吹けよ太刀風

墜ちよ禍津星



メインログ/雑談ログ


Trailer


4年前。
崩落戦と呼ばれるその大戦は、敵味方双方に甚大な被害を齎らし、N市UGNの13支部制という変革の切掛となった。
無論、変化を強いられたのはUGNだけではない。
N市周辺で影響力を保っていた有力セルの悉くが壊滅的打撃を受け、市内FHの情勢は、一時不安定極まりないものとなった。
裏切り、下克上、吸収統合。
そんな混迷を極めた時期に、戦乱の波に乗って勢力を拡大した、ひとつのセルがあった。

FHセル“ディアスポラ”。

行き場の無い者たちの安寧の地。
激動の最中を、仲間だけを頼りに走り続けたオーヴァード達。
闇の中に希望を信じた彼らが、肩を並べて戦った場所。

——今はもう、無い。

Double Cross The 3rd edition
『吹けよ太刀風、墜ちよ禍津星』
ダブルクロス、それは——




Preplay


茨木 律華いばらぎ りつか(キャラシート)
箕中 舞みなか まい(キャラシート)

風祭 猪祈かざまつり いのり(キャラシート)
冬村 歩人ふゆむら あると(キャラシート)

【セッション概要】

極めて高いロスト率を前提として行われる、通称バッドエンドセッション。
特別ルールとしてキャラクターにはDロイスを3つまで取得することが許可される。

【共通ハンドアウト】

崩落戦から一年半。小規模ながら急速に勢力を拡大しつつあるセル“ディアスポラ”。
彼らの次なる目標は、崩落戦の前、7つのセルが大量の財産と武器弾薬を隠したという都市伝説じみた噂、“聖櫃”。
手にすれば莫大な富と力を思いのままに出来るその噂を狙うのは、彼らだけではなかった。
崩落戦後のN市で最大規模の勢力を誇るセル、“カリポリス”。そしてFHの台頭を未然に防ごうとする、N市UGN。
それぞれの思惑が絡み合い、状況は混迷を極めていく。


GM:それではまず自己紹介から始めていきましょう
GM:ではPC1の茨木律花さんからどうぞ!
(キャラシート)
茨木律華:はーい、茨木律華です!よろしくお願いします!
茨木律華:"ディアスポラ"のエージェントです。故郷と家族をFHに焼かれた時、自分一人だけが覚醒して生き残ったため、
茨木律華:都合のいい記憶処理をされてFH兵士に改造されたり、その復讐を頑張ったりしてました。
GM:大変な経歴
茨木律華:わるいやつらは約一名をのぞいて大体ぶっ飛ばしたので
茨木律華:今は改竄された自分の記憶を取り戻す事と、右目に埋め込まれた遺産を取り除く事を目標にしているよ
GM:約一名もはやくぶっ殺したほうがいいんじゃないですか~?
茨木律華:いや……まだその時ではない……
茨木律華:それが終わったら普通の人として暮らしたいとかほざいてます
GM:できるといいね!
茨木律華:性能としてはサンドシャード起点の範囲アタッカー。侵食がやたら重いですが
茨木律華:まあこういうセッションだしいいかなって……
GM:ジャームまっしぐら
茨木律華:砂の加護があるのでミドルでもちょこちょこ仕事できるとは思います
茨木律華:そんな感じかな!
GM:OK!そんな茨木さんのハンドアウトはこちら!

シナリオロイス:“聖櫃”
君は失われた記憶を探し求めるFHエージェントだ。
いつも通り支部に召集された君達は、セルリーダーである三廻部シュウから、“聖櫃”を探し出し奪取する計画を聞く。
“聖櫃”には大量の遺産やアーティファクトも含まれる。君の求めるものも見つかるかもしれない。そうでなくとも、セルは大きく飛躍し、君の目標への足掛かりになるはずだ。

茨木律華:遺産詰め合わせBOX……!
GM:やるっきゃない!宝探しがんばってね!というわけですね
茨木律華:こういうのはスピードが大事!迅速に行動するっきゃね~!
GM:頑張って生き残ってくださいね!
GM:ではPC2の箕中さん!自己紹介お願いします!
(キャラシート)
箕中舞:はい!
箕中舞:箕中舞。”ディアスポラ”のチルドレンです。ソラリスとしては様々な事が出来るんですが、
箕中舞:とにかく調整が下手で、誰かをサポートしたり何かを治したりするのに全く適さない人材! と
箕中舞:以前いたセルではボロ雑巾のように扱われていました
GM:かわいそう
箕中舞:潜入先で律華ちゃんを洗脳して記憶を破壊した張本人でもある
箕中舞:そのことをめちゃくちゃ悔いていて、2度と彼女を裏切らないと誓ったりもしました。ほんとかな?
GM:ほんとだといいな~
箕中舞:律華ちゃんに幸せになって欲しい……
GM:二人で幸せを掴んでくれ
箕中舞:ディアスポラに来てからは能力を制御するための外部デバイスを見繕ってもらったり
箕中舞:なんかこれまでいた所とは違う扱いを受けて居心地の良さを感じているっぽいです。いい話ですね。
GM:優しくされたことがないのね……
箕中舞:性能としては普通のピュアソラリス。打点とか蘇生を多重生成して味方をサポートしたい。
箕中舞:なんかDロ装着者取ってますが完全にフレーバーです。
GM:ピュアソラ野郎~~
箕中舞:こんなに弱い装着者あるか?
箕中舞:以上です! よろしくお願いします。
GM:OK!では箕中さんのハンドアウトはこれ!

シナリオロイス:茨木律華
君は内通者だ。
FHセル“カリポリス”の指示に従い、“ディアスポラ”の情報を流し、監視の目を光らせるのが君の役目だ。
君が求める見返りはただ一つ。“カリポリス”が所有する、ある遺産。
その力があれば、破壊された茨木律華の記憶と人格を、元に戻せるという。
その力があれば、もう一度、全てをやり直せるのだと。

GM:よかったね!
箕中舞:うう……ごめんねみんな……ごめんね律華ちゃん……
GM:そういうわけでバレないように頑張ってね!
箕中舞:がんばります!
GM:というわけで次!
GM:PC3の風祭さんお願いします!
(キャラシート)
風祭猪祈:はい!風祭猪祈です!よろしくお願いします!
風祭猪祈:崩落戦に参加した"アラボト"というセルで運用されていた複製体兵士です。
風祭猪祈:その部隊はオリジナル兼リーダーが離反しちゃって、同士討ちみたいになって壊滅しちゃったんですけど
GM:クイーンの野郎……どこにいるんだ……?
風祭猪祈:複製体の姉妹は殆どが離反したリーダーの返り討ちにあって死んじゃって、この子も瀕死の重傷だったんですが
風祭猪祈:運良く今のセルに拾われて一命をとりとめました。やったぜ。
GM:よかったね~
風祭猪祈:今はセルの拠点の古書店で店員として働きつつ、一緒に生き残った姉妹の介護をしたり
風祭猪祈:恋人の冬村歩人さんとイチャイチャしたりしています
GM:こんなえっちな古書店員いるか?
GM:性癖殺戮兵器かよ
GM:冬村……絶対許せねえ……
風祭猪祈:能力はエンジェルハイロウ/モルフェウスの隠密アタッカー
風祭猪祈:覚悟のDロイス3個搭載により、デスストーカーの高火力とリフレックスによる回避力を両立させました
GM:特殊システムを全力で使ってきている
GM:その意気やよし
風祭猪祈:率先して無茶をしつつ、アージエフェクト等を使って生き残るかもしれない誰かに力を託して逝きます
GM:諦めるな!頑張れ!
風祭猪祈:命尽きるまで戦います!よろしくお願いします!
GM:OK!では風祭さんのハンドアウトはこちら!

シナリオロイス:冬村歩人/レフティ・ビショップ
君はFHの元実験体だ。現在は“ディアスポラ”に身を置いている。
君がいま特に大切にしているものは、三つ。
一つは君の姉妹である、レフティ・ビショップ。36人の姉妹の中でも特に電子戦を得意とした彼女は、しかし“クイーン”との交戦により半身不随となり、殆ど身動きの取れない状態だ。
もう一つは、冬村歩人。君が助け、その後親しくなった恋人だ。
そして、君と彼ら、仲間たちの唯一の居場所である、“ディアスポラ”セル。
二人とセルを守るためならば、君はどんな事でもするだろう。

GM:隠し事なんて何もない!
GM:姉妹と恋人のために頑張ってほしい!
風祭猪祈:よかった~
GM:これはハッピーエンド待ったなしですね
GM:というわけで頑張ってください!よろしくお願いします。
風祭猪祈:歩人さん!緋雁!皆で幸せになろうね!
GM:ではお次!
GM:PC4の冬村さん!自己紹介お願いします。
(キャラシート)
冬村 歩人:はーい。冬村歩人です。
冬村 歩人:いのりんのカレピッピで~すv ァッァッvv
GM:殺す!!!!!!
冬村 歩人:もちろんこんなノリの人間では全くなく、物静かな青年です。実際関わればそれなりに話せるヤツですが、受動的な所もあって第一印象は『陰気』でしょうね。前髪も長い。
冬村 歩人:以前はマスターエージェント"ウィンターマスター"を名乗り、戦略級能力者として暴威を振るっていましたが、
冬村 歩人:ある交戦で"カリポリス"に手ひどい傷を負わせられ、まあ傷を負わせた奴は全員ぶち殺したんですけど、そのまま野垂れ死にました。
GM:死んでる……
冬村 歩人:……と見せかけて、"ディアスポラ"に拾われて生きていました。ラッキー。その後はちょっと療養してから戦闘メンバーとして活動中です。
GM:よかった~
冬村 歩人:"ウィンターマスター"が実は生きてる! ってなったら面倒なので、そこまで派手に暴れ回りはしないけどね。
冬村 歩人:あと先も話した通り、猪祈ちゃんとは療養期間・その後の作戦期間を通じ、掛け替えのない関係を結んでいます。
GM:殺す!!!!!!
冬村 歩人:ワルツかな?
冬村 歩人:そして過去の経緯により、普段はおくびにも出しませんが、知り合い、親しい者のジャーム化を何よりも恐れています。なんか彼女めちゃくちゃジャーム化しそうだし……
冬村 歩人:オーヴァードにとっては戦うことがリスク……戦場から離れたい……しかし……そんなものを抱えていたりいなかったり……
GM:ままならねえぜ……
冬村 歩人:能力ですが、《時間凍結》《コキュートス》です。先制を取ってシーン攻撃を撃って敵をころします。
冬村 歩人:全盛期ほどのパワーは出ませんが、全盛期とは違って愛のパワーがあり、つまるところDロイス想い人で装甲もガードもカバーリングすらも許さずころします。
GM:悪辣!!
冬村 歩人:想い人なんてなかなか使えないので、使いました。
冬村 歩人:カノジョとのハッピーな未来目指して頑張りま~すvv
GM:クソッ……絶対殺してやるからな……
GM:そんな冬村さんのハンドアウトはこちら!

シナリオロイス:三廻部シュウ
君は内通者だ。
UGNと密かに情報を交換し、“ディアスポラ”、引いては市内のセル全体の動向を監視し、活発化を未然に防ぐのが君の役目だ。
見返りとしてUGNが用意したのは、協力者保護プログラム。FHエージェントとしての過去を黙殺し、君と恋人に平穏な未来を約束するという。
UGNと協力している以上、君はセルによる“聖櫃”の確保を、何としてでも阻止しなければならない。
“ディアスポラ”のセルリーダー、三廻部シュウは君を信用しきっている。欺くのは容易だろう。
それも当然だ。君は彼の親友なのだから。

GM:裏切り者!
冬村歩人:しゃーないしゃーない 猪祈のためならそりゃ裏切るさ
冬村歩人:それを表現するためのコネ:UGN幹部(ダブルスパイ)も取ったしね……
GM:頑張って仲間を欺いて恋人と幸せになれ!
冬村歩人:なるぜ! あとそうそう、
冬村歩人:三廻部シュウですが、彼は"ディアスポラ"に拾われる以前からの顔なじみで良いですか?
冬村歩人:おそらくそんな感じだと思ってますけど、念のため
GM:これはそうですね 裏で相談しようと思ってたんですが
GM:最大で小学生以下からの知り合いとかにもできますが
GM:どんなもんがいいでしょう?
冬村歩人:わかりました。幼馴染みですね
GM:ではそのように!
冬村歩人:お願いします!
GM:幼馴染を裏切って……女を取る!
GM:ワクワクしてくるじゃねーか!
GM:そういうわけでよろしくお願いします!
冬村歩人:まあ幼馴染みだしね……大丈夫やろ……
冬村歩人:猪祈は俺がいないとダメだから……
GM:許せねえ……
GM:というわけでやっていきましょう!よろしくお願いします。

Index


Opening
【OP/“ディアスポラ”】
【OP/茨木律華】
【OP/箕中舞】
【OP/風祭猪祈・冬村歩人】
Middlephase
【Middle1/絆されるつもりはない】
【Middle2/気づかれてない、よね】
【Middle3/分かっていたことだ】
【Middle4/夢を見ている】
【Middle5/『拾っている』んだよ】
【Middle6/眩しすぎる、光だ】
【Masterscene】
【Middle7/月だけが】
Climax
【Climax/“聖櫃”】
Ending
【ED/“ディアスポラ”】
【ED/茨木律華・箕中舞】
【ED/冬村歩人・風祭猪祈】
【ED/吹けよ太刀風、墜ちよ禍津星】

【OP/“ディアスポラ”】

GM:では早速OP!全員登場!
箕中舞:1d10+31
DoubleCross : (1D10+31) → 7[7]+31 → 38

茨木律華:1d10+36
DoubleCross : (1D10+36) → 5[5]+36 → 41

冬村歩人:侵蝕率欄が ない
茨木律華:つくった!
茨木律華:あっ良い感じになった
風祭猪祈:1d10+48
DoubleCross : (1D10+48) → 4[4]+48 → 52

GM:忘れてた~
冬村歩人:冬村歩人の侵蝕率を+7(1d10->7)した (侵蝕率:35->42)

GM:---

GM:N市の片隅にひっそりと佇む書店、『風祭古書店』。
GM:古くから近所の住民に愛されるこの古書店には、知られざるもうひとつの顔があった。
GM:機密文書や表に出せない貴重品などを扱う、裏社会では知る人ぞ知る店。
GM:だが、この店にはさらに、もう一つの裏の顔があった。

GM:---

GM:吹き付ける風が冷たさを増してきた頃。君達はいつもの通りセルリーダーである三廻部シュウに呼び出され、店の奥の一室に集まった。
GM:既に彼の指定した時刻は過ぎているが、三廻部はまだ現れていない。
GM:風祭古書店の本当の顔。ここはFHセル“ディアスポラ”の活動拠点だ。
三廻部朔夜:「おっっっそいですね!」
三廻部朔夜:彼の妹でもあるセルメンバーの三廻部朔夜が文句を言う。
三廻部朔夜:「呼び出しといて遅れるとか、どういう神経してるんでしょうかね!」
風祭緋雁:「いつものことじゃん~」
風祭緋雁:部屋に備え付けられた炬燵では、片腕がなく、両の脚も萎えた少女がもそもそと蜜柑を食べている。
冬村歩人:「ああ。そう怒るなよ、朔夜ちゃん」 店から適当に持ってきた、古い学術書を眺めている
箕中舞:「ま、まあまあ……シュウさんも忙しいみたいだし……」
冬村歩人:「リーダーとなれば忙しいこともある」
風祭猪祈:「うん……もう慣れた」
茨木律華:「そうね。いつもの事だわ」壁を背に膝を抱えて、古い書物を手に取っている。N市の郷土資料。
茨木律華:眼帯を掛けた少女。ショートコートとデニムの装いは、見様見真似でファッション誌に倣ったもの。
箕中舞:座布団か何かに座って、こたつには入らないけどこたつを囲んではいるくらいの位置に存在している。
三廻部朔夜:「慣れてもらっちゃ困るんですよ!妹の僕が恥ずかしいんです!」
三廻部朔夜:「一回ガツンと言ってやんなきゃ……!」
風祭猪祈:「朔夜はいっつもガツンと言ってるじゃない。もう治らないよあれは」
風祭猪祈:店先から入ってきて、炬燵にくるまる少女の隣に座る
風祭猪祈:二人は瓜二つだ……一方が五体満足なのを除けばだが
風祭緋雁:「みかんもういっこ剥いてよ~」
風祭緋雁:「片手じゃ剥きづらくってさあ」
風祭猪祈:「甘えないの」いいつつみかんの皮を向き、緋雁の口元へ運ぶ
風祭緋雁:「んむ……おいしい」
三廻部朔夜:「じゃあ歩人くんからガツンと言うように猪祈さんから言ってくださいよ!」
三廻部朔夜:「幼馴染の言う事なら聞くかもだし……」
冬村歩人:「ええ、俺? 猪祈を通されたってな」 座り込んだ猪祈の背に、肩を添えるように座り
冬村歩人:「キッチリしてるように見えて、マイペース。自分を譲らない。あいつの昔っからの性分だよ。今さら言ったって、マシになるとはな」
三廻部朔夜:「ぐぅ…………」悔しそうに唸る。
箕中舞:律華ちゃんの隣に邪魔しに行きます。
茨木律華:「……喉が渇いたわね。お茶を淹れてくるわ」本を閉じる。おもむろに立ち上がって、給湯室に向かう。
箕中舞:「あっ……」
茨木律華:「……何?」足を止めて、じっとりとした視線。
箕中舞:「いや、えっと」
箕中舞:「結構経つけど、なんだか、まだ不思議な感じだなって」
箕中舞:「こんな風にリーダーについて好きな事をわいわい話しても大丈夫なセルがあるなんて、昔の私に言っても信じないと思うし……」
箕中舞:「た、大した話じゃなくてごめんね」
箕中舞:「引き留めるつもりはなかったの」
茨木律華:「……」少し眉根を寄せて、それから呆れたように息を吐いて。
茨木律華:「手が空いてるなら手伝って」ずいと箕中さんの肩を切って歩いていく。
箕中舞:「……うんっ!」
箕中舞:表情が明るくなる。
茨木律華:その顔を見向きもしないまま、二人でいちど部屋を出ます。
風祭緋雁:「…………」横目でそれを見送り。
風祭緋雁:「結局さあ、あの二人、仲いいの?悪いの?」
風祭猪祈:「舞ちゃんは、仲良くしたがってるんじゃない……?」
風祭緋雁:「それは分かるけどさ~」ごろんと後ろに転がる。
冬村歩人:「仲良くできれば一番なんだが、『仲良くなりたい』でなれるほど、人間きっと簡単じゃない」
冬村歩人:「相性もある。因縁もある。……時間が解決することも、あるだろうけど」
風祭緋雁:「ふーん……難しーんだね、ニンゲンカンケーって」
風祭猪祈:「うん、だからこそ」
風祭猪祈:「素直になれる関係って、素敵だと思うよ」両隣を交互に見て
風祭猪祈:「歩人さんも食べる?」新たに向いたみかんを差し出す
冬村歩人:「そうだな。毎日少しずつ積み重ねて、大事にしていくものだ。……ありがとう、猪祈」
冬村歩人:受け取って、半分に割って、少しだけ大きい方を返す
風祭猪祈:「む……ありがとう……」大きい方を渡されたことに若干不満げ
冬村歩人:そんな猪祈の様子を楽しげに見る。ちょっとからかうような表情
風祭緋雁:「素直ねえ……」風祭さんと冬村さんを無遠慮にじろじろ見る。
風祭緋雁:「確かにライティ……じゃなかった。猪祈は歩人さんと会ってから、随分変わったけどねえ」
風祭緋雁:「あたしはそういうの、よくわかんないや」
風祭猪祈:「そうかな……?レフ……緋雁の方がよっぽどだと思うけど」
風祭緋雁:「ええ、そーお? あたしは変わんないと思うけどな~」
三廻部朔夜:「昔の緋雁さん、どんな感じだったんですか?」
風祭猪祈:「うーん、どちらかと言うと律華ちゃん寄りの、クールで隙のない……」
風祭猪祈:「少なくとも、こんなぐーたらした生き物ではなかったかな」
風祭緋雁:「そう見えてたならよかったけどね~」
風祭緋雁:「あたしは昔からこんなんだよ」
風祭緋雁:「へへ。気付いてなかった?」
風祭猪祈:「全然。よく考えたら"レフティ・ビショップ"とは戦場以外で話したこともなかったんだし、当然といえば当然だけどね」
風祭緋雁:「姉妹なのにねえ。……あ、ていうかさ」
風祭緋雁:「あたしたち、どっちが姉でどっちが妹なのかな」
風祭猪祈:「え?……それは」
風祭猪祈:「どう考えても私が姉でしょ。誰が養ってると思ってるの……」
冬村歩人:「……緋雁ちゃんかな」 口を挟む
風祭緋雁:「そう?やっぱり~?」にへら、と笑って。
風祭猪祈:「な、歩人さん!?」
風祭緋雁:「歩人さんもこう言ってるけど~?」
冬村歩人:「猪祈は基本的にキチンとしてるけど、不思議と抜けてる所もあるからな」
冬村歩人:「なんだかんだ、緋雁ちゃんの安定した抜け目なさは、お姉さんっぽいかもしれない」
風祭緋雁:「へっへー。さっすが冬村さんはよく見てるね~」
冬村歩人:「……なあ?」 楽しげに猪祈に笑いかける
茨木律華:人数分の湯飲みを盆に乗せて、部屋に戻って来る。またやってるな、と風祭さんと冬村さんを見ながら。
箕中舞:(半分持つって言ったのに……)という表情で律華ちゃんの後についてきます
風祭猪祈:「……見損なった。緋雁は抜け目ないんじゃなくて、もうこれ以上抜くところがないだけだし」恨めしげな視線で見つめる
風祭緋雁:「む。失敬な」
風祭緋雁:「姉に対して……」
風祭猪祈:「勝手に姉ぶんないで」
冬村歩人:「はは、そんなに怒らないでくれよ」 肩を揺らしつつ、猪祈の耳元に唇を寄せて
冬村歩人:「……皆の前で、『そういう所が可愛い』まで言われたいかな?」
風祭猪祈:「あ……」
風祭猪祈:「……言ったら本気で怒るから」
風祭猪祈:わずかに紅潮した頬を膨らませて呟く
三廻部朔夜:またやってるな~、という顔でニコニコしている。
冬村歩人:「なら、後のお楽しみだな」 小さく笑って顔を離す
茨木律華:(これ、猪祈の反応を面白がって適当言ってるだけじゃないかしら……)冬村さんを見ながら
箕中舞:(余裕がある緋雁ちゃんの方が、上の立場っぽいかも……いや、上とか下とかじゃないよね。難しいな…)
風祭猪祈:「もう……いつもそうやって……」誰にも聞こえない声でブツブツ呟いている
茨木律華:「シュウさんの分も淹れたけど、まだなのね」皆の前に置いていき、自分もこたつに入る。
冬村歩人:「ありがとう。律華ちゃんに舞ちゃん……実際、どうだろう。話を蒸し返すようだが」
冬村歩人:「慣れてる俺や朔夜ちゃんが言うより、君たちからシュウにビシッと言った方が効くかもしれない」
冬村歩人:「やってみないか?」 お茶をそろそろすすりながら
三廻部朔夜:「あ、それいいですね!是非言ってやってくださいよ!」
箕中舞:他の人がお茶に手をつけたのを見て自分も飲み始める。
箕中舞:その後、言われた内容を遅まきながら理解します。
箕中舞:「えっ私も……ですか?」
箕中舞:「無理ですよぉ…」
箕中舞:縋るように律華ちゃんを見ます。
茨木律華:「……私が言っても変わらないでしょう」湯呑を一口すすって、箕中さんを横目に一瞥して。「こいつなら尚更」
風祭緋雁:「そうかな~」
風祭緋雁:「案外、舞みたいな子に言われるのがいちばん効くかもよ?」
風祭猪祈:「うん、普段そういう事言わない子の方が効果的じゃないかな」
冬村歩人:「そうそう。深刻な顔をしてさ、言うんだよ。時間を守れない人って人としてどうかと思います、とかさ」
茨木律華:「……」箕中さんが言っている姿を想像している。
箕中舞:「ううう……」
三廻部朔夜:「めっちゃいいじゃないですか!サイコーですね……来たら言ってやってくださいよ!バシッと!」
箕中舞:(必要なら……)と考えながら腰のインジェクトガンを抜き、自分の首筋に持っていこうとします。
茨木律華:「まあ、言われてみれば……こいつに素行を注意されるなんて、情けない事この上ないかもね」
箕中舞:「わかり……ました!」
箕中舞:バシュッ!
風祭猪祈:「舞ちゃん、勇気出して。このセルの未来のためだよ……って、え?」
風祭緋雁:「わお」
箕中舞:「ふー……大丈夫です。やれます」
三廻部朔夜:「い……いや……そこまでしなくても……」
茨木律華:「……何やってんのお前」流石に目を丸くしている。
箕中舞:「?」
茨木律華:「いや、ドン引きされてんのよ。察しなさいよ」
冬村歩人:ふ、と息を吐く 「まあ、打ったものは戻しようもない。今日一の歓迎の言葉の担当は決まった。気合入れていこう。……これ以上は打たなくてもいいからね、ソレ」
箕中舞:戦闘任務に当たる時には大抵やっていることなので特におかしいと思っていない。
GM:と、そこに。表から、建付けの悪い戸をガタガタと開ける音。
風祭緋雁:「おっ」
GM:続いて、どかどかと無遠慮な足音。
箕中舞:スッ と立ち上がる。
GM:がらりと部屋の扉が開けられ、一人の男が姿を現す。
三廻部シュウ:「ういーーっす。お待たせ~~」
三廻部シュウ:“ディアスポラ”セルリーダー、三廻部シュウだ。両手になにやら大荷物を抱えている。
茨木律華:「ええ、待たされたわ」
箕中舞:すたすたと歩み寄ります。気持ち目が据わっている。
三廻部シュウ:「いや~外さみぃのなんのって……ん?」
箕中舞:「……わっ、すごい荷物」
箕中舞:「! じゃなくて」
三廻部シュウ:「どした、舞」
三廻部シュウ:「あ、持ってくれんの?」
箕中舞:「あっはい。持ちます」
茨木律華:冷めた目で箕中さんの背中を見ている。
三廻部シュウ:「じゃあこれ頼むわ!サンキュー」コーラの2リットルボトルが入ったビニール袋を手渡す。
箕中舞:受け取り「あのっ」
箕中舞:「シュウさん、時間を守れないのは……人としてどうかと思います」
三廻部シュウ:「えっ」
三廻部シュウ:「……えっ?」
箕中舞:できるだけ深刻そうな表情を作って、言う。言えた。
冬村歩人:(お、頑張ったな)
三廻部シュウ:少しキョロキョロして。
三廻部シュウ:「え、あ、ハイ……」
風祭猪祈:「(よくやったぞ、舞ちゃん)」心の中で拍手を送る
三廻部シュウ:「その通りっすね……」
三廻部シュウ:「すいません……」
箕中舞:「ですから、ちゃんと……あ、そうです。ありがとうございます」
箕中舞:不安そうに後ろをちらちらと振り返り
箕中舞:「分かっていただけたみたいでうれしいです」
三廻部シュウ:「あ、ハイ……以後気を付けます……」
三廻部シュウ:「え、何コレ……心に来るんだけど……」
茨木律華:(ほんとに効いてる……分からないものね)
冬村歩人:「舞ちゃんにそこまで言わせるなんて、相変わらずお前は偉業をサラッと成し遂げるヤツだなあ」 にこやかに言いつつ
三廻部シュウ:「歩人!お前の差し金か!?」
箕中舞:「……あっすみません! お茶が入っているので、座ってください!」
三廻部シュウ:「汚い真似を……!」
三廻部シュウ:「あ、ハイ……」スッと座る。
三廻部朔夜:ふふん、と勝ち誇った顔。
冬村歩人:「何のことだかサッパリだ。なあ朔夜ちゃん?」
三廻部朔夜:「ええ、全くですね~」
三廻部シュウ:「こいつら……!」
箕中舞:おろおろ(薬が切れてきている)
三廻部シュウ:「何だよ~16時くらいっつったろ?まだ16時45分じゃん」
三廻部シュウ:「1時間までは『くらい』の範疇だろ?」
風祭猪祈:「……そんな心構えでよく今まで生きてこられたね」
風祭緋雁:「ソンケーしちゃうね~」
茨木律華:「……朔夜が恥じる気持ち、少しは分かったかも」
三廻部朔夜:「そうでしょう?いつもこうなんですよ……人としてどうかと思います」
箕中舞:気まずげにお茶を啜っている。
三廻部シュウ:「なんだよ……寄ってたかって虐めやがって……リーダーだぞ!オレは……」
三廻部シュウ:「せっかく買ってきてやったのに……」
冬村歩人:「まあまあ、そこらにしておこう。実際何だ? その大荷物」
三廻部シュウ:言いながら、抱えていたものを炬燵の上に広げる。ピザの箱。三つぶん。
茨木律華:「そうね。本題に……」
箕中舞:「わあっ!」
三廻部シュウ:「何って……ピザ」
茨木律華:「……まさか、宴会をやるために集合をかけた訳じゃないわよね」
風祭猪祈:「ピザ……」
三廻部シュウ:「違げーよ!違げーけど……え、ピザ食べたくないの?」
冬村歩人:「敢えて一つ悪い所を挙げるなら、時間が悪いな」
冬村歩人:「昼や夜ならともかく、この半端な時間にその量は、なかなか気合を求められる」 みかんを揺らしつつ
箕中舞:「えっと、消化を助けるお薬なら、私が……」
箕中舞:あまり出しゃばりたがらない性質だが、食欲が勝って頓珍漢な事を言う。
三廻部シュウ:「あ、夕飯前だから?それは間違った考えだな」
三廻部シュウ:「世間に合わせて飯を食べる時間を決めるんじゃない」
三廻部シュウ:「自分が食べたい時が即ち食べるべき飯の時間なんだよ」
風祭緋雁:「あたし食べたーい。猪祈、一個とって」
冬村歩人:「そりゃお前の食べ時……まあいいか」 緋雁ちゃんが言うのを聞いて、笑いながら首を振る
風祭猪祈:「出た、シュウ兄さんの意味不明な屁理屈……」」
箕中舞:「したい時に、したい事をする……素敵だと思います」
三廻部シュウ:「そうだよなあ?そうなんだよ。舞はよく分かってるなあ」
風祭猪祈:「……緋雁は全然運動しないのにどこにそんなに入るわけ?」辟易しながらピザを一箱持ってくる
茨木律華:「……もう何でもいいわよ」眉間を抑えている。
三廻部朔夜:「ダイエット中なのに……ほんと最悪……」言いながら既にむしゃむしゃ食べている。
箕中舞:「私は、ここに来たのですら、律華ちゃんに随いてですから」にこりと微笑む。
箕中舞:「シュウさんとか、律華ちゃんみたいな積極的な生き方、憧れるんです」
GM:一同がピザを食べ始めてから、三廻部はようやく本題を切り出す。
三廻部シュウ:「で、本題なんだけど」
茨木律華:「なに笑ってるんだか……ええ、聞くわ。何?」
風祭猪祈:「あったんだ、本題」怪訝な視線を送りながら
三廻部シュウ:「お前らさあ、“聖櫃”アークって知ってる?」
GM:判定です。
GM:情報:FH5以上で知ってることになる!
茨木律華:2dx+1>=5 せいっ
DoubleCross : (2R10+1[10]>=5) → 3[1,3]+1 → 4 → 失敗

箕中舞:6dx+1>=5
DoubleCross : (6R10+1[10]>=5) → 9[2,3,6,8,9,9]+1 → 10 → 成功

冬村歩人:2dx+1=>5
DoubleCross : (2R10+1[10]>=5) → 9[7,9]+1 → 10 → 成功

茨木律華:ぐぬぬ……
風祭猪祈:5dx+3=5 コネ使用
DoubleCross : (5R10+3[10]=5) → 7[3,3,4,7,7]+3 → 10 → 失敗

箕中舞:律華ちゃんに知識マウントがとれるなぁ~!
風祭猪祈:式間違えた、成功です
GM:では茨木さんだけ噂に疎かった!
冬村歩人:ピザを食べながら黙って続きを伺う
茨木律華:黙って首を振る。
箕中舞:「”聖櫃”……聞いたことは」
風祭猪祈:「ある……確か」
風祭猪祈:「『崩落戦』の遺産、だったよね。眉唾だと思ってたけど」
三廻部シュウ:「そうそう。律華は知らないか。じゃあ一応軽く説明するとだな」
茨木律華:「お願いするわ」
三廻部シュウ:「『崩落戦』を引き起こした7つのセル。そいつらがいよいよ戦争をおっぱじめようって前に」
三廻部シュウ:「それぞれのセルの持つ貴重品や武器弾薬……単なる金だけじゃなく、機密文書やら、レネゲイドアイテムやら」
三廻部シュウ:「そういったものを、合同でこの街のどこかに隠したっつー噂があってだな」
三廻部シュウ:「まあ、都市伝説みたいなもんか。徳川の埋蔵金的な?」
三廻部シュウ:「そこそこ知名度は高いけど、マジに信じてる奴はいないような」
三廻部シュウ:「そういう感じの噂なわけ」
冬村歩人:「俺もまさしくそれを連想してたよ。与太に過ぎないってね」
冬村歩人:「だってのに、何だ? わざわざその話を出すっていうのは」
茨木律華:「そう聞こえるわね。……けど、何か確証が?」
三廻部シュウ:「だけど、だ」少し顔を寄せて、声を潜めるように。
三廻部シュウ:「オレの握ってる確かな情報筋からの話なんだが……」
三廻部シュウ:「どうもそれが、マジらしいんだわ」
三廻部シュウ:「7つのセルが残した莫大な遺産。それが今も、この街のどこかに眠ってるんだと」
冬村歩人:「…………」 続きを促すかのような沈黙
三廻部シュウ:「どうだ。ワクワクしてこねえか?」
三廻部シュウ:「“聖櫃”の存在は、さっきも言った通り、みんながヨタ話だと思ってる」
三廻部シュウ:「だからこそ、俺は今がチャンスだと思う」
三廻部シュウ:「情報はすぐに伝播するもんだ。特に俺たちFHの間ではな」
三廻部シュウ:「“聖櫃”の存在がマジだって話は、きっとすぐに知れ渡る」
三廻部シュウ:「その前に……」
三廻部シュウ:にやりと笑んで。
三廻部シュウ:「オレ達で全部、かっさらう」
箕中舞:ごくり、と唾を飲み込む。随分とスケールの大きな話だ。
茨木律華:「……確かに、聞く限りは美味い話ね」
冬村歩人:「……情報の確度が気になる」 静かに言う
冬村歩人:「気持ちは分かるが、だからこそ慎重に行くべきだ。功をはやる奴を釣り出す罠の類いかもわからない」
三廻部シュウ:「出処はお前にも言えねーが、俺が信頼してる筋ではある。それに」
三廻部シュウ:「もし嘘っぱちだとしても、やってみる価値はあると思わないか?」
冬村歩人:「……リスクによるとしか言えないな。丁寧に検討はするべきだ」
冬村歩人:慎重な意見は普段どおりの冬村の意見でもあり、当然、UGNとの契約内容である、『FH間勢力の激変』を抑止するための手でもある。
三廻部シュウ:「相変わらず慎重派だな。分かったよ。お前の言う事にも一理ある」
三廻部シュウ:「事は水面下で細心の注意を払って進めよう。だがいいか」
茨木律華:リーダーの顔を見ながら考える。茨木律華が他人の言葉に信用を置く事は基本的にないが、
茨木律華:客観的な損得として、このような嘘を吐く理由が彼にあるとは思えない。
三廻部シュウ:「もしマジで“聖櫃”を手に入れれば、俺たちは何でも思いのままだ」
箕中舞:「何でも……」
箕中舞:知らず、茨木さんの方を見る。あるいは。
箕中舞:これに賭けた方が、誰も悲しまず、全て上手く行くんじゃないだろうか。そんな考えが頭を掠める。
三廻部シュウ:「中身は自分で使ってもいいし、もしくは……上層部に献上してもいい」
三廻部シュウ:「これ以上ない手柄だ。少なくともこのN市のFH勢力は、ぜんぶ俺たちのモノになる」
三廻部シュウ:「上手くすれば、中央とも繋がりを作れるかもしれねえ。それだけのブツだ」
三廻部シュウ:「どうだ。乗ってみる奴はいるか?」
三廻部シュウ:セルメンバーをぐるりと見回す。
三廻部シュウ:野心家のような。あるいは、宝の地図を見つけた少年のような目。
冬村歩人:……あるいは。それを得ることにより、UGNに頼ることなく、大願を果たすことはできるか?
冬村歩人:希望を夢想しかけ、そんな自分を諌めるように息を吐く。そして、手を挙げる。
冬村歩人:「少なくとも俺は必要だろ。ブレーキとしてな」 そして、監視役として
風祭緋雁:「あたしやるよ~。面白そうだし」長い袖に埋もれた手で挙手。
風祭猪祈:「……二人が乗るなら私が乗らないわけには行かないかな。歩人さんとの連携は私がいないとできないし、それに」
風祭猪祈:隣の少女の失われた腕を横目に
風祭猪祈:「本当に"なんでも"できるのか、多少は興味があるし」挙手する
三廻部朔夜:「お兄ちゃん、どうせ止めても聞かないんだから。僕がついててあげないと……」渋々といった様子で挙手。
茨木律華:「……中身は好きに使っても良い。そう言ったわね」
箕中舞:彼女の声に、びくりと肩が跳ねる。
三廻部シュウ:「ああ。まあ中身が何かは知らねーけど」
三廻部シュウ:「お前らなら好きにしていい」
茨木律華:「……良いわ、私も乗る」手を挙げて
箕中舞:(ここで揺らぐのは、きっと『よくない』。そんな気がする)
箕中舞:(……私、は、決めたんだ。セルを裏切ってでも、律華ちゃんの記憶を取り戻すって)
箕中舞:(でも……)
箕中舞:(……いや、どっちにしたって。同じだ。セルの情報を”カリポリス”に流すには、シュウさんについていかなきゃいけない)
箕中舞:手を挙げる。
箕中舞:(ああ、こうやって、流されるままに先送りにして)
箕中舞:(最低だ、私…………)
箕中舞:「私も、行きます」
三廻部シュウ:一同を見渡し。「……決まりだな」
三廻部シュウ:「これから“ディアスポラ”は“聖櫃”の奪取に向けて動く」
三廻部シュウ:「それぞれ情報収集に当たってくれ。ただしくれぐれも慎重にな。特に他のセルには気取られるな」
三廻部シュウ:「何か分かり次第集合、情報共有しつつ次の動きを練る」
三廻部シュウ:「以上だ。みんな頑張ってくれ」
茨木律華:無言で頷く。
三廻部シュウ:「必ず俺たちが“聖櫃”を……いや」
三廻部シュウ:「この街を手に入れるぞ」
冬村歩人:「ま、最善は尽くそう」
茨木律華:(……シュウさんはああ言ったけれど。それほどの財をいざ目の前にした時、どういう行動を取るかの保証にはならない)
茨木律華:(最悪の状況も考えておく必要がある。……このセルは、ここにいる仲間は、あくまで私の願いを叶えるための手段だ)
茨木律華:(……私は、もう負け犬にはならない。絶対に)眼帯に右手を触れる。その裏側の、ごつごつとした忌まわしい感触を感じながら。
箕中舞:血の気の引いた顔で、頷く。無言。
風祭猪祈:「うん、やろう」表情は気だるげに、しかし声色はどこか誇らしげで
風祭猪祈:"欲望"の達成を是とするFHの理念にさほど思い入れはない。一度死んだこの身の内に、身を焦がすほどの欲望〈ねがい〉は宿らない。だからせめて
風祭猪祈:「このセルの……みんなの希望〈ねがい〉のために」せめて、眩いものに寄り添っていたいから

GM:---

GM:シーン終了。
GM:ロイスの取得が可能です。
箕中舞:リーダー 三廻部シュウ 憧憬/罪悪感〇
冬村歩人:これシナリオロイスはこの後取る機会がある感じですかね?
冬村歩人:それともここで取っちゃった方が良いかな
GM:どっちでも大丈夫!
箕中舞:ひとまず以上で
風祭猪祈:恋人 冬村歩人 親愛◯/依存 で取ります!
GM:めっちゃ濃密な機会があるのかは……まだ分からん……話の流れで……
冬村歩人:じゃあ保留にします。機会がなくても早めには取る
GM:OK!
冬村歩人:猪祈にはもう取ってますしね。これがあれば他のロイスの取るタイミングなんて誤差よ
茨木律華:プライズ 聖櫃:〇執着/不安 で取ります~
どどんとふ:「箕中舞」がログアウトしました。

【OP/茨木律華】

GM:ではまずは茨木さんのOPから!
GM:登場どうぞ!
茨木律華:1d10+41 はいさ!
DoubleCross : (1D10+41) → 9[9]+41 → 50


GM:---
GM:FHセル“ツィーザー”研究施設
GM:---

GM:君は緋雁と朔夜との三人で、ある施設に潜入していた。
GM:緋雁の能力で監視の目を掻い潜り、時にはハッキングで一時停止させながら進んでいく。
GM:お陰で道行は平穏そのものだ。
GM:目的はセル内部のデータ。“聖櫃”に財産を託した7つのセルのひとつを当たれば、何か情報が見つかるだろうという目論見だ。
茨木律華:(……ここまでは順調ね)緋雁さんの手際に感心しつつ、周囲を警戒している。
風祭緋雁:「あ、ちょっとストップ」
風祭緋雁:緋雁——と繋がっている浮遊ドローンが声を発する。
茨木律華:「何か見つけた?」
風祭緋雁:「いんや。ここで30秒待って。そしたらカメラの死角に入るから、ささっと通り抜けよう」
茨木律華:「了解」頷いて
三廻部朔夜:「緋雁さんが優秀なのもあるでしょうけど、それにしたって……」
三廻部朔夜:あたりを見回す。
GM:警備はかなり手薄だ。システムもそうだが、警護の人間も少ない。
三廻部朔夜:「ここが天下の“ツィーザー”の施設とは。いやはや悲しくなっちゃいますねえ」
茨木律華:「……まあ、少し拍子抜けではあるけれど」
三廻部朔夜:「崩落戦のダメージは相当大きかったみたいですねえ」
風祭緋雁:「いーんじゃん?その分あたし達は助かるし……お、そろそろだよ」
GM:監視カメラの角度が変わり、廊下の一角が死角となる。
茨木律華:「ありがとう」朔夜に目線で合図を送りつつ、通路を渡る。
三廻部朔夜:「あれからもう1年と半分くらいですか?長いような短いようなですね」
風祭緋雁:「じゃあ、あたしらがセルに入ってからもそれくらいってことか……」
風祭緋雁:「あ、そうだ、律華」
茨木律華:「何かしら」
風祭緋雁:「いっこ聞いていい?」
茨木律華:「……構わないけど」あまり愉快な話じゃないという予感を覚えつつ。
風祭緋雁:「前々から気になってたんだけどさあ」
風祭緋雁:「律華と舞って、うちに来る前からの友達?知り合い?だったわけでしょ?」
茨木律華:「友達なんかじゃないわ」きっぱりと。
風祭緋雁:「え、そうなの?」
茨木律華:「……復讐相手よ」
茨木律華:「今は理由があって生かしているだけ」
風祭緋雁:「わー……穏やかじゃないね」
風祭緋雁:「何かあったん?」
三廻部朔夜:「え、正直僕も気になってましたけど……これ聞いていいやつなんですか?」期待と不安の入り混じった表情。
茨木律華:「向こうがどう思っているかまでは知らないけれど。私にとってはそう」
茨木律華:「……別に、少し探れば分かる事だわ。リーダーは知っているし」
風祭緋雁:「好きな男の子取られたとか?」
三廻部朔夜:「マジですか!?」
茨木律華:「違う!」
風祭緋雁:「じゃあ何?すぐわかるなら今聞きたいな」
三廻部朔夜:「…………」無言でちらちら見ている。
茨木律華:「……私がここに来た経緯は知っているかしら」
三廻部朔夜:「あんまり探るのもマナー違反ですから、朧げですけど」
三廻部朔夜:「前のセルが壊滅したんですよね?」
風祭緋雁:「あたしは全然知らない」
茨木律華:「いいえ、私が潰したのよ。リーダー……シュウさんと協力してね」
風祭緋雁:「まじぃ?」
三廻部朔夜:「え!?お兄ちゃんそんなことやってたんですか!?」
茨木律華:「崩落戦で混沌としていた時期の話よ。セル同士の食い合いなんて、そこかしこで起きていたでしょう」
三廻部朔夜:「ごたごたしてましたもんねぇ……」はーっ、と息を吐く。
茨木律華:「箕中舞は、私が潰したセル……"ベンサレム"のエージェントで」
茨木律華:「私の記憶を改竄して、都合の良い兵士に仕立て上げた奴よ」
風祭緋雁:「…………そうなの?」
三廻部朔夜:「そんなことするようには思えないですけど……」
茨木律華:「……あいつは、上に命令されれば何だってやる女よ」
風祭緋雁:「ふーん……」
茨木律華:「気が弱いって事は、良心の箍も薄弱だってこと。半端な悪人よりもかえって厄介だわ」
三廻部朔夜:「……で、でもっ」
三廻部朔夜:「舞さんはその時に殺しちゃわなかったんですよね?」
三廻部朔夜:「えっとその……」何とかフォローしようとして。「えっと……」
三廻部朔夜:「……な……何でですか?」
茨木律華:「……情が湧いたんじゃないか、って?」溜息。「違うわよ。もっと下らない理由」
風祭緋雁:「舞がメチャメチャ強かったとか?」
三廻部朔夜:「そうなんですか!?」
茨木律華:「そんなわけないでしょ……!」
茨木律華:「あいつの記憶処理が拙かったせいで、私の記憶を元に戻す手段がなくなったのよ」
茨木律華:「その筋で腕の立つソラリスを何人か頼ってみたけど、ダメだった」
茨木律華:「……やった本人も戻し方が分からないって言うし」
風祭緋雁:「じゃあ、その記憶を元に戻す方法が見つかるまで、舞を殺すわけにはいかない……ってこと?」
茨木律華:「ええ。あいつ以外に、何も手掛かりがないのよ」
三廻部朔夜:「そ、それじゃあ……」おずおずと口を開く。
三廻部朔夜:「もし、記憶が元に戻ったら……その時は、律華さんは……」
三廻部朔夜:「舞さんを、ど……どうするつもりなんですか……?」
茨木律華:「勿論、殺すわ」
茨木律華:「……と言いたいけれど」
茨木律華:「あんなのでも、今はこのセルメンバーという立場があるし」
茨木律華:「貴方達との間に禍根を残すのは、私の得にならないし」
茨木律華:「あれが復讐なんてできるタマだとも思わないし……」
茨木律華:「……まあ、状況次第ね」
三廻部朔夜:「よ……よかった……のかな……?」
風祭緋雁:「あたしはみんなに仲良くしてほしいけどね~」
風祭緋雁:「……あ」
GM:気密ドアの排気音と共に、君達の前方に研究員らしき男が姿を現す。
茨木律華:「今の話、聞いていたでしょう? それは無理な要望だわ」
茨木律華:「……!」
GM:「……ん?」
GM:「……誰だ……?」
GM:見覚えのない君達の姿に、男は一瞬戸惑う素振りを見せる。
茨木律華:見つかった。……誤魔化す余地はない、と判断する。
三廻部朔夜:「あっヤバ!」
茨木律華:舌打ちをして、攻撃に移る。
茨木律華:眼帯越しに、右眼が淡い光を帯びる。視線が宙をなぞると、
茨木律華:次の瞬間には、浮遊する氷塊が幾重にも男を取り巻いている。
GM:「……! しっ……侵入者ァーッ!」
GM:怯えと驚愕の表情で絶叫。
茨木律華:声をあげるとほぼ同時に、一斉炸裂。微細な氷刃へと化して、男の身体に突き刺さる。
GM:「ぼがっ……」
GM:男は即座に絶命。だがすぐさま悲鳴を聞きつけ、武装した二人の警備要員が姿を現す。
茨木律華:「……緋雁、どっちに行けばいい!?」
風祭緋雁:「とにかく隠れて!」
GM:警備は通路の向こうから、君達に銃を乱射してくる!
茨木律華:射線から飛び退いて、物陰へ。
GM:物陰に隠れた君達に、二人の警備は散発的に銃撃。じりじりと距離を詰めてくる。手をこまねいていればすぐに増援が来るだろう。
三廻部朔夜:「ピンチじゃないですか!?これ!」
風祭緋雁:「緋雁、朔夜、よく聞いて」
茨木律華:「そうね、無駄話なんてしてる場合じゃなかったわ……!何?」
風祭緋雁:「15秒後に照明落とすよ。そしたらあの敵を片付けて、そのまま直進」
風祭緋雁:「ナビするから、データを取れるだけ取ったらすぐ脱出、いい?」
茨木律華:「……分かった。私は右をやるわ」朔夜の方を見る。
三廻部朔夜:「では左を!」
風祭緋雁:「4、3、2、1」
風祭緋雁:「……ゼロ!」
GM:同時に、不意に視界が暗闇に閉ざされる。
GM:戸惑いからか、銃撃が一瞬、止む。
茨木律華:飛び出すと同時、円状に氷の牙を展開。灯の絶える前から、既に狙いは付けている。
茨木律華:射出に動作は不要だ。右目に埋め込まれた結晶体が、空間越しのレネゲイド干渉を可能にしている。
茨木律華:暗闇に驚いた相手の回避行動を見越して、半径数メートルを覆うように得物を放つ。
GM:「なっ……!?」
茨木律華:うち数本が過たず敵を撃ち抜き、闇の中に悲鳴を響かせた。
GM:「ぐ、がぁあああっ!!」
GM:「ひぃっ!?」
GM:その悲鳴に、銃を発砲しようとした、もう一人の頭に。
GM:三廻部朔夜が手を添える。
三廻部朔夜:「そっちじゃないです」
GM:「え、あ……」
GM:銃を持った腕が、ぐりん、と動き、自らの腹に向けて引き金を引く。
GM:暗闇を銃火が照らす。
GM:「が、ぎゃっ……!?」
GM:数秒もかからず、二人の護衛が血溜まりに倒れ伏す。
風祭緋雁:背後から、ドローンが君達に追いついてくる。
風祭緋雁:「やるじゃん。でも急いでね」
茨木律華:「ええ、分かってる」血だまりを踏みしめ、そのまま走り抜ける。
三廻部朔夜:「今、この人の頭の中を『読んだ』んですが……」
三廻部朔夜:「やっぱり“聖櫃”については何も知りませんでした」
風祭緋雁:「やっぱり下っ端は何も知らないっぽいねえ」
茨木律華:「そう……そうよね、今のレベルの奴が知ってるネタなら、もっと広まってるでしょうし」足を止めないまま。
三廻部朔夜:「そう上手くは行きませんか……」走りながら、溜息を吐く。
GM:そうして君達は、データを求め、施設の奥へと向かっていった。

GM:---

GM:シーン終了。
GM:ロイスは舞台裏タブでお願いします。
茨木律華:はーい
茨木律華:友人 三廻部朔夜 〇連帯感 / 不快感 で取りましょう

【OP/箕中舞】

GM:では次のシーン
GM:箕中さんのOPです。登場お願いします。
箕中舞:箕中舞の侵蝕率を+5(1d10->5)した(侵蝕率:0->5)
箕中舞:ミス
箕中舞:36です

GM:---
GM:N市 繁華街
GM:---

GM:君は人目を気にしながら、地下への長い階段を降りていく。
GM:一歩踏み出すごとに、闇の中へと落ちていくような感覚が全身を包んでいく。
GM:階段を降りた先には、大きな扉。
GM:その向こうからは、規則的な重低音が響いてくる。
GM:ガラの悪い男が、ガムを噛みながら君を一瞥し、扉を開く。
箕中舞:ぺこり、と頭を下げて、扉の向こう側へ向かいます。
GM:その向こうは、巨大な地下クラブだ。大音響のEDMに合わせて、大勢の男女が身体を揺らしている。
GM:いかにも場違いに見える君に、周囲の客たちがちらりと視線を送ってくる。
箕中舞:既に薬を服用済みだ。平時ならこれだけの視線に耐えられないだろう。
箕中舞:……だが、目立つのは良くない。
箕中舞:早く指定された所へ向かおう。
GM:君は店の奥へと進んでいく。二階に上がり、フロアが一望できる特等席に辿り着いた。そこには大きなソファに一人の男が座っている。
箕中舞:「……報告に来ました」
GM:派手な身なりの、痩せた男だ。君を見て、悲しげな微笑を浮かべる。
“アウレリウス”:「やあ……お久し振りですね、舞さん……」
箕中舞:「アウレリウス、さん。間を開け過ぎたつもりは……」
“アウレリウス”:FHセル“カリポリス”のセルリーダー、“アウレリウス”と呼ばれている男。
“アウレリウス”:本名は君も、いや、恐らくは誰も知らない。
“アウレリウス”:「ああ、気にしないでください……責めているわけではないのですよ……」
“アウレリウス”:「むしろ、逆です。お会いできて、僕はとても、嬉しい」
“アウレリウス”:頬のこけた顔に笑みを浮かべる。
箕中舞:本当だろうか。こういう言葉を字義通りに受け取って、得をしたことが無かったような気がする。
箕中舞:「……ええ、それなら良かったです」
“エクィテス”:「あれ!?舞ちゃんじゃん!元気~!?」
“エクィテス”:不意に背後から抱き締められる。
箕中舞:「わひゃっ……」
箕中舞:慌てて振り払いそうになり、抑えます。
“エクィテス”:夏でも寒そうな薄着。耳に唇、臍、身体中至る所にピアスを付けた、長身の女。楽しそうに君の頭を撫でている。
“エクィテス”:“エクィテス”。アウレリウスの腹心の部下だ。
箕中舞:「っ、エクィテスさん、ご無沙汰でした。今日は私のセルに動きがあったので、報告をと」
“エクィテス”:「あ、お仕事の話?なーんだ、そうなの?」残念そうに。
“エクィテス”:「終わった後でいいからさ、遊んでこーよ」
箕中舞:「…………はい」
“エクィテス”:「マジ?いいの?」
箕中舞:彼らと協調する以上、ディアスポラを見限るような姿勢を見せておくに越したことはない筈だと思い、了承する。
“エクィテス”:「やった~!じゃあみんなにも紹介しなきゃね!」
箕中舞:「ええ、皆さんの事を知らないままでも、困るかもしれませんし」
“エクィテス”:「今日はいいの入ってるんだよー。舞ちゃんもやってくでしょ?」
“エクィテス”:ドラッグの話だ。
箕中舞:「えっと……お薬はちょっと、怖い、かな」
“アウレリウス”:「……エクィテス」
“エクィテス”:「あ、ハーイ。ごめんなさーい」ぱっと君から離れる。
箕中舞:内心、ホッとする。上手く中和剤が作れるのか、できたところで打つ隙があるかは自身が無かった。
“アウレリウス”:「……お話を聞かせてもらえるかな?舞さん」
箕中舞:「その前に、改めて」
“アウレリウス”:「うん?」
箕中舞:「『”カリポリス”の遺産を使えば、拙い記憶処理で破壊された記憶を復元することができる』」
箕中舞:「確か——ですよね」
“アウレリウス”:「…………」
“アウレリウス”:じっ……と君を見て。
“アウレリウス”:「勿論」
“アウレリウス”:安心させるように微笑む。
“アウレリウス”:「僕の持つ“鍛冶神の金床”を使えば」
“アウレリウス”:「物でも。情報でも、人の心でも……」
“アウレリウス”:「この世のありとあらゆる『壊れた』ものを、元通りに『直す』ことができる」
“アウレリウス”:「勿論、記憶もね」
箕中舞:「疑うつもりはありません。ただ、危ない橋を渡る以上は確信が欲しいんです。例えば」
箕中舞:ちら、とクラブに集まった人々を見る。
箕中舞:「あの中から一人を選んで、今から私が『毀し』たら」
箕中舞:「それを治せるのか。そういった」
“アウレリウス”:「…………」
箕中舞:「『結果』が手に入れば、私はあなた達と、より一層手を取り合えると思います」
“アウレリウス”:首を傾げる。アクセサリが僅かに音を立てる。
“アウレリウス”:「ああ。やってみるかい?」
“アウレリウス”:フロアを掌で示して。
“アウレリウス”:「さあ」
“アウレリウス”:君を見る。
箕中舞:「では、そうさせて頂きます」
GM:フロアでは多くの人々が一心不乱に踊っている。君達に気付く様子は無い。
箕中舞:フロアへと降りていく。上着の下に着こんでいるコンジットのトグルを下ろす。
箕中舞:正中線に埋め込まれたEXレネゲイドのインプラントは、体内でソラリス能力に作用する避雷針のような集積装置だ。
箕中舞:力を霧として放出する事が不得手な自分は、こういったデバイスを経由しないと狙った薬効を正確に引き出せない。
箕中舞:隠し持ったリボルバーにプラグを指し、服を這うチューブが薬液をカートリッジに充填する。射出。
箕中舞:トランス状態になり朦朧とする不幸な男に暗示をかけ、ついてくるように促す。
GM:「…………!?」
GM:男は一瞬がくんと痙攣して、ふらふらと君についてくる。
箕中舞:再び先の部屋で、入念に記憶を破壊して、“アウレリウス”の前に差し出す。
箕中舞:「お願い、します」
箕中舞:少し、声が震えるのが抑えられない。
“エクィテス”:口笛を吹き。「マジでやったの?ヤバ!え~?ウケんね!」
箕中舞:そう言われ、少し目を逸らす。
GM:「……あ……? ぉあ……?」
GM:男は虚ろな目で、口からだらりと唾液が垂れている。
“アウレリウス”:「……分かりました」
“アウレリウス”:アウレリウスが男の肩に触れる。
GM:「……あ……」
GM:すると、男は受け身も取れずにその場に倒れ伏してしまう。
“アウレリウス”:「…………」
箕中舞:「! ちょっと……」
箕中舞:「大丈夫、なんですか」
“アウレリウス”:「? ええ」
GM:その言葉通り、男はゆっくりと起き上がる。
GM:「……ん……?」
GM:キョロキョロと辺りを見回し。
箕中舞:ぽかん、と。
GM:「あれ……? 飲みすぎたか……?」
GM:不思議そうに。だが何事もなかったかのように、下へと降りていく。
箕中舞:先程までとは違う、明らかに理性のある様子に、自分が引き金を引いたにもかかわらず戸惑ってしまう。
GM:見下ろすフロアでは、先ほどの男が再び音楽に合わせて楽しそうに身体を揺らしている。
箕中舞:暫く呆然と佇んでいましたが、我に返ります。
“アウレリウス”:「……納得できましたか?」
箕中舞:喉が鳴る。ぞくりと、寒気が背を這いあがる。
箕中舞:……求めていたものだ。目の前に、ある。
箕中舞:それを手に入れるための手段も。
箕中舞:躊躇う理由はない。ない筈だ。あのまま、皆と一緒に居ても。
箕中舞:こんなチャンスは、この先きっとない。
箕中舞:「……ええ、確かに。お手間を取らせました」
“アウレリウス”:「それは、よかったです」
“アウレリウス”:「信じあうことは。何より大切ですからね」
箕中舞:「こちらの話をします」
“アウレリウス”:「ええ。改めて。聞かせてください」
箕中舞:“アウレリウス”の言葉に、信じあえなくなった人を思い出し、目を伏せながら。
箕中舞:「近々、ディアスポラに大きな動きがあります。現状は、その準備期間と言える」
“アウレリウス”:「動き。それはどのような?」
箕中舞:「聖櫃アークです」
“アウレリウス”:「…………」ぴくりと眉を動かす。
箕中舞:「ご存じですか、“聖櫃”の実存が確認されたというのは」
“エクィテス”:「マジ!?あれってただの噂じゃないの!?」
“アウレリウス”:「…………」
“アウレリウス”:「続けてください」
箕中舞:「いえ、私もこの目で見たわけでは。ただ、うちのリーダーは確かな情報だと考えています」
“アウレリウス”:「“プロミネンス”……三廻部シュウさんが、ですか」少し考え込むような顔。
箕中舞:「ええ。今、私たちのセルは一丸となって聖櫃……崩落戦の遺産の獲得に動いている」
“アウレリウス”:「……成程。それを報告に来てくれたのですね」
箕中舞:「……そうです。あるいは、与太話の類に聞こえるかもしれませんけど……」
箕中舞:「それに、彼が担がれている、ということも、情報収集が空ぶって何も起きなかった、ということもあり得ます。ただ、うちのメンバーは、その」
箕中舞:「優秀、ですから。もし本当にそれが実在しているなら」
箕中舞:「きっと辿り着く。お耳に入れておこうと思いました」
“アウレリウス”:「…………」しばらく黙り込んで。
“アウレリウス”:「…………舞さん」
箕中舞:「はい」
箕中舞:警戒する。まずい動きをしただろうか。彼の機嫌を損ねるような——
“アウレリウス”:「今の僕と……“カリポリス”があるのは、ひとえに僕が情報というものを重視してきた故です」
箕中舞:「ええ、それは……理解できます」
箕中舞:少なくとも。そうでなければ困る。
“アウレリウス”:「様々なセル……そしてUGNにも、沢山の『羊』たちを配し、働いてもらっています」
“アウレリウス”:「舞さん。あなたは僕の『羊』たちの中でも、特に優秀です」
“アウレリウス”:「これまで、とてもよく働き、尽くしてくれましたね」
“アウレリウス”:「ですから……」
箕中舞:内心胸を撫でおろす。「はい、何でしょう」
“アウレリウス”:「もし、僕と“カリポリス”が、“聖櫃”を手に入れられたのなら」
“アウレリウス”:「その時は、あなたの望みを、叶えて差し上げたいと思っています」
箕中舞:「!」
箕中舞:「その言葉を、信じます」
“アウレリウス”:「僕には使命があります。この街を、そしていずれはこの国を統治し」
“アウレリウス”:「あまねく人々を幸福にし、蒙を啓かせることです」
“アウレリウス”:「その為には、“聖櫃”はきっと役立ってくれるでしょう」
“アウレリウス”:「……舞さん」
箕中舞:幸福。それは茨木律華に与えられるべきものだ。
“アウレリウス”:「どんな些細な情報や動きであろうと構いません」
“アウレリウス”:「すべて漏らさず、この僕に報告してください」
“アウレリウス”:「……いいですね?」
箕中舞:それを取り戻す為なら、躊躇うべきではない。手段を選ぶほどの能は、私にはないんだから。
箕中舞:「勿論です。“アウレリウス”さん」
“アウレリウス”:「…………」その言葉に、満足気に頷く。
“アウレリウス”:「あなたの願いが叶うのを、祈っていますよ」

