d10
DoubleCross : (120-4D10) → 120-23[9,5,3,6] → 97
矢ヶ崎藍華:149-4d10
DoubleCross : (149-4D10) → 149-19[2,6,1,10] → 130
鴻上禮次郎:136-4d10
DoubleCross : (136-4D10) → 136-17[4,5,3,5] → 119
豊島 正則:使う使う!
矢ヶ崎藍華:ヘイヘイ
矢ヶ崎藍華:あるんですか
豊島 正則:155-4d10
DoubleCross : (155-4D10) → 155-20[7,4,4,5] → 135
新垣御守:ビショップくんありがとう…
GM:ヴァルチャーもあります!
矢ヶ崎藍華:そうとは
鴻上禮次郎:大盤振る舞いじゃん!
豊島 正則:Oh…
GM:≪ファイトクラブ≫
≪飢えたる魂≫
≪ありえざる存在≫
≪ありえざる存在≫
≪ありえざる存在≫
≪ありえざる存在≫
矢ヶ崎藍華:!?
豊島 正則:!?
矢ヶ崎藍華:ろ…ろっこ
鴻上禮次郎:うわぁ…
GM:計……10個!!
矢ヶ崎藍華:振った以上はこれもふらんといかんですぞ
新垣御守:www
新垣御守:ふるよ!!
新垣御守:とんでもないご祝儀だぜ
矢ヶ崎藍華:130-6d10
DoubleCross : (130-6D10) → 130-43[5,9,7,10,7,5] → 87
鴻上禮次郎:119-6d10
DoubleCross : (119-6D10) → 119-28[6,7,3,2,7,3] → 91
矢ヶ崎藍華:ええ…
新垣御守:97-6d10
DoubleCross : (97-6D10) → 97-38[5,8,3,8,8,6] → 59
矢ヶ崎藍華:ええと、素振りで
日馬 美礼:98-6d10
DoubleCross : (98-6D10) → 98-48[8,7,7,9,7,10] → 50
豊島 正則:6個追加振りで
新垣御守:そして素振り!
GM:初大N市で殺したくなくて……
豊島 正則:135-6d10
DoubleCross : (135-6D10) → 135-34[7,5,1,10,3,8] → 101
鴻上禮次郎:素振りしますね……
鴻上禮次郎:91-4d10
DoubleCross : (91-4D10) → 91-14[1,3,1,9] → 77
新垣御守:59-4d10
DoubleCross : (59-4D10) → 59-26[5,2,9,10] → 33
矢ヶ崎藍華:いやわかんねえなこれ。倍振り
新垣御守:初期値じゃねーか!!
鴻上禮次郎:これギガノトランス撃っても素で帰ってこれたじゃん!?
新垣御守:大生存!GMのやさしみに感謝
豊島 正則:そして素振り。カンパニー効果も適用して、まず6つ振って。
矢ヶ崎藍華:レズセは侵蝕に効く
豊島 正則:6d10
DoubleCross : (6D10) → 36[10,10,4,3,5,4] → 36
矢ヶ崎藍華:87-9d10
DoubleCross : (87-9D10) → 87-46[3,8,4,8,5,6,5,4,3] → 41
日馬 美礼:じゃあ倍振りするね。
矢ヶ崎藍華:なんだろうね…
矢ヶ崎藍華:生還!
日馬 美礼:50-8d10
DoubleCross : (50-8D10) → 50-33[5,2,10,1,2,8,4,1] → 17
日馬 美礼:よし。17まで。
豊島 正則:屍人のデメリットで、10を1つ、1に読み替える。101-27で、74%で帰還!
日馬 美礼:おめでとう。よかったよかった。
矢ヶ崎藍華:やったー!!!
GM:加減がわからなくて積みすぎた
GM:帰ってこられればいいんだよ!
GM:めでたいだろ!!
新垣御守:めでてえ!!
豊島 正則:ヒャッホウ!
矢ヶ崎藍華:イヤッフー!!
新垣御守:やさしいGMさんっ…!
どどんとふ:「豊島 正則」がログアウトしました。
どどんとふ:「日馬 美礼」がログインしました。
どどんとふ:「鴻上禮次郎」がログインしました。
どどんとふ:「豊島 正則」がログインしました。
どどんとふ:「新垣御守」がログインしました。
GM:経験点配布するのを忘れていました(痴呆)
豊島 正則:アッハイ
GM:基本の5点+シナリオ5点+Eロイス10点+Dロイス1点
新垣御守:言われてみればそうである
GM:計21点に侵蝕点を足してください~
矢ヶ崎藍華:侵蝕を含めると24点!
日馬 美礼:最終値17だけど、倍振りしてるので3点。
豊島 正則:侵蝕含めて26点。そしてここにSロイスが乗る!
矢ヶ崎藍華:そしてぇ!私もSロイス!
矢ヶ崎藍華:30点!
鴻上禮次郎:26にSロイスが乗って30かな?
矢ヶ崎藍華:Sは5点だぞ
豊島 正則:自分は31点で。
新垣御守:浸蝕39だから3点!
GM:このGM、Eロイス積みすぎだろ
新垣御守:24点、生存です。
鴻上禮次郎:お、31だ~!
鴻上禮次郎:どうやら計算ミスしてたらしいなふふ疲れてるのよモルダー
日馬 美礼:で、24点だね。
GM:それぞれ配布!食べてください
新垣御守:ウメーウメー
新垣御守:いただきます!
鴻上禮次郎:もっしゃもっしゃ……
矢ヶ崎藍華:ズゾゾーッ
矢ヶ崎藍華:いただきます
日馬 美礼:いただきます。
鴻上禮次郎:滋味……
GM:ヨシ!ED始めます!
豊島 正則:はーい!
【共通ED】
GM:----------
GM:埠頭に落ちた宵闇を、大量のパトランプが赤く照らしている。
矢ヶ崎藍華:「わあ、凄い。」こんな量のパトランプが光っている光景は滅多に見れないだろう。
GM:日本に入国中のロス・サングレスの構成員は、そのほぼ全てが拘束された。
GM:首領であるアレハンドロ・エスコバルも例外ではなく、
GM:今、その腕に、小宮の手で手錠が掛けられた。
小宮刑事:「……19時、26分」
小宮刑事:「……容疑者、確保」
小宮刑事:様々な思いを噛み締めながら、それを押し殺すように、小宮が告げる。
GM:アレハンドロはそれを、呆けたような顔で受け入れた。
鴻上禮次郎:「はー……」
鴻上禮次郎:「良い刑事の、顔になりやがって……」
豊島 正則:「ここまで来りゃあ、後は人間としての司法の出番、と言いてぇとこだが……」
豊島 正則:「……いや、というかアンタ普通に生きて……まぁ、殺したって死にそうに無ぇが」
豊島 正則:目の前で爆散したと思いきや、ピンピンしている鴻上を、呆れ半分に見ながら。
鴻上禮次郎:「あん? 爆発した後に魂ごと再錬成だよ。あのうめえ煙草の礼も済ませてねえのに死ねるかよ」 ヘラヘラ笑う
日馬 美礼:「お疲れ様、小宮刑事」
新垣御守:「ん、お疲れ様」
小宮刑事:「……日馬さん、新垣さん」
小宮刑事:君たちを見て、敬礼をする。
小宮刑事:「この逮捕は、間違いなくUGNの皆さんの協力があったから成し得たことです」
小宮刑事:「……本当に、ありがとうございました」
小宮刑事:深々と頭を下げる。
日馬 美礼:「ありがとう。勿体無いな」慌ただしく、アームレストに浮かんだキーボードのようなものを叩きながら。
新垣御守:「こっちこそ。ウチだけじゃどうにもなんなかったよ」
新垣御守:「……ありがとね」
日馬 美礼:「いいって。ぼくらはそれこそ、感謝されるような仕事はしていないもの」
日馬 美礼:「あとのところは、こちらに任せてもらう。いいかな」
日馬 美礼:警察側の責任者に確認している、ということだ。
小宮刑事:「はい。勿論」
猫山部長:「現行法ではオーヴァードを裁くのは難しいですからねえ」
猫山部長:猫山がひょっこり姿を現す。
猫山部長:「あとはUGNの皆さんにお任せしましょう」
猫山部長:「ロス・サングレスは事実上の壊滅と言っていいでしょう」
猫山部長:「巨大な組織でも、幹部を失えば脆いものです」
猫山部長:「有力カルテルが同様に瓦解した例も、過去何件もありますから」
日馬 美礼:「急速に拡大したからこそ、だね」眉を顰める。
日馬 美礼:「……言っとくけど、こっちはさ。迂闊に覗くとまずい相手しか残ってないからね? 猫山さん」
猫山部長:「あっはっは!」
猫山部長:「……肝に銘じておきますよ」
猫山部長:「UGNも含めてね」
猫山部長:ちらりと新垣さんを見て、笑う。
新垣御守:こっちも唇の端を曲げつつひらひら手を振る。
新垣御守:「……さて」
新垣御守:「これから、か」
新垣御守:振り返って、海の方に目を細める。
GM:その時、埠頭に突風が吹きつける。
新垣御守:「!」
新垣御守:振り返る。
GM:響き渡るヘリコプターのローター音。
GM:ライトを照射しながら現場に降下してくるのは、一機の輸送ヘリ。
GM:君たちの中にも見覚えがある者もいるだろう。UGN本部のものだ。
矢ヶ崎藍華:「わっぷ」
矢ヶ崎藍華:髪が顔にかかる勢い
鴻上禮次郎:「誰だありゃ?」
豊島 正則:「……ま、この流れだとお出ましになるよな、そりゃ」
豊島 正則:藍華の前に、風除けのように立ちながら。
矢ヶ崎藍華:「と、突然、なんですか?」
矢ヶ崎藍華:といいながらさりげなーくふらついている先輩に肩を貸しに行く。
日馬 美礼:「思ったより早かったな。頑張るね」
GM:巨大なヘリからは、ただ一人の小柄な少女だけが下りてくる。
日馬 美礼:手元のキーボードを閉じる。
新垣御守:「ありゃりゃ。一人残らずお疲れだってのに」
GM:吹き荒ぶ風に白い長髪を靡かせるのは、UGN本部エージェント、シンシア・アップルヤード。
鴻上禮次郎:「なんか知らねえけど敵か、ありゃあ」
新垣御守:掌でひさしを作りつつ、そちらを見る。
矢ヶ崎藍華:「あっ!」
矢ヶ崎藍華:(さっきの子…!)
