幾千万夜の恋の涯
メインログ/雑談ログ
Trailer
「時々、思うことがあるよ」
「あの月のない夜、あの路を通らなければ」
「君に出逢わなければ、どうなっていただろう、って」
市内で発見された身元不明の遺体。
戸籍も無く、あらゆる経歴が偽造されたその死者は、悠久の刻を生きる長命者――“古代種”と呼ばれるオーヴァードだった。
だがそれは、連続する長命者殺害事件の、ほんの一角に過ぎなかった。
同じ頃、一人の少女が、ある男の死を願っていた。
少女の名はアデレード・アイゼンステイン。
“アイゼンステインの貴種”。
数百年の永きを生きる、オールドオーヴァードの末裔だ。
死。老い。時間。
あらゆる人間に等しく訪れる、絶対の運命。
それから逃れようと願うならば。
人は、人であることをやめねばならない。
Double Cross The 3rd edition『幾千万夜の恋の涯』
ダブルクロス――それは裏切りを意味する言葉。
「あの月のない夜、私は貴方に出逢ってしまった」
「それが正しかったのかどうか、私には分からない」
「ただひとつだけ言えるのは」
「恋をするのは、これが最後よ」
Index
Opening
【OP/雨宮さざめ】
【OP/八十方織間】
【OP/晩翠凍衿】
Middlephase
【Middle1】
【Middle2】
【Middle3】
【Middle4】
【Middle5】
Climax
【Climax/幾千万夜の恋の涯】
Ending
【ED/雨宮さざめ】
【ED/八十方織間】
【ED/晩翠凍衿】
Preplay
雨宮 さざめ
(キャラシート)
晩翠 凍衿
(キャラシート)
八十方 織間
(キャラシート)
GM:ではまず自己紹介から!
GM:(キャラシート)
GM:PC1の雨宮さんからお願いします!
雨宮 さざめ:はーい
雨宮 さざめ:「たぁげっとが私より強くとも、勝つ術ならばございます」
雨宮 さざめ:〝惨殺装置〟雨宮 さざめ。所属は特定支部ではなく、戦闘訓練だとか新装備テストを主として請け負う部隊〝重ね胴〟です。
雨宮 さざめ:いつもニコニコ愛想良く、たくさんの人と仲良くなれるといいなぁと思っている女の子です。特技は毒殺と闇討ち。
GM:素敵な特技~
雨宮 さざめ:口の中に毒針を隠してたり、衣服の袖やら裾やらにもたくさんの凶器を隠してるので空港が通過できません。
GM:本州から出られない
雨宮 さざめ:普段は普通の高校生として和服で通学してきて、休み時間には校庭の端の方で体操してたりします。
GM:いつの時代の普通?
雨宮 さざめ:自分や他者の命をあまり重く見ておらず、また個より家や血筋を重んじる系の旧い人間でもあります。
雨宮 さざめ:戦闘スタイルは、猛毒の雫で邪毒を付与する他は特筆する点の無い社会射撃アタッカー。単体攻撃です。
雨宮 さざめ:まぁ、そこそこの打点は出せるんじゃないでしょうか。後はミドルを高めの社会でがんばる!
雨宮 さざめ:お友達が出来そうで大変わくわくしているのです。わくわく。よろしくお願い致します。
GM:はい!そんな雨宮さんのハンドアウトはこちら!
PC1 UGNに協力的な人、女性が望ましい
シナリオロイス:アデレード・アイゼンステイン
ある夜、君は一人の少女と出会い、友人になる。
少女の名はアデレード・アイゼンステイン。
浮世離れした雰囲気の、少し変わった少女だ。
ある時、彼女は君に、ある依頼を持ち掛けてくる。
梧桐啓司という男を、殺してほしいと。
GM:お友達が出来ますよ!やったね!
雨宮 さざめ:うふふ。こう見えて私、ひとを殺すのは得意なのですよ?
GM:まさにうってつけというわけ
GM:出会い方などに関しては後でちょっと相談しましょう!よろしくお願いします!
雨宮 さざめ:よろしくお願い致します
GM:続いてお二人目!
GM:(キャラシート)
GM:PC2!晩翠凍衿……ば……晩翠凍衿!?
GM:晩翠!自己紹介しろ!
晩翠凍衿:やれやれ……仕方ありませんわね
晩翠凍衿:晩翠凍衿(ばんすい しえり)。最近N市にやってきたエリートチルドレンです。多分まだ最近の範疇のはず……。
晩翠凍衿:エリートなのでエリートの証たるゾディアックウェポンを託されてもいます。強いぞー!カッコいいぞー!
晩翠凍衿:特に関係のない話なんですけど大鎌って使いにくいよね。
GM:農具でしょ
晩翠凍衿:でかすぎて稲刈りにも使えない
晩翠凍衿:ジャームどもをぶっ殺す役くらいにしか立たない……。
晩翠凍衿:もとい、性格の方は割と社交的ですが、やたらと調子に乗りやすい上に相手の気持ちを読み取るのが苦手。
晩翠凍衿:性能としては純粋に白兵屋です。ダメージダイスを振り直したりガー不にしたり範囲攻撃にしたりする。
GM:二人目の破壊者
晩翠凍衿:そうそう
晩翠凍衿:破壊メイトとも良好な関係を築いていきたいですね。よろしくお願いします!
GM:全てを破壊していけ!
GM:そんな晩翠さんのハンドアウトはこちら!
PC2 古代種・長生きしてる人・女子中高生
シナリオロイス:天花寺アスカ
君は友人である天花寺アスカと会うことになった。
若々しい少女の姿である彼女だが、その正体は古くからこの街に住まう土地神だ。
天花寺は君に、ここのところ連続している『長命者狩り』について警告してくる。
自身に代わり、この事をUGNに知らせてほしいと。
GM:天花寺さんとはお知り合いだそうですね
晩翠凍衿:はい
晩翠凍衿:そうらしいですね
GM:どのようなご関係で?
晩翠凍衿:どのようなご関係なんですかね……?
晩翠凍衿:今回の話を最後まで読めば分かるのかもしれない……
GM:それは楽しみですね
晩翠凍衿:はい
晩翠凍衿:楽しみです
GM:というわけでエリートチルドレンとして頑張ってください!よろしくお願いします!
晩翠凍衿:がんばります よろしくおねがいします
GM:ば……晩翠……!
GM:それではラスト!
GM:(キャラシート)
GM:PC3の八十方さん!自己紹介お願いします!
八十方織間:よしきた
八十方織間:獣の数字6/1/1/1をその身に刻まれたUGNチルドレンです。星辰館高校生でもあります。
八十方織間:学年には触れるなよ……サザエさん時空の下ではデリケートなタイミングだ……!
八十方織間:頑固、堅物、生真面目、几帳面。他人に厳しく、自分に対してはそれ以上に厳しい。面倒見の良い委員長タイプではなく、違反に目を光らせる風紀委員タイプです。
八十方織間:どっか……どっか支部に所属して、チルドレンとしての任務・訓練・学校生活・アルバイトで日々のスケジュールを埋めています。
GM:真面目野郎め
八十方織間:PCとしての登場は今回が初めてだけど、N市歴はそれなりにある想定。今までのことなんて気にしないぜ!
八十方織間:ストイックで私のない男に見える予定ですが、実のところ、自分が家族同然に思っていた部隊が崩落戦で壊滅しており、そのことを未だに引きずっています。
八十方織間:コードネームもその時から変えていないし、思い出の一品もずっと持ってる。
GM:悲しい過去
八十方織間:また、その時に両腕を失っていますが、それを機械腕に置換しており、そいつを駆使した連携的徒手空拳戦法を武器とします。変形したり火を噴いたり伸びたりする予定だよ。
GM:絶対カッコいいじゃん…………
八十方織間:性能としては特殊装甲義肢と《サイバーアーム》で強化した素手を活かす反撃・火力支援を握りつつ、イニシアチブ視界移動とエンゲージ操作で戦場を前線からコントロールします。
八十方織間:コントロールできるのか? 分からん……ちょっと性能的にどんな感じか掴みきれていない所は正直ある……だいじょうぶかな……
GM:真面目キャラの割に変則的な構成
八十方織間:連携重視なんですよね。爆発力にも持続力にも欠けるけど、地味にダメージを積んでいくぜ! というコンセプトです。
GM:真面目だ……
八十方織間:目指せコンセプト達成! こんな所です。よろしくお願いします。
GM:はい!そんな八十方さんのハンドアウトはこちら!
PC3 UGN関係者
シナリオロイス:梧桐啓司
N市内で身元不明の遺体が発見される。
レネゲイドが検知されたことからUGNに回されたその遺体を調べると、それが古代種と呼ばれる特殊なオーヴァードであることが判明する。
捜査を進めるうちに、浮かび上がる一人の老人。梧桐啓司。それは君の知人/友人だった。
GM:メイン捜査役ですね
八十方織間:UGN!
GM:このどういう知り合いかは後でちょっと相談しましょう!よろしくお願いします!
八十方織間:オッケーです。よろしくお願いします!
GM:というわけで始めていきます!
【OP/雨宮さざめ】
GM:まずは雨宮さんのOPから。登場どうぞ!
雨宮 さざめ:1d10+40
DoubleCross : (1D10+40) → 2[2]+40 → 42
GM:---
GM:N市 市街路上
GM:---
GM:深夜。
GM:眠らない街と謳われる魔都、N市といえど、当然夜更けともなれば人の気配は少なくなる。
GM:仕事の帰りか、あるいは他の理由か。
GM:その日、月の無い静かな夜。君は一人、路上を歩いていた。
雨宮 さざめ:「んー、んー……んー」鼻歌を口ずさんでいる。いつものように、微笑むように目を細めながら。
雨宮 さざめ:……しかし、僅かにその笑顔は陰っている。
雨宮 さざめ:「……はぁ。やることがございませんでした」
雨宮 さざめ:仕事帰りではある、が。この夜の敵は想定外──想定を幾つか下回って、弱かった。
雨宮 さざめ:意気揚々と暗器を仕込んで出かけたところ、一般構成員の銃撃だけで殆ど片付いてしまったので、半ば棒立ちで仕事が終わったのである。
GM:では、君がそんな鬱憤を抱えつつ、家路を歩いていたところ。
GM:僅かに、辺りの空気が変わるのを感じる。
GM:オーヴァードであり、UGNエージェントである君には、すぐに分かる。
GM:微弱な≪ワーディング≫だ。
雨宮 さざめ:「……」細めた目を、少ぅしだけ開く。歩く足を、音を立てぬ程度に早める。
雨宮 さざめ:肩を上下に揺らさない、すり足気味の歩き方。和装、袴と相まって、足の動きが外から計れない。
雨宮 さざめ:そういう歩き方で、気配の方へと進んで行く。
GM:ワーディングの発生源は、一本道の向こう。
GM:即ち、君の行く先だ。
GM:かつん、かつん。
GM:硬質の靴底が、アスファルトを叩く音。
GM:暗がり、道の先から、ひとつの影が近づいてくる。
少女:「…………」
雨宮 さざめ:「…………」足を止め、元のような顔に戻る。眼球の動きが分かりづらい、半ば閉じているような目。
雨宮 さざめ:歩む足を止め、軽く首を傾げる。夜闇と同程度には黒い髪が、肩口にさらり。
雨宮 さざめ:「ごきげんよう」
雨宮 さざめ:と、呼びかけた。
少女:夜空や街並みを眺めながら歩いていたようだが、君の言葉に応じて、顔を上げる。
少女:齢14、5歳に見える少女だ。
少女:長く伸びた美しい金髪。死体のように白い肌。目だけが血のように赤い。
少女:おぞましいほどの、浮世離れした美しさと色香を放っている。
少女:「……あら」
少女:意外そうに目を瞬く。
少女:「御機嫌よう」
雨宮 さざめ:……ほう、と口の中で呟く。幼少期に憧れた、西洋人形のようなものが歩いていた。
雨宮 さざめ:違うのは、瞳か。
雨宮 さざめ:金髪の人形ならば、
雨宮 さざめ:「……青い瞳だったら、素敵でしたのに」
少女:「……」
少女:無言で、ワーディングの出力を僅かに強める。
雨宮 さざめ:などと、知らぬうちに口にして、少し遅れてその事実に気付いたように、
雨宮 さざめ:「あら、失礼」
雨宮 さざめ:「ごめんなさいませ。初対面の方に、酷くぶしつけな物言いでございました」
雨宮 さざめ:「……けれども、貴女。良き夜であるとは思いませんか?」
少女:「……?」小首を傾げ、金髪がさらりと揺れる。
少女:「貴女……」
少女:「どういう方かしら」
雨宮 さざめ:「あら、奇遇な。同じことを問うつもりでおりました」
雨宮 さざめ:「この気配の中、平然と立ち、歩むものが居るのならば」
雨宮 さざめ:二歩だけ、間合いを詰める。すり足。氷の上を滑るような歩み。
雨宮 さざめ:「いずこの所属であるかを問わねばならぬのが、建前でございますれば」
少女:「……」疑問と当惑に包まれていた少女の空気が、変わる。
少女:君には、物腰と視線の内に、警戒と敵意が感じられるだろう。静かな臨戦態勢だ。
少女:「私は……」
少女:「“血族”の者よ」
少女:それで通じて当然、というように。
雨宮 さざめ:「血族?」かくん、と首を傾げる。頬に手を当て、「……はて。何処かの名家のご令嬢でいらっしゃるのでしょうか」
少女:「えっ……」
雨宮 さざめ:「であれば、尚更にぶしつけでした。失礼を──」と、言葉の途中、
雨宮 さざめ:突然、何かに気付いたように空を見上げて、
雨宮 さざめ:「あっ」
少女:「知らな……え?」
少女:そちらに視線をやる。
雨宮 さざめ:月の無い空だった。
雨宮 さざめ:街の光で、星も薄かろう。
雨宮 さざめ:何を見出すこともできぬ内に──白い少女の視界の、下端に飛び込むものがある。
雨宮 さざめ:針だ。
雨宮 さざめ:その紅の瞳を狙って、投げ放たれた縫い針であった。
少女:「何……?」まだ空を見上げている。
少女:その動作とは全く無関係に、手首から鮮血が噴き出す。
少女:血は別の生き物のように蠢き、放たれた針を絡めとる。
少女:「ん……?あっ……!」
少女:「騙したのね……!」
雨宮 さざめ:「……おや」視線をゆっくりと空から降ろし、その光景を見た──その時には既に、両手十指にて8つの針を構えている。
雨宮 さざめ:「うふふ、ごめんなさいね」
少女:「なんて失礼な人なの」怒りを露わに頬を膨らませる。
雨宮 さざめ:「この夜が悪いのです」
雨宮 さざめ:「星も薄く、月が無い。恋を語らうには肌寒いかと存じますが」
雨宮 さざめ:「血を交わらせて遊ぶには、この上も無く良き夜にございますれば──」
雨宮 さざめ:「……しかし」
雨宮 さざめ:高揚し、口ずさむように紡がれた言葉が一度断ち切られて、
雨宮 さざめ:「……もしかして、貴女。戦うひとではなかったり……?」
少女:「貴女、何?私を殺す気?」
少女:「そういうの、久々だわ。驚いた」
少女:「そちらがその気なら、負ける気は無いけど」
少女:「私が勝つわよ」
少女:見下した――と言うには、あまりにも平然とした態度。
雨宮 さざめ:「それは」
雨宮 さざめ:「私を惑わせる甘言でございましょうか」
雨宮 さざめ:「……久々とは。さぞや場数を切り抜けたご様子」
少女:「人を売女のように言わないでほしいわね」
少女:「貴方、狩人?それとも通り魔?」
雨宮 さざめ:「……あら、はしたない」と、口元に手をやって、
雨宮 さざめ:「そうですね……当世風に申し上げるならば、狩人となるのでしょうか」手を元の位置に戻した時、指に挟んでいた針が一つ減っている。
雨宮 さざめ:「〝ゆうじいえぬ〟、が私の所属でございますが──お聞き覚えは?」
少女:「成程、貴女がUGN」
少女:「狩人の集う危険な組織だと聞いているわ」
雨宮 さざめ:「危険……でございますか。ううん、私自身の事を言われたのなら、反論の余地もございませんが──」
雨宮 さざめ:「──さて、そこなお嬢様。その〝危険〟なる言は、何処のどなたから?」
少女:「信頼できる友人からよ」
少女:「幾ら良い夜だからと言って、血に酔った狩人の獲物になってやる気は無いわ」
少女:少女が君に手を翳す。
少女:瞬間、君の全身を倦怠感が包む。
雨宮 さざめ:「……む」
少女:精気とでも言うべきものを、吸い取られたような感覚。
雨宮 さざめ:体の重さを感じる。網をかけられたか。縄で括られたか。否、己が力を根から吸い上げるような──
少女:「私は壁飾りにも剥製にはならないわ」
少女:「野兎でも狩って、大人しく村に帰りなさい。狩人さん?」
雨宮 さざめ:「……?」
雨宮 さざめ:両腕をだらりと垂らしたまま、少しの間、無防備に立っていたが。
雨宮 さざめ:「……うぅん、追い打ちはしてこないのですね」
雨宮 さざめ:両手に合わせて七本の針を、袖の中へと引き戻す。
少女:「あら、存外冷静なのね」意外そうに。
少女:「問答無用で襲われてしまうかと思っていたわ」
少女:「貴女、欲求不満の匂いがぷんぷんしていたもの」
雨宮 さざめ:「間違いではございません、が──その矛先を向ける相手として、貴女は些か相応しくないように思えます」
少女:「そう」顎に手をやって、少し考えて。
少女:「ねえ、貴女」
雨宮 さざめ:「……初めの敵意の割に、貴女はどうにも──うん?」
少女:「この夜をどう思う?」
少女:月の無い夜空の下、問い掛ける。
雨宮 さざめ:「さて。闇に紛れるには良き暗さ。ひとの足音は遠く、気配も──〝わーでぃんぐ〟でしたか、その為に遠い」
雨宮 さざめ:「街中で野放図に〝それ〟を使う者は、即ち凶事の前触れと思っておりましたが」
雨宮 さざめ:「……そも。貴女、口ぶりの割に、私を傷つけるつもりがございませんね」
少女:「ワーディング……ああ、そう呼ぶのでしたっけ」
少女:「私たちは『人避けの結界』と」
少女:「誰にも会わないものだと思っていたものだから。驚いたわ」
少女:「けれど貴女……」
少女:「思ったよりもいい人そうね」
少女:「夜の美しさが分かる人に、悪い人はいないわ」
少女:「……貴女、名前は?」
雨宮 さざめ:「ご冗談を。〝よいひと〟はこのような物を隠しはしません」ぺろっと舌を出す。舌の上に短い針が一本乗っている。
雨宮 さざめ:それを口の中に引き戻し、「雨宮 さざめ。先ほども申し上げたように、ゆうじいえぬのおーばーどにございます」
少女:「でも貴女は、斧を持って屋敷を燃やしに来たりしないでしょう?」
少女:「雨宮さざめ。私はアデレード・アイゼンステイン」
少女:「……ねえ、本当に知らないの?“アイゼンステインの血族”よ?」
雨宮 さざめ:「まったく」ほぼ即答である。
アデレード:「そう……」静かにショックを受けた顔。
雨宮 さざめ:「私、かたかな言葉は得意ではないのですが……あいぜん、すていん? えーと、それは──」
アデレード:「やっぱり極東アジアの島国は教育がなってないわね……」小声で呟き。
アデレード:「いいわ、忘れて頂戴」
アデレード:「ねえ、さざめ?」
アデレード:「そんなに戦いがお好き?」
雨宮 さざめ:「ええ」これもまた即答。
雨宮 さざめ:「雨宮の家は、ひとの殺し方を受け継いだ家にございます」
雨宮 さざめ:「数百年、連綿と、絶やすことなく。私も次代へ継ぎましょう。私の代で新しく産み落としたものを合わせて」
雨宮 さざめ:「ですから、好きです。そして、それがあり方で、生業でございます」
アデレード:「そう」頷き。「なら、お相手してあげましょうか?」
アデレード:「これから毎晩」
アデレード:「期限は、そうね……」
アデレード:「貴女が私に、一度でも攻撃を当てられるまで」
雨宮 さざめ:「……おや」
雨宮 さざめ:虚を突かれたように、目を自然体で開く。黒目がちの、光をあまり取り込まぬ瞳。
雨宮 さざめ:「随分と自信家でいらっしゃるのですね、貴女は──いえ、それよりも」
雨宮 さざめ:「嬉しいお申し出です」と、笑みに戻り「ですが」
雨宮 さざめ:「ここまででおわかりの通り、私は手段を選ばぬ身。よろしいのですか?」
アデレード:「こうして人と知り合うのは、久しぶりなの」
アデレード:「貴女のお話も面白そうだし、その手練手管も楽しめそうだわ」
アデレード:「それに、偶には動かないと、鈍ってしまうもの。そうじゃない?」
雨宮 さざめ:「……ええ、それは間違い無く」
アデレード:「決まりね」くすりと笑んで。
アデレード:「それじゃあ、そうね」
アデレード:「毎週水曜日、深夜1時」
アデレード:「場所はこの先の公園で。どうかしら?」
雨宮 さざめ:「お受け致しましょう。……尤も、そのように刻限と場所を定められているのであれば」
雨宮 さざめ:「私は貴女の寝室を探し当て、寝入り端に刃を突き立てんと考える類いの生き物ですよ?」
雨宮 さざめ:「……先ほどの口ぶりでは、襲撃される事には慣れてらっしゃるようでしたが」
アデレード:「まあ、情熱的だこと」楽し気に笑って。
雨宮 さざめ:「誰か私の他に、夜のお約束のお相手がいらっしゃるのならば。だぶるぶっきんぐにお気をつけくださいませ」
アデレード:「ええ、修羅場は御免だわ。あなた一人でも大変そうだもの」
アデレード:「それじゃあね、さざめ。待っているから」
アデレード:そう言って、君に無防備な背を向けて、来た時と同じく夜の闇へと歩き去っていく。
雨宮 さざめ:「……ふむ。尾行は困難でしょうね」去る背を密かに追うか──とも思ったが、取りやめた。楽しかろうが、先に延ばした楽しみがある。
雨宮 さざめ:水曜、深夜一時。
雨宮 さざめ:平穏な世では使えぬ道具と、技と、策謀と、それを目一杯に運び込める遊び場。
雨宮 さざめ:「……はて。これは所謂〝でぇと〟というものなのでしょうか──」と、誰も聞く者もいない内におどけつつ、
雨宮 さざめ:「……血族、とは」
雨宮 さざめ:「そも、何者なのやら」
雨宮 さざめ:遠ざかった背と逆方向へ、また滑るような足取りで歩き始めた。
GM:---
GM:斯くして君は、アデレードと深夜の逢瀬を繰り返すようになった。
GM:アデレードは木の葉か花弁のように軽々と舞い、隙を穿つ攻撃も、血液操作によって防がれる。攻略は困難だった。
GM:2、3時間も戦い、時には休憩を挟みながら、アデレードとあれこれと言葉を交わし、夜が明ける前には解散する。
GM:そんなことを繰り返す内に、君とアデレードは、いつしか奇妙な友人のような関係になっていった。
アデレード:「ねえ、さざめ」
GM:その日もいつもと同じように、君の投げ放った針を躱しつつ、アデレードが口を開く。
雨宮 さざめ:「ふぅ……はい、なんです?」纏めた髪を肩に掛ける。今日はこの髪に針を仕込んだ。その名残が数本、首を傾げた勢いで零れ落ちた。
雨宮 さざめ:落ちたと見える針は、足の指で拾っている。
アデレード:「貴女、お友達はいる?」自然体で突っ立っている。
雨宮 さざめ:「あまり多くは」応じながら間合いを詰める。上段蹴り。本命は蹴りそのものではなく、足指で挟んだ針を、蹴りの速度で至近距離から投げ放つこと。
アデレード:ぽっきり折れるのではないかというほど上体を逸らし、回避する。かと思えば、次の瞬間にはまたゆるりと自然体に戻っている。
アデレード:「そうよね」
アデレード:「沢山いると言われたら、びっくりしていたわ」くすくす笑う。
雨宮 さざめ:「あまり率直に言われると、少し傷つくのではありますが」蹴りを放った後の、相手に背を向けた姿勢で立ち止まり、
雨宮 さざめ:「そういう貴女は?」〝な〟と〝た〟の間のタイミング、膝関節を狙う後ろ蹴り。
アデレード:「その質問は卑怯よ」蹴り脚に立っている。「知ってるでしょう、殆どいないわ」
雨宮 さざめ:「ふふ、ごめんあそばせ」足を跳ね上げて相手の体重を跳ね上げ、正面へと向き直り、
雨宮 さざめ:「夜を歩く類いの生き物は、太陽の下を歩く人々と相性が悪いのです」
アデレード:「気が合うわね」そのままふわりと、風に舞うように着地して。
アデレード:「じゃあ、恋人は?」
雨宮 さざめ:「私もそう。些か性根が、暗がりに慣れておりますれば」首を軽く振り、髪留めから落ちた針を手の中に受け──
雨宮 さざめ:「……はい?」
アデレード:「気になる相手くらいいるでしょう?アレよ、恋バナ。するんでしょう?最近の人は」
雨宮 さざめ:──受けようとした手が、間合いを誤る。数本の針が地面に突き立つ。
雨宮 さざめ:「え、ええと、いえ、あの」
アデレード:「あら、そんなに分かり易く動揺する?」笑って。
雨宮 さざめ:「……そういう物は私には、まだ少々早いと申しますか……」落とした針を誤魔化すように、さっと拾い上げて、
雨宮 さざめ:「……この毒には免疫がございませんので!」誤魔化すように、少し大声。
アデレード:「案外初心なのね、さざめは」
雨宮 さざめ:「…………」ひゅっ、と音を立てて息を吸う。顔が〝作らない〟ものに変わる。即ち瞼を見開いた、夜のように暗い瞳を晒した顔に。
雨宮 さざめ:「……この身は私のものではありますが、家のものでもありますから」
雨宮 さざめ:「例えば、もし。〝気になる相手〟というものが見つかって、その方と目眩のするような恋に落ちたとして」
雨宮 さざめ:「その方が、子を成せぬ体質であったなら。貴女はどうしますか」
アデレード:「どうするって?」首を傾げる。質問の意図が分からないというように。
アデレード:「添い遂げればいいじゃない。何か問題がある?」
雨宮 さざめ:「貴女の言うように、添い遂げるも良いでしょう。浪漫に身を任せて駆け落ちをする、というひともいるでしょう」
雨宮 さざめ:「けれども、私は雨宮の家の女です」
雨宮 さざめ:「子を産み、育て、やがては技を継ぐ。それが出来ぬようであれば」
雨宮 さざめ:「〝気になる〟からと言って軽々に、恋心など抱くものでは無い──と」
雨宮 さざめ:目を細める。端から見れば、笑っているような顔になる。
アデレード:「……何だか窮屈そうねえ」つまらなそうに息を吐く。
雨宮 さざめ:「窮屈でごめんあそばせ。恋ばな、私は苦手なのです」
アデレード:「いいわ。そういうところも気に入っているもの」
アデレード:「でも、そうね」
アデレード:「それじゃあ……」しばらく黙り込んで。
アデレード:「……いいえ、却って丁度いいかもしれない」一人で頷き、
雨宮 さざめ:「……?」
アデレード:「ねえ、さざめ?あなた、人を殺すのは得意よね」
雨宮 さざめ:「……ええ。色恋沙汰に比べれば、大分」
雨宮 さざめ:急な話題の転換に訝りながら、頷く。
アデレード:「…………」
アデレード:「それじゃあ、ひとつ」
アデレード:「お願いがあるの」
雨宮 さざめ:──少しばかり、嫌な予感がした。
雨宮 さざめ:針を袖の中へ、裾の中へ、口の中へ。一手では使えぬように隠して歩み寄る。
アデレード:公園を風が吹き抜け、アデレードの金の髪を揺らす。
雨宮 さざめ:「アデレード」外の国の、慣れぬ名を、囁くような声音で呼ぶ。盗み聞きを厭う、呼吸の届く距離。
アデレード:「……殺してほしい相手がいるの」
アデレード:遮るように言う。
雨宮 さざめ:「貴女に未だ刃の届かぬ私に、貴女が、それを頼むのですか」
アデレード:「……」
雨宮 さざめ:「……何故、と」
雨宮 さざめ:「聞くべき、なのでしょうか」
アデレード:「…………」
アデレード:「名前は、梧桐啓司。彼は……」
アデレード:話の流れを無視して、一気に吐き出そうとして。
アデレード:「…………」深く息を吐き、かぶりを振る。
アデレード:「……いえ、いいえ」
アデレード:「御免なさい……今のは」
アデレード:「忘れて頂戴」
アデレード:いつになく取り乱した、切羽詰まった表情。
雨宮 さざめ:……二度、小さく首を振った。
雨宮 さざめ:「罪無きひとを故無く殺すは、ただの人殺し。狩られるべき獣にございます」
雨宮 さざめ:「……が」
雨宮 さざめ:「もし、それが故有る事ならば。その者に咎が有ると、誰かが示したのならば」
雨宮 さざめ:「アデレード、その名を覚えておきます。梧桐啓司」
雨宮 さざめ:「その男が死なねばならぬのならば、私は彼を探すと約束しましょう」
雨宮 さざめ:「……それでは、いけませんか?」
アデレード:「…………」しばらく逡巡する様子を見せ、
アデレード:「いいえ……さざめ」
アデレード:「いいの。本当に……いいのよ」
アデレード:「ただの気の迷いよ、本当に」
アデレード:「……今日はここまでにしましょうか」
アデレード:不意にそう言って、足早に立ち去ろうとする。
アデレード:「じゃあね、さざめ。良い夜を」
雨宮 さざめ:「…………」
雨宮 さざめ:「来週も、また、此処で」
雨宮 さざめ:「次の刃はきっと、貴女に届きます」
アデレード:「……ええ。楽しみにしているわ」
アデレード:いつもと変わらぬその言葉。
アデレード:だが、去りゆくその背中には、明らかに平時の覇気が無かった。
GM:そして、次の水曜の夜。
GM:アデレードは、公園に現れなかった。
GM:---
GM:シーン終了です。ロイス取得のみ可能。
雨宮 さざめ:アデレード・アイゼンステイン ○憧憬/殺意 で取得
GM:
【OP/八十方織間】
GM:OP2、八十方さんのOPです。登場どうぞ!