GM:---

GM:ロイスの取得が可能です。
箕中舞:“カリポリス” 有為〇/嫌悪 で

【OP/風祭猪祈・冬村歩人】

GM:風祭さんと冬村さんのOPです。
GM:登場どうぞ!
風祭猪祈:風祭猪祈の侵蝕率を+10(1D10->10)(侵蝕率:52->62)した
冬村歩人:冬村歩人の侵蝕率を+8(1d10->8)した (侵蝕率:42->50)

GM:---

GM:FHエージェントと言っても、セルの活動ばかりが日常ではない。
GM:君達はこの日、調査の合間を縫ってデートに訪れていた。
GM:それなりに高級なレストランでのディナー。だがここに来た目的は、それだけではなかった。
GM:君達は席に着き、料理が来るのを待っている。
冬村歩人:「……料理の偵察のつもりだったけど」
冬村歩人:「雰囲気も良い。それでいて、家族連れもいなくはないし……皆でも来れそうな所だ」
冬村歩人:皆と過ごす時の、ジャージのような戦闘断熱服とは違う、暗色のシャツとベストを合わせたスタイル。派手さはないが、シンプルで落ち着いた出で立ち。
冬村歩人:ファストフード店からある程度高級なレストランでも目立つことなく馴染める装いだ。眼鏡もかけているが、伊達である。
風祭猪祈:「うん、今年のクリスマスは期待できそう」
風祭猪祈:かたや普段通りのストリートファッション。申し訳程度に上着のファスナーを閉じている
風祭猪祈:「それにしても……」
風祭猪祈:「どうしたの?そんな畏まっちゃって」その服装を指して
冬村歩人:軽くおどけるように両手を開いて 「似合う?」
風祭猪祈:「……」しばしなにか言いたげな視線を返し
風祭猪祈:「うん、似合う。ムカつくくらい」視線をそらし、少しむくれながら
風祭猪祈:「でもそういうかっこするなら先に行ってよ。なんか私だけ浮いちゃってるじゃん」更にむくれる
冬村歩人:柔らかに笑う 「良かった。もし似合わない、なんて言われたら、すぐさまこの服を脱いでテーブルクロスにしてた所だ」
冬村歩人:「そう言わないでくれ。猪祈に張り合われたら、俺なんてきっと影に埋もれてしまう」
冬村歩人:「……それに、気紛れだったんだ。店を眺めていたら、ふと目に入ってね。ちょうど直後に予定もあったから」
冬村歩人:「猪祈がどんな反応するのか、見たくなって」 片目を閉じ
風祭猪祈:「またそういう……」恨めしげな目で
風祭猪祈:「いつか仕返ししてやるから」
冬村歩人:「最高だ。楽しみにしてるよ」
冬村歩人:「……とはいえ、こんな肩肘整った恰好にレストランでいつまでもお上品にしてたら、帰る頃には貴族になってそうだ」
冬村歩人:「順番的にはそろそろ料理も来るはず……」
風祭猪祈:「ふふ、なにそれ。浮かれすぎ……あ」
GM:示し合わせたかのように、ウェイターが料理を運んでくる。
GM:「お待たせいたしました」
GM:机に並ぶ二人分の料理。量はやや心許ないが、手が込んでいる。美味しそうだ。
冬村歩人:ウェイターにはちらりと目線だけ向け、あとは並べられるのを見る
GM:「ごゆっくりどうぞ」
GM:一礼をして、ウェイターは去っていく。
風祭猪祈:「どうも」ウェイターに軽く言葉を返し
風祭猪祈:「へぇ……」テーブルの上の料理を眺めて息を漏らす
冬村歩人:「まあ、クリスマスに実際食べるようなのは違うが……味のほどは分かる」
冬村歩人:ナイフとフォークを構えて 「……上品仕草はここまでだ。遠慮せず食べよう」
風祭猪祈:「うん、悪くないんじゃない?この飾り付けとかかわいい」
冬村歩人:自分の分のチキンソテーを切っていく……切り分けられてはいるが、慣れていないためか余計な力が入っているようで、ぎこちない!
風祭猪祈:「そうだね、それじゃあ……」同じようにナイフとフォークを手に取る
冬村歩人:「ああ。クリスマスだったらもっと豪華な……らしいものになるだろうし。こういうのも大事だ」
風祭猪祈:「シュウ兄さんは量が多ければ他はどうでもいい人だけど、うちは女の子の方が多いからね」
冬村歩人:「シュウならそれこそ、ピザで良いって言うだろうな」
冬村歩人:「でもやっぱり朔夜ちゃんとか、年頃の女の子は可愛い楽しい方が良いはずだ。FHと言ったって」
風祭猪祈:「ピザは去年のクリスマスで飽きた……テーブル一枚分のピザとか20段乗せのハンバーガーとか」
風祭猪祈:「今年は絶対シュウ兄さんには選ばせないって朔夜も緋雁も怒ってたし」
冬村歩人:「目に浮かぶよ」 苦笑して 「それで早い時期から緋雁ちゃんにせっつかれたのか」
風祭猪祈:「ふふ、あいつ引きこもりのくせに行事ごとは張り切るから」
風祭猪祈:「でも、そっか……」
風祭猪祈:「歩人さんと過ごすクリスマスは、今年が初めてなんだね」
冬村歩人:「ん、味はしっかりしてるな……なんか美味い……ん?」 大きさの不揃いなチキンを咀嚼しながら
冬村歩人:飲み込み、微笑する 「そうなる。最初のクリスマスだ」
風祭猪祈:「もう長いこと一緒だった気がするけど、まだ一年経ってなかったんだ」
冬村歩人:「そうだな。……まだ一年経ってない。冷静に考えると驚くな」
冬村歩人:「猪祈と同じ。もうずっと一緒にいた気がしてるな。……たくさん一緒にいたからか?」
風祭猪祈:「うん、生まれてからの6年間よりも、ここに来てからの時間の方が、ずっと長く感じる。歩人さんと会ってからはもっと……」
風祭猪祈:「……って、なんかその言い方不潔じゃない?」ジトッとした目線
冬村歩人:「え」 虚を突かれた表情をして
冬村歩人:「……はは」
冬村歩人:すぐに笑みを浮かべる 「理由を聞いてもいいのかな?」
風祭猪祈:「え、いや……」
冬村歩人:「俺としては、こうして猪祈を好きになって、他のセルのメンバーの誰より一緒に過ごして……」
冬村歩人:「……そう、その余地がある限り、意識して君の傍にいて。こんなに誰かを特別な人と意識しながら過ごしたことが、今までなかったから、という意味だったんだが」
冬村歩人:「それを不潔と言われると少し悲しいな。猪祈?」 口元は笑っているが、少し眉根を下げて見せる もちろん演技だ
風祭猪祈:「うぅ……」視線をそらしたじろいで
風祭猪祈:「……悪かったです。不潔なのは私の発想の方でした」
風祭猪祈:「だって一緒にいるとか言うから……実際思い出しちゃうじゃん」
冬村歩人:「……ふっ」 その真面目な物言いに、半ば噴き出すように笑う
風祭猪祈:「あ、またそうやって……!」
冬村歩人:「いや、いやごめん。謝られて笑うでもないな」 軽く手を振って見せ
冬村歩人:そのまま手を伸ばし、猪祈の頬にそっと添える
冬村歩人:「猪祈の純粋な所も、素直な所も俺は好きだよ」
冬村歩人:片方だけしか見えない瞳に、二つの眼の視線を注ぐ
風祭猪祈:「う……」
風祭猪祈:「もう…………!」意を決したようにその目を緩ませて
風祭猪祈:「私も……」
冬村歩人:笑ったまま、それでも続く言葉を心待ちにしている
風祭猪祈:「私も、歩人さんの優しい所も、真っ直ぐな所も好きだよ」柔らかな笑みを返し
風祭猪祈:「でも、余裕ぶった所とすぐ人をからかうところは嫌い!!」すぐさま表情を変えて叫ぶ
冬村歩人:一瞬、一層晴れやかに笑み、
冬村歩人:「おっと、ははは。やり過ぎたな。ごめん」 手を離し、幸福するように両手のひらを広げて見せる
冬村歩人:「あんまり猪祈が可愛いから……というのも、今は言わない方が良い?」
風祭猪祈:「いい……許す」ぶっきらぼうに言い放ちチキンを頬張る
冬村歩人:「ありがとう。この気持ちを伝えられないのはつらいからな。助かった」
冬村歩人:そう言うと、こちらも食事へと戻る。本来の目的なのだ
風祭猪祈:いっつも言ってるじゃん、と考えながら食事を進めていく
冬村歩人:……食事は進み、ある意味本命のデザートへ。
冬村歩人:クリスマスに注文するのはホールケーキ、今回は単品の小さなケーキだが、味の保証にはなる。
風祭猪祈:「来たね……実質勝負はここで決まると言ってもいい」いつになく真剣な面持ち
冬村歩人:「ああ。……まあ、ケーキとしての判定は猪祈に任すことになるけど」
冬村歩人:「フルーツの質は分かる。食べようか」 メロンのタルトをフォークで断ち、頬張る
風祭猪祈:「当然、ケーキ全権大使としての責任は果たすよ」フォークにケーキを乗せ、口に運ぶ
冬村歩人:「…………」 もぐもぐ
風祭猪祈:「…………」もっちゃもっちゃ
冬村歩人:(果物は行ける……クセもなく、風味も強い……) 味わいつつ、ちらりと猪祈の様子を伺う
風祭猪祈:「…………」
風祭猪祈:「…………!」
冬村歩人:(……!)
風祭猪祈:「……~~~~~~~~~ッ!」
風祭猪祈:言葉にならないが、満面の笑みで頬張っている
冬村歩人:(…………) 釣られるように笑顔になり、食べていたぶんを飲み込む
冬村歩人:猪祈が飲み込むのを待って 「どうかな、全権大使?」
風祭猪祈:「……うん、スポンジの弾力も、クリームのまろやかさも申し分なし。フルーツの鮮度も及第点」済まし顔で取って付けたような講評
風祭猪祈:「……合格!」
冬村歩人:「よかった!」 音が響かない程度の拍手
風祭猪祈:「さすが、歩人さんの直感は頼りになるね」
冬村歩人:「はは、いやいや。これで冷や冷やしてたよ。そりゃあ俺も、俺の勘を信じちゃいるが……」
風祭猪祈:「ケーキはこれでいいとして、流石に料理はもう少し量が欲しいかな。他のコースは……」張り切ってメニュー表を読み始める
冬村歩人:ならそれを指で止めます 「焦るな、猪祈。持ち帰り可能なパーティセットは別メニューだ」
風祭猪祈:「……!」
冬村歩人:「会計の時に紙のカタログも貰って、帰ったらみんなで見よう」
風祭猪祈:「……そうだね。私としたことが、功を焦りすぎたか……」
冬村歩人:「猪祈がそんなに喜んでくれて、俺も嬉しいよ。だけど今は、デザートの方に集中しよう」
風祭猪祈:「うん、せっかく来たんだしね」再びフォークを手にとる
冬村歩人:「その後もある。決めるのは明日、みんなでだ」
風祭猪祈:「そう、みんなで……」
風祭猪祈:「明日も、その先も、私達にはあるんだもんね」
風祭猪祈:目元を緩ませて、噛みしめるように
冬村歩人:同じく残りを食べつつ、ちらりと猪祈を見て
冬村歩人:「そうだ」 「明日もあさっても、その次も。クリスマスも、来年も、再来年のクリスマスだって」
冬村歩人:「『俺たち』は一緒に過ごす。……俺は猪祈とそうしたいと思ってるよ」
風祭猪祈:「……うん」
風祭猪祈:「ずっと一緒。歩人さんは……」
風祭猪祈:「『私達は』、家族なんだから」
冬村歩人:穏やかな笑みで、ケーキと彼女の言葉をじっくりと噛み締め
冬村歩人:八割方食べ終わった頃に、ふと切り出す 「そういえば」
冬村歩人:「この後のことは、いつも通り猪祈に任せてしまってるけど。今日はどんなコースなんだ?」
風祭猪祈:「ん?」口元にクリームをつけたまま顔を上げて
風祭猪祈:「ふふ、次はね、N市スターライト水族館!あそこ最近夜間展示始めたんだ」
風祭猪祈:「今20時前だから……うん、まだ間に合う」
冬村歩人:「へえ。水族館を夜に……ああいうのは早い時間に閉まるイメージだったな」
風祭猪祈:「綺麗なんだよ。魚は夜のほうが元気だったりするし、海月とかがライトに照らされて……」
風祭猪祈:「歩人さんは、そういうの興味ない?」少し不安げに
冬村歩人:目を細める 「まさか。楽しみだよ。想像もしてなかったからな、夜の水族館なんて……」
冬村歩人:「生き物もそうだし……考えてみると、夜の水族館っていう場所そのものが、結構ロマンあるかもしれない」
風祭猪祈:「ふふ、よかった」少し歯を見せて笑う
冬村歩人:「何より、猪祈が好きだって言うなら当然。俺だって興味があるし、大切にするさ」
冬村歩人:「俺はそうして、もっと猪祈のことを——」
GM:その時、会話を断ち切るように、冬村さんの携帯に着信が入る。
GM:表示されている通話先は市内のクリーニング店のものとなっているが、実際には、違う。
冬村歩人:「……」
風祭猪祈:「歩人さん、出ないの?」
冬村歩人:表情がすっと冷たくなる。『彼』からの着信については、バイブレーションのパターンを少しだけ変えている。なので、画面を見るまでもなく分かる
冬村歩人:「いや。出るよ。"クリーニング"だ」 それは、情報屋を示す隠語だ。……もちろん、それがUGNだとは、目の前の彼女も、このセルの誰も、夢にも思ってはいないだろうが
冬村歩人:「少し席を外す。ついでに会計も済ませて来よう」
風祭猪祈:「あ、うん……」席を立つ歩人さんを見送る
冬村歩人:支払い用の席札を取り、それで猪祈の顔のクリームのついた部分を、鏡のように自分の顔で示してやりつつ、席を立つ
風祭猪祈:「……!」見た通りの場所に指を這わせてその意図を理解し、赤面。歩人さんの背に向けて舌を出す
冬村歩人:突き出された舌を見ることなく、歩きながら受話ボタンを押す
冬村歩人:「……もしもし。取るのが遅れて申し訳ない。食事中でね」
GM:通話の向こうからは、冷たい男の声。
GM:『私だ。すぐに来い』
GM:たったそれだけ。あまりにも簡素な指示。
冬村歩人:「……乱暴に使ってくれる。経緯くらい話せ。それで遅くなったりはしない」
冬村歩人:『この後』の予定をさらりと取り潰した彼に対する冬村歩人の声音に、たとえば怒りや苛立ち、あるいは恐れ、警戒、そういったものは介在しない
冬村歩人:ただ無感情。猪祈の前はもちろん、セルの仲間の前でも、戦闘の最中でなければ見せはしない、冬村歩人のもっとも冷たく、頑丈な一面だ
GM:『いいから来い。私を待たせるな』
GM:不躾な言葉。だが恐らくは、これまで通り。単にFHの動向に関する報告を聞こうとしているのだろう。
GM:通話の相手は、冬村歩人が密かに内通している、UGNエージェントだ。
冬村歩人:レジで席の札を見せ、支払いを告げる。携帯を肩と頬で挟み、財布から大雑把に紙幣を掴んで出す
冬村歩人:「分かっている」 必要以上に通信をするつもりもない。すぐに通話停止の操作をして
冬村歩人:溜息を一つ。猪祈を残してきた方を横目で見つつ、
冬村歩人:通話偽装番号に繋ぐ。いかにも何かを話しているかのような音声を、24時間自動で垂れ流し続けるチャンネルだ
冬村歩人:「ああ。悪い。ちょっと急な用事ができて、すぐに動かなきゃいけなくなった」 そして、その発言は音声入力で文字起こしされている
冬村歩人:「申し訳ないけど、この後の予定はまた次の機会にしてくれないか。今度埋め合わせするから」
冬村歩人:「本当にごめん」
冬村歩人:そのまま足早に店を出る。 ……ほどなくして、猪祈の端末に、その内容がメッセージで届くだろう。
GM:---
GM:君は市内のとあるビルの屋上を訪れた。
GM:内通者との集合場所。果たして彼はそこで待っていた。
GM:スーツ姿の若い男。黒縁の眼鏡。見る者に冷たい印象を与える。
柊桔平:「待たせるな、と言ったはずだが」
冬村歩人:「最速で来た。文句が多いな」 そうは言いつつも、呼吸一つ乱してはいない
柊桔平:柊桔平。君の内通者であるUGNエージェントだ。
秘書:「…………」
秘書:彼の背後では、部下の少年がおずおずと君の様子を伺っている。
柊桔平:「ふん……まあいい」
柊桔平:「報告を聞かせろ」
冬村歩人:遠慮なくソファに座り、肘置きに頬杖をつく
冬村歩人:「"聖櫃"だ」
柊桔平:「……何?」
秘書:「“聖櫃”って……あの“聖櫃”ですか……?」
冬村歩人:「"聖櫃"。かつてN市を脅かさんとしたセルの連中が溜め込んだ、資金、兵器、遺産……その他ありとあらゆる財産」
冬村歩人:「それの実在を、“ディアスポラ”のリーダーはどうも確信したらしい」
柊桔平:「……馬鹿な」
冬村歩人:「頭が信じれば、あとは突き進む。セル(細胞)だからな」
柊桔平:「……情報の確度は?」
柊桔平:「単なるくだらん噂だろう、あれは」
柊桔平:「貴様らFHの考えそうな、馬鹿げた妄想だ」
冬村歩人:「出処は不明だ。下手に突っ込めば、俺の方も腹を探られるからな」
冬村歩人:「だが奴も馬鹿じゃない。そう、そいつが馬鹿げた妄想の財宝、お伽噺の埋蔵金だってことを、シュウは正しく認識している」
冬村歩人:「その上で取りに行くと言った。……確度の判断は任せる」
柊桔平:「…………」目を伏せ、こめかみを指でとんとんと叩く。
柊桔平:「……万が一、“聖櫃”が実在するとすれば」
柊桔平:「それを貴様らFHに回収させるわけにはいかん」
柊桔平:「貴様ら、街に蔓延る不要なクズ虫には過ぎた力だ」
柊桔平:「どんな馬鹿げたことをしでかすか、分かったものではない」
冬村歩人:「ならばそちらが大急ぎで取りに行けば良い。こうして、ひとまずの第一情報は流してやった」
冬村歩人:目を細める 「いつも通り、こちらからも"ディアスポラ"の動きは牽制するつもりだが……」
冬村歩人:「……これほどの大ネタだ。他セルだってそのうち動き出すだろう」
柊桔平:「…………」
柊桔平:「……いいや」
冬村歩人:窓の向こうに向けていた目を、ちらりと柊に向ける
柊桔平:「UGNは直前まで動かさない。貴様はこれまで通り、セルで活動しながら情報を私に流せ」
柊桔平:「“聖櫃”の所在が分かり次第、私が直接動く」
冬村歩人:「……偽の情報にかまけて兵を動かせば、それが空振った時の出処を問われるか」
柊桔平:「それもある、が……」
柊桔平:「……いいや。貴様に全てを話す必要は無い」
柊桔平:嘲るように首を振り、
柊桔平:「だがいいか、“ヴィンターミュート”」
柊桔平:「貴様が報告を怠ったり、もしくは貴様のセルが“聖櫃”を手に入れたりした時は」
柊桔平:「貴様は終わりだ」
柊桔平:「お前が内通者だと知っているのは、UGNでは私だけだ」
柊桔平:「元マスターエージェントだか何だか知らないが、関係ない。所詮FHの唾棄すべき蛆虫だ」
柊桔平:「危険なエージェント……いいや、ジャームとして手配することもできる。そうなれば」
柊桔平:「貴様は一生、陽の光は浴びられん」
柊桔平:「……無論、あの女もな」
冬村歩人:(……小者め) 吐き捨てるのは内心に留め
冬村歩人:頷くように目を閉じる 「理解しよう。今さらUGNに、お前に反抗するつもりは毛頭ない」
柊桔平:「そうだ。くれぐれも、私に対してくれぐれも妙な気は起こすなよ」
柊桔平:「貴様との会合は録画済みだ。今もな」
柊桔平:指し示した棚の隙間には、小型カメラ。恐らくは部屋中に。
柊桔平:「私が死ねば、即ち下手人は貴様だ」
冬村歩人:「理解する、と言っているだろう。その先にある物を俺は見ている。……保護プログラムの『状況』は変わらないか?」
冬村歩人:これは、保護プログラムで身元を保証できるのが『二人』のままか、という意味の問いだ。
冬村歩人:冬村歩人は、以前から『もう一人分』の枠を確保できないかと、折りに触れ要求している。
柊桔平:「いくら犬でも餌を確認しなければ動かんか? 安心しろ。役目を果たせば『お前と女の』身柄はUGNが保護してやる」
柊桔平:「……不満か?現状維持だけでも貴様には過ぎた幸福だと思うがな」
冬村歩人:「……いいや。分かっている」
冬村歩人:——風祭緋雁。半身不随の少女。猪祈にとっての大切な『姉妹』。
冬村歩人:彼女が失われれば、猪祈が悲嘆することを、冬村歩人は当然理解している。
冬村歩人:そして『男と女』ではなく『男と女と、半身不随の少女』の身分保証など到底叶わないだろうということも、同じくだ。
柊桔平:「女が大事なら、精々しくじらないことだな」
柊桔平:「全ては貴様の働き次第だ」
GM:---
GM:君がエレベーターに乗り込もうとすると、扉が閉まる直前、小さな影が飛び込んでくる。
冬村歩人:冷たい目でそれを見下ろす
秘書:「あっ!と、と……!」
秘書:柊の秘書、UGNチルドレンの少年だ。余程慌てていたのか、床にぶちまけた荷物を拾い集めている。
秘書:「すっ……すいません……!」
冬村歩人:億劫そうに、少しだけ壁に身を寄せる。手伝うとかはしない。
秘書:荷物を拾い終え、服に着いた埃を払い、
秘書:「あっ……あの……」
秘書:「ふ……冬村さん」
冬村歩人:「…………」
冬村歩人:「……何だ」
秘書:「あ、えっと……そのですね……」
秘書:もじもじしながら、やがて意を決したように。
秘書:「あの……こんな事おれが言うの、変かもしれないですけど……」
秘書:「……が……頑張ってください!」
冬村歩人:まるで白昼に不審者を見たかのように、怪訝、かつ、不愉快げに眉をひそめ
冬村歩人:何も言わず目を閉じる。白昼の不審者を凝視したり、対話したりするような物好きではなかった
秘書:構わずに話し続ける。
秘書:「お。おれ……冬村さんの昔の記録とか見て……すごい、かっこいいなって思って……」
秘書:「あっ、チルドレンなのにこんなの……内緒なんですけど……!」
秘書:「そ、それで、今やってることも知って……その……」
秘書:「お、応援、したいなって……!」
冬村歩人:片目を薄く開く。不審も、ここまで突き抜ければ大したものだ
秘書:顔を僅かに赤らめる。憧れのスポーツ選手にでも会ったように。
秘書:「だから……そのですね……!柊さんは、あんなですけど……!」
秘書:「お、おれに手伝えることとかあったら、何でも言ってください!」
秘書:ずい、と鼻息荒く身を乗り出す。
冬村歩人:「…………」
冬村歩人:エレベーター。暗い密室。しかし監視のカメラくらいはあるだろう。マイクはどうか?
冬村歩人:(……ここまでこいつが勝手に喋っているなら関係ないな)
冬村歩人:彼が話している間に考えを巡らせ、それが終わると、口だけを動かす。
冬村歩人:「……全てことが丸く終わり、ここではない所へ行けたら、UGNで働こうと思っている」
冬村歩人:「君の間近で戦うこともあるかもな」
秘書:「……えっ……!」
秘書:表情がぱっと輝く。
冬村歩人:安い、あらゆる意味で安い嘘だ。
冬村歩人:だがそれで、少々なりとも彼がその気を出してくれるなら、コストパフォーマンスはあるかもしれない。
冬村歩人:「全てが上手く行けば、だ」 念押しするように言って、また口を噤む
秘書:「そ、そうですか……! お、おれ……えへへ……!」
秘書:「あの、ほんとに!おれ、何でもしますから!柊さんに内緒のことでも!」
秘書:「何でも言ってくださいね!」
冬村歩人:「……その時が来たらな」
冬村歩人:「だから今は、あいつに怪しまれないように、真面目に頑張ってくれ」
秘書:「……はいっ!」
GM:少年が頷くと同時に、エレベーターは地上に到着する。
冬村歩人:——余計なことを言われたり、されたりして、そこに自分が結び付けられたりするのが、最も厄介だ。
冬村歩人:それでいて、使える藁の一本にでもなればよし。
秘書:「あ……もう着いちゃった……」少し残念そうに。
秘書:「そ、それじゃあ冬村さん!またお会いしましょうね!」
冬村歩人:当然、返事はしない。最後まで少年にはろくに目もくれず、普段どおりの足取りでそこを出ていく。
GM:---
風祭猪祈:「……ったく」
風祭猪祈:冬の訪れを間近に控えた街。初雪はまだ降っていないが、街路樹の葉はすっかり落ち、吐き出す息は僅かに白い。
風祭猪祈:上着のフードを目深に被り、その街を大股で歩く。冬村歩人と二人で来た道を、今は一人で帰っている。
風祭猪祈:左手はポケットに突っ込み、右手には緋雁へのお土産として買ったケーキの箱。歩幅に合わせて振る腕は中身が崩れそうな勢いで
風祭猪祈:傍目にも見て取れる苛立ちの理由は、決して約束を反故にされたからではなく……
風祭猪祈:「あの程度の内容なら、ちゃんと面と向かって言えっての……」
風祭猪祈:普段は恥ずかしげもなく気障なセリフを吐くくせに、本当に言いたくない言葉は顔を見ずに済ませようとする
風祭猪祈:「……そういう所が、一番嫌い!」
風祭猪祈:自分だって、今の状況は十分理解している。面と向かって説明されれば、快く承諾したはずなのに
風祭猪祈:「…………」
風祭猪祈:「……まあ、いつものことか。シュウ兄さんと同じで、言って治るもんじゃなし。それに」
風祭猪祈:冬村歩人がよく言うように、あらゆることは日々の積み重ねだ。今年のクリスマスも、来年も
風祭猪祈:小さな約束を積み重ねて、自分たちは家族になるのだから。
風祭猪祈:「水族館、楽しみだな……」
風祭猪祈:「私は……」
風祭猪祈:歩幅が僅かに小さくなり
風祭猪祈:「(私は、絶対に捨てたりしない)」
風祭猪祈:「(私は、母さんとは違うんだ)」
風祭猪祈:思いを言葉に出すことなく、家路を急いだ。
GM:---
GM:シーン終了。
GM:ロイスは舞台裏で!
冬村歩人:協力者 柊桔平 有為/○侮蔑
風祭猪祈:歩人さんにはもう取ってあるので、ロイス保留で

【Middle1/絆されるつもりはない】

GM:情報収集シーンに入ります。
GM:まず項目とシステムについてご説明
GM:項目はこちら

使用技能 情報:噂話/UGN/FH

・“聖櫃”の在処について0/15
難易度8
・“聖櫃”そのものについて 0/4
難易度9
・UGNの動向 0/10
難易度11
・他FHセルの動向 0/10
難易度11

GM:今回はやや特殊な進行となっています
GM:基本的には通常のプライズ制となっているのですが
GM:1シーンに何人でも同じ項目に挑戦し、累積してプライズを進行させることが可能です。
GM:全員でひとつをいっぱい進める、みたいなことが可能なわけですね
GM:また、・“聖櫃”の在処について はメインプライズとなっており、
GM:こちらを満了した時点で強制的にクライマックスへのトリガーイベントが発生するのでご注意を。
GM:さらに、こういうのって普段は結構じゃあ全部抜いてから進もうか、となるんですが
GM:今回はシーン毎に周囲の状況も進行していき、のんびりしていると最悪他のセルに全部かっさらわれます。
GM:全部満了するのは相当頑張らないと無理かな程度に考えていてください。
GM:情報の不均等性が話に絡んでくるわけですね
GM:また、・UGNの動向 と ・他FHセルの動向 を満了した時は
GM:内通者の存在が明るみになります。
GM:楽しみですね!
GM:書き忘れてた 1人が1シーンで進められるプライズの達成値は30が限度です。4まで進められるということ
GM:大丈夫かな? では張り切って行ってみましょう。
GM:違う
GM:登場自由です。どうぞ!
箕中舞:箕中舞の侵蝕率を+9(1d10->9)した(侵蝕率:36->45)
風祭猪祈:風祭猪祈の侵蝕率を+2(1D10->2)(侵蝕率:62->64)した
冬村歩人:冬村歩人の侵蝕率を+5(1d10->5)した (侵蝕率:50->55)
茨木律華:1d10+50
DoubleCross : (1D10+50) → 10[10]+50 → 60

GM:では改めて判定どうぞ!
冬村歩人:“聖櫃”の在処について 振りましょう。<情報:UGN>で、コネ:UGN幹部使用
冬村歩人:5dx=>8
DoubleCross : (5R10[10]>=8) → 9[2,3,4,7,9] → 9 → 成功

冬村歩人:財産1払って10、にすると2進む感じですよね?
GM:そうですね!
冬村歩人:ではそうします。残り財産6
箕中舞:“聖櫃”の在処について。<情報:FH>で振ります
箕中舞:6dx+1
DoubleCross : (6R10+1[10]) → 9[2,3,4,4,7,9]+1 → 10

箕中舞:財産とかは使わずに以上
茨木律華:他FHセルの動向に行きます。情報:FHで判定
茨木律華:《砂の加護》を使用。侵食ボーナスと併せてダイス+5個。侵食60->63
茨木律華:7dx+1>=11
DoubleCross : (7R10+1[10]>=11) → 10[1,3,6,7,8,9,10]+6[6]+1 → 17 → 成功

茨木律華:財産3……使う!
茨木律華:達成値20にします
風祭猪祈:UGNの動向振ります!
風祭猪祈:まずマイナーで《陽炎の衣》を使用し隠密化、判定ダイス+3
風祭猪祈:情報:FHで判定。コネ:FH幹部(ストーン)、AIDA、侵蝕ボーナス諸々合わせてダイス+8
風祭猪祈:9dx+3
DoubleCross : (9R10+3[10]) → 10[3,3,4,5,7,8,9,9,10]+9[9]+3 → 22

風祭猪祈:風祭猪祈の侵蝕率を+3(侵蝕率:64->67)した
GM:こやつら……やりおるわ……
GM:では

・“聖櫃”の在処について4/15
進行度4
“聖櫃”が隠されたのがN市内という噂は本当のことらしい。
だが、広大な市内のどこにあるかは秘匿され、どのセルでも重大な機密となっているようだ。
肝心の場所はセルリーダークラスしか知らない情報だったようだ。

・UGNの動向 3/10
進行度3
UGNは崩落戦以降、以前に増してFHの動向に目を光らせている。混乱に乗じて勢力を伸ばすセルを警戒し、早急に目を摘もうとしていたが、“ディアスポラ”はその網の目を潜り抜けた形だ。

・他FHセルの動向 3/10
進行度3
“ディアスポラ”以外のFHセルに、“聖櫃”に関する目立った動きはない。
やはり現状では殆どの者が、単なる与太話だと捉えているようだ。

GM:こんな感じです。まだ大したことは分からない!
GM:では情報共有ロールに入りますが、その前にルールとまではいきませんが特殊裁定
GM:今回のセッションでは、自分だけで情報収集判定を行って掴んだ情報に関しては、必ずしも他のPCに情報共有する必要はありません。
GM:では行ってみましょう

GM:---
GM:市内 カラオケ店個室
GM:---

GM:シュウに呼び出され、君達はカラオケ店に集合した。
GM:秘密組織の密会場所としてはお粗末に思えるが、これもいつものことだ。
三廻部シュウ:「そんで、その後なんか分かったか?」
三廻部シュウ:ポテトにケチャップをべちょべちょにつけて何本かまとめて食べている。
冬村歩人:「俺は“聖櫃”の所在を調べてた。舞ちゃんもだったよな?」
箕中舞:「えっと、はい。私は、でもあまり成果が上げられませんでした……」
冬村歩人:「同じだよ、俺も。……『そういうもの』があるとしたらN市内に違いないってことは確実に言えるかな」
冬村歩人:「少なくとも市外に何か、派手な物が無事に輸送されたって記録は見当たらなかった」
冬村歩人:「……が、それがどこか。もっと言うとそれをどうやって知るかって話になると、まだ時間がかかる」
冬村歩人:「それこそ当時のセルリーダーだとか、そういう次元になってくるだろうな……その辺に繋がれそうな心当たりはあるか、シュウ?」
三廻部シュウ:「セルリーダーねぇ……連中、軒並み死んでんじゃねえの?」
三廻部シュウ:「まあ、それが分かっただけでも収穫だ。こっちでも色々当たってみるわ。ありがとな、歩人、舞」
箕中舞:「っ……はい。こちらも引き続き頑張ります」
箕中舞:そう言うと、肩を竦めてちゅうちゅうとコーラを啜り始める。
冬村歩人:「特に状況に変わりなければ、引き続きこっちでも調べてく。舞ちゃんもよろしく」
冬村歩人:雰囲気は柔らかくいつもどおりに喋っているが、何か強張ったような、慎重そうな空気が声の合間から垣間見えるかもしれない
茨木律華:「セルリーダー……そうね」
風祭猪祈:「なにか心当たりでもあるの?律華ちゃん」
茨木律華:「私も朔夜や緋雁と一緒に、”聖櫃”について把握していそうなセルの施設を幾つかあたっていたの」
茨木律華:「いえ、そういう訳じゃないわ」猪祈ちゃんに。「ただ……こっちでも何人かの記憶を見たり、データベースを抜いたりしたけれど、ほとんど空振りだったから
茨木律華:「リーダークラスでも捕まえなきゃいけないかも、というのは。概ね同意見だわ」
風祭緋雁:「残念だよねー。あ、次誰だっけ」北欧メタルを歌い終えてマイクを置き。
三廻部朔夜:「骨折り損でしたねえ」
三廻部朔夜:デンモクをいじっている。
風祭猪祈:「あんたらは何呑気に歌ってんの。話をちゃんと聞く」
風祭緋雁:「えー、せっかく来たんだからさあ。歌わなきゃ損じゃん」
風祭猪祈:朔夜からデンモクを取り上げる
茨木律華:「……」マイクやデンモクを持つ二人に、じとっとした目を向けつつ。
三廻部朔夜:「あっ……すいません……」
風祭緋雁:「あ、猪祈、自信ないんでしょ」
風祭猪祈:「はぁ?」
風祭緋雁:「歩人さんの前で音痴なのバレたら恥ずかしいんでしょ~」ニヤニヤ笑って煽る。
三廻部朔夜:「そうなんですか!?」
茨木律華:「ちょっと、煽らないでよ」ストッパーを買ってでた猪祈まで流されたらいよいよまずそうだな、と感じて。
風祭猪祈:「音痴じゃないし!引きこもりのか細いシャウトよりはよっぽど……」言いかけた所で律華ちゃんに止められ
風祭猪祈:「……ゴホン」
冬村歩人:「おやおや」 薄く笑って 「後の楽しみが一つできた」
風祭猪祈:「く……後でキッチリ白黒つけてやる……」
茨木律華:「もう、続けるわよ!」諦めて喋り続ける事にした。
茨木律華:「それと一緒に、他のセルの動きにも探りを入れてたの」
茨木律華:「シュウさんの予想していた通りね。"聖櫃"が実在するかもしれないって話、少しずつ広まってはいるけれど」
茨木律華:「やっぱり、誰も本気にしてないみたい。ウチみたいに動き出してるセルは、まだいないわ」
三廻部シュウ:「まあ、そりゃそうだよなあ。こっちにとっちゃ都合いいけどな」
三廻部シュウ:首の後ろで腕を組む。
茨木律華:「順調なのが半分、手詰まりが半分って所ね」
箕中舞:(冬村さんや、律華ちゃん達が調べ回っても具体的なことが分からない……)
箕中舞:(本当にあるのかな、聖櫃なんて)
風祭猪祈:「それに関してはUGNも似たようなものだった」
風祭猪祈:「確かに、最近のあいつらは今までにも増して市内の監視の目を強めてるけど」
風祭猪祈:「それは『崩落戦』後の混乱に乗じて台頭する新興セルを叩くためのもので、"聖櫃"とは別枠って感じ」
風祭猪祈:「もちろんその新興セルの中にはうちも入ってるわけだけど」
三廻部シュウ:「そう、そんな中でうちはよくやってるって訳だ」
三廻部シュウ:「お前らもうちょいオレに感謝するべきだぞ!」
三廻部朔夜:「そういうの自分で言うからダメなんじゃないの?」
茨木律華:「はいはい、感謝しているわ」
茨木律華:あまり心が籠っているようには聞こえない言葉だが、ある程度は本心だ。
茨木律華:事実として、彼が手を貸してくれたから、自分は"最悪"から抜け出す機会を得られた。
茨木律華:(……だからって、それに絆されるつもりはないけれど)
箕中舞:「すごいです。シュウさんも、“ディアスポラ”も」真剣な表情で。
冬村歩人:「……実際、背後をUGNに無用に脅かされないのはありがたい。こちらに向かない矛は、他のセルに向いているということなんだから」
冬村歩人:そして、だからこそ自分という繋がりが重視されている。そういう意味でも、今の"ディアスポラ"の立ち回りはありがたい。
三廻部シュウ:「えっ?マジで褒められるとは……ふふん……だろォ~?」
風祭猪祈:「……ま、情報工作はいつも緋雁がやってくれるし、ミッション中の偽装工作は私の仕事だし」
風祭猪祈:「交渉事は歩人さんのほうが上手だし、先陣を切るのは律華ちゃんと舞ちゃんだし」
風祭猪祈:「シュウ兄さんは好き勝手言ってるだけな気もするけど」
三廻部シュウ:「いや采配!その采配してるのがオレなの!」
三廻部シュウ:「好き勝手言うのがセルリーダーの仕事なの!」
風祭猪祈:「はいはい、名監督名監督~」ひらひらと手を振りながら
冬村歩人:「俺の方も、交渉面でそんなに買い被られても緊張するけれど」 苦笑しつつ
箕中舞:「……それでも」
箕中舞:「引っ張ってくれる人がいるのって、やっぱり大事ですから」
冬村歩人:「ま、ここはそういうことにしとこう。これからも采配してくれよ」
三廻部シュウ:「……まあ、オレがそうやって好き勝手できんのも、お前らのお陰だからな」
三廻部シュウ:「いつも感謝してるよ、皆には」珍しく改まった顔で。
三廻部シュウ:「これからもよろしく頼むぜ」
冬村歩人:「……ああ」 変わらぬ表向きを保ち、淀みなく頷く
茨木律華:「……どうも」その顔をちらと見て、すぐに戻る。何気ない様子でコーラを啜りながら。
風祭猪祈:「なんかシュウ兄さんが素直だと調子狂うな……」頬をポリポリとひっかきながら
箕中舞:微笑む。色づいた照明によって、その顔色の普段との差異を認める者はいない。
風祭緋雁:「はいはーい」ひらひらと袖を振る。
三廻部朔夜:「普段からこうならいいのに……」
三廻部シュウ:「まあ、話も済んだし……時間も余ってるから、せっかくだし歌ってくか」
三廻部朔夜:「あ!誰から行きます?」
箕中舞:「さっきの流れだし、猪祈ちゃんの番かな?」
冬村歩人:「同意見だ。白黒見せてくれなきゃな」
風祭猪祈:「ふん、望むところじゃない」意気揚々とマイクを拾い上げ
風祭緋雁:「お手並み拝見だね~」にまにま笑って。
風祭猪祈:「陰気なヘビメタ女に本場のロックってやつを教えてあげる」
茨木律華:その様子を横目に、一人で端末を弄っている。……別に歌いたくはないが、もしも自分の番が回ってきたときのために歌詞を確認しているのだ。
風祭猪祈:「歩人さん、ちゃんと採点してよね」
冬村歩人:「任せてくれ。厳正な採点を努力する」
冬村歩人:「何となく猪祈が勝つ気がしてるけども……」
風祭緋雁:「あ、八百長だ、八百長」
風祭緋雁:「そんなことしないよね~?歩人さんは」
風祭緋雁:「あたし信じてるから」
風祭猪祈:「歩人さんはそんなことしないし」
冬村歩人:「ははは……」
冬村歩人:もぞもぞと座り直し 「……努力する。真剣に努力するよ。約束だ。さあ、猪祈」
風祭猪祈:「よし……」一つ、大きく息を吸い
風祭猪祈:「———いくよ」
冬村歩人:「聞かせてくれ」
風祭猪祈:暫くの間、ギターのリフまで完コピした気合の入りすぎたUKロックメドレーがカラオケボックスに響いた

GM:---

GM:シーン終了。
GM:ロイス購入可!
冬村歩人:ようやくシナリオロイス 幼馴染み 三廻部シュウ/○信頼/隔意
冬村歩人:購入は応急手当キット狙っていきます。うっかりミドルで重傷すると機能停止するからね……
茨木律華:ロイスは保留で 購入どうしようかな…
風祭猪祈:姉妹 風祭緋雁 庇護◯/不安 で所得
冬村歩人:2dx+1=>8
DoubleCross : (2R10+1[10]>=8) → 10[8,10]+8[8]+1 → 19 → 成功

箕中舞:居場所 “ディアスポラ”セル/親愛/焦燥〇
冬村歩人:この達成値の高さ……猪祈のお手製かな?
冬村歩人:いや、もしそうだったら達成値80000くらいなきゃおかしいな……普通の高級品です
GM:こいつら……
茨木律華:いつもの癖でUGNボディアーマーって言いそうになったけど
箕中舞:めっちゃ惚気ますね…
冬村歩人:ともあれ成功。異常!
冬村歩人:以上!
GM:UGNボディアーマー、確か普通に買えますよね……?FHでも
茨木律華:購入指定していいんでしょうか、FHキャラだけど……
冬村歩人:買える買える!
風祭猪祈:スニーキングスーツ行きます
茨木律華:ルール的にはいけそうだけどGMがあれなら別のにします
GM:まあ横流しでもいいし相当品のFHボディアーマーってことでもいいし!
GM:GM的には大丈夫です!
冬村歩人:あ、ルール的にはですね。どうせ死ぬほど量産されてるだろうし余って横流しもされてるでしょ……
茨木律華:わぁい。じゃあボデマいきます~
風祭猪祈:5dx+1=>10
DoubleCross : (5R10+1[10]>=10) → 8[1,5,6,6,8]+1 → 9 → 失敗

茨木律華:3dx+1>=12
DoubleCross : (3R10+1[10]>=12) → 5[1,4,5]+1 → 6 → 失敗

風祭猪祈:く、惜しい
茨木律華:やっぱりFHの私には相応しくないというわけね
箕中舞:スニーキングスーツ
茨木律華:おしまい!
箕中舞:6dx+1>=10
DoubleCross : (6R10+1[10]>=10) → 9[1,2,6,8,8,9]+1 → 10 → 成功

箕中舞:猪祈ちゃんにプレゼントします 以上
風祭猪祈:舞ちゃん!
箕中舞:“ディアスポラ”の絆!
風祭猪祈:えへへ~私舞ちゃんちの子になる~
GM:仲良しセルでよかったねぇ~
風祭猪祈:有り難く装備します!
風祭猪祈:以上!
冬村歩人:済まないね舞ちゃん、一気に子どもが三人も増えてしまって……
箕中舞:結婚を匂わせる人だ
風祭緋雁:お世話になるよ~
箕中舞:そんな、私がみんなのママに……

【Middle2/気づかれてない、よね】

GM:では次のシーン!引き続き情報収集していきましょう
GM:シーンPCは侵蝕順で箕中さん、ほか自由!
箕中舞:箕中舞の侵蝕率を+7(1d10->7)した(侵蝕率:45->52)
風祭猪祈:風祭猪祈の侵蝕率を+8(1D10->8)(侵蝕率:67->75)した
冬村歩人:冬村歩人の侵蝕率を+9(1d10->9)した (侵蝕率:55->64)
茨木律華:1d10+63
DoubleCross : (1D10+63) → 7[7]+63 → 70

冬村歩人:破滅感じる侵蝕ダイス

GM:---

GM:現在の進行度はこちら!

・“聖櫃”の在処について4/15
難易度8
・“聖櫃”そのものについて 0/4
難易度9
・UGNの動向 3/10
難易度11
・他FHセルの動向 3/10
難易度11

GM:では判定どうぞ!
冬村歩人:変化をつけよう。“聖櫃”そのものについて調べます
冬村歩人:<情報:UGN>。コネ:UGN幹部使用
冬村歩人:5dx=>9
DoubleCross : (5R10[10]>=9) → 9[1,4,6,8,9] → 9 → 成功

冬村歩人:財産点1支払って10にします。これで+2!
箕中舞:聖櫃の在処行こうかな
箕中舞:6dx+1 <情報:FH>で素振り
DoubleCross : (6R10+1[10]) → 10[5,7,7,9,10,10]+6[5,6]+1 → 17

冬村歩人:侵蝕が高けりゃ情報ダイスも高い!
箕中舞:財産3使用して達成値20にします 残り5
GM:ブルジョアどもめ
茨木律華:こっちも「“聖櫃”の在処について」いきまーす。砂の加護をやりつつ、情報:FHで判定!
茨木律華:70->73
茨木律華:7dx+1>=8
DoubleCross : (7R10+1[10]>=8) → 10[2,5,6,6,8,10,10]+7[1,7]+1 → 18 → 成功

茨木律華:うーん まあ2点払っちゃおう
冬村歩人:ほ、ほんとに回るな
茨木律華:残り財産1です
箕中舞:えらさだ
GM:強いなみんな……
茨木律華:これがハッピーエンドを目指すという意志の力だ
風祭猪祈:これで本筋のプライズは10、他所を空けても大丈夫そうだな
風祭猪祈:じゃあさっきUGN回したんで、今度はFHの動向行きます
風祭猪祈:《陽炎の衣》で隠密化、スニーキングスーツで更にダイスが増えるぜ
風祭猪祈:10dx+3=>11 コネ使用
DoubleCross : (10R10+3[10]>=11) → 10[2,5,5,6,6,6,6,9,9,10]+6[6]+3 → 19 → 成功

茨木律華:すごいぜ
箕中舞:つまびらかにされてしまう……
風祭猪祈:財産はない……残念だけどこのままで
箕中舞:あら残念
GM:惜しかったな……
冬村歩人:おこづかい使い切っちゃったのねえ
風祭猪祈:あっても遺産で使えないしね
風祭猪祈:風祭猪祈の侵蝕率を+3(侵蝕率:75->78)した
GM:では情報開示!