新垣御守:「味方だよ。めんどくさい方の」
GM:何事かとどよめく人ごみを十戒めいて割り、君たちに向かって歩いてくる。
鴻上禮次郎:「切っておくかい? いや、もっと面倒になるか」
新垣御守:「その選択肢が常に真っ先に出てくんのが怖いって……」
日馬 美礼:「面倒になる手合だねぇあれは」
鴻上禮次郎:「へへへ……」
新垣御守:「ま……無いと思うけど」
新垣御守:「撃ってきたらって事で」
新垣御守:小声
鴻上禮次郎:無言でうなずく
豊島 正則:「できりゃあ穏便に済むといいんだがな。……そっちの都合じゃそうはいかねえか、シンシア」
豊島 正則:体の左半分、未だ動きの鈍い側の体重を、支えてくれる愛華に預けて。
シンシア:「……皆さん、任務遂行、お疲れさまでした」
シンシア:ぼろぼろの豊島くんをちらと見てから、会釈。
新垣御守:「こっちこそ、色々してもらっちゃって。ねえ」
新垣御守:珍しく皮肉言いつつ、日馬さんに
日馬 美礼:「だいぶお疲れのよぉだけどね。顔には出ないあたり流石だな」面白そうに。
シンシア:「本部でも今回の働きについては高く評価されるでしょう」
シンシア:まるで素知らぬ顔で、淡々と。
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:さっきのあれは、結局なんだったのか。問う機会なのだが
矢ヶ崎藍華:余りの鉄面皮に、記憶そのものが無いのではとすら疑っている
日馬 美礼:「そりゃぁありがたい。うちも点数稼ぎに汲々としてるもんだからね」砕けた口調。
新垣御守:「……で、ありがたい査定内容のありがたいお告げにご足労してもらったわけでもないでしょ」
新垣御守:「ご用件は?」
シンシア:「それでは」
シンシア:その視線を、一台の医療車両に向ける。
シンシア:「リリアナ・マルティネスの身柄を、本部に引き渡していただきます」
シンシア:平然と言う。
新垣御守:「……だよね」
日馬 美礼:「悪いね。今のとこ、彼女はうちでの尋問受けてもらうことになってるんだよ」
日馬 美礼:「書面も用意しちゃってさ。護送もすぐ来る」わざとらしいばつのわるそうな笑顔。
豊島 正則:「……とまあ、現場指揮官はこう言ってるが、第二支部長としてはどうだい」
豊島 正則:笑顔の日馬を、胡散臭いものを見るような目で見ながら。
新垣御守:「それで引っ込んでくれるんなら。そりゃ恙無いけどさ」
シンシア:「……」
新垣御守:「……そちらさんは?」
シンシア:「彼女は多くのエージェントを殺害した重要参考人であり、また希少なレネゲイドのサンプルでもあります」
シンシア:「身柄は本部で保護します」
矢ヶ崎藍華:眉をひそめる。もともと仮初めとはいえ、かばってくれた人を悪く言われるのはしゃくだ
シンシア:「本部エージェントには国家支部支部長クラスの権限が与えられています」
シンシア:「失礼ですが」
シンシア:「あなた方にはこの指令に対する拒否権はありません」
新垣御守:「オッケー。要するに」
新垣御守:「何がなんでももみ消したいってワケだ」
新垣御守:「あんたらクズだよ」
シンシア:「…………」
シンシア:何も答えない。あるいは答えられないのか。
新垣御守:「豊くん、引き継ぎの書類。書棚の三番だから」
新垣御守:淡々と告げて、ジャケットを肩にかける。
豊島 正則:「仕事の貴賤を論じても仕方無ぇだろうよ。……理屈で言やあ、シンシアの言うことにゃ一理どころじゃねえさ」
新垣御守:完全にブチ切れてるんだけど、脳味噌の底は、冷え切っていて。
新垣御守:「付き合いきれないって」
新垣御守:「だから、仕事の外でご意見させてもらう事にするってハナシ」
日馬 美礼:「まあまあ」
日馬 美礼:冷えた脳みそに、横から水をデキャンタで注ぐような明るい声。
新垣御守:「……」
新垣御守:日馬さんの方を見る。
鴻上禮次郎:(組織に付き合いきれないってのは……分かるぜ、ほんと)
日馬 美礼:「別件の容疑とか、この際どうでもいい話だろ?」
日馬 美礼:「……彼女を本部預かりにする意味が、いま"まだ"あるのかな、ミス・シンシア?」
日馬 美礼:「レドリック評議員はどぉ言ってる?」
シンシア:「…………?」
シンシア:無表情の仮面に、僅かに疑問の色が浮かぶ。
日馬 美礼:ということで、秘密兵器“マスターズコネクション”の効果を使用。
豊島 正則:「……またやりやがったな、このタヌキ」
日馬 美礼:リリアナが掴んだ醜聞、ならびに"その後のリリアナがUGNと交戦するはめになった経緯"についてをアクシズにぶちまける。
日馬 美礼:ああ。いま、彼女から手に入った情報だっていうテイで、詳細に、革新派と保守派の別なくね。
シンシア:ゆっくりと、携帯端末を取り出し、耳元に当てる。
日馬 美礼:「キツネよりは好みだね。愛嬌があってさ」くふふ。と笑う。
日馬 美礼:どうせそんなちんけな汚職に手を染めるのは、革新派でも木っ端議員の下部組織だろ?
日馬 美礼:隠し通せるなら証言潰そうとするだろうけど、"たった今"敵味方に知れ渡ったら、さあ。どうするのが合理的かな。
シンシア:中々応答が無いらしく、表情に焦りを滲ませる。
矢ヶ崎藍華:「…?えっ」
矢ヶ崎藍華:「先輩、今何やったんですか…?」
豊島 正則:「……よく覚えとけ。そして、間違ってもこんな女に育つなよ」
豊島 正則:「こいつはな。愛と正義のためなら、なんでもやる女だ」
豊島 正則:どこかげんなりした声色で、藍華に応える。
日馬 美礼:「正義の味方ってのはそういうもんだぜ? 矢ヶ崎くん」
鴻上禮次郎:「……ふむ、良いじゃねえか」
鴻上禮次郎:「こいつは——良いもん見せてもらったねぇ」
矢ヶ崎藍華:「ふむ……」
矢ヶ崎藍華:「べんきょーになりました」納得できない時は納得した振りをする。
シンシア:応答の無い端末を耳にあてたまま、
シンシア:「な、何を……」
シンシア:「はやく彼女の身柄を……!」
GM:その時、背後からにわかにざわめきが起きる。
GM:警察官たちは何ともない様子だが、現場のUGN関係者たちの間にのみ、大きな動揺が伺える。
矢ヶ崎藍華:「わあ」
GM:「すいません、通してください。はい、皆さんお疲れ様です」
矢ヶ崎藍華:「なんというかこう」
矢ヶ崎藍華:「敵に回しちゃいけないってのを理解させる必要があるわけですね」
GM:人ごみをかき分けて現れたのは、一人の男。
GM:君達も、いや、UGNエージェントならば誰もが知る顔。
日馬 美礼:「これはこれは。わざわざご足労ありがとうございます」
GM:霧谷雄吾。
新垣御守:「……マジ?」
新垣御守:流石に固まる。
豊島 正則:「……あとまあ、知らない方がいいこともある、ってのもな」
鴻上禮次郎:「……霧谷、噂には聞いてたけど本物かよ……!」
矢ヶ崎藍華:「!!!」
霧谷雄吾:「すみません、お待たせしましたね」
矢ヶ崎藍華:「ほんもの!!」
日馬 美礼:「気さくな人なんだよ。五年前くらいはよく来てくれてた」
霧谷雄吾:別の現場からそのままやってきたという様子だ。
矢ヶ崎藍華:「あわわわ…」そうは言っても初めて見るもんは初めて見る
矢ヶ崎藍華:「こここここんばんは」
シンシア:「…………!?」
豊島 正則:「……ああ、俺も直に会うのは5年ぶりくらいか。恨み言のひとつでもぶつけたいとこだが」
霧谷雄吾:「矢ヶ崎さんですね。直接お会いするのは初めてですね」
霧谷雄吾:「今回は本当に、よく頑張っていただきました。お疲れ様です」
霧谷雄吾:にこやかに言う。
矢ヶ崎藍華:「はい!おつかれさま……」
矢ヶ崎藍華:「…でした。」
矢ヶ崎藍華:きっと、私よりも声をかけるべき人はいたのだ。沢山の人が
矢ヶ崎藍華:もういないその人達の代わりとしてしか、私は挨拶出来ないような気がする。
矢ヶ崎藍華:「…皆さんのおかげです」
豊島 正則:「あんま考えんな。素直に受け取っとけ。……いいんだよ、こういう人もいるのさ」
豊島 正則:力の入らない左手で、藍華の頭を2,3度なでる。
矢ヶ崎藍華:「……はい」
霧谷雄吾:霧谷はシンシアに向き直り、
霧谷雄吾:「エージェント”ネクベト”。今回はご足労いただきありがとうございます」
霧谷雄吾:「しかし、彼女の身柄は我々日本側でしっかりと保護させていただきます」
霧谷雄吾:「勿論、取り調べ記録は『包み隠さず』お渡ししますよ」
霧谷雄吾:「今回の捜査では『正体不明の敵オーヴァード』による襲撃もありました」
霧谷雄吾:「我々も、厳重に警護・保護しますので」
霧谷雄吾:「どうか、ご安心を」
シンシア:穏やかながら有無を言わさぬ霧谷の言葉と、通信先から漏れ聞こえてくる怒声に挟まれ、
シンシア:その場でよろめく。
シンシア:「………………!」
矢ヶ崎藍華:「……」
豊島 正則:「……残念だがな、お前さんの負けだよ。いや、勝ち負けの話じゃねぇが……」
豊島 正則:「……こういう終わり方もある、ってことだ。滅多にあるもんじゃねぇが、ああ」
豊島 正則:「俺としちゃ、悪くない。最高とはいかないまでも」
豊島 正則:「こう見えてもな。めでたしめでたし、ってのは嫌いじゃないんだ」
豊島 正則:穏やかに、語り掛けるように。シンシアに告げる。
シンシア:「…………~~~~~!!」
シンシア:無言のまま、駄々をこねる子供のようにかぶりを振って、
シンシア:深く俯く。
日馬 美礼:「あぁらら。大荒れだ。こりゃぁくすりが効きすぎたかな」車椅子から伸びたイヤホンを左耳に突っ込んでいる。
シンシア:そして、ヘリに向かって踵を返す。
シンシア:「こんなこと……こんなことを……しても……」
シンシア:小さな声で、うわ言のように呟く。
シンシア:日馬の言葉を背で受けて、
シンシア:足早にヘリに乗り込む。
GM:見る間にヘリは発進し、すぐに遠くなっていく。
鴻上禮次郎:「なんだったんだ、ありゃ……」
霧谷雄吾:それを見送り、深く溜息。
豊島 正則:「……何もあそこまでやらんでも、と思ないでもねぇが……」
豊島 正則:「よくやってくれた、と言うべきなんだろうな。癪だけどよ」
日馬 美礼:「やったのはぼくじゃなくて、彼女の上司だよ。いろんな意味でね」イヤホンを抜いて、軽く背伸びをする。
日馬 美礼:「あと、うちのスタッフ。言ったろ? 優秀なんだ。すごくね」
矢ヶ崎藍華:「公権力、すごい……」
矢ヶ崎藍華:「先輩、ほそぼそやっていきましょうね」
豊島 正則:「ああ、地に足付けて歩いてくのが一番なのさ、人間はな」
日馬 美礼:「じゃあ、彼女。万が一の預かり先はそういうことでいいですか、霧谷さん」
霧谷雄吾:「ええ。万が一の場合は」
霧谷雄吾:日馬さんを、信頼と隔意の入り混じった目で見る。
日馬 美礼:「了解です」視線の温度には構わず、車椅子で一礼。