八十方織間:八十方織間の侵蝕率を+6(1d10->6)した (侵蝕率:40->46)
GM:---
GM:第二区 梶田記念病院
GM:---
GM:UGNと提携したこの病院は、通常の患者のみならず、オーヴァードの診療も行っている。
GM:君――八十方織間もまた、そうした特別な患者の一人だ。
GM:今、君は数年来の付き合いである梧桐という医師のもと、生活用義手に関する定期検診・点検を行っていた。
梧桐啓司:「うん。うん……」
八十方織間:目を閉じ、されるままに点検を受けている
梧桐啓司:「ちゃんと手入れしてくれているみたいだね。感心感心」
梧桐啓司:穏やかな好々爺然とした笑みを浮かべる。
八十方織間:「ありがとうございます。手入れは習慣の内です」 硬く、淡々とした応答
八十方織間:「身体を動かして、運動の具合を見るのと同じように。もう何年も続けていますからね」
八十方織間:「先生の目から見て問題がないのであれば、何よりです」
梧桐啓司:「案外その習慣を怠る子も多いからねえ。生身の腕は精々お風呂に入って爪を切るくらいだろう?」
梧桐啓司:「ちょっと小指の反応が悪かったりしなかったかな?多分もう大丈夫だと思うよ。動かしてみて」
八十方織間:言われた通り、手を開き、閉じる。続いて指を順番に。その動作を、今度は速く。
梧桐啓司:「うん、大丈夫そうだね」
八十方織間:「……治っています。俺自身、そこまで大きな違和感はなかったのですが」
八十方織間:「治った後になると、違いがよく分かる。ご丁寧な検診、痛み入ります。先生」
梧桐啓司:「いやいや、そんなに感謝してもらうと医者冥利に尽きるねえ」ははは、と笑う。
梧桐啓司:「その他は……」カルテを捲り。「接合部も異常なし。他の数値も正常だね」うんうんと頷きながら。
八十方織間:「最近は身長の伸びもほとんどなくなってきました。筋肉量も十分で、増やさず減らさず、維持に努めています」
八十方織間:「最初の頃に比べれば、ずっと良いですね」
梧桐啓司:「ありがたいが、気にしなくていいんだよ。こっちでちゃんと調整するからね」
梧桐啓司:「食べたいだけ食べて、鍛えたいだけ鍛えればいいさ」
梧桐啓司:「しかし、そうか……」卓上のカレンダーに目をやり。「……もう、四年になるか」
八十方織間:「ええ。……四年」
八十方織間:「長いような、短いような。なんて、在り来たりな所感ではありますが」
八十方織間:「色々なことが変わったようにも、何も変わっていないようにも思います。たとえば、先生との付き合いとか」
梧桐啓司:「……そうだね。この歳になると、四年なんてあっという間さ」
梧桐啓司:「日々を生きるには長いが、悲しみを癒すには短すぎる」
梧桐啓司:「最近は、ちゃんと眠れているかい?」
八十方織間:「お陰様で。薬もたまにしか飲んでいません」
八十方織間:「もう少しすると、寝苦しい季節が始まりますけどね」 微かに笑う。梅雨のことだ
梧桐啓司:「「それは何よりだね。睡眠と食事は一番大事だ…… ああ、そうだね。痛み止めも少し出しておこう」キーボードに打ち込んで。
八十方織間:「すみません、助かります」
八十方織間:予備はあるし、UGNから供与を受けることもできるが、なんとなくそういう『日常に必要なもの』は、この医師から受け取りたいという気持ちがある
梧桐啓司:「僕はUGNには直接関わっているわけではないけれど、任務はつらくないかい?」
梧桐啓司:「仕事だけじゃない、学校での暮らしも……何か困っていることはある?」
八十方織間:「そちらもおよそ問題なく。UGNの一員として力を尽くせているはずです」
八十方織間:「学校での暮らしも同様に問題なく……ふふ」
八十方織間:不意に笑みを漏らす
梧桐啓司:「おや、どうかした?」
八十方織間:「すみません。なんというか、失礼な話ではあるのですが」
八十方織間:「父親のようだな、と思ってしまって」
梧桐啓司:「えっ?」一瞬、虚を突かれたような顔をして。
梧桐啓司:「……ははは!」照れたように、少し嬉しそうに笑う。
八十方織間:「俺に本当の血縁としての父はありませんが、知識としてはあります」
梧桐啓司:「いや、そうか。それは何というか……うん」頬を掻いて。
梧桐啓司:「主治医として光栄だね」
八十方織間:「親というのは、そういうことを聞くものだと……いえ、すみません」 背筋を伸ばし、表情を引き締める
八十方織間:「失礼しました、お仕事中に」
梧桐啓司:「いやいや、気にしないで。そう言って貰えるのは……」その時、一瞬。笑みにほんの僅か、罪悪感のようなものが混じり。
梧桐啓司:「とても嬉しいよ、うん」すぐに消える。
八十方織間:「……このようなことを、誰とも話さないという訳ではありません」
八十方織間:「UGNの教官、あるいはカウンセラー。もちろん級友も、少ないながらはいますので」
梧桐啓司:「うん、君はまさしく好青年だからなァ」
梧桐啓司:「放っておけない人も多いだろう」
八十方織間:「ただ、やはりこうして一番、自然に向き合えるのは先生である気がします」
八十方織間:「UGNには日常を持ち込む気にはなれませんし、級友には当然機密を話せませんから」
梧桐啓司:「そうか……なるほどね」感心したように頷く。「そういう考えはしたことがなかったな……」
梧桐啓司:「自分では、チルドレンの皆を診ておきながら、深くまでは踏み込めないのを歯がゆく思っていたんだが」
梧桐啓司:「いや、そうか……そういう見方も出来るのか」
梧桐啓司:「……嬉しいよ。ありがとう、八十方くん」
八十方織間:「恐縮です」 深く頭を下げる
GM:その時、君の通信端末が振動する。
GM:内容は、支部への呼び出しだ。
八十方織間:「失礼します」 会釈して、その場で端末を取る
梧桐啓司:「おや、お仕事かな?」
八十方織間:「はい。呼び出しですね。慌ただしくてすみませんが、先生」
梧桐啓司:「いやいや、気にしないで。気を付けて行っておいで」
八十方織間:了解の応答を返し 「本日は失礼します。また来月、定期検診で」
梧桐啓司:「うん。それじゃあまた、八十方くん。お大事にね」
八十方織間:90度の礼をして、その場を辞す
GM:---
GM:UGN 第六支部
GM:---
GM:君は簡潔な呼び出しを受け、所属支部へと足を運んだ。
GM:指示通りに会議室で待機していると、やがてノックと共に扉が開かれる。
八十方織間:椅子に座っていたが、開扉と同時に立つ 「お疲れさまです」
GM:姿を現したのは、君の顔馴染みの後輩チルドレンだ。
獅子堂奈乃:「おや、先輩」
獅子堂奈乃:黒髪短髪の、小柄な少女。君を見て悪戯っぽい笑みを浮かべる。
八十方織間:「……獅子堂か」 姿勢を緩める
獅子堂奈乃:「また随分と畏まっていらっしゃる。疲れません?それ」
八十方織間:「疲れるのは畏まるからではない。慣れないことをするからだ。即ち、訓練の不足だ」
八十方織間:「俺はこんなことで疲れはしない」
獅子堂奈乃:「そういう事が聞きたいんじゃないですけどね」
獅子堂奈乃:資料を手渡して。
獅子堂奈乃:「可愛い可愛い後輩の顔が見られて嬉しい、くらい言えないんですか?」
八十方織間:「……」 黙って資料を受け取り
八十方織間:「……そんなことを俺が口走ったら、好きにして良いぞ。偽物だ」
獅子堂奈乃:「そうでしょうね。そんなことがあればこの世の終わりです。天地が裂け海は割れますよ」
獅子堂奈乃:「さて、先輩。付いてきてください」扉を開き、廊下に出る。
八十方織間:獅子堂に続く 「それよりも、獅子堂。連絡だ。雑談をするなとは言わないが、まずは要件をきちんと伝える」
八十方織間:「資料を渡す時はそれが何か、どこの辺りを見るかをきちんとだな……」 歩きながら資料に目を通して
獅子堂奈乃:「心外な。これからしようと思ってたんです」
獅子堂奈乃:「大体先輩は、私と話せる機会をもっとありがたがるべきでは?」
八十方織間:「それを雑談の前にするように、ということだ」
八十方織間:「大体、かわい……あー、後輩の顔がどうとか。今もそうだ。そんなことを言って」
八十方織間:「俺としては、話せる機会が多いより、的確に話せるほうがよほど有難い。……それで?」
獅子堂奈乃:はぁ、とわざとらしく溜息を吐いて。
獅子堂奈乃:「……市内で身元不明の遺体が発見されました」
八十方織間:「どんな遺体だ?」
獅子堂奈乃:「そこが問題なんです」
獅子堂奈乃:「当初は警察に回されましたが、レネゲイドが検出されたことから、うちに来て……」
八十方織間:「オーヴァードの殺害……となると、それだけでただごとではないな」 何せ《リザレクト》がある
獅子堂奈乃:「ええ。しかも、ただのオーヴァードではないらしく」
獅子堂奈乃:「特殊なウィルスの保有者……所謂“古代種”です」
八十方織間:「……古代種」
獅子堂奈乃:「ええ。見た目は若い男性ですが、相当長生きしているらしく」
獅子堂奈乃:「何しろ、戸籍が見つかりません」
八十方織間:「なるほど、不老か。それは調査も難航しそうだな」 眉をひそめる
獅子堂奈乃:「それに、異常なのはそれだけでなく……ああ、着きましたね」ひとつの部屋の前で立ち止まる。
GM:そこは、支部の霊安室だ。
獅子堂奈乃:「これに関しては、直接見てもらった方が早いでしょう」扉を開き、足を踏み入れる。
八十方織間:「物を見た方が早い、か」 一瞬、扉を見上げ、それからすぐに彼女に続く
GM:室内中央の大机に、ボディバッグが安置されている。
獅子堂奈乃:「割とグロいですけど。大丈夫ですか先輩?」
八十方織間:「構わない。からかうな。……獅子堂が大丈夫で俺が駄目なことがあるか」
獅子堂奈乃:「それじゃ」ゆっくりとファスナーを開いていく。
GM:中から現れたのは、異様な遺体だった。
GM:真っ白い肌に、青白い血管が浮き出ている。
GM:顔面は驚愕と苦悶の表情で硬直し、さながらホラー映画のクリーチャーのようだ。
GM:腹部には大きな穴が開き、不自然に凹んでいる……内臓が無くなっているのだ。
GM:そして何より異常なのは、死体に刻まれたいくつもの傷跡。
GM:血は拭き取られているが、それで却って傷口がよく見える。
GM:刃物で何度も滅多刺しにしたような傷が、全身至る所に刻まれている。
GM:相当な恨みを持った者の犯行だろうか。
八十方織間:「……尋常ではないな」
八十方織間:「目的も、犯人もだ」 死体を検めつつ
獅子堂奈乃:「ところで先輩、気付きます?」
GM:知識:医学 難易度5 もしくは 知覚 難易度8で判定どうぞ。
八十方織間:ぐっ……!?
八十方織間:俺は……獣の数字をこの身に刻んだ男だぞ……!?
八十方織間:知識:医学 で行きます
八十方織間:1dx=>5
DoubleCross : (1R10[10]>=5) → 4[4] → 4 → 失敗
GM:惜しい……!
八十方織間:くっ……!
GM:では何か変だなと思いつつ具体的には分からない!
八十方織間:「……何にだ? 気付けることはいくらでもありそうだが」
獅子堂奈乃:「ふふん」嬉しそうに笑んで。「分かりませんか」
八十方織間:「獅子堂。勿体ぶるんじゃない」
八十方織間:「気付いたことは即報告だ」 ムッとした表情
獅子堂奈乃:「はいはい」
獅子堂奈乃:「ここと、ここ。それにここ」身体の各所を指差して。「よく見てください」
八十方織間:言われたようによく見る
GM:見ると、それがただの刺し傷でないことに気付く。
八十方織間:「これは……」
GM:それらの傷は、一つ一つの傷の角度が、一定の大きさで全く同じようになっているのだ。
GM:例えるならば、複数の刃を円状に配置して、それを押し当てたかのような。
八十方織間:「……何かに押し付けられたのか?」
獅子堂奈乃:「さあ?そこまでは」肩を竦める。
八十方織間:「この間隔だと……いや、さすがに絞り切れなさそうだが」
獅子堂奈乃:「いずれにしても、普通の手口じゃないですね」
八十方織間:「そのようだな。手がかりにはなりそうだが……」
獅子堂奈乃:「まあとにかく、その辺りも含めて、これから先輩に調べていただくわけです」
獅子堂奈乃:「既に他のエージェントにも声は掛けてありますが……」
獅子堂奈乃:「最初に対応した流れで、私も一緒です」
獅子堂奈乃:「どうです?嬉しいでしょう?」
八十方織間:「……」 腰に手を当てて 「……そうだな」
八十方織間:「俺が動員されるのは、これだけのことができる犯人との接触を見込んでのことだろう」
八十方織間:「だが、単純に調査という面では俺は未熟だ。……その分、獅子堂の気付きのフォローがあればありがたい」
八十方織間:「さっきのようにだ」 真面目腐った顔で頷く
獅子堂奈乃:「…………」
八十方織間:「…………」
獅子堂奈乃:「本っ……当につまらない人ですね……」ぼそりと呟く。
八十方織間:「死体を前に」 バッグを閉じ
八十方織間:「面白いもつまらないもないだろう。行くぞ、獅子堂」
八十方織間:「頼りにしている。……真面目にやってくれればな」
獅子堂奈乃:ばしっと自分の資料を先輩に押し付けて、足早に部屋を出ていく。
獅子堂奈乃:「その前に食堂行きましょう、先輩!」
獅子堂奈乃:「合流する前に腹ごしらえです」
八十方織間:きちんと資料を受け取りつつ 「そうしよう。ついでに作戦前合わせだ」
獅子堂奈乃:「当然先輩の奢りですよ!」
八十方織間:「……それは知らん。何故だ」
獅子堂奈乃:「はい?可愛い後輩に奢ってあげられる機会ですよ?」
獅子堂奈乃:「こんな美少女に。好感度もアップです。いいでしょう?」
八十方織間:ふう、と息を吐きながらこめかみを押さえ 「……金欠だという訳じゃないなら良かった。そして、それなら奢ってやることはない」
八十方織間:「好感度というのが親近感のことなら、一緒に食事をするだけでも上がるだろう」
獅子堂奈乃:「…………」
獅子堂奈乃:「先輩、モテないでしょう」
八十方織間:「…………」
八十方織間:表情が大きく変わることはないが、気持ち、痛ましい面持ちになり
八十方織間:「……どうでもいいだろう、そんなことは」
獅子堂奈乃:「ふふ……そうですよね、そうでしょう」
獅子堂奈乃:「行きますよ、先輩!」
獅子堂奈乃:上機嫌な顔になって、食堂へと駆けていく。
八十方織間:「……大体だな、獅子堂。そうやって軽率に人へレッテルを張って……」
八十方織間:「待て! 人の話を……荷物も自分で持て!」
八十方織間:「獅子堂!」
八十方織間:早足で獅子堂を追う。廊下は走れない……!
GM:---
GM:シーン終了。
GM:ロイス取得可能です。
八十方織間:獅子堂
八十方織間:じゃないぞ。先生に取ります
八十方織間:梧桐啓司 ○尊敬/恐怖
獅子堂奈乃:私には?
八十方織間:ちょ、調子に乗って……
八十方織間:獅子堂奈乃/信頼/○食傷
八十方織間:早く行くぞ!
獅子堂奈乃:それでいいんですよそれで
【OP/晩翠凍衿】
GM:晩翠さんのOPです。登場お願いします。
晩翠凍衿:33+1d10
DoubleCross : (33+1D10) → 33+8[8] → 41
GM:---
GM:UGNチルドレンである君は、以前に任務で知り合ったあるオーヴァードに呼び出された。
GM:彼女の名は天花寺アスカ。名門女子高、聖ルツィア女学院を束ねる存在であり、
GM:またその正体は、数百年は生きている土地神のレネゲイドビーイングでもある。
GM:連絡を受けた君が、市内のファミレスに足を運ぶと、
GM:天花寺は既に席に着き、美しく活けられた花もかくやという、清楚で凛々しい佇まいで君を待っていた。
天花寺アスカ:「やあ、凍衿」
天花寺アスカ:山盛りのカツ丼をむしゃむしゃと食べている。
晩翠凍衿:「……こんにちは」初手から顰め面で対する。向かいの席に腰を下ろして。
天花寺アスカ:「来てくれて嬉しいよ」長い睫毛に縁どられた目を細め、ふわりと微笑む。
晩翠凍衿:「今日は何の御用なんですか……?」
天花寺アスカ:「用が無ければ、呼んでは駄目だった?」
晩翠凍衿:「…………そういうわけではないですが」
天花寺アスカ:「ふぅん?」少し首を傾げて。
天花寺アスカ:「君も何か注文するといい。高い店でもないが、奢らせて貰うよ」
晩翠凍衿:「むう……」
晩翠凍衿:実際のところ、今度は何をやらかしたのかと警戒する気持ちが最も強い。ので、さっさとその辺りの不安を解消させてもらいたいのだが。
晩翠凍衿:「……はあ。じゃあお言葉に甘えて」
晩翠凍衿:溜息。あまり急いてもはぐらかされる予感がして、腰を据えて臨むことにする。
晩翠凍衿:「チョコレートパフェ一つ。あと紅茶で」
天花寺アスカ:こちらはハンバーグカレーの大盛りを追加で注文して。
天花寺アスカ:「ああ、こちらは気にしないで」空になった丼を前に笑って。
天花寺アスカ:「学院の子たちの前では、中々こういったものは食べられないからね」
天花寺アスカ:「でも、君にならいいだろう?」
天花寺アスカ:肘を付き、深い黒の長髪が揺れる。
晩翠凍衿:「別に学校でも食べたらいいじゃないですか」
晩翠凍衿:「多少は幻滅してもらった方が身の危険も減ると思いますけど」
天花寺アスカ:「そういう訳には行かないさ」
天花寺アスカ:「僕は『雛罌粟の会』の会長で、『天花寺アスカ』だからね」
天花寺アスカ:「あの子たちの前では、完璧な僕でなくちゃならないんだ」
晩翠凍衿:「完璧……」ルツィアでの様子が脳裏を掠めていく。
晩翠凍衿:うぐいすパン。映画で寝不足。簀巻き。
晩翠凍衿:「完璧……?」
天花寺アスカ:「弱点を見せるのもテクニックだよ?」それを見透かしたように、くすりと笑う。
天花寺アスカ:「何もかも完全無欠の人間なんて、近寄りがたいだけだろう?」
晩翠凍衿:「その辺は妙に説得力があって嫌ですね……」再び溜息。
晩翠凍衿:「完全無欠以前に人間でもないのに。見せる弱点と見せない弱点はどう違うんです?」
天花寺アスカ:「簡単さ。見せていい部分と、見せちゃいけない部分」
天花寺アスカ:「前者は親近感を与えるけど、後者は幻滅されてしまうからね」
天花寺アスカ:運ばれてきたカレーに醤油をかけながら。
晩翠凍衿:「はあ……」
天花寺アスカ:「君はどう?幻滅したかな?」
晩翠凍衿:「ずいぶん前からしてます」
天花寺アスカ:「ふふ」笑って。「でも、来てくれたんだね」
晩翠凍衿:こちらも配膳されてきたパフェを、スプーンでひとかけ掬って食べて。
晩翠凍衿:「……呼ばれたのに放っておいたら、今度は何をされるか分かったものじゃないですからね」
晩翠凍衿:「アスカさんの方は、どうなんですか」
天花寺アスカ:「僕?」
晩翠凍衿:「UGNはお嫌いみたいですけど。それでもあたしを呼びつけて、人には見せない部分を見せるのは」
晩翠凍衿:「仕事の相手だと割り切ってるからなのか、それとも……」
晩翠凍衿:「……どうなんです?」初めて少しだけ笑みを見せる。
天花寺アスカ:一瞬だけ意外そうな顔をして、それからすぐに笑みを返す。
天花寺アスカ:「それは当然」
天花寺アスカ:「好ましく思っているからだよ、君を」
晩翠凍衿:「……本当に……」
晩翠凍衿:「……全っ然。言わせ甲斐ないですね……」
晩翠凍衿:三度目の溜息。スプーンをパフェの山の中へと乱暴に突き込んで。
天花寺アスカ:「おや。不満かい?」
天花寺アスカ:「皆喜んでくれるんだけどなあ」
天花寺アスカ:楽しそうに笑う。
晩翠凍衿:「普通の人は」
晩翠凍衿:「好きだって言ったりとか、やたらと抱き締めたりだとか、そう滅多にはしないでしょ」
天花寺アスカ:「……」
天花寺アスカ:「……そうかな?」白々しく首を傾げて見せる。
晩翠凍衿:「そうですよ」
晩翠凍衿:「だからこそ、された方も、特別に思ってもらえてるんだって実感するんでしょうけど」
晩翠凍衿:「日頃からやたらとそういうことしてる人って、どこにそういう重みがあるんでしょうね」
天花寺アスカ:「……君だけは特別だよ、凍衿」
天花寺アスカ:対面から、じっと瞳を覗き込む。
天花寺アスカ:「そう言ったら、信じて貰えるのかな」
晩翠凍衿:「この間、すごーく真剣に反省する振りなんてした後で」
晩翠凍衿:「実はまだ隠してたことがありましたって言い出した人がどこかにいましたね」
天花寺アスカ:「反省したから、全部正直に話したんだけどなあ」
晩翠凍衿:「ふうん」
晩翠凍衿:「じゃあ、今回呼び出されたのは、これまであなたがやったこととは関係ないって思っていいんですか?あたし」
天花寺アスカ:「ふむ……」
天花寺アスカ:「このままデートにでも出かけて、君の誤解を解きたいところだけれど」
天花寺アスカ:「でも、そうだね」
天花寺アスカ:「確かに今回凍衿に来てもらったのは、公私の『公』のほうだ」
天花寺アスカ:「君にひとつ、お願いしたいことがあってね」
晩翠凍衿:「……はい」頷く。
天花寺アスカ:「……自慢ではないけれど、僕はこれでも、顔は広いほうでね」
天花寺アスカ:「学院以外にも知り合いは多い。その中でも、特別な知り合いというものはいる」
晩翠凍衿:「特別?」
天花寺アスカ:「うん。一言で言えば、僕と同じように、人より少しばかり長生きしている手合いさ」
晩翠凍衿:「ああ……そういう」
天花寺アスカ:「そういう長命者同士、まあ、ある種の緩いコミュニティというか、ネットワークのようなものがあってね」
天花寺アスカ:「本当に緩々で、リーダーのようなものもいないし、別に定期的に集まったりするわけでもないけれど」
天花寺アスカ:「でも時々会っては、長生き同士、同じ苦労や役立つ情報なんかを交換しあうわけさ」
晩翠凍衿:「なんだか想像がつかないですね」本当に想像がつかない。
晩翠凍衿:(アスカさんみたいなのが複数人で集まって喋るの……?成立する……?)
晩翠凍衿:(いや別に全員こんなだってわけじゃないだろうけど……)
天花寺アスカ:「そうかもね。そうだな……同じ街で暮らしていれば、偶然知り合いに出くわすことってあるだろう?」
晩翠凍衿:「ええ、まあ」
晩翠凍衿:「それと似たようなものと?」
天花寺アスカ:「うん。長く生きていると、そういう機会も当然人より多くなるわけだ」
天花寺アスカ:「そうやって偶々出会った時に、あの地区の情勢はこう、他の連中はどうしてるか……そういったことを話すわけさ」
晩翠凍衿:(散歩中に会ったお年寄りの会話みたい……)
晩翠凍衿:「散歩中に会ったお年寄りの会話みたい」思ったまま口に出す。
天花寺アスカ:「実際そうなのだけれど……ひどくないかい?」
晩翠凍衿:「……すみません。つい」小さく頭を下げて。
天花寺アスカ:「……でも近頃、そういう長命者が、次々と姿を消していてね」
晩翠凍衿:「消える……というと」
天花寺アスカ:「元々、ふらっといなくなったり、数十年単位で会わなかったりがザラな界隈ではあるけれど」
天花寺アスカ:「でも、分かっているだけで、ここ一年で、この街の長命者が十人近く姿を消してる」
天花寺アスカ:「元々、長命者なんてそう多くはない。これは明らかに異常な数だ」
天花寺アスカ:「把握していない分を考えれば、もっと多いだろうね」
晩翠凍衿:「……うーん。それは確かに」
晩翠凍衿:「で、何かが起こっているようだ、と」
天花寺アスカ:「ああ。明らかに、何者かの意図が絡んでいる。それに」
天花寺アスカ:「言っては何だが、長命者なんていうものは、長すぎる生で価値観が凝り固まった世捨て人か、妙な方向に捻じ曲がった変わり者しかいない」
天花寺アスカ:「そんな連中が失踪して、どこかに集まって皆で仲良くやっている……なんていうのは、僕には少し考えづらいね」
天花寺アスカ:「僕は十中八九、彼らは拉致・監禁されているか、既に何らかの形で殺されていると考えている」
晩翠凍衿:(妙な方向に捻じ曲がった変わり者……)まじまじと目の前の、少女の姿をした長命者を眺めて。
晩翠凍衿:「……こほん。それで、お願いっていうのは?」
天花寺アスカ:「うん。凍衿にはこのことを、僕に代わってUGNに伝えてほしいんだ」
天花寺アスカ:「帰属意識があるわけでもないけど、同類が減っていくのを静観するのは忍びないし……」
天花寺アスカ:「それにこのままじゃ、僕も危なそうだしね」
天花寺アスカ:冗談めかして笑って、紅茶を口に運ぶ。
晩翠凍衿:「はあ……まあ、それはいいですけど」
晩翠凍衿:なぜ自分で伝えないのか、とは訊かない。当の組織内で、天花寺アスカの評価が芳しくないことはよく知っている。
晩翠凍衿:「それだけでいいんですか?」
晩翠凍衿:「実際、本当に危ないんじゃないですか、アスカさん」
天花寺アスカ:「うん?ああ……」
天花寺アスカ:「心配してくれるのかい?」
晩翠凍衿:「…………」
晩翠凍衿:僅かな間、口にすべき言葉を探すようにして。
晩翠凍衿:「……ふん。まあ、もしアスカさんがいなくなってくれたら、あの学院もちょっとはまともになるかもしれないですね」
晩翠凍衿:最終的に喉から出てきたのは、お返しのように冗談めかした言い草。
天花寺アスカ:「ひどいなあ」くつくつ笑って。「凍衿が四六時中護衛してくれると言うなら、大歓迎だけどね」
晩翠凍衿:「あはは。まあ、そこまで行かなくても」紅茶を一口飲む。
晩翠凍衿:「別に、落ち着くまで保護するとか……それくらいは、うちの支部ならできるんじゃないかと思いますけど」
天花寺アスカ:「気持ちは嬉しいけどね」カップを置き。
天花寺アスカ:「どうにもそこまで、あの組織に身柄を預ける気になれなくてね」
天花寺アスカ:「ただ、組織力に関しては信用しているからね」
天花寺アスカ:「報告のほうはよろしく頼むよ」
晩翠凍衿:「むう。どうしてそう嫌うのか知りませんけど、結構まともな活動してると思いますよ……?」過去にあったのかもしれない遺恨に思いを馳せる——ような気の利いたことはできない。
晩翠凍衿:「まあ、承りました」
晩翠凍衿:また紅茶を口にして。「それで、あたしがいつもみたいに、ちゃちゃっと解決してあげますから」
天花寺アスカ:「頼りにしているよ」紅茶を飲み干し。
天花寺アスカ:時計を確認して、「まだこんな時間か……」
天花寺アスカ:「デートでもする?」
晩翠凍衿:「はいはい。それはまたの機会に」
晩翠凍衿:「あたしも、日課のお散歩に付き合うほど暇じゃないので」
晩翠凍衿:紅茶を飲む。……飲み干す。
天花寺アスカ:「それは残念だなあ」
天花寺アスカ:「楽しみにしていたのに。本当だよ?」
晩翠凍衿:何故だか、妙に喉が渇くような気がする。落ち着かない感覚。だが、それが何に由来するのかはよく分からない。
晩翠凍衿:「……だったら、誘い文句はもうちょっと工夫してくださいね」
晩翠凍衿:それでも、表向きはいつもの調子が戻ったように。
晩翠凍衿:「“でもする”って何ですか、一体」
天花寺アスカ:「おや、意外とロマンチストなんだね」
天花寺アスカ:「次のチャンスまでに考えておくとするよ」
晩翠凍衿:「アスカさんが雑なだけでしょ……いくらでも相手を見繕えるからって」
晩翠凍衿:「まあ、精々期待しておきます。それまでまた変な事件とか起こさないでくださいよね」
天花寺アスカ:「気を付けるよ。また凍衿に怒られたくはないからね」
晩翠凍衿:「本当に。怒るじゃ済まなくなる可能性だってあるんですから……」
晩翠凍衿:「……気を付けてくださいよ?」
天花寺アスカ:「大丈夫。それじゃあ、危なくなったら君を呼ぶよ」
天花寺アスカ:「だから急いで駆け付けておくれ?僕はか弱いからね」
晩翠凍衿:「……知ってます」苦笑する。
晩翠凍衿:「その時は、ちゃんと」
晩翠凍衿:「…………半分全速力ぐらいで助けに来てあげますよ」
天花寺アスカ:「ああ」嬉しそうに笑って。
天花寺アスカ:「待っているよ」
GM:---
GM:シーン終了。
GM:ロイス取得が可能です。
晩翠凍衿:天花寺さんには固定で取ってるので無し!
【Middle1】
GM:ミドル1、合流シーンです。全員登場!