・“聖櫃”の在処について10/15
進行度8
独占や横領を防ぐため、“聖櫃”はいずれのセルにも属さない場所に隠されたらしい。
単なる銀行や金庫、またこれまで知られているFH関連施設では無いことは確かだ。

・“聖櫃”そのものについて 2/4
GM:進行度2
“聖櫃”計画は、崩落戦の前、7つのセルが合同で進めていた。
この計画は、崩落戦の最中、セルの防衛戦力が手薄になることへの備え、総力戦の後でも政治・経済・軍事等様々な意味での戦力を残しておくための蓄え、また、全てのセルが財産を一箇所に保管することで連帯を高める血判状のような役割を果たしていたものと見られる。

・他FHセルの動向 5/10
今回は開示プライズはありません。

風祭猪祈:残念…

GM:---
GM:“ディアスポラ”拠点 風祭古書店
GM:---

GM:寒風の吹く外とは違い、書店の奥は暖房が焚かれて暖かく保たれている。
GM:炬燵の上にはコンロと鍋が置かれ、奥の台所では三廻部朔夜がせっせと食材の準備をしている。
風祭緋雁:一方で炬燵から頭だけ出して寝転がり、アイスを食べている。
風祭緋雁:と、表の戸が開く音に気付き、目だけを動かす。
風祭緋雁:「おかえり~」
箕中舞:「へへ、ただいまー、です」
箕中舞:カラカラと戸を開くと、皆が通り過ぎるのを待つ。
風祭猪祈:「お、準備できてんじゃん」テーブルの上を見て
風祭緋雁:「お肉買ってきてくれた?」
茨木律華:「ええ」膨らんだ買い物袋を机の上に置く。どさり。
冬村歩人:「野菜だけの精進鍋が好きなやつはこのセルにいないはずだしな」 同じく荷物を置く
風祭猪祈:「もちろん。鍋に肉を入れずになんとする……」深く頷き
三廻部シュウ:「オレは逆に肉だけでよかったんだけどなぁ」
箕中舞:遅れて、練り物とかの入った袋を抱えてくる。
風祭緋雁:「やったねー。あたしも頑張った甲斐があったよ~」
冬村歩人:「へえ、頑張った? 何を?」
風祭緋雁:「留守番」
茨木律華:「夕食前にアイスって……まあ、いいけど」緋雁の様子を見て呆れながらも、いつもの事かと諦める。
風祭猪祈:「アンタは肉控えめにしときなさい。……太るよ?」
冬村歩人:「頼もしい限りだ。……子どもみたいなこと言うな、シュウ。野菜があった方が肉の特別感、出るだろ」
三廻部シュウ:「成程……」感心したように頷き。「一理あるな」
三廻部シュウ:「あ、じゃあ安い肉で高い肉を囲めば特別感も出せる上に全部肉だからもっとお得ってことじゃね?」
箕中舞:「バランスの取れた食事をした方が、能力の調子がいい気がします」
箕中舞:多分気のせいだ!
冬村歩人:「ステーキとかならともかく、鍋で肉の高い安い、シュウに分かるかね」 苦笑しつつ
三廻部朔夜:「あ、皆さんお帰りなさい。寒かったでしょう?」いつものセーラー服にエプロンを着けて部屋に入ってくる。
三廻部朔夜:「もうだいたい準備できてますから。さっそく始めましょうか……あ、手は洗ってきてくださいね!」
箕中舞:「うーん手がちべたい……お茶くんできますね……」
箕中舞:「要らないひとは……いないかな」
箕中舞:給湯室へ向かいます
冬村歩人:「ありがとう朔夜ちゃん。早くしようか。俺もしっかり温まりたいよ」 と洗面所の方へ向かう
風祭猪祈:「あ、いつもごめんね舞ちゃん。家主の用意が悪いから」緋雁の方をじろりと見て
風祭緋雁:「おいしそうだね~」ガン無視!
茨木律華:言われるよりも早く洗面所で手を洗い、戻ってきている。
茨木律華:「何を手伝えばいいかしら」朔夜に声をかけて、台所の方へ。
箕中舞:「きゃっ! あつ熱っつつ……」という悲鳴が聞こえ、ほどなくして人数分の湯飲みをトレイに乗せて戻ってくる。
茨木律華:「……」一瞬、冷たい目を給湯室の方に向ける。
三廻部朔夜:「もう大体準備は済んでますから、あとは火加減の管理と……緋雁さんがつまみ食いしないように監視してください」
風祭猪祈:「任された。ほら、みんな座るんだから出てくる」緋雁を炬燵から引っ張り出す。
風祭緋雁:「うぎゃ~~~~」ずるずると引きずり出される。予想に反して長い。
箕中舞:「仲良しだなぁ」
GM:そうして、それぞれが好きな材料を適当に入れただけの、何鍋とも言い難い鍋が始まる。
三廻部シュウ:「うん、うまいうまい。何の肉だこれ?まあいいや。うまいし」
風祭猪祈:「やっぱ味わかってないじゃん」苦笑しながら
冬村歩人:「な。絶対高い肉なんて分からんだろ」 緩めのペースで食べている。割と野菜多め
三廻部朔夜:「ええ。口に入ればなんでもいいんですよね、お兄ちゃんは」野菜を口に運んで。
箕中舞:二人を眺めながら茨木さんの取り皿に本人の了承なしに具を取り分け、彼女の前に置く!
茨木律華:「そうみたいね。次の買い出しからは、もう少し安いお肉を選びましょうか」もくもくときのこや白菜をつついている。
茨木律華:「……もうあるんだけど」自分の取り皿を手に持って、箕中さんにじとっとした視線を向ける。
箕中舞:「あっほんとだ……ごめんね……」
箕中舞:うなだれてちらちらと茨木さんの方を見るが、諦めて自分で食べ始めます。
箕中舞:「うう……さつま揚げおいしい…」
茨木律華:「謝られても困るんだけど……」
箕中舞:「そ、そうだよね」
冬村歩人:「舞ちゃんは相変わらずだな」 キノコ周りを攻めつつ 「ちゃんと自分のぶんに集中すると良い。子どもでもないんだ」
箕中舞:冬村さんの言葉に「はい……」と返しながらお肉をほおばる。
風祭緋雁:「猪祈~。あたしにもとって。お肉とか……カニは?カニある?」
風祭猪祈:「カニなんて高級なもんが正月以外に食べれる思うな」
風祭緋雁:「そんな…………」
風祭猪祈:「ほら」鍋をよそってあげる。白菜、しらたき、しめじ、豆腐……以上!
風祭緋雁:「何コレ……」絶望の表情。「刑罰?」
三廻部シュウ:「いや、カニ買ってきたぞ。底の方に沈んでるはず」
三廻部朔夜:「は!?聞いてないんだけど!また無駄遣いして……!!」
茨木律華:「買ったの? 嘘、見逃してた……」
冬村歩人:「……冒涜的なことをするな! 底の方だって……?」 思わず覗く
風祭猪祈:「……うわ、ほんとだ」
冬村歩人:「カニカマボコとかか? シュウのことだし……」
GM:鍋の底にはいかにも高そうなカニが沈んでいる。おそらくわざわざ市場で買ってきたのだろう。
三廻部シュウ:「食いたかったから……」
箕中舞:「かに!」何テンポか遅れて話題に追いつきます。
冬村歩人:「……おっまえ、正気か」 頬を引きつらせつつ
箕中舞:「えっ……わっ すごい」
冬村歩人:「食いたいのは分かるし、買うのも分かるが、なんでそれを食べる段で雑に扱うんだ」
三廻部シュウ:「いや、肉がうまかったから……忘れてた」
茨木律華:「これ、スーパーに売ってたやつじゃないわよね……なんか途中で姿が見えないと思ったら……」怒るというより呆れ。
三廻部シュウ:「茹でりゃ食えんだろ?一緒一緒!」
風祭猪祈:「カニ鍋にするなら他の食材もちゃんと揃えたのにね」
冬村歩人:「……」 少し悔しそうな表情をしている。カニがあると分かっていれば、もう少しペース配分を変えていたという後悔だ
冬村歩人:「……まあいい、実際、茹でられてるなら食べれるだろう。朔夜ちゃん、ハサミとかカラ入れとか持ってきてくれるかな」
三廻部朔夜:「……茹でちゃったものは仕方ないですね。ちょっと待っててください」溜息と共に席を立つ。
風祭緋雁:「あたしにもカニ取って……猪祈……いや猪祈は信用できない……律華……舞……歩人さん……」
冬村歩人:「準備ができたらな。……それでだ」
冬村歩人:「古今東西、カニは食い始めるとみんな黙ると聞いている。話す必要があることがあれば、今のうちに話しておこう」 情報のことだ
三廻部シュウ:「確かにな……カニには勝てない。例の件、その後どうだ?」
冬村歩人:「"聖櫃"の中身について少し調べた。前の調査から引き続き、物流方面からだが……」
冬村歩人:「簡単にまとめれば、保険、兼、担保といったところか」 箸を止め、少し後ろに身体を傾ける
箕中舞:「保険……」
冬村歩人:「崩落戦の7つのセル。それぞれがそれぞれを信用するための契約手形。そして、全てが終わった後に態勢を立て直すための貯金」
冬村歩人:「そんな印象だな。背後と未来の憂いに備えて、目の前の戦いに全力を傾けるための一手だったんだろう」
冬村歩人:「それが宙に浮いてるんだから世話のない話でもある」 話し終え、姿勢を直す
風祭緋雁:「そういう目的でもなければ、自分で持っとけばいいもんね」
箕中舞:「気になってはいました。"聖櫃"が実存するとしたら、なんでそんなものが用意されたのか」
箕中舞:「崩落戦の、先を見ていたのだとしたら、確かに……」
茨木律華:「確かに、セル同士の信頼関係なんて宛にできないものね。分かりやすい"力"が要として必要だった」
風祭猪祈:「ま、そこまでして仲良く共倒れしてるってのはお笑いだけど」
風祭猪祈:「"ツィーザー"も"エルドラード"も完全に落ち目じゃん」
風祭緋雁:「この前ツィーザーの施設に忍びこんだけど、もうヨボヨボの死にかけって感じだったねえ」
冬村歩人:「逆に言えば、それぞれのセルの本命・中核を為すほどの本物の切り札は聖櫃にはない、と言い切って良いはずだ」
冬村歩人:「……勿論、互いに互いを納得させるだけの財産を出し合うという流れが見て取れる以上、相応に価値あるものが結集してるという前提は違いないだろうけどね」
三廻部シュウ:「ま、本物の切り札はしまい込んだりせず、崩落戦に投入したはずだもんなあ」
冬村歩人:「災難なことだな。頭が軒並み持っていかれて、折角の備えをどう引き出せば良いかが分からなくなるなんて」
箕中舞:「……」
箕中舞:ちら、と茨木さんの様子を伺う。
三廻部シュウ:「肝心の場所のほうはどうだ?誰か何か掴めたか?」
茨木律華:「……何?」箕中さんの視線に気づく。
箕中舞:「あっううん、何でもないよ」
箕中舞:セルの本命を成すほどの切り札はない、という説を聞いて少しホッとしてしまった自分に嫌気がさす。
箕中舞:「……律華ちゃんと私は、それらのセルが聖櫃を隠したとしたらどこか、それを探っていました」
茨木律華:「ええ。こっちは引き続き、その死にかけになったセルを幾つか探って回っていたけど」
茨木律華:「あまり芳しいとは言えないわね」
茨木律華:「少なくとも、同盟していた中のセルが所有する施設・敷地には存在しないみたい」
箕中舞:「……はい。なんだか、記録を見る限り、気配はあるんですけど」
茨木律華:「これも先の話を踏まえれば、当然と言えば当然ね。一カ所に固めなければ聖櫃の意味がない。けど、どこか一つが自由に使えるんじゃ、結束に歪みが生まれる」
三廻部シュウ:「ふーん……まあ予想はしてたが……そうなるとどこを当たっていいのやら、って感じだな……」
箕中舞:「どのセルからも、同じだけ近く、同じだけ遠い。そんな場所があるわけでもないでしょうし……」
風祭猪祈:「7つのセルのどの勢力にも属さない中立地帯……」
冬村歩人:「…………」 一つ、パッと思いついた候補があったが、口には出さない
茨木律華:「……そうね。無関係なセルに預けるって線も考えにくいし」
三廻部シュウ:「ここからが調査本番って感じだな。よそに出し抜かれないよう、気を引き締めていこうぜ」
風祭猪祈:「そうだね、今の所他所の目立った動きは確認できてないけど」
冬村歩人:「……この調子で行けば、王手チェックは程なくかけられるとは思う」
風祭猪祈:「落ち目とはいえ、規模だけは大きい『元同盟』セルの情報が流れてこないってことは、本気でアイツらそんな体力がないってことだと思う」
茨木律華:「……だといいけど」
風祭猪祈:「逆に、小さな新興セルの動きは"書店"の情報網じゃ拾えなそうかな。それこそ直接接触でもしないとね」
風祭緋雁:「足元すくわれないようにしなきゃね~」
冬村歩人:「他を警戒するのも良いが、あまり気を散らすメリットもあるとは思えない……そうだな。猪祈の言う通り、目新しいセルには、多少気をつけた方が良いかもしれないが」
箕中舞:(えっ——)
箕中舞:さあっと血の気が引く。
冬村歩人:「それこそビッグネームが……聖櫃の在り処を把握しているような奴が命からがらに落ち延びていて、」
冬村歩人:「万全の態勢を整えてセルを興しにかかる、くらいのことはあっても不思議じゃない」
冬村歩人:もちろんこれは本音からの発言であると同時、UGNから注意を逸らすための意見でもある
三廻部シュウ:「ぞっとしねえ話……いずれにせよ、急いだほうがいいってことだな」
風祭猪祈:「うん、私達が言えたことじゃないけど、オーヴァードはしぶといからね」自嘲気味に
茨木律華:「……」箸を持つ手を止めて、考え込んでいる。
箕中舞:(……大丈夫だ。大丈夫。今までの流れから次に目を向けるとしたらそれが周辺の新興のセルになるのは当たり前で)
箕中舞:(用心深い冬村さんが、そこに気を向けすぎる事には難を示してるんだから、まだ)
冬村歩人:「同意だ。最初こそ慎重に、と言ったが……今となっては拙速を尊ぶのも手かもしれないね」 操作するでもなし、スマホを片手で弄ぶ
冬村歩人:ほどなく、律華ちゃんが手を止めていることに気づく 「……律華ちゃん?」
冬村歩人:「何か気になることでも?」
茨木律華:「……いえ。私ならどこに隠すだろうかと、考えていただけよ」
風祭猪祈:「自分なら、か……」
冬村歩人:「面白い考え方だ。安易に人に渡せない、さりとて持ち運ぶわけにもいかない大事なものを、どこに隠すか、か……」
箕中舞:「バロールシンドロームの能力者が、空間に穴を空けて移動するのを見たことがあります」
箕中舞:「ああいった能力の応用で、『どこでもない』場所が作れたりはしないかなぁ」
茨木律華:(……どこのセルからも、等しく手を出す事が難しい場所)
茨木律華:(そんなものが、”FHの中”にあるだろうか)
冬村歩人:「まさか鍋の底という訳にもいかないだろうしね。シュウじゃあるまいし……」
三廻部朔夜:「お待たせしましたー。やっと見つけましたよ……」容器を抱え、カニ鋏をチョキチョキさせながら帰ってくる。
三廻部朔夜:「…………?」律華さんでなく、舞さんに目を向ける。
三廻部朔夜:「どうしました、舞さん」
三廻部朔夜:「顔色、悪くないですか?寒いですか?温度上げます?」
箕中舞:「ぁえっ」
箕中舞:「いや、今日はちょっと……あの」
茨木律華:その言葉で、初めて箕中さんの変化に気付いて顔を上げる。
箕中舞:「タトゥーを隠すためのコンシーラーを変えたところだったの」
箕中舞:「だから、大丈夫だよ。心配しないで」
箕中舞:そう言って咲夜ちゃんに微笑みかけます。
三廻部朔夜:「あ、そうだったんですか?全然気付かなかったなあ……」
茨木律華:(……わざとらしい)普通に嘘だと見抜いている。顔色が変わったのは、明らかに鍋を食べ始めた後だ。
茨木律華:(こいつの挙動不審なんて、珍しくない事だけど……)だから何も言わない。
風祭緋雁:「それよりカニ!カニとってよ~。猪祈以外の誰か……」
冬村歩人:軽く腕を組み、指を遊ばせながらしばらく考えていたが
冬村歩人:「……いや、俺なら素直に猪祈に預ければ良いか。それで困ることなんてほとんどない。もしも猪祈に秘密にしたいことなら緋雁ちゃんだな」
風祭猪祈:「へえ~……」歩人さんの言葉に眉をピクリと動かし
冬村歩人:ハサミでカニをがちがち切って、椀によそい 「秘密、緋雁ちゃんなら守ってくれるだろ?」
冬村歩人:その椀を緋雁ちゃんの前に置く 「ほら、こうして上納もする。」
風祭緋雁:「お、信頼されてる。もっちろん。歩人さんのためならね~」猪祈さんにわざとらしく視線を送り。
風祭猪祈:「あ、こら!歩人さんはすぐそうやって緋雁を甘やかす!」
風祭緋雁:「…………」黙々とカニを食べ始める。
冬村歩人:「いいじゃないか。確かに今のは二番目に立派な脚だったけど……一番立派なのは残ってる」
冬村歩人:猪祈に笑いかけて 「取ろうか?」
風祭猪祈:「いい!自分で取る!」ぷいっとそっぽを向き
茨木律華:「……」箸を持ち直して、冷めた豆腐を口に運ぶ。
冬村歩人:「ははは。どうぞ」 ハサミを渡して、あとは猪祈の後にカニを取りに行くつもりでいよう
三廻部シュウ:「…………」一心不乱にカニを食べている。
箕中舞:「……」
箕中舞:早鐘のようだった心臓は落ち着いた。
箕中舞:でも、さっきまであれだけ楽しみだった蟹の味が、全く分からない。
箕中舞:(気づかれて……気づかれてない、よね?)
風祭猪祈:舞ちゃんを尻目に、立派な足を一本取り、ズルリと身を引き抜いている
風祭猪祈:「緋雁の分は歩人さんがよそっちゃったから、代わりに私が剥いてあげる」悪戯っぽい声色で
冬村歩人:「お、良いのかな? 俺はありがたいけど……」 素直に受け取るつもりだ
風祭猪祈:「ふふふ」身の付いた脚を歩人さんの眼前にぶら下げ
風祭猪祈:「ほら、歩人さん、『あーん』」
冬村歩人:「……え」 思わぬ誘いに、びくりと固まる
箕中舞:(シュウさんはどこまでも自由で、それを咲夜ちゃんがたしなめたり)
箕中舞:(冬村さんが猪祈ちゃんをからかって、緋雁ちゃんを甘やかしたり)
箕中舞:(それに)
冬村歩人:「いや、あー……そんな。猪祈が食べなよ。俺はその、はは、そんなにだな」 笑いながら目を逸らし
冬村歩人:「皆も見て……見てはいないが……」 皆カニを食べながら黙っている……!
箕中舞:(律華ちゃんが、みんなとテーブルを囲んで、鍋をつつくようになるなんて……)
箕中舞:否応にも自覚してしまう。この団欒の一時を壊そうとする異物が、自分なのだと。
風祭猪祈:「いいじゃん。誰も気にしないってー」珍しく主導権を握れてニヤ付いている
風祭猪祈:「私のカニが喰えんと言うのかね?んん~?」
冬村歩人:「いや、でも……あー……ったく、猪祈……」 諦めたように苦笑いし、首を振って
冬村歩人:もう一度皆を見て 「……後で覚えとけよ」 慎重に口を開き、食べる
茨木律華:賑やかな声を耳にして、"聖櫃"の事ばかり追いかけていた思考が、ふと足を止める。
茨木律華:……以前のセルにはなかったような日常が、ここにはある。それは確かなことだ。
冬村歩人:「……つっ、熱、あつっ……!」 そして、その熱に口を押さえながら震える。鍋底で熱されたカニは熱い……!
風祭猪祈:「んふふ、よくできました~」子供をあやすような口ぶりで
茨木律華:7年前、全てを奪われてから。
茨木律華:記憶を失い、化物めいた兵士に作り変えられ、世界の裏側に堕とされてから殆どの時間は、
茨木律華:仇どもを騙し抜き、内側から頸を搔き切る、その確実な機会を得るために使った。
茨木律華:こうして“ディアスポラ”で過ごした時間は、”今の自分”の中にあって、ただ一つ鮮やかな部分だ。
冬村歩人:「この、いの、お前っホント……!」 口の中で極々小の魔眼を生成して中和しつつ、それでもまだ熱いものは熱い
冬村歩人:「ホントに、後で……っひゃふ……!」 お茶で流し込もうとして、そのお茶も大概熱かったので、また悶える……!
風祭猪祈:「ぷっ……!あははっ……あはっ!歩人さんかっこ悪~!」腹を抱えて笑う
三廻部シュウ:「はははは!いいザマだな歩人!」
茨木律華:……だけど、ここで満足する事はあり得ない。してもいけない。
茨木律華:ここにあるものはまやかしだ。
茨木律華:茨木律華の夢は、陽の当たる場所で平穏に暮らす事だ。
茨木律華:泥の底に落ちていった自分の人生を雪ぐ事だ。
茨木律華:ここで立ち止まってしまえば、きっと。何も得られずに死んでいく事になる。
茨木律華:(……私は、絆されない。間違えない)
茨木律華:分かっている。今更、確認するまでもない。だけど。
茨木律華:どうしようもない不快感が、ずっと胸の内で渦巻いている。

GM:---

GM:シーン終了。
GM:ロイス・購入が可能です。
風祭猪祈:照準器狙います
風祭猪祈:5dx+1
DoubleCross : (5R10+1[10]) → 10[2,3,9,9,10]+10[10]+3[3]+1 → 24

冬村歩人:ロイスは保留でー
風祭猪祈:めっちゃ回った
箕中舞:ロイス保留 ボデマいこうかな
冬村歩人:応急手当キットをもう一個くらい用立てておこう
箕中舞:6dx+1
DoubleCross : (6R10+1[10]) → 10[1,3,4,5,9,10]+8[8]+1 → 19

茨木律華:ロイスはなし。ボディアーマー買います
冬村歩人:3dx+1=>8
DoubleCross : (3R10+1[10]>=8) → 10[9,9,10]+9[9]+1 → 20 → 成功

風祭猪祈:購入成功。サイレントシーカーに取り付けます
冬村歩人:高級品が続くなあ!
茨木律華:3dx+1>=12
DoubleCross : (3R10+1[10]>=12) → 10[2,7,10]+5[5]+1 → 16 → 成功

冬村歩人:調達成功。多分カニ味です。
風祭猪祈:ロイスは保留。以上!
茨木律華:購入、装備!

【Middle3/分かっていたことだ】

GM:次のシーン。シーンPCは箕中さんだけ!
GM:登場どうぞ!
箕中舞:箕中舞の侵蝕率を+9(1d10->9)した(侵蝕率:52->61)

GM:---

箕中舞:遂に私にもダイスボーナスが……!
“アウレリウス”:「……調査は順調のようですね」
“アウレリウス”:フロアの喧騒の中でも不思議と聞き取りやすい低い声で、アウレリウスが言う。
“エクィテス”:「さっすが“ディアスポラ”って感じ。そろそろ本命の隠し場所も分かっちゃうんじゃない?」
箕中舞:「……はい。私たちは、かの遺産の秘密に手をかけつつある」
“アウレリウス”:「……引き続き、報告をお願いします、舞さん。あなたの働きに期待していますよ」
箕中舞:「了解、しました。思考の足場となる情報はおおむね固まりつつあります」
箕中舞:「“聖櫃”が“カリポリス”のものになる日も、近いでしょう」
“アウレリウス”:満足気に頷く。
“アウレリウス”:「ええ。その為には、他のセルに……“ディアスポラ”の手にも、万が一にも渡すわけにはいかない」
“アウレリウス”:「そこで、舞さん」
“アウレリウス”:「あなたにもう一つ、お願いがあるのですが……」
“アウレリウス”:じっと、君の瞳を見つめて。
“アウレリウス”:「聞いて、頂けますか?」
箕中舞:「はい。私に可能な事なら」
“アウレリウス”:「よかった」にこりと笑い。
箕中舞:ここまで来たのだ。2番目に大切なものを売り渡して。
“アウレリウス”:「では、三廻部シュウを殺してください」
箕中舞:これ以上を躊躇う理由は——
箕中舞:「……え?」
箕中舞:外面を取りつくよう余裕もなく、声が漏れる。
箕中舞:シュウさんを、私の手で。
“アウレリウス”:「“ディアスポラ”のセルリーダー。“プロミネンス”」
“アウレリウス”:「彼は油断できない存在です。彼がいると、いざという時に我々が出し抜かれる恐れがある」
箕中舞:「そ、……それは。でも、それは」
“アウレリウス”:「それに、彼がいなければ“ディアスポラ”セルの動きは著しく鈍化するでしょう」
箕中舞:「はい、その考えは、間違いありません」
“アウレリウス”:「彼らにはもう少し情報を集めていただき……もう、我々“カリポリス”だけで事が進められるという段に至れば」
“アウレリウス”:「いなくなってもらったほうが、我々の利益に繋がる。お判りでしょう?」
箕中舞:三廻部シュウが牽引し、冬村歩人が押し上げる。“ディアスポラ”のメンバーを纏めているのは、結局の所そこだ、と自分は思っている。
箕中舞:リーダーは、文字通り私たちの原動力だ。
箕中舞:「でも、無理…………です。私の実力では、シュウさんを……なんて」
“アウレリウス”:「真正面からは不可能でも、あなたは彼に信頼されています。油断を狙えばいくらでも機会はあると思いますが?」
“アウレリウス”:「幸い、“カリポリス”は技術力のあるセルではない。上手くすれば、あなたが殺したということも露見せずに済むでしょう」
“アウレリウス”:「外部の犯行と思わせればいい。簡単でしょう?」
箕中舞:(自分が、信頼されない理由をひねり出すのは、容易い)
箕中舞:だが、それを彼は嘘だと見抜くだろう。それに
箕中舞:情報をもたらす“羊”としての自分の価値を貶める発言はまずい。
箕中舞:「………………」
箕中舞:そうだ。分かっていたことだ。
箕中舞:私がやり遂げれば、“ディアスポラ”は滅びる。目を背けようとしたから、現実が追い付いた。
“アウレリウス”:「……まあ、時間はまだあります。すぐに答えを出す必要はありません」
箕中舞:震えを抑えて、“アウレリウス”を見る。
“アウレリウス”:「ただ、僕は」
“アウレリウス”:真意の読めない笑みを浮かべる。
“アウレリウス”:「あなたの望みが叶うことを、願っていますよ」

GM:---

GM:シーン終了。
GM:ロイス、購入可能!
箕中舞:三廻部シュウのNを殺意〇に

【Middle4/夢を見ている】

GM:引き続き情報収集シーンです。項目はこちら

・“聖櫃”の在処について10/15
難易度8
・“聖櫃”そのものについて 2/4
難易度9
・UGNの動向 3/10
難易度11
・他FHセルの動向 5/10
難易度11

GM:シーンPCは茨木さんと箕中さん。ほか自由!
箕中舞:箕中舞の侵蝕率を+8(1d10->8)した(侵蝕率:61->69)
茨木律華:1d10+73
DoubleCross : (1D10+73) → 9[9]+73 → 82

風祭猪祈:風祭猪祈の侵蝕率を+6(1D10->6)(侵蝕率:78->84)した
冬村歩人:冬村歩人の侵蝕率を+10(1d10->10)した (侵蝕率:64->74)
茨木律華:ひたすら高いなこいつ…
冬村歩人:侵蝕ダイスが破滅にブッコミ過ぎ
GM:では判定どうぞ!
箕中舞:聖櫃の在処! 情報FHで!
箕中舞:7dx+1
DoubleCross : (7R10+1[10]) → 10[1,2,5,8,9,9,10]+4[4]+1 → 15

箕中舞:うーん 財産全部入れればいけるが……
箕中舞:まあやっちゃうか
箕中舞:5点入れて達成20
GM:クリアするとトリガーイベント発生しちゃうのでそこだけ注意!
箕中舞:はーい
箕中舞:あ、装着者の基本侵蝕修正忘れてました 2足します
箕中舞:箕中舞の侵蝕率を+2した(侵蝕率:69->71)
冬村歩人:聖櫃について、行きます。<情報:UGN>、コネ:UGN幹部使用
冬村歩人:5dx
DoubleCross : (5R10[10]) → 10[3,6,7,8,10]+7[7] → 17

冬村歩人:マジで出目がやばい
冬村歩人:成功です。これで聖櫃そのものについてはクリアですね
茨木律華:じゃあFHセルの動向に行きます。情報:FHで
茨木律華:4dx+1>=11
DoubleCross : (4R10+1[10]>=11) → 3[1,2,2,3]+1 → 4 → 失敗

茨木律華:あっ…
風祭猪祈:oh…
GM:あっ
茨木律華:しょんぼり
GM:ロイス切ろうぜ!!
茨木律華:あっ……いやでも7以上は……
茨木律華:いくらなんでも分が悪い……撤退します……
風祭猪祈:じゃあUGNの動向を探ります。情報FH、コネ使用
風祭猪祈:《陽炎の衣》で隠密化
風祭猪祈:11dx+3=>11
DoubleCross : (11R10+3[10]>=11) → 10[1,2,2,2,3,3,4,4,5,6,10]+2[2]+3 → 15 → 成功

風祭猪祈:風祭猪祈の侵蝕率を+3(侵蝕率:84->87)した
GM:では開示!

・“聖櫃”の在処について13/15
進行度12
過去、複数のセルにより市内の公共事業に裏から圧力と工作活動が行われていた形跡があった。
相当大規模な都市改造計画が途中で頓挫している。何らかの目的でその発起からFHが関わっていたものと見られる。

・“聖櫃”そのものについて 4/4
進行度4
“聖櫃”本体については、7つのセルが協力して作り上げたものらしい。
性能については、直接開発に関わった者ですら何のための開発なのか全体像を把握していなかった程の極秘事項となっていた。

・“聖櫃”のシステムについて0/10
難易度12
の情報項目を追加。

・UGNの動向 5/10
こちらも開示項目はなし!残念!FHとUGNはどちらも進行度6に項目があった!

GM:---
GM:深夜 市内レストラン
GM:---

GM:N市でも有数の高級レストランは、君達の貸しきりとなっていた。
GM:ここは“ディアスポラ”が所有する物件のひとつだ。本来はドレスコードがあるような店だが、君達はほとんど普段着のままで食事をしている。
三廻部シュウ:「相変わらずうまいけど、流石にここでばっか食べてると飽きてくるよなぁ」
三廻部シュウ:ワインをぐびぐび飲んでいる。
三廻部シュウ:「なんか食った気しねえし……うまいけどさあ……」
冬村歩人:「本来の客層が今のシュウを見たら、顎を落とすだろうな」 やれやれといった様子でナッツをつまんでいる
冬村歩人:わざわざドレスコードに従うつもりは特にない。猪祈と二人きりでもないし
三廻部朔夜:「ホントですよ……」言いつつ、こちらもセーラー服のまま。
茨木律華:「十分な量だと思うけど……」手元の肉をゆっくりと切り分けながら。
箕中舞:「シュウさんってたまに信じられない事言いますよね……」
風祭猪祈:「おまけにオーナーだと知られたら店の沽券に関わるよね」スープを掬う手を止めて
三廻部シュウ:「何だよみんなして……!ここオレの店だぞ!」
三廻部シュウ:「そういう事言うと焼肉食べ放題バイキングに改装させるからな!」
冬村歩人:「料理長をあまりいじめてやるなよ。協力はしてくれてるんだから」
箕中舞:「あ、それはもちろん」
箕中舞:「感謝してます……こっちに来るまではこんなに手の込んだ食事とか、なかったし」
箕中舞:「ね」
箕中舞:と茨木さんに振って、即座にしまったという顔をする。
箕中舞:「あっ、いや。ごめん……私のせいなのに」
茨木律華:「……」忌々しそうに睨みつけて。
箕中舞:「ひんっ……」
風祭緋雁:「あたしは焼肉でもいいけどね~」電動車椅子に乗って、片手で器用に食器を使っている。
風祭猪祈:「アンタもここに来るまでまともな料理食べたことないはずなのに……完全にシュウ兄さんに毒されてんじゃん」
風祭緋雁:「嘘……マジ……?」
三廻部シュウ:「毒されるって何だよ……オレは普通だろ」
冬村歩人:「ほら、二人とも。食事の場でそんな風に見合うでもない」 舞ちゃんと律華ちゃんに
茨木律華:わざとらしく溜息を吐いて、向き直る。
箕中舞:しずしずと伏し目がちに食べ物に向き合います
三廻部シュウ:「で、どうだ?調査の方は」ステーキをつつきながら。
箕中舞:「ええと、はい」
冬村歩人:頷き、視線を舞ちゃんに向けてまたナッツを齧り始める
箕中舞:少し、躊躇って。
箕中舞:「ありました。それらしい痕跡が」
三廻部シュウ:「マジか」身を乗り出す。
三廻部朔夜:「マジですか!?」
茨木律華:手を止めて、じっと箕中さんの方を見る。続く言葉を待つ。
箕中舞:「建設計画……それも行政側の、過去に頓挫した都市計画があるんですけど」
箕中舞:「それに、FHが——それも複数のセルが関わっていたみたいなんです」
冬村歩人:「都市計画というと……あの辺りか?」 将来には第十地区などと呼ばれる辺りを脳内で思い描く
箕中舞:「えっと」と言いながら手元のタブレットを操作し、資料をテーブルへ。
茨木律華:「……」都合の良い中立地帯が存在しないなら、新しく作ればいい。理屈は通っているように聞こえる。
風祭猪祈:「どれどれ……」資料を覗き込む
箕中舞:「いくらかのセルの末端メンバーを操って引き出させたものなので、中核に迫る情報はありませんけれど」
冬村歩人:「……所在という意味では、なるほど確かにありそうな話だ。棄てられた一帯か……」
冬村歩人:「いや、それにしても随分重要な所を押さえられたんじゃないか。さすがだな、舞ちゃん」
箕中舞:「っ、はい」
箕中舞:自分がこれだけの成果を上げたことを怪しまれているだろうか。
三廻部シュウ:「ああ、流石だよ。やっぱり舞は頼りになるな」
風祭猪祈:「うん、お手柄」
三廻部シュウ:「これからも期待してるぜ」
箕中舞:調査の過程でいくらか“カリポリス”の伝手を借りている。クリティカルな情報に行き当たれたのは偶然だが、急ぎすぎたかもしれない。
箕中舞:「ありがとうございます」
茨木律華:「……そうね。珍しくいい仕事だわ」
箕中舞:シュウさんからのストレートな賞賛に心臓が痛む。
箕中舞:“アウレリウス”の言葉が思い出される。自分は信用されている。
風祭緋雁:「あ、あたしからもちょっと」軽く挙手。
風祭緋雁:「この街のFH関係に、ちょっとした動きがぽつぽつ見られるね」
冬村歩人:「動き?」
風祭緋雁:「うん。今はエージェントを使わないで、外部のフリーランスに任せてるみたいで、どこのセルかは分からないけど」
風祭緋雁:「どうも、“聖櫃”関連っぽいんだよね」
風祭猪祈:「他所も嗅ぎつけ始めたってわけか」
茨木律華:「時間をかけすぎたかしら」
風祭緋雁:「とりあえずもうしばらく街中を監視してみるよ。それと……」
風祭緋雁:そこで一度言葉を切り。
風祭緋雁:「……いや、何でもない。……歩人さんはどう?何か調べてたみたいだけど」
風祭猪祈:「……?」らしくない態度に違和感を覚えつつ
冬村歩人:「ああ。俺からも重要な所を共有しておこう。"聖櫃"の所在が分かり、運良く手に入ったとして、の話だ」
箕中舞:「分かったんですか、何か」
冬村歩人:「櫃(ひつ)、っていうのは、つまり箱のことだ。それは色々な宝を詰め込んだからそう呼んでいるんだろう。で……」
冬村歩人:「箱というなら、鍵をかけることだってできる」
茨木律華:「ただ手に入れるだけじゃ使えない、ってわけ」
風祭猪祈:「そういえばそうだね……つい箱を手に入れればOKだと思ってたけど」
冬村歩人:「と、思われるって所だな。物理、電子、単純暗号、あるいは時空級の超常封鎖。実際にそれが何かはわからないが……」 スマホの画面を指でこつこつ叩きつつ
冬村歩人:「7つのセルがそれぞれの宝を守るのに、7つのセルがそれぞれで手を加えて、結果7つのセルの誰も全容が分からないほどの防備が、"聖櫃"には施されているのは、確実と見て良い」
三廻部朔夜:「ロックされてるってことですか……」
三廻部シュウ:「…………」頬杖をつき、眉間に少し皺を寄せる。
箕中舞:(…………鍵……)
冬村歩人:「推定だが、ほとんど確実な推定だ。……手に入れたあと開けることを考えるなら、聖櫃の開発に関わった人員から、情報をかき集めるしかないな」
三廻部シュウ:「一筋縄では行かないってことだな……」
風祭猪祈:「なにそれ、結局みんな好き勝手やって収集つかなくなってんじゃん。FHらしいっちゃあらしいけど」
GM:その時、冬村さんのスマートフォンが短く振動する。ショートメッセージの受信。
GM:差出人は、風祭緋雁。
風祭緋雁:『この後ちょっと時間ある?』
冬村歩人:「だからこそ制作の7セルも手を出せずに……ん」
風祭緋雁:本人に目を向けると、にへら、と力の抜けた笑みを浮かべる。
茨木律華:「仮にうちが櫃を手に入れたとして。それを他から守りながら、"鍵"を開ける手段を探す羽目になる……みたいな展開もあり得るわね」
三廻部朔夜:「そうなったら最悪ですね……!」
冬村歩人:僅かに眉を上げて 「……まあ、そういうことがあるってことは理解しておいてくれ。所在まで迫った舞ちゃんには悪いけど……」
冬村歩人:言いながら、スマホのメッセージで返す 『大丈夫だ』
風祭緋雁:確認して、まばたきだけで頷く。それきり、何事も無かったかのように食事を続ける。
箕中舞:「はい……あのっ」
箕中舞:「良いですか、こんな事、今更、なんですけど……」
箕中舞:その場にいる皆を見渡して
冬村歩人:スマホをポケットに入れて 「何かな、舞ちゃん」
風祭猪祈:「どうしたのさ、改まって」
箕中舞:「そんなに扱うのが困難で、手に入れても火種になって」
箕中舞:「でも他のセルに確保されたら、更にそこに群がるセルを出し抜くのも現実的じゃないっていうか……」
茨木律華:「……だから?」冷ややかな目。
箕中舞:茨木さんの声にびくりと肩を震わせる。
箕中舞:「ひっ、あの……いっそ“聖櫃”を諦める、っていうのは……」
風祭緋雁:「…………」
三廻部朔夜:兄であるシュウに視線を向ける。
三廻部シュウ:「…………」舞さんに視線を向けて。
三廻部シュウ:「確かに、気持ちは分かる。これはデカくて、それ以上にヤバいヤマだ」
三廻部シュウ:「今以上に危ない橋を渡ることになるかもしれない」
箕中舞:「じゃあっ」
三廻部シュウ:「だが……いいか、最初には言わなかったことだが……」
三廻部シュウ:「オレはこれが、オレ達が這い上がる、最後のチャンスかもしれないと考えてる」
箕中舞:「最後の……?」
冬村歩人:「……ほう」 片目を細める
風祭猪祈:「それは、どういう……」
三廻部シュウ:「一度はガタガタになったUGNも、日ごとに再建が進んでる」
三廻部シュウ:「最初は馬鹿馬鹿しいと思ってた例の……『十三支部構想』」
三廻部シュウ:「あれも形になりつつある。完成すれば、FHに対する監視の目はこれまでの比じゃなくなるだろう」
三廻部シュウ:「FHがどれだけ計画を企てても、達成する前にUGNにその芽を摘み取られる」
三廻部シュウ:「そういう時代が来るのも、そう遠くないことだとオレは見てる」
冬村歩人:「……本当に成立できると思うのか? 崩落戦でも重要戦力を数え切れないほど失った今のUGNに」
三廻部シュウ:「ああ。オレはそう思ってる」
茨木律華:「……」何も言わないが。あながち間違いではないだろう、と思う。
茨木律華:自分達がこうやって騙し合い、探り合い、競い合いをやっている間にも。向こうは組織的な統制を維持しているのだ。
三廻部シュウ:「戦力を失ったからこそ、奴らはさらに強靭に組織を整え、立て直そうとしてる」
三廻部シュウ:「その努力は、既に実を結びつつあると思う」
風祭猪祈:「……確かに、UGNも崩落戦で数え切れない犠牲を出した。けど」
風祭猪祈:「それはあくまで『この街の』戦力だもんね。向こうはその名の通り世界規模の組織力がある」
冬村歩人:「セル(細胞)ではなくオーガン(組織)だからこその強み……そして修復力か」
三廻部シュウ:頷く。「だから俺は、今に。このヤマに賭けたんだ」
三廻部シュウ:君達全員の顔を見て。
箕中舞:……そうだ。この人は、行動力だけで生きている考えなしじゃない。
箕中舞:動き出した計画を止めるには、急に担ぎ出した理屈じゃあ足りない。
三廻部シュウ:「だが、お前らはオレに付き合ってもらう必要はない」
三廻部シュウ:「降りたいと思うなら、今からでも降りてくれて構わない」
三廻部シュウ:「……どうだ?降りたい奴はいるか?責めはしない」
箕中舞:(違う。私は)
箕中舞:(私は、貴方を手にかけたくなくて、それで)
風祭猪祈:「……勝手に乗せたくせにそういう事言うの。ずるいよ」呆れたように笑って
風祭緋雁:「あたしはここまで来たら中身が気になるな~」
冬村歩人:二人がそう言うと、続くように口を開く 「……同感だな。ここまで連れてきて、降りたければ降りろもない」
三廻部朔夜:「そうだよ。今さらでしょ」
箕中舞:追随していく皆を、捨てられた犬のような心持で見ている。
箕中舞:(——そうだ、律華ちゃんは)
茨木律華:ずっとシュウに向けていた視線を切って、箕中さんの方を見る。
箕中舞:「律華ちゃん……」
茨木律華:「……お前にとっては、"このまま"が良いんでしょうね」
茨木律華:「このセルに来てからずっと、"ベンサレム"の事と比べて、良かったって。そればっかり言って……」
箕中舞:「ち……違う、違うよ……私は」
箕中舞:「私は、ずっと律華ちゃんのことが………………」
箕中舞:続きは声にならない。その先は、裏切りを意味する言葉だから。
茨木律華:「ああ、そう」
茨木律華:「だったら、私の望みは知っているはずでしょう」
箕中舞:「——ファルスハーツとの因縁を清算して、普通の日常を送る事——」
箕中舞:「そう、だったよね」
茨木律華:「ええ。そのために、お前が壊した記憶を取り戻す。この右眼にかけられた呪いを解く」
箕中舞:「……うん」
箕中舞:「私は、そのために生きているの」
茨木律華:「……今更、お前なんかに期待しないわ」シュウの方を振り返る。
茨木律華:「私の答えは決まってる。ここで降りる事はない」
箕中舞:「……」それは、そうだろう。分かっていた。
箕中舞:"ディアスポラ"は。彼女の目的を達成するための仮宿に過ぎない。
箕中舞:だから私の答えも、本当は決まっている。
箕中舞:「ごめんなさい、私も、降りたりはしない」
箕中舞:「ついていきます。皆さんに」
三廻部シュウ:「…………」真剣な表情を緩め、苦笑する。
三廻部シュウ:「……悪い。変な事言ったな」
三廻部シュウ:「不安になってたのは、オレの方かもな」
三廻部シュウ:「頼りにしてるぜ、みんな」
三廻部シュウ:そう言って、君達に向けて頷いた。

GM:---

箕中舞:お手洗いに行くと言って食事の場を抜けてきた。
箕中舞:精神の変調が著しい。安定剤が切れかかっている……いや。
箕中舞:変調、ではない。これが正常だ。このストレスと罪悪感でぐちゃぐちゃになりそうな精神状態が。
箕中舞:「ふう゛っううう……うぁぁああああああ」
箕中舞:涙がボロボロと溢れてくる。激しい頭痛がしてまともに立っていることが出来ない。トイレの手洗い場に倒れ掛かるように肩を震わせる。
箕中舞:震える手で、アンプルを取り出し注入する。
箕中舞:「ううう…………ううっ」
茨木律華:不意に、背後で扉が開く。
茨木律華:涙声の響く異様な状況だが、遠慮も物怖じもない足音。
箕中舞:「!! あ……」
箕中舞:「律華、ちゃん………………」
茨木律華:「そんな事だろうと思ったけど」吐き捨てるように。
箕中舞:迂闊だった。トイレなのだ、誰かがやってくることくらいある。
箕中舞:彼女だけには見られたくなかったのに。
茨木律華:不愉快だ。その姿を見ているだけで、ぐつぐつと胸の奥底が沸き立ってくる。
茨木律華:ずっとこの場所に留まっていたいと、泣きじゃくる幼子を見ているようで。
箕中舞:覚醒した茨木律華に命を救われた時よりも、ベンサレムを離反した茨木律華に命を見逃された時よりも
箕中舞:今の自分が、いちばんみじめで、醜い。
茨木律華:腹立たしい。どうしようもなく。
茨木律華:「……お前、随分とこの場所に夢を見てるのね」
茨木律華:だから、こんな言葉が出てくる。
箕中舞:「う…………」
箕中舞:「私、は」
茨木律華:「私に協力しなければいけない使命感があって、それが自分の幸福と矛盾しているから」
茨木律華:「そうやって苦悶する」
箕中舞:そうだ。自分は"ディアスポラ"に夢を見ている。
箕中舞:あなたの見つけたこの場所が、みんなのいる"ディアスポラ"が。
箕中舞:あなたに取って居心地のいい場所であってほしいと願っていた。
箕中舞:虫のいい話だ。
箕中舞:涙を拭った跡で外出時用のメイクが剥がれ、左頬の刻印が露出している。
箕中舞:遺産"ミトラの供花"の能力によって与えられた、、茨木律華を害する行動を封じる薔薇の徴。
箕中舞:二度と裏切らないと、あの日に誓った。その誓いを破ることを選択したのは、自分の意志だ。
箕中舞:それでも、縋るような表情を消し去ることができない。
箕中舞:あなたが一言『"ディアスポラ"を愛している』と言えば、私は——
茨木律華:「無理よ。絶対に」重ねて否定する。
茨木律華:「今の私達は仲間で」
茨木律華:「あるいは友人と呼べる間柄も、存在するのかもしれないけれど」言葉とは裏腹に、つとめて淡々とした声音。
茨木律華: 「……でも、それだけよ。それ以上は何もない」
茨木律華:あるいは、自分自身に言い聞かせるように。
茨木律華:「シュウさんがああいう言葉を口にするのは、自分のセルを拡大するための方便だし」
茨木律華:「冬村さんや猪祈たちの望みは、あくまで”自分たち家族”の幸福で」
茨木律華:「そこには私もお前も入ってない」
茨木律華:「もちろん私だって、彼らを自分の幸福には数えてない」
茨木律華:言いながら、彼らが自分に向ける眼差しが脳裏に蘇って、
茨木律華:自分の名前を呼ぶ、仲間の声を思い出して。
茨木律華:ひどく最悪な気分になってくる。
茨木律華:そうして黒ずんだ感情を、そのまま視線に乗せて、箕中舞に向けている。
箕中舞:彼女が、確認するように言葉を連ねていくに従って
箕中舞:思考から余計なものが剥離して純化していく。
茨木律華:「お前だって、本当は分かっているはず」
箕中舞:(そう。全部、最初から決まってたこと)
箕中舞:だから、“カリポリス”と手を組んだ。
箕中舞:だから、“アウレリウス”の誘いに応じたのだ。
茨木律華:「FHここにいるのはみんな、」ここにいる限り私は
茨木律華:「そういう連中なのよ」きっとそういう生き方しかできない。
茨木律華:……目の前で、糸が切れたように項垂れる少女を見て。
茨木律華:(……何もかも、今更だ。これはただの事実確認)
茨木律華:(この女がずっと、そこから目を背けていただけのこと)
箕中舞:……やがて、彼女の足音が遠ざかっていき。
箕中舞:そこにはくずおれて抜け殻のようになった自分だけが残された。

GM:---

GM:シーン終了。
GM:ロイス購入できる!
箕中舞:セーフハウス購入!
冬村歩人:そろそろUGNボディアーマーしていくか
冬村歩人:3dx+1=>12
DoubleCross : (3R10+1[10]>=12) → 7[1,7,7]+1 → 8 → 失敗

箕中舞:7dx+1>=15
DoubleCross : (7R10+1[10]>=15) → 10[2,2,5,5,6,7,10]+10[10]+7[7]+1 → 28 → 成功

冬村歩人:財産点は温存。以上で
箕中舞:めっちゃ良い感じの隠れ家変えた
茨木律華:日常 "ディアスポラ":好意 / 〇隔意 で取ります
風祭猪祈:6dx+1=>12 ボデマ
DoubleCross : (6R10+1[10]>=12) → 6[3,4,5,5,5,6]+1 → 7 → 失敗

茨木律華:買い物どうしよう。応急キットでいいか
風祭猪祈:だめか、ごめんね歩人さん…
茨木律華:4dx+1>=8
DoubleCross : (4R10+1[10]>=8) → 9[5,5,7,9]+1 → 10 → 成功

茨木律華:買えた!持つ!以上!
冬村歩人:いいんだよ猪祈……その気持ちだけで無敵の気分さ
GM:こいつら……

【Middle5/『拾っている』んだよ】

GM:冬村さんの単独シーンです。登場どうぞ!
冬村歩人:冬村歩人の侵蝕率を+6(1d10->6)した (侵蝕率:74->80)

GM:---

GM:レストランでの食事が済んだ後、君は緋雁に呼び出された。
GM:崩落戦の被害を受け再開発中の地区、建設中のビルの中。既に夜も遅く、辺りには人気もない。
冬村歩人:冴え輝く月の他に光源のない、忘れ去られた暗い箱の中を、常通りの歩調で進む。
冬村歩人:(……シュウの勘は当たる。昔からそうだ)
冬村歩人:(ここがこの"ディアスポラ"にとって最後の機会なのも、UGNが今後力を強めていくことも、きっとその通りになるんだろう)
冬村歩人:(『だからこそ』だ。シュウ。ここで"ディアスポラ"は負けなければいけない。最後の賭けに出る前に、代償を支払わざるを得ない局面の前に)
冬村歩人:("聖櫃"を手にするのはUGNだ。UGNを盤石に。俺は、俺の代えられないものだけを伴に、その下に付く)
冬村歩人:(……そうだ。『それだけ』で良い。戦場という最大のリスクから逃れる道は、これだけしかない……シュウ。お前には悪いと思っているが)
冬村歩人:(お前なら、どこででもやっていける——) 足を止める
GM:緋雁はそこで車椅子に座り、君を待っていた。
冬村歩人:アスファルトで型取られた窓枠の原型から、月光が冬村歩人を白く、暗く照らし出す。
風祭緋雁:「やー、呼び出しちゃって悪いね~」
冬村歩人:「……待たせたかな。普段はあんななのに、動く時は早いね。相変わらず」
風祭緋雁:きゅるきゅると一人でに車椅子が動き、君の近くまで。
風祭緋雁:「まあね。やる時はやる女ですから」
風祭緋雁:「時間、大丈夫?猪祈とか、何か言ってなかった?」
冬村歩人:ポケットに手を突っ込む 「気にしないで良い。情報の筋でいきなりいなくなることは、ちょくちょくあるしね」
冬村歩人:「何か言われるってこともないさ。内心では何か思っているだろうし……俺も心は痛むが」
風祭緋雁:「そっかそっか。ならよかった」
冬村歩人:「それで? どうしたのかな、急に」
風祭緋雁:車椅子に乗った低い位置から、恋人と同じ色の瞳で君を見上げる。
風祭緋雁:「やー、ね。ちょっと聞きたいことがあってさ」
冬村歩人:見下ろす。敢えて視線の高さを合わせるようなことはしない
冬村歩人:猪祈とは同じくらいの背丈だ。こうやってその眼を見るのも新鮮な気持ちになる。
風祭緋雁:「歩人さん、あたしの能力のこと、知ってるよね?」
冬村歩人:「機械操作。電気信号の制御と理解。それによる情報の収集。……という認識だけど」
風祭緋雁:「うん、大体そんな感じ」頷き、
風祭緋雁:「それでね、最近はその能力で街中を見張ってるんだよね。“聖櫃”の手掛かりが無いかとか、他のセルに動きが無いか、とかね」
風祭緋雁:「それでね、この前あたし、街で歩人さんを見かけたんだよね」
冬村歩人:「なるほど、それで?」 続きを促す
冬村歩人:窓枠に腰掛ける。悟られないよう、この空間に電子カメラの類がないかざっと探る
風祭緋雁:「でも、おかしいんだよね」首を傾げて。
冬村歩人:目視レベルなので大した捜索にはならないが——
風祭緋雁:「この日は歩人さん、猪祈とデートのはずだったよね」
風祭緋雁:「でも、近くに猪祈はいなくて。一人でなんか、急いでるっぽく見えたんだよね」
風祭緋雁:「もしかして」
風祭緋雁:「……喧嘩でも、したの?」
冬村歩人:「…………」
冬村歩人:「……ふ」 笑みのように息を漏らす
風祭緋雁:「?」
冬村歩人:「……さっきも言ったが、調査の筋からの連絡で、どうしても中座しなければ行けないってことはちょくちょくあってね」
冬村歩人:「多分、その時を見られてしまったんだろうな。まったく恥ずかしい」
風祭緋雁:「ああ、そっか。なるほどね……」
風祭緋雁:「猪祈、怒ってたでしょ」にやにや笑う。
冬村歩人:「怒ってただろうね。猪祈、あれで結構気持ちを押し出してくるからな……」
冬村歩人:大事なことを面と向かってではなく連絡で済ませてしまうのも、結局そこだ
冬村歩人:猪祈が怒るのが怖い……のではなく、猪祈を怒らせるようなことをしている自分の甲斐なさから目を逸らすため。
風祭緋雁:「ちゃんと埋め合わせしないとダメだよー?結構根に持つタイプだから」
冬村歩人:「当然。当たり前だろ? デートが駄目になったら、ちゃんと時間を取り直して、駄目になった分の倍は楽しむつもりだ」
冬村歩人:「……本当に悪いと思ってはいる。けど、俺にとって一番大事なのは猪祈だし、そのために今必要なことなら……彼女を怒らせることも覚悟してる」
風祭緋雁:「妬けちゃうねえ……あ、そうだそうだ。気になってたこと、もう一つあるんだけど」
冬村歩人:「ああ、何かな」 警戒の緩んだ笑み。リラックスした様子で窓枠に腰掛けている
風祭緋雁:「これ」
風祭緋雁:緋雁が写真を床に落とす。
風祭緋雁:仕込まれた監視カメラからのものらしき視点。UGNエージェント、柊桔平とその秘書が映し出されている。
風祭緋雁:「誰?」
冬村歩人:「——」 それを目にして、息が止まる。口を少しだけ開いて、何も言葉は発せず
冬村歩人:だが、そうしていたのも五秒に満たないほどの時間だ 「……これは?」
冬村歩人:平静を装った声で訊き返す
風祭緋雁:「さっきの、街中で歩人さんを見かけた日。ちょっと気になってさ」
風祭緋雁:「追いかけさせてもらったんだよね。いや。普段はやんないよ?悪いと思ってるよ?ほんと」
風祭緋雁:「でも浮気とかしてたら猪祈が可哀想だな~って思ってさあ」
風祭緋雁:「そしたら、この人たちと会ってたからさあ」
風祭緋雁:「誰?この人達」
風祭緋雁:口元は歪んで、へらへらとした笑みの表情。だが、瞳だけが笑っていない。
冬村歩人:笑う。その口角は普段よりも鋭い。冷たい笑み
冬村歩人:「今の話の流れなら分かるだろ?」
冬村歩人:「調査の筋。情報提供者」
冬村歩人:「"聖櫃"についての情報、それなりに持ち帰って来てるじゃないか」
冬村歩人:「もちろん浮気相手じゃない。俺にそっちのケはないよ」
風祭緋雁:「誤魔化すなよ」
冬村歩人:——殺す。
冬村歩人:反射でそれを発想した。不可能ではない。
冬村歩人:だが、ここまでこちらに迫れるのであれば、彼女も当然"それ"を考慮しているはずだ。無策でこんな所に来るか?
冬村歩人:「……ふ」
冬村歩人:ない。彼女の賢明さは理解しているつもりだ。
風祭緋雁:「何か後ろめたいことでもあるの?」
風祭緋雁:「あたしはそんなに信用できない?」
冬村歩人:手を組む 「信用しているよ。緋雁ちゃん。君の能力の高さと賢さは、何より」
冬村歩人:「その身体で『猪祈の姉妹』でいるために、相応に頑張っていることくらい、当然分かっている」
風祭緋雁:「…………」
冬村歩人:「……君は何を望む?」
風祭緋雁:「……まず、話してくれない?」
風祭緋雁:「場合によっては、協力できるかもしれないじゃん」
風祭緋雁:「歩人さんは今、何をやってるの?」
冬村歩人:「話すよ。だが話すために必要なことだ。俺たちはFH。それぞれの欲望がどこに向いているかを理解しなきゃ、実りある話は難しい」
冬村歩人:「"聖櫃"を作り上げた7つのセルも。慎重に互いの望みを擦り合わせて、恐る恐る進んでいたはずだ。分かるだろ?」
風祭緋雁:「…………」
風祭緋雁:「……あたしは、皆に幸せになってほしい」
冬村歩人:「皆?」
風祭緋雁:「セルのみんな。猪祈も、シュウも、朔夜も、律華も、舞も」
風祭緋雁:「その中に、歩人さんもいてほしいと思ってる」
風祭緋雁:「歩人さんはどうなの?」
冬村歩人:「野心的だな」 開いた手の甲を緋雁ちゃんに向けて
冬村歩人:「多くの人に幸せになってほしい。難しい話だ。特にこんな状況じゃあね」
冬村歩人:「……根本的には同じだよ。俺も、大切な人に幸せでいてほしい。もちろんそれは、俺の隣であってほしい」
冬村歩人:「あとはどれくらい『大切』でいられるかだ。……たとえばシュウなんかは、俺が如何しなくても何とかやっていけるだろ。妹の朔夜ちゃんも、シュウが誰より何とかするはずだ」
冬村歩人:「舞ちゃんはちょっと不安だが、あれでしたたかにやっていける所もあるかもしれない。律華ちゃんも……不安だが、舞ちゃんほどではないかな」
冬村歩人:指を折りながら、『大切』から外せる者の数を数えていく。小指だけが立っている状態だ
冬村歩人:「……そういう風に考えていくと、見えてきたりもする」
冬村歩人:「よりリスク低く、より確実に、大切なものだけを守ることができる道を」
風祭緋雁:「成程ね」
風祭緋雁:「あたしも結構、仲良くしてたと思うんだけどなあ」
冬村歩人:「緋雁ちゃんはだいぶ大切だよ。猪祈の大事な、元からの家族だし——動かないでくれよ」
冬村歩人:「意味なく仲間を撃ちたくはない」
冬村歩人:……青白い月の浮かぶ空に紛れ、
冬村歩人:この現実に破滅的な危害を及ぼす魔眼は、すでにそこに浮遊している。開いていないだけだ。
風祭緋雁:ひとつ、大きな溜息を吐く。
風祭緋雁:「歩人さんさあ、不思議に思ってるんじゃない?」
風祭緋雁:「どうしてわざわざ、こんな場所に呼び出したのかって」
冬村歩人:「……」 目を細める
風祭緋雁:「猪祈がさあ、悲しむじゃん」
風祭緋雁:「自分の恋人が、裏切り者の糞野郎だったなんて知ったら」
風祭緋雁:君に目を向けて。
風祭緋雁:「だから、ここで——」
風祭緋雁:「殺す」
風祭緋雁:けたたましい金属音と共に、車椅子がぐしゃぐしゃに潰れる。
風祭緋雁:風祭緋雁が、遥か上方に身を躍らせている。
冬村歩人:月光より僅かに暗い、光の筋が差す。車椅子のだったものに注いだそれは、刹那でそれを粉砕する。
冬村歩人:遅れて、悲鳴のような高音。まるで世界が軋んでいるかのような、だ。
風祭緋雁:身に纏うは電光。電流により自らの萎えた脚部を強制駆動させている。
冬村歩人:白い氷の筋が床を壁を無数走る。緋雁ちゃんを四方より方位せんとする。触れればあらゆる法則を凍死させる光が。
冬村歩人:「本当に残念だ——俺は提案しようとしてたんだぜ」
冬村歩人:「君が皆に黙っていると口で約束してくれれば、俺も何もしないと」
風祭緋雁:光が触れる直前、閃光。激しい電熱が冷気を押し留める。
風祭緋雁:「それはさあ」
風祭緋雁:瞳に宿るのは、殺意。
風祭緋雁:「出来ない相談だよ」
GM:ミドル戦闘を開始します。
エンゲージ


風祭緋雁

(10m)

冬村歩人


GM:セットアップから。
冬村歩人:《苛烈なる火》。HPを5点失い、攻撃力を+9。
冬村歩人:冬村歩人のHPは24になった。(HP:29->24)
冬村歩人:冬村歩人の侵蝕率を+3した (侵蝕率:80->83)
風祭緋雁:≪加速装置≫行動値+16
GM:イニシアチブプロセス。何かありますか?
冬村歩人:ちょっと考えています
冬村歩人:ウーン……
冬村歩人:あと2分待ってね
GM:じっくり考えて!
冬村歩人:いや、いいや。《時間凍結》は使いません。ここではない
GM:OK!
GM:では行動値29、緋雁の手番です
風祭緋雁:マイナー ≪陽炎の衣≫で隠密、≪光芒の疾走≫で戦闘移動、冬村さんに接敵
エンゲージ


冬村歩人、風祭緋雁


風祭緋雁:メジャー≪コンセントレイト:エンジェルハィロゥ≫+≪光の舞踏≫+≪見えざる死神≫+≪ライトニングリンク≫+≪雷光撃≫
風祭緋雁:12DX7+4
DoubleCross : (12R10+4[7]) → 10[1,4,5,5,5,5,6,6,7,9,10,10]+10[1,7,10,10]+10[1,6,10]+4[4]+4 → 38

冬村歩人:素ドッジ!
冬村歩人:4dx
DoubleCross : (4R10[10]) → 9[1,3,8,9] → 9

冬村歩人:無理なんだよなあ
GM:ダメージ!
GM:4D10+24
DoubleCross : (4D10+24) → 10[4,2,2,2]+24 → 34

GM:装甲有効
冬村歩人:ぐっ……線の見えそうでどっちみち死んでいたラインだ。戦闘不能です。即座に《リザレクト》
冬村歩人:1d10
DoubleCross : (1D10) → 1