日馬 美礼:そういう枠、ってことでちょうどいいのさ。何しろぼくは、それくらいしかできる仕事がない。
日馬 美礼:「……ああ。それとね、ミモリ」
新垣御守:「……」
新垣御守:怒涛の展開にポカーンとしている
日馬 美礼:「ひとり……もしかしてふたりだけになったって、できることはたかが知れてるよ」
新垣御守:「!」
日馬 美礼:「支部長ならよく知ってるだろ? ……まあ、」
日馬 美礼:「なにか壊すだけなら話は別だけど。きみは嫌いだろ? そういうの」
新垣御守:「……だね」
新垣御守:「やっぱ、カッとなるとダメだ」
新垣御守:「見失いそうになるから、そういうの」
日馬 美礼:「努力目標ってことば、ぼくはだいすきだけどね。よろしい」くふふ。と笑って。
新垣御守:「ありがとう。美礼ちゃん。アンタ優しいよ」
日馬 美礼:「やぁ。ようやく理解者が増えたぞ」
新垣御守:「理解者、ね。よく言うよ」
日馬 美礼:「じゃあ、戻ろうか。面倒な仕事はまだまだ残ってる」
霧谷雄吾:「私も、早速なのですが別の現場がありまして」
霧谷雄吾:疲れた顔で苦笑。過密スケジュールの中、いきなり呼びつけれらたらしい。
新垣御守:「ま、一方的に覗き込まれるだけにはなりたくないけどね」
新垣御守:「色んなイミで」
新垣御守:呟きつつ、日馬さんと並んで
霧谷雄吾:「皆さん、今回は本当にお疲れさまでした」
霧谷雄吾:「……私は、皆さんのようなエージェントを、UGNの一員として誇りに思います」
霧谷雄吾:居並ぶ面々を見渡して、晴れやかな顔で言う。
新垣御守:「あー、なんて言っていいか分かんないですけど」
新垣御守:「そういう風に言ってもらえたら……報われます」
新垣御守:医療用車両の方を振り返りつつ
新垣御守:「明日がいい日になればいいってのは、みんな一緒だって。やっぱ思いたいんで」
日馬 美礼:「そのために、ぼくらは働いてるのさ。日常ってのは、そういうもんだ」
日馬 美礼:「だよね?」
新垣御守:「……だよね。そこだけは」
新垣御守:頷き合う。
GM:赤いランプを灯したパトカーが、次第に街へと散っていく。
GM:激しい戦いと非日常の余韻が、夜の闇に溶けていく。
GM:明日になれば、きっとまた。
GM:昨日と変わらぬ、今日が来る。
【ED:日馬美礼】
GM:----------
GM:N市 第四支部 支部長室
GM:----------
霧谷雄吾:『いやあ、大変なことになりましたね』
霧谷雄吾:困ったように苦笑する一人の男。
霧谷雄吾:モニター越しにそれを見るのは、
GM:第四支部長である君、日馬美礼と、その部下、白南風白蘭。
日馬 美礼:「アクシズのほう、まだ騒ぎになってるみたいですねえ」
霧谷雄吾:「ええ。本部だけでなく、水面下であちこち大騒ぎです」
霧谷雄吾:「こちらにも火の粉が飛んできそうで、ひやひやしてますよ」
白南風白蘭:「……言われた通り、」
日馬 美礼:「うん」
白南風白蘭:「あちこちお電話したり『お話』したりしましたけど~……」
白南風白蘭:「結局、何がどうなったんですか?」
白南風白蘭:いまいち状況がよく分かっていない様子で、首を傾げる。
日馬 美礼:「まあ、ざっくりした結論だけ言うと」
日馬 美礼:「ぼくらはまだ、正義の味方でいていいみたいだ、ってことだよ。白蘭」くふふ、と笑う。
白南風白蘭:「そうなんですか? よかったですね~~!」
白南風白蘭:まるで理解しないまま、ぱちぱちと拍手。
日馬 美礼:「ありがとう。ありがとう」片手を上げて、手首から先だけを振る。
日馬 美礼:「ということで、概ねお受けした任務はかたがついたかと思います。総轄」
日馬 美礼:「特別チームの解散と、所属者の本来のポストへの復帰を報告しますよ」
霧谷雄吾:「分かりました。ありがとうございます」
霧谷雄吾:「……やはり、貴方を信頼して任せたのは、正解でした」
日馬 美礼:「いつも言ってたじゃないですか。あなたがたにならできると信じてます、って」
日馬 美礼:「ずいぶん励みになりました。ぼくも使ってるんですよ、あれ」
霧谷雄吾:虚を突かれたような顔。
霧谷雄吾:「……そうですか。それは……」
霧谷雄吾:表情をふっと緩め、
霧谷雄吾:「……光栄、です」
日馬 美礼:「恩返しにしてはキツい状況ですけどね」
霧谷雄吾:「ええ、まったくですね」
日馬 美礼:「ご無理はされないでくださいよ。総轄」
霧谷雄吾:「……お互いに。肝に銘じておきましょう」
GM:モニタの向こうから、霧谷を急かす声。
霧谷雄吾:「おっと……それでは、皆さんにも、改めてよろしくお伝えください」
霧谷雄吾:「今回の件で、UGNは揺れています」
霧谷雄吾:「また別件にも波及する恐れもあるでしょう」
霧谷雄吾:「……その時には、頼りにしていますよ」
霧谷雄吾:ほんの少しだけ、日馬支部長に似た笑みを浮かべる。
日馬 美礼:「もちろん。ぼくらは、そういうときのためにいるんですから」
GM:通信が終わると、室内は静寂に包まれる。
白南風白蘭:「これでひと段落、ですか?」
白南風白蘭:車椅子に座った日馬さんの肩に、両の掌を置く。
日馬 美礼:「そうだね。ようやくまた引きこもりに戻れる」
日馬 美礼:「五虎将軍のトリプルが恋しいよ」
白南風白蘭:「じゃあ、しばらくゆっくりしましょうよ」
白南風白蘭:「最近ずっと帰ってこなかったんですから」
日馬 美礼:車椅子の背もたれにくたりと身を預けて、真上を見る。
日馬 美礼:白蘭の"ひとのかお"がある。
白南風白蘭:少し不機嫌そうな表情だ。
日馬 美礼:「そうだね。ほんとはぼくが出る事態なんて滅多にないんだから」
日馬 美礼:「……いや、でもよかったよ。ほんとうによかった」
白南風白蘭:「?」
日馬 美礼:「最後の最後、冷汗かいてたんだ。五分五分だったからね」
白南風白蘭:「へえ~!」俄かに楽しそうな顔。
白南風白蘭:「美礼さんでもそういうこと、あるんですねぇ」
日馬 美礼:「あるさ。誰だって正義の味方でいられるってのは、希望的観測がすぎる」
日馬 美礼:声が笑っていない。あるいは少しだけ。
日馬 美礼:「ヤゴコロのプロファイルはこうなる可能性が大きいと言ってたけどね」
日馬 美礼:「実際付き合いのない相手のことなんて、そうそうわかんないよ」
日馬 美礼:「そっちのほうはプロだろ? 白蘭」
白南風白蘭:「そうですねえ……」少し考え込んで。
白南風白蘭:「他人の心情なんて、分かるわけはないですよ」
白南風白蘭:「たとえ親子でも、兄弟でも、恋人でも」
白南風白蘭:「現に私は、まだあなたが何を考えているのか、よく分からなくなることがあります」
白南風白蘭:「でも」
白南風白蘭:数歩、歩いて。
白南風白蘭:車椅子の正面に回り込み、屈んで視線を合わせる。
白南風白蘭:「だからこそ、必死になるんじゃないですか?」
日馬 美礼:「いまきみは、だいぶ楽しそうだね。白蘭」
日馬 美礼:人の悪い笑みが戻っている。
白南風白蘭:「ふふ」
白南風白蘭:にっこりと笑う。
白南風白蘭:「見たかったなぁ、美礼さんのその時の顔」
日馬 美礼:「面白いもんじゃないぜ?」くふふ。と笑う。
白南風白蘭:「私にとっては、何より面白いですよ」
白南風白蘭:日馬支部長の頬に触れて、ぐに、と、少しだけ口元を歪めさせる。
日馬 美礼:「じゃあ、珍しいところを見せてあげようか」
白南風白蘭:「え?」
日馬 美礼:「あと一件だけ仕事が残ってるんだ。着替えを手伝ってくれるかい?」
日馬 美礼:一瞬、口にだすのもいやだという顔をして
日馬 美礼:「お風呂もだなあ」
白南風白蘭:「…………」
白南風白蘭:「いつから入ってないんですか?」
日馬 美礼:「まだ一ヶ月は経ってない」数えてない
白南風白蘭:くんくん、と匂いを嗅いで。
白南風白蘭:「一般的には、現代社会においてそれはドン引きされますよ?」
日馬 美礼:「わかってるよ。だから必要なの」
日馬 美礼:「白蘭さ。喪服姿は作れる?」手元のキーボードをいじりながら。
日馬 美礼:手配しているのは、記憶処理班だ。
白南風白蘭:「え? はあ、まあ」
白南風白蘭:見る間に輪郭がぼやけ、黒のフォーマルな喪服を形作る。
白南風白蘭:「割とよく行きますから、冠婚葬祭」
日馬 美礼:「なるほど。よく似合ってるよ」
日馬 美礼:「それなら大丈夫だ。……じゃあ、行こうか」
日馬 美礼:「あんまり遊ぶのはなしにしてくれよ? 白蘭」
白南風白蘭:「いやですねぇ」
白南風白蘭:「部下を信頼してくださいよ、支部長」
日馬 美礼:「勿論」くふふ。と笑って。
GM:いつまでもゆるやかな会話を続けながら、二人の姿は更衣室へと消えていく。
【ED:鴻上禮次郎】
GM:----------
GM:国内某所
GM:----------
GM:森の中に忽然と佇む、白を基調とした建造物。
GM:一見すると電力関連施設にも見えるであろうそれは、FHの研究所だ。
GM:君はそれを眺めながら、ここに至るまでの経緯を思い出していた。
GM:---
鴻上禮次郎:「……」
鴻上剛蔵:「絶縁じゃ」
鴻上剛蔵:ソファに腰掛けて、重苦しい声で言う。
鴻上禮次郎:「おう、そうかい」
鴻上禮次郎:「こうなってみるとまあ、悪くない気分だよ」
鴻上禮次郎:「今まで世話になったな。組長(オヤジ)さん……いや、父さん」
鴻上剛蔵:「……痣徒に手ぇ出したお前がおっては、周りの連中にも迷惑千万じゃ」
鴻上剛蔵:「もう他の組にも絶縁状は回してある」
鴻上剛蔵:「お前はもう、どこに行こうとヤクザにはなれん」
鴻上禮次郎:「最初からこうしときゃ良かったのさ……」
鴻上禮次郎:「……」
鴻上禮次郎:拳を、握りしめる。
鴻上禮次郎:「筋を通せねえヤクザなんぞ、こっちから願い下げさ」
鴻上剛蔵:「…………。……お前とはもう、仲間でも、親子でもねえ」
鴻上剛蔵:「……とっとと出ていきな」
鴻上禮次郎:「……」
鴻上禮次郎:(ああ、でも)
鴻上禮次郎:(でも少し——寂しくなるな)
鴻上禮次郎:「……おうよ」
鴻上禮次郎:背を向け、歩き出す。
鴻上剛蔵:「……」
鴻上剛蔵:「……禮次郎!」
鴻上禮次郎:「……」 振り返る
鴻上剛蔵:立ち去ろうとする君に、一枚の封筒を投げ渡す。
鴻上禮次郎:片膝をついて拾い上げる。
鴻上剛蔵:「……最後にせめてもの餞別じゃ」
鴻上剛蔵:「ワシのとこで調べとった」
鴻上剛蔵:「お前の女は、そこで生きとる」
鴻上禮次郎:「……恩に着ます。剛蔵さん」
鴻上禮次郎:両膝をついて、地面に額をつける。
鴻上剛蔵:「…………」
鴻上剛蔵:背を向ける。
鴻上剛蔵:「……さっさと行けっ!!」
鴻上剛蔵:「お前はもう、ワシとも組とも」
鴻上剛蔵:「何の関係もねえ……!」
鴻上剛蔵:その声は、僅かに震えていた。
鴻上禮次郎:「……道を外れるなら徹底的に」