雨宮 さざめ:1d10+42
DoubleCross : (1D10+42) → 4[4]+42 → 46
晩翠凍衿:晩翠凍衿の侵蝕率を+6(1d10->6)した(侵蝕率:41->47)
八十方織間:八十方織間の侵蝕率を+3(1d10->3)した (侵蝕率:46->49)
GM:---
GM:長命者殺害事件。捜査に当たり招集されたのは、八十方織間、獅子堂奈乃の二人のチルドレン。
GM:そしてエージェントである、雨宮さざめだ。
GM:食事を終え、支部の会議室で待機する二人のもとに、雨宮さざめが足を運んだ。
雨宮 さざめ:「失礼致します」と室内へ。椅子の傍で足を止め、軽く一礼し
八十方織間:「お疲れさまです」 今度は最初から立って、雨宮さんを迎える
獅子堂奈乃:「おや、こんにちは」座ったまま軽く一礼。
雨宮 さざめ:「〝惨殺装置〟雨宮 さざめ、所属支部は無し。任務と伺いまして、参りました」頭を上げた後も、椅子に座らぬままで立っている
八十方織間:「"リカオンズNo.2"、"テイルバイト"。八十方織間です。ご足労ありがとうございます、雨宮さん」
雨宮 さざめ:「りか…………ええと」
雨宮 さざめ:「はい、八十方さんですね。よろしくお願い致します」カタカナ語を諦めて再度の一礼をしつつ
獅子堂奈乃:「“シャーデンフロイデ”獅子堂奈乃です。ご丁寧にどうも……お座りになられてはいかがですか?」
雨宮 さざめ:「些か、物騒な事件と聞きまして──ああ、いえ」座れとの提案には軽く首を振り、
雨宮 さざめ:「この方が楽なのです。お見苦しいやも知れませんが、どうかお心使いなく、獅子堂さん」
雨宮 さざめ:目を糸のように細めたまま、微笑みを返す。
八十方織間:「了解しました。会議の時は座らねばならない、という規律もありません」
獅子堂奈乃:「おや、そうですか。ええ、でしたらご自由に」特に気にした様子もなく頷く。
雨宮 さざめ:「……しかし、ふむ。狙ったものか、図らずかは存じ上げませぬが、みな殆ど同世代のご様子」
八十方織間:「そのようですね。まあ、年齢なぞものの数でしかありませんから」
八十方織間:「自分より若輩で戦歴あるもの、自分より年長で覚醒するもの、どちらも珍しくはありません。お互い、気を使わずにやっていきましょう」
獅子堂奈乃:「堅苦しいですね先輩は……却って気を遣ってしまいますよ」
雨宮 さざめ:「とは仰いますが……あまり〝びじねすらいく〟では息が詰まりますもの。ええ、獅子堂さんの仰る通り」
雨宮 さざめ:「なんとなれば、私も先輩とお呼びした方がよろしいものでしょうか──と」
獅子堂奈乃:「……」
雨宮 さざめ:「……ええと。見た目ばかりで判断してしまいましたものの。年上でいらっしゃいますか?」
八十方織間:「いえ。自分は十八です。未だ高校生の身でして」
雨宮 さざめ:「あら、ならば大きく間違えてはおりません。私は星辰館の二年生でございますから」
雨宮 さざめ:「……では、同じ任務に当たる方に揃える形で、八十方先輩とお呼びしましょうかしら」
八十方織間:「それは」「……成程」 落ち着いた物腰、古風な口調、エージェントという肩書きで完全に先入観を持っていた
獅子堂奈乃:「いえ」かぶりを振る。「先輩などと呼ぶほどの方ではありませんよ、先輩は」
獅子堂奈乃:「ただ、八十方と。それで十分かと」
雨宮 さざめ:「いえ、殿方を呼び捨てにするのはどうにも、慣れておりませぬもので……」
雨宮 さざめ:「それに私も、たまには普通の学生のようにはしゃいでみたいのです」
八十方織間:「……」 恐縮した様子を見せていたが、獅子堂にそう言われると、それはそれで僅かにムッとした様子になり
八十方織間:「……そういう事情もあるのだったら、呼びやすいように。俺がそうと認識できれば、応答します」 少し口調から硬さが抜ける
晩翠凍衿:そこへ、がちゃりと扉を開けて、また新たな人物が現れる。
晩翠凍衿:「失礼します。こちらで作戦会議中と伺って参りました」
雨宮 さざめ:「ご理解感謝します、八十方先輩──あら」扉の方へと視線を向ける。
獅子堂奈乃:「……おや?」
八十方織間:「お疲れ様で……」
獅子堂奈乃:「……こんにちは。お聞きしていた人員は三人というお話でしたが……?」
晩翠凍衿:「第五支部、“スワッシュバックラー”晩翠凍衿です」
晩翠凍衿:「長命者を狙った事件が起きているらしい、と報告したところ、こちらの任務に加わるよう指示を受けまして」
晩翠凍衿:「……ここで間違いありませんよね?」
八十方織間:「なるほど。それは確かに範囲が重なるな……失礼。"リカオンズNo.2"、"テイルバイト"。八十方織間」
獅子堂奈乃:「ええ、間違いありません。獅子堂です。よろしくお願いします」
雨宮 さざめ:「雨宮 さざめです」一礼の後「……初動の段階で追加の人員とは。珍しいとは申しませんが、常の事でもございませんね」
雨宮 さざめ:「ちょうど今、お互いの年齢など聞いていたところです」
晩翠凍衿:「よかった。よろしくお願いします」滑らかな動作で一礼する。
雨宮 さざめ:穏やかな微笑みを浮かべたまま、些かのんびりとした声音で「少なくともそちらの八十方先輩が、年上だとだけは分かりました」
獅子堂奈乃:「…………」微かにムッとした表情。
八十方織間:「……」 本当に先輩呼びになるのか、と表情を変えずに動揺している
晩翠凍衿:「あ、じゃあ隊長はそちらに?」
晩翠凍衿:「たぶんあたしよりも上ですよね。17ですけど」
八十方織間:「……確かに俺は18だ。しかし、それだけでリーダーシップを張るのも不適切だろう」
獅子堂奈乃:「ええ、まさしく」深々と頷く。
八十方織間:「人数もこれだけで、事件規模、内実も不透明であれば、無理に誰かが先頭に立つことは……」
雨宮 さざめ:「あら、17歳なら私と同い年ですね!」と、ちょっと嬉しそうに声を弾ませ、
雨宮 さざめ:「……ちなみに、獅子堂さんは?」
獅子堂奈乃:「……16です」やや歯切れ悪く。
晩翠凍衿:「年下だ」
雨宮 さざめ:「ふむふむ」にこにこしながら頷いて、
獅子堂奈乃:「……」その話題はスルーし。「報告や方針決定に指揮は必要でしょう。ここは正規エージェントの雨宮さんにお任せしましょう」
雨宮 さざめ:「ふむ。確かに、誰かが先頭に立たねばならない、という事もありませんが──あらっ?」きょとんとした顔。
雨宮 さざめ:「……そういえば、そうなのですね。私、えーじぇんとなのでした」
八十方織間:「……それも道理だ」 頷く 「連絡については雨宮さんに任せるのがスムーズだろうからな」
晩翠凍衿:「へえっ。そうなんだ」
雨宮 さざめ:「ふぅむ」目を開き、少しばかり真面目な顔。黒目がちな、瞳の大きい眼。
雨宮 さざめ:「……むむ、苦手分野なのですが仕方が有りません。では、その……連絡係は引き受けますので……」
雨宮 さざめ:「……後でどなたか、通信端末? の、操作方法など教えてくださると……」消え入りそうな声
八十方織間:「必要以上の手間は取らせません。ただいざという時の流れを整理して……」
八十方織間:「……」 その発言に、口を僅かに開いたまま停止する
獅子堂奈乃:「……」大丈夫でしょうか?という視線を先輩に送る。
八十方織間:目を閉じ、首を縦にも横にも振らない。そんなのこっちも知りたい
雨宮 さざめ:「……………………」無言のまま、和服の裏に縫い付けたポケットから私物の携帯電話を取り出す。お年寄り向けのらくらくフォンである。
雨宮 さざめ:「……戦う方は! 得意ですので!」
晩翠凍衿:「戦うのはあたしも得意だけど……」
晩翠凍衿:「それ昔の携帯……?初めて見たかも……」
雨宮 さざめ:「うふふふふ……すまぁとふぉんは諦めたのです。いつか覚えますのでご心配なく」
八十方織間:眉間を揉む。自分も完全に武闘派だが、口に出しても不安が増すだけだ
雨宮 さざめ:「はい。それよりも、はい! 失礼致しました、脱線させてしまいましたね、ではまずお聞きしたいのですが──」
雨宮 さざめ:誤魔化すように少し大きな声を張り、……それから、型で量産したような出来のよい微笑みに戻る。
八十方織間:「まあ、そうだな。敢えて流れを硬く決めず、臨機応変に行くというので良いんじゃないか。決めないということを決めるのも肝要なことだ……」
晩翠凍衿:「異議なしでーす」
雨宮 さざめ:「そう、臨機応変でございます。八十方先輩の仰る方針を採択致しましょう、して」
雨宮 さざめ:「……八十方先輩は、〝被害者〟を既に御覧になったのでしたか?」
八十方織間:先輩で行くんだな……と僅かに落ち着かない表情になっていたが、事件の話に戻ればすぐにそれは引き締まる
八十方織間:「見た。俺とこの、獅子堂はな。霊安室にあるので、実物を見ることは二人も可能だろう」
獅子堂奈乃:「はい。では、私から事件の概要を」
晩翠凍衿:姿勢を正して聞く。
獅子堂奈乃:報告書を読み上げるような朗々とした口調で、ここまでの事件のいきさつを話す。特に死体の様子に関しては、怪奇小説もかくやという克明さで。
獅子堂奈乃:「……ということです。後で実物もご覧になりますか?」
雨宮 さざめ:「拝見しましょう。骸の傷口は、下手人の手がかりとなります」
雨宮 さざめ:「……ふぅむ、しかし腹が空と」
八十方織間:厳しい表情が、気持ち獅子堂さんに向いている 余計な表現が多分に含まれていたことに物申したいのだ
獅子堂奈乃:どこ吹く風で別方向を見ている。
晩翠凍衿:「古代種オーヴァードの内臓ねえ……」猟奇的描写は特に気にしていない。
雨宮 さざめ:「臓腑ばかり狙うとなれば、そういう獣の存在を思い浮かべる所ですが。傷口に唾液ですとか、体液の付着は有ったのでしょうか……?」
獅子堂奈乃:「そういった報告は、今のところありませんね」
八十方織間:結局小言は口にせず切り替えて 「穴自体は本当にぽっかりと。綺麗なものだった」
獅子堂奈乃:「ええ。傷口も一致しているので、やはり何らかの刃物を用いたのではないかと」
雨宮 さざめ:「……ふうむ」
雨宮 さざめ:「内臓や血が欲しかったのでしょうか……」
晩翠凍衿:「あれかな。人魚の生き肝的な」
獅子堂奈乃:「古代種の肉を食べれば長寿が手に入ると……」
獅子堂奈乃:「確かにそう考える人がいてもおかしくはありませんね」
八十方織間:「根拠なき妄想だが、生憎それに基づいて人間が動くことは珍しくもない」
獅子堂奈乃:「しかし、そう簡単なお話なら私も一口頂きたいくらいですね」
八十方織間:「……獅子堂」 たしなめるように
獅子堂奈乃:「すみません」目を閉じる。
晩翠凍衿:「これだけたくさん襲ってるんだから、一口じゃ足りないんじゃないの?」
雨宮 さざめ:「気持ちは分かります。美しいまま、強い体のままであり続けることは理想──と」
雨宮 さざめ:「……ふむ、なるほど」感心したような顔をして晩翠さんの方を見る
八十方織間:「晩翠、雨宮まで……」 こめかみを押さえ
晩翠凍衿:「あ、でもちゃんと持ち帰ってるのはジャームっぽくないかな……」
晩翠凍衿:「? どうしました?」不思議そうな顔。
獅子堂奈乃:「そう、晩翠さん……でしたね」
獅子堂奈乃:「先程からのその口振りでは、他にも同じような事件が?」
八十方織間:「ああ。長命者を狙った事件が起きているらしい、と言っていたな」
晩翠凍衿:「ああ、そうそう」
晩翠凍衿:「ええと……」
雨宮 さざめ:「私は仔細をまだ聞いておりませんが……じゃーむらしからぬ手口である、と」
雨宮 さざめ:「それは、是非にお聞きしたくおもいます」
晩翠凍衿:「……ちょっと個人的に、古代種の知り合いがいるんですけど」やや顔を顰めて。
晩翠凍衿:「その人が、最近、縁のあった同族を見かけなくなってきている、と」
雨宮 さざめ:「……長命の、永き時を生きる方々の尺度で〝最近〟とは……?」
晩翠凍衿:「ここ一年、と言ってました。把握しているだけで十人近くとも」
雨宮 さざめ:「まぁ……」
獅子堂奈乃:「即ち、発覚していない、もしくは関連性を認められていなかった事件が、他にもあったということですね」
八十方織間:「十人すべてが事件に巻き込まれていれば、だな」
獅子堂奈乃:「予想より大きな規模の事件のようですね……我々だけで手が足りるでしょうか?」
晩翠凍衿:「これは情報提供者の推測ですけど」
八十方織間:「聞かせてほしい」
晩翠凍衿:「性格から考えても、自発的にいなくなったとは考えにくい。攫われて監禁でもされているか、あるいは既に殺されているかだろう、と」
晩翠凍衿:「……あたしは、実際に殺された人がいることは知りませんでしたけど。こういう任務が出されてるとなると、本当なんですかね」
八十方織間:腕を組み 「事実として死体が上がっているからな。その、情報提供者の方にも、都合がつけば話を聞く価値がありそうだ」
雨宮 さざめ:「……これまでは、的確に亡骸を〝処理〟してきた何者かが。心変わりか不慮の事態で発覚したという事はあるでしょう」
獅子堂奈乃:「その方、どのような方なんですか?」
八十方織間:「手口と状況まで知れれば、また別の手がかりが得られるかもしれない。個人的な知り合い、ということだが……」
晩翠凍衿:「えっ」
雨宮 さざめ:「ならば、ええ。獅子堂さんの仰るように人手も足りぬところ。情報提供者とは……」
晩翠凍衿:「どのような……どのような……?」
雨宮 さざめ:「……複雑な方なのですか?」
晩翠凍衿:女生徒をたらし込むのが大好きな土地神で既に二度レネゲイド絡みの事件を起こしている、などとはまさか言えない。
獅子堂奈乃:「……晩翠さん……?」
八十方織間:「性別、年齢……いや、古代種の場合は実年齢と外見年齢があるか。まあどちらでもいい。それと職業とか、性格、素行……」
晩翠凍衿:「ええーっ……と……」
晩翠凍衿:「そう、ちょっと複雑と言うか……」
八十方織間:「…………」 眉をひそめる。言葉に窮するような、よからぬ関係なのだろうか? という疑い
晩翠凍衿:「変わり者で……あ、見た目はあたしくらいの学生なんですけど……」
雨宮 さざめ:「ふむふむ、同じくらいの」頷きながら聞いている。
晩翠凍衿:「……それで、そう、変わり者だけど、基本的には善良だと……思います……」
晩翠凍衿:「この街の……若者のことを……日頃からとても気にかけているので…………?」
晩翠凍衿:物凄く言葉を選んで喋っている。
八十方織間:目線は険しい
雨宮 さざめ:「なるほど、親切な方でいらっしゃるのですね」
雨宮 さざめ:「それで、同じくらいの年代の学生のような──あら、とても気になります。お友達になれるでしょうか……」
晩翠凍衿:「親切……うん、そう、親切かも」
獅子堂奈乃:「……そうですか」何かありそうなのを察して、頷く。
晩翠凍衿:「知り合ってすぐの頃、良くない人たちに絡まれてる時に、穏当に助けてくれたりもしたし……」
雨宮 さざめ:「ほうほう。それはますます、お会いするのが楽しみですね」
雨宮 さざめ:「……ふふ。私、お友達をたくさん作るのに憧れているのです。どんな方かしら」
晩翠凍衿:「ちょ……ちょっと忙しい人だから、すぐ会えるかどうかは分からないけど!」
雨宮 さざめ:「そうなのですか……」少ししょげたように背中を丸める。
晩翠凍衿:「うん、機会があったら紹介するね……機会があったら……」
雨宮 さざめ:「……あ、でも。お友達が欲しいのは、なにも、まだ出会っていない方ばかりではありませんよ?」
雨宮 さざめ:と背中を伸ばし直して、
雨宮 さざめ:「ね?」と、晩翠さんへ、握手を求めるように右手を差し出す。武術家のごつごつとした、幾度もの打突を繰り返した手。
晩翠凍衿:「ん?ああ、はい」無造作に応じて手を触れ合わせる。
晩翠凍衿:「よろしくね、雨宮さん。皆も」
雨宮 さざめ:「ふふ。同世代の方と関わる機会が少なくて。私、これでも少し浮かれているのです」応じてもらえた手を軽く握って楽しそうにしながら、
雨宮 さざめ:「獅子堂さんも」と、空いている左手を差し出す。
獅子堂奈乃:「えっ……? あ……」いかにもそういった触れ合いに不慣れな様子で、黒手袋に覆われた手を差し出す。
雨宮 さざめ:「晩翠さんに、獅子堂さん。折角のご縁なのです、どうか仲良くしてくださいね」少しの間、握った手を上下に、子供がやるように揺らして──放し、
雨宮 さざめ:「……と」
八十方織間:「……友誼を結ぶのは止めないが、何よりもまず任務ありきだ」
雨宮 さざめ:「ええ、それは勿論。……けれど、お互いにお互いを憎からず思うことは、戦いの為にもなりますかと」
雨宮 さざめ:「ですから、八十方先輩も」
雨宮 さざめ:離した右手を差し出し、ニコニコと微笑む。
八十方織間:「あまり気を抜いたりはしないよう……む」
八十方織間:にわかに硬直し、瞬きを挟んで雨宮さんの表情と手を見るが
雨宮 さざめ:「この手は普段、暗器を隠し持ちます。それを今、こうして開いております」
雨宮 さざめ:「私に敵意は無く、あなた達と道も志も共にしたい。その意志の表明である、と思ってくださいませ」
八十方織間:「分かった」
八十方織間:その言葉を聞けば、静かに頷いて、まっすぐに手を差し出し、握る
獅子堂奈乃:「…………」
八十方織間:筋電義手は、常人が少し触れたくらいでは分からない程度に肌と肉の触感を偽装しているが、逆に言えばそれだけでもある 勘があればその内側の無機質さには気づけるだろう
八十方織間:「ひとまずは、事件を解決するまで。よろしく頼む、雨宮」
雨宮 さざめ:手を握り返し──指の奥に伝わる感触を知る。人体の構造は、特に戦いに必要な部分は良く知っている故に、
雨宮 さざめ:「よろしくお願い致します──あら」
雨宮 さざめ:ちょっと指の力を強めてみたり弱めてみたりで、手の奥の感触を探りつつ
雨宮 さざめ:「……これは、はて。余程に熟達した絡繰り技師でもいらっしゃるのでしょうか」
八十方織間:「!」 不意の所作に、僅かに目を見開き
八十方織間:「……あ、ああ。絡繰り……まあ、義肢でな。日常にも馴染むものになっている。出来が良いだろう」
八十方織間:「心得のある者には簡単に見透かされるものだが、そんな者はそうそういない」
雨宮 さざめ:「ええ、本当に見事な。これはまるで、ほぼ生身の肉と変わらず──晩翠さん、晩翠さん。凄いですよ」空いている片手で晩翠さんを手招きする
晩翠凍衿:「えっなになに」二人を見比べながら寄っていって。
八十方織間:「……!?」 想像していない流れに目を見張って固まる
雨宮 さざめ:「あちらの手、あちらの手。左手が空いてらっしゃいます」
晩翠凍衿:「うん」示されるがままに八十方さんの左手を取る。
八十方織間:「えっ……あっ……」
晩翠凍衿:そして気付く。「あっ生身じゃないんだ……!?」
晩翠凍衿:「すごい……全然わかんなかった……!」
雨宮 さざめ:「そうなのです。まったく驚きました、見た目で分からず触れても直ぐには分からず……なんという精度でございましょうか」ずっと掴んだままの手をぐにぐにしている
八十方織間:されるがままである。 『両手を別の女子とつなぐ』 これは八十方の人生においてシルバーランクくらいの実績に当たる……!
晩翠凍衿:同じく無遠慮に両手で掴んで揉み解すようにする。
獅子堂奈乃:「……………………」凍てついた湖のような視線。
獅子堂奈乃:「何を鼻の下伸ばしているんです?不快です」
八十方織間:「おっ、ん……んんッ……!」 浅く咳払いし
雨宮 さざめ:「あら、獅子堂さん。そんな事を言うものではありません、端正なお顔ではありませんか」
獅子堂奈乃:「どこがです?欲に溺れる浅ましき獣そのものでしたよ」
八十方織間:「そう、そうだな。雨宮の言う通り、これは確かなぎじつしゃの手入れのおかげで……」
晩翠凍衿:「ぎじつしゃ」
獅子堂奈乃:「ほら、ひどく動揺している」
雨宮 さざめ:「背丈もあり、力も強そうで。羨ましい程にございますとも」
八十方織間:「…………伸ばしてなどいない。別に。手を検められたくらいでな」
八十方織間:「伸ばしていないぞ、獅子堂」 どうにか表情を引き締めて
獅子堂奈乃:「ふぅん」目を細めて。
獅子堂奈乃:「別に、私には関係の無い事ですが。いくらでもお伸ばしになったらいかがです?」
獅子堂奈乃:「それより任務のお話を」
八十方織間:「そうだ。浅ましい獣などではなく……伸ばしてもいない……」
八十方織間:「……それだ」 二人の手をやんわりと離して 「任務だ」
雨宮 さざめ:「あら、残念」と、離れた手へ冗談めかして言いながら「……ええ、そればかりは忘れておりませぬ」
晩翠凍衿:「はあい」十分堪能して引き下がる。
雨宮 さざめ:「こうして友誼を結びましたならば、もう怖い物とてなにも無し」
雨宮 さざめ:「皆様どうか、無事の解決までよろしくお願い致します」
八十方織間:落ち着きない自分を落ち着かせるように、背筋を伸ばして姿勢を正す
八十方織間:「……獅子堂も少し言っていた通り、事件規模によっては俺たちの手には余る可能性もある」
八十方織間:「素早く初期調査を進めて、全体像を割り出す。まずはそこを目標にして行こう」
獅子堂奈乃:「はい。皆さん、よろしくお願いします」
晩翠凍衿:「了解。頑張りましょう」にっこりと笑いつつ、胸中で安堵。
晩翠凍衿:(……よし、何とか深く追及されずに済んだ……!)
GM:---
GM:シーン終了。
GM:ロイス・購入可能です
雨宮 さざめ:ロイス!
雨宮 さざめ:晩翠 凍衿 ○好意/隔意
雨宮 さざめ:八十方 織間 ○憧憬/疎外感
雨宮 さざめ:獅子堂奈乃 ○親近感/疎外感 で一気に枠完成!
八十方織間:雨宮さざめ ○親近感/困惑
晩翠凍衿:雨宮さざめ 〇連帯感/不安 で。
晩翠凍衿:テクノロジー適性も不安なら天花寺さんに会わせるのも不安なのだ……。
八十方織間:購入は応急の手当!
八十方織間:いや嘘。UGNボディアーマー
八十方織間:1dx+1=>12
DoubleCross : (1R10+1[10]>=12) → 5[5]+1 → 6 → 失敗
八十方織間:以上!
晩翠凍衿:購入はこちらも応急手当を
雨宮 さざめ:購入は強化ビジネススーツ、目標19
雨宮 さざめ:5dx+3>=19
DoubleCross : (5R10+3[10]>=19) → 10[1,3,6,9,10]+9[9]+3 → 22 → 成功
晩翠凍衿:2dx10>=8
DoubleCross : (2R10[10]>=8) → 10[8,10]+1[1] → 11 → 成功
雨宮 さざめ:……財産まるっと残してしまった
雨宮 さざめ:装備して以上!
晩翠凍衿:やりおる。こちらも確保して以上!
【Middle2】
GM:ミドル2、情報収集シーンです。
GM:シーンPCは雨宮さん、全員登場可能。
雨宮 さざめ:1d10+46
DoubleCross : (1D10+46) → 4[4]+46 → 50
八十方織間:八十方織間の侵蝕率を+8(1d10->8)した (侵蝕率:49->57)
晩翠凍衿:晩翠凍衿の侵蝕率を+10(1d10->10)した(侵蝕率:47->57)
GM:---
GM:項目はこちら!
・長命者連続殺害事件について
・市内の長命者について
・犯人について
GM:技能はいずれも情報:UGN 難易度8です。
GM:いや待たれよ
晩翠凍衿:何っ
・長命者連続殺害事件について 難易度7
・市内の長命者について 難易度6
・犯人について 難易度8
GM:こうしましょう
晩翠凍衿:なるほどね
GM:では判定どうぞ!
雨宮 さざめ:では、犯人についてをいただきます
雨宮 さざめ:固定値5あるので
八十方織間:市内の長命者について!
晩翠凍衿:では連続殺害事件について
八十方織間:3dx+2=>6
DoubleCross : (3R10+2[10]>=6) → 10[2,4,10]+8[8]+2 → 20 → 成功
雨宮 さざめ:コネ:UGN幹部を使って情報:UGN
八十方織間:分かり過ぎちまった……
雨宮 さざめ:7dx+5>=8
DoubleCross : (7R10+5[10]>=8) → 10[1,5,6,8,8,9,10]+4[4]+5 → 19 → 成功
晩翠凍衿:コネUGN幹部!
雨宮 さざめ:ばっちりわかりました
晩翠凍衿:4dx+2>=8
DoubleCross : (4R10+2[10]>=8) → 10[2,3,9,10]+7[7]+2 → 19 → 成功
八十方織間:あっワシもUGN幹部のコネを使っています
GM:なんだこいつら
晩翠凍衿:当然の結果……
GM:なんて優秀なチームなんだ
雨宮 さざめ:これが正規人員の力……
八十方織間:ま、我々エリートチームの手にかかればこれくらいはね
GM:では情報開示します
・長命者連続殺害事件について
古代種を始めとした長命のオーヴァード達は、既に相当な数が失踪している。
遺体が発見されたものだけで、少なくともここ数年で6件。
いずれも当時は犯人も身元も判然とせず、相互に無関係の迷宮入り案件として処理されたようだが、うち2件に関しては、今回発見された遺体と同じような刺し傷があったようだ。
・市内の長命者について
市内で確認されている長命者は多く、UGNに所属していない者だけでかなりの数がいる。
当然全てを管理しきれる筈もなく、戸籍が無い者、職や住所が不定の者も多く、それが一連の事件発覚の遅れに繋がった。
UGNの未登録者名簿の中には、天花寺アスカとアデレード・アイゼンステインの名前もある。
・犯人について
独特の傷痕について調べたところ、あるFHエージェントの特徴と一致した。
“アーティフィシャルリーチ”。
非常に用心深いらしく、複数のセルを転々としており、UGNに中々尻尾を掴ませない。
女性であり、名の発音は『ジョウジマ トウコ』、体格は小柄、というところまではデータにある。
詳細は不明だが、独自の武器を用いて敵に大量出血を強いる戦法を用いるようだ。
GM:以上のことが分かりました。
GM:---
GM:市内カラオケ店 個室
GM:---
GM:それぞれ情報収集を行った君達は、一度集合してそれを共有すべく、カラオケ店を訪れた。
GM:防音設備も整っており、ここならば誰かに話を聞かれる心配もない。当然学割も完備だ。
獅子堂奈乃:「どうでしょう?進捗のほうは」ストローでメロンソーダを啜って。
八十方織間:「N市内の長命者の名簿は取れた」
晩翠凍衿:「あたしは事件の詳細を調べてきました」
雨宮 さざめ:「相応に。……下手人とおぼしき名に繋がりました」紅茶の入ったグラスを両手で持ちながら
晩翠凍衿:「あっすごい。核心じゃない」
八十方織間:烏龍茶に口をつけつつ 「……ではさきにそちらを聞こう。重要だ」
晩翠凍衿:「どうぞどうぞ」コーラをストローで吸い上げつつ。
雨宮 さざめ:「僭越ながら」グラスの中身で唇を湿らせ「……骸の傷跡とゆうじいえぬの記録を照合し、近い記録を発見しました」
雨宮 さざめ:「〝ふぁるすはぁつ〟の所属、〝あーてぃふぃしゃるりーち〟。名の表記は分かりませぬが、じょうじま とうこ……なる者ではないかと思われます」
雨宮 さざめ:「小柄ながら歴戦。特殊な武器を用い、他者を失血死させると記録には有り──」
雨宮 さざめ:「その〝独自の武器〟の形状までは分かりませんでしたが、多くの要素が合致します」
獅子堂奈乃:「やはり、FHですか」
雨宮 さざめ:「……ふむ。やはり、と?」
獅子堂奈乃:「いえ。予想と言うほどではありませんが。まあ、大抵の事件の犯人はFHなりギルドなりでしょう?」
獅子堂奈乃:「今回も多分に漏れなかったか、と思ったまでです」
八十方織間:「ああ。それに目的が不明でも、相手がFHであれば一つ確実になることもある」
八十方織間:「加減無用だ」
晩翠凍衿:「……確かに」難しい顔。
晩翠凍衿:(……旧日本軍とか狂ったお嬢様とかはレアか……そりゃそうか……)
雨宮 さざめ:「加減は苦手ですので、ええ」
雨宮 さざめ:「嬉しいことです」綻ぶような笑顔を浮かべた。
八十方織間:「ともかく、その"アーティフィシャルリーチ"には引き続きアンテナを張っていこう。俺から、良いか?」
晩翠凍衿:「お願いします」
雨宮 さざめ:「どうぞ、先輩」
八十方織間:不意にそう呼ばれると、やはり少しばかり身体が強ばるが、それはそれとして
八十方織間:バッグから資料の束を出す 「N市内で確認できている長命者のリストを確保できた。上層の知り合いが手の囘るお方で助かった」
獅子堂奈乃:「こんなに大勢……想像以上ですね」ぱらぱらと目を通す。
八十方織間:「性質からして組織に属したがらない者が多い。それでいて表社会の戸籍なんて使えないオーヴァードばかりだからな」
八十方織間:「これが総数という保証はないが、信用には足るリストになると思う」
雨宮 さざめ:「ふむ。ひとまず目を通しておきましょう」と、束になった資料のページを捲る
八十方織間:「ただ、それでもリストアップできているだけだ。定期で様子を見るなんてことはとてもできず……おかげで事件の発覚も遅れた、という所だな」
獅子堂奈乃:「次の被害者は、この中から出る可能性が高い……ということになりますね」
晩翠凍衿:「ふうん……」こちらも何気なく捲って、天花寺アスカの名のある頁で手が止まり。
雨宮 さざめ:「さりとて、そう人数が多い訳でもなし。ならば──」時をほぼ同じくして、こちらも手が止まる。
晩翠凍衿:雨宮さんの手元の様子には気付かず、再び何気ない風を装って紙束を繰りながら、言葉だけ拾って反応を返す。「……監視とか?できるかな」
八十方織間:「……何か気になることでも?」 雨宮さんに
雨宮 さざめ:「……ひとり、監視が出来ない方がいます」
晩翠凍衿:「……うん?」
獅子堂奈乃:「……と、仰ると?」
雨宮 さざめ:「アデレード・アイゼンステイン」その名だけは異国の慣れぬ響きでも、不自然さも無く舌に載せた。
雨宮 さざめ:「……奇妙な言葉を残して、行方知れずとなりました、私の……」
雨宮 さざめ:「……知人です」
獅子堂奈乃:「……雨宮さんにも長命者のお知り合いが……?」
雨宮 さざめ:「あぁ……」息を吸い込む音が、喉奥でひゅうと鳴って「知りませんでした。聞かされませんでした、長命者だなんて、でも──」
雨宮 さざめ:「でも、ええ。そう言われたなら理解はできます」
八十方織間:「……個人的な知り合いが……行方知れず、か」 口元を押さえ、思わしげな表情
雨宮 さざめ:「……強いひとです。命を奪われているとは思えない、思いたくありません、けれど」
雨宮 さざめ:「アデレードは私に言ったのです」
雨宮 さざめ:「梧桐 啓司なる男を殺して欲しいと──その日を最後に、行方が知れなくなって……」
八十方織間:「……」
獅子堂奈乃:「……殺害の依頼とは、穏やかな話ではありませんね…… ……先輩?」
八十方織間:その名と、自分の知る医師とがすぐには結びつかなかった。遅れて反応する
八十方織間:「……今、何と?」
雨宮 さざめ:「…………」俯き、膝へ視線を落として唇を引き結んでいた。が、問い直されれば
雨宮 さざめ:「え……?」
雨宮 さざめ:「ええと……その日を最後に、行方が知れなくなって」
八十方織間:眼鏡のブリッジを押し上げ 「誰を殺して欲しい、と?」
雨宮 さざめ:「…………」ただならぬ気配を知る。両手を膝から離し、掌を上に開いて、テーブルの上に置いた。
雨宮 さざめ:「梧桐 啓司、という男です」
八十方織間:「……なるほど」 聞き間違いではなかった
獅子堂奈乃:「……心当たりがおありですか?」
八十方織間:拳で頬杖をつく 「知り合いと同姓同名だ。……なのだが、さて」
雨宮 さざめ:「えっ……?」
晩翠凍衿:「……おや」
八十方織間:「だからどう、と言うのも難しいな。個人的な恨みを買っているのか……さりとて急ぐべき危機が迫っているとも思えない」
八十方織間:「俺にはそんな人には見えなかったが……」
八十方織間:後半はぼやくように
雨宮 さざめ:「……何故とは、教えてくれなかったのです」
雨宮 さざめ:「普段は落ち着き払って、私より小さく見えるくらいなのに余裕を崩さないアデレードが、あの時ばかりは取り乱して」
雨宮 さざめ:「だから、だから私、もしその人がゆうじいえぬの方針にそぐわぬならと……応じまでしたのに……」
雨宮 さざめ:微笑むように細められた瞼の間から、つうっ……と一筋涙が落ちる。
雨宮 さざめ:それを誤魔化すように袖で拭って「……ごめんなさい。私の方が、取り乱しました」
八十方織間:自分の腕を差し出し 「梧桐先生は義肢装具士だ。義肢と、ソケット……つまり身体との繋がりを診る専門家」
八十方織間:「付き合いも長い。もちろん、医者と患者の関係だ。プライベートに深く踏み込んでる訳じゃないが……信頼できる人だと俺は思う」
雨宮 さざめ:「……悪いひとには思えませんね。なら、きっと」
雨宮 さざめ:「悪いのは、アデレードなのかも知れませんね……」
八十方織間:「もしかしたら何か心当たりがあるかもしれない。ある程度情報が揃って、そうするべきだと感じたら、俺から当たることも考えよう」
晩翠凍衿:「……あー。ええっと」やや目を泳がせる間を挟んで。
晩翠凍衿:「一応確認なんですけど。その梧桐さんは、古代種とかでは?」
八十方織間:「俺の用意した書類にはなかった。そして、UGNの事情もご存知の方だ。隠し通すのは難しいと思う」
晩翠凍衿:「じゃあ完全に別件なのかな……アデレードさんが“アーティフィシャルリーチ”って感じもない気がするし」
晩翠凍衿:具体的な人物は知らないが、雨宮さんの知人なら、という考え。
雨宮 さざめ:ぐすっ、と鼻を啜る音の後で、
雨宮 さざめ:「……あっと、ごめんなさい、任務のお話しなのでした。……ええ、その方の事も気になりますし」
雨宮 さざめ:「晩翠さんの探してくださった情報も、お聞きしなければ」
晩翠凍衿:「うん。あたしは、事件の経緯を調べてたんだけど」
晩翠凍衿:「古代種殺し自体は、何年か前から起こってたみたいなんだよね」
獅子堂奈乃:「数年も……。それが、発覚していなかった?」
晩翠凍衿:「遺体が確認された6件のうち、今回上がった死体と同じような傷が見つかってるのが2件」
晩翠凍衿:「当時は、ろくに手掛かりも見つからなくて、関連付けて考えられることもなかったみたいだけど……」
八十方織間:「……相当に周到だな」
晩翠凍衿:「……他の4件はどうだったの?とか、この一年で急に頻度が上がってるのはなんで?とかが、気になるポイントかな……」
雨宮 さざめ:「……………………」
雨宮 さざめ:「……晩翠さんの協力者の方は」
雨宮 さざめ:「今、ご無事ですか?」
晩翠凍衿:「……縁起でもないこと言わないでよ……」少し顔を引き攣らせて、
八十方織間:「不安に思う気持ちは分かる」
雨宮 さざめ:「私は真剣です。……必要とあらば、ゆうじいえぬの保護下に入っていただくべきかも知れません」
獅子堂奈乃:「いずれにせよ、保護と調査、両方の観点から」
獅子堂奈乃:「梧桐医師と、そのアデレードさん。それに、晩翠さんの情報提供者の方とは、接触する必要があるでしょうね」
晩翠凍衿:携帯端末を懐から取り出す。「流石に、四六時中見張ってるのは無理だけど。危険を感じたら連絡してもらうように話はしてあるし」
八十方織間:「それに、これだけ周到な犯人の手口だ。逆に、一朝一夕の頻度で事には及ばない……とも考えられる。死体が発見され、身を隠す可能性もだ」
八十方織間:「獅子堂の言う通り、集められる所から情報を集めるべきだと思う」
獅子堂奈乃:「ええ。まずは……」
GM:その時、タイミングを見計らったかのように、晩翠さんの端末が着信する。
晩翠凍衿:「うーん……」天花寺アスカへの接触に関しては、やや煮え切らない態度を見せたが。
晩翠凍衿:「!」びくりと身を強張らせ、応答する。「もしもし?」
GM:着信先は天花寺アスカだ。普段メッセージアプリでのやり取りが主な彼女から、音声通話が掛かってきたことは、これまで一度も無い。
天花寺アスカ:「…………」
天花寺アスカ:通話越しに、荒い息遣いが聞こえてくる。
天花寺アスカ:「……やあ、凍衿かい?」
晩翠凍衿:「……そうですが」既に腰を浮かせている。
晩翠凍衿:「どこですか?今」
八十方織間:「……情報提供者か?」 強張った表情で、慎重に聞く
晩翠凍衿:頷きだけを返す。
天花寺アスカ:「ああ……いきなり、済まないね」
天花寺アスカ:「ちょっと……今」
天花寺アスカ:苦し気な呻き声と、恐らく走っているのであろう、揺れる音。
天花寺アスカ:「ピンチでね」
天花寺アスカ:「君に会いたいと思って」
晩翠凍衿:「どこですか」
晩翠凍衿:「どこに行けばいいんですか」
晩翠凍衿:声を張り上げたくなるのを必死に抑えている。通話口から漏れる自分の声が、“敵”の目印になっては本末転倒だからだ。
天花寺アスカ:「場所は、第五区の――」現在地を告げる。君達の居場所からそう遠くはない街中。
天花寺アスカ:「悪いけど、急いでくれるかな? レディを急かしたくは無いのだけれど」
天花寺アスカ:「血がね」
天花寺アスカ:大きく息を吐いて。
天花寺アスカ:「……沢山、出てるから」
晩翠凍衿:伝えられた現在地を繰り返して言う。仲間たちに伝えるために。
晩翠凍衿:「分かりました」
八十方織間:既に荷物をまとめている
獅子堂奈乃:職員に呼び掛けて、車を手配する。
晩翠凍衿:「丁度いいです。正にその任務のために集まってたので。すぐ行けます。だから」
雨宮 さざめ:部屋の伝票を手に取り、音を立てぬように外へ出る。支払いを先に済ませるつもりだ。
晩翠凍衿:「ほんの少しだけ、頑張ってください」
天花寺アスカ:「うん……待っているよ」
天花寺アスカ:激しく咳き込んで。
天花寺アスカ:「ああ……それとね、凍衿」
天花寺アスカ:「僕が――」
GM:鈍い異音と共に、通話は途切れる。
晩翠凍衿:息を呑む。
晩翠凍衿:それから、同室の面々を見回して。
晩翠凍衿:「……すみません。聞いてもらった通りです」
晩翠凍衿:「急がないと……」
八十方織間:「行けるぞ、晩翠」 身体を鳴らしつつ
八十方織間:「貴重な協力者を失う訳にはいかない」
雨宮 さざめ:「いつでも」支払いを済ませた証のレシートを手に、部屋の入り口の扉を開ける
獅子堂奈乃:「ええ、急ぎましょう。あと30秒で車が来ます」
晩翠凍衿:「……ありがとうございます」頭を下げ、足早に部屋を出る。
晩翠凍衿:(……大丈夫。間に合う。間に合わせる)
晩翠凍衿:(あたしは、エリートなんだから)
GM:---
GM:シーン終了。
GM:ロイス・購入可能です
雨宮 さざめ:ロイスは埋めてあるので、ここはアームドスーツを購入に行きます
雨宮 さざめ:5dx+5>=15
DoubleCross : (5R10+5[10]>=15) → 9[6,6,7,7,9]+5 → 14 → 失敗
雨宮 さざめ:財産点1を支払って残り14、先輩どうぞ♡
八十方織間:ウオーッ! ありがたすぎる……
八十方織間:ありがとう後輩……
獅子堂奈乃:雨宮さざめ……!
雨宮 さざめ:獅子堂さん、あんな酷いことばかり言ってたら八十方先輩がかわいそうでしょう……?
晩翠凍衿:ロイス……うーん今回は保留……!