冬村歩人:冬村歩人のHPは1になった。(HP:24->1)
冬村歩人:冬村歩人の侵蝕率を+1した (侵蝕率:83->84)
風祭緋雁:電光を纏い、致死の冷気を切り裂き、一直線に駆け抜ける。
冬村歩人:(一撃、来るな) 軌道より悟る。自分の能力でできないことはよく把握している
風祭緋雁:幾つものナイフを投げ放ち、それが君の足元に突き刺さる。
風祭緋雁:放電。ナイフが導線となり、激しい電流が一瞬、君の動きを鈍らせる。
冬村歩人:窓の外より降る白灰の光線で、ナイフの幾ばくを即座に粉砕、分子還元するが…… 「……っく」
風祭緋雁:本命はそちらではない。同時に片手に帯びたナイフを振るい、喉元を深々と切り裂いた。
冬村歩人:痛覚と神経電流により強いられた停止の間隙へ、見事に一撃を受ける。 「っか、ハ」
風祭緋雁:油断は一部もない。オーヴァードが、元マスターエージェントが、この程度で止まるわけなど無いと理解している。
冬村歩人:がくり、と後ろに倒れかかる冬村の青褪めた首は、しかし懐の敵を睨め下ろしている。
GM:イニシアチブ7、冬村さんの手番です。
冬村歩人:マイナーで《氷の回廊》。飛行移動で、さっきまで緋雁ちゃんがいた所まで移動
エンゲージ


冬村歩人

(10m)

風祭緋雁


冬村歩人:メジャーで《コンセントレイト:バロール》+《黒の鉄槌》+《コキュートス》。対象は緋雁ちゃん。
GM:どうぞ!
冬村歩人:8dx8+3
DoubleCross : (8R10+3[8]) → 10[2,3,4,5,5,6,7,10]+3[3]+3 → 16

風祭緋雁:ガード≪球電の盾≫+≪磁力結界≫。
冬村歩人:そういう系か。かわいいね
冬村歩人:2d10+26
DoubleCross : (2D10+26) → 8[4,4]+26 → 34

冬村歩人:諸々有効
風祭緋雁:34-12-2D10
DoubleCross : (34-12-2D10) → 34-12-15[9,6] → 7

風祭緋雁:7しか効かねえ~~
冬村歩人:このクソガキ~~~!
冬村歩人:倒れかかった身体の影から、純白の光線がうねるような軌道で、緋雁ちゃんを狙い撃つ。
風祭緋雁:「!」
風祭緋雁:飛び退いて空中へ。そこには既に自らが操作する大量のドローンが滞空している。
風祭緋雁:足場にして跳び回りつつ、顔を顰める。脚の一部が凍り付いている。
風祭緋雁:(掠っただけでこれか……!)
冬村歩人:白い光線はまるで鞭のようにしなる軌跡を描いて、ドローン群を十字に裂き散らす。その隙を突き、本体は都合の良い立ち位置へ
風祭緋雁:2ラウンド。再びセットアップ
冬村歩人:まずさっきのコンボのぶんの侵蝕率を上げます
冬村歩人:冬村歩人の侵蝕率を+8した (侵蝕率:84->92)
冬村歩人:《苛烈なる火》。HPを5点失い、攻撃力を+9。これにより死亡しますが即座に《リザレクト》で復活。
冬村歩人:1d10
DoubleCross : (1D10) → 10

GM:イェイイェ~イ
冬村歩人:うーんこのタイミングの100超えか……!
冬村歩人:冬村歩人の侵蝕率を+13した (侵蝕率:92->105)
冬村歩人:冬村歩人のHPは10になった。(HP:1->10)
風祭緋雁:≪加速装置≫行動値+16
GM:再びイニシアチブ。使いますか!
冬村歩人:使いようがない! HPがないからネ!
GM:そうだ!
冬村歩人:《時間凍結》の悲しき宿命……
GM:では緋雁の手番!
風祭緋雁:再び≪陽炎の衣≫+≪光芒の疾走≫で隠密接敵
風祭緋雁:メジャー≪コンセントレイト:エンジェルハィロゥ≫+≪光の舞踏≫+≪見えざる死神≫+≪ライトニングリンク≫+≪雷光撃≫
風祭緋雁:12DX7+4
DoubleCross : (12R10+4[7]) → 10[1,1,4,5,6,6,6,6,6,8,9,10]+10[3,10,10]+4[3,4]+4 → 28

冬村歩人:来い!
冬村歩人:5dx
DoubleCross : (5R10[10]) → 8[2,2,3,7,8] → 8

冬村歩人:無理無理
風祭緋雁:3D10+24 装甲有効
DoubleCross : (3D10+24) → 27[9,10,8]+24 → 51

GM:すごい出目だ
冬村歩人:殺意の高まりを感じるぜ。戦闘不能。
冬村歩人:風祭緋雁 親近感/○殺意 でロイスを取り、即座にタイタス化。昇華して復活します
風祭緋雁:空中のドローンを蹴り、急降下。君の胸元にナイフが根元まで突き刺さる。
風祭緋雁:同時に放電。刃を通して雷撃が君の骨肉を焼き、血を沸騰させる。
冬村歩人:「ぐぐ、ぎッ!」 やはり迎撃は間に合わない。苛烈な攻撃を無防備なまでに受ける
風祭緋雁:「さっさと、死んでよ……!」
風祭緋雁:顔を歪ませて吐き捨てるように言う。
冬村歩人:痛みと痙攣。今開いたばかりの胸、修復しきらない喉、電流で焼ける髪、そこかしこから焦げた血が弾ける
冬村歩人:「……っふ」 そして、笑み
冬村歩人:「君も猪祈の姉なんだな」
風祭緋雁:「そうだよ」
冬村歩人:「強い。敵への気持ちも、同じだ」
風祭緋雁:「だから、あんたは許さない」
冬村歩人:「今になって知るのは本当に残念だな」
風祭緋雁:「…………」
GM:冬村さんの手番!
冬村歩人:マイナーで《氷の回廊》
冬村歩人:メジャーで《コンセントレイト:バロール》+《黒の鉄槌》+《プラズマカノン》+《コキュートス》。コキュートスは温存しようかとも思ったが、打ち漏らした時が最悪なので抜かない……!
冬村歩人:9dx7+3
DoubleCross : (9R10+3[7]) → 10[1,2,3,3,6,7,9,9,10]+10[1,2,6,9]+4[4]+3 → 27

風祭緋雁:ガード≪球電の盾≫+≪磁力結界≫!
冬村歩人:3d10+54
DoubleCross : (3D10+54) → 19[6,8,5]+54 → 73

冬村歩人:諸々有効
GM:嘘だろ……
風祭緋雁:73-12-2D10
DoubleCross : (73-12-2D10) → 73-12-7[1,6] → 54

冬村歩人:冬村歩人の侵蝕率を+12した (侵蝕率:105->117)
風祭緋雁:死亡します。復活エフェクトなし
冬村歩人:いや、まだ戦闘不能のはずだ……!
風祭緋雁:なにっ
風祭緋雁:そうだが……!
風祭緋雁:離れているので≪自爆装置≫も起動不能。
冬村歩人:「蹂躙者スキャッターと呼ばれていたことがある」
冬村歩人:「こと多数の敵を相手取り、戦う事に長けたマスターエージェントだと」
冬村歩人:「……その俺にその戦法は、通用しないさ」
風祭緋雁:「……!」
冬村歩人:先ほどと同じだ。白く鞭めいた光が緋雁ちゃんを襲う。
冬村歩人:もちろん先ほどと同じようにドローンを盾にすることを試みても良い。ただし、
冬村歩人:先の攻撃で、ドローン群は一定以上の負荷をかけられた瞬間、内部から氷結粉砕されるよう仕込まれている。
冬村歩人:そして、先程を遥かに超える出力の、冷気の光。
冬村歩人:窓の外から降り注ぐそれは、並行世界を眠らせて余りあるマイナス質量そのものであり、
冬村歩人:「……最初の立ち位置に戻った今、ようやく全力を当てられる」
冬村歩人:先の攻撃とは比べ物にならない出力で、風祭緋雁の命を凍らせてゆく。
冬村歩人:……戦いが終われば、ビルの全域が薄い氷に覆われ、月光の下、不気味なまでに白く輝いている。
冬村歩人:それが"ウィンターマスター"であった。
風祭緋雁:「……あ……」
風祭緋雁:刃を振りかぶった姿勢で静止し、指一本動かせない。
風祭緋雁:激しい電光もかき消され、後にはただの、半身不随の少女が残る。
冬村歩人:「……本当に残念なんだ」
冬村歩人:「猪祈の隣に、君の居場所も用立てられるならそうしたかった。これは嘘偽りない本音だ」
風祭緋雁:「…………」
冬村歩人:手を差し伸べ、頬に触れる。そこから少しずつ、顔の周りだけを『解凍』してやる。
風祭緋雁:「お願いが……あるんだけど」
風祭緋雁:「……いいかな」
冬村歩人:「まるで今際みたいだな」 笑って 「聞こう」
風祭緋雁:「皆には……特に、猪祈には」
風祭緋雁:「あたしは他所の仕事が入ったって言っといてくれるかな」
風祭緋雁:「すぐには戻れないって」
冬村歩人:「……猪祈を悲しませないためか?」
風祭緋雁:「そりゃ……そうだよ」
風祭緋雁:「あたし、お姉ちゃんだもん」
風祭緋雁:力なく笑う。
冬村歩人:「俺も同じだよ。君がもう戻らないと知れば、猪祈は悲しむだろう。俺も猪祈が悲しむ所を見たくはない」
風祭緋雁:「…………?」
風祭緋雁:「変な事言うね……これから殺す相手に」
冬村歩人:「言っただろう。本当だ」
冬村歩人:「君も一緒に連れて行きたかった」
冬村歩人:「だが」
風祭緋雁:「……そういうの」
風祭緋雁:「捨てたほうがいいよ。ホントに猪祈を守りたいなら」
冬村歩人:「……それは誤解だな」 穏やかに、眉尻を下げて笑い
冬村歩人:「『拾っている』んだよ。猪祈のために、敢えて。本来の俺は、そんなもの持っていない」
冬村歩人:スマートフォンを取り出し、シュウへと連絡を繋ぐ。頬を撫でていた手で、緋雁の口を塞ぐ。
風祭緋雁:「……!?」
冬村歩人:「俺の戦闘痕跡は派手過ぎる。隠し立てできない。誰と戦ったのかの説明は必要……ああ、もしもし」
冬村歩人:「手短に言うぞ、シュウ]
冬村歩人:「緋雁を殺した」
三廻部シュウ:『…………』
三廻部シュウ:通話の向こうで、絶句。
冬村歩人:「彼女はどこかに内通していたんだ。俺だけを呼び立てて抹殺しようとした」
三廻部シュウ:『……あ?』
冬村歩人:緋雁の口を塞ぐ手に力を込める。じりじりと、その肌が再び凍りついていく。
風祭緋雁:「……!!」
三廻部シュウ:『お前、何言って……!!』
冬村歩人:「詳しくは、後で話す……猪祈へも、俺から」
冬村歩人:「すぐに戻る」
冬村歩人:通話を切る。冷え切った眼で、もう一度緋雁を見て。
冬村歩人:「本当に」
冬村歩人:「残念だ」
冬村歩人:とどめを刺します。凍りついていた彼女の身体を微塵に砕く。
風祭緋雁:「——」
風祭緋雁:噴き出す血すらも凍りつき。
風祭緋雁:少女の身体がばらばらと床に転がる。
風祭緋雁:瞳だけが、最後まで君を見つめていた。

GM:---

GM:シーン終了。
冬村歩人:ロイスはない。購入……っていうか応急手当キット使って良いです?
GM:どうぞ!
冬村歩人:2d10
DoubleCross : (2D10) → 19[9,10] → 19

冬村歩人:あ、全快です。それじゃあらためて調達は……UGNボディアーマーだな
冬村歩人:5dx+1=>12
DoubleCross : (5R10+1[10]>=12) → 9[4,5,8,9,9]+1 → 10 → 失敗

冬村歩人:うーん……財産点は保留。以上で

【Middle6/眩しすぎる、光だ】

GM:次のシーンです。
GM:シーンPCは侵蝕順で箕中さん、ほか自由。
箕中舞:箕中舞の侵蝕率を+8(1d10->8)した(侵蝕率:71->79)
茨木律華:1d10+82
DoubleCross : (1D10+82) → 10[10]+82 → 92

茨木律華:何?
箕中舞:マジで高い
風祭猪祈:風祭猪祈の侵蝕率を+3(1D10->3)(侵蝕率:87->90)した
箕中舞:ついに猪祈ちゃんを抜いた
茨木律華:いのりちゃん追い抜いちゃったぞ
冬村歩人:そして登場します。多分会話をしておいたほうが良い
冬村歩人:冬村歩人の侵蝕率を+9(1d10->9)した (侵蝕率:117->126)
冬村歩人:ヒーッ死ぬ死ぬ
GM:では情報収集!
GM:現在はこちら

・“聖櫃”の在処について13/15
難易度8
・“聖櫃”そのものについて 4/4
難易度9
・“聖櫃”のシステムについて0/10
難易度12
・UGNの動向 5/10
難易度11
・他FHセルの動向 5/10
難易度11

GM:張り切っていってみよう
冬村歩人:“聖櫃”のシステムについて。聖櫃が手に入るということになっても開けられなければ意味はないからな……
冬村歩人:情報:UGN コネ:UGN幹部使用
冬村歩人:8dx
DoubleCross : (8R10[10]) → 10[1,1,1,4,5,5,5,10]+7[7] → 17

冬村歩人:財産3注いで20にして成功。残り財産2
茨木律華:自分も聖櫃システムいきます。情報FHで判定。砂の加護も使用
茨木律華:侵食92->95
茨木律華:8dx+1>=12
DoubleCross : (8R10+1[10]>=12) → 10[2,3,4,5,7,8,8,10]+7[7]+1 → 18 → 成功

冬村歩人:冬村歩人のHPは29になった。(HP:10->29)
冬村歩人:さっきの回復分
茨木律華:惜しいけど財産1だからな~ 撤退
風祭猪祈:同じくシステム行きます
風祭猪祈:《陽炎の衣》で隠密化
風祭猪祈:11dx+3>=12 情報:FH コネ使用
DoubleCross : (11R10+3[10]>=12) → 10[1,2,2,2,4,5,6,8,9,9,10]+8[8]+3 → 21 → 成功

風祭猪祈:よしよし
箕中舞:じゃあ開けに行くかシステム。
風祭猪祈:風祭猪祈の侵蝕率を+3(侵蝕率:90->93)した
箕中舞:7dx+1>=12
DoubleCross : (7R10+1[10]>=12) → 10[4,5,6,9,9,10,10]+7[3,7]+1 → 18 → 成功

GM:開けやがった……
GM:では情報開示!

・“聖櫃”のシステムについて10/10
進行度3
“聖櫃”本体に関する情報は、殆どが秘匿、あるいは既に処分されており、断片的な情報しか見つからない。
バロールやオルクスの能力を応用した空間操作により、内部に大量の物資を保管しているらしい。
また、ある程度の防衛機構も備わっているようだ。

進行度6
“聖櫃”は単なるレネゲイドアイテムではなく、エグザイルのオーヴァード、あるいはジャームを素体として作られた生体兵器だ。

進行度10
“聖櫃”は素体に複数のレネゲイド因子、生体・機械工学、遺産そのものなど、当時最先端のあらゆる技術を注ぎ込んだ集大成だ。
実験は途中から明らかに技術試験の様相を呈しており、人権などまるで無視したあらゆる強化、あらゆる改造が、採算を度外視して行われている。
ある研究者は、“聖櫃”が前線に投入されていれば、崩落戦の結果はまるで変わっていただろうと書き残している。

GM:以上のことが分かりました。

GM:---

GM:夢を見た。
GM:それは血塗られた記憶。それまでの君のすべてが、跡形もなく壊れてしまった時の。
“クイーン”:「——私は」
“クイーン”:君達姉妹の素体であり、君の部隊のリーダー、“クイーン”
“クイーン”:彼女が、36の姉妹に向けて口を開く。
“クイーン”:「…………“イエロージャケット”の指揮権を破棄」
“クイーン”:「部隊を解散し……このエリアを撤退します」
“クイーン”:呟くように。だがはっきりと、君達に告げた。
GM:姉妹たちに困惑の声が広がっていく。それは君も例外ではなかった。
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「ま、待て、待って。何を言ってるの?」
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「私たちを……見捨てるの……?」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「……なんで……」
GM:困惑は次第に混乱に変わり。
“クイーン”:「…………」
GM:やがて——殺意へと。
“クイーン”:「これは決定事項です」
GM:……最初に切りかかったのは誰だったか。君達の誰かか、あるいは“クイーン”だったか。
GM:いずれにせよ、それは殆ど一方的な殺戮だった。
GM:襲い掛かる姉妹たちを、“クイーン”が次々と切り伏せていく。身体を引き千切り、臓腑をばらまいて。
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:誰一人、あの場で刃を向け合いたい者などいなかった。
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:すべての姉妹は"クイーン"へ依存するよう育てられていた
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:彼女を母として、他の姉妹との交流すら制限され
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:だからあの日も、彼女たちはこう言おうとしたのだ
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「私も———」
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:連れて行って。という言葉は、喉元を超えることはなかった
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:予め仕組まれて育まれた感情は、予め仕組まれた命令(プログラム)のままに"反転"し
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「私と———死んで?」
“クイーン”:刺突を放つ。刃は真っ直ぐに君に伸び——
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「———あ……」
GM:それを庇った、“レフティ・ビショップ”の腹に、深々と突き刺さる。
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「……?」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「…………!!」自らに突き刺さった刃を、両腕で掴み。「ライティっ!!」叫ぶ。
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:その言葉に、咄嗟に引き金を引く
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:エンジェル・ハイロウの光学操作を施した不可視の弾丸
“クイーン”:だが、その時には既に、“レフティ・ビショップ”から離れている。
“クイーン”:一瞬で姿がかき消え——現れたのは、君の眼前。
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「……!」
“クイーン”:二本指を立てた手刀。君の眼窩を抉り貫く。
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「が……ッ!ぁあ……!!」
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:十分だ、片目で済んだのなら、まだ
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:先程の弾丸はまだ生きている
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:不可視の弾丸はモルフェウス能力により精製された透明なオブジェクトに跳ね返り
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:数度の跳弾を繰り返し、"クイーン"の背に迫っている
“クイーン”:「…………」
GM:   キ  ィ   ン
“クイーン”:無慈悲なほど、無造作に。
“クイーン”:そちらに視線すら向けず。後ろ手に回したナイフで、銃弾をはじく。
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:構わない。僅かにでも注意を反らせたのなら
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「レフティ……!」
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:レフティ・ビショップを抱え、大きく後方に飛び退く。そして
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:次の瞬間にはその姿は完全にかき消えている。
“クイーン”:一瞬、それを追おうとするが。
“クイーン”:立て続けに他の姉妹が襲い掛かる。交戦に専念し、君達を追う余裕はない。見る間に姿が遠ざかっていく。

GM:---

GM:君は“レフティ・ビショップ”を背負って、血に塗れて歩いていた。
GM:“レフティ・ビショップ”は左目を潰され、片腕も切断されているが、何より刺された腹部の損傷がひどかった。既に虫の息だ。
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:戦場からは遠く離れた。追ってくることはないだろう
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:虚像と実像を織り交ぜた高度な光学迷彩
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:姉妹の誰もが会得するそれを、最も使いこなすよう"先鋭化"したのが、このライティ・ビショップだ
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「ご……ほっ」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:君の背で、掠れた喉でひどく咳き込む。
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「レフティ……まだ意識はある?」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「一応ね……何とか、保ってる」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「死んだら置いていって。その方が生還率が上がる」
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「……」
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「それを言うなら、何故さっき私を庇った」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「…………」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「何故、って?」
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「あなたの眼なら、あの状況でも戦場を俯瞰できてたはず」
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「私を助けるよりも、母さんが私を仕留める隙をついて攻撃したほうが」
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「それこそ、生還率は上がるはずでしょう」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「…………」少し、考えるような間。
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「さあ……何故だろう……」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「気付いたら、身体が動いてた」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「そんな訓練、受けてないはずなのにな」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:少し笑って、再び咳き込む。
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「……ああそうだ。こんな訓練受けてない」
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「母さんと殺し合う訓練も、死に損ないを背負って逃げる訓練も」
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:不思議と、先程まで頭の中を支配していた殺意は消えていた
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:あるいは、眼下を抉られたあの時に、何かあったのかもしれないが……
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「ああ……でも、そうだな」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「少し……分かった気がする」
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「……何が?」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「私は……多分、こうして君と話せなくなるのが、嫌だったのかもしれないな」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「今、君が生きていてくれて、嬉しいと思ってる」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「……“イエロージャケット”失格かな」
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「……は」
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「なんだよそれ、今まで大して話したこともなかったのに」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「……何故だろうな。私も……よく分からない」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「ただ……そう思ったんだ」
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「そうか……じゃあさ」
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「今じゃなくていい。いつか"答え"がわかった時に聞かせてくれよ」
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「……私は別に、お前のことなんてどうでもいいんだけど」
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「その答えが気になるから、今は捨てないでおいてやる」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「そうか」少しだけ、不器用に笑って。
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「……少し、眠る。死んでたら置いて行ってくれ」
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「お前……今の話聞いてたか?」呆れたように笑い
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「……生きるぞ、レフティ」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「ああ……ライティ。少なくとも……」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「お前の宿題の、答えが見つかるまでは……」
“レフティ・ビショップ”風祭緋雁:「…………」やがて、君の背で、静かに寝息を立てはじめる。
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「……馬鹿。二人の、だろ」小さく呟く
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:背に負った自分より少し軽い体重からは、自分と同じリズムで心臓の鼓動が伝わってくる
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:元より自分たちは大なり小なり機械化手術を施している。他のオーヴァードに比べても、死ににくい方だろう
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:行く当てはない……当てはないが
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:目標はある。ささやかだが、全てを失った自分には十分に……
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:眩しすぎる、光だ
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「あ、そうだ……名前を決めないとな」もう"イエロージャケット"など存在しないのだから
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「なあ、お前がつけてくれよ、私の名前。お前の分は私が……」
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:そこまで言いかけて、背負う少女が寝入っていたのを思い出す
"ライティ・ビショップ"風祭猪祈:「ま、起きてからでいいか。おやすみ、レフティ」
風祭猪祈:地の滴る足跡を、降り出した雪が覆い隠していく
風祭猪祈:それが、私達"姉妹"の最初の記憶だった

GM:---

三廻部朔夜:「……さん、猪祈さん」
三廻部朔夜:「……起きてください……猪祈さん……」
GM:早朝、君は揺り起こされて目を覚ます。
風祭猪祈:「ん……」
GM:普段この古書店に暮らしているのは君と緋雁だけだ。
風祭猪祈:「……朔夜?」
風祭猪祈:「どしたのこんな朝っぱらから」
風祭猪祈:ボサボサの髪を直しながら
三廻部朔夜:「…………」蒼白な顔で、君の顔から目を逸らす。
三廻部朔夜:「……あの……」
三廻部朔夜:「…………あ…………」
三廻部朔夜:口をぱくぱくさせて、言葉を詰まらせる。
風祭猪祈:「………」その表情からただならぬ物を察し
風祭猪祈:「朔夜、落ち着いて。ゆっくりでいいから」
風祭猪祈:「あ、そうだ。緋雁も起こしてきたほうがいいよね」
三廻部朔夜:「…………!」
三廻部朔夜:その言葉に、固く目を瞑り、俯く。
風祭猪祈:「朔夜はその間にお茶でも飲んで落ちついて……」
三廻部朔夜:「あのっ!!」
風祭猪祈:「……?」
三廻部朔夜:「み……みんな……」
三廻部朔夜:「みんな……もう、集まって……」
三廻部朔夜:「居間に、集まってるので……」
三廻部朔夜:「あ、あとは……猪祈さん……」
三廻部朔夜:「だけ……で……」
三廻部朔夜:震える声を絞り出す。
風祭猪祈:「え……まじで?あの緋雁が私より早く起きれるなんて……」
風祭猪祈:「…………!!」
風祭猪祈:その考えに至った瞬間、ベッドから跳ね起き今へ急ぐ
三廻部朔夜:「いっ……猪祈さん……!」
風祭猪祈:朔夜の声を無視して階段を降り、居間の戸を勢いよく開く
GM:居間には既に、セルメンバーが集合していた。だが誰もが黙り込み、ストーブの排気音だけが却って寒々しく響いている。
GM:その中に、風祭緋雁の姿は無い。
冬村歩人:戦闘の負傷は塞がったが、大きく傷を負った喉と胸は、まだ癒えきってはいない。
冬村歩人:そして流血の派手な汚れが、裂けるような刃の痕が、交戦の事実を明白な事実として語っている。
冬村歩人:猪祈であれば、それが緋雁ちゃんの攻撃によるものだと、確信に近いレベルで推測できるだろう。
風祭猪祈:「みんな!」
茨木律華:「……」壁を背に座っている。入ってきた猪祈を一瞥するが、何も言わない。
風祭猪祈:その面々を見渡し
風祭猪祈:「歩人さん、それ……」
風祭猪祈:「嘘……どうして……?」その場に崩れ落ち
冬村歩人:「猪祈」 彼女の顔は直視しない。どこか目を伏せった様子で
冬村歩人:「事実を」
冬村歩人:「先に伝えさせてくれ」
三廻部シュウ:「…………」
風祭猪祈:「……事実?」
冬村歩人:「昨晩の食事の後だ。俺は彼女に、緋雁ちゃんにビルへ呼び出された。何か相談事でもあるのかと思っていたんだが……」
冬村歩人:「……彼女は刃を抜いた。結果はこれだ。俺も殺さずに、言葉を交わして事を収められるのなら、そうしたかったんだが。あそこまで備えられていては……手を抜けなかった」
冬村歩人:「力不足で済まない」
冬村歩人:最後の方は言葉が詰まったかのように、早口で言い切る。
風祭猪祈:「——————」しばし絶句し
風祭猪祈:「し……」
風祭猪祈:「死んだ……の?」
風祭猪祈:「歩人さんが……ううん……」
冬村歩人:「……」 逡巡するような沈黙
風祭猪祈:「歩人さんを……殺し……え……?」思考がまとまらない
三廻部シュウ:「……緋雁は……『内通者』だった」
三廻部シュウ:「……そうなんだな?歩人?」
冬村歩人:「…………」
三廻部シュウ:確認するように、冬村さんをじっと見つめて。
冬村歩人:息を吐く 「……そうだ」
箕中舞:決定的な言葉に、息をのむ。
冬村歩人:「俺の攻撃力は、当然彼女も知る所だ。……今後の戦況のために、単独で俺を狙うというのは、筋が通っている」
三廻部朔夜:「…………」小さく震えている。
冬村歩人:「彼女がどこの内通者だったかは分からない……そんな余裕もなかった」
冬村歩人:「……だが、"聖櫃"だろう。今になって俺という戦力を削りにかかったのは、それを踏まえてのことだと思うのが自然だ」
風祭猪祈:「そんな……ねえ、何かの間違いじゃないの!?」
風祭猪祈:「だって私達……ずっと一緒に暮らしてたんだよ……?」
風祭猪祈:「あいつ一人じゃ何にもできないからさ……料理も掃除も全部面倒見てあげて」
風祭猪祈:「お礼にゲーム進めといてあげたよって、アホなこと言って……」
冬村歩人:「……だが、ずっと一緒に行動していた訳じゃないだろう」
風祭猪祈:「それは……そうだけど……」
三廻部朔夜:「で……でも……!よりにもよって、緋雁さんが、そんな……!」
冬村歩人:「彼女は通信による情報収集能力にも長けていた。あるいはその過程に、か」
冬村歩人:「俺を恨むなら……恨んでくれ。猪祈。だが事実だ」
冬村歩人:上着の内ポケットから、鋭利なナイフを取り出し、テーブルに置く。
風祭猪祈:「…………」
風祭猪祈:「これって……あいつの……」
冬村歩人:彼女が攻撃の合間、投擲に使ったナイフの一つだ。最後の一撃から距離があったため、原型を保っていた。
冬村歩人:「これ以外は」
冬村歩人:「もう何も、残っていない」
風祭猪祈:「……!」
風祭猪祈:このセルで冬村歩人の戦い方を最も理解しているのは自分だ
風祭猪祈:だからこそ、その言葉が……
風祭猪祈:愛する人同士が殺し合ったというのが真実であると理解してしまう
風祭猪祈:「…………」
風祭猪祈:「……歩人さん」
冬村歩人:「……何かな」
風祭猪祈:歪に笑顔を作って
風祭猪祈:「私のこと……馬鹿にしすぎだよ。だって」
風祭猪祈:「だって私ら、ファルスハーツだよ?自分の欲望ねがいのためなら何でもするクズの集まりじゃん」
風祭猪祈:「残念だけど、あいつの欲望ねがいは、私達のそれとは違って」
風祭猪祈:「それがぶつかっちゃったら、後は強いほうが勝つ……それだけ」
風祭猪祈:「それだけだよ……」
冬村歩人:「ごめん。……ありがとう」
冬村歩人:首を振り、席を立つ 「……もう少し俺は休む。今後の話は少し俺を抜いてくれ」
冬村歩人:「シュウ」
三廻部シュウ:「……ああ」
冬村歩人:「……"聖櫃"の全容も見えてきた。緋雁が裏切り、こうなったこと。それも踏まえて」
冬村歩人:「判断をしてくれ。この後のことを」
三廻部シュウ:「…………ああ」
冬村歩人:居間の去り際、猪祈とすれ違う時、ほんの少しだけ足を止めるが
冬村歩人:結局、そのまま居間を出ていく。
風祭猪祈:「あ、待って歩人さん!」
冬村歩人:ドアに手をかけ、目だけを彼女に
風祭猪祈:「あのさ……あいつ……」
風祭猪祈:「あいつ、最期になんて言ってた?」
風祭猪祈:「ほら……一応、聞いといてやろっかなって」
風祭猪祈:「……姉として、さ」
冬村歩人:少し口を開き、記憶を手繰り寄せるかのような表情をしていたが、
冬村歩人:「……猪祈のことを気にしていた。最後まで」
冬村歩人:「猪祈を悲しませないように、と」
冬村歩人:言葉ではなく、その事実で応じ、居間を後にする。
風祭猪祈:「……そっか」既に誰もいない空間に向けて言葉を返し
風祭猪祈:「ほんと……最期まで馬鹿なやつ……」
三廻部朔夜:「…………」
三廻部シュウ:「……猪祈も、無理しなくていい。今日は休んでてくれ」
箕中舞:「猪祈ちゃん……」
茨木律華:「……そうね。正直、見ていられないわ」無感情であろうとつとめているが。眼に浮かぶ色は、苛立ち。
茨木律華:同情ではない。……ただ、自分を納得させるために、心を捩じるようにして言葉を吐き出すそのさまが、
茨木律華:ひどく不器用に見えて、神経を逆撫でた。
風祭猪祈:「……何?シュウ兄さんまで私を甘ちゃん扱いするわけ?」へらっと笑い
風祭猪祈:「はは……舞ちゃんと律華ちゃんにまで心配されちゃうと、流石に自信なくしちゃうけど」
三廻部シュウ:「猪祈」少し強い口調で。
三廻部シュウ:「……いいんだ」
風祭猪祈:「………」
風祭猪祈:「……いいわけないじゃん」僅かに語気を荒げながら
風祭猪祈:「……はいはい、わかりました」
風祭猪祈:「それじゃあお言葉に甘えて今日は休暇ってことで」
風祭猪祈:テーブルに近づき、その上のナイフを拾い上げる
風祭猪祈:「これはこっちで処分しておくから」手元に収める
風祭猪祈:そのまま今の出口へ向かい
箕中舞:「あの!」去り行く猪祈ちゃんに呼びかける。
風祭猪祈:「……ん?」
風祭猪祈:「まだなにかある?舞ちゃん。慰めはお腹いっぱいだけど」
箕中舞:「あ、えっと、でも……」
箕中舞:自分に、彼女に声をかける資格があるだろうか。いや、きっと無い。
風祭猪祈:「ふふ……ごめん。気にしてくれてありがと」安心させるようにおどけて
箕中舞:「大事なものを、守ろうと思うあまり、本当に取りこぼしちゃいけないものを」
箕中舞:「手放してしまったことが……あるの」
風祭猪祈:「…………」
箕中舞:「緋雁ちゃんが、そうだったとしても」
箕中舞:あるいは、あの子は自分ほど、間抜けじゃないだろうけど。
箕中舞:「猪祈ちゃんを大事に思ってたのは、本当のはずだから」
箕中舞:自分は、何がしたいんだろう。こんな言葉で、誰が救われるというのだろう。
箕中舞:「そんな風に、納得しないで。悲しんで、良い筈だよ……」
風祭猪祈:「うん、ありがとう。でも……」
風祭猪祈:「これは、私の感情だから」
風祭猪祈:「たとえ家族でも、口を出してほしくない」
箕中舞:「……」
箕中舞:「……そうだよね。ごめんなさい」
風祭猪祈:「……なんてね。ま、大丈夫だから、舞ちゃんはそんなに気にしないで」
風祭猪祈:戸に手を掛けたまま後ろを振り返り
風祭猪祈:「一階は自由に使ってくれていいから。あとアイツの部屋も調べるならご自由にどうぞ。戸締まりだけは忘れないでね」
風祭猪祈:そう言い捨て、自室へ戻っていく。
茨木律華:無言でその背中を見送って、
茨木律華:「……それで、どうするの。これから」シュウの方を向く。
三廻部シュウ:「…………」
茨木律華:「結局のところ。彼女が内通していた相手も、"ディアスポラ"を裏切った理由も、分からないまま」
三廻部シュウ:普段、人前では吸わない煙草に火をつけて、ゆっくりと無言で吸い、煙を吐き出す。
三廻部シュウ:「……中断は無しだ」
三廻部シュウ:「緋雁が内通者だった以上、時間の余裕は予想より少ないと見るべきだ」
三廻部シュウ:「これまで以上に急ぐ必要がある」
箕中舞:「私たちの敵となる勢力が、いる——」
箕中舞:それが“カリポリス”だけであるという法はない。当たり前の事だった。
三廻部シュウ:「今は……とにかく、動こう」
三廻部シュウ:「考えるのは、それからでもいい」
茨木律華:「……そう。分かった」部分的には、同意できる。
茨木律華:「"聖櫃"を手にすること」を目的に設定するなら、彼の言葉は正しい。問題は、その先だ。
茨木律華:一年以上、組織としての形を維持してきた"ディアスポラ"が、欠けた。
茨木律華:(……"聖櫃"の中にあるものが、私の望みを叶えるという保証はない)
茨木律華:(それでも、このセルが力をつけていけば、手掛かりに手が届くかと期待していたけど)
茨木律華:(そっちの望みは捨てるべきかもしれない)
茨木律華:(……問題はない。私には、それができる)
箕中舞:「……冬村さんが調べていた——“聖櫃”そのものに複雑なセキュリティがかけられているという話」
箕中舞:「“聖櫃”関連のデータはほとんどが秘匿されているか、破損しています。緋雁ちゃんの部屋にあった情報端末に、私たちが集めた破損データを独自に復元したものが収められていました」
茨木律華:無言の肯定。箕中さんが言葉を続けるのを待っている。
三廻部朔夜:「……緋雁さんが……」
箕中舞:「内通した先へと渡すものだったのか、意図は分かりませんけど」
三廻部シュウ:「……」煙を吐く。「続けてくれ」
箕中舞:「“聖櫃”は……私達の想定した物とは随分とその、かけ離れた性質を持っていて」
箕中舞:「ただのレネゲイドアイテムではありません。生体——それもオーヴァードを利用した、生体兵器です」
三廻部シュウ:「……生体……?」
三廻部シュウ:「“聖櫃”は生きてるってことか?」
箕中舞:「はい」
茨木律華:「ええ。その上」
茨木律華:「"保管器"である事を建前に、大量のレネゲイド物品を詰め込んで、実験記録を取っていたみたいよ」
三廻部シュウ:「……厄介そうだな、どうにも」
箕中舞:「エグザイルシンドロームの持ち主を素体に、バロールの時空拡張とオルクスの領域操作」
箕中舞:「外見からは想像できないほどの容量を内部に確保している、と思われます」
箕中舞:「ただ、それだけの中身を守る、あるいは活用するための備えも」
茨木律華:「そう。単純に兵器として強力。……理論上は、"崩落戦"の結果を引っくり返したかもしれないとか」
茨木律華:「これは流石に、いちいち真に受けるような言葉ではないと思うけれど」
三廻部朔夜:「そ……そんなに、ですか……」
茨木律華:「並外れた戦闘能力を有している、とは見るべきでしょうね」
三廻部シュウ:「…………」少し考え込み。
三廻部シュウ:「……まあ、多少の苦労は織り込み済みだ」
三廻部シュウ:「客観的に見て、俺たちの戦力はかなりのものだ。歩人もいるしな」
三廻部シュウ:「……緋雁が抜けたのは痛いが……」
三廻部シュウ:口にしたのを言ってから後悔したような顔。
箕中舞:沈痛な面持ちで目を伏せる。
三廻部シュウ:「……むしろ、好都合と言えるだろう。オルクスの能力でロックされて、鍵がなきゃ絶対に開かない、なんてのよりは」
三廻部シュウ:「ぶっ壊せば開くわけだからな」
茨木律華:「……そうね。少なくとも、今ここで諦める理由にはならないわ」
三廻部朔夜:「……そうなると、あとは肝心の場所だけですか」
箕中舞:「うん。私たちは、もうそれに手をかけている」
三廻部シュウ:「何度も言うようだが、時間が無い。“聖櫃”の在処が掴め次第、すぐにでも獲りにいくぞ」
三廻部シュウ:「覚悟をしておいてくれ」
茨木律華:「……覚悟、ね」
茨木律華:……命を賭けろ、と言われている。
茨木律華:表向きどれほど友好的な顔をしていても。結局、それがこの場所の本質。
茨木律華:ここにいる限り私達は、仲間である以前に兵士だ。
茨木律華:だからこそ私は、抜け出そうと足掻いている。
茨木律華:(……あるいは、もしも)
茨木律華:(もしも彼らと、”ここではない場所”で出会っていたら──そう思った事が、ない訳じゃないけれど)
茨木律華:──だが、全て意味のない仮定だ。
茨木律華:風祭緋雁は”ディアスポラ”を裏切り、死んだ。それが現実だ。
茨木律華:……だから、きっと彼女が自分自身の願いのため、そうしたように。
茨木律華:私は命を賭ける。彼でも、他の誰かでもなく、私自身の夢のために。
箕中舞:敵の正体が見えないまま、前に進む事に恐怖がある。それはきっと、誰もが分かっている。
箕中舞:この場の誰もがそれぞれの理由で、それに取り合うことを拒否した。
箕中舞:「——わかりました。やりましょう」
三廻部シュウ:「ああ、頼んだぞ」
茨木律華:言葉はなく、小さく頷いて返答とする。
GM:“聖櫃”の発見まであと僅か。それは即ち、箕中舞に課せられた、三廻部シュウ暗殺のタイムリミットが近いという事でもあった。
GM:アウレリウスからはそれとなく催促があったが、今に至るまで、君は彼を殺せていない。
GM:そんなことはまるで知らないように、シュウは君達に頷きかけた。

GM:---

冬村歩人:古書店の一室。裏庭に面した、大きな窓。その向こうに太陽を感じさせる、冬の曇天を眺める。
冬村歩人:『……そういうの』
冬村歩人:『捨てたほうがいいよ。ホントに猪祈を守りたいなら』
冬村歩人:緋雁の最期の言葉を、覚えている。
冬村歩人:『「拾っている」んだよ。猪祈のために、敢えて。本来の俺は、そんなもの持っていない』
冬村歩人:そして、それに返した自分の言葉も覚えている。
冬村歩人:どちらにも偽りはない。
冬村歩人:人への同情、共感、そういったものを大事に抱えていては猪祈を守ることはできないし、本来の俺は、"ウィンターマスター"は、そんなものを持ち合わせちゃいない。
冬村歩人:……だが、そもそも知らないものを、『拾う』ことはできない。
冬村歩人:つまり、更に本来の俺はどうであったか? 人の子として生まれ、シュウと共に幼少期を過ごした……
冬村歩人:幾つもの戦場をまだ知らない"冬村歩人"であれば。"ヴィンターミュート"であれば。
冬村歩人:……ああ。ならば、その頃に持っていたものを一度は捨て、彼女に寄り添うために再度拾い集めた今の俺、"ヴィンターミュートII"は——?
冬村歩人:(馬鹿め)
冬村歩人:飢えた獣のような目で、虚空を睨む。ギリギリと頭皮に爪を立てる。
冬村歩人:一つ、二つ。指を折って、切り捨てられるものを数える。避けられるリスクを前途より取り除く。もっとも確実に、大切なものを守る道を進む。
冬村歩人:そうすると決めた。『あの時』から。そして、猪祈への感情を自覚し、彼女をこそもっとも愛すると決めたその瞬間から。
冬村歩人:何処で間違えたか、などと、自問するのも馬鹿馬鹿しい。突き詰めて、あの時猪祈に救われたのが間違いだった、と結論した果てに、身投げでもするか?
冬村歩人:否である。シュウを、"ディアスポラ"の誰もを裏切り、猪祈へ偽りながら歩んできたこの道に、緋雁を手に掛けたという罪が重なっただけのこと。
冬村歩人
冬村歩人:……目を閉じ、畳が匂う冬の朝の空気を吸い、吐く。長い呼吸。小刻みな震えは、吐気を出し尽くす頃には収まっている。
冬村歩人:瞼を開けば、その眼は冷たい冬の闇だ。緋雁を殺した時と同じ。無慈悲なる蹂躙者の目。冷徹なる策謀者の目。心の中、最も凍てつく俺を、瞳に映して。
冬村歩人:(これ以上のリスクを犯さない。戦場も、時間も。材料は揃いつつある)
冬村歩人:考えながら、スマートフォンで『クリーニング』へ連絡する。
冬村歩人:「お前も忙しいだろう。通信隠蔽可能な時間も限られるしな。黙って聞け」 通話が繋がり次第、口を開く
柊桔平:『…………』
冬村歩人:「"聖櫃"の正体を掴んだ。改造に改造を重ねられたオーヴァードそのものだ。所在も程なく分かる。ただし、事態はあまりにも進行し過ぎた」
冬村歩人:「協力者保護プログラムを承認するんだ。即座に俺と彼女の身元を保証しろ」
冬村歩人:「その際に"聖櫃"の所在を伝える。それ以外の連絡は受けない」
柊桔平:『何だと……!?貴様……!』
冬村歩人:「……あるいは"聖櫃"を俺たちが取るという選択ができることは、ハナから把握していただろ。猶予はないぞ」
冬村歩人:「選べ。"聖櫃"を手に英雄になるか、"聖櫃"を前にFHへ出遅れた落伍者になるか。すぐにだ」
柊桔平:『…………』
柊桔平:『いいだろう』
柊桔平:『二人分。お前と女の身柄は保証しよう』
冬村歩人:「それで良い。……追って連絡する。そう間は空かない」
冬村歩人:「それが最後になることを互いに祈ろう」
柊桔平:『…………』
冬村歩人:返事は待たない。言い切り、電話を切る。
冬村歩人:畳に座り込む。長く長く息を吐いて、手を組み、その隙間に生まれるささやかな暗がりを睨んで。
冬村歩人:「……猪祈」
冬村歩人:「君だけは、必ず……」
冬村歩人:漏れた呟きは、切なる祈りのようであり、しかし誰の耳にも、届くことはない。

GM:---

風祭猪祈:自室に戻り、扉の鍵を締める。
風祭猪祈:ベッドには飛び出した時のまま乱雑に放置されたシーツ
風祭猪祈:その横には少々年季の入ったエレキギターがある
風祭猪祈:メタルロックをえらく気に入った二人に、シュウがお下がりとして与えたものだった
風祭猪祈:風祭古書店は築年数の古い木造住宅ではあるが、この趣味もあり二人の部屋だけは防音処置がなされていた。
風祭猪祈:「…………」
風祭猪祈:散らかったままのベッドに腰掛け、脇のテーブルに形見のナイフを置く
風祭猪祈:ふと、その隣にあった2枚のチケットが目に留まる。
風祭猪祈:N市スターライト水族館。以前行きそびれた夜間展示の割引チケットだ。
風祭猪祈:そういえば、どうして水族館に行きたいなどと思ったのだったか。
風祭猪祈:「あ……そうだ。あの時も夢で……」
風祭猪祈:夢を見た。
風祭猪祈:姉妹の記憶よりも更に古い、母の……
風祭猪祈:かつて母と呼んだ女が唯一読み聞かせてくれた絵本の記憶。
風祭猪祈:それは魚の群れの物語だ。
風祭猪祈:一匹の黒い子魚が、赤い小魚の群れの『目』となって
風祭猪祈:大きな魚を追い払う。
風祭猪祈:自分は……きっと、他の姉妹も
風祭猪祈:その姿に憧れたのだ。
風祭猪祈:結局、母はその在り方を、自分たちを捨てたのだけど
風祭猪祈:自分は……今の自分の"眼"なら
風祭猪祈:家族を守れるのだと、そう思っていた。
風祭猪祈:きっと、緋雁も……
風祭猪祈:「はは……笑える」
風祭猪祈:右目を覆う眼帯をさすり
風祭猪祈:「結局節穴じゃん……」
風祭猪祈:冬の曇天が僅かに晴れ、雲の切れ間から陽の光が部屋に射す
風祭猪祈:「ん……眩し……」
風祭猪祈:差し込んだ光が卓上のナイフに反射して顔を照らし、たまらずそれを拾い上げる。
風祭猪祈:そこに……
風祭猪祈:「あ……」
風祭猪祈:そのナイフからは、昨夜の激しい戦いの跡は見て取れない
風祭猪祈:血の跡一つなく、丹念に磨き上げられたその刀身には
風祭猪祈:『左目』を失った、自分と同じ顔の女が写っていた。
風祭猪祈:「ぁ—————」
風祭猪祈:「………っ!ふ……ぅうっ……!」
風祭猪祈:「ゔうぅ……!ぅぁあああああああああああ……!」
風祭猪祈:"ライティ・ビショップ"風祭猪祈は産声を上げること無くこの世に生を受けた複製兵士だ。
風祭猪祈:哀しむことは教わらなかった。痛みは初めからすべて識っていた。
風祭猪祈:故に、彼女が宝物を失った童女のように嗚咽混じりに慟哭するのは
風祭猪祈:この日が最初で、最後となった。

GM:---

GM:シーン終了。
GM:ロイス取得、購入判定が可能です。
冬村歩人:ロイスは保留。購入判定は~
冬村歩人:アルティメイド服だな。ワンチャン狙うメリットはでかい
冬村歩人:5dx+1=>20
DoubleCross : (5R10+1[10]>=20) → 10[3,3,7,9,10]+7[7]+1 → 18 → 失敗

冬村歩人:最後の財産点2を投入して成功! これはデカい……!
箕中舞:インクリボン!
冬村歩人:アルティメイド服相当の最終戦闘服です。
箕中舞:7dx+1>=12
DoubleCross : (7R10+1[10]>=12) → 10[1,2,6,8,8,10,10]+6[1,6]+1 → 17 → 成功

箕中舞:冬村さんに渡します
箕中舞:コネを絡めた情報判定のダイス+2の消耗品らしいです
箕中舞:自分にはコネが無い……
風祭猪祈:あ、いいですね!もっと早く買っとけばよかった
箕中舞:めちゃくちゃ思った>もっと早く買っとけば
風祭猪祈:自分も買おっと
冬村歩人:つ、使う時来るかな? さすがにもう侵蝕率が侵蝕率なので他のコネ持ちの方が良さそうな……
箕中舞:あっそうか……
茨木律華:最後舞ちゃんが在処抜いて終わりかと思ってた
箕中舞:そもそもトリガー引きに行くのが自分だけのパターンで考えてたんだった
茨木律華:足りなかったら後詰め登場するくらいの
箕中舞:じゃあ無を購入してしまったな
茨木律華:こっちは……ブルーゲイルでも狙ってみようかな
茨木律華:4dx+1 購入
DoubleCross : (4R10+1[10]) → 8[1,4,8,8]+1 → 9

茨木律華:だめ!おわり!
風祭猪祈:じゃあブルゲチャレンジ!
風祭猪祈:5dx+1=>20
DoubleCross : (5R10+1[10]>=20) → 10[1,4,6,8,10]+5[5]+1 → 16 → 失敗

風祭猪祈:惜しいぜ
風祭猪祈:以上!
箕中舞:自分も以上!

【Masterscene】

GM:書類の山が撒き散らされ、机の上のものが根こそぎぶちまけられる。
柊桔平:「クソッ!!クソクソクソ……クソッ!!」
柊桔平:苛立ちに任せ、何度も執拗にゴミ箱を蹴りつける。
秘書:怯えた様子で、部屋の隅からそれを見ている。
柊桔平:「俺が……俺が支部長の器ではない、だと……!?」
柊桔平:「ふざけるなァッ!!」
柊桔平:ガン、と一際強く蹴りつけると、鋼鉄のゴミ箱がひしゃげ、壁に叩きつけられる。
柊桔平:「13だぞ……13も支部があって、そのうちひとつも俺に任せられないというのか……?」
柊桔平:「ふざけるのも大概にしろ……!!俺はいずれ日本支部長になる男だぞ……!!」
柊桔平:「支部長になれないのなら、何の為にこんな街に来たと言うんだ……!!」
柊桔平:「それに冬村……!!あのクズが……!!」
柊桔平:「一人分の保護プログラムをねじ込むのに、どれだけ苦労すると思っている……!」
柊桔平:「FHのクズが……甘くしていれば付け上がりやがって……!!」
柊桔平:「どいつも!こいつも!!」
柊桔平:「ぶっ殺してやる!!」
柊桔平:机に蹴りを叩きこむ。けたたましい音と共に吹き飛び、窓ガラスにクモの巣状のひびが入る。
柊桔平:息を荒げ、ようやく少し落ち着いて。
柊桔平:「考えろ……考えるんだ……」
柊桔平:「まだ何か、再起の目は……」
秘書:「あの……ひ、柊さん……」
秘書:恐る恐る口を挟む。
柊桔平:「……何だ」苛立ち任せに睨みつける。
秘書:「ひっ……!」
秘書:「あの……“聖櫃”を手にしても……柊さんの出世には、まだ足りないんですか……?」
柊桔平:「……チッ」舌打ち。
柊桔平:「“聖櫃”がFHに渡るのを阻止するのは、大きな手柄ではあるが……あくまでそれまで顧みられなかった危機を掘り出して、それを未然に防ぐに過ぎん」
柊桔平:「平たく言えば……インパクトが足りん」
柊桔平:「上には人事でまだいくつか借りが残っている……今回の保護プログラムも、相当大きな借りだ」
柊桔平:「何しろ元とはいえマスターエージェントだ。それに尋問もせず無条件に保護」
柊桔平:「返すには大きすぎる借りだ」
秘書:「…………」
秘書:「あの……そのことで、おれ……」
秘書:「ちょっと、考えたことがあるんですけど……」
柊桔平:「…………何?」
秘書:「ひっ! すいません……!」
柊桔平:「……言ってみろ」
秘書:「その……柊さんは“聖櫃”以上の功績が必要で……」
秘書:「尚且つ、“ヴィンターミュート”の保護で、大きな貸しを作ってるんですよね……?」
柊桔平:「…………」
柊桔平:「……そうだが」
秘書:「じゃあ……その……あの……」
秘書:「あのですね……」
柊桔平:苛立った顔で。「何だ。ハッキリ言え!」
秘書:「ひっ……!はい……!」
秘書:「あの……じゃ……じゃあ……」
秘書:「殺しちゃうのはどうですか……? その“ヴィンターミュート”……」
柊桔平:「…………」僅かに目を見開く。
秘書:「そ……そうすれば、保護プログラムを用意する必要もなくなりますし……」
秘書:「元マスターエージェントの危険分子を倒したとなれば……これ以上ないくらいの手柄なんじゃないかって……」
秘書:「そう……思ったんですけど…………」
柊桔平:「黒田……お前……」
秘書:「ひ……!すいません……!出過ぎたことを……!」
柊桔平:「……いや……」
柊桔平:口元に手をやり。
柊桔平:「……よく思い付いた」
秘書:「……え……?」
柊桔平:「……その通りだ。どうしてこんな簡単なことを見落としていた?」
柊桔平:「そうだ……奴さえ殺せば、全ては解決する……!」
秘書:「あの……!じゃ、じゃあ……!」
秘書:「戦うんですね!?柊さん……“ヴィンターミュート”と……!」
秘書:期待に満ちた瞳を向ける。
柊桔平:「当然だ」
柊桔平:「他のエージェントに任せては、私の手柄にならんからな」
秘書:「わあ……!!」
秘書:わくわくに満ちた顔。既に柊と冬月の戦いを想像している。
秘書:「頑張ってくださいね!柊さん!」
柊桔平:「私が負けるとでも?笑わせるな」
柊桔平:「FHのカス共など、敵ではない」
秘書:(どっちを応援すれば……冬村さんにも勝ってほしいし……)
秘書:(でも柊さんも……悩むなあ……)
柊桔平:割れた窓から、N市の街並みを見下ろす。
柊桔平:「待っていろ……冬村歩人……“ディアスポラ”……」
柊桔平:「お前達を潰し……“聖櫃”を手にし……」
柊桔平:「いずれこの私が、全てを手に入れてやる……!」



【Middle7/月だけが】

GM:シーンPCは箕中さん。ほか登場自由。
箕中舞:箕中舞の侵蝕率を+2(1d10->2)した(侵蝕率:79->81)
箕中舞:最低限のダイスボーナス
GM:現在項目はこちら

・“聖櫃”の在処について13/15
難易度8
・“聖櫃”そのものについて 4/4
難易度9
・“聖櫃”のシステムについて10/10
難易度12
・UGNの動向 5/10
難易度11
・他FHセルの動向 5/10
難易度11

GM:判定どうぞ!
箕中舞:セーフハウスとかいうゴミを使って聖櫃の在処を抜きに行きます
箕中舞:8dx+2
DoubleCross : (8R10+2[10]) → 8[1,3,3,5,6,7,8,8]+2 → 10

箕中舞:セーフハウス、有能
箕中舞:ゴミとか言ってごめん
GM:役に立ったじゃねえか……
GM:では開示!