鴻上禮次郎:それは何時かの父の言葉。
鴻上禮次郎:「お世話に、なりました」
鴻上禮次郎:今度こそ背を向けて、立ち去る。
鴻上禮次郎:それが鴻上禮次郎の、遅い遅い幼年期の終わり。
GM:---
GM:君の妻は、腹の赤子に宿る高いレネゲイド適正に目を付けられ、
GM:FH関連の研究組織に研究対象として買い取られたらしかった。
GM:手紙に記されていたのは、今彼女が軟禁されている施設の場所。
GM:つまりは、今目にしている、ここだ。
鴻上禮次郎:「いやー、やっぱあれだわ」
鴻上禮次郎:「組長とか向いてなかったんだなあ俺」
鴻上禮次郎:偶然出くわした警備のオーヴァードの首を蹴り飛ばし、カラカラと笑う。
鴻上禮次郎:血に濡れた刀を杖に再錬成して、施設を眺め、息を吐く。
GM:施設は静まり返り、警備も手薄に見える。
GM:だが内部には間違いなく、オーヴァードが潜んでいるだろう。
GM:単身で乗り込むのは、危険極まりない。
鴻上禮次郎:「生きるも死ぬも俺一人。生きるも死ぬも腕一つ。剣士の本懐ここにありってな……」
GM:君が単身施設に攻め込もうとした、その時。
GM:「~~~!!~~~!!」
GM:後方から、何かの声が聞こえてくる。
鴻上禮次郎:「……チッ」
鴻上禮次郎:そちらの方を向く。
GM:「ぃ~~!! ぃ~~!!」
GM:森の中から、誰かの叫び声。
鴻上禮次郎:全速力でそちらに駆け出す。
GM:「き~~!! き~~!!」
GM:だがそれは、
GM:「……にき~~!!」
鴻上禮次郎:「あの馬鹿……!」
GM:君の聞き覚えのあるものだ。
鴻上禮次郎:「なにしてやがる! サブ!」
黒川サブロウタ:「兄貴ィ~~~~~~~ッ!!」
黒川サブロウタ:森の草木を踏み分けて姿を現したのは、君の舎弟である……いや、あった、黒川サブロウタ。
鴻上禮次郎:胸ぐらをつかもうとして、できなくて肩を抱きますね。
鴻上禮次郎:「馬鹿野郎……おめえなにしてんだよ、馬鹿野郎……この野郎……」
黒川サブロウタ:全身ぐっしょりと汗をかき、防弾チョッキやヘルメット、ライフルに拳銃、大げさすぎて滑稽なほどの重武装。
黒川サブロウタ:「兄貴!!俺も!!俺も連れてってくだせえよ!!」
鴻上禮次郎:先程までの殺気はなりを潜め、少し嬉しそうな、悲しそうな声をあげ、抱きしめてやりますよ。
黒川サブロウタ:「あ、兄貴……!」
鴻上禮次郎:「サブ、お前……剛蔵さんのところで頑張ってるって聞いてたんだぜ」
鴻上禮次郎:「だから企画書だって置いてった。最悪お前一人でもできるように細かく色々書いてよぉ」
黒川サブロウタ:「兄貴がいなけりゃ、極道なんて……何の意味ありませんよ!」
黒川サブロウタ:「俺はどこだって付いていきます!兄貴が行くなら地の果てだって!」
鴻上禮次郎:「……そうか」
鴻上禮次郎:「本当に、俺と一緒に居たいのか」
黒川サブロウタ:「はい……!」
黒川サブロウタ:何度も必死に頷く。
鴻上禮次郎:「死に場所を探してるって訳じゃあねえんだな……?」
黒川サブロウタ:「俺が探してるのは兄貴の傍だけです!」
黒川サブロウタ:「だから兄貴!」
黒川サブロウタ:「俺だけおいてなんて、いかねえでくださいよ……!」
鴻上禮次郎:「分かったよ」
鴻上禮次郎:ワーディングを発動します。サブロウタを意識だけ保った状態で安全な場所に押し込みます。
鴻上禮次郎:「サブ、お前は弱い」
黒川サブロウタ:「……あっ……!?」
黒川サブロウタ:全身から力が抜ける。
鴻上禮次郎:「強くなれ」
黒川サブロウタ:「あ……あに……き…………」
鴻上禮次郎:「俺の隣に立てる強い男になったら——また会いに来い」
鴻上禮次郎:「待ってるぜ」
鴻上禮次郎:珍しく
鴻上禮次郎:本当に珍しく優しい笑みを浮かべてから
鴻上禮次郎:彼は歩き出す。
鴻上禮次郎:スマートフォンを起動させ、事前に用意していた通りに計画を開始する。
鴻上禮次郎:「——おう、もういいぜ」
鴻上禮次郎:「派手にやっちまってくれよ」
鴻上禮次郎:「イジェクトストーン」
???:ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン......
???:湿った空気を引き裂いて、空を駆ける十文字の影5つ。
イジェクトストーン:「あれは何だ?鳥か?飛行機か?スーパーマンか?」
イジェクトストーン:鳥のように軽やかに舞い、飛行機のように金属光沢を放つそれらは
イジェクトストーン:「Ah tes.tes.」
イジェクトストーン:「Hoi Chuma! キミは爆発好きかな?」
イジェクトストーン:「好んでなくてももワシが好きだから良し!」
イジェクトストーン:超人らしく、当たり前のように大破壊をまき散らした。
イジェクトストーン:《雷神の鎚》《MAXボルテージ》《フラッシングプラズマ》
イジェクトストーン:あらゆる相手をおちょくるかのごとく、両腕をまっすぐ伸ばして空を飛ぶ人型飛翔体
イジェクトストーン:研究所へと、上空から無数の雷球をまき散らすのは、"イジェクトストーン"
イジェクトストーン:鋼からなる十の身体とふざけた態度で戦場を掌握する"アヴェンジャーズ"セルの魔人である。
イジェクトストーン:一見無造作に放たれる電撃の嵐は、確実に研究所の対応力を削ぎ落していく。
イジェクトストーン:────対空設備を除いて
GM:施設に備え付けられた機銃の一斉掃射が、イジェクトストーンを襲う!
イジェクトストーン:「な、なんということじゃ......」
イジェクトストーン:「この爆撃型"イジェクトストーン"は低機動・弱装甲・大☆火力がコンセプト」
イジェクトストーン:「ボムを抱え落ちしてしまうとは情けない!」
GM:あえなく撃墜!
GM:蚊トンボめいて墜落する!
イジェクトストーン:瞬間
イジェクトストーン:KABOOOOOM!!!
イジェクトストーン:狙い通りに撃墜された1人の"イジェクトストーン"が研究所の中心部に墜落し、打ち上げ花火めいて鮮やかな光をまき散らす。
GM:そして、
イジェクトストーン:人を傷つけないクリーンな自爆を、何より好むのが"イジェクトストーン"という怪人だ。
GM:「ぐわ~~~~~~っ!!」
GM:半ば瓦礫と化した研究所から、一人の人影が飛び出してくる!
GM:凄まじい跳躍。明らかにオーヴァードだ。
GM:鴻上の眼前に降り立ったのは、白いスーツの男。
GM:「ゆ、ゆ、UGN~~~~~ッ!!」
GM:眼鏡をかけた顔面に、怒りを溢れさせる。
鴻上禮次郎:「おっ、もしかしてあんたが……?」
GM:「お前達が来るのは分かっていた!!」
GM:「分かっていたが……!!」
鴻上禮次郎:「ど、どうした……?」
GM:「いきなり爆撃するのは流石にマナー違反だろう!!」
鴻上禮次郎:「あ、いや待て待て」
鴻上禮次郎:「勘違いだ。ほら見ろこのバッジ」
鴻上禮次郎:「鴻央会のもんだよ。ちょいと救援に来たんだ」
GM:「何~~~ッ!?」
鴻上禮次郎:「サンプルの運び出しを手伝えってよ」
鴻上禮次郎:「ここは俺に任せてくれ。諦めが悪いのがあんたの持ち味だって聞いてるぜ?」
GM:バッジをよく確認しようと近寄る。
鴻上禮次郎:もちろん本物である。黙って持ち出したのだ。
GM:「確かに……」
GM:「なら手伝え!あの敵を倒すのだ!!」
鴻上禮次郎:(こいつから情報を引き出すのは手間だな……)
鴻上禮次郎:「おう、分かった。俺は向こう側から回る。挟み撃ちだ」
GM:「よし分かった!私はこっちだ!」
鴻上禮次郎:「ああ、頼んだぜ!」
GM:男は猛然と走り出す。少なくともキュマイラ能力者であるらしい。
鴻上禮次郎:禮次郎はそそくさと目星をつけていた方角へと走り出す。
鴻上禮次郎:そして道すがらスマートフォンで今回知り合ったUGNのとある支部長へと電話をかけはじめる。
鴻上禮次郎:「よう、俺だ。潜入は成功した。これからサンプルの確保に入る」
日馬 美礼:『了解。キャッチアップは予定通りに』
鴻上禮次郎:「胎児期からレネゲイドに感染した子供と、それを育む母体」
鴻上禮次郎:「それにFHの研究成果、そしてモルフェウスの剣士をつけて——」
鴻上禮次郎:「そこそこお買い得だろ?」
日馬 美礼:『割の良い買い物だね。ま、きみにも損はさせないさ』
日馬 美礼:『”家族には義理堅いほうなんだ”』くふふ、という含み笑い。
日馬 美礼:『それに、ちょうどよかった』
鴻上禮次郎:「?」
日馬 美礼:『産院を増設してるとこなんだ。施設の試験もやっててね』
鴻上禮次郎:「そいつはいい」
日馬 美礼:『じゃ、気をつけて』
鴻上禮次郎:「おう。あんがとよ、支部長さん」
鴻上禮次郎:と、通話を切って立ち止まる。
鴻上禮次郎:もうすぐで、愛しい家族の囚われた部屋の筈だ。
GM:だがその時、眼前の壁が、爆発するように破壊される!
鴻上禮次郎:「——思ったよりも早かったな」
GM:現われたのは、白スーツのFHエージェント。
GM:「お前~~~~~~っ!!お前お前お前お前~~~~~~~~~っ!!」
GM:指差し。
鴻上禮次郎:「いや~~~~~~! あと五分くらいは信じてくれると思ったんだけどなぁ~~~~~~!」
GM:「騙したな!!こ……この私を!!」
鴻上禮次郎:「ヤクザの言うことなんて信じるほうが悪いんだぜ~~~~~!」
鴻上禮次郎:「ヤクザが筋通すのは昔から“家族”だけって決まってんだよ」
GM:「許さん……!!許さんぞ!!ヤクザ風情が~~~~ッ!!」
GM:男がレネゲイドを解放する!
鴻上禮次郎:「——死を以て」
鴻上禮次郎:抜刀。
鴻上禮次郎:「撫でつけろ——雪風!」
GM:「FHの悪魔と呼ばれたこの力!!」
GM:「その身で……とくと味わえーーーーッ!!」
鴻上禮次郎:「鴻央会の鬼子と呼ばれたのも今は昔!」
鴻上禮次郎:「門出の祝に血祭りにしてやらぁああああッ!」
GM:そうして、二者は交錯する。
GM:振るわれた異形の腕と白刃が、激しい火花と血飛沫を散らした。
【ED:豊島正則、矢ヶ崎藍華】
GM:----------
GM:N市 市内総合病院
GM:----------
GM:N市第四区に建つ総合病院。
GM:最新鋭の設備を備え、高度な手術から長期入院まで対応するこの医院は、UGN第四支部が深く関わりを持つ施設でもある。
GM:君、豊島正則は、この医院の一室に入院していた。
GM:既に事件から一週間近くが経とうとしており、入院生活は退屈のピークを迎えようとしていた。
豊島 正則:実のところ。自分を含め一時離脱者が多い第二支部の人手は、致命的なまでに不足しているのだが。
豊島 正則:怪我は問題ない、すぐ仕事に戻る。我らが支部長にそう告げたところ。
豊島 正則:—それ、あの子の目見ながら言える?