八十方織間:ロイスは保留。購入は、そうなるとどうかな……
八十方織間:それこそ応急手当の取りどころか
八十方織間:1dx+1=>8
DoubleCross : (1R10+1[10]>=8) → 4[4]+1 → 5 → 失敗
八十方織間:かいもの むずかしい
八十方織間:以上!
晩翠凍衿:購入はUGNボディアーマー狙いで
晩翠凍衿:2dx>=12
DoubleCross : (2R10[10]>=12) → 7[2,7] → 7 → 失敗
晩翠凍衿:だめ!
【Middle3】
GM:ミドル3、ミドル戦闘のシーンです。
GM:シーンPCは雨宮さん、登場自由!
晩翠凍衿:晩翠凍衿の侵蝕率を+6(1d10->6)した(侵蝕率:57->63)
雨宮 さざめ:1d10+50
DoubleCross : (1D10+50) → 2[2]+50 → 52
八十方織間:八十方織間の侵蝕率を+3(1d10->3)した (侵蝕率:57->60)
GM:---
GM:第五地区 市街
GM:---
GM:天花寺からの連絡を受け、君達は現場へと急行した。
GM:到着した君達は、表通りから路地裏に向けて、夥しい血痕が続いているのを発見する。
GM:血の跡を辿っていくと、果たしてそこには、天花寺アスカと、もう一人、女の姿があった。
天花寺アスカ:「…………」
天花寺アスカ:地面に倒れ、弱々しく息をしている。全身至る所に傷を負い、制服がどす黒く染まり、周囲には血溜まりが広がっている。
晩翠凍衿:「動かないで!」
晩翠凍衿:現場に飛び込む。既に得物の大鎌を抜いた体勢。
晩翠凍衿:不意打ちなどよりも、まずは事態を停止させることを企図している。現場に視線を走らせて。
八十方織間:資料の解像度が低い写真を思い出す (倒れているのが天花寺アスカ。となるとアレは……)
天花寺アスカ:「やあ……凍衿……」
天花寺アスカ:「……来てくれたんだね」血に塗れた顔に、弱々しい笑みを浮かべる。
“アーティフィシャルリーチ”:「ひぃっ……何ですか、あなたたち……!?」
晩翠凍衿:「……遅くなりました」僅かに表情を険しくして、もう片方の女を見る。
“アーティフィシャルリーチ”:若い女だ。君達を見て、驚いたような、慌てたような様子を見せる。
雨宮 さざめ:「……小柄」
雨宮 さざめ:「なるほど、そちらの方が……ええと、ああてぃ……?」
晩翠凍衿:「“アーティフィシャルリーチ”」
雨宮 さざめ:懐から、透明な液体の入ったボトルを手に取り、蓋を開けながら「ああ、その何とかりぃちさん」
八十方織間:「情報通り。そして状況証拠も揃っている」
八十方織間:「弁明があれば後で聞く。抵抗はしないことだ」
“アーティフィシャルリーチ”:顔も服装も、ごく一般的なもの。だがその手にある武器らしきものは、あまりにも異様。
“アーティフィシャルリーチ”:かつて瀉血に用いられた、人工蛭と呼ばれる器具。それを数十倍に拡大したような武器だ。先端の刃部からは血が滴っている。
“アーティフィシャルリーチ”:「ひぇ~~っ……て、抵抗だなんて、そんな……やめてくださいよぉ……そんなつもりありませんから……!」
“アーティフィシャルリーチ”:「わ、私はですね……ただ……」おろおろと狼狽えて。
雨宮 さざめ:「……なるほど。円柱の先に剣山を貼り付けたような、珍妙な武器でいらっしゃる──ただ?」
“アーティフィシャルリーチ”:「い、今から内臓と血だけ採取したいので……ちょっとだけ、待ってていただけませんか……?」
“アーティフィシャルリーチ”:媚びたような笑みを見せる。
“アーティフィシャルリーチ”:「ご迷惑はお掛けしませんので……」
晩翠凍衿:飛びかかって斬りつける。
“アーティフィシャルリーチ”:「ひぃ~っ!」人工蛭を振るい、防ぐ。
雨宮 さざめ:「……商談決裂のようで」飛びかかる様を横に見ながら、小瓶の中身を飲み干す。
晩翠凍衿:「……元から余地も無いでしょう?」
“アーティフィシャルリーチ”:「いいい、いきなり何なんですかぁ……!」
晩翠凍衿:「八十方さんの言う通り。連行して、話はその後で聞く」
八十方織間:「交渉というのは常識が基底に共有されていてこそだ」 確かめるように、順番に手指を折り畳む
八十方織間:「あれではダメだな」
“アーティフィシャルリーチ”:「連行……あなた達、UGNの方ですか!?」
“アーティフィシャルリーチ”:「遅いですよぉ~っ……しかも、私のほうに来ちゃうなんてぇ……!」
雨宮 さざめ:「ううん。私としては、不意打ちが出来るに越した事は無かったのですが──」
雨宮 さざめ:「……ん?」
雨宮 さざめ:〝私の方〟という言葉に、ほんの僅かに眉を動かす。
“アーティフィシャルリーチ”:「じゃ、じゃあ私はこれで!追ってこないでくださ……うぎゃ!?」
“アーティフィシャルリーチ”:逃げようとした“アーティフィシャルリーチ”の脚に、高重力負荷が発生する。
八十方織間:「助かる、獅子堂!」
獅子堂奈乃:「……あまり得意ではないんですが、こういうのは」獅子堂が魔眼を展開し、逃げ場を塞いでいる。
雨宮 さざめ:「……最大速で仕留めましょう。最悪の場合は捕らえるのではなく、絶命させることも視野にいれて」
雨宮 さざめ:「何やら、嫌な予感が致します」
晩翠凍衿:「言われるまでもなく」大鎌を提げ持ってゆっくりと歩み寄る。
八十方織間:左半身を僅かに前へ出し、右の腕を上げて拳に力を込める 「抑え込もう。抵抗するなら、打って倒す……!」
GM:ミドル戦闘を開始します。
エンゲージ
“アーティフィシャルリーチ”[9]
(5m)
雨宮[9]晩翠[10]八十方[3]
GM:NPCカードが使用可能です。
獅子堂奈乃
イニシアチブで使用 ≪死神の瞳≫ 対象が次に受けるダメージを+5D10する
八十方織間:えらいぞ獅子堂!
GM:ではセットアップから!
晩翠凍衿:なし!
八十方織間:セットアップなし
雨宮 さざめ:無し
“アーティフィシャルリーチ”:無し。
GM:ではイニシアチブフェイズ。最速10で晩翠さんから。
晩翠凍衿:NPCカード使用します!
晩翠凍衿:獅子堂後輩!
GM:早速……!
晩翠凍衿:死神の瞳、自分のダメージロールに加算する扱いでいいんですよね
GM:相手にデバフがかかる感じですね
晩翠凍衿:風鳴れます……?
GM:あ~ 鳴ると思う!少なくとも今回はそう!
晩翠凍衿:わーい!では行動!
晩翠凍衿:マイナーで接敵。メジャーで《コンセントレイト:エグザイル》《貪欲なる拳》《風鳴りの爪》《浸透撃》。
晩翠凍衿:対象は当然アーティフィシャルリーチ!
GM:判定どうぞ!
晩翠凍衿:9dx7
DoubleCross : (9R10[7]) → 10[2,2,3,3,4,7,8,8,9]+10[8,9,9,9]+6[3,4,4,6] → 26
“アーティフィシャルリーチ”:ドッジ!
“アーティフィシャルリーチ”:10DX>=26
DoubleCross : (10R10[10]>=26) → 10[1,1,4,6,6,8,8,9,9,10]+4[4] → 14 → 失敗
“アーティフィシャルリーチ”:ひぇ~~っ
GM:ダメージどうぞ!
晩翠凍衿:3d10+11+2d10+5d10
DoubleCross : (3D10+11+2D10+5D10) → 20[3,8,9]+11+16[7,9]+23[1,4,10,4,4] → 70
GM:えっ嘘でしょ…………
雨宮 さざめ:すげえ
晩翠凍衿:1と3振り直し!
晩翠凍衿:66+2d10
DoubleCross : (66+2D10) → 66+11[10,1] → 77
GM:ギェ~~ッ瀕死!
獅子堂奈乃:獅子堂が大量の魔眼を展開する。独特な――肉食獣の牙を思わせる、鋭利な形状の魔眼。
獅子堂奈乃:それらが“アーティフィシャルリーチ”に殺到し、喰らい付き、動きを止める。
獅子堂奈乃:「どうぞ」
晩翠凍衿:「降参は」
晩翠凍衿:既に肉薄している。
晩翠凍衿:「喋れるうちにして」
“アーティフィシャルリーチ”:「あっあっあっ……!?」
“アーティフィシャルリーチ”:必死にガードを固めようとする。
晩翠凍衿:大鎌を振り上げる。赤色の湾曲した刃が、綿のように易々と、女の腹から背へと抜けて。
晩翠凍衿:その状態から、さらに振るう。
“アーティフィシャルリーチ”:「げ、あっ……!?」
晩翠凍衿:円弧を描くその軌跡で、鮮血と体を宙に舞わせて、
晩翠凍衿:コンクリートの地面へと、投げ捨て、叩き付ける。
晩翠凍衿:「……まだ口は利けるでしょう?」
晩翠凍衿:晩翠凍衿の侵蝕率を+11した(侵蝕率:63->74)
“アーティフィシャルリーチ”:「いっ……痛いぃぃ~~っ……!」
“アーティフィシャルリーチ”:胴が殆ど泣き別れしそうな状態から、急速に再生していく。
“アーティフィシャルリーチ”:「し……死んじゃう……死んじゃいます……!嫌ぁああ……!!」
“アーティフィシャルリーチ”:ぼろぼろと涙を零し、哀れっぽく泣き叫ぶ。
“アーティフィシャルリーチ”:「私が何したって言うんですかぁ~っ……!」
八十方織間:「……ならば逃げようとするな。立って両手を壁につけろ」
“アーティフィシャルリーチ”:「それも嫌です~~っ……!見逃してくださいよぉぉ……!!」
GM:イニシアチブ9、雨宮さんの手番です。
雨宮 さざめ:「ううん、少しかわいそうに思えてきました……」
雨宮 さざめ:「せめて苦しむ時間だけは、短くしてさしあげましょう」
雨宮 さざめ:マイナー、《猛毒の雫》。次の攻撃でダメージが1でも入れば邪毒4をプレゼントです。侵蝕52+2=54
雨宮 さざめ:メジャー、《コンセントレイト:オルクス》+《ディストーション》。対象はアーティフィシャルリーチ
GM:どうぞ!
雨宮 さざめ:7dx8+7 命中判定
DoubleCross : (7R10+7[8]) → 10[1,5,5,6,7,9,9]+5[3,5]+7 → 22
“アーティフィシャルリーチ”:ガード、≪イージスの盾≫
雨宮 さざめ:3d10+5+2d10 ダメージ、装甲ガード有効
DoubleCross : (3D10+5+2D10) → 26[7,10,9]+5+10[4,6] → 41
GM:ウギャ~~ッ
GM:41-4D10
DoubleCross : (41-4D10) → 41-23[2,10,8,3] → 18
雨宮 さざめ:うふふ
雨宮 さざめ:邪毒をどうぞ
GM:ノァーッ
GM:装甲で邪毒で死ぬ程度残りました
八十方織間:生き汚い
晩翠凍衿:おのれ装甲
雨宮 さざめ:やるな装甲
雨宮 さざめ:演出良いかしら!
GM:どうぞ!
雨宮 さざめ:「えいっ」と、やや気の抜けるようなかけ声。手の中のボトルをアーティフィシャルリーチの顔目掛けて投げ放つ。
“アーティフィシャルリーチ”:「ひぇっ!?」
雨宮 さざめ:その、さして速度もない、オーヴァードなら容易く避けられるだろう〝容器〟の材質はポリエチレンで
雨宮 さざめ:読み取れたならば。そこには「HF」と書かれている。
“アーティフィシャルリーチ”:読み取る余裕はない。人工蛭で叩き落とさんとする。
雨宮 さざめ:「……ふっ!」敵が囮に反応したのと同タイミング。腹圧を以て、先に飲み込んだ〝薬液〟を噴き出す。唇で絞られて、霧のように薄く広がった、刺激臭のある液体は、
雨宮 さざめ:ほんの数滴の接触でも激痛を産み、やがては肉を壊死させ骨を冒し、人を死に至らしめる劇物。
雨宮 さざめ:「フッ化水素」
雨宮 さざめ:「……と、言うそうでございます」
雨宮 さざめ:にこり、と微笑み、小首を傾げた。
“アーティフィシャルリーチ”:「ぎっ!?あぁああっ!!」
“アーティフィシャルリーチ”:身体に降りかかった液体、それが生む常軌を逸した激痛にのたうち回る。
雨宮 さざめ:後は、痛みで敵が倒れるのを待つだけだ。
雨宮 さざめ:侵蝕54+4=58
“アーティフィシャルリーチ”:「あぁあああっ!!痛い!!熱い……あぁああっ!!」
八十方織間:(存外に凄惨な手を使うな……だが)
雨宮 さざめ:「おーばーど、こういう時は不便なものでございますね」
雨宮 さざめ:「何せ、りざれくとで治ってしまうのですから……ふふっ」
“アーティフィシャルリーチ”:リザレクトで再生する肉が、却ってフッ化水素を内へ、内へと流し込んでいく。
八十方織間:(このまま倒れるか?)
“アーティフィシャルリーチ”:「あぁあああああっ!!」
“アーティフィシャルリーチ”:半狂乱のまま、巨大な人工蛭を君達に向ける。
晩翠凍衿:「……まだ動くわけ……!」
“アーティフィシャルリーチ”:イニチアチブ9。“アーティフィシャルリーチ”の手番。
“アーティフィシャルリーチ”:接敵している晩翠さんに≪コンセントレイト:キュマイラ≫+≪獣の力≫+≪吹き飛ばし≫
“アーティフィシャルリーチ”:10DX7+6
DoubleCross : (10R10+6[7]) → 10[1,3,3,4,6,6,8,8,9,10]+10[2,4,5,10]+10[10]+10[10]+6[6]+6 → 52
晩翠凍衿:一応ドッジ!
晩翠凍衿:2dx+1>=52
DoubleCross : (2R10+1[10]>=52) → 7[3,7]+1 → 8 → 失敗
“アーティフィシャルリーチ”:ダメージで4m強制移動、また≪毒持つ獣≫+≪ポイズンマスター≫でランク5邪毒を付与します
晩翠凍衿:ゲアーッ
“アーティフィシャルリーチ”:6D10+6
DoubleCross : (6D10+6) → 29[9,5,6,6,1,2]+6 → 35
“アーティフィシャルリーチ”:装甲ガード有効。
晩翠凍衿:装甲もガードもない!リザレクト!
晩翠凍衿:晩翠凍衿の侵蝕率を+10(1d10->10)した(侵蝕率:74->84)
GM:晩翠さんは元居た方向に4m移動、ランク5邪毒付与です
“アーティフィシャルリーチ”:「嫌ぁあああっ!!あぁあああっ!!」
“アーティフィシャルリーチ”:我を忘れた様子で、凶悪な武器――人工蛭を振るう。それは最も近くに立つ、晩翠のもとへ。
“アーティフィシャルリーチ”:密集した鋭利な刃が肉を刺し、穿ち、切り裂く。
“アーティフィシャルリーチ”:それはリザレクトでも簡単には治癒しないおぞましい傷を刻み、大量の流血を強いる。
“アーティフィシャルリーチ”:「来ないで!!痛い!!熱い……!あぁあああ……!!」
晩翠凍衿:暴れるだけの不規則な動きに、かえって下がるのが遅れた。血を散らしながら吹き飛ばされ、建物の壁に打ち付けられる。
晩翠凍衿:「ぐ、あっ……!」
GM:イニシアチブ3、八十方さんの手番です。
八十方織間:邪毒で落ちると言ったが……万一があっても困るからな 動くぞ
八十方織間:マイナーで3m前進。メジャーで《コンセントレイト:エグザイル》+《妖の招き》 対象は"アーティフィシャルリーチ"
GM:判定どうぞ!
八十方織間:7dx8+3
DoubleCross : (7R10+3[8]) → 10[2,2,3,5,7,8,9]+5[3,5]+3 → 18
“アーティフィシャルリーチ”:ガード≪イージスの盾≫!
八十方織間:2d10+13
DoubleCross : (2D10+13) → 20[10,10]+13 → 33
八十方織間:諸々有効
“アーティフィシャルリーチ”:ウグーッ
“アーティフィシャルリーチ”:33-4D10
DoubleCross : (33-4D10) → 33-28[10,7,2,9] → 5
“アーティフィシャルリーチ”:うわマジか……
“アーティフィシャルリーチ”:残りHP5
GM:戦闘不能です。戦闘終了!
GM:あれ待てよ……
GM:装甲が丁度5あるから生きてる!
晩翠凍衿:あっやっぱり
八十方織間:こっこの野郎
八十方織間:ダメージもなしか
GM:丁度0になった……!
八十方織間:踏み込み。動くのは構えていた右手……ではない。長身の影に隠していた左手。低い姿勢の動き出しから、道端に束ねて置いてあった荷物固定用のチェーンを掴む
八十方織間:「……は……ッ!」
八十方織間:肩を自ら外し、腕が伸びる。袖口から突き出た手がチェーンを振るい、"アーティフィシャルリーチ"へ打ち付ける。
“アーティフィシャルリーチ”:「ぃ、いっ……!?」
“アーティフィシャルリーチ”:咄嗟に人工蛭を振るい、チェーンを防ぐ。
八十方織間:守りを固めようとも、絡みつくそれで、もはや身動きはとれまい。そしてその身には血肉を蝕む毒がある。
“アーティフィシャルリーチ”:「はっ……離……は……な……」
八十方織間:「……大人しくすることだ。せめて動かず、静かに呼吸をすれば、痛みはマシになるだろう」
八十方織間:外れた腕を嵌め直す (生活義肢ではこの程度だな)
“アーティフィシャルリーチ”:「嫌ぁあ……!ゆ……許してください……私……いぃいっ……」
“アーティフィシャルリーチ”:ぐいぐいとチェーンを引き、必死に逃れようとするが。
GM:クリンナップフェイズ。
GM:邪毒のダメージが適用されます。
GM:誰かいたような気がしますね……邪毒を受けている人が……
八十方織間:お前じゃい!
晩翠凍衿:誰だろうな~~~
八十方織間:お前もじゃい!
晩翠凍衿:そんな……
雨宮 さざめ:さようなら
雨宮 さざめ:さようなら……
GM:死になさい!晩翠凍衿!
八十方織間:あと侵蝕上げてなかったので今上げるね
八十方織間:八十方織間の侵蝕率を+4した (侵蝕率:60->64)
晩翠凍衿:死!
晩翠凍衿:戦闘終わりだし倒れたままで……
“アーティフィシャルリーチ”:こちらも倒れます。戦闘不能、戦闘終了!
“アーティフィシャルリーチ”:「あ……あ、ぁあっ……」
“アーティフィシャルリーチ”:激痛に耐えかねて、気を失ったか。あるいはリザレクトの限界を迎えたか。
“アーティフィシャルリーチ”:地面に倒れ伏し、痙攣する。
“アーティフィシャルリーチ”:「ぎ…………あ…………」
獅子堂奈乃:「……お疲れさまでした。すぐに医療班を手配します」
晩翠凍衿:「はーっ……」
晩翠凍衿:へたり込んだ姿勢から立ち上がろうとして、果たせず、再び崩れ落ちる。
晩翠凍衿:「……ごめん。お願いします」
八十方織間:「頼む、獅子堂。負傷者は三人だ」
晩翠凍衿:受けたのはただ一撃。しかし、制服は既に過半が赤黒く染まり、体の下には血が溜まりを作っている。
天花寺アスカ:「…………」
天花寺アスカ:既に気を失っている。出血量は甚大だが、辛うじて息はしているようだ。
雨宮 さざめ:「……こちらの方が、情報提供者」
晩翠凍衿:「……そうだよ」
雨宮 さざめ:「間に合った事を喜ぶべきでありましょうか、それとも」
雨宮 さざめ:「間に合わず傷つけてしまった、と悔いるべきでしょうか」
雨宮 さざめ:「……その機微がまだ、私には分からないのです」
八十方織間:「確かなのは、3人とも怪我を治してもらわなければ困る、ということだ」
八十方織間:「その結果をどう思うかの、あるべき姿なんて大した問題じゃない」
八十方織間:「……せめてすぐ運び出せるよう準備をしておこう。傷は広げないようにな」
晩翠凍衿:「…………」無言のまま、倒れ伏す天花寺アスカを見つめる。
獅子堂奈乃:「……連絡が取れました。すぐにこちらに向かっていただけるそうで――」
獅子堂奈乃:「……先輩っ!!」
獅子堂奈乃:血相を変えて叫ぶ。
八十方織間:「何だ」
GM:同時に、巨大な真紅の槍が、八十方に向けて飛来する。
八十方織間:「……!?」 咄嗟に腕をかざす。だがそれ以上の防御反応は取れない
獅子堂奈乃:魔眼を放ち、軌道を逸らす。槍はすぐ傍のアスファルトを深々と穿つ。
晩翠凍衿:「な——」
雨宮 さざめ:「──っ」
八十方織間:「助かる!」 攻撃の発生源を探りながら、先ほど攻撃に掴んだチェーンを掴み直す
GM:硬質化した血液の槍だ。僅かに電流を帯び、脈動している。
GM:それを放った相手は、数十メートル離れた雑居ビルの屋上から、君達を見下ろしていた。
GM:40~50歳ほどの男だ。
八十方織間:影に攻撃は届かない。少なくとも今は。そして……
雨宮 さざめ:「……射程の外」ちっ、と舌打ちの音を鳴らす。針が触れ合う金属音も混ざる。
GM:君――八十方織間が知っている姿より、幾分か若く見えるが、その面影は見紛うはずもない。
梧桐啓司:「…………」
八十方織間:「……くっ」 チェーンを掴む手を強く握る
八十方織間:「先生、何故……!」
梧桐啓司:梧桐啓治。困ったような視線を、君達に向けている。
晩翠凍衿:「今……度は、何……!」
晩翠凍衿:「く……けほっ、かはっ……!」もう一度立とうとして、やはり出来ず。体を折り曲げて咳き込み、血を吐く。
梧桐啓司:「……八十方くんか。参ったな、これは」
梧桐啓司:「偶然か?いや、チルドレンだものな。そういうこともあるか……」
八十方織間:「晩翠は大人しくしててくれ。あれは俺の……個人的な知り合いだ」
GM:真紅の槍が爆発するように変形し、不定形の血の塊となって、“アーティフィシャルリーチ”を奪取する。
GM:そして、瞬く間に梧桐のもとへ。
晩翠凍衿:「そう、言われても……ちょっと!」
八十方織間:「なッ……!」
梧桐啓司:「……済まないね、八十方くん。本当に済まない」
八十方織間:「先生! 一体どういうことですか!」
八十方織間:「訳があるなら言ってください! 望みが正当なものであれば、UGNも聞く耳を持つ……!」
梧桐啓司:「正統性など、無いよ」
梧桐啓司:諦観の笑みを浮かべる。
梧桐啓司:「私はもう、人としての道を外れたんだ」
八十方織間:「……それは、俺があなたを討たなきゃいけないってことですよ?」
八十方織間:チェーンを握っていた手の力が、緩む。構えは再び、左半身を僅かに傾げ出した、戦闘の態勢へ
八十方織間:割り切れない感情の前に、チルドレンとしての理性で、八十方は動くことができる。ここでやるというなら、全力の応戦をするのみだ
雨宮 さざめ:「……八十方先輩」
雨宮 さざめ:「退きましょう」
雨宮 さざめ:戦いの態勢を整えた、その背後で声を潜める。
八十方織間:「…………」 動かぬまま、梧桐を睨め上げる
梧桐啓司:「君達を傷付けたくはない」
梧桐啓司:「八十方くん。君には分かってもらえないかもしれない。だが、私が……。……僕がやるしかないんだ」
八十方織間:「…………」 視線を僅かに、周囲に向ける。"アーティフィシャルリーチ"は敵の手元だが、まだ負傷者はいる。晩翠。天花寺。
雨宮 さざめ:「あの槍を防ぐ術は、私にはありません。晩翠さんも傷ついている、となれば」
八十方織間:「……ッ」 振り切るように構えを解く
八十方織間:「……分かっている」 低く、燃えるような声で
梧桐啓司:「八十方くん」
梧桐啓司:「次回からの診療は、新田先生に代わってもらってくれるかい」
梧桐啓司:「彼はいい医者だ。君の話も親身に聞いてくれるだろう」
八十方織間:「勝手なことを……!」
八十方織間:(良い医者でも、それは先生じゃない……!)
八十方織間:思うことも噛み殺し、天花寺の身体を背負うように支え、その場を退く
梧桐啓司:「……済まない。だが……分かってくれ」
梧桐啓司:「全ては、愛のためだ」
梧桐啓司:言い残し、梧桐もまた姿を消す。
GM:≪瞬間退場≫です。
獅子堂奈乃:「……先輩」八十方の目を覗き込み。
獅子堂奈乃:「可能な限り追跡します。先輩はこちらを」
獅子堂奈乃:「お願いできますね」
八十方織間:「……済まない。獅子堂」
八十方織間:「苦手ばかり押し付けるが、頼む」
八十方織間:動揺と憤慨で揺れる眼を、声を交わす彼女でなく、前にだけ向けて
獅子堂奈乃:「……」頷き、展開した魔眼と共に、梧桐が消えた方へと。
晩翠凍衿:「……ごめん……」
晩翠凍衿:壁際に蹲った姿勢のまま、呟くように。
雨宮 さざめ:「晩翠さん、無理をなさらず。……あの敵を射程に入れるまで、走っても数秒」
雨宮 さざめ:「その数秒で敵は情報提供者を狙えます。……あなたのせいではありません」
晩翠凍衿:すぐに返事ができない。
晩翠凍衿:だとしても、自分が動ければ。激情を覗かせた青年が、みすみす留まる必要も無かったのではないかと。
晩翠凍衿:「あたしが、失敗しなきゃ……」
晩翠凍衿:視線は、彼と、その背に担がれた重傷の天花寺アスカの間を彷徨う。
雨宮 さざめ:「……一度取り逃がしたからと言って、負けではありません。探し求め、追いつき、また戦えば良いのです」
雨宮 さざめ:「けれども、ええ……八十方先輩」
雨宮 さざめ:「敢えてあの方を、敵と呼んだ上でお伺い致します」
雨宮 さざめ:「……あの男の名は?」
八十方織間:「……梧桐。梧桐啓司」
八十方織間:「義肢装具士で、俺の担当の先生で、……敵だ」
GM:---
GM:シーン終了。
GM:ロイス取得のみ可能です。
雨宮 さざめ:枠埋まってるので終了!
八十方織間:ロイス変更 ロイス/梧桐啓司/○尊敬/恐怖 → ロイス/梧桐啓司/尊敬/○困惑
八十方織間:新規はなし。以上!
晩翠凍衿:
八十方織間 有為/〇罪悪感
“アーティフィシャル・リーチ” 尽力/〇殺意
晩翠凍衿:で!
【Middle4】
GM:では情報収集シーンです。項目はこちら
・梧桐啓司について
・“血族”について
・アデレードについて
GM:これらは3人の判定の合計達成値が30以上で一気に全開放となります
雨宮 さざめ:ほうほう
八十方織間:ドバーッ
晩翠凍衿:しかし
晩翠凍衿:休みたい……
八十方織間:やすめ!
雨宮 さざめ:つまり、八十方先輩がまず振って
八十方織間:我々が稼いでおくので
雨宮 さざめ:その後にこちらが振った後で、出目次第で財産点を流し込めば
雨宮 さざめ:晩翠さんに休んでもらえる……
GM:というわけで登場自由!
八十方織間:八十方織間の侵蝕率を+3(1d10->3)した (侵蝕率:64->67)
雨宮 さざめ:出る!
雨宮 さざめ:1d10+58
DoubleCross : (1D10+58) → 6[6]+58 → 64
晩翠凍衿:出ぬ!すみません!
GM:では判定どうぞ!
八十方織間:<情報:UGN>で振る。コネ:UGN幹部使用!
八十方織間:4dx+2
DoubleCross : (4R10+2[10]) → 10[2,3,6,10]+7[7]+2 → 19
雨宮 さざめ:さすが先輩……
GM:ええ~~強すぎ
八十方織間:幹部、めちゃくちゃ情報回してくれる
雨宮 さざめ:こちらもコネ:UGNを使用して情報:UGN。強化ビジネススーツが勿論乗るぜ
雨宮 さざめ:8dx+5
DoubleCross : (8R10+5[10]) → 9[1,2,3,5,7,7,8,9]+5 → 14
雨宮 さざめ:はい
GM:晩翠!寝てていいぞ!
晩翠凍衿:すやすや!
GM:では情報開示します
・梧桐啓司について
現在65歳。北海道の生まれで、11歳の頃、家族と共に現在のN市に移住。
幼少から医学を志し、医師・義肢装具士の資格を取得している。
四十代で勤務先の院長の娘と結婚、一子を設けたが、その後数年で離婚している。仕事に追われ、家族を顧みなかったようだ。親権も母親の側に渡ったらしい。
UGNと関わるようになったのは、離婚後、現在の梶田記念病院に来てから。
崩落戦も経験しており、多くのUGN職員のメディカルチェック・メンタルケア・義肢点検に携わっている。
経歴に不審な点は無いが、現在独身で、生活も質素ながら、貯金をしている様子も無い。用途不明の出費が伺える。
また、勤務外も殆ど自宅に帰っていないことから、どこかに別の拠点があると見られる。
現在の所在は不明。
・“血族”について
“アイゼンステインの血族”は、東欧で古くから知られる名門貴族。
だが裏の世界では、もう一つの顔がよく知られている。
強力なブラム=ストーカー能力を持つ、オールドオーヴァードの一族。
かつては広く領主として知られていたが、数百年前に当主が失踪し、跡目を巡る争いが勃発、一族は大半が散り散りとなった。
だがその後も、“血族”と呼ばれる彼らは、その暴力・権力・財力によって、様々な分野で暗躍している。
彼らは長大な寿命と強力な能力と引き換えに、太陽の光を浴びることが出来ないという。
・アデレードについて
約150年前にN市に移住してきた長命者。
郊外の古い屋敷に住んでいるようだが、表に姿は見せず、近所でも無人として扱われている。
屋敷の本来の持ち主だった資産家の男性は、80年以上前に逝去している。
だがそれ以降も、屋敷は人の手によってある程度の美しさを保たれているようだ。
周囲の住民には、屋敷に出入りする年老いた男が目撃されている。
→屋敷を訪ねることが可能になる。
GM:---
GM:第六支部 会議室
GM:---
GM:重傷を負った晩翠凍衿、天花寺アスカの両名は、その後すぐに第四支部の医療施設に搬送された。
GM:晩翠の負傷は幸いリザレクトがあればそう深いものではなかったが、大量出血からひどく体力を消耗しており、暫くの安静が要された。
GM:天花寺アスカは全身を何度も人工蛭で刺されており、負傷も重く、消耗も激しい。面会謝絶の状態とされた。
GM:一方で雨宮・八十方・獅子堂はその間、情報を収集し、再び支部に戻ってきた。
GM:獅子堂の追跡は芳しくなく、足取りはすぐに途絶えてしまったという。
獅子堂奈乃:「……面目ありません」
獅子堂奈乃:少し俯きがちに言う。
八十方織間:「良いんだ。重要なのは追跡したという事実にある」
雨宮 さざめ:「ええ。それに、獅子堂さんに怪我が無かったことも幸いです」
八十方織間:「追跡があれば、退く俺たちを不意打ちで叩いたりできないからな。まあ、先生がそんなことをするとも思えないが……」
獅子堂奈乃:「……はい」それでもまだ忸怩たるものが拭えない様子で。
獅子堂奈乃:「お二人のほうは、どうですか?」
雨宮 さざめ:「……アデレード・アイゼンステインという人物について、些か調べました。しかしながら」
雨宮 さざめ:「長命者を狙った事件の真相については、まだ。成果は思わしくない、と言えましょう」
獅子堂奈乃:「アイゼンステイン……雨宮さんのお知り合いでしたね」
八十方織間:「コードウェル教授以前の、古いオーヴァードの一族とはな……」
雨宮 さざめ:「はい。長命者を狙うと言うならば、彼女もまた──という可能性を考えて、少しばかり。……気になる事も幾つかございます」
雨宮 さざめ:「一つには、この記述──〝太陽の光を浴びることが出来ない〟という点」
雨宮 さざめ:「そしてもう一つには、彼女が住むという郊外の屋敷に、年老いた男の出入りが目撃されているという点」
雨宮 さざめ:「……長命者の同胞であるならば、〝年老いた〟という形容は似合わぬように思うのです」
八十方織間:「成長するのが奇怪と言うなら、そのアデレードという娘だって、胎児のままでなければおかしくなる」
獅子堂奈乃:「肉体の全盛期で老化が止まる長命者は多いようです」
獅子堂奈乃:「まあ、老化が非常に遅いタイプなら、それが数百年も続けば老人になるでしょうが……」
八十方織間:「そうだな。実際、そこを否定するつもりはない……どちらかというと、『目撃されている』点だ。つまりは出入りの頻度が高い。恐らくは、人の目につく光量の時間」
雨宮 さざめ:「アデレードのご家族、という線は薄いでしょう」
八十方織間:「ああ。太陽の光を浴びることができない、というのがどの程度かにもよるが、そういった者にとっては、外出そのものがリスクになるだろうしな」
八十方織間:「そして……一人いる。外部の、年老いた男」
獅子堂奈乃:「……」八十方に視線を向ける。
雨宮 さざめ:「無視できぬ合致、でございますか」
八十方織間:目を閉じる 「梧桐啓司。先生……彼は、自宅とは異なる拠点を持っているものと思われる。なんらかの金銭的出費もある」
八十方織間:「その出入りする男という存在に、ぴったり重なる形をしている……と言って良いだろう。……今回の事件に関わっているようでもあるしな」
八十方織間:「アデレードがその名を知っていたことにも、その事実についてのみなら納得がつく」
雨宮 さざめ:「……けれども、アデレードは……その方を殺してくれと私に頼んだのです」
雨宮 さざめ:「親しい仲であるとはとても思えません……そうでしょう?」
獅子堂奈乃:「……その二人に、何らかの浅からぬ因縁があると……」
獅子堂奈乃:「しかし、一体どんな?私には生憎、皆目見当もつきませんが」
八十方織間:腕を組み、少し考える
八十方織間:「……いや」
八十方織間:「雨宮。一つ……妙な質問になるが、アデレードという娘は、戦うことはできたか?」
雨宮 さざめ:「…………〝愛のため〟」
雨宮 さざめ:「四十代で結婚し一子をもうけ、現在は六十五歳……」
雨宮 さざめ:「……っと」名を呼ばれ、ハッと顔を上げ、
雨宮 さざめ:「はい。あくまでも〝友に使える技〟の範疇ではございますが、毎週のように手合わせを」
雨宮 さざめ:「毛ほどの傷も付けることはできなかった……と申し上げましょう──」とまでを喋って、また何かに気付いたように眉を潜める
雨宮 さざめ:「──ですが、他者を傷つける事が出来るかと言う問いならば、〝わかりません〟」
八十方織間:「"アイゼンステインの血族"について、俺は多くを知らないが……オーヴァードであれば当然、戦いの力、暴力にも秀でていたろう。それは間違いないことだ。ならば」
八十方織間:「殺しを他人に依願する訳がない。そこには理由が必要だ」
八十方織間:「他人を傷つけられないか。あるいは、そう。親しい仲であったりしたらばな」
八十方織間:「俺は先生を信頼していた。だから、先生を打撃することには躊躇が強かった。それでも戦いの姿勢を崩さなかったのは、チルドレンとしての訓練の賜物だと思っている」
八十方織間:「だが、普通は躊躇われる。親しい者を、害するつもりで戦うことは」
雨宮 さざめ:「……ええ、存じております」
獅子堂奈乃:「……アデレード・アイゼンステインと梧桐啓治が親しい仲だった……」
八十方織間:「たとえば頻繁に屋敷に出入りし、身辺の世話をするような、だ」
獅子堂奈乃:「しかしそれは、どんな関係なのでしょう。家族ですか?それとも友人?」
八十方織間:「あるいは患者と担当医。あるいは……」
雨宮 さざめ:「……想像の範疇を出るものではありませんが、ええ。継ぐべき言葉は一つ、思い浮かびます」
八十方織間:「…………」 ここまで話して、溜息を吐く
八十方織間:「まあ、ここでできるのは憶測を捏ね上げる所までだな。それはある程度形にはなったが、結局イマジネーションでしかない」
八十方織間:「事実が欲しい。どこにあるかの見当は、もうついてるはずだ」
雨宮 さざめ:「お屋敷に。……できるなら日中の訪問としたいところです」
獅子堂奈乃:「……アポイントメント無しで訪問して、怒られませんかね」
雨宮 さざめ:「友人の訪問を突っぱねる程、薄情な友だとは思いたくありません」
八十方織間:「それに、押しかけ相手から怒られることを気にしてUGNなんてやっていられん」 立ち上がる
雨宮 さざめ:「……気がかりはやはり、梧桐啓司。彼の言葉と、それから……臓腑と血を抜かれた亡骸」
雨宮 さざめ:「ぶらむ=すとーかー。東欧の生まれ。日の光を厭う。こう並び立てれば、まるで怪奇小説のよう」
雨宮 さざめ:「長命者を襲い、その血や臓腑を回収していたのはその為、か……」
雨宮 さざめ:「或いは……」
雨宮 さざめ:「……考えすぎ、というものでしょうか」
八十方織間:「それも全て、白日の下で確かめよう。獅子堂、晩翠に連絡をしてやってくれ」
獅子堂奈乃:「了解です」通信端末を手に。「そろそろ待ちかねている頃でしょう」
八十方織間:「俺は俺の準備をしている」
八十方織間:そう言って会議室を後にします
雨宮 さざめ:〝人としての道を外れた〟〝僕がやるしかない〟〝全ては、愛のため〟
雨宮 さざめ:……この言葉の断片と、資料として提示された梧桐啓司の情報を照らし合わせ、伝え聞いた人柄を思う。
雨宮 さざめ:自分の為に、というニュアンスではない。自分以外の誰かの為に、悪と知って敢えて事を為すというような──
雨宮 さざめ:それが、誰だ?