進行度15
“聖櫃”の隠し場所が判明した。
かつて大規模な開発が行われた、市内の地下、未稼働の巨大放水路。
今では誰も顧みることなく放棄されたその場所、広大な調圧水槽に、“聖櫃”は眠っている。

GM:このプライズを達成したことにより、次のシーンでトリガーイベントが発生します。

GM:---
GM:市内 ホテル
GM:---

GM:三廻部シュウは普段、あちこちのホテルを転々と寝泊まりしている。
GM:居場所を敵対者に掴ませないためというのが半分、もう半分は家事をするのが壊滅的だからだ。
GM:だが、セルメンバーにはいつも自分の潜伏先を伝えている。もちろん君——箕中舞にも。
GM:深夜。シュウはホテルの一室から出てきていない。既に眠っているであろう時刻だ。
箕中舞:今、三廻部シュウはベッドの中で寝息を立てている。
箕中舞:それを、空調ダクトの隙間から確認し、ソラリス能力で生成した霧を送り込んだ。
箕中舞:十分な情報が集まった。“アウレリウス”からの催促も、そろそろ後が無いだろう。その時が来たのだ。
箕中舞:無臭のガスが、彼の意識をより深い眠りへと誘う。
三廻部シュウ:「…………」ベッドの上で眠り込んでいる。特に不審な様子は無い。
箕中舞:レネゲイドは、その意思が望めば様々な肉体の不調を……跳ねのけてしまう。
箕中舞:増してや三廻部シュウ程のオーヴァードとなれば、どれ程の薬効を跳ねのけるかも分からない。だから、まずその“意思”が発生しない状態にする。
箕中舞:正しい手順を踏んでいる……筈だ。ダクトの枠を外して、部屋へと降り立つ。
GM:清掃は入っているはずだが、部屋は散らかっている。主に“聖櫃”やFH関連の資料が、乱雑に散らばっている。
箕中舞:万一にも自らの生成した毒素で昏睡しないよう、ガスマスクを被って……その手には銃。
箕中舞:“カリポリス”から与えられた一発限りの弾丸が込められている。ウロボロスシンドロームの因子を宿す、オーヴァード鎮圧弾。
箕中舞:(脳髄に打ち込んで、リザレクトを阻害する。然る後私の能力を全開で使用して、完膚なきまでに殺害する)
箕中舞:気配を殺して、ベッドの傍へ肉薄する。両手で銃把を握り込み、彼の頭へと——
箕中舞:撃つ。
GM:銃声。弾丸が放たれ——
GM:空中で、一瞬で燃え尽きる。
箕中舞:「——!」
三廻部シュウ:「…………」
三廻部シュウ:三廻部シュウが、目を開いて君を見ている。
箕中舞:あり得ない、そんな——!
三廻部シュウ:ガスの影響か、身体は動かせないようだが、その指先に炎が灯る。
箕中舞:地を蹴る。動揺している暇はない。薬効の定かではない霧で視界を遮り、逃走を選択する。
三廻部シュウ:炎が蛇のように蠢き、君を襲う。
三廻部シュウ:灼熱の紅炎が、君の腕を焼き焦がす。
箕中舞:「う゛っ」
箕中舞:くぐもったマスク越しの悲鳴が漏れる。
三廻部シュウ:「……ぐ……ッ……ふッ……」
三廻部シュウ:動かない身体で無理やりベッドから転がり落ちる。
三廻部シュウ:「待……て……」
箕中舞:銃弾で扉の鍵を破壊した。直後、霧が誘爆し、部屋から放り出される。
GM:背後からシュウの苦悶の声。死んではいないだろうが、少なくともすぐに追ってくるのは不可能だろう。
三廻部シュウ:「待て……ク……ソッ……誰だ……!」
箕中舞:失敗した。失敗した失敗した失敗した。あそこまでやっても、彼を殺せないのか——。
箕中舞:肉体の再生に任せて、這々の体でその場を逃げ去った。ただでさえ緋雁ちゃんの離反で警戒心の高まっていたであろう三廻部シュウの暗殺は、これからより難しくなるだろう。
箕中舞:涙で視界が歪む。“カリポリス”は私を切るだろうか。だとしたら、これまでやってきた事は。
箕中舞:「う、うううう……」
箕中舞:唇を噛んだ。夜闇の中、路地裏にへたり込む。
箕中舞:月だけが、私の罪を照らしていた。

GM:---

GM:シーン終了。
GM:ロイス・購入可能です
箕中舞:8dx+1 クリスタルシールド
DoubleCross : (8R10+1[10]) → 10[1,2,3,4,7,9,9,10]+2[2]+1 → 13

箕中舞:だめ!
箕中舞:シュウさんのロイスをN恐怖〇に
箕中舞:以上
箕中舞:あいや、ディアスポラも変えます
箕中舞:じゃない、カリポリスを変えます。有為/恐怖〇

【Climax/“聖櫃”】

GM:クライマックスシーンです。全員登場。
箕中舞:箕中舞の侵蝕率を+10(1d10->10)した(侵蝕率:81->91)
風祭猪祈:風祭猪祈の侵蝕率を+8(1D10->8)(侵蝕率:93->101)した
茨木律華:1d10+95
DoubleCross : (1D10+95) → 7[7]+95 → 102

GM:君らホントに登場ダイスどうなってるんだ
冬村歩人:冬村歩人の侵蝕率を+8(1d10->8)した (侵蝕率:126->134)

GM:---

GM:“聖櫃”の在処が判明した。
GM:その報せを受け、“ディアスポラ”のメンバーは急遽全員が招集された。
GM:君、茨木律華もそれに漏れず、呼び出された集合場所に向かっていた。
茨木律華:冷たい冬の風をきって。朝方の市街地を、早足で歩いていく。
茨木律華:バス停に、学生の集団が並んでいた。その隣を通り過ぎていく。
茨木律華:端々に聞こえてくる会話は、昨日のドラマがどうだったとか、小テストの範囲が広くて大変だったとか。
茨木律華:全く能天気で、危機感の欠片もない言葉。
茨木律華:自分がいる場所とは、違う世界の空気。
茨木律華:「……」
茨木律華:それらの無知と穢れなさに、些かの苛立ちを覚えながらも。
茨木律華:茨木律華は夢を見ている。
茨木律華:いつか、あのような輪の中に戻る事を。
茨木律華:(……本当に?)
茨木律華:ふと、足が止まる。
茨木律華:(本当に、何もかもが上手くいって)
茨木律華:(この呪いを捨てて、記憶を取り戻して……)
茨木律華:茨木律華は夢を見ている。だが。
茨木律華:その違和感に気付かないほど、無垢ではない。
茨木律華:(その先で、本当に私は、あの人たちと同じように)
茨木律華:(”普通”に笑っていられるのだろうか?)
茨木律華:……ゆっくりと、冷えきった手で、頬に手を添える。
茨木律華:この顔が最後に笑顔を作ったのは、いつだったのだろう。
茨木律華:辿っても、辿っても。どこにもない。
茨木律華:それが今の自分だ。
茨木律華:……FHに来てから、戦いの中で壊れていく者を、何人も見てきた。
茨木律華:肉体的な摩耗ではなく、精神性の破損。
茨木律華:曰く、
茨木律華:彼らの心は、二度と他人と絆を結べない状態になったのだという。
茨木律華:振る舞いや姿だけでは、その完全な判別は不可能なのだという。
茨木律華:中には、自分がそうなってしまった事に、自覚を持たぬ者もいるのだという。
茨木律華:……そして、一度”そう”なってしまえば、元に戻す手立てはない。
茨木律華:ジャーム化、と呼ばれている。
茨木律華:まだ、自分がそうなっていないと、
茨木律華:どうして言い切れる?
茨木律華:(……違う)
茨木律華:仲間の中にあって、笑顔を知らない者が。
茨木律華:(違うんだ)
茨木律華:友の裏切りという事実を、冷淡に受け止める事のできた者が。
茨木律華:(私は、まだ……)
茨木律華:(戻れる、はずなんだ)
茨木律華:……息を吐く。迷いを絞り出すように。
茨木律華:拳を握りしめる。食い入る程に強く。
茨木律華:その背後に、バスの遠ざかっていく音が聞こえた。
茨木律華:もう騒がしい話し声もない。
茨木律華:寒風の吹く冬の歩道に、一人となって。
茨木律華:「……」
茨木律華:……俯いていた顔を上げる。
茨木律華:灰みがかった空の向こう。僅かに差す、陽の煌めきが見えていて。
茨木律華:そして再び、少女は歩き出す。今度こそ、足取りに迷いはなく。

GM:---

GM:早朝、君、冬村歩人は、三廻部シュウからの連絡を受けた。
三廻部シュウ:『“聖櫃”の在処が分かった。すぐに来てくれ、歩人』
冬村歩人:「ついにか」
三廻部シュウ:『ああ、放棄された地下放水路だ。連中、“聖櫃”を安置するのにわざわざバカでかい穴を掘らせたらしい』
冬村歩人:既に自室を出ていた。通勤者の行き交う表通りを歩きながら、常通りに応じる。
三廻部シュウ:『とにかく詳しくは会って話そう。皆にも連絡する。場所は——』
冬村歩人:「——分かった」
冬村歩人:「これで最後だな」 半ば独り言のように
三廻部シュウ:『ああ、最後だ。これで上がりだよ。……とにかく急げよ!』
三廻部シュウ:そう言って、慌ただしく通話を切る。
冬村歩人:同じく通話を切る。相変わらず、何てことのない足取りで。
冬村歩人:連絡を取る。『クリーニング』だ。
柊桔平:『…………私だ』不機嫌な声。
冬村歩人:「聖櫃の所在は判明した」
柊桔平:『…………!』
冬村歩人:表通りから折れた、人気少ない裏道。セルの拠点、猪祈の暮らす古書店へと続く道。
柊桔平:『どこだ!?』
冬村歩人:「そちらの準備はできているか?」
柊桔平:『……一々疑り深い奴だ……』舌打ち。
冬村歩人:「当然だ。こちらこそそれで最後になるからな」
冬村歩人:(……相変わらず直情家だな。だからこそ御せる)
柊桔平:『……ああ、ああ。出来ているとも。お前と女の二人分、保護プログラムの許可は取り付けた!』
柊桔平:『これで満足か!』
冬村歩人:「十分だ。仔細な手順も共有を……と行きたい所だが」
冬村歩人:「お前にも面子があるだろう。続きは"聖櫃"の後で良い」
冬村歩人:「俺たちも現地に向かうことそのものは止められそうにないからな。せめて上手く横槍を突き込んでくれ」
柊桔平:『分かったような口を……。そうだ、貴様はとにかくFHに“聖櫃”が渡らないことに留意しろ』
柊桔平:『貴様のセルで一時的に確保するまでは百歩譲って認めてやろう。他のセルに渡るよりはマシだ』
冬村歩人:「柔軟で有難い限りだ。……場所は地下放水路。都市計画の合間、作るだけ作っておいて、放棄された場所がある」
冬村歩人:「およその位置も割り出し済みだ」 伝達しつつ 「細かな特定はそちらの手元の開発データでやればいい」
柊桔平:『……そんな場所が……。分かった。こちらもすぐ向かう』
柊桔平:『とにかく私の手に最後に“聖櫃”が渡ればそれでいい』
冬村歩人:「急げよ。これが最後だ」
柊桔平:『くれぐれも、妙なことを考えるなよ』
冬村歩人:返事はせずに通話を切る。
冬村歩人:(……これでいい。道はついた)
冬村歩人:冬村歩人が、FHを蔑視して止まない柊桔平を取引相手として認めたのも、結局は彼の人格によるところである。
冬村歩人:いかに小者であろうと、FHを軽蔑していようと、浅ましかろうと、前提として根が真っ直ぐなのだ。直情的で、正直。
冬村歩人:こういうタイプは、むしろ器用に詐術を働けるタイプではない。見下すFH相手に小賢しく頭を働かすことをむしろ疎む。そう睨んでいた。
冬村歩人:「くれぐれも、妙なことを考えるな……は、こちらの台詞だ」
冬村歩人:「頼むぞ」
冬村歩人:当て所無く漏らし、最後の戦いに向けて、足を早める。
???:ふと、そこに何者かの視線を感じる
冬村歩人:足を止める。視線の出処を探る。
冬村歩人:辺りを見渡す……人気のない路地。誰もいない。
冬村歩人:次いで視線を上方へと移す。建物を見る。空を見る。
???:同じく誰もいない。生ゴミをつついていた烏が一羽。冬村歩人の視線に気づき飛び立っていった。
冬村歩人:「……」
冬村歩人:動物使い。いや、少なくとも"ディアスポラ"にはいない。他セルの斥候? 通話を聞かれた可能性があるか。
冬村歩人:「……」
冬村歩人:飛び立っていく烏に、結局手出しはしない。その姿を見送る。
冬村歩人:「……気を張りすぎだな」
冬村歩人:白い吐気と共に呟き、また足早で歩き始める……
???:そして、誰一人いなくなった路地裏に
???:一瞬、砂嵐のようなノイズが走る
???:エフェクトによる光学迷彩が徐々に剥がれ落ち
???:中央に大型カメラを内蔵した円盤物体が姿を表す
???:"ディアスポラ"の拠点の警戒は、いつも彼女の仕事だった
風祭猪祈:セルの仲間にも知らせていない、風祭緋雁が残したドローンの。

GM:---

風祭猪祈:風祭古書店 風祭緋雁の自室
風祭猪祈:「…………」
風祭猪祈:監視映像が並ぶモニターの前で、風祭猪祈は立ち尽くしている
風祭猪祈:古書店は"ディアスポラ"の数少ない固定された拠点だ
風祭猪祈:緋雁がいなくなったとしても、誰かが周囲の警戒を行わなければならない。
風祭猪祈:それが"聖櫃"奪取の最後の詰めであればなおさらだ
風祭猪祈:猪祈自身はブラックドッグ能力を持たないが、店の周囲に限定すれば、事前に組まれた自動プログラムで事足りる
風祭猪祈:それが……
風祭猪祈:「……歩人さん……一体誰と……?」
風祭猪祈:ドローンの内蔵マイクの集音性は決して良くはない。だがあれ以上近づけば、いかに光学偽装を施していても察知されていただろう。
風祭猪祈:しかし、その中でも断片的に拾うことができた音声には
風祭猪祈:『聖櫃の———』『横槍を———』『———これが最後———』
風祭猪祈:不穏なワードが並ぶ。
風祭猪祈:セルメンバーとの会話か?だが、それにしては声色が冷たすぎる
風祭猪祈:まるで、敵に相対する時のような……
風祭猪祈:「…………」
風祭猪祈:最悪の想像がよぎる。そうだ………
風祭猪祈:『風祭緋雁は内通者だった。冬村歩人はそれに応戦し殺害した』
風祭猪祈:それは、風祭緋雁の死という結果を導き出すための一つの式に過ぎない
風祭猪祈:その逆がありえないと、誰に証明することができるのか。
風祭猪祈:「え……いや…………けど……」
風祭猪祈:考えがまとまらず、モニターの前にへたり込む。
風祭猪祈:「…………」
風祭猪祈:まだ、決まったわけではない。『クリーニング』との関係は一見険悪なものも多い。
風祭猪祈:ダブルスパイ、トリプルスパイなどいくらでもいる。最終的に仲間のためになるのなら……
風祭猪祈:いや、そもそも自分の聞き間違えの可能性もある。
風祭猪祈:焦燥と、困惑と、何より”愛する人に裏切られている”かもしれない恐怖が
風祭猪祈:認めれば自分の世界が根底から崩れてしまうようで、冷静な判断を下せずにいる
風祭猪祈:「わかんないよ……」
風祭猪祈:「ねえ……教えてよ……緋雁……」
GM:その時、君はコンソールパネルの隅に、見覚えのないフォルダがあるのに気付く。
風祭猪祈:「……?」
風祭猪祈:気を紛らわそうと、そのフォルダを開く
GM:監視プログラムを実行し、操作した者にだけ分かるようになっているのだろう。中身を再生すると、動画ファイルのようだ。
GM:がたがたと映像が揺れる。背景は今君がいるこの部屋。映っているのは……
風祭緋雁:『あー、撮れてるかな?』
風祭猪祈:「緋雁……」目を見開く。
風祭緋雁:首を傾げ、カメラを覗き込む。
風祭緋雁:『うん、撮れてる撮れてる』
風祭緋雁:『…………』
風祭緋雁:『……なんか……恥ずかしいなこれ……』
風祭緋雁:『自撮りっていうの?みんなよくこういうの出来るよね……』
風祭緋雁:『あー、えっと』
風祭緋雁:『これを見てるってことは……朔夜かな?それか……猪祈?』
風祭猪祈:「……うっさい……見てる方も恥ずかしいつーの……」涙声で呟く
風祭緋雁:『まあどっちでもいいや。要点だけ話すね』
風祭緋雁:『あたし、これから歩人さんに会いに行くんだけど……』
風祭緋雁:『何でかって言うと……まあ、ちょっと怪しいかなって思って……』
風祭緋雁:『裏でこっそり、多分、UGN……の人に会ってるみたいでさ』
風祭緋雁:『それを聞きに行こうかな~って』
風祭猪祈:「—————」顔から血の気が引く
風祭緋雁:『まあ、全部あたしの勘違いだと思うんだけどね。歩人さんがそんなこと、するわけないし』
風祭緋雁:『そうだといいな~って思ってる』
風祭緋雁:『まあ、もし勘違いじゃなかった時は…………』
風祭緋雁:『…………』
風祭緋雁:『分かんない。どうすりゃいいんだろうね?』困ったように笑う。
風祭緋雁:『あ、それで……もしこれを誰かが聞いてて、その時あたしが帰ってきてなかったら』
風祭緋雁:『用心してほしいなって。言いたいことは、そういうこと』
風祭緋雁:『……まあ、多分……大丈夫だと、思うんだけどね』
風祭緋雁:『こんなの撮ってるのも、無駄になると思うし。バレたら猪祈に怒られるかな?それとも笑われるかもね』
風祭緋雁:『……あー……』
風祭緋雁:『……一応、言っとく、か……恥ずかしいけど……』
風祭緋雁:『えーと……これ見てるのが誰か分かんないけど……』
風祭緋雁:『もしあたしが帰ってこなかったら、猪祈に伝えてほしいな』
風祭緋雁:微笑を浮かべ、
風祭緋雁:『あたしは、いつだって猪祈の味方だよ』
風祭緋雁:『……お姉ちゃんだからさ』
風祭緋雁:『…………』
風祭緋雁:『……そんだけ!うわ、何これ、超恥ずかしいんだけど……』
風祭緋雁:『……以上!おしまい!風祭緋雁でした!じゃあね!』
GM:そこで、ぷつりと動画は停止する。
風祭猪祈:「ぁ……」映像が消える瞬間、わずかに手を伸ばし
風祭猪祈:「…………なんだよそれ………」
風祭猪祈:冬村歩人の疑惑はより高まった。しかし、風祭緋雁は事実内通者として死んだ。
風祭猪祈:それはつまり、どちらかが嘘を付いている?
風祭猪祈:冬村歩人の謝罪と慰めは嘘だったのか?あるいは自分に対する親愛の言葉も?
風祭猪祈:風祭緋雁のこのメッセージは嘘なのか?姉妹だと思っていたのは自分だけだったのか?
風祭猪祈:「わかんない……結局全然わかんないじゃん……」
風祭猪祈:そう、わからない。なぜなら
風祭猪祈:どちらも同じくらい大切だったのだ。どちらも失いたくて、どちらも守り通したかった。
風祭猪祈:大切な、家族なのだ。
風祭猪祈:「どうすればいいんだよ……」
風祭猪祈:「どうしろってんだよ!私は!」
風祭猪祈:激昂し、キーボードをモニターに叩きつける。
風祭猪祈:「ハァ……ハァ……」
風祭猪祈:「…………」
風祭猪祈:答えは出ない、少なくとも、ここにいる限りは
風祭猪祈:「……行かなきゃ」
風祭猪祈:この眼は、どうしようもない節穴だ。それでも
風祭猪祈:最後は、自分の見たものを信じるしかない。それが例え
風祭猪祈:影絵の虚像で、抱きしめた瞬間崩れ去るものだとしても
風祭猪祈:自分から捨ててしまうよりは、ずっとマシだ。

GM:---
GM:N市 郊外
GM:---

GM:市街地から離れた山中。鉄柵で塞がれた、ごく小さな入り口。
GM:そこが、“聖櫃”の安置された放水路へと通じる秘密の出入り口だった。
GM:君達“ディアスポラ”の面々はシュウに呼び出されてここに集合していたが、
GM:その中にはただ一人……箕中舞の姿だけがなかった。
三廻部シュウ:「……来ないな……」
三廻部朔夜:「ちゃんと連絡したんだよね?」
茨木律華:「当り前よ。さっきからずっと催促もしてる」
茨木律華:端末の画面に視線を落として、苛立たし気な声音。
三廻部シュウ:「……ていうか、そもそもこの場所を最初に掴んだの、舞なんだからな」
三廻部シュウ:「分からない筈が無いんだが……」
冬村歩人:「しかし返事もないとなると……」
三廻部朔夜:「……あの……」
三廻部朔夜:「何か、あったんじゃないですか……?」
三廻部朔夜:不安げな顔。
風祭猪祈:「…………」
三廻部朔夜:「あの、お兄ちゃんも襲われたって言うし……」
三廻部シュウ:「…………」
茨木律華:「あり得るでしょうね」吐き捨てるように。
冬村歩人:朝に感じた視線のようなものを思い出す 「……有り得る話だが」
風祭猪祈:「……シュウ兄さんの方は」
風祭猪祈:「身体はもうなんともないの?」
三廻部シュウ:「……ああ、大したことない。襲われるのなんて、初めてでもないしな」
三廻部シュウ:「取り逃がしたのは痛かったが……」
三廻部朔夜:「……こんな時に……」
三廻部朔夜:言いかけて、口を噤む。
GM:続く言葉はみなが想像できるだろう。緋雁さえいれば。
風祭猪祈:「…………ごめん」俯く。
三廻部朔夜:「な、なんで猪祈さんが謝るんですか!」
三廻部朔夜:「……やめてくださいよ……」
風祭猪祈:「だって……うん、そうだね……ほんとごめん」
茨木律華:「……それで、いつまでこうして待つつもりなの?」断ち切るように。
三廻部シュウ:「……そうだな」
冬村歩人:「そうだな。どうあれ決めるべきだ、シュウ」
冬村歩人:言外に、まだ引ける、というニュアンスを込めているが
三廻部シュウ:「…………よし。セルリーダーとしての判断だ」
三廻部シュウ:「これから“聖櫃”を捜索、発見次第確保する」
三廻部シュウ:「……悪いが、舞のことはその後だ。とにかく時間が無い」
三廻部シュウ:「ここで機会を逃すわけにはいかない……オレはそう判断した」
茨木律華:「了解よ」連絡端末の操作をやめて、ポケットに捩じ込む。
冬村歩人:ふ、と息を漏らす 「そう言うと思った」
風祭猪祈:「……わかった」俯いたまま答える
三廻部シュウ:「納得してくれとは言わないが、理解してほしい」
三廻部シュウ:「……急ごう」
GM:そうして君達は、暗い通路へと足を踏み入れる。
GM:先に広がるのは、どこまでも続く、闇。

茨木律華:──箕中舞が死んだ。
茨木律華:死んで当然の女だ。
茨木律華:上から力で押さえつけられれば何だってやる、尊厳のない小悪党だ。
茨木律華:おまけに愚図で、要領が悪い。いつかこうして、致命的な失敗をするだろうと思っていた。
茨木律華:……よりによってこんな時に、とは思うけれど。
茨木律華:元より、あいつのお陰で記憶を取り戻せるなんて、大して期待していなかった。
茨木律華:トータルで見れば、ある程度の役には立った。
茨木律華:用済みになった時にどうするか、という問題もいま解決した。
茨木律華:あの時生かしておいたのは、きっと正しい。結果を見れば、期待以下で、評価相当というところだ。
茨木律華:(……結局、自分の願いは、自分で叶えるしかないんだろう)
茨木律華:目を細める。注意深く、目の前に広がる闇の奥を見据えながら。
茨木律華:(私は、あいつの死を踏み台にして、先へ進む)
茨木律華:(それだけよ。それだけの話)
茨木律華:……苛立たしげに、唇を噛む。
茨木律華:気を散らしてる場合じゃないのに。
茨木律華:焦げ付くような怒りが、どうしてか消えない。

GM:---

GM:地下に広がる、巨大な空間。
GM:幾つもの柱が立ち並ぶ、神殿を思わせる場所——調圧水槽。
GM:君達が足を踏み入れたこの場所に、“聖櫃”は眠っているという。
三廻部朔夜:「……ここに……“聖櫃”が……」
三廻部朔夜:その空間に圧倒されるように、辺りを見回す。
茨木律華:「……」暗闇に目を細め、歩を進める。
茨木律華:敵対者の気配に、気を張っている。いつにも増して表情が硬い。
冬村歩人:ポケットに手を入れたまま、猪祈のすぐ横後ろを歩く
冬村歩人:まだ魔眼は出していない。だが、一拍をおけばいつでも交戦に入ることのできる状態だ
風祭猪祈:「……」その気配に僅かに緊張しながら
風祭猪祈:「……広いね。少し探ってみようか」
三廻部シュウ:「ああ……ひとまず手分けして……」
三廻部シュウ:「……待て!」
三廻部シュウ:戦闘を行くシュウが、全員を制止する。
三廻部シュウ:「何かいる」
茨木律華:足を止める。佇まいはいつもと変わりないが、
茨木律華:それは彼女が戦闘にあたって特別の動作を必要としないだけのこと。すぐにでも撃ち合う用意はある。
風祭猪祈:「……!」傍らに浮いた観測用ドローンが起動する。
GM:その時、立て続けに銃声。闇の奥で、光が閃く。
三廻部シュウ:「チッ……!」
冬村歩人:「銃……!」 歩人より数歩分後方の空間が円形に揺らぎ、白い空気が漏れる
三廻部シュウ:爆炎の壁を展開する。銃弾の雨は君達に届くことなく、空中で融解する。
三廻部シュウ:「先回りされてたか……歩人、皆を頼む」
冬村歩人:(UGN……にしては早すぎる。ここに『待ち構えていた』。この場所を知っていた……?)
冬村歩人:「分かってる。いちいち気にするな」
GM:響く、複数の足音。
風祭猪祈:「……ごめん。索敵遅れた」
茨木律華:「っ……!」忌々し気に息を吐いて、反撃として氷の弾丸を撃ち込む。敵の座標は捉えられていない。牽制程度の意味しかない。
風祭猪祈:傍らに浮くドローンは風祭緋雁と同系統の機体。しかしその中に埋め込まれた"眼"は
風祭猪祈:"アーティファクト"だ。その瞳が、闇の中を敵を捉えようとする。
GM:現れたのは、FHセル“カリポリス”の面々。リーダーのアウレリウスに、腹心のエクィテス。それにセルメンバーが十数人。いずれもオーヴァードだ。
GM:君達とは、幾度となく交戦してきた仇敵だ。
“アウレリウス”:「こんにちは、“ディアスポラ”の皆さん」
“アウレリウス”:「こんな場所でお会いするとは、奇遇ですねえ」
“アウレリウス”:余裕の表情。君達を待ち構えていたのだ。
風祭猪祈:「"カリポリス"……」
茨木律華:「"アウレリウス"……!」
三廻部シュウ:「てめぇ……!」怒りも露わにアウレリウスを睨む。
“エクィテス”:「はーい。お元気~?」ひらひらと手を振る。
三廻部朔夜:「な……なんでこの場所が……」
茨木律華:「……お前達だったのか。横槍を入れていたのは」怒りの形相を浮かべる。
茨木律華:シュウを襲ったのも、緋雁を唆したのも……あるいは、箕中舞が殺されたのも。
風祭猪祈:「(明らかにこちらの情報を掴んでいる。けど……)」
風祭猪祈:「(緋雁の動画では歩人さんが接触してるのはUGNだって……どういうこと……?)」
冬村歩人:(同時に調査を進めて、同じタイミングで辿り着いた……にしては)
冬村歩人:(一手早い) 「……待っていたのか? わざわざ、俺たちを」
“アウレリウス”:「ええ……残念ですが、僕たちの目指す未来に、あなたたちは不要なんです」
“アウレリウス”:「ですから……芽はここで摘み取っておく」
“アウレリウス”:「“聖櫃”はあなた方には過ぎた力ですよ」
“アウレリウス”:「僕たちにこそ相応しい」
茨木律華:「……随分と舐めてくれるわ」芽、将来の小さな可能性。彼らにとってみれば、自分達はその程度でしかない。
茨木律華:実際、その認識は正しいだろう。……だからこそ、出し抜き切る必要があった。
茨木律華:だが、追いつかれた。
冬村歩人:「そう思いたいなら思っていれば良い。思考は自由だ」
冬村歩人:「……が、そんな妄想は、それこそ力で塗り潰されるのが常だ」
“アウレリウス”:「おやおや……あまり怒らないでください……身が竦んでしまいます」
“アウレリウス”:「何せ僕は……ただの『羊飼い』ですから……」
GM:君達の誰もが知っている。彼がスパイや内通者を『羊』と呼称することを。
風祭猪祈:「羊……?アンタ達まさか……」
冬村歩人:背後の空間の揺らぎが、右方から白く変じていく。新月の翌日の月のように
冬村歩人:「……」 眉をひそめる。内通者。彼らと通じている者。今この中に、いるとするならば……いや、『いない』とするならば
風祭猪祈:「(やっぱり……緋雁が……?けど……)」
茨木律華:(……この男の余裕。"羊飼い"という言葉……)
茨木律華:(あるいはまだ、この中に内通者がいる……?)隣に並ぶ者達の顔を、横目で一瞥。
GM:混乱を更に上書きするように、君達の後方から、足音が響いてくる。一人分の革靴の音。
柊桔平:姿を現したのは一人の男。暗色のスーツに、UGNで広く使用されているボディアーマーを着込んでいる。
柊桔平:神経質そうな表情に、黒縁の眼鏡。
三廻部朔夜:「こ……今度は……誰……!?」
風祭猪祈:「……!」新たな訪問者に武器を構える。ボストンバッグの光学偽装が剥げアサルトライフルが姿を表す。
冬村歩人:背後を振り返る。知った顔だ
冬村歩人:「……UGNだ。装備が正規品であればな」
三廻部シュウ:「……だが……たった一人……か……?」
茨木律華:半身で振り返る。……見覚えのない顔。
風祭猪祈:「(UGN……じゃあこっちが?だけどどうしてこの段階で……?)」
柊桔平:居並ぶ面々を一瞥し、「フン」鼻で笑う。
柊桔平:「どいつもこいつもクズばかり……」
柊桔平:「力を欲するなど……烏滸がましいにも程がある」
茨木律華:「……単身で? 随分と、腕に自信があるみたいね」
柊桔平:「十分だからな。私が一人いれば、それ以上の戦力は過剰だ」
冬村歩人:「あるいは前後不覚だ。……相手にするな」
冬村歩人:「先に"カリポリス"だ」
柊桔平:「“聖櫃”は私が責任を持って回収してやる」
柊桔平:「冬村歩人」
柊桔平:冬村さんに目を向け。
冬村歩人:「…………」 忌々しげな視線を返す
柊桔平:「女と一緒にこちらへ来い」
柊桔平:「それとも貴様も『敵』か?」
茨木律華:「……?」訝るような目。誰に掛けられた言葉なのかと、視線を彷徨わせて。
茨木律華:……冬村歩人のところで止まる。
風祭猪祈:「……!」その言葉に眼を見開き
三廻部シュウ:「…………」自らの親友に目を向ける。
風祭猪祈:「歩人……さん……?」縋るような表情で
冬村歩人:「……」 返事はない。苛立たしけに奥歯を噛んでいる
茨木律華:「……何、その顔」
三廻部シュウ:「おい……歩人……?」僅かに声が震えている。
三廻部シュウ:「……どういうことだよ」
冬村歩人:脱力と、諦念の滲む息を吐く 「……どうとでも取れ。今すぐに何もかも納得できるよう話すことなんてできない」
三廻部朔夜:「え……え……!?」
冬村歩人:「俺は"カリポリス"と——俺に刃を向ける者を全て討つ。そして"聖櫃"を手に入れる」
茨木律華:舌打ち。柊の方を振り返って。
茨木律華:「今のはどういう意味よ、UGN」
茨木律華:「……こいつが」
茨木律華:「お前に、情報を流していたのか」
柊桔平:「一々説明してやらんと理解できないのか?」
柊桔平:「度し難いな、FHの愚かしさは」
冬村歩人:(どちらだ、度し難く愚かしいのは……!!)
風祭猪祈:「そんな………」重を取り落しそうになるのを必死に堪える
茨木律華:「……そう。そういうこと……!」唇を噛んで、冬村から距離を置くように飛ぶ。壁を背に。
三廻部シュウ:「…………」
三廻部シュウ:「刃を向ける者……はは、ハッ」
三廻部シュウ:顔を手で覆い、哄笑する。
三廻部シュウ:「ああ、つまり、そりゃあ……」
三廻部シュウ:怒気がそのまま形を成すように。三廻部シュウの周囲を、蛇のような真紅の炎が舞い踊る。
三廻部シュウ:「歯向かえば、オレ達も殺すと」
三廻部シュウ:「……そういうことだな?」
冬村歩人:「そうはしたくないから言ったんだ。……シュウ。朔夜ちゃん。律華ちゃん」
茨木律華:「……」冷え切った視線で応える。
冬村歩人:「俺は大事なものを何もかも守るために、賭けることはできない。袂を分かつという意味であれば」
冬村歩人:「ここに辿り着いた時点で、既に決裂してるんだよ。……シュウ。俺はお前とは行けない。今後一切」
冬村歩人:「俺は大切な物を、一つ、二つ。……守れるものだけを守る」
冬村歩人:空間に浮かぶ白い三日月のような輝きが強まる。床・壁の僅かな水分すら、霜となって白く煌めく
茨木律華:「……だから、緋雁を切り捨てたの」
冬村歩人:「そうはしたくなかった」
風祭猪祈:「わかんないよ……」
風祭猪祈:「緋雁は……私達は家族だったんじゃないの……?それを捨てて……」
風祭猪祈:「歩人さんが守りたいものって、一体なんなの……?」震える声で問う
冬村歩人:「……最初は、知っている仲間全員だった。"ディアスポラ"の皆も、そうだな。守れれば良かった。緋雁ちゃんのことだって……一緒に行けるなら行きたかったさ」
冬村歩人:「それは全部捨てた。今は猪祈だけだ」
風祭猪祈:「………」息を呑み
風祭猪祈:「なんだよ……それ……」
冬村歩人:「分かってくれとは言わない。……でも信じてくれ」
冬村歩人:歩を進める 冬の装いをしてなお、凍えるほどの冷気が空間に満ちていく。極冬だ
冬村歩人:「冬の空ウィンターマスターに、刃を向けるような真似はしないでくれ」
冬村歩人:「"カリポリス"を潰す。それでこの戦いは終わりだ」
茨木律華:「……猪祈」その後ろから呼びかける。
茨木律華:「ダメよ。そいつの言葉はもう、信用できない。分かるでしょう」
茨木律華:「その男に付いて行けば、いつか貴方も切り捨てられる側になるわよ」
風祭猪祈:「…………」
三廻部シュウ:「……くはっ!」笑い声をこぼす。
三廻部シュウ:「くっ……くくく…………」
三廻部シュウ:「はははは!あはははは!」
三廻部朔夜:「…………お兄ちゃん……?」
三廻部シュウ:「……成程な。ああ、歩人」
三廻部シュウ:「確かにお前ならそうするだろうな。分かるよ。納得だ」
三廻部シュウ:「でもなあ、一個だけ分かんねえんだよ」
冬村歩人:「…………」
風祭猪祈:「シュウ兄さん……」困惑の瞳を向ける
三廻部シュウ:「どんな気持ちだったんだ?俺たちを裏切って、切り捨てる算段をつけながら」
三廻部シュウ:「まるで何も変わらない、家族みたいに笑ってたのは」
三廻部シュウ:「どういう気分だった?その手で緋雁を殺して、のうのうと俺たちの前に顔を出すのは」
三廻部シュウ:「傷付いたような顔してよ……なあ、教えてくれよ歩人」
三廻部シュウ:「……歩人ォッ!!」
三廻部シュウ:もう一つの太陽が生まれたかのような、紅の爆炎が噴き上がる。灼熱の業火に、周囲のコンクリートが溶解していく。
冬村歩人:「……一つ言えるのは」
冬村歩人:「お前を殺したくはなかった。緋雁ちゃんを殺したくはなかったし、お前たちを裏切りたくもなかった」
冬村歩人:「同じだ。何もかも」 異界へ通じる青褪めた月の輝きは、一層に力を増す——シュウが本気を出してさえいれば
冬村歩人:誤って猪祈を凍死させる心配もない。
冬村歩人:「残念だと思う。だが、」
冬村歩人:「やるべきことをする。……望みのために」 その眼は、背後の空間と同じく、青白く冷めきっている。
三廻部シュウ:「……歩人……!!」
GM:その時。
GM:「ひっ……!?」「何だ……あれ……」「わぁあああっ!?」
GM:“カリポリス”のエージェント達から、次々に悲鳴が上がる。
GM:振り返ると、そこには異様な光景が広がっていた。
GM:——津波。
GM:そう錯覚するような何かが、広大な地下空間を満たし、君達に迫ろうとしている。
GM:全てが銀色に輝き、放水路上部の照明を鈍く反射している。
GM:途方もなく膨大な、液体金属の波。
冬村歩人:目を見開く。刃のように薄い冷気の光が背後の魔眼より発せられ、その波を撃つ
GM:波の一部が凍り付く。だが、余りにも巨大すぎる。勢いは止まらず、そのまま君達に向けて迫り——
茨木律華:「……っ!」自身を覆うように氷の防壁を錬成、波を防ごうとする。
GM:直前で軌道を変える。ぐるりと君達を取り囲むように、硬質化した金属の壁が展開される。
風祭猪祈:「!?これは……?」
三廻部朔夜:「何なんですか……これ……!」
冬村歩人:「……"聖櫃"が目覚めたんだ」
GM:一瞬の静寂の後、悲鳴。
GM:金属の壁から、硬質化した棘が突き出し、“カリポリス”達を串刺しにしていく。
冬村歩人:エグザイル能力者をベースとして、各セルが思い思いの改造を施した結果が、"金属生体の海"だとしたら……ありえなくはない。
“アウレリウス”:「……何だ……これは……こんなもの……」
“エクィテス”:「……リーダー!逃げたほうがいいですよ!……リーダー!」
柊桔平:「……くだらんな」
柊桔平:「チャチな玩具だ」
茨木律華:「……"これ"と、やり合わなきゃいけないってわけ」
冬村歩人:「凍らせれば止まる相手だ。恐れるほどじゃない」
冬村歩人:「所詮はこの世界の物理法則の内にある。……十分だ」
GM:金属の波が脈打ち、軋むような甲高い咆哮を上げる。

GM:戦闘開始です。
エンゲージ


“カリポリス”エージェント1~9、アウレリウス、エクィテス

(10m)

PC、三廻部シュウ  (10m)   “ケルビム”

(10m)

柊桔平


GM:NPCカード 三廻部朔夜が使用可能です。
GM:シーン2回までイニシアチブタイミングで任意のキャラクターに対し≪ナーブジャック≫を10DX7+4で試みることが出来ます。
冬村歩人:これ、誰が使用宣言するんですかね……?w
GM:誰でもいいです!
冬村歩人:OKです
GM:君達を取り囲む金属の壁から、精神を蝕むワーディングが放たれる。
GM:それは君達の心を搔き乱し、忌まわしい記憶を、内に秘めた恐怖を呼び覚ます。
“ケルビム”:Eロイス≪原初の恐怖≫
“ケルビム”:衝動判定での侵蝕上昇値を1D+覚醒値に変更。
“ケルビム”:衝動判定。難易度10。
箕中舞:なんか激ヤバな事言われてません?
風祭猪祈:鬼畜の所業
箕中舞:3dx>=10
DoubleCross : (3R10[10]>=10) → 9[5,6,9] → 9 → 失敗

冬村歩人:9dx+1=>10
DoubleCross : (9R10+1[10]>=10) → 8[1,2,2,2,5,6,7,7,8]+1 → 9 → 失敗

茨木律華:5dx+1>=10
DoubleCross : (5R10+1[10]>=10) → 9[1,1,3,6,9]+1 → 10 → 成功

風祭猪祈:4dx>=10
DoubleCross : (4R10[10]>=10) → 10[2,6,9,10]+9[9] → 19 → 成功

冬村歩人:裏切り者は何をさせてもダメ
箕中舞:わかり哲也
箕中舞:1d10+15
DoubleCross : (1D10+15) → 10[10]+15 → 25

箕中舞:箕中舞の侵蝕率を+25した(侵蝕率:91->116)
冬村歩人:1d10+15
DoubleCross : (1D10+15) → 8[8]+15 → 23

冬村歩人:冬村歩人の侵蝕率を+23した (侵蝕率:134->157)
茨木律華:1d10+18
DoubleCross : (1D10+18) → 9[9]+18 → 27

茨木律華:102->129
風祭猪祈:1d10+16
DoubleCross : (1D10+16) → 6[6]+16 → 22

風祭猪祈:風祭猪祈の侵蝕率を+22(侵蝕率:101->123)した
箕中舞:なんでこんなとこのダイスまでたけーんだよ
GM:セットアップから!
箕中舞:行動値最低なので誰も無ければ動きます
風祭猪祈:なし!
冬村歩人:《苛烈なる火》。攻撃力+12
冬村歩人:冬村歩人のHPは24になった。(HP:29->24)
茨木律華:セットアップないです。
柊桔平:≪ターゲットロック≫対象冬村歩人。
冬村歩人:こいつホンマ
箕中舞:こいつ全員片付ける気ないだろ
冬村歩人:殺意隠せや!!
箕中舞:《タブレット》《多重生成》《女王の降臨》《凶戦士》
冬村歩人:冬村歩人の侵蝕率を+3した (侵蝕率:157->160)
箕中舞:箕中舞の侵蝕率を+15した(侵蝕率:116->131)
“エクィテス”:怨念の呪石起動、暴走します
“アウレリウス”:≪支配の因子≫
“アウレリウス”:“カリポリス”以外の全員の攻撃力をラウンド間-20。
風祭猪祈:うげー!
箕中舞:箕中舞を除くPC+シュウさんにダイス+6 C値-1
冬村歩人:ヒュー!
“ケルビム”:Eロイス≪殺刃圏≫
“ケルビム”:クリンナップ毎にシーン2Dダメージ。
“ケルビム”:Eロイス≪殺戮衝動≫
“ケルビム”:クリンナップ時に戦闘不能のキャラクターは死亡する。
風祭猪祈:こいつやべえ
GM:ではイニシアチブから。何も無ければ最速の風祭さん。
箕中舞:転がり込むロール入れて良いですか
GM:どうぞ!
箕中舞:「っ! わわ……一体何が……!」
箕中舞:“カリポリス”は今頃聖櫃を手に入れている。彼女は記憶を取り戻す。そういう手筈になっていると理解はしていても。
箕中舞:……そうだ。アウレリウスに、暗殺の失敗は緋雁の造反のせいと伝えた。“ディアスポラ”はメンバーが欠け、猜疑を向け合い、かつてのような連携を望めないとも。
箕中舞:それに納得していた……ように見えた。それでも、不安を覚えて様子を見に来たのだ。だが、この有様は何だ。
箕中舞:銀の海から逃れるように、茨木さんの居る場所に転がり込む。乱戦で彼女がやられてしまえばすべて終わりだ。
箕中舞:「遅く……なりました!」
三廻部朔夜:「舞さん!?……無事だったんですか!?」
茨木律華:「お前……」生きていたの、という言葉を飲み込んで。必要な事実を端的に伝える。
茨木律華:「冬村はダブルクロスだった」
茨木律華:「加えて敵はUGNの一人と、"カリポリス"と、"聖櫃"」
箕中舞:「……」絶句する。冬村歩人の造反を疑う者がいるというのは、アウレリウスを欺くための方便だった、はずだ。
風祭猪祈:「舞ちゃん……!良かった……」僅かに安堵の表情を見せる
箕中舞:「——でも、こちらにいるという事は、今は味方……でいいの?」
箕中舞:茨木さんに問う。
冬村歩人:冷え切った眼で、彼女を一瞥するが、それだけだ。もとよりそこまで脅威視していない
冬村歩人:「……判断は自分でしてくれ」
冬村歩人:「俺に歯向かわないなら、敵にはしない」
箕中舞:「……なら、味方。です」
箕中舞:既に連装カートリッジへの充填を終えている。
茨木律華:「……油断はしないで。緋雁を殺した男よ」しばし答えに迷って、それだけ告げる。
風祭猪祈:「…………」
茨木律華:決して味方ではないが、利用できるなら好ましい。彼の能力は"聖櫃"を相手取るにあたって相性が良い。
箕中舞:インジェクトリボルバーから“ディアスポラ”へ。4発の弾丸が放たれ、彼らのレネゲイドを励起させる!
箕中舞:「……わかったよ、律華ちゃん」
箕中舞:シュウさんを殺そうとしたと知ったら、彼女は自分をどんな目で見るだろうか。
箕中舞:それを考えないようにして、周囲の敵たちに向き直る。
GM:では改めてイニシアチブから。何も無ければ最速13の風祭さん。
冬村歩人:あ、《時間凍結》します。が、行動宣言の前にこっちも入れさせて!
GM:そうだ!
冬村歩人:背後に展開していた魔眼が閉じ、空間の中央上方が蒼白く歪曲する——その傍らで。
冬村歩人:冬村歩人が、冷え切った目で柊桔平を見る。
柊桔平:「…………」
冬村歩人:「……今、何故目が合った?」
柊桔平:「…………何?」
冬村歩人:「今まさに攻撃行動の構えを取っていたお前が、何故俺を見ていた? と聞いているんだ」
冬村歩人:「討つべきは"カリボリス"か、あの聖櫃だろう」
柊桔平:「くだらん勘繰りだな。FHの下衆共は裏切りが茶飯事で疑心暗鬼なのか?」
柊桔平:「お前は私に協力しろ。私が死ねばお前の立場も危ういことくらい、理解できるだろう?」
冬村歩人:「……チッ」
冬村歩人:ということで《時間凍結》。行動します
GM:どうぞ!
冬村歩人:マイナーで《氷の回廊》。現地点より右上、"カリボリス"と"ケルビム"とPCたちの中間位の箇所に移動します
冬村歩人:メジャーで《コンセントレイト:バロール》+《黒の鉄槌》+《コキュートス》+《プラズマカノン》
冬村歩人:対象は"カリボリス"全員と"ケルビム"
冬村歩人:のみです。
GM:どうぞ!
冬村歩人:宣言修正。《コンセントレイト:バロール》+《黒の鉄槌》+《コキュートス》ですね! 対象は変わりません!
冬村歩人:支援あるなら来て来て
冬村歩人:支援はない! 振ります
冬村歩人:16dx6+3+3
DoubleCross : (16R10+3+3[6]) → 10[1,3,3,3,4,4,4,5,6,6,7,8,8,8,9,10]+10[3,4,5,5,7,8,8,10]+10[1,6,8,9]+10[5,7,7]+5[3,5]+6 → 51

GM:“カリポリス”エージェントはイベイジョン12で命中。
“エクィテス”:暴走。
“アウレリウス”:≪領域の盾≫
“アウレリウス”:セルメンバー9に庇わせます。
“ケルビム”:ガード。
冬村歩人:Dロイス想い人発動。装甲・ガード・カバーリング一切合切無効!
箕中舞:ひゅぅー!
GM:ゲゲーーーッッ
風祭猪祈:《痛みの極光》ダメージダイスを+4
冬村歩人:女神! ダメージ振ります
冬村歩人:10d10+12+10+12
DoubleCross : (10D10+12+10+12) → 40[5,2,9,4,2,1,4,4,8,1]+12+10+12 → 74

GM:嘘やん
GM:全員メッチャ喰らう!プラズマ無しなら一発は耐えられると思ったのが間違いだった……エージェントは全滅!
冬村歩人:耐えられちゃ困るんだよ……!
風祭猪祈:《痛みの極光》の効果でHP0に。歩人さんに愛情/隔意◯で新たにロイスをとって即昇華、復活します。
風祭猪祈:風祭猪祈の侵蝕率を+4(侵蝕率:123->127)した
冬村歩人:跳躍。重力操作で自重を緩め、空気中の水分を凍らせ足場とし、宙空に留まる。双眸は白く冴え輝き、眼下のすべてを睥睨して。
冬村歩人:空間中央上方の歪みは暗い魔眼となり、その端から青白い光が溢れ始める。
冬村歩人:三日月のような細さであって、既にそれを裸眼で直視できるものは存在しないだろう。
“アウレリウス”:「まずい……!皆さん防御を……!」
冬村歩人:光は、冷気そのものだ。零下八千度。現世物理法則に於いては到底有り得ない、何もかもを奪い尽くす虚数温度。
冬村歩人:それが、溢れ出る。知覚可能な音域ギリギリの高音で、すべてが軋む。許容しきれぬマイナスの質量に、世界そのものが震え叫ぶ。
冬村歩人:「ッ……」
冬村歩人:これを最後の戦いと見据えている。それゆえの最大出力である……ここまでの力を出すのは久しぶりだ。
冬村歩人:自らの不甲斐なさに苛立たしげに歯噛みする。安定していた光の魔眼が波打つように揺らぎ始める。
風祭猪祈:「…………」
風祭猪祈:その様子を見て、失われた右目の上に手をかざす
風祭猪祈:アーティファクト"フィヨルニルの天眼"はあり得ざるものを見通す神域の瞳だ
風祭猪祈:透明化して浮遊するドローンに搭載したそれは、能力範囲のすべてを観測し、また"観測者"に干渉しうる
風祭猪祈:それは揺らぎかけた冬村歩人の魔眼に干渉し
風祭猪祈:異界の冷気を然るべき目標へと収束させる。
冬村歩人:……不意の安定。
冬村歩人:知覚不能の助けを感じた。どこからか? "ウィンターマスター"では意に介さなかった。だが、冬村歩人は、根拠なく、ただ信じられる。
冬村歩人:(……猪祈)
冬村歩人:彼女の助けであると、信じる。ならば、彼女との未来のため、討つべきを討つ。
冬村歩人:「これが」
冬村歩人:「全ての冬だ」
冬村歩人:——二月の満月の如く、蒼褪めた魔眼が、煌々と光り輝く。
冬村歩人:月光は、異界の法則そのもの。その光を浴びた者は、例外なく凍止する。……歩人自身の魔眼で障壁を張り、守ってやらなかった者以外は。
冬村歩人:すなわち、極限の冬の風を受けるのは"カリボリス"と"ケルビム"。輝く月と同じ色の魔眼で保護したのは、"ディアスポラ"と柊。
冬村歩人:……魔眼が閉じ、異界の冬が去り、その結果は歴然だ。その空間の内、歩人が保護しなかったもの以外すべては、白銀の輝きに覆われている。
冬村歩人:閉鎖空間の中、攻撃余波の温度差だけで、空気が乱れ、風が荒れ狂う。
GM:アウレリウスが“聖櫃”と“ディアスポラ”攻略の為にかき集めた精鋭たちが、ただ一度の攻撃で凍り付き、物言わぬ氷像と化す。
GM:アウレリウスとエクィテスも、半身を冷気に蝕まれ、息絶え絶えの状態だ。
冬村歩人:その最中、静かに着地し、"カリボリス"と"ケルビム"を見る。
冬村歩人:「……止めんぞ」
冬村歩人:「冬は何度でも来る。生きている限り」
冬村歩人:冬村歩人のHPは4になった。(HP:24->4)
“エクィテス”:呆然と冬村さんに目を向ける。
“アウレリウス”:「……これ程……までとは……」
冬村歩人:冬村歩人の侵蝕率を+8した (侵蝕率:160->168)
茨木律華:遺産”ミトラの供花”によるレネゲイド出力の強化は、契約者以外への一時的な供与を可能とする。
茨木律華:実際に、過去何度か取った事のある連携だった。先を打って放つ範囲殲滅攻撃の威力を最大化する、それ自体はいたって合理的な策であり──
茨木律華:「……」──何もせず、その破壊を見届けた。自分も、他のセルメンバーも無事だ。
箕中舞:「すごい……これが」
箕中舞:元、マスターエージェント。
“ケルビム”:一方で、“聖櫃”は、大規模な凍結を受けても、まだ動きを止める気配が無い。
“ケルビム”:体積が膨大なのもあるが、恐らくはレネゲイドを含むあらゆる攻撃への強力な耐性を備えているのだろう。
茨木律華:なおも稼働を続ける"聖櫃"を見据える。……手を貸すべきだったか?いや。
茨木律華:自分の判断は正しい。そんなものは、ただの結果論だ。
風祭猪祈:「……」奥歯を噛む。幾度となく重ねた連携。それが今は、こんなにも……
GM:行動値13、風祭さんの手番です。
風祭猪祈:イニシアチブでサイレントシーカーを装備
風祭猪祈:マイナーで《陽炎の衣》 隠密化
風祭猪祈:風祭猪祈の侵蝕率を+3(侵蝕率:127->130)した
風祭猪祈:コンボ『シャドウプレイ・ブリッツ』《コンセントレイト:エンジェルハイロウ》《見えざる死神》サイレントシーカーでアウレリウスへ攻撃
GM:こいっ
風祭猪祈:23dx6+2
DoubleCross : (23R10+2[6]) → 10[2,2,2,3,3,3,4,4,4,4,5,5,6,7,7,7,7,8,8,9,9,9,10]+10[1,1,2,4,5,8,8,9,10,10,10]+10[3,3,4,5,8,10]+10[6,10]+10[1,6]+2[2]+2 → 54

“アウレリウス”:≪領域の盾≫でエクィテスを盾に。
風祭猪祈:こいつ…
風祭猪祈:ダメージ出します
風祭猪祈:6d10+42+4d10-20
DoubleCross : (6D10+42+4D10-20) → 31[8,3,4,3,6,7]+42+20[6,1,5,8]-20 → 73

“エクィテス”:メチャメチャ喰らうけど生きてる!
風祭猪祈:銃を構える。その銃口が向かう先は———
風祭猪祈:冬村歩人。
冬村歩人:「……」 認識している。静かに見返す
風祭猪祈:「歩人さん……勘違いしないで」
風祭猪祈:「私は……歩人さんのしたことを認めたわけでも、許したわけでもない」
風祭猪祈:「ただ……この場はそうするのが一番生還率が高いから……そうしただけ」
冬村歩人:「……そうだと思う。それだけのことをしたと、知られれば当然だね」
風祭猪祈:「そうやって……」
風祭猪祈:「そうやって、全部諦めた風にして、そのくせ全部自分の思い通りにできると思ってる……」
風祭猪祈:「そういう所、大っ嫌い」
冬村歩人:「それでもいい。そうしてくれ。俺を使ってくれて構わない。猪祈にならいくらでも」
冬村歩人:「君だけが俺の望む、俺の『諦めていない』全てだ」
風祭猪祈:「…………」
風祭猪祈:「私は……何も諦めたくなかった」
風祭猪祈:「全部……全部全部全部全部!」
風祭猪祈:「私の……大切な世界だったのに」
風祭猪祈:引き金に力を込める
風祭猪祈:風祭猪祈は兵士だ。そのように生まれ、その様に育てられた。
風祭猪祈:だから、そうではない未来を願っても、願われても
風祭猪祈:撃つべき対象を誤ることはない。
風祭猪祈:刹那に三発。音もなく弾丸が発射される。
風祭猪祈:隠密能力を最大限活かすべく、完全な無音設計がなされた特注の銃。
風祭猪祈:そこから放たれた不可視の弾丸は、設置された透明なオブジェクトに跳弾を繰り返し
風祭猪祈:———冬村歩人を素通りし、異次元の軌道でもって"アウレリウス"へ迫る
“アウレリウス”:「…………」
“エクィテス”:アウレリウスに迫った弾丸を、大斧で弾き落とす。一発、二発。
“エクィテス”:だが、すべては防ぎきれない。胸部を銃弾が貫通する。
“エクィテス”:「っぐ……!」
“エクィテス”:凍り付いた胸から、鮮血が噴き出す。
冬村歩人:その間、微動だにしない。彼女がこの局面で自分を撃つ兵士ではないと信じていた。
風祭猪祈:「………っ」それを見て一層奥歯を噛み締め
風祭猪祈:「私は、私が見たものを信じる」
風祭猪祈:「……最後まで見てるから」
風祭猪祈:そう言って顔をそらし、"カリポリス"の面々へ向き直る。
風祭猪祈:風祭猪祈の侵蝕率を+4(侵蝕率:130->134)した
GM:行動値12でエクィテス。
箕中舞:その前にNPCカード!
GM:何ィ
箕中舞:ナーブジャックって使っても別に行動済みにならないですよね
GM:ならないはず!
箕中舞:シュウさんにメジャーアクションを行ってもらいましょう
三廻部シュウ:リアクション放棄。
GM:対象は!
箕中舞:エクィテス!
三廻部シュウ:≪コンセントレイト:サラマンダー≫+≪クロスバースト≫+≪プラズマカノン≫
三廻部シュウ:8DX7
DoubleCross : (8R10[7]) → 10[1,1,3,4,4,5,8,9]+10[5,7]+4[4] → 24

“エクィテス”:暴走。
箕中舞:狂戦士かかってますよ
GM:なにっ
箕中舞:多重生成の対象にした
茨木律華:ダイス+6 C-1ですね
GM:14DX6
DoubleCross : (14R10[6]) → 10[2,2,4,4,4,5,5,7,7,8,10,10,10,10]+10[1,3,6,6,7,8,10]+10[2,3,7,7,9]+10[3,4,7]+2[2] → 42

GM:ゲェー
“エクィテス”:暴走!
三廻部シュウ:5D10+54
DoubleCross : (5D10+54) → 24[5,2,2,6,9]+54 → 78

“エクィテス”:HP0!
“エクィテス”:≪蘇生復活≫
箕中舞:何ィ~?
“エクィテス”:HP1点で蘇生。
冬村歩人:生き汚い!
茨木律華:こいつ……!
三廻部朔夜:「……お兄ちゃん!」
三廻部シュウ:「応ッ」
三廻部シュウ:朔夜が叫ぶと同時、シュウが業火を噴き上げる。
三廻部シュウ:シュウは出力を全開にするのに集中し、朔夜がそれをコントロールする。幾度となく重ねてきた兄妹の連携だ。
三廻部シュウ:紅の爆炎が放たれ、エクィテスを焼き尽くす。
“エクィテス”:「ぐ……あ……あぁあああッ!!」
“エクィテス”:苦悶の声を上げながら、膝は折らない。
“エクィテス”:「いいねえ……丁度寒かったとこだよ」
“エクィテス”:行動値12.
“エクィテス”:誰狙うかな……
“エクィテス”:ダイスで
“エクィテス”:1D4
DoubleCross : (1D4) → 1

“エクィテス”:マイナー≪影走り≫で戦闘移動してPCに接敵
“エクィテス”:メジャー≪コンセントレイト:ハヌマーン≫+≪音速攻撃≫+≪風鳴りの爪≫
“エクィテス”:対象茨木さん!
茨木律華:来やがれ~!
“エクィテス”:10DX7+6
DoubleCross : (10R10+6[7]) → 10[2,4,4,4,5,6,6,7,8,10]+5[1,5,5]+6 → 21

“エクィテス”:低い……
茨木律華:ドッジします!
茨木律華:6dx
DoubleCross : (6R10[10]) → 9[1,2,3,4,6,9] → 9

茨木律華:だめ……!
“エクィテス”:あっそうだわ
“エクィテス”:オート≪空疾る爪≫達成値+10
“エクィテス”:これを2回重ね掛けします
茨木律華:ひええ
“エクィテス”:ダメージ!
“エクィテス”:5D10+10+2D10
DoubleCross : (5D10+10+2D10) → 32[8,6,4,6,8]+10+11[1,10] → 53

“エクィテス”:ちょっと待ってね
茨木律華:死ぬしかないわ!
茨木律華:えっはい
“エクィテス”:≪風鳴りの爪≫とフォールンアックスの効果で
“エクィテス”:9個まで振り直し可能
茨木律華:そういうコンセプトか~
“エクィテス”:1と4を振り直し
“エクィテス”:48+2D10
DoubleCross : (48+2D10) → 48+8[5,3] → 56