豊島 正則:そう言われてしまっては、ぐうの音も出ない。そんなわけで。
矢ヶ崎藍華:「ふんふんふーん。世界中のまーどからー」
矢ヶ崎藍華:鼻歌を歌いながらにこにこしょりしょり林檎を剥いております
豊島 正則:「……ご機嫌だなあおい」
矢ヶ崎藍華:「フーッ!完成です!」
矢ヶ崎藍華:うさぎちゃん林檎が出来ました。めっちゃ練習したやつ
豊島 正則:本当は、片手ででも自分が剥く方が早かったりするが。それを口にするほど野暮ではない。
矢ヶ崎藍華:「はい、先輩あ~ん」
矢ヶ崎藍華:つまようじで刺してあーんします
豊島 正則:「お、おう……」
豊島 正則:やや気圧されつつ、素直に応じる。
豊島 正則:……というよりも、自分で食べられる、と答えた時に、拗ねながら寂しそうにする顔に耐えられない、というのが本当のところ。
矢ヶ崎藍華:むふー
矢ヶ崎藍華:「それにしても、残念ですよねえ…」自分もりんごを食べつつ、先輩の腕と足を眺めて
矢ヶ崎藍華:「せっかく綺麗に生え直した直後にこんなに傷だらけになるなんて…」
豊島 正則:「ああ、そりゃあ……真っ白い腕ってのは新鮮だったけどな」
豊島 正則:「いいんだよ、俺はこれで」
豊島 正則:まだ満足に動かない左手を、ゆっくり開いて、閉じる。
矢ヶ崎藍華:「むう」
矢ヶ崎藍華:リハビリもやってかないと。
矢ヶ崎藍華:「とにかく美味しいもの食べて元気になってもらいますからね!はいあーん」
豊島 正則:「元気で言やあお前のおかげでとっくに……む、お……」
豊島 正則:半ば口に突っ込まれるように差し出された林檎を、ひとくち、ふたくち。
豊島 正則:そうやって、年下の女性にリンゴを食べさせられ続ける、というこれまで体験したことのない時間が過ぎていく中。
豊島 正則:「……なあ、藍華」
豊島 正則:不意に、声のトーンが、あの街灯の下での夜を想わせるものになる。
矢ヶ崎藍華:「なんですか?」
矢ヶ崎藍華:真面目な話をするときのトーンだと気づく
豊島 正則:「美礼が言ってただろ、お前のコードネームの由来。入院した後な、暇な時に俺もちょっと調べてみた」
矢ヶ崎藍華:「……」
豊島 正則:「最後に残る何か、しかもどう足掻いても観えやしない。……あいつもどういうつもりで名付けたんだか」
豊島 正則:「そう、思ったんだがな。最初は」
豊島 正則:ここが病院でなければ、そして愛華が隣にいるのでなければ、煙草をくわえて火をつけていそうな語り口。
豊島 正則:「けど、外から見えなくても。そこに在る、と確信できるものってのもある」
矢ヶ崎藍華:ゆっくり、その語り口を聞いている
豊島 正則:「問題は。それが、いいものばかりじゃないってことだな」
矢ヶ崎藍華:「…そうですね」
矢ヶ崎藍華:先輩を信じられるのは、こういうところがあるからだ
矢ヶ崎藍華:私を安心させる時でも、絶対にそういうものをごまかしたりしない
豊島 正則:「……警察の連中の話は、もう聞いただろう。お前が潜入中に世話になった、ってヤツのことも、俺は聞いた」
矢ヶ崎藍華:「はい。」今、元気にしているだろうか
豊島 正則:「……御守がな、うちで引き取るってゴネたそうだ。ただでさえ本部相手に危ない橋渡った後だってのに、ったく」
豊島 正則:顔に出てるぞ、と告げる代わりに。苦笑い交じりに。
矢ヶ崎藍華:「…!」
矢ヶ崎藍華:「っっ良かった……」
矢ヶ崎藍華:「…でも、会っていいのかな…」
矢ヶ崎藍華:裏切った。傷つけた
矢ヶ崎藍華:十分嫌われていい理由だ
豊島 正則:「……相手にどう思われてるか、なんて知り様が無ぇさ。分かり合えるのが人間なら、分からないことだらけなのも人間だ」
豊島 正則:「だからな、藍華」
豊島 正則:傷だらけの右腕で、藍華を抱き寄せる。
矢ヶ崎藍華:「わ」
矢ヶ崎藍華:心臓がひっくり返ったかと思った
豊島 正則:「俺は、お前の想いを信じる。お前が抱えているものを信じる」
豊島 正則:「お前が、ここにいることを、信じている」
矢ヶ崎藍華:「……はい」
矢ヶ崎藍華:強い筋肉と、癒えていない傷の数々。そして温かい体温
矢ヶ崎藍華:こんなに安心出来る場所が、他にあっただろうか?
矢ヶ崎藍華:「先輩…もうすこし、このままで…」
豊島 正則:「……嫌われるより苦しいからな。いない奴、会えない奴への負い目ってのは」
豊島 正則:「お前がそいつを抱えて生きられるなら、いくらでも、いつまでも」
矢ヶ崎藍華:「やったあ」
矢ヶ崎藍華:「んふふ、こんなにあったかいなら…いつまでも、抱えていけますよ」
豊島 正則:「……ったく。人が心配してやったってのに」
豊島 正則:呆れたような、安心したような。そんな、不器用な笑み。
GM:その時、
GM:ご がん!!
矢ヶ崎藍華:「ひぇっ」
GM:個室のドアに、何かが叩きつけられるような音。
豊島 正則:「うおっ…!?」
豊島 正則:「……ノックにしちゃ随分ゴツいな」
GM:少しして、コンコンとノックの音。
豊島 正則:ほんの僅かな間、藍華と目を合わせてから、小さく頷いて。
豊島 正則:「どうぞ」
矢ヶ崎藍華:居住まいを正して。顔赤くなってるよね…?
GM:静かにドアが開かれる。
GM:姿を現したのは、額を真っ赤に腫らしたシンシアだった。
シンシア:ぺこりと一礼。
シンシア:「ご無沙汰しています」
矢ヶ崎藍華:「こ、こんにちは…」
矢ヶ崎藍華:「すごく痛そう…」
豊島 正則:「おう。……藍華、冷蔵庫にペットボトルあったろ。水の」
豊島 正則:真っ赤な額を、半眼で見てから。
矢ヶ崎藍華:「はいっ!」
シンシア:「……問題ありません。少々転倒しただけですので」
矢ヶ崎藍華:「頭から…?」
矢ヶ崎藍華:買っておいたペットボトルを取り出しつつ
豊島 正則:「それを減らず口だとか強がりってんだよ。……ま、こんな時までお前らしいっちゃらしいが」
シンシア:「…………矢ヶ崎藍華さん、ですね」
矢ヶ崎藍華:「…はい」
シンシア:されるがままに頭を冷やされながら、矢ヶ崎さんに目を向ける。
矢ヶ崎藍華:あの時以来だ
矢ヶ崎藍華:…やっぱりかわいいなあ。
シンシア:「直接お会いするのは『初めて』ですね」
シンシア:戦闘はなかったことにするらしい。
矢ヶ崎藍華:むっ、とした顔を作ってから
矢ヶ崎藍華:「どうも、始めまし、て!」
シンシア:「お話は伺っています。今回の作戦では、お疲れさまでした」
シンシア:ぺこりと一礼をしてから、その顔をじぃっと見つめる。
シンシア:「…………」
矢ヶ崎藍華:「なんですか?」
矢ヶ崎藍華:むすー
豊島 正則:「……なんだこの空気」
豊島 正則:割り込めない何かを、感じる。
GM:「…………」しばらく無遠慮に眺めまわしてから、
シンシア:「……失礼ですが」
シンシア:「矢ヶ崎さんは今、おいくつでしょうか?」
矢ヶ崎藍華:「へ?」
矢ヶ崎藍華:「じ、十六歳ですけど・・」
シンシア:「そうですか」
豊島 正則:「……?」
シンシア:「私は、二十歳です」
豊島 正則:唐突なやりとりに、盛大に頭の上に疑問符を浮かべる。
豊島 正則:「……ああ、戸籍上というか、事実上というか、そうだな」
矢ヶ崎藍華:「!?」
矢ヶ崎藍華:ここで何故年齢を…?
矢ヶ崎藍華:「………20歳……ハッ!!」
シンシア:矢ヶ崎さんにだけ見える角度で、
シンシア:うっすらと笑みを浮かべる。
矢ヶ崎藍華:「こ」こいつ……!!
豊島 正則:「いや、お前らほんとに何を……というか、だ」
矢ヶ崎藍華:「豊島さん」
矢ヶ崎藍華:先輩呼びではなく
矢ヶ崎藍華:「ここは譲れません」
豊島 正則:「俺の前で、俺にだけ分からない勝負を始めるのはやめてくれねえかなほんと!?」
矢ヶ崎藍華:がるるるるる
豊島 正則:「……あー、その、ともかくだ。シンシア、お前」
豊島 正則:咳払いしてから、視線をシンシアへ向ける。
シンシア:「はい」ぱっと豊島さんに向き直る。
豊島 正則:「美礼の悪巧みを黙認した身で言うのも何だが。大丈夫なのか」
豊島 正則:任務。立場。必要なもの。失ったか、ダメージを受けたか。どちらにせよ、無傷とはいかないだろう、と。
シンシア:「………私はただ、命令に従うだけですので。返答はしかねますが」
シンシア:「ただ」
シンシア:「今回の任務も終了しましたので、予定通り帰国することになりました。次の任務も、もう決まっています」
矢ヶ崎藍華:「!」
シンシア:「エージェントとしての任務遂行に、何の支障もありません」
豊島 正則:「そう、か。……そりゃあ何よりだ、と言っとくよ」
豊島 正則:一か月を共に過ごしても、少なくとも表面上は変わらなかったものが。寂しくもあり、どこか懐かしくもある。
シンシア:「……ええ、ですので」
シンシア:「今日はこうして、お別れの挨拶に伺いました」
矢ヶ崎藍華:「は、はあ……」
矢ヶ崎藍華:さっきのやつはなんだったのか。安堵と呆れの混じった表情
GM:本部から、そのような無用な命令が下されるはずはない。
GM:彼女の意思で、という意味だ。
豊島 正則:「ああ、あのままお別れじゃああまりに……なんだ、こう」
豊島 正則:「最後に見たのが泣き顔だった、ってのはな」
シンシア:「…………」
シンシア:それには答えず、
シンシア:つかつかと、ベッドの上の豊島さんの眼前まで歩み寄る。
シンシア:「豊島さん」
豊島 正則:「……お、おう……?」
矢ヶ崎藍華:「……!」
豊島 正則:つい先ほどまで、藍華がいた空間に、いまは。
シンシア:無表情のシンシアが、豊島さんを見下ろす。
シンシア:「今回の滞在では、お世話になりました」
シンシア:「あなたのお話、大変興味深かったです」
豊島 正則:「……お前さんが望んだものが得られたかは分からねえが」
豊島 正則:「興味深いってんなら、土産代わりにもうひとつ。……俺達のしたことは、意味のないことかもしれない」
豊島 正則:藍華から聞いた、闘いの中での一幕。交わしたという短い会話。
豊島 正則:「人の行いじゃ、世界は変わらねえ。人だって変わるかどうかは、そいつ次第だ。……そういう意味じゃ、意味なんて、ない」
シンシア:「…………」
シンシア:黙ったまま、耳を傾ける。
豊島 正則:「でも、それでいいんだよ。俺たちは、生きている」
豊島 正則:「生きるっていうのは、ほんの少しずつ変わり続けるってことだ。そいつは目に見えない変わり方かもしれねえが」
豊島 正則:「俺も、お前も、藍華も。がむしゃらに生きてる間に、いつの間にか変わる」
豊島 正則:「……理屈はあるんだろうが、そんなもんでいいんじゃねえか。わざわざ自分で、難しくする必要なんて無ぇさ」
矢ヶ崎藍華:「先輩…」