雨宮 さざめ:長命者を喰らい命を延ばす。八百比丘尼は人魚を喰らったのだったか。
雨宮 さざめ:……これは想像でしかないから、外れて欲しいと、雨宮 さざめは思っている。
雨宮 さざめ:「父親という生き物であるならば」
雨宮 さざめ:「……父親であるまま、死んでくれることを願います」
GM:---
GM:シーン終了。
GM:ロイス購入可能です。
八十方織間:ロイスはなし。購入は~
八十方織間:晩翡用回復アイテムがあった方が良いな。応急手当っとこう
八十方織間:2dx+1=>8
DoubleCross : (2R10+1[10]>=8) → 10[6,10]+8[8]+1 → 19 → 成功
八十方織間:ミドルめちゃ囘るじゃん 購入
雨宮 さざめ:こちらは簡易手術キット、目標de
雨宮 さざめ:目標18で
雨宮 さざめ:6dx+5>=18
DoubleCross : (6R10+5[10]>=18) → 10[2,3,4,5,6,10]+9[9]+5 → 24 → 成功
雨宮 さざめ:おk、以上
GM:手厚い保護
【Middle5】
GM:最後のミドルシーンです。シーンPCは雨宮さん、登場自由。
雨宮 さざめ:1d10+64
DoubleCross : (1D10+64) → 1[1]+64 → 65
雨宮 さざめ:登場がずっと安い
八十方織間:八十方織間の侵蝕率を+7(1d10->7)した (侵蝕率:67->74)
晩翠凍衿:ウーム
晩翠凍衿:出よう!
晩翠凍衿:晩翠凍衿の侵蝕率を+1(1d10->1)した(侵蝕率:84->85)
晩翠凍衿:やったぜ
雨宮 さざめ:ぐれいと
GM:よかったね~
GM:---
GM:N市 郊外
GM:---
GM:街の中心から少し離れた住宅地。
GM:そこに、時代に取り残されたような、古びた屋敷がひっそりと佇んでいた。
GM:いつからそこにあるのか、雰囲気も外装も古めかしい、どこか不気味な屋敷。
GM:だが、屋根や窓、庭園の木々には、人の手が入り、荒れないように保たれているのが伺えた。
GM:君達が足を踏み入れると、屋敷の内部はうっすらと埃が積もっている程度で、想像より随分と良い状態だ。
GM:まるで、最近まで誰かが掃除をしていたような。
GM:全てのカーテンは閉め切られ、人の気配は無い。
獅子堂奈乃:「……本当に、ここにいるのでしょうか?」
雨宮 さざめ:「さて」
雨宮 さざめ:「調査の結果はそう告げておりますが……万が一ということもあります故」
八十方織間:「気にするな。UGNとしての調査活動だ。分からないままでは済ませられない」
八十方織間:それから、続く彼女を振り返る 「晩翠、体力はもう大丈夫か」
晩翠凍衿:「……はい。ご迷惑をお掛けしました」
晩翠凍衿:頭を下げて返す。顔色は未だ良くないが、傷自体は塞がっている。
八十方織間:「晩翠が戦った結果だ。迷惑なんて言うな」
獅子堂奈乃:「あまり無理をなさらないでくださいね。オーヴァードといえど」
八十方織間:「ただ、ここから先、また戦闘になる可能性はある。準備はしておくべきだ」
八十方織間:と言って、おいしくないUGN栄養ドリンクを投げ渡します。応急手当キットだ!
八十方織間:HPを……回復しな!
晩翠凍衿:わあい!
雨宮 さざめ:ならばもののついでにこちらも
晩翠凍衿:今やってよろしいですかGM!
雨宮 さざめ:簡易手術キットで4d10もっていきなされ
GM:いいぜ!
晩翠凍衿:2d10 UGN栄養ドリンク
DoubleCross : (2D10) → 7[4,3] → 7
晩翠凍衿:4d10+8 簡易手術キット
DoubleCross : (4D10+8) → 28[7,10,1,10]+8 → 36
晩翠凍衿:全快!自前のキットが余ってしまった
八十方織間:後で差し入れしなきゃね
晩翠凍衿:なるほどね
獅子堂奈乃:「おや、奮発しましたね、先輩。なかなかお高かったでしょう?それ」
獅子堂奈乃:「私にはないんですか?」
八十方織間:「……なんでお前に渡す分が出てくる」
八十方織間:「高価だったが、必要経費だ。晩翠が戦うためのな。お前には必要ないだろう」 呆れた、というよりは困ったように
晩翠凍衿:「……怪我してないのに飲むものでもないと思うしね……」飲み干し、くしゃりと皺の寄った表情。おいしくなかった。
晩翠凍衿:「でも、ありがとうございました」
獅子堂奈乃:「可愛い後輩に奢らせてあげようと思いまして」スイッチを入れると、灯りが灯る。電気は通っているらしい。
晩翠凍衿:「雨宮さんも。おかげで動けそうです」その場で数度、とん、とん、と跳んで見せる。
雨宮 さざめ:「あまりご無理はなさらず。なんとなれば私はまだ無傷、盾に使っていただいて結構──と」
雨宮 さざめ:「八十方先輩も。そう獅子堂さんを邪険にするものでもありませんよ」
八十方織間:「ここに至ってもお前はそれか……」 やれやれという顔をしつつも、緊張は緩めない
GM:冷蔵庫にも、食材が入っている。冷蔵には飲み物ばかりだが、冷凍庫は冷凍食品でぎっしりだ。
雨宮 さざめ:「先ほどは単身で敵の追跡までなさったのです。心労の度合い、いかばかりか──」
獅子堂奈乃:「そうです。雨宮さんはよくお分かりで」
獅子堂奈乃:「もっと後輩を労わるべきだと……おや、何者かが暮らしているのは確かなようですね」
八十方織間:「……まったく」 目を閉じて首を振る 「分かった。全部片付いたら何でも用意をしてやるから」
八十方織間:「今は集中だ。……そうだな。日持ちのする物が中心。あまり頻繁には買い物しないか」
雨宮 さざめ:「ほほう、なんでも」冷凍食品を引っ張り出して、本来冷凍するべきでないものが混ざっていないか確認しながら
獅子堂奈乃:「言いましたね?」ぐるん、と首を回し。
獅子堂奈乃:「約束ですよ」
八十方織間:獅子堂の頭に手を置いて。ぐるりと戻す 「集中」
GM:それから君達は辺りを捜索したが、やはりアデレードの姿は無い。
GM:あと手を付けていないのは、地下へと続く階段の先だけとなった。
GM:壁に見せかけた板が張られ、隠されていたものだ。
晩翠凍衿:「……これはチームとしてって言うより、八十方先輩個人への確認なんですけど」
晩翠凍衿:階段の前に立ち、奥の闇へと目を向けつつ。
晩翠凍衿:「あの男の人が居たら、対応はどのように?」
八十方織間:「…………」 目を細め
八十方織間:「……様々な前提を置いておいて、現状だけを確認すれば」
八十方織間:「梧桐啓司はUGNへの任務を妨害し、事件の参考人である"アーティフィシャルリーチ"を奪取した」
八十方織間:「捕え、事情を聴取する。それは誰であっても変わらない。その過程で戦闘が発生すれば、全力を持って対する」
八十方織間:「突き詰めればこれだ。それ以上の決め事は必要ない」
晩翠凍衿:「了解。先輩の方針に従います」真面目な顔で頷く。
GM:懐中電灯を携え、階段を降りていくと、地下室に辿り着く。
GM:暗く、予想より広い空間だ。
GM:乱雑に物が散らばったその空間の中央に、ひときわ大きな何かがある。
GM:それは、シュラフだ。
GM:金髪の少女が、食べかけの容器や雑誌に埋もれるようにして、シュラフで眠りこけている。
アデレード:「…………」
雨宮 さざめ:「……棺ではないのですね」
晩翠凍衿:「生活感がすごい」
獅子堂奈乃:「……この方ですか?」雨宮さんに。
雨宮 さざめ:「はい。アデレード・アイゼンステイン……間違い無く、彼女です」
雨宮 さざめ:「……やっと、また、会えました」
アデレード:「…………」すやすやと寝息を立てている。
八十方織間:一歩引いて、周囲に気を配っている せめて驚かさないようにという配慮だ
雨宮 さざめ:「…………」
雨宮 さざめ:なんと声を掛けたものか。何を問うべきか。分からない事も多いし、頭の中でまとまっていない事もある。
雨宮 さざめ:茫洋とした事件の中で、それでも──
雨宮 さざめ:それでも、またこうして、彼女の西洋人形のような顔を見られた事が嬉しく思う。
雨宮 さざめ:シュラフの傍の床に正座をして、
雨宮 さざめ:「アデレード、私です」と、呼びかけた。
アデレード:「…………」
アデレード:「…………」
アデレード:「…………」起きない。
晩翠凍衿:「……」少し離れた位置で見守る。
雨宮 さざめ:「……………………」
雨宮 さざめ:「……うーん」笑っているような顔はいつもの事だが、眉が少し下がる。困っているような、迷っているような。
獅子堂奈乃:「……起きませんね」
雨宮 さざめ:「アデレード、起きてください。アデレード」
雨宮 さざめ:肩に手をかけて揺さ振ってみる。
アデレード:「……ん……」
アデレード:「んん……んぅ……?」
アデレード:ぼんやりしながら、うっすらと目を開く。
アデレード:「……ん……?」
雨宮 さざめ:「おはようございます」座ったまま、上から顔を覗き込む。
アデレード:「…………」
アデレード:「へぇっ!?」
アデレード:飛び退――こうとして、シュラフがもぞもぞと動く。
アデレード:「さざ……さ……さざめ!?」
アデレード:「どうしてここにいるの!?」
アデレード:「待って頂戴……待って!この人達は!?誰!?誰なの!?」
雨宮 さざめ:「ええと、その……正直に申し上げまして、色々とまだ分からない事ばかりで、推定を重ねてここにいると言いましょうか……」
雨宮 さざめ:「それでですね、こちらの方々は、その……」
雨宮 さざめ:「……………………」
雨宮 さざめ:「……アデレード!」少し強めに声を張る。
アデレード:「何!?」
雨宮 さざめ:「ひどいではありませんか!」
アデレード:「え……!?」
アデレード:「寝起きに忍び込まれて……?」
雨宮 さざめ:「それはそれ、これはこれです!」
雨宮 さざめ:「私は毎週、あの夜をずっと心待ちにしておりましたのに、何も言わずにいなくなるだなんて……」
アデレード:「それは……」目を伏せて。
アデレード:「済まないと思っているわ。でも、それどころではなくなってしまって……」
雨宮 さざめ:「……梧桐 啓司なる男と関係が?」
アデレード:「……!」息を呑む。
八十方織間:後方で、気配は消しつつ、耳をそばだてている
アデレード:「そこまで調べているのね……UGNというのは、流石ね」
アデレード:「そのお話をしに、ここへ?」
雨宮 さざめ:「はい。……もうおわかりのようですから、先の問いに順番に応えます」
雨宮 さざめ:「何故、ここにいるか。梧桐 啓司の足取りを掴めるかと思ったが為です」
雨宮 さざめ:「この方々が誰であるか──まずそちら、晩翠 凍衿さん」
晩翠凍衿:「初めまして」一礼する。
雨宮 さざめ:「私と同い年のUGNちるどれん。お友達になれたらよいなぁ、と思っております」
アデレード:「……は、初めまして……」
雨宮 さざめ:「そちらが獅子堂 奈乃さん。一つ年下の子。むぅどめぇかあ、という位置づけかつ、優秀な支援人員でございます」
獅子堂奈乃:「ムードメ…… ……よろしくお願いします」一礼。
雨宮 さざめ:「そして、少し離れているそちらの方が八十方 織間先輩。獅子堂さんにいささか辛辣でいらっしゃいます」
八十方織間:「いや、そんなことを紹介しても……失礼。初めまして。できれば俺のことは気になさらず」
八十方織間:「落ち着かないなら言ってください。席を外します」
雨宮 さざめ:「いえ、席を外されては困ります。だって私は、」
雨宮 さざめ:「みなさんとアデレードを、是非にお友達同士にしたいのですから」
アデレード:「あ、いえ、その、よろしく……」
八十方織間:「…………」 困惑に眉をひそめつつ
晩翠凍衿:「……あたしたちを」小首を傾げて。
獅子堂奈乃:「友人に……?」
雨宮 さざめ:「はい、友人に。アデレード、お友達が少ないことを気にしてましたから」
アデレード:「……分かったわ。あなた達がお話を聞きに来たことは分かった」
アデレード:「ええ、そうね、でもね、ええ」
アデレード:「……一度、上に上がってくださるかしら。カーテンは閉めてあるわよね?」
アデレード:「……」シュラフを被ったままもぞもぞする。
雨宮 さざめ:「……と、カーテンは開けてはいない筈。貴女が望むなら、上に参りましょう」
晩翠凍衿:「見てくるよ。開いてたら閉める」言って、一足先に階段を上がって行く。
アデレード:「お願いするわ。着替えたいの」
アデレード:「私、寝る時裸だから」
アデレード:シュラフの隙間から、僅かに白い首と肩口が覗いている。
雨宮 さざめ:「……あら……それは寒そうな……」
晩翠凍衿:……一瞬足を止め、聞かなかったことにしてそのまま上階に消えた。
八十方織間:「はっ……」
獅子堂奈乃:「先輩?」
八十方織間:「だっ……」 アデレードの入ったシュラフを見て
八十方織間:「……」 目を閉じる 「……失礼。では俺も」
八十方織間:「獅子堂もだ。早くしろ」 上に上がっていく
獅子堂奈乃:「先輩?見ましたよね?先輩?」
獅子堂奈乃:後に続く。
アデレード:「……あなたもお願い、さざめ」
アデレード:「大丈夫よ。逃げたりしないわ」
雨宮 さざめ:「……本当に心配したのですよ?」
雨宮 さざめ:「私が貴女について知っていたのは、お顔と技と、それから名前だけ」
雨宮 さざめ:「何処にいるかも、長命者であるということさえ知らなかった……」
アデレード:「……ごめんなさい」
アデレード:「そうね。私も……もう、あなた達以外には、誰にも頼れない」
雨宮 さざめ:「……先に伝えておきます」声を一段潜めて
雨宮 さざめ:「梧桐 啓司は私達に敵対の意志を見せました。長命者への襲撃を行ったおーばーどを匿う、という形で」
雨宮 さざめ:「もし、貴女がまだ、彼を殺すことを望むなら」
雨宮 さざめ:「私は──」
アデレード:「…………」痛ましげに目を伏せる。
雨宮 さざめ:言葉を句切り、階段へ向かう。数段を昇り振り向いて、
雨宮 さざめ:「……教えてください、アデレード。私は貴女と同じで、友達が多くない」
雨宮 さざめ:「誰かが何を望んでいるか見透かすような事は、私には出来ないのです」
雨宮 さざめ:それを最後の言葉として、上階へ向かう。
GM:---
GM:カーテンが閉め切られた薄暗い部屋。
GM:君達から事件のいきさつを聞いたアデレードに、さして驚いた様子は無かった。
GM:一通りの話を聞くと、アデレードは段ボールから缶のままのコーヒーとお茶を出してくる。
アデレード:「どうぞ」
アデレード:淹れられないのだ。
雨宮 さざめ:「……もう少し生活水準を高めてみてはいかがか、と思うのですが」
アデレード:「人には得手不得手というものがあるわ」
アデレード:「頑張ってみたことはあるわ。私だって」
アデレード:「でも屋敷が半焼したものだから……」
晩翠凍衿:「どうも」缶の紅茶を受け取る。「……半焼」
晩翠凍衿:「家事に失敗して……?」
アデレード:「そうよ。向いていないの。きっと生まれつきね」
アデレード:「貴族というのはそういうものよ。雑事に煩わされるのは仕事ではないわ」
八十方織間:「……まあ、そこは良い。結果として、今は火事を起こさない振舞いをしているのだから」
雨宮 さざめ:「少なくとも百五十年以上生きているのですから、花嫁修業の一つや二つ、無聊の慰めと思えばよろしいでしょうに」
雨宮 さざめ:「多少の家事も出来ぬ女では、嫁ぐ先も困らせるでしょう。ねえ?」
雨宮 さざめ:と、同意を求めるように皆を見回す。
獅子堂奈乃:「おや、今は専業主夫というのもありますよ?」
晩翠凍衿:「他にできることがあれば良いんじゃない?今は家事が女の仕事ってわけでもないらしいじゃん」
八十方織間:缶コーヒーを開けて少し口をつけ 「そうだな。そういうことは双方合意が取れていれば、という所だろう」
獅子堂奈乃:「ええ。適材適所、出来ることは出来る者に任せておけばいいのです」
雨宮 さざめ:「む。……つまり獅子堂さんは、旦那様には家にいて欲しい方であると」
獅子堂奈乃:「そ、そうは言ってはいませんが……」
八十方織間:「まあ、男ならば女の手料理を食べてみたい、という気持ちも分かりはするが……」
晩翠凍衿:「普段は何やってるの?貴族って」早くも口調が砕けてきている。
アデレード:「普段は、そうね……」
アデレード:「週間の漫画雑誌を読んだり。SNSをしたり。Netflixを観たりして過ごしているわ」
八十方織間:「ネットフリックス……?」
雨宮 さざめ:「ねっと……?」
晩翠凍衿:「……だらしないのでは?」
晩翠凍衿:「あれだよ、パソコンで映画とか番組とか見るやつ」
晩翠凍衿:「あたしもよくは知らないけど」ネットフリックス。
八十方織間:「なるほど。YouTubeのようなものか」
晩翠凍衿:「多分そんな感じ!」
獅子堂奈乃:「えっ……知らなかったんですか先輩……」引き気味。
雨宮 さざめ:「ゆーちゅーぶ……」
八十方織間:腕を組む 「……インターネットはあまりしない。そういうのを専門にする者に任せている」
八十方織間:「人には得手不得手がある、ということだ」
獅子堂奈乃:「そういう話じゃないと思うんですが……」
雨宮 さざめ:「……アデレード。お料理くらいなら私が教えてさしあげますから……もっと健康的なことをしましょう……?」
アデレード:「失敬ね!これでも私は……」咳ばらいをして。
アデレード:「……話が逸れたわね。それで、あなた達は……」紅茶の缶を置いて、
アデレード:「私から、何が聞きたいのかしら」
晩翠凍衿:「そうでした」居住まいを正す。
八十方織間:「梧桐啓司という男について」
雨宮 さざめ:「……こちらの八十方先輩は、梧桐啓司とゆかりのある方です」
アデレード:「……そう、あの子と……」八十方に目を向ける。
八十方織間:屈むような姿勢で、両手を組む 「そうだ。主治医でな。よしんばそうでなかったとしても、知らねばならない」
八十方織間:「彼が何をしようとしているのか」
アデレード:「そうね……」
アデレード:遠い目をして、ぽつぽつと口を開く。
アデレード:「あの子と初めて出会ったのは、少し前のことよ」
アデレード:「戦争が終わってから……そうね、大体、50年くらい前かしら」
八十方織間:(もう70年ほど前だが……)(それも誤差か)
晩翠凍衿:(第二次大戦かな……)
アデレード:「最初に会ったのは、本当に偶然だった。でもそれから……」
アデレード:「その頃の私は、何十年か一人きりで、とても寂しくて、とても退屈していたから」
アデレード:「何度も会うようになったの。そして、私たちは友達になって……」目を伏せ。
アデレード:「それが、男と女の関係になったのは、当然の成り行きだったのでしょうね」
雨宮 さざめ:「……………………」幾分か冷ややかな瞳。
八十方織間:腕を組む 「……そういう可能性も、考慮していなかったではないが」
八十方織間:「それくらいに特別な関係だったという……いや、『だった』ではなく、今も続いているのか」
晩翠凍衿:「でもあの人、結婚はしてたんじゃなかった?」
雨宮 さざめ:「ええ。結婚し一子を授かった、と」
雨宮 さざめ:「……なれば。あれは禽獣の如きものですね」
アデレード:「…………」目を伏せる。
アデレード:「……あの頃は、楽しかったわ。あの子は優しくて、気力に満ちていた」
アデレード:「私の望むことなら、何でも叶えてくれた。でも……」
アデレード:「却って、それが少し、不安だった。私の為なら、あの子は自分を犠牲にしすぎるきらいがあったから」
アデレード:「だから、あの子が他の人と結婚したと聞いた時は……」
アデレード:「少し、安心したの。あの子にもあの子の人生が、私以外にもあったのだと思って」
アデレード:「でも、違った」
八十方織間:「事情が?」
アデレード:「…………」
アデレード:「……あの子が結婚したのは、院長の娘と結婚して、やがては権力と財力を手に入れる為のものだった」
アデレード:「妻も子も、その為の道具としてしか見ていなかった」
雨宮 さざめ:「その性根には、吐き気がしますね」能面のような顔で言う。
八十方織間:目を閉じて話を聞いている
晩翠凍衿:「そりゃまた思い切りの良い……」こちらはやや感心したようにして。
アデレード:「どうしてそんな事を……私は聞いたわ。出世欲に憑りつかれるような子ではなかったもの」
アデレード:「でも、それは」
アデレード:一瞬息を詰まらせ、吐き出すように。
アデレード:「私の所為だった」
アデレード:「あの子はいつしか、研究に憑りつかれるようになっていた」
アデレード:「私の不死を治す研究。それが上手く行かないと分かると、自分が不死になる為の研究」
アデレード:「医学、生体工学、義体工学……片っ端から手を出していたわ」
晩翠凍衿:「不死を、治す……」
八十方織間:「……そういった研究者であれば、UGNに関連するのも当然か」
雨宮 さざめ:「馬鹿馬鹿しい」吐き捨てる声が僅かに震えている。
雨宮 さざめ:「愛とやらを盾にして、他者の情愛を踏み躙っただけのことではありませんか」
アデレード:「……」曖昧に、肯定も否定もしない。ただ力なく笑う。
アデレード:「やがて、彼は生体としての検体を求めるようになり……」
アデレード:「どこで結んだ縁なのか、FH……と言うんだったわね。その相手と手を組んだ」
アデレード:「……後は知っての通りよ」
晩翠凍衿:「最初から、自分が古代種になろうとしてたわけじゃないのは意外だったけど」
晩翠凍衿:「あの人は、不死……長命者であることが、病気だと?」
晩翠凍衿:「それとも、あなたが?」
アデレード:「私が、よ」
アデレード:「人は、人のこころのまま、何百年も生きるようには出来ていないの」
アデレード:「……最初にあの子に言ったのは、私なの」
アデレード:「『人として死にたい』と」
アデレード:「だから……」
アデレード:「…………」黙り込む。
晩翠凍衿:「…………そうなんだ」目線を落とす。
八十方織間:「……過去の行い。行動の動機と思考。目的。その理由」
八十方織間:「理解はできた。そしてそれは、許されないことだとも」
八十方織間:「UGNとして、梧桐啓司は捕えられなければならない」
雨宮 さざめ:「ならば、梧桐啓司はいずこに」
アデレード:「……連絡があったわ」
アデレード:「今夜、私を迎えに来ると」
アデレード:「あの子は、この街を出るつもりよ」
アデレード:「あの子の研究は、既に一つの結実を迎えている」
アデレード:「不老に関して、不完全ながら結果を出しているわ」
晩翠凍衿:「優秀だ」思わず苦笑する。
アデレード:「そうでもないわ」かぶりを振る。
アデレード:「なりふり構わなくなっただけ」
アデレード:「あの子が開発した機構は、人の肉体を活性化させ、テロメアを修復するもの」
アデレード:「素材となったのは、大量の長命者の体組織」
アデレード:「そして燃料は、新鮮な人由来の蛋白質」
アデレード:「あの子は人を喰らって、命を長らえようとしている」
雨宮 さざめ:「……随分と悍ましい。そして、お詳しいものです。まるで間近で見聞きしていらっしゃったように」
八十方織間:溜息を吐きながら、目元を押さえる
アデレード:「……分かるでしょう?」自嘲気味に。「そんなことを聞かされても。ここまで来ても」
アデレード:「私には、あの子を止めることは……傷付けることは出来ない」
雨宮 さざめ:「ならば、アデレード。貴女の心はもう、人ではないのです」
雨宮 さざめ:「闇に長く住み着いたが為に光を失った盲目の怪物。そんなものに貴女は成り果てた」
アデレード:「……そうかしら」
アデレード:「さざめ。あなたは人を愛したことがある?」
雨宮 さざめ:「ええ。そして逆しまに問いましょう。貴女にとっての二十年とは、どれ程の重さですか?」
雨宮 さざめ:膝の上に置いていた手をテーブルの上に出し、珈琲の缶を掴む。
アデレード:「……言葉にすれば、ちっぽけなものよ。私が生きてきた、十分の一にも満たない」
アデレード:「でも確かに、私とあの子は、貴女が生まれるよりずっと前から、幾百、幾千の夜を重ねてきたの」
アデレード:「どれだけ間違っていると分かっていても。私には、それを切り捨てることは出来ない」
雨宮 さざめ:「……同じく幾百幾千の夜を、苦しみと共に生きた者がいたと、どうして思えないのですか」
雨宮 さざめ:「〝四十代で結婚し一子をもうけ、現在は六十五歳〟……でしたか」
アデレード:「……?」
雨宮 さざめ:「梧桐啓司の子のことです。経歴の通りならば、二十かその前後というところでしょう」
獅子堂奈乃:「……そうなりますね」
雨宮 さざめ:「周囲の同世代の子供が、両親の愛情を受けて育つ中──理不尽にもその愛の半分を奪い取られて産み落とされた子です」
雨宮 さざめ:「生まれた瞬間に、望みもせずに! 財産と権力などという、くだらない目的の為という咎を負わされた子です!」
アデレード:「…………」
雨宮 さざめ:「〝愛〟という錦の御旗を掲げて、愛してもいない女を抱いて子を生ませた。数年でその子を捨てた!」
雨宮 さざめ:「……〝自分は父親に捨てられたのだ〟と思いながら過ごす幾百、幾千の夜を……哀れには思えないのですか……?」
雨宮 さざめ:手の中の珈琲缶が腐食する。汗と、目から零れた涙との双方が、劇物と化して金属に浸透したが為だ。
雨宮 さざめ:「……あっ」その様を見て、激していた己に気付き、恥じらうように目を伏せる。
アデレード:「……許されることでは、ないわ」
アデレード:「ええ、そうよ」
アデレード:「長命者を殺すのも。人を殺すのも。無辜の人を踏み躙るのも。全て、決して許されることではない」
アデレード:「あの子は罰されるべき。咎を受けるべき人間だわ」
アデレード:「分かっているわ」
アデレード:「そんなこと、とっくに分かっているのよ、さざめ」
アデレード:「でも、私には、出来ない」
雨宮 さざめ:「…………」腐食した珈琲の缶から中身が滲み出て、拳ダコや傷跡の目立つ手を濡らす。
雨宮 さざめ:ふぅ、と息を吐き出して、そのまま少しの間は呼吸を止めて、
雨宮 さざめ:「お手洗いをお借りしても良いでしょうか?」と、文字通りに洗わねばならぬだろう有様の手を軽く掲げてみせる。
アデレード:「……突き当りを左よ」
雨宮 さざめ:「ありがとうございます」立ち上がり、軽く頭を下げ「……少し頭を冷やして来ます」
八十方織間:「ああ。こちらは気にするな」
雨宮 さざめ:摺り足で肩を揺らさず。だが、普段よりは幾分か足取りも重く部屋を出て行く。
晩翠凍衿:「……意外と人情家だね、雨宮ちゃんは」その姿を見送って。
獅子堂奈乃:「……ええ。少し意外でした」
八十方織間:「普通だということだ。少なくとも、家族に関する情感については」
アデレード:「……あなた達は、どうする?」三人に目をやり。
アデレード:「あの子を、止める?」
八十方織間:「もちろんだ。梧桐啓司を止める。UGNとしての責務を果たす」
晩翠凍衿:「……あたしなんかは」
晩翠凍衿:「離婚した奥さんとその子のことは、正直あんまり気にならない。どんな人で、実際どういう風に暮らしてたのかも知らないし」
八十方織間:「それを言えば、チルドレンの多くは『親のない子』だしな」
晩翠凍衿:「ええ。あたしもそうですし」
晩翠凍衿:「だから、あなたが梧桐さんを止められなくても、まあ仕方ないかな、くらいに思う。けど」
晩翠凍衿:「その辺とは関係なく、梧桐啓司は止めるつもり。人を人為的に不老にする方法なんてものは、犠牲が必要でも、そうでなくても」
晩翠凍衿:「…………研究者のやることには、再現性があるから」やや言葉を濁してそう結ぶ。
獅子堂奈乃:「私は少しばかり興味はありますけどね。不老」
八十方織間:「獅子堂……」 呆れたように
獅子堂奈乃:「まあ、人を食ってまでするほどのことではありません」
晩翠凍衿:「なんかすごい遺産の力とかで、自分だけがそうなります、くらいだったらあたしもちょっと良いかと思うんだけどね……」
八十方織間:「だが違う。長命の古代種オーヴァードを犠牲にし、更に人を犠牲にし、その上で再現する不老だ」
獅子堂奈乃:「費用対効果が狂ってますよ。ナンセンスです」
八十方織間:手を組んだまま、目を伏せる 「理由など語るまでもなく、止める。俺が止める」
八十方織間:「……そちらとは違い、俺は任務のために戦えるからな。たとえそれが、先生だったとしても」
獅子堂奈乃:「ええ。私も優秀な美少女チルドレンとして、任務に従うまでです」
晩翠凍衿:「……無理に、とは言いませんけど?」八十方さんの方を見遣って。
獅子堂奈乃:「まさか。歳下ばかりを働かせて、先輩だけお休みなんて出来ないでしょう?」
八十方織間:「無理じゃない。……無感情にはなれないが。それでも体は動く」
八十方織間:「それに、戦いの前面に立てなければ、確かめられないこともある」
八十方織間:「そうだな。獅子堂の言う通りだ。だが、気遣いはありがとう、晩翠」
晩翠凍衿:「そう……」少し表情を柔らかくして。
八十方織間:少し笑って晩翠さんを見る
晩翠凍衿:「分かりました。フォローしますね、先輩」
八十方織間:「頼りにしよう」
アデレード:「……助かるわ。お礼を言わせて頂戴」
八十方織間:「UGNとして当然のことをするまでだ。そちらは、さっきの地下室にいれば良い」
八十方織間:「万事こちらで片付ける」
晩翠凍衿:「あたしも放っておけないし、それ抜きにしても仕事だしね」
晩翠凍衿:「きっとあいつも連れて来るんでしょう?あの女」“アーティフィシャルリーチ”のこと。
八十方織間:「放って置くのも考えづらいしな」
晩翠凍衿:「少しは迎撃の準備もしておきたいところだけど……」言って、雨宮さんが消えた方の通路を見る。
晩翠凍衿:「……どうかな。ちょっと様子見てきます」席を立ち、彼女を呼びに廊下の奥へ消える。
八十方織間:「頼む」 相手が手洗いでは動けない!