“エクィテス”:微妙だ……
茨木律華:HP0!
茨木律華:最後のロイス枠で"カリポリス"に 同類 / 〇敵対で取って即時昇華、復活します
茨木律華:HP13。
“エクィテス”:エクィテスの姿がかき消える。瞬く間に君の眼前へ。
“エクィテス”:「そら——」
“エクィテス”:大斧を地面に擦り、火花を散らして、
“エクィテス”:「よッ!!」
茨木律華:「……!」一瞬、完全に見失う。
“エクィテス”:君目掛けて振り上げる!
箕中舞:「律華ちゃんっ!」血相を変える。間に合わない。
茨木律華:遅れての防御行動。空間を凍結させて、斧の軌道を妨げようとするが、
茨木律華:「がぁ……っ」破砕音。肩を切り裂かれる。
茨木律華:……かろうじて正中は外した。倒れそうになるのを、気力で踏みとどまる。
“エクィテス”:口笛を吹き。「へえ、シビれるねえ……そういうの」愉快そうに口元を歪める。
茨木律華:「……舐めやがって」唇から血を流し、睨みつける。
茨木律華:傍で自分を気遣う声には見向きもしない。
箕中舞:「か……」震える声。“エクィテス”を睨みつけて、叫ぶ。
箕中舞:「彼女には手を出さないって、言ったじゃないですか!!」
“エクィテス”:「あら、ごめんなさいねぇ?」
“エクィテス”:「でも、仕方ないじゃない?こうなったら。こっちだって好きでやってるわけじゃないし?」
箕中舞:乱戦が始まった時点で、そんな期待をするのはどうかしている。それが分かっていたから自分だって冬村さんに加勢した。
箕中舞:にも拘らず、気づいたら平静を失っていた。
“エクィテス”:「それに舞ちゃんだって、“プロミネンス”を殺してほしいってお願い、結局聞いてくれなかったじゃない?」
“エクィテス”:「だから、これでおあいこってことで」
箕中舞:「っ…………!」
茨木律華:「……」この会話の隙に、"エクィテス"から距離を取っている。至近距離で撃ちあう不利から逃れるために、そして
三廻部朔夜:「…………? “プロミネンス”……って……」
風祭猪祈:「……!?舞……ちゃん……?」
箕中舞:自分が、決定的な言葉を発してしまったことに、気づく。
三廻部シュウ:「…………舞」
三廻部シュウ:「……右腕を……見せてみろ」
箕中舞:「ぁ……」
茨木律華:箕中舞の背後に立っている。強引に彼女の右腕を掴み、
茨木律華:その戦闘服に、氷の刃を走らせる。
箕中舞:「いつッッ」
箕中舞:火傷痕と服の生地が擦れ、激痛に悲鳴を上げる。
GM:襲撃の際、君が負った火傷は重篤だ。オーヴァードの治癒力でも、まだ癒えてはいない。
冬村歩人:「……なるほど。"カリボリス"の情報源がどことは思ってたが」
茨木律華:「そう」
茨木律華:「"そっち"はお前だったのか」
茨木律華:凍てついた眼差し。その奥にある色は、怒り。
風祭猪祈:「そんな……」
箕中舞:「あ、あああ……違…………」
三廻部朔夜:「……嘘……ですよね……?舞さん……だって……そんな……」
風祭猪祈:「なんでさ……みんな……おかしいよ……っ」
三廻部シュウ:「…………」
箕中舞:「律華、ちゃん……」
茨木律華:「間違えたのね、私は」
茨木律華:「……あの時、私の前で命を差し出した。その罪悪感”だけ”は本心と踏んだから、今日まで生かしておいたけれど」
茨木律華:「お前はやっぱり、そういう奴だったのね」
箕中舞:何よりも、決定的な瞬間が訪れてしまったことを理解する。
箕中舞:「……はは」
茨木律華:「……ああ。喜ぶべきなのでしょうね」言葉とは裏腹に、声に一切の歓喜はなく。
茨木律華:「元より、お前は私の仇だ」
茨木律華:「これで、心おきなく殺せるわ」
箕中舞:もとより、“カリポリス”との戦いに紛れ込んでしまった時点でこうなるのは必然だった。
箕中舞:しくじったのだ。彼女を戦いから遠ざけることも出来ず、彼女の記憶を取り戻すことも出来ず、彼女の邪魔にならないことすら。
箕中舞:「……うん、私。生きてちゃダメみたい」
茨木律華:答えを待つまでもなく。彼女の周囲の空気が凝結し始めている。
冬村歩人:「舞ちゃん……!」 声を上げかけ
茨木律華:その処刑の為に錬成された刃が十数枚、彼女を取り囲むように展開されて──
“ケルビム”:行動値10。
“ケルビム”:マイナー≪赫き剣≫+≪破壊の血≫+≪形状変化:剛≫
“ケルビム”:メジャー≪コンセントレイト:エグザイル≫+≪伸縮腕≫+≪逃れ得ぬ腕≫+≪爪剣≫+≪命の剣≫+≪ブラッドバーン≫+≪血の宴≫+≪殺戮領域≫+≪怒涛の大蛇≫
“ケルビム”:対象、自身以外の全員。
“ケルビム”:25DX7
DoubleCross : (25R10[7]) → 10[1,1,1,2,2,3,4,4,5,5,5,5,6,6,7,7,8,8,8,9,9,9,9,9,10]+10[3,4,4,5,5,6,7,7,8,8,10]+10[1,2,7,9,9]+10[3,7,10]+10[1,7]+10[8]+5[5] → 65

“ケルビム”:リアクションC値+1 ドッジダイス-1個
“エクィテス”:ドッジ
“エクィテス”:6DX
DoubleCross : (6R10[10]) → 7[2,3,4,6,6,7] → 7

冬村歩人:暴走してる! 無理です。
“アウレリウス”:ドッジ
“アウレリウス”:5DX
DoubleCross : (5R10[10]) → 10[3,3,5,8,10]+5[5] → 15

風祭猪祈:ドッジ 『シャドウプレイ・プロフィラキス』《リフレックス:エンジェルハイロウ》《神の目》
箕中舞:4dx ドッジ
DoubleCross : (4R10[10]) → 8[2,2,8,8] → 8

茨木律華:5dx@11 ドッジ
DoubleCross : (5R10[11]) → 10[8,9,9,9,10] → 10

柊桔平:≪竜鱗≫
箕中舞:あっ桔平! この野郎!
風祭猪祈:11dx8+1
DoubleCross : (11R10+1[8]) → 10[1,1,1,2,2,3,4,7,7,10,10]+7[1,7]+1 → 18

風祭猪祈:風祭猪祈の侵蝕率を+3(侵蝕率:134->137)した
箕中舞:何助かろうとしてやがる お前も死ね!
三廻部シュウ:ドッジ
三廻部シュウ:6DX
DoubleCross : (6R10[10]) → 9[3,4,5,7,8,9] → 9

“ケルビム”:ダメージ。
“ケルビム”:7D10+101+2D10
DoubleCross : (7D10+101+2D10) → 51[10,7,6,5,10,6,7]+101+11[2,9] → 163

箕中舞:死ぬ! カリポリスをタイタス昇華して復活
冬村歩人:逆に誰が生き残れるの……? "ケルビム" 有為/○脅威 でロイス取って即座にタイタス化、昇華復活
箕中舞:すいません、冬村さんのタイタス昇華キャンセルしていただいて……
冬村歩人:キャンセルする!
箕中舞:《タブレット》《多重生成》《奇跡の雫》
箕中舞:PC3人とあと死ぬならシュウさんをHP10で蘇生したいです
GM:シュウは生きてますが
GM:アウレリウスとエクィテスが死亡します。
冬村歩人:かっカリボリス!
風祭猪祈:とばっちり!
箕中舞:その死亡って戦闘不能扱いであとあと話しかけることは出来ますか
箕中舞:PLは微塵も期待してませんがPCは遺産を剥ぎ取りに行きたいと言っている
GM:このラウンドのクリンナップには死にます。殺戮領域で
箕中舞:アアアーッッッ
箕中舞:じゃあそいつらには死んでもらうか……
箕中舞:自身以外のPL3人を蘇生です。
箕中舞:PLじゃなくてPC
箕中舞:箕中舞の侵蝕率を+11した(侵蝕率:131->142)
“ケルビム”:≪夜魔の領域≫。
“ケルビム”:行動値0で再行動します
GM:そうだ
“ケルビム”:全員がダメージを受けたタイミングで
“ケルビム”:≪餓鬼魂の使い≫
“ケルビム”:邪毒3を付与します。
箕中舞:はァ~~~~~????????
冬村歩人:ゲッッ
茨木律華:グェ~
風祭猪祈:あびゃ~~
“ケルビム”:君達を取り囲む金属の壁が、大きく波打つ。
“ケルビム”:一瞬で。
“ケルビム”:液体金属が形を変える。無数の棘が全てを刺し貫く。
“ケルビム”:逃げ場など、どこにもない。
“エクィテス”:「ぎゃッ……!?」
“エクィテス”:防御する暇すらなく、全身を穴だらけにされて崩れ落ちる。
柊桔平:「ぐ……うぅうううッ!?」
柊桔平:硬質化して防ごうとするが、装甲の隙間を串刺しにされる。
冬村歩人:鞭のような冷気の光で幾ばくかを叩き落とすが、質量の前には無力だ。呑まれる。
箕中舞:「あがッ……」
茨木律華:「……っ!」怒りのまま箕中舞へと刃を向けていた一瞬、防御が遅れる。貫かれ、膝をつく。
風祭猪祈:「律華ちゃん!舞ちゃ……」近くにいた二人を庇おうとするが
風祭猪祈:「がっ……!」背後から棘に刺し貫かれる
箕中舞:成すすべなく串刺しになる。辛うじて動く腕で、ディアスポラのメンバーへ。オーヴァードの再生作用を活性化させる特殊弾を撃ち込んでいく。
箕中舞:「ふ……ぐぅぅぅう……」
“アウレリウス”:「ごっ……ごぼ……」瀕死の状態で遺産を起動する。
“アウレリウス”:手にした鉄器から燐光が漏れる。同時に、ぐしゃぐしゃになったエクィテスが、セルメンバーたちが再生していく。無言で起き上がり、アウレリウスを助け起こす。
“アウレリウス”:「ま……舞さん……!」
“アウレリウス”:「僕……僕にも治療を……!」
茨木律華:侵食が高まり、再生機能が鈍ってきている。自らの右眼の遺産に触れ、レネゲイドを強引に活性化──蘇生を促そうとして。
茨木律華:その腕に、箕中舞の放った弾丸が刺さる。
箕中舞:茨木律華の傷を注視するのに必死で、アウレリウスの言葉が耳に入らない。
GM:アウレリウスの周囲、大勢のエージェントたちの身体には、傷一つない。
GM:だが、まるで——抜け殻だ。表情は虚ろで、生気が無い。
箕中舞:「っ」異様な気配を感じ、アウレリウスへと目を向ける。
GM:それを見て、箕中舞は理解してしまうだろう。
GM:アウレリウスの持つ遺産、“鍛冶神の金床”は、すべてのものを元通りに修復する遺産——などではない。
GM:一度破壊したものを修復し、自らの思いのままに操作するための遺産だ。
GM:無機物ならば、そのまま修復されるだけで済むだろう。
GM:だが、生物ならば?
箕中舞:「そん…………な…………」
GM:死んだ者は蘇らない。確かに記憶の修復も可能だろう。だが所有者が一度でも操作を放棄した時点で、命令を待つだけの生きる屍と成り果てる。
GM:今、アウレリウスには遺産の精密操作、彼らへの命令をする余裕などない。
GM:周囲にいるのは、ただの動く屍だ。
“アウレリウス”:「舞さん……早くしてください……」
“アウレリウス”:「た……助けてください……」
箕中舞:「なんで……なんでそんな事が言えるの……?」
箕中舞:「律華ちゃんの、記憶を取り戻せるって……それが、そんな、私を、騙して…………」
箕中舞:「それで——」
“アウレリウス”:「ほ……本当です……この遺産を使えば、記憶など……簡単に元通りになります……!」
“アウレリウス”:「さあ……は……はやく助けてください……!」
“アウレリウス”:「み……見殺しにする気……ですか……!?」
箕中舞:もう、“アウレリウス”の方を見ても居ない。
箕中舞:ただ、自分がありもしない希望に向かって、全てを投げ出したのだと。
箕中舞:二度と侵さないと誓った間違いを犯し、二度と手に入らないものを失ったのだと、知って。
箕中舞:呆然と、佇んでいる。
“アウレリウス”:「舞……さん……どこを見て……」
“アウレリウス”:「……舞……さ……」
“アウレリウス”:無数の死者と共に、自らも崩れ落ち、物言わぬ屍へと帰る。
茨木律華:「……何の、つもり」鮮血を流しながら、立ち上がる。
茨木律華:腕に埋まった医療弾薬を抜き取り、彼女を睨みつけて。
箕中舞:「分から……ない……」
箕中舞:焦点の定まらない目で、そう答える。
茨木律華:今の会話。私の記憶を取り戻すために、取引をしていたと。そう聞こえた。
GM:君達の傷口から、激痛が走る。オーヴァードを殺すための毒。“聖櫃”の防衛機構。
茨木律華:「ッ……!」苦悶に口元を歪ませながら。
箕中舞:(何で、何もかも上手くいかないんだろう。どうして私はこんな所にいるんだろう。何をやってるんだろう)
箕中舞:ぐらりと、よろめく。
“ケルビム”:“聖櫃”にまるで損傷はない。輝く液体金属が、君達を取り囲んでいる。
風祭猪祈:「………」傷口から広がる痛みに顔を顰めながら、ゆっくりと立ち上がる。
箕中舞:それでも倒れ伏すわけにはいかない。彼女がそこにいる。
茨木律華:「……何だってのよ」舌打ちして、視線を切る。目下の最大の脅威は、"ケルビム"だ。
茨木律華:あいつは殺す。今度こそ必ず。……ただ、その順番を選べる状況ではない事くらいわかる。
三廻部シュウ:(……オレは何故、思い違いをしていた……?)
三廻部シュウ:(内通者や他組織の横槍……そんなことばかりに気を取られて、一番肝心なことを見落としていたのか……?)
三廻部シュウ:愕然と、聳え立つ“聖櫃”を見上げる。
三廻部シュウ:(7つのセルが、崩落戦を前にして、それぞれの財産を託した兵器……)
三廻部シュウ:(生半可な性能であるはずがない……!当然……少し考えれば誰にでも分かることだ……!)
三廻部シュウ:(なのに、どうしてだ?何故オレの目はこんなに曇っていた……?)
三廻部シュウ:(……どこから間違えた……?)
三廻部シュウ:(……オレ達はここで、死ぬ)
GM:行動値7、三廻部シュウの手番です。
三廻部シュウ:イニシアチブ≪極大消滅波≫
三廻部シュウ:対象ケルビム。
三廻部シュウ:12D10
DoubleCross : (12D10) → 71[10,2,8,8,7,10,10,4,5,2,3,2] → 71

三廻部シュウ:メジャー≪コンセントレイト:サラマンダー≫+≪クロスバースト≫+≪プラズマカノン≫+≪エネルギーブレイド≫+≪極圏の覇者≫
三廻部シュウ:20DX7
DoubleCross : (20R10[7]) → 10[2,2,2,3,3,3,5,5,5,5,5,7,7,7,7,8,8,8,10,10]+10[1,2,3,5,5,6,6,7,10]+5[3,5] → 25

“ケルビム”:ガード。
三廻部シュウ:3D10+54+2D10
DoubleCross : (3D10+54+2D10) → 21[1,10,10]+54+8[2,6] → 83

三廻部シュウ:シュウの全身が煌々たる紅蓮の炎に包まれる。傍にいるだけで常人ならば即死するであろう熱量。
三廻部シュウ:その全てを束ね、“聖櫃”へと放出する。超高熱の炎が、金属を赤熱させていく。
GM:——だが、それだけだ。“聖櫃”に目立った損傷は見られない。
冬村歩人:「——シュウの攻撃を受けても、これか」
箕中舞:「冬村さんの攻撃も、受けている筈なのに、こんな事」
風祭猪祈:「こんなの……どうやって……」
三廻部シュウ:「…………」表情に、絶望の影が色濃く過る。
冬村歩人:「"ケルビム"。正直に言って、想像以上だな……これほどの敵は、今までいたか」 両手をポケットに、宙に浮いた氷に立ち、"ケルビム"を、そしてその周囲を見下ろしている
冬村歩人:攻撃は当然続けるつもりだ。だがそれと同時に、退路も探っている——無論、それは自分のためのものなどではなく。
冬村歩人:(……"カリポリス"がろくに使えなかったのは仕方ないとして、皆が思ったより気圧されてるな……シュウ、酷い顔をして)
冬村歩人:(柊も数に加えたとして、道は開けるか……?)
茨木律華:「……っ」唇を噛む。攻撃の為に開いていたレネゲイドの放出を、一度停止する。
茨木律華:仮に自分が最大出力の一手を放った所で、無意味な消耗ではないのかと。迷いを抱いて。
GM:行動値7、茨木さんの手番です。
茨木律華:ではいきます
茨木律華:マイナーで《氷炎の剣》《地獄の氷炎》
茨木律華:《地獄の氷炎》は攻撃力を選択。攻撃力22の武器を生成します
茨木律華:侵食129->134
茨木律華:メジャーは《コンセントレイト》《サンドシャード》
茨木律華:命中判定に《砂の加護》《砂塵霊》を使用!
茨木律華:対象は"ケルビム"で!
茨木律華:命中いきます
茨木律華:13dx+7@7
DoubleCross : (13R10+7[7]) → 10[2,3,3,5,6,7,7,8,8,8,9,9,10]+10[2,3,4,4,4,9,10,10]+6[3,5,6]+7 → 33

茨木律華:a,
茨木律華:支援忘れてた
GM:もっかいどうぞ!
茨木律華:失礼。では
茨木律華:19dx+7@6
DoubleCross : (19R10+7[6]) → 10[1,1,2,2,2,2,3,3,3,4,5,5,6,7,8,9,10,10,10]+10[4,4,5,7,10,10,10]+10[7,10,10,10]+10[2,3,5,10]+10[7]+5[5]+7 → 62

“ケルビム”:ガード≪自動触手≫
“ケルビム”:27点ダメージ。
茨木律華:ぐえ~
茨木律華:7d10+36-20 ダメージ!
DoubleCross : (7D10+36-20) → 30[1,5,4,3,10,4,3]+36-20 → 46

GM:ピンピンしてる!
茨木律華:戦闘不能になるので……聖櫃のロイスをタイタス化して昇華!復活します
茨木律華:……迷いを振り払い、再び集中を研ぎ澄ます。
茨木律華:(……間違えるな。怯えるな。その感情は、不要だ)
茨木律華:(やるしかない……いいや)
茨木律華:(やるんだ。絶対に。こんな場所で、終わってなるもんか……!)
茨木律華:凝視。集中。錬成。金属体の周囲に、何度も視線を走らせて。
茨木律華:たて続けに、凍結現象の斬撃を引き起こす。
茨木律華:僅かに削った先から、再生が始まる。それよりも早く、何度も、執拗に刃を走らせる。
茨木律華:自分の攻撃力が、三廻部シュウのそれには遥か及ばない事を理解しているから。
茨木律華:何度も、何度も、何度も──錬成と破損を積み重ねて。
“ケルビム”:攻撃に反応し、金属が形を変える。
“ケルビム”:瞬時に生成された無数の刃が、君の全身を切り裂く。
茨木律華:「ぐ、ぁ」
茨木律華:苦悶と共に、嵐のように編み続けていた攻撃の手が止まる。再び膝をつく。
箕中舞:「……」
箕中舞:同じだ。
箕中舞:自分なら立ち向かう事も思いつかぬような相手に挑みかかっていく、彼女を。ただ、見ている
茨木律華:「何、だってのよ……!」唇を噛む。怯懦を紛らわすように、怒りを露にして。
箕中舞:いつだって、私は彼女と共に戦うべき時に、選択を誤っている。
箕中舞:知っている筈なのに。彼女が誰よりもすごい人なんだって。
柊桔平:行動値6。
柊桔平:マイナー≪完全獣化≫+≪破壊の爪≫+≪スーパーランナー≫
柊桔平:冬村さんにエンゲージ。
冬村歩人:あァ!?
柊桔平:「……“ヴィンターミュート”!」
柊桔平:小走りで冬村さんに駆け寄る。
冬村歩人:「……!?」 目を見開く
柊桔平:「ここは一旦引くぞ。女を連れて来い。脱出して体勢を立て直す」
冬村歩人:足元の影から這い出るように姿を見せていた純白の光線が、刹那そちらへ向きかける。
冬村歩人:「……馬鹿な! 一旦引いて何とかなる計算があるのか?」
柊桔平:「ああ、そうだ。私が後先考えずここに来たと思うか?当然——」
柊桔平:メジャー≪コンセントレイト:キュマイラ≫+≪獣の力≫+≪獣王の力≫+≪獣の殺意≫+≪銘なき刃≫
冬村歩人:「アレを止めるなら今、"ディアスポラ"と連携する他ないだろう。それともUGNの方から戦力が……」
柊桔平:15DX7
DoubleCross : (15R10[7]) → 10[1,2,3,3,4,4,4,4,4,5,6,6,7,7,10]+10[3,6,9]+4[4] → 24

冬村歩人:「来る、とでも」
冬村歩人:暴走中でーす
柊桔平:3D10+52+18
DoubleCross : (3D10+52+18) → 14[4,4,6]+52+18 → 84

冬村歩人:良い体してんね! 戦闘不能です。柊クソ野郎ベイビーのロイスをタイタスにして昇華・復活します。
冬村歩人:冬村歩人のHPは12になった。(HP:4->12)
柊桔平:瞬間、拳を振るい、君の胸を深々と貫く。
冬村歩人:「……——」
柊桔平:「……考えているとも」
柊桔平:口を歪ませて笑う。
柊桔平:「貴様をここで殺し、元マスターエージェント討伐の功績を挙げ、UGNに凱旋する」
柊桔平:「当然、“聖櫃”も私のものだ」
柊桔平:「感謝しろよ?光栄に思え。貴様のようなクズ虫が、私の手柄になれるのだからな」
冬村歩人:「……かふっ」 吐血すると同時、純白の光線が足元からぬるりと伸び、柊を撃とうとする。
柊桔平:反撃を機敏に察し、体勢を崩した冬村さんを蹴り飛ばす。
冬村歩人:たたらを踏んで数歩後じさり、しかし倒れることはない。追撃もない。
風祭猪祈:「歩人さん……!」その光景に、反射的に声を出す。
冬村歩人:(こいつ……) 顔を上げ、愕然とした目で柊を見る。裏切られたから、ではない。
冬村歩人:(……ここまでバカだったのか——!?) よりによって『今』『"ケルビム"を無視し』『自分に殴りかかる』、その絶望的な判断力の低さに、愕然としているのだ。
柊桔平:「反抗する気か?FHのクズがァ……」
柊桔平:「教育してやらんとならんようだなァ!?ええ!?」
風祭猪祈:「(なんで……!?歩人さんとUGNは繋がってたんじゃないの……?)」
風祭猪祈:「(わかんない……わかんないよ……)」
風祭猪祈:「(緋雁……)」
GM:行動値4、冬村さんの手番です。
GM:箕中さんも4!
箕中舞:先貰って良いですか
冬村歩人:お願いします!
箕中舞:狂戦士かけたいよね
箕中舞:オート《タブレット》《多重生成》《帰還の声》対象自身・冬村さん・猪祈ちゃん
風祭猪祈:うおおー!もっかい死ねるドン!
箕中舞:使わなくてもいいよ!
冬村歩人:《コキュートス》の回数を回復……!
箕中舞:奇跡の雫を回復
箕中舞:箕中舞の侵蝕率を+11した(侵蝕率:142->153)
風祭猪祈:《痛みの極光》を回復
箕中舞:マイナー暴走解除
箕中舞:メジャー《タブレット》《多重生成》《凶戦士》対象自身以外のPCとシュウさん!
箕中舞:箕中舞の侵蝕率を+10した(侵蝕率:153->163)
箕中舞:エフェクトレベルが上がりダイス+8 C値-1です。
箕中舞:以上。
冬村歩人:ヒョォーッ!
箕中舞:回想入りたい

GM:---

箕中舞:7年前。
箕中舞:放課後の小学校。騒がしい声が遠く聞こえる。
箕中舞:この時間帯、茨木律華が校庭にいない事は珍しい。いつも校庭でドッジボールをしている一団に混ざって、日が暮れるまで残っているような少女だ。
箕中舞:それが今は人気のない後者の影に居た。自分がそれを見つけたのは偶然の事だったが。
箕中舞:「何してるの」
茨木律華:「……あ」一瞬、気まずそうな顔を浮かべて。
茨木律華:すぐに笑顔を作る。
箕中舞:「腕、怪我してる」
茨木律華:「あ……あはは、ちょっとね」
茨木律華:「家の階段で、転んじゃってさ」わかりやすく視線を逸らす。彼女が嘘を吐く時の癖。
茨木律華:「病院も行ったし、大したことないよ」
箕中舞:「……」
茨木律華:安心させようとして。最近になって覚えた、ペン回しをして見せる。「ほらほら」
箕中舞:彼女が家庭で虐待を受けていると気づいたのはいつだっただろうか。
箕中舞:それは例えばボール遊びの際、死角から飛んできたボールから体を庇うしぐさであったり、
箕中舞:たまの季節外れに着てくる長そでであったり、不自然な怪我であったり。
箕中舞:そういった、自分にも覚えがあるあれこれの積み重ねと、それを隠そうとする幼い嘘に
箕中舞:FHの檻で育った自分は、少しだけ周りの子供より敏感だったかもしれない
箕中舞:「家、帰りたくないの?」
茨木律華:「いや……ほら」また視線は上に向かう。
茨木律華:「うちだと全然、集中できないっていうか……学校に居た方が、なんか捗る、みたいなの」
茨木律華:「あるじゃん、ほら」
茨木律華:「……あれ、そうでもない?あたしだけ?」
茨木律華:へらへらと笑っている。腕の下に広げているドリルは、ほとんど白紙のまま。
箕中舞:クラスメイトと共通の話題もなく、壁を作りがちな自分が、なぜか彼女の事は目で追ってしまう。
箕中舞:決して、勉強が好きなタイプの子でないことも知っている。一人で教室に残り、ドリルを進めるような。
箕中舞:(……もしかして)
茨木律華:「なーに? なんでそんなむつかしい顔してんのさ、舞ちゃん」
箕中舞:茨木律華、彼女は友達を作るのに積極的で、愛想のない私にもよく話しかけてくる。
箕中舞:“家”が不満だから、そうやって家の外に、居場所を拡張していこうとしているのだろうか。なんだか、
箕中舞:自分には無い考えだった。割り当てられた領分を越えるために、戦っていたのだろうか。
箕中舞:なんだかそれは、無性に私の心をくすぐった。とても新しくて、すごい事のような気がした。
箕中舞:「——あの。今日、うちに泊まりに来ない?」
箕中舞:口をついてそんな言葉が出てくる。
茨木律華:「え」眼を見開く。
箕中舞:「ほら、その」
茨木律華:「え……お泊まり?」
茨木律華:「あたしが、舞ちゃん家に?」困惑した様子。
箕中舞:「そうとも言う……かな」
箕中舞:「えっと、私、一人暮らしなんだけど、だから、寂しくて」
茨木律華:「……あ、ごめんね、その」手をぶんぶん振って
茨木律華:「ほんとにただ、びっくりしただけで。全然、イヤとかじゃなくて!」
箕中舞:「っ……うん」
茨木律華:その眼はじっと舞の方を向いている。
茨木律華:「……むしろ、嬉しいっていうか。えっと」
箕中舞:少し、物怖じしてしまう。怖いくらいに純粋な、その視線に。
茨木律華:「ほんとにいいの?」
箕中舞:「言ったでしょ、うち、寂しいから」
箕中舞:「りっちゃんが来てくれると嬉しいって。そう思ったの」
茨木律華:「へへ、それじゃ」ぱっと、花のような笑顔が咲いて。
箕中舞:ぎこちない笑みを作る。
箕中舞:部屋に人は上げるなと言われている。だから、これは初めての命令違反だ。
箕中舞:「うん。行こっか」
茨木律華:言われるよりも早く、荷物を片付け始めている。後ろ姿だけでも、舞い上がっているのが分かりやすい。
茨木律華:「ん、行こ!」立ち上がって、君の手を握る。
箕中舞:——それは、ただ選別にあぶれた不良品として摩耗していくだけだった私の世界に、彼女が罅を入れた日だった。
箕中舞:そしてその罅を、私は広げきることが出来なかった。

箕中舞:---

箕中舞:そしてこれは、もう一つの記憶だ。
箕中舞:“ベンサレム”セルの根城だった瓦礫の山。
箕中舞:そこで私は、氷の剣によって磔にされている。エージェントたちは皆、逃げ去ったか、息絶えたか。
箕中舞:目の前には頬に傷のある男――三廻部シュウをを引き連れてセルへの復讐を遂げた、茨木律華の姿がある。
箕中舞:彼女の右目に埋め込まれた遺産がその力の代償として、他者からの好意や善意に対する激しい猜疑心を喚起するものであることを知っている。
箕中舞:人らしい絆の類を用いず、痛みと恐怖によって統制を保っていた“ベンサレム”にとって、それは茨木律華を縛る体のいい枷として機能していたはずだ。
箕中舞:7年前。大規模テロが行われ、街の1区画が沈んだ日。オーヴァードに覚醒し、暴走した彼女が処分されぬよう、“ベンサレム”に恭順を示す兵士として洗脳した。その判断を何度悔やんだことか分からない。
箕中舞:「——いいよ。殺して」
箕中舞:そう言ったのは、それがせめてもの償いだと思ったからだ。
箕中舞:……だが
箕中舞:セルに反旗を翻し、私に刃を突きつけた彼女に、歓喜を覚えなかったと言えるだろうか。
箕中舞:愚かな私に汚損され尽くしてなお、彼女が彼女たる輝きを失わずあったことに、きっと陶酔と、崇敬を抱かなかったと言えるだろうか。

箕中舞:---

箕中舞:本当は、彼女を洗脳するではなく、何が何でも彼女の手を取って、共に戦うべきだった。
箕中舞:本当は今だって、聖櫃を目指すという目標がセルに生まれた時点で。
箕中舞:だって、知っていたはずなのだ。
箕中舞:信じるべきだったのだ。
箕中舞:律華ちゃんは、誰よりも凄いんだって。
箕中舞:“聖櫃”と対峙する茨木律華へと、引き金を引く。次いで、“ディアスポラ”のメンバーたちに。
箕中舞:射撃の反動が銃身をスライドさせ、刻まれた溝が弾倉を回転させる。間を置かぬ連続射撃。
箕中舞:「受け……取って!」
茨木律華:その声に反応して、振り返る。……茨木律華に向けて放たれた弾丸が、空中で凍結する。
箕中舞:「あ…………」
茨木律華:「……この期に及んで」射殺すような目。
茨木律華:「よくも仲間面ができる」
箕中舞:カシャン、と。
茨木律華:箕中舞の頬に刻んだ紋様は、行使者への加害を禁じる呪い。
箕中舞:氷に封じられた弾丸が落下する。
茨木律華:精神へと干渉する遺産"ミトラの供花"の力で施したもの。……だが、それでも、
茨木律華:抜け道があったのだ。直接的な攻撃でなければ、何とでもできる。"カリポリス"をこの場に呼び寄せたのが、その証明。
箕中舞:(そう……だよね)
箕中舞:(もう……私は、彼女の仲間じゃない)
箕中舞:(これからもそうなんだ。ずっと)
箕中舞:どこまで、自分は愚かなんだろう。
茨木律華:……今はそれ以上、彼女が行動を起こす様子がない事を確認して。再び"ケルビム"へと向き直る。
箕中舞:失意の中で佇む。機は逸した。逸し尽くした。
箕中舞:茨木律華をSロイスに変更、タイタス化します。
GM:行動値4、冬村さんの手番です。
冬村歩人:マイナーで《氷の回廊》。現地点より10mくらい上へ移動。"カリボリス"の初期位置にしましょう。
冬村歩人:メジャーで《コンセントレイト:バロール》+《黒の鉄槌》+《プラズマカノン》 対象は"ケルビム"
冬村歩人:20dx6+6
DoubleCross : (20R10+6[6]) → 10[1,1,1,2,2,3,3,3,6,6,7,7,8,8,9,9,9,10,10,10]+10[1,3,3,6,6,7,9,9,10,10,10,10]+10[1,1,1,2,3,6,8,8,10]+10[2,3,7,8]+2[2,2]+6 → 48

“ケルビム”:ガード。
冬村歩人:5d10+32
DoubleCross : (5D10+32) → 31[9,1,8,9,4]+32 → 63

冬村歩人:諸々有効!
GM:まだまだ元気!
冬村歩人:(……柊)
冬村歩人:(ここまでの馬鹿だとは思っていなかった。いや……こういうタイプの馬鹿では、なかったはずだ。間違いなく)
冬村歩人:(虫を退治するのにわざわざ顔を近付けたりはしない。踏んで潰すようなことすらしない。痕が残るからだ)
冬村歩人:(適当に窓の外へと蹴り飛ばし、それで終わり。そういう選択を取る男だと見ていた。……俺の目が節穴だったのか? こんな、子供じみた行動を取るなんて……)
冬村歩人:(……子供?)
冬村歩人:宙に踏み出すたび、氷の踏み台が歩人の足を迎える。そうして柊から距離を取りつつ、足元の影からは白い光が首をもたげる。
冬村歩人:……風祭緋雁との交戦にも使われた、この鞭のようにうねる光線の正体は、『虫』である。少なくとも、冬村歩人はそう定義している。
冬村歩人:現世物理学とは隔絶した逸脱法則下にて自動自活する、生命体らしきモノ。レネゲイドの気配すら帯びない、純粋なる零下八千度への適応者。
冬村歩人:この世界に引きずり出されたそれの性質は至極単純。熱を求め、熱に触れ、熱を奪う。歩人はそれが『攻撃』になるよう、誘導してやるだけだ。
冬村歩人:「単純火力ならば、さておき」
冬村歩人:「精度で言えば、昔から……俺の方がシュウより上だ」
冬村歩人:いくつもの純白の光の鞭が、針のごとき鋭さで伸びる。液体金属の波濤の中央、ただ一点に殺到し、錐のように貫き穿つ!
“ケルビム”:「——」
“ケルビム”:クレバスが軋むような、悲鳴にも似た大音響が轟く。
冬村歩人:「……」 その反応に、眉をひそめる
“ケルビム”:穿たれた一点を中心に、銀の流体が白く染まっていき、
“ケルビム”:やがて、完全に静止する。
三廻部朔夜:「……倒した……!?」
冬村歩人:「……いいや」
冬村歩人:「全く足りない」
“ケルビム”:行動値0。再行動。
冬村歩人:冬村歩人の侵蝕率を+8した (侵蝕率:168->176)
“ケルビム”:メジャー≪コンセントレイト:エグザイル≫+≪伸縮腕≫+≪逃れ得ぬ腕≫+≪爪剣≫+≪命の剣≫+≪ブラッドバーン≫+≪血の宴≫+≪殺戮領域≫
“ケルビム”:対象、茨木・箕中・風祭・シュウ。
冬村歩人:「……ッ、どころか、攻撃するのか!? 猪祈!!」
“ケルビム”:25DX7 リアクションC値+1 ドッジダイス-1個
DoubleCross : (25R10[7]) → 10[1,2,2,2,3,3,3,3,4,5,5,5,5,6,6,6,7,7,7,8,8,8,8,9,10]+10[1,4,5,7,7,8,9,10,10]+10[4,5,7,10,10,10]+10[1,3,6,8]+4[4] → 44

三廻部シュウ:ガード。
箕中舞:5dx ドッジ
DoubleCross : (5R10[10]) → 8[1,1,1,3,8] → 8

茨木律華:6dx@11 ドッジ。
DoubleCross : (6R10[11]) → 10[1,5,6,8,8,10] → 10

風祭猪祈:ドッジ 『シャドウプレイ・プロフィラキス』《リフレックス:エンジェルハイロウ》《神の目》
風祭猪祈:11dx8+1
DoubleCross : (11R10+1[8]) → 10[1,2,3,5,5,6,7,7,8,9,9]+10[6,8,10]+10[9,10]+10[4,8]+4[4]+1 → 45

箕中舞:おお
風祭猪祈:や、やった!
茨木律華:うひょう
GM:何!?
GM:避けやがった
“ケルビム”:5D10+101+2D10 装甲有効
DoubleCross : (5D10+101+2D10) → 13[4,3,3,1,2]+101+8[3,5] → 122

箕中舞:戦闘不能
箕中舞:聖櫃に有為/絶望〇でロイスを取ってタイタス化復活。
茨木律華:倒れます。昔の自分のタイタスを昇華して復活
風祭猪祈:風祭猪祈の侵蝕率を+3(侵蝕率:137->140)した
“ケルビム”:凍り付いた巨大な金属が、急速にその形を変えていく。
“ケルビム”:それは、変形、というより、収束、に近い。
“ケルビム”:“聖櫃”は見る間にその体積を縮め、
“ケルビム”:現れたのは、金属で編み上げられた、人型。
“ケルビム”:恐らくは、素体となったオーヴァードを色濃く反映した姿。
“ケルビム”:口にあたる部分がゆっくりと裂け、笑みの形に歪む。
“ケルビム”:「——」
“ケルビム”:鳴り響くのは、耳障りな金属音そのもの。だがその場の誰もが本能的に理解する——笑っている。
冬村歩人:「笑っ……」 ゾクリと、背筋が震える。寒さなど久しく感じなかったその身が、怖気に震える
“ケルビム”:“聖櫃”がほんの少し前傾したと思うと、
“ケルビム”:腕部が瞬時に膨張。致死の刃として、“ディアスポラ”の面々に振るわれる。
風祭猪祈:「まずい……!」悪寒に震えながらも反応しようとし
風祭猪祈:次の瞬間、振るわれた刃に首を跳ね飛ばされる。
冬村歩人:「猪祈……ッ!!」
三廻部シュウ:「ぐ、ああッ……!」炎で防御するが、腹を深々と抉られる。
茨木律華:「が、あ、っ……!」純粋に、圧倒的な出力差。防ぎきれないのは分かっている。
茨木律華:最小限の範囲に防御を集中させ、急所だけを守り切る動き。
箕中舞:「か、ふ…………っ」全身を貫かれ、地に縫い留められる。
風祭猪祈:「—————」その首は断末魔すら発すること無く地に転がり
風祭猪祈:———砂となって崩れ落ちた。
冬村歩人:「……っ、ふ」 無事だ。分かる。彼女は回避していると、理性では解せるが、それでも心臓に悪い
風祭猪祈:刃の軌道から僅かに外れた位置にノイズが走り、無傷の風祭猪祈が姿を表す。
風祭猪祈:「ハァ……ハァ……舐めんな……」
茨木律華:空に浮かぶ人型を、睨みつける。……先ほどの無機質な姿よりは、ずっと「殺す」イメージを描きやすくなったと、自分を奮い立たせる。
茨木律華:……ここで一瞬でも闘志を絶やせば、終わってしまう。そう感じているから。
“ケルビム”:一撃で甚大な被害。だが、“聖櫃”が狙ったのは君達ではない。背後から轟音と地響き。
“ケルビム”:遥か上方まで聳える巨大な柱が、数本纏めて切断され、倒壊する。
“ケルビム”:地上への唯一の出口が、完全に塞がれる形だ。
冬村歩人:「……こいつ」
冬村歩人:「今ようやく、"意志"で動いたのか……!」
“ケルビム”:“聖櫃”には素体が存在する。それがどんな人物だったのか、今となっては知る由もないが。ただ一つだけ分かることがある。
“ケルビム”:彼の存在を規定する衝動は、『殺戮』だ。
GM:クリンナッププロセスです。
GM:邪毒3と殺刃圏のダメージ。
GM:9+2D10
DoubleCross : (9+2D10) → 9+9[4,5] → 18

冬村歩人:ギェー
茨木律華:倒れるしかない!
箕中舞:9+2d6
DoubleCross : (9+2D6) → 9+7[2,5] → 16

箕中舞:死。シュウさんをタイタスにして復活
茨木律華:あ、一括じゃないのか
箕中舞:《タブレット》《多重生成》《奇跡の雫》
風祭猪祈:死!
箕中舞:あ。一括か。変なダイスを振ってしまった
冬村歩人:まず邪毒で9点減らします。これで残り3
冬村歩人:んで殺刃圏。18減って戦闘不能。《奇跡の雫》を待ちます
冬村歩人:柊! このダメージで死んでもいいぞ!
箕中舞:ほんそれ
柊桔平:生きてま~~~す
茨木律華:こちらも邪毒でHP4となってから殺刃圏の18で戦闘不能
風祭猪祈:これ邪毒だけで死ぬんですけど
風祭猪祈:その場合二回死ぬ感じですか?
GM:一回で……いいよ……!今回は……!
茨木律華:じ、慈悲
冬村歩人:あっ、慈悲
風祭猪祈:優しい…!
GM:タイミングが分からんけど……今回はそういうことにする
風祭猪祈:じゃあロイスは使わず普通に死亡。奇跡を待ちます
冬村歩人:じゃあみんないっせのせで死ぬ感じで!
箕中舞:じゃあ適当に生き返ってください。シュウさんも死んでたら生き返ってもらうけどなんか無事そうだな。不死身か……?
箕中舞:箕中舞の侵蝕率を+11した(侵蝕率:163->174)
冬村歩人:適当にHP15で復活かな? サンキュー舞っち!
“ケルビム”:振るわれた腕がばしゃりと裂け、無数の触手に姿を変える。
冬村歩人:冬村歩人のHPは15になった。(HP:12->15)
“ケルビム”:それら全てが別々の意思を持っているかのように蠢き、その場の全員に向けて殺到する!
茨木律華:HP15で復活します。
風祭猪祈:HP3で復活!
風祭猪祈:「また……!」先程と同様に光学偽装による回避行動を取ろうとする。
茨木律華:「く、そっ……!」防御のための微細なレネゲイドコントロールが、定まらなくなってくる。足も腕もとうに動かない。四肢が拉げ、薙ぎ飛ばされる。
冬村歩人:足元から冷気を爆発的に放出して防御しようとする……が、出力が不足だ。その攻撃を受け止めきれない。
風祭猪祈:"フィヨルニルの天眼"は干渉した汎ゆる者の眼を明かし、また眩ませる。
風祭猪祈:"聖櫃"が人形を取ったことで、その効果は僅かながら作用し得る状態になった。しかし……
風祭猪祈:「ぐっ……」体を蝕む毒の痛みが、その集中を阻害する。
風祭猪祈:回避は間に合わず。そのまま触手の波に呑まれる
箕中舞:ボロ布のようにズタズタになる寸前、3発の弾丸が放たれている。それぞれが茨木・冬村・風祭へと命中し、僅かに命を繋ぐ。
エンゲージ


冬村歩人

(10m)                  柊桔平

茨木律華、箕中舞、風祭猪祈、三廻部シュウ  (10m)   “ケルビム”


GM:2R、セットアップから。
茨木律華:セットアップないです
風祭猪祈:なし!
箕中舞:《女王の降臨》《凶戦士》対象冬村さん
箕中舞:箕中舞の侵蝕率を+10した(侵蝕率:174->184)
冬村歩人:《苛烈なる火》。攻撃力はもはや+15
冬村歩人:冬村歩人の侵蝕率を+3した (侵蝕率:176->179)
冬村歩人:冬村歩人のHPは10になった。(HP:15->10)
柊桔平:≪ターゲットロック≫対象ケルビム。
冬村歩人:ホントか? お前ホントか?
“ケルビム”:≪生命の海≫
“ケルビム”:7D10
DoubleCross : (7D10) → 39[6,7,4,10,6,4,2] → 39

“ケルビム”:HP+39
風祭猪祈:こいつ……
冬村歩人:誤差誤差!
箕中舞:ロールは入りたい
GM:どうぞ!
箕中舞:起き上がることが出来ない。
箕中舞:肉体は損傷著しく、度重なる能力の使用によって再生圏内を遥か遠く逸している。
箕中舞:血液の多くが流出し、四肢も皮一枚で繋がっているようなものだ。
箕中舞:まだ人の形を保っているのが奇跡と言えるだろう。
箕中舞:にも拘らず未だ絶命していないのは、辛うじて腕が動くのは。
箕中舞:(……ジャームに、近付いているんだ)
箕中舞:例えば、それは絆。
箕中舞:それは信念。好物。ちょっとした心安らぐ一時。
箕中舞:あるいは思い出の中の、何か大切な場所。
箕中舞:自身を日常に繋ぎとめる楔。衝動を堰き止める要石。
箕中舞:それを投げ出してしまえば、オーヴァードは高侵蝕状態から帰還する術を持たないのだという。
箕中舞:成り果てようとしている。
箕中舞:(……もう、戻れないところまで来ている。“私”は、ここで終わる)
箕中舞:それでも、彼女を生かして還さねばならないのだ。
箕中舞:「冬村……さん」
箕中舞:狙える方角に、彼のみ。
箕中舞:戦う動機もろくに把握していない、自分と同じ裏切り者なのだという人に、力を託さざるを得ない。
箕中舞:冗談のような話だ。
箕中舞:“ディアスポラ”を売った者の終着には、お似合いかもしれなかった。
箕中舞:「お願いです。なんとか、してください」
箕中舞:射出。
箕中舞:最後のカートリッジが、飛んでいく。
冬村歩人:「……舞ちゃん」命中。肩口で受ける
冬村歩人:今彼は、片手を頭上へ掲げている。彼が攻撃に際し、目に見えた動作を取るのはきわめて珍しいことだ
冬村歩人:その命中の瞬間、ぼんやりとしていた掲げた手の先の球形の歪みが、明確な輪郭を取る
冬村歩人:「何とかしよう」
冬村歩人:「だから君も……最後まで。君の願いを手放すな」
冬村歩人:……冴え渡る冬の月が。先に"カリポリス"を殲滅せしめたその光が、今一度顕現しようとしている。
箕中舞:少し笑う。銃を握る手からくたりと力が抜ける。
GM:行動値13、風祭さんの手番です。
風祭猪祈:マイナーで《陽炎の衣》隠密化
風祭猪祈:風祭猪祈の侵蝕率を+3(侵蝕率:140->143)した
風祭猪祈:メジャーでコンボ『シャドウプレイ・ブリッツ』《コンセントレイト:エンジェルハイロウ》《見えざる死神》サイレントシーカーでケルビムを攻撃
風祭猪祈:23dx6+2
DoubleCross : (23R10+2[6]) → 10[1,2,2,3,3,3,3,5,5,6,6,6,6,7,7,7,9,9,9,9,10,10,10]+10[2,3,3,3,6,7,8,8,8,8,9,9,10,10]+10[2,2,4,5,6,7,8,9,9,10]+10[2,3,5,5,7,10]+3[1,3]+2 → 45

“ケルビム”:ガード。
風祭猪祈:5d10+42+4d10
DoubleCross : (5D10+42+4D10) → 15[2,3,1,2,7]+42+12[3,1,3,5] → 69

風祭猪祈:諸々有効!
GM:まだ生きてる!
風祭猪祈:どんだけ残ってんだ……
GM:そこそこ生きてる!
風祭猪祈:「くっ……」ドローンに搭載された天眼が"ケルビム"を見据える。
風祭猪祈:独立した完全流体に弾丸を何発打ち込んだ所で大した意味はない。
風祭猪祈:だが、あの質量を自在に操作し、今こうして凝縮し人形を取れるのであれば
風祭猪祈:どこかにあるのではないか?"核"と言える心臓部が……
風祭猪祈:一縷の望みを託し、可視不可視を問わず汎ゆる光線を掃射し"ケルビム"の弱点を見極めようとする。
風祭猪祈:「……くそっ」
“ケルビム”:銀色に輝く人型は、表情もなく君達を見据えている。
“ケルビム”:変幻自在に変形する流体。核らしきものがあったとして、捉えるのは至難の業だろう。
風祭猪祈:「う……」
風祭猪祈:「うわああああああああああああ!!」
風祭猪祈:半ば狂乱し、出鱈目に銃弾をばらまく。
風祭猪祈:狙いを付ける余裕はない。しかし付けずとも
風祭猪祈:不可視の弾丸は跳弾を繰り返し、全てが"ケルビム"へと収束する。
“ケルビム”:煌めく身体に無数の銃弾が吸い込まれていく。衝撃でいくらか表面が飛び散り、体積が削られるが、まるで微動だにしない。
“ケルビム”:「…………」
風祭猪祈:「化物……」見開かれた瞳の恐怖の色が一層濃くなる。
冬村歩人:その様子を、口出しもせず歯痒そうに見ている。
風祭猪祈:風祭猪祈の侵蝕率を+4(侵蝕率:143->147)した
“ケルビム”:腕を大きく広げ、攻撃の体勢に移る。
“ケルビム”:行動値10
“ケルビム”:≪アナザーセルフ≫  ≪怒涛の大蛇≫の使用回数を回復。
“ケルビム”:メジャー≪コンセントレイト:エグザイル≫+≪伸縮腕≫+≪逃れ得ぬ腕≫+≪爪剣≫+≪命の剣≫+≪ブラッドバーン≫+≪血の宴≫+≪殺戮領域≫+≪怒涛の大蛇≫
“ケルビム”:対象シーン全員。
“ケルビム”:25DX7
DoubleCross : (25R10[7]) → 10[1,1,2,2,2,2,3,3,5,5,5,5,6,6,7,8,8,9,9,9,9,9,10,10,10]+10[2,4,5,7,8,8,8,8,9,9,10]+10[1,3,3,5,6,7,8,8]+10[3,5,8]+2[2] → 42

箕中舞:ガード
冬村歩人:こいつまだ暴走してるらしいっすよ リアクション不可
柊桔平:≪竜鱗≫
三廻部シュウ:ガード。
風祭猪祈:ドッジ 『シャドウプレイ・プロフィラキス』《リフレックス:エンジェルハイロウ》《神の目》
茨木律華:ドッジします
茨木律華:7dx
DoubleCross : (7R10[10]) → 8[3,5,5,5,8,8,8] → 8

風祭猪祈:11dx7+1
DoubleCross : (11R10+1[7]) → 10[2,3,3,4,5,5,5,5,6,7,10]+5[1,5]+1 → 16

“ケルビム”:5D10+101+2D10
DoubleCross : (5D10+101+2D10) → 32[7,2,8,6,9]+101+11[4,7] → 144

茨木律華:戦闘不能。
冬村歩人:死ぬ死ぬ!
風祭猪祈:戦闘不能!
箕中舞:死亡。ディアスポラのロイスをタイタス昇華して復活。
茨木律華:"ディアスポラ"のロイスをタイタスにして昇華、復活します。HP13
柊桔平:死亡、≪魔獣の証≫HP30で蘇生。
箕中舞:全体蘇生するけど
茨木律華:あ、なら取り消し!
箕中舞:茨木律華のSロイスを使用。奇跡の雫回復。
箕中舞:《タブレット》《多重生成》《奇跡の雫》でPCと、あと死んでたらシュウさんをHP15で復活させます
“ケルビム”:≪デビルストリング≫+≪デビルスレッド≫
“ケルビム”:≪奇跡の雫≫を打ち消し。
冬村歩人:ア゛!?
箕中舞:キャアーッ
茨木律華:舞ちゃん……
風祭猪祈:そんな…
箕中舞:箕中舞の侵蝕率を+11した(侵蝕率:184->195)
風祭猪祈:風祭猪祈の侵蝕率を+3(侵蝕率:147->150)した
三廻部シュウ:≪燃える魂≫HP60で復活。
冬村歩人:今度こそ"ケルビム"に 有為/○脅威 でロイス取ってタイタスにして昇華・復活!
冬村歩人:冬村歩人のHPは12になった。(HP:10->12)
冬村歩人:残りロイス2
GM:猪祈さんは復活します?倒れてます?
風祭猪祈:"ケルビム" に 憤慨/恐怖◯で取って復活します!
風祭猪祈:残りロイス2!
茨木律華:こちらは残りロイス1、未昇華タイタス1です。一応
“ケルビム”:腕部が見る間に変形していく。翼、あるいは大きな枝のように広がったそれは、無数の刃そのものだ。
“ケルビム”:刃は本体よりも遥かに巨大化していき、およそ数十メートルにまで達する。
“ケルビム”:自らの脅威を誇示するように広げたその凶器を——
“ケルビム”:「——」
“ケルビム”:超高速で、ただ滅茶苦茶に振り回す。
“ケルビム”:あらゆる全てを微塵に切り裂く、殺戮の嵐が吹き荒れる。
箕中舞:カートリッジは使い果たした。そもそもこの有様ではまともに照準がつけられない。
箕中舞:……能力を安定させる注射銃も、それを使いこなすための手術も、私が律華ちゃんについていくためにシュウさんが用立ててくれたものだった。
箕中舞:それすら失えば、そこにいるのは“ベンサレム”の篩(ふるい)にかけられ何も持たなかった、落ち零れの私だ。
箕中舞:仲間はいない。友もいない。恨むべき仇もいない。
箕中舞:(……でも)
茨木律華:「ぐぎ、あ……っ! が、っ……!」蹲り、肉を引き裂かれる。
茨木律華:それでも、敵への目線だけは切らさない。
茨木律華:僅かでも気を途切れさせれば、死が傍にある。
箕中舞:冬村さんは、私に手放すな、と言った。まるで、仲間にそうするように。
箕中舞:傷つく律華ちゃんの声が聞こえる。
箕中舞:(……そうだ、レネゲイドが臨界を超えた今なら、もしかしてーー)
箕中舞:出来損ないの能力も、御することが出来るだろうか。
箕中舞:倒れ伏す自分から滾々と流れ出た血液が一斉に赤い霧へと変じる。
箕中舞:それらは“ディアスポラ”セルの面々を取り巻くように流れ、オーヴァードの復元能力を再演しようとする。
箕中舞:3度目となる、外付けのリザレクト。
“ケルビム”:だが、それすらも。
“ケルビム”:刃の巻き起こす風圧が、赤い霧を吹き飛ばし、文字通り霧散させる。
“ケルビム”:必死に伸ばした手は、仲間たちに届くことは無かった。
箕中舞:「————そん、な……」
箕中舞:辛うじて再生の力が及んだのは、至近にあった自分の肉体だけだ。こんなに近くにいるのに、届かない。
茨木律華:……吹き荒れる死の嵐の中で、気付かない。ここまで再生能力を酷使したのは初めての事だ。
三廻部シュウ:獣のように唸りながら、膝は折らない。限界を越えたリザレクトの酷使に、身体の一部が炎に置換されている。
柊桔平:「ガラクタ風情が……この俺に……!」
柊桔平:彼の忌み嫌う表面的獣化が進み、牙と爪が獣のそれへと変わっていく。
“ケルビム”:≪夜魔の領域≫行動値0で再行動。
三廻部シュウ:行動値7
三廻部シュウ:メジャー≪コンセントレイト:サラマンダー≫+≪クロスバースト≫+≪プラズマカノン≫+≪エネルギーブレイド≫+≪極圏の覇者≫
三廻部シュウ:20DX7
DoubleCross : (20R10[7]) → 10[1,1,1,1,2,2,2,3,3,3,4,4,5,5,7,8,8,8,8,9]+10[2,2,4,6,7,8]+10[2,10]+10[7]+10[10]+1[1] → 51

“ケルビム”:ガード。
箕中舞:狂戦士!
GM:そうだ!
箕中舞:ダイス8C値‐1ですよ
GM:下がらないか……?
GM:28DX6
DoubleCross : (28R10[6]) → 10[1,2,2,2,2,3,4,4,4,4,4,5,5,6,7,7,7,8,8,8,9,9,9,10,10,10,10,10]+10[1,1,2,2,3,3,4,5,6,6,6,7,7,8,9]+10[2,5,5,7,7,9,10]+10[2,2,8,10]+10[7,8]+10[5,6]+3[3] → 63

GM:上がった!
箕中舞:よかた
三廻部シュウ:7D10+54+2D10
DoubleCross : (7D10+54+2D10) → 39[3,8,10,6,2,1,9]+54+11[7,4] → 104

GM:いっっっった
冬村歩人:ええぞ!
箕中舞:殺せー!
茨木律華:うおお!頼りになる!
GM:まだ生きてる!
風祭猪祈:さすがリーダー!
三廻部シュウ:「……帰るんだよ」
三廻部シュウ:「オレは……“聖櫃”を……手に入れて……」
三廻部シュウ:「帰るんだよ……皆で……」
三廻部シュウ:ぶつぶつと、譫言のように呟く。
三廻部シュウ:ふらふらと数歩よろめいて、
三廻部シュウ:“聖櫃”を見据える。
風祭猪祈:「シュウ……兄さん……」膝をついたままその姿を見つめる。
三廻部シュウ:瞬間、遥か上方まで届く巨大な業火の柱が、“聖櫃”を呑み込む。
“ケルビム”:「——」
“ケルビム”:じりじりと表面が溶けていく。身動きが取れない。
三廻部シュウ:「はっ……は……はァ……ッ……」
三廻部シュウ:爛々と輝く眼光には、狂気の色が宿っている。
三廻部朔夜:「お兄ちゃん!やめて!お兄ちゃん!!」朔夜が縋り付き、必死に叫ぶが、シュウはまるで聞く耳を持たない。
冬村歩人:「…………」 目を細めてその火柱を見る。……彼のことはよく理解している
冬村歩人:気軽なようで、軽率なようで、それでも義というものを重んじる。裡に抱く責任感を、外へ漏らさず歩き続ける。FHという悪役の、なんと似つかわしくないことか
箕中舞:(シュウ、さん…………)
三廻部シュウ:「今だ……お前ら……今……今だ……」
三廻部シュウ:「猪祈……律華……舞……朔夜……」
三廻部シュウ:「……歩人……」
三廻部シュウ:「……誰でもいい……あいつを……殺せ……!」
冬村歩人:……だからこそ黙っている。ここまで戦局のこじれた時点で、本当は猪祈を、皆を連れて下がって欲しかった。だがここに来ると声を上げた以上、彼は絶対に退却しないと、確信している。
茨木律華:「ぁ……」朦朧とする意識の中で、その輝きを見た。
茨木律華:あの日、自分を縛っていた檻を。"ベンサレム"を共に焼いた陽光。
GM:行動値6、茨木さんの手番です。
茨木律華:マイナーで《氷炎の剣》《地獄の氷炎》攻撃力を伸ばし、攻撃力22の武器を生成
茨木律華:メジャーは《コンセントレイト》《サンドシャード》 判定に《砂の加護》《砂塵霊》を使用
茨木律華:侵食163へ
“ケルビム”:≪デビルストリング≫+≪デビルスレッド≫
茨木律華:そうかい!
“ケルビム”:≪砂塵霊≫を打ち消し。
冬村歩人:こいつホンマ……
茨木律華:14dx+7@7 命中
DoubleCross : (14R10+7[7]) → 10[1,2,3,3,4,4,4,5,5,6,6,6,7,10]+10[5,7]+1[1]+7 → 28