シンシア:「……私も、変われる……」
シンシア:驚いたような、呆然としたような。
シンシア:「……そうなの、でしょうか」
豊島 正則:「そうだよ。何年、何十年経ってから振り返ってみりゃいい。過去の自分を、どうしようもなく恥ずかしく思うかもな」
豊島 正則:「……そういうのを楽しみにしてもいいって、俺は思う」
豊島 正則:くつくつと、喉を鳴らすように、小さく笑いながら。
シンシア:「…………」
シンシア:しばらく、俯き。
シンシア:それから、君の傷だらけの顔をじっと見つめる。
シンシア:「……ああ、そういえば」
シンシア:「確かに、今回の任務で」
シンシア:「ひとつ、今まで知らなかったことを知りました」
豊島 正則:「教えてくれるか。お前が、初めて知ったことを」
シンシア:「…………」
シンシア:衣擦れの音。
シンシア:不意に、シンシアが身を乗り出し、
シンシア:豊島さんに顔を近付ける。
矢ヶ崎藍華:「!?」
豊島 正則:「……おい?」
シンシア:頬に、柔らかな感触が振れる。
矢ヶ崎藍華:「………」
豊島 正則:「……」
矢ヶ崎藍華:「な」
シンシア:「……また近いうちにお会いしましょう、豊島さん」
シンシア:呆然とする二人を残し、
シンシア:シンシアは小さな微笑を浮かべ、風のように病室を去っていった。
矢ヶ崎藍華:「何してるんですかあ~~~!?!?!?」
矢ヶ崎藍華:うぎゃあー
豊島 正則:「ま、待て藍華!仕舞え!せめてその黒いのは仕舞え!?」
豊島 正則:「そしてそっちもなんか説明してけよ!?」
矢ヶ崎藍華:「ぐぬぬぬぬぬ」
矢ヶ崎藍華:涙目で
矢ヶ崎藍華:未だになんかヤバいオーラを出している
豊島 正則:「……一か月でちょっとは読めるようになったつもりだったんだが、やっぱ……わからねぇなあいつ……」
豊島 正則:ドス黒い何かを藍華から感じつつ、それでも。
豊島 正則:「……あー……あのな、藍華」
矢ヶ崎藍華:「なんですかっ!」
豊島 正則:「俺が誰かにどう思われていても。俺の、お前への気持ちには関係ない」
豊島 正則:こんな時だからこそ、改めて。
矢ヶ崎藍華:「へっ」
矢ヶ崎藍華:いきなりそんなこと言い出すもんだから
矢ヶ崎藍華:気持ちが何度も反転して落ち着かない
豊島 正則:「……こういうのは、やっぱりちゃんと言っとかねえと駄目だからな」
豊島 正則:「藍華。俺は、お前が好きだ。……いつ、くたばっちまうかも知れない身だが」
豊島 正則:「決めたからな。誰も彼もがお前を見失ったとしても。俺は、お前を見つけるって」
矢ヶ崎藍華:「……え?その………」
矢ヶ崎藍華:「好きって」
矢ヶ崎藍華:「………好きってことですか!?」
豊島 正則:「他に解釈の仕方があるか。……ああくそ、だからこういうのは苦手なんだよ俺は…!」
矢ヶ崎藍華:「………」
矢ヶ崎藍華:「ふええ…」
矢ヶ崎藍華:思わず泣き出してしまう
矢ヶ崎藍華:「4歳も歳下で、扱いにくい子供で」
矢ヶ崎藍華:「相手にされないかもって思ってた……」
豊島 正則:「……あのな、忘れてるかもしれないから言っとくが」
豊島 正則:「一応、高校生なんだよ。俺も。……ったく、泣く奴があるか」
矢ヶ崎藍華:「はいっ…」
豊島 正則:殆ど力を感じさせない左手で、そっと藍華の頬に触れる。
矢ヶ崎藍華:触れた手に、自分の手を当てて
矢ヶ崎藍華:「私も」
矢ヶ崎藍華:「私も、だいすき」
矢ヶ崎藍華:「変わっていけるなら、私が本当に駄目になったなら、殺してくれるって約束してくれた先輩が、すき」
矢ヶ崎藍華:「私を大事にしてくれる人はどれだけいても 私を殺して欲しい人は貴方以外にいない。」
矢ヶ崎藍華:私が見えない星でよかった。
矢ヶ崎藍華:あなたはいつだって暗い中を一人で行こうとするから。
矢ヶ崎藍華:見えないからこそ、いつでも傍にいられる
豊島 正則:「……ああ。俺が最後に殺すのは、きっとお前だ。だから」
豊島 正則:見えないものを、そこに在ると信じて探し続ける。誰かはそれを、無意味と嗤う。
豊島 正則:けれど、在ると信じるなら。傍にいると信じるなら。
豊島 正則:「死ぬまで、ずっと一緒だ」
矢ヶ崎藍華:「もちろん、です」
豊島 正則:枕元のオーディオプレイヤーから伸びるイヤホンを、片方は藍華の耳へ。もう片方を、自分の耳へ。
矢ヶ崎藍華:ぐしゃぐしゃの顔で、笑顔を作る
矢ヶ崎藍華:イヤホンは短いから
矢ヶ崎藍華:抜けないように、その大きい胸板によりかかるように、身を近づける
豊島 正則:その笑顔を、そっと抱き寄せる。
豊島 正則:—イントロが聞こえる。歌というのは、自分には馴染みの薄いものだけれど。
豊島 正則:寂しく、穏やかで。冷たく、暖かで。
豊島 正則:そんな不思議な曲が、とても。
豊島 正則:不器用な彼女に/自分には、心地よかった。
【ED:新垣御守】
GM:----------
GM:N市 UGN第二支部 食堂
GM:----------
GM:山盛りのランチAセットを前にして、チコは目を輝かせた。
チコ:「いいの!? これ食っていいの!?」
GM:既に傷はほぼ癒え、絆創膏を貼った顔に元気な表情を見せている。
新垣御守:「食べな食べな。生憎タコスは無いんだけど」
新垣御守:「向かいのコンビニにブリトーはあるよ」
新垣御守:「ってかさ、ブリトーとタコスってどう違うんだろね」
新垣御守:「メキシカンだったらその辺分かったりする?」
チコ:「え? 何? ……知らね―!! わーい!! いただきまーーす!!」
チコ:病院食続きだったのか、大喜びでマナー悪くパクつく。
チコ:「うまい! あんたいい人だな!」
新垣御守:「結構イケるでしょ。あーあー、ソースがソースが」
新垣御守:苦笑しつつ、紙ナプキンを渡したりして
チコ:げっ歯類めいて頬を膨らませている。
新垣御守:「どうだろね。悪い人かもよ」
チコ:「ほうなの?」
チコ:きょとんとした顔。
新垣御守:「少なくともまあ、大して変わんないよ」
新垣御守:「あの人……リリアナとだってね。やってることは」
チコ:「そうなの? じゃあいい人じゃん!」屈託ない顔。
新垣御守:「……!」
チコ:「別に悪いやつだっていーよ。今んとこ、あたしにとってはいい人だし」
新垣御守:「ぷ、はは」
新垣御守:「あー、そうだね。多分そうだ」
新垣御守:「いや、やっぱりいい人って事でよろしく」
チコ:「よろしくよろしく! あ、お代わりいい?」むしゃむしゃとご飯を食べながら
新垣御守:「おう、食え食えーこの食べ盛りっ子がー」
チコ:「やったぜ! やっぱいい人じゃん!」
チコ:「すんませーん!これとこれと、これ!」メニューを指さして、大量の注文。
新垣御守:「ただし、食い終わったら」
新垣御守:「ちょっと付き合ってもらうよ?」
チコ:「……?」
チコ:「何に?」
新垣御守:「お説教」
チコ:「げ」露骨に顔を顰める。
新垣御守:「はは、そんな顔しないの」
新垣御守:「アンタがされるんじゃないんだから」
新垣御守:「むしろ、好きにしていいよ。説教をね」
チコ:「? じゃあ、誰にすんの?」
チコ:椀を持つ手が止まる。
新垣御守:「会ってのお楽しみ。ま、ろくでもない奴だけど」
新垣御守:「お手柔らかにしてやって。多分、いい奴だから」
チコ:「ふ~ん」またもぐもぐし始める。
チコ:「別にいいぜ!あたしがされるんじゃないなら!!」
チコ:「うまいなこれ!」
新垣御守:「噛んで食いな噛んで。喉詰まるって」
チコ:「あ、そうだ」
新垣御守:「ん?」
チコ:唐突に、思い出したように静止する。
チコ:「おねーさん、UGNのヒトなんだよね?」
新垣御守:「そ、ていうかここがまずUGNの建物だよ」
チコ:「へ~、UGNのメシってうまいんだな! 入ろかな」
新垣御守:「……ぶっ」
新垣御守:「はは!」
新垣御守:「いやー、気に入った。チコちゃんさ」
チコ:「うん」魚の尻尾を口からはみ出させて。
新垣御守:「アンタ面白いわ。ファンになったよ」
チコ:「マジ? 困っちゃうな~!」えへへ、と笑う。
新垣御守:「そっちが良ければね。てゆーか、そういう話もするつもりだったし」
チコ:「そーゆー話って? UGN?」
新垣御守:「そ、住む場所と働き口、必要でしょ」
新垣御守:「うちは特に人手不足だからね、猫の手も借りたいってやつ」
チコ:「たしかに……」口をもごもごさせながら、何も考えていないような顔で。
チコ:「んー、考えとく!」
新垣御守:「よろしく」
チコ:「あ、そうそう、それでさ!」
新垣御守:「はいはいそれで」
チコ:「ちょっと聞きたいんだけど、おねーさん、アヤカ……シマザキアヤカってやつ、知ってる?」
チコ:「あれ、違うんだっけ。確か、ええと……」
チコ:ううんと唸り、
チコ:「な、なんだっけ……」
新垣御守:「シマザ……ああ」
新垣御守:「矢ヶ崎藍華?」
チコ:「あ、そうそう!それ!」がたん、と食器を揺らして。
チコ:「あいつ、どこにいるか知ってる?UGNなんでしょ?」
新垣御守:「会いたいんだ」
新垣御守:「会ってどうすんの?」
新垣御守:テーブルに肘を付きながら、面白そうに
チコ:「ん?」ハンバーグを懸命に切り分けながら
チコ:「どうするって……そうだなぁ……」
チコ:「別に? 会いたくってさ」
チコ:当然のように言う。
チコ:「あいつ、私の妹分だから!」
チコ:「会えなくて寂しがってると思うんだよね~」
新垣御守:「……ふふ」
新垣御守:「そりゃ大変だ。会いにいったげないとね」
新垣御守:「向こうもびっくりするよ」
チコ:「だろだろ!」楽しそうに。
チコ:「まあ、ロス……なんちゃらは無くなっちゃったけど」
チコ:「生きてりゃそんなのよくあることだし!」
チコ:「あたしは目の前のメシのほうがよっぽど大事だな~」
チコ:おいしそうにハンバーグを口に運ぶ。
新垣御守:「なるほど。チコちゃんさ」
新垣御守:「アンタ面白いだけじゃなくて、頭もいいよ」
チコ:「え!?!?」目を見開く。
チコ:「嘘……」
チコ:「初めて言われた、そんなこと……」
チコ:呆然と君を見つめる。
新垣御守:「そう?」
新垣御守:「結局大事なのは、目の前のご飯が美味しく食べられるかどうかだって」
新垣御守:「そういうの見失ったときに、みんなやらかすんだよなぁ」
新垣御守:「……いや、しみじみ思うわ」
新垣御守:腕を組みながら
チコ:「あんた、やっぱりいい人だな!」嬉しそうに笑う。
チコ:「あ、そうそう、名前!名前なんてーの?」
新垣御守:「ああ、ごめんごめん。忘れてた」
新垣御守:「私は御守ね。新垣御守。それに」
新垣御守:「……アニーって呼ぶやつもいる」