獅子堂奈乃:「お願いします」
GM:---
雨宮 さざめ:──突き当たりを左。暫く廊下を進んだ先。雨宮さざめは扉に背を預け、床に腰を下ろしていた。
雨宮 さざめ:幾分か青ざめた顔。口の周りを手の甲で拭っているのは──嘔吐の違和感が、まだ拭い切れていないが為か。
晩翠凍衿:「雨宮ちゃん?」そこへ角を曲がって現れる。
晩翠凍衿:「って大丈夫!?」そして具合の悪そうな様子を見て慌てる。
雨宮 さざめ:「……晩翠さん」目を細めた作り笑顔ばかりはいつも通り。首を回してそちらを向き、
雨宮 さざめ:「ええ……落ち着きました。大丈夫、戦えます」一度深く息を吸い込み、立ち上がろうとして足に体重を移す。
雨宮 さざめ:「……………………」しゃがみ込んだ姿勢で、暫くはそのまま。貧血に耐えるかのような浅い呼吸。
雨宮 さざめ:「……ごめんなさい」ぼそり、と呟くような小さな声。
晩翠凍衿:「うん?」歩み寄って支えようとして首を傾げ。
雨宮 さざめ:「友達を増やすにしても……もう少し、相手を選ぶべきでございましたね」支えられながら、壁に手を置いて、どうにか真っ直ぐに立つ。
晩翠凍衿:「んん。どうかな」
晩翠凍衿:「さっきの話のことなら、あたしもアデレードちゃん寄りだし」
雨宮 さざめ:「────」無言のまま、不意に右手が馳せた。喉元を狙う裏拳。速度と型は良い。護身術としては手練れと言えようが──戦場で用いるには非力に過ぎる拳。
晩翠凍衿:「うおっと」仰け反るようにして躱す。
雨宮 さざめ:空振りした拳を引き戻し「……不意を突いてさえ、非力でしょう?」
雨宮 さざめ:「故に私は、おーばーどと成るまでは〝要らぬもの〟でございました」
晩翠凍衿:「ふむ」
晩翠凍衿:頷き、聞く姿勢を作る。
雨宮 さざめ:「雨宮の家は武門の家。不幸にして生まれた子は、女である私のみ。……そして私には、殴る蹴るの才が薄かった」
雨宮 さざめ:「故に父は、良くこうぼやいていたものです」
雨宮 さざめ:「私には〝せめて男に生まれてくれば〟と。母には〝今からでも次の子を生め〟と」
晩翠凍衿:「一般人だと、そういう感覚にもなるのかな」オーヴァードであればさして関係ない。自分も性別を意識したことはなかった。
雨宮 さざめ:「一般的には、男性の方が体も大きく力も強いですから。……私が毒の技を得てからは立場も逆になりましたが」
雨宮 さざめ:「親に……血を分けた肉親に不要物とされるのは」
雨宮 さざめ:「……いかなる毒の痛みより、辛く苦しいものです」
晩翠凍衿:「……よく分かんないよ」眉尻を下げる。
雨宮 さざめ:「ええ」
雨宮 さざめ:「そう言っている私にしてからが……正しくは分かっていないのかも知れません」
雨宮 さざめ:「けれど……それを、分からないのであれば良い」
雨宮 さざめ:「分かっていて、許容して欲しくは無かったのです」
晩翠凍衿:「……罪を糾弾しないことは罪じゃない」
晩翠凍衿:「少なくとも、この国の法律の上ではそう。そこで生きてる人がどう思うかは」
晩翠凍衿:「何とも。常にどっちかが正しい、ってわけでもないんだろうしさ」
晩翠凍衿:「あなたは、アデレードちゃんが悪いやつだと思う?」
雨宮 さざめ:「……善、悪という、人の基準を失った」
雨宮 さざめ:「そういう生き物であると、思っております」
雨宮 さざめ:「そうであって欲しくはなかった……」
雨宮 さざめ:「……おかしいですね。自分には出来ていない事を、他人にばかり求めるのは」
晩翠凍衿:「……」
雨宮 さざめ:「戻りましょう、晩翠さん」
雨宮 さざめ:「……私を〝居ないもの〟としなかった事に、お礼を申し上げます」
晩翠凍衿:ふう、と息を吐く。
晩翠凍衿:「梧桐啓司を迎え撃って捕らえる。そこまでは、UGNとして決まり」
晩翠凍衿:「あとは……」
晩翠凍衿:「……少なくとも、アデレードちゃんが事を起こしたわけじゃないし、どうあれ人の中で生きようとしてる。多分ね」
晩翠凍衿:「ばっさり切り捨てたいわけじゃないなら、もう少し努力してみたらいいよ」
雨宮 さざめ:「努力……ですか」
雨宮 さざめ:「はい」
雨宮 さざめ:「報われない努力というものは、不運な事に私、得意なのです」
GM:---
アデレード:「さざめ」
アデレード:戻ってきた雨宮に、アデレードが口を開く。
アデレード:「お願いがあるの」
雨宮 さざめ:「どのような」笑みの仮面を貼り付けて応じる。
アデレード:「……」
アデレード:「……恋とは、狂気よ」
アデレード:「月の光よりずっと烈しく、人を狂わせる」
アデレード:「あの子も、そして恐らくは私も、もう元には戻れない」
アデレード:「だから、私は貴女に頼みたいの」
アデレード:「……あの子を……」
アデレード:「……梧桐啓司を、止めて」
雨宮 さざめ:「殺せ、と?」
アデレード:かぶりを振る。
アデレード:「あなたの、好きにして」
雨宮 さざめ:「貴女はどうするのです」
アデレード:「地下室に籠って、ただ待つ……なんてことは、出来ないわ」
アデレード:「見届けさせてもらうわ。最後まで」
アデレード:「たとえ、結果がどうあろうともね」
雨宮 さざめ:「いずれにせよ」微笑むような細い目をして
雨宮 さざめ:「梧桐啓司の捕縛は我らの任。長命者を狩るという愚行を止める、それに異存はございませぬ」
雨宮 さざめ:「けれど、アデレード。私には一つ、まだ納得のできないことがございます」
雨宮 さざめ:「それを聞かないでは。今後、貴女とどのような顔をして向かい合えば良いかも分かりません」
アデレード:「……言ってみて」
雨宮 さざめ:「梧桐啓司が妻を娶ると聞いた時、貴女はどのようにそれを止めたのか、です」
アデレード:「…………」
アデレード:「……止めなかったわ」
アデレード:「あの子が他の人と結ばれるなら、祝福されるべきだと思った」
アデレード:「もう、私のことは忘れてくれると思ったのよ」
雨宮 さざめ:「ならば、知らなかったと」
雨宮 さざめ:「……ええ、そうなのでしょうね」
雨宮 さざめ:「よもや、そのような愚行に走るのではないか、と推測する理由など、何処にもありませぬ」
アデレード:「……ええ」
アデレード:「私を忘れて幸福になれるなら、きっとそれが一番良い事だと」
アデレード:「そう思ったのよ」
アデレード:「……納得は、出来た?」
雨宮 さざめ:「……ふぅ」肩をだらりと落として溜息を吐き
雨宮 さざめ:「お年寄りの考えることは、良く分かりません」
アデレード:「もう少し大人になれば分かるわよ、きっと」
雨宮 さざめ:「いえ」
雨宮 さざめ:「たぶん〝このまま〟では分からないのでしょうね」
雨宮 さざめ:目をより一層細めた。視線を隠す目的ではない、本当の笑み。
雨宮 さざめ:そして、右手を差し出すように掲げる。
アデレード:「……?」その手を見つめ、手を重ねる。
雨宮 さざめ:「武の道を歩む者なら誰もが、必ず思うことがございます」
雨宮 さざめ:「もしこの身が、若々しき全盛期のまま、万日の鍛錬の成果たる技のみを積み上げられるなら」
雨宮 さざめ:「焦りながら次代に継ぐこともなく、己の衰えに歯噛みする事も無いのならば」
雨宮 さざめ:「それはどんなにか、幸福なのでしょう、と」
アデレード:「……」
雨宮 さざめ:「長命者について、ゆうじいえぬの文献を当たりました。れねげいどうぃるす、の型が特殊であり、我らとは異なるのだと」
雨宮 さざめ:「アデレード」
雨宮 さざめ:「貴女を理解する為に、その血を私にくださいませんか?」
アデレード:「……何ですって」
アデレード:俄かに表情を変える。
雨宮 さざめ:「たわごとと、お思いですか?」
アデレード:「本気で言っているの?」
雨宮 さざめ:「冗談は苦手な方なのです」
アデレード:「…………」
アデレード:「出来ないわ。それだけは」
アデレード:「そんな苦しみを味わうくらいなら、ここで死んだほうがずっと幸せよ」
雨宮 さざめ:「おそらくはその言葉で、梧桐啓司も狂ったのでしょうか」
アデレード:「……!」
アデレード:息を呑む。何かを思い出したように。
雨宮 さざめ:「……もしかしたらその始まりは〝同じようになりたい〟と」
雨宮 さざめ:「尚も単純にするならば、ただ〝隣に居たい〟だけだったのではないか、と」
アデレード:「…………」
雨宮 さざめ:「……六十五歳。一つ歯車が違えば、明日に倒れたとておかしくはない年齢です」
雨宮 さざめ:「私は、名も知らぬ子の生が二十年、虐げられた事に涙しましたが」
雨宮 さざめ:「梧桐啓司は五十年を奪われたのですね」
アデレード:「……そうね」息を吐くように言って。「……そう、思うわ」
雨宮 さざめ:「仕事を終えます。そして」右手を降ろす
雨宮 さざめ:「全て終わった後にまた、同じ〝お願い〟をしに来ます」
アデレード:「…………答えは、変わらないと思うわ」
アデレード:「……あの子は、私を迎えに来ると言った」
アデレード:「約束は、午前一時」
アデレード:「そこで、決着を付けましょう」
雨宮 さざめ:「変えてもらいます。そうでなくては、きっとまた、いつか」
雨宮 さざめ:「貴女は二人目の梧桐啓司を作ってしまうのでしょうから」
雨宮 さざめ:午前一時。復唱し、頷く。
アデレード:「いいえ。恐らくは」
アデレード:笑みを浮かべ。
アデレード:「そうはならないと思うわ」
GM:---
GM:シーン終了。
GM:最後のロイス購入チャンス!
八十方織間:ロイスは保留。購入はー
八十方織間:強化素材かな
八十方織間:2dx+1=>15
DoubleCross : (2R10+1[10]>=15) → 10[4,10]+9[9]+1 → 20 → 成功
八十方織間:せ、成功しちまっただよ……素手の攻撃力を+1します
晩翠凍衿:購入はUGNボディアーマーを狙います。
晩翠凍衿:4dx>=12
DoubleCross : (4R10[10]>=12) → 10[3,4,9,10]+6[6] → 16 → 成功
雨宮 さざめ:おー
晩翠凍衿:行けた!装備!
雨宮 さざめ:ロイスは枠一杯。購入は強化素材、目標15
雨宮 さざめ:6dx+5>=15
DoubleCross : (6R10+5[10]>=15) → 8[1,1,2,4,5,8]+5 → 13 → 失敗
雨宮 さざめ:財産点2を払って購入、晩翠さんに貢ぎます
雨宮 さざめ:財産14-2=12
晩翠凍衿:ありがとう!ゾディポンの攻撃力+1!
雨宮 さざめ:以上!
晩翠凍衿:ロイスも保留で終わり!
【Climax/幾千万夜の恋の涯】
GM:クライマックスシーンです。全員登場。
晩翠凍衿:晩翠凍衿の侵蝕率を+10(1d10->10)した(侵蝕率:85->95)
八十方織間:八十方織間の侵蝕率を+7(1d10->7)した (侵蝕率:74->81)
晩翠凍衿:グアーッ
八十方織間:ば……晩翠……
雨宮 さざめ:1d10+65
DoubleCross : (1D10+65) → 10[10]+65 → 75
雨宮 さざめ:晩翠さん……
GM:みんなテンション高いな……
GM:---
GM:深夜一時。
GM:月の無い夜だ。辺りは墨を塗り込めたように暗く、風鳴りと木々のざわめきだけが響いてくる。
GM:時計の針が約束の時刻を指すとほぼ同時。
アデレード:「……来た」
アデレード:静かに呟く。
GM:ぎぃっ、と。古びた門が軋む音。
GM:やがて、二人分の足音が近づいてくる。
“アーティフィシャルリーチ”:「ひぃっ……!ゆ、UGN……!何でいるんですかぁ……!」
“アーティフィシャルリーチ”:一人は女。“アーティフィシャルリーチ”。既に傷は癒えているようだが、君達を見て怯えた表情を見せる。
GM:そして、もう一人。
梧桐啓司:「…………」
梧桐啓司:梧桐啓治。大きな鞄を両手に抱えたその顔、その身体は、明らかに若々しく、力に満ちている。
梧桐啓司:刻まれていた皺は消え、白かった髪は黒く。
梧桐啓司:「……もしや、とは思ったけれど。やはりか」
八十方織間:それでも、その眼を見間違えることはない
八十方織間:「……先生」
八十方織間:「UGNとしては、今回は幸運な運びだったと言えるでしょう。運がなければ、こうも迅速に対応することはできなかった」
八十方織間:「ですが、これが現状です。先生」
八十方織間:静かに抑え込んだ口調で 「諦めては、くれませんかね」
梧桐啓司:「…………」
梧桐啓司:「……君を傷付けたくないと言ったはずだ」
梧桐啓司:「君達こそ、諦めてはもらえないか。僕はもう、彼女を連れてこの街を出ていく」
梧桐啓司:「君達の管轄からは外れる筈だ。……どうかな」
晩翠凍衿:「とても無理な話です」真紅の刃の大鎌を構える。
晩翠凍衿:「あなたの隣の人は当然として。何の恨みもないけど、あなた自身も」
晩翠凍衿:「古代種オーヴァードを犠牲にして、老いた肉体の時を戻す。その手法は」
晩翠凍衿:「……手段も、結果も、どっちも、問題だから」
晩翠凍衿:たとえ非人道的な生贄が必要でなかったとしても、そのような手法が確立されてしまえば。
晩翠凍衿:その結果生まれる混乱のことを、考えないわけには行かない身だ。
梧桐啓司:「……君に分かるかい?」
梧桐啓司:「自分だけが醜く老いていく恐怖が」
梧桐啓司:「愛する人を一人置き去りにする苦しみが」
晩翠凍衿:「……」
晩翠凍衿:「想像は、できます」
晩翠凍衿:「あなたのこれまでの話を聞いて、あたしも……まあ」
晩翠凍衿:思い浮かぶ姿が、ないわけではなかったから。
晩翠凍衿:「——でも、それとこれとは別の話です」
晩翠凍衿:「あなたの場合は。もう、止められないといけない」
梧桐啓司:「……そうか」静かに頷き、視線を移す。
梧桐啓司:「こちらにおいで、アデレード」
梧桐啓司:「一緒に行こう」
梧桐啓司:少女に向け、手を伸ばす。
“アーティフィシャルリーチ”:「……! あれが……」
“アーティフィシャルリーチ”:「アデレード・アイゼンステイン……」
“アーティフィシャルリーチ”:信じがたいものを見る目で、アデレードを見る。
アデレード:「…………」
アデレード:その呼びかけに、何も答えず。
アデレード:ただの一歩も、踏み出さない。
梧桐啓司:「……何故だ」
梧桐啓司:「どうして……?」
雨宮 さざめ:「……人である貴方を、彼女が愛したのなら」
雨宮 さざめ:「人であることを捨てた貴方は、その愛をも捨てたのでしょう」
雨宮 さざめ:アデレードの代わりを務めるように、半歩だけ前へと踏み出す。
梧桐啓司:「…………」
梧桐啓司:「……そうか」
梧桐啓司:「仕方ない」
梧桐啓司:瞬間、巨大な血液の槍が生成される。
GM:槍は君達に向けて放たれ、軌道上で重力場に呑まれ、分裂。
GM:君達それぞれに向けて飛来する。
八十方織間:腕を払うようにして防御を固め、その攻撃を防ぐ 「っく……なるほど。バロールの魔眼か」
晩翠凍衿:その場を飛び退いて回避する。
雨宮 さざめ:手を前に伸ばし、槍の軌道に沿わせて〝払い〟ながら、
雨宮 さざめ:「奪い取る、と?」
梧桐啓司:その読み通り。既に、アデレードの眼前まで距離を詰めている。
アデレード:「……!」
梧桐啓司:「さあ、行こう」
獅子堂奈乃:「……!」
梧桐啓司:アデレードを奪取し、離脱しようとして。
梧桐啓司:その場に釘付けにされる。全身に、獅子堂の魔眼が喰らい付くように突き刺さっている。
獅子堂奈乃:「……ッ……」
八十方織間:「獅子堂!」 行動は早い。地を蹴り、梧桐に向けて拳を振るう
八十方織間:打撃を与えるためではない。退避させるためのものだ
“アーティフィシャルリーチ”:「さ、せません!」
“アーティフィシャルリーチ”:人口蛭を振るい、拳を防ぐ。
八十方織間:「邪魔をッ!」 振るわれた武器を叩き退けて
雨宮 さざめ:割り込んだアーティフィシャルリーチの顔目掛けて、〝ポリエチレン〟のボトルを投げ放つ
梧桐啓司:一瞬躊躇して。だが、真紅の槍を放つ。
獅子堂奈乃:迎撃用の魔眼まで、全て拘束に裂いている。
梧桐啓司:槍は狙いを過たず、獅子堂の胸を穿つ。
獅子堂奈乃:「…………!」
獅子堂奈乃:肺と、恐らくは心臓にまで届く傷。吐血し、だが魔眼はそのまま。
八十方織間:「獅子堂ッ!!」
晩翠凍衿:「っこの!」一瞬遅れて、梧桐啓司に向けて鎌を振るう。
梧桐啓司:「く……っ!」
梧桐啓司:アデレードを離し、距離を取る。
“アーティフィシャルリーチ”:こちらも同様、放たれたボトルを躱す。
獅子堂奈乃:「……先輩」
獅子堂奈乃:「彼女を――」
獅子堂奈乃:アデレードに目を視線を向け、意識を失い倒れ伏す。
八十方織間:「……っぐ、こういう時は他人のことを気にして……!」
八十方織間:彼女の容態を見たい気持ちを噛み殺し、意識も拳も敵へと向ける
梧桐啓司:「……くそっ……!」
梧桐啓司:「……やはり、戦うしかない、か」
梧桐啓司:鞄を開く。中から現れるのは、剥き出しの機械で形作られた人の形。
梧桐啓司:義体だ。そこに血液を注ぎ込み、一種の従者として目覚めさせる。
梧桐啓司:「悪いが、八十方くん」
梧桐啓司:「邪魔をするなら、加減は出来ないよ」
八十方織間:「……馬鹿なことを言いますね。元より戦闘に入るのであれば、俺は加減しません」
八十方織間:拳を握る。シャツの袖が内側から破れ、戦闘用外格が展開される
八十方織間:「獅子堂を撃つことに、あなたは少しも躊躇わなかった」
八十方織間:「それで十分だ」
アデレード:「…………さざめ」
雨宮 さざめ:「はい」
アデレード:震える声で口を開く。
アデレード:「お願い」
アデレード:「あの子を、止めて」
雨宮 さざめ:「お願いごとは一つと一つ──」袖口から、裾から、帯の隙間から、大量の金属部品を引きずり出す。
雨宮 さざめ:「──と、困らせてみたいものでございます」その全てを組み上げると、即席の槍が一振り。
雨宮 さざめ:「お覚悟を」
雨宮 さざめ:「正面から堂々と、不意打ち致します」
GM:戦闘開始です。
エンゲージ
梧桐啓治[11]
(5m)
“アーティフィシャルリーチ”[9]従者A・B[7]
(5m)
雨宮[9]晩翠[10]八十方[3]
GM:NPCカードが使用可能です。
NPCカード
アデレード・アイゼンステイン
ラウンド1回、1つ選んで使用可能。
≪鮮血の網≫+≪鮮血の鎖≫+≪封印の呪≫
イニシアチブフェイズで使用 硬直、次回判定C値+2付与
≪オープンペイン≫
ダメージロール前に使用 ダメージ+7D
≪栄光の血≫
判明直後に使用 達成値+18
晩翠凍衿:つよい
雨宮 さざめ:硬直付与
梧桐啓司:梧桐がワーディングを展開する。
梧桐啓司:数多のオーヴァードのレネゲイドと衝動が入り混じった、おぞましいそれが、君達の衝動を掻き立てる。
梧桐啓司:Eロイス≪堕落の誘い≫
梧桐啓司:衝動判定失敗で即座に侵蝕が100まで上昇します。
梧桐啓司:衝動判定、難易度9。
八十方織間:ヒッ
晩翠凍衿:なっばっ
八十方織間:3dx+1=>9
DoubleCross : (3R10+1[10]>=9) → 6[1,6,6]+1 → 7 → 失敗
晩翠凍衿:3dx>=9 衝動
DoubleCross : (3R10[10]>=9) → 6[2,5,6] → 6 → 失敗
八十方織間:グオオオオ
雨宮 さざめ:3dx>=9
DoubleCross : (3R10[10]>=9) → 8[3,8,8] → 8 → 失敗
晩翠凍衿:ヒエーッ
GM:マジ??
雨宮 さざめ:おのれ!
雨宮 さざめ:みんな前のめりだった
雨宮 さざめ:100+2d10 侵蝕!
DoubleCross : (100+2D10) → 100+10[7,3] → 110
晩翠凍衿:100+2d10
DoubleCross : (100+2D10) → 100+13[9,4] → 113
八十方織間:100+2d10
DoubleCross : (100+2D10) → 100+12[3,9] → 112
GM:ではセットアップから!
晩翠凍衿:無!
雨宮 さざめ:無し!
八十方織間:《ロケッティア》! 次の移動でシーン内任意の場所へ。行動値0!
八十方織間:八十方織間の侵蝕率を+4した (侵蝕率:112->116)
GM:エネミーはなし!
GM:ではイニシアチブ、最速行動値11の梧桐から。
八十方織間:の前に動くぜ!
GM:来やがった!
八十方織間:《異形の転身》。従者とアーティフィシャルリーチのエンゲージへ移動。
エンゲージ
梧桐啓治[11]
(5m)
“アーティフィシャルリーチ”[9]従者A・B[7]八十方[3]
(5m)
雨宮[9]晩翠[10]
GM:チィーーッ
八十方織間:八十方織間の侵蝕率を+5した (侵蝕率:116->121)
八十方織間:——『fastest sharpest closest』 『Death And Glory』
八十方織間:完全同調を果たした義腕から、自らの聴覚のみに届く起動音声は、強襲白兵マニューバのセットアップが整ったサイン。
八十方織間:一歩の踏み込み、と同時に、肩が持ち上がり、肩甲骨が開く。肺に直結したその孔は、義腕内の着火剤を噛みながら、大量の酸素を吐き出す。
八十方織間:燃焼、爆裂。同時、踏み込んだ足が地を蹴った。僅かに浮いた長身を、ジェット噴射が猛烈な速度で敵陣へ送り込み……
八十方織間:着弾は拳から、"アーティフィシャルリーチ"と従者たちの中心を殴りつけるように。着火剤の黒煙と噴射熱で半焼した服を身に纏い、静かに立ち上がる。炎と鋼鉄に光る腕を持ち上げ、拳を構えて。
八十方織間:「……"リカオンズNo.2"、"テイルバイト"。一番槍、仕った」
八十方織間:「いざ、打って来い——!」
“アーティフィシャルリーチ”:「ひっ……!」怯えた呼気が漏れる。その後方で、空間が歪む。
梧桐啓司:イニシアチブ11。
梧桐啓司:マイナーなし。
梧桐啓司:メジャーメジャー≪コンセントレイト:ブラム=ストーカー≫+≪紅の刃≫+≪インビジブルハンド≫+≪因果歪曲≫+≪雷の槍≫+≪MAXボルテージ≫
梧桐啓司:対象は雨宮・晩翠ペア。
梧桐啓司:10DX7+4
DoubleCross : (10R10+4[7]) → 10[1,3,4,4,5,5,6,9,9,10]+10[5,6,10]+10[7]+1[1]+4 → 35
雨宮 さざめ:暴走リア不!
晩翠凍衿:同じく!
梧桐啓司:4D10+39 装甲有効
DoubleCross : (4D10+39) → 29[7,9,4,9]+39 → 68
晩翠凍衿:死ぬ!せっかくみんなに回復してもらったのに!
雨宮 さざめ:獅子堂後輩のロイスをタイタス昇華で復活! HP11!
晩翠凍衿:梧桐啓司 同情/〇敵意 でロイスを取って即昇華して復活!
梧桐啓司:梧桐の前方に、複数の重力場が発生。空間が歪む。
梧桐啓司:そこに向け、真紅の槍を投げ放つ。
梧桐啓司:一度目の通過。電荷を帯び。
梧桐啓司:二度目の通過。更に加速。
梧桐啓司:三度目の通過で、槍は分裂。
梧桐啓司:常軌を逸した威力と速度の槍が、二人を貫き。同時に電流を撒き散らす。
雨宮 さざめ:目視不能。生物が有する動体視力の限界を超えた加速に、はやにえの虫のように貫かれる。
雨宮 さざめ:「がっ……!」悲鳴は完全に貫かれた後。傷口と口から滴る血が、己が槍の刃を濡らす。
晩翠凍衿:「ああああ……ッ!」
梧桐啓司:「そのまま寝ていてくれるとありがたいのだけどね」
晩翠凍衿:刺さったままの槍が放つ電流に内側から焼かれ、嫌な臭いの煙が出る。膝を突きかける。
晩翠凍衿:「……まさか、この程度で……!」
八十方織間:攻撃を受けた後方を、振り返らない。痛打だろう。だが立ち上がれなくなるほどではないはずだ。いや、立ち上がってもらわなければならない。
八十方織間:ゆえにその前提で動く。周囲を、そこに立つ敵を、強く睨んで。
雨宮 さざめ:対照的に、応じる声は無い。槍に寄りかかったように立っているが、
雨宮 さざめ:細めた目の奥では瞳が油断無く、敵の数と位置を幾度も確認している。
GM:イニシアチブ10、晩翠さんの手番です。
晩翠凍衿:マイナーで5m前進、アーティフィシャルリーチのエンゲージへ。
エンゲージ
梧桐啓治[11]
(5m)
“アーティフィシャルリーチ”[9]従者A・B[7]八十方[3]晩翠[10]
(5m)
雨宮[9]
晩翠凍衿:メジャーで《コンセントレイト:エグザイル》《貪欲なる拳》《風鳴りの爪》《浸透撃》《ジャイアントグロウス》。
晩翠凍衿:敵三体に白兵攻撃!
GM:どうぞ!
晩翠凍衿:12dx7
DoubleCross : (12R10[7]) → 10[1,1,2,2,4,4,4,5,7,7,7,10]+10[1,2,5,8]+10[7]+4[4] → 34
晩翠凍衿:妨害なければ達成値このまま!
従者義体:Bはイベイジョン17で命中
従者義体:Aは“アーティフィシャルリーチ”を行動放棄カバー!
晩翠凍衿:おのれーッ
“アーティフィシャルリーチ”:いや一応ドッジ
“アーティフィシャルリーチ”:10DX
DoubleCross : (10R10[10]) → 10[1,2,5,7,7,8,8,9,10,10]+9[2,9] → 19
“アーティフィシャルリーチ”:頑張ったな……
雨宮 さざめ:あぶねえ……
GM:ダメージどうぞ!
八十方織間:ダメージロール直前に《餓狼の爪》 ここでBもきちんと潰すぞ
八十方織間:ダメージを+14せよ!
GM:げ、ゲェ~~~ッ
晩翠凍衿:わあい!
八十方織間:八十方織間の侵蝕率を+3した (侵蝕率:121->124)
晩翠凍衿:4d10+12+4d10+14
DoubleCross : (4D10+12+4D10+14) → 18[4,9,3,2]+12+24[4,8,10,2]+14 → 68
晩翠凍衿:2,2,3,4を振り直し
晩翠凍衿:57+4d10
DoubleCross : (57+4D10) → 57+25[5,5,8,7] → 82
雨宮 さざめ:うぉおおお
GM:ギャ~~ッ
雨宮 さざめ:エリート!!
従者義体:従者は全滅!
GM:演出どうぞ!
晩翠凍衿:演出!
八十方織間:先の"着弾"と同時、左腕甲からワイヤーの括り付けられた鉤が射出されていた
八十方織間:接近の混乱に乗じ、遠方の従者を引き寄せ、さらに逃走、散開を妨げる
八十方織間:「やれ!」 目を向けぬまま、しかし確かに駆けているであろう後方の少女へ、叫ぶ
晩翠凍衿:……腹を貫いていた槍の放電が止まり、崩れ去る。き、と顔を上げ前方を睨む。
晩翠凍衿:膝を曲げ崩れかけていた姿勢から、次の瞬間青色の風となる。立て直しも踏み出しも見せぬ速度。
晩翠凍衿:標的は拘束された従者二体。束になったその首元に、す、と湾曲した刃が寄り添って、
晩翠凍衿:その脇を駆け抜けると共に、閃き、斬り飛ばす。
晩翠凍衿:晩翠凍衿の侵蝕率を+16した(侵蝕率:113->129)
従者義体:「――」
従者義体:人から外れた、金属そのものの骨格と肉体。そこから、人の鮮血が噴き出す。
従者義体:手足を昆虫めいてばたつかせ、やがて制御を失い、沈黙する。
梧桐啓司:「……義体ではやはり、この程度か……」苦々しく顔を歪める。
晩翠凍衿:「どうもです、先輩」
晩翠凍衿:鎌を血振りし、構え直す。
八十方織間:「いや。合わせてくれて助かった」 射出した鉤を巻き上げつつ、従者の影に残った者を見る
梧桐啓司:「これがUGNチルドレンか……ただ聞くのと実際見るのとでは、大違いだな」
“アーティフィシャルリーチ”:「ひっ……ひぃ~~っ……!」
“アーティフィシャルリーチ”:義体に守られ、だが怯え切った目で君達を見る。
GM:イニシアチブ9、雨宮さんの手番です
雨宮 さざめ:マイナー、《猛毒の雫》。次の攻撃で1でもダメージを与えたら邪毒5をプレゼント。侵蝕110+2=112
雨宮 さざめ:メジャー。《コンセントレイト:オルクス》+《ディストーション》+《完全なる世界》、対象はアーティフィシャルリーチ
雨宮 さざめ:15dx7+7 命中判定
DoubleCross : (15R10+7[7]) → 10[1,1,3,4,4,5,7,8,8,8,9,9,9,9,10]+10[2,2,3,4,5,5,6,7,10]+10[4,8]+10[10]+2[2]+7 → 49
“アーティフィシャルリーチ”:ガード≪イージスの盾≫!
八十方織間:アデレードさんの《オープンペイン》、見たいな~
雨宮 さざめ:おっ、ここで行きますか
晩翠凍衿:使いどころかと!
八十方織間:ラウンド1回ですしね!
雨宮 さざめ:では使ってしまいましょう
GM:ギェ~~ッ
雨宮 さざめ:NPCカード《オープンペイン》!
雨宮 さざめ:5d10+17+2d10+7d10 ガード装甲有効ダメージ
DoubleCross : (5D10+17+2D10+7D10) → 31[2,4,10,8,7]+17+6[5,1]+54[6,9,7,8,9,8,7] → 108
雨宮 さざめ:まぁ
GM:オェッ
雨宮 さざめ:さすがアデレード、強い
“アーティフィシャルリーチ”:108-4D10
DoubleCross : (108-4D10) → 108-19[7,1,10,1] → 89
“アーティフィシャルリーチ”:瀕死……!