“ケルビム”:ガード。
茨木律華:3d10+22 ダメージ
DoubleCross : (3D10+22) → 14[4,1,9]+22 → 36

GM:まだ生きてる!
茨木律華:……血の海の中から、亡霊のように立ち上がる。
茨木律華:手足の感覚は、とうに消えている。結晶体の埋め込まれた右眼窩に、鈍い苦痛が走る。
茨木律華:遺産"ミトラの供花"は、契約者の体に根を張り、その力を拡張する。彼女の脳へと手をかけ、更に深くへと。
茨木律華:こうして、多くのレネゲイドを使い、侵食が加速する程に。そして、それが求める代償は。
茨木律華:他者に対する、徹底した不信。
茨木律華:……三廻部シュウの力は、自分よりもずっと強大だ。
茨木律華:”ミトラの供花”による力の供与。そのありったけを彼に預ければ、もう一撃、あの火を撃ってもらう事もできただろう。
茨木律華:それを理解していて、なお。
茨木律華:呪いに囚われた彼女は、誰かに託すという選択ができない。
茨木律華:「っ……!」何度も脳を揺らす鈍痛に、表情を顰めながら。その眼は"ケルビム"を捉える。
茨木律華:ありったけの出力を込める。凝結した氷の弾丸を、"彼"の周囲に展開し、
茨木律華:精度を捨て、力任せに打ち出す。弾丸が嵐のように取り巻いて、その肉を削っていく。
“ケルビム”:「…………!」
“ケルビム”:爆炎と氷の急激な温度差が、金属の身体に著しい劣化を与える。
茨木律華:「まだ、あ、あああ……ッ!」息の続く限り、力を振り絞る。その嵐を絶やさないように。
“ケルビム”:白銀の四肢が砕け散る。瞬時に再生するが、これまでとは違う。明確なダメージだ。
茨木律華:無論、すぐに限界が来る。膝をつき、血を吐いて。
茨木律華:「ッ……ハ、ア、ァッ……」
冬村歩人:(……シュウと合わせるのは、俺の役目だったんだが)
冬村歩人:(律華ちゃん。大した奴だな)
茨木律華:今や彼女の意識にあるのは、ただ一つ。狂気的なまでの使命感。
茨木律華:(──全部、私が何とかする。私が、一人で)
箕中舞:茫洋とした、意識のはっきりしない表情で、それを見ている。
柊桔平:行動値6。
柊桔平:「……………………」
柊桔平:choice[“ケルビム”,冬村歩人]
DoubleCross : (CHOICE[“ケルビム”,冬村歩人]) → “ケルビム”

冬村歩人:オイ嘘だろ
冬村歩人:怖すぎる
柊桔平:(奴は限界だ……どの道いつでも殺せる……)
柊桔平:(ここは“聖櫃”を優先して排除する……!クズ共を殺すのはその後だ……!)
柊桔平:マイナー≪ハンティングスタイル≫でケルビムに接敵。
柊桔平:15DX7
DoubleCross : (15R10[7]) → 10[1,2,2,3,4,5,5,5,5,6,6,8,8,9,9]+4[1,3,4,4] → 14

“ケルビム”:ガード。
柊桔平:2D10+52+18
DoubleCross : (2D10+52+18) → 9[2,7]+52+18 → 79

GM:ギリ生きてる!
柊桔平:「“聖櫃”は……」
柊桔平:一息で“聖櫃”との距離を詰め。
柊桔平:「私の物だッ!!」
柊桔平:獣化した拳を、脆弱化した“聖櫃”のボディへと叩き込む。
“ケルビム”:「…………!!」
“ケルビム”:ばきん、と、その身体に罅が走る。
“ケルビム”:再生が遅い。これまでの度重なる攻撃で、確実にダメージが蓄積している。
GM:行動値4、箕中さんと冬村さんの手番です。
箕中舞:お先にどうぞ……多分手番回ってきても待機しますけど
冬村歩人:「……朔夜ちゃん!」
冬村歩人:「アイツだ。アイツを……押し込んでくれ!」
冬村歩人:ということでNPCカード 三廻部朔夜を使います。柊くんをナーヴジャックして、今のフルコンでもう一回"ケルビム"をブン殴っていただきたい!
三廻部朔夜:「ッ……は……はい!」
冬村歩人:柊桔平。愚劣なる増上慢に他ならない男だが……その実力と、今この瞬間の立ち位置の良さは本物だ。
冬村歩人:押し込む他ない。文字通り。この瞬間を切り抜けるなら、神だろうと使い捨てる。
三廻部朔夜:背後から柊に近付き、その頭に手を翳す。
柊桔平:「何だ貴様——ぐ……!?」
柊桔平:どこからか、止め処ない、凄まじい憎悪が沸き起こる。それは全て目の前の“聖櫃”へと注がれている。
柊桔平:限界を越えて身体が動く。自らの意志でそうしているようで——
三廻部朔夜:実際には、すべて冬村歩人と三廻部朔夜の思惑通りに。
柊桔平:≪コンセントレイト:キュマイラ≫+≪獣の力≫+≪獣王の力≫+≪獣の殺意≫+≪銘なき刃≫
柊桔平:15DX7
DoubleCross : (15R10[7]) → 10[1,1,2,2,2,2,3,3,4,6,7,7,8,10,10]+10[3,5,7,8,8]+10[1,4,8]+10[10]+10[10]+10[10]+6[6] → 66

“ケルビム”:ガード。
冬村歩人:えらーい!
柊桔平:7D10+52+18
DoubleCross : (7D10+52+18) → 46[9,3,5,4,8,9,8]+52+18 → 116

“ケルビム”:HP0に。
“ケルビム”:≪イモータルライフ≫
“ケルビム”:2D10
DoubleCross : (2D10) → 14[5,9] → 14

“ケルビム”:HP14で復活。
柊桔平:「ははははは……はァーーッははははははァーーッ!!」
柊桔平:全身が獣化していく。憎悪に執りつかれ、突き動かされるまま、何度も何度も執拗に“聖櫃”を殴り付ける。
柊桔平:「私の物だ!!全て!!全て!!全て……全て全て全て!!何もかも!!」
柊桔平:「俺は日本支部長になる男だぞ!!勝って勝って勝ち続ける!!」
柊桔平:「FHのゴミ共を……根絶やしにするまではなアァーーッ!!」
“ケルビム”:「…………!! …………!!」
“ケルビム”:馬乗りになられ、攻撃を受け続ける。大量の刃と触手とで柊を切り刻むが、殺すには至らない。
GM:冬村さんの手番です。
冬村歩人:「……よし。そのままだ。それでいい……そこがいい」
冬村歩人:《コンセントレイト:バロール》+《黒の鉄槌》+《コキュートス》 これが本当に最後の一発!
冬村歩人:あ、マイナーは特にないです
冬村歩人:対象は柊くんと"ケルビム"のみ。
GM:どうぞ!
冬村歩人:18dx6+6
DoubleCross : (18R10+6[6]) → 10[1,1,2,2,3,4,4,5,5,5,7,7,7,7,7,8,9,10]+10[1,1,1,3,4,6,10,10]+10[7,9,9]+10[2,5,10]+1[1]+6 → 47

“ケルビム”:ガード。
柊桔平:≪竜鱗≫
冬村歩人:5d10+42
DoubleCross : (5D10+42) → 27[5,4,8,9,1]+42 → 69

柊桔平:HP0に。復活エフェクトなし。
“ケルビム”:HP0に。
“ケルビム”:復活エフェクト……
箕中舞:やめろ……やめろ……
“ケルビム”:なし!戦闘終了です。
茨木律華:終わった……!
箕中舞:やったーーーーーー!
冬村歩人:ヒウィ……
風祭猪祈:勝ったーーー!
冬村歩人:——輝く。
冬村歩人:暗い地下の天頂に、凜冽なる蒼の満月が、太陽よりも白く、強く、輝く。異界の冷気が、その超絶なる法則もろともこの世界へと漏出する。
冬村歩人:恐るべきことに……空間そのものが軋むような破砕音は、先の攻撃よりも小さい。この空間が、決して交わらない異界の物理へ『馴染んでいる』。
冬村歩人:冬村にとっても初めての現象だった。ここまで暴虐的な出力を振るい続けることは、"ウィンターマスター"だった頃を振り返っても数えるほどしかない。
冬村歩人:恐怖はある。怖気が立つ。後戻りできない深淵へ、引きずり込まれる錯覚がある……だがそれは、高揚感にも等しい。
冬村歩人:……その眼に映るものは、二つ。狂ったように喰らい合う柊桔平と"ケルビム"。
冬村歩人:「……ねむれ。静寂なる冬の下」
冬村歩人:「永遠に——!!」
冬村歩人:力を集結する過程で、九割方凍りついた右腕を、下ろす。同時、今まで冷気を放出していた魔眼、すなわち異界へ続く孔そのものが、氷を割くような音を立てて動き出す。
柊桔平:「……死ね……!!死ね、死ね、死ね……!!」
柊桔平:「…………?」
“ケルビム”:「——」
冬村歩人:それは歩くような速度で、柊と"ケルビム"の下へ。気づいた時には、もう遅い。この世のあらゆる力学を冒涜するその門から、逃れられる道理はない。
柊桔平:「…………が……ァ……!?」
柊桔平:「貴様……ふ……冬……村……!」
柊桔平:完全に獣と化した腕を、振るおうとして——
柊桔平:ばきん、と、根元から砕け落ちる。
柊桔平:「う、ぁあああああッ!?」
冬村歩人:「……下らん男だ」
冬村歩人:「そういう意味では、俺とお前は確かに似合いだったのかもな」
柊桔平:「まだだ……俺は、まだ……FHを……」
柊桔平:「殺して、殺して、殺し続けて……!」
柊桔平:「そして——!」
冬村歩人:「だがお前は、俺の全てを踏み躙った」
冬村歩人:「……その願い、一つたりとも芽吹く時はない」
柊桔平:爪先からその身体すべてが白く染め上げられていき。
冬村歩人:「砕けて死ね」
柊桔平:「……あ……」
柊桔平:「……——……」
柊桔平:最後に呼んだのは、誰かの名。
柊桔平:物言わぬ氷像が、粉々に砕け散る。
“ケルビム”:「…………!!」
“ケルビム”:凍り行く身体を変形させ、蒼い満月に手を伸ばす。
“ケルビム”:「…………」
“ケルビム”:だが、やがて変形は止まり。
“ケルビム”:ばしゃり、と弾ける。形を保てなくなり、崩壊する。
冬村歩人:「……く、ぅッ」 双方の粉砕を認めると同時、門を閉じ、攻撃を止める。辺りはほとんど真冬の様相だ
“ケルビム”:同時に、ぐにゃりと空間が歪む。
GM:爆発するように噴き出すのは、紙幣や硬貨、機密書類の山、それに大量の遺産やアーティファクト……“聖櫃”の中身だ。
茨木律華:「……あ」膝をつきながら、舞い上がったそれらを見上げる。
冬村歩人:「く、く……」
冬村歩人:「こんなに粗末に、品物を吐き出す金庫が……」
冬村歩人:「あるか……ッ!」
冬村歩人:宝の奔流の合間、ばたりと地に伏せ倒れる。
三廻部シュウ:「…………」言葉もなく。舞い散る紙幣の中、がくりと項垂れる。
風祭猪祈:「歩人さん……みんな……」
茨木律華:あれを手に入れるために、ここまで来た。ここで出し抜かれる訳には、いかない。
風祭猪祈:地に伏す仲間たちを見回す。
三廻部朔夜:「…………」途方に暮れたように、呆然と立ち尽くしている。
箕中舞:傷だらけの体で、ぼんやりと中空を見つめている。
風祭猪祈:「うん……あれを……聖櫃を手に入れて……」
風祭猪祈:朧気な足取りで少しずつ踏み出す。
風祭猪祈:「帰らなきゃ……」
風祭猪祈:「みんなで……」
風祭猪祈:祈りの言葉を呟きながら。

GM:---

GM:バックトラックです。
箕中舞:Dロイス 記憶探索者の使用
箕中舞:箕中舞の侵蝕率を+5(1d10->5)した(侵蝕率:195->200)
箕中舞:茨木律華のタイタス『昔の自分』をロイスへ。
GM:まずはEロイスから。

≪殺刃圏≫
≪殺戮衝動≫
≪原初の恐怖≫
≪囚人の鳥籠≫
≪超越活性≫×2

GM:合計6個です。
風祭猪祈:少なっ
冬村歩人:すげー! たくさんだぜ!
茨木律華:なるほどね
箕中舞:振らないやつはアホ(アホなので振らない)
冬村歩人:これだけあれば新しいパソコンも買えるかな……
茨木律華:舞ちゃん……
GM:アホ!!!
茨木律華:冬村さん…………
風祭猪祈:馬鹿野郎…!
GM:全部10出るかもしれんやろがい!!
箕中舞:全部10出ても別に帰れないでしょ!
箕中舞:ログ読んだ人がバックトラック振ってないことに違和感覚えるかもなので残ロイスが0であることを追記しておきます。

冬村歩人:179-6d10
DoubleCross : (179-6D10) → 179-28[5,3,10,3,1,6] → 151


茨木律華:163-6d10
DoubleCross : (163-6D10) → 163-28[4,5,1,10,7,1] → 135


風祭猪祈:150-6d10
DoubleCross : (150-6D10) → 150-18[1,5,7,3,1,1] → 132


茨木律華:いのりちゃん…………
風祭猪祈:やっべ~
GM:猪祈ちゃん!!!!!!
GM:ていうかみんな低いんだよ!!!
冬村歩人:まあまあ、まだロイスもありますし……
茨木律華:実は隠れてたのがもう2~3個見つかるなら今の内ですよ
GM:あったかな~探してみようかな~
GM:無いです……
茨木律華:そっか……
GM:俺だって用意したいが……!?

茨木律華:じゃあめちゃくちゃ胃が痛いけど振ります もちろん2倍で
茨木律華:135-4d10
DoubleCross : (135-4D10) → 135-20[9,3,6,2] → 115


冬村歩人:残ロイスは2。2倍振りでーす
冬村歩人:151-4d10
DoubleCross : (151-4D10) → 151-18[3,3,4,8] → 133

冬村歩人:ダイスくん、序盤(登場侵蝕ダイス込み)で力尽きたな……

風祭猪祈:ロイス2、二倍振り!
風祭猪祈:132-4d10
DoubleCross : (132-4D10) → 132-30[10,3,7,10] → 102


風祭猪祈:!!!!!!
GM:うおおおお!!!!!
GM:猪祈ちゃん!!

茨木律華:115-2d10 追加。
DoubleCross : (115-2D10) → 115-11[2,9] → 104


GM:アーーーーー!!!!????

冬村歩人:追加振りしよう。平均値17出れば行ける
冬村歩人:133-2d10
DoubleCross : (133-2D10) → 133-16[7,9] → 117


GM:ギャーーーーーーーー!!!!!!!
冬村歩人:届かなかったか……あと倍出ればなあ

風祭猪祈:追加振り
風祭猪祈:102-2d10
DoubleCross : (102-2D10) → 102-4[1,3] → 98


風祭猪祈:い……生き残ってしまった……

GM:では
GM:風祭さんが帰還成功。
GM:茨木さん、箕中さん、冬村さんは帰還失敗となります。
風祭猪祈:そんな……一人にしないでよ……
風祭猪祈:律華ちゃん……舞ちゃん……
風祭猪祈:歩人さん……
風祭猪祈:やだよぉ……

【ED/“ディアスポラ”】

GM:辺りは静まり返っていた。溢れ返る財宝が、破壊痕や転がる無数の死骸を覆い隠している。
GM:呆然とする面々の中、最初に動いたのは三廻部シュウだった。
三廻部朔夜:「お兄ちゃん……!もう立たないで!!お兄ちゃん!!」
三廻部シュウ:「…………」
三廻部シュウ:よろよろと、冬村歩人に歩み寄る。身体の至る所が炎から生身に戻らないまま、燃え盛っている。
三廻部シュウ:「……立て、歩人」
三廻部シュウ:「次はお前だ」
冬村歩人:「…………」
三廻部朔夜:「お兄ちゃん……!!やめてよ!!もういい!!もういいから……!!」
三廻部シュウ:「いい訳が……無えだろうがッ!!」
三廻部シュウ:自らの親友に、業火のような殺意を向ける。
冬村歩人:凍りついた腕を、腕ではなく杖のように使い、不格好に立ち上がる。見れば、顔も半ば、青白い氷に覆われかけている。
冬村歩人:「……ふ、ふ」 それは笑みのようで、溜息のようで
冬村歩人:「人間はな、シュウ。追い詰められた時ほど本性が出るらしい」
冬村歩人:「お前。さっきの戦いの中、誰でも良いから敵を倒せ、と言って、裏切った奴の名を呼んだろ」
三廻部シュウ:「…………」
冬村歩人:「はは……」 笑う。あるいは憧憬するように
冬村歩人:「それだからお前は、セルリーダーで……みんなの兄で」
冬村歩人:一歩踏み出す 「俺には勝てない」
三廻部シュウ:「うるせえんだよ」
三廻部シュウ:煌々たる劫火が熾り、巨大な炎剣の形となる。
三廻部シュウ:「お前は緋雁を殺した」
冬村歩人:「そうだ」
三廻部シュウ:「……それだけだ。お前の事情だとか、都合だとか、そんなことはどうだっていい」
三廻部シュウ:「オレが殺す」
冬村歩人:「そうだな。お前はそうするよ」
冬村歩人:まだ動く方の手を握りしめる。そこを中心に、『虫』、白銀の光が溢れ出し、腕を軸に渦を巻いていく
冬村歩人:螺旋に渦巻き錐を形作るそれは、槍。伸びていく。どこまでも。強欲に。
冬村歩人:「……猪祈」
冬村歩人:「朔夜ちゃん。舞ちゃん。律華ちゃん」
冬村歩人:「動けるなら逃げてくれ。もう加減なんてできない」
三廻部シュウ:炎剣が輝く。自らの命そのものを焚べて燃え盛るような、紅蓮の業火。
冬村歩人:じり、じり、と槍を握り込む腕が動く。弓を引き絞るかのような、肩越しの構え。氷身の中は不可思議に、幻想的な白銀に輝く
風祭猪祈:「あぁ……待って……」その光景を、成すすべなく見ていることしかできない。
三廻部朔夜:「やだ……お兄ちゃん……歩人さん……何で……何でこんな……」
風祭猪祈:「やめてよ……歩人さん……シュウ兄さん……」
風祭猪祈:「もう誰も……」
風祭猪祈:「私のこと置いて行かないでよぉ……」
三廻部シュウ:瞳の中心に、自らの無二の友——だった男を捉える。
冬村歩人:瞳の中心に、自らの無二の友——だった男を捉える。
三廻部シュウ:「歩人ォオオッ!!」
冬村歩人:「シュウ——ッッ!!!」
三廻部シュウ:燃える剣を振るう。あらゆる全てを焼き尽くす、炎の刃。
冬村歩人:輝く槍が突き出される。何もかもを飲み込む、冬の一閃。
GM:閃光。正と負、超巨大な熱量が正面からぶつかり合う。
GM:衝撃波と暴風。広大な調圧水槽全体が激しく揺れ、轟音と共に巨大な柱がまとめて薙ぎ倒される。
GM:天変地異が如き激突は、時間にすればほんの僅かな交錯。
GM:……やがて、辺りは静まり返り。
GM:立っているのは、一人。
三廻部シュウ:「…………」
冬村歩人:氷の槍。それは殺意と共に、精密に一点を撃ち抜くためのカタチ。
冬村歩人:それがシュウの身体を、正中で貫いている。
冬村歩人:衣服の端々が、炎で燃えている……それも、熱気の停止と共に、溢れ止まない冷気でかき消されていく。
冬村歩人:「……お前が」
冬村歩人:「俺を相手に躊躇せず、全力なんて出せる訳がないだろ」
冬村歩人:凍りつくように冷たい"ウィンターマスター"の眼から、涙が落ちることはない。緋雁をその手にかけた時と、同じく。
冬村歩人:「だから勝てないと、言ったんだ」
三廻部シュウ:全身の修復箇所、纏った炎が消えていく。それと同時に噴き出す筈の血液すら、それ以前に凍り付く。
三廻部シュウ:「…………」
三廻部シュウ:自らに突き刺さった槍に目を落とし。それから冬村歩人に目を向ける。
三廻部シュウ:「……ハッ」
三廻部シュウ:脱力したように、口の端を歪めて笑って。
三廻部シュウ:崩れ落ち、絶命する。
三廻部朔夜:「嫌……嫌あぁあああっ!!お兄ちゃん……お兄ちゃん!!」
冬村歩人:それと同時、突き出された氷の槍も、崩れ落ちる。
冬村歩人:「ッハ……ハア……ハーッ……」
冬村歩人:まるで凍えているかのように震えながら、乱れた息を吐く。吐きながら、
冬村歩人:歩く。誰もに背を向けて。たった今の交錯でできた、どこへ続くとも分からぬ穴へ向けて。
三廻部朔夜:地に落ち、ばらばらに砕け散った兄の欠片を、必死に拾い集めようとする。
三廻部朔夜:「あぁああああ……嫌……嘘……嫌ぁあ……お兄ちゃん……」
風祭猪祈:「———」シュウの残骸をかき集める朔夜の姿を呆然と見つめ
冬村歩人:全身から白銀に輝く霧が溢れている。近づくものを拒む超絶の冷気。
風祭猪祈:「あ……」その先の、去っていく背中に、それでも手を伸ばす。
冬村歩人:"聖櫃"から吐き出された財を踏み越えながら、尾を引くそれを足跡に…… 「……まだ」
冬村歩人:「逃げてなかったのか、猪祈」
冬村歩人:足は止めている。だが振り返りはしない。
風祭猪祈:「歩人さん……」
風祭猪祈:「……逃げれるわけ……」
風祭猪祈:「逃げれるわけ……ないでしょ……私は……」
冬村歩人:「……運が良かった、だけだ。お前が生きているのは」
風祭猪祈:「………」
冬村歩人:「今この瞬間だけの、話じゃない……オーヴァードとしての話だ」
風祭猪祈:「何……それ」
冬村歩人:「俺たちは、強い。普通の人間が死ぬようなマネをしても、死なない。……だが、代償がある。死よりも惨い、代償がある」
冬村歩人:その口調は茫洋としていて、他人事のようですらある 「ジャームだ。死よりも惨い、人間性の否定だ。戦うということ、そのものがリスクだ。俺たち全員にとって」
風祭猪祈:「それ……は……」
風祭猪祈:「……だから、降りたかった……の?歩人さんは……」
冬村歩人:それには応えず、微かに、首を傾げるように振り返り
冬村歩人:「猪祈。だから、頼む。もう戦うな。俺はお前に、お前でいてほしい」
冬村歩人:「……戦う猪祈は、綺麗だったけど」
冬村歩人:「一番好きなのは、本を読む横顔だ」
冬村歩人:氷に覆われたその半面が、笑うことはない。泣くことがないのと、同じように。
冬村歩人:ただ凍てついた面を歪つに軋ませ、歩人は再び、闇へと歩き始める。今度は、止まらない。
風祭猪祈:「———」最早手を伸ばすことすらできず、その背が闇に消えるのを見つめている。
風祭猪祈:「…………何だよ、それ……」
風祭猪祈:———知っている。
風祭猪祈:彼が誰より、"戦う必要のない日常"を愛したことを知っている。
風祭猪祈:厚い氷に覆われた心の裡に、雪解けを……春を待つ願いがあったことを知っている。
風祭猪祈:だからこれは……
風祭猪祈:「はは……全部……」
風祭猪祈:「全部……私のせいじゃん……」
風祭猪祈:誰もが、自らの希望ねがいのために死力を尽くした。
風祭猪祈:誰だって、何も失いたくなくて、全てを手に入れたくて、ずっと一緒に居たかった。
風祭猪祈:けれどその欲望ねがいは人の手には大きすぎて、見つめ続けるには眩しすぎて
風祭猪祈:"一番大切なもの"を選んだ。それだけは、何があっても無くさないように
風祭猪祈:だから、"何も選べなかった奴"が
風祭猪祈:最後まで、全部欲しいとだだを捏ねた子供の手から、その全てがこぼれ落ちていったのは
風祭猪祈:当然のことなのだ。
風祭猪祈:「馬鹿……」
風祭猪祈:それは、誰に向けて放った言葉だったのか。
風祭猪祈:受けとるべきものは最早、此処には居ない。

【ED/茨木律華・箕中舞】

茨木律華:……やがて、彼らが去ったあと。
茨木律華:極限の氷熱の激突、それがもたらした破壊の山。そこから、幽鬼のように這い出てくる。
茨木律華:「ぐ、っ……」胸を抑える。重苦しい、吐き気のするような痛みが続いている。
茨木律華:限界を越えた遺産の酷使。”根”に侵された顔の右半分は罅割れて、色を失っていた。
茨木律華:ギンギンと耳鳴りがして、視界が紅く染まっていく。
茨木律華:「……ああ」
茨木律華:「うるさいわね」
茨木律華:きっと彼女にしか聞こえない、頭の中の声の主へ。苛立ち紛れに吐きかけて。
茨木律華:”聖櫃”へと歩を進める。
茨木律華:死力はとうに出し尽くした。それでも、ここで力尽きるわけにはいかない。
茨木律華:「まだ、終わってない」
茨木律華:ずっと、自分が求め続けた願いが。手の届くところまで来ている。
茨木律華:……それを妨げる敵が、まだ目の前にいる。
箕中舞:その行く手に、ゆらりと現れた影がある。
箕中舞:同じく吹き飛ばされていた箕中舞が、視界に“聖櫃”へと向かう茨木律華を認め、起き上がった。
箕中舞:「勝ったん、だね」
箕中舞:夢見るようだった視線が僅かな間、現実に焦点を結ぶ。
茨木律華:「邪魔を、するな」
茨木律華:凍りつく殺意を以て、目の前の"敵"を刺す。
茨木律華:氷の短剣を、右手に握りしめる。もはやそれを撃ち出す程の力は残っていないが。
茨木律華:一歩ずつ、詰めていく。彼女の喉へと突き立てるために。
箕中舞:「ねえ……律華ちゃん。あなたは」
箕中舞:「きっと、求めた場所に、たどり着ける。あなたは誰よりも眩しくて、強いから」
箕中舞:……私が私でなくなる前に、
箕中舞:1つだけ、彼女に渡さなければいけないものがある。
箕中舞:《Dロイス:記憶探索者》
箕中舞:傷だらけの全身から、にわかに赤い霧が湧く。
茨木律華:「っ、この────」
茨木律華:とうに満身創痍となっている。今なお敵意を持っていても、抵抗するまでの力はない。
茨木律華:真紅の霧が、茨木律華の右眼へと流入していく。
茨木律華:ガラス色だった結晶体が、朱く染まり。
茨木律華:その思考にノイズが走る。
箕中舞:律華自身の記憶を取り戻すことは出来ない。外ならぬ舞が破壊してしまった。
箕中舞:だからこれからするのはあの日と同じ。
箕中舞:“投影”だ。
箕中舞:薬品で脳波を同調させ、レネゲイドをパスに自らの記憶を押し付ける精神感応。
箕中舞:『箕中舞が持つ、茨木律華にまつわる記憶』が、流れ込んでいく。
茨木律華:明滅。雑音。
茨木律華: ──“それじゃあ、お願いしようかな”
茨木律華:マンションの一室。少女の笑顔。誰かの声。
茨木律華: ──”実は私も”
茨木律華: ──”りっちゃんと一緒にいたいなあって、思ってるからね”
茨木律華:「…………」
茨木律華:あるはずのない記憶。見えるはずのない風景。
茨木律華:”これ”を目にするのは、二度目だ。
茨木律華:一度目が、一年前のあの日。”ベンサレム”を滅ぼした日。あの時も、今と同じだった。
茨木律華:仇どもを殺して、殺して、殺して。
茨木律華:最後に残った彼女へと、刃を向けて。
茨木律華:……だが、手を止めた。
茨木律華:まだ利用できる。自分が元に戻るために、使える駒だと──そう思ったから。
茨木律華:そして、もしかしたら。
茨木律華:この景色が、本物だったのかもしれないと思ったから。
茨木律華:「……違う」
茨木律華:だが、そうだ。今となってはよく分かる。沸き起こる憎悪に反して、思考は冴え渡っている。
茨木律華:「私は、もう間違えない。もう二度と」
茨木律華:……歩みを止める。
茨木律華:互いに、手の届く距離。重い右手を掲げて、刃を振りかざす。
茨木律華:無害と従順を装い、どこまで追い詰められても、その悪意を露呈させる事をしない。
茨木律華:この女は、そういう悪魔なのだ。
茨木律華:この期に及んでもまだ、そんな顔をして、献身ぶった言葉を吐きながら。
茨木律華:仲間を裏切り、利用し、記憶を書き換え、どんな手段にも手を染める。
箕中舞:——事ここに至るまでに記憶の投影という手段を取らなかったのは、単純に意味が無いからだ。
箕中舞:ミトラの供花の代償が、彼女にこの思い出を信じることを許さない。
箕中舞:でも、それならば。
箕中舞:意味を与えるには、信じさせるには、私が彼女におもねることでの利得を失くせばいい。
箕中舞:そのための手段は、とっくに思いついている。
茨木律華:そうだ。こいつは、
茨木律華:自分が生き延びる為であれば、何だって──
箕中舞:「——好きだよ。律華ちゃん」
箕中舞:タァン、という銃声。
箕中舞:弾薬のカートリッジは使い切っていた。
箕中舞:だから、それはソラリス能力によって生成した火薬の炸裂、銃口に詰めた単なる礫片の射出にすぎない。
箕中舞:そんなもので終わってしまうほど、もう脆かった。
箕中舞:自らの頭蓋を撃ち抜いた箕中舞が、倒れる。
茨木律華:「────」
茨木律華:呼吸が止まる。思考が凍りつく。
茨木律華:目の前で起きた事に、認識が追いつかない。
茨木律華:だって、それは、起きるはずがないのだ。そんなことは、絶対に──
箕中舞:引鉄を引く一瞬、これまでのことに思いを馳せた。
箕中舞:(生きる価値があるとしたら、それは自分みたいな子じゃなくて)
箕中舞:私のような、自分では何も出来ない、何もしようとしない愚図じゃなくて。
箕中舞:——だから彼女の生から色を奪ったなら、それを取り戻すためにこの命を使わなければいけない。
箕中舞:それだけで、きっと生きていた。
箕中舞:走馬灯の終わる時。
箕中舞:はじめからこうしていれば良かったのに、と思った。
茨木律華:──ひとり残された少女の視界に、流れ込んでくる景色がある。
茨木律華:それは、眼の前で砕け散った少女が、命に替えて証明した過去。
茨木律華:二人が友達でいられた、ただ一つの夜の記憶。

GM:---

箕中舞:“ベンサレム”にあてがわれたマンションの一室。
箕中舞:(大丈夫かな、こんな事して)
箕中舞:級友を部屋に上げてしまった、命令を破ってしまったことについて思案している。
箕中舞:考えても、今更どうにかなるものでもないけれど。
茨木律華:ばたん。
茨木律華:すぐ後ろで、扉の開く音。
茨木律華:「捕まえたーっ」ぎゅ、と後ろから抱きついてくる。
箕中舞:「ひゃわっ」
箕中舞:慣れない、それも予期せぬスキンシップに体が竦む。
茨木律華:「えへへ、外寒くってさあ。夏だからって薄着しすぎたかも」
箕中舞:「……りっちゃんかぁ」
茨木律華:「……あ、本気でびっくりしちゃった?ごめんね」
箕中舞:「ううん、そんな」
箕中舞:どうして、こんなに私と違うんだろう。不思議な子。
茨木律華:「とりあえず、うちには連絡入れて来たよ〜。これでもう大丈夫」
箕中舞:「怒ってなかった?」
茨木律華:「え?まあ」また一瞬、視線が浮いて。
箕中舞:「……」
茨木律華:「……なんかちょっと怒ってたけど、無視しちゃった。へへ」
箕中舞:「……そう」
茨木律華:にこにこ笑っている。
茨木律華:「とにかく、大丈夫だからさ。ご飯食べよ?」
箕中舞:そう言うのなら、そういうことでいいだろう。ここでは。
茨木律華:「あたし、もうすっごいお腹空いちゃってさ~」
茨木律華:帰り道、二人でコンビニに寄って買ってきた弁当が、机の上に並んでいる。
茨木律華:「……っ」
茨木律華:座るときに一瞬、脚の痛みで口元を歪めながら。誤魔化すように微笑む。
茨木律華:「へへ」
箕中舞:ふい、と。少し視線を逸らす
茨木律華:「部屋でお弁当なんて、なんかトクベツな感じがするねぇ」
箕中舞:そうだろうか。
箕中舞:「えっと……私はいつも、こうだったり」
箕中舞:何がりっちゃんの心を刺激しているのか、よく分からない。
茨木律華:「そうなの?……あ」
箕中舞:でも、いつもの味気ない夕食も、そう言われるとなんだか悪い気はしなかった。
茨木律華:部屋の隅、ゴミ袋に詰められた容器の山が目について。
茨木律華:……どこか浮かれていた熱が冷めていく。
箕中舞:「?」
茨木律華:飾り気なく、一人で過ごすには、少し広すぎる部屋だった。
茨木律華:(……そっか)
茨木律華:(ずっと、こうなんだ)
茨木律華:ごめん、と喉元まで出かかった言葉を飲み込む。
茨木律華:きっと、彼女が求めてるのはそれじゃなくて。
茨木律華:「あ」
茨木律華:「あの、いま思い出したんだけど!」
茨木律華:「こういう……コンビニとかのご飯って、おいしいけど、ずっとそればっかり食べてるのは良くないって!」
茨木律華:「なんか……体に悪い成分が入ってるって、家庭科の先生が言ってて!」
箕中舞:「ええー……」嬉しそうにしてたじゃん、という視線。
箕中舞:「りっちゃんがわからない……」
茨木律華:「え、えっと……それで」
茨木律華:「……あたしでよかったら、料理とか教えれるかも、って……」
箕中舞:「……え」
茨木律華:「それに……あたしも、ほら、実は」照れくさそうに、頬をかきながら。
茨木律華:「また舞ちゃんの家に来たいなーとか、思っちゃってるし……」
茨木律華:頬を赤くして。その両眼は、じっと舞の方を向いている。
箕中舞:「そう……それじゃあ、お願いしようかな」
箕中舞:「実は私も」
箕中舞:「りっちゃんと一緒に居たいなあって、思ってるからね」
茨木律華:「……えへへ」ふにゃり、と表情を崩す。
箕中舞:(よく表情の変わる子だなあ)
茨木律華:「あっ……じゃあ、何が作れるようになりたい? たぶん色々教えられるよ、あたし」
茨木律華:「ハンバーグとか、コロッケとか、シチューとか」指折り数えて。
茨木律華:「舞ちゃんの好きなもの、教えてよ。知らないやつだったら……本とかで調べるし」
箕中舞:(好物、かぁ……)
茨木律華:「どう?」机の上に、半ば身を乗り出すようにして。
箕中舞:「えっと……クッキーとかは好き、かな」
箕中舞:「……作れる?」
茨木律華:「クッキー!」
箕中舞:びくっ
茨木律華:「へへ、作れる作れる!レシピ見なくても大丈夫なくらい!」得意気に笑っている。
箕中舞:「練習して、うん。いつかりっちゃんに——」
箕中舞:食べさせてあげたい、と。
箕中舞:言いかけてやめる。
箕中舞:いつか。
箕中舞:そんな日が本当に来るのか?
箕中舞:“ベンサレム”の目的は分からない。でも、最近は頻度が増えているような気がするのだ。
箕中舞:落ち零れの自分にもできるような、ただ戦い、人を壊すだけの任務。
箕中舞:使い道も分からない物品を渡され、それを指定された場所に埋めたり、わざとUGNに察知されるような場所に置いていったりすることもある。
箕中舞:一定距離ごとに配備したチルドレンにワーディングの反応をプロットさせ、この街のオーヴァードの所在を炙り出そうとしている。
箕中舞:それは何か、大きな変化の前兆ではないだろうか。
箕中舞:「……」
箕中舞:そうでなくとも、自分が生き残っているのは運がいいだけだ。
箕中舞:戦いの中で、いつ命を落とすとも知れないし、組織の“基準”に達する事のない側の私のようなチルドレンは、気付いたら一人、また一人と数を減じていく。
箕中舞:大人たちは何も言わない。それが最も、一山いくらの私達の恐怖を喚起すると知っている。
箕中舞:それに……制御の甘い能力の行使が、私の体を蝕んでいるだろう。そのツケが来るのがいつになるのかは分からないが——
箕中舞:頭を振る。
箕中舞:不穏な想像を追いやって、小さな約束を口にしようとした。
箕中舞:その時だ。
茨木律華:「……どうしたの?」急に言葉を切った君を、不思議そうに見ている。
箕中舞:やにわに窓の外が光り、遅れて。
箕中舞:ドン! と、世界そのものが震えたかのような、大きく重い音が沈黙に割って入る。
箕中舞:「!!」
箕中舞:椅子を蹴って立ち上がり、すわ襲撃かと
箕中舞:窓の外へ身構える。彼女を庇うように。
箕中舞:空で大きな光の玉がほどけ、夜空を染めるようにきらきらと輝きながら河川敷へと落ちていくのが見えた。
茨木律華:「わわっ」
箕中舞:「へ……?」
茨木律華:「ど、どしたの舞ちゃん……ああ、そっか」覆いかぶさってきた彼女の肩越しに、窓の外を見やる。
茨木律華:「今日、花火大会だったんだねえ」
箕中舞:「花火、これが……」
茨木律華:「……びっくりしたんだ?」悪戯っぽい笑み。
箕中舞:「……別に」
箕中舞:なんだか、それを認めるのが無性に癪だったことを覚えている。
茨木律華:「ふーん、そっか」にまにま笑いながら、部屋の照明を落とす。
茨木律華:そのまま、とことことベランダに出て行って。手招き。
箕中舞:ぶすっとした表情をやめて、部屋の外に出る。
箕中舞:夜気が髪を撫でて、吹き抜けていった。
茨木律華:「綺麗だねえ」ほう、と息をついて。星のように明るい火を見つめている。
箕中舞:色彩が夜空に弾け、彼女の端正な横顔を繰り返し、繰り返し闇の中から削り出す。

思い出

箕中舞:ぼんやりと、それに見入ってしまう。
茨木律華:「……舞ちゃん?」その視線に気付いたのか、君の方を振り向く。
箕中舞:「……うん」
箕中舞:奇麗だと、そう思う。
箕中舞:「私ね」ぽつり、と。
茨木律華:「んー?」
箕中舞:「ほんとは、りっちゃんの住んでる」
箕中舞:「この星を侵略しにきた宇宙人なんだ」
箕中舞:どうして急にこんな事を言いたくなったんだろう。
箕中舞:「なんて……先に私がりっちゃんに侵略されちゃったんだけどね」
箕中舞:また笛のような音を立てて、光の筋が天へと昇っていく。
茨木律華:「えー、そうなんだ?」冗談だと思って、けらけら笑いながら。
箕中舞:単なる娯楽のために、あんなに火薬を使って、
箕中舞:それは私の中で何ら意味を持たない、異世界の出来事だった。
箕中舞:今は、違う。隣にきみがいるだけで、こんなにも世界が違って見える。
茨木律華:「じゃあさ、あたし」
茨木律華:「舞ちゃんの住んでた星に行ってみたいなぁ」
箕中舞:「それは…………」
箕中舞:「うー、ん……でも、いいところじゃないよ」
茨木律華:「そう? 連れてってくれないの?」
箕中舞:「りっちゃんにはあんまり来て欲しくない、かも」
茨木律華:「あたしは」
茨木律華:「舞ちゃんと一緒なら、どこ行ったって楽しいと思うんだけどな」
箕中舞:「——」
箕中舞:とくり、と心臓が跳ねた。
箕中舞:夜空に煌めく光を映す、その瞳が。笑顔が。
箕中舞:これまで生きてきた世界の中で、何よりも綺麗で輝いて見えて。
箕中舞:だから、私は
箕中舞:何に替えても、これを守ろうと思ったんだ。
箕中舞:何に替えても、これを──

GM:---

茨木律華:「……あ」
茨木律華:握っていた刃を取り落とす。渇いた音が響く。それが堰を切ったように。
茨木律華:「ああ ああああ」慟哭。
茨木律華:理解した。理解できてしまった。
茨木律華:(この場に”カリポリス”を呼び寄せて、私を殺そうと目論んだ────違う)
茨木律華:(”ケルビム”の猛威が予想を狂わせたから、仲間のような振りをした────違う)
茨木律華:(あの時のように私が絆される事を期待して、都合の良い記憶を見せた────違う)
茨木律華:……なくしたものを取り戻すために戦ってきた。
茨木律華:普通の幸福を掴むために、全てを懸けて進んできた。
茨木律華:──だけど、違ったのだ。
茨木律華:(全部、全部、間違えていた。私は、最初から──)
茨木律華:(──本当に大切なものは、ずっと傍にあったのに!)
茨木律華:「あああ ごめんなさい」
茨木律華:「ごめんなさい ごめんなさい 私が」冷たくなった、友の骸に縋りついて。
茨木律華:どこへ届くはずもない言葉を吐く。
茨木律華:「私が、信じてあげられなかったから……!」
茨木律華:……遺産“ミトラの供花”は、契約者に力をもたらすかわり、代償を求め続ける。
茨木律華:使用者に、他者への徹底した不信を強いる。
茨木律華:そういう契約になっている。……だから、それは”不履行”だったのだ。
茨木律華:心を引き裂くほどの絶望が、どうして舞を信じてやれなかったのかという後悔が心を満たした事が。
茨木律華:──図らずも、その呪縛を解いた。
茨木律華:彼女が求めてやまなかった願いの一つを叶えた。
茨木律華:深く項垂れた茨木律華の、眼窩より零れ落ちる。花のかたちをした結晶体。
茨木律華:からん、と。乾いた音が響く。
茨木律華:あるいはそれは、心の壊れる音だった。
茨木律華:「………………」
茨木律華:「…………あは」
茨木律華:「へへ、えへへへへ」
茨木律華:笑っている。
茨木律華:ずっと、"ディアスポラ"の仲間の前でも笑顔を見せた事のなかった茨木律華が、
茨木律華:童女のような、屈託のない笑みを浮かべている。
茨木律華:「そっか……そういうこと、だったんだね」
茨木律華:「あたしを一人にしないために、ちゃんと考えててくれたんだ」
茨木律華:その視線が、移り変わる。瞼を降ろした友の顔から、
茨木律華:──瓦礫の中に倒れ伏す、"アウレリウス"の遺体へと。
茨木律華:「賢いなぁ、舞ちゃんは」ふらつく足取りで、物言わぬ彼の元へと。
茨木律華:その骸の腕から、円盤を奪い取る。それがどういう物であるのか、先の戦闘から理解していた。
茨木律華:"鍛冶神の金床"──損壊したあらゆる対象を、もとの形へと戻す遺産。物品であろうと、生物であろうと。
茨木律華:ただ触れるだけで、その使い方は理解できた。ただ、彼女を見て、そうあれと念じればいい。
茨木律華:「ほら、舞ちゃん」まるで何事もなかったかのような声。
箕中舞:辛うじて人の形をしていると言った有様で、倒れていた筈が
茨木律華:「早くこんな場所、出て行こうよ。なんだかジメジメしてるし」
箕中舞:いつの間にか修復された四肢で起き上がり、目を開ける。
箕中舞:その頬に、ミトラの供花による刻印はない。
茨木律華:「あたしたちの家に、帰るんだ」
箕中舞:「律華、ちゃん……?」
茨木律華:君の想い出の中の少女と、まるで変わらない笑顔を浮かべて。君へと手を伸ばす。
箕中舞:戸惑い、しかし。
箕中舞:目の前にある、求め続けた幸福が形を成したかのような光景に、抗う事が出来ない。
箕中舞:その手を握る。おそるおそると、やがて、はっきりと。
茨木律華:「えへへ」握り返す。
箕中舞:「ふふ」
茨木律華:互いの手を取り、歩き出す。
茨木律華:"聖櫃"など、最初から何でもなかったかのように背を向けて。
茨木律華:「そうだ。クッキーの焼き方を教えるって、約束してたけど」
茨木律華:「ごめんね。今日はもう、いっぱい疲れちゃったから」
茨木律華:「また明日でも、いいかな」
箕中舞:「なんでそんな事聞くの? 変な律華ちゃん」
箕中舞:「……うん。明後日でも、明々後日でも、大丈夫だよ。だって」
箕中舞:「ずっと、一緒なんだからね」
茨木律華:「……ふふっ」
茨木律華:「うん。いつまでも、ずっと一緒!」
箕中舞:そうして、2人がいなくなった後には。
箕中舞:光すら届かないコンクリートの上に、血色の結晶花がひっそりと咲いていた。

GM:——遺産“鍛冶神の金床”は、対象に絶対の再生を約束する。
GM:だが、それを人に対して用いた場合。
GM:使用者が一度でも操作を手放せば、対象はただ命令を待つだけの、物言わぬ屍に成り果てる。
GM:故に、それを防ぐには、使用者と対象は離れることができない。もう二度と、永遠に。
GM
GM:それからの彼女たちの行く末を知る者は、
GM:誰も、いない。



【ED/冬村歩人・風祭猪祈】

GM:---
GM:一年前 風祭古書店
GM:---

GM:三廻部シュウが、崩落戦の生き残りを中心に立ち上げたセル“ディアスポラ”の発足から、数か月が経とうとしていた。
GM:寄せ集めのメンバー達は、それぞれ微妙な距離感を図りながら、共にセルの拡大の為に日夜戦っていた。
GM:君、冬村歩人は、“ウィンターマスター”——マスターエージェントとしての名を捨て、
GM:一人のエージェントとして、この小さなセルで日々を過ごしていた。
GM:そんなある日のことだった。
風祭緋雁:「猪祈ー、猪祈~?」
風祭緋雁:炬燵で眠りこける猪祈を、緋雁が揺さぶって起こそうとする。
風祭緋雁:「起きなよ。ここで寝ると風邪引くよ」
冬村歩人:ほど近い壁に、背を預けて座っていた。炬燵には足先も入れていない
GM:だが、猪祈さんが起きる気配は無い。日々の激務で疲れ果てているのだろう。
風祭猪祈:「……んぅ……」静かに寝息を立てている
風祭緋雁:はぁ、と溜息を吐いて。
風祭緋雁:「……悪いけど、後で運ぶのを手伝ってもらえないかな」歩人さんを振り向く。
冬村歩人:「……」 少しだけ辺りを……他にだれかいないか、という風に見たが
冬村歩人:「……分かった」 すぐに頷く 「彼女には世話になってるしな」
風祭緋雁:「感謝するよ」そう言ってから、猪祈さんを見て少し考え込むような素振りを見せる。
冬村歩人:「……ここまで消耗の激しい状態は、初めてか?」 その素振りを見て軽く話を振る
風祭緋雁:「……消耗自体は、もっとひどい時はいくらでもあったけれど……」
風祭緋雁:「…………」
風祭緋雁:「……猪祈と冬村さん、これまでに、何回くらい一緒に仕事をしたのかな?」
冬村歩人:「回数? いや……済まん。あまりそういうのは真剣には数えないタチだ」
風祭緋雁:「ふぅん……そうか」
冬村歩人:「だが、そうだな」
冬村歩人:「目に見えて消耗してるように見えた回数は、そこまで少なくない。両手……でギリギリ足りるくらい」 自分の手で指折り数えて
風祭緋雁:「……そうだろうね」
冬村歩人:「出撃の回数は、小競り合いも含めれば……その2……3倍……? いや、やっぱり分からんな。済まん」 首を振り
冬村歩人:「やっぱり何か、あるのか。彼女には」
冬村歩人:冬村自身の基準はほとんど当てにならないが、それでも彼の知る一般的なFHの戦闘員としての水準を思えば、彼女はやはり消耗しやすいように見える。
冬村歩人:高い能力。それとは裏腹の、どこか脆そうな、不安そうな……危なっかしそうな。類推未満の直感として、そういうものを感じさせられてはいた。
風祭緋雁:「……ああ……」薄く頷き、
風祭緋雁:「……そうだね。これからも私たちと……猪祈と仕事をしていくなら……」
風祭緋雁:「少し、聞いておいてもらおうかな」
冬村歩人:頷く 「聞こう。……彼女の力は、今のこのセルには重要だからね」
風祭緋雁:「……私たちが、ある種の実験部隊出身の、複製体……ということは聞いてるよね」少し遠い目をして話し出す。
冬村歩人:「一応は頭に入れている」
風祭緋雁:「私とライティ……ああ、猪祈……は、“ビショップ”という型番でね」
風祭緋雁:「通常素体からチューニングされた、特殊な目的に特化した素体なんだ」
風祭緋雁:「私は電子戦。猪祈は隠密性能に特化してる……まあ、これは知ってるか」
冬村歩人:「ああ。そういう例は確かに聞く。デザイナーズ、というのだ」
冬村歩人:「軍団を構成する兵士を一から無駄なく作るのなら、確かに手の一つではあるが……」
風祭緋雁:「……問題なのは、私たちに施されたチューニングが、かなりピーキーなものってことでね」
風祭緋雁:「要は、安定性や安全性を度外視した、性能だけを重視した素体なんだよ、私たちは」
冬村歩人:「なるほど」 もう一度頷く
風祭緋雁:「特に今のこの子は、アーティファクトまで使うようになって、消耗は更に大きくなってるはず」
風祭緋雁:「……危なっかしくて、見てられないよ」
冬村歩人:「ただでさえ極端な性能に、さらなる負荷をかけての強化か……それなら確かに」
冬村歩人:「納得も行くね。危なっかしい……のは、当然だとも言える」
冬村歩人:「アーティファクトを使うのにも慣れれば、多少は良くなるかもしれないが……」
冬村歩人:話しながら、知れず彼女の寝顔を見る。戦場で見せる表情とは違う、健やかな寝顔。
風祭緋雁:「…………」同じく、しばらく猪祈さんの寝顔を見つめて。
風祭緋雁:「……ねえ、冬村さん」
冬村歩人:「うん?」
風祭緋雁:「ひとつ、頼みがあるんだけど……いいかな」
冬村歩人:「聞こう」
風祭緋雁:「……出来たら、で構わないんだ」
風祭緋雁:「……これから、一緒に仕事をするとき……」
風祭緋雁:「……守ってあげてくれないかな。この子を」
風祭緋雁:さらりと猪祈さんの髪を撫でて、言う。
冬村歩人:「……」 緋雁ちゃんの顔を見る。意外な物を見たような気持ちで
風祭緋雁:「……意外そうだね」
冬村歩人:そこまで親しい訳ではない。だが、そんなことを、そんな声音で言う少女だとは思っていなかった。もっと能天気で、何を考えているのかいないのか、分からないような
冬村歩人:かぶりを振る 「いや。悪い。ちょっと君を見誤っていたのかもしれない……緋雁」
風祭緋雁:「何だい、それ」少し笑って。「人のことを何だと思っていたのかな」
冬村歩人:誤魔化すか少しだけ考えて、正直に口にする 「君はそういう所、もう少し無警戒か……あるいはドライな方かと思っていた」
冬村歩人:「出自も知ってたしな。……そういうものだと」
風祭緋雁:「……そうだな……」少し、目を伏せる。
風祭緋雁:「……私の姉妹は、全部で36人もいてね」
冬村歩人:「……姉妹」
風祭緋雁:「……でも、彼女だけは……私の中で、特別なんだ」
風祭緋雁:「……ただ、同型だからという理由ではなくね。以前はよく分かっていなかったけれど……」
風祭緋雁:「今は少しだけ分かる」
冬村歩人:静かに緋雁の言葉を聞く。
風祭緋雁:「彼女はね……私が諦めてしまうような時でも、捨ててしまうようなものでも、諦めないんだ。……捨てないんだ」
風祭緋雁:「……そのお陰で、私は今、こうして生きている」
風祭緋雁:「私にはそれが眩しくて、羨ましくて、誇らしくて……」
風祭緋雁:「……ちょっと、妬ましくて」
風祭緋雁:「それから、それ以上にずっと、危なっかしくて仕方が無いんだ」
冬村歩人:「ふ」 小さく笑いを漏らす
風祭緋雁:「……だから、守りたいと思うんだよ」
風祭緋雁:「自分に出来る限りはね。……でも、私には、それも限度がある」
風祭緋雁:自分の失われた腕と、萎えた脚に目を落とす。
風祭緋雁:「……だから、助けてもらおうと思ってね」
風祭緋雁:「一応、理由はあるんだよ。こんなことを君に……冬村さんに頼む理由はね」
冬村歩人:「『姉妹』なんだな」 得心したように呟く
冬村歩人:「緋雁。君にとって、彼女……猪祈だけは、同じものから同じように生まれた、という、生物的な繋がりを意味する姉妹ではなく」
冬村歩人:「……生まれた時から一緒で、これという理由なんてなくても、当然大事にするという……絆としての姉妹」
風祭緋雁:「姉妹……ね。まあ、そうなんだろうな。まだ今一、ピンと来てはいないけれど」
風祭緋雁:「そうなんだと思うよ」
冬村歩人:懐かしむように目を閉じる 「分かる気がするよ。俺にも。俺にもそういう奴が……」
冬村歩人:「……」 いる、とも、いた、とも言わず、曖昧に話を切り
冬村歩人:「……理由というのは?」
風祭緋雁:「見てよ、これ」眠り込む猪祈さんを目で示して。
風祭緋雁:「ぐっすり寝ちゃってさ」
冬村歩人:「そうだな」
冬村歩人:子供のよう、と在り来りな形容を使うには、少しその容姿は大人びているが。それでもその無防備さは、子供のそれに近い。
風祭緋雁:「……この子が……ううん、私たちが他人の前で眠ることなんて、これまで考えられなかった」
風祭緋雁:「兵士だからね。そういう風に訓練されてるんだ」
冬村歩人:「そうなのか。……いや、それはそうだろうな」
風祭緋雁:「……だから、さ」
風祭緋雁:笑いかける。少しだけ寂しそうに。妹を独占できなくなった、姉の顔で。
風祭緋雁:「……冬村さんは、信頼されてるんだよ。猪祈に」
冬村歩人:「……一緒に行動していたからな」 目を細めて、寝顔を見続ける
冬村歩人:「そしてそれは、これからもだ。……緋雁」
冬村歩人:「請け負おう。もう少し彼女に負荷がかからないよう意識する」
冬村歩人:「俺もまだまだ力を取り戻している最中だ。これから少しずつでも、彼女が楽になるよう気を配ろう」
風祭緋雁:「…………ありがとう」
風祭緋雁:目を閉じて。
風祭緋雁:「不束な妹だけど。どうか、よろしく頼むよ」
冬村歩人:「……本当にリスクを取り除くなら、戦わないのが一番だろうが」
冬村歩人:「緋雁。君はどうだ。戦わずにいられるなら、そうしたいか?」
風祭緋雁:「……そうだね……」少し考え込んで。
風祭緋雁:「……多分、みんな本当は、そうしたいと思ってると思うんだ」
風祭緋雁:「……でもさ、私たちは……FHで、オーヴァードで、人間だから」
風祭緋雁:「戦い続けなくちゃ、生きていけないんだ」
風祭緋雁:「……あるのかな、どこかに」
風祭緋雁:「戦って、戦って、戦い続ければ、その果てに」
風祭緋雁:「私たちでも、誰かを傷付けずに生きていける……そんな場所が」
冬村歩人:「さあ。自分で言っておいてだが、俺もあまり想像はできない」
冬村歩人:「……でも、それが本当に思っている、願っていることなら」
冬村歩人:「叶うのを諦めるでもないだろう。……きっとな」
冬村歩人:それから猪祈の顔を見て 「……しかし本当によく寝ているな」
冬村歩人:「そろそろ運ぶか?」
風祭緋雁:「……ああ、そうだね。……手伝ってほしいとは言ったけど……」
風祭緋雁:片方だけの腕を振って苦笑する。「私にはちょっと無理かも。お願いできるかな」
冬村歩人:「分かった」 その場を立つと、彼女の傍に跪き
冬村歩人:「起きれるか、猪祈ちゃん? もう随分休んだだろう」
風祭猪祈:「……んぅ……緋雁ぃ……こんなとこで寝てたら……風邪引くってば……ん……」
冬村歩人:「炬燵は風邪を引……んん……」
風祭緋雁:「もう……!何言ってんだか……!」ぷんぷんと怒る。
冬村歩人:「……駄目そうだな。手早く済まそう」
風祭緋雁:「全く世話の焼ける……」
冬村歩人:「……妹?」
風祭緋雁:「…………」
風祭緋雁:「……ああ、なるほど」
風祭緋雁:「初めてしっくりきた気がするよ、それ」
冬村歩人:「ふ」 してやったりと笑い
冬村歩人:「それなら俺も頑張るか……っと!」 どうにかこうにか、猪祈の身体を背負うようにして炬燵から立つ
風祭緋雁:「気を付けて、結構重いからね、見た目より」
風祭緋雁:「……ああ、そうだ、冬村さん、さっきの話」
冬村歩人:「大丈夫だ。俺もこれで、見た目よりは強い」
冬村歩人:「これくらいは……何だ?」
風祭緋雁:「……私たち、楽園なんかには、辿り着けないかもしれないけどさ」
風祭緋雁:「……でも、こうしてこの子が安心して眠れる居場所があるなら……」
風祭緋雁:「私はそれを……守りたいと思う」
風祭緋雁:「……それが今の、私の本当の願いだよ」
冬村歩人:「そうか。……良いんじゃないか、姉らしくて」
冬村歩人:背負い直すと、ゆっくりした足取りで歩き始める
風祭緋雁:「姉……そうか、猪祈が妹なら、私が姉か……」
風祭緋雁:その背中を見送りながら。
風祭緋雁:少しだけはにかむ。
風祭緋雁:「……ふふ。悪くないかもね」
冬村歩人:(……俺の背中なんかで寝れる奴だ。きっとどこでだって大丈夫だとは思うが)
冬村歩人:思ったより重労働になったその道行きを進みながら、緋雁の言葉を思い出す。
冬村歩人:(だが……でも、そうだな。もし、もしもこれが、本当に『特別』だったなら)
冬村歩人:(普通は彼女みたいに、それを絶対に守るために、手を尽くしたりするんだろう……)
冬村歩人:……冬村の考えることに、特別な想いは何もなく。
冬村歩人:それはただ何となくの、話の流れをさらりと汲んだ、取り留めのない思索に過ぎない。
冬村歩人:昔の話だ。風祭猪祈が特別な存在でなかった頃の、遠い、遠い
冬村歩人:昔の話だ。