新垣御守:「よろしくね、チコ」
チコ:「アラガキミモリ……アニー……」
チコ:その名を聞いて、チコの動きが止まる。
チコ:「…………」
チコ:「……んん~~? どっかで聞いたことあるんだけどなぁ……」
チコ:首をひねる。
新垣御守:「さて」
新垣御守:立ち上がり
新垣御守:「お説教の時間。付いてきてね」
新垣御守:「あ、あと食器は向こう」
チコ:「えー、まだ食いたいのに……」
チコ:渋々ながら立ち上がる。
新垣御守:「後で食べな。一気に食べたらお腹痛くなるって」
チコ:「は~~い……」
チコ:名残惜しそうに付いてくる。
新垣御守:「よろしい、賢いチコにはアイスも買ってあげる」
新垣御守:「あとでね」
チコ:「マジ!? サイコー!!」
チコ:俄然嬉しそうに。
GM:君達は支部の廊下を歩いていく。
GM:向かう先は、ひとつの取調室。
チコ:「で、結局誰にお説教すんの?」
チコ:頭の後ろで腕を組む。
チコ:「あたしの知ってるヤツ?」
新垣御守:「そ。ろくでなしの、だけどいい奴で」
新垣御守:「チコのよく知ってる……ほら」
新垣御守:がちゃんと
新垣御守:鍵を空けて、机一つだけの殺風景な部屋の中へ。
GM:取調室の中には、女が一人。
GM:パイプ椅子に深く座って、退屈そうな表情。
チコ:「ね……」
新垣御守:「よ。元気?」
チコ:見るなり、チコが嬉しそうに表情を輝かせる。
チコ:「姉さんだーー!!」
リリアナ:「あ! ちょっ待……」
リリアナ:「ぐおおおおお!!」
新垣御守:「あっははは!」
リリアナ:まだ傷の残る身体を抱き締められ、悲鳴を上げる。
新垣御守:「もっと締めたれ締めたれ!おらおらー!」
リリアナ:「アニー!こいつどうにかしろ!!」
リリアナ:「ぐわああああああ!!」
新垣御守:「えー、やだ~」
新垣御守:「めっちゃウケる顔してるし。あれ、金剛力士像みたい」
チコ:「姉さん!元気そうっすね!! よかったっス!!」
リリアナ:「今元気じゃなくなろうとしてんだよ!!」
新垣御守:「……それにさ」
新垣御守:「そんだけ心配してて、逢いたかったってことでしょ」
リリアナ:「それは分かるが!!」
新垣御守:「受け入れてやんなよ。責任だよ」
リリアナ:「うぎゃああああ!!」
リリアナ:「ぐっ……この……覚えてろよ……!」
新垣御守:「はいはい。んじゃ傷口が開く前にブレイクブレイク」
GM:チコが一通りはしゃぎ終えると、リリアナは深い溜息を吐いた。
新垣御守:チコを離して、椅子に座らせながら
新垣御守:自分もリリアナと向かい合って椅子に座る。
リリアナ:「……で? 今度の事情聴取はお前かよ」
リリアナ:じろりと見る。
リリアナ:「もう大体話しただろ、何回も」
新垣御守:「まあね。聞くこととしてはもう無いから」
新垣御守:「後はこっちから知らせに来た」
リリアナ:「……?」
リリアナ:怪訝な顔。
新垣御守:「……アンタとチコの処遇について」
リリアナ:「…………!」表情に、俄かに緊張が走る。
新垣御守:「一生ここにいたいなら、別にいいけど」
新垣御守:「聞く気ある?」
リリアナ:はぁ、とまた溜息。
リリアナ:「……言ってみろよ」
リリアナ:ちらりと、チコに目をやる。
新垣御守:「……リリアナ=マルティネス、及びチキータ=マルティネスの両名は」
新垣御守:「来月付けで、UGNN市第二支部所属のエージェント及びチルドレンとして配属する。」
リリアナ:「……ああ!?」
リリアナ:声を荒げる。
チコ:「?」何も分かっていない顔。
リリアナ:「……どういう冗談だ、そりゃ」
リリアナ:険しい顔で君を見る。
新垣御守:「両名の同意、及び第二支部長新垣御守の責任に於いて。この辞令を決定事項とする」
新垣御守:「……本気だよ」
新垣御守:「本部のエリート様にしちゃ、ヒラから出戻りって事になるけどね」
リリアナ:「……私がやったことはどうなる」
リリアナ:重々しい声。
リリアナ:「UGNだの、その辺の理由を差っ引いても」
リリアナ:「やったことは消えないだろ」
リリアナ:「私は、裁かれるべきだ」
新垣御守:「あのさ」
新垣御守:「本当、耄碌したよね。それとも忘れたわけ?」
新垣御守:「……自分のやったことがどうなるかって」
新垣御守:「誰の眼の前で言ってんの、それ」
リリアナ:「…………!」
リリアナ:言葉を詰まらせる。
新垣御守:「償うんだよ。命がけで」
新垣御守:「それしかないでしょ。最初から」
リリアナ:「…………」
リリアナ:俯き、黙り込む。
新垣御守:「この国は平和だよ。いいとこだよ」
新垣御守:「だけど、私たちがいるのはずっと地獄だ」
リリアナ:「……こんなこと……」
リリアナ:「……許されるのかよ……」
リリアナ:「……」
新垣御守:「……許すよ」
新垣御守:「世界中がアンタを許さなくても」
新垣御守:「アンタがアンタを許せなくても」
新垣御守:「私は許す」
新垣御守:「それに……」
新垣御守:チコの方に目をやる
新垣御守:「私だけじゃない」
新垣御守:「でしょ?」
チコ:「なんか姉さん説教されてる!あははおもしれー!!」からからと笑う。
リリアナ:「…………」
リリアナ:天を仰ぎ、顔を覆う。
新垣御守:「面白いでしょ。この人結構攻められると弱いんだよね」
新垣御守:「だから突っ張って、すぐ無理する事になる」
新垣御守:「……独りにさせといちゃ、ダメなんだよ」
チコ:「……?」君とリリアナを見比べる。
リリアナ:「……こんな、楽園みたいな国に来てまで……」
リリアナ:「……まだ、地獄を歩く羽目になるのか」
リリアナ:「裁かれたほうが、百倍マシだ」
新垣御守:「でも」
新垣御守:「開き直れるほど、図太くないじゃん。アンタ」
リリアナ:「……そうだな」
リリアナ:「……そうだったな……」
リリアナ:呻くように呟く。
新垣御守:「……そうだよ」
チコ:「……!? ……!?」二人を慌てたように交互に見て。
チコ:「え!? え!? 何!?」
チコ:「どっ……! どういうかんけ……!」
GM:コン、コン。
GM:ノックの後に、取調室の扉が開かれる。
田井中次郎:「よろしいですか、支部長」
田井中次郎:入室してきたのは、つい一昨日退院したばかりの田井中。
新垣御守:「あー、ジロくん。おっはよ」
新垣御守:「傷は?もう大丈夫?」
田井中次郎:「ええ。この程度、何ともありません……UGNエージェントですから」
田井中次郎:わざとらしくコートを翻す。
新垣御守:「……そ」
新垣御守:「ていうかさぁ!」
新垣御守:「毎回思うんだけど、年下なんだから敬語やめてって」
田井中次郎:「え」
新垣御守:「むしろ距離感じるわ!アレもやってくんないし」
新垣御守:「ナイトメアブリンガーだ!っていうヤツ!」
田井中次郎:「ええ……いや、でも……」途端に弱々しくなる。
田井中次郎:「支部長だし……」
新垣御守:「……この微妙に頼りなさそうなのが、田井中くん」
新垣御守:チコの方に
チコ:「よう!タイナカ!」
田井中次郎:「違う!!」
田井中次郎:「ナイトメアブリンガーだ!!」
新垣御守:「あはは!それそれ!」
新垣御守:「支部のこと、色々案内してもらって。あと手続きとかもね」
リリアナ:「あー、あたしがボコボコにしたやつ!」
リリアナ:「悪かったなー、あん時」
田井中次郎:「ヒッ……!?」
新垣御守:「ビビんないビビんない。取って食ったりはしないだろうし」
田井中次郎:怯えた顔で壁を背にして、横歩きでチコの方へ。
新垣御守:「ていうか、これからジロくん先輩になるかもしれないんだから」
新垣御守:「威厳を見せろよ~~ナイトメアブリンガ~~」
新垣御守:意地悪そうにニヤニヤ笑う
リリアナ:「よろしく~、先輩」ひらひら手を振る。
田井中次郎:「ぐぅ……!」
田井中次郎:「チキータ・マルティネス……こちらに来い」
田井中次郎:「このナイトメアブリンガーが直々に支部を案内してやる……!」
チコ:「そうなの? わかった」
チコ:椅子から飛び降り、
チコ:「じゃあまた! 姉さん、ミモリも!」
新垣御守:「あ」
新垣御守:「チコ、ありがとね」
新垣御守:その背中に声をかける
チコ:「ん? 何が?」振り返り、きょとんとする。
新垣御守:「この人がさ……ギリギリのとこでこっちにいられたの」
新垣御守:「繋ぎ止めてくれたのは、多分チコだ」
新垣御守:「だから、ありがと」
チコ:「……? よくわかんねーけど」
チコ:「そうなんすか? 姉さん」
リリアナ:ごとん、と机にうつ伏せになり、
リリアナ:「……そうかもな」と絞り出すように言う。
新垣御守:「……ほら」
新垣御守:「言っときなよ。どうせ独りだと言えないでしょ」
リリアナ:「…………」
リリアナ:「……ありがとな」
リリアナ:突っ伏したまま、言う。
新垣御守:「ん。だってさ?」
チコ:「…………」
チコ:「よくわかんねーけど、それならよかったッス! よくわかんねーけど! あはは!」嬉しそうに笑う。
チコ:「よっしゃ!行くぞタイナカ!」
田井中次郎:「ナイトメアブリンガーだ……!!」
GM:二人はそうして、部屋を出ていく。
GM:後には、君とリリアナだけが残された。
新垣御守:「いい子だよね」
新垣御守:「あんな子置いてっちゃ、ダメだよ」
リリアナ:「…………そうだな」
リリアナ:椅子に座りなおし、頷く。
リリアナ:「……お前さあ」
リリアナ:君を見つめ、
リリアナ:「ホントに支部長やってんのな」
リリアナ:しみじみと言う。
新垣御守:「ははっ」
新垣御守:「やってるよ、どーにかこーにか。向いてないなりにね」
新垣御守:「ああいう、田井中くんとかさ。豊くんとかさ」
新垣御守:「付いてきてくれる子達がいて、やっとなんとかなってる」
新垣御守:「……ちょっとさ」
新垣御守:「昔のアンタの気分、分かった気がするよ」
リリアナ:「……そうかな……」
リリアナ:「私の目から見れば」
リリアナ:「……お前はもう、十分立派な支部長だよ」
新垣御守:「……」
リリアナ:「……何せ、私を倒したんだからな」
リリアナ:照れ隠しのように言う。
新垣御守:「なんか」
新垣御守:「死ぬ前みたいなの、やめてよ」
リリアナ:「……ああ……」
リリアナ:気まずそうに、目を逸らす。
リリアナ:「それなんだけどな……」
リリアナ:「……UGNで、診てもらったんだよ。身体」
リリアナ:「…………」
リリアナ:「あんまり引っ張ってもアレだから、言うけどさ」
リリアナ:「…………」
リリアナ:「……UGNで、治療と調整を受ければ」
リリアナ:「……もうしばらくは、生きられるらしい」
新垣御守:ずこーーーっ!!