アデレード:アデレードの手首から、一滴の血が垂れる。
アデレード:それは瞬時に膨張し、津波のようになって“アーティフィシャルリーチ”に押し寄せる。
“アーティフィシャルリーチ”:「ひぃっ……!?わぁあああ!?」
アデレード:血の津波は凍り付くように硬化、“アーティフィシャルリーチ”を完全に拘束する。
アデレード:「……やって、さざめ」
雨宮 さざめ:──ほぼ同時だった。
雨宮 さざめ:深紅の槍に貫かれた体が、力つきたかのように前方へと倒れ込む──
雨宮 さざめ:その転倒による重心の移動を以て、手の内の槍を、地面と平行に突き出した。
雨宮 さざめ:かろうじてアーティフィシャルリーチの足に届かない槍の、その穂先が捉えたものは、
雨宮 さざめ:交戦前に投擲され、虚しく地に転がったポリエチレンのボトル。目視が容易でない程に細いテグスにより、敵の足下まで引き寄せられたもの。
雨宮 さざめ:貫く。中の液体が空気と反応し、急激に蒸発、霧となってアーティフィシャルリーチを包み込む。
雨宮 さざめ:先の戦いで見せたHFなどではない。そんなものより〝もっと痛い〟。皮膚、粘膜を問わず焼き尽くす対オーヴァード用の暗殺毒。
“アーティフィシャルリーチ”:「あ、あぁああっ……!?」
雨宮 さざめ:「大の男も痛みに泣き叫び夜も眠れぬ。故に号して《秘伝:夜泣き蟲》」
雨宮 さざめ:「……まず一人、殺しました」
雨宮 さざめ:己が槍を杖に立ち上がり、服の埃を払った。
“アーティフィシャルリーチ”:必死に逃れようとするが、叶わない。立ち昇る蒸気を全身に浴びる。
雨宮 さざめ:侵蝕112+9=121
“アーティフィシャルリーチ”:イニシアチブ9。
“アーティフィシャルリーチ”:1D3
DoubleCross : (1D3) → 2
“アーティフィシャルリーチ”:マイナーなし。
“アーティフィシャルリーチ”:メジャーで晩翠さんに≪コンセントレイト:キュマイラ≫+≪獣の力≫+≪吹き飛ばし≫+≪獣の殺意≫
“アーティフィシャルリーチ”:10DX7+6 ドッジダイス-4個
DoubleCross : (10R10+6[7]) → 10[1,1,2,4,5,5,5,7,7,7]+4[2,2,4]+6 → 20
晩翠凍衿:またかよ!リア不!
“アーティフィシャルリーチ”:ダメージ!
“アーティフィシャルリーチ”:3D10+6
DoubleCross : (3D10+6) → 19[2,10,7]+6 → 25
“アーティフィシャルリーチ”:元の方向に4m移動+ランク5邪毒付与!
エンゲージ
梧桐啓治[11]
(5m)
“アーティフィシャルリーチ”[9]八十方[3]
(4m)
晩翠[10]
(1m)
雨宮[9]
晩翠凍衿:死ぬ!アーティフィシャルリーチのロイスを昇華して復活!
“アーティフィシャルリーチ”:「ぎっ!!あぁああああっ!!」
“アーティフィシャルリーチ”:激痛に半狂乱の状態で、人工蛭を振り回す。
“アーティフィシャルリーチ”:「嫌ぁああ!!もう嫌ぁあ……!!何で、何でこんな……!!」
“アーティフィシャルリーチ”:最も近くの晩翠を、鋭利な先端で突き刺し。そのまま、人外の膂力で吹き飛ばす。
梧桐啓司:「……!」
晩翠凍衿:「ぐっ……」
“アーティフィシャルリーチ”:「助けてお母さん……!お父さん……!痛いぃい……!!あああぁああ……」
“アーティフィシャルリーチ”:血と涙に塗れながら、凶悪な武器を振りかざす。
“アーティフィシャルリーチ”:「どうして私ばっかり!!何でぇえ!!」
晩翠凍衿:奇しくも先程槍に突かれ装甲の破れた箇所。そこを更に抉られ、夥しい血と共に跳ね飛ばされる。
GM:イニシアチブ3、八十方さんの手番です。
八十方織間:マイナーで暴走解除。メジャーで《コンセントレイト:エグザイル》+《妖の招き》
八十方織間:対象は梧桐啓司。ダメージが入ったらこっちのエンゲージに来てもらうからな……!
“アーティフィシャルリーチ”:≪魔獣の咆哮≫+≪殺意の壁≫
“アーティフィシャルリーチ”:判定ダイス-3個、攻撃力-6!
八十方織間:あっこいつ、余計なもん隠し持ちおって!
八十方織間:6dx7+3
DoubleCross : (6R10+3[7]) → 6[1,1,4,5,6,6]+3 → 9
八十方織間:ウッソだろお前
GM:ワオ…………
雨宮 さざめ:マジで……?
GM:避けちゃお~
晩翠凍衿:Oh
梧桐啓司:≪死者の肉体≫
梧桐啓司:11DX
DoubleCross : (11R10[10]) → 10[2,3,3,5,5,5,5,8,8,10,10]+3[3,3] → 13
八十方織間:て、低レベルな争い……!
梧桐啓司:避けちゃった……
八十方織間:だが負けは負けである
雨宮 さざめ:おのれ……
八十方織間:再び、左腕甲から鉤を射出。腕を振るい、さながら釣りのように、梧桐へ引っかけようとする
八十方織間:そして、同時に右腕を大きく振りかぶる。次撃のための予備動作だ、が……
梧桐啓司:「おっと……!」
梧桐啓司:小型の槍を射出し、鉤を迎撃する。
梧桐啓司:「戦闘用義肢は専門外だがね」
梧桐啓司:「流石に、何をしてくるか程度は分かるさ」
八十方織間:「……おっしゃる通り。少々初動が安直過ぎましたかね」
八十方織間:無理な追撃はしない。破損を避けるため、すぐに手を引く。ここで急くより、次の機会を見る……!
八十方織間:八十方織間の侵蝕率を+4した (侵蝕率:124->128)
GM:クリンナップフェイズ。邪毒ダメージを適用。
“アーティフィシャルリーチ”:HP0に。
晩翠凍衿:八十方さんのロイスをタイタス昇華して不利な状態を解除。
“アーティフィシャルリーチ”:≪魔獣の証≫HP30で復活!
八十方織間:こっこの野郎
晩翠凍衿:こいつーッ
雨宮 さざめ:なあに……エリートの晩翠さんが薙ぎ払ってくれるさ……
“アーティフィシャルリーチ”:「ぐぅぅう……ぅううううう……!」苦悶と怒りの唸りと共に、土を引っ掻いて立ち上がる。
“アーティフィシャルリーチ”:「アデレード……!アデレード・アイゼンステイン……!」
アデレード:「……」
“アーティフィシャルリーチ”:「やっと見つけたのだから……!貴女だけは……絶対に……殺す……!」
梧桐啓司:「お前……!何を……!?」
雨宮 さざめ:「…………」
GM:2ラウンド目を開始します。
GM:セットアップから。
晩翠凍衿:ない!
雨宮 さざめ:無し!
梧桐啓司:Eロイス≪楔の呪い≫
梧桐啓司:ラウンド間、戦闘不能回復以外のタイタス使用不可!
雨宮 さざめ:むっ……厄介な!
八十方織間:な……い!
晩翠凍衿:そもそももうタイタス使いたくない!
GM:イニシアチブ!
GM:無ければ最速の梧桐から!
晩翠凍衿:それも無し!
八十方織間:ないぞ! 特に移動する理由もない
雨宮 さざめ:かもん!
梧桐啓司:マイナーなし。
梧桐啓司:メジャー≪コンセントレイト:ブラム=ストーカー≫+≪紅の刃≫+≪インビジブルハンド≫+≪因果歪曲≫+≪雷の槍≫+≪MAXボルテージ≫
梧桐啓司:対象は八十方織間!
八十方織間:来い!
梧桐啓司:10DX7+4
DoubleCross : (10R10+4[7]) → 10[3,5,7,7,8,8,8,9,9,10]+10[1,2,3,3,5,6,6,9]+10[7]+10[9]+1[1]+4 → 45
八十方織間:ガード
梧桐啓司:5D10+39
DoubleCross : (5D10+39) → 27[10,6,3,3,5]+39 → 66
八十方織間:装甲10と減らしても48点! さすがに耐えきれない。戦闘不能です
八十方織間:梧桐啓司へのロイスをタイタスにして昇華、復活
八十方織間:八十方織間のHPは16になった。(HP:33->16)
梧桐啓司:同時に二点、重力場が発生する。それぞれ梧桐と八十方の足元。
梧桐啓司:梧桐が真紅の血槍を、足元の力場に投げ放つ。
梧桐啓司:掻き消えた槍は、八十方の足元から再出現。
梧桐啓司:鋭角の起動を描き、下方から襲い来る。
八十方織間:両の腕を交差して屈み、急所だけをどうにか守る
八十方織間:だが、受け切ることはできない。外格を、義手を貫き、胴を抉られる。電気の火花が散る
八十方織間:「……ぐ……ッ!」 痛みに呻きながら、梧桐を見上げ
梧桐啓司:「……済まない、八十方くん」
梧桐啓司:「僕にはどうしても、彼女一人を、酷薄な陽の下に置いてはいけない」
八十方織間:「……先生は、良い人だ」
八十方織間:「俺を良く診てくれました。今そんなことをしている理由も、おっしゃるとおり。元を質せば思いやり、あるいは……愛なんでしょう」
梧桐啓司:「…………」
八十方織間:「だが……ッ!」 痛みを噛み殺し、槍を抜きつつ 「手段が違う。あなたは今、決定的に間違ったやり方を徹そうとしている!」
八十方織間:「……今すぐだ」 「今すぐ止めてください。その誤りを認めて、立ち止まってください。これが最後の通告です」
梧桐啓司:「……そうかもしれないね」
梧桐啓司:「でもね、八十方くん」
梧桐啓司:「僕には、たとえ間違っていようと、この道を行く他に無いんだ」
八十方織間:睨むような、願うような目をしていたが
八十方織間:それを閉じ、抜き去った槍を放り捨てる 「ならばもう問答は無用だ。先生。あなたの正しさは、もう過去にしかない」
梧桐啓司:「……ああ。僕も問答は無意味だ」
梧桐啓司:再び槍を構え。
八十方織間:瞠目し、両腕を構える 「打って止めるぞ……梧桐啓司!」
梧桐啓司:「立ち塞がるなら、倒すしかない」
GM:イニシアチブ10、晩翠さんの手番です。
八十方織間:ロイス取得 梧桐啓司/尽力/○敵意
晩翠凍衿:マイナーで再度アーティフィシャルリーチにエンゲージ。
エンゲージ
梧桐啓治[11]
(5m)
“アーティフィシャルリーチ”[9]八十方[3]晩翠[10]
(5m)
雨宮[9]
晩翠凍衿:メジャーで《コンセントレイト:エグザイル》《貪欲なる拳》《風鳴りの爪》《浸透撃》。
晩翠凍衿:12dx7
DoubleCross : (12R10[7]) → 10[1,1,1,1,1,3,5,5,7,8,8,9]+5[3,3,4,5] → 15
“アーティフィシャルリーチ”:ガード≪イージスの盾≫
八十方織間:《餓狼の爪》。攻撃力+14しな!
晩翠凍衿:あっガー不です……が
晩翠凍衿:避けられそうだなこれ……
GM:オワーッ
晩翠凍衿:栄光の血もらっても……?
雨宮 さざめ:私はいいと思う(画像略)
八十方織間:打ち漏らすのも嫌ですしね!
晩翠凍衿:じゃあ使ってもらいます!
“アーティフィシャルリーチ”:ドッジ!
“アーティフィシャルリーチ”:10DX
DoubleCross : (10R10[10]) → 7[1,2,3,3,5,6,6,7,7,7] → 7
“アーティフィシャルリーチ”:駄目だった
晩翠凍衿:達成値33!
晩翠凍衿:いらなかった……
八十方織間:改めて 《餓狼の爪》。攻撃力+14しな!
GM:ギェ~~ッ
八十方織間:八十方織間の侵蝕率を+3した (侵蝕率:128->131)
晩翠凍衿:4d10+12+2d10+14
DoubleCross : (4D10+12+2D10+14) → 32[10,8,10,4]+12+8[2,6]+14 → 66
“アーティフィシャルリーチ”:戦闘不能!復活無し!
GM:演出どうぞ!
アデレード:アデレードの鮮血が、鎌を覆っていく。
アデレード:刃は一回り巨大に、鋭利になって、紅玉の如き輝きを放つ。
アデレード:「長くは保たないわ」
八十方織間:梧桐との対峙の背後、"アーティフィシャルリーチ"が尚も動こうとしていたのを察し、
八十方織間:まったくの予備動作なく、彼女の背に打撃を加える。それは、その一撃で彼女を損壊させようというよりも、突き飛ばし、無防備な瞬間を作るというニュアンスが強い一撃だった
“アーティフィシャルリーチ”:「ッ!?う、あ……!?」
“アーティフィシャルリーチ”:朦朧とする意識の、さらに外からの攻撃に、大きく体勢を崩す。
晩翠凍衿:飛び出す。直線、鏃のような鋭角の輪郭となって。
晩翠凍衿:その先端は蹴りの形の右足。体勢を崩した“アーティフィシャルリーチ”の、さらに正面から打撃を与え、蹴り倒して踏み締める。
“アーティフィシャルリーチ”:「ひぃっ ぃいいいっ……!」
晩翠凍衿:——仰向けになった彼女の視界、映るのは振りかざされた赤い刃。それを覆うアデレードの血が、超自然の輝きを放って。
晩翠凍衿:「あなたの事情は知らないけど」
“アーティフィシャルリーチ”:人工蛭を翳し、咄嗟にガードしようとして――
晩翠凍衿:半月の軌道。
晩翠凍衿:刃は腹部を、はらわたのある位置を貫いて、深々と抉りながら脇腹へと抜け、その先いくばくかの地面にも余波の溝を刻む。
“アーティフィシャルリーチ”:「かっ――」
晩翠凍衿:「どうあれ同情はしない」
“アーティフィシャルリーチ”:一瞬遅れて、真っ二つになった人工蛭が、ばらばらに分解する。
晩翠凍衿:「あたし、あなたにはすごく怒ってるから」
“アーティフィシャルリーチ”:「あ……ぁああ……」
“アーティフィシャルリーチ”:大きく首を逸らし、視線を向けたのは、敵でも梧桐でもなく、一人の美しい少女――アデレード。
雨宮 さざめ:「……『ジョウジマ トウコ』」致命の光景を視界に入れながら、その名を口にする。
梧桐啓司:「……塔子……!」
“アーティフィシャルリーチ”:「……そんなに……」
“アーティフィシャルリーチ”:「その、女が……大事、なんですか……」
“アーティフィシャルリーチ”:「……お父、さん…………」
“アーティフィシャルリーチ”:そう言い残して、ぱたりと動かなくなる。
晩翠凍衿:「……」踏みつけた体の上から退き、ゆるりと柄を回して鎌を担ぎ直す。
晩翠凍衿:最後にもう一度彼女を一瞥し、残る敵へと向き直った。
晩翠凍衿:晩翠凍衿の侵蝕率を+11した(侵蝕率:129->140)
梧桐啓司:「…………」
梧桐啓司:その亡骸を見遣り、ほんの一瞬、目を伏せた。
梧桐啓司:「……済まない」
GM:イニシアチブ9、雨宮さんの手番です。
雨宮 さざめ:マイナー、《猛毒の雫》。ダメージ入れば邪毒5、侵蝕121+2=123
雨宮 さざめ:メジャー、《コンセントレイト:オルクス》+《ディストーション》+《完全なる世界》、対象は梧桐啓司!
GM:妨害札はもうない!
雨宮 さざめ:15dx7+7 命中判定
DoubleCross : (15R10+7[7]) → 10[1,1,1,2,3,5,7,7,7,9,9,9,10,10,10]+10[1,1,1,2,3,4,6,9,10]+10[6,9]+10[9]+10[7]+3[3]+7 → 60
梧桐啓司:ドッジ≪死者の肉体≫
梧桐啓司:11DX
DoubleCross : (11R10[10]) → 10[1,1,2,3,5,6,7,8,8,9,10]+8[8] → 18
雨宮 さざめ:7d10+17+2D10 装甲有効
DoubleCross : (7D10+17+2D10) → 40[1,8,9,6,7,8,1]+17+9[2,7] → 66
GM:半分くらい喰らう!
雨宮 さざめ:なかなか頑丈だな!
雨宮 さざめ:「……〝済まない〟と、ただそれだけですか」
雨宮 さざめ:「己が為に死なせた娘に、父親がかける言葉が」
梧桐啓司:「…………」
梧桐啓司:何も答えない。
雨宮 さざめ:槍を頭上で振り回す。ひょう、と風切る音が鳴る。
雨宮 さざめ:「なら、良いです」
雨宮 さざめ:「死ねばいい」
雨宮 さざめ:槍が突如、分解した。……固定が外れ、元の、衣服の中に隠せるまでの小金属群へと戻ったのだ。
雨宮 さざめ:それは遠心力によって速度を得て、鋭利な金属片の雨となって梧桐啓司へと射出された。
雨宮 さざめ:刃は雨宮さざめの血で濡れている。即ち、かすり傷から人間を殺害し得る毒である。
雨宮 さざめ:侵蝕123+9=132
梧桐啓司:「ぐ、うッ……!」
梧桐啓司:回避も、力場の展開も間に合わない。しとどに鋼の雨を受ける。
梧桐啓司:引き裂かれた衣服の間から、機械と生体の混じり合った、醜悪な身体が覗く。
雨宮 さざめ:「お前はもう、人ではない。……その体を構成する、鋼を指して言うのではなく」
雨宮 さざめ:「その心根から、怪物に成り果てたのです」
梧桐啓司:「っ……」目鼻から、傷の為ではない血が垂れる。
梧桐啓司:「……そうとも」
梧桐啓司:それを拭って。
梧桐啓司:「それが望みだ」
八十方織間:「…………」
GM:イニシアチブ3、八十方さんの手番です。
八十方織間:マイナーなし。メジャーで《コンセントレイト:エグザイル》+《妖の招き》。行くぞ!
八十方織間:10dx7+3
DoubleCross : (10R10+3[7]) → 10[1,1,2,3,3,6,8,8,9,10]+10[6,7,7,10]+10[4,9,9]+4[3,4]+3 → 37
梧桐啓司:ドッジ≪死者の肉体≫
梧桐啓司:11DX
DoubleCross : (11R10[10]) → 9[1,2,3,4,4,4,6,7,7,8,9] → 9
八十方織間:4d10+14
DoubleCross : (4D10+14) → 28[10,8,8,2]+14 → 42
八十方織間:諸々有効。ダメージ入ればこちらのエンゲージへ移動
梧桐啓司:だいぶ喰らう!引き寄せも有効!
エンゲージ
八十方[3]晩翠[10]梧桐啓治[11]
(5m)
雨宮[9]
八十方織間:左腕甲からワイヤーの付いた鉤を振るう。雨宮の攻撃の瞬間に合わせ、再び梧桐を釣り寄せようという、見え透いた手。
八十方織間:しかしそれと同時、右手は槍を——先程、梧桐が攻撃に用いた血槍を、鉤からの回避先に向けて投擲している。
梧桐啓司:「その手は……」再び槍を生成、鉤を撃墜せんとして。
梧桐啓司:「……ッ……!?」一瞬遅れて、それに気付く。
八十方織間:ガキン、ガキン!
八十方織間:投擲のために伸び切った右腕が、肩から上腕から異音を発し……伸びる。身は細くなった代わり、関節の数は6。全長は7メートル。
八十方織間:鉤と投擲の挟撃にて硬直したその胸倉を掴み、伸びた腕を折り畳みながら、強引に引き寄せ……
八十方織間:「……しッ!」 その末に、腹部を狙った左拳での打撃!
梧桐啓司:「ご……ぶっ……!」
梧桐啓司:鋼が更に硬質の鋼に砕かれる、不協和音が鳴り響く。
八十方織間:腕を振り抜きつつ、ステップを踏んでその場からは引く。油断なく拳を構えたまま。
梧桐啓司:「が……ッ……! はっ……!はぁっ……!」たたらを踏み、荒い呼吸を繰り返す。
八十方織間:「……引きずり込んだぞ。群れの最中に」
梧桐啓司:「……流石、プロだな……」場違いな笑みを浮かべ。
梧桐啓司:「この歳まで、荒事とは……無縁だったものでね」
八十方織間:「……そういえば、実際の戦闘を見せたことはなかったな。だから勘違いをしないで欲しい」
八十方織間:「『これから』だ。プロのやり方を見せるのは」
八十方織間:「リカオンの狩りは、獲物が止まるまで終わらない」
八十方織間:鋭い眼光が、梧桐を射貫く
梧桐啓司:「…………」八十方織間のその双眸に、彼の経歴を、プロファイルを思い出す。
梧桐啓司:UGN特戦部隊、“リカオンズ”。その最後の生き残り。
梧桐啓司:「……君一人でも、『群れ』なのか?」
梧桐啓司:言葉とは裏腹に、心中に去来する感情は――恐怖。
八十方織間:「見ての通りだ」
八十方織間:「一人じゃない」 晩翠が、雨宮が、背後にはいる
晩翠凍衿:「……」油断なく構えて対峙する。娘の血に濡れた大鎌が、次は梧桐啓司に狙いを定めている。
GM:クリンナップフェイズ。
雨宮 さざめ:無し! 邪毒をどうぞ!
GM:邪毒ダメージを適用。まだ生きてます。
GM:3ラウンド!
GM:セットアップ!
雨宮 さざめ:無し!
八十方織間:ない!
晩翠凍衿:ない!
梧桐啓司:再び≪楔の呪い≫!
八十方織間:八十方織間の侵蝕率を+4した (侵蝕率:131->135)
八十方織間:これはさっきの攻撃のぶん
梧桐啓司:イニシアチブ11。
梧桐啓司:マイナー≪重力の沼≫同エンゲージのキャラクターは、このメインプロセス間リアクションC値+1
雨宮 さざめ:何ぃ……?
八十方織間:いやらしいことをする……!
梧桐啓司:メジャー≪コンセントレイト:ブラム=ストーカー≫+≪紅の刃≫+≪インビジブルハンド≫
梧桐啓司:対象晩翠と八十方!
梧桐啓司:11DX7+4
DoubleCross : (11R10+4[7]) → 10[1,4,4,5,5,7,7,8,8,8,10]+10[2,4,5,7,7,8]+10[4,5,7]+10[7]+2[2]+4 → 46
晩翠凍衿:グエエエーッリア不!
八十方織間:ガードします。メジャー放棄して晩翠さんをカバーリング
晩翠凍衿:すまない……!
八十方織間:あ、違う
八十方織間:《復讐の刃》。さらにメジャーアクションを放棄して晩翠さんをカバーリング!
梧桐啓司:ダメージ!
梧桐啓司:5D10+8
DoubleCross : (5D10+8) → 20[7,4,4,3,2]+8 → 28
八十方織間:《復讐の刃》発動
八十方織間:10dx7+3
DoubleCross : (10R10+3[7]) → 10[1,1,2,2,6,6,7,10,10,10]+10[1,2,7,10]+10[5,10]+2[2]+3 → 35
八十方織間:4d10+14
DoubleCross : (4D10+14) → 24[7,3,7,7]+14 → 38
GM:残り体力……27!
GM:HP0に。復活エフェクトはありません。
GM:戦闘終了です。
晩翠凍衿:見事!
八十方織間:八十方織間の侵蝕率を+6した (侵蝕率:135->141)
梧桐啓司:梧桐の周囲、空間が歪む。
梧桐啓司:展開された力場に向けて、放たれるのは無数の血槍。
梧桐啓司:幾重にも加速・分裂した無数の槍が、豪雨の如く全方位に降り注ぐ。
梧桐啓司:「僕は……ここで……」
梧桐啓司:「止まるわけには、いかない……!」
晩翠凍衿:「くっ……!」鎌を翳し、どうにか急所への弾丸を弾こうとする。
八十方織間:「それはもう、」
八十方織間:「何度も見た!」 身を守ることはしない。槍の豪雨の只中へ、敢えて前進する。左の半身を前に出し、盾としながら
梧桐啓司:「……ぐぅっ……!」
梧桐啓司:槍を一点に集中させ、その進行を防がんとする。
八十方織間:ガキン、ガキン! 先ほど梧桐を掴み寄せた時と同じく、右腕がクレーンのように展開する。乱暴に振るわれるそれで、殺意の雨を薙ぎ払い、さらに前進。
晩翠凍衿:「あっ……!?」それによって、自身は結果的に助かったが。
晩翠凍衿:「八十方先輩!」
梧桐啓司:「……僕だけだ!僕だけなんだ……!」
梧桐啓司:「彼女を守ってやれるのは……!何故放っておいてくれないんだ……!」
八十方織間:「……ッフ……!」 攻撃が集中すれば、強引な進撃は止まる。八十方はそれに耐えきれず、膝をつくが
八十方織間:……燃焼音。戦闘開始の折、強襲に用いた肩のジェット機構に再び火が点いて
八十方織間:「……それが本当にそうだったか、どうか」
八十方織間:止まったはずの身体が強引に発進する。眼光は爛々と輝き、打つべき敵を真正面に見据えて
八十方織間:全ての攻撃を押しのけ、鉄の腕が乱暴に振り抜かれる。顎。脳を激震させる決着打
梧桐啓司:「ッ――!」
梧桐啓司:青年、否、老人の身体が、軽々と吹き飛ぶ。
八十方織間:「見届けてください。先生」
八十方織間:「……俺の経過を、見てくれたみたいにです」
アデレード:「……啓司……!」思わず漏れたのは、悲鳴のような声。
八十方織間:「あの優しい眼で……」
梧桐啓司:「……はは……」
梧桐啓司:地面に仰向けになり、笑みを零す。
梧桐啓司:「八十方くん」
梧桐啓司:「やはり、君は……優しすぎる……」
八十方織間:「……」
梧桐啓司:「……残念だが、僕には……」
梧桐啓司:その身体が、植物が枯れるように、急速に生気を失っていく。
梧桐啓司:「それはもう、出来そうにない」
梧桐啓司:その姿は見る間に元の老人へと戻り、尚も衰弱は進んでいく。
八十方織間:「……じゃ、天国で……いや、先生は地獄行きか」
梧桐啓司:「……老いぼれが無茶をしすぎたようだ」
八十方織間:「残念だな、本当に……」 そこまでで、言葉が区切れる
八十方織間:倒れ込んだ八十方の身体は、損傷と過剰運動により、節々から黒煙が噴き上がる。
梧桐啓司:「おい、ひどいな……」喉を鳴らして笑って。「慰めでもいいから、そこは天国と言ってくれよ」
八十方織間:「……ふ、ふ……」 笑みを漏らして 「それが慰めでしかないことも、先生は分かってるんでしょ」
梧桐啓司:「……そうだな……」
梧桐啓司:「……本当に、済まない」
八十方織間:「……まったく」
八十方織間:「何を謝られて、いるんだか」 最後にもう一つ笑って、そのまま脱力するように意識を失う
アデレード:「…………」
アデレード:「……さざめ」
雨宮 さざめ:「はい」手の中に多量の針を持ち、立っている。
アデレード:留めるように、その手に触れて。
アデレード:「少し、あの子と。話をしてもいいかしら」
雨宮 さざめ:「……………………」
アデレード:「ほんの少しよ。それで十分」
雨宮 さざめ:良いとは言えない。普通に考えるなら、UGNエージェントとしての立場で動くなら。
雨宮 さざめ:こういう時に不慮の事態は避けるべきだ。
雨宮 さざめ:だが。
雨宮 さざめ:「……晩翠さん」
雨宮 さざめ:「よろしいですか?」
晩翠凍衿:「……ん。どうぞ」
晩翠凍衿:小さく頷いて脇に退ける。
雨宮 さざめ:手の中の針を袖へと戻し、頷いた。
アデレード:「……ありがとう」
アデレード:微笑を浮かべ、倒れた梧桐のもとへ、ゆっくりと歩み寄る。
梧桐啓司:既に身体は、老いを通り越し、朽ち始めている。
アデレード:そこに、屈み込んで。
アデレード:「……馬鹿ね」
アデレード:呟く。
梧桐啓司:「…………」
梧桐啓司:「――」
梧桐啓司:梧桐が何事かを口にする。
梧桐啓司:弱々しい声だ。すぐ傍のアデレード以外には聞き取れないほどの。
梧桐啓司:「――」
梧桐啓司:「――」
アデレード:「…………」
アデレード:それを聞き、しばらく黙り込んで。
アデレード:やがて、彼の耳元で口を開く。
アデレード:「――」
アデレード:「――」
アデレード:目を閉じ、頬に手を添わせて。
アデレード:「――」
アデレード:「――」
梧桐啓司:それを最後まで聞き届け、梧桐は目を閉じる。
梧桐啓司:身体は白く、枯れ木のように朽ち果て。
梧桐啓司:どこか満足気な笑みを浮かべて。
梧桐啓司:死んだ。
GM:---
GM:バックトラックです。
Eロイス
≪愚者の契約≫
≪囚人の鳥籠≫
≪堕落の誘い≫(2カウント)
≪楔の呪い≫
GM:合計5個!
八十方織間:振る振る~
雨宮 さざめ:たぶん楔の呪い
雨宮 さざめ:も2カウント……!
GM:あっそうだ
晩翠凍衿:楔の呪いも2個分かな
GM:じゃあ……6個……!
八十方織間:ふえるEロイス
雨宮 さざめ:たっぷり6個振る~
晩翠凍衿:振るっきゃない!
雨宮 さざめ:132-6d10
DoubleCross : (132-6D10) → 132-23[7,4,5,1,2,4] → 109
八十方織間:141-6d10
DoubleCross : (141-6D10) → 141-25[7,2,2,5,2,7] → 116
晩翠凍衿:140-6d10
DoubleCross : (140-6D10) → 140-33[3,8,1,6,8,7] → 107
八十方織間:等倍
八十方織間:116-5d10
DoubleCross : (116-5D10) → 116-23[4,7,5,3,4] → 93
雨宮 さざめ:109-5d10 等倍
DoubleCross : (109-5D10) → 109-32[9,4,6,5,8] → 77
晩翠凍衿:等倍で
八十方織間:よしよし
晩翠凍衿:107-3d10
DoubleCross : (107-3D10) → 107-11[7,3,1] → 96
雨宮 さざめ:5点
晩翠凍衿:フゥーッ
GM:ではシナリオ10にいつもの5!全員等倍なので20点配布!お疲れさまでした!
八十方織間:明日の朝のスープにいれていただきます
晩翠凍衿:お疲れ様でした!
雨宮 さざめ:美味……美味……お疲れ様でした……!