GM:---

冬村歩人:……"聖櫃"を巡る戦いより、数日。N市近辺では、奇妙な事件が起きていた。
冬村歩人:始めは、異常な冷気を帯びた氷の破片が見つかる、というだけだった。しかしそれに人体の細胞が含まれていることが発覚するまで、そう時間はかからなかった。
冬村歩人:見えてきた全貌は『無差別人体凍結破砕事件』というUGNのケースネームで全て語り尽くすことができる。
冬村歩人:世間話をしていた主婦たちが、夜の帰路のサラリーマンが、歴戦のUGNエージェントが、登校中の小学生集団が、数も時間も年齢も性別も関わりなく、氷結・粉砕させられる。
冬村歩人:犯人不明、動機不明の戦慄すべき事件に対し、UGNは組織力の低下も相まって、何ら有効な手立てを打つことはできず。
冬村歩人:だがある日、唐突にその事件は終わりを迎え、数ある不可解な未解決事件の一つとして、UGNの資料の一枚に収まった。
冬村歩人:——これはその夜のことだ。
冬村歩人
冬村歩人:N市スターライト水族館
冬村歩人:その入口前にあるベンチに、冬村歩人は座っていた。
冬村歩人:夜である。辺りは静寂で、人の気配もない。……ただ、人であったものの痕跡、無残に砕かれた氷の破片が、そこかしこに散らばってはいるが。
冬村歩人:「…………」
風祭猪祈:その静寂の中を、一つの足音が近づいて来る。
冬村歩人:足音を聞くまでもなく、その接近を理解できる。
冬村歩人:……既に冬村歩人にとって、生命のすべからくは小うるさい熱源に過ぎなかった。ゆえに、検知したものは即座に打ち砕いた。
冬村歩人:だが、今接近してくるその存在にだけは、そうしない。ゆっくりと首を上げ、彼女を見る。
冬村歩人:「やあ」
風祭猪祈:「…………」その声に足を止める。
風祭猪祈:「や、こんばんは。歩人さん」
冬村歩人:「……ああ。猪祈。こんばんは」 少しだけ間を置き、笑う
冬村歩人:「こんばんはっていうのも変だな。他人行儀だ」
風祭猪祈:「うん……それもそうだね」
風祭猪祈:「じゃあなんて言おうか。久しぶり?それとも……」
風祭猪祈:「……お待たせ。とかかな?」
風祭猪祈:ポケットからチケットを二枚取り出す。
冬村歩人:「……ああ、そうだ」 温かに笑う 「待ってたんだ」
冬村歩人:緩やかに立ち上がる。レストランでの食事の際に君へ見せた、戦闘服とは違う、小ざっぱりとした見慣れぬ装いで。
冬村歩人:その姿に、戦いの直後のように、能力の暴走が彼の身体を喰らわんとしているような様子はない——レネゲイド能力と、完全なる適応を果たしている。
冬村歩人:既に彼の能力は安定しているのだ。決して戻り得ぬ深淵の果てで。
冬村歩人:「待っていたよ、猪祈。約束だったからね」
冬村歩人:「水族館を……二人で。猪祈は好きだからな、こういうの」
風祭猪祈:「………っ」その言葉に一瞬奥歯を噛み
風祭猪祈:「……うん」
風祭猪祈:「ずっと、一緒に来たかったんだ」
風祭猪祈:「楽しみにしてた……」
冬村歩人:「そう、楽しみだったんだよ!」
冬村歩人:「俺も好きなんだ。猪祈」
冬村歩人:「猪祈が楽しそうにしてる顔が。楽しそうに話す君が」
冬村歩人:「だから本当に楽しみで……あ、いや、魚に興味がないわけじゃない。無視してる訳じゃないぞ」
冬村歩人:「むしろ魚も気になる……魚……、命が、水の中でぐるぐるわらわらと……」
冬村歩人:「不愉快だな……」
冬村歩人:笑みがスッと消え、その眼は水族館の方へ向く
冬村歩人:「猪祈、お前はうるさくないか? あんなにたくさん魚がいて……」
風祭猪祈:「歩人さん」その眼をもう一度こちらへ向けるように
冬村歩人:「俺ならあんなの一瞬で……」
冬村歩人:「…………」
冬村歩人:その眼に猪祈が映ると、段々と息が荒くなる
冬村歩人:「……猪、祈」
冬村歩人:その眼に殺意はない。動揺と、恐れ。どちらも滅多に彼が見せるものではなかった。
風祭猪祈:「……もういいよ」
風祭猪祈:ジャーム化は死よりも惨い、人間性の否定。かつて冬村歩人はそう言った。
風祭猪祈:「そんなふうになっても……歩人さんは約束を覚えて居てくれた」
風祭猪祈:「それだけでいい。もう十分だよ」
冬村歩人:優しい言葉に、むしろその表情は恐怖で震える。
冬村歩人:「……分かるんだ。俺、俺はもう……そういう所まで行ってしまった」
風祭猪祈:「うん、だから、ここから先へは行かせられない……今夜から先へは……」
冬村歩人:「当然のリスクだ。理解も覚悟もしていたんだよ。実際、それほど嫌なものじゃない。……楽ですらある」
冬村歩人:「そして、それが、その事実が、恐ろしい。……恐ろしいと思える時間も、短くなってる」
冬村歩人:一歩、猪祈に近づく 「ごめん」
冬村歩人:「緋雁を殺した。……お前を守るために」
風祭猪祈:「……うん」静かに頷く
冬村歩人:「皆も犠牲にした。……お前を守るために」
風祭猪祈:「…………うん」
冬村歩人:「俺も、一緒にはいられない」 また一歩、近付いて
冬村歩人:「……お前を、守るために」
風祭猪祈:「………歩人さん」指を突き出して、その言葉を遮る。
風祭猪祈:「いいよ……それ以上言わなくていい」
風祭猪祈:「私……ずっと守ってもらってたよね」
風祭猪祈:「歩人さんにも、緋雁にも……シュウ兄さん、律華ちゃん、舞ちゃん……みんなに」
風祭猪祈:「本当は、私が守ってあげたかったのに」
風祭猪祈:「みんな……いなくなっちゃった」
冬村歩人:「……ああ、猪祈。本当に」
冬村歩人:また一歩 「お前を一人にしてしまって、済まないと思う。申し訳ないと思う。可哀想だと思ってる」
冬村歩人:「……そんなお前を、可哀想なお前を」
冬村歩人:「殺してやらねば可哀想だとすら、今は思っている」 一歩
冬村歩人:「そんな訳がない。俺はお前に生きていてほしい。それが俺の願いだった」
冬村歩人:「一緒にいたかったんだ。つまらない毎日でも良い。穏やかで、戦うことなんてなくても。"ディアスポラ"、緋雁ちゃん、猪祈……皆が、生きていれば」
冬村歩人:一歩 「分からないんだ。猪祈。俺は今、何をしようとしているのかも」
冬村歩人:「お前の目の前に立って、お前を抱きしめたいのか、お前を殺したいのかも」
冬村歩人:……その表情は、もう恐怖には歪んでいない。困惑、動揺の色もあるが、柔らかな表情だ。リラックスした彼の、素の表情に近い
冬村歩人:そんな顔で、また一歩、君に近付く。もう距離はほどない
風祭猪祈:「…………」その表情を、冬村歩人だったモノの貌を、まっすぐに見据える。
風祭猪祈:「歩人さん。もう……謝らなくていいよ」
風祭猪祈:「ずっと……ずっとずっとずっと……歩人さんがいてくれたから」
風祭猪祈:「私は、私のまま此処に立っている」
風祭猪祈:「だから、私からも謝らせて」
冬村歩人:「猪祈」 果たしてそれは、愛する者の名を呼んでいるのか、眼前の人間の識別名を発声しているのか
風祭猪祈:雪が降る。冬村歩人から漏れ出した異界法則ではなく、今ここに生きる
風祭猪祈:人々の営みの上に降り注ぐ、今年最初の雪が
風祭猪祈:「歩人さんはデートの約束を守ってくれたけど、これ以上は待たせられないから」
風祭猪祈:それは、願いにも似た、けれど確かに手が届いたはずの
風祭猪祈:———今年のクリスマスも、その次のクリスマスも、その次の次も
風祭猪祈:一緒に———
風祭猪祈:「約束、守れなくてごめん」
冬村歩人:彷徨うように手を伸ばす。
風祭猪祈:呟くと同時に、手元の銃の偽装が解かれ
風祭猪祈:冬村歩人の眼前に突きつけた銃口から、弾丸が発射された。
冬村歩人:……その弾丸は、キン、という高音を立てて、僅かに逸れる。
冬村歩人:軌道に生成した極小の魔眼、そこから漏れ出した冷気により、瞬時に凍結したのだ。
冬村歩人:逸れた弾丸は冬村歩人の脇腹を掠めたが、その程度で足は止まらない。一歩。
風祭猪祈:「……っ」続けて連射する。異次元の軌道で迫る不可視の魔弾。
冬村歩人:防御。完全に防ぐとはならない。逸れた弾丸は冬村歩人の身体を掠め……しかし、止めることはできない。
冬村歩人:一歩。腕が伸びてくる。いつものように。いつも彼が、君を抱擁する時のように。
風祭猪祈:もう一度引き金を引こうとし……
風祭猪祈:動かない。冬村歩人から発せられる冷気が銃身を凍りつかせている。
冬村歩人:肩に触れる。するりと背に回る。もう片方の手が脇に。腰を抱き寄せる。
冬村歩人:決して体格に優れている訳ではない。それでも、触れあえば男性らしさを感じさせる、身体の逞しさが、彼女を包み込む。
風祭猪祈:「…………」銃を取り落し、その腕に身を任せる。
冬村歩人:身体が触れ合う。温かみのある接触であった。物理的な冷たさはない。抱きしめる腕も、体も、いつも通りのようで。
冬村歩人:「……猪祈」 耳元でその名を囁く声すら、いつも通り
風祭猪祈:「……歩人さん」その温かさに抱かれたまま
冬村歩人:「愛してる。俺には猪祈だけだ」
風祭猪祈:「……ありがとう。けど……」
風祭猪祈:「けど……私の歩人さんは、もう居ないんだよ」
冬村歩人:「だから、頼む」
風祭猪祈:抱きしめる男の背に手を回す。
風祭猪祈:「うん……それでも」
風祭猪祈:「私は、この温かさが、一番好き」
風祭猪祈:その手の中に握った刃を、男の心臓に突き立てる。
風祭猪祈:「大好きだよ」
冬村歩人:「ッ、ふ」
冬村歩人:衝撃で腹から漏れた呼気が、君の髪を揺らす。
冬村歩人:反撃はない。ただ君を抱きしめる力が少しずつ弱まり、足から静かに崩折れていこうとする。
風祭猪祈:「あ……」その身体を精一杯支え
風祭猪祈:より一層、強く抱きしめる。

雪解け

冬村歩人:「ああ……」
冬村歩人:「良かった」
冬村歩人:「あり、がとう」
冬村歩人:言葉の最後は掠れるようで、それでも確かに、冬村歩人の喉は、その言葉を愛する人に伝えるという役目を、果たした。
冬村歩人:返事のように、ほんのひととき、最後の力で猪祈を強く——彼女を励ますように——彼女を惜しむように——
冬村歩人:——彼女を愛しむように、抱きしめる。それが、冬村歩人の自ら取った、最後の行動だった。
風祭猪祈:魂を手放した身体が、氷の欠片となって崩れていく。
風祭猪祈:かつて彼が葬った者達と同じように、跡形も残さず溶けて、消える。
風祭猪祈:抱きしめた腕は空を切り、その手の中には一つだけ
風祭猪祈:姉の形見となった、一振りの刃だけが残った。
風祭猪祈:「…………」
風祭猪祈:空を見上げる。今夜は雪が振り続けるだろう。
風祭猪祈:頬を伝う雫が地に落ちる前に、風祭猪祈の姿は夜の闇に溶けた
風祭猪祈:やがて足跡さえも、降り積もる雪が隠していく
風祭猪祈:それが、風祭猪祈が"家族"と過ごした、最後の記憶だった。






【ED/吹けよ太刀風、墜ちよ禍津星】

GM:夕方から降り出した雪は徐々に強くなり、街を白く染めていた。
GM:12月24日、クリスマスイブ。“ディアスポラ”の面々はいつもの古書店に集まり、ささやかなパーティーを開くことになっていた。
GM:それぞれがプレゼントと食べ物を持ち寄り、ケーキを食べて過ごす予定、だったのだが——
三廻部朔夜:「……遅いですね!!」
三廻部朔夜:時計を見て苛立ちの声を上げる。時刻は既に23時を回ろうとしていた。
三廻部朔夜:「もうイブじゃなくてクリスマスになっちゃいますよ!」
GM:“ディアスポラ”のセルリーダーである三廻部シュウは、未だに姿を見せていない。
箕中舞:「ま、まあまあ……」
風祭緋雁:「いつものことじゃん~」
風祭緋雁:炬燵に入って溶けたように伸び切っている。
箕中舞:「でもこんな日に何してるんだろうねえ、シュウさん」茨木さんに。
冬村歩人:「あいつが時間にルーズなのはまったくいつも遠りなんだが」
冬村歩人:「こんな日までいつも通りだと、さすがに心配になるな」
冬村歩人:「それこそ、将来大事な相手ができたとき時とかさ」
冬村歩人:「——なあ、猪祈?」
風祭猪祈:「…………」
茨木律華:「そりゃ、あれでしょう。こんな日だからこそよ」
茨木律華:「彼の気を惹きそうなもの、街に沢山ありそうじゃない。今頃、どっかのショーウィンドウに見入ったりしてるんじゃないかしら」
箕中舞:「それは……シュウさんらしいかも」
箕中舞:以前より人当たりよく接してくれる茨木さんに、安心したような微笑みを向けている。
風祭緋雁:「……猪祈?どうかした?」
風祭猪祈:「……あっ、ううんなんでもない」
三廻部朔夜:「皆を待たせといてそんな……!容易に想像できるのが嫌です……!」
風祭猪祈:「けど本当に遅いね、シュウ兄さん。あれで今日のこと一番楽しみにしてたのに」
三廻部朔夜:「恥部ですよ恥部!三廻部家の恥部!僕と兄だけだから1/2が恥部なんですよ!最悪です!」
三廻部朔夜:「皆さんも他人事じゃないですよ!1/7が恥部なんですからね!」
茨木律華:「恥部恥部言わないでよ、本当に恥ずかしい感じがしてくるわ」
三廻部朔夜:「だから恥ずかしいんですって!あのバカ兄は……!本人はこれで恥とも何とも思ってないんですから……!」
箕中舞:「ふふっ 朔夜ちゃんも大変だね」
冬村歩人:「ははは。まあまあ。またちゃんと埋め合わせてもらうとしようじゃないか」
冬村歩人:「何だかんだ、あいつはいつも皆のためを思って行動してるんだ」
冬村歩人:「こうして遅れることこそあっても、失敗することはない」
三廻部朔夜:「む……歩人さんがそう言うなら……」
風祭猪祈:「うん……そうだね。あんなんでも、そこは信頼してる」
風祭緋雁:「でも、流石にあたし眠くなってきたなあ……」ぼんやりした顔。
風祭緋雁:「猪祈~、膝貸して」
風祭緋雁:許可を取る前に横たわる。
風祭猪祈:「あっこら。まだ良いって言ってないし!」」
風祭緋雁:「良くないの……?」一瞬、捨てられた子犬のような表情をする。
箕中舞:「あらら、これは動けないね、猪祈ちゃん」
風祭猪祈:「いや……良いけど……」恥ずかしそうに目を逸らす
風祭緋雁:「えへへ。やっぱり」
風祭緋雁:「じゃあ許可なんていらないじゃん」膝の上で満足げに笑う。
風祭猪祈:「はあ……ホント、手のかかる妹を持つと姉は大変だよね」緋雁の頭を撫でながら
冬村歩人:「止めはしないが、そうなると本当に寝そうだな、緋雁ちゃん」
冬村歩人:「ケーキの取り分が増えるのは良いんだが……」
風祭緋雁:「姉だってー。ケーキ……食べるときは起こし……」
風祭猪祈:「寝てる間に始まっても起こしてあげないから」
風祭緋雁:「やだ……」
風祭緋雁:言いつつうとうと微睡みはじめる。
風祭猪祈:「言ってるそばからこれだよ……」
茨木律華:「……どうかしら。逆に人手が欲しくなるかも」以前、三廻部シュウが買って帰ってきた巨大なピザを思い出しながら。
箕中舞:「二度あるかな、あんなこと……」
箕中舞:苦笑のち、あるかもしれない、という表情にじわじわと変わっていく。
三廻部朔夜:「あるとおもいますよ……三度目の正直はとっくに越えてますからね……」
箕中舞:「シュウさんだしな……」
茨木律華:「あんたは眠くないの?昨日、遅くまで起きてたみたいだけど」舞ちゃんに
箕中舞:「ぇ…………?」
茨木律華:「……? そんな変なこと言った、私」
箕中舞:「え……!?」
箕中舞:目を白黒させて周囲を見回す。
冬村歩人:「?」 緋雁ちゃんの頭を撫でる猪祈の髪を撫でながら、当惑する舞ちゃんを不思議そうに見る
風祭猪祈:「舞ちゃんも少し仮眠する?ちゃんと起こしてあげるから」歩人さんの肩に頭を預けながら
三廻部朔夜:「……?」小首を傾げてサラミを齧っている。
茨木律華:「いや、どう見ても他にいないでしょ。あんたに言ってんのよ」肩をつんと押す。
箕中舞:「あっいや、全然! 全然変じゃないよ! 全然!!」
茨木律華:「そう、ならいいけど……」すこし呆れたように。
箕中舞:顔が熱くなる。
箕中舞:「り……」
箕中舞:感極まって「りづかちゃん~~~~~~!!」抱き着く!
箕中舞:「うわ~~~~ん! あぅあぅあぅ…………」
茨木律華:「な…………ちょっ、ああ"!?」
箕中舞:「わ、私……ごめんね…ごめん……こんな………………おかしいよね……ごめん……」
箕中舞:意味の分からないことを言いながら、それでも胴に回した手を離す様子は無い
茨木律華:「お、大げさすぎるでしょ幾らなんでも! 情緒不安定か!」
茨木律華:ぎゃいぎゃい言いながら押し戻す。
箕中舞:「あっ」
箕中舞:引きはがされます。
箕中舞:「えへへ……」
茨木律華:「はあ…………」大げさに息を吐いて、まだ来ないかと入口の方を見やる。頬はうっすらと朱色。
冬村歩人:「舞ちゃん、なんだ。もしかして冷蔵庫に入れといた酒でも飲んだか? ダメだぞ、まだ未成年なんだから」 楽しげにその様子を眺めつつ
冬村歩人:「そういうのは大人になってからの楽しみにするものだ」
風祭緋雁:「……はっ」不意に目を覚まし、むくりと起き上がる。
風祭猪祈:「あ、起きた」
風祭緋雁:「食べ物の匂いがする」
風祭緋雁:入り口のほうに目をやり。「魚みたいな……」
冬村歩人:「イヌだ」
風祭猪祈:「いやネコかも、炬燵で丸くなってるし……」
箕中舞:「お酒なんて! ……え」
GM:それとほぼ同時に、がらがらと表の戸が開く。ガサガサという荷物の音と、無遠慮な足音が近づいてくる。
三廻部シュウ:がらりと戸を開けて。
三廻部シュウ:「うーーっす。メリークリスマ~~ス」
三廻部シュウ:コートに身を包んだシュウが入ってくる。髪や服にはたっぷり雪が積もっている。
箕中舞:「シュウさん! こんばんは……じゃなかった」
箕中舞:「メリークリスマス! です!」
冬村歩人:「メリークリスマス。来たな、のんびり屋のサンタクロースめ」
三廻部朔夜:「ちょっと!お兄ちゃん遅……ああもう!雪払ってきてよ!!」
風祭猪祈:「メリークリスマス……どうせなら煙突から入ってくればよかったのに」
風祭緋雁:「ねえねえ、なんか買ってきたでしょ」くいくい袖を引っ張る。
茨木律華:「はいはい、メリークリスマス。……それで、今回は何をやってたの?」
三廻部シュウ:「買い出しだよ買い出し。まだ25日になってないからセーフだろ?」
三廻部シュウ:「ほら、これ」
三廻部シュウ:重なった桶のようなものを炬燵にゴトン、と置く。
風祭猪祈:「買い出しって、ケーキなら私と歩人さんで……」
風祭猪祈:「……何これ?」
茨木律華:「…………?」何だろう、と目を丸くしている。
三廻部シュウ:「何って……」
三廻部シュウ:「寿司」
冬村歩人:「…………」 半笑い
三廻部朔夜:「…………」
三廻部朔夜:「クリスマスに…………?」
茨木律華:「店の方もよく開いてたわね…………」
三廻部シュウ:「え?何だよその反応……これ結構いいとこのやつだぞ?」
箕中舞:えっえっ、という顔で周りの皆を見ている。
三廻部シュウ:「寿司は一年三百六十五日いつ食ってもうまいだろ」
冬村歩人:「一年三百六十五日食ってもうまいものを」
冬村歩人:「食うか? 今日? ケーキと一緒に?」
三廻部シュウ:「えっ……?ダメか……?」
箕中舞:「ここでお寿司、変なんですか」
三廻部シュウ:「そうだよな舞?変じゃないよな?」
風祭緋雁:「あたしは食べられれば何でもいいけどね~」
三廻部シュウ:「ほら!これで3人だぞ!」
箕中舞:「あ、いえ!」
風祭猪祈:「いや……ダメとは言わないけど……かわいくないでしょ」真顔で
三廻部朔夜:「そう!!全然かわいくない!!」
風祭猪祈:「クリスマスと正月が一辺に来てるじゃん……雰囲気ぶち壊し……」
箕中舞:「私は常識が無いので、律華ちゃんに票を託します」
茨木律華:「なんか託された」
冬村歩人:「これはセルメンバーの熱い内輪もめになるな」 笑う 「決着は律華次第だぞ」
三廻部シュウ:「そうだ律華!どうなんだ!お前に全てが掛かってるぞ!」
箕中舞:ちらちらとそちらを伺いつつ、寿司を食べたそうにしているのが茨木さんには分かっていいかもしれない
茨木律華:「え、ええ……?」やや焦りながら、桶に近付いて、そっと蓋を開ける。
GM:寿司自体は確かに割といい店のものらしい。どれも新鮮で見た目にも食欲をそそる。マグロも大トロだ。
箕中舞:「……!」
箕中舞:「(…………いやでも……っ)」
茨木律華:「……ほんとにお寿司だし、鮮度も良さそうだし……」ちら、と横目で舞ちゃんを見つつ。
茨木律華:「……まあ、美味しそう、だし」
茨木律華:「この際、ムードは諦めましょう。 ある意味、そういうのがウチらしいのかもしれないわ」
箕中舞:「!!」
箕中舞:「そういう事らしいです、シュウさん」
三廻部シュウ:「よし!決まりだな!民主主義的多数決でクリスマスに寿司は有り!」
三廻部朔夜:「くっ……こんなの納得できない……!」
箕中舞:ぱっと華やいだ顔でどたどたと走り、人数分のしょうゆ皿を取ってきます。
風祭猪祈:「はぁ、律華ちゃんは舞ちゃんに甘すぎ……まあ」
風祭猪祈:「こういうのがうちらしいってのは、確かにそうかもだけど」呆れ気味に笑う
茨木律華:「いや、舞は関係ないわよ!? なんでそうなるのよ」
風祭緋雁:「甘いよねえ?」
冬村歩人:「甘いな」
三廻部朔夜:「甘いですね」
風祭猪祈:「自覚がないって怖いよね」
茨木律華:「そっ……」
茨木律華:「それを言ったら猪祈だって緋雁に甘いし、冬村さんだってシュウさんに甘いし……っ」
風祭緋雁:「それはそうかもね~」けらけら笑う。
箕中舞:戻ってくる。「どうしたの律華ちゃん」
箕中舞:「なんだか珍しい感じになってるね」
茨木律華:赤面しながら反論を続けていたが、やがて続かなくなって、ふいと向こうを向く。
冬村歩人:「聞きたいかい、舞ちゃん?」
茨木律華:「……知らないわ、全部あんたのせいなんだから」
箕中舞:「う……それはちょっと怖い、かも」
箕中舞:茨木さんの隣に足を入れて、こたつに入ります。
風祭緋雁:「でもさあ、一番甘いのは歩人さんの猪祈に対してでしょー」
風祭緋雁:「甘やかしすぎだって~」
三廻部シュウ:「そうだぞお前らぁ……クリスマスだってのにイチャイチャしやがって……」
風祭猪祈:「え……そ、そんなことないし!」
風祭緋雁:「そんなことあるって。歩人さんは?自覚ないの?」
冬村歩人:「いや? ことさら甘くしたりはせず、普通にしてるつもりなんだが……」
箕中舞:「えっ、そうなんですか?」
三廻部朔夜:「無自覚でそれなんですか……!?」
冬村歩人:「なあ?」 髪の毛先をくすぐるように弄びながら、猪祈の顔を覗くように見る
風祭猪祈:「う……」それに僅かにたじろぎ
風祭猪祈:「う、うん!むしろ私が、甘えてあげてるって感じ……?」
冬村歩人:「ほら」 皆を見る 「ご覧の通り、普通だよ」
箕中舞:「うひゃぁー……」口元を手で覆い、顔を赤らめて見ています。
三廻部朔夜:「普通……大人はこれが普通なの……?」
三廻部シュウ:「はぁ……」どんより深い溜息。「オレも彼女欲しいなあ……」
冬村歩人:「だったらまずは時間を守る所からだ。……さて、そろそろ食べようか?」
冬村歩人:「俺たちの買ってきたケーキと、ディナーセット。で、シュウの寿司。相変わらず量にだけは困りそうにない」
三廻部朔夜:「そうそう。どうせお兄ちゃんには彼女なんて一生出来ないよ……食べましょう!もうクリスマスになっちゃいます!」
箕中舞:「すごい、コタツの天板がいっぱい」
茨木律華:「そうね、お腹空いちゃったわ。誰かさんが来るのが遅かったから」
風祭緋雁:「猪祈、あたしネタ食べるからシャリ食べてよ」
風祭猪祈:「アンタ寿司屋の前でおんなじこと言えるの?」
風祭緋雁:「だって……上のほうがおいしいし……」
風祭猪祈:「だったら刺し身でも食べなよ……ああもう」
風祭猪祈:「じゃあはんぶんこ。これでどう?」
風祭緋雁:「んむ……それなら……」
三廻部シュウ:「あー……とにかくだな」姿勢を正し、一同を見渡して。
三廻部シュウ:「皆、今年一年、よく頑張ってくれたな」
三廻部シュウ:「皆のお陰で、今年はいい年になったと思う。セルリーダーとして礼を言わせてほしい」
三廻部シュウ:「来年もまた、このメンバーで頑張って……」
三廻部シュウ:「…………」
三廻部シュウ:「…………?」
三廻部シュウ:「……あれ、これ大晦日だな……?」
冬村歩人:「言い切る前に気づけて偉いぞ」 ケーキを切り分けつつ
三廻部シュウ:「あ、悪い、今の無しで。大晦日にもう一回やるわ」
茨木律華:「はあ、締まりないわね……」
三廻部シュウ:「あー、もういいや!クリスマスなんてどっかのオッサンが生まれただか死んだだかのお祭りだろ!」
三廻部シュウ:「適当でいいや適当で!よっしゃ!メリークリスマス!!」
箕中舞:「かんぱーい!」
三廻部朔夜:「もー!!お兄ちゃん!!……乾杯!」
茨木律華:「もうそれでいいわよ……はい、乾杯」
風祭緋雁:「へへへ。かんぱ~い」
風祭猪祈:「ぶっちゃけ過ぎ……まあいいか。……乾杯!」
冬村歩人:「メリークリスマス。乾杯!」
GM:雪が降りしきる中、“ディアスポラ”の賑やかな夜は続く。
GM:始まりはただ、生き残りの寄せ集め達が集っただけの場所。
GM:だが、それはいつしか、それぞれの大切な居場所になっていた。
GM:その場所がいつまでもそこにあることを。そんな夜がいつまでも続くことを。
GM:誰もがきっと、願っていた。



GM:---
GM: 
GM:---



GM:……枕元で、携帯電話が鳴っている。
GM:その音で、君は夢から醒まされる。
風祭猪祈:「………」
風祭猪祈:目を見開く。ここ暫く、睡眠と覚醒の境目は酷くはっきりとしていた。
風祭猪祈:枕元の携帯を手に取り、画面を確認する。
風祭猪祈:少しだけ恨めしそうに。
風祭猪祈:久しぶりに、いい夢を見ていた気がしたから。
GM:画面に表示された通話先は、三廻部朔夜。君とただもう一人だけの、“ディアスポラ”の生き残りだ。ここしばらくは連絡が途絶えていた。
風祭猪祈:「……!朔夜……」
風祭猪祈:直ぐに通話ボタンを押し、電話に出る。
風祭猪祈:「朔夜……!無事なの!?今どこに……」
三廻部朔夜:『……猪祈さんですか』通話の向こうから聞こえてくるのは、記憶にあるより掠れた、低い声。
三廻部朔夜:『……僕なら大丈夫です。それよりも……』
風祭猪祈:「…………朔夜?」その声色に若干の違和感を覚える。
三廻部朔夜:『……すぐに猪祈さんに会いたいんですが。こちらに来ていただけますか?』
風祭猪祈:「大丈夫って……酷い声してるじゃん。今どこ?すぐそっちに……」
三廻部朔夜:『…………。……では、うみねこ海浜公園でお待ちしてます』
GM:そう言って、ぷつりと通話は切れる。
風祭猪祈:「あ…………」
風祭猪祈:最後に残った"ディアスポラ"の仲間……家族。
風祭猪祈:もうこれ以上、失うわけには行かない。今度こそ……
風祭猪祈:「うみねこ海浜公園、か」
風祭猪祈:急いで身支度を整え、部屋を出ていく。

GM:---
GM:N市 うみねこ海浜公園
GM:---

GM:夏場は多くの人で賑わう海浜公園は、今は閑散としていた。
GM:冷たい海風が強く吹き抜ける園内。冬枯れした一面の芝生が、余計に寒々しさを感じさせる。
GM:展望台の近く、海の見える手摺に寄りかかって、朔夜は君を待っていた。
三廻部朔夜:「……お久し振り……でしたっけ?猪祈さん」
三廻部朔夜:乱れた黒髪に生気の無い顔。セーラー服は乾いた血で黒く汚れている。幽鬼のような様相。
風祭猪祈:「朔夜……」ここまで走ってきたのか。僅かに息が荒い。
風祭猪祈:「朔夜こそ、心配したんだよ。今まで一体……」
三廻部朔夜:「あは……ごめんなさい」
三廻部朔夜:「少し、調べものに、夢中になっていて……」
三廻部朔夜:くつくつと喉を鳴らして笑う。
風祭猪祈:「朔夜……」その姿に慄く
風祭猪祈:「朔夜、話は後でもいいでしょ。一回うちへ帰ろう。」
風祭猪祈:「お風呂に入って、服も洗って、それから……」
三廻部朔夜:「FHもUGNも、みんな片っ端から、頭の中を引っ掻き回して、穿り返して、引きずり出して……」
三廻部朔夜:目だけが爛々と輝いて、殆ど会話を無視して。
三廻部朔夜:「見つけたんですよ。分かったんです」
風祭猪祈:「………っ」
三廻部朔夜:「お兄ちゃんを……皆をこんな目に合わせた原因が……元凶が」
三廻部朔夜:「分かったんですよ」
風祭猪祈:「……それって……?」
風祭猪祈:「どういうこと……?歩人さんや、舞ちゃんは……」
三廻部朔夜:「……苦労した甲斐がありましたよ。人の頭を覗くのって、結構、大変なんですよ」
三廻部朔夜:「相手の記憶とか、感情とか、頭の中に流れ込んできて、パンクしそうになるんです」
三廻部朔夜:「でも、みんなみんな、壊れるまで覗いてやりました。洗いざらい、本人が意識してない隅の隅まで……」
風祭猪祈:「朔夜……」
三廻部朔夜:「街ですれ違った相手。会話の一単語。視界の隅に映った文章……何もかも確かめました」
三廻部朔夜:「そうしたら……分かったんですよ、僕……」
三廻部朔夜:口の端を吊り上げて、三日月のような笑みを浮かべる。
風祭猪祈:「朔夜、もういい、いいから……」朔夜の肩を掴み、縋るように。
三廻部朔夜:「お兄ちゃんに“聖櫃”の情報を流して誘導した相手」
風祭猪祈:「……っ!」
風祭猪祈:「それ……本当なの……?」
三廻部朔夜:「“カリポリス”のアウレリウスに都合のいい情報を流し、裏で操っていた『羊』」
三廻部朔夜:「UGNチルドレンとして、冬村さんの協力者の秘書を務めていた子供……」
三廻部朔夜:「黒田新月」
三廻部朔夜:「……それが、すべての元凶だったんですよ」
風祭猪祈:「黒田……新月……」
三廻部朔夜:「チルドレンとしての身分も、全部偽物でした。どこから来たのか、何者なのか、何も分かりません」
三廻部朔夜:「でも……僕たちを、冬村さんや舞さんを裏からいいように動かしていたのは確かです」
三廻部朔夜:「恐らくは、“聖櫃”のために……」
秘書:「あ、それはちょっと違いますよ」
風祭猪祈:「……!?」
GM:まるで、最初からそこにいたように。
GM:一人の中性的な少年が、君達のすぐ近くに佇んでいる。
三廻部朔夜:「……!!」
風祭猪祈:「(気づかなかった?私の"眼"でも……?)」
三廻部朔夜:表情が、どす黒い憎悪に歪んでいく。
風祭猪祈:「アンタは……」朔夜を庇うように前に立ち
風祭猪祈:「アンタが……黒田新月?」
黒田新月:「あ、そうです。初めまして、風祭猪祈さん」
黒田新月:「……と言っても、こちらは前から一方的に知ってるんですけどね」
風祭猪祈:「こうして出てきたってことは、朔夜の言ってることは間違いじゃないみたいだね……」
風祭猪祈:「アンタが……歩人さんを……」
黒田新月:「大体はそうです。でも、ひとつだけ違います」
黒田新月:「おれは、“聖櫃”なんて、最初からどうでもよかったんですよ」
風祭猪祈:「どうでもいい……?」
黒田新月:「ええ。前に『よそ』で一度開けてみましたが、おれが興味をそそられるような中身はありませんでした」
風祭猪祈:「なら……どうして……!」
黒田新月:「どうしてって……楽しいからですよ」
風祭猪祈:「……は?」
黒田新月:「そういうのが好きなんです、おれ……人が頑張ってるのを見るのが」
黒田新月:「今回はとても素晴らしかったです。それぞれの目的のために仲間まで裏切って、その命を燃やし尽くす姿……」
黒田新月:「それに対して、心をぐしゃぐしゃにしながらも戦おうとする姿……」
黒田新月:「最高……でしたね……!特にあなたの彼氏さんの、冬村さん……」
黒田新月:「彼は今回のMVPでしたね……友を裏切り、恋人の姉を殺め、最後はその恋人の手で討たれる……!」
風祭猪祈:「………っ」
黒田新月:「いやぁ、思わず泣きそうになりました。彼は素晴らしいキャストでしたね……」
黒田新月:「箕中舞さんと茨木律華さんも、大変抒情的で胸が締め付けられました……!」
黒田新月:「もっと違う選択肢があったんじゃないか……ついついそんなことを考えてしまいます」
黒田新月:「でも、あれが彼女たちの結末ですからね。受け入れるしかありません……悲しいことですが……」
黒田新月:「もう燃え尽きてしまっては、仕方ありません。僕は……輝いている星が好きなんです」
風祭猪祈:「…………」言葉を返さず、その瞳孔だけが見開かれる。
黒田新月:「届かない星に手を伸ばそうとする時にこそ、人は星になれるんです」
黒田新月:「おれは……そういう輝きを見るのが、大好きなんです」
黒田新月:照れくさそうに笑う。
黒田新月:「あ、ごめんなさい。つい早口になっちゃいました……」
黒田新月:「おればっかり喋っちゃってすいません。何か?」
風祭猪祈:「……いつから」
風祭猪祈:「いつから、私達を見ていた?」
風祭猪祈:「歩人さんを助けた時?私達姉妹が拾われた時?」
風祭猪祈:「舞ちゃんと律華ちゃんをシュウ兄さんが助けて、セルを立ち上げた時?それとも……」
黒田新月:「ああ、今回この国に来たのは……2年ほど前になりますか」
黒田新月:「例の……崩落戦を間近で見たくって」
風祭猪祈:「崩落戦……」
黒田新月:「その時から三廻部シュウさんには目を付けてました。ですから、まあ……」
黒田新月:「……一応、最初から、ですかねぇ?」
風祭猪祈:「…………そう」
風祭猪祈:「それも全部、あの日の……」
風祭猪祈:「"聖櫃"を開ける日のために、準備を整えてきたわけだ」
三廻部朔夜:『……猪祈さん』
三廻部朔夜:朔夜は口を動かしていない。テレパス系の能力。侵蝕の高まりによって得た力だろう。
黒田新月:「それはもう。いつ暴発するかヒヤヒヤしてましたけど!辿り着いてくれて本当に嬉しかったです!」
三廻部朔夜:『一瞬でいいです』
三廻部朔夜:『注意を引いてください』
風祭猪祈:『……了解』同じく口を動かさずに同意する。
風祭猪祈:「ねえ、どう思った?ずっと見てて……」
風祭猪祈:「最後の日、星が落ちるまでの一年半……」
風祭猪祈:「私達の"ディアスポラ"を」
黒田新月:「ええ。皆さんとても仲が良くて……いえ、この表現では少し足りませんね」
黒田新月:「皆さんそれぞれがお互いを尊重して、思いやり、助け合い補い合うようにして……身を寄せ合って暮らしていましたね」
黒田新月:「そういう場所はきっと、人がいくら望もうと、手に入るものではありません」
黒田新月:「まあ、それは本当にそうですよ?そう思ってますけど……」
黒田新月:「でも、二人も裏切り者がいるのにいつまでも仲良しごっこしてるんですもん。退屈しちゃいましたよ」
黒田新月:「律華さんも利用するだけとか言っておいて、結局馴染んじゃってたし」
黒田新月:「最初はそれも愉快に思えましたけど。いや途中から早く何か起こらないかなあって思っちゃいましたよね」
黒田新月:「だから、冬村さんが緋雁さんを殺してくれた時は本当にわくわくしましたね!」
黒田新月:「待った甲斐があった……!って思いました。ちょっと後悔し始めてましたからね」
黒田新月:「実際、そこからは全部転げ落ちていってくれましたし……いや、勉強になりましたよ」
黒田新月:「タメが長いほどカタルシスも大きい!エンターテインメントの基本ですね!」
黒田新月:「でもやっぱ、全体的には退屈でしたねえ。もうちょっと早く爆発してくれてよかったかも」
黒田新月:「そういう感じです」
黒田新月:まるで友人にドラマの感想を求められたかのように、自然体で話す。
風祭猪祈:「そっか……傍から見たらそうかもね……仲良しごっこ……確かにそうだ。でも……」
風祭猪祈:ジリッ……と手元にノイズが走る。
風祭猪祈:「フラフラして……頼りなくて……風が吹いたらすぐに消えてしまいそうで」
風祭猪祈:「そんな退屈な日々が、私にとってどんな星よりも眩しい……」
風祭猪祈:「……光だったんだ」
風祭猪祈:言葉と同時に銃を構える。
風祭猪祈:一度に三発、不可視の弾丸が黒田新月に向けて放たれる。
黒田新月:「うわっ! ……と……!」
GM:不可視の壁が、少年に届く前に銃弾を阻む。
GM:だが、その時には。
GM:三廻部朔夜が、少年の意識の外、背後に回り込んでいる。
三廻部朔夜:腕を翳し、レネゲイド出力を全開にする。
三廻部朔夜:「——ぶっ壊してやる」
三廻部朔夜:相手の思考を乱し、読み取り、自在に操る≪ナーヴジャック≫と呼ばれるエフェクト。
三廻部朔夜:だが反動を顧みなければ、思考そのものを破壊して、廃人にすることも出来る。
黒田新月:「がっ……!?」
黒田新月:びくん、と、少年の身体が跳ねる。
黒田新月:「ぐっ、ごげ、ぉ、あ……!?」
黒田新月:ぱくぱくと口を開き、全身が激しく痙攣する。
三廻部朔夜:「返せよッ!!お兄ちゃんを!!みんなを!!返せッ!!」
風祭猪祈:銃を構えたまま、その様子を見守る。最も、あの状態から反撃できるはずもないが……
黒田新月:「ぎっ…………」
黒田新月:一際大きく身体が跳ねたかと思うと、少年は脱力し、崩れ落ちる。
黒田新月:その視線は明後日の虚空を見つめ、口はぽっかりと開いている。
三廻部朔夜:「ッ……はぁ……! はぁッ……!」
三廻部朔夜:それを見て、荒い息をつく。
三廻部朔夜:「う……ぅうう……」
三廻部朔夜:双眸から溢れるのは大粒の涙。
三廻部朔夜:「お兄ちゃん……僕……やったよ……」
三廻部朔夜:「みんなの仇……取ったから……」
風祭猪祈:「朔夜……」銃を降ろして近づこうとする。
三廻部朔夜:「だから……」
三廻部朔夜:「……あ……?」
三廻部朔夜:その目を見開く。
三廻部朔夜:「何……これ……」
風祭猪祈:「……朔夜?」
三廻部朔夜:「うっ……うぁあああああっ……!」
三廻部朔夜:頭を抱えて、蹲る。
三廻部朔夜:「嫌……!そんな……!嘘……!!」
風祭猪祈:「朔夜!大丈夫!?」銃を放り投げて駆け寄る。
三廻部朔夜:「やめて……!やめて、やめてよ……!!」
三廻部朔夜:恐怖に染まった表情。がちがちと歯を鳴らす。
風祭猪祈:「朔夜!しっかりして……朔夜!」
三廻部朔夜:「僕の中に……入ってこないで……!!」
風祭猪祈:その方を支え、顔を覗き込み……
三廻部朔夜:首を振って、君にしがみつく。
三廻部朔夜:「嫌……!猪祈さん!!猪祈さん助けて、猪祈さ……!!」
風祭猪祈:「朔夜……!落ち着いて……私が……!」
三廻部朔夜:「……あ……」
三廻部朔夜:その怯えが、震えが、不意にぴたりと止まる。
風祭猪祈:「…………朔夜?」
三廻部朔夜:「…………」
三廻部朔夜:「……ああ……」
三廻部朔夜:首を動かし、君の顔を見て。
三廻部朔夜:「成程、こうなりましたか」
三廻部朔夜:倒れた少年を見下ろす。
三廻部朔夜:「まだ替えたばっかりだったんですけどね。いや、こんなところで……ちょっと予想外でした」
風祭猪祈:「…………っ!?」背筋に走る怖気。朔夜を支えていた手を話し、咄嗟に距離を取る。
三廻部朔夜:セーラー服を着た自分の身体をまじまじ眺めて。
三廻部朔夜:「いや、でもまあ……結構いいかもですね。可愛いし……」
風祭猪祈:「アンタまさか……」
風祭猪祈:「朔夜の……中に……?」
三廻部朔夜:「あ、はい。そうですよ」何でもないように頷く。
三廻部朔夜:「いや、意図したわけじゃないですよ?成り行きというか……僕だって頭空っぽにされたくなかったし……」
三廻部朔夜:「ちょっと混ざっちゃったみたいですけど。まあ、よくあることです」
風祭猪祈:「……返せ」
風祭猪祈:「返せよ、朔夜の身体から出ていけ」
三廻部朔夜:「ええー、無茶言わないでくださいよ……僕だって死にたくないですもん」
三廻部朔夜:「それとも猪祈さん」
三廻部朔夜:「殺せますか?僕のこの身体」
三廻部朔夜:自慢するように腕を広げ、大袈裟なポーズ。
三廻部朔夜:「せっかく残った最後の家族なのに……」
三廻部朔夜:「ひどいですよ、猪祈さん」
三廻部朔夜:君のよく知る顔で、言う。
風祭猪祈:「……っ!……できないと思う……?」
風祭猪祈:「アンタも見てたでしょ。私はもう」
風祭猪祈:「家族を殺してるんだよ」銃を拾うには距離が遠い。ナイフを取り出し構える。
三廻部朔夜:「えっ出来るんですか?マジですか……?」やや引き気味に。
三廻部朔夜:「勘弁してくださいよぉ……そろそろ退散しますから……」
風祭猪祈:「逃がすと思う……?」
三廻部朔夜:「ええ。逃げ足だけはちょっと自信がありまして」
風祭猪祈:「……一つだけ、答えて」
三廻部朔夜:「何でしょうか?」
風祭猪祈:「アンタがその身体を手放せば、朔夜は元に戻るの?」
三廻部朔夜:「無いでしょうねえ、残念ながら」
三廻部朔夜:「もう、元々の彼女の精神は、今の僕と溶けて混ざり合って、どこにも残ってませんから」
三廻部朔夜:「僕が仮にこの身体から出ていけたとしても、ただの抜け殻が残るだけだと思いますよ?」
風祭猪祈:抜け殻、それは今地面に転がっている、黒田水月だった少年と同じような……
風祭猪祈:「そう……そうだよね。朔夜と同系統の能力なら、そう考える方が自然だ」
風祭猪祈:問うまでもない話だ。自分が同様の力を持っていたとして、宿主の意識を残しておくなどリスクでしか無い。
風祭猪祈:何より、自分は聞いてしまった。彼女が侵蝕の高まりによって得た念話能力が、自分だけに届けてしまった。
風祭猪祈:彼女の精神そのものが、巨大な顎に噛みちぎられ、磨り潰され、咀嚼される、その断末魔を。
風祭猪祈:三廻部朔夜はもうどこにも居ない。目の前に居るのはその皮を被った獣だ。
風祭猪祈:「これで本当に、一人ぼっちってわけか」
風祭猪祈:「ふ……ははは……」
風祭猪祈:「だったら尚更、アンタを逃がすわけには行かない」
風祭猪祈:「アンタには、その身体は勿体ないよ」
風祭猪祈:瞬間、猪祈の姿がかき消え、朔夜だったモノの背後から刃を突き立てる。
三廻部朔夜:「……ぁえ?」
三廻部朔夜:目の前から消えた猪祈さんに一瞬間の抜けた声を漏らしつつ、瞬時に障壁を展開して距離をとる。
三廻部朔夜:「あっ……ぶな……!」
三廻部朔夜:「危うく死にかけ——」
風祭猪祈:———音が聞こえる。
風祭猪祈:知覚可能な音域ギリギリの、クレバスが軋むような高音が鳴り響く
三廻部朔夜:「……え」
風祭猪祈:「朔夜はああ言ったけど」
風祭猪祈:「アンタは、一つ思い違いをしてるよ」
風祭猪祈:右目の眼帯に手を掛け、外す。
風祭猪祈:その下に隠れていた眼窩には、何もない。虚ろな空洞があるだけだ。
風祭猪祈:その虚ろに、三日月のような白い線が走り、少しずつ開かれていく。
風祭猪祈:「アンタはただ見ていただけでさ……私達は……」
風祭猪祈:「遅かれ早かれ、ああなった」
三廻部朔夜:「……!」
三廻部朔夜:表情が、驚愕に染まる。
風祭猪祈:「"ディアスポラ"は最初から墜ちる星だった。それが……」
風祭猪祈:「身に余る欲望ねがいに惹かれた私達の、運命だった」
風祭猪祈:「だから……アンタのせいじゃない」
風祭猪祈:「アンタのせいになんてするもんか」
風祭猪祈:「私達の日々は、私達が手に入れた光は」
風祭猪祈:「私達自身の希望ねがいの証明だ。アンタに貰ったものじゃない」
風祭猪祈:「だから」
風祭猪祈:「消えて」
風祭猪祈:———アーティファクト"フィヨルニルの天眼"は、所有者がその片方の瞳を失うことで制御を可能とする。
風祭猪祈:可視、不可視の光、果ては有り得ざる可能性すら観測するそれは、
風祭猪祈:その実、所有者が観測主体たる瞳を持たないことで、その並列処理を可能とする。
風祭猪祈:あり得ざるものを真の意味で瞳に捉えた時、それは確定してしまうから。
風祭猪祈:故に、その虚ろに瞳が開く時
風祭猪祈:”観るべき光景”を所有者が定めた時、そのアーティファクトは変質する。
風祭猪祈:———月が満ちる。
風祭猪祈:或いは望めば、あの夢の続きを瞼の裏に映すこともできただろう。
風祭猪祈:しかし、それは適わない。もう決めてしまった。
風祭猪祈:こいつを屠るために、戦うために、"彼"と同じ景色を観るのだと。
風祭猪祈:右目に映る零下8000度の氷の世界と、左目に映る現実の光景。
風祭猪祈:それが重なる時、"全ての冬"は現出する。
三廻部朔夜:「……あ゛……」
三廻部朔夜:三廻部朔夜のものだった身体が、瞬時に凍り付いていく。
三廻部朔夜:「う、そ、こんな……」
風祭猪祈:青褪めた魔眼が、その姿を囚えて離さない。
風祭猪祈:「凍れ……」
風祭猪祈:「凍って堕ちろ……!!」
三廻部朔夜:「…………!」
三廻部朔夜:抵抗すらできず、ほんの数秒も経たないうちに。少女は白く染め上げられた氷の塊となって、沈黙する。
三廻部朔夜:ぴしり、と氷像に罅が走り――
三廻部朔夜:粉々に砕け散る。欠片は吹き荒ぶ風に、雪のように舞って、消えていく。
風祭猪祈:「……」その様を見届け、右目を閉じる。
風祭猪祈:砕け散った朔夜に歩み寄り、その破片を拾い上げる。
風祭猪祈:「ごめん…………朔夜……」
風祭猪祈:残された左目から、涙が一筋こぼれ、その破片を溶かした。
三廻部朔夜:「……うーわ、寒っ」
三廻部朔夜:不意に、後方から声。
風祭猪祈:「…………」静かに振り返る・
三廻部朔夜:君の後方、能力領域の外。今まさに凍り付き、砕け散った筈の三廻部朔夜が、当たり前のようにそこに立っている。
三廻部朔夜:「そのアーティファクト、そんな芸当も出来るんですねえ」
風祭猪祈:「……そっちこそ、どんな芸当を使ったわけ?」
三廻部朔夜:「びっくりしましたよ……いや、ていうかまだ寒っ……死んじゃう……」
風祭猪祈:身代わりではない……自分は確かに朔夜の身体を砕いたのだ。
三廻部朔夜:「ああ……僕のほうは大したことは出来ないんですけどね」
三廻部朔夜:「ただ、今『死んでなかった』僕を、よそから持ってきたんですよ」
三廻部朔夜:「それだけです。簡単でしょう?」
風祭猪祈:「他所から……?まさか……」
風祭猪祈:「そうか、私は観るだけだったけど」
風祭猪祈:「アンタは、実際に行き来出来るってわけか」
三廻部朔夜:「ああ……成程」
三廻部朔夜:「この説明、けっこう面倒なんですけどね」
三廻部朔夜:「あなた達はそうでした。見て、理解してるんでしたね」
三廻部朔夜:「そうです。並行世界を行ったり来たりできるのが、僕の力ってことです」
三廻部朔夜:「いや、話が早くて助かります。あんまり説明とか、得意じゃないので……」
風祭猪祈:「ああ、そう……つまりは」
風祭猪祈:「"その朔夜"も本物ってわけだ」
三廻部朔夜:「ええ、その通り。そして……もうお分かりでしょう?」
三廻部朔夜:「並行世界が無限に存在する以上、この僕の命も、無限に存在する」
三廻部朔夜:「僕を本当に殺すことは誰にも出来ません」
風祭猪祈:「…………」
三廻部朔夜:「無駄だって分かったでしょう?これ以上はやめときましょうよ。ね?」困ったように笑いかける。
風祭猪祈:「……やめない」
風祭猪祈:「アンタがその身体を使ってるってことは、他所の世界でも」
風祭猪祈:「私達を見てたんだよね、ポップコーン片手に楽しんで」
三廻部朔夜:「何だかトゲのある表現ですねえ……まあ、そうなんですけど……」
風祭猪祈:「そして、朔夜の身体を奪って、次の標的を探して旅立った」
風祭猪祈:「そんなアンタが、それこそ無数にいるんだよね」
三廻部朔夜:「ええ、そうです。僕もそうするつもりですけどね」
三廻部朔夜:「まだまだ、見たいものがいっぱいあるんです」
三廻部朔夜:「中東の紛争も面白そうだし、中国はちょっとつつけば内戦が起こせそうです。フランスには中々面白そうなFHセルがあって……」
三廻部朔夜:「この国ばかりに構ってられませんからね!世界には面白いことがいっぱいです!」
風祭猪祈:「……いいよ」
風祭猪祈:「どこにでも行けばいいし、何人でも来ればいい」
風祭猪祈:「私は……」
風祭猪祈:「私はその全てを、この眼に囚えて堕とす」
風祭猪祈:「朔夜から……」
風祭猪祈:「"ディアスポラ"から、アンタの存在が消えてなくなるまで」
風祭猪祈:「何度でも、何度でも何度でも何度でも」
風祭猪祈:「何度でも……絶対に逃さない」
三廻部朔夜:「…………大きく出ましたね」驚いたように笑みを零す。
三廻部朔夜:「無駄だって言ってるのになあ。本当はあなたも分かってるんじゃないですか?そんなの無理だって」
三廻部朔夜:「でも、いいですよ」
三廻部朔夜:にっこり笑って。
三廻部朔夜:「大好きですから、そういうの」
三廻部朔夜:「あなたが後戻りできない怪物に堕ちるか、僕を殺しきるのが先か」
三廻部朔夜:「勝負と行きましょうか」
風祭猪祈:「無理じゃないよ」
風祭猪祈:「私は、もう一人になっちゃったけど」
風祭猪祈:「それでも私は"ディアスポラ"だから」
風祭猪祈:「"私達"に、できないことなんてない」
三廻部朔夜:「……じゃあ、ひとつ、ハンデをあげます」
三廻部朔夜:「僕の名前。個人としての名前は数えきれなくて。人に呼ばれる名前も……」
三廻部朔夜:「“悪魔”とか。“無貌の薄暮”とか。あれこれ、色々あって。覚えきれないんですけど……いちばんよく呼ばれるものを、ひとつ」
三廻部朔夜:「“星を見る者”」
三廻部朔夜:「そう、呼ばれています」
風祭猪祈:「星を……見る者」
風祭猪祈:「そう……覚えておいてあげる」
三廻部朔夜:「是非、頑張ってください。風祭猪祈さん……楽しみにしていますよ」
三廻部朔夜:「ああ、皮肉とかではなく。本当に」
三廻部朔夜:「頑張って頑張って、何もかもを捨てて」
三廻部朔夜:「僕を、殺しに来てください」
三廻部朔夜:「僕が見たいのは、そういうものですから」
風祭猪祈:「いいよ、見せてあげる」
風祭猪祈:「特等席に座ってるアンタが燃えちゃうくらい近くで」
風祭猪祈:「私の、私達の星の光を」
三廻部朔夜:「……ああ、それは、とても……」
三廻部朔夜:「……わくわくしますね」
三廻部朔夜:無邪気な少女の笑みを残して。
三廻部朔夜:その姿が、瞬きの間にふっとかき消える。
三廻部朔夜:後には、君だけが残される。
風祭猪祈:「…………」
風祭猪祈:眼帯を付け直し、誰もいなくなった公園を眺める。
風祭猪祈:海浜公園は港に突き出た埋め立て地の中にあり、そこからは市の様子を一望できる。
風祭猪祈:街は雪が降り積もり、通りの木々にはイルミネーションが今まさに飾り付けられようとしている。
風祭猪祈:もうすぐ、クリスマスだ。
風祭猪祈:暫しの間、目を閉じる。
風祭猪祈:瞼の裏には、何も映らない。ただ、失ったものを悼むように
風祭猪祈:星に祈る子供のように、静かに俯き。
風祭猪祈:一際大きな風が吹いた刹那、その姿を掻き消した。



風祭猪祈:その後、中東の戦場で、中国の自治区域で、欧州の裏社会で
風祭猪祈:星を追うようにして、惨劇の後に現れる人物の噂が、FH、UGN双方の資料に散見されるようになった。
風祭猪祈:その姿をはっきりと見たものはおらず、ただ白く凍りついた戦闘痕だけが、過去に死んだとされるマスターエージェントとの関連性を俄に指摘されている。
風祭猪祈:正体不明の、しかし何かを道標に彷徨う存在を指して、UGNの資料にはこう仮称されている。
風祭猪祈:流浪の民、或いは離散者。
風祭猪祈:"ディアスポラ"と。






Double Cross The 3rd edition
『吹けよ太刀風、墜ちよ禍津星』
END