新垣御守:とは、ならない。
リリアナ:「……って、あの胡散臭いオレンジ頭が言ってた」
新垣御守:腕を組んで、残念そうにリリアナを見る。
新垣御守:「なーんだ……ちっ」
新垣御守:「ビックリさせてやろーと思ったのに。聞いてたんだ」
リリアナ:「だから言いたかなかったんだよ……」
リリアナ:口を尖らせる。
リリアナ:「気まずいのなんのって……」
リリアナ:「なんか、バカらしくなっちまったよ」
新垣御守:「言われなくてもこっちも知ってたよ。何せ支部長だし」
新垣御守:「……でもさ」
新垣御守:「どうやって治るかまでは、聞いてないんじゃない?」
リリアナ:「……ん?」
リリアナ:顔を上げる。
リリアナ:「そりゃお前……」
リリアナ:「UGNの施設で……」
リリアナ:「……違うのか」
新垣御守:「出た!そのフワフワ認識!」
新垣御守:「マジでズボラ!自分の体の事くらいもうちょっとちゃんと聞いときなよ!」
リリアナ:「う……うっせーな!」
リリアナ:「いいんだよ!それで大体何とかなんだから!」
新垣御守:「オレンジの子、第四の支部長の美礼ちゃんっていうんだけど、あの子から聞いてさ」
新垣御守:「……ちょうど向こうで研究中だったんだって」
リリアナ:「……何を」
新垣御守:「対抗種を長期的に発露したオーヴァードの治療法」
新垣御守:「……血清だよ」
リリアナ:「………………」
新垣御守:「それは別型の対抗種の血からしか、作れない」
リリアナ:やや、表情が動く。
リリアナ:「…………つまり?」
新垣御守:「……繋がりだよ」
新垣御守:「ひとりよりふたり。ふたりよりたくさん」
新垣御守:「私が、みんなが、アンタを死なせない」
リリアナ:脱力したように笑う。
リリアナ:「……お節介な話だな」
リリアナ:「……ああ、でも」
リリアナ:「そうだよな。忘れてたよ」
リリアナ:「……お節介、か。それが……」
リリアナ:「……UGNってとこだったな」
新垣御守:「そ、それで」
新垣御守:「私の知る限り1番のお節介焼きは」
新垣御守:「今、眼の前にいる」
新垣御守:「……おかえり、リリ姉」
リリアナ:「…………買い被りだよ」
リリアナ:苦笑して、君を見つめる。
リリアナ:「……ただいま」
リリアナ:「……アニー」
リリアナ:言葉の通り。
リリアナ:長い旅から、故郷に帰りついたかのような、穏やかな表情。
新垣御守:「んで」
新垣御守:「……なんだってこんなことしたわけ?」
新垣御守:「突っ走りすぎでしょ、いくらなんでも」
リリアナ:「…………」
リリアナ:リリアナはしばらく沈黙して、
リリアナ:「……もうすぐ死ぬって分かった時さ」
リリアナ:「怖かったんだ」
新垣御守:「……」
リリアナ:「UGNに裏切られて、正義とか、理想とか、そういうの全部信じられなくなって」
リリアナ:「それに負けた、私自身のことも信じられなくなった」
新垣御守:「真面目すぎなんだって」
新垣御守:「……でも、まあ。らしいよ」
リリアナ:「……もっと、楽に考えられたら、よかったのかもな」
新垣御守:「それで、自棄起こしたってわけ?」
リリアナ:「…………」
リリアナ:「私は、そんな心のまま、何もせずに死んでいくのがどうしようもなく怖かったんだよ」
リリアナ:「何も信じられないまま、一人ぼっちでさ」
リリアナ:「世界はクソの塊だって、何もかも憎みながら、死ぬ」
リリアナ:「そんなのは嫌だった」
リリアナ:「それでさ……」
リリアナ:リリアナはそこで少し言葉を切る。
リリアナ:「……ピラミッドって、あるだろ」
リリアナ:不意にそんなことを言う。
新垣御守:「……えっ」
新垣御守:「急に何、吉村作治?」
リリアナ:「まあ……そこまでしゃなくてもさ。どこでも大抵、墓を建てるときは、石だろ。でかい石」
リリアナ:「あれさぁ、何でだと思う?」
新垣御守:「クイズはダメだって、知ってるでしょ?」
新垣御守:「もったいぶんないで、ほら」
リリアナ:「だったな」小さく笑う。
リリアナ:「石って、残るんだよ。木とか金属なんかより、ずっと長くさ」
リリアナ:「多分、みんな信じたいんだよ」
リリアナ:「自分がいなくなった後でも、ずっと残り続ける確かなものがある、って」
リリアナ:「私もさ、信じたかったんだ」
リリアナ:「昔に見た、夢みたいな平和な場所」
リリアナ:「それを守る、揺るがない確かな正義」
新垣御守:「……」
リリアナ:「どれだけ踏み躙られても、それは絶対に消えることはない」
リリアナ:「そう信じたかった。自分のことはもう信じられないから」
リリアナ:「この世界でただ一つ」
リリアナ:「信じられる相手に託して、それを確かめて」
リリアナ:「そうして、死のうと思った」
新垣御守:「……へ?」
リリアナ:ふっ、と笑う。
リリアナ:「バカだよな」
リリアナ:君を、君だけを瞳に映す。
新垣御守:「いや、アンタ」
新垣御守:「ふっじゃなくて」
新垣御守:「……普ッッッッッ通に」
新垣御守:「引くわ!!!!!!!」
新垣御守:絶句。
リリアナ:「…………」目を逸らす。
リリアナ:「だから……言う気なんて無かったんだよ……」
新垣御守:「逸らすなこら!いや、まあそれが全部じゃないだろうけどさあ」
新垣御守:「間近で聞かされる方はさあ……マジで……」
新垣御守:「~~~~~~~っ」
新垣御守:「バカ!バカバカ!」
リリアナ:「あーーうるせえうるせー!」
リリアナ:「忘れろ!今のは!」
新垣御守:「忘れられるわけないじゃんか……も~~~」
新垣御守:こっちも顔を真赤にして俯く
リリアナ:「……結局、私はさ」
リリアナ:「そういう人間なんだよ」
リリアナ:「勝手な都合で、散々周りに迷惑かけて」
リリアナ:「お前にも、消えない重荷を背負わせようとした」
リリアナ:「……アニー」
リリアナ:「お前は、私を」
リリアナ:「引き裂いたっていいんだ」
新垣御守:「……」
新垣御守:「リリ姉」
新垣御守:「色々言いたいけど、要はさ」
新垣御守:「半端だからダメだったんだよ」
リリアナ:「…………?」
新垣御守:「……そう思ったんなら、やっぱ真っ先に」
新垣御守:「私のとこに来てよ」
新垣御守:「迷惑かけられるのも、傍で支えるのも」
新垣御守:「私以外の奴なんかにやらせないでよ」
リリアナ:「…………分かった」
リリアナ:「……次からは、そうするよ」
新垣御守:「オッケー」
新垣御守:「全部で寄越してよ。私は」
新垣御守:「……全部が欲しい」
新垣御守:「ホントはさ、遠慮してたんだよ。ずっと」
新垣御守:「こういうことさ、言えないじゃん。だって、アンタにとって私ってなんなのか、分かんなかったから」
新垣御守:「そこまで言うわけね。そこまで言うんなら」
新垣御守:「本当に全部もらってあげる」
リリアナ:「…………。 ……ははっ、お前……」
リリアナ:くつくつと、苦笑交じりに笑う。
リリアナ:「この世界ぜんぶより、お前のほうが信じられるって」
リリアナ:「そう言ってんのにさ」
リリアナ:「……まだ物足りないのかよ?」
新垣御守:立ち上がって
新垣御守:リリアナの座る椅子の傍に
新垣御守:腕を回して、抱き寄せて
新垣御守:「……魔女って呼ばれてた女だよ?」
新垣御守:「骨まで残んないって」
新垣御守:長く赤い舌で
新垣御守:舌なめずりする。
リリアナ:「……何年越しに気付いたのかな」
リリアナ:腕の中、正面から見つめる。
リリアナ:「……手に負えない拾い物したみたいだな」
リリアナ:「……マセガキ」
新垣御守:「選んだことには、セキニン持たなきゃ」
新垣御守:「お姉ちゃん」
新垣御守:ニコリと笑う
リリアナ:「……上等」
リリアナ:「今度は、途中で逃げたりしない」
リリアナ:「だから、」
リリアナ:「最後まで付き合ってもらうぜ? お前にも」
新垣御守:「こっちの台詞」
新垣御守:「……大好きだよ。リリ姉」
リリアナ:「……随分背は伸びたと思ったけど」
リリアナ:「そういうところは進歩が無いな」
リリアナ:「こういう時はな……」
リリアナ:「……愛してる。アニー」
リリアナ:囁くようにそう言って、悪戯っぽく笑う。
リリアナ:「こう言うんだよ」
新垣御守:「っ……」
新垣御守:「そういうのさあ、ほんっとムカつく……ヒラエージェントのくせに」
リリアナ:「そうか。もう支部長サマだもんな」
リリアナ:くく、と笑う。
リリアナ:「敬語使いましょうか? 新垣支部長とお呼びした方がいいですか?」
リリアナ:「どうしてくれるんだよ、支部長さん」
新垣御守:「……」
リリアナ:「生意気な平エージェントをさ」
リリアナ:挑発するように、君を見上げる。
新垣御守:抱き寄せて……静かに唇を重ねる。
新垣御守:「…………こうだよ。バカ」
リリアナ:「……は」
リリアナ:「上出来」
新垣御守:「……死ぬほど恥ずい」
リリアナ:「何だよ今更」
リリアナ:「お前、昔は散々……」
新垣御守:「あー、もう!言うな!この!」
新垣御守:そのまま机の上に押し付けて
新垣御守:両腕を抑えつける。
リリアナ:「…………」
リリアナ:抵抗はしない。
リリアナ:また、にやりと笑う。
新垣御守:「……どこが変わって、変わってないのか」
新垣御守:「教えてもらうから。ここ」
新垣御守:「取調室だよ?」
リリアナ:「へぇ」
リリアナ:目を細めて。
リリアナ:「聞き出してみろよ」
リリアナ:「無理やりでも」
新垣御守:「リリ姉っ……!!」
新垣御守:ジャケットを脱いで投げ捨てようとして
GM:瞬間、
新垣御守:ぴたっ、と入り口の方に目が止まる。
GM:どばん!と、ドアが勢いよく開かれる。
チコ:「ミモリいる~~!?」
チコ:「…………」
チコ:やけに密着した二人を見て、
チコ:「え、何してんの?」
新垣御守:「……」
新垣御守:手にジャケットをかけたまま、完全に石になる。
新垣御守:片手でリリアナを机に抑えつけたまま。
新垣御守:「と」
リリアナ:「……『取り調べ』だよ。なあ? 支部長さん」わざとらしくニコニコした顔。
新垣御守:「とり、しらべ」
新垣御守:「そう、なの」
チコ:「最近の取り調べは変わってんだなー!!」
チコ:「あ、ミモリ! タイナカが呼んでるよ」
チコ:「なんかねえ、事件だって」
新垣御守:「……お、おおお!はい!はい!今いきまーす!ふーーっ!!」
新垣御守:さささっと、ジャケットを着直して
リリアナ:「頑張れよ、支部長さん」
リリアナ:机に座ったまま、ひらひら手を振る。
新垣御守:「がんばるよ、ヒラエージェント」
新垣御守:苦笑しながら、背を向けて
リリアナ:「……で」
リリアナ:「続きは?」
リリアナ:にやにやと、悪戯っぽく。
新垣御守:「……後でね」
新垣御守:少し赤面しつつ
リリアナ:「……後で、か」
リリアナ:「そうだな」
リリアナ:「時間は、いくらでもあるんだ」
新垣御守:「うん。これから、ずっとね」
新垣御守:「さ、今日もやりますか」
新垣御守:「……向いてないなりに、ね」
リリアナ:新垣を見送って、一人残されたリリアナは、じっと自らの掌を見つめる。
リリアナ:そこに流れる血の色は、もう闇のような黒でなく。
リリアナ:御守と同じ、鮮やかな赤。
リリアナ:溜息をついて、小さく笑った。
GM:全行程終了。
GM:お疲れさまでした!
豊島 正則:お疲れ様でしたー!
新垣御守:お疲れ様でしたー!
日馬 美礼:お疲れ様でした。
矢ヶ崎藍華:お疲れ様でした!
鴻上禮次郎:お疲れ様でした!!