GM:
【ED/雨宮さざめ】
GM:---
GM:水曜日 深夜一時 公園
GM:---
GM:毎週決まった、約束の時刻。
GM:君、雨宮さざめが公園に足を運ぶと、そこには珍しく――というより、初めて、アデレードが先に待っていた。
アデレード:「遅いわよ」
雨宮 さざめ:「あら、ごめんあそばせ」冗談めかして袴の裾をつまみ上げる。
アデレード:「来ないのかと思ったわ」
雨宮 さざめ:「ふふ、それは私の台詞です」
雨宮 さざめ:「……あのまま、すっかり夢のようにいなくなってしまったのではないかと、どきどきしながら此処まで歩いて来たのですよ」
アデレード:「そうね」笑って。「あながち、間違いではないかも」
雨宮 さざめ:「と言うと、やはり?」
アデレード:「……ええ」
アデレード:「今日は、貴女にお別れを言いに来たのよ」
雨宮 さざめ:「なんとなく、そんな気がしていました」歩み、間合いを近づけていく。
アデレード:「あら、そう?勘がいいわね」自然体のまま、ベンチに座っている。
雨宮 さざめ:「ふふ、勘が鈍くても分かります。きっと貴女はいなくなるのだろう、って」
雨宮 さざめ:「もうこの街に戻ってくるつもりも無いのだろう……って」
アデレード:「……そうね」
雨宮 さざめ:「分かってはいても、薄情ですよ」ぷぅ、と頬を膨らませて不満を表明する。
雨宮 さざめ:……ベンチの前で立ち止まる。
アデレード:「あら、寂しい?」
雨宮 さざめ:「ええ、当然です。数少ない友達ですから、けど──」
雨宮 さざめ:「アデレードは、寂しくないのですか?」
アデレード:「寂しいわ。寂しいし、悲しい。けれど――」
アデレード:そこで少し、黙り込み。
アデレード:「ねえ、さざめ?」
雨宮 さざめ:「はい」
アデレード:「私の血が欲しい……そう言っていたわね」
雨宮 さざめ:「はい」頷きながら。
アデレード:「あげましょうか。ただし」笑って。「力づくで、奪えたら」
雨宮 さざめ:「そうですか」と応じながら、ベンチの隣に腰を下ろす。「魅力的な提案です」
雨宮 さざめ:「きっと貴女にも、退屈をさせる事は無くなると思うのです、私」
アデレード:「どうかしらね?それは」悪戯っぽい表情で、「これから試してみないと」
雨宮 さざめ:「だって貴女は、これからも長く生きるのでしょう?」
雨宮 さざめ:「この月の空を見上げたところで、〝死んでもいいわ〟なんて、決して言ってくれそうにない貴女」
雨宮 さざめ:「私、何十年か過ぎたら、貴女を追いかけてみようかと思うのです」
アデレード:「……」目をぱちくりさせて。
アデレード:「へえ?」
アデレード:興味深そうに。
雨宮 さざめ:「貴女は何処かへいなくなる。私はそれを探し当てる。つまりはこの星全てを使った〝かくれんぼ〟」
雨宮 さざめ:「けれど、貴女は隠れるのが上手そうだから、その時に寿命が残っていなかったら困ってしまいます」
アデレード:「中々わくわくする提案ね」
雨宮 さざめ:「そうでしょう?」
アデレード:「でも、約束は約束よ」
アデレード:トン、と羽のように軽々と、ベンチの背もたれに立って。
アデレード:「試してあげる。どこからでも来なさい?」
雨宮 さざめ:「では」
雨宮 さざめ:座ったままに空を見上げた。
雨宮 さざめ:ゆっくりと手を空へ伸ばし、軽く曲げ伸ばしする。空に浮かんでいるものを掴もうとするように。
雨宮 さざめ:星や月には、決して手が届かないものだ。試すまでもなく分かること。
雨宮 さざめ:けれども。
雨宮 さざめ:「アデレード、貴女は」
雨宮 さざめ:「ただ夜に浮かんでいるだけの、小さな光ではない」
雨宮 さざめ:開いたままの、何も握っていない手から何かが飛ぶ──
雨宮 さざめ:爪だ。
雨宮 さざめ:見せた事の無い技の一つ。体液の圧を操作し、生爪を引き剥がして射出する飛び道具。
アデレード:ベンチを蹴り、自由落下に任せるままにそれを躱す。
雨宮 さざめ:「……さて、困りました」
雨宮 さざめ:「私、あまり人にお見せできない類いの技ばかり身につけているのですが」
雨宮 さざめ:「例えばこのような」言葉を言い終える前、左手を振る。数十本の縫い針が一斉に飛ぶ。
アデレード:間接に異常な負荷が掛かるであろう、異様な体勢で屈み込み、それから軽々と跳躍する。
アデレード:「知ってるわ」くすりと笑う。
アデレード:「ねえ、さざめ?」
雨宮 さざめ:左手を引き戻す。飛んでいった筈の針の内数本が、空中で軌道を変えて跳躍へと追随する。
雨宮 さざめ:「アデレード」
雨宮 さざめ:「正直、気に入らないというのもあるのですよ」
アデレード:空中で何かを蹴るような仕草。極限まで身を縮め、迅速に着地する。
アデレード:「え?」
雨宮 さざめ:「余裕綽々で、反撃もせず、ただ躱すだけ。それを幾晩も幾晩も」膨れ面をして、恨み言を吐きながら
雨宮 さざめ:「比喩でなく血を吐きながら身につけた技を嗤われているようで、腹も立つのです、私だって」殺意を愉しむ修羅の笑み。
雨宮 さざめ:両手に再び、多量の針を構える。次は縫い針のような短いものではない。
雨宮 さざめ:「……それで、何か言いましたか?」
アデレード:「貴女、十七だったかしら?」
雨宮 さざめ:「ええ、そうですが……歳が気になるのです?」
アデレード:「そんな小娘に追いつかれたら、私が溜まったものではないわ」
アデレード:「五百年早いというものよ」
雨宮 さざめ:首を傾げながら、両手の針を地面へ落とす。ざらざらと音を鳴らしながら落ちていく針──が、幾つか空中で止まる。
アデレード:「話というのは、それではなくて」
アデレード:「前に訊いたわね。恋人はいるか、って」
雨宮 さざめ:「そうでしたね。確か、最後の夜に」
アデレード:「貴女は恋心など抱くものでは無いと言ったけれど……」
アデレード:「でも、やっぱり、恋はするべきよ」
雨宮 さざめ:「いいえ」軽く首を振る。髪の中に隠した針が数本、からりと鳴る。
雨宮 さざめ:「いいえ、もしそうだとしても……きっと、貴女の言う恋と、私が好ましく思う恋とは違うのでしょう」
アデレード:「そうかしら」
雨宮 さざめ:「だって貴女は、恋した相手を連れていこうとしなかった」
雨宮 さざめ:「私がもし恋をしたら、そんな奥ゆかしい事、絶対にできないと思うのです」
アデレード:「それはね」眩しいように目を細めて。
アデレード:「愛していたからよ、あの子を」
アデレード:「貴女も誰かを愛すれば、分かるわ」
雨宮 さざめ:「また大人ぶる……私を対等の友人とは見てくれないんですね……」あからさまに、そうと分かるように目を閉じて溜息を吐く。
アデレード:「あら、年寄りの言うことは聞くものよ?」くすりと笑い。
アデレード:「これまで、長く生きているうちに、色んな、多くの……ええ、本当に多くの人に出逢ってきたわ」
アデレード:「沢山の友人に会った。誰かを愛したことも、これが初めてじゃないわ」
アデレード:「北の国の人。南の国の人。優しい人。冷たい人。男。女。色んな人がいて」
アデレード:「そしてその全てと、最後には別れた」
アデレード:「いつも、とても悲しいわ。悲しくて、寂しくて、辛い。とてもやりきれない気持ちになって」
アデレード:「……でも、後悔は、一度だって無いわ」
雨宮 さざめ:目を閉じたままだ。手にはテグス。それに吊られて、空中に針が数本浮かんでいるが、
雨宮 さざめ:この技ならもう幾度も見せた。当たるものではないと、双方が知っている筈だ。
アデレード:「だから、貴女にも、いつか」
アデレード:「それを知ってほしいの」
雨宮 さざめ:「貴女は随分と勝手です、アデレード。……本当に、呆れてしまうほど」
雨宮 さざめ:目を閉じたまま両手を振るう。両手の針はあらぬ方向へと飛び、
雨宮 さざめ:「そうやって言うだけ言って、もう二度と会いに来ないなんて言うんだったら、私は怒りますからね?」
アデレード:「そうね。気が向いたら、様子を見に来てあげる」
アデレード:「その時までに、見つけられるといいわね」
アデレード:「その胸を焦がすような、狂おしい、愛おしい恋をね」
雨宮 さざめ:「胸を焦がすような──はさておき」
雨宮 さざめ:その場に留まったまま、足を少し横へ滑らせた。
雨宮 さざめ:何も無いように見える地面を、グッと踏みつける──
アデレード:「?」その動きを目で追う。
雨宮 さざめ:──その刹那。公園の数カ所で、地面が爆ぜた。
アデレード:「――!」一瞬反応が遅れ、硬直する。
雨宮 さざめ:火薬と鉄の小片を用いた小爆弾。レネゲイドコントロールにより起爆する地雷は、〝来なかった〟夜に仕掛けたもの。
雨宮 さざめ:「──ふっ」とどめの一矢は手では無い。舌をガイドに息にて放つ含み針。
雨宮 さざめ:喉元目掛けてその針は、音も無く飛んで行く。
アデレード:無数の爆炎と鉄片、そして針が、アデレードに迫る。
アデレード:逃げ場は――どこにもない。人が人である以上、構造的に絶対に避けられない状況。詰みだ。
アデレード:針が喉に突き刺さるその直前、
アデレード:ば しゃ り
アデレード:――と。
アデレード:アデレードの身体が、爆発するように弾ける。
雨宮 さざめ:「────────」ゆっくりと目を開け、その様を目視する。
アデレード:その身体は無数の蝙蝠に姿を変え、夜空に舞い上がり。
アデレード:少し離れた位置で、再び身体を構成する。
雨宮 さざめ:「……やれ、やれ」己が最後の手が届かなかったことを知る。息を吐き、項垂れた。
雨宮 さざめ:「これ以上を求められては、それこそ戦となります」
アデレード:「……びっ……くり、した……」
アデレード:「そこまでやる?普通」
雨宮 さざめ:「むぅ。これでも火薬の量は抑えました。公園の外まで破片が飛び散らないように」
雨宮 さざめ:「回避の軌道の癖は見えておりました。何処へ降りるように、何処へ降りるようにと数手を積み重ね」
雨宮 さざめ:「最後の一手で仕留める所存でしたのに……」がっくりと肩を落とす。
アデレード:「『こういうの』までは、使う気無かったのだけれど。参ったわね」
アデレード:「勝負には負けた気分だけど。でも、試合は試合よ」
アデレード:「私の血は、まだあげられないわね」
雨宮 さざめ:「……ここから先は、粉塵か霧か、いずれにせよ根絶やしにする技しかございません」
雨宮 さざめ:「ああ、しくじった。公園ではなく、周囲に家屋の無い場を選ぶべきだった……」
雨宮 さざめ:テグスを巻き上げて針を袖の中へ引き戻す。……他に打つ手無し、を認めた形だ。
アデレード:「勘弁してほしいわね。こんなうら若き乙女に、そんな物騒なもの使う気だったの?」
雨宮 さざめ:「無論。私は他に戦う術を知りませぬ」
アデレード:「でもこれで、また会う時の楽しみがひとつ増えたわ」
アデレード:「貴女の恋も殺しも、どうなるのか楽しみだわ」
雨宮 さざめ:「……また会う時というものが、あるのならば」
雨宮 さざめ:「その時は半径数里、焦土とする術を探しておきましょう」
アデレード:「……次会うときは、街中のカフェとかにするわ」
雨宮 さざめ:「ちっ」舌打ち。
アデレード:三日月の下、ふわりと身を翻す。
アデレード:「もう行くわ。夜が明ける前に発たなくちゃ」
雨宮 さざめ:「残念です」
雨宮 さざめ:「私はもう暫く、こんな夜を続けていたかった」
雨宮 さざめ:「いいえ、叶うことならばいつまでも、いつまでも……」
アデレード:「そうね。私もよ」
アデレード:「特に、こんな素敵な夜はね」
アデレード:夜空を見上げて。
アデレード:「でも言うでしょう?さよならだけが人生よ」
アデレード:「ごきげんよう、さざめ。貴女はいいお友達だったわ」
雨宮 さざめ:「〝さよならだけが人生ならば、また来る春はなんだろう〟」
雨宮 さざめ:「ごきげんよう、アデレード。貴女はとてもずるくって、ひどい人でした」
アデレード:「ええ。それ、あの子によく褒められたわ」くすりと笑い。
雨宮 さざめ:「いつかまた、遠い夜に」
アデレード:「願わくば、また。こんな夜にね」
アデレード:そうして笑みを残し、アデレードは三日月の下、冷たい夜気の中に消えていく。
アデレード:出逢った時と同じように。静けさの中、後には君だけが一人、残される。
雨宮 さざめ:「……結局の所」
雨宮 さざめ:夜寒の風に打たれながら、額に浮かんだ汗を拭う。
雨宮 さざめ:胸を躍らせながら駆けた道を、逆向きに歩いて行く。
雨宮 さざめ:嘘は言わず、戯れごとでもない。全てが本心であり、全霊であった。
雨宮 さざめ:ほんの数週間の出来事。それでも、全力だったのだ。
雨宮 さざめ:「私は、友とするには不足だった」
雨宮 さざめ:「……そういう事なのでしょう」
雨宮 さざめ:風が冷たい。
雨宮 さざめ:家の暖かい布団が、いつもより少し恋しくなった。
【ED/八十方織間】
GM:---
GM:第二区 梶田記念病院
GM:---
GM:梧桐との交戦で負傷した君――八十方織間は、すぐさま病院へと搬送された。
GM:全身至る所に夥しい負傷。いかにオーヴァードといえど、しばらくの入院生活を余儀なくされた。
GM:そんな君が、個室のベッドで退屈な時間を過ごしていると、ノックの音が聞こえてくる。
八十方織間:普段使っているものより数段軽いダンベルを、腕だけで上下させながら
八十方織間:「どうぞ」 応じる
獅子堂奈乃:「失礼します……うわ」
獅子堂奈乃:獅子堂奈乃。君と同じく負傷して入院中だが、君よりは怪我は軽いようだ。
獅子堂奈乃:「何してるんですか……」
八十方織間:「獅子堂か。何と言っても……見ての通り」
八十方織間:「運動だが」 いつもt変わらぬ、真面目腐った表情
獅子堂奈乃:「whatじゃなくてwhyを訊いてるんです」
獅子堂奈乃:「安静にしているよう言われていないんですか?」
八十方織間:「だったら『何故』と言え。……まあ、言われているが」 少し視線を逸らし
八十方織間:「だからと言って何もせずにいるのも我慢ならない。リハビリだ、リハビリ」
八十方織間:「傷の開かない負荷くらいは心得ている。どうせ腕は無事だしな……」
八十方織間:話しながらも、ダンベルの上下を止めることはない
獅子堂奈乃:「ふぅん」目を細め、包帯越しに傷口をつつく。
八十方織間:「うぐっ!」 不意の痛みに肩をビクリと震わせ
八十方織間:「……獅子堂」 じろりと後輩の顔を睨む
獅子堂奈乃:「ほら、ですから言わない事ではないと言うんです」どこ吹く風で。
獅子堂奈乃:「ちゃんと休むのも仕事のうちです。訓練所で習いませんでしたか?」
獅子堂奈乃:「早く先輩に元気になってもらわないと、私が困ります」
八十方織間:溜息を吐き、ダンベルを脇に置く 「……休息の重要性は理解している。だが今は治療のため、運動の禁止を強いられている状態だ」
八十方織間:「休みと言うには過剰過ぎる。少々の自主トレーニングくらい、問題ないだろう」
獅子堂奈乃:「問題があるから禁止されているんです。専門分野は専門家に任せる。先輩も普段はそうしてらっしゃるでしょうに」
八十方織間:「…………」 そう言われると黙って腕を組む。確かにその通りでもあるのだ
八十方織間:ただそれうだと分かっていても、あまり長く何もせずじっとしていると、余計なことを——
八十方織間:「……で」 目を開き、獅子堂を見る 「何故俺が休んでいると困るんだ? ペアでなければならないような訓練は入れていなかったと思うが」
獅子堂奈乃:「……」
獅子堂奈乃:「先輩がいないと、肉体労働を受け持ってもらえる方がいませんから。か弱い乙女にそんな事をさせるおつもりですか?」
八十方織間:「ふむ。お前の能力を応用すればその辺りも行ける気はするが……いや、そんなことのために手を広げるでもなしか」
獅子堂奈乃:「大体、何ですか。いつまでもお見舞いに来てくれないから、嗚呼なんて薄情な先輩なのだろうかと思っていたら……」
獅子堂奈乃:「何ですかこの有様は。どうして私よりひどく怪我をしているんですか」
獅子堂奈乃:「先輩は莫迦です」
八十方織間:「獅子堂に比べればな。だが、自分でも言ってるだろう」
八十方織間:「お前がか弱くて、俺が肉体労働をするのであれば、俺の方が負傷が大きくなるのも道理だ。今回の敵は、特に……」
八十方織間:少し言い淀み 「……強かったからな。俺だって怪我もする」
獅子堂奈乃:「…………」溜息を吐き。
獅子堂奈乃:「そんな辛気臭い、葬式帰りのような顔をしていれば、看護師の皆さんにもご迷惑でしょう」
獅子堂奈乃:入院着で、来客用の椅子に腰を下ろす。
獅子堂奈乃:そのまま黙り込む。口を開くのを待っている。
八十方織間:「…………」
八十方織間:しばし押し黙って、ベッドの脇を見ていたが、やがて溜息を一つ吐く。
八十方織間:満身創痍の身体に対し、一つの傷のない両手を組んで
八十方織間:「……新田先生に会った」
八十方織間:「先生……梧桐啓司、……先生の、引き継ぎだ。UGNと協力して、俺の腕を見てくれる人だ」
獅子堂奈乃:「……ああ。言っていましたね、そんな事を」
八十方織間:「確かに良い医者だった。先生よりも若いし、親身に接している。UGNについても、よく知っているのかな……」
八十方織間:「腕だって良かった。何の違和感もなく、先生が俺にしてくれていたことは、新田先生に引き継がれて……」
獅子堂奈乃:「…………」
獅子堂奈乃:「…………『でも』?」
八十方織間:「……ふ」 少しだけ笑って、獅子堂に目を向ける
八十方織間:「でも、何だか……妙なことだと思うだろうが」
八十方織間:「『物足りなかった』。……違和感の正体がそれだって、最初は気付けなかったけどな」
獅子堂奈乃:「…………」黙って話を聞く。
八十方織間:両腕を伸ばし、上半を立てたベッドに背を預ける 「何てことはない。やっぱり俺は、先生に腕を見てもらうのと同時に……」
八十方織間:「……それが業務上の、半分以上は『問題ない』と言うばかりの、確認のようなものだったとしても……」
八十方織間:「この手で過ごす日常生活を、思い出して、先生に話す」
八十方織間:「そういうことが、まあ、何だ。習慣になっていたんだろうと思って」
八十方織間:溜息を吐く 「……だからお前の言う通り、葬式帰りのような顔になっていたのだろう」
八十方織間:「先生はもういないと、重く実感させられているんだ」
獅子堂奈乃:「…………」しばらく、考えるように黙り込み。
獅子堂奈乃:「……私には」
獅子堂奈乃:「無責任な慰めは、言えません。こういう時には、そういったものこそ必要だとは、分かっていますが」
獅子堂奈乃:「私には、その先生の代わりを務めることも、出来ません」
獅子堂奈乃:「時間が解決してくれると言うけれど、それがいつまでなのか、保証は出来ません」
獅子堂奈乃:「もしかしたら、死ぬまで癒えない傷かもしれません。私たちの一生は、あまりに短い」
八十方織間:「…………」
獅子堂奈乃:「……でも」
獅子堂奈乃:「私は、先輩にいてもらわないと、困ります」
獅子堂奈乃:「その怪我が治ったら、立ってください。いつものように歩き出してください」
八十方織間:珍しく、穏やかに笑って 「……肉体労働に困るからか?」
獅子堂奈乃:「いいえ」
獅子堂奈乃:「私が先輩に、そうあってほしいからです」
獅子堂奈乃:「そして、そんな辛気臭い、葬式帰りのような顔をするのは」
獅子堂奈乃:「……私の前だけにしてください」
八十方織間:目を閉じ、やれやれと首を振って 「難しい注文だ」
八十方織間:「だが、そう努力はする。……そうだな。あまり人に心配をかけるものじゃない」
八十方織間:ぱんぱんと、解すように自分の頬を手で軽く叩く
八十方織間:「それで入院を伸ばされたりしてはことだ」
獅子堂奈乃:「ええ。先輩のような、工業機械が二本足で歩いているような方には、難しいかもしれませんが」
八十方織間:「だが、それならじきに歩き出せそうだ。機械が二本足で歩いているようなものが、歩けなければいよいよアイデンティティが危うい」
獅子堂奈乃:「ええ。重心を見誤らないように。先輩は前のめりになりすぎるきらいがありますから」
獅子堂奈乃:「……時に先輩」
八十方織間:「うん?」
獅子堂奈乃:「お忘れではありませんよね?」
八十方織間:「…………」
八十方織間:少しばかり目が泳ぎ
八十方織間:「…………ああ」
八十方織間:「忘れていないぞ。今この瞬間は」
獅子堂奈乃:「……」見透かしたようにじっとりと見つめ。
獅子堂奈乃:「……アイゼンステイン家の家宅捜索中に、任務が片付いたら何でもしてくださると仰いましたよね」
八十方織間:「…………」 そう言われると、顎に手をやり
八十方織間:「タイミングは覚えているが……」
八十方織間:「……何でも、とまで言ったか?」
獅子堂奈乃:「ええ、仰いました」 正確には『何でも用意をしてやるから』だが。
八十方織間:「そうか。……まあ、あの時は少し気が急いていたからな」 それくらいは言うかも知れないと思っている
獅子堂奈乃:「まさか先輩は、約束をお違えになる方ではありませんね?」
八十方織間:「もちろんだ。常識の範囲内でな」
獅子堂奈乃:「では好都合です」
獅子堂奈乃:「不公平を正してください」
八十方織間:「まあ、今回の件で見舞金も少々出ている。そこから融通してやれば、ちょっとしたものなら……」
八十方織間:「……うん?」 怪訝な表情
獅子堂奈乃:黒手袋に包まれた手を出して。
獅子堂奈乃:「お手を」
八十方織間:「……」
八十方織間:一瞬、何らかのイタズラを予期したが、よもやそんなことをする後輩ではなかろうと思い直し
八十方織間:鏡合わせのように、そっと手を出す。
八十方織間:ごつごつとしつつも、血色の良い肌の色。そうと知らなければ、義肢には見えない。
獅子堂奈乃:「…………」じっと見つめながら、義手の掌を親指で押す。
獅子堂奈乃:「感覚はあるのですか?これ」
八十方織間:触れれば骨ばって、しかし肌と肉の分は柔らかく、温かい
八十方織間:「ん……ある。俺の能力の賜物ではあるが」
獅子堂奈乃:「ふぅん……」
獅子堂奈乃:どこか楽しげに、その手を弄ぶ。
八十方織間:「生活義肢だからな。ただ運動するだけではない。触れられる、感じられるという機能も求められ……」
八十方織間:「……」 講釈を垂れるのも何となく途絶え
獅子堂奈乃:手袋越しに、甲を撫で、関節をさすり。
獅子堂奈乃:指先を握り、指と指とを絡ませる。
八十方織間:「…………」 何かを堪えるような面持ちで、視線を落とす
獅子堂奈乃:「……ふふ」
獅子堂奈乃:何がそんなに楽しいのか、笑みを零して。
八十方織間:「……し、しどう」 上ずった声で名を呼ぶ
獅子堂奈乃:「はい?」視線は手に落としたまま。
八十方織間:「もう良いだろう。そんなに触っても、何も出ん」
獅子堂奈乃:「何を言うのです。先輩が仰ったのですよ?何でもしてくださると」
獅子堂奈乃:「もうしばらく、いい子にしていてください」
八十方織間:「いや、それは……」
八十方織間:「そうだが……」
八十方織間:何が口の中でもごついたが、観念したように目を閉じる
獅子堂奈乃:言いつつ、お気に入りの玩具を見つけた猫のように、いつまでもその手を弄くりまわす。
八十方織間:普段は握ってばかりの手の神経を、手袋越しとはいえ、細い指先が踊り、絡むのを、耐え忍ぶ
八十方織間:耳と首筋と手のひらに熱を感じながら、ただ目の前の後輩が飽きることを願い続ける時間は
八十方織間:なるほど図らずとも、脳の片隅に永く居住まう忸怩たる気持ちと向き合う必要のない、貴重な一時にはなっていた——
【【ED/晩翠凍衿】
GM:---
GM:聖ルツィア女学院 会長室
GM:---
GM:事件の後、君が病室に訪れると、既に天花寺アスカは半ば無理やり退院した後だった。
GM:彼女の行く先はひとつしかない。君は天花寺に会うべく、この日、聖ルツィア女学院、会長室の前に立った。
晩翠凍衿:「……」
晩翠凍衿:奇妙な縁が重なって、この場に立つのは既に何度目かだが。
晩翠凍衿:こうも覚束ない気持ちでいるのは初めてのことだ。
晩翠凍衿:数呼吸の間躊躇って、それから遠慮がちに扉を叩く。
天花寺アスカ:どうぞ、と、間を開けずに天花寺の声が返ってくる。
晩翠凍衿:「……」もう一度深く息を吸って、吐く。
晩翠凍衿:「失礼します」そして扉を開ける。
GM:君が何度も訪れた会長室。違うのは、花束と贈り物の山に埋め尽くされていること。
GM:それに埋もれるようにして、天花寺が来客用のソファに腰掛けている。
GM:全身包帯とギプスまみれの、痛々しい有様だ。
天花寺アスカ:「やあ、凍衿」
天花寺アスカ:「お見舞いに来てくれたのかい?嬉しいな」
晩翠凍衿:「……こんにちは」
晩翠凍衿:必然、声も表情も硬くなる。
晩翠凍衿:「いいんですか?まだ入院してなくて」
天花寺アスカ:「どうもあそこは落ち着かなくてね。それに」
天花寺アスカ:「わざわざ学外の病院まで生徒たちに足を運んでもらうのも忍びない」
天花寺アスカ:「こちらにいると、皆いつもより優しくしてくれるからね。得なのさ」
天花寺アスカ:そう言っていつもの爽やかな――或いは軽薄な笑みを見せる。
晩翠凍衿:「……ああー……」とても嫌そうな声。この場合は納得の表明。
晩翠凍衿:確かにこの学院の生徒たちが天花寺アスカの病室に大挙して押しかけるのは鎮圧などの対処が必要な事態になりそうである。と思う。
晩翠凍衿:「いや、でも」
晩翠凍衿:「……傷。全然治ってないじゃないですか」
天花寺アスカ:「ああ、まあね」吊られた片手に目をやって。
天花寺アスカ:「でも、やっぱり何かといいこともあるよ?」
天花寺アスカ:「剥いた果物をあーんしてもらえたりだとか」
晩翠凍衿:「治らないわけじゃないでしょうね?」
天花寺アスカ:「まあ、人よりは治りは早いよ。戦闘向きのオーヴァードほどではないけどね」
晩翠凍衿:「なら、いいですけど」
天花寺アスカ:「おや?」笑みと共に、首を傾げ。
天花寺アスカ:「心配してくれたのかい?」
晩翠凍衿:「……すみませんでした」
晩翠凍衿:「いなくなった方が、この学校がマシになるかも、なんて……」俯く。
天花寺アスカ:「…………」
天花寺アスカ:「…………?」
天花寺アスカ:「……そんなこと、言ったかい?」
晩翠凍衿:「言いました」顔を上げ、正面から目を合わせて。
晩翠凍衿:「今回の件について、UGNに知らせるよう頼まれた時に。今みたいに、心配してくれるのかって訊かれて」
晩翠凍衿:「あたし、アスカさんがいなくなってくれたら、あの学院もちょっとはまともになるかもしれないって」
天花寺アスカ:「ああ……」頷き。「確かに。そんなことを言われたような覚えがあるね」
天花寺アスカ:「でも、本気じゃなかっただろう?」
晩翠凍衿:「本気じゃなかったから、謝ります」
天花寺アスカ:「そんなこと、少しだって気にしていないのに!」笑って。「君は優しいね」
天花寺アスカ:「むしろ、深く感謝しているのに。凍衿がいなければ、僕は今頃死んでいたよ」
晩翠凍衿:「…………」そう言われて、むしろひどい苦痛に襲われたように顔を顰めて。
晩翠凍衿:「……ともかく」
晩翠凍衿:「長命者を狙って殺し回っていた奴らは……UGNが対処しました。この度の事件については、解決したと思います」
晩翠凍衿:「そういう、報告と。あと……」
晩翠凍衿:荷物の中から、白い紙で包まれた花束を取り出す。
晩翠凍衿:「……これ。早く良くなってください」
天花寺アスカ:「……」
天花寺アスカ:受け取って。
天花寺アスカ:「ありがとう、凍衿」
天花寺アスカ:一度抱き締めるようにしてから、他の花束と混ざらない、自分の机の上に置く。
天花寺アスカ:「……凍衿」
晩翠凍衿:「……はい」
天花寺アスカ:「こうして怪我人をしていると、さっきも言った通り、色々得があってね」
天花寺アスカ:「皆優しくしてくれるし、お見舞いの大義名分があるから、普段シャイな子も沢山来てくれるしね」
天花寺アスカ:「さっきまでずっと、引っ切り無しに来客があってね」
天花寺アスカ:「いやぁ、嬉しいけど、大変だったよ」
天花寺アスカ:ははは、と笑う。
晩翠凍衿:「じゃあ、出遅れたんですね、あたし」
晩翠凍衿:明らかに硬い苦笑。
天花寺アスカ:「そうなるね」
天花寺アスカ:「でも」
天花寺アスカ:「今はみんな、帰ってもらったよ」
天花寺アスカ:「この窓から、君が来るのが見えたから」
晩翠凍衿:「…………」
晩翠凍衿:「……はあ……?」ぴんと来ていない顔。
天花寺アスカ:「言葉だけでは、信じてくれないようだからね」
天花寺アスカ:微笑を浮かべ、真っすぐに見つめる。
天花寺アスカ:「君だけが特別だって」
晩翠凍衿:「…………」
晩翠凍衿:「………………………?」
晩翠凍衿:「……何と?」
天花寺アスカ:ふっと息を吐くように、一度苦笑して。
天花寺アスカ:「……君は僕にとって、特別な人だよ。凍衿」
天花寺アスカ:「この学院の誰であっても、君の代わりにはならない」
天花寺アスカ:「……そう言ってるんだよ」
晩翠凍衿:「あ、はい」
晩翠凍衿:「ありがとうございます……?」
晩翠凍衿:「…………??」
晩翠凍衿:表情筋から力が抜け切っている。全く理解が追い付いていない。
天花寺アスカ:目を閉じて。「うん…………」
天花寺アスカ:「……」
天花寺アスカ:「……事件のことだけど。いいかい?」
晩翠凍衿:「……」
晩翠凍衿:「はい。お願いします」
晩翠凍衿:機械音声めいた応答。
天花寺アスカ:「凍衿はどう思う?老いることなき身体について」
天花寺アスカ:「欲しいと思うかい?」
晩翠凍衿:「まあ……そうですね……」
晩翠凍衿:「実感はしたことがありませんが。何につけ、加齢で不自由する話はよく聞くので」
晩翠凍衿:「そういう問題から解放されるのであれば、それは素敵なことだと思っていました」
天花寺アスカ:「成程。……そうだな……」
天花寺アスカ:しばらく考え込んで。
天花寺アスカ:「……本当にそう思う?」
天花寺アスカ:念押しするように訊く。
晩翠凍衿:「……今回の事件で知り合った、アスカさんとは別の古代種オーヴァードは」
晩翠凍衿:「人は、人のこころのまま、何百年も生きるようには出来ていない、と」
天花寺アスカ:「そうなのか。……でも、それはその人の意見だろう?」
天花寺アスカ:「僕を見てどう思う?毎日楽しくやってるよ」至極楽しそうに言う。
晩翠凍衿:「それが見せかけなのかどうか、今の話を聞いてから、ずっと考えていました」
晩翠凍衿:「アスカさんは……具体的に何歳なのか分かりませんが」
晩翠凍衿:「実は虚しさを抱えていたりするのか、と」
天花寺アスカ:「…………」
天花寺アスカ:「……知りたいかい?」
晩翠凍衿:「……気になります」
晩翠凍衿:「本当の。正直なところが」
天花寺アスカ:「……」じっと目を合わせて。
天花寺アスカ:「……駄目。秘密」
晩翠凍衿:「…………」
晩翠凍衿:「は?」声を荒げる。
天花寺アスカ:「だって、ミステリアスな方が僕らしいだろう?」悪びれもせずに。
晩翠凍衿:「はあああ!?何ですかそれ!」
晩翠凍衿:「人がせっかく心配したのに……!」
天花寺アスカ:「そんなに怒らないでおくれよ。怒った君も可愛らしいけど」
天花寺アスカ:「それに、その辺の善悪や倫理なんて、僕にはどうだっていいんだ」
天花寺アスカ:「僕が言いたかったのはね、凍衿」
晩翠凍衿:「……言いたかったのは?」
天花寺アスカ:ギプスに固められ、吊り下げられた自分の腕に触れて。
天花寺アスカ:「君が本当にその気なら」
天花寺アスカ:「腕の一本くらい、あげてもいいなと思うんだよ」
晩翠凍衿:「……」
晩翠凍衿:「本気なんですか……」
晩翠凍衿:真剣な表情で見つめる。
天花寺アスカ:「冗談でこんなことは言わないさ」
天花寺アスカ:口調は軽いが、目は嘘を言っていない。
晩翠凍衿:「なんで」
晩翠凍衿:「誠意の印だ、とでも」
天花寺アスカ:「……さあ……」天を仰いで。「……どうしてかな。正直なところ、自分でも上手く説明できないんだ」
天花寺アスカ:「ただ、君にならそうしてもいいと。そう思ったんだ」
晩翠凍衿:「なんでですか」
晩翠凍衿:「さっきの……あたしが特別だ、っていうのも」
晩翠凍衿:「全然分かりません。あたしは」
晩翠凍衿:「いっつも愛想悪くしてたし。冗談のつもりで、洒落になんない酷いことを言ったし。アスカさんが……そんな大怪我をするのも止められなかったのに」
晩翠凍衿:「急に、そんなこと言われても」
晩翠凍衿:「……納得、できないです」
天花寺アスカ:「……そうだな……」
天花寺アスカ:「……まあ、一言で言えば……」
天花寺アスカ:少し、困ったように笑う。
天花寺アスカ:「好ましく思っているからだよ、君を」
晩翠凍衿:「…………あたしみたいなのが、今まで全然いなかったわけでもないでしょうに」
晩翠凍衿:「あたしがなんて言っても、へらへらって受け流して、全然気にされてない風なのが嫌だったから」
晩翠凍衿:「だから、あたしがアスカさんのことを考えて不安になる半分くらいは、アスカさんにもあたしのことで不安で仕方なくなって欲しかったのに」
晩翠凍衿:「一足飛びにそんなこと言われたら、どうしていいか分からないですよ」
天花寺アスカ:「……ごめん」
天花寺アスカ:「君を困らせるつもりじゃなかったんだ。ただ……」
天花寺アスカ:「……こっちにおいで?凍衿」ソファに座ったまま、自分のほうへ招く。
晩翠凍衿:「……謝んないでください」
晩翠凍衿:指し示された方へと歩く。躊躇いがちな、小さな歩幅。
天花寺アスカ:向かい合い、その手を取って。
天花寺アスカ:「腕のことは、いい。半分冗談だよ。今は忘れてくれていい」
天花寺アスカ:「ただ、せめて……」
天花寺アスカ:その手の甲に、口付けをして。
天花寺アスカ:「せめて、君の貴重な時間の、ほんの少しだけ。僕に預けてくれるかい?」
晩翠凍衿:「————」
晩翠凍衿:熱い血が頭に昇ってくるのが分かる。否応なしに。
晩翠凍衿:もやもやと蟠り続けていた感情に、名前を与えることは最早避けられない。だから。
天花寺アスカ:「怪我が治ったら、二人で出掛けよう」
天花寺アスカ:「……デートのお誘い。これで良かった?」
晩翠凍衿:「……だっ、ダメ!ダメです!」
晩翠凍衿:強引に手を引く。
天花寺アスカ:「おっと……」軽々と手を引かれる。
晩翠凍衿:「あたしだって!」
晩翠凍衿:「そもそもファンの子たち全員敵に回す覚悟決めて、今日はここに来てるんですから!」
晩翠凍衿:「……あたしが、アスカさんに時間を預けるんじゃなくて」
晩翠凍衿:「アスカさんに、あたし無しじゃいられなくなってほしい。この先何百年経ったって、あたし一人のことを忘れないでほしい」
晩翠凍衿:「あたしが、あなたの時間も、気持ちも、全部奪い取って見せます」
天花寺アスカ:「…………」
晩翠凍衿:「……いいですか」
天花寺アスカ:「………………参ったな」
天花寺アスカ:俯く。長い黒髪が垂れて、その表情を隠す。
天花寺アスカ:「……ああ」
天花寺アスカ:そのまま、こくりと頷いて。
天花寺アスカ:「……楽しみにしているよ」
晩翠凍衿:「…………」
晩翠凍衿:両の目尻に、小さく光る粒。
晩翠凍衿:それが零れて伝った先の顎が、縦の動きにひとたび揺れた。
Double Cross The 3rd edition『幾千万夜の恋の涯』